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真菌症治癒の再定義を

 米国・University Hospitals Case Medical CenterのM. Ghannoum氏らは、爪真菌症治癒の定義について、菌類学的アウトカムと臨床試験期間の解釈を再検証した。その結果、現状の臨床試験期間は見直す必要があり、爪真菌症治癒の定義は、十分なウォッシュアウト後の臨床所見が、KOH直接鏡検法が陰性か否かにかかわらず、培養検査が陰性であることでみなすべきであると報告した。British Journal of Dermatology誌オンライン版2013年8月19日号の掲載報告。 研究グループは、「現在の爪真菌症外用薬の当局による承認は、完全治癒には、罹患した爪の除去と菌類学的な治癒を含むというあまりにも厳しい定義のため、ネガティブな影響をもたらしている可能性がある」として本検討を行った。 7件の国際共同研究での爪真菌症試験のデータをレビューした。試験には、スクリーニング時にKOH陽性、培養検査陽性で、その後48週間の治療を受けた被験者が登録されていた。さらに研究グループは、94例のKOH陽性/培養検査陰性で52週間追跡を受けた検体について形態学的な菌糸損傷について調べた。 主な結果は以下のとおり。・フォローアップ52週時点で集められた3,054例の検体のうち、2,360例が培養検査陰性であった。・しかしながら、そのうち1,857例(78.7%)がKOHは陽性のままであった。・形態学的変化について調べたサブセット検体からは、56例(60%)の塗抹鏡検検体に、菌糸の生育不能を示すと思われる菌糸の破損やねじれを認めた。・以上から、著者は「爪真菌症治癒定義の再評価が必要である。外用薬の臨床試験について、治療期間を再考すべきである」と結論している。また、培養検査が陰性でも塗抹鏡検検体の陽性率が高率であったことや、形態学的な菌糸損傷の所見は偽陽性を示す可能性があることなどに触れ、「十分なウォッシュアウト後の臨床症状の消失は培養検査陰性と結びつけて考え、鏡検が陰性か否かにかかわらず爪真菌症治癒の定義とみなすべきである」とまとめている。

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エキスパートに聞く!「プライマリケア医が診るがん」

プライマリケア医として、どういった基準(タイミング)で専門医へ紹介するべきでしょうか?がんの既往があるか、ないかで分ける必要があります。がんの既往がない患者さんの場合は、諸検査を行い、がんの疑いがある時に、紹介してくださると思います。時々、腫瘍マーカー高値で紹介してくださることがあります。腫瘍マーカーというのは、がんのスクリーニングには推奨されておりませんが、一般検診などで取入れられている場合があります。その場合は、偽陽性であることがありますが、まずは、専門医に紹介してくださってかまいません。がんの既往がある患者さんの場合には、治療後の場合と、治療中の場合に分けられます。手術などの治療後、つまり経過観察している場合には、再発の有無を見極める必要があります。患者さんは、ちょっとした症状で「再発ではないか?」と不安になることが多いのですが、実際患者さんの自覚症状・特に痛みなどの症状から再発が発見されるケースは稀です。がんの再発の多くは無症状のことが多いです。表在リンパ節腫大で発見されることもありますので、身体所見を取っていただきたいです。実際のところ、2~3日で軽快する症状であれば、がんの再発の症状とは考えにくいです。がんの再発を疑う自覚症状としては、持続する症状、徐々に悪化する症状かという2点だと思います。現在がんの治療中の場合:放射線治療を行っている患者さんは、放射線肺臓炎などの放射線有害事象、薬物治療を行っている方では抗がん剤有害事象に注意する必要があります。抗がん剤有害事象では、発熱性好中球減少症が最も注意すべき副作用です。発熱性好中球減少症は、エマージェンシーとなります。また、抗がん剤の最も頻度が高い副作用は、悪心・嘔吐ですが、まずは、一般的な吐き気止めで対処していただければよいと思います。嘔吐が強く脱水が懸念される場合などが紹介のタイミングといえるかも知れません。肺がんの低線量CTを検診に用いると発見率が上がるとの報告を聞きますが、エビデンスはあるでしょうか?ドラフトの段階ではあるもののUS Preventive Task Force(USPSTF:米国予防医学専門委員会)で、Grade Bのrecommendation を出しており、おそらく日本でも推奨グレードは上がってくると思われます。しかしながら、低線量CTが、全ての人に推奨されるのではありません。低線量CTを推奨するきっかけとなった、ランダム化比較試験の対象は、年齢が、55~74歳、喫煙歴が30 pack-year以上(1日喫煙本数x 喫煙年数 ÷20)、または、15年以内に止めているが、それまで喫煙歴があるような、ハイリスクの方に対してのみに有効であったということは覚えておいていただきたいと思います。スパイラルCTのデメリットは偽陽性が出やすいことです。偽陽性が出てしまうとさらなる無駄な検査のみしてしまうことになるという訳です。今後もこの点については検討が必要だと思います。遺伝子検査はなぜ普及しないのでしょうか? 最近話題の乳がんのBRCA1/2遺伝子など一部の遺伝性がんの検査について、欧米諸国では保険適応となっています。この点は、日本は欧米諸国に比べ遅れている点と思います。この背景には認可の問題もあると思いますが、がん遺伝子カウンセラーの育成など体制が整っていないこともあげられるでしょう。在宅医療におけるネットワーク構築について、有効な手段とは?急性期病院と在宅ケアとで密な連携をはかっていくことは、今後のがん診療で最も重要なことと思います。がん緩和ケアの領域では、海外では、ホスピスや緩和ケア病棟は、急性期の症状緩和を担当する緩和ケアのICUのような役割を果たし、症状緩和が得られた時点で、地域の在宅ホスピスと連携をとっています。日本では、在宅で最期を迎える確率は10%、ホスピスが7%ですが、欧米先進諸国での、70~80%(在宅+ホスピスで死亡する割合)と比べると圧倒的に低い数字です。日本では、まだまだ急性期病院で終末期を迎える患者さんが多いことを意味しています。今後、急性期病院と在宅ケア、ホスピスとのさらなるネットワーク作りが必要になってくると思われます。最近の流れとしては、余命告知は行う方向へ向かっているのでしょうか。がんの診断を伝えることに関しては、我が国でもかなりの割合で、診断を伝えるようになってきたと思います。余命告知とは、がんの診断の告知とは大きく異なるものということを認識しなければなりません。余命告知で大きな問題は、多くの医者が、median survival(生存期間中央値)の値を余命と勘違いし、あなたの余命は○ヵ月ですと言っている場合が多いように思います。この数値については大いに注意するべきです。中央値とはご存知の通り、データを小さい順に並べたとき中央に位置する値であり、100人患者さんがいたら、50番目に亡くなった方の生存期間です。がんの生存期間は、患者さんによって非常にバラつきが大きく、正規分布をなさないために平均値ではなく、中央値を使っているだけです。裏を返せば、ある患者集団の生存期間中央値が6ヵ月であった場合、数ヵ月で亡くなる患者さんもいれば、ある患者さんは数年経過しても生きておられるということです。従って、生存期間中央値を患者さん個人の“余命”として当てはめることは、医学的にも間違っているのです。それだけでなく、患者には相当な誤解を与えます。余命6ヵ月と言われれば、患者さんは6ヵ月で自分は死んでしまうと考えます。ある患者さんは、自分は、死亡宣告をされたと、死亡推定日まで、自分の余命はあと、○日と指折り数えていました。中央値ではなく、最悪値としての余命を言う臨床医もいますが、やはり数字を言うことは、患者さんはかなり数字にとらわれてしまいがちですし、誤解も生じやすいため、数字を言うことは慎重にすべきです。可能性・確率を言わない断定的な余命告知することは患者さんを傷つけるだけだと思います。残念ながら、未だがん専門施設でも断定的な余命告知をしている現状があります。大切なことは余命告知ではありません。海外では、余命告知ということはあまり議論にはなっていません。余命というものが、不正確であり、予測不可能なことが多いからです。余命を患者さんに告げることよりも、end of life discussionと言って、どのように最後を迎えるか、どのように生きるかということについて、医療者と患者が話し合いをすることを、ASCO(米国臨床腫瘍学会)でも勧めています。日本でも、このことが必要だと思います。参考:腫瘍内科医 勝俣範之のブログ がん患者さんの食事について。生ものを避けるようにいわれますが、実際にはどのようにアドバイスしたらよいでしょうか?生ものについてのエビデンスなどはあるのでしょうか?生ものを摂取して感染症の発症率が上昇するというエビデンスはありません。ASCOでも、抗がん剤の最中に生ものを避ける必要はないと述べています。血液腫瘍など抗がん剤による強力な免疫抑制が懸念されるのでない限り、生ものでもなんでも好きなものを食べてください、と患者さんへアドバイスすべきでしょう。生ものを避けるより、口腔内に発生する細菌を考慮した口腔ケアの方が重要だと思います。なお、マスクの着用に関しても実はエビデンスはありません。自分の病原菌を周囲に散布しないようにすることはできますが、他人からの感染を予防できるというエビデンスはないのです。

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喫煙が死亡に及ぼす影響は、人種差でこんなにも違う/Lancet

 南アフリカにおける喫煙死亡リスクは、白人・黒人の混血“カラード”において最も高く、非喫煙者・元喫煙者との比較でおよそ5割増に上ることが明らかにされた。最もリスクが低いのは黒人で、同2割弱増であった。オーストラリア・Cancer Council NSWのFreddy Sitas氏らが、南アフリカの中高年50万人弱について行ったケースコントロール研究の結果、報告した。Lancet誌2013年8月24日号掲載の報告より。35~74歳で死亡した48万1,640人についてケースコントロール研究 研究グループは、南アフリカで1999~2007年の間に、35~74歳で死亡が確認された48万1,640人について、ケースコントロール研究を行い、カラード、白人、黒人それぞれの喫煙関連死亡率を調べた。被験者の性別、教育レベル、5年前の喫煙の有無、基礎疾患などについて情報を得て分析を行い、喫煙関連の疾患による死亡と、それ以外の原因による死亡を比較した。なお、HIV(ヒト免疫不全ウイルス)感染症や肝硬変、外的要因、精神障害が原因の死亡は除外した。喫煙関連死亡率はカラード男性27%、同女性17% その結果、カラードにおける喫煙率は男女共に高く、カラード喫煙者の全死亡率は、非喫煙者・元喫煙者との比較において、男女共に約50%高いことが認められた(男性の相対リスク:1.55、95%信頼区間:1.43~1.67、女性の相対リスク:1.49、同:1.38~1.60)。白人も、男性のリスクはカラードを下回ったが同様の傾向が認められた(男性の相対リスク:1.37、同:1.29~1.46、女性の相対リスク:1.51、同:1.40~1.62)。一方、黒人では、喫煙者の死亡リスクの増大は20%未満だった(男性の相対リスク:1.17、同:1.15~1.19、女性の相対リスク:1.16、同:1.13~1.20)。 喫煙関連死亡率は、男性では、カラード27%(2万767人中5,608人)、白人14%(2万8,951人中3,913人)、黒人8%(26万4,011人中2万398人)、女性では、カラード17%(1万5,593人中2,728人)、白人12%(1万7,899人中2,084人)、黒人2%(20万5,623人中4,038人)だった。 アフリカでは数十年前から喫煙者の存在が認められているが、現状の喫煙パターンがもたらす最大かつ最終的な影響については不明である。今回の検討において、南アフリカ中高年の喫煙パターンと死亡との関連、およびそのリスクの大きさが明らかになったことから、著者は、同様のリスクがアフリカ全体の若い喫煙者にもたらされることが暗示されると結論している。

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ビタミンDはアトピー性皮膚炎に有用

 ビタミンDの補給は、アトピー性皮膚炎の臨床症状改善に有用である可能性が示された。安全性、忍容性とも良好だという。ポーランド・ワルシャワ医科大学のZbigniew Samochocki氏らによる検討の結果、報告された。Journal of the American Academy of Dermatology誌2013年8月号(オンライン版2013年5月2日号)の掲載報告。ビタミンD補給後にアトピー性皮膚炎の重症度が優位に低下 ビタミンDには免疫調整作用がある。免疫機構はアトピー性皮膚炎(AD)の病因となっていることから、ビタミンDがADの病態に影響を及ぼす可能性があった。そこで研究グループは、AD患者におけるビタミンD濃度と臨床的・免疫学的・体質的・環境的因子との関連を調べること、またビタミンDの補給がADの臨床症状に影響を及ぼすかどうかについて検討することを目的とした。 具体的には、AD患者と対照被験者について、臨床値および検査値を測定し検討した。ADの重症度は、SCORAD(Scoring Atopic Dermatitis)indexにて評価した。 ビタミンDがアトピー性皮膚炎の病態に影響を及ぼすかどうかを検討した主な結果は以下のとおり。・検討したのは、AD患者95例、対照被験者58例であった。・AD患者と対照被験者の血中25‐ヒドロキシビタミンD3[25(OH)D3]平均値に、統計的な差はみられなかった。・細菌性皮膚感染症の頻度は、25(OH)D3値が低値のAD患者において高かった。・ビタミンD値とその他の検査および臨床パラメーターとの間に、統計的な関連性はみつからなかった。・ビタミンD補給後、平均objective SCORADおよびSCORAD indexは、有意に低下した(p<0.05)。・本検討は、全被験者が白人であり、ビタミンD投与量が1種類のみであること、および治療期間の評価は1回のみであった点で限界があった。・以上から、本研究において、ビタミンDの補給はアトピー性皮膚炎の臨床症状を改善するのに役立つ可能性があり、安全性・忍容性とも良好である可能性が示唆された。

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慢性C型肝炎、経口薬のみの併用療法に現実味/NEJM

 C型肝炎ウイルス(HCV)の慢性感染に対し、インターフェロンを用いない経口薬だけの併用療法の有効性に関する報告がNEJM誌2013年8月15日号に発表された。ドイツ・ヨハン・ヴォルフガング・ゲーテ大学メディカルセンターのStefan Zeuzem氏らが行った、新規開発中の2剤のC型肝炎治療薬、ファルダプレビル(プロテアーゼ阻害薬)とデレオブビル(非ヌクレオシド系ポリメラーゼ阻害薬)に関する第2b相無作為化非盲検試験の結果で、治療終了後12週時点の持続性ウイルス学的著効(SVR)の達成は39~69%であったという。検討では2剤併用のほか、インターフェロンとの併用にも用いられる抗肝炎ウイルス薬リバビリン(商品名:コペガスほか)を組み合わせたレジメンの検討も行われ、3剤併用療法のほうがSVR達成が高率だったことも示された。経口薬のみの併用療法5群について検討 試験は、ヨーロッパとオーストラリア、ニュージーランドの48施設から被験者を登録して行われた。被験者は、HCV遺伝子1型に感染する未治療の患者で、肝硬変(Metavir分類ステージF4)を有する患者も対象に含まれた。 469例がスクリーニングを受け、362例が次の5群に無作為に割り付けられた。(1)ファルダプレビル120mg 1日1回+デレオブビル600mg1日3回+リバビリンの併用を16週(TID 16W群)、(2)同28週(TID 28W群)、(3)同40週(TID 40週群)、(4)ファルダプレビル120mg 1日1回+デレオブビル600mg1日2回+リバビリンの併用を28週(BID 28W群)、そして(5)ファルダプレビル120mg 1日1回+デレオブビル600mg1日3回でリバビリン併用なしの28週(TID 28W-NR群)であった。 主要エンドポイントは、各群の治療終了後12週時点のSVRだった。3剤併用28週投与のSVRが最も高く69%を達成 結果、TID 16W群59%、TID 28W群59%、TID 40週群52%、BID 28W群69%の達成率を示した。リバビリンを併用しなかったTID 28W-NR群は39%であった。 リバビリンを併用した治療群については、投与量の違いや治療期間の違いによる、治療後12週時点のSVRの達成に有意差はなかった(例:TID 16W群vs. TID 28W群のp=0.86、BID 28W群vs. TID 28W群のp=0.15)。 一方で、TID 28W群のSVRは、リバビリンを併用しなかったTID 28W-NR群よりも有意に高率だった(p=0.03)。 遺伝子型の違いでみると、1b型感染患者56~84%だったのに対して1a型感染患者11~47%であり、IL28B CCを有する患者58~84%に対しCCを有さない患者は33~64%だった。 なお有害事象は、発疹、光線過敏症、悪心、嘔吐、下痢の頻度が高かった。 これら結果を踏まえて著者は、HCV遺伝子1型への経口薬のみの併用療法は有効であり、「リバビリンが経口薬のみの治療に必要であることが判明した。今回の検討では、BID28Wレジメン(ファルダプレビル+デレオブビル+リバビリンを28週)がそのほかのレジメンよりも有効性、安全性プロファイルが良好であった」とまとめている。

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コクサッキーウイルスと天疱瘡は関連しているのか

 天疱瘡は自己免疫性水疱症であり、原因とされるウイルスは複数あるとされている。トルコ・パムッカレ大学のNida Kacar氏らは、コクサッキーウイルス(CV)が天疱瘡患者において認められるかを調べた。CVは、手足口病の原因ウイルスの一つであり、自己免疫疾患と強い関連がある。著者らは、CV感染とセファロスポリンによる治療後に天疱瘡の発症が報告されたことを受けて本検討を行った。International Journal of Dermatology誌オンライン版2013年7月24日号の掲載報告。 研究グループは、患者の皮膚検体を用いて、CV RNAシーケンスについてリアルタイムPCR(RT-PCR)法にて解析を行い、また、CVとアデノウイルス受容体発現について免疫組織化学染色を行った。また、CVの抗体IgMとIgGの血清レベルについて分析した。 主な結果は以下のとおり。・患者32例と対照40例について調べた。・CVとアデノウイルス受容体発現、CV RNAシーケンスのいずれも、患者の皮膚検体について確認されなかった。・CV-IgG陽性率は、対照よりも患者において高率であった(5%対12.5%、p>0.05)。・今回の予備的な検討においては、CVのウイルス遺伝子は、皮膚において持続的に認められないことが示された。・さらなる大規模症例における検討にて、天疱瘡の原因となるCVの存在場所を明らかにする必要がある。

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H7N9型鳥インフル、初のヒト間感染の可能性/BMJ

 新型鳥インフルエンザA(H7N9)ウイルスの初めてのヒト間感染と考えられる事例を、中国・江蘇省疾病管理予防センターのXian Qi氏らが確認し、BMJ誌オンライン版(2013年8月6日)で報告した。H7N9型ウイルス感染のほとんどは散発的に発生している。動物実験では、H7N9型ウイルスは飛沫を介して伝染する可能性が示唆されているが、これまでヒト間感染を示す明確なエビデンスはなかった。2番目の感染者に家禽との接触なし 2013年3月、江蘇省無錫市でH7N9型感染の家族内小集積(父親とその娘)が確認された。研究グループは、H7N9型ウイルスのヒト間感染の可能性とその影響を評価するために疫学調査を開始した。 2人の患者および家禽を含む生活環境から試料を採取し、逆転写ポリメラーゼ連鎖反応(RT-PCR)法、ウイルス培養、赤血球凝集抑制試験を実施した。ほかの家族や医療従事者など、発症前の患者と接触のあった者の調査も行った。 最初の感染例である60歳の男性は、家禽との接触から5~6日目に体調を崩した。2例目となったのは32歳の彼の娘で、病院で感染予防をせずに父親の看病をしており、家禽との接触は確認されなかった。彼女は父親との最後の接触から6日後に症状を発現した。パンデミックな流行の可能性も考慮すべき 父親には10年以上にわたる高血圧の既往歴があった。2013年3月8日、発熱、咳嗽、息切れを発症し、同11日、左肺上葉の炎症で入院した。進行性の呼吸窮迫、持続性の高体温症、低酸素血症がみられたため、同15日、ウイルス性肺炎および急性呼吸窮迫症候群(ARDS)の診断でICUへ入室した。同18日、症状増悪のため別の3次病院のICUへ移送され、オセルタミビル(商品名:タミフル)治療が開始された。この間、下痢は認めなかった。5月4日、播種性血管内凝固症候群(DIC)および多臓器不全のため死亡。 娘は父親が3次病院ICUへ移送されるまで看病をしていた。3月21日、39.6℃の発熱と咳嗽を発症、同24日、左肺上葉の肺炎の診断で父親が転送された病院の呼吸器科に入院、白血球減少、リンパ球減少、軽度の低酸素症がみられた。同28日、持続性高体温症、呼吸不全、ARDSのためICU入室となり、人工呼吸、広域抗菌薬治療、オセルタミビル、免疫学的治療、蘇生輸液が行われたが、4月24日、多臓器不全および心停止にて死亡した。 2人の患者から分離されたウイルス株のゲノム解析では、8つの遺伝子はすべて遺伝学的にほぼ同一であった(類似性:99.6~99.9%)。また、系統樹解析では、2人の患者の分離株の8つの遺伝子はすべて同じ単系統群に属していた。 2人の患者と接触した43人のうち1人が軽度の症状を呈したが、rRT-PCRでH7N9型ウイルスは陰性であった。H7N9型ウイルスに特異的な血球凝集抑制抗体の検査では、43人のすべてが陰性だった。 著者は、「最初に感染した父親から娘へのヒト間感染の可能性が強く示唆され、伝染性は限定的で、非持続的であった」とし、「本研究は、H7N9型ウイルスのヒト間感染の可能性を示した初めての報告であり、パンデミックな流行の可能性も示唆される」と指摘している。

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足白癬患者の靴下、洗濯水は何℃が望ましいか

 真菌が付着した靴下を洗浄する場合、低温での洗濯では真菌病原体が十分に死滅しないため、高温で洗濯することが望ましいことが、イスラエル・テルアビブ大学のBoaz Amichai氏らによって報告された。 真菌が付着した衣類からは再感染の可能性があるが、これまで十分に検証されていなかった。 The International Society of Dermatology誌オンライン版2013年7月24日掲載報告。 Amichai氏らは、異なる水温での家庭洗濯によって、靴下に付着した真菌をどのくらい排除できるか、その効果を評価した。靴下は足白癬患者から81足集められた。 主な結果は以下のとおり。・調査に使用した靴下は、足白癬患者が着用した後、40℃または60℃の洗濯水で洗浄され、室温で乾燥された。・真菌培養検査に用いたサンプルは、つま先部分とかかと部分の2ヵ所からそれぞれ採取された。・40℃の洗濯水で洗浄されたサンプルのうち、29足(36%)の真菌培養が陽性であった。なお、14足はつま先部分で、15足はかかと部分であった。・そのうち、紅色白癬菌は4検体、アスペルギルス属は20検体で検出された。・同様の条件の靴下を60℃の洗濯水で洗浄した場合、5足(6%)の真菌培養が陽性であった。なお、3足はつま先部分で、2足はかかと部分であった。・60℃の洗濯水で洗浄した靴下では、アスペルギルス属のみ検出された。・酵母は40℃の洗濯で死滅した。・以上の結果より、真菌を死滅させるためには低温の洗濯水は効果的ではないことから、省エネや環境保護といった流れに反するものの、真菌が付着した靴下は高い水温(60℃)での洗濯が必要であることが示唆された。

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小児急性中耳炎診療ガイドライン2013年度改訂版トピックス-肺炎球菌迅速検査キット導入の意義-

■2013年度改訂の背景小児急性中耳炎診療ガイドラインはエビデンスに基づいた推奨治療法の作成を目的とし、中耳炎患者の診断・治療に有益となることを目標としており、Minds(医療情報サービス)へも掲載されている。前回(2009年)の改訂以降、肺炎球菌ワクチンの国内導入、またテビペネムピボキシル(TBPM-PI)、トスフロキサシン(TFLX)などの新薬が認可されるとともに、2011年11月には肺炎球菌迅速検査キット「ラピラン®肺炎球菌HS」が保険収載され、診療ガイドラインにおけるこれらの位置づけを明確に提示することとなった。■主な改訂ポイント2013年版 小児急性中耳炎診療ガイドラインの主な改訂ポイントとして、以下の点が挙げられる。1)重症度スコアリング項目から「光錐」を削除し、スコア5点以下を軽症、6〜11点を中等症、12点以上を重症と再定義した。2)中等症、重症において抗菌薬投与後3日目に病態を確認する。3)治療薬として、新たに経口抗菌薬2剤(TFLX、TBPM-PI)を追加した。4)7価肺炎球菌結合型ワクチン(PCV-7)項目を追加した。5)迅速検査キット「ラピラン®肺炎球菌HS(中耳・副鼻腔炎)」を導入した。以下、今回の改訂の特徴の1つである肺炎球菌迅速検査キット「ラピラン®肺炎球菌HS(中耳・副鼻腔炎)」の位置づけや使用法について概説する。■肺炎球菌迅速検査キットの意義急性中耳炎においても原因微生物の同定は重要なステップである。従来からの起炎菌検査法であるグラム染色法は多忙な日常臨床のなかで実施することは難しく、また細菌培養法は結果まで数日を要するため、治療開始時点では起炎菌が不明な場合が多い。このような背景からも迅速検査キットの活用により治療前に原因微生物を推定することは有用である。「ラピラン®肺炎球菌HS」は、中耳炎および副鼻腔炎における肺炎球菌抗原診断として、国内で初めて保険収載された迅速診断薬(保険点数210点、判断料(月1回に限る)144点)で、早期の起炎菌検索に有用である。臨床性能試験における本キットの成績は培養検査と良好な一致率を示した(図1)。図1 迅速検査キット「ラピラン®肺炎球菌HS」の臨床性能試験成績画像を拡大するこれらの成績により、本キットは中耳炎や鼻副鼻腔炎の肺炎球菌感染診断に有用と考えられた1)。また中耳炎・副鼻腔炎合併症例を対象とした検討で、中耳貯留液の肺炎球菌培養検査を基準としたときに、鼻咽腔ぬぐいの培養検査と本キットの検査結果がほぼ同等の成績であったため、中耳貯留液の採取が難しい場合には、鼻咽腔の検体を代用できることが示唆された。 留意点として死菌検出、偽陰性(抗原量少ない場合)、鼻咽腔ぬぐい液では鼻咽腔定着細菌の検出などが挙げられる。本キットの診断意義としては、陽性:肺炎球菌が起炎菌、また死菌残存(中耳貯留液)、常在菌(上咽頭ぬぐい)もあり得る。陰性:インフルエンザ菌やMoraxella catarrhalisが起炎菌、非細菌性またはウイルス性、また肺炎球菌量が少ない(偽陰性)場合がある。■本キットの結果に基づく抗菌薬選択について本キットが陽性であれば、AMPC高用量、クラブラン酸・アモキシシリン合剤(CVA/AMPC)、テビペネムピボキシル(TBPM-PI)など、肺炎球菌をターゲットとした治療が考えられる。また、本キットは薬剤耐性菌やその他の起炎菌の情報は得られないが、2歳未満、集団保育、1ヵ月以内の抗菌薬前治療などの薬剤耐性菌リスク因子を考慮したうえで迅速キットを使用すれば早期の治療選択に役立てることができる。画像を拡大する■迅速検査キット使用のタイミング小児急性中耳炎診療において、次のような場合に肺炎球菌迅速検査キットの結果が参考になる(アルゴリズム中の*印)。1)軽症(スコア≦5点):(図2-A)   3日間の経過観察で改善せず、アモキシシリン(AMPC)を3日間投与しても改善が認められない症例の抗菌薬選択(3回目診察、4回目診察)。2)中等症(スコア6-11点):(図2-B)   AMPC高用量3日間による初回治療後に改善がみられない症例の抗菌薬選択(2回目診察、3回目診察)。3)重症(スコア12点以上):(図2-C)   初診時あるいは初回治療後に改善がみられない症例の抗菌薬選択。■図2 重症度別の治療アルゴリズムA. 軽症(スコア≦5点)画像を拡大するB. 中等症(スコア6~11点)画像を拡大するC. 重症(スコア≧12点)画像を拡大する■肺炎球菌迅速検査キットの使用法キットの使用法を図3に示す。抽出操作は約5分、反応時間は15分で、測定開始から15分が経過していなくても判定部に2本の赤い線が確認できた時点で陽性と判定可能である。図3 「ラピラン®肺炎球菌HS(中耳・副鼻腔炎)」の操作法および判定法画像を拡大する■まとめ治療開始の時点では起炎菌が不明なことが多い小児急性中耳炎診療の現場では、迅速検査キットの導入によって、早期の適切な治療アプローチが可能となり、治癒の達成、患児のQOLの改善とともに耐性菌や医療費の抑制にもつながると期待される。1)Hotomi M, et al. PLoS One. 2012; 7(3) :e33620.関連ニュース4年ぶりの改訂『小児急性中耳炎診療ガイドライン2013年版』発売【問い合わせ先】 大塚製薬株式会社 医薬情報センター〒108-8242 東京都港区港南2-16-4 品川グランドセントラルタワー電話:0120-189-840

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重症薬疹

薬剤性とウイルス性の発疹症の鑑別法について教えてください。これは難しい質問です。薬剤によって出来る発疹とウイルスによって出来る発疹はメカニズムが似ています。薬剤もウイルスもMHC(主要組織適合遺伝子複合体)を介してT細胞に抗原認識されるという点では同じであり、実際の鑑別も簡単ではありません。ただ、ウイルスには流行がありますし、麻疹や風疹などウイルスでは抗体価が上がります。鑑別では、これらの情報を有効活用すべきだと思います。重症薬疹の、ごく初期の場合の見分け方を教えてください。初期段階での重症化予測については盛んに研究を行っているものの、まだ結論にはたどり着かない状態です。“軽く見える薬疹が2日後に非常に重症になる”といった症例を臨床の場でも経験することがあります。実際、初期であればあるほど見分けは難しく、大きな問題です。しいてコツをあげれば、思い込みを捨てて経過を良く観察する事でしょう。経過を良く見ていると、問題の発疹の原因や悪化要因となっている病気の本態やその赴く方向・勢いが顕になり、おかしいと点に気づくようになります。そこが非常に大事な点だと思います。重症化する薬疹の診断基準や早期診断の項目で、とくに重要な項目はありますか?粘膜疹と高熱の発現は重要です。とくに熱については、高熱がなければウイルス関与の薬疹ではない事が多いといえます。いずれにせよ、この2項目が出た場合は、注意しなければいけないと思います。また一般検査では、白血球増多と白血球減少のどちらも要注意で、血液像で核左方移動を伴う好中球増多がるのなのか、異形リンパ球の出現とその増加があるのか、また特殊検査になりますがTh2の活性化を示唆する血清TARC値の上昇が見られるのかも、薬疹の病型・重症度・病勢を推定・判定する上で重要です。マイコプラズマ感染症に続発する皮疹と薬疹を鑑別する方法はありますか?この2つはきわめて似ています。しかしながら、マイコプラズマに続発する場合は、気道が障害される傾向がありますし、胸部所見からの情報も得られます。また子供よりも大人の方が鑑別難しい症例が多いといえます。これも一番のコツは経過をじっと観察し、通常の定型的薬疹と違うことに気づくことだと思います。同じ薬剤でも薬疹の臨床型には個人差があるが、その要因を知りたい。難しい質問ですが、その患者さんの持っている免疫応答性とそれに影響を及ぼす遺伝的・非遺伝的な各種要因に関係した患者さんの持っている特性などが影響するのでしょう。SJSからTENへの移行とありますが、病理組織学的に両者は別疾患と聞いたことがあります。疾患連続性について御教授ください。これにはいろいろな意見があります。SJSは、通常SJSの発疹の拡大と病勢の伸展・進行によりTENに移行します。しかし、TENの場合、SJSを経ないで現れるものもあります。そのため、現時点ではSJSからTENに移行するものは一群として考えているといってよいと思います。免疫グロブリンは、軽症でも粘膜疹があれば早期投与した方が良いのでしょうか?免疫グロブリンを用いるのは、通常の治療で治らない場合と明らかにウイルス感染があるなど免疫グロブリンの明らかな適応がある場合などに限ります。このような症例を除いては、早期に使わないのが原則だと考えます。また、高価であり保険の問題もありますので、当然ながら安易な処方は避けるべきでしょう。AGEPにおける、ステロイド投与適応の指標は?AGEPには原因薬を中止して治る例とそうでない例があります。ステロイド適応は原因薬をやめて治らない場合ですね。なお、AGEPの場合は、TENやSJSとは異なり比較的低用量のステロイドでも治る症例があることに留意すべきものと思われます。初期に判断が難しい際には、全身ステロイドは控えるべきですか?判断が困難な場合は、第一の選択肢は、まず専門医に紹介するべきでしょう。中途半端な治療の後、悪化してわれわれの施設に来られる患者さんも少なくありません。こういった医療が最も良くないといえるでしょう。そういう意味で、病気に寄り添い、責任を持ってとことん病気を見切ることが重要です。その経過中に無理だと判断したら専門の医師に紹介した方が良いといえます。重症薬疹の原因薬剤として意外なもの(あまり認識されていないもの)はありますか?抗痙攣薬、消炎鎮痛解熱薬(NSAIDs)、抗菌薬、痛風治療薬などが原因薬としてよく取り上げられますが、どんな薬剤でも起こり得ると思った方が良いと思います。被疑薬の特定が困難である場合、治療のために全て薬剤を中止することが多いですが、どのように因果関係を証明したらよいでしょうか?とくに多剤内服中の方について病気の程度によりますが、軽くて余裕があれば、怪しい薬剤から抜いていって、良くなったらその薬剤が原因である可能性が高いわけです。一方、薬疹の進行が激しく一刻の猶予もない場合は、すべて中止したほうが良いと考えます。そして、その症状が治るか収まるかして、ステロイドなどの治療薬を中止できるか、ある程度まで減量できた時に、推定される原因薬剤を用いて、患者さんの末梢血に由来するリンパ球の刺激培養(in vitroリンパ球刺激試験)を実施し、出来れば、in vivoのパッチテストも行い、原因薬を診断・推定することは今後の予防という視点からも重要です。

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Dr.岩田の感染症アップグレードBEYOND

第5回「尿路感染を舐めていないか?」第6回「解剖学(アナトミー)で考えるSSTI、骨・関節の感染症」第7回「スピードで勝負する髄膜炎」第8回「実は難しくない院内感染症」第9回「僕たちはそこで何ができるのか?被災地での感染症対策」 第5回「尿路感染を舐めていないか?」尿路感染は「難しくない」と思っている先生方はとても多いのですが、実はそこに落とし穴があります。尿路感染だと思って治療していたら実は○○だった…、という例には枚挙にいとまがありません。特にベテランの先生ほど、このピットフォールには陥りがちなのです。また、尿路感染=ニューキノロンという考え方も誤りです。実際、岩田先生のプラクティスで尿路感染にニューキノロンが使われることはほとんどありません。では、どうしたらいいのでしょうか?この回を見てしっかり学んでください。第6回「解剖学(アナトミー)で考えるSSTI、骨・関節の感染症」日常診療でもしばしば遭遇する、皮膚や軟部組織の感染症SSTI(Skin and Soft Tissue Infection)、骨、関節の感染症。実は、内科系のドクターはこれらが苦手な方が多いといいます。それは、感染した部位を外科的な視点で解剖学的に見ることが必要だから。単に、「腕」「足」の関節ではなく、その詳しい場所と、組織を特定しなければいけません。また、SSTIによく使われる第三世代セファロスポリンは明らかな誤用です。診断と治療の正しいアプローチを詳しく解説します。第7回「スピードで勝負する髄膜炎」頻度は高くないが、細菌性であれば命に関わる髄膜炎。全ての医師が少なくとも診断のプロセスを理解しておきたい疾患です。スクリーニング、腰椎穿刺、CT、抗菌薬の選択・投与、ステロイド使用の流れを覚えましょう。原因微生物も典型的なものだけでなく例外的な微生物に注意を払う必要があります。スピードを要求される対応のノウハウを身に付けましょう。第8回「実は難しくない院内感染症」入院中の患者さんが熱発した!担当医にとってこれほど気分の悪いことはありません。分からない原因、悩む抗菌薬の選択、耐性菌の不安。しかし岩田先生は、「外来の発熱患者さんに比べれば何百倍も簡単」と一刀両断。なぜなら、実は、感染症以外の鑑別を含めても、考えられる原因は数えるほどしかなく、それらを「ひとつずつ丁寧に精査していけば良い」だけのことだからです。院内感染症に使われる、カルバペネム、バンコマイシン、ピペラシリンといった広域抗菌薬についての誤用、誤解も明快に解説します。耐性菌に対する考え方もしっかり身に付けましょう。第9回「僕たちはそこで何ができるのか?被災地での感染症対策」2011年3月11日以来、岩田先生の医療に対する考え方は大きく変わったといいます。未曾有の大災害に対し、医師一人がいかに無力であるかを思い知り、しかし、それでもなお、何か出来ることがあるはずと、模索する日々。今回は、被災地での岩田先生自らの経験を踏まえて、避難所での感染症対策を解説します。非常時に感染症医として、医師として何が出来るか。それは、決して災害が起ってからだけの問題ではなく、常日頃のあなたの診療においても、考え、実践すべきことなのです。

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細菌性のCOPD急性増悪では好中球中の活性酸素が増加

 細菌性のCOPDの急性増悪では、非細菌性の急性増悪に比べ、好中球中の活性酸素が著しく増加することが、リトアニア大学病院呼吸器・免疫学科のMindaugas Vaitkus氏らにより報告された。さらに、これらは局所炎症が強く引き起こされたことによる炎症反応とみられ、細菌性のコロナイゼーションが原因である可能性にも言及している。Inflammation誌オンライン版2013年7月20日号の掲載報告。 慢性的な気道炎症は、好中球中の活性酸素が増えることで引き起こされる可能性がある。しかしながら、COPDの増悪発症に細菌がどう関わっているのかについては、これまでしばしば議論の的となってきた。  本研究の目的はCOPDの急性増悪について細菌性および非細菌性、それぞれの増悪における、末梢血と喀痰中の好中球の活性酸素を調べることにある。対象は急性増悪を起こしたCOPD患者40例、健康な非喫煙者10例、非COPDの喫煙者10例であった。 末梢血と喀痰のサンプルは増悪中と回復後に採取した。好中球の分離は高密度勾配遠心分離と磁気分離により行った。好中球中の活性酸素はフローサイトメトリーを用いて平均蛍光強度を測定し、血清中と誘発喀痰中のインターロイキン-8(IL-8)の値はELISA法により測定した。 主な結果は以下のとおり。・細菌性の急性増悪を起こしたCOPD患者の好中球中の自発的活性酸素は、非細菌性の急性増悪を起こしたCOPD患者や安定期COPD患者と比べて、有意に高かった(p<0.05)。・ホルボールミリステートアセテート(PMA)や黄色ブドウ球菌により刺激を加えた際の、好中球中の活性酸素についても同様の傾向が認められた(p<0.05)。・細菌性の急性増悪を起こしたCOPD患者の血清中、誘発喀痰中のインターロイキン-8(IL-8)は、非細菌性の急性増悪を起こしたCOPD患者、安定期COPD患者、健康な喫煙者・非喫煙者のいずれと比べても高いことが示された(p<0.05)。とくに、誘発喀痰中のインターロイキン-8(IL-8)は、すべての群と比較して細菌性の急性増悪を起こしたCOPD患者で高かった(p<0.05)。・また、急性増悪を起こしたCOPD患者群では、ほかのすべての群と比較して、CRPも高かった(p<0.05)。

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MERSはSARSに比べ伝播力は弱く、パンデミックの可能性は低い/Lancet

新しいコロナウイルスである中東呼吸器症候群コロナウイルス(MERS-CoV)は、重症急性呼吸器症候群コロナウイルス(SARS-CoV)と比べると、ヒトからヒトへの伝播力は弱く、パンデミックとなる可能性は低いことが報告された。フランス・パスツール研究所のRomulus Breban氏らが、世界保健機関(WHO)の報告書などを基に調べ明らかにしたもので、Lancet誌2013年7月5日号で発表した。MERS-CoV感染症は、臨床的にも疫学的にも、またウイルス学的にも、SARS-CoV感染症との類似点が多い。研究グループは、既報のSARS-CoVパンデミック報告を入手し、両者を比較し、MERS-CoV感染症の伝播力と流行の可能性を調べた。ベイジアン解析で基本再生産数を割り出す 研究グループは、2013年6月21日までに報告されたMERS-CoV感染症確定者のうち、55例について、WHOの報告書などを基に、ヒト-ヒト間の伝播力を調べた。 ベイジアン解析により、基本再生産数(R0)を求め、SARS-CoV感染症の場合と比較した。MERS-CoVクラスターサイズについて解釈を変えることで、悲観的・楽観的の2通りのシナリオ予測値を算出した。悲観的シナリオでもMERS-CoVのR0値は0.69 その結果、最も悲観的なシナリオの場合、MERS-CoVのR0予測値は0.69(95%信頼区間:0.50~0.92)だった。最も楽観的なシナリオでは、MERS-CoVのR0予測値は0.60(同:0.42~0.80)だった。 一方、SARS-CoVのR0値は0.80(同:0.54~1.13)で、それに比べ、MERS-CoVは悲観的シナリオの場合でも、パンデミックとなる可能性は低いことが示された。 解析の結果を受けて著者は、「今回の解析結果は、MERS-CoVはまだパンデミックとなる可能性は低いことを示すものでる。同時に、サーベイランスの強化、および感染源である動物宿主およびヒトへの感染ルートの探索を活発化することを推奨すべきことを確認するものとなった」と結論している。

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ICUでのMRSA感染症を防ぐために有効な方法とは?(コメンテーター:吉田 敦 氏)-CLEAR! ジャーナル四天王(117)より-

MRSAは、医療関連感染(Healthcare Associated Infections)の中で最も重要な微生物といっても過言ではなく、とくにICUでは問題になることが非常に多い。米国ではスクリーニングとして、ICU入室時に鼻腔のMRSAを調べ、接触感染予防策を徹底するよう義務づけている州がある。鼻腔にMRSAを保菌しているキャリアーからの伝播を防ぐ方法として、(1)抗菌薬であるムピロシンの鼻腔内塗布や、(2)消毒薬のクロルヘキシジンをしみ込ませた布での患者清拭を行って、除菌decolonizationできるかどうか検討され、それぞれ有効性が示されてきたが、誰にいつの時点で行えばよいかは不明であった。 そこで米国43病院、74箇所のICUを対象として、以下の3群に割りつけた。●グループ1:入室時に鼻腔のMRSAスクリーニングを行い、陽性者や過去にMRSA感染症の既往があった者は接触感染予防策を行う。●グループ2:グループ1と同様のスクリーニングを行うが、保菌・感染が判明した患者はムピロシンと2%クロルヘキシジンによる除菌と接触感染予防策を行う。●グループ3:スクリーニングは行わないで、入室者全例に除菌と接触感染予防策を行う。 この3群において、MRSA検出率と血流感染発生率を比較した。 全く対策を行わなかった時期と比べると、MRSA検出率はグループ1で8%、グループ2で25%、グループ3で36%減少し、血流感染率はグループ1で1%、グループ2で22%、グループ3で44%減少し、全例除菌の効果が最も著しかった。なお、血流感染では、MRSAによるものとその他の微生物によるものの両方が減少し、減少幅はグループ3で最も大きかった。 ムピロシンにより鼻腔の保菌が少なくなったこと、クロルヘキシジン清拭により皮膚の細菌数が少なくなったこと、さらに入室時から対策を開始できたことがグループ3での効果に結びついたと考えられる。対象を絞った対策よりも、ユニバーサルな除菌が効果的であったというのは、培養でとらえきれない(培養感度以下である)MRSAの存在や、多くの人が接し、患者・スタッフ間で伝播が生じやすいICUの環境を考えると理にかなっているといえよう。 日本ではかつてクロルヘキシジンによるアレルギー例が報告され、それ以来その使用に対して慎重であり、用いられている濃度も低い。今回の検討では、クロルヘキシジンの使用後に7例で局所の掻痒や発疹が出現したが、いずれも中止により改善したという。 本邦で通常行われている、対象を絞った方法では限りがあることも示されたわけであるが、今回の検討では、その後にMRSAの検出率が増加しなかったかも気になるところである。これまで、ユニバーサルなムピロシン使用は1年以内の短期的な抑制効果にとどまっていた例が報告されている。感染予防に対する職員個人の意識が持続できなければ、除菌を行っても早期に破綻してしまう。その意識をどのように維持させていくかが、最も重要かつ工夫しなければならない課題である。

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SGLT2阻害薬追加、血糖管理不良な2型糖尿病に有用/Lancet

 ナトリウム/グルコース共輸送体(SGLT)2阻害薬カナグリフロジン(canagliflozin)は、メトホルミン単独では血糖管理が十分でない2型糖尿病患者に対する追加治療として良好な血糖改善効果を発揮し、忍容性も良好なことが、米国・ペニントン生物医学研究所のWilliam T Cefalu氏らが行ったCANTATA-SU試験で示された。メトホルミンへの上乗せが可能な既存薬の多くは体重増加や低血糖の懸念があるが、SGLT2の阻害という作用機序はこれらの問題を回避し、また尿糖排泄の促進作用により総カロリーの消費が進むため体重が減少する可能性もあるという。一方、本薬剤には軽度の浸透圧利尿がみられるため、頻尿や多尿の懸念があるという。Lancet誌オンライン版2013年7月12日号掲載の報告。標準治療に対する非劣性を無作為化試験で検証 CANTATA-SU試験は、メトホルミン単独では血糖値の管理が十分でない2型糖尿病患者において、カナグリフロジンの上乗せ効果の、グリメピリド(商品名:アマリールほか)に対する非劣性を検証する二重盲検無作為化第III相試験。対象は、年齢18~80歳、HbA1c 7.0~9.5%、10週以上のメトホルミン投与を受けている2型糖尿病患者であった。 これらの患者が、カナグリフロジン 100mgまたは300mg、あるいはグリメピリド(6から8mgへ漸増)を1日1回経口投与する群に無作為化に割り付けられた。主要評価項目はベースラインから治療52週までのHbA1cの変化で、非劣性マージンは0.3%とした。100mg群の非劣性、300mg群の優位性を確認 2009年8月28日~2011年12月21日までに19ヵ国157施設から1,450例が登録され、グリメピリド群に482例、カナグリフロジン 100mg群に483例、300mg群には485例が割り付けられた。 全体の平均年齢は56.2歳(9.2 SD)、男性52%、白人67%、アジア人20%、平均HbA1c 7.8%、平均空腹時血糖9.2mmol/L(≒165.6mg/dL)、平均体重86.6kg、平均BMI 31.0、平均罹病期間6.6年(中央値5.0年)であった。 治療52週時のHbA1cは3群ともにベースラインよりも低下し、最小二乗平均値の変化率はグリメピリド群が-0.81、カナグリフロジン 100mg群は-0.82%、300mg群は-0.93%であった。 カナグリフロジン 100mg群とグリメピリド群の最小二乗平均値の差は-0.01%(95%信頼区間[CI]:-0.11~0.09)であり、カナグリフロジン 100 mg群はグリメピリド群に対し非劣性であった。また、300mg群とグリメピリド群の最小二乗平均値の差は-0.12%(-0.22~-0.02)であり、300mg群のグリメピリド群に対する優位性が示された。 体重は、グリメピリド群がわずかに増加したのに対し、2つのカナグリフロジン群は有意に低下した[最小二乗平均値の変化率:0.7%、-3.7%、-4.0%、100mg群、300mg群とグリメピリド群の差:-4.4(-4.8~-3.9)、-4.7(-5.2~-4.3)]。良好な安全性プロフィール、浸透圧利尿関連イベントは多い傾向 重篤な有害事象は、カナグリフロジン 100 mg群が24例(5%)、300mg群が26例(5%)、グリメピリド群は39例(8%)に認められた。 カナグリフロジン群で多い有害事象として性器真菌感染症が挙げられ、女性では100mg群が26例(11%)、300mg群が34例(14%)で、グリメピリド群は5例(2%)であり、男性では100mg群が17例(7%)、300mg群が20例(8%)で、グリメピリド群は3例(1%)だった。 尿路感染症も100mg群が31例(6%)、300mg群が31例(6%)で、グリメピリド群の22例(5%)より多い傾向がみられた。浸透圧利尿関連イベントもカナグリフロジン群で多い傾向にあり、頻尿が100mg群、300mg群ともに12例(3%)ずつ、グリメピリド群は1例(<1%)にみられ、多尿はカナグリフロジン群が4例(<1%)ずつ、グリメピリド群は2例(<1%)に認められた。 著者は、「これらの結果は、メトホルミンで血糖管理が不十分な2型糖尿病患者において、カナグリフロジンは実行可能な治療選択肢であることを示すもの」と指摘している。■「SGLT2阻害薬」関連記事SGLT2阻害薬、CV/腎アウトカムへのベースライン特性の影響は/Lancet

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医療従事者の針刺し損傷年間5万件を防ぐ!

 7月16日(火)、大手町サンケイプラザにおいて「医療現場における血液・体液曝露の危機的現状と課題 -医療従事者や患者の感染予防に向けて-」と題して、職業感染制御研究会主催によるメディアセミナーが開催された。 セミナーでは、研究会より木村 哲氏 (東京医療保健大学 学長)と3名の演者が、わが国の医療現場における医療従事者の患者からの血液・体液曝露、ウイルス感染の現状について講演を行った。「針刺し予防の日(8月30日)」を制定 はじめに木村 哲氏が、同会の軌跡を説明し、「現在も医療従事者の血液・体液の曝露や針刺し損傷が年間5万件以上報告され、推計でも20万件近くあるとされる。最近では、在宅医療の普及で患者家族の損傷も報告されている。こうした状況の中で、今後も事故防止、感染リスクの低減に努めるべく、活動の一環として8月30日を『針刺し予防の日』に制定し、今後も事故予防の活動を広く推進していきたい」と今回のセミナーの意義を説明した。適切な器具、教育、システムで防ぐ事故と感染 吉川 徹氏(公益財団法人労働科学研究所 副所長)は、「針刺しによる医療従事者の職業感染と患者への院内感染防止の課題と対策」と題して、針刺し予防と対策の概要について講演を行った。 わが国では年間推計5万件以上の針刺し損傷が発生しており、血液媒介病原体への新規感染の約3分の1が医療関連感染であるという。事例として、ある医療機関の看護師が、採血時の針刺し損傷により患者血液からC型肝炎に感染した例が紹介され、「これは医療現場で生じる労働災害であり、医療機関の安全配慮義務も問題となる」と解説が行われた。 肝炎感染対策では、アメリカの取り組みを例に、予防として手袋・ゴーグル着用での曝露予防の徹底、機器使い捨てのシステム化、安全装置付きの機器の開発・使用、ワクチンの開発など数々の取り組みが行われた結果、医療従事者の感染率が低下したことが報告された。また、アメリカ、EUなどの先進国では、感染予防を法制化し、効果を上げていることが紹介された。 今後の課題としては、厚生労働省の院内感染防止の通達(リキャップ禁止、廃棄容器の適切配置、安全機材の活用)の実効性を上げるためにも、「臨床現場への安全機材の普及を推進し、機材の認知、導入、トレーニングを通じて、針刺し損傷やウイルス感染の撲滅を目指していきたい」と抱負を述べた。インスリン注射はリスクの高い処置 満田年宏氏(公立大学法人横浜市立大学附属病院 感染制御部 部長・准教授)は、「国内外の医療環境における針刺し切創の現状と課題」と題し、臨床現場での具体的な課題について講演を行った。 はじめにB/C型肝炎、HIVの患者動向と国内外での感染状況を説明、医療従事者から患者に感染させる場合もあり、医療従事者の接し方についても今後は配慮が必要と問題を提起した。 次に臨床現場では、安全機材の価格が高価なことや安全機材への認識不足などの理由により安全機能付きの鋭利機材(例.予防接種の針、通常の注射器と針、インスリン注入器の針)がまだ普及しない現状が説明された。また、糖尿病患者は、インスリンや透析など頻回に注射器にさらされることで、肝炎への感染リスクが高いことを指摘。これらを踏まえたうえで、全国集計のデータから看護師が患者にインスリン注射をした時の針刺し損傷報告が1年間に6,675件あったとレポートした。インスリンの注射処置は、リスクの高い処置であり、「医療従事者は、より高いレベルで安全配慮に気を配らなければ、肝炎などに感染するリスクが高くなる」と警鐘を鳴らした。(参考動画: 針刺し防止ビデオ) 最後に、わが国おいても早急にワン・アンド・オンリー(1本の針、注射器、1回の使用)の実現、安全機能付き機材使用時の保険点数化による普及促進を目指し、感染制御ができる体制になることを望みたい、と訴えた。入職(実習)前に接種しておきたいHBワクチン 李 宗子氏(神戸大学医学部附属病院 看護部・感染制御部 感染管理認定看護師)は、「針刺し防止のために求められるもの」と題し、医療現場での事故防止、感染防止の具体的な方策について説明した。 わが国の「エイズ拠点病院」の安全機材導入状況について説明し、安全意識が高いとされるこうした施設においても、安全機材の導入は100%ではなく、全国的にみればまだ安全機材への意識付け、導入が低いことを示唆した。 そして、独自の統計で2004年度と2010年度の100床あたりの針刺し損傷件数の平均値比較では、229件 → 69件と全体的に下がっており、医療機関での啓発活動などが功を奏していることが報告された。また、職種別針刺し発生頻度では(2010年度、n=62)、看護師が実数では一番多いものの職種の構成割合で分析した結果、研修医、医師、看護師、臨床検査技師の順で発生頻度が多いことが説明された。なかでも針刺しが多い原因機材は、使い捨て注射器(針)、縫合針、ペン型インスリン注射針などであることがレポートされた。 次に、針刺し損傷後に問題となる肝炎感染について、「入職時に肝炎ワクチンの接種を行うが、効果の発現までインターバルがあり、そのインターバルの間に不慣れゆえに事故が起こっていて、ワクチンの効果が期待できないでいる。入職前にワクチンを接種するなど、医療機関だけでなく社会全体の取り組みが必要」と問題を提起した。 最後に事故防止への取り組みとして、「入職(実習)前のワクチン接種と安全機材を含む医療機材の普及とトレーニングが必要であるが、実効性を持たせるためにも、1日も早く法令などで整備を行ってもらいたい」と述べ、講演を終えた。職業感染制御研究会について 1994 年に設立。医学・医療関係者の職業感染制御に関心を持つ個人と組織で構成され、針刺し損傷に代表される医療従事者の血液感染をより減少させることを目的に幅広く活動中。詳しくはこちら

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鳥インフルエンザA(H7N9)感染、それほど重大ではなかった?/Lancet

 2013年3月に第1例が特定されヒトへの感染が明らかとなった、鳥インフルエンザA(H7N9)ウイルス感染症について、中国疾病管理予防センター(CDC)のHongjie Yu氏らが5月28日時点で行った臨床的重症度の評価結果を発表した。入院となった感染患者は123例で、そのうち37例(30%)が死亡、17例はなお入院中であり、回復したのは69例(56%)であったことなどを報告している。Lancet誌オンライン版2013年6月21日号掲載の報告より。2013年5月28日時点の入院患者は123例 鳥インフルエンザA(H7N9)ウイルス感染症の臨床的重症度の評価は、2013年5月28日時点で報告された、検査によって確定した症例の情報を、中国CDC統合データベースから入手して行われた。 医学上の理由で入院が必要となった患者について、死亡、人工呼吸器装着、ICU入室のリスクを調べた。また、インフルエンザ様疾患サーベイランスによって検出した感染確定症例の情報を用いて、症候性感染死亡リスクを推定した。 その結果2013年5月28日時点において、鳥インフルエンザA(H7N9)ウイルス感染症による入院患者は123例だった(60歳以上58%、男性71%)。症候性感染死亡リスクは10万症例当たり160~2,800例 123例のうち37例(30%)が死亡、69例(56%)が回復していた。回復までの期間中央値は18日(95%信頼区間[CI]:14~29)だった。また17例がいまだ入院中だった。それらを加味した全年齢入院患者の死亡リスクは36%(95%CI:26~45)と推定された。年齢別では、60歳未満患者では18%(同:6~29)、60歳以上患者は49%(同:36~63)だった。 人工呼吸器装着あるいは死亡のリスクは69%(95%CI:60~77)、ICU入室・人工呼吸器装着・死亡のリスクは83%(同:76~90)と高率であった。それぞれの60歳未満と60歳以上のリスクは、前者が53%、80%、後者が75%、89%だった。 症候性感染の死亡リスクは、10万症例当たり160例(95%CI:63~460)~2,800例(同:1,000~9,400)と推定された。 上記の結果を踏まえて著者は「鳥インフルエンザA(H7N9)ウイルスのヒトへの感染は、以前に報告したほど重大ではないようである。すでに軽症例が発生している可能性がある」と結論。そのうえで「ヒトへの感染リスクを最小とするために、引き続き警戒と継続的な介入コントールは必要である」とまとめている。

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汚染メチルプレドニゾロン注射による脊椎真菌感染症、MRIで高精度に識別/JAMA

 汚染されたメチルプレドニゾロン注射を受けた人に対し、MRI検査を行うことで、脊椎または傍脊椎真菌感染症の有無を、高い精度で識別できることが明らかになった。米国・St Joseph Mercy HospitalのAnurag N. Malani氏らが行った試験の結果、報告したもので、MRI所見で異常が認められた36例中35例で、同真菌感染症である可能性が高いと診断されたという。米国では2012年に、汚染されたメチルプレドニゾロン注射(薬局で調製)が原因で、多州にわたる髄膜炎のアウトブレイクが発生している。JAMA誌2013年6月19日号掲載の報告より。汚染薬剤の注射を受け、副作用について未治療の172例にMRI検査 研究グループは、汚染されたメチルプレドニゾロン注射を受けていながら、その副作用について治療を受けていない患者、172例を試験の対象とした。被験者に対し、2012年11月~2013年4月にかけてMRI検査を行い、その所見による脊椎・傍脊椎真菌感染症の識別能について調べた21%にMRI所見異常、その大部分がCDC基準で脊椎・傍脊椎感染が高い可能性 その結果、被験者のうちMRI所見で異常が認められたのは36例(21%)で、硬膜外または傍脊椎に膿瘍や蜂巣織炎、くも膜炎、脊椎骨髄炎、椎間板炎、また中程度から重度の硬膜外・傍脊椎・硬膜内の増強が認められた。 そのうち35例が、米国疾病予防管理センター(CDC)の診断基準で、脊椎・傍脊椎真菌感染症の可能性が高い(17例)、または確定的(18例)であると診断された。 35例の患者全員に、抗真菌剤(ボリコナゾール、アムホテリシンBリポソーム製剤の併用・非併用)を投与した。そのうち24例は、外科的創面切除術を要したが、手術時点で17例(71%)が、臨床検査によって真菌感染症が確認された。なお、同17例中5例は、自覚症状がなかった。

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新種のMERSコロナウイルスの院内ヒト間感染を確認/NEJM

 重篤な肺炎を引き起こす新種の中東呼吸器症候群(Middle East respiratory syndrome; MERS)コロナウイルス(MERS-CoV)の、医療施設内でのヒト間感染の可能性を示唆する調査結果が、サウジアラビア保健省のAbdullah Assiri氏らKSA MERS-CoV調査団により、NEJM誌オンライン版2013年6月19日号で報告された。 2003~2004年のSARSパンデミック以降、呼吸器感染症の原因となる2種類の新規ヒトコロナウイルス(HKU-1、NL-63)が確認されているが、いずれも症状は軽度だった。一方、2012年9月、世界保健機構(WHO)に重篤な市中肺炎を引き起こす新種のヒトコロナウイルス(β型)が報告され、最近、MERS-CoVと命名された。現在、サウジアラビアのほか、カタール、ヨルダン、英国、ドイツ、フランス、チュニジア、イタリアでヒトへの感染が確認されているが、感染源などの詳細は不明とされる。院内アウトブレイクの実態を調査 調査団は、サウジアラビアの医療施設で発生したMERS-CoV感染症の院内アウトブレイクの実態を調査した。 医療記録を精査して臨床的、人口学的情報を収集し、感染者および感染者と接触した可能性のある者を同定して面接調査を行った。潜伏期間および発症間隔(感染者とこの感染者と接触した者の症状発現の時間差)について検討した。 2013年4月1日~5月23日までに、サウジアラビア東部で23例のMERS-CoV感染者が報告された。年齢中央値は56歳(24~94歳)、男性が17例(74%)、50歳以上が17例(74%)、65歳以上が6例(26%)であり、基礎疾患は末期腎疾患が12例(52%)、糖尿病が17例(74%)、心疾患が9例(39%)、喘息を含む肺疾患が10例(43%)に認められた。15例(65%)が死亡、21例(91%)はヒト間感染 症状としては、発熱が20例(87%)、咳嗽が20例(87%)、息切れが11例(48%)、消化管症状が8例(35%)にみられ、腹部または胸部X線画像上の異常所見が20例(87%)に認められた。 6月12日の時点で15例(65%)が死亡し、6例(26%)が回復、2例(9%)は入院中であった。潜伏期間中央値は5.2日、発症間隔は7.6日であった。 23例中21例(91%)が、透析室、集中治療室、病室などの入院施設内でのヒト間感染であった。感染者と接触のあった家族217人(成人120人、小児97人)のうち成人5人(3人は検査で確定)、および感染者と接触のあった200人以上の医療従事者のうち2人(2人とも検査で確定)が感染した。 著者は、「医療施設内におけるMERS-CoVのヒト間感染が示唆され、重大な感染拡大に結びついた可能性がある」と結論している。

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乳児の急性細気管支炎治療、アドレナリン吸入は食塩水吸入と同程度/NEJM

 乳児の急性細気管支炎の治療について、ラセミ体アドレナリン(商品名:ボスミン)吸入は、食塩水吸入よりも有効でなかったことが示された。一方で、吸入治療戦略に関して、固定スケジュールよりも必要に応じて行うオンデマンド吸入が優れていると考えられることも明らかになった。ノルウェー・オスロ大学病院のHavard Ove Skjerven氏らが、多施設共同無作為化試験の結果、報告した。乳児の急性細気管支炎は大半はRSウイルスが原因で、入院率が高く換気補助を必要とし、致死的なこともある。治療では気管支拡張薬の使用は推奨されておらず、食塩水吸入の治療が行われることが多いが、吸入治療の効果の可能性については、薬剤の種類、投与の頻度に関するコンセンサスは得られていないのが現状であった。NEJM誌2013年6月13日号掲載の報告より。アドレナリン吸入vs.食塩水吸入、オンデマンドvs. 固定スケジュールを検討 研究グループは本検討において、急性細気管支炎で入院した乳児を対象に、ラセミ体アドレナリン吸入療法が食塩水吸入療法よりも優れているとの仮定を検証すること、また吸入治療の頻度に関する戦略[オンデマンドvs. 固定スケジュール(最高2時間ごと)]の評価を行うことを目的とした。 2010年1月~2011年5月にノルウェー南東部にある8施設で2×2因子無作為化二重盲検試験を行った。対象は、中等度~重度(0~10評価の臨床スコアが4以上)の急性細気管支炎を有した12ヵ月齢未満児。被験児については、酸素療法、経鼻胃管栄養、換気補助の利用についても記録を行った。 主要アウトカムは、入院期間で、intention-to-treat(ITT)解析にて評価した。投与戦略は、オンデマンドが固定スケジュールよりも優れる 試験対象児は404例だった。平均年齢は4.2ヵ月、59.4%が男児であった。 入院期間、酸素療法・経鼻胃管栄養・換気補助の使用、臨床スコアのベースライン(吸入療法前)からの相対的改善は、ラセミ体アドレナリン吸入群と食塩水吸入群で同程度だった(すべての比較のp>0.1)。 一方、頻度の比較においては、オンデマンド群のほうが固定スケジュール群よりも、入院期間が有意に短縮した(p=0.01)。入院期間は、オンデマンド群47.6時間(95%信頼区間[CI]:30.6~64.6)、固定スケジュール群61.3時間(同:45.4~77.2)だった。 また、オンデマンド群のほうが有意に、酸素療法の使用が少なく(38.3%vs. 48.7%、p=0.04)、換気補助の使用も少なく(4.0%vs. 10.8%、p=0.01)、入院期間中の吸入療法投与の頻度が少なかった(12.0回vs. 17.0回、p<0.001)。 これらの結果を踏まえて著者は、「乳児の急性細気管支炎の治療において、ラセミ体アドレナリン吸入は、食塩水吸入よりも優れていなかった。一方、吸入治療はオンデマンド戦略が固定スケジュール戦略よりも優れていると思われる」と結論している。

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