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抗PD-L1抗体atezolizumab、肺がんに承認:FDA

 米国食品医薬品(FDA)は2016年10月18日、プラチナを含む化学療法中または後に進行した転移性非小細胞肺がん(NSCLC)に対し、atezolizumab(商品名:TECENTRIQ、Genetec Oncolog)を承認した。  atezolizumabは、抗PD-L1抗体であり、プラチナを含む化学療法後に進行した局所進行または転移性尿路上皮がんに対しFDAの迅速承認を得ている。 今回の承認は、2つの無作為化オープンラベル臨床試験(OAK試験、POPLAR試験)の合計1,137例のNSCLC患者において、一貫した有効性と安全性を示した結果に基づくもの。 OAK試験での全生存期間(OS)中央値はatezolizumab群13.8ヵ月(95%CI:11.8~15.7)、ドセタキセル群9.6ヵ月(95%CI:8.6~11.2)(HR:0.74、95%CI :0.63~0.87、p=0.0004)。 POPLAR試験でのOS中央値は、atezolizumab群12.6ヵ月(95%CI:9.7~16.0)、ドセタキセ群9.7ヵ月(95%CI:8.6~12.0)(HR:0.69、95%CI:0.52~0.92)。2つの試験において、ドセタキセルと比較したOSをそれぞれ4.2ヵ月、2.9ヵ月改善した。 POPLAR試験の主要安全性評価集団においてatezolizumab群で多く見られた(20%以上の)有害事象は、疲労、食欲不振、呼吸困難、咳、悪心、筋骨格系疼痛、便秘であった。Grade3~4の有害事象で多く見られた(2%以上)ものは、呼吸困難、肺炎、低酸素血症、低ナトリウム血症、疲労、貧血、筋骨格痛、AST増加、ALT増加、嚥下障害、および関節痛であった。 atezolizumabの免疫関連有害事象は肺炎、肝炎、大腸炎、および甲状腺疾患であった。FDAのリリースはこちら

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非小細胞肺がん1次治療、ニボルマブ単剤と化学療法の比較:CheckMate-026

 ブリストル・マイヤーズ スクイブ社(NYSE:BMY)は2016年10月9日、PD-L1発現レベルが1%以上の進行期非小細胞肺がん(NSCLC)患者の1次治療として、ニボルマブ(商品名:オプジーボ)単剤療法を評価したCheckMate-026試験の主要解析の最終結果を発表した。本試験は、PD-L1発現レベルが5%以上の患者における無増悪生存期間(PFS)を評価することを目的に実施された。すでに公表された本試験のトップライン結果では、化学療法と比較し、主要評価項目であるPFSの優越性が示されなかったと公表されている。 PD-L1発現レベルが5%以上の患者におけるPFS中央値はニボルマブ群で4.2ヵ月、プラチナ・ダブレット群(以下、化学療法群)では5.9ヵ月であった(層別化HR:1.15、95%CI:0.91~1.45、p=0.25])。全生存期間(OS)は、ニボルマブ群で14.4ヵ月、化学療法群では13.2ヵ月であった(HR:1.02、95%CI:0.80~1.30)。化学療法群の60%が、PD後にニボルマブによる治療へ切り替えられた。ニボルマブの安全性プロファイルは、従来の報告と一貫していた。投与患者における全GradeおよびGrade3~4の有害事象(AE)発現率は、ニボルマブ群でそれぞれ71%と18%、化学療法群では92%と51%であった。これらの結果は、欧州臨床腫瘍学会総会(ESMO2016)にて発表された。 CheckMate026試験は、進行期非小細胞肺がん(NSCLC)患者を対象に、ニボルマブの単剤療法と治験担当医師が選択した化学療法薬とを比較した第III相の無作為化オープンラベル試験。進行期の病状に対する全身治療を受けておらず、PD-L1発現陽性(1%以上)患者541例が登録され、ニボルマブ3mg/kgを2週間ごとに投与か、治験担当医師が選択したプラチナ・ダブレット化学療法(扁平上皮がん患者ではゲムシタビン+シスプラチン、ゲムシタビン+カルボプラチン、パクリタキセル+カルボプラチンのいずれか、非扁平上皮がん患者ではペメトレキセド+シスプラチン、ペメトレキセド+カルボプラチンのいずれかの後に任意でペメトレキセド維持療法)に無作為に割り付けられ、病勢進行や忍容できない毒性が認められるまで、あるいは6サイクルが完了するまで投与された。主要評価項目はPD-L1発現レベル5%以上の患者におけるPFSで、独立放射線評価委員会により評価された。 ブリストル・マイヤーズ スクイブ社のプレスリリースはこちら

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ペムブロリズマブ単剤で肺がん1次治療に有効/NEJM

 進行非小細胞肺がん(NSCLC)で50%以上の腫瘍細胞がPD-L1陽性の患者に対し、PD-1受容体阻害薬ペムブロリズマブは、プラチナベース化学療法に比べ、無増悪生存期間を有意に延長することが示された。ドイツ肺疾患研究センターのMartin Reck氏らが、305例の患者を対象に行った第III相無作為化非盲検比較試験の結果、明らかにした。全生存期間も有意に延長し、有害事象は有意に少なかった。NEJM誌オンライン版2016年10月8日号で発表した。 3週間ごとに200mg投与、プラチナベース化学療法と比較 研究グループは、50%以上の腫瘍細胞がPD-L1陽性で、上皮成長因子受容体の感受性変異や未分化リンパ腫リン酸化酵素(ALK)遺伝子の転座が認められない、未治療進行NSCLCの患者305例を対象に、試験を行った。被験者を無作為に2群に分け、一方の群にはペムブロリズマブ(3週間ごとに200mg)を、もう一方の群にはプラチナベース化学療法を行った。 疾患の進行が認められた際には、化学療法群からペムブロリズマブ群へのクロスオーバーを可能とした。 主要評価項目は、無増悪生存期間だった。副次的評価項目は、全生存期間、客観的奏効率および安全性だった。無増悪生存期間中央値、化学療法群6.0ヵ月、ペムブロリズマブ群10.3ヵ月 結果、無増悪生存期間の中央値は、化学療法群6.0ヵ月(95%信頼区間[CI]:4.2~6.2)に対し、ペムブロリズマブ群は10.3ヵ月(同:6.7~未到達)と、有意に延長した(病勢進行または死亡に関するハザード比:0.50、同:0.37~0.68、p<0.001)。 また、6ヵ月全生存率の予測値も、化学療法群が72.4%、ペムブロリズマブ群が80.2%だった(死亡に関するハザード比:0.60、同:0.41~0.89、p=0.005)。 奏効率についても、化学療法群27.8%に対し、ペムブロリズマブ群は44.8%と高く、さらに奏効期間の中央値も、6.3ヵ月(範囲:2.1+~12.6+)、未到達(1.9+~14.5+)と、ペムブロリズマブ群のほうが延長した。 治療関連の有害事象発生率も、全グレードについてはペムブロリズマブ群が73.4%、化学療法群が90.0%、grade3~5については26.6%、53.3%と、いずれもペムブロリズマブ群で低率だった。

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ペムブロリズマブの追加が非小細胞肺がん1次治療の結果を改善:ESMO

 未治療進行非小細胞肺がんの標準的な1次化学療法への抗PD-1抗体ペムブロリズマブ(商品名:キイトルーダ)の追加が、奏効率(ORR)および無増悪生存期間(PFS)を有意に改善したことが、コペンハーゲンで開催されたESMO 2016会議で報告された。 第II相試験 KEYNOTE-021は、ステージIIIB / IVの未治療の非扁平上皮非小細胞肺がん患者123例をカルボプラチン(AUC5)・ペメトレキセド(500mg/m2)3週ごと4サイクル併用群とカルボプラチン・ペメトレキセド併用+ペムブロリズマブ(200mg)3週ごと24ヵ月追加群に無作為に割り付け行われた。 10.6ヵ月(中央値)後のORRは、ペムブロリズマブ追加群で有意に高かった(ペムブロリズマブ追加群:55%、化学療法群:29%、p=0.0016)。腫瘍PD-L1発現量による結果は示されなかったものの、研究者らはペムブロリズマブ追加群ではPD-L1発現量50%以上の腫瘍で奏効率が高かった(80%程度)ことを明らかにした。 PFSはペムブロリズマブ追加群で優れていたが(ペムブロリズマブ追加群:13.0ヵ月、化学療法群:8.9ヵ月)、生存率(OS)は両群で同等(6ヵ月生存率 92%)であった。Grade3以上の有害事象の発生率はペムブロリズマブ追加群で高かった(ペムブロリズマブ追加群:39%、化学療法群:26%)。しかし、それらの有害事象は治療中止率(ペムブロリズマブ追加群10%、化学療法群13%)および治療関連死には影響を及ぼさなかった。ペムブロリズマブ追加群でよく見られた有害事象は、疲労感や吐気、化学療法群では貧血であった。ESMO2016のプレスリリースはこちら

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非小細胞肺がん脳転移に対する全脳照射追加の意義

 著者らは、非小細胞肺がん(以下、NSCLC)の脳転移において、生存率とQOLへ悪影響を及ぼすことなく全脳照射(以下、WBRT)が省略できるかを評価するために、QUARTZ(The Quality of Life after Treatment of Brain Metastases)研究を実施した。Paula Mulvenna氏らによるLancet誌オンライン版9月4日号の掲載の報告。 同試験は非劣性、第III相無作為化比較試験。手術切除または定位放射線照射不適応の脳転移NSCLC患者を無作為にWBRT+デキサメタゾン含む最適サポーティブ・ケア(Optimal Supportive Care、以下OSC)群とOSC単独群に割り付けた。主要評価項目は質調整生存年(QALY:quality adjusted life-years)である。OSC群の非劣性は、WBRT群から7QALY日以内の短縮とした。副次的評価項目は全生存期間(OS)およびQOL。 主な結果は以下のとおり。・538例の患者が登録され、WBRT+OSC群269例、OSC単独群269例に無作為に割り付けられた。・QALYはWBRT+OSC群で平均46.3日、OSC単独群41.7日、差は4.7日であった。・OSはWBRT+OSC群9.2週、OSC単独群8.5週(HR:1.06、95%CI:0.90~1.26、p=0.8084)。・QOLは4、8、12週の評価で両群に有意な差はみられなかった。・眠気、脱毛、嘔気、頭皮の乾燥と掻痒がWBRT+OSC群で報告された。 主要評価項目は事前に設定した非劣性マージン内であり、WBRTの追加による臨床的ベネフィットは証明されなかった。

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抗PD-1抗体ペムブロリズマブ、悪性黒色腫に承認取得

 MSD株式会社(本社:東京都千代田区、社長:ヤニー・ウェストハイゼン、以下MSD)は2016年9月28日、根治切除不能な悪性黒色腫に対して、ヒト化抗ヒトPD-1モノクローナル抗体(抗PD-1抗体)ペムブロリズマブ(遺伝子組換え)(商品名:キイトルーダ点滴静注20mgおよび100mg)の製造販売承認を取得した。 ペムブロリズマブは、T細胞に主に発現する受容体であるPD-1と、腫瘍細胞に発現するリガンドPD-L1およびPD-L2の相互作用を阻害するヒト化モノクローナル抗体。PD-1受容体に結合して受容体とリガンドとの相互作用を阻害することによって、抗腫瘍免疫応答を含むPD-1経路を介する免疫応答の阻害を解除する。 ペムブロリズマブは、米国を含む50ヵ国以上で悪性黒色腫における承認を取得しており、米国では非小細胞肺がん、頭頸部がんの適応においても承認されている。国内においては、膀胱がん、肺がん、乳がん、大腸がん、食道がん、胃がん、頭頸部がん、多発性骨髄腫、ホジキンリンパ腫、肝がん、卵巣がん、前立腺がんなどを対象とした後期臨床試験が進行中。2015年10月27日には、治癒切除不能な進行・再発の胃がんに対する効能・効果について、厚生労働省から『先駆け審査指定制度』施行後初めての対象品目の1つに指定され、2016年2月29日には、切除不能な進行または再発の非小細胞肺がんを効能・効果として承認申請を行っている。 ペムブロリズマブの製造販売はMSDが行い、大鵬薬品工業株式会社と共同してプロモーションを行う。効能・効果根治切除不能な悪性黒色腫用法・用量通常、成人には、ペムブロリズマブ(遺伝子組換え)として、1回2mg/kg(体重)を3週間間隔で30分間かけて点滴静注する。MSD株式会社のニュースリリースはこちら

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アファチニブの投与量調整は効果的?

 アファチニブ(商品名:ジオトリフ)の有害事象による投与量の減量が薬物動態および無増悪生存期間(PFS)に与える影響について、Lux-Lung3とLux-Lung6研究の結果を解析した結果が発表された。 アファチニブのEGFR変異陽性非小細胞がんでの標準投与量は40mg/日だが、Grade3以上あるいは症状が持続するGrade2の薬剤関連有害事象が発現した場合は、投与量を最低20mgまで減量することが可能である。筆者のJ C-H Yang氏らがAnnals of Oncology誌オンライン版2016年9月6日号にて報告した。 この研究では、Lux-Lung3試験とLux-Lung6試験のアファチニブ投与患者(Lux-Lung3:229例、Lux-Lung6:239例)が事後解析の対象となった。評価項目は、アファチニブ減量前後の有害事象発生率と重症度。アファチニブの血漿中濃度の減量群(30mg/日)と非減量群(40mg/日)との比較。無増悪生存期間(PFS)の減量群と投与量維持群の比較であった。 主な結果は以下のとおり。・有害事象によるアファチニブの減量は、Lux-Lung3試験で53.3%(122例)、Lux-Lung6試験では28.0%(67例)であった。・減量により薬剤関連有害事象の減少が確認された。・減量はアファチニブの血漿中濃度が高いグループでより多かった。・投与43日におけるアファチニブの幾何血漿中濃度は減量群23.3ng/mL、非減量群22.8ng/mLであった。・減量群と非減量群のPFS平均値は同等であった。Lux-Lung3試験:11.3ヵ月 vs.11.0ヵ月(HR:1.25)、Lux-Lung6試験:12.3ヵ月 vs.11.0ヵ月(HR:1.00)。

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1分でわかる家庭医療のパール ~翻訳プロジェクトより 第32回

第32回:偶然肺結節を見つけたときには?監修:吉本 尚(よしもと ひさし)氏 筑波大学附属病院 総合診療科 日本における悪性腫瘍による死亡の第1位は肺がんです。肺がんに対しては対策型検診として、40歳以上の男女に対する胸部単純X線撮影と、高危険群に対する喀痰細胞診による早期発見の努力が推進されてきました。CTによる肺がん検診は、日本では任意型検診として、受診者の自由意志により行われています。今回は偶然発見された孤発性肺結節の評価について、米国での対応を見てみましょう。 ちなみに日本CT検診学会から「低線量CTによる肺がん検診の肺結節の判定基準と経過観察の考え方第3版」2) 、「低線量マルチスライスCTによる肺がん検診:肺結節の判定と経過観察図」3) というものが公開されておりますので併せてご覧いただき、参考にしてください。 タイトル:孤立性肺結節の評価Evaluation of the Solitary Pulmonary Nodule以下、American family physician 2015年12月15日号1) より【孤立性肺結節の定義】 直径3cmまでの境界明瞭な単一の円形の不透明な領域で、含気肺によって完全に囲まれているもの。 直径3cmよりも大きい肺病変は肺腫瘤と呼ばれ、悪性の可能性を考慮しなければならない。 悪性腫瘍のリスクが高い喫煙者のがんスクリーニングでは、孤立性肺結節の有病率は8%~51%であった。【結節の特徴】 悪性のリスク:最大径20mm以上、倍加時間(Tumor Doubling Time)400日以内、非対称の石灰化を伴う病変、上葉に位置する病変、棘形成病変。 良性の可能性:最大径5mm以下、2年間サイズが不変、境界明瞭、中心または同心円パターンの石灰化結節。【メイヨークリニックからの最も一般的に使用されるモデル】年齢、胸郭外癌の病歴(結節検出5年以内)、結節直径、棘形成の有無、喫煙歴、結節位置(上葉か否か):6つの独立した予測因子を用いて、悪性腫瘍の確率を推定(計算方法はこちらを参照)。【フォローアップ評価】 外科的切除や非外科的な生検は、連続的な画像評価ではっきりと増大している充実性もしくは一部が充実性の孤発性肺結節の患者で実施すべきである。 少なくとも2年間安定している充実性の孤発性肺結節には、通常さらなる評価を必要としない。 直径8~30mmの結節に関しては、悪性リスクが低ければCTフォロー、リスクが中等度ならPET-CTで評価し必要に応じて生検や切除、リスクが高ければ転移の有無を確認した上で切除が検討される。直径8mm未満の場合には、大きさに応じて一定間隔でのCT画像フォローとなる。実際にはそれぞれの悪性のリスクを見積もり、リスクに応じた対応、患者の価値観などに応じて個別対応が求められる。※本内容は、プライマリケアに関わる筆者の個人的な見解が含まれており、詳細に関しては原著を参照されることを推奨いたします。 1) Kikano GE, et al. Am Fam Physician. 2015;92:1084-1091. 2) 「低線量CTによる肺がん検診の肺結節の判定基準と経過観察の考え方 第3版」日本CT検診学会 肺がん診断基準部会編 3) 「低線量マルチスライスCTによる肺がん検診:肺結節の判定と経過観察図」日本CT検診学会 肺がん診断基準部会編

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クリゾチニブ ROS1陽性非小細胞肺がんに承認:EU

 ファイザー社は2016年8月31日、欧州委員会がクリゾチニブ(商品名:ザーコリ)をROS1陽性進行非小細胞肺がん(以下、非小細胞肺がんをNSCLC)に対する治療薬として承認したと発表した。 今回の欧州委員会の適応追加承認は、多施設共同単群第I相試験(1001試験)のROS1陽性進行NSCLCに対する成績が評価された結果である。 1001試験の有効性主要評価項目は、RECIST(固形がんの腫瘍縮小効果判定)に基づく奏効率(ORR)、副次的評価項目は、奏効までの期間(TTR)、奏効期間(DOR)および無増悪生存期間(PFS)などであった。試験の結果、ROS1陽性進行NSCLCにおけるクリゾチニブの抗腫瘍効果が示され主要評価項目ORRの基準を満たした。また、クリゾチニブの安全性プロファイルは、ALK陽性進行NSCLCにおいて認められた安全性プロファイルと一貫していた。 疫学データからROS1の再構成は、NSCLCのおよそ1%に生じることが示唆されている。ファイザー社のプレスリリース(英文)はこちら

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ラムシルマブ非小細胞肺がん2次治療の日本人データ

 ラムシルマブ(商品名:サイラムザ)とドセタキセル(商品名:タキソテール)の併用がプラチナベース化学療法後に増悪した非小細胞肺がん患者の生存期間を延長した。この第II相無作為化プラセボ対照二重盲検比較試験は、日本人の非小細胞肺がんの2次治療におけるラムシルマブの有効性と安全性を評価したもの。Lung Cancer誌2016年9月号の掲載記事。 患者は2012年12月~2015年5月に本邦の28施設で登録された非小細胞肺がんで、プラチナベース化学療法施行にもかかわらず増悪した患者。患者はラムシルマブ10mg/kg+ドセタキセル60mg/m2群とプラセボ+ドセタキセル60mg/m2群(ともに21日サイクル)に無作為に割り付けられた。主要評価項目は、無増悪生存期間(PFS)、副次的評価項目は全生存期間(OS)、奏効率、安全性であった。 主な結果は以下のとおり。・治療を受けた被験者は157例。・PFS中央値はラムシルマブ+ドセタキセル群で5.22ヵ月、プラセボ+ドセタキセル群で4.21ヵ月(HR:0.83、95%CI:0.59~1.16)とラムシルマブ併用群で優れていた。・OS中央値はラムシルマブ+ドセタキセル群で15.15ヵ月、プラセボ+ドセタキセル群で14.65ヵ月(HR:0.86、95%CI:0.56~1.32)とラムシルマブ併用群で優れていた。・奏効率はラムシルマブ+ドセタキセル群で28.9%、プラセボ+ドセタキセル群で18.5%とラムシルマブ併用群で優れていた。・病勢コントロール率はラムシルマブ+ドセタキセル群で78.9%、プラセボ+ドセタキセル群で70.4%とラムシルマブ併用群で優れていた。・有害事象の頻度および重症度は同程度であったが、発熱性好中球減少についてはラムシルマブ+ドセタキセル群で34.2%、プラセボ+ドセタキセル群で19.8%とラムシルマブ併用群で多く認められた。

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クリゾチニブ ROS1陽性の非小細胞肺がんへの新適応症を申請:ファイザー

 ファイザー株式会社(本社:東京都渋谷区、代表取締役社長:梅田一郎)は、2016年8月31日(水)、「ROS1 融合遺伝子陽性の切除不能な進行・再発の非小細胞肺がん(以下、非小細胞肺がんを「NSCLC」と略記)」の治療薬として、クリゾチニブ(商品名:ザーコリ)の承認事項一部変更承認申請を行ったと発表した。 ROS1の再構成は、NSCLCのおよそ1%に生じることが示唆されている。日本においては、肺がんの総患者数が13.8万人であることから、推定患者数は1,400人程度と考えられている。 クリゾチニブは、ファイザー社が開発した分子標的薬で、ALK阻害作用とともにROS1阻害作用を有し、ROS1融合蛋白のチロシンキナーゼ活性を阻害することにより、腫瘍細胞の成長と生存に必要な細胞内のシグナル伝達を遮断する。今回は、ROS1融合遺伝子陽性NSCLCを対象とした海外第I相試験ならびに日本を含むアジア共同第II相試験におけるクリゾチニブの有効性と安全性を評価し、その結果を取りまとめ申請に至った。 クリゾチニブの「ROS1陽性の転移性NSCLC」適応症については、2016年3月に米国で追加されている。欧州医薬品庁(EMA)においては、同適応症の承認申請を審査中である。ファイザー株式会社のプレスリリースはこちら

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抗PD-L1抗体atezolizumabが非小細胞肺がんの生存を有意に延長

 スイスRoche社は 2016年9月1日、第III相試験、OAK研究の結果atezolizumab(商品名:TECENTRIQ)が、プラチナベース化学療法で増悪した局所進行または転移性の非小細胞肺がん(NSCLC)患者に対し、ドセタキセルと比べ有意に全生存率の改善(OS)を示したと発表した。 米国食品医薬品局(FDA)はatezolizumabに対し、プラチナベース化学療法(またはEGFR変異陽性またはALK陽性腫瘍に対する適切な標的療法)中または後に進行した、PD-L1陽性NSCLC患者の治療のブレークスルーセラピー(画期的治療薬)指定を与えた。 OAK研究は、国際的な多施設オープンラベル無作為化第III相試験で、プラチナベース化学療法による治療後に増悪した局所進行性または転移性NSCLC患者を対象に、atezolizumabの有効性と安全性をドセタキセルと比較検討している。1,225例の患者が、無作為にドセタキセル75mg/m2またはatezolizumab1,200mg(いずれも3週間ごと)投与群に1:1に割り付けられた。主要評価項目は、全患者およびPD-L1で選別されたサブグループ患者の全生存期間、副次的主要評価は客観的奏効率(ORR)、無増悪生存期間(PFS)、および奏効期間(DOR)である。 atezolizumabは、PD-L1(programmed cell death-1 ligand-1)タンパク質に結合する初めてのモノクローナル抗体。 PD-L1に結合し、T細胞の表面上に発現するPD-1およびB7.1の相互作用を遮断することで、T細胞の活性化、効果的な腫瘍細胞の検出、攻撃能力の回復を可能にする。FDAで承認されているatezolizumabの適応はプラチナベース化学療法中または後に増悪した、あるいは術前術後のプラチナベース化学療法実施後12ヵ月以内に悪化した、局所進行性または転移性尿路上皮がん(MUC)患者に対する治療。Roche社のプレスリリースはこちら

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高額薬の緊急対応検討、薬価算定方式の見直し求める声も

 8月24日に開催された厚生労働省の中央社会保険医療協議会(中医協)総会および薬価専門部会で、高額薬剤への対応の検討課題が示された。今後、次期改定に向けた取り組みと、期中改定を含む緊急的な対応について検討し、新規作用機序医薬品の最適使用推進ガイドライン(最適使用推進GL)の医療保険上の取り扱いと、オプジーボ(一般名:ニボルマブ)についての特例的な対応に関しては、年内には一定の結論が得られる予定だ。 薬価改定は通常2年に1回行われ、薬価調査は改定前年の9月に実施されるため、同年10月から翌3月までに効能追加された医薬品に関してはその年の改定対象にはならず、その次の改定時の対象となる。しかしながら、オプジーボは2015年12月に肺がんに対する効能が追加され大幅に市場が拡大したため、次回改定を待たずに緊急的な対応を実施することが提案されている。  また、このような新規作用機序医薬品については今後、個別の医薬品ごとに薬事承認に併せて最適使用推進GLが策定されることとなる。このガイドラインには「対象医薬品の使用が最適だと考えられる患者の選択基準」と「対象医薬品を適切に使用できる医師・医療機関等の要件」が盛り込まれる予定だ。今年度は試行的にオプジーボとレパーサ(一般名:エボロクマブ)およびそれぞれの類薬が対象になるとみられている。今後、この最適使用推進GLと経済性を踏まえて保険適用の決定がなされる方向で検討が進められている。 日本医師会の委員からは、市場規模のきわめて大きい医薬品に関わる部分だけでなく、外国平均価格調整のあり方なども含めた、薬価算定方式そのものの抜本的な見直しが必要との意見が出された。また、最適使用推進GLの策定により、必要な患者に対する使用が制限されたり、緊急的対応の対象の市場規模の金額を定めることにより、医薬品の供給抑制に繋がるようなことがないよう、対策を講じるように求めた。さらには、期中改定ありきの議論ではなく、適正使用の推進や留意事項通知の追加など、さまざまな方法を含めて検討を進めていくよう提案された。 高額薬剤に対して否定的とも取られる意見が出された中で、専門委員からは「革新的な新薬など、日本発のイノベーションが抑制されることのないように」との指摘がなされた。(ケアネット 後町 陽子)資料中央社会保険医療協議会 総会(第335回) 議事次第中央社会保険医療協議会 薬価専門部会(第117回) 議事次第

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受動喫煙で肺がんリスクが1.3倍~わが国のメタ解析

 これまで、わが国での受動喫煙と肺がんとの関連についてはシステマティックに評価されていなかった。今回、国立がん研究センターの堀 芽久美氏らが実施した、非喫煙者の受動喫煙と肺がんとの関係についてのシステマティックレビューとメタ解析で、成人期における家庭内受動喫煙で肺がんリスクが有意に増加することが示唆された。Japanese journal of clinical oncology誌オンライン版2016年8月10日号に掲載。 著者らは、MEDLINEおよび医中誌Webデータベースから、検索用語とMeSHによって関連する研究を収集した。適格な研究を特定後、統合リスク推定値の計算のために相対リスクまたはオッズ比を抽出した。これらの手順は少なくとも2名の著者が独立して行った。研究デザイン、出版年、潜在的交絡変数を考慮した層別解析を行った。出版バイアスの存在はファンネルプロットで評価した。 主な結果は以下のとおり。・4件のコホート研究と5件の症例対照研究を特定した。量的な統合は成人期における家庭での受動喫煙に対してのみ行った。・メタ解析に含まれる12集団のうち、11集団で受動喫煙と肺がんの間に正相関が認められ、残りの1集団で逆相関がみられた。・受動喫煙に関連する肺がんの統合相対リスクは1.28(95%信頼区間:1.10~1.48)であった。・出版バイアスの存在は認められず、トリムアンドフィル法で同定された、潜在的に不足している研究を含めた場合においても有意な関連がみられた(併合相対リスク:1.26、95%信頼区間:1.09~1.46)。・この結果は、研究デザインや出版年、交絡変数の調整によるさまざまなサブグループでも一定していた。

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