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肝硬変患者の経過観察を十分に行わず肝細胞がんを発見できなかったケース

消化器最終判決判例タイムズ 783号180-190頁概要12年以上にわたって開業医のもとに通院し、糖尿病、肝硬変などの治療を受けていた55歳の男性。ここ1年近く、特段の訴えや所見もないために肝機能検査および腫瘍マーカーのチェックはしていなかった。ところが久しぶりに施行した肝機能検査・腫瘍マーカーが異常高値を示し、CT検査を受けたところ肝左葉全体を埋め尽くす肝細胞がんが発見された。急遽入院治療を受けたが、異常に気づいてから3ヵ月後に死亡した。詳細な経過患者情報55歳男性経過1973年 糖尿病にて総合病院に45日間入院。9月3日当該診療所初診。診断は糖尿病、肝不全。1982年5月26日全身倦怠感、体重減少(61→51kg)を主訴に総合病院外来受診。6月1日精査治療目的で入院となり、肝シンチ、腹部エコー、上部消化管造影、血液検査、尿検査などの結果、糖尿病、胆石症、肝硬変、慢性膵炎と診断された。7月10日肝臓の腹腔鏡検査を予定したが、度々無断外出したり、窃盗容疑で逮捕されるなどの問題があり、強制退院となった。9月6日診療所の通院を月1~4回の割合で再開。その間ほぼ継続してキシリトール(商品名:キシリット)、肝庇護薬グリチルリチン・グリシン・システイン(同:ケベラS)、ビタミン複合剤(同:ネオラミン3B)、ビタミンB12などの点滴とフルスルチアミン(同:アリナミンF)、血糖降下薬ゴンダフォン®、ビタミンB12(同:メチコバール、バンコミン)などの投薬を続ける。食事指導(お酒飲んだら命ないで)や生活指導を実施。ただし、肝細胞がんと診断されるまでのカルテには、検査指示および処方の記載のみで、診察内容(腹水の有無、肝臓触知の結果など)の記載はほとんどなく、1982年9月6日から1986年2月19日までの3年5ヵ月にわたって腹部超音波、腹部CT、肝シンチなどの検査は1回も実施せず。1982年~1984年肝機能検査(GOT、GPT、γ-GTP)、AFP測定を不定期に行う。1984年9月4日AFP(-):異常高値となるまでの最終検査。1985年 高血糖(379-473)、貧血(Hb 10.5)がみられたが、特段治療せず。1986年2月15日γ-GTP 414と高値を示したため、肝細胞がんをはじめて疑う。2月19日1年5ヵ月ぶりで行ったAFP測定にて638と異常高値のため、総合病院にCT撮影を依頼。腹水があり、肝左葉はほぼ全体が肝細胞がんに置き変わっていた。門脈左枝から本幹に腫瘍血栓があり、予後は非常に不良であるとの所見であった。2月21日家族に対し、「肝細胞がんに罹患しており、長くもっても7ヵ月、早ければ3ヵ月の余命である」ことを告知し、同日以降、抗がん剤であるリフリール®やウロキナーゼを点滴で投与した。2月25日当該診療所を離れ総合病院に入院し、肝細胞がんの治療を受けた。5月17日肝硬変症を原因とする肝細胞がんにより死亡。当事者の主張患者側(原告)の主張1.早期発見義務違反1982年9月6日から肝硬変の診断のもとに通院を再開し、肝細胞がん併発の危険性が大きかったのに、1986年2月まで長期間検査をしなかった2.説明義務違反1986年に手遅れとなるまで、肝臓の障害について説明せず、適切な治療を受ける機会を喪失させた3.全身状態管理義務違反1985年中の出血を疑わせる兆候や高血糖状態があったのに、これらを看過したこのような義務違反がなければ、死亡することはなかったか、仮に死を免れなかったとしても少なくとも5年間の延命の可能性があった。病院側(被告)の主張過重な仕事と不規則な生活を続け、入院勧告にも応じなかったことが問題である。1985年中に肝細胞がんを発見できたとしても、もはや切除は不可能であったから、死亡は不可避であった。裁判所の判断説明義務違反医師は肝硬変に罹患していたことを説明し、安静を指示していたことが認められるため、その違反はないとした。全身状態管理違反血糖値の変化は生活の乱れによる可能性も高く、必ずしも投薬によって対処しなければならない状況にあったか否かは明らかではないし、出血の点についても、肝硬変の悪化にどのような影響を与えたのか不明であるため、その違反があるとは認められない。早期発見義務肝硬変があり肝細胞がんに移行する可能性の高い症例では、平均的開業医として6ヵ月に1回程度は肝機能検査、AFP検査、腹部超音波検査を実施するべきであったのに、これを怠った早期発見義務違反がある。しかし、肝細胞がんが半年早く発見され、その時点でとりうる治療手段が講じられたとしても、生存可能期間は1~2年程度であったため、医師が検査を怠ったことと死亡との間には因果関係はない。つまり、検査義務違反がなく早期に肝細胞がんに対する治療が実施されていれば、実際の死期よりもさらに相当期間、生命を保持し得たものと推認することができるため、延命利益が侵害されたと判断された。1,000万円の請求に対し、240万円の支払命令考察今回のケースでは、12年以上にわたってある開業医のところへ定期的に通院していた患者さんが、必要な検査が行われず肝細胞がんの発見が遅れたために、「延命利益を侵害された」と判断されました。今までの裁判では、医師の注意義務違反と患者との死亡との因果関係があるような場合に損害賠償(医療過誤)として支払いが命じられていましたが、最近になって、死亡に対して明確に因果関係がないと判断されても、医師の注意義務違反が原因で延命が侵害されたことを理由として、慰謝料という形で医師に支払いを命じるケースが増加しています。本件でも、「平均的開業医」として当然行うべき種々の検査を実施しなかったことによって、肝細胞がんの発見が遅れたことは認めたものの、肝細胞がんという病気の性質上、根治は難しいと判断され、たとえきちんと検査を実施していても死亡は避けられなかったと判断しています。つまり、適切な時期に適切な検査を定期的に実施し、患者の容態を把握しているかという点が問題視されました。肝細胞がんは年々増加してきており、臓器別死亡数でみると男性で第3位、女性で第4位となっています。なかでも肝細胞がんの約93%が肝炎ウイルス(HCV抗体陽性、HBs抗原陽性)を成因としています。また、原発性肝がんの剖検例611例中、84%が肝硬変症を合併していたという報告もあり、肝硬変患者を外来で経過観察する時には、肝細胞がんの発症を常に念頭におきながら、診察、検査を進めなくてはいけません。消化器

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糖尿病患者への服薬リマインダーシステム、その効果は?

 ショート・メッセージ・サービス(SMS)を利用した経口糖尿病治療薬のアドヒアランス改善について、オランダ健康サービス研究所(NIVEL)のM Vervloet氏らが調査を行った。その結果、SMSリマインダーによって通知を受けた患者群のアドヒアランスは、短期・長期的な調査結果とも有意に向上していた。Diabetic Medicine誌オンライン版2014年3月19日号掲載。 Vervloet氏らはアドヒアランスがよいとはいえない2型糖尿病患者161例を、SMS群、非SMS群、コントロール群に振り分け、ランダム化比較試験を行った。6ヵ月間、SMS群(n=56)をモニタリングし、服薬を忘れた場合にSMSのリマインダーを受けさせた。また非SMS群(n=48)はモニタリングのみを行い、コントロール群(n=57)は、何の介入もしなかった。主要評価項目は、経口糖尿病治療薬のアドヒアランス向上であり、それぞれの群を1年および2年間追跡し、マルチレベル回帰分析によってアドヒアランスにおけるSMSの介入効果を調べた。 主な結果は以下のとおり。・ベースライン時では、どの群も同等のアドヒアランスであった。・1年後、SMS群のアドヒアランスは、コントロール群に比べ有意に高く(79.5% vs 64.5%、p<0.001)、ベースライン時からの有意な改善が認められた(+16.3%、p<0.001)。・非SMS群の平均アドヒアランスは73.1%に達したが(+7.3%、p<0.05)、コントロール群との有意差はなかった(p=0.06)。・2年後、SMS群のアドヒアランスは持続しており、コントロール群よりも有意に高いままであった(80.4% vs 68.4%、p<0.01)。対して非SMS群のアドヒアランスはベースライン時の値に戻ってしまった(65.5%)。 今回の結果により、SMSリマインダーの活用は、一時的ではなく長期的なアドヒアランスの向上に役立つことが示された。この新しい服薬リマインダーシステムは、糖尿病を持つ人々の自己管理を強化することができるとVervloet氏らは結論付けている。

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インクレチン関連薬、膵炎リスクを増大しない/BMJ

 中国・四川大学のLing Li氏らが行ったメタ解析(60試験、被験者総数約35万例)の結果、インクレチン関連薬を服用している2型糖尿病患者における膵炎の発生率は低く、同薬は膵炎リスクを増大しないことが明らかにされた。これまで、インクレチン関連薬を服用する2型糖尿病患者の急性膵炎症例が数多く報告されているが、試験によって所見はさまざまだった。BMJ誌オンライン版2014年4月15日号掲載の報告より。55件の無作為化試験の結果、インクレチン関連薬による膵炎リスク増大はなし 研究グループは、インクレチン関連薬と膵炎リスクとの関連を明らかにするため、2型糖尿病の成人を対象に、グルカゴン様ペプチド-1(GLP-1)受容体作動薬またはジペプチジルペプチダーゼ4(DPP-4)阻害薬について行った、無作為・非無作為化比較試験、前向き・後ろ向きコホート試験、ケースコントロール試験について、システマティックレビューを行い、メタ解析を行った。 分析に組み込まれたのは60試験、被験者総数は35万3,639例だった。そのうち、無作為化試験は55件、観察試験は5件だった。 無作為化試験を基にした要約推定量では、インクレチン関連薬による膵炎リスクの増大は認められなかった(オッズ比:1.11、95%信頼区間:0.57~2.17)。1件のケースコントロール試験でエキセナチド・シタグリプチンによる膵炎リスクが2.1倍 インクレチン関連薬を種類別に検討しても、GLP-1受容体作動薬のコントロール群に対する膵炎発症に関するオッズ比は1.05(同:0.37~2.94)、DPP-4阻害薬の同オッズ比は1.06(同:0.46~2.45)と、いずれにおいても有意差はなかった。 また3件の後ろ向きコホート試験と1件のケースコントロール試験において、エキセナチド(商品名:バイエッタ、ビデュリオン)またはシタグリプチン(同:ジャヌビア、グラクティブ)による膵炎リスクの増加は認められなかった。 一方、もう1件のケースコントロール試験(ケース被験者数、対照被験者数ともに1,269例)では、エキセナチドまたはシタグリプチンの2年以内服用と急性膵炎リスク増大の有意な関連がみられた(補正後オッズ比:2.07、同:1.36~3.13)。 著者は今回の結果について「入手可能なエビデンスとしては、インクレチン関連薬服用患者における膵炎の発生率は低く、同薬は膵炎リスクを増大しないことが示された。しかし、現状のエビデンスは決定的なものではない。リスク増大の有無について根拠となる、より厳密にデザインされ実行された観察試験が求められる」とまとめている。

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高血圧治療ガイドライン2014(JSH2014) ~改訂のポイント~

欧州、米国でも改訂が相次ぐ中、2014年4月1日、遂に日本の『高血圧治療ガイドライン2014(JSH2014)』が公表されました。今回のライブセミナーでは、作成委員長の島本和明先生が、改訂の重要なポイントをわかりやすく解説します。本動画は、4月8日に実施されたライブ講演会のアーカイブ配信です。ご期待ください。1.ガイドラインの作成方針2.家庭血圧評価と降圧目標3.第一選択薬と併用4.脳・心・腎合併高血圧5.糖尿病合併高血圧6.高齢者・女性の高血圧7.質疑応答(1)8.質疑応答(2)9.質疑応答(3)

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糖尿病合併症、20年間で発生率が大幅に低下:米国/NEJM

 1990~2010年の20年間の糖尿病合併症について調べた結果、発生率が大幅に低下したことが明らかにされた。米国疾病管理予防センター(CDC)のEdward W. Gregg氏らによる報告で、最も低下が大きかったのは急性心筋梗塞で約7割、高血糖緊急症による死亡は6割強減少し、脳卒中、下肢切断もほぼ半減していた。しかし、一方で糖尿病の有病率は上昇を続けているため、著者は「糖尿病の疾病負担は大きいままである」と指摘している。NEJM誌2014年4月17日号掲載の報告より。米国調査データで、1990年と2010年の5つの合併症を比較 ここ数十年で糖尿病の予防ケアは大きく改善されている。著者らはその影響を調べるため、1990~2010年の糖尿病関連の合併症の発生率の傾向を分析した。 分析には、全米健康インタビュー調査、全米退院調査、米国腎臓データシステム、米国人口動態統計からのデータを用いた。2000年時点の米国人口で標準化した年齢で、1990年と2010年との下肢切断、末期腎不全(ESRD)、急性心筋梗塞、脳卒中、高血糖緊急症による死亡に関する発生を比較検討した。急性心筋梗塞の発生率は-67.8%、糖尿病患者 20年間で、検討した5項目すべての発生率が低下していた。最も大きく低下していたのは、急性心筋梗塞-67.8%(95%信頼区間[CI]:-76.2~-59.3%)で、高血糖緊急症による死亡が-64.4%(同:-68.0~-60.9%)、そして脳卒中-52.7%(同:-64.4~-40.9%)、下肢切断-51.4%(同:-68.2~-34.5%)と続いた。発生率の低下が最も小さかったのはESRDで-28.3%(同:-34.6~-21.6%)だった。 発生率の低下は、非糖尿病成人よりも糖尿病成人で大きかった(例:20年間の非糖尿病成人の急性心筋梗塞発生率の低下は-31.2%、脳卒中は-5.5%など)。そのため、糖尿病成人の非糖尿病成人に対する糖尿病関連の相対リスクは縮小していた。たとえば、急性心筋梗塞の1990年における両者間の相対リスクは3.8であったが、2010年には1.8となっていた。 全体集団でみると、有病率の変化が合併症の発生率に影響していることがみてとれた。急性心筋梗塞の発生率(1万人当たり-2.7例)、高血糖緊急症による死亡率(同-0.07例)は低下していたが、下肢切断(同-0.01例)、脳卒中(同0.3例)、ESRD(同1.0例)の発生率は低下していなかった。

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35)妊娠糖尿病の診断基準の覚え方【糖尿病患者指導画集】

患者さん用説明のポイント(医療スタッフ向け)■自院の医療スタッフとの会話スタッフ妊娠糖尿病の診断基準が変わったんですよね。医師そうです。診断基準をきちんと覚えておいてくださいね。スタッフはい。どんな診断基準ですか?医師空腹時が92、1時間値が180、2時間値が153をどこか1点でも超えると妊娠糖尿病と診断されます。スタッフ数字が細かくて、覚えられそうにありません。医師いい語呂合わせがありますよ。スタッフどんな語呂合わせですか?医師「急に(92)血糖が高いといわれても、いいや(180)と放っておくと、いいこ(153)はさずかりませんよ!」というのはいかがでしょう。スタッフわかりました。頑張って妊娠糖尿病について勉強してみます。●ポイント語呂合わせで、妊娠糖尿病の診断基準が覚えやすくなります●資料妊娠糖尿病の定義および診断基準(日本糖尿病・妊娠学会 妊娠糖尿病診断基準検討委員会)妊娠糖尿病(GDM): 妊娠中にはじめて発見または発症した糖尿病にいたっていない糖代謝異常である。あきらかな糖尿病は含めない。妊娠糖尿病の診断基準: 妊娠中に発見される耐糖能異常hyperglycemic disorders in pregnancyには、75gOGTTにおいて次の基準の1点以上を満たした場合に診断する。1.空腹時血糖値 ≧92mg/dL(5.1mmol/l)2.1時間値 ≧180mg/dL(10.0mmol/l)3.2時間値 ≧153mg/dL(8.5mmol/l)

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1分でわかる家庭医療のパール ~翻訳プロジェクトより 第7回

第7回:末梢閉塞性動脈疾患:疑わしければABIを、治療は薬だけでなく運動も 欧米では末梢閉塞性動脈疾患 PAD(peripheral arterial disease)と閉塞性動脈硬化症 ASO(arteriosclerosis obliterans)とはほぼ同義とされますが、日本ではPAD=ASO+閉塞性血栓血管炎TAO(Thromboangiitis obliterans)として区別されてきました。その理由は、江戸時代以降1970年代頃まで日本では、TAOが慢性閉塞性動脈疾患の中心を占めていたためです。最近は高齢社会や食生活を含めた生活様式の変化を背景に、TAOが減少しASOが急増して、慢性動脈閉塞症の95%以上を占めるようになり、日本でもPADという表現をASOとほぼ同義に用いることが多くなりました。ASOは無症候性を含め50~80万人/1.3億(3/1000~5/1000)の患者数と推測され、決して少なくありません1)。 PADとは何か、アウトカムは何か、プライマリ・ケアではどのような状況で疑うか、疑ったとき何をするのか、診断後のケアとしてどのような方法があるかを知ることでケアの幅が広がるかもしれません。 以下、本文 American Family Physician 2013年9月1日号2)よりPAD(末梢閉塞性動脈疾患)1.概要PAD(末梢閉塞性動脈疾患)は大動脈弓以遠の狭小化に至る、動脈硬化性疾患である。重度の全身性動脈硬化を反映し、心血管リスク推定時には冠血管疾患と同等に考えるべき疾患である。間欠性跛行(最もよくある症状で、全患者の10%)・四肢虚血・心血管イベント、それによる死亡を引き起こす。2.診断PADリスクは糖尿病・喫煙のほかに、高血圧・脂質異常症・腎不全がある。複数のリスクまたは間欠性跛行がある患者で、病歴と身体所見は診断に有用である。間欠性跛行は脊柱管狭窄症、末梢神経障害、筋骨格疾患、外傷、深部静脈血栓症と鑑別しなければならない。PADの身体所見には皮膚冷感、四肢遠位脈拍触知不良、腸骨/大腿/膝窩動脈雑音聴取、毛細血管再充満時間の延長、非治癒性創傷、光沢のある皮膚、罹患部の無毛、挙上時の四肢蒼白がある。プライマリ・ケアでの診断においてABI(足関節上腕血圧比) は安価で性能のいい検査(感度 90%、特異度 98%)である。ABIで0.9以下の場合(正常範囲 1.0~1.4)、末梢閉塞性動脈疾患を疑う。MRIやCT血管造影検査は手術を検討するときに検討される。ルーチンのスクリーニングが心血管イベントや全死亡を減らすエビデンスがないことから、USPSTF(米国予防医療サービス専門作業部会)はI statement(エビデンスが欠如している、質が悪い、矛盾するエビデンスがある等の理由で、予防方法のメリットと害のバランスを決めるにはエビデンスが不足していると結論づけられる)にとどめている。しかし、ある高リスクの患者群には有用である可能性がある。米国糖尿病協会は50歳以上のすべての糖尿病患者と50歳未満の高リスク患者がスクリーニングされるべきとしている。3.治療治療は運動と薬物療法である。運動療法は、監督下の運動で歩行距離と時間を延ばす(ほとんどの研究で下肢の体操もしくはトレッドミル歩行で30分を2~3回/週)。薬物療法ではスタチンをLDL 100未満として投与すべき(CHD-equivalent)である。症候性のときには抗血小板薬は心筋梗塞や脳卒中や血管死を減らすため、アスピリンやクロピドレル等の処方が推奨される。ACEIに関してはラミプリルが機能障害治療において有用かもしれないが、咳嗽等で使用できないときに他のACEIへの切り替えでも有用かは、さらなる研究が必要である。外科コンサルトは、運動や薬物療法でも生活を制限するような間欠性跛行が改善しないときに行う。重篤な四肢虚血があるときは緊急コンサルテーションが必要である。※本内容は、プライマリ・ケアに関わる筆者の個人的な見解が含まれており、詳細に関しては原著を参照されることを推奨いたします。 1) 日本循環器学会ほか.末梢閉塞性動脈疾患治療ガイドライン 2) Duane R, et al. Am Fam Physician. 2013;88:306-310.

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34)食品交換表が覚えられない人へのアドバイス 単位配分編【糖尿病患者指導画集】

患者さん用説明のポイント(医療スタッフ向け)■診察室での会話患者1,600kcalの食品分類がなかなか覚えられなくて…医師それなら、いい語呂合わせがありますよ!患者どんな語呂合わせですか?医師1単位は80kcal、糖尿病は長寿食、80代まで元気で長生きと覚えるといいですね。そして、1,600kcalは、いろ(1,600kcal)んなことがあったけど。患者いいですね。医師表1(穀類)は9単位、表2(果物)が1単位なので、悔い(9単位、1単位)を残さず。患者「悔いを残さず」ですね。医師表3(主菜)は5単位、表4(乳製品)は1.5単位なので、こういこう(5単位、1.5単位)。表5(油)が1.5単位、表6(野菜)が1.2単位なので、「以後はいい日に」(1.5単位、1.2単位)患者「こう行こう!以後はいい日に」ですね。最後の調味料は?医師0.8単位なので、「丸くおさまればハッピー」ではどうですか。患者それなら私にも覚えられそうです。●ポイント語呂合わせで、1,600kcalの単位配分が覚えやすくなります

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「適正使用を」-SGLT2阻害薬への想い-

 2014年4月17日、2型糖尿病治療薬のイプラグリフロジン(商品名:スーグラ錠25mg、同50mg)が発売された。イプラグリフロジンは日本初の選択的SGLT2阻害薬であり、糖尿病診療医からの注目も高い。そこで今回、アステラス製薬株式会社 本社担当者に話を聞いた。【SGLT2阻害薬への期待-低血糖リスク軽減と体重管理-】 2型糖尿病の治療は血糖管理を取り巻く諸問題に悩まされてきた。具体的には低血糖、体重増加などである。2014年、新たに登場した選択的SGLT2阻害薬イプラグリフロジンは、原尿からのグルコース再吸収に関わるSGLT2を選択的に阻害することで、余分なグルコースを尿から排泄させ血糖値を下げる。この作用はインスリン非依存的で、作用機序から低血糖が発現しにくいと考えられている。また、体重低下も期待されている。つまり「低血糖リスクの軽減」「体重コントロール」につながる薬といえる。【高齢者、女性、痩せ型、罹病期間の長い症例は注意】 しかし、新規作用機序の薬ゆえに安全性については慎重な判断が求められる。選択的SGLT2阻害薬全般にいえることだが、特に、浸透圧利尿による脱水、尿路・性器感染症、尿中ケトン体上昇には注意が必要である。この場を借りて、あらためて各項目について注意喚起をしたい。 「脱水」:高齢者、脳卒中リスク症例は避けるべきであり、とくに高齢者は脱水症状に気づきにくいことが考えられる。脱水を予防する為には、適度な水分摂取が必要となる。 「尿路・性器感染症」:日本国内での報告は海外よりも少ないものの、性器感染症はとくに女性で報告が多い。症状としてはかゆみやおりものがあるが、患者さん自ら訴え出るには抵抗感があるだろう。製薬会社提供の指導箋などをご活用いただくことで、患者さんの話しやすい環境作りの手助けになればと考えている。 「尿中ケトン体上昇」:インスリン分泌能が低下している場合、尿中ケトン体が上昇しやすい。インスリン分泌能が少ないと考えられる症例、たとえば、罹病期間が長い人や高用量のSU薬をすでに服用している人は注意が必要となる。 まとめると、高齢者、脳卒中リスク例、女性、痩せている方、罹病期間が長いなどインスリン分泌能が低下している方では注意が必要となる。【SGLT2阻害薬の投与を考慮すべき患者像は若く、太った患者】 以上のことを踏まえると、イプラグリフロジンの投与を考慮すべき患者像は若く、太っていて、罹病期間の短い方が望ましいといえる。太っている目安としては、いわゆるBMI 25以上の肥満傾向の患者が挙げられる。また、ベースラインの血糖値が高い方が効果を発揮しやすいとのデータから、投与前のHbA1c値が高い症例、具体的数値としては7.0%以上の場合、効果を発揮しやすいのではないかと考えている。【イプラグリフロジンは日本国内データと症例数が豊富】 イプラグリフロジンの血糖降下作用についても補足する。国内第III相試験の結果で、HbA1c変化量がイプラグリフロジン50mg投与でプラセボとの差が-1.24%と報告されており、優れた血糖降下作用が期待される。新薬ではあるが日本の治験データが多く、症例数が多いことが本剤の特徴である。ほかの経口血糖降下薬との併用試験についても二重盲検比較試験で実施した試験が多い。SU薬、BG薬、チアゾリジン薬の併用に関する3試験はいずれも二重盲検比較試験で実施されており、データのクオリティが高い。【SGLT2阻害薬は長期的に評価していただきたい】 現在、種々の選択的SGLT2阻害薬が登場し、各社が選択性、生物学的半減期、服薬コンプライアンスなどさまざまなメッセージを打ち出している。しかし、イプラグリフロジンも含め、いずれも臨床での使用はこれからであり、まずは適正使用を推進していきたいと考えている。乱暴な話だが、たとえば、80歳の痩せた女性や脳卒中のリスク症例への投与による予期せぬ副作用などが出てしまうことは新薬として望ましくない。だからこそ、SGLT2阻害薬のメリットが享受できる症例を選んでいただき、適正に判断をしていただけたらと願っている。また、使い方はさまざまだが、新患、既存薬への追加が望ましいと個人的には考えている。切り替えの場合、前薬のメリットがなくなる可能性がある。まずは、前述したような症例像へ、新規や追加といった形での処方を通じて、先生方の眼で「SGLT2阻害薬」という薬を評価いただきたいと考えている。【取材後記】 今回、印象深かったのは、アステラス製薬本社担当者の「SGLT2阻害薬の適正使用」を望む真摯な姿勢であった。新薬取材では得てして自社品のPRポイントを中心に語られることが多い。むろん、薬剤情報は重要だ。しかし、それ以上に適正な情報提供こそが製薬会社の責務であろう。安全性の部分へのコメントが多かった点に、命に関わる医薬品を販売する側としての正しい姿勢を感じた。今後、SGLT2 阻害薬の適正使用が進むことを期待している。

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人種による褐色脂肪細胞量の違いが糖尿病発症に関与

 南アジア人は白人に比べ2型糖尿病になるリスクが高いことが知られている。こうしたことから、オランダ・ライデン大学医療センターのLeontine E H Bakker氏らは、褐色脂肪細胞※(BAT)の量と活動を評価し、人種間での2型糖尿病の発生の違いについて調査した。その結果、褐色脂肪細胞量が少なく、基礎代謝の低い南アジア人のほうが2型糖尿病になるリスクが高いということが示された。The Lancet Diabetes & Endocrinology誌2014 年3月号(オンライン版2013年11月12日号)の掲載報告。※褐色脂肪細胞(BAT):脂肪酸を燃焼させることによるエネルギー代謝や、グルコースによる熱生産の役割があるとされる。 研究グループは南アジア人を祖先に持つオランダ人(南アジア人)と、白人について調査を行った。被験者は18~28 歳の肥満でない健常者で、みな同等のBMIであった。PETスキャンを用いBAT量とその活動を測定し、また安静時エネルギー消費量、非ふるえ熱産生、血清パラメータを評価した。2013年3月からの3ヵ月間に、南アジア人12人および白人11人について調査を行った。 主な結果は以下のとおり。・常温時の安静時エネルギー消費量は、南アジア人は1日当たり1,297±123(平均±標準偏差)kcal、白人は1日当たり1,689±193 kcalとなり、南アジア人は白人に比べ32%低かった(p=0.0008)。・寒冷曝露に対して、南アジア人患者のふるえ温度は2.0℃で白人患者よりも高かった。(p =0.0067)。また非ふるえ熱産生においては、白人で20%(p<0.0001)増加したが、南アジア人では増加はみられなかった。・BAT量の平均と最大値それぞれに群間差は認められなかったが、総BAT量は、南アジア人が188±81(平均±標準偏差)mL、白人が287±169 mLであり、南アジア人のほうが34%低かった(p=0.04)。・全体的にBAT量は、評価できたすべての個人における基礎安静時エネルギー消費量(β=0.44、p=0.04)と正の相関を示した。 研究グループは、「南アジア人患者の低い安静時のエネルギー消費、非ふるえ熱産生、BAT量は、2型糖尿病や肥満といった代謝障害に対する高い罹病性の基礎となっている可能性があり、BAT量や活性の増加方法の確立はこれらの障害を予防し治療に役立つだろう」と述べている。

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ACC/AHA開発の心血管疾患リスク予測式の予測能は高い/JAMA

 米国心臓病学会・米国心臓協会(ACC/AHA)が開発したアテローム性心血管疾患(CVD)リスク予測式について、CVDや糖尿病の既往がなくLDL-C値が70~189mg/dLの白人や黒人を含む1万例超の大規模コホートに当てはめて検証した結果、同式による予測値と、実際の発生率は近似値で予測能は高いことが示された。米国・アラバマ大学のPaul Muntner氏らが報告した。JAMA誌2014年3月29日号掲載の報告より。CVDや糖尿病歴なし、LDL-C値が70~189mg/dLの1万例超について分析 研究グループは、2003年~2007年に、Reasons for Geographic and Racial Differences in Stroke(REGARDS)試験に参加した45~79歳について、2010年12月まで追跡調査を行った。そのうち、臨床的アテローム性CVDや糖尿病歴がなく、LDL-C値が70~189mg/dLでスタチンを服用していない1万997例を対象に、ACC/AHAのアテローム性CVDリスク予測式の適合性について分析した。 さらに被験者の中で、メディケア加入者(3,333例)については、メディケアの保険請求データに基づく分析も行った。5年CVDの発生予測値と実測値は近似 追跡期間中に発生したアテローム性CVDイベント数は338件(冠動脈疾患192件、脳卒中146件)だった。 ACC/AHAのリスク予測式で、10年アテローム性CVDリスクが5%未満の群では、5年アテローム性CVDイベントについて、発生予測値1.9/1,000人年に対し、実際の発生率も1.9(95%信頼区間[CI]:1.3~2.7)/1,000人年だった。 同じく5~7.5%未満群では、発生予測値4.8/1,000人年に対し、実際の発生率も4.8(95%CI:3.4~6.7)/1,000人年。同7.5~10%未満群では、それぞれ6.9/1,000人年、6.1(同:4.4~8.6)/1,000人年。同10%以上群では、それぞれ15.1/1,000人年、12.0(同:10.6~13.6)/1,000人年だった。C統計値は0.72だった。 メディケア加入者についての分析では、追跡期間中に発生したアテローム性CVDイベント数は234件だった。また、同予測式で10年アテローム性CVDリスクが7.5%未満の群では、5年同イベント予測値は4.0/1,000人年、実際の発生率は5.3(同:2.8~10.1)で、C統計値は0.67だった。

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米国の高血圧ガイドライン(JNC8)のインパクト/JAMA

 米国合同委員会(Joint National Committee:JNC)の第8次報告として新たに発表された高血圧ガイドラインにより、成人の降圧治療対象者が減少し、目標血圧達成者の割合が増大することが判明した。この影響はとくに高齢者で大きいという。米国・デューク大学医療センターのAnn Marie Navar-Boggan氏らが報告した。高血圧ガイドラインでは、60歳以上の血圧目標値を従来の140/90mmHg未満から150/90mmHg未満へと引き上げることが、また糖尿病あるいは慢性腎臓病(CKD)を有する患者についても130/80mmHg未満から140/90mmHgへと変更することが盛り込まれた。これら変更の影響について研究グループは、全米健康栄養調査(NHANES)のデータを使って検討した。JAMA誌2014年4月9日号掲載の報告より。NHANES参加者1万6,372例分のデータを用いて調査 検討に用いたのは2005~2010年のNHANES調査に参加した1万6,372例分のデータだった。 高血圧ガイドライン下、およびJNC7ガイドライン(高血圧予防・検出・評価治療ガイドライン)下での降圧治療対象者(それぞれのガイドラインで推奨されている目標値以上の血圧値の人)の割合を推定し評価した。18~59歳では1.6%が、60歳以上では27.6%が降圧治療の対象外に 結果、より若い成人(18~59歳)における降圧治療対象者は、JNC7ガイドライン下では20.3%(95%信頼区間[CI]:19.1~21.4%)だったのに対し、高血圧ガイドライン下では19.2%(同:18.1~20.4%)に減少した。 同様の減少は、高齢者(60歳以上)ではより大きく、68.9%(同:66.9~70.8%)から61.2%(同:59.3~63.0%)に減少した。 ガイドラインで示された血圧目標値をクリアしている人の割合は、より若い成人では41.2%(同:38.1~44.3%)から47.5%(同:44.4~50.6%)へと増大はわずかであったが、高齢者では40.0%(同:37.8~42.3)から65.8%(同:63.7~67.9%)へと大きく増大することが判明した。 全体的にJNC7下では、18~59歳では1.6%が、60歳以上では27.6%が降圧治療を受けてより厳しい目標値を達成していたことが示され、これらの患者は、高血圧ガイドラインでは降圧治療対象者とはならないことが示唆された。

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