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<先週の動き>1.小児科の病床不足で医療現場が逼迫、感染症対策の重要性が明らかに2.マイナンバーカードと健康保険証の一体化に向けて推進本部を設置/厚労省3.後期高齢者医療制度の支援金が過去最大の6.5兆円へ、現役世代の負担増/厚労省4.救急車出動件数の増加に対応 新たな運用方法とアラート導入へ/東京消防庁5.後発薬の政府目標見直し、薬剤師・薬局の役割を強化、パブリックコメント募集/厚労省6.全国で相次ぐコロナ検査の不正、悪質な事業者が検査件数を水増し1.小児科の病床不足で医療現場が逼迫、感染症対策の重要性が明らかに6月下旬、全国で小児科の病床がひっ迫し、小児の入院患者数が急増していることが報じられている。千葉市の中核病院の千葉市立海浜病院では、RSウイルス感染症に感染した子供の症状が悪化し、入院するケースが増加、病床の稼働率は9割前後のため、受け入れ制限を余儀なくされている。沖縄でも新型コロナウイルスの感染拡大により小児医療が限界に近付き、重点医療機関で休職する医療従事者が増加、病棟が逼迫している。医師会や県立病院の関係者は、医療現場が逼迫している状況を訴え、基礎疾患を持つ人々を守るために全体的な感染対策が必要であると呼びかけている。各地では、小児科の病床不足や医療現場の逼迫が深刻な課題であり、感染症対策の重要性が浮き彫りになっている。参考1)RSウイルス感染症 症状悪化で入院急増 小児科病床ひっ迫 千葉(NHK)2)小児科パンク寸前 コロナに加え、子の感染症が流行 沖縄 PICU満床 入院先見つからず(琉球新報)3)コロナ拡大で小児医療が限界間近に 重点病院の医療従事者565人も休職で現場が逼迫 県医師会、緊急会見で感染対策を呼び掛ける(同)2.マイナンバーカードと健康保険証の一体化に向けて推進本部を設置/厚労省加藤厚生労働大臣は、マイナンバーカード(マイナカード)と健康保険証の一体化について問題を解決するために、「オンライン資格確認利用推進本部」を設置することを明らかにした。情報登録の正確性や医療費の取り扱いなどの対策を進める予定で、高齢者施設の入所者にも対応することを検討する。また、厚生労働省はオンラインで資格確認するための推進本部を設置、迅速かつ正確なデータ登録やトラブル対応に取り組むことを発表した。マイナカードに関連するトラブルについて、政府は、デジタル庁と厚労省、総務省が共同して「マイナンバー情報総点検本部」を6月に設置し、秋までに全データの点検を行う予定。加藤大臣は国民の不安を解消し、安心してマイナカードを利用できる環境を整備すると述べている。参考1)第1回 マイナンバー情報総点検本部(デジタル庁)2)第1回 オンライン資格確認利用推進本部(厚労省)3)“保険証廃止を円滑に” 厚労相を本部長とする推進本部 設置(NHK)4)「オンライン資格確認利用推進本部」を設置へ マイナ保険証の利用環境の整備に向け 厚労省(CB news)3.後期高齢者医療制度の支援金が過去最大の6.5兆円へ、現役世代の負担増/厚労省厚生労働省は6月30日、2021年度の後期高齢者医療制度の財政状況を発表した。現役世代からの支援金は6兆5,266億円で過去最大となった。今後は、団塊の世代が後期高齢者になることから、医療費はさらに増える見通し。2021年度の後期高齢者への医療費支出は16兆6,129億円で、前年度比5.6%増加した。保険給付費は15兆8,079億円で3.1%増加。公費による支援金は収入の約半分を占めているが、国庫支出金は5兆3,354億円で1%減少。都道府県支出金は1兆3,530億円で2.8%増加し、市町村負担金は1兆2,830億円で1%増加。75歳以上の高齢者が支払う保険料は1兆3,893億円で、収入の8%程度を占めている。残りは現役世代の加入している健康保険組合や国民健康保険からの交付金で4割ほどを負担している。2022年5月末時点の75歳以上の被保険者は1,853万人で、5年前より170万人ほど増加している、今後はさらに高齢者人口の増加に伴い、現役世代の負担増が見込まれている。参考1)令和3年度後期高齢者医療制度(後期高齢者医療広域連合)の財政状況について(厚労省)2)後期高齢者医療、現役からの支援金最大、21年度6.5兆円(日経新聞)4.救急車出動件数の増加に対応 新たな運用方法とアラート導入へ/東京消防庁東京消防庁の救急車出動件数が、昨年の過去最多を超えるペースで増加していることが明らかとなった。増加要因としては、行動制限の緩和による外出増や熱中症などが挙げられる。その結果、救急車の到着が遅れる事態が発生しており、同庁は、緊急性の高い通報に迅速に対応するため、7月1日から新たな救急車の運用方法を導入すると発表した。新たな救急車運用では、重症対応救急小隊を設置し、緊急性の高い傷病者に優先的に対応する救急車を配置する予定。今年の救急出場件数は、6月25日時点で過去最多のペースで増加しており、同庁は適正な利用を呼びかけている。また、救急車逼迫アラートを導入し、状況を周知することで適切な利用を促す取り組みも行う予定。参考1)令和5年中の救急出場件数が過去最多を超えるペースで増加中!~救急車の適時・適切な利用をお願いします~(東京消防庁)2)「救急車逼迫アラート」開始 出動最多ペース、適正利用を-東京消防庁(時事通信)3)“救急車ひっ迫”ことしも過去最多の去年を超えるペースで増加 東京消防庁が「救急車の新たな運用」あすから開始(日テレ)5.後発薬の政府目標見直し、薬剤師・薬局の役割を強化、パブリックコメント募集/厚労省後発薬の政府目標を金額ベースで見直し、使用促進を図る方針と、薬剤師・薬局の役割を啓発するための「薬と健康の週間」実施が厚生労働省から発表され、後発医薬品の使用促進に関して、政府目標が2023年度中に見直されることが明らかになった。この新目標に基づき、各都道府県は第4期医療費適正化計画の目標を24年度中に設定する見込み。厚労省は、医薬品の迅速かつ安定した供給を基本としながら、有識者検討会の議論を踏まえ、目標を見直すことを決めた。後発薬の使用促進に関しては、各都道府県の80%以上の数量シェアを23年度末までに達成する目標が定められており、現在29道県が達成している。また、厚労省は、2024年度からの第4期医療費適正化計画に向けた基本方針の改正案について、パブリックオピニオンを募集している。改正案では、効果が乏しいとされる医療や地域差のある医療資源の投入に対して取り組みを進めるほか、後発医薬品の使用促進のために保険者などが差額通知を実施する支援、フォーミュラリに関する情報を医療関係者に周知する取り組みが追加されている。意見募集は7月4日まで行われ、中旬に告示する予定。参考1)第四期医療費適正化基本方針について(厚労省)2)後発薬の政府目標「金額ベース」に、年度内に見直し さらなる使用促進へ(CB news)3)後発医薬品の使用推進、薬剤師・薬局の役割を啓発-厚労省、10月に「薬と健康の週間」実施(同)4)医療費適正化の基本方針、7月中旬告示へ 厚労省、意見募集開始(同)5)医療費適正化に関する施策についての基本的な方針の全部を改正する件(案)に関する御意見の募集について(政府)6.全国で相次ぐコロナ検査の不正、悪質な事業者が検査件数を水増し新型コロナウイルスの感染拡大防止のため政府が行なった感染対策の一環で行われた無料検査事業を巡って不正を行う業者が問題となっているが、検査業者の内部関係者により不正の実態が明らかとなった。大阪府の委託先では、過去の検査事業で億単位の補助金を受け取ったとされ、不正の実態が産経新聞の報道で明るみにされた。大阪府内の無料検査場では2年間、無料のPCR検査や抗原検査を受けるために訪れた患者に対して行われていた。もともと検査場ではPCR検査は受検者の唾液を専用施設に送り、最短2日で結果を通知していた。典型的な不正な手口は、「PCR検査だけ受けた人が抗原検査も受けたと偽り、検査件数を水増し、補助金を申請する」ことだった。内部関係者は自分の検査場ではほとんどなかったとしながらも、別の検査場では不正が珍しくなかったと告白した。さらに、抗原検査では、現場で結果が判明する。申込書は府側に提出せず、1週間ごとに件数のみを報告していた。内部関係者によると、抗原検査の申込書にPCR検査を受けた人の情報を勝手に記入し、架空の抗原検査結果を報告していたという。府側の担当者も抗原検査は水増しの痕跡が残りにくいと明かしている。大阪府は不正に関する情報を受け、15事業者の立ち入り調査を行った結果、7事業者で補助金の不正申請が確認され、補助金42億円余りを不交付とし、約11億円の返還となった。同様の不正行為は東京都でも認められており、6月2日に11の事業者が都に総額約183億円の補助金を不正に請求していたと発表している。6月19日には、埼玉県の無料検査事業で抗原検査を実施したように装い、補助金をだまし取ったとして、詐欺容疑で社長ら2人が逮捕された。不正請求の総額は7千万円以上とみられており、県側は補助金の返還を求めている。参考1)コロナ無料検査の不正「当たり前」 公金食い物に…内部関係者が明かす水増しの実態(産経新聞)2)抗原検査やってないのに…新型コロナ検査補助金だまし取る、容疑の社長ら逮捕 不正請求の総額7千万円超か(埼玉新聞)