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部長 中山優子 先生「がん治療における放射線治療医は多くの可能性をもつ魅力ある分野」

1959年7月8日神奈川県横須賀市生まれ。84年群馬大学医学部卒業。専門分野は放射線腫瘍学・肺がんの放射線治療。99年群馬大学医学部放射線科講師、05年東海大学医学部放射線治療科学准教授、08年神奈川県立がんセンター放射線腫瘍科部長就任。日本医学放射線学会・放射線科専門医、日本放射線腫瘍学会・放射線腫瘍学認定医、日本がん治療認定医機構・がん治療認定医等。日本放射線腫瘍学会(評議員)、米国放射線腫瘍学会、日本医学放射線学会、日本肺癌学会(評議員)、世界肺癌学会、日本癌治療学会など。放射線治療医の魅力放射線治療を専門とするがん専門医のことを、私たちは放射線腫瘍医と言っていますが、ここではわかりやすく放射線治療医という言い方をします。私が卒業した群馬大学医学部は、放射線治療がとても盛んで、講義も臨床実習も内科や外科と同じコマ数があり、おかげでびっしりと放射線治療について学ぶことができました。また、私がいた群馬県内の病院では、放射線科だけで50床あり、そこで全身の状態を内科的診療で診ながら放射線治療ができるという理想的な環境にありました。放射線治療が対象とするがんは広範囲です。がん診療では通常、消化器、呼吸器など診療科ごとに特定の臓器への関与に限られます。しかし、放射線治療は、脳腫瘍から骨、皮膚、その他すべての臓器と横断的に関われるというのが、私にとって一番の魅力でした。医療手技についても幅広く習得できました。日常臨床で、頭頸部の診察なら喉頭ファイバー、肺の診察なら気管支ファイバー、消化器であれば消化管の内視鏡検査、婦人科であれば内診をやりますから、このような手技的にも幅広く経験できるのです。放射線治療では、人の身体全体を診ることにより新たな知識を得ることができます。たとえば、放射線治療は、喉頭がん、子宮頸がんの早期には非常に高い治療効果があるので、同じ扁平上皮がんの肺がんでも治療効果は高いはずだ、などの考え方ができるようになります。このように、医師としての深い知識を横断的に得ることができたのも大きな魅力だといえます。幅広い放射線治療の可能性がんにおける放射線治療の活用方法は幅広いものです。まず、がんの根治を目的とする根治照射、延命を図るための姑息照射、そして骨転移・脳転移などの症状を和らげる緩和照射まで適応可能です。それに加え最近では、一方向からの放射線の線量を変えたり、精度高く照射部位を絞ったり、重粒子線などを用いることによる治療のバリエーション拡大で、個々の患者さんに合った治療選択ができるようになりました。放射線治療の特長として考えられるのは、まず身体への侵襲の少なさです。放射線治療は一般に身体外からの照射ですので、手術と異なりメスを入れずにすみます。また、放射線治療は局所療法ですので、抗がん剤とは異なり全身性の副作用が少ないのです。そのため、全身状態が悪い人や高血圧・心臓疾患などの合併症を患っている方、高齢者にも適応しやすいというメリットがあります。もう一つの特長は、臓器の機能保持が可能だということです。同じ局所療法でも手術とは異なり、放射線療法では臓器を残し機能を温存することができます。たとえば、声門部がんでの喉頭部摘出などは、患者さんのQOLに関わる大変重要な問題ですが、放射線治療が適応できれば喉頭部を残すことができます。臓器を残せるというメリットは非常に大きいといえます。放射線治療が有用ながんの代表は,早期の頭頸部がんです。その他子宮頸部などの扁平上皮がんには非常に高い効果があります。また、進行がんにも適応が確立しつつあり、遠隔転移がない肺、食道、頭頸部の進行がんでは抗がん剤と併用する化学放射線療法が積極的に行われています。さらに、術後の照射にも使用が拡大しています。乳がん乳房温存手術後の放射線照射により、術後の顕微鏡的な残存腫瘍を根絶するというものです。この治療により再発リスクが約3分の1に減少することが明らかになっています。放射線治療の新しい分野である重粒子線治療についても具体的な有用性が明らかになっています。骨肉腫や悪性黒色腫などの難治性腫瘍や穏やかな脊索腫などで高い効果を上げています。今までX線の放射線では治らなかったがんが治癒できるということは画期的なことです。何よりも患者さんにとって非常に大きな朗報だといえるでしょう。重粒子線治療ができる施設は千葉県の重粒子医科学センター病院など日本全国で現在3つしかありませんが、今後増えていくでしょう。日本における放射線治療の現状と問題点放射線治療医が足りないことが大きな問題です。放射線治療に興味を持ってもらうためには、まず大学教育の改革が大切だと思います。今まで、多くの大学では放射線科講座がひとつあるだけで、そこで画像診断、核医学、放射線治療もすべて教えるという状況でした。そのため日本放射線腫瘍学会では、治療科と診療科の講座を別々にしてくださいという要望を各大学に出しています。その結果、いくつかの医学部では診断と治療が独立する方向で、放射線治療の講座ができつつあります。学会でも学生教育が最重要課題と考え、放射線治療の魅力を知っていただくために、夏に学生や研修医を対象としたセミナーを継続して開いています。国でも、がんプロフェッショナル養成プランにより放射線療法に関する腫瘍専門医師の養成を推進しています。臨床の現場では各臓器別のキャンサーボードに、内科系、外科系、病理、画像診断、そして放射線治療医が集まり患者さんの治療方針について検討するのが理想です。各臓器のスペシャリストの先生方と同じ土俵で討論するには知識が必要ですが、放射線治療医の特性も上手く生かせると思います。各スペシャリストと我々の違うところは、我々はがんについて広く知っているという強みです。また、現在は一臓器だけでなく、様々ながんを合併して発症している患者さんも少なくありません。たとえば、頭頸部と食道部に合併しているがんでは、放射線治療により両方治療できるのも大きな利点です。このように、放射線治療医としての特性や放射線治療のメリットを生かしながら、スペシャリストの先生方に積極的に関わっていくという姿勢が必要であると思います。そして、がん治療に関わっている先生方には放射線治療についてもっと知っていただけたらと思います。我々からのアプローチ不足もありますが、これも大きな問題です。たとえば、新規患者さんが来られた場合、放射線治療ができるかどうかを放射線治療医に相談していただければと思います。大きな腫瘍だから抗がん剤でないとダメ……など先入観や知識不足から、放射線治療の適応があるにもかかわらず治療選択肢に入らないことも少なくないと思います。がんが進行してから我々に相談されることもありますが、それでは患者さんにとって最良の治療ができなくなってしまうことが多々あります。放射線治療の適応については、独自に判断せず、是非治療を始める前に一度近くの放射線治療医の意見を聞いて欲しいと思います。現状では放射線治療医の常勤がいないこともありますが、せめて電話での問い合わせをしていただくとか、こちらに患者さんに来ていただいてお話を聞くという方法でも構わないと思います。新設予定の神奈川県立がんセンターの重粒子治療施設平成26年度にオープンする予定の重粒子治療施設ができれば、日本で5ヵ所目の施設となります。神奈川がんセンターの中にできるこの施設は、病院との併設型です。各診療科でがんの各臓器の専門医がいるところにできるので、包括的なサポートが可能になります。この施設はよりたくさんの患者さんに治療を提供できるように、臨床に特化した施設にしようというのが我々のポリシーです。さらに、一般的なX線治療にも高精度治療装置が導入されます。そこに一つのモダニティとして重粒子線治療が入ります。ですから構想的にいえば、放射線腫瘍センターに来られた患者さんに、重粒子線治療を含めた最も適した放射線治療を提供できるように準備していきたいと思っています。設備には大変な金額がかかりますが、それでも重粒子線でなければ治らない患者さんもいます。このセンターができれば、県内だけでなく東京都南部及び西部からの通院が可能な位置にあることから、全身状態が悪くない患者さんについては外来で治療を行う"外来通院型"の重粒子線治療を目指しています。これは現役で仕事をされているような患者さんにとっては大変な朗報だと思います。放射線治療医を目指す皆さんへ前述の通り、放射線治療医はすべてのがんを診ることができます。また、自分がやりたいスタイルを選ぶことができます。たとえば、ベッドを持たず外来診療だけを行っている施設もあります。このような施設では夜中に入院患者さんの治療で呼び出されるということはありません。これは家庭があってお子さんのいる女性医師にとっては、とても魅力的だと思います。逆に、以前私が働いていた病院のように、ベッド数を多く持ち患者さんの全身を診ながら放射線治療を行う、内科的な意味合いも兼ねた放射線治療医という形もあります。放射線治療科といっても機能の幅が広いので、自分がどのような医師になりたいか、あるいは自分のライフスタイルやポリシーに合った施設を選ぶことができるのです。最近の放射線治療では、物理的に精度の高いロボットのような機械を用いて治療することがあります。若い医師の中には、自分の手を使わずにロボットでがん治療するという、物理学的な興味から入ってくる方も多いですね。一方、外科的な部分もありますので、外科医もやりたいけどがんを全体的に診たいという人も入ってきます。生物学的、物理学的研究なども、広く学べる。がん治療のチームに入ったならばどのポジションもできるのが放射線治療医なのです。質問と回答を公開中!

1962.

低用量アスピリンの常用、がん死リスクを長期に抑制

低用量アスピリンの毎日服用により、食道がん、膵がん、肺がん、胃がん、結腸・直腸がん、前立腺がんなどの主要ながんによる死亡が有意に抑制されることが、イギリス・オックスフォード大学脳卒中予防研究部門のPeter M Rothwell氏らが実施した血管イベント予防に関する無作為化試験のメタ解析で示された。すでに、アスピリンを5年以上毎日服用すると結腸・直腸がんのリスクが低減することが無作為化試験などで示されている。加えて、アスピリンは他臓器のがん、特に消化管のがんのリスクを抑制する可能性を示唆するエビデンスがあるが、ヒトでは確証されていないという。Lancet誌2011年1月1日号(オンライン版2010年12月7日号)掲載の報告。アスピリン治療が平均4年以上の無作為化試験が対象研究グループは、血管イベントの予防効果に関してアスピリンと対照を比較した無作為化試験の、試験期間中および試験後のがん死について調査を行った。平均治療期間が4年以上にわたるアスピリン常用(毎日服用)例とアスピリン非服用例を比較した無作為化試験の個々の患者データを用い、予定治療期間との関連において消化器がんまたは非消化器がんによる死亡のリスクに及ぼすアスピリンの効果を評価した。イギリスの3つの大規模試験では、死亡診断書およびがんレジストリーから、個々の患者の試験終了後の長期フォローアップ・データが得られ、これを用いて20年がん死リスクの評価を行った。日本のJPAD試験を含む8試験、約2万5,500例の解析で、がん死リスクが21%低下適格基準を満たした8つの試験(BDAT、UK-TIA、ETDRS、SAPAT、TPT、JPAD、POPADAD、AAA試験に参加した2万5,570例、がん死674例)では、アスピリン群でがん死が有意に低下していた[オッズ比:0.79(95%信頼区間:0.68~0.92)、p=0.003]。SAPAT試験を除く7試験(2万3,535例、がん死657例)から得られた個々の患者データの解析では、明確なアスピリンのベネフィットはフォローアップ期間が5年を経過した後に認められた[全がんのハザード比:0.66(95%信頼区間:0.50~0.87)、p=0.003、消化器がんのハザード比:0.46(95%信頼区間:0.27~0.77)、p=0.003]。20年間にがんで死亡するリスク(3試験の1万2,659例、死亡1,634例)はアスピリン群が対照群に比べて有意に低く[全固形がんのハザード比:0.80(95%信頼区間:0.72~0.88)、p<0.0001、消化器がんのハザード比:0.65(同:0.54~0.78)、p<0.0001]、ベネフィットは治療期間が長くなるに従って増大した[治療期間≧7.5年における全固形がんのハザード比:0.69(95%信頼区間:0.54~0.88)、p=0.003、消化器がんのハザード比:0.41(同:0.26~0.66)、p=0.0001]。死亡リスクの抑制効果が現れるまでの治療期間は、食道がん、膵がん、脳腫瘍、肺がんが約5年であったが、胃がん、結腸・直腸がん、前立腺がんではさらに長期間を要した。肺がんと食道がんではベネフィットは腺がんに限られ、全体の20年がん死リスクの抑制効果は腺がんで最も大きかった[ハザード比:0.66(95%信頼区間:0.56~0.77)、p<0.0001]。ベネフィットはアスピリンの用量(75mg超)、性別、喫煙状況とは関連しなかったが、無作為割り付け時の年齢が高いほど改善され、20年がん死の絶対リスクの低下率は55歳未満が1.41%、55~64歳が4.53%、65歳以上は7.08%に達しており、全体では3.49%であった。著者は、「低用量アスピリンの毎日服用により、試験期間中および終了後において、いくつかの主要ながんによる死亡が抑制された。ベネフィットは治療期間が長くなるほど増大し、個々の試験を通じて一貫していた」と結論し、「これらの知見は、アスピリンの使用ガイドラインや、発がんおよび薬剤に対するがんの感受性のメカニズムの解明において重要である」と指摘している。(菅野守:医学ライター)

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末期患者の呼吸困難、緩和的酸素吸入は有効か?

末期的病態の患者の難治性呼吸困難の症状緩和では、鼻カニューレによる緩和的酸素吸入療法の効果は室内空気吸入療法と変わらないことが、アメリカ・デューク大学医療センター腫瘍内科のAmy P Abernethy氏らが行った無作為化試験で明らかとなった。末期的病態では、心不全の65%、肺がんの70%、COPDの90%で重篤な呼吸困難がみられ、死亡に至る過程で慢性的に増強してQOLや精神的健康、社会的機能が徐々に損なわれる。長期的な酸素吸入が不適な末期的病態の患者の呼吸困難の治療法として、緩和的酸素吸入が広く行われているが、そのベネフィットは明確ではないという。Lancet誌2010年9月4日号掲載の報告。緩和的酸素吸入のベネフィットを評価研究グループは、末期的病態の患者の息切れの解消法として、鼻カニューレを介する緩和的酸素吸入の効果を室内空気吸入と比較する二重盲検無作為化対照比較試験を実施した。オーストラリア、アメリカ、イギリスの9施設から、末期的病態で難治性の呼吸困難がみられ、動脈血酸素分圧(PaO2)7.3kPa以上の患者が登録され、鼻カニューレを介して2L/分の酸素を吸入する群あるいは室内空気を吸入する群に無作為に割り付けられた。患者は、自宅で酸素濃縮機を用いて1日15時間以上吸入するように指導され、7日間の評価が行われた。主要評価項目は、数値化スケール(0~10)による息切れとし、1日2回(朝、夕)の測定が行われた。個々の患者で負担の少ない治療戦略を選択239例が登録され、酸素吸入群に120例が、室内空気吸入群には119例が割り付けられた。7日間の測定を完遂したのはそれぞれ112例(93%)、99例(83%)だった。ベースラインから6日目までの朝の平均息切れの変化は、酸素吸入群が-0.9ポイント(95%信頼区間:-1.3~-0.5)、室内空気吸入群は-0.7ポイント(同:-1.2~-0.2)であり、有意な差は認められなかった(p=0.504)。夕方の平均息切れの変化は、それぞれ-0.3ポイント(同:-0.7~0.1)、-0.5ポイント(同:-0.9~-0.1)で、やはり有意差はなかった(p=0.554)。副作用の頻度は両群間に差を認めなかった。極度の眠気が、酸素吸入群で10%(12/116例)、室内空気吸入群では13%(14/108例)に発現した。極度の鼻の炎症が、酸素吸入群の2%(2/116例)、室内空気吸入群の6%(7/108例)にみられている。酸素吸入群の1例が、かなり手のかかる鼻出血をきたした。著者は、「鼻カニューレによる酸素吸入は、室内空気吸入に比べ末期的病態の患者の難治性呼吸困難の症状緩和にベネフィットをもたらさない。したがって、個々の患者で酸素吸入の効果を簡便に評価したうえで、負担の少ない治療戦略を選択すべきである」と結論している。(菅野守:医学ライター)

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肺がん患者への早期緩和ケア導入はQOL、精神症状、余命を改善

転移性の非小細胞肺がん患者には、早期緩和ケア導入のベネフィットが大きいことが明らかにされた。QOL、精神症状を有意に改善し、標準的ながん治療を受けた患者と比較して積極的治療は少ないにもかかわらず、生存期間がより長かったという。米国マサチューセッツ総合病院のJennifer S. Temel氏らの報告によるもので、NEJM誌2010年8月19日号に掲載された。転移性非小細胞肺がんはつらい症状に苦しむ上に、末期でも積極的治療を受ける場合がある。早期緩和ケア群と標準治療群に無作為化しQOL、精神症状を評価研究グループは、新たに転移性非小細胞肺がんと診断された患者を、標準的ながん治療と併せて早期緩和ケアを行う群(77例)と、標準的ながん治療のみを行う群(74例)に無作為に割り付け、ベースラインから12週までのQOLと精神症状の変化について追跡評価した。各評価には、QOLにはFACT-L(Functional Assessment of Cancer Therapy-Lung)スケール(スコア:0~136、より高いスコアほどQOLが良好であることを示す)が、精神症状にはHADS(Hospital Anxiety and Depression Scale)が用いられた。主要評価項目は、12週時点におけるQOLの変化とした。末期医療に関するデータは電子カルテから集められた。QOL、精神症状、余命とも早期緩和ケア群が良好被験者151例のうち、12週までに27例が死亡に至り、評価が完遂されたのは12週時点で生存していた患者124例の86%に当たる107例だった。早期緩和ケア群のQOLは、標準的治療群より良好だった(FACT-Lスケールの平均スコア98.0対91.5、P=0.03)。加えて、早期緩和ケア群は標準的治療群より、抑うつ症状がより少なかった(16%対38%、P=0.01)。積極的な末期医療を受けた患者の割合は、早期緩和ケア群より標準的治療群が多かった(33%対54%、P=0.05)にもかかわらず、生存期間の中央値は早期緩和ケア群が、より長かった(11.6ヵ月対8.9ヵ月、P=0.02)。(朝田哲明:医療ライター)

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【お知らせ】5病院合同で「がんに関する市民公開講座」を開催

がん征圧月間に向けて、国立がん研究センター中央病院、東京医科大学病院、東邦大学医療センター大森病院、同大橋病院、同佐倉病院の5病院合同で「がんに関する市民公開講座」を開催する。一定期間内に、多様な講師による講演を市民に提供することで、がんの早期発見、早期治療に関する社会的な関心の喚起することが目的。  開催期間:平成22年8月14日(土)~9月25日(土)入場料はいずれも無料開催一覧 平成22年8月14日(土) 14:00~16:00(開場 13:30)国立がん研究センター中央病院<講演内容>「忘れられたがんに挑む -肉腫診療は医師と患者が手を取り合って-」国立がん研究センター中央病院 小児腫瘍科 科長 牧本 敦氏「日本でのがん治療向上の課題」国立がん研究センター理事長、国立がん研究センター中央病院 院長 嘉山 孝正氏<募集方法>往復はがき、またはFAXで申し込み(往復はがきには返送先の住所・氏名・電話番号を、FAXには返送先の住所・氏名 ・FAX番号を明記のこと)申し込み宛先:国立がん研究センター中央病院 がん医療サポートチーム 角美奈子氏〒104-0045 東京都中央区築地5-1-1 FAX:03-3248-5267<定員>900人 先着順で締め切り<問い合わせ先>国立がん研究センター中央病院 総務部 03-3542-2511 平成22年9月9日(木)18:30~20:00(開場 18:00)東京医科大学病院<講演内容>「肺がんといわれたら」東京医科大学 呼吸器外科・甲状腺外科 主任教授 池田 徳彦氏<募集方法>事前の申し込み不要<定員>300人<問い合わせ先>東京医科大学病院 企画広報室 03-3342-6111 平成22年9月4日(土) 13:00~ (開場 12:30)東邦大学医療センター大森病院(5号館地下1階 臨床講堂)<講演内容>「乳がん-早期発見の大切さ-」東邦大学医療センター大森病院 乳腺・内分泌外科 講師 緒方 秀昭氏 <募集方法>事前の申し込み不要<定員>130人<問い合わせ先>大森病院 事務部総務課 03-3762-4151(代表) 平成22年9月25日(土) 13:30~ (開場 13:00)東邦大学医療センター大橋病院(教育棟1階 臨床講堂)<講演内容>「消化管のがんについて」東邦大学医療センター大橋病院 消化器内科 助教 掛村 忠義氏<募集方法>事前の申し込み不要<定員>120人<問い合わせ先>大橋病院 事務部総務課 03-3468-1251(代表) 平成22年9月25日(土) 14:00~ (開場 13:30)東邦大学医療センター佐倉病院(7階講堂)<講演内容>「当院における慢性肝疾患の診断」I 慢性肝炎(B型・C型)と肝硬変の治療東邦大学医療センター佐倉病院 消化器内科 助教 高田伸夫氏II 肝細胞癌の画像診断と治療東邦大学医療センター佐倉病院 放射線科 講師 森田英夫氏<募集方法>事前の申し込み不要<定員>200人<問い合わせ先>佐倉病院 事務部総務課 043-462-8811(代表)

1966.

EGFR変異の進行性肺がん、ゲフィチニブのファーストラインで無増悪生存期間が倍に

EGFR遺伝子変異を有した非小細胞肺がんに対し、分子標的治療薬ゲフィチニブ(商品名:イレッサ)による治療は、従来の抗がん剤治療と比べ、再増悪までの期間が約2倍に改善することが明らかにされた。東北大学はじめ日本国内50施設が参加した北東日本研究機構(North East Japan Study Group:NEJSG)による報告で、NEJM誌2010年6月24日号で発表された。抗がん剤未治療患者230例を、ゲフィチニブ群と標準抗がん剤治療に無作為化し追跡北東日本研究機構は、EGFR遺伝子変異を有する非小細胞肺がんに対しゲフィチニブが有効であるとの先行研究を受けて、EGFR遺伝子突然変異型を検出する高感度法を開発した。本試験では、その手法で事前特定した患者に対し、ファーストラインとしての、標準抗がん剤治療とゲフィチニブ治療を比較することを目的に行われた。被験者は、転移性非小細胞肺がんを有した抗がん剤未治療の230例。ゲフィチニブ投与群とカルボプラチン(商品名:パラプラチン)+パクリタキセル(同:タキソール)投与群(標準治療)に無作為化し追跡した。主要エンドポイントは、無増悪生存期間とした。副次エンドポイントは、総生存率、奏効率と毒性作用とした。増悪までの期間、奏効率がゲフィチニブ群で有意に、毒性も許容範囲内予定中間解析(最初の200例)の結果、増悪までの期間が、標準療法よりもゲフィチニブ投与群で、有意に延長していた。ゲフィチニブ群の死亡・疾患進行ハザード比は、0.36だった(P

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早期肺がんの切除、実施率が低い原因は?

肺がんは米国において、がん死亡の主要な要因である。ステージI、IIの非小細胞肺がんでは、切除術が治癒の信頼性が高い唯一の方法であり、切除しない人の生存期間中央値は1年に満たない。しかし、早期肺がん患者の切除術実施率は低いのが現状で、特に黒人での実施率が低いという。米国ノースカロライナ大学チャペルヒル校のSamuel Cykert氏らは、修正可能な手術に関する因子を特定し、なぜ黒人で特に実施率が低い理由を明らかにするため、400人超を対象とする前向きコホート試験を行った。JAMA誌2010年6月16日号掲載より。黒人の実施率は白人より11ポイント低率同氏らは、2005年12月~2008年12月にかけて、生検で確定または可能性が高いと判断された新規早期肺がん患者437人のうち、386人を対象に試験を行った。被験者の年齢は26~90歳で、中央値は66歳、また29%が黒人だった。その結果、診断後4ヵ月以内に手術を行ったのは、白人は66%(179/273人)だったのに対し、黒人は55%(62/113人)で、黒人で有意に低率だった(p=0.05)。がんについての医師とのコミュニケーションが悪いほど、切除術の実施率は下がり、コミュニケーション指標25ポイントで5ポイント下がることによる、切除術の実施に関するオッズ比は0.42(95%信頼区間:0.32~0.74)だった。黒人で二つ以上の共存症があると実施率は0.04倍に術後1年後の予後予測が悪いとの患者の認識も、切除術の実施率が低いことと関連(オッズ比:0.27、同:0.14~0.50、絶対リスク差:34%)していた。黒人の切除術実施率は、二つ以上の共存症があった場合13%で、そうでない場合の62%と比べ、大幅に低率だった(オッズ比:0.04、同:0.01~0.25、絶対リスク差:49%)。また、黒人で普段医療ケアを受けられない状態だった人は切除術実施率が42%と、通常医療ケアを受けられた人の57%に比べ、低率だった(オッズ比:0.20、同:0.10~0.43、絶対リスク差:15%)。研究グループは、手術拒否の決定要因として、コミュニケーションや予後に対する患者の認識、高齢であること、黒人であることが独立した因子であることが明らかになったとして、至適手術実施のためにも、これら因子を考慮する必要があると結論している。(當麻あづさ:医療ジャーナリスト)

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血中ビタミンB6とメチオニン値が高濃度だと、肺がんリスクは大幅減少

血中ビタミンB6とメチオニン値が高濃度だと、低濃度の人に比べ、肺がん発症リスクはおよそ半減するようだ。フランスInternational Agency for Research on CancerのMattias Johansson氏らが行ったケースコントロール試験で明らかになったもので、JAMA誌2010年6月16日号で発表した。これまで、ビタミンBのがん発症予防に関する研究は、主に葉酸塩値の大腸がん発症予防効果について行われ、ハイリスク集団についてその抑制効果を前向きに示すことはできなかったという。肺がん発症の約900人とコントロール群約1,800人を分析同研究グループは、1992~2000年にかけて、10ヵ国51万9,978人を対象に行った前向きコホート試験、European Prospective Investigation into Cancer and Nutrition(EPIC)のうち、血液採取データがある38万5,747人について追跡した。結果、2006年までに肺がんを発症した人は899人いた。そのコントロール群として、国や性別、誕生日、血液採取日をマッチングした1,770人を選び、両群の血中の4種のビタミンB(B2、B6、葉酸塩のB9、B12)とメチオニン、ホモシステイン濃度を調べ、肺がん発症率との関連を分析した。ビタミンB6濃度の最高四分位範囲の肺がん発症リスク、最低四分位範囲の0.44倍、メチオニンは同0.52倍喫煙の有無を補正した上で、血中ビタミンB6濃度が最も高い四分位範囲の最も低い同範囲に対する、肺がん発症に関するオッズ比は、0.44(95%信頼区間:0.33~0.60、傾向に関するp

1969.

スタチンの思わぬ効果・有害事象

スタチンの想定されていない効果および有害事象について検討する、英国人男女200万人超を対象とする前向きコホート研究が、英国ノッティンガム大学プライマリ・ケア部門のJulia Hippisley-Cox氏らにより行われた。思わぬ効果として、食道がんリスク低下の有益性が認められた一方、様々な有害事象リスク上昇との関連が確認されたという。BMJ誌2010年6月5日号(オンライン版2010年5月20日号)掲載より。スタチン各種、用量、投与期間ごとに効果・有害事象を定量化Hippisley-Cox氏らは、スタチンの思わぬ効果・有害事象について、種類・用量・投与期間別に定量化することを目的とし、イングランドおよびウェールズの開業医(GP)368人の診療データをQResearch databaseから収集し検討した。200万4,692例分の患者データ(30~84歳)のうち、スタチン服用新規患者は、22万5,922例(10.7%)だった。処方の内訳は、15万9,790(70.7%)がシンバスタチン(商品名:リポバスなど)、5万328例(22.3%)がアトルバスタチン(商品名:リピトール)、8,103例(3.6%)がプラバスタチン(商品名:メバロチンなど)、4,497例(1.9%)がロスバスタチン(商品名:クレストール)、3,204例(1.4%)がフルバスタチン(商品名:ローコールなど)だった。検討された主要評価項目は、心血管疾患の初回発生、中等度~重度ミオパシー、中等度~重度肝機能障害、急性腎不全、静脈血栓塞栓症、パーキンソン病、認知症、関節リウマチ、白内障、骨粗鬆症性骨折、胃がん、食道がん、大腸がん、肺がん、メラノーマ、腎臓がん、乳がん、前立腺がん。食道がんリスク低下、肝機能障害・急性腎不全・ミオパシー・白内障リスク増大スタチンとの関連が有意ではなかったのは、パーキンソン病、関節リウマチ、静脈血栓塞栓症、認知症、骨粗鬆症性骨折、胃がん、大腸がん、肺がん、メラノーマ、腎臓がん、乳がん、前立腺がんの各リスク。食道がんリスクについては低下が認められた。一方で、中等度~重度肝機能障害、急性腎不全、中等度~重度ミオパシー、白内障のリスクは増大することが認められた。有害事象は、スタチンの種類を問わず同等にみられた。ただし肝機能障害についてはフルバスタチンでリスクが高かった。用量反応効果は、急性腎不全、肝機能障害で明瞭だった。服用期間中の全リスク増加は、最初の1年目が最も高かった。白内障リスクは男女とも、服用中止後1年以内で標準に戻った。食道がんのリスクは、女性は1年以内に男性は1~3年以内で標準に戻った。急性腎不全リスクは、男女とも1~3年以内に、肝機能障害リスクは、女性は1~3年以内に男性は3年以降に標準に戻った。心疾患リスク20%閾値に基づく5年予防NNT(治療必要数、対患者1万例)は、女性の場合、心血管疾患が37例(95%信頼区間:27~64)、食道がんは1,266例(850~3,460)だった。男性はそれぞれ、33例(24~57)、1,082例(711~2,807)だった。一方、5年NNH(有害必要数、対患者1万例)は、女性の場合、急性腎不全が434例(284~783)、中等度~重度ミオパシーは259例(186~375)、中等度~重度肝機能障害136例(109~175)、白内障33例(28~38)だった。男性のNNHは、ミオパシーのNNHが91例(74~112)だった以外は、全体として女性と同等だった。Hippisley-Cox氏は、「食道がん以外の有益性は証拠立てることができなかったが、有害事象については母集団に潜在する事象が確認でき定量化できた。さらに、有害事象の最もリスクの高い患者をモニターできるよう個別リスクのさらなる検討を進める必要がある」と結論している。

1970.

富士フイルム子会社が肺がんの新規RI標識抗体を開発 米国核医学会にて発表

富士フイルム株式会社の子会社である、株式会社ペルセウスプロテオミクスと富士フイルムRIファーマ株式会社は8日、肺がんの新規RI標識抗体を開発し、その成果を6月7日(日本時間6月8日)に米国ソルトレークシティーで開催された米国核医学会において発表した。ペルセウスプロテオミクスは、東京大学先端科学技術研究センターと共同でヒト遺伝子の発現解析により、がん細胞に特異的に発現するたんぱく質を特定し、そのたんぱく質が肺がん、膵(すい)がん、大腸がんをはじめとする広範ながんで高く発現することを見いだしたという。ペルセウスプロテオミクスはこのたんぱく質に対する抗体を作製し、富士フイルムRIファーマとの共同研究により、その中からがん組織に集積性が高く、かつ正常組織への影響が少ない抗体をイットリウム(Y-90)で標識することに成功した。この「Armed抗体」が、マウスの肺がんモデルにおいて顕著な腫瘍の増殖抑制効果を示すことを確認し、今回の発表に至ったとのこと。詳細はプレスリリースへhttp://www.fujifilm.co.jp/corporate/news/articleffnr_0400.html

1971.

約4割の主婦が過去1年以内に検診を受けていない?

主婦の約4割が「過去1年以内に検診を受けていない」という結果が、ソニー損害保険株式会社が27日に発表した「主婦の健康診断・健康意識に関する調査」より明らかになった。この調査は、2010年5月14日~5月17日の4日間、20歳~49歳の主婦(パート/アルバイト、専業主婦)に対し、インターネットリサーチで実施し、1,000名の有効回答を得たもの。過去1年間に受けた検診の種類を複数回答で聞いたところ、「過去1年以内にどの検診も受けていない」が39.8%と最も多い結果だった。過去1年以内にどの検診も受けていない398名に、検診を受けていない理由を複数回答で聞いたところ、「検診にお金がかかる」が39.4%と、経済面での理由が約4割となり、続いて「検診へ行く時間がない」32.7%、「面倒くさい」31.9%、「今のところ特に体に異常がみられない」29.1%となった。過去1年以内に検診したガンの種類を複数回答で聞いたところ、「子宮けいガン」が33.4%と最も多く、主婦の3人に1人が子宮けいガン検診を受けていたようだ。次に多かったのは「乳ガン」の25.9%で、「子宮体ガン」14.1%、「胃ガン」8.4%、「大腸ガン」5.7%、「肺ガン」4.1%となっている。全回答者1,000名に、あなたが受けてみたいと思う検診を複数回答で聞いたところ、1位「500円で受けられるワンコイン検診」58.5%、2位「自宅でできるキット検診」40.8%、3位「検診後に昼食が付いているランチ付き検診」30.0%となり、経済的かつ手軽に受けられる検診が求められていることがわかったという。また、ガン以外の女性特有の病気や女性がかかりやすい病気の中で気になっているものを複数回答で聞いたところ、「更年期障害」で62.8%、「子宮筋腫」 55.5%、「骨粗鬆症」33.0%、「子宮内膜症」31.8%、「貧血」29.5%となった。「更年期障害」と回答した割合は年齢があがるにつれて高くなっており、20代主婦で42.2%、30代主婦で59.2%、40代主婦では70.2%となっている。また、20代主婦では他の年代よりも回答した割合が高いものが多く、「貧血」(51.8%)、「子宮内膜症」(50.6%)、「卵巣のう腫」(38.6%)、「膀胱炎」(32.5%)で他の年代より10ポイント以上高くなっていた。詳細はこちらhttp://from.sonysonpo.co.jp/topics/pr/2010/05/20100527_1.html

1972.

40代以上喫煙者の約3人に1人がCOPD予備軍

株式会社プラスアールは25日、同社が運営するモバイルサイト「禁煙のミカタ(http://nosmoke.netclinic24.com/)」上にて実施したCOPD(慢性閉塞性肺疾患)の啓発およびCOPDチェックから、40代以上の喫煙者の34.4%がCOPD予備軍であることがわかったと発表した。この調査は、同社が日本ベーリンガーインゲルハイム株式会社から情報提供を受け、2009年11月1日から2010年4月30日にかけて20代から80代の喫煙者20,154名に対して行われたもの。調査概要は、「息苦しい」「痰がでる」「咳がでる」などの症状関連ワード、「禁煙」「たばこ」などのたばこ関連ワード、「肺がん」「COPD」などの疾患名ワードを中心に検索エンジン経由で集客を行い、疾患の啓発およびチェックへの誘導を実施したとのこと。本調査の結果、1,983名(9.8%)もの人が「COPDの可能性が高い」と診断され、40代以上の喫煙者に限るとその割合は34.4%と高かった。しかし、そのうち禁煙の意思を示した人は12.9%と少なく、COPDの恐ろしさに対する理解が十分でないことも明らかになった。 また、35歳以上の高リスク層も併せた上でチェック後に呼吸器科専門医のリストを提示し、実際の受診率についても調査した。(調査依頼数1,254名、有効回答数182名)その結果、12%がチェック後に専門医の受診をしており、「これから受診したい」と回答した60%を含めると、72%がチェック後の受診に対して前向きな姿勢を示していることもわかった。 詳細はプレスリリースへhttp://www.plusr.co.jp/news/20100525.html

1973.

ワクチンで予防できる唯一のがん?

2010年4月22日、星陵会館(東京都千代田区)において自民党ワクチン政策に関する議員連盟主催の「子宮頸がんを撲滅するためのワクチン普及に向けたシンポジウム」が開催された。自治医科大学附属さいたま医療センター産科婦人科教授の今野良氏は基調講演に登壇し、子宮頸がんの病態、ワクチンによる予防とその普及における問題点について語った。今野氏はまず、わが国における子宮頸がんを取り巻く状況を話題とした。子宮頸がんは検診などで早期に発見できれば、前がん病変である異形成の段階(0期)で円錐切除術を行って妊孕性を保つことや、子宮全摘術、場合によっては円錐切除術により根治が可能である。子宮頸がんのリスクファクターには免疫低下状態や喫煙などがあるが、検診を受けないことも問題である。30年前、日本は子宮頸がん検診の先進国であったが、現在の受診率は欧米と比較すると極めて低い。検診受診率が常に低い国では子宮頸がん発生率が年齢とともに増加する傾向があるが、現在のわが国の発生ピークはおよそ35歳であり、30年前の受診率の高さが40代以上の女性における発生率の低さに寄与しているのだろうとのことである。また、20~30代の発生率上昇に伴い、死亡率も上昇傾向にある。一方、子宮頸がんの自然史はかなり解明されており、発生原因の多くはヒトパピローマウイルス(HPV)感染によることがすでに明らかとなっている。HPVは性交渉で感染し、女性の8割に感染歴があるとされるがほとんどは一過性であり、持続感染した場合に子宮頸がん発生のリスクとなる。タバコは肺がん発生のリスクを10倍高めるとされているが、ハイリスクのHPVである18型は子宮頸がんのリスクを500倍以上高めるという報告があり、がんの中でも抜きん出て相関が強いといえる。これらを踏まえ、初のがん特異的予防ワクチンとして、HPVワクチンが開発された。HPVのタイプは多様であり、現在のワクチンは子宮頸がんの原因として最も高頻度に発見されている16型と前述の18型の感染を予防するものである。このワクチンを性活動前の女性に接種したところ、約70%の子宮頸がん予防効果がみられた。加えて今野氏は、検診受診率の高い国では子宮頸がん発生率が低いというデータを示しながら、ワクチンによる一次予防(対象は11~14歳女児)と、二次予防としての定期的な検診で子宮頸がんはほぼ撲滅できると述べた。2009年4月のWHO Position Paperにおいては、「HPV関連疾患が公衆衛生上重要である」ことと「国家的なHPVワクチン組み込みを推奨する」ことが明記されている。また、わが国の12歳女児全員にワクチンを3回接種した場合の試算では、ワクチンの総費用は約210億円となる。対して、治療費は約170億円が節減でき、約230億円の労働損失額を加えると約400億円を抑えられ、全体では約190億円の費用削減となるため、医療経済的には便益がコストを上回るとのことである。今野氏は、国を上げて国民の意識を高めている事例として、イギリスでテレビ放送されている子宮頚がんワクチンの啓発コマーシャルを紹介し、本講演を終えた。(ケアネット 板坂 倫子)

1974.

非小細胞肺がん、術後補助化学療法の有効性を確認:2つのメタ解析から

切除可能な非小細胞肺がん(NSCLC)に対して切除術後あるいは切除術+放射線療法後に補助化学療法を行うと、これを施行しない場合に比べ放射線療法の有無にかかわらず5年生存率が改善されることが、イギリス医学研究評議会(MRC)臨床試験ユニットのSarah Burdett氏らNSCLCメタ解析共同研究グループの検討で示された。毎年約150万人が肺がんを発症し、その約85%がNSCLCだが、治癒切除が可能なのは20~25%にすぎない。同研究グループの以前の検討ではシスプラチンベースの術後補助化学療法が生存期間を延長する傾向が示された(ハザード比:0.87、95%信頼区間:0.74~1.02、p=0.08)が、切除術+放射線療法後の補助化学療法の価値は明確ではないという。Lancet誌2010年4月10日号(オンライン版2010年3月24日号)掲載の報告。個々の患者データに基づく2つのアプローチに関するメタ解析研究グループは、早期NSCLCにおける手術後あるいは手術+放射線療法後の補助化学療法の有効性を確立するために、これら2つのアプローチについて包括的な系統的レビューとメタ解析を行った。解析の対象となったのは、1965年1月1日以降に開始された手術→化学療法と手術単独、あるいは手術+放射線療法→化学療法と手術+放射線療法を比較した試験で、2群間に追加治療による交絡がない無作為化試験とした。各試験に登録された個々の患者の最新のデータを収集して照合し、試験ごとに層別化したメタ解析を実施した。無作為割り付けから全原因による死亡までの期間を全生存期間と定義し、これを主要評価項目とした。両アプローチとも、化学療法追加で5年生存率が有意に改善手術→化学療法と手術単独のメタ解析の対象となったのは34試験(そのうち18試験が日本の研究)、8,447例(3,323例が死亡)であった。5年生存率は、手術単独群の60%から補助化学療法群では64%へ上昇し、絶対値で4%[95%信頼区間(CI):3~6%]、ハザード比(HR)で14%改善された(HR:0.86、95%CI:0.81~0.92、p<0.0001)。手術+放射線療法→化学療法と手術+放射線療法のメタ解析の対象は13試験(日本の研究は1試験)、2,660例(1,909例が死亡)であった。5年生存率は、手術+放射線療法群の29%から補助化学療法群では33%へ上昇し、絶対値で4%(95%CI:1~8%)、ハザード比で12%の改善が得られた(HR:0.88、95%CI:0.81~0.97、p=0.009)。いずれのメタ解析でも、化学療法のレジメンやタイミング、手術の範囲、患者背景、サブグループの違いによる効果の変動は認められなかった。著者は、「切除可能NSCLCに対する手術あるいは手術+放射線療法のいずれのアプローチでも、補助化学療法の追加によって生存率が改善される」と結論している。また、「化学療法の効果は毒性とのバランスを考慮する必要があるが、本試験では毒性の評価はできない。併存疾患についても、それがみられないか、または軽度の患者を対象としているため評価できない」とし、「以前のメタ解析では術後放射線療法はむしろ生存率を低下させることが示されているが、使用された治療技術は旧来のものであった。今回の試験は術後放射線療法を評価するようにはデザインされていない。今後、最新技術を用いた放射線療法の、術後補助化学療法としての有用性を評価する無作為化試験を行う必要がある」と指摘している。(菅野守:医学ライター)

1975.

学歴差による死亡格差が年々広がっている、原因は?

平等・非平等主義社会を問わず欧米各国で、受けた教育レベルの違いによる死亡率の差が拡大しているとの報告がされている。平等主義を掲げる福祉国家モデルとされるノルウェーではどうなのか。格差の現状と、これまでの調査ではほとんど行われていない長期動向調査が、ノルウェー国立衛生研究所疫学部門のBjorn Heine Strand氏らにより行われた。1960~2000年にかけての同国中高年を対象とした原因別死亡率を追跡する前向き研究で、学歴差による死亡率の差、またその差をもたらしている主な原因について調査が行われた。BMJ誌2010年3月13日号(オンライン版2010年2月23日号)掲載より。40年間でどの学歴群も死亡率は低下したが……研究グループは、1960年、1970年、1980年、1990年時点で45~64歳だった4コホートを、それぞれ10年間にわたって追跡した。追跡期間中、死亡者数は35万9,547例、3,290万4,589人・年分のデータが得られた。主要評価項目は、「全死因死亡」「肺・気管・気管支がんに起因する死亡」「その他のがん」「心血管疾患」「自殺」「外因」「慢性下気道疾患」「その他の原因による死亡」とした。受けた教育のレベル(低・中・高学歴)の違いによる死亡率の差を、絶対指数・相対指数で求め検討した。結果、死亡率は1960~2000年にかけて、いずれの学歴群でも低下していた。また同40年間で、成人に占める低学歴群の人は激減していた。しかし、低学歴群の死亡率は相変わらず他の学歴群よりも高く、また同期間で高学歴群の死亡率がより低下したため、学歴の違いによる死亡率の差は広がっていた。絶対指数でみた低学歴群の死亡率と高学歴群の死亡率差(傾斜指数)は、40年間で男性は2倍に(105%増)、女性は3分の1の増加(32%増)していた。相対指数でみると、死亡率差は、男性は1.33から2.24(P=0.01)に、女性は1.52から2.19(P=0.05)へと広がっていた。男性は心血管系と呼吸器系、女性は呼吸器系が格差の要因男性における格差拡大は、主に「心血管疾患」「肺がん」「慢性下気道疾患」が原因だった。女性の格差拡大の原因は、主に「肺がん」「慢性下気道疾患」にあった。また女性では男性と異なり、心血管系に起因する死亡率の格差は縮まっていた。一方で、喫煙が関連していると思われる慢性下気道疾患が格差拡大に寄与していた。研究グループは、「平等主義を掲げる福祉国家ノルウェーだが、学歴差による死亡格差は、1960年~2000年の40年間で大幅に拡大していた」と結論。「我々の調査は、次の主張に対するエビデンスを示したと言える。すなわち、平等主義を掲げた社会政策だけでは死亡格差をなくすことはできないこと、教育レベルの違いによると思われる生活習慣の違いが問題であるということだ」と報告をまとめている。

1976.

社会経済的格差が、国民のがん治療格差をもたらしている:英国

英国で2000年に公表された「NHS Cancer Plan」は、英国社会全体の、がん治療アウトカムの向上と健康格差を是正するため、医療サービスへのアクセスの平等を図ることを目的に作成されたものである。ロンドン大学校疫学・公衆衛生部門のRosalind Raine氏らのグループは、その導入効果を評価するため、がん患者の救急入院と選択的入院、大腸がん、乳がん、肺がんの外科手術の種類が、社会経済的要因、年齢、性別、入院年によってどのように変動したかを調査した。BMJ誌2010年2月6日号(オンライン版2010年1月14日号)より。衰退が進む地域の女性、高齢者ほどがん救急入院率が高い研究グループは、1999年4月1日から2006年3月31日までの病院症例統計(HES)の患者個人データを基に、反復横断研究を行った。症例対象は大腸がん、乳がん、肺がんの診断で入院治療を受けた50歳以上の患者56万4,821例。主要評価項目は、救急入院した患者の比率と、推奨手術治療を受けた患者の割合とした。結果、がん救急入院率が、社会経済的に衰退傾向が進む地域の住民、女性、高齢者で高い傾向にあることが明らかになった。たとえば乳がんに関する救急入院率は、地域衰退指数(Index of Multiple Deprivation、5段階評価)が最低の地域(衰退が進んでいない地域)と最高地域(衰退が進む地域)との補正オッズ比が、0.63(95%信頼区間:0.60~0.66)だった。また肺がんに関する救急入院率で、50~59歳群と比べて80~89歳群の補正オッズ比は3.13(同:2.93~3.34)に上った。この年齢層による差異は、年々改善している傾向はみられたが、衰退が進む地域の患者については、改善傾向はみられなかった。衰退が進む地域の患者ほど、がん推奨手術を受けていないさらに、衰退指数が高い地域の患者ほど、大腸がん、乳がん、肺がんで推奨される手術を受けていないことが認められた。またその傾向が、改善してきている傾向は認められなかった。たとえば、大腸がんで前方切除術を受けていた割合は、衰退指数が最低地域では75.5%(4,497/5,959例)だったのに対し、最高地域では67.4%(3,529/5,237例)で、オッズ比1.34(95%信頼区間:1.22~1.47)の差があった。乳がんで乳房温存手術を受けていた割合は、衰退指数が最低地域では63.7%(18,445/28,960例)だったのに対し、最高地域では54.0%(11,256/20,849例)で、オッズ比は1.21(同:1.16~1.26)だった。また男性は女性と比べて前方切除術や肺がん切除術を受けている割合が低く、高年齢層ほど乳房温存手術と肺がん切除を受けている割合が低かった。たとえば、肺がん切除の場合、50~59歳群と比べて80~89歳群の補正オッズ比は、0.52(95%CI 0.46~0.59)。これらから研究グループは、「NHS Cancer Plan実行にもかかわらず、国民の医療サービスへのアクセスおよびケア供給いずれにも、社会経済的要因がいまだに強い影響をおよぼしている」と報告をまとめている。

1977.

肺がん診断後の禁煙により予後が改善

早期肺がんの診断後に禁煙を開始すると、喫煙を継続した場合に比べ65歳以上の患者の予後が改善することが、イギリス・バーミンガム大学タバココントロール研究センターのA Parsons氏らによる系統的なレビューで示された。喫煙は原発性肺がん発症のリスク因子であり、生涯喫煙者は生涯非喫煙者の20倍のリスクを有するとされる。一方、肺がんと診断されたのちの禁煙が予後に及ぼす影響については明らかにされていなかった。BMJ誌2010年1月30日号(オンライン版2010年1月21日号)掲載の報告。肺がん診断後の禁煙が予後に及ぼす影響を評価した試験を系統的にレビュー研究グループは、原発性肺がん診断後の禁煙が予後に及ぼす影響のエビデンスについて系統的レビューを行った。データベース(CINAHL、Embase、Medline、Web of Science、CENTRAL)を用い、発症時の病期や腫瘍の組織像にかかわらず、肺がん診断後の禁煙が予後に及ぼす影響を評価した無作為化対照比較試験および縦断的観察研究を抽出し、各論文に掲載された文献リストの論文にもあたった。2名の研究者が別個に個々の論文をレビューし、適格基準を満たす試験を選択した。変量効果モデルを用いて各試験のデータを統合し、不均質性の評価にはI2 statisticを使用した。このレビューで得られた診断後の喫煙継続者と禁煙者の死亡率に基づいて生命表をモデル化した。これを用いて早期非小細胞肺がんおよび限局型小細胞肺がんの5年生存率を推算した。非小細胞肺がん、限局型小細胞肺がんとも、5年生存率が2倍以上に解析の対象となった10試験のうち9試験では、ほとんどの患者が早期肺がんと診断されていた。早期非小細胞肺がんでは、診断後も喫煙を継続した患者の全死亡率は禁煙した場合の約3倍であり(ハザード比:2.94)、再発率は約2倍(同:1.86)に達した。限局型小細胞肺がんでは、全死亡率が約2倍(ハザード比:1.86)、2次原発がんの発現率が4倍以上(同:4.31)、再発率が約1.3倍(同:1.26)であった。非小細胞肺がんにおいて、禁煙ががん特異的死亡率や2次原発がんの発現に及ぼす影響を解析した試験はなかった。得られたデータに基づいてモデル化した生命表では、65歳以上の非小細胞肺がんの場合、喫煙を継続した患者の5年生存率が33%であったのに対し、禁煙した患者では70%に達した。限局型小細胞肺がんの5年生存率は、喫煙者の29%に対し禁煙者は63%であった。著者は、「早期肺がんの診断後の禁煙は予後を改善することが示唆された」と結論し、「生命表では、禁煙の肺がん抑制効果によって防止された死亡の予測値が、禁煙の心呼吸器疾患の抑制効果で防止された死亡の数よりも大きかったことから、禁煙のベネフィットは主にがんの進行の抑制によるものと考えられる。早期肺がんが見つかった場合は禁煙を勧めるべきであろう」と指摘している。(菅野守:医学ライター)

1978.

CTを用いた肺がん検診で肺がんをどこまで見つけられるか

解像度の高いマルチスライス・コンピューター断層撮影(CT)の、肺がんリスクの高い人への肺がんスクリーニング活用で、非石灰化肺結節が見つかる機会が増えている。しかし、そうした場合に臨床家が取るべき最善の行動指針(有病誤診率を増すことなく安価で手間のかからないフォローアップのあり方)に関しては明確になっておらず、各国で無作為化試験による模索が進められている。オランダ・エラスムス医療センターのRob J. van Klaveren氏らは、同国で行われている無作為化試験「NELSON」について、さらに詳細な基準(非石灰化肺結節の体積と体積倍加時間)規定のための無作為化試験評価を行い発表した。NEJM誌2009年12月3日号報告より。非石灰化肺結節の体積と体積倍加時間を評価Klaveren氏らは、全体で7,557例の参加者を、第1回CTスクリーニング(基線試験)、第2回CTスクリーニング(第1回後1年後に実施)、第3回CTスクリーニング(第2回後2年後に実施)に無作為化した試験を行った。被験者は、第1回で非石灰化肺結節発見有無にかかわらず最終的に肺がんと診断されなかった場合は、2回目以降にも参加した。本試験で評価したのは、非石灰化肺結節の体積と体積倍加時間で、2回のCT検査の間に体積が25%以上増加した場合、増大したと定義した。第1回CTスクリーニングでは、結節が見つかった場合も50立方mm未満なら陰性と診断され、50~500立方mmでも3ヵ月後のフォローアップCTで増大していなかったら陰性と、さらに増大していた場合でも体積倍加時間が400日以上である場合は陰性と診断された。その結果、陽性だったのは2.6%(196例)だった。なお最終的に肺がんと診断されたのは0.9%(70例)。第2回CTスクリーニング(7,289例が参加)では、陽性との診断に至ったのは1.8%(128例)だった。陰性で2年後に肺がんが見つかるのは3/1,000第1回CTスクリーニングの精度は94.6%(95%信頼区間:86.5~98.0)、陰性検出率は99.9%(同:99.9~100.0)だった。第1回CTスクリーニングの結果、陰性だった7,361例の被験者のうち、フォローアップ2年後に行ったCTスキャンで20例に肺がんが検出された。Klaveren氏は、1回目のCTスクリーニングで陰性だった人で、1年後に肺がんが見つかる可能性は1/1,000、2年後に見つかる可能性は3/1,000だったと報告している。(医療ライター:朝田哲明)

1979.

葉酸、ビタミンB12の摂取はがん・総死亡率などを増加:ノルウェー虚血性心疾患患者調査

 ノルウェーの虚血性心疾患患者を対象に行った調査で、葉酸とビタミンB12の摂取ががんの発症率・死亡率と、総死亡率の増加につながることが報告された。これまでの研究で、葉酸摂取と大腸がんリスク増加との関連は示されていたが、他のがんとの関連は明らかにされていない。報告はノルウェーHaukeland大学病院心臓病部門のMarta Ebbing氏らの調べによるもので、JAMA誌2009年11月18日号で発表された。なおノルウェーでは、葉酸を強化した食品は販売されていないという。葉酸投与を受けた人の葉酸血中濃度は6倍に 研究グループは、1998~2005年にかけて行われたビタミンB摂取を伴うがん治療の影響を評価した2つの無作為化プラセボ対照二重盲検試験について、分析を行った。被験者は、葉酸(0.8mg/日)とビタミンB12(0.4mg/日)とビタミンB6(40mg/日)を投与された人が1,708人、葉酸(0.8mg/日)とビタミンB12(0.4mg/日)投与が1,703人、ビタミンB6(40mg/日)のみ投与が1,705人、プラセボ群が1,721人だった。結果、試験期間中に葉酸を投与された被験者の血中葉酸値の中央値は、6倍に増大した。葉酸+ビタミンB12を投与した群の肺がん罹患率が増加 中央値39ヵ月の治療期間と、同38ヵ月の観察期間の後、がんの診断を受けたのは、葉酸+ビタミンB12を投与した2つの群の341人(10.0%)だったのに対し、葉酸を投与しなかった2つの群では288人(8.4%)に留まった(ハザード比:1.21、95%信頼区間:1.03~1.41、p=0.02)。 がんで死亡した人は、葉酸+ビタミンB12を投与した2群の136人(4.0%)に対し、葉酸を投与しなかった2群では100人(2.9%)だった(ハザード比:1.38、同:1.07~1.79、p=0.01)。 総死亡率について見てみると、葉酸+ビタミンB12を投与した2群のうち死亡したのは548人(16.1%)だったのに対し、葉酸を投与しなかった2群では473人(13.8%)だった(ハザード比:1.18、同:1.04~1.33、p=0.01)。 こうした結果の主な原因は、葉酸+ビタミンB12を投与した群の肺がん罹患率の増加だった。なお、ビタミンB6群については、がんアウトカムや死亡率に有意な差は見られなかった。

1980.

「アバスチン」、非小細胞肺がんに対する効能・効果、用法・用量の追加承認取得

中外製薬株式会社は9日、抗VEGFヒト化モノクローナル抗体ベバシズマブ(遺伝子組換え)-販売名『アバスチン点滴静注用100mg/4mL、同400mg/16mL』について、6日に厚生労働省より「扁平上皮癌を除く切除不能な進行・再発の非小細胞肺癌」に対する効能・効果および用法・用量の追加に関する承認を取得したと発表した。「アバスチン」は、米国では2006年10月、欧州では2007年8月に扁平上皮がんを除く進行性非小細胞肺がんに対する一次治療として承認され、海外の治療ガイドラインにも化学療法との併用での使用が推奨されている。日本での今回の承認により、結腸・直腸がんに引き続き扁平上皮がんを除く進行・再発の非小細胞肺がんにおいても日・米・欧三極での使用が可能となった。同社による厚生労働省への承認申請は2008年11月に行われ、申請資料として海外で実施された第II相および第III相臨床試験、国内で実施された第II相臨床試験の成績等が提出された。海外で実施された二つの比較試験では、プラチナ製剤をベースとした標準的な化学療法に「アバスチン」を併用することで、扁平上皮がんを除く未治療の進行・再発の非小細胞肺がんの患者の全生存期間および/または無増悪生存期間を、標準的な化学療法と比較して統計学的に有意に延長することが示された。国内第II相臨床試験においても、標準的な化学療法(カルボプラチンとパクリタキセルの併用療法)に「アバスチン」を併用することで、無増悪生存期間が統計学的に有意に延長するなど、海外臨床試験と同様な結果が報告され、日本人における「アバスチン」の有用性が示されたという。詳細はプレスリリースへhttp://www.chugai-pharm.co.jp/generalPortal/pages/detailTypeHeader.jsp;jsessionid=FRBNZFANZLRWICSSUIHSFEQ?documentId=doc_16373&lang=ja

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