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本論文は、アメリカ・カナダ・フランス・オーストラリアにおいて行われた第III相試験(UNITY-2 study)に関する報告である。対象は、1型(1a/1b)HCVによる代償性C型肝硬変202例(初回治療例 112例、既治療例 90例)である。治療法は、ダクラタスビル(30mg)、アスナプレビル(200mg)、ベクラブビル(75mg)を1日2回の内服とし、半数にリバビリン(1,000~1,200mg/日)を加えた。治療期間は12週間とし、治療終了後24週間の経過観察を行った。SVR12(治療終了後12週におけるHCV陰性化)は、初回治療例で98%、既治療例で93%と高い効果を示した。 わが国におけるC型慢性肝炎の患者数は約200万人と推定されている。従来のC型慢性肝炎に対する治療法の主体は、インターフェロンを含むものであった。しかし、昨年の9月に保険収載されたダクラタスビル・アスナプレビル併用療法(1型HCV:24週)を皮切りに、今年の5月にはソホスブビル・リバビリン併用療法(2型HCV:12週)が保険収載され、順次、ソホスブビル・レディパスビル併用療法(1型HCV:12週)、オムビタスビル・パリタプレビル・リトナビル併用療法(1型HCV:12週)、グラゾプレビル・エルバスビル併用療法(1型HCV:12週)が承認されることが予想され、さらに選択肢が広がることとなった。 本論文のように、欧米では3剤の併用療法が主体であるのに対し、日本では1型HCVの大多数は1b型で、1a型はまれであるため、2剤の併用療法が主体である。いよいよ、わが国においても、C型慢性肝炎に対する経口薬併用療法の時代が到来した。C型慢性肝炎の患者さんにとって大きな福音がもたらされたと考える。