サイト内検索|page:202

検索結果 合計:4225件 表示位置:4021 - 4040

4021.

妊娠初期の単純ヘルペスや帯状疱疹の治療薬服用、先天性欠損症リスクを増大せず

母親が妊娠初期に、単純ヘルペスや帯状疱疹の治療薬である、アシクロビル(商品名:ゾビラックスなど)、バラシクロビル(同:バルトレックス)、ファムシクロビル(同:ファムビル)の抗ウイルス薬のいずれかを服用しても、出産児の先天性欠損症リスクは増大しないことが報告された。デンマークStatens Serum Institut疫学研究部門のBjorn Pasternak氏らが、約84万児を対象に行った試験で明らかにしたもので、JAMA誌2010年8月25日号で発表した。生後1年間の先天性欠損症発症を追跡同氏らは、1996年1月1日~2008年9月30日にデンマークで生まれた83万7,795児について、既往歴コホート研究を行った。染色体異常や遺伝的症候群、原因の明らかな先天異常症候群、先天的ウイルス感染症のいずれかが認められる乳児は、被験者から除外した。生後1年間で見つかった主な先天性欠損症と、母親の妊娠初期のアシクロビル、バラシクロビル、ファムシクロビルの服用について、その関連を分析した。抗ウイルス薬服用群と非服用群、先天性欠損症発症率はともに2.2~2.4%と同等母親が妊娠初期に、アシクロビル、バラシクロビル、ファムシクロビルのいずれかを服用していた1,804件の妊娠のうち、主な先天性欠損症が認められたのは、40児(2.2%)だった。一方、母親が妊娠初期にいずれかの抗ウイルス薬も服用していなかった妊娠のうち、主な先天性欠損症が認められたのは1万9,920児(2.4%)で、服薬の有無間での発症リスクに、有意差はみられなかった[補正後罹患率オッズ比(POR):0.89、95%信頼区間:0.65~1.22]。3種の抗ウイルス薬別にみても、同発症リスクの増加は認められず、アシクロビル群(1,561児)のうち先天性欠損症は32児(2.0%)で補正後PORは0.82、バラシクロビル群(229児)は7児(3.1%)で補正後PORは1.21、服薬が稀だったファムシクロビル群(26児)は1児(3.8%)で補正後PORは1.63で、いずれも有意差は認められなかった。予備解析の結果でも、妊娠初期の抗ウイルス薬服用と13種の主な先天性欠損症の間には、有意な関連は認められなかった。(當麻あづさ:医療ジャーナリスト)

4022.

5価経口生ロタウイルスワクチン、アジアの開発途上国の乳幼児にも有効

5価経口生ロタウイルスワクチン(商品名:RotaTeq ※国内未承認)は、アジアの開発途上国の乳幼児に対し安全に接種可能で、重症ロタウイルス胃腸炎に対し有効なことが、バングラデシュ・国際下痢性疾患研究センターのK Zaman氏らが行った無作為化試験で示された。WHOの試算では、2004年の世界のロタウイルスによる死亡例数は52万7,000例で、そのうちアジアの開発途上国6ヵ国で21万5,896例を占める。先進国では、乳幼児の重症ロタウイルス胃腸炎の予防にロタウイルスワクチンが有効なことが証明されているが、アジアの開発途上国では同ワクチンの有効性に関する試験は行われていないという。Lancet誌2010年8月21日号(オンライン版2010年8月6日号)掲載の報告。バングラデシュ、ベトナムの生後4~12週の乳幼児に3回接種研究グループは、バングラデシュおよびベトナムにおいて、乳幼児の重症ロタウイルス胃腸炎の予防における5価経口生ワクチンの臨床効果を評価する二重盲検プラセボ対照無作為化試験を実施した。対象は、バングラデシュの農村地域であるMatlabおよびベトナムのNha Trangの都市部と近郊農村部で生まれ、消化管疾患の症状のみられない生後4~12週の乳幼児であった。これらの乳幼児が、生後6週、10週、14週の3回、ポリオウイルスワクチンなどのルーチンの乳幼児ワクチンとともに、5価ロタウイルスワクチンを経口接種する群あるいはプラセボ群に無作為に割り付けられた。医療施設を受診した乳幼児に胃腸炎の症状がみられた場合には、医療スタッフあるいは親の記憶に基づいて報告することとした。主要評価項目は、3回目の接種後14日が経過して以降、試験終了時(2009年3月31日、生後約21ヵ月)までに発現した重症ロタウイルス胃腸炎(Vesikariスコア≧11)とし、per-protocol解析を行った。ワクチン有効率は、[(1-ワクチン群の人・時当たりの重症ロタウイルス胃腸炎発生率)÷プラセボ群の発生率]×100と定義した。ワクチン有効率48.3%、有害事象は同等2,036人が登録され、5価ロタウイルスワクチン群に1,018人が、プラセボ群にも1,018人が割り付けられた。このうち解析の対象となったのは、ワクチン群が991人、プラセボ群は978人であった。3回目の接種後14日から最終的な処置までのフォローアップ期間中央値は498日(IQR:480~575日)であった。ワクチン群では1,197人・年以上のフォローアップ期間中に38例の重症ロタウイルス胃腸炎が報告されたのに対し、プラセボ群では1,156人・年以上で71例に発現し、約2年間におけるワクチン有効率は48.3%(95%信頼区間:22.3~66.1%)と有意な効果が認められた(0%以上の有効性との比較におけるp=0.0005)。各回の接種後14日以内にみられた重篤な有害事象は、ワクチン群が2.5%(25/1,017人)、プラセボ群は2.0%(20/1,018人)であった(intention-to-treat解析)。最も高頻度にみられた重篤な有害事象は肺炎であった[ワクチン群:1.2%(12/1,017人)、プラセボ群:1.5%(15/1,018人)]。著者は、「アジアの開発途上国の乳幼児において、5価経口生ワクチンは安全で、かつ重症ロタウイルス胃腸炎に対し有効であった」と結論し、「これらの知見はWHO勧告の拡張を支持するものであり、本ワクチンの世界的な使用を推し進めるべきである」と指摘している。(菅野守:医学ライター)

4023.

HPV 4価ワクチンの上皮内腫瘍低グレード病変の予防効果が明らかに

ヒトパピローマウイルス(HPV)の4価ワクチンは、HPV-6、-11、-16、-18を抑制することで上皮内腫瘍の低グレード病変を持続的に予防し、疾病負担を実質的に軽減することが、スウェーデンLund大学のJoakim Dillner氏らが実施した無作為化試験(FUTURE試験)で判明した。HPVはグレードII/IIIの子宮頸部上皮内腫瘍よりもコンジローマやグレードIの上皮内腫瘍の発症に関与しており、これらの疾患に対するHPVワクチンの予防効果に大きな期待が寄せられている。その一方で、4価ワクチンで予防可能な低グレード病変の総疾病負担は明確にされていないという。BMJ誌2010年7月31日号(オンライン版2010年7月20日号)掲載の報告。1万7,622人を登録、フォローアップ期間は42ヵ月研究グループは、HPV 4価ワクチンの子宮頸部、外陰部、膣の上皮内腫瘍グレードI病変や肛門性器疣贅(尖圭コンジローマ)に対する予防効果を検討する二重盲検無作為化プラセボ対照比較試験を行った。二つのプロトコール[protocol 013(FUTURE I試験)、protocol 015(FUTURE II試験)]を用いて4年間にわたる試験が行われ、フォローアップ期間は42ヵ月であった。2001年12月~2003年5月までに、24の国と地域の施設から16~26歳の女性1万7,622人が登録された。主な除外基準は、これまでの性交パートナー数>4人、頸部スミア検査異常の既往歴、妊婦などであった。これらの女性が、3回(初回、2ヵ月後、6ヵ月後)の4価ワクチン接種を行う群あるいはプラセボ群に無作為に割り付けられた。フォローアップ期間を通じて疾病負担を実質的に軽減3回のワクチン接種をすべて受け、初回接種時の血清学的検査およびPCR法でHPV-6、-11、-16、-18がいずれも陰性で、7ヵ月後のPCR検査も陰性であった女性に関するper-protocol解析では、4価ワクチンによるHPVタイプ別の上皮内腫瘍グレードI病変の抑制率は子宮頸部が96%(95%信頼区間:91~98%)、外陰部が100%(同:74~100%)、膣が100%(同:64~100%)であり、尖圭コンジローマの抑制率は99%(同:96~100%)であった。少なくとも1回のワクチン接種を受け、初回接種時の血清学的検査およびPCR法でHPV-6、-11、-16、-18がいずれも陰性で、さらにPCR法による他の高リスクHPVタイプ(31、33、35、39、45、51、52、56、58、59)および頸部スミア検査のいずれもが陰性であった女性におけるHPVタイプを問わない上皮内腫瘍グレードI病変の抑制率は、子宮頸部が30%(95%信頼区間:17~41%)、外陰部が75%(同:22~94%)、膣が48%(同:10~71%)であり、尖圭コンジローマの抑制率は83%(同:74~89%)であった。著者は、「HPVの4価ワクチンは、HPV-6、-11、-16、-18を抑制することで上皮内腫瘍の低グレード病変を持続的に予防し、42ヵ月のフォローアップ期間を通じて疾病負担を実質的に軽減することが示された」と結論している。(菅野守:医学ライター)

4024.

HIVワクチン接種者の4割で血清反応陽性

HIVワクチン接種者の血清反応陽性(VISP)頻度について調査が行われた。HIVワクチンは過去20年間で様々なアプローチ、ターゲット、投与タイプの製品開発が進められ、3万人以上に臨床試験が行われている。そのためHIV検査の解釈に混乱が生じている可能性があるとして行われた。米国シアトルにあるFred Hutchinsonがん研究センターHIV/AIDS戦略部門のCristine J. Cooper氏らによるもので、JAMA誌2010年7月21日号にて掲載されている。過去10年間のワクチン接種非感染者2,176例を対象調査は、2000~2010年の間に、米国、南米、タイ、アフリカで実施・完了したHIVワクチン臨床試験(phase 1:25試験、phase 2a:2試験)に参加し、血清反応陰性だった2,176例を対象に行われた。VISP判定には、FDA認可の一般的な三つのEIAキットが使われ、HIVのルーチン診断アルゴリズムを用いてVISP頻度が評価された。主要評価項目は、EIAキットで反応があり(一つ以上)、ウエスタンブロット法陰性あるいは境界型/非定型陽性、核酸検査HIV-1陰性と定義されたVISPの頻度とした。ワクチンの種類で異なる対象2,176例のうち、908例(41.7%、95%信頼区間:39.6%~43.8%)でVISPが認められた。VISPの頻度はワクチンの種類によって異なることが認められた。アデノウイルス5型ワクチンでは86.7%(95%信頼区間:83.3%~89.7%、399/460例)、ポックスウイルスワクチン単独あるいはブースト接種では53.4%(同:49.2%~57.7%、295/552例)、DNA単独ワクチンでは6.3%(同:4.4%~8.7%、35/555例)だった。また全体で、VISPの占める割合が最も多かったのは、HIV 1/2(rDNA)EIAキットで40.9%(891/2,176検査)、rLAV EIAキットは21.4%(150/700検査)、HIV-1 Plus O Microelisa Systemキットは14.7%(193/1,309検査)、HIV 1/2 PeptideキットとHIV 1/2 Plus Oキット合わせて8.8%(189/2,150検査)だった。なお、VISPだった908例のうち、HIV 1/2(rDNA)EIAキットで反応なしだった被験者は17例(1.9%)だった。グリコプロテイン140ワクチン接種者(70例)は全例でVISPが認められた。そのうち94.3%が三つすべてのEIAキットで反応がみられた。VISPでウエスタンブロット法の結果を有していた901例について、92例(10.2%)がウエスタンブロット法陽性(ワクチン製品タイプによらず非定型陽性)、592(65.7%)が同境界型陽性だった。VISPだった被験者のうち、エンベロープ遺伝子を含まないワクチンを接種されたのは8例だけだった。これらからCooper氏は、「HIVワクチン接種者のVISPはよくみられることで、特にHIV-1エンベロープ遺伝子と集団特異的なコア抗原遺伝子タンパクを含むワクチンで多い。VISPの発現はワクチンによる免疫獲得によるもので、EIA法での検出が有用であることが明らかになった」と結論している。(医療ライター:朝田哲明)

4025.

医療・介護施設にも最適 業務用空気清浄機『光クリエール』を新発売

ダイキン工業株式会社は22日、ウイルスの活動を抑制する当社独自の「光速ストリーマ」技術を搭載した業務用空気清浄機『光クリエール』を10月25日より発売すると発表した。空気清浄機は一般家庭だけでなく、医療・介護施設や学校など、人が集まる空間でのニオイや菌・ウイルス除去へのニーズが急速に伸びている。2009年に発売した「光速ストリーマ」技術搭載の店舗・オフィスエアコンやバス車内用ウイルス除去システムにも活用されている。今回新たに発売される商品は、大風量かつ高速電子から生まれる活性種によってウイルス抑制、除菌、脱臭効果を発揮する同社の「光速ストリーマ」技術を搭載することで、100ミリ平方メートルの大空間を1台で除菌できるという。詳細はプレスリリースへhttp://www.daikin.co.jp/press/2010/100722/index.html

4026.

PEG施行時の創傷感染に対する新たな予防戦略

経皮的内視鏡下胃瘻造設術(PEG)施行患者の創傷感染の予防では、PEGカテーテル挿入時のコ・トリモキサゾール液[トリメトプリム・スルファメトキサゾール(ST)合剤、商品名:バクタ、バクトラミンなど]の投与は、従来のPEG施行前のセフロキシム(商品名:オラセフ)の予防投与と同等の予防効果を有することが、スウェーデン・カロリンスカ研究所分子外科学のJohn Blomberg氏らによる無作為化試験で示された。PEGの合併症である創傷感染の予防法として、通常、PEG開始直前に第2世代セファロスポリンの静脈内投与が行われるが、高価で時間がかかり、PEGが完遂できない患者に無駄に投与している場合もあるという。BMJ誌2010年7月10日号(オンライン版2010年7月2日号)掲載の報告。新たな予防戦略と従来の予防投与を比較する二重盲検無作為化対照比較試験研究グループは、PEG施行時の抗生物質予防投与の簡便な治療戦略について検討するために、単一施設における二重盲検無作為化対照比較試験を行った。2005年6月~2009年10月までに、カロリンスカ大学病院内視鏡部でPEGを施行された234例が対象となった。これらの患者が、PEGカテーテル挿入直後にコ・トリモキサゾール経口液20mLを投与する群あるいは従来法であるPEGカテーテル挿入前にセフロキシム1.5gを静脈内に予防投与する群(対照群)に無作為に割り付けられた。主要評価項目は、PEGカテーテル挿入後14日以内における臨床的に顕性化した創傷感染の発症とした。副次的評価項目は、細菌培養および血液検査(高感度C反応性蛋白、白血球数)における陽性率とした。intention-to-treat解析、per-protocol解析ともに非劣性の条件を満たす234例のうち、コ・トリモキサゾール群に116例が、対照群には118例が割り付けられた。intention-to-treat(ITT)解析では、PEGカテーテル挿入後のフォローアップ期間7~14日における創傷感染の発症率は、コ・トリモキサゾール群が8.6%(10/116例)、対照群は11.9%(14/118例)であり、むしろ新規予防戦略群が3.3%(95%信頼区間:-10.9~4.5%)低かった。per-protocol解析(対象は両群とも100例ずつ)による創傷感染の発症率は、コ・トリモキサゾール群10%、対照群13%であり(両群間の差:-3.0%、95%信頼区間:-11.8~5.8%)、ITT解析と同様の結果であった。事前に規定された非劣性限界値は95%信頼区間上限値15%であった。intention-to-treat解析、per-protocol解析ともにこれを満たしたことから、セフロキシムに対するコ・トリモキサゾールの非劣性が確認された。副次的評価項目も、これらの知見を裏付ける結果であった。著者は、「PEG施行患者の創傷感染の予防では、PEGカテーテル挿入時のコ・トリモキサゾール液20mLの投与は、少なくともPEG施行前のセフロキシム予防投与と同等の効果を有する」と結論し、「この新たな予防戦略は迅速に施行できるうえに安価で安全であり、不必要な投与も減少し、PEGが行われる地域ならば世界中どこでも使用可能である」と指摘する。(菅野守:医学ライター)

4027.

HIV患者の併用抗レトロウイルス治療を看護師に任せてよいか?

併用抗レトロウイルス療法(ART)を受けているHIV患者の管理を、訓練を受けた看護師が行っても、医師よる治療と同等の効果が得られることが、南アフリカWitwatersrand大学のIan Sanne氏らが行った無作為化試験(CIPRA-SA試験)で示された。併用ARTはAIDS関連疾患や関連死を著明に低減することが示されている。先進国では、耐性検査を含む頻回の検査のサポートのもとで、専門医があらゆる薬剤を駆使してHIV治療を行っている。しかし、サハラ砂漠以南のアフリカ諸国など医療資源が乏しい環境において併用ARTの使用を拡大するには、医師から他のケア提供者へ職務を移行する必要があるという。Lancet誌2010年7月3日号(オンライン版6月16日号)掲載の報告。看護師と医師によるART治療を比較する非劣性試験CIPRA-SA試験の研究グループは、HIV患者のART治療の管理を医師が行う場合と、これを看護師が行う場合のアウトカムを比較する無作為化非劣性試験を実施した。南アフリカの二つのプライマリ・ケア施設から、CD4細胞<350個/μL、WHO stage 3/4のHIV陽性患者が登録され、看護師によるART治療群と医師によるART治療群に無作為に割り付けられた。治療割り付け情報は患者にも、データ解析者にも知らされなかった。主要評価項目は、治療失敗に関する複合エンドポイント(治療を制限するイベント、全死亡、ウイルス学的失敗、治療を制限する毒性、受診予約に対するアドヒアランス)とした。治療失敗のハザード比の95%信頼区間上限値が<1.40の場合に、医師の治療に対して看護師による治療は非劣性であるとした。エンドポイントは看護師48%、医師44%、ハザード比1.09、95%信頼区間0.89~1.33医師によるART治療群に408例が、看護師によるART治療群には404例が割り付けられ、全例が解析の対象となった。治療失敗のエンドポイントは46%(371/812例)に認められ、そのうち看護師群は48%(192/404例)、医師群は44%(179/408例)であった。治療失敗の複合エンドポイントのハザード比は1.09、95%信頼区間は0.89~1.33であり、非劣性の上限以内であった。フォローアップ期間中央値120週における死亡は看護師群が10例、医師群が11例、ウイルス学的失敗はそれぞれ44例、39例、毒性が68例、66例、非受診が70例、63例であり、両群間で同等であった。著者は、「看護師によるART治療は、これを医師が施行した場合に比べ劣ることはなかった。この知見は、ART治療を適切な訓練を受けた看護師へ移行することを支持するものである」と結論している。(菅野守:医学ライター)

4028.

中咽頭がん患者の死亡リスク、HPV腫瘍陽性群は陰性群より58%低い

ヒトパピローマウイルス(HPV)腫瘍陽性は、中咽頭がん患者生存の強い独立した予後因子であることが明らかにされた。HPVに起因する中咽頭扁平上皮がんの生存率は良好だが、HPV腫瘍が有意な独立予後因子であるかどうかはわかっていなかった。テキサス大学M.D.アンダーソンがんセンターのK. Kian Ang氏らが、ステージIII、IVの中咽頭がん患者を対象にHPV腫瘍と生存率との関連を後ろ向きに分析した結果による。NEJM誌2010年7月1日号(オンライン版2010年6月7日号)掲載より。放射線療法の違いによる死亡リスクの有意差は認められなかった被験者は、放射線療法に関する加速分割照射法(360例)と通常分割照射法(361例)を比較する無作為化試験「RTOG 0129」の参加者[両群ともシスプラチン(商品名:ブリプラチンなど)併用]で、頭頸部に扁平上皮がんを有していた。そのうち、中咽頭がん患者でHPV腫瘍の状態が判明した323例を、HPV陽性がん(206例、63.8%)とHPV陰性がん(117例)に分類し、比例ハザードモデルを用いて両群間の死亡リスクを比較した。被験者登録は2002年7月から2005年5月に行われ、追跡期間の中央値は4.8年だった。試験全体の3年生存率は、加速分割照射法群(70.3%)と、通常分割照射法群(64.3%)で同等だった(P=0.18)。加速分割照射法群の死亡ハザード比は0.90(95%信頼区間:0.72~1.13)、有意差は認められなかった。グレードの高い急性(P=0.21)あるいは後発性(P=0.18)の毒性の発生率も両群で有意差はみられなかった。4つの因子で患者を、死亡リスク低~高の各群に分類中咽頭がんでHPV腫瘍陽性患者の3年生存率は、同陰性患者より良好だった(82.4%対57.1%、log-rank検定P<0.001)。年齢、人種、腫瘍・リンパ節転移ステージ、喫煙曝露、治療割り付けについて補正後、陽性群の死亡リスクは陰性群より58%低かった(ハザード比:0.42、P<0.001)。また死亡リスクは、喫煙曝露(箱-年)が増えるほど有意に増大した。さらに研究グループは、喫煙曝露の状況も判明していた被験者(266例)のデータを解析することで、「HPV腫瘍の状態(陽性か陰性か)」「喫煙曝露(10箱-年超か以下か)」「腫瘍ステージ(HPV陰性・10箱-年以下の患者でT2–T3かT4か)」「リンパ節転移ステージ(HPV陽性・10箱-年超の患者でN0–N2aかN2b–N3か)」の4つの因子で患者の死亡リスクを、低リスク群、中等度リスク群、ハイリスク群に分類できたことも報告している。(医療ライター:武藤まき)

4029.

母乳を介した乳児へのHIV-1伝播を抑える

世界では毎年、約20万人の乳児が母乳を通してヒト免疫不全ウイルス1型(HIV-1)に感染し、その半数は治療を受けられずに2歳の誕生日を迎えることなく死亡している。米国ノースカロライナ大学のCharles S. Chasela氏らの研究グループはマラウイで、HIV-1の出産後伝播を抑えるため、授乳期間中の28週に行う母親への3剤抗レトロウイルス・レジメンと、乳児に行うネビラピン(商品名:ビラミューン)予防投与による伝播抑制の有効性について評価を行った。NEJM誌2010年6月17日号より。母親への介入群、子どもへの介入群と、対照群とを比較研究グループは、HIV-1陽性で、CD4+リンパ球数250個/mm3以上の授乳中の母親2,369例とその子どもを、抗レトロウイルス・レジメン群(母親)、ネビラピン群(乳児)、出産後抗レトロウイルス・レジメンを延長しない群(対照群)の3群にランダムに割り付けた。すべての母親と乳児には周産期予防処置として、ネビラピン投与1回と、ジドブジン+ラミブジンの併用投与を1週間行った。評価は、カプラン・マイヤー法を用いて、生後2週でHIV-1陰性だった乳児の28週におけるHIV-1伝播または死亡の累積リスクを推定し、log-rank検定を用いて比較した。HIV-1伝播、早期死亡の危険率が有意に低下試験対象となった2,369例の母子のうち、生後2週で乳児がHIV-1陽性だった割合は5.0%だった。生後2~28週におけるHIV-1伝播の推定リスクは、対照群が5.7%と他の2群より高く、母親投与群は2.9%(P=0.009)、乳児投与群は1.7%(P

4030.

オセルタミビル予防的投与と集団隔離は、新型インフル感染封じ込めに有効だったか

2009年6月22日から6月25日にかけて、シンガポール軍キャンプ内で新型インフルエンザ(H1N1ウイルス)による4つの集団感染が発生した。防衛省バイオ防御センターのVernon J. Lee氏らは、このケースでオセルタミビル(商品名:タミフル)投与(1日1回75mg)による包囲予防薬物療法(ring chemoprophylaxis)を試み、その有効性を検証した。NEJM誌2010年6月10日号掲載より。感染者を隔離、感染者が出た部隊全員に予防投与試験では、感染が疑われた全隊員が検査を受け、感染が確認された隊員は入院隔離とした。そのうえで、ウイルスが拡散しないよう、オセルタミビルによる包囲予防薬物療法を施した。なお、部隊単位での隔離(感染者が出た部隊は他の部隊と接触しないよう隔離)も行われた。全隊員は毎週3回、ウイルス学的感染症有無のスクリーニング(鼻腔・咽頭スワブを採取し、定量的逆転写RT-PCR法と塩基配列決定法による)と、質問票による臨床症状評価のスクリーニングを受けた。4集団で、感染の危険に曝されていた隊員は計1,175人。1,100人がオセルタミビルによる予防投与を受けた。介入後は感染率が有意に低下介入前に感染していた隊員は75人(6.4%)だったが、介入後の感染は7人(0.6%)だった。全体の再生産数(1人の感染者が生産する2次感染者数)は、介入前の1.91(95%信頼区間:1.50~2.36)に対し、介入後は0.11(95%信頼区間0.05~0.20)と有意に減少した。4集団のうち3集団は、介入後の感染率が有意に減少した。分子疫学的解析の結果、この集団感染は4例ともニューヨーク由来のA/ニューヨーク/18/2009(H1N1)型ウイルスによるもので、感染各事例は集団内感染によるもので、無関係な事例からの感染ではないことが明らかにされた。オセルタミビルの投与を受けた隊員816例を調べたところ、63例(7.7%)で軽度の非呼吸器系の副作用が報告されたが、重度の有害事象はみられなかった。研究グループは、オセルタミビルの包囲予防薬物療法と、感染者(隊員)の迅速な同定と隔離は、セミ・クローズドな環境での新型インフル集団感染の封じ込めに有効だったと報告している。(医療ライター:朝田哲明)

4031.

インフルエンザウイルスの家庭内感染率やウイルス排出パターン、新型も季節性も類似

家族がインフルエンザに感染し発症した場合、同居する家族への感染率やウイルス排出のパターンは、H1N1(新型)も季節性も類似していることが明らかにされた。香港大学Li Ka Shing医学公衆衛生校感染症疫学のBenjamin J. Cowling氏らが、約100人の患者とその同居する家族を対象に調べたもので、NEJM誌2010年6月10日号で発表した。患者と同居する家族300人弱のスワブについて、RT-PCR法とウイルス培養研究グループは、2009年7~8月にかけて、香港の14ヵ所の外来診療所を訪れた、急性気道疾患の患者348人のうち、インフルエンザ迅速診断キット「QuickVue」でA型ウイルスが確認された99人と、その同居する家族について調査を行った。発症後7日以内に3回訪問し、患者と同居する家族全員の鼻腔・咽頭スワブを採取し、定量的逆転写RT-PCR法とウイルス培養を行い、ウイルス排出や感染の有無を調べた。同居する家族の数は、新型インフルエンザが130人、季節性が154人だった。なお、QuickVue検査の感受性は、新型インフルエンザが80%、季節性インフルエンザが77%だった。新型と季節性、家族への二次感染までの日数も同等その結果、RT-PCR法でインフルエンザウイルスへの二次感染が認められた同居する家族の割合は、新型インフルエンザが8%(95%信頼区間:3~14)で、季節性インフルエンザが9%(同:5~15)と、同等だった。また、患者から家族への二次感染までの日数は、新型が3.2日(95%信頼区間:2.4~4.0)、季節性が3.4日(同:2.7~4.1)と同等だった。さらに、ウイルス排出は発症後5~7日後に終息するなど、パターンも類似していた。気道症状はまた、いずれも発症後10日まで持続した。なお、サブグループとして、試験開始時と回復時に血清検査を行い、RT-PCR法で感染が確認された家族19人のうち、新型に感染した11人の36%、季節性に感染した8人の50%で、ウイルス排出が認められなかった。(當麻あづさ:医療ジャーナリスト)

4032.

臨床検査結果をインターネット経由で入手可能に -BMLが臨床検査結果のWEB照会サービスを開始-

 臨床検査受託大手のビー・エム・エル(東京都渋谷区)は、医師が臨床検査結果をインターネット経由で閲覧できるサービス「WEB照会サービス」を開始した。インターネットを介することで半日から1日の時間短縮が見込める。 ビー・エム・エル(BML)社では従来、血液検査の場合、医療機関から検体を受け取った当日に検査を開始し、翌日までに検査結果が判明する。その検査結果が全国の営業所に伝送された後、現地にて出力し、検査結果が届くのが翌日午後であった。本サービスを利用すると、医師がインターネットを通じてアクセスすれば、検査結果が総合研究所内の専用サーバーに保存された時点で、検査結果を知ることができる。従来に比べて後工程が短縮されるため、医師は検査結果を得るまでの時間が半日から1日短縮できる。 特に細菌、病理検査は紙を使った結果報告であったため、総合研究所において得られた結果が全国の営業所に郵送された後、医療機関に届けられていた。本サービスでは、診断確定後、データサーバーに検査結果が格納されるため、画像やグラフ、数値などの検査結果を電子的に入手できるようになり、入手までの時間が1~2日ほど早くなる。診断結果によって治療内容が大きく異なる感染症、がんなどにおいてはより一層注目される。さらに、分離菌集計状況の集計、使用薬剤の耐性傾向の分析などの統計処理機能を備えており、院内感染対策にも活用できる。 この「WEB照会サービス」は、利用申込み後、電子証明書が発行され、利用するパソコンにインストールすることで本人確認が行われる。ID、パスワードは利用者ごとに発行され、データは暗号化されて取り扱われる。導入コスト、人的負荷、専門知識を必要としないため、導入や操作が簡単なことも医師にとってはありがたい。 5月にサービスを開始して依頼、診療所中心に毎日数十件を超える申し込みがあるという。BML社は幅広いユーザー層の利用を想定している。 電子カルテや他のWEBサービスとのデータ連関が実現すれば、サービスの充実化、拡大につながると考えられる。

4033.

侵襲性細菌感染症の遺伝子感受性

世界で年間死者500万人に達する結核やマラリアなどの侵襲性細菌感染症で、疾患感受性の個体差が一部で有意にみられることについては、栄養失調やHIV罹患など環境要因によると考えられているものの、実態としては謎のままである。そこで、シンガポール遺伝子研究所感染症疾患部門のChiea C. Khor氏らは、感染症病原体に対するヒト免疫応答に注目した。免疫応答の際には炎症性サイトカインが産生される。その反応が過剰となると(サイトカインシグナル伝達により)、マラリアなどの重症化を招くのではないか。一方でヒト免疫応答には、炎症反応をコントロールするサイトカインシグナル伝達抑制蛋白質CISHが存在し関与することも知られる。Khor氏らは、CISHが疾患感受性と関連しているのではないかと仮定し、検討を行った。NEJM誌2010年6月3日号(オンライン版2010年5月19日号)掲載より。8,402例の血液検体を用いて、CISH遺伝子多型と主要感染症感受性との関連を調査Khor氏らが注目したのは、病原体免疫応答にプリンシパルな炎症誘発性のサイトカインであるインターロイキン(IL)2と、そのIL-2において特にシグナル伝達をコントロールするCISH[Cytokine-inducible SRC homology 2(SH2)domain protein]。ガンビア、香港、ケニア、マラウイ、ベトナムで行われた感染症の症例対照研究(計7件)の対象者8,402例の血液検体を用いて、CISH遺伝子多型と主要感染症(菌血症、結核、重症マラリア)感受性との関連を調べた。なお研究グループは、これまでにこの対象者で20の免疫関連遺伝子の検討を行っている。CISH変異体と感染症感受性との関連を確認結果、複数のCISH遺伝子多型の変異アレルが、感染症の感受性増大と関連していることが認められた。またCISH関連遺伝子座で特定した一塩基多型遺伝子(SNP)5つ(-639、-292、-163、+1320、+3415)を、一つの多重SNPとみなした場合、CISH遺伝子変異体と主要感染症(菌血症、結核、重症マラリア)感受性との間の関連性が確認された[すべての比較P=3.8×10(-11)]。特に-292変異体は、関連するシグナル伝達のほとんどに関与していた[P=4.58×10(-7)]。また、-292変異体を有する成人被験者から採取した末梢血分子細胞は、野生型細胞と比べて、IL-2産生刺激に対する反応が弱く、CISH発現が25~40%少ないことも明らかになった。Khor氏は、「CISH変異体が、多様な感染症病原体に起因する疾患感受性と関連しており、サイトカインシグナル伝達抑制因子は種々の感染症に対する免疫に関与していることが示唆された。またCISH変異アレルを有するヒトでは、主要感染症のうちの一つの全リスクが18%以上増加した」とまとめている。(医療ライター:武藤まき)

4034.

教授 白井厚治先生の答え

最近のゼロカロリージュースについて0キロカロリーのコーラなどが最近は多く売られてますが、代謝内分泌学的には糖尿病の方に自信を持って勧められているのでしょうか?あくまで噂に過ぎないのですが、ああいうゼロカロリー飲料そのものには確かにカロリーがなくても、一緒に他の食事を摂った時に他の糖質の吸収を促進する作用があると聞きました。。。。PS:そもそも、人工甘味料のアスパルテームが身体に良いかどうかわかりませんし、炭酸飲料は身体に悪いのかもしれませんが。。。実際に、カロリーゼロ表示の飲料物を飲んでもらい、30分から120分まで、採血したところ、血糖の増加はほとんど見られないものもありましたが、なかにはあがるものもあり、原因は、カロリーゼロ表示は、糖質0.5%以下で使っているとのことでした。ですから、成分表示で、糖分ゼロと明記しているものは大丈夫でしょうが、それ以外のものは、大量飲めば、血糖は上がる可能性があります。アスパルテームについては、アミノ酸摂取として評価してよいと思われます。極端に、多用しなければ問題ないと思います。高感度CRPについて高感度CRPは動脈硬化の一つのいい指標でしょうが、上気道炎、歯肉炎などの炎症にても上昇すると理解しています。そうすると、風邪の流行している季節などでは動脈硬化の判定ができずらくなるということはないでしょうか?その通りで、CRPは体内でほかに目立った炎症がない場合にのみ、動脈硬化(炎症性反応としての)の指標として意味がありますが、特異性は、高感度CRPを用いてもありません。大規模スタデイで、ある治療の効果などをみるにはよいでしょう。しかし、日常診療で、個々の例に当てはめ、それのみで、あなたは動脈硬化があります、ありませんとの判定に用いるのは、困難と思います。逆に、動脈硬化のためと決め込んで、ほかの炎症、癌などの初期を見逃す可能性もあります。個人には参考にする程度でよいのではないでしょうか。破壊性甲状腺炎の診断動悸、全身倦怠、微熱、軽い咽頭痛の症状で他院受診。FT3 10.4,FT4 4.6 TSH感度以下、 抗体陰性(TPO、TG、TRAb,TSAb)でCRP 1前後、血沈正常からやや亢進、甲状腺エコーでまだら様low echo部位のある患者さんが当院紹介となりました。ヨードuptake 1%以下で破壊性甲状腺炎と診断しましたが、一貫して頸部痛はありません。頸部痛のない亜急性甲状腺炎と判断するのか、咽頭炎併発の無痛性甲状腺炎と迷いました。これでTPO抗体やTG抗体が陽性であればさらに橋本病の急性増悪とも迷うところです。頸部痛のない亜急性甲状腺炎という病態はあると考えて宜しいのでしょうか。また今回のケースではありませんが橋本病の抗体が陽性の場合、無痛性甲状腺炎と橋本病の急性増悪との鑑別についてもご教授いただければ幸いです。甲状腺機能亢進でTSAb、TRAb陰性、さらにヨードuptakeの低下という所見は破壊性甲状腺炎に矛盾しません。破壊性甲状腺炎には、亜急性甲状腺炎と無痛性甲状腺炎があります。亜急性甲状腺炎は炎症反応があり、low echo部位を認めるととも頸部痛はほぼ必発です。本例では頸部痛なしなので、亜急性甲状腺炎とは言えないでしょう。従って、無痛性甲状腺炎の可能性が強くなります。無痛性甲状腺炎は、多くは橋本病を基盤とした疾患とされており、本例がTPO、TGの抗体が陰性であることから、合致しません。まだ特定されていませんが何らかのウィルスによる甲状腺炎かもしれません。実際、本症例をどうするかですが、私なら経過観察が重要と考えます。ホルモン値を追跡し、下がればそれでよく、もし、炎症反応が強くなったり、頸部痛が出現してきたりすれば、亜急性甲状腺炎と考えて、ステロイド投与も考慮していくべきでしょう (当面はNSAIDでも十分)。甲状腺機能亢進症が長引くようであれば、甲状腺中毒症状に応じて、メルカゾールを適量処方、経過観察します。術前術後の糖尿病コントロール経口糖尿病薬は手術前後は禁忌となっています。手術前後とはどれくらいの期間をいうのでしょうか。その間はインシュリンでコントロールすることになりますが基本的なやりかたをご教示ください。手術の種類、術後の食事摂取の状況からも、ことなり、一律にはいえないと思います。一般に消化管手術は、吸収が不安定なこともあり、最低前1日、後7日間くらいは、血糖測定下でのインスリン治療が望まれます。SU剤を中止してのインスリン量の決定は、個々異なり、試行錯誤ですが、グリペングラマイド(2.5mg)3T/日では、およそ、インスリン必要量は、8-12単位くらいではないでしょうか。当院では、毎食前血糖測定後、血糖(mg/dl)100-120、  120-150、150-200、200-250、250-300 それぞれ、インスリン(レギュラー)2-4、4-6、6-8、8-10、10-12単位打つことを目安にしています。大学病院に足りないもの先生が大学病院の経営のみならず、臨床の現場でもご活躍されている様子、記事で拝見しました。大学病院の上から下までご存知の先生にお聞きしたいことがあります。「今、大学病院に足りないもの」を一つ挙げるとしたら、なんでしょうか?今や大学病院も収入につながる診療に振り回され、臨床研究の機会がどんどん減っているような感があります。周りの若手を見ても、診療に疲れて、「大学病院でバリバリ研究するぞ!」という気概を感じることができません。魅力ある大学病院を作るために何が必要なのか?何が足りないのか、日々悩んでいる状況です。ご教授頂けると幸いです。こんな時代の今こそなぜ、大学病院にいるのか、どのような姿勢をとるのか、原点が問われていると思います。それというのも、いろいろ言われていますが、医療の原点である患者さんの満足度(医療レベルもふくめ)を中心に、医師をきちんと配備し、グループ、科の壁を乗り越え、互いに手を出し合ってゆけば、大学病院は採算的にやってゆけるというのが実感でした。ただそこには、多くの若い医師たちがいるということ、即ち、採算的にみると、薄給でがんばってくれている若手医師がいるからこと成り立つことを忘れてはなりません。それに対して、彼らが大学病院にいる存在意義を見出すには、スタッフが魅力的な医療技能を提示でき、全身全霊をかけて患者さんを診ているすばらしい姿をみせること。若手医師は今の医療を学ぶのみでなく、医療を開拓していくメンバーの1人として、テーマを持ち未解決なものを解決する術を身につけることの充実感とそれによる自信が必要と思います。従って、大学スタッフの責任は重大で(それだけやりがいがあるという意味です)、面白い研究テーマを見つけ、その解決を目指してあらゆる手段を用い(基礎、臨床研究)、しかもそれを楽しみながらやっている姿勢を見せ続けることです。そして、病院の業務に追われ疲れているように見えた時こそ、それらを吹き飛ばす面白い研究テーマを突きつけるべきです。マンネリと疲労から脱出させる最良の方法となります。先生のようなやる気のある上級医師は、遠慮せず、怖がらず若手医師に語りかける続けることでしょう。今の医学教育は研究の面白さ楽しさを感じ取るレセプターを育成していませんから、苦労しますが、でも、わかってくれる日が必ず来ると思います。CAVIの開発についてCAVIにはいつもお世話になっています。お恥ずかしい話、先生が開発に携わっていたこと、知りませんでした。このような新しい技術や検査機械の開発はどのように始まり、進行していくものなのでしょうか?また、このように周りを上手く巻き込んでいく時のポイント、秘訣などありましたらご教授頂きたいです。宜しくお願いします。CAVIは、今次々と新しい事実が見出されています。大切なことは、若い先生方に興味を持ってもらえ、いったん途絶えていた血管機能学が代謝学と連携して再度面白くなり始めたことです。CAVIと巡り合ったいきさつですが、たまたま、開発初期に相談をうけたわけで、私が発想し持ち込んだわけではありません。ただ、血管機能については興味をもち30年前から大動脈脈波速度(長谷川法=血圧補正法)を毎年透析患者さんで10数年にわたり測定していました。そこでPWVの限界と可能性を私なりに理解していたつもりです。今回CAVIの初期のデータとりをする中で、計算式決定まで多少紆余曲折がありましたが、バイオメカニクスの科学と臨床成績から現在の式が最終決定され、以後広い臨床評価が始まりました。そこには、長年血管機能解析に興味を持ち続け誠実にデータを蓄積分析してくれていた施設と人がいたこと、会社も、科学性と臨床データ両面を尊重し互いに納得のいくまで検討できたこと、また脈波感知と分析に高度の技術を発揮した優秀なスタッフがいたことが幸運だったと思います。加えて、全国の大御所というよりは若手研究者の方がCAVIに素直に興味をもってくれ、いわゆる大学の研究室よりは、一般病院で、素養のある先生方が先行して出された研究が多く、現場で開拓心旺盛な医師の存在が大きく浮かび上がりました。新しい世界を開くのは情熱ある若手医師とつくづく思いました。無理に誰かを巻き込もうとしたこともなく、CAVIそのものの原理と測定の安定性が最大の牽引力であったと思います。でもまだまだ、これから多くを検証する必要があります。佐倉病院でないとできないこととある病院で研修医やっている者です。先生の記事を興味深く読ませて頂きました。文末にある「佐倉病院でないとできないことに向けて頑張っていく」という言葉が印象的です。記事を読んでいると、佐倉病院さんはとてもチームワークが良く、ドクターもコメディカルも同じ目標に向かって猛進しているような印象を受けました。(先生のところだけかもしれませんが...。)「佐倉病院にしかできないこと」というのは、そのように「チームワークが良い病院でしかできないこと」なのでしょうか?それともまた何か他とは違う特徴が佐倉病院さんにはあるのでしょうか?基礎も臨床もしっかり行い、しかも全て患者さんのためになっている様子に感銘を受けました。ご回答宜しくお願いします。どこの場にいても、そこを、地球上で一番すばらしいところにしてやろうという気持ちが大切です。恵まれてすべてが整っているところほど、これからの人にとってつまらない場所はないと思います。とにかく、その場での問題点を探し、皆が一番困っているところを見つけ出し、その解決に向けて、できるとところを一歩一歩解決してゆく姿勢を評価、支援しあえる環境が佐倉病院にはあるということです。内科も、外科医に負けないような患者さんに感謝される治療学を確立しようと、研究テーマの根幹は、酸化、再生、免疫制御、栄養の4本柱で、おのおの磨いているところです。たとえば、呼吸器は抗酸化療法で間質性肺炎に挑戦、代謝は、肥満治療を分子から栄養、こころの問題と多面的に捉える治療、特に肥満外科治療が開始されましたがその術前術後のフォロー、フォーミュラー食(低エネルギー低糖質、高たんぱく食)の応用と基礎、糖尿病腎症に対するプロブコールを用いた抗酸化療法で透析療法移行抑制試験、循環器は、インターベンションに加えて、これから、難治性心不全に対する鹿児島大鄭教授の開発した和温療法実施と評価、睡眠時無呼吸と不安定狭心症の関係をみつけその治療システムの確立、消化器は、炎症性腸疾患のメッカとして、顆粒球除去療法、レミケード療法、神経内科は、排尿障害を中心に、パーキンソン病の深部脳刺激治療のバックアップ、再生医療も狙っています。研究は、各グループ専門を超えて互いに連携しています。原則として、できれば自然の法則性を体感するため、医師は基礎研究もする機会を経験してもらいたいものです。研究開発部の協力のもとに細胞培養、酵素学、遺伝子実験をできる体制を敷いています。要するに、病気を多面的にいくつかの独自の視点をもって診、医療を開拓してゆける人の育成がもっとも大切と考え、それには、チーム医療、他コメヂィカルとも力を合わせ、初めてできることと考えています。理想の地域連携とは先生がお考えになる「理想の地域連携」の姿とはどんなものでしょうか?また、その理想の姿になれない、理想の姿になるのを阻んでいる障害はなんでしょうか?(実現されていたら申し訳ないです。)現在、私も地域連携について勉強はしているものの、なかなか思うような形にできません。障害が多すぎて、「理想的」どころが「現実的」な連携フローにもなっていません。宜しくお願いします。地域となるとさまざまな価値観の人がおり、同じ言葉でも受け取り方が違ったり、利益配分に問題が出たりで、そう簡単に理想的な地域連携ができるわけではありません。しかし、今の医療は、個々の医療人が隔離状態で医療行為を行えるほど甘くなく、互いに、助け合って連携せざるをえないと思います。でも問題は、ただ患者さんを送りあえば医療連携になるかといえばそうでもなく、問題は患者さんも含めて、互いにわかりあい納得できることが大切で、それには情報の整理集約が必須です。私どもは、生活習慣病を中心としたヘルスケアファイルと呼ばれるノートを患者さん全員にお渡ししています。そこには、動脈硬化リスク因子、標準体重、BMI、臓器障害の有無、程度、さらに主要な検査値はグラフで提示するシステムを用いています。これで、関わる医師は無論、クラークさん、看護師さんも経過が一目瞭然。するとアドバイスも適切。また家族もわかり、応援しやすくなります。これを地域に広げたいというのが私どもの夢です。ただこのファイルは、血圧、糖尿、脂質、尿酸、体重、一般検査を含んでおり、全部網羅していると思います。わがままかもしれませんが、これ一冊にしていただきたいのです。一般には、00手帳が3つも5つももっておられる方もいますね。でもなんだかわからないというのが実情です。大人版、母子手帳を作るべきだと思います。チームワーク先生、チームをまとめ上げるために必要なものはなんでしょうか?チームワークというと「みんな仲良く」というイメージがありますが、決してそうではないと思います。きっと先生は、今までのご苦労の中から「これが大事!」というもの発見されていると思います。それを教えてください。宜しくお願いします。リーダーは、今自分らの分野で何が問題で、それを解決するために、どう力を互いに出し解決するかを提言し続けること。 即ち、小さなグループミーチングでも、プロジェクトを提示し、その成果がささやかでも出たら皆で確認し、面白がること。プロジェクトは、参加者全員が順に一つずつ持つように絶えず心がけていると、みんなに参加意識と存在感さらい自信が生まれます。すると、とたんに楽しく動き始めます。低糖質食私も低糖質食でメタボを脱却したものですが、抵糖質食の心血管病変に対してrisk reductionあるのでしょうか?食事の内容によっても大きく変化するのでしょうか?低糖質、高蛋白食が減量に効果があるとともに、血圧、血糖、脂質異常などの冠動脈リスク因子を減らすことは、海外のスタデイでも、ほぼ一致して報告されています。インスリン抵抗性解除作用と思います。ただし長期(1年)になると元に戻るとの報告もあり、それを鵜呑みに意味がないという人もいます。しかしその食事調査結果をみると、実際の摂取成分がもとに戻っており、実はそう長くは自己調整を続けられなかたというのが実態で、低糖質、高蛋白食は長期になると効果がなくなるというものではないわけです。御質問の「では実際、心血管イベントを減らせたか」はもっとも重要な点ですが、上述のごとく、通常食で成分調整を長年にわたり継続すること自体がほとんど不可能なため、年余にわたる低糖質、高蛋白食の冠動脈疾患の発生を抑えるかどうかの研究自体ができないのです。本当は、このような基本となる栄養組成の研究こそ、国が、コンプライアンスを保障できる食事の宅配便制度などを利用し、長期にわたる調査を企画運営すべきです。そこにこそ研究費をつぎ込むべきです。薬物のようにメーカー主導のエビデンスベーストメデイシンは、この分野では行われることはないでしょう。現在、ある程度コンプライアンスをよくして低糖質、高蛋白食の効果を見る方法とすれば、フォーミュラ食を一日一回用いるなどの方法が考えられます。また、長期のイベントの発生調査を、より短期に予測しうる方法があれば、即ち、動脈硬化のよいサロゲートマーカーがあれば早期に結論が出せるかもしれません。それには、新しい動脈硬化指標CAVIが使えるかもしれないとの淡い期待を、持っています。教授 白井厚治先生「「CAVI」千葉県・佐倉から世界へ 抗動脈硬化の治療戦略」

4035.

エボラウイルスに対する実験的治療、マウスに次いでサルでも有効性確認

ボストン大学全米新興感染症研究所のThomas W Geisbert氏らは、致死性のザイールエボラウイルス(ZEBOV)に感染したアカゲサル(マカク属)のモデルを使った実験的治療で、RNA干渉を引き起こすsiRNA(small interfering RNAs)治療が有効であったことを報告した。Lancet誌2010年5月29日号掲載より。同治療の有効性は、マウスを使った実験的治療で確認されていた。siRNA治療は、安定核酸脂質分子(SNALPs)に調製したsiRNAを、ZEBOVのRNAポリメラーゼLたんぱく質をターゲットに投与するというもの。3つの蛋白質をターゲットにした混合siRNAを4回もしくは7回投与Geisbert氏らは、マウスで有効だった本治療について、ヒト以外の霊長類での有効性を評価することを目的に実験的治療を行った。投与されたのは、ZEBOVのRNAポリメラーゼL(EK-1 mod)、およびウイルスタンパク質(VP)24(VP24-1160 mod)、VP35(VP35-855 mod)をターゲットしSNALPs化された混合siRNA。第1試験のサル群(3例)に本剤を1回2mg/kgボーラス静注で、ZEBOV曝露後、30分、1、3、5日後にそれぞれ投与した。第2試験のサル群(4例)には、同剤を、曝露後、30分、1、2、3、4、5、6日後に投与した。曝露直後の7回投与が治療戦略として有効か4回投与の第1群は、プロテクトされたのは3例のうち2例(66%)だった。一方、7回投与の第2群は、全例プロテクトに成功した。第2群は、ウイルス感染に関連する肝酵素の値の変化も軽度で、治療としての忍容性が高いことも確認された。Geisbert氏は、「今回の結果、本治療戦略がヒトにおいても有効である可能性が示された。また、他の新生ウイルス感染の治療戦略としての可能性も示唆されたと言える」と結論している。(朝田哲明:医療ライター)

4036.

超多剤耐性結核患者の予後に、HIV感染は影響するか?

超多剤耐性(XDR)結核患者は、HIV感染の有無にかかわらず予後不良であるが、HIV感染者の予後は以前に比べ改善していることが、南アフリカCape Town大学のKeertan Dheda氏らが行ったコホート試験で明らかとなった。Kwazulu Natal(南アフリカ)のデータによれば、XDR結核に感染している患者のほとんどがHIV感染者であり、致死的な転帰をとることが示唆される。しかし、HIV感染率が高い状況におけるXDR結核の治療効果を評価したデータはほとんどないという。Lancet誌2010年5月22日号(オンライン版2010年5月19日号)掲載の報告。XDR結核とHIV感染の関連を評価する後ろ向きコホート試験研究グループは、疾患対策に向けた勧告を策定するために、XDR結核とHIV感染の関連についてレトロスペクティブなコホート試験を行った。2002年8月~2008年2月までに、南アフリカの4つの地域の指定治療施設において、診断時の培養検査でXDR結核が確認された16歳以上の患者記録を解析した。Cox比例ハザード回帰モデルを用いて予後に関連するリスク因子の評価を行った。HIV感染XDR結核患者の死亡率は41%、HIV非感染XDR結核患者は30%XDR結核患者227例が登録され195例が解析の対象となった。そのうち21例は治療開始前に死亡し、治療を受けたのは174例(HIV感染者は82例)であった。62例(36%)がフォローアップ期間中に死亡した。HIVに感染したXDR結核患者の死亡率は41%(34/82例)、HIV非感染XDR結核患者の死亡率は30%(28/92例)であり、両群間に有意な差は認めなかった(p=0.13)。死亡の予測因子の解析では、モキシフロキサシン(商品名:アベロックス)を使用すると死亡率が89%低下し(ハザード比:0.11、p=0.03)、培養検査で多剤耐性結核の検出歴があると死亡率が5倍以上になり(同:5.21、p=0.001)、使用薬剤数が多いと死亡率が41%低下した(同:0.59、p<0.0001)。高活性抗レトロウイルス療法(HAART)を受けたHIV感染XDR結核患者は、受けていない患者に比べ死亡数が少なかった(ハザード比:0.38、p=0.01)。174例中33例(19%)で培養陰性化が示され、そのうち23例(70%)は治療開始から6カ月以内に陰性化した。著者は、「南アフリカでは、XDR結核患者の予後は、HIVに感染していなくても不良であった。しかし、HIV感染者の生存率は以前の報告に比べ改善している」と結論し、「優先度はXDR結核感染の予防の方が高く、治療プログラムや検査能力を強化することで多剤耐性およびXDR結核を早期に検出して治療を行うべきである」としている。(菅野守:医学ライター)

4037.

救急外来の医師は小児の発熱を過小評価するも抗菌薬を処方

小児の救急外来受診で最も多い発熱について、5~10%で見逃されている重症細菌性感染症の診断を的確に行うための臨床モデルの開発が試みられた。オーストラリア・シドニー大学公衆衛生校のJonathan C Craig氏ら研究グループが、約16,000症例を前向きコホート研究により検討。BMJ誌2010年5月8日号(オンライン版2010年4月20日号)で発表している。救急外来の5歳未満15,781例の発熱症例を検証Craig氏らは、現状の診断プロセスで、どの程度、発熱を呈する小児に対し重症細菌性感染症疑いの診断をつけ治療が行われているのかを評価するとともに、経験値によるものではなく、重症細菌性感染症と非細菌性感染症とを見分ける臨床モデルの開発・検証を行った。オーストラリア・Westmeadの小児病院の救急外来での、2004年7月1日~2006年6月30日の2年にわたる前向きコホート研究による。被験者は、5歳未満の小児15,781例だった。医師がどのような診断をつけたかは、病院の電子カルテにセットされている40の臨床像を参考とした。また、重症細菌性感染症だったか否かは、標準的なX線検査、微生物学的検査、経過観察によって確定診断がされたか除外されたものとした。主要評価項目は、主要な重症細菌性感染症(尿路感染、肺炎、菌血症)のうちの1つの診断をつけたかどうか、また臨床診断モデル(臨床評価と確定診断のデータベースから多項ロジスティック回帰法を用いて提示)および臨床医の判断による両者の診断精度についても検討された。臨床診断モデルを感度の高いものに改善する必要がある追跡調査で入手できたデータは15,781例の93%だった。3つの主要な重症細菌性感染症の有病率は、合わせて7.2%(1,120/15,781例、95%信頼区間:6.7%~7.5%)だった。尿路感染の診断がつけられたのは543例(3.4%、95%信頼区間:3.2%~3.7%)、肺炎は533例(3.4%、同:3.1%~3.7%)、菌血症は64例(0.4%、同:0.3%~0.5%)だった。重症細菌性感染症を有した小児のほとんど(94%超)が、適切な検査(尿培養、胸部X線、血液培養)を受けていた。また抗菌薬が速やかに処方されたのは、尿路感染66%(359/543例)、肺炎69%(366/533例)、菌血症81%(52/64例)だった。しかし一方で、細菌性感染症ではない小児の20%(2,686/13,557例)にも抗菌薬の処方がされていた。診断精度は、医師の診断の感度は10~50%と低く、特異度は90~100%と高かった。一方、臨床診断モデルは、幅広い閾値の感度、特異度を呈した。Craig氏は、「救急外来の医師は、小児の重症細菌性感染症に対して過小評価するも抗菌薬を処方するという傾向があった。臨床診断モデルは、医師の意思決定を改善し、そのことによって早期処置が施されるように、細菌性感染症検出の感度を高めるものにしなければならない」と結論している。

4038.

妊娠中の新型H1N1インフルエンザ発症、死亡率5%と高率

妊娠中に2009年流行の新型インフルエンザ(H1N1)に感染し発症した場合、死亡率は5%と高率であることがわかった。また、発症後2日以内に抗インフルエンザウイルス薬の服用を開始することで、入院リスクや死亡リスクは大幅に減少することも明らかになった。米国疾病対策センター(CDC)のAlicia M. Siston氏らが、妊娠中に新型インフルエンザを発症した800人弱について追跡し、明らかにしたもので、JAMA誌2010年4月21日号で発表した。入院した妊婦の22.6%がICU治療同研究グループは、2009年4~8月にかけて、新型インフルを発症した妊婦788人について、追跡調査を行った。そのうち、死亡したのは30人(5%)だった。また、病院に入院した509人中、集中治療室(ICU)での治療を受けたのは115人(入院患者の22.6%)だった。発症5日以降の抗インフルエンザ薬開始は、同2日以内に比べICU入室リスクが6倍新型インフル発症後、5日目以降に抗インフルエンザウイルス薬の服用を始めた人のICU入室率は56.9%と、同2日以内に始めた人の同9.4%に比べ、約6倍に上った(相対リスク:6.0、95%信頼区間:3.5~10.6)。発症後2日以内に同治療薬の服用を始めた219人のうち、死亡は1人にとどまった。CDCのH1N1インフルエンザ・サーベイを基に、2009年12月までに発症した妊婦、合わせて280人について調べたところ、うち死亡したのは56人だった。そのうち、妊娠第一期の死亡は4人(7.1%)、妊娠第二期は15人(26.8%)、妊娠第三期は36人(64.3%)だった。(當麻あづさ:医療ジャーナリスト)

4039.

ワクチンは知っていても、そのワクチンで防げる病気は知らない? ―細菌性髄膜炎に対する意識調査より

ワイス株式会社は、去る4月24日の「世界髄膜炎デ―」に向けて、全国の5歳未満子どもを持つ母親を対象に細菌性髄膜炎に対する意識調査を行っていた。この調査は、細菌性髄膜炎や2つのワクチンの認知度などについて、5歳未満の子どもを持つ20代~40代の女性1,000人にインターネットでアンケートを実施したもの。調査時期は2010年4月。その結果、「細菌性髄膜炎という病気をご存知ですか?」という質問には、57%が“名前は聞いたことがある”と答えたという。「症状まで知っている」と答えた人は9%にとどまり、母親たちの間では、細菌性髄膜炎は聞いたことがあるがどのような病気かまではまだよく知られていない、という実態が浮かび上がった。また、細菌性髄膜炎を予防する2つのワクチン、ヒブワクチンと小児用肺炎球菌ワクチンの認知について、「2つのワクチンとも知っている」あるいは「どちらかのワクチンを知っている」と答えた割合は約75%であった。年齢別でみると、子どもの年齢が2歳以下の母親では83%であるのに対し、3歳以上の子どもの母親では62%に留まり、年齢の低い子どもを持つ母親ほど、ヒブワクチンと小児用肺炎球菌ワクチンを知っている現状がわかった。同社は今回の調査から、4人に3人の母親はヒブワクチンあるいは小児用肺炎球菌ワクチンの名前は聞いたことがある一方で、「細菌性髄膜炎」という病名は聞いたことがあるものの、原因菌までは多くの母親が知らないという結果もあわせて考えると、ワクチンの名前を知っていても細菌性髄膜炎の予防という意識まで結びついていないのでは、と述べている。詳細はプレスリリースへhttp://www.wyeth.jp/news/2010/0423.asp

4040.

ワクチンで予防できる唯一のがん?

2010年4月22日、星陵会館(東京都千代田区)において自民党ワクチン政策に関する議員連盟主催の「子宮頸がんを撲滅するためのワクチン普及に向けたシンポジウム」が開催された。自治医科大学附属さいたま医療センター産科婦人科教授の今野良氏は基調講演に登壇し、子宮頸がんの病態、ワクチンによる予防とその普及における問題点について語った。今野氏はまず、わが国における子宮頸がんを取り巻く状況を話題とした。子宮頸がんは検診などで早期に発見できれば、前がん病変である異形成の段階(0期)で円錐切除術を行って妊孕性を保つことや、子宮全摘術、場合によっては円錐切除術により根治が可能である。子宮頸がんのリスクファクターには免疫低下状態や喫煙などがあるが、検診を受けないことも問題である。30年前、日本は子宮頸がん検診の先進国であったが、現在の受診率は欧米と比較すると極めて低い。検診受診率が常に低い国では子宮頸がん発生率が年齢とともに増加する傾向があるが、現在のわが国の発生ピークはおよそ35歳であり、30年前の受診率の高さが40代以上の女性における発生率の低さに寄与しているのだろうとのことである。また、20~30代の発生率上昇に伴い、死亡率も上昇傾向にある。一方、子宮頸がんの自然史はかなり解明されており、発生原因の多くはヒトパピローマウイルス(HPV)感染によることがすでに明らかとなっている。HPVは性交渉で感染し、女性の8割に感染歴があるとされるがほとんどは一過性であり、持続感染した場合に子宮頸がん発生のリスクとなる。タバコは肺がん発生のリスクを10倍高めるとされているが、ハイリスクのHPVである18型は子宮頸がんのリスクを500倍以上高めるという報告があり、がんの中でも抜きん出て相関が強いといえる。これらを踏まえ、初のがん特異的予防ワクチンとして、HPVワクチンが開発された。HPVのタイプは多様であり、現在のワクチンは子宮頸がんの原因として最も高頻度に発見されている16型と前述の18型の感染を予防するものである。このワクチンを性活動前の女性に接種したところ、約70%の子宮頸がん予防効果がみられた。加えて今野氏は、検診受診率の高い国では子宮頸がん発生率が低いというデータを示しながら、ワクチンによる一次予防(対象は11~14歳女児)と、二次予防としての定期的な検診で子宮頸がんはほぼ撲滅できると述べた。2009年4月のWHO Position Paperにおいては、「HPV関連疾患が公衆衛生上重要である」ことと「国家的なHPVワクチン組み込みを推奨する」ことが明記されている。また、わが国の12歳女児全員にワクチンを3回接種した場合の試算では、ワクチンの総費用は約210億円となる。対して、治療費は約170億円が節減でき、約230億円の労働損失額を加えると約400億円を抑えられ、全体では約190億円の費用削減となるため、医療経済的には便益がコストを上回るとのことである。今野氏は、国を上げて国民の意識を高めている事例として、イギリスでテレビ放送されている子宮頚がんワクチンの啓発コマーシャルを紹介し、本講演を終えた。(ケアネット 板坂 倫子)

検索結果 合計:4225件 表示位置:4021 - 4040