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中国の糖尿病有病率9.7%・9,240万人

急速にライフスタイルが変化した中国では、糖尿病の蔓延が懸念されている。中国・北京にある中日友好病院のWenying Yang氏らは、糖尿病有病率を推定するため、2007年6月~2008年5月に、全国調査を行った。結果、糖尿病有病率は9.7%・9,240万人、糖尿病前症有病率は15.5%・1億4820万人に上ることが明らかになった。NEJM誌2010年3月25日号掲載より。糖尿病前症有病率は15.5%・1億4,820万人調査は、中国14の州・自治区から、20歳以上の46,239人を抽出したサンプル調査の手法で行われた。被験者は、前夜絶食後、経口ブドウ糖負荷試験を受け、空腹時血糖値、2時間後血糖値測定によって、糖尿病あるいは糖尿病前症(すなわち空腹時血糖値異常または耐糖能異常)を診断された。以前に糖尿病と診断されたことがあるかどうかは、自己報告に基づいて確認した。結果、トータルの糖尿病有病率(以前に糖尿病と診断された人も含む)は9.7%(男性 10.6%、女性8.8%)、糖尿病前症15.5%(男性16.1%、女性14.9%)だった。これは、糖尿病成人は推定9,240万人(男性5,020万人、女性4,220万人)、糖尿病前症成人は推定1億4,820万人(男性7,610万人、女性7,210万人)に上ることを示す。年齢、体重に比例して有病率増大、地方よりも都市部で糖尿病有病率は、年齢とともに増加していること(「20~39歳」3.2%、「40~59歳」11.5%、「60歳以上」20.4%)、体重の多い人ほど有病率が高いこと(BMIが「18.5未満」4.5%、「18.5~24.9」7.6%、「25.0~29.9」12.8%、「30.0以上」18.5%)が明らかになった。また、地方よりも都市部の住民の方が高く(11.4%対8.2%)、耐糖能異常(糖尿病前症)の有病率の方が空腹時血糖値異常(糖尿病)より高かった(男性11.0%対3.2%、女性10.9%対2.2%)。以上からYang氏は、「中国ではすでに糖尿病は重大な国民的な健康問題である。糖尿病の予防および治療戦略が必要だ」と結論している。(医療ライター:武藤まき)

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准教授 平山陽示先生の答え

紹介の仕方について診断がつかない患者を紹介する時に、受け入れる側としてはどの様な紹介のされ方が好ましいでしょうか?診断がつかないので、当然、検査結果に異常見られないケースが多いです。その様な場合に、どんな情報を付与すれば良いのか悩んでおります。診断がつかない患者の場合、病歴・身体所見・検査所見から、再度、鑑別疾患を挙げることから考えることになると思います。その際には稀な疾患も考慮しなければなりません。我々の診療科では、悩む症例を夕方のミーティングでプレゼンテーションして、皆で鑑別疾患を考え、追加検査について話し合ったりします。ですから、紹介して下さった先生が、たとえ陰性所見であっても、その検査が陰性であったのでこの疾患は考えにくいとか、あるいはどのような身体所見がなかったからこの疾患が否定的であったとかが判ると役に立ちます。大学病院を怖がる患者とのコミュニケーションについて田舎でクリニックをしております。高齢者ばかりの土地なので大学病院を紹介するというだけで大騒ぎ。ましてや、ここでは診断がつかないので総合診療科を紹介するとなると、あたかも死の宣告を受けたかのように萎縮してしまいます。先生の記事を拝見すると、患者さんとのコミュニケーションについても研究されているとのことなので、何か良いアドバイスがありましたら教えて頂きたく思います。この場合、大学病院に紹介して精査をしたほうが良いと考えるのが医師の解釈モデルであり、その際は何かしらの鑑別疾患が念頭にあるのでしょう。一方、精査の必要はないと考えるのが患者さんの解釈モデルです。患者さんは大した病気だと考えていないのかもしれないし、あるいは悪い病気と考えていて、大学病院の検査で苦しい思いをするよりも静かに家で最期を迎えたいと考えているのかもしれません。いろいろな解釈モデルがあり得ます。医療面接が患者の解釈モデルと医師の解釈モデルを付け合せる場であることからすれば、患者は何を心配しているのか、その症状の原因を何だと考えているのか、そのためにどんな検査を希望しているのかという情報を患者さんから得ることが大切と考えています。そして患者さんの解釈モデルと医師の解釈モデルが異なるときには、患者さんが心配している病気だとすると、どこがどう合わないのかを説明してあげることが重要です。忙しい外来でそのように対処する時間はないかもしれませんが、医師が患者さんとの医療面接において、少なくともこの解釈モデルを意識して接していることは重要なことのひとつです。大学病院と聞くだけで"怖い"と思ってしまう理由が判れば、それについての話し合いも出来ると思います。大学病院に行かせる行かせないの議論をしていると不毛に終わることも多く、患者さんからすると「あの医者は私の話を聴いてくれない」などとなってしまいます。医師の思ったとおりに患者が行動してくれないときこそ、患者さんの解釈モデルは何であるのかを確認することが大切です。糖尿病初期患者の扱いについて東医大さんの総合診療科では、糖尿病初期患者の扱いをどうされているのか教えて下さい。実は当院にも総合診療を担当する科と糖尿を扱う科があるのですが、専門医に初期患者まで担当させるとバンクしてしまうのが実情です。現在は食事療法が中心の初期患者は総合診療担当医と栄養士レベルで対応しています。しかし患者さんの中には通院する科が糖尿でないことに不安を持つ方も少なくありません。キャパを超えたら東医大のような大きい病院を紹介するべきなのでしょうか。お知恵を頂ければ幸いです。現在、当科では糖尿病、高血圧、脂質異常症などの生活習慣病の初期患者については出来るだけ近医を紹介するように努めていますが、どうしても本院に通院希望の患者さんだけ専門医に回しています。当科で抱えることは原則しておりません。大学病院の場合は軽症患者であっても、ある研究や治験が進行していることがあるので、必ずしも専門医が嫌がるわけではないようです。それよりも当科において、慢性疾患を抱えないために、後期研修医たちが慢性疾患患者と長期間にわたって関係していく経験を積ませることができないのが悩みとなっています。その意味では、将来的に当科のスペースと人的資源が大きくなれば、貴院のように初期患者や軽症患者を抱えるほうが教育的には良いと考えています。一方、通院患者さんの中に糖尿病専門医でないと不安だという場合は、やはり専門医に紹介するしかないと思います。ただ、そういう軽症患者さんの場合は、専門医に紹介する基準をあらかじめ示しておくと安心される方がおられます。例えば、HbA1cが6.5を超えたら臓器障害の進行がより進むので、そのときは専門医に回ってもらいますとか、何かしらの糖尿病合併症が認められたら専門外来に行ってもらいますというような基準です。MUSの患者さんの対応 どうすれば安心するのか?記事の中にMUSの患者さんが多いことに触れていましたが、当院でも同じことが言えます。明らかに疾患ではない方もいらっしゃいますが、このような場合、どうやって安心させてあげれば良いのか暗中模索状態です。何か対応のポイントがあれば御教授下さい。非常に難しい内容の事柄です。Up To Dateには一応MUSのアプローチについての記載がありますが、日本と欧米で異なるかもしれません。私は、日本におけるMUSの一番の問題は、患者さんが「病気がないと症状はない」と固く信じていることにあると考えています。ですから、身体疾患が否定されたときに患者さんは、「このような症状があるのに病気がないわけはない」と考えてしまうわけです。そして医師もそのように考えてしまうと、患者への説明が不誠実になってしまい、医師患者関係がぎくしゃくしてしまいまいます。現実には明確な疾患が認められなくても症状が出現することは良くあるわけで、昔から症状を利用した表現もあるくらいです。大きな悩みを抱えたときに「頭が痛い」「胃が痛い」「目が回る」とか、借金をして「首が回らない」とか、悲しい話で「胸が痛む」などです。呑めない話(承諾できない話)を提示されて「物を飲み込むときにつかえる」ことも良くあります。もちろん疾患が100%ないと断言できることも難しいので、私が注意していることは、(1)決して症状を否定しない(共感を示す)、(2)疾患がなくても症状がでることは良くあることを説明する(データがあれば示す;何割は原因不明など)、(3)現時点では疾患が見つかっていないが、疾患は時間が経過してから発見されることがあるので、症状があまりにも改善しないか、悪化するときには再診するよう促すなどです。心身相関についてはまだまだわからないことが多く、もっともっと研究が進めばよいと思っています。他大学病院との違いは?大学病院の総合診療科が縮小・廃止傾向と聞きました。東京医科大学病院さんでは、上手く運営されているようですが、縮小・廃止になる大学病院とどのような違いがあるのでしょうか。また、順調に運営するために注力している取組等があれば教えて頂きたいと思います。宜しくお願いします。大学病院大学病院は全国的に見るとまだまだ敷居が高いようですが、東京医科大学病院は近隣に他の大学病院や大病院が散在しているのと、地下鉄の駅とほぼ直結しているなどの利便性も影響してか、大学病院としては非常に多くの患者さんが気軽に受診されるようです。紹介状がなく、受診科が明らかでない患者さんと、臓器別専門科の依頼患者さんを診察しているのですが、1日60名ほどの患者さんが総合診療科を受診しています。このように患者数に恵まれているのに加えて、臨床研修医が毎年40名以上採用できていること、病院執行部が支えてくれており、私が卒後臨床研修センターの副センター長を兼任したり、研修プログラム責任者を務めていたりして、卒後臨床研修センターとの極めて密度の濃い連携が保たれていることなども理由として挙げられると思います。卒後臨床研修センターが主催して指導医のための教育ワークショップや後期研修医のための教育ワークショップを開催したり、研修医を対象としたセミナーや手技研修をしたりして、総合診療科が指導医育成や研修医教育をしっかりと行うことで、他科から総合診療科の存在価値が認められつつあることもあるかと思います。また、ほとんどの大学病院の総合診療科は病院の1診療部門にしか過ぎず、大学の講座との関係は薄いことが多く立場が弱いのではないでしょうか。その点、当科の大滝教授が医学教育講座の主任教授に就任したことも大きな要素であると思います。標榜科目せっかくの専門医も患者さんに向けて案内が出来ないと理解が進まない部分があると思います。そのためには標榜科目に総合診療科が入るなども必要かと思いますが、その点はいかがでしょうか。医学の進歩に伴い、診療科が細分化された今、おっしゃるように総合診療科が正式な標榜科目に入る必要があると私も考えます。厚労省とプライマリ・ケア関連学会と医師会との協議が進めば、将来的にはその方向で進むのではないでしょうか。ただし、現時点では総合診療科と言っても、内科系の総合診療のみで、外傷を扱っていない当院のような場合から、外傷はもちろん、簡単な手術まで行う総合診療科もあります。また、救急と一緒になって三次救急まで扱う総合診療科まであるなど、プライマリ・ケアの守備範囲が定まっていないため、もう少し時間が掛かるかもしれません。紹介患者の疾患他院から紹介されてくる患者さんですが、結果的にどんな疾患が多いのでしょうか?我々開業医が、どの様な疾患を見落としがちなのかが気になっています。大学病院の総合診療科という性質上、他院からの紹介患者さんに限れば、やはり不明熱などの発熱精査の患者が最も多いですが、それ以外は多岐にわたります。開業医が見落としがちな疾患が特にあるとは思えませんが、一般的に、発熱の患者に関して言えば、安易に抗生物質を使用されるために、感染性心内膜炎をはじめとした菌血症患者の菌の同定が遅れることがあります。過去の医学部の授業は症候学や診断学に乏しく、我々は診断方法を実践の中で習得してきました。最近では学生や研修医たちには症状と身体所見の段階で出来る限り多くの鑑別疾患を挙げさせ、それらを鑑別するためにはどのような身体所見を取ればいいのか、どの検査を出すべきなのかを考えさせるようにしています。近年、このような診断推論の本も増えてきましたので、一読してみてください。外科系から総合医への道について現在医学部に通っている者です。親が病院を経営しておりますので将来的には継ぐ予定です。病院は200床弱の病院です。自分としては外科系に興味を持っていますが、病院の実情を見ると総合診療医になる必要を感じております。先生は元々循環器内科医を20年経験して総合診療医の道に進まれたとのことですが、外科系を専門とする医師が総合医になるケースもあるでしょうか?進路相談になって申し訳ありませんが、お教え下さい。もちろん外科系の専門医が総合診療医に進むこともめずらしくはありません。当科にも外科系に進まれたあとの医師がいます。また、当院では外傷を扱ってはいませんが、本来、プライマリ・ケアの守備範囲には小外科も含まれるはずですし、虫垂炎やヘルニアなどの手術を行っている総合診療科もあります。現在、東京医科大学病院では、生涯教育センター部門を設置し、大学を辞める前に総合診療科などで研修できる体制作りに着手しています。たとえ呼吸器外科医であったとしても、開業するとなれば、ほぼ内科中心でしょうから、総合診療科でしばらく研修すれば役立ちます。現在の初期研修は2年間でプライマリ・ケアの習得をするわけですから、君たちの時代は外科に進んだ後に総合診療医になるのは今までよりも楽になると思います。ですから安心して2年間の初期研修後に外科系に進んでください。総合診療科を希望する理由本文中に「後期研修で総合診療科を希望する人が増えてきており」とありましたが、その方々は開業医を目指すドクターでしょうか?私も総合診療医をもっと増やさないと、地域医療が持たないと考えている方です。しかし、今総合診療医を目指す研修医は、果たして「総合診療医」として大学病院や地方の総合病院で活躍することを目指しているのか?または単に「開業や継承」するために総合診療医のスキルが必要と考えているだけなのか?疑問に思っております。私の立場では、総合診療科で後期研修を行うドクターの本音を伺う術がないので是非お聞きしたいと考えております。現在、当科に入ってくる後期研修医の目指している医師像は多彩です。家庭医を目指す者、病院勤務医(ホスピタリスト)を目指す者、大学で医学教育・研究を目指す者、海外での医療協力を目指す者などです。皆、ジェネラリストであることには変わりありませんが、目標が異なるため、彼らの研修プログラムはそれぞれ異なります。特に家庭医を目指す者は家庭医療学会専門医のプログラムに則っているため、地域での研修が長くなっており、大学病院内で働く期間が短い傾向があります。海外協力を目指していた者は我々の後期を終えた後に長崎大学の熱帯医学研究所に進み、年内には海外に派遣されるそうです。また、ある後期研修医は女性外来を担当する医師になるため、当科で内科認定医を取得し、次に産婦人科専門医を取得すべく他施設ですが、産婦人科の後期研修医になっています。また、親の開業を継ぐことを目標としている後期研修医も、臓器専門医になることをきらって当科に来たのですが、内視鏡やエコーを習い、小児科もしっかりと学びたいと言っています。実際、米国では内科―小児科コースがあるそうです。最近、当院の小児科から後期研修医の中で、小児科専門医を取得後に総合診療科で研修したい者がいるとの相談も受けており、今後は総合診療科と小児科の連携が強まりそうです。いずれにしろ、今までの大学病院の医局・講座制では彼らの要求は満たされず、総合診療科の存在意義があると思っています。専門医とのコミュニケーションについて専門医とのコミュニケーションについて工夫されているようですが、取組方についてもう少し具体的にご教授願えないでしょうか。実は、私もその点について大変苦労しており、特に目上のドクターには何も言えない状況です。同僚の中にも専門医とのコミュニケーションの難しさから総合診療科を離れていくドクターが出てきております。何かしらアドバイス頂けたら幸いです。これが一番難しいですね。この問題を抱えていない総合診療科は皆無ではないでしょうか?当科でも、医局員から他科とのコミュニケーションに関する文句はよく聞きます。正直言って妙案があるわけではありません。とにかく当科からの基本的姿勢は「押し付け」ではなく専門医に「お願い」しているということです。我々は専門医が診るべき疾患だと考えていても、専門医側がcommon diseaseだと考えて「これぐらいは総合診療科で診ろ」という態度を取ると当科で診ざるを得なくなります。しかし、総合診療科がすべての専門医を抱えているわけではありませんので、患者さんが重症化したときに困るわけです。従って、私たちは疾患が明らかとなったにも関わらず、臓器別診療科が引き取らないときは、必ずミット(併科または兼科のこと)になって一緒に診てもらいます。そうすると治療がうまく行かないときには取ってくれることが多いです。彼らが併診すらしないときは、不本意ですが、併診しない診療科のトップと話し合わなければなりません。私も数回そのような話し合いをしたことがありますが、そのときは必ず臓器別診療科に転科となります。だいたい患者さんは「何科」に入院したのではなく、「何病院」に入院するのですから、専門医が診てくれなくて困るのは患者さんであり、それは医療安全の観点からも問題だということを理解してもらうようにしています。病院執行部と安全管理室は総合診療科に好意的であることが多いので、そのあたりをうまく利用してもいいと思います(ちなみに私は安全管理室の副室長でもあります)。しかし、我々が何でも押し付けるのではなく、出来る限り診るという姿勢がないと彼らの反感を買うばかりとなってしまうので注意が必要です。准教授 平山陽示先生「全人的医療への入り口」

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准教授 小早川信一郎先生の答え

アトピー性白内障手術時の注意点まだまだ駆け出しの眼科医なので、初歩的な質問で失礼します。アドピー性白内障手術の場合、網膜剥離を併発している可能性も念頭に入れて手術を行うことを指導されました。このような場合、小早川先生が特に意識していることや注意していること等がありましたら教えて頂きたく存じます。(1)術前に眼底が全く観察できない程度に白内障が進行していた場合、術前の超音波検査はもちろんですが、術中に網膜剥離の有無を直接観察することになると思います。私は術中に発見したことはありませんが、術後すぐに(1週間以内)剥離を起こされたことが出張中にありました。(2)手術においては、極力大きめのCCC(5.5-6ミリ程度)を狙います。レンズ選択は以前、PMMAでしたが、今はアクリルを入れています。1P、3Pは問いません。(3)若い方が当然多いので縫合します。私はすべての症例で基本的に上方強角膜切開、輪部後方からトンネルを1.5ミリ程度作成していますので、縫合は容易です。結膜は縫合したりしなかったりですが、終了時にうまく元に戻らなければ縫合します。(4)術前ムンテラはRDの話もします。(5)硝子体脱出は極力避けてください。脱出したらたぶん剥がれます。(6)予想外に炎症が強い時があります。そういう時はステロイドを点滴します(リンデロン4ミリ相当を2-3日間)。基本、入院して頂いています。眼内炎を疑うほどの炎症は経験ありません。加齢黄斑変性の研究動向加齢黄斑変性の治療方法についての最近の動向など、御存知でしたら教えて下さい。滲出型の場合は、第一選択ルセンティス、第二選択マクジェンを月一で3回投与し、経過を見て追加、維持療法が基本ではないでしょうか。蛍光眼底造影(必要ならICG造影)は必須と思います。OCTは治療効果判定に有用ですが、なくても視力やアムスラーチャートなどで大体把握できます。ドライタイプにアバスチンを試しましたが、効果はありませんでした。ドライタイプの方には、希望があればルセンティスをやっていますが、効果がない場合がほとんどなので、その時点でムンテラして止めています。レーザーは最近やっていません。レーザーはアーケード内ですと、暗点が出たり自覚的な見え方の質の低下を経験しています。硝子体手術は出血がなければしません。高齢者に手術を勧めるべきか在宅をやっている開業医です。白内障と思われる高齢者の方を見かけますが、90歳や100歳になる高齢者の方の場合、ご家族の心配もあり、白内障の手術を勧めるべきかどうか、よく悩みます。その辺の考え方を教えていただければと思います。3年ほど前までは、85歳以上の方の時は手術については積極的に勧めませんでした。もちろん過熟白内障の時はします。緑内障になるからです。最近は85歳以上の元気な方が増えてきて、本人の希望があり、家族も希望していればします。ただし、ムンテラとして、破嚢や核落下のリスクが上がること、感染リスクも高いこと、は必ず言います。それほど黄ばみの強くない核白内障であれば、たぶん勧めませんし、家族がやってくれと言っても最初は乗り気でない姿勢をみせます。90歳代は経験ありますが、100歳の方は手術の経験がありません。チン小体脆弱、前部硝子体膜剥離がある、は予測して手術に入ります。中には60-70代と変わらない方もいますが、弱い方がやはり多いと思います。また、きちんと手術が終了しても、0.7程度にとどまる方が多く、1.0はあまりいない印象です。レンズを選ぶ眼内レンズの種類が増えるにつれ治療後にピントが合わずに再手術をすることになる例が出ております。大森病院さんでは、レンズを選ぶ際の注意点、できれば個人の感覚に頼るのものではなく、科としてのガイドラインの様なものがあれば教えて頂きたいと思います。(1)-3.0D以上の近視がある方を除いて、基本的には-0.5から0Dを狙っています。乱視が強い場合、最近はトーリックです。以前は乱視の分を考慮して、少しプラス気味に球面を狙ったりして、等価球面ができるだけ-0.5から0程度になるようにしています。(2)中等度から高度近視の方の場合、コンタクトをしていて老眼鏡を使用という方は(1)と同じく狙います。(3)中等度から高度近視の方で術前眼鏡使用の場合、患者さんとお話をして、-2.5から3程度に等価球面がいくように選択します。必ずピントが合う距離が今よりも遠くなることをお話します。(4)(2)や(3)のような近視の方はメガネの必要性をお話しています。(5)一般の患者さんに多焦点の話はしていますが、自費で36万円ということを話すとその時点であきらめる方が多いです。ただ、考えてくると言った方の場合、一度手術の予約のみ取って、日を変えて多焦点IOLのお話を再度しています。乱視適応は原則1D以内です。80歳以上の方には積極的に勧めていません。(6)トーリックは、乱視が強いのでそれも少し治るようなIOLを入れますとだけ言い、過剰な期待は抱かせないようにしています。適応は積極的にしており、1D以上角膜乱視があればトーリックです。術後感染症差し支えなければ、眼科手術の術後感染症を防ぐために行っている貴院ならではの取組、工夫をご教授下さい。(1)術前に結膜嚢培養(2)(1)で腸球菌、MRSAが出たら告知して術前に抗菌薬点眼処方(3)全例、極力、術3日前からの抗菌薬点眼(クラビッド)(4)皮膚消毒したあと1分間放置(5)穴あきドレープをかけて洗眼したあともう一度露出した皮膚を消毒。(6)30秒間放置して、テガタームなどを皮膚に貼り付け、開瞼器をかける術後は極力(主治医が診察できない場合もあるので)、当日より眼帯を外して抗菌薬点眼を開始する。こんな感じです。糖尿病専門医との連携について眼科をやっている者です。糖尿病専門医との連携で気をつけているポイントがあれば教えて下さい。どこも同じ状況だとは思いますが、糖尿病白内障や糖尿病網膜症の患者さんが増えてきたため血糖コントロールなど、糖尿病専門医と連携をとる機会が増えてきました。宜しくお願いします。白内障は急ぎませんが、網膜症の場合、特に硝子体手術が必要な程度まで進行している場合は連携が必要と思います。急ぎでオペの時は、コントロールしながら、というスタイルとなります。どのぐらい急ぎなのか、をはっきり伝え、手術までの時間にレーザーは1週間に2回程度、同じ眼でもかけています。血糖コントロールを高めに、とか低めにとかそのような指示はしません。こちらの状況をはっきり伝えるのみです。コントロールは程ほどで手術に入るか、コントロール後手術なのかは一度話し合いを持たれた方がよいとおもいます。白内障手術前に行うリスク説明時に、何か工夫をされていることあればお教え下さい。実は最近、テレビや雑誌の影響なのか、「白内障手術は気軽で簡単!」「術後は、メガネなしで若い頃の視力が手に入る(レーシックと勘違いしているのでしょうか?)」とのイメージを持つ患者さんが増えてきたと感じます。このような場合、手術前にいくらリスクを説明しても、この先入観が邪魔しリスク内容を安易に捉えられてしまっているように感じます。実際、昔と比べて、術後に「こんなはずでは!」とのクレームが多くなったと感じます。小早川先生が術前のリスク説明時に何か工夫されていることがあれば是非教えて下さい。過度な期待は抱かせない、ということに留意はしています。ただし、眼内炎や核落下について必要以上にムンテラすることは避けています。手術ですからやってみるまでは分からない、という話もします。術者の技量、土地柄も影響していると思います。また特別な症例、水晶体揺れている、90歳以上、mature、ぶどう膜炎、などは自分でムンテラしています。通常の症例は主治医にお願いしています(白内障は入院ですので主治医が付きますので)。CCCのコツを伝授下さい先生も書いておられるように、手術時は局所麻酔で行うことが多く、こちらの動きが患者さんに伝わってしまいます。特に、CCCが上手く行かなかった時には大変焦ってしまい、「絶対患者さんが不安に思っているな。」と感じることがあります。上級医から、学会時に小早川先生からCCCでトラぶった時の対処方法を教えて頂いたと聞きました。もし宜しければそれを伝授願えないでしょうか。宜しくお願いします。(1)道具にこだわる セッシの積極的使用、いろいろなセッシを試してみる、針にこだわらない、(2)顕微鏡にこだわる ツァイスの一番新しいモデル、ルメラは見えます。視野の中心で見ることも忘れない(3)ビスコにこだわる ヒーロンVをすすめています。(4)染色 僕自身はめったにしませんが、見えなければ積極的に染めてもらっています。第一に前嚢が見えているかの確認です。次にヒーロンVを使用して確実に前房深度を保ちます。道具を厳選し、確実に前嚢を把持することに努めます。後は豚眼の練習通り、進めていきます。もし流れたらですが、下方で流れたら観音開きになるように逆回しでつなげるか、針を細かく動かしてカンオープナーにするか、を考えます。手前で流れたら、余分な前嚢を切除した後、前房虚脱に注意してオペを進めます。切開創の構築についてもセッシ使用の場合など考慮すべきでしょう。基本的には流さないように万全の準備をしてオペに臨み、流れたら、成書のごとく対処していくという指導をしています。糖尿病患者を診て頂く場合の注意点内科医です。糖尿病患者を眼科の先生に受診させる場合、どのような点に注意すべきでしょうか。また、東邦大学で内科・眼科の連携の際には、網膜症の分類をどのように使い分けていらっしゃいますか。白内障に関する質問でなくて恐縮ですが、よろしくお願いいたします。(1)血糖値、A1Cあたりがあれば十分と思います。通院歴がまじめ、ふまじめといった情報はさらにありがたいと思います。(2)網膜症は福田分類を使っています。AとBで大別し、レーザー治療は済でもう枯れてきた網膜症である、といった情報は内科に提供しています。逆に手術を急ぐべき、といったときはその旨明記します。コントロールについては原則お任せしています。海外留学について先生の記事、興味深く読ませて頂きました。現在初期研修中ですが、私も是非先生の様に研究発表もできる眼科医を目指したいと思っております。先生のプロフィールにも海外留学されたとありますが、やはり、基礎を習得するためには海外留学が必要なのでしょうか?症例の質問ではなくて恐縮ですが、実際に眼科の第一線で活躍されていて論文や発表も数多く出されている先生に伺う機会がないので教えて頂ければと願っています。また、大森病院のホームページには「積極的に海外留学も行えるようにしています。」とありましたが、具体的にどの様な支援をされていて、どの程度の方々が支援を受けているのでしょうか?色々と質問して申し訳ありませんがよろしくお願いします。海外留学で一番学んだことは問題解決能力でした。自分で解決する、その選択肢を多く持ったことです。基礎を習得するのは国内でも十分と思います。私は、知り合いの先生がいる微生物の教室で、実験をさせて頂いておりました。その後、眼内炎がやりたくなって、留学いたしました。日本でも実験はできますが、教室の垣根や動物センターの規約など、面倒くさいことが多いです。その点、システムがすでに出来上がったラボではそういった根回しにあまり力を入れなくて済みますので楽と思います。自分のやりたい研究ができる環境がアメリカだったとそのように考えてます。研究には臨床のような研修プログラムがなく、やりたい人間ができるようになればよい、というスタンスが多いと思います。もし、本気で考えていらっしゃるなら大学院という選択がよいと思います。眼内レンズの解析、微量検体の測定など、実験系を組むと費用がかかるものは企業のものも積極的に使用しています。SRL等、結構やってくれますし、仲良くなると研究員の方とお話しできることもあります。眼内レンズの解析は、旧メニコンにお願いすることも多いです。最近では電顕写真を外にお願いしたりもしています。わたくしたちの医局では、例えば大阪大学のように常に誰かがどこかに留学している状況ではないですから、留学希望者が順番待ちしているといったことはありません。研究が好きな人間や大学院生を中心に海外学会に連れて行って、雰囲気を味合わせ、少しやる気がある人に対しては、僕がもといたラボに連れて行って、ボスと話をさせたりします。で、行きたいとの希望が出れば、医局長に話をして人事面で考慮をしていくという状況です。僕は微生物でしたので、感染症のテーマでよいという人間を連れて出ています。東邦大学には給費留学制度(留学中助教の給料が保証)がありますので、教授とも話をしながら進めます。僕がもといたラボに行った人間はうちの医局からはまだいませんが、来年あたりに一人出せるかもしれない状況に来ています。海外留学は医局の責任者と十分に話し合い、穏便に行ける環境を作り、経済的な問題を解決してからが一番と思います。教室によっては定期的に人を出すシステムが作られているところもあるでしょうが、我々はまだまだです。なかなか、帝大クラスのようなシステムには到達できません。准教授 小早川信一郎先生「白内障手術の光と影」

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待機的冠動脈造影には、よりすぐれたリスク選別の方法が必要

心臓カテーテル検査適応患者の選別に関して、ガイドラインではリスクアセスメントと非侵襲検査を推奨している。米国デューク大学臨床研究所のManesh R. Patel氏らの研究グループは、実施されている非侵襲検査の種類と、冠動脈疾患が疑われる患者に施行するカテーテル検査の診断精度について、米国の最新サンプルデータを用いて検討を行った。NEJM誌2010年3月11日号掲載より。待機的心カテ検査の精度は3分の1強にとどまる試験は、2004年1月から2008年4月にかけてAmerican College of Cardiology National Cardiovascular Data Registryに参加する663病院で、待機的カテーテル検査を受けた冠動脈疾患の既往のない患者を同定し対象とした。患者の人口統計学的特性、リスクファクター、症状、非侵襲検査の結果について、閉塞性冠動脈疾患との関連性を調査。その際、閉塞性冠動脈疾患は左主幹冠動脈の直径50%以上の狭窄または主要心外膜血管の直径70%以上の狭窄と定義された。この研究では、合計39万8,978例の患者が対象となり、年齢中央値は61歳、男性が52.7%、26.0%に糖尿病が、69.6%に高血圧症がみられた。非侵襲検査は患者の83.9%に実施された。カテーテル検査から37.6%(14万9,739例)に閉塞性冠動脈疾患が認められ、冠動脈疾患なし(狭窄が全血管の20%未満と定義)は39.2%だった。リスク層別化の優れた方策の必要性を強調解析の結果、閉塞性冠動脈疾患の独立予測因子として、「男性」(オッズ比:2.70、95%信頼区間:2.64~2.76)、「高齢」(5歳加齢当たりオッズ比:1.29、95%信頼区間:1.28~1.30)、「インスリン依存性糖尿病を有する」(オッズ比:2.14、95信頼区間:2.07~2.21)、脂質異常症(同:1.62、1.57~1.67)だった。非侵襲検査の結果が陽性の患者は、検査を一つも受けなかった患者と比べ閉塞性冠動脈疾患を有する割合が高かったが、わずかだった(41.0%対35.0%、P

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心血管リスクを有する耐糖能異常(IGT)患者において、バルサルタンが2型糖尿病への進行を抑制-NAVIGATOR試験の結果から

 ノバルティスファーマ株式会社は18日、9,000名以上が参加した高血圧治療薬バルサルタンのランドマーク試験であるNAVIGATORの結果から、心血管疾患または心血管リスクのある耐糖能異常(IGT)患者において、バルサルタンが2型糖尿病への進行を遅らせることが明らかになったと発表した。それによると、バルサルタン群では、糖尿病の新規発症リスクが14%減少したが、心血管イベントのリスクは減少しなかった。またナテグリニド群では、糖尿病の新規発症リスクも、心血管イベントのリスクも減少しなかったという。●詳細はプレスリリースへhttp://www.novartis.co.jp/news/2010/pr20100318_02.html

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HbA1c値、糖尿病および心血管アウトカムを予測

糖尿病診断の基準として空腹時血糖値が使用されてきたが、近年、食事や運動など生理的影響を受けにくい糖化ヘモグロビン(HbA1c)値の使用が推奨されるようになっている。今年1月の米国糖尿病協会(ADA)の推奨の動きに続き、日本でも診断基準改定の動きが本格化している。そのHbA1c値と従来の空腹時血糖値の予後予測能(糖尿病または心血管疾患リスク同定)について、米国ジョンズ・ホプキンス大学ブルームバーグ校疫学部門のElizabeth Selvin氏らのグループが、比較試験を行った。NEJM誌2010年3月4日号より。HbA1c値が増すほど、糖尿病、冠動脈疾患、脳卒中のリスクは高まるSelvin氏らは、全米4地区で行われているAtherosclerosis Risk in Communities(ARIC)前向き研究参加者で、1990~1992年の2回目の被験者登録時に、糖尿病または心血管疾患の既往歴がなかった黒人および白人成人11,092例の全血サンプルから測定したHbA1c値をベースラインとした。その後約15年追跡した、両群の各イベント発症を比較した。結果、ベースラインのHbA1c値と、新たに診断された糖尿病並びに心血管アウトカムとの相関が確認された。HbA1c値「5.0%未満」「5.0~5.5%未満」「5.5~6.0%未満」「6.0~6.5%未満」「6.5%以上」の各グループの、糖尿病と診断されるリスクの多変量補正ハザード比は「5.0~5.5%未満」を基準とした場合、「5.0%未満」群0.52(95%信頼区間:0.40~0.69)、「5.5~6.0%未満」群1.86(同:1.67~2.08)、「6.0~6.5%未満」群4.48(同:3.92~5.13)、「6.5%以上」群16.47(同:14.22~19.08)だった。冠動脈疾患のハザード比は、「5.0%未満」群:0.96(同:0.74~1.24)、「5.5~6.0%未満」群:1.23(同:1.07~1.41)、「6.0~6.5%未満」群1.78(同:1.48~2.15)、「6.5%以上」群1.95(同:1.53~2.48)だった。脳卒中のハザード比も同程度だった。空腹時血糖値モデルでは予測できないものもHbA1c値を加えると……一方、全死因死亡率とHbA1c値とは、J字型曲線の相関を示した。 これらHbA1c値モデルにおける、糖尿病、心血管アウトカム、死亡率との関連性はいずれも、ベースラインの空腹時血糖値による補正後も有意だった。対照的に空腹時血糖値モデルでは、心血管疾患および全死因死亡リスクとの関連が、全共変量による補正後モデルにおいても有意性は認められなかった。冠動脈疾患のリスクとの関連については、空腹時血糖モデルにHbA1c値がつけ加えた場合に有意となった。これらからSelvin氏は、「非糖尿病成人の地域ベースの集団において、HbA1c値は空腹時血糖値と比較して、糖尿病リスクについては同程度の相関を、心血管疾患および全死因死亡リスクについてはより強い相関を示した。このことは、糖尿病診断にHbA1c値を活用するべきことを裏づけるエビデンスが得られたことを意味する」と結論している。(医療ライター:朝田哲明)

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スタチン治療により糖尿病発症リスクがわずかに増大、診療方針には変更なし

スタチン治療により、糖尿病の発症リスクがわずかながら増大するものの、心血管疾患のリスクを有する患者や心血管疾患患者の診療方針を変更するほどではないことが、イギリスGlasgow大学Glasgow心血管研究センターのNaveed Sattar氏らによるメタ解析で示された。スタチンのプラセボ対照試験における糖尿病の発症率は、JUPITER試験ではロスバスタチン群で高かったのに対し、WOSCOPS試験ではプラバスタチン群で低いなど相反する知見が得られている。これによりスタチンの長期使用の安全性に疑問が生じたため、系統的な検討が求められていた。Lancet誌2010年2月27日号(オンライン版2010年2月17日号)掲載の報告。1,000例以上の大規模な無作為化試験のメタ解析研究グループは、スタチンの使用と糖尿病発症の関連性について、公表されたデータと未発表のデータを用いてメタ解析を行った。データベース(Medline、Embase、Cochrane Central Register of Controlled Trials)を用いて、1994~2009年までに実施されたスタチンの無作為化対照比較試験を検索した。1,000例以上が登録され、1年以上のフォローアップが両群で等しく行われた試験のみを解析の対象とした。臓器移植患者や血液透析を要する患者の試験は除外した。糖尿病発症リスクが9%増大したが、絶対リスクは低い13のスタチンに関する試験(ASCOT-LLA、HPS、JUPITER、WOSCOPS、LIPID、CORONA、PROSPER、MEGA、AFCAPS TexCAPS、4S、ALLHAT-LLT、GISSI HF、GISSI PREVENZIONE)が同定された(合計91,140例)。平均4年間に4,278例が糖尿病を発症した(スタチン群2,226例、対照群2,052例)。スタチン治療により糖尿病の発症リスクが9%増大した(オッズ比:1.09、95%信頼区間:1.02~1.17)。試験間の不均一性はほとんど認めなかった[I(2)=11%]。メタ回帰分析では、スタチンによる糖尿病の発症リスクはより高齢の患者を対象とした試験で高かったが、ベースライン時のBMIやLDLコレステロール値の変化はリスクに影響を及ぼさなかった。4年間のスタチン治療を255例(95%信頼区間:150~852例)に対して行うと、1例が糖尿病を発症することが示され(スタチン群:12.23/1,000人・年、対照群:11.25/1,000人・年)、絶対リスクは低かった。著者は、「スタチン治療により糖尿病の発症リスクがわずかに増大したが、絶対リスクは低く、冠動脈イベントの低減効果と比べてもリスクは低かった」と結論し、「心血管疾患のリスクが中等度~高度の患者や心血管疾患患者の診療方針を変更する必要はない」と指摘している。(菅野守:医学ライター)

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HbA1c値、診断基準として正式採用/国際標準化へ(第44回糖尿病学の進歩)

わが国でも、欧米と同様に、HbA1c値を診断基準に取り入れることが検討されていたが、2010年3月3日、HbA1c値を現行の診断基準に加えることが決定され、2010年3月4日から2日間にわたって開催されている「第44回糖尿病学の進歩」で発表された<演者:清野 裕氏(関西電力病院)>。これまでわが国では、「空腹時血糖値」、「75gOGTT2時間血糖値」、「随時血糖値」の3項目が診断基準として用いられていたが、HbA1c値が加われば、「空腹時血糖値≧126mg/dL」、「75gOGTT2時間血糖値≧200mg/dL」、「随時血糖値≧200mg/dL」のいずれか1項目と、「HbA1c値≧6.1%」を満たせば、その日に「糖尿病」と診断できることになる。HbA1c値の診断基準への追加決定と合わせて、新たな「糖尿病の診断基準フローチャート(案)」が公開されたが、正式な発表は、2010年5月に岡山で開催される「第53回日本糖尿病学会年次学術集会」になる。また、同講演で、HbA1c値の国際標準化についても発表された。現在、日本で表記されているHbA1c値と、日本以外の国で表記されているHbA1c値に0.4%の差がある(日本では、「HbA1c値6.5%以下が血糖コントロール良」となっているが、この数値は、日本以外の国で言うと、7.1%にあたる)。以前より、HbA1c値を海外の数値と合わせるべきと言われていたが、2012年4月より、諸外国の数値と合わせて記載されることが決定した。それまでは、日本での数値と、海外に合わせた時の数値と2つが併記されることとなる。例:HbA1c 6.1%(JDS値)/ 6.5%(NGSP値)*JDS値・・日本での表記、NGSP値・・海外での表記(ケアネット 栗林 千賀)

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mTOR阻害剤が腎細胞がんにもたらす可能性

2010年1月、mTOR阻害による抗悪性腫瘍剤としては日本初となる「エベロリムス(商品名:アフィニトール)」が承認を得た。ここでは、2月22日、アーバンネット大手町ビルにて開催された「mTOR阻害剤『アフィニトール』が腎細胞がん治療にもたらす可能性」と題するプレスセミナーをお届けする。帝京大学医学部泌尿器科学教室 主任教授 堀江重郎氏は、mTOR阻害剤の基礎から臨床治験まで広範にわたり講演した。<ノバルティス ファーマ株式会社主催> がん治療における新しい戦略無秩序な細胞増殖を繰り返すがんにおいて、その制御を失った細胞周期を停止させるのが従来の抗がん剤の作用機序であるが、さらに近年、がんそのものが自らを養う血管を新生させることから、そこをターゲットとする分子標的薬による治療が進んできている。そして新たにmTOR阻害剤など、無制限な細胞内の代謝もがん進行の要因となっている点に着目した治療戦略が、難治性がんへの福音となる可能性が強まってきた。mTORとは堀江氏はまず、mTORとその阻害剤について概説した。mTORとはマクロライド系抗生物質ラパマイシンの標的分子として同定されたセリン・スレオニンキナーゼであり、細胞の分裂や成長、生存における調節因子である。その重要性を示唆する事実として、酵母からヒトにいたるまで95%以上相同な蛋白であるため、mammalian Target Of Rapamycin(=mTOR)と総称される。正常細胞においては、栄養素や成長因子、エネルギーといった「エサ」があると活性化し、エサのない状況ではいわば冬眠状態となっている。栄養素やその他増殖促進経路からのシグナル伝達を制御する役割から、糖尿病や生活習慣病への関与も報告されている。一方、mTOR阻害剤のアフィニトールやラパマイシンは、タクロリムスと同様の機序で免疫抑制効果を持つ。分子生物学的には、細胞周期をG1期で停止させることや、低酸素誘導因子(HIF※)の安定化および転写活性を抑制することが示されている。多くのがんでmTORシグナル伝達経路が調節不全を起こして常に活性化しており、mTOR阻害剤の抗腫瘍効果が臨床レベルでも検討されている。(※HIF:mTOR活性化や低酸素によって細胞内に蓄積し、血管新生や解糖系代謝を亢進させる。)昨年Natureで発表され話題となった、興味深い知見がある。ラパマイシン適量をマウスに投与したところ、加齢期であっても寿命延長効果が見られた。これはカロリー制限したサルの方が長寿命であったデータと同等と考えられる、と堀江氏は語った。また、がん患者を高カロリー摂取群とカロリー制限群に分けたところ、制限群の方が長生きしたという結果が複数出ており、これまでは切り離して考えられていた「がん」と「体内環境」の密接な関連に関心が寄せられている。がん細胞の代謝にも影響するmTOR阻害剤は、この流れに合致する薬剤といえる。 腎細胞がんわが国における腎がんの9割は腎細胞がんであり、好発年齢は50歳以降、男女比は約2:1である。年間で発症数は1万人を超えて増加傾向にあるとされ、約7千人が死亡する。寒冷地方に多く発症し、ビタミンD欠乏との関連が指摘されている。遺伝性にフォン・ヒッペル・リンダウ(VHL)遺伝子が変異または欠失しているVHL症候群は120家系あり、遺伝性腎細胞がんを発症する割合は50%程度。根治的治療は手術で、StageⅣであってもなるべく切除した方が予後良好である。分子標的薬登場以前はサイトカイン療法しか薬物治療がなく、治療抵抗性のがんの一つである。 腎細胞がんとmTOR阻害剤堀江氏によると、腎細胞がん患者においてはmTORの上流蛋白Aktの過剰な活性化や、血中血管内皮増殖因子(VEGF)濃度の上昇が認められ、増殖シグナルが亢進している。加えて、mTORに至るシグナル経路を抑制する因子の変異・機能低下や、VHL遺伝子変異によるHIFの過剰産生が見られ、抑制シグナルの低下もある。正常ではVHLはがん抑制因子であってHIFを抑制しているが、腎がんの多くでは変異による不活化が起こっている。もともと腎臓は血管に富み、VHL変異で異常な血管が作られやすい。mTOR阻害剤は、このようにVHLが機能しない状況でもHIF合成を阻止する。また、VEGF-Aの産生も阻害し、結果として腫瘍細胞での血管新生を抑制する。このように、がん細胞の増殖抑制と血管新生阻害の抗腫瘍効果を併せ持つmTOR阻害剤のアフィニトールの、VEGF受容体チロシンキナーゼ阻害剤(スニチニブまたはソラフェニブ)が無効となった進行性腎細胞がんを対象として有効性および安全性について検討した臨床試験がRECORD-1である。患者をBSC+アフィニトール群とBSC群に無作為割付した結果、アフィニトール群で無増悪生存期間が有意に延長し、抗腫瘍効果も示された。副作用発現は、対象患者が比較的PSが良好というバイアスはあるが、高グレードがあまり多くない印象があるとのことである。注意すべきものとして、アジア人に多い間質性肺疾患、免疫抑制による感染症、インシュリン抵抗性となるための高血糖、糖尿病の発症・増悪などが挙げられた。mTOR阻害剤の間質性肺疾患については、副腎皮質ホルモン剤への反応性が高いことが報告されている。堀江氏は、がんへの本質的なアプローチといえるmTOR阻害剤、アフィニトールが承認され、VEGF受容体チロシンキナーゼ阻害剤投与後の進行性腎細胞がんの治療における期待が寄せられるとした。なおわが国では現在、乳がん、胃がん、悪性リンパ腫、膵内分泌腫瘍を対象とした、第Ⅲ相の国際共同治験に参加している。(ケアネット 板坂倫子)

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早死にを招く、小児期の心血管リスク因子

糖尿病の早期発症が死亡率を高めること、成人期における心血管リスク因子と寿命との関連性は明らかだが、小児期における心血管リスク因子が寿命に影響を及ぼすメカニズムはほとんどわかっていない。米国NIHのPaul W. Franks氏ら研究グループは、その関連性を明らかにすることは、小児期の心血管リスク因子が与える人的・経済的損失を予測可能とし、健康状態を改善し早世率(本論では55歳未満での死亡と定義)を低下させるための介入が可能になるとし、40年にわたる追跡調査を行った。その結果が、NEJM誌2010年2月11日号で発表されている。アメリカ先住民4,857例の早世例をリスク因子ごとに評価研究グループは、1945~1984年の間に生まれた非糖尿病のアメリカ先住民4,857例の小児コホート(平均年齢11.3歳)について、BMI、耐糖能、血圧、コレステロールの各値を調査し(計12,659回)、早世の予測因子となるかどうかを評価した。各リスク因子は性、年齢で標準化され、比例ハザードモデルを用いて、55歳未満で死亡するまでの期間との関連が判定された。モデルは、基線での年齢、性、出生コホート(アメリカ先住民の系統としてピマ族かトホノ・オオダム族か)によって補正された。肥満は2倍、耐糖能異常は1.73倍、高血圧は1.5倍、早世率を高める追跡期間中央値23.9年間で、内因性死亡は166例(コホートの3.4%)あった。内因性死亡率について、BMI値が最高四分位群の小児は、同最低四分位群の2倍以上だった(出現率比:2.30、95%信頼区間:1.46~3.62)。耐糖能異常では、最高四分位群の死亡率が、最低四分位群より73%高かった(同:1.73、1.09~2.74)。一方、内因性または外因性の死亡率と、小児期コレステロール値、収縮期・拡張期血圧値との間には有意な関連性はみられなかった。ただし、小児期高血圧は内因性による早世と有意な関連が認められた(同:1.57、CI 1.10~2.24)。研究グループは、「この集団において、小児期の肥満、耐糖能異常、高血圧は内因性による早世率の上昇と強く関連していた。対照的に、小児期高コレステロール血症は内因性による早世の主要な予測因子ではなかった」とまとめている。(医療ライター:武藤まき)

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利尿薬ベースの降圧療法、セカンドライン選択は?:住民ベースの症例対照研究

米国ワシントン大学心血管ヘルス研究ユニットのInbal Boger-Megiddo氏らは、利尿薬を第一選択薬とし降圧療法を受けている高血圧患者の、併用療法移行時の選択薬は、β遮断薬、Ca拮抗薬、RA系阻害薬いずれが至適かを明らかにするため、心筋梗塞および脳卒中の発生率を主要評価項目に、住民ベースの症例対照研究を行った。結果、Ca拮抗薬追加群の心筋梗塞発生リスクが、他の2群よりも高いことが明らかになったという。BMJ誌2010年2月6日号(オンライン版2010年1月25日号)より。症例群353例、対照群952例で検討研究グループは本研究を実施した背景について、「ALLHAT試験で、低用量利尿薬が第一選択薬としてCa拮抗薬やRA系阻害薬よりも優れていることが示唆され、そのエビデンスを踏まえたガイドラインが米英で作成されている。一方で、降圧療法を受ける高血圧患者の半数は併用療法を要する。だが利尿薬ベースの患者の心血管疾患予防を見据えたセカンドラインの選択薬はどれが至適か明らかになっておらず、米国NHLBI(National Heart, Lung, and Blood Institute)は、試験実施の勧告を出しているが、いまだ実施されていない」と述べている。試験は、ワシントン州シアトル市に拠点を置くヘルスケアシステム「Group Health Cooperative」の加入者データから、症例群353例、対照群952例の被験者を選定し行われた。症例群は、30~79歳の降圧療法を受けていた高血圧患者で、1989~2005年に致死性または非致死性の初回の心筋梗塞か脳卒中を発症したと診断記録があった人だった。対照群は、降圧療法を受けていた高血圧患者が無作為にGroup Health Cooperative加入者から選ばれた。なお、心不全、冠動脈疾患、糖尿病、慢性腎不全患者は除外された。+Ca拮抗薬は心筋梗塞リスクを増大する結果、心筋梗塞リスクについて、利尿薬+Ca拮抗薬群が、+RA系阻害薬群、+β遮断薬群よりも高いことが認められた。+β遮断薬群を基準とした、+Ca拮抗薬群の心筋梗塞リスクの補正後(年齢、性、服薬期間、喫煙、飲酒)オッズ比は、1.98(95%信頼区間:1.37~2.87)だった。脳卒中リスクについては、増大は認められず、オッズ比は1.02(同:0.63~1.64)だった。一方、+RA系阻害薬群の心筋梗塞および脳卒中リスクは、ともに有意ではなかったものの低く、心筋梗塞リスクの同オッズ比は0.76(同:0.52~1.11)、脳卒中は0.71(同:0.46~1.10)だった。研究グループは結果を踏まえ、「低リスクの高血圧患者を対象とした本試験で、セカンドラインにCa拮抗薬を選択することは、他の薬剤を選択するよりも心筋梗塞リスクが高いことが明らかになった。この結果はNIHCE(National Institute for Health and Clinical Excellence)ガイドラインを支持するもので、米国NHLBIが勧告する大規模試験を行うべきであろう」とまとめている。

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GLP-1受容体作動薬「ビクトーザ」、いよいよ治療の選択肢に

 2010年1月20日、国内初のGLP-1受容体作動薬「ビクトーザ(一般名:リラグルチド)」が承認された。ここでは、2月16日に大手町サンケイプラザ(東京都千代田区)にて開催された糖尿病プレスセミナー「国内初のGLP-1受容体作動薬 ビクトーザ承認取得-2型糖尿病治療のパラダイムシフト」(演者:東京大学大学院医学系研究科 糖尿病・代謝内科 教授 門脇 孝氏)<ノボ ノルディスクファーマ株式会社主催>について報告する。糖尿病患者は十分コントロールされていない わが国の糖尿病患者は、この50年で38倍も増加しており、その原因として考えられるのが、近年の食生活の変化や運動不足である。糖尿病治療では、血糖、体重、血圧、脂質を総合的にコントロールし、合併症の発症・進展を防ぎ、健康な人と変わらない日常生活の質を維持し、寿命を確保することを目標としている(日本糖尿病学会編. 糖尿病治療ガイド2008-2009)。しかし、実際には、腎症や虚血性心疾患、脳梗塞などにより、糖尿病患者の平均寿命は、男性で約10年、女性で約14年短いことが報告されている。 そして、血糖コントロールの評価として、HbA1c値 6.5%未満、空腹時血糖値139mg/dL未満、大血管障害の独立した危険因子である食後2時間血糖値180mg/dL未満が「良」とされているが、門脇氏は「現状では、十分コントロールされているとはいえない」と述べた。早期から、低血糖を起こさずに厳格な血糖コントロールを UKPDS80で早期治療による「Legacy Effect(遺産効果)」が示されたこと、UKPDS、ACCORD、VADTなど、5つの大規模試験のメタ解析でも、厳格な血糖コントロールにより、心血管イベントリスクの減少が示されたことを報告し、門脇氏は「大血管障害の発症・進展を阻止するためには、やはり早期から厳格な血糖コントロールを行うべき」と強調した。そして、強化療法群による死亡率増加のために中止されたACCORD試験に対して、その原因の一つが低血糖であると考察した上で、「できるだけ低血糖を起こさずに、厳格に血糖コントロールすることが重要」と述べた。 また、自身が中心となって現在進められている「J-DOIT3(2型糖尿病患者を対象とした血管合併症抑制のための強化療法と従来療法のランダム化比較試験)」を紹介し、できるだけ低血糖を起こさず、厳格な血糖コントロールを行うために、チアゾリジン薬をベースにしていると述べた。 さらに、中止されたACCORD試験では、強化療法群で著明な体重増加を認めていることから、体重増加をきたさずに血糖コントロールを行うことも重要であると述べた。国内初のGLP-1受容体作動薬「ビクトーザ」 2010年1月20日に承認された国内初のGLP-1受容体作動薬「ビクトーザ」は、1日1回投与のGLP-1誘導体。GLP-1は、消化管ホルモンであるインクレチンの1つであり、栄養素が消化吸収されると消化管から分泌され、膵β細胞のGLP-1受容体に結合して、インスリンを分泌させる。しかし、血中で酵素(DPP-4)により分解されてしまうため、分解されないようにしたものがGLP-1誘導体である。GLP-1は、グルコース濃度に依存して分泌されるため、GLP-1誘導体は、単独で低血糖を起こしにくい。 門脇氏は、その血糖降下作用について、HbA1cの目標達成率が高いことを報告、欧米人と異なり、インスリン分泌の少ない日本人の2型糖尿病の病態に適しており、少量で優れた効果が得られることを示した。 また、食欲抑制作用があると述べ、実際に、体重増加がない、あるいは肥満では体重が減少することを報告した。 糖尿病患者の膵β細胞の機能は、発症した時点で、すでに健康な人の半分以下になっている。たとえ治療を行っても、膵β細胞の機能低下を阻止することは困難で、罹病期間が長くなると、インスリン治療を行わなければならない患者が多くなる。GLP-1誘導体は、動物で膵β細胞の機能を改善させることが報告されていることから、門脇氏は、「GLP-1誘導体は、膵β細胞機能の改善により、糖尿病の進行を阻止する可能性がある」と述べた。発症早期からの処方を 門脇氏は、いくつかの臨床試験の結果を紹介した上で、ビクトーザの有用性として、■血糖降下作用に優れる■低血糖が少ない■体重増加がない(時に体重減少)■膵β細胞保護により、糖尿病の進行を阻止する可能性があるなどを挙げ、糖尿病発症早期から適応できるとの見解を示した。そして、具体的には、臨床試験の結果から、HbA1c 7.5%以下であれば単独で、8.0%以下であれば、現在保険適応とされているSU薬との併用で十分な効果が得られるだろうと述べた。 主な副作用として、消化器症状(悪心、腹痛、下痢、嘔吐)があるが、少量から開始し、漸増していくことで、軽減できる。長期的な安全性としては、動物実験で甲状腺腫瘍が見られているが、臨床データでは報告されていないと述べた。また、膵炎については、糖尿病では、非糖尿病に比べて多く認められるが、ビクトーザでの有意な増加の報告はないと述べた。 さらに、これまでの糖尿病治療薬は、使用されるようになってから、作用機序が明らかになっていたが、GLP-1誘導体は、「GLP-1受容体への作用」という作用機序が明確であることから、この点も安全性の観点から重要であると述べた。しかし、長期的な安全性については、今後も検討していく必要があるとした。

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2型糖尿病の発症予測、遺伝学的リスクモデルは有用でない:Whitehall II試験

2型糖尿病の発症予測では、表現型に基づく非遺伝学的なリスクモデルの方が、2型糖尿病関連一塩基多型(SNP)に基づく遺伝子型モデルよりも有用なことが、イギリスUniversity College London心血管遺伝学センターのPhilippa J Talmud氏らが行ったコホート研究(Whitehall II試験)で示された。イギリスでは最近、発症予測に関する2つの非遺伝学的モデル(ケンブリッジ2型糖尿病リスクスコア、フラミンガム子孫試験2型糖尿病リスクスコア)が確立され、ルーチンに用いられている。その一方で、2型糖尿病の発症に関連する20のSNPが同定されているが、発症予測にどの程度役立つかは明らかにされていなかった。BMJ誌2010年1月23日号(オンライン版2010年1月14日号)掲載の報告。1980年代に開始された前向きコホート研究の7回目のスクリーニングの解析Whitehall II試験の研究グループは、将来の2型糖尿病の発症予測において、2型糖尿病関連SNPの有用性を評価し、すでに確立されている表現型に基づく非遺伝学的モデルにこれらの遺伝情報を付加することで予測能を向上させられるか否かを評価するために、プロスペクティブなコホート研究を実施した。Whitehall II試験には、1985~1988年までに35~55歳のロンドン市の公務員10,308人が登録された。7回目の調査(2003~2004年)において、6,156人からDNAが採取された。登録時に健康であった5,535人(平均年齢49歳、女性33%)のうち、第7回調査の時点で302人が10年以上持続する新規の2型糖尿病に罹患していた。表現型に基づく非遺伝学的リスクモデルのうち、ケンブリッジ2型糖尿病リスクスコアは年齢、性別、薬物療法、2型糖尿病の家族歴、BMI、喫煙歴に基づいて算出され、フラミンガム子孫試験2型糖尿病リスクスコアは年齢、性別、親の2型糖尿病既往歴、BMI、HDLコレステロール、トリグリセライド、空腹時血糖から計算された。遺伝学的リスクモデルには、2型糖尿病との関連が確認されている20のSNPが使用され、リスク対立遺伝子(allele)の保有数(0~40個)と遺伝学的リスク機能(個々のリスク対立遺伝子を遺伝子研究のメタ解析で得られたオッズ比に従って重み付け)に基づいてスコアが算出された。2型糖尿病の発症は、標準的な経口ブドウ糖負荷試験(OGTT)、主治医による診断、あるいは糖尿病治療薬の使用によって確定された。表現型リスクモデルと遺伝学的リスクモデルを合わせても識別能は改善されず遺伝学的リスクスコアは将来の糖尿病患者を識別できなかった。ケンブリッジ2型糖尿病リスクスコアとフラミンガム子孫試験2型糖尿病リスクスコアは、遺伝学的リスクスコアよりも識別能が優れていた。表現型によるリスクモデルに遺伝学的情報を加味しても識別能は改善されず、モデルの精度を調整(キャリブレーション)してもわずかな改善効果しか得られなかった。ケンブリッジリスクスコアに遺伝学的情報を加えた場合は約5%の改善効果が得られたが、フラミンガム子孫リスクスコアに付加しても識別能は改善されなかった。著者は、「表現型に基づくリスクモデルの方が遺伝学的リスクモデルよりも将来の2型糖尿病患者の識別能が優れており、両者を合わせた場合、最良でもわずかな改善効果しか得られなかった」と結論し、「2型糖尿病関連遺伝子に関するトランスレーショナル研究の成果を臨床に適用する場合は、病因や治療標的の面からアプローチする方がよいかもしれない」と考察している。(医学ライター:菅野守)

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0.5Gy以上の被曝で心疾患、脳卒中のリスクが増大、広島・長崎の被爆者調査から判明

放射線被曝線量が0.5Gyを超えると、心疾患や脳卒中のリスクが増大することが、放射線影響研究所(広島市)疫学部のYukiko Shimizu氏らが広島・長崎の被爆者を対象に行ったコホート研究で明らかとなった。ホジキン病や乳がんに対する放射線治療の際に心臓や頭頸部に高線量が照射されると、心疾患や脳卒中による死亡が増加することが知られているが、中~低線量でもこれらの疾患のリスクが増大するか否かは不明であったという。頭部や胸部のCT検査および放射線照射によるインターベンション治療が急速に増加している現在、1Gy未満の線量が循環器疾患に及ぼす影響を明らかにすることは重要な課題とされている。BMJ誌2010年1月23日号(オンライン版2010年1月14日号)掲載の報告。被爆者の53年の長期フォローアップデータを用いた前向きコホート研究研究グループは、電離放射線への曝露量がどの程度になると心疾患や脳卒中による死亡リスクが増大するかを検討するために、広島および長崎の原爆被害者の53年(1950~2003年)にわたるフォローアップデータを用いたプロスペクティブなコホート研究を行った。寿命調査(Life Span Study;LSS)の登録者のうち、原爆投下により0~3Gy以上の放射線に被曝したと推測される86,611人(86%が0.2Gy未満)が解析の対象となった。心疾患および脳卒中による死亡率を調査し、原爆放射線による被曝線量反応関係を評価した。0.5Gy以上で脳卒中、心疾患のリスクが上昇、0.5Gy未満では不明1950~2003年までに、約9,600人が脳卒中で死亡し、約8,400人が心疾患で死亡した。脳卒中については、線形線量反応モデルによる1Gy当たりの過剰相対リスク推定値(estimated excess relative risk)は9%(95%信頼区間:1~17%、p=0.02)と有意差が認められたが、上向き曲率(upward curvature)を指標としても低線量での相対リスクはほとんど示されなかった。心疾患に関する1Gy当たりの過剰相対リスク推定値は14%(95%信頼区間:6~23%、p<0.001)と有意差を認めた。線形モデルでは最適フィット(best fit)が得られ、低線量における過剰リスクが示唆された。しかし、0~0.5Gy以上の線量での線量反応効果は有意ではなかった。喫煙、アルコール摂取、教育、職業、肥満、糖尿病は、放射線被曝による脳卒中および心疾患のリスクにほとんど影響を及ぼさなかった。がんを誤診して循環器疾患とされた場合にも、リスクには影響しなかった。これらの知見を踏まえ、著者は「被曝線量が0.5Gy以上になると脳卒中および心疾患のリスクがともに上昇したが、0.5Gy未満の場合のリスクは不明であった」と結論し、「被爆者においては、脳卒中と心疾患を合わせた放射線関連死は、がんによる死亡の約3分の1と考えられる」と指摘している。(医学ライター:菅野守)

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重篤な低血糖により糖尿病患者の死亡リスクが増大、ACCORD試験の疫学的解析

ACCORD試験のレトロスペクティブな疫学的解析の結果、2型糖尿病患者では重篤な症候性低血糖により、血糖低下療法の強度にかかわらず死亡リスクが増大するが、1回以上の低血糖エピソードのある患者では強化血糖低下療法の方が標準的血糖低下療法よりも死亡リスクは低いことが示された。ACCORD試験は、心血管リスクが高度な2型糖尿病患者では血糖値を積極的に正常化させることでリスクを低減できるとの仮説を検証するために実施されたが、平均フォローアップ期間3.5年の時点で強化血糖低下療法の方が有意に死亡率が高いことがわかり、2008年2月に中止された。アメリカ国立衛生研究所(NIH)心肺血液研究所(NHLBI)のDenise E Bonds氏らが、BMJ誌2010年1月16日号(オンライン版2010年1月8日号)で報告した。ACCORD試験登録患者データを用いた後ろ向きの疫学解析研究グループは、ACCORD試験の登録患者データを用いて低血糖と死亡率の関連を検討するレトロスペクティブな疫学的解析を行った。ACCORD試験の対象は、スクリーニング時のHbA1C値≧7.5%の2型糖尿病患者で、心血管疾患を有する40~79歳の患者、あるいは潜在疾患が証明されるか2つ以上の心血管リスク因子を有する55~79歳の患者であった。強化血糖低下療法群はHbA1C値<6.0%を、標準的血糖低下療法群はHbA1C値7.0~7.9%を目標に治療が行われた。重篤な低血糖により両群とも死亡リスクが増大、低血糖だけでは死亡率の差は説明できない解析の対象となったのは、ACCORD試験の登録患者10,251例のうち、通常のフォローアップ期間中に少なくとも1回の低血糖の評価が行われた10,194例であった。強化療法群の非補正年間死亡率は、低血糖[血糖値<2.8mmol/L(50mg/dL)]のエピソードがない患者が1.2%(201/16,315人・年)であったのに対し、少なくとも1回以上の低血糖エピソードがみられ治療および補助を要する患者では2.8%(53/1,924人・年)と有意に高値を示した(補正ハザード比:1.41、95%信頼区間:1.03~1.93)。標準療法群でも同様のパターンがみられた[年間死亡率:1.0%(176/17,297人・年) vs. 3.7%(21/564人・年)、補正ハザード比:2.30、95%信頼区間:1.46~3.65]。低血糖エピソードがあり治療および補助を要する患者の解析では、強化療法群と標準療法群で死亡リスクに有意な差は認めなかった(補正ハザード比:0.74、95%信頼区間:0.46~1.23)。低血糖エピソードがあり治療のみを要する患者では、強化療法群の方が標準療法群よりも死亡リスクが有意に低かった(補正ハザード比:0.55、95%信頼区間:0.31~0.99)。ACCORD試験では、強化療法が中止となるまでに451例が死亡し、そのうち1例は明らかに低血糖が原因と判定された。著者は、「重篤な症候性低血糖は、強化療法群、標準療法群の双方において死亡リスクを増大させた。しかし、低血糖エピソードのある患者では標準療法群よりも強化療法群で死亡リスクが低かった」と結論したうえで、「重篤な症候性低血糖の発現だけでは、ACCORD試験の強化療法群における死亡率の増加は説明できない」と指摘している。(医学ライター:菅野守)

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多彩な冠疾患のリスクマーカー、その強みと弱み

冠疾患との関連が指摘されるリスクマーカーは心理社会的、行動的、生物学的など多様である一方、それぞれが現にガイドラインに含まれている。そうした中で、これまでのシステマティックレビューは、1つのリスクマーカー、1つの研究デザインに焦点を合わせた「縦」の比較検討がされてきたが、異なるタイプのリスクマーカー、異なる固有の限界や不足を有する異なる研究デザインを組み込んでの「水平」比較が必要ではないかとの指摘が高まった。ロンドン大学衛生熱帯医学校のHannah Kuper氏らは、この「水平」比較に取り組み、BMJ誌2009年11月28日号(オンライン版2009年11月5日号)で結果を発表した。うつ、運動、CRP、2型糖尿病の4つのリスクマーカーを水平比較冠疾患の多様なリスクマーカーのエビデンスを系統的に比較するための新しい方法論を開発し、さらに求められたエビデンスとガイドラインにおける勧告とを比較するため、Kuper氏らは、Medlineとガイドラインを基に水平システマティックレビューを行った。2人のレビュアーにより、4つのリスクマーカー(うつ、運動、C反応性蛋白:CRP、2型糖尿病)のエビデンスを求めた3つの異なる試験デザイン(観察研究、遺伝子研究、無作為化試験)の適格性を判定。4つのリスクマーカーについて、観察研究の大規模メタ解析、遺伝学的研究、メタ解析と個々の無作為化試験の分析が行われた。現行ガイドラインは、うつとの関連に重きを置きすぎている観察研究のメタ解析による冠疾患の補正相対リスクは、うつが1.9(95%信頼区間:1.5~2.4)、運動の最高と最低との4分位の比較で0.7(0.5~1.0)、CRPの最高と最低との3分位の比較で1.6(1.5~1.7)、そして糖尿病では女性は3.0(2.4~3.7)、男性は2.0(1.8~2.3)だった。事前特定された試験の限界は、うつと運動で最も多く見られたという。遺伝的変化を用いて交絡因子を排除するメンデル無作為化試験のメタ解析では、CRPを特定することはできた(ただしそれがもたらす影響の裏づけはできなかった)が、運動、糖尿病、うつの影響については確認できなかった。無作為化試験の検討からは、冠疾患の発病率とうつ、運動、CRPとの関連を示すエビデンスは求められず、糖尿病患者の試験において、血糖コントロールが冠疾患リスクに対する予防効果があることがわずかに認められた。冠疾患患者にうつ病治療を行っていた4つの無作為化試験は、いずれも冠動脈イベントリスクの低下は示されていなかった。これらを踏まえ、2007年に公表された2つのガイドラインと今回の水平エビデンス・レビューとを比較した結果、ガイドラインではうつに重きを置きすぎているという点で明らかな食い違いが見られたという。研究グループは、今回の水平システマティックレビューによって、うつ、運動、CRP、糖尿病を冠疾患の原因とするエビデンスの弱みと強みを特定することができたと述べ、この新しい手法が、今後のガイドラインおよび研究開発に寄与するであろうと報告をまとめている。

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低用量アスピリン、糖尿病患者の心血管イベント1次予防効果はメタ解析でもやはり不明

糖尿病患者の主要な心血管イベントの1次予防に、ほとんどのガイドラインで、低用量アスピリンの投与が推奨されている。しかし一方では、その効果については論争の的ともなっている。イタリアのConsorzio Mario Negri SudのGiorgia De Berardis氏らのグループは、最新の無作為化試験を含むメタ解析を行った結果、明白な利点は証明されなかったことを報告した。BMJ誌2009年11月28日号(オンライン版2009年11月6日号)掲載より。アスピリンとプラセボを比較した無作為化試験をメタ解析Berardis氏らは、心血管疾患のない糖尿病患者に対する低用量アスピリンの有効性と有害性を評価することを目的として、無作為化試験のメタ解析を行った。Medline(1966年~2008年11月)、コクランライブラリー2008にて文献検索を行い、データを収集・解析した。試験適格としたのは、糖尿病患者で心血管疾患の既往のない患者についてアスピリンとプラセボとの比較を無作為化試験で行っていたもので、文献検索された157試験のうち適格となったのは6試験だった(患者10,117例)。主要な心血管イベント(心血管系による死亡、非致死性の心筋梗塞、非致死性の脳卒中、全死因死亡)に関するデータを抽出し、ランダム影響モデルを用いて分析。結果は相対リスクで表し、95%信頼区間とともに報告された。明らかなベネフィットは見いだせず結果、アスピリン投与がプラセボと比べて、主要心血管イベントリスク(5研究:9,584例)の相対リスクは0.90(95%信頼区間:0.81~1.00)、心血管系による死亡(4研究:8,557例)は0.94(0.72~1.23)、全死因死亡(4研究:8,557例)は1.05(0.93~0.82)で、統計学的に有意に心血管イベントを減少することは見いだされなかった。心筋梗塞(I2=62.2%; P=0.02)と脳卒中(I2=52.5%; P=0.08)に関する解析では有意な不均一性が見つかった。アスピリンは男性で有意に心筋梗塞のリスクを低下させたが(0.57、0.34~0.94)、女性では認められなかった(1.08、0.71~1.65)。脳卒中では投与量(100mg/日以下と超)、投与期間(5年以下と超)の違いによる影響が見られた。有害関連エビデンスは一貫していなかった。Berardis氏は、糖尿病患者のアスピリンの主要な心血管イベントの1次予防に対するメリットは明らかにできなかったと述べ、男女差による効果の影響の可能性を指摘し、さらに毒性についてはさらなる調査が必要と述べている。

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アンジオテンシンII受容体拮抗薬ミカルディス欧州委員会より追加適応の承認を取得

ドイツ・ベーリンガーインゲルハイム社は27日(現地時間)、欧州委員会より、アンジオテンシンII受容体拮抗薬ミカルディス(一般名:テルミサルタン)が、「I.アテローム性動脈硬化性疾患(冠動脈心疾患、脳卒中、閉塞性動脈硬化症)または II.臓器障害を合併する2型糖尿病 を有する患者での心血管疾患発現リスクの減少」の追加適応を承認されたと発表した。今回の承認は、臨床試験ONTARGETを中心とした臨床データに基づいたもの。この試験では、心血管イベント高リスク患者25,620例を対象に、ミカルディスについて、心血管イベントの抑制効果を有するARBの中で唯一の治療選択肢として検証が行われた。また従来ゴールデンスタンダード(標準治療薬)であったラミプリルと比べて忍容性が高く、優れたアドヒアランスも示されたとのこと。詳細はプレスリリースへhttp://www.boehringer-ingelheim.co.jp/com/Home/Newscentre/pressrelease/news_detail.jsp?paramOid=9872

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高血圧症治療薬「COZAAR」の高用量投与により総死亡および心不全による入院リスクが減少する

米国メルク社は、11月にオーランドで開催された第82回米国心臓協会(AHA: American Heart Association)学術集会において、高血圧症治療薬「COZAAR(一般名:ロサルタンカリウム錠)」の高用量投与による試験「HEAAL(Heart failure Endpoint evaluation of the A-II-Antagonist Losartan)」の結果を発表した。日本法人である万有製薬株式会社が2日に公表した。HEAAL試験の結果は11月17日(現地時間)、第82回米国心臓協会学術集会のレイトブレイキングセッションで発表された。HEAAL試験は、アンジオテンシン変換酵素(ACE)阻害薬に忍容性のない心不全患者を対象に、COZAAR(日本販売名:ニューロタン錠/一般名:ロサルタンカリウム)の2種類の用量(50mg、150mg)における安全性および有効性について、30ヵ国255施設で実施されたもの。この試験の結果、150mgの1日1回投与は、同錠50mgを1日1回投与した場合に比べ、総死亡または心不全による入院リスクを有意に減少させたという。COZAARは、米国では慢性心不全患者の治療に適応を有していない。HEAAL試験で用いられた150mgの服用はいかなる適応に対しても承認されていないが、アンジオテンシンII受容体拮抗薬(AIIA)、心血管系治療薬として、「高血圧症の単剤治療または利尿薬を含む他の降圧剤との併用治療」「左室肥大を伴う高血圧患者の脳卒中リスク低減。但しこの効果は黒人患者に対しては適用されない」「2型糖尿病および高血圧患者における血清クレアチニンの上昇及び蛋白尿(尿中アルブミン/クレアチニン比300mg/g以上)を伴う糖尿病性腎症の治療。この治療において、COZAARは、血清クレアチニン値倍増または末期腎不全(透析あるいは腎移植の必要性)をエンドポイントとして、腎機能低下率を低減させる」3つの適応が承認されている。詳細はプレスリリースへhttp://www.banyu.co.jp/content/corporate/newsroom/2009/merck_1202.html

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2型糖尿病・CKD患者への貧血治療薬darbepoetin alfa投与はリスクが上回る

貧血症が、2型糖尿病と慢性腎臓病(CKD)患者の心血管および腎臓イベントの、リスク増加と関連することは知られているが、貧血治療薬darbepoetin alfaの、これら患者の臨床転帰に対する効果は十分検討されていない。米国ブリガム&ウィメンズ病院循環器部門のMarc A. Pfeffer氏らは、被験者約4,000名を対象とした無作為化二重盲検プラセボ対照試験「TREAT」にて、その効果について検討した。NEJM誌2009年11月19日号(オンライン版2009年10月30日号)より。死亡または心血管イベントと、死亡またはESRDの各複合転帰を評価TREAT(Trial to Reduce Cardiovascular Events with Aranesp Therapy)試験には、24ヵ国623施設から、糖尿病、CKD、貧血症を有する患者4,038例が参加した。被験者は、ヘモグロビン濃度約13g/dLを目標として、darbepoetin alfa投与群(2,012例)とプラセボ投与群(2,026例)に無作為に割り付けられた。なお、ヘモグロビン濃度9.0g/dL未満となった場合は緊急的にdarbepoetin alfaを投与することとされた。主要エンドポイントは、死亡または心血管イベント(非致死的心筋梗塞、うっ血性心不全、脳卒中、心筋虚血による入院)、死亡または末期腎不全(ESRD)の各複合転帰とした。複合転帰改善せず、脳卒中リスクを増加死亡または心血管イベントの複合転帰は、darbepoetin alfa群では632例で発生し、プラセボ群は602例だった(ハザード比:1.05、95%信頼区間:0.94~1.17、P = 0.41)。死亡またはESRDの複合転帰は、darbepoetin alfa群では652例発生し、プラセボ群は618例だった(1.06、0.95~1.19、P = 0.29)。また致死的あるいは非致死的脳卒中が、darbepoetin alfa群で101例発生した。プラセボ群では53例で、ハザード比は1.92(95%信頼区間:1.38~2.68、P

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