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EGFR遺伝子変異陽性の非小細胞肺がん(NSCLC)において、アミバンタマブ皮下注製剤(商品名:リブロファズ)+ラゼルチニブ(同:ラズクルーズ)の併用療法は、アミバンタマブ静脈内投与製剤(同:ライブリバント)+ラゼルチニブと一貫した有効性を示し、Infusion-Related Reaction(IRR)の発現率を低減させることが、国際共同第III相試験「PALOMA-3試験」で示されている1)。本試験の日本人集団の解析結果について、田宮 基裕氏(大阪国際がんセンター)が第23回日本臨床腫瘍学会学術集会(JSMO2026)で報告した。本解析において、アミバンタマブ皮下注製剤は日本人集団でも全体集団と一貫した臨床的有益性を示すことが示唆された。なお、アミバンタマブ皮下注製剤は2026年3月18日に薬価収載され、同日に発売されている。・試験デザイン:国際共同第III相非盲検無作為化比較試験・対象:EGFR変異陽性(exon19欠失またはL858R)で、オシメルチニブ+プラチナ製剤を含む化学療法後に進行したNSCLC患者・試験群(SC群、206例):アミバンタマブ皮下投与(体重に応じ1,600mgまたは2,240mg、最初の4週間は週1回、それ以降は隔週)+ラゼルチニブ経口投与(240mg、1日1回)・対照群(IV群、212例):アミバンタマブ静脈内投与(体重に応じ1,050mgまたは1,400mg、最初の4週間は週1回、それ以降は隔週)+ラゼルチニブ経口投与(240mg、1日1回)・評価項目:[主要評価項目]2サイクル目1日目もしくは4サイクル目1日目のトラフ濃度、1~15日目の血中濃度曲線下面積[副次評価項目]奏効割合(ORR)、無増悪生存期間(PFS)、患者満足度、安全性など[探索的評価項目]全生存期間(OS)など 今回は、日本人集団56例(SC群26例、IV群30例)の解析結果が報告された。主な結果は以下のとおり。・年齢中央値はSC群70歳、IV群63歳であった。ECOG PS0の割合はそれぞれ62%、27%であり、SC群が高かった。脳転移歴を有する割合はそれぞれ46%、23%であり、こちらもSC群が高かった。・日本人集団の薬物動態パラメータは、全体集団と同様であった。・ORRはSC群39%、IV群30%であった。なお、データカットオフ時点において、奏効例では死亡および病勢進行イベントは認められていなかった。・PFS中央値はSC群未到達、IV群4.5ヵ月であった(ハザード比[HR]:0.44、95%信頼区間[CI]:0.18~1.10)。・OS中央値はSC群未到達、IV群8.8ヵ月であった(HR:0.14、95%CI:0.02~1.17)。1年OS率はそれぞれ96%、48%であった。・Grade3以上の有害事象の発現割合はSC群42%、IV群70%であった。投与中止に至った有害事象の発現割合はそれぞれ15%、20%であった。・SC群におけるIRRの発現率は15%であり、IV群の60%と比較して低減した。・静脈血栓塞栓症(VTE)の発現割合はSC群12%、IV群17%であった。なお、SC群のVTEは、予防的抗凝固薬の投与を受けていない患者のみに発現した。 本結果について、田宮氏は「EGFR遺伝子変異陽性の進行NSCLC日本人患者において、アミバンタマブ皮下注製剤+ラゼルチニブが、より有望な治療選択肢となることを支持するものである」とまとめた。 また、SC群ではIRRの発現が低減した一方で、皮膚障害は低減しなかったことについて問われ、これに対して同氏は「皮下投与では薬剤の吸収が緩やかであり、ピーク濃度は低くなる。このことにより、SC群でIRRの発現が低減した可能性がある。一方で、皮膚障害には、組織における薬剤濃度が関係していると考えられる。体内の薬剤濃度はSC群のほうが安定して高い濃度を維持している可能性があり、このことから皮膚毒性や低アルブミン血症はSC群で多い傾向にあったのではないか」と見解を述べた。