サイト内検索|page:61

検索結果 合計:4902件 表示位置:1201 - 1220

1201.

IgA腎症の病態に根差した治療(解説:浦信行氏)

 CLEAR!ジャーナル四天王-1535「高リスクIgA腎症に対する経口ステロイドの効果と有害事象を勘案した治療法」の稿で低用量ステロイド群の優位性を解説したが、用量の多寡にかかわらず治療終了後の追跡期間で効果が減弱することが明らかであり、より一層病態に根差した治療法の開発の必要性を述べた。 このたびLancet誌に掲載された新規の非免疫抑制性単分子エンドセリン受容体・アンジオテンシンII受容体デュアル拮抗薬のsparsentanのデータは、病態に根差した有用な治療法であることを期待させるものである。 エンドセリン受容体拮抗薬は血管拡張作用を発揮するが、従来はボセンタンを皮切りに複数の薬剤の臨床使用が可能で、肺動脈性肺高血圧症や、静脈投与に限られるがくも膜下出血術後の脳血管攣縮の抑制に用いられていた。加えて心臓や血管、腎臓に対するエンドセリンの血管収縮作用などに基づく臓器障害作用から、受容体拮抗薬の臓器保護の可能性が期待されていた。A受容体は腎においては糸球体血流低下、レニン分泌増加、メサンギウム細胞収縮、ポドサイト障害による蛋白透過性亢進、糸球体硬化などを惹起するが、B受容体はそれらに拮抗する作用を示す。したがって、受容体の選択性を考慮する必要がある。 sparsentanはA受容体に特異性の高い拮抗薬であり、このたびはIgA腎症を対象として対照群はARB使用群として、第III相二重盲検試験の36週目の中間報告として結果が公表された。結果はジャーナル四天王に示すとおり、49.8%の尿蛋白減少効果を示し、ARB群より41%有意に低下させた。また、尿蛋白の完全寛解率は21%、部分寛解率は70%に及び、いずれもARB群より有意に高値であった。これまでの臨床成績としては糖尿病性腎症や巣状糸球体硬化症で同様の成績が報告されているが、いずれも症例数が少なく、また短期間のデータである。巣状糸球体硬化症に関しては、現在第III相試験が進行中である。果たして試験終了までの2年間の治療で尿蛋白減少作用と腎機能保護作用が確実なものとなるか、期待をもって注目したい。

1202.

世界初の持続性GIP/GLP-1受容体作動薬「マンジャロ」発売/リリー・田辺三菱

 日本イーライリリーと田辺三菱製薬は、4月18日付のプレスリリースで、持続性GIP/GLP-1受容体作動薬「マンジャロ皮下注2.5mgアテオス」「同皮下注5mgアテオス」(一般名:チルゼパチド、以下「マンジャロ」)の販売を同日より開始したことを発表した。 マンジャロは、グルコース依存性インスリン分泌刺激ポリペプチド(GIP)とグルカゴン様ペプチド-1(GLP-1)の2つの受容体に作用する世界初の持続性GIP/GLP-1受容体作動薬である。天然GIPペプチド配列をベースとした単一分子の構造だが、GLP-1受容体にも結合するように改変されており、選択的に長時間作用し血糖値を改善させる。本剤は、1回使い切りのオートインジェクター型注入器(「アテオス」)によって、週1回皮下注射する薬剤である。あらかじめ注射針が取り付けられた専用ペン型注入器により、注入ボタンを押すことで自動的に注射針が皮下に刺さり、1回量が充填されている薬液が注入されるため、患者が用量を設定したり、注射針を扱ったりする必要がない。 また、本剤は通常、成人には、チルゼパチドとして週1回2.5mgの開始用量から開始し、4週間投与した後、週1回5mgの維持用量に増量する。患者の状態に応じて適宜増減が可能な薬剤であり、5mgで効果不十分な場合は、4週間以上の間隔を空けて2.5mgずつ増量ができ、最大で週1回15mgまで使用が可能である。6つの用量規格のうち、開始用量(2.5mg)と維持用量(5mg)の2規格が先行して4月18日より発売され、高用量の4規格(7.5mg、10mg、12.5mg、15mg)は、6月12日に発売予定である。 日本イーライリリーの糖尿病・成長ホルモン事業本部長メアリー・トーマス氏は、「このたびのマンジャロの発売を大変うれしく思います。2型糖尿病と共に歩む多くの方々へ、新しいクラスの治療選択肢としてマンジャロをお届けできるように適正な情報提供に努めてまいります」と述べている。 また、田辺三菱製薬の営業本部長である吉永 克則氏は、「当社は、『病と向き合うすべての人に、希望ある選択肢を。』をMISSIONとして掲げております。新発売を迎えたマンジャロが2型糖尿病と共に歩む人々にとって希望ある選択肢となるよう、情報提供活動を通じてマンジャロの適正使用を推進してまいります」としている。 なお、本剤は、イーライリリー・アンド・カンパニーが米国において2022年5月13日、世界初の持続性GIP/GLP-1受容体作動薬として承認を取得し、同年6月7日より「Mounjaro」の製品名で販売を開始している。日本では、同年9月26日に承認を取得した。マンジャロの製造販売承認は日本イーライリリーが有し、販売・流通は田辺三菱製薬が行う。医療従事者への情報提供活動は日本イーライリリーと田辺三菱製薬が共同で実施する。

1203.

2型DMの追加処方に有益なのは?~816試験をメタ解析/BMJ

 中国・四川大学のQingyang Shi氏らはネットワークメタ解析を行い、2型糖尿病(DM)成人患者に対し、従来治療薬にSGLT2阻害薬やGLP-1受容体作動薬を追加投与する場合の実質的な有益性(心血管系および腎臓系の有害アウトカムと死亡の減少)は、フィネレノンとチルゼパチドに関する情報を追加することで、既知を上回るものとなることを明らかにした。著者は、「今回の結果は、2型DM患者の診療ガイドラインの最新アップデートには、科学的進歩の継続的な評価が必要であることを強調するものである」と述べている。BMJ誌2023年4月6日号掲載の報告。24週以上追跡のRCTを対象に解析 研究グループは、2型DM成人患者に対する薬物治療として、非ステロイド性ミネラルコルチコイド受容体拮抗薬(フィネレノンを含む)とチルゼパチド(二重GIP/GLP-1受容体作動薬)を既存の治療オプションに追加する有益性と有害性の比較を目的にシステマティックレビューとネットワークメタ解析を行った。 Ovid Medline、Embase、Cochrane Centralを用いて、2022年10月14日時点で検索。無作為化比較試験で、追跡期間24週以上を適格とし、クラスの異なる薬物治療と非薬物治療の組み合わせを体系的に比較している試験、無作為化比較試験のサブグループ解析、英語以外の試験論文は除外した。エビデンスの確実性についてはGRADEアプローチで評価した。816試験、被験者総数47万1,038例のデータを解析 解析には816試験、被験者総数47万1,038例、13の薬剤クラスの評価(すべての推定値は、標準治療との比較を参照したもの)が含まれた。 SGLT2阻害薬と、GLP-1受容体作動薬の追加投与は、全死因死亡を抑制した(それぞれオッズ比[OR]:0.88[95%信頼区間[CI]:0.83~0.94]、0.88[0.82~0.93]、いずれも高い確実性)。 非ステロイド性ミネラルコルチコイド受容体拮抗薬については、慢性腎臓病を併存する患者へのフィネレノン投与のみが解析に含まれ、全死因死亡抑制の可能性が示唆された(OR:0.89、95%CI:0.79~1.00、中程度の確実性)。その他の薬剤については、おそらくリスク低減はみられなかった。 SGLT2阻害薬とGLP-1受容体作動薬の追加投与については、心血管死、非致死的心筋梗塞、心不全による入院、末期腎不全を抑制する有益性が確認された。フィネレノンは、心不全による入院、末期腎不全をおそらく抑制し、心血管死も抑制する可能性が示された。 GLP-1受容体作動薬のみが、非致死的脳卒中を抑制することが示された。SGLT2阻害薬は他の薬剤に比べ、末期腎不全の抑制に優れていた。GLP-1受容体作動薬は生活の質(QOL)向上に効果を示し、SGLT2阻害薬とチルゼパチドもその可能性が示された。 報告された有害性は主に薬剤クラスに特異的なもので、SGLT2阻害薬による性器感染症、チルゼパチドとGLP-1受容体作動薬による重症胃腸有害イベント、フィネレノンによる高カリウム血症による入院などだった。 また、チルゼパチドは体重減少がおそらく最も顕著で(平均差:-8.57kg、中程度の確実性)、体重増加がおそらく最も顕著なのは基礎インスリン(平均差:2.15kg、中等度の確実性)とチアゾリジンジオン(平均差:2.81kg、中等度の確実性)だった。 SGLT2阻害薬、GLP-1受容体作動薬、フィネレノンの絶対的有益性は、ベースラインの心血管・腎アウトカムリスクにより異なった。

1204.

糖類の過剰摂取、心代謝疾患リスクを増大/BMJ

 食事による糖類(単糖類、二糖類、多価アルコール、遊離糖、添加糖)の過剰な摂取は、一般的に健康にとって益よりも害が大きく、とくに体重増加、異所性脂肪蓄積、心血管疾患などの心代謝疾患のリスク増大に寄与していることが、中国・四川大学のYin Huang氏らの検討で示された。研究の成果は、BMJ誌2023年4月5日号で報告された。糖類摂取と健康アウトカムの関連をアンブレラレビューで評価 研究グループは、食事による糖類の摂取と健康アウトカムの関連に関する入手可能なすべての研究のエビデンスの質、潜在的なバイアス、妥当性の評価を目的に、既存のメタ解析のアンブレラレビューを行った(中国国家自然科学基金などの助成を受けた)。 データソースは、PubMed、Embase、Web of Science、Cochrane Database of Systematic Reviews、および参考文献リスト。対象は、急性または慢性の疾患のないヒトにおいて、食事による糖類の摂取が健康アウトカムに及ぼす影響を評価した無作為化対照比較試験、コホート研究、症例対照研究、横断研究に関する系統的レビューとメタ解析であった。 8,601本の論文から、73件のメタ解析と83項目の健康アウトカム(観察研究のメタ解析から74項目、無作為化対照比較試験のメタ解析から9項目)が特定された。体重増加、異所性脂肪蓄積と有意な関連 83項目の健康アウトカムのうち、食事による糖類の摂取と有意な関連が認められたのは、有害な関連が45項目(内分泌/代謝系:18項目、心血管系:10項目、がん関連:7項目、その他:10項目[神経精神、歯科、肝、骨、アレルギーなど])、有益な関連が4項目であった。 エビデンスの質(GRADE)が「中」の有害な関連としては、食事による糖類の摂取量が最も少ない集団に比べ最も多い集団では、体重の増加(砂糖入り飲料)(エビデンスクラス:IV)および異所性脂肪の蓄積(添加糖)(エビデンスクラス:IV)との関連が認められた。 エビデンスの質が「低」の有害な関連では、砂糖入り飲料の摂取量が週に1回分増加するごとに痛風のリスクが4%(エビデンスクラス:III)増加し、1日に250mL増加するごとに、冠動脈疾患が17%(エビデンスクラス:II)、全死因死亡率が4%(エビデンスクラス:III)、それぞれ増加した。 また、エビデンスの質が「低」の有害な関連として、フルクトースの摂取量が1日に25g増加するごとに、膵がんのリスクが22%高くなることが示唆された(エビデンスクラス:III)。 著者は、「既存のエビデンスはほとんどが観察研究で、質が低いため、今後、新たな無作為化対照比較試験の実施が求められる」と指摘し、「糖類の健康への有害な影響を低減するには、遊離糖や添加糖の摂取量を1日25g(ほぼ小さじ6杯/日)未満に削減し、砂糖入り飲料の摂取量を週1回(ほぼ200~355mL/週)未満に制限することが推奨される」としている。

1205.

英語で「非常にまれですが」は?【1分★医療英語】第76回

第76回 英語で「非常にまれですが」は?On rare occasions, we see the recurrence of this type of cancer.(非常にまれですが、このがんは再発することがあります)I see, but hopefully not.(そうなんですね。でもそうならないことを願います)《例文1》医師On rare occasions, you will experience fever with this medication.(非常にまれですが、この薬で発熱することがあります)患者I understand. (わかりました)《例文2》医師On rare occasions, we have to change the plan during surgery.(非常にまれですが、手術中に方針を変えることがあります)患者Please do whatever you think is the best.(先生が一番だと思う方針でお願いします)《解説》“On rare occasions”(非常にまれですが)、この表現は、治療方針や病状を説明するときに頻用されます。通常の治療経過から外れて予測される事態を説明する際に前置きすることで、「まれである」ことを強調でき、患者さんに余計な不安を与えずに予測される事態を伝えられるので有用です。“On rare occasions”で始めることで、その後に続く内容のインパクトを和らげる効果があります。使用できる場面は限られますが、便利な表現ですので、ぜひ使ってみてください。講師紹介

1207.

既報のRCT 3研究の共同解析結果から、高感度CRPとLDLコレステロール濃度モニターでスタチン治療を成功に導く秘策を学ぶ!―(解説:島田俊夫氏)

はじめに 慢性炎症が血管障害、動脈硬化、がん等の発生に密接に関係していることは周知の事実である。Ridkerら1)は高感度CRP(hsCRP)の慢性炎症の評価マーカーとしての有用性に着目して多くの論文を発表しており、スタチン投与によるhsCRP濃度を下げることで、動脈硬化、血管障害、心血管イベント・死の評価に有用だと報告している。 とくに高LDLコレステロール(高LDL-C)血症、高血圧、糖尿病(DM)、肥満等の疾患を複数合併する患者へのスタチン投与でhsCRPが低下すれば、イベント抑制、予後の改善につながるとの期待を抱かせる。 一方で、高LDL-C血症が冠動脈疾患の重要なリスク因子であることは、欧米を中心に多数の研究論文の発表により周知されている。 今回取り上げた多国籍RCT 3研究の対象者(3万1,245例)はすべてが治療目的でスタチン投与を継続中であり、また、多くのDM患者を含んでいることは意味深長である。括弧内はDMを含むパーセントを示す。PROMINENT試験(100%)、REDUCE-IT試験(58%)、STRENGTH試験(70%)に参加し、かつ、スタチン投与が継続されているアテローム性動脈硬化症患者を対象に共同分析が行われた。Ridkerらによりその成果がLancet誌の2023年3月6日号にonlineで発表された。有益なメッセージを含んだ論文であり紹介する。hsCRPおよびLDL-C濃度の心血管死、全死亡および心血管障害の発生予測に関して 動脈硬化、DM、高血圧、高LDL-C血症、メタボ症候群らを有する患者では、hsCRP濃度が高値を示すことはよく知られている。これまでの研究から慢性炎症が関連する生活習慣病では、hsCRP濃度が上昇することがわかっている。 RCT 3研究においてもLDL-C、血清hsCRP濃度の四分位数データの解析結果から、今後発生する心血管イベント、心血管死および全死亡の予測マーカーとして両マーカーともにおしなべて有用であったが、調整済みハザード比による検討から心血管イベントおよび死亡への影響力に関しては、LDL-C濃度に比べてhsCRP濃度の影響力が勝っていた。結語 今回のRCT 3研究を要約すると、研究成果の共同解析結果からhsCRP(残存炎症リスク)とLDL-C濃度(残存LDL-Cリスク)を比較すると、残存炎症リスクマーカーのほうが残存LDL-Cリスクマーカーよりも、スタチン治療を受けている患者の心血管イベント・死に深く関連していることが明らかになった。両マーカーともに治療評価マーカーとして有用ではあるけれども、心血管イベント・死の評価にはhsCRPの影響力が優れていた。目的達成のためにはhsCRP濃度を目安に治療戦略を計画するほうが好ましいとのメッセージと理解する。 スタチン治療の評価には、治療後のLDL-C濃度(残存LDL-Cリスク)の重要性よりも、hsCRPの治療後の低下(残存炎症リスク)のほうが明らかに有用性は大きい。さらに、hsCRP濃度の低下が不十分な場合は、抗炎症剤の補助的使用2)も含んだ治療を考え、致命的な心血管イベント・死を回避するための補助治療の介入選択を示唆しているのではないか。

1209.

なぜジャンクフードを食べたくなる?おやつに意外な効果も?

 高脂肪・高糖質の食品には中毒性がある。高脂肪・高糖質の食事は、エネルギーの過剰摂取と体重増加をもたらすが、その根底にあるメカニズムは明らかになっていない。また、肥満が脳内ドパミン神経系の変化と関連することが知られているが、これらの変化が、「太りやすい体質にしているのか」「肥満に伴って2次的に生じるのか」「欧米型の食事に直接起因するのか」は解明されていない。そこで、ドイツ・マックスプランク代謝研究所のSharmili Edwin Thanarajah氏らは、正常体重の健康成人を対象に、通常の食事に加えて高脂肪・高糖質のヨーグルトまたは低脂肪・低糖質のヨーグルトを8週間摂取させる無作為化比較試験を実施した。その結果、高脂肪・高糖質のヨーグルトの摂取は、低脂肪食品への嗜好性を低下させたが、高脂肪・高糖質のミルクセーキに対する脳の反応を増加させた。さらに、食事とはまったく関係のない連合学習能力も向上させた。これらの変化は、体重や代謝パラメータとは関係がなかった。本研究結果は、Cell Metabolism誌4月4日号に掲載された。 正常体重の健康成人49人を通常の食事に加えて、高脂肪・高糖質のヨーグルト(高脂肪・高糖質群)または低脂肪・低糖質のヨーグルト(低脂肪・低糖質群)を摂取する群に無作為に割り付け、1日2回8週間摂取させた。ベースライン時と8週後において、BMIや空腹感、臨床検査値が評価された。また、脂肪や糖に対する嗜好性、ミルクセーキに対する脳の反応、食事とは関係のない連合学習能力などが評価された。脂肪に対する嗜好性は糖質の量を固定した4種の脂肪含有量(0%、3.1%、6.9%、15.6%)のプリン、糖に対する嗜好性は4種のスクロース添加量(0M、0.1M、0.56M、1.0M)のリンゴジュースで評価した。 主な結果は以下のとおり。・8週間後における体重や臨床検査値の変化について、高脂肪・高糖質群と低脂肪・低糖質群に有意差は認められなかった。・8週後において、高脂肪・高糖質群は低脂肪・低糖質群と比べて低脂肪の食品(脂肪0%のプリン)に対する嗜好性が有意に低下した(p=0.015)。・8週後において、高脂肪・高糖質群と低脂肪・低糖質群はいずれも低糖質の飲料に対する欲求がベースライン時と比べて低下し、両群間に有意差は認められなかった。・8週後において、高脂肪・高糖質群は低脂肪・低糖質群と比べて、ミルクセーキ提供の合図に対する神経反応が中脳、右背外側前頭前野、視床、両側後頭葉皮質において増加した。また、高脂肪・高糖質群はミルクセーキを飲んでいる際の神経反応が左の島皮質後部と右の島皮質中部・前部で増加した。・8週後において、食事とはまったく関係のない連合学習テスト(聴覚刺激と対応する視覚刺激を選択する)を実施したところ、高脂肪・高糖質群の腹内側前頭前野、腹側線条体、島皮質後部、海馬の神経反応が増加していた。 著者らは、「高脂肪・高糖質の食品を繰り返し摂取すると、等カロリーの低脂肪・低糖質食品を摂取した場合と比べて、体重や代謝パラメータに変化がないにもかかわらず、嗜好性の高い食品への反応が高まるように脳の神経回路が変化することが示された。肥満を抑制するためには、食環境を変えて高脂肪・高糖質の食品の摂取を減らすことが極めて重要と考えられる」とまとめた。

1210.

第156回 大阪急性期・総合医療センターがサイバー攻撃の報告書公表、VPNの脆弱性狙われ閉域網破られる、IDとパスワード使い回しで被害拡大

診療システムの全面復旧に73日間を要し、逸失利益十数億円以上こんにちは。医療ジャーナリストの萬田 桃です。医師や医療機関に起こった、あるいは医師や医療機関が起こした事件や、医療現場のフシギな出来事などについて、あれやこれや書いていきたいと思います。この週末は足慣らし山行で久しぶりに奥多摩に行って来ました。奥多摩湖から惣岳山、御前山、湯久保山を経て檜原村に下るコース。例年この時期、御前山周辺ではカタクリの花が開花して楽しませてくれるのですが、今年は時期が早いのか遅いのか、花の数が今ひとつでした。カタクリは発芽したときは1枚葉で、この状態が7〜8年続き、葉が2枚になって初めて開花します。そういえば、今年の御前山周辺は1枚葉が多かった印象です。来春、再び訪れてみようと思います。さて、今回は昨年10月31日に起きた地方独立行政法人 大阪府立病院機構・大阪急性期・総合医療センター(大阪市住吉区)でのランサムウエア(身代金要求型ウイルス)によるサイバー攻撃について再度書いてみたいと思います。ランサムウエアによるサイバー攻撃によって発生したシステム障害によって、診療の停止を長期間余儀なくされた同センターは3月28日、外部有識者による情報セキュリティインシデント調査委員会(委員長・猪俣 敦夫大阪大教授)の報告書を公表しました1)。委託先の給食事業者経由で病院サーバの認証情報が抜き取られ、病院内のシステムが攻撃を受けたことや、基幹システムのサーバの大部分がランサムウエアによって暗号化されてしまい、診療システムの全面復旧に73日間を要したことなど、被害の詳細が明らかになりました。報告書では、電子カルテを含む基幹システムが同じIDとパスワードを使い回す状態であったことが被害拡大を招いたとも指摘しています。被害総額は現在精査中としながらも「調査・復旧費用で数億円、診療制限に伴う逸失利益として十数億円以上を見込んでいる」としています。診療体制の完全復旧まで73日かかるこの事件については発生当初、本連載の「第135回 大阪急性期・総合医療センターにサイバー攻撃、『身代金受け取った』報道の町立半田病院の二の舞?」でも書きました。経緯を簡単に振り返っておきましょう。事件は2022年10月31日の早朝に発覚しました。午前6時40分ごろ、職員がサーバの障害に気づき、同8時半ごろ、業者の調査でランサムウエアの攻撃と判明しました。サーバ上の画面には英語で「すべてのファイルは暗号化された。復元したければ、指定のアドレスにメールを送りビットコインで支払え。金額はメールを送る時間で変わる」という文面と、データに対する「身代金」を要求するメッセージが表示されていました。同センターは「金銭を支払う考えはない」としてすぐに大阪府警に相談、同日夜に記者会見を行いました。同センターは、システム障害によって患者の電子カルテが閲覧できず、診療報酬の計算ができない状態に陥り、外来診療を中止、緊急以外の予定手術は延期となりました。電子カルテシステムを含む基幹システムが再稼働し、外来での電子カルテ運用が再開したのは約6週間後でした。病棟での電子カルテ運用の再開は12月、2023年1月11日に通常診療にかかわる部門システムが再開し、診療体制が完全復旧しました。ランサムウエア感染から実に2ヵ月以上、73日が経っていました。中核のサーバはすべて同じパスワードを使い回し報告書によれば、ウイルスは外部の給食事業者のVPN(仮想プライベートネットワーク)から侵入し、事業者側のサーバと常時接続されていたセンター側の給食管理用サーバに入り込んだとのことです。給食事業者のシステムは、配食数や食事内容を管理するもので、病院のネットワークや電子カルテシステムと常時つながっており、病院はこのネットワークを利用し、糖尿病などの患者の食事内容を事業者に伝えていました。さらに、電子カルテのシステムを構成する中核のサーバはすべて同じパスワードを使い回しており、ウイルス対策ソフトも導入されていませんでした。このためウイルスの侵入から、適切な対応がとられるまでの5時間弱の間に感染が急拡大し、約20台のサーバでデータが暗号化されてしまったとのことです。3月26日付の朝日新聞の報道によれば、電子カルテのシステムはNEC(日本電気)が構築したものでした。センター側から閉域網(外部のインターネットと完全に切り離された閉じられたネットワーク)であるとの説明を受けていた同社は「利便性などを考慮し、同じパスワードを使うことも可能だ」と提案、採用されていたとのことです。同紙によれば、NECは事件発覚後の昨年11月、同じ電子カルテを使う全国280の病院を調査しました。その結果、半数以上の病院で同様の使い回しが判明しました。その後、パスワードの変更やほかのセキュリティ対策を順次進めているとのことです。サイバー攻撃を受けた根本原因が「VPN装置の脆弱性を狙われ閉域網が破られた」という点は、一昨年10月の徳島県つるぎ町の町立半田病院(「第118回 ランサムウエア被害の徳島・半田病院報告書に見る、病院のセキュリティ対策のずさんさ」参照)とまったく同じです。ちなみに、給食事業者のVPN機器も町立半田病院と同じ製品で、この事業者もソフトウエアの更新を怠っていました。病院もセキュリティ意識を高く持ち組織的な取り組みが必要今回公表された75ページにも及ぶ報告書は、専門外の人間にはいささか読むのが大変です。ただ、幸いなことに7枚のスライドにまとめられた概要版も用意されているので、医療機関の経営者や幹部の方は、こちらには一度目を通しておいた方がいいと思われます。報告書では、サイバー攻撃を許してしまったセキュリティ上の課題を「技術的発生要因」 「組織的発生要因」「人的発生要因」に分けて分析、予防に向けた提案をしている点が参考になります。「技術的発生要因」については、外部接続(リモートメンテナンス)の管理不備と内部のセキュリティの脆弱性を指摘、「組織的発生要因」については、ガバナンスの欠如とベンダーとの契約に関するさまざまな問題を指摘しています。「人的発生要因」では、ベンダーに対してはシステムや機器を提供する専門家として、サイバーセキュリティの知識と経験向上に努めるべきと提案、病院に対してもセキュリティ意識を高く持ち、組織的にシステムや機器の導入および運用を心掛けた取り組みが必要だ、としています。「国はガイドラインや法整備、財源の確保など、その役割はますます重要」と提言さらに報告書は、国に対する要望もまとめています。そこでは、「国においては、ガイドラインや法整備、財源の確保など、その役割はますます重要」「国においては、医療機関へのサイバー攻撃を災害の一つとして捉え、その支援対策を充実させるなど、患者が安全安心に医療を受けられるよう、更なる取り組みの推進が必要」など、国が主導して医療機関のセキュリティ対策に取り組むべきだと要望しています。医療機関にとってセキュリティ対策は頭が痛い問題実際、医療機関にとってはセキュリティ対策の人材確保や、そのための予算確保はなかなか頭が痛い問題のようです。自民党の「医療分野のデジタルセキュリティ対策推進プロジェクトチーム」は3月28日に初会合を開き、医療機関のセキュリティ対策について、厚生労働省、日本医師会などにヒアリングを行いました。この席で日本医師会は提出資料で、医療機関が十分なセキュリティ対策をとれていない背景として、「医療関係者が教育を受けていない」「大部分の医療機関には専門家がいない」「対策の財源がない」と指摘、「必要となるセキュリティ対策にかかる費用は本来、国が全額負担すべき」と訴えています。厚労省、警察庁もサイバー攻撃対策に本腰町立半田病院、大阪急性期・総合医療センターなどのサイバー攻撃をきっかけとして、国側の動きも急となってきています。3月30日、厚生労働省は、「医療情報システムの安全管理に関するガイドライン第6.0版」の案を公表、パブリックコメントの募集を始めました2)。同ガイドラインはこれまで、本編と別冊で構成されていましたが、今回の改定では、概説、経営管理、企画管理、システム運用の計4編の構成に変更されています。たとえば、システム運用編には、パソコンやVPN機器などの脆弱性や、ランサムウエアによるサイバー攻撃などに関する対策が明記されており、バックアップデータを保存した記録媒体を、端末やサーバ装置、ネットワークから切り離して保管するといった対策を求める内容となっています。同ガイドラインは、4月28日までパブリックコメントを募集し、5月中旬に公表する予定です。警察庁もサイバー攻撃被害に関する情報収集を強化する方針です。4月6日に開かれた警察庁の有識者会議の報告書の提言を基に、4月7日付の日本経済新聞は「警察庁はインターネットで通報できる一元窓口を2023年度内にも設け、企業の申告を促す」と報じています。同記事によれば、「これまでは都道府県ごとに窓口を設けていたが通報は低調だった。被害状況は捜査や分析に向けた端緒で、必要に応じて国直轄の専門部隊にも共有する」とのことです。国がサイバー攻撃対策に本腰を入れ始めたのは好ましいことです。ただ、病院や診療所の現場の経営者たちが、国任せ、行政任せ、ベンダー任せのままでは、医療機関に対するサイバー攻撃はこれからも増え続けるでしょう。財源は国にお願いするにせよ、医療機関内でもITや情報セキュリティに詳しい専門人材を確保することは、もはや急務と言えるでしょう。参考1)情報セキュリティインシデント調査委員会報告書について/大阪急性期・総合医療センター2)「医療情報システムの安全管理に関するガイドライン第6.0版(案)」に関する御意見の募集について

1211.

不健康なプラントベース食では死亡、がん、CVDリスクが増大

 “健康的”なプラントベース食(植物由来の食品)の摂取が多いほど、死亡、がん、心血管疾患のリスクが低くなるが、“不健康”なプラントベース食ばかりではそれらのリスクがむしろ高くなることが、英国・クイーンズ大学ベルファストのAlysha S. Thompson氏らの研究により明らかになった。JAMA Network Open誌2023年3月28日号掲載の報告。 プラントベース食は、卵、乳製品、魚、肉を少量のみ摂取またはまったく摂取しないことを特徴とする食事で、環境と健康の両方の理由から世界中で人気となっている。しかし、プラントベース食の質と死亡や慢性疾患のリスクに関する総合的な評価は不十分であった。そこで研究グループは、健康的なプラントベース食と不健康なプラントベース食が、英国成人の死亡や主要な慢性疾患(心血管疾患、がん、骨折など)と関連しているかどうかを調査した。 調査は、UKバイオバンクの参加者を前向きに収集して行われた。2006~10年に40~69歳の参加者を募集して2021年まで追跡し、データの解析は2021年11月~2022年10月に行われた。主要アウトカムは、健康的/不健康なプラントベース食の順守の程度による、死亡率(全死因死亡および疾患特異的死亡)および心血管疾患(全イベント、心筋梗塞、虚血性脳卒中、出血性脳卒中)、がん(全がん、乳がん、前立腺がん、結腸直腸がん)、骨折(全部位、椎骨、股関節)の相対的危険度であった。 健康的なプラントベース食か不健康なプラントベース食かどうかは、1日最低2回の食事を、24時間の平均摂取量に基づいて17項目の食品群(全粒穀物、果物、野菜、ナッツ、植物性の代替食品、紅茶/コーヒー、フルーツジュース、精製穀物、ジャガイモ、砂糖入り飲料、お菓子/デザート、動物性脂肪、乳製品、卵、魚介類、肉、その他の動物性食品)のスコアで評価した。 主な結果は以下のとおり。・参加者12万6,394例(平均年齢56.1歳、女性55.9%、白人91.3%)を10.6~12.2年間追跡したところ、5,627例の死亡、6,890例の心血管疾患イベント、8,939例のがん、4,751例の骨折が発生した。・健康的なプラントベース食をより多く摂取していたのは、女性、低BMI、高齢、服薬/健康異常なし、低アルコール摂取、高学歴の人であった。・健康的なプラントベース食の順守率が最も高い四分位集団では、最も低い集団と比較して、全死因死亡、全がん、全心血管疾患のリスクが低かった(死亡のハザード比[HR]:0.84[95%信頼区間:0.78~0.91]、がんのHR:0.93[0.88~0.99]、心血管疾患のHR:0.92[0.86~0.99])。・同様に、健康的なプラントベース食の順守率が最も高い集団では、心筋梗塞および虚血性脳卒中のリスクも低かった(心筋梗塞のHR:0.86[0.78~0.95]、虚血性脳卒中のHR:0.84 [0.71~0.99])。・一方、不健康なプラントベース食を最も多く摂取していた集団では、全死因死亡、全がん、全心血管疾患のリスクが高かった(死亡のHR:1.23[1.14~1.32]、がんのHR:1.10[1.03~1.17]、心血管疾患のHR:1.21[1.05~1.20])。・同様に、不健康なプラントベース食を最もよく摂取していた集団では、心筋梗塞および虚血性脳卒中リスクも高かった(心筋梗塞のHR:1.23[0.95~1.33]、虚血性脳卒中のHR:1.17[1.06~1.29])。・健康的または不健康なプラントベース食と、出血性脳卒中、個別のがん種、骨折(全部位、部位別)には有意差はみられなかった。・砂糖入り飲料、スナック/デザート、精製穀物、ジャガイモ、フルーツジュースの摂取量が少ない健康的な食事がリスクの低下と関連していた。・これらは、性別、喫煙状況、BMI、社会経済的地位、多遺伝子リスクスコア(PRS)と関連はみられなかった。 上記の結果より、研究グループは「健康的なプラントベース食の摂取が、心血管疾患、がん、および死亡のリスクの低下と関連していた。健康的なプラントベース食をより多く摂取し、動物性食品の摂取を減らすことで、慢性疾患の危険因子や遺伝子素因に関係なく健康に有益である可能性がある」とまとめた。

1212.

スタチンのプレイオトロピック効果はあるの?(解説:平山篤志氏)

 4S試験以来スタチンによる心血管イベント抑制効果が明らかにされ、さらに追加解析でスタチンにはLDL-コレステロール(LDL-C)低下効果に加えて、抗炎症、抗酸化などのプレイオトロピック効果があると示唆されてきた。このような背景から機序の異なるLDL-C低下薬であるエゼチミブやPCSK-9阻害薬を用いた大規模臨床試験では、スタチンに追加することでLDL-Cを低下させる効果で有効性が示されてきた。 しかし、今回のベムペド酸(bempedoic acid)を用いたCLEAR Outcome試験では、対象がスタチン不耐性の患者であるためコントロール群にはスタチンが使用されていない。にもかかわらず、ベムペド酸治療群で、有意なLDL-Cと高感度CRPの低下とともに心血管イベントを有意に減少した。このことは、スタチン不耐性の患者でも使用可能な薬剤が示されたことだけでなく、スタチンのプレイオトロピック効果についても疑問を投げかけたことになる。 では、なぜ高LDL-Cが炎症を引き起こすのか? LDL-Cを低下させることで炎症が抑制されるのか?については、近年、血管内視鏡で大動脈の自然プラーク破綻を観察した小松らの研究から、プラーク内で生成されたコレステロール結晶が自然破綻した後に全身で炎症を惹起する可能性が注目されている。今後展開される多くの研究により解明されるであろう。 米国心臓病学会(ACC)で発表されたとき、ベムペド酸にエゼチミブを加えることでさらなるイベント抑止効果が得られたのではないか?という質問が出された。すでにエゼチミブ単独でイベント低下効果が示されている(EWTOPIA75)ことから、予測される結果であるが、FDAが試験での使用を認めなかったとのことであった。今後、実臨床ではエゼチミブの併用で多用されるであろう。ただ、ベムペド酸が高尿酸血症や痛風の頻度を上げることには注意が必要である。

1213.

循環器領域における「睡眠呼吸障害の診断・治療ガイドライン」改訂で“睡眠”も心血管リスク因子に/日本循環器学会

 睡眠呼吸障害(sleep disordered breathing:SDB)が循環器疾患の重要なリスク因子であることが明らかになり、2010年に『循環器領域における睡眠呼吸障害の診断・治療に関するガイドライン』が発刊された。あれから13年、3月11日に『循環器領域における睡眠呼吸障害の診断・治療に関するガイドライン』の2023年改訂版が発刊され、第87回日本循環器学会学術集会の「ガイドラインに学ぶ2」において、葛西 隆敏氏(順天堂大学大学院医学研究科 循環器内科 准教授)が改訂ポイントを6つに絞り、改訂の背景や臨床に役立つ点を発表した。『循環器領域における睡眠呼吸障害の診断・治療に関するガイドライン』は“睡眠”を意識 SDBは、さまざまな循環器疾患に合併し、循環器疾患の悪化に関与するだけではなく、循環器疾患の発症そのものに関与することも示唆されている1)。AHAは2010年にCardiovascular Health Promotionとして、7つの修正可能な因子(適正体重の維持、禁煙、運動習慣、健康的な食習慣、血圧・血清脂質・血糖値のコントロール)をLife’s Simple7として示してきたが、「睡眠」の重要性がエビデンスの構築により高まり、2022年の改訂では追加されLife‘s Essential 8になっている。 今回、本邦の『循環器領域における睡眠呼吸障害の診断・治療に関するガイドライン』にもその点が反映され、以下の6項目が改訂された。葛西氏は「とくに診断における定義・スクリーニング、検査時のスコアリングルールがアップデートされており重要」と述べ、「以前から多くの先生に引用されていたであろう“心血管疾患ごとのSDB合併頻度”についても改訂し、HFpEFなどの疾患項目数を増やした」と説明した(本GL図8参照)。また、現状の循環器診療においてSDB診断がなされているかを知るために福島県立医科大学の医師らがJROAD-DPCからその傾向を調査したところ、「入院患者のみのデータではあるが、2012~19年の期間に急性心筋梗塞以外でのSDB診断は若干増加したものの、全体としては未診断が散見され、検査の実施率も心房細動以外では低下傾向」であったことを言及し、「入院中検査は点数が算定できないことも要因の1つだが、循環器医に対して、SDB診断の普及啓発が必要である」とも話した。<『循環器領域における睡眠呼吸障害の診断・治療に関するガイドライン』2023年版の主な改訂点>1)正常睡眠と睡眠障害:より循環器領域の内容に特化する形へ変更2)診断:最近の定義・スコアリングルールに関する内容にupdate3)疫学:有病率などをより近年のデータにupdate4)病態:近年提唱された新たな病因・病態生理について言及5)治療:全体をupdateするとともに、エビデンスが出ている治療(舌下神経電気刺激療法[保険収載]、中枢性睡眠時無呼吸への横隔神経電気刺激療法[保険未収載]など)の可能性に関して言及6)各疾患との関連と治療:項目を拡充し、高血圧以外の循環器疾患リスク因子にも言及。多数のエビデンスが報告された不整脈(とくに心房細動)や心不全に関して、細分化し項目を分けた。 主な変更点は以下のとおり。1)正常睡眠と睡眠障害睡眠呼吸障害以外に循環器医が注意すべき睡眠問題として、睡眠過不足、睡眠関連運動障害(むずむず脚症候群[restless legs syndrome:RLS]、周期性四肢運動[periodic limb movement in sleep:PLMS])にもフォーカスを当てた。2)診断呼吸器学会が発行している「睡眠時無呼吸症候群(SAS)の診療ガイドライン2020」同様にSDBの診断基準は国際睡眠障害分類の第3版(ICSD-3)に準じ、成人の閉塞性睡眠時無呼吸症候群(obstructive sleep apnea:OSA)の診断基準の1つに「患者が高血圧、気分障害、認知機能障害、冠動脈疾患、脳卒中、うっ血性心不全、心房細動、あるいは2型糖尿病と診断されている」と書かれている点を踏襲。『循環器領域における睡眠呼吸障害の診断・治療に関するガイドライン』2023年版では、スクリーニングと診断の違いを明記した(表10参照)。なお、OSAの診断基準とCPAP治療の保険適用の基準が異なる点に注意が必要。また、心房細動や粗動、うっ血性心不全、あるいは神経疾患の存在は、中枢性睡眠時無呼吸(central sleep apnea with Cheyne-Stokes respiration:CSA-CSR)を合併しやすい点も重要。3)疫学各心血管疾患でのSDB合併頻度は肺高血圧症(89.0%)が最も高く、治療抵抗性高血圧(83.0%、AHI≧10)、心房細動(81.4%)、HFrEF(76.0%)と続く。これを踏まえ患者を診察してもらうことで、これまで以上にリスク患者をあぶりだせる可能性。4)病態OSAの機序の記載を大幅に変更し、「上気道の解剖学的異常、上気道の神経性調節異常、呼吸調節系の不安定性、覚醒閾値」について、『循環器領域における睡眠呼吸障害の診断・治療に関するガイドライン』2023年版では具体的な説明を加えた。5)治療・OSAに対する舌下神経電気刺激療法(CPAPが受けられない患者に適用)の項が追加。・生活習慣是正については睡眠薬のうち非ベンゾジアゼピン系睡眠薬やオレキシン受容体拮抗薬の処方検討を考慮してもよい。・OSAの薬物療法については上気道解剖学的要因、上気道神経性調節異常などに対しそれぞれ言及。・CSR-CSA治療に対しては心不全治療薬ARNIが追加。・そのほかのSDB治療については弾性ストッキングが追加。6)各疾患との関連と治療これまで「各論」としていた項目の名称を変更し、高血圧をはじめとする13疾患にカテゴライズ。とくにSDBのリスク因子となる高血圧、糖尿病、CKD、高尿酸血症のほか、多数のエビデンスが報告された頻脈性不整脈(上室)などの内容を充実させた(表35~45参照)。

1215.

1日どのくらいの飲酒量で死亡リスクが増える?

 飲酒と全死亡の関連を調べたこれまでのメタ解析では、組み入れられた研究の数や質、参加者の性別や年代の偏りに影響されている可能性がある。今回、カナダ・ビクトリア大学のJinhui Zhao氏らが関連をより正確に調べるために系統的レビューを行い、107件のコホート研究のメタ解析を行った結果、毎日のアルコール摂取量が少量~中量の場合は全死亡リスクと有意な関連はなかったが、摂取量が増えると明らかなリスク増加が認められた。また、女性のほうがより少ない摂取量から関連がみられたという。JAMA Network Open誌2023年3月31日号に掲載。大量飲酒者で全死亡リスクが有意に増加した 本解析では、非飲酒者と飲酒者の分類に影響するバイアスをある程度調整した研究とそうでない研究の比較を容易にするため、系統的レビューを実施した。PubMedとWeb of Scienceを用いて、1980年1月~2021年7月に発表された飲酒と全死亡率に関する107件の研究を特定。最初にすべての研究をプールし、年齢中央値(56歳)の上下および性別で層別し、混合線形回帰モデルを用いて相対リスクをモデル化した。主要アウトカムは、1日当たりの平均アルコール摂取量(機会飲酒1.30g未満、少量1.30~24g、中量25~44g、大量45g~64g、最大量65g以上に層別)と全死亡率の関連についての相対リスク推定値とした。※アルコール20gの目安:ビール500mL、ワイン200mL、日本酒180mL、ウイスキー60mL、焼酎100mL 飲酒と全死亡率に関する107件の研究のメタ解析を行った主な結果は以下のとおり。・解析対象となった計107件(483万8,825人、うち42万5,564人が死亡)のコホート研究で、飲酒による全死亡のリスク推定値は724であった。・サンプリングのばらつき、元飲酒者のバイアス、事前に指定した研究品質基準による潜在的な交絡因子の影響を調整したモデルでのメタ解析の結果、機会飲酒者(相対リスク[RR]:0.96、95%信頼区間[CI]:0.86~1.06、p=0.41)および少量飲酒者(RR:0.93、p=0.07)では、生涯非飲酒者と比べ全死亡リスクの有意な低下はみられなかった。・完全調整モデルでは、中量飲酒者(RR:1.05、p=0.28)で全死亡リスクの増加がみられたが有意ではなく、大量飲酒者(RR:1.19、p=0.001)および最大量飲酒者(RR:1.35、p=0.0001)では有意に増加した。・女性においては、飲酒者が生涯非飲酒者と比べ全死亡リスクが有意に高く(RR:1.22、p=0.03)、どの摂取量においても男性より全死亡率が高かった。

1216.

統合失調症長期入院患者の半数でみられる非アルコール性脂肪性肝疾患

 長期入院の統合失調症患者は身体的な疾患を呈しやすく、平均余命や治療アウトカムを害することにつながるとされる。しかし、長期入院患者における非アルコール性脂肪性肝疾患(NAFLD)の影響に関する研究はほとんどない。中国・安徽医科大学のXuelong Li氏らは、統合失調症入院患者のNAFLDについて、有病率と影響を及ぼす因子を調査した。その結果、重度の統合失調症による長期入院患者はNAFLDの有病率が高く、糖尿病、抗精神病薬の多剤併用、過体重や肥満、アラニンアミノトランスフェラーゼ(ALT)およびアポリポ蛋白B(ApoB)の高値などが負の影響を及ぼす因子として特定された。Neuropsychiatric Disease and Treatment誌2023年2月18日号の報告。 長期入院を経験していた統合失調症患者310例を対象に、横断的レトロスペクティブ研究を実施した。NAFLDは腹部超音波検査の結果に基づき診断した。NAFLDに影響を及ぼす因子を特定するため、t検定、マン・ホイットニーのU検定、相関分析、ロジスティック回帰分析を用いた。 主な結果は以下のとおり。・NAFLDの有病率は54.84%であった。・NAFLD群と非NAFLD群で有意差が認められた因子は、抗精神病薬の多剤併用、BMI、高血圧、糖尿病、総コレステロール、ApoB、アスパラギン酸アミノトランスフェラーゼ(AST)、ALT、トリグリセライド(TG)、尿酸、血清グルコース、γ-GTP、HDL、好中球/リンパ球比、血小板/リンパ球比であった(各々、p<0.05)。・NAFLDと正の相関が認められた因子は、高血圧、糖尿病、抗精神病薬の多剤併用、BMI、TG、総コレステロール、AST、ApoB、ALT、γ-GTPであった(各々、p<0.05)。・ロジスティック回帰分析の結果では、統合失調症患者のNAFLDに影響を及ぼす因子は、抗精神病薬の多剤併用、糖尿病、BMI、ALT、ApoBであることが示唆された。・これらの知見は、統合失調症患者のNAFLDの予防および治療の理論的な基礎を提供し、新たな標的治療の開発に役立つ可能性がある。

1217.

治療選択のないCLTI、経カテーテル的深部静脈動脈化が肢切断を回避/NEJM

 包括的高度慢性下肢虚血の患者の約20%は、血行再建の選択肢がなく、足関節より近位での肢切断に至るという。カテーテルを用いて深部静脈を動脈化する治療は、動脈と静脈を接続して酸素を含む血液を虚血肢に送ることで、肢切断を予防する経皮的なアプローチである。米国・University Hospitals Harrington Heart and Vascular InstituteのMehdi H. Shishehbor氏らは、従来の外科的血行再建や血管内血行再建による治療の選択肢がない包括的高度慢性下肢虚血の患者において、この経カテーテル的深部静脈動脈化術は安全に施行可能であり、下肢の切断を回避する可能性があることを「PROMISE II試験」において示した。研究の成果は、NEJM誌2023年3月30日号で報告された。米国の前向き単群試験 PROMISE II試験は、米国の20施設が参加した前向き単群試験であり、2019年12月~2022年3月に患者のスクリーニングが行われた(米国・LimFlowの助成を受けた)。 難治性潰瘍を有し、外科的血行再建術または血管内血行再建術の治療選択肢がない包括的高度慢性下肢虚血の患者に対し、経カテーテル的深部静脈動脈化術が施行された。 主要複合エンドポイントは、6ヵ月時の切断回避生存率(足関節より近位での肢切断がない、または全死因死亡がない状態と定義)とされ、事前に規定された目標の54%との比較が行われた。施術成功率99%、下肢救済・創治癒も良好 105例が登録された。年齢中央値は70歳(四分位範囲[IQR]:38~89)で、33例(31.4%)が女性であった。ほとんどの患者は、包括的高度慢性下肢虚血関連の複数の既存疾患(糖尿病77.1%、高血圧91.4%、脂質異常症69.5%)を有し、78例(74.3%)は下肢の治療目標部位への血行再建の既往歴があった。経カテーテル的動脈化術は104例(99.0%)で成功した。 6ヵ月時点の切断回避生存率は66.1%であった。ベイズ解析では、6ヵ月時の切断回避生存率が目標の54%を上回る事後確率は0.993であり、事前に規定された閾値である0.977よりも高かった。 下肢救済(足関節より近位での肢切断の回避)は67例(Kaplan-Meier解析で76.0%)で達成された。6ヵ月時点で、63例中16例(25%)で治療目標の創部が完全に治癒し、86例中24例(28%)ですべての創部が完全治癒した。63例中32例(51%)では、治療目標創部が治癒過程にあると判定された。予期せぬデバイス関連有害事象の報告はなかったが、105例中98例で有害事象が認められた。 著者は、「深部静脈を動脈化することで虚血を解消する方法は新しい概念ではなく、100年以上前に仮説が立てられ、さまざまな手術法の評価が行われてきたが、感染症や深い切開を要するなど、種々の合併症を伴うものであった。経カテーテル的動脈化術は大きな切開を回避し、動脈血を直接的に下肢の遠位部の静脈弓に導くことが可能であり、合併症のリスク低減も期待される」としている。

1218.

Fire and Forget vs.Treat to Target(解説:平山篤志氏)

 これまでの欧米での心血管イベントを低下させるためのガイドラインでは、ハイリスク患者に対してはLDL-コレステロール(LDL-C)を治療するために強力なスタチンの高用量をまず投与するというFire and Forgetの戦略が推奨されてきた。これはスタチンを用いた大規模臨床試験で、高用量と低用量を比較する、あるいはStrongとMildの高用量を比較する試験のメタ解析から得られた結論であった。また、管理目標値を設定するより、初期投与によるLDL-C低下の割合がイベント抑制には必要であるという考えもあった。 ただ、これまでのメタ解析からLDL-C達成値により心血管イベントが低下していること、また冠動脈プラークの退縮が認められることから、LDL-Cの管理目標値を目指す治療が重要であるとされていた(Treat to Target)。さらに、スタチン以外のコレステロール低下薬の有効性が示されると、リスクに応じたLDL-C管理目標値がガイドラインに記載されるようになった。 本試験は、Fire and Forget vs.Treat to Targetを検証するための試験であった。結果としては、両群で達成LDL-C値に差がなく、イベントにも差がなかったという結果であった。これまでのTreat to Targetを検証した試験では、目標値を達成することができず不十分な結果であったが、本試験では十分なコレステロール低下がTreat to Target群で達成できていたことが本試験成功の背景として挙げられる。これは管理目標値を設定しているガイドラインを後押しする結果である。ただ、わが国で通常使用可能なStrongスタチンの高用量は本試験の半量であるため、Treat to Targetで調整するよりはハイリスクの患者では、まずわが国の通常の高用量のStrongスタチンで治療を開始し、管理目標値を達成できない場合に薬剤を追加するFire and Forgetの戦略を選択するほうが実臨床に即していると考えられる。

1219.

メタアナリシスで示される心血管系への緑茶の有効性【Dr. 倉原の“おどろき”医学論文】第231回

メタアナリシスで示される心血管系への緑茶の有効性イラストACより使用緑茶が心血管系に対して保護的に働くことは数多くの研究で示されています。昔はペットボトルで飲むものといえば麦茶が主流でしたが、ここ最近、本当に緑茶が広く浸透しているなと思います。伊藤園によると、緑茶飲料の国内市場規模は、20年前と比較して約1.5倍伸長しているそうです(図)。図. 緑茶飲料の国内市場規模(伊藤園ウェブサイトを参考に筆者作成)Zamani M, et al.The effects of green tea supplementation on cardiovascular risk factors: A systematic review and meta-analysis.Front Nutr. 2023 Jan 10;9:1084455.このメタアナリシスは、PubMed、Medline、Scopus、Web of Science、Embaseなどのオンラインデータベースにおいて、緑茶と心血管危険因子の検索語を組み合わせて、心血管リスク因子に対する緑茶摂取の効果を検討したランダム化比較試験のシステマティックレビューによるものです。55件のランダム化比較試験が適格とされました。ランダム効果メタアナリシスの結果、緑茶摂取は、総コレステロール値(加重平均差[WMD]:-7.62、95%信頼区間[CI]:-10.51~-4.73、p≦0.001)、LDL-C(WMD:-5.80、95%CI:-8.30~-3.30、p≦0.001)、空腹時血糖(WMD:-1.67、95%CI:-2.58~-0.75、p≦0.001)、HbA1c(WMD:-0.15、95%CI:-0.26~-0.04、p=0.008)、拡張期血圧(WMD:-0.87、95%CI:-1.45~-0.29、p=0.003)を有意に減少させる効果があり、一方でHDL-Cは有意に上昇させました(WMD:1.85、95%CI:0.87~2.84、p=0.010)。血圧については、健康な個人において、緑茶摂取において収縮期血圧を2.99mmHg、拡張期血圧を0.95mmHg減少させるという別のメタアナリシスもあります1)。また、このほか、摂取量に応じての脳卒中のリスクが低下するというメタアナリシスも報告されています2)。したり顔で緑茶の有効性を書いてきましたが、個人的には緑茶の有無にこだわるよりも、そのほかの食生活や運動のほうが重要ではないかと思っています。1)Yildirim Ayaz E, et al. Effect of Green Tea on Blood Pressure in Healthy Individuals: A Meta-Analysis. Altern Ther Health Med. 2023 Jan 23;AT7623. [Epub ahead of print]2)Wang ZM, et al. Green tea consumption and the risk of stroke: A systematic review and meta-analysis of cohort studies. Nutrition. 2023 Mar;107:111936. [Epub ahead of print]

1220.

尿酸値が上がりにくいアルコールは?~日本人8万人のデータ

 飲酒は高尿酸血症の重要なリスク因子だが、アルコール飲料の種類ごとの血清尿酸値への影響の詳細はわかっていない。今回、聖路加国際病院の福井 翔氏らが、日本人7万8,153人の健康診断データを用いて横断研究を実施した結果、飲酒量をエタノール含有量で統一した場合、ビールでの血清尿酸値上昇は大きく、ワインでは中程度の上昇、日本酒での上昇はわずかで有意ではなかったことが示された。JAMA Network Open誌2023年3月17日号に掲載。尿酸値はアルコール飲料によって上昇の程度が異なる 本研究は、2012年10月1日~2021年10月31日に聖路加国際大学で健康診断を実施した20歳以上の参加者を対象とした横断研究で、ビール、日本酒、焼酎、ワイン、ウイスキーの摂取量をエタノール含有量で統一し、血清尿酸値との関連を評価した。血清尿酸値は健康診断時に測定した。エタノール20gを含む各アルコール飲料を基準飲酒単位(ビール500mL、日本酒167mL、焼酎100mL、ワイン208mL、ウイスキー62.5mL)とした。 アルコール飲料の種類ごとの尿酸値への影響を横断研究した主な結果は以下のとおり。・本研究には計7万8,153人が参加し、平均年齢は47.6歳(標準偏差:12.8歳)、男性が3万6,463人(46.7%)、習慣飲酒者は4万5,755人(58.5%)であった。・主にビールを飲んでいる群では、男女とも一貫して血清尿酸値がアルコール摂取量に関連しており、1日1単位摂取におけるβ係数は、男性で0.14mg/dL(95%信頼区間:0.11~0.17mg/dL、p<0.001)、女性で0.23mg/dL(同:0.20~0.26mg/dL、p<0.001)だった。・主に日本酒を飲んでいる群では、血清尿酸値はわずかに上昇したが有意ではなく、β係数は、男性で0.05mg/dL(同:-0.01~0.10、p=0.10)、女性で0.04mg/dL(同:-0.05~0.14、p=0.38)だった。・主に焼酎を飲んでいる群では、血清尿酸値が中程度上昇し、β係数は、男性で0.05mg/dL(同:0.03~0.08、p<0.001)、女性で0.11mg/dL(同:0.07~0.16、p<0.001)だった。・主にワインを飲んでいる群では、血清尿酸値が中程度上昇し、β係数は、男性で0.12mg/dL(同:0.06~0.17、p<0.001)、女性で0.12mg/dL(同:0.08~0.16、p<0.001)だった。・主にウイスキーを飲んでいる群では、男性のβ係数は0.18mg/dL(同:0.10~0.27、p<0.001)と高かったが、女性で0.06mg/dL(同:-0.05~0.16、p=0.27)だった。 本結果から、エタノール含有量を統一した場合も飲酒と血清尿酸値の関連の程度がアルコール飲料によって異なることが示唆された。男女ともアルコール飲料ではビールが一貫して高い血清尿酸値と関連していたが、日本酒は血清尿酸値の変化と関連していなかった。

検索結果 合計:4902件 表示位置:1201 - 1220