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先天性ジカウイルス症候群、石灰化は診断指標にならず/BMJ

 新生児の先天性ジカウイルス症候群の診断では、「脳石灰化の検出を主要な基準とみなすべきではなく、石灰化の非検出を診断の除外基準として用いるべきではない」とする所見を、ブラジル・Barao de Lucena病院のNatacha Calheiros de Lima Petribu氏らが示した。先天性ジカウイルス症候群の小児について、出生直後と1年時点に受けた脳CT所見を比較した症例シリーズ研究の結果で、BMJ誌2017年10月13日号で発表した。37例の出生直後と1年時点の脳CT所見を比較 先天性ジカウイルス症候群でみられる水頭症の病態生理は、十分に解明されておらず、同症候群児の多くは水頭症のリスクのため、フォローアップ脳CTを受ける。勧告では、生後10~12ヵ月で少なくとも1回の脳スキャンを受けることとされているが、一方でそのような小児の脳画像所見の変化を報告したフォローアップ研究はなく、研究グループは、脳石灰化にフォーカスして初回脳CTとフォローアップ脳CTの所見を比較(石灰化パターンの違いを評価)した。 対象はBarao de Lucena病院で、2015年の小頭症アウトブレーク中に先天性ジカウイルス症候群の可能性例(probable)/確定例(confirmed)と診断され、出生直後と1年時点で脳CTを受けていた37例であった。 37例のうち、22例(59%)が男児。先天性ジカウイルス症候群の確定例は29例、8例は可能性例であった。フォローアップ脳CTでは、15例(41%、95%信頼区間[CI]:26~57%)が水頭症と診断されている。 初回脳CTが行われた対象児の年齢範囲は、生後1~138日(中央値11.5日)であり、フォローアップ脳CTは105~509日(中央値415日)で行われた。 37例中28例は、初回およびフォローアップ脳CTを同一の病院で受けていた。画像取得パラメータはすべての対象児で同一であり、9例は初回およびフォローアップ脳CTを同一の機器で受けていた。34例で石灰化が減退 初回脳CTでは、全37例で脳の石灰化が認められた。大部分が皮質-白質の境界面でみられた。 しかしフォローアップ脳CTでは、34例(92%、95%CI:79~97%)において石灰化の数、サイズ、密度、またはそれら複合の減少が認められた。1例では石灰化が視認できなくなっていた。一方、変化が認められなかったのは2例であった。石灰化の増加例はなかった。 フォローアップ時に視認ができなくなっていたのは、主に頭頂葉と後頭葉の皮質-白質境界面の石灰化であった。 これら画像所見は、臨床的改善とあらゆる面で関連していなかった。

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新規インフルエンザ薬S-033188、先駆け審査指定制度下で国内承認申請

 塩野義製薬株式会社(本社:大阪市中央区、代表取締役社長:手代木 功)は、自社創製の新規キャップ依存性エンドヌクレアーゼ阻害薬S-033188について、成人および小児におけるA型又はB型インフルエンザウイルス感染症を適応症として、2017年10月25日付で日本国内における製造販売承認申請を行ったと発表。 S-033188は、既存の薬剤とは異なる作用機序でインフルエンザウイルスの増殖を抑制する新規化合物であり、2015年10月に厚生労働省より先駆け審査指定制度の対象品目に指定されている。S-033188は、成人または小児を問わず、経口による1回のみの錠剤の服用で治療が完結するため、利便性が高く、確実なアドヒアランスが期待できるという。 これまでに実施した健常なインフルエンザ患者を対象とした臨床試験(CAPSTONE-1)では、S-033188は、既存薬のオセルタミビルと比較して、抗ウイルス効果が高く、投与翌日には50%以上の患者(小児を含む)でウイルス力価の陰性化が認められている。そのため、家庭内や学校、職場等でのウイルス伝播、飛沫/空気感染拡大に対しても一定の抑制効果を示すことが期待される。また、薬剤との関係性が疑われる有害事象の発現率がオセルタミビルと比較して有意に低く、従来の治療と同等以上の安全性を示すと考えられる。さらに、S-033188は、非臨床試験において、鳥インフルエンザウイルス(H5N1やH7N9)や、既存のインフルエンザ治療薬に耐性を有するウイルス株を含む、さまざまな亜型のA型インフルエンザウイルスに対してもウイルス増殖抑制効果が確認されている。そのため、パンデミックへの備えとしても重要な薬剤になると考えられる。■参考シオノギ製薬株式会社ニュースリリース■関連記事新インフルエンザ治療薬S-033188、第III相試験結果発表/IDWeek2017

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エボラウイルスは生存者精液中に長期残存/NEJM

 エボラウイルス病(EVD)の男性生存者では、エボラウイルスRNAが精液中に長期に残存し、時間が経過するに従って徐々に減少することが、シエラレオネ保健衛生省のGibrilla F. Deen氏らの調査で明らかとなった。研究の成果は、NEJM誌2017年10月12日号に最終報告として掲載された。西アフリカのエボラ流行を根本的にコントロールするには、EVD生存者におけるエボラウイルス排出の期間を理解し、さらなる感染を予防することが不可欠とされる。すでに本研究の準備報告に基づき、世界保健機関(WHO)と米国疾病管理予防センター(CDC)、中国CDCが、被災3国(シエラレオネ、ギニア、リベリア)の保健省との協働で精液検査プログラムと予防的行動カウンセリングを確立し、実行に移している。220例を登録、RT-PCR法で解析 本研究は、シエラレオネのEVDの成人男性生存者220例を便宜的標本とし、エボラ治療施設(ETU)を退院後の精液中のエボラウイルスRNAの存在を評価する観察的コホート試験である(WHOなどの助成による)。 患者登録は、ETUを退院後の種々の時点で、2期に分けて行った。第1期(2015年5月27日~7月7日)は首都フリータウン市の都市部で100例、第2期(2015年11月11日~2016年5月12日)はフリータウン市の都市部(60例)と準都市部のルンギ地区(60例)で120例を登録した。 第1期はエボラウイルスのNPとVP40遺伝子、第2期はNPとGP遺伝子を標的配列とし、定量的逆転写酵素ポリメラーゼ連鎖反応(RT-PCR)法を用いてベースライン時に採取した精液検体を検査した。第1期の検査はCDCが、第2期は中国CDCが行い、データ解析と管理はWHO、CDC、中国CDCが行った。 第2期は精液以外の体液の検査も行ったが、今回は精液のみの結果が報告された。また、この研究ではEVDの性行為感染リスクの直接的な評価は行われなかった。初回陽性率は27%、3ヵ月時の検出率100%から19ヵ月以降は0%に ベースラインの全体の平均年齢は31.5±9.5歳、ETU退院から検体採取までの平均期間は10.0±4.9ヵ月であった。フリータウン市都市部の参加者に比べ、ルンギ地区の参加者はわずかに年齢が高く、正規の教育をまったく受けていない者や、婚約、結婚している者の割合が高かった。また、世帯人数や世帯内のエボラウイルス感染者数も多かった。HIV検査に同意した195例のうち1例が陽性だった。 初回精液検体を提供した210例のうち、57例(27%)が定量的RT-PCRでエボラウイルスRNAが陽性であった。ETU退院後の期間別のエボラウイルスRNAの検出率は、退院後3ヵ月以内に検体が採取された7例では100%、4~6ヵ月後に採取された42例は62%(26例)、7~9ヵ月後の60例は25%(15例)、10~12ヵ月後の26例は15%(4例)、13~15ヵ月の38例は11%(4例)、16~18ヵ月後の25例は4%(1例)であり、19ヵ月以降に採取された12例では検出されなかった。 第1期にエボラウイルスRNA陽性であった46例では、標的となったNPとVP40のベースラインのサイクル閾値(cycle-threshold value、数値が高いほどRNA量が少ない)の中央値が、ETU退院後3ヵ月以内の検体採取例(7例)ではNPが32.4、VP40が31.3であり、4~6ヵ月の採取例(25例、それぞれ34.3、33.1)、7~9ヵ月(13例、37.4、36.6)、10~12ヵ月(1例、37.7、36.9)と比べて低かった。 第2期に、標的となったNPとGPが陽性であったのは11例であり(ETU退院後4.1~15.7ヵ月に検体採取)、サイクル閾値はNPが32.7~38.0、GPが31.1~37.7であった。 著者は、「生存者に付与されたさらなるスティグマの悪影響を軽減するには、地域社会の、内なる強力で持続的な支援が伴う、相応の敬意や継続的な努力がきわめて重要である」と指摘している。

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HTLV-1関連脊髄症〔HAM:HTLV-1-associated myelopathy〕

1 疾患概要■ 概念・定義HTLV-1関連脊髄症(HTLV-1-associated myelopathy:HAM)は、成人T細胞白血病・リンパ腫(Adult T-cell leukemia/lymphoma:ATL)の原因ウイルスであるヒトTリンパ球向性ウイルス1型(human T-lymphotropic virus type 1:HTLV-1)の感染者の一部に発症する、進行性の脊髄障害を特徴とする炎症性神経疾患である。有効な治療法に乏しく、きわめて深刻な難治性希少疾病であり、国の指定難病に認定されている。■ 疫学HTLV-1の感染者は全国で約100万人存在する。多くの感染者は生涯にわたり無症候で過ごすが(無症候性キャリア)、感染者の約5%は生命予後不良のATLを発症し、約0.3%はHAMを発症する。HAMの患者数は国内で約3,000人と推定されており、近年は関東などの大都市圏で患者数が増加している。発症は中年以降(40代)が多いが、10代など若年発症もあり、男女比は1:3と女性に多い。HTLV-1の感染経路は、母乳を介する母子感染と、輸血、臓器移植、性交渉による水平感染が知られているが、1986年より献血時の抗HTLV-1抗体のスクリーニングが開始され、以後、輸血後感染による発症はない。臓器移植で感染すると高率にHAMを発症する。■ 病因HAMは、HTLV-1感染T細胞が脊髄に遊走し、そこで感染T細胞に対して惹起された炎症が慢性持続的に脊髄を傷害し、脊髄麻痺を引き起こすと考えられており、近年、病態の詳細が徐々に明らかになっている。HAM患者では健常キャリアに比べ、末梢血液中のプロウイルス量、すなわちHTLV-1感染細胞数が優位に多く、また感染細胞に反応するHTLV-1特異的細胞傷害性T細胞や抗体の量も異常に増加しており、ウイルスに対する免疫応答が過剰に亢進している1)。さらに、脊髄病変局所で一部の炎症性サイトカインやケモカインの産生が非常に高まっており2)、とくにHAM患者髄液で高値を示すCXCL10というケモカインが脊髄炎症の慢性化に重要な役割を果たしており3)、脊髄炎症のバイオマーカーとしても注目されている。■ 症状臨床症状の中核は進行性の痙性対麻痺で、両下肢の痙性と筋力低下による歩行障害を示す。初期症状は、歩行の違和感、足のしびれ、つっぱり感、転びやすいなどであるが、多くは進行し、杖歩行、さらには車椅子が必要となり、重症例では下肢の完全麻痺や体幹の筋力低下により寝たきりになる場合もある。下半身の触覚や温痛覚の低下、しびれ、疼痛などの感覚障害は約6割に認められる4)。自律神経症状は高率にみられ、とくに排尿困難、頻尿、便秘などの膀胱直腸障害は病初期より出現し、初めに泌尿器科を受診するケースもある。また、起立性低血圧や下半身の発汗障害、インポテンツがしばしばみられる4)。神経学的診察では、両下肢の深部腱反射の亢進や、バビンスキー徴候などの病的反射がみられる4)。■ 分類HAMは病気の進行の程度により、大きく3つの病型に分類される(図)。1)急速進行例発症早期に歩行障害が進行し、発症から2年以内に片手杖歩行レベルとなる症例は、明らかに進行が早く疾患活動性が高い。納の運動障害重症度(表)のレベルが数ヵ月単位、時には数週間単位で悪化する。急速進行例では、髄液検査で細胞数や蛋白濃度が高いことが多く、ネオプテリン濃度、CXCL10濃度もきわめて高い。とくに発症早期の急速進行例は予後不良例が多い。2)緩徐進行例症状が緩徐に進行する症例は、HAM患者の約7~8割を占める。一般的に納の運動障害重症度のレベルが1段階悪化するのに数年を要するので、臨床的に症状の進行具合を把握するのは容易ではなく、疾患活動性を評価するうえで髄液検査の有用性は高い。髄液検査では、細胞数は正常から軽度増加を示し、ネオプテリン濃度、CXCL10濃度は中等度増加を示す。3)進行停滞例HAMは、発症後長期にわたり症状が進行しないケースや、ある程度の障害レベルに到達した後、症状がほとんど進行しないケースがある。このような症例では、髄液検査でも細胞数は正常範囲で、ネオプテリン濃度、CXCL10濃度も低値~正常範囲である。■ 予後一般的にHAMの経過や予後は、病型により大きく異なる。全国HAM患者登録レジストリ(HAMねっと)による疫学的解析では、歩行障害の進行速度の中央値は、発症から片手杖歩行まで8年、両手杖歩行まで12.5年、歩行不能まで18年であり5)、HAM患者の約7~8割はこのような経過をたどる。また、発症後急速に進行し2年以内に片手杖歩行レベル以上に悪化する患者(急速進行例)は全体の約2割弱存在し、長期予後は明らかに悪い。一方、発症後20年以上経過しても、杖なしで歩行可能な症例もまれであるが存在する(進行停滞例)。また、HAMにはATLの合併例があり、生命予後に大きく影響する。6)2 診断 (検査・鑑別診断も含む)HAMの可能性が考えられる場合、まず血清中の抗HTLV-1抗体の有無についてスクリーニング検査(EIA法またはPA法)を行う。抗体が陽性の場合、必ず確認検査(ラインブロット法:LIA法)で確認し、感染を確定する。感染が確認されたら髄液検査を施行し、髄液の抗HTLV-1抗体が陽性、かつ他のミエロパチーを来す脊髄圧迫病変、脊髄腫瘍、多発性硬化症、視神経脊髄炎などを鑑別したうえで、HAMと確定診断する。髄液検査では細胞数増加(単核球優位)を約3割弱に認めるが、HAMの炎症を把握するには感度が低い。一方、髄液のネオプテリンやCXCL10は多くの患者で増加しており、脊髄炎症レベルおよび疾患活動性を把握するうえで感度が高く有益な検査である7)。血液検査では、HTLV-1プロウイルス量がキャリアに比して高値のことが多い。また、血清中の可溶性IL-2受容体濃度が高いことが多く、末梢レベルでの感染細胞の活性化や免疫応答の亢進を非特異的に反映している。また、白血球の血液像において異常リンパ球を認める場合があり、5%以上認める場合はATLの合併の可能性を考える。MRIでは、発症早期の急速進行性の症例にT2強調で髄内強信号が認められる場合があり、高い疾患活動性を示唆する。慢性期には胸髄の萎縮がしばしば認められる。3 治療 (治験中・研究中のものも含む)1)疾患活動性に即した治療HAMは、できるだけ発症早期に疾患活動性を判定し、疾患活動性に応じた治療内容を実施することが求められる。現在、HAMの治療はステロイドとインターフェロン(IFN)αが主に使用されているが、治療対象となる基準、投与量、投与期間などに関する指針を集約した「HAM診療ガイドライン2019」が参考となる(日本神経学会のサイトで入手できる)。(1)急速進行例(疾患活動性が高い)発症早期に歩行障害が進行し、2年以内に片手杖歩行レベルとなる症例は、明らかに進行が早く疾患活動性が高い。治療は、メチルプレドニゾロン・パルス療法後にプレドニゾロン内服維持療法が一般的である。とくに発症早期の急速進行例は治療のwindow of opportunityが存在すると考えられ、早期発見・早期治療が強く求められる。(2)緩徐進行例(疾患活動性が中等度)緩徐進行例に対しては、プレドニゾロン内服かIFNαが有効な場合がある。プレドニゾロン3~10mg/日の継続投与で効果を示すことが多いが、疾患活動性の個人差は幅広く、投与量は個別に慎重に判断する。治療前に髄液検査(ネオプテリンやCXCL10)でステロイド治療を検討すべき炎症の存在について確認し、有効性の評価についても髄液検査での把握が望まれる。ステロイドの長期内服に関しては、常に副作用を念頭に置き、症状や髄液所見を参考に、できるだけ減量を検討する。IFNαは、300万単位を28日間連日投与し、その後に週2回の間欠投与が行われるのが一般的である。(3)進行停滞例(疾患活動性が低い)発症後長期にわたり症状が進行しないケースでは、ステロイド治療やIFNα治療の適応に乏しい。リハビリを含めた対症療法が中心となる。2)対症療法いずれの症例においても、継続的なリハビリや排尿・排便障害、疼痛、痙性などへの対症療法はADL維持のために非常に重要であり、他科と連携しながらきめ細かな治療を行う。4 今後の展望HAMの治療は、その病態から(1)感染細胞の制御、(2)脊髄炎症の鎮静化、(3)傷害された脊髄の再生、それぞれに対する治療法開発が必要である。1)HAMに対するロボットスーツHAL(医療用)HAMに対するロボットスーツHAL(医療用)のランダム化比較試験を多施設共同で実施し、良好な結果が得られている。本試験により、HAMに対する保険承認申請がなされている。2)感染細胞や過剰な免疫応答を標的とした新薬開発HAMは、病因である感染細胞の根絶が根本的な治療となり得るがまだ実現していない。HAMにおいて、感染細胞は特徴的な変化を来しており、その特徴を標的とした治療薬の候補が複数存在する。また神経障害を標的とした治療薬の開発も重要である。治験が予定されている薬剤もあり、今後の結果が期待される。3)患者登録レジストリHAMは希少疾病であるため、患者の実態把握や治験などに必要な症例の確保が困難であり、それが病態解明や治療法開発が進展しない大きな要因になっている。患者会の協力を得て、2012年3月からHAM患者登録レジストリ(HAMねっと)を構築し、2022年2月時点で、約630名の患者が登録している。これにより、HAMの自然史や患者を取り巻く社会的・医療的環境が明らかになると同時に、治験患者のリクルートにも役立っている。また、髄液ネオプテリン、CXCL10、プロウイルス量定量の検査は保険未承認であるがHAMねっと登録医療機関で測定ができる。HAMねっとでは患者向けの情報発信も行っているため、未登録のHAM患者がいたら是非登録を勧めていただきたい。5 主たる診療科脳神経内科6 参考になるサイト(公的助成情報、患者会情報など)診療、研究に関する情報難病情報センター HTLV-1関連脊髄症(HAM)(一般利用者向けと医療従事者向けのまとまった情報)HAMねっと(HAM患者登録サイト)(一般利用者向けと医療従事者向けのまとまった情報)HTLV-1情報サービス(一般利用者向けと医療従事者向けのまとまった情報)厚生労働省「HTLV-1(ヒトT細胞白血病ウイルス1型)に関する情報」(一般利用者向けと医療従事者向けのまとまった情報)JSPFAD HTLV-1感染者コホート共同研究班(医療従事者向けのまとまった情報)日本HTLV-1学会(医療従事者向けのまとまった情報)患者会情報NPO法人「スマイルリボン」(患者とその家族および支援者の会)1)Jacobson S. J Infect Dis. 2002;186:S187-192.2)Umehara F, et al. J Neuropathol Exp Neurol. 1994;53:72-77.3)Ando H, et al. Brain. 2013;136:2876-2887.4)Nakagawa M, et al. J Neurovirol. 1995;1:50-61.5)Coler-Reilly AL, et al. Orphanet J Rare Dis. 2016;11:69.6)Nagasaka M, et al. Proc Natl Acad Sci USA. 2020;117:11685-11691.7)Sato T, et al. Front Microbiol. 2018;9:1651.8)Yamano Y, et al. PLoS One. 2009;4:e6517.9)Araya N, et al. J Clin Invest. 2014;124:3431-3442.公開履歴初回2017年10月24日更新2022年2月16日

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重度CKDのHCV感染患者、グレカプレビル+ピブレンタスビルが有益/NEJM

 C型肝炎ウイルス(HCV)に感染しステージ4または5の慢性腎臓病(CKD)を有する患者に対し、NS3/4Aプロテアーゼ阻害薬グレカプレビル+NS5A阻害薬ピブレンタスビル(商品名:マヴィレット配合錠)の12週間投与により、98%と高いウイルス学的著効(SVR)が得られることが示された。ニュージーランド・オークランド市立病院のEdward Gane氏らが、患者104例を対象に行った第III相多施設共同非盲検試験の結果で、NEJM誌2017年10月12日号で発表した。1日グレカプレビル300mg+ピブレンタスビル120mgを12週間投与 研究グループは、HCV遺伝型1、2、3、4、5、6型のいずれかに感染し、肝硬変の有無を問わず代償性肝疾患を有し、重度腎機能障害または透析依存、あるいは両状態が認められる成人患者104例を対象に試験を行った。 被験者に対し、グレカプレビル(100mg)+ピブレンタスビル(40mg)の配合薬を1日3錠、12週間投与し、その有効性と安全性を評価した。 被験者は、ステージ4または5のCKDを有し、HCV感染に対する治療歴がない、またはインターフェロン、ペグインターフェロン、リバビリン、ソホスブビルのいずれかまたは併用による治療歴があった。 主要エンドポイントは、治療終了後12週時点のSVR率だった。104例中102例で治療後12週時点のSVR達成 被験者のHCV遺伝型1、2、3、4、5、6型への感染率は、それぞれ52%、16%、11%、19%、2%、2%だった。 主要エンドポイントのSVRが認められたのは、104例中102例(98%、95%信頼区間[CI]:95~100)だった。治療中にウイルス学的失敗を来した患者、治療終了後にウイルス学的再発を来した患者はいなかった。 有害事象のうち、被験者の10%以上で報告されたのは、かゆみ、倦怠感、悪心だった。重篤な有害事象の発現は24%。また、4例が有害事象のため試験治療を早期に中止したが、そのうち3例ではSVRが得られていた。

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アカントアメーバ角膜炎、共焦点顕微鏡併用で迅速診断

 アカントアメーバ角膜炎(AK)は重篤な視力障害をもたらす疾患である。ベルギー・AZ Sint-Jan病院のSophie De Craene氏らは、共焦点顕微鏡によるアカントアメーバ角膜炎の診断についてin vivoにて評価し、同法がとくに、PCR検査の遅延時や陰性または実施不可のときの診断に役立つことを示した。共焦点顕微鏡は、AKの標的像および栄養体像を特徴的に捉えることができ、高輝度物体クラスタも非常に特異的に捉える。しかしAKの特徴に対する全体的な感度は低いという。著者は、「臨床的特徴、微生物学的試験(角膜病巣を掻爬して得た検体の直接検鏡と培養)およびPCRに加え、共焦点顕微鏡を用いることで、より迅速な診断と治療の開始が可能となり、予後の改善につながるものと思われる」とまとめている。Ophthalmology誌オンライン版2017年9月28日掲載の報告。 研究グループは、参照診断技術としてPCRを用い、アカントアメーバ角膜炎を診断するための共焦点顕微鏡診断基準を確定する後ろ向き症例対照研究を行った。 PCRでAK陽性患者50例(患者群)と、同AK陰性だが細菌性、真菌性、ウイルス性または免疫性角膜炎患者50例(対照群)を登録し、角膜炎急性期に共焦点顕微鏡を用いて観察を行ってデータを前向きに記録した後、後ろ向きに分析した。 主要評価項目は、AKを示唆する共焦点顕微鏡像で、多変量ロジスティック回帰分析にて顕微鏡像のタイプとPCRでのAK陽性との関連について評価した。 主な結果は以下のとおり。・次の4つの顕微鏡像が、PCRでのAK陽性と有意に関連した(p<0.05)。  輝点(円形あるいは卵形の二重壁のない高輝度物体、直径<30μm)  標的像(低反射ハローのある高輝度物体、直径<30μm)  高輝度物体クラスタ(直径<30μm)  栄養体像(直径>30μm)・特異度は、標的像と栄養体像が100%、高輝度物体クラスタは98.2%、輝点は48.2%であった。・AKの診断を、標的像、高輝度物体クラスタまたは栄養体像(3つの特徴のうちの1つ以上を認めた場合とする)で行った際の、共焦点顕微鏡の陽性適中率は87.5%、陰性適中率は58.5%であった。

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新インフルエンザ治療薬S-033188、第III相試験結果発表/IDWeek2017

 新たな作用機序キャップエンドヌクレアーゼ(CEN)阻害のインフルエンザ治療薬であるS-033188の第III相試験CAPSTONE-1の結果が、米国感染症学会週間Infectious Disease Week 2017(IDWeek2017)で発表された。 CAPSTONE-1試験は、多施設無作為化二重盲検プラセボ対照試験。対象は、年齢12〜64歳、発熱(腋窩温38.0℃以上)、一般症状と呼吸器症状(中程度〜重度)を有し、発症48時間以内の患者。20〜64歳の患者は、S-033188(経口単回投与)、プラセボ、オセルタミビル(75mg×2/日、5日間)の3群に、2:2:1で無作為に割り付けられた。12歳〜19歳の患者は、S-033188とプラセボの経口投単回与に2:1で無作為に割り付けられた。主要有効性評価項目は、インフルエンザ症状の罹病期間(TTAS)であった。鼻咽頭スワブによる投与前後のウイルス力価およびRNA含量も分析された。 主な結果は以下のとおり。・計1,436人の患者が無作為化された。・TTASはS-033188群53.7時間、プラセボ群80.2時間で、S-033188群で有意に短かった(p<0.0001)。・ウイルス排出期間中央値は、S-033188群24時間、オセルタミビル群72時間(p<0.0001)、プラセボ群96時間(p

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抗ジカウイルスDNAワクチン、ヒトで免疫応答/NEJM

 開発中の抗ジカウイルスDNAワクチン(GLS-5700)の、ヒト接種の安全性と免疫原性を検討した第I相非盲検臨床試験の速報結果が、NEJM誌オンライン版2017年10月4日号で発表された。米国・ペンシルベニア大学のPablo Tebas氏らが、米国とカナダの3施設で健康なボランティア成人40例(年齢中央値38歳)を集めて1mgまたは2mg接種について検討した結果、全例で安全に免疫応答を誘発したことを報告した。ジカウイルス(ZIKV)感染症に対する承認ワクチンは、現状ではない。今回の結果を受けて著者は、「さらなる試験を行い、ワクチンの有効性と長期的安全性を評価する必要がある」とまとめている。接種&エレクトロポレーションで免疫原性を高める 試験は2016年8~9月に、ペンシルベニア大学(フィラデルフィア)、QPS-Miami Research Associates(マイアミ)、ラヴァル大学(ケベック)で、健康なボランティアを集め、デング熱検査が陰性であった40例を登録して行った。 GLS-5700は、ZIKVのpremembrane and envelopeタンパク質をコードする合成DNAワクチンで、皮下注後に接種部位でエレクトロポレーション(ワクチンに封入されたDNAシーケンスを、パルス電界を利用して細胞に導入する方法)を行い、免疫原性を高める。 今回の第I相試験では、被験者を2群に分けて(各群20例)、GLS-5700を1mgまたは2mg皮下注投与し安全性と有効性を調べた。接種とエレクトロポレーションは、ベースライン、4週後、12週後に行った。3回投与の安全性と有効性を確認 被験者の年齢中央値は38歳(四分位範囲:30~54歳)、60%が女性で、人種は78%が白人、22%が黒人であった。また、被験者をヒスパニック系か否かで分類した場合、ヒスパニック系は30%であった。 14週の中間解析の時点(ワクチン3回接種後を含む)で、重篤な副反応の報告はなかった。ワクチン接種部位反応(注射部位の痛み、発赤、腫脹、かゆみなど)は、被験者の約50%で報告された。 ワクチン3回接種後、ELISA法にて、全被験者で結合抗体が検出された。幾何平均抗体価(GMT)は、1mg投与群1,642、2mg投与群2,871であった。中和抗体は、Vero細胞培養アッセイにて、62%で発現が認められた。神経細胞培養アッセイでは、70%の血清サンプルで、ZIKV感染を90%阻止したことが認められ、95%のサンプルでは50%の感染阻止が認められた。 IFNARノックアウトマウス(インターフェロンαおよびβ受容体をコードする遺伝子欠損モデル)を用いたワクチン接種後の評価では、致死量のZIKV-PR209株のチャレンジ試験において、103/112例(92%)で感染阻止が認められた。ベースライン接種後にチャレンジ試験を受けたマウスでは生存例はみられず、生存は中和抗体価と無関係であった。

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大脳型副腎白質ジストロフィー、遺伝子治療が有望/NEJM

 大脳型副腎白質ジストロフィー(Cerebral Adrenoleukodystrophy:CALD)に対し、Lenti-D遺伝子治療が同種造血幹細胞移植に代わる安全で有効な治療法となる可能性が示された。米国・ハーバード・メディカル・スクール/マサチューセッツ総合病院のFlorian Eichler氏らが、第II/III相単群非盲検臨床試験「STARBEAM試験」の中間解析結果を報告した。副腎白質ジストロフィー(ALD)はABCD1遺伝子変異によるX連鎖性遺伝性疾患で、CALDは脱髄と神経変性を特徴としている。これまでは同種造血幹細胞移植が、神経機能の喪失と死亡につながる疾患進行を食い止める唯一の方法であった。結果を踏まえて著者は、「さらなる追跡調査で、奏効期間や長期安全性を完全に評価することが必要である」とまとめている。NEJM誌オンライン版2017年10月4日号掲載の報告。CALD発症早期の17例において、24ヵ月後の生存と重度機能障害を評価 STARBEAM試験の対象は、17歳以下のCALD男児で、MRIでガドリウム造影効果を認めた発症早期の17例であった。患者から得たCD34+細胞に、elivaldogene tavalentivec(Lenti-D)レンチウイルスベクターを用いてABCD1遺伝子を導入し、自家移植を行った。 今回の中間解析では、移植片対宿主病(GVHD)の発症、死亡、主要機能障害、神経機能の変化、MRI上の病巣範囲の変化について評価した。主要エンドポイントは24ヵ月時の重度機能障害のない生存であった。Lenti-D遺伝子治療後、80%以上が生存 中間解析における追跡期間中央値は29.4ヵ月(範囲:21.6~42.0)であった。全例で移植後にマーカー遺伝子細胞が認められ、遺伝子の挿入部位解析において既知のがん遺伝子の優先的組み込みやクローン増殖は検出されなかった。また、全例でALDタンパクが確認された。治療関連死亡やGVHDの報告はなかった。 17例中15例(88%)が、わずかな臨床症状のみで重度機能障害はなく生存していた。1例は急速に神経機能が悪化し、疾患進行のため死亡した。別の1例は、MRI上で疾患進行が確認され、同種造血幹細胞移植を実施するために本試験から離脱し、後に移植関連合併症のため死亡した。 著者は今後の課題として、「長期的な追跡調査とより多くの症例数で、Lenti-Dレンチウイルスベクターを用いた遺伝子治療の遺伝毒性の低さ、臨床的有効性および安全性の裏付けをとる必要がある」との見解を述べている。

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流行性耳下腺炎アウトブレイク時のMMRワクチン追加接種の有効性(解説:小金丸博氏)-744

 流行性耳下腺炎(ムンプス)は、ワクチンで予防可能なウイルス疾患である。米国では麻疹・ムンプス・風疹混合ワクチン(MMRワクチン)の2回接種がワクチンプログラムに組み込まれており、ムンプス症例は2005年までに99%減少したが、近年も数千人規模のアウトブレイク事例が報告されている。ムンプスのアウトブレイクは、90%以上がきちんとワクチンの2回接種を済ましている大学生の間でも、たびたび報告されている。アウトブレイクを制御するための手段の1つにMMRワクチン3回目の追加接種が挙げられるが、この方法の有効性は明確になっていなかった。 本研究は、2015年アイオワ大学で発生したムンプスのアウトブレイク時にMMRワクチンの追加接種を呼びかけ、その有効性を検討した観察研究である。アウトブレイクは、98.1%の学生がMMRワクチンを2回以上接種していた集団で発生した。ムンプスの発生率は、3回目の追加接種を受けた群が、2回接種済みだが追加接種を受けなかった群と比べて、有意に低かった(1,000人当たり6.7例 vs.14.5例、p<0.001)。3回目のワクチンを追加接種することで、2回接種のみの群と比べて、接種後28日の時点で78.1%ムンプスのリスクが低下した。また、ワクチン2回接種群と未接種群を比較すると、2回目のワクチン接種から時間が経過しているほど、ワクチンの有効性が低下していることが示された。 本研究では、ムンプスのアウトブレイク時にMMRワクチン3回目の追加接種を行うことで、発生リスクを低下させうることが示された。とくに2回目のワクチン接種から13年以上経過している学生ではムンプスの発生リスクが高くなっており、アウトブレイク時に追加接種を検討する価値は高いと思われる。小児期に接種したワクチンの効果が減衰することがアウトブレイクの拡大に関与すると考えられるため、今後は10代前半で追加接種を行うようなプログラムが検討されるかもしれない。 ムンプスワクチンに関する日本の現状は、世界とはまったく異なる。世界ではMMRワクチンの2回接種が標準となっているが、日本においてはまだ任意接種であり、定期の予防接種の対象にもなっていない。当然、本論文で議論されている内容をそのまま日本に当てはめることはできない。日本の子供たちに世界標準のワクチンを公費で接種できる日が早く訪れることを強く望む。

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米国で経鼻弱毒生インフルエンザワクチンが非推奨へ変更された理由(解説:小金丸博氏)-739

 米国では2003年より、経鼻タイプの弱毒生インフルエンザワクチンが導入された。経鼻弱毒生ワクチンは一般的な不活化ワクチンと比べて予防効果が高いとされ、とくに小児領域で高い評価を受けてきた。日本でも2016年に承認申請が出され、国内での流通開始が待ち望まれていたワクチンだったが、米国予防接種諮問委員会(ACIP)は一転「2016-17年シーズンの弱毒生インフルエンザワクチンの接種を推奨しない」と勧告した。本論文を読むことで、経鼻弱毒生ワクチンが非推奨へ変わった理由を知ることができる。 本研究は、米国における2015-16年シーズンのインフルエンザワクチンの有効性をtest-negative designを用いて評価した症例対照研究である。急性呼吸器疾患で受診した生後6ヵ月以上の患者を対象とし、鼻咽頭スワブ検体のRT-PCR陽性をもって確定診断とした。その結果、あらゆるインフルエンザ疾患に対するインフルエンザワクチンの効果は48%(95%信頼区間:41~55、p<0.001)だった。2~17歳の小児における効果をワクチンのタイプ別にみてみると、不活化ワクチンの効果は60%だったが、弱毒生ワクチンは5%と効果を確認できなかった。とくに、インフルエンザA(H1N1)pdm09に対して弱毒生ワクチンは予防効果を示さなかった。 本試験で用いられたtest-negative designは、診断陰性例を対照(コントロール)としてワクチン効果を判定する方法である。毎年、各国から報告されるインフルエンザワクチンの効果判定の多くはtest-negative designを用いて行われており、世界的には広く浸透している手法である。 2013-14年シーズンから弱毒生インフルエンザワクチンの効果が落ちていることが報告されはじめた。その傾向が2014-15年シーズン、2015-16年シーズンと続き、米国では経鼻弱毒生インフルエンザワクチンが推奨から外れることにつながった。日本での導入にも少なからず影響が出ると思われる。これらのシーズンでは不活化ワクチンは有効性を示しており、ワクチン株と流行株が不一致だったわけではない。弱毒生ワクチンの効果が低くなってしまった理由として、ワクチン株の耐熱性やワクチンに含まれるウイルス間の干渉などが指摘されているが、明確な理由は判明しておらず、今後の原因究明を期待したい。

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HIV-1の初回治療レジメン、bictegravir vs.ドルテグラビル/Lancet

 未治療のHIV感染成人患者において、新規インテグラーゼ阻害薬(INSTI)のbictegravirとヌクレオチド逆転写酵素阻害薬(NRTI)エムトリシタビン(FTC)/テノホビル・アラフェナミド(TAF)の配合薬による48週時のHIV抑制効果は、ドルテグラビル+FTC/TAFに対して非劣性であることが確認された。どちらのレジメンも治療下で治験薬に対する耐性は確認されず、bictegravirレジメンはドルテグラビルレジメンより忍容性が良好であった。米国・ブリガム&ウィメンズ病院のPaul E. Sax氏らが、第III相多施設共同無作為化二重盲検非劣性比較試験(GS-US-380-1490)の結果を報告した。INSTIとNRTI 2剤の併用投与は、HIVの初回治療として推奨されているが、アドヒアランス向上のためには固定用量の配合薬が好まれている。Lancet誌オンライン版2017年8月31日号掲載の報告。未治療HIV感染成人患者約650例で有効性と安全性を比較 研究グループは、2015年11月11日~2016年7月15日に、オーストラリア、欧州、中南米、北米の10ヵ国126施設において、HIV-1 RNA≧500コピー/mLの未治療HIV感染成人患者(推定糸球体濾過量30mL/分以上、慢性B型肝炎またはC型肝炎ウイルスの重感染を含む)657例を、bictegravir(50mg)/FTC(200mg)/TAF(25mg)固定用量配合薬群(bictegravir群、327例)、またはドルテグラビル(50mg)+FTC(200mg)/TAF(25mg)配合薬併用療法群(ドルテグラビル群、330例)のいずれかに1対1の割合で無作為に割り付け、それぞれ1日1回144週間経口投与した。研究者、患者、試験スタッフおよび評価者は、割り付けに関して盲検化された。 主要エンドポイントは、48週時に血漿中HIV-1 RNAが50コピー/mL未満を達成した患者の割合(ウイルス学的著効率)で、事前に設定した非劣性マージンは-12%(米国FDAが定義したsnapshot アルゴリズム解析)。1回以上治験薬の投与を受けたすべての患者を、有効性および安全性の解析対象とした。bictegravir群とドルテグラビル群、どちらもウイルス学的著効率は約90% 有効性評価解析(bictegravir群320例、ドルテグラビル群325例)において、48週時のウイルス学的著効率は、bictegravir群89%、ドルテグラビル群93%(群間差:-3.5%、95.002%信頼区間[CI]:-7.9~1.0、p=0.12)で、bictegravir群のドルテグラビル群に対する非劣性が認められた。 治験薬に対する耐性は観察されなかった。有害事象の発現率および重症度は両群間で類似しており、有害事象により治療を中止した患者はほとんどいなかった(bictegravir群320例中5例[2%]、ドルテグラビル群325例中1例[<1%])。試験薬関連の有害事象の発現率は、bictegravir群がドルテグラビル群より少なかった(18% vs.26%、p=0.022)。

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HIV-1感染患者への初回治療、bictegravirレジメンが有用/Lancet

 未治療HIV-1感染患者に対する、新規の強力なインテグラーゼ阻害薬(INSTI)bictegravirを含むエムトリシタビンとテノホビル・アラフェナミドとの配合薬(B/F/TAF)の、48週後のウイルス学的著効率は92%で、ドルテグラビルとアバカビルおよびラミブジンの配合薬(DTG/ABC/3TC、商品名:トリーメク配合錠)に対する非劣性、および安全性、消化管系の忍容性が良好であることが示された。米国・Southwest CARE CenterのJoel Gallant氏らが、631例を対象に行った実薬対照無作為化非劣性試験の結果、明らかにし、Lancet誌オンライン版2017年8月31日号で発表した。結果を踏まえて著者は、「B/F/TAF投与は、事前のHLA-B*5701検査が不要で、HIVとB型肝炎の複合感染患者に対するガイドラインの推奨治療である。臨床における迅速または初回治療に向いたレジメンと思われる」とまとめている。48週の血漿HIV-1・RNA量50コピー/mL未満の割合を比較 研究グループは2015年11月13日~2016年7月14日にかけて、欧州、中南米、北米の122ヵ所の外来診療所を通じて、18歳以上のHIV-1感染患者631例を対象に試験を開始した。被験者は、HIV-1感染未治療(HIV-1・RNA量:500コピー/mL以上)、HLA-B*5701陰性、B型肝炎ウイルス陰性で、遺伝子型スクリーニングの結果、エムトリシタビン、テノホビル、ラミブジン、アバカビル感受性を示し、推定糸球体濾過量は50mL/分以上だった。 被験者を無作為に2群に分け、一方にはbictegravir 50mg、エムトリシタビン200mg、テノホビル・アラフェナミド25mgを(B/F/TAF群316例)、もう一方にはドルテグラビル50mg、アバカビル600mg、ラミブジン300mgの配合薬を(対照群315例)、それぞれ1日1回144週間にわたり投与した。 無作為化は、HIV-1・RNA量(10万以下、10万超~40万以下、40万超[単位:コピー/mL])、CD4数(50個未満、50~199個、200個以上[/μL])、試験地(米国内または外)で層別化。研究者、被験者、試験治療担当者、アウトカム評価者、データ収集者は、割り付けを知らされなかった。 主要エンドポイントは、48週時点における血漿HIV-1・RNA量50コピー/mL未満(米国FDAアルゴリズムによる定義)だった患者の割合。事前に規定した非劣性マージンは-12%だった。悪心発現率はB/F/TAF群でより低率 解析は、試験薬を1回以上服用したB/F/TAF群314/316例、対照群315/315例を対象に行われた。 48週時点で主要エンドポイントを達成した患者の割合は、B/F/TAF群92.4%(290/314例)に対し、対照群93.0%(293/315例)で、群間差は-0.6%(95.002%信頼区間[CI]:-4.8~3.6、p=0.78)と、B/F/TAF群の非劣性が示された。 試験治療下での治療抵抗性はいずれの群でも認められなかった。有害事象の発現率や重症度は両群で類似していたが、悪心の発現率について、B/F/TAF群(10%)が対照群(23%)に比べ有意に低率だった(p<0.0001)。 試験薬関連の有害事象もB/F/TAF群が少なかった(26% vs.40%)。群間の差は、薬剤関連の悪心の発現率の有意差に起因していた(5% vs.17%、p<0.0001)。

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ワクチンの安全性をどう伝えるか

 2017年8月23日、国立国際医療研究センターの国際感染症センター予防接種支援センターと、国際医療協力局グローバルヘルス政策研究センターは、国立国際医療研究センター病院内で「予防接種とコミュニケーション~メディアや専門家が伝えていること、いないこと~」をテーマに、講演とパネルディスカッションを開催した。ワクチンの正しい知識の底上げが大事 はじめに医療者の立場から氏家 無限氏(同センター予防接種支援センター)が、「定期の予防接種における一時中止・積極的勧奨の差し控え」と題して、講演を行った。 わが国では、国民の健康保持と予防接種被害の救済の目的のもと制定されている予防接種法に基づき、小児、成人への予防接種が行われている。また、万が一、健康被害が起こっても副反応報告制度とともに、予防接種健康被害救済制度などにより、被接種者の保護がなされている。 実際、1975年のDPT(三種混合)ワクチン、2000年のポリオワクチン(Lot.39)の一時中止、2005年の日本脳炎ワクチンの積極的勧奨差し控えを例に挙げ、いずれもその後に、安全性の確認されたワクチンなどが上市されても、社会的な影響は大きく長く続き、ワクチン未接種者を生む結果となったと問題を提起した。 そして今、HPV(ヒトパピローマウイルス)ワクチンが同じような状態になっていると指摘する。2013年の積極的勧奨差し控え以降(公費助成は継続)、それまで実施対象者の75.3%が接種していたワクチン実施率も、2014年には0.7%にまで落ち込んだという。 同ワクチンは、現在も厚生労働省の審議会で安全性の審議がされているが、「デメリットが強調されやすいワクチンの特性を理解したうえで、医療従事者やメディアが中心となって、全体の関心、知識、理解の底上げを行っていくことが重要であろう」と述べ、レクチャーを終えた。若者の健康を守ることは次代への投資 同じく医療者の立場から北村 邦夫氏(一般社団法人 日本家族計画協会 理事長)が、「女性の健康」と題して、レクチャーを行った。 最初に『世界人口白書(2003年)』からの引用として「思春期の若者の健康と権利への投資は次世代に大きな利益をもたらす」と若年者への健康配慮の重要性を説いた。具体的には10代での避妊や性感染症の検査・治療、とくにコストについて触れ、クリニックの利用などほぼ公費で無料である欧米各国と比べ、わが国には補助制度がなく、著しく遅れている現状を紹介。デリケートな内容だけに、親や社会が触れることに積極的ではないと指摘する。 また、HPVワクチンについて言及し、わが国では1年間に約1万人の女性に子宮頸がんが発症し、1年間に約3,000人の女性が本症で死亡し、20~30代女性で罹患率・死亡率ともに増加している中で、ワクチン非接種の女性が出産年齢を迎えている。早急にワクチンの有効性をエビデンス1-4)を基に説明し、ワクチン接種の必要性と重要性を啓発する必要があると提案する。「諸外国より遅れているワクチンギャプを一刻も早く解消することが若者を救う近道」と述べ、レクチャーを終えた。●参考文献1)Ozawa N, et al. Tohoku J Exp Med. 2016;240:147-151.2)Tanaka H, et al. J Obstet Gynaecol Res. 2017 Jul 14. [Epub ahead of print]3)Matsumoto K, et al. Int J Cancer. 2017;141:1704-1706.4)World Health Organaization. Weekly epidemiological record. 2017;92:393-404.メディアは科学的根拠に基づいた報道で世論形成を 続いて報道の立場から岩永 直子氏(BuzzFeeD JAPAN)が、「子宮頸がんワクチンの報道について」をテーマに、現在の報道の在り方と今後の方向性についてレクチャーを行った。 HPVワクチンは、2013年6月の「積極勧奨の中止」以降、医療者の間でも接種に消極的な医師が増え、事実上、わが国では接種がストップしてしまった。 これについてメディアは、接種が再開されないことに疑問を呈しながらも、副反応やネガティブな情報の両論併記をすることで、一般の受け手の不安を増大させたと、同氏は指摘する。また、ワクチンの専門家が、接種中止の弊害を発信しても、それが一般の受け手に届いていないという現実もあるという。今、世界中でHPVワクチンの科学的知見が蓄積されている。これらの客観的な価値判断をメディアは行い、伝える必要性があると指摘する。 具体的には、「行政、医学界、メディアが科学的な根拠を捻じ曲げた判断をせずに、最新の科学的根拠を、この三者が連携して絶えず発信することで、世論形成をするべきではないか」と提案し、レクチャーを終えた。求められる情報の受け手に配慮した情報発信 続いて、堀 成美氏(国際感染症センター 感染症対策専門職)が、情報を受ける側の立場から、メディアへの要望などを述べた。 HPVワクチンの報道では、メディアが不安をあおるようなものが多数見られた。その情報を得て、受け手が不安になりWebなどで検索することで、さらに不安を増大させる現象があったと指摘する。問題は、メディアが「続報」をきちんと伝えないことであり、一度流れた情報が修正されないまま、今日まで来ているという。また、医学系学会などの情報発信も一般の受け手を意識した発信を行っているかどうか(たとえば専門用語で難しい、読みやすさなど工夫がないなど)、受け入れ易い情報発信をしているかどうか検討する必要があると語った。各国各様のワクチン啓発事情 後半では、ブータン、マレーシア、オーストラリア、スコットランド(イギリス)、デンマーク、アイルランドからのパネリストも交え「報道、専門家は何を伝え、伝えていないか~海外のHPVワクチン事情を例に~」をテーマに、パネルディスカッションが行われた。 ブータン、マレーシア、オーストラリア、スコットランドでは、HPVワクチンの学校接種が行われ、印刷物、ラジオ、テレビなどを使用し、予防接種推奨のメッセージを発信し続けている。その成果もあり、ワクチンに否定的なメディアもあまり見られないという。 一方、デンマークでは、2015年に放映された副反応を取り上げたテレビ番組などにより、日本と同様の問題に直面している。また、アイルランドでも、副反応の刺激的な取り上げ方がメディアで行われたものの、厚生大臣が先頭に立ち、政府がエビデンスに基づいた情報を発信、ワクチン接種推奨の啓発活動を行っていると紹介した。 このほか、今後の情報発信ツールとして「FacebookなどのSNS」を通じて、「短いメッセージでさまざまなワクチンの有効性を発信する」、「同じ内容を繰り返し動画配信する」などさまざまな事例や建設的な提案がなされディスカッションを終えた。■参考厚生労働省 予防接種情報

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日本脳炎に気を付けろッ! その2【新興再興感染症に気を付けろッ!】

ケアネットをご覧の皆さま、こんにちは。国立国際医療研究センター 国際感染症センターの忽那です。本連載「新興再興感染症に気を付けろッ!」、通称「気を付けろッ」は「新興再興感染症の気を付け方」についてまったりと、そして時にまったりと、つまり一貫してまったりと学んでいくコーナーです。今回は日本脳炎の続きのお話をしたいと思います。前回、日本国内での日本脳炎症例は戦後年間5,000例超を数えていましたが、現在では年間10例未満ほどまで減少しているというお話をしました。もはや「制圧寸前」と言っても過言ではないッ!では、日本脳炎ウイルスは、日本国内から消えようとしているというのかッ!? 実はそうではありません…日本脳炎ウイルスは今もわれわれの周りに存在しているのですッ!日本脳炎患者の発症傾向は「西高東低」画像を拡大する図は、国立感染症研究所が行ったブタさんの日本脳炎ウイルス抗体を地域ごとに調べたものです。なぜブタの抗体を調べるのかといいますと、1つは前回お話したとおり、ブタが日本脳炎ウイルスのリザーバーだからです。そしてもう1つは、ブタさんは必ず1年以内に出荷されてしまうからですッ!(泣) つまり、その地域のブタの抗体陽性率は、リアルタイムにその地域における日本脳炎ウイルスの流行状況を反映していると言えるのですッ! そういう点を踏まえて図をもう一度見てみましょう。2015年9月時点で、北海道から東北地方にかけては抗体陽性率が0%になっています。これらの地域では日本脳炎ウイルスは、蔓延しているとは言えないでしょう。福島県あたりから抗体陽性率<50%の地域が出てきます。そして、関東から西日本にかけては、抗体陽性率が高い地域が多くなってきます。九州・四国では抗体陽性率が80%以上の地域も珍しくありません。実際にこのブタさんの抗体陽性率と一致して、ヒトでの感染例も西高東低の傾向にあります。昨年も長崎県対馬市で4例の日本脳炎症が報告されています。というわけで、ヒトへの日本脳炎の感染者数は減ってはいますが、日本脳炎ウイルス自体は、日本国内でまだまだ蔓延している状況がおわかりいただけましたでしょうか。急がれる「より早期のワクチン接種」では、なぜここまでヒトでの感染者数が減ったのかといいますと、やはり日本脳炎ワクチンの接種率向上によるものが大きいと考えられています。ワクチン、素晴らしいッ! 定期接種、最高ッ! それでは現在の日本脳炎ワクチンの定期接種スケジュールが最高のものなのかというと…異議ありッ! というのが私の意見です。2015年に千葉県で生後11ヵ月児の日本脳炎感染例が報告されました。生後11ヵ月児が日本脳炎に…ここに現在の日本脳炎ワクチンの定期接種スケジュールの落とし穴があるのです!現在の日本脳炎ワクチンの定期接種スケジュールは、次の表のとおりです。画像を拡大する上のように、3〜4歳から接種を開始することになっているのです。だから0歳児には罹患するリスクがあるというわけです。ほかにも過去10年くらいでは、熊本県で2006年に3歳児、高知県で2009年に1歳児、沖縄県で2011年に1歳児が日本脳炎に罹患したと報告されています。3歳になるまでにも日本脳炎に罹患することがあるのに、なぜ3歳から接種開始なのか…それは誰にもわからないのですッ!!(泣) 先日、ワクチンの専門家にこの話を伺ったところ、とくに3歳からである必然性はないとのことでした。実は定期接種1期として接種可能な時期は生後6~90ヵ月となっており、生後6ヵ月以上であればいつでも接種可能なのです。実際に、千葉県などでは日本脳炎ワクチンの定期接種スケジュールを前倒しにして、生後6ヵ月から接種を開始している都道府県もあります(素晴らしいッ!泣)。最近、日本小児科学会も日本脳炎患者が発生した地域やブタの日本脳炎抗体保有率が高い地域に居住する小児に対しては、生後6ヵ月からの日本脳炎ワクチンの接種を推奨しています。この動きが広がると良いなあと思っております。アジアからアフリカに渡った日本脳炎さて、最後に今年の日本脳炎のトピックをご紹介いたします。日本脳炎といえば前回お話したとおり、アジアで流行している感染症なのですが、なんと最近アフリカでも日本脳炎の症例が報告されました1)。アフリカで日本脳炎って…すごい世の中になったものです。昨年、アンゴラで黄熱がアウトブレイクしたことは本連載「黄熱に気を付けろッ その1」でもご紹介したとおりですが、そのときの黄熱の症例の中に日本脳炎との共感染の事例があったという報告が先日“The New England Journal of Medicine”に掲載されました。前回のその1でもお話したとおり、人は最終宿主ですから、人がアジアからアフリカまでウイルスを運んだわけではないでしょう。そうすると蚊か鳥かブタかということになりますが、蚊はそんなに距離を移動できませんし、ブタは紅の豚以外は飛べませんし、だとすると渡り鳥が運んだのでしょうか…非常に興味深い事例であります。これからはアフリカ帰国後の脳炎患者では、日本脳炎を鑑別に挙げる必要が…あるのでしょうかねえ…。さて、次回は日本でも罹患するかもしれない感染症「バベシア症」についてご紹介したいと思いますッ!1)Simon-Loriere E, et al. N Engl J Med. 2017;376:1483-1485.

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2017年度 総合内科専門医試験、直前対策ダイジェスト(後編)

【第1回】~【第6回】は こちら【第7回 消化器(消化管)】 全5問消化管領域で最も出題される可能性が高いのは、(1)相次ぐ新薬の上市、(2)胃がんガイドライン改訂に向けた動き、(3)消化器がんの化学療法、である。治療の進歩が著しい炎症性腸疾患、2016年にRome IV基準が発表された過敏性腸症候群と機能性胃腸症については、必ず押さえておきたい。例題(解答は本ページの最後に掲載しています)上部消化管疾患に関する記述のうち正しいものはどれか?1つ選べ(a)食道粘膜傷害の内視鏡的重症度と自覚症状の間には相関を認める(b)食道アカラシアは高い非同期性収縮を認めることが多い(c)食道静脈瘤出血時にバソプレシン、テルリプレシン、オクトレオチドは有効であるが、ソマトスタチンは無効である(d)好酸球性胃腸炎の診断基準の1つに、「腹水が存在し腹水中に多数の好酸球が存在している」がある(e)ボノプラザンは、ヘリコバクター・ピロリ菌除菌治療には保険適用となっていない例題の解説とその他の予想問題はこちらへ【第8回 消化器(肝胆膵)】 全5問肝臓の領域では、B型肝炎をはじめ、体質性黄疸、肝膿瘍、自己免疫性肝炎などのマイナー疾患からの出題も予想される。膵臓では嚢胞腫瘍、自己免疫性膵炎、膵がんの化学療法などがポイントとなる。例題(解答は本ページの最後に掲載しています)HBV感染に関する記述のうち正しいものはどれか?1つ選べ(a)B型慢性肝炎の治療対象は、HBe抗原の陽性・陰性にかかわらずALT 31U/L以上かつHBV DNA 2,000IU/mL以上である(b)本邦におけるB型肝硬変は、代償性/非代償性肝硬変にかかわらずIFN治療が第1選択となる(c)HBV持続感染者に対する抗ウイルス療法の長期目標は、ALT持続正常化・HBe抗原陰性かつHBe抗体陽性・HBV DNA増加抑制の3項目である(d)テノホビルの長期投与では、腎機能障害・高リン血症・骨密度低下に注意する必要があり、定期的に腎機能と血清リンの測定を行うことが推奨される(e)テノホビルアラフェミナド(TAF)はテノホビル(TFV)の新規プロドラッグであり、テノホビルジソプロキシル(TDF)に比べ少ない用量で同等の高い抗ウイルス効果を示すが、TDFと比較して腎機能障害および骨密度低下を来しやすいと報告されている例題の解説とその他の予想問題はこちらへ【第9回 血液】 全7問血液領域は、認定内科医試験では出題比率が低いものの、総合内科専門医試験では高い傾向がある。本試験の対策としては、個々の薬剤名とその適応をしっかり覚えることがポイントとなる。頻出テーマは、鉄過剰症、悪性リンパ腫の治療前感染症スクリーニング、特発性血小板減少性紫斑病など。例題(解答は本ページの最後に掲載しています)貧血に関する記述のうち正しいものはどれか?1つ選べ(a)鉄欠乏性貧血では、生体内鉄制御を担う血中ヘプシジン増加を認めることが報告されている(b)鉄欠乏性貧血の原因として、ヘリコバクター・ピロリ菌感染が関与している可能性が指摘されている(c)鉄欠乏性貧血の診断基準は(1)ヘモグロビン12g/dL未満(2)血清鉄30µg/dL未満(3)血清フェリチン12ng/mL未満である(d)温式自己免疫性溶血性貧血(温式AIHA)は、全例直接クームス試験陽性である(e)特発性温式AIHAの治療は、副腎皮質ステロイドを第1選択とするが、ステロイド無効の場合にはリツキシマブ(ヒト化抗CD20モノクローナル抗体)が保険適用となっている例題の解説とその他の予想問題はこちらへ【第10回 神経】 全5問神経領域では、総合内科専門医試験特有のテーマとして、抗NMDA受容体抗体脳炎、多発性硬化症と神経脊髄炎との違い、筋強直性ジストロフィーがある。この3つのテーマは、毎年複数題出題されているので、確実に押さえておきたい。例題(解答は本ページの最後に掲載しています)末梢神経障害に関する記述のうち正しいものはどれか?1つ選べ(a)膝蓋腱反射とアキレス腱反射の反射中枢は同じである(b)起床時に手首に力が入らず、垂れてしまう。これは睡眠中の尺骨神経麻痺が原因である(c)フローマンサイン陽性は、橈骨神経麻痺の診断に有用である(d)手根管症候群の診断に有用な所見として、ファレンテスト陽性・ティネル様サイン陽性がある(e)足を組んで寝ていたら、翌朝足首(足関節)と足の指(趾)が背屈できなくなり受診。診察所見で下垂足(drop foot)を認める。脛骨神経麻痺が原因である例題の解説とその他の予想問題はこちらへ【第11回 循環器】 全7問循環器領域では、心筋梗塞、心不全治療に加えて、心アミロイドーシス、心サルコイドーシス、大動脈炎症候群が、本試験における特徴的なテーマといえる。また、新しいデバイスが登場すると出題される傾向がある。今年要注意なのは、リードレスペースメーカー、最近適応拡大されたループレコーダーなど。例題(解答は本ページの最後に掲載しています)心不全について正しいものはどれか?1つ選べ(a)NYHA分類I度は「軽度の身体活動の制限があるが、安静時には無症状」の状態である(b)NYHA分類II度はAHA/ACC心不全ステージBに相当する(c)クリニカルシナリオ(CS)は急性心不全患者の入院早期管理に用いられる指標で、CS4は右心不全、CS5は急性冠症候群に分類されている(d)NT-proBNP(N末端プロ脳性ナトリウム利尿ペプチド)は心筋細胞内のproBNPがBNPに分解される際に産生され、心不全診断の基準値はBNPと同じ値である(e)日本循環器学会/日本心不全学会のステートメント(心不全症例におけるASV適正使用に関するステートメント第2報)に、中枢型有意の睡眠時無呼吸を伴い、安定状態にある左室収縮機能低下に基づく心不全患者に対しては、ASVの導入・継続は禁忌ではないが、慎重を期する必要があると記載されている例題の解説とその他の予想問題はこちらへ【第12回 総合内科/救急】 全3問総合内科/救急の領域で確実に出題されるのは「意識レベル」。JCSとGCSについては、どちらも確実に解答できるようにしておきたい。また、JMECCに関する問題と脳死判定基準も出題のヤマとなると思われる。例題(解答は本ページの最後に掲載しています)救急・脳死に関する記述のうち正しいものはどれか?1つ選べ(a)覚醒しているが、見当識障害を認めればJapan Coma Scale(JCS)は3とする(b)「痛み刺激で開眼・不適当な発語・指示には従えないが痛み刺激から逃避する」でGlasgow Coma Scale(GCS)は8点となる(c)病歴聴取で使用されるSAMPLE historyの「M」は「Meal(最終食事時間)」である(d)脳死判定基準の除外基準では、深昏睡および自発呼吸の消失が「低体温によるもの」「代謝/内分泌障害によるもの」とともに「急性薬物中毒によるもの」が含まれている(e)脳死判定基準の1つに「前庭反射の消失」があり、聴性脳幹誘発反応にて確認することとなっている例題の解説とその他の予想問題はこちらへ【第7回~第12回の解答】第7回:(d)、第8回:(a)、第9回:(b)、第10回:(d)、第11回:(e)、第12回:(d)【第1回】~【第6回】は こちら

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陰茎移植で自然な生理機能は回復するか/Lancet

 南アフリカ共和国の若い男性では、儀式として行われる包皮切除からの壊疽が、陰茎損失の主な原因になっているという。この文化的行為は社会に深く根ざしており、やめさせることは容易ではない。同国ステレンボッシュ大学のAndre van der Merwe氏らは、従来の遊離皮弁を用いた陰茎整形術は、社会経済的に課題がある集団には好ましくないが、陰茎を損失した若い男性の精神社会学的影響は甚大であり、同一臓器に置き換えることが最大の便益をもたらす可能性があるとして、同種陰茎移植を実施。24ヵ月間のフォローアップの結果を報告した。Lancet誌オンライン版2017年8月17日号掲載の報告。移植後24ヵ月追跡し、生活の質や勃起・排尿機能を評価 研究グループは、試行手技として初めに死体-死体の陰茎移植を行った。Human Research Ethics Committeeの承認を得た後、レシピエントを募り、陰茎断端長、移植に対する情動的な適合性など、身体的および精神的特性をスクリーニング。一方で、適切なドナー(36歳脳死男性)を獲得し、陰茎を採取した。 適切に選択したレシピエント(21歳男性)の陰茎断端を外科的に調整し、陰茎移植片を取り付けた。免疫抑制療法として、antithymyocyteグロブリン、メチルプレドニゾロン、タクロリムス、ミコフェノール酸モフェチル、prednisoneを用いた。また、1週間後にタダラフィル5mgの1日1回服用を陰茎リハビリテーションとして開始し、3ヵ月間継続した。 評価データとして、移植前とフォローアップ中に、生活の質スコア(Short Form 36第2版[SF-36v2]質問票)を収集。また移植後24ヵ月時点の勃起機能(International Index for Erectile Function[IIEF]スコア)と尿流率を測定した。移植後1ヵ月で退院、その1週間後に満足な性交を行ったと報告 切除後移植片の温阻血時間は4分、冷阻血時間は16時間であった。手術は9時間を要した。手術8時間後に、動脈血栓により緊急処置を必要とした。また、術後6日の時点で、感染性血腫と近位皮膚壊死に対して外科的処置が行われた。 その後、レシピエントは1ヵ月後に退院。その1週間後に、性交を行い(反対のアドバイスにもかかわらず)満足感を得たとの第一報を寄せた。さらに術後3ヵ月からは定期的な性交を行っていることを報告した。 7ヵ月時点で急性腎障害を発症したが、タクロリムス14mgの1日2回投与を減らすことで回復した。 さらに術後8ヵ月時点で、Alternaria alternataによるフェオフィホ真菌症に罹患したが、抗真菌薬の塗布で治療した。 生活の質スコアは、術後大きく改善した。SF-36v2メンタルヘルススコアは、術前25から、移植後6ヵ月時点57、24ヵ月時点で46であった。また身体的ヘルススコアは、ベースライン時37から、移植後6ヵ月時点60、24ヵ月時点59であった。 24ヵ月時点の最大尿流率は標準値を(16.3mL/秒、排尿量109mL)、IIEFスコアも標準値(全体的満足度スコアは最大10のうち8)を示し、排尿機能、勃起機能ともに正常であった。 これらを踏まえて著者は、「陰茎移植は、移植後24ヵ月に重大な合併症を有することなく、レシピエントに自然な生理機能回復をもたらした」と結論している。

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2017年度 総合内科専門医試験、直前対策ダイジェスト(前編)

【第7回】~【第12回】は こちら【第1回 呼吸器】 全7問呼吸器領域は、ここ数年で新薬の上市が続いており、それに伴う治療方針のアップデートが頻繁になっている。新薬の一般名や承認状況、作用機序、適応はしっかり確認しておきたい。例題(解答は本ページの最後に掲載しています)肺結核について正しいものはどれか?1つ選べ(a)IGRA(QFT-3G・T-SPOT)は、冷蔵保存して提出する(b)医療者の接触者健康診断において、IGRAによるベースライン値を持たない者には、初発患者の感染性期間における接触期間が2週間以内であれば、初発患者の診断直後のIGRAをベースラインとすることが可能である(c)デラマニドはリファンピシン(RFP)もしくはイソニアジド(INH)のどちらかに耐性のある結核菌感染に使用可能である(d)レボフロキサシンは、INHまたはRFPが利用できない患者の治療において、カナマイシンの次に選択すべき抗結核薬である(e)結核患者の薬剤感受性検査判明時の薬剤選択としてINHおよびRFPのいずれも使用できない場合で、感受性のある薬剤を3剤以上併用することができる場合の治療期間は、菌陰性化後24ヵ月間とされている(f)潜在性結核感染症(LTBI)の標準治療は、INH+ RFPの6ヵ月間または9ヵ月間である例題の解説とその他の予想問題はこちらへ【第2回 感染症】 全5問感染症領域では、耐性菌対策とグローバルスタンダード化された部分が出題される傾向がある。また、認定内科医試験に比べて、渡航感染症に関する問題が多いのも特徴である。例題(解答は本ページの最後に掲載しています)感染症法に関する記述のうち正しいものはどれか?1つ選べ(a)鳥インフルエンザはすべての遺伝子型が2類感染症に指定されている(b)レジオネラ症は4類感染症に指定されており、届出基準にLAMP法による遺伝子検出検査は含まれていない(c)重症熱性血小板減少症候群(SFTS)は4類感染症に指定されており、マダニを媒介とし、ヒト‐ヒト感染の報告はない(d)鳥インフルエンザ及び新型インフルエンザ等感染症を除くインフルエンザ感染症はすべて5類定点把握疾患である(e)カルバペネム耐性腸内細菌細菌感染症は5類全数把握疾患に指定されているが、保菌者については届出の必要はない例題の解説とその他の予想問題はこちらへ【第3回 膠原病/アレルギー】 全6問膠原病領域では、ほぼ毎年出題される疾患が決まっている。リウマチと全身性エリテマトーデス(SLE)のほか、IgG4関連疾患、多発性筋炎(PM)、皮膚筋炎(DM)についてもここ数年複数の出題が続いている。アレルギーでは、クインケ浮腫、舌下免疫療法、アスピリン喘息が要注意。例題(解答は本ページの最後に掲載しています)全身性エリテマトーデス(SLE)について正しいものはどれか?1つ選べ(a)疾患活動性評価には抗核抗体を用いる(b)神経精神SLE(NPSLE)は、血清抗リボゾームP抗体が診断に有用である(c)ヒドロキシクロロキンは、ヒドロキシクロロキン網膜症の報告があり、本邦ではSLEの治療として承認されていない(d)ベリムマブは本邦で承認されており、感染症リスクの少なさより、ステロイド併用時のステロイド減量効果が期待できる(e)ミコフェノール酸モフェチル(MMF)が、2016年5月にループス腎炎に対して承認になり、MMF単独投与によるループス腎炎治療が可能となった例題の解説とその他の予想問題はこちらへ【第4回 腎臓】 全5問腎臓領域では、ネフローゼ症候群はもちろん、急性腎障害、IgA腎症、多発性嚢胞腎についても、症状、診断基準、治療法をしっかり押さえておきたい。また、アルポート症候群と菲薄基底膜病も、出題される可能性が高い。例題(解答は本ページの最後に掲載しています)次の記述のうち正しいものはどれか?1つ選べ(a)血清または血漿シスタチンCを用いたGFR推算式は年齢・性差・筋肉量に影響を受けにくい(b)随時尿で蛋白定量500mg/dL、クレアチニン250mg/dL、最近数回での1日尿中クレアチニン排泄量1.5gの場合、この患者の実際の1日尿蛋白排泄量(g)は2g程度と考えられる(c)70歳、検尿で尿蛋白1+、血尿-、GFR 42mL/分/1.73m2(ただしGFRの急速な低下はなし)の慢性腎臓病(CKD)患者を認めた場合、腎臓専門医への紹介を積極的に考える(d)食塩摂取と尿路結石リスクの間に相関はないとされている(e)日本透析医学会による「慢性腎臓病患者における腎性貧血治療のガイドライン」2015年版によると、血液透析(HD)・腹膜透析(PD)・保存期CKD患者のいずれにおいても、複数回の検査でHb値10g/dL未満となった時点で腎性貧血治療を開始することが推奨されている例題の解説とその他の予想問題はこちらへ【第5回 内分泌】 全5問内分泌領域は、甲状腺疾患、クッシング症候群は必ず出題される。さらに認定内科医試験ではあまり出題されない先端巨大症、尿崩症もカバーしておく必要があり、診断のための検査と診断基準についてしっかりと押さえておきたい。例題(解答は本ページの最後に掲載しています)先端巨大症について正しいものはどれか?1つ選べ(a)重症度にかかわらず、「難病の患者に対する医療等に関する法律(難病法)」による医療費助成を受けることが可能である(b)診断基準に「血中GH値がブドウ糖75g経口投与で正常域まで抑制されない」という項目が含まれている(c)診断基準に「軟線撮影により9mm以上のアキレス腱肥厚を認める」という項目が含まれている(d)骨代謝合併症として、変形性関節症・手根管症候群・尿路結石・骨軟化症が挙げられる(e)パシレオチドパモ酸塩徐放性製剤は高血糖のリスクがあり、投与開始前と投与開始後3ヵ月までは1ヵ月に1回、血糖値を測定する必要がある  例題の解説とその他の予想問題はこちらへ【第6回 代謝】 全5問代謝領域では、糖尿病、肥満症、抗尿酸血症は必ず出題される。加えて骨粗鬆症とミトコンドリア病を含む、耐糖能障害を来す疾患が複数題出題される。とくに骨粗鬆症は、内科医にはなじみが薄いがよく出題される傾向があるので、しっかりとカバーしておこう。例題(解答は本ページの最後に掲載しています)肥満に関する記述のうち正しいものはどれか?1つ選べ(a)本邦における高度肥満は、BMI30以上の肥満者のことをいう(b)肥満関連腎臓病の腎組織病理像は膜性腎症像を示す(c)「肥満症診療ガイドライン2016」 において、減量目標として肥満症では現体重からの5~10%以上の減少、高度肥満症では10~20%以上の減少が掲げられている(d)PCSK9阻害薬であるエボロクマブの効能・効果に、「家族性高コレステロール血症、高コレステロール血症。ただし、心血管イベントの発現リスクが高く、HMG-CoA還元酵素阻害薬で効果不十分な場合に限る」と記載があり、処方にあたってはHMG-CoA還元酵素阻害薬との併用が必要である(e)低分子ミクロソームトリグリセリド転送たん白(MTP)阻害薬であるロミタピドメシルは、ヘテロ接合体家族性高コレステロール血症に適応がある例題の解説とその他の予想問題はこちらへ【第1回~第6回の解答】第1回:(b)、第2回:(e)、第3回:(b)、第4回:(a)、第5回:(b)、第6回:(d)【第7回】~【第12回】は こちら

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成人スティル病〔ASD: Adult Still's disease〕

1 疾患概要■ 概念・定義「難病の患者に対する医療等に関する法律」(いわゆる難病法)の制定によってわが国の難病制度は大きく変化し、指定難病数は法制化前の56疾患から平成29年4月1日には330疾患へと大幅に増加した。多くの疾患とともに成人スティル病(ASD)も新たに難病として指定された。診療レベルの向上を目指して、厚生労働科学研究費補助金 難治性疾患等政策研究事業における自己免疫疾患に関する調査研究班(代表;住田孝之 筑波大学教授)で、住田氏と筆者が責任者としてエビデンスに基づいた本症の診療ガイドラインを作成した。関連学会にも承認され、現在書籍化を急ピッチで進めている。主症状として「繰り返す高熱(1日中に39℃まで達するが、その後平熱に戻る;弛張熱)」、「関節炎」、「皮疹」を示す原因不明の疾患で、小児慢性炎症性疾患のスティル病(Still's disease;現在の全身型若年性特発性関節炎〔sJIA〕)に、その臨床所見が類似している成人症例を成人発症スティル病(Adult Onset Still's Disease;AOSD)と称する1)。リウマトイド因子陰性で、通常は副腎皮質ステロイドに反応するが、再発・再燃を来すことが多い。広義の自己炎症性疾患に属する。不明熱の代表的疾患で鑑別診断が重要である。上記のとおりに成人発症例をAOSDと呼び、sJIA(16歳以上)になったものも合わせて、「成人スティル病」(Adult Still's Disease;ASD)と定義する。■ 疫学2011年の厚生労働省研究班(研究代表者;住田 孝之)による全国疫学調査では、罹病者は4,760人と推定され、人口10万人当たり3.9人である2)。発症は若年に多いが、高齢発症者もあり、発症平均年齢は 46歳±19、男女比ではやや女性に多い。家族内発症はない。■ 病因病因・原因は不明であるが、ウイルス感染などを契機とした単球・マクロファージの活性化により炎症性サイトカイン(インターロイキン[IL]-1、IL-2、IL-6、IL-18、腫瘍壊死因子[TNF]-α、インターフェロン-γなど)が、持続的かつ過剰に産生・放出されることが本態であると考えられている。自己抗体や自己反応性T細胞は認めず、自己免疫疾患というより、自然免疫系の制御異常による自己炎症性疾患に属すると理解される。■ 症状1)自覚症状発熱は94%にみられ、午前中は平熱で夕方から夜にかけて上昇し、39℃以上まで達する弛張熱となることが多い。関節痛は80%以上の頻度で主に手指、手、膝関節の多発関節炎で骨びらんや骨性強直を認める場合もある。皮疹は60%以上に典型的皮疹(サーモンピンク疹;四肢や体幹の淡いピンク色の平坦な皮疹で、掻痒感はほとんどなく平熱時には消褪する)を認める。ほかに咽頭痛(60%程度)などがある2)。2)他覚症状リンパ節腫脹、肝脾腫などが認められる。20%程度に薬剤アレルギーがあることに注意する。■ 分類臨床経過から病型は、(1)単周期性全身型(30~40%)(2)多周期性全身型(30~40%)(3)慢性関節型(20~30%)の3つに分類される。全身型は高熱など全身症状が強いのが特徴で、そのうち単周期型は自然軽快する場合もある。一方、慢性関節型は末梢関節炎が持続し、関節リウマチのように関節破壊(主に骨性強直)を来す場合がある。■ 予後一般的に重篤な合併症がなければ、予後は比較的良好と考えられるが、合併症によっては予後不良の可能性がある。重篤な合併症には、マクロファージ活性化症候群/反応性血球貪食症候群があり、その頻度は12~14%で通常の膠原病に比して多い。その他、播種性血管内凝固(DIC)や肺障害(急性肺障害、間質性肺炎)、漿膜炎(胸膜炎、心膜炎)、心筋炎などがある。長期間の炎症反応高値持続症例では、アミロイドーシスも合併し得る。2 診断 (検査・鑑別診断も含む)診断は、国際的にも頻用されている山口らの成人スティル病分類基準3)による(表1)。表1 ASD診断基準●大項目1.39℃以上の発熱が1週間以上持続2.関節痛が2週間以上持続3.定型的皮疹4.80%以上の好中球増加を伴う白血球増加(10,000/mL以上)●小項目1.咽頭痛2.リンパ節腫脹または脾腫3.肝機能異常4.リウマトイド因子陰性および抗核抗体陰性●除外項目I.  感染(とくに敗血症、伝染性単核球症)II. 悪性腫瘍(とくに悪性リンパ腫)III.膠原病(とくに結節性多発動脈炎、悪性関節リウマチ)除外診断に当たらないことを確認したうえで、大項目2つを含む5項目以上でAOSDと診断する。近年は、これに血清フェリチン高値(正常値の5倍以上)を参考値として加える場合がある。検査所見では、白血球増多、血小板増多、CRP高値、赤沈亢進、肝酵素上昇、フェリチン著増が認められる。保険適用外であるが血清IL-18も著増となる。鑑別診断では、除外診断にも挙げられている、感染症、悪性腫瘍および他の膠原病が重要である4)。1)感染症細菌感染症(とくに敗血症や感染性心内膜炎)やウイルス感染(Epstein-Barr[EB]ウイルス、パルボB19ウイルス、サイトメガロウイルスなど)の鑑別が必要。鑑別のポイントは、ウイルスの血清学的検査、ASDにおけるフェリチン異常高値である。2)悪性腫瘍悪性リンパ腫(非ホジキンリンパ腫およびホジキンリンパ腫)、白血病が鑑別疾患として挙げられる。悪性疾患の可能性を否定できなければ、ガリウムシンチグラフィー、リンパ節生検、骨髄穿刺などのより高度・専門的な検査も必要となる。3)膠原病全身性エリテマトーデス(CRP陰性、抗核抗体陽性、低補体血症)、関節リウマチ(リウマトイド因子/抗CCP抗体陽性)、血管炎症候群、サルコイドーシス、キャッスルマン病やリウマチ性多発筋痛症などとの鑑別を要する。弛張熱、血清フェリチン著増、白血球高値、皮疹などが鑑別のポイントとなる。その他、自己炎症性疾患では家族歴が参考になる。3 治療 (治験中・研究中のものも含む)発症早期に寛解導入を目的として、主に副腎皮質ステロイド(CS)中等量(プレドニン換算で0.5mg/kg)以上を用いる。初期治療にて、解熱、炎症反応(CRP)陰性化、血清フェリチン値正常化がなければ、CSの増量(プレドニン換算で1mg/kgまで)、CSパルス療法、免疫抑制薬(メトトレキサート、シクロスポリン、タクロリムスなど)または生物学的抗リウマチ薬(トシリズマブ、TNF阻害薬など)の併用が一般的である。なお、海外も含めたエビデンスを基に作成した前記診療ガイドラインでは、表2のようにASD治療薬の推奨度を示している。CSは初期量にて反応があれば、通常の膠原病治療に準じて減量する。CSの減量困難時にも免疫抑制薬の併用が選択される。ただし、免疫抑制薬はASDには保険適用外である。CS不応、免疫抑制薬効果不十分例に関しては、生物学的抗リウマチ薬の使用を考慮する。IL-6刺激阻害薬(トシリズマブ;抗IL-6受容体抗体)の有効性が近年多数報告されている。とくに、sJIA(当初のスティル病)に対して保険適用もあり、セカンドライン治療薬として有効であるトシリズマブは、類似の病態があると想像されるAOSDに対しても有効な可能性がある。しかし、バイアスを排除したエビデンスレベルに基づく診療ガイドラインではIL-6刺激阻害薬はTNF阻害薬とともに弱い推奨度である。トシリズマブをはじめとした生物学的抗リウマチ薬は、ASDには保険適用外であることを理解し、安易な使用は避け、使用に際しては十分な対策が必要である。慢性関節型に対しては、経口抗リウマチ薬が有効である。画像を拡大する4 今後の展望生物学的抗リウマチ薬として、IL-6受容体抗体(TCZ)、およびIL-1受容体阻害薬(アナキンラ、カナキヌマブ)が有望視されていることから、今後保険適用を取得する可能性がある。また、海外では新規IL-1阻害薬やIL-18阻害薬が臨床研究段階にある。その他、自己炎症性疾患という見方をすれば、インフラマソームの制御異常が病態の中心に位置する可能性もあり、将来的にはインフラマソーム制御薬の応用も予想される。5 主たる診療科鑑別診断の複雑さや合併症発症時の重症度および治療難度から考えて、大学病院や総合病院の内科系リウマチ膠原病科に紹介されるべきである。※ 医療機関によって診療科目の区分は異なることがあります。6 参考になるサイト(公的助成情報、患者会情報など)診療、研究に関する情報難病情報センター 成人スチル病(一般利用者向けと医療従事者向けのまとまった情報)1)Bywaters EGL. Ann Rheu Dis.1971;30:121-133.2)Asanuma YF, et al. Mod Rheumatol. 2015;25:393-400.3)Yamaguchi M, et al. J Rheumatol.1992;19:424-430.4)Mahroum N, et al. J Autoimmunity.2014;2-3:48-49/34-37.公開履歴初回2015年6月23日更新2017年8月29日

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口腔がんになりやすい職業

 フィンランド・ヘルシンキ大学のLaura Tarvainen氏らが、舌・口腔(oral cavity)・咽頭がんにおける職業別リスクについて、飲酒・喫煙を調整し評価したところ、歯科医師などいくつかの職業で舌がんの相対リスクが高いことがわかった。著者らは、職業的な化学物質への曝露、飲酒や喫煙の増加、ヒトパピローマウイルス感染が関連する可能性を示唆している。Anticancer research誌2017年6月号に掲載。 著者らは、1961~2005 年における北欧諸国の1,490万人と、舌・口腔・咽頭がん2万8,623例のデータを調査。職業別の飲酒については肝硬変による死亡率と肝臓がん発症率に基づいて推定し、職業別の喫煙については肺がん発症率に基づいて推定した。 飲酒・喫煙について調整後、舌・口腔・咽頭がんの相対リスクが1.5を超えた職業は、歯科医師、芸術系職、美容師、ジャーナリスト、司厨、船員、ウエイターなどであった。

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