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抗インフルエンザ薬のスイッチOTC化には反対/日医

 日本医師会(会長:松本 吉郎氏[松本皮膚科形成外科医院 理事長・院長])は、1月7日に定例の記者会見を開催した。会見では、松本氏の年頭あいさつのほか、抗インフルエンザ薬のスイッチOTC化に関するパブリックコメントへの意見、赤ひげ大賞の受賞者発表などが行われた。 松本氏は年頭のあいさつとして干支の「午」に触れ、自身が年男であることから「地域医療を守るという強い決意のもと、情熱的でかつエネルギッシュな1年としたい」と語った。また、箱根駅伝の青山学院大学の連覇を例に「選手への指導体制や人材育成、サポートなどが連覇に大切であり、これは医療にもつながる」と述べた。 2025年について参議院選挙や年末の補正予算編成、そして、令和8年度の診療報酬改定について振り返るとともに「OTC類似薬や高額療養費など、未解決の課題についても医療現場の意見が表明できる場に参加していきたい」と語った。 そして、2026年の抱負については、高市 早苗総理大臣が先ごろ表明した「国民会議」の立ち上げについて、さまざまな手段で医師会の意見を主張していくこと、現在最多の会員数17万8,593人を本年さらに更新できるよう、「引き続き努力し、会員数だけではなく、会員全体の力もしっかりと伸ばしていきたい」と抱負を述べた。個人にリスクを負わせるスイッチOTC化には反対 「抗インフルエンザ薬のスイッチOTC化に関するパブリックコメント」について、常任理事の今村 英仁氏(公益財団法人慈愛会 理事長)が、医師会の考えを説明した。「抗インフルエンザ薬のスイッチOTC化」について、医師会は反対の意を表明すると述べた。 その理由として以下の6つの項目を挙げた。・インフルエンザは、発熱やせきなどの軽症例にとどまらず、肺炎や脳症などの重篤な合併症を引き起こしうる感染症である。そのために抗インフルエンザ薬は、発症時期や症状の経過、基礎疾患の有無、年齢などを総合的に評価した上で、医師の管理下で適正に使用されるべき医薬品である。・スイッチOTC化により、医師の診断を伴わない患者の自己判断使用が拡大すると、「インフルエンザ以外の疾患に対する誤用」「投与開始時期を誤ることによる効果低下」「受診遅れによる重症化リスクの増大」などのさまざまな事態が懸念される。・抗インフルエンザ薬の不適切使用は、耐性ウイルス出現のリスクを高め、社会全体の感染症対策を脅かす公衆衛生上の課題になる。・高齢者や小児、妊婦、基礎疾患を有する方など、重症化リスクの高い人々に対しては、抗ウイルス薬の使用可否や投与方法を慎重に判断する必要があるが、こうしたリスク評価を個人の自己判断に委ねることで、重症例の増加や救急医療などの医療資源のひっ迫を招きかねない。・インフルエンザ流行期における受診動向や急性呼吸器感染症の感染状況の把握は、医療機関を通じて行われてきたことを踏まえ、スイッチOTC化により医療機関を介さない中途半端な治療が広がれば、流行状況の把握や適切な対策立案が困難となり、わが国全体の感染症対応力を低下させる恐れがある。・医薬品供給問題について、医療用製造ラインの一部をスイッチOTC製造ラインに変更することになれば、医療用抗インフルエンザ薬が必要なときに医療現場に届かないことが懸念される。 おわりに今村氏は、「社会保険料の削減を目的としたOTC類似薬やスイッチOTC化の推進は、必要なときに適切な医療を受けられない国民が増えることが危惧される。日本医師会としては、医師の診断と治療の下で国民の健康と安全を守り、国民皆保険制度を堅持する姿勢で今後も対応する」と述べた。 最後に常任理事の黒瀬 巌氏(医療法人社団慶洋会 理事長)が、第14回「日本医師会 赤ひげ大賞」として、大賞受賞者5人と功労賞受賞者20人の決定を報告し、会見を終えた。

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HPVワクチン、導入からの17年間で集団レベルでの高い有効性と集団免疫を確認

 ヒトパピローマウイルス(HPV)ワクチンが初めて導入された2006年から17年が経過した2023年までの調査を解析した結果、性交渉の経験がある若年女性においても、1回でも接種していれば、集団レベルでの高い有効性と明確な集団免疫が認められることが、「JAMA Pediatrics」に9月29日掲載された研究で明らかにされた。 米シンシナティ小児病院医療センターのAislinn DeSieghardt氏らは、2006年から2023年までに実施された6回の横断的な調査のデータを用いて、性交渉経験のある13〜26歳の若年女性2,335人(平均年齢18.9歳)を対象に、ワクチンの有効性および集団免疫について評価した。これら6回の調査は、2006〜2007年、2009〜2010年、2013〜2014年、2016〜2017年、2018〜2021年、および2021〜2023年に実施された。16および/または18型の感染を2価ワクチンのタイプの感染、6・11・16・18型のうち1種類以上の感染を4価ワクチンのタイプの感染、6・11・16・18・31・33・45・52・58型の1種類以上の感染を9価ワクチンのタイプの感染とそれぞれ見なし、接種者(1回以上接種)を未接種者と比較することでワクチンの有効性と集団免疫を評価した。各調査回の参加者の背景の違いは、傾向スコアによる逆確率重み付けを用いて調整した。 2,335人の参加者のうち1,195人(51.2%)に性感染症の既往があり、1,843人(78.9%)は、これまで性的パートナーとして経験した男性の数が2人以上だった。2006年から2023年にかけて、ワクチン接種率は371人中0人から402人中330人(82.1%)に増加した。接種者における傾向スコアで調整した各タイプのHPV陽性率は、2価ワクチンでは2006年の27.7%から2023年の0.4%へ、4価ワクチンでは35.4%から2.1%へ、9価ワクチンでは48.6%から11.8%へ、それぞれ減少した。同様に、未接種者における陽性率も、25.8%から7.3%、25.3%から6.1%、42.7%から31.1%にそれぞれ減少した。ロジスティック回帰モデルにより、2価および4価ワクチンのタイプの感染を起こす調整オッズ比(aOR)を推定したところ、全体では0.03(95%信頼区間〔CI〕0.01〜0.07)および0.06(同0.03〜0.10)、接種者では0.01(同<0.01〜0.05)および0.04(同0.02〜0.08)、未接種者では0.23(同0.08〜0.63)および0.19(同0.07〜0.52)と、いずれも有意な低下が見られたが、低下の幅は接種者の方が大きかった。9価のタイプの感染では全体(aOR 0.22、95%CI 0.16〜0.31)および接種者(同0.14、0.09〜0.21)において有意な低下が見られた。 論文の共著者の一人である米アルバート・アインシュタイン医科大学のJessica A. Kahn氏は、「今回の結果から、性交渉経験があり、かつ3回接種を完了していない若年女性においても、HPVワクチンは感染を予防できる力があると思われ、究極的にはこの世界から子宮頸がんを撲滅できるのではないかと考えている」と述べている。 なお、一人の著者が、製薬企業との利益相反(COI)に関する情報、2人の著者が関連特許を保有していることを明らかにしている。

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呼吸器系ウイルス検査陽性の市中肺炎、抗菌薬投与は必要?

 米国胸部学会(ATS)が2025年に発表した最新の市中肺炎(CAP)ガイドラインでは、呼吸器系ウイルス検査陽性となった入院CAP患者全例に対して、抗菌薬を投与することを条件付きで推奨している1)。しかし米国感染症学会(IDSA)は非重症患者に対するこの推奨に同意せず、非重症患者では重複感染の可能性を検討するために多少の時間をかけることによるリスクはほとんどなく、抗菌薬を開始するかおよびいつ開始するかについては臨床医の裁量の余地があるとしている2)。米国・ペンシルベニア大学のBrett Biebelberg氏らはこれらの患者集団における抗菌薬投与の頻度・期間と転帰を評価する目的で、大規模な多施設共同の傾向スコア重み付け解析を実施。結果をClinical Infectious Diseases誌オンライン版2025年12月11日号で報告した。 本研究では、2015年6月~2024年12月に5つの病院において、来院後48時間以内に肺炎が疑われる臨床所見を認め、かつ呼吸器系ウイルス検査陽性の入院患者を後ろ向きに特定。臨床データを用いて、0~2日間の抗菌薬投与を受けた患者と5~7日間の抗菌薬投与を受けた患者について、傾向スコア法により全体およびウイルスごとの転帰を比較した。 主な結果は以下のとおり。・呼吸器系ウイルス検査陽性でCAP疑いの入院患者6,779例のうち、3,269例が0~2日間、1,560例が5~7日間の抗菌薬投与を受けた。・平均年齢は67.5歳(SD 17.6)、46.9%が女性で、検出ウイルスはSARS-CoV-2ウイルスが60.3%、インフルエンザ(AもしくはB)ウイルスが17.4%、RSウイルスが9.2%、ライノウイルスが7.3%などであった。・プロカルシトニン値>0.25μg/Lなど除外基準に該当した患者を除く2,614例(抗菌薬投与0~2日間:1,720例、同5~7日間:894例)を解析対象とした。・抗菌薬投与0~2日間の患者と5~7日間の患者の間で、入院期間(11.7日vs.11.1日、オッズ比[OR]:1.05、95%信頼区間[CI]:0.97~1.15)、48時間後のICU入院率(28.3%vs.28.2%、OR:1.01、95%CI:0.86~1.18)、院内死亡率(9.5%vs.9.8%、OR:0.97、95%CI:0.74~1.27)、30日間の病院不在日数(16.9日vs.17.0日、OR:0.99、95%CI:0.95~1.03)における有意差は認められなかった。・結果は、SARS-CoV-2以外のウイルスおよびインフルエンザウイルスのみに限定した場合、抗菌薬の投与期間を0日間と5~7日間で比較した場合、入院時に肺炎のICD-10コードを有する患者に限定した場合も一貫していた。 著者らは今回の結果について、呼吸器系ウイルス検査陽性のCAP疑い患者の多くにおいて抗菌薬は有益でない可能性を示唆するものとしている。

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15分で判定可能なC型肝炎ウイルス迅速PCR検査を開発

 米ノースウェスタン大学が開発した迅速検査のおかげで、C型肝炎ウイルス(HCV)に感染しているかどうかを15分以内に判定できるようになった。この検査により、医師は診察中に感染症を診断し、その場で治療を開始できるようになる。ノースウェスタン大学フェインバーグ医学部グローバルヘルス研究所・グローバル感染症および新興感染症センターのClaudia Hawkins氏らが開発したこの検査に関する詳細は、「The Journal of Infectious Diseases」に12月10日掲載された。 Hawkins氏は、「この検査は、診断を劇的に改善し、治療の普及を加速させ、より多くの人に対するより早期の治癒を可能にすることで、米国および世界のHCV治療に革命をもたらす可能性がある」とニュースリリースで述べている。同氏はさらに、「遅延を減らし、検査に至るまでの流れを簡素化することで、未治療のHCVによる壊滅的な肝臓関連の合併症から何百万人もの命を救う可能性がある」と付け加えている。 C型肝炎は、世界中で推定5000万人に影響を与え、主に肝臓の瘢痕化と肝臓がんにより、毎年24万2,000人が死亡している。研究グループは背景情報の中で、C型肝炎は8~12週間の投薬で治癒できるが、治療率は依然として低いと述べている。 通常、活動性のHCV感染の有無を調べる検査では、血液サンプルを検査機関に送る必要がある。検査機関から医師のもとに結果が届くまでには、数日から数週間かかることもあるという。 今回、開発された検査は、DASH(Diagnostic Analyzer for Specific Hybridization〔特異的ハイブリダイゼーション診断解析装置〕)迅速PCRシステムと呼ばれるもので、装置に血液サンプルを入れるだけでPCR検査の結果が得られる。この装置は当初、鼻腔スワブで採取したサンプルから新型コロナウイルスを検出するために開発された。 現状で利用可能なHCVの迅速検査は、米食品医薬品局(FDA)が2024年6月に承認したXpert HCV検査である。この検査は、結果が出るまでに40~60分かかる。一方、Hawkins氏らが開発した検査の所要時間は15分であり、Xpert HCV検査よりも最大で75%速く結果が判明するという。 この検査の臨床での有用性を確認するために、米ジョンズ・ホプキンス大学の共同研究者らは、97個の血漿サンプルを用いて独自の評価を行った。その結果、本検査は既存の検査法との比較において、陽性一致率および陰性一致率がともに100%であった。 論文の上席著者であるノースウェスタン大学マコーミック工学部のSally McFall氏は、「患者の診察中にポイントオブケアで実施できる診断検査を開発することができた。これにより、HCV撲滅に向けた取り組みを支援するための即日診断と治療が可能になる」と述べている。 研究グループは、この検査は世界保健機関(WHO)が掲げる「2030年までにHCVを根絶する」という目標の達成において、重要な役割を果たす可能性があるとの期待を示している。

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妊娠前・中のコロナワクチン接種、母体の重症化および早産リスク低下/JAMA

 妊娠前および妊娠中の新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)ワクチンの接種(新型コロナウイルス感染症[COVID-19]の診断前)は、変異株の流行時期にかかわらず母体の重症化リスクおよび早産リスクの低下と関連することが、カナダで行われたサーベイランスプログラムで示された。同国ブリティッシュ・コロンビア大学のElisabeth McClymont氏らCANCOVID-Preg Teamが報告した。COVID-19およびワクチン接種が妊娠アウトカムに及ぼす影響については、知見が不足していた。JAMA誌オンライン版2025年12月15日号掲載の報告。COVID-19関連入院、CCU入室および早産のリスクを解析 研究グループは、カナダのサーベイランスプログラム「CANCOVID-Preg」を用い、9つの州・準州にて2021年4月5日(デルタ株流行期開始およびカナダにおける妊娠中ワクチン接種推奨開始日)~2022年12月31日に診断されたSARS-CoV-2感染妊婦およびその乳児を特定し、2023年まで母体・周産期アウトカムの追跡調査を実施した。 主要アウトカムは、COVID-19関連入院、クリティカルケアユニット(CCU)入室および早産で、ワクチン接種の有無で分類して解析した。ワクチン接種で、入院、CCU入室および早産のリスクが低下 特定されたSARS-CoV-2感染妊婦2万6,584例のうち、ワクチン接種状況が判明していた1万9,899例が解析対象となった。大半は30~35歳(46.3%)および白人(55.9%)で、1万4,367例(72%)はCOVID-19診断前に少なくとも1回ワクチンを接種しており、未接種は5,532例(28%)であった。 ワクチン接種例のうち、80%(1万1,425例)は妊娠前に、20%(2,942例)は妊娠中に接種を受けており、接種からCOVID-19診断までの期間の中央値は18週(四分位範囲:11~25)であった。また、全対象のうち6,120例はデルタ株流行期、1万3,799例はオミクロン株流行期の症例であった。 ワクチン接種はCOVID-19関連入院リスクの低下と関連していた。デルタ株流行期における入院率は、ワクチン接種者4.8%、未接種者13.5%で、相対リスク(RR)は0.38(95%信頼区間[CI]:0.30~0.48)、絶対リスク差(ARD)は8.7%(95%CI:7.3~10.2)であった。オミクロン流行期ではそれぞれ1.5%と5.3%、0.38(0.27~0.53)、3.8%(2.4~5.2)であった。 CCU入室も同様の傾向を示し、デルタ株流行期ではRRは0.10(95%CI:0.04~0.26)、ARDは2.4%(95%CI:1.8~2.9)であり、オミクロン株流行期ではそれぞれ0.10(0.03~0.29)、0.85%(0.27~1.44)であった。 早産率は、ワクチン接種者(7.2%)と比較し未接種者(9.6%)で有意に高かった。デルタ株流行期ではRRは0.80(95%CI:0.66~0.98)、ARDは1.8%(95%CI:0.3~3.4)であり、オミクロン株流行期でそれぞれ0.64(0.52~0.77)、4.1%(2.0~6.2)であった。 多変量解析の結果、併存疾患を補正後もワクチン接種は両変異株流行期においてCOVID-19関連入院リスクの低下と関連していた。ワクチン接種者と比較し未接種者の補正後入院RRは、オミクロン株流行期で2.43(95%CI:1.72~3.43)、デルタ株流行期で3.82(2.38~6.14)であった。

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ナーシングホームでの感染症対策に関する新ガイダンスが公表される

 高齢者や病気からの回復期にある人、あるいは長期的な健康問題を抱えて暮らす人が多いナーシングホームでは、感染症が大きな懸念事項となっている。薬剤耐性菌、インフルエンザウイルスや新型コロナウイルスなどは、このような環境では急速に広がり、入居者の命を脅かす可能性がある。 こうした中、2008年に発行された、ナーシングホームにおける感染予防・管理(IPC)に関する国の推奨事項に代わるものとして、米国医療疫学学会(SHEA)や米国感染症学会(IDSA)など5つの主要学会や専門団体が共同で作成・承認した新しいガイダンスが、「Infection Control & Hospital Epidemiology」に10月28日公表された。 ガイダンスの筆頭著者である米ミシガン・メディシンの老年医学専門医であるLona Mody氏は、「ナーシングホームでの感染予防に特効薬はない。われわれが推奨する介入は全て複数の要素から成っている。全体的な効果は部分の総和よりも大きいからだ」とニュースリリースで述べている。 このガイダンスでは、重要な変更点の一つとして、全てのナーシングホームに感染予防を専門で担う職員を少なくとも1人配置することを求めている。規模が大きな施設の場合、この役割を担う職員が複数必要になる可能性がある。 また、以下のような取り組みも推奨されている。・臨床スタッフの教育を継続的に行うこと。・職員・患者・訪問者に対してワクチンの重要性を教育し、接種を受けやすい環境を整えること。また、清掃員やIT担当者などの医療従事者以外のスタッフを、手指衛生などの感染予防活動に参加させること。・感染症例が出た場合には、地域の病院や公衆衛生機関との連携を強化すること。・感染拡大時でも、訪問や社会的な活動、ケアやリハビリを含む日常的な活動を許可し、その間に患者、スタッフ、訪問者を保護するための予防措置を講じるなど、ナーシングホームの「家庭」としての側面を維持し、感染を予防しながら入居者の社会的孤立を防ぐこと。 さらにガイダンスでは、「スーパーバグ」と呼ばれる多剤耐性菌(MDRO)が増大し、問題となっていることを強調している。研究によれば、これらの細菌は病院からナーシングホームまで患者とともに移動するケースが多く、個室を越えて共有のジムや食堂にまで広がる可能性があるという。 Mody氏は、「新型コロナウイルス感染症(COVID-19)によって、ナーシングホームが医療制度にとっていかに重要か、また、適切な保護措置が取られなければ入居者がいかに脆弱になり得るかが明らかになった。入院患者をナーシングホームに入居させれば全てがうまくいくと考えるわけにはいかない。ナーシングホームの中でも、入居者を保護することが必要だ」と強調している。 現在、多くの患者は、入院後すぐにナーシングホームに入居するようになり、これまで以上に複雑なケアが必要とされている。それに伴い、感染症のリスクも高まっている。Mody氏は、「感染症を防ぐことは患者とスタッフ双方にとって正しいことであり、長期的にはコスト削減にもつながる」と述べている。

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第297回 「子どもを医師にしますか?」2026(後編) 「人の命を救いたい」という単純な夢だけで医師を目指すのは、今やリスクが高過ぎる人生の選択

歴史的改定率の診療報酬、本体部分3.09%引き上げこんにちは。医療ジャーナリストの萬田 桃です。医師や医療機関に起こった、あるいは医師や医療機関が起こした事件や、医療現場のフシギな出来事などについて、あれやこれや書いていきたいと思います。年末年始もいろいろなことがありました。医療界の最大の関心事、2026年度の診療報酬改定率は、医師の技術料など医療行為の対価に当たる本体部分が3.09%引き上げられることが決定しました。賃上げ対応分1.70%と物価対応分0.76%で全体の半分以上を占めます。診療報酬本体の改定率が3%を超えるのは、1996年度の3.4%以来30年振りのことです。なお、今回決定した改定率の3.09%は、2026年度と2027年度の平均値であり、実際は2026年度で2.41%、2027年度で3.77%と変動させるとのことです。この歴史的とも言える改定率について医療界は沸き上がっています。日本医師会の松本 吉郎会長は12月24日、財務省と厚生労働省を訪れ、片山 さつき財務大臣、上野 賢一郎厚労大臣と相次いで会談。両大臣による折衝により、令和8年度の診療報酬の改定率が本体プラス3.09%に決定したことについて、深い謝意を伝えたとのことです。そして、同日開かれた定例会見では、「政府・与党をはじめ、多くの関係者に医療機関の厳しい経営実態をご理解いただけたものと実感し、深く感謝している」と語りました。改定率を上げることが高市首相の長期政権につながると片山財務相も判断か最終的に財務省が高市総理大臣、片山財務相、厚労省に押し切られる結果となったわけです。その経緯について、12月25日付の日本経済新聞は、「『3%ありき』政治の圧力 診療報酬、厚労省案丸のみ 財務相自ら接近」と題した記事で詳しく解説しています。同記事は、「日本医師会や自民党厚労族の意向を受けた厚労省が3%以上の引き上げを求める中、財務省は1%台で調整していた。通常は両者の綱引きの末に中間地点をにらんで落とし所を探るが、首相が決めたのは厚労省が提示した通りの3.09%だった」、片山財務相は当初「厚労省側に『野放図な財政運営はしない』との姿勢を示し」ていたものの、次第に「周囲に3%に近づけるべきだとの考えを隠さなく」なっていった、と書いています。そして同記事は、「医師会は自民党の有力な支持団体だ。発足間もない高市政権が距離を取るのは難しい。財務省幹部は『片山氏は高市政権の重要閣僚として、改定率を上げることが長期政権につながり最善と考えたのだろう』と漏らす」と、財務相自身が高市政権のために日本医師会に配慮した可能性を示唆しています。診療報酬については今後、「議論の整理」を経て「短冊」(個別改定項目)作成、「答申」(2月上旬)という流れで進みます。単なるバラマキで終わるのか、あるいは「第293回 佳境迎える診療報酬改定議論、「本体」引き上げはほぼ既定路線も、最大の焦点は病院と診療所間の『メリハリ』」でも書いた、相応のメリハリ(病院と診療所の差別化等)が付けられることになるのか、注目です。今、子どもを医師にする、医学部受験をさせるのは得策なのか?さて、前回の本連載では、テレビ朝日系「羽鳥慎一モーニングショー」でのコメンテーターの玉川 徹氏の「僕はこれから人口も減っていくし、AIもどんどん導入されるなかで、今のように医師の地位が社会的な地位とか収入とかも含めて、ずっと高いまま続いていくのかなと(疑問に)思っているのに、何でみんな医学部行こうとするのか不思議。なんでしょうね?」という問い掛けを紹介しつつ、今、子どもを医師にする、言い換えれば医学部受験をさせるのは得策なのかどうかについて考えました。同様の議論は昔もあり、私は今から17年前、まだ紙の雑誌だった日経メディカルの2009年1月号に掲載された「子どもを医者にしますか?」というタイトルの特集記事を思い出しました。同記事は、「過重労働、訴訟の増加、医療費抑制など医師を取り巻く環境が悪化する中、『子どもは医師にしたくない』という医師が目立つようになった」として、当時の子どもを持つ医師の本音をアンケートで調査するとともに、将来を予測しています。少々古い記事ですが、なかなか先見の明がある内容でしたので、簡単に紹介しておきましょう。17年前、「子どもに医師になってほしい」と考えていた医師は4割超いたが…同記事は、高校生以下の子どもを持つ医師1,000人にアンケート、773人の回答を得ています。「子どもに医師になってほしいか」との問いに対し、「なってほしい」「どちらかといえばなってほしい」と回答した医師は42.9%でした。それに対し、「なってほしくない」「どちらかといえばなってほしくない」と答えた医師は19.7%でした。「なってほしくない」理由としては、「患者とのトラブルに関する悩み」(57.9%)、「医療費抑制策による医療環境の悪化」(57.9%)、「過酷な長時間労働」(51.3%)、「訴訟リスクがますます高くなる」(50.7%)が上位を占めていました。現在ほど医療機関経営が悪化しておらず、医師の働く環境が改善されていなかった時代の回答としては、まあこんなものかなという数字と言えます。現在、医療機関を取り巻く経営環境は、人口減少、医療人材不足、新型コロナウイルス感染症禍後の患者数減少、物価高、円安、人件費高騰など、17年前に比べ桁違いに厳しさを増しています。さらに「働き方改革」スタート後も、外科系を中心に長時間労働は一向に改善されていません。おそらく、このアンケートを今改めて行ったら、「医師になってほしい」と「なってほしくない」の結果は逆転していると思われます。なお同記事は、「30年後、勤務医・開業医の世界はこう変わる」として、「外来需要は減少」し、「急性期病院の再編が始まり」、「科目別養成数に上限が設定」され、「総合医養成が強化」、医師にも「実力本位の格差社会がやってくる」と予想しています。2009年の30年後ですから2039年、「新たな地域医療構想」のほぼ目標年の状況というわけですが、なかなか鋭いところを突いた未来予想だったと言えるでしょう(美容外科等への逃散、直美はさすがに予想できていませんが)。「希少な人材の最適配分を実現する観点からも、医学部定員数の適正化は『待ったなし』」と財務省ということで、今、高校生以下の子どもを持つ医師の皆さんは子どもを医師にしようと考えるのでしょうか。そして、進学校の先生たちは、今後も「医学部偏重、東大至上主義」を貫いていくのでしょうか(東大は国際卓越研究大学になれないかもしれませんよ)。昨年、本連載の「第292回 藤田医科大の学費800万円値下げから見えてくる、熾烈を極める大学医学部サバイバル戦」では、「財務省は11月11日、財務相の諮問機関である財政制度等審議会の分科会を開き、教育の質を持続的に確保するために大学の統合や縮小、撤退を促進することが必要だと提言しました。また、厚生労働省は11月20日、医学部の入学定員を全体として『削減』する案を省内の検討会に提示しています。これまで『適正化』を進めるとしていましたが、減らす方針を初めて明確にしました」と、医師養成に関する国の方針も転換期に入ったと書きました。将来、医療機関を取り巻く環境が悪化するだけでなく、医師の数自体も過剰になっていくのです。財務省は12月2日に公表した「2026年度予算の編成等に関する建議」(通称、秋の建議)の中でも、図1、2に示すような資料を提示、「日本の社会経済全体における希少な人材の最適配分を実現する観点からも、医学部定員数の適正化は『待ったなし』と認識すべきであり、仮に、定員数の抑制が進まない場合には、国家試験の合格率により医師の供給数をコントロールすることも含めあらゆる選択肢を検討すべきではないか」と提言しています。図1画像を拡大する図2画像を拡大する財政制度等審議会・令和8年度予算の編成等に関する建議 資料IIより中学生、高校生の子どもをお持ちの医師の皆さんは、ぜひこうした資料も参考にしながら、お子さんの進路について家族会議を持たれることをお勧めします。「実家の医療法人を継がなければならない」という経済的な理由があるならば仕方ありませんが(ただ、その医療法人も2040年に生き残っているかどうかは微妙です)、「人の命を救いたい」という単純な夢だけで医師を目指すのは、今やリスクが高過ぎる人生の選択なのです。

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ヘルペス陽性早期アルツハイマー病、バラシクロビルは有効か?/JAMA

 神経科学的、疫学的、および電子的健康記録を用いた研究において、単純ヘルペスウイルス(HSV)がアルツハイマー病(AD)の病態形成に関与する可能性が示唆されている。米国・New York State Psychiatric InstituteのD. P. Devanand氏らは、早期AD症状を有するHSV(HSV-1またはHSV-2)陽性の患者を対象に、HSVに有効な抗ウイルス薬であるバラシクロビルの臨床的ベネフィットを検討するプラセボ対照無作為化試験「VALAD試験」を実施。主要アウトカムの認知機能の悪化に関して、バラシクロビルの有効性は示されなかったことを報告した。著者は、「早期AD症状を有するHSV陽性患者に対する治療に、バラシクロビルは推奨されないことが示唆された」とまとめている。JAMA誌オンライン版2025年12月17日号掲載の報告。対プラセボで78週の認知機能の変化を評価 VALAD試験は、臨床的にADが疑われると診断またはADバイオマーカーが陽性で軽度認知障害(MCI)と診断され、HSV-1またはHSV-2の血清抗体検査(IgGまたはIgM)が陽性、ミニメンタルステート検査(MMSE)スコアが18~28の成人を対象とした。 試験は、米国の記憶障害に関する外来専門クリニック3施設で実施された。被験者募集は2018年1月~2022年5月に行われ、適格被験者はバラシクロビル4g/日投与群または適合プラセボ群に無作為に割り付けられ追跡評価を受けた。最終フォローアップは2024年9月であった。 主要アウトカムは、11項目のAlzheimer's Disease Assessment Scale Cognitive(ADAS-Cognitive)サブスケールスコア(範囲:0~70、高スコアほど障害が重いことを示す)について、78週時点における最小二乗平均(LSM)変化量であった。 副次アウトカムは、(1)Alzheimer's Disease Cooperative Study-Activities of Daily Living(ADCS-ADL)スケールスコアのLSM変化量、(2)6つの脳領域(内側眼窩前頭皮質、前帯状皮質、頭頂葉、後帯状皮質、側頭葉、楔前部)に関する、18F-florbetapirを用いたアミロイドPETの標準化集積比(SUVR、高スコアほどアミロイドが高レベルであることを示す)のLSM変化量、(3)4つの脳領域(扁桃体、海馬、嗅内野、海馬傍回)に関する、18F-MK-6240を用いたタウPETの側頭葉内側部SUVR(高スコアほどタウが高レベルであることを示す)のLSM変化量であった。 有害事象の発現頻度を安全性アウトカムとした。バラシクロビル群のほうが認知機能の悪化が大きい 120例が無作為化され(バラシクロビル群60例、プラセボ群60例)、うち93例(77.5%、バラシクロビル群45例、プラセボ群48例)が試験を完遂した。被験者120例は、平均年齢71.4歳(SD 8.6)、女性が55%、ADと診断された者が75%、MCIと診断された者が25%であった。人種別では白人が両群とも76.7%を占めている。 78週時点で、11項目のADAS-CognitiveサブスケールスコアのLSM変化量(主要アウトカム)は、バラシクロビル群10.86(95%信頼区間[CI]:8.80~12.91)vs.プラセボ群6.92(4.88~8.97)であり、バラシクロビル群がプラセボ群よりも認知機能の悪化が大きいことが示唆された(群間差:3.93、95%CI:1.03~6.83、p=0.01)。 副次アウトカムは、いずれも78週時点で、(1)ADCS-ADLスケールスコアのLSM変化量はバラシクロビル群-13.78(95%CI:-17.00~-10.56)vs.プラセボ群-10.16(-13.37~-6.96)であり(群間差:-3.62、95%CI:-8.16~0.93)、(2)18F-florbetapirアミロイドPET SUVRのLSM変化量は0.03(-0.04~0.10)vs.0.01(-0.06~0.08)であり(群間差:0.02、-0.08~0.12)、(3)18F-MK-6240タウPET側頭葉内側部SUVRのLSM変化量は0.07(-0.06~0.19)vs.-0.04(-0.15~0.07)であった(群間差:0.11、-0.06~0.28)。 最もよくみられた有害事象は、クレアチニン値上昇(バラシクロビル群5例[8.3%]vs.プラセボ群2例[3.3%])、COVID-19感染(3例[5.0%]vs.2例[3.3%])であった。

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単純性淋菌感染症、単回投与の新規抗菌薬zoliflodacinが有効/Lancet

 単純性淋菌感染症の治療において、zoliflodacinはセフトリアキソン+アジスロマイシンの併用療法に対して非劣性であり、安全性プロファイルは同等であることが、スイス・Global Antibiotic Research & Development PartnershipのAlison Luckey氏らZoliflodacin Phase 3 Study Groupが行った海外第III相無作為化非盲検非劣性試験の結果で示された。淋菌(N. gonorrhoeae)は複数の第1選択薬および第2選択薬に対して耐性を獲得しており、新たな治療薬の開発が世界的な公衆衛生上の最優先事項となっている。zoliflodacinは、新規作用機序で細菌のDNA複製を阻害するファーストインクラスの経口スピロピリミジントリオン系抗菌薬で、新たな標的(GyrB)を有し、多剤耐性菌株を含む淋菌に対して強力なin vitro活性を有することが示されていた。著者は、「本検討で示されたデータは、zoliflodacinが単純性淋菌感染症に有効な経口治療選択肢の1つとなりうる可能性を示唆するものである」とまとめている。Lancet誌オンライン版2025年12月11日号掲載の報告。zoliflodacin単回投与vs.セフトリアキソン+アジスロマイシン併用投与 本検討の被験者の適格要件は、臨床的に泌尿生殖器系の単純性淋菌感染症が疑われる12歳以上とされ、試験は、ベルギー、オランダ、南アフリカ共和国、タイ、米国の17の外来クリニックで実施された。試験参加国は、疾患有病率が高い国が選定され、参加施設は、HIVまたは性感染症とその治療に精通した研究経験のある主任研究者によって選定された。Feasibility調査票と試験前訪問調査で、性感染症症例管理ガイドライン、臨床サービス、リソース(施設、スタッフ、試験チームの構成案、試験参加施設で提供される標準的な性感染症サービス、検査能力の評価、試験経験、臨床試験の倫理レビューなど)の評価が行われた。 適格被験者は、zoliflodacin 3g(経口)単回投与群(zoliflodacin群)またはセフトリアキソン500mg(筋注)+アジスロマイシン1g(経口)の併用投与群(対照群)に2対1の割合で無作為に割り付けられた。治療の割り付けは被験者と試験担当医師には知らされたが、細菌検査室のスタッフおよび試験スポンサーの中央試験チームは、データベースがロックされるまで盲検化された。 主要エンドポイントは、細菌学的ITT集団における治癒判定(Test Of Culture[TOC]、6±2日目)時に細菌学的治癒(尿道または子宮頸管検体の培養検査で淋菌陰性または検出不能)を達成した患者の割合であった。有効性の主要解析で、治療群間差(対照群-zoliflodacin群)の両側95%信頼区間(CI)の上限が非劣性マージンの12%を下回った場合、非劣性と判定された。推定治療群間差は5.3%、zoliflodacin単回投与の非劣性を確認 2019年11月6日~2023年3月16日に1,011例がスクリーニングされ、スクリーニング基準を満たさなかった81例を除く930例が無作為化された(zoliflodacin群621例、対照群309例)。被験者の平均年齢は29.7歳(SD 9.4)、815/930例(88%)が出生時男性に、115/930例(12%)が出生時女性に分類された。514/930例(55%)が黒人またはアフリカ系米国人、285/930例(31%)がアジア人、113/930例(12%)が白人であった。 泌尿生殖器系の細菌学的ITT集団におけるTOCに基づく細菌学的治癒率(主要有効性エンドポイント)は、zoliflodacin群90.9%(460/506例、95%CI:88.1~93.3)、対照群96.2%(229/238例、92.9~98.3)であり、推定治療群間差は5.3%(95%CI:1.4~8.6)で、事前に規定した非劣性マージンの要件を満たした。 zoliflodacin群の忍容性は概して良好で、有害事象は治療群間で類似していた。治療中に発現した主な有害事象は、zoliflodacin群では頭痛(61/619例[10%])、好中球減少症(42/619例[7%])、白血球減少症(24/619例[4%])で、対照群では注射部位疼痛(38/308例[12%])、好中球減少症(24/308例[8%])、下痢(22/308例[7%])であった。有害事象の大半の重症度は軽度または中等度であった。重篤な有害事象は報告されなかった。

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新生児に対するビタミンK投与を拒否する親が増加傾向

 米国では、1961年に全ての新生児に対するビタミンKの筋肉内投与が開始されて以来、ビタミンK欠乏性出血症がほぼ解消された。ビタミンKは、血液凝固を助ける目的で投与される薬剤であり、ワクチンではない。しかし新たな研究で、近年、新生児へのビタミンK注射を拒否する親が増えていることが明らかにされた。研究グループは、注射の拒否により新生児が深刻な出血リスクにさらされる可能性があると警告している。米フィラデルフィア小児病院の新生児専門医であるKristan Scott氏らによるこの研究結果は、「The Journal of the American Medical Association(JAMA)」に12月8日掲載された。 この研究でScott氏らは、2017年から2024年の間に米国50州にある403カ所の病院で、妊娠35〜43週で生まれた509万6,633人の新生児の医療記録を調べた。その結果、全体の3.92%に当たる19万9,571人がビタミンKの注射を受けていないことが明らかになった。注射を受けていない新生児の割合は、2017年の2.92%から2024年の5.18%へと有意に増加しており、特に新型コロナウイルス感染症パンデミック以降に急増していた。この結果についてScott氏は、「増加自体は驚くことではないが、増加の大きさには驚いた」とNBCニュースに語っている。 新生児のビタミンK体内濃度は非常に低い。米疾病対策センター(CDC)によると、ビタミンKの投与を受けない場合、危険な出血を起こす可能性が80倍以上高くなるという。出血は、生後6カ月までの間にあざや内出血などの形で現れる可能性があり、最も重篤な場合には障害や死亡につながる脳出血が生じることもある。 このことを踏まえてScott氏は、「われわれは、出血リスクのある新生児の集団を作り出しているに等しい。本当に心配なのは脳出血、つまり脳卒中だ。脳出血が起こると、最終的には死に至る可能性がある」と話している。 専門家らは、オンライン上の誤情報やビタミンK注射とワクチンの混同が、こうした傾向の根底にあるのではないかと疑っている。この研究には関与していない米テキサス小児病院の新生児科医であるTiffany McKee-Garrett氏は、「親は、ビタミンK注射をワクチン接種と同等に捉えている」とNBCニュースに語っている。 一部の国では、新生児に経口ビタミンKを投与している。しかし医師らは、経口ビタミンKは信頼性が低く、場合によっては複数回投与する必要があるのに対し、ビタミンKの注射は1回の投与で効果があるとしている。 米NYC Health + Hospitalsの新生児科医であるIvan Hand氏は、「ビタミンK欠乏性出血症は予防可能であり、そもそも発生していること自体が問題だ」と話す。医師らは、現状のようなビタミンK投与が拒否される状態が続けば、出血イベントの発生数が増加する可能性が高いとの見方を示している。Hand氏は、「ビタミンK投与は極めて効果的であるが、人々はそのことを十分に理解していない。重度の出血を起こした乳児を見たことがないため、そのようなことは起こらないと思っているのだ。しかし、それが見られないのは、われわれがそうした乳児の治療をしているからだ」と話している。

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mRNAインフルエンザワクチンが「速い」「安い」「確実」を実現するかもしれない(解説:栗原宏氏)

革新性 不活化ワクチンの鶏卵由来のタイムラグと変異(卵馴化)を克服し、流行株に「ジャストフィット」させる可能性を示した。臨床的意義 A型流行下において既存ワクチンに勝る有効性を実証。1シーズン限定だが、mRNAのポテンシャルを証明した。普及の壁 不活化ワクチンより高い副反応(発熱など)の受容性。とくに「病気を防ぐためのワクチンで発熱する」ことへの心理的抵抗。今後の焦点 重症化リスクの高い高齢者・基礎疾患保有者でのデータ。およびB型株に対する改良。 不活化ワクチンの生産は、鶏卵への接種からワクチン原液の製造まで約6ヵ月を要し、従来のインフルエンザワクチンは次シーズンに流行する株を予測して生産するという、いわば「博打」のような状況である。それに加えて卵馴化による変異を起こすという不確定要素もある。実際に、過去10年をみると2014-15シーズンは予測したワクチン株と実際の流行株でミスマッチとなり、ワクチンの効果がかなり小さかったとされている。 一方、mRNAワクチンは遺伝子配列から化学合成が可能であり、約1ヵ月程度で製造が可能とされている。流行直前まで見極めることで、精度の高いワクチン生産が可能になると推測される。理論上のmRNAワクチンの有意点に対し、実際の調査においても1シーズンのみではあるが、既存の不活化ワクチンに対する非劣性、優位性を示した意義は大きいと思われる。 今後のmRNAワクチンの普及を考えるうえでは、軽症・中等症かつ一過性ながら既存のワクチンよりも副反応が多かった点が問題になるかもしれない。最も頻度の高い全身性イベントは倦怠感と頭痛とされ、発熱(≦40.0℃)に関してはmRNAワクチン群で5.6%、対照群で1.7%と4倍ほど多かった。とくに健康な若年世代にとっては、ワクチン自体でインフルエンザのような症状が出て、日常生活に支障が出るとすればワクチンのメリットが感じにくいかもしれない。 本調査の対象は、年齢18~64歳の健康な成人であるため、実際に最も問題となる高齢者、基礎疾患を有する患者での調査結果が待たれる。インフルエンザBでは非劣性を示せていないが、B型ウイルス特有のタンパク質構造が、mRNAワクチンによる免疫誘導と相性が悪かったためと分析されており、今後の改良が期待される。

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子宮頸がん検診の選択肢に自己採取HPV検査を支持/米国がん協会

 子宮頸がんの定期検診の新たな選択肢に自己採取によるヒトパピローマウイルス(HPV)検査が加わることが、「CA: A Cancer Journal For Clinicians」に12月4日に発表された米国がん協会(ACS)の改訂ガイドラインで示された。専門家らは、膣鏡診なしで女性が自分で検体を採取できる検査を選べるようになることで、一般女性の検診に伴うストレスの軽減につながる可能性があるとの見方を示している。 米テキサス大学MDアンダーソンがんセンター行動科学准教授のJane Montealegre氏は、「HPVのスクリーニングは、子宮頸がんのスクリーニングを意味している。これは女性の選択肢を広げることにつながる」と米NBCニュースに対して語った。 子宮頸がんのほとんどは、HPVが原因とされている。HPVは子宮頸がんを強く予測する要因であるため、現在は従来のパップテスト(細胞診)よりもHPV検査の方がスクリーニング方法として優先されている。 米国では2024年以降、米食品医薬品局(FDA)により3種類の自己採取HPV検査が承認されている。このうち2つは医療機関で膣スワブを用いて行うもの、残る1つは自宅で採取した検体を検査機関に郵送する検査である。米国では、検診とHPVワクチンの普及により子宮頸がんの発症率は数十年にわたって低下している。それでも、2022年に「JAMA Network Open」に掲載された研究によると、20%以上の女性が最新の検診を受けていない。 ACSがん早期発見部門の疫学者でシニア・バイス・プレジデントであり、今回発表された改訂ガイドラインの上席著者でもあるRobert Smith氏は、NBCニュースに対し、「自己採取による検査では、女性は、渡されたキットを使って診察室やトイレなど好きな場所で自分の検体を採取できる」と説明している。 医療従事者の採取による検査の場合には、HPV検査を5年ごとに受け、陽性の場合は追加検査を受けることが、ACSと米予防医学専門委員会(USPSTF)により推奨されている。一方ACSは、平均的なリスクの女性であれば、FDAによる承認を得た方法による自己採取HPV検査を受け、結果が陰性であれば3年ごとに検査を受けることを支持している。また、HPV検査を従来のパップテストと組み合わせて3年ごと、または5年ごとに行う方法も提示されている。 ACSとUSPSTFの推奨内容の違いは、HPV検査の開始年齢である。ACSでは25歳から開始することを推奨しているが、USPSTFでは30歳からの開始とし、21~29歳ではパップテストのみによる検診を3年ごとに受けることを推奨している。保険適用は、医療保険制度改革法(ACA)のもとで継続される見込みで、専門家らは医療機関で行われる自己採取検体も対象に含めるべきだとの見方を示している。 今回改訂されたACSのガイドラインでは、検診をいつまで受けるべきかについても明確な時期が示されている。それによると、65歳以上の平均的なリスクの女性は、60歳と65歳に受けたHPV検査がともに陰性であるか、または同じ年齢で実施したHPV検査とパップテストの併用検査がともに陰性であれば、子宮頸がん検診を中止してもよいとされている。 Smith氏は、「65歳まで定期的に検診を受けることの重要性について明確な推奨があるにもかかわらず、実際に受けている女性は極めて少ない。子宮頸がん検診をやめても安全であることを示す65歳までの記録が必要であることを女性たちに認識してもらうことが重要だ」と話している。 一方、今後、さらに検査間隔が延長される可能性があるとの見方を示す研究者もいる。米ミシガン大学産婦人科学・家庭医学教授のDiane Harper氏は、NBCニュースの取材に対し、「ワクチン接種率が高い集団では10年ごとの検査でも十分であるというデータがあるが、米国はその点で後れをとっている」と話している。

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飛行機や病院の空気中の微生物は皮膚由来の無害な細菌が優勢

 飛行機の中や病院内の空気が気になる潔癖症の人を少し安心させる研究結果が報告された。米ノースウェスタン大学土木・環境工学准教授のErica Hartmann氏らによる研究で、機内や病院内の空気に含まれている微生物は、主に人の皮膚に常在する無害な細菌で構成されていることが明らかになった。この研究結果は、「Microbiome」に12月4日掲載された。 この研究では、使用済みマスクの外側表面と航空機のエアフィルターから微生物を回収し、そこに含まれるDNAを抽出してショットガンメタゲノム解析を行った。解析には、8,039時間使用された後に回収された航空機のエアフィルター1つと、飛行機利用者10人と、勤務後の医療従事者12人から入手した使用済みマスクが用いられた。 Hartmann氏らがこの研究のアイディアを思い付いたのは、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)パンデミック下の2022年1月だったという。同氏は、「当時、飛行機内での新型コロナウイルス感染リスクが深刻に懸念されていた。機内のHEPAフィルターは非常に高い効率で空気をろ過するので、空気中のあらゆるものを捕捉する優れた方法であると考えた」と話す。同氏はさらに、「ただし、これらのフィルターは、車や家庭に備え付けられているフィルターとは違う。何千ドルもする上、取り外すには航空機整備のために運休させなければならず、これには当然、莫大な費用がかかる。これは大きな驚きだった」と振り返る。 そこで、研究グループがはるかに安価な代替手段として目をつけたのがマスクであった。さらに、機内だけでなく病院も加えることにした。Hartmann氏は、「われわれは、マスクを、個人がどんな空気にさらされているのか、あるいは周囲の空気がどのような状態なのかを調べるための安価で簡便な空気サンプリング装置として使えることに気が付いた」とニュースリリースの中で述べている。 解析の結果、407種類の微生物種が確認された。飛行機のフィルターでも医療従事者や旅行者のマスクでも共通して高頻度で認められたのは、Cutibacterium acnes、Staphylococcus epidermidis、Staphylococcus hominisなどの皮膚常在菌であった。Hartmann氏は、「ある程度、予想されたことではあったが、検出された細菌の多くは屋内空間の空気に典型的に存在するタイプのものだった。つまり、屋内の空気は『屋内の空気らしい微生物構成』をしており、人の皮膚の常在細菌とよく似ていた」と話している。一方、Sphingomonas hankookensisやMethylobacterium radiotoleransなどの環境由来の細菌も、特にエアフィルターから高い頻度で検出された。さらに、大腸菌や緑膿菌、サルモネラ菌など、病原性を持つ可能性のある細菌もわずかに検出されたが、いずれも極めて低レベルであり、活性や感染の兆候は認められなかった。 このように、屋内の空気は比較的安全であることが示された一方で、感染性の微生物は他の経路、特に接触により広がることを研究グループは指摘している。Hartmann氏は、「今回の研究でわれわれは、空気中に何が含まれているのかだけを調べた。環境表面からの病原体の伝播を防ぐ上では、手指の衛生が依然として有効だ。われわれが関心を持ったのは、たとえ手を洗っていたとしても、人々が空気を通じて何に曝露されているのかという点だった」と話している。

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HIV、免疫療法により抗ウイルス薬を中断可能か

 ヒト免疫不全ウイルス(HIV)の長期的なコントロール、そして将来的には治癒につながる可能性に期待が高まる研究結果が報告された。HIV感染者10人を対象にした研究において、数カ月にわたる免疫療法の後に抗レトロウイルス療法(ART)を中断したところ、6人の患者で数カ月が経過してもウイルスが緩やかにしか増加せず、1人では18カ月以上にわたりウイルス抑制が維持されたことが示された。米カリフォルニア大学サンフランシスコ校(UCSF)医学部教授のSteven Deeks氏らによるこの研究結果は、「Nature」に12月1日掲載された。 世界保健機関(WHO)によると、HIV感染者数は世界中で約4000万人に上る。ARTは非常に効果的だが、生涯にわたって薬を服用する必要がある。この研究では、ARTを受けている10人のHIV感染者に対して、次の3段階の免疫療法が実施された。まずHIVのGag保存エレメント(CE)を標的としたDNAワクチンにIL(インターロイキン)-12を併用して初回接種(プライム)を行った後にMVAワクチンでブースト(強化)。次いで、ART継続中に2種類の広域中和抗体bNAb(10-1074、VRC07-523LS)とToll様受容体〔TLR〕9作動薬を投与。最後に、ART中断時に再びbNAb投与するというものであった。 2022年の動物実験では、同様の治療法を受けたサルのほとんどでサル版のHIVを抑制できたことが報告されている。この研究を率いた米ベス・イスラエル・ディーコネス医療センターのDan Barouch氏は、「この手法は、ウイルスに対する免疫学的制御を強化すれば、ART中止後のウイルスの再増殖を防いだり遅らせたりできる可能性があるという考えに基づいている」と説明している。 Deeks氏は、「この結果は刺激的であり、30年にわたって治療中断の研究を続けてきた私にとっても、これまでに類を見ない予想外の結果だった」とワシントン・ポスト紙に語っている。他の専門家も、この研究結果には期待が持てることに同意しているが、対照群を使ったさらなる研究が必要だと指摘している。メルボルン大学(オーストラリア)ドハティ研究所所長のSharon Lewin氏は、「この研究結果に非常に興奮している。小規模研究ではあるが、この分野に新たな方向性を与えるだろう。それは、この分野が切実に求めているものだ」と同紙宛てのメールの中で述べている。 今回の研究参加者の1人であるTom Perraultさん(60歳)は、研究参加前の2005年からHIV治療薬を毎日服用していた。ワシントン・ポスト紙の報道によると、Perraultさんは本研究の治療を受けた後、2021年7月に毎日の薬の服用を中止した。Perraultさんは、「7月も、8月も、9月も、10月も、ウイルスが増殖することはなかった。ふと、『自分の体がウイルスを抑えている。治療がうまくいっているんだ。これは、研究者の予想を上回る結果だ』と思った」と同紙に語っている。 その後、秋にウイルスの再増殖が認められたが、この経験が彼に希望を与えた。Perraultさんは、「あのときに感じた感動の深さに驚いた。突然、希望を抱く勇気が湧いてきた。誰だって、希望は持ちたいものだ。もしこの治療法が現実となれば、世界にとってどれほど素晴らしい贈り物になることか」と語った。 本研究ではまた、ART中止後にウイルスが再び増え始めた際、早い段階で活性化したCD8陽性T細胞の増加量が多かった参加者ほど、ピーク後のウイルス量が低く抑えられていたことが示された。論文の上席著者であるUCSFのRachel Rutishauser氏は、「これらの人の体内では、ウイルスが出現するとすぐにCD8陽性T細胞が対応する準備ができていたということだ」と説明している。同氏は、「われわれは、これが臨床で導入すべき治療法だと主張しているわけではない。この研究を踏まえ、次に考えるべきは、T細胞をどうすればさらに強化できるのかということだ」と強調している。

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ワクチン接種率の低下により世界で麻疹患者が急増

 世界保健機関(WHO)は11月28日、麻疹(はしか)排除に向けた世界の進捗状況をまとめた報告書を発表した。それによると、2000年から2024年の間に、世界の麻疹による死亡者数は88%減少し、およそ5800万人の命が救われた。一方で、かつて麻疹排除を目前にした国々で再び感染が広がっている事実も明らかにされた。これは、麻疹ワクチンの定期接種を受けていない小児が増えていることを示唆している。報告書では、「世界的な麻疹排除の達成は、依然として遠い目標だ」と指摘されている。 2024年には、米州を除く全てのWHO地域(アフリカ、南東アジア、欧州、東地中海、西太平洋)の59カ国で麻疹の大規模または深刻な流行(アウトブレイク)が59件発生した。これらのうち、23件(39%)がアフリカ地域、20件(34%)が欧州地域、10件(17%)が東地中海地域、5件が西太平洋地域、1件が南東アジア地域で報告された。麻疹のアウトブレイク数は、2021年には21件、2022年には37件であり、2024年のアウトブレイク数は、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)パンデミックの発生以降では最多で、2003年以来2番目に多かった。 WHOは、麻疹ワクチンの定期接種や感染監視体制がパンデミック以降、十分に回復していないことが、これまでの成果を危うくしていると警告している。 米国は2000年に麻疹排除を達成した。これは、「12カ月間以上、伝播を継続した麻疹ウイルス(国内由来、国外由来を問わず)が存在しない状態」と定義されている。しかし、米疾病対策センター(CDC)は今年、1,798件の麻疹確定症例を報告した。これは、排除達成以降で最多である。WHOは現在、米国やカナダをはじめ、かつて麻疹排除を達成したにもかかわらず感染が再燃している国々を注視している。 WHOのテドロス・アダノム・ゲブレイェソス事務局長は、「麻疹ウイルスは、依然として世界で最も感染力の強いウイルスだ。有効で低コストのワクチンがあるにもかかわらず、ウイルスは接種率のすき間を突いて広がる」とCNNに対して語っている。 WHOで予防接種プログラムを統括するDiana Chang Blanc氏によると、2024年に麻疹ウイルスに対する免疫が十分でなかった小児は、世界で3000万人以上に上ったという。2024年の世界全体での麻疹ワクチンの初回接種率は84%であり、ワクチンの効果を95%まで高めるために必要な2回目の接種率は76%でしかなかった。 一方で、前進も見られている。今年、カーボベルデ、セイシェル、モーリシャスがアフリカ地域で初めて麻疹排除を達成した。さらに、太平洋地域の21の島嶼国では、麻疹と風疹の両方の排除を達成した。 Blanc氏は、「麻疹排除に向けて確かな進展があるのは事実だ。それでも、症例数と死亡者数は今なお容認できないほど高水準だ」と話す。同氏は、麻疹による死亡はワクチンの2回接種を受けることで全て予防可能であることを強調する。 WHOによると、接種率低下の背景には、パンデミック中の接種機会の喪失やワクチンに関する誤情報、紛争地域などワクチンを届けることが困難な地域の存在、資金減少が要因だとしている。さらにWHOは、麻疹・風疹実験室ネットワークへの支援縮小など、近年のグローバルヘルス分野における資金削減により免疫ギャップが拡大し、今後さらに大規模なアウトブレイクが発生する可能性があると警告している。

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多発性硬化症と口腔内細菌の意外な関係、最新研究が示す病態理解の可能性

 多発性硬化症(MS)は、中枢神経系の神経線維を包むミエリンが自己免疫反応によって障害される希少疾患で、視覚障害や運動麻痺、感覚障害などさまざまな症状を引き起こす。最新の研究で、MS患者の口腔内に存在する特定の歯周病菌、Fusobacterium nucleatum(F. nucleatum)の量が、病気の重症度や進行に関わる可能性が示された。研究は、広島大学大学院医系科学研究科脳神経内科学の内藤裕之氏、中森正博氏らによるもので、詳細は11月3日付で「Scientific Reports」に掲載された。 MSの発症には遺伝的素因に加え、ウイルス感染や喫煙、ビタミン欠乏などの環境因子が関与すると考えられ、近年は腸内細菌の異常も病態形成に影響することが示唆されている。また、口腔内細菌、特に歯周病菌も中枢神経疾患に影響することが報告されており、慢性的な炎症や免疫応答を介してMSの進行や重症度に関与する可能性がある。これまでに歯周病とMSの関連や、MS患者における特定菌種の増加が報告されているものの、臨床指標や再発・進行との具体的な関連や菌種ごとの差異は不明である。こうした背景を踏まえ著者らは、MSや視神経脊髄炎スペクトラム障害(NMOSD)、抗MOG抗体関連疾患(MOGAD)の患者の舌苔サンプルから歯周病菌量を定量し、臨床特徴やMRI所見との関連、さらに菌種ごとの影響を探索する横断的研究を実施した。 本研究は2023年5~11月にかけて実施され、広島大学病院脳神経内科を受診した15歳以上のMS、NMOSD、MOGAD患者112人が解析対象となった。患者から採取した舌苔サンプルは4種の歯周病菌種 (F. nucleatum、P. gingivalis、P. intermedia、T. denticola)を標的とした定量的PCRを用いて分析した。先行研究に倣い、細菌の総存在量に対する比率が第3四分位数を超える場合「高相対量」と定義された。患者の重症度は総合障害度評価尺度(EDSS)で評価し、スコア4をカットオフとした。 本研究の最終的な解析対象は98人(平均年齢48.6歳、女性77.6%)となった。これらのうち、56人がMS、31人がNMOSD、11人がMOGADとそれぞれ診断された。MS、NMOSD、MOGADで歯周病菌の高相対量に有意差はなく、口腔衛生習慣もほぼ同等であった。 単変量解析により、MS患者における各歯周病菌とEDSSスコアの関係を調べたところ、F. nucleatumの相対量が高いMS患者は、低い患者に比べてEDSSスコアが有意に高く、EDSS ≥4の割合も多かった(61.5% vs 18.6%、P=0.003)。多重比較補正(Benjamini-Hochberg法)を行った後も、MS患者におけるF. nucleatumの高相対量とEDSS ≥4の関連のみが有意であった(P=0.036)。一方、他の歯周病菌の相対量は、EDSS ≥4との有意な関連は認められなかった。また、NMOSDおよびMOGAD患者においても、EDSSスコアと各菌の高相対量との関連は認められなかった。 単変量解析では、MS患者の重症度(EDSS ≥4)に影響を与える要因として、F. nucleatumの高相対量に加え、年齢、MSのサブタイプ、発作回数、罹病期間も示唆された。しかし、これらの因子を考慮した多変量解析では、F. nucleatumの高相対量のみが独立して有意であった(オッズ比10.0、95%信頼区間1.45~69.4、P=0.020)。 著者らは、「本研究は、MS患者において口腔内のF. nucleatum相対量がEDSSスコアと強く関連することを示した。因果関係は示せないが、将来的な研究課題としては、サイトカイン関連機構などの免疫学的メカニズムの解明や、口腔ケアなどの介入による影響の検討が挙げられる」と述べている。 本研究の限界として、単施設の横断的観察研究であり、MS以外の疾患群やF. nucleatum陽性患者が少なくサンプルサイズが限られていたこと、歯周病の臨床評価や抗菌薬使用歴、口腔行動の影響、免疫指標測定が不十分であり、残存交絡や因果関係の推定は困難であったことを挙げている。

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化学療法中のワクチン接種【かかりつけ医のためのがん患者フォローアップ】第6回

化学療法中のがん患者は、化学療法の影響や原疾患により免疫力が低下しているため、感染症に罹患しやすく重症化しやすい傾向があります。国内のガイドラインやASCOガイドラインおいても、がん患者の治療やケアにおいて適切なワクチン接種がもたらす良い影響が述べられています。今回は固形がん化学療法中の患者を想定した、5つの主なワクチンの特徴や効果、推奨される接種時期についてお話しします。1)インフルエンザワクチン背景がん患者がインフルエンザに罹患した場合、死亡のリスクが高いことが複数の研究から報告されています。とくに肺がんや血液腫瘍患者はより重症化するリスクが高いことが知られています。インフルエンザワクチンは、A型(H3N2・H1N1)とB型の3株を含む混合ワクチンであり、世界的流行株とWHO推奨株に基づき毎年選定されるため、毎年の接種が推奨されます。健康な人における有効性は70~90%程度とされていますが、流行株との一致度により変動します。予防効果と安全性複数の研究から、血清学的な反応は健康な人と比較して劣る可能性はあるものの、予防医学的な意義は明らかであることがメタアナリシスにより示されています。近年、高用量インフルエンザワクチン(商品名:エフルエルダ筋注)が承認され、米国では65歳以上のがん患者に高用量ワクチン接種が推奨されています。化学療法中のインフルエンザワクチン投与に関してとくに重篤な有害事象が増加するという報告はありません。注意点リツキシマブやオファツムマブ、オビヌツズマブなどの治療後は、少なくとも半年間はワクチン効果が期待できない可能性があります。また、免疫抑制薬を服用中の患者でも効果が低い場合があります。接種時期インフルエンザワクチンは10~12月までの接種が推奨されています。化学療法の開始前(少なくとも2週間前)に接種するのが理想ですが、治療中に流行期を迎える場合は接種時期を調整する必要があります。化学療法中は骨髄抑制の最も低下した時期(nadir)を避けて接種することが望ましいです。2)肺炎球菌ワクチン背景日本の成人市中肺炎では、肺炎球菌が最も頻度の高い起炎菌です。65歳以上や糖尿病・心不全などの基礎疾患を有する場合には、重症感染症を起こしうるため、肺炎球菌ワクチン接種が推奨されています。国内データでは、侵襲性肺炎球菌感染症の死亡率は約19%と高く、患者の約7割は65歳以上です。また、固形がん患者や脾摘患者が肺炎球菌感染症に罹患した場合、非がん患者と比較して死亡のリスクが高いことが報告されています。予防効果と安全性肺炎球菌ワクチンによる抗体価の上昇は、化学療法中であっても健康な人と同等であると報告されています。化学療法中の肺炎球菌ワクチン投与に関してとくに重篤な有害事象が増加するという報告はありません。ワクチンの特徴ポリサッカライドワクチン(ニューモバックス[PPSV23]:定期接種)と結合型ワクチン(キャップバックス[PCV21]、プレベナー20[PCV20]、バクニュバンス[PCV15])の2種類があります。免疫力をつける力(免疫原性)はPCV21/20/15のほうがPPSV23より高いです。日本ワクチン学会・日本感染症学会・日本呼吸器学会では、がん患者へのPCV20の1回接種もしくはPCV15とPPSV23の連続接種を推奨しています。画像を拡大する接種時期肺炎球菌感染症は1年を通して発生するため、季節を問わず接種が可能です。化学療法開始前(少なくとも2週間前)に接種、もしくは化学療法中は骨髄抑制の最も低下した時期(nadir)を避けて接種することが望ましいです。3)帯状疱疹ワクチン背景水痘帯状疱疹ウイルス(ヘルペスウイルス3型)初感染は水痘として発症し、感染後に後根神経節に不活性状態で長期間潜伏します。その後、加齢・疲労・病気などで免疫が弱まるとウイルスが再活性化し、帯状疱疹として発症します。症状は片側に帯状に広がる発疹と刺すような痛みが典型的で、約10%の症例で帯状疱疹後神経痛が発生し、QOLを低下させる原因になります。免疫不全のない患者と比較して、固形がん患者は約5倍、血液がん患者は約10倍帯状疱疹の頻度が高いことが報告されています。画像を拡大する安全性化学療法中の帯状疱疹ワクチン投与に関してとくに重篤な有害事象が増加するという報告はありません。生ワクチンは、免疫低下患者(がん薬物療法中やステロイド使用中)には接種不可です。接種時期化学療法の開始前(少なくとも2週間前)に接種します。化学療法中は骨髄抑制の最も低下した時期(nadir)を避けて接種することが望ましいです。4)新型コロナ(COVID-19)ワクチン背景がん患者はCOVID-19に罹患すると重症化しやすいため、ワクチン接種の利益は大きいです。そのため、基本的には接種を検討すべきとされています。ただし、がんの種類や治療内容、免疫状態により、効果や副反応が異なる可能性があります。治療のタイミングにより接種時期を調整したほうがよい場合もあります。副反応が治療の有害事象と区別しにくい場合があるため注意が必要となります。総じて、患者ごとの状況に応じて主治医と相談して判断することが重要と考えられます。予防効果と安全性ワクチンを接種したがん患者約3万例を対象とした観察研究が報告されており、がん患者であってもCOVID-19ワクチンを2回接種することで感染リスクが低下することが示されています。一方でワクチンの感染リスク低下効果は58%(非がん患者:90%以上)であり、がん患者ではワクチンの効果が減弱する可能性が示唆されています。とくにワクチン接種前6ヵ月以内に化学療法を受けた場合はワクチンの効果が低いことが報告されています。定期的な追加接種が推奨され、感染時は早期の受診と抗ウイルス薬治療が重要となります。接種時期基本的に最新の推奨スケジュールに従った接種が推奨され、明確な最適時期はまだ不明ですが化学療法の開始前に接種して、化学療法中は骨髄抑制の最も低下した時期を避けて接種することが望ましいです。抗CD20抗体(リツキシマブやオビヌツズマブなど)治療後半年以内はワクチンの効果が乏しいことが示されています。注意事項ワクチン接種により、接種側の腋窩・鎖骨上窩・頸部リンパ節の腫大が報告されており、PETでも集積を認めることがあり、転移との鑑別が必要になる場合があります。画像検査の際にはワクチン接種歴と部位の情報を得ておくことが望ましいです。5)RSウイルスワクチン背景高齢者、慢性の基礎疾患(喘息、COPD、心疾患、がんなど)、免疫機能が低下している人は、RSウイルス感染症の重症化リスクが高く、肺炎、入院、死亡などの重篤な転帰につながる可能性があります。また、RSウイルス感染症は、喘息、COPD、心疾患などの基礎疾患の増悪の原因となることもあり、日本では約6万3,000例の入院と約4,500例の院内死亡が推定されています。米国での大規模データ研究では、がん患者がRSウイルス感染症に罹患した場合、非がん患者と比較して死亡のリスクが2倍以上高いことが報告されています。画像を拡大する接種時期化学療法の開始前(少なくとも2週間前)に接種します。化学療法中は骨髄抑制の最も低下した時期(nadir)を避けて接種することが望ましいです。1)Kamboj M, et al. JCO Oncol Pract. 2024;20:889-892. 2)日本癌学会、日本癌治療学会、日本臨床腫瘍学会. 新型コロナウイルス感染症とがん診療について(医療従事者向け)Q&A:2021.3)国立がん研究センター:がん情報サービス4)日本乳癌学会. 乳癌診療ガイドライン2022年版. 金原出版:2022.5)アレックスビー筋注用添付文書6)アブリスボ筋注用添付文書講師紹介

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帯状疱疹ワクチン、認知症予防だけでなく進行も抑制か/Cell

 認知症の発症と進行には神経炎症が関連しており、神経向性ウイルスが認知症の発症や進行の一因となっている可能性が指摘されている。今年に入って、帯状疱疹ワクチンが認知症発症を予防する可能性があるとの報告1)があったが、同じ米国・スタンフォード大学の研究グループが、帯状疱疹ワクチン接種と軽度認知障害発症、さらにすでに認知症を発症した人の死亡リスクとの関連について調査を行い、結果がCell誌オンライン版2025年12月2日号に掲載された。 研究者らは、ウェールズのプライマリ診療所の電子カルテのデータから1925年9月1日~1942年9月1日生まれの30万4,940例を抽出、うち認知障害歴のない28万2,557例を軽度認知障害(MCI)発症リスクの解析対象とし、すでに認知症と診断された1万4,350例を認知症関連死亡の解析対象とした。ウェールズでは帯状疱疹ワクチン接種プログラム開始時にワクチンの数に限りがあったため、開始直後に80歳の誕生日を迎えた人は1年間ワクチン接種対象となったのに対し、直前に誕生日を迎えた人は生涯にわたって対象外となり、ワクチン接種率に大きな差が出たことを利用し、接種資格の有無と、実際の接種の有無で比較した。 主な結果は以下のとおり。・フォローアップ中にMCI発症リスク解析対象の7.3%(2万712例)がMCIと診断された。ワクチン接種資格あり群(資格あり群)ではMCI発症が1.5パーセントポイント減少し、実際にワクチンを接種した群(接種群)は3.1パーセントポイント減少した。・認知症関連死亡解析対象の49.1%(7,049例)が認知症関連で死亡した。資格あり群では認知症関連死が8.5パーセントポイント低下し、接種群は29.5パーセントポイント減少した。全死亡率においても資格あり群は6.5パーセントポイント、接種群は22.7パーセントポイント低下した。・MCI発症リスクおよび認知症関連の死亡リスク低減効果は、女性において有意差が認められた。一方で男性では統計学的な有意差は認められなかった。・認知症の病型別では、混合型認知症において、ほかの認知症(アルツハイマー型や血管性)よりも相対的な効果が高い傾向が示唆された。 研究者らは「この研究は、帯状疱疹ワクチンが、早期のMCIから認知症の最終段階である死亡に至るまで、認知症のリスクと進行を抑制する可能性を示した初のエビデンスである。今回は生ワクチンが対象だったが、近年では組み換えワクチンが普及しており、これらが同様の認知保護効果を持つかは今後の研究で明らかにする必要がある。また本研究は、交絡因子や制度的バイアスの可能性は完全には排除できず、今後の大規模ランダム化比較試験が待たれる」とした。

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わが国初の表皮水疱症の遺伝子治療薬への期待/Krystal Biotech

 Krystal Biotech Japanは、指定難病である栄養障害型表皮水疱症(DEB)の治療薬としてわが国では最初の遺伝子治療薬ベレマゲン ゲペルパベク(商品名:バイジュベック ゲル)が、適用承認・発売されたことに寄せ、都内でプレスセミナーを開催した。セミナーでは、表皮水疱症の病態、診療の解説や患者からの疾患での苦労や新しい治療薬への期待などが語られた。皮膚の苦痛が続く表皮水疱症の病態 「栄養障害型表皮水疱症と最新治療について」をテーマに夏賀 健 氏(北海道大学大学院医学研究院皮膚科学教室 准教授)が、本症の疾患概要と今回発売されたベレマゲン ゲペルパベクの臨床試験結果などを解説した。 DEBは、7型コラーゲンの異常により、表皮に水疱やびらんが生じる疾患であり、顕性・潜性の2種類がある。 症状として皮膚の水疱やびらんによる痛みや感染症があり、患者は毎日1~2時間おきに被覆材の交換が必要となり、QOLに重大な悪影響を及ぼす。皮膚症状が顕著であるが、確定診断では遺伝子検査が必要となる(保険適用)。 わが国には数百例の患者が推定されるとともに、根治療法はなく、保険適用治療として自家培養表皮の移植だけとなっている。 今回発売されるベレマゲン ゲペルパベクは、7型コラーゲン遺伝子治療薬であり、ヘルペスウイルスベクターを利用し表皮と真皮の接着を促す。皮膚の傷に週1回塗布することで、たんぱくを補充し、皮膚を修復する。 ベレマゲン ゲペルパベクの海外第III相試験は、標的創傷の完全閉鎖を主要評価項目として、ベレマゲン ゲペルパベク群31例とプラセボ群31例で行われた。その結果、創傷の完全治癒率はベレマゲン ゲペルパベク群で67.4%、プラセボ群で21.6%だった。 ベレマゲン ゲペルパベク群において、有害事象は58.1%(13/31例)、副作用は3.2%(1/31例)に発現した。有害事象は掻痒症、悪寒、発疹など、副作用は紅斑が報告された。 これらの結果から夏賀氏は、ベレマゲン ゲペルパベクのDEBへのインパクトとして「患者の創傷が早く治り、痛み軽減、感染リスクの減少、そして、被覆材交換時間短縮につながる。患者のQOLの向上に役立つ治療薬となる」と期待を寄せた。さらなる国の患者支援を望む 次に患者の視点から「表皮水疱症と生きる困難と希望~在宅で使える遺伝子治療薬への期待~」をテーマに宮本 恵子 氏(表皮水疱症友の会 DebRA Japan 代表理事)が、患者の苦労や新薬への期待を語った。 宮本氏自身も潜性栄養障害型表皮水疱症であり、毎日繰り返す水疱とびらんの処置で苦労をしている。症状が進むと指の癒着などが起こり、機能不全や生活障害を起こすこと、患者の8割が皮膚がんを発症して亡くなることなど、患者の現状を紹介した。 そして、本症は、ほぼ医療者の間でも知られていない疾患であり、症状をフォローできる医師がいないことが課題であると指摘し、重要なことはわが国に数人しかいない専門医につなげることだと語った。また、わが国の診療の遅れについても触れ、患者は医療器材が毎月50万円近く必要だが満足な補助はされていないという。現在患者会には200人近く会員がおり、希少疾病治療薬の早期承認や訪問看護の条件にかなうように厚生労働省に要請している。その他、患者会では、海外団体との連携・協力や疾患の学習会の実施、市民向けの啓発活動もYouTubeなどで行っていることを説明した。

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HPVワクチンのHPV16/HPV18感染予防効果、1回接種vs.2回接種/NEJM

 2価または9価のヒトパピローマウイルス(HPV)ワクチンの1回接種は2回接種に対して、HPV16またはHPV18感染への予防効果が非劣性であることが示された。米国国立がん研究所のAimee R. Kreimer氏らが無作為化試験の結果を報告した。HPVワクチンの複数回接種は有効であるが、世界的には接種が十分に行われていない。最新データでは、単回接種による予防が可能であることが示唆されているが、1回接種で2回接種と同等の予防効果が得られるのかは明らかになっていなかった。NEJM誌2025年12月18日号掲載の報告。2価または9価HPVワクチンについて評価 研究グループは、2017年11月29日~2020年2月28日にコスタリカの200地区以上で被験者を募り、HPVワクチン1回接種の2回接種に対する非劣性を検証する無作為化試験を行った。本試験では、12~16歳の女子を、2価HPVワクチンを1回接種または2回接種、9価HPVワクチンを1回接種または2回接種する4群に、1対1対1対1の割合で無作為に割り付けた。なお、コスタリカでは本試験の対象である年齢層の女子に対して、政府はHPVワクチンを提供していなかった。 主要エンドポイントは、接種後12ヵ月目~60ヵ月目に発生し、少なくとも6ヵ月間持続したHPV16またはHPV18の新規感染であった。事前に規定した非劣性マージンは、被験者100人当たりの感染例が1.25件とした。 また、試験に参加した女子と非無作為化サーベイの登録女性の、HPV16またはHPV18感染の比較も行った。両ワクチンともHPV16/HPV18感染予防に関して1回接種が2回接種に対し非劣性 合計2万330人が試験に登録・無作為化された。また、ワクチン非接種の3,005人がサーベイに登録された。 非劣性解析において、HPV16またはHPV18感染の予防に関して1回接種は2回接種に対して非劣性であることが示された。1回接種と2回接種の感染率差は、2価HPVワクチンでは-0.13件/100人(95%信頼区間[CI]:-0.45~0.15、非劣性のp<0.001)、9価HPVワクチンでは0.21件/100人(95%CI:-0.09~0.51、非劣性のp<0.001)であった。 ワクチンの有効性は4群ともに97%以上であった。安全性に関する懸念は認められなかった。

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