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経鼻インフルエンザワクチン、鼻腔内に免疫反応を形成

 経鼻弱毒生インフルエンザワクチンのフルミスト(FluMist)は、従来の注射型ワクチンとは異なる仕組みで作用することが、新たな研究で示された。フルミストは、ウイルスが侵入してくる鼻腔内で直接的に免疫反応を引き起こし、ウイルスと闘うための「戦場」を形成することが明らかになったという。米ラホヤ免疫研究所のチーフサイエンティフィックオフィサーであるShane Crotty氏らによるこの研究の詳細は、「Science Translational Medicine」に4月29日掲載された。 研究グループは、こうした免疫反応は上気道にとどまり、血液検査では検出できないため、これまで成人に対する経鼻ワクチンの潜在的な有益性が見過ごされてきたと指摘する。「これまで、フルミストは大多数の成人にはほとんど効果がないと考えられていた。しかし、意外なことに、実際には大多数の人々が鼻腔組織内でワクチンに反応を示すことが明らかになった」とCrotty氏はニュースリリースで説明している。 フルミストは小児で有効性が示され、成人に対する使用も承認されている。しかし、この経鼻ワクチンを接種した成人の血液を調べたところ、インフルエンザと闘う免疫細胞の存在が確認できなかったという。このことから、専門家の間で、インフルエンザに対するこのワクチンの予防効果を疑問視する声が上がっていた。 研究グループは今回の研究で、成人25人の鼻腔からフルミストの接種前後で検体を採取し、鼻腔内の免疫細胞を詳しく調べた。人間の体はさまざまな免疫細胞を有しているが、本研究では、鼻や気道の組織に定着し、ウイルスに対する抗体を産生するB細胞に焦点を当てた。 その結果、フルミストを接種した人では、接種後に上気道にインフルエンザウイルスに対抗するメモリーB細胞の大幅な増加が認められ、この増加は6カ月後も維持されていた。ただし、これらの細胞が確認されたのは鼻腔内のみであり、血液中には循環していなかった。 論文の筆頭著者でラホヤ免疫研究所の博士研究員であるHannah Stacey氏は、「この結果は、経鼻ワクチンあるいは粘膜ワクチンの接種後に血液のみを調べると、極めて興味深い免疫学的現象を見逃してしまう可能性があるということだ」とニュースリリースで述べている。 研究グループが、この結果を通常の注射型インフルエンザワクチンを接種した成人25人の結果と比較したところ、その免疫反応は完全に異なることが判明した。注射型ワクチン接種者では、血流中のインフルエンザ抗体は増加していたが、上気道では防御に関わる免疫細胞は誘導されていないことが示された。 研究グループは今回の結果について、フルミストの有効性が通常の注射型ワクチンと同等であることを意味するものではないと強調している。なお、研究グループは現在、鼻腔内の免疫細胞の反応が、インフルエンザに対して持続的な防御作用をもたらすのに十分な強さであるかどうかを検証中であるという。

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40歳以上の一般住民における未診断の肝線維症発症頻度は推定1.6%;ヨーロッパ9ヵ国の国際前向きコホート研究(解説:相澤良夫氏)

 この大規模な前向きコホート研究では、40歳以上の一般住民を対象に未診断の肝線維症の頻度および肝線維症と代謝因子(肥満、2型糖尿病、脂質異常、高血圧)やアルコール摂取との関連性について検討した。肝線維症は主にフィブロスキャン(VCTE)での肝硬度(LSM)上昇(8kPa以上)によりスクリーニングされ、肝臓専門医によって確定診断がなされた。その結果、肝線維症の推定有病率は1.6%(3万199人中477人)で、肝硬度の上昇は肥満、2型糖尿病、過度の飲酒と強く関連し、その93%は脂肪性肝疾患であった。 この結果からヨーロッパ各地では未診断の肝線維症が一般的に認められることが判明した。このような未診断の肝線維症を早期に発見しその要因を解析することにより、それぞれの症例に即した個別化治療介入が可能となるため、このような取り組みは、無症状の慢性肝疾患の肝硬変への進展を防止し、肝硬変に伴う重篤な合併症の発生を阻止するうえできわめて重要と考えられる。 わが国では代謝機能障害関連脂肪肝炎(MASH)など、慢性肝疾患の病因別患者数は推計されているが、実際に一般住民を対象としたこのような大規模前向き研究により未診断の肝線維症の頻度やその要因を明らかにした報告は知られていない。 従来、わが国ではHBVやHCVによる慢性ウイルス肝炎が慢性肝疾患の大多数を占めていたが、近年の抗ウイルス療法の急速な進歩により激減し、とくにHCVはわが国から撲滅される日が近いと思われている。代わりに、わが国でもこの論文に示された代謝因子やアルコール過剰摂取に関連した慢性肝疾患の重要性が強調されているが、いまだに無症状のまま経過し肝硬変や肝がんで発見される症例も少なくない。 したがって、わが国においても未診断の肝線維症を早期に診断し、その病因に即した治療を行うことは、肝疾患による重篤な合併症を未然に防止するうえで公衆衛生上の観点からもきわめて重要な課題と考えられる。未診断の肝線維症をいかに効率的に拾い上げ早期に治療できるか、その標準的スクリーニング法についてわが国の実情に即した方策を真剣に検討する必要がある。

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小柴胡湯~胸脇苦満と往来寒熱~【Dr.伊東のストーリーで語る漢方薬】第6回

小柴胡湯~胸脇苦満と往来寒熱~これまで解説してきた葛根湯(かっこんとう)、麻黄湯(まおうとう)、桂枝湯(けいしとう)は、いずれも感冒の初期に使うものでした。言い換えると、これらの薬は感冒を患ってから5~6日経った時に使うものではないということです。では、時間が少し経った感冒には何を使えばいいかというのが、今回のお話です。導入として、西洋医学の話をさせてください。感冒に対して西洋医学では、どんな時でも症状に合わせてアセトアミノフェンやデキストロメトルファンなどを使うと思います。つまり、西洋医学では一見すると感冒初期とそれ以降とをそんなに区別していないわけです。しかし、COVID-19の場合はちょっと違いますね。罹患初期には抗ウイルス薬、たとえばレムデシビルなどを使って、ウイルス量を減らしにいきます。少し時間が経ってからは、ウイルスそのものよりも炎症反応によって肺炎が悪化していくため、それを抑えるためにステロイドが重要になってきます。このような感じで、COVID-19では感冒初期とそれ以降を区別します。じつは、漢方薬の考え方もこれにちょっと似ています。葛根湯、麻黄湯、桂枝湯の解説をしている時に、やたら汗の話が出てきたのを覚えているでしょうか(図1)。じつは、感冒初期ではこれらの漢方薬を使うことで発汗を調整して、汗とともに悪いものを体表から体外へと追い出すイメージを昔の人は考えていたんです。図1 感冒初期に対する漢方薬の選び方画像を拡大する一方で、発症してから時間が経ってくると「悪いもの」、要はウイルスのことですね。それが体表や喉のあたりから肺、胃といった横隔膜レベルの臓器まで侵入してしまい、そこでも炎症を起こしてくるわけです。そこまで侵入されると、汗とともに追い出すことができなくなります。そこで、肺や胃のあたりの炎症を鎮静化するために、漢方では柴胡(さいこ)を含む漢方薬を使うことになるわけです。いわゆる柴胡剤。「東洋のステロイド」のイメージです(図2)。図2 COVID-19治療イメージ:西洋医学と漢方医学の比較画像を拡大する柴胡剤柴胡を含む漢方薬を柴胡剤と呼んでいて、その代表格が小柴胡湯(しょうさいことう)です。これを「こしば」なんとかと読まなくなったら、漢方の初心者卒業かなと勝手に思っています。冗談はさておき、小柴胡湯は、柴胡、半夏(はんげ)、黄芩(おうごん)、大棗(たいそう)、人参(にんじん)、甘草(かんぞう)、生姜(しょうきょう)の7種類の生薬で構成されます。大棗と生姜は以前紹介したように、胃腸に優しい生薬ですが、半夏と黄芩は胃のむくみや熱を除いてくれて、人参も胃を温めて支える生薬のため、構成生薬の作用点が胃に集中しているのが特徴的です。また、感冒初期の漢方薬には桂皮(けいひ)が必ずといっていいほど入っていましたが、小柴胡湯ではなくなりました(図3)。桂皮は気逆といって頭のほうに向かう症状を抑えてくれる生薬です。要は頭痛です。感冒初期では頭痛が症状として出やすいですが、少し時間が経つと頭痛はあまり目立たなくなってきますよね。そのため桂皮は要らなくなるのです。図3 小柴胡湯の構成生薬画像を拡大する小柴胡湯は虚実中間の患者に使う漢方薬です。結構幅広い体力の患者さんに使うことができます。一方で、世の中には実証の患者も虚証の患者もいて、その両極に対応する形で柴胡剤の派生処方が存在します。たとえば、実証であれば、便秘を目安に使う大柴胡湯(だいさいことう)、イライラを目安に使う柴胡加竜骨牡蛎湯(さいこかりゅうこつぼれいとう)があります。虚証であれば、寒がっているのを目安に使う柴胡桂枝乾姜湯(さいこけいしかんきょうとう)が該当します。また、症状から桂枝湯と小柴胡湯の中間、つまり過渡期に位置する患者には、柴胡桂枝湯(さいこけいしとう)という漢方薬もあります(図4)。たくさん薬が出てきましたが、ここは無理に覚えず、軽く流しておきましょう。図4 柴胡剤の派生処方画像を拡大する胸脇苦満と往来寒熱ここまで柴胡剤というもの紹介しましたが、これらの共通点として「胸脇苦満(きょうきょうくまん)」というお腹の所見を覚えてください。これは、肋骨弓の下に手を差し入れようとすると強い抵抗がある状態で、柴胡剤を使う目安として重要です(図5)。現代人はストレスを抱えて胃に負担をかけているので、この胸脇苦満が出ている人が結構多いです。ご自身の体に手を入れて確認してみてください。図5 胸脇苦満画像を拡大する日本漢方ではお腹の所見が大事で、個人的には再現性もあるため、学び始めの段階から勉強する価値があると思っています。たとえば、前回まで桂枝湯、桂枝加芍薬湯(けいしかしゃくやくとう)、建中湯(けんちゅうとう)の話をしましたが、こういった「芍薬が要になる漢方薬」が効く人のお腹は腹直筋が張っています。これを「腹直筋攣急(ふくちょくきんれんきゅう)」と呼ぶのですが、昔の人は「お腹に2本の棒を触れる」と表現しています(図6)。図6 腹直筋攣急画像を拡大する最後に、古典で小柴胡湯の話を締めておきましょう。こちらの条文は、長いですね(図7)。図7 小柴胡湯の古典条文画像を拡大する胸脇苦満はさっき出てきましたね。ここで注目してほしいのが「往来寒熱(おうらいかんねつ)」という言葉で、これは潮の満ち引きのように、熱が1日のなかで出たり引いたりすることを指しています。ときどきいませんか? かぜをひいてしばらくたった後に「夜だけ熱が出る」といって受診する方。医者目線だと少し説明に困るものです。これこそが往来寒熱ですね。そういう方は、倦怠感や食欲不振も訴えてくることが多いため、この条文通りの症状になってくるんです。また、この条文にはないですが「口の中が苦い」というのも柴胡剤を使うヒントになります。胃が悪いと舌苔が分厚くなってきて、舌の見た目もちょっと変わってきます。まとめ漢方の世界では感冒初期とそれ以降を区別します。治療のコンセプトも薬の選択肢も異なります。感冒初期が終わってからは、東洋のステロイドこと柴胡剤の出番です。ここでは、小柴胡湯を覚えておきましょう。使用にあたっては、胸脇苦満の存在を確認しておくと、勝率が上がってくると思います。胸脇苦満以外にも往来寒熱という言葉を覚えました。こういう独特の用語を知っていると、漢方の上達が早くなるため、もし余裕があれば、こちらも覚えていってください。次回は、これまでの内容をもう少し俯瞰的におさらいして、漢方の世界ならではの病気の捉え方を一緒にみていきましょう。それでは、お楽しみに!

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第314回 17回目のエボラ流行、ワクチンが使えない明確な理由

INDEX今回の発生経緯“世界で最も過酷な国の1つ”と言われる由縁どうやって開発しろと?今回の発生経緯世界は一難去って、また一難ということか? ハンタウイルス騒動が鳴りを潜めた(正確には下船した乗員・乗客は経過観察期間中)と思ったら、今度はアフリカのコンゴ民主共和国(DRC、以下コンゴ)でエボラウイルスのアウトブレイクである。世界保健機関(WHO)の5月16日付発表によると、5月5日付でコンゴ東部のイツリ州で、医療従事者の死者を含む原因不明の致死率の高い疾病のアウトブレイク発生の第1報が入ったとのこと。5月15日までに同州から採取された13血液検体のうち8検体からエボラウイルスの一種であるブンディブギョ株が確認された。これを受けてコンゴ保健省は同日に同国で17回目となるエボラ出血熱のアウトブレイクを正式に宣言した。また、同日に隣国ウガンダの保健省は、コンゴから入国し、5月14日に死亡したコンゴ人からブンディブギョ株が分離されたと発表し、翌5月16日には首都カンパラでコンゴから帰国したウガンダ人からもブンディブギョ株が検出された。その結果、5月16日、WHO事務局長のテドロス・アダノム氏は、今回のアウトブレイクが国際保健規則(IHR)の規定で定義されている「国際的に懸念される公衆衛生上の緊急事態(PHEIC)」に該当するとの判断を公表した。PHEICは国境を超えた感染拡大が懸念される時に発令されるが、テドロス氏は20日の記者会見で、国内および地域レベルでの感染リスクは高く、世界レベルでは低いとの評価を示している。これはアウトブレイクが確認されたコンゴのイツリ州と北キブ州がウガンダ、南スーダン、ルワンダと国境を接していることから、この範囲内で国境をまたいだ感染拡大が起こる可能性を念頭に置いていると考えられる。WHOの20日の記者会見で明らかにされた実態は、感染の疑いによる死亡139例、感染疑い症例600例であり、5日前の発表からはともに約2倍に拡大している。5月15日時点のWHO発表によると、今回のアウトブレイクで現在までに確認されている最初の疑い例は、4月24日に発熱、出血、嘔吐、激しい倦怠感などの症状が現れた医療者(後に死亡)だという。WHOがコンゴ当局から通報を受けたのは前出のように5月5日、ブンディブギョ株の検出が確認されたのは5月15日で翌日には公式発表があったわけだが、これについて「対応が遅い」との批判が噴出している。この代表格は、すでに報じられている米国のマルコ・ルビオ国務長官による批判だ。“世界で最も過酷な国の1つ”と言われる由縁しかし、私見ではあるが、これはトランプ政権特有の歴史や地域事情を考慮しない的外れな指摘だと考えている。その最大の理由はコンゴという国家の特徴に起因する。同国はもともとアフリカ大陸唯一のベルギー植民地で、1960年に独立して60年以上が経過しているが、この間の国家元首はわずか5人しかいない。独立直後は大統領と首相が対立し、これに乗じて大統領側に立った軍事クーデターが勃発、首相は公衆の面前で処刑されるという憂き目にあった。この時、軍事クーデターを起こした軍参謀総長のモブツ・セセ・セコは後に初代大統領を自宅軟禁下に置いて自ら大統領に就任し、1965~97年まで実に30年以上も独裁体制を敷いた。ところが1997年、同国東部を拠点に隣国のブルンジ、ウガンダ、ルワンダの支援を受けた反政府勢力のコンゴ・ザイール解放民主勢力連合(AFDL)を率いるローラン・カビラ氏が反乱を主導し、モブツ政権は崩壊。カビラ氏が第3代大統領に就任したが、4年後の2001年には護衛によって暗殺され、その息子であるジョセフ・カビラ氏が第4代大統領に世襲で就任した。ジョセフ氏は後に民主化を行い、同国初の民選大統領として再選もされるものの、2016年の任期切れ時に一方的に大統領選を延期し、これにより国内では暴動が多発。2018年の大統領選挙で野党のフェリックス・チセケディ氏が当選し、現在に至っている。ちなみにチセケディ大統領就任後にジョセフ氏は戦争犯罪で起訴され、欠席裁判で死刑判決が言い渡されているが、本人はいまだ行方不明である。しかも、この間、同国内では東部を中心に武装勢力が乱立し、常に内戦状態である。この背景には国内では数えられるだけで250以上もの民族集団が存在すること、またアフリカ大陸内でも有数の天然資源に恵まれた国であるため、こうした利権を巡った争いが絶えないのだ。2022年に国連人道問題調整事務所は、今回のアウトブレイクが発生しているイツリ州、北キブ州に加え、南キブ州も含めたコンゴ東部で活動する反政府組織は約120組織と報告している。失礼ながら、こうした組織の大半は政治思想で固まっているわけではなく、半ば武装強盗のような組織である。この結果、現地では地域住民の虐殺や女性に対する性暴力が横行している。はっきり言ってしまえば、コンゴは日本人が考えるような国家の体をおよそ成していないのである。そこでWHOの対応の遅れを指摘してもまったく意味がない。むしろ責められるべきはコンゴ保健省だが、とにもかくにも中央政府は全土を掌握しきれていないのである。どうやって開発しろと?さて、的外れと言えば、こうした時によく出てくるのがワクチン問題である。エボラウイルスに関しては、米国・メルク社がザイール株に対するワクチン「rVSV-ZEBOV(商品名:Ervebo)」を開発済みだ。しかし、ザイール株とブンディブギョ株は全ゲノム解析によると、塩基配列が30%前後も異なり、結果として細胞侵入の足がかりになるウイルス表面の糖タンパクもかなり異なることが知られている。これではErveboはほぼ効かないか、よくて弱い重症化予防効果があるか、ぐらいだろう。ブンディブギョ株に対するワクチンは現時点では存在しないわけだが、こうした時に日本のワイドショー的な報道では「製薬企業は儲けがないからワクチンを開発しようとしない」という言説が登場しがちだ。これは完全に間違いではないが、「当たらずとも遠からず」である。そもそも、これまでに公式に確認されているブンディブギョ株のアウトブレイクは、ウガンダ西部のブンディブギョ州(これがウイルス株の命名起源)で2007年11月に初めて確認された131例(同年2月に終息宣言)と、2012年8月にコンゴ北東部のオリエンタル州(現・高ウエレ州)で発生した59例(同年11月に終息宣言)しかない。このたかだか3ヵ月で終息してしまう少数例のアウトブレイクのウイルス株に対して、どのようにワクチン開発しろというのだろうか? 試験デザインすら困難だろう。こんなこともあり、「なぜ対応が遅れた?」「なぜワクチンがない?」という言説には、個人的にはかなりイラっとしてしまうのである。

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糖尿病患者の下痢・便秘に有効なビフィズス菌の種類は?

 2型糖尿病患者の下痢・便秘といった消化器症状にプロバイオティクスであるビフィドバクテリウム・ビフィダムG9-1(BBG9-1)が有効であることをマキノ病院の小林 玄樹氏らが明らかにした。Diabetes, Obesity and Metabolism誌オンライン版2026年4月22日号掲載の報告。 研究者らは、下痢または便秘を伴う2型糖尿病患者100例を対象に12週間の非盲検ランダム化比較試験を実施。対照群またはBBG9-1群に1対1に無作為に割り付け、BBG9-1群にはビフィズス菌を1日12mg投与した。主要評価項目は全解析対象者(BBG9-1群43例、対照群51例)の消化器症状評価尺度(Gastrointestinal Symptom Rating Scale:GSRS)の変化。 主な結果は以下のとおり。・BBG9-1摂取群のGSRS全体スコアは、対照群(2.08±0.67~2.06±0.63)と比較して有意に改善した(2.22±0.67~1.83±0.62、群間差-0.34[95%信頼区間:-0.55~-0.14、p=0.001])。・サブグループ解析では、女性、便秘を有する、65歳以上、BMI25kg/m2未満の患者において、GSRS全体スコアの改善がより大きいことが示された。・GSRSサブスケールの中で、BBG9-1は対照群と比較して便秘スコアの平均減少が有意に高かった(-0.79±1.38 vs.-0.13±1.04、p=0.013)。・下痢スコアの平均変化には有意差がなかったものの(-0.42±1.14 vs.-0.06±1.08、p=0.14)、追跡調査による下痢スコアはBBG9-1群で有意に低かった(2.04±1.00 vs.2.58±1.44、p=0.049)。・腸内細菌叢を解析した結果、BBG9-1群でPhocaeicola属の相対存在量が有意に増加した(BBG9-1群:15.98±13.75%から19.56±14.79%、対照群:18.14±14.17%から18.21±13.58%)。・糞便中の短鎖脂肪酸(SCFA)の評価では、BBG9-1投与に関連した有意な変化は認められなかった。・両群間で有害事象の発生率は同程度であった。

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COVID-19患者の同居家族、エンシトレルビルで発症予防/NEJM

 新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の症状発現後72時間以内に、患者の同居家族に対してエンシトレルビルを投与することにより、接触者のCOVID-19発症を抑制できることが示された。米国・バージニア大学のFrederick G. Hayden氏らSCORPIO-PEP(Stopping Covid-19 Progression with Early Protease Inhibitor Treatment for Post-Exposure Prophylaxis) Study Teamが、日本を含む5ヵ国共同で行われた無作為化二重盲検プラセボ対照試験「第III相SCORPIO-PEP試験」の結果を報告した。エンシトレルビルは、新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)3CLプロテアーゼの経口阻害薬であり、本邦においては軽症~中等症COVID-19の治療薬として承認されている。これまで、COVID-19患者の同居家族に対する曝露後予防薬として承認された抗ウイルス薬はなかった。NEJM誌2026年5月14・21日合併号掲載の報告。COVID-19発症後72時間以内に、家庭内接触者を無作為化 研究グループは、COVID-19患者(指標患者)の同居家族で試験実施機関においてSARS-CoV-2陰性が確認された12歳以上の家庭内接触者を、指標患者の症状発現後72時間以内にエンシトレルビル(1日目に375mg、2~5日目に125mgを1日1回経口投与)群またはプラセボ群に無作為に割り付けた。 主要エンドポイントは、修正ITT集団(mITT集団:無作為化され、中央検査機関においてベースラインでSARS-CoV-2のRT-PCR検査が陰性、かつ試験薬を少なくとも1回投与されたすべての参加者)における、試験薬投与後10日以内のCOVID-19発症(中央検査機関でRT-PCR検査が陽性、かつ事前に規定された14のCOVID-19の症状のうち少なくとも1つが48時間以上持続と定義)とした。エンシトレルビル群はプラセボ群と比較しCOVID-19発症リスク67%減 試験は、2023年6月~2024年9月中旬に、米国、アルゼンチン、日本、南アフリカ共和国、ベトナムで行われた。 計2,387例の家庭内接触者が無作為化され(エンシトレルビル群1,194例、プラセボ群1,193例)、このうち中央検査機関においてベースラインでSARS-CoV-2陰性が確認されたエンシトレルビル群1,030例、プラセボ群1,011例が有効性解析対象集団(mITT集団)となった。 試験参加者の平均年齢は42.4歳で、71.1%は指標患者の症状発現後48時間以内に無作為化され、37.0%は重症COVID-19の危険因子(肥満、喫煙、65歳以上など)を少なくとも1つ有していた。 mITT集団における10日目までのCOVID-19発症率は、エンシトレルビル群2.9%、プラセボ群9.0%であり、エンシトレルビル群で有意に低かった(リスク比:0.33、95%信頼区間:0.22~0.49、p<0.001)。 試験中の有害事象の発現割合は両群で類似しており(エンシトレルビル群15.1%、プラセボ群15.5%)、主な有害事象は頭痛、下痢、鼻咽頭炎、咳、疲労、およびインフルエンザであった。重篤な有害事象の発現割合も同じで(各群0.2%)、COVID-19に関連する入院や死亡は報告されなかった。 なお、著者らは、家庭内感染の可能性には世帯の規模、マスク着用習慣、社会的距離の確保など複数の要因が影響する可能性があるが、これらのデータを収集できなかった点で結果は限定的だとしている。

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第62回 コンゴでエボラ流行、87人死亡。私たちが知らない落とし穴

2026年5月17日、世界保健機関(WHO)は、アフリカ・コンゴ民主共和国の東部イトゥリ州で発生しているエボラ出血熱の流行を、「国際的に懸念される公衆衛生上の緊急事態(PHEIC)」に該当すると宣言しました1)。アフリカ連合によれば、すでに87例が亡くなり、疑い例を含めると336例の感染が判明しているとされています。隣国ウガンダではコンゴ人男性の死亡例もすでに報告されており、周辺国への波及が強く警戒される事態となっています2)。「またエボラ?」と思った方も多いかもしれません。「エボラのワクチンはあるって聞いたけど、どうして今も流行を抑えられないんだろう?」そんな素朴な疑問を抱いた方もいるかもしれません。実は、今回のニュースを少し立ち止まって整理してみると、その「あるはずのワクチン」の話に、知っておきたい大切な落とし穴が隠れています。そもそもエボラとは、どんな病気?エボラウイルス病は、フィロウイルス科に属するエボラウイルスによって引き起こされる感染症です。潜伏期間はおよそ6〜12日(最短2日、最長21日)で、発症後は突然の発熱、激しい頭痛、筋肉痛、倦怠感など、決して特徴的とはいえない症状から始まります3)。数日のうちに嘔吐や下痢が加わり、大量の体液の喪失をきたすことが、その病態の中心になります。「出血熱」という名前が独り歩きしている感がありますが、実際には出血が目立つ患者さんは少数派で、多くは脱水と臓器の障害、ショックで命を落とします3)。致死率は流行ごとに大きく異なります。1976~2022年までの集計によれば、ザイールウイルスで約66.6%、スーダンウイルスで約48.5%、そして今回コンゴで検出されたブンディブギョウイルスでは約32.8%とされています4)。「3割」と聞くと低く感じるかもしれませんが、新型コロナウイルス感染症の致死率が1%前後であったことを思えば、いかに恐ろしい数字かが分かるかと思います。感染は、症状のある患者さんや亡くなった方の血液・体液との直接接触によって起こります。空気感染はしません。つまり、感染拡大の主役となるのは、家族の看病、葬儀での遺体への接触、そして十分な防護具なしで治療にあたる医療者です3)。逆にいえば、「症状のない人」からはうつらない。これも知っておきたい大切なポイントです。なぜ「緊急事態宣言」がそんなに重い意味を持つのかWHOが「国際的に懸念される公衆衛生上の緊急事態(PHEIC)」を宣言するのは、その感染症が「国境を越える拡大リスクがあり、国際協調的な対応が必要」と判断されたときに限られます。これまでに発令されたのは、新型インフルエンザ(H1N1)、ポリオ、エボラ(西アフリカ流行、東部コンゴ流行)、ジカウイルス、新型コロナウイルス、エムポックスなど、ごく限られた事例です。つまりPHEICは、「世界中で警報を共有しましょう」「物資、人材、検査体制を国際的に動かしましょう」という、最上位レベルの号令です。今回もWHOは、コンゴと国境を接するウガンダや南スーダンへの飛び火を念頭に、検査強化や接触者追跡の必要性を強く訴えています2)。日本に直接的な影響が及ぶ可能性は現時点では高くはないものの、グローバル化した現代において、こうした宣言を「対岸の火事」と片付けるのは適切ではないと、私は考えています。エボラに対する承認済みのワクチンは?実は、エボラに対しては承認済みのワクチンがあります。「rVSV-ZEBOV(商品名:Ervebo)」と呼ばれるもので、2019年に欧米で承認され、その後アフリカ複数カ国でも使用が認められました。すでに30万人を超える人に接種されています5)。流行が発生すると、患者の接触者と、そのまた接触者にワクチンを打つ「リング・ワクチネーション」という戦略が用いられ、実際の流行抑制に効果を上げてきました6)。では、なぜ今回はそれができないのでしょうか。実は、承認されているErveboは、エボラウイルスの中の「ザイールウイルス」専用のワクチンであり、今回検出された「ブンディブギョ株」に対する有効性は確立されていないのです5)。エボラウイルス属にはザイール、スーダン、ブンディブギョ、タイフォレストなど複数の種が含まれ、それぞれ抗原性(ウイルスの顔立ち)が異なります。実験動物のデータでも、ザイールウイルス向けワクチンはスーダンウイルスにはうまく反応しないことが示されており、ウイルスが違えば効果はなくなる、というのが現実です5)。承認されている治療薬(atoltivimab/maftivimab/odesivimab[商品名:Inmazeb]やansuvimab[商品名:Ebanga]など)も同様に、ザイールウイルスにのみ有効性が確認されている薬剤です5)。ではなぜ、ブンディブギョ向けのワクチンが整備されてこなかったのか。理由は単純で、これまでブンディブギョの流行が散発的かつ小規模で、製薬開発の優先順位がどうしても下がってきたからです。2014年の西アフリカ大流行(約2万9,000例感染)が世界を震撼させ、Erveboの開発が一気に進んだことを思えば、対照的な状況といえます5)。これは「市場原理だけにワクチン開発を委ねるとどうなるか」という、グローバルヘルスにおける古くて新しい問題でもあります。流行が起きるまで開発の動機が生まれず、いざ流行すれば「ワクチンがない」と慌てる。この繰り返しを断ち切るために、CEPI(感染症流行対策イノベーション連合)など国際的な枠組みが動いてはいますが、まだ十分とは言いがたいのが実情です。日本に住む私たちが今すぐエボラそのものを過剰に恐れる必要はないでしょう。感染経路は限定的で、症状のない人からは感染しないからです。ただ、海外渡航前後の発熱を安易に放置しないこと、そして「アフリカで起きていることは、いずれ自分たちの問題にもなり得る」という視点を持つことは、パンデミックの時代に大切な姿勢かもしれません。今回のニュースは、感染症が今なお人類にとって克服しきれない相手であること、そして国家間で協力してワクチン開発を進める難しさを、改めて教えてくれているように思います。 1) WHO. Epidemic of Ebola Disease caused by Bundibugyo virus in the Democratic Republic of the Congo and Uganda determined a public health emergency of international concern. 2026 17 May. 2) 共同通信. コンゴのエボラ熱、緊急事態宣言 WHO、東部の州で死者87人. 2026年5月17日. 3) Bray M, et al. Clinical manifestations and diagnosis of Ebola disease. UpToDate. Waltham, MA: UpToDate Inc. Accessed May 17, 2026. 4) Izudi J, et al. Case fatality rate for Ebola disease, 1976-2022: A meta-analysis of global data. J Infect Public Health. 2024;17:25. 5) Chertow DS, et al. Treatment and prevention of Ebola and Sudan virus disease. UpToDate. Waltham, MA: UpToDate Inc. Accessed May 17, 2026. 6) Muyembe JJ, et al. Ebola Outbreak Response in the DRC with rVSV-ZEBOV-GP Ring Vaccination. N Engl J Med. 2024;391:2327.

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GSKの組換えRSVワクチン、重症化リスクの高い18歳以上に対象拡大

 グラクソ・スミスクラインは2026年5月18日、組換えRSウイルスワクチン(商品名:アレックスビー)について、RSウイルス(RSV)による感染症が重症化するリスクの高い18~49歳の成人を対象として、用法・用量追加に係る製造販売承認事項一部変更承認を取得したと発表した。 すでに、重症化リスクの高い50~59歳を対象として2024年11月に承認を取得しており、今回の承認により、本邦では重症化リスクの高い18~59歳の成人に使用可能な唯一のRSVワクチンとなる。なお、本剤は母子免疫による新生児・乳児におけるRSV感染症の予防に対する適応はない。 RSVは、とくに基礎疾患のある成人で重症化リスクが高いことが知られている。添付文書上、18歳以上のRSVによる感染症が重症化するリスクが高いと考えられる者とは、以下のような状態の者を指す。・慢性肺疾患、慢性心血管疾患、慢性腎臓病または慢性肝疾患、糖尿病、神経疾患または神経筋疾患、肥満(BMI 30kg/m2以上を目安とする)、基礎疾患もしくは治療により免疫不全状態であるまたはその状態が疑われる者・上記以外で、医師が本剤の接種を必要と認めた者

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子宮頸がん排除は可能か:予防戦略の世界的強化が必要/Lancet

 子宮頸がんは最も予防の可能性が高いがんの1つだが、世界中で毎年60万例以上の女性が子宮頸がんがんと診断される。また、低・低中所得国(LMIC)における子宮頸がんの年齢調整罹患率は高所得国(HIC)の3倍、同死亡率は6倍に達し、大きな不均衡が存在する。2020年11月、世界保健機関(WHO)は、この不均衡を是正し、最終的に子宮頸がんの排除を目指す世界的な戦略を立ち上げた。カナダ・Universite LavalのMarc Brisson氏らは、排除戦略立ち上げから5年が経過した時点での世界的な現況を、数理モデルを用いて分析した。研究の成果がLancet誌2026年5月2日号に掲載された。WHOの戦略目標:罹患率<4例/10万人年 LMICとHICにおける子宮頸がんリスクの不均衡の主な要因は、子宮頸がん検診へのアクセスの大きな差(検診を受けたことがある女性の割合:10%vs.84%)とされる。さらに、ヒトパピローマウイルス(HPV)ワクチンの配分の世界的な不平等がこの不均衡を助長していると考えられ、2023年の主要な対象年齢層の女子への接種率はHICの57%に対しLMICは23%であり、2022年にはHICの大部分で男子への接種が行われたのに対しLMICでは1%だった。 WHOの排除戦略は、女子の90%へのHPVワクチン接種、女性の70%への子宮頸がん検診、前がん病変およびがんを有する患者の90%に治療を行うことを目標とし、すべての国で年齢調整子宮頸がん罹患率を女性10万人年当たり4例未満に低減することを目指すとしている。67のLMICと42のHICで、シナリオに基づく罹患率を比較 研究グループは、HPV-ADVISEモデルを用い、67のLMICと42のHICにおいて、HPVワクチン接種と子宮頸がん検診に関する種々のシナリオに基づき、年齢調整子宮頸がん罹患率を推計した(Canada Research Chairs Programなどの助成を受けた)。 LMICとHICの格差は、年齢調整子宮頸がん罹患率(ASR)の比率(RRLMIC/HIC=ASRLMIC/ASRHIC)として評価した。現状維持で、HICでは2048年に排除 ワクチン接種と検診が現状維持の場合、LMICの子宮頸がん罹患率は2105年までに23%しか減少しない一方で、HICでは2048年までに排除(年齢調整子宮頸がん罹患率<4例/10万人年)を達成すると予測された。その結果として、2105年までに格差が4倍に拡大すると考えられた(2022年のRRLMIC/HIC=3、2105年のRRLMIC/HIC=12)。 また、すべてのLMICが9価ワクチンに切り替えると、対象集団やワクチン接種・検診に関して現状を維持した場合でも、罹患率およびLMICとHICの格差への影響は最小限にとどまると予測された。WHO排除目標に加え、男子・MAC接種導入が重要 LMICの女子で接種率90%を達成した場合、今世紀末までに罹患率が大幅に低減し(87%の減少)、2094年に排除を達成(HICに遅れること約45年)、格差はわずかに縮小する(2105年のRRLMIC/HIC=2)と考えられた。 また、男子も加えた全国民的な定期接種および多年齢層コホート(MAC)への接種を追加すると、LMICにおける長期的な年齢調整罹患率がさらに低下する(93%の減少、2105年に2例/10万人年)。この戦略は、子宮頸がんの排除を加速し(2080年に達成[HICより約30年遅れ])、今世紀末までにLMICとHICの格差をほぼ解消することになる(RRLMIC/HIC≒1)。 さらに、今世紀末までにLMICとHICの格差解消を達成し、今後数十年間における格差の拡大を抑制するには、LMICがWHOの排除目標を達成し、全国民的な定期接種およびMACワクチン接種を導入する必要がある。この複合戦略により、HICから約20年遅れの2070年には子宮頸がんの排除を達成すると予測された。接種拡大に向けた状況が大きく変化 著者は、「WHOの世界戦略の開始から5年が経過したが、多くのLMICは排除目標の達成にはほど遠い状況にある」「LMICとHICの格差を解消し、すべてのLMICで子宮頸がんを排除するには、LMICがWHOの排除目標を達成し、全国民的なHPVワクチン接種およびMAC接種を導入する必要があるだろう」としている。 また、「(1)WHOの事前認証を受けたワクチンが低価格で入手可能になった、(2)ワクチンの供給制約が解消された、(3)1回接種の選択肢が加わったことにより、HPVワクチン接種の拡大に向けた状況が大きく変化している」「本研究の結果を各国の具体的な状況に適応させるための実装研究とともに、WHO戦略を含む施策を進めるための政治的意志が緊急に必要とされている」と指摘している。

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ハンタウイルス感染症に気を付けろッ! その1【新興再興感染症に気を付けろッ!】

ケアネットをご覧の皆さま、こんにちは。大阪大学の忽那です。本連載「新興再興感染症に気を付けろッ!」、通称「気を付けろッ」は「新興再興感染症の気を付け方」についてまったりと、そして時にまったりと、つまり一貫してまったりと学んでいくコーナーです。もはや誰も覚えていない不定期連載「新興再興感染症に気を付けろッ!」ですが、読者の皆さまが忘れたころに新興再興感染症というものは起こるものなのです。そうです、現在世間では「ハンタウイルス感染症」なるものが毎日ニュースをにぎわせています。今回はこの「ハンタウイルス感染症」の気を付け方について学んでいきましょう。感染症学習に使えるアプリさて、ハンタウイルス感染症について知りたい場合、一番手っ取り早いのは、そう、私が自作したiPhoneアプリ「くつ王感染症クイックリファレンス」で調べることです!トップ画面で「ハンタウイルス」と入れれば、あっという間に要点が丸わかり!App Storeで「くつ王感染症クイックリファレンス」を検索してみよう!アプリの詳細は最後の方をご覧ください!ハンタウイルスの概要宣伝はこれくらいにしておきまして…ハンタウイルス感染症は、ウイルス性出血熱の一群に含まれる重要な人獣共通感染症であり、世界各地に分布しています。まず、大事な事実として本疾患は臨床的に2つの主要な症候群を呈します。ヨーロッパおよびアジアでは腎症候性出血熱(HFRS)が、アメリカ大陸ではハンタウイルス肺症候群(HCPS)(またはハンタウイルス心肺症候群)が主に報告されています1, 2)。これらは別の疾患として捉えられていますが、血管透過性の亢進という共通の病態生理を基盤としており、臨床像においても多くの重複が見られるのが特徴です。図 ハンタウイルス感染症の流行地域と感染経路(文献1よりNotebookLMで作成)さらに、ハンタウイルスは、Bunyavirales目Hantaviridae科のOrthohantavirus属に分類されるウイルスの総称であり、表のようにヨーロッパ・アジアでHFRSを起こすハンタウイルス、そして、アメリカ大陸でHCPSを起こすハンタウイルスにもそれぞれ複数の種類が知られています。表 主要な原因ウイルスと臨床的特徴の比較画像を拡大する(文献1より作成)ハンタウイルスの症状、診断と治療なんか急に話がややこしくなってきたと思われるかもしれませんが、それぞれの細かいウイルスまで覚える必要はありません。主な自然宿主は齧歯類です。ウイルスは宿主の唾液、尿、糞便中に排泄され、人間はそれらが含まれるエアロゾルを吸入することで感染します。特筆すべき例外として、中南米のアンデスウイルス(ANDV)は、例外的にヒトからヒトへの感染が確認されている唯一のハンタウイルスであり、密接な接触がリスク要因となります3,4)。たとえば、誕生日のパーティーやお通夜への参加、同じ車内で長時間一緒に過ごしたなどの場面での感染が報告されています。注意すべき点としては、これまでに患者から医療従事者への感染例も報告されていることです。症状ですが、まず潜伏期間が長いのが特徴です。今回問題になっているANDVでは平均18日程度と報告されており、正確な渡航歴・接触歴・曝露歴の聴取が不可欠です。HFRS(腎症候性出血熱)では典型的には5つの病期(発熱期、低血圧期、乏尿期、利尿期、回復期)をたどります。高熱、頭痛、腹痛、背部痛に加え、視覚異常が感染者の最大70%に見られます。HCPS(ハンタウイルス肺症候群)では2~7日間の前駆症状(発熱、筋肉痛など)を経て、呼吸不全が急激に進行します。これは肺血管透過性の亢進により、数時間以内に非心原性肺水腫、呼吸不全、心原性ショックが進行するというものです。画像所見では、両側性の隔壁肥厚やすりガラス影、胸水貯留が急速に拡大します。どちらの病型にも共通している病態が「血管透過性の亢進」でありまして、HFRSでは主に腎髄質の毛細血管が、HCPSでは主に肺の毛細血管が強く影響を受けることがわかっています。先述の表にも記載していますが、致死率はHFRSでは1~12%、HCPSではなんと最大45%にも及びます。きわめて重症度の高い感染症です。診断は抗体検査またはPCRによって行います。IgMは通常、発症初期から検出可能とされます。RT-qPCRは高感度であり、抗体出現前の早期診断にきわめて有用です5)。治療については、リバビリンや高用量ステロイド、回復者血漿療法などが検討されてきましたが、現時点で確立した治療法はありません6,7)。体外式膜型人工肺(ECMO)が注目されており、血管透過性亢進が回復するまでECMOを使用することで予後が改善したという報告があります8)。とまあ、このように恐ろしいハンタウイルス感染症ですが、果たしてわが国に持ち込まれるリスクはどれくらいあるのでしょうか?次回はそこんとこを検討していきたいと思います。1)Vial PA, et al. Lancet Infect Dis. 2023;23:e371-e382.2)Manigold T, Vial P. Swiss Med Wkly. 2014:144:w13937.3)Padula PJ, et al. Virology. 1998;241:323-330.4)Martinez VP, et al. N Engl J Med. 2020;383:2230-2241.5)Guzman C, et al. Expert Rev Anti Infect Ther. 2015;13:939-946.6)Mertz GJ, et al. Clin Infect Dis. 2004;39:1307-1313.7)Vial PA, et al. Antivir Ther. 2015;20:377-386.8)Wernly JA, et al. Eur J Cardiothorac Surg. 2011;40:1334-1340.

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第295回 MMRワクチン、約30年ぶり国内使用へ 麻しん拡大下で定期接種化を検討/厚労省

<先週の動き> 1.MMRワクチン、約30年ぶり国内使用へ 麻しん拡大下で定期接種化を検討/厚労省 2.備蓄手袋を医療機関向けに供給 18日から申請開始/厚労省 3.がん拠点病院の整備指針見直しへ 2030年度から実績要件を強化/厚労省 4.東京都で麻しん急増、緊急ワクチン接種開始 接触後72時間以内が鍵/JIHS 5.電子カルテ停止で診療一時停止 市立奈良病院、再発防止へ検証/奈良県 6.病院再編に現場反発、4割が退職希望 静岡市立清水病院/静岡県 1.MMRワクチン、約30年ぶり国内使用へ 麻しん拡大下で定期接種化を検討/厚労省厚生労働省は5月11日、第一三共の麻しん・おたふくかぜ・風しん混合ワクチン「ミムリット皮下注用」を承認した。3疾患を1度に予防するMMRワクチンで、効能・効果は「麻しん、おたふくかぜ及び風しんの予防」。国内でMMRワクチンが使用されるのは約30年ぶりとなる。ミムリットは、現在定期接種の対象となっている第一三共の麻しん・風しん2種混合ワクチンに、世界で広く用いられているおたふくかぜワクチン株を組み合わせた3種混合の弱毒生ワクチンである。添付の溶剤0.7mLで溶解し、その0.5mLを1回皮下に注射する。接種対象は生後12ヵ月以上で、性別や年齢にかかわらず接種可能とされるが、具体的な接種年齢は学会などの最新情報を踏まえ総合的に判断する。明らかな発熱がある人、免疫機能に異常がある人や免疫抑制治療中の人、妊娠していることが明らかな人などは接種不適当者とされる。わが国では1989年に別のMMRワクチンが定期接種に導入されたが、含有されていたおたふくかぜワクチンによる無菌性髄膜炎の発生が社会問題となり、1993年に事実上中止された。今回のミムリットについて厚労省は、国内第III相臨床試験で小児約400例に無菌性髄膜炎の発現は認められなかったこと、含まれるムンプスウイルス株がWHOで事前認定された株の1つであること、海外で豊富な使用実績があり、無菌性髄膜炎の発現率が相対的に低いとの報告がある株を選択したことなどを踏まえ、リスクは許容可能と判断した。現在、麻しん・風しんはMRワクチンとして定期接種の対象だが、おたふくかぜワクチンは任意接種で自己負担となっている。おたふくかぜは無菌性髄膜炎、脳炎、難聴などの合併症を起こし得る。2015~16年の流行では成人を含め少なくとも359例がムンプス難聴と診断され、医学系学会が定期接種化を要望してきた。海外では120ヵ国以上で定期接種化されており、ミムリットの承認により、接種回数の削減と保護者負担の軽減、さらにおたふくかぜ対策の前進が期待される。 参考 1) 麻疹・おたふく・風疹のMMRワクチン承認 約30年ぶり使用へ(毎日新聞) 2) MMRワクチン、国内でも使用可能に-第一三共の「ミムリット」承認取得(日本医事新報) 3) 第一三共の3種混合ワクチン承認 はしかと風疹におたふく追加(日経新聞) 4) 厚労省 第一三共のMMRワクチン・ミムリット皮下注用を承認 2つの再生医療等製品も(ミクスオンライン) 2.備蓄手袋を医療機関向けに供給 18日から申請開始/厚労省厚生労働省は、中東情勢悪化による医療用物資の供給不安を踏まえ、国が備蓄する医療用手袋のうち、まず5,000万枚を医療機関向けに放出する。医療用手袋は現時点で全体としてただちに不足する状況ではないが、通常量を超える発注や一般のネット通販で取引が停止されており、歯科診療所など一部の医療機関で確保困難が生じている。国は新型インフルエンザ等対策特別措置法に基づき、非滅菌手袋などの個人防護具を備蓄しており、今回の放出は需給の偏在を緩和する措置となる。要請は医療機関等情報支援システム「G-MIS」を通じて行う。医療機関は週次調査で在庫量、1週間の想定消費量、1週間の購入見込み量を入力し、あわせて販売業者であるアスクルの専用サイトに施設名、住所、医療機関コード、メールアドレスなどを登録する。都道府県が要請内容と配布要否、枚数を確認し、厚労省が承認した後、対象医療機関のリストが販売業者に送られ、医療機関は案内メールを受けて購入手続きを行う。G-MISでの申請が困難な場合は、都道府県への相談による個別シート対応も用意されている。対象となるのは、在庫量が「今後1週間の想定消費量から購入見込み量を差し引いた量の4週間分」を下回る医療機関である。購入可能数は想定消費量2週間分を基準に1,000枚単位で切り上げ、1セット1,000枚から購入できるほか、セット単位でサイズ指定も可能とされる。第1弾は5月18日午前9時から20日午後5時まで申請を受け付け、以後も毎週水曜午後5時締めで受け付ける予定。感染対策資材の不足は、病院、歯科、在宅、訪問看護など幅広い診療継続に直結する。医療機関には、在庫と使用量を踏まえた適正申請が求められ、国と都道府県には配送状況や追加放出の情報を迅速に示す対応が求められる。 参考 1) 中東情勢を踏まえた医療用手袋の放出について(厚労省) 2) 上野厚労相「国備蓄の手袋5千万枚を放出」 中東情勢影響による医療機関での不足受け(産経新聞) 3) 医療用手袋 5月18日から購入申請受け付け開始 政府備蓄放出分(NHK) 4) 国備蓄の医療用手袋放出発表うけ 看護現場からは安堵の声(日本テレビ) 3.がん拠点病院の整備指針見直しへ 2030年度から実績要件を強化/厚労省厚生労働省は5月14日に「がん診療連携拠点病院等の指定要件に関するワーキンググループ」を開き、がん診療連携拠点病院などの整備指針見直し案を示した。柱となるのは、がん医療の高度化と人口減少を踏まえた「集約化」と「均てん化」の切り分けである。2026年夏ごろに新たな整備指針を取りまとめ、2027年度から新体制を始める見通し。とくに注目されるのは、がんゲノム医療体制の強化である。厚労省は2026年度の指針改定で、がん診療連携拠点病院などが「がんゲノム医療中核拠点病院」「同拠点病院」「同連携病院」のいずれかに指定されていることを「望ましい要件」とし、2029年度の改定時には必須要件化する方針を示した。がんゲノム医療の進展により、患者ごとに最適な薬物療法を選択する重要性が高まっているためである。ただ、2026年4月1日時点で地域がん診療連携拠点病院357施設のうち、がんゲノム医療中核拠点病院などの指定を受けているのは7割弱にとどまる。別資料でも、2026年3月時点で拠点病院等463施設のうち指定済みは295施設(63.7%)とされ、遺伝カウンセリング体制、C-CATへのデータ登録、エキスパートパネル実施などが課題となっている。手術療法と放射線療法についても、実績要件の厳格化が進む。現行指針では、地域拠点病院の要件として、悪性腫瘍の手術年400件以上、放射線治療の延べ患者年200人以上などの絶対数要件がある一方で、同一がん医療圏に1施設のみの場合は、地域患者の約2割を診療していれば要件を満たす「カバー率要件」も認められている。厚労省は2029年度の見直しでこの緩和要件を廃止し、2030年度から手術年400件以上、放射線治療年200人以上を必須要件とする方向。現在、手術件数を満たさず、カバー率で指定されている施設は13施設、放射線治療の基準を下回る地域拠点病院は38施設ある。また、手術、放射線治療、薬物療法の実績や専門職配置、機器情報などを都道府県に報告し、都道府県がん診療連携協議会の求めに応じて情報提供すること、診療実績をウェブサイトなどで公表することも必須要件とする。協議会には、地域でどの医療を集約し、どの医療を身近に提供するかを議論する役割が期待される。その一方で、ワーキンググループでは、拠点病院が減少した場合の地域医療の質や患者アクセスへの影響を懸念する意見も出た。集約化は質の維持や人材確保には不可欠だが、患者や住民に必要性をわかりやすく説明し、地域がん診療病院や周辺医療機関との連携を強めることが求められる。今回の見直しは、がん医療を「どこでも同じ」から「高度医療は集約し、継続診療は地域で支える」体制へ再編する転換点となる。 参考 1) 第10回がん診療連携拠点病院等の指定要件に関するワーキンググループ(厚労省) 2) がん拠点病院、ゲノム中核指定を「望ましい要件」に 整備指針改定で 29年度からは必須要件化(CB news) 3) がん診療連携拠点病院、2030年度から「ゲノム中核拠点病院等であること」を必須要件へ-がん拠点病院指定要件WG(Gem Med) 4.東京都で麻しん急増、緊急ワクチン接種開始 接触後72時間以内が鍵/JIHS国立健康危機管理研究機構(JIHS)によると、2026年第18週(4月27日~5月3日)の麻しん(はしか)報告数は23例で、年初からの累計は462例となった。過去10年で患者数が最多だった2019年の同時期467例に迫る水準で、感染は首都圏を中心に広がっている。累計では東京都226例が最多であり、神奈川県41例、鹿児島県34例、埼玉県33例、千葉県28例、愛知県25例と続く。東京都では5月14日までに239例の患者が確認され、現在の集計方法となった2008年以降で過去2番目、過去10年では最多となった。麻しんは空気感染する極めて感染力の強い感染症で、免疫を持たない人が同じ空間にいれば、ほぼ感染するとされる。発熱、咳、発疹などを来し、肺炎、中耳炎、脳炎などを合併し、重症化すれば死亡することもある。国内は麻しんウイルスが定着していない「排除状態」とされるが、今年の患者の約7割は国内感染とみられ、海外から持ち込まれたウイルスが国内で連鎖している可能性がある。5月5日には埼玉県所沢市のベルーナドームで野球観戦した来場者の麻しん陽性が判明し、ゴールデンウイーク後の拡大が警戒されている。東京都は感染拡大を受け、保健所が接触者と特定した都民のうち、接触から72時間以内で、麻しんの既往がなく、接種歴が不明または1回以下の人を対象に、5月18日から都内8ヵ所の感染症指定医療機関で無料の緊急ワクチン接種を始める。接触後72時間以内の接種により、発症を予防できる可能性があるためだ。厚生労働省も、子どもの定期接種の徹底に加え、乳幼児や渡航者と接する機会の多い職種で未接種者に接種検討を呼びかけている。医療機関での対応も重要になっている。国立国際医療センターでは、病棟勤務の医療従事者2人と外来受診患者1人の麻しん陽性が判明した。職員2人は麻しん含有ワクチンを複数回接種済みで、修飾麻しんでは典型例より症状や感染性が低い傾向があるとされるが、同院は通常の麻しん発生時に準じ、接触者調査、免疫確認、健康観察を実施している。疑い患者には事前連絡を求め、一般患者と動線や診察時間を分け、医療従事者はN95マスクを着用するなど、院内感染対策の徹底が求められる。背景には、世界的なワクチン接種率の低下がある。新型コロナ禍で接種機会が失われ、医療資源もコロナ対応に偏った。麻しん流行国は2024年に59ヵ国と2022年の1.6倍に増え、集団免疫に必要とされる95%以上の接種率を1回目接種で達成した国・地域は、2019年の84から2024年には69に減少した。わが国でも麻しんワクチン1回目の接種率は2024年度に92%と、2008年度以降で最低となった。ワクチン供給の混乱に加え、否定的な印象の拡大も指摘されており、麻しん対策は国内流行への対応にとどまらず、予防接種への信頼回復を含む公衆衛生上の課題となっている。 参考 1) 世界でワクチン離れ、接種率「コロナ前」遠く はしか流行1.6倍の59カ国(日経新聞) 2) 麻疹報告数462例に、過去10年で最多だった2019年同時期に迫る(日経メディカル) 3) はしか感染者 過去10年で最多の2019年に迫るペースで増加(NHK) 4) 東京都 はしか感染拡大で接触者に無料ワクチン接種の緊急対策(同) 5) はしか患者10年で最多の東京都、ワクチン緊急接種の開始を発表…患者との接触者が対象(読売新聞) 6) 当院職員の麻しん発症に関するご報告(国立国際医療センター) 7) 当院受診患者の麻しん発症に関するご報告(同) 5.電子カルテ停止で診療一時停止 市立奈良病院、再発防止へ検証/奈良県奈良市の市立奈良病院で4月に電子カルテなどのシステムに異常が検知され、外来診療や救急受け入れが一時停止した問題で、市は原因究明と再発防止に向け、情報セキュリティーの専門家らによる第三者委員会を設置する方針を明らかにした。病院では4月21日夜、ネットワーク監視装置が異常な通信を検知。電子カルテなどに関係するサーバーをネットワークから切り離したため、電子カルテの入力や閲覧ができなくなった。これを受け、同病院は翌22日から2日間にわたり、救急患者と一般外来患者の新規受け入れを停止した。外来診療や救急搬送の受け入れは4月24日朝から通常通り再開したが、その後も受付、会計、一部診療、診療報酬関連システムなどで復旧作業が続き、業務に遅れが生じていた。奈良市は5月13日午後、残っていたシステムを含め、すべての復旧作業が完了したと発表した。現時点で、異常の原因は明らかになっていない。サイバー攻撃の疑いも含めて検証が必要とされており、市は6月初めごろにも第三者委員会を開き、病院側の分析の妥当性を外部の専門家が確認する。仲川 げん市長は記者会見で、「日常の病院業務がいとも簡単に止まってしまうリスクを今回感じた」と述べ、原因を分析した上で国に報告し、全国の自治体にも事例を共有できるよう取り組む考えを示した。今回の障害は、電子カルテや会計、診療報酬請求など、病院運営の基盤となる情報システムが停止した場合、地域の救急・外来機能にただちに影響が及ぶことを改めて示した。医療機関では、サイバー攻撃対策だけでなく、異常検知後の初動対応、ネットワーク遮断時の診療継続体制、紙運用への切り替え、復旧手順、自治体や国への報告体制などを含めた事業継続計画の実効性が問われている。第三者委員会の検証結果は、自治体病院を含む全国の医療機関にとっても重要な教訓となりそうだ。 参考 1) サイバー攻撃疑いで診療停止の市立奈良病院 原因究明に向け、奈良市が第三者委員会設置へ(産経新聞) 2) 市立奈良病院のシステム障害 完全復旧し原因解明へ(NHK) 3) 電子カルテシステムの大規模障害、市立奈良病院は全てのシステムが復旧したと明らかに…第三者委員会で検証(読売新聞) 6.病院再編に現場反発、4割が退職希望 静岡市立清水病院/静岡県静岡市は、20年連続で赤字が続く市立清水病院について、清水厚生病院との一体的運用と指定管理者制度の導入により、市立病院としての存続を図る方針を示した。開始目標は2027年4月。市立清水病院は463床、29診療科を持つ総合病院だが、稼働病床は291床にとどまる。2025年度の赤字額は29.5億円、赤字率は29.9%に達する見込みで、市は従来型の改善策では再建困難と判断した。背景には、清水区全体の医療需要の縮小がある。市立清水病院のほか、154床の清水厚生病院、159床の清水さくら病院が存在するが、人口減少下で各病院が同じ機能を維持すれば、患者と症例が分散し、医師確保や若手医師育成にも悪影響を及ぼす。市は「共倒れ」を避けるため、清水厚生病院の入院機能を市立清水病院に集約し、約400床規模で一体運用する計画。清水厚生病院は外来診療所として地域医療を継続し、指定管理者の最有力候補には同院を運営するJA静岡厚生連が挙がっている。その一方で、現場の反発は大きい。労働組合のアンケートでは、指定管理導入後も継続勤務を希望する職員は12.0%にとどまり、「退職したい」が41.4%、「悩んでいる」が44.1%を占めた。退職希望の理由は「給与が下がる可能性」が95.5%、「手当がなくなる可能性」が87.2%と、処遇悪化への不安が中心となっている。職員からは、「説明が突然で、行政から見放されたようだ」との声もある。難波 喬司市長は説明不足を認め、職員説明会や個別相談窓口の設置を表明した。市は、指定管理者への転籍に際して数年間の給与水準保障や、市職員としての配置転換も検討する。病院再編は地域医療を守るための選択肢となり得るが、医療提供体制の根幹である職員の納得と定着を欠けば、かえって診療機能の低下を招きかねない。今回の事例は、再編の成否が病床数の最適化だけでなく、雇用不安への対応と現場との合意形成に左右されることを示している。 参考 1) 静岡市、指定管理で赤字病院の存続図る 清水区の市立・公的病院を一体的運用(CB news) 2) 市立病院で職員の4割が「退職したい」 突然の方針表明に「あまりに突然。行政から見放されたような思い」 指定管理者制度の導入で待遇面の悪化を危惧 不十分な説明に怒りと困惑(FNNプライムオンライン) 3) 民営化待遇低下不安視 「退職したい」4割 職員向け説明会へ 静岡市立清水病院(読売新聞) 4) 市立清水病院・清水厚生病院の一体的運営方針発表の静岡市…病院職員反発に市長“説明不足”を謝罪し詳細説明会開催へ(静岡第一テレビ)

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血培で「マジックマッシュルーム」が陽性【Dr. 倉原の“おどろき”医学論文】第306回

血培で「マジックマッシュルーム」が陽性「マジックマッシュルーム」と聞くと、なんとなく危ない薬物、というイメージはあるかもしれません。幻覚作用をもつ成分を含むキノコの俗称で、知覚の変化や幻覚、多幸感、不安、混乱などを引き起こします。つまり、いわゆる“毒キノコ”のように食べたらすぐ重い臓器障害を起こすタイプとは少し違い、主に中枢神経系に作用するキノコです。Giancola NB, et al. A "Trip" to the Intensive Care Unit: An Intravenous Injection of Psilocybin. J Acad Consult Liaison Psychiatry. 2021 May-Jun;62(3):370-371.主人公は30歳男性。背景には双極性障害と静注薬物使用歴があり、処方されていた薬もきちんと飲めていませんでした。本人はオピオイド依存や抑うつを自分で何とかしようとしており、ネット上で見つけた情報をもとに、自己流の“治療”としてマジックマッシュルームを使って「ある方法」を試したようです。ある方法というのは、マジックマッシュルームを「飲んだ」ことではなく、「煮出したキノコ液をそのまま静脈に入れた」ことです。ひぃぃぃぃぃ!!!患者さんはその後、傾眠、黄疸、下痢、悪心、吐血を来し、救急外来を受診した時点で血圧は75/47mmHgまで低下していました。検査では血小板減少、電解質異常、急性腎障害、急性肝障害がみられ、多臓器不全として集中治療室に入室しました。敗血症性ショック、急性呼吸不全、播種性血管内凝固まで合併し、挿管や血漿交換を要しました。血液培養では、細菌だけでなく真菌も検出され、その真菌はPsilocybe cubensis、つまり本人が注射したマジックマッシュルームそのものと同定されました。怖すぎる…。皆さんも、マジックマッシュルームを静注しないように気を付けてください!

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第313回 ハンタウイルス、日本の暗黒史と国内で注意したい場所とは?

INDEXハンタウイルスの最新状況旧日本軍との深いかかわり後に明らかになった2つの国内事例日本のネズミも抗体陽性、注意したい場所とは…ハンタウイルスの最新状況オランダのオーシャン・エクスペディション社が運営しているクルーズ船「MVホンディウス号」でのハンタウイルス(アンデスウイルス)感染騒動は、その後、乗員乗客の大半がスペイン領カナリア諸島で下船し、現在同号は乗員25人と彼らのモニタリングを行う医療者2人を乗せてオランダに向けて航行中である。世界保健機関(WHO)の発表では、13日までに判明している感染者が8例、感染の疑いが2例、検査結果保留(検査機関2ヵ所でそれぞれ陽性と陰性の結果のため)が1例の計11例で、うち死者3例。ちなみに、最初にWHOに状況が報告された時点で既に死亡していた2例は、いずれも疑いに分類されている。WHOは発生状況の分析から、船内でヒト-ヒト感染が起きた可能性を指摘している。前出の数字で単純に致死率を算出するならば27.3%であり、アンデスウイルスに関しては、状況次第ではかなり悲惨な結果となることが改めて示されたといえる。なお、乗客の中に含まれていた日本人1人はイギリスに移送され、現地の医療機関で隔離中。最大で45日間の健康観察下に置かれる予定と報じられている。「45日間」には驚くが、これはアンデスウイルスの潜伏期間が最大6週間であるためだ。WHOは今後、乗員乗客からの追加感染例の発生の可能性に言及しつつも、「下船した人々の隔離、新たな感染疑い例の迅速な隔離、接触者の監視といった現在の対応により、さらなる感染拡大のリスクは抑制されるだろう」との見解を示している。この件では各国が乗客の経過観察にかなり神経をとがらせている現状を考えれば、私見ながら彼らを起点にした各地でのアウトブレイク発生という最悪の状況は避けられるのではないかと予想している。旧日本軍との深いかかわりさて、前回はハンタウイルスの分離・同定がアジアで始まったことや、ウイルスの特性などの概略に触れたが、今回は日本でのハンタウイルス感染症史に触れておきたい。実はハンタウイルスと日本とのかかわりは、ウイルス同定以前の1932年、日本が中国東北部に建国した傀儡国家・旧満州国で始まっている。1938年に同国内の旧ソ連国境に近い孫呉県(現黒竜江省黒河市)付近で流行性出血熱、通称「孫呉熱」が大流行し、1940年代に旧満州国内では旧日本軍兵士を中心に約1万例の患者が発生、死者は約3,000例だったと報告されている。ここで登場するのが、旧日本軍の暗部の1つと言える関東軍防疫給水部(通称731部隊)である。同部は捕虜を使った生体実験という非人道的な活動を行っていた秘密部隊として知られているが、その1つが孫呉熱の研究である。研究の中身は、孫呉熱に感染した日本軍兵士から採取した血液を捕虜に注射して感染確認を行うなど、聞いただけで身の毛もよだつものだ。研究結果の一部は、サルを対象に行った実験と偽装して論文発表もされている。当時、孫呉熱はウイルス感染症の可能性が指摘されたが、ウイルス同定には至っておらず、自然宿主も現地に土着するセスジネズミに寄生するダニが疑われていた。しかし、前回も触れたように、後年、韓国でハンタウイルスの1種であるハンターンウイルスが同定され、過去の臨床記録、疫学記録、病理所見の再検討が行われた結果、孫呉熱がハンタウイルス感染症の1種だったと臨床的に分類されるようになった。後に明らかになった2つの国内事例また、同様に過去に遡ってハンタウイルス感染症と認定されたのが、1960年代に大阪・梅田周辺で起こった通称「梅田熱」である。約10年間にわたって断続的に報告された患者数は119例でうち2例が死亡。後に発症後7~17年経過した患者から採取した血清検体から、ハンタウイルスの1種であるソウルウイルスの抗体が検出された。ちなみにソウルウイルスはドブネズミやクマネズミが自然宿主で、セスジネズミを自然宿主とするハンターンウイルスと比較し、同じ腎症候性出血熱(HFRS)の症状もより軽度といわれている。実際、大阪の事例は単純計算なら致死率1.7%であり、過去の報告での致死率下限が5%のハンターンウイルスよりも低率だ。さらに1970~84年にかけて、ハンタウイルスに汚染された実験ラットを通じたハンタウイルス感染症が全国の研究施設で報告された。報告された患者ほぼ全員に共通していたのが、ラットの飼育やケージ交換、ラットによる動物実験実施に従事していたこと。報告された感染者数は札幌医科大学、東北大学、名古屋市立大学をはじめとした全国21施設で126例に上り、このうち1981年に札幌医科大学の動物飼育担当職員1例が死亡した。時期からわかるように、このケースはハンタウイルス同定時期をまたいでおり、後になって国内の実験用ラットの供給網が全般的にソウルウイルスに汚染されていたことが明らかになった。この事例は特定された微生物や寄生虫が存在しないSpecific Pathogen Free(SPF)実験動物や動物実験施設のバリア化の普及につながる大きな契機になったと言われている。日本のネズミも抗体陽性、注意したい場所とは…これ以降、半世紀超にわたって日本ではハンタウイルス感染症の報告はないが、完全に安全とも言えない。たとえば、1996~98年にかけて全国の18検疫所が港湾地域で行った捕獲ネズミでの調査1)では、ハンタウイルス抗体陽性率は12.9%だった。また、2000~03年に北海道大学のグループが北海道、本州、四国、九州で行ったネズミの捕獲調査2)では、ネズミの種類別の抗体陽性率はアカネズミが1.0%、エゾヤチネズミが3.6%、ドブネズミが1.1%、クマネズミが6.7%。多くはないが、国内にもハンタウイルスは存在するのである。さらにもう1つ、ぎょっとする報告がある。実は1999年に米国・メイヨークリニックのグループが急性・慢性腎炎の約26%は、ハンタウイルス感染が原因の可能性があることを指摘した研究3)を発表した。これを受けて厚生労働省の研究班が、ハンタウイルス抗体陽性のネズミが確認された大阪港・神戸港近隣の大阪府・大阪市・神戸市・広島県・岡山県地域の8施設530例の透析患者に協力を得て、ハンタウイルスの抗体価を調査1)したところ、抗体陽性率は1.5%だったことがわかったのだ。概観すると、極めてまれとは言え、国内でも水面下でハンタウイルス感染症が発生している可能性が高いことになる。繰り返しになるが、むやみやたらと怖がるべきものではないし、恐怖訴求のつもりもないが、ネズミの排せつ物による汚染の可能性がある場所には近づかない、どうしても避けられない場合はマスクや手袋を着用するなどの対策は必要だろう。「ネズミの排せつ物による汚染の可能性がある場所」と聞いてもピンとこない人もいるかもしれないが、たとえば、亡くなった身内が居住し、長らく放置されていた家屋での遺品整理、ネズミが入り込む余地がある屋外の物置やガレージの整理・清掃などは、これに該当する。意外と身近に危険は潜んでいると言えるかもしれない。1)厚生労働科学研究成果データベース:我が国におけるハンタウイルス感染症(腎症候性出血熱)の疫学的検証(中間報告)2)Lokugamage N, et al. Microbiol Immunol. 2004;48:843-851.3)Patnaik M, et al. Am J Kidney Dis. 1999;33:734-737.

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第61回 クルーズ船で広がったハンタウイルス。「アンデスウイルス」の正体と私たちが知っておきたいこと

2026年4月、アルゼンチンを出港したクルーズ船で発生したハンタウイルスの集団感染が、世界中の関心を集めています。WHOによれば、これまでに少なくとも8人が感染し、うち3人が亡くなっています。原因として同定されたのは、南米で知られる「アンデスウイルス」と呼ばれるウイルスでした。この聞き慣れないウイルスは、これまで知られているハンタウイルスの中で唯一、ヒトからヒトへの感染が確認されているという、少し特殊な存在でもあります。今回はその全体像を整理してみたいと思います。ネズミからヒトへ、そしてヒトからヒトへハンタウイルスは、Hantaviridae科Orthohantavirus属に属するRNAウイルスの総称で、世界に40種以上、そのうち22種ほどがヒトに感染することが知られています。共通しているのは、いずれも野生のげっ歯類を自然宿主としている点です。アンデスウイルスの宿主は、南米南部に生息する「コリラルゴ」と呼ばれる小型のネズミで、アルゼンチンとチリのアンデス山脈周辺に広く分布しているそうです。通常の感染ルートは、ネズミの尿・糞・唾液に含まれるウイルスがエアロゾル化し、それをヒトが吸い込むことです。換気の悪い物置や山小屋の掃除など、屋内での曝露がとりわけ危険とされています。典型的には、ネズミに咬まれたり直接触れたりした記憶がなく、知らないうちに吸入してしまっていたケースが大半のようです。ここで重要になるのが、アンデスウイルスだけが備える「ヒト-ヒト感染」の能力です。アルゼンチンで起きた大規模アウトブレイクでは34人が感染し、11人が亡くなりました。家族内、とくに性的パートナー間での感染リスクが、ほかの同居者の十数倍高いことも疫学研究から報告されています。最も感染伝播しやすいのは発症前後の初期段階で、血液・唾液・呼吸器分泌物・尿からウイルスRNAが検出されるため、症状が出る前から感染源になり得るのです。とはいえ伝播には「濃厚かつ長時間の接触」が必要とされており、新型コロナウイルスのように街中で容易に広がるものではないと報告されています。今回のクルーズ船の事例で問題になっているのも、まさに長期航海という限定された空間で乗員乗客が密に過ごしたという特殊な条件です。WHOは濃厚接触者に対して、1潜伏期分にあたる約45日間の健康監視や隔離を勧告しており、複数の国にまたがる追跡調査が現在も進められています1, 2, 3)。風邪のような症状から数時間で急変する「ハンタウイルス心肺症候群」潜伏期間は感染源への曝露から2〜3週間(中央値14〜18日、最長で7週間)と長く、初期の症状はそれほど特徴的ではありません。発熱・悪寒・激しい筋肉痛(とくに大腿や腰背部)、頭痛、悪心、嘔吐、腹痛、下痢といった、いわゆる「胃腸症状を伴うインフルエンザのような」経過をたどります。鼻水や咽頭痛など、上気道の症状をほとんど欠くというのが、いわゆる「風邪」との区別のヒントになります。この「前駆期」は2〜8日ほど続きます。問題はその後です。「ハンタウイルス心肺症候群」と呼ばれるこの病態の本質は、血管内皮の機能不全によるびまん性の毛細血管漏出にあります。ウイルスはβ3インテグリンなどを介して血管内皮細胞や血小板に侵入し、サイトカインの放出と血管透過性の亢進を引き起こします。その結果、肺胞内に大量の血漿成分が漏れ出して非心原性肺水腫を生じ、同時に心筋抑制から心原性ショックに陥ります。乾性咳嗽と呼吸困難の出現を皮切りに、数時間という単位で肺水腫、ショック、不整脈、凝固障害へと急速に進行し、亡くなる方の多くは心肺期に入ってから最初の24時間以内に命を落としてしまいます。検査では、血小板減少、白血球増多と幼若球の出現、免疫芽球の増加、血液濃縮、LDHの上昇といった所見が鋭敏な手がかりになります。確定診断は、ELISAによる血清IgM/IgG抗体検出と、PCRによるウイルスRNA検出で行います。致死率は、アンデスウイルスなどの重症型で30〜50%、軽症型でも10〜30%と非常に高いのが特徴です。生存できた場合でも、倦怠感や息切れが数ヵ月にわたって残ることがあり、急性期を乗り越えても回復には時間がかかると報告されています1, 4)。治療の鍵は「早期搬送」、そして私たちにできる予防策ハンタウイルスに対する特効薬は、残念ながらありません。リバビリンは腎症候性出血熱には有効ですが、心肺症候群に対する効果は複数の臨床試験で否定されています。ステロイドの有用性も示されていません。したがって治療の中心は、集中治療による全身管理になります。人工呼吸器、循環作動薬、そして体外式膜型人工肺(ECMO)を用いた呼吸循環補助が、命を救う鍵を握ります。毛細血管漏出が進む病態のため、敗血症と異なり「輸液は控えめに、昇圧薬は早めに」というのが治療の原則です。実際、ECMOを要する重症例でも救命率は60%を超えると報告されており、「疑った段階で、ECMOが使える施設へ早く搬送する」ことが予後を左右する最重要事項のようです。予防はまず、ネズミとの接触を断つことに尽きますが、アンデスウイルス患者を診る医療従事者には、N95マスク、ゴーグル、ガウン、手袋による空気感染予防策が推奨され、濃厚接触者は1潜伏期分(約45日)の健康監視あるいは隔離が求められます。ワクチンは現時点で承認されておらず、曝露を避けることが唯一の現実解と言ってよいでしょう2, 4, 5)。パンデミックに至るリスクをどう見るかここで気になるのが、「ハンタウイルス、とくにアンデスウイルスがパンデミックを引き起こす可能性はあるのか」という点ではないでしょうか。結論からお伝えすると、現時点でその可能性は低いと考えられています。理由は大きく2つあります。1つ目は感染経路の特性です。ハンタウイルスの主たる感染経路は、あくまでネズミからのエアロゾルです。アンデスウイルスは唯一ヒト-ヒト感染を起こしますが、それも「濃厚かつ長時間の接触」が必要で、咳やくしゃみで広がる新型コロナやインフルエンザのような効率の良い飛沫感染ではありません。実際、基本再生産数(R0)は1前後と推定されており、適切な隔離下であれば速やかに収束しやすい性質を持ちます。2つ目は、「重症度の高さ」そのものが拡大の歯止めになっているという点です。30〜50%という致死率はこのウイルスの恐ろしさを示すものですが、感染者は急速に発症し、短時間で歩行すら困難な状態に陥ります。社会の中を動き回って他人に伝播させるという、パンデミックを成立させる動線がきわめて作りにくいのです。ただし、安心しきってよいわけでもありません。発症前から感染伝播する可能性があること、気候変動や森林伐採で宿主となるネズミの分布が変動していること、そして今回のように長期クルーズや国際移動によって、本来「南米南部の風土病」だったウイルスが思わぬ場所に運ばれ得ること。これらは公衆衛生上の警戒シグナルとして決して軽視できません。今後アンデスウイルスの新たな変異の獲得により、効率的な飛沫感染能を獲得すれば、状況は一変する可能性もないわけではありません。だからこそ、WHO・CDC・各国当局による監視と早期対応が欠かせないでしょう2, 3, 5)。クルーズ船という閉鎖空間で起きた今回のアウトブレイクは、本来「南米の風土病」と思われていたウイルスが、国境を越えて広がり得ることを示す出来事です。日本国内での流行リスクは依然として低いと考えられますが、流行地への渡航歴がある発熱患者さん、とくに筋肉痛と血小板減少を伴う症例では、本疾患を鑑別の片隅に置いておきたいところです。早く疑い、早く動くこと。それが、この致死率の高い感染症と向き合うために大切なアクションです。1)Vial PA, et al. Pathogenesis, epidemiology, and diagnosis of hantavirus infections. UpToDate. 2026 May 8.2)World Health Organization. Disease Outbreak News: Hantavirus cluster linked to cruise ship travel, Multi-country. 2026 May 4.3)Martinez VP, et al. "Super-Spreaders" and Person-to-Person Transmission of Andes Virus in Argentina. N Engl J Med. 2020;383:2230-2241.4)Harkins M, et al. Hantavirus cardiopulmonary syndrome. UpToDate. 2026 May 8.5)Shmerling RH. Hantavirus explained: What to know after the cruise ship outbreak. Harvard Health Publishing. 2026 May 6.

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「MASLD診療ガイドライン」改訂、脂肪肝を全身疾患として再定義/日本消化器病学会

 2026年4月、「MASLD診療ガイドライン」が改訂された1)。2020年に発刊した前版の「NAFLD/NASH診療ガイドライン」から6年ぶりの改訂で、第3版となる。2026年4月16~18日に開催された第112回日本消化器病学会総会では、改訂ポイントを解説するパネルディスカッションが開催された。 今改訂の最大のトピックスは、疾患名の変更とその定義だ。従来、脂肪性肝疾患に用いられてきた「NAFLD(非アルコール性脂肪性肝疾患)」「NASH(非アルコール性脂肪肝炎)」の疾患名は国際的コンセンサスに基づき、2023年に「MASLD(metabolic dysfunction-associated steatotic liver disease)」「MASH(metabolic dysfunction-associated steatohepatitis)」に変更された。日本でも日本消化器病学会・日本肝臓学会がこれに賛同し、2024年8月に「MASLD:代謝機能障害関連脂肪性肝疾患」「MASH:代謝機能障害関連脂肪肝炎」との日本語名を発表している。改訂版ガイドラインでは、これらの新たな疾患名・定義を踏まえた診断・診療体系が提唱された。疾患定義:世界的な名称変更 NAFLDという名称は1980年代に提唱され、その後40年以上にわたり使用されてきた。しかし「non-alcoholic(非アルコール性)」という否定形表現や、「fatty」という言葉が患者へのスティグマにつながるとの指摘が国際的に強まっていた。これを受け、脂肪性肝疾患を「SLD(steatotic liver disease)」という1つの大きな疾患群として捉え直し、そのなかで心代謝系危険因子(CMRF)の有無、飲酒量、その他(薬物、ウイルス、遺伝子など)の要因に応じて疾患を再分類したうえで、その中心的な病態としてMASLDが位置付けられた。従来のNAFLD/NASHとMASLD/MASHの臨床像や診断アルゴリズムはおおむね一致しており、従来のエビデンスは引き続き活用される。診断フローチャート:新たに「MetALD」を設定 新たな疾患分類では、SLDを認めた患者に対し、まず、CMRFの有無を評価する。ガイドラインではCMRFとして 1)肥満:BMI≧23kg/m2 or 腹囲男性>94cm・女性>80cm 2)血糖:空腹時≧100mg/dL or 食後2時間≧140mg/dL or HbA1c≧5.7% or 2型糖尿病 or その治療 3)血圧:収縮期≧130mmHg or 拡張期≧85mmHg or 降圧薬内服 4)中性脂肪:≧150mg/dL or 脂質異常症治療薬内服 5)HDL:男性≦40mg/dL、女性≦50mg/dL or 脂質異常症治療薬内服の5項目を採用している。これらのリスク因子が1つ以上あり、かつ飲酒量が基準未満(純エタノール量:男性30g/日未満・女性20g/日未満)であればMASLDと診断される。 今回のガイドラインでは、新たな疾患カテゴリとして、CMRFが1つ以上の中等量飲酒例(男性30~60g/日・女性20~50g/日)を「MetALD(代謝機能障害アルコール関連肝疾患)」として独立して規定した。これを超える飲酒量であれば「ALD(アルコール関連肝疾患)」となる。MetALDは従来ではNAFLDから除外されていた群だが、近年、代謝異常とアルコール双方が病態進展に関与すると示されたことを背景に設定され、MASLDよりも肝関連イベントリスクが高いことが報告されている。さらに心血管イベントも増加するとの報告もあることがFRQで示され(FRQ1-1)、今後はこれらの病態に応じた治療法やサーベイランス法の開発が重要となる。診断:肝生検が「必須」から外れる BQ4-1 MASLDの診断に肝生検は必須か? MASLDの診断に肝生検は必須ではない。 今回の改訂で大きな変更点が、確定診断にあたって「肝生検は必須ではない」とされた点だ。これは近年のNIT(非侵襲的検査)の発達によるもので、NITには血液検査による肝線維化マーカー、年齢と検査値を組み合わせたスコアリングシステム(FIB-4 indexなど)、画像検査、そしてこれらの組み合わせがあり、非侵襲的かつ繰り返し評価できることが大きなメリットとなる。とくに複数の線維化マーカーが保険収載されているのは世界中で日本だけであり、この点に関するエビデンスを蓄積することも求められている。一方、肝生検を必要とするケースも依然として存在しており、高リスクMASHの確定診断、炎症の程度の把握が必要なケース、複数のNITの不一致例などが挙げられている。 今回、診断フローチャートのほかに「肝疾患高リスク症例の絞り込み・フォローアップのフローチャート」が作成された。これはNITと肝生検を組み合わせて高リスク症例を絞り込む手順と、その検査や重症度別の患者のフォローアップをかかりつけ医と専門医でどう分担すべきか、という2軸のマトリクスからなる。NITを使った2段階のハイリスク症例の絞り込み、2次リスク評価で使用できるNITのリストアップ、肝生検・超音波エラストグラフィ・MRエラストグラフィによる最終評価と治療方針の決定、その後のリスクに応じたフォローアップ体制など、診断の全体像と医師の役割分担の提唱が可視化されている。非専門医が押さえるべきポイント・従来、「飲酒歴を確認し、ウイルス性肝炎、アルコール性肝障害を除外した残り」としてNAFLDを診断していたが、MASLDにおいてはBMI、糖代謝異常、高血圧、脂質異常症などのCMRFの確認が診断プロセスの中心となる。・飲酒評価の重要性も増した。とくにMetALD概念の導入により、「少量飲酒であれば問題ない」と一律に扱うことは難しくなった。ガイドラインではMASLDを男性30g/日未満、女性20g/日未満、MetALDを男性30~60g/日、女性20~50g/日の飲酒群として整理しているが、実際にはMASLD基準内の少量飲酒でも線維化リスク上昇が報告されており、診療現場では飲酒量を細かく聴取することが重要になる。・「MASLD患者の消化器科へのコンサルテーション基準は?」という設問(BQ4-2)に対しては、「FIB-4 index>2.67(65歳以下の場合)」の高リスク群を紹介基準とし、同1.3~2.67の中間リスク群でも「血小板数<20万/μL」「AST値・ALT値が持続高値」「画像検査で肝硬変の所見を認める」場合には紹介が望ましいとされている。全身疾患としてのMASLD MASLDは多くの疾患と関連するが、診断基準となるCMRF関連4疾患である「2型糖尿病、脂質異常症、肥満、高血圧」についてはBQが設定され、相互補完関係にあることが示されている(BQ3-1~3-4)。さらに、慢性腎障害、内分泌異常、睡眠時無呼吸症候群など、多様な合併症との関連も整理された(BQ3-5、3-6)。また、肝臓以外の悪性腫瘍リスク上昇についても大腸がんを中心に、胃がん、食道がん、婦人科がんとの関連が解説された(BQ3-7)。中でも心血管疾患はMASLD患者の主要死因の1つであり、大規模メタ解析では、MASLD患者の心不全新規発症リスクは一般人口の約1.5倍と報告されている。一方で、肝線維化が心血管リスクを上昇させる独立した因子であるかについては現時点ではまだ明確ではなく、今後探索していくべき課題とされた(FRQ3-1、3-2)。 治療面では、生活習慣介入が中心である点は従来と変わらないが、「単純性脂肪肝だから経過観察のみ」という従来型対応は見直されつつある。肥満、糖尿病の合併例、線維化進展を伴う例では、早期から積極的介入を行う方向性がより明確になっている。GLP-1受容体作動薬やSGLT2阻害薬など代謝改善薬への期待も高まっており、今後の承認に向けての動きやエビデンス蓄積が注目される。

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ある種の抗うつ薬がLong-COVIDの疲労改善に有効か

 抗うつ薬の一種が、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)罹患後に持続する疲労の改善に有効な可能性が報告された。マクマスター大学(カナダ)のEdward Mills氏らの研究によるもので、詳細は「Annals of Internal Medicine」に3月31日掲載された。同時に評価された血糖降下薬のメトホルミンに関しては、有効性が示されなかったという。 COVID-19の急性期以降にさまざまな症状が遷延化する、いわゆる「Long COVID」は、いまだ世界中の多くの人の生活の質(QOL)を低下させている。特に疲労は、最も一般的で生活機能に大きな影響を及ぼす症状とされる。Long COVIDの治療手段としてこれまでに、抗うつ薬のフルボキサミンと血糖降下薬のメトホルミンが有効な可能性が、観察研究などで示唆されている。ただし、ランダム化比較試験(RCT)による確固たるエビデンスは確立されていない。これを背景にMills氏らは、Long COVIDに伴う代表的な症状である疲労に焦点を当てRCTを実施した。 研究参加者は、ブラジル国内の医療機関の外来患者のうち、新型コロナウイルスに感染後90日以上経過しても疲労が持続している成人399人だった。フルボキサミン群、メトホルミン群、およびプラセボ群の3群にランダムに割り付けて、各薬剤を60日間投与した。 その結果、フルボキサミン群では、60日後の疲労がプラセボ群より改善しており(疲労重症度尺度〔FSS〕の平均差-0.43〔95%信用区間-0.80~-0.07〕)、優越性の事後確率(プラセボより優れている可能性)は99.0%と計算された。また90日後にもその効果が持続しており(同-0.58〔-0.98~-0.16〕)、優越性の事後確率は99.7%と計算された。 一方、メトホルミンに関しては、60日後のFSSの平均差が-0.03(-0.42~0.37)で優越性の事後確率が56.0%、90日後は-0.04(-0.47~0.38)で同57.8%であり、プラセボとの差が示されなかった。なお、フルボキサミン群の有害事象の発生率は20.0%であり、メトホルミン群の28.8%やプラセボ群の29.7%より低かった。 論文の上席著者であるMills氏は、「本研究はエビデンスに基づく治療法につながる重要な前進だ。フルボキサミンとメトホルミンは、どちらも比較的安価で入手しやすく、かつLong COVIDによる疲労に有効な可能性が報告されていたが、その有効性の検証を目的とした厳格な臨床試験はこれまで行われていなかった」と述べている。 また、論文の責任著者であるブリティッシュコロンビア大学(カナダ)のJamie Forrest氏は、「今回の試験結果はLong COVIDに伴う疲労を軽減する薬物治療に関する初めての有力なエビデンスと言える。患者は今すぐに試すことのできる薬剤を求めており、われわれの発見によってその実現に近づいた」としている。 なお、研究者らは、フルボキサミンが最も有効と考えられる患者の特徴を明らかにすること、および、疲労改善のメカニズムを理解するために、今後のさらなる研究の必要性を強調している。

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薬剤性過敏症症候群〔DIHS:drug-induced hypersensitivity syndrome〕

1 疾患概要■ 概念・定義薬剤性過敏症症候群(drug-induced hypersensitivity syndrome:DIHS)は、発熱と多臓器障害を伴う重症型薬疹の1つである。抗けいれん薬など特定の薬剤を内服開始後、遅発性に発症し、原因薬剤を中止しても症状の再燃や遷延化がみられることが特徴である。多くの場合、発症後3週間前後でヒトヘルペスウイルス6(HHV-6)に代表されるヘルペスウイルスの再活性化を伴うことから、薬剤アレルギーとヘルペスウイルス感染症が複合して生じる新たな病態として認識されている(図1)。DIHSのもう1つの特徴として、回復期に1型糖尿病や慢性甲状腺炎などの自己免疫疾患を発症することが知られている。なお、欧米を中心にDRESS(drug reaction with eosinophilia and systemic symptoms)という疾患概念が用いられるが、DRESSの診断基準にはヘルペスウイルスの再活性化については言及されておらず、DIHSよりも広い範囲の薬疹が含まれる。図1 DIHSの病態の仮説■ 疫学2021年の全国調査によれば、年間受療患者数は人口100万人当たり2.82人と推計されている。男女比は1:1で、発症年齢は40~60代(中央値58歳)が最多である。原因薬剤は比較的限定的であり、カルバマゼピン、ラモトリギン、フェニトイン、フェノバルビタール、ゾニサミドなどの抗てんかん薬のほか、アロプリノール、ジアフェニルスルホン、サラゾスルファピリジン、メキシレチンなどが代表的である。DIHSの致死率は約10%程度と高く、死因の多くはサイトメガロウイルス(CMV)肺炎やニューモシスチス肺炎などの感染症である。■ 病因本症は、原因薬剤を通常2~6週間(平均1ヵ月)内服した後に発症する。病態は、T細胞を主体とする薬物アレルギー反応とヘルペスウイルスの再活性化が中心である。急性期にはTARC/CCL17の著明な上昇や好酸球増多に象徴されるTh2反応の亢進がみられる。また、急性期には制御性T細胞(Treg)の増加がみられるが、経過中にその機能やバランスが崩れることが、ウイルス再活性化や後遺症としての自己免疫疾患発症に関与すると考えられている。さらに、急性期には末梢血のCD4陽性T細胞表面にHHV-6の受容体であるCD134/OX40の発現が亢進しており、これがウイルスの効率的な感染拡大を許容する一因である可能性が示唆されている。■ 症状初期症状として発熱、頸部リンパ節腫脹、顔面や躯幹の紅斑が生じる。皮疹は播種状紅斑丘疹型や多形紅斑型で始まり、急速に拡大してしばしば紅皮症状態に移行する(図2)。特徴的な顔貌として、顔面の浮腫を伴う紅斑、眼周囲の蒼白、鼻孔・口周囲に鱗屑・痂皮を伴う丘疹や小膿疱がみられる(図3)。肝機能障害や腎機能障害などの内臓病変や、異型リンパ球の出現、好酸球増多、白血球増多などの血液学的異常を伴う。図2 DIHSにおける紅皮症状態画像を拡大する図3 DIHSに特徴的な顔貌■ 予後原因薬剤を中止しても皮疹や臓器障害が遷延し、経過中に再燃を繰り返す。発症3~5週間前後にCMVの再活性化が生じ、肺炎、腸炎、消化管出血、肝障害などの致死的な合併症を引き起こすことがある。また、DIHSの症状が軽快した数ヵ月から数年後に、橋本病、劇症1型糖尿病、円形脱毛症、白斑などの自己免疫疾患を発症することがあり、長期的な経過観察が必要である。2 診断診断は、厚生労働省研究班による診断基準(2005年)(表)に基づいて行う。表 薬剤性過敏症症候群(DIHS)診断基準(2005)■ 概念高熱と臓器障害を伴う薬疹で、薬剤中止後も遷延化する。多くの場合、発症2~3週間後にHHV-6の再活性化を生じる。■ 主要所見1. 限られた薬剤投与後に遅発性に生じ、急速に拡大する紅斑、多くの場合紅皮症に移行する。2. 原因薬剤中止後も2週間以上遷延する。3. 38℃以上の発熱4. 肝機能障害5. 血液学的異常:a、b、cのうち1つ以上a. 白血球増多(11,000/mm3以上)b. 異型リンパ球の出現(5%以上)c. 好酸球増多(1,500/mm3以上)6. リンパ節腫脹7. HHV-6の再活性化典型DIHS1~7すべて非典型DIHS1~5すべて、ただし4に関しては、その他の重篤な臓器障害をもって代えることができる。■ 参考所見1. 原因医薬品は、抗けいれん薬、ジアフェニルスルホン、サラゾスルファピリジン、アロプリノール、ミノサイクリン、メキシレチンであることが多く、発症までの内服期間は2~6週間が多い。2. 皮疹は、初期には紅斑丘疹型、多形紅斑型で、後に紅皮症に移行することがある。顔面の浮腫、口囲の紅色丘疹、膿疱、小水疱、鱗屑は特徴的である。粘膜には発赤、点状紫斑、軽度のびらんがみられることがある。3. 臨床症状の再燃がしばしばみられる。4. HHV-6の再活性化は、(1)ペア血清でHHV-6 IgG抗体価が4倍(2管)以上の上昇、(2)血清(血漿)中のHHV-6 DNAの検出、(3)末梢血単核球あるいは全血中の明らかなHHV-6 DNAの増加のいずれかにより判断する。ペア血清は発症後14日以内と28日以降(21日以降で可能な場合も多い)の2点で確認するのが確実である。5. HHV-6以外に、サイトメガロウイルス、HHV-7、EBウイルスの再活性化も認められる。6. 多臓器障害として、腎障害、糖尿病、脳炎、肺炎、甲状腺炎、心筋炎も生じうる。■ 早期診断の補助検査診断基準項目に「中止後2週間以上の症状の遷延」や「発症2~3週間後のHHV-6再活性化」が含まれるため、発症早期の確定診断は困難である。早期にDIHSを疑う指標として、急性期の血清TARC値の測定が有用であり(4,000pg/mL以上で疑う)、2023年に「DIHS/DRESSの診断の補助」としての保険適用が追加された。■ 鑑別診断と原因薬剤の特定通常の薬疹や、麻しん・風しんなどのウイルス性発疹症との鑑別を要する。DIHSを疑う臨床的ポイントとして、原因薬剤が比較的限られていることから、詳細な薬剤内服歴(2~6週間の服用歴)の聴取が不可欠である。また、原因薬剤中止後も皮疹や臓器障害が遷延・悪化することも、他の薬疹との重要な鑑別点となる。特有の顔貌(図3)や、皮疹が急速に紅皮症化する経過(図2)も診断の有力な手掛かりとなる。HHV-6の再活性化は、一般に末梢血液中のHHV-6 DNAの定量(リアルタイムPCR法)によって判断するが、現時点では保険適用外の検査である。被疑薬の特定には、薬剤添加リンパ球刺激試験(DLST)やパッチテストが有用である。ただし、DLSTは発症早期には偽陰性となりやすく、発症後5週目以降の回復期に実施する必要がある。なお、重症化リスクを考慮し、薬剤の再投与試験(誘発試験)は行わない。3 治療■ 治療の実際DIHSを疑った場合は、第一に被疑薬を中止し、原則として入院加療とする。病初期に起こる全身症状と臓器障害の寛解を目指し、副腎皮質ステロイドの全身投与が治療の基本となる。中等~高用量(プレドニゾロン換算0.5~1mg/kg/日)で開始し、症状が十分に改善するまで(通常7~14日間)維持する。その後は、症状をみながら1~2週間ごとに5~10mg/日ずつ緩徐に漸減する。急激なステロイドの減量は、免疫再構築症候群を招きCMV感染症を顕在化させるリスクがあるため避けるべきである。臓器病変を伴わない軽症例に対しては、ステロイド全身投与を行わず、局所ステロイド外用や補液などの支持療法(supportive therapy)で経過観察することもある。ステロイドパルス療法は、CMVの再活性化や自己免疫疾患の発症に関与するとの否定的見解が主流であり、重篤な臓器障害への進展など特殊な状況に限り検討される。■ CMV感染症への対応発症3~5週前後にCMVが再活性化し、ステロイドの減量を契機として突然、肺炎や消化管出血などの致死的合併症を発症することがある。経過中は常にCMVのモニタリングを行い、顕性感染症を認めた場合には、抗ウイルス薬(ガンシクロビル)の投与による積極的な介入を行う。■ 多剤感作への配慮DIHSの経過中は多剤感作を引き起こしやすいため、解熱や感染予防目的での非ステロイド性抗炎症薬(NSAIDs)や抗菌薬の新たな投与は可能な限り避けるべきである。4 今後の展望DIHSの病態については、HHV-6やCMV再活性化の病態への関与について多くの知見が得られてきたものの、依然として未解明な点が残されている。とくに、最適なステロイド減量プロトコールの確立は急務であり、大規模な症例レジストリに基づくエビデンスの蓄積と治療指針の更新が期待される。また、回復期に発症する自己免疫疾患などの遅発性合併症は、患者の長期予後を左右する重要な課題である。今後は、これらの合併症を予測するバイオマーカーの同定や、その発症を制御する新たな介入法の開発が望まれる。5 主たる診療科皮膚科(重篤な臓器障害を伴うため、十分な検査と全身管理を行える施設への早期のコンサルテーションが重要である)。6 参考になるサイト診療、研究に関する情報薬剤性過敏症症候群診療ガイドライン 2023(日本皮膚科学会/重症多形滲出性紅斑に関する厚労省調査研究班)(一般利用者向けと医療従事者向けのまとまった情報)重篤副作用疾患別対応マニュアル(厚生労働省)(一般利用者向けと医療従事者向けのまとまった情報)医薬品副作用被害救済制度(独立行政法人 医薬品医療機器総合機構)  (一般利用者向けと医療従事者向けのまとまった情報)公開履歴初回2026年5月12日

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薬剤耐性菌の防御システムを乗り越える「ファージ」の仕組みを解明/JIHS

 薬剤耐性菌は世界的に深刻な脅威となっている。対策の1つとして注目されているのが、細菌に感染して溶菌させるウイルス(バクテリオファージ、以下ファージ)だ。国立健康危機管理研究機構(JIHS)/国立感染症研究所の千原 康太郎氏、氣駕 恒太朗氏らは、ファージが細菌の防御システムを回避して原因菌を破壊する仕組みを明らかにした。その詳細をJIHS開催の記者ブリーフィングで紹介している。薬剤耐性菌対策に期待されるファージ療法 薬剤耐性菌による感染症は全世界で急速に増加している。2025~50年における薬剤耐性菌を直接原因とする累積死者数は3,900万人以上、関連死者数は1億6,900万人以上に上ると推定される1)。 ファージは細菌に対して高い特異性を持って感染し、内部で増殖することで溶菌する。ファージ療法の研究は抗菌薬以外の新たな治療として進んでいる。欧州の多施設後ろ向き観察研究では、標準治療抵抗性の感染症100例に対して、臨床的改善77%、除菌率61%という成績が報告されている2)。 一方で、細菌は多様な防御システムでファージの感染を強力に阻止する。ファージはピンポイントで細菌を狙う。そのため、有効なファージを選ぶには、さまざまな原因菌の防御機構をファージがどのように突破するかを分子レベルで理解することが不可欠である。細菌の防御システムを乗り越えるファージの機能 同研究チームは大腸菌T6ファージに注目し、細菌の防御機能の回避メカニズムを調査した。実験ではファージの防御システムであるSeptuを有する大腸菌に感染できるT6ファージの株を分離してゲノムを解析している※。※Septuが存在しているため通常ファージは感染できないが、その中から感染したファージを抽出して解析。 SeptuはチロシンtRNA(tRNA-Tyr)を切断してファージの増殖を妨げる。解析の結果、Septuを回避するT6ファージはtRNA-Tyrを含む遺伝子領域が増幅していることが明らかになった。言い換えれば、防御機能で減少したtRNA-Tyrを補うことで、ファージ感染を成立させていることになる。 ファージが細菌の防御機能を突破するためには、DNA切断酵素SegBが重要であることも明らかになった。SegBは前出のSeptu以外の防御システム(OLD、ToxIN)に対しても、それぞれに対応した関連遺伝子領域を増幅させる。すなわち、SegBはそれぞれの防御システムに対応し、乗り越えているのだ。 防御システムの回避機構が明らかになったことで、細菌とファージのマッチングが実現しやすくなっていくであろう。この研究は「抗菌薬の使用削減、薬剤耐性菌の克服につながる成果」と氣駕氏は結んだ。 この研究結果はNature Communications誌2026年4月20日号(オンライン版)に掲載されている。

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麻疹・風疹の違いは?

麻疹・風疹の違いは?麻疹(はしか)風疹(3日はしか)原因ウイルス 麻疹ウイルス(Paramyxovirus科Morbillivirus属)風疹ウイルス(Togavirus科Rubivirus属)感染経路空気感染、飛沫感染、接触感染感染力が非常に強い飛沫感染感染力が強い潜伏期間10~12日間14~21日間症状発熱(38℃前後、発疹期は39.5℃以上)、上気道炎症状(せき、鼻みず、のどの痛み)、結膜炎症状(結膜充血、目やに、まぶしさ)、消化器症状(下痢、腹痛)、発疹、コプリック斑(口腔内の白色の小斑点)など発熱(約半数)、発疹、リンパ節の腫れが3つの特徴的な症状とされる関節炎が出る場合もある(成人の5~30%)麻疹より症状は軽く、無症状が15~30%注意が必要な合併症肺炎、脳炎、亜急性硬化性全脳炎(麻疹の二大死因は肺炎と脳炎)中耳炎、クループ症候群(喉頭炎、喉頭気管支炎など)、心筋炎など先天性風疹症候群(妊娠20週までの妊婦さんが感染すると、生まれた子が発症して、先天異常など、さまざまな症状があらわれる)血小板減少性紫斑病、急性脳炎分類(1人の感染者が12~17人感染させる)(1人の感染者が5~7人感染させる)5類感染症国立感染症研究所. 風疹とは(https://www.niid.go.jp/niid/ja/kansennohanashi/430-rubella-intro.html)国立感染症研究所. 麻疹とは(https://www.niid.go.jp/niid/ja/kansennohanashi/518-measles.html)より作成Copyright © 2026 CareNet,Inc. All rights reserved.麻疹・風疹の発生状況(2026年4月30日現在)麻疹(例)(例)3,0003,0002,5002,5002,0002,0001,5001,5001,000風疹2,9412,2981,000744※5000165 18627910 66 28 45265436500126 910年101※12 15 12 9 11 1年※:第17週(2026年4月30日現在)の速報値国立感染症研究所. 感染症発生動向調査(IDWR):2026年4月30日現在(https://id-info.jihs.go.jp/surveillance/idwr/diseases/measles/graph/index.html)(https://id-info.jihs.go.jp/surveillance/idwr/diseases/rubella/graph/index.html)より作成Copyright © 2026 CareNet,Inc. All rights reserved.

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ハンタウイルスとは

ハンタウイルスとは?患者さんからの質問に答える(2026年5月7日時点)出典:WHO:Hantavirus(https://www.who.int/news-room/fact-sheets/detail/hantavirus)CDC:About Hantavirus(https://www.cdc.gov/hantavirus/about/index.html)ECDC:Hantavirus infection(https://www.ecdc.europa.eu/en/hantavirus-infection)日本感染症学会:ハンタウイルス肺症候群(https://www.kansensho.or.jp/ref/d65.html)日本感染症学会:腎症候性出血熱(https://www.kansensho.or.jp/ref/d35.html)厚生労働省検疫所 FORTH:感染症情報(https://www.forth.go.jp/moreinfo/topics/infectious_disease_name.html)Copyright © 2026 CareNet,Inc. All rights reserved.Q.ハンタウイルスとは?⚫ ハンタウイルスとは、ブニヤウイルス科のハンタウイルス属の総称。⚫ 南北アメリカ大陸(カナダ、米国、アルゼンチン、チリ、パラグアイ、ボリビア、ペルー)でさまざまなウイルス種が特定されているが、いずれも特定のげっ歯類を宿主とする。⚫ ハンタウイルス肺症候群(HPS)と腎症候性出血熱(HFRS)を引き起こす。⚫ HFRSの原因ウイルスは1976年に韓国で同定・分離され、HPSは1993年に米国南西部の砂漠地帯で発生し、初報告された。出典:WHO:Hantavirus(https://www.who.int/news-room/fact-sheets/detail/hantavirus)CDC:About Hantavirus(https://www.cdc.gov/hantavirus/about/index.html)ECDC:Hantavirus infection(https://www.ecdc.europa.eu/en/hantavirus-infection)日本感染症学会:ハンタウイルス肺症候群(https://www.kansensho.or.jp/ref/d65.html)日本感染症学会:腎症候性出血熱(https://www.kansensho.or.jp/ref/d35.html)厚生労働省検疫所 FORTH:感染症情報(https://www.forth.go.jp/moreinfo/topics/infectious_disease_name.html)Copyright © 2026 CareNet,Inc. All rights reserved.Q.感染経路は?⚫ 自然宿主であるネズミの排泄物(糞、尿、唾液)の吸入により感染するが、汚染された巣材や物品を直接触る、汚染された食事を飲食する、感染したネズミに咬まれる/引っかかれるなどで感染する。⚫ 基本的にヒトからヒトへの感染はまれだが、例外的にハンタウイルスの一種のアンデスウイルスによるヒト-ヒト感染事例が報告されている。出典:WHO:Hantavirus(https://www.who.int/news-room/fact-sheets/detail/hantavirus)CDC:About Hantavirus(https://www.cdc.gov/hantavirus/about/index.html)ECDC:Hantavirus infection(https://www.ecdc.europa.eu/en/hantavirus-infection)日本感染症学会:ハンタウイルス肺症候群(https://www.kansensho.or.jp/ref/d65.html)日本感染症学会:腎症候性出血熱(https://www.kansensho.or.jp/ref/d35.html)厚生労働省検疫所 FORTH:感染症情報(https://www.forth.go.jp/moreinfo/topics/infectious_disease_name.html)Copyright © 2026 CareNet,Inc. All rights reserved.Q.流行地は?⚫ 世界全体では、毎年1万~10万人以上の感染が発生していると推定されている。⚫ 欧州では、ハンタウイルス属プーマラウイルスが流行している北部および中部地域を中心に、毎年数千例が報告されている。⚫ 南米諸国(アルゼンチン、ブラジル、チリ、パラグアイなど)では、発生率は米国に比べて低いが、ハンタウイルス肺症候群(HPS)による致死率は米国よりも高いとされる。出典:WHO:Hantavirus(https://www.who.int/news-room/fact-sheets/detail/hantavirus)CDC:About Hantavirus(https://www.cdc.gov/hantavirus/about/index.html)ECDC:Hantavirus infection(https://www.ecdc.europa.eu/en/hantavirus-infection)日本感染症学会:ハンタウイルス肺症候群(https://www.kansensho.or.jp/ref/d65.html)日本感染症学会:腎症候性出血熱(https://www.kansensho.or.jp/ref/d35.html)厚生労働省検疫所 FORTH:感染症情報(https://www.forth.go.jp/moreinfo/topics/infectious_disease_name.html)Copyright © 2026 CareNet,Inc. All rights reserved.Q.症状は?(1)⚫ ハンタウイルスの潜伏期間は1~5週間程度(通常約2週間)とされ、症状は感染後1~8週間で出現するとされる。⚫ ハンタウイルス肺症候群(HPS)の主な初期症状には、倦怠感、発熱、筋肉痛(とくに太もも、腰、背中)があり、頭痛、めまい、悪寒、消化器症状(腹痛、吐き気、嘔吐、下痢)などを呈する。⚫ HPSの場合、発症初期から4~10日後に咳、息切れ、肺への体液貯留、ショックなどの症状が急速に進行する可能性がある。出典:WHO:Hantavirus(https://www.who.int/news-room/fact-sheets/detail/hantavirus)CDC:About Hantavirus(https://www.cdc.gov/hantavirus/about/index.html)ECDC:Hantavirus infection(https://www.ecdc.europa.eu/en/hantavirus-infection)日本感染症学会:ハンタウイルス肺症候群(https://www.kansensho.or.jp/ref/d65.html)日本感染症学会:腎症候性出血熱(https://www.kansensho.or.jp/ref/d35.html)厚生労働省検疫所 FORTH:感染症情報(https://www.forth.go.jp/moreinfo/topics/infectious_disease_name.html)Copyright © 2026 CareNet,Inc. All rights reserved.Q.症状は?(2)⚫ ハンタウイルスによる腎症候性出血熱(HFRS)は通常、感染後1~2週間以内に出現するが、まれに症状出現までに8週間かかる場合もある。⚫ HFRSの主な初期症状は、頭痛、背中や腹部の痛み、発熱、悪寒、吐き気、顔面紅潮、目の炎症や充血、発疹などの出血症状など。⚫ HFRSの重症例は、有熱期、低血圧・急性ショック期(4~10日)、乏尿期(尿量減少、8~13日)、利尿期(尿量増加、20~28日)、回復期に分けられ、内出血、急性腎不全などがみられることがある。出典:WHO:Hantavirus(https://www.who.int/news-room/fact-sheets/detail/hantavirus)CDC:About Hantavirus(https://www.cdc.gov/hantavirus/about/index.html)ECDC:Hantavirus infection(https://www.ecdc.europa.eu/en/hantavirus-infection)日本感染症学会:ハンタウイルス肺症候群(https://www.kansensho.or.jp/ref/d65.html)日本感染症学会:腎症候性出血熱(https://www.kansensho.or.jp/ref/d35.html)厚生労働省検疫所 FORTH:感染症情報(https://www.forth.go.jp/moreinfo/topics/infectious_disease_name.html)Copyright © 2026 CareNet,Inc. All rights reserved.Q.予後は?⚫ ハンタウイルス肺症候群(HPS)の致死率は40%程度**国内の発生例や輸入例の報告はない⚫ 腎症候性出血熱(HFRS)の致死率は、原因となるウイルスにより異なる**ため、1%未満から最大15%と言われている。**ハンタウイルスの一種であるプーマラウイルス、ハンターンウイルスなども原因となる出典:WHO:Hantavirus(https://www.who.int/news-room/fact-sheets/detail/hantavirus)CDC:About Hantavirus(https://www.cdc.gov/hantavirus/about/index.html)ECDC:Hantavirus infection(https://www.ecdc.europa.eu/en/hantavirus-infection)日本感染症学会:ハンタウイルス肺症候群(https://www.kansensho.or.jp/ref/d65.html)日本感染症学会:腎症候性出血熱(https://www.kansensho.or.jp/ref/d35.html)厚生労働省検疫所 FORTH:感染症情報(https://www.forth.go.jp/moreinfo/topics/infectious_disease_name.html)Copyright © 2026 CareNet,Inc. All rights reserved.Q.診断方法、届け出は?⚫ 初期症状が類似する疾患(インフルエンザ、COVID-19、ウイルス性肺炎、レプトスピラ症、デング熱、敗血症)との鑑別が必要になる。⚫ 渡航歴、接触歴、臨床像などから本疾患を疑った場合には、行政検査が依頼される。⚫ 血液、肺組織からウイルスの分離・同定による病原体の検出、PCR法による病原体遺伝子の検出、血清学的検査が行われる。⚫ 感染症法で4類感染症に指定されており、診断した医師はただちに最寄りの保健所に届け出を行う。出典:WHO:Hantavirus(https://www.who.int/news-room/fact-sheets/detail/hantavirus)CDC:About Hantavirus(https://www.cdc.gov/hantavirus/about/index.html)ECDC:Hantavirus infection(https://www.ecdc.europa.eu/en/hantavirus-infection)日本感染症学会:ハンタウイルス肺症候群(https://www.kansensho.or.jp/ref/d65.html)日本感染症学会:腎症候性出血熱(https://www.kansensho.or.jp/ref/d35.html)厚生労働省検疫所 FORTH:感染症情報(https://www.forth.go.jp/moreinfo/topics/infectious_disease_name.html)Copyright © 2026 CareNet,Inc. All rights reserved.Q.治療方法は?⚫ 対症療法(安静、水分補給、症状に対する治療)が行われる。⚫ 早期の集中治療管理(とくに肺浮腫、低酸素血症、低血圧に対する治療)が重要である。また、HFRSの場合は血液透析が必要になることもある。⚫ 現時点でハンタウイルスに対する特異的な抗ウイルス治療薬やワクチンは存在しない。出典:WHO:Hantavirus(https://www.who.int/news-room/fact-sheets/detail/hantavirus)CDC:About Hantavirus(https://www.cdc.gov/hantavirus/about/index.html)ECDC:Hantavirus infection(https://www.ecdc.europa.eu/en/hantavirus-infection)日本感染症学会:ハンタウイルス肺症候群(https://www.kansensho.or.jp/ref/d65.html)日本感染症学会:腎症候性出血熱(https://www.kansensho.or.jp/ref/d35.html)厚生労働省検疫所 FORTH:感染症情報(https://www.forth.go.jp/moreinfo/topics/infectious_disease_name.html)Copyright © 2026 CareNet,Inc. All rights reserved.Q.予防・感染対策は?⚫ 流行地域では、げっ歯類との接触を避け、とくにネズミの尿、糞、唾液、巣材への接触を避ける。⚫ ネズミの糞を片付ける際には、清掃前に汚染部分を漂白剤で十分に湿らせ、その後ペーパータオルなどで拭き取り、ごみ袋に入れて廃棄する。乾拭きしたり、掃除機で吸い取ったりすることは避ける。⚫ ネズミが建物に侵入できる開口部を塞いだり、食品を安全に保管するために、容器に蓋をして管理する。出典:WHO:Hantavirus(https://www.who.int/news-room/fact-sheets/detail/hantavirus)CDC:About Hantavirus(https://www.cdc.gov/hantavirus/about/index.html)ECDC:Hantavirus infection(https://www.ecdc.europa.eu/en/hantavirus-infection)日本感染症学会:ハンタウイルス肺症候群(https://www.kansensho.or.jp/ref/d65.html)日本感染症学会:腎症候性出血熱(https://www.kansensho.or.jp/ref/d35.html)厚生労働省検疫所 FORTH:感染症情報(https://www.forth.go.jp/moreinfo/topics/infectious_disease_name.html)Copyright © 2026 CareNet,Inc. All rights reserved.

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