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セリチニブ、食事との服用で有効性維持と毒性低減を両立(ASCEND-8)/WCLC2017

 セリチニブ(商品名:ジカディア)750mg空腹時投与は、未治療の進行ALK陽性NSCLCに優れた効果を示すものの、下痢、悪心嘔吐などの消化器症状が発現する。ASCND-8は、ALK陽性NSCLCに対し、セリチニブ450または600mgを低脂肪食と服用した群と、750mgの空腹時服用を比較した無作為化オープンラベル試験。第18回世界肺癌(WCLC)では、未治療患者における有効性の中間解析と、安全性のアップデート結果について、韓国・Yonsei Cancer CenterのCho BC氏が発表した。 ASCND-8試験の対象は、StageIIIB~IVのALK陽性NSCLC患者(脳転移は許容)で既治療・未治療を含む。24ヵ国70施設から267名の患者が登録され、セリチニブ450mg+低脂肪食群、600mg群+低脂肪食群、750mg群空腹時投与群に均等に割り付けられた。セリチニブ450mg群+低脂肪食群は89例、600mg群+低脂肪食群は87例、750mg群空腹時投与群は91例である。 登録267例中、安全性は265例で分析され、有効性は未治療の121例のみで分析された。全体の追跡期間は14.3ヵ月、有効性評価の対象となる初回治療患者の追跡期間は9.7ヵ月であった。主要評価項目は独立第3者評価機関(BIRC)評価による奏効率(ORR)と奏効期間(DOR)。副次評価項目は、治験担当医によるORRとDOR、BIRCと治験担当医による再発までの期間、DCR、無増悪生存期間(PFS)、および全生存期間である。 主要評価項目であるBIRC評価のORRはセリチニブ450mg+低脂肪食群78.0%、650mg+低脂肪食群75.0%、750mg群空腹時服用群70.0%であった。BICR評価のDORはそれぞれ16.4ヵ月、未到達、10.4ヵ月であった。PFSはそれぞれ17.6ヵ月、未到達、10.9ヵ月であった。 薬剤暴露については450mg+低脂肪食群が3群の中で最も高く、投与量減量は450mg+低脂肪食群が3群の中で最も低かった。 薬剤関連有害事象(AE)頻度は3群でそれぞれ22.5%、29.1%、22.2%と同等であった。AEプロファイルも3群で同様であったが、消化器毒性は450mg+低脂肪食群で顕著に少なかった。450mg+低脂肪食群の消化器毒性は主にGrade1であり、消化器毒性による治療中断も450mg+低脂肪食ではみられなかった。 セリチニブ450mg+低脂肪食群は、750mg空腹時投与群と比べ、減量および中断が少なく治療強度が高く、また消化器AEも少なかった。一方、ORR、DCR、TTRなど有効性は以前の試験と同等の効果を示した。これらの結果から、セリチニブ450mgと低脂肪食の服用は、未治療のALK陽性NSCLCへの新たな治療選択肢となり得ると、Cho BC氏は述べた。■参考ASCEND-8(Clinical Trials.gov)■関連記事アレクチニブ耐性の日本人進行NSCLCへのセリチニブの有効性は(ASCEND-9)/日本肺癌学会2017セリチニブ、ALK陽性肺がん1次治療に国内適応拡大セリチニブALK陽性肺がんの1次治療に適応拡大:FDAALK陽性NSCLCの1次治療、セリチニブでPFS延長/Lancet

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EGFR変異陽性肺がん、今後の治療シークエンスは?

 EGFR変異陽性進行非小細胞肺がん(NSCLC)に対するEGFR-TKIの選択肢が増えてきている。これらの薬剤をどう使用すれば、患者さんにとって最大限のベネフィットが得られるのだろうか。2017年10月30日に開催されたアストラゼネカ株式会社主催のメディアセミナーで、関 順彦氏(帝京大学医学部附属病院腫瘍内科 教授)が、開発中の薬剤を含め、各薬剤の無増悪生存期間(PFS)や毒性から、今後の治療シークエンスについて展望した。 現在、EGFR変異陽性進行NSCLCの1次治療として承認されているのは、EGFR-TKIのゲフィチニブ、エルロチニブ、アファチニブの3剤で、これらのPFS中央値はどれも約10~11ヵ月である。これらの薬剤が耐性となった患者の約50%はT790M陽性であり、オシメルチニブが有効である。2次治療でのオシメルチニブの効果を検討したAURA3試験(第III相)において、PFS中央値が10.1ヵ月(対照群のプラチナ製剤+ペメトレキセドは4.4ヵ月)であったことから、1次治療と2次治療を合わせたPFS中央値が約20ヵ月まで延長すると、関氏は説明した。 一方、オシメルチニブの1次治療(未承認)でのPFS中央値は、オシメルチニブと標準治療(ゲフィチニブもしくはエルロチニブ)を比較したFLAURA試験(第III相試験)で18.9ヵ月(標準治療は10.2ヵ月)と9月の欧州臨床腫瘍学会(ESMO)で発表された。また、10月の日本肺癌学会で発表された日本人サブセットにおけるPFS中央値も、19.1ヵ月と全体とほぼ同様の結果であった(標準治療は13.8ヵ月)。 そのほか1次治療として開発されている薬剤では、第2世代EGFR-TKIのdacomitinib のPFS中央値が14.7ヵ月(第III相試験)、エルロチニブとベバシズマブの併用が16.0ヵ月(第II相試験)と報告されている。これらによる1次治療後、T790M陽性の患者に2次治療としてオシメルチニブを使用すると、1次治療と2次治療を合わせたPFS中央値はそれぞれ約25ヵ月と約26ヵ月となり、オシメルチニブによる1次治療のPFS中央値より長い。しかしながら、関氏は、1次治療としてdacomitinibやエルロチニブとベバシズマブの併用を用いた場合、2次治療では約半数にあたるT790M陰性の患者は化学療法を使用せざるを得ないことを指摘した。さらに、オシメルチニブがこれらより忍容性が高いことを強調し、1次治療では「オシメルチニブがまずは標準治療になるべき」とし、「そこからオプションを考えていく治療になるだろう」と述べた。 また、オシメルチニブを1次治療で使用すると分子標的薬のシークエンスができないのではないかとの考えには、オシメルチニブを1次治療の基軸とした開発が進んでいることを紹介し、「近未来的には、オシメルチニブの後に化学療法しか使えないという状況にはならないだろう」と予測した。■関連記事HR0.46、オシメルチニブが1次治療で標準治療を上回る(FLAURA)/ESMO2017オシメルチニブ、FLAURA試験の日本人サブグループ解析/日本肺癌学会2017オシメルチニブ、EGFR変異陽性NSCLCの1次治療でブレークスルー・セラピーに指定

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atezolizumabによる長期生存NSCLC患者の特徴:OAK/WCLC

 OAK試験は、非小細胞肺がん(NSCLC)の2~3次治療における抗PD-L1抗体atezolizumabとドセタキセルを比較した第III相試験である。横浜で行われた第18回世界肺癌会議(WCLC)では、兵庫県立がんセンターの里内美弥子氏が、OAK試験の2年の結果と長期生存患者の特徴について発表した。 OAK試験では850例の既治療NSCLC患者が、atezolizumabとドセタキセル群に1対1で割り付けされ、6ヵ月以上追跡されている。無作為割り付け時から24ヵ月以上生存している患者を長期生存例(LTS)、それ未満の患者を非長期生存例(Non-LTS)として、それぞれの成績を分析した。 2年全生存(OS)率はatezolizumab群31%、ドセタキセル群21%と、atezolizumab群で高かった。LTS患者の割合をみると、atezolizumab群では28%、ドセタキセル群では18%であった。LTS患者は、女性、非扁平上皮がん、PS良好例で多くみられた。 LTS患者の組織別の2年OS率をみると、非扁平上皮がんでは、atezolizumab群35%、ドセタキセル群24%であった。扁平上皮がんでは、atezolizumab群20%、ドセタキセル群12%であり、いずれもatezolizumabで高かった。 LTS患者のPD-L1発現状況別の2年OS率をみると、もっともPD-L1発現が高いTC3 or IC3群(PD-L1陽性:腫瘍細胞の50%以上または免疫細胞10%以上)においては、atezolizumab群43%、ドセタキセル群17%、TC2/3 or IC2/3群(PD-L1陽性:腫瘍細胞または免疫細胞の5%以上)においては、atezolizumab群35%、ドセタキセル群23%、TC1/2/3 or IC1/2/3群(PD-L1陽性:腫瘍細胞または免疫細胞の1%以上)においては、atezolizumab群32%、ドセタキセル群24%、TC0 and IC0群(PD-L1陽性:腫瘍細胞と免疫細胞の1%未満)においては、atezolizumab群30%、ドセタキセル群18%であった。いずれの発現状況でもatezolizumabがドセタキセルに比べて高かったが、atezolizumabではとくにPD-L1高発現群で良好な傾向にあった。 各群のLTSとNon-LTS患者の奏効率(ORR)を比較すると、atezolizumab群はそれぞれ39%と14%、ドセタキセル群ではそれぞれ32%と9%であり、いずれもLTS患者で高かった。 atezolizumab群でbeyondPD治療を受けた割合は、LTS患者では62%、Non-LTS患者では45%であった。LTS患者には早期にPDとなった症例も含まれており、長期生存とbeyondPD治療の関連が示唆される。 atezolizumabのGrade3~4の治療関連有害事象(TRAE)の発現はLTS患者で39%、Non-LTS患者で38%と、LTS患者で大幅に治療期間が長いにも関わらず同等であった。TRAEによる治療中止はLTS患者で8%、Non-LTS患者でも8%であった。 atezolizumabはドセタキセルに比べ、優れた2年生存を示し、このベネフィットは組織型、腫瘍縮小効果、PD-L1発現を問わず一貫していた。■参考OAK試験(Clinical Trials.gov)■関連記事非小細胞肺がんへのatezolizumab、OAK試験の日本人解析/日本肺癌学会2017抗PD-L1抗体atezolizumab、非小細胞肺がんのOSを延長/Lancet

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日本の肺がん患者さんを一人でも多く助けたい 第9回【肺がんインタビュー】

第9回 日本の肺がん患者さんを一人でも多く助けたい近年の肺がん治療の分野で大きな変化をもたらしてている企業の1つであるアストラゼネカ。肺がんにおける世界の開発状況も含め、アストラゼネカ・グローバル医薬品開発担当エグゼクティブバイスプレジデント兼チーフメディカルオフィサー Sean Bohen氏に単独インタビューした。FLAURA試験の結果について、欧米の臨床医の反響はどのようなものですか?アストラゼネカ・グローバル医薬品開発担当エグゼクティブバイスプレジデント兼チーフメディカルオフィサー Sean Bohen氏臨床医および治験担当医は、FLAURA試験によって示された、主要評価項目であるPFSの50%リスク減という結果を説得力あるものと受け取ったようです。興味深いことに、副次的評価項目のOSは、イベント到達率は現時点まだ25%にもかかわらず、生存曲線は2群間で既にはっきりと離れています。ESMOでの発表からあまり時間が経っていないにもかかわらず、米国NCCNのガイドラインでは、FLAURA試験結果を基に、最近、オシメルチニブをEGFR変異肺がんの1次治療に組み入れました。エビデンスレベルの分類はカテゴリー2Aと、高く評価されています。FLAURA試験OSデータ発表の予定は?OSデータの取得はイベントの蓄積状況によりますので、今のところ時期は定かではありませんが、2019年中に発表できることを期待しています。FLAURAは1次治療の試験ですので、PD後の治療がOSデータに大きなインパクトを与えます。後治療への適格患者さんは非常に多くおり、幸いにもオシメルチニブ群の患者さんは長期生存する方が多くみられます。一方で、この有効性がOSに到達するまでの期間を長くしています。オシメルチニブは1次治療で有望な結果が出ました。しかし、一方でオシメルチニブが耐性になると現在は手段がありません。オシメルチニブの耐性対策として他剤併用などの試験は行っていますか?画像を拡大するsavolitinib関連のトライアルが発表された第18回世界肺癌学会当社のパイプラインにはsavolitinibというMET阻害薬があります。MET増幅はEGFR阻害薬の耐性に特徴的なメカニズムですので、オシメルチニブとsavolitinibの併用は科学的に合理性があります。今回の世界肺癌学会では、オシメルチニブとこのsavolitnibuをEGFR変異陽性でMET増幅を有する患者さんを対象にした第I相b試験のTATTON trialの結果が発表され、期待できる有効性が示されました。また、savolitinibとの併用は、同様の患者さんを対象にゲフィチニブでも行われています。EGFR-TKIとMET-TKIの併用がオシメルチニブによる獲得耐性を治療できるのか、あるいはこの2剤の併用が、耐性獲得そのものを抑制できるのか、この試験には2つの問いがあります。まだ答えは出ていませんが、発展的なテーマだといえます。そのほかのオシメルチニブの試験について教えていただけますか?手術可能なEGFR変異NSCLC患者さんの術後補助療法として、ADAURA試験が進行中です。Stage IIIでは、術後補助療法を行っても多くの患者さんが再発してしまうという問題がありますが、腫瘍を切除したEGFR変異の患者さんにオシメルチニブを加えることで、再発を防ぐ、あるいは遅らせることができるかを検討しています。そうすることができれば、患者さんの貴重な時間をより延長できます。また、このセッティングでは治療が長期にわたる患者さんもおられます。そういった患者さんはQOLの維持が非常に重要な課題となってきますので、忍容性の高い薬剤を用いることが重要です。つまり、オシメルチニブの特性を生かせる分野だと思います。貴社の抗PD-L1抗体durvalumabのPACIFIC試験の結果が大きな反響を呼んでいます。この試験の対象となった手術不能なStage IIIのNSCLCでの問題はどのようなものでしょうか?画像を拡大するPACIFIC試験が発表されたESMO2017切除不能Stage III NSCLCにおける標準療法は化学放射線同時併用療法(CCRT)です。しかし、この治療法の成績は芳しくなく、治癒または長期生存が得られる患者さんは15%程度です。CCRTについては、強化放射線療法、化学療法の強化、放射線と化学療法の逐次投与など、幾多の研究がなされたものの、生存率向上につながる成果は得られず、過去約20年間にわたり、ほとんど進展はありませんでした。このため、CCRTの終了後の標準療法(SOC)は経過観察に留まっています。観察だけなのであれば、患者さんの再発までの期間をできるかぎり延長する治療を提供することができないか、との考えから実施したのがPACIFIC試験です。CCRT後のSOCである経過観察に対し、durvalumabによる維持療法が生命予後を改善するか、。というテーマに対し、試験結果はご存じのとおりで、durvalumab群は、進行と死亡のリスクを有意に減らしました。OSデータはまだ未到達ですが、良好な傾向が見られており、今後も試験を継続していきます。PACIFIC試験からは多くの学びがありました。durvalumabの安全性についても評価を行い、高い忍容性と毒性の低さを確認することができました。治療が長期におよぶセッティングにおいては、これらの要素は重要です。今回の試験で確認できたdurvalumabの安全性プロファイルは、durvalumabがより幅広い状況下で使用される可能性を示しています。durvalumabは今後どのような試験が行われる予定ですか? 他薬剤との併用などを含め教えていただけますか?非小細胞肺がんではMYSTIC試験があります。この試験はStage IVの1次治療で、durvalumabまたはdurvalumab+抗CTLA-4抗体tremelimumabと標準化学療法であるプラチナダブレットの治療成績を比較したものです。本年(2017年)、主要評価項目の1つであるPFSの結果を発表しました。エンドポイントを達成することはできませんでしたが、免疫チェックポイント阻害薬ではより重要視されるOSを別の主要評価項目として試験を継続中であり、来年の上半期には結果を発表できる予定です。また、Stage IVの1次治療では、durvalumab単独またはdurvalumab+tremelimumabと標準化学療法の併用と、標準化学療法単独を比較したPOSEIDON試験も進行中です。さらに、中国を中心にStage IVのPD-L1発現患者の1次治療としてdurvalumab単独と標準化学療法を比較したPEARL試験が進行中です。一方、腫瘍を切除した患者さんに対する免疫チェックポイント阻害薬の効果も検討しています。durvalumabの術後補助療法の有効性についてNational Cancer Institute of Canadaが主体となって研究を行っています。この試験はdurvalumabまたはdurvalumab±tremelimumab術後アジュバントと化学療法によるアジュバントの比較をみるもので、現在患者登録中です。小細胞肺がんでは、進展型の1次治療でdurvalmab単独またはdurvalmab+tremelimumabと標準化学療法(エトポシド+シスプラチン/カルボプラチン)の併用と標準化学療法単独を比較したCASPIAN試験が進行中です。肺がん治療薬の開発計画について教えていただけますか?AstraZenecaにとってオンコロジーは戦略的に非常に重要な疾病領域であり、とくに、肺がん領域は、durvalumab、tremelimumab、前述のsavolitinibをはじめ多くのパイプラインが控えています。また、重要な開発基盤の1つにがん細胞のDNA損傷修復不全をもたらすPARP阻害薬があり、まだ早期開発段階ながら、今後、肺がんにおいても臨床化の機会があるかも知れません。抗PD-1、PD-L1薬で多くの患者さんを助けられるようになりましたが、まだ十分とは言えません。免疫腫瘍の分野でも、免疫システムをより有効に活用する抗CD-73抗体、TLR7、アデノシンをターゲットとした小化合物などの多くのパイプラインがあります。貴社にとって日本市場の重要性は?日本は、アストラゼネカが持続的な成長を維持していくうえで、非常に重要な国です。当社にはオンコロジーをはじめ、5つの成長基盤があり、その1つを日本としています。日本は、5つの成長基盤に掲げられている唯一の国です。日本の重要性はビジネス観点からも多くあげられますが、サイエンスの観点からも示すことができます。たとえば、オシメルチニブの対象となるEGFR変異NSCLCは、欧米よりも日本をはじめとするアジアではるかに多く患者さんがおり、当社が果たす貢献が大きい地域といえます。以前は、患者さんのリクルートがネックとなり、日本がグローバル試験に参加できないことがありました。しかし、最近のFLAURAやPACIFICでは、日本も主要国の1つとしてグローバル試験に組み込まれるようデザインされており、以前のようにローカルで別の試験を行う必要はなくなりました。実際、日本はオシメルチニブのグローバル第I相・第II相試験から参加し、その結果、日本は米国での承認からわずか4ヵ月の差で承認を取得しました(米国2015年11月、日本2016年3月)。また、オシメルチニブは、第I相試験から承認まで4年未満と非常に短期間での開発を実現しましたが、その過程において、日本から多くの患者さんがリクルートされ、開発を後押ししました。当社のゴールはグローバルと日本の申請を同時に行うことですが、そのゴールに限りなく近付いています。当社は、新たな治療を待ち望む日本の患者さんを待たせてはいけないと思っています。そして、より多くの患者さんを助けることができるよう、1日も早い申請を目指して開発を進めていきます。参考MYSTIC試験(Clinical Trials.gov)TATTON試験(Clinical Trials.gov)ADAURA試験(Clinical Trials.gov)POSEIDON試験(Clinical Trials.gov)CASPIAN試験(Clinical Trials.gov)Canadian Cancer Trials Group IFCT1401試験(Clinical Trials.gov)

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第3世代EGFR-TKI ASP8273のアジア人既治療患者における成績/WCLC2017

 ASP8273は、EGFR 活性化変異やEGFR-TKI耐性変異に対する活性を持つ、第3世代EGFR-TKIである。横浜で開催された第18回世界肺がん学会(WCLC)で、サムスン医療センターのKeunchil Park氏が、ASP8273の第I/第II相試験の結果について発表した。 本試験は、2段階で実施された用量漸増/用量拡大試験で、1ライン以上のEGFR-TKI治療歴のある進行非小細胞肺がん(NSCLC)患者が対象。第I相試験は、EGFR変異(Ex19del/L858R)陽性の日本人患者が組み入れられ、主な目的はASP8273の安全性の評価と最大耐量(MTD)、第II相試験での推奨用量(RP2D)を決定することであった。第II相試験は、T790M陽性の日本・韓国・台湾の患者が組み入れられ、中央判定による客観的奏効率(ORR)、病勢コントロール率(DCR)、無増悪生存期間(PFS)、安全性などが評価された。 全体で121例(第I相:45例、第II相:76例)の患者を登録、年齢中央値は第I相が65歳(28~78歳)、第II相が63歳(39~83歳)であった。第I相試験の結果、MTDおよびRP2Dはそれぞれ400mg、300mg。第II相試験における24週でのORRは42%(95%信頼区間[CI]:30.9~54.0)、DCRは80%(95%CI:69.5~88.5)であった。PFS中央値は、8.1ヵ月(95%CI:5.6~-)だった。 第II相試験における全Gradeの治療関連有害事象(AE)発現率は、93%。発現頻度が高い項目は、下痢(57%)、低ナトリウム血症(29%)、ALT増加(29%)などであった。Grade3以上の治療関連AE発現率は38%だった。

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化学療法制吐薬としてのオランザピンの本邦第II相試験/IJCO

 近年、がん化学療法に対する制吐薬としてのオランザピンの研究結果が報告されている。本邦においても、高度催吐性化学療法に対する、オランザピンの多施設無作為化二重盲検第II相用量設定試験が行われ、国立がん研究センター中央病院の矢内 貴子氏らがInternational Journal of Clinical Oncology誌に結果を報告した。 対象は、固形がんでシスプラチン50mg/m2以上の高度催吐性化学療法を受けている患者。登録患者は、無作為に標準的制吐療法(アプレピタント、パロノセトロン、デキサメタゾン)+オランザピン5mg/日、または標準的制吐療法+オランザピン10mg/日(両群ともオランザピンは1日目~4日目投与)に、無作為に割り付けられた。主要評価項目は遅発性嘔吐(シスプラチン投与後20~12時間)に対する完全奏効(嘔気なしか救済治療なし)率。 主な結果は以下のとおり。・153例の患者が5mg(n=77)と10mg(n=76)に無作為に割り付けられた。・遅発相における完全奏効率は、オランザピン10mg群では77.6%(80%CI:70.3~83.8、p=0.01)、5mg群では85.7%(80%CI:79.2~90.7、p<0.01)であった。・頻度の高い有害事象は眠気で、10mg群では53.3%、5mg群では45.5%の発現率であった。 オランザピン10mg、5mg群とも遅発性嘔吐に対して有意な改善を示したが、完全奏効率と眠気の少なさからオランザピン5mgが第III相以降の推奨用量となった。■関連記事高度催吐性化療の制吐薬としてオランザピン/NEJM

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クリゾチニブ抵抗性ALK肺がんにおけるbrigatinibの成績:ALTA/WCLC2017

 ALK陽性非小細胞肺がん(NSCLC)では、ほとんどの患者が耐性を獲得し進行する。クリゾチニブ治療後における第2世代ALK-TKI治療のPFSも1年に満たない。brigatinibはALK耐性変異に幅広い活性を示すべくデザインされた次世代のALK-TKIである。第18回世界肺癌学会(WCLC)では、クリゾチニブ耐性進行ALK肺がんにおけるbrigatinibの第II相ALTA試験の1.5年の追跡結果について、韓国・Samsung Medical CenterのMyung-Ju Ahn氏が発表した。 ALTA試験は無作為オープンラベル用量漸増試験。クリゾチニブで進行した局所進行または転移ALK陽性NSCLCをbrigatinib 90mg/日群(n=112)とbrigatinib180㎎/日群(n=110)に無作為に割り付け、進行するか許容できない毒性が現れるまで治療継続された。主要評価項目は治験担当医の評価による奏効率(ORR)。副次評価項目は独立放射線審査委員会(IRC)によるORR、IRCによるCNS奏効、奏効期間(DOR)、全生存期間(OS)、無増悪生存期間(PFS)安全性、忍容性など。 患者背景は両群で同様であった。患者の平均年齢は54歳、女性57%、白人67%(アジア人31%)、喫煙歴は非喫煙・不明が61%、ベースライン時の脳転移は69%に認められた。データカットオフ時、90mg群の32%、180mg群の41%が治療継続中であり、追跡期間中央値は、90mg群16.8ヵ月、180mg群18.6ヵ月であった。 brigatinibの治験担当医評価のORRは、90㎎群で46%、180㎎群で55%であった。IRC評価のORRは90㎎群で51%、180㎎群で55%であった。DORは90㎎群で12ヵ月、180㎎群で13.8ヵ月、IRCによるDORは90㎎群13.8ヵ月、180㎎群14.8ヵ月であった。治験担当医評価のPFSは90㎎群で9.2ヵ月、180㎎群15.6ヵ月であった(HR:0.64)。OSは90㎎群で未到達、180㎎群では27.6ヵ月という結果だが、生存曲線は早期から180mg群が上回っていた(HR:0.67)。 頭蓋内ORRは90㎎群(n=26)で50%、180㎎群(n=18)で67%であった。また、頭蓋内PFSは90mg群で16.6ヵ月、180㎎群では未到達であった。 治療関連有害事象(TRAE)は180mgで発現が多い傾向にあった。頻度の高いAEは、下痢、悪心・嘔吐、疲労感、高血圧であったが、ほとんどはGrade1~2であった。投与中止は90mgで4例、180mg群で11例であった。 brigatinibは、クリゾチニブ耐性例に対し、継続して良好な効果と忍容性の高さを示した。180mg群では55%のORRと1年を超える(15ヵ月)PFSを示し、さらに頭蓋内病変に対して67%のORRを示した。■参考ALTA試験(Clinical Trials.gov)

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nab-パクリタキセル+durvalumab、肺がん2次治療以降の効果/WCLC2017

 化学療法の免疫チェックポイント阻害薬(ICI)への追加は、奏効率の改善など効果を強化するとの報告がある。nab-パクリタキセル(nab-P)+カルボプラチンとICIの組み合わせは毒性を増すことなく非小細胞肺がん(NSCLC)患者に対する有効性を早期臨床試験において示した。第18回世界肺癌学会(WCLC)では、米国・Washington University School of MedicineのRamaswamy Govindan氏がnab-P+durvalumabの2~3次治療としての有効性と安全性を報告した。 abound.2L+試験はnab-Pの第II相オープンラベル多施設試験である。今回の発表はnab-Pとdurvalumabを併用した単アームの解析。患者はタキサン治療歴なし、プラチナベース化学療法歴1回(ICI使用は許容)のNSCLC79例。対象はnab-P(100mg/m2、1日目8日目、21日サイクル)とdurvalumab(1,125mg/日、15日目、21日サイクル)の投与を受けた。 患者の平均年齢は63歳、男性68.4%、白人97.5%、扁平上皮がん29.1%、非扁平上皮がん69.6%、現・前喫煙者89.9%、前ICI治療は11.4%であった。 nab-P+durvalumab群のPFSは4.5ヵ月(3.4~5.8)、OSは未到達であった。ICI治療歴のサブグループ解析をみると、ICI前治療なし患者のPFSは4.4ヵ月(3.0~5.7)、ICI前治療ありの患者では6.9ヵ月(1.4~NE)と、ICI前治療あり群で良好であった。組織型別にみると、非扁平上皮がんのPFSは4.2ヵ月(2.7~5.7)、扁平上皮がんのPFSは5.9ヵ月(3.0~7.8)であった。奏効率(ORR)は全体では26.6%、非扁平上皮がんでは23.6%、非扁平上皮がん34.8%であった。 nab-P+durvalumabでよくみられる治療関連有害事象は、末梢神経障害24.4%、呼吸困難20.5%、好中球減少16.7%(発熱性好中球減少症は発症なし)、貧血28.2%であった。

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T790M陽性NSCLC患者におけるアファチニブ・オシメルチニブ逐次治療の成績/WCLC2017

 EGFR T790M変異は、第1世代EGFR-TKI(ゲフィチニブ、エルロチニブ)における獲得耐性であり、その発現率は49~69%である。オシメルチニブの第I/II相AURA試験の結果などから、第2世代EGFR-TKIアファチニブの主要耐性機構もT790M変異であることが示唆されるが、その研究結果は十分ではない。 オシメルチニブは、EGFR活性化およびT790M耐性変異の双方に選択的な不可逆的EGFR-TKIであり、第III相試験では、第1・第2世代TKIの1次治療で進行したEGFR T790M陽性の進行NSCLC患者の無増悪生存期間および全生存期間を有意に改善した。LUX-Lung 3、LUX-Lung 6、LUX-Lung7試験の後ろ向き分析では、アファチニブの前治療に続きオシメルチニブ治療を受けた患者の治療期間中央値は20.2ヵ月(95%CI:12.8~31.5)と長く、アファチニブ後のオシメルチニブ治療の有効性が示唆される。 そのような中、オーストリア・OttoWagner Hospitalにおいて、単施設の後ろ向き試験が行われた。対象はアファチニブによる1~3次治療で3ヵ月以上の病勢コントロールを得たのち進行したEGFR変異陽性のStageIVの肺腺がん患者48例。平均年齢は65歳で、23%がアファチニブの前に第1世代EGFR-TKIの治療を受けていた。アファチニブ前治療の有効性 アファチニブで進行した48例のうち27例(56%)でT790M変異が発現した。総コホートでのアファチニブの客観的奏効率(ORR)は90%、そのうちのT790M発現患者では93%であった。総コホートでのアファチニブの奏効期間(DOR)は12.5ヵ月、T790M変異発現患者では13ヵ月であり、T790M発現との相関は見られなかった。オシメルチニブの有効性 上記T790M発現患者27例におけるオシメルチニブのORRは81%であった。オシメルチニブのDORは未達成であり、オシメルチニブで治療進行中の患者は11例(41%)であった。この試験における、アファチニブ・オシメルチニブ逐次治療の期間中央値は25.0ヵ月であった(95%CI:20~33)。

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ワルファリン使用者、がん罹患率が2割低い

 ノルウェーの50歳以上の大規模コホート研究において、ワルファリンを服用している人はがん罹患率が低いことが報告された。ワルファリンはがんモデルにおいて、AXL受容体チロシンキナーゼによる腫瘍形成を阻害し、抗凝固レベルに達しない用量で抗腫瘍免疫応答を増強するが、本研究で臨床でも抗がん作用を有する可能性が示唆された。著者のノルウェー・ベルゲン大学のGry S. Haaland氏らは「この結果は、抗凝固が必要な患者の薬剤選択に重要な意味を持つだろう」と述べている。JAMA Internal Medicine誌オンライン版2017年11月6日号に掲載。 この集団ベースのコホート研究は、ノルウェー全国レジストリとノルウェー処方データベース、ノルウェーがんレジストリを組み合わせて行われた。コホートは、2006年1月1日~2012年12月31日にノルウェーに居住していた、1924年1月1日~1954年12月31日に生まれたすべての人々(125万6,725人)から成る。このコホートをワルファリンの使用者と非使用者に分け、ワルファリン使用とがん罹患率の関連を検討した。また、心房細動または心房粗動に対してワルファリンを使用しているサブグループにおいても解析した。データは2004年1月1日~2012年12月31日に収集、2016年10月15日~2017年1月31日に解析した。ワルファリン使用は処方が6ヵ月以上、処方の開始からがんの診断までが2年以上の場合とした。主要アウトカムは、7年の観察期間(2006年1月1日~2012年12月31日)におけるすべてのがんの診断とした。 主な結果は以下のとおり。・125万6,725人のうち、男性が60万7,350人(48.3%)、女性が64万9,375人(51.7%)、がん患者が13万2,687人(10.6%)、ワルファリン使用者が9万2,942人(7.4%)、非使用者が116万3,783(92.6%)であった。・ワルファリン使用者は、平均年齢(SD)が70.2(8.2)歳で非使用者の63.9(8.6)歳より高く、また非使用者では女性が多い(61万3,803 [52.7%])のに比べて、使用者は男性が多かった(5万7,370人 [61.7%])。・ワルファリン使用者では非使用者と比較して、年齢・性別で調整された罹患率比(IRR)が、がん全体(0.84、95%CI:0.82~0.86)および頻度の高いがん種(肺がん:0.80[95%CI:0.75~0.86]、前立腺がん:0.69 [同:0.65~0.72]、乳がん:0.90 [同:0.82~1.00])で有意に低かった。結腸がんでは有意な効果は認められなかった(0.99、95%CI:0.93~1.06)。・心房細動または心房粗動患者のサブグループ解析では、がん全体(0.62、95%CI:0.59~0.65)および高頻度にみられるがん(肺がん:0.39 [95%CI:0.33~0.46、乳がん:0.72 [95%CI:0.59~0.87]、結腸がん:0.71 [95%CI:0.63~0.81]で、調整IRRが有意に低かった。

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進行ROS1肺がんの脳転移に対するクリゾチニブの有効性/WCLC2017

 非小細胞肺がん(NSCLC)の1%にみられるROS1融合遺伝子陽性肺がんではとくに、脳転移が多くみられる。ROS1肺がんではクリゾチニブが治療適応となるが、脳転移への効果は明らかになっていない。ROS1肺がんにおける脳転移の状況と共に、ROS1肺がん脳転移に対するクリゾチニブの効果を評価した後ろ向き試験について、中国・Shanghai Lung Cancer CenterのShun Lu氏が発表した。 2014年4月~2016年10月の53例のROS1患者のうち13例(24.5%)がクリゾチニブ投与前に脳転移があった。27例がPDとなったが、そのうち12例(44.4%)に脳転移が発症した。 脳転移のある患者の無増悪生存期間(PFS)は11.0ヵ月、脳転移のない患者では20.4ヵ月であった(p=0.03)。全生存期間(OS)は、脳転移のある患者では16.5ヵ月、脳転移のない患者では未達成であった(p=0.27)。 ベースライン時に脳転移のあった患者全体の脳内ORRは84.6%、脳転移の前治療を行った患者では100%、行わなかった患者では71.4%であった。脳内PFSは、脳転移の前治療を行った患者では12.5ヵ月、行わなかった患者では11.0ヵ月で、脳転移の前治療の有無とは関連がなかった。 クリゾチニブ投与前の脳転移の有無は、クリゾチニブ治療後のPFSおよびOSに大きな影響を与えた。ROS1肺がんの脳転移に対しクリゾチニブは臨床ベネフィットを与えた。

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アレクチニブ耐性の日本人進行NSCLCへのセリチニブの有効性は(ASCEND-9)/日本肺癌学会

 ALK遺伝子転座陽性の非小細胞肺がん(NSCLC)患者に対する一次治療として、アレクチニブが本邦で推奨されているが、多くの患者で耐性獲得とともに、再び進行する。第58回日本肺癌学会学術集会で、国立がん研究センター中央病院の堀之内 秀仁氏が、アレクチニブ治療歴のあるALK陽性NSCLC患者における第2世代ALK-TKIセリチニブの第II相非盲検単群試験、ASCEND-9の結果について発表した。 対象は、アレクチニブ治療歴(±クリゾチニブおよび/または1レジメンの化学療法歴)があり、全身状態が良好(WHO PS 0~1)なALK陽性の局所進行・転移性NSCLC患者で、日本国内の9施設から20例が組み入れられた。28日間を1サイクルとして、セリチニブ(750mg/日)が、増悪または許容できない有害事象が発現するまで投与された。主要評価項目は、RECIST v1.1による奏効率(ORR)で、副次評価項目は、疾患制御率(DCR)、奏効までの期間(TTR)、奏効期間(DOR)、無増悪生存期間(PFS)、全生存期間(OS)、安全性などであった。 患者背景については、被験者の多くがStageIV (19例) で、StageIIIBが1例であった。12例で脳転移がみられた。前治療歴については、4例がクリゾチニブによる治療を受けており、14例が2レジメン以上の治療を受けていた。また、アレクチニブで完全奏効(CR)が得られていたのが3例、部分奏効(PR)が得られていたのが14例であった。 試験の結果、5例の患者で奏功が確認され(CRが1例、PRが4例)、ORRは25%(95%信頼区間[CI]:8.7~49.1)であった。DCRは70%(95%CI:45.7~88.1)、DORおよびTTRの中央値はそれぞれ6.3ヵ月(95%CI:3.5~9.2)、1.8ヵ月(1.8~2.0)。PFS中央値は、3.7ヵ月(95%CI:1.9~5.3)だった。 有害事象(AE)については、すべての患者でGrade1以上のAEが発現した。重篤な有害事象(SAE)は10例(50%)で発現した。AE発現のために投薬を中止したのが3例(15%;貧血、急性腎障害、および胸水)で、投薬中断が必要となったのは18例(90%;ALT増加、下痢、血中クレアチニン上昇など)であった。多くみられたAEは下痢(17 例[85%])、悪心(16例 [80%])および嘔吐(13 例[65%])であった。■参考NCT 02450903(Clinical Trials.gov)■関連記事セリチニブ、ALK陽性肺がん1次治療に国内適応拡大ALK阻害剤のコンパニオン診断薬発売/ロシュ・ダイアグノスティックス

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抗PS抗体bavituximabは免疫チェックポイント阻害薬の活性を増強するか:SUNRISE試験サブグループの結果/WCLC2017

 phosphatidylserin(PS)は、がん微小環境にある細胞の表面に広範に発現し、腫瘍特異的T細胞の誘導を抑制し、高い免疫抑制作用を発現する。bavituximabは、PSを標的とするキメラIgG1モノクローナル抗体であり、腫瘍特異的細胞傷害性T細胞を活性化し、免疫寛容を抑制して、抗腫瘍効果を発揮することが期待されている SUNRISE試験は、既治療の進行非扁平上皮肺がんの治療において、ドセタキセル・bavituximab併用(D+B群)とドセタキセル単独(D+P群)を比較した第III相試験である。最近発表された主要評価項目のITT解析による全生存期間(OS)では、D+B群、D+P群とも差がみられなかった(HR:1.06)。ほとんどのサブグループ解析で同等であったが、唯一免疫チェックポイント阻害薬(ICI)の後治療を受けたグループのみ差がついていた。そこでこの集団のデータを収集し、分析した結果を、横浜で開催された第18回世界肺癌学会(WCLC)において、オーストラリア・Sydney Cancer CenterのMichael Boyer氏が発表した。 SUNRISE試験597例の無作為化患者のうち93例(16%)がICIの後治療を受けていた。ベースライン特性は、治療群間でバランスが取れ、ITT集団と一致した。無作為化からのOSは、D+B群(n=47)では未到達(15.2~NA)、D+P群(n=46)では12.6ヵ月(10.4~17.8)であった(HR:0.46、95%CI:0.26~0.81、p=0.006)。ICI投与開始時からのOSは、D+B群では未到達(10.2~NA)、D+P群では6.2ヵ月(3.9~8.7)であり(HR:0.42、95%CI:0.23~0.74、p=0.002)、いずれもD+B群で有意に優れていた。 限られたサブグループ分析であるが、ドセタキセル・bavituximab併用療法後にICIで治療された患者ではOSの改善が観察された。bavituximabは免疫関連の毒性と関連しないことから、ICIとの有益な併用薬となる可能性があると、Boyer氏は述べた。■参考SUNRISE試験(Clinical Trials.gov)

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日本の喫煙者のがんリスク、禁煙何年で喫煙歴ゼロと同じに?

 日本人のがん罹患リスクは、男性で21年以上、女性で11年以上禁煙すれば、喫煙歴のない人と同レベルまで低下することが、東京大学の齋藤 英子氏らによる研究で明らかになった。男性では、20 pack-year※以上のヘビースモーカーにおいても同様の結果であるという。早いうちに禁煙することが、がん予防への近道であると考えられる。Cancer epidemiology誌オンライン版2017年11月2日号の報告。20 pack-year以上の男性でも21年間以上禁煙すると全がん罹患リスクが低下 東アジアは世界有数のタバコ普及地域であるが、喫煙や禁煙ががんに及ぼす影響についての前向き研究はほとんどない。そこで著者らは、日本における8つの前向きコホート研究(参加者32,000人以上)のデータを用いて、全がんおよび喫煙関連がん罹患リスクに対する禁煙の影響を評価した。 がん罹患リスクに対する禁煙の影響を評価した主な結果は以下のとおり。・潜在的な交絡因子の調整後、ベースライン以前に21年間以上禁煙していた男性の全がん罹患リスクは、喫煙歴のない人と同じレベルまで低下することが示された(ハザード比:1.01、95%CI:0.91~1.11)。・20 pack-year以上のヘビースモーカーであった男性でも、21年間以上禁煙した場合、全がん罹患リスクが低下することが示された(ハザード比:1.06、95%CI: 0.92~1.23)。・ベースライン以前に11年間以上禁煙していた女性の全がん罹患リスクは、喫煙歴のない人と変わらなかった(ハザード比:0.96、95%CI:0.74~1.23)※pack-year:生涯喫煙量の単位。1日に何箱のタバコを何年間吸い続けたかをかけ合わせて計算する。1 pack-yearは、1日1箱を1年、または2箱を半年吸った量に相当。

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NSCLC1次治療における血漿サンプルEGFR変異検査の評価:FLAURA/WCLC2017

 EGFR変異陽性進行非小細胞肺がん(NSCLC)に対する1次治療の第III試験FLAURAにおいて、オシメルチニブは標準EGFR-TKI(ゲフィチニブ、エルロチニブ)と比べ、有意に無増悪生存期間(PFS)を延長した。 これらの患者はベースライン時に組織検査によりEGFR変異(Ex19del/L858R)が確認されている。一方、血漿ctDNA検査は低リスクであり、組織生検に代わるEGFR変異の評価手段となる可能性がある。横浜で開催された第18回世界肺癌学会(WCLC)では、FLAURA試験対象患者における、組織検査と血漿ctDNA検査との一致率と、血漿ctDNA検査でのEGFR変異陽性患者におけるPFSの成績を、米国・H.Lee Moffitt Cancer Center & Research InstituteのJhanelle E. Gray氏が発表した。 フル解析セット(施設評価・中央評価によるEGFR変異陽性患者)556例のうち、血漿サンプルでEGFR変異陽性となった患者は65%、変異陰性となった患者は22%、評価不能は13%であった。組織検査との一致率は、exon19では87%、L858Rでは88%であり、組織検査と血漿サンプル検査との高い相関が認められた。 フル解析セットにおけるPFSは、オシメルチニブ群18.9ヵ月、標準EGFR-TKI群10.2ヵ月(HR:0.46、95%CI:0.37~0.57、p<0.0001)であったのに対し、血漿サンプルでEGFR変異陽性の患者(組織陽性・血漿陽性)のPFSはオシメルチニブ群15.2ヵ月、標準EGFR-TKI群9.7ヵ月と、フル解析同様、オシメルチニブ群で有意に良好であった(HR:0.44、95%CI:0.34~0.57、p<0.0001)。一方、血漿サンプルでEGFR変異陰性の患者(組織陽性・血漿陰性)のPFSはオシメルチニブ群23.5ヵ月、標準EGFR-TKI群15.0ヵ月であり(HR:0.48、95%CI:0.28~0.80、p<0.0047)、PFSは両群で延長した。 これらの結果からGray氏は、オシメルチニブの1次治療において、血漿ctDNAによるEGFR変異検査の臨床的有用性を支持するものであると述べた。■参考FLAURA試験(Clinical Trials.gov)■関連記事HR0.46、オシメルチニブが1次治療で標準治療を上回る(FLAURA)/ESMO2017

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ビタミンDはがんを予防するのか?/BMJ

 ビタミンDの血中濃度とがんリスクに因果関係は存在するのか。ギリシャ・University of IoanninaのVasiliki I Dimitrakopoulou氏らは、同関連を明らかにするため、大規模遺伝子疫学ネットワークのデータを用いたメンデルランダム化試験にて検討を行った。その結果、評価を行った7種のがんいずれについても、線形の因果関係を示すエビデンスはほとんどなかったという。ただし、臨床的に意味のある効果の関連を、完全に否定はできなかった。BMJ誌2017年10月31日号掲載の報告。大規模遺伝子疫学ネットワークを用いて、7種のがんについて関連を評価 検討は、がんにおける遺伝的関連とメカニズム(Genetic Associations and Mechanisms in Oncology:GAME-ON)、大腸がんの遺伝的研究・疫学コンソーシアム(Genetic and Epidemiology of Colorectal Cancer Consortium:GECCO)、前立腺がんのゲノム変異に関する研究グループ(Prostate Cancer Association Group to Investigate Cancer Associated Alterations in the Genome:PRACTICAL)とMR-Baseプラットホームを通じて、がん患者7万563例とその対照8万4,418例のデータを入手し評価を行った。 がん患者の内訳は、前立腺がん2万2,898例、乳がん1万5,748例、肺がん1万2,537例、大腸がん1万1,488例、卵巣がん4,369例、膵臓がん1,896例、神経芽細胞腫1,627例であった。 ビタミンDと関連する4つの一塩基遺伝子多型(rs2282679、rs10741657、rs12785878、rs6013897)を用いて、血中25-ヒドロキシビタミンD(25(OH)D)のマルチ多型スコアを定義し評価した。 主要アウトカムは、大腸がん、乳がん、前立腺がん、卵巣がん、肺がん、膵臓がん、神経芽細胞腫の発生リスクで、逆分散法を用いて特異的多型との関連を評価した。尤度ベースアプローチでの評価も行った。副次アウトカムは、性別、解剖学的部位、ステージ、組織像によるがんサブタイプに基づく評価であった。関連を示すエビデンスはほとんどない 7種のがんおよびそのサブタイプすべてにおいて、25(OH)Dマルチ多型スコアとの関連を示すエビデンスは、ほとんどなかった。 具体的に、25(OH)D濃度を定義した遺伝子の25nmol/L上昇当たりにおけるオッズ比は、大腸がん0.92(95%信頼区間:0.76~1.10)、乳がん1.05(0.89~1.24)、前立腺がん0.89(0.77~1.02)、肺がん1.03(0.87~1.23)であった。この結果は、その他2つの解析アプローチの結果と一致していた。なお、試験の相対的効果サイズの検出力は中程度であった(たとえば、大部分の主要がんアウトカムについて、25(OH)Dの25nmol/L低下当たりのオッズ比は1.20~1.25であった)。 著者は、「これらの結果は、既報文献と合わせて、がん予防戦略として、ビタミンD不足の広範な集団スクリーニングとその後の広範にわたるビタミンDサプリメントの推奨をすべきではないとのエビデンスを提供するものであった」とまとめている。

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アストラゼネカ、epacadostatのIncyte社と肺がん臨床試験で連携

 AstraZeneca(本社:英国ロンドン、CEO:Pascal Soriot)と同社のグローバルバイオ医薬品研究開発部門MedImmuneは2017年10月31日、Incyte社(本社:米国デラウェア州、CEO:Herve Hoppenot)との共同臨床開発を拡大すると発表した。 本契約の一環として両社は、同時化学放射線療法(CCRT)後に病勢進行が認められなかった切除不能の局所進行(Stage III)NSCLC患者を対象とする第III相試験を実施。アストラゼネカの抗PD-L1抗体durvalumabとIncyte社のIDO1酵素阻薬epacadostatの併用とdurvalumab単剤との有効性および安全性を評価する。患者登録は、2018年上半期から開始予定。 Stage III肺がんはNSCLCの罹患数の約3分の1を占めており、2016年には上位7ヵ国において約10万5,000人が罹患したと推定される。これらの患者の70%超は切除不能である。現在の標準治療はCCRTで、その後は進行の有無について注意深い経過観察が行われる。予後は依然として不良であり、長期生存率は低率である。 epacadostatは、開発中の強力かつ選択的なIDO1酵素の経口阻害薬。すでに、切除不能または転移メラノーマ、NSCLC、肝細胞がん、頭頸部扁平上皮がん、および膀胱がん患者を対象とする単群試験により、epacadostatと免疫チェックポイント阻害剤の併用療法の概念実証(Proof-of-Concept)が示されている。これらの試験において、CTLA-4阻害薬イピリムマブもしくはPD-1阻害薬ペムブロリズマブまたはニボルマブとepacadostatの併用療法は、免疫チェックポイント阻害剤単剤に比べて奏効率を改善することが示された。■参考AstraZeneca(グローバル)メディアリリース■関連記事epacadostat・ペムブロリズマブ併用で進行性メラノーマのPFSが12ヵ月に(ECHO-202試験)/ESMO2017

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dacomitinibによるEGFR変異肺がん1次治療のサブグループ解析:ARCHER 1050/WCLC2017

 ARCHER1050試験は、EGFR変異陽性進行非小細胞肺がん(NSCLC)患者の1次治療において第2世代EGFR-TKIのdacomitinibと第1世代TKIゲフィチニブを比較した第III相試験である。対象はStage IIIB~IVのEGFR変異陽性再発NSCLC患者452例で、主要評価項目はIRCレビューによる無増悪生存期間(PFS)、副次評価項目はIRCおよび治験担当医の評価による全生存期間および客観的奏効率(ORR)である。 既報では、IRC評価のPFSは、dacomitinib群14.7ヵ月に対し、ゲフィチニブ群9.2ヵ月と、dacomitinib群で有意に延長している(p<0.0001)。横浜で開催された第18回世界肺癌学会(WCLC)では、EGFR変異サブタイプによって層別化した前向きサブグループ解析の結果を、中国・Guangdong Lung Cancer InstituteのYi-Long Wu氏が発表した。 結果、exon19delにおけるPFSはdacomitinib群16.5ヵ月(11.3~18.4)、ゲフィチニブ群9.2ヵ月(9.1~11.0)と、dacomitinib群で有意に長かった(HR:0.55、95%CI:0.41~0.75、p<0.0001)。ORRはdacomitinib群76.1%(68.0~83.1)、ゲフィチニブ群69.9%(61.4~77.6)であった(p=0.1271)。奏効期間(DOR)はdacomitinib群15.6ヵ月(13.1~19.6)、ゲフィチニブ群8.3ヵ月(7.9~10.1)と、dacomitinib群で有意に長かった(HR:0.454、95%CI:0.319~0.645)、p<0.0001)。 L858R変異におけるPFSはdacomitinib群12.3ヵ月(9.2~16.0)、ゲフィチニブ群9.8ヵ月(7.6~11.1)、とdacomitinib群で有意に長かった(HR:0.63、95%CI:0.44~0.88、p=0.0034)。ORRはdacomitinib群73.1%(62.9~81.8)、ゲフィチニブ群73.9%(63.7~82.5)であった(p=0.5487)。DORはdacomitinib群13.7ヵ月(9.2~17.4)、ゲフィチニブ群7.5ヵ月(6.5~10.2)と、dacomitinib群で有意に長かった(HR:0.403、95%CI:0.267~0.607、p<0.0001)。■参考ARCHER1050試験(Clinical Trials.gov)■関連記事dacomitinib、EGFR変異陽性肺がん1次治療の成績発表:ARCHER1050試験/ASCO2017

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日本初の抗PD-L1抗体アベルマブ、他の抗体との違いも

 抗PD-L1抗体として日本で初めて、アベルマブ(商品名:バベンチオ)が9月27日に承認された。アベルマブは、今回承認されたメルケル細胞がん(MCC)以外に、胃がん、非小細胞肺がん、頭頸部がん、腎細胞がん、尿路上皮がん、リンパ腫、固形がんに対して、国内で臨床試験を実施している。11月6日、共同開発を進めるメルクセローノ株式会社とファイザー株式会社によるプレスセミナーが開催され、西川 博嘉氏(国立がん研究センター研究所腫瘍免疫研究分野/先端医療開発センター免疫トランスレーショナルリサーチ分野 分野長)と山﨑 直也氏(国立がん研究センター中央病院皮膚腫瘍科 科長)が講演した。アベルマブは他の抗PD-L1抗体にはないプラスαがある可能性 抗PD-L1抗体と抗PD-1抗体の抗腫瘍効果は、T細胞活性化を調節する免疫チェックポイント経路の1つであるPD-L1/PD-1経路の阻害による。がん細胞は免疫から逃れるために、PD-L1を発現しT細胞のPD-1に結合することによって、T細胞活性化を抑制する。そこで、抗PD-L1抗体はがん細胞のPD-L1に、抗PD-1抗体はT細胞のPD-1に結合することによって、PD-L1 とPD-1の結合を阻害してT細胞を活性化し、抗腫瘍効果を発揮する。 抗PD-1抗体としては、すでにニボルマブとペムブロリズマブが承認されているが、抗PD-L1抗体ではアベルマブが国内で初めて承認された。現在、アベルマブ以外の抗PD-L1抗体はatezolizumab、durvalumabが開発されているが、西川氏によると、アベルマブは他の2剤とは異なるという。すなわち、アベルマブはヒト化IgG1抗PD-L1モノクローナル抗体(他の2剤はIgG4)であり、がん細胞のPD-L1に結合したアベルマブに、NK細胞やマクロファージのFc受容体が結合することによってがん細胞を直接攻撃するADCC(抗体依存性細胞傷害)活性があることがマウスで認められているという。西川氏は「このようなプラスαの作用があることがヒトではいいのかどうか、今後の臨床データ次第ではあるが注目すべき点だ」と述べた。アベルマブは標準治療がなかったMCCに対する初めての治療薬 今回承認されたMCCは、米国では2006年の新規患者が約1,600人で、10年で2倍に増加している。わが国の年間新規患者は100人前後と推定され、山﨑氏によると「国立がん研究センターにおける今年の新規患者は月に1人くらい」だという。 MCCは悪性度の高い皮膚がんの1つで、遠隔転移症例では1~2年以内に死亡する。進行期における標準治療は確立されておらず、従来の化学療法(プラチナ製剤±エトポシド)による1次治療の奏効率は55%である。しかし、いったん小さくなってもすぐに無効となるため、奏効期間(DOR)中央値は約3ヵ月で非常に短かったと山﨑氏は説明した。一方、アベルマブによる臨床試験成績は、転移MCCに対する1次治療のコホートの中間解析時の奏効率が62.5%、2次治療以降のコホートでは、奏効率31.8%、6ヵ月奏効持続率93%、12ヵ月奏効持続率74%と、効果が持続することを強調した。 山﨑氏はアベルマブを「進行が速く予後不良ながんでありながら承認薬剤がなかったMCCに初めて標準治療薬が承認され、その効果も高い」と評価し、さらに今後、術後再発予防として使用できる可能性についても期待を示した。

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