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COVID-19検査法と結果どう考えるか/日本感染症学会

 日本感染症学会(理事長:舘田 一博氏[東邦大学医学部 教授])は、10月12日に「COVID-19検査法および結果の考え方」を提言としてまとめ、同会のホームページで公開した。 提言では、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)でさまざまな検査法、検査機器の登場により日々新しい情報が次々と発表されて行く中で、遺伝子検査で陽性を示す患者の感染性をどのように評価していくのかが検査の重要な課題として定義。その中でもCt値(Cycle Threshold)が重要な項目の1つとして将来的に遺伝子検査陽性が持続する患者に対し、Ct値や特異抗体の検出などを併用することで、正確に感染性を評価することができるようになると示唆している。 以下に「COVID-19検査法および結果の考え方」の概要をまとめた。なお、この内容は2020年10月初めの情報であり、今後変更される可能性があることも留意いただきたい。検査の適用は4つのタイプ 「検査の適用に関する基本的考え方」として、新型コロナウイルス感染症対策分科会から、COVID-19に対する検査の基本的考え方が下記のように示されている。(1)有症状者(COVID-19 を疑う症状がある患者)(2)無症状者 a 感染リスクおよび検査前確率が高い場合(例:クラスター発生時、医療機関や高齢者施設など) b 感染リスクおよび検査前確率が低い場合(例:海外渡航時、スポーツ選手、文化・芸能など) また、検査法ごとに使用できる検体および対象者として、検査法では「遺伝子検査」「高感度抗原検査」「簡易抗原検査」の3つが、検体では「鼻咽頭」「鼻腔」「唾液」の3つがあり、有症状者、無症状者により使い分けて使用することが厚生労働省より発表されている。 とくにインフルエンザ流行の秋冬においては、鼻咽頭あるいは鼻腔検体を用いてインフルエンザとCOVID-19 の検査を同時に実施することも想定し、同学会の過去の提言やCOVID-19病原体検査の指針を参考にしてほしいと述べている。各検査法の特徴と注意点・遺伝子検査法 特徴:数十コピーのウイルス遺伝子を検出できるほど感度が高い 注意点:検査時間が比較的長い(1~5時間)、専用機器・熟練した人材が必要、高コストなど おおむね感度90%以上、特異度はほぼ100%・抗原検査 特徴:検体採取ののち約30分で目視による判定が可能である(定性試験) 注意点:イムノクロマトグラフィー法では感度が低く、唾液検査は認められていない。ルミパルスは、遺伝子検査に近い感度が得られるとされている。高感度抗原検出検査は、無症状者の鼻咽頭拭い液および唾液を用いた検査でも承認・抗体測定法 特徴:COVID-19では抗体産生が、発症から受診まで2週間(通常、特異抗体産生は感染後2~3週間必要)ほどの経過である症例もあり、このような場合、患者血液の抗体の検出が診断に役立つ 注意点:感染・発症していても抗体検査が陽性にならない症例があることに注意。感度・特異度ともに他の方法と比較して劣り、製品ごとのばらつきも大きい感染性を評価するための指標としてCt値を提言 症状が軽快したのちも、数週間にわたって遺伝子検査が陽性を示すことが報告されている。長期間の遺伝子検査陽性を示す患者において、いつまで隔離を行う必要があるのか(感染性はいつまで続いているのか)の判断に苦慮することが多い。 そこで、感染性を評価するための指標として遺伝子コピー数(Ct値)を提言している。408症例の検討から発症時点でのCt値は20前後であったものが、日数が経過するごとにCt値は高くなり(ウイルス遺伝子数が減少)、発症9日の時点でCt値は30.1となっている1)。また、発症からの日数とCt値およびウイルス培養結果の関連では、Ct値が高くなるにしたがい(ウイルス遺伝子数が減少)、検体からのウイルスの分離率が低下していることがわかる。 これらの研究からウイルスの分離(すなわち感染性)は発症からの日数およびウイルスRNA量に強く依存している可能性を示すものであると説明している。退院基準の考え方 遺伝子検査がなかなか陰性化しないことで、無症状であっても退院させられない症例の増加が問題となっている。そこで、遺伝子検査の陰性結果(Test-based strategy)とともに、発症および症状消失からの日数を参考に退院を判断するSymptom-based strategy の導入が検討されている。 下記に「COVID-19陽性者の退院基準・解除基準」を示す。 1)有症状者の場合 (1)発症日から10日間経過し、かつ症状軽快後、72時間経過した場合 (2)症状軽快の24時間後、2回のPCR検査(24時間間隔)で陰性確認 2)無症状者の病原体保有者の場合 (1)検体採取日から10日間経過した場合 (2)検体採取日から6日間経過後、2回のPCR検査(24時間間隔)で陰性確認 以上今後の検査、退院などに際し参考としていただきたい。■参考COVID-19検査法および結果の考え方

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血漿ACE2は生命予後・心血管疾患イベントのリスクマーカーとなりうるのか?(解説:甲斐久史氏)-1307

 2020年は、アンジオテンシン変換酵素2(ACE2)の発見20周年である。その記念すべき年に、期せずして、人類の日々の営みさえ大きく変えようとしているCOVID-19パンデミックの原因ウイルスSARS-CoV-2感染における細胞受容体であることが同定され、ACE2に大きな注目が集まることとなった。ともすればネガティブな悪玉イメージが定着しそうな雲行きのACE2であったが、ここに来て本来の領域(?)でポジティブなニュースが飛び込んできた。 そもそも、ACE2は細胞膜メタロプロテアーゼで、古典的レニン・アンジオテンシン(RA)系における中心的な調節因子アンジオテンシン変換酵素(ACE)のホモローグである。言うまでもなくACEは、アンジオテンシン(ang)IからangIIを産生し、angII1型受容体(AT1R)を介する細胞増殖・肥大、酸化ストレス、血管収縮といった生理学的あるいは病態生理的作用に関与する。それに対して、ACE2はangIおよびangIIをそれぞれang 1-9およびang 1-7に分解、すなわち、angII産生を減少させる。さらに、ang 1-7はmas受容体を活性化してAT1Rの作用を抑制する。すなわち、ACE2は過剰に活性化したRA系に対する内因性抑制機構で、臓器保護的に作用するkey moleculeである。 高血圧や心不全・冠動脈疾患・心房細動といった心血管疾患患者において、血漿ACE2濃度・酵素活性あるいは尿中ACE2濃度が検討されている。これまで、心血管疾患患者を対象としたいくつかの小規模な観察研究において、血漿ACE2活性が高いと心血管疾患アウトカムが悪いことが示唆されていた。そこで、Narulaらは今回、大規模な登録研究コホートを用いて、血漿ACE濃度の規定因子、心血管疾患イベントとの関連を検討した。国際的な一般住民の前向き登録研究Prospective Urban Rural Epidemiology(PURE)に含まれる5大陸14ヵ国1万753例(フォローアップ期間中央値9.42年、IQR:8.74~10.48)を対象にnested case-cohort研究が行われた。 血漿ACE2濃度の規定因子は、性別(男性)、次いで地域(最高は東アジア、最低は南アジア)、高BMI、糖尿病、高年齢、収縮期血圧、喫煙、LDLコレステロール値の順であった。メンデルのランダム化法により臨床的リスク因子と血漿ACE2濃度の関連を検討したところ、肥満と糖尿病において因果関係が示唆された。 血漿ACE2濃度高値は、年齢、性別、地域、古典的心臓リスク因子(収縮期血圧、non-HDLコレステロール値、喫煙、糖尿病)で調整した全死亡リスクの増加と関連した(1SD増加ごとのハザード比:1.35、95%信頼区間:1.29~1.43)。心血管死(1.40、1.27~1.54)および非心血管死(1.34、1.27~1.43)の調整リスク増加のいずれとも関連した。さらに、初発心不全(1.27、1.10~1.46)、心筋梗塞(1.23、1.13~1.33)、脳卒中(1.21、1.10~1.32)、糖尿病(1.44、1.36~1.52)の調整後発症リスクとも関連した。 血漿ACE2濃度の生命予後や心血管イベントの予測能も検討された。血漿ACE2濃度は、補正後の全死亡(p<0.0001)、心血管死(p<0.0001)、非心血管死(p<0.0001)の最も優れた予測因子であった。心筋梗塞(p<0.0001)に対しては喫煙、糖尿病に次いで、心不全(p=0.0032)と脳卒中(p=0.0010)に対しては収縮期血圧、糖尿病に次いで、それぞれ3番目に強い予測因子であった。 大規模な観察研究の結果、血漿ACE2は生命予後や主要な心血管イベントの有用なリスクマーカーとなる可能性が示唆されたわけである。しかしながら、大きな問題が残されている。すなわち、細胞膜結合型ACE2については、細胞増殖・肥大、酸化ストレス、血管収縮などのangII-AT1R系を介する臓器障害に対して、保護的に作用するという多くの基礎研究のエビデンス蓄積がある。一方、遊離ACE2の生理学的・病態生理学的意義は明らかではない。つまり、血中の遊離型ACE2濃度は、ACE2細胞発現、ADAM-17などの酵素による細胞膜からの切断、血漿クリアランスなど多くの影響を受けるが、その機序はほとんど解明されていない。加えて、本検討は横断的観察研究であり、血漿ACE2と死亡、心血管疾患、肥満、糖尿病との関係は、未知の交絡因子や因果の逆転の結果である可能性は否定できない。 著者らは、血漿ACE2はRA系調節異常のバイオマーカーであり、これを踏まえた新しい心血管疾患の診断・治療アプローチの可能性を示唆している。確かに、BNPやNT-proBNPを手にすることで、心不全治療が大きく前進したように、ACE2-guide therapyが実現すれば、循環器領域における大きなブレークスルーにつながるであろう。血漿ACE2が、心血管疾患の予後規定因子であるのか、重症化さらには治療効果の判定マーカーとなりうるかについて、今後の大規模な前向き研究によるエビデンスが待たれる。

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「抗菌薬はウイルスをやっつける」5割が依然として誤解【早耳うさこの薬局がざわつくニュース】第56回

感染症への関心がかつてないほど高まっていますが、一般の方の感染対策や抗菌薬に対する意識は昨年から変化したのでしょうか。抗菌薬に対する知識や理解について調査した「抗菌薬意識調査レポート2020」が公表されましたので紹介します。国立国際医療研究センターは10月8日、抗菌薬意識調査レポート2020を発表した。調査結果によると、普段処方された抗菌薬・抗生物質を飲みきらない人は34.6%。そのうち「途中で忘れてしまい飲みきっていない」人は8.9%、「治ったら途中で飲むのをやめる」人は25.7%だった。同センターは、飲み残しを取っておく人も多いことも指摘した上で、「抗菌薬の正しい使用法を積極的に広めていく必要がある」とした。(2020年10月12日付 日刊薬業)この調査は、2020年8月に10代以上の方を対象として行われたインターネット調査で、700人が回答しました。同様の調査は昨年も行われているため、昨年と今年の変化もみていきたいと思います。まず、「抗菌薬・抗生物質はウイルスをやっつける」と回答した人は、昨年の調査では64.0%、今年は49.7%でした。また、「抗菌薬・抗生物質はかぜに効果がある」と回答した人は、昨年は45.6%、今年は34.3%でした。まだまだ間違った知識の人が多いじゃん…と思いますが、どちらも昨年よりは減っています。風邪の原因の多くはウイルスで、多くの場合は抗菌薬が効かないということが普及してきたのでしょう。次に、耐性菌で悩ましい抗菌薬飲み切り問題についてですが、昨年の調査において、「処方された抗菌薬・抗生物質はすべて飲み切る必要がある」と回答した人は63.4%でした。今年の調査は多少質問や選択肢が異なっているのですが、「普段、処方された抗菌薬・抗生物質を飲み切っていますか」という実際の行動を尋ねる質問に対し、「普段からできるだけ飲まない」と回答した人が20.3%、「最後まで飲み切っている」が45.1%、「治ったら途中で飲むのをやめる」が25.7%、「途中で忘れてしまい飲み切っていない」が8.9%で、結果的に飲み切っていないと回答した人は34.6%でした。抗菌薬の飲み切りについて誤った行動をとっている人もまだ多くいるため、服薬指導の重要性を感じます。ただ、「普段からできるだけ飲まない」と回答した人のスタンスはわからなくもないのですが、医師から処方されても飲まないというニュアンスが含まれているのだとしたら、それはちょっと別の問題かなと思います。コロナで感染対策への意識高まる今年は新型コロナウイルス感染症が流行したこともあって、コロナ関連の項目もありました。「新型コロナウイルス感染症が流行し始めてから、感染症や感染対策に関する情報を以前よりも気にするようになりましたか」という質問では、30.7%が「大変気にするようになった」、36.7%が「少し気にするようになった」と答えており、67.4%が以前よりも気にしていました。また、「現在感染症予防として取っている感染対策は、今後も日常生活で続けていけそうですか」という質問に対して、「このまま続ける」と答えた人は65.6%で、「新しい生活様式」がすっかりなじんだことがわかります。対策を続けていくことで、そもそも風邪にかかる人が少なくなるのではないでしょうか。今年はなかったのですが、昨年は「朝起きたら、だるくて鼻水、咳、のどの痛みがあり、熱を測ったら37℃でした。あなたは学校や職場を休みますか?」という興味深い質問があり、「休む」と答えた人が37.1%、「休みたいが休めない」「休まない」のように結局休まないと答えた人が60%以上となりました。今思うとこの“頑張り”はとても怖いですよね。新型コロナや働き方改革などを考慮して、これまで風邪をひいても「働くために」症状を抑制することを促していた風邪薬のCMが、「かぜの時は、お家で休もう!」「大切ですよ、無理しない勇気」などと、無理をせずに家で休もうというメッセージに変更されました。今年こそこの休むかどうかの質問を実施してほしかった!と思うのですが、今年の質問にはなく比較できませんでした。間もなく新型コロナ・風邪・インフルエンザのトリプルパンチになる恐れがあります。感染予防や感染後の対応、抗菌薬の使用について正しい知識を伝えて、これまでとは異なる冬を乗り切りましょう。

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第31回 COVID-19ワクチンはこのままだとインフルエンザワクチンと同じ轍を踏む

第III相試験の被験者集めの完了の便りも飛び交い、今月末には早くも結果さえ判明し始める1)新型コロナウイルス感染症(COVID-19)予防ワクチンは場当たり的に扱うことなく、安全で効果的なもののみ世に出すと米国FDAは約束しました2,3)。それにワクチンメーカー9社は早まった承認申請はしないという稀にみる珍しい共同声明を発表しています4)。世間が期待するワクチンの効果は明白で、悪くすると死ぬ恐れがあるような重病に陥るのを予防することです5)。専門家の意見も同様で、COVID-19ワクチンが担うべき役割は2つあり、1つは重症になって入院するのを防ぐこと、もう1つは(症状があるかどうかは関係なく)感染を防いでその連鎖を絶つことであると米国・ベイラー医科大学の熱帯病部門のリーダーPeter Hotez氏や感染症/ワクチン専門医師は言っています6,7)。しかし現在進行中のCOVID-19ワクチンの第III相試験はそういう効果を調べるようにはできていません。どの試験も入院・集中治療室(ICU)使用・死亡などの深刻な転帰を減らす効果の検出力はありませんし、症状の有無とは関係なく感染を防いでその伝播を遮断する効果の把握も期待できません8,9)。先月9月の初め、医療情報配信事業Medscapeの編集長にして米国屈指の研究所Scripps Researchの設立者Eric Topol氏はワクチン専門家Paul Offit氏に「重要なことなのではっきりさせたいと思いますが、COVID-19ワクチンの臨床試験で数えられる転帰は軽症のPCR検査陽性ではなく中等~重度の病態という認識で正しいですよね?」と尋ねました。米国FDAの諮問委員に名を連ね、COVID-19ワクチンの承認の是非を判断することになるであろうOffit氏はその問いに紛うこと無く「そうだ(That‘s right)」と答えました10)。しかし公開された第III相試験プロトコールはそうなってはいません11)。咳、喉の痛み、発熱、頭痛などの軽症の陽性診断で主要転帰は積み重なって試験は終了に近づきます。6月のニュースでCOVID-19ワクチンの開発会社の1つModerna(モデルナ)社は入院を試験の重要な副次転帰の1つだと発表しました12)。どうやら勢い余って米国政府も加勢し、Modernaの試験は重度COVID-19を防ぐ効果を調べることが目的の1つで、COVID-19による死亡を防げるかどうかを見極めると聞こえの良いことを言っています13)。ところが内実は違なります。モデルナ社の試験で入院は取り上げないと同社の最高医学責任者(CMO)Tal Zaks氏はBMJに話しており、重症や死亡などの転帰の差を検出する力は同社の試験には実はありません8)。米国では60年も前から65歳以上の高齢者へのインフルエンザワクチン接種が推奨されていますが、いまだにそれで死亡が減るかどうかは不明です。無作為化試験で死亡や入院が調べられたことはありませんし8)、さらにはインフルエンザワクチンの普及と死亡率低下の関連は認められていません14)。尊敬を集める研究者Peter Doshi氏はインフルエンザワクチンのような残念な道をCOVID-19ワクチンが歩むのを防ぐには今こそ行動する必要があると言っています9)。ほとんどのCOVID-19ワクチン試験で小児・免疫不全の人・妊婦が除外されている理由、主要転帰が適切かどうか、安全性判断、SARS-CoV-2に対してあらかじめ備わるT細胞反応の意義といった課題に向き合うように試験方針を変えることは今からでも間に合います。COVID-19ワクチンの試験は意見を取り入れることなく設計されたかもしれないが、幸いそれら試験のプロトコールが早期公開されたことは科学が声を上げて導くまたとない機会であり、手遅れになる前に今すぐ仕事に取り掛かろうとDoshi氏は呼びかけています9)。参考1)Pfizer Investor Day Features Significant Number of Pipeline Advances for COVID-19 Programs and Across Numerous Therapeutic Areas/businesswire2)The FDA’s Scientific and Regulatory Oversight of Vaccines is Vital to Public Health/FDA 3)Dr. Hahn's remarks to the National Consumers League on the vaccine review process/FDA 4)Biopharma Leaders Unite to Stand With Science/businesswire5)What A Nasal Spray Vaccine Against COVID-19 Might Do Even Better Than A Shot/npr6)Those coronavirus vaccines leading the race? Don’t ditch the masks quite yet/The Los Angels Times7)A Vaccine That Stops Covid-19 Won’t Be Enough8)Doshi P.BMJ. 2020 Oct 21;371:m4037.9)Covid-19 vaccine trials cannot tell us if they will save lives/Eurekalert10)Paul Offit's Biggest Concern About COVID Vaccines/Medscape11)Doshi P.BMJ. 2020 Oct 21;371:m4058.12)Moderna Advances Late-Stage Development of its Vaccine (mRNA-1273) Against COVID-19/businesswire13)Phase 3 clinical trial of investigational vaccine for COVID-19 begins/NIH14)Simonsen L,et al. Arch Intern Med. 2005 Feb 14;165:265-72.

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糖尿病患者の残薬1位は?-COVID-19対策で医師が心得ておきたいこと

 新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の実態が解明されるなか、重症化しやすい疾患の1つとして糖尿病が挙げられる。糖尿病患者は感染対策を行うのはもちろん、日頃の血糖コントロール管理がやはり重要となる。しかし、薬物治療を行っている2型糖尿病患者の血糖コントロール不良はコロナ流行以前から問題となっていた。今回、その原因の1つである残薬問題について、亀井 美和子氏(帝京平成大学薬学部薬学科 教授)らが調査し、その結果、医療者による患者への寄り添いが重要であることが明らかになった。 このアンケート結果は、9月30日に開催されたメディア勉強会『処方実態調査の結果にみる、糖尿病患者さんの課題~新たな日常で求められるシンプルな治療、服薬アドヒアランスの向上~』の「服薬アドヒアランスと患者支援 2型糖尿病患者の処方実態調査結果より」で報告され、同氏が血糖コントロールに不可欠な残薬問題解決の糸口について語った。このほか、糖尿病患者のCOVID-19への影響を踏まえ、門脇 孝氏(虎の門病院 院長)が「服薬アドヒアランス向上のために医師ができること」について解説した(主催:日本イーライリリー)。糖尿病患者の残薬1位、α-グルコシダーゼ阻害薬 残薬が生じる原因には、薬物の服用回数の多さ、服用タイミングなどの問題が挙げられる。2013年2月、残薬による日数調整の対象となりやすい薬剤について薬局薬剤師3,001人に調査した結果によると、第1位に挙げられた薬剤はα-グルコシダーゼ阻害薬、消化性潰瘍治療薬、下剤などであった。これは、「薬の効果を感じにくい」「症状があるときだけ使用する薬(自己調節が可能)」「用法が食前」などの理由が原因とされる。また、糖尿病患者の残薬理由を尋ねた調査では、「飲み忘れ」「持参し忘れ」などが特徴付けられた。 このような結論をより具体的にするために亀井氏らは2型糖尿病患者の服薬アドヒアランスと治療の負担感について調査を行った。  本調査は、日本在住で20歳以上の電子お薬手帳サービス「harmo」利用者のうち、2020年4月30日時点でID登録がされており、過去3ヵ月間(2020年1月1日~4月10日)に2型糖尿病の経口薬を処方されていた患者5,504 例の人口統計的変数、治療状況、経口薬の服薬状況、ライフサイクル(起床/就寝時間)に関する情報を収集した横断的観察研究。調査期間は2020年4月30日~5月10日、調査方法はスマートフォンやタブレット端末、パソコンなどを用いたインターネット・アンケートだった。 主な結果は以下のとおり。・実際に回答を得られたのは675例で、男性は499例、女性は176例だった。・平均2.1剤の経口糖尿病薬を服用し、1日あたりの服薬回数は平均2.0回であった。・糖尿病薬を服薬するタイミングで最も多かったのは朝食後74.4%であった。・32.4%の患者さんで服薬アドヒアランスが不良であった。・服薬アドヒアランス良好の患者さんに比べ、不良の患者さんのほうが1日あたりの服薬回数が多かった。・服薬アドヒアランス不良の患者さんはHbA1cの値が高い傾向であった。・服薬アドヒアランス不良の患者さんの38.4%が服薬に負担を感じていた。患者が服薬しないのは、情報不足・認識の低さ・副作用経験から この結果を踏まえ、亀井氏は「服薬アドヒアランス不良の患者では直近のHbA1cが高い傾向にあることから、合併症予防の観点からも治療の負担感を軽減し、服薬アドヒアランスを高めていく必要がある」と述べ、「残薬が発生するに原因には、薬自体や処方の特徴、そして患者の特徴が影響している。これを解決できていないのは患者と医療者とのコミュニケーション不足が原因」と話した。 そこで、質的研究として同氏らは個々に向かい合い、“服薬しない”行動原理を探索した。そこには“理解不足”はもちろんのこと、「複数の情報による混乱」「情報を都合よく解釈」「副作用への不安」「受け身の治療」などの個々の考えが大きく影響していることが示唆された。このような患者の考えには、「さまざまな情報や適切な情報の不足、病気の認識が低い、自他の副作用経験が影響し、意図的に(時には意図的ではなく)服用しない、という行動に結びつく」と同氏はコメント。実際に個別に応じた対応を行った結果、改善したと回答した薬局が97.6%にものぼっていた。医師による服薬アドヒアランス向上が糖尿病のCOVID-19重症化を防ぐ 続いて、門脇氏は糖尿病患者のCOVID-19対策時における注意点を説明。「外出自粛に伴う運動量の減少、食習慣の変化による体重増加や高血糖を防止するため、積極的な活動を心がけ、食事の取り方に十分注意する必要がある。また、外出自粛を理由に糖尿病患者が医療機関への受診を極端に控えることは、血糖コントロールや病状の悪化につながる可能性があるため、個々の糖尿病患者の状態に応じて適切な間隔での受診・検査・投薬が必要である」と強調した。 この注意点を解決していくためにはやはり患者とのコミュニケーションが重要となる。同氏は血糖コントロール管理の上で欠かせない医師と医療者のコミュニケーションが日本では世界と比べ不足していることを指摘し、「この原因は診療時間が十分に取れない環境にあるが、医療者は患者のQOLアウトカム(日常生活・社会生活の制限、自由の剥奪感、精神的負担など)を留意する必要がある。そのためには、医師自身がベストと考える治療法を説明し患者さんの同意を得るInformed Consentと、患者へ結果に大きな差のない複数の治療法について説明して患者が選択するInformed Choiceを取り入れていくことが必要である。これが“糖尿病患者の治療意欲とアドヒアランスを高める”ことにつながる」と述べ「糖尿病患者が治療に向き合っていること、糖尿病患者がスティグマ(社会的偏見)に苦しんでいることも医療者は理解しなければならない」と締めくくった。

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新型コロナ後遺症、4ヵ月後も続く例や遅発性の脱毛例も/国際医療研究センター

 新型コロナウイルス感染症(COVID-19)を巡っては、回復後もなお続くさまざまな症状が報告され、後遺症に着目した研究が進んでいる。今回、国立国際医療研究センターがCOVID-19回復者を追跡調査したところ、発症から120日超の時点でも依然続く呼吸苦や倦怠感、咳などを訴えたり、数ヵ月後になって脱毛を経験したりした人がいたことがわかった。研究グループは、COVID-19回復者の一部で見られる持続症状および遅発性症状に関するリスク因子の特定には、さらなる研究が必要だとしている。この研究をまとめた論文は、Open Forum Infectious Diseases誌2020年10月21日号に掲載された。 本研究では、センターにCOVID-19で入院し、2020年2~6月に退院した人に対し、7月30日~8月13日に電話による聞き取り調査を実施。回復後の持続症状および遅発性症状の有無、自覚症状やその期間について尋ねた。 主な結果は以下のとおり。・本研究において追跡調査対象となったのは78例。このうち、退院後死亡の2例と認知症などにより聞き取りができなかった13例を除く63例について調査を実施した。・21例(33.3%)は女性で、平均年齢は48.1歳(標準偏差[SD]:18.5)、BMIの平均は23.7(SD:4.0)、56例(88.9%)が日本人、3例(4.8%)が中国人、バングラデシュ、ベトナム、米国、フランスが1例ずつ(各1.6%)であった。・入院時に、47例(74.6%)が肺炎症状を有し、17例(27.0%)が酸素療法、5例(7.9%)が機械的換気を必要とし、29例(46%)が抗ウイルス薬を服用した。・発症から60日時点で、咳(5例、7.9%)、倦怠感(10例、15.9%)、呼吸苦(11例、17.5%)、味覚異常(3例、4.8%、不明1)、嗅覚異常(10例、16.1%、不明1)といった症状を訴えていた。・発症から120日時点では、咳(4例、6.3%)、倦怠感(6例、9.5%)、呼吸苦(7例、11.1%)、味覚異常(1例、1.7%、不明1)、嗅覚異常(6例、9.7%、不明1)といった症状を訴えていた。・58例(対象者から不明5例を除く)のうち14例(24.1%)が脱毛を報告した。うち5例が女性で、4例が男性だった。・COVID-19発症から脱毛症が出現するまでの期間は58.6日(SD:37.2)だった。・14例中5例で脱毛症は解消し、有症期間は平均76.4日(SD:40.5)だった。9例は調査時にも症状が続いており、有症期間は平均47.8日(SD:32.2)だった。

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第28回 研修医マッチング、大学病院より地域の臨床研修病院が選ばれる傾向

<先週の動き>1.研修医マッチング、大学病院より地域の臨床研修病院が選ばれる傾向2.新型コロナ受け入れ病院は全体の2割、多くは実績のある医療機関3.医師免許などの国家資格、マイナンバーでの活用検討4.マイナンバーカードの健康データ、医療・介護研究などへ活用5.オンライン診療の普及促進、デジタル技術を用いた新たな技術導入へ6.保健所などで働く公衆衛生医師不足があらわに1.研修医マッチング、大学病院より地域の臨床研修病院が選ばれる傾向22日に今年度の医師臨床研修マッチング結果が発表された。2004年度から新たな臨床研修医制度となり、臨床現場に立つ前に医師は2年間以上の初期臨床研修を受けることが必修化され、研修医はマッチングシステムを通して研修病院を選ぶことになっている。今年の全体のマッチ率は92.1%と前年度(92.4%)とほぼ変わらないが、大学病院にマッチしたのは38.1%と前年度(38.9%)からさらに低下した。発足当時には大学病院が55.8%と半数以上を占めていたが、年々大学病院を選ぶ学生が減り、地域の臨床研修病院で研修を希望する研修医が増えている。また、大都市部と地方における医師の需給格差の問題を背景に、東京都などでは募集定員を削減したため、東京都・神奈川県・愛知県・京都府・大阪府・福岡県の6都府県における内定者数は減少していることが明らかとなった。(参考)令和2年度の医師臨床研修マッチング結果をお知らせします(厚労省)2.新型コロナ受け入れ病院は全体の2割、多くは実績のある医療機関厚生労働省は、新型コロナウイルス感染患者の入院を受け入れた病院が全体の2割に止まっていることを21日の「地域医療構想に関するワーキンググループ」で明らかにした。全国8,280医療機関のうち、新型コロナウイルス感染症医療機関等情報支援システム(G-MIS)で回答した7,307医療機関において、受け入れ可能と回答したのは23%、そのうち実績ありは19%だった。全体の4%が人工呼吸器や体外式膜型人工肺(ECMO)を使う重症患者を扱っていた。新型コロナ患者の受け入れ状況は、医療機関の病床規模が大きいほど割合が大きくなる傾向があり、100床未満の病院では5%程度だった。また、感染患者の受け入れ可能あるいは実績のある医療機関の数は、「公的等」が最も多く、「公立」と「民間」は同程度だった。人口20万人未満の地域医療構想区域では「公立」の割合が最多であり、20万人以上100万人未満の区域では「公的等」、100万人以上では「民間」がそれぞれ最も多いこともわかった。厚労省は、2025年を見据えた5疾病5事業を中心に二次医療圏での医療機関の再編を進めているが、今回の新型コロナ感染拡大を踏まえ、見直しの声が高まっている。(参考)患者受け入れ病院2割のみ 中小で17〜5% 厚労省、病院再編統合を再検討(毎日新聞)新型コロナウイルス感染症を踏まえた地域医療構想の考え方について(第27回 地域医療構想に関するワーキンググループ 資料)3.医師免許などの国家資格、マイナンバーでの活用検討厚労省は、「社会保障に係る資格におけるマイナンバー制度利活用に関する検討会」の第1回を20日に開催した。今後、医療・介護分野での人材不足に対して、国家資格を有する人材の確保などの観点から、ITを活用した有資格者等の掘り起こしや再就職の支援を行うため、各種免許・国家資格、教育などについての情報をマイナンバーに紐付けて、届け出の簡易化を通して効果的な就労支援を目指す。対象とされるのは医師、歯科医師、薬剤師、保健師、助産師、看護師など31職種。今後、各職能団体に対してマイナンバー制度利活用に関する意向調査を行い、提言を取りまとめる予定。(参考)社会保障に係る資格におけるマイナンバー制度利活用に関する検討会(第1回) 資料(厚労省)4.マイナンバーカードの健康データ、医療・介護研究などへ活用厚労省は、21日に「第4回 健康・医療・介護情報利活用検討会」「第3回 医療等情報利活用WG」「第2回 健診等情報利活用WG」の合同会議を開催し、新型コロナの感染拡大を反映して、新たな日常にも対応したデータヘルスの集中改革プランについて討議を行った。2020年7月のデータヘルス改革に関する閣議決定により、次世代型行政サービスの強力な推進するため、マイナンバーカードを活用して、生まれてから生涯にわたる健康データを一覧性をもって提供できるよう取り組み、さらに健康データの医療・介護研究等への活用に向け検討を行った。今回は「全国で医療情報を確認できる仕組みの拡大」「電子処方箋の仕組みの構築」「自身の保健医療情報を活用できる仕組みの拡大」の3つのACTIONについて、2021年に必要な法制上の対応を行い、2022年度中に運用開始を目指し、効率的かつ迅速にデータヘルス改革を進めることを確認した。(参考)第4回 健康・医療・介護情報利活用検討会、第3回 医療等情報利活用WGおよび第2回 健診等情報利活用WG 資料データヘルスの集中改革プラン、3つの項目で論点整理 厚労省(ケアマネタイムス)5.オンライン診療の普及促進、デジタル技術を用いた新たな技術導入へ政府・規制改革推進会議の医療・介護ワーキング・グループは、19日に第1回目を開催した。初回のテーマは「新規領域における医療機器・医薬品の開発・導入の促進」で、SaMD(Software as a Medical Device)の普及促進についてルールの整備などであったが、21日に開催された第2回では「オンライン診療・オンライン服薬指導の普及促進」について話し合われ、患者の受診機会の確保・医療サービスの効率的な提供を実現する手段としてのオンライン診療・服薬指導の普及・定着に取り組むための議論を行った。これからデジタル技術を使い、医療・介護サービスの充実のために新たな技術導入が進むとみられ、今後の議論展開に注目される。(参考)第1回 医療・介護ワーキング・グループ 議事次第(内閣府)第2回 医療・介護ワーキング・グループ 議事次第(同)6.保健所などで働く公衆衛生医師不足があらわに新型コロナウイルスの拡大に伴い、全国の保健所では医師不足に直面している。2018年末に行政機関に勤める医師は全体の0.6%(1,835人)だが、全国469保健所の所長の1割は兼務であるなど、現場でのニーズは高い。一方、一般病院の臨床医に比べると、給与など待遇面がよくないため、これまであまり注目されていなかった。2017年に始動した社会医学系専門医制度を通して、キャリアパスの周知徹底並びに若手育成を進めている。専攻医の希望者も初年度から100人を超える応募があり、2019年度には350人が研修プログラムに参加しているなど、今後の活躍が期待される。(参考)保健所の医師不足、3割が空席・兼務 学生に認知度低く(朝日新聞)一般社団法人 社会医学系専門医協会 理事長 宇田 英典先生インタビュー(マイナビRESIDENT)

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植物由来VLPワクチン、インフル予防に有効な可能性/Lancet

 開発中の植物由来4価ウイルス様粒子(QVLP)インフルエンザワクチンは、インフルエンザウイルスに起因する呼吸器疾患およびインフルエンザ様疾患を、実質的に予防する可能性があり忍容性も良好であることが、カナダ・MedicagoのBrian J. Ward氏らの検討で示された。研究の成果は、Lancet誌オンライン版2020年10月13日号に掲載された。季節性インフルエンザは、予防策として孵化鶏卵由来のワクチンなどが使用されているが、依然として公衆衛生上の大きな脅威となっている。植物をベースとするワクチン製造法は、生産性の向上や製造過程の迅速化など、現在のワクチンの限界のいくつかを解決する可能性があるという。18~64歳と、65歳以上が対象の2つの無作為化試験 研究グループは、植物から製造された遺伝子組み換えQVLPインフルエンザワクチンに関して、2017~2018年(18-64試験)と2018~2019年(65-plus試験)のインフルエンザ流行期に、北半球においてこれら2つの多施設共同無作為化臨床試験を行った(Medicagoの助成による)。 18-64試験には、アジア、欧州、北米の73施設が、65-plus試験には同地域の104施設が参加した。18-64試験は、スクリーニング時にBMI<40、年齢18~64歳で、健康状態が良好な集団を、65-plus試験は、スクリーニング時にBMI≦35、年齢65歳以上で、リハビリテーション施設や介護施設に入居しておらず、急性期または進行中の医学的な問題のない集団を対象とした。 18-64試験の参加者は、QVLPワクチン(ウイルス株当たり30μgのヘマグルチニン)またはプラセボを接種する群に、65-plus試験の参加者は、QVLPワクチン(ウイルス株当たり30μgのヘマグルチニン)または4価不活化ワクチン(QIV、ウイルス株当たり15μgのヘマグルチニン)を接種する群に、1対1の割合で無作為に割り付けられた。 主要アウトカムは、18-64試験では、抗原性でマッチさせたインフルエンザウイルス株に起因する呼吸器疾患(検査で確定)の予防におけるワクチンの絶対効果(absolute vaccine efficacy)とし、達成率70%以上(95%信頼区間[CI]下限値が40%超)を目標とした。65-plus試験の主要アウトカムは、インフルエンザウイルス株に起因するインフルエンザ様疾患(検査で確定)の予防におけるワクチンの相対効果(relative vaccine efficacy)とし、非劣性(95%CI下限値が-20%超)の検証を行った。主解析はper-protocol集団で行い、安全性は治療を受けたすべての参加者で評価した。潜在的な利点がどの程度実現されるかは、承認後の研究で 18-64試験では、2017年8月30日~2018年1月15日の期間に1万160例が、QVLP群(5,077例)またはプラセボ群(5,083例)に割り付けられた。実際に治療を受けた1万136例の平均年齢は44.6(SD 13.7)歳であった。per-protocol集団は、QVLP群が4,814例、プラセボ群は4,812例だった。 抗原性でマッチさせたウイルス株に起因する呼吸器疾患の予防におけるQVLPワクチンの絶対効果は35.1%(95%CI:17.9~48.7)であり、70%以上という目標は達成されなかった。事後解析では、インフルエンザウイルスの感染力は19週間持続したが、QVLPワクチンの有効性は最長180日間持続しており、3つの期間(14~60日、61~120日、121~180日)で効果の差は認められなかった。 重篤な有害事象は、QVLP群が5,064例中55例(1.1%)で、プラセボ群は5,072例中51例(1.0%)で認められた。また、試験治療下で発現した重度の治療関連有害事象は、それぞれ4例(0.1%)および6例(0.1%)でみられた。 一方、65-plus試験では、2018年9月18日~2019年2月22日の期間に1万2,794例が、QVLP群(6,396例)またはQIV群(6,398例)に割り付けられた。実際に治療を受けた1万2,738例の平均年齢は72.2(SD 5.7)歳であった。per-protocol集団は、QVLP群が5,996例、QIV群は6,026例だった。 すべてのウイルス株に起因するインフルエンザ様疾患の予防におけるQVLPワクチンの相対効果は8.8%(95%CI:-16.7~28.7)であり、主要非劣性エンドポイントを満たした。75歳以上では、全体と比較して、相対効果が良好な傾向がみられ、インフルエンザ様疾患で38.3%(-5.2~63.9、p=0.102)、呼吸器疾患は33.4%(-3.3~57.1、p=0.241)であった。 重篤な有害事象は、QVLP群が6,352例中263例(4.1%)で、QIV群は6,366例中266例(4.2%)でみられた。このうち治療関連と判定されたのはそれぞれ1例(<0.1%)および2例(<0.1%)であった。試験治療下で発現した重度の治療関連有害事象は、1例(<0.1%)および3例(<0.1%)であった。 著者は、「これら2つの効果に関する重要な試験のデータは有望であるが、植物由来のウイルス様粒子ワクチンの潜在的な利点がどの程度実現されるかは、ヒトでの使用が承認された後に、何度かの流行期を経て広く使用されて初めて明らかになるだろう」としている。

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新型コロナウイルス、マスクによる拡散・吸い込み抑制効果を実証―東京大

 新型コロナウイルス感染症(COVID-19)は、飛沫やエアロゾルが感染経路であり、感染拡大を防ぐためのマスク着用は、もはや日常生活に必須となっている(ただし乳児などを除く)。しかし、浮遊するウイルスに対するマスクの防御効果は不明である。今回、東京大学の河岡 義裕氏ら研究グループが実際にSARS-CoV-2を用いてマネキンに装着したマスクを通過するウイルス量を調べたところ、SARS-CoV-2の空間中への拡散および吸い込みの双方を抑える効果が確認された。一方、医療従事者が頻用するN95マスクについては、高い防御性能を示したものの、マスク単体ではウイルスの吸い込みを完全には防げないこともわかった。本研究についての論文は、mSphere誌オンライン版2020年10月21日号に掲載された。サージカルマスクの効果でウイルスの吸い込み量が約50%まで抑えられた 本研究では、空中に浮遊するSARS-CoV-2に対してマスクの防御効果を検証するため、感染性のSARS-CoV-2を用いてウイルスの空気伝播をシミュレーションできる特殊チャンバーを開発。2体のマネキン頭部を向かい合わせに設置し、一方のマネキンにはネブライザーが繋がれ、SARS-CoV-2を飛沫やエアロゾルとしてヒトの咳と同等の速度で口元から放出し、チャンバー内に拡散する。もう一方のマネキンには人工呼吸器が繋がれており、吸い込んだウイルス粒子がウイルス回収装置に捕集される仕組みだ。 ウイルスを吸い込む側のマネキンに各種マスク(布、サージカル、N95)を装着し、ウイルスの吸い込み量を調べたところ、布マスクでは、マスクなしと比べウイルスの吸い込み量が60~80%に抑えられ、サージカルマスクでは約50%、N95マスクでは10~20%まで抑えられることがわかった。ただし、N95マスクは十分にフィッティングをしなければ防御効果は低下し、隙間を完全に塞いでもなお一定量のSARS-CoV-2がマスクを透過することがわかった。さらに、ウイルスを吐き出す側のマネキンに布マスクまたはサージカルマスクを装着させ、吸い込む側のマネキンにも各種のマスクを装着させると、相乗効果でウイルスの吸い込み量が20~30%程度まで減少することがわかった。 一方で、ウイルスの遺伝子はいずれのマスク着用時においても検出されたという。著者らは、「実際の感染者から吐き出されたウイルスがマスクを通過して感染を引き起こすのか否かについては今後の更なる解析が必要だが、マスクのみでは浮遊するSARS-CoV-2の吸い込みを完全には防げないことを示唆している」と述べ、適切なマスクの着用法を徹底すると共に、マスクの防御効果を信頼し過ぎず、ほかの感染拡大防止措置との併用を考慮すべきとしている。

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第29回 看護師・薬剤師の視点から考える「医師のタスクシフティング」

看護師や薬剤師の視点から、医師業務のタスクシフティング(業務移管)についての意見を聞いた。医療法務研究協会が10月3日に「医師の働き方―タスクシフティングの在り方」をテーマに都内で開いたセミナーで、診療看護師(NP)資格の法制化や薬剤師の業務領域の拡大などが提言された。一方、弁護士からは、改革をしようとすると軋轢も起きるとの指摘もあった。最初に、日本NP教育大学院協議会の草間 朋子会長が「診療看護師(NP)に対する理解と認知を」をテーマに登壇。草間氏はNPについて「プライマリケア(初期医療)を自律的(自らの判断と責任で)に実践できる看護職」と定義し、医師の指示を受けて「診療の補助」行為を行う特定看護師とは違う点を説明した。その上で、医師は患者の疾病をコントロールするのに対し、NPは患者の症状をコントロールするという役割の違いに言及した。また草間氏は、NPを採用している医療機関がNPを評価している点として、▽医師が手術などにより不在の場合、診療を滞りなく進めることができ、医師の時間外労働が短縮した ▽NPが代行入力や文書作成などを行うことで、医師が医師でなければできない業務に専念することが可能になった ▽救命救急センターではNPが2次救急に対応することにより、医師は3次救急に専念できるようになった―などの声を紹介した。最後に草間氏は、NPの身分や業務を明確化するため、保健師助産師看護師法(保助看法)の改正などによるNP資格の法制化を訴えた。次に登壇した日本薬剤師会理事で丸昌薬局薬剤師の堀越 博一氏は「医薬品医療機器等法改正とこれからの薬局薬剤師業務」をテーマに話した。2019年の薬機法改正により継続的な服薬指導が必要になるなど、薬剤師の業務が「対物」から「対人」に移行している状況などを紹介した。その後開かれたシンポジウムで堀越氏は、医療機関で薬剤師外来が増えてきており、医薬品の投与量や代替医薬品の選択・提案、副作用のモニタリングなど、薬が関係するところに薬剤師が関わっていくことで、医師の診療業務量を軽減できるとの考えを示した。また、新型コロナウイルスの感染防止に関連して、ワクチン開発に対しても創薬時から薬剤師が関与したり、アメリカのように薬局でPCR検査を実施できるようになったりすれば、医師の業務軽減に貢献できる裾野が広がるのではと述べた。会場の参加者からは「薬剤師には処方箋情報しかない。診療情報も共有できなければ、チーム医療の一員として対応できないのでは」との指摘があった。これに対して堀越氏は、メーカーごとにフォーマットが異なる電子カルテの標準化や、マイナポータルなどにより患者が自らの病気に関する情報を持つことにより、医療従事者間での患者情報の共有は可能との考えを示した。最後に司会を務めた井上 清成弁護士が「医師の働き方改革は徐々に進んでいる。ただ、改革しようとすると、必ず軋轢が起きる。実際、裁判沙汰になったり、深刻なトラブルになったりしている」と指摘。具体的には、働き方改革による時間外労働時間の減少で給与がダウンし、労使間でトラブルになったり、中堅以上の医師の中にはチーム医療に難色を示したりする人もいるという。はからずも今年、世界規模で新型コロナウイルスが蔓延し、医療現場をひっ迫させる事態に直面した。長年にわたり、議論の機運が高まっては尻すぼみを繰り返してきたNPの本格導入だが、この機会にこそ、改めてタスクシフティングおよび持続可能な医療体制の在り方を検討する一環として考えてみてもいいのかもしれない。

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新型コロナ流行時に喘息入院が減少、生活様式の変化が奏功か

 COVID-19を巡っては、呼吸器系疾患を有する人で重症化しやすいことがこれまでの研究で明らかになっており、COVID-19流行当初、喘息の入院患者数が増加する可能性が危惧されていた。ところが実際は、国内におけるCOVID-19流行期間の喘息入院患者数が例年よりも大きく減少していたことがわかった。東京大学の宮脇 敦士氏らの研究チームが、メディカル・データ・ビジョンの保有する大規模診療データベースを用い、同社の中村 正樹氏、慶應義塾大学のニ宮 英樹氏との共同研究から明らかにした。研究をまとめた論文は、2020年10月13日付(日本時間)でThe Journal of Allergy and Clinical Immunology:In Practice誌オンライン版に掲載された。 本研究では、2017年1月〜2020年5月、喘息による入院患者数の週ごとの推移が継続的に観察できた全国272のDPC病院を対象に調査を実施した。その結果、例年春先(第9週=3月上旬以降)から初夏にかけて、喘息の入院患者数は増加する傾向にあるにもかかわらず、今年は逆に減少する傾向だったことが認められた。年および週によるトレンドを統計学的に調整した分析では、2020年第9週以降の喘息による平均入院患者数は、2017年から2019年の同時期と比べ0.45倍(95%信頼区間:0.37~0.55、p<0.001)だった。この傾向は18歳未満の子ども、成人共に認められた。 本結果の分析として、COVID-19感染を防ぐための個人レベルの衛生対策(外出時のマスク装着など)が、呼吸器のウイルス感染や花粉などのアレルゲンおよび大気汚染物質など喘息増悪の強力な要因への曝露を減らした可能性を挙げている。また、COVID-19の蔓延が喘息発作を増加させる可能性があるという当初の懸念は、禁煙やアドヒアランスの向上、アレルゲンを除去するための掃除頻度の向上など、予防行動を促進したのではないかと指摘している。さらに、地域レベルの予防策(学校閉鎖、大規模な集会の中止、在宅勤務の促進)や、経済的閉鎖に関連した大気汚染の減少も奏功した可能性があるという。 著者らは、本研究について、個人や社会が生活様式を変えることにより喘息入院の大部分を予防できる可能性を示唆しており、喘息の良好なコントロールのために予防行動や生活環境への配慮が重要であることが再認識されたと述べている。

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Pfizer社のCOVID-19ワクチン候補、第I相試験結果/NEJM

 BioNTechとPfizerが共同で開発中の新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)に対する2つのmRNAワクチン候補「BNT162b1」「BNT162b2」について、米国・ロチェスター大学のEdward E. Walsh氏らによる第I相プラセボ対照試験の結果が発表された。米国の若年成人(18~55歳)群と高齢者(65~85歳)群を対象とした評価者盲検用量漸増評価試験で、BNT162b2がBNT162b1に比べ安全性・免疫原性について優れる結果が得られたという。若年成人へのBNT162b1についてはすでに、ドイツと米国での試験結果が報告されており、同試験および今回の試験結果を踏まえて著者は、「BNT162b2を第IIおよび第III相の安全性・有効性評価試験を検討するワクチン候補として支持される結果が得られた」とまとめている。NEJM誌オンライン版2020年10月14日号掲載の報告。BNT162b1の100μgのみ1回投与、その他は21日間隔で2回投与 研究グループは、脂質ナノ粒子製剤・修飾ヌクレオシドmRNAワクチン候補「BNT162b1」「BNT162b2」について米国で行われている、第I相のプラセボ対照用量漸増評価者盲検試験において、健康な若年成人(18~55歳)と高齢者(65~85歳)を対象に評価を行った。BNT162b1は、分泌された三重体SARS-CoV-2受容体結合ドメインをエンコードし、BNT162b2は膜結合型のSARS-CoV-2のスパイク糖蛋白全長をエンコードする作用がある。 被験者は、BNT162b1群とBNT162b2群、年齢(若年成人と高齢者)、投与量(10μg、20μg、30μg、100μg)別に13のグループ(100μgはBNT162b1の若年成人のみ投与)に分けられ、BNT162b1の100μg群には1回投与、それ以外の群には21日間隔で2回の投与が行われた。 主要アウトカムは、局所または全身性反応や有害事象などの安全性だった。副次アウトカムは免疫原性だった。両ワクチン候補群ともに回復患者より同等以上の幾何平均抗体価を誘発 合計195例が無作為化を受けた。13グループに各15例が割り付けられ、15例中12例に実薬が投与、残り3例にプラセボを投与した。 BNT162b2はBNT162b1に比べ、全身性反応の発生率と重症度が低かった。その傾向は、とくに高齢者で顕著だった。 両年齢グループにおいて、BNT162b2およびBNT162b1ともに、投与量依存性のSARS-CoV-2中和抗体の幾何平均抗体価が誘発された。同値は、SARS-CoV-2感染回復期の患者の血清パネル幾何平均抗体価と、同等かより高かった。

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COVID-19病原体検査の指針を発表/厚生労働省

 新型コロナウイルス感染症(COVID-19)流行の下、今後のインフルエンザの流行を控え一般の医療機関でもさまざまな感染症に関する検査をする機会が増大すると考えられる。 厚生労働省は、10月2日、「新型コロナウイルス感染症(COVID-19)病原体検査の指針(第1版)」および鼻腔検体採取における留意点等についてを公表し、全国の医療・保健関係機関に送付した。本指針は、第47回厚生科学審議会感染症部会で議論され、取りまとめられたもの。 COVID-19にかかわる核酸検出検査、抗原定量検査および抗原定性検査の検体として新たに鼻腔検体を活用することが可能となり、抗原定性検査(簡易キット)は、医療機関などに限らず実施することができ、短時間で結果を確認することができるようになった。 そのため、抗原定性検査はインフルエンザ流行期における発熱患者などへの検査に有効であることから、診療・検査医療機関においては、迅速・スムーズな診断・治療につなげるべく、簡易キットを最大限活用した検査体制の整備を検討してほしいと要望している。 具体的に本文には「各種検査法の実施時間」として・リアルタイムPCR 2~4時間・定性PCR+シークエンス確認 7~9時間・LAMP法 1時間・抗原定量 30分・抗原定性 40分などの現在の検査と結果判明までの時間のまとめや各種検体と適切な感染防護が次のように記載されている。・鼻咽頭ぬぐい液/鼻腔ぬぐい液:医療者に一定の曝露あり(フェイスガード、サージカルマスク、手袋・ガウンなど)・唾液:医療者の曝露は限定的(サージカルマスク、手袋) これに伴い、「SARS-CoV-2抗原検出用キットの活用に関するガイドライン」(6月16日最終改訂)は廃止となる。 また、これらに加え、「鼻腔検体採取を実施する場合の留意点等」については、「鼻孔から2cm程度スワブを挿入し、挿入後スワブを5回程度回転させ、十分湿らせること。被検者自身が採取する際は、鼻出血が起こりやすい部位である点にも配慮し、医療従事者の管理下で実施すること」、「検体採取に当たり、医療従事者に一定の曝露があるため、フェイスシールド、サージカルマスク、手袋、ガウンといった個人防護具の装着による感染防御を要すること」など具体的な注意点が記されている。新型コロナウイルス感染症(COVID-19)病原体検査の指針 目次I 検査種類と各種検査の意義 1.検査の種類 2.検体の種類と採取 3.検体の取り扱い、保管と輸送 4.検査の解釈や検査精度など 5.検査の流れII 状況に応じた適切な検査実施 1.COVID-19を疑う有症状者 2.濃厚接触者 3.インフルエンザ流行期 4.無症状者の検査III 検体採取に応じた適切な感染防護

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第30回 経口液剤AMX0035でALS患者の生存も改善

世界保健機関(WHO)主催の世界30ヵ国以上での無作為化試験(Solidarity)の査読前報告が先週木曜日15日にmedRxivに掲載され1,2)、残念ながらギリアド社のベクルリー(Remdesivir、レムデシビル)やその他3つの抗ウイルス薬・ヒドロキシクロロキン、カレトラ(lopinavir/ritonavir)、インターフェロン(Interferon-β1a)はどれもCOVID-19入院患者の死亡を減らしませんでした。たとえばレムデシビル投与群の28日間の死亡率は非投与対照群の11.2%(303/2,708人)とほとんど同じ11%(301/2,743人)であり1,3)、その差は有意ではありませんでした(p=0.50)。そんなSolidarity試験とは対照的に、その発表の翌16日、脳や脊髄の運動神経が死ぬことで生じる難病・筋萎縮性側索硬化症(ALS)治療薬候補の良いニュースがありました4-6)。先月9月初めにNEJM誌に掲載されたプラセボ対照第II相試験(CENTAUR)でALS進行を有意に抑制した神経死抑制剤AMX0035がその試験と一続きの非盲検継続(OLE)試験で今度は有意な生存延長をもたらしたのです。米国マサチューセッツ州ケンブリッジ拠点のAmylyx社が開発しているAMX0035は昔からある成分2つが溶けた経口の液剤です。成分の1つはヒストン脱アセチル化酵素(HDAC)阻害薬・フェニル酪酸ナトリウム(sodium phenylbutyrate)、もう1つは胆汁酸・タウルソジオール(Taurursodiol)です7)。今回発表されたOLE試験に先立つCENTAUR試験にはALS患者137人が参加し、それらのうち3人に1人はプラセボ、あとの3人に2人はAMX0035を6ヵ月間服用しました。NEJM誌報告によると6ヵ月間のAMX0035服用群の体の不自由さの進行はプラセボに比べてよりゆっくりでした7)。また、AMX0035服用は腕の筋力低下も抑制しました。今回のOLE試験にはCENTAUR試験から継続して90人が参加し、全員がAMX0035を服用し、CENTAUR試験の始まりから数えて最大約3年間(35ヵ月間)追跡されました。その結果、生存期間中央値はAMX0035を最初から服用し続けた患者(56人)では25ヵ月、当初プラセボを服用した患者では18.5ヵ月であり(p=0.023)、最初からのAMX0035服用患者は当初プラセボを服用した患者に比べて有意に半年以上(6.5ヵ月)生存が延長されました8)。細胞内小器官・小胞体(ER)へのストレスや機能障害、それにミトコンドリアの機能や構造の欠損がALSの発病要因と目されており、AMX0035に含まれるフェニル酪酸ナトリウムはERがストレスを受けて誘発する毒性を緩和し、もう1つの成分タウルソジオールはミトコンドリアを助けて細胞を死に難くします7)。米国ワシントン D.C.の隣街アーリントンを本拠とするALS患者の会・ALS Association等はAMX0035をALS患者ができるだけ早く使えるようにする請願活動を先月初めに開始しており、16日のニュースによると5万人近く(4万7,000人以上)が請願に署名しています4)。参考1)Repurposed antiviral drugs for COVID-19; interim WHO SOLIDARITY trial results. medRxiv. October 15, 2020.2)Solidarity Therapeutics Trial produces conclusive evidence on the effectiveness of repurposed drugs for COVID-19 in record time / WHO 3)Remdesivir and interferon fall flat in WHO’s megastudy of COVID-19 treatments / Science4)AMX0035 Survivability Data Adds to Urgency to Make Drug Available / ALS Association5)Amylyx Pharmaceuticals Announces Publication of CENTAUR Survival Data Demonstrating Statistically Significant Survival Benefit of AMX0035 for People with ALS / BUSINESS WIRE6)Investigational ALS drug prolongs patient survival in clinical trial / Eurekalert7)Paganoni S,et al. N Engl J Med. 2020 Sep 3;383:919-930.8)Paganoni S,et al. Muscle & Nerve. 16 October 2020. [Epub ahead of print]

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COVID-19、集団免疫への依存は「科学的根拠のない危険な誤り」/Lancet

 新型コロナウイルス感染症(COVID-19)を巡っては、いまだ世界規模で収束へのめどが立たないなか、Lancet誌オンライン版2020年10月14日号において欧米の専門家80人が連名でCORRESPONDENCEを発表。重症化しにくい若年者などの感染・伝播による集団免疫を期待する考えは「科学的根拠のない危険な誤り」であるとし、現段階ではCOVID-19の感染制御こそが社会や経済を守る最善策であると訴えている。集団免疫支持者の考えは科学的根拠による裏付けがないWHOの報告によると、SARS-CoV-2は世界中でこれまでに3,500万人以上が感染し、100万人超の死亡が確認されている。国や地域によっては、第2波の感染拡大を受けて再び非常事態宣言を出すなど、差し迫った事態に直面している。今回発表された書簡では、こうした状況下において、集団免疫への新たな関心が生まれていると指摘。集団免疫支持者は、若年者など低リスク集団における感染獲得によって集団免疫の発達につながり、最終的には基礎疾患を有する人や高齢者などを保護することになると示唆しているという。 しかし、専門家らは集団免疫支持者の考えは「科学的根拠による裏付けのない危険な誤り」であり、「COVID-19への自然感染による免疫に依存するパンデミック管理戦略には欠陥がある」と断じている。その理由として、若年者らへの感染拡大により、全人口に対する罹患・死亡リスクが生じること、労働力全体への影響、急性期およびかかりつけ医療機関をひっ迫させることなどを挙げている。さらに、現段階ではSARS-CoV-2自然感染後の抗体の持続期間は不明である点も指摘している。 一方で、日本をはじめ、ベトナムやニュージーランドを例に挙げ、「強力な公衆衛生対応により感染が制御され、生活をほぼ正常に戻すことができることを示している」とし、「安全で効果的なワクチンと治療法に今後数ヵ月以内に到達するまでは、COVID-19の感染制御が社会と経済を保護するための最良の方法である」と述べ、科学的根拠に基づいた行動を求めている。

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レムデシビル、COVID-19入院患者の回復期間を5日以上短縮/NEJM

 米国・国立アレルギー・感染症研究所(NIAID)のJohn H. Beigel氏らは、「ACTT-1試験」において、レムデシビルはプラセボに比べ、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)入院患者の回復までの期間を有意に短縮することを示し、NEJM誌オンライン版2020年10月8日号で報告した(10月9日に更新)。COVID-19の治療では、いくつかの既存の薬剤の評価が行われているが、有効性が確認された抗ウイルス薬はないという。10ヵ国1,062例のプラセボ対照無作為化試験 研究グループは、COVID-19入院患者の治療におけるレムデシビルの臨床的な安全性と有効性を評価する目的で、日本を含む10ヵ国が参加した二重盲検プラセボ対照無作為化第III相試験を行った(米国NIAIDなどの助成による)。 2020年2月21~4月19日の期間に、COVID-19感染が確定され、下気道感染症の証拠がある成人の入院患者1,062例が登録され、レムデシビル(541例)またはプラセボ(521例)を投与する群に無作為に割り付けられた。レムデシビルは、1日目に負荷投与量200mgを静脈内投与され、2日目から10日目または退院か死亡まで維持投与量として100mgを1日1回投与された。 主要アウトカムは、登録から28日以内における回復までの期間とした。回復は、退院または入院の理由が感染管理のみ、あるいはその他の非医学的事由の場合と定義された。回復までの期間中央値:10日vs.15日 全体の患者の平均年齢は58.9±15.0歳で、64.4%が男性であった。79.8%が北米、15.3%が欧州、4.9%がアジアの患者であった。登録時に、ほとんどの患者が1つ(25.9%)または2つ以上(54.5%)の併存疾患を有しており、高血圧が50.2%と最も多く、肥満が44.8%、2型糖尿病が30.3%であった。症状発現から無作為割り付けまでの期間中央値は9日(IQR:6~12)で、957例(90.1%)が重症COVID-19感染患者だった。 回復までの期間中央値は、レムデシビル群が10日(95%信頼区間[CI]:9~11)、プラセボ群は15日(13~18)であり、レムデシビル群で有意に短かった(回復の率比:1.29、1.12~1.49、log-rank検定のp<0.001)。重症例における回復までの期間中央値は、レムデシビル群が11日、プラセボ群は18日であった(1.31、1.12~1.52)。また、ベースライン時に機械的換気または体外式膜型人工肺(ECMO)を導入されていた患者の回復の率比は0.98(0.70~1.36)だった。 8つのカテゴリーから成る順序尺度による比例オッズモデルを用いた解析では、15日の時点で臨床的改善が達成される確率は、レムデシビル群がプラセボ群よりも高かった(実際の疾患重症度で補正後のオッズ比[OR]:1.5、95%CI:1.2~1.9)。 Kaplan-Meier法による推定死亡率は、15日時がレムデシビル群6.7%、プラセボ群11.9%(ハザード比[HR]:0.55、95%CI:0.36~0.83)、29日時はそれぞれ11.4%および15.2%(0.73、0.52~1.03)であった。 重篤な有害事象は、レムデシビル群が532例中131例(24.6%)、プラセボ群は516例中163例(31.6%)で報告された。治療関連死は認められなかった。全体で頻度の高い非重篤な有害事象として、糸球体濾過量低下、ヘモグロビン低下、リンパ球数低下、呼吸不全、貧血などがみられ、発生率は両群でほぼ同等であった。 著者は、「米国食品医薬品局(FDA)は、レムデシビルの初期結果を考慮して、2020年5月1日、COVID-19感染が疑われる、または確定した成人および小児の入院患者において、レムデシビルの緊急時使用許可(EUA)を発出(8月28日に修正)したが、レムデシビルを使用しても死亡率は高いことから、抗ウイルス薬単独では十分な効果は得られないと考えられる」と指摘し、「患者アウトカムを改善するには、さまざまな薬剤との併用療法が必要であり、現在、レムデシビルと免疫調節薬(例:JAK阻害薬バリシチニブ[ACTT-2試験]、インターフェロンβ-1a[ACTT-3試験])との併用が検討されている」としている。

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第27回 オンライン診療恒久化へ、かかりつけ医を軸に安全性・信頼性を担保

<先週の動き>1.オンライン診療恒久化へ、かかりつけ医を軸に安全性・信頼性を担保2.社会保障給付費、総額121兆円超で過去最高を更新3.2021年度介護報酬改定、軽症利用者の長期ショートステイに疑問の声4.介護施設の面会制限緩和へ/厚労省1.オンライン診療恒久化へ、かかりつけ医を軸に安全性・信頼性を担保新型コロナウイルス感染の拡大に伴い、電話やタブレット端末を用いた初診のオンライン診療について、今年の4月から特例措置として実施可能となっているが、先月の菅内閣発足後、恒久化に向けての検討が本格化している。菅首相は、就任直後に田村厚生労働大臣にオンライン診療の恒久化について検討を指示しており、7日の規制改革推進会議では「デジタル時代に合致した制度として恒久化を行う」として取り上げられた。田村厚労相は、その翌日に河野規制改革担当大臣、平井デジタル改革担当大臣と会談し、新型コロナ収束後も映像によるやり取りに限って、原則として恒久化することで合意している。政府の動きに対して、日本医師会は全面解禁に慎重な姿勢をとっており、中川 俊男会長は14日、オンライン診療では触診などが不可能であり、安全性・信頼性を担保するために、かかりつけ医機能を基軸にすべきだと声明を発表している。今後、具体的な運用方法やガイドラインを決定することで、診療現場のデジタル化はさらに進むと見られる。(参考)総論(オンライン診療に関する大臣合意を受けて等)(日医オンライン)初診を含めてオンライン診療は原則解禁へ 河野規制改革・平井デジタル改革・田村厚労3大臣が合意(ミクスオンライン)2.社会保障給付費、総額121兆円超で過去最高を更新16日、国立社会保障・人口問題研究所は、「社会保障費用統計」を公表した。2018年度の社会保障給付費の総額は121兆5,408億円と対前年度増加額は1兆3,391億円、伸び率は1.1%、対GDP比は22.16%であり、対前年比で0.21ポイント増加、1人当たりの社会保障給付費は96万1,200円となっている。「社会保障費用統計」は、年金や医療保険、介護保険、雇用保険、生活保護など、社会保障制度に関する1年間の支出を集計したもの。今後も、後期高齢者の増加で医療費、介護費の増加が見込まれており、社会保障制度を持続可能とするために、今後検討を重ねていく必要がある。(参考)平成 30(2018)年度「社会保障費用統計」の概況取りまとめを公表します~社会保障給付費、過去最高を更新~(国立社会保障・人口問題研究所)3.2021年度介護報酬改定、要支援のショートステイ長期利用に疑問の声2021年度の介護保険報酬の議論で、個別サービスについて具体的な検討に入っている。15日に行われた会議では、要支援1・2の介護予防短期入所生活介護(ショートステイ)で30日を超える利用について議論となり、現状について疑問の声が上がった。要支援1・2を対象とする介護予防ショートステイで、連続30日を超える長期利用は、1日の自費利用を挟めば事実上行うことが可能だが、要介護1以上の利用とは異なり、長期利用減算の適用がない。30日以上の利用が想定されていなかったため、このような事態が発生しているが、要支援者のショートステイ利用の実態について調査を求める声が上がった。来春の改定では、介護施設、診療現場に影響が出る可能性があると考えられる。(参考)短期入所生活介護の報酬・基準について(検討の方向性)(厚労省)4.介護施設の面会制限緩和へ/厚労省厚労省は、第10回 新型コロナウイルス感染症対策アドバイザリーボードを13日に開催し、高齢者施設などにおける面会、外出などについて検討を行った。高齢者向けの介護施設などにおける面会については、「新型コロナウイルス感染症対策の基本的対処方針」において、「医療機関及び高齢者施設等において、面会者からの感染を防ぐため、面会は緊急の場合を除き一時中止すべきこと」とされている。4月以降はこの基本的対処方針に従って、全国一律に緊急の場合を除いて一時中止していたが、面会規制が長期化することで、入所者の認知症の悪化を懸念する声が高まったため、今後、面会に当たって具体的な感染防止策を検討した上で、面会規制を緩和する方針を定めた。(参考)第10回新型コロナウイルス感染症対策アドバイザリーボード 高齢者施設等における面会、外出等(厚労省)

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発熱外来設置の注意点と補助金を整理/日本医師会

 新型コロナウイルス感染症(COVID-19)と季節性インフルエンザの同時流行に備え、厚生労働省では発熱外来設置の医療機関に対して補助金による支援事業を実施する。しかしその仕組みが非常に複雑であり、日本医師会では10月14日、定例記者会見で発熱外来設置の考え方と厚生労働省の補助金の概要について事例を交えて解説した。発熱外来診療体制確保支援補助金の注意点 厚生労働省は9月15日、インフルエンザ流行期における発熱外来診療体制確保支援補助金の交付について、通知1)を発出した。発熱患者の診療を担う医療機関は、厚生労働省に申請書を提出し、各都道府県から「診療・検査医療機関(仮称)」の指定を受ける2)。 中川 俊男会長は、医療機関側が診療を行うかどうかを検討する際の考え方、厚生労働省の補助金支給と「診療・検査医療機関」指定を受ける際の注意点について、以下のように解説した。 各医療機関においては、まず(1)発熱患者の診療を担うかどうか、(2)インフルエンザの検査、(3)新型コロナウイルスの検査についてどのように対応するか、下記の点を踏まえて検討いただきたい。ただし、(1)(2)(3)すべてが求められるわけではなく、それぞれ可能な内容を選択して協力をお願いしたい:・動線を分離するほか、1日のうちあらかじめ時間を設定し(時間的動線分離)発熱患者の受入れをすることも可能・動線を分離し、発熱患者等専用の診察室を設ける場合は、プレハブ・簡易テント・駐車場等で診療する場合を含む・従来通り臨床診断に基づく抗インフルエンザ薬の処方が可能・感染リスクの低減を図るため、1)インフルエンザ抗原検査の検体として、鼻かみ液が利用可能なキットを選択すること、2)新型コロナ抗原迅速検査の検体として鼻腔(鼻前庭)ぬぐい液の自己採取(発症2日から9日)によることも可能(厚生労働省による採取方法の動画制作中)・発熱したかかりつけ患者のみに対応することの表明も可能・「診療・検査医療機関」に指定されたことの公表は、医療機関から希望のあった場合であって、かつ都道府県と地域医師会との協議と合意の上で行う・公表の有無により後述の補助金支給額に差異は生じない・発熱患者に対応する日にち・時間設定により、診療日・診療時間の変更届の提出は必要ない 検討の結果、発熱患者に対する時間的・空間的動線分離が可能な時間帯を設定することができると判断した場合、自院の検査に対する対応を決めた上で、その内容に沿って「診療・検査医療機関(仮称)」として地域医師会等を通じて手を挙げ、都道府県による指定を受ける形となる。 なお、別の診察室などを設ける方法(空間的分離)がとれず、時間で区切る(時間的分離)場合には、感染防止の観点から、その時間には、原則発熱患者のみ診察する。そのため、かかりつけの患者等に対しては、院内掲示や文書等により、あらかじめ一般外来の時間および発熱外来時間を案内する。発熱外来の開設時間・実際の患者数に応じて、補助金は設定されている 発熱外来診療体制確保支援補助金は、受け入れ体制を整備し厚生労働省の「診療・検査医療機関」指定を受けたにもかかわらず、想定した人数が受診しなかった場合のセーフティーネットとして設定され、受診者が想定を上回れば、その収入は診療報酬でまかなわれるとの考えに基づく:・発熱外来時間帯中の実際の患者数分は、診療報酬を算定できる。・発熱外来時間の長さに応じて、1時間2.9人~7時間20人まで、時間ごとの補助上限患者数(基準発熱患者数)が定められている(参考資料3)6ページ)。・実際の患者数が基準発熱患者数未満だった場合に、「(基準発熱患者数-実際の患者数)×13,447円」が補助される。・1ヵ月間1人も受診者が見られなかった場合には、補助額が1/2に減額される。・通常の診療日・診療時間以外に発熱外来時間を別に設定した場合も、診療日や診療時間の変更届出の必要はない。発熱外来の補助金は時間的分離と空間的分離、医師の数でどう変わる? 釜萢 敏常任理事は「今回の補助金は空床確保の考え方と同じ位置付け」とし、発熱外来診療体制確保支援補助金は複雑な仕組みだが、理解と利用が広まることで、各地域での発熱患者への対応が十分なものとなることに期待感を示した。一般的な内科で考えられるケースとしていくつかのパターンを例示し、補助の仕組みについて解説した。[例1]これまで1日7時間診療していたうち、5時間をこれまで同様に診療する一般外来時間とし、2時間を発熱外来時間とした場合:・2時間の間に実際に発熱患者を2名診療 2時間分の発熱外来収入「発熱患者2人の診療報酬+2時間の基準発熱患者(5.7人)からの差し引き3.7人分の補助金=80,734円(診療報酬は一例として算出。詳細は参考資料3))」+5時間分の一般外来収入・2時間の間に発熱患者は0名(受診なし) 2時間分の発熱外来収入「2時間の基準発熱患者5.7人分の補助金=76,648円」+5時間分の一般外来収入・2時間の間に発熱患者は0名、発熱以外の一般外来患者を2名診療 発熱外来2時間の間にやむを得ずかかりつけの一般外来の患者2人が受診した場合、診察は可能だが、この場合も2時間分の基準発熱患者5.7人から2人を差し引いた3.7人分の補助になる。 2時間分の発熱外来収入「発熱外来で診た一般患者2人の診療報酬+基準発熱患者からの差し引き3.7人分の補助金=59,534円」+5時間分の一般外来収入[例2]医師1人の診療所で、1日7時間、一般外来と発熱外来を別々の診察室にして同一の医師が診療する(空間的分離)場合:・発熱外来の発熱患者10名、別の診察室の一般外来患者10名 7時間分の発熱外来収入「発熱患者10人の診療報酬+7時間の基準発熱患者数(20人)から発熱患者数(10人)+一般外来患者数(10人×1/2=5人)を差し引いた5人分(20-[10+5])の補助金=222,135円」+7時間分の一般外来収入※補助金算出において一般外来患者数は×1/2とする[例3]医師2人の診療所で、1日7時間、1人が診察室Aで発熱外来のみ、もう1人が診察室Bで一般外来のみ診察する場合:・発熱外来の発熱患者0名 7時間分の発熱外来収入「7時間の基準発熱患者20人分の補助金=268,940円」+7時間分の一般外来収入※医師1人に対して独立してカウントされ、診察室Bの一般外来患者数にかかわらず、診察室Aでの患者数に応じて補助金が算出される※なお、発熱患者を担当する診察室Aの医師が、診察室Bの医師不在時に診察室Bで一般外来を行った場合は、例2と同じ取扱いになる

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経口DPP-1阻害薬による気管支拡張症の増悪抑制について(解説:小林英夫氏)-1298

 本論文は気管支拡張症への経口DPP-1(dipeptidyl peptidase 1)阻害薬であるbrensocatib投与により、喀痰中好中球エラスターゼ活性のベースライン低下や臨床アウトカム(増悪)改善が得られたとする第II相試験結果である。DPP-4阻害薬なら糖尿病治療薬として市販されており耳なじみもあろうが、DPP-1阻害薬となると情報が少ないのではないだろうか。詳細説明は割愛するが、好中球エラスターゼなどの好中球セリンプロテアーゼ活性に関与する酵素(DPP-1)を阻害することで、喀痰中の酵素量や活性を低下させえるとのことである。いずれにしろ今後の第III相試験結果を待ちたい。 さて、なぜに昔の疾患と思われている気管支拡張症の検討なのであろうか。まず、気管支拡張症とは疾患名としてよりも、気管支が拡張しているという形態診断名であり、1980年代まではいまや消滅した気管支造影検査によって診断されていた。現在は高分解能CTによって気管支径が併走する肺動脈径の100%以上に拡大しているときに診断される。原因としては、先天性、肺疾患罹患後、免疫不全、アレルギー性疾患などと多岐にわたるが、原因不明(特発性)が最多とされる。気管支拡張症が一時期忘れられていた理由の一部として、筆者はびまん性汎細気管支炎(DPB)へのマクロライド療法の関与を想定する。DPBでは中葉・舌区を中心に気管支拡張合併が通常であり、さらに1980年代にはびまん性気管支拡張の大半はDPB由来ではないかとの本邦論文も発表されている。そのDPBは日本発のマクロライド療法により著減し、最近では希少疾患になろうとしていることから、気管支拡張症も追随して減少したのではと思っていた。 ところが近年、軽症例を含めると、想像以上に多数の潜在症例が埋もれているのではないかと欧米から報告され、気管支拡張症の国際的ガイドラインが刊行されている(Polverino E, et al. Eur Respir J. 2007;50:1700629.)。加えてmicrobiome(体内常在細菌叢とその遺伝情報)が多彩な慢性炎症性疾患の成立に関与しているのではないかという世界的関心の中、気管支拡張症も気道に存在するmicrobiomeが要因の1つではないかと推定されている。健康人の気道からは細菌は検出されないと教えられた世代にとって驚きの知見である。加えて、急増する非結核性抗酸菌症や、関節リウマチなどの免疫性炎症性疾患による気管支拡張症も呼吸器領域では注目の病態である。日本での罹患頻度の統計はないが、関節リウマチを母集団とすると30%もの合併があるという報告も見られ、新たな方法論の発展により気管支拡張症が見直されつつある。

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コロナ禍の医療者への不当な扱い、励ましの実態とは/医師500人の回答結果

 ケアネットと病院経営支援システムを開発・提供するメディカル・データ・ビジョン株式会社(以下、MDV)は、医師・病院関係者が新型コロナウイルス感染症に対応する中で、どのような体験をしたかを調べる共同調査を実施した。その結果、医師・病院関係者の子どもが登園・登校を控えるよう要請されるなど誤解や過剰反応からの体験があった半面、地域住民や企業からの応援メッセージが届き、励まされるなどの体験が倍以上あったことが明らかとなった。励ましが差別や不当な扱いを大幅に上回る この調査はWEBを通じて実施し、ケアネットは会員医師511人(アンケート期間:9月30日のみ)、MDVは110病院(同:9月30日~10月7日)から回答を得た。  「コロナ禍の下でどのような体験をされましたか」という質問について、ケアネット会員医師は、「差別や不当な扱いと感じる体験をした」が7.4%(38人)、「周囲から励まされるなどの体験をした」が27.6%(141人)、「とくになし」が66.3%(339人)だった。差別や不当な扱いと感じる体験をした方の内訳は、本人が6.7%(34人)、家族が2.2%(11人)で、本人・家族いずれもと回答したのは6人(1.1%)だった。また、自由記述で聞いた体験内容は以下のとおり。・実際には(PCR検査)陰性だったが、あたかもコロナに感染したかのような扱いを受けた・医療関係者かどうかを尋ねられた・アルバイト先から出勤を断られかけた・発熱外来をやるといったら、秘書が近寄らなくなった。1週間放置された・近所、子供の学校の先生に疎んじられた・国内での流行期前に海外渡航していたために職場で不当な差別をされた 「周囲から励まされるなどの体験をした」と回答した方は、本人が24%(123人)、家族が2.9%(15人)で、本人・家族いずれもと回答したのは2.3%(12人)だった。自由記述で聞いた体験内容は以下のとおり。・タクシー運転手に励まされた・医療に携わり、この時期大変ですねぇと励まされました・往診中にご苦労様と見知らぬ方より挨拶あり・外来の患者さんから声をかけられ、差し入れをもらうようになりました・患者から体調を気遣われた・患者さんからの感謝状・企業からの飲料水や消毒用具等の提供があった・地域の小学校、会社などから救急医療へのエールが届いた病院関係者向け調査では半数以上が励ましを受けていた MDVが行った病院関係者(本人、家族、同僚含む)向けアンケートでも同様の質問を行ったところ、「差別や不当な扱いと感じる体験をした」が24.5%(27施設)、「周囲から励まされるなどの体験をした」が51.8%(57施設)、「とくになし」が38.2%(42施設)、その他が9.1%(10施設)だった。また、差別や不当な扱いと感じる体験を自由記述で聞いたところ、「看護師の子どもさんが保育園から預かりを拒否された」「親が医療関係者なので飲食関係のアルバイトのシフトから外された」「配偶者が出勤停止となった」「病院の職員でなくてよかったなどの言葉が聞こえてきた」といった声があった。 また、「周囲から励まされるなどの体験をした」の自由記述の回答では、地域住民や企業からの激励のメッセージや寄付などが相次いでいることも明らかになった。

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