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コ・トリモキサゾール予防投与、ARTを開始したHIV感染者の死亡率を低減

3剤併用抗レトロウイルス療法(ART)を開始したHIV感染者に対し、コ・トリモキサゾール[トリメトプリム・スルファメトキサゾール(ST)合剤、商品名:バクタ、バクトラミンなど]を予防的に投与すると、死亡率が有意に低下することが、イギリス医学研究評議会(MRC)臨床試験ユニットのA S Walker氏らの検討で明らかとなった。コ・トリモキサゾールは、医療資源が不足する環境で市中肺炎の予防および治療に使用される安価な抗生物質である。本薬剤を予防投与すると、未治療のアフリカ人HIV感染者の死亡率が低減することが示されているが、このベネフィットは併用ARTと同時に投与しても維持されるかについては不明であったという。Lancet誌2010年4月10日号(オンライン版2010年3月29日号)掲載の報告。コ・トリモキサゾール投与と非投与を比較する観察研究研究グループは、アフリカ人の重症HIV感染者に対するART開始後のコ・トリモキサゾールの予防投与の有用性を評価する観察研究を実施した。対象は、2003年1月~2004年10月までにDART(Development of Anti-Retroviral Therapy in Africa)試験に登録されたCD4細胞数<200個/μLで、3剤併用ARTを開始した未治療の症候性HIV感染者(18歳以上)であった。コ・トリモキサゾール(トリメトプリム160mg+スルファメトキサゾール800mg)の予防投与(1日1回)はルーチンには行わず、無作為割り付けも実施せずに、担当医が個々に処方した。時間依存性の交絡を補正するために周辺構造モデルを用い、コ・トリモキサゾールの投与が臨床予後、CD4細胞数、BMIに及ぼす影響について検討した。死亡率が12週までは大幅に低下、効果は72週まで持続3,179例(コ・トリモキサゾール投与群1,959例、非投与群:1,220例)が登録された。全体の観察期間の総計は14,214年であり、そのうちコ・トリモキサゾール投与群は8,128人年(57%)であった。コ・トリモキサゾール使用の時間依存性の予測因子は、直近のCD4細胞数、ヘモグロビン値、BMI、ART開始後の当初の症状(WHO stage 3/4)であった。死亡率は、コ・トリモキサゾール投与群が非投与群に比べ有意に低下した(オッズ比:0.65、95%信頼区間:0.50~0.85、p=0.001)。コ・トリモキサゾール投与によって死亡リスクは12週までは大幅に低下し(同:0.41、同:0.27~0.65)、12~72週まではこれが維持された(同:0.56、同:0.37~0.86)が、72週以降は有意な差はなくなった(同:0.96、同:0.63~1.45、不均一性:p=0.02)。このような死亡率低下の変動は、コ・トリモキサゾールの投与期間や直近のCD4細胞数とは関連しなかった。コ・トリモキサゾールの予防投与によりマラリア感染の頻度が有意に低下し(オッズ比:0.74、95%信頼区間:0.63~0.88、p=0.0005)、その効果は投与期間と相関した。しかし、WHO stage 4の症状(同:0.86同:0.69~1.07、p=0.17)、CD4細胞数(非投与群との差:-3個/μL、p=0.50)、BMI(非投与群との差:-0.04kg/m2、p=0.68)には有意な効果を及ぼさなかった。著者は、「これらの結果はWHOガイドラインを補強するものである。3剤併用ARTを開始したアフリカ人HIV感染者には、少なくとも72週のコ・トリモキサゾールの予防投与を併用するという治療戦略の強い動機づけとなるだろう」と結論している。(菅野守:医学ライター)

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新型インフルの最初の感染流行期、子どもの感染率は予想の10倍以上だった

イギリスにおける最初の2009パンデミックインフルエンザA H1N1ウイルスの感染流行期に、発病率が高い地域では子どもの約3人に1人がH1N1ウイルスに感染しており、これは当初の予想の10倍以上に相当することが、イギリス健康保護局(HPA)感染症センターのElizabeth Miller氏らによる調査で明らかとなった。2009年6月11日、WHOがブタを起源とするインフルエンザA H1N1の世界的な感染爆発を宣言したのを受け、イギリスでは感染の伝搬をリアルタイムで把握するモデルの構築を中心とする対策が進められた。H1N1ウイルスによる将来的な疾病負担やワクチンなどによる介入の効果をモデル化するには、年齢別の免疫獲得の状況や感染率を知ることが重要だという。Lancet誌2010年3月27日号(オンライン版2010年1月21日号)掲載の報告。年齢別の抗体価32倍以上の検体率を感染流行期の前後で比較研究グループは、イギリスにおけるH1N1ウイルスの感染状況を調査する横断的血清学研究を実施した。イギリス健康保護局による血清疫学プログラムの年次検体採取の一部として、2008年(H1N1ウイルス感染流行第1波の前)に1,403の血清検体を採取し、2009年8~9月(感染流行第1波の後)には1,954検体を集めた。抗体価は赤血球凝集抑制試験およびマイクロ中和試験で測定した。年齢別に2008年のH1N1ウイルスに対する抗体の保有率を算出し、赤血球凝集抑制抗体価が感染防御反応とされる32倍(1:32)以上に達した検体の割合を第1波の前後で比較した。子どもはワクチン接種の主要ターゲット感染流行第1波前の血清検体では、赤血球凝集抑制試験およびマイクロ中和試験による抗体価は加齢とともに有意に増加した(F検定:p<0.0001)。赤血球凝集抑制試験による抗体価が32倍以上の検体率は、0~4歳児の1.8%(3/171検体)から80歳以上の高齢者の31.3%(52/166検体)の範囲にわたった。ロンドンおよびウェストミッドランドでは、感染流行第1波前に対する第1波後の、赤血球凝集抑制抗体価32倍以上の検体率の増加分は、5歳未満の子どもが21.3%、5~14歳が42.0%、15~24歳が20.6%であり、25歳以上の年齢では差を認めなかった。他の地域では、第1波前に比べ第1波後に有意な増加(6.3%)を示したのは15歳未満の子どもだけであった。著者は、「H1N1ウイルスの最初の感染流行期に、インフルエンザによる発病率が高い地域では、子どもの約3人に1人がH1N1ウイルスに感染しており、これは当初の予想の10倍以上に相当する。すでに抗体を保有している高齢者は感染率が低かった」と結論し、「子どもはインフルエンザの伝搬において中心的な役割を担うため、自身のみならず他者への感染予防の観点から、集団免疫によるワクチン接種の重要なターゲットとなる可能性がある」と指摘している。(菅野守:医学ライター)

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注射薬物使用者におけるHIV対策の普及率は世界的に極めて低い

注射薬物使用者におけるHIVの予防、治療、ケアサービスの世界的な普及率は極めて低いことが、オーストラリアNew South Wales大学薬物・アルコール研究センターのBradley M Mathers氏らによる系統的なレビューで明らかとなった。2007年現在の全世界の注射薬物使用者数は1,100~2,120万人にのぼり、そのうち80~660万人がHIVに感染したと推定される。これまで、注射薬物使用者におけるHIV対策の実態調査は行われていたが、普及状況の量的な検討はなされていなかったという。Lancet誌2010年3月20日号(オンライン版2010年3月1日号)掲載の報告。注射薬物使用者におけるNSPs、OST、ARTの普及率を算出研究グループは、注射薬物使用者におけるHIVの予防、治療、ケアサービスの普及状況について系統的なレビューを実施した。2004年以降に発行された審査論文(Medline、BioMed Central)、インターネット、灰色文献(grey-literature)のデータベースを系統的に検索した。国連機関や各国の専門家に当たってデータの提供依頼や照合を行った。各国のデータは、注射薬物使用者に対する主要な介入[注射針および注射器プログラム(NSPs)、オピオイド補充療法(OST)、その他の薬物治療、HIV検査と診察、抗レトロウイルス療法(ART)、コンドームプログラム]の規定の範囲内で取得した。注射薬物使用者集団の規模の予測値に基づいて、NSPs、OST、ARTの普及率を算出した。普及率には地域、国レベルで大きな差、世界的には極めて低い2009年までに、NSPsが82ヵ国で、OSTが70ヵ国で実施され、両方の介入が導入されたのは66ヵ国であった。地域および国レベルの普及率には実質的な差が認められた。注射針と注射器の配布は、オーストラリアが注射薬物使用者1人当たり年間に202と圧倒的に高かったのに対し、ラテンアメリカおよびカリブ海諸国は0.3、中東および北アフリカは0.5と低く、最低はサハラ以南のアフリカの0.1であった。注射薬物使用者100人当たりのOSTの施行数は、中央アジア、ラテンアメリカ、サハラ以南のアフリカの1以下から、西ヨーロッパの61までの差が認められた。HIV陽性の注射薬物使用者100人当たりのART施行数は、チリ、ケニア、パキスタン、ロシア、ウズベキスタンが1以下であり、6つのヨーロッパ諸国は100以上であった。世界全体では、注射薬物使用者1人当たりの月間の注射針と注射器の配布数は2(範囲1~4)、100人当たりのOSTは8(範囲6~12)であり、HIV陽性者100人当たりのART施行数は4(2~18)であった。著者は、「注射薬物使用者におけるHIVの予防、治療、ケアサービスの世界的な普及率は極めて低い」とし、「この高リスクの集団に対し、早急にこれらのサービスの拡充を図る必要がある」と指摘している。(菅野守:医学ライター)

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「ラクトフェリン」による内臓脂肪細胞の脂肪分解促進効果を確認

ライオン株式会社研究開発本部は23日、京都府立医科大学・西野輔翼教授、京都市立病院・吉田俊秀教授、名古屋市立大学大学院・飯郷正明客員教授、東京大学・加藤久典教授、北海道大学大学院・宮下和夫教授、細川雅史准教授と共同で、牛乳・母乳などに含まれる多機能性タンパク質「ラクトフェリン」が、成熟した内臓脂肪細胞に対して、脂肪滴の分解阻害タンパクであるペリリピン量を低下させることで、脂肪分解促進作用に関与することを世界で初めて見出したと発表した。また、東京大学大学院・清水誠教授、戸塚護准教授らと共同で、ラクトフェリン」に「ラブレ菌」を配合した腸溶錠が、腸内環境改善効果を示すことをヒト試験にて確認したという。「ラクトフェリン」は多くの哺乳動物の乳に含まれており、ヒトの母乳、特に出産後数日の間に多く分泌される「初乳」に最も多く含まれているタンパク質の一種。外部から進入する細菌ウイルスからの攻撃を防ぐ防御因子の一つと考えられている。整腸作用(腸内の悪玉菌を減らし、善玉菌の増殖を助ける)、免疫賦活、大腸がん予防などの多様な生理活性をもつ物質として注目されている。この研究成果は『日本農芸化学会2010年度大会(2010年3月27日~30日 東京大学駒場キャンパス)』、および『第64回日本栄養・食糧学会大会(2010年5月21日~23日 アスティとくしま)』において発表される予定とのこと。詳細はプレスリリースへ(PDF)http://www.lion.co.jp/ja/company/press/2010/pdf/2010033.pdf

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HIV感染者への結核診断アルゴリズム

ヒト免疫不全ウイルス(HIV)感染者に対しては、結核スクリーニングが、早期診断と抗レトロウイルス療法とイソニアジド予防投与を安全に開始するために推奨されている。しかし、慢性的な咳についてのスクリーニングは一般的に行われているものの、その最適方法について、エビデンスに基づく国際的に認められたガイドラインは今のところない。米疾病管理予防センター(CDC)のKevin P. Cain氏らの研究グループは、その開発に取り組んだ。NEJM誌2010年2月25日号より。慢性的な咳による結核の検出感度は低い研究グループは、カンボジア、タイ、ベトナムの、計8つの外来診療所からHIV感染者を継続的に登録した。各々の患者から喀痰3検体と、尿、便、血液、リンパ節吸引液(リンパ節腫脹がある場合)を各1検体採取し、マイコバクテリア培養検査を行った。そのうえで、結核のスクリーニングと診断アルゴリズムを導き出すため、培養検査で陽性だった検体が1つ以上あり結核と診断されたHIV感染者と、結核と診断されなかった患者の特性を比較した。試験の結果、HIV感染者1,748例[CD4+Tリンパ球数の中央値242/mm(3)、四分位範囲:82~396)のうち、267例(15%)が結核と診断された。慢性的な咳(過去4週間で2~3週間以上続いた)を指標とした場合の結核の検出感度は、22~33%だった。継続しない咳、発熱、長く続く寝汗も問診すべき一方、過去4週間で、「継続期間を問わない咳」と「発熱」、さらに「3週間以上続く寝汗」の3つの症状がみられた場合の結核の検出力は、感度は93%、特異度は36%だった。これら症状のいずれかを伴う1,199例の患者において検討した結果、結核陽性の診断除外には、「喀痰スミア:2検体陰性」「胸部X線:正常」「CD4+細胞数:350/mm(3)以上」が有用だった。「喀痰スミア:1検体以上陽性」で結核陽性と診断された患者は113例(9%)に過ぎず、大半の患者はマイコバクテリア培養検査を要した。これらから研究グループは、HIV感染者における結核スクリーニングは、慢性的な咳の症状の有無だけでなく、複合的な症状についても問診しなければならないと述べている。そして、3つの症状(咳、発熱、寝汗)が陰性の患者は、抗レトロウイルス療法とイソニアジドの予防投与は問題なく開始できるとしつつも、大半のHIV患者の結核診断にはマイコバクテリア培養検査が必要だろうと結論づけた。(医療ライター:朝田哲明)

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小児用肺炎球菌ワクチン「プレベナー」2月24日発売

ワイス株式会社は、昨年10月16日に製造販売承認を受けた7価肺炎球菌結合型ワクチン「プレベナー」(製品名:プレベナー水性懸濁皮下注)を2月24日から発売したと発表した。プレベナーは、肺炎球菌による細菌性髄膜炎、菌血症などの侵襲性感染症を予防する国内初の小児用肺炎球菌結合型ワクチン。接種対象は、生後2カ月齢から9歳以下の小児。現在101の国・地域で承認されている。●詳細はプレスリリースへhttp://www.wyeth.jp/news/2010/0223.asp

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病態安定HIV感染患者、ラルテグラビル切り替え効果の非劣性示せず:SWITCHMRK 1、2試験

ロピナビル-リトナビル(商品名:カレトラ)ベースのレジメンでヒト免疫不全ウイルス(HIV)が抑制され病態が安定しているHIV感染患者において、同薬剤による脂質異常などの有害事象の回避を目的にラルテグラビル(同:アイセントレス)へ切り替える治療法は、ロピナビル-リトナビルを継続した場合に比べウイルス抑制効果が劣るため許容されないことが、2つの多施設共同試験(SWITCHMRK 1、2試験)で示された。HIV-1インテグラーゼ阻害薬という新たなクラスの経口抗HIV薬であるラルテグラビルは、プロテアーゼ阻害薬であるロピナビル-リトナビルにみられる脂質異常などの有害事象がなく、未治療例、既治療例ともに有効性が確認されている。病態が安定したHIV感染患者には、ウイルス抑制効果が同等であれば、より簡便で有害事象の少ない治療法が望ましい。アメリカ・ノースカロライナ大学のJoseph J Eron氏が、Lancet誌2010年1月30日号(オンライン版2010年1月13日号)で報告した。切り替え群と継続群で脂質の変化率、ウイルス抑制効果、安全性を評価SWITCHMRK試験の研究グループは、ロピナビル-リトナビルをベースとする併用レジメンでウイルスが抑制され病態が安定しているHIV感染患者において、ラルテグラビルへの切り替えとロピナビル-リトナビル継続の安全性と有効性を比較する二重盲検ダブルダミー無作為化第III相試験を実施した。対象は、ロピナビル-リトナビルをベースとするレジメンにより血漿ウイルスRNA濃度がPCR法で50コピー/mL未満あるいは分岐DNA法で75コピー/mL未満の状態が3ヵ月以上持続している18歳以上のHIV感染患者。2007年6月~2008年5月までに、2つの試験に5ヵ国81施設から848例が登録され、707例が適格基準を満たした。ロピナビル-リトナビルからラルテグラビル(400mg×2回/日)への切り替え群に353例が、ロピナビル-リトナビル(200mg/50mg×2錠×2回/日)継続群には354例が無作為に割り付けられた。いずれの群も、2つ以上のヌクレオシド系あるいはヌクレオチド系逆転写酵素阻害薬を併用することとした。主要評価項目は、試験開始から12週までの血清脂質値の平均変化率、24週におけるウイルスRNA濃度<50コピー/mLの患者の割合、24週までの有害事象の頻度とした。切り替え群は血清脂質値が低下したが、ウイルス抑制効果が予想以上に低い2つの試験を合わせ、少なくとも1回の治療を受けた702例が有効性および安全性の評価の対象となった(切り替え群:350例、継続群:352例)。血清脂質の変化率は、2試験ともに切り替え群が継続群に比べて有意に大きく(p<0.0001)、両試験を合わせた総コレステロール値の変化率は切り替え群が-12.6%、継続群が1.0%、非HDLコレステロール値はそれぞれ-15.0%、2.6%、トリグリセライド値は-42.2%、6.2%であり、いずれも切り替え群が良好であった。24週の時点でウイルスRNA濃度<50コピー/mLの患者の割合は、切り替え群の84.4%(293/347例)に対し継続群は90.6%(319/352例)であり、切り替え群が6.2%低かった。臨床的な有害事象および検査値異常の頻度は両群で同等であった。重篤な薬剤関連有害事象や治療関連死は認めなかった。中等度~重度の有害事象のうち1%を超えたのは継続群の下痢(3%)のみであった。切り替え群のウイルス抑制効果が継続群に比べ予想以上に低かったため、両試験は24週の時点で中止された。著者は、「血清脂質値は、ラルテグラビルへの切り替え群がロピナビル-リトナビル継続群に比べ低下したが、切り替え群の継続群に対するウイルス抑制効果の非劣性は示されなかった」と結論している。さらに、「事後解析では、切り替え群のうち特に本試験登録前の抗HIV治療が無効であった症例でウイルス抑制効果が低かったのに対し、前治療無効歴のない症例では両群のウイルス抑制効果は同等であった。無作為割り付け前に前治療無効歴の有無で層別化しなかったことが、データの解釈を混乱させた可能性がある」と指摘し、「日常診療においてレジメン変更のリスクとベネフィットを考慮する際は、過去の薬剤耐性検査や治療結果などの背景情報を可能な限り収集すべきである」としている。(菅野守:医学ライター)

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ロタウイルスワクチンの接種効果:アフリカからの報告

ロタウイルスは、世界的に乳幼児における重症胃腸炎の最も頻度が高い原因として知られる。世界保健機構(WHO)によれば、ロタウイルス感染による年間の小児死亡例は推定52万7,000例で、そのうち23万例以上は、サハラ以南のアフリカで起きているという。南アフリカのWitwatersrand大学疾病ワクチン予防研究部門のShabir A. Madhi氏らは、アフリカの1歳未満児におけるロタウイルスワクチンの有効性に関する臨床試験を実施。その結果、1歳未満での重症ロタウイルス胃腸炎発生の有意な低下が確認できたと報告した。同地域は貧困が深刻で医療資源が限られており、ワクチン接種による重症化予防が期待されている。NEJM誌2010年1月28日号より。乳児約5,000例を、3回or2回接種群、プラセボ群に無作為化し追跡Madhi氏らは、南アフリカ共和国とマラウイ共和国両国の複数施設から健康な乳児を登録し、重症ロタウイルス胃腸炎予防に関する、経口ロタウイルス生ワクチンの有効性を評価する無作為化プラセボ対照試験を行った。試験に登録された乳児は、南アフリカから3,166児(全体の64.1%)、マラウイから1,773児(同:35.9%)の計4,939児で、1:1:1の比率で無作為に、ワクチン2回投与群(プラセボ投与1回を含む3回投与群も含む、1,647例)、ワクチン3回投与群(1,651例)、プラセボ3回投与群(1,641例)に割り付けられ追跡された。ワクチン接種は、生後6週目、10週目、14週間目に行われた。積極的な追跡サーベイランスで、1歳未満に起きた野生型ロタウイルスによる胃腸炎症状エピソードの評価を行い、Vesikariスケールで類型化した。重症ロタウイルス胃腸炎に対するワクチン有効性は61.2%有効性解析に含まれたのは4,417児。そのうち重症ロタウイルス胃腸炎の発生は、プラセボ群で4.9%、ワクチン接種群は1.9%で、ワクチンの有効性は61.2%(95%信頼区間:44.0~73.2)だった。ワクチン有効性は、マラウイ(49.4%)の方が、南アフリカ(76.9%)より低かった。しかし重症ロタウイルス胃腸炎が予防された症例数は、マラウイ(6.7例/ワクチン接種100児年)の方が、南アフリカ(4.2例/ワクチン接種100児・年)より多かった。原因を問わない重症胃腸炎に対するワクチン有効性は、30.2%だった。一つ以上の重篤な有害事象は、ワクチン接種群は9.7%、プラセボ群では11.5%報告された。(医療ライター:朝田哲明)

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ロタウイルスワクチンの接種効果:メキシコからの報告

メキシコでは2006年2月から2007年5月にかけて、小児に対する一価ロタウイルスワクチン接種が段階的に導入された。その有効性を評価するため、メキシコ保健省青少年保健センター(CENSIA)のVesta Richardson氏らは2008年と20009年に、メキシコ小児の下痢関連死について調査を行った。結果、有意な低下が確認され、ロタウイルスワクチン接種の有効性が示唆されたと報告した。NEJM誌2010年1月28日号より。5歳未満児のワクチン接種の有効性を、死亡データを用いて評価Richardson氏らは、2003年1月~2009年5月のメキシコ5歳未満児の下痢による死亡のデータを入手し、ロタウイルスワクチン導入前(2003~2006年)をベースラインとし、2008年および2008~2009年のロタウイルス流行期との、下痢関連死亡率に関する比較を行った。ワクチンの1回接種率は、行政データから、2007年12月までに生後11ヵ月以下の乳児で、約74%に上ると推計された。ワクチン接種導入後は下痢関連死亡率が5歳未満児35%、0歳児41%減少解析の結果、2008年の5歳未満児の下痢関連死亡は1,118例で、2003~2006年(ベースライン)死亡例の年間中央値1,793例より、675例減少していた。下痢関連死亡率でみると、ベースラインで10万児当たり18.1例だったものが、2008年には同11.8例に減少しており、減少率は35%(95%信頼区間:29~39、P

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ロタウイルスワクチンの接種効果:米国SCID乳児でウイルス感染例が報告

米国で、経口5価ロタウイルス生ワクチン(RV5)の接種を受けた、重症複合型免疫不全症(SCID)の乳児3児が、同ウイルスに感染したことが報告された。いずれの乳児も、同ワクチンの初回または2回目の接種後1ヵ月以内に、脱水症状や下痢を起こし、その後、SCIDであることが判明したケースだという。米国Baylor大学のNiraj C. Patel氏らの症例報告によるもので、NEJM誌2010年1月28日号で発表された。米国では2006年にRV5が承認を受け、その後、乳児へのルーチン摂取が行われるようになっている。脱水や重度下痢、成長障害など引き起こすPatel氏らの報告によると、1児は、生後2ヵ月と4ヵ月に、RV5の接種を受けたケース。その後、生後5ヵ月の時、脱水、重度の下痢、代謝性アシドーシス、成長障害、肺炎で入院した。2児目は、生後2ヵ月と4ヵ月でRV5を接種し、2回目を受けた6日後、ショック症状、脱水、水溶状の下痢を起こしたケース。3児目は、生後2ヵ月でRV5を接種後、重度の下痢、成長障害、呼吸促迫を起こしたケースだった。なおいずれの乳児も、集団保育は受けていなかった。RV5投与前にSCID検査の実施が望ましい3児の便について、逆転写ポリメラーゼ連鎖反応(RT-PCR)定量法と遺伝子配列分析を行った結果、RV5ワクチンに含まれるウシロタウイルス(WC3)が検出された。RV5は親株となるWC3と4種のヒトロタウイルスを合わせ、弱毒化したもの。これまでに、WC3様のウシロタウイルスの、ヒトへの感染例は報告されていなかった。この結果を受け、Patel氏らは、SCIDの家族歴がない乳児に対し、SCIDの有無を事前に見極めずにRV5ワクチンを接種することは「あり得るかもしれない」とした上で、新生児に対して行う血液検査の中で、SCIDの有無を見極めることで、医師による乳児に対するワクチン投与の、より効果的な選択を可能にし、ワクチン投与に伴う病気の発症予防にもつながると述べている。米国では、新生児に対し、より頻度の高い遺伝性疾患に関する血液検査を行っており、その際、SCIDの有無を検査している州もあるという。(當麻あづさ:医療ジャーナリスト)

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C. difficile感染再発を抑制する新たな治療法

 Clostridium difficile(C. difficile)感染の再発に対して、抗C. difficileモノクローナル抗体(CDA1+CDB1)が有効であることが報告された。米国Medarex社のIsrael Lowy氏ら研究グループが行った第II相無作為化試験の結果、抗菌薬投与中の患者への追加投与で再発の有意な減少が確認されたという。C. difficileは通常は病原性を有さないが、抗菌薬投与による腸内細菌叢の乱れによってトキシンの産生が誘発され、下痢症や大腸炎の病原菌となる。ここ10年ほど欧米では、広域スペクトラム抗菌薬使用の広がりがC. difficile疫学を変えたと言われるほど、毒性が強いC. difficile(BI/NAP1/027株)の出現、治療失敗や感染症再発の増大、および顕著な死亡率増加がみられるようになり問題になっている。NEJM誌2010年1月21日号掲載より。抗菌薬に完全ヒトモノクローナル抗体を追加投与第II相試験は無作為化二重盲検プラセボ対照で行われた。症候性のC. difficile感染でメトロニダゾール(商品名:フラジール)かバンコマイシンを投与されていた患者に対し、抗C. difficileモノクローナル抗体(CDA1+CDB1)かプラセボを、10mg/kg体重、単回静注した。2006年7月から2008年4月の間に、米国およびカナダの30施設で、18歳以上の患者200例が登録。モノクローナル抗体投与群は101例、プラセボ投与群は99例だった。主要転帰は、モノクローナル抗体かプラセボを投与後84日以内に、検査で確認された感染再発とした。再発率は、抗体群7%、プラセボ群25%C. difficile感染再発率は、抗体群7%、プラセボ群25%で、モノクローナル抗体投与群の方が低かった(P

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DNAマイクロアレイを用いた新たな敗血症アッセイの有効性を確認

新たに開発されたDNAマイクロアレイによる敗血症アッセイは、従来のgold standardである血液培養法に比べ、細菌の同定における感受性、特異度が優れるうえに、より迅速に結果が得られることが、フィンランド・ヘルシンキ大学病院検査部のPaivi Tissari氏らが行った観察試験で明らかとなった。細菌性敗血症は生命を脅かす疾患であり、世界的に罹患率、死亡率がともに高く、有効な抗生物質が利用可能な先進国でさえも重要な課題となっている。罹患率や死亡率増大の原因として、原因菌の種類を同定せずに不適切な広域スペクトラムの抗菌薬を使用したり、適切な治療の遅れが挙げられるという。Lancet誌2010年1月16日号(オンライン版2009年12月10日号)掲載の報告。培養陽性の2,107検体を、従来法と新規のアッセイで検査研究グループは、DNAマイクロアレイをプラットフォームとして新たに開発された敗血症アッセイ「Prove-it Sepsis」の感受性、特異度、所要時間の検討を行った。臨床的に敗血症が疑われる患者の3,318の血液検体のうち、血液培養で陽性を示した2,107の検体について、従来の培養法と新規の敗血症アッセイにより細菌の種類の同定を行った。アッセイに用いられた新たなPCR/マイクロアレイ法は、50種類のバクテリアのgyrB、parE、mecA遺伝子を増幅して検出するもの。検査アッセイを取り扱う検査員には培養結果は知らされなかった。臨床・検査標準協会(CLSI)の勧告に基づいて、感受性、特異度、所要時間が算出された。感受性94.7%、特異度98.8%、所要時間は従来法より18時間短縮培養陽性の2,107検体のうち1,807検体(86%)から、アッセイが検出対象とする病原菌が検出された。アッセイの感受性は94.7%、特異度は98.8%であり、メチシリン耐性黄色ブドウ球菌(MRSA)の感受性と特異度はともに100%であった。検出までの所要時間は、従来の培養法が実働日数で1~2日を要するのに対し、アッセイはこれより平均18時間早かった。3,284検体のうち34検体(1.0%)が、技術的な問題や検査員の誤操作のために除外された。著者は、「PCR/マイクロアレイを用いた敗血症アッセイは、細菌種の最終的な同定において高い感受性と特異度を示し、従来法よりも迅速な検査が可能である」と結論し、「本アッセイはプライマリ・ケアの日常診療に容易に導入できる。現在、先進国、開発途上国の双方で、このアッセイが患者の予後やマネジメント、さらに種々の病原菌のルーチンな迅速診断の実行にどの程度貢献するかについて、プロスペクティブな調査を行っている」としている。(菅野守:医学ライター)

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新型インフル感染死亡率は予想よりも低い、イングランドの調査

2009年11月までにイングランドでは138人が新型インフルエンザウイルス(2009年汎発性インフルエンザA/H1N1)感染が原因で死亡し、推定死亡率(10万人当たり26人)は予想よりも低かったことが、イギリス保健省Richmond HouseのLiam J Donaldson氏らの調査で明らかとなった。イギリスでは、インフルエンザによる死亡率は伝統的に超過死亡(excess death)に基づいて算出されているが、死亡証明による予測であるため母集団が少ない場合は信頼性が低いとされる。この調査の初期報告は、検査で感染が確定された例を母集団としたため過小評価となった可能性があるが、今回は症状の見られる症例を母集団として推計したという。BMJ誌2010年1月9日号(オンライン版2009年12月10日号)掲載の報告。2009年11月8日までに報告されたデータを解析研究グループは、イングランドにおける新型インフルエンザによる死亡率の調査を行った。2009年11月8日までに、救急病院およびプライマリ・ケア施設の医師によって報告された新型インフルエンザに関するデータを解析した。推定感染者数や死亡数とともに年齢別の死亡率を算出し、基礎疾患、病態の経時的変化、抗ウイルス薬による治療状況を調べた。推定死亡率は、全体で0.026%、子どもが0.011%、高齢者は0.98%全体の推定死亡率は10万人当たり26(11~66)人であり、当初の予想よりも低かった。年齢別の解析では、5~14歳の子どもが最も低く[11(3~36)/10万人]、65歳以上の高齢者が最も高かった[980(300~3,200)/10万人]。子どもは高感染/低死亡率で、高齢者は低感染/高死亡率という傾向が見られた。死亡原因が新型インフルエンザ感染と確定されたのは138人で、年齢中央値は39歳であった。その2/3(92人、67%)が、現在であればイギリスのワクチン接種基準を満たしていた。50人(36%)は既存疾患がないか、あってもごく軽度であった。多くの患者(108人、78%)が抗ウイルス薬を処方されていたが、そのうち82例(76%)は発症後48時間以内の投与を受けていなかった。これらの知見を踏まえ、著者は「統計学的には、今回の新型インフルエンザのパンデミックは20世紀に起きた爆発的感染拡大に匹敵するものである。今回の方が感染者数は少ないが、これは対策を講じないことを正当化するものではない」としている。また、「高リスク例には優先的にワクチン接種を行うべきである。本研究には対照群がないため外挿するには限界があるが、死亡例の多くは抗ウイルス薬の投与が遅れていることから、適切な時期に投与すれば死亡率は低減できることが示唆される」「既存疾患のない健常者が感染した場合は実質的に死亡数が少なかったことから、ワクチン接種プログラムを拡大し、早期の抗ウイルス薬治療を広範に実施すべきと考えられる」と考察している。(医学ライター:菅野守)

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新型インフルに最も有効なワクチンが明らかに、中国の検討

新型インフルエンザウイルス(2009年汎発性インフルエンザA/H1N1)に対するワクチンによる予防治療としては、ヘマグルチニン(HA)を7.5μg含みアジュバントを用いないsplit-virionワクチンの1回接種が最も有効なことが、中国疾病予防管理センターのXiao-Feng Liangらが実施した多施設共同試験で明らかとなった。現在、世界各国で新型インフルワクチンの臨床試験が行われているが、いずれも参加者が少なく、過去の感染や交差反応による既存の免疫反応の影響を除外しきれない試験もあるため、プラセボを対照とした大規模臨床試験が切望されていた。Lancet誌2010年1月2日号(オンライン版2009年12月16日号)掲載の報告。8つのワクチン製剤の安全性、免疫原性をプラセボと比較研究グループは、中国の製薬会社10社が開発した8つの新型インフルエンザワクチン製剤の安全性と免疫原性を評価するために、二重盲検無作為化プラセボ対照試験を実施した。中国の10施設に3歳以上の12,691人が登録された。各施設において年齢で層別化し、8つのワクチン製剤のうち1つを接種する群あるいはプラセボ群に無作為に割り付けた。ワクチン製剤の種類は、アジュバント(水酸化アルミニウム)を用いHAをそれぞれ7.5、15、30μg含むsplit-virionワクチン、アジュバントを用いずHAを7.5、15、30μg含むsplit-virionワクチン、アジュバントを用い5、10μgのHAを含むwhole-virionワクチンの8つであった。すべてのワクチン製剤は再集合体株X-179A(A/California/07/2009-A/PR/8/34)から生産された。ワクチン製剤の安全性(有害事象)、免疫原性[赤血球凝集抑制抗体の幾何平均抗体価(GMT)]、抗体保有率(seroprotection rate、GMTが接種前の40倍以上の場合を抗体保有者とする)についてper protocol解析を行った。HA 7.5μg非アジュバントsplit-virionワクチンは、全年齢層でEU認可基準を満たす12,691人がday 0に1回目のワクチン接種を受け、そのうち12,348人がday 21に2回目の接種を受けた。8つのワクチンの初回接種後21日における抗体保有率は、最低値がHA 7.5μgアジュバントsplit-virionワクチンの69.5%で、最高値はHA 30μg非アジュバントsplit-virionワクチンの92.8%であった。プラセボ群の抗体保有率が9.8%(140/1,432人)であったのに対し、HA 7.5μg非アジュバントsplit-virionワクチンは86.5%(796/920人)と有意に優れていた(p<0.0001)。HA 7.5μg非アジュバントsplit-virionワクチンの年齢別の抗体保有率は、3~11歳が76.7%(178/232人)、12~17歳が96.8%(211/218人)、18~60歳が89.5%(289/323人)、60歳以上が80.3%(118/147人)であり、すべての年齢層がEUの認可基準を満たしていた。3~11歳の子どもは、2回目のワクチン接種により抗体保有率が97.7%(215/220人)に上昇した。有害反応はほとんどが軽度~中等度であり、特に治療をしなくても回復するものが多かった。重篤な有害事象はプラセボ群が1例(0.1%)のみであったのに対し、ワクチン群では69例(0.6%)に認めた。最も多かったのが発熱で、初回接種後は25例(0.22%)、2回目接種後は4例(0.04%)に見られたが、プラセボ群ではまったく認めなかった。著者は、「12歳以上の2009年汎発性インフルエンザA(H1N1)に対するワクチン製剤としては、HAを7.5μg含む非アジュバントsplit-virionワクチンの1回接種が有用と考えられる。3~11歳の子どもは2回接種を要する可能性がある」と結論している。(菅野守:医学ライター)

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新型インフル迅速検査で陰性でも、妊産婦には抗ウイルス薬を

米国カリフォルニア州の公衆衛生局Janice K. Louie氏らは、州内の妊産婦の、2009新型インフル(H1N1インフルエンザ)による入院または死亡に関する報告データを精査した。その結果、2009新型インフルは妊産婦に、重症疾患および死亡をもたらすこと、2009年の州内妊産婦の死亡率は高まることが予想され、2009年の全米の妊産婦死亡率も高まる可能性が示されたことを報告した。NEJM誌2010年1月7日号(オンライン版2009年12月23日号)より。抗ウイルス薬服用開始が遅かった妊婦の重症化・死亡リスクは、早かった妊婦の4.3倍精査されたのは、2009年4月23日~8月11日までに報告された、15~44歳までの妊娠可能な年齢にいる女性で2009新型インフルに感染し入院した妊婦94例、出産後2週間以内の女性8例、非妊産婦137例について。このうち迅速抗原検査で偽陰性だったのは38%(58/153例)だった。妊婦の大半(95%、89/94例)は妊娠第二または第三期・後期にあり、約3分の1(34%、32/93例)に妊娠以外のインフルエンザによる合併症がリスクファクターとして認められた。妊婦で抗ウイルス薬服用開始が遅かった人の、ICU入室または死亡に関する相対リスクは、早かった人(症状発症後2日以内)と比べて4.3倍に上った。妊産婦102例のうち、妊婦18例、出産後女性4例の計22例(22%)が集中治療を受け、8例(8%)が死亡した。ICU入室中の出産例は6例で、そのうち4例は緊急帝王切開だった。カリフォルニア州の2009新型インフルに特異的な妊産婦死亡率(出生10万当たりの妊産婦死亡数)は、4.3だった。Louie氏は、妊産婦死亡統計では例年、インフルエンザによるものはほとんど見られず、2009年はカリフォルニア州のみならず全米で、2009新型インフルによる死亡率上昇が示される可能性が高いと結論した。また一方で今回の調査の結果から、妊産婦には迅速抗原検査の結果にかかわらず、迅速にインフルエンザ様疾患の評価と抗ウイルス薬投与を行わなくてはならないとも述べている。(医療ライター:武藤まき)

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ICU患者の半数以上が感染症、75ヵ国の調査結果

集中治療室(ICU)で治療を受ける患者のおよそ半数以上が、感染症を発症していることが、75ヵ国の調査結果で明らかになった。ベルギーのErasme大学病院集中治療部門のJean-Louis Vincent氏らEPIC 2研究グループが、約1万4,000人のICU患者を調べた結果で、JAMA誌2009年12月2日号で発表された。ICU患者の感染症に関する、世界的な調査結果報告がほとんどない中、本試験は1992年に行われたEPIC研究(西欧17ヵ国、ICU 1,417ヵ所)データのup-to-dateを目的に行われた。感染者のうち気道感染が64%Vincent氏らは、2007年5月8日に、75ヵ国、1265ヵ所のICUで治療を受けていた、合わせて1万4,414人の患者について調査を行った。分析対象となったのは、そのうちの1万3,796人(18歳超)についてだった。被験者のうち、感染症が認められたのは、51%にあたる7,087人で、抗菌薬の投与を受けていたのは71%の9,084人だった。そのうち、気道感染は4,503人(感染者の64%)、微生物培養の結果が陽性だったのは4,947人(同70%)だった。分離菌がグラム陰性菌だったのは62%、グラム陽性菌は47%、また真菌への感染は19%だった。感染者の院内死亡率は、非感染者の1.51倍調査日までのICU滞在日数が長い患者の方が、感染率は高く、特に耐性ブドウ球菌、アシネトバクター、シュードモナス、カンジダへの感染が多かった。感染者のICU死亡率は25%で、非感染者の同率は11%、また院内死亡率も、感染者が33%に対し非感染者が15%と、それぞれ2倍以上だった(p

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“ベンザルコニウム塩化物”+“低濃度アルコール”の手指用消毒液、抗インフルエンザウイルス効果を確認

ライオン株式会社は9日、同社と財団法人北里環境科学センターが、手指用消毒液のインフルエンザウイルスに対する効果を確認する中で、「ベンザルコニウム塩化物に低濃度アルコールを組み合わせた手指用消毒液」に、インフルエンザウイルスに対して殺菌効果があることを確認したと発表した。厚生労働省の「事業者・職場における新型インフルエンザ対策ガイドライン」によると、インフルエンザウイルスを殺菌するには、60~80vol%のアルコール濃度が有効であると言われている。今回の結果により、低濃度のアルコールでも殺菌成分を組み合わせることで、インフルエンザウイルスに対して、殺菌効果を発現することを確認したとのこと。詳細はプレスリリースへhttp://www.lion.co.jp/ja/company/press/2009/2009103.htm

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カナダ製の新型インフルエンザワクチン「Arepanrix」 WHOの事前認定を取得

英グラクソ・スミスクライン社は1日(現地時間)、同社のカナダ製新型インフルエンザワクチン 「Arepanrix」 (アジュバント添加新型インフルエンザワクチン)が、世界保健機関(WHO)より事前認定(Pre-qualification)を取得したと発表した。同社の日本法人が報告した。WHOによる新型インフルエンザワクチンの事前認定は初めてとなる。同社は先月、途上国用としてアジュバント添加H1N1ワクチン5,000万接種分をWHOに寄贈する契約を締結したことを発表したばかり。また同社は、今年11月に肺炎球菌ワクチン、7月に子宮頸がん予防ワクチン、6月にロタウイルス胃腸炎予防ワクチンについて、WHOから事前認定を取得している。詳細はプレスリリースへhttp://glaxosmithkline.co.jp/press/press/2009_07/P1000600.html

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再発白血病に対する治験で遺伝子治療を開始

タカラバイオ株式会社は2日、同社が国立がんセンター中央病院にて進めているHSV-TK遺伝子治療(開発コード:TBI-0301)の治験(第I 相臨床試験)において、1日に第1例目の被験者への遺伝子導入細胞の投与が行われたと発表した。体外遺伝子治療の治験において遺伝子導入細胞の投与が行われるのは国内で初めてだという。同治験は、非盲検試験で行い、被験者数は9例を予定している。 現在、同種造血幹細胞移植後に再発した白血病など造血器悪性腫瘍の患者に対して、ドナーリンパ球輸注(DLI)療法が行われているが、副作用として生じる移植片対宿主病(GVHD)が重大な問題となっている。同治験は、このGVHDを沈静化する手段を備えたDLI療法により再発造血器悪性腫瘍の治療を試みるもので、レトロウイルスベクター(治験薬TBI-0301)を用いてHSV-TK遺伝子が導入されたドナー由来リンパ球が被験者に投与される。GVHDが発症した際には、ガンシクロビルという薬剤を投与し、導入されたHSV-TK遺伝子の働きによってドナー由来のリンパ球のみを消滅させ、 GVHDの沈静化を図るとのこと。詳細はプレスリリースへhttp://www.takara-bio.co.jp/news/2009/12/02.htm

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乳幼児のロタウイルス胃腸炎予防ワクチンを国内で承認申請

グラクソ・スミスクライン株式会社は30日、11月27日付で、ロタウイルス胃腸炎予防ワクチン(海外での製品名:Rotarix)の承認申請を行ったと発表した。申請したワクチンは、乳幼児のロタウイルス胃腸炎の早期予防を目的として使用される2回接種の経口ワクチンで、ロタウイルスに対するワクチンの承認申請は国内初となる。また、同社にとってこのワクチンは10月に承認になった子宮頸がん予防ワクチン「サーバリックス」、10月16日に申請した新型A(H1N1)インフルエンザワクチンに続くワクチンとなる。このたび国内で承認申請したRotarixはロタウイルスによる胃腸炎を予防する、弱毒化されたヒトロタウイルスの経口ワクチン。5つの大陸に渡って実施された世界規模の臨床試験では、現在出現しているG9ロタウイルス株を含む最も流行しているウイルス株(G1および非G1ロタウイルス株)に対して予防効果が認められた。現在Rotarixは、乳幼児を対象に凍結乾燥製剤あるいは液剤として世界116ヵ国で承認を取得している。日本では液剤の製造販売承認を申請済み。Rotarixは、2009年6月5日にWHO(世界保健機関)から事前認定(prequalification)を取得しており、さらに各国のワクチン接種プログラムにロタウイルスワクチン接種を含むことがWHOの専門家による顧問団(Strategic Advisory Group of Experts、SAGE)により推奨された。Rotarixは2回の接種により、生後早い時期からロタウイルス胃腸炎に対する予防が可能となる。詳細はプレスリリースへhttp://glaxosmithkline.co.jp/press/press/2009_07/P1000596.html

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