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移植患者に対するワクチン接種/日本造血・免疫細胞療法学会

 造血幹細胞移植後の患者において、ワクチン接種は感染症予防のための重要な手段となる。しかし、免疫再構築の個別性やワクチン免疫原性の低下、さらには費用・制度面の課題などにより、実臨床における実装状況には施設間差が見られる。 2026年2月27日~3月1日に開催された第48回日本造血・免疫細胞療法学会総会では、「移植患者に対するワクチン接種」をテーマとしたシンポジウムが企画され、国内実態調査、優先度の高い予防接種の科学的根拠、実臨床における運用体制という3つの視点から、移植後ワクチン接種の現状と課題が提示された。造血幹細胞移植後のワクチン接種に関する国内実態調査より 冒頭、黒澤 彩子氏(伊那中央病院 腫瘍内科)は造血幹細胞移植後のワクチン接種に関する日本国内の実態を把握するために実施された全国規模のアンケート調査の結果について報告した。本調査は、厚生労働科学研究費補助金による研究班の一環として行われたもので、日本国内の移植認定施設(成人診療科・小児科)を対象に実施され、85%(成人診療科施設86%、小児科施設85%)という非常に高い回答率が得られている。 移植後は免疫が再構築される過程で既存の免疫が失われるため、ワクチン再接種が必要とされるが、その方針や実際の接種状況、さらにワクチンで予防可能な疾患(vaccine-preventable diseases:VPD)の発症状況を把握し、今後の施策や提言につなげることが本調査の目的であった。 まず、ワクチン再接種に対する認識について、同種移植後では成人診療科・小児科ともにほぼ100%の施設がその必要性と重要性を認識しており、約75〜80%の施設で統一した接種方針が定められていた。一方、自家移植後では診療科間で大きな差が見られた。小児科では約70%が必要性を認識し、半数以上が統一方針を有していたのに対し、成人診療科では必要性の認識は24%にとどまり、方針を持つ施設はわずか6%であった。その背景として「有用性が低い」「コストの問題」などが挙げられ、自家移植後の位置付けが十分に共有されていない実態が浮き彫りとなった。 接種されているワクチンの種類にも違いがある。回答した成人診療科の80%以上が“推奨”と回答したものはインフルエンザウイルス、肺炎球菌、麻疹風疹混合(MR)であり、接種率についてはそのうちインフルエンザと肺炎球菌で高い(対象の半数以上に接種という回答が75%超)傾向にあった。一方、小児科ではMR、おたふくかぜ、水痘、ヘモフィルス・インフルエンザ菌b型(Hib)、インフルエンザウイルスについて8割を超える施設が“推奨”とし、接種率も新型コロナウイルス感染症(COVID-19)を除いて成人診療科と比較して小児科で高かった。施設体制の面では、すべてのワクチンを院内で接種可能な施設は20〜30%にとどまり、70〜80%の施設ではワクチンの種類や症例によっては接種を他院へ依頼しているという現状が示された。 水痘・帯状疱疹対策では、成人診療科では不活化ワクチンの推奨が進む一方、高額な費用負担が障壁となっている。不活化帯状疱疹ワクチンは18歳未満に適応がなく、小児は水痘に未罹患なことが多いため、小児科では水痘予防として生ワクチンが主に使用されている。また、抗ウイルス薬は移植後1〜2年、あるいは免疫抑制薬終了時まで予防投与されることが多いが、投与のタイミングや中止時期には施設間でばらつきがあった。 VPDの発症経験については、成人診療科・小児科ともに60〜90%の施設がCOVID-19、インフルエンザ、帯状疱疹、肺炎球菌感染症などを経験しており、移植患者が依然として高リスクであることが示された。死亡例は成人診療科では半数以上の施設が経験しており、とくにCOVID-19の影響が大きかった。一方、小児科では80%以上の施設が死亡例なしと回答し、成人診療科と比べて致死的転帰は少ない傾向が見られた。注目すべきは、自家移植後であってもVPD発症は決して少なくなく、軽視できない点である。加えて、COVID-19については、致死率の観点からとくに成人診療科において重要な課題であることが示された。一方で、ワクチン接種率はインフルエンザや肺炎球菌と比較して低く、対象の半数以上に接種しているとの回答は50%未満にとどまっており、この点も本調査より明らかとなった。 ワクチン接種率向上のための課題として、保険収載、自治体等による費用助成、長期フォローアップ(long-term follow-up:LTFU)体制の強化、最新の推奨を反映した資材の整備などが挙げられた。総じて、同種移植後の再接種の重要性は定着している一方で、自家移植後の再接種に関する認識不足や成人領域での接種されるワクチンの種類が限定されていること、さらに自己負担による費用面の問題が大きな障壁となっている。今後は制度的整備と情報の標準化を進め、移植患者をVPDから守る体制の構築が不可欠であると黒澤氏は結論付けた。同種移植患者に対する優先度の高い予防接種に関する研究について 同種造血幹細胞移植後の長期生存例が増加する一方、晩期合併症としての感染症対策は依然として重要な課題となっている。とくに移植後晩期には液性免疫の回復が遅延し、VPDに対する防御能が十分に再構築されない症例が少なくない。このような背景において、冲中 敬二氏(国立がん研究センター東病院 感染症科/造血幹細胞移植科)は、同種造血幹細胞移植患者に対する優先度の高いワクチン接種について、晩期感染症の疾病負荷および再接種戦略の最新エビデンスを整理し講演した。 移植後晩期に問題となるのは、肺炎球菌などの被包化細菌、帯状疱疹・単純ヘルペスを含むヘルペスウイルス群、さらに呼吸器ウイルスなどである。なかでも、移植片対宿主病(GVHD)予防として普及した移植後シクロホスファミド(PTCy)を用いたレジメンでは、CD4陽性T細胞の回復遅延に加え、サイトメガロウイルス(CMV)感染や非CMVヘルペスウイルス感染(HHV-6血症)、呼吸器ウイルス感染などの増加が米国のレジストリ解析によって示唆されている。このように、移植後晩期には液性免疫不全のみならず細胞性免疫の再構築不全も問題となることは少なくない。 海外でのアンケート調査によると、成人患者の40%以上が移植後晩期にVPD(インフルエンザ様疾患、帯状疱疹、子宮頸部細胞診異常など)を経験していることが示されている。小児データベース研究では、VPD発症頻度は7%程度と低いものの、帯状疱疹や侵襲性肺炎球菌感染症、インフルエンザなどの発症中央値は移植後190~300日で、移植から6ヵ月以降に多いことがわかる。すなわち、移植後晩期も感染症のリスクは持続し、長期にわたる免疫学的脆弱性を前提とした管理が必要となる。 同種移植患者の市中肺炎罹患率は一般人口より著明に高く、原因菌として肺炎球菌が約9%と最も頻度が高く、重症化リスクも高いことが海外から報告されている。呼吸器ウイルス感染については、RSウイルス(RSV)、インフルエンザ、COVID-19の米国での罹患後30日以内の寄与死亡率が4~6%とされ、日本からはインフルエンザ罹患後90日以内の寄与死亡率が2.2%とのデータが示されている。日本では約4分の3の症例で発症48時間以内に抗ウイルス薬が処方されているのに対し、米国では同期間内に処方を受ける症例は約4分の1にとどまっており、この差が寄与死亡率の違いの一因と考えられる。呼吸器ウイルス感染症を疑う症状が出現した際には、速やかな受診を促す患者教育の重要性が示唆される。 院内感染で呼吸器ウイルス感染症に罹患した場合はさらに予後が不良であり、院内での伝播は防がなければいけない。このためには外来での呼吸器感染症状スクリーニング、必要に応じた迅速PCR診断、感染判明時の接触・飛沫予防策の徹底が推奨される。また、患者本人のみならず同居家族や医療従事者へのワクチン接種も重要な間接防御策となる。 免疫記憶の消失も見逃せない。国内データでは、麻疹・ムンプス・風疹(MMR)の抗体保有率が移植5年で50%未満に低下しえること、B型肝炎表面(HBs)抗体の陰性化が再活性化リスクに関与することが示されている。つまり、小児期に定期接種歴があっても、移植後の防御免疫は保証されないことになる。このため、移植後のワクチン再接種が重要となり、厚労科研研究班は優先度の高いワクチン再接種に関する研究を通じ、水痘、MMR、ジフテリア・百日咳・破傷風(DPT)、肺炎球菌、B型肝炎ウイルス(HBV)などのワクチン再接種戦略をレビューしている。加えて、帯状疱疹ワクチン、RSVワクチン、COVID-19ワクチンなど、新規・更新ワクチンの有効性データも蓄積されつつある。 冲中氏は、同種移植患者では、晩期においても液性免疫不全が残存し、VPDは現実的かつ重篤な脅威となるとし、「免疫再構築の特性、GVHD治療状況、地域流行状況を踏まえ、計画的かつ優先順位を明確にしたワクチン再接種を実装することが、長期予後改善には重要となる」と強調した。同種造血細胞移植患者におけるワクチン接種の実際 移植後の患者では、続発性免疫不全や既存免疫記憶の低下により感染症リスクが高まるため、移植後の再予防接種が重要であることは広く認識されている。しかし、実際にワクチン再接種を確実に実施するためには、院内外での運用体制の整備が不可欠となる。そこで、森 有紀氏(虎の門病院 輸血・細胞治療部/造血細胞移植後長期フォローアップセンター)は、実臨床でワクチン接種を円滑に進める具体例として、虎の門病院における体制整備や役割分担の取り組みを紹介し、移植後ワクチン接種を実装するためのポイントについて解説した。 移植後ワクチン接種の運用体制を整備するには、まず、どこで接種を行うのか(移植施設か他の医療機関か)を明確にする必要がある。そのうえで、どの診療科が中心となって担うのか(血液内科、感染症科、小児科、一般内科など)を決め、さらに看護師や薬剤師を含めた多職種連携を具体的に設計していくことが求められる。 虎の門病院では、LTFU外来で血液内科医が適応と開始時期を判断し、その後臨床感染症科医へ紹介して、詳細説明、スケジュール作成、実際の接種を行う分業体制を構築することで専門性を担保しつつ、マンパワーの軽減にもつながっている。 一方、他の医療機関に接種を依頼する場合、移植施設側が適応判断を行い、紹介状や説明文書、患者手帳などを活用して情報共有を徹底することが重要である。とくにクリニック等に紹介する際には、具体的な日程を記載した接種スケジュールの提案や、無断キャンセル防止に関する事前説明(ワクチンを個別に取り寄せる場合があるため)なども大切なポイントとなる。 接種手順は、適応・開始時期の判断、インフォームド・コンセント、接種スケジュール作成、接種、接種後の注意点説明の流れとなる。ガイドラインでは、不活化ワクチンは、GVHDの増悪がなければ移植後3ヵ月(種別により6ヵ月ないし12ヵ月)を経過した後接種可能となっているが、開始時期が遅いほど免疫応答が得られやすいとされる。生ワクチンは、免疫抑制薬が終了し慢性GVHDを認めなければ移植後24ヵ月以降で接種可能とされるが、十分な免疫回復や輸血および所定の薬剤との間隔などの条件を満たすことが前提となる。いずれにしても、個々の患者の状況に応じた判断が必要となる。 さらに、帯状疱疹ワクチン接種後の抗体価上昇や安全性に関する施設データの提示、情報共有テンプレートの整備などの実践的工夫も紹介された。一方で、多くが任意接種・自費負担であること、自治体助成が限定的であること、接種歴証明の困難さや年齢制限といった制度的課題も残されている。 最後に森氏は「移植後ワクチン接種は、単なる推奨事項ではなく、長期予後を左右する重要な支持療法である。各施設の実情に応じた体制構築と地域連携を通じて、標準化と実装を進めていくことが、今後の移植医療の質向上に直結する」と締めくくった。

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治療抵抗性の皮膚筋炎、新規経口TYK2/JAK1阻害薬brepocitinibが有効/NEJM

 brepocitinibは、皮膚筋炎への関与が知られているサイトカインシグナル伝達を遮断するfirst-in-classの経口選択的チロシンキナーゼ2(TYK2)/ヤヌスキナーゼ1(JAK1)阻害薬。米国・ハーバード大学医学大学院のRuth Ann Vleugels氏らは「VALOR試験」において、従来の治療に抵抗性の皮膚筋炎の成人患者では、brepocitinibはプラセボと比較して複合筋炎指数を有意に改善するほか、皮膚疾患の重症度、グルココルチコイドの漸減、機能障害などに関して有意な有益性を示すことを明らかにした。研究の成果は、NEJM誌オンライン版2026年3月28日号(同31日更新)に掲載された。20ヵ国の第III相無作為化プラセボ対照比較試験 VALOR試験は、20ヵ国90施設で実施した第III相二重盲検無作為化プラセボ対照比較試験であり、2022年10月~2024年6月に参加者のスクリーニングを行った(Priovant Therapeuticsの助成を受けた)。 対象は、18~75歳、欧州リウマチ学会/米国リウマチ学会(EULAR/ACR)の特発性炎症性筋疾患(definiteまたはprobable)の分類基準(2017年)と皮膚筋炎の亜分類基準を満たし、活動性の筋疾患(MMT-8スコア[0~150点、点数が低いほど筋力が低下]80~142点)および皮膚疾患(CDASI-Aスコア[0~100点、点数が高いほど疾患活動性が重度]6点以上)を有し、少なくとも1つの従来治療(全身グルココルチコイド療法、従来型DMARD、静注免疫グロブリン療法など)で効果が不十分な患者であった。 被験者を、brepocitinib 30mg、同15mg、プラセボを、1日1回経口投与する群に、1対1対1の割合で無作為に割り付けた。投与期間は52週であった。併せて標準治療を継続し、グルココルチコイドは漸減した。 主要エンドポイントは、52週の時点における、筋炎の活動性に関する6つの主要な指標を統合した加重複合筋炎指数である総合改善スコア(TIS、範囲:0~100点、点数が高いほど改善度が高い)の平均値とした。30mg群でTISが有意に改善 241例(平均年齢50.6歳、女性77.6%)を登録し、brepocitinib 30mg群に81例、同15mg群に81例、プラセボ群に79例を割り付けた。ベースラインの疾患活動性は、患者の81.3%が中等度~重度であり、皮膚疾患(平均[±SD]CDASI-Aスコア19.8[±11.5]点)、筋疾患(平均MMT-8スコア122.6[±15.9]点)とも高い活動性を示した。210例(87.1%)が52週の投与期間を完了した。 52週の時点で、平均TISは、brepocitinib 30mg群が46.5点、同15mg群が37.5点、プラセボ群は31.2点であった。30mg群とプラセボ群のTISの最小二乗平均差は15.3点(95%信頼区間[CI]:6.7~24.0、p<0.001)と有意差を認め、15mg群とプラセボ群の最小二乗平均差は6.3点(95%CI:-2.4~14.9)であった。 9項目の主な副次エンドポイントはすべて、プラセボ群に比べ30mg群で有意に優れた。たとえば、52週時にCDASI-Aスコアの40%以上かつ4点以上の改善を達成した患者の割合の最小二乗平均差は17%(95%CI:1~32、p=0.04)、52週時にTIS≧40点で、かつ経口グルココルチコイドの使用が最小限または非使用の患者の割合の最小二乗平均差は26%(95%CI:11~40、p<0.001)、機能障害の指標であるHAQ-DIスコアのベースラインから52週目までの変化量の最小二乗平均差は-0.30点(95%CI:-0.49~-0.10、p=0.004)であった。重篤な感染症が10%に 52週の投与期間に、重篤な有害事象はbrepocitinib 30mg群で13例(16%)、プラセボ群で10例(13%)に発現した。重篤な感染症の発生頻度は、プラセボ群に比べ30mg群で高かった(8例[10%]vs.1例[1%])。投与中止に至った有害事象は、30mg群で5例(6%)、プラセボ群で9例(11%)に認めた。 とくに注目すべき有害事象として、30mg群で心血管系が1例(1%)、ウイルスの再活性化が4例(5%)、ALT値またはAST値の上昇が1例(1%)にみられた。試験期間中に死亡の報告はなかった。二重の利点をもたらす可能性を示唆 著者は、「治療効果の大きさは、全身性の筋炎活動性、機能障害、皮膚疾患活動性を含む複数の領域において、確立された臨床的に意義のある最小変化量(MCID)の閾値を上回った」「臨床効果は4週目までに現れ、52週間の試験期間を通じて持続した」としている。 また、「長期の全身グルココルチコイド療法は、重大な毒性(感染症、糖尿病、心血管疾患、骨粗鬆症のリスク増大など)を伴うため、その減量は重要な治療目標とされる」とし、「本試験の知見は、brepocitinibが疾患活動性を抑制すると同時に、グルココルチコイドへの曝露を低減するという二重の利点をもたらす可能性を示唆する」と指摘している。

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米国のCOVID-19死亡数、過小評価の可能性

 新型コロナウイルス感染症(COVID-19)パンデミック初期における米国での実際の死亡数は、公式発表よりも大幅に多かった可能性が新たな研究で示唆された。2020年から2021年にかけて、COVID-19関連死亡のうち、最大で約15万5,000人分が見逃されていた可能性が示されたという。同期間に死亡診断書に記録されたCOVID-19による死亡数は約84万人であることから、今回の推計に基づくと、関連死亡の約19%がカウントされていなかったことになる。米ミネソタ大学社会学准教授のElizabeth Wrigley-Field氏らによるこの研究の詳細は、「Science Advances」3月20日号に掲載された。 研究グループによれば、2020年3月から2021年12月にかけてのパンデミック初期には、病院内で死亡した患者のほぼ全例が新型コロナウイルスの検査を受けており、また、この期間の病院内における内因死の超過死亡数は、COVID-19による院内死亡数と概ね一致していた。これらの点を踏まえてWrigley-Field氏らは、機械学習アルゴリズムを用いて病院内で確認されたCOVID-19死亡の特徴を学習させ、そのモデルを肺炎や糖尿病など別の死因として記録された病院外死亡に適用することで、見逃されたCOVID-19による死亡数を推定した。パンデミック初期には、病院外で死亡した多くの人が新型コロナウイルスの検査を受けていなかった。 その結果、この期間におけるCOVID-19による死亡数は、公式発表では84万251人であったが、研究グループの推計では99万5,787人であった。これは、死亡数が公式発表より19%、人数にすると15万5,536人多いことに相当する。また、このような見逃された死亡が多く見られたのは、ヒスパニック系やネイティブ・アメリカン、アラスカ先住民、アジア系、黒人、アラバマ州、オクラホマ州、サウスカロライナ州などの南部および南西部の地域、さらに世帯収入が低く住民の健康状態が不良な郡であった。 専門家は、こうした差は医療アクセスの問題を反映していると指摘している。本研究には関与していない、米バージニア・コモンウェルス大学、社会・健康センターのSteven Woolf氏は、「社会的に周縁に置かれた人々は、医療にアクセスできないために、依然として不均衡に高い割合で死亡している」とAP通信に語った。 パンデミック初期には、特に病院外での検査体制が限られており、自宅で使える検査キットも普及していなかった。そのため、診断を受けることなく死亡した人もいた。また、地域によっては、死因調査を選挙で選ばれた検視官が担っているが、そうした検視官は法医学専門医と同等の訓練を受けていない場合もある。さらに、家族が死因としてCOVID-19の記載を望まなかったケースや、死後に検査が実施されなかったケースもあった。 論文の上席著者である米ボストン大学グローバルヘルス分野のAndrew Stokes氏は、「特に大都市以外では、時代遅れの死因調査制度が正確な死亡数の把握を妨げた主な要因の一つだ」と述べている。 米疾病対策センター(CDC)によると、パンデミックの発生以降、米国でのCOVID-19による死亡数は120万人を超えており、その3分の2以上が2020年と2021年に集中しているという。パンデミックによる正確な死亡数をめぐっては、オンライン上で誤情報が拡散したこともあり、過大評価か過小評価かを含めて広く議論されている。

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第292回 麻しん299人に急増、大型連休前に「症状ある場合は外出控えて」/厚労省

<先週の動き> 1.麻しん299人に急増、大型連休前に「症状ある場合は外出控えて」/厚労省 2.2040年見据え、急性期集約と高齢者救急対応へ 地域医療構想を転換/厚労省 3.医学部定員削減へ、医師過剰時代に向け政策転換を/財務省 4.献血者数は横ばいも若年層が4割減、血液製剤の供給に懸念/厚労省 5.人材紹介料が医療経営を圧迫、10年で2.4倍に 早期離職トラブルも/日医 6.看護師不足が地域医療を直撃、養成校の募集停止相次ぐ/日看協 1.麻しん299人に急増、大型連休前に「症状ある場合は外出控えて」/厚労省麻しん(はしか)の感染拡大が続いている。国立健康危機管理研究機構によると、2026年の累計患者数は4月12日までに299人となり、2025年1年間の265人をすでに上回った。過去10年では2019年の744人に次ぐペースで、1週間の報告数も今年初めて50人を超えた。前回報じた236人からさらに増加しており、厚生労働省は警戒を強めている。上野 賢一郎厚労相は24日の記者会見で、「新型コロナウイルス感染症の流行以降、最多のペースで感染が拡大している」と述べ、ワクチン接種歴の確認と定期接種の徹底を呼びかけた。発熱、せき、鼻水、発疹など麻しんを疑う症状がある場合は外出を控え、医療機関を受診する際も公共交通機関の利用を可能な限り避けるよう求めた。感染拡大の背景には、海外からのウイルス流入と国内の免疫低下がある。わが国は2015年に世界保健機関(WHO)から、国内に土着する麻しんウイルスが確認されない「排除状態」と認定されたが、海外からの帰国者や訪日客を起点に感染が広がっている。患者は東京都が100人超と最も多く、神奈川県、千葉県、埼玉県を含む首都圏で過半数を占める。また、愛知県や鹿児島県では、高校などで集団感染も確認されている。麻しんは空気感染し、同じ部屋にいるだけで感染することがある。感染力はインフルエンザの約10倍とされ、発症すると発熱や上気道症状に続き、発疹が出る。脳炎などで重症化し、死亡することもある。対策の柱はMRワクチンの2回接種である。1回接種で93~95%、2回接種で97~99%の予防効果があるとされるが、国内の2回接種率はコロナ禍後に低下し、2024年度は91%まで下がった。流行抑制には95%以上の接種率が必要とされ、専門家は集団免疫の低下に警鐘を鳴らす。とくに20代後半から50代では、未罹患や1回接種のみで免疫が不十分な人も多い。大型連休で海外渡航や人流が増える時期を迎え、国は自治体向け緊急説明会を開き、接種歴確認と早期相談を呼びかけている。 参考 1)麻しん(はしか)の発生状況について(国立健康危機管理研究機構) 2)麻しん累積報告数の推移 2019~2026年(第1~15週)(同) 3)上野厚労相、はしか増に警戒「症状ある場合は外出控えて」 累計で昨年1年間を上回る(産経新聞) 4)はしか感染拡大 厚労相「ワクチン接種を」呼びかけ(日経新聞) 5)ウイルス定着していないはずなのに はしか患者が増えているのは(毎日新聞) 6)はしか患者が増加 ~何が真の脅威なのか~(時事通信) 2.2040年見据え、急性期集約と高齢者救急対応へ 地域医療構想を転換/厚労省厚生労働省は、2040年を見据えた「新たな地域医療構想」の具体化を進めている。従来の地域医療構想は、2025年の医療需要を前提に病床機能の分化・連携を促す枠組みだったが、今後は人口減少、85歳以上の高齢者の増加、医療・介護の複合ニーズ、医療従事者不足を踏まえ、入院だけでなく外来、在宅、介護連携を含む医療提供体制全体の再編へと対象を広げる。国の方針では、医療機関の連携・再編・集約化を進め、急性期医療を担う「急性期拠点機能」、高齢者救急や2次救急を受ける「高齢者救急・地域急性期機能」、在宅医療を支える「在宅医療等連携機能」、リハビリや慢性期などを担う「専門等機能」など、地域ごとに医療機関の役割を明確化する。急性期拠点は、人口20~30万人に1ヵ所を基本に確保する考え方が示されており、手術や重症救急は集約し、それ以外の高齢者救急は地域急性期病院が担う方向となる。その一方で、政府内では病床削減も重要な論点となっている。一般病床・療養病床で約5.6万床、精神病床で約5.3万床の削減を想定し、厚労省は病床削減を反映したKPIを検討する。年末に改訂される経済・財政新生計画の「改革実行プログラム」やEBPMアクションプランに盛り込む方針。勤務医にとって重要なことは、地域医療構想が単なる病床数調整ではなく、病院の機能や専門性、救急対応のほか、紹介・逆紹介、介護施設との連携を変える政策である点である。 今後は各医療機関が、2028年度までに2040年に向けて担う機能を決定し、2035年度をめどに一定の成果を出すことが求められる。地域の中小病院は、高齢者救急や在宅後方支援へ、大規模急性期病院は高度急性期・専門医療に特化と役割分担が進む可能性が高い。 参考 1)病床削減踏まえ地域医療構想のKPI設定へ、厚労省 年末改訂の「改革実行プログラム」に(CB news) 2)勤務医にとっての「新たな地域医療構想」~病床数等の議論から地域の医療提供体制全体の課題解決の議論へ~(日医) 3)新たな地域医療構想に関するとりまとめ(厚労省) 3.医学部定員削減へ、医師過剰時代に向け政策転換を/財務省財務省は、4月23日の財政制度等審議会で人口減少を踏まえた大学・医師養成の見直しを提起した。18歳人口が減少する一方で大学数は増え続け、半数超の私立大学が定員割れとなっているとして、2024年に624校ある私立大学を2040年までに217~372校へ縮減する目標を示した(少なくとも約4割の削減に当たる)。あわせて、医学部定員についても将来的な医師過剰を理由に「大胆な削減に踏み切るべきだ」と求めた。財務省は、医師需給は2029~32年ごろに均衡し、その後は過剰になることが「確定的」と分析している。医学部定員が現在の9,000人台で推移すれば、人口10万人当たり医師数は2022年の274人から2040年には340人まで増える見通しで、「医療費適正化や人材の最適配分の観点からも定員削減が必要だ」としている。その一方で、医療現場では医師不足の実感が根強い。日本経済新聞の調査では、地域で不足を感じる診療科として産婦人科と小児科が最多で、外科、総合診療科、救急科も多かった。とくに外科は若手医師の敬遠が目立ち、消化器外科医は今後20年で半減するとの推計もある。また、医師の「病院離れ」も進む。2024年末の病院勤務医は約21万9,000人で、2年前より約700人減少した。病院勤務医の減少は1979年以降で初めて。その一方で、診療所医師は約11万1,000人と約4,300人増加した。自由開業制のもと、都市部や負担の少ない外来中心の診療所に医師が流れ、地域・診療科・勤務形態の偏在が強まっている。厚生労働省は、これらの偏在対策として医学部臨時定員の削減を段階的に進める方針。2027年度は医師多数県で原則2割削減を継続し、2028年度からは医師多数県以外にも削減対象を広げる方向で検討する。その一方で、地域枠医師については、県内9年以上勤務などの義務を柔軟化し、離脱を防ぎながら地域定着を促す考えだ。今後の政策は、医師総数を抑えつつ、地域枠、専門研修、勤務環境改善、病院集約化を組み合わせ、限られた医師を効率的に配置する方向へ進む。医師が「余る」とされる一方で、地方病院、外科、救急、産婦人科、小児科などでは不足が続く可能性が高く、単なる定員削減ではなく、偏在是正とキャリア支援を一体で進められるかが焦点となる。 参考 1)医学部の大胆な定員削減を 人口減で医師余り「確定的」に 財政審(時事通信) 2)財政審「私大は40年までに4割減を」 医学部定員も削減要求(毎日新聞) 3)2028年度から医師多数県「以外」でも医学部入学定員を減員へ、地域枠医師の義務履行の柔軟化を検討-医師偏在対策検討会(Gem Med) 4)人口減少社会の中での総合的な国力の強化(財務省) 5)全国の診療科偏在、日経調査 小児・産婦人科が「不足」最多(日経新聞) 6)医師の病院離れ深刻に 診療所に転出、地域に偏り(同) 4.献血者数は横ばいも若年層が4割減、血液製剤の供給に懸念/厚労省若年層の献血離れが進み、輸血用血液だけでなく、血液由来医薬品の安定供給にも懸念が広がっている。厚生労働省によると、2024年度の献血者数はのべ約499万人で、全体では近年500万人前後を維持している。しかし、30代以下の献血者は2009年度の283万人から158万人へと15年間で4割以上減少した。その一方で、50・60代の献血者は2倍近くに増え、現在の血液供給は中高年のリピーターに支えられている。背景には、少子化に加え、コロナ禍で学校や企業での集団献血が減り、若者が献血に触れる機会が少なくなったことがある。献血可能年齢である16~69歳の人口は、今後20年間で約1,500万人減少すると推計されており、若年層の協力拡大は急務となっている。とくに深刻なのが、献血血液から作られる血漿分画製剤の供給問題である。献血血液のうち約4割は輸血用血液製剤に、6割弱は血漿分画製剤に使われる。このうち免疫グロブリン製剤は、川崎病、神経疾患、がん治療後の免疫低下、重症肺炎や敗血症など幅広い疾患に用いられ、需要は15年前の約2倍に増加した。川崎病では冠動脈後遺症を防ぐため早期投与が重要で、代替困難な薬剤でもある。その一方で、国内製造は限界に近付いている。血漿分画製剤を製造する国内メーカーは3社に限られ、設備の老朽化や厳しい品質管理、長い製造期間、薬価引き下げによる採算性低下が増産の壁となっている。免疫グロブリン製剤の国内自給率は、15年前の95%から2026年度には54%程度まで低下する見込みで、輸入依存度が高まっている。厚労省は、メーカーの設備投資補助や薬価面での支援を進めるとともに、小中学生への啓発パンフレット配布、学校献血、学生ボランティアによる呼びかけなど、若い世代への働きかけを強める。血液は人工的に作れず、保存期間も限られるために、若者の献血参加は、将来の輸血医療と血液由来医薬品の国内安定供給を支える重要な課題となっている。 参考 1)日本の未来を変える、若者の献血:今、若者の献血が必要な理由(厚労省) 2)若者の献血が変える日本のミライ:高校生が広げる献血の輪(同) 3)若者の献血離れで医薬品安定供給に懸念も 国も対策(NHK) 4)「このままでは輸血できなくなる未来に」献血離れが深刻 学校に献血バスの取り組みも(TBS) 5.人材紹介料が医療経営を圧迫、10年で2.4倍に 早期離職トラブルも/日医医療機関や介護施設が民間の有料職業紹介事業者に支払う紹介手数料が急増している。厚生労働省の2024年度職業紹介事業報告書によると、医師の紹介手数料は約283億円、看護師・准看護師は約598億円、施設・訪問介護職は約257億円で、3職種合計は約1,139億円に上った。10年前の2.4倍で、2年連続で1,000億円を超えた。背景には、医療・介護分野の慢性的な人手不足がある。2026年2月の有効求人倍率は、医師・薬剤師などが2.04倍、看護師などが2.21倍、介護職が3.78倍と、全職種平均を大きく上回る。医療機関や介護施設は人員配置基準を満たさなければ診療報酬・介護報酬を得られないため、退職者が出ると迅速な補充が迫られる。民間紹介サービスは、短期間で採用につながりやすく、求職者側もスマートフォンで条件検索しやすいため利用が広がっている。しかし、紹介手数料の原資は保険料や税金を含む公的財源であり、経営が厳しい医療機関にとっては負担が重い。さらに、採用後の早期離職や、紹介内容と実際の能力との不一致などのトラブルも多い。調査では、医療・介護・保育分野で有料紹介を使った事業者の56.8%が「紹介人材がすぐに辞めた」と回答している。日本医師会と四病院団体協議会は、紹介手数料の上限制、返戻金制度の義務化、定着期間に応じた手数料体系などを厚労省に要望した。日医は、高額な紹介料が中小病院の人材確保を一層困難にし、地域医療提供体制を揺るがす恐れがあると訴えている。その一方で、厚労省は市場への過度な介入には慎重姿勢を示している。公的なマッチング機能の強化も進む。日本医師会はドクターサポートセンターとドクターバンクをリニューアルし、都道府県医師会や行政のドクターバンク、ハローワークとの連携を拡大している。今後は、民間紹介に過度に依存しない採用ルートの整備と、求職者・医療機関双方の意識改革が課題となる。 参考 1)人材紹介料に消える医療費 10年で2.4倍1,000億円超、上限制要望の声(日経新聞) 2)日本医師会ドクターサポートセンターのリニューアル内容を説明(日医) 3)人材紹介料に苦しむ医療機関 経験した医師「ドクターバンクの充実を」(日経メディカル) 4)有料職業紹介事業の適正化とハローワークの機能強化に関する要望書(日本医師会・四病院団体協議会) 6.看護師不足が地域医療を直撃、養成校の募集停止相次ぐ/日看協看護師不足が地域医療の維持を揺るがしている。背景には、看護師を目指す若者の減少と、現場で働き続けることの難しさがある。全国の看護学校では定員割れや募集停止が相次ぎ、埼玉県秩父市の秩父看護専門学校も定員40人に対し、今年度の新入生は9人にとどまり、3年後に閉校する予定となった。関東甲信越では21校・22課程が今後の募集停止を決めている。養成校の縮小は地域医療に直結する。秩父市の中核病院では、この15年間に採用できた新卒看護師は地元看護学校の卒業生に限られ、今年度の新卒採用は1人。その一方で、昨年度は5人が退職した。千葉県銚子市の総合病院では、看護師不足により120床のうち24床を休止。千葉県内では少なくとも7病院で計424床が稼働できなくなっている。現場では、看護師1人が受け持つ患者数が増え、患者と向き合う時間も削られている。検温や血圧測定、清拭などのケアが十分に行えず、カルテ入力や薬剤確認などの業務負担も重い。日本看護協会の調査では、看護職として働き続けたいと答えた人は62.9%にとどまり、前回調査から低下した。新卒看護職員の離職率も8.2%で、休みの取りにくさや夜勤・残業の負担が離職要因となっている。その一方で、看護師確保に向けた取り組みも始まっている。ペットと暮らせる寮や休暇制度を整備して離職防止を図る病院、社会人学生を積極的に受け入れる看護専門学校もある。 准看護師制度については、地域医療を支える役割がある一方で、学生数の減少や看護教育の大学化を背景に、制度のあり方や看護師への一本化を巡る議論も続いている。看護師の就業者数は増えているが、高齢化による需要増には追い付いていない。有効求人倍率は高く、医療機関同士が人材を奪い合う状況にある一方で、賃金は公定価格である診療報酬・介護報酬に左右され、物価高や他産業の賃上げを反映しにくい。看護師不足は単なる人手不足ではなく、病床休止、患者ケアの質低下、地域医療の縮小につながる問題であり、養成制度、処遇改善、勤務環境改革を一体で進める必要がある。 参考 1)“憧れの職業”に何が起きたか 「看護学校」定員割れの衝撃 「不要論」と「新たなニーズ」の間で揺れる准看護師という存在(東洋経済オンライン) 2)相次ぐ募集停止 看護師不足の行く末は…(NHK) 3)看護師になっても...「働き続けたい」は6割、新卒で1割が離職 背景に過酷な労働実態(産経新聞)

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生菌製剤と食物繊維、肺がんに対するICIの効果を増強か/日本呼吸器学会

 がん免疫療法において腸内細菌叢へのアプローチが注目されている。近年、生菌製剤として用いられる酪酸菌Clostridium butyricum MIYAIRI 588株(以下、CBM588)が、免疫チェックポイント阻害薬(ICI)を用いた進行肺がん患者の全生存期間(OS)の延長と関連していたことが、後ろ向き研究で報告されている1)。また、腎細胞がんでは、無作為化比較試験においても、CBM588がICIによる治療を受ける患者の無増悪生存期間や奏効率の改善に寄与する可能性が示唆されている2,3)。そこで、本邦においても、CBM588の使用の有無と食物繊維の摂取量がICIの効果に及ぼす影響について、前向き観察研究での検討が実施された。その結果、CBM588の使用はICIによる治療を受けた非小細胞肺がん(NSCLC)患者のOSを延長する可能性があり、その効果は食物繊維摂取量が多いと増強されることが示唆された。第66回日本呼吸器学会学術講演会において、徳永 龍輝氏(熊本大学病院 呼吸器内科)が報告した。 本研究は、単施設前向き観察研究として実施された。対象は、2021年3月~2024年8月に熊本大学病院でICIによる治療を開始した、20歳以上の進行・再発NSCLC患者101例とした。ICI治療開始3週間前から投与中の期間に、整腸剤としてCBM588を投与された患者(CBM588群、55例)と投与されなかった患者(対照群、46例)に分類した。また、アンケート回答が得られた88例について、推定食物繊維摂取量が10g/1,000kcal以上に相当するhigh-fiber集団(CBM588群25例、対照群30例)と、それ未満のlow-fiber集団(それぞれ23例、10例)に分類して評価した。OSの解析には、傾向スコアに基づく逆確率重み付け(IPTW)を用いたCox比例ハザードモデルを使用した。 主な結果は以下のとおり。・CBM588群は対照群と比較して、OSが有意に延長した。OS中央値はCBM588群未到達、対照群10.1ヵ月であった(ハザード比[HR]:0.44、95%信頼区間[CI]:0.24~0.78、p=0.005)。・IPTWを用いた解析においても、CBM588群でOSの有意な延長が認められた(HR:0.28、95%CI:0.14~0.58、p<0.001)。・食物繊維摂取量別の解析において、CBM588群ではhigh-fiber集団がlow-fiber集団と比較して、OSが有意に延長した。OS中央値はhigh-fiber集団未到達、low-fiber集団27.3ヵ月であった(HR:0.26、95%CI:0.08~0.82、p=0.021)。・一方、対照群では、high-fiber集団とlow-fiber集団の間にOSの差はみられなかった(OS中央値:15.9ヵ月vs.16.1ヵ月)。 本結果について、徳永氏は「腸内細菌は食物繊維の発酵により酪酸などの短鎖脂肪酸を産生する。この酪酸はCD8陽性T細胞の抗腫瘍機能を高めるとされており、ICIの抗腫瘍効果を増強した可能性が考えられる」と考察した。また「NSCLC患者において、CBM588はICIの効果を増強し、生存期間を延長する可能性がある。また、十分な食物繊維摂取下では、さらにICIの抗腫瘍効果を増強する可能性があることが示唆された」とまとめた。

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第310回 麻疹患者の発生情報、個人特定のリスクか

INDEX都内の集団発生はブレークスルー感染?情報開示による個人特定のリスク都内の集団発生はブレークスルー感染?以前も本連載(第301回)で触れた麻疹の流行が止まらない。国立健康危機管理研究機構が公表している感染症発生動向調査週報(IDWR)によると、2026年15週(4月6~12日)時点の全国での報告数(速報値)は299例。報告事例は25都道府県に及び、最多は東京都の108例。すでに昨年末の52週(12月22日~28日)までの265例をわずか3ヵ月強で超えてしまった。今年は麻疹の流行がかなり危惧される状況だ。東京都では新宿区の小学校で生徒・教職員18例の感染が確認され、都内では12年ぶりの学年閉鎖という異例の事態にまで発展している。感染者の年齢は10代と40代で、由々しきことは、現時点で判明している感染者のワクチン接種歴は1回以下が2例、2回が16例と、そのほとんどがブレークスルー感染という現実である1)。あくまで推測になるものの、感染事例のうちワクチン2回接種済みの16例はおそらくほぼ全員が10代の生徒だろう。小学校であることを考えれば、これら16例の年齢は10~12歳。麻疹ワクチンの定期接種スケジュールから考えれば、2回目接種からわずか5~6年でブレークスルー感染に遭遇した計算になる。現在の新宿区内の小学校は公立私立含めて30校あり、総生徒数は約1万1,000人。単純計算すれば1校1学年当たりの生徒数は約60人。麻疹ワクチンの2回接種でも抗体価が得られない事例が1~5%、同ワクチンの発症予防効果が97%、接種後も10〜20年単位で防御効果が大きくは崩れないという一般的な認識から考えると、新宿区での多数のブレークスルー感染は説明がつかない。小学校の同一教室で朝から夕方まで時間を共有している結果、相当なウイルス量による曝露が起こり、その結果、ブレークスルー感染が起こったと考えるしかなさそうだ。情報開示による個人特定のリスクさて、今回の流行で各種発表を参照していた中、私が気になった事例がある。その理由は後述するが、最近では麻疹感染例が確認されると、各自治体は感染例の行動履歴のうち不特定多数に接触した可能性がある部分を公表し、注意を促す。これ自体はむしろ公衆衛生の観点からは必要な対応だと考えている。私が気になったのは、ある自治体での麻疹感染者の行動履歴の公表事例である。そこには不特定多数への感染リスクがある、立ち寄り先と公共交通機関の利用日時が分刻みで公表されていた。どちらも同一日のことだが、同事例を見ると、感染者がある時間の範囲内でどのような行動をしていたかが、かなりの確度で推定できる。そして、たまたまGoogleマップを利用して同事例の履歴と照らし合わせてみた際にハッとした。少なくとも同事例では、当たっているかどうかは別にして感染者個人の居住地域を推定できてしまう。この自治体の人口は数十万人規模だが、行動履歴から推定できる地域の人口はその5分の1程度。それでも10万人以上だが、公表された行動履歴からは、さらに数万人規模まで絞り込める。しかも今やネット時代。さまざまな情報をつなぎ合わせることで、誤認も含め個人を特定できてしまう可能性がある。ちなみにこうした行動履歴の公表内容は、旧国立感染症研究所感染症疫学センターが2016年6月に公表した『麻疹発生時対応ガイドライン 第二版:暫定改訂版』2)を基に各自治体の裁量に任されている。同ガイドラインでは以下のような記載があるのみである。「情報発信に際しては、患者数が減少しており、個人を特定できる可能性が以前より増しているため発症者及びその周囲にいる感染を受けた者両者への人権に配慮する必要がある。ただし、感染拡大や対策を実施するうえで、麻疹患者の情報の共有が重要となることもある。公表する情報の質、範囲などについては関係機関と十分協議し、個人のプライバシーと感染拡大防止の公衆衛生学的意義を考慮したうえで決定することが望ましい」もちろんこの自治体の公表内容については、個人情報保護と感染拡大防止のせめぎあいのギリギリのラインで決定されたものだろうとは思っている。とくに麻疹の場合は基本再生産数が12~18と、きわめて感染力が強い。時間を分刻みで公表しているのも、パニックのような過剰な反応が起きないようにとの配慮があるのだろうとも受け止めている。しかし、ケースによっては公表された情報から“犯人探し“が行われてしまう可能性は否定できない。言葉として不適切なことを承知で言えば、今回のケースは麻疹という一般には聞き慣れた感染症だから、そこまでのことは起きていないだろうと推察している。ただ、これが多くの人にとって聞き慣れない新興感染症で、この事例のような公表をした場合は、犯人探しリスクはかなり高まる。その意味では、今回のケースは個人特定を防ぐために、行動履歴の時間の粒度をやや粗めにするという対応はできなくもない。国はそろそろ過去の事例なども参照しながら、情報公開に関してはもう少し詳しいガイドラインを作成してもよいのではと思うのだが…。1)都庁総合ホームページ:麻しん(はしか)患者の集団発生について2)国立健康危機管理研究機構 感染症情報提供サイト::麻疹発生時対応ガイドライン〔第二版:暫定改訂版〕

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医療者の携帯電話が多剤耐性菌を広める!?

 医療従事者の多くが勤務時間中に仕事関連と個人的な目的の両方で携帯電話を使用しており、患者との接触とデバイスの操作を頻繁に切り替えている。しかし、感染予防の観点からみた高頻度接触表面としての携帯電話の役割については、十分に解明されていない。ドイツ・Goethe University FrankfurtのDaniel Hack氏らは、大学病院で医療従事者が使用する携帯電話上の多剤耐性菌の保有率および分子疫学を評価し、非医療従事者が使用する端末との比較検討を行った。Antimicrobial Resistance & Infection Control誌2026年4月4日号掲載の報告。 30ヵ月間にわたる横断研究において、医療従事者の携帯電話232台および非医療従事者の携帯電話241台を対象に、多剤耐性菌の保有率および総細菌数を評価した。医療従事者は患者と直接接する者(医師、看護師およびその他の医療者)、非医療従事者は患者と直接接触しない者(臨床実習前の医学生、事務職)と定義された。一部の端末については、アルコール含有ワイプによる清拭消毒の前後で評価を実施した。クローナルクラスターを同定するため、全ゲノム解析およびそれに続くcore genome multilocus sequence typing(cgMLST)解析が行われた。 主な結果は以下のとおり。・多剤耐性菌の保有率は、非医療従事者の携帯電話と比較して、医療従事者の携帯電話で有意に高かった(0.4%vs.15.1%、p<0.001)。・医療従事者間でのサブグループ解析の結果、一般病棟よりも集中治療室(ICU)で使用される端末(11.9%vs.23.4%)、個人用よりも共有の端末(9.1%vs.23.0%)において保有率が有意に高かった(p<0.05)。・医師と看護師の間およびスマートフォンとキーパッド式携帯端末の間で、多剤耐性菌の保有率に有意な差は認められなかった。・バンコマイシン耐性Enterococcus faeciumおよびメチシリン耐性黄色ブドウ球菌(MRSA)が、それぞれ11.2%および4.7%の端末から検出された。一方で、多剤耐性グラム陰性菌(MDRGN)は検出されなかった。・cgMLST解析により、クローナルな多剤耐性菌株は主として同一病棟内で認められ、病棟間を越えて認められることはまれであった。・総細菌数は多剤耐性菌検出の予測因子ではなかった。・アルコール含有ワイプによる清拭により、評価を実施したすべての端末から多剤耐性菌が確実に除菌された。 著者らは、携帯電話は多剤耐性菌伝播における重要なリザーバーとなりうるとし、とくに共有端末およびICUの端末に対する標準化されたルーチン消毒を感染予防策として組み込むことが検討されるべきとしている。

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第315回 キノコが作る抗酸化物質L-エルゴチオネインが生理痛を緩和

キノコ(真菌)が作る硫黄含有アミノ酸の類いのL-エルゴチオネイン(L-ergothioneine、以下「EGT」)が安全に女性の生理痛を和らげました1,2)。EGTは抗酸化作用を担うことで知られます。有機カチオン輸送体のOCTN1を介して細胞内に取り込まれ、蓄積し、フリーラジカルを捕らえてDNAやタンパク質が酸化で傷つかないようにする働きを有します。生理痛を引き起こす原発性月経困難症(PD)は若年女性に最も多い婦人科疾患で、骨盤に明らかな病変がないにもかかわらず月経の直前や最中に生じる下腹部痛を特徴とします。PDの有病率は高ければ9割を超え、患者の生きやすさ、学業、仕事の生産性を大きく損なわせます。子宮の過剰収縮、虚血、低酸素を招く子宮内膜プロスタグランジンの過剰生成がPDの根源とされ、それらの虚血が炎症反応と重度の酸化ストレスを招くようです。抗酸化物質の枯渇と並行して活性酸素種(ROS)や脂質過酸化指標が増えることは生理痛の重症度と密接に関連します。そこで中国の南京市のGene III Biotechnology社のGuohua Xiao氏らは抗酸化物質のEGTに白羽の矢を立て、その生理痛緩和効果を調べる臨床試験を実施しました。試験にはPDと診断済みで、先立つ1ヵ月間に鎮痛薬や漢方薬などのPD治療を試みたことがない18~30歳の女性40例が参加しました。半数の20例は120mgのEGTを3回の月経の間に毎日服用し、あとの半数の20例にはプラセボが与えられ、生理痛のピークの推移が視覚アナログ尺度(Visual Analog Scale:VAS)で測定されました。EGT投与群のVASはベースライン時に4.8で、その後の1、2、3回目の生理時にはそれぞれ4.1、3.6、2.3に有意に下がっていました。プラセボ群では有意なVAS低下は認められませんでした。EGTは細胞に蓄積することから投与を続けるほどより有効なようです。実際、3回目の生理のときのEGT投与のVAS低下はプラセボを有意に上回りました。今回の試験で血中の炎症バイオマーカーはEGT群とプラセボ群で差がありませんでした。炎症を減らしてプロスタグランジンの生成を阻止するイブプロフェンなどの昔ながらの鎮痛薬が今のところ生理痛の緩和に使うべきとされていますが、どうやらEGTはそれら鎮痛薬が手を出す馴染みの炎症経路とは独立した細胞保護経路を介して鎮痛効果を発揮するのかもしれません。EGTは全身の炎症反応の誘発に至るより前に細胞ストレス発生源のフリーラジカルを排除してしまうらしいとXiao氏は言っています2)。Xiao氏は多施設でのより大規模な試験を計画しています。今回の試験で有害事象は幸いにも認められませんでしたが、大規模試験を実施すればEGTの効果を支える仕組みのみならず、安全性もより正確に把握できそうです。Xiao氏が年初に報告した別の試験では、肝機能異常を示す被験者の肝機能、体調、睡眠の指標がEGTで改善しています3)。2024年に報告された無作為化試験では軽度認知障害の高齢者の記憶/学習能力を改善しうるEGTの効果が示されており4)、その取り柄は生理痛緩和にとどまらず幅広いようです。参考1)Guo C, et al. Efficacy and Safety of Oral L-Ergothioneine Supplementation in Primary Dysmenorrhea: A Randomized, Double-Blind, Placebo-Controlled Clinical Trial. medRxiv. 2026 Mar 27.2)Antioxidant in mushrooms may target uterus cells to ease period pain / NewScientist3)Guo C, et al. Hepatoprotective Efficacy of GeneIII L-Ergothioneine Capsules: A Self-Controlled Clinical Trial. medRxiv. 2026 Jan 2.4)Yau YF, et al. J Alzheimers Dis. 2024;102:841-854.

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第291回 診療報酬「ベースアップ評価料」の対象が拡大、5月中の再届出が必須/厚労省

<先週の動き> 1.診療報酬「ベースアップ評価料」の対象が拡大、5月中の再届出が必須/厚労省 2.麻しん236人、コロナ後最多ペース 10~20代中心に感染拡大/小児学会 3.中東情勢緊迫化で医療物資「目詰まり」 5月に手袋5,000万枚放出/内閣府 4.2040年の外科医不足に備え、がん治療の拠点病院を再編へ/厚労省 5.医師偏在対策の柱・地域枠が再設計へ 2028年度以降は定員減も/厚労省 6.医療機関倒産、20年で最多 人件費高騰が経営圧迫/東京商工リサーチ 1.診療報酬「ベースアップ評価料」の対象が拡大、5月中の再届出が必須/厚労省人件費や物価の上昇で経営環境が厳しさを増すなか、厚生労働省はクリニックや中小病院に対して支援策を拡充し、日本医師会はその活用を呼びかけている。国は2026年度の「働き方改革推進支援助成金」を拡充し、常勤10人未満の小規模事業所では賃上げ加算の上限を引き上げ、最大300万円を上乗せできるようにした。労務管理研修やソフト導入、勤務間インターバル導入、時間外労働削減などの取り組みに応じ、補助上限は最大520万円となる。加えて、月60時間以内の時間外労働の割増賃金率を5%以上引き上げた場合の加算も新設された。その一方で、診療報酬ではベースアップ評価料が見直され、対象職種は看護師や薬剤師に加え、40歳未満の医師や歯科医師、事務職員にも広がった。点数も大幅に引き上げられ、継続的な賃上げを行う医療機関はより高く評価される。しかし、診療所の届出率は病院よりも低く、無床診療所59.2%、有床診療所70.0%にとどまっている。6月の診療報酬改定に向けて、算定するためには医療機関は5月中に必ず届出を行う必要がある。また、2024年度にすでに届け出ている医療機関も再届出が必要となる。賃金改善計画書は不要となり、手続き負担は軽減された。さらに、評価料収入は全額を賃上げに充てること、8月の実績報告に備えて対象職員数や賃上げ実績を整理しておくことが重要となる。人材流出を防ぎ、他産業に見劣りしない処遇改善を進めるためにも、診療所は助成金と評価料を組み合わせて活用する姿勢が求められる。 参考 1)働き方改革推進支援助成金(労働時間短縮・年休促進支援コース)(厚労省) 2)令和8年度診療報酬改定ベースアップ評価料による賃上げについて(日医) 3)日医がベースアップ評価料の積極的な算定を呼びかけ、届け出率は無床診療所で約6割(日経メディカル) 4)日医がベースアップ評価料の届け出を呼びかけ(MEDICAL TRIBUNE) 2.麻しん236人、コロナ後最多ペース 10~20代中心に感染拡大/小児学会麻しん(はしか)の感染拡大が続いている。2026年4月上旬までに報告された患者は236人に達し、新型コロナ禍後で最多だった2025年(265人)を上回るペースで推移している。感染者は10~20代が半数を占め、若年層を中心に流行の兆しが強まっている。麻しんは極めて感染力が強く、免疫を持たない場合ほぼ100%発症するほか、肺炎や脳炎など重篤な合併症を引き起こす可能性がある。わが国は2015年に世界保健機関(WHO)から「排除状態」と認定されたが、近年は海外からの持ち込みを起点とした感染が続いている。世界的にも患者数は増加しており、各国で流行が拡大している。国内ではコロナ禍の水際対策で患者数は一時減少したが、2023年以降は増加に転じた。地域別では東京都が最多で、鹿児島県、愛知県と続く。とくに都市部での感染が目立ち、成人を含む若年層への広がりが確認されている。背景にはワクチン接種率の低下がある。麻疹の排除維持には2回接種で95%以上の接種率が必要とされるが、現状はこれを下回っている。感染者の半数以上が未接種、1回接種、あるいは接種歴不明であり、十分な免疫を持たない層の存在が流行拡大の要因となっている。麻しんへの予防接種は1歳時と小学校入学前の2回接種で高い予防効果が得られる。日本小児科学会は、接種歴を確認し未接種や不明の場合は任意接種を検討するよう呼びかけるとともに、発熱や発疹などの症状がある場合は事前連絡のうえで医療機関を受診するよう求めている。流行抑制には、ワクチン接種の徹底と早期受診が不可欠だ。 参考 1)麻しん累積報告数の推移 2019~26年 (JIHS) 2)2026年における麻疹患者数増加に関する注意喚起 (小児科学会) 3)はしか感染、230人超 新型コロナ後で最多ペース-10~20代が中心(時事通信) 4)はしか感染者増加“子どもの定期接種確実に”日本ワクチン学会(NHK) 5)海外からの流入・予防接種率低下等で麻疹(はしか)流行の兆し、適切なワクチン接種(定期・任意)と医療機関受診を-小児科学会(Gem Med) 3.中東情勢緊迫化で医療物資「目詰まり」 5月に手袋5,000万枚放出/内閣府中東情勢の緊迫化による原油・ナフサ供給不安が、医療物資の流通に影響を及ぼしている。政府は4月16日に「中東情勢に関する関係閣僚会議」を開き、対策として感染症流行に備え備蓄している医療用手袋約5億枚のうち、5,000万枚を2026年5月から医療機関向けに放出する方針を決定した。放出対象は、採血や検査で用いる非滅菌手袋で、新型コロナウイルス感染症医療機関等情報支援システム(G-MIS)を通じて医療機関が必要量を申請し供給される仕組みを整備する。厚生労働省によると、医療物資の供給不安に関する相談はメーカー・卸・医療機関を合わせ2,956件に上り、うち34件が供給に影響ありと判断された。消毒液や透析関連物資など一部は解決が進む一方で、透析用チューブや滅菌関連資材などでは中長期的な供給不安が残る。医療機関からの相談は急増しており、需給逼迫の兆しが強まっている。背景には、医療用手袋やガウン、チューブなど多くの医療消耗品が石油由来であり、原料のナフサを中東に依存している構造がある。現場では価格上昇や出荷制限の動きもみられ、手術や透析など生命維持医療への影響を懸念する声が上がる。実際に通販業者では購入制限が導入され、需給の不安定化が流通段階にも波及している。政府は約1.3万の医療機関から情報収集できるシステムを稼働させ、専門チームを増員して供給状況の把握と対策を強化している。また、アジア諸国との連携によるサプライチェーン強靭化にも着手し、エネルギー供給の安定化を通じた医療物資確保を図る方針。医療物資の安定供給は、エネルギー安全保障と一体の課題となっており、短期対応と中長期対策の両立が求められる。 参考 1)石油関連製品の供給不足に伴う厚生労働分野の影響・対応について(厚労省) 2)中東情勢に関する関係閣僚会議(首相官邸) 3)高市首相 5月から医療用手袋5,000万枚の備蓄放出を表明(NHK) 4)高市首相、医療用手袋5,000万枚放出表明 中東情勢で確保困難(毎日新聞) 4.2040年の外科医不足に備え、がん治療の拠点病院を再編へ/厚労省厚生労働省は、4月16日に「がん診療提供体制のあり方に関する検討会」を開き、高度ながん治療を担う病院の集約化を進める方針を明確にした。従来は全国どこでも一定水準のがん医療を受けられる「均てん化」を重視してきたが、今後は人口減少や医師不足、医療の高度化を踏まえ、質の高い治療を維持するために「集約化」との両立へ軸足を移す。とくに消化器外科では担い手不足が深刻で、現状のままでは2040年にがん治療を担う外科医が約9,200人と足元から39%減り、需要の5,200人を下回る見通しとなっている。一般の医師数は増加している一方で、一般外科医・消化器外科医はこの10年で減少し、若手ほど減り幅が大きい。長時間労働や負担に見合わない処遇が背景にあり、外科医がいる病院の約半数で消化器外科医は1~2人にとどまる。こうした状況から、厚労省は食道がんや膵がんなど高難度手術を拠点病院や大学病院へ集約し、希少がんでは県域を超えた集約も視野に入れる。その一方で、胃がんや大腸がんの標準的手術、長期の薬物療法や検診などは地域の医療機関で担う考え。今後は、新たな地域医療構想と連動し、各医療機関の機能を2028年度までに整理し、第9次医療計画へ反映する。がん診療連携拠点病院の整備指針も見直され、指定期間は最長3年に短縮される見通しで、構想や医療計画との整合性を高める。もっとも、都道府県ごとの議論の進捗にはばらつきが大きく、実施時期未定の地域も多い。国によるデータ提供や技術支援を強化しつつ、患者の受療アクセス低下を防ぎながら、医療の質、病院経営、勤務環境改善を両立できる再編を進められるかが焦点となる。 参考 1)第20回がん診療提供体制のあり方に関する検討会(厚労省) 2)がん医療・地域医療構想・医療計画等を連動させ「集約化すべき病院、高度医療の内容」等を明確化する-がん診療提供体制検討会(Gem Med) 3)がんの医療体制、地域医療構想と連動して整備へ 厚労省案 「28年度までに決定」(CB news) 4)がん手術維持へ病院集約 40年に外科医5,000人超不足、厚労省(日経新聞) 5.医師偏在対策の柱・地域枠が再設計へ 2028年度以降は定員減も/厚労省医師偏在対策の柱として拡大してきた医学部の地域枠が、現在見直しの局面に入っている。厚生労働省は、4月17日に開催した「医師養成過程を通じた医師の偏在対策等に関する検討会」で、2027年度の医学部臨時定員の調整方法を了承し、医師多数県を中心に削減を進めつつ、へき地尺度などを用いて一部地域では削減幅を緩和する方針を示した。医学部定員に占める地域枠などは2007年度の173人から2025年度には1,847人へと増え、全体の19.9%を占めるまで拡大しており、医学部定員9,393人のなかで大きな比重を占めている。この拡大は2008年度以降の臨時定員増を背景とするが、近年は医師数の増加ペース見直しの議論が進み、今後は臨時定員の縮減とともに、地域枠を恒久定員内で運用する方向が示された。検討会では、2027年度以降は医師多数県の臨時定員削減を基本としつつ、へき地尺度や高齢化の進展を踏まえて調整する方針を確認した。さらに2028年度以降は、医師多数県に限らず定員適正化を進める方向性が示され、量的拡大から質的最適化への転換が明確になりつつある。地域枠の制度設計も見直し対象となっている。現在は卒後9年以上の地域勤務が求められ、一定期間を医師不足地域で従事する仕組みとなっているが、義務履行中断者が約7%に上るなど、若手医師のライフイベントや専門医取得との両立が課題となっている。厚労省の資料でも、仕事と育児の両立志向の高まりなど、若年層の価値観変化が制度運用に影響していることが示されている。実際、日経メディカルの調査では「地域枠は必要だが見直しが必要」との回答が約半数を占め、当事者では6割近くに達した。背景には、都市部の生活の利便性や教育環境、キャリア形成機会の偏在があり、単なる配置義務では地域定着につながらない現実がある。地域枠は一定の成果を上げつつも、若手医師の価値観変化や医師需給の転換期を受け、制度疲労が顕在化している。今後は定員管理、勤務環境改善、経済的インセンティブを組み合わせた総合的な再設計が求められる。 参考 1)医師の確保・偏在対策における医学部臨時定員の方針について(厚労省) 2)今後の地域枠等の運用について(同) 3)27年度臨時定員、へき地尺度で多数県の削減幅を緩和 検討会が了承(MEDIFAX) 4)地域枠、医師48%が「従事期間や奨学金の利息見直しが必要」(日経メディカル) 6.医療機関倒産、20年で最多 人件費高騰が経営圧迫/東京商工リサーチ東京商工リサーチの調査によると、2025年度に倒産した医療機関(病院、診療所、歯科医院)は前年度比20.3%増の71件となり、過去20年で最多を更新した。コロナ禍では支援策により低水準に抑えられていたが、収束後の2023年度以降は53件、59件、71件と増加が続き、経営の悪化が顕在化している。業態別では診療所が32件、歯科医院が31件といずれも最多で、とくに歯科は前年度比1.5倍と急増した。その一方で、病院は8件と減少したものの、依然として高い水準にある。負債規模では1億円以上の案件も多く、中堅規模以上の医療機関の倒産が目立つ点も特徴だ。原因は「販売不振」が66%を占め、「既往のシワ寄せ」と合わせ約9割に達した。人口減少による患者数減少や診療報酬改定の影響に加え、光熱費や人件費、医療材料費の上昇により収益構造が悪化している。さらに、経営者の高齢化や人手不足、設備の老朽化も重なり、経営継続が困難となるケースが増えている。倒産形態は破産が69件で全体の97%を占め、再建型の民事再生は2件にとどまった。医療機関は収益規制や後継者不足などから再建が難しく、退出に直結しやすい構造が浮き彫りとなっている。医療機関の倒産は地域の医療提供体制に影響を及ぼし、とくに高齢化が進む地方では受診機会の喪失につながる懸念が強い。2026年6月の診療報酬改定の効果は不透明で、今後、公的支援の強化に加え、M&Aなどを含めた医療機関の再編・集約が一層進む可能性がある。 参考 1)2025年度の「医療機関」倒産 20年で最多の71件 クリニック・歯科医院の淘汰が加速、「破産」が97%超(東京商工リサーチ) 2)25年度の医療機関倒産、過去20年で最多の71件 商工リサーチ調べ(日経新聞)

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トロイの木馬にやられた!【Dr. 中島の 新・徒然草】(627)

六百二十七の段 トロイの木馬にやられた!朝夕が暑くなってきましたね。二十四節気では4月20日ごろから5月4日ごろまでを穀雨と呼び、次は立夏になるのだそうです。夏目前なら暑いはず。中島家では、ついに麦茶が登場しました。やはり冷えた麦茶を飲むと五体に染みわたります。さて、ある日のこと。自宅のPCで何げなく年金の関係のサイトを見ていたら……突然、「トロイの木馬に感染!」というポップアップが出てきました。慌てて右上の×印を押します。すると同じようなポップアップがどんどん増えていきました。 中島 「うわあ!」 思わず叫びました。すると血相を変えた妻が飛んできて「何をやっとるんじゃ。早くネットを切らんかい!」と怒鳴り、パソコンそのものを強制終了してしまったのです。 妻 「何をヘンなサイトを見ていたの!」 そう問い詰められました。まるで怪しいサイトでも見ていたみたいな言われようです。 中島 「単に年金のサイトを見ていただけなんやけど」 怪しいサイトからは最も遠い存在のはず。 妻 「年金サイトが一番危ないのよ!」 妻に理屈は通じません。 が、幸いなことに、妻はそのまま自宅からのオンライン会議に出席しました。その間にChatGPTに相談します。私にとって唯一の味方かもしれません。 ChatGPT 「ご安心ください。ほとんどの場合スケアウェア(Scareware)という無害なものです」 「落ち着いて対処しましょう。慌てて何かアプリをダウンロードしたり、電話したりしてはなりません」 「すぐにネットを遮断したのは最良の選択肢でした」 そう言って力付けてくれます。それからは、ChatGPTの言うとおりに操作して、窮地を脱することができました。今はパソコンも機嫌よく動いています。結局スケアウェアというのは、相手を驚かせて電話をさせたり、危ないアプリをダウンロードさせたりしてパソコンから情報を盗み取ろうとするものだとのこと。考えてみれば、本当に感染した場合には「感染した」などと宣言するはずもありません。こっそり侵入して悪さをするはず。で、ちょっと調べてみました。そうするとあちこちで、いろいろな人が引っかかっているニュースが出てきます。浜松市で76歳の男性が自宅のパソコンを使っていたところ、突然「トロイの木馬に感染しました!」という表示が出てきたのだとか。この男性が慌てて画面に表示された電話番号に連絡すると「パソコンを直すには費用が必要です」と言われ、指示どおりにコンビニで15万円分の電子マネーを購入して、そのコード番号を相手に伝えてしまいました。結果は言わずもがな。山梨県の笛吹市商工会でも業務中に「トロイの木馬に感染しました」という表示が出たそうです。職員が何度再起動しても表示が消えず、画面に出ていた電話番号に連絡すると、マイクロソフト社を名乗る男が応対し「パソコンがウイルスに感染している可能性があります」と言われました。で、この男の指示どおりに、業務用パソコンに遠隔操作ができるソフトウェアが使えるように設定し、さらにネットバンクのIDとパスワードを教えてしまったとのこと。その結果、この日に現金合わせて1,000万円が個人名義の口座に不正送金されてしまいました。このニュースでは「サポート詐欺」と呼んでいましたが、サポートするふりをしてお金を騙し取るからなのでしょう。このニュースのコメント欄には「こんなバカいるんか」とか「個人で補填してくださいね」とか「下には下がいるもんだ」とかで、非難轟々。最後に「頭がトロイ」とあったのには笑ってしまいました。それにしても、いきなりそんな表示が出たらびっくり仰天です。読者の皆さまも、くれぐれもお気を付けください。最後に1句 にせトロイ 驚かされる 穀雨かな

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帯状疱疹、50歳未満でも罹患リスクが高くなる6つの併存疾患

 50歳以上および免疫不全を有する成人では、帯状疱疹の罹患リスクが高いが、18~49歳の併存疾患を有する患者における帯状疱疹罹患リスクについてのエビデンスは不足している。グラクソ・スミスクラインのRachel A. Cohen氏らによる米国の医療保険請求データを用いた大規模後ろ向き研究の結果、特定の併存疾患を有する若年成人(30歳以上)では、50~59歳の併存疾患および免疫不全のない成人と比較して帯状疱疹の罹患リスクが高いことが示された。Clinical Infectious Diseases誌オンライン版2026年3月27日号掲載の報告。 本後ろ向きコホート研究では、2015~22年の米国におけるMerative MarketScan CommercialおよびMedicare Supplementalのデータが用いられた。併存疾患(喘息、慢性腎臓病[CKD]、慢性閉塞性肺疾患[COPD]、うつ病、糖尿病、ストレス、および外傷)を有する免疫不全のない若年成人(18~49歳)における帯状疱疹罹患率(IR)を、併存疾患および免疫不全のない成人(50~59歳)と比較した。 併存疾患および免疫不全のない50~59歳と比較した調整罹患率比(aIRR)について、非劣性マージン(95%信頼区間[CI]の下限:0.62)があらかじめ設定された。aIRRは、同等(aIRRの95%CIの下限>0.62かつ≦1.0)、有意に高い(同>1.0)、または結論不能(それ以外の結果)に分類した。帯状疱疹罹患の定義は、診断コードに加え、±7日以内の経口抗ウイルス薬の処方とした。感度分析として、併存疾患の数(1、2、または3以上)別に帯状疱疹の罹患率を検討した。 主な結果は以下のとおり。・対象集団は、帯状疱疹罹患歴または帯状疱疹ワクチンの接種歴がなく18歳以上の2,067万3,677人。免疫不全症および自己免疫疾患を有する成人を除外後、併存疾患を有する成人は316万45人であった。・全体として、併存疾患を有する成人において3万1,995件の帯状疱疹発症が報告された。・帯状疱疹罹患率は、気管支喘息(aIRR:1.19[95%CI:1.10~1.29])、COPD(1.31[1.22~1.40])、うつ病(1.31[1.22~1.40])、糖尿病(1.18[1.06~1.32])、ストレス(1.28[1.11~1.47])、および外傷(1.25[1.17~1.34])を有する集団では30~39歳において、またCKD(1.50[1.28~1.77])を有する集団では50~59歳において、50~59歳の併存疾患および免疫不全のない成人と比較して有意に高かった(aIRRの95%CIの下限>1.0)。・感度分析の結果、帯状疱疹罹患率は併存疾患数の増加および年齢の上昇に伴って増加する傾向がみられた。

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2日間のオートミール食で悪玉コレステロールが低下

 果物をトッピングするか、ピーナッツバターで風味をつけるかにかかわらず、オートミールを中心とした食事はコレステロール値の低下に役立つ可能性のあることが、新たな研究で明らかになった。この試験では、メタボリックシンドロームの人が48時間にわたって厳格なオーツ麦ベースの食事プランを実践したところ、悪玉コレステロールとも呼ばれるLDLコレステロール(LDL-C)が約10%低下し、その改善効果は6週間後も確認されたという。ボン大学(ドイツ)栄養・食品科学研究所のMarie-Christine Simon氏らによるこの研究結果は、「Nature Communications」に1月14日掲載された。 メタボリックシンドロームとは、過体重、高血圧、高血糖、脂質異常などの健康問題が組み合わさった状態であり、心臓病や2型糖尿病のリスクを高める。 今回の研究では、メタボリックシンドロームを有する68人の参加者を対象に短期試験と6週間の試験の2つのランダム化比較試験を実施し、オーツ麦を含む食事が脂質代謝や腸内細菌叢に与える影響が検討された。短期間の試験では、34人の参加者のうちの半数が1日300gのオートミールを3食に分けて2日間摂取した。添加できるのは少量の果物や野菜のみで、摂取カロリーは、通常の食事の約半分に制限された。対照群も同様にカロリー制限を行ったが、オートミールは摂取しなかった。2日間の食事介入を完了したのは、オートミール群17人、対照群15人の計32人であった。一方、6週間わたる食事介入では、介入群は通常の食生活を維持したまま3食の食事のうちの1食のみを80gのオートミールに置き換えた。対照群は通常の食生活を維持し、オートミールは摂取しなかった。 その結果、オートミール群ではわずか2日のオートミール食により、LDL-Cが介入前の168.94mg/dLから介入後には151.53mg/dLへと約10%低下した。対照群と比較すると、オートミール群ではLDL-Cが−16.26mg/dL、総コレステロール(TC)が−15.61mg/dL有意に低かった。この効果は、オートミール群が通常食に戻った後も持続し、6週間後でもLDL-Cはベースラインより低い傾向が認められた。一方、6週間にわたって3食のうちの1食のみをオートミールに差し替えた場合では、対照群との間にコレステロール値に有意な差は認められなかった。 さらに、オートミール群では、試験期間にかかわらず、特定の腸内細菌叢が増加したことも確認された。腸内細菌は食物の分解を助け、健康に影響する物質を生成する。今回の研究では、オートミールが細菌によるフェノール化合物の産生を促進することが分かった。論文の筆頭著者である同研究所のLinda Klumpen氏は、「フェノール化合物の1つであるフェルラ酸は、動物実験において正常なコレステロール値の維持に寄与することが示されている」と説明している。 Simon氏は、「オートミール群では、LDL-Cに約10%の低下が認められた。この減少は相当なレベルではあるが、最新の薬剤の効果と完全に同等とは言えない。そのため、この方法はここ数十年、注目されてこなかった」と話す。同氏は、「短期間のオーツ麦ベースの食事を定期的に行うことは、コレステロール値を正常範囲に維持し、糖尿病を予防するための、忍容性の高い方法となり得る」と述べている。 なお、本研究はドイツの複数の研究機関および食品業界団体の資金援助を受けて実施された。

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第308回 致死率の高いマダニ感染症、生存者を苦しめる後遺症とは

INDEX今年、マダニによる国内SFTS発生率が更新か生存者にどんな後遺症が残るのか今年、マダニによる国内SFTS発生率が更新か昨年、報告数が過去最高の191例(速報値)にのぼったダニ媒介感染症の重症熱性血小板減少症候群(略称・SFTS)。国立健康危機管理研究機構が発表する感染症発生動向調査週報の最新データ(2026年第13週[3月23~29日])1)時点でも、すでに全国7県で各1例、合計7例が報告されている。前年の同週までが2例だったことから比べれば、ハイペースである。そして報道によると、この第13週後に熊本県天草市では90代・女性の死亡後のSFTS感染が確認されたという。正直、今年も嫌な予感しかない。生存者にどんな後遺症が残るのかSFTSについては過去の本連載(第286回)でも取り上げたが、国内で確認される感染症の中でも致死率が10~30%と極めて高いのが特徴だ。しかも、病名にある検査値での顕著な血小板減少(10万/mm3未満)以外は、初期症状が発熱、倦怠感、頭痛など非特異的なものであるため、確定診断が必ずしも容易ではない点も厄介である。そして救命できたとしても、その後もしばらく後遺症が続くという研究結果2)が最近明らかにされている。これは中国・河南省信陽市にある中国融通医療健康グループの第154病院の研究チームが、2025年8月のPLOS Neglected Tropical Diseases誌に発表したSFTSサバイバーの前向きコホート研究である。同研究は2010~24年にかけて確認されたSFTSサバイバー1,197例(以下、サバイバー群)の後遺症の有無を発症後6ヵ月おきに24ヵ月目まで追跡したもので、性別・年齢をマッチングさせたSFTS陰性発熱患者188例の対照群を置いて比較したもの。ちなみにサバイバーのうち294例は11年間も追跡調査を行っている。これによると、まず何らかの後遺症が確認された割合は、サバイバー群が62.57%、対照群が51.60%であり、サバイバー群が有意に高い割合だった(p<0.05)。症状別の発症率をサバイバー群と対照群でみると、記憶障害は33.50% vs.22.87%(p=0.005)、関節痛は33.08% vs.22.87%(p=0.008)、脱毛は32.25% vs.25.00%(p=0.066)、視力低下は31.08% vs.22.34%(p=0.019)であり、脱毛を除き、サバイバー群で有意に高い割合を示した。全体として有意差が認められなかった脱毛だが、発症後6ヵ月時点では、サバイバー群33.33% vs.対照群13.75%(調整オッズ比[OR]:4.01、95%信頼区間[CI]:2.01~8.66)、12ヵ月時点では29.37% vs.8.57%(OR:3.13、95%CI:1.10~11.33)と有意差が認められている(p<0.05)。一方、全体での検査値異常については、好酸球減少が9.44% vs.3.72%(p=0.011)、平均赤血球ヘモグロビン量(MCH)低下が6.02% vs.1.60%(p=0.018)、LDH上昇が19.38% vs.12.77%(p=0.038)となり、いずれも有意差が認められている。逆にSFTSで典型的な血小板減少は長期的には改善し、両群間で有意差は認められていない。(表)症状別発症率画像を拡大するそしてリスク因子別で見ると、サバイバー群で脳炎を発症した場合は記憶障害と血小板減少、出血症状を発症した場合は、記憶障害、視力低下、MCH低下の発症頻度が対照群と比べ有意に高く、ウイルス量(≧106コピー/mL)が高値だった場合は、多くの症状や検査異常の発症率が対照群に比べ有意に高いこともわかった。つまるところ、SFTS発症時の高ウイルス量を筆頭に、急性期の神経・出血症状の有無が重要な予後指標となるということだ。ちなみに最長で11年間の長期追跡例があることは前出の通りだが、これらの症例では、一部で視力障害や血小板数異常が残っていた事例があったという。つまりSFTSウイルスは神経向性ウイルスの性質が強いとも解釈できる。このような結果を見ると、致死率の高さだけに止まらないこのウイルスの恐ろしさを改めて実感させられる。参考1)国立健康危機管理研究機構 感染症情報提供サイト:感染症発生動向調査週報一覧2)Cui N, et al. PLoS Negl Trop Dis. 2025;19:e0013276.

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体内CAR-T細胞生成による多発性骨髄腫治療、ESO-T01の第I相試験結果/Nat Med

 体内でのCAR-T細胞の生成は、体外培養やリンパ球除去を省略できるため、細胞療法へのアクセスを簡素化・迅速化する可能性がある。今回、再発・難治性多発性骨髄腫の成人患者を対象に、体内でCAR-T細胞を生成するレンチウイルスベクターであるESO-T01の安全性と忍容性を評価した第I相試験の結果を、中国・Huazhong University of Science and TechnologyのNing An氏らがNature Medicine誌オンライン版2026年3月25日号に報告した。 ESO-T01は、ナノボディ指向性の免疫遮蔽レンチウイルスベクターで、ヒト化抗B細胞成熟抗原(BCMA)CARをコードしている。本試験では、白血球アフェレーシス、体外培養、リンパ球除去化学療法を実施せずに、0.2×109形質導入単位を静脈内に単回投与した。前治療歴の多い男性患者5例(治療ライン中央値:3)が連続して登録され、追跡期間中央値は6.0ヵ月であった。主要評価項目は安全性、忍容性、副次評価項目は有効性、薬物動態、薬力学などであった。 主な結果は以下のとおり。・全例でGrade3以上の有害事象が認められた。・サイトカイン放出症候群が4例(Grade3が3例、Geade2が1例)に認められ、副腎皮質ステロイド、トシリズマブ、支持療法で管理された。・最も多かった毒性は一過性の血球減少および可逆的な肝酵素値の上昇で、Grade2の感染症が3例に認められた。・Grade1の免疫エフェクター細胞関連神経毒性が1例に認められ、骨髄外病変に関連する脊髄圧迫により死亡した。・5例中4例で奏効が得られ、うち3例は厳格な完全寛解であった。・評価可能な奏効例(4例)すべてで、60日目までに微小残存病変陰性(10-5)が確認された。

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初期研修を終えた今みなさんに伝えたい大切なこと【研修医ケンスケのM6カレンダー】第12回

初期研修を終えた今みなさんに伝えたい大切なことさて、お待たせしました「研修医ケンスケのM6カレンダー」。この連載は、普段は初期臨床研修医として走り回っている私、杉田研介が月に1回配信しています。私が医学部6年生当時の1年間をどう過ごしていたのか、月ごとに振り返りながら、皆さんと医師国家試験までの1年をともに駆け抜ける、をテーマにお送りして参ります。医師国家試験後1本目は研修生活が始まる前に準備すること、というタイトルで、「学生」という立場をフル活用してほしい、準備するなら初期臨床研修医向けの書籍を活用せよ、という2つのメッセージをお届けしました。2本目となる今回は、研修が始まるに当たって何を大切にしてほしいか、をテーマに進めて参ります。前提として、私が初期臨床研修を行った環境は、313床/救急車台数10台/日(もっと来ていた気がする…)の2次救急病院でした。同期は6名、2学年で合計12名の初期臨床研修医がいます。日当直は月4〜5回。総合診療科の研修を十分に行うことができること、主治医制で自分の裁量権が多いため様々なスキル獲得を見込むことができたこと、比較的自由に自分の休みをコントロールできることなどが選んだ理由でした。上記のような環境で過ごした2年間と、他の病院で研修を終えた同級生たちからの話も含めて、振り返りたいと思います!ぜひ2本目もお楽しみください!自分のバリューを意識しよう!(上手に休むこともお忘れなく!)前回も書きましたが、初期臨床研修医とは何かにつけて初期の状態です。臨床も初心者なことはもちろん、社会人としても初期の人がほとんどだと思うのですが、何科の研修であれ「自身のバリューをいかに出すか」を意識することが大事です。初期臨床研修医、というよりも社会人基礎に近い話で、よく自己啓発本にも取り上げられていることですね。初期臨床研修医は皆さんが思っている以上に大事に、重宝されていると思います。初期臨床研修は大学生活:学校生活とは異なるため、現場で実際に戦力となることが求められますが、一方で医療者として未熟な初心者であるため、何かと教えてもらえる機会に恵まれます。実感が湧きにくいかもしれませんが、実際の症例を通して、指導医からのフィードバックのみならず、同期や先輩後輩が経験した症例、そして何より他職種から学ぶことが多くあるのです。学部学生の講義や国家試験対策の中では医学を中心に学んできましたが、これから皆さんが関わることは医学を実践する場としての医療です。教科書通りに物事が進むわけでもなく、また、教科書で学んだ知識を実践するにはどれだけの人やリソースが関わるのか、それが体感できます。やや話が逸れましたが、医療は皆さん個人のみでは決して成立しません。医学部入学の際にたくさん練習したチームワークや協調性が試されます。組織やチームの一員として動くのに、自分がどんなバリューを提供できるか、を意識することは非常に重要です。例えば、転倒後の圧迫骨折の症例を担当することになったとしましょう。正直、心不全急性増悪や脳血管障害などと比較すると、医学的にできることは地道で、面白みにやや欠けるかもしれません。多くの併存疾患の慢性管理を見直す、なども、初期臨床研修医成り立ての頃は知識・スキル不足から気付けないことも多いでしょう。皆さんならこんな症例を担当した時に、チームにどのように貢献したいと思いますか?一例ですが、私なら、スムーズな退院調整を進めるのに、どんな情報が必要か、どんな連携が必要かを考えます。初期臨床研修医は指導医ほどの経験・スキルはないですが、比較的時間にゆとりがあります。研修医室で暇を持て余すのではなく、本人のリハビリの様子を見学したり、面会時間に病棟へ待機して家族から情報収集をしたり。医学的なスキル不足を、自分の足で稼いだ情報資源として還元できる余地は大いにあるはずです。上記は臨床現場の一例ですが、もともと持っているスキルを活かして研修体制を見直したり、そもそも研修医だからこそ気づくことができる研修環境へのフィードバックなど、バリューを見出す場面は探せばいくらでもあります。ぜひ積極的に自分を売り込みましょう!経験した症例からの学びを最大化する(同期、先輩後輩はプライスレスな宝物です)初期臨床研修では入院症例、外来症例、救急外来症例など、さまざまな患者さんに出会うことでしょう。そして1人1人の患者さんから学ぶことは多いです。その機会を無駄にせず、ぜひ最大化することに努めてください。最大化するには振り返る仕組みを作ることが有効です。手段は自身で運用しやすいようにカスタマイズして良いですが、どんな症例であったのか、何を意識して臨んだか、気づいたことや感想が一目で見たときに思い出すことができる症例ログを作っておくと、後々振り返りやすいです。初めのうちは医学的な視点ばかり追いかけてしまいますが、タイムマネジメントやチームワークという観点も学びになります。診察をしながら問診をする、カルテ上でショートカットを活用する、というのも立派な学びの1つです。医学的なこと以外の仕事に慣れてくると、余裕が生まれるからでしょうか、不思議と医学的な視点もより広がってきます。この病態をより早く察知するには、この疾患で入院になるならのちにこんな項目が必要になるな、など、診療の厚みが増していきます。私自身は医学的な学びと、それ以外のマネジメント術のようなことで分けてまとめていました。初めは何をまとめたら良いのか、上手くデザインすることができませんが、知識・スキルの向上とともに徐々に自分の軸が作られていくので、その都度柔軟にまとめ方も変えていけば良いです。この連載の1番初めにお伝えした内容でしたが、研修医になっても学習会をすることは非常に有用です。自分1人だと経験できる症例が限られるほか、他の人の視点も取り入れることができる分、学びが深くなるのは学生と同様です。自分で学んだことをぜひ積極的に同期や先輩後輩にもシェアしてくださいね。そして慣れてきた方はぜひ他職種にも共有して、それぞれの立場からどんなケアが必要なのか、といったことを学び合いましょう!感染症と医療安全はどの診療科に行っても必要な座学初期臨床研修医の大きな特徴の1つは、様々な診療科をローテーションすることです。専攻医以降で外科や産婦人科、はたまた眼科や耳鼻咽喉科の現場に立つことはありません。その中で、臓器横断的な感染症と医療安全の2つは、どの診療科へ行っても確実に必要なことで、医師だからこそ知っておくと、コマンダーとしての厚みが増す大事な知識です。感染症も医療安全も、単科として研修することはない、そんな病院が多いと思います。ここでは、それぞれの専門を極める、ではなく、知識を座学として学びやすく、かつ、専門家でなくてもある程度の知識は知っておく必要があることに注目していただきたいです。イメージしやすいのは感染症でしょうか。国試対策でもそうだったように、診療科ごとに感染症のカテゴリーがあったはずです。そして必ず細菌感染を鑑別する必要がありました。細菌感染症では関与する細菌の種類は多いものの、グラム染色上で分けると4つにしか分類されません。代表的な菌を覚えて、どの臓器でメジャーな感染症を引き起こすのかを押さえておきましょう。骨折の診断で整形外科に入院していても、入院期間中に肺炎を発症してしまった、なんてことは珍しくありません。医療安全は注目されにくいですが、スーパーローテーションをする初期臨床研修医という立場を大いに活かすチャンスです。医療安全の基本概念の1つですが、Human is Error、人間同士が仕事をしている限りどうしてもエラーは付きものです。その上でいかにエラーを減らすことができるか、起きたエラーから何を学ぶかが重要です。初期臨床研修医はさまざまな診療科へ足を運ぶため、その科ごとにエラーを探知することができます。どの診療科にも共通することだけでなく、この診療科ではこのフローで行うが、ここでは違う、だからコミュニケーションエラーに繋がる、という発見は、色んな診療科を経験できる初期臨床研修医だからこそ気付きやすいと思います。上記の考え方は、冒頭に述べたバリューを出す、に繋がる話ですね。勘づかれた方、鋭いです。最後に(連載をお楽しみいただきありがとうございました!)いかがだったでしょうか。初期臨床研修医は何かと板挟みになったり、スキル・経験不足で打ちひしがれることも多いですが、伸びしろが大きい分、成長が実感できたときはとても嬉しいものです。社会人として自分で稼いだお金で、自分の人生やキャリアを拡張できるのも面白みの1つです。そして、今回がこの連載の最終回です。これまで応援いただいた皆さま、制作の方々、この場をお借りしてお礼申し上げます。連載企画という初めての機会をこうしていただけたことが嬉しいですし、企画を通して自分自身の振り返りとなり、少しでも皆さまのお役に立つことができたら本望です。今後の皆さまのご活躍を心よりお祈り申し上げます。ぜひ学会やイベントでお会いしたときはよろしくお願いいたします!

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第307回 2026年4月より定期接種に加わったワクチンは?

INDEX妊婦の7割、「無料であれば接種をする」イレギュラーな定期接種ワクチン妊婦の7割、「無料であれば接種をする」4月1日から2026年度がスタートした。フリーランスの私にとって3月31日と4月1日は、単なる1日違い以上の意味はないのだが、世の中はそうではない。医療業界もこの日を境にいろいろと変わることがある。その1つがワクチンの定期接種である。2026年4月1日から妊婦に対するRSウイルスワクチン接種が予防接種法に基づくA類疾病として定期接種に加わった。これまでは任意接種だったため、約3~4万円の自己負担が必要だったが、これが原則無料となる。国立成育医療研究センターのグループが2024年7月〜2025年8月に出産した1,279例の女性を対象としたオンライン全国調査では、妊娠中のRSウイルスワクチン接種率は約11.6%(95%信頼区間[CI]:9.8〜13.3%)。同ワクチンを公費負担で接種できる米国や英国の接種率の約30〜50%と比べれば、かなり低い水準である。同調査では未接種者にその理由を尋ねているが、「予防効果を知らなかった」(28.9%)、「ワクチンの存在を知らなかった」(27.3%)、「自費での支払額が高過ぎる」(18.7%)など。このうち77.5%は「無料であれば接種をする」と回答したことも明らかになっている。また、接種した人でも接種費用について「やや高い」または「とても高い」と回答した人は87.2%に上っており、やはり高額なワクチン接種費用は接種率向上の大きなハードルになっていることは確実と言ってよい。今後は少なくとも前出の11.6%よりは接種率が高くなると考えられる。もっともこの調査で未接種であった人の15.0%が、「無料でも受けたくない」と回答していることのほうが大きな問題かもしれない。イレギュラーな定期接種ワクチンそもそも今回のRSウイルスワクチン自体が既存の定期接種ワクチンの中では異質である。接種対象者が単なる健常者ではなく妊婦限定であることに加え、接種した妊婦の体内で産生された抗体が胎盤を通じて胎児に移行し、出生直後の乳児のRSウイルス感染を防御するというやや分かりにくいものだからだ。少なからぬ人が経験しているだろうが、妊娠期間中の女性は自身だけでなく胎児の健康を慮るあまり、体内に入る薬や食品などには、平時以上に神経質になりがちである。その意味ではVaccines誌に掲載されたサハラ以南で行われた妊婦の新型コロナウイルスワクチンに関する研究1)が興味深い。同研究はアフリカのサハラ以南というやや特殊な地域で行われ、例数も少ないが、妊婦と非妊婦の年齢マッチングを行ったうえでの研究である。それによると妊婦は非妊婦に比べ有意にワクチンを受ける可能性が低いことがわかっている(オッズ比[OR]:0.12、95%信頼区間[CI]:0.06~0.27、p<0.001)。また、学歴が低いほど接種率が有意に高く(OR:0.04、95%CI:0.01~0.18、p<0.001)、一時“流行”した新型コロナワクチンにマイクロチップが含まれているという誤情報を信じる人ほどワクチン接種率が有意に低いという結果だ(OR:3.63、95%CI:1.12~11.79、p=0.032)。一瞬、これを読むと頭が混乱するかもしれないが、ここはやや補足が必要だ。まず、この研究では、いわゆる高学歴は被験者全体の92.6%を占め、低学歴者の割合は極端に低い。このため学歴による有意差は表面的な結果と受け止められる。また、たとえば新型コロナワクチンがDNAに変化を与えるという誤情報を信じる割合は、妊婦が79.6%、非妊婦が76.6%で有意差はない。むしろシンプルに妊婦のほうが非妊婦に比べ、何事も慎重になりやすい、考え過ぎるゆえにワクチンに対しても忌避傾向がみられることを示唆していると解釈したほうがいいだろう。一方、ワクチン接種については従来から医療者による推奨などが接種率に大きな影響を与えることが知られている。米国疾病予防管理センター(CDC)の「Morbidity and Mortality Weekly Report(MMWR)」2023年9月29日号に掲載された妊婦に関するワクチン接種に関する調査結果2)では、2022年10月~2023年1月の間に妊娠していたと報告した1,814人の女性でのインフルエンザワクチン接種率は47.2%(95%CI:44.4~50.1)に過ぎなかったが、医師による推奨があり、その場で接種が可能だったケースでの接種率は61.4%(同:58.0~64.7)。これに対し、推奨のみでは22.7%(同:15.0~32.0)、推奨なしでは10.8%(同:7.5~14.9)で、各群間では有意差(p<0.05)が認められたとしている。その意味で新たに定期接種に加わったRSウイルスワクチンの接種率向上については、限られた診療時間内で医療者がどのように妊婦に情報提供できるかにかかっているともいえる。もちろんこの点を医療者側も重々承知しているであろうことは、日本産婦人科医会のホームページ3)にRSウイルスワクチン接種に関する医師・患者向け資材が掲載されていることからもうかがい知れる。同時に私たちメディアにもそうした責任は向けられているのだと、新年度を迎え、心新たにもしている。1)Amiebenomo OM, et al. Vaccines (Basel). 2023;11:484.2)Razzaghi H, et al. MMWR Morb Mortal Wkly Rep. 2023;39:1065-1071.3)日本産婦人科医会:RSウイルスに関するご案内

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心房細動/心房粗動の発症リスク、低亜鉛が影響

 亜鉛欠乏症は心房細動(AF)/心房粗動(AFL)発症の重要な独立した危険因子となる可能性が、台湾・Chi Mei Medical CenterのI-Wen Chen氏らの研究から明らかになった。近年、AF/AFLの有病率が世界的に増加しており、修正可能なリスク因子の特定が喫緊の課題である。また、心血管疾患との関連が示唆されている亜鉛欠乏症について、AF/AFLの発症を関連付けるような大規模なエビデンスは依然として限られていた。Frontiers in Nutrition誌2026年2月20日号掲載の報告。 本研究は、電子健康記録(EHR)のプラットフォームであるTriNetX社のデータベースを用いて実施された多施設共同後ろ向きコホート研究。2010~23年に血清亜鉛の測定記録日(インデックス日)のある40歳以上の患者を解析した。傾向スコアマッチングにより、患者を亜鉛欠乏症群(70μg/dL未満、6万1,732例)と亜鉛正常群(70~120μg/dL、6万1,732例)に1対1に調整した。主要評価項目はインデックス日から2年以内のAF/AFL新規発症とした。副次評価項目は、肺炎(陽性対照)、AF/AFL、虚血性脳卒中リスクとした。アウトカムイベントは、それぞれ1~6ヵ月以内および6~24ヵ月以内に発症するものと定義し、早期発症と晩期発症に層別化した。 主な結果は以下のとおり。・亜鉛欠乏症は、追跡期間の早期(ハザード比[HR]:1.62、95%信頼区間[CI]:1.39~1.90、p<0.001)および晩期(HR:1.42、95%CI:1.29~1.57、p<0.001)の両方において、AF/AFL発症リスクの有意な増加と関連していた。・血清亜鉛濃度別に早期発症ならびに晩期発症の用量反応関係を調べた結果、軽度~中等度亜鉛欠乏症(50~70μg/dL、各群5万6,206例)では、早期発症(HR:1.40、95%CI:1.18~1.67)と晩期発症(HR:1.26、95%CI:1.14~1.41)の両方でAFリスクに対する統計学的有意差がわずかに認められた。対照的に、重度亜鉛欠乏症(50μg/dL未満、各群8,961例)では、リスクが著しく上昇し、早期発症は約3倍(HR:2.79)、晩期発症は2倍(HR:2.04)に増加した。・重度の亜鉛欠乏症(50μg/dL未満)は、対照群と比較して晩期AF/AFLリスクが約2倍であった(HR:2.04、95%CI:1.67~2.49)。一方、軽度~中等度の亜鉛欠乏症(50~70μg/dL)は、対照群と比較し、わずかだが有意な増加を示した(HR:1.26、95%CI:1.14~1.41)。 ・亜鉛欠乏症とAF/AFLの関連は、多様な患者サブグループにおいて、また新型コロナウイルス感染症のパンデミック前(2010~19年)とパンデミック期(2020~23年)のいずれにおいても一貫していた。・肺炎リスク(早期のHR:1.56、晩期のHR:1.40)や虚血性脳卒中リスク(早期のHR:1.19、晩期のHR:1.12)も亜鉛欠乏症患者で上昇した。ただし、心室細動/心室粗動は亜鉛欠乏症と有意な関連を示さず、心房性不整脈に特異的に影響を与えることが示唆された。 研究者らは、「血清亜鉛値を心血管リスク評価に組み込み、亜鉛補給を費用対効果の高い予防戦略として検討することに潜在的な価値がある」としている。

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2つのRCT事後解析からみたカナグリフロジンの尿路感染症発症リスク

 2型糖尿病患者におけるカナグリフロジンの尿路感染症(UTI)発症リスクは尿中白血球エステラーゼ(LE)および亜硝酸塩が異常値であってもプラセボと同程度だったという研究結果が、Nephrology Dialysis Transplantation誌オンライン版2026年3月16日号に報告された。 SGLT2阻害薬は心腎系の有益性が確立されているものの、UTIのリスクに対する懸念から、とくに高リスク患者では使用が制限される可能性がある。 大阪大学の土井 洋平氏らは、UTIの診断に有用とされるLEおよび亜硝酸塩1)を指標にカナグリフロジンとUTIとの関連を検証した。 本研究は2型糖尿病患者を対象としたカナグリフロジンの無作為化二重盲検プラセボ対照試験であるCANVAS試験およびCREDENCE試験の事後解析として行われた2,3)。主要評価項目は初回UTI発症までの時間、副次評価項目は総UTI発症数などである。 主な結果は以下のとおり。・被験者8,614例中、LEの異常は10.7%、亜硝酸塩の異常は3.5%で認められた。・調整後LE陽性率1+、2+、3+の正常群に対するハザード比(HR)はそれぞれ1.72、1.89、2.77と、LE陽性率が高いほど初回UTI発症リスクは増加した。・亜硝酸塩の異常1+、2+のHRは2.28、1.66と、正常群に対して初回UTI発症リスクが上昇していた。・LE陽性率および亜硝酸塩の異常は総UTI発症も増加させた。・全体的にみて、カナグリフロジン投与はプラセボと比べ、初回UTI発症リスク(HR:1.06、95%信頼区間[CI]:0.93~1.21)も総UTI発症リスク(HR:1.01、0.86~1.18)も増加させなかった。・LE正常群におけるカナグリフロジン投与のプラセボに対する初回UTI発症のHRは1.17(95%CI:1.00~1.38)、LE異常群におけるHRは0.94(0.73~1.21)であった(交互作用のp=0.10)。・亜硝酸塩正常群におけるカナグリフロジン投与のプラセボに対する初回UTI発症のHRは1.08(95%CI:0.94~1.24)、異常群のHRは0.92(0.59~1.43)であった(交互作用のp=0.45)。・LEおよび亜硝酸塩の変化による初回UTI発症リスクは、カナグリフロジンとプラセボで差がみられなかった。・副次評価項目である総UTIイベントのリスクについて、カナグリフロジンは、LEおよび亜硝酸塩群のいずれの異常群においてもプラセボよりも増加させなかった(各HR:0.76[95%CI:0.58~0.99]、1.18[0.79~1.76])。 LEおよび亜硝酸塩の異常値はUTIのリスク増加と関連していたものの、カナグリフロジン投与によるリスクの増加は確認されなかった。これらの結果は、膿尿や細菌尿の所見がある2型糖尿病患者において、SGLT2阻害薬の投与を一律に控えるものではない、という考えを支持している、と筆者らは結んでいる。

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初の人乳由来母乳強化剤が承認、超早産児の栄養管理に新たな選択肢/クリニジェン

 2026年3月18日、「極低出生体重児等の体重増加不全を呈する新生児及び乳児の栄養管理」を効能又は効果とする、プリミーフォート経腸用液が薬価収載され、2026年4月下旬の発売が予定されている。プリミーフォート経腸用液は、極低出生体重児等の栄養管理を目的とした人乳由来母乳強化剤の医薬品として、本邦で承認された初めての製品となる。クリニジェンは同日「超早産児の新しい栄養管理とNICUの未来~本邦初の完全人乳栄養による経腸栄養の可能性~」と題したメディアセミナーを開催。水野 克己氏(昭和医科大学小児科学講座)が登壇し、超早産児の栄養管理の考え方と同製品の役割について解説した。早産児栄養管理戦略の変遷と人乳由来母乳強化剤の位置付け 超早産児に対する母乳は、量依存性に壊死性腸炎、後天性敗血症、慢性肺疾患、未熟児網膜症、神経発達異常などの罹患率・重症度の低下、NICU退院後の再入院リスクの低下と関連することが報告されており1,2)、母親の母乳が児にとって最適なことは疑う余地がない。しかし、母乳が得られるまで静脈栄養のみを続けることは、腸管粘膜の萎縮や炎症、感染症のリスクとなる3)。一方で、いつでも使用できる人工乳は、腸管透過性、腸管粘膜の炎症、腸内細菌叢の問題から慎重な使用が求められる4)。 こうした背景を踏まえ、2019年、日本小児医療保健協議会(日本小児科学会、日本小児保健協会、日本小児科医会、日本小児期外科系関連学会協議会)は、自母乳が得られるまで絶食とするNICU施設が散見される、生後早期からの経腸栄養開始による短期予後の改善が報告されているなどとして、「早産・極低出生体重児の経腸栄養に関する提言」5)において、以下の3項目を提言として発表した:1.早産・極低出生体重児にとって自母乳は最適な栄養であり、NICUにおいても母乳育児を推奨し支援すべきである。2.自母乳が不足する場合や得られない場合、次の選択肢は認可された母乳バンクで低温殺菌されたドナーミルクである。3.将来的には、母乳と人乳由来の母乳強化で栄養するEHMD(完全人乳由来栄養[Exclusive Human Milk Diet])が早産・極低出生体重児に与えられることが望ましい。 提言3で将来的な実現が期待されていたEHMDが、今回初めて承認・発売に至った形となる。母乳強化が必要な理由 胎児において、脳の成長スパートは妊娠28週ころから始まり、おおよそ2歳まで続く6)。水野氏は、「23週と39週では、脳の発達状況に大きな差がある。単に生存退院を目指すのではなく、可能な限り正期産児に近い発達状態での退院を目指すべきである」として、早産児における適切な栄養介入の重要性を指摘した。 母乳強化による効果については、いくつかエビデンスが報告されている。超低出生体重児における母乳栄養下での十分なタンパク強化により、頭囲成長や2歳時の神経発達予後が改善し、静脈栄養期間および入院期間が短縮したという報告7)や、極低出生体重児にEHMDを与えることで網膜症や敗血症、慢性肺疾患が減少したという報告がある8)。 現在、本邦で販売されているのは牛乳由来強化物質のみで、牛乳アレルギーのリスクがあるほか、結石が形成された症例が報告されている。水野氏は、EHMDがとくに必要と考えられるケースとして、消化管手術後の超早産児を挙げた。また、実際の症例として、胎便関連性腸閉塞と高インスリン性低血糖を有する症例で、EHMDを与えることにより体重増加のほか低血糖の改善もみられた症例を提示し、その臨床的有用性について言及した。プリミーフォートの有効性と安全性を評価した第III相試験の結果 JASMINE(JApanese Study of an Exclusive Human MIlk Diet in Premature Neonates)試験9)は、極低出生体重児を対象としたEHMDにおける成長および安全性評価のための多施設共同無作為化比較対照試験。新生児集中治療室に入室している極低出生体重児147例を対象に、EHMD群(プリミーフォートを母乳またはドナーミルクに添加)と標準栄養群(母乳、ドナーミルク、牛乳由来の人工乳および栄養強化剤を使用)の成長速度を比較した。主な結果は以下のとおり。・試験参加者の背景は両群でおおむね同様であったが、在胎期間22~25週で出生した新生児割合は、標準栄養群27.1%に比べ、EHMD群では36.4%と多かった。・主要評価項目である出生から在胎34週0日までの体重増加速度は、標準栄養群に対しEHMD群で有意に速かった(11.96g/kg/日vs.13.44g/kg/日、p=0.0063)。・副次評価項目である出生から経腸栄養確立(160mL/kg/日)までの日数はEHMD群で有意に短く(25.90日vs.20.00日、p=0.03)、身長増加速度(0.67cm/週vs.0.83cm/週、p=0.0016)および頭囲増加速度(0.58cm/週vs.0.66cm/週、p=0.0312)はEHMD群で有意に速かった。・発現頻度の高かった試験治療下における有害事象(TEAE)は感染症で、標準栄養群8.6%、EHMD群10.4%に認められたが、「母乳強化物質との因果関係はなし」と判断された。・重篤な有害事象および死亡に至ったTEAEはそれぞれ標準栄養群2.9%、EHMD群3.9%に認められたが、「母乳強化物質との因果関係はなし」と判断された。・EHMD群で試験中止に至ったTEAEのうち、「母乳強化物質との因果関係あり」とされたのは、胃腸障害関連のTEAE(2例、うち1例が重度)、130mL/kg/日の栄養不耐症(1例)であった。<製品概要>・販売名:プリミーフォート経腸用液6、8、CF・効能又は効果:極低出生体重児等の体重増加不全を呈する新生児及び乳児の栄養管理・用法及び用量: 本剤を電子添文の表のとおり母乳と混合して強化乳を調製し、経管又は経口投与する。通常、「強化乳6」を50mL/kg/日から投与開始し、徐々に投与量を増やし、100mL/kg/日に到達後は必要に応じて強化乳の切替えを行う。栄養補給量は160mL/kg/日まで継続的に漸増する。また、必要に応じて160mL/kg/日より増量することもできる。なお、強化乳の投与開始時期、投与経路及び投与速度は、児の在胎期間、体重、症状、栄養状態等を考慮して決定する。また、強化乳の増量及び切替えは、体重増加速度、在胎期間、子宮内発育遅延の有無、補給時間、水分制限の要否、タンパク質及びエネルギーの必要量等を考慮して行う。・薬価:プリミーフォート経腸用液6(15mL1瓶29,171.30円、30mL1瓶58,199.30円)、8(40mL1瓶77,580.50円)、CF(10mL1瓶14,079.50円)・製造販売承認日:2025年12月22日・薬価基準収載日:2026年3月18日・発売日:2026年4月下旬・製造販売元:クリニジェン株式会社■参考文献・参考サイトはこちら1)Meier PP. Nestle Nutr Inst Workshop Ser. 2019;90:163-174.2)Quitadamo PA, et al. Foods. 2024;13:649.3)Quiroz-Olguin G, et al. Eur J Clin Nutr. 2021;75:1533-1539.4)Rao K, et al. Front Pediatr. 2022;10:902798.5)水野克己ほか. 日本小児科学会雑誌. 2019;123:11086)Dobbing J. Am J Dis Child. 1970;120:411-415.7)Mariani E, et al. Front Public Health. 2018;6:272.8)Assad M, et al. J Perinatol. 2016;36:216-220.9)JASMINE試験(JRCT)

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遠隔診療で医療費が対面診療の約5分の1に

 遠隔診療は単に便利なだけでなく、患者と医療システム双方の医療費削減につながることが、新たな研究で示された。特に頻度の高い症状の診療においては、遠隔診療では対面診療と比べて医療費を約5分の1に抑えられることが明らかになったという。米ペンシルベニア大学戦略的イニシアチブのシニアバイスプレジデントであるDavid Asch氏らによるこの研究の詳細は、「JAMA Network Open」に2月9日掲載された。 Asch氏は「この研究を行う前は、遠隔診療は“応急処置”を気軽に受けられる手段の一つに過ぎず、対面診療を先延ばしにするだけで、結果的に全体の医療費を押し上げるのではないかという懸念があった」と説明。その上で、「しかし、われわれの研究から、それが事実ではないことが明らかになった。多くの患者にとって、遠隔診療は応急処置のための一時的な対応となるだけでなく、完全な解決策となり得るのだ」とニュースリリースの中で述べている。 論文の研究背景によると、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)パンデミック中の緊急措置により遠隔診療へのアクセスが拡大し、その利用が急増した。例えば、ペンシルベニア大学ヘルスシステム(UPHS)での遠隔診療の件数は、2020年3月から2021年2月までの1年間で100万件に達し、2019年の1万1,000件から約90倍に増加した。 しかし、遠隔診療の有効性や費用対効果については依然として疑問が残っていたという。論文の上席著者である同大学生物統計学教授のYong Chen氏は、「遠隔診療が万能ではないことは認識している。特に精神および行動の健康問題に対しては、慎重なトリアージやフォローアップ、継続的なケアが依然として重要である。そのため、われわれは、医療資源の効率的な配分が実現されているのかを解明したいと考えた」と述べている。 研究グループは今回、2024年1月1日から4月30日までの4カ月間にわたる16万3,308件の診察データを分析した。データには、対面診療および遠隔診療の両方の診察データが含まれていた。対象はCOVID-19、呼吸器症状、神経発達障害、睡眠障害、不安症など10種類の一般的な症状や疾患の診察とし、初回受診の7日前から30日後まで追跡し、その後の受診の必要性を調べた。 その結果、遠隔診療に関連する請求額は平均で96.60ドル(1ドル158円換算で約1万5,300円)だったのに対し、対面診療では509.21ドル(約8万円)だった。また、その後の受診回数は、遠隔診療で平均3.44回であったのに対し、対面診療では平均4.44回であった。特に呼吸器症状などでは対面診療よりも遠隔診療の方が平均で800ドル(約12万6,400円)以上医療費が少なかった。一方、精神科医療については、対面診療と遠隔診療の医療費はほぼ同額であることが示された。 論文の筆頭著者である同大学応用数学・計算科学のBingyu Zhang氏は、「多くの医療システムでは、すでに精神科医療の大部分を遠隔診療によって提供している。精神科医療は、他の疾患のような検査や処置ではなく、カウンセリングや服薬管理が主体となるからだ。したがって、治療や処方の流れは診療形態にかかわらず同じようなものであり、診療エピソードにかかる費用も同程度になる。ただし、それでも遠隔診療ではその後の受診回数が少ない傾向にある」と説明している。 研究グループはまた、遠隔診療へのアクセスを拡大したコロナ禍の規制を維持するために米議会が対応する必要があると主張している。UPHSのCEOであるKevin Mahoney氏はニュースリリースの中で、「もし遠隔診療がCOVID-19以前のような制限された形に戻れば、今回われわれが明らかにした医療費削減効果は失われる可能性がある」と指摘し、「病院や医療システムが深刻な財政的逆風にさらされている今、このような節減は極めて重要だ。それによって、患者ケアへの再投資やイノベーションの推進が可能になる」と述べている。

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