サイト内検索|page:91

検索結果 合計:2040件 表示位置:1801 - 1820

1802.

最も多く「いいね!」を集めたのはこれ!【2015年 Facebookいいね!年間ランキング】

2015年にCareNet.comに掲載した医療ニュースの中でFacebookの「いいね!」が多かった記事、トップ30を発表します。最新の医学情報はもちろん、飲食や睡眠にまつわるエビデンス、生活習慣とがんリスクなど、私たち自身の健康に関わるテーマの記事が多くランクインしました。1位音楽療法が不眠症に有用(2015/9/8)2位本当だった!? 血液型による性格の違い(2015/6/2)3位緑茶やコーヒーで胆道がんリスクは減少するか~日本のコホート研究(2015/11/12)4位かかりつけ機能を基に薬局を地域の健康窓口へ~「健康情報拠点薬局」第2回検討会(2015/6/24)5位膝OAに陸上運動療法は有効(2015/2/3)6位コーヒー摂取量と死亡リスク~日本人9万人の前向き研究(2015/5/11)7位なんと!血糖降下薬RCT論文の1/3は製薬会社社員とお抱え医師が作成(解説:桑島 巖氏)(2015/7/14)8位心房細動へのジゴキシン、死亡増大/Lancet(2015/3/30)9位脳梗塞の発症しやすい曜日(2015/4/3)10位片頭痛の頻度と強度、血清脂質と有意に相関(2015/10/13)11位周術期の音楽が術後の疼痛・不安を軽減/Lancet(2015/8/24)12位抗認知症薬の脳萎縮予防効果を確認:藤田保健衛生大(2015/8/13)13位新しいがん免疫療法、これまでと何が違う?~肺がん医療向上委員会(2015/8/4)14位少量飲酒でも発がんリスクは上昇する?/BMJ(2015/9/1)15位夫の喫煙で乳がんリスクが増大~高山スタディ(2015/2/9)16位心肺蘇生への市民介入で後遺症のない生存が増大/JAMA(2015/8/7)17位長時間労働は、冠動脈心疾患よりも脳卒中のリスクを高める/Lancet(2015/8/31)18位認知症患者への睡眠薬投与、骨折に注意(2015/7/1)19位腰痛は患者の心身を悪化させ医療費を増やす:日本発エビデンス(2015/3/27)20位肺がん患者が禁煙したときの延命効果は?(2015/7/2)21位社会生活の「生きにくさ」につながる大人のADHD(2015/9/16)22位唐辛子をほぼ毎日食べると死亡リスク低下/BMJ(2015/8/17)23位長時間労働は多量飲酒につながる/BMJ(2015/1/26)24位アルコール摂取とがんリスク、用量依存的に関連(2015/10/14)25位慢性疼痛 患者の性差を考慮した対処を(2015/5/1)26位脱毛症の人はあのリスクが上昇(2015/1/21)27位失明患者の視覚を回復、人工網膜システムが欧米で初承認(2015/8/26)28位統合失調症への集団精神療法、効果はどの程度か(2015/6/24)29位糖質制限食と糖尿病リスク:日本初の前向き研究(2015/2/27)30位魚をよく食べるほど、うつ病予防に:日医大(2015/7/1)

1805.

期待のがん悪液質治療薬ONO-7643、第II相試験の結果は?

 がん悪液質はがん患者の70%に発現し、とくに進行非小細胞肺がん患者で多く認められる。がん悪液質は複合的な代謝疾患であり、食欲不振および筋肉減少を主体とした体重減少を特徴とし、がん患者のQOLおよび予後を悪化させる。さらに進行すると難治性悪液質となり、PS不良や治療抵抗性を示し、生命予後3ヵ月未満と非常に重篤な状態になる。しかしながら、現在は有効な治療方法が存在しない。 そのようななか、第56回日本肺癌学会プレナリーセッションにおいて、杏林大学医学部 呼吸器内科 横山 琢磨氏が、非小細胞がん(NSCLC)にともなうがん悪液質に対するONO-7643の第II相試験の結果を発表した。 ONO-7643(anamorelin)は新たに開発された経口可能なグレリン様作用薬。経口投与でグレリンと同様の効果を発揮する。グレリンは食欲増進、摂食量の増加、また成長ホルモンやIGF-1の分泌を促進することで蛋白合成の促進、筋肉量の増加をもたらし、それにともない体重増加、QOLの改善をもたらす。ONO-7643は肺がんマウスによる動物実験で、成長ホルモンとIGF-1の有意な分泌促進が認められている。成長ホルモンとIGF-1の分泌促進作用から腫瘍増殖が危惧されたが、動物モデルでの腫瘍増殖効果はみられない。 当試験は、NSCLCに対するONO-7643の有効性と安全性を検討する、プラセボ対照二重盲検比較試験である。対象は手術不能のStageIII~IVのNSCLCで、過去6ヵ月以内に5%以上の体重減少を認め、4ヵ月以上の生存が期待できる患者。これらの患者をプラセボ(n=60)、ONO-7643 50mg(n=65)、同100mg(n=55)の3群に無作為に割り付け、それぞれ12週間投与した。主要評価項目は除脂肪体重(DEXA)、握力の平均変化率。副次的評価項目は体重、QOL、PS、KPS(Karnofsky Performance Status)などであった。 結果、ONO-7643 100mg群において除脂肪体重でプラセボ群に比べ有意な増加を認めたが、全体的にみると、用量依存的な増加を認めるものの、主要評価項目における統計学的な有意差はみられなかった。副次的評価項目である体重については、ONO-7643 50mg、100mgともにプラセボに比べ有意な増加を認めた。QOLについては合計スコアなどで100mg群に有意な改善を認め、とくに食欲に関する項目で顕著であった。さらに、KPSも優位に改善した。OSはプラセボ群と差は認めなかったが、体重減少の有無で比較すると体重減少なし群で有意に延長しており、この群ではONO-7643投与患者が多い傾向にあった。有害事象に関しては3群で有意な差はなかったが、副作用については実薬群で多かった。しかし、その頻度は少なく重篤なものも認めなかった。 ONO-7643は、がん悪液質の主要評価項目において優位性は示せなかったものの、除脂肪体重、体重増加傾向、食欲、QOLの改善を認めるとともに、副作用は軽度で少なく高い忍容性を示す。がん悪液質の新たな治療薬として期待される薬剤であり、今後もさらなる検討が行われるであろう。

1806.

扁平上皮NSCLCの1次治療に新たなプラチナ・ダブレット

 扁平上皮がんは肺がんの20~30%にみられる。しかし、進化著しい非扁平上皮がんの治療に比べて、扁平上皮がん治療の進歩は遅れている。こうした中、2015年11月26日から開催された第56回日本肺癌学会プレナリーセッションにおいて、名古屋医療センターの坂 英雄氏が、扁平上皮NSCLC1次治療の新たな選択肢としてネダプラチン併用レジメンの有用性を検討したWJOG5208L試験の結果を報告した。 ネダプラチンは、従来のプラチナ製剤で問題になっていた消化器症状、腎毒性を軽減させた第2世代プラチナ製剤であり、ドセタキセルとの併用による良好な結果が、第II相試験で報告されている。 今回発表されたWJOG5208L試験は、ネダプラチンとドセタキセルの併用群(以下、ND群)とシスプラチンとドセタキセルの併用群(以下、CD群)を比較した第III相試験。西日本がん研究機構(WJOG)所属の全国53施設で実施された。 試験対象は、StageIIIBおよびIVの扁平上皮非小細胞肺がん(NSCLC)で、化学療法naiveの355例。被験者は無作為にND群とCD群に1対1で割り付けられた。ND群にはネダプラチン100mg/m2 とドセタキセル60mg/m2 を3週ごと4~6サイクル、CD群にはシスプラチン80mg/m2 とドセタキセル60mg/m2 を3週ごと4~6サイクル投与した。主要評価項目は、全生存期間(OS)、副次的評価項目は無増悪生存期間(PFS)、奏効率、有害事象であった。 結果、主要評価項目のOSはND群13.6ヵ月に対し、CD群では11.6ヵ月とND群が有意に優れていた。1年生存率はND群、CD群でそれぞれ55.9%と43.5%であった(HR 0.81、p=0.037)。副次的評価項目であるPFSは、ND群4.9ヵ月に対し、CD群では4.5ヵ月(HR 0.87、p=0.05)であった。奏効率については、ND群55.8%に対し、CD群では53.0%であった(p=0.663)。安全性については、Grade3以上の有害事象発現率は、ND群の91.5%に対し、CD群では89.7%であった。ND群では血液毒性が、CD群では消化器毒性が多くみられた。 坂氏は最後に、ネダプラチンとドセタキセルの併用は、進行・再発扁平上皮NSCLC1次治療の新たな標準治療と考えられる、と述べた。

1808.

EGFR-TKI耐性肺がんの再生検 その現状

 EGFR-TKI耐性非小細胞肺がん(以下、NSCLC)に有効な第3世代EGFR-TKIの登場で、耐性獲得後の遺伝子変異が治療方針に大きな影響を及ぼすこととなり、同時に耐性獲得時の再生検も重要性が増すことになる。再生検は、診断時生検に比べ手技的難易度が高いといわれるものの、その実施状況についての情報は少ない。そのような中、2015年11月26日から開催された第56回日本肺癌学会において、EGFR-TKI耐性NSCLCの再生検が大きく取り上げられた。細胞診が半数を占める先進5施設の成績 ワークショップ「再生検」(座長:大阪府立成人病センター 今村文生氏、ディスカサント:兵庫県立がんセンター 里内美弥子氏)では、5人の演者(がん研究会有明病院 小栗知世氏、倉敷中央病院 横山俊秀氏、埼玉県立がんセンター 福泉 彩氏、大阪市立総合医療センター 津谷あす香氏、鹿児島大学 隈元朋洋氏)が、再生検の現状の研究結果を発表。5つの演題を総括して、里内美弥子氏は以下のように解説した。 第3世代EGFR-TKI、AZD9291(osimertinib)は、本邦でも早期に臨床の舞台に現れると予想される。AZD9291の使用にあたっては、コンパニオン診断薬cobas EGFR Mutation Test v2でのEGFR変異の確認が必要である(FDA、第3世代TKI(AZD9291)を承認 参照)。 5つの演題をまとめると、再生検の部位は、診断時と比べ原発巣からの採取が大きく減って3割程度となり、脊髄液や胸水からの採取が増えている。再生検時の手技は、診断時に比べ気管支鏡が大幅に減り、胸水および腹水穿刺が増加し半分以上を占める。また、いずれの施設も組織検体を採る難易度が高いためか、細胞診が半数程度であった。 T790M陽性率は全体で4割程度。採取部位によって陽性率は異なり、髄液での陽性率は低かった(髄液を除くと5割程度となった)。 EGFR変異の検査法については、今後使われるであろうCobas法での実施は少なく、発表施設中1施設のみ、他の施設はPCR Invader法であった。AZD9291のコンパニオン診断薬であるCobas法では細胞診検体は指定外であり、再生検で多くなると予想される細胞診検体に対し、どう対応していくか検討が必要となるだろう。ハイボリュームセンターにおける再生検の現状 次に、九州がんセンター 瀬戸 貴司氏らによる、本邦最大規模となる再生検の実態調査結果がポスターセッションで発表された。この調査は、再生検の経験がある国内の30施設における進行NSCLCの再生検の実態を調査した多施設共同後ろ向き観察研究である(胸水を用いた再生検例は対象から除外)。主要評価項目は再生検成功率(がん細胞が採取できた症例数/再生検症例数)であった。 調査の結果、成功率は79.5%(314例/395例)であった。再生検時の検体採取部位は原発巣55.7%、転移巣30.6%であった。転移巣は診断時の9.1%と比べ大きく増加していた。再生検の採取方法は経気管支アプローチが62.0%、経皮的アプローチが29.1%で、経皮的アプローチは診断時の7.6%から大幅に増加していた。採取部位と採取方法による成功率の差はみられなかった。再生検時の合併症は5.8%であった。 里内氏はワークショップの中で、現状の再生検の実施状況はばらつきが多いが、AZD9291の登場により、再生検は避けて通ることができないものになるだろう、と述べた。

1809.

FDA、第3世代TKI(AZD9291)を承認

 アストラゼネカ(本社:英国ロンドン、最高経営責任者[CEO]:パスカル・ソリオ、以下、アストラゼネカ)は、2015年11月13日、AZD9291(商品名:TAGRISSO)80mg錠が、EGFR-TKIによる治療後に病勢進行した転移 EGFR T790M変異陽性非小細胞肺がん(以下、NSCLC)の治療薬として、米国食品医薬品局(FDA)から承認を取得したと発表。AZD9291はFDAにより、迅速審査、画期的治療薬、優先審査および迅速承認のステータスを付与されていた。 AZD9291のFDA承認は、EGF-TKIの使用中または使用後に病勢進行した411例のEGFR T790M変異陽性NSCLCにおいて、有効性を示した2つのAURA第II相試験(AURA第II相延長試験、AURA2試験)のデータに基づいている。  AZD9291の頻度の高い有害事象は、下痢(全グレード:42%、グレード3/4:1%)、発疹(全グレード:41%、グレード3/4:0.5%)、皮膚乾燥(全グレード:31%、グレード3/4:0%)、爪毒性(全グレード:25%、グレード3/4:0%)であった。警告・使用上の注意には間質性肺疾患、QT間隔延長、心筋症、および胎児毒性が含まれる。 AZD9291のコンパニオン診断薬として、cobas EGFR Mutation Test v2も承認された。アストラゼネカ株式会社プレスリリースはこちら。FDAのプレスアナウンスメントはこちら。

1810.

インフルエンザ関連肺炎による入院に対する予防接種の効果は?(解説:小林 英夫 氏)-451

 かつて本邦では予防接種不要論を唱える向きもあったが、CDC(アメリカ疾病管理予防センター)もWHO(世界保健機関)もインフルエンザ予防接種を推奨し、2015年には本邦でも4価インフルエンザワクチンが導入されている。すでに接種が有効か無効かを議論する時期ではなく、どのような接種対象者にどのような有用性が高いのかを検討していく段階になっている。たとえば本邦では、2009年まで妊婦への接種が推奨されていなかったことも記憶に新しい。未解決点が存在する理由として、インフルエンザ疫学研究における多くのバイアスの介在が挙げられる。対象集団設定、流行規模、抗原変異など、さまざまな因子を一定化することは困難であり、多数の研究を蓄積していくことでしか解決はなしえない。 米国予防接種諮問委員会は、予防接種が高齢者・施設入所者のインフルエンザ関連入院や死亡のリスクを減じると報告してきたが、今回のCarlos G. Grijalva氏らの論文は、免疫機能低下者を除外した市中発症のインフルエンザ関連感染入院症例において、予防接種がインフルエンザ関連肺炎を低下させるかどうかを目標とした前向き観察研究である。彼らは、インフルエンザ関連肺炎患者162例と非関連肺炎患者2,605例とを比較し、インフルエンザワクチン接種率は前群で17%と低く、すなわち未接種者が多かったことを示し、ワクチン接種はインフルエンザ関連肺炎による入院を抑制すること報告している。3回の流行シーズンにまたがる調査で、対象症例も多く、インフルエンザの診断がスワブ検体のRT-PCR法を用いている点など、現実的に実施できる研究として評価できる内容である。有効率やオッズ比、症例内訳、解析方法などは上記オリジナルニュースを参照していただきたい。ワクチン接種が重症インフルエンザ肺炎を減少するという推論も受け入れやすいものであろう。 ここで筆者は、インフルエンザ関連肺炎群と非インフルエンザ肺炎群を比較している研究であることを指摘しておきたい。インフルエンザ関連肺炎がワクチン接種により抑制できるかどうかを一義的に解明するには、非現実的だが、接種者集団からの肺炎発症数と非接種者集団からの肺炎発症数との比較がより信頼できる情報が必要である。 ワクチンの有効性表現はvaccine efficacyとvaccine effectivenessの2者が定義され、計算式は同様だが概念がやや異なる。その計算法は(非接種者の発症率 - 接種者の発症率)÷(非接種者の発症率)×100(%)となっている。もちろん、接種者および非接種者の追跡は困難であり、インフルエンザ肺炎発病者が全例受診するとは限らないなど、たくさんの隘路が存在する。出発点である接種そのものにも選択バイアスが存在している。対象症例を比較的均等化できる試験と異なって、インフルエンザの疫学研究を評価する際には、事前に理解しておくべきさまざまな要素があることを意識し、研究デザインを把握したうえでの文献解読が重要であるということを認識していただければ幸甚である。その意味で本論文は最終結論とはなりえていないが、さらなる知見集積の基礎として位置付けられよう。 筆者のような臨床医にとって、インフルエンザワクチンの有効性を評価する際に、どのような視点が重要であるのかを学ぶうえで、大阪市立大学公衆衛生学 廣田 良夫名誉教授、福島 若葉教授らの多くの論説がきわめて勉強になった。肺がんなどの無作為化比較による臨床試験とは大きく異なるので、一読をおすすめします。

1811.

遺伝子変異陽性NSCLCに分子標的薬+抗がん剤治療

 日本イーライリリー株式会社は2015年11月13日、都内でプレスセミナー「非小細胞肺がん治療の現状と今後の展望」を開催した。演者である和歌山県立医科大学 呼吸器内科・腫瘍内科 教授の山本信之氏は、その中で、EGFR変異陽性非小細胞肺がん(以下、NSCLC)における分子標的治療薬と抗がん剤の併用の可能性について、以下のように解説した。 肺がんの5年生存率はStageIで80.5%。しかし、StageIVでは4.6%となり、多くは遠隔転移により生存が増悪する。StageIV非小細胞肺がんの生存期間は、化学療法の進化により30年で1.5倍に延長した。そして、分子標的治療薬の登場により、その後の10年間でさらに3倍に延長。最近の第2世代EGFR-TKIの試験結果では、日本人の代表的なEGFR変異であるex19del患者の全生存期間中央値は46ヵ月を超える。このようにドライバー遺伝子の変異に適合する分子標的治療薬を使うことで、治療成績は著しく向上している。肺癌診療ガイドラインでも非扁平上皮NSCLCの初回治療にあたっては、EGFR、ALKの遺伝子変異が陽性であれば、EGFR-TKI、ALK阻害薬などの分子標的治療薬を優先して投与することとなっている。 だが、治療成績は向上したものの、現在でも進行がんではほとんど治癒に至らず、分子標的治療薬だけでは、完全に進行を抑えることはできないことがわかる。そのようななか、EGFR遺伝子変異例であっても、分子標的治療薬に加え抗がん剤を十分投与することにより、生存期間が延長する可能性が示唆されている。本年(2015年)の世界肺癌学会(WCLC)において、抗がん剤の中でも非扁平上皮NSCLCへの有効性が確立しているペメトレキセドを用いた、無作為化比較第II相試験が発表された。EGFR変異陽性NSCLC患者において、ゲフィチニブ・ペメトレキセド併用群とゲフィチニブ単独群を比較したものである。結果、併用群が単独群に比べ、無増悪生存期間中央値を有意に延長させた(HR=0.68、p=0.029)。第II相試験の結果であり、今後も検討が必要だが、抗がん剤の併用の有効性を示唆したものといえる。本邦でも、未治療のEGFR変異陽性NSCLCにおいて、ペメトレキセド・カルボプラチン・ゲフィチニブ併用群とペメトレキセド・カルボプラチン併用群を比較する第III相比較試験(NEJ009)が開始される。 非扁平上皮NSCLCでは、第2第・3世代EGFR-TKIの活用とともに、遺伝子変異陽性例における抗がん剤と分子標的治療薬の組み合わせが検討されていくであろう。

1812.

日本COPDサミット~健康寿命延長に向けて変わるCOPD予防・治療の最前線~

 11月5日都内(文京区)にて、2015年度日本COPDサミットが開催された(主催:一般社団法人GOLD日本委員会/一般社団法人日本呼吸器学会/公益財団法人日本呼吸器財団)。 本年の世界COPDデーは11月18日であり、この日に向け、世界各国でさまざまな啓発イベントが実施されている。本サミットもその一環として企画された。 冒頭、三嶋 理晃氏(日本呼吸器学会 理事長)は、「各団体がタッグを組むことにより、インパクトある啓発活動につなげ、各メディア・自治体・医療関係者・一般市民への情報発信を高める後押しをする」と本サミットの目的を述べた。 以下、当日の講演内容を記載する。COPDはもはや肺だけの疾患ではない COPDはタバコの煙を主因とする閉塞性の肺疾患であるが、近年COPDは全身性の炎症疾患と考えられるようになってきた。実際、COPDは肺がん・肺炎・肺線維症などの肺疾患だけでなく、糖尿病、動脈硬化、骨粗鬆症、消化器病、うつ・記銘力低下などへの影響が報告されている。 この点について、長瀬 隆英氏(GOLD日本委員会 理事)は、なかでも糖尿病には注意が必要だと述べた。糖尿病患者がCOPDを併存すると生命予後が悪くなること1)、反対に、血糖コントロールが不良であると肺機能が有意に低下することが報告されているからである2)。しかしながら、COPDがさまざまな疾患に影響を及ぼす理由については、いまだ不明な点もあるため、今後さらなる研究が必要といえそうだ。受動喫煙は他人をむしばむ深刻な問題 受動喫煙のリスクについては、これまでも問題となってきた。加藤 徹氏(日本循環器学会禁煙推進委員会 幹事)は、「さらなる受動喫煙の問題は、分煙では防ぐことができない点である」と強調した。その理由は、「受動喫煙」の10%はPM2.5粒子成分(径<2.5μm)と同じくらいの非常に小さな粒子であるため、分煙してもドアなどの隙間から漏れ出るからである。さらに、この小さな粒子は、一度肺内に侵入すると肺胞の奥深くにまで到達し、一部は呼出されるが、大部分が湿った空気で膨張して居座り、悪さをする。仮に煙を直接吸わなかったとしても、喫煙後3~5分間は喫煙者からこれらの粒子が呼出されることがわかっているため、注意が必要である。 加藤氏は「喫煙をしなくても受動喫煙に曝露することで、心筋梗塞や脳卒中、喘息、COPDになりやすくなる」と述べ、屋内全面禁煙の重要性を強調した。すでに禁煙推進学術ネットワーク(2015年10月現在、27学会が参加)から2020年の東京オリンピック・パラリンピックに向けて「受動喫煙防止条例」制定の要望書が東京都に提出されている。今後、受動喫煙を防止するための積極的な対策が望まれる。COPDで注意すべき3つの合併症 COPDではさまざまな合併症が存在するが、石井 芳樹氏(日本呼吸器財団 理事)は「肺がん、気腫合併肺線維症、喘息にはとくに注意が必要」と述べた。【肺がん】 COPDは喫煙とは独立した肺がん発症のリスク因子であり、10年間の肺がん発生率は約5倍にもなるという3)。さらに、COPD患者では、喫煙量が同等であっても肺がんによる死亡率が7倍も増加すると報告されている4)。これに対し加藤氏は、「早期にCOPDを発見し、禁煙をすることが死亡率を低下させるうえで何より重要」と述べた。【気腫合併肺線維症】 気腫合併肺線維症の特徴は、肺気腫による閉塞性障害と肺線維症による拘束性障害が合併すると、呼吸機能の異常が相殺されマスクされる点にあるという。2つの病態が重複することで一酸化炭素拡散能の低下がさらに増強され、低酸素血症や肺高血圧が悪化する。COPDは肺がんとの合併率が高いが、肺線維症が合併すると肺がん発症率がさらに高くなるため5)、慎重な経過観察が重要である。【喘息】 近年、COPDと喘息を合併する、オーバーラップ症候群が問題となっている。COPDと喘息は異なる病態の疾患であるが、咳、痰、息切れ、喘鳴など症状の鑑別が、とくに喫煙者と高齢者においては難しい。このオーバーラップ症候群は、年齢とともに合併率が増加するといわれている6)。喘息を合併することで、COPD単独の場合よりも増悪頻度は高くなり、重症な増悪も多くなるという7)。加藤氏は、それにもかかわらず喘息患者が喫煙をしているケースが散見される、として「とくに喘息患者では禁煙指導を徹底して、オーバーラップ症候群への進展を防ぐことが重要である」と述べた。COPDにおける地域医療連携のあり方 COPDの診断には呼吸機能検査が必須であるが、一般の開業医では難しいのが現状である。このことに関して、中野 恭幸氏(滋賀医科大学内科学講座 呼吸器内科 病院教授)は、「手間がかかる」、「検査時に大きな声を出さないといけない」、「数値が多すぎて理解が難しい」などを理由として挙げた。こうしたことも相まって、COPD患者の多くが未診断・未治療であることが問題となっているが、呼吸器専門医だけでは、多くのCOPD患者を管理することは難しい。 このような事態を受けて、滋賀県では数年前から地域医療連携への取り組みを始めた。専門医が病院で呼吸機能検査やCTを行い、その結果を基に標準的治療方針を決定し、その後は、一般開業医が担当する。さらに、急性増悪で入院が必要な際には専門医が引き受ける、などの体制を整えている。 しかしながら、専門医に紹介するときには、COPDがかなり進行している場合も多く、いかに早い段階で専門医に紹介するかが焦点となりそうだ。中野氏は「この取り組みは現在、大津市医師会で実施しているが、今後は滋賀県全体のパスになることが望まれる」と述べ、そのためには医師会主導で進めることも重要だとした。 その他、滋賀県では、医薬連携にも力を入れている。近年、COPDには、さまざまな吸入デバイスが登場し、デバイス指導がより一層重要な意味を持つようになった。そのため滋賀県では、地域の関係者が連携し、吸入療法の普及と質的向上を図ることを目的として、滋賀吸入療法連携フォーラム(SKR)が結成された。本フォーラムは年7~8回開催され、会場ではさまざまなデバイスに触れることができる。その他の医療従事者に対しても講習会を開くなどして、多職種でチームとなってCOPDに向き合う体制づくりを行っている。COPDにおける運動療法の役割 「重度のCOPD患者では、呼吸機能だけでなく、精神的な悪循環にも焦点を当て、QOLを重視することが大切」と黒澤 一氏(日本呼吸器学会 閉塞性肺疾患学術部会 部会長)は述べた。そのうえで、日本での普及が十分とはいえない呼吸リハビリテーション(運動療法)の有用性について触れた。 黒澤氏は「強化リハビリテーションにより筋肉がついたり、関節が柔らかくなることにより、体を動かすときの負荷が減り、呼吸機能的にも精神的にも余裕ができる」と述べた。しかしながら、問題は、強化リハビリテーションにより一時的に改善がみられても、飽きてしまい続かないケースが多いことだという。これらのことから、「負荷の大きいリハビリテーションではなく、活動的な生活習慣を送ることを意識すべき」と黒澤氏は述べた。そのうえで、自分のペースで動作をすることができるスポーツが有効として、例として「フライングディスク」を挙げた。フライングディスクを行うことによって、身体活動性が向上し身体機能の強化にもつながるという。さらに生きがいや仲間ができることによって前向きになり、呼吸機能にも良い影響が及ぶようだ。だが、この競技へのサポート体制はまだ十分ではなく、今後の課題と言えそうだ。 最後に、福地 義之助氏(GOLD日本委員会 代表理事)は、「今後COPDの一般国民への認知率向上を推し進めていくとともに、臨床医師の疾患に対する理解や診断・治療力の向上が必要である。さらに、COPDは全身に及ぶ疾患であることから、他の診療科との連携強化にも力を入れていく」と締めくくった。(ケアネット 鎌滝 真次)参考文献1)Gudmundsson, et al. Respir Res. 2006;7:109.2)Yeh HC, et al. Diabetes Care. 2008;31:741-746. 3)Skillrud DM, et al. Ann Intern Med. 1986;105:503-507. 4)Kuller LH, et al. Am J Epidemiol. 1990;132:265-274.5)Kitaguchi Y, et al. Respirology. 2010;15:265-271.6)Soriano JB, et al. Chest. 2003;124:474-481.7)Hardin M, et al. Respir Res. 2011;12:127.

1813.

AZD9291、本邦でEGFR-TKI耐性NSCLCの優先審査に指定

 アストラゼネカ株式会社(本社:大阪市北区、代表取締役社長:ガブリエル・ベルチ、以下、アストラゼネカ)は、EGFR T790M 変異陽性の非小細胞肺がん治療薬AZD9291が、2015年10月29日に厚生労働省より優先審査品目に指定されたと発表。 AZD9291は、「EGFRチロシンキナーゼ阻害薬(以下、EGFR-TKI)の使用中または使用後に病勢進行した、EGFR T790M変異陽性の切除不能な進行・再発の非小細胞肺癌」を予定の適応として、2015 年8月に国内承認申請を行っている。米国および欧州でも承認申請中であり、米国食品医薬品局(FDA)からはBreakthrough Therapyに、欧州医薬品評価委員会(CHMP)からは迅速審査の指定を受けている。 AZD9291は、アストラゼネカが開発した1日1回投与の新規経口分子標的治療薬。既存のEGFR-TKIとは異なる新規の作用機序を有しており、EGFR活性化変異型EGFRに加え、EGFR-TKI治療耐性に関連するT790M遺伝子変異陽性EGFRを不可逆的に阻害する一方で、野生型EGFR に対しての阻害作用が弱くなるよう設計されている。 EGFR 遺伝子変異陽性のNSCLCは、既存のEGFR-TKIが有効な治療手段とされている。しかし、多くは治療開始1年~1年半ほどでEGFR-TKIに対する耐性が生じ、病勢が進行してしまう。これまでの研究から、EGFR-TKI耐性の約60%において、EGFR T790M耐性変異が生じていることが明らかになっている。アストラゼネカ株式会社のプレスリリースはこちら。

1815.

タバコ関連疾患のピークはこれから

タバコ関連疾患のピークはこれからやって来る!?~紙巻きタバコ販売本数から検証~ 日本の紙巻きタバコ発売本数は1996(平成8)年の3,483億本がピーク。 タバコによる疾患は、約30年ほどの時間差を経て発症します。 日本における各種タバコ病のピークはまだ来ていないと思われます。4,000億本タバコ病のピークはまだ来ていない!?紙巻きタバコ販売本数3,5003,000↑1996(平成8)年3,483億本2,500脳卒中2,0001,5001,00001920肺がんCOPD500304050年607080902000http://www.health-net.or.jp/tobacco/product/pd070000.html胃潰瘍社会医療法人敬愛会 ちばなクリニックCopyright © 2015 CareNet,Inc. All rights reserved.清水 隆裕氏

1817.

原発労働者のがんリスク、被爆者と同等/BMJ

 原子力発電所の労働者について、電離放射線の低線量被曝でも累積線量の増加に比例して固形がんリスクは増加することが明らかになった。また、同リスク増加量は、日本の原爆被害者を対象にした試験結果と比較して高線量被曝の場合と同等であることも示された。米国・ノースカロライナ大学のDavid B Richardson氏らが、フランス、英国、米国の原子力産業労働者を対象にした後ろ向きコホート試験「INWORKS」のデータを基に検証し明らかにした。BMJ誌オンライン版2015年10月20日号掲載の報告。原発労働者など約31万人を延べ820万人年追跡 研究グループは、フランス、英国、米国の原子力発電所の労働者など、合わせて30万8,297人について、電離放射線の累積体外被曝量と、固形がん死亡率について調査を行った。フォローアップ中央値は26年、雇用期間中央値は12年、最終フォローアップ時の年齢中央値は58歳だった。 フォローアップ総計は820万人年だった。そのうち死亡は6万6,632人、うち固形がんによるものは1万7,957人だった。白血病以外のがんリスク、累積被曝量1Gy増で48%増 結果、放射線被曝量増加に従い、がん死亡率の線形増加が認められた。 被曝労働者における大腸の累計線量の平均値は、20.9mGy(中央値:4.1mGy)だった。 白血病を除く全がん死亡率は、累積被曝量が1Gy増すごとに10年後には48%(90%信頼区間:20~79)増大すると推算された。また、すべての固形がんについて、各国において同様の関連が認められた。 累積被曝量と固形がん死亡率との関連は、被曝量が0~100mGyの場合にも、それ以外の被曝量の場合ほど正確ではないものの、同様の関連が認められた。また、喫煙やアスベストへの職業上被曝は交絡因子である可能性があるものの、肺がんと胸膜がんを除外しても、被曝量とがん発生率との関連性に影響はなかった。 なお、検討について著者は、線量計の性能についてかなり留意したが、計測誤差が生じる可能性は排除できなかったとしている。 そのうえで、「本検討では、長期間の低線量電離放射線曝露と固形がん死亡との直接的な関連を検討した。低線量被曝よりも高線量被曝のほうが危険だと考えられているが、原発労働者のリスクは、日本の被爆者研究からの推算値と同程度だった」と述べ、「長期被曝のがんリスクの定量化は、放射線防護基準を作成するのに役立つだろう」とまとめている。

1818.

目まぐるしく進歩する、肺がん治療

 2015年10月30日都内にて、「肺癌分子標的治療の変遷と最新治療」と題するセミナーが開かれた(主催:アストラゼネカ株式会社)。演者である中西 洋一氏(九州大学大学院医学研究院臨床医学部門内科学講座呼吸器内科学分野 教授)は、肺がん治療の変遷を中心に講演。免疫チェックポイント阻害薬の登場により、免疫療法が薬物療法の表舞台に立とうとしている現状に触れ、「将来的には判定方法や副作用への対応など、学会、国の方針自体を整備していく必要がある」と述べた。 以下、セミナーの内容を記載する。「分子標的治療」そして、「免疫療法」へ 肺がんによる死亡は、2012年時点で年間7万1,518人と急増している。その背景にある要因の1つとして、若年女性の喫煙率上昇が挙げられていたことからも明らかであるように、これまで肺がんといえば、タバコに代表される多段階発がん説が基本であった。 しかし、近年たった1つの遺伝子異常が原因で起こる「driver gene mutation」が判明した。これを機にALKやEGFRといった遺伝子の異常を調べて、薬剤を選択する時代が到来。driver oncogene変異陽性患者の予後やQOLが改善したのは記憶に新しい。 さらに、がん免疫を蘇らせるPD-1阻害薬やPD-L1阻害薬といった「免疫チェックポイント阻害薬」の登場で、「免疫療法」が新しいアプローチとして脚光を浴びつつある。「免疫療法」が薬物療法の表舞台に 従来の抗がん剤治療は、がん細胞をターゲットにして攻撃力を高めてきた。これに対し、「免疫チェックポイント阻害薬」のアプローチは異なる。その作用は免疫力の向上だ。 通常、がん組織において免疫細胞は、がん細胞が伝達する「私は味方だ」という偽のシグナルにより攻撃命令を止めていた。つまり、「がんにより免疫が眠らされた」状態にあった。免疫チェックポイント阻害薬であるPD-1阻害薬やPD-L1阻害薬は、このシグナルを解除し、がん細胞を「敵」と正しく判断させて、がん細胞を攻撃する。つまり免疫力の賦活化が作用のポイントとなる。 免疫チェックポイント阻害薬は、複数の試験で有効中止に至るなど、大きな治療効果が期待されている。免疫療法が薬物療法の表舞台に立とうとしているのだ。今後の治療は? 学会、国の方針策定が必要 講演後のディスカッションでは、この免疫療法に関する質問が多数寄せられた。免疫チェックポイント阻害薬は全例調査の対象であり、がん拠点病院など、未知の副作用が起こった場合に他診療科と連携可能な病院が主な拠点となりそうだ。中西氏は「現時点で皮膚科を中心に投与されているが、今後の適応拡大に備え、副作用を積極的に拾うことや、院内に専門チームを設置するといった他診療科にわたる活動が必要だ」と述べた。実際に九州大学では、専門チームの導入にむけた活動が進んでいるようだ。 また、「PD-1阻害薬とPD-L1阻害薬との有効性、安全性の差は?」との質問には、中西氏、および2剤の開発を手掛けるアストラゼネカ株式会社 専務の益尾氏の両名が回答した。 益尾氏は「2剤とも検討段階にあり、優劣は現時点では判断しづらい。PD-1阻害薬とPD-L1阻害薬同士の併用やPD-L1阻害薬+他抗がん剤での併用など、さまざまな検討を行っている」とコメントした。中西氏は、「理屈で言うとPD-1抑制のほうが、がん細胞側のPD-L1抑制よりは危ないようにも思うが、各薬剤の用量設定、反応の強さで異なるため一概には判断できない」と述べた。また、PD-1やPD-L1の発現基準や判定方法がメーカー間でも異なっているため、フラットな状況下で比較できないのが現状課題、としたうえで「共通の判定基準を学会、国としても整えていかなければいけない」とコメントした。編集後記 分子標的薬や免疫チェックポイント阻害薬の登場など、肺がん治療は目まぐるしい発展と進歩を遂げている。しかし、新しい治療に合わせて社会インフラを整備することも必要とされそうだ。 本講演を行った中西氏が委員長を務める「肺がん医療向上委員会 」では、チーム医療の推進や肺がん患者の知識向上を目指した活動を継続している。われわれも患者さんに早期にベストな医療がもたらされるよう、メディアとして活動を応援していきたい。肺がん医療向上委員会はこちら

1819.

ニボルマブ、非扁平上皮NSCLCにも適応拡大:FDA

 米国食品医薬品局(FDA)は2015年10月9日、プラチナベース化学療法にもかかわらず進行した進行(転移性)NSCLCの治療薬として、ニボルマブ(商品名:オプジーボ)の適応拡大を承認した。ニボルマブはすでに、進行扁平上皮NSCLCに対して承認されていたが、今回、非扁平上皮NSCLSにも適応されたもの。 今回の承認は、582例の治療歴を有する進行・再発性非扁平上皮NSCLCに対してニボルマブとドセタキセルを比較したオープンラベルの無作為化試験(CheckMate-057)の成績によるもの。主要評価項目である全生存期間はニボルマブ群で12.2ヵ月と、ドセタキセル群の9.4ヵ月に比べ有意に延長した。また、CRおよびPRとなった患者をみると、ニボルマブ群では効果が平均17ヵ月持続したのに対し、ドセタキセル群では平均は6ヵ月であった。FDAのプレスリリースはこちら。

1820.

免疫不全患者の呼吸不全に対してわざわざ非侵襲性換気を用いなくてもよいのか?(解説:倉原 優 氏)-435

 本研究は、免疫抑制状態にある患者、とくに悪性疾患の患者の呼吸不全に対する臨床試験である。ICUに入室を余儀なくされた患者に対して、非侵襲性換気(NIV)か酸素療法のどちらがベターかというシンプルな内容である。 これまでの通説というか、暗黙の了解として、こういった場面ではNIVに軍配が上がっていた。しかしながら、レファレンスにも挙げられているように、その根拠となった免疫抑制状態にある患者の臨床試験は、10年以上前の小規模なランダム化比較試験である1)。今回の臨床試験はその“エビデンス”を少し修正させる結果なのだろうか? 本研究のプライマリエンドポイントである28日死亡率は、NIV群24.1%、酸素療法群27.3%と有意差はみられなかった。また、挿管率についても有意差はなかった。なお、本試験の呼吸不全の原因は3分の2が感染症とされており、がんそのものの悪化による例は全体としてはマイノリティである点を付け加えておきたい。 しかし、この試験の結果を受けて「なんだ、免疫不全患者の呼吸不全に対してわざわざNIVを使わなくてもよいのか」と考えるのは早計かもしれない。その私見を以下に述べたい。 この試験では、ハイフロー療法をいずれかの時点で実施された患者が、全体の3割以上を占める。この酸素療法は、私たちがイメージしている「酸素療法」とは性質を異にしており、集中治療の現場における酸素化の改善能はきわめて高いものである2)。NIVに引けを取らないハイフロー療法が含まれた状態で解析されている。論文の最後にも「ハイフロー療法、通常の酸素療法、NIVの3群を比較した臨床試験が望ましい」と書かれてあり、著者もこのlimitationは自覚しているのだろう。 また、悪性疾患の患者が明らかに感染症で悪化している場合はともかく、初期の時点ではがんそのものの悪化なのかどうか判断ができないことが多い。そのため、実臨床ではどういった酸素療法を行うかはケースバイケースである。そして、「酸素のみで管理ができないからNIVを導入する」というのがおそらく一般的な思考回路であって、通常の酸素療法とNIVを比べるのはどことなく違和感を感じる。 臨床試験は、現場のナラティブな側面にはなかなか踏み込めない。しかし、今回の研究を拝見する限り、少なくとも呼吸不全に対する「NIV神話」というのは少し言い過ぎであることは間違いなさそうだ。

検索結果 合計:2040件 表示位置:1801 - 1820