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第205回 コロナ感染で自己免疫性リウマチ性疾患が生じ易くなる

コロナ感染で自己免疫性リウマチ性疾患が生じ易くなる日本と韓国のそれぞれ1,200万例強と1,000万例強のデータを使った試験で、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)と自己免疫性炎症性リウマチ性疾患(AIRD)のリスク上昇が関連しました1,2)。自己抗原の許容が損なわれて生じる慢性の全身性筋骨格系炎症疾患一揃いがAIRDに属します3)。具体的には、関節リウマチ(RA)、強直性脊椎炎(AS)、全身性エリテマトーデス(SLE)、全身性硬化症(SSc)、シェーグレン症候群、特発性炎症性筋炎、全身性血管炎がAIRDに含まれます。COVID-19患者がAIRDに含まれるそれら自己免疫疾患をどうやらより生じ易いことが先立ついくつかの試験で示唆されています。それらの試験はいずれも新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)感染者と非感染者の比較に限られ、インフルエンザなどの他のウイルス感染ではどうかは調べられていません。また、COVID-19後の長期の合併症の予防に寄与しうるワクチン接種などの影響の検討もなされていません。今回新たに発表された試験では、COVID-19後のAIRD発生率が非感染者に加えてインフルエンザ感染者とも比較されました。COVID-19後のAIRD発生率上昇がもし認められたとして、それがCOVID-19に限ったことなのか呼吸器のウイルス感染症で一般的なことなのかをインフルエンザとの比較により推し量ることができるからです。また、COVID-19ワクチンにSARS-CoV-2感染後のAIRD予防効果があるかどうかも調べられました。試験ではCOVID-19かインフルエンザの患者のそれらの診断から12ヵ月までの経過とそれらのどちらも感染していない人(非感染者)の経過を追いました。その結果、先立つ試験と同様にCOVID-19患者は非感染者に比べてAIRDをより被っていました。また、COVID-19患者のAIRD発生率はインフルエンザ患者より高いことも示されました。韓国と日本のCOVID-19患者のAIRD発生リスクは非感染者をそれぞれ25%と79%上回りました。また、インフルエンザ患者との比較ではCOVID-19患者のAIRD発生率がそれぞれ30%と14%高いという結果となっています。軽症のCOVID-19患者ではワクチン接種とAIRD発生率低下の関連が認められましたが、中等症~重症のCOVID-19患者ではワクチン接種のAIRD抑制効果は認められませんでした。また、より重症のCOVID-19患者ほどAIRDをより被っていました。COVID-19を経た患者、とくに重症だった患者の診察ではAIRDの発生に注意する必要があると著者は言っています。参考1)Kim MS, et al. Ann Intern Med. 2024 Mar 5. [Epub ahead of print]2)COVID-19 associated with increased risk for autoimmune inflammatory rheumatic diseases up to a year after infection / Eurekalert3)Kim H, et al. Semin Arthritis Rheum. 2020;50:526-533.

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第185回 国内外で広がるはしかの脅威、予防接種の呼びかけ/厚労省

<先週の動き>1.国内外で広がるはしかの脅威、予防接種の呼びかけ/厚労省2.地域包括医療病棟の導入で変わる高齢者救急医療/厚労省3.電子処方箋の導入から1年、病院での運用率0.4%と低迷/厚労省4.公立病院の労働環境悪化、公立病院の勤務者の8割が退職願望/自治労5.見劣りする日本の体外受精の成功率、成功率を上げるためには?6.ALS患者嘱託殺人、医師に懲役18年の判決/京都地裁1.国内外で広がるはしかの脅威、予防接種の呼びかけ/厚労省厚生労働省の武見 敬三厚生労働省大臣は、関西国際空港に到着したアラブ首長国連邦(UAE)発の国際便に搭乗していた5人から、はしかの感染が確認されたことを3月8日に発表した。この感染者は、2月24日にエティハド航空EY830便で関空に到着し、岐阜県で1人、愛知県で2人、大阪府で2人が感染していることが判明している。武見厚労相は、はしかの感染疑いがある場合、公共交通機関の利用を避け、医療機関に電話で相談するよう国民に強く呼びかけた。また、はしかは空気感染するため、手洗いやマスクでは予防が難しく、ワクチン接種が最も有効な予防策であることを強調した。はしかは世界的に流行しており、2023年の感染者数は前年の1.8倍の30万人を超え、とくに欧州地域では前年の60倍に当たる5万8,114人と大幅に増加している。国内でも感染が広がる可能性があり、すでに複数の感染者が報告されている。はしかには10~12日の潜伏期間があり、発症すると高熱や発疹が出現し、肺炎や脳炎などの重症化リスクがある。武見厚労相は、国内での感染拡大を防ぐために、ワクチン接種を含む予防策の徹底を呼びかけ、2回のワクチン接種で95%以上の人が免疫を獲得できるとされ、国は接種率の向上を目指しているが、2回目の接種率が目標に達していない状況。参考1)はしか、厚労相が注意喚起 関空到着便の5人感染確認(毎日新聞)2)はしかの世界的流行 欧州で60倍 国内も感染相次ぐ 国が注意喚起(朝日新聞)3)麻しんについて(厚労省)2.地域包括医療病棟の導入で変わる高齢者救急医療/厚労省厚生労働省は、2024年度の診療報酬改定について3月5日に官報告示を行ない、新たに急性期病床として設けられる「地域包括医療病棟」の詳細について発表した。この病棟は、とくに高齢者の救急搬送に応じ、急性期からの早期離脱を目指し、ADL(日常生活動作)や栄養状態の維持・向上に注力する。この病棟は、看護師の配置基準が「10対1以上」で、かつリハビリテーション、栄養管理、退院・在宅復帰支援など、高齢者の在宅復帰に向けて一体的な医療サービスを提供することが求められている。また、理学療法士や作業療法士などのリハビリ専門職を2名以上、常勤の管理栄養士を1名以上配置することを求めている。地域包括医療病棟入院料は、DPC(診断群分類)に準じた包括範囲で設定され、手術や一部の高度な検査は出来高算定が可能とされ、加算ポイントとしては、入院初期の14日間には1日150点の初期加算が認められる。さらに、急性期一般入院料1の基準が厳格化され、急性期から地域包括医療病棟への移行を促す。この改定により、急性期病棟、地域包括医療病棟、地域包括ケア病棟という3つの機能区分が明確にされ、患者のニーズに応じた適切な医療提供の枠組みが整うことになる。この改革の背景には、高齢化社会における救急搬送患者の増加と、それに伴う介護・リハビリテーションのニーズの高まりがあり、地域包括医療病棟は、これらの課題に対応するため、急性期治療後の患者に対して継続的かつ包括的な医療サービスを提供することを目指す。参考1)地域包括医療病棟、DPC同様の包括範囲に 診療報酬改定を告示(CB news)2)新設される【地域包括医療病棟】、高齢の救急患者を受け入れ、急性期からの離脱、ADLや栄養の維持・向上を強く意識した施設基準・要件(Gem Med)3)令和6年度診療報酬改定の概要[全体概要版](厚労省)【動画】3.電子処方箋の導入から1年、病院での運用率0.4%と低迷/厚労省電子処方箋の運用開始から1年、全国の医療機関や薬局において導入が約6%にとどまっていることが明らかになった。とくに病院の運用開始率は0.4%と非常に低く、25道県では運用を始めた病院が1つもない状況。導入が進まない主な理由として、高額な導入費用、医療機関や薬局が緊要性を感じていないこと、さらには患者からの認知度の低さが挙げられている。電子処方箋は、医療のデジタル化推進の一環として導入され、医師が処方内容をサーバーに登録し、患者が薬局でマイナンバーカードか健康保険証を提示することで、薬剤師がデータを確認し、薬を渡す仕組み。これにより、患者の処方履歴が一元化され、重複処方の防止や薬の相互作用チェックなど、医療の質向上が期待されている。政府は、2025年3月までに約23万施設での電子処方箋の導入を目指しており、システム導入費用への補助金拡充などを通じて、その普及を後押ししていく。しかし、病院での導入費用が約600万円、診療所や薬局では55万円程度が必要であることが普及の大きな障壁となっている。3月3日時点で、電子処方箋の運用を始めた施設は計1万5,380施設に達しているが、そのうち薬局が全体の92.4%を占めており、医科診療所、歯科診療所、病院での導入は遅れている。厚労省は、診療報酬改定に伴うシステム改修のタイミングでの導入を公的病院に要請しており、導入施設数の増加を目指す。参考1)電子処方箋の導入・運用方法(社会保険診療報酬支払基金)2)電子処方箋導入わずか6% 運用1年、費用負担も要因(東京新聞)3)電子処方箋、病院の「運用開始率」0.4%-厚労省「緊要性を感じていない」(CB news)4.公立病院の労働環境悪化、公立病院の勤務者の8割が退職願望/自治労公立・公的病院で働く看護師、臨床検査技師、事務職員など約8割が現在の職場を辞めたいと考えていることが、全日本自治団体労働組合(自治労)の調査によって明らかになった。この調査は、47都道府県の公立・公的病院勤務者1万184人を対象に実施され、36%がうつ的症状を訴えていた。理由としては、業務の多忙、人員不足、賃金への不満が挙げられており、とくに「業務の多忙」を理由とする回答が最も多く、新型コロナウイルス感染症が5類へ移行した後も、慢性的な人員不足や業務の過多が改善されていない状況が背景にあると分析されている。新型コロナ関連の補助金減額による病院経営の悪化と人件費の抑制も、問題の一因とされている。自治労は、業務量に見合った人員確保や公立・公的医療機関での賃上げ実施の必要性を訴えているほか、医師の働き方改革に伴い、医療従事者全体の労働時間管理や労働基準法の遵守が必要だとしている。参考1)公立病院の看護師ら、8割が「辞めたい」 3割超がうつ症状訴え(毎日新聞)2)公立病院の看護師など 約8割“職場 辞めたい” 労働組合の調査(NHK)3)「職場を辞めたい」と感じる医療従事者が増加-衛生医療評議会が調査結果を公表-(自治労)5.見劣りする日本の体外受精の成功率、成功率を上げるためには?わが国は「不妊治療大国」と称されながらも、体外受精の成功率は10%台前半に留まり、米国や英国と比べ約10ポイント低い状況であることが明らかになった。日経新聞の報道によると、不妊治療に取り組むタイミングの遅れが主な原因とされている。不妊治療の開始年齢が遅いことによる成功率の低下は、出産適齢期や妊娠についての正確な知識の提供が不足していることと関係しており、わが国の「プレコンセプションケア(将来の妊娠を考えながら女性やカップルが自分たちの生活や健康に向き合うこと)」の取り組みが十分ではないことによる。わが国は、体外受精や顕微授精などの生殖補助医療の件数が世界で2番目に多いにもかかわらず、出産数に対する成功率は低いままであり、この理由として年齢が上がるほど、成功に必要な卵子の数が減り、治療開始の遅れだけでなく、高齢になるにつれて卵子の質が低下することにも起因する。不妊治療の体験者からは、治療の長期化による心身への負担や、職場での理解不足による仕事と治療の両立の困難さが指摘されている。また、不妊治療について適切な時期に関する情報が不足していることも、問題として浮き彫りになっている。企業や自治体による不妊治療支援は徐々に広がりをみせているが、職場での不妊治療への理解を深め、支援体制を構築することが求められる。NPOの調査によれば、治療経験者の多くが職場の支援制度の不足を訴えており、不妊治療に関する休暇・休業制度や就業時間制度の導入が望まれている。参考1)不妊治療、仕事と両立困難で働き方変更39% NPO調査(日経新聞)2)不妊治療大国、日本の実相 体外受精の成功率10%台前半(日経新聞)3)プレコンセプションケア体制整備に向けた相談・研修ガイドライン作成に向けた調査研究報告書(こども家庭庁)6.ALS患者嘱託殺人、医師に懲役18年の判決/京都地裁京都地裁は、ALS(筋萎縮性側索硬化症)を患う女性への嘱託殺人罪などで起訴された被告医師(45)に対し、懲役18年の判決を下した。女性の依頼に応えて行ったとされる殺害行為について、被告は「願いをかなえた」ためと主張し、弁護側は自己決定権を理由に無罪を主張したが、裁判所はこれを退け、「生命軽視の姿勢は顕著であり、強い非難に値する」と述べた。判決では、「自らの命を絶つため他者の援助を求める権利は憲法から導き出されるものではない」と指摘、また、社会的相当性の欠如やSNSでのやり取りのみで短期間に殺害に及んだ点を重視した。被告の医師は2019年、別の被告医師と共謀し、女性を急性薬物中毒で死亡させたとされ、さらに別の殺人罪でも有罪とされた。事件について、亡くなった女性の父親は「第2、第3の犠牲者が出ないことを願う」と述べ、ALS患者の当事者からは、「生きることを支えられる社会であるべき」という訴えがされていた。判決は、医療行為としての嘱託殺人の範囲や自己決定権の限界に関する議論を浮き彫りにした。参考1)ALS嘱託殺人、医師に懲役18年判決 京都地裁「生命軽視」(日経新聞)2)ALS女性嘱託殺人 被告の医師に対し懲役18年の判決 京都地裁(NHK)3)「命絶つため援助求める権利」憲法にない ALS嘱託殺人判決、弁護側主張退ける(産経新聞)

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事例043 クレナフィン爪外用液10% 7.12gの査定【斬らレセプト シーズン3】

解説高血圧症で通院中の患者から「足の爪白癬にかかる薬が欲しい」と相談を受けました。目視で爪白癬を確認し、他院で真菌検査をされたことを患者に確認し、エフィナコナゾール(商品名:クレナフィン爪外用液)を当院で投与したところ、多くの場合に病名不足を示すA事由(医学的に適応と認められないもの)にて査定になりました。査定理由を調べるために添付文書をみました。効能または効果に関連する注意に「直接鏡検又は培養等に基づき爪白癬であると確定診断された患者に使用すること」と記載されていました。レセプトには、「他院で検査済み」とコメントの記入があります。査定理由が見当たらないために、まずは他院の査定状況を調べてみました。複数医療機関において審査支払機関から「2年以内に細菌顕微鏡検査を行っていない場合、(クレナフィン投与は)医学的に必要性を認められない」との指摘があることがわかりました。今回の査定は、いつ検査が行われたのか不明だったために、この規定が適用され、病名不足ではなく、医学的に保険診療上の適用とならないと判断されたものと推測しました。医師には、検査の裏付けがない投与はできないことを伝え、投与が必要な場合には自院で検査を行うか、専門医への紹介をお願いしました。レセプトチェックシステムでは対応が遅れるために、薬剤処方時に検査の施行が必須であることを表示させて査定対策としました。なお、クレナフィン爪外用液7.12gについては、必要とする部位がレセプトに表示されていない場合、最大3本を超えた部分が認められていないことを申し添えます。

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新型コロナ公費支援、3月末で終了を発表/厚労省

 厚生労働省は3月5日付の事務連絡にて、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の医療提供体制および公費支援について、予定どおり2024年3月末をもって終了し、4月以降は通常の医療体制とすることを発表した1)。新型コロナの医療提供体制については、2023年5月8日に5類感染症変更に当たり特例措置が見直され、同年10月に公費支援を縮小し、2024年3月末までが「移行期間」であった。4月以降、医療機関への病床確保料や、患者のコロナ治療薬の薬剤費および入院医療費の自己負担に係る支援、高齢者施設への補助などが打ち切りとなる。無料で行われてきた新型コロナワクチンの特例臨時接種も予定どおり3月末で終了する。新型コロナの特例的な財政支援の終了について記載された資料も公開された2)。医療提供体制の移行(外来・入院・入院調整) 外来医療体制については、移行期間に各都道府県が策定した移行計画に沿って、外来対応医療機関数のほか、かかりつけ患者以外に対応する医療機関数が拡充されてきた。4月以降は広く一般の医療機関による対応に移行し、外来対応医療機関の指定・公表の仕組みは3月末をもって終了する。 4月から病床確保料は廃止となる。2023年10月~2024年3月末の病床確保料の金額は、ICUの場合、特定機能病院等では1日17万4,000円、一般病院では1日12万1,000円。HCUの場合、一律1日8万5,000円。その他病床の場合、特定機能病棟等では1日3万円、一般病院では1日2万9,000円であった。 4月以降の新型コロナ患者の入院先の決定(入院調整)は医療機関間で行う。医療機関等情報支援システム(G-MIS)での受け入れ可能病床数および入院患者数が入力できる日時調査等の項目は残される。厚労省からの入力依頼は3月末で終了するが、4月以降は都道府県で必要に応じて管轄下の医療機関に対してG-MISの入力を依頼するなどの活用が可能だ。令和6年度診療報酬改定での感染症への対応 6月1日からの施行となる令和6年度診療報酬改定では、コロナに限らない感染症を対象とした恒常的な対策へと見直されるが、新型コロナを含む感染症患者への診療も一定の措置が取られる。新興感染症に備えた第8次医療計画に合わせ、診療報酬上の加算要件(施設基準)も強化される。 外来感染対策向上加算の医療機関を対象に、発熱患者等への診療に加算(+20点/回)や、とくに感染対策が必要な感染症(新型コロナ含む)の患者入院の管理を評価し、(1)入院加算の新設(+100~200点/日)、(2)個室加算の拡充(+300点/日)、(3)リハビリに対する加算の新設(+50点/回)が行われる。新型コロナ患者等に対する公費支援の終了 新型コロナ患者の治療費および入院医療費については、一定の自己負担ともに公費支援が継続されてきたが、3月末で終了する。4月以降は、他の疾病と同様に、医療保険の自己負担割合に応じて負担することとなるが、医療保険における高額療養費制度が適用され、所得に応じた一定額以上の自己負担が生じない取り扱いとなる。 3月末までは新型コロナ治療薬の薬剤費のうち、医療費の自己負担割合に応じて3割負担の人で9,000円、2割負担の人で6,000円、1割負担の人で3,000円という上限額が設けられ、これらの上限額を超える部分を公費で負担していたが、4月以降は公費負担を終了する3)。 4月以降の新型コロナ治療薬の1治療(5日分)当たりの薬価と自己負担額の目安は以下のとおり。・モルヌピラビル(ラゲブリオ):約9万4,000円 1割負担:9,400円、2割負担:1万8,800円、3割負担:2万8,200円・ニルマトレルビル/リトナビル(パキロビッド):約9万9,000円 1割負担:9,900円、2割負担:1万9,800円、3割負担:2万9,700円・エンシトレルビル(ゾコーバ):約5万2,000円 1割負担:5,200円、2割負担:1万300円、3割負担:1万5,500円 入院医療費については、3月末まで高額療養費制度の自己負担額限度額から最大1万円の減額が行われていたが、4月以降は他の疾病と同様に、医療保険の負担割合に応じた通常の自己負担と、必要に応じて高額療養費制度が適用となる。 高齢者施設等については、約9割が医療機関との連携体制を確保し、感染症の予防およびまん延防止のための研修と訓練を実施していることが確認されたため、3月末までで新型コロナに関わる高齢者施設等への支援も終了する。令和6年度介護報酬改定において、今後の新興感染症の発生に備えた高齢者施設等における恒常的な取り組みとして、新興感染症発生時に施設内療養を行う高齢者施設等を評価する加算の創設などを行う。ゲノムサーベイランスは継続 そのほかの措置として、各自治体が実施しているゲノムサーベイランスについては、実施方法を見直したうえで4月以降も継続する方針で、引き続き行政検査として取り扱われる。また、自治体が設置している相談窓口機能について、今後の対応は各自治体の判断によるが、厚労省では4月以降も新型コロナ患者等に対する相談窓口機能が設けられる予定だ。新型コロナ緊急包括支援交付金(医療分)終了 新型コロナへの対応として、都道府県の取り組みを包括的に支援することを目的として行われてきた「新型コロナウイルス感染症緊急包括支援交付金(医療分)」については、3月末で終了する。救急で新型コロナ対応として使用する個人防護具(PPE)について、都道府県や市町村が購入する場合の費用も本措置の補助対象であった。

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第87回 「そもそも麻疹を診たことがない」

フタバのフリーイラストより使用世界保健機関(WHO)から「西太平洋諸国は予防接種とサーベイランスのギャップによって麻疹発生のリスクにさらされている」という衝撃的な記事が公開されました1)。輸入リスクが高い国として、日本も麻疹の知識を身に付けておく必要があるでしょう。「西太平洋地域では2023年、世界の他の地域でみられるような大規模な麻疹の流行は発生しなかったが、この地域で360万人の子供たちが2020~22年にかけて定期予防接種を受けられなかった。世界中で麻疹が再流行しており、麻疹の輸入リスクが増大している」定期的に観測される麻疹例2月26日、奈良市保健所が、外国人観光客の20代男性が麻疹に感染していると報告しました。19日に発熱・発疹があり、同感染症と診断されました。保健所は、その行動を細かく報告しています。いつ、どこの観光都市から奈良県にやって来たのか、移動手段は何を使ったのか、など。さらに、3月1日には東大阪市でも20代男性の麻疹感染例が確認されました。なぜここまで詳細なコンタクトトレースをするかというと、麻疹の基本再生産数(R0)は12~18といわれており、1人の発症者から多くの感染者を生み出すことで知られているためです。麻疹のR0はインフルエンザウイルスの約10倍で、免疫がない人が接触すると、ほぼ100%感染するといわれています。しかし、現在はワクチンのおかげで麻疹というものは流行しなくなりました。「なぜこんなに慌てるんですか?」と感じている医療従事者もいるかもしれません。私が子供のときは、麻疹にかかる人はそれなりにいたので、いやほんとジェネレーションギャップを感じます。麻疹が全数届出になった2008年の年間届出数は約1万例で、そのあとは激減の一途をたどっており、2022年はわずか6例でした。ここまで減るかというくらい、本当に減ったのです。もはやレアな疾患ですから、複数例アウトブレイクしようものなら、報道になるのです。ワクチン接種歴の確認を医療従事者に限ったことではありませんが、自身に麻疹ワクチン接種歴があるかどうか、母子手帳がある人はご確認ください。麻疹ワクチンが定期接種になったのは1978年で、当時1回の定期接種でした。1回の接種では十分な免疫がないため、2008年に特例措置によって、追加接種が行われました。そのため、2000年以降に生まれた方は、2回の定期接種を受けている可能性が高いでしょう。私みたいなオッサン世代が一番自分自身のワクチン接種歴を把握していなかったりするので、一度皆さんご確認ください(表)。追加接種は自費ですが、たいがい1万円以内で接種できますし、成人でも接種可能です。画像を拡大する表. 麻疹のワクチン接種歴(筆者作成)麻疹の臨床経過麻疹の症状についておさらいしておきましょう。教科書で知っていても、目の前にやって来ると診断できない可能性があります。まず潜伏期間ですが、10~12日と長いです。接触感染だけでなく、空気感染する点に注意が必要です。そのため、R0がむちゃくちゃ高いのです。初発症状は、発熱、咳、鼻水、のどの痛みなど感冒症状があります。いったん治癒すると思われた矢先、高熱と発疹が同時にやって来ます(図)。この激烈な「2峰性」が麻疹の特徴です。発疹が出てくる1~2日前に口の中の頬の裏側に、やや隆起した小さな白い斑点(Koplik斑)が出現することが特徴的といわれてきましたが、風疹や他のウイルス感染症でも出現することがわかっており、必ずしも特異度が高いとは言えません。画像を拡大する図. 麻疹の典型的経過(筆者作成)成人の場合、中途半端な免疫がある場合(1回接種者など)、軽症で非典型的な「修飾麻疹」になることがあります。そうなるとさらに診断が困難となります。何よりも、いざというときに麻疹の存在を疑えることが重要といえます。参考文献・参考サイト1)WHO:Western Pacific countries at risk of measles outbreaks due to immunization and surveillance gaps. 2024 Mar 1.

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RSウイルスの疾病負担、早産児で長期的に増大/Lancet

 早産児は、呼吸器合胞体ウイルス(RSV)関連疾患の負担が過度に大きく、乳幼児のRSVによる入院の25%が早産児であり、とくに早期早産児で入院のリスクが高く、この状態は生後2年目までは続くことが、中国・南京医科大学のXin Wang氏らRespiratory Virus Global Epidemiology Networkが実施したRESCEU研究で示された。研究の成果は、Lancet誌オンライン版2024年2月14日号に掲載された。2歳未満の早産児の疾患負担をメタ解析で評価 研究グループは、在胎週数37週未満で出生した乳幼児におけるRSV関連の重症急性下気道感染症(ALRI)の世界的な疾病負担とリスク因子の評価を目的に、系統的レビューとメタ解析を行った(EU Innovative Medicines Initiative Respiratory Syncytial Virus Consortium in Europeの助成を受けた)。 1995年1月1日~2021年12月31日に発表された研究の集計データと、Respiratory Virus Global Epidemiology Networkが共有する呼吸器感染症に関する個々の患者データを用いて、早産で出生した2歳未満の乳幼児の地域におけるRSV関連ALRIの発生率、入院率、院内死亡率、および全死亡率を推定した。在胎週数32週未満を早期早産、32~<37週を後期早産とした。2019年のALRI 165万件、入院53万3,000件 47件の論文と、共同研究者の提供による個々の患者データを含む17件の研究を解析の対象とした。 2019年には、世界の早産児において、生後0~<12ヵ月にRSV関連ALRIエピソードが165万件(95%不確実性範囲[UR]:135万~199万)発生したと推定され、このうち154万件(93%)が開発途上国であった。 同様に、RSV関連入院は53万3,000件(95%UR:38万5,000~73万)で、このうち49万3,000件(92%)が開発途上国、RSV関連院内死亡は3,050件(95%UR:1,080~8,620)で、2,700件(88.5%)が開発途上国で発生した。また、RSVに起因する死亡が早産児で2万6,760件(95%UR:1万1,190~4万6,240)発生しており、これは全乳幼児のRSV死の40%(17~65)に相当した。早期早産児でALRIの発生率と入院率が高い 早期早産児では、RSV関連ALRIの発生率と入院率が、すべての在胎週数で出生した乳幼児と比較して有意に高かった(年齢別、アウトカム別の率比[RR]の範囲は1.69~3.87)。また、生後2年目(12~<24ヵ月)には、早期早産児は全乳幼児と比較して、RSV関連ALRIの発生率は同程度であったが、入院率は有意に高かった(RR:2.26、95%UR:1.27~3.98)。 後期早産児におけるRSV関連ALRIの発生率は、1歳未満の全乳幼児と同程度であったが、生後6ヵ月までのRSV関連ALRIによる入院率は後期早産児で高かった(RR:1.93、95%UR:1.11~3.26)。院内死亡率は同程度 全体として、すべての在胎週数の乳幼児におけるRSV関連ALRIによる入院の25%(95%UR:16~37)を早産児が占めた。早産児におけるRSV関連ALRIによる院内死亡率は全乳幼児と同程度であった。 RSV関連ALRIの発生との関連を認めた因子は、主に周産期および社会人口統計学的な特性(母親の妊娠中の喫煙、5歳未満の子供が2人以上いる家庭、多胎児)であった(オッズ比[OR]の範囲は1.68~1.80)。また、入院を要する感染による重篤なアウトカムとの関連を認めた因子は、主に先天性心疾患、気管切開、気管支肺異形成症、慢性肺疾患、ダウン症候群などの基礎疾患だった(ORの範囲は1.40~4.23)。 著者は、「これらの知見は、早産児および乳幼児におけるRSVの予防と臨床管理の戦略を最適化するための重要なエビデンスとなる」としている。

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英語で「緊急対応策」は?【1分★医療英語】第120回

第120回 英語で「緊急対応策」は?《例文》医師ADue to the outbreak of this new virus, we need to establish a contingency plan.(この新型ウイルスの大流行のため、われわれは緊急対策を立てる必要があります)医師BIndeed, we need to organize necessary resources for unforeseen circumstances.(そうですね、予期しない事態に備えて、必要なリソースを整理しなければなりません)《解説》“contingency plan”についての説明です。“contingency plan”とは、英語の直訳で「緊急対策」や「予備計画」という意味を持つ言葉ですが、医療現場では予期しない事態や緊急事態に対応するための計画を指します。米国では医師も日勤と夜勤の引き継ぎを行うため、日勤帯で決めたプランを的確に引き継ぐことが重要です。医療現場の引き継ぎの際に「“contingency plan”を基に、もし~が起こったら~する」というような文脈で使われます。基本的には、“sign out”と呼ばれる電子カルテの引き継ぎ欄の機能を使って引き継ぎを行うことが多いのですが、そこにも“contingency plan”というリストが存在します。《例文》に挙げたように、さらに大きな緊急事態が想定される場合の計画にも用いることができます。講師紹介

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小児への15価肺炎球菌ワクチン、定期接種導入に向けて/MSD

 MSDが製造販売を行う15価肺炎球菌結合型ワクチン(商品名:バクニュバンス、PCV15)は、2022年9月に国内で成人を対象として承認を取得し、2023年6月には小児における肺炎球菌感染症の予防についても追加承認を取得した。小児への肺炎球菌ワクチンは、2013年4月に7価ワクチン(PCV7)が定期接種化され、2013年11月より13価ワクチン(PCV13)に切り替えられたが、2023年12月20日の厚生労働省の予防接種基本方針部会において、2024年4月から本PCV15を小児の定期接種に用いるワクチンとする方針が了承された。同社は2月22日に、15価肺炎球菌結ワクチンメディアセミナーを実施し、峯 眞人氏(医療法人自然堂峯小児科)が「小児における侵襲性肺炎球菌感染症の現状と課題」をテーマに講演した。集団生活に備え0歳からワクチンを 近年の子供の生活環境の変化として、年少の子供たちも家庭以外の集団の場所で過ごす時間が長くなっている。子供の集団生活の開始とともに急増する感染症への対策として、予防接種はきわめて重要だという。とくに、小児の侵襲性肺炎球菌感染症(IPD)では、0~1歳にかけてかかりやすい肺炎球菌性髄膜炎や敗血症は、非常に重篤になりやすい。 峯氏は、かつて自身が経験した生後10ヵ月児の肺炎球菌性髄膜炎の症例について言及し、発症後まもなく救急を受診し処置をしても、死に至ることもまれではなく、回復後も精神発達や運動機能の障害、てんかん・痙攣といった後遺症が残る確率が高いと述べた。5歳未満の肺炎球菌性髄膜炎の死亡率は15%、後遺症発現率は9.5%だという1,2)。10年ぶりの新たな肺炎球菌ワクチン 2013年の小児肺炎球菌ワクチン定期接種導入後、小児の肺炎球菌性髄膜炎の患者数は、0歳児で83.1%、1歳児で81.4%減少したという2)。2024年4月から定期接種に導入される方針のPCV15は、PCV13と共通する血清型に対する免疫原性は非劣性を満たしたうえで、PCV13に含まれていなかった血清型の22Fと33Fが追加されている。これらの血清型は、小児でIPDを引き起こす頻度の高い24血清型のなかでも、33Fは2番目に、22Fは6番目に高い侵襲性であることが示されている3)。 峯氏は、IPDである肺炎球菌性髄膜炎が増加する生後5ヵ月までに、3回のワクチン接種を終了していることが望ましく、そのため生後2ヵ月からワクチンを開始する「ワクチンデビュー」と、さらに、3~5歳に一定数みられる肺炎球菌性髄膜炎を考慮して、1歳過ぎてからブースター接種を受ける「ワクチンレビュー」の重要性を述べた。また、すでにPCV13で接種を開始した場合も、途中からPCV15に切り替えることが可能だ。PCV15は筋注も選択可、痛みを軽減 PCV15の小児への接種経路は、皮下接種または筋肉内接種から選択可となっている。諸外国ではすでに筋注が一般的であるが、日本では筋注が好まれない傾向にあった。新型コロナワクチンにより国内でも筋注が一般化し、PCV15でも筋注が可能となった4,5)。峯氏によると、肺炎球菌結合型ワクチンは痛みを感じやすいワクチンだが、筋肉内は皮下よりも神経が少ないため、筋注のほうが接種時に痛みを感じにくく、接種後も発赤を生じにくいというメリットがあるという。筋注の場合は、1歳未満は大腿前外側部に、1歳以上は上腕の三角筋中央部または大腿前外側部に接種し、皮下注の場合は上腕伸側に接種する。 日本では、小児の定期接種として肺炎球菌ワクチンが導入されて以来、IPDは減少傾向にあり、大きな貢献を果たしてきた。峯氏は、ワクチンで防げる病気(VPD)は可能な限りワクチンで防ぐことが重要であることと、肺炎球菌は依然として注意すべき病原体であることをあらためて注意喚起し、とくにワクチンが導入されて10年以上経過したことで、実際にIPDの診療を経験したことがない小児科医が増えていることにも触れ、引き続き疾患に関する知識の普及が必要であるとまとめた。

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普段から活発な高齢者、新型コロナ発症や入院リスク低い

 健康のための身体活動(PA)は、心血管疾患(CVD)、がん、2型糖尿病やその他の慢性疾患の予防や軽減に有効とされているが、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の発症や入院のリスク低下と関連することが、米国・ハーバード大学ブリガム・アンド・ウィメンズ病院のDennis Munoz-Vergara氏らの研究により明らかになった。JAMA Network Open誌2024年2月13日に掲載の報告。 本研究では、COVID-19パンデミック以前から実施されている米国成人を対象とした次の3件のRCTのコホートが利用された。(1)CVDとがんの予防におけるココアサプリメントとマルチビタミンに関するRCT、65歳以上の女性と60歳以上の男性2万1,442人、(2)CVDとがんの予防におけるビタミンDとオメガ3脂肪酸に関するRCT、55歳以上の女性と50歳以上の男性2万5,871人、(3)女性への低用量アスピリンとビタミンEに関するRCT、45歳以上の女性3万9,876人。 本研究の主要アウトカムは、COVID-19の発症および入院とした。2020年5月~2022年5月の期間において、参加者はCOVID-19検査結果が1回以上陽性か、COVID-19と診断されたか、COVID-19で入院したかを回答した。PAは、パンデミック以前の週当たり代謝当量時間(MET)で、非活動的な群(0~3.5)、不十分に活動的な群(3.5超~7.5未満)、十分に活動的な群(7.5以上)の3群に分類した。人口統計学的要因、BMI、生活様式、合併症、使用した薬剤で調整後、SARS-CoV-2感染およびCOVID-19による入院について、多変量ロジスティック回帰モデルを用いて非活動的な群とほかの2群とのオッズ比(OR)および95%信頼区間(CI)を推定した。 主な結果は以下のとおり。・6万1,557人(平均年齢75.7歳[SD 6.4]、女性70.7%)が回答した。そのうち20.2%は非活動的、11.4%は不十分に活動的、68.5%は十分に活動的だった。・2022年5月までに、COVID-19の確定症例は5,890例、うち入院が626例だった。・非活動的な群と比較して、不十分に活動的な群は感染リスク(OR:0.96、95%CI:0.86~1.06)または入院リスク(OR:0.98、95%CI:0.76~1.28)に有意な減少はみられなかった。・一方、非活動的な群と比較して、十分に活動的な群は感染リスク(OR:0.90、95%CI:0.84~0.97)および入院リスク(OR:0.73、95%CI:0.60~0.90)に有意な減少がみられた。・サブグループ解析では、PAとSARS-CoV-2感染との関連は性別によって異なり、十分に活動的な女性のみが感染リスクが低下している傾向があった(OR:0.87、95%CI:0.79~0.95、相互作用p=0.04)。男性では関連がなかった。・新型コロナワクチン接種状況で調整後に解析した場合も、非活動的な群と比較して不十分に活動的な群は、感染と入院のORはほとんど変化しなかった。・新型コロナワクチンは、PAレベルに関係なく感染と入院のリスクを大幅に減少させた。感染リスクはOR:0.55、95%CI:0.50〜0.61、p<0.001、入院リスクはOR:0.37、95%CI:0.30~0.47、p<0.001。

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複雑性尿路感染症、CFPM/taniborbactam配合剤が有効/NEJM

 急性腎盂腎炎を含む複雑性尿路感染症(UTI)の治療において、セフェピム/taniborbactamはメロペネムに対する優越性が認められ、安全性プロファイルはメロペネムと同様であることが、ドイツ・ユストゥス・リービッヒ大学ギーセンのFlorian M. Wagenlehner氏らが15ヵ国68施設で実施した無作為化二重盲検第III相試験「Cefepime Rescue with Taniborbactam in Complicated UTI:CERTAIN-1試験」の結果、明らかとなった。カルバペネム耐性腸内細菌細菌や多剤耐性緑膿菌(Pseudomonas aeruginosa)は、世界的な健康上への脅威となっている。セフェピム/taniborbactam(CFPM/enmetazobactam)は、β-ラクタムおよびβ-ラクタマーゼ阻害薬の配合剤で、セリンβ-ラクタマーゼおよびメタロβ-ラクタマーゼを発現する腸内細菌細菌、および緑膿菌に対して活性を発揮することが示されていた。NEJM誌2024年2月15日号掲載の報告。セフェピム/taniborbactamの有効性と安全性をメロペネムと比較 研究グループは、複雑性UTIまたは急性腎盂腎炎と診断された18歳以上の入院患者を、セフェピム/taniborbactam(2.5g:セフェピム2g、taniborbactam0.5g)群またはメロペネム(1g)群に、2対1の割合に無作為に割り付け、8時間ごとに7日間静脈内投与した。菌血症を有する患者には、投与期間を最大14日間まで延長可とした。 主要アウトカムは、微生物学的ITT(microITT)集団(両治験薬が有効である、特定のグラム陰性菌を有する患者)における投与(試験)開始後19~23日目の微生物学的成功および臨床的成功の複合であった。複合成功率の群間差の95%信頼区間(CI)の下限値-15%を非劣性マージンとし、非劣性が認められた場合に優越性を評価することが事前に規定された。有効性はメロペネムより優れ、安全性は類似 2019年8月~2021年12月に661例が無作為化され、このうち436例(66.0%)がmicroITT集団であった。microITT集団の平均年齢は56.2歳で、65歳以上が38.1%、複雑性UTI 57.8%、急性腎盂腎炎42.2%、ベースラインで菌血症を有した患者13.1%であった。 複合成功は、セフェピム/taniborbactam群で293例中207例(70.6%)、メロペネム群で143例中83例(58.0%)に認められた。複合成功率の群間差は12.6ポイント(95%CI:3.1~22.2、p=0.009)であり、セフェピム/taniborbactamのメロペネムに対する優越性が示された。 複合成功の差異は、後期追跡調査(試験開始後28~35日目)においても持続しており、セフェピム/taniborbactam群のほうが複合成功率および臨床的成功率が高かった。 安全性解析対象集団(657例)において、有害事象はセフェピム/taniborbactam群で35.5%、メロペネム群で29.0%に認められ、主な事象は頭痛、下痢、便秘、高血圧、悪心であった。重篤な有害事象の発現率は両群で同程度であった(それぞれ2.0%、1.8%)。

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5歳から17歳の小児および青年に対する2価新型コロナワクチンの有効性(解説:寺田教彦氏)

 本研究は、米国で行われた3つの前向きコホート研究のうち、2022年9月4日から2023年1月31日までの期間のデータを統合して、オミクロン株BA.4/5亜系統が主に流行していた時期の小児および青年期におけるCOVID-19に対する2価mRNAワクチンの有効性を推定している。本研究結果の要約は「小児・思春期の2価コロナワクチン、有効性は?/JAMA」にもまとめられているように、SARS-CoV-2感染症(COVID-19 RT-PCR陽性)に対するワクチンの有効性は54.0%(95%信頼区間[CI]:36.6~69.1)で、症候性COVID-19に対する同有効性は49.4%(95%CI:22.2~70.7)だった。本論文の著者らは、2価新型コロナワクチンは小児および青年に対して有効性を示し、対象となるすべての小児と青年は推奨されるCOVID-19ワクチン接種を最新の状況とする必要があると結論づけている。 さて、新型コロナワクチンは2024年3月末までは全額公費負担であったが、今後(2024年4月以降)は、今回の研究対象である5~17歳は任意接種のため、養育者と小児自身で接種の有無を判断する必要がある。 本邦では、小児への新型コロナワクチンについて、2023年10月3日に日本小児科学会予防接種・感染症対策委員会から考え方が示されており「小児への新型コロナワクチン令和 5 年度秋冬接種に対する考え方」、日本小児科学会では、生後6ヵ月~17歳のすべての小児への新型コロナワクチン接種(初回シリーズおよび適切な時期の追加接種)を引き続き推奨している。理由には、(1)流行株の変化によって今後も感染拡大が予測される(2)今後も感染機会が続く(3)小児においても重症例・死亡例が発生している(4)小児へのワクチンは有効である(5)小児のワクチン接種に関する膨大なデータが蓄積され、より信頼性の高い安全性評価が継続的に行われるようになったことが挙げられており、根拠となるエビデンスもまとめられている。 現在も、新型コロナウイルスは変異と感染拡大の波を繰り返しており、少なくともしばらくの間はワクチン接種をするか否かの判断を各自でせざるを得ないだろう。ワクチン接種の是非は、「COVID-19の罹患率や重症度」の推移を勘案しながら、「発症(および感染)の予防効果」と「重症化の予防効果」や「接種後の副反応」といったメリットとデメリットを比較し、「ワクチン接種の費用負担」に見合った利益が享受できるかを、対象者が判断できるように、科学的な根拠となるデータを提供し続けることが好ましい。 本論文は、ワクチン接種のメリットである「発症(および感染)の予防効果」と「重症化の予防効果」が引き続き期待できることを示しており、現時点では、小児への新型コロナワクチン令和5年度秋冬接種に対する考え方で示されたデータを加味すると、小児へのワクチン接種は推奨されると私は考えるが、今後は被接種者の基礎疾患を含めた背景や「ワクチン接種の費用負担」に見合った利益が享受できるかも考えて、新型コロナワクチン接種の是非を養育者と小児に判断してもらう必要がある。

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再発性多発性硬化症、抗CD40L抗体frexalimabが有望/NEJM

 再発性多発性硬化症患者において、抗CD40Lヒト化モノクローナル抗体のfrexalimabはプラセボと比較し、12週時におけるT1強調MRIでの新規ガドリニウム(Gd)増強病変数を減少させたことが示された。フランス・リール大学のPatrick Vermersch氏らが、10ヵ国38施設で実施した第II相臨床試験の結果を報告した。CD40-CD40L共刺激経路は、適応免疫応答と自然免疫応答を制御し多発性硬化症の病態に関与する。frexalimabは第2世代の抗CD40Lモノクローナル抗体で、抗原提示細胞表面に発現しているCD40へのCD40Lの結合を阻害することによりCD40-CD40Lシグナル伝達経路を阻害し、T細胞を介した免疫応答を抑制する。著者は、「多発性硬化症患者におけるfrexalimabの長期的な有効性と安全性を明らかにするため、より大規模で長期間の試験が必要である」とまとめている。NEJM誌2024年2月15日号掲載の報告。frexalimab 1,200mg静脈内投与と300mg皮下投与を、プラセボと比較 研究グループは再発性多発性硬化症患者を、frexalimab 1,200mgを4週間隔で静脈内投与する群(負荷用量1,800mg)、frexalimab 300mgを2週間隔で皮下投与する群(負荷用量600mg)、またはそれぞれのプラセボを投与する群に4対4対1対1で割り付け、二重盲検下で12週間投与した。投与経路は盲検化されなかった。12週後、全例が非盲検下でfrexalimabを投与した(プラセボ群の患者はそれぞれ対応するfrexalimabに切り替えた)。 主要エンドポイントは、8週時と比較した12週時におけるT1強調MRIでの新規Gd増強病変数。副次エンドポイントは、8週時と比較した12週時における新規または拡大したT2強調病変数、12週時のGd増強病変総数、および安全性であった。8週時と比較した12週時の新規Gd増強病変数はfrexalimab群で減少 2021年6月7日~2022年9月21日の間に、166例がスクリーニングを受け、129例が無作為に割り付けられ、うち125例(97%)が12週間の二重盲検期間を終了した。患者背景は、平均年齢36.6歳、66%が女性、30%がベースラインでGd増強病変を有していた。 12週時における新規Gd増強病変数の補正後平均値は、プラセボ群1.4(95%信頼区間[CI]:0.6~3.0)に対し、frexalimab 1,200mg静脈内投与群0.2(95%CI:0.1~0.4)、frexalimab 300mg皮下投与群0.3(95%CI:0.1~0.6)であり、プラセボ群に対する率比は1,200mg静脈内投与群0.11(95%CI:0.03~0.38)、300mg皮下投与群0.21(95%CI:0.08~0.56)であった。副次エンドポイントの結果は、主要エンドポイントの結果とおおむね同じであった。 12週間の二重盲検期間における有害事象の発現率は、frexalimab 1,200mg静脈内投与群29%(15/52例)、frexalimab 300mg皮下投与群45%(23/51例)、プラセボ群31%(8/26例)で、最も多くみられた有害事象(いずれかの群で発現率5%以上)は新型コロナウイルス感染症および頭痛であった。

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第203回 1ヵ月以上続くコロナ感染は結構多い

1ヵ月以上続くコロナ感染は結構多い英国を代表する9万人強の新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)配列を解析した結果によると、少なくとも100人に1人ほどの感染は1ヵ月以上長引くようです1,2)。試験では被験者からおよそ1ヵ月ごとに採取した検体のSARS-CoV-2配列が解析され、3,603人は2回以上の検体の配列解析が可能でした。得られたウイルス配列を照らし合わせたところ、それら3,603人のうち381人に1ヵ月以上の同一ウイルス感染が認められました。381人のうち54人にいたっては2ヵ月以上同じウイルスに感染していました。その結果に基づくと、感染者100人に1~4人弱(0.7~3.5%)のその感染は1ヵ月以上、感染者1,000人に1~5人(0.1~0.5%)の感染は2ヵ月以上続くと推定されました。SARS-CoV-2持続感染者381人のうち3回以上のRT-PCR検査がなされた65人のデータによると、感染し続けているSARS-CoV-2の多くは複製できる力を失っていないようです。それら65人のほとんどのウイルスはいったん減り、その後再び増加するというリバウンドの推移を示しました。研究者によると、そのようなリバウンドは複製できるウイルスが居続けていることを示唆しています。また、SARS-CoV-2の感染持続はやはりただでは済まないようで、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)罹患後症状(long COVID)をより招くようです。SARS-CoV-2感染が1ヵ月以上持続した人の感染後12週時点以降でのlong COVID有病率は非持続感染者を55%上回りました。SARS-CoV-2感染持続とlong COVIDの関連を示した先立つ報告や今回の研究によるとSARS-CoV-2感染持続はlong COVIDの発生にどうやら寄与しうるようです。とはいえSARS-CoV-2感染持続で必ずlong COVIDが生じるというわけではありませんし、long COVIDのすべてが感染持続のせいというわけではなさそうです。実際、long COVIDに寄与するとみられる仕組みがこれまでにいくつも示唆されており、引き続き盛んに調べられています。たとえば先月にScience誌に掲載された最近の報告では、免疫機能の一翼である補体系の活性化亢進がlong COVIDで生じる細胞/組織損傷の原因となりうることが示唆されています3,4)。参考1)Ghafari M, et al. Nature. 2024 Feb 21. [Epub ahead of print]2)Study finds high number of persistent COVID-19 infections in the general population / Eurekalert3)Cervia-Hasler C, et al. Science. 2024;383:eadg7942.4)Complement system causes cell damage in Long Covid / Eurekalert

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単純性尿路感染症、新規経口抗菌薬gepotidacinが有効/Lancet

 世界219施設で実施された単純性尿路感染症の女性患者を対象とする無作為化二重盲検実薬対照第III相非劣性試験「EAGLE-2試験」および「EAGLE-3試験」において、新規経口抗菌薬gepotidacinはnitrofurantoinと比較し、治療成功率に関して非劣性(EAGLE-2試験)および優越性(EAGLE-3試験)が検証された。ドイツ・ユストゥス・リービッヒ大学ギーセンのFlorian Wagenlehner氏らが報告した。gepotidacinは、新規の作用機序を有するトリアザアセナフチレン骨格の抗菌薬で、他の抗菌薬とは異なる作用機序と独自の結合部位により細菌のDNA複製を阻害し、2つの異なるII型トポイソメラーゼ酵素をバランスよく阻害する。著者は、「gepotidacinは、臨床的に重要な薬剤耐性菌を含む一般的な細菌性尿路病原体に対して有効な新規クラスの経口抗菌薬として、患者に大きな恩恵をもたらす可能性がある」とまとめている。Lancet誌2024年2月24日号掲載の報告。gepotidacin群とnitrofurantoin群に無作為化、1日2回5日間経口投与 EAGLE-2試験およびEAGLE-3試験の対象は、出生時女性で妊娠しておらず、12歳以上かつ体重40kg以上であり、排尿困難、頻尿、尿意切迫感、下腹部痛の症状のうち2つ以上を有し、さらに、亜硝酸塩または膿尿(白血球数>15/HPF、白血球エステラーゼ3+または強陽性)が認められた単純性尿路感染症患者。 対象者を、gepotidacin群(1,500mgを1日2回5日間経口投与)またはnitrofurantoin群(100mgを1日2回5日間経口投与)に、年齢区分(18歳未満、18~50歳、50歳以上)および再発歴で層別化し、1対1の割合で無作為に割り付けた。 主要エンドポイントは、治療開始10~13日後の治癒判定(Test-Of-Cure:TOC)のための来院時における治療成功(細菌学的消失と臨床的消失の複合)であった。解析対象集団は、nitrofurantoin感受性の細菌性尿路病原体(≧105CFU/mL)を有し、試験薬を少なくとも1回投与された患者とした。非劣性マージンは、米国食品医薬品局(FDA)および欧州医薬品庁(EMA)のガイダンスに従って10%(片側p=0.025)とした。安全性は、無作為に割り付けられた試験薬を少なくとも1回投与された全患者を対象に評価した。10~13日後の治療成功率、gepotidacin群50.6~58.5%、nitrofurantoin群43.6~47.0% EAGLE-2試験は2019年10月17日~2022年11月30日、EAGLE-3試験は2020年4月23日~2022年12月1日に実施され、それぞれ1,531例および1,605例が無作為に割り付けられた(EAGLE-2試験:gepotidacin群767例、nitrofurantoin群764例、EAGLE-3試験:805例、800例)。両試験は中間解析の結果、有効中止となった。したがって、本報告の主要解析集団には、中間解析のデータカットオフ時点でTOC来院を満たした、または、TOC来院までに治療効果が得られなかったことが判明した患者のみが含まれた。 治療成功が得られた患者の割合は、EAGLE-2試験でgepotidacin群50.6%(162/320例)、nitrofurantoin群47.0%(135/287例)(補正後群間差:4.3%、95%信頼区間[CI]:-3.6~12.1)、EAGLE-3試験でそれぞれ58.5%(162/277例)、43.6%(115/264例)(補正後群間差:14.6%、95%CI:6.4~22.8)であった。gepotidacinは、両試験においてnitrofurantoinに対し非劣性であることが示され、EAGLE-3試験では優越性が示された。 主な有害事象は、gepotidacin群が下痢(発現率:EAGLE-2試験14%[111/766例]、EAGLE-3試験18%[147/804例])、nitrofurantoin群が悪心(発現率:4%[29/760例]、4%[35/798例])であった。ほとんどは軽度または中等度で、生命を脅かすまたは致死的な有害事象は認められなかった。

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2030年末までにグローバル売上の3分の1をオンコロジーにする/ギリアド

 ギリアド・サイエンシズは2024年2月19日、都内でオンコロジーメディアラウンドテーブルを開催した。 社長のケネット・ブライスティング氏はオンコロジー領域の展開に関する全体像を説明した。 ギリアドはグローバル戦略として、2030年末までに売り上げの3分の1をオンコロジー領域にするという目標を掲げている。日本法人でも、従来のウイルスや炎症に加え、オンコロジーを新たな注力領域とした。すでに、2023年のAxi-Cel(商品名:イエスカルタ)販売承継、24年には抗Trop-2抗体薬物複合体sacituzumab govitecan(SG)の乳がんに対する国内製造承認を申請している。25年以降は、肺がんなど固形がんに対するSGの追加適応、急性リンパ性白血病およびメルケル細胞リンパ腫を適応とした同社2剤目となるCAR-T brexucabtagene autoleucel(Brexu-Cel)の上市を計画している。 開発本部長の表 雅之氏は固形がんにおけるSGの展開について説明した。Trop-2は上皮細胞の膜表面タンパクで細胞内シグナル伝達に関与する。さらにTrop-2高発現は、がんの予後不良因子であることが知られる。SGはTrop-2を標的とした抗体とイリノテカンの活性代謝物SN-38の抗体複合体として抗腫瘍活性を発揮する。 SGはトリプルネガティブ乳がん(TNBC)、HR+/HER2-乳がん、および尿路上皮がん治療薬として海外で承認されている。日本では2024年1月、第III相ASCENT試験1)および国内第II相ASCENT-J02試験2)の結果を基に、2ライン以上の治療歴のある進行TNBCに対する製造承認申請をした。乳がんに対してはさらに、TNBCの1次治療3)、HER2-例の術後補助療法4)、HR+例(3次治療および内分泌療法抵抗例)5)についての治験もグローバルで行われている。 SGの開発は非小細胞肺がん(NSCLC)でも進行中である。今年(2024年)1月にプレス発表された既治療のNSCLCにおける第III相EVOKE-01試験では、主要評価項目(全生存期間[OS])は未達であったものの、免疫チェックポイント阻害薬(ICI)無効例では3ヵ月以上OSを延長したと発表している6)。NSCLCではさらに、1次治療での試験7)、ICIとの併用8)も進行中である。 そのほか胃・食道胃接合部がん、頭頸部がん、小細胞肺がん、子宮内膜がん、大腸がん、膵がんでSGのグローバル臨床試験が進行している。日本ではTNBC、HR+HER2-乳がん、膀胱がん、NSCLCで治験を実施中である。 ブライスティング氏は今後の開発について、多くの製薬企業やバイオテック企業と連携して開発を推進したいとしている。また、昨今問題となっているドラッグロス問題に関連して、グローバルの試験には日本法人として第III相から参加していきたいと述べた。■参考1)ASCENT試験(Clinical Trials.gov)2)ASCENT‐J02試験(jRCT)3)ASCENT-03試験(Clinical Trials.gov)4)SASCIA試験(Clinical Trials.gov)5)TROPiCS-02試験(Clinical Trials.gov)6)EVOKE-01試験(Clinical Trials.gov)7)EVOKE-02試験(Clinical Trials.gov)8)EVOKE-03試験(Clinical Trials.gov)

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第183回 新型コロナ公費支援は3月末で終了、通常の医療体制へ/厚労省

<先週の動き>1.新型コロナ公費支援は3月末で終了、通常の医療体制へ/厚労省2.アルコールは少量でも要注意、飲酒ガイドラインを公表/厚労省3.SNSが暴いた入試ミス、PC操作ミスによる不合格判定が発覚/愛知医大4.専攻医の過労自死問題を受け、甲南医療センターを現地調査へ/専門医機構5.医師らの未払い時間外手当、小牧市が8億円支給へ/愛知県6.診療報酬改定で人気往診アプリ『みてねコールドクター』が終了へ/コールドクター1.新型コロナ公費支援は3月末で終了、通常の医療体制へ/厚労省厚生労働省は、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)に対する医療費の公費支援を2024年3月末で終了し、4月から通常の医療体制に完全移行する方針を発表した。これまで、COVID-19の治療薬や入院医療費に関しては、患者や医療機関への一部公費支援が継続されていたが、4月からは他の病気と同様に保険診療の負担割合に応じた自己負担が求められるようになる。COVID-19への公費支援は、治療薬の全額公費負担が2021年10月より始まり、昨年10月には縮小された。また、患者は年齢や収入に応じ、3,000~9,000円の自己負担をしていた。4月からは、たとえば重症化予防薬モルヌピラビル(商品名:ラゲブリオ)を使用する場合、1日2回5日分の処方で約9万円のうち、3割負担であれば約28,000円を自己負担することになる。また、月最大1万円の入院医療費の公費支援や、コロナ患者用病床を確保した医療機関への病床確保料の支払いも終了する。COVID-19の感染状況は改善傾向にあり、定点医療機関当たりの感染者数が12週ぶりに減少している。これらの背景から、政府は公費支援の全面撤廃と通常の診療体制への移行が可能と判断した。さらに、次の感染症危機に備え、公的医療機関などに入院受け入れなどを義務付ける改正感染症法が4月から施行される。参考1)新型コロナの公費負担、4月から全面撤廃へ…治療薬に自己負担・入院支援も打ち切り(読売新聞)2)新型コロナ公費支援 3月末で終了 4月からは通常の医療体制へ(NHK)3)新型コロナ公費支援、3月末で完全廃止 厚生労働省(日経新聞)2.アルコールは少量でも要注意、飲酒ガイドラインを公表/厚労省厚生労働省は、飲酒による健康リスクを明らかにするため、「健康に配慮した飲酒に関するガイドライン」を発表した。初めて作成されたこの指針では、純アルコール量に着目し、疾患別に発症リスクを例示している。大腸がんのリスクは1日20g以上の純アルコール摂取で高まり、高血圧に関しては少量の飲酒でもリスクが上昇すると指摘されている。純アルコール量20gは、ビール中瓶1本、日本酒1合、またはウイスキーのダブル1杯に相当。ガイドラインによると、脳梗塞の発症リスクは、男性で1日40g、女性で11gの純アルコール摂取量で高まる。女性は14gで乳がん、男性は20gで前立腺がんのリスクが増加する。さらに、男性は少量の飲酒でも胃がんや食道がんを発症しやすいと報告されている。とくに女性や高齢者は、体内の水分量が少なくアルコールの影響を受けやすいため、注意が必要。また、女性は少量や短期間の飲酒でもアルコール性肝硬変になるリスクがあり、高齢者では認知症や転倒のリスクが一定量を超えると高まる。ガイドラインでは、不安や不眠を解消するための飲酒を避け、他人への飲酒を強要しないこと、飲酒前や飲酒中の食事の摂取、水分補給、週に数日の断酒日の設定など、健康への配慮としての留意点も挙げている。厚労省の担当者は、「体への影響は個人差があり、ガイドラインを参考に、自分に合った飲酒量を決めることが重要だ」と強調している。参考1)健康に配慮した飲酒に関するガイドライン(厚労省)2)ビールロング缶1日1本で大腸がんの危険、女性は男性より少量・短期間でアルコール性肝硬変も(読売新聞)3)飲酒少量でも高血圧リスク 健康に配慮、留意点も 厚労省が初の指針(東京新聞)3.SNSが暴いた入試ミス、PC操作ミスによる不合格判定が発覚/愛知医大愛知医科大学(愛知県長久手市)は、大学入学共通テストを使用した医学部入学試験の過程で、PC操作ミスにより本来2次試験の受験資格を有していた80人の受験生を誤って不合格としていたことを発表した。この問題は、SNS上で受験生間の投稿を通じて疑問が提起され、その後の大学による確認作業で明らかになった。受験生は、自己採点結果から「自分より点数が低い友人が合格している」といった内容をSNSに投稿していた。操作ミスは、大学入試センターから提供された成績データを学内システムに転記する際に発生したもので、一部受験生の点数が実際よりも低く記録されてしまったことが原因。発覚後、同大学は該当する80人の受験生に対し、予定されていた2次試験への参加資格があることを通知し、さらに受験できない者のために別の日程も設定した。この事態を重くみた大学は、「受験生に混乱を招いたことを深くお詫びする」との声明を発表し、今後のチェック体制の見直しを約束し、2度と同様のミスが発生しないようにするとしている。参考1)令和6年度医学部大学入学共通テスト利用選抜(前期)における 第2次試験受験資格者の判定ミスについて(愛知医大)2)愛知医科大学 医学部入試で80人を誤って不合格に PC操作ミスで(NHK)3)愛知医科大、PC操作ミスで80人誤って不合格…SNSで結果疑う投稿相次ぎ大学が確認し判明(読売新聞)4)「自己採点で自分より低い友人が合格」愛知医科大、判定ミスで80人不合格に(中日新聞)4.専攻医の過労自死問題を受け、甲南医療センターを現地調査へ/専門医機構日本専門医機構は、2024年2月19日の定例記者会見で、2024年度に研修を開始する専攻医の採用予定数が9,496人と発表し、過去最多であることを明らかにした。2023年度の9,325人から増加し、とくに整形外科で93人、救急科で66人の増加がみられる一方、皮膚科では51人、外科では25人の減少が確認された。同機構理事長の渡辺 毅氏は、外科専攻医の減少は問題であると指摘している。専攻医数の増加は、東北医科薬科大学や国際医療福祉大学の医学部新設とその卒業生の専攻医登録が影響しているとされ、とくに医師不足が指摘されている外科は微減傾向にあるものの、救急科では増加が予想されている。また、専攻医の過労自死問題を受け、甲南医療センター(神戸市)でのサイトビジット(現地調査)を実施する予定であり、専攻医の心身の健康維持や時間外勤務の上限明示などの環境整備が適切に行われているかを目的に調査が行われる。渡辺氏は、「得られた知見を将来の専攻医研修プログラムや専門医制度の整備指針の改善に生かしたい」と述べている。専攻医遺族が甲南医療センター側を提訴しているため、訴訟に影響が出ないような日程での実施を目指している。参考1)2024年度専攻医、整形外科や救急科で増加(日経メディカル)2)来年度の専攻医、昨年度比150人増の9,500人(Medical Tribune)5.医師らの未払い時間外手当、小牧市が8億円支給へ/愛知県小牧市民病院(愛知県)が、医師や薬剤師を含む約277人の職員に対して、夜勤や土日祝日の当直業務で適切に支払われていなかった時間外勤務手当の差額約8億円を支給することを発表した。これは、病院の医師の働き方改革を機に勤務や手当の見直しが行われた際に、複数の医師からの指摘を受けて発覚、本来、労働実態に応じて支給されるべき時間外手当が、一律の定額で支給されていたことが問題となったもの。病院側は、2023年4月からこの問題を調査し、約4年分の差額を医師、薬剤師、放射線技師などの職員に支払うことを決定した。また、3月以降は時間外勤務手当を適切に支給する制度に改めることも発表した。これまでの誤った運用は「慣例に従っていた」との理由から起こったとしている。さらに、病院は夜間や休日の手当の見直しも発表し、2020年4月~2024年2月までの間に当直業務に従事した職員に対して、法律で定められた賃金よりも過小だった手当の差額を支給する。病院側はこれまで、労働基準法に基づいた時間外勤務手当の支給が必要な場合、特例措置として「宿日直許可」を労働基準監督署に申請する必要があることを知らなかったと述べている。この措置により、病院は正規の時間外勤務手当とこれまで支給してきた手当との差額を職員に支給し、法律に準拠した形での勤務条件の改善を目指す。差額の支払いについては、市議会定例会に補正予算案を提出し、支払いは5月下旬に行われる予定。参考1)時間外手当、差額8億円支払いへ 医師ら277人に 愛知の市民病院(朝日新聞)2)小牧市民病院、夜間・休日手当見直しへ 20年以降の差額も支給(中日新聞)6.診療報酬改定で人気往診アプリ『みてねコールドクター』が終了へ/コールドクター夜間や休日に医師の往診をWebやアプリから依頼できるサービス「みてねコールドクター」が、診療報酬の改定により条件が厳格化されるため、3月31日をもって終了することが発表された。このサービスは、子供の医療助成制度適用で都内では自己負担0円(交通費別)で利用が可能で、約400人の医師が登録・在籍し、夜間・休日の急病時に最短30分で自宅に医師を派遣し、その場で薬を渡すことができた。2022年にはミクシィとの資本業務提携を経て、サービス名に「みてね」のブランドを冠し、とくに子育て世代から高い評価を得ていた。今回の診療報酬改定では、医療従事者の賃上げなどに充てるための基本報酬の引き上げが注目されていたが、往診サービスについては「普段から訪問診療を受けていない患者」への緊急往診や夜間往診の診療報酬が低下し、この変化に伴い「みてねコールドクター」はサービスの終了を決定した。同社は、今後の市場の変化を見据えての決定であると説明しており、オンライン診療や医療相談サービスは継続する。診療報酬の改定では、救急搬送の不必要な減少や医療現場の負担軽減を期待していたが、実際には小児科領域の往診が主であり、コロナ禍での特殊な状況下では多くの人にとって救いとなった。しかし、保険診療の方向性としては、緊急時のみに駆けつける医師ではなく、日常を支えるかかりつけ医の強化が求められている。参考1)往診のサービス提供終了のお知らせ(コールドクター)2)往診アプリ「みてねコールドクター」往診終了 診療報酬改定で(ITmedia NEWS)3)「みてねコールドクター」の往診サービスが終了に(Impress)4)人気の“往診サービス”が突然の終了、理由は「診療報酬改定」なぜ?(Withnews)

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肝がん、乳がんが多い都道府県は?「がんの県民性」を知る

 企業でのがん対策を進めることを目的に厚生労働省が行うプロジェクト「がん対策推進企業アクション」は2月14日、プレス向けセミナーを行った。プロジェクトの推進役である東京大学特任教授の中川 恵一氏が「がんの県民性」をテーマに講演を行った。 世界中でも、国や人種によって多いがんと少ないがんがあるが、実は日本国内でも地域ごとに発生するがんの種類にバラツキがある。この要因はさまざまなものがあり、遺伝子、人口構成、食生活などが影響している。そして、最も大きな原因と考えられるのが、ウイルスの偏在と感染だ。【胃がん】 全国がん登録のデータ(2019年)を基に、人口調整後の10万人当たりの罹患率を見ると、胃がんの罹患率がもっとも高いのは、男女共に秋田県。胃がんはピロリ菌の感染が原因の9割近くを占めることがわかっており、ピロリ菌の検査と除菌するようになってから罹患者数は減少傾向にある。その中にあって秋田県の罹患率が依然として高いのは、塩分が多い食生活が大きな要因だと考えられている。マウスの実験では、ピロリ菌に感染しているマウスに塩分を過剰に摂取させると胃がんの発生率が上昇するという報告がある。秋田県に限らず、胃がんを減らすためには、減塩、胃がん検診、禁煙・節酒が有効だろう。【肝がん】 肝がんの罹患率が高いのは、佐賀県をはじめとした九州エリア。九州だけでなく、西日本全体が東日本と比べて高い傾向がある。これは肝がんの主な発症原因であるC型肝炎ウイルスが佐賀県一帯の東シナ海エリアに多いためだと考えられる。台湾なども同じ理由から罹患率が高い傾向がある。企業が行う健康診断では毎年肝機能検査を行っており、ここにウイルス性肝炎検査も加えることを要請している。【乳がん】 乳がんの罹患率が高いのは東京都などの首都圏。これは未婚で出産経験のない女性が多いことと関連している。乳がんは10万人当たりの年間罹患者数が40年で4倍と急増している。現在の日本人女性は平均して生涯に450回ほど月経があるとされるが、これは100年前の5倍超。かつては子沢山であり、妊娠・授乳期間を含めて子供1人当たり3年間ほど月経が止まる期間があった。この間、女性ホルモンによる刺激が減り、乳がんの罹患リスクが低下していた。現在の乳がんの新規罹患のピークが40代後半にある理由も閉経直前・閉経後に女性ホルモンの変化の影響を受けることが大きな理由だと考えられる。【白血病】 白血病の罹患率が高いのは沖縄県、鹿児島県など。白血病の中の成人T細胞白血病(ATL)は、ヒトT細胞白血病ウイルス1型(HTLV-1)の感染によって生じることがわかっている。HTLV-1の感染経路は母乳による母子感染が多くを占め、このウイルスのキャリアが沖縄をはじめ、鹿児島、青森、岩手の一部などに多い。一方、このウイルスは中国・韓国ではほとんど見られない。この背景には、数千年前に日本に渡ってきた渡来人の遺伝子を受け継ぐ人々(弥生系)には感染者が少なく、縄文人が移行して弥生人になった人々(縄文系)には多い、という理由が考えられる。もっとも、人の移動の増加に伴い、HTLV-1感染は全国で見られるようになっており、とくに大阪などの大都市圏で増加している。【食道がんなど】 縄文系、弥生系の遺伝子は、飲酒時の分解酵素の有無にも関わる。アルコールは肝臓で「アセトアルデヒド」という物質に分解されるが、このアセトアルデヒドを分解するのが「ALDH2(アルデヒド脱水素酵素2)」。縄文系はこのALDH2の活性が強い「正常型」が多く、日本人の55%を占める。一方で弥生系はALDH2の活性が弱い「低活性型」が多く、日本人の40%を占める。残り約5%は「不活性型」でALDH2の働きがまったくなく、酒を飲めない体質となる。問題は「低活性型」の人が飲み過ぎることで、こうした人が飲酒を続けることで、発がんリスク、とくに大腸がんや食道がんのリスクが急激に高まるとされる。低活性型は弥生系が多い近畿・中部・中国地方に多く分布している。 中川氏は「がんは決して一様な疾患ではなく、地域や人種によってリスクに差があり、それを生む大きな要因にウイルス感染がある。自分の居住するエリアの特性を知り、対策を知っておくことが重要になる」とまとめた。

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A群溶血性レンサ球菌咽頭炎ってどんな病気?

A群溶血性レンサ球菌咽頭炎 (溶連菌感染症)ってどんな病気?• どの年齢でもみられますが、幼児期から学童期の小児で多く報告されます• のどの痛み、38度以上の発熱、倦怠感や嘔吐といった症状が多く、舌が真っ赤になり小さなブツブツができる「イチゴ舌」がみられることがあります• 多くの場合、熱は3~5日以内に下がり、症状は1週間以内に改善します• まれに重症化し、のどや舌・全身に赤み・発疹がひろがる「猩紅熱(しょうこうねつ)」に移行することがあります治療法は?他の人にうつさないようにするには?•症状があり、検査をして感染が認められた場合は、抗菌薬での治療を行います。腎炎などを防ぐため、症状が改善しても医師に指示された期間は薬を飲むことが大切です•咳やくしゃみなどのしぶきに含まれる細菌を吸い込む「飛まつ感染」、細菌が付いた手で口や鼻に触れる「接触感染」、食品を介して細菌が口に入って感染する「経口感染」があります•のどの痛みがひどい場合は柔らかく薄味の食事を工夫し、水分補給を心がけましょう•感染力は病気になりはじめの時期、症状が急に現れる時期に最も高いとされます•手洗い・うがいを行いましょう•マスクの着用も有効です出典:東京都保険医療局「A群溶血性レンサ球菌咽頭炎 (溶連菌感染症)について」国立感染症研究所「A群溶血性レンサ球菌咽頭炎とは」Copyright © 2024 CareNet,Inc. All rights reserved.

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BRCA変異陽性乳がん未発症者の検診と予防治療のために~クラウドファンディング開始

 BRCA変異陽性で乳がん未発症の場合、乳房MRIによる検診や予防的乳房切除には少なくない費用負担が発生し、費用が原因で検診や予防治療をあきらめてしまう患者さんがいる。そこで昭和大学病院ブレストセンターの中村 清吾氏らは、「遺伝性乳がんの“発症前”に寄り添う、検診と予防治療の臨床研究継続へ」と題したクラウドファンディングのプロジェクトを開始した(募集は4月12日午後11時まで)。 同プロジェクトでは、BRCA変異陽性乳がん未発症者の検診や予防治療の保険適用を視野に、国立研究開発法人日本医療研究開発機構(AMED)の研究助成のもと立案・開始された臨床研究の継続・完遂を目指す。この臨床研究は、「乳がん未発症のBRCA2変異陽性の女性に対するタモキシフェンの乳がん発症予防効果と安全性を明らかにすること」、「乳房MRIによるサーベイランスおよびリキッドバイオプシーを利用した低侵襲の新規乳がん検出法の有用性の検討」を目的としている。2020年4月~2023年3月末までの研究期間が新型コロナウイルス感染症の流行時期と重なり、未発症者の来院が制限されるなどの影響を受けて目標症例の約3分の1の登録にとどまっていた。【プロジェクトの概要】BRCA2変異陽性が確認された乳がん未発症の女性(20〜70歳)を対象に、タモキシフェンの乳がん発症予防効果と安全性評価を行うため、目標症例数210例に対して、残り150例の登録を目指して研究を継続する。【到達目標】第一目標金額:1,500万円・乳がん未発症の方に対する「乳房MRI」の一部補助費(1回当たり約2万5,000円)・クラウドファンディング手数料 など第二目標金額:3,000万円(第一目標金額+1,500万円)・「乳房MRI」、「リキッドバイオプシー」による早期乳がん発見の有用性の検討に必要な症例数200例登録に向けて必要な血液解析費用・臨床試験実施にかかる諸費用(国内の多施設を研究拠点として継続するための費用を含む)・クラウドファンディング手数料 など第三目標金額:4,500万円(第二目標金額+1,500万円)・遺伝性乳がん関連遺伝子27項目の測定費用・クラウドファンディング手数料 など【研究スケジュール】2024~29年3月までの5年間を想定

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第182回 診療報酬改定を答申、賃上げの実現を主眼とするも医療費抑制も視野に/中医協

<先週の動き>1.診療報酬改定を答申、賃上げの実現を主眼とするも医療費抑制も視野に/中医協2.「地域包括医療病棟」を新設、病床再編で高齢者救急患者の受け皿を開設/厚労省3.医療DXを診療報酬改定でさらに推進、マイナ保険証の普及促進で患者負担増/厚労省4. 医療機関の倒産件数は高水準のまま横ばい、負債総額は過去最大を記録/帝国データバンク5.リピーター医師、透析治療せずに患者が死亡、遺族が病院に訴え/大阪6.昇圧薬の補充遅延で患者が死亡、神戸徳洲会病院の安全体制問題が再び問題に/兵庫1.診療報酬改定を答申、賃上げの実現を主眼とするも医療費抑制も視野に/中医協厚生労働省は、2月14日に中央社会保険医療協議会(中医協)の総会を開き、2024年度の診療報酬改定について答申を行った。今回の診療報酬改定は、医療従事者の賃上げを進めつつ、医療費抑制という2つの目標を達成しようとする「メリハリ」のある内容を特徴としている。とくに生活習慣病に関する管理料の適正化が注目されている。これにより医療費の国費負担の一部抑制が図られたが、全体抑制額は200億円に止まり、医療費全体の増大傾向に対する根本的な解決には至っていないとする声もある。今回の改定により、医療従事者への賃上げが実施され、とくに40歳未満の勤務医や看護職員、薬剤師らの待遇改善が図られている。これには、外来・在宅ベースアップ評価料の新設や初診料、再診料の増額などが含まれている。しかし、生活習慣病に関する報酬の適正化には、糖尿病や高血圧、脂質異常症を特定疾患療養管理料の対象から除外するなどの措置が含まれ、これによりプライマリケアを提供する開業医の収入に影響が出る可能性がある。また、介護報酬の改定では、訪問介護の基本報酬が削減される一方で、介護職員の賃上げを目的とした加算の設定が行われた。しかし、小規模事業者からは報酬減による経営の危機やサービス提供能力の低下が懸念されている。精神科訪問看護に関しても、報酬の取得条件が厳格化され、不正や過剰請求への対策が強化された。参考1)中央社会保険医療協議会(第584回) 総会(厚労省)2)「めりはり」ある診療報酬改定、武見厚労相が総括 生活習慣病の管理料など適正化(CB news)3)開業医の改革道半ば 診療報酬改定 医療費の国費負担12兆円 200億円抑制、生活習慣病が軸(日経新聞)4)訪問介護 異例の報酬削減 小規模事業者、撤退の危機(東京新聞)2.「地域包括医療病棟」を新設、病床再編で高齢者救急患者の受け皿を開設/厚労省2024年度の診療報酬改定のうち、入院診療では、高齢者救急患者への対応強化を目的とした「地域包括医療病棟入院料」の新設が注目されている。厚生労働省は、以前から急性期一般入院料1(旧7対1病床)の病床削減が進まないことを問題視しており、急性期病床の削減のため急性期一般入院料1の平均在院日数を16日以内にすることで、病床の再編を病院に促している。厚労省は、後期高齢者が増加するのに合わせて、病気の治療に加えて、早期のリハビリや栄養管理で身体機能の低下を抑え、退院支援を行う目的で1日当たり3,050点の「地域包括医療病棟」を新たに設けた。看護配置は「10対1」で、リハビリテーションや栄養管理、口腔管理を含む包括的なサービス提供が施設基準の条件。地域包括医療病棟の要件としては、平均在院日数は21日以内、在宅復帰率が8割以上としているほか、特定機能病院や急性期充実体制加算を届け出ている高度急性期病院は算定できないなど制限も設けられている。地域包括医療病棟の新設で、急性期医療の機能分化を促進し、中小病院などに少なくない影響が及ぶ可能性があり、地域医療への影響が大きくなると予想されている。今回の改定により、地域包括医療病棟が高齢者救急の受け皿として機能強化されることが期待されているが、急性期医療の再編や地域医療提供体制の整備と連携が今後の課題となる。参考1)令和6年度診療報酬改定について(厚労省)2)厚労省 早期のリハビリで退院を支援する病棟新設を後押しへ(NHK)3)24年度改定 急性期の機能分化へ「地域包括医療病棟入院料」新設 中小病院など地域医療への影響大きく(ミクスオンライン)4)地域包括医療病棟入院料を新設 10対1看護配置、急性期一般入院料からの転換が進むか(日経メディカル)5)地域包括医療病棟入院料は3,050点 リハ・栄養・口腔連携加算80点、24年度改定(CB news)3.医療DXを診療報酬改定でさらに推進、マイナ保険証の普及促進で患者負担増/厚労省2024年度の診療報酬改定では、医療従事者の賃上げを支援し、医療のデジタル化(医療DX)を推進するための複数の措置が導入された。とくに、マイナンバーカードを活用した「マイナ保険証」の利用促進が後押しされ、救急搬送時の情報確認などに活用される方針だ。しかし、このデジタル化推進は患者の負担増につながり、障害者団体からは現行の健康保険証廃止に対する懸念の声が上がっている。新たに設けられる「医療DX推進体制整備加算」により、マイナ保険証や電子処方箋の利用を促進する医療機関に対して、初診時に80円、歯科で60円、調剤で40円が加算され、患者の自己負担が増加する。また、政府は、救急搬送時にマイナ保険証を用いることで、患者かかりつけ医や服薬歴などの情報を迅速に確認し、効率的な救命活動をする計画を立てている。一方で、障害者団体は、マイナ保険証の1本化により、支援が必要な障害者が置き去りにされる恐れがあると指摘し、現行の保険証も残すべきだと訴えている。政府は、現行の健康保険証を2024年12月に原則廃止し、マイナ保険証への完全移行を計画しており、利用率の向上に努めているが、現在の利用率は4.29%と低調。今回の改定で、医療DXの推進やマイナ保険証の普及に向けた取り組みが強化されるが、患者負担の増加や障害者の利便性の問題など、新たな課題も提起されている。参考1)マイナ保険証の利用促進なども後押し 診療報酬改定 患者は負担増に(朝日新聞)2)マイナ保険証、救急搬送時に活用へ 服薬歴など確認(日経新聞)3)マイナ保険証への一本化で障害者が置き去りに…「誰のためのデジタル化か」当事者団体が国会議員に訴え(東京新聞)4.医療機関の倒産件数は高水準のまま横ばい、負債総額は過去最大を記録/帝国データバンク2023年、医療機関の倒産件数は41件で、前年と同数だったが、負債総額は253億7,200万円と過去10年で最大となったことが、帝国データバンクの調査で明らかとなった。この負債総額の増加は、大きな負債を抱えていた「八千代病院」(八千代市)などを運営する医療法人社団心和会(負債132億円)と「東京プラス歯科矯正歯科」などを運営していた医療法人社団友伸會(負債37億円)の影響が大きい。倒産した医療機関のうち、「病院」が3件、「診療所」が23件、「歯科医院」が15件で、大部分が5億円未満の負債。帝国データバンクは、2024年も医療機関の倒産が高水準で推移すると予想しており、とくに診療所では経営者の高齢化や健康問題が影響し、過剰債務などを理由に法的整理を選択するケースが増える可能性を指摘している。参考1)病院などの「医療機関」、倒産が2年連続で40件超え 今後は診療所の動向に注目(ITmedia)2)帝国データバンク 2024年 1月報(帝国データバンク)5.リピーター医師、透析治療せずに患者が死亡、遺族が病院に訴え/大阪透析治療を受けていた90歳男性が、新型コロナウイルス感染で転院したにもかかわらず、必要な治療を受けられずに死亡した事件で、遺族が病院運営法人に約5,000万円の損害賠償を求めて大阪地裁に提訴した。男性は、大阪府内のクリニックで週3回の透析治療を受けていたが、新型コロナウイルス陽性と診断された後、同系列の医誠会病院に転院した。転院後は抗ウイルス薬のみ投与され、透析治療は一切行われなかったとされている。数日後に男性は、窒息による低酸素脳症で死亡した。遺族は病院が透析治療可能であるとクリニックに返答し、クリニックが診療情報を引き継いだにもかかわらず治療が行われなかったと主張している。問題は、過去に赤穂市民病院で医療過誤を含む複数の医療事故に関与し、依願退職した後に医誠会病院へ転職した40代の男性医師が関与した可能性があり、この医師は患者の透析治療が必要であるにもかかわらず、適切な対応を怠ったとされている。遺族は、医師の初動対応の不備と病院の管理体制の欠如が死に直結したと主張し、医療法人「医誠会」に対し約5,000万円の損害賠償を求めている。この訴訟は、医療機関の責任と医師個人の過去の問題が患者の命にどのような影響を及ぼしたかという点で、病院側の安全体制の責任を問いかけている。遺族は、真実を求めるとともに、同様の悲劇が再発しないよう医療機関の体制改善を訴えている。参考1)腎不全で透析治療の男性 新型コロナ陽性で転院するも透析治療されず死亡 遺族が約5,000万円の賠償を求め病院側を提訴 大阪地裁(MBS)2)元市民病院脳外科医 転職先でも医療トラブル 透析治療せず患者死亡か(赤穂民報)6.昇圧薬の補充遅延で患者が死亡、神戸徳洲会病院の安全体制問題が再び問題に/兵庫神戸徳洲会病院(神戸市垂水区)で今年1月、心肺停止状態から回復した90代の男性患者が、昇圧薬が切れた直後に死亡していたことが判明した。報道によると、患者に投与していた昇圧薬が切れた直後、薬剤の補充が準備されておらず、必要な治療が提供されなかったため、薬が切れた直後に患者は亡くなった。病院側は「死期を早めた可能性がある」として家族に謝罪し、神戸市は医療安全体制に不備がなかったか調査を行っている。同院は、去年カテーテル治療後の患者死亡事案や適切な治療が行われず糖尿病患者が亡くなった事案が発覚しており、医療安全体制の問題で神戸市から行政指導を受けていた。今回の事案を受け、神戸市は改善命令を出す方針であり、病院は救急患者の受け入れを一時中止し、院内で原因調査と適切な対応を進めている。参考1)神戸徳洲会病院 投与の薬剤追加されず その後 患者死亡(NHK)2)薬剤の補充分なく、薬切れた直後に90歳代患者が死亡…神戸徳洲会病院「死期早めた可能性」(読売新聞)3)神戸徳洲会病院、薬剤の追加を怠り患者が死亡 警告音が鳴り、家族が訴えるも対応されず(神戸新聞)

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