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NSCLC患者ががん治療に対し望むこと

 自分が受けているがん治療に対し、患者は何を望み、どのように考え、どんな情報を求めているのだろうか。 日本ベーリンガーインゲルハイム株式会社は、「非小細胞肺がん(NSCLC)患者さんにおける治療選択に関する意識調査」を実施し、その結果を2019年5月9日に発表した。 本調査は、2018年12月13~16日に、NSCLC治療経験のある患者(現在薬物治療中または薬物治療終了から1年未満)139例を対象に、がん情報サイト「オンコロ」にてアンケート形式で実施された。 主な結果は以下のとおり。・がん治療を行ううえで望むことは「生存期間が延びること(28.8%)」が最も多く、次いで「進行/再発しない期間が延びること(23.7%)」「これまでと変わらない生活ができること(23.7%)」だった。・薬剤を選ぶに当たり参考にした情報は「主治医の説明(85.6%)」が最も多く、次いで「患者さんが書いているブログ(36.0%)」「学会からの情報(ガイドライン等)(32.4%)」だった。・患者の41.7%は「薬剤による効果の差」について説明を受け、そのうち「生存期間」について説明を受けた患者は22%に留まった。・「二次治療で使う薬剤について」説明を受けた患者は30.2%だった。・初回の薬物治療開始時に先生から受けた説明の満足度を聞いたところ、37.5%の患者が、「どちらとも言えない」「あまり満足していない」「満足していない」と回答した。選択した理由として、「説明不足だと感じた」「選択肢が無いように思えた」「知識がなく質問などができなかった」などの回答が得られた。・薬剤を投与できる可能性が何%であっても再生検(遺伝子検査)を受けたいと回答した患者が70.5%にのぼり、陰性であった場合でも繰り返し検査を受けたいという意向を持つ患者は73.4%だった。・87.6%がリアルワールドデータを参考にしたいと回答し、96.4%の患者が自分のデータを進んで活用してもらいたいと回答した。「活用してもらいたいと思わない」と回答した患者はいなかった。 本調査結果を受けて、小林 国彦氏(埼玉医科大学リサーチアドミニストレーションセンター 教授)は「この調査からQOLを保ちつつ長期生存を望む患者さんの姿が明らかになった。また、初回治療だけではなく、二次治療も含めた治療の全体像を説明してもらいたいという様子が伺える。とくに重要な情報源は医師からの情報だが、十分な説明がされていないと感じている患者さんも少なくなく、医師と患者さんのコミュニケーションギャップが見てとれるため、一人ひとりの希望を聞きながら患者さんと一緒に治療選択を進めていく重要性が確認された」とコメントしている。■参考日本ベーリンガーインゲルハイム株式会社 プレスリリースがん情報サイト「オンコロ」

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高齢者NSCLCにおけるペムブロリズマブの成績/ELCC2019

 ペムブロリズマブの3つ無作為化比較試験KEYNOTE-010、024、042のプール解析の結果、高齢の非小細胞肺がん(NSCLC)患者では、ペムブロリズマブでの全生存期間が化学療法を有意に上回った。この研究は3件の臨床試験の高齢(75歳以上)患者264例と75歳未満の患者2,292例の結果を比較したもので、九州がんセンターの野崎 要氏らが欧州肺癌学会(European Lung Cancer Congress 2019)で発表した。対象患者はPD-L1(TPS)1%以上であり、高齢患者の半数はPD-L1(TPS)50%以上であった。 主な結果は以下のとおり。・PD-L1(TPS)1%以上の高齢患者における化学療法群と比較したペムブロリズマブ群の全生存期間(OS)のHRは0.76(95%CI:0.56~1.02)であった。 ・PD-L1(TPS)50%以上の高齢者のOSにおいてもペムブロリズマブ群が化学療法群に比べ改善した(HR:0.41、95%CI:0.23~0.73)。・高齢患者と若年者を比較した1年OS率は、PD-L1 (TPS)1%で53.7%対54.9%、PD-L1 (TPS)50%以上で61.7%対61.7%と、共に同程度であった。・ペムブロリズマブ群高齢患者の治療関連有害事象(TRAE)の頻度は、化学療法群に比べ少なかった(68%対94%)。Grade3~5のTRAEも、ペムブロリズマブ群で少なかった(24%対61%)。・高齢患者における免疫関連有害事象およびインフュージョンリアクションはペムブロリズマブ群で多くみられた(25%対7%)ものの、その頻度は若年者と同様であった(25%)。

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がんゲノム医療の今

 手術や放射線治療では根治できないと判断された進行固形がんにおけるがん薬物療法は、正常細胞とがん細胞との“生物学的な違い”をターゲットにする「分子標的薬」や「免疫チェックポイント阻害薬」が主流になりつつある。わが国におけるがんゲノム医療の現状は、どのようになっているのだろうか。 2019年4月、中外製薬株式会社が「第1回 がんゲノム医療に関する基礎メディアセミナー」を都内にて開催した。そこで、土原 一哉氏(国立がん研究センター 先端医療開発センター トランスレーショナルインフォマティクス分野 分野長)が講演を行った。米国に引けを取らないがん遺伝子検査 従来のがん薬物療法は、がん種を診断した後、そのがんに承認されている薬を使っていく形式だが、将来的には治療前に遺伝子診断を行うことで、患者さんにとって最もメリットの高い治療が効率的に選ばれる時代になることが期待されている。 ヒトゲノムの解析コストは、次世代シーケンサーの登場とともに劇的に低下しているが、全ゲノムシークエンスを実臨床に用いるには、解析結果から変異を抽出する作業やクオリティコントロールに高いコストがかかるため、もう少し時間がかかると言われている。検査の効率化を目指して、任意のゲノムを選択的に読み取るターゲットシークエンスや全エクソンシークエンスなども並行して開発が進んでおり、治療の選択に必要なバイオマーカーの研究も進展している。 「“日本のゲノム医療は米国と比較して遅れている”と言われる傾向にあるが、米国が承認したがん関連遺伝子検査は日本でも1年以内に承認されており、現在わが国で全国的に使えるものに関しては、日米でそれほど大きな差はない」と土原氏は説明した。整備されるがんゲノム医療の実施体制 わが国におけるがんゲノム医療の実施体制は整えられつつあり、2019年4月現在、全国に「がんゲノム医療中核拠点病院」が11ヵ所、「がんゲノム医療連携病院」が156ヵ所設置されている。中核拠点病院は、がんゲノム医療を牽引する高度な機能を有する医療機関として、連携病院は、中核拠点病院と連携して遺伝子検査結果を踏まえた医療を実施する医療機関として、国が指定した。 これにより、均てん化されたがんゲノム医療の提供が可能になり、質の高い遺伝子検査や公的保険の整備、説明・同意手順の標準化による患者保護などの、がんゲノム医療のベストプラクティスが目指されている。また、「がんゲノム情報管理センター」が国立がん研究センター内に設置され、中核拠点病院などから得られたゲノム情報や臨床情報をデータベースとして集約し、今後の診療や研究開発に役立てることが目標とされている。がんゲノム医療は拡大しつつあるが、まずは安全性が第一 従来から、エビデンスに基づいた承認薬によるがんゲノム医療は全国の保険医療機関で実施されており、最近は「遺伝子プロファイル検査」の導入も検討されるようになった。これは、中核拠点病院などで実施された患者の遺伝子検査結果などをもとに、専門家会議で総合的に判断し、医学的に効果が期待できる未承認薬を臨床試験や適応外使用として考慮するというもので、今後の適応拡大への足掛かりとして位置付けられている。 がん治療において、結果的に治療薬の効果が得られなかった場合、身体への侵襲性やコストなどを考えると、患者にとって非常にデメリットが大きい。医療経済的な側面を考えても、今後そういったミスマッチを減らしていくのは大きなポイントだという。 同氏は「新しい薬を使う際、その薬が効くか効かないかより、安全性が担保されているのか、予期せぬ副作用への対処法が確立されているのかをまず確認しなければならない。新しい薬の使い方は、わが国の医療全体で確立していくべき。これは、ゲノム解析だけでは解決できない」と慎重な姿勢を示した。がんゲノム医療の情報を医療機関で制御することも必要 1回の検査で複数の変異遺伝子を調査できる「がん遺伝子パネル検査」は、現在薬事承認の段階で、今年度中の保険適用が目指されている。2017年には日本臨床腫瘍学会・日本癌治療学会・日本癌学会が合同で『次世代シークエンサー等を用いた遺伝子パネル検査に基づくがん診療ガイダンス(第1.0版)』を発刊した。しかし、本ガイダンスは遺伝子パネル検査が先進医療として認められる前に発刊されたため、現場での経験などを踏まえ、より使いやすいよう今年度に改訂予定だという。 「現在は、最先端医療を支えるための体制として、まず仕組みを作った段階。ゲノム医療についてTVなどで報道されると、医療現場にはさまざまな質問が寄せられる。患者が情報に溺れないよう、医療者側は正しい認識を持ち、患者に方向性を示すことも必要」と呼びかけた。がんゲノム医療の今後の課題はすでに見えてきている 遺伝子異常の“臨床的意義付け”に関する情報は日々更新されており、3ヵ月前の情報はすでに古くなっている可能性がある。診断をする際、最新の情報にどうアクセスするか、さらに、検査結果を伝えた後の患者などに、その情報をどう伝えていくかなどの方法を今後検討していく必要がある。 より確実な治療効果を予測するためには、多数例のゲノム情報と治療効果を含む臨床情報の集積が求められる。新しい技術をどれだけ早くコストをかけずに実現するのかはがんゲノム医療の当面の課題だが、研究と臨床のインターバルは短くなってきており、現在研究中の技術が実臨床に移るのはそう遠くない未来と考えられている。 同氏は「保険診療などの堅牢な規制と先進医療などの柔らかな規制を組み合わせて、より柔軟な枠組みが必要。新しい技術については、費用対効果の検証をどれだけ早く系統的に行うかなど、課題はひとつひとつ解決していかなくてはならないが、現段階においては安全性が最優先であることを念頭に置いてほしい。また、患者にはゲノム医療がすべての人に効果があるわけではないことをあらかじめ理解してもらう必要がある。医療者側は常に最新情報のアップデートをしていってほしい」と講演を締めくくった。

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英国で食品中の砂糖20%削減へ、関連疾患は抑制されるか/BMJ

 2017年3月、英国政府は、食品製造および小売業界との協働で、シリアルや菓子類など特定の食品群の砂糖含有量を2020年までに20%削減する計画を発表した。イングランド公衆衛生庁(Public Health England)は、砂糖摂取目標を1日摂取カロリーの5%までとすることで摂取カロリーを11%削減し、これによって年間砂糖関連死を4,700件減らし、医療費を年間5億7,600万ポンド抑制するとのモデルを打ち出した。今回、同国オックスフォード大学のBen Amies-Cull氏らは、砂糖減量計画の潜在的な健康上の有益性について予測評価を行い、BMJ誌2019年4月17日号で報告した。砂糖減量計画の肥満、疾病負担、医療費への影響を検討 研究グループは、英国政府による砂糖減量計画が子供および成人の肥満、成人の疾病負担、医療費に及ぼす影響の予測を目的にモデル化研究を行った(特定の研究助成は受けていない)。 全国食事栄養調査(National Diet and Nutrition Survey:NDNS)の2012~13年度と2013~14年度におけるイングランドの食品消費と栄養素含有量データを用いてシミュレーションを行い、砂糖減量計画によって達成される体重およびBMIの潜在的な変化を予測するシナリオをモデル化した。 シナリオ分析は、個々の製品に含まれる砂糖の量の20%削減(低砂糖含有量製品へ組成を変更または販売の重点の転換[砂糖含有量の多い製品から少ない製品へ])または製品の1人前分量の20%削減について行った。イングランドに居住する4~80歳のNDNS調査対象者1,508例のデータを用いた。 主要アウトカムは、子供と成人の摂取カロリー、体重、BMIの変化とした。成人では、質調整生存年(QALY)および医療費への影響などの評価を行った。10年で、糖尿病が15万4,550例減少、総医療費は2億8,580万ポンド削減 砂糖減量計画が完全に達成され、予定された砂糖の減量がもたらされた場合、1日摂取カロリー(1kcal=4.18kJ=0.00418MJ)は、4~10歳で25kcal(95%信頼区間[CI]:23~26)低下し、11~18歳も同じく25kcal(24~28)、19~80歳では19kcal(17~20)低下すると推定された。 介入の前後で、体重は4~10歳で女児が0.26kg、男児は0.28kg減少し、これによってBMIはそれぞれ0.17、0.18低下すると予測された。同様に、11~18歳の体重は女児が0.25kg、男児は0.31kg減少し、BMIはそれぞれ0.10、0.11低下した。また、19~80歳の体重は女性が1.77kg、男性は1.51kg減少し、BMIは0.67、0.51低下した。 全体の肥満者の割合は、ベースラインと比較して、4~10歳で5.5%減少し、11~18歳で2.2%、19~80歳では5.5%減少すると予測された。 QALYについては、10年間に、女性で2万7,855 QALY(95%不確定区間[UI]:2万4,573~3万873)、男性では2万3,874 QALY(2万1,194~2万6,369)延長し、合わせて5万1,729 QALY(4万5,768~5万7,242)の改善が得られると推算された。 疾患別のQALY改善への影響は、糖尿病が圧倒的に大きく、10年間に女性で8万9,571例(95%UI:7万6,925~10万1,081)、男性で6万4,979例(5万5,698~7万3,523)、合計15万4,550例(13万2,623~17万4,604)が減少すると予測された。また、10年で大腸がんが5,793例、肝硬変が5,602例、心血管疾患は3,511例減少するが、肺がんと胃がんの患者はわずかに増加した。総医療費は、10年間に2億8,580万ポンド(3億3,250万ユーロ、3億7,350万米ドル、95%UI:2億4,970万~3億1,980万ポンド)削減されると推定された。 3つの砂糖減量アプローチ(製品組成の変更、1人前分量の削減、販売の重点の転換)のうち、1つで摂取カロリー削減に成功しなかった場合、疾病予防への影響が減衰し、健康上の有益性が容易に失われる可能性が示唆された。 著者は、「英国政府による砂糖減量計画では、砂糖の量および1人前の分量の削減が、摂食パターンや製品組成に予期せぬ変化をもたらさない限り、肥満および肥満関連疾患の負担の軽減が可能と考えられる」としている。

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低線量CTの肺がんスクリーニング、5年以上実施で10年生存が改善/Ann Oncol

 肺がんスクリーニングは肺がん死を減少するのか。National Lung Screening Trial(NLST)では、低線量CTによる年1回3年間の肺がんスクリーニングが肺がん死を減少させたことが示されている。イタリア・Foundation IRCCS国立がん研究所のUgo Pastorino氏らは、低線量CTによるさらに長期のスクリーニングについて評価する前向き無作為化臨床試験「Multicentric Italian Lung Detection:MILD試験」を行った。その結果、5年を超える長期スクリーニングは、NLST研究と比較し、早期発見のベネフィットの増強が可能であり、全死亡および肺がん死を大きく減少できる可能性が認められたという。Annals of Oncology誌オンライン版2019年4月1日号掲載の報告。 研究グループは、49~75歳の喫煙歴のある試験参加希望者4,099例を、低線量CTによるスクリーニングを実施する介入群(2,376例)と、実施しない対照群(1,723例)に無作為に割り付けた。介入群ではさらに、年1回群(1,190例)と隔年群(1,186例)に無作為に割り付け、中央値で6年間のスクリーニングを実施した。 主要評価項目は、10年間の全死亡および肺がん特異的死亡であった。低線量CTによるスクリーニングの長期効果を検討するため、最初の5年間における肺がん発症および死亡を除外したランドマーク分析を行った。 主な結果は以下のとおり。・2005~18年までに、3万9,293人年の追跡調査が行われた。・介入群では対照群と比較し、10年で肺がん死亡リスクが39%減少し(HR:0.61、95%CI:0.39~0.95)、全死亡リスクが20%減少した(HR:0.80、95%CI:0.62~1.03)。・低線量CTのベネフィットは、5年目以降のスクリーニングも改善した。肺がん死亡リスクは58%減少(HR:0.42、95%CI:0.22~0.79)、全死亡リスクも32%減少した(HR:0.68、95%CI:0.49~0.94)。

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がん診断時から発現、抗がん剤が効かない。シリーズがん悪液質(2)【Oncologyインタビュー】第6回

がん患者の強力な予後因子である悪液質。十分に解明されていなかったそのメカニズムが明らかになりつつある。悪液質の機序や治療への影響といった最新かつ基本的な情報について、日本がんサポーティブケア学会 Cachexia部会部会長である京都府立医科大学 医学研究科 呼吸器内科学の髙山 浩一氏に聞いた。悪液質の症状はいつごろから起こっているのでしょうか。がん患者さんの一部には体重減少を主訴として受診される方がいます。全国で406例の進行非小細胞肺がん患者を登録し、1年間の前向き観察をした研究(TORG0912研究)では、初診の段階で6ヵ月以内に5%以上の体重減少という悪液質の基準を満たしていた患者さんは、体重経過が不明な方が多い中、全体で7%おられました。この試験では、食欲不振、体重減少、握力(筋力)、疲労感の4つが強く関連しており、がん悪液質を構成する因子と思われます。どれが最初に起こるかは不明ですが、いずれにせよ予想以上に早い段階から悪液質の症状が発現していると考えられます。悪液質というとエンドステージの印象がありますが、そうではないのですね。進行期のがん患者の多くが、前悪液質(Pre Cachexia)の状態にあるといっても良いでしょう。EPCRCのコンセンサスでも前悪液質からの早期介入の必要性を推奨しています。この段階から食欲や体重の変化に注意しておけば悪液質の進行に早めに気づくことができると思います。がん悪液質を合併すると予後が悪くなるということですが、実際にはどうなのでしょうか。悪液質の主たる徴候である体重減少は、強力な予後因子であることがはっきりしています。前出のTORG0912研究では、体重減少の程度によって均等に4群(BMI減少2.3%以下、2.3~6.1%、6.1~10.9%、10.9%超)に分けた結果、体重減少が大きいほど、明確に生存期間が短くなっていきます。この中で、悪液質の定義に当てはまるグループ3と4(体重減少6.1~10.9%、10.9%超)を見ると、最も体重減少が低い群に比べ有意に生存期間が短くなっています。また、悪液質はがん治療にも影響を及ぼします。抗がん剤はPSが良好であるほど効果が表れやすく、副作用が起こりにくいのです。逆に、PSが悪いと効果が表れにくく、副作用が出やすくなります。PSは体重と同じく強力な予後因子です。PSの低下は筋肉量の減少と関連します。悪液質は骨格筋量が低下しますので、PS低下と直結しています。つまり、悪液質では、同じ量の抗がん剤を使っても効果は出にくく、副作用が出やすくなると考えられ、治療の側面からも予後を悪化させてしまう可能性が大きいと思います。がん患者さんではさまざまな要因で体重減少がみられますが、悪液質の実臨床での鑑別はどのようにすべきですか。抗がん剤治療は食欲不振や体重減少を来します。短期間で回復する体重減少や食欲不振については、まず治療の影響を考えます。体重が一旦減って時間と共に回復するという現象が繰り返されますが、がんの進行と共に、だんだん回復しなくなってきます。その段階では悪液質(Cachexia)への移行を考えます。さらに、食べても体重が減るという状況では不応性悪液質(Refractory Cachexia)への移行を考慮します。そうなる前に介入することが必要です。そもそも5%の体重減少を認識するには、ベースラインの体重を認識していることが必要ですので、今以上に体重に注意を払っていただければと思います。また、悪液質の治療において食事は非常に大きなファクターです。“食べても痩せてしまう”より前に、“食べられない”という状態の患者さんが多くおられます。最近は、抗がん剤治療患者用の特別メニューを作っている病院が増えています。食事の総カロリーは少なくても、がん患者さんが“食べやすい”メニューであれば、結果として摂取カロリーが多くなります。学問的ではありませんが、食べられるということは、患者さんの生きる力になるという側面はあると思います。食事で栄養を摂取できることは、悪液質の進行を遅らせることにもつながると考えています。

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EGFR陽性MET増幅NSCLCに対するオシメルチニブとsavolitinib併用(TATTON)/AACR2019

 MET増幅は、EGRF変異陽性進行NSCLCのEGFR-TKIの獲得耐性の1つとして注目されている。savolitinibは高い親和性を持つ経口MET-TKIとして開発中の薬剤である。進行NSCLCを対象にした第Ib相オープンラベル多施設共同試験TATTONの中間解析として、EGFR変異陽性MET増幅患者に対するオシメルチニブとsavolitinibの併用治療の結果米国がん研究会議年次集会(AACR2019)で報告された。 オシメルチニブとsavolitinib併用のコホートは2つ。コホート1では第1世代または第2世代EGFR-TKI治療での進行患者が、コホート2では第3世代EGFR-TKI治療での進行患者がそれぞれ登録された。対象患者にはオシメルチニブ80mg/日とsavolitinib600mg/日が投与された。[コホート1]・46例が登録され、患者の年齢中央値は59歳、女性67%、アジア人80%であった。・頻度の高い(20%以上)有害事象(AE)は、悪心、下痢、疲労、食欲減退28%、発熱であった。Grade3以上のAE発現は43%であった。・客観的奏効率(ORR)は52%(すべてPR)。奏効持続期間(DoR)は7.1ヵ月であった。[コホート2]・48例の患者が登録され、患者の年齢中央値は59歳、男性56%、アジア人77%であった。・頻度の高い(20%以上)AEは、悪心、嘔吐、下痢、疲労、食欲不振、発熱。Grade3以上のAE発現は23%であった。・ORR)は28%(すべてPR)。奏効持続期間(DoR)は9.7ヵ月であった。■参考AACR 2019. Abstract(CT032)AACR 2019. Abstract(CT033)■関連記事EGFR-TKI耐性のNSCLCにおけるオシメルチニブ+savolitinibの成績:TATTON/WCLC2017

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NSCLCの1次治療としてのペムブロリズマブ単剤の適応をTPS≧1%に拡大/FDA

 米国食品医薬品局(FDA)は、2019年4月11日、外科的切除または根治的化学放射線療法の候補ではないStageIIIまたは転移のある、PD-L1(TPS)1%以上の非小細胞肺がん(NSCLC)の1次治療としてペムブロリズマブ(商品名:キイトルーダ)を承認した。この承認は1274例を対象に行われたKEYNOTE-042試験に基づくもの。 ペムブロリズマブ単剤投与の1次治療は従来、PD-L1(TPS)発現50%以上の転移を有するNSCLCに承認されていた。 KEYNOTE-042において患者は、ペムブロリズマブと化学療法(カルボプラチン+ペメトレキセドまたはパクリタキセル)に無作為に割り付けられ、ECOG PS、組織、地域、PD-L1発現(TPS≧50%対TPS 1~49%)によって層別化された。 主要評価項目はTPS≧50%、TPS≧20%、および全母集団(TPS≧1%)の全生存期間(OS)。この試験では、これらすべての集団においてペムブロリズマブ群で統計的に有意な改善を示した。 TPS≧1%の全母集団のOS中央値はペムブロリズマブ群および化学療法群でそれぞれ16.7および12.1ヵ月であった(HR 0.81、95%CI:0.71~0.93)。TPS≧20%サブグループのOS中央値はペムブロリズマブ群および化学療法群でそれぞれ17.7ヶ月および13.0ヶ月(HR 0.77、95%CI:0.64~0.92)。TPS≧50%サブグループのOS推定中央値は、ペムブロリズマブ群および化学療法群でそれぞれ20ヵ月および12.2ヵ月であった(HR 0.69、95%CI:0.56~0.85)。 KEYNOTE-042でペムブロリズマブ単剤投与群で多くみられる(10%以上)有害事象は、倦怠感、食欲減退、呼吸困難、咳、発疹、便秘、下痢、悪心、甲状腺機能低下症、肺炎、発熱、および体重減少であった。■関連記事PD-L1陽性肺がん1次治療におけるペムブロリズマブ単剤の効果(KEYNOTE-042)/Lancetペムブロリズマブ、非小細胞肺がん(PD-L1高発現)1次治療に承認/FDA

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抗核抗体陽性肺がんへのPD-1阻害薬治療、安全性と有効性

 肺がん患者へのPD-1阻害薬治療において、抗核抗体(ANA)発現の有無は生存に影響するのか。九州大学病院 呼吸器科の米嶋 康臣氏らが、進行非小細胞肺がん(NSCLC)患者83例を対象に安全性と有効性の検討を行った結果、自己免疫疾患の明らかな増悪はみられなかったが、ANA陽性患者生存予後は、ANA陰性患者と比べて有意に不良であったという。Lung Cancer誌2019年4月号掲載の報告。 研究グループは、進行NSCLC患者へのPD-1阻害薬の安全性および有効性に対するANAの潜在的影響を調べるため、PD-1阻害薬単独療法を受けた進行NSCLC患者について、ANAなど臨床データを後ろ向きに検討した。 主な結果は以下のとおり。・解析対象は83例で、そのうち18例(21.7%)がANA陽性であった。・免疫関連の有害事象(irAEs)の発現頻度は、ANA陽性群33.3%(6/18例)、ANA陰性群32.2%(21/65例)と、両群間で差はみられなかった。・ANA力価は、投与によって上昇する傾向がみられた。・無増悪生存期間はANA陽性群2.9ヵ月、ANA陰性群3.8ヵ月(p=0.03)、全生存期間はANA陽性群11.6ヵ月、ANA陰性群15.8ヵ月(p=0.03)と、どちらもANA陽性群で有意に不良であった。 著者は「ANA陽性の患者への投与は安全に行われたが、抗体価の上昇もあることから、厳密なモニタリングが必要である」とまとめている。

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低分子ヘパリンによるVTE予防は小細胞肺がんのOSを改善するか/Ann Oncol

 静脈血栓塞栓症(VTE)は、血液凝固活性化とともに悪性疾患の特徴であり、がん関連の死亡や疾患の主因となっている。スウェーデン・スコーネ大学病院のLars Ek氏らは、低分子量ヘパリン(LMWH)による凝固阻害が、VTEおよび腫瘍の進行を予防し小細胞肺がん(SCLC)患者の生存を改善するかについて、多施設共同無作為化非盲検臨床試験「RASTEN試験」を実施した。追跡期間中央値41ヵ月において、VTE発生率は有意に減少したが、全生存期間(OS)は改善しなかった。著者は、「SCLC患者の管理において、LMWHの追加は一般的には勧められていないが、がん患者におけるVTEおよびLMWH関連出血の予測バイオマーカーは必要である」とまとめている。Annals Oncology誌2018年2月号掲載の報告。 研究グループは、新規に診断されたSCLC患者390例を、標準治療にLMWHとしてエノキサパリン1mg/kgを併用する群と併用しない群に無作為に割り付けた。 主要評価項目はOS、副次評価項目は無増悪生存期間(PFS)、VTE発生率および出血性イベントとした(試験期間:2008年7月~2016年3月)。 主な結果は以下のとおり。・解析対象は377例。エノキサパリン併用群186例、非併用群191例であった。・OSは、エノキサパリン併用群10.6ヵ月、非併用群11.3ヵ月で、有意差は認められなかった(HR:1.11、95%CI:0.89~1.38、p=0.36)。・PFSも同様に、エノキサパリン併用による延長は認められなかった(HR:1.18、95%CI:0.95~1.46、p=0.14)・VTE発生率は、エノキサパリン併用群で有意に低下した(HR:0.31、95%CI:0.11~0.84、p=0.02)。・出血イベントは、エノキサパリン併用群で高頻度にみられたが、致死的出血は両群で発生した。

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食べられない、食べても痩せる…シリーズがん悪液質(1)【Oncologyインタビュー】第5回

がん患者の強力な予後因子である悪液質。十分に解明されていなかったそのメカニズムが明らかになりつつある。悪液質の機序や治療への影響といった最新かつ基本的な情報について、日本がんサポーティブケア学会 Cachexia部会部会長である京都府立医科大学 医学研究科 呼吸器内科学の髙山 浩一氏に聞いた。日本がんサポーティブケア学会には独立した悪液質部会がありますが、設立された背景を教えていただけますか。日本がんサポーティブケア学会では、がんに伴うさまざまな症状や副作用への支持療法に特化して各部会を立ち上げています。がん患者が痩せるのは、がんによる1つの症状です。そこに光を当てるべく、新たに悪液質を独立したカテゴリとして集中的に扱う部会にしました。その背景には、悪液質の病態が徐々に明らかになってきたこと、悪液質の基準がはっきりしてきたこと、それに伴う薬剤の開発が見えてきたという背景があります。がん患者における悪液質の合併頻度はどの程度なのでしょうか。がん患者が痩せるというのは昔から知られていたことですが、体重減少の頻度は、がんの種類によって異なります。最も多いのは消化器がんで、胃がんやすい臓がんでは80%を超えます。次いで多いのは肺がんの60%程度です。どちらも、かなり高い割合で合併します。現在の悪液質の定義について教えていただけますか。2011年、European Palliative Care Research Collaborative(EPCRC)は、がん悪液質の定義と診断基準のコンセンサスの中で、「通常の栄養サポートでは完全に回復することができず、進行性の機能障害に至る、骨格筋量の持続的な減少(脂肪量減少の有無に関わらず)を特徴とする多因子性の症候群」と定義しています。また、悪液質を前悪液質、悪液質、不応性悪液質の3つのステージに分類し、(1)過去6ヵ月間の体重減少5%以上(2)BMI 20未満では体重減少2%以上、(3)サルコペニアでは体重減少2%以上、これら(1)~(3)の3つのいずれかに該当するものを悪液質としています。また、前悪液質からの早期介入の必要性を推奨しています。CRPやアルブミン値に基づくグラスゴースコアなどもありますが、臨床で現実的に使うことを考えると、体重で決まるこのコンセンサスレポートが使いやすいと思います。がん悪液質のメカニズムが徐々に解明されつつあるとのことですが、現在わかってきたことを教えていただけますか。悪液質の本態として、がん細胞が自ら出している因子と、がんにより生じる全身炎症の結果、がん細胞周辺の正常組織が出している因子が、すべてタンパク質や脂肪の分解、食欲抑制という方向に働いて、痩せていくというメカニズムがわかってきました。がん細胞が自ら放出するタンパク質分解誘導因子(PIF)や脂質動員因子(LMF)などが、タンパク質を分解し骨格筋を減少させ、脂肪分解を促進します。がん細胞は、タンパク質や脂肪を分解することで出るアミノ酸やエネルギーなどを利用している可能性があります。また、がんによる全身性炎症は、がん細胞周辺の正常組織から炎症性サイトカイン(IL-1、IL-6、TNF-αなど)を放出させます。炎症性サイトカインは、食欲を抑制すると共にタンパク質分解と脂肪分解を促進します。また、肝臓の糖新生を亢進し、インスリン抵抗性を生じさせます。インスリン抵抗性があると糖が肝臓に取り込まれない、つまり頑張って食べても身にならないという状態になります。悪液質のきっかけとして、治療初期の抗がん剤による食欲低下で食べられなくなる。つまり、カロリー摂取ができなくなること、これが悪液質の引き金になっている可能性があると思います。1)日本がんサポーティブケア学会 がん悪液質ハンドブック

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がんゲノム解析と電カルの統合データが治療効果と関連/JAMA

 非小細胞肺がん(NSCLC)の患者を対象に、ルーチンの診療から得た電子健康記録(EHR)と網羅的ゲノム解析(CGP)をリンクしたデータが、治療選択などに有効であることが明らかにされた。遺伝子のドライバー変異と標的治療の有効性の関連や、遺伝子変異数(TMB)と抗PD-1/PD-L1療法反応性との関連などが確認されたという。米国企業Foundation MedicineのGaurav Singal氏らが、約2万9,000例のがん患者データベースの中から、NSCLC患者4,000例超について解析し明らかにしたもので、JAMA誌2019年4月9日号で発表した。今回の成果について著者は「ルーチンの診療に由来する臨床ゲノムデータベースの構築が可能であることを示すもので、オンコロジーにおけるこのようなアプローチを評価する、さらなる研究と発見があることを支持することが示された」とまとめている。 がんゲノミクスと患者の臨床アウトカムなどを探索的解析 研究グループは、米国内275ヵ所のがん診療外来患者2万8,998例について、EHR臨床データとCGPをリンクしたデータを基に試験を行った。2011年1月~2018年1月のデータが入手できたNSCLC患者4,064例のデータについて、がんゲノミクスと患者の臨床アウトカムを含む特徴との関連性を探索的に検証した。 具体的には、ドライバー変異を含む腫瘍CGP、TMB、EHRから得られた臨床的特徴と、全生存期間(OS)、治療を受けた期間、最大治療反応性(EHRの治療担当医による記録で確認)、治療の臨床的有効性(安定[SD]、部分奏効[PR]、完全奏効[CR]の患者割合)の関連を調べた。ドライバー変異、標的治療で生存期間7ヵ月超延長 NSCLC患者4,064例の年齢中央値は66.0歳、女性の割合は51.9%、喫煙歴ありは3,183例(78.3%)だった。3,153例(77.6%)が非扁平上皮NSCLCで、EGFR、ALK、ROS1に遺伝子変異が認められたのは、それぞれ701例(17.2%)、128例(3.1%)、42例(1.0%)だった。また、7年間で1,946例が死亡した。 ドライバー変異患者のうち、標的治療を受けた575例は受けなかった560例に比べ、OSが改善し、進行が診断されてからの生存期間中央値はそれぞれ18.6ヵ月(95%信頼区間[CI]:15.2~21.7)、11.4ヵ月(9.7~12.5)だった(p<0.001)。 TMBは、喫煙者が8.7(IQR:4.4~14.8)と、非喫煙者の2.6(1.7~5.2)より有意に高かった(p<0.001)。また遺伝子変異のある人が、ない人に比べ有意に低く、EGFRに関しては変異あり群3.5(1.76~6.1)vs.なし群7.8(3.5~13.9)(p<0.001)、ALKは同2.1(0.9~4.0)vs.7.0(3.5~13.0)(p<0.001)、RETは4.6(1.7~8.7)vs.7.0(2.6~13.0)(p=0.004)、ROS1は4.0(1.2~9.6)vs.7.0(2.6~13.0)(p=0.03)だった。 抗PD-1/PD-L1療法を行った1,290例(31.7%)についてみると、TMB値が20以上群は20/Mb未満群に比べOSが延長し(16.8ヵ月[95%CI:11.6~24.9]vs.8.5ヵ月[7.6~9.7]、p<0.001)、長期間治療を受けていた(7.8ヵ月[5.5~11.1]vs.3.3ヵ月[2.8~3.7]、p<0.001)。臨床的有効となった患者割合も高率だった(80.7% vs.56.7%、p<0.001)。

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ペットと肺がん死亡率に意外な関連

 わが国でもペットを飼っている人は多く、ここ数年はネコがイヌを上回っている。今回、米国ジョージアサザン大学のAtin Adhikari氏らは、米国の全国コホートにおける18年間の追跡調査で、ネコを飼っている女性は飼っていない女性に比べ、肺がん死亡率が2.85倍と有意に高かったことを報告した。ペットによるこの影響は、喫煙やアトピー性疾患の交絡によって説明されないという。Environmental Research誌2019年2月25日号に掲載。 この研究の対象は、1988~94年の米国国民健康栄養調査(National Health and Nutrition Examination Survey:NHANES)IIIにおいて、ペット所有に関する質問に回答した19歳以上の1万3,725人で、2010年12月31日まで追跡調査を行った。 主な結果は以下のとおり。・対象者の約43%がペットを飼っており、20.4%がネコ、4.6%が鳥を飼っていた。・18万3,094人年(unweighted)の追跡期間中に肺がんで213人死亡し、肺がん特異的死亡率は1,000人年当たり1.00であった。・喫煙・飲酒・身体活動・BMI・アトピー性疾患歴・血清中コチニンについて調整後、女性では、ペット所有者は非所有者に比べて、肺がん死亡率が2倍以上であった(ハザード比[HR]:2.31、95%信頼区間:1.41~3.79)。ペット別のHRは、ネコが2.85(1.62~5.01)、鳥が2.67(0.68~10.5)、イヌが1.01(0.57~1.77)で、ネコおよび鳥の所有がこの関連に大きく起因していた。・男性では、ペットの有無やペットの種類にかかわらず、有意な関連はみられなかった。

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EGFR変異肺がん1次治療におけるエルロチニブ+ベバシズマブの効果(NEJ026)/Lancet Oncol

 StageIVのEGFR変異陽性非小細胞肺がん(NSCLC)ではEGFR-TKIが標準療法であるが、1年程度で半数に耐性が起こる。そのため、さまざまな併用療法が試みられている。NEJ026はASCO2018で発表されたEGFR変異陽性NSCLCの1次治療に対するエルロチニブとベバシズマブの併用をエルロチニブ単剤と比較した第III相試験であるが、その中間解析の結果がLancet Oncology誌2019年4月8日号で発表された。・対象:化学療法歴のないStageIIIB~IVまたは再発のEGFR変異陽性NSCLC患者(PS 0~2)。・試験薬:ベバシズマブ3週ごと投与+エルロチニブ連日投与群(BE群)・対象薬:エルロチニブ単独連日投与群(E群)・主要評価項目:[主要評価項目]PFS、[副次評価項目]全生存期間(OS)、客観的奏効率(ORR)、病勢制御率(DCR)、奏効期間、安全性、QOLであった。 主な結果は以下のとおり。・228例の患者が登録され、BE群とE群に無作為に割り付けられた。(ともにn=114)。・追跡期間の中央値は12.4ヵ月であった。・主要評価項目であるPFS中央値は、BE群が16.9ヵ月(14.2~21.0ヵ月)、E群が13.3ヵ月(11.1~15.3ヵ月)で、BE群で有意な延長効果が確認された(HR:0.605、95%CI:0.417~0.877、p=0.016)。・副次評価項目のうち、ORRはBE群72%、E群66%、DCRはBE群95%、E群96%で両群間に有意差はなかった。・Grade3以上の有害事象発現率は、BE群88%、E群46%であった。■関連記事EGFR変異肺がんにおけるエルロチニブ・ベバシズマブ併用第III相試験(NEJ026)/ASCO2018

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がん患者の深部静脈血栓症、再発率は2倍以上/日本循環器学会

 がんは深部静脈血栓症(VTE)の強力なリスク因子である。がん患者のVTE発症頻度は非がん患者に比べ高く、その発症率は近年増加している。しかし、がん関連VTEに関する研究は十分ではなく、適切な管理については明らかになっていない。天理よろづ相談所病院 循環器内科 坂本二郎氏らは、がん関連VTEの臨床的な特徴、管理、臨床的転帰をリアルワールドで評価する多施設後ろ向きコホート研究COMMAND-VTEレジストリを行い、その結果を第83回日本循環器学会学術集会で発表した。 COMMAND-VTEレジストリは、2010年1月~2014年8月、わが国の29施設において行われた。VTE疑い患者1万9,634例のうち、分析対象となった急性症候性VTE患者は3,027例であった。 全コホートをActive cancer群(がん治療中患者、手術施行予定患者、転移患者、終末期患者)695例、がん既往歴あり群243例、がん既往歴なし群2,089例の3つに分けて比較した。 主な結果は以下のとおり。・Active cancer群は他の2群に比べ、年齢が低く66.5歳であった。また重篤な出血(10%)、貧血の既往(76%)が他の2群に比べ高かった。・抗凝固薬累積中止率(1年間)はActive cancer群で最も高く44%、がん既往歴あり群、がん既往歴なし群はともに27.0%であった。・症候性VTE累積再発率(1年間)はActive cancer群で最も高く12%。がん既往歴あり群/なし群ではそれぞれ5%/3%であった。・重篤な出血累積発生率(1年間)はActive cancer群で最も高く15%。がん既往歴あり群/なし群ではそれぞれ6%/5%であった。・ワルファリンのコントロール指標である至適範囲内時間(TTR)はActive cancer群で最も低く61%。がん既往歴あり群/なし群ではそれぞれ67%/76%であった。・総死亡はActive cancer群で最も高く50%。がん既往歴あり群/なし群ではそれぞれ12%/6%であった。 Active cancer(がん治療中患者、手術施行予定患者、転移患者、終末期患者)はVTEの再発、重篤な出血、総死亡に関する予後不良因子であった。また、Active cancer群では抗凝固薬の投与中止が頻繁で、ワルファリンのコントロールも不良であった。

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がん患者の食欲不振にnabiloneが有効?

 カンナビノイドに由来する薬剤(nabiloneなど)は近年、食欲不振の改善効果があることが認められたが、がん患者の食欲不振の改善にも有効なのか。メキシコ・国立がん研究所のJenny G. Turcott氏らは、肺がん患者を対象にnabiloneの有効性を検討する、無作為化二重盲検プラセボ対照第II相臨床試験を行い、「nabiloneは食欲不振のがん患者に対する支持療法の選択肢となりうる」ことを示した。「肺がん患者における有効性を結論付けるために、さらなる大規模臨床試験を行う必要がある」とまとめている。進行肺がん患者では、半数以上が食欲不振を経験する。その高い発生率に加えて、がん誘発性食欲不振は臨床転帰不良と関連する食欲不振-悪液質症候群の発症を助長することが問題視されている。Supportive Care in Cancer誌2018年9月号掲載の報告。 研究グループは、メキシコの国立がん研究所において、進行非小細胞肺がんの外来患者を対象に、食欲、栄養状態およびQOLに対するnabiloneの有効性を検証する無作為化二重盲検プラセボ対照比較臨床試験を行った。 65例について適格性を評価し、47例がnabilone群またはプラセボ群に無作為に割り付けられた。最初の2週間は0.5mg/日、その後は1mg/日に増量して6週間投与した。 主な結果は以下のとおり。・8週後、nabilone群はプラセボ群と比較してカロリー摂取量が増加し(342kcal)、炭水化物摂取量が有意に高かった(64g、p=0.040)。・QOLについては、nabilone群では有意に改善したが(役割機能p=0.030、感情機能p=0.018、社会的機能p=0.036、疼痛p=0.06、不眠p=0.020)、プラセボ群では有意な変化は観察されなかった。

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がん終末期は減薬を/Cancer

 がん終末期における予防薬の投与はいつまで行われているのか。スウェーデン・カロリンスカ研究所のLucas Morin氏らは、高齢の進行がん患者における降圧薬、抗血小板薬、抗凝固薬、スタチン、経口糖尿病薬などの予防薬の継続について調査を行い、これらは死亡前1年間においても処方され、しばしば最後の数週間まで続けられていたことを明らかにした。著者は、「終末期の患者において、予防薬が臨床的有用性を達成する可能性は低い。死期が近づいたころの臨床的有用性が限られた薬剤の負担を減らすため、適切な減薬(deprescribing)戦略が必要である」と述べている。Cancer誌オンライン版2019年3月25日号掲載の報告。 研究グループは、スウェーデンのデータベースを用い、2007~13年に死亡した65歳以上の高齢固形がん患者について、患者が死亡する前1年間における予防薬の毎月の使用と費用を解析した。 主な結果は以下のとおり。・解析対象は15万1,201例(平均年齢81.3歳)で、死亡前1年間において、平均投与薬剤数は6.9剤から10.1剤に増加していた。・降圧薬、抗血小板薬、抗凝固薬、スタチン、経口糖尿病薬などの予防薬は、しばしば死亡月まで継続されていた。・1人当たりの薬剤費(中央値)は、1,482ドル(四分位範囲[IQR]:700~2,896ドル)に達し、そのうち213ドル(IQR:77~490ドル)が予防薬であった。・予防薬の費用は、肺がんで死亡した高齢患者(1人当たりの薬剤費[中央値]:205ドル、IQR:61~523ドル)と比較して、膵がん患者(補正後群間差:13ドル、95%CI:5~22ドル)、婦人科系がん患者(補正後群間差:27ドル、95%CI:18~36ドル)で高かった。・死亡前1年間を通して、予防薬の費用に関して減少は認められなかった。

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PD-L1陽性肺がん1次治療におけるペムブロリズマブ単剤の効果(KEYNOTE-042)/Lancet

 米国臨床腫瘍学会年次総会(ASCO2018)で発表された、PD-L1発現1%以上の進行または転移を有する非小細胞肺がん(NSCLC)に対するペムブロリズマブ単剤の1次治療を評価する第III相試験KEYNOTE-042試験の結果が、Lancet誌オンライン版2019年4月4日号に掲載された。 KEYNOTE-042は32ヵ国、213施設で行われたオープンラベル第III相試験。・対象:PD-L1 TPS1%以上の進行または転移を有するNSCLC患者・試験薬:ペムブロリズマブ200mg/日3週ごと・対照薬:カルボプラチン+パクリタキセルまたはペメトレキセド3週ごと(治験担当医の選択による)・評価項目:[主要評価項目]全生存期間(OS)(TPS50%以上、20%以上、1%以上で評価)。[副次評価項目]無増悪生存期間(PFS)と奏効率(ORR)(TPS50%以上、20%以上、1%以上で評価)、安全性(TPS1%以上) 主な結果は以下のとおり。・1,274例の患者が、ペムブロリズマブ単剤群(n=637)と化学療法群(n=637)に無作為に割り付けられた。・追跡期間中央値は12.1ヵ月であった。・TPS50%以上のOSは ペムブロリズマブ群20.0ヵ月、化学療法群12.2ヵ月と、有意にペムブロリズマブ群で延長した(HR:0.69、95%CI:0.56~0.85、p=0.0003)。・TPS20%以上のOSはペムブロリズマブ群17.7ヵ月、化学療法群13.0ヵ月と、有意にペムブロリズマブ群で延長した(HR:0.77、95%CI:0.64~0.92、p=0.0020)。・TPS1%以上のOSはペムブロリズマブ群16.7ヵ月、化学療法群12.1ヵ月と、有意にペムブロリズマブ群で延長した(HR:0.81、95%CI:0.71~0.93、p=0.0018)。・探索的研究でのTPS1~49%のOSはペムブロリズマブ群13.4ヵ月、化学療法群12.1ヵ月であった(HR:0.92、95%CI:0.77~1.11)。・TPS50%以上のPFSは、ペムブロリズマブ群7.1ヵ月に対し化学療法群6.4ヵ月(HR:0.81、p=0.0170)、TPS20%以上では6.2ヵ月対6.6ヵ月(HR:0.94)、TPS1%以上では5.4ヵ月対6.5ヵ月であった(HR:1.07)。・Grade3以上の治療関連有害事象発現は、ペムブロリズマブ群18%に対して化学療法群41%であった。■参考KEYNOTE-042試験(Clinical Trials.gov)■関連記事肺がん1次治療、PD-L1低発現でもペムブロリズマブ単剤?(KEYNOTE-042)/ASCO2018

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