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ASCO2019レポート 消化器がん(肝胆膵)

レポーター紹介ASCO会場のメインの通りに掲げられたテーマ2019年度のASCOが、2019年5月31日~6月4日の5日間、今年もシカゴのマコーミックプレイスにて開催された。毎年同じ開催場所である。今年のテーマは「Caring for Every Patient, Learning from Every Patient」で、患者のためのケア、患者から学ぶことを重要視した学会であった。そして、今年の肝胆膵領域の発表はOral presentationも多く、Plenary sessionで採択された演題もあり、非常に興味深い発表が多かった年で、いわゆる豊作の年となった。膵がんPOLO試験今回のASCOで、肝胆膵領域の最も注目すべき演題は、膵がんに対するPARP阻害薬であるオラパリブのPOLO試験であろう。生殖細胞系(Germline)BRCA1またはBRCA2の変異を有する転移性膵がん患者に対して、1次治療としてプラチナ製剤を含む化学療法を16週以上行い、抗腫瘍効果でCR、PRまたはSDが得られ、増悪を認めていない患者を、オラパリブ300mgを1日2回内服する群と、プラセボを内服する群に3:2にランダムに割り付けて、がんの増悪または忍容できない有害事象を認めるまで治療を継続した。主要評価項目は、RECIST v1.1での中央判定による無増悪生存期間であった。オラパリブ群に92例、プラセボ群に62例がランダム割り付けされた。主要評価項目である無増悪生存期間(中央値)はオラパリブ群7.4ヵ月、プラセボ群3.8ヵ月で、ハザード比は0.53(95%信頼区間[CI]:0.35~0.82)であり、有意に良好な結果(p=0.0038)が示された。生存期間はまだ十分に経過観察しえた結果ではないが、中央値でオラパリブ群18.9ヵ月、プラセボ群18.1ヵ月であり、ハザード比も0.91(95%CI:0.56~1.46)と有意な差は認めなかった(p=0.68)。有意差を認めなかった理由として、プラセボ群の後治療でPARP阻害薬を投与された患者が14.5%存在するなどの後治療の影響や十分な経過観察ができていないことが指摘されていた。有害事象は、疲労、悪心、下痢、腹痛、貧血、食欲低下などで、Grade 3以上の有害事象は貧血と疲労であり、忍容性は良好と判断された。また、プラチナ製剤に特有の末梢神経障害はあまり認めないことが、プラチナ製剤投与後の維持療法として使用するうえで好ましい点のように思われた。今後、BRCA1または2の遺伝子変異を有する膵がん患者には、まずプラチナ製剤を含むレジメン、たとえば、FOLFIRINOXやゲムシタビン+シスプラチンなどによる治療を開始し、4ヵ月以降でSD以上の抗腫瘍効果が得られていたら、維持療法としてオラパリブを投与することが標準治療になるものと思われる。本試験の結果は、日本では明日からの診療につながる話ではないが、その体制整備をしておく必要がある。まず、germline BRCA1/2を調べることから始まる。初回治療開始前にgermline BRCA1/2の変異の有無を調べてから結果が戻ってくるまでの時間を考慮すると、診断の早い段階で同意を取ったうえで、採血の検査をオーダーする必要がある。また、生殖細胞系変異を見つけることは、すなわち遺伝カウンセリングの体制整備が重要になる。日本は本試験に参加しておらず、われわれ肝胆膵領域の臨床腫瘍医にPARP阻害薬の経験が乏しいことが問題点であり、十分にPARP阻害薬のマネジメントに精通しておく必要がある。また、germline BRCA1/2の変異は膵がん患者の4~7%と言われており、プラチナ製剤とオラパリブが有効な対象はまだまだ限られた対象であることも理解しておくことが必要である。Plenary sessionの会場の光景:全部でモニターが12台、演者がかなり遠くに見える。このASCOのPlenary sessionは何千人入るかわからないほどの巨大な会場で行われた。今回も、巨大なモニターが会場内に12台設置され、椅子も所狭しと並んで、聴衆が間を開けることなくぎっしり座っていた。そこに、Prof Kindlerのゆっくりと丁寧な言葉で発表が進んだ。そんな巨大な会場で発表が行われている最中に、メールの配信で、New England Journal of MedicineからPOLO試験の論文掲載の案内が届き、まさに学会と論文の同時発表であり、ここまでタイムリーな対応に驚きを隠せない状況であった。発表が終わってからは拍手喝采が鳴りやまず、まさに圧巻で、一見の価値のある光景であった。APACT試験膵がんにおけるもうひとつの注目演題は、ゲムシタビン+ナブパクリタキセル併用療法の補助化学療法であるAPACT試験である。膵がん切除後の補助療法としては、日本ではS-1による補助療法が主流であるが、海外ではゲムシタビンが汎用され、近年、ゲムシタビン+カペシタビンやmodified FOLFIRINOXなども使用されている。進行膵がんにおいて、ゲムシタビン+ナブパクリタキセルの高い有効性が示されていることから、膵がん切除後の補助療法としても期待され、ゲムシタビン+ナブパクリタキセル併用療法とゲムシタビン単独療法を比較した第III相試験が計画された。R0または1の切除後の膵がん患者をゲムシタビン+ナブパクリタキセル併用療法とゲムシタビン単独療法に1:1にランダムに割り付けて行われた。主要評価項目は無病生存期間、副次評価項目は全生存期間、安全性であった。全世界から866例が登録され、ゲムシタビン+ナブパクリタキセル併用療法に432例、ゲムシタビン単独療法に434例がランダムに割り付けされた。主要評価項目である中央判定による無病生存期間(中央値)は、ゲムシタビン+ナブパクリタキセル療法群が19.4ヵ月、ゲムシタビン単独群が18.8ヵ月であり、ハザード比0.88(95%CI:0.729~1.063)、p=0.1824と有意差が示されなかった。しかし、担当医判断の無病生存期間(中央値)で、ゲムシタビン+ナブパクリタキセル療法群が19.4ヵ月、ゲムシタビン単独群が16.6ヵ月であり、ハザード比0.82(95%CI:0.694~0.965)、p=0.0168と有意差が示された。また、副次評価項目である全生存期間(中央値)もゲムシタビン+ナブパクリタキセル療法群が40.5ヵ月、ゲムシタビン単独群が36.2ヵ月であり、ハザード比0.82(95%CI:0.680~0.996)、p=0.045と有意差が示された。ゲムシタビン+ナブパクリタキセル併用療法の安全性はこれまでの報告と違いはなかった。本試験はプラセボコントロールの試験ではないため、中央判定の無病生存期間が主要評価項目に用いられたが、膵がん切除後の再発判定は非常に難しく、担当医は全身状態や腫瘍マーカーなどから総合的に判断できるため、中央判定よりも担当医のほうが早期に再発を指摘しえたのかもしれない。プラセボコントロールで、担当医判断の無病生存期間が主要評価項目であったら、Positiveな結果であっただけに非常に惜しい試験である。肝細胞がん肝細胞がんにおいて注目された演題は、肝切除とラジオ波焼灼術(RFA)を比較したSURF試験、ソラフェニブに不応/不耐の肝細胞がんに対する2次治療としてペムブロリズマブとプラセボを比較したKEYNOTE-240試験である。ともに有意な結果は示されなかったが、日常診療に大きなインパクトを与える試験であった。また、進行がんに対する有望な薬物療法として、ニボルマブ+イピリムマブの併用療法の結果が報告された。SURF試験3cm、3個以下の小肝細胞がんに対して、肝切除とRFAのどちらが良いかは長年のClinical questionであった。これまでも4試験ほど、ランダム化比較試験の結果が報告されているが、切除が良好という結果や両者変わりないという結果など、一定の見解は得られていない。今回、日本から301例という症例数も多く、質も良好な試験の結果が報告された。初回の肝細胞がんで腫瘍径3cm以下、腫瘍数3個以下で、Child-Pugh 7点以下の20~79歳までの患者600例を目標に肝切除とRFAにランダムに割り付けた比較試験が行われた。主要評価項目は無再発生存期間、全生存期間であり、RFAに比べて肝切除の優越性を検証する試験デザインであった。2009年4月より登録を開始したが、2016年2月の段階で300例しか登録ができておらず、データモニタリング委員会から中止勧告が出され、登録は中止となった。最終的には、切除群150例、RFA群151例が適格で、解析対象となった。両群の患者背景に有意差は認めなかった。無再発生存期間(中央値)は、肝切除群2.98年、RFA群2.76年、ハザード比0.96(95%CI:0.72~1.28)で、p=0.793であり、肝切除の優位性は示されなかった。また、両群ともに死亡例は認めなかったが、入院期間や治療時間はRFA群が有意に良好であった。3cm以下の小肝細胞がんに対して、肝切除とRFAの無再発生存期間はほぼ同等であったと結論された。この発表のDiscussantは、これまでにランダム化比較試験が5試験行われたが、3cm以下、単発の腫瘍に関しては、ほぼRFAの非劣性が示されたと考えてよいだろうと。3cm以上や多発する場合には肝切除が選択肢になるであろうと。そして、患者登録も困難になることから、今後、同様のランダム化比較試験を行うべきではないだろうとまとめていた。長年、論争になっていた肝切除とRFAの比較にひとつの区切りがつけられたように思われた。KEYNOTE-240ソラフェニブ不応/不耐の肝細胞がん患者に対するペムブロリズマブとプラセボを比較した第III相試験の結果が報告された。肝細胞がんに対して初めての免疫チェックポイント阻害薬の第III相試験の結果であり、非常に注目された。対象は、ソラフェニブに不応/不耐の肝細胞がん患者で、Child-Pugh Aで測定可能病変を諭旨、門脈本幹腫瘍栓のない患者で、ペムブロリズマブ200mg/回を3週ごとの投与とプラセボに2:1に割り付けて投与する第III相試験である。主要評価項目は全生存期間と無増悪生存期間の2つであり、全生存期間はp値が0.0174未満で有意に、無増悪生存期間はp値が0.0020で有意になる設定であり、通常のp値が0.05未満よりは厳しい設定であった。ペムブロリズマブ群に278例、プラセボ群に135例が登録された。主要評価項目の全生存期間(中央値)は、ペムブロリズマブ群で10.6ヵ月、プラセボ群で10.6ヵ月、ハザード比は0.781(95%CI:0.611~0.998)で、p値は0.0238と当初設定した0.0174を下回らず、有意な結果は得られなかった。また、無増悪生存期間(中央値)は、ペムブロリズマブ群で3.0ヵ月、プラセボ群で2.8ヵ月、ハザード比は0.718(95%CI:0.570~0.904)で、p値は0.0022と当初設定した0.0020を下回らず、こちらも有意な結果は得られなかった。奏効割合はペムブロリズマブ群で18.3%、プラセボ群で4.4%であり、第II相試験(KEYNOTE-224)と同様に有意差が認められ(p=0.0007)、奏効期間(中央値)も13.8ヵ月とともに良好であった。有害事象はこれまでの報告と同様であった。本療法の後治療として、プラセボ群で47.4%と非常に高率で、抗PD-1/PD-L1抗体による治療が10.4%も含まれていた。本試験は、統計学的に有意差がついていそうな試験結果であったが、主要評価項目は達成しておらずNegativeな結果となった。この発表のDiscussantは、試験としてはNegativeであったが、マルチキナーゼ阻害薬に忍容性がないような患者に、2次治療の日常診療で抗PD-1抗体を継続することは問題ないであろうとコメントしており、有効性は評価していた。今後、中国を中心に行っているペムブロリズマブとプラセボの比較試験(KEYNOTE-394)の結果も参考にして、今後の本薬剤の承認までの方向性を検討することが必要であろうと結論づけた。また、今後の開発の方向性として、VEGF阻害薬との併用療法であるベバシズマブ+アテゾリズマブ、レンバチニブ+ペムブロリズマブの併用療法も期待されており、定位放射線やRadioembolization、肝動脈化学塞栓療法との併用療法の可能性なども示唆していた。会場入り口の階段にはWelcomeの文字がこの結果を受けて、1次治療としてのニボルマブとソラフェニブを比較した第III相試験の結果が期待されたが、2019年6月24日に本第III相試験も主要評価項目を達成しなかったことがプレスリリースされ、残念ながら免疫チェックポイント阻害薬単剤の結果は肝細胞がんにおいては厳しいものとなった。CheckMate-040ソラフェニブに不応/不耐の肝細胞がん患者を対象として、ニボルマブとイピリムマブの推奨投与量を決定する第I/II相試験が発表された。A群はニボルマブ1mg/kg+イピリムマブ3mg/kgを3週ごとに4回投与後、ニボルマブ240mg/bodyの固定用量にて2週ごとの投与を継続し、B群はニボルマブ3mg/kg+イピリムマブ1mg/kgを3週ごとに4回投与後、ニボルマブ240mg/bodyの固定用量にて2週ごとの投与を継続、C群はニボルマブ3mg/kgにて2週ごと、イピリムマブ1mg/kgにて6週ごとに投与を継続した。どの群もがんの増悪または忍容できない有害事象が出現するまで、投与を継続した。奏効割合はA群32%、B群31%、C群31%であり差は認めなかったが、生存期間(中央値)は、A群22.8ヵ月、B群12.5ヵ月、C群12.7ヵ月と、A群で良好であった。主な有害事象は、掻痒、皮疹、下痢、AST上昇などであり、免疫関連有害事象は、皮疹、肝障害、副腎不全、下痢、肺炎などであった。A群の有害事象はやや高率に認めていたが、忍容性は十分と判断され、A群(ニボルマブ1mg/kg+イピリムマブ3mg/kg)が推奨投与量と考えられた。ソラフェニブに不応/不耐の患者に対する良好な治療レジメンの登場により、今後、本レジメンの開発の動向が気になるところである。胆道がん胆道がんにおいて最も注目された演題は、ゲムシタビン+シスプラチン(GC)療法の2次治療として、mFOLFOXと症状コントロールのみを比較したABC-06試験である。この結果は、長らく胆道がんにおける2次治療は確立していなかったのだが、mFOLFOXが2次治療の標準治療として確立することになった。ABC-06対象は、GC療法後に増悪を認めた進行胆道がん患者で、増悪を認めてから6週以内でPSが0または1で、臓器機能が保たれている患者を、A群:積極的な症状コントロールを行う群とB群:積極的な症状コントロールに加えて、mFOLFOXを行う群にランダム割り付けされた。主要評価項目は全生存期間であり、層別化因子は、1次治療のGC療法のプラチナ感受性があったかどうか、アルブミンが35g/L以上か未満か、局所進行か転移性か、であった。主要評価項目である全生存期間において、B群:mFOLFOX群は有意に良好な生存期間を示した(生存期間中央値、6ヵ月と12ヵ月生存割合:A群 5.3ヵ月、35.5%、11.4%、B群 6.2ヵ月、50.6%、25.9%、ハザード比0.69、95%CI:0.50~0.97、p=0.031)。1次治療のGC療法のプラチナ感受性別に検討したサブグループ解析では、プラチナ製剤に感受性がある群のみならず、プラチナ抵抗性のグループでも有意な差が認められ、プラチナ感受性にかかわらず、mFOLFOXは有用であることも示された。mFOLFOXの奏効割合は5%、病勢制御割合は33%、無増悪生存期間(中央値)は4.0ヵ月であった。また、主なGrade 3以上の有害事象は疲労、好中球減少、感染症などであり、忍容性は良好と判断された。GC療法後の2次治療として初めて延命効果を示した治療法であり、今後、標準治療として位置付けられることになるであろうと結論づけられた。Discussantも治療効果が高いわけではないが、新しい標準治療になるであろうと結論づけている。ただし、胆道がんではさまざまな治験や臨床試験が進行中である。1次治療として、化学療法+/-免疫チェックポイント阻害薬の併用療法や、GCにナブパクリタキセルの併用療法、mFOLFIRINOX療法などの3剤併用療法の開発が進行中であり、また、IDH1やFGFR、homologous Recombination Deficiencyなど遺伝子異常に基づいた分子標的治療薬の開発などが進行中であり、これらの動向にも注目する必要がある。まとめASCO2019では、膵がんに対してのゲムシタビン+ナブパクリタキセル療法が補助療法としてはNegativeな結果であったが、PARP阻害薬が登場した。肝細胞がんでは、ペムブロリズマブの残念な結果が報告されたが、ニボルマブ+イピリムマブにおいて有望な結果が報告され、期待されている。また、切除とRFAは同等の治療成績であることが明らかになり、よりRFAが選択されるようになるかもしれない。そして、胆道がんではmFOLFOXが2次治療における標準治療として位置付けられており、日本もmFOLFOXを承認してもらうような準備が必要である。そのほかにも有望な治療法の開発が進行中であり、肝胆膵領域の化学療法の開発も活気づいており、海外に遅れをとらないように開発を進めていく必要がある。

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全粒穀物、食物繊維の摂取が肝がんリスクを低下?/JAMA Oncol

 がん治療薬の開発が進んでいるが、一方で予防に対する研究も活発である。中国・安徽医科大学のWanshui Yang氏らは、全粒穀物や食物繊維の摂取量増加が、肝細胞がん(HCC)の素因として知られるインスリン抵抗性、高インスリン血症および炎症のリスク低下と関連していることから、これらの長期摂取によりHCCのリスクが低下するのではないかと仮定し、その関連性を米国の2つのコホート研究を基に解析した。その結果、全粒穀物および、おそらくシリアル繊維とふすまの摂取量増加は、米国成人のHCCのリスク低下と関連していることが示されたという。著者は、「今回の知見を再現し、他の人種・民族あるいは高リスク集団におけるこれらの関連性を調べ、根本的なメカニズムを解明するためには、今後、B型およびC型肝炎ウイルス感染を考慮したさらなる研究が必要である」とまとめている。JAMA Oncology誌オンライン版2019年2月21日号掲載の報告。 研究グループは、米国のNurses' Health StudyおよびHealth Professionals Follow-up Studyから計12万5,455例について解析した。 被験者は、全粒穀物、その成分であるふすまと胚芽、および食物繊維(シリアル、果物、野菜)の摂取量について、食事摂取頻度調査票(Food Frequency Questionnaire:FFQ)を用いて4年ごとに調査を受けていた。これらの摂取量とHCCとの関連について、Cox比例ハザード回帰モデルを用い、HCCの既知のリスク因子を調整後の多変量ハザード比(HR)とその95%信頼区間(CI)を推算し評価した。 主な結果は以下のとおり。・平均追跡期間24.2年、被験者12万5,455例(女性7万7,241例、男性4万8,214例、平均年齢63.4歳)中、HCC患者141例を確認した。・全粒穀物の摂取量増加は、HCCのリスク低下と有意に関連していた(最高三分位vs.最低三分位のHR:0.63、95%CI:0.41~0.96、傾向p=0.04)。・全ふすまの摂取量増加は、有意ではないもののHCCのリスク低下との関連が観察された(HR:0.70、95%CI:0.46~1.07、傾向p=0.11)。胚芽では関連はみられなかった。・シリアル繊維の摂取量増加は、有意ではないもののHCCのリスク低下と関連していた(HR:0.68、95%CI:0.45~1.03、傾向p=0.07)。果物や野菜の繊維では関連はみられなかった。

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ASCO2019レポート 消化器がん(Upper GI)

レポーター紹介今年のASCOも消化器がん領域では免疫チェックポイント阻害薬が主役であった。胃がん初回化学療法におけるペムブロリズマブの効果を検証したKEYNOTE-062試験の結果が報告された。また、ポスターセッションでは、免疫チェックポイント阻害薬の治療効果をより高めるために、血管新生阻害薬との併用効果を検討したり、食道がん術前化学放射線療法に免疫チェックポイント阻害薬を併用した試験が多く認められた。膵臓がんでは、gBRCA陽性患者に対するPARP阻害薬のメンテナンス治療の効果をみた試験の結果がプレナリーセッションで報告された。また、支持療法では、消化器がんで用いることが多い、50mg/m2以上のCDDPを使用する患者に対して、4剤併用の有効性を検証したJ-FORCE試験が報告された。LBA-4007 胃がん初回化学療法KEYNOTE-062試験(Non-colorectal, Oral presentation)胃がんにおける免疫チェックポイントの位置付けは、3次治療以降でのニボルマブの単剤投与であり、昨年報告されたKEYNOTE-061試験の結果では、2次治療としてのペムブロリズマブは、パクリタキセル単剤に対してCPS(Combined Positive Score:腫瘍細胞および腫瘍浸潤免疫細胞でのPD-L1陽性割合)が1%以上の胃がんでの優越性を示すことはできなかった。今回は初回化学療法例を対象に、5-FU(あるいはカペシタビン)+CDDP療法(C群)に対する、ペムブロリズマブ併用療法(C+P群)の優越性と、単剤療法(P群)の非劣性を検証したKEYNOTE-062試験の結果が報告された。対象はCPS 1%以上の切除不能再発胃がんで、763例が登録された。日本を含む東アジアからは約25%が登録され、欧州・米国・オーストラリアからの登録が約60%と多数を占めた。主要評価項目は4つあり、C群に対するP+C群の無増悪生存期間(PFS)の優越性(≧CPS 1)、全生存期間(OS)の優越性(≧CPS 1)および(≧CPS 10)、P群のOSでの非劣性(≧CPS 1)であった。C群とP群の比較においては、OS中央値、12ヵ月OS割合、24ヵ月OS割合は、C群とP群でそれぞれ11.1ヵ月と10.6ヵ月、46%と47%、そして19%と27%であり、HR:0.91(99.2%CI:0.69~1.18)と、HRの信頼区間の上限は、あらかじめ決めておいた非劣性マージン1.20を下回ったため、P群の非劣性が示された。探索的な検討であるが、≧CPS 10の患者群では、24ヵ月生存割合がC群とP群で22%と29%と、よりP群で良好な結果であった。しかし、PFS中央値は、C群とP群で6.4ヵ月と2.0ヵ月、12ヵ月PFS割合は19%と14%と、P群で不良な傾向であった。後治療はP群で52.8%実施されていることから、後治療を含めた治療により、長期生存が得られていると考えられた。C群とC+P群の比較では、OS中央値はC群とC+P群でそれぞれ11.1ヵ月と12.5ヵ月、12ヵ月OS割合は46%と53%、24ヵ月OS割合は19%と24%であり、HR:0.85(95%CI:0.70~1.03、p=0.046)と、統計学的に有意な生存期間の延長は認められなかった。驚いたことに、≧CPS 10の患者群でも両者のHRは0.85であり、より有効性が期待できる手段においてもC+P群の効果は変わらなかった。有害事象はいずれの群も許容される範囲内であった。まず、CPSにて対象を絞っても、他のがん種で示されているような、プラチナ併用初回化学療法に対する免疫チェックポイント阻害薬の併用効果が胃がんでは示せなかったこと、C+P群で思ったほど治療効果が持続していないこと、KEYNOTE-061試験で示されたCPSでの対象選択が、併用群では打ち消されていることなど、いくつかのポイントがクエスチョンとして挙がってくるが、今後の検討が必要である。非劣性が示され、CPS 1以上の胃がんでの初回化学療法の選択肢となりうるとされたペムブロリズマブも、効果のある症例は長く持続するが、半数の患者が2ヵ月で病勢進行を来している。従来の化学療法を受ける機会を逸しないためにも、対象は慎重に選択されるべきで、CPS 10以外にも効果のありそうな対象が絞り込める情報が必要である。また、薬剤コストの面についても問題が指摘されており、臨床的意義についてディスカッションが必要である。また、現在実施中である、ATTRACTION-4試験(胃がん初回化学療法SOX/XELOX±ニボルマブ)、CheckMate-649試験(胃がん初回化学療法XELOX/FOLFOX±ニボルマブ、およびニボルマブ+イピリムマブ)の比較試験の結果がどうなるのか、同じ結果なのか、異なる結果になるのか、大変興味深い。消化管がんに対する免疫チェックポイント阻害薬と血管新生阻害薬、放射線療法の併用(Non-colorectal, Developmental therapeutics, poster)KEYNOTE-062試験の結果で、改めて消化管がんの研究者が思ったことは、胃がんは免疫原性が低い、CPSも堅牢なバイオマーカーではなく、化学療法との併用も微妙で、より強力な治療が必要、である。以前より、ニボルマブ(Nivo)とラムシルマブの併用が有効性を高めることが報告されていたり、肝細胞がんでのペムブロリズマブとレンバチニブとの併用で、奏効割合の改善が報告されたりしていたが、同様に、免疫チェックポイント阻害薬と血管新生阻害薬の併用療法を検討した、Nivoとレゴラフェニブ(Rego)の併用Phase I試験の結果が報告された(#2522)。REGONIVO試験では、標準投与量のNivoにRegoを通常量の半量である80mgより併用し、毒性をみながら増量し安全性をみる試験である。Regoが腫瘍関連マクロファージ(TAM)を抑えることで免疫抑制状態を解除し、抗腫瘍効果を高めるということが報告されている。胃がん、大腸がんそれぞれ25例が登録されたが、Rego 80mgとRego 120mgのコホートでは用量制限毒性(DLT)を認めず、160mgへ増量された。160mgのコホートでは、3例中3例にDLT(皮膚毒性、蛋白尿、消化管穿孔)が認められ、また120mgのコホートでも継続投与にて頻繁にGrade3の皮膚毒性が認められたため、Rego 80mgが推奨投与量とされた。奏効割合はマイクロサテライト安定(MSS)大腸がんに対して36%、胃がんに対して44%と高い効果を認め、さらなる治療開発が期待されている。また、胃がん初回化学療法例に対して、XELOX療法に抗PD-1抗体であるcamrelizumabを併用し、4~6回投与した後、XELOXを休止、血管新生阻害薬であるapatinibとcamrelizumabの併用療法によるメンテナンスを行うPhase II試験(#4031)では奏効割合58.6%、食道扁平上皮がんの初回化学療法例に対するリポソーマルパクリタキセルと、ネダプラチンにcamrelizumabとapatinibの併用を評価したPhase II試験(#4033)では奏効割合80%と報告されている。いずれも併用により毒性が強くなるため、血管新生阻害薬の単剤での投与量を大幅に減量する必要があるが、有効性は、探索的な検討ながら、良好にみえる。さらなる結果を待って、使いどころを検討する必要がある。肺がんなど他がん腫ですでに示されている、放射線療法と免疫チェックポイント阻害薬の探索的な試験の結果が報告されている。韓国からは食道扁平上皮がんに対する術前化学放射線療法にペムブロリズマブを併用したPhase II(#4027)が報告された。病理学的完全奏効割合(pCR)は46.1%と高く、懸念された間質性肺炎は認められなかったが、手術症例26例中2例がARDSなどの肺障害により死亡しており、術前のペムブロリズマブの影響が懸念された。また食道胃接合部腺がんに対しては、欧米での標準治療の1つである術前カルボプラチン+パクリタキセル+放射線療法に、PD-L1抗体であるアベルマブを併用し、術後にもアベルマブを継続するPhase I/II試験(#4041)が行われ、7例のPhase I部分のみの発表であったが、重篤な毒性はなく、pCR割合も43%と比較的良好であった。また、術前化学放射線療法後に切除を行った食道胃接合部腺がんの術後にデュルバルマブを1年投与するPhase II試験(#4058)では、重篤な有害事象はないと報告されている。今後の免疫療法は、“併用療法”“周術期”といったところへシフトしていくと思われる。LBA4 膵臓がんに対するPARP阻害薬メンテナンス:POLO試験(Plenary session)PARP阻害薬であるオラパリブは、生殖細胞系列遺伝子のBRCA(gBRCA)に変異のある乳がんや卵巣がんに用いられているが、他がん腫での検討はまれである。POLO試験では、gBRCA1/2に変異のある進行膵がんに対してプラチナ併用化学療法を行い、進行がみられなかった患者をオラパリブとプラセボに割り付け、メンテナンス治療としての有効性をみた試験である。gBRCA1/2変異は、3,315例の患者をスクリーニングし、247例(7.4%)に認められ、うち、92例がオラパリブ群、62例がプラセボ群に割り付けられた。前治療はFOLFIRINOXが約80%と多く、治療効果も群間で差異はなかった。主要評価項目である無増悪生存期間中央値はオラパリブ群7.4ヵ月、プラセボ群3.8ヵ月であり、HR:0.53と有意に改善が認められた。生存期間を評価するにはイベントは不十分であるが、中央値オラパリブ群18.9ヵ月、プラセボ群18.1ヵ月と差を認めなかった。有害事象は予想されたものであった。また、すべてのサブグループにて同様の傾向であった。日本ではこの試験は実施されておらず、この結果が今後の日常診療にどのように取り込まれるのか、今後注目される。#11503 標準的制吐薬に対するオランザピンの上乗せ効果を検証したJ-FORCE試験(Symptom and Survivorship, Oral presentation)高度催吐性化学療法(Highly Emetogenic Chemotherapy:HEC)における標準制吐療法である、アプレピタント(APR)、セロトニン受容体拮抗薬、デキサメタゾン(DEX)にオランザピン(OLZ)10mgを併用することが遅発期の制吐に有効であることが証明されているが、眠気が問題点であった。この試験では予備的試験を行ったうえ、OLZ:5mgを試験治療群とし、プラセボ群に対する、遅発期(CDDP投与開始24時間後から120時間以内)の嘔吐完全抑制割合における優越性を検証した。705例が登録され、試験治療群が354例、プラセボ群が351例、患者背景は、55歳以上が80%以上、男性が65%、肺がん(50%)、食道がん(20%)、婦人科がん(10%)、その他であった。主要評価項目である遅発期の嘔吐完全抑制割合は、プラセボ群の66%に対して、試験治療群が79%(p<0.001)と有意に優れた結果であった。また、副次的評価項目である急性期の嘔吐完全抑制割合は、プラセボ群の89%に対して、試験治療群が95%(p=0.002)、全期間の嘔吐完全抑制割合は、プラセボ群の64%に対して、試験治療群が78%(p<0.001)と有意に良好な結果であった。試験治療群の有害事象のうち、全グレード(Grade3)の眠気が43%(0.3%)、めまいが8%(0%)と口腔内乾燥が21%(0%)と有意に多かったが、両群ともにGrade4は認めなかった。しかしながら、治療期間中の生活経過記録の解析結果から、試験治療群はプラセボ群と比較して有意(p<0.05)に良好であったことが示され、新たな標準治療であることが示された。日本の支持療法研究グループで行われた臨床試験が、世界の標準治療を塗り替えた非常に意義深い試験である。今回のASCOでも依然として免疫チェックポイント阻害薬の演題が多数を占めた。単剤の治療の時代から、併用療法や集学的治療へシフトしている。また、免疫細胞療法などの演題も多数認められ、新時代の到来を予感させられる。また、J-FORCE試験がOral Presentationに選ばれるなど、支持療法のエビデンス創出が日本でも盛んになってきており、今後にも期待したい。

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肝細胞がん、ソラフェニブ治療後のラムシルマブの有効性(REACH、REACH-2)/ASCO2019

 ソラフェニブは現在、転移を有する肝細胞がんの標準治療であるものの、ソラフェニブに不耐症例のための新たな薬剤が必要とされている。また、αフェトプロテイン(AFP)が上昇した進行期肝細胞がんは予後不良である。マウントサイナイ医科大学のJosep M.Llovet氏らは、ソラフェニブ治療後の進行期肝細胞がん患者の2次治療としてラムシルマブを投与した第III相臨床試験であるREACHとREACH-2のプール解析結果を米国臨床腫瘍学会年次総会(ASCO2019)で報告。AFP400ng/mL以上の進行期肝細胞がんでのラムシルマブの忍容性は高く、有害事象による治療中断は低率であった。 REACHとREACH-2はともにPS 0~1のChild-Pugh分類Aでソラフェニブによる治療後に病勢進行か不耐となった進行肝細胞がん患者が対象の無作為化二重盲検第III相試験。このうちREACH-2に関してはAFPが400ng/mL以上と限定した。いずれも登録患者をラムシルマブ8mg/kg 2週ごと+支持療法群(ラムシルマブ群)、プラセボ8mg/kg 2週ごと+支持療法群(プラセボ群)の2群に無作為に割り付けて比較した。 登録患者数はREACHが565例(ラムシルマブ群283例、プラセボ群282例)、REACH-2が292例(ラムシルマブ群197例、プラセボ群95例)。主要評価項目は全生存期間(OS)、副次評価項目は無増悪生存期間(PFS)、客観的奏効率(ORR)、無増悪期間(TTP)、安全性などであった。 今回の検討ではREACH登録患者でAFPが400ng/mL以上だった患者とREACH-2の患者をプール解析した。解析ではソラフェニブ不耐集団(不耐集団)とソラフェニブでの病勢進行集団(病勢進行集団)に分け、ラムシルマブ群とプラセボ群の2群間で比較検討した。 OS中央値は不耐集団ではラムシルマブ群が10.2ヵ月、プラセボ群が6.7ヵ月でHR0.59(95%CI:0.34~1.02)、病勢進行集団ではそれぞれ8.0ヵ月、4.7ヵ月でHR 0.71(95%CI:0.58~0.88)。PFS中央値は不耐集団ではそれぞれ4.4ヵ月、1.4ヵ月でHR0.32(95%CI:0.19~0.55)、病勢進行集団ではそれぞれ2.7ヵ月、1.6ヵ月でHR 0.64(95%CI:0.52~0.79)だった。ORRは不耐集団ではそれぞれ12%、0%、病勢進行集団ではそれぞれ4%、1%。病勢コントロール率(DCR)は不耐集団でそれぞれ79%、21%、病勢進行集団でそれぞれ53%、39%。有害事象を原因とする減量・投与中止は不耐集団でそれぞれ12%、0%、病勢進行集団でそれぞれ9%、4%となっていた。

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ペムブロリズマブ、進行肝細胞がん2次治療での最新結果(KEYNOTE-240)/ASCO2019

 進行肝細胞がん(HCC)2次治療におけるペムブロリズマブの有用性を評価した第III相試験KEYNOTE-240の最新結果が、米国臨床腫瘍学会年次総会(ASCO2019)で米国・カリフォルニア大学のRichard S. Finn氏により発表された。同患者に対するペムブロリズマブは、第II相試験KEYNOTE-224の結果に基づき、2018年11月にFDAが迅速承認している。 KEYNOTE-240は、ペムブロリズマブとBest Supportive Care(BSC;最善の支持療法=疼痛管理のほか、腹水などの合併症対策など、各医療機関の標準治療)の併用による、既治療の進行HCC患者を対象とした二重盲検プラセボ対照無作為化第III相試験。ソラフェニブ不耐あるいは治療後に進行、測定可能病変を有し、Child-Pugh分類A、バルセロナクリニック肝臓がん病期分類(BCLC)BまたはC、ECOG PS 0~1の患者が登録された。 登録患者はペムブロリズマブ(200mg)3週ごと投与+ BSC群と、プラセボ+ BSC群に2:1の割合で無作為に割り付けられた。 主要評価項目は全生存期間(OS)と無増悪生存期間(PFS)。副次評価項目は奏効率(ORR)と奏効期間(DOR)、安全性などであった。画像中央判定により、RECIST ver. 1.1に準拠して6週ごとに反応を評価した。 主な結果は以下のとおり。・ペムブロリズマブ群に278例、プラセボ群に135例が無作為に割り付けられた。・年齢中央値は67歳 vs.65歳、男性は226例(81.3%)vs.112例(83%)、日本人患者は40例(14.4%)vs.19例(14.4%)含まれた。・データカットオフはOSが2019年1月2日、PFSとORRについては2018年3月26日。・OS中央値は、ペムブロリズマブ群13.9ヵ月に対しプラセボ群10.6ヵ月と、ペムブロリズマブ群で改善したが(ハザード比[HR]:0.781、95%信頼区間[CI]:0.611~0.998、p=0.0238)、事前に設定された統計的優位性を示す値(p=0.0174)を満たさなかった。・PFS中央値は、ペムブロリズマブ群3.0ヵ月に対しプラセボ群2.8ヵ月と、ペムブロリズマブ群で良好な傾向を示したが(HR:0.775、95%CI:0.609~0.987、p=0.0186)、事前に設定された値(p=0.002)を満たさなかった。・ORRはペムブロリズマブ群18.3% vs.プラセボ群4.4%、完全奏功(CR)は2.2% vs.0%、部分奏効(PR)は16.2% vs.4.4%、安定(SD)は43.9% vs.48.9%であった。・DOR中央値はペムブロリズマブ群13.8ヵ月(1.5~23.6ヵ月)、プラセボ群は未到達(2.8~20.4ヵ月)で、ペムブロリズマブに対する反応は長期的だった。・Grade3以上の有害事象は、ペムブロリズマブ群52.7% vs.プラセボ群46.3%。免疫関連有害事象は7.2% vs.0.7%で、ペムブロリズマブの他のがん種での治療における報告と同等であった。HBVおよびHCVの再燃も認められていない。 ディスカッサントを務めたワシントン大学のWilliam P. Harris氏は、事前設定の値に到達しなかったが、ペムブロリズマブはOSとPFSの改善傾向を強く示しているとした。そのうえで、統計解析についての試験デザインと、プラセボ群の結果が他試験と比較して良好であった点に言及。アジア人集団対象に実施中の第III相KEYNOTE-394の結果を待ちたいとコメントした。

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C型肝炎へのDAA、実臨床での有効性を前向き調査/Lancet

 直接作用型抗ウイルス薬(DAA)は、慢性C型肝炎ウイルス(HCV)感染患者の治療に広範に使用されてきたが、その実臨床における有効性の報告は十分でなく、投与例と非投与例を比較した調査はほとんどないという。今回、フランス・ソルボンヌ大学のFabrice Carrat氏らの前向き調査(French ANRS CO22 Hepather cohort研究)により、DAAは慢性C型肝炎による死亡および肝細胞がんのリスクを低減することが確認された。研究の詳細は、Lancet誌オンライン版2019年2月11日号に掲載された。ウイルス蛋白を標的とするDAA(NS3/4Aプロテアーゼ阻害薬、NS5Bポリメラーゼ阻害薬、NS5A複製複合体阻害薬)の2剤または3剤併用療法は、HCV感染に対し汎遺伝子型の有効性を示し、95%を超える持続的ウイルス陰性化(SVR)を達成している。DAAの有無でアウトカムを比較するフランスの前向きコホート研究 研究グループは、DAA治療を受けた患者と受けていない患者で、死亡、肝細胞がん、非代償性肝硬変の発生率を比較するコホート研究を実施した(INSERM-ANRS[France Recherche Nord & Sud Sida-HIV Hepatites]などの助成による)。 フランスの32の肝臓病専門施設で、HCV感染成人患者を前向きに登録した。慢性B型肝炎患者、非代償性肝硬変・肝細胞がん・肝移植の既往歴のある患者、第1世代プロテアーゼ阻害薬の有無にかかわらずインターフェロン-リバビリン治療を受けた患者は除外された。 試験の主要アウトカムは、全死因死亡、肝細胞がん、非代償性肝硬変の発生の複合とした。時間依存型Cox比例ハザードモデルを用いて、DAAとこれらアウトカムの関連を定量化した。 2012年8月~2015年12月の期間に、1万166例が登録された。このうちフォローアップ情報が得られた9,895例(97%)が解析に含まれた。全体の年齢中央値は56.0歳(IQR:50.0~64.0)で、53%が男性であった。補正前は高リスク、多変量で補正後は有意にリスク低下 フォローアップ期間中に7,344例がDAA治療を開始し、これらの患者のフォローアップ期間中央値(未治療+治療期間)は33.4ヵ月(IQR:24.0~40.7)であった。2,551例は、最終受診時にもDAA治療を受けておらず、フォローアップ期間中央値は31.2ヵ月(IQR:21.5~41.0)だった。 DAA治療群は非治療群に比べ、年齢が高く、男性が多く、BMIが高値で、過量アルコール摂取歴のある患者が多かった。また、DAA治療群は、肝疾患や他の併存疾患の重症度が高かった。さらに、DAA治療群は、HCV感染の診断後の期間が長く、肝硬変への罹患、HCV治療中、ゲノタイプ3型の患者が多かった。 試験期間中に218例(DAA治療群:129例、DAA非治療群:89例)が死亡し、このうち73例(48例、25例)が肝臓関連死、114例(61例、53例)は非肝臓関連死で、31例(20例、11例)は分類不能であった。258例(187例、71例)が肝細胞がん、106例(74例、32例)が非代償性肝硬変を発症した。25例が肝移植を受けた。 未補正では、DAA治療群のほうが非治療群に比べ、肝細胞がん(未補正ハザード比[HR]:2.77、95%信頼区間[CI]:2.07~3.71、p<0.0001)および非代償性肝硬変(3.83、2.29~6.42、p<0.0001)のリスクが有意に高かった。 これに対し、年齢、性別、BMI、地理的発生源、感染経路、肝線維化スコア(fibrosis score)、HCV未治療、HCVゲノタイプ、アルコール摂取、糖尿病、動脈性高血圧、生物学的変量(アルブミン、AST、ALT、ヘモグロビン、プロトロンビン時間、血小板数、α-フェトプロテイン)、肝硬変患者の末期肝疾患モデル(MELD)スコアで補正したところ、DAA治療群では非治療群と比較して、全死因死亡(補正後HR:0.48、95%CI:0.33~0.70、p=0.0001)および肝細胞がん(0.66、0.46~0.93、p=0.018)のリスクが有意に低下し、未補正での非代償性肝硬変のリスクの有意差は消失した(1.14、0.57~2.27、p=0.72)。 また、全死因死亡のうち、肝臓関連死(0.39、0.21~0.71、p=0.0020)と非肝臓関連死(0.60、0.36~1.00、p=0.048)のリスクは、いずれもDAA治療群で有意に低かった。 著者は、「DAA治療は、あらゆるC型肝炎患者において考慮すべきである」と結論し、「今回の結果は、重症度の低い患者へフォローアップの対象を拡大し、DAAの長期的な臨床効果の評価を行うことを支持するものである」としている。

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FDA、cabozantinibの肝がん2次治療承認

 EXELIXI, Inc.は、2019年1月14、ソラフェニブ既治療の肝細胞がん(HCC)に対するマルチキナーゼ阻害薬cabozantinibが米国食品医薬品局(FDA)で承認されたと発表。 今回の承認は、ソラフェニブ既治療の進行HCC患者に対するcabozantinibの第III相CELESTIAL試験の結果に基づいている。CELESTIA試験は、ソラフェニブ既治療の進行HCC患者を対象に、cabozantinibとプラセボを比較した無作為化二重盲検プラセボ対照試験で、世界19ヵ国で実施されている。 CELESTIAL試験におけるOS中央値は、cabozantinib群10.2ヵ月、プラセボ群8.0ヵ月と、cabozantinib群で統計学的に有意な改善を示した(HR:0.76、95%CI:0.63~0.92、p=0.0049)。無増悪生存期間中央値は、cabozantinib群5.2ヵ月、プラセボ群1.9ヵ月であった(HR:0.44、95%CI:0.36~0.52、p<0.0001)。客観的奏効率は、cabozantinib4%、プラセボ0.4%であった(p=0.0086)。疾患コントロール率は、プラセボ群33%に対し、cabozantinib群では64%であった。 CELESTIAL試験におけるcabozantinibの有害事象は、既知の安全性プロファイルと一致した。プラセボ群と比較して、cabozantinib群に多くみられる(10%以上)Grade3/4の有害事象は、手足症候群(17%)、高血圧(16%)、AST上昇(12%)、疲労感(10%)、下痢(10%)であった。 CELESTIAL試験の独立データモニタリング委員会は、2017年10月、OSの結果から、2回目の中間分析の後に試験の有効中止を推奨している。■参考CELESTIAL試験(Clinical Trials.gov)

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第11回 レジパスビル/ソホスブビルの8週、12週、24週投与による有効性の違いは?【論文で探る服薬指導のエビデンス】

 C型肝炎の治療薬は近年急速に充実してきました。そのはしりがアスナプレビルとダクラタスビルの併用療法ですが、すぐにソホスブビル(商品名:ソバルディ錠)がインターフェロン無効例でも高い奏効率を示したことから、画期性加算が100%上乗せされて同薬剤には高額な薬価が設定されました。次いでレジパスビル/ソホスブビル(商品名:ハーボニー配合錠)が発売され、「ジェノタイプ(遺伝子型)1型のC型慢性肝炎において、リバビリン併用なしでSVR12を100%達成」と大きな話題になりました1)。レジパスビル/ソホスブビルも高額な薬価が設定され、IQVIAジャパンの調査によれば、レジパスビル/ソホスブビルは2016年の売上金額第1位でした。その後も、2017年にグレカプレビル/ピブレンタスビル(商品名:マヴィレット配合錠)が発売され、こちらも2018年の第1・第2四半期で売上金額第1位となっています2)。何かと話題に事欠かないC型肝炎治療薬の中から、今回はレジパスビル/ソホスブビルに関する研究を紹介します。レジパスビル/ソホスブビルの第III相試験には、多施設オープンラベルのランダム化比較試験のION-1、ION-2、ION-33-5)の3つがあります。いずれも18歳以上のジェノタイプ1のC型肝炎患者を対象としており、未治療例、他剤無効例、肝硬変例などの属性の患者ごとにレジパスビル/ソホスブビルあるいはレジパスビル/ソホスブビル+リバビリン併用の効果を、SVR12をプライマリエンドポイントとして検討しています。なお、SVRとはsustained virological response(持続陰性化)の略で、服用終了から12週後にC型肝炎ウイルス陰性(検出限界未満)が確認された場合にはSVR12となり、24週後も陰性が確認された場合にはSVR24となります。それぞれの試験の結果は下表のとおりです。結果から、インターフェロンが無効であった例でも高い奏効率であること、肝硬変例においても有効であることが読み取れます。また、ION-3において肝硬変なしの未治療例の研究では、8週服用と12週服用で大きな差はみられませんでした。本邦では12週服用が原則ですが、英国のNICEガイダンスにおいては、肝硬変を伴わないジェノタイプ1のC型肝炎については8週服用が推奨されています6)。国民保健サービス(NHS)により原則公費負担で提供される英国の医療制度においては、診療ガイドライン作成時に費用対効果も厳しく査定され、期待できる効果に大差がなければ8週で終了というのは経済的にも副作用予防の側面でも合理的なのかもしれません。なお、比較的多くみられた有害事象は、倦怠感や頭痛に不眠、吐き気、無力症、下痢、発疹などでした。これらの試験は肝がんへの進展や総死亡をプライマリエンドポイントとしているわけではないため、厳密には総死亡や肝がん発生率を語ることはできないのですが、SVR12の達成率が高いということはウイルス陰性が長く続くということなので、肝障害の進展抑制が期待できるものと推察されます。ただし、事例として多いわけではないものの、インターフェロンと異なり免疫活性作用が期待できない直接作用型の抗ウイルス薬治療で肝細胞がんの再発が増えた事例も報告されていますから、一定の認識はあってもよいかと思います7)。飲み忘れ時は「気づいた時点で服用」が原則経験上、レジパスビル/ソホスブビルは自己負担の上限はあれど薬価がきわめて高いことや、肝硬変や肝がんに進行させたくないという治療目的から、患者さんが普段以上に相互作用や飲み忘れ時の対応などで慎重になるように思います。レジパスビルは胃内pHの上昇により溶解性が低下するため、添付文書にはH2ブロッカー併用時は同時投与または12時間の間隔を空け、PPI併用時は空腹時に同時服用となっています。酸化マグネシウムは本邦の添付文書には具体的な服用間隔の指示はありませんが、米国の添付文書では4時間の間隔を空けるとあります。飲み忘れて慌てて連絡してくる患者さんもお見かけしますが、メーカーに問い合わせてみると「一般的に飲み忘れに気付いた時点で服用し、その日の服用はそれのみとして、その翌日から従来通りの服用時点で服用する。同じ日に2回分を飲まないという原則を守る。薬を体内から切らさないようにすることが大切」という回答を得たことがありますので参考にしていただければと思います。1)ギリアド ・サイエンシズ株式会社プレスリリース(2015年8月31日付)2)IQVIAジャパン トップライン市場データ3)Afdhal N, et al. N Engl J Med. 2014;370:1889-1898.4)Afdhal N, et al. N Engl J Med. 2014;370:1483-1493.5)Kowdley KV, et al. N Engl J Med. 2014;370:1879-1888.6)NICE guidance Ledipasvir-sofosbuvir for treating chronic hepatitis C7)Reig M, et al. J Hepatol. 2016;65:719-726.8)ハーボニー配合錠 添付文書(2018年2月改訂 第7版)、インタビューフォーム(2018年7月改訂 第8版)9)HARVONI package insert

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進行肝細胞がんに対する多標的チロシンキナーゼ阻害薬療法(解説:中村郁夫氏)-903

 本論文は、既治療の進行肝細胞がん(HCC)症例に対する、cabozantinibの治療効果および安全性に関するランダム化・二重盲検・多施設で行われた第III相試験の結果の報告である。対象は、ソラフェニブ(商品名:ネクサバール)による治療を受けた進行肝細胞がん症例で、さらに、少なくとも1回のHCCに対する全身的治療を受けた後に進行を呈した症例(HCCに対する全身的治療は2回まで)とした。707例を無作為に2対1に割り付けて、実薬群はcabozantinib(60mg/日)の内服を行い、経過をフォローした。結果として、全生存期間(OS)は、cabozantinib投与群10.2ヵ月、プラセボ群8.0ヵ月と有意な延長(p=0.005)を認めた。また、副次評価項目である、無増悪生存期間(PFS)は、cabozantinib投与群5.2ヵ月、プラセボ群1.9ヵ月と有意な延長(p<0.001)を認めた。しかし、一方で、Grade3/4の有害事象の頻度がcabozantinib投与群では68%であり、プラセボ群の36%と比較して頻度が2倍近いことも報告された。頻度の高い有害事象は、手足症候群、高血圧、肝機能障害、疲労、下痢などであった。 本邦における切除不能の進行肝細胞がん(HCC)に対する多標的チロシンキナーゼ阻害薬として、まず2009年5月にソラフェニブが承認された。次に、2017年6月にレゴラフェニブ(商品名:スチバーガ)が承認され、続いて、2018年3月にレンバチニブ(同:レンビマ)が承認された。 ソラフェニブ治療後の進行HCC症例を対象とした治療法の研究報告として、すでに、レゴラフェニブ投与によりプラセボ群と比較して生存期間が有意に延長することが2016年にLancetに報告された。cabozantinibは、VEGFR、MET、AXLなどのチロシンキナーゼを阻害する多標的チロシンキナーゼ阻害薬の1つであり、本論文はレゴラフェニブに続いてのcabozantinibに関する報告である。 今後の進行HCCに対する治療において、多標的チロシンキナーゼ阻害薬を用いる際には、薬剤の合理的選択、さらにそれぞれの薬剤による有害事象に対する対応をしっかり見極めながら治療することが重要であると考える。 本年6月に行われた米国臨床腫瘍学会(ASCO)では、多標的チロシンキナーゼ阻害薬と免疫チェックポイント阻害薬の併用療法に関しての報告が行われた。進行HCCに対する治療法は著しく進歩しており、今後の治療法開発の動向にも注目したい。

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レンバチニブの切除不能肝細胞がん1次治療、FDA承認

 米国食品医薬品局(FDA)は、2018年8月16日、切除不能な肝細胞がん(HCC)患者の初回治療にレンバチニブを承認した。 承認は未治療の転移を有する切除不能HCC患者954例による国際多施設無作為化オープンラベル非劣性試験REFLECTの結果に基づくもの。 REFLECT試験における全生存期間は、レンバチニブ群13.6ヵ月に対し、ソラフェニブ群12.3ヵ月と、レンバチニブの非劣性が証明された(HR:0.92、95%CI:0.79~1.06)。無増悪生存期間については、レンバチニブ7.3ヵ月に対し、ソラフェニブ群3.6ヵ月と、レンバチニブの統計的に有意な改善を証明した(HR:0.64、95%CI:0.55~0.75、p<0.001)。奏効率は、mRECISTではレンバチニブ群41%、ソラフェニブ群9%、RECIST1.1ではレンンバチニブ群12%ソラフェニブ群7%と、レンバチニブでより高かった。■参考FDA(Approved Drugs)REFLECT試験(Clinical Trials.gov)

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2009年以降、若年成人の肝硬変による死亡が急増/BMJ

 米国では2009年以降、肝硬変による死亡率が上昇していることが明らかにされた。25~34歳群の上昇が最も大きく、原因はアルコール性肝疾患によるものであった。米国・ミシガン大学のElliot B. Tapper氏らが行った観察コホート研究の結果で、著者は「若い年代でアルコールが原因による死亡が急増していることは、肝疾患予防の適切なケアについて、新たなチャレンジが必要なことを強調するものだ」と述べている。このほか解析からは、肝硬変による死亡は、白人・ネイティブアメリカン・ヒスパニック系米国人での急増が大きかったこと、メリーランド州では改善していた一方、ケンタッキー・ニューメキシコ・アーカンソー州で高率であったことなどが明らかになったという。BMJ誌2018年7月18日号掲載の報告。1999~2016年の米国住民の肝硬変、肝がんの死亡動向を調査 研究グループは、米国住民の肝硬変および肝がんによる死亡について、1999~2016年の動向を、年齢群、性別、人種、肝疾患原因別、地域別に調べた。米国疾病対策予防センター(CDC)のWide-ranging OnLine Data for Epidemiologic Research(WONDER)を介して、人口動態統計調査からの死亡データ、国勢調査からの住民データを集めて分析した。 主要評価項目は、肝硬変および肝細胞がんによる死亡率で、joinpoint回帰法を用いて動向を評価した。25~34歳群で年間10.5%増、原因はアルコール関連 米国における肝硬変による年間死亡者数は、1999年は2万661例であったが、2016年は65%増の3万4,174例となっていた。肝細胞がんによる年間死亡者数は、同5,112例から倍増の1万1,073例となっていた。唯一、アジア系・環太平洋島民米国人のみ、対象期間内に肝細胞がん死の有意な改善(年間2.7%減[95%信頼区間[CI]:2.2~3.3]、p<0.001)がみられた。 人種別にみて、肝硬変に関連した年間死亡率の伸び率が最も大きかったのはネイティブアメリカン(国勢調査でアメリカインディアンとされている住民)で、4.0%(95%CI:2.2~5.7、p=0.002)であった。 年齢補正後の肝細胞がん死は、毎年2.1%(95%CI:1.9~2.3、p<0.001)上昇が認められた。肝硬変による死亡の上昇は2009年に始まっており、2016年までに年間3.4%(3.1~3.8、p<0.001)上昇していた(1999~2008年は減少[年間-0.5%、p=0.02])。 2009~16年に肝硬変関連死が最も増大していたのは25~34歳群で(10.5%、95%CI:8.9~12.2、p<0.001)、もっぱら原因はアルコール関連の肝疾患によるものであった。また、同期間中、肝硬変関連では腹膜炎による死亡(年間死亡率増:6.1%、95%CI:3.9~8.2)と、敗血症による死亡(同7.1%、6.1~8.4)が大きく増大していた。さらに州別の解析では、唯一メリーランド州のみ死亡の改善が認められた(年間死亡率-1.2%、95%CI:-1.7~-0.7)。一方で南西部の州に集中して偏って年間死亡率の上昇が認められた。具体的には、ケンタッキーで6.8%(95%CI:5.1~8.5)、ニューメキシコ州6.0%(4.1~7.9)、アーカンソー州5.7%(3.9~7.6)、インディアナ州5.0%(3.8~6.1)、アラバマ州5.0%(3.2~6.8)。 肝細胞がん関連の死亡の改善が認められた州はなかった。最も深刻な年率増がみられたのは、アリゾナ州5.1%(3.7~6.5)、カンザス州4.3%(2.8~5.8)であった。

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ASCO2018レポート 消化器がん(肝胆膵)

レポーター紹介2018年度のASCOも例年と同様に、コーミックプレイス@シカゴにて開催された。消化器がんの中でも肝胆膵領域における注目演題についていくつか報告する。肝細胞がん肝細胞がんにおいて、最も注目された演題は、肝細胞がんにおける2次治療としてラムシルマブとプラセボを比較した第III相試験のREACH-2試験である。ラムシルマブは、以前にも肝細胞がんのソラフェニブ不応・不耐の症例を対象としてプラセボと比較した第III相試験を行い、主要評価項目である生存期間は達成しなかったが、AFPが400ng/mL以上の症例で良好な生存期間の延長が示され、今回、AFPが400ng/mL以上の症例を対象としたやり直しの第III相試験を行った。あまり例のない第III相試験であるが、今回は生存期間の有意な延長(生存期間の中央値:ラムシルマブ群8.5ヵ月 vs.プラセボ群7.3ヵ月、ハザード比0.710(95%CI:0.531~0.959)を認め、主要評価項目を達成した。しかも、全体で292例、ラムシルマブ群197例、プラセボ群97例と、比較的少ない患者数で、ポジティブな結果が得られている。また、生存期間のサブグループ解析を見ても、女性以外ではほぼラムシルマブで良好であり、ソラフェニブの2次治療として有用性が示された。無増悪生存期間もラムシルマブで有意に良好(中央値:2.8ヵ月 vs.1.6ヵ月、ハザード比0.452、95%CI:0.339~0.603、p<0.0001)であり、奏効割合もラムシルマブ群4.6%、プラセボ群1.1%と良好で、病勢制御割合もそれぞれ59.9%と38.9%であり、有意に良好であった。Grade3以上の有害事象はラムシルマブ群で高血圧を高率に認めたが(ラムシルマブ群10.7% vs.プラセボ群3.2%)、忍容性は良好であった。ラムシルマブは、肝細胞がんにおいてバイオマーカーでセレクトした患者を対象として、初めて延命効果を示した薬剤であり、また、マルチキナーゼ阻害薬以外の抗体薬である。そのほか、注目された演題としては、Poster Presentationではあるが、切除不能な肝細胞がんに対するVEGFR阻害薬と抗PD-1抗体/抗PD-L1抗体の併用療法で、ベバシズマブとアテゾリズマブの併用療法とレンバチニブとペムブロリズマブの併用療法である。ベバシズマブとアテゾリズマブの併用療法は、まだ23例と限られた対象での解析であるが、奏効割合(RECIST1.1)が65%と驚異的な成績が示されている。これまでの標準治療であるソラフェニブの奏効割合5~10%と比べると、約10倍の奏効割合である。また、全Gradeの有害事象も食欲減退33%、疲労33%、蛋白尿26%、高血圧21%と、他剤と比べて忍容性も良好であった。これらの有望な結果から、現在、肝細胞がんの初回化学療法例を対象として、ベバシズマブとアテゾリズマブの併用療法とソラフェニブを比較した第III相試験(NCT03434379)が進行中である。レンバチニブとペムブロリズマブの併用療法は、さまざまながん腫において有効性が期待され開発が進行中である。腎細胞がんではBreakthrough TherapyとしてFDAでも取り上げられており、肝細胞がんに対しても期待されて、第Ib試験が行われた。第I相パートにおいて、6例の患者で投与量規制毒性がないことを確認し、拡大コホートで、初回化学療法の患者24例に投与された。主な有害事象は食欲減退、高血圧であった。最良効果判定にて、増悪と判定された例はなく、ほとんどすべての症例で縮小傾向であった。また、多くの症例で、奏効が長期間続いており、いわゆる“durable response”も認められた。このように、これまでの標準治療であるソラフェニブでは、延命効果は得られるが、なかなか腫瘍縮小効果が得られないと言っていた時代から、約半数の症例で縮小が期待できる時代に突入した。今後の肝細胞がんの化学療法は、これらのVEGF阻害薬と免疫チェックポイント阻害薬の併用療法が中心に開発が進んでいくことが予測されている。胆道がん進行胆道がんに対する1次化学療法のゲムシタビン+シスプラチン併用療法(GC)とゲムシタビン+S-1併用療法(GS)を比較した第III相試験(JCOG1113)がPoster Discussionで日本から報告された。生存期間(中央値)は、GC療法13.4ヵ月、GS療法15.1ヵ月(ハザード比0.945、95%CI:0.777~1.149、p=0.0459 非劣性)と非劣性が示され、胆道がんの初回化学療法の1つのoptionとして位置付けられた。そのほか、胆道がんの初回化学療法例を対象として、GC+ナブパクリタキセルとGC療法を比較する第III相試験がSWOGで進行中であり、今後の有望な併用療法として注目されていた。膵がん膵がん術後の補助療法として、modified FOLFIRINOXとGEMを比較した第III相試験、切除可能膵がんとBorderline resectable(切除可能境界)膵がん患者における術前化学療法と術前化学放射線療法の有用性を検討した第III相試験、転移性膵がんの1次治療としてFOLFIRINOXを増悪まで継続するか、FOLFIRINOX後5-FU+ロイコボリンの維持療法に移行するか、ゲムシタビンとFOLFIRIの逐次治療のどれが良いかを検討するランダム化第II相試験の3演題がOral Presentationとして報告された。術後補助療法としては、海外では、ゲムシタビンが標準治療として行われている。今回は、R0切除が行われた膵がん切除後の患者を対象として、modified FOLFIRINOX(イリノテカンの投与量を150mg/m2に減量したレジメン)とゲムシタビンを比較した第III相試験の結果が報告された。主要評価項目である無病生存期間(中央値)は、modified FOLFIRINOX群で21.6ヵ月、ゲムシタビン群で12.8ヵ月(ハザード比0.58、95%CI:0.46~0.73、p<0.0001)であり、有意に良好な結果が示された。また、生存期間(中央値)もmodified FOLFIRINOX群で54.4ヵ月とゲムシタビン群で35.0ヵ月(ハザード比0.64、95%CI:0.48~0.86、p=0.003)であり、有意に良好な結果であった。有害事象に関して、下痢、末梢神経障害、疲労、嘔吐、口内炎、手足症候群やG-CSFの使用率はmodified FOLFIRINOX群で高率に認められていたが、忍容性はあり、十分に管理可能であった。したがって、全身状態の良好な膵がん切除後の患者に対する補助療法として、modified FOLFIRINOXは標準治療として位置付けられるであろうと報告された。では、日本でも術後補助療法はmodified FOLFIRINOXが標準治療になるだろうか? 日本では、術後補助療法として、S-1とゲムシタビンを比較した第III相試験が行われており、S-1群で、有意に良好な無再発生存期間(中央値:S-1 22.9ヵ月、ゲムシタビン11.3ヵ月、ハザード比0.60、95%CI:0.47~0.76、p<0.0001)と生存期間(中央値:S-1 46.5ヵ月、ゲムシタビン25.5ヵ月、ハザード比0.57、95%CI:0.44~0.72、p<0.0001)が報告されている。S-1単剤でもmodified FOLFIRINOXと同様の成績が得られていること、有害事象はS-1が良好であることを考慮すると、日本において標準的な補助療法がmodified FOLFIRINOXにすぐに置き換わることはないと思われる。しかし、今後、切除不能膵がんにしか適応がないFOLFIRINOXを切除後の補助療法として使用できるように試みることは必要かもしれない。切除可能膵がんとBorderline resectable膵がん患者における術前化学療法と術前化学放射線療法の有用性を検討した第III相試験(PREOPANC)が報告された。切除可能膵がんとBorderline resectable膵がんが約半数ずつ含まれるような対象に対して、まず切除を行い、術後補助化学療法としてゲムシタビン6サイクルを行う群(immediate surgery群)127例と、術前にゲムシタビンを2回投与後、ゲムシタビン併用放射線療法(ゲムシタビン1,000mg/m2にて3投1休、放射線36Gy/15 fraction)を行い、再度ゲムシタビンを2回投与して切除し、術後に補助化学療法としてゲムシタビンを4サイクル行う群(術前療法群)119例を比較した第III相試験である。切除割合は、それぞれ72%と60%であり、immediate surgery群でやや高率であったが、R0切除割合は、それぞれ31%と63%であり、術前療法群で有意に高率であった(p<0.001)。無病生存期間、遠隔転移再発までの期間、局所再発までの期間も、術前療法群で良好であった。生存期間はまだpreliminaryな結果ではあるが、それぞれ13.7ヵ月と17.1ヵ月であり、ハザード比0.74、p=0.074と術前療法群で良好な傾向が示されており、最終解析が期待される結果であった。ただし、本試験では、切除可能膵がんとBorderline resectable膵がんが混在した試験であり、評価が難しい。Borderline resectable膵がんに対しては、すでに第II/III相試験の結果、術前治療の有用性も報告されているが(Jang JY, et al. Ann Surg. 2018;215-222.)、切除可能膵がんにおける術前治療の有用性は明らかにされていない。今後、切除可能膵がんとBorderline resectable膵がんのそれぞれのコホートでの解析も行われると思われるが、切除可能膵がんにおける術前治療の有用性に関して十分な回答が得られない可能性もある。転移性膵がんの1次治療としてFOLFIRINOX 12サイクル後、経過観察する群(FOLFIRINOX群)、FOLFIRINOX 8サイクル後5-FU+ロイコボリンの維持療法に移行し、増悪時にFOLFIRINOXを再開する群(FOLFIRINOX/5-FU群)、ゲムシタビンとFOLFIRI3を2ヵ月ごとに交互に投与する群(FOLFIRI3/Gem群)のいずれが良いかを検討するランダム化第II相試験(PANOPTIMOX)がOral Presentationとして報告された。この試験のコンセプトは、大腸がんでのオキサリプラチンの“stop and go”の投与方法が膵がんでも示すことができるかどうかを検討したものである。主要評価項目である6ヵ月の無増悪生存割合は、FOLFIRINOX群47.1%、FOLFIRINOX/5-FU群44.0%、FOLFIRI3/Gem群34.1%で、FOLFIRINOX群とFOLFIRINOX/5-FU群は同等であり、FOLFIRI3/Gem群は有効性が低いことが示された。また、Grade3~4の末梢神経障害は、FOLFIRINOX群で10.2%に対して、FOLFIRINOX/5-FU群で18.7%と高率であったが、結果的にFOLFIRINOX/5-FU群でオキサリプラチンの投与量が増え、治療強度が強くなったためと考察されている。進行膵がんの1次治療として、FOLFIRINOXによる導入化学療法を4ヵ月行い、5-FU+ロイコボリンの維持療法を行うことは、実施可能で有効な可能性が示され、今後、FOLFIRINOXとFOLFIRINOX+5-FU+ロイコボリンの維持療法を比較する第III相比較試験が必要であると結論付けられた。この試験の結果、FOLFIRINOXにおけるオキサリプラチンの“stop and go”の投与方法は、今後、検討されるべき課題の1つだと思われた。膵神経内分泌腫瘍テモゾロマイドとカペシタビンの併用療法(CAPTEM)とテモゾロマイド単独(TEM)を比較したランダム化比較第II相試験が報告された。これまでに、CAPTEMは30~70%と非常に高い奏効割合が報告され、注目されてきたレジメンである。標準治療であるエベロリムスやスニチニブ以外の化学療法歴がなく、12ヵ月以内に進行が確認された切除不能膵神経内分泌腫瘍の患者142例が対象として行われた。主要評価項目である無増悪生存期間(中央値)は、CAPTEM群22.7ヵ月、TEM群で14.4ヵ月、ハザード比0.58(95%CI:0.36~0.93)、p値も0.023と有意に良好であった。生存期間もCAPTEM群で有意に良好であった(中央値:CAPTEM群 未到達、TEM群38.0ヵ月、ハザード比0.41(95%CI:0.21~0.82、p=0.012)。この試験は、有望視されていたCAPTEM療法が、ランダム化比較試験において、無増悪生存期間の延長のみならず、生存期間の延長まで示されたものであり、今後、膵神経内分泌腫瘍の治療の重要な選択肢の1つとなるものと思われる。まとめASCO2018では、肝細胞がんの2次化学療法におけるラムシルマブ、膵がん切除後の補助療法としてのmodified FOLFIRINOXが、今後、標準治療として位置付けられてくることが予測される。また、そのほかにも有望な治療法の開発も進行中であり、肝胆膵領域の化学療法の開発も活気づいている。

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既治療の進行肝細胞がん、cabozantinibがOS、PFSを延長/NEJM

 ソラフェニブ既治療の進行肝細胞がんの患者において、cabozantinibによる治療はプラセボと比べて、全生存期間および無増悪生存期間の延長が認められたことが、米国・Memorial Sloan Kettering Cancer CenterのGhassan K. Abou-Alfa氏らによる第III相無作為化二重盲検試験の結果、示された。ただし有害事象の発現頻度は、cabozantinib群がプラセボ群の約2倍にみられた。cabozantinibは、進行肝細胞がんの標準初回治療であるソラフェニブに対する耐性発現に関与するチロシンキナーゼ(血管内皮増殖因子受容体1、2、3、MET、AXLなど)を阻害する。研究グループは、既治療の進行肝細胞がん患者を対象に、cabozantinibとプラセボを比較した。NEJM誌2018年7月5日号掲載の報告。ソラフェニブ既治療の進行肝細胞がん患者についてプラセボ対照試験 試験は19ヵ国95施設で行われた。試験適格条件は、ソラフェニブによる治療歴を有し、肝細胞がんに対する1つ以上の全身療法後に進行が認められる患者で、進行肝細胞がんに対する全身療法は2つまでとした。条件を満たした患者をcabozantinib(60mg/日)または適合プラセボを投与する群に無作為に2対1の割合で割り付け追跡評価した。 主要評価項目は、全生存期間(OS)。副次評価項目は、無増悪生存期間(PFS)および客観的奏効率とした。グレードの高い有害事象の発現頻度が約2倍 2013年9月~2017年9月に773例が無作為化を受け、事前に計画されていた第2回の中間解析時点(2017年6月1日)では707例(cabozantinib群:470例、プラセボ群:237例)が無作為化された治療を受けていた(intention-to-treat集団)。 同集団において、cabozantinib群のプラセボ群に対するOSの有意な延長が認められた。OS中央値は、cabozantinib群10.2ヵ月、プラセボ群8.0ヵ月であった(死亡に関するハザード比[HR]:0.76、95%信頼区間[CI]:0.63~0.92、p=0.005)。 PFS中央値は、cabozantinib群5.2ヵ月、プラセボ群1.9ヵ月であった(病勢進行もしくは死亡に関するHR:0.44、95%CI:0.36~0.52、p<0.001)。また、客観的奏効率はそれぞれ4%、1%未満であった(p=0.009)。 Grade3/4の有害事象の発現頻度は、cabozantinib群68%、プラセボ群36%であった。共通して最もよくみられたグレードの高い有害事象は、手掌・足底発赤知覚不全(カボザンチニブ群17% vs.プラセボ群0%)、高血圧(16% vs.2%)、AST値上昇(12% vs.7%)、疲労(10% vs.4%)、下痢(10% vs.2%)であった。

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バッド・キアリ症候群〔BCS:Budd-Chiari Syndrome〕

1 疾患概要バッド・キアリ症候群(Budd-Chiari Syndrome:BCS)とは、肝静脈の主幹あるいは肝部下大静脈の閉塞や狭窄により門脈圧亢進症に至る症候群をいう。わが国では両者を合併している病態が多い。重症度に応じ易出血性食道・胃静脈瘤、異所性静脈瘤、門脈圧亢進症性胃腸症、腹水、肝性脳症、出血傾向、脾腫、貧血、肝機能障害、下腿浮腫、下肢静脈瘤、胸腹壁の上行性皮下静脈怒張などの症候を示す1)。■ 概念・定義肝静脈の主幹あるいは肝部下大静脈の閉塞や狭窄により門脈圧亢進症に至る症候群。■ 疫学2004年の年間受療患者数(有病者数)の推定値は、190~360人である(2005年全国疫学調査)。男女比は約1:0.7とやや男性に多い。確定診断時の年齢は、20~30代にピークを認め、平均は約42歳である2)。2013年の門脈血行異常症に関する定点モニタリング調査では、発症時平均年齢が32.2歳、診断時平均年齢が44.7歳であった3)。■ 病因本症の病因は明らかでない例が多く、わが国では肝部下大静脈膜様閉塞例が多い。肝部下大静脈の膜様閉塞や肝静脈起始部の限局した狭窄や閉塞例は アジア、アフリカ地域で多く、欧米では少ない。発生は、アランチウス静脈管の異常をもとに発症するとする先天的血管形成異常説が考えられてきた。最近では、本症の発症が中高年以降で多いこと、膜様構造や肝静脈起始部の狭窄や閉塞が血栓とその器質化によって、その発生が説明できることから後天的な血栓説も考えられている。これに対して欧米では、肝静脈閉塞の多くは基礎疾患を有することが多い。基礎疾患としては、血液疾患(真性多血症、発作性夜間血色素尿症、骨髄線維症)、経口避妊薬の使用、妊娠出産、腹腔内感染、血管炎(ベーチェット病、全身性エリテマトーデス)、血液凝固異常(アンチトロンビンIII欠損症、protein C欠損症)などが挙げられる。多くは発症時期が不明で慢性の経過(アジアに多い)をたどり、うっ血性肝硬変に至ることもあるが、急性閉塞や狭窄により急性症状を呈する急性期のBCS(欧米に多い)もみられる。アジアでは下大静脈の閉塞が多く、欧米では肝静脈閉塞が多い。分類として、原発性BCSと続発性BCSとがある。原発性BCSの病因はいまだ不明であるが、血栓、血管形成異常、血液凝固異常、骨髄増殖性疾患の関与が疑われている。続発性BCSを来すものとしては肝腫瘍などがある。■ 症状BCSは発症形式により急性型と慢性型に分けられる。急性型は一般に予後不良であり、腹痛、嘔吐、急速な肝腫大および腹水にて発症し、1~4週間で肝不全により死の転帰をたどる重篤な疾患であるが、わが国ではきわめてまれである。一方、慢性型は80%を占め、多くの場合は無症状に発症し、次第に下腿浮腫、腹水、腹壁皮下静脈怒張、食道・胃静脈瘤を認める。重症度に応じ易出血性食道・胃静脈瘤、異所性静脈瘤、門脈圧亢進症性胃腸症、腹水、肝性脳症、出血傾向、脾腫、貧血、肝機能障害、下腿浮腫、下肢静脈瘤、胸腹壁の上行性皮下静脈怒張などの症候を示す3)。■ 分類1)病型杉浦らは本症の病型を以下の4つに分類している(図1)4)。図1 BCSの病型画像を拡大する(文献4より引用改変)I型:横隔膜直下の肝部下大静脈の膜様閉塞例、このうち肝静脈の一部が開存する場合をIa、すべて閉塞している場合をIbII型:下大静脈の1/2から数椎体にわたる完全閉塞例III型:膜様閉塞に肝部下大静脈全長の狭窄を伴う例IV型:肝静脈のみの閉塞例出現頻度は各々34.4%、11.5%、26.0%、7.0%、5.1%と報告がある。2)発症形式発症形式により急性型と慢性型に分けられる。上記の症状でも既述したが、急性型は一般に予後不良であり、腹痛、嘔吐、急速な肝腫大および腹水にて発症し、1~4週間で肝不全により死の転帰をたどる重篤な疾患であるが、わが国ではきわめてまれである。一方、慢性型は80%を占め、多くの場合は無症状に発症し、次第に下腿浮腫、腹水、腹壁皮下静脈怒張、食道・胃静脈瘤を認める。わが国においては慢性型が典型例として考えられている。■ 予後慢性の経過をとる場合、うっ血性肝硬変に至る。また、病状が進行すると肝細胞がんを合併することがある。2 診断 (検査・鑑別診断も含む)■ 診断基準本症は症候群として認識され、また病期により病態が異なることから一般検査所見、画像検査所見、病理検査所見によって総合的に診断されるべきである。確定診断は、造影CTや肝静脈造影による下大静脈・肝静脈閉塞(狭窄)と、肝臓の病理組織学的所見に裏付けされることが望ましい。1)一般検査所見血液検査:1つ以上の血球成分の減少を示す。肝機能検査:正常から高度異常まで重症になるにしたがい、障害度が変化する。内視鏡検査:しばしば上部消化管の静脈瘤を認める。門脈圧亢進症性胃腸症や十二指腸、胆管周囲、下部消化管などにいわゆる異所性静脈瘤を認めることがある。2)画像検査所見(1)超音波、CT、MRI、腹腔鏡検査肝静脈主幹あるいは肝部下大静脈の閉塞や狭窄が認められる(図2)。超音波ドプラ検査では肝静脈主幹や肝部下大静脈流ないし乱流が見られることがあり、また、肝静脈血流波形は平坦化あるいは欠如することがある。脾臓の腫大を認める。肝臓のうっ血性腫大を認める。とくに尾状葉の腫大が著しい。肝硬変に至れば、肝萎縮となることもある。図2 BCSの腹部造影CT(門脈相)像画像を拡大する2A:水平断、2B:冠状断、2C:矢状断。肝部レベルで下大静脈が高度狭窄している(矢印)。肝静脈の3主幹および分枝も閉塞し、造影されない。肝内は粗雑化し、硬変様に変化し、肝表に腹水も見られる。また、肝内に腫瘍性病変も出現している(矢頭)。(2)下大静脈、肝静脈造影および圧測定肝静脈主幹あるいは肝部下大静脈の閉塞や狭窄を認める(図3)。肝部下大静脈閉塞の形態は膜様閉塞から広範な閉塞まで各種存在する。また、同時に上行腰静脈、奇静脈、半奇静脈などの側副血行路が造影されることが多い。著明な肝静脈枝相互間吻合を認める。肝部下大静脈圧は上昇し、肝静脈圧や閉塞肝静脈圧も上昇する。図3 BCSの下大静脈造影像画像を拡大する右大腿静脈からカテーテルを入れて造影した。肝部下大静脈の一部分が完全に狭窄化し、血流がほとんど途絶している。3)病理診断(1)肝臓の肉眼所見急性期のうっ血性肝腫大、慢性うっ血に伴う肝線維化、さらに進行するとうっ血性肝硬変となる。(2)肝臓の組織所見急性のうっ血では、肝小葉中心帯の類洞の拡張が見られ、うっ血が高度の場合には中心帯に壊死が生じる。うっ血が持続すると、肝小葉の逆転像(門脈域が中央に位置し、肝細胞集団がうっ血帯で囲まれた像)や中心帯領域に線維化が生じ、慢性うっ血性変化が見られる。さらに線維化が進行すると、主に中心帯を連結する架橋性線維化が見られ、線維性隔壁を形成し、肝硬変の所見を呈する。■ 重症度分類表に重症度分類を示す。画像を拡大する● 重症度重症度I:診断可能だが、所見は認めない。重症度II:所見を認めるものの、治療を要しない。重症度III:所見を認め、治療を要する。重症度IV:身体活動が制限され、介護も含めた治療を要する。重症度V:肝不全ないしは消化管出血を認め、集中治療を要する。● 付記1.食道・胃・異所性静脈瘤(+):静脈瘤を認めるが、易出血性ではない。(++):易出血性静脈瘤を認めるが、出血の既往がないもの。易出血性食道・胃静脈瘤とは『食道・胃静脈瘤内視鏡所見記載基準(日本門脈圧亢進症研究会)』『門脈圧亢進症取扱い規約(第3版、2013年)』に基づき、F2以上のもの、またはF因子に関係なく発赤所見を認めるもの。異所性静脈瘤の場合もこれに準じる。(+++):易出血性静脈瘤を認め、出血の既往を有するもの。異所性静脈瘤の場合もこれに準じる。2.門脈圧亢進所見(+):門脈圧亢進症性胃腸症、腹水、出血傾向、脾腫、貧血のうち1つもしくは複数認めるが、治療を必要としない。(++):上記所見のうち、治療を必要とするものを1つもしくは複数認める。3.身体活動制限(+):当該3疾患による身体活動制限はあるが歩行や身の回りのことはでき、日中の50%以上は起居している。(++):当該3疾患による身体活動制限のため介助を必要とし、日中の50%以上就床している。4.消化管出血(+):現在、活動性もしくは治療抵抗性の消化管出血を認める。5.肝不全(+):肝不全の徴候は、血清総ビリルビン値3mg/dL以上で肝性昏睡度(日本肝臓学会昏睡度分類、第12回犬山シンポジウム、1981)II度以上を目安とする。6.異所性静脈瘤門脈領域の中で食道・胃静脈瘤以外の部位、主として上・下腸間膜静脈領域に生じる静脈瘤をいう。すなわち胆管・十二指腸・空腸・回腸・結腸・直腸静脈瘤、および痔などである。7.門脈亢進症性胃腸症組織学的には、粘膜層・粘膜下層の血管の拡張・浮腫が主体であり、門脈圧亢進症性胃症と門脈圧亢進症性腸症に分類できる。門脈圧亢進症性胃症では、門脈圧亢進に伴う胃体上部を中心とした胃粘膜のモザイク様の浮腫性変化、点・斑状発赤、粘膜出血を呈する。門脈圧亢進症性腸症では、門脈圧亢進に伴う腸管粘膜に静脈瘤性病変と粘膜血管性病変を呈する。■ 鑑別診断特発性門脈圧亢進症、肝外門脈閉塞症、肝硬変との鑑別を要する。BCSは進行すれば肝硬変に至り鑑別困難になることが多いが、肝静脈や下大静脈の閉塞・狭窄の有無がポイントとなる。閉塞部(狭窄部)を開存させる治療で症状の著明な改善が望まれる。3 治療 (治験中・研究中のものも含む)肝静脈主幹あるいは肝部下大静脈の閉塞ないし狭窄に対しては臨床症状、閉塞・狭窄の病態に対応して、カテーテルによる開通術や拡張術、ステント留置あるいは閉塞・狭窄を直接解除する手術、もしくは閉塞・狭窄部上下の大静脈のシャント手術などを選択する。急性症例で、肝静脈末梢まで血栓閉塞している際には、肝切離し、切離面-右心房吻合術も選択肢となる。肝不全例に対しては、肝移植術を考慮する。門脈圧亢進の症候に対する治療法は以下のとおりである。■ 食道静脈瘤に対して1)食道静脈瘤破裂による出血中の症例では、一般的出血ショック対策、バルーンタンポナーデ法などで対症的に管理し、可及的速やかに内視鏡的硬化療法、内視鏡的静脈瘤結紮術などの内視鏡的治療を行う。上記治療によっても止血困難な場合は緊急手術も考慮する。2)一時止血が得られた症例では状態改善後、内視鏡的治療の継続、または待期手術、ないしはその併用療法を考慮する。3)未出血の症例では、食道内視鏡所見を参考にして内視鏡的治療、または予防手術、ないしはその併用療法を考慮する。4)単独手術療法としては、下部食道を離断し、脾摘術、下部食道・胃上部の血行遮断を加えた「直達手術」、または「選択的シャント手術」を考慮する。内視鏡的治療との併用手術療法としては、「脾摘術および下部食道・胃上部の血行遮断術(Hassab手術)」を考慮する。■ 胃静脈瘤に対して1)食道静脈瘤と連続して存在する噴門部の胃静脈瘤に対しては、上記の食道静脈瘤の治療に準じた治療によって対処する。2)孤立性胃静脈瘤破裂による出血中の症例では一般的出血ショック対策、バルーンタンポナーデ法などで対症的に管理し、可及的速やかに内視鏡的治療を行う。上記治療によっても止血困難な場合は、バルーン閉塞下逆行性経静脈的塞栓術(balloon-occluded retrograde transvenous obliteration:B-RTO)などの血管内治療や緊急手術も考慮する。3)一時止血が得られた症例では状態改善後、内視鏡的治療の継続、B-RTOなどの血管内治療、または待期手術(Hassab手術)を考慮する。4)未出血の症例では、胃内視鏡所見を参考にして内視鏡的治療、血管内治療、または予防手術を考慮する。5)手術方法としては「脾摘術および胃上部の血行遮断術(Hassab手術)」を考慮する。■ 異所性静脈瘤に対して1)異所性静脈瘤破裂による出血中の症例では、一般的出血ショック対策などで対症的に管理し、可及的速やかに内視鏡的治療を行う。 上記治療によっても止血困難な場合は、血管内治療や緊急手術を考慮する。2)一時止血が得られた症例では状態改善後、内視鏡的治療の継続、血管内治療、または待期手術を考慮する。3)未出血の症例では、内視鏡所見を参考にして内視鏡的治療、血管内治療、または予防手術を考慮する。■ 脾腫、脾機能亢進症に対して巨脾に合併する症状(疼痛、圧迫)が著しいとき、および脾腫が原因と考えられる高度の血球減少(血小板5×104以下、白血球3,000以下、赤血球300×104以下のいずれか1項目)で出血傾向などの合併症があり、内科的治療が難しい症例では、部分的脾動脈塞栓術(partial splenic embolization:PSE)ないし脾摘術を考慮する。4 今後の展望國吉 幸男氏(琉球大学大学院 医学研究科 胸部心臓血管外科学講座)らが行っている直達手術(senning手術)が根治手術として有名であり、好成績をおさめている5,6)。肝移植も有効なことが多いが、ドナーの問題などから、わが国ではあまり行われていない。しかし、根治的治療として今後の期待がかかった治療法といえる。外科治療に至るまでの間に、カテーテル治療による閉塞部拡張術やステント挿入術(経頸静脈的肝内門脈静脈短絡術)が行われることもあり、良好な効果を得ている。5 主たる診療科消化器内科、消化器外科、血管外科※ 医療機関によって診療科目の区分は異なることがあります。6 参考になるサイト(公的助成情報、患者会情報など)診療、研究に関する情報「難治性の肝・胆道疾患に関する調査研究」(厚生労働科学研究費補助金 難治性疾患政策研究事業) バッド・キアリ症候群(一般利用者向けと医療従事者向けのまとまった情報)1)Moriyasu F, et al. Hepatol Res. 2017;47:373-386.2)廣田良夫ほか. 2005年全国疫学調査. 厚生労働科学研究費補助金 難治性疾患等克服研究事業「門脈血行異常に関する調査研究」平成25年度研究報告書;2013.3)廣田良夫ほか. 門脈血行異常症に関する定点モニタリングシステムの構築. 厚生労働科学研究費補助金 難治性疾患等克服研究事業「門脈血行異常に関する調査研究」平成25年度研究報告書;2013.4)Okuda H, et al. J Hepatol. 1995;22:1-9.5)國吉幸男ほか, 日本心臓血管外科学会雑誌. 1991;20:919-921.6)Pasic M, et al. J Thorac Cardiovasc Surg. 1993;106:275-282.公開履歴初回2018年05月08日

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レンバチニブ、世界に先駆け肝細胞がんに国内承認

 エーザイ株式会社(本社:東京都、代表執行役CEO:内藤晴夫)とMerck & Co., Inc. Kenilworth, N.J, U.S.A.は2018年3月23日、マルチキナーゼ阻害薬レンバチニブ(商品名:レンビマ)について、日本において新たに「切除不能な肝細胞癌」の効能・効果追加の承認を取得したと発表。これは、肝細胞がん全身化学療法の1次治療薬として、約10年ぶりの治療選択肢の追加となる。 今回の承認は、全身化学療法歴のない切除不能な肝細胞がん患者を対象としたレンバチニブの臨床第III相試験(304/REFLECT試験)の結果に基づいている。本試験の結果、レンバチニブは、標準治療薬ソラフェニブを対照として、全生存期間の統計学的な非劣性を証明し(レンバチニブ群13.6ヵ月 vs.ソラフェニブ群12.3ヵ月)、主要評価項目を達成した(HR:0.92、95%CI:0.79~1.06)。また、副次評価項目の無増悪生存期間(HR:0.66、95%CI:0.57~0.77、p<0.00001)、無増悪期間(HR:0.63、95%CI:0.53~0.73、p<0.00001)、奏効率(レンバチニブ群24% vs.ソラフェニブ群9%、p<0.00001)について、ソラフェニブに対して、統計学的に有意かつ臨床的に意義のある改善を示した。本試験においてレンバチニブ群で高頻度に確認された有害事象は、高血圧(42%)、下痢(39%)、食欲減退(34%)、体重減少(31%)、疲労(30%)で、これまでに認められた安全性プロファイルと同様であった。■参考REFLECT試験(Clinical Trials.gov)

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エーザイ株式会社とMerck、レンビマでがん領域戦略的提携

 エーザイ株式会社(本社:東京都、代表執行役 CEO:内藤晴夫)とMerck & Co., Inc.Kenilworth, N.J., U.S.A.(Chairman and CEO:Kenneth C. Frazier)は2018年3月8日、エーザイ創製の経口チロシンキナーゼ阻害薬レンバチニブ(商品名:レンビマ)を全世界で共同開発・共同販促する戦略的提携について合意したと発表。本契約に基づき、両社は、レンバチニブの単剤療法、ならびにMerck & Co., Inc. Kenilworth, N.J., U.S.A.の抗PD-1抗体ペムブロリズマブ(商品名:キイトルーダ)との併用療法における、共同開発と共同販促を行う。 レンバチニブとペムブロリズマブの併用療法については、2017年12月に米国食品医薬品局(FDA)より、進行性または転移性腎細胞がんの適応でブレーク・スルーセラピーの指定を受けている。また、両社共同で実施中の複数の固形がんを対象とした臨床第Ib/II相試験(111試験/KEYNOTE-146試験)における、子宮内膜がんと腎細胞がんの中間結果では、治療歴やPD-L1発現の有無など患者様背景に関わらず、奏効率における顕著な相乗効果が示唆されている。 本提携により、エーザイと Merck & Co., Inc. Kenilworth, N.J., U.S.A.は、レンバチニブとペムブロリズマブとの併用療法に関して、6がん種(子宮内膜がん、非小細胞肺がん、肝細胞がん、頭頸部がん、膀胱がん、メラノーマ)における治療歴に応じた11の適応取得を目的とした臨床試験に加え、複数のがん種に対するバスケット型試験を共同して速やかに開始するとしている。

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ニボルマブの480mg4週ごと投与、FDAが承認

 米国ブリストル・マイヤーズ スクイブ社は2018年3月6日、米国食品医薬品局(FDA)が、480mg固定用量4週間ごと投与の追加適応を含む、ニボルマブ(商品名:オプジーボ)の生物学的製剤承認一部変更申請を承認したと発表。この承認により、医療者は、新バイアルによる240mgの2週間ごと投与と、480mgの4週ごと投与を、患者に合わせて選べるようになる。また、すべてのニボルマブ適応疾患で、従来より短い30分投与も承認された。 480mg固定用量4週ごと投与は、下記の適応症に対して承認されている。・転移性メラノーマ(単独投与またはイピリムマブとの併用療法後の単独投与)・既治療の転移性非小細胞肺がん・抗血管新生療法後の進行腎細胞がん・プラチナベース化学療法中または後に進行した局所進行または転移性尿路上皮がん・自家造血幹細胞移植(HSCT)とブレンツキシマブ ベドチン、または自家HSCT含む3ライン以上の全身療法の後に再発/進行した古典的ホジキンリンパ腫・プラチナベース治療後の再発/転移性の頭頸部扁平上皮がん・ソラフェニブ治療後の肝細胞がん・完全切除されたメラノーマの術後アジュバント療法■参考ブリストル・マイヤーズ スクイブ社プレスリリース

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レンバチニブ vs.ソラフェニブ、切除不能肝細胞がん初回治療/Lancet

 切除不能肝細胞がんの初回治療において、レンバチニブはソラフェニブに対し全生存期間(OS)の非劣性が認められた。また、レンバチニブの安全性および忍容性プロファイルは、これまでの研究と一致していた。近畿大学の工藤 正俊氏らが、国際多施設共同無作為化非盲検第III相非劣性試験(REFLECT試験)の結果を報告した。切除不能肝細胞がん患者の初回全身療法として承認されているのはソラフェニブのみであり、新しい治療薬の開発が望まれていた。レンバチニブは、VEGF受容体(VEGFR)であるVEGFR1~3、FGF受容体(FGFR)であるFGFR1~4、PDGF受容体α、RET、KITを標的とするキナーゼ阻害薬で、第II相試験において肝細胞がんに対する有効性が示唆されていた。Lancetオンライン版2018年2月9日号掲載の報告。レンバチニブとソラフェニブで全生存期間を比較 REFLECT試験は、アジア太平洋、ヨーロッパおよび北米の20ヵ国、計154施設で実施された。対象は、全身化学療法歴のない切除不能肝細胞がん患者である。音声自動応答システム/Web登録システムを用い、地域、肉眼的門脈侵襲(MVI)、肝外転移(EHS)、MVI・EHS、ECOG-PS、体重を層別化因子として、レンバチニブ群およびソラフェニブ群に1対1の割合で無作為に割り付けた。 レンバチニブ群では、体重60kg以上には12mg/日、60kg未満は8mg/日、ソラフェニブ群は1回400mgを1日2回、28日ごとに経口投与した。 主要評価項目は、無作為割り付け日から全死因死亡日までのOSであった。有効性はintention-to-treat集団、安全性は治療を受けた患者のみを解析対象集団とした。また、非劣性マージンは1.08とした。レンバチニブ群13.6ヵ月、ソラフェニブ群12.3ヵ月、OS中央値は非劣性 2013年3月1日~2015年7月30日に1,492例が登録され、適格患者954例が割り付けられた(レンバチニブ群478例、ソラフェニブ群476例)。OS中央値は、レンバチニブ群13.6ヵ月(95%信頼区間[CI]:12.1~14.9)、ソラフェニブ群12.3ヵ月(95%CI:10.4~13.9)、ハザード比0.92(95%CI:0.79~1.06)で、非劣性基準を満たした。 頻度が高かった有害事象(全グレード)は、レンバチニブ群では高血圧201例(42%)、下痢184例(39%)、食欲低下162例(34%)、体重減少147例(31%)、ソラフェニブ群では手足症候群249例(52%)、下痢220例(46%)、高血圧144例(30%)、食欲低下127例(27%)であった。

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ペムブロリズマブ、古典的ホジキンリンパ腫に国内承認

 MSD株式会社(本社:東京都千代田区、社長:ヤニー・ウェストハイゼン、以下MSD)は2017年11月30日、抗PD-1抗体ペムブロリズマブ(商品名:キイトルーダ)について、再発又は難治性の古典的ホジキンリンパ腫に対する効能・効果を追加する国内製造販売承認事項一部変更の承認を取得したことを発表した。 ペムブロリズマブは、再発又は難治性の古典的ホジキンリンパ腫の患者を対象とした国際共同第II相臨床試験(KEYNOTE-087試験)において、有効性および安全性を示した。 ペムブロリズマブは、国内で根治切除不能な悪性黒色腫およびPD-L1陽性の切除不能な進行・再発の非小細胞肺がんの効能・効果で承認を取得している。また、2017年4月28日に局所進行性又は転移性の尿路上皮がんに対する効能・効果について製造販売承認事項一部変更承認申請を行った。さらに、乳がん、大腸がん、食道がん、胃がん、頭頸部がん、肝細胞がん、腎細胞がん、卵巣がん、前立腺がんなどを対象とした後期臨床試験が進行中。海外では、米国を含む50ヵ国以上で承認を取得しており、世界で600以上の臨床試験で30種類以上のがんの検討が行われている。■参考MSD株式会社プレスリリース■関連記事ペムブロリズマブ、難治性の古典的ホジキンリンパ腫に承認:FDA

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アストラゼネカ、epacadostatのIncyte社と肺がん臨床試験で連携

 AstraZeneca(本社:英国ロンドン、CEO:Pascal Soriot)と同社のグローバルバイオ医薬品研究開発部門MedImmuneは2017年10月31日、Incyte社(本社:米国デラウェア州、CEO:Herve Hoppenot)との共同臨床開発を拡大すると発表した。 本契約の一環として両社は、同時化学放射線療法(CCRT)後に病勢進行が認められなかった切除不能の局所進行(Stage III)NSCLC患者を対象とする第III相試験を実施。アストラゼネカの抗PD-L1抗体durvalumabとIncyte社のIDO1酵素阻薬epacadostatの併用とdurvalumab単剤との有効性および安全性を評価する。患者登録は、2018年上半期から開始予定。 Stage III肺がんはNSCLCの罹患数の約3分の1を占めており、2016年には上位7ヵ国において約10万5,000人が罹患したと推定される。これらの患者の70%超は切除不能である。現在の標準治療はCCRTで、その後は進行の有無について注意深い経過観察が行われる。予後は依然として不良であり、長期生存率は低率である。 epacadostatは、開発中の強力かつ選択的なIDO1酵素の経口阻害薬。すでに、切除不能または転移メラノーマ、NSCLC、肝細胞がん、頭頸部扁平上皮がん、および膀胱がん患者を対象とする単群試験により、epacadostatと免疫チェックポイント阻害剤の併用療法の概念実証(Proof-of-Concept)が示されている。これらの試験において、CTLA-4阻害薬イピリムマブもしくはPD-1阻害薬ペムブロリズマブまたはニボルマブとepacadostatの併用療法は、免疫チェックポイント阻害剤単剤に比べて奏効率を改善することが示された。■参考AstraZeneca(グローバル)メディアリリース■関連記事epacadostat・ペムブロリズマブ併用で進行性メラノーマのPFSが12ヵ月に(ECHO-202試験)/ESMO2017

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