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未成年2型糖尿病患者の最適な治療は?(4月29日掲載NEJMオンライン速報版より)

メトホルミン単独療法で血糖コントロールが不十分な10-17歳の2型糖尿病患者に対する次の治療選択肢として、チアゾリジン薬の追加併用療法が、メトホルミン単独療法を継続するより有意に血糖を管理できることが、無作為化比較試験The Treatment Options for Type 2 Diabetes in Adolescents and Youth (TODAY) 試験の結果より明らかになった。この結果は4月29日、NEJM誌オンライン速報版に発表された。メトホルミン単独療法でHbA1c≧8%の未成年2型糖尿病患者を無作為化割り付け研究グループは、1日2回のメトホルミン(1,000mg/日)投与においても、HbA1c値が8%未満にコントロールできなかった10-17歳の2型糖尿病患者699例を、 1) メトホルミン単独療法群 2) メトホルミン+チアゾリジン薬(ロシグリタゾン)併用療法群 3) メトホルミン+減量を重要視した生活習慣改善強化群の3群に無作為に割り付けし、主要評価項目を「血糖コントロールの喪失」とし、各治療法を比較検証した。「血糖コントロールの喪失」は、6ヵ月にわたるHbA1c値8%以上の持続またはインスリン治療の必要な持続的な代謝不全と定義された。主な結果は下記のとおり。 1. 平均追跡期間は3.86年 2. 「血糖コントロールの喪失」と判定された症例は319例(45.6%)   1) メトホルミン単独療法群:51.7% (232例中120例)   2) チアゾリジン薬併用療法群:38.6% (233例中90例)   3) 生活習慣改善強化群:46.6% (234例中109例) 3. チアゾリジン薬併用療法群は、メトホルミン単独療法群に比べ、   有意に血糖コントロール喪失が少なかった(P = 0.006)。 4. 生活習慣改善強化群は、メトホルミン単独療法群、   チアゾリジン薬併用療法群のいずれの治療法とも有意な差がなかった。 5. チアゾリジン薬併用療法は、非ヒスパニック系黒人で効果が弱く、   少女で効果が強かった。

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メトホルミンは糖尿病を発症していない肥満高血圧にも有用か?

 糖尿病を発症していない、肥満を伴う高血圧に対するメトホルミンの投与は、血圧および血糖値に影響を及ぼすことなく、総コレステロール値、腹部肥満、C反応性蛋白を減少させることが、中国、重慶で実施された二重盲検プラセボ対照無作為化比較試験によって示された。この結果はJournal of Hypertension誌オンライン速報版に4月19日に発表された。メトホルミンは糖尿病患者の体重を減少させ、炎症を抑制することが知られているが、糖尿病を発症していない患者においても同様の有用性を発揮するかは不明であった。 1-2週間のプラセボ投与後、糖尿病を発症していない、肥満を伴う高血圧症例360例に対し、メトホルミン500mg/日またはプラセボを投与し、24週間後に血圧、肥満、代謝プロフィールの変化を評価した。 主な結果は下記のとおり。1. 血圧、血糖値、HDLコレステロール値、LDLコレステロール値には影響を及ぼさなかった。2. 総コレステロール値は有意に減少した(0.27mmol/L、P=0.038)。3. 体重は有意に減少した(-0.7kg、P=0.006)。4. BMIは有意に減少した(-0.2kg/m2、P=0.024)5. 腹囲は有意に減少した(-0.9cm、P=0.008)6. 皮下脂肪は有意に減少した(-6.1cm2、P=0.043)7. 内臓脂肪は有意に減少した(-5.4cm2、P=0.028)8. 高感度C反応性蛋白は有意に減少した(-0.6mg/dL、P

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オルメサルタンは、糖尿病と高血圧の併発例においても微量アルブミン尿の発症を遅延させる-ROADMAP試験より-

高血圧と糖尿病を併発する患者においても、ARBオルメサルタンによる治療によって微量アルブミン尿の発症率を低下させることが示された。このRandomized Olmesartan and Diabetes Microalbuminuria Prevention (ROADMAP)試験のサブグループ解析の結果は、Journal of Hypertension誌4月号に掲載された。4,000例以上の高血圧合併例におけるサブグループ解析2011年3月、2型糖尿病患者において、オルメサルタンが微量アルブミン尿の発症を遅らせることがNEJM誌に発表された。今回の報告は高血圧合併例におけるサブグループ解析。高血圧と糖尿病を併発した症例は4,020例。本解析では高血圧は「130/80mmHg以上 and/or 降圧薬服用者」と定義された。被験者はオルメサルタン40mgまたはプラセボが1日1回投与される群に無作為に割り付けられた。観察期間の中央値は3.2年。130/80mmHg未満に到達しない場合、必要に応じてARBまたはACE阻害薬を除く降圧薬が追加投与された。主な結果は下記のとおり。1) 平均到達血圧  オルメサルタン群:126.3/74.7 mmHg  プラセボ群:129.5/76.6 mmHg (P < 0.001)2) オルメサルタン投与によって、微量アルブミン尿の発症が25%減少  (ハザード比=0.75; 95%信頼区間=0.61-0.92, P = 0.007)3) ベースライン時の収縮期血圧値が136.7 mmHg以上の群において  17.45 mmHg以上の降圧が認められた群は、認められなかった群に比べて  微量アルブミン尿の発症率が有意に少なかった。  (8.1 vs 11.2%、P

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DPP-4阻害薬、メトホルミン単独で目標血糖値非達成例の二次治療として有効

 ジペプチジルペプチダーゼ4(DPP-4)阻害薬は、メトホルミン単独療法で目標血糖値が達成されなかった2型糖尿病患者の二次治療としてHbA1cの低下効果を発揮することが、ギリシャ・アリストテレス大学のThomas Karagiannis氏らの検討で示された。経口血糖降下薬であるDPP-4阻害薬は、2型糖尿病患者のHbA1cを著明に低下させ、体重増加や低血糖のリスクも少ない。種々の血糖降下薬に関する間接的なメタ解析では、二次治療薬としてのDPP-4阻害薬は他の薬剤と同等のHbA1c低下効果を有することが示唆されているが、既存の2型糖尿病の治療ガイドラインはDPP-4阻害薬の使用に関するエビデンスが十分ではないという。BMJ誌2012年3月31日号(オンライン版2012年3月12日号)掲載の報告。DPP-4阻害薬の有効性と安全性をメタ解析で評価研究グループは、2型糖尿病の成人患者におけるDPP-4阻害薬の有効性と安全性の評価を目的に、無作為化試験の系統的なレビューとメタ解析を行った。論文の収集には、データベース(Medline、Embase、Cochrane Library)、会議記録、試験登録、製薬会社のウェブサイトを使用した。解析の対象は、単独療法としてのDPP-4阻害薬とメトホルミンあるいはメトホルミンとの併用におけるDPP-4阻害薬と他の血糖降下薬(スルホニル尿素薬、ピオグリタゾン、グルカゴン様ペプチド1[GLP-1]作動薬、基礎インスリン)を比較した無作為化対照比較試験であり、HbA1cのベースラインからの変動について評価した試験とした。主要評価項目はHbA1cの変動、副次的評価項目はHbA1c<7%達成率、体重の変化、有害事象による治療中止率、重篤な有害事象の発生率などとした。HbA1c低下効果はメトホルミンに劣るが、悪心、下痢、嘔吐が少ない1万3,881例が参加した19試験に関する27編の論文が解析の対象となった。DPP-4阻害薬群は7,136例、他の血糖降下薬群は6,745例だった。抄録のみの1試験を除き、主要評価項目に関するバイアスのリスク評価を行ったところ、3論文では低かったが、9論文は不明、14論文は高いという結果だった。メトホルミン単独療法との比較では、DPP-4阻害薬はHbA1c低下効果(加重平均差[WMD]:0.20、95%信頼区間[CI]:0.08~0.32)および体重減少効果(WMD:1.5、95%CI:0.9~2.11)が低かった。二次治療におけるDPP-4阻害薬のHbA1c低下効果はGLP-1作動薬に比べて劣り(WMD:0.49、95%CI:0.31~0.67)、ピオグリタゾンとは同等で(WMD:0.09、95%CI:-0.07~0.24)、HbA1c<7%の達成率はスルホニル尿素薬を上回らなかった(リスク比:1.06、95%CI:0.98~1.14)。体重の変動については、DPP-4阻害薬はスルホニル尿素薬(WMD:-1.92、95%CI:-2.34~-1.49)やピオグリタゾン(WMD:-2.96、95%CI:-4.13~-1.78)よりも良好だったが、GLP-1作動薬ほどではなかった(WMD:1.56、95%CI:0.94~2.18)。二次治療としてのDPP-4阻害薬とメトホルミン単独あるいはメトホルミンとの併用におけるDPP-4阻害薬、ピオグリタゾン、GLP-1作動薬に関する試験では、いずれの治療群も低血糖の発生数は最小限であった。メトホルミン+DPP-4阻害薬とメトホルミン+スルホニル尿素薬併用療法の比較試験のほとんどでは、低血糖のリスクはスルホニル尿素薬を含む群でより高かった。重篤な有害事象の発生率はピオグリタゾンよりもDPP-4阻害薬で低かった。悪心、下痢、嘔吐の発生率はDPP-4阻害薬よりもメトホルミンやGLP-1作動薬で高かった。鼻咽頭炎、上気道感染症、尿路感染症のリスクはDPP-4阻害薬と他の薬剤で差はなかった。著者は、「DPP-4阻害薬は、メトホルミン単独療法で目標血糖値が達成されなかった2型糖尿病患者の二次治療としてHbA1cの低下効果を有するが、コストや長期的な安全性についても考慮する必要がある」と結論している。(菅野守:医学ライター)

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2型糖尿病の肥満成人、生活習慣の強化介入改善で可動性低下を約半減

2型糖尿病の肥満成人に対し、生活習慣への強化介入で体重を減少して可動性改善を図ることで、身体障害の衰えを遅くできることが明らかにされた。米国・ウェイクフォレスト大学のW. Jack Rejeski氏らが、約5,000例を対象に4年間、強化介入をしつつ追跡した結果で、NEJM誌2012年3月29日号で発表された。2型糖尿病の人は加齢とともに、身体障害(特に可動性の低下)が増大することが知られる。一方で、そのような患者への、積極的な生活習慣改善介入による体重減少と可動性改善が、その低下を遅くすることが示されていた。45~74歳の5,145例を強化介入群と糖尿病サポート・教育プログラム群に無作為化Rejeski氏らは、2型糖尿病の肥満成人について、体重減少の強化介入が、心血管起因の罹病率および死亡率を低下するかどうかを検討している、現在進行中の多施設共同無作為化コントロール試験の「Look AHEAD」の参加者を対象に解析を行った。2001~2004年の間に登録無作為化された45~74歳の5,145例のうち、データが入手できた5,016例について解析した。被験者は、無作為に、生活習慣への強化介入群と、糖尿病サポート・教育プログラムを受ける群とに割り付けられ追跡された。主要アウトカムは、自己申告による可動性制限で、年1回、4年にわたり評価した。ヒドン・マルコフ・モデルを使って障害の程度を特徴づけ、混合効果序数回帰分析にて機能低下の可能性を推定し、両群について比較した。4年時点、強化介入群の可動性低下リスクが48%低下結果、4年時点で、生活習慣改善強化介入群(2,514例)では、高度な機能障害を呈したのは517例(20.6%)、可動性が良好であったのは969例(38.5%)だった。一方、サポート・教育ケア群(2,502例)は、それぞれ656例(26.2%)、798例(31.9%)だった。生活習慣改善強化介入群はサポート・教育ケア群よりも、可動性低下リスクが48%低下した(オッズ比:0.52、95%信頼区間:0.44~0.63、P<0.001)。そしてその効果の有意なメディエーターは、体重減少とフィットネス改善(トレッドミル検査について評価)であることが認められた。生活習慣介入関連の有害事象は、筋骨格系の症状について1年時点で、わずかに高い頻度が報告されたことであった。(武藤まき:医療ライター)

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ACC 2012 速報 経カテーテル的腎除神経術、降圧作用は3年間持続:Symplicity HTN-1

治療抵抗性高血圧に対し著明な降圧作用を示す「経カテーテル的腎除神経術」だが、その有用性は、少なくとも3年間は持続する可能性が示された。また当初「無効」と思われながら、のちに降圧作用が発現する患者も相当数、存在することが明らかになった。"Symplicity HTN-1" 3年間追跡データとして、米国オハイオ州立大学のPaul A. Sobotka氏が、一般口演にて報告した。Symplicity HTN-1は、治療抵抗性高血圧に対する「カテーテルを用いた腎動脈アブレーション」による、降圧の可能性を検討したコホート研究である。現在、153例が登録されている。利尿薬を含む3剤以上〔平均:5.1±1.4剤)の降圧薬服用にもかかわらず、収縮期血圧(SBP)は160mmHg以上が対象となった(血圧平均値:175/98mmHg)。追跡開始時の平均年齢は57歳。腎機能は、推算糸球体濾過率(eGFR)45ml/分/1.73m2未満が除外されているため、平均83±20mL/分/1.73m2に保たれていた。3年間の追跡が終了したのは、153例中24例である。追跡開始時からの降圧幅は「33/19mmHg」。2年間の追跡完了59例における「33/15mmHg」、2年半追跡24例の「33/14mmHg」からの減弱は観察されなかった。「SBP<140mmHg」達成率も、2年間追跡時、3年間追跡時とも40%前後で、差はなかった。興味深いのは、腎除神経術による降圧作用が経時的な増強傾向を示した点である。「SBP≧10mmHgの降圧」が認められた割合は、除神経術施行後1か月後の69%(143例中)から時間の経過にしたがい増加し、3年後には100%(24例中)となっていた。また、腎除神経術施行1か月後に「SBP≧10mmHgの降圧」が認められなかった45例でも、3ヶ月後には58%(45例中)で10mmHg以上の降圧を達成し、達成率は2年後に82%(17例中)、3年後では100%〔8例中)と増加傾向を示した。一方、腎除神経術の降圧作用が減弱するサブグループは、認められなかった。「年齢(65歳未満/以上)」、「糖尿病合併の有無」、「腎機能低下(eGFR60mL/分/1.73m2未満)の有無」にかかわらず、除神経によりSBP、拡張期血圧とも、著明に低下していた。重篤な有害事象は、3年間追跡でも認められなかった。腎機能の著明低下は認めず、また懸念されていた腎動脈狭窄は、中等度狭窄を1例に認めるも血行動態に影響はなく、介入の必要はなかったという。3例が死亡の転帰をとったが、いずれも腎除神経術とは無関係とのことだ。なお現在、シカゴ大学George Bakris氏を主任研究者とする無作為化試験 "Symplicity HTN-3" が進行している。治療抵抗性高血圧に対する腎除神経術による「イベント抑制作用」が検討される。来年3月には終了予定とのことで、結果が待たれる。

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ポーランドのCHD死低下、リスク因子低減とEBMの寄与が大

ポーランドでは、2005年の冠動脈心疾患(CHD)による死亡数が1991年に比べて半減し、その要因は主要なリスク因子の低減とEBMの進展による治療法の進歩であることが、グダニスク医科大学のPiotr Bandosz氏らの検討で示された。ポーランドでは、1980年代にみられた若年層の心血管死の急増傾向が、市場経済導入後の1990年代初頭には急速に減少したという。社会経済的な変革によって、ライフスタイルの大きな変化や医療システムの実質的な改善がもたらされたと考えられる。BMJ誌2012年2月4日号(オンライン版2012年1月25日号)掲載の報告。CHD死低下の要因をモデル研究で評価研究グループは、1990年代初頭の政治的、社会的、経済的な変革を経たポーランドにおけるCHD死の急激な低下が、薬物療法や手術、心血管リスク因子の変化でどの程度説明が可能かを評価するために、モデルを用いた研究を行った。1991~2005年における25~74歳の地域住民を対象とし、解析には対照比較試験やメタ解析、全国調査、公式の統計解析などのデータを使用した。女性では血圧低下が、男性では喫煙率低下が良好な影響示すポーランドにおけるCHDによる死亡率は1991~2005年の間に半減し、2005年には25~74歳の集団のCHD死が2万6,200件減少した。このうち約91%(2万3,715件)が使用したモデルで説明可能だった。このCHD死低下の約37%は、心不全治療(12%)、急性冠症候群の初期治療(9%)、心筋梗塞や血行再建術後の2次予防治療(7%)、慢性狭心症治療(3%)、その他(6%)によるものであった。また、約54%はリスク因子の変化によるもので、総コレステロール値の低下(39%)と余暇の身体活動の増加(10%)が主であった。BMIや糖尿病の発症率は増加しており、死亡率には悪い影響を及ぼしていた(それぞれ-4%、-2%)。女性では、死亡率低下の約29%が血圧低下によるものであったが、男性の血圧は上昇しており、死亡率は増加していた(-8%)。男性では、観察された死亡率低下の約15%が喫煙率の低下に起因していたが、女性における喫煙の影響はわずかであった。著者は、「ポーランドでは、2005年のCHDによる死亡率が1991年に比べて半減し、その要因として主要なリスク因子の低減が半分以上を占め、約3分の1はEBMの進展による治療法の進歩に起因していた」と結論している。(菅野守:医学ライター)

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発症間もない1型糖尿病患者に対するミョウバンGAD

1型糖尿病患者に対するアルミアジュバントGAD65(ミョウバンGAD)の投与は、刺激時Cペプチド消失の抑制も、臨床転帰の改善も有意ではなかったことが報告された。GAD65(グルタミン酸デカルボキラーゼ65kDアイソフォーム)は、1型糖尿病における主要な自己抗原である。スウェーデン・Linkoping大学小児科部門のJohnny Ludvigsson氏らによる検討で、ミョウバンGADは発症間もない1型糖尿病患者のβ細胞機能を維持させるのではないかと仮説を立て、334例の10代の患者を対象とする15ヵ月間にわたる、多施設共同二重盲検無作為化試験を行った。NEJM誌2012年2月2日号掲載報告より。3群に無作為化し、15ヵ月間の刺激時血清Cペプチド値の変化を検討試験は、欧州9ヵ国63のクリニックを通じて、1型糖尿病患者で、空腹時Cペプチド値0.3ng/mL超、血清中に抗GAD65自己抗体が検出された10~20歳の334例を対象に行われた。被験者は診断確定後3ヵ月以内に、無作為に3群(ミョウバンGADを4回投与する群、ミョウバンGADを2回投与+プラセボ2回投与群、プラセボを4回投与する群)に割り付けられた。主要アウトカムは、基線受診時と15ヵ月時点の受診時との、刺激時血清Cペプチド値の変化(混合食事負荷試験後)とした。副次アウトカムは、糖化ヘモグロビン値、平均インスリン1日量、低血糖発生率、空腹時および刺激時血清Cペプチド値などであった。プラセボ群と比較して有意な差が認められず結果、刺激時Cペプチド値は3群で同等で、15ヵ月時点の主要アウトカムについて、ミョウバンGAD群(4回投与群と2回投与群)の複合とプラセボ群とを比較しても有意な差は認められなかった(P=0.10)。ミョウバンGAD投与が、インスリン使用量、糖化ヘモグロビン値、低血糖発生率に与える影響についても、プラセボ群と比べて有意であることは認められなかった。有害事象の発生は3群ともに低く、軽度であり、有意差は認められなかった。(武藤まき:医療ライター)

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心血管疾患の生涯リスクの差は、リスク因子の違いによる

心血管疾患の生涯リスクについて、黒人および白人の全年齢階層にわたって幅広く検討した結果、そのリスクの顕著な差は、個々人のリスク因子プロファイルの違いによるもので、人種や出生コホート群を問わず一貫したものであることが明らかにされた。米国・テキサス大学サウスウェスタンメディカルセンターのJarett D. Berry氏らが、18の試験に参加した25万7,000人余のデータについて行ったメタ解析の結果、報告したもので、NEJM誌2012年1月26日号で発表された。黒人・白人の男女計25万7,384例のデータを基にメタ解析Berry氏らが解析対象としたのは、米国で過去50年間に行われた長期疫学コホートの被験者データを収集した「Cardiovascular Lifetime Risk Pooling Project」に組み込まれた参加者の個人データで、18試験の黒人・白人の男女計25万7,384例のデータであった。被験者は心血管疾患のリスク因子に関して、45、55、65、75歳時に測定を受けていた。それらデータから血圧値、コレステロール値、喫煙状況、糖尿病状態を用いて、参加者を5つのリスク因子プロファイルカテゴリー(全リスクが至適、至適でないリスク因子が1つ以上、上昇したリスク因子が1つ以上ある、重大リスク因子が1つある、重大リスク因子が2つ以上ある)に分類し、残る余生に推定される心血管イベントの生涯リスクを、45、55、65、75歳の各年齢カテゴリー群別に算出した。心血管疾患生存例は競合イベントとして処理された。人種や出生コホート群を問わず傾向は同じ結果、リスク因子プロファイルの全カテゴリーにわたり、心血管疾患生涯リスクについて顕著な差が認められた。55歳群において、リスク因子プロファイルが至適であった群(総コレステロール<180mg/dL、血圧:収縮期<120/拡張期<80、非喫煙、非糖尿病)は、重大リスク因子が2つ以上ある群と比べて、心血管疾患死のリスクが80歳まで大幅に低かった(男性間:4.7% vs. 29.6%、女性間:6.4% vs. 20.5%)。至適リスク因子プロファイルを有する群は、致死性冠動脈心疾患または非致死的心筋梗塞の生涯リスク(男性間:3.6% vs. 37.5%、女性間:<1% vs. 18.3%)、また致死的・非致死的脳卒中の生涯リスク(男性間:2.3% vs. 8.3%、女性間:5.3% vs. 10.7%)も低かった。同様の傾向は、黒人コホートおよび白人コホート、また多様な出生コホートを問わず認められた。

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白内障・網膜硝子体の二役を担う「ステラリスPC」発売:ボシュロム・ジャパンに単独インタビュー

Vision Careから眼科サージカル分野への進出ボシュロム・ジャパンの売上はコンタクトレンズおよびコンタクトレンズケア用品、即ちVision Careが大部分を占める。一方、ボシュロムは眼科に特化したサージカル領域、医薬品領域という柱を持ち、Vision Careと合わせた3本でグローバルに展開している。ボシュロム・ジャパンとしてもVision Care以外の2本の柱の増強が中・長期目標だという。「なかでも、今年大きく躍進したいと思っているのがサージカル領域」と代表取締役社長 足利英幸氏は語る。多彩な特徴を持つ「ステラリスPC」の発売ボシュロム・ジャパンには「ステラリス」という製品があり、白内障手術の装置として2009年から日本で発売している。今回の「ステラリスPC」は網膜硝子体手術の承認を受け、白内障・網膜硝子体の両手術に適応できる装置として発売することとなった(1月23日発表)。「ステラリスPC」は白内障・網膜硝子体両手術の適応だけでなく、その切り替えが簡便だという。そのほかにも、毎分5,000サイクルの高速硝子体カッター、底面積457×457mmという省スペース設計、ワイヤレスフットペダルによる複数パラメーターの同時コントロールが可能など、日本の眼科手術事情に適した特徴を有する。網膜硝子体手術は白内障手術と併せて行われることが多い。「ステラリスPC」は一つの機械、一回の手術で双方行えるため、患者さんの侵襲をより少なく済ませることが可能である。提携で市場導入と保守をカバーボシュロム・ジャパンは「ステラリスPC」発売にあたり、眼科医療総合メーカー 株式会社トプコンメディカルジャパンと共同販促・販売提携契約を締結した。ボシュロム・ジャパンが製品を輸入し、トプコンメディカルジャパンが販売・保守を担当、プロモーションは両社で行う。そこには、眼科領域に実績のあるトプコンとの連携で早期の市場導入を図り、保守体制を整えるという狙いがある。「新発売時から保守にも万全の体制を整えます。外科に注力するという具体的な構想が、この提携に表れているといえます」と足利氏。今後とも網膜・硝子体手術は益々重要に白内障手術は毎年3%程度増えているが、網膜硝子体手術もすでに年間10万例と推定されている。網膜疾病は、日本の視覚障害原因の第二位であるが(第一位は緑内障)、なかでも糖尿病性網膜症が最も多い。それ以外にも強度近視由来の網膜剥離や高齢者の黄斑円孔など、いずれも失明につながるものの承認された有効な薬物療法がなく、網膜・硝子体手術が第一適応である。高齢化の加速、糖尿病の増加などに伴い、今後も網膜・硝子体手術の重要性は増していくといえる。医療機器分野の参入に積極的ボシュロムには、「ステラリスPC」以外にもフェムトセカンドレーザーをはじめ高品質の製品パイプラインがあり、日本においても医療機器分野のラインアップを増やしていく方針だという。「眼は生まれてから死ぬまでお付き合いするもの。今回のサージカル領域への参入により、Vision Careから疾病治療まで、眼に関して一生のお付き合いができる会社になっていきたいと思っています」と足利氏は目標を語った。ボシュロムは創業160年、日本でも40周年になる。今回の「ステラリスPC」導入は、日本での同社の歴史の中で一歩、その目標に近づいた節目といえるかもしれない。ボシュロム・ジャパン プレスリリースhttp://www.bausch.co.jp/company/news/20120123.html(ケアネット 細田 雅之)

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プライマリ・ケア保健師の導入が非伝染性疾患の管理に有効

訓練を受けた地域保健師が、確立されたガイドラインに基づいて行うイランのプライマリ・ケア・システム(「Behvarzシステム」と呼ばれる)は、非伝染性疾患の予防や管理に有効なことが、イラン・テヘラン医科大学のFarshad Farzadfar氏らの調査で示された。イランなどの中所得国では、非伝染性疾患やそのリスク因子が疾病負担の主な要因となっている。非伝染性疾患やそのリスク因子の地域住民レベルにおけるマネジメントが、プライマリ・ケア・システムによって可能か否かに関するエビデンスはほとんどないという。Lancet誌2012年1月7日号(オンライン版2011年12月9日号)掲載の報告。Behvarzシステムの効果と地域保健師の数との関連を検討する観察試験研究グループは、イラン農村部の糖尿病および高血圧の管理におけるプライマリ・ケア・システム(Behvarzシステム)の効果を評価し、地域保健師の数との関連について検討する観察試験を行った。2005年非伝染性疾患サーベイランス調査(NCDSS)から、空腹時血糖(FPG)、収縮期血圧(SBP)、BMI、薬物の使用、社会人口学的変数のデータを得た。Behvarzの保健師数のデータは、2006年Population and Housing Censusおよび2005年Outpatient Care Centre Mapping Surveyから収集した。FPG、SBP、FPGとSBPの関連、Behvarzの保健師数を2つの統計学的手法を用いて解析した。保健師プログラムの数や範囲を拡張すべきNCDSSから25歳以上の6万5,619人(農村部地域:1万1,686人)のデータが得られた。このうちSBPのデータが6万4,694人(同:1万1,521人)から、FPGのデータは5万202人(同:9,337人)から得られた。糖尿病患者の39.2%、高血圧患者の35.7%が治療を受け、男性よりも女性で、農村部よりも都市部で受療率が高かった。治療により、平均FPGは農村部で1.34mmol/L低下し、都市部では0.21mmol/L低下した。治療を受けた都市部の高血圧患者は、治療を受けなかった患者に比べSBPが3.8mmHg低下した。成人1,000人当たりのBehvarz保健師が1人増えるごとに、地区平均でFPGが0.09mmol/L低下し(p=0.02)、SBPは0.53mmHg低下した(p=0.28)。著者は、「訓練を受けた地域保健師が、確立されたガイドラインに基づいて行うプライマリ・ケア・システムは、非伝染性疾患の予防や管理に有効である」と結論し、「イランのプライマリ・ケア・システムは、人員の少ない地域の診療能を改善するために、保健師によるプログラムの数や対象とする範囲を拡張すべき」と指摘している。(菅野守:医学ライター)

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40歳以上は2.4倍、血液型AB型は2倍など、死産リスクが明らかに:米国SCRN調査

米国で、妊娠診断時に入手した情報と死産との関連を調べた結果、母親が40歳以上だと同リスクは2.4倍、血液型がAB型だとO型に比べ2.0倍であることなどが明らかにされた。人種との関連では、黒人は白人と比べ死産リスクが2.1倍であることなども明らかになった。米国立小児保健発育研究所(NICHD)が死産という重大な公衆衛生問題に取り組むため組織した「The Stillbirth Collaborative Research Network」(SCRN)が、死産を経験した女性約600人についてケースコントロール研究を行い報告したもので、JAMA誌2011年12月14日号で発表した。黒人、死産経験あり、糖尿病などの独立リスク因子が判明SCRNは、2006年3月~2008年9月の間に全米59の3次救急を担う地域中核病院で登録された妊娠20週以降に死産した女性614人と、その対照群として生児出産をした女性1,816人について調査を行い、死産のリスク因子を分析した。結果、以下の独立した関連が認められた。母親が黒人の場合の、白人と比較した補正後オッズ比は2.12(95%信頼区間:1.41~3.20)だった。経産婦で死産・流産の経験がない人と比較して、死産経験がある人は5.91(同:3.18~11.00)、妊娠20週未満での流産経験がある未経産婦は3.13(同: 2.06~4.75)、妊娠20週未満での流産経験がない未経産婦は1.98(同:1.51~2.60)だった。また糖尿病の人は糖尿病でない人と比べ、同オッズ比が2.50(同:1.39~4.48)だった。BMI値30~34では1.72倍、シングルマザー1.62倍母親の年齢が40歳以上だと、20~34歳に比べ、死産発生に関する補正後オッズ比は2.41(同:1.24~4.70)だった。母親の血液型がAB型でのリスク増大が認められ、O型に比べた同オッズ比は1.96(同:1.16~3.30)だった。このほか、薬物嗜癖歴がある人2.08(同:1.12~3.88、ない人との比較)、妊娠3ヵ月以前の喫煙者(1日10本未満)1.55(同:1.02~2.35、非喫煙者との比較)、BMI値30~34の人1.72(同:1.22~2.43、BMI値18.5~24.9の人との比較)、シングルマザー1.62(同:1.15~2.27、入籍しパートナーと同居している人との比較)、多胎児妊娠4.59(同:2.63~8.00、単胎児妊娠との比較)であることなども明らかにされた。(當麻あづさ:医療ジャーナリスト)

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動脈硬化性疾患の主な症状と危険因子は? 家族の「動脈硬化」に関する意識調査より

ジョンソン・エンド・ジョンソン株式会社メディカル カンパニーは12月27日、全国の20代から50代の男女800名を対象に行った「動脈硬化に関する意識」調査を2011年12月上旬に実施し、調査結果を発表した。調査は、国内に居住する男女800名(20~50代、各セグメント100名)を対象に、インターネット上で行われた。同社はこの調査結果から、動脈硬化についての認知度や理解度、また、家族の健康への関心度についてをまとめた。概要は以下の通り。狭心症や心筋梗塞などの動脈硬化性の心臓病がある場合、その他の血管にも動脈硬化が起こっている可能性があることを知っていると回答した人は約5割(55.4%)であった。また、全身の動脈硬化が重症化した場合の主な症状について調査したところ、サンプルにあげた「心筋梗塞」「脳梗塞」「足切断」「失明」「腎不全」「麻痺」「言語障害」に対する認知度は、「心筋梗塞」が92%と最も高く、続いて「脳梗塞」91%、「言語障害」65.6%となり、最も低い「足切断」でも42.9%の人が知っていると回答した。その一方で、代表的な動脈硬化性疾患について、その症状などについて調査したところ、どの疾患についても約8割が知らないと回答した。また、家族の動脈硬化性疾患の危険因子について調査したところ、父母、祖父母ともにあてはまるリスクの1位に「高血圧」が、3位に「糖尿病」があげられた。あてはまるリスクの2位は、父・祖父では「喫煙習慣があること」で、母では「肥満」であった。さらに祖母においては「過去に狭心症・心筋梗塞や脳卒中を起こしたこと」が2位となり、これは父母・祖父にあてはまるリスクの4位にもあがっていた。詳細はプレスリリースへhttp://www.jnj.co.jp/jjmkk/press/2011/1227/index.html

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2型糖尿病患者への強化血糖コントロール、全死因死亡の低下を証明できず

2型糖尿病患者への強化血糖コントロールは、従来血糖コントロールと比べて、全死因死亡を低下するとは証明できなかったことが、デンマーク・コペンハーゲン大学病院のBianca Hemmingsen氏らが検討した、システマティックレビューによる無作為化試験のメタ解析および系列分析の結果、報告された。心血管死亡、非致死的心筋梗塞、微小血管合併症の複合、網膜症についても、10%リスク減少を証明、論破するだけのデータを示すことはできなかった。一方で、強化血糖コントロールは、重度低血糖を30%増大することが実証されたという。BMJ誌2011年12月3日号(オンライン版2011年11月24日号)掲載報告より。14無作為化試験・2万8,614例のデータをメタ解析と系列分析でレビューHemmingsen氏らは、2010年12月までにアップされたCochrane Library、Medline、Embase、Science Citation Index Expanded、LILACS、CINAHLの自動探索から、また参照リストと記要の手動探索からと、著者、製薬会社、FDAからの直接入手によって、2型糖尿病患者に対する強化血糖コントロールと従来血糖コントロールを比較した無作為化試験データを収集した。対象とした試験は、言語、公表・未公表、事前特定アウトカムの有無を問わず収集され、14の無作為化試験、被験者2万8,614例(強化血糖コントロール群:1万5,269例、従来血糖コントロール群:1万3,345例)のデータが分析対象に同定された。2人の独立したレビュワーによって、研究方法、介入、結果、バイアスリスク、有害事象に関連するデータが抽出され、固定およびランダム効果モデルを用いて、95%信頼区間を算出したリスク比を推定算出して評価が行われた。系列分析で重度低血糖の30%リスク増大は支持される結果、強化血糖コントロールの全死因死亡の相対リスクに対する有意な効果(12試験2万8,359例対象で検討)は認められなかった(リスク比:1.02、95%信頼区間:0.91~1.13、P=0.74)。また、心血管死に対する効果(12試験2万8,359例対象)も有意ではなかった(同:1.11、0.92~1.35、P=0.27)。系列分析による、全死因死亡率の相対リスク10%減少は証明できず、心血管死亡に関してはデータ不十分であることが示された。 非致死的心筋梗塞についてはリスク減少の可能性は示されたが(同:0.85、0.76~0.95、P=0.004、8試験2万8,111例対象)、系列分析では証明できなかった。同様に、微小血管合併症の複合(同:0.88、0.79~0.97、P=0.01、3試験2万5,600例対象)、網膜症(同:0.80、0.67~0.94、P=0.009、7試験1万793例対象)もリスク減少は示されたが、系列分析では十分なエビデンスには達しないことが示された。腎障害リスクへの効果は、統計的に有意ではなかった(同:0.83、0.64~1.06、P=0.13、8試験2万7,769例対象)。一方で重度低血糖のリスクは、強化血糖コントロール群で有意な増大が認められ(相対リスク比:2.39、95%信頼区間:1.71~3.34、P<0.001、9試験2万7,844例対象)、系列分析で重度低血糖の30%リスク増大が支持された。

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心不全による感染性心内膜炎、弁手術実施で入院死亡率、1年死亡率ともに大幅低下

心不全による感染性心内膜炎は、初回入院時に弁手術を実施することで、入院死亡率、1年死亡率ともに、およそ半減することが示された。米国デューク大学メディカルセンターのTodd Kiefer氏らが、4,000人超について行った前向きコホート試験の結果、明らかにしたもので、JAMA誌2011年11月23・30日号で発表した。28ヵ国、61ヵ所の医療センターで4,000人超を追跡研究グループは、2000年6月~2006年12月にかけて、28ヵ国、61ヵ所の医療センターで、固有弁または人工弁感染性心内膜炎を呈した4,166人について、前向きコホート試験を行った。被験者のうち、心不全の有無や程度が確認された4,075人について、弁手術実施の有無と、入院死亡率、1年死亡率の関連を分析した。被験者のうち、心不全は1,359人(33.4%)で、そのうちNYHA心機能分類でクラスIIIまたはIVが906人(66.7%)だった。心不全患者の61.7%にあたる839人が、弁手術を行った。1年死亡率、非実施群58.4%に対し弁手術実施群は29.1%と半減結果、被験者全体の入院死亡率は29.7%(95%信頼区間:27.2%~32.1%)だった。弁手術実施群の入院死亡率は20.6%(同:17.9%~23.4%)と、非実施群の44.8%(同:40.4%~49.0%)に比べ、有意に低率だった(p<0.001)。また1年死亡率も、弁手術実施群で29.1%(同:26.0%~32.2%)と、非実施群の58.4%(同:54.1%~62.6%)に比べ、有意に低率だった(p<0.001)。Cox比例ハザードモデルによる分析の結果、高齢、糖尿病、医療サービスに関連した感染、黄色ブドウ球菌または真菌による感染、NYHA心機能分類でクラスIIIまたはIV、脳卒中、弁周囲合併症が、1年死亡率増加に関与していた。一方で、初回入院時の弁手術実施は、同死亡率低下に関与していた。(當麻 あづさ:医療ジャーナリスト)

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初発の心筋梗塞後の院内死亡率、冠動脈心疾患リスクが少ないほど増大

 心筋梗塞を初めて発症し、それ以前に心血管疾患歴のない人の院内死亡リスクについて、5つの主要な冠動脈心疾患リスクの数との関連を調べた結果、リスクが少ないほど高くなる逆相関の関連がみられることが大規模試験の結果、示された。米国フロリダ州にあるWatson ClinicのJohn G. Canto氏らが、約54万人を対象とした試験で明らかにしたもので、JAMA誌2011年11月16日号で発表した。これまで地域ベースでの急性心筋梗塞の冠動脈心疾患リスク因子数とアウトカムとの関連について、調査されたことはほとんどなかった。全米心筋梗塞レジストリ54万2,008人について調査 研究グループは、1994~2006年の全米心筋梗塞レジストリから、心筋梗塞を初めて発症し、それ以前に心血管疾患歴のない54万2,008人について調査を行った。 冠動脈心疾患の主要リスク因子である、高血圧、喫煙、脂質異常症、糖尿病、冠動脈心疾患の家族歴の5つと、院内総死亡リスクの関連について分析を行った。 被験者の平均年齢は66.3歳、うち女性は41.4%だった。そのうち、来院時に冠動脈心疾患のリスク因子が全く認められなかったのは14.4%、1~3個のリスク因子があったのは81%、4~5個のリスク因子があったのは4.5%だった。リスク因子0の人は、5つを有する人に比べ院内死亡リスクが1.54倍 リスク因子の数は、年齢が増すほど増加し、リスクがまったく認められなかった群の平均年齢は56.7歳だったのに対し、5つすべてが認められた群の平均年齢は71.5歳だった(傾向に関するp<0.001)。 被験者のうち、院内総死亡数は5万788人だった。補正前の院内死亡率は、同リスク因子が少ないほど高率で、リスク因子総数0群14.9%、同1群10.9%、同2群7.9%、同3群5.3%、同4群4.2%、同5群3.6%だった。 年齢とその他臨床的リスク因子を補正後、主要な冠動脈心疾患リスク因子の数と、院内総死亡率との間には逆相関の関連が認められた。同リスク因子総数0群の、同5群に対する同死亡に関するオッズ比は1.54(95%信頼区間:1.23~1.94)だった。

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ダビガトラン、非弁膜症性心房細動患者で良好なbenefit-harmバランス示す

 トロンビン阻害薬ダビガトラン(商品名:プラザキサ)は非弁膜症性心房細動患者においてワルファリンに比べ有益性(benefit)と有害性(harm)のバランスが優れることが示唆されている。今回、これを裏付ける知見が、イギリスBangor大学のJoshua Pink氏らが実施した定量的なbenefit-harm解析および経済的解析によって示された。ダビガトランは、非弁膜症性心房細動患者においてワルファリンと代替可能な血栓予防薬とされるが、適正用量、benefit-harmバランス、費用対効果は明確にされておらず、費用対効果については相反する結果が報告されているという。BMJ誌2011年11月5日号(オンライン版2011年10月31日号)掲載の報告。高用量と低用量の費用対効果を検討 研究グループは、非弁膜症性心房細動患者におけるダビガトラン110mgまたは150mg(1日2回)と、ワルファリンの有益性を評価し、ダビガトランの費用対効果ついて検討を行った。 離散的事象シミュレーションモデルにRE-LY(Randomized Evaluation of Long-Term Anticoagulation Therapy)試験で得られた知見を外挿して、定量的な経済的解析を行った。脳卒中リスクが中~高で、ベースラインのCHADS2[うっ血性心不全(CHF)、高血圧(HT)、年齢(Age)75歳以上、糖尿病(DM)、脳卒中(Stroke)/一過性脳虚血発作の既往でスコア化して脳塞栓症リスクを低、中、高に分類]の平均スコアが2.1の5万人の患者を想定し、シミュレーションを実施した。主要評価項目は、質調整生存年(QALY)およびQALY当たりの増分コストとした。INRの管理が良好な施設では費用対効果が低い ワルファリンに比べ、ダビガトランはnet benefitが0.094増加し、QALYは0.146延長した。高用量ダビガトラン(150mg×2回/日)のnet benefitは、ワルファリンに比べ94%増加し、低用量ダビガトラン(110mg×2回/日)よりも76%増加した。経済的解析では、ワルファリンとの比較における高用量ダビガトランの費用対効果比は低用量よりも優れ、延長したQALY当たりの費用は高用量の2万3,082ポンド(約2万6,700ユーロ、3万5,800ドルに相当)に対し、低用量は4万3,074ポンドと高価であった。また、ベースラインのCHADS2スコアが3以上の患者で高用量の費用対効果が優れた。 一方、国際標準化比(INR、検体と標準正常血漿のプロトロンビン時間の比)が良好にコントロールされている施設では、高用量ダビガトランによって延長したQALY当たりの費用は4万2,386ポンドに達し、費用対効果が低かった。 著者は、「ダビガトランは、ワルファリンに比べbenefitとharmのバランスが優れるとの知見を支持する結果が得られた」と結論し、「臨床的にも経済的にも、高用量よりも低用量のほうが高い利益をもたらすサブグループは認めなかった。高用量ダビガトランは、脳卒中リスクの高い患者やINRのコントロールが比較的不良な場合に費用対効果が優れる」と指摘している。

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PCI後の早期ステント血栓症リスク、遺伝的要因と臨床要因で予測可能

経皮的冠動脈インターベンション(PCI)後の早期ステント血栓症リスクは、遺伝的要因と臨床要因によって予測可能であることが示された。同発症に関連している遺伝子として3つが関連していること、また2つのクロピドグレル関連因子(高用量服用、PPI服用)が明らかになった。フランス・INSERM循環器研究所のGuillaume Cayla氏らが、PCI後に早期ステント血栓症を発症した123人とその症例対照群について調べたケースコントロール試験により明らかにしたもので、JAMA誌2011年10月26日号で発表した。15種遺伝子の23種遺伝的変異種について調査研究グループは、2007年1月~2010年5月にかけて、フランス10ヵ所の医療センターでPCIを行い早期ステント血栓症を発症しDNAサンプルが得られた123人と、年齢と性別をマッチングし同発症が認められなかったコントロール群246人について、ケースコントロール試験を行った。主要アウトカムは、15種遺伝子の23種の遺伝的変異種の有無と、PCI後の早期ステント血栓症発症との関連だった。遺伝的要因3つが早期ステント血栓症発症と関連その結果、PCI後の早期ステント血栓症発症リスクと関連が認められた遺伝子は、CYP2C19代謝状態(補正後オッズ比:1.99、95%信頼区間:1.47~2.69)、ABCB1 3435 TT遺伝子型(同:2.16、同:1.21~3.88)、ITGB3 PLA2保有(同:0.52、同:0.28~0.95)の3つだった。遺伝子以外の独立リスク因子は、PCIの切迫性(同:3.05、同:1.54~6.07)、複雑病変(ACC/AHA基準でタイプC、同:2.33、同:1.40~3.89)、左室機能40%未満(同:2.25、同:1.09~4.70)、糖尿病(同:1.82、同:1.02~3.24)、プロトンポンプ阻害薬の服用(同:2.19、同:1.29~3.75)、クロピドグレル高用量服用(同:0.73、同:0.57~0.93)が認められた。遺伝子予測モデルと臨床予測モデルそれぞれのAUC(曲線下面積)は、0.73(同:0.67~0.78)と0.68(0.62~0.74)で、予測能は同等だった(P=0.34)。遺伝子・臨床複合予測モデルのAUCは0.78(同:0.73~0.83)で、臨床要因のみの予測モデルの同0.73(同:0.67~0.78)に比べ大きく、予測能は有意に高いことが示された(p=0.004)。著者は、「今後前向き試験にて、これらリスク因子の予測精度を検証する必要がある」とまとめている。(當麻あづさ:医療ジャーナリスト)

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民間減量プログラム参加者の減量効果は、プライマリ・ケア医による減量治療の2倍

過体重、肥満者の減量達成について、プライマリ・ケア医による標準的な減量治療と、プライマリ・ケア医が地域ベースの民間健康プログラム提供者へと対象者を紹介した場合とを比較した結果、後者のほうが2倍量の減量を達成したことが報告された。過体重、肥満者の増大により、プライマリ・ケアと地域ベースでの減量のための効果的なアプローチが必要とされているなか、英国・MRC Human Nutrition ResearchのSusan A Jebb氏ら研究グループが、オーストラリア、ドイツ、英国の3ヵ国で772例の過体重または肥満者を対象に、前述の比較について検討する平行群非盲検無作為化試験を行った。Lancet誌2011年10月22日号(オンライン版2011年9月8日号)掲載報告より。12ヵ月間の減量治療群と民間減量プログラム参加群との効果を比較試験は2007年9月~2008年11月の間に、オーストラリア70ヵ所、ドイツ39ヵ所、英国6ヵ所の診療所から772例の過体重または肥満の成人患者を集めて行われた。被験者は18歳以上、BMI値27~35で、腹囲女性>88cm/男性>102cm、非インスリン治療中の2型糖尿病など肥満関連のリスク因子を1つ以上有していた。被験者はコンピュータ無作為化システムによって、各国臨床ガイドラインに即した標準治療を受ける群(395例)と、自由参加の民間プログラム「Weight Watchers」を受ける群(377例)とに割り付けられ、いずれも12ヵ月間にわたる介入を受け、その後12ヵ月間追跡された。Weight Watchersは、週1ミーティングで、体重測定、食事や運動のアドバイス、動機づけ、グループ支援を提供するプログラム(http://www.weightwatchers.com/index.aspx)。主要アウトカムは、12ヵ月間の体重変化とし、解析は、intention to treatおよび12ヵ月間の評価を完遂した人について行われた。民間減量プログラムのほうが臨床的に有用の可能性12ヵ月間の評価を完遂したのは、民間プログラム群は230例(61%)、標準治療群は214例(54%)だった。全例解析の結果、民間プログラム群の被験者の減量は、標準治療群の2倍以上を達成していた。すなわち、12ヵ月時点での体重変化の中央値は、LOCF法(途中脱落者のデータについて最終測定値を用いて解析を行う方法)では、民間プログラム群-5.06kg(SE 0.31)に対し、標準治療群は-2.25kg(同0.21)で、補正後格差は-2.77kg(95%信頼区間:-3.50~-2.03)だった。BOCF法(基線データを用いて解析を行う方法)では、民間プログラム群-4.06kg(SE 0.31)に対し、標準治療群は-1.77kg(同0.19)で、補正後格差は-2.29kg(95%信頼区間:-2.99~-1.58)だった。12ヵ月間の評価完遂者を対象とした解析では、民間プログラム群-6.65kg(SE 0.43)に対し、標準治療群は-3.26kg(同0.33)で、補正後格差は-3.16kg(95%信頼区間:-4.23~-2.11)だった。試験参加に関連した有害事象を報告した被験者はいなかった。著者は、「民間減量プログラムへ紹介するほうが、臨床的に有用で、体重管理の早期介入を果たし、より大きな減量効果を達成する可能性がある」と結論している。

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米国・カナダの臨床ガイドライン、作成委員の半数超が作成時に利害対立があったと報告

米国とカナダの脂質異常症(高脂血症)や糖尿病の臨床ガイドラインの作成委員のうち半数超が、いわゆる臨床家と産業界との利害対立が作成時にあったと報告したことが明らかにされた。その一方で、検証したガイドラインのおよそ3分の1は、利害対立に関する情報の開示をしていなかった。さらに、ガイドライン作成に関する出資元が政府の場合には、そうでない場合に比べ、利害対立があったことを報告した委員の割合が少ないことも示された。これは、米国・マウントサイナイ・メディカルスクール予防医学部門のJennifer Neuman氏らが、14の臨床ガイドラインとその作成に携わった委員に対して行った調査の結果で、BMJ誌2011年10月15日号(オンライン版2011年10月11日号)に掲載発表された。利害対立が事実あったと認めた委員は150人・52%、うち12人が未報告同研究グループは、2000~2010年、米国またはカナダで作成された、14の脂質異常症(高脂血症)や糖尿病の臨床ガイドラインについて調査を行った。このうち5つのガイドラインでは、利害対立に関する情報開示の宣言を行っていなかった。これらのガイドライン作成に携わった委員288人のうち、ガイドライン公表時に利害対立があったことを報告したのは138人(48%)、利害対立はなかった(73人)、または報告する機会がなかったとしたのは合わせて150人(52%)だった。しかし、公式には利害対立はなかったと報告していた73人のうち、実際には利害対立があったとした委員が8人(11%)いた。全体では、利害対立があったと認めた委員は150人(52%)に上り、そのうち12人がその旨を報告していなかった。作成委員会座長の半数が利害対立があったと報告調査対象の14のガイドラインのうち、座長が確認できたのは12ガイドラインだった。そのうち、利害対立があったことを認めたのは6人で、全員その旨を報告していた。また、ガイドライン作成委員会の出資元が政府の場合には、利害対立があったとした委員の割合が92人中15人(16%)と、そうでない場合の196人中135人(69%)に比べ、有意に大幅に低率だった(p<0.001)。(當麻 あづさ:医療ジャーナリスト)

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