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EGFR exon20挿入変異陽性進行NSCLCの初回治療、経口sunvozertinibが有効(WU-KONG28)/NEJM

 EGFR exon20挿入変異陽性の進行非小細胞肺がん(NSCLC)の初回治療として、sunvozertinibはプラチナベースの化学療法よりも有効性に優れることが示された。中国・Shanghai East HospitalのCaicun Zhou氏らWU-KONG28 Investigatorsが、15ヵ国154施設で被験者を募り実施した海外第III相無作為化試験の結果を報告した。sunvozertinibは、WU-KONG1B試験およびWU-KONG6試験の結果に基づき、米国および中国で、既治療のEGFR exon20挿入変異陽性の進行NSCLC患者に対する治療薬として迅速承認された経口薬。早期相の試験において、初回治療の選択薬としてもベネフィットをもたらす可能性が示唆され、有効性および安全性の検証が求められていた。NEJM誌オンライン版2026年5月29日号掲載の報告。主要評価項目はPFS 研究グループは、EGFR exon20挿入変異陽性の進行非扁平上皮NSCLC患者を、sunvozertinib群または化学療法群(カルボプラチン+ペメトレキセド)に、1対1の割合で無作為に割り付けた。ベースラインの脳転移の有無で層別化した。 sunvozertinib群の患者には、プロトコールで定義した病勢進行またはその他の投与中止基準に該当するまで、sunvozertinibが1日1回300mg経口投与された。化学療法群の患者は、治験担当医師の判断で最長4または6サイクルのカルボプラチン(AUC5)+ペメトレキセド(500mg/m2)投与を受け、その後に病勢進行またはその他の投与中止基準に該当するまでペメトレキセドの投与を受けた。化学療法は3週ごとの静脈内投与とした。 主要評価項目は、盲検下独立中央判定(BICR)による無増悪生存期間(PFS)であった。化学療法群は、病勢進行確認後にsunvozertinibへのクロスオーバーが許容された。 副次評価項目は、全生存期間(OS)、治験担当医師評価のPFS、奏効率(ORR)、腫瘍径の変化、奏効期間(DOR)などとした。化学療法群よりも、PFSが有意に延長 2022年12月~2025年5月に449例がスクリーニングされ、324例が無作為化された(sunvozertinib群163例、化学療法群161例)。両群の人口統計学的および臨床的な特性は、sunvozertinib群で男性が多く、ベースラインで腫瘍病変を認める臓器数が4つ以上の患者が多かったことを除き、バランスが取れていた。被験者のうち約31%が、北米(米国、カナダ)または欧州からの登録であった。 sunvozertinib群では化学療法群よりも、PFSが有意に延長した(PFS中央値:10.3ヵ月vs.7.5ヵ月、病勢進行または死亡のハザード比[HR]:0.65、95%信頼区間[CI]:0.50~0.85、p<0.001)。 12ヵ月PFS率は、sunvozertinib群46.1%、化学療法群26.7%であった。OSのデータは未成熟であった(成熟度38.9%)。ORRは、sunvozertinib群58.9%、化学療法群31.1%。腫瘍径の最良変化率中央値はそれぞれ-42.1%と-24.7%、DOR中央値は11.2ヵ月と7.1ヵ月であった。 Grade3以上の有害事象は、sunvozertinib群75.5%、化学療法群56.7%の患者で報告された。sunvozertinib群で多くみられたGrade3以上の有害事象は、血清クレアチンキナーゼ値上昇、下痢、貧血であった。治験担当医師がsunvozertinibに関連すると判定した死亡例はなかった。

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EGFR遺伝子変異陽性肺がんの耐性機序と新規治療から見た今後の展望/日本臨床腫瘍学会

 EGFR遺伝子変異陽性肺がんの治療は、分子標的薬の登場によって大きく進歩してきた。一方で、治療経過で生じる薬剤耐性、EGFRエクソン20挿入変異やHER2変異をはじめとするuncommon変異への対応、さらに治療シークエンスや併用療法に伴う有害事象の管理など、なお多くの課題が残されている。 2026年3月26〜28日に開催された第23回日本臨床腫瘍学会学術集会のシンポジウム「EGFR遺伝子変異陽性肺癌の治療課題と新規治療の展望」では、EGFR変異陽性肺がん診療が直面する近年の課題を踏まえ、その解決に向けた最新のエビデンスや治療戦略について幅広い議論が交わされた。EGFR変異陽性肺がんの耐性機序と後治療開発 James Chih-Hsin Yang氏(台湾・国立台湾大学)は、EGFR変異陽性の非小細胞肺がん(NSCLC)における一次治療後の耐性機序に着目し、第3世代EGFR-チロシンキナーゼ阻害薬(EGFR-TKI)であるオシメルチニブ単剤、オシメルチニブ+化学療法、EGFRとMETを標的とする二重特異性抗体であるアミバンタマブ+第3世代EGFR-TKIであるラゼルチニブでは、耐性化のパターンが異なることを示した。とくに、オシメルチニブによる治療ではMET増幅が重要な耐性機序となる一方、METも同時に抑制するアミバンタマブ併用では、その出現頻度が低い傾向が示された。初回治療の選択が、その後の腫瘍進化の方向性を規定しうる点は重要な示唆といえる。 また、MET関連耐性に対する治療戦略として、バイオマーカーに基づく症例選択の重要性を強調した。オシメルチニブによる一次治療後に病勢進行したEGFR変異陽性でMET過剰発現かつ/またはMET増幅を有するNSCLC患者を対象に、オシメルチニブ+新規MET阻害薬の併用療法を評価した国際共同第II相試験「SAVANNAH試験」では、MET過剰発現またはMET増幅を基準とした患者選択により、一定の奏効率と奏効期間が得られたことから、今後の第III相試験の結果が注目されるとした1)。 さらに、既治療EGFR変異陽性NSCLC患者に対する後治療として、抗TROP2抗体薬物複合体やPD-1/VEGF二重特異性抗体など、複数の新規薬剤の開発状況を紹介した。その中で、EGFRエクソン20挿入変異やその他の希少EGFR変異を標的とする低分子薬の開発も進んでいるが、薬剤ごとに活性に差があり、EGFR野生型への作用に伴う有害事象が治療強度を制限しうる点が課題として挙げられた。加えて、EGFRを分解させる抗体や、がん細胞に毒素を送達する抗体ベースの治療も有望視される一方、副作用への十分な配慮が必要だとした。Yang氏は、「EGFR変異陽性肺がんにおける二重標的治療やPD-1/PD-L1阻害薬の位置付けについても、なお活発な検討が続いている」とまとめた。EGFR変異陽性肺がんにおけるアミバンタマブの位置付け Byoung Chul Cho氏(韓国・延世がんセンター/延世大学医学部)は、アミバンタマブの臨床的意義を最新データとともに総括した。まず、本剤はEGFRとMETを同時に標的とするだけでなく、抗体依存性細胞傷害(ADCC)や抗体依存性細胞貪食(ADCP)といった免疫学的作用も有する点を特徴として挙げた。このような作用により、単なるシグナル阻害にとどまらず、腫瘍微小環境にも働きかけうることが長期にわたる有効性の背景にあるとの見方を示した。 MARIPOSA試験については、一次治療におけるアミバンタマブ+ラゼルチニブが、無増悪生存期間(PFS)だけでなく全生存期間(OS)も改善した点を強調した2)。また、アジア人集団においても一貫したOSの改善が見られたことを重視し、EGFR変異陽性肺がんにおいてアジアは単なるサブセットではなく、世界的な中心集団として捉えることも可能かもしれないと論じた。さらに、本試験は脳MRIを全例で継続的に評価した唯一の第III相試験であり、頭蓋内PFSや頭蓋内奏効期間の持続性という観点からも高く評価できるとした。 加えて、アミバンタマブ併用ではMET増幅や二次EGFR変異が減少し、耐性機序の複雑化そのものを抑制しうることを示した。Cho氏は、「アミバンタマブベースの二次治療の有用性を評価した複数の臨床試験成績を踏まえると、こうした治療はcommon変異、EGFRエクソン20挿入変異、atypical変異にわたり幅広い有効性が示唆され、EGFR変異陽性NSCLC全体の治療を変える基盤となりうる」と述べた。EGFRエクソン20挿入変異とuncommon変異に挑む新規治療開発 EGFRエクソン20挿入変異は、EGFR変異の中で3番目に多いサブタイプでありながら、従来のEGFR-TKIの効果が乏しいことが課題となっている。宇田川 響氏(国立がん研究センター東病院)は、その分子構造的背景としてP-loopやαC-helixの位置変化により薬剤結合ポケットが狭くなり、TKIの結合が妨げられていることを解説した。 こうした課題に対し、EGFRエクソン20挿入変異に高い選択性を有する新規TKIの開発が進んでいる。前臨床試験では複数の薬剤が有望視されており、臨床試験でも一定の奏効率と奏効期間が報告されていることから、今後の第III相試験の結果に期待が寄せられるとした。 さらに、G719X、S768I、L861Qなどのuncommon変異については、PACC(P-loop αC-helix compressing)変異という構造分類の考え方が紹介された。これらに対しては第2世代EGFR-TKIであるアファチニブが標準治療とされる一方、変異ごとの立体構造に応じて薬剤感受性が異なるため、今後はより広い変異スペクトラムに対応した次世代TKIの開発が重要になるとの見解を示した。融合遺伝子、多ドライバー化で生じるTKI耐性の克服に向けて 小林 祥久氏(国立がん研究センター研究所)は、EGFR-TKI耐性克服に向けた基礎研究を取り上げた。CRISPRゲノム編集技術を用いてEGFR変異細胞にKRAS変異やALK、RET、BRAF、FGFR3融合を導入し、耐性化を人工的に再現することで併用療法の最適化を検討したところ、BRAF融合モデルではBRAF阻害薬よりもMEK阻害薬であるトラメチニブの併用が有効であり、この知見が実臨床への応用にもつながった経緯が紹介された。 一方で、がんは併用療法に対してもさらに耐性を獲得しうる。RET融合モデルではRET G810S変異やRET融合増幅、FGFR3融合モデルではKRAS点突然変異など、多様な二次耐性の出現が認められたという。小林氏は、「単一ドライバーではなく、複数の腫瘍ドライバーが同時に存在する“多ドライバー腫瘍”という視点は、今後の耐性克服戦略においてきわめて重要である」と述べた。

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ALK-TKI既治療のALK陽性進行NSCLCに新規ALK-TKIのneladalkibが有望(ALKOVE-1)/ASCO2026

 既治療の進行ALK陽性非小細胞肺がん(NSCLC)に対し、新たなALK-TKIのneladalkibが、有望な抗腫瘍効果と忍容性を示した。同剤は同時に頭蓋内病変やALK G1202R耐性変異例に対しても良好な奏効を示している。neladalkibの第I/II相試験であるALKOVE-1のNSCLCコホートの初回解析結果を米国臨床腫瘍学会年次総会(2026 ASCO Annual Meeting)において、Jessica J. Lin氏(米国・Mass General Brigham Cancer Institute)が発表した。 TRKは、ヒトの神経系の発達、痛み、記憶などの調節に重要な役割を果たしている。多くのALK阻害薬はTRKファミリーも阻害してしまう。これが同薬によるCNS系の副作用の原因とされる1)。neladalkibはALKを阻害しつつ正常なTRKの阻害を避けるように設計されたTKIである2)。さらに良好な脳移行性を有し、G1202Rを含むALK獲得耐性にも対応する。 ALKOVE-1試験は、ALK陽性進行がんを対象にneladalkibの有効性・安全性を検討する国際共同第I/II相試験である。今回の発表では第II相試験の中からALK-TKI既治療のALK陽性NSCLCの初回解析結果が発表された。・対象:既治療の進行ALK融合遺伝子陽性NSCLC・介入:neladalkib 150mg/日・評価項目:[主要評価項目]盲検下独立中央判定(BICR)による客観的奏効割合(ORR)[副次評価項目]奏効期間(DOR)、奏効までの期間、無増悪生存期間(PFS)、全生存期間、頭蓋内活性、安全性および忍容性など 主な結果は以下のとおり。・ALKOVE-1登録781例中、neladalkibを投与されたALK陽性NSCLCは656例(安全性評価集団)、ALK-TKI既治療のALK陽性NSCLCは253例(有効性評価集団)であった。・患者の年齢中央値は56歳、80%が欧米人(欧州40%、北米40%、アジア20%)、CNS転移ありが40%、前治療ライン数中央値は3、ALK G1202R耐性変異は19%であった・追跡期間中央値11.3ヵ月における全体のORRは31%、ロルラチニブ治療なし群は46%、ロルラチニブ治療あり群は26%であった。・12ヵ月DOR割合は全体で64%、ロルラチニブ治療なし群は80%、ロルラチニブ治療あり群は54%であった。・PFS中央値は全体で5.7ヵ月、ロルラチニブ治療なし群は14.5ヵ月、ロルラチニブ治療あり群は4.6ヵ月。1年PFS割合は全体で33%、ロルラチニブ治療なし群は53%、ロルラチニブ治療あり群は26%であった。・頭蓋内ORRは全体で32%、ロルラチニブ治療なし群は63%、ロルラチニブ治療あり群は21%であった。・12ヵ月頭蓋内DOR割合は全体で71%、ロルラチニブ治療なし群は92%、ロルラチニブ治療あり群は55%だった。・ALK G1202R変異陽性患者におけるORRは全体で68%、ロルラチニブ治療なし群は83%、ロルラチニブ治療あり群は63%であった。・ALK G1202R変異陽性患者における12ヵ月DOR割合は全体で80%、ロルラチニブ治療なし群は77%、ロルラチニブ治療あり群は81%であった。・頻度の高い試験治療下における有害事象(TEAE)はALT上昇(全Grade47%、Grade3以上20%)、AST上昇(全Grade44%、Grade3以上16%)、便秘、味覚異常などであった。用量減量に至ったTEAEは17%、治療中止に至ったTEAEは5%であった。 ALKOVE-1試験の有望な有効性および安全性データに基づき、1次治療を対象とした国際共同無作為化第III相臨床試験ALKAZAR試験(NCT06765109)が進行中である。

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ALK陽性NSCLC、術前ロルラチニブでpCR 46.9%(LORIN)/ASCO2026

 ALK融合遺伝子陽性非小細胞肺がん(NSCLC)において、StageIB~IIIAに対する術後アレクチニブの有効性が示されている。一方、局所進行例や切除不能StageIIIに対する周術期治療のエビデンスは限定的である。第3世代ALKチロシンキナーゼ阻害薬のロルラチニブは、ALK融合遺伝子陽性の進行NSCLCで高い有効性を示しており、術前治療としての有用性も注目される。 そこで、Chao Zhang氏(中国・Guangdong Lung Cancer Institute)らの研究グループは、ALK融合遺伝子陽性のStageIII NSCLCに対する術前ロルラチニブの有効性と安全性を検討する海外第II相試験「LORIN試験」を実施した。その結果、術前ロルラチニブは高い病理学的奏効率(MPR)を示し、切除不能StageIII患者のうち75%でコンバージョン手術が可能となった。本結果は、米国臨床腫瘍学会年次総会(2026 ASCO Annual Meeting)で発表された。・試験デザイン:海外第II相単群試験(中国3施設で実施)・対象:未治療のALK融合遺伝子陽性のStageIII NSCLC患者で、potentially resectableまたは切除不能の患者43例(potentially resectable 19例、切除不能24例)・治療方法:ロルラチニブ100mg 1日1回を3サイクル(12週間)→手術または化学放射線療法などの局所治療→ロルラチニブ100mg 1日1回を最長2年間・評価項目:[主要評価項目]病理学的完全奏効率(pCR)[副次評価項目]MPR、奏効率(ORR)、無イベント生存期間(EFS)、全生存期間(OS)、安全性など 主な結果は以下のとおり。・年齢中央値は52歳で、男性の割合は27.9%であった。StageIIIAが37.2%、IIIBが51.2%、IIICが11.6%であった。・43例中32例が手術を受けた。potentially resectable群では74%が手術を受け、切除不能群では75%がコンバージョン手術を受けた。・病理学的奏効は、手術を受けた32例で評価された。pCRは46.9%に認められ、主要評価項目を達成した。MPRは81.3%であった。・potentially resectable群と切除不能群に分けると、pCR/MPRはpotentially resectable群50%/86%、切除不能群44%/78%であった。・MPRが得られた集団では、非MPR集団と比較して、腫瘍組織におけるPD-L1発現の中央値が高かった(MPR/pCR集団25%、非MPR集団1%、p<0.01)。・画像評価による術前治療後のORRは84%(すべてPR)であった。・追跡期間中央値13ヵ月時点において、局所再発が3例に認められたが、遠隔転移は認められなかった。・1年EFS率は97.1%であり、OSイベントは認められなかった。・術前治療期におけるGrade3/4の治療関連有害事象(TRAE)は23%に発現した。減量に至ったTRAEは16%、中止に至ったTRAEは2%に認められた。・術後または地固め療法期におけるGrade3/4のTRAEは21%に発現した。減量に至ったTRAEは24%、治療変更に至ったTRAEは12%に認められた。治療変更例はいずれもアレクチニブへ変更された。

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完全切除NSCLCへのニボルマブ、DFSを改善せず(EA5142/ALCHEMIST)/JAMA

 切除可能な非小細胞肺がん(NSCLC)の治療では、抗PD-1抗体ニボルマブによる術前および周術期(術前・術後)の補助療法は無イベント生存期間(EFS)を改善することが知られているが、初回手術後の補助療法におけるニボルマブの役割は明らかにされていない。米国・Memorial Sloan Kettering Cancer CenterのJamie E. Chaft氏らは「ECOG-ACRIN EA5142試験」において、切除術を受けたNSCLC患者に補助化学療法または放射線療法(あるいは両方)を行った後にニボルマブを投与したところ、無病生存期間(DFS)は改善しなかったと報告した。研究の成果は、JAMA誌オンライン版2026年6月1日号に掲載された。米国の無作為化第III相試験 ECOG-ACRIN EA5142試験は、全米臨床試験ネットワーク(NCTN)に加盟する378施設で実施した非盲検無作為化第III相試験(米国国立がん研究所の助成を受けた)。2016年5月~2019年9月に参加者を登録した。 対象は、切除腫瘍径4cm以上またはリンパ節転移陽性(N1/N2)、あるいはこれら両方の要件を満たし、予定された標準的な術後補助療法(化学療法または放射線療法、あるいはこれら両方)を完了した腺がん(EGFRおよびALKに感受性変異がない)または扁平上皮がんの患者であった。 被験者を、ニボルマブ(480mg、4週ごと、最長1年間)を静脈内投与する群、または標準治療で経過観察を行う群に、1対1の割合で無作為に割り付けた。 主要複合評価項目は、ITT集団およびPD-L1を発現した腫瘍の割合が50%以上の患者集団におけるDFS(無作為化から再発、新規肺がん、全死因死亡のいずれかが発生するまでの期間)とした。 本試験は、75%のデータが収集された時点で、中間解析の結果に基づき無効中止となった。全生存期間にも差はない 935例を登録し、ニボルマブ群に466例(年齢中央値66歳、男性241例[52%])、経過観察群に469例(67歳、245例[52%])を割り付けた。 追跡期間中央値72.6ヵ月(範囲:0.03~109)の時点でのITT集団におけるDFS中央値は、ニボルマブ群が71.3ヵ月、経過観察群は68.8ヵ月であり、両群間に有意差を認めなかった(ハザード比[HR]:0.97[97%信頼区間[CI]:0.79~1.20、95%CI:0.81~1.17]、片側p=0.39)。 また、同時点での腫瘍の50%以上にPD-L1の発現がみられる患者におけるDFS中央値は、ニボルマブ群が89.8ヵ月、経過観察群は78.5ヵ月だった(HR:0.86[98%CI:0.55~1.34、95%CI:0.59~1.25]、片側p=0.22)。 全生存期間中央値は、ITT集団ではニボルマブ群が95.9ヵ月、経過観察群は未到達であり(HR:1.02、95%CI:0.82~1.26)、腫瘍の50%以上にPD-L1の発現がみられる患者ではそれぞれ95.9ヵ月および未到達であった(HR:0.82、95%CI:0.53~1.28)。25%でGrade3~5のニボルマブ関連有害事象、術後補助ICI療法の有益性に疑問 ニボルマブに関連するGrade3~5の有害事象は116例(25%)で報告された。内訳は、Grade3が103例(22%)、Grade4が11例(2%)、Grade5が2例(1%未満)であった。 Grade5の2例は、いずれも呼吸器系のものであった。1例は肺切除術および術後補助化学療法を受けた患者で、もう1例は術後放射線療法から4週間未満で無作為化が行われたため、後に不適格とみなされた患者であった。 著者は、「両群ともDFSの目標値(54ヵ月)を上回ったが、これは術前病期分類の改正、あるいは登録前に再発した高リスク例の除外を含むその他の患者選択基準を反映している可能性がある」としている。 また、「先行研究におけるデュルバルマブ(抗PD-L1抗体)による術後補助療法に関する否定的な結果や、ペムブロリズマブ(抗PD-1抗体)およびアテゾリズマブ(抗PD-L1抗体)の術後補助療法で観察された一貫性のない結果を踏まえると、本研究の結果は、NSCLCにおける免疫チェックポイント阻害薬による術後補助療法の有益性について疑問を投げかけるものである」と指摘している。

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ivonescimab、進行扁平上皮NSCLCの1次治療でOSも延長(HARMONi-6)/Lancet

 未治療の進行扁平上皮非小細胞肺がん(NSCLC)患者において、ivonescimab+化学療法はチスレリズマブ+化学療法と比較して全生存期間(OS)を有意に延長したことが、中国・上海交通大学のShun Lu氏らが同国の50施設で実施した第III相無作為化二重盲検比較試験「HARMONi-6試験」の事前規定の中間解析の結果で示された。HARMONi-6試験に関してはこれまでに、ivonescimab+化学療法がチスレリズマブ+化学療法と比較し、主要評価項目である無増悪生存期間(PFS)を有意に延長したことが報告されていた(ジャーナル四天王「進行扁平上皮NSCLCの1次治療、ivonescimab併用がICI併用と比較しPFS改善(HARMONi-6)/Lancet」)。Lancet誌オンライン版2026年5月31日号掲載の報告。ivonescimab vs.チスレリズマブで、OSの中間解析を実施 HARMONi-6試験の対象は、年齢18~75歳、病理学的に確認された切除不能なStageIIIB/IIICまたはStageIVの扁平上皮NSCLCで、全身療法の治療歴がなく、ECOG PSが0または1の患者である。 研究グループは適格患者を、ivonescimab+化学療法群(ivonescimab群)またはチスレリズマブ+化学療法群(チスレリズマブ群)に、1対1の割合で無作為に割り付けた。無作為化の層別因子は、臨床病期(StageIIIB/IIIC期vs.IV期)およびPD-L1発現(TPS≧1%vs.<1%)であった。 ivonescimab群ではivonescimab 20mg/kg、チスレリズマブ群ではチスレリズマブ200mgに加えて、いずれもカルボプラチン(AUC 5mg/mL/分)およびパクリタキセル(175mg/m2)を3週ごとに4サイクル静脈内投与し、その後維持療法として同用量のivonescimabまたはチスレリズマブを3週ごとに投与した。治療期間は最長24ヵ月、または試験責任医師の判断による臨床効果の消失、許容できない毒性の発現のいずれか早い時点までとした。 主要評価項目は、独立画像判定委員会(IRRC)の評価によるRECIST ver.1.1に基づくPFSであり、重要な副次評価項目がOSであった。有効性の解析対象集団は無作為化されたすべての患者、安全性の解析対象集団は無作為化され試験薬を少なくとも1回投与されたすべての患者とした。 重要な副次評価項目であるOSについては、中間解析1回および最終解析を行うこととされ、中間解析はOSイベントが約225件観察された時点で計画されていたが、規制当局の期限に合わせ204件に達した時点で実施された。したがって、中間解析の有意水準は片側0.0049であった。OS中央値はivonescimab群27.9ヵ月、チスレリズマブ群23.7ヵ月 2023年8月17日~2025年1月21日に761例がスクリーニングされ、適格基準を満たした532例が無作為化された(各群266例)。患者背景は、年齢中央値64歳(四分位範囲[IQR]:59~69)、男性494例(93%)、女性38例(7%)であった。 データカットオフ日の2026年2月27日時点(追跡期間中央値21.4ヵ月、95%信頼区間[CI]:20.27~21.91)で、204例の死亡が確認された。ivonescimab群が84例(32%)、チスレリズマブ群が120例(45%)であった。 OS中央値は、ivonescimab群27.9ヵ月(95%CI:27.89~評価不能[NE])、チスレリズマブ群23.7ヵ月(95%CI:20.11~NE)であり、死亡のハザード比は0.66(95%CI:0.50~0.87、片側p=0.0017)で、事前に規定された有意水準を満たした。 ivonescimab群のOS延長効果は、事前に規定されたサブグループ解析でもほぼ一貫していた。 Grade3以上の治療関連有害事象は、ivonescimab群で266例中184例(69%)、チスレリズマブ群で265例中156例(59%)に発現した。Grade3以上の治療関連出血は、それぞれ7例(3%)および2例(1%)に認められた。

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第65回 「禁煙したら電子タバコ?」その選択が肺がんリスクを高めるかもしれない理由

「タバコをやめたいけれど、いきなりは難しい。だったら電子タバコに切り替えれば安心なのでは?」そう考える方は少なくないでしょう。電子タバコは燃焼を伴わないため、紙巻きタバコより害が少ないと宣伝され、一部の国では禁煙補助具としても用いられてきました。しかし、本当に「より安全な選択肢」と言い切れるのでしょうか。今回ご紹介する論文は、韓国の国民健康保険データを用いて約450万人の喫煙経験者を追跡し、禁煙後の電子タバコ使用と肺がんリスクとの関連を検証した、世界最大規模の研究です。450万人を追跡した大規模研究の方法研究は、2018年に韓国の国民健康診断を受け、2012〜14年の記録が残る喫煙経験のある成人約452万人を対象としました。喫煙状況は「現在喫煙者」「短期禁煙者(最近4〜6年以内に禁煙した人)」「長期禁煙者(少なくとも4〜6年以上前から禁煙していた人)」に分類され、電子タバコの「毎日使用」が禁煙後の電子タバコ使用と定義されています。追跡は2023年末まで続き、累計2,418万人・年の観察期間で3万5,887件の肺がん発症と1万2,807件の肺がん死亡が記録されました。年齢・性別・累積喫煙量(パックイヤー)・併存疾患などを調整したうえで、群間のリスクが比較されています。「禁煙したあと電子タバコ」のリスクは想像以上結果は、なかなか衝撃的なものでした。電子タバコも含めて完全に禁煙した群と比較し、禁煙後に電子タバコを使い続けた群では、肺がん発症リスクが56%増加(調整ハザード比[aHR]:1.56、95%信頼区間[CI]:1.24~1.97)、肺がん死亡リスクは2倍に高まっていました(aHR:2.00、95%CI:1.28~3.15)。短期禁煙者でも長期禁煙者でも傾向は一致しており、年齢50〜80歳・喫煙20パックイヤー以上の「肺がん検診対象のハイリスク群」では、肺がん発症が約1.9倍、肺がん死亡も約1.9倍と、より顕著でした。一方で、現在喫煙者と比較すれば、禁煙後の電子タバコ使用者でも総死亡リスクは有意に低下していました(aHR:0.77)。つまり、「紙巻きタバコをやめる」こと自体のメリットは完全には消えませんが、「電子タバコを続けてしまうと、せっかくの禁煙による肺がん予防効果がかなり目減りしてしまう」と読み解けるのです。電子タバコのエアロゾルにはホルムアルデヒドや有害金属が含まれ、動物実験ではDNAメチル化変化や肺腺がん発生も報告されており、生物学的にも筋の通った結果といえます。私たちが受け取るべきメッセージ本研究は観察研究であり、因果関係を断定するものではありません。電子タバコの種類や使用期間の詳細、加熱式タバコとの区別、追跡期間の短さなどの限界も率直に述べられています。それでも、450万人という大規模で、これだけ一貫した傾向が示された意味は重いと感じます。日本でも電子タバコや加熱式タバコの使用が広がっています。「やめる代わりに切り替える」という選択は、短期的には吸い込む有害物質の総量を減らすかもしれませんが、肺がん予防という長期的な観点では、完全な禁煙には及ばない可能性が高そうです。禁煙外来やニコチン置換療法といった、医学的に検証された禁煙手段にしっかりとアクセスさせること。そして、いったん禁煙したら電子タバコにも手を出させないこと。地味ですが、こうした選択を患者さんにしてもらう努力が、肺がんを減らす最も確からしい道だと、本論文は私たちに教えてくれています。 1) Kim YW, et al. Electronic cigarette use after smoking cessation and lung cancer risk. Nat Med. 2026 Jun 8. [Epub ahead of print]

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ロルラチニブのALK陽性肺がん1次治療、7年後もPFS中央値に到達せず(CROWN)/ASCO2026

 ALK融合遺伝子陽性非小細胞肺がん(NSCLC)における1次治療で、ロルラチニブは7年後も無増悪生存期間(PFS)中央値に到達せず、7年PFS割合は50%を超えた。 進行ALK陽性NSCLCの1次治療としてロルラチニブとクリゾチニブを比較した第III相CROWN試験の7年フォローアップの結果をTony S. K. Mok氏(中国・香港中文大学)が米国臨床腫瘍学会年次総会(2026 ASCO Annual Meeting)で発表した。本研究結果はAnnals of Oncology誌に同時掲載されている。 2024年の5年追跡ではロルラチニブ群のPFS中央値は未到達、5年PFS割合は60%であった(ハザード比[HR]:0.19、95%信頼区間[CI]:0.13~0.27)。・試験デザイン:国際共同第III相非盲検無作為化比較試験・対象:未治療のStageIIIB/IVのALK融合遺伝子陽性NSCLC患者(無症状の中枢神経系[CNS]転移は許容)・試験群:ロルラチニブ(100mg/日)・対照群:クリゾチニブ(250mg×2/日)・評価項目:[主要評価項目]盲検下独立中央判定(BICR)によるPFS[副次評価項目]全生存期間(OS)、治験担当医師評価によるPFS、奏効割合、頭蓋内奏効割合、奏効期間、頭蓋内奏効期間、頭蓋内病変進行までの期間、安全性など 主な結果は以下のとおり。・ロルラチニブ群の追跡期間中央値は83.0ヵ月、クリゾチニブ群は77.2ヵ月であった。・ロルラチニブ群のPFS中央値は未到達、クリゾチニブ群は9.1ヵ月で、7年PFS割合はロルラチニブ群55%、クリゾチニブ群は3%であった(HR:0.19、95%CI:0.13~0.26)。・疾患進行の多くは最初の2年間に発生しており、ベースラインと2年PFS割合の差は30%、2年と7年PFS割合の差は15%であった(2年時70%、7年時55%)。・投与開始から2年間PFSイベントがなかった患者に絞った7年PFS割合は79%で、全体評価よりも良好であった。・CNS転移の7年PFS(IC-PFS)割合はロルラチニブ群92%、クリゾチニブ群16%であった(HR:0.06、95%CI:0.03~0.12)。・ベースラインでCNS転移がなかった患者におけるロルラチニブ群の7年IC-PFS割合は96%と全体集団よりもさらに良好であった(HR:0.04、95%CI:0.02~0.12)。・有害事象は高脂血症、浮腫、体重増加、認知機能障害など既知のもので、最も多いのは高脂血症であった。・ロルラチニブ群では34%の患者が減量を行った。減量時期の中央値は25週であった。・26週間以内に減量した群と減量しなかった群を比較してもPFS、IC-PFSとも差は認められなかった(PFS中央値、IC-PFS中央値とも両群未到達)。・早期進行患者と長期奏効患者のベースラインctDNAを比べたところ、早期進行患者では異常遺伝子が多く(10 vs.6)、腫瘍変異負荷も高かった(7.7 vs.5.1)。TP53変異は早期進行患者では50%、長期奏効患者では17%に確認された。 この発表について会場から多くの質問が寄せられている。その中から、OSが示されていないことについては、イベント数が中間解析の評価に必要な数に達していないためであるとMok氏は回答した(評価に必要なイベント数139例に対し、評価時のイベントは123例)。ctDNAによる遺伝子検査の可能性については、現状は一部の患者だが今後さらに遺伝学的情報を調べていく旨を示している。 今回の7年追跡結果から、ロルラチニブによる単剤治療は、進行ALK陽性NSCLCを慢性疾患に変化させる可能性がある、とMok氏は結んだ。

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KRAS G12C陽性NSCLCの1次治療、divarasib+ペムブロリズマブが有望(Krascendo-170)/ASCO2026

 KRAS G12C変異陽性の進行・転移非小細胞肺がん(NSCLC)の1次治療では、免疫チェックポイント阻害薬単剤または化学療法との併用が標準治療として用いられている。しかし、全生存期間中央値は約1.5年であり、アンメットニーズが存在する。KRAS G12C阻害薬としてはソトラシブが臨床応用されているが、2次治療以降での使用が適応となっている。 そこで、1次治療において経口KRAS G12C阻害薬divarasibとペムブロリズマブの併用療法の安全性・有効性を検討する国際共同第Ib/II相試験「Krascendo-170試験」が実施されている。米国臨床腫瘍学会年次総会(2026 ASCO Annual Meeting)において、本試験の解析結果が報告され、PD-L1≧1%コホート、PD-L1<1%コホートのいずれにおいても良好な奏効が得られ、管理可能な安全性プロファイルが示された。Ferdinandos Skoulidis氏(米国・テキサス大学MDアンダーソンがんセンター)が、本解析結果を報告した。 Krascendo-170試験は、未治療のKRAS G12C変異陽性進行・転移非扁平上皮NSCLC患者を対象とした国際共同第Ib/II相非盲検用量探索・用量拡大試験である。今回は、PD-L1≧1%コホート(コホートA1)におけるdivarasib 400mg 1日1回+ペムブロリズマブ200mg 3週ごと投与の主要解析、PD-L1<1%コホート(コホートA2)における同用量の予備的解析の結果が報告された。主要評価項目は安全性であり、主要な副次評価項目として奏効率(ORR)、奏効期間(DOR)、無増悪生存期間(PFS)、患者報告アウトカム、薬物動態、推奨用量が評価された。 主な結果は以下のとおり。【PD-L1≧1%コホート】・divarasib 400mg+ペムブロリズマブによる治療を受ける群に59例が組み入れられた。年齢中央値は67歳で、男性の割合は62.7%であった。PD-L1 1~49%が37.3%、≧50%が61.0%であった。追跡期間中央値は12.2ヵ月。・確定ORRは72.9%(CR 10.2%、PR 62.7%)で、DOR中央値は未到達であった。・PFS中央値は19.3ヵ月で、6ヵ月PFS率は83.5%であった。なお、PFSのデータは未成熟であった。【PD-L1<1%コホート】・登録された23例の年齢中央値は72歳で、男性の割合は69.6%であった。追跡期間中央値は3.4ヵ月。・ORRは69.6%(すべてPR)で、初回奏効までの期間中央値は40.5日であった。・PFSデータは未成熟であった。【PD-L1≧1%コホート+PD-L1<1%コホート】・安全性は、PD-L1≧1%コホートおよびPD-L1<1%コホートを併合した安全性解析対象78例で評価された。有害事象は全例に認められ、Grade3以上の有害事象は76.9%、重篤な有害事象は50.0%に発現した。・治療関連有害事象(TRAE)は98.7%に認められ、Grade3/4のTRAEは65.4%、重篤なTRAEは28.2%に発現した。Grade5のTRAEは0例であった。・divarasibの減量に至ったTRAEは52.6%、中断に至ったTRAEは69.2%、試験治療中止に至ったTRAEは12.8%に認められた。・主なTRAE(40%以上に発現)は、下痢(74.4%)、悪心(64.1%)、ALT上昇(52.6%)、AST上昇(48.7%)であった。Grade3/4の下痢、ALT上昇、AST上昇はそれぞれ17.9%、23.1%、17.9%に認められた。 本試験結果について、Skoulidis氏は「KRAS G12C変異陽性の進行NSCLC患者において、1次治療としてのdivarasib+ペムブロリズマブは良好な臨床活性を示した。頻度の高いTRAEは、低Gradeが多く可逆的であり、管理可能であった。なお、有害事象の予防レジメン、有害事象管理アルゴリズム、忍容性に応じた用量調整方法が本試験中に段階的に開発されており、第III相Krascendo-2試験では患者の臨床アウトカムを最適化するために、試験開始時から導入されている」とまとめた。 なお、未治療のKRAS G12C変異陽性の進行・転移NSCLC患者を対象とする国際共同第III相試験「Krascendo-2試験」が進行中であり、KRAS G12C変異陽性のStageIIIA/IIIBの完全切除NSCLC患者を対象として、術後療法におけるdivarasibの有用性を検証する国際共同第III相試験「Krascendo-3試験」が計画されている。

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「神経ブロック」、どう患者に提供するか【非専門医のための緩和ケアTips】第125回

「神経ブロック」、どう患者に提供するか局所麻酔薬や抗炎症薬を注射し、痛みの伝達を遮断する「神経ブロック」。緩和ケア領域でも注目されている治療法ですが、専門とする医師は非常に少なく、地域によってはなかなかアクセスできない症状緩和の方法かもしれません。私の施設では神経ブロックの提供体制を構築してきたので、その経験も含めてお話ししたいと思います。今日の質問私の外来に通っているがん患者さん、がん疼痛が強くなってきました。膵臓がんで、ガイドラインには「神経ブロックが有効」と書かれています。神経ブロック目的で紹介したいのですが、地域の基幹病院では実施されていないようです。神経ブロックの提供体制などを教えてもらえますか?神経ブロックは、疼痛コントロールを改善し、鎮痛薬の副作用や生活機能低下を減らせる可能性があります。その一方で、「どこに頼めばよいかわからない」「適応の見極めが難しい」「紹介手順が整っていない」といったさまざまな要因から、アクセスが難しい地域もある状況です。最初に私の経験を共有します。私が所属する施設は、地域の高度急性期病院・地域がん診療連携拠点病院です。多くのがん患者が集約しており、がん治療および緩和ケアを提供する役割を担っています。しかし、神経ブロックは対応ができず、どうしても必要な患者は他院に紹介したり、対応可能な先生に外部から来てもらったりしていました。ハイボリュームながん拠点病院ですので、神経ブロックを提供する体制が必要だと考えていました。ちょうど、麻酔科出身の医師が緩和ケア病棟の配属になったため、神経ブロックの手技習得を目的に国内留学をしてもらいました。留学後、その医師が中心となり神経ブロックの提供体制が構築されました。さらにペインクリニック科も創設され、現在は神経ブロックを学びたい医師の研修体制を整備する段階になっています。このように、ゼロから体制を構築したわけですが、同様に、神経ブロックの提供には体制構築から始める必要がある施設・地域は多いでしょう。これはややハードルが高いため、ここからは地域の基幹病院が神経ブロックを提供している、という前提で連携の在り方についてお話ししたいと思います。連携に当たり、私が最も重要だと考えるのは、神経ブロックの適応を自分だけで見立てようとせず、早め早めに連携先に相談する、という点です。この理由は「神経ブロックは全身状態が悪化すると実施が難しくなってしまう」ためです。よくあるパターンが「痛みのコントロールがうまくいかず、オピオイドを増量したり鎮痛補助薬を追加したりしている間に全身状態が悪化してしまう」というものです。そして、「確実に適応があるケースを厳選しなければ」「どういった神経ブロックをしてほしいかを明確にしなければ」と考え、紹介元が選別し過ぎることもあります。そもそも非常に専門性が高い治療なので、「まずは相談」が良いと思います。以上を踏まえて、神経ブロックは提供体制と手技を実施できる医師が必要であり、基幹病院を中心に行われる医療なので、自施設で実施が難しい場合は、普段から連携体制をつくることが重要です。神経ブロックを実施する医師へのお願いとしては、「電話での気軽な相談をOKにしてほしい」かつ「相談窓口を明確にしてほしい」という2点です。私も訪問診療をしていたころ、基幹病院へのアクセスの難しさをよく経験しました。これは、病院にいる側にはわかりにくいものです。神経ブロックは難治性がん疼痛で悩む多くのがん患者に重要な手段です。ぜひ、1人でも多くの方に届くよう、提供体制の構築に取り組んでください。今日のTips今日のTipsがん疼痛に有効な神経ブロック、自分の地域の提供体制を確認しよう。

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EGFR L858R陽性NSCLC、エルロチニブ+ラムシルマブvs.オシメルチニブ(REVOL858R/WJOG14420L)/ASCO2026

 EGFR遺伝子変異陽性非小細胞肺がん(NSCLC)のうち、L858R変異陽性例はexon19欠失例と比較してEGFRチロシンキナーゼ阻害薬(EGFR-TKI)への感受性が低く、予後不良である可能性が指摘されている。一方で、エルロチニブ+ラムシルマブの有用性を検討した国際共同第III相試験「RELAY試験」1)では、L858R変異陽性例における全生存期間(OS)中央値が52ヵ月であったことが報告され、EGFR-TKIへのラムシルマブの上乗せによりexon19欠失例と同等の予後が、L858R変異陽性例において得られる可能性が考えられた2)。 そこで、L858R変異陽性例を対象に、エルロチニブ+ラムシルマブ併用療法で治療を開始し、治療中にT790M変異が検出された場合にオシメルチニブへ移行する逐次治療戦略の有用性について、オシメルチニブとの比較により検討する国内第III相試験「REVOL858R試験」が実施された。その結果、エルロチニブ+ラムシルマブ後にオシメルチニブを投与する治療戦略は、初回オシメルチニブ単剤療法と比較して、治療戦略成功期間(TFS:Time to Failure of Strategy)を改善しなかった。米国臨床腫瘍学会年次総会(2026 ASCO Annual Meeting)において、試験事務局を務めた原武 直紀氏(九州がんセンター 呼吸器腫瘍科)が結果を報告した。試験デザイン:国内第III相無作為化非盲検試験対象:未治療の進行または再発を有するEGFR遺伝子L858R変異陽性NSCLC患者試験群(エルロチニブ+ラムシルマブ群):エルロチニブ(150mg、1日1回)+ラムシルマブ(10mg/kg、2週ごと)→再生検またはリキッドバイオプシーによる遺伝子検査→T790M陽性例ではオシメルチニブ(80mg、1日1回)、T790M陰性例ではプロトコール治療を終了 116例対照群(オシメルチニブ群):オシメルチニブ(80mg、1日1回) 116例評価項目:[主要評価項目]TFS(治療開始からオシメルチニブで病勢進行または死亡まで、もしくはオシメルチニブ導入不可の場合は初回の病勢進行または死亡までの期間)[副次評価項目]OS、無増悪生存期間(PFS)、安全性など 主な結果は以下のとおり。・患者背景は両群でおおむねバランスがとれていた。全体の年齢中央値は73歳、女性の割合は62%であった。ベースライン時に脳転移を有していた割合は29%であった。・主要評価項目であるTFS中央値は、エルロチニブ+ラムシルマブ群16.6ヵ月、オシメルチニブ群14.8ヵ月であり、エルロチニブ+ラムシルマブ群の有意な改善は認められなかった(ハザード比[HR]:1.03、95%信頼区間[CI]:0.78~1.38)。・TFSに関する事前に規定されたサブグループ解析でも、明確な治療効果の差が示される集団はみられなかった。・副次評価項目のOS(HR:0.98、95%CI:0.66~1.45)、PFS(同:1.08、0.81~1.44)も両群間に差はみられなかった。・安全性について、Grade3以上の有害事象は、エルロチニブ+ラムシルマブ群72%、オシメルチニブ群44%に発現し、エルロチニブ+ラムシルマブ群で多かった。治療中止に至った有害事象は、それぞれ36%、21%にみられた。一方で病勢進行による治療中止は、エルロチニブ+ラムシルマブ群で23%にとどまり、オシメルチニブ群では52%であった。・間質性肺疾患(ILD)は、エルロチニブ+ラムシルマブ群2%、オシメルチニブ群10%に認められ、エルロチニブ+ラムシルマブ群のほうが少ない傾向がみられた。・エルロチニブ+ラムシルマブ群でT790M変異の検査が実施された割合は41%で、T790M変異陽性は全体の13%にとどまった。 本結果について、原武氏は「オシメルチニブ群のPFS中央値(14.8ヵ月)は、FLAURA試験3)の報告(14.4ヵ月)と同様であったが、エルロチニブ+ラムシルマブ群のPFS中央値(14.9ヵ月)は、RELAY試験の報告(19.4ヵ月)よりも数値的に短かった」と指摘した。また「EGFR遺伝子L858R変異を有するNSCLCには、アンメットニーズが存在するため、今回のシークエンス治療の長期的なOSへの影響について、長期追跡が進行中である」とまとめた。 また、会場から今後の臨床現場におけるエルロチニブ+ラムシルマブ療法の役割を問われ、原武氏は「本試験はネガティブな結果であったことを考慮すると、EGFR遺伝子L858R変異を有するNSCLCの標準治療は、MARIPOSAレジメン(アミバンタマブ+ラゼルチニブ)もしくはFLAURA2レジメン(オシメルチニブ+化学療法)であると考える。ただし、エルロチニブ+ラムシルマブはILDの発現割合が低かったことを考慮すると、一部の患者でこのレジメンの恩恵を得られる可能性がある。恩恵が得られる患者集団を明らかにするため、追加のサブグループ解析やOSに関する長期追跡が進行中である」と述べた。

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小細胞肺がん脳転移例の2次治療、タルラタマブがCNS進行リスクを低下(DeLLphi-304)/ASCO2026

 小細胞肺がん(SCLC)では脳転移を来す患者が多く、脳転移を有する患者の予後は不良である。しかし、脳転移を有するSCLCの2次治療において、タルラタマブが良好な治療成績を示す可能性がある。プラチナ製剤を含む化学療法後に進行したSCLC患者を対象とした国際共同第III相試験「DeLLphi-304試験」1)において、ベースライン時に脳転移を有する患者のpost-hoc解析が実施された。その結果、タルラタマブは化学療法と比較して、中枢神経系無増悪生存期間(CNS PFS)を延長し、全生存期間(OS)も改善した。本研究結果は、米国臨床腫瘍学会年次総会(2026 ASCO Annual Meeting)において、Giannis S. Mountzios氏(ギリシャ・Henry Dunant Hospital Center)によって報告された。・試験デザイン:国際共同第III相無作為化非盲検比較試験・対象:プラチナ製剤を含む化学療法±抗PD-1/PD-L1抗体薬による1次治療を受けたSCLC患者(無症候性の脳転移は治療歴を問わず許容)・試験群(タルラタマブ群):タルラタマブ(1日目に1mg、8、15日目に10mgを点滴静注し、以降は2週間間隔で10mgを点滴静注) 254例・対照群(化学療法群):化学療法(トポテカン、アムルビシン、lurbinectedinのいずれか)※ 255例・評価項目:[主要評価項目]OS[主要な副次評価項目]PFS、患者報告アウトカム[副次評価項目]奏効率(ORR)、奏効期間(DOR)、安全性など※:日本はアムルビシン 今回のpost-hoc解析では、ベースラインで脳転移を有する患者を対象に、盲検下独立中央判定(BICR)によるCNS PFS、CNS奏効、CNS病勢コントロール率(CNS DCR)などが評価された。また、ベースライン時の脳転移の有無別にみたOSおよび安全性も評価された。主な結果は以下のとおり。・全体集団において、治験担当医師評価によるCNS PFS中央値は、タルラタマブ群で未到達、化学療法群で7.2ヵ月であった(ハザード比[HR]:0.54、95%信頼区間[CI]:0.39~0.75)であった。・ベースライン時に脳転移を有する患者は、タルラタマブ群98例、化学療法群99例であった。このうち、ベースライン時および1回以上のベースライン後の脳画像評価を有するCNS Full Analysis Set(CNS FAS)は、タルラタマブ群67例、化学療法群56例であった。・CNS FASにおける年齢中央値はタルラタマブ群64.0歳、化学療法群63.5歳で、男性の割合はそれぞれ75%、70%であった。脳転移に対する前治療として放射線療法または手術を受けていた患者の割合はそれぞれ75%、71%で、10mm以上のCNS病変を有する患者の割合はそれぞれ23.9%、23.2%であった。・CNS FASにおけるBICR評価によるCNS PFS中央値はタルラタマブ群6.5ヵ月、化学療法群4.2ヵ月であり、タルラタマブ群でCNS PFSの延長がみられた(HR:0.40、95%CI:0.24~0.66)。6ヵ月CNS PFS率はそれぞれ53.9%、27.0%であった。・CNS完全奏効(CNS CR)はタルラタマブ群14.9%、化学療法群5.4%に認められた。CNS CR期間中央値はタルラタマブ群未到達、化学療法群3.6ヵ月。・CNS DCRはタルラタマブ群77.6%、化学療法群71.4%に認められた。CNS DCR期間中央値はそれぞれ8.2ヵ月、5.2ヵ月。・ベースライン時に脳転移を有する患者におけるOS中央値はタルラタマブ群13.9ヵ月、化学療法群6.8ヵ月であり、タルラタマブ群でOSの延長がみられた(HR:0.51、95%CI:0.34~0.74)。12ヵ月OS率はそれぞれ51.1%、26.0%であった。・ベースライン時に脳転移を有する患者の安全性解析対象は、タルラタマブ群98例、化学療法群93例であった。・Grade 3以上の有害事象は、タルラタマブ群54.1%、化学療法群87.1%に認められた。治療中断または減量に至った治療関連有害事象(TRAE)はそれぞれ18.4%、54.8%に発現し、中止に至ったTRAEはそれぞれ7.1%、32.3%にみられた。・タルラタマブ投与例において、ベースライン脳転移の有無別にサイトカイン放出症候群(CRS)と免疫エフェクター細胞関連神経毒性症候群(ICANS)の発現割合を比較したところ、CRSは脳転移ありで53.1%、脳転移なしで56.5%にみられた。ICANSはそれぞれ9%、4%であった。 本解析結果について、Mountzios氏は「これらの結果は、脳転移を有するSCLC患者においても、タルラタマブがSCLCの2次治療における標準治療となることを支持するものである」とまとめた。

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小型NSCLC、複雑区域切除の治療成績は?(JCOG0802/WJOG4607L) /ASCO2026

 臨床病期IA期で最大腫瘍径2cm以下の肺野末梢小型非小細胞肺がん(NSCLC)患者を対象に、区域切除と肺葉切除を比較した無作為化非劣性検証試験「JCOG0802/WJOG4607L試験」のpost-hoc解析の結果、複雑区域切除は単純区域切除と同様に、肺葉切除と比較して全生存期間(OS)改善傾向を示し、呼吸機能の低下も小さかった。一方、局所領域再発リスクは肺葉切除より高かった。米国臨床腫瘍学会年次総会(2026 ASCO Annual Meeting)において、上垣内 篤氏(広島大学病院 呼吸器外科)が結果を報告した。 JCOG0802/WJOG4607L試験は、臨床病期IA期の肺野末梢小型NSCLC患者(最大腫瘍径2cm以下かつC/T比0.5超)を対象に、OSについて区域切除の肺葉切除に対する非劣性を検証することを目的として実施された。本試験において、区域切除の肺葉切除に対するOSの非劣性が検証されただけでなく、区域切除の優越性も示されたことが報告されている1)。ただし、区域切除のなかでも技術的難度が高い複雑区域切除が、単純区域切除と同様に肺葉切除と比較して、十分な治療効果を示すかは明らかになっていなかった。そこで、区域切除群のうち、両側S6区域、左上区域(S1-3)、舌区域(S4+5)の切除を単純区域切除、その他の区域切除を複雑区域切除と定義して患者を分類し、それぞれの集団を肺葉切除群と比較した。 主な結果は以下のとおり。・解析対象は、肺葉切除群554例、複雑区域切除群318例、単純区域切除群234例であった。・手術時間中央値は、肺葉切除群174分、複雑区域切除群216.5分、単純区域切除群182分であり、複雑区域切除群が最も長かった。出血量中央値はそれぞれ44.5mL、55mL、40mLであった。切除断端距離中央値は、それぞれ4.0cm、2.2cm、2.5cmであり、複雑・単純区域切除群で短かった。・全体集団における5年OS率/10年OS率は、肺葉切除群91.1%/79.8%、複雑区域切除群93.7%/83.5%、単純区域切除群95.3%/83.5%であった。肺葉切除群に対するハザード比(HR)および95%信頼区間(CI)は、複雑区域切除群0.869(0.642~1.176)、単純区域切除群0.858(0.609~1.208)であった。・術後1年時点の1秒量(FEV1)変化率中央値は、肺葉切除群-12.0%、複雑区域切除群-7.9%、単純区域切除群-9.0%であった。肺葉切除群と比較して、複雑区域切除群、単純区域切除群のいずれもFEV1低下が有意に小さかった(それぞれp<0.0001、p=0.0006)。・術後1年時点の努力肺活量(FVC)変化率中央値は、肺葉切除群-10.7%、複雑区域切除群-7.3%、単純区域切除群-7.4%であった。FVCについても、複雑区域切除群、単純区域切除群のいずれも肺葉切除群より低下が有意に小さかった(それぞれp<0.0001、p=0.0001)。・無再発生存期間(RFS)について、5年RFS率/10年RFS率は、肺葉切除群87.9%/78.0%、複雑区域切除群87.4%/76.8%、単純区域切除群88.8%/76.7%であった。肺葉切除群に対するHR(95%CI)は、複雑区域切除群1.034(0.782~1.365)、単純区域切除群1.073(0.790~1.458)であった。・局所領域再発の5年累積発生率/10年累積発生率は、肺葉切除群4.7%/5.7%、複雑区域切除群8.2%/12.3%、単純区域切除群6.9%/10.1%であった。複雑区域切除群(HR:2.124、95%CI:1.327~3.399)、単純区域切除群(同:1.817、1.071~3.083)は肺葉切除群より局所領域再発リスクが高かった。 本解析について、上垣内氏は「肺野末梢小型NSCLCにおいて、複雑区域切除は単純区域切除と同様に、肺葉切除と比較してOSを改善する傾向が示された。複雑区域切除および単純区域切除は、いずれも肺葉切除と比較して呼吸機能の温存に寄与した。一方、局所領域再発リスクが高いことから、複雑区域切除を行う際には、十分な切除マージンを確保するよう細心の注意を払うべきである」とまとめた。

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atypical EGFR変異NSCLC、アミバンタマブ+ラゼルチニブのOS中央値41ヵ月(CHRYSALIS-2)/ASCO2026

 非小細胞肺がん(NSCLC)におけるEGFR遺伝子変異の多くは、exon19欠失またはL858R変異などであるが、G719X、S768I、L861Qなどのatypical変異も一定割合で認められる。atypical EGFR遺伝子変異陽性進行NSCLCでは、既存のEGFRチロシンキナーゼ阻害薬(EGFR-TKI)の効果が限定的であり、治療選択肢の拡充が求められている。そこで、atypical変異を有するNSCLC患者を対象に、アミバンタマブとラゼルチニブの併用療法を評価するCHRYSALIS-2試験コホートCにおいて、長期追跡が行われた。その結果、1次治療としてアミバンタマブ+ラゼルチニブによる治療を受けたatypical EGFR遺伝子変異陽性進行NSCLC患者において、全生存期間(OS)中央値は41.0ヵ月であった。Joel W. Neal氏(米国・スタンフォードがん研究所)が、米国臨床腫瘍学会年次総会(2026 ASCO Annual Meeting)で報告した。 CHRYSALIS-2試験コホートCの対象患者は、未治療または2ライン以下の治療歴(第3世代EGFR-TKIによる治療歴のある患者は除外)を有するatypical EGFR遺伝子変異(exon20挿入変異、exon19欠失変異、exon21 L858R変異は除外)陽性NSCLC患者であった。対象患者にアミバンタマブ(体重に応じ1,050mgまたは1,400mg、最初の1サイクル目は週1回、2サイクル目以降は隔週)+ラゼルチニブ(240mg、1日1回)を投与し、有効性・安全性を検討した。主要評価項目は治験担当医師評価に基づく奏効率、副次評価項目は奏効期間、無増悪生存期間、OS、安全性などとした。今回は、未治療患者49例におけるOS、後治療、試験治療の継続状況、安全性の長期追跡結果が報告された。  主な結果は以下のとおり。・未治療の49例の年齢中央値は60歳、女性は45%、アジア人は57%であった。主なEGFR遺伝子変異はexon18 G719X(55%)、exon20 S768X(27%)、exon21 L861X(24%)であり、compound変異は35%に認められた。・データカットオフ時点(2025年10月31日)の追跡期間中央値は31.3ヵ月で、49例中10例(20%)が1次治療を継続していた。内訳は、アミバンタマブ+ラゼルチニブの両剤継続(7例)、アミバンタマブのみ継続(2例)、ラゼルチニブのみ継続(1例)であった。・OS中央値は41.0ヵ月で、36ヵ月OS率は55%であった。・1次治療の治療期間中央値は13.3ヵ月(範囲:0.1ヵ月未満~53.2ヵ月)であり、未治療患者の39%が2年を超えて治療を継続した。・病勢進行により1次治療を中止した患者のうち、71%(20/28例)が後治療を受けた。後治療で最も多かったのはプラチナ製剤を含む化学療法ベースのレジメンであった(55%)。TKIは30%、その他の治療は15%であった。・今回の結果の比較として、Flatiron Health/Foundation Medicine Clinico-Genomic Databaseを用いたリアルワールドのatypical EGFR遺伝子変異陽性NSCLC患者69例との記述的比較も提示された。リアルワールド集団のOS中央値は15.2ヵ月であり、アミバンタマブ+ラゼルチニブの41.0ヵ月と比較して短かった。・安全性について、有害事象の多くがEGFR阻害、MET阻害に関連するもの、注入に伴う反応(IRR)であり、Grade 1または2が多かった。なお、本試験は皮下投与製剤の承認前、皮膚障害やIRRの予防レジメンの開発前に行われたため、これらの予防は行われていなかった。 本結果についてNeal氏は「未治療のatypical EGFR遺伝子変異陽性進行NSCLC患者に対するアミバンタマブ+ラゼルチニブ併用療法は、OS中央値が約3.5年という臨床的に意義のある結果を示した。患者背景、ベースライン時の遺伝子変異、疾患特性にかかわらず持続的な奏効が認められた。長期の追跡においても、安全性プロファイルはアミバンタマブ静注+ラゼルチニブの既報と同様であり、新たな安全性シグナルは認められなかった」とまとめた。

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StageIAのHER2+乳がん、術後カペシタビン+トラスツズマブで5年iDFS率97.8%(IRIS-A)/ASCO2026

 StageIAのHER2陽性(HER2+)乳がんにおいて、カペシタビンとトラスツズマブによる術後療法により97.8%という優れた5年無浸潤疾患生存(iDFS)率が得られ、治療継続に影響を及ぼす有害事象は認められなかったことがIRIS-A試験で示された。中国・Fudan University Shanghai Cancer CenterのRuo-Xi Wang氏らが米国臨床腫瘍学会年次総会(2026 ASCO Annual Meeting)で発表した。 IRIS試験シリーズは、早期HER2+乳がんにおける静脈内化学療法を行わない術後療法のde-escalationを検討する単群第II相試験として設計された4つの試験で、IRIS-A試験はカペシタビン6サイクルとトラスツズマブ1年間の併用を検討。・対象:StageIA(T1N0)のHER2+乳がん(HR陰性の場合はT≦2cm、HR陽性の場合は1cm<T≦2cm)・介入:カペシタビン(1,000mg/m2を1日2回、2週間、3週ごと)+トラスツズマブ(8mg/kg→6mg/kg、3週ごと)を6サイクル実施後、トラスツズマブ(6mg/kg、3週ごと)を11サイクル・主要評価項目:iDFS 主な結果は以下のとおり。・2020年5月~2021年5月に187例が登録され、追跡期間中央値は66ヵ月(範囲:60~72)であった。T1micが56.1%、T1aが24.1%、T1bが4.3%、T1cが15.5%で、87.2%がHR陰性であった。・iDFSイベントは4例に発生し、うち2例は局所もしくは領域再発、2例は対側乳がんであった。遠隔再発例や死亡例はなく、3例がDCIS(非浸潤性乳管がん)、5例が乳がん以外の原発がん(甲状腺がん、肺がん)を発症した。・5年iDFS率は97.8%(95%信頼区間:94.3~99.1)、5年無再発生存率は98.9%(同:95.7~99.7)であった。・5例(2.7%)にGrade3の有害事象が認められたが、Grade4/5は発現しなかった。最も頻度の高かった有害事象は手足症候群(46.5%)で、1例がGrade3だった。心臓関連の有害事象の発現は0.5%で、中止や中断に至った有害事象はなかった。 Wang氏は、本試験の限界として単群試験でありサンプルサイズが比較的小さいこと、T1micおよびT1aの患者割合が比較的高く治療が必要かどうかについては議論の余地があることを挙げつつ、「本試験は、腫瘍が小さくリンパ節転移のないHER2+乳がんにトラスツズマブと経口化学療法を併用した最初の臨床試験である。カペシタビン+トラスツズマブは標準治療に匹敵する有効性と毒性の軽減を併せ持つ選択肢となる」とまとめた。

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PD-L1陽性NSCLC、sac-TMT+ペムブロリズマブがPFS改善(OptiTROP-Lung05)/ASCO2026

 PD-L1陽性非小細胞肺がん(NSCLC)において、TROP2を標的とする抗体薬物複合体(ADC)sacituzumab tirumotecan(sac-TMT)とペムブロリズマブの併用療法は、ペムブロリズマブ単剤と比較して無増悪生存期間(PFS)を改善した。海外第III相試験「OptiTROP-Lung05試験」の結果を、Caicun Zhou氏(中国・Shanghai East Hospital)が、米国臨床腫瘍学会年次総会(2026 ASCO Annual Meeting)で発表した。本研究結果は、Lancet誌オンライン版2026年5月29日号に同時掲載された1)。・試験デザイン:海外第III相無作為化非盲検試験(中国のみで実施)・対象:未治療の局所進行または転移を有するStageIIIB~IVのNSCLC患者で、PD-L1 TPS 1%以上の患者(EGFR遺伝子変異陰性、ALK融合遺伝子陰性)・試験群(sac-TMT群):sac-TMT(4mg/kg、2週ごと)+ペムブロリズマブ(400mg、6週ごと、18サイクルまで)208例・対照群(ペムブロリズマブ群):ペムブロリズマブ(同上)205例・評価項目:[主要評価項目]RECIST v1.1に基づく盲検下独立中央判定(BICR)によるPFS[主要な副次評価項目]全生存期間(OS)[副次評価項目]治験担当医師評価によるPFS、奏効率(ORR)、病勢コントロール率(DCR)、奏効期間(DOR)、安全性など  主な結果は以下のとおり。・患者背景は両群でおおむねバランスがとれていた。年齢中央値はsac-TMT群64歳、ペムブロリズマブ群65歳で、65歳以上はそれぞれ48.6%、52.7%であった。男性の割合はそれぞれ79.8%、84.9%、ECOG PS 1はそれぞれ84.6%、84.4%であった。・データカットオフ時点(2025年9月29日)で治療を継続していた患者の割合は、sac-TMT群63.5%、ペムブロリズマブ群33.2%であった。・主要評価項目であるBICRによるPFSは、sac-TMT群で有意に改善した。BICRによるPFS中央値は、sac-TMT群が未到達、ペムブロリズマブ群で5.7ヵ月であった(ハザード比[HR]:0.35、95%CI:0.26~0.47、p<0.0001)。12ヵ月PFS率は、それぞれ62.4%、29.0%であった。・PD-L1 TPS別、組織型別にみたBICRによるPFS中央値は以下のとおり(sac-TMT群vs.ペムブロリズマブ群)。<TPS 50%以上>未到達vs.9.5ヵ月(HR:0.47、95%CI:0.29~0.77)<TPS 1~49%>未到達vs.4.3ヵ月(HR:0.28、95%CI:0.19~0.41)<非扁平上皮>未到達vs.6.6ヵ月(HR:0.28、95%CI:0.18~0.43)<扁平上皮>未到達vs.5.5ヵ月(HR:0.44、95%CI:0.29~0.66)・OSは解析時点で未成熟であったが、sac-TMT群で良好な傾向が認められた。ORR、DORもsac-TMT群が良好であった。詳細は以下のとおり(sac-TMT群vs.ペムブロリズマブ群)。<OS中央値>未到達vs.14.5ヵ月(HR:0.55、95%CI:0.36~0.85)<ORR>70.2%vs.42.0%<ORR(PD-L1 TPS 50%以上)>80.7%vs.60.5%<ORR(PD-L1 TPS 1~49%)>63.2%vs.30.1%<12ヵ月DOR率>77.7%vs.59.4%(HR:0.47、95%CI:0.27~0.82)・試験治療下における有害事象(TEAE)はsac-TMT群99.5%、ペムブロリズマブ群87.3%に認められた。Grade3以上のTEAEはそれぞれ55.3%、31.4%であり、sac-TMT群で多かった。・重篤なTEAEはsac-TMT群38.9%、ペムブロリズマブ群28.9%に認められた。死亡に至ったTEAEはそれぞれ2.4%、6.4%に認められたが、sac-TMTに起因すると判断された治療関連死亡は認められなかった。・sac-TMTに関する、とくに注目すべき有害事象として、貧血87.0%、好中球数減少45.2%、口内炎44.2%、眼表面毒性14.4%、注入に伴う反応5.8%が認められた。Grade3以上では、好中球数減少19.2%、貧血9.1%、口内炎6.3%であった。 本試験結果についてZhou氏は「EGFR遺伝子変異やALK遺伝子異常のないPD-L1陽性進行NSCLCの1次治療において、sac-TMTとペムブロリズマブの併用療法が新たな治療選択肢となる可能性を支持するものである」とまとめた。

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RET融合遺伝子陽性NSCLC、セルペルカチニブによるアジュバント療法でEFS改善(LIBRETTO-432)/ASCO2026

 RET融合遺伝子陽性非小細胞肺がん(NSCLC)に対し、選択的RET阻害薬セルペルカチニブは進行・転移例で有効性が示されている。一方で、早期・局所進行NSCLCに対するアジュバント療法としての有効性と安全性は明らかになっていない。そこで、StageIB~IIIAのRET融合遺伝子陽性NSCLC患者を対象に、アジュバント療法としてのセルペルカチニブの有用性を検証する国際共同第III相試験「LIBRETTO-432試験」が実施された。その結果、セルペルカチニブはプラセボと比較して無イベント生存期間(EFS)を有意に改善することが示された。Jonathan W. Goldman氏(米国・カリフォルニア大学ロサンゼルス校)が、米国臨床腫瘍学会年次総会(2026 ASCO Annual Meeting)で発表した。なお、本研究結果はNEJM誌オンライン版2026年5月31日号に同時掲載された1)。・試験デザイン:国際共同第III相無作為化二重盲検プラセボ対照試験・対象:StageIB~IIIAのRET融合遺伝子陽性NSCLC患者で、根治目的の局所治療(手術または放射線療法)後に再発・進行のない患者151例(補助化学療法は許容)・試験群(セルペルカチニブ群):セルペルカチニブ(体重50kg以上では160mg 1日2回、50kg未満では120mg 1日2回)を最長3年 75例・対照群(プラセボ群):プラセボを最長3年(再発・病勢進行時はクロスオーバーを許容) 76例・評価項目:[主要評価項目]治験担当医師評価によるEFS(StageII~IIIA)[副次評価項目]治験担当医師評価によるEFS(StageIB~IIIAの全体集団)、盲検下独立中央判定(BICR)によるEFS、全生存期間(OS)、安全性など 主な結果は以下のとおり。・主要解析集団は、StageII/IIIAの患者109例(セルペルカチニブ群54例、プラセボ群55例)であった。・主要解析集団の患者背景として、女性(セルペルカチニブ群63.0%、プラセボ群54.5%)、東アジア(それぞれ57.4%、56.4%)、非喫煙者(それぞれ68.5%、69.1%)が多かった。ほぼ全例が手術を受け(それぞれ100%、98.2%)、90%超がアジュバント療法として全身療法を受けていた(それぞれ92.6%、90.9%)。・主要解析集団における治験担当医師評価による2年EFS率は、セルペルカチニブ群91.5%、プラセボ群61.1%であり、セルペルカチニブ群が有意に改善した(ハザード比[HR]:0.172、95%信頼区間[CI]:0.058~0.509、p=0.0003)。・全体集団においても、治験担当医師評価によるEFSはセルペルカチニブ群で有意に改善した(2年EFS率:93.8%vs.69.6%、HR:0.165、95%CI:0.056~0.485、p=0.0002)。・主要解析集団の治験担当医師評価によるEFSに関するサブグループ解析では、症例数およびイベント数が少ないため解釈には注意が必要であるものの、ほとんどのサブグループで、セルペルカチニブ群で良好な傾向がみられた。・主要解析集団のプラセボ群のうち、16例(29.1%)がセルペルカチニブへクロスオーバーした。・OSデータは未成熟であった。データカットオフ時点で死亡は3例報告され、いずれもセルペルカチニブへクロスオーバーしたプラセボ群の患者であった。・全体集団における安全性について、Grade3以上の有害事象はセルペルカチニブ群66.7%、プラセボ群23.7%に認められた。治療中止に至った有害事象はそれぞれ17.3%、1.3%に認められた。中断・減量に至ったのはそれぞれ88.0%、46.1%であった。・セルペルカチニブ群でとくに多く認められた有害事象(セルペルカチニブ群の50%以上に発現)はALT上昇(セルペルカチニブ群62.7%、プラセボ群18.4%)、AST上昇(60.0%、15.8%)であった。セルペルカチニブのとくに注目すべき有害事象では、過敏症(6.7%、0%)、QT延長(9.3%、1.3%)が報告された。 本研究結果についてGoldman氏は、セルペルカチニブのベネフィットの持続性や、再発様式、中枢神経系の保護作用、クロスオーバーの影響を評価するためには、より長期の追跡が必要であることを指摘しつつ「早期RET融合遺伝子陽性NSCLCにおけるアジュバント療法として、セルペルカチニブは新たな標準治療の1つとなることを支持するものである」とまとめた。

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日本のがん死亡率低下も、大腸がん・膵がん・子宮頸がんは依然高水準

 日本では全がんの年齢調整死亡率(ASR)が着実に低下している一方で、大腸がん、膵がん、子宮頸がんなど一部のがん種では依然として国際的に高い死亡率が続いていることが明らかになった。胃がんと肝がんでは大幅な改善が認められたものの、予防や検診による死亡率低下が期待されるがん種において十分な成果が得られていない実態が浮き彫りとなった。国立がん研究センターの片野田 耕太氏らによる本研究の結果はJapanese Journal of Clinical Oncology誌オンライン版2026年3月5日号に掲載された。 研究では、国際がん研究機関(IARC)のGlobal Cancer Observatoryデータベースおよび各国の人口動態統計を用い、日本、韓国、米国、英国、カナダ、オーストラリアなどの高所得国における1980~2024年のがん死亡率の推移を比較した。解析対象は全がんに加え、胃がん、大腸がん、肝がん、膵がん、肺がん、乳がん、前立腺がん、子宮頸がん、子宮体がんだった。肝がん・胃がんは日本の成功事例 歴史的に日本で死亡率が高かった胃がんと肝がんについては、長期的に大幅な減少がみられ、欧米諸国との国際格差は大幅に縮小した。とくに女性の肝がん死亡率については、日本が欧米諸国を下回る水準にまで低下した。著者らはこの背景として、B型・C型肝炎ウイルス検査の全国的な実施、妊婦へのHBs抗原検査、さらには直接作用型抗ウイルス薬(DAA)の普及といった一連の肝炎対策が有効に機能したと考えられ、WHOが掲げる2030年までのC型肝炎排除目標に向け、国際的なモデルケースになり得る、としている。 一方、胃がんも日本における死亡率は低下し続けているものの、韓国の減少速度には及ばなかった。日本ではヘリコバクター・ピロリ除菌の保険適用拡大など1次予防が進む一方、韓国では内視鏡検診を中心とした2次予防が強力に推進されている。また、韓国では国家健康保険制度により検診データが一元管理されているのに対し、日本では職域検診の精度管理やデータ統合に課題が残ることが示唆された。大腸がん・膵がん・子宮頸がんは深刻な高水準 大腸がん死亡率は1980年代には欧米のほうが高かったが、その後減少が進んだ。これに対し日本では明確な低下傾向がみられず、近年では比較対象国の中でも高い水準となっている。韓国も近年減少傾向に転じており、日本との差が広がっている。 膵がんは、日本において男女とも死亡率の上昇が続いており、国際的にみても高い水準が際立っている。早期発見が困難で予後不良な疾患であるが、喫煙や2型糖尿病が重要なリスク因子であり、禁煙や糖尿病管理といった1次予防の重要性が改めて示された。 子宮頸がんにおいても、日本の相対的な立ち位置は悪化した。欧米諸国や韓国では死亡率が大幅に減少した一方、日本では高止まりが続いている。HPVワクチンの積極的勧奨の中止と再開の経緯もあって接種率はいまだ不十分であり、ワクチン接種と検診の双方を速やかに強化する必要性が示された。乳がん・肺がんでも改善が緩やか 女性の乳がん死亡率は欧米では着実に低下している一方、日本では増加傾向が続き、差は縮小している。男性の肺がんでも欧米に比べて死亡率低下が緩やかであり、近年では日本の死亡率が欧米を上回る状況となっている。一部のがんでは予防を強化する必要性 本研究により、日本の全がんのASRは他国と同様に引き続き低下していることが示された。とくに、かつて日本の死亡率の高さの要因となっていた胃がん、肝がんで持続的な低下がみられ、欧米諸国との差は縮小し、女性の肝がんでみられるように一部では逆転している。一方で、日本は大腸がん、膵がん、および子宮頸がんにおいて依然として最も高い死亡率を示している。女性の乳がんおよび男性の肺がんでは、日本における低下の遅れ、あるいは継続的な増加により、死亡率が欧米諸国の水準に近づいている。これらのがんの多くでは、1次予防および2次予防の方法が確立されており、胃がん、肝がんで達成された死亡率低下を再現するために、予防対策を強化する必要性が示唆される。

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