サイト内検索|page:26

検索結果 合計:2070件 表示位置:501 - 520

501.

日本化薬のペメトレキセドGE、非小細胞肺がんの術前補助療法の適応取得

 日本化薬は、2023年3月27日、厚生労働省よりペメトレキセド点滴静注液100mg「NK」・同500mg「NK」・同800mg「NK」、ペメトレキセド点滴静注用100mg「NK」・同500mg「NK」・同800mg「NK」について、「扁平上皮癌を除く非小細胞肺癌における術前補助療法」に対する効能・効果、ならびに用法・用量に係る医薬品製造販売承認事項一部変更承認を取得したと発表した。 用法・用量は下記のとおり。「ニボルマブ(遺伝子組換え)及び白金系抗悪性腫瘍剤との併用において、通常、成人にはペメトレキセドとして、1日1回500mg/m2を10分間かけて点滴静注し、少なくとも20日間休薬する。これを1コースとし、3コースまで投与を繰り返す。なお、患者の状態により適宜減量する。」

502.

がん免疫療法ガイドライン 第3版

4年ぶりの改訂! がん免疫療法の最新エビデンスを網羅的に解説!適応拡大が急速に進むがん免疫療法の臓器横断的ガイドラインとして4年ぶりの大改訂となる第3版では、新たに登場した免疫チェックポイント阻害薬に加え、BiTE抗体やCAR-T細胞療法に関するエビデンスを収載しています。また、近年急速に蓄積している臨床研究成果のシステマティックレビューに基づいた記載が大幅に追加されました。免疫関連有害事象についても最新かつ適切な情報を提供しています。さらに、5つの臓器横断的Background Question(BQ)を新設し、より充実した内容となりました。治療医のみならず、がん免疫療法に携わるすべての医療者に役立てていただきたい1冊です。画像をクリックすると、内容の一部をご覧いただけます。※ご使用のブラウザによりPDFが読み込めない場合がございます。PDFはAdobe Readerでの閲覧をお願いいたします。画像をクリックすると、内容の一部をご覧いただけます。※ご使用のブラウザによりPDFが読み込めない場合がございます。PDFはAdobe Readerでの閲覧をお願いいたします。    がん免疫療法ガイドライン 第3版定価3,300円(税込)判型B5判頁数264頁(図数:29枚、カラー図数:5枚)発行2023年3月編集日本臨床腫瘍学会

503.

切除可能非小細胞肺がんに対する 術前・後ペムブロリズマブ、無イベント生存期間を改善(KEYNOTE-671)/MSD

 Merck社は2023年3月1日、Stage II、IIIA、IIIB(T3-4N2)の切除可能な非小細胞肺がん(NSCLC)患者に対する周術期療法としてのペムブロリズマブを評価する第III相KEYNOTE-671試験において、2つの主要評価項目のうち無イベント生存期間(EFS)を達成したことを発表した。周術期療法レジメンには術前補助療法(ネオアジュバント療法)とそれに続く術後補助療法(アジュバント療法)が含まれる。 KEYNOTE-671試験は、上記NSCLC患者を対象とした、無作為化二重盲検第III相試験。786例の登録患者を以下のいずれかの群に、1:1に無作為に割り付けた。・試験群:術前補助療法としてペムブロリズマブ(200mgを3週ごと最大4サイクル)+化学療法(シスプラチン+ゲムシタビンまたはペメトレキセド)、その後術後補助療法としてペムブロリズマブ(200mgを3週ごと最大13サイクル)・対照群:術前補助療法としてプラセボ(3週ごと最大4サイクル)+化学療法(シスプラチン+ゲムシタビンまたはペメトレキセド)、その後術後補助療法としてプラセボ(3週ごと最大13サイクル) 主要評価項目はEFS、全生存期間(OS)、副次評価項目は病理学的完全奏効(pCR)、主要な病理学的奏効(mPR)などであった。 試験の結果、プラセボ群と比較して、ペムブロリズマブ群で統計学的に有意かつ臨床的に意味のあるEFSの改善が認められた。副次評価項目であるpCRおよびmPRについても統計学的に有意な改善が認められている。この結果は今後の医学学会で発表する予定。 この試験データに基づき、Stage II、IIIA、IIIB(T3-4N2)の切除可能NSCLCのプラチナ化学療法との併用による術前補助療法と、その後の単独療法による術後補助療法として、ペムブロリズマブの生物製剤承認一部変更申請(sBLA)が米国食品医薬品局(FDA)に受理された。審査完了予定日は2023年10月16日。

504.

ニボルマブのNSCLCネオアジュバント、国内承認/小野薬品・BMS

 小野薬品工業とブリストル・マイヤーズ スクイブは、2023年3月27日、ニボルマブについて、化学療法との併用療法で非小細胞肺癌における術前補助療法に対する効能又は効果の追加に係る製造販売承認事項一部変更承認の取得を発表した。 今回の承認は、切除可能な非小細胞肺がん(NSCLC)患者の術前補助療法として、ニボルマブと化学療法の併用療法を化学療法単独と比較評価した多施設国際共同無作為化非盲検第III相試験であるCheckMate 816試験の結果に基づいている。 同試験では、ニボルマブと化学療法の併用療法の3回投与は、化学療法単独と比較して、本試験の主要評価項目である盲検下独立中央評価委員会(BICR)の評価による無イベント生存期間(EFS)および盲検下独立病理委員会(BIPR)の評価による病理学的完全奏効(pCR)で統計学的に有意かつ臨床的に意義のある改善を示した。本試験におけるニボルマブと化学療法の併用療法の安全性プロファイルは、NSCLC患者を対象とした試験でこれまでに報告されているものと一貫していた。

505.

「本人は苦しいのでしょうか?」と家族に聞かれたら…?【非専門医のための緩和ケアTips】第48回

第48回 「本人は苦しいのでしょうか?」と家族に聞かれたら…?緩和ケアに関する質問にお答えしながら、私も学んでいるこのコラム。今回も考えさせられるご質問をいただきました。今日の質問数日以内に亡くなりそうな、すでに意識のない患者さんを担当していたときのことです。ご家族から「本人は苦しいのでしょうか?」と尋ねられました。「それは、ご本人にしかわかりません」と言うのも違う気がして、思わず「おそらく苦しくないと思います」と伝えてしまいましたが、どう答えればよかったのでしょうか?看取りが近い時期のケアではよくある光景ですね。家族からの同じような質問を受けたとき、私も同様に「苦しくないと思います」とお伝えしています。このやりとりの背景について、ちょっと考えてみましょう。そもそも、なぜご家族はこういった質問をするのでしょうか?「患者さん本人に苦しんでほしくない」といった、心配が大半でしょう。実際に、私がご家族に「そう聞かれるのは、『苦しんでほしくない』というお気持ちからですか?」と尋ねると、「そうなんです。これまで頑張ってきたので最後くらいは苦しまないでほしくて…」と言う方がたくさんいました。そうした経験から、私自身は以下のポイントを伝えるようにしています。本人は言葉で伝えることが難しい状況だが、苦しさはあまり感じていないように見える。話ができなくても顔をしかめるなどの様子から容態を判断しているが、そうした様子もなさそうだ。「少しでも苦しまないよう」と思う気持ちは、われわれ医療者も同じ。心配な様子があればすぐに教えてほしい。苦しまないように少しでもできることがないか、一緒に考えましょう。こうしたことをお伝えして、ご家族の心配がこちらに伝わったことを確認します。こうした対話を通じ、「家族にもケアを提供すること」、そして「家族も負担がない範囲でケアに参加してもらうこと」は緩和ケアの実践で重要なことだと感じます。皆さんの工夫などもぜひ教えてください。今回のTips今回のTips質問の背景にある家族の気掛かりを探り、家族にもケアを提供しよう!

506.

免疫チェックポイント阻害薬などを横断的に概説、『がん免疫療法ガイドライン』改訂/日本臨床腫瘍学会

 がんに対する免疫を介在した治療方法(がん免疫療法)は、新しい薬剤の開発および臨床試験の蓄積により近年急速に発展している。CTLA-4やPD-1/PD-L1といった免疫チェックポイントを標的とした免疫チェックポイント阻害薬(ICI)ががん種横断的に承認されているほか、エフェクターT細胞療法や、複数のICIを組み合わせて使う併用療法、ICIと従来の抗がん剤、分子標的薬、血管新生阻害薬、放射線治療等とを組み合わせた治療法も続々と登場している。 これら免疫チェックポイント阻害薬などのがん免疫療法の基本と指針をまとめた『がん免疫療法ガイドライン』(日本臨床腫瘍学会編)が2023年3月に刊行された。2016年12月の初版、2019年3月の第2版に続く第3版となる。2023年3月16~18日に行われた第20回日本臨床腫瘍学会学術集会(JSMO2023)上では、二宮 貴一朗氏(岡山大学病院 ゲノム医療総合推進センター)が「第3版改訂のポイント/がん種横断的評価とステートメント」と題した講演で改訂ポイントを解説した。 「ガイドライン委員会で2021年4月から改訂の議論をはじめ、30名を超える専門医のご協力により2年かけて刊行に至った。本版の特徴としては、新たな治療レジメンを踏まえ、有害事象及びその対処法の改訂を行ったこと、がん種別システマティックレビューを行い、がん種・臓器横断的な臨床疑問を設定し、ステートメントを提示したことだ。第2版にあったがん種別のエビデンスに対する推奨の提示は止め、『エビデンスの強さ』のみを提示することにした。これはがん種ごとに推奨される治療法やレジメンが多岐にわたり、かつ頻繁に改訂されており、臓器別ガイドラインと異なる推奨になることは臨床上望ましくないと判断したためだ」(二宮氏)。 個別項目における主な改訂点は以下のとおり。I がん免疫療法の分類と作用機序・免疫チェックポイント阻害薬→新規薬剤である抗LAG-3抗体薬の解説をガイドラインに追加。・エフェクターT細胞療法→造血器腫瘍分野で新たに承認されたCAR-T細胞療法に関する解説を改訂。・複合免疫療法→項目を追加。免疫療法と従来の抗がん薬との組み合わせによる効果などを記載。II 免疫チェックポイント阻害薬の副作用管理 医師以外の医療者も読者対象に想定し、新たなエビデンスに基づいた解説に更新。最近注目されており、より重症化する傾向のあるサイトカイン放出症候群の項目をガイドラインに追加。III がん免疫療法のがん種別エビデンス 「がんワクチン」など否定的な見解が多い療法についてもシステマティックレビューによるエビデンスの確実性に基づいて解説。各療法の歴史などもあわせて解説。IV がん免疫療法における背景疑問(Background Question:BQ) BQごとに、がん種によって異なる治療ラインやレジメンをガイドラインで解説。具体的なBQは下記のとおり。BQ1:進行期悪性腫瘍に対して、免疫チェックポイント阻害薬単剤療法は有効か?BQ2:進行期悪性腫瘍に対して、免疫チェックポイント阻害薬併用療法は有効か?BQ3:進行期悪性腫瘍に対して、免疫チェックポイント阻害薬と他剤を併用した複合免疫療法は有効か?BQ4:悪性腫瘍の根治術後の治療において、免疫チェックポイント阻害薬は有効か?BQ5:免疫チェックポイント阻害薬の効果予測バイオマーカーとして、PD-L1検査は有用か? 二宮氏は「他のガイドラインとは異なり、がん種横断的なアプローチを深く知ることのできる1冊となっている。治療や薬剤の増加に伴って多様化してきた有害事象にも紙幅を多く割いた。この分野は現在進行中の臨床試験も数多く、読者と共に情報をアップデートしていきたい」とした。『がん免疫療法ガイドライン』第3版(金原出版)編集:日本臨床腫瘍学会定価:3,300円発行日:2023年3月20日B5判・264頁・図数:29枚・カラー図数:5枚

507.

手術前後デュルバルマブ、非小細胞肺がんの無イベント生存を有意に延長(AEGEAN)/AZ

 アストラゼネカ社は2023年3月9日、第III相AEGEAN試験の中間解析の結果を発表した。切除可能な早期(IIA~IIIB期)非小細胞肺がん(NSCLC)を対象とした同試験の中間解析において、術前での化学療法とデュルバルマブの併用および術後デュルバルマブ単剤治療は、術前化学療法単独と比較して、統計学的に有意かつ臨床的に意義のある無イベント生存期間(EFS)延長を示している。 病理学的完全奏効(pCR)および主要な病理学的奏効(MPR)の最終的な解析結果は、これまでに報告された中間解析における良好な結果と一致していた。同試験は、無病生存期間(DFS)および全生存期間(OS)を含む主要な副次評価項目を評価するため、予定通り継続する。 世界で肺がんと診断される患者は年間220万人と推定されており、その80〜85%がNSCLCと診断されている。NSCLCの約25〜30%が、根治が期待される切除可能な早期NSCLCと診断されるが、StageIIの5年生存率は56~65%、StageIIIaでは41%、StageIIIbでは24%にまで低下することから、依然として高いアンメットニーズが存在していることがうかがえる。 これらのデータは、近く開催される医学学会で発表され、世界の規制当局と共有される。

508.

EGFR-TKI抵抗性NSCLC、HER3-DXd最新データ(U31402-A-U102)/日本臨床腫瘍学会

 EGFRチロシンキナーゼ阻害薬(EGFR-TKI)抵抗性のEGFR変異陽性非小細胞肺がん(NSCLC)患者を対象に、抗HER3抗体薬物複合体patritumab deruxtecan(HER3-DXd)を投与したU31402-A-U102試験について、最新の結果が報告された。2023年3月16日~18日に開催された第20回日本臨床腫瘍学会学術集会(JSMO2023)で近畿大学病院の林 秀敏氏が発表した。 HER3はHERファミリーに属する受容体型チロシンキナーゼ(RTK)であり、ホモダイマーを形成することはできず、ヘテロダイマーを形成することにより、対となるRTKを活性化するとされている。主にHER2とヘテロダイマーを形成する1-3)。HER3は、NSCLCでは腫瘍組織の83%に発現し、転移や無再発生存期間(RFS)の短縮に関与していることが報告されている4)。また、EGFR-TKIに対する耐性を獲得すると、HER3の発現量が増加することも示されている5)。なお、抗HER3抗体薬物複合体HER3-DXdは、国内で製造販売承認を取得しているトラスツズマブ デルクステカン(商品名:エンハーツ)と同じリンカーとペイロードを用いた製剤である。 U31402-A-U102試験6)は、EGFR-TKIによる治療後に病勢進行が認められた進行・転移EGFR変異陽性NSCLC患者を対象とした第I相試験。用量漸増パートと用量拡大パートから構成されている。用量拡大パートでは、第II相試験の推奨用量となったHER3-DXd 5.6mg/kgが3週ごとに投与された(コホート3bを除く)。用量拡大パートは、コホート1~4で構成され、今回はコホート1と3aを統合し、2022年1月28日をデータカットオフ日として解析した結果が報告された。コホート1~3の主要評価項目はRECIST 1.1に基づく客観的奏効率(ORR)であった。各コホートの対象患者とレジメンは以下のとおり。・コホート1:EGFR変異陽性NSCLC(腺がん)、5.6mg/kgを3週ごと・コホート2:EGFR変異陽性(EGFR ex19del、L858R、L861Q、G719Xは除外)NSCLC(扁平上皮がん、非扁平上皮がん)、5.6mg/kgを3週ごと・コホート3a:EGFR変異陽性NSCLC(組織型は問わない。ただし、小細胞がんは除外)、5.6mg/kgを3週ごと・コホート3b:EGFR変異陽性NSCLC(組織型は問わない。ただし、小細胞がんは除外)、3.2~6.4mg/kgの用量で漸増投与・コホート4:EGFR変異陽性NSCLC(組織型は問わない。ただし、小細胞がんは除外)、5.6mg/kgを3週ごと(試験薬は商業生産施設で生産) 主な結果は以下のとおり。・解析対象患者は102例(日本人16例)で、投与期間中央値は5.5ヵ月(範囲:0.7~27.5)であった。前治療として第3世代EGFR-TKIとプラチナ療法の併用療法を受けた患者(前治療サブグループ)は78例(日本人10例)で、投与期間中央値は5.5ヵ月(範囲:0.7~27.5)であった。・主要評価項目のORRは、解析対象患者全体では40.2%(95%信頼区間[CI]:30.6~50.4)、奏効期間中央値は7.6ヵ月(95%CI:6.9~14.7)であった。前治療サブグループでは、ORRが41.0%(95%CI:30.0~52.7)、奏効期間中央値が11.2ヵ月(95%CI:7.0~推定不能)であった。・全生存期間(OS)中央値は、解析対象患者全体では15.8ヵ月(95%CI:10.8~21.5)、前治療サブグループでは16.2ヵ月(95%CI:11.2~21.9)であった。・無増悪生存期間(PFS)中央値は、解析対象患者全体では6.4ヵ月(95%CI:5.3~8.3)、前治療サブグループでは6.4ヵ月(95%CI:4.4~10.8)であった。・中枢神経系(CNS)転移のある患者(55例)におけるORRは36.4%(95%CI:23.8~50.4)、CNS転移のない患者(47例)では44.7%(95%CI:30.2~59.9)であった。・奏効と治療開始前のHER3の発現量には明確な関連はみられなかった。・Grade3以上の有害事象は76.5%、副作用は56.9%に認められた。重篤な有害事象は50.0%、重篤な副作用は19.6%に認められた。・副作用としての間質性肺疾患(ILD)は8例(7.8%)に認められた(Grade1/2が5例、Grade3が1例、Grade5が2例)。日本人集団では、16例中3例(18.8%)に認められた(Grade1/2が2例、Grade5が1例)。 林氏は「HER3-DXdは複数の前治療を有する進行・転移EGFR変異陽性NSCLC患者において有望な抗腫瘍活性を示した。抗腫瘍活性はHER3の発現量、CNS転移の有無、EGFR-TKI耐性の種類にかかわらず認められた。安全性解析の結果は過去の報告と同様で、管理可能かつ許容可能なプロファイルが確認された」とまとめた。なお、進行・転移EGFR変異陽性NSCLC患者を対象としたHER3-DXdの臨床試験として、第II相試験(HERTHENA-Lung01、NCT04619004)、第III相試験(HERTHENA-Lung02、NCT05338970)が進行中である。■参考文献1)Lyu H, et al. Acta Pharm Sin B. 2018;8:503-510.2)Haikala HM, et al. Clin Cancer Res. 2021;27:3528-3539.3)Tzahar E, et al. Mol Cell Biol. 1996;16:5276-5287.4)Scharpenseel H, et al. Sci Rep. 2019;9:7406.5)Yonesaka K, et al. Clin Cancer Res. 2022;28:390-403.6)U31402-A-U102試験(Clinical Trials.gov)

509.

ペムブロリズマブの去勢抵抗性前立腺がんおよびEGFR陽性非小細胞がんの第III相試験/MSD

 Merck社は2023年2月28日、第III相試験KEYNOTE-641およびKEYNOTE-789の最新情報を公開。転移のある去勢抵抗性前立腺がん(mCRPC)において、ペムブロリズマブとエンザルタミドおよびアンドロゲン除去療法(ADT)との併用を評価する第III相KEYNOTE-641試験については、独立データモニタリング委員会の勧告に基づき中止する。中間解析において、ペムブロリズマブとエンザルタミドおよびADTの併用療法では、プラセボ+エンザルタミドおよびADTと比較して、2つの主要評価項目である画像上の無増悪生存期間(rPFS)または全生存期間(OS)の改善が確認されず、OSについては事前に設定した無益性の境界(futility boundary)を超えた。 また、オシメルチニブを含むEGFR‐TK治療後に進行した転移を有するEGFR変異陽性の非扁平上皮非小細胞肺がん(NSCLC)の治療においてペムブロリズマブとペメトレキセドおよびプラチナ製剤による化学療法の併用療法を評価する第III相KEYNOTE-789試験について、2つの主要評価項目のうちOSを達成しなかったことを発表した。同試験の最終解析で、ペムブロリズマブ+ペメトレキセドおよびプラチナ製剤による化学療法を受けた患者では、ペメトレキセドおよびプラチナ製剤による化学療法のみを受けた患者と比較してOSの改善がみられたが、事前に設定した統計学的有意性の基準を満たさなかった。もう1つの主要評価項目である無増悪生存期間(PFS)について、この前に実施した中間解析でペムブロリズマブ群では化学療法単独群と比較して改善がみられたが、統計学的有意性の基準を満たさなかった。 KEYNOTE-641試験およびKEYNOTE-789試験においてペムブロリズマブの安全性プロファイルはこれまでの試験で認められているものと一貫しており、新たな安全性の懸念は特定されなかった。

510.

第139回 医師国家試験合格発表、合格率は91.6%とほぼ例年並み/厚労省

<先週の動き>1.医師国家試験合格発表、合格率は91.6%とほぼ例年並み/厚労省2.後期高齢者の医療保険、法案改正に向け、衆議院で審議入り/衆院3.がん5年後生存率66.2%、改善傾向続く/国立がん研究センター4.医療DXの推進に向けパブリックコメントを実施/政府・厚労省5.光熱費・物価高のため入院基本料の引き上げを要求/日病6.電子処方箋の導入に向けQ&Aを公表/厚労省1.医師国家試験合格発表、合格率は91.6%とほぼ例年並み/厚労省厚生労働省は、3月16日に令和5年2月4~5日に実施した第117回医師国家試験の合格者を発表した。今回は受験者数1万293人のうち、合格者は9,432人(合格率:91.6%)となり、合格率は前年の91.7%とほぼ同率だった。男女別の合格率は女性93.0%と男性の91.0%を上回り、合格者の34.6%は女性だった。なお、今年度初めて医学部の卒業生を送り出した国際医療福祉大学は、124人が合格し、合格率は99.2%、うち15人はベトナム、モンゴル、インドネシア、カンボジア、ミャンマーからの留学生だった。(参考)第117回医師国家試験の合格発表について(厚労省)医師国家試験2023、順天堂大100%合格…学校別合格率(ReseMom)医師国家試験、合格率91.6% 6年連続で合格者9千人超(CB news)医師国試合格発表、9432人の新医師が誕生(日経メディカル)医師国家試験に留学生15人が合格 学校別合格率は99.2%(国際医療福祉大学)2.後期高齢者の医療保険、法案改正に向け、衆議院で審議入り/衆院今年の4月から出産育児一時金(1児につき42万円)が50万円に引き上げられるため、75歳以上の後期高齢者にも負担を求める健康保険法などの改正案が3月16日、衆議院本会議で審議入りした。岸田 文雄首相は「給付と負担のバランスを確保しつつ、すべての世代が能力に応じて社会保障制度を公平に支え合う仕組みを構築することが重要」として、社会保障の持続可能性を高めたいと強調した。現在、年3千億円規模の出産育児一時金の大半を現役世代の医療保険料でまかなっている。来年の2024年度からは、7%分を後期高齢者が負担する内容となっている。これに合わせて、後期高齢者のうち、年金収入が年間153万円を超える人の約4割の保険料の上限額が、2024年度から段階的に引き上げられる。また、かかりつけ医機能報告制度について、都道府県が医療機関の機能を公表する仕組みを新たに設ける。(参考)全世代対応型の持続可能な社会保障制度を構築するための健康保険法等の一部を改正する法律案の概要(厚労省)後期高齢者保険料上限引き上げ 健康保険法改正案 衆院審議入り(NHK)75歳以上の4割、保険料増 医療保険法案審議入り 負担増に懸念も(朝日新聞)3.がん5年後生存率66.2%、改善傾向続く/国立がん研究センター国立がん研究センターは、3月15日に全国のがん診療連携拠点病院など447施設の「院内がん登録」のデータを集計し、院内がん登録全国集計報告書を公表した。これによると、2014~15年にがんと診断された人の5年後の生存率は66.2%、2010年の10年生存率は53.3%となった。今回よりがんが原因で亡くなった人だけを推定して算出する「ネット・サバイバル」を採用したため、前回までの集計とは単純比較はできないが、徐々に改善している傾向をみせている。(参考)院内がん登録2010年10年生存率、2014-2015年5年生存率報告書(国立がん研究センター)がん5年後生存率66.2% 14~15年に診断の94万人集計(毎日新聞)がん10年生存率53.3%「改善傾向変わらない」…新たにネット・サバイバルで算出(読売新聞)がん10年後生存率53.3%種類・ステージ別の詳細算出方法が変更(NHK)4.医療DXの推進に向けパブリックコメントを実施/政府・厚労省政府は2022年6月7日に閣議決定した「経済財政運営と改革の基本方針2022」において、「全国医療情報プラットフォームの創設」、「電子カルテ情報の標準化等」および「診療報酬改定DX」の取組を進めるため、10月12日に総理大臣を本部長とする医療DX推進本部を設置して議論を重ねてきた。3月8日に医療DX推進本部幹事会を開催し、「医療DXの推進に関する工程表骨子案」について議論を行い、3月8日から「医療DXの推進に関する工程表(骨子案)」についてパブリックコメントの募集を開始した。締め切りは4月6日まで。集められた意見をもとに「医療DXの推進に関する工程表」を作成し、各省庁で取組を推進していく。(参考)医療DXの推進に関する工程表(骨子案)に関する御意見の募集について(政府・厚労省)「医療DX推進の工程表」(誰が何をいつまでに実現するのか)の作成に向け、広く国民から意見募集(GemMed)5.光熱費・物価高のため入院基本料の引き上げを要求/日病日本病院会の相澤 孝夫会長は、3月14日に厚生労働省を訪れ、加藤 勝信厚生労働大臣に「入院基本料の引き上げに関する要望書」を手渡した。昨年から電力、ガス料金が相次いで値上げされたことによって、病院の経営が大きな影響を受けているとして、安定的な病院経営による安定的な医療提供体制を確保するために、入院基本料の引き上げを求めた。要望書によると、医業利益の比較について、4年続けて赤字病院割合が60%を超え、2020年度の79.1%が最も高く、2021年度は72.5%であり、緊急包括支援事業などコロナ関連の補助金を除くと、経常利益の赤字病院割合は2020年度が30.8%から65.9%に、2021年度は19.9%から55.9%へと大幅に増加していた。また、100床あたりの経常利益は2020、21年度で黒字となったが、コロナ関連の補助金を除くと赤字となる。(参考)入院基本料の引き上げに関する要望書(日病)光熱水費高騰などで病院経営は危機的な状況、本来のあるべき姿として「入院基本料の引き上げ」を要請-日病・相澤会長(GemMed)6.電子処方箋の導入に向けQ&Aを公表/厚労省厚生労働省は、令和5年1月26日から開始された電子処方箋について、3月18日に令和4年度第4回オンライン説明会を行うとともに、電子処方箋導入後の着実な運用を確保するため、医療機関・薬局向けの確認事項として、電子処方箋に関する「運用開始におけるよくあるご質問・ご意見について」を掲載し、解説や対応例を公開している。厚労省は導入に関する質問に対しては、問い合わせフォームやコールセンターを用意しており、FAQやチャットボット(24時間365日対応)でも対応する。また、社会保険診療報酬支払基金も電子処方箋ポータルサイトを開設し、電子処方箋の導入事例を紹介している。(参考)電子処方箋(厚労省)電子処方箋よくあるご質問・ご意見に対する解説・対応例(同)電子処方箋の導入事例記事サイト(社会保険診療報酬支払基金)

512.

EU・英国の2023年がん死亡率、肺がんは減少も女性で増加の国あり/Ann Oncol

 イタリア・ミラノ大学のMatteo Malvezzi氏らは、欧州連合(EU)に加盟する27ヵ国全体および、EUのなかで人口が多い5ヵ国(ドイツ、フランス、イタリア、スペイン、ポーランド)、英国の2023年のがん死亡率の予測を発表した。本調査は毎年実施され、2023年の重点調査は肺がんとされた。EU加盟27ヵ国における2023年のがん死亡率は、2018年と比べて男性では6.5%、女性では3.7%減少すると予測された。また、EU加盟27ヵ国における2023年の肺がんによる死亡率は、2018年と比べて男性では10.2%減少すると予測されたが、女性では1.2%増加すると予測された。本調査結果は、Annals of Oncology誌オンライン版2023年3月5日号に掲載された。 1970~2018年における、EU加盟27ヵ国および英国の死亡に関するデータ(イタリアは2017年まで、フランスは2016年まで)について、世界保健機関(WHO)のデータベースを用いて検索し、最も一般的な10種のがん(胃がん、大腸がん、膵臓がん、肺がん、乳がん、子宮がん[頸部および体部]、卵巣がん、前立腺がん、膀胱がん、白血病)およびすべてのがんによる死亡数を調査した。2023年のがん死亡率の予測にあたり、予測人口はEU統計局(Eurostat)のデータを用いた。 主な結果は以下のとおり。・EU加盟27ヵ国における2023年のがん死亡数は126万1,990人と予測された。年齢調整死亡率(ASR)は、男性123.8人/10万人(2018年と比べて6.5%減少)、女性79.3人/10万人(同3.7%減少)であった。・EU加盟27ヵ国では、がん死亡率のピークであった1988年と比べて、1989~2023年の期間に約586万2,600人のがん死亡が回避されたと推定された。・EU加盟27ヵ国では、ほとんどのがん種において2023年のASRは2018年と比べて、良好な減少傾向が示された。しかし例外として、膵臓がんは男性で0.2%の減少にとどまり、女性では3.4%増加すると予測された。また、肺がんは女性において1.2%増加すると予測された。・英国では、すべてのがん種において2023年のASRは2018年と比べて、男女ともに減少すると予測された。・重点調査とした肺がんについて、2023年のASRと2015~19年のASRを比べた結果、EU加盟27ヵ国において男性では全年齢層で減少が予測され、女性では若年層(25~44歳)で35.8%の減少(ASR:0.8人/10万人)、中年層(45~64歳)で7.0%の減少(ASR:31.2人/10万人)が予測されたが、高齢層(65歳以上)では10%の増加(65~74歳のASR:102.2人/10万人、75歳以上のASR:118.2人/10万人)が予測された。・肺がんについて、国別に2023年のASRと2015~19年のASRを比べた結果、フランス、イタリア、スペインにおいて女性のASRの増加が予測された(それぞれ13.9%、5.6%、5.0%増加)。 また、EU加盟27ヵ国における男女別にみた、各がんの2023年のASRの予測値と2018年からの変化率は以下のとおり。【男性のASR(人/10万人)、変化率】肺がん:29.76、-10.24%大腸がん:14.65、-5.46%前立腺がん:9.49、-6.52%膵臓がん:8.19、-0.17%胃がん:5.27、-12.66%膀胱がん:4.32、-9.73%白血病:3.65、-12.61%全がん:123.75、-6.45%【女性のASR(人/10万人)、変化率】肺がん:13.63、+1.15%乳がん:13.58、-4.63%大腸がん:8.11、-8.70%膵臓がん:5.88、+3.39%子宮がん(頸部および体部):4.61、-4.56%卵巣がん:4.26、-6.94%胃がん:2.29、-18.84%白血病:2.18、-12.91%膀胱がん:1.10、-0.37%全がん:79.31、-3.72%

513.

治療前の抗菌薬で免疫チェックポイント阻害薬の有効性が低下/JCO

 免疫チェックポイント阻害薬(ICI)治療前の抗菌薬曝露は、腸内細菌叢の変化を通じて転帰に悪影響を及ぼす可能性があるが、大規模な評価は不足している。ICI開始前の抗菌薬が全生存期間(OS)に与える影響を評価したカナダ・プリンセスマーガレットがんセンターのLawson Eng氏らによるレトロスペクティブ・コホート研究の結果が、 Journal of Clinical Oncology誌オンライン版2023年2月24日号に掲載された。 著者らは、カナダのオンタリオ州で2012年6月~2018年10月にICIによる治療を開始した65歳以上のがん患者を、全身療法投与データを用いて特定した。このコホートをICI治療の1年前と60日前の両方における抗菌薬の処方請求データを得るためにほかの医療データベースとリンクし、多変量Coxモデルにより曝露とOSの関連性を評価した。患者のがん種は肺がんが最多(53%)、メラノーマ(34%)、腎臓がん、膀胱がんがそれに続いた。ICIはニボルマブとペムブロリズマブが一般的だった。 主な結果は以下のとおり。・ICIを投与されたがん患者2,737例のうち、ICI治療の1年前に59%、60日前に19%が抗菌薬を投与されていた。・OSの中央値は306日であった。ICI投与前1年以内のあらゆる抗菌薬への曝露はOSの悪化と関連していた(調整ハザード比[aHR]:1.12、95%信頼区間[CI]:1.12~1.23、p=0.03)。・抗菌薬のクラス解析では、ICI投与前1年以内(aHR:1.26、95%CI:1.13~1.40、p<0.001)または60日以内のフルオロキノロン系抗菌薬への曝露(aHR:1.20、95%CI:0.99~1.45、p=0.06)はOSの悪化と関連しており、1年間の総被曝週数(aHR:1.07/週、95%CI:1.03~1.11、p<0.001)および60日(aHR:1.12/週、95%CI:1.03~1.23、p=0.01)に基づいて用量効果がみられた。 著者らは「ICI治療前の抗菌薬、とくにフルオロキノロン系抗菌薬への曝露が高齢のがん患者のOS悪化と関連していた。ICI治療前の抗菌薬への曝露の制限、もしくは腸内細菌叢を変化させ免疫原性を高めることを目的とした介入が、ICIを受ける患者の転帰を改善するのに役立つ可能性がある」としている。

514.

EGFR陽性NSCLCの術後補助療法、オシメルチニブがOS延長(ADAURA試験)/AZ

 アストラゼネカは、オシメルチニブ(商品名:タグリッソ)の第III相試験(ADAURA試験)において、EGFR遺伝子変異陽性の病理病期IB~IIIAの非小細胞肺がん(NSCLC)に対する完全切除後の補助療法としてのオシメルチニブの投与により、全生存期間(OS)が有意に改善したことを2023年3月10日のプレスリリースで発表した。 ADAURA試験でオシメルチニブがEGFR陽性NSCLC術後補助療法でOS改善 国際共同第III相比較試験ADAURA試験は、EGFR遺伝子変異陽性(ex19del/L858R)の病理病期IB~IIIAのNSCLC患者のうち、腫瘍が完全切除された患者を対象とした試験。術後補助療法として、オシメルチニブ80mg/日を投与する群(オシメルチニブ群)とプラセボを投与する群(プラセボ群)に1:1の割合で無作為に割り付け、最大3年間投与した(両群とも術後化学療法の使用は許容された)。なお、再発したプラセボ群の患者は非盲検下でオシメルチニブの投与を可能とした。主要評価項目は、病理病期II/IIIA患者の無病生存期間(DFS)であり、副次評価項目は、全集団(病理病期IB~IIIA)におけるDFS、OSなどであった。 本発表では、ADAURA試験の主要な副次評価項目であるOSがオシメルチニブ群においてプラセボ群と比べて有意な改善を示し、かつ臨床的意義のある改善であったことが示されたとしている。なお、主解析においてDFSが統計学的有意かつ臨床的意義のある改善を示したことが報告されており、追跡調査ではDFSの中央値が約5.5年であったことが報告されている。ADAURA試験の結果詳細は、今後学会で発表される予定とのことである。 肺癌診療ガイドライン2022年版では、「CQ30. EGFR遺伝子変異陽性の術後病理病期II~IIIA期(第8版)完全切除例に対して、EGFRチロシンキナーゼ阻害薬は勧められるか?」について、EGFRチロシンキナーゼ(EGFR-TKI)による術後化学療法がOSの延長を示した試験結果は報告されていないことなどを理由として、推奨度決定不能としていた。■関連記事高リスク早期乳がんでの術後内分泌療法+アベマシクリブ、高齢患者でも有用(monarchE)/ASCO2023

515.

telisotuzumab vedotinが先駆的医薬品の対象に/アッヴィ

 2023年3月7日、アッヴィは非小細胞肺がん治療薬として同社が開発中の抗体薬物複合体(ADC)telisotuzumab vedotinが、厚生労働省より「先駆的医薬品指定制度」の対象品目に指定されたと発表した。  telisotuzumab vedotinは、がん細胞表面で発現する、細胞表面受容体c-Metを特異的標的とするADCである。c-Metの過剰発現は予後不良だが、その標的治療法は現時点で確立されていない。

516.

肺がんCGPパネルで結びついた新たな治療【肺がんインタビュー】 第94回

第94回 肺がんCGPパネルで結びついた新たな治療肺がんにおける包括的遺伝子プロファイリング(CGP)パネル検査は、見落とされたドライバー変異や遺伝子異常を同定し、治療手段が尽きた症例と新たな治療を結びつける。Thoracic Cancer誌で発表された実例を筆頭著者である大阪国際がんセンターの國政 啓氏が解説する。参考Kunimasa K, et al. Thorac Cancer.2022;13:2970-2977.

517.

自宅でのお看取り、医師に必要な心構えは?【非専門医のための緩和ケアTips】第47回

第47回 自宅でのお看取り、医師に必要な心構えは?プライマリ・ケアの立場で在宅緩和ケアをしていると必ず遭遇するのが、自宅でのお看取りです。ご家族にとってはもちろん、在宅緩和ケアを支えてきた関係者にとっても重要な瞬間です。今日はご自宅での死亡確認について考えてみましょう。今日の質問私のクリニックでも訪問診療の患者さんが増え、まれに在宅看取りに対応するようになりました。病院での死亡確認は何度も経験してきましたが、ご自宅は雰囲気が違って慣れません。何か工夫すべきことはあるでしょうか?在宅でのお看取り、確かに病院と勝手が違う部分がありますよね。私も初めての在宅お看取りの経験を、今でも思い出します。お看取りに関する「病院と在宅の違い」を少し考えてみましょう。在宅でのお看取りは、訪問看護師から電話で「呼吸停止の連絡」が入ってご自宅に向かう、といったケースが多いでしょう。向かった先では、ご家族と訪問看護師が一緒に患者さんの様子を見守っています。このような場面で私が心掛けているのは、「医師がお看取りの主役にならない」ことです。在宅看取りの経験から感じるのは、自宅で過ごせるよう、ご本人はもちろん、家族も一緒に取り組んできた、ということです。さらに、訪問看護師や介護士、ケアマネジャーといった方々の濃密な支援にも支えられたことでしょう。そうした意味で、お看取りの主役は家族であり、ケアスタッフです。医師としてきちんと死亡確認はするものの、控えめに立ち振る舞うよう心掛けています。いろいろお声掛けしたい気持ちを抑え、「看護師さんがお体をきれいにするなど、最後のケアをしてくれますからね」とご家族に言って、死亡診断書を記載してさっと立ち去ります。在宅のお看取りに関して、印象深い話があります。私が在宅緩和ケアの初心者だったころに訪問看護師から聞いた話です。彼女は「お看取りした後のエンゼルケアって、あれは“処置”ではなく“ケア”なんですよね。一緒に頑張ってご自宅で過ごしてきた患者さんに対し、最後にさせてもらうケアなんです」と言っていました。この話を聞いて、在宅看取りはこういった想いを基盤としたケアに支えられて実現しているのだと感じました。それ以来、在宅療養を支える他職種が取り組んでいることや、そこにまつわる想いに関心を持つようになりました。亡くなる瞬間を多職種で支える、というのは病院でも在宅でも共通する部分です。ただ、在宅緩和ケアのほうが、より各職種が独立してケアを提供する場面が多いでしょう。お看取りの時にも、そんな各職種の役割や想いを意識しながら、その場で医師として求められる役割に応えていくことが大切なのだと思います。今回のTips今回のTips在宅でのお看取り、ご家族や他職種の想いを尊重し、医師は脇役に徹しましょう。

518.

肺がん減少の一方で乳がん・前立腺がんは増加/全米がん統計

 米国がん協会は、毎年米国における新たながんの罹患数と死亡数を推定して発表している。2023年の最新データがCA Cancer Journal for Clinicians誌2023年1/2月号に掲載された。発表されたデータによると、2023年に米国で新たにがんと診断される人は195万8,310人、がんによる死亡者は60万9,820人と予測されている。死亡者数が最も多いがん種は、男性は肺がん、前立腺がん、大腸がんの順で、女性は肺がん、乳がん、大腸がんの順であった。 がん罹患率は、がんリスクに関連する行動パターンと、がんスクリーニング検査の使用などの医療行為の変化の両方を反映する。たとえば、1990年代初頭の前立腺がんの罹患率(人口10万人当たり)の急増は、それ以前に検査を受けていなかった男性の間で前立腺特異抗原(PSA)検査が急速に広まった結果、無症候性前立腺がんの検出が急増したことを反映している。その後、高齢男性に対するPSA検査が推奨されなくなったことから罹患数は20年間減少を続けていたが、2014~19年には再度増加に転じ、2023年には9万9,000人の新規罹患者が予測されている。また、ヒトパピローマウイルス(HPV)ワクチンの接種推進によって20代前半の女性の子宮頸がん発症率は2012年から2019年にかけて65%低下した。 全体としては、女性に比べて男性のほうが罹患率の傾向は良好だった。2015から2019年にかけての女性の肺がん罹患率の減少は男性の2分の1のペース(年1.1%対2.6%)であり、乳がんや子宮体がんの罹患率は増加を続けている。肝臓がんやメラノーマの罹患率は50歳以上の男性では安定、若年男性では減少した。結果として、性差は徐々に縮小し、がん全体の男女の罹患率比は1992年の1.59(95%信頼区間[CI]:1.57~1.61)から2019年には1.14(95%CI:1.14~1.15)まで低下した。ただし、この比率は年齢によって大きく異なり、20~49歳では女性が男性よりも約80%高い一方で、75歳以上では男性が約50%高かった。 2020年からはCOVID-19感染流行があったにもかかわらず、また他の主要な死因とは対照的に、がん死亡率は2000年代には年1.5%、2015~20年には年2%と減少を続け、1991~2020年までに33%減少し、推定380万人の死亡が回避された。この進歩は喫煙の減少、乳がん・大腸がん・前立腺がん検査の普及、そして治療の進歩を反映したもので、とくに白血病、メラノーマ、腎臓がんの死亡率が急速に減少(2016~20年には年約2%)したことや、肺がんの死亡率減少が加速したことに表れている。すべてのがんを合わせた5年相対生存率は、1970年代半ばに診断された49%から2012~18年に診断された68%に増加した。しかし、死亡率における人種格差が最も大きい乳がん、前立腺がん、子宮体がんの罹患率上昇により、今後の減少の進展は弱まる可能性があるという。

519.

クライオ生検vs.従来法、日本人末梢肺病変の診断率と安全性/Lung Cancer

 2017年に本邦でも使用可能となったクライオ生検は、従来の経気管支肺生検よりも大きく、かつ良質な検体が得られる手法である。しかし、末梢肺病変の診断率について、クライオ生検と従来法を直接比較した報告は、ほとんどないのが現状である。そこで、国立がん研究センター中央病院の古瀬 秀明氏らは、診断的気管支鏡検査を受けた患者のデータを後ろ向きに解析し、クライオ生検は従来法と比べて末梢肺病変の診断率が高かったことを報告した。本研究結果は、Lung Cancer誌2023年4月号に掲載された。クライオ生検は従来法と比べて末梢肺病変の診断率が高いことが明らかに 末梢肺病変を有し、2015年10月~2020年9月までに診断的気管支鏡検査を受けた患者2,724例のデータを後ろ向きに解析した。クライオ生検を受けた患者492例(クライオ生検群)、従来の経気管支肺生検を受けた患者2,232例(従来法群)について、傾向スコアマッチングを行い、各群481例を比較した。 クライオ生検と従来法を末梢肺病変の診断率について比較した主な結果は以下のとおり。・傾向スコアマッチング後の診断率は、従来法群が77.6%であったのに対し、クライオ生検群は89.2%であり、有意に高率であった(オッズ比[OR]:2.36、95%信頼区間[CI]:1.65~3.38、p<0.001)。・傾向スコアを用いた層別化(OR:2.35、95%CI:1.71~3.23)、回帰分析(OR:2.54、95%CI:1.83~3.52)においても、クライオ生検の診断における有用性が示された。・サブグループ解析において、とくに中葉舌区、右/左下葉の病変、すりガラス陰影、胸部X線検査で検出できない病変について、クライオ生検の診断における有用性が示された。・Grade2および3の出血の発現率は、従来法群がそれぞれ10.2%、0.8%であったのに対し、クライオ生検群ではそれぞれ38.0%、1.5%と有意に高率であった(p<0.001)。Grade4の出血はクライオ生検と従来法のいずれの群にも認められなかった。 著者らは、「クライオ生検は従来法と比べて末梢肺病変の診断率が高いことが明らかになった。ただし、クライオ生検は出血リスクが増加するため注意が必要である」とまとめた。

520.

ペムブロリズマブの肺がんアジュバントの(FDA)承認で考えること【侍オンコロジスト奮闘記】第144回

第144回:ペムブロリズマブの肺がんアジュバントの(FDA)承認で考えること参考FDA approves pembrolizumab as adjuvant treatment for non-small cell lung cancerImfinzi and Imjudo with chemotherapy approved in the US for patients with metastatic non-small cell lung cancerReijers ILM, et al.Nat Med.202;28:1178-1188. Personalized response-directed surgery and adjuvant therapy after neoadjuvant ipilimumab and nivolumab in high-risk stage III melanoma: the PRADO trial

検索結果 合計:2070件 表示位置:501 - 520