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日本脳炎に気を付けろッ! その1【新興再興感染症に気を付けろッ!】

ケアネットをご覧の皆さま、こんにちは。国立国際医療研究センター 国際感染症センターの忽那です。本連載「新興再興感染症に気を付けろッ!」、通称「気を付けろッ」は「新興再興感染症の気を付け方」についてまったりと、そして時にまったりと、つまり一貫してまったりと学んでいくコーナーです。今回は日本脳炎を取り上げたいと思います。「日本脳炎なんて昔の病気でしょうがよ。今さら取り上げる意味なんてないでしょうがよ」と思われた方…それは間違いですッ! 日本脳炎は再興感染症として今も日本、そして世界における脅威として我々の前に立ちはだかっているのですッ!「日本脳炎」とは何だ?なぜ「日本脳炎」は日本という名前が付いているのかッ? まさか日本だけで流行している感染症だと言うのかッ? いえ、そうではなく、これは最初にウイルスが分離されたのが日本だからです。1935年に、脳炎で亡くなった方から日本脳炎ウイルスが分離されています。そして、その後1950年代に日本国内における調査の結果、渡り鳥、コガタアカイエカ、ブタ、そして偶然宿主であるヒトという日本脳炎ウイルスの生活環が明らかとなったのですッ! まず、媒介蚊であるコガタアカイエカについてですが、特徴としては田舎の田んぼ、沼地、水たまりに産卵し、おもに夕方~夜間に刺咬する蚊です。都会に多く、日中に刺咬するヒトスジシマカ(デング熱、ジカウイルス感染症などを媒介)とはこの点で異なります。活動範囲(飛行距離)は、8km程度移動したという報告もありますが、おおむね2km前後とされています。図1は、私が「いらすとや」を駆使して作った「日本脳炎ウイルスの生活環」です。画像を拡大する日本脳炎ウイルスは、おもにブタや渉禽(ツル、サギなど)などの動物をリザーバーとしてサイクルしています。とくに豚舎などがある田舎では、ブタでウイルスが増幅されサイクルしており、人への感染リスクが高いのですッ! ブタ注意ッ! 人は偶然宿主かつ最終宿主であり、人から蚊を介して人に感染することはありません。ですので、デング熱などと異なり、患者が蚊に血を吸われることで流行が広がることはないというわけですね。日本脳炎の流行地域は日本だけではないッ!日本脳炎は日本で最初に分離されたウイルスですが、日本以外でも流行しています。それどころか、東南アジアや南アジアのほうが日本よりも断然多い感染者を出しているのです(図2)。画像を拡大するしたがって、これらの地域への渡航者のうち、長期間渡航する方、田園地帯にもいく予定の方、予定がまったく決まっていない方、などは日本脳炎ワクチンの接種が推奨されています。さて、日本での流行状況についてですが、近年は年間10例未満の報告に留まっております。第2次世界大戦後、日本国内では年間5,000例を超える症例が報告されていましたが、1954年からの日本脳炎ワクチン勧奨接種開始、1976年の平常時臨時接種、1989年の北京株導入などにより1990年代前半には報告数が年間10例未満にまで減っています。1994年には定期接種のワクチンにもなり、国内における日本脳炎対策は順調に進んでいました…しかしッ! 2005年、マウス脳由来の日本脳炎ワクチンとADEM(急性散在性脳脊髄炎)との因果関係が否定できないということで、積極的勧奨の差し控えの通知が出されました。「積極的勧奨の差し控え」と言われても何のことかよくわかりませんが、つまり「絶対打ったほうが良いってわけじゃありません」ということです。これでもわかりにくいですね。まあとにかく、これによって日本脳炎ワクチンの接種率は2005年以降、激下がりしています。当然、日本脳炎に対する免疫を持たない子供たちも増えたことになります。2010年には新しいVero細胞由来ワクチンによる積極的勧奨が再開され、接種率は改善しています。しかし、2005~10年までの間に本来接種すべきであった子供たちが接種できていないという問題があるため、この対策として厚生労働省は平成7年4月2日~平成19年4月1日生まれの人は、20歳未満までの間いつでもワクチン接種をキャッチアップできるという措置を取っています(詳細はこちらをご覧ください)。この「積極的勧奨の差し控え」によって、日本脳炎の症例が増加することが懸念されましたが、幸いなことに報告数の増加は見られず、現在も年間10例未満の報告数となっています。それでは日本脳炎ウイルスは国内からほとんど消えてしまっているのかッ? 日本の日本脳炎ワクチン接種スケジュールはこのままでいいのかッ!? そして、まさかのアフリカで日本脳炎ッ!?次回はその辺のことについてお話したいと思います。1)BUESCHER EL, et al. Am J Trop Med Hyg. 1959;8:719-722.

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腫瘍溶解ウイルス、ペムブロリズマブとの併用で医師主導治験へ

 オンコリスバイオファーマ株式会社(本社:東京都港区、代表取締役社長:浦田泰生)は2017年06月27日、国立がん研究センター東病院より腫瘍溶解ウイルス テロメライシン(OBP-301)と他の治療法との併用による効果検討に関する医師主導治験実施申請が、独立行政法人医薬品医療機器総合機構(PMDA)に提出された旨を発表した。 本試験では、進行性または転移性固形がん患者を対象とし、テロメライシンと抗PD-1抗体ペムブロリズマブを併用投与した際の安全性・忍容性などの評価検討を行う。今後は、PMDAによる治験申請受理後、試験実施施設である国立がん研究センター東病院において、投与開始に向けた準備が進められていく予定。本試験は、世界で初めての、テロメライシンと抗PD-1抗体併用の医師主導治験となる。 同社では、これまでの研究で、テロメライシンの腫瘍溶解作用がCTL活性(細胞傷害性T細胞活性)を誘導することによる腫瘍免疫増強効果を検討してきた。また、テロメライシンは、現在米国でメラノーマ第Ⅱ相臨床試験の一例目投与準備が進められているほか、台湾・韓国での肝細胞がん第Ⅰ/Ⅱ相試験では、単剤での最大投与量までの安全性が確認されている。国内では、日本初のテロメライシン企業治験となる放射線併用での食道がん第Ⅰ相臨床試験の一例目投与準備が進められている。■参考オンコリスバイオファーマ株式会社ニュースリリース

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2017年度認定内科医試験、直前対策ダイジェスト(後編)

【第1回】~【第6回】は こちら【第7回 消化器(消化管)】 全9問消化器は、最近ガイドライン改訂が続いているため、新たなガイドラインはチェックしておきたい。また潰瘍性大腸炎とクローン病については毎年出題されているので、両疾患の相違点を確認しておくことも重要である。例題(解答は本ページの最後に掲載しています)胃食道逆流症(GERD)について正しいものはどれか?1つ選べ(a)コレシストキニンは下部食道括約筋(LES)収縮作用を持つ(b)シェーグレン症候群の合併症に胃食道逆流症(GERD)がある(c)食道粘膜障害の内視鏡的重症度は、自覚症状の程度と相関する(d)非びらん性胃食道逆流症はびらん性胃食道逆流症と違い、肥満者に多いという特徴を持つ(e)除菌治療によるピロリ菌感染率低下により、今後、患者数は減少すると予想されている例題の解説とその他の予想問題はこちらへ【第8回 消化器(肝胆膵)】 全8問肝臓については、各々の肝炎ウイルスの特徴と肝細胞がんの新たな治療アルゴリズムを確認しておきたい。膵臓については、膵炎の新たなガイドラインについて出題される可能性があるので、一読の必要がある。例題(解答は本ページの最後に掲載しています)肝炎について正しいものはどれか?1つ選べ(a)急性肝炎でAST(GOT)>ALT(GPT)は、極期を過ぎて回復期に入ったことを示している(b)de novo B型肝炎は、HBV既往感染者(HBs抗原陰性・HBc抗体陽性・HBs抗体陽性)にステロイドや免疫抑制薬を使用した際にHBV再活性化により肝炎を発症した状態であり、通常のB型肝炎に比べて劇症化や死亡率は低い(c)HBVゲノタイプC感染に伴うB型急性肝炎では、肝炎が遷延もしくは慢性化する可能性がほかのゲノタイプよりも高い(d)B型急性肝炎とキャリアからの急性発症との鑑別にIgM-HBc抗体価が使用される(e)HBs抗原陽性血液に曝露した場合の対応として、 被曝露者がHBs抗原陰性かつHBs抗体陰性であれば十分な水洗いと曝露時のワクチン接種ならびに72時間以内のB型肝炎免疫グロブリン(HBIG)が推奨されている例題の解説とその他の予想問題はこちらへ【第9回 血液】 全7問血液領域については、何といっても白血病が設問の中心である。認定内科医試験では、治療よりも染色の特徴、検査データ、予防因子についてよく出題される傾向がある。このほか、貧血に関する出題も多いので、しっかりと押さえておきたい。例題(解答は本ページの最後に掲載しています)急性白血病について正しいものはどれか?1つ選べ(a)急性骨髄性白血病(AML)MO・M5b・M7では、MPO染色陰性であるため、注意する必要がある(b)急性前骨髄球性白血病(APL)では、白血病細胞中のアズール顆粒内の組織因子やアネキシンIIにより、播種性血管内凝固症候群(DIC)を高率に合併する(c)AMLのFAB分類M5では、特異的エステラーゼ染色・非特異的エステラーゼ染色とも陽性を示す(d)AMLの予後不良因子は、染色体核型がt(15:17)・t(8:21)・inv(16)である(e)ATRAを用いた治療中にレチノイン酸症候群または分化症候群を発症した場合、治療中断による白血病増悪を考え、ステロイド併用などを行いつつ治療を継続すべきである例題の解説とその他の予想問題はこちらへ【第10回 循環器】 全9問循環器領域については、弁膜症や心筋梗塞など主要疾患の診断確定に必要な身体所見と検査所見をしっかり押さえることが重要である。高血圧や感染性心内膜炎の問題は毎年出題されているので、フォローしておきたい。例題(解答は本ページの最後に掲載しています)弁膜症について正しいものはどれか?1つ選べ(a)僧帽弁狭窄症(MS)は、本邦では高齢化に伴い近年増加傾向である(b)僧帽弁狭窄症(MS)では、拡張期ランブルを聴診器ベル型で聴取する(c)僧帽弁狭窄症(MS)では、心音図でQ-I時間が短いほど、II-OS時間が長いほど重症と判定する(d)僧帽弁狭窄症(MS)の心臓超音波検査では、僧帽弁前尖の拡張期後退速度(DDR)の上昇を認める(e)僧帽弁逸脱症(MVP)は肥満体型の男性に多く認める例題の解説とその他の予想問題はこちらへ【第11回 神経】 全8問神経領域については、今年度も「脳卒中治療ガイドライン2015」と血栓溶解療法の適応に関する出題が予想される。各神経疾患における画像所見、とりわけスペクトとMIBGシンチグラフィは毎年出題されている。アトラス等でしっかりと確認しておきたい。例題(解答は本ページの最後に掲載しています)脳梗塞について正しいものはどれか?1つ選べ(a)心原性脳塞栓症は、階段状増悪の経過をとることが多い(b)一過性脳虚血発作(TIA)で一過性黒内障の症状を認めた場合、椎骨脳底動脈系の閉塞を疑う(c)TIAを疑う場合のABCD2スコアは、A:Age(年齢)、B:BP(血圧)、C:Consciousness level(意識障害の程度)、D:duration(持続時間)とdiabetes(糖尿病の病歴)の5項目をスコアリングし、合計したものである(d)CHADS2スコア1点の非弁膜症性心房細動(NVAF)患者の脳卒中発症予防には、ワルファリンによる抗凝固療法が勧められている(e)血栓溶解療法(アルテプラーゼ静注療法)は、血小板8万/mm3では適応外である例題の解説とその他の予想問題はこちらへ【第12回 総合内科/救急】 全5問総合内科/救急では、「心肺蘇生ガイドライン2015」や、JCS・GCSスコアリング、確率計算の出題が予想される。2016年12月に「日本版敗血症診療ガイドライン2016」が発表されたので、内容を押さえておきたい。例題(解答は本ページの最後に掲載しています)事前確率25%で感度60%・特異度80%の検査が陽性であった場合の正しい事後確率はどれか?1つ選べ(a)15%(b)20%(c)50%(d)60%(e)80%例題の解説とその他の予想問題はこちらへ【例題の解答】第7回:(b)、第8回:(d)、第9回:(b)、第10回:(b)、第11回:(e)、第12回:(c)【第1回】~【第6回】は こちら

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「抗微生物薬適正使用の手引き」完成

 2017年6月1日、厚生労働省健康局結核感染症課は、薬剤耐性(AMR)対策の一環として「抗微生物薬適正使用の手引き 第一版」(以下「手引き」)を発行した。 世界的に不適正な抗微生物薬使用による薬剤耐性菌の脅威が叫ばれている中で、わが国でも適正な感染症診療に関わる指針を明確にすることで、抗微生物薬の適正使用を推進していくことを目指している。 今回の「手引き」の作成で、抗微生物薬適正使用(AMS)等に関する作業部会委員の座長として取りまとめを行った大曲 貴夫氏(国立国際医療研究センター病院 国際感染症センター長)に、作成の経緯や「手引き」のポイント、今後の展望について聞いた。極端に使用量が多い3種類の抗微生物薬 「手引き」作成までの経緯について簡単に述べると、まず、現在使用されている抗微生物薬に対して微生物が耐性を持ってしまい、治療ができなくなる状況がやってくる危険性への懸念があります。そのため2016年4月に「薬剤耐性(AMR)対策アクションプラン」が決められ、議論が重ねられました。抗微生物薬を使う感染症診療の場で、あまり適切な使用が行われていないところがあるかもしれず、必要以上の抗微生物薬が使われていることが薬剤耐性を増悪させているかもしれない。では、抗微生物薬を適正に使用する「手引き」を作ろうとなったのが、作成の出発点です。 そして、このような形の「手引き」になった理由として、次の3点があります。1)日本の抗微生物薬の使用量自体は多くないものの、広範囲に有効であるセファロスポリン、マクロライド、キノロンの使用割合が諸外国と比べて極めて高いこと。2)内服か静注かの内訳調査では、大部分が内服剤であること(外来での多用が示唆される)。3)その外来でよく診療される感染症を考えた場合、頻度の高い急性気道感染症や腸炎、尿路感染症(今回の手引きでは割愛)などが挙げられ、その中でも、適切な見分けをしていけば抗微生物薬を使わずに済むケースも多く、かつ、診療もある程度の型が決まっているものとして、急性気道感染症と急性下痢症に絞られること。 以上を踏まえ、抗微生物薬の適正使用を総論として構成し、今回の「手引き」を作成しました。 「手引き」を熟読し診療に生かしていただきたいところですが、情報量も多いので、ゆくゆくはこの「手引き」を要約してポケットサイズのカードを作成し、いつでも臨床の現場で活用できるようにしたいと考えています。 また、一般臨床に携わる医師、医療従事者はもちろん、医学教育の場、保健衛生の場、一般の方々への啓発の場でも活用してもらい、抗微生物薬の適正使用への理解を深めていければと思います。「風邪」は単なる風邪ではないことへの理解 「手引き」の中でとくに読んでいただきたい所は、「本手引きで扱う急性気道感染症の概念と区分」(p.8)という、概念を理解するために作られた図です。 今回「急性気道感染症」をターゲット疾患としたのは、いわゆるウイルス性の感冒と急性鼻副鼻腔炎、急性咽頭炎、急性気管支炎に分けられることを知ってもらう狙いがあります。「『風邪』は風邪ではない」と理解することが大切で、きちんと診察し、必要な検査をすれば、これらをえり分けられます。それにより抗微生物薬が必要かどうかのマネジメントが異なってきます。ただ、患者さんが「風邪」を主訴に来院したとき、風邪以外の怖い病態(急性心筋炎など)も隠れているのが「風邪」だということを認識するのも同じく大事です。2020年に全体の抗微生物薬使用量を33%減 最後に展望として、AMR対策という観点からさまざまな広域抗菌薬の使用が抑えられて、2020年までにセファロスポリン、マクロライド、キノロンの使用量を半減させ、全体の使用量も33%減少させるという大きな目標があります。 ただ個人的には、少なくとも「手引き」の内容が浸透することで、これまで「風邪」と診断され、漠然と片付けられていた患者さんに正確で適切な診断がなされ、見逃してはいけない重大なリスクのある患者さんが早く拾い上げられて、個々の患者さんの健康に貢献すること、結果的には医療全体のレベルが上がることを最も期待しています。 今後もっと対象疾患を広げるかどうかなど、臨床現場の声や患者さんの声を取り入れて議論され、改訂の機会もあると思います。しかし、今回の「手引き」で示した基本的な考え方は、この5年や10年単位では変わらないものと考えています。 「手引き」で取り上げた疾患は、広い意味での「風邪」と「急性胃腸炎」ですが、この領域だけでも実臨床における、原則的な診療を示すことができたと思います。これらの実践により、診療は必ず良いものとなるだけでなく、診療者である医師の自信にもつながると考えます。 どうか「手引き」を活用していただきたいと思います。

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湿疹性紅皮症

【皮膚疾患】湿疹性紅皮症◆病状全身の皮膚が赤くなり、激しい痒み、リンパ節の腫れ、皮膚がフケのように落ちるなどの症状がみられ、時に発熱、脱水、体温調節ができなくなることもあります。◆原因アトピー性皮膚炎など湿疹が悪化して生じることが多い疾患ですが、ウイルス感染、膠原病、血液の腫瘍などからも起きます。免疫力の低下、肝・腎臓などの機能低下、あやまった治療や放置により紅皮症へ進みます。◆治療と予防・ステロイド外用薬が治療の基本ですが、重症の場合はステロイドや免疫抑制剤の内服、点滴などを行います。入院が必要となる場合もあります。・紅皮症に至る前に、きちんと皮膚疾患の治療をする必要があります。監修:浅井皮膚科クリニック 院長Copyright © 2017 CareNet,Inc. All rights reserved.浅井 俊弥氏

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2017年度認定内科医試験、直前対策ダイジェスト(前編)

【第1回 膠原病/アレルギー】 全13問膠原病/アレルギー領域は、アップデートが頻繁な分野でキャッチアップしていくのが大変だが、それだけに基本的なところで確実に得点することが重要となってくる。例題(解答は本ページの最後に掲載しています)これらの疾患とCoombsとGell分類の組み合わせで正しいものはどれか?1つ選べ(a)血清病 ― I型(b)クリオグロブリン血症 ― II型(c)特発性血小板減少性紫斑病 ― III型(d)アレルギー性接触皮膚炎 ― IV型(e)過敏性肺臓炎 ― I+IV型例題の解説とその他の予想問題はこちらへ【第2回 感染症】 全9問感染症領域については、時事問題や感染対策、予防に関する問題がよく出題される傾向がある。代表的な感染症に加え、新興・再興感染症の感染対策についてもしっかり押さえておきたい。例題(解答は本ページの最後に掲載しています)感染症について正しいものは次のうちどれか?1つ選べ(a)中東呼吸器症候群(MERS)は2類感染症であり、致死率は50%を超えるとされている(b)重症熱性血小板減少症候群(SFTS)は4類感染症に指定されており、マダニを媒介としヒト-ヒト感染の報告はない(c)デング熱は4類感染症に指定されており、前回と異なる血清型のデングウイルスに感染した場合、交差免疫により不顕性感染となることが多いと報告されている(d)ジカ熱は4類感染症に指定されており、デングウイルス同様ネッタイシマカやヒトスジシマカを媒介とし、ギラン・バレー症候群のリスクとなる(e)カルバぺネム耐性腸内細菌細菌は5類全数把握疾患に指定されており、保菌者も届出が必要とされる例題の解説とその他の予想問題はこちらへ【第3回 呼吸器】 全10問呼吸器の分野については、レントゲンやCTなどの画像から診断を回答させる問題が増えている。アトラス等で疾患別の画像所見をしっかりと確認しておきたい。例題(解答は本ページの最後に掲載しています)次の記載で正しいものはどれか?1つ選べ(a)成人の急性上気道炎の原因として最も多いものはRSウイルスである(b)Centor criteriaは次の通りである1)38℃以上の発熱、2)基礎疾患なし、3)圧痛を伴う前頸部リンパ節腫脹、4)白苔を伴う扁桃腫脹で行う溶連菌感染スコアリング(c)Ludwig’s anginaは菌血症による感染性血栓性頸静脈炎のことである(d)レミエール症候群は、Fusobacterium necrophorumなど嫌気性菌によるものが多い(e)初診外来で白苔を認める急性化膿性扁桃腺炎患者にアモキシシリンで治療した例題の解説とその他の予想問題はこちらへ【第4回 腎臓】 全7問腎臓領域については、ネフローゼ症候群に関する出題が多く、細部まで問われる傾向がある。とくにネフローゼ症候群に関してはしっかりと押さえておきたいところである。例題(解答は本ページの最後に掲載しています)急性腎不全(ARF)と急性腎障害(AKI)について正しいものはどれか?1つ選べ(a)「急性腎障害のためのKDIGO診療ガイドライン」ではAKIの定義として、24時間以内に血清Cr値が0.3mg/dL以上上昇、尿量<0.5mL/kg/時の状態が12時間以上持続する、という項目がある(b)FENa(Na排泄率)2.0%は腎前性腎不全を考える(c)急性尿細管壊死では、多尿が1~2週間持続し、尿中Naは20mEq/L以下であることが多い(d)急性尿細管壊死は消化管出血を合併することが多く、貧血になりやすい(e)尿中好酸球は、薬剤性急性尿細管間質性腎炎で検出され、その診断に有用なバイオマーカーである例題の解説とその他の予想問題はこちらへ【第5回 内分泌】 全10問内分泌領域については、診断のための検査についての出題が多い。とくに甲状腺と副腎について問われることが多く、知識の整理が必要である。例題(解答は本ページの最後に掲載しています)グレーブス病(バセドウ病)について正しいものはどれか?1つ選べ(a)バセドウ病に認めるMerseburg3徴は、甲状腺腫・眼球突出・限局性粘液水腫である(b)アミオダロン、インターフェロン製剤は、誘発因子として報告されている(c)甲状腺眼症を合併している患者の治療の第1選択は131I内用療法である(d)抗甲状腺薬にはチアマゾール(MMI)とプロピルチオウラシル(PTU)があり、妊娠・授乳中の患者はMMIの使用が推奨されている(e)131I内用療法の効果は早く、開始後1週間以内に治療効果を認める例題の解説とその他の予想問題はこちらへ【第6回 代謝】 全10問代謝領域については、治療薬について細部まで聞かれる傾向がある。メタボリックシンドロームとアディポカインは毎年出題されるので、しっかり押さえておきたい。例題(解答は本ページの最後に掲載しています)1型糖尿病について正しいものはどれか?1つ選べ(a)家族歴は2型糖尿病より1型糖尿病に多く認める(b)1型糖尿病の死因で最多は感染症によるものである(c)緩徐進行1型糖尿病は、できるかぎり経口糖尿病薬で治療を行い、インスリン導入を遅らせるべきである(d)劇症1型糖尿病は、膵島関連自己抗体陽性の小児に発症することが多い(e)劇症1型糖尿病は、血中膵外分泌酵素(アミラーゼ、リパーゼなど)の上昇を認めることが多い例題の解説とその他の予想問題はこちらへ【例題の解答】第1回:(d)、第2回:(d)、第3回:(d)、第4回:(d)、第5回:(b)、第6回:(e)

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地域ベースの健診・治療介入がHIVを抑制/JAMA

 国連合同エイズ計画(UNAIDS)が東アフリカで実施した、地域ベースの健診・治療介入について、目標としていたHIV陽性者の診断率90%、HIV陽性診断者への抗ウイルス薬治療(ART)の実施率90%、集団ベースのHIVのウイルス抑制達成73%を、プログラム開始2年以内で達成したと、米国・カリフォルニア大学のMaya Petersen氏らが報告した。JAMA誌2017年6月6日号掲載の報告。地域での健診・治療介入を2年実施 今回の報告は、ケニア6ヵ所、ウガンダ10ヵ所の農村部(計16ヵ所)で行われた集団無作為化試験SEARCH Study(現在も継続中)の中間解析の結果である。試験は15歳以上の地域住民(7万7,774例)を2年(2013~14年、2015~16年)追跡して行われた。 HIV血清および血漿HIV RNAを毎年、さまざまな疾患に関連した健康キャンペーン時に計測、キャンペーンへの非参加者については居宅ベースの健診でフォローした。そしてすべてのHIV陽性者にARTを提供した。その際に構造的な障壁を減じるにあたって、患者と医師の関係性を改善し、HIVに関する知識と向き合う気持ちを強化、具体的には、(1)臨床的に安定した患者については3ヵ月間のフォローアップスケジュールを用意、(2)柔軟な時間と歓迎ムードの創出、(3)臨床医の電話番号提供などを含む、円滑なモデルを用意して行った。 主要アウトカムは、全HIV陽性者におけるウイルス抑制(血漿HIV RNA<500コピー/mL)で、ベースライン時、1年時、2年時に評価した。副次アウトカムは、HIV診断率、陽性診断者へのART実施率、ART導入者におけるウイルス抑制率などであった。地域のウイルス抑制率、2年で35.5ポイント上昇し80.2%に 住民7万7,774例(男性45.3%、15~24歳35.1%)において、ベースラインでのHIV有病率は10.3%(7,108/6万9,283例)であった。 主要アウトカムのHIV陽性者におけるウイルス抑制率は、ベースライン時44.7%(95%信頼区間[CI]:43.5~45.9、3,464/7,745例)であったが、介入2年時点では80.2%(同79.1~81.2、5,666/7,068例)と35.5ポイント(95%CI:34.4~36.6)上昇した。 また、2年時点で、HIV陽性者の95.9%(95%CI:95.3~96.5、6,780/7,068例)が診断済みとなり、そのうち93.4%(同:92.8~94.0、6,334/6,780例)がARTを受け、さらにそのうち89.5%(同:88.6~90.3、5,666/6,334例)でHIVのウイルス抑制の達成が認められた。

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伝染性膿痂疹(とびひ)

【皮膚疾患】伝染性膿痂疹(とびひ)◆病状体のあちこちに紅斑、痂皮(かさぶた)、水ぶくれなどが出て、周囲や遠くの部位に次々と拡大する皮膚疾患です。◆原因皮膚表面への細菌感染が原因で、水ぶくれをつくる黄色ブドウ球菌、かさぶたをつくる溶血性レンサ球菌とに分かれます。ほとんどが前者の方です。小児に多く発症します。湿疹や虫刺され、けがなどから始まることがあります。◆治療と予防・抗菌薬の内服と外用薬で治療します。搔きこわして広がっていくことが多いので、ステロイド外用薬を併用することもあります。・抗菌薬の効果をみるため、2~3日後にあらためて診察をします。・多くの薬剤に耐性をもつMRSAなどの菌がついていると治りにくいです。・皮膚を清潔にする、湿疹をきちんと治す、爪を短く切っておく、手をよく洗うなどして予防しましょう。監修:浅井皮膚科クリニック 院長Copyright © 2017 CareNet,Inc. All rights reserved.浅井 俊弥氏

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体部白癬

【皮膚疾患】体部白癬◆症状胴体や手足に生じる境界鮮明な丸い紅斑で、水ぶくれを伴うことがあります。かゆみが強く、足白癬や爪白癬も併発していることが多いです。◆原因白癬菌による感染で起きます。ステロイド外用薬の誤用で悪化していることもあり、注意が必要です。◆治療と予防・抗真菌薬の外用薬で治療します。・ぺットから感染することもありますので、ペットの皮膚の状態にも目を配り予防しましょう。●一言アドバイス足爪白癬もある場合、再発する傾向が強いので、全部が治るまで治療を中断しないようにしましょう。監修:ふくろ皮膚科クリニック 院長Copyright © 2017 CareNet,Inc. All rights reserved.袋 秀平氏

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DAAレジメン無効のHCVに3剤合剤が効果/NEJM

 C型肝炎ウイルス(HCV)慢性感染患者で、直接作用型抗ウイルス薬(DAA)を含むレジメンで治療を行っても持続的ウイルス学的著効(SVR)が得られない患者に対し、ヌクレオチドポリメラーゼ阻害薬ソホスブビル+NS5A阻害薬velpatasvir+プロテアーゼ阻害薬voxilaprevirの配合剤を12週間投与することで、9割超のSVRが達成できることが示された。フランス・セントジョセフ病院のMarc Bourliere氏らが、2件の第III相無作為化比較試験を行って明らかにしたもので、NEJM誌2017年6月1日号で発表した。現状では、DAAを含む治療でSVRが達成できない場合には、次の治療選択肢は限られているという。「POLARIS-1」と「POLARIS-4」の2試験で評価 研究グループは2015年11月~2016年5月にかけて、DAAを含むレジメン治療歴のある患者を対象に、2件の第III相試験「POLARIS-1」と「POLARIS-4」を行った。 「POLARIS-1」試験では、HCV遺伝型1型に感染しNS5A阻害薬を含むレジメンの治療歴がある患者を無作為に2群に分け、一方にはソホスブビル+velpatasvir+voxilaprevirの配合錠を(150例)、もう一方にはプラセボを(150例)、それぞれ1日1回12週間投与した。また、その他のHCV遺伝型の患者については、ソホスブビル+velpatasvir+voxilaprevirの配合錠を投与した(114例)。 「POLARIS-4」試験では、HCV遺伝型1型、2型、3型に感染しNS5A阻害薬を含まないDAAレジメンで治療歴のある患者を無作為に2群に分け、ソホスブビル+velpatasvir+voxilaprevirの配合錠(163例)、またはソホスブビル+velpatasvirの配合錠を(151例)、それぞれ12週間投与した。また、HCV遺伝型4型の患者については、ソホスブビル+velpatasvir+voxilaprevirの配合錠を投与した(19例)。 主要エンドポイントは、治療終了12週時点のSVR率とした。ソホスブビル+velpatasvir+voxilaprevirでSVR率は96~98% 被験者のうち、実薬を投与した3群では、その46%が代償性肝硬変だった。 POLARIS-1試験では、SVR率はプラセボ群で0%だったのに対し、ソホスブビル+velpatasvir+voxilaprevirの3剤合剤群では96%(95%信頼区間[CI]:93~98)と、事前に規定した効果目標の85%に比べ、有意に高かった(p<0.001)。 POLARIS-4試験ではまた、ソホスブビル+velpatasvirの2剤合剤群のSVR率は90%だったのに対し、ソホスブビル+velpatasvir+voxilaprevirの3剤合剤群では98%(95%CI:95~99)と、同じく効果目標の85%に比べ有意に高率だった(p<0.001)。 発生頻度の高かった有害事象は、頭痛、疲労、下痢、悪心などだった。実薬を投与した群で、有害事象により治療を中断した人の割合は1%以下だった。

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足白癬

【皮膚疾患】足白癬◆症状次の3タイプに大きく分かれますが、複数のタイプが混在することもあります。また、かゆみがないこともあります。趾間型:足の趾の間の浸軟やびらん、紅斑、水ぶくれ小水疱型:足底~足趾の水ぶくれと細かい皮むけ角質増殖型:足底の角質の増殖と皮膚の落屑◆原因白癬菌による感染で起きます。診療では検査で菌の存在を証明してから治療するのが望ましいです。◆治療と予防・抗真菌薬の外用薬で治療します。角質増殖型では内服薬で治療することもあります。・中途半端な治療では再発するので、徹底的に治療する必要があります。家庭内での感染に注意しましょう。監修:ふくろ皮膚科クリニック 院長Copyright © 2017 CareNet,Inc. All rights reserved.袋 秀平氏

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未就学児への不適切な抗菌薬処方、小児科以外で多い

 未就学児の上気道感染症(URI)への抗菌薬処方に関する、全国の診療報酬請求データベースを用いた京都大学の吉田 都美氏らの後ろ向き研究から、非細菌性URIへの不適切な抗菌薬処方が、年齢の上昇、男児、施設の特性、小児科以外の診療科、時間外診療に関連することがわかった。Journal of public health誌オンライン版2017年4月27日号に掲載。 著者らは、わが国における2005年1月~2014年9月の診療報酬請求データベースから、外来での抗菌薬処方を特定し、各被験者の出生時から6歳までの処方パターンを調べた。また、ロジスティック回帰分析により、不適切な抗菌薬処方に関連する因子のオッズ比(OR)および95%信頼区間(CI)を推定した。 主な結果は以下のとおり。・データベースにおいて小児が15万5,556人、うち男児が51.6%、女児が48.4%であった。・コホートの66.4%に抗菌薬が処方されており、第3世代セファロスポリンが最も多く(38.3%)、次いでマクロライド系(25.8%)、ペニシリン系(16.0%)であった。・非細菌性URIへの抗菌薬処方は、男児(OR:1.06、95%CI:1.05~1.07)、施設規模、小児科以外の診療科(OR:2.11、95%CI:2.08~2.14)、時間外診療(OR:1.64、95%CI:1.61~1.68)と関連していた。

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下気道感染症の抗菌薬処方戦略/BMJ

 合併症のない下気道感染症の若年および成人患者において、抗菌薬を即時処方してもその後の入院または死亡は減少しない。もともと、このような入院や死亡はまれである。英国・サウサンプトン大学のPaul Little氏らが、異なる抗菌薬処方戦略による有害転帰への影響を評価する前向きコホート研究(Cough Complication Cohort:3C)の結果を報告した。英国のGeneral Practice Research Database(GPRD)を用いた2つの試験では、抗菌薬の処方により肺炎リスクが減少する可能性が示唆されている。しかし、どちらの試験も、入院や死亡といった有害転帰への影響は記録されておらず、交絡因子も調整されていなかった。著者は、「医師が抗菌薬の処方を検討しているなら、病状悪化による再診の減少が認められた延期処方のほうが望ましい」と結論づけている。BMJ誌2017年5月22日号掲載の報告。抗菌薬処方戦略別に再診、入院/死亡を追跡調査 研究グループは、英国の一般診療クリニックを受診した16歳以上の下気道感染症患者2万8,883例を登録し、初回診察時に患者の症状や所見、抗菌薬処方戦略(処方なし、即時処方、延期処方)について記録した。初回診察時にX線検査で肺炎と診断された患者や、当日入院した患者、他の原因による急性の咳嗽、免疫不全患者などは除外した。 主要評価項目は、初回診察後30日以内の下気道感染症症状による再診、入院、死亡である。抗菌薬の処方傾向に関連する因子および医師のクラスタリングについて調整し、多変量解析を行った。延期処方で入院/死亡は19%、再診は36%減少、即時処方ではどちらも減少せず 登録された2万8,883例中、初回診察日にX線検査や入院目的で他院へ紹介、またはがんで入院した104例(0.4%)を除く2万8,779例が解析対象となった。2万8,779例において、初回診察日以降に入院または死亡した患者の割合は、抗菌薬処方なし群が0.3%(26/7,332例)、即時処方群が0.9%(156/1万7,628例)、延期処方群(延期日数中央値3日、四分位範囲:2~3日)が0.4%(14/3,819例)であった。 多変量解析の結果、延期処方群では統計学的に有意ではなかったものの入院および死亡が減少したが(多変量リスク比:0.81、95%信頼区間[CI]:0.41~1.64、p=0.61)、即時処方群では減少しなかった(多変量リスク比:1.06、95%CI:0.63~1.81、p=0.84)。新たな症状による再診(1,443/7,332例[19.7%])、症状悪化による再診(4,455/1万7,628例[25.3%])、症状が改善しないことによる再診(538/3,819例[14.1%])はよくみられ、これらは延期処方群で有意に減少したが(多変量リスク比:0.64、95%CI:0.57~0.72、p<0.001)、即時処方群では減少しなかった(多変量リスク比:0.98、95%CI:0.90~1.07、p=0.66)。

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肝細胞がんに対するニボルマブの優先審査を受理:FDA

 ブリストル・マイヤーズスクイブ社は2017年5月24日、米国食品医薬品局(FDA)が、ソラフェニブ治療歴のある肝細胞がん(HCC)を対象としたニボルマブ(商品名:オプジーボ)の適応拡大を求める生物学的製剤承認一部変更申請(sBLA)を受理したと発表した。FDAは、以前にHCC治療薬としてニボルマブを希少疾病用医薬品(オーファンドラッグ)に指定しており、今回、本申請を優先審査の対象として受理した。FDAによる審査完了期日は、2017年9月24日である。 この申請は、B型肝炎ウイルスまたはC型肝炎ウイルス感染および非感染進行HCC患者に対するニボルマブの第I/II相試験CheckMate-040の結果に基づいている。この試験データは、Lancet誌に最近掲載され、本年(2017年)の米国臨床腫瘍学会(ASCO)総会ポスターディスカッションセッションで発表される。■参考 ブリストル・マイヤーズスクイブ株式会社ニュースリリース El-Khoueiry AB, et al. Lancet. 2017 Apr 20. [Epub ahead of print] Checkmate-040試験(Clinical Trials.gov)

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潰瘍性大腸炎の寛解導入と寛解維持におけるトファシチニブの有用性と安全性(解説:上村 直実 氏)-683

 潰瘍性大腸炎(UC)に関しては寛解導入および寛解維持を目的として、5-アミノサリチル酸(5-ASA)、ステロイド、免疫調節薬、抗TNFα薬、血球成分除去療法などによる治療が行われているが、今回、非受容体型チロシンキナーゼでサイトカイン受容体と関連するJanus kinase(JAK)の選択的阻害薬であるトファシチニブに関する検討結果が報告された。 抗TNFなどの抗体製剤の開発が進むなか、経口低分子JAK阻害薬が潰瘍性大腸炎の寛解導入にも寛解維持にもプラセボに比べて有意に有効であったが、安全性には今後の検討が必要との成績であった。1年前のNEJM誌に報告された、スフィンゴシン-1-リン酸受容体のサブタイプ1と5の経口作動薬であるozanimodの8週時点での臨床的寛解率と単純に比較すると、活動性UCの寛解導入における有用性が期待されるが、長期使用を要する寛解維持に用いることはまだ躊躇される研究結果である。 わが国におけるトファシチニブは2013年に慢性関節リウマチ(RA)に対して保険承認されている薬剤で、低分子医薬品であるため生物学的製剤とは異なり経口投与が可能である点が特徴的である。一方、副作用として結核、肺炎、敗血症、ウイルス感染などの重篤な感染症が報告されており、日本リウマチ学会のガイドラインにも「MTXを投与できない患者は原則として対象としないことが望ましい」と明記されている。今回の研究でもプラセボに比べて感染症や帯状疱疹が明らかに多く出現していることから、UCの寛解維持療法に使用するには長期の安全性確認が必須と思われる。 トファシチニブはUCに対する有用性の高い治療薬として期待されるものの、本研究期間の短さおよび有効率の低さなどから、トファシチニブの臨床的有用性を確認するためには長期間のリスク・ベネフィットを明らかにする臨床試験が必要であると考えられた。

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H7N9鳥インフルエンザに気を付けろッ!【新興再興感染症に気を付けろッ!】

ケアネットをご覧の皆さま、こんにちは。国立国際医療研究センター 国際感染症センターの忽那です。本連載「新興再興感染症に気を付けろッ!」、通称「気を付けろッ」は「新興再興感染症の気を付け方」についてまったりと、そして時にまったりと、つまり一貫してまったりと学んでいくコーナーです。今回はH7N9鳥インフルエンザという、ようやく読者の皆さまが興味を持ってもらえそうなテーマを扱いたいと思います。さすがにこの感染症は、われわれ日本の医療従事者にとって他人事ではないですからねえ。訪日客の1/3が流行地域の中国から来るどれくらい他人事じゃないのか。国際化が進む昨今、外国人旅行者がこの数年はうなぎ上りに増加しています。われわれもあちこちで外国人旅行者を見かけますよね。2016年の1年間に日本を訪れた外国人旅行者は、なんと2,400万人ッ! ちなみにその10年前の2006年は730万人ですから3倍以上の増加ッ! ただ事ではないッ! そして、今回取り扱うH7N9鳥インフルエンザは中国で発生しているわけですが、2016年の外国人旅行者2,400万人のうち、中国(香港含む)からの旅行者はなんと820万人ということで、実に外国人旅行者の3人に1人が中国からの旅行者なのであります。もちろん中国からの旅行者すべてにH7N9鳥インフルエンザの可能性があるわけではありませんが、昨今の流行状況を鑑みるに、いつ日本で患者が発生してもおかしくない状況なわけであります。中国で大流行の兆し今ほど「昨今の流行状況を鑑みるに」と言いましたが、まだ流行状況の説明をしていませんでしたね…失礼、失礼…とか悠長なことを言っていられないくらい、H7N9は大変なことになっていますッ!最初にH7N9のヒト症例が報告されたのは2013年…。この年には139例の確定例が報告され、99%の症例が入院し、34%の症例が死亡したという衝撃的な内容が“The New England Journal of Medicine”誌に報告されました1)。鳥への曝露、とくに食品市場の生きた鳥への曝露によってヒトに感染していると考えられており、中国政府は食品市場を閉鎖するなどの対応を行い、流行は終息しました。H7N9といえばこのときの印象が強いと思いますが、実はこの後も毎年冬になると流行しています。その次の年には304例と前年を超える症例数が報告されていますが、そこからは219例、118例と徐々に減少傾向を示していました。しかし、この2016-17シーズンは5月の時点ですでに報告数が650例を超えています(図1)2)。症例は海外からの輸入例もありますが、すべて中国国内で感染しています。画像を拡大する変異する!? 鳥インフルエンザウイルスさらにヤバイ事実が2つあります。1つは、今シーズンになって家族内感染と思われる事例が3例報告されていること3)。鳥インフルエンザは原則、ヒト-ヒト感染は起こさないのですが、まれに家族内感染例が報告されています。これらの事例ではヒト-ヒト感染が起こったことが否定できない、とのことです。ただし、現時点では持続的にヒト-ヒト感染する状態ではなく、限定的な状況でのみ起こるかもしれない、というものです(図2)。画像を拡大するもう1つは、高病原性のH7N9ウイルスが検出されていることです4)。これまでに報告されていたH7N9は、いわゆる低病原性鳥インフルエンザだったのですが、今シーズンになって少数ですが高病原性のウイルス株が報告されています。高病原性! ちゃばい! と思われると思いますが、この「高病原性」「低病原性」というのは鳥に対する病原性を意味するものであり、われわれ人間に対する病原性ではありません。ただ、高病原性鳥インフルエンザのほうが低病原性鳥インフルエンザよりもヒトが感染したときには重症化しやすいだろうとは言われていますが、そもそもH7N9に関しては低病原性と言われつつもヒトでの感染例は致死率が非常に高いため、低病原性であれ、高病原性であれ警戒が必要であることには変わりありません。私の原稿が遅すぎるせいで、すでに中国での症例発生のピークは過ぎていますが、まだ4月以降も報告が続いています! 中国からの旅行者、中国渡航後の発熱患者などの診療では、頭の片隅にH7N9鳥インフルエンザのことを置いておきましょう! 実際に鳥インフルエンザが疑われた場合には、何はともあれ管轄の保健所に連絡です!1)Li Q, et al. N Engl J Med. 2014;370:520-532.2)Zhou L, et al. Western Pac Surveill Response J. 2017;8:6-14.3)World Health Organization. Analysis of recent scientific information on avian influenza A(H7N9) virus. 10 February 2017.4)Zhu W, et al. Euro Surveill. 2017;22:pii=30533.

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長門流 認定内科医試験BINGO! 総合内科専門医試験エッセンシャル Vol.2

第5回 内分泌 第6回 代謝 第7回 消化器(消化管)第8回 消化器(肝胆膵) 認定内科医試験に向けた全3巻の実践講座の第2巻です。重要ワードは「頻出」。長年試験問題を分析し続けている長門先生が、実際の試験問題に近い予想問題を作成し、頻出ポイントをテンポよく解説します。もちろん最新のガイドラインのアップデートにも対応。各科目で試験に問われやすいポイントを押さえていますので、認定内科医試験はもちろん、総合内科専門医試験を受ける先生方も確実に得点アップにつながります。年々難しくなっているといわれる内科系試験。このDVDでぜひ合格を勝ち取ってください。第5回 内分泌 内分泌の領域では、検査をどの順に進めて診断確定を行うかまで、細かく問われる傾向があります。とくに、甲状腺と副腎について出題が多いので、知識を整理しておきましょう。妊婦や授乳婦への禁忌項目も要チェックです。第6回 代謝代謝領域では、メタボリックシンドロームとアデポカインは近年、毎年出題されています。また、インスリンを含む糖尿病治療薬については細かく問われる傾向があります。薬剤の作用・適応・副作用・特徴をしっかり整理しておきましょう。第7回 消化器(消化管)消化管の領域では、潰瘍性大腸炎とクローン病ついて、毎年出題されています。両疾患の違いもポイントになるので、試験の「出るところ」をしっかり確認して確実に得点をとれるようにしましょう。長門流の予想問題では、新しいガイドラインの改訂にも対応しています。ぜひチェックしてください!第8回 消化器(肝胆膵)肝胆膵の領域では、肝炎ウイルスの特徴、肝細胞がんの新しい治療アルゴリズムについての出題が多い傾向があります。また、2015年に改訂があった「急性膵炎診療ガイドライン」からの出題も予想されます。この番組で頻出ポイントをしっかり押さえて、試験勉強を効率的に行ってください。

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002)他科からの依頼~水虫編【Dr.デルぽんの診察室観察日記】

第2回 他科からの依頼~水虫編糖尿病や高齢の入院患者さんで多い依頼が、足の水虫、分厚い爪、白い爪、指の間の皮むけや、足底の水疱などの診療です。「足白癬でしょうか? ご高診ください」とご依頼いただく訳ですが、たまに「すでに抗真菌薬を外用した状態」で診察の依頼を受けることがあります。もちろん爪の白濁など、「見た目あきらかにいる!(真菌が)」という場合もありますが…。しかし、「ちょっと微妙だな、検査したいな」となった場合、すでに抗真菌薬が外用されていると大問題! 顕微鏡検査で菌が見つからなくて「本当にいないのか? 外用の影響で陰性なのか?」判断がつかなくなってしまいます。そうした場合、外用を止めて後日また再検査をするか、別の外用薬で様子をみたりするのですが、あらかじめ1~2週間ほど外用を中止してからご依頼いただくと、さらにスムーズかな、と思われます。水虫かな? と思ったら、とくに処方せずそのまま皮膚科で大丈夫です。

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咽頭痛に対するステロイドの症状軽減効果(解説:小金丸 博 氏)-679

 咽頭痛は、プライマリケアセッティングでみることの多い症候の1つである。咽頭炎の原因の多くはウイルス感染症であるものの、症状軽減効果や化膿性合併症の予防を期待して不必要な抗菌薬が投与されてしまうことも多い。あるsystematic reviewでは、咽頭痛に対してステロイドを単回投与することで24時間以内に症状を消失させることが示されたが、引用された試験はすべて抗菌薬とステロイドを併用したものであり、ステロイド単独の有効性を示した研究は存在しなかった。 本研究は、18歳以上の成人を対象に、急性の咽頭痛や嚥下痛に対するデキサメタゾン単回投与の有効性を検討した二重盲検プラセボ対象ランダム化比較試験である。即時に抗菌薬投与が必要ない症例のみを対象とした。24時間以内の症状消失率は、デキサメタゾン投与群で22.6%、プラセボ投与群で17.7%であり、両群間で有意差は認めなかった(P=0.14)。しかしながら、セカンダリアウトカムの1つである48時間以内の症状消失率は、デキサメタゾン投与群で有意に高かった(35.4% vs.27.1%、P=0.03)。 過去のいくつかの研究と異なり、本試験では小児例が除外されているため、ステロイドの有効性が低くなった可能性はある。また、デキサメタゾン投与群でも大きな有害事象がなかったことが結果として挙げられているが、糖尿病や心不全といった基礎疾患を持つ患者は試験から除外されていることに注意が必要である。 本試験に組み込まれた患者背景をみてみると、デキサメタゾン投与群のCentor score ≧3の割合は14.2%であり、多くの対象患者がウイルス性咽頭炎であったと推測できる。プライマリアウトカムではデキサメタゾンの有効性を示せていないため若干判断が難しいが、即時に抗菌薬投与が不要な咽頭痛に対するデキサメタゾン投与は、症状軽減を期待できる結果であった。 しかしながら、本試験の結果をもって、実臨床でもデキサメタゾンを投与するかどうかは一考の余地がある。1人の症状を48時間以内に軽減するために必要な治療人数(治療必要数:NNT)は12であり、咽頭炎という疾患の重症度、ステロイドの副作用や免疫抑制効果を考えると、この程度の効果では実臨床では使いづらいと考える。

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新ALK阻害薬brigatinib、ALK陽性肺がんに承認:FDA

 米国食品医薬品局(FDA)は2017年4月28日、クリゾチニブ無効あるいは不耐のALK陽性非小細胞肺がん(NSCLC)に対し、brigatinibを迅速承認した。 承認はオープンラベル多施設共同比較試験ALTAの結果に基づいており、クリゾチニブで進行した局所進行または転移性ALK陽性NSCLC患者において、臨床的意義のある持続性の奏効率(ORR)を示した。 222例の患者が、brigatinib 90mg/日の7日間の導入後、90mg/日(n=112)または180mg/日(n=110)に無作為に割り付けられた。 独立審査委員会によるORRは、90mg群では48%(95%CI:39%~58%)、180mg群では53%(95%CI:43%~62%)であった。奏効期間中央値(DOR)は両群ともに13.8ヵ月であった。ベースラインで測定可能な脳転移を有する患者の頭蓋内ORRは、90mg群(n=26)では42%(95%CI:23%~63%)、180mg群(n=18)では67%(95%CI:41%~87%)であった。頭蓋内DOR中央値は、90mg群では推定できず、180mg群では5.6ヵ月であった。頭蓋内奏効患者においては、90mg群の78%、180mg群の68%の患者が、少なくとも4ヵ月間頭蓋内奏効を持続した。 安全性は219例の患者で評価され、brigatinib服用患者の一般的有害事象は、吐き気、下痢、疲労、咳、頭痛。頻度の高い重篤な有害事象は、肺炎および間質性肺炎であった。致死的な有害事象は3.7%で発生し、肺炎(2例)、突然死、呼吸困難、呼吸不全、肺塞栓症、細菌性髄膜炎および尿路性敗血症(各1例)であった。brigatinibの投与中止につながる有害事象は90mgの2.8%、180mgの8.2%で発現した。(ケアネット 細田 雅之)参考FDAリリースALTA試験(Clinical Trials.gov)

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