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ALK陽性肺がんにおけるct-DNAのバイオマーカーとしての可能性(CROWN)/ASCO2021

 未治療のALK陽性進行非小細胞肺がん(NSCLC)における第3世代ALK‐TKIロルラチニブの第III相CROWN試験。バイオマーカーとしての血中腫瘍DNA(ct-DNA)の追加解析がASCO2021で発表され、早期のct-DNAの変化がロルラチニブの効果予測と関係する可能性が示された。CROWN試験・対象:StageIIIB/IVの未治療のALK陽性肺がん(無症状のCNS転移は許容)・試験群:ロルラチニブ(100mg/日)・対照群:クリゾチニブ(250mgx2/日)・評価項目:[主要評価項目]盲検化独立中央評価委員会(BICR)による無増悪生存期間(PFS)[副次評価項目]治験実施医によるPFS、BICR評価の奏効率(OR)、BICR評価の脳内奏効率(IC-OR)、BICR評価の奏効期間(DoR)、BICR評価の脳内奏効期間(IC-DR)、全生存期間(OS)、安全性、ct‐DNAバイオマーカー 追加解析では、Guardant360CDx(Guardant Health)を用いて血漿からctDNAを解析(ベースライン、4週目、治療終了時)。ALKと体細胞遺伝子全体の変異アレル頻度(VAF)を各時点で検出した。また、治療時(4週、24週時)のVAFとベースラインのVAF差をdVAF として算出した。そして、治療時VAF/ベースラインVAF比50%以上をノンレスポンダー、50%未満をレスポンダー(50%未満を達成した例をレスポンダー[cleared]、0~49%をレスポンダー[non cleared])と分類し、腫瘍効果とPFSを層別評価している。 主な結果は以下のとおり。・合計255例中ベースラインで血漿サンプルが入手できた症例は、ロルラチニブ群122例、クリゾチニブ群117例であった。・ロルラチニブ群のALK陽性はベースラインでは50.8%(62/122例)であったが、治療4週時には6.6%(8/122例)となった。クリゾチニブ群のALK陽性はそれぞれ51.3%(60/117例)、4週時9.4%(11/117例)と減少した。・ベースラインでctDNAが検出された症例では非検出例に比べ、腫瘍サイズが大きかった。・dVAF低下例における腫瘍サイズの減少はロルラチニブ群でみられた。・4週目においてALKのdVAFが低下した患者のPFS中央値は、ロルラチニブ群未到達、クリゾチニブ群7.4ヵ月であった。・PFSと分子学的奏効との関係をみると、ロルラチニブ群ではノンレスポンダーに対するレスポンダー(cleared)のPFS HRは0.29(95%信頼区間[CI]:0.12~0.72)、レスポンダー(non-cleared)のHRは0.66(95%CI:0.22~2.02)と、レスポンダーでPFSが良好であった。一方、クリゾチニブ群におけるHRは、レスポンダー(cleared)1.21(95%CI:0.53~2.76)、レスポンダー(non-cleared)2.83 (95%CI:1.08~7.41)と、相関は見られなかった。 発発表者は早期のctDNAの変化は、未治療のALK陽性NSCLCの患者におけるロルラチニブの有効性を予測する可能性を述べると共に、ALK陽性NSCLCの早期ctDNAモニタリングを評価する研究が進行中であることを示した。

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オシメルチニブ耐性NSCLCに対するamivantamab+lazertinibのレスポンダーを同定(CHRYSALIS)/ASCO2021

 オシメルチニブ耐性となったEGFR変異陽性の非小細胞肺がん(NSCLC)に対する、EGFとMET受容体の二重特異性抗体amivantamabと第3世代EGFR-TKI lazertinibの併用投与が有望であるという発表が、米国臨床腫瘍学会年次総会(2021 ASCO Annual Meeting)において、韓国Yonsei Cancer CenterのByoung Chul Cho氏よりなされた。 本試験(CHRYSALIS試験)は国際共同の第I相試験で、今回の発表は推奨用量決定後の拡大コホート部分の解析結果である。・対象:オシメルチニブ治療後に病勢進行したEGFR変異(Exson19del/L858R)陽性の進行NSCLC症例(45例)・試験群:amivantamab(1,050mg[体重80kg未満]または1,400mg[80kg以上])を毎週4回、その後隔週+lazertinib(240mg/日)連日投与。・評価項目:[有効性評価]奏効率(ORR)、奏効期間(DoR)、無増悪生存期間(PFS)、NGS/ctDNAによる遺伝子変異状況やIHC結果と有効性との相関など[安全性評価]全有害事象、治療関連有害事象など 主な結果は以下のとおり。・観察期間中央値11.0ヵ月(2021年4月)時点での主治医判定によるORRは36%、DoR中央値は9.6ヵ月、PFS中央値は4.9ヵ月であった。・NGS検査やctDNA検査でオシメルチニブの耐性がEGFR/MET関連と同定された症例17例での解析では、ORR 47%、DoR中央値 10.4ヵ月、PFS中央値は6.7ヵ月であった。・それ以外の症例28例では、ORR 29%、DoR 8.3ヵ月、PFS 4.1ヵ月であり、奏効した8例の獲得耐性の機構は全例とも不明であった。・IHC検査でEGFRとMETが陽性の患者(10例)のORRは90%、DoRは9.7ヵ月、PFSは12.5ヵ月。IHC陰性患者のORRは10%であった。・安全性プロファイルは、既報(ESMO2020)と同様で、最も頻度が高かった有害事象は、Grade1/2のインフュージョンリアクション(78%)で、次いで皮膚障害、爪周囲炎などであった。治療中止は4%に、減量は18%の症例に認められた。 最後に発表者は、amivantamabとlazertinibの併用は、オシメルチニブ耐性EGFR変異陽性NSCLCに有望であり、その有効例を選別するには、NGSによる症例検索が適しているが、IHCによる検索も有効症例の選別には有用であるかもしれない、としめくくった。

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コロナ禍での肺癌診療を考える【肺がんインタビュー】 第65回

第65回 コロナ禍での肺癌診療を考える出演<ファシリテーター>(聖マリアンナ医科大学 古屋 直樹氏)<パネリスト>(日本鋼管病院 田中 希宇人氏)(仙台厚生病院 中村 敦氏)(Kanormas Cancer Institute 長阪 美沙子氏)(神奈川県立がんセンター 村上 修司氏)新型コロナ禍におけるがん診療には十分なエビデンスはないが、臨床現場では原則に基づき施設ごとに実践的に対応している。しかし、「自施設での対応は適切か」「ほかの施設ではどうやっているのか」といった懸念や疑問があると聞く。そのような疑問や経験を共有するため、肺がん診療におけるCOVID-19対応にテーマを絞り、4名のパネリストが意見交換。その内容をハイライトで提供する。

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F1 CDx、MSI-Hightがんのコンパニオン診断として承認/中外

 中外製薬は、2021年06月22日、遺伝子変異解析プログラム「FoundationOne CDx がんゲノムプロファイル」について、ニボルマブおよび、:ペムブロリズマブの高頻度マイクロサテライト不安定性(MSI-High)を有するがんに対するコンパニオン診断として厚生労厚生労働省より承認を取得したと発表。 今回の承認により、FoundationOne CDx がんゲノムプロファイルにて、ニボルマブの「がん化学療法後に増悪した治癒切除不能な進行・再発の高頻度マイクロサテライト不安定性(MSI-High)を有する結腸・直腸癌」、およびペムブロリズマブの「がん化学療法後に増悪した進行・再発の高頻度マイクロサテライト不安定性(MSI-High)を有する固形癌(標準的な治療が困難な場合に限る)」に対し各々の薬剤の適応判定補助として利用が可能となる。

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EGFR変異陽性NSCLCにエルロチニブ術前/術後療法のOS結果(CTONG1103)/ASCO2021

 EGFR変異陽性非小細胞肺がん(NSCLC)に対する術前/術後療法としてのエルロチニブと化学療法の比較試験の結果が、米国臨床腫瘍学会年次総会(2021 ASCO Annual Meeting)において、中国・Guangdong Provincial People’s HospitalのYi-Long Wu氏から報告された。  本試験は中国国内で実施されたオープンラベル無作為化比較第II相試験であり、すでにエルロチニブによる無増悪生存期間(PFS)の有意な延長が報告されている。今回は、その全生存期間(OS)の解析を含めた最終報告である。 ・対象:Stage IIIA-N2 EGFR変異陽性の未治療症例72例・試験群:術前にエルロチニブ150㎎/日を42日間投与し、術後に同量のエルロチニブを1年間投与(E群:37例)・対照群:術前にゲムシタビン(1250mg/m2)+シスプラチン(75mg/m2)を3週ごと2サイクル投与、術後に同量のゲムシタビン+シスプラチンを3週ごと2サイクル投与(GC群:35例)・評価項目:[主要評価項目]全奏効率(ORR)[副次評価項目]病理的完全奏効(pCR)、無増悪生存期間(PFS)、全生存期間(OS)、3年・5年時OS率、安全性など 主な結果は以下のとおり。・追跡期間中央値62.5ヵ月時点でのOS中央値はE群42.2ヵ月、GC群36.9ヵ月、ハザード比[HR]:0.83、95%信頼区間[CI]:0.47~1.47)p=0.513であった。・3年OS率は、E群58.6%、GC群55.9%であり、5年時OS率は、それぞれ40.8%と27.6%であった。・アップデートされたPFSは、その中央値でE群21.5ヵ月、GC群11.4ヵ月、HR:0.36、95%CI:0.21~0.61)、p<0.001であった。・試験治療後の再発例には、両群ともそのほとんどに(87%~94%)TKI製剤が投与されており、その奏効率は、E群で53.3%、GC群で52.2%であった。(すべてPR)・Grade3/4の有害事象は、術前のE群では出現はなく、術後では皮膚障害、下痢、肝機能障害などが報告された。またGC群では、術前も術後も血液毒性の報告が主であった。  演者は「エルロチニブの術前/術後の投与はOS改善の可能性を示唆した。また、後治療としてのEGFR-TKI投与がE群だけでなくGC群の予後改善にも寄与しているものと考えられる。」と述べた。

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デュルバルマブの肺がんCCRT維持療法、5年生存4割(PACIFIC試験)/ASCO2021

 化学放射線同時併用療法(CCRT)後に疾患進行しなかった切除不能Stage III非小細胞肺がん(NSCLC)を対象とした第III相PACIFIC試験において、デュルバルマブは無増悪生存期間(PFS)および全生存期間(OS)の有意な改善を示している。米国臨床腫瘍学会年次総会(2021 ASCO Annual Meeting)では、PACIFIC試験の5年のOSおよびPFSデータが発表された。デュルバルマブ群とプラセボ群の5年OS率は42.9%と33.4%と依然として良好・対象:cCRT後に進行していない切除不能StageIII NSCLC患者・試験群:デュルバルマブ10mg/kg、2週ごと12ヵ月(473例)・対照群:プラセボ、2週ごと12ヵ月(236例)・評価項目:[主要評価項目]盲検独立中央評価委員会(BICR)判定による無増悪生存期間(PFS)、OS[副次評価項目]死亡または遠隔転移までの時間、2回目の進行までの時間、安全性などCRTの1~42日後に、被験者はデュルバルマブとプラセボに2対1に無作為に割り付けられた。 デュルバルマブを投与したPACIFIC試験の5年のOSおよびPFSデータの主な結果は以下のとおり。・データカットオフ時(2021年1月11日)の追跡期間中央値は全無作為化患者では34.2ヵ月、最後に生存が確認された患者では61.6ヵ月であった。・更新されたOS中央値は、デュルバルマブ群47.5ヵ月、プラセボ群29.1ヵ月、5年OS率は42.9%と33.4%と、デュルバルマブ群が依然として良好であった(ハザード比[HR]:0.72、95%信頼区間[CI]:0.59〜 0.89)。・更新されたPFSはデュルバルマブ群16.9ヵ月、プラセボ群5.6ヵ月、5年PFS率はそれぞれ、33.1%と19.0%であった(HR:0.55、95%CI:0.45~0.68)。 発表者は、今回のデュルバルマブのPACIFIC試験の結果は初回解析結果と一致したものであり、これらの対象患者の標準治療の新たな基準を確立したと結んでいる。

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アテゾリズマブによるNSCLCアジュバントの成績は?(IMpower010)/ASCO2021

 完全切除された早期NSCLCにおける化学療法アジュバント後のアテゾリズマブを評価した無作為化第III相非盲検試験IMpower010中間解析の結果がASCO2021で発表された。アジュバントアテゾリズマブはBSCに比べ、良好な無病生存(DFS)を示した。・対象:Stage IB~IIIAで術後化学療法(プラチナ+ペメトレキセド/ドセタキセル/ゲムシタビン/ビノレルビン)、21日ごと最大4回サイクル)受けた完全切除NSCLC患者(ECOG PS 0~1)・試験群:アテゾリズマブ1,200mg/日 3週ごと16サイクル(Atezo群)・対照群:ベストサポーティブケア(BSC群)・評価項目[主要評価項目]治験責任医評価の無病生存期間(DFS)と全生存期間(OS)[副次評価項目]Stage II~IIIAのPD-L1(TC)≥1%のDFS、Stage II~IIIA全患者の DFS、ITT集団(Stage IB-IIIA)のDFS、ITT集団のOS(階層的に検証)、安全性 主な結果は以下のとおり。・データカットオフ時(2021年1月21日)の追跡調査中央値は32.2ヵ月であった。・Stage II~IIIA PD-L1(TC)≧1%のDFS中央値はAtezo群未達、BSC群35.3ヵ月と、Atezo群で有意な改善を示した(HR:0.66、95%CI:0.50~0.88、p=0.0039)。・Stage II~IIIA全集団のDFS中央値はAtezo群42.3ヵ月、BSC群35.3ヵ月と、Atezo群で有意な改善を示した(HR:0.79、95%CI:0.64~0.96、p=0.0205)。・IITT集団のDFS中央値は、Atezo群未達、BSC群37.2ヵ月であった(HR:0.88、95%CI:0.67~0.99、p=0.0395)。・全Gradeの有害事象(AE)は、Atezo群92.7%、BSC群70.7%で発現した。Grade3/4はそれぞれ21.8%と11.5%であった。投与中止につながるAtezo群のAEは18.2%で発現、Grade5の治療関連AEはAtezo群の0.8%で発現した。

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肺がんリキッドバイオプシーの有効性を探る「LC-SCRUM-Liquid」【肺がんインタビュー】 第64回

第64回 肺がんリキッドバイオプシーの有効性を探る「LC-SCRUM-Liquid」出演:国立がん研究センター東病院 呼吸器内科 善家 義貴氏肺がんでは、組織採取に侵襲を伴うことが多いため、リキッドバイオプシーが注目されている。リキッドバイオプシーの有効性を組織バイオプシーと比較した前向き研究「LC-SCRUM-Liquid」の結果が発表された。研究事務局の国立がん研究センター東病院 善家 義貴氏に研究結果および今後の展開について聞いた。

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「緩和ケアは学んでなくて…」という医師にお勧めのコツ【非専門医のための緩和ケアTips】第5回

第5回 「緩和ケアは学んでなくて…」という医師にお勧めのコツ今回も元気に緩和ケアの実践について考えていきましょう。時間が限られた中で緩和ケアを実践するために、最重要となるコツの1つである「看護師との連携」についてお話しします。今日の質問診療所で働く医師です。看取りが近い状況の患者さんとの対話に苦手意識があります。私の世代は、緩和ケアについてきちんと学んだ経験もありません…。どう取り組めばよいでしょうか?今回のご質問、ベテランの先生からよく頂く内容です。まだまだ緩和ケア領域の教育は十分ではないとはいえ、医師国家試験・看護師国家試験の中で緩和ケアや在宅医療の問題が出題される時代になりました。そうした経験がまったくない上の世代の方が、緩和ケア全般に苦手意識を抱いたり「このやり方で大丈夫なの?」と不安になったりするのは、ある意味、当たり前のことでしょう。ですが、このような質問をする先生方の多くは、長い臨床経験に裏付けされた患者さんとの関係性の構築や、コミュニケーションスタイルを確立されている方が多いように感じます。そうした土壌があれば、緩和ケアの実践は難しいことではありません。前置きしたうえで、読者の皆さんに質問です。「緩和ケアを実践するうえで、最もオールラウンダーな医療職は誰だと思いますか?」緊急性や重症度の高い場面に遭遇する急性期医療では、医師の判断とトップダウン的な指示系統が重要なことも多いでしょう。一方で、緩和ケアで大切なのは、患者さん、家族ごとの個別性の高いナラティブな対話や全人的ケアです。こうした場面において、診断と投薬といった医師の役割が万能なわけではありません。ご想像のとおり、こうした分野に職種としての強みがマッチするのは看護師です。看護師は、さまざまな医療職の中で、医学知識とケアや対人援助的なスキルが役割の基盤になっています。あらためて見ると、患者さんの生活状況についてやけに詳しく、医師以上に信頼されている看護師…、きっと皆さんの周りにもいることでしょう。前回お話しした、ナラティブなエピソードを引き出す役割ですが、看護師の方によっては無意識にしていることも。医師が緩和ケアに苦手意識があっても、こうした看護師とうまく協働することができれば、素晴らしい緩和ケアを提供できる可能性がグッと高まります。では、看護師と協働して提供する緩和ケアについて、具体例を挙げてみましょう。今後、療養などの話し合いが必要になる患者さんを提案してもらう外来の待ち時間の間に声掛けし、「病気以外の生活の気掛かり」についても相談できることを周知してもらう緩和ケアニーズのスクリーニングツール(「生活のしやすさに関する質問票」緩和ケア普及のための地域プロジェクト:OPTIM study[厚生労働科学研究 がん対策のための戦略研究])を運用してもらう悪い情報を伝える面談に同席してもらい、面談後にしばらく対話してもらういかがでしょう? 看護師の強みを生かした、チーム医療としての緩和ケアのイメージが湧いたでしょうか? 次回は看護師と協働した緩和ケアを提供するうえでの障壁や、それを乗り越える工夫について、考えてみたいと思います。今回のTips今回のTips緩和ケア提供の主役は看護師、上手に連携することが緩和ケアの質を高めるカギ!

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抗HER3-ADC薬、治療抵抗性EGFR変異NSCLCに有望/ASCO2021

 前治療としてのTKIやプラチナ製剤に抵抗性となったEGFR変異陽性非小細胞肺がん(NSCLC)に対する、HER3を標的とした抗体薬物複合体(ADC)であるPatritumab-Deruxtecan(HER3-ADC)は、新規治療薬として有望であるとの発表が、米国臨床腫瘍学会年次総会(2021 ASCO Annual Meeting)において、米国・Dana-Farber Cancer InstituteのPasi A. Janne氏よりなされた。  HER3-ADCのNSCLCでの推奨用量は第I相試験で5.6mg/kgとされた。今回は第I相試験用量拡大パートの報告である。 ・対象:オシメルチニブを含むEGFR-TKIとプラチナ製剤の治療を受け抵抗性となったEGFR変異陽性NSCLC81例・介入:HER3-ADC 5.6mg/kg投与57例と3.2~6.4mg/kg投与24例(脳転移の有無は問わず)・評価項目:[有効性評価項目]全奏効率(ORR)、病勢コントロール率(DCR)、無増悪生存期間(PFS)、奏効期間、奏効とHER3発現の関連など[安全性評価項目]全有害事象(TAE)、治療関連有害事象 有効性解析は57例を、安全性評価は81例を対象とした。  主な結果は以下のとおり。 ・患者背景は、年齢中央値65歳、脳転移あり47%、前治療の中央値は4ライン(オシメルチニブの投与は86%、プラチナ製剤投与は91%、免疫チェックポイント阻害剤既治療は40%)であった。・観察期間中央値10.2ヵ月(データカットオフ:2020年9月)時点でのORRは39%(CR1例)で、DCRは72%であった。・PFS中央値は8.2ヵ月で、奏効期間中央値は6.9ヵ月であった。・脳転移あり症例のORRは32%、PFS中央値8.2ヵ月、脳転移なし症例のORRは41%、PFSは8.3ヵ月と、脳転移の有無とは関連がみられなかった。・抗腫瘍効果は、EGFR変異や他遺伝子の変異を問わず認められた。・HER3発現とORRの間には相関は認められなかった。・Grade3以上の全有害事象は、血小板減少、好中球減少、倦怠感、貧血などで、治療関連死は無かった。治療関連の間質性肺疾患は全症例のうち5%に発現したが、Grade4/5はなかった。  発表者は「本剤は、臨床的に意味のある有効性を示しており、忍容性も確認された。他のNCSLCの治験も進行中である」と結んだ。

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わが国のEGFR陽性NSCLCに対するゲフィチニブのアジュバント治療の結果(IMPACT)/ASCO2021

 EGFR変異陽性非小細胞肺がん(NSCLC)の完全切除後の術後療法としてのゲフィチニブの有用性を検討した国内臨床試験の結果が、米国臨床腫瘍学会年次総会(2021 ASCO Annual Meeting)において、吹田徳洲会病院の多田弘人氏から報告された。 このIMPACT試験は日本のWJOGにより実施されたオープンラベルの無作為化比較第III相試験である。・対象:EGFR変異(del19またはL858R)を有する Stage II~IIIの完全切除後のNSCLC患者(T790M変異陽性症例は除外。年齢は75歳未満)・試験群:ゲフィチニブ(250mg/日)を2年間投与(Gef群)・対照群:シスプラチン(80mg/m2をday1)+ビノレルビン(25mg/m2をday1,8)を3週ごとに4サイクル投与(CV群)・評価項目:[主要評価項目]独立中央判定による無病生存期間(DFS)[副次評価項目]全生存期間(OS)、安全性、再発様式など有効性は6ヵ月ごとに、脳転移や骨転移の有無は12ヵ月ごとに評価 主な結果は以下のとおり。・2011年9月~2015年12月に234例が無作為化割り付けされ、232例がITT集団として解析された。・両群間に患者背景の差は見られなかった。女性が約60%、年齢中央値は64歳、非喫煙者も約60%、Stage IIAが約30%、IIIAが約60%であった。・Gef群(2年間)の治療完遂率は61.2%、CV群は77.6%であった。CV群に治療関連死が3例報告された。・観察期間中央値70.1ヵ月時点での、DFS中央値はGef群35.9ヵ月(95%信頼区間[CI]:30.0~47.7)、CV群25.0ヵ月(95%CI:17.7~41.8)、ハザード比[HR]:0.92、p=0.63であった。2年時DFS率はGef群63.7%、CV群52.3%、5年時DFS率はGef群31.8%、CV群34.1%であった。DFSに関するサブグループ解析でも、両群間に有意な差を持つ因子はなかった。・OS中央値は両群とも未到達で、5年OS率はGef群78.0%、CV群74.6%で、HRは1.03、p=0.89であった。OSに関するサブグループ解析では、70歳以上と70歳未満での比較において、有意に70歳以上の症例でGef群が有効であった。(70歳以上のHRは0.314、70歳未満は1.438、p=0.018)・有害事象については、両群ともに新たな事象は認められず、Grade3以上の好中球減少や発熱性好中球減少がCV群で多く、Grade3以上の肝機能障害や皮膚障害はGef群で多く報告された。また、薬剤に起因する間質性肺炎の報告は両群ともに無かった。・再発部位は、局所再発については両群で差はなかったが、脳転移は、Gef群で26件、CV群で14件であった。(p=0.07)・再発後の治療では両群ともTKIの投与が大半を占めたが(Gef群67%、CV群93%)、オシメルチニブの投与は少なかった(Gef群14%、CV群2%)。 最後に多田氏は「今回の試験では予後の優越性は検証できなかったが、アジュバント治療としてのゲフィチニブは、シスプラチン+ビノレルビン投与が不適などの特定な患者層には有用であるかもしれない。」と結んだ。

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MET exon14陽性NSCLC、カプマチニブの未治療コホート中間解析 (GEOMETRY- mono1)/ASCO2021

 MET exon14スキッピング変異陽性(MET ex14)の進行非小細胞肺がん(NSCLC)に対するMET阻害薬カプマチニブの第II相GEOMETRY-mono1について、1次治療のコホート7の中間解析も含めた更新結果がASOC2021で発表された。・対象:MET変異陽性(MET ex14またはMET増幅)NSCLC患者(下記コホートに割り付け)。対象はカプマチニブ400mgx2/日を投与された。・コホート4:既治療(2/3ライン)、カプマチニブ空腹時投与・コホート5b:未治療、空腹時投与・コホート6:既治療(2ライン)、空腹時投与の制限なし・コホート7:未治療、空腹時投与の制限なし・評価項目[主要評価項目]盲検下独立中央画像判定機関(BICR)による全奏効率(ORR)[副次評価項目]治験担当医評価の奏効期間(DoR)、治験担当医評価のORR、BICRおよび治験担当医評価の病勢制御率(DCR)、安全性など 主な結果は以下のとおり。・METex14のNSCLC160例が解析された。・コホート7のORRは65.6%で、同じく未治療のコホートである5bの報告と同等であった。・コホート7のPFSデータは未成熟だが、中央値は10.8ヵ月であった。・OS中央値は、コホート5bで20.8ヵ月、コホート4では13.6ヵ月であった。・全Gradeの有害事象(AE)発現率は98.4%、G3/4は68.6%。投与中止に至ったAEは16.1%に発現。新たな安全性プロファイルの報告はなし。・頻度の高い項目(20%以上)は、末梢浮腫(54.2%)、悪心(45.0%)、嘔吐(28.2%)、血中クレアチニン値上昇(26.5%)、呼吸困難(23.3%)、疲労(22.3%)であった。

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ウェアラブルデバイスを活用し、間質性肺疾患の発症を予測/アストラゼネカ

 アストラゼネカは、2021年6月4日、化学放射線療法後にデュルバルマブ(製品名:イミフィンジ)による治療を受けたStage IIIの切除不能な非小細胞肺がん患者を対象に、間質性肺疾患(ILD)の発症を予測するモデル構築に向けた探索的試験(以下、iDETECT study)を、6月より開始する。 iDETECT studyの目的は、ウェアラブルデバイス等を用いて収集したデータを基に初期症状のILDを早期に検出することにより、将来的にILDが重症化する前に適切な医療サービスを受けることができる環境の創出。 Stage IIIの非小細胞肺がんでは、治療機会を最大限に維持し、根治を目指すことが重要である。一方、化学放射線治療後にデュルバルマブを投与した日本人患者では、ILDが有害事象で最多を占めている。ウェアラブルデバイス等のデータを臨床情報と組み合わせることで、ILD早期発見・発症予測ができるかを検討していくという。iDETECT study試験概要・試験目的:デュルバルマブを投与している切除不能なステージIIIの非小細胞肺がん患者の、将来的なGrade2以上のILD発症や疾患の進行状態を、機械学習により予測することが可能であるかを検証する・検証データ:患者の臨床データおよび患者がウエアラブル機器と携帯アプリから回収した血中酸素飽和度、呼吸、脈拍数、咳データ・試験対象:日本でイミフィンジを投与している切除不能なステージIIIの非小細胞肺がん患者150例・試験期間:2021年6月~2022年12月・使用デジタル機器・技術:株式会社クォンタムオペレーションによるウェアラブルデバイス(血中酸素飽和度、呼吸、脈拍数を測定)および、ResApp Health社による咳の回数を測定できる携帯アプリ・AIモデル開発(ILD発症予測モデル開発):エムスリー株式会社

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非小細胞肺がんに対するKRAS G12C阻害薬sotorasib第II相試験の追跡結果(CodeBreaK100)/ASCO2021

 既治療のKRAS p.G12C変異非小細胞肺がん(NSCLC)の第II相 CodeBreaK100試験のアップデート結果が米国臨床腫瘍学会年次総会(2021 ASCO Annual Meeting)で発表された。これにsotorasib初の全生存期間(OS)結果も含まれた。・対象:KRAS p.G12C変異を有する既治療(3ライン以下)の局所進行または転移のあるNSCLC・介入:sotorasib 960mg/日、PDとなるまで投与・評価項目:[主要評価項目]盲検下独立中央画像判定機関(BICR)評価の奏効率(ORR)[副次評価項目]奏効期間(DoR)、疾患制御率(DCR)、初回奏効までの期間(TTR)、無増悪生存期間(PFS)、全生存期間(OS)、安全性など[探索的研究]バイオマーカー  主な結果は以下のとおり。・追跡期間中央値は15.3ヵ月であった。・対象は126例で、81%はプラチナベース化学療法とPD-1/L1阻害薬の両方の治療を受けていた。・主要評価項目であるBICR評価のORRは37.1%(CR 4例 3.2%、PR 42例 33.9%)、DCRは80.6%であった。・OS中央値は12.5ヵ月であった。・PFS中央値は6.8ヵ月、DoR中央値は11.1ヵ月であった。・治療関連有事象(TRAE)は全Gradeで88%、Grade3の発現は19.8%。ほとんどはGrade1〜2で管理可能であった。・探索的研究において、標準治療による臨床転帰が不良なSTK11などの共変異を有する患者においても奏効が観察された。 この結果は、New England Journal of Medicine誌2021年6月5日オンライン版に同時掲載された。

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アテゾリスマブの免疫関連有害事象と有効性の関係〜第III相試験プール解析/ASCO2021

 非小細胞肺がん(NSCLC)1次治療におけるアテゾリズマブの有効性と免疫関連有害事象(irAE) の関連を検討した第III相試験( IMpower130、IMpower132、 IMpower150)の統合解析の結果が米国臨床腫瘍学会年次総会(2021 ASCO Annual Meeting)で発表された。 IMpower130、IMpower132、IMpower150はいずれも未治療Stage IV非扁平上皮NSCLCを対象にアテゾリズマブ含有レジメンを化学療法±ベバシズマブと比較した無作為化第III相試験。これらの試験のデータを統合し、治療(アテゾリズマブと対照)とirAE ステータスの関係を、Coxハザードモデルとランドマーク解析(1、3、6、12ヵ月)を用いて調査した。 主な結果は以下のとおり。・分析対象は2,503例で、アテゾリズマブ群1,577例、対照群926例であった。・全GradeのirAE発現は、アテゾリズマブ群48%、対照群32%、Grade3〜5の発現はそれぞれ、11%と5%であった。・irAE の発症までの期間中央値は、アテゾリズマブ群1.7ヵ月、対照群1.4ヵ月であった。・アテゾリズマブ群の全生存期間(OS)中央値はirAE(+)患者では25.7ヵ月、(ー)患者では13.0ヵ月(ハザード比[HR]:0.69、信頼区間[CI]:0.60〜0.78)、対照群はirAE(+)患者20.4ヵ月、(ー)患者12.8ヵ月(HR:0.82、95%CI:0.68〜0.99)と、両群ともirAE(+)患者で良好であった。・アテゾリズマブ群の全奏効率(ORR)は、irAE(+)患者61.1%、(ー)患者37.2%、対照群ではirAE(+)患者42.2%、(ー)患者34.0%であった。・アテゾリズマブ群のOS HRをirAEの有無別にランドマーク解析でみると、1ヵ月では0.85、3ヵ月では0.81、6ヵ月では0.82、12ヵ月0.75と、いずれもirAE(+)患者で優れていた。・アテゾリズマブ群のOS HRをirAEのGrade1/2と3〜4に分けてランドマーク解析でみると、1ヵ月では0.78対1.25(Grade1/2 対Grade3〜4)、3ヵ月では0.74対1.23、6ヵ月では0.77対1.1、12ヵ月では0.72対0.87と、Grade1/2群で良好であった。

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ニボルマブ+イピリムマブ+2サイクル化学療法のNCSLS1次治療、2年フォローアップ(CheckMate 9LA)/ASCO2021

 非小細胞肺がん(NSCLC)1次治療、ニボルマブ+イピリムマブ+2サイクル化学療法の無作為化第III相CheckMate9LA試験の2年間のフォローアップデータが米国臨床腫瘍学会年次総会(2021 ASCO Annual Meeting)で発表された。結果、同併用による生存ベネフィットが引き続き観察されている。・対象:未治療のStage IVまたは再発NSCLC患者(PS 0~1)・試験群:ニボルマブ360mg 3週ごと+イピリムマブ1mg 6週ごと+組織型別化学療法(シスプラチン/カルボプラチン+ペメトレキセド+ペメトレキセド維持療法またはカルボプラチン+パクリタキセル)3週ごと2サイクル(NIVO+IPI+Chemo群)・対照群:組織型別化学療法 3週ごと4サイクル(Chemo群)・評価項目:[主要評価項目]全生存期間(OS)[副次評価項目]盲検下独立中央画像判定機関(BICR)評価の無増悪生存期間(PFS)、BICR評価の全奏効率(ORR)、PD-L1発現別抗腫瘍効果 主な結果は以下のとおり。・追跡期間は最低 24.4ヵ月であった。・NIVO+IPI+Chemo群は40%、Chemo群では47%が全身療法の後治療を受けていた。・OS中央値はNIVO+IPI+Chemo群の15.8ヵ月に対して、Chemo群11.0ヵ月と、NIVO+IPI+Chemo群で良好なOSを維持した (ハザード比[HR]:0.72、95%信頼区間[CI]:0.61~0.86)、2年OS率はそれぞれ、38%と26%であった。・PFS中央値はNIVO+IPI+Chemo群6.7ヵ月に対し、Chemo群では 5.3ヵ月であった (HR:0.67、95%CI:0.56~0.79)。2年PFS率はそれぞれ、20%と8%であった。・ORRは、NIVO+IPI+Chemo群38.0%、Chemo群では25.4%であった。・奏効期間(DoR)中央値はNIVO+IPI+Chemo群13.0ヵ月、Chemo群5.6ヵ月、2年DoR率はそれぞれ、34%と12%であった。・PD-L1発現別にみると、PD-L<1%のOS HRは0.67、PFS HRは0.68、≧1%のOS HRは0.70、PFS HRは0.67、≧50%のOS HRは0.67、PFS HRは0.59と、いずれもNIVO+IPI+Chemo群で良好であった。・有効性はまた、組織形を問わずNIVO+IPI+Chemo群で良好であった。・全Gradeの治療関連有害事象(TRAE)発現率は、NIVO+IPI+Chemo群92%、Chemo群88%。Grade3/4のTRAE発現率はそれぞれ、48%と38%であった。新たな安全性シグナルは確認されていない。・Post Hoc解析の結果、TRAEによって治療中止となったNIVO+IPI+Chemo群のNIVO+IPI+Chemo群の2年OS率は54%(全集団の2年OS率は38%)と、治療中止による生存への悪影響はみられなかった。 発表者のドイツ・Martin Reck氏は、この2年間のフォローアップ結果は、ニボルマブ+イピリムマブ+2サイクル化学療法が、進行NSCLCに対する有効な1次治療であることを支持するものだと述べた。

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患者さんと短時間でも深く話が聞ける「深掘りワード」とは?【非専門医のための緩和ケアTips】第4回

第4回 患者さんと短時間でも深く話が聞ける「深掘りワード」とは?前回に続き「時間がないから、緩和ケアができない」問題について一緒に考えていきましょう。今回は診療上の工夫を深掘りしていきます。今日の質問患者さんと「医学的なこと以外」の話をする意味って何なのでしょうか? それに、病状以外のことを聞くきっかけもありません…。前回のメッセージは「医学的な情報提供をコンパクトにして、生まれた時間で物語的(ナラティブ)なやりとりをしてみよう!」というものでした。でも、そこまでしてやる意味って何なのでしょうか? 雑談をすることが緩和ケアなの?と疑問に思った方も多いのではないでしょうか。まあ、何を緩和ケアと呼ぶかというと、いろいろな意見があると思うのですが、私はこうしたナラティブなやりとりをすることが非常に重要なアプローチだと考えています。緩和ケアの非常に重要な分野として「意思決定の支援」があります。多くの人は、人生のどこかで病を得て、自身の生活に向き合いながら、さまざまな決断を迫られます。効果が乏しくなってきた抗がん剤治療を続けるか通院から訪問診療に切り替えるか最後の時期に入院するか自宅にいるか…診療所の外来においても、このような相談を受けることがあるでしょう。これらの正解のない選択に対して、ご本人の意向や価値観に沿った意思決定を一緒にサポートすることが緩和ケアの非常に重要な部分になります。緩和ケアというと「(主に終末期のがん患者さんの)痛みを軽減する」といった、身体症状への介入部分が注目されることが多いのですが、実際のところ、症状緩和はそれ自体が目的というよりは、人生の最終段階の意思決定といった大切な局面において、患者さんが自分の人生と向き合うための「手段」という側面も大きいのです。そのような場面で支援する医療者としては、患者さん自身について、病気のこと以外も知っておきたいですよね。私自身は病院で入院した患者さんを中心に緩和ケアを実践していますが、「いつも見てくれている先生」をとても頼りにしている患者さんがとても多いことを実感します。長年のお付き合いのある診療所の先生だからこそ、リラックスして話せることもあるはずですし、それぞれの立場の医師が連携して緩和ケアに当たれるといいと感じます。患者さん側も「忙しいのに悪いかな」「病気とは関係ないのに」と考え、医師と医学的なこと以外を話すことに対して、ハードルが高く感じる方も多いようです。患者さんとナラティブなやりとりをしたいときは、ちょっとした工夫をしてみるといいでしょう。たとえば、私はよくこんな言葉掛けをしています。――外来に来た付き添いが必要な高齢の患者さん。いつも娘さんが付き添っているようです。私「いつも付き添ってくださるのは娘さんですか? 助かりますね」こんなふうに声掛けしてみると、患者さんからは「そうなんです。いつもよくしてくれて」「少し前に妻が死んだので、心配してくれてね…」といった家族の話に広がったりします。話が広がらずに「そうです」の一言で終わってしまってもいいのです。この一言で「私はあなたについて、病気以外のことも気に掛けていますよ」というメッセージが伝わります。私のよく使っている「ナラティブ深掘りワード」をもっと挙げてみると、大変な病気の中、頑張って来られましたね元気の秘訣は何ですか?そういえば、以前はどんなお仕事をされていたんでしたっけ?こうした言葉を、違和感のないタイミングで相手の状況を見ながら、使うようにしています。皆さんもぜひ、自分のコミュニケーションスタイルに合った「ナラティブ深掘りワード」を考え、使ってみてください。今回のTips今回のTips患者さんとの話を広げる「ナラティブ深掘りワード」を持とう!

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FDA、ソトラシブをKRAS G12C陽性肺がんに迅速承認

 米国食品医薬品局(FDA)は、2021年5月28日、RAS GTPaseファミリー阻害薬であるソトラシブを、KRAS G12C変異陽性の局所進行または転移を有する非小細胞肺がん(NSCLC)の成人患者に迅速承認した。 また、QIAGEN therascreen KRAS RGQ PCR キット(組織)および Guardant360CDx(血漿)をソトラシブのコンパニオン診断薬として承認した。 今回の承認は上記患者を対象とした、多施設非盲検単群臨床試験CodeBreaK100の結果に基づいたもの。有効性は124例の患者で評価された。患者は疾患進行あるいは許容できない毒性の発現まで、ソトラシブ960mg/日の投与を連日受けた。 主要有効性評価項目は、盲検化独立中央委員会評価の客観的奏効率(ORR)と奏効期間(DoR)であった。結果は、ORRは36%、DoR中央値は10ヵ月であった。一般的な副作用(20%以上)は、下痢、筋骨格痛、吐き気、疲労、肝毒性、咳であった。一般的な検査値異常(25%以上)は、リンパ球減少、ヘモグロビン減少、AST上昇、ALT上昇、カルシウム減少、アルカリホスファターゼ上昇、尿タンパク、ナトリウム減少であった。

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