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第3回 「新型コロナを5類へ」の声

肺炎を起こしにくいBA.5COVID-19の感染症法上の扱いを見直そう、という声はコロナ禍でメディアで頻繁に取り上げられています。アルファ株、デルタ株と比べてオミクロン株以降は弱毒化が継続しています。現時点では、BA.5は確かに肺炎をほとんど起こしていません。「5類へ」それゆえ、新型コロナを「季節性インフルエンザと同等の5類感染症相当」に引き下げるべき、あるいは完全に「5類感染症」にすべきという議論が高まっています。表は1~5類感染症と新型インフルエンザ等感染症をまとめたものです。なお、「〇:可能」というのは、そういう措置が可能というだけで、そうしなければならないわけではありません。画像を拡大する表.1~5類感染症と新型インフルエンザ等感染症の主な措置(筆者作成)「5類にすべきかどうか」という議論は、医学的にはナンセンスだと思っています。新型コロナは継続的な対応が必要と考えられ、「指定感染症」から「新型インフルエンザ等感染症」の枠組みに移行しました。行政上、さまざまな措置を弾力的に運用しやすい枠組みだったためです。柔軟な骨抜きができるからこそ、この枠組みにしたはずなので、あえて「5類感染症にしましょう」と提言する必要はなさそうです。全数報告が不要であれば、現在の「新型インフルエンザ等感染症」の枠組みの中で把握をやめればよいですし、5類感染症に近づけたいなら、「新型インフルエンザ等感染症の5類相当」を目指せばよいのです。6月にはCOVID-19の発生届を簡素化し、症状や感染経路などを記載するところはなくなりました。また、当初すべての陽性者に入院勧告が行われていた制度はすでに廃止され、現在は自宅療養、ホテル療養が可能です。そして、もう濃厚接触者については各自で把握している現状があります。これほど5類相当まで骨抜きダウングレードが進んでいる中、あえて動きにくい「完全5類感染症」にカテゴライズするメリットは多くありません。「5類感染症」にした場合、高齢者施設クラスターが発生しても、自治体はそこに公費を投下することが難しくなります。また、BA.5の次のウイルスがアルファ株やデルタ株のように厄介な場合、法的なハードルになり、手続きに時間がかかってしまいます。そのため、「新型インフルエンザ等感染症」の枠組みで自由にモディファイするほうが、何かとやりやすいのです。ただ、「もう5類感染症です」と政府がステートメントを出すことによって、国全体のマインドが上向くというのであれば、そういう施策もありかもしれません。しかし、また、どういった分類であっても、手を挙げてくれる医療機関が急増しない限り、おそらく発熱外来は逼迫します。そのため、感染が急拡大している現在の第7波の局面においては、「5類」かどうかという議論よりも、どのように医療逼迫をコントロールしていくかという議論のほうが重要に思います。

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異種ワクチンでのブースター接種、安全性は?/BMJ

 新型コロナウイルス(COVID-19)ワクチン接種について、「ChAdOx1-S」(アストラゼネカ製)によるプライマリ接種とmRNAワクチン(「BNT162b2」[ファイザー製]または「mRNA-1273」[モデルナ製])によるブースター接種(異種ワクチン接種)は、プライマリ+ブースターをすべてmRNAワクチンで接種した場合(mRNA同種ワクチン3回接種)と比べて、重篤な有害イベントリスクの増大は認められなかったことを、デンマーク・Statens Serum InstitutのNiklas Worm Andersson氏らが報告した。同国内でワクチン接種をした成人を対象に行ったコホート試験の結果で、これまで異種ワクチンの安全性に関する情報は不十分だった。BMJ誌2022年7月13日号掲載の報告。ワクチン2/3回接種後28日の重篤な心血管・出血/血栓性有害イベントを比較 研究グループは、2021年1月1日~2022年3月26日にかけて、デンマーク国内を対象にコホート試験を行った。COVID-19ワクチンの初回接種に、「ChAdOx1-S」を接種し、その後ブースター接種としてmRNAワクチン(「BNT162b2」または「mRNA-1273」)を1~2回接種した成人(18~65歳)と、「BNT162b2」または「mRNA-1273」のみを2~3回接種した成人について比較検討した。 主要アウトカムは、ワクチン2回または3回接種後28日以内の、広範にわたる心血管・出血/血栓性有害イベント(虚血心イベント、脳血管イベント[梗塞または頭蓋内出血]、動脈血栓塞栓症、静脈血栓塞栓症[脳静脈血栓塞栓症または肺塞栓]、心筋炎/心膜炎など)による病院受診の発生だった。ポアソン回帰法で、特定の交絡因子を補正し発生率比を推算し評価した。24時間以上入院を要する重篤な有害イベント、両群で同等 計2回接種の異種ワクチン(ChAdOx1-S、mRNA)接種者は13万7,495人、同種ワクチン(mRNA、mRNA)接種者は268万8,142人だった。また、計3回接種の異種ワクチン(ChAdOx1-S、mRNA、mRNA)接種者は12万9,770人、同種ワクチン接種者(mRNA、mRNA、mRNA)は219万7,213人だった。 異種ワクチン群の同種ワクチン群に対する、ワクチン2/3回接種後28日の、心血管・出血/血栓性有害イベントの補正後発生率比は、虚血心イベントは2回接種群で1.22(95%信頼区間[CI]:0.79~1.91)、3回接種群で1.00(0.58~1.72)であった。また、脳血管イベントはそれぞれ0.74(0.40~1.34)と0.72(0.37~1.42)、動脈血栓塞栓症は1.12(0.13~9.58)と4.74(0.94~24.01)、静脈血栓塞栓症が0.79(0.45~1.38)と1.09(0.60~1.98)、心筋炎/心膜炎が0.84(0.18~3.96)と1.04(0.60~4.55)、血小板減少症と血液凝固障害が0.97(0.45~2.10)と0.89(0.21~3.77)、その他出血イベントが1.39(1.01~1.91)と1.02(0.70~1.47)だった。 24時間超の入院を要する重篤な有害イベントに限定した場合も、あらゆるアウトカムとの関連について有意差はなかった。 結果を踏まえて著者は、今回の試験結果は安心を与えるものだとしながらも、稀な有害事象もあるため、関連性を排除するものではないとしている。

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第118回 ランサムウェア被害の徳島・半田病院報告書に見る、病院のセキュリティ対策のずさんさ

オールスターゲーム後に気がかりなことこんにちは。医療ジャーナリストの萬田 桃です。医師や医療機関に起こった、あるいは医師や医療機関が起こした事件や、医療現場のフシギな出来事などについて、あれやこれや書いていきたいと思います。新型コロナウイルス感染症の第7波が到来、各地で感染者が急増しています。政府は現時点ではまん延防止措置等重点措置のような行動制限は必要ないとの方針ですが、このまま学校が夏休みに入り、帰省や観光等で人々の動きが活発になると、さらなる患者数の増加が予想されます。実際、街に出てみると、コロナ禍以前のような賑わいで、人々は普通に飲んで騒いでいます。昨年夏のように、医療提供体制が逼迫する恐れも出てきました。米国では、MLBでポストシーズンへの進出が絶望的となったロサンゼルス・エンジェルスの大谷翔平選手のトレード交渉が、今週開かれるオールスターゲーム後に本格化するのではと、マスコミが騒いでいます(8月2日の米東部時間午後6時、日本時間3日午前7時が今季のトレード期限)。仮にエンジェルスから放出されるとしたら、大谷選手はどのチームに行くのか。ワールドシリーズ進出を狙う強豪チームに行くのか…。その行き先がとても気がかりです。一方、日本においては、プロ野球のオールスターゲームが終わる7月末頃には、コロナ患者激増でまん延防止措置等重点措置が再び出されるのではないか、あるいは感染症法上の扱いを「2類相当」から「5類」に引き下げる議論が本格化するのではないか……。こちらもとても気がかりです。さて今回は、新型コロナウイルス“ではない”ウイルス、相変わらず各地の病院で被害が頻発している、コンピュータウイルスについて書いてみたいと思います。増える病院のサイバー攻撃報道6月20日、徳島県鳴門市の医療法人久仁会・鳴門山上病院にサイバー攻撃があり、 電子カルテや院内のLANシステムが使えなくなったことが判明し、各紙が報じました。各紙の報道によれば、感染したのは身代金要求型ウイルス「ランサムウェア」で、 19日午後にパソコンが勝手に再起動し、 プリンターから紙が大量に印刷されたのに職員が気付き、 被害が判明したとのことです。なお、同病院は患者のデータをバックアップしており、22日から通常診療を再開しています。また、7月4日には岐阜市の医療法人幸紀会・安江病院が外部から不正アクセスを受け、病院のコンピュータシステムに保管していた患者や職員、計約11万人分の個人情報が流出した可能性がある、と発表しました。各紙報道によると、流出した可能性があるのは、患者や新型コロナウイルスのワクチン接種者延べ11万1,991人と、職員715人分の名前や住所、電話番号や病歴などで、職員が5月27日朝、電子カルテのシステムが使えないことに気付き、不正アクセスが判明したそうです。翌28日には復旧したものの、29日まで救急患者の受け入れを停止しました。同病院は岐阜県警や厚生労働省に報告し、専門機関に調査を依頼したとのことです。全面復旧まで2カ月かかった徳島県つるぎ町の町立半田病院コンピュータウイルスによる病院の被害については、本連載でも「第86回 世界で猛威を振るうランサムウェア、徳島の町立病院を襲う」、「第91回 年末年始急展開の3事件、『アデュカヌマブ』『三重大汚職』『町立半田病院サイバー攻撃』のその後を読み解く」でも取り上げ、ランサムウェアが病院経営に与えるダメージについて書きました。第86回で詳しく書いた、徳島県つるぎ町の町立半田病院の被害はとくに深刻でした。2021年10月31日、病院システムのメインサーバーとバックアップサーバーが、「LockBit2.0」と名乗る国際的なハッカー集団が仕掛けるランサムウェアに感染。同病院ではこの攻撃で患者約8万5,000人分の電子カルテが閲覧不能となり、急患や新患の受け付けがができなくなるなど、大きな被害が出ました。最終的にサーバーが復旧し、通常診療に戻ったのはなんと2ヵ月後の2022年1月でした。セキュリティ対策ソフトをわざと稼働させずつるぎ町と同病院は、今年6月7日に「コンピュータウイルス感染事案有識者会議調査報告書」を公表しています。調査報告書によれば、電子カルテシステムにアクセスするパソコンの端末が古く、新しいセキュリティ対策ソフトを入れると、システムの動作が遅くなる恐れがあったため、電子カルテの販売事業者の指示で、このソフトの稼働が止められていたとのことです。具体的には、院内にあるパソコン(約200台)のうち、電子カルテシステムに接続する端末について、ウイルス対策ソフト(トレンドマイクロ社のウイルスバスター、マイクロソフト社のウィンドウズ・ディフェンダー)の動作のほか、ウィンドウズの定期更新、電子カルテシステムの動作に必要なマイクロソフト製プログラム(シルバーライト)の最新版への更新などが意図的に無効化されていました。報告書は「電子カルテの動作を優先しセキュリティ対策をないがしろにした」と厳しく指摘しています。さらに、電子カルテのメンテナンス目的で販売業者側が設置したVPN(仮想プラベートネットワーク)装置についても、2019年の設置後、修正プログラムが一度も適用されていませんでした。VPNの提供元であるフォーティネット社は2019年に脆弱性について注意喚起していますが、販売事業者はこれについても病院に説明していませんでした。「VPN装置の脆弱性を狙われ閉域網が破られた」調査報告書は、同病院にランサムウェアを仕掛けたサイバー犯罪集団により、「VPN装置の脆弱性を狙われ閉域網が破られた事案と判断するのが適当」と結論付けています。閉域網とは、外部のインターネットと完全に切り離された閉じられたネットワークのことです。かつては医療機関のネットワークはインターネットと切り離された閉域網を前提として構築されていました。しかし近年は、医療機関同士が患者情報をネットで共有したり、今回のケースのようにVPN装置を用いて、外部から操作したりと、閉域網ではなくなっているのが実情です。閉域網でないとしたら、それ相応の厳重なセキュリティ対策が必要になるわけですが、そこまでの対応をしている医療機関はまだ多くはありません。なお、事故発生当時は、同病院にはシステム担当者が1人しかおらず、セキュリティ対策に取り掛かる状況ではなかったとのことです。調査報告書は「起きるべくして起きてしまったインシデント」と総括、販売事業者側に対してもセキュリティソフトの停止を伝えず、VPNの修正ソフトも適用しないなど「事業者として責任を果たしていない」と、その問題点を強く非難しています。半田病院の「コンピュータウイルス感染事案有識者会議調査報告書」は、同病院のホームページにアップされており、誰でも閲覧し、ダウンロードすることができます1)。調査報告書の本編に加え、「調査報告書-技術編-」と「情報システムにおけるセキュリティ・コントロール・ガイドライン」も掲載されており、ホームページには、病院事業管理者である須藤 泰史氏の次のような言葉もあります。「この報告書には、我々の対応不足な点もたくさん指摘されていますが、広く日本の電子カルテシステムにおける問題も提起されています。本来なら、今後当院が電子カルテシステムをどのようにするのかの具体的な対策も提示して、皆様にご報告するべきだったと思いますが、まずはこれらを世に出して、全国の病院や事業所のセキュリティ強化に貢献できればと考え公開するものです」。同病院の事案で得られた教訓やノウハウを、全国の医療機関でも参考にしてほしいという強い気持ちが伝わってきます。全国の病院や診療所の院長は、この調査報告書の本編だけでも目を通されることをお勧めします。「一部の医療機関や警察、教育機関などを攻撃する」と「LockBit3.0」ところで、半田病院を襲ったランサムウェア「LockBit2.0」ですが、7月8日付の読売新聞の報道によれば「LockBit」は6月下旬、ダークウェブと呼ばれる闇サイトに開設しているホームページを一新。グループ名を「LockBit2.0」から「LockBit3.0」と改めたとのことです。このホームページでは一部の医療機関や警察、教育機関などを攻撃すると宣言。医療機関については、「死者が出る可能性がある」ところは避け、それ以外は、民間で収益を上げていれば攻撃対象にすると明記されているとのことです。ランサムウェアの被害多発を背景に、厚生労働省は今年3月に改定したばかりの「医療情報システムの安全管理に関するガイドライン第5.2版」を今年度内に再改定する予定です。また、厚生労働省の協力の下、日本医師会など医療・製薬分野の関係団体が、サイバー情報を平時から独自に収集・分析する新組織を年内にも発足させる方向で作業が進んでいるとのことです。リアルの世界だけではなく、サイバー空間においても、“ウイルス”は収まるどころかその威力をさらに増しているようです。参考1)徳島県つるぎ町立半田病院 コンピュータウイルス感染事案有識者会議調査報告書について

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テオフィリン鼻洗浄でコロナの嗅覚障害は改善するか

 気管支喘息治療薬でおなじみのテオフィリンは、細胞内のcAMP濃度を上昇させることで神経の興奮性を高める作用があり、これを利用した嗅覚の改善効果が以前より立証されている1)。また、最近の研究では生理食塩水鼻洗浄(SNI)にテオフィリンを追加することで、新型コロナウイルス感染後の嗅覚機能障害(OD:olfactory dysfunction)の効果的な治療になり得ることが示唆されている。 そこで、米国・ワシントン大学・セントルイス校のShruti Gupta氏らは新型コロナウイルス関連のODに対し、テオフィリン鼻洗浄の有効性と安全性を評価した。その結果、テオフィリン鼻洗浄の臨床的利点は決定的ではないことが示唆された。JAMA Otolaryngology-Head&Neck Surgery誌オンライン版2022年7月7日号掲載の報告。 本試験は三重盲検プラセボ対照第II相ランダム化試験で、2021年3月15日~8月31日にミズーリ州またはイリノイ州に居住し新型コロナによるODが持続する成人(コロナ感染疑いから3〜12ヵ月が経過した者)を対象に実施された。生理食塩水とテオフィリン400mgのキットを治療群用に、生理食塩水と乳糖粉末500mgのキットを対照群用として用意し、参加者はカプセル内容物を生理食塩水に溶解し、6週間にわたり朝と晩の1日2回の鼻腔洗浄を行った。 主要評価項目は治療群・対照群間で反応した人の割合の差で、CGI-I(Clinical Global Impression-Improvement)で少なくともわずかに改善を示す反応として定義した。副次評価の測定には、ペンシルベニア大学の嗅覚識別テスト(UPSIT)、嗅覚障害に関する質問、一般的な36項目の健康調査、新型コロナ関連の質問が含まれた。 主な結果は以下のとおり。・51例が研究に登録され、平均年齢±SDは46.0±13.1歳で、女性は36例(71%)。テオフィリン鼻洗浄群(n=26)とプラセボ鼻洗浄群(n=25)にランダムに割り付けられた。・参加者のうち45例が研究を完遂した。治療後、テオフィリン群13例(59%)はプラセボ群10例(43%)と比較して、CGI-Iスケール(反応した人)でわずかな改善を報告した(絶対偏差:15.6%、95%信頼区間[CI]:13.2~44.5%)。・ベースラインと6週間の嗅覚識別テストUPSITでの中央値の差は、テオフィリン群で3.0(95%CI:-1.0~7.0)、プラセボ群で0.0(95%CI:-2.0~6.0)だった。・混合モデル分析により、UPSITスコアの変化は2つの研究群間で統計学的に有意差が得られなかったことが明らかになった。・テオフィリン群の11例(50%)とプラセボ群の6例(26%)は、ベースラインから6週間までにUPSITスコアで4ポイント以上の変化があった。また、UPSITで反応した人の割合の差は、テオフィリン群で24%(95%CI:-4~52%)だった。

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コロナPCR検査等の誤判定、日本での要因は?

 新型コロナウイルス感染症の診断において、PCRをはじめとする核酸検査には高い信頼性が求められており、厚生労働省では、その測定性能や施設の能力の違いの実態把握と改善を目的として、2年にわたり「新型コロナウイルス感染症のPCR検査等にかかる精度管理調査業務」委託事業を行っている。今回、令和3年度調査結果について報告書がまとめられ、日本臨床検査薬協会(臨薬協)と日本分析機器工業会(分析工)がメディア勉強会を開催。同調査を実施、報告をとりまとめた宮地 勇人氏(新渡戸文化短期大学 副学長)が講演した。<外部精度管理調査の概要>実施期間:2021年11月7~25日参加施設(1,191施設):病院74.1%、衛生検査所14.7%、診療所3.8%、保健所3.1%、地方衛生研究所2.0%、検疫所1.6%など(自費検査の実施は、診療所 [93.3%]および臨時衛生検査所[80%]で多く、陰性証明書の発行を行っている施設は診療所[88.9%]で多い傾向がみられた。測定原理はリアルタイム PCR 法 が73.9%と最も多く、その他LAMP法、SmartAmp法などさまざまな等温核酸増幅法が用いられていた。プール法の実施施設は6.4%だった)。評価方法:陰性を含む濃度の異なる6試料について正答率を評価し、施設カテゴリーや測定法(機器・試薬およびその組み合わせで10施設以上で実施されていた21パターン)ごとに解析、誤判定要因の特定を行った。PCR等の偽陰性は医療機関で多い傾向、要因として挙がったのは 全体として、試料別にみた正答率は93.0~99.4%と総じて良好だったが、98施設(延べ139検体)で誤判定(偽陽性・偽陰性)があり、主に医療機関(病院・診療所)であった。試料別正答率を施設カテゴリー別にみると、地方衛生研究所や検疫所(100%)、保健所(96.7~100%)で高かったのに対し、病院(91.9~99.7%)や診療所(83.3~100%)で低かった。とくに診療所では、PCR検査等の偽陰性結果が比較的多くみられた。 偽陰性結果について詳細をみると、測定機器に依存する傾向がみられ、SmartGene(19施設)、TRCReady(26施設)、ミュータスワコーg1(19施設)使用施設に多く認められた(計64施設)。その他の要因を検討するため、上記測定機器を使用していた64施設を除く34施設で特性をみると、測定者に臨床検査技師や認定微生物検査技師等の認定資格なしの施設の割合が高く、導入時の性能評価未実施の施設の割合が高かった。 さらに34施設に対して誤判定要因についてヒアリング調査を行ったところ、「検出限界の未確認・再現性不良の可能性」といった試薬・機器に依存するものが22施設と最も多かった一方、測定前後の作業手順等に関わる下記5点も要因となっていることが明らかになった。・試料の取り違い(5施設15件)・陽性/陰性の判定指標の不適切さの可能性(3施設4件)・キャリーオーバー汚染(2施設2件)・測定試薬の管理の不適切さの可能性(1施設2件)・判定結果の転記ミスの可能性(1施設1件) 上記のうちとくに試料の取り違いについて、宮地氏は「1つの取り違いで必ず複数の誤判定が生じてしまう。今回の調査のように、事前に準備をしている状況でも起きているということは、大量検体が舞い込むような状況下ではさらに誤判定リスクが増していると懸念される」と指摘した。 そのほか今回の調査では、輸送培地に含まれる塩酸グアニジンが偽陰性リスクにつながりうることが示された。検査の拡大により、輸送培地として塩酸グアニジン溶液を含有して感染リスクを最小化した製品(SARS-CoV-2不活化試薬、PCRメディアSG、輸送用スワブキットなど)が使用されるようになっており、塩酸グアニジンが残存しているとPCR反応阻害による偽陰性リスクがあるため、使用している核酸抽出法がその影響を除外することを確認する必要がある。コロナ誤判定にスワブの種類は日本では影響なし スワブの素材により、ウイルス回収量が異なるということが世界的に指摘されている。今回の調査では、ウイルス回収量が最も高く臨床的感度が高いと報告されているナイロン製をはじめ、ポリアミド製、ポリウレタン製、ポリエステル製などの多様な素材の綿球が使用されていたが、明らかな差は認められなかった。宮地氏はこの結果から、「日本で一般的に使われているものは広く支障なく使えることが明らかになった。サプライ停滞時には、代替製品を使うことが可能」とした。 プール法の精度については、54施設を対象に3試料(5プール)の外部精度管理調査が実施された。正答率は94.4~100%と総じて良好で、誤判定があった施設は3施設であった。プールの個別試料の正答率は96.1~100%と総じて良好で、誤判定があった施設は3施設であった。計6施設で誤判定があり、その施設カテゴリーとしては病院等が多く、要因としては、・測定性能の確保(検出限界、再現性)・作業手順(検体の取り違い)・測定システム(ダイレクトPCRの使用)のほか、上述の6試料についての外部精度管理調査での誤判定ありの施設と、プール法での誤判定ありの施設に重複がみられた。 厚労省では、令和2年度調査の結果を踏まえて「新型コロナウイルス感染症のPCR検査等における精度管理マニュアル」を公開しているが、今回の調査で同マニュアルを利用していると答えた施設は39.2%と低く、とくに病院(32.6%)、診療所(28.9%)で低かった。マニュアルは今回の調査結果も反映して改訂されており、誤判定要因とその対策についてもまとめられている。

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1回の接種で効果が期待できる新型コロナワクチン「ジェコビデン筋注」【下平博士のDIノート】第102回

1回の接種で効果が期待できる新型コロナワクチン「ジェコビデン筋注」今回は、「新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)ワクチン(遺伝子組換えアデノウイルスベクター)(商品名:ジェコビデン筋注、製造販売元:ヤンセンファーマ)」を紹介します。本剤は、わが国で2剤目として承認されたウイルスベクターワクチンであり、1回の接種で新型コロナウイルス感染症(COVID-19)を予防することが期待されています。<効能・効果>本剤は、SARS-CoV-2による感染症の予防の適応で、2022年5月30日に承認されました。なお、現時点では本剤の予防効果の持続期間は確立していません。本剤の接種は18歳以上が対象です。<用法・用量>通常、1回0.5mLを筋肉内に接種します。追加免疫については、本剤の初回接種から少なくとも2ヵ月経過した後に2回目の接種を行うことができます。<安全性>主な副反応として、注射部位疼痛(57.9%)、疲労(46.1%)、頭痛(44.7%)、筋肉痛(40.4%)などが報告されています。また、重大な副反応として、ショック、アナフィラキシー、血栓症・血栓塞栓症(脳静脈血栓症・脳静脈洞血栓症、内臓静脈血栓症等)、ギラン・バレー症候群(いずれも頻度不明)が設定されています。<患者さんへの指導例>1.このワクチンを接種することで新型コロナウイルスに対する免疫ができ、新型コロナウイルス感染症の発症を予防します。2.医師による問診や検温、診察の結果から接種できるかどうかが判断されます。発熱している人などは本剤の接種を受けることができません。3.本剤の接種当日は激しい運動を避け、接種部位を清潔に保ってください。接種後は健康状態に留意し、接種部位の異常や体調の変化、高熱、痙攣など普段と違う症状がある場合には、速やかに医師の診察を受けてください。4.1回の接種で予防できるワクチンです。初回接種から2ヵ月以上経過した後に2回目の接種(追加免疫)を受けることができます。追加免疫の要否は医師により判断されます。5.本剤の接種直後または接種後に、心因性反応を含む血管迷走神経反射として失神が現れることがあります。接種後一定時間は接種施設で待機し、帰宅後もすぐに医師と連絡を取れるようにしておいてください。6.ワクチン接種後に、鼻血、青あざができる、出血が止まりにくい、ふくらはぎの痛み・腫れ、手足のしびれ、鋭い胸の痛みなどが起こった場合には、血栓症の恐れがありますので、すぐに受診してください。<Shimo's eyes>本剤は、わが国で5番目の新型コロナウイルスワクチンとして承認された1回接種で予防効果が期待できるワクチンです。これまで承認されているワクチンは、mRNAワクチンであるコミナティ筋注/同5~11歳用、スパイクバックス筋注と、アデノウイルスベクターワクチンであるバキスゼブリア筋注、および組み換えスパイクタンパクを抗原としたヌバキソビッド筋注がありました。本剤はバキスゼブリア筋注に続く2剤目のウイルスベクターワクチンです。本剤は新型コロナウイルスワクチンとして初めての1回接種型です。ワクチンを1回接種した場合、中等症や重症になるリスクを、未接種群と比較して約66%低減させたと報告されています。なお、予防効果を高めるために、2ヵ月以上経過してからの追加免疫が認められています。ただし、ほかのワクチンとの交互接種についての有効性および安全性は評価されていません。1回接種は0.5mLで、本剤1バイアルには5回接種分が含まれています。特徴としては、発熱の副反応の頻度が少ないことが挙げられます。一方、「重要な基本的注意」に血小板減少を伴う血栓症(TTS)について注意喚起されています。本症の多くは接種後3週間以内に発現し、致死的転帰の症例も報告されているため、血栓塞栓症もしくは血小板減少症のリスク因子を有する者への接種には注意が必要です。なお、本剤について現時点では公費負担での接種とはならないため、接種希望者は自費での接種が想定されています。参考1)PMDA 添付文書 ジェコビデン筋注

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第121回 脳の不調が続くCOVID-19患者に高圧酸素投与が有効

高圧室で100%の酸素を吸う高圧酸素治療(HBOT;hyperbaric oxygen therapy)が新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)感染(COVID-19)後の不調(post-COVID-19 condition)に有効なことがプラセボ対照二重盲検無作為化試験で示されました1-4)。老化と関連する認知や身体機能の衰えの治療に取り組み、人が持てる力をHBOTを頼りに最大限に引き出すことを目指す病院Aviv Clinicsが試験を手掛けました。Aviv Clinicsの本拠は米国フロリダ州で、試験はイスラエルにあるその研究所Shamir Medical Centerで実施されました。集中できない、頭がもやもやする(brain fog)、忘れっぽくなった、目当ての単語や考えを思い出すのが困難といった認知症状(cognitive symptom)がSARS-CoV-2感染後3ヵ月超続く患者73人が試験参加に同意し、その約半数の37人がHBOTを受ける群、残り36人がプラセボ群に割り振られました。試験ではドイツのHAUX社製の高圧室(Starmed-2700 chamber)が使われ、HBOT実施群は2絶対気圧(2ATA)の環境でマスクから100%の酸素を吸う所要時間90分間の治療を週に5日の頻度で合計40回受けました。プラセボ群の患者は高圧室には入るもののHBOT群のような高圧にはせずいつもの気圧(1.03 ATA)で普段の酸素濃度(21%)の空気を吸いました。40回が済んでから1~3週間後に検査したところ、HBOT群の方がプラセボ群に比べて認知機能全般、注意、遂行機能がより改善していました。活力(energy)、睡眠、うつや不安などの精神症状、嗅覚、痛み指標も改善しました。それら体調の改善はMRIで調べた脳血流の改善と関連しました。また、HBOTに伴う脳前方領域の神経新生も認められました。神経新生が認められた領域は注意、精神状態、遂行機能を担います。HBOTの安全性懸念は認められず、副作用の発現率にプラセボ治療との有意差はありませんでした。副作用のせいで治療を止めた患者はいませんでした。研究者は今後取り組むべき課題を幾つか挙げています。1つはより大規模な試験を実施してHBOTが最も有効な患者特徴を割り出すことです。また、今回の試験の治療回数は40回でしたが、それが果たして最適な回数かどうかは不明であり、今後調べる必要があります。それに、今回の試験での効果は治療を終えてから1~3週間後のものであり、より長期の経過を調べなくてはなりません。なお今回の試験で使われたプロトコールや手順はAviv Clinicsや試験実施研究所Shamir Medical Centerから入手可能です2)。参考1)Zilberman-Itskovich S,et al. Sci Rep. 2022 Jul 12;12:11252.2)Effective treatment is now available for millions suffering with long COVID symptoms / GLOBE NEWSWIRE3)High-pressure oxygen treatment may help long COVID / Reuters4)Better brain function, fewer long-COVID symptoms after hyperbaric oxygen / University of Minnesota

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高齢者の4回目接種、オミクロン株への有効性は?/BMJ

 新型コロナウイルス感染症(COVID-19)に対するmRNAワクチン(BNT162b2[ファイザー製]、mRNA-1273[モデルナ製])の4回接種は、3回接種と比較し、オミクロン変異株流行中の長期療養施設の60歳以上の入居者において、SARS-CoV-2オミクロン変異株の感染(症状の有無を問わないRT-PCR検査陽性)、症候性感染および重篤なアウトカム(入院または死亡)の予防を改善することが、カナダ・オンタリオ州公衆衛生局のRamandip Grewal氏らによる検討で示された。また、4回目接種者はワクチン未接種者と比較し、重篤なアウトカムへの予防効果は高いことも示された。ただし、保護効果の持続期間は不明であった。これまでに、イスラエルにおける60歳以上を対象としたリアルワールドの有効性試験では、BNT162b2の4回目接種者は3回目接種者(4ヵ月以上前に接種)と比較して、オミクロン変異株への感染およびCOVID-19重症化がかなり予防できることが示唆されていた。BMJ誌2022年7月6日号掲載の報告。カナダ介護施設60歳以上の入居者約6万人について解析 研究グループは、カナダ・オンタリオ州の長期療養施設626ヵ所において、2021年12月30日~2022年4月27日の期間にSARS-CoV-2のRT-PCR検査を1回以上受け適格基準を満たした、60歳以上の入居者6万1,344例を対象に、検査陰性デザインによる症例対照研究を行った。1週間に少なくとも1回陽性となった入居者を症例とし、同じ週の検査がすべて陰性であった入居者を対照とした。 主要評価項目は、RT-PCR検査で確認されたSARS-CoV-2オミクロン変異株の感染、入院または死亡。 多変量ロジスティック回帰法を用いて、年齢、性別、地域、併存疾患、検査実施週、90日以上前のSARS-CoV-2陽性歴等で補正し、限界有効性(4回接種vs.3回接種)ならびにワクチン有効性(2回、3回および4回接種vs.未接種)を推定した。4回目接種は、3回目接種よりオミクロン株感染予防をやや改善 SARS-CoV-2オミクロン変異株の感染陽性者は1万3,654例、陰性対照者は20万5,862例であった。 ワクチン接種後7日以上を経過した4回目接種(95%がmRNA-1273を接種)の、84日以上経過した3回目接種に対する限界有効性は、症状の有無を問わない感染に関して19%(95%信頼区間[CI]:12~26)、症候性感染が31%(20~41)、重篤なアウトカムに関して40%(24~52)であった。 ワクチン接種者の未接種者に対するワクチン有効性は、追加接種ごとに増加し、4回目接種では、症状の有無を問わない感染に関して49%(95%CI:43~54)、症候性感染が69%(95%CI:61~76)、重篤なアウトカムに関しては86%(81~90)であった。

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生後6ヵ月~4歳へのコロナワクチン、国内製造販売承認を申請/ファイザー

 ファイザーは7月14日付のプレスリリースで、生後6ヵ月~4歳の小児に対する同社の新型コロナウイルスワクチン(一般名:コロナウイルス修飾ウリジンRNAワクチン[SARS-CoV-2]、商品名:コミナティ筋注)の製造販売承認を、厚生労働省に申請したことを発表した。 国内では、同社製の5~11歳に対する新型コロナワクチンが、2022年1月21日より承認されている。 なお米国では、6月17日に、生後6ヵ月以上に対する同社製のワクチンについて、米国食品医薬品局(FDA)が緊急使用許可(EUA)したことを発表している。

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第2回 第7波到来―アフターコロナの女神は微笑まない?

6月12日に当院の新型コロナ病床はゼロ床になりました(写真)。軽症中等症病床を担当していますが、これまで1,000人以上のCOVID-19を診療してきました。ほとんどが回復して元気に退院してくれましたが、この病棟の中で亡くなった人も少なくありません。ゼロ床になったとき、「このままアフターコロナを迎えるのかもしれない」という、そんな淡い期待がありました。しかし、そうは問屋が卸さなかった。写真. いったん閉鎖した新型コロナ病棟(国立病院機構近畿中央呼吸器センター、6月12日)期待は必ず裏切られる厚生労働省の新型コロナウイルス感染症対策アドバイザリーボードは6月30日、全国の直近1週間の10万人当たりの新規感染者数が約92人へ増加し、今週先週比は1.17になったことを報告しました1)。また、若者だけでなく、すべての年代で微増となっていることもわかっています。また、6月第5週に、保健所の知り合いからこんな連絡が来ました。「陽性者もじわじわ増えているけど、入院依頼も多そう。近々、そちらにも依頼が行くと思います」と。とはいえ、「増えても1人か2人程度だろう」と予想していましたが、6月第5週の1週間でなんと7人の入院依頼がありました。7月に入り、景色が少しずつ変わってきました。東京都のオミクロン株BA.5の割合は7月7日時点で33.4%に到達しました2)。入院要請数も増えてきて、高齢者だけでなく中高年層の入院も増えてきました。増加比は高く、東京都は4週間後の8月3日には新規感染者数が5万人以上と、第6波を超える可能性があるとしています。アフターコロナの女神は微笑んでくれず、かくも期待は裏切られました。コロナ禍では「こうだといいな」ということとは、たいてい逆のほうに物事が運ぶことが多いです。“Anything that can go wrong will go wrong.”というのはマーフィーの法則の基本理念。人類を、よくもまぁここまで翻弄してくれるな、と思わざるを得ません。オミクロン株の肺炎例は少ない関西では第4波のアルファ株、関東では第5波のアルファ株の下気道親和性が高く、肺炎の罹患率も相当高かったものの、オミクロン株以降では肺炎の頻度は極端に少なくなりました。酸素投与が必要な中等症IIは今のところいません。オミクロン株になってウイルスそのものが弱毒化していることと、ワクチン接種が進んだことの、両方の恩恵を受けていると考えられます。4回目のワクチン接種は重症化予防が主たる目的ですが、毎日COVID-19患者さんと接触機会がある医療従事者は全国にたくさんいます。重症化リスク因子がなくても重症化してしまう事例もありますので、廃棄されているワクチンがあるのなら、医療従事者を接種対象に含めてもよいのではと思います。このまま7月下旬にはBA.5に置き換わる予定です。BA.2との違いは、BA.5はスパイクタンパク質に69/70欠失、L452R、F486V変異を有していることです。しかし、現時点で既存のオミクロン株と比べて、重症度が増すというエビデンスはありません。ただし先日、東京大学医科学研究所から、BA.5は肺で増殖しやすく、BA.2と比較して肺炎が多いというデータが提示されています3)。これが本当ならば、「ただの風邪だから大丈夫だろう」となめてかかるとまずいことになります。「感染者数は多いが、肺炎はそこまで多くない」という状況がダラダラ続くのであれば、医療逼迫はそこまで起こらないかもしれません。しかし、過去最大の死者数を出したのは、直近の第6波です。決して油断できないと考えております。参考文献・参考サイト1)第89回新型コロナウイルス感染症対策アドバイザリーボード(2022年6月30日)2)(第92回)東京都新型コロナウイルス感染症モニタリング会議(2022年7月7日)3)Kimura I, et al. Virological characteristics of the novel SARS-CoV-2 Omicron variants including BA.2.12.1, BA.4 and BA.5. bioRxiv. 2022 May 26.

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5~11歳へのコロナワクチン、43~84日後の感染予防効果は21.2%/Lancet

 イタリアの5~11歳児への新型コロナウイルス感染症(COVID-19)ワクチン「BNT162b2」(ファイザー製)の有効性は、12歳以上と比べて新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)への感染およびCOVID-19重症化について、いずれも低いことが示された。また、感染への有効性は2回接種後最大となるが、その後は低下する。イタリア・Istituto Superiore di SanitaのChiara Sacco氏らが行った、5~11歳児対象の試験では最大規模かつ米国外では初めてとなる検討で、2022年1月~4月に2回接種を受けた106万超のデータを後ろ向きに解析した。イタリアでは、ファイザー製ワクチンの承認から4ヵ月超(2022年4月13日時点)で5~11歳児の接種率は40%弱であったという。研究グループは、今後のワクチン接種方針と戦略を定義し公衆衛生担当部局に通知するために、オミクロン変異株(B.1.1.529)流行中における5~11歳児へのワクチン接種の有効性を推定する検討を行った。Lancet誌2022年6月30日号掲載の報告。対SARS-CoV-2感染と対COVID-19入院・死亡への有効性を評価 研究グループは、イタリアの全国COVID-19サーベイランス・システムと全国ワクチン登録名簿をリンクして、SARS-CoV-2感染と重症COVID-19(入院または死亡)に対するBNT162b2ワクチンの有効性を評価する、後ろ向き集団解析を行った。 適格としたのは、SARS-CoV-2感染歴のない同国5~11歳児で、2022年1月17日~4月13日に追跡した。ワクチン接種データに一貫性がなく、試験開始前にSARS-CoV-2感染が診断された児、居住地に関する情報がない児は、解析から除外した。 ワクチン未接種の児を参照群とし、ワクチンの部分接種(1回接種)および完全接種(2回接種)の有効性を推算した。感染予防効果、2回接種後0~14日で38.7%と最大も、43~84日後には21.2%に低下 2022年4月13日の時点で、2回接種を受けていたのは、試験に組み込まれた5~11歳児296万5,918人中106万3,035人(35.8%)であった。1回接種は13万4,386人(4.5%)、未接種は176万8,497人(59.6%)だった。 試験期間中に報告されたSARS-CoV-2感染は76万6,756例、重症COVID-19は644例(うち入院627例、IUC入室15例、死亡2例)だった。 全体的に、ワクチン2回接種の有効率は、対SARS-CoV-2感染が29.4%(95%信頼区間[CI]:28.5~30.2)、対重症COVID-19は41.1%(22.2~55.4)だった。ワクチン1回接種の有効率は、それぞれ27.4%(26.4~28.4)、38.1%(20.9~51.5)だった。 対SARS-CoV-2感染のワクチン有効性は、2回接種後0~14日で38.7%(95%CI:37.7~39.7)と最大化し、43~84日後には21.2%(同:19.7~22.7)へと低下した。著者は、「現行のプライマリワクチンサイクル(2回接種)の完遂後に、感染への有効性は低下すると思われる」と述べている。

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5製品の特徴を整理、コロナワクチンに関する提言(第5版)公開/日本感染症学会

 日本感染症学会(理事長:四柳 宏氏[東京大学医科学研究所附属病院長])は、7月8日に同学会のホームページで「COVID-19ワクチンに関する提言(第5版)」を公開した。 今回の提言では、第4版(2021年12月16日公開)と比較して構成を大幅に変更し、COVID-19ワクチンの種類ごとに記載。現在判明している各ワクチンの作用機序、有効性、安全性を記すとともに特定状況での接種として「妊婦」「免疫不全者」「COVID-19罹患者」の3区分を記載した。また、最後に「COVID-19ワクチンの開発状況と今後の展望」として、わが国を含む主要国での開発状況を記すとともに、引用文献も125本に増えている。 提言を作成したワクチン委員会・COVID-19ワクチン・タスクフォースでは「COVID-19の終息に向けて欠かすことのできないCOVID-19ワクチンが正しく理解され、広く普及してゆくことを願う」と期待をにじませている。第5版の主な改訂点【mRNAワクチン】・作用機序を加筆・4回接種の有効性を追加(主にイスラエルの知見を追加)・5~11歳への接種の有効性を追加(主にアメリカの知見を追加)・4回接種の安全性を追加(主にイスラエルの知見を追加)・5~11歳への接種の安全性を追加(主にアメリカおよびわが国[22年5月15日時点]の知見を追加)【ウイルスベクターワクチン】・アストラゼネカのバキスゼブリアの有効性(主にイギリスの知見)、安全性(主デンマークおよびノルウェーでの知見)を追加・ヤンセンファーマのジェコビデンの有効性(主にわが国での知見)、安全性(主にアメリカでの知見)を追加【組換えタンパク質ワクチン】・ノババックスのヌバキソビッドの作用機序、有効性、安全性を追加(主にアメリカおよびメキシコでの知見を追加)【特定状況での接種】・「妊婦」につき、わが国のレジストリ解析からワクチンの有効性を追加。また、胎児への影響についても追加・「免疫不全者」につき、効果と追加接種に関する記載を追加。また、リツキシマブの投与の注意も追加・「COVID-19罹患者」につき、long COVID(いわゆる後遺症)の記載を追加【ワクチンの開発状況と今後の展望】・主要先進国ならびにわが国での開発状況を追加

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サル痘疑い患者にはN95マスク、手袋、ガウン、眼の防護/国立感染症研究所・国立国際医療研究センター

 国立感染症研究所と国立国際医療研究センター国際感染症センターは、連名で「サル痘患者とサル痘疑い例への感染予防策」を2022年6月15日に発表し、今回その内容を改正し、7月8日に同研究所のホームぺージに公開した。全世界でサル痘の感染拡大が懸念される中、診療にあたる医療者が注意すべきポイントについて本対策ではコンパクトに記している。サル痘の感染経路 サル痘は接触感染や飛沫感染を起こすが、日常生活の中で空気感染を起こすことは確認されていない。ただし、空気感染を起こすと考えられている麻しんや水痘との臨床的な鑑別が困難であるため、発熱と発疹がありそれらの感染症が否定できない間は、サル痘疑いの患者には空気予防策の実施が求められる。サル痘の診療時の態勢と装備 医療従事者がサル痘確定患者に接する場合(検体採取時含む)は、患者を換気良好な部屋に収容し、N95マスク、手袋、ガウン、眼の防護具を着用する(患者のリネン類を扱う者や清掃担当者も同様)。 患者が使用したリネン類は、診断が確定するまでなるべく触れずに管理し、診断が確定してから適切な処理を行う。サル痘が確定したら、リネン類は、前述の個人防護具を着用して自身の粘膜に触れないように運搬し、通常の洗剤を用い常温で洗濯を行う(WHOなどは温水を推奨)。手指衛生を頻回に行い、とくにリネン類を扱った後は必ず手指衛生(流水と石鹸による手洗い、または擦式アルコール性手指消毒薬での消毒)を行う。 患者が滞在する、または滞在した環境は通常に清掃を行い、その後消毒(エンベロープウイルスに対して強い消毒効果を発揮する薬剤[消毒用エタノールなど])を行う。廃棄物は感染性廃棄物として扱う。 サル痘疑い例やサル痘患者は、可能な限りサージカルマスクを着用し、水疱を含む皮膚病変はガーゼなどで被覆する。家庭内などでのサル痘の感染対策はどうする サル痘疑い例やサル痘患者は、自宅などの滞在場所では、以下に留意する。・患者は同居人と肌や顔を接しないようにし、リネン類の共有を避ける。・患者が使用したリネン類は、病変や体液からの感染性粒子が飛散する可能性があるため、不用意に振り回したりせず、静かにビニール袋などに入れて運搬し、洗濯機に入れる。洗濯した後は再利用可能である。・ベッド、トイレ、患者が接触した場所(家具や床など)は、使い捨て手袋を着用して清掃し、その後消毒薬で清拭する。清掃や消毒後は手指衛生を行う。・患者が使用した食器や調理器具は、石鹸や洗剤などで洗った後に再利用可能である。・常に十分な換気を行うよう配慮する。 すべての皮疹が痂皮となり、すべての痂皮が剥がれ落ちて無くなるまで(おおむね21日間程度)は上記の感染対策を継続する。

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第120回 断食でCOVID-19重症化予防? / 音の鎮痛効果の仕組み

定期的な断食の習慣は健康に良いという報告がいくつかあり、たとえば心疾患や2型糖尿病を生じ難くなることやより長生きになることとの関連が示されています。断食の習慣が担いうる効能はどうやらまだ出尽くしてはおらず、米国ユタ州での試験で新型コロナウイルス感染(COVID-19)重症化を防ぐ効果が示唆されました1,2)。毎月最初の日曜日に2食続けて抜く断食(Intermittent fasting)をすることがユタ州の住民の大半(6割超)を占める末日聖徒イエス・キリスト教会教徒の典型的な習慣として知られています。試験ではそのユタ州の医療法人Intermountain HealthcareのCOVID-19患者201人が調べられ、断食の習慣がある人はない人に比べてCOVID-19による入院や死亡をより免れていました。COVID-19入院/死亡率は断食をしていた71人では11%、そうでない人では約28%でした(ハザード比:0.61、95%信頼区間:0.42~0.90)。断食の習慣とCOVID-19の経過が良好なことを関連付ける仕組みは今後調べる必要がありますが、考えられる仕組みが幾つかあります。断食をするとリノール酸を含む脂肪酸が体内で増えることが知られています。リノール酸は新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)のスパイクタンパク質にきつく結合し、細胞受容体ACE2への親和性を低下させます。断食で増えたリノール酸はそのようにしてSARS-CoV-2感染細胞や細胞内SARS-CoV-2粒子を減らしてCOVID-19重症化を予防するのかもしれません。断食で増える多機能なタンパク質・ガレクチン3がSARS-CoV-2感染抑制に一役買っている可能性もあります。ガレクチン3は数多くの病原体に結合することができ、自然免疫を活性化し、抗ウイルスタンパク質遺伝子の発現を増やし、ウイルス複製を阻害することなどが知られています。また、COVID-19経過不良と関連する糖尿病や冠動脈疾患などの持病が断食で生じ難くなることでCOVID-19重症化が間接的に抑制されている可能性もあります。時々の断食はCOVID-19ワクチンの代役とはなりえませんが、ワクチン接種を補完してCOVID-19重症化を減らす予防や治療の役割を担えるかもしれません。全世界の誰もが数ヵ月に1回のCOVID-19ワクチン接種をいつまでも続けることはおよそ現実的ではなく1)、接種が行き届いていない国は多く存在します。COVID-19流行の目下やこれからの世界での断食のワクチン補完の役割はCOVID-19後遺症への効果も含めて更なる検討の価値があると著者は結論しています。音の鎮痛効果の仕組み約60年前の1960年、歯科処置中に音楽を流すことで患者の痛みが和らぐことを示した報告がScienceに掲載されました3)。難儀な処置を亜酸化窒素や局所麻酔なしでやりおおせた患者もいたほどの効果がありました。以降、モーツァルトの古典音楽やら現代のミュージシャン・マイケル ボルトンの歌やらさまざまな音の鎮痛効果が検討され、実際に効果も認められました。たとえば8年ほど前の2014年の報告ではそのモーツァルトやマイケル ボルトン等の好きな音楽を聴いているときの線維筋痛症患者の痛みが減ることが示されています4)。米国NIHの神経生物学者Yuanyuan Liu氏等が率いるチームがScienceに発表した最新のマウス研究成果によると、そういった音の鎮痛効果はどうやら脳の特定の神経回路を抑制することでもたらされるようです5)。研究でマウスには少なくとも人には心地よいバッハの交響曲Rejouissance(歓喜)を毎日20分聴かせました6)。曲の音の強さは50~60デシベルで、曲なしでの背景音(ambient noise)は45デシベルが保たれました。マウスの足には炎症痛誘発液(complete Freund’s adjuvant;CFA)が注射され、続いて微針(von Frey filament)でその足を突いてどれだけ痛がるかが調べられました。驚いたことに、痛みを緩和する音の強さは決まっているようで、曲が背景音を5デシベル上回る50デシベルのときにマウスの痛みが緩和しました。50デシベルだとマウスは足を刺激されても平気で、それより強い音だと音楽なしのときと同様により痛がりました。人にとって不快なように変化させたRejouissanceやホワイトノイズでどうかを試したところ、それらが背景音を若干上回るデシベルであればやはり痛みを和らげました。つまり音の種類や快不快ではなく強度が鎮痛の鍵を握るようです7)。そういう低強度の音の鎮痛効果を担う脳の神経回路を同定すべく色素を使って脳領域の連結を調べたところ聴覚皮質から視床への経路が見つかり、低強度の音はその経路の神経活動を低下させました。音なしでその経路を光や低分子化合物で止めると低強度の音と同様に痛みを和らげる効果があり、その経路が通るようにすれば痛みが復活しました。すなわち低強度の音は聴覚皮質から視床への神経信号を阻害することで鎮痛効果をもたらしているようです。今後の課題として、鎮痛には背景音を若干上回る低強度の音でないとどうしてだめなのかを解き明かしたいと研究者は考えています。また、音を使った痛み治療の実現に向けて人ではどうなのかも調べる必要があります。たとえばマウスに試したような低強度の音を聞いているときの視床の活動をMRIスキャンで測定する試験は実施する価値がありそうです6)。参考1)Horne BD, et al. BMJ Nutrition Prevention & Health. 2022 Jul 1.2)Study finds people who practice intermittent fasting experience less severe complications from COVID-19 / Eurekalert3)GARDNER WJ,et al. Science 1960 Jul 1;132:32-3.4)Garza-Villarreal EA,et al. Front Psychol. 2014 Feb 11;5:90. 5)Sound induces analgesia through corticothalamic circuits. Science. 2022 Jul 7.6)Soft sounds numb pain. Researchers may now know why / Science7)Researchers discover how sound reduces pain in mice / NIH

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ノババックスワクチンに心筋炎・心膜炎の注意喚起/使用上の注意改訂指示

 厚生労働省は7月8日、新型コロナウイルスに対するノババックス製新型コロナウイルスワクチン「組換えコロナウイルス(SARS-CoV-2)ワクチン」(商品名:ヌバキソビッド筋注)について、使用上の注意に「重要な基本的注意」の項目を新設し、心筋炎・心膜炎に関して追記するよう改訂指示を発出した。 今回の改訂指示は、第81回厚生科学審議会予防接種・ワクチン分科会副反応検討部会、令和4年度第6回薬事・食品衛生審議会薬事分科会医薬品等安全対策部会安全対策調査会(合同開催)(2022年7月8日開催)における審議結果などを踏まえたものとなる。 ワクチンの添付文書における改訂(新設)は以下のとおり。8. 重要な基本的注意心筋炎、心膜炎が報告されているため、被接種者又はその保護者に対しては、心筋炎、心膜炎が疑われる症状(胸痛、動悸、むくみ、呼吸困難、頻呼吸等)が認められた場合には、速やかに医師の診察を受けるよう事前に知らせること。

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第108回 大規模通信障害を受け、医療機関に代替手段確保を呼び掛け/厚労省

<先週の動き>1.大規模通信障害を受け、医療機関に代替手段確保を呼び掛け/厚労省2.コロナワクチン支援事業、期限を9月まで延長/厚労省3.テクノロジーの活用で、介護の生産性の向上あるか検証へ/厚労省4.診療報酬改定に加え、インフレが病院経営に直撃か/福祉医療機構5.電子処方箋発行にHPKIカードが必須、医薬関係者は早期取得を/厚労省1.大規模通信障害を受け、医療機関に代替手段確保を呼び掛け/厚労省2日に発生したKDDIの大規模な通信障害が長期化し、復旧まで3日ほどかかったことから、厚生労働省医政局は4日、全国の自治体ならびに医療機関に向けて、通信障害が発生した場合でも、診療などに影響が生じることがないよう平時から体制を整備していく必要性を呼び掛けた。医療施設における休日夜間の診療体制を維持するため、職員との連絡手段を確保すること患者からの電話を受信できるよう複数の通信手段を確保し、受信可能な電話番号をホームページに掲載するなどの体制を整備すること在宅医療や訪問看護などを実施している医療施設等において、当該医療施設等が利用している連絡手段が使用できない場合は、固定電話等の代替的な連絡先を患者等に伝えること特にリスクの高い在宅患者等について、患者等との連絡がとれない場合には、別の連絡手段を確保することや、頻回な訪問等による安否確認を行うこと以上を参考に、通信障害が発生した場合であっても診療を継続できるよう周知を求めている。(参考)通信障害時にも診療継続が可能となるよう、在宅患者への「代替的な連絡先」提示などの体制を確保せよ―厚労省(Gem Med)通信障害発生時における通信手段の確保について(厚労省)2.コロナワクチン支援事業、期限を9月まで延長/厚労省厚労省は6日、新型コロナウイルス感染症緊急包括支援事業の期限を7月末までから9月末まで延長することを各都道府県に通知した。延長されたのは、「時間外・休日のワクチン接種会場への医療従事者派遣事業」「新型コロナウイルスワクチン接種体制支援事業」。病院への支援として、1日50回以上ワクチン接種を行った場合、1日当たり10万円が交付される。また、1日50回以上の接種を週1日以上達成する週が4週間以上ある場合、追加で医師1人1時間当たり7,550円などが交付される(集団接種会場への医療従事者派遣と同額)。診療所への支援としては、期間中に週100回以上の接種を4週間以上行った場合、達成した週における接種1回当たり2,000円を、同様に150回以上を4週間以上行った場合は1回当たり3,000円を交付する。この要件を満たさずとも、1日50回以上の接種を行った場合には、1日当たり定額で10万円が交付される。(参考)コロナワクチン接種推進に向けた補助(緊急包括支援事業)、期限を「9月」まで延長—厚労省(Gem Med)医療機関のワクチン接種、財政支援の期間延長 9月末まで、10月以降は今後判断(CB news)令和4年度新型コロナウイルス感染症緊急包括支援事業(医療分)の実施に当たっての取扱いについて(厚労省)3.テクノロジーの活用で、介護の生産性の向上あるか検証へ/厚労省厚労省は、持ち回り開催の社会保障審議会介護給付費分科会において、テクノロジーの活用により介護サービスの質の向上および業務効率化を推進していく観点から、実証研究の結果なども踏まえ、見直しを行うことを明らかにした。具体的には、見守り機器等を活用した夜間見守り、介護ロボットの活用などを実際に実証事業から得られたデータの分析を行い、次期介護報酬改定の検討に向けた、エビデンスの収集を行う。これらのテクノロジーの導入によって、ケアの質が適切に確保されているかどうか、介護職員の働き方や職場環境がどう改善したかなどについて10月以降に事後検討を行う。(参考)テクノロジー活用等による生産性向上の取組に係る効果検証について(厚労省)見守り機器活用など4つのテーマで効果実証へ 次期介護報酬改定の検討材料に、厚労省(CB news)4.診療報酬改定に加え、インフレが病院経営に直撃か/福祉医療機構福祉医療機構が2022年6月に行った病院経営動向調査の結果によると、一般病院における医業収益のDI(増加病院と減少病院の割合の差:%ポイント)は、前回調査から15%ポイント低下した。一方、医業費用のDIは前回調査から15%ポイント上昇、人件費増減のDIは前回調査から10%ポイント上昇しているなど、医療機関が診療報酬改定の影響だけでなく、物価高の影響を受けていることが明らかとなった。医療機関にとっては、電気代、水道代に加え、病院食の材料費の値上げが続いており、経営に対する影響が強まっていると考えられる。(参考)病院経営動向調査の概要(福祉医療機構)一般病院の医業収益、診療報酬改定で減収病院が多数に 福祉医療機構調査、改定直前の見込み下回るも費用増(CB news)コスト圧縮限界、病院給食明らかに赤字 物価高騰が委託先も直撃(同)5.電子処方箋発行にHPKIカードが必須、医薬関係者は早期取得を/厚労省厚労省は、ホームページに電子処方箋の概要案内を掲載した。電子処方箋の導入は2023年1月からで、複数の医療機関や薬局で直近に処方・調剤された情報の参照、それらを活用した重複投薬チェックなどができるようになる。患者はマイナンバーカードがなくとも、従来の健康保険証を利用して電子処方箋の発行を受けられるが、医療機関が発行するためには、医療機関において顔認証付きカードリーダーの準備が必要(オンライン資格確認の仕組みを活用するため)であり、日本医師会 電子認証センターでHPKIカードの発行手続きが必要となる。このため厚労省は、HPKIカードの早期取得を医師や薬剤師に働きかけると共に、医療機関側にオンライン資格確認のために顔認証付きカードリーダーの補助金を活用して整備を求めていく。なお、HPKIカードの申請には、申請書と住民票、身分証のコピー(運転免許証、マイナンバーカード)、医師・薬剤師免許のコピー、顔写真が必要だ。(参考)電子処方箋 概要案内【病院・診療所】(厚労省)オンライン資格確認導入に向けた準備作業の手引き(同)医師資格証(HPKIカード)新規お申込み(日本医師会 電子認証センター)電子処方箋導入補助金、1施設当たり7.7万-162.2万円 厚労省、HPKIの早期取得・オンライン資格確認導入促す(CB news)

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fazirsiran、進行性肝疾患の原因物質を強力に抑制/NEJM

 α1アンチトリプシン(AAT)欠乏症は、SERPINA1“Z”変異のホモ接合体(プロテイナーゼ阻害因子[PI]ZZ)に起因する。Zアレルは変異型ATT蛋白質(Z-AATと呼ばれる)を生成し、Z-AATは肝細胞に蓄積して進行性の肝疾患や線維症を引き起こす可能性があるという。RNA干渉治療薬fazirsiranは、血清中および肝内のZ-AAT濃度を強力に低下させるとともに、肝内封入体や肝酵素濃度の改善をもたらすことが、ドイツ・アーヘン工科大学病院のPavel Strnad氏らが実施したAROAAT-2002試験で明らかとなった。研究の成果は、NEJM誌オンライン版2022年6月25日号で報告された。3群でZ-AAT濃度を評価する第II相試験 AROAAT-2002は、ホモ接合型AAT欠乏症による肝疾患の患者におけるfazirsiranの安全性、薬力学および有効性の評価を目的とする多施設共同非盲検第II相試験であり、3ヵ国(オーストリア、ドイツ、英国)の4施設で、2019年12月19日~2020年10月28日の期間に行われた(米国Arrowhead Pharmaceuticalsの助成を受けた)。 対象は、年齢18~75歳、PI ZZ遺伝子型を有し、スクリーニング時の局所病理所見に基づき肝線維化がMetavir病期分類のF1~F3(または他の分類でこれに相当するもの)の患者であった。 16例が3つのコホートに登録された。コホート1はfazirsiran 200mg(4例)、コホート2も同200mg(8例)、コホート1bは同100mg(4例)の投与を受けた。 主要エンドポイントは、肝内Z-AAT濃度のベースラインから24週(コホート1および1b)または48週(コホート2)までの変化とし、液体クロマトグラフィー タンデム質量分析法で測定された。肝内Z-AAT蓄積量が83.3%減少 全体(16例)の平均(±SD)年齢は52±14歳で、14例(88%)が男性であった。コホート1の2例が肝硬変(F4)、コホート1bの1例は線維化なし(F0)だった。 全例で、肝内Z-AATの蓄積量が減少した。平均肝内Z-AAT濃度は、ベースラインの61.25±36.39nmol/gから、24または48週時には9.24±9.57 nmol/gへと低下し、減少率中央値は-83.3%(95%信頼区間[CI]:-89.7~-76.4)であった。 また、血清Z-AAT濃度の最低値(6週時)のベースラインからの減少率は、fazirsiran 200mg群(コホート1、2)が-90±5%、同100mg群(コホート1b)は-87±6%で、52週時の血清Z-AAT濃度の減少率は、200mg群が100mg群よりも、わずかだが大きかった。 ベースラインのPAS-D(ジアスターゼ消化PAS[periodic acid-Schiff]染色)検査では、ほとんどの患者で肝内封入体の増加が認められ、平均スコアは7.4点(0~9点、点数が高いほど封入体が多い)であった。fazirsiran治療により、すべての患者で肝内封入体が減少し、24または48週時には平均スコアが2.3点に低下した(減少率69%)。 肝損傷のバイオマーカーも低下した。平均ALT値は、ベースラインではすべてのコホートが正常上限値(55単位/L)を超えていたが、16週時までにすべてのコホートが正常上限値を下回り、52週まで正常範囲内で推移した。AST値もALT値と同程度に低下した。また、平均γ-グルタミルトランスフェラーゼ値は、8例中4例(50%)がベースラインで正常上限値を超えていたが、52週時にはいずれも正常値となった。 線維化の改善(≧Stage1の低下)は、fazirsiran 200mg群(コホート1、2)の12例中7例(肝硬変の2例を含む)で達成され、同100mg群(コホート1b)の3例では改善は認められなかった。一方、コホート2の2例は48週までに線維化が進行した(いずれもF2からF3へ)が、2例ともPAS-D検査で肝内封入体のスコアが大幅に改善していた(ベースラインのそれぞれ9点と4点から、48週時に2例とも0点に)。 試験や薬剤の中止につながる有害事象は認められなかった。コホート1と2の4例で重篤な有害事象(ウイルス性心筋炎、憩室炎、呼吸困難、前庭神経炎)が発現したが、いずれも回復し、拡大試験でfazirsiran治療を継続した。 著者は、「すべての患者で肝内Z-AAT濃度が低下したにもかかわらず、この変異蛋白質濃度の低下は、治療開始から24または48週時における全例の線維化の退縮には結び付かなかった。最終的に、AAT欠乏症による肝疾患患者の治療目標および臨床的利益は、線維化の予防または退縮と考えられることから、fazirsiranの線維化に対する効果を確認するために、より多くの症例とより長い治療期間のプラセボ対照臨床試験を行う必要がある」としている。

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新型コロナウイルス感染症は妊婦で重症化しやすく、早産と帝王切開のリスクを上げる(解説:前田裕斗氏)

 新型コロナウイルス感染症と妊婦の関係性について、これまで(1)一般女性と比較して妊娠中にとくに罹患しやすいということはない(2)罹患した場合は一般女性よりも重症化しやすい(3)罹患した場合、妊娠合併症(帝王切開や早産など)が増える などの可能性が報告されている。なお、上記は母体についての影響の話であり新生児については記載していない。 このうち、(2)と(3)については複数の中小規模の研究があるものの、研究組み入れ基準が症状ではなく入院時PCR陽性が条件である、同時期のコホートを比較対象とした研究は少なかった。今回の研究では、同時期の妊娠していない新型コロナウイルス感染者と比べた感染妊婦の重症化リスク、および感染妊婦の中でも重症化しやすい要因、そして非感染妊婦と比較して妊娠合併症が増えるかどうかについて検討している。 結果としては、非妊娠女性の感染者と比較して妊婦では入院リスクが2.65倍、ICU/CCUへの入院リスクが5.46倍という結果となった。また、年齢・高血圧既往・妊娠後期の感染がこれらのリスクと相関していた。妊娠合併症について、新型コロナウイルス感染は早産・帝王切開リスクと有意に相関したが、妊娠高血圧腎症、死産のリスクとは相関を認めなかった。 本研究の強みは適切な比較対象集団を置いていること、ほとんどが症状のある妊婦を対象としているため臨床現場の感覚に即したものであること、2021年末までの出産を対象としておりデルタ株の影響を見たコホートであることである。一方、現在主流のオミクロン株についてのデータは今後の報告が待たれる。また、人種について、本研究ではアジア人妊婦の重症化リスク、ICU/CCU入院リスクが共に有意に高く出ているが、これはカナダにおける結果であり、人種によって受けられる医療サービスが違うこと、それに関する要因が考慮できていないことなどから、人種についての結果は慎重な解釈が必要だろう。 妊婦や、妊娠を希望する方への適切な情報提供は感染流行下においては非常に重要であり、その点で非常に価値の高い論文である。日本では同様の研究はほぼ報告されていないが、1件、全国的なアンケート調査で重症化に関わる要因を聞いたものがある1)。この研究でもやはり妊娠後期または産後の感染が重症化と相関したと報告され、日本においても本研究の結果は適応可能と考えてよいだろう。現在3回目のワクチン接種は妊婦においても当然勧められるが、高齢者などと同様4回目以降の接種や、今後妊娠時にワクチン接種を行ったほうがよいかどうかについてはオミクロン株の影響の結果報告が待たれる。

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第116回 読者の声に応えてタブーに迫る!諸派のコロナ対策、その言い分を比較

「日本第一党」「こどもの党」「平和党」「天命党」「幸福実現党」「スマイル党」「核融合党」「沖縄の米軍基地を東京に引き取る党」「共和党」「ファーストの会」「日本改革党」「維新政党・新風」「参政党」「メタバース党」「自由共和党」「新党くにもり」以上は現在最も候補者が多いとされる参議院議員選挙の東京選挙区で、国政議席を持たない政党の立候補者が所属する「政党」である。ちなみに上記以外に『議席減らします党』『動物愛護党』『バレエ大好き党』『炭を全国で作る党』の標榜もあるが、これらの候補者はすべてNHK党公認である。ちなみに数行前で政党にカギカッコ(「」)をつけたのは、前回、新型コロナウイルス感染症(以下、新型コロナ)対策で取り上げた政党は国政に議席を持ち政治資金規正法に基づく政党の定義を満たしているものがほとんどだが、上記の政党はそうではないからである。前回までに取り上げなかった政党、その理由さて前回の本連載後、「ほかの政党は取り上げないの?」という読者のお声を何件か頂戴した。実は国政に議席のない政党の政策も取り上げようと思ったことは何度かあるが、それをしなかった理由はいくつかある。まず、報道で「諸派」と表記されるこうした政党は、時にシングルイシューの政策であることが多く、医療にスポットを当てても取り上げようがないのが第1の理由である。そして第2の理由が私としては一番大きいのだが、これらの政党をすべて取り上げると、原稿の文字数が1万字超になる。これはインターネット上の記事、とくに一般向けではかなり「禁じ手」だ。おおむね一般の読者が読むに堪える文字数が3,000字程度だからである。それでなくとも私の記事は長めである。とくに一般向けに医療情報を発信しようとすると、丁寧な説明が必要になり、必然的に文字数が多くなる。たとえば、この連載ならば「ワクチンの発症予防効果は…」とスラっと書いても読者が誤読することはまずない。しかし、一般向けでは「ワクチンには感染予防効果と発症予防効果と重症化予防効果があり、感染予防効果とは…」と書かないと、高確率で「誤読」される。というか、極論を言えば、そこまで書いてもほぼ誤読される。こうした長い原稿を書くためか、最近では私がよく執筆する一般向けの情報サイトの編集者からは「とにかく短めに」と本音のお叱りを押し殺した哀願が多い。ちなみに私が丁寧に書こうとした結果、どれだけ記事が長くなるかは講談社が運営する情報サイト「現代ビジネス」の私の記事の一覧を見ていただけるとわかると思う。実際には1本の記事として書いたものの、その多くが編集者の苦心により2本以上に分けられている。その点、当サイトの担当編集者は何も嫌味を言わないので私にとってはありがたい存在である。というか、すでにこの時点で1,100文字を超えている(笑)。第3の理由は当サイトでは政治ネタはあまり読まれない傾向があるからであり、第4の理由には、私はどうしても職業病で与野党問わず酷評してしまうため、懲りずに読んでいただいている読者の一部を不快にさせてしまう可能性があるのだ。こうした数々の「タブー」を敢えて無視して今回はチャレンジしてみようと思う。そう思うのは、私も年齢を重ね、候補者を見る目が変わってきたせいもある。その変化の具体例として私は「泡沫候補」という言葉は使わない。すべての被選挙権を持つ国民は、立候補の権利があり、それに基づき政治主張をする自由がある、そして石をぶつけられかねない立候補者としてわが身を晒せる勇気を持てる人はそう多くはない、という当たり前の事実を人生の折り返し地点を超えて再確認したからである。これには選挙取材歴では日本一といっても良い友人のフリーライター・畠山 理仁(みちよし)氏の影響がある。彼の著書、「黙殺 報じられない“無頼系独立候補”たちの戦い」(集英社刊、第15回 開高健ノンフィクション賞受賞作)、「コロナ時代の選挙漫遊記」(集英社刊)は必読の名著といってよい。コロナ対策を掲げる7党の言い分今回、東京選挙区を取り上げたのは、やはり多種多様な候補がいるからである。宮城県出身である私が東京に出てきた頃、一番驚いたのは選挙時の候補者の多さである。若かりし頃は東京での選挙を「大ビックリ人間コンテスト」とすら呼んでいた。今は候補者に敬意を払い、「日本最大の政策博覧会」と言うようにしている。さて、そろそろ本題に移ろう。念のため言っておくと、冒頭の順番は東京都の選挙公報の掲載順となっている。まず、この中で政党のホームページ、選挙公報、政党作成のチラシ、配信動画などで新型コロナ対策を掲げているのは16党のうち7党である。これらを紹介しながら、かいつまんで批評を加えたいと思う。まず、天命党(代表:小畑 治彦氏)である。元東大阪市議の小畑氏が立ち上げた政党でヴィーガン食の良さを訴えることが政策主眼のようである。宗教チックに思われる名称のためか、小畑氏は「天命党は宗教政党ではない」と断言している。同党はInstagramを選挙活動に多用しており、そこから浮かぶ新型コロナ政策とは以下のようなものだ。新型コロンワクチンの接種は必要なしPCR検査は信頼性に疑問があるマスク着用は不要もちろんワクチン、検査、マスクはいずれも限界があるが、一定のリスク低減効果があることも科学的に提示されている。これ以上は言うまでもないだろう。次は幸福実現党(党首:釈 量子氏)である。ご存じのように同党は宗教団体「幸福の科学」(総裁:大川 隆法氏)の政治部門である。掲げている新型コロナ関連政策を要約すると以下の通りだ。コロナ発生源、中国の責任を追及コロナ起源の調査を行わず、発生源をうやむやにするWHOの責任を追及中国を利する「ワクチン外交」を自由主義国と共に阻止宗教心でコロナ禍を乗り越える自由の制限を伴う緊急事態宣言やまん延防止措置の発出は行わない政府の権限肥大化を防ぐため、コロナ禍を契機とした憲法の「緊急事態条項」新設に反対ワクチンのメリット、デメリットを提示したうえで接種は自由意思を最大限尊重事実上の強制接種につながる無料ワクチン接種を原則有料化感染症法の分類を5類相当とし医療機関へのアクセスを改善国産の新型コロナ治療薬の開発推進生物兵器や化学兵器に対抗する自衛隊部隊の強化ややわかりにくい政策のように思うかもしれないが、同党は「新型コロナは中国が開発した生物兵器」というスタンスをとっている。これが冒頭の3件と最後の1件の政策の根拠でもある。ちなみに生物兵器論に関しては、中国が中東呼吸器症候群(MERS)ウイルスや重症急性呼吸器症候群(SARS)ウイルスを利用した生物兵器開発中に流出したウイルスが原因との説が一部で流布されたが、遺伝子配列の解析やウイルスがMERSやSARSよりも弱毒化していること(生物兵器として利用するなら強毒化させるのが当然という考えに基づく)などから否定的な見解が多い。私個人もその立場である。もっとも今後の対策を考えた場合、自然宿主などの原因に迫らねばならない。これまで世界保健機関(WHO)が中国で行うことができた調査は非常に制限の多いものであったことは知られている。その意味で中国でのより厳密な調査が必要ということでは同党のスタンスにも一定の理解はできる。ワクチン政策に関しては、個人の自由意思尊重に異論はないが、ワクチンによる感染拡大リスク極小化のための最大のネックは費用も含めたアクセスの問題であり、有料化するのは非現実的と考える。新型コロナの5類相当扱いについては過去にも触れているが、医療機関や高齢者施設でのクラスターが発生しやすいこのウイルスの特性を考えれば、最低限の条件として感染者の重症化リスクにかかわらず使用できる経口薬が上市されることである。その観点からすると、現状ですべての医療機関に新型コロナの診療を行えというのはやや酷であると感じる。国産治療薬については本連載で再三見解を述べているが、どの政治家も安易に考え過ぎである。それを実現したければ、赤字国債を今後20年ほど毎年数兆円発行して製薬企業の開発支援として提供するくらいの覚悟が必要である。核融合党(代表:桑島 康文氏)は今回取り上げる中では唯一、代表の桑島氏が医師である。選挙公報に記載の政策を列挙する。新型コロナの感染症法での5類相当引き下げ逆転写でDNAに取り込まれるmRNAワクチンの承認取り消し、廃止自粛、鎖国の廃止国産の複数株混合不活性化ワクチンの導入2番目の「逆転写でDNAに取り込まれる」は科学的にほぼゼロと言って良い、つまりはほぼ間違いと言って良いことはここの読者ならご存じのはず。ちなみに私個人は一般人の知人から時々この不安について尋ねられることがある。これを正確に細かく説明すると時間がかかるので、いつもはやや不正確ながら「マグロの刺身を食べて10年後にヒトからマグロになってしまった人が周りにいる?それがないのと同じこと」と話すようにしている。最後の不活性化ワクチンについては、選択肢を広げる意味ではありと思っているが、既存のワクチンほどの効果が得られるかという点は中国のシノバック社ワクチンのデータなどから疑問視している。共和党(棟梁:鳩山 友紀夫氏)は、政界では「宇宙人」とも評された旧民主党党首で元首相でもある鳩山 友紀夫氏(2013年に「由紀夫」から「友紀夫」に改名)が政界復帰をして立ち上げた政党である。党の政策をホームページで見てみると新型コロナに関しては以下の記載がある。「新型コロナウイルスは日本社会にすさまじいインパクトを与えた。この影響は新型コロナウイルスが終息しても終わりではない。グローバリズムの進展、地球温暖化や気候変動、モンスター台風などの自然災害、インターネットや遺伝子組み換えなどの現代技術の暴走の可能性など、巨大リスクへの本格的な大規模対策をおこなう」うーん、少なくとも何をやるのかは具体性に欠ける。失礼ながら鳩山氏は相変わらず「宇宙人」のままのようである。次にファーストの会(代表:荒木 千春氏)は、これまた有名な東京都知事・小池 百合子氏が創設した地域政党・都民ファーストの国政版である。代表の荒木氏は小池都知事の元秘書で、今回の出馬直前まで中野区選出の東京都議会議員だった。さて、その政策である。公衆衛生上の危機に対する司令塔機能の強化ワクチン追加接種促進検査、医療、宿泊療養体制の強化、自宅療養への支援子どもの往診体制の強化後遺症分析、サポート体制強化公的医療機関の機動的対応力の強化医療人材の偏在是正、育成の強化民間医療機関の公的役割を踏まえた連携体制の検証、協力確保策の強化危機時の検査キット、ワクチン、抗体薬、治療薬等の医療物資の開発、確保、承認、流通の迅速化国産ワクチン、治療薬の開発支援診療報酬引き上げ等によるオンライン診療の拡大DXによる保健所等の効率化東京、地域の実情に合わない国のコロナ対策の是正ざっと見渡す限り、前回紹介した国政政党の政策を重複なく寄せ集めた感があり、ほとんど目新しさはない。最後の政策に関しては、より細かく▽ワクチンの不合理な配分、緊急事態宣言のタイミング、特措法等の改正の遅れ、危機時の水際対策強化など地域の実情に応じた対応を促す▽国から自治体への権限・財源・人材の分権推進、近隣道府県など広域連携の推進、保健所など二重三重行政の解消、と記述があり、この辺が地域政党を出自とする同党らしさと言えなくもない。もっとも自治体と国との関係での改善点はもっと平易で詳しく記述すれば、もしかしたら説得力を増すのではないかと老婆心ながら思う。最近、とみにメディアへの露出が目立つのが参政党(共同代表:松田 学氏、赤尾 由美氏、吉野 敏明氏)。共同代表のうち吉野氏は歯科医師である。同党のホームページ上にある新型コロナ政策は以下の2点だ。感染症対策を軸とした危機管理体制と高度医療資源の機能的な再配分正しい感染症の知識を普及して「コロナ脳」から脱却、国民の行動制限やワクチンに頼らず、日常生活を早く正常化し、免疫力の強化と機動的な医療システム構築でコロナ禍を克服、自由と健康の両立を実現感染症対策での危機管理体制強化の必要性は論を待たないが、それを「軸」として高度医療資源配分も行うとなると、やや偏り過ぎではないだろうか。国内の死因のトップはがんであり、これに心臓疾患などが続くことを考えれば、高度医療資源配分ではこうした疾患のほうがむしろ「軸」としてはふさわしい。また、2番目の免疫力強化も健康食品のキャッチコピー感がある。免疫力を上げるというのは市中では良く使われるが、免疫の働きは未解明な点も多く「科学的にこうだ!」と言える部分はわずかである。その意味で政党としてこの文言を政策文に入れることにはかなりの違和感がある。さらに「国民の行動制限やワクチンに頼らず」との記述は、ワクチンに一定の役割を認めているかのようにも読めるが、同党候補者にはワクチンそのものに科学的に疑問符がつくような根拠で否定的な発言をする人が散見される。自由共和党(代表:青山 雅幸氏)は元立憲民主党の衆議院議員だった青山氏が創設した新党である。掲げる政策は以下の通りだ。5~11歳へのワクチン接種阻止、20歳以下のワクチン接種中止濃厚接触者や無症状者の隔離、アクリル板設置、常時マスク、幼稚園児へのマスク着用、まん延防止等重点措置/緊急事態宣言のすべてを撤廃PCR検査のCt値の適正化新型コロナの感染症法5類相当への引き下げワクチン接種で副反応を訴える人の救済憲法の「緊急事態条項」新設に反対一覧すればわかるが、既存の新型コロナ対策の多くに否定的である。青山氏の場合、Twitter上などでも以前からワクチンに対する不信感をあらわにしており、それが同党の政策にも直結しているようである。若年者では新型コロナが重症化しにくく、その一方で既存のワクチンに比べて新型コロナワクチンでは接種に伴う自覚症状のある副反応が少なくないため、若年者でのワクチン接種に否定的な意見が少なくないことは私自身も承知している。若年者の場合、本人のためというよりは周囲のためという側面が強くなることも否定はしないし、また現在の感染の主流であるオミクロン株では現行ワクチンの効果が減弱し、ブレイクスルー感染も少なくないのもまた事実である。もっともそれを言ってしまえば、現行の予防接種法に基づき定期接種に組み入れられている一部のワクチン、具体的には患者報告数の少ない日本脳炎なども接種の必要性はなしとなってしまう。私個人は感染症では個人に加え、地域・社会全体でのリスク低減を目指すという視点は必要であると考えており、自由共和党の考えには必ずしも賛同できない。また、青山氏は新型コロナワクチン接種後の長期的副反応を訴える人に配慮すべきという主張もTwitter上でよくつぶやいている。この点について言えば、総論では理解できるが、こうした主張の多くは、接種者本人のみの主張に過度に依存しており、科学的にはより厳密に考える必要がある。その意味で接種者の長期フォローアップは必要であるとは考えるが、現時点で海外の事例を見ても、一部の年齢層であってもワクチン接種を中止する必要がある兆候は見当たらない。以上が各政党の提示する政策に対する私見である。なお、政党としての主張にはないが、報道各社が候補者本人にアンケートを行っているのはよく知られている。NHKの参院選特設サイトでその結果を見ると、ここで登場しなかった候補者の考えもうかがえる。以下では冒頭で名前を取り上げた政党に限定して候補者の回答を紹介する。同サイトのQ3「新型コロナウイルス対策で、今、政府がより重点をおくべきは『感染拡大の防止』と『経済活動の回復』のどちらだと考えますか」では、今回取り上げた政党の候補者のうち「どちらかと言えば感染拡大防止」あるいは「感染拡大の防止」と回答したのが維新政党・新風(代表:魚谷 哲央氏)の候補者のみ。Q4「新型コロナウイルスは、入院の勧告や外出自粛の要請など強い措置がとれる感染症に指定されています。この扱いを維持すべきだと考えますか。季節性のインフルエンザと同じ扱いに変えるべきだと考えますか」では、「維持すべき」が平和党(代表:内藤 久遠氏)、「回答しない」がメタバース党(代表:後藤 輝樹氏)のみ。さてどうだったろう? もちろん、内容によっては読者が嫌悪感を覚える政策もあったと思う。しかし、実はこうした諸派と言われる政党のホームページで政策をつぶさに眺めると、他領域などでは「へーーー」と感心するものもなくはない。お時間のある方は目を通してみて欲しい。

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新型コロナ、2m超でも感染した事例のリスク因子/BMJ

 英国・UK Health Security AgencyのDaphne Duval氏らは、システマティック・レビューの結果、レストラン、公共交通機関、職場、合唱会場といった屋内環境において2m以上離れていても新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)の感染(airborne transmission)が生じる可能性があり、感染に寄与する可能性がある要因として不十分な換気が特定されたことを報告した。SARS-CoV-2感染リスクは、感染者に近接したとき(2m未満)に最も高くなる傾向があり、スーパースプレッダーでは2m超でも感染する可能性が示唆されていたが、詳しいことは不明であった。著者は、「今回の結果は、屋内環境での感染予防対策、とくに十分な換気の必要性を強調するものである」とまとめている。BMJ誌2022年6月29日号掲載の報告。2020年1月1日~2022年1月19日の18研究についてシステマティック・レビュー 研究グループは、まずComberらによるシステマティック・レビューに含まれる研究のうち2020年1月1日~7月27日に発表された研究をスクリーニングし、次にMedline、Embase、medRxiv、Arxiv、WHO COVID-19 Research Databaseを用いて2020年7月27日~2022年1月19日に発表された研究を検索し、適格基準を満たした研究についてWeb of ScienceおよびCocitesで引用分析を行った。 適格基準は、屋内環境(非医療環境)下で2mを超えた距離でもSARS-CoV-2に感染した事例について報告した観察研究とし、濃厚接触または媒介物が主な感染経路と考えられる観察研究(家庭内感染など)は除外した。 Rayyan Systemsを用いて2人の評価者が独立してスクリーニングし、ほぼ完全に一致した研究について1人の評価者がデータ抽出を行い、もう1人がチェックした。 主要評価項目は、2mを超えるSARS-CoV-2感染、およびその感染に影響を及ぼした要因とした。組み込まれた研究の方法論的な質は10問で構成される品質チェックリストを用いて厳格に評価し、エビデンスの確実性はGRADE(Grading of Recommendations、Assessment、Development、Evaluation)を用いて評価した。また、設定ごとにNarrative synthesisを行った。 18件の研究(関連する報告は22報)が解析に組み込まれた(方法論的質が「高」3件、「中」5件、「低」10件)。「換気不十分」「一方向気流」「大声で歌う・話す」のうち1つ以上でリスク大 18件のうち、16件の研究では感染イベントの一部あるいはすべてで、2mを超えてSARS-CoV-2感染が発生した可能性があり、2件は不明であった(GRADE:確実性が非常に低い)。 16件の研究において、換気不十分(確実性が非常に低い)、一方向の空気の流れ(確実性が非常に低い)、大声で歌う・話すなどエアロゾルの放出が増加する活動(確実性が非常に低い)のうち、1つ以上の要因により2mを超える距離でも感染する可能性が高まるようであった。 13件の研究において主要症例は、無症状、症状発現前または感染時の発症前後であるものが報告された。 なお、組み込まれた研究の中には、感染調査が十分実施されていたものもあるが、研究デザインに起因するバイアスリスクが残っており、感染経路を十分評価するために必要なレベルの詳細な情報が必ずしも提供されていなかった。

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