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高齢者施設での新型コロナ被害を最小限にするために/COVID-19対策アドバイザリーボード

 第112回新型コロナウイルス感染症対策アドバイザリーボードが、12月28日に開催された。その中で「高齢者・障がい者施設における被害を最小限にするために」が、舘田 一博氏(東邦大学医学部教授)らのグループより発表された。 このレポートでは、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)に感染すると死亡などのリスクの高い、高齢者・障害者を念頭に大人数が集まるケア施設内などでのクラスター感染を防ぐための対応や具体的な取り組み法として、健康チェック、ワクチン、早期診断と対応、早期治療、予防投与が可能な薬剤、リスク時の対応、保健所や医療機関との連携などが示されている。医療機関外での感染者対応が課題 はじめに「第8波のリスクと高齢者・障がい者施設を守ることの重要性」と題し、これまでわが国では、高齢者・障害者施設において多数のクラスターを経験、多くの命が失われたこと、現在は第8波の入り口であり、年末年始の諸行事により急激な感染者数の増加が生じるリスクが高まることを指摘する。そして、死亡者数が1日270人(2022年12月15日時点)と増加中であり、その多くが高齢者や基礎疾患を有する人で、とくに集団感染が生じやすい高齢者・障害者施設、慢性期医療機関がリスクの中心であり、その被害をいかに減らすかが重要となる。また、今冬はインフルエンザとの同時流行が懸念され、こうした施設内においても、COVID-19とインフルエンザが同時期に流行し両方の感染者が増大したことを想定した備えが必要になると注意を喚起しているほか、ワクチンなどの普及により軽症例や無症候例もあり、すべてが医療機関への入院ではなく感染者の状態に応じて施設内対応が求められる事例が増加しており、感染者や濃厚接触者への感染対策や治療を施設などでも行っていくことが求められるようになっている。高齢者や障害者の命を守ることができる施設対策へ 高齢者・障害者施設で求められる第8波対策は以下の通り。1)健康チェック入所者・職員の毎日の健康チェックが重要。発熱・咳・咽頭痛(違和感)・全身倦怠感などがみられた場合には感染の可能性を考えて迅速に対応。都道府県が実施している職員対象のPCR検査や抗原定性検査キットによる定期的検査を積極的に活用し、感染の早期発見に努めること。2)ワクチン接種オミクロン対応2価ワクチンが利用でき、それ以外の新型コロナワクチンの最終接種から3ヵ月を経過した時点からは次のワクチン接種が受けられる。施設利用者に対しては集団的接種などによる接種機会の確保を図るとともに、職員にも早めの接種を推奨する。また、インフルエンザワクチンとの同時接種も可能。3)早期診断・早期対応「風邪かな?」と思ったら、コロナやインフルエンザの可能性を考えて検査を実施することが必要。典型例を除き(インフルエンザ流行時の急激な発熱・筋肉痛など)、臨床症状だけで両者を鑑別することは困難。現在では、コロナだけでなく、インフルエンザも同時に診断できる簡易抗原検査キットが利用可能なので、施設ごとに協力医療機関などと連携の上で、検査キットを備えておくことが勧められる。4)コロナと診断された場合の早期治療これまでにコロナに対する治療薬として抗ウイルス経口薬(3種類)と注射薬(1種類)、中和抗体薬(3種類)に加えて、免疫抑制剤(3種類)が承認されている。高齢者や重症化リスクのある人には早期の治療開始が重要。しかし、高齢者・障害者施設においては、医師が常駐していないこともあり、施設特性や得られる医療支援に応じて、無理のない範囲で使用可能な治療薬の検討を行い、感染発生を想定した準備を行うことも重要。5)予防投与が可能な薬剤施設内で感染者が発生し、クラスターのリスクが高まっている場合、あるいは免疫抑制状態が強く重症化リスクが高い入所者において、曝露後に使用できる薬剤としてカシリビマブ/イムデビマブ(商品名:ロナプリーブ)が承認されている。オミクロン株の流行の中で中和活性の低下が報告されているが、中和活性に加えて感染細胞を排除する作用(エフェクター機能)があることも報告されており、他の薬剤が使用できない場合の投与が承認されている。施設内でのクラスター発生時、感染者周囲の曝露者に対して予防投与を早期に行うことにより発症および重症化を抑制できる可能性がある。施設の特性や得られる医療支援を考慮し、無理のない範囲で、予防投与の進め方に関して担当医師と相談しておくことも重要。6)クラスターのリスクが高まっている場面での感染対策の実際施設内で感染者が発生した場合に、施設内で隔離および治療を行わなければいけない場合も増加している。これまでの経験をもとに感染対策を実施し、他の入所者に感染を広げない対策が必要になる。施設内では人材・感染対策資材も限られており、ゼロリスクを求める対策は困難だが、施設で実施することが可能なリスクを減らす対策を組み合わせて対応することが必要になる。〔高齢者・障害者施設におけるエアロゾル感染対策の考え方〕(1)屋内における密集を避ける(2)換気扇を常時稼働させる(3)人数が増えたら窓を開ける(4)扇風機を外に向かって回す(5)パーティションは必要時に設置する(6)空気清浄機を活用する7)保健所・医療機関との連携の重要性クラスターの発生前から保健所や医療機関との連携が取れるように、日常から備えておくことが重要。とくに医師が常駐していない施設では、感染疑いの入所者・職員が出た場合の検査や治療の実施に関して事前に保健所や医療機関と相談をしておく必要がある。感染者が明らかとなった場合には、保健所・医療機関に速やかに連絡し、必要な治療を開始することが重症化抑制、クラスター対策として効果的。第8波を前に保健所・連携医療機関と対応の実際に関してお互いに確認しておくことをお勧めする。〔高齢者・障害者施設における感染対策のポイント〕・最終ワクチン接種後、3ヵ月を経過したら次の接種が可能(コロナとインフルエンザワクチンの同時接種も可能)・早期発見「かぜ」かな?と思ったら検査を実施(適宜、コロナ・インフルエンザ同時抗原検査を利用)・リスクを減らす対策を可能な限り組み合わせて対応・人との接触時(近距離・直接)はマスク着用と効果的な換気が基本(吸引などの場合はN95マスクを使用)・医療機関・保健所との連携の確認(早めの診断と治療、感染の拡大予防が可能になるよう前もって相談)

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肺臓炎発症例、オシメルチニブのリチャレンジの実施可能性/Eur J Cancer

 軽症肺臓炎を発症したEGFR変異陽性進行非小細胞肺がん(NSCLC)へのオシメルチニブのリチャレンジを検証したリアルワールド試験の結果が発表された。 オシメルチニブは、EGFR変異陽性NSCLCの1次治療の標準だが、治療に影響を及ぼすオシメルチニブの有害事象として、薬剤性肺臓炎が挙げられる。オシメルチニブの適正使用ガイドでは、肺臓炎発症後は全例治療中止が推奨されている。一方、症例報告や後ろ向き試験では、肺臓炎発症後のオシメルチニブリチャレンジの実施可能性や有効性についての報告がある。ただし、リチャレンジの主要評価項目とした多症例の検証はなかった。 和歌山県立医科大学の今地 美帆子氏らは、オシメルチニブの1次治療を受けた患者の多施設共同コホートから、肺臓炎を発症し同剤のリチャレンジを受けた患者を後ろ向きに検討した。主要評価項目は、リチャレンジ後の全Gradeの肺臓炎の発症率、副次評価項目は、オシメルチニブリチャレンジ後の治療効果であった。 主な結果は以下のとおり。・画像データが入手可能であった試験全体の患者452例中、肺臓炎を発症した患者は82例、そのうちオシメルチニブのリチャレンジを受けた患者は33例であった。・上記33例の肺臓炎の内訳はGrade1が26例、2が6例、3が1例であった。・オシメルチニブのリチャレンジ後、15%(33例中5例) が軽度の再発性肺炎を発現した。・上記5例中3例は、初期肺臓炎と再発肺臓炎の画像パターンが類似していた。・オシメルチニブリチャレンジ後の無増悪生存期間中央値は未到達であった。 筆者らはオシメルチニブによる軽症肺臓炎発症患者に対し、オシメルチニブのリチャレンジは治療選択肢となり得る、と述べている。

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悪性新生物の死亡確率、男性3割・女性2割/厚生労働省

 厚生労働省は12月23日、「令和2年都道府県別生命表」を発表した1)。都道府県別生命表は、国勢調査による日本人人口(確定数)と人口動態統計(確定数)による日本における日本人の死亡数、出生数を基に、1965年から5年ごとに作成され、今回が12回目となる。本結果によると、2020年の全国の平均寿命(0歳の平均余命)は、男性が81.49年、女性が87.60年で、2015年よりも男性では0.72年、女性では0.60年延びていた。また、死因別死亡確率では、男女ともに最も多かった死因は、悪性新生物(腫瘍)であり、男性で28.13%、女性で20.05%を占めていた。平均寿命、男女ともに全都道府県で延びる 2020年の全国の平均寿命は、男性が81.49年、女性が87.60年であった。平均寿命を都道府県別にみると、男性では、滋賀が82.73年で最も長く、次いで長野の82.68年、奈良の82.40年の順となっている。女性では、岡山が88.29年で最も長く、次いで滋賀の88.26年、京都の88.25年の順となっている。また、男女ともに青森が最も短くなっており、男性が79.27年、女性が86.33年であった。平均寿命の最も長い都道府県と最も短い都道府県との差は、男性3.46年、女性1.96年となっている。 平均寿命を2015年と2020年で比較すると、男性では0.72年、女性では0.60年延びていた。男女ともに全都道府県で平均寿命が延びていた。大きな延びを示した都道府県は、男性では、鳥取(1.17年)、富山(1.13年)、和歌山(1.09年)の順となっており、女性では、京都(0.89年)、和歌山(0.88年)、兵庫(0.84年)の順となった。 ただし、2022年7月に発表された「令和3年簡易生命表」によると、2021年の日本人の平均寿命は、新型コロナウイルス感染症の影響で男女ともに前年度よりそれぞれ0.09歳、0.14歳短くなり、男性81.47歳、女性87.57歳となり、10年ぶりに前年度を下回っている2)。死因別死亡確率、悪性新生物が男性3割、女性2割 全国の死因別死亡確率では、男性では、悪性新生物(腫瘍)(28.13%)、心疾患(高血圧性を除く)(14.33%)、肺炎(7.21%)、脳血管疾患(7.03%)、老衰(6.92%)、不慮の事故(3.06%)の順に多く、女性では、悪性新生物(腫瘍)(20.05%)、老衰(17.69%)、心疾患(高血圧性を除く)(16.45%)、脳血管疾患(7.78%)、肺炎(5.50%)、不慮の事故(2.31%)の順となった。死因における新型コロナウイルス感染症(COVID-19)は、男性で0.53%、女性で0.39%であった。 都道府県別で悪性新生物による死亡確率が高かったのは、男性では、北海道(30.82%)、福岡(29.91%)、鳥取(29.75%)の順となった。女性では、北海道(22.72%)、福岡(21.83%)、青森(21.26%)の順に高かった。 男性において、都道府県別で心疾患による死亡確率が最も高いのは愛媛(16.92%)、肺炎が最も高いのは埼玉(8.89%)だった。女性では、老衰の死亡確率が最も高いのは静岡(23.39%)、心疾患が最も高いのは愛媛(18.85%)だった。

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オミクロン株の新系統に対するワクチンの有効性/東京大学・国立国際医療研究センター

 第8波の主体となっている新型コロナウイルス・オミクロン株。現在では、欧米諸国でBA.5系統から派生したBQ.1.1系統が、インドやシンガポールなどのアジア諸国ではBA.2系統から派生したXBB系統の感染例が急激に増加している。これら現在流行中の系統に対する新型コロナワクチンの有効性は、どの程度あるのだろうか。 東京大学医科学研究所ウイルス感染部門の河岡 義裕氏らの研究グループは国立国際医療研究センターと共同で、オミクロン株BQ.1.1系統とXBB系統に対するmRNAワクチン(パンデミック初期株をもとに作られたワクチン)の有効性を検証するため、患者から分離したBQ.1.1系統とXBB系統に対するmRNAワクチン被接種者血漿*の中和活性を調べた。その結果、BQ.1.1系統とXBB系統に対する中和活性は、従来株、BA.2系統、あるいはBA.5系統に対する活性よりも顕著に低かったことが判明した。Lancet Infectious Diseases誌2023年1月号に公表された。*3回目接種から半年経過または、4回目接種から1~2ヵ月経過したもの。ワクチン4回接種でも中和活性は低い 本研究の目的として、2022年12月現在、わが国を含む多くの国々では、BA.5系統に属する株が主流となっている。しかし、米国をはじめとする欧米諸国では、BA.5系統から派生したBQ.1.1系統が主流となりつつあり、インドやシンガポールなどのアジア諸国では、BA.2系統から派生したXBB系統の感染例が急激に増加している。さらには、BQ.1.1系統とXBB系統が、国内を含む多くの国々で検出されている。こうした環境下で、国民のおよそ65%あるいは40%がmRNAワクチンの3回目あるいは4回目接種を終えているなか、現在流行中の系統に対するワクチンの有効性に関する情報が求められている。そのため、河岡氏らの研究グループは、オミクロン株BQ.1.1系統とXBB系統に対するmRNAワクチン(パンデミック初期株をもとに作られたワクチン)の有効性を検証するため、患者から分離したBQ.1.1系統とXBB系統に対するmRNAワクチン被接種者血漿の中和活性を調べた。 mRNAワクチン被接種者から採取された血漿のBQ.1.1株とXBB株に対する感染阻害効果(中和活性)を調べた結果、mRNAワクチン3回目の被接種者の血漿(3回目接種から半年経過したもの)または4回目の被接種者血漿(4回目接種から1~2ヵ月経過したもの)の、BQ.1.1系統とXBB系統に対する中和活性は、いずれも、従来株、BA.2系統、あるいはBA.5系統に対する活性より著しく低く、多くの検体で中和活性が検出限界以下だった。 続いてmRNAワクチンを3回目接種後にBA.2系統に感染した患者(BA.2系統ブレークスルー感染者)の血漿を用いて、BQ.1.1株とXBB株に対する中和活性を調べたところ、これらの血漿のBQ.1.1系統とXBB系統に対する中和活性は、従来株、BA.2系統、あるいはBA.5系統に対する活性よりも顕著に低いことがわかった。一方で、ほとんどの血漿は低いながらも中和活性を有していることが判明した。 同グループは、本研究を通して得られた成果は、「医療現場における適切なCOVID-19治療薬の選択に役立つだけでなく、オミクロン株各系統のリスク評価など、行政機関が今後の新型コロナウイルス感染症対策計画を策定・実施する上で、重要な情報となる」と期待を寄せている。

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患者に伝えたいアナフィラキシー症状

患者さん、その症状はアナフィラキシー ですよ!アナフィラキシーとは「アレルゲン等の侵入により、複数臓器に全身性アレルギー症状が引き起こされ、生命に危険を与え得る過敏反応」のこと。以下のような症状を伴います。□紅潮□そう痒感□蕁麻疹□立毛□結膜の充血□流涙□口腔内腫脹□気道狭窄感□息切れ□嗄声(声がれ)□激しい咳・喘鳴□鼻閉・鼻汁・くしゃみ□腹痛□下痢□血圧低下□拍動性頭痛□浮動性めまい□嘔気・嘔吐□意識障害 □動悸・頻脈□嚥下障害◆こんな場合も要注意!• 蕁麻疹が出なくても、急に息切れや腹痛、血圧低下が起こればアナフィラキシーと診断されます。• 薬剤や食べ物で起こりますが、約半数の患者さんでは原因が特定できないことも。• 薬物投与などの数時間後に症状が起こる場合もあるので、治療によっては院内でしばらく待機する必要があります。出典:日本アレルギー学会. アナフィラキシーガイドライン監修:福島県立医科大学 会津医療センター 総合内科 山中 克郎氏Copyright © 2021 CareNet,Inc. All rights reserved.

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コロナ重症例への治療、長期アウトカムは?/JAMA

 新型コロナウイルス感染症(COVID-19)重篤例への6つの治療(免疫調整薬治療、回復者血漿療法、抗血小板療法、抗凝固療法、抗ウイルス薬治療、コルチコステロイド治療)の検証が行われている「REMAP-CAP試験」から、事前規定の長期(180日)アウトカムの解析結果が、オーストラリア・メルボルン大学のAlisa M. Higgins氏ら同研究グループによって報告された。同試験の既報の主要アウトカム(短期21日)の報告では、IL-6阻害薬(免疫調整薬)にベネフィットがある一方、抗ウイルス薬、anakinra(免疫調整薬)、回復者血漿(免疫グロブリン)、抗凝固療法、抗血小板療法にはベネフィットがないことが示されていた。JAMA誌オンライン版2022年12月16日号掲載の報告。6つの治療について、180日目までの生存を解析 REMAP-CAP試験は、パンデミック/非パンデミックでの重度の肺炎患者に対する複数の治療を評価する国際多施設共同無作為化プラットフォーム試験で現在も進行中である。本論で報告されたCOVID-19重篤例への6つの治療の、事前に規定された2次解析には、14ヵ国197地点で2020年3月9日~2021年6月22日に4,869例のCOVID-19重篤成人患者が登録された。最終180日フォローアップは、2022年3月2日に完了した。 被験者は、6つの治療のうちの1つ以上の介入に無作為に割り付けられた(免疫調整薬治療群2,274例、回復者血漿療法群2,011例、抗血小板療法群1,557例、抗凝固療法群1,033例、抗ウイルス薬治療726例、コルチコステロイド治療401例)。 2次解析の主なアウトカムは、180日目までの生存で、ベイズ区分指数モデルを用いて解析した。ハザード比(HR)が1未満は生存の改善(優越性)を示し、1超は生存の悪化(有害)を示すものとした。無益性は、アウトカムでの相対的な改善が20%未満で、HRが0.83超で示される場合とした。6ヵ月生存改善の確率、IL-6阻害薬99.9%超、抗血小板療法95% 無作為化を受けた4,869例(平均年齢59.3歳、女性1,537例[32.1%])において、4,107例(84.3%)がバイタル情報を有し、2,590例(63.1%)が180日時点で生存していた。 IL-6阻害薬は、対照と比較した6ヵ月生存改善の確率が99.9%超であった(補正後HR:0.74、95%信用区間[CrI]:0.61~0.90)。抗血小板療法は、同95%であった(0.85、0.71~1.03)。 一方、試験定義の統計的な無益性(HR>0.83)の確率が高かったのは、抗凝固療法(確率99.9%、補正後HR:1.13[95%CrI:0.93~1.42])、回復者血漿療法(99.2%、0.99[0.86~1.14])、ロピナビル・リトナビル配合剤(抗ウイルス薬)(96.6%、1.06[0.82~1.38])で、有害である確率が高かったのはヒドロキシクロロキン(免疫調整薬)(96.9、1.51[0.98~2.29])、ロピナビル・リトナビル配合剤+ヒドロキシクロロキン(96.8、1.61[0.97~2.67])。コルチコステロイドは、早期に試験中止となり規定の統計解析要件を満たさなかったが、さまざまな投与戦略が用いられたヒドロコルチゾンの6ヵ月生存改善の確率は57.1~61.6%であった。 著者は、「全体的に、既報の短期の結果を踏まえて、当初の院内治療の効果は、ほとんどの治療で6ヵ月間変わらなかったことが示された」とまとめている。

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コロナウイルスの生存率が高い食品は…野菜or肉or魚?

 2019年冬、中国・武漢で新型コロナウイルス感染症が初めて発生し、その起源も生きた哺乳類が売られていた「海鮮市場」と研究報告もまとめられている1)。以来、新型コロナウイルス(以下、SARS-CoV-2)と食品との関連性については懸念が続いているが、SARS-CoV-2の食品での生存率と除去に関する研究はほとんど存在していない。そこで、韓国・中央大学校のSoontag Jung氏らがSARS-CoV-2の生存に最適な保管温度や素材を調査するために、レタス、チキン、サーモンにSARS-CoV-2を付着させ、温度や湿度を変化させて検証した。その結果、SARS-CoV-2の生存率は、保管温度と食品に依存しており、室温ではレタスとチキン上での生存率が低いことが明らかになった。Food Microbiology誌オンライン版2022年10月27日号掲載の報告。 本研究では、SARS-CoV-2 (L型/S型)をレタス、チキン、サーモンに付着させ、保管温度(20℃、4℃、-40℃)での生存率を食品マトリックスで評価した。さらに、食品マトリックスを不活性化させる消毒薬(エタノール、二酸化塩素[ClO2]、過酢酸[PAA])の有効性を評価した。 主な結果は以下のとおり。・SARS-CoV-2は温度が20℃の場合では食品マトリックス上で3日以上は生存せず、SARS-CoV-2 L型と SARS-CoV-2 S型それぞれの半減期の推定中央値は、レタスでは3.47時間と2.60時間、チキンでは4.80時間と3.08時間で、レタスよりチキンでわずかに長かった。一方、ウイルスが最大2日間検出されたサーモン表面での半減期の推定中央値は、7.46時間と4.65時間で最も長かった。・続いて、4℃での半減期の推定中央値を見ると、10日間にまで延長し、チキンでは生存率の差がL型とS型で違いが見られた。サーモンではSARS-CoV-2両型共に汚染後14日間、感染が維持された。・-40℃ではL型/S型共に3つの素材上で4週間も生存し、とくにSARS-CoV-2 L型ではウイルス感染価(50% Tissue culture infectious dose [TCID50]/mL)2 log TCID50 /mLを超える感染を維持し、レタスが4.80×102、チキンが3.16×102、サーモンが5.54×102だった。・次に消毒薬の有効性について、OECDガイドライン基準によると、保因者検査の標準効果は3 log以上の減少と定義されているが、本研究では検出限界のため、70%エタノールによってチキンとサーモンで3 logを超える減少は観察されなかった。・ClO2では、SARS-CoV-2で汚染された食品に対してすべての暴露時間条件下でどの食品マトリックスに対しても標準的な効果を達成しなかった。・PAAは、すべての食品においてSARS-CoV-2を不活化させることができたが、SARS-CoV-2汚染レタスに対し、40ppmと80ppmのPAAでそれぞれ2.04 logと2.46 logとの殺ウイルス効果を得ることができた(p<0.05)ものの、標準的な効果には達しなかった。 研究者らは「SARS-CoV-2に汚染された食品サンプルは相対湿度40%で保管されていたが、食品は時間の経過とともに徐々に乾燥していった。SARS-CoV-2の生存率は、乾燥が食品マトリックスに影響している可能性もある」と記している。

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EGFR陽性肺がんオシメルチニブ1次治療の有用性、35ヵ月のリアルワールド追跡(OSI-FACT)/日本肺癌学会

 EGFR陽性肺がんの1次治療においてオシメルチニブはスタンダードだが、同レジメンを大規模に観察したリアルワールドデータはない。第63回日本肺癌学会学術集会では、愛知県がんセンターの大矢由子氏により、同治療の有効性と安全性をリアルワールドで評価したOSI-FACT試験の追跡結果が発表された。 対象は、2018年8月〜2019年12月にHanshin Oncology critical Problem Evaluate group(HOPE)を中心に登録された、EGFR変異陽性NCSLC患者538例。これらの患者を後ろ向きに解析した。データカットオフは2022年2月28日で、追跡期間中央値は35.0ヵ月である。 主な結果は以下のとおり。・対象には、グローバル試験の適格基準外となる、ECOG PS≧2(16.2%)、EGFR希少変異(5.5%)、症候性脳転移(6.1%)、髄膜炎(1.1%)。症候性胸水・腹水(9.7%)、間質性肺炎合併例(1.7%)も含まれている。・オシメルチニブ1次治療のPFS中央値は20.2ヵ月であった(観察期間中央値34.4ヵ月)。・OS中央値は未到達であった。・EGFR変異サブタイプによるPFS:exon19delでは26.3ヵ月、L858Rでは16.6ヵ月であった。・PD-L1発現レベル別のPFS:PD-L1<1%では27.89ヵ月、1〜49%では15.61ヵ月、≧50%では10.48ヵ月であった。・奏効率は79.8%、病勢制御率は94.0%であった。・治療中断例は28.1%であった。・肺臓炎の発現は全Gradeで15.7%、Grade3以上は5.2%であった。また、肺臓炎は中長期的にも発現していた。

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新型コロナは季節性インフルと同等となるか/COVID-19対策アドバイザリーボード

 第110回新型コロナウイルス感染症対策アドバイザリーボードが、12月14日に開催された。その中で「新型コロナウイルス感染症の特徴と中・長期的リスクの考え方」が、押谷 仁氏(東北大学大学院微生物学講座 教授)らのグループより報告された。 本レポートは、「I.リスク評価の基本的考え方」「II. COVID-19 のリスク評価」「III.COVID-19 パンデミックは季節性インフルエンザのような感染症になるのか」の3つに分かれて報告されている。 とくに「I.リスク評価の基本的考え方」では、「COVID-19のパンデミックは新型インフルエンザとはまったく異なる経過をたどり、病態にまだ不明な点も多く、死亡者の絶対数は季節性インフルエンザを大幅に超えているということもCOVID-19のリスクを評価する際には重要」と注意を喚起している。また、「III.COVID-19パンデミックは季節性インフルエンザのような感染症になるのか」では、今後予測される状況として季節性インフルエンザと同じような特徴を持った感染症になるとしても相当の時間を要すると予想している。COVID-19と季節性インフルエンザとの比較は慎重に・新型コロナウイルス感染症(COVID-19)をめぐっては季節性インフルエンザとの比較などの議論がなされているが、疫学・病態など多くの点でCOVID-19と季節性インフルエンザには大きな違いが存在しており、そのリスクをデータや最新の知見に基づいて評価することが必要である。・世界保健機関(WHO)はパンデミックインフルエンザの評価には、(1)伝播性、(2)疾患としての重症度、(3)医療や社会へのインパクトを評価するように求めている。国内ではCOVID-19と季節性インフルエンザの評価を致死率・重症化率でのみ比較されている場合が多いが、これは疾患としての重症度の一側面のみを評価するものであり、リスクの評価としては不十分である。・COVID-19の伝播性は当初より、季節性インフルエンザより高かったが、変異株の出現とともにさらに伝播性は増大してきており、伝播性の観点からはむしろ季節性インフルエンザとは大きく異なる感染症に変化してきている。COVID-19の伝播性が高いことに加え、ワクチンや自然感染で獲得した免疫も減弱することと、変異株は免疫逃避の程度も高いことから疫学的には季節性インフルエンザとは異なる特徴を持つ感染症になっている。・COVID-19の重症度は病原性が一定程度低いとされるオミクロン株が流行株の主体となり、さらに多くの人が自然感染あるいはワクチンによる免疫を獲得したことにより、発生初期と比較して低下している。一方で、循環器系の合併症で死亡を含むインパクトが生じているとするデータが各国で得られてきている。国内でも2021年以降超過死亡が増加しており、循環器系の合併症を含めた超過死亡の要因を解明する必要がある。また、罹患後症状の問題もCOVID-19のリスクの評価の際には考慮すべきである。なお、COVID-19と季節性インフルエンザの致死率や重症化率を比較するさまざまなデータが示されているが、ほとんどの場合異なる方法で集められたものであり、直接比較することは困難であり、現在示されているデータの解釈には留意が必要である。・国内でも救急搬送困難事案の増加などCOVID-19による直接の医療負荷だけではなく、一般医療への負荷も生じている。同様のことは英国などでも報告されている。今後さらに流行規模が大きくなれば、罹患や罹患後症状による欠勤者が増え、社会機能維持に支障が生じるリスクも存在している。一方で、感染症法に基づく公衆衛生対応(行動制限)を継続することによる社会や経済に対するインパクトも発生している点には留意が必要である。

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誤嚥性肺炎と緩和ケア【非専門医のための緩和ケアTips】第42回

第42回 誤嚥性肺炎と緩和ケア誤嚥性肺炎は、主に高齢者を中心に誤嚥を契機とした肺炎を繰り返す病態です。プライマリ・ケアや在宅医療では必ず遭遇するでしょう。病院勤務をしていると、繰り返し入院してくる患者さんもいます。こうした誤嚥性肺炎に対する緩和ケアにはどのようなポイントがあるのでしょうか?今日の質問訪問診療で長年診ている患者さん。ここ1年で誤嚥性肺炎を2回発症し、入院しています。ときどき発熱もあり、そうした時に肺炎を起こしていたのかもしれません。すでに90歳、終末期の話し合いが必要かとも感じているのですが、何に注意するとよいでしょうか?球麻痺を来す神経難病や、脳血管障害のようにさまざまな病態が誤嚥性肺炎の原因となります。頭頸部がんや手術の影響で嚥下機能が障害されることもあります。ただ、今回のような訪問診療では、認知症とフレイルが進行した高齢者が、栄養摂取が困難となっている中での誤嚥性肺炎に最も多く遭遇するでしょう。「発熱の度に絶食し、抗菌薬の点滴治療」というのが、よくある対応でしょう。ただ、発熱の度に絶食をしていると栄養状態はどんどん悪化していきます。これは難しい問題ですよね。さて、ここで皆さんに質問です。あなた自身が、「食べたら肺炎を起こすかもしれないので、経口摂取は止めておきましょう」と言われたとしたら、どのように感じますか?「肺炎はつらいので食べるのは我慢します」と言う方もいれば、「いやいや、肺炎は気になるけど、できるだけ口から食べたいです」と言う方もいるでしょう。それはさまざまな経験や状況によっても変わるでしょう。嚥下機能の改善が難しい状況や、終末期を視野に入れた誤嚥性肺炎の緩和ケアでは、こうした「何を目指すか」を考えることが大切です。一言で言えば「アドバンス・ケア・プランニング(ACP)が大切です」といった感じですが、これってなかなか実践するのが難しいですよね。とくに、在宅医療の現場だと、言語聴覚士などの専門職の意見を参考にすることも難しい場面が多いでしょう。ここでは、急性期病院に入院した際の話し合いを在宅退院する際に共有する、などの工夫が求められます。そうした話し合いの先に、患者さんごとに、「この方の場合は、在宅での点滴加療が最善だろう」と関係者間で共有されます。誤嚥性肺炎の緩和ケアは、増悪を繰り返し、時に入院も要する疾患の特性上、医療機関を超えた地域レベルでの連携が求められる分野なのです。今回のTips今回のTips誤嚥性肺炎の緩和ケアは、複数の医療機関の多職種で連携しながら取り組むことがポイント。

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HR+/HER2低発現早期乳がんの術前療法としてのT-DXdの有用性(TALENT)/SABCS2022

 ホルモン受容体陽性(HR+)かつHER2低発現の早期乳がん患者の術前補助療法として、トラスツズマブ デルクステカン(T-DXd)±内分泌療法の有効性と安全性を検討した医師主導第II相TRIO-US B-12 TALENT試験の結果、良好なpCR率とORRが得られたことを、米国・Massachussetts General Hospital、Harvard Medical SchoolのAditya Bardia氏がサンアントニオ乳がんシンポジウム(SABCS 2022)で発表した。・対象:HR+かつHER2低発現(IHC1+またはIHC2+でFISH-)で、手術可能なStage II~IIIの男性または閉経前/閉経後女性の乳がん患者 58例・治療方法:[T-DXd単独群]T-DXdを3週間間隔で5.4mg/kg投与 29例[内分泌療法併用群]T-DXdを3週間間隔で5.4mg/kg投与+アナストロゾール錠1mg、1日1回投与(男性および閉経前女性にはGnRHアナログも投与) 29例・サイクル数:当初は6サイクルであったが、2022年2月に新規登録者と手術実施患者では8サイクルに修正された。・評価項目:[主要評価項目]病理学的完全奏効(pCR)率(ypT0/is ypN0)[副次評価項目]奏効率(ORR)、HER2発現の変化を含む腫瘍バイオマーカー、安全性・層別化因子:HER2発現、閉経状態 主な結果は以下のとおり。・2020年9月~2022年10月の間に、T-DXd単独群では29例中14例が6サイクルの治療を、7例が8サイクルの治療を完了して手術を受け、4例が治療中であった。内分泌療法併用群では29例中13例が6サイクルの治療を、8例が8サイクルの治療を完了して手術を受け、5例が治療中であった。・ベースライン時における年齢中央値はT-DXD単独群が59歳、内分泌療法併用群が55歳であった。T-DXD単独群ではStage IIAが27.6%、Stage IIBが44.8%、Stage IIIAが24.1%、Stage IIIBが3.4%で、内分泌療法併用群ではStage IIAが37.9%、Stage IIBが51.7%、Stage IIIAが10.3%、Stage IIIBが0%であった。HER2発現は、T-DXD単独群ではIHC1+が75.9%、2+が13.8%で、内分泌療法併用群ではIHC1+が86.2%、2+が6.9%であった。リンパ節転移陽性はT-DXD単独群が51.7%、内分泌療法併用群が55.2%であった。またKi-67値が30%以上の患者はT-DXD単独群が55.2%、内分泌療法併用群が65.5%であった。・ORRは、T-DXD単独群で68%(CR:8%、PR:60%)、内分泌療法併用群では58%(CR:8%、PR:50%)であった。・ベースライン時から手術までの間に、T-DXd投与により49%の患者のHER2発現(IHC)が変化した。このうち88%でHER2発現が低下した。・T-DXd投与後の残存腫瘍量(RCB)は、T-DXD単独群のRCB 0/Iが15%(0:5%、I:10%)、内分泌療法併用群のRCB 0/Iも15%(I:15%)であった。・T-DXdに関連するGrade3以上の有害事象は、T-DXD単独群では嘔気、倦怠感、下痢、頭痛、嘔吐、低カリウム血症、好中球減少、脱水、白血球減少で、内分泌療法併用群では倦怠感、嘔吐、下痢、頭痛、低カリウム血症であった。・間質性肺炎は、1例(Grade2)で生じ、治療中止後に回復した。 Bardia氏は、これらの結果から「本研究により、HR+かつHER2低発現の早期乳がん患者の術前補助療法として、T-DXdは有望な臨床効果が期待できることが示された。内分泌療法の上乗せによる効果の増強は認められなかったが、症例が少ないことに注意が必要である」とまとめた。

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術中の超生理的酸素投与、臓器損傷リスクを増大/BMJ

 手術中の超生理的な酸素投与の増量は、急性腎障害(AKI)、心筋傷害および肺損傷の発生増大と関連することが、米国・ヴァンダービルト大学医療センターのDavid R. McIlroy氏らによる検討で明らかにされた。全身麻酔下で手術を受けるほとんどの患者は、十分な動脈血酸素飽和度維持のために必要量以上の酸素を投与される。超生理的酸素投与の有害な影響は分子レベルで確認されているが、手術中のこれらの影響の臨床的関連は明らかになっていなかった。なお今回の結果について著者は、「示された臓器損傷の発生増大との関連について残余交絡を排除することはできない」として、「手術中の酸素投与に関する指針を示すために、些少でも臨床的に重要な影響が検出できる大規模な臨床試験が必要である」とまとめている。BMJ誌2022年11月30日号掲載の報告。観察コホート試験で調査 研究グループは、手術中の超生理的酸素投与が術後の腎臓・心筋・肺損傷の発生減少または増加と関連するかどうかを観察コホート試験で調べた。 米国内42の医療センターが参加するMulticenter Perioperative Outcomes Groupデータレジストリを用いた。参加者は、2016年1月~2018年11月に、全身麻酔と気管内挿管による120分以上の手術を受けた入院成人患者であった。 超生理的酸素投与は、SpO2 >92%の間(分当たり)のFIO2 >21%の曲線下面積で定義(AUCFIO2)した。 主要エンドポイントは、AKI(Kidney Disease Improving Global Outcomes基準を用いて定義)、心筋傷害(術後72時間以内の血清トロポニン値が0.04ng/mL超と定義)、肺損傷(国際疾病分類の退院診断コードを使用して定義)であった。酸素曝露の増大と臓器損傷リスク増大との関連を確認 対象コホートは35万647例の患者で構成され、年齢中央値59歳(四分位範囲[IQR]:46~69)、女性18万546例(51.5%)、手術時間中央値205分(IQR:158~279)であった。 AKIは29万7,554例中1万9,207例(6.5%)、心筋傷害は32万527例中8,972例(2.8%)、肺損傷は31万2,161例中1万3,789例(4.4%)が診断された。 FIO2中央値は54.0%(IQR:47.5~60.0)であり、AUCFIO2は7,951%分(5,870~1万1,107)であった。これは、135分の手術中の80%のFIO2に相当するものであった。 ベースラインの共変量およびその他の潜在的な交絡変数を調整後、酸素曝露の増大は、AKI、心筋傷害、肺損傷のリスク増加と関連していた。AUCFIO2の75パーセンタイルに該当する患者は25パーセンタイルに該当する患者と比較して、AKIのオッズが26%(95%信頼区間[CI]:22~30)高く、心筋傷害のオッズは12%(7~17)高く、肺損傷のオッズは14%(12~16)高かった。これらの観察結果は、曝露の代替定義を評価し、コホートを制限、操作変数分析を行った感度解析で確認された。

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T-DXd、HER2+進行乳がん2次治療でOSを有意に改善(DESTINY-Breast03)/Lancet

 米国・カリフォルニア大学ロサンゼルス校のSara A. Hurvitz氏らは、第III相非盲検無作為化試験「DESTINY-Breast03試験」のアップデート解析を行い、転移のあるHER2陽性乳がん患者において、トラスツズマブ デルクステカン(T-DXd)はトラスツズマブ エムタンシン(T-DM1)と比較して全生存期間(OS)を有意に改善したことを報告した。また、先の中間解析で、T-DXdが2次治療の標準治療に位置付けられるに至った無増悪生存期間(PFS)中央値(未到達)について、今回の解析で、研究グループが知りうる限り「最長値(28.8ヵ月)が示された」ことを報告した。著者は、「今回のアップデート解析で、2次治療の標準治療としてのT-DXdを再確認した。また、T-DXdの管理可能な安全性プロファイルを、より長期にわたる治療期間において確認できた」と述べている。Lancet誌オンライン版2022年12月6日号掲載の報告。T-DXd vs.T-DM1の有効性と安全性を比較評価 DESTINY-Breast03試験は、T-DXd vs.T-DM1の有効性および安全性の比較を目的とし、北米、アジア、欧州、オーストラリアおよび南米の169試験施設で行われた。 18歳以上、HER2陽性で切除不能または転移のある乳がんで、トラスツズマブおよびタキサン系抗がん剤で既治療、ECOG PSが0~1、RECIST v1.1に基づく測定可能病変が1つ以上ある患者を適格とした。 患者は無作為に1対1の割合で、T-DXd 5.4mg/kgまたはT-DM1 3.6mg/kgを受ける群に割り付けられ、両群とも3週ごとに静脈内投与を受けた。無作為化は、ホルモン受容体の状態(陽性または陰性)、ペルツズマブの既治療、内臓系疾患による層別化を伴い、双方向ウェブベースシステムを通じて行われた。各階層内でバランスを考慮したブロック無作為化法が用いられた。患者と研究者は、受けた治療についてはマスキングされなかった。 主要評価項目はPFSで、盲検化され独立した中央レビューで評価した。主な副次評価項目はOSで、今回の事前に規定された2回目となるOS中間解析(データカットオフ日2022年7月25日)では、OS、有効性、安全性のアップデート結果が報告された。有効性解析は、全解析データを用いて行われ、安全性解析は、無作為化を受け、少なくとも1回試験薬の投与を受けたすべての患者を対象とした。PFSは28.8ヵ月vs.6.8ヵ月、OSのT-DXd vs.T-DM1のハザード比は0.64 2018年7月20日~2020年6月23日に、699例が適格性のスクリーニングを受け、524例が登録、T-DXd群(261例)、T-DM1群(263例)に無作為に割り付けられた。 2022年7月25日時点で治療を継続していたのは、T-DXd群75例(29%)、T-DM1群18例(7%)であった。試験追跡期間中央値は、T-DXd群28.4ヵ月(四分位範囲[IQR]:22.1~32.9)、T-DM1群26.5ヵ月(14.5~31.3)。 主要評価項目のPFS中央値は、T-DXd群28.8ヵ月(95%信頼区間[CI]:22.4~37.9)、T-DM1群6.8ヵ月(5.6~8.2)であった(ハザード比[HR]:0.33、95%CI:0.26~0.43、名目上のp<0.0001)。 OS期間中央値は両群とも未到達であったが、T-DXd群はOSイベント例72例(28%)で未到達(95%CI:40.5ヵ月~推定不能)、T-DM1群は同97例(37%)で未到達(34.0ヵ月~推定不能)であった(HR:0.64、95%CI:0.47~0.87、p=0.0037)。 Grade3以上の治療による有害事象発現例数は、T-DXd群145例(56%)、T-DM1群135例(52%)で、両群で同程度であった。判定に基づく薬物関連の間質性肺疾患または肺炎の発生は、T-DXd群39例(15%)、T-DM1群8例(3%)。Grade4/5のイベントは両群共に報告されなかった。

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自宅コロナ死、4割は同居家族あり/COVID-19対策アドバイザリーボード

 第109回新型コロナウイルス感染症対策アドバイザリーボードが、12月7日に開催された。その中で「新型コロナ患者の自宅での死亡事例に関する自治体からの報告について」が報告された。 調査期間中776名の自宅で死亡した者の解析から、死亡者の79%が70代以上であり、基礎疾患がある者が69%、親族などと同居が42%いた。また、ワクチン接種歴も不明が34%で一番多いものの、「3回接種」も28%と多かった。 政府では、「Withコロナに向けた政策の考え方」に則り、今後必要な医療資機材の提供、国民への正確な知識の普及に努めるとしている。 以下に概要を示す。70代以上の高齢者で、基礎疾患がある人は死亡が多い【調査概要】期間: 2022年7月1日~8月31日地域:全国都道府県条件:新型コロナウイルス感染症患者(死後陽性確認者も含む)で自宅にて死亡した者を本年10月に都道府県を通じ、その年齢、基礎疾患、同居の有無、ワクチン接種歴、死亡に至るまでの経過などを調査(ただし自宅療養中に症状が悪化し、医療機関に入院した後に死亡した事例は除く)。【結果概要】 合計776名(男性460名、女性316名)(死亡時の年齢構成) 80代以上が58%、70代以上が21%、60代以上が9%(基礎疾患の有無) 「あり」が69%、「なし」が19%、「不明」が12%(ワクチンの接種歴) 「不明」が34%、「3回」が28%、「未接種」が20%(単身・同居などの状況) 「不明」が48%、「同居」が42%、「単身」が10% その他の事項は次のとおり。・死亡直前の診断時の症状の程度について、軽症・無症状が41.4%、中等症が13.1%、重症が7.1%、不明または死亡後診断が38.4%・生前に陽性が判明した者は70.1%、死後に陽性が判明した者は29.9%・発生届の届出日が死亡日よりも前であった事例が50.6%、発生届の届出日が死亡日と同日であった事例が31.2%、発生届の届出日が死亡日以降であった事例が17.9%、不明が0.3%・自宅療養の希望ありが22.8%、希望なしが10.3%、不明者および死後陽性が判明した者が66.9%発熱がなく、毎日訪問介護を受けていても死亡のケースも【具体的な死亡事例について】・救急搬送の搬入時の検査で陽性が判明したケース。・家族や親族などに自宅で倒れているところを発見されたケース。・陽性が判明したが、本人や家族の意思により自宅療養を希望したケース。・高齢であることや末期がんであることにより自宅での看取りを希望したケース。・自宅療養中に急速に重症化して死亡したケース。・同居家族から感染し、自宅での死亡につながったケース。・コロナ以外の要因で死亡し、死後に陽性が判明したケース。・入院や宿泊療養、治療を希望しないケース。・浴槽で意識がなくなっているところを同居家族に発見されたケース。・入院調整や宿泊療養の対象となるも、直後に死亡したケース。・主治医からの健康観察や訪問看護を受けていたものの、死亡したケース。・自宅訪問するも応答なく、警察に協力依頼を行ったケース。・症状があったが検査や受診を受けずに、死後に陽性が判明したケース。・家族は入院を希望していたが、自宅療養となり、死亡したケース。・発熱がなく、毎日訪問介護を受けていたが、死亡したケース。【自治体での取組事例】・体調の変化・悪化の早期把握のため、自宅療養開始時の説明、ホームページ、SMSなどで電話相談窓口への連絡を自宅療養者に対して周知。・療養者支援センターを開設。若年層にはSMSを利用して調査を実施し、保健所が電話で調査すべき対象者を重症化リスクが高い方に絞ることで連絡遅滞を防ぐ改善を行った。・陽性者からの要請があった場合、感染防護対策を行ったうえで、直ちに現場に向かう体制を施行。【今後の対応】 「Withコロナに向けた政策の考え方」の考え方に則り、入院治療が必要な患者への対応の強化、発熱外来や電話診療・オンライン診療の体制強化、治療薬の円滑な供給、健康フォローアップセンターの拡充と自己検査キットの確保などの対策を進めるとともに、国民への情報提供と重症化リスクなどに応じた外来受診・療養への協力の呼びかけなどに取り組んでいく。

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心房細動患者へのNOAC、間質性肺疾患リスクに影響か

 近年、非弁膜性心房細動(NVAF)患者の脳卒中予防のため、ワルファリンの代替として経口抗凝固薬(NOAC)の使用が推奨されている。しかし、第Xa因子(FXa)阻害薬の使用に関連する間質性肺疾患(ILD)リスクの可能性が報告されている。今回、台湾・長庚記念病院国際医療センターのYi-Hsin Chan氏らがFXa阻害薬による治療がNVAF患者の肺損傷と関連していたことを明らかにした。JAMA Network Open誌11月1日号掲載の報告。 研究者らは、NVAF患者におけるNOAC使用に関連するILDリスクを評価することを目的として、台湾国民健康保険研究データベースを使用し後ろ向きコホート研究を実施した。対象者は2012年6月1日~2017年12月31日までにNOACによる治療を受け、既存の肺疾患のないNVAF患者が含まれた。傾向スコアで安定化重み(PSSW:Propensity score stabilized weighting)を用いて、投薬群(FXa阻害薬、ダビガトランまたはワルファリン、参照をワルファリン)間で共変量のバランスを取った。患者は服薬開始日からILDの発症/死亡、または研究終了(2019年12月31日)のいずれか早い期間まで追跡され、データ分析は2021年9月11日~2022年8月3日に行われた。 主な結果は以下のとおり。 ・10万6,044例(平均年齢±SD:73.4±11.9歳、男性:5万9,995例[56.6%])のうち、ベースライン時点で6万4,555例(60.9%)がFXa阻害薬(内訳:アピキサバン[1万5,386例]、エドキサバン[1万2,413例]、リバーロキサバン[3万6,756例])、2万2,501例(21.2%)がダビガトランを、1万8,988例(17.9%)がワルファリンを使用した。・FXa阻害薬群はワルファリン群と比較して、ILDの発生リスクが高かった(100人年当たり0.29 vs.0.17、ハザード比[HR]:1.54、95%信頼区間[CI]:1.22~1.94、p<0.001)。・一方、ダビガトラン群はワルファリン群と比較して、ILD発生リスクに有意差は見られなかった(同0.22 vs.0.17、HR:1.26、95%CI:0.96~1.65、p=0.09)。・FXa阻害薬とワルファリンのILD発症リスクの高さは、いくつかの高リスクサブグループと一致していた。

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診療所での効果的な感染対策例/COVID-19対策アドバイザリーボード

 第108回新型コロナウイルス感染症対策アドバイザリーボードが、11月30日に開催された。その中で日本プライマリ・ケア連合学会より「診療所における効果的な感染対策の好事例の紹介」が報告された。 これは、本格的な冬を迎え、プライマリ・ケアの外来には発熱などの感冒様症状を訴える患者が増えると予想されていることに鑑み、これに備え、これまでの新型コロナ流行下で実践されてきたプライマリ・ケアでの効果的な感染対策の工夫例と発熱外来を設置・運用するうえでの工夫例をまとめたもので、以下に概要を示す。診療所における効果的な感染対策の工夫例【工夫1】待合室における感染対策・自家用車で来院している患者は車中で待機してもらう。・基本的な感染対策を徹底する。具体的には窓開け、サーキュレーターの活用、二酸化炭素モニターを設置する。【工夫2】診察・検体採取時の感染対策(1)院内のゾーニング・動線分離を行う・発熱・感冒様症状患者の駐車場と院内への動線を一般患者と分離する(例:矢印などで導線をわかりやすく表示する)。・発熱・感冒様症状患者用の診察スペースなどを確保する(例:パーティションによる簡易な分離/空き部屋などを診察室として活用など)。・空間的分離を行わない場合において、発熱・感冒様症状のある患者とそうでない患者を、時間的に分離して診察する。(2)個人防護具(PPE:Personal Protective Equipment)の着脱を工夫する・患者対応時にはサージカルマスクを常時装着し、飛沫曝露のリスクがある場合はアイシールド・フェイスシールドを装置する。・患者に手や体幹が直接接触する可能性がある場合は、手袋・ガウンも装着する。・1対応ごとに手指消毒を徹底する。手袋を使用する場合は、1対応毎に手袋を交換し手指消毒も徹底する。サージカルマスク、アイシールド・フェイスシールド、ガウンの交換は、大量の飛沫を浴びたり、それらが患者に直接接触した場合に限定してもよい。(3)検体採取の場所を工夫する・検体採取を屋外や駐車場(や車中)で行う(ただしプライバシーへの配慮は必要)。・唾液によるPCR検査・抗原定量検査や、鼻かみ液によるインフルエンザ迅速抗原検査を活用することで飛沫やエアロゾルの発生を抑える。(4)その他の感染対策上の工夫・難聴の患者と大声で会話することを避けるために、スマートフォンを用いた翻訳機器の音声認識・自動文字化機能を活用する。・患者にタブレット端末を渡して、オンラインで診療、説明などを行う。・上記のような感染対策が構造的に困難な場合は、時間的分離で対応する。【工夫3】処方・調剤における工夫・特例承認の経口抗ウイルス薬の処方に必要な同意書を電子化し、タブレット上でサインを得る。・発熱患者への処方・調剤の流れについて近隣調剤と共に確認し、感染対策の助言を行い、発熱患者が薬剤を受け取れる体制を構築する。・調剤薬局が近接している場合は、患者は自院駐車場の自家用車内で待機し、薬局から手渡しに向かう。・調剤薬局において電話やオンラインでの服薬指導や配送体制を構築する。発熱外来を設置・運用する上での課題と工夫例【課題1】通常診療よりも大きな作業負担を軽減する 初診患者が多くなるため、病歴・背景情報把握にかかる負担の軽減が必要・事前にWEB問診(インターネットによる問診)システムで情報収集する(例:企業が提供するWEB問診システムを活用し、対面診察の時間を短縮など)。・発熱・感冒様症状用の問診票を用意し、緊急性のある症状の有無、電話診療やオンライン診療の可否、新型コロナ感染症治療薬の適応などを事前に確認する。【課題2】院内感染が生じた場合の休業リスクに備える・日本医師会などが提供する休業補償保険に加入する。・医療機関の休業が生じても個別の訪問診療を維持するために、平時から地域の医療機関間での連携体制を整える(例:地域の在宅患者情報を共有するネットワークへの加入など)。・休業した場合でも可能な限り電話・オンライン診療を継続する。【課題3】かかりつけ患者に重症化リスクの高い患者が多い・院内各所での感染対策に工夫が必要。・電話・オンライン診療の適切な活用。【課題4】施設構造などの問題で理想的な感染対策が難しい・施設構造などの制約を踏まえた現実的かつ効果的な感染対策を工夫する。・時間的分離(診療時間の分割)による対応。・電話・オンライン診療の適切な活用。【課題5】発熱・感冒様症状患者への処方・調剤の流れを工夫する・上記【工夫3】を参照。【課題6】必要に応じて一部の患者にオンライン診療を適切に活用する・予約時の情報でオンライン対応できると判断した患者にはオンライン診療を提案する。・事前にWEB問診で情報を収集する。・企業が提供するオンライン診療システムの導入。・行政が設置するオンライン診療センターで診療を行う。【課題7】入居しているテナントの管理者の理解を得るよう努める・時間的分離を検討する(例:発熱・感冒様症状患者専用の診療時間帯、曜日を設けるなど)。・電話・オンライン診療の適切な活用。 なお、別添1では「PPE(個人用防護具)の着脱について」、別添2では「発熱等かぜ症状外来事前問診例」を図で表記している。

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週1回のrezafungin、侵襲性カンジダ症治療に有望/Lancet

 カンジダ血症または侵襲性カンジダ症の成人患者の治療において、週1回投与の次世代エキノカンジン系抗真菌薬rezafunginは、2つの有効性の主要評価項目について、毎日1回投与のカスポファンギンに対し非劣性であることが、米国・カリフォルニア大学デービス校医療センターのGeorge R. Thompson III氏らが実施した「ReSTORE試験」で示された。研究の成果は、Lancet誌オンライン版2022年11月25日号で報告された。15ヵ国の無作為化非劣性試験 ReSTORE試験は、15ヵ国66施設が参加した多施設共同二重盲検ダブルダミー無作為化非劣性第III相試験であり、2018年10月~2021年8月の期間に患者のスクリーニングが行われた(Cidara TherapeuticsとMundipharmaの助成を受けた)。 対象は、年齢18歳以上、カンジダ血症または侵襲性カンジダ症に起因する感染症の全身性の徴候(発熱、低体温、低血圧、頻脈、頻呼吸)が認められ、真菌学的に血液または通常は無菌と考えられる部位の検体からカンジダ血症または侵襲性カンジダ症と確定された患者であった。 被験者は、rezafungin(1週目に400mg、2週目以降は200mg、2~4回投与)を週1回(残りの6日はプラセボを投与)、またはカスポファンギン(1日目に負荷投与量70mg、2日目以降は50mg)を毎日1回、いずれも最長4週間、静脈内投与する群に1対1の割合で無作為に割り付けられた。 有効性の主要評価項目は2つで、(1)14日の時点での欧州医薬品庁(EMA)の総合的治癒(臨床的治癒、画像的治癒、真菌学的消失)、(2)30日の時点での米国食品医薬品局(FDA)の全死因死亡(死亡または生死不明)とされ、いずれも非劣性マージンは20%であった。安全性も両群で同程度 199例が登録され、rezafungin群に100例、カスポファンギン群に99例が無作為に割り付けられた。全体の平均年齢は61(SD 15.2)歳、女性が41%であった。 EMAの主要評価項目である14日時の総合的治癒は、rezafungin群が93例中55例(59%)、カスポファンギン群は94例中57例(61%)で達成された(重み付け群間差:-1.1%、95%信頼区間[CI]:-14.9~12.7)。 また、FDAの主要評価項目である30日時の全死因死亡は、rezafungin群が93例中22例(24%)、カスポファンギン群は94例中20例(21%)であった(群間差:2.4%、95%CI:-9.7~14.4)。 総合的治癒は群間差の95%CI下限値が-20%より大きく、全死因死亡は群間差の95%CI上限値が20%より小さかったことから、いずれもrezafungin群のカスポファンギン群に対する非劣性が示された。 試験期間中に少なくとも1件の有害事象が、rezafungin群の98例中89例(91%)、カスポファンギン群の98例中83例(85%)で発現した。いずれかの群で5%以上の頻度で発現した有害事象のうちrezafungin群で高頻度であったのは、発熱(rezafungin群14%、カスポファンギン群5%)、低カリウム血症(13%、9%)、肺炎(10%、3%)、敗血症性ショック(10%、9%)、貧血(9%、9%)であった。重篤な有害事象は、それぞれ55例(56%)および52例(53%)で認められた。 著者は、「安全で有効な週1回投与のエキノカンジン系抗真菌薬が使用可能になれば、投与回数が減少することで、カテーテル留置の必要性やその関連費用が削減され、カテーテル関連の有害な転帰が減少する可能性がある」としている。

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肺炎およびフレイルと認知症リスク~日本老年学的評価研究

 最近、いくつかの研究において、フレイルの増加による認知機能低下および認知症のリスク増加に、肺炎が影響を及ぼす可能性が報告されている。大阪大学のParamita Khairan氏らは、肺炎歴とその後の認知症リスクとの関連を調査した。その結果、肺炎歴の有無にかかわらずフレイルおよびプレフレイル(フレイルの前駆状態)が、日本人高齢者の認知症リスク増加と関連していることが示唆された。International Journal of Geriatric Psychiatry誌2022年11月号の報告。 日本老年学的評価研究のプロスペクティブコホート研究に参加した65歳以上の日本人高齢者9,952人を対象として、2013年から2019年の期間にフォローアップを行った。認知症の診断は、公的介護保険レジストリより収集した。ベースライン調査実施(2013年)の1年前までを肺炎歴として収集した。潜在的な交絡因子で調整した認知症リスクのハザード比(HR)および95%信頼区間(CI)を算出するため、Cox比例ハザードモデルを用いた。原因別ハザードモデルを用いて、競合リスク分析を実施した。 主な結果は以下のとおり。・6年間のフォローアップ期間中に認知症を発症した高齢者は、939人であった。・肺炎歴と認知症リスクとの関連は認められなかった(HR:1.20、95%CI:0.81~1.78)。・プレフレイルおよびフレイルを有する高齢者は、認知症リスクが高かった。 ●プレフレイル(多変量HR:1.75、95%CI:1.48~2.07) ●フレイル(多変量HR:2.42、95%CI:2.00~2.93)・肺炎歴とフレイルを有する高齢者の認知症リスクは、最も高かった(多変量HR:2.30、95%CI:1.47~3.62)。・肺炎歴がなくフレイルを有する高齢者の認知症に対する多変量HRは1.95(95%CI:1.66~2.28)であった。・一方、フレイルがなく肺炎歴を有する高齢者の認知症に対する多変量HRは1.64(95%CI:0.68~3.99)であった。

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新型コロナ、コミュニティ迅速抗原検査は入院を減少/BMJ

 新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)感染の無症状者を対象とした全市的なコミュニティ迅速抗原検査の導入は、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)関連入院の大幅な減少と関連していることが、英国・リバプール大学のXingna Zhang氏らによる合成コントロール研究の結果、示された。多くの国が、COVID-19の拡大を制御するために住民ベースの無症状者対象検査プログラムを展開したが、地域での大規模な自主検査が感染拡大を阻止しCOVID-19の重症化を抑制するかどうかのエビデンスは不足していた。著者は、「SARS-CoV-2の大規模なコミュニティ迅速抗原検査は、感染減少および入院予防に役立つ可能性がある」とまとめている。BMJ誌2022年11月23日号掲載の報告。無症状者への迅速抗原検査プログラムの有効性を検証 Covid-SMARTは、英国政府が実施した無症状者対象の任意の自由参加によるSARS-CoV-2迅速抗原検査プログラム(検査センターにて監視下で自己検体採取)で、2020年11月6日からリバプール市に居住または勤務するすべての人に対し試験的に導入された。 研究グループは、英国国民保健サービス(NHS)Digitalが提供するHospital Episode Statistics(HES)の2020年10月5日~2021年1月17日のデータを用い、リバプール市(一般人口49万8,042人)と、過去のCOVID-19関連入院率や社会人口学的要因が類似するよう重み付けした英国の他の地域(対照地域)を、COVID-19関連入院について合成コントロール法により比較した。 主要評価項目は、2020年11月19日~2021年1月15日におけるCOVID-19関連入院患者数(週間)で、中地域調査区(MSOA)で集計した。MSOAは、地方自治体内の標準的な地理的単位(平均人口7,200人)で、リバプール市は61のMSOAで構成されている。対照地域と比較してコミュニティ検査の導入でCOVID-19関連入院率が低下 リバプール市におけるCovid-SMARTは、英国全土のロックダウンのため2020年11月6日~12月3日の期間は軍の支援により検査が強化された。この期間のCOVID-19関連入院率は、対照地域と比較してコミュニティ検査が導入されたリバプール市で43%(95%信頼区間[CI]:29~57)低かった(p<0.001)。この低下率は絶対数で146例(95%CI:96~192)減少に相当する。 全介入期間(2020年11月6日~2021年1月2日)では、COVID-19関連入院率は対照地域と比較してリバプール市で16%(95%CI:0~27)低かった(p=0.07)。 2020年12月3日~2021年1月2日のCOVID-19段階的制限の地域差を補正した後では、リバプール市のCOVID-19関連入院率は対照地域と比較して25%(95%CI:11~35)低く(p<0.001)、絶対数の減少は239例(95%CI:104~333)と推定された。

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黄色ブ菌、大腸菌などの感染症関連死は依然多い/Lancet

 2019年の世界の感染症関連死は推定1,370万人で、うち黄色ブドウ球菌、大腸菌など33の細菌属・種が原因の死亡は770万人だった。また、同細菌による年齢標準化死亡率はサハラ以南アフリカのスーパーリージョンで最も高かった。米国・ワシントン大学のMohsen Naghavi氏ら、薬剤耐性の世界疾病負担(Global Burden of Antimicrobial Resistance)に関する研究グループ「GBD 2019 Antimicrobial Resistance Collaborators」が解析結果を報告した。先行研究により、薬剤耐性感染症と敗血症関連の死亡数が推定され、感染症が依然として世界の主要な死因を占めることが明らかになっている。公衆衛生上の最大の脅威を特定するためには、一般的な細菌(抗菌薬への耐性あり/なしの両者を含む)の世界的負荷を理解することが求められている中、本検討は、33の細菌属・種による11の重大感染症と関連する死亡について世界的な推算値を求めた初となる研究で、Lancet誌オンライン版2022年11月18日号で発表された。204の国と地域の33の細菌属・種による死亡数を推定 研究グループは、世界疾病負担研究(Global Burden of Diseases, Injuries, and Risk Factors Study:GBD)2019のメソッドと、薬剤耐性の世界疾病負担2019で記述されている特定条件を満たした部分集合データを用いて、2019年に発生した33の細菌属・種による11の感染症に関連する死亡数を推算した。本検討には、1万1,361調査地域年にわたる3億4,300万人の記録と分離株が包含された。 各病原体に関連した死亡数を3段階モデル(感染による死亡、感染症に起因する死亡のうち特定の感染症による死亡割合、感染症に起因する死亡のうち特定の病原体による死亡割合)を用いて推定した。推定値は、2019年における204の国と地域、全年齢、男女について算出。標準的なGBDメソッドに従って、対象の各数量の事後分布から1,000の2.5パーセンタイルと97.5パーセンタイルを抽出し、33の細菌属・種に関連する死亡と感染の最終推定値について95%不確実性区間(UI)を算出した。33細菌属・種の関連死、世界全死亡の約14% 2019年の感染症関連死は推定1,370万人(95%UI:1,090万~1,710万)で、そのうち33の細菌属・種(抗菌薬への耐性あり/なしの両者を含む)による11の感染症関連死は、770万人(570万~1,020万)だった。 2019年の33細菌属・種の関連死は、世界全死亡の13.6%(95%UI:10.2~18.1)を占め、敗血症関連の全死亡の56.2%(52.1~60.1)を占めると推定された。なかでも黄色ブドウ球菌、大腸菌、肺炎球菌、肺炎桿菌、緑膿菌の5種の病原菌が、調査対象とした細菌による死因の54.9%(52.9~56.9)を占めた。 死因となった感染症や病原菌は、地域や年齢により異なった。また、調査対象細菌による年齢標準化死亡率は、サハラ以南アフリカのスーパーリージョンで最も高く230人/10万人(95%UI:185~285)だった一方、高所得のスーパーリージョンで最も低く52.2人/10万人(37.4~71.5)だった。 黄色ブドウ球菌は、135ヵ国において細菌による死亡の最大の原因で、また、世界的にみて15歳超で最も多く死亡と関連していた。5歳未満の小児では、肺炎球菌が細菌による死亡の最大の原因だった。 2019年に、600万人以上が3種の細菌感染症で死亡しており、200万人超が死亡した感染症は下気道感染症(400万人)と血流感染症(291万人)の2種で、100万人超の死亡は腹膜・腹腔内感染症(128万人)によるものだった。 著者は、「今回調査した33細菌属・種は、世界的な健康ロスの実質的な原因であるが、感染症や地域によって分布にかなりのばらつきがあった。GBDレベル3の根本的な死因と比較すると、これら細菌関連死は2019年の世界で2番目に多い死因に分類される」と述べ、国際保健コミュニティで緊急に介入を優先すべき事項とみなすべきで、対応戦略として、感染予防、抗菌薬の最適使用、微生物学的分析能力の改善、ワクチン開発・改良、利用可能なワクチンのより広範な使用などを提言している。

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