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新型コロナウイルスあれこれ(4)【Dr. 中島の 新・徒然草】(318)

三百十八の段 新型コロナウイルスあれこれ(4)ここのところ、世間のニュースはコロナ一色です。なので、私もコロナの話をしましょう。まずは、最近見た衝撃のYouTube動画。「ほんまに聞いてほしい マジでコロナを舐めたらアカン」ニューヨーク在住の日本人女性、chizu iimura さんが4月1日に公開した動画。わずか6日間で700万以上の再生となりました。なんと日本人の5%が見たことになります。彼女が言うのは、現在の日本は3週間前のニューヨークと同じ状況だそうです。当時のニューヨークは「大変だ」と言いつつ、皆が他人事のように感じていました。ところが、あっという間に感染者が1,000人、1万人と増えてしまったのです。現在のニューヨークは、リアルバイオハザードの世界。病院がパンク、屋外に臨時の遺体安置場が設置され、誰も外を歩いていません。コテコテの大阪弁で語られる彼女の話は「怖すぎる!」の一言に尽きます。政治家の話よりインパクトあり、代わりにテレビで流したほうがいいのではないかな。さて、東京、大阪でいつ医療現場が破綻するのでしょうか?私は毎日の感染者数や死亡者数をエクセルで入力、予測しては鬱になっています。累積死亡者数と人口比から計算した結果は以下のとおり病院全体でコロナ対応し毎日10人ずつ挿管する状態(3月24日のニューヨーク):東京4月24日、大阪5月10日病院がパンク、医療崩壊(4月1日のニューヨーク):東京5月13日、大阪5月30日根拠としたのは累積死亡者数で、現在のニューヨークのdoubling timeは3.6日です。つまり、3.6日毎に累積死亡者数が2倍になるという状況。これに対して東京のdoubling timeは6.7日、大阪のそれは7.0日です。感染者数と違って、累積死亡者数は検査数に依存しません。日本人はマスクをするからとかBCGを打っているからとか、そういうことは一切関係のない現実そのもの。もちろん、Nが小さいという批判はあるかと思いますが。さて、この現実に対してどう戦うか?我々、医療従事者は粛々と仕事するのみですが、一般の人に対しては、Shut up & stay at home(黙って家にいろ)この一言ですね。(フランス在住のSushi MadameさんによるYouTube動画から引用しました)起こってから対応するより、起こらないようにする方が100倍簡単。いくら我々が頑張っても、それ以上に患者が増えたら、早かれ遅かれ医療は破綻します。なので、一般の方には自宅待機してもらいましょう。幸い、都知事や府知事の自粛要請が効いたのか、死亡者数のdoubling timeが延びつつあります。そして、もしコロナ検査が陽性の場合、軽症者や無症状者は施設隔離。偽陽性の可能性があるのは百も承知、あれこれ考えずに隔離すべし。介護や育児など事情のある人は、家族単位での自宅隔離もあり、とする。失業してお金のない人には国がお金を配ってください。とりあえず全国民に1人10万円でどうでしょうか。スピードが大切です。所得の少ない人から支給しましょう。1億3,000万人に3ヵ月支給したら39兆円だけど、そこを何とか頼みます!というわけでコロナ状況について4月7日夜時点で思うところを、色々と述べさせていただきました。最後に1句外に出ず 家に居てくれ 頼むから

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新型コロナウイルス、高温多湿でも集団感染が発生か

 新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)が高温多湿の環境でも広がり、感染を引き起こす可能性を示唆する報告が発表された。これまでの研究では、高温多湿の環境ではウイルスの感染率が大幅に低下することが示されている。今回、中国・江蘇省の公衆浴場におけるSARS-CoV-2のクラスター事例において、SARS-CoV-2感染者が健康人8人に感染させた可能性があることを中国・南京医科大学のChao Luo氏らが報告した。JAMA Network Open誌2020年3月30日号に掲載。プール、シャワー、サウナを備えた公衆浴場での新型コロナウイルスの感染事例 著者らは江蘇省の淮安(武漢の北東700km)にある淮安第4病院からデータを収集した。同じ公衆浴場を訪れた感染患者9例が2020年1月25日~2月10日に入院した。咽頭スワブ検体を収集して定量的逆転写PCR法によりSARS-CoV-2を検出、補助診断としてCTと血液検査を実施した。データをPrism version 7.00(GraphPad)で分析した。 公衆浴場における新型コロナウイルス感染のクラスター事例の主な分析結果は以下のとおり。・男性用の公衆浴場の広さは約300m2、温度は25〜41℃、湿度は約60%で、プール、シャワー、サウナがある。・最初の患者(患者1)が武漢に旅行後、2020年1月18日に公衆浴場に行きシャワーを浴びた。19日に発熱し、25日に新型コロナウイルス感染症と診断された。他の7例は同浴場においてシャワー、サウナ、プールを利用した(患者2、3、4は19日、患者5は20日、患者6、7は23日、患者8は24日に利用)。公衆浴場を訪れてから6〜9日後に新型コロナウイルス感染症に関連する発熱、咳、頭痛、胸部うっ血などの症状が現れた。患者9は公衆浴場で働いており、30日に発症した。・患者の年齢中央値(四分位範囲)は35(24~50)歳であった。・8例(89%)が発熱(平均期間[SD]:5.78[2.99]日)、7例(78%)が咳を報告した。衰弱は3例[33%]、胸苦しさは2例[22%]、食欲不振は1例[11%]でみられた。下痢、筋肉痛、鼻漏、頭痛はみられなかった。CRPは9例(100%)で上昇した(平均[SD]:3.34 [3.18] mg/dL)。リンパ球減少症は3例(33%)にみられ、LDHは3例(33%)で増加した(225.56 [85.33] U/L)、GOTは2例(22%)で増加した(30.22 [13.94] U/L)。・CT画像は全例ですりガラス陰影がみられた。・2月10日時点で呼吸サポートが必要な患者はいない。

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3次医療機関でのがん患者の新型コロナ感染率/JAMA Oncol

 がん患者は治療やモニタリングのために通院機会が多いことから、新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)に感染するリスクが高い。さらに化学療法や放射線療法は免疫を抑制する。今回、中国・武漢大学中南病院のJing Yu氏らが、武漢の3次医療機関のがん患者においてSARS-CoV-2感染率と転帰を調査した結果、がん患者の入院および通院がSARS-CoV-2感染の潜在的なリスク因子であることが示唆された。とくに高齢患者(60歳以上)と非小細胞肺がん(NSCLC)患者に感染者が多かったという。JAMA Oncology誌オンライン版2020年3月25日号に掲載。 著者らは、2019年12月30日~2020年2月17日(データカットオフ)に、武漢大学中南病院の放射線・腫瘍科に入院したがん患者1,524例の人口統計学的、臨床的、および治療のデータなどの診療記録を調査した。 主な結果は以下のとおり。・この施設におけるがん患者のSARS-CoV-2感染率は0.79%(1,524例中12例、95%CI:0.3~1.2%)と推定され、同期間に武漢市で報告されたCOVID-19例全体の累積発症率(0.37%、1,108万1,000人中4万1,152人、2020年2月17日のデータカットオフ時点)よりも高かった。・感染患者の年齢中央値は66歳(範囲:48〜78歳)で12例中8例(66.7%)が60歳以上、12例中7例(58.3%)がNSCLCであった。・5例(41.7%)は、化学療法(3例、免疫療法併用/非併用)または放射線療法(2例)のいずれかで治療されていた。・3例(25.0%)がSARSを発症し、1例は集中治療を必要とした。・2020年3月10日時点で、6例(50.0%)が退院し、3例(25.0%)が死亡した。・スクリーニングを受けたがん患者1,524例中228例はNSCLCで、60歳以上のNSCLC患者では、COVID-19の発症率が60歳以下よりも高かった(4.3% vs.1.8%)。

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新型コロナショックで株暴落!投資家はどう立ち向かうべき?【医師のためのお金の話】第31回

こんにちは。自由気ままな整形外科医です。新型コロナウイルス感染症に端を発した2020年2月24日の株価下落はその後も続き、歴史的な暴落となりました。百年に一度といわれた2008年のリーマンショックを上回るペースで株価下落が進行したため、肝を冷やした方も多かったのではないでしょうか?今回の暴落に際して、嵐が過ぎ去るまで静観する人、恐怖に駆られて所有株式を売却した人、絶好の買い場と判断して暴落に買い向かった人など、いろいろな投資判断がありました。私は自他共に認める「超長期逆張り投資家」なので、今回の暴落に対して買い向かっていきました。2008年のリーマンショック以来の本格的な投資だったので、まさに12年ぶりの大勝負です。短期的に順張り戦略で利益を出すのは易しいが…株式投資で利益を得るためには投資戦略が重要です。一般的に人気なのは、上昇相場に乗って投資する順張り戦略でしょう。順張り投資は精神的な負担が少なく、利益も簡単に出せる場合が多いので、多くの人が選ぶ戦略です。順張り投資は、相場が上り調子だと面白いように利益を得られます。あまりに勝ち過ぎて「自分は投資の天才なのではないか?」と勘違いしてしまうこともしばしばです(笑)。しかし、順張り投資の最大の問題点は、いつ相場から降りるかが難しい点です。相場が永遠に上昇し続けることはありません。必ず、どこかの時点で上昇から下落に転じるポイントがあります。後から見れば相場の転換点を見つけることは簡単ですが、市場にどっぷりつかっている時にはそれを知ることはきわめて難しいのです。ちょっと下落しても「再び上がるのでは?」と思ってずるずると損失を出し続け、やがて身動きが取れなくなってしまうのです。上昇相場で積み上げた利益をすべて吐き出し、失意のうちに株式市場から退出する人の何と多いことでしょう。個人投資家のほとんどはこのパターンを経験しているのではないでしょうか。暴落に買い向かうことは並大抵のことではない!一方で、逆張り戦略はどうでしょうか。実際に暴落の中に身を投じてみると、簡単に実践できることではないことを、身をもって経験します。下落が数日であれば、精神的にも投資資金的にも余裕があるため、買い向かうことは比較的簡単です。しかし、下落が数週間から数ヵ月続くと、精神的に追い詰められます。同時に投資資金も枯渇するため、非常に厳しい状況に追い込まれます。数ある投資戦略の中でも、暴落に買い向かっていく逆張り戦略は、精神的に最も負担のかかるものといえます。しかも、逆張り戦略の場合は市場が反転しない限り、利益を得ることができません。このため、投資してから利益を得るまでの期間が長くなる傾向があります。それでは、なぜ私が精神的な負担があり、投資成果を得るまで時間のかかる逆張り戦略を選ぶのでしょうか? それは、計画的に買い向かった場合に、利益を得ることができる確率が高いからです。その理由はとても単純で、暴落して二束三文で投げ売りされている株式を購入しているから、です。暴落局面で買い向かっていると安価な株式を大量に購入することになるため、一旦相場が上昇しはじめれば、利益は雪だるま式に増えていきます。この相場が反転して利益が増えはじめる時の感覚を一度経験すると、すっかり病みつきになって逆張り戦略のファンになってしまいます。逆張り投資を成功に導く2つのポイントこう説明すると、逆張り投資は素晴らしいので自分もやってみよう、と思う方がいるでしょう。しかし、そうは問屋が卸しません(笑)。繰り返しになりますが、暴落に買い向かっていく精神的負担が並大抵ではないことと、資金管理が難しいため途中で挫折してしまうことが多いからです。暴落の途中で挫折して損切りしてしまっては戦略が台無しで、目も当てられません。途中の挫折を完全に回避することは難しいでしょうが、ここでは2つのポイントを伝授します。1つ目は、買い向かう投資対象を、倒産可能性がきわめて低い銘柄にすることです。私はJ-REITや電力株を好んでいますが、TOPIXや日経225の指数ETFでも問題ないでしょう。絶対に破綻しないと信じることができれば、暴落に買い向かう際の大きな力になります。2つ目は、ユニット数(株数)を増やすことに注力することです。買い向かっていると含み損がどんどん大きくなるため鬱になります。しかし、投資の目的は「価値のある株式」をたくさん所有することです。暴落しているからといって、いきなり株式の本質的価値が下がるわけではありません。あくまでも表面上の価格が下がっているだけなので、安く仕入れる絶好の機会だ、と心の底から思えればしめたものです。とはいえ、私も完全にその境地に達しているわけではありません。このギャップを埋めるための追加ポイントとして、J-REITや電力株などの高配当株を選択しています。つまり、「自分は配当を得る権利をたくさん買っているんだ」と思うことで、心が折れそうになったときでも頑張って買い向かうための原動力にするのです。

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COVID-19、軽症者の増悪時にみられた所見―自衛隊中央病院

 クルーズ船「ダイヤモンド・プリンセス号」から搬送された、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)患者104例について、2020年3月24日、自衛隊中央病院がその経過と得られた知見をホームページ上で公開した。CT検査所見の特徴、重症化や他疾患との鑑別におけるマーカーとしての各検査値の有用性など、これまでに報告されている事項をふまえ、自院での症例について考察している。<症例の特徴>平均年齢:68歳(48.75~75)、男性:45.2%国籍:東アジア52.9%を含む、17の国と地域基礎疾患:あり48.1%(心血管系31.7%、内分泌系[甲状腺疾患等]8.7%、糖尿病6.7%、呼吸器系6.7%、がん3.8%)喫煙歴:あり17.3%観察期間:2月25日まで※全例が船内の検疫における咽頭スワブPCR検査でSARS-CoV-2陽性軽症者の多くが症状に変化なく軽快、しかし異常影有の3分の1で増悪 観察期間を通して全く症状や所見を認めなかった症例は全体の31.7%で、軽症例が41.3%、重症例は26.9%。無症候性陽性例が多く、軽症例でも、そのほとんどが一般診療の基準に照らし合わせれば、医療機関を受診するような病状ではなかったと考察している。 しかしこれまでの報告でも指摘されているように、無症候性および軽症例でも、約半数に胸部単純CT検査での異常陰影を認めた。陰影は両側末梢胸膜下に生じるすりガラス様陰影が特徴で、胸部単純レントゲン写真では異常を指摘できない症例が多かった(画像も公開中)。無症候性および軽症例で、CT検査で異常影を認めたうち、約3分の2はそのまま症状が変化することなく軽快し、約3分の1は症状が増悪した。増悪する場合の画像変化は、経過とともにすりガラス様陰影の範囲が広がり、徐々に濃厚なair-space consolidationを呈することであった。<重症度、主な臨床症状(ともに入院時/全観察期間)>重症度無症状:41.3%/31.7%軽症:39.4%/41.3%重症:19.2%/26.9%臨床症状(一部抜粋)発熱:28.8%/32.7%咳嗽:27.9%/41.3%呼吸困難:6.7%/18.3%頻呼吸:15.4%/23.1%SpO2<93%:2.9%/13.5%高齢者ではSpO2低下、若年者では頻呼吸が出現する傾向 無症状あるいは軽微な症状にもかかわらずCT検査で異常陰影を認める病態を「Silent Pneumonia」とし、「Silent Pneumonia」から「Apparent」になる際は、発熱や咳嗽の増悪や呼吸困難の出現ではなく、高齢者ではSpO2の低下、若年者では頻呼吸の出現で気づくことが多かった、としている。症状増悪は初発から7~10日目であることが多く、比較的病状はゆっくりと進行。このため疾患の増悪に気づきにくいおそれがあり、このことが、高齢者の死亡率上昇に関係している可能性がある、と指摘している。 酸素投与が必要となった症例は全体の13.5%であり、そのうちの約半数がいわゆるネーザルハイフローやNPPVなどの高流量酸素投与を必要とした。気管挿管による人工呼吸管理を必要としたのは1例。観察期間中の死亡例はなく、3月24日時点で全員退院している。中等症~重症化しても、適切な酸素投与を実施するなどの対応をとれれば救命可能な症例は多いと考えられるとし、重症例では抗ウイルス薬の投与も実施している。 また血液生化学検査所見について、COVID-19症例ではCRP、LDH、AST、eGFR、Naに有意な差があり、リンパ球減少が観察されるとの報告がある。同院の症例では、無症状あるいは軽症例では検査値異常を認めないことが多かったが、重症例ではリンパ球減少が認められた。多くは陰圧機能のない一般病室に収容、ゾーニングを徹底 多数の患者を受け入れたため、陰圧室は不足し、患者の多くは陰圧機能のない一般病室に収容された。ウイルス量が多く、ネーザルハイフローや人工呼吸器などのエアロゾル発生機器・手技を多く必要とするであろう重症例から陰圧室を使用し、ゾーニングを徹底した。主な予防策は下記の通り:・原則N95マスクを使用・アイガードの徹底に加えて脱衣に熟練を要するワンピース型PPEは用いず、アイソレーションガウン使用を標準とした・挿管時にはPAPR(電動ファン付呼吸用保護具)を装着・平素、感染症診療に携わっていないスタッフに対しては、N95マスクフィットテストやPPE着脱訓練を実施・ゾーニング要領を徹底

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世界のICU患者、1日の感染症有病率は50%以上/JAMA

 世界88ヵ国の同じ1日における集中治療室(ICU)入室患者の感染症有病率は54%と高く、その後の院内死亡率は30%に達し、死亡リスクも実質的に高率であることが、ベルギー・エラスム病院のJean-Louis Vincent氏らが行った点有病率調査「EPIC III試験」で示された。研究の成果は、JAMA誌オンライン版2020年3月24日号に掲載された。ICU入室患者は感染症の頻度が高い。感染症の種類、原因となる病原菌、アウトカムに関する情報は、予防や診断、治療、医療資源配分の施策の策定に役立ち、介入試験のデザインの一助となる可能性があるという。同氏らは、これまでに、同様のデザインに基づく研究(EPIC試験[1995年]、EPIC II試験[2009年])の結果を報告している。88ヵ国1,150施設で、24時間の点有病率を調査 研究グループは、88ヵ国1,150施設の参加の下、世界中のICUにおける感染症の発生とそのアウトカム、および利用可能な医療資源に関する情報を得る目的で、24時間の点有病率を調査する観察横断研究を行った。 解析には、2017年9月13日午前8時(現地時間)から24時間の期間に、ICUで治療を受けたすべての成人(年齢18歳以上)患者が含まれた。患者の除外基準は設けなかった。最終フォローアップ日は2017年11月13日だった。 主要アウトカムは、感染症有病率、抗菌薬投与(横断的デザイン)、院内全死因死亡(縦断的デザイン)とした。抗菌薬投与率は70%、VREは死亡率が2倍以上 1万5,202例(平均年齢61.1[SD 17.3]歳、男性9,181例[60.4%])が解析の対象となった。試験当日に、44%が侵襲的機械換気、28%が昇圧薬治療、11%は腎代替療法を要した。試験開始前のICU入室期間中央値は3日(IQR:1~10)、総ICU入室期間中央値は10日(3~28)だった。 感染症のデータは1万5,165例(99.8%)で得られた。ICU感染1,760例(22%)を含め、感染症疑い/確定例は8,135例(54%)であった。1万640例(70%)が1つ以上の抗菌薬の投与を受けた。このうち28%が予防的投与、51%は治療的投与で、それぞれセファロスポリン系(51%)およびペニシリン系(36%)の抗菌薬が最も多かった。 地域別の感染症疑い/確定例の割合には、オーストララシアの43%(141/328例)からアジア/中東地域の60%(1,892/3,150例)までの幅が認められた。また、感染症疑い/確定例8,135例のうち、5,259例(65%)が少なくとも1回の微生物培養で陽性を示した。このうち3,540例(67%)がグラム陰性菌、1,946例(37%)がグラム陽性菌、864例(16%)は真菌であった。 感染症疑い/確定例の院内死亡率は30%(2,404/7,936例)であった。ICU感染は、市中感染に比べ院内死亡リスクが高かった(オッズ比[OR]:1.32、95%信頼区間[CI]:1.10~1.60、p=0.003)。 また、抗菌薬耐性菌のうち、バンコマイシン耐性腸球菌(VRE)(2.41、1.43~4.06、p=0.001)、第3世代セファロスポリン系およびカルバペネム系抗菌薬を含むβ-ラクタム系抗菌薬に耐性のクレブシエラ属(1.29、1.02~1.63、p=0.03)、カルバペネム系抗菌薬耐性アシネトバクター属(1.40、1.08~1.81、p=0.01)は、他の菌による感染症と比較して死亡リスクが高かった。 著者は、「今回の感染症疑い/確定例の割合(54%)は、EPIC試験(45%、1992年に評価)およびEPIC II試験(51%、2007年に評価)に比べ高かった。プロトコルの変更や技術的な改善による検出率向上への影響は除外できないが、培養陽性例の割合はEPIC II試験よりも低かった(65% vs.70%)。ICU感染例の割合(22%)はEPIC試験(21%)と同等だった」としている。

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COVID-19の診療情報特設サイトを開設/日本プライマリ・ケア連合学会

 日本プライマリ・ケア連合学会(理事長:草場 鉄周)は、4月1日に同連合学会のホームページ上で「新型コロナウイルス感染症(COVID-19) 診療所・病院におけるプライマリ・ケアのための情報サイト」を開設した。 特設サイトでは、COVID-19に関する臨床診療で必要な最新情報が網羅されている。 主な内容は下記の通りであり、診療の合間などに参照していただきたい。■主な掲載内容・新型コロナウイルスCOVID-19について 感染経路、潜伏期間、主に国内の患者数について・診療に役立つ情報〔診療の手引き・ガイド〕新型コロナウイルス感染症(COVID-19) 診療所・病院のプライマリ・ケア初期診療の手引き ほか〔臨床診断サポートツール〕DynaMed、UpToDate ほか〔患者さん・一般の方への啓発〕新型コロナウイルスに関するQ&A(一般の方向け)/3つの密を避けましょう!(厚生労働省)、やってみよう! 新型コロナウイルス感染症対策 みんなでできること(文部科学省) ほか・感染予防と対策 感染症対策専門家会議、高齢者・介護施設、透析、海外渡航、妊婦、こども、学校、保育園・関連情報国内 厚生労働省、国立感染症研究所、国立国際医療研究センター(NCGM)/国際感染症センター(DCC)、内閣官房 ほか・関連情報海外 世界保健機関(WHO)、European Centre for Disease Prevention and Control(欧州CDC) ほか・文献

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疲れを巡る最新研究(前編)…エナジードリンク頼みの疲労回復法がとても怖い理由

講師紹介長年の研究で判明した、ウイルスと疲労の「深い関係」近藤なぜ、ウイルスを専門とする私が疲労の研究をしているのか、最初はいつも不思議がられます。私の所属はウイルス学講座で、長年ヒトヘルペスウイルス(HHV)を研究してきました。研究を進めるうちに、疲労・ストレスとヘルペスウイルスの間に深い関係があることがわかってきたのです。性器ヘルペスが知られているので、ヘルペスというとちょっと下ネタ的なイメージもありますが(笑)、私の専門は赤ちゃんの突発性発疹を起こすHHV-6とHHV-7です。3大生体アラームなのに研究が進んでいない「疲労」近藤そもそも、疲労の研究は世界的にマイナーです。日本では「疲労はうつや過労死といった疾患の要因になる」ということが一般的に受け入れられていますが、海外ではそうした認識自体がなく、慢性疲労症候群など「疾患の症状」としての認識しかありません。「疲労」は、「痛み」や「発熱」と並ぶ3大生体アラームです(図1)。それなのに、その原因・伝達物質も回復因子もまったくと言っていいほど解明されてこなかったのです。痛みや発熱は、その原因物質を見つけた人がノーベル賞を取っているほどなのに…。画像を拡大する「疲労感」と「身体の疲れ」は異なるもの近藤そもそも、まず知っておいていただきたいのが「疲労感」と「身体の疲れ」は別のもの、ということです。図1の右上にある炎症性サイトカインが、疲労研究のカギとなる存在です。炎症性サイトカインは、風邪などのウイルスが体内に侵入したときなどに、免疫細胞が出すことが知られている物質です。この炎症性サイトカインが脳に作用して「疲れた」と感じる、いわゆる「疲労感」を生み出します。風邪などの病気のときに疲れを感じるのはこのためです。一方で、健康な人も仕事や運動によって疲れを感じますが、この場合、免疫細胞は攻撃対象がいないはずですよね? では、なぜ疲れを感じるのでしょう?ここで、私の専門「ヘルペス」の登場です。ヘルペスウイルスは、感染しても多くの場合は症状が出ず、感染者はウイルスを潜ませたまま普通に生活しています(潜伏感染)。しかし、感染者が何らかの異常事態に見舞われると潜んでいたウイルスはそれを察知し、爆発的に数を増やして別の宿主に移ろうとします(再活性化)。私の専門のHHV-6やHHV-7は疲労を「異常事態」と見なして再活性化することを見いだしたのです。また、私たちは、HHV-6が危険を察知する信号となるのが「elF2α」という因子であることも発見しました。身体に疲労の負荷がかかると、このelF2αがリン酸と結合して「リン酸化elF2α」となり、その割合が一定を超えるとHHV-6がそれを察知して再活性化するのです。通常、elF2αはタンパク質を合成する役割があるのですが、リン酸化することでこの仕事ができなくなり、結果として臓器の働きが低下したり、機能障害が起きたりします。これが身体の疲労の原因です(図2)。画像を拡大する最初に出てきた疲労感の要因となる炎症性サイトカインも、このリン酸化elF2αの増加が引き金になって作られるので、疲労のカギとなる物質としてリン酸化elF2αのことを「疲労因子」と呼んでいます(図3)。画像を拡大する「エナジードリンク飲み過ぎ」が怖い理由近藤疲労感と身体の疲労が別物だと知っておくことの大切さは、身近なところにあります。多くの方は、疲労回復のために「エナジードリンク」を飲んだことがあるのではないでしょうか? 多くのエナジードリンクには「抗酸化作用」のある物質が入っています。私たちはこの抗酸化作用を持つ物質の代表格である「N-アセチルシステイン(NAC)」をマウスに注入し、疲労との関係を調べる研究を行いました。その結果、NACは肝臓における炎症性サイトカインの産生を低下させ、疲れを身体に伝えるアラームとなる疲労感を減少させることがわかりました。これが「疲れがとれた」と感じる理由です。しかし、ほかの臓器では疲労因子が増え続け、タンパク質合成が抑制されて臓器組織の機能低下が起こり続けることもわかりました。結果として、疲労感がないために無理をし続けて身体を壊す、ひどい場合は突然死につながる、などといったことが起こる可能性があるのです。近藤突然死とまでいかなくとも、「エナジードリンクを飲み続けて、いきなりやめたらぐったりした」という経験をされた方はいないでしょうか? これも「疲労感をまひさせる」抗酸化物質の影響です。まひする効果が切れたために、それまで蓄積していた疲労を一気に感じるのです。エナジードリンクは「緊急時に疲れをまひさせるもの」と認識し、摂り過ぎないようにすることが重要です。同様の働きをするものにカフェイン、抗酸化剤入りサプリ、ニンニクなどがあり、これらも摂り過ぎに注意が必要です。さらに、日本では薬機法に触れるために販売されていませんが、海外のエナジードリンクには大量の「タウリン」を含むものがあります。タウリンも抗酸化作用を持つ物質であり、上記のようなメカニズムで疲労感をまひさせてしまう可能性があります。実際、海外のエナジードリンクでは、過剰摂取した若者が死亡に至る事故も報告されています。一般に、このような事故は「カフェインの過剰摂取が原因」と解説されることが多いのですが、カフェインに加えて抗酸化物質が作用することで、疲労感がまひし、身体の異常に気付かず手遅れになった、という側面が大きいと考えています。後編へ書籍紹介『疲労ちゃんとストレスさん』にしかわたく(漫画・原作)・近藤一博(監修・原作)河出書房新社近藤氏の長年の研究成果と疲労に関する複雑な仕組みを、漫画家のにしかわ氏がストーリー&漫画化。疲労がどのように起きるのか、どのように回復するのか、擬人化されたキャラクターたちでわかりやすく解説した一冊。

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第2回 皮膚に貼って一押しするだけのCOVID-19ワクチン、臨床試験が近々開始

2012年にサウジアラビアで初めて見つかり、27ヵ国に広まり、同国をはじめとする中東で依然として蔓延する、致死率34.4%の中東呼吸器症候群コロナウイルス(MERS-CoV)。MERS-CoV感染症ワクチン開発で手応えを掴んでいたピッツバーグ大学研究チームが、その経験を糧に取り急ぎ開発した新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)ワクチンの有望な抗体誘導性能がマウス実験で早速確認されました。指先ほどの大きさの一切れを皮膚に束の間押し当てるだけで投与が済む、室温保管可能なそのワクチン・PittCoVacc(Pittsburgh CoronaVirus Vaccine)のヒトへの投与試験が、早くも数ヵ月以内に始まる見込みです1)。PittCoVaccには細かな針が400本並んでおり、皮膚に押し当てることで実質的に痛みなくSARS-CoV-2のスパイクタンパク質の一部(S1サブユニット)を皮内に投与します。マウスに投与したところ、2週間以内にSARS-CoV-2に対する抗体が増加しました2)。研究者らは、米国FDAへの治験開始申請の準備を進めており、今後数ヵ月以内に第I相試験を開始することを目指しています。「通常なら臨床試験は少なくとも1年はかかるが、これまで経験したことがない今回のような事態で試験にどれだけの期間がかかるかはなんとも言えず、最近の通知によるとより早く済む可能性がある」とピッツバーグ大学の研究リーダーの1人Louis Falo教授は言っています。MERS-CoVや2002~03年に流行した重症急性呼吸器症候群コロナウイルス(SARS-CoV)での研究成果は、PittCoVaccのようなワクチンのみならず、現存薬をSARS-CoV-2感染症(COVID-19)治療に役立てる取り組みにも生かされており、たとえばデンマークのオーフス大学による先週金曜日(4月3日)開始の膵炎治療薬カモスタット(フオイパン)の試験はその1つです3)。SARS-CoVやMERS-CoVと同様にSARS-CoV-2も細胞侵入にヒトタンパク質(セリンプロテアーゼ)TMPRSS2を必要とし、それを阻害する小野薬品起源のカモスタットがSARS-CoV-2の細胞侵入を阻止すること4)や、コロナウイルス感染マウスの死亡を減らすことが示されたことを受けて、オーフス大学の研究者はCOVID-19患者への同剤の試験開始にこぎ着けました5)。この試験はデンマークを代表する製薬会社Lundbeck(ルンドベック)のほとんど(70%)を所有する同国製薬研究助成財団Lundbeck Foundationから寄贈された500万デンマーククローネ(約8,000万円)を使って実施されます。新型コロナウイルス感染症(COVID-19)患者180人を募り、それらの3分の2はカモスタット服用群、残り3分の1はプラセボ投与群に割り振られます。カモスタットを生んだ日本でも、別のTMPRSS2標的薬によるCOVID-19治療試験が間もなく始まる予定です6)。2016年の研究7)でTMPRSS2依存ウイルス感染を阻止しうることが示されている別の膵炎治療薬ナファモスタットもカモスタットと同様にSARS-CoV-2の細胞侵入を防ぐことを、東京大学の井上純一郎教授/山本瑞生助教のチームが見出しており8)、先月中旬の成果発表時に、臨床試験を向こう1ヵ月以内に始めうるとの見解が示されています。また、SARS-CoV-2が感染に利用するらしいヒトタンパク質/因子はTMPRSS2の他にも見つかっており、たとえば査読前論文掲載サイトbioRxivに3月22日に発表された報告では、米国FDA承認済みか開発段階の69の薬が標的としうる67のSARS-CoV-2相互作用成分が同定されています9)。参考1)COVID-19 Vaccine Candidate Shows Promise in First Peer-Reviewed Research / University of Pittsburgh2)Kim E, et al. eBioMedicine. April 02, 20203)These drugs don’t target the coronavirus - they target us / Science4)Hoffmann M, et al. Cell. 2020 Mar 4. [Epub ahead of print]5)Does a Japanese medication for heartburn work on corona patients? / Aarhus University6)Japanese Researchers to Test Blood Thinner For Virus Treatment / Bloomberg7)Yamamoto M,et al. Antimicrob Agents Chemother. 2016 Oct 21;60:6532-6539.8)新型コロナウイルス感染初期のウイルス侵入過程を阻止、効率的感染阻害の可能性がある薬剤を同定 / 東京大学9)A SARS-CoV-2-Human Protein-Protein Interaction Map Reveals Drug Targets and Potential Drug-Repurposing. bioRxiv. March 22, 2020

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COVID-19肺炎、最大の悪化因子は喫煙歴か

 喫煙歴が、新型コロナウイルスによる肺炎(COVID-19肺炎)の最大のリスク因子かもしれない。今回、中国湖北省・華中科技大学のWei Liu氏らは、78例の入院症例における予後別の背景因子を調査した。Chinese Medical Journal誌オンライン版2020年2月28日号に掲載。 本研究は、2019年12月30日~20年1月15日に、武漢の3つの3次病院に入院し、PCR検査で新型コロナウイルス陽性となった患者が登録された。個人データ、臨床検査値、画像所見、臨床データが収集され、統計解析された。患者は臨床タイプによって悪化群と改善・安定群に分類され、ロジスティック回帰分析により、疾患進行のリスク因子を調べた。 主な結果は以下のとおり。・COVID-19肺炎患者78例が登録された。・入院2週間後の状態評価では、11例(14.1%)が悪化し、67例(85.9%)が改善・安定していた。・悪化群は、改善・安定群と比較して有意に年齢が高かった(中央値:66歳[四分位範囲(IQR):51~70] vs.37歳[同:32~41]、U=4.932、p=0.001)。・悪化群は、喫煙歴のある患者が有意に多かった(27.3% vs.3.0%、x2=9.291、p=0.018)。・最も一般的な初期症状は発熱で、入院時の最高体温は、改善・安定群と比較して悪化群のほうが有意に高かった(中央値:38.2℃[IQR:37.8~38.6] vs.37.5℃[同:37.0~38.4]、p=0.027)。・呼吸不全に陥った患者の割合(54.5% vs.20.9%、x2=5.611、p=0.028)と、呼吸数(中央値:34回[IQR:18~48] vs.24回[同:16~60]、U=4.030、p=0.004)も、改善・安定群より悪化群が有意に多かった。・CRPは、改善・安定群と比較して悪化群で有意に上昇した(中央値:3.89mg/dL[IQR:14.3~64.8] vs.1.06mg/dL[同:1.9~33.1]、U=1.315、p=0.024)。・血清アルブミンは、改善・安定群よりも悪化群で有意に低かった(36.62±6.60 vs.41.27±4.55g/L、U=2.843、p=0.006)。・悪化群の患者は、人工呼吸器などの呼吸補助を受ける可能性が高かった(x2=16.01、p=0.001)。・多変量ロジスティック分析によると、年齢(オッズ比[OR]:8.546、95%信頼区間[CI]:1.628~44.864、p=0.011)、喫煙歴(OR:14.285、95%CI:1.577~25.000、p=0.018)、入院時の最高体温(OR:8.999、95%CI:1.036~78.147、p=0.046)、呼吸不全(OR:8.722、95%CI:1.942~40.000、p=0.016)、アルブミン低値(OR:7.353、95%CI:1.098~50.000、p=0.003)、CRP高値(OR:10.530、95%CI:1.224~34.701、p=0.028)が、疾患進行のリスク因子だった。 本研究で特定されたCOVID-19肺炎の予後に対するリスク因子は、今後の疾患管理に役立つ可能性がある。

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COVID-19、抗体検出は発症2週間後からか/感染研

 新型コロナウイルス感染症(COVID-19)への感染が拡大する中、検査時の二次感染リスクが低い抗体検査への期待が高まっている。しかし、その感度・特異度に関する報告は限られており、臨床現場での利用の仕方や結果の解釈について見解は定まっていない。国立感染症研究所では、市販のイムノクロマト法による抗体検出試薬による、発症後日数ごとの抗体陽性率を調査。その結果をホームページ上で公開した。<調査概要>検体:SARS-CoV-2遺伝子増幅法により確定された、COVID-19患者血清の残余検体(37症例・87検体)使用試薬:市販のイムノクロマト法による抗体検出試薬(A社製) 発症後日数※1ごとの抗SARS-CoV-2 IgM、IgG抗体陽性率は以下のとおり。Day1~6 IgM抗体:検体数14、陽性数0[陽性率0.0%] IgG抗体:検体数14、陽性数1※2[陽性率7.1%]Day7~8 IgM抗体:検体数20、陽性数2[陽性率10.0%] IgG抗体:検体数20、陽性数5[陽性率25.0%]Day9~12 IgM抗体:検体数21、陽性数1[陽性率4.8%] IgG抗体:検体数21、陽性数11[陽性率52.4%]Day13~ IgM抗体:検体数32、陽性数19[陽性率59.4%] IgG抗体:検体数32、陽性数31[陽性率96.9%]※1:発症日をDay1とする※2:Day1でIgG抗体陽性となる検体が1検体あり、結果の解釈には注意が必要 本調査で明らかになった点は、以下のようにまとめられている。・いずれの期間においてもIgM抗体陽性率はIgG抗体陽性率に比べて低く、本調査ではIgM抗体陽性となった血清はすべてIgG抗体陽性であった。・発症6日後までのCOVID-19患者血清ではウイルス特異的抗体の検出は困難であり、発症1週間後の血清でも検出率は2割程度にとどまる。・抗体陽性率は経時的に上昇していき、発症13日以降になると、ほとんどの患者で血清中のIgG抗体は陽性となった。・一方、IgM抗体の検出率が低く、IgG抗体のみ陽性となる症例が多いことから、当該キットを用いたCOVID-19の血清学的診断には発症6日後までの血清と発症13日以降の血清のペア血清による評価が必要と考えられた。・1症例ではあるが、非特異反応を否定できないIgG抗体の陽性がみられたことから、結果の解釈には、複数の検査結果、臨床症状を総合的に判断した慎重な検討が必要。 最後に、本報告では、少数例の検討であることや、他の感染症患者検体を用いた評価がなく特異度に関する情報は得られていないことなどから、本結果をもって当該試薬の臨床性能を評価するものではないとしている。また、使用している抗原タンパク質の性質の違いなどにより、市販試薬は感度・特異度が試薬ごとに変わる可能性があり、すべての抗体検出試薬において同様の結果が得られるかは不明とした上で、COVID-19の血清学的診断法の臨床的位置づけを考える参考情報となることを期待すると結んでいる。

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第2回 COVID-19流行で初診患者のオンライン診療が一時的に解禁へ

<先週の動き>1.新型コロナ関連肺炎の流行で、初診患者のオンライン診療が一時的に解禁へ2.診療報酬改定の疑義解釈(その1)が発表3.看護師の離職率は10.7%と横ばい、中途採用者の離職率は高止まり4.70歳就業法の成立は、雇用の機会を増やすか?5.介護分野における文書の負担軽減策がいよいよ本格的に始まる1.新型コロナ関連肺炎の流行で、初診患者のオンライン診療が一時的に解禁へ新型コロナウイルス感染症が拡大している現状を受けて、無症状に近い感染者が病院を受診し、ほかの通院・入院患者に感染させることがないよう、感染防御目的にて、受診歴がない初診患者についても、インターネットを利用したオンライン診療を認める方針を固めた。オンライン診療の活用については、3月31日に開かれた政府の経済財政諮問会議で、安倍 晋三首相からの指示でもあり、医師・看護師などの医療従事者を感染リスクから守るためにも、これに従ったものと考えられる。4月2日に開かれた政府の規制改革推進会議では、新型コロナウイルス感染拡大が続く中での緊急措置として、初診対面原則の見直しを求めたのに対し、厚生労働省や医師会などが難色を示していたが、新型コロナウイルス感染症対策に関する特命タスクフォースの設置を通して、最終的には4月7日に閣議決定される緊急経済対策に、オンライン診療について盛り込まれる見込み。詳細については厚労省から詳細が発表され、4月内にも解禁されるが、今回の規制緩和は新型コロナウイルスの感染が収束するまでの特例的な措置となる可能性が高い。(参考)第9回オンライン診療の適切な実施に関する指針の見直しに関する検討会(厚労省)第1回 新型コロナウイルス感染症対策に関する特命タスクフォース 議事次第(内閣府)第2回 新型コロナウイルス感染症対策に関する特命タスクフォース 議事次第(同)2.診療報酬改定の疑義解釈(その1)が発表3月31日に、2020年度の診療報酬改定の疑義解釈(その1)が厚労省から発表された。2020年度の診療報酬改定では、急性期病院にとって入院料を大きく左右する看護必要度の変更が今回も含まれており、さらに地域包括ケア病棟を持つ急性期病院では、入院期間IIIになる前に自院内の地域包括ケア病棟へ移ると日当点が上がる点が改善され収益性が下がるほか、回復期リハビリ病棟でも、FIMの利得実績指数の引き上げや入棟の期限の発症後2ヵ月以内の制限規定を廃止など細かい変更がある。対象となる病棟がある病院は、算定基準を含め、転院・転棟基準の見直しが必要となる。さらに、救急搬送を年間2,000件以上受けている病院が、労務管理の徹底などの要件を満たせば、地域医療体制確保加算(入院初日に限り520点)の算定が可能になる。また、救急搬送1,000件以上の病院を評価する救急搬送看護体制1でも、従来に比して実績を元に評価する方向性が打ち出されており、救急医療や手術に力を入れている病院を支援する改定となっている。激変を避けるための経過措置期間も設けられているが、その期限も9月30日までなので、現場の担当者は必ず目を通すべきだろう。(参考)2020年度診療報酬改定の疑義解釈(その1)(厚労省)3.看護師の離職率は10.7%と横ばい、中途採用者の離職率は高止まり3月30日に日本看護協会が発表した2019年病院看護実態調査によると、正規雇用の看護職員の離職率は10.7%とここ数年の11%前後のまま横ばいであるが、既卒採用者(新卒ではない看護職経験者)は17.7%と相変わらず高いままである。設置主体別で正規雇用看護職員の離職率が相対的に高い病院は、「その他公的医療機関」17.0%、「個人」14.1%、「医療法人」13.2%である。都道府県別では、東京が一番高く14.5%、次が神奈川(13.1%)、千葉(12.8%)など、首都圏では高い傾向が続いている。給与・夜勤手当は若干の増加はあるものの、おおむね横ばいである。今後、少子化の影響もあり、現場での看護師の不足は続くため、いわゆる雇用環境を大幅に改善するには離職防止のプログラムが必要と考えられる。(参考)「2019年病院看護実態調査」結果(公益社団法人 日本看護協会)4.70歳就業法の成立は、雇用の機会を増やすか?70歳までの就業機会の確保を企業の努力義務とする高年齢者雇用安定法などの改正案が、3月31日の参院本会議で賛成多数で可決・成立した。少子高齢化が進み、働き手が不足する2040年問題(現役1.5人が高齢者1人を支える時代)を念頭に、企業側に定年の廃止や延長、雇用継続のほか、退職者の起業支援や社会貢献活動の支援を求めている。医療機関や介護施設も、今後も増え続ける需要に対して、医師のみならず看護・介護職員の定年延長なども検討が必要となると考えられる。すでに産業別就業者数において医療・福祉部門での就業者の割合は12.5%の831万人となっており、卸売業・小売業16.1%、製造業15.9%と続く。今後、若年者の人口は急減する(2020年の新成人は122万人・前年比で3万人減であり、2019年の出生数は86万人と減少している)見込みであり、2040年の就業者は現在の6,664万人から最大で1,285万人減少されるのが予想されている。急増する医療・介護ニーズに対応するための人手不足対策には、退職者の活躍が必然だろう。(参考)雇用保険法、高年齢者雇用安定法、労災保険法などの改正を束ねた改正法案の要綱を提示 「70歳までの就業機会の確保」も盛り込む(PSRnetwork)医療・介護の生産性、主要先進国で最低水準 厚労省研究会(介護のニュースサイト Joint)産業別就業者数(平成30年)(なるほど統計学園)5.介護分野における文書の負担軽減策がいよいよ本格的に始まる3月30日に、厚生労働省は社会保障審議会介護保険部会の介護分野の文書に係る負担軽減に関する専門委員会を開催した。社会保障審議会介護保険部会・介護分野の文書に係る負担軽減に関する専門委員会が昨年12月4日に出した中間取りまとめにおいて、今後、高齢者の増加に伴い、現場の介護の担い手が不足するのに合わせて、介護分野の文書に係る負担軽減の実現に向け、国、指定権者・保険者及び介護サービス事業者が協働して、必要な検討を行う目的でこれまで議論を進めてきた。この取りまとめを元に、実際にアクションを行っていくことが確認された形だ。負担軽減策は3つの視点から行うこととなっている。1)様式・添付書類や手続きの見直し簡素化2)自治体ごとのローカルルールの解消による標準化3)ICTなどの活用厚労省は、3月6日に老健局より各市町村長に対して「社会保障審議分野会介護保険部会『介護の文書に係る負担軽減に関する専門委員会』中間取りまとめを踏まえた対応について」(令和2年3月6日付第8号老健局長通知)と言う形で局長通知を出しており、各自治体において取りうる対応を求めている。今後、1年以内に行うアクションは、手続き時の文書の簡素化・統一化が中心であるが、さらに「1〜2年以内の取り組み」には変更・更新時の負担軽減、「3年以内の取組」については既存システムの活用、行政手続のオンライン化を踏まえ、ICT化が図られ、医療機関側との連携がさらに進む見込みである。今後の方向性は、医療・介護連携にも影響をもたらす可能性が高い。(参考)第6回社会保障審議会介護保険部会介護分野の文書に係る負担軽減に関する専門委員会(厚労省)「社会保障審議分野会介護保険部会『介護の文書に係る負担軽減に関する専門委員会』中間取りまとめを踏まえた対応について」(同)社会保障審議会介護保険部会介護分野の文書に係る負担軽減に関する専門委員会中間取りまとめ(同)

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新型コロナウイルスの鎮静化の鍵を歴史から学ぶ【Dr.中川の「論文・見聞・いい気分」】第22回

第22回 新型コロナウイルスの鎮静化の鍵を歴史から学ぶこの原稿を執筆している2020年3月下旬には、新型コロナウイルス騒動は収束の気配がなく、感染拡大防止のために精一杯の対応が続いています。学校は再開のめどが立たない地域が多く、渡航制限があり、商店街や飲食店はガラガラで、イベント中止が相次いでいます。皆様が、この記事に目を通している時には良い方向に向かっていることを願うばかりです。対策として、ワクチンや抗ウイルス薬の開発が急ピッチで進んでいます。21世紀の現代においても、患者を隔離し他人との濃厚接触を避けるという、旧知の公衆衛生学的な措置が感染予防の中心となっています。現在もなお通用する方策を見出した先人の知恵には感服するばかりです。疫病の侵入を防ぐための検疫は、英語でクワランティーン(quarantine)と言います。イタリア語由来で、元の意味は「40日間」です。イタリア語で数字の40をクワランタ(quaranta)ということからも類推できます。ヨーロッパでは14世紀にペスト(黒死病)が一気に拡大し、人口が約3割も減ったと言われます。ヴェネツィア共和国では、流行している地域からの船舶を、ペストの潜伏期間である40日間にわたり、港外に強制的に停泊させる措置を行いました。このように検疫の語源は、ペスト流行期の隔離政策に由来していることは知っておくべき知識です。さらに、旧約聖書の「ノアの方舟」も興味深いです。神は、ノアに洪水の到来を告げ、方舟の建設を命じました。巨大な方舟を完成させ、ノアは家族とすべての動物のつがいを乗せます。洪水は40日続き、地上の生き物を滅ぼします。水が引いた後にノアは人類の新たな始祖となった、これが伝説のあらすじです。伝説ではなく実話であると信じる方もいるようですが、ここで驚くのは「40日間」が登場することです。方船の真偽は別にして、災いから逃れ、生き延びるためには、40日間が鍵となる時間であることを人類は紀元前から知っていたのです。知っていたのではなく、人類の滅亡を覚悟する疫病の流行によって、脳裏に叩き込まれたのかもしれません。話は再び700年以上も昔のペストの時代です。14世紀は、猫にとって暗黒の時代でした。中世ヨーロッパは魔女狩りの時代です。猫は魔女の使いとされ忌み嫌われ、多くの猫が犠牲になっていたのです。本当に悲しい歴史です。ペストは、ネズミにたかったノミが媒介して人間に伝染することが知られています。猫が減ったヨーロッパの街々では、ネズミが大量発生し、その結果多くの伝染病、中でもペストの大流行に繋がったそうです。インドや東南アジアなどの猫が多く飼われていた地域では、ペストの流行が抑えられたと伝えられています。多くの人々が亡くなる中、ネズミを退治する猫が必要であると認識され、猫は敬われるようになったのです。さすが猫さまです。ネズミ退治すらできるとは思えない、腰抜けの我が家の猫には疫病退散を期待できませんが、ただただ新型コロナウイルス騒動を収束させる人類の英知を信じるばかりです。

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COVID-19、厚労省による遺体の取り扱い・埋火葬に関するガイドライン

 COVID-19の感染急拡大を受け、厚労省による感染者の遺体取り扱いと埋火葬に関するガイドラインをまとめた。【従事者側の注意点】・医療機関等は、遺体が新型コロナウイルス感染症の病原体に汚染され又は汚染された疑いのある場合、感染拡大防止の観点から、遺体の搬送作業及び火葬作業に従事する者にその旨の伝達を徹底する。なお、その際は、伝える相手を必要最低限とするなどプライバシー保護にも十分配慮する。・遺体の処置にあたる従事者は、ゴーグル(またはフェイスシールド)、サージカルマスク、手袋、長袖ガウン、帽子の着用などの個人防護具を着用し、作業後は確実に手指衛生を行う。・遺体の体液等で汚染された場合は、0.05~0.5%(500~5,000ppm)次亜塩素酸ナトリウムで清拭*、または30分間浸漬、アルコール(消毒用エタノール,70v/v%イソプロパノール)で清拭、または30分間浸漬する。消毒剤の噴霧は不完全な消毒やウイルスの舞い上がりを招く可能性があるため推奨しない。可燃性のある消毒薬を使用する場合については火気のある場所で行わない。*血液などの汚染に対しては0.5%(5,000ppm)、また明らかな血液汚染がない場合には0.05%(500ppm)を用いる。なお、血液などの汚染に対しては、ジクロルイソシアヌール酸ナトリウム顆粒も有効。【遺体の扱いに関する注意点】・遺体全体を覆う非透過性納体袋に収容・密封することが望ましい。収容・密封後に、納体袋の表面を消毒する。遺族等の意向にも配意しつつ、極力そのままの状態で火葬するよう努める。・非透過性納体袋に収容、密封されている限りは特別の感染防止策は不要。遺体の搬送を遺族等が行うことも差し支えない。・火葬に先立ち、遺族等が遺体に直接触れることを希望する場合には、遺族等に手袋等の着用をお願いする。【その他】・新型コロナウイルス感染者の遺体は、24時間以内に火葬できるが、これは必須ではない。感染拡大防止対策上の支障等がない場合には、できる限り遺族の意向等を尊重する。・感染者の遺体は、原則として火葬する(感染症法第30条第2項)。

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第1回 争奪戦、医療者はトイレットペーパーより人工呼吸器

3月25日現在、世界199ヵ国で感染者41万4,179人、死者1万8,440人にまで達している新型コロナウイルス感染症(COVID-19)。日本でも政府による全世界への渡航自粛要請、東京オリンピックの延期などその影響は甚大だ。中国湖北省・武漢市を出発点に、当初は中国を中心としたローカルな感染症と思われていたが、世界で深刻な状況にあるイタリアは、3月25日時点での感染者数が6万9,176人、死者は6,820人で致死率はなんと9.9%(WHO:Situation Report)。今回の震源地だった中国で同時点の死者数が3,287人、致死率が4.0%であることと比較して、異常なまでの高さである。この原因の一つとみられているのが、65歳以上の高齢者人口比率の高さ。2018年時点での先進7ヵ国の高齢化率トップ3は日本が28.1%、イタリアが23.3%、ドイツが21.7%である。3月25日時点の致死率を見ると、日本が3.6%、ドイツが0.5%であり、イタリアの状況を高齢化率のみで説明するのはやや無理がある。各種報道では、欧州連合内で最も高い親世代との同居率、医療費削減策に伴う病院の統廃合や医師の給与カットによる医療リソース不足、はたまたあいさつ代わりにハグやキスをする文化などさまざまな原因が指摘されているものの、イタリアの未曽有の状況の背景説明として決定打にはなっていない。もっとも高齢化進展と医療資源の適正化策推進という点で共通する日本にとって、イタリアの事態は将来的に対岸の火事ではなくなる可能性もある。そして今、イタリアで問題になっているのが重症患者向けの人工呼吸器の不足。その結果、人工呼吸器を装着すべき患者を選択するトリアージも始まっているとされる(REUTERS:イタリア最悪の医療危機、現場に「患者選別」の重圧)。この陰で起きているのが人工呼吸器確保を巡る争奪戦だ。このさや当てをロイターが報じている(REUTER: Germany, Italy rush to buy life-saving ventilators as manufacturers warn of shortages)。記事によれば、ドイツが1万台、イタリアが5,000台の人工呼吸器を公的に調達しようとしているという。全世界での人工呼吸器の年間生産台数は分からないが、記事中で登場するスイス大手のHamilton Medicalが年間1万5,000台、また、先ごろ従来の約25倍の月間1万台の増産体制を敷いた旭化成の米子会社ZOLL Medical Corp.がおおよそ年間5,000台弱ということを考えれば、ドイツ・イタリア併せて1万5,000台を公的に調達しようとしていることが、いかに異常な事態かは分かる。増産体制の障害となりつつあるのが、多様化した製造部品のサプライチェーンである。現に別の報道ではこのHamilton Medicalの人工呼吸器用のホースを製造するルーマニアで、一時、このホースが重要な医療機器として出荷ストップをかけられたという。感染拡大阻止を意図した各国の国境封鎖なども、今後この状況を悪化させる可能性もある。ボーダーレス時代が招いたと言われるCOVID-19のパンデミックだが、その対策で各国のエゴがむき出しになるという何とも皮肉な状況である。

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HIV治療のゲームチェンジャー現る(解説:岡慎一氏)-1208

 HIV治療は、多くの治療薬の開発のおかげで急速な進歩を遂げてきた。1996年当初3剤併用療法が可能となった当時、治療効果はそれまでと比べものにならないくらい改善したが、1日5回、トータル20錠もの薬剤を、副作用軽減のため水分1.5Lと共に服用しなければいけなかった。もちろん、このような治療が長続きするはずもなく、飲み忘れが増えるなどして薬剤耐性ウイルスの出現を招いていた。その後、治療薬の改良は進み、10年後には1日1回の治療が可能になり、その10年後には1日1回1錠での治療が可能になった。1日1回1錠で治療が済むのであれば、もうこれ以上の改良はないであろうと思っていたら、今回の新しい治療法の登場である。今回の新しい治療法は、今までの治療でウイルスを抑えた後、維持療法として2種類の薬剤を月に1回注射するというものである。毎日忘れずに薬を飲むという今までの治療の常識からすると、まさにゲームチェンジャーである。有効性に関しては、現在最も強力といわれるDTG/ABC/3TCによる1日1回1錠の経口薬3剤治療と比較し、月1回の2剤治療で非劣性が証明されている。副作用としては、筋注のため、局所の痛みは少しあるようである。興味深いのは、患者満足度で、ほぼすべての人が月1回治療を希望しており、その理由が、「月に1回だけ注射すれば残りの日はHIVのことを忘れることができる」、というものであった。1日1回の服用であっても、毎日薬を飲むことに対するプレッシャーは大きいのであろう。もうひとつ、非常に興味深い結果がほんの数行書かれている。283例中3例に治療失敗がみられ、薬剤耐性ウイルスが出ているのである。経口であれば、服薬が完全でなかったという言い訳ができるが、この治験では確実に注射しているので、adherence不良のためというのは失敗の原因にはならない。全員がsubtype A1であったというが、この点に関しては、より詳しい検討が待たれる。

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COVID-19重症例、COPDや糖尿病併存が転帰不良

 中国・広州医科大学のWei-Jie Guan氏らは、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)患者の併存疾患を層別化し、重篤な有害転帰リスクを評価した。その結果、併存疾患のない患者よりも併存疾患を有する患者で転帰が不良になることを示唆した。また、併存疾患数の多さが転帰不良と相関していたことも明らかにした。The European respiratory journal誌オンライン版3月26日号掲載の報告。 研究者らは2019年12月11日~2020年1月31日の期間、中国本土の31省・市・区の病院、575施設に入院した患者1,590例のデータを分析。複合エンドポイントはICUへの入室、侵襲的換気、死亡で、その到達リスクとして併存疾患の有無と数を比較した。 主な結果は以下のとおり。・患者の平均年齢は48.9歳、686例は女性だった。・全症例の中で重症例は16.0%だった。・全症例の中で8.2%(131例)が複合エンドポイントに到達した。・25.1%(399例)には少なくとも1つの疾患があった。・併存疾患の内訳は高血圧症が最も多く(16.9%)、次いで糖尿病(8.2%)だった。・8.2%(130例)は疾患を2つ以上有していた。・年齢と喫煙歴の調整後では、COPD (ハザード比[HR]:2.681、95%信頼区間[95%CI]:1.424~5.048)、糖尿病(HR:1.59 、95%CI:1.03~2.45)、高血圧症(HR:1.58、95%CI:1.07~2.32)、悪性腫瘍(HR:3.50、95%CI:1.60~7.64)が、複合エンドポイント到達のリスク因子だった。併存疾患数でみると、疾患1つの場合はHR:1.79(95%CI:1.16~2.77)、2つ以上では2.59(95%CI 1.61~4.17)だった。

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多剤耐性HIV-1感染、fostemsavirの追加が有効/NEJM

 治療の選択肢が限られた多剤耐性ヒト免疫不全ウイルス1型(HIV-1)感染患者において、fostemsavirはプラセボと比較して投与開始後8日間のHIV-1 RNA量を有意に減少し、その有効性は48週まで持続することが認められた。米国・イェール大学医学大学院のMichael Kozal氏らが、23ヵ国で実施中の第III相試験の結果を報告した。fostemsavirは、画期的医薬品(ファーストインクラス)として開発中のHIV-1接着阻害薬temsavirのプロドラッグである。複数の抗ウイルス療法を受け治療の選択肢が限られているHIV-1感染患者に対する、新しい作用機序を持つ新クラスの抗レトロウイルス薬が必要とされていた。NEJM誌2020年3月26日号掲載の報告。多剤耐性HIV-1感染患者約370例を対象に、2つのコホートで評価 研究グループは、多剤耐性HIV-1感染患者を、残された治療選択肢に従って2つのコホートに登録した。第1コホートでは、治療選択肢として少なくとも1剤以上の承認された抗レトロウイルス薬(1クラス以上2クラス以下)を有する患者を、失敗したレジメンにfostemsavir(600mgを1日2回)またはプラセボを8日間追加する群に3対1の割合で割り付け、その後は非盲検下でfostemsavir+最適基礎療法を行った(無作為化コホート)。 第2コホートは、対象を抗レトロウイルス薬の選択肢が残されていない患者とし、非盲検下でfostemsavir+最適基礎療法を1日目から開始した(非無作為化コホート)。 主要評価項目は、無作為化コホートにおけるHIV-1 RNA量の1日目から8日目までの平均変化量とした。fostemsavir追加で8日間のHIV-1 RNA量が有意に減少 解析対象は、治療を受けた無作為化コホート272例、非無作為化コホート99例の計371例であった。 8日時点で、HIV-1 RNA量の平均減少量は、fostemsavir群で0.79 log10コピー/mL、プラセボ群で0.17 log10コピー/mLであった(p<0.001)。48週時点でのウイルス陰性化率(HIV-1 RNA量<40コピー/mL)は、無作為化コホートで54%、非無作為化コホートで38%であり、CD4陽性T細胞数の平均増加量はそれぞれ139/mm3および64/mm3であった。 fostemsavir投与中止に至った有害事象は、7%の患者で確認された。 無作為化コホートでは、47例でウイルス学的失敗が確認され、そのうち20例(43%)で糖蛋白120(gp120)の置換が認められた。

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