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MSI-H固形がんへのペムブロリズマブ、日本人サブ解析結果(KEYNOTE-158)/癌治療学会

 マイクロサテライト不安定性の高い(MSI-H)固形がんの日本人症例に対するペムブロリズマブの有用性が示された。MSI-H固形がん(大腸がん以外)を対象としたペムブロリズマブの第II相試験(KEYNOTE-158)における日本人7例でのサブグループ解析結果について、近畿大学の中川 和彦氏が10月18~20日に横浜市で開催された第56回日本癌治療学会学術集会で発表した。 本試験は、大腸がん以外の転移のあるもしくは切除不能のMSI-H固形がんが対象。進行もしくは標準的な1次治療に不耐容、かつECOG PS 0~1の患者がエントリーされた。ペムブロリズマブ200mgを3週ごとに最大2年間投与した。最初の1年間は9週ごとに、それ以降は12週ごとに画像診断を実施した。主要評価項目は奏効率(ORR)、副次評価項目は無増悪生存期間(PFS)、奏効期間(DOR)、全生存期間(OS)、安全性であった。 主な結果は以下のとおり。・登録症例は全体で94例(年齢中央値:64歳、24~87歳)、日本人は7例(同:66歳、44~82歳)であった。・2017年4月28日のデータカットオフ時点で、追跡期間中央値は全体集団で8.4ヵ月(1~15ヵ月)、日本人集団で6ヵ月(5~13ヵ月)と日本人集団で短かった。・PSは全体集団では0と1が半数ずつに対し、日本人集団では0が5例とPS良好例が多かった。また、日本人集団のほうが治療歴が少ない症例が多かった。・日本人の登録症例は、小腸がん、悪性中皮腫、子宮内膜がん、子宮頸がん、唾液腺がんが1例ずつ、胃がんが2例であった。・ORRは全体集団では37%(95%CI:28~48)、日本人集団では29%(同:4~71)。日本人ではPRが2例、SDが2例に認められた。病勢コントロール率は全体集団、日本人集団とも約60%であった。・日本人7例中5例で30%を超える腫瘍縮小効果が認められた。・PFS中央値は全体集団で5.4ヵ月(95%CI:3.7~10.0)に対し、日本人集団では4.2ヵ月(同:1.7~NR)、2例で12ヵ月を超える病勢コントロールが得られている。・OS中央値は全体集団、日本人集団とも13.4ヵ月であった。・治療期間中央値は全体集団で6ヵ月(0.03~14ヵ月)、日本人集団で7ヵ月(0~13ヵ月)であった。・治療関連有害事象の発生率は全体集団で62%、日本人集団で71%であった。Grade3以上では全体集団13%に対し、日本人集団で43%とやや高い傾向が認められたが、死亡症例は認められておらず、治療中止は1例のみであった。特徴的な有害事象として、肝機能障害と思われる症例が3例(Grade3/4:ALP増加1例、γ-GTP増加2例)認められた。・免疫関連有害事象は、日本人7例中3例で認められた。1例にGrade3の1型糖尿病が認められたが、血糖コントロールをしながら現在も治療継続中。■「MSI-H」関連記事 いよいよ臨床へ、がん種を問わないMSI-H固形がんをどう診断し、治療していくか

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尿酸値上昇、食事の影響はわずか/BMJ

 一般集団において血清尿酸値の変化は、遺伝的寄与とは対照的に食事の寄与はわずかであることが明らかにされた。ニュージーランド・オタゴ大学のTanya J. Major氏らによる住民ベースコホート研究のメタ解析の結果で、BMJ誌2018年10月10日号で発表された。血清尿酸値は、遺伝的暴露と特定の食品などを含む環境的曝露による影響を受けることが知られている。血清尿酸値と食事内容の関係を統計的に検証 研究グループは、血清尿酸値と食事内容の関係を統計的に検証し、血清尿酸値の集団における変動に対する食事パターンおよび遺伝的変異の相対的な推定寄与を評価した。検討には、米国の断面調査データ(5つのコホート試験)を用いてメタ解析を行った。 解析に包含されたのは、ヨーロッパ系米国人1万6,760例(男性8,414例、女性8,346例)。腎疾患や痛風を有しておらず、尿酸降下薬や利尿薬を服用していない18歳以上を適格とした。全被験者は、血清尿酸測定値、食事調査データ、交絡因子情報(性別、年齢、BMI、平均1日摂取カロリー、教育を受けた年数、運動レベル、喫煙状態、更年期の状態)、ゲノムワイド遺伝子型の情報を有していた。 主要評価項目は、平均血清尿酸値と血清尿酸値の変動で、多変量線形回帰分析からのβ値(95%信頼区間[CI])とボンフェローニ補正p値を、各回帰分析で求めた食品が寄与する部分的R2値とともに用いて、関連性を定量化した。食事は尿酸値上昇と関連するが、影響はわずか 7つの食品(ビール、リキュール、ワイン、ジャガイモ、鶏、清涼飲料水、肉[牛、豚、ラム])が、血清尿酸値上昇と関連していた。一方、8つの食品(卵、ピーナッツ、コールドシリアル、スキムミルク、チーズ、ブラウンブレッド、マーガリン、非柑橘系果物)が、血清尿酸値低下と関連していた。これらは、男性コホート、女性コホートあるいは全コホートにおいて認められた。 健康的な食事ガイドラインに基づいて構築された3つの食事スコア(DASH、Mediterranean、Healthy Eating)は血清尿酸値と逆の相関関係を示し、使用したデータセットの食事パターンに基づくデータドリブンスコアは、血清尿酸値の上昇と正の関連を示したが、いずれも血清尿酸値の変動は0.3%以下であった。対照的に、一般的にみられたゲノムワイド一塩基変異による血清尿酸値の変動は、23.9%であった。

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第4回 DICへのアンスロビンP500の査定/セロクエル錠処方に伴うHbA1c検査の査定/腫瘍マーカー検査の査定/C型慢性肝炎検査の査定【レセプト査定の回避術 】

事例13 DICへのアンスロビンP500処方の査定アンチトロンビンIII低下を伴うDICで乾燥濃縮人アンチトロンビンIII(商品名:アンスロビンP)500注射用3瓶を点滴静注した。●査定点アンスロビンP500注射用3瓶が査定された。解説を見る●解説アンスロビンP500注射用の添付文書に「アンチトロンビンIII低下を伴う汎発性血管内凝固症候群(DIC)→アンチトロンビンIIIが正常の70%以下に低下した場合は、通常成人に対し、ヘパリンの持続点滴静注のもとに、本剤1日1,500単位(又は30単位/kg)を投与する」と記載があります。アンチトロンビンIII検査が先月末に行われ、アンスロビンP500注射用投与時の月にはアンチトロンビンIII検査が施行されていませんでした。このケースでは、アンスロビンP500注射用投与時の月に症状詳記に「〇月〇日+検査数値」を記載することが必要でした。事例14 セロクエル錠処方に伴うHbA1c検査の査定統合失調症で、クエチアピン(商品名:セロクエル錠)を25mg 2T投与し、HbA1cの検査を請求した。●査定点HbA1c検査が査定された。解説を見る●解説セロクエル錠の添付文書の副作用に「著しい血糖値の上昇から、糖尿病性ケトアシドーシス、糖尿病性昏睡等の重大な副作用が発現し、死亡に至る場合があるので、本剤投与中は、血糖値の測定等の観察を十分に行うこと」と警告されているため、HbA1c検査を施行しました。しかし、その場合でも、「糖尿病の疑い」の病名がないと査定されます。ここでは処方のつど、病名を追記するよりも、症状詳記での記載が求められます。事例15 腫瘍マーカー検査の査定初診月の病名で胃潰瘍、胃がんの疑いでCEA、CA19-9の検査を請求した。●査定点CEA、CA19-9が査定された。解説を見る●解説「点数表の解釈」の腫瘍マーカーに、「診療及び腫瘍マーカー以外の検査の結果から悪性腫瘍の患者であることが強く疑われる者に対して、腫瘍マーカーの検査を行った場合に、1回に限り算定する」となっています。他の検査が施行されていない場合でCEA、CA19-9だけを請求すると査定の対象になります。また、他院からの紹介の場合では、「〇〇医療機関から〇月〇日に紹介された」と記載することが求められています。事例16 C型慢性肝炎検査の査定C型慢性肝炎でHCV核酸検出とHCV核酸定量の検査を請求した。●査定点HCV核酸定量が査定された。解説を見る●解説「点数表の解釈」の微生物核酸同定・定量検査に、「HCV核酸検出とHCV核酸定量を併せて実施した場合には、いずれか一方に限り算定する」と通知があるため、両検査の請求は認められません。

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高CVリスク肥満者の糖尿病発症をlorcaserinが抑制/Lancet

 選択的セロトニン2C受容体作動薬lorcaserinは、過体重・肥満の前糖尿病患者において糖尿病の予防効果を発揮するとともに、糖尿病患者では細小血管合併症を抑制することが、米国・ブリガム&ウィメンズ病院のErin A. Bohula氏らが行った「CAMELLIA-TIMI 61試験」で示された。研究の成果は、Lancet誌オンライン版2018年10月4日号に掲載された。lorcaserinは、プロオピオメラノコルチンの産生を、視床下部で活性化することで食欲を制御する。米国では、長期的な体重管理において、食事療法や運動療法の補助療法として承認されている。糖尿病、前糖尿病、正常血糖値に分け、プラセボと比較 本研究は、lorcaserinによる糖尿病の予防と寛解導入を評価する二重盲検プラセボ対照無作為化試験であり、8ヵ国473施設が参加した(Eisaiの助成による)。 対象は、アテローム動脈硬化性心血管疾患、または複数の心血管リスクを有する過体重・肥満(BMI≧27)の患者であった。アテローム動脈硬化性心血管疾患患者は40歳以上とし、複数のリスク因子(糖尿病と他の1つ以上の心血管リスク因子)を有する患者は、男性は50歳以上、女性は55歳以上とした。 被験者は、lorcaserin(10mg、1日2回)またはプラセボを投与する群に無作為に割り付けられた。全例が、強化行動療法から成る標準化された体重管理プログラムへの参加を推奨された。 代謝に関する有効性のエンドポイントは、ベースライン時に前糖尿病(HbA1c:≧39mmol/mol[5.7%]~<48mmol/mol[6.5%]または空腹時血漿グルコース:5.6~6.9mmol/L[100~125mg/dL])の患者における2型糖尿病の発症までの期間とした。有効性の副次アウトカムは、非糖尿病の集団における2型糖尿病の発症、前糖尿病患者における正常血糖値の達成、糖尿病患者におけるHbA1cの変化であった。 2014年2月~2015年11月の期間に1万2,000例が登録された。両群に6,000例ずつが割り付けられ、中央値で3.3年(IQR:3.0~3.5)のフォローアップが行われた。ベースラインの内訳は、糖尿病が6,816例(56.8%)、前糖尿病が3,991例(33.3%)、正常血糖値が1,193例(9.9%)などであった。6つの群の年齢中央値は62~64歳、女性が26.8~40.7%含まれた。体重が有意に減少、前糖尿病糖尿病リスクが19%低減 ベースラインの平均体重は、糖尿病患者が107.6kg(SD 21.3)、前糖尿病患者は101.8kg(19.2)、正常血糖値の集団は97.8kg(17.0)であった。1年時の体重は、糖尿病患者ではlorcaserin群がプラセボ群よりも2.6kg(95%信頼区間[CI]:2.3~2.9)減少し、前糖尿病患者では2.8kg(2.5~3.2)、正常血糖値の集団では3.3kg(2.6~4.0)減少した(いずれもp<0.0001)。 lorcaserin群はプラセボ群に比べ、前糖尿病患者における糖尿病リスクが19%有意に低減し(8.5 vs.10.3%、ハザード比[HR]:0.81、95%CI:0.66~0.99、p=0.038)、3年間で1件の糖尿病イベントの予防に要する治療必要数(NNT)は56件であった。同様に、非糖尿病患者の糖尿病リスクはlorcaserin群で23%低下した(6.7 vs.8.4%、0.77、0.63~0.94、p=0.012)。 lorcaserin群はプラセボ群に比し、前糖尿病患者における正常血糖値の達成率が高い傾向がみられたが、有意差は認めなかった(9.2 vs.7.6%、HR:1.20、0.97~1.49、p=0.093)。 HbA1cは、糖尿病患者ではベースラインの平均値の53mmol/mol(7.0%)から、lorcaserin群のほうがプラセボ群よりも有意に低下した(最小二乗平均の差:-0.33%、95%CI:-0.38~-0.29、p<0.0001)。前糖尿病患者(-0.09%、p<0.0001)、正常血糖値の集団(-0.08%、p<0.0001)においても、lorcaserin群で有意に改善した。 糖尿病患者における細小血管合併症(持続性微量アルブミン尿、糖尿病網膜症、糖尿病性神経障害の複合)の発症率は、lorcaserin群で21%有意に少なかった(10.1 vs.12.4%、HR:0.79、95%CI:0.69~0.92、p=0.0015)。 糖尿病患者では、重篤な合併症を伴う重症低血糖はまれであり、lorcaserin群で頻度が高い傾向がみられた(12件[0.4%]vs.4件[0.1%]、p=0.054)。 著者は、「これらの知見は、適度で継続的な体重減少は代謝に関する健康を改善する可能性があるとの見解を強化し、体重および代謝に関する健康の長期的管理の補助療法としてのlorcaserinの役割を支持するものである」としている。

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新診断基準による妊娠糖尿病(GDM)の診断は出産後の母親の糖代謝異常と関連する(解説:住谷哲氏)-932

 HAPO(Hyperglycemia and adverse pregnancy outcomes)研究の結果を受けてIADPSG (International Association of Diabetes and Pregnancy Study Groups)は妊娠糖尿病(GDM)診断基準を2010年に発表した1)。わが国においてもその発表を受けて、ただちに日本糖尿病学会、日本産科婦人科学会および日本糖尿病・妊娠学会がそれに基づいた診断基準を発表した。診断基準そのものは3学会で同一であったが微妙な文言の差異があったために現場に少なからぬ混乱を生じたが、2015年に統一見解が発表された2)。GDMの診断基準は「75gOGTTにおいて、(1)空腹時血糖値92mg/dL以上、(2)1時間値180mg/dL以上、(3)2時間値153mg/dL以上のいずれか1点を満たした場合」とされている(ただし妊娠中の明らかな糖尿病[overt diabetes in pregnancy]は除く)。 HAPO研究におけるprimary outcomesは児の出生時体重が90パーセンタイル以上、初回帝王切開率、新生児低血糖、臍帯血C-ペプチドが90パーセンタイル以上であったが、IADPSGでの協議を経てHAPOでのコントロール群(全例を7群に分けた際に最も血糖値の低いカテゴリー)と比較してprimary outcomesのオッズ比が1.75倍になる血糖値(92-180-153)がカットオフ値として採用された3)。このことからわかるように新診断基準は出生児の合併症の減少を目的として採択され、この基準によるGDMの診断が母親のその後の糖代謝異常とどのように関連するかは不明であった。 以前からGDMの母親が健常人と比較してその後に糖代謝異常を発症しやすいことは知られていた。本研究ではHAPO研究に参加した母児を対象として、GDMと診断された患者のその後の糖代謝異常(2型糖尿病および前糖尿病[prediabetes])および児の肥満(childhood adiposity)の発症を平均11.4年間にわたり追跡した。その結果、糖代謝異常の発症は非GDMに対してオッズ比[OR]:3.44(95%信頼区間[CI]:2.85~4.14)、リスク差:25.7%(95%CI:21.7~29.7)で有意に増加していた。児の肥満は母親の妊娠中のBMIに影響されるので、それで調整するとOR:1.21(95%CI:1.00~1.46)、リスク差は3.7%(95%CI:-0.16~7.5)で有意な増加は認められなかった。 日本産科婦人科学会の検討では、新診断基準採用により、わが国のGDM頻度は全妊婦に75gOGTTを実施した場合には、以前の診断基準による2.92%から12.08%へと4.1倍に急増するとされている4)。母児の周産期合併症を予防するために妊娠中の血糖管理を適切に実施することはもとより重要であるが、GDM妊婦はその後の糖代謝異常発症のハイリスクグループであることを再認識して診療する必要があるだろう。■参考1)HAPO Study Cooperative Research Group. N Engl J Med. 2008;358:1991-2002.2)平松祐司ほか. 糖尿病. 2015;58:801-803.3)International Association of Diabetes and Pregnancy Study Groups Consensus Panel. Diabetes Care. 2010;33:676-682.4)増本由美. 糖尿病と妊娠. 2010;10:88-91.

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1型DM、ハイブリッド人工膵臓vs.SAP療法/Lancet

 食事時のインスリンボーラス注入の必要性を除けば昼夜にわたり自動でインスリンを注入するハイブリッド・クローズドループ型インスリン注入システム(以下、ハイブリッド人工膵臓)は、既存のセンサー増強型インスリンポンプ(SAP)療法と比較して、6歳以上の幅広い年齢層にわたる1型糖尿病患者の血糖コントロールを改善し、低血糖リスクを低減することが明らかにされた。英国・ケンブリッジ大学代謝科学研究所のMartin Tauschmann氏らによる、国際多施設共同の非盲検無作為化試験の結果で、Lancet誌オンライン版2018年10月1日号で発表された。自由生活下で12週間介入、標的血糖範囲内の時間割合を評価 試験は、英国4病院と米国2施設の糖尿病外来クリニックで、インスリンポンプ療法を受けたが血糖コントロール不良(糖化ヘモグロビン[HbA1c]:7.5~10.0%)の6歳以上の1型糖尿病患者を集めて行われた。 被験者は無作為に2群に分けられ、1群はハイブリッド人工膵臓療法を、もう1群はSAP療法を、いずれも12週間にわたり自由生活下で受けた。なお、介入期間前に4週間の導入期間が設けられ、試験インスリンポンプと連続血糖モニタリングのトレーニングが行われた。 適格患者の無作為化は、中央の無作為化ソフトウェアを用いて実行されたが、両群とも割り付け治療の盲検化はされなかった。無作為化では、HbA1c低値(<8.5%)と高値(≧8.5%)の層別化も行われた。 主要評価項目は、無作為化後12週時点の標的血糖範囲内(3.9~10.0mmol/L)だった時間割合。主要評価項目と安全性評価項目の解析は、全無作為化患者を対象に行われた。ハイブリッド人工膵臓群65%、SAP療法群54%で有意差 2016年5月12日~2017年11月17日に114例がスクリーニングを受け、適格患者86例が、ハイブリッド人工膵臓療法(46例)またはSAP療法(40例、対照群)を受けるよう無作為に割り付けられた。被験者のうち22歳以上が44例、13~21歳が19例、6~12歳が23例であった。 標的血糖範囲内時間割合は、ハイブリッド人工膵臓群(65%、SD8)が、対照群(54%、SD9)と比べて有意に高率であった(ベースラインから12週時点までの変化の平均差:10.8ポイント、95%信頼区間[CI]:8.2~13.5、p<0.0001)。 HbA1cは、ハイブリッド人工膵臓群がスクリーニング時8.3%(SD 0.6)から、4週間の導入期間後は8.0%(0.6)、12週間の介入期間後は7.4%(0.6)に低下した。対照群は、8.2%(0.5)から7.8%(0.6)、7.7%(0.5)への低下で、HbA1cの低下は、ハイブリッド人工膵臓群が対照群と比べて有意に大きかった(変化の平均差:0.36%、95%CI:0.19~0.53、p<0.0001)。 血糖値が3.9mmol/L以下で推移した時間(変化の平均差:-0.83ポイント、95%CI:-1.40~-0.16、p=0.0013)、10.0mmol/L以上で推移した時間(同:-10.3ポイント、-13.2~-7.5、p<0.0001)は、いずれもハイブリッド人工膵臓群が対照群よりも有意に短時間であった。 センサー測定血糖値の変異係数については、介入間で有意差は認められなかった(変化の平均差:-0.4%、95%CI:-1.4~0.7、p=0.50)。同様に、投与されたインスリン1日総量(変化の平均差:0.031U/kg/日、95%CI:-0.005~0.067、p=0.09)と、体重(同:0.68kg、-0.34~1.69、p=0.19)についても両群間で有意な差はなかった。 重症低血糖症の発生はなかった。ハイブリッド人工膵臓群1例で、注入セットの不具合による糖尿病ケトアシドーシスが報告。また、重症高血糖症が両群2例ずつで、そのほかハイブリッド人工膵臓群13件、対照群3件の有害事象が報告された。

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潜在性甲状腺機能低下症へのホルモン療法、最新メタ解析結果/JAMA

 潜在性甲状腺機能低下症患者への甲状腺ホルモン療法の便益は不明とされる。スイス・ベルン大学病院のMartin Feller氏らは、成人患者において甲状腺ホルモン療法の有効性を検討し、一般的なQOLや甲状腺関連症状の改善効果はみられないことを示した。研究の成果は、JAMA誌2018年10月2日号に掲載された。潜在性甲状腺機能低下症は、甲状腺刺激ホルモン(TSH)高値と遊離サイロキシン(FT4)正常範囲内で定義され、とくに甲状腺機能低下症に起因する可能性がある症状(疲労感、便秘、原因不明の体重増加など)を伴う場合は、甲状腺ホルモン(レボチロキシン)による治療が行われることが多い。最近、2つの大規模臨床試験の結果が報告されたことから、これらを含めたメタ解析のアップデートが求められていた。プラセボ/無治療と比較した無作為化試験が対象 研究グループは、潜在性甲状腺機能低下症の成人患者において、甲状腺ホルモン療法とQOLおよび甲状腺関連症状との関連を評価するメタ解析を行った(スイス国立科学財団[SNSF]の助成による)。 2018年7月4日までに医学関連データベースに登録された文献を検索した。潜在性甲状腺機能低下症の妊娠していない成人患者において、甲状腺ホルモン療法をプラセボまたは無治療と比較した無作為化臨床試験の論文を対象とした。 主要アウトカムは、フォローアップ期間3ヵ月以上における一般的なQOLおよび甲状腺関連症状であった。各評価項目の臨床スコアの差を標準化平均差(SMD)に変換。SMDが正数の場合に、甲状腺ホルモン療法が便益をもたらしたことを示し、0.2を小さな効果、0.5を中等度の効果、0.8を大きな効果の基準とした。 日本の1件を含む21件の試験の論文(2,192例)が解析の対象となった。甲状腺ホルモン療法は、レボチロキシンが17件、サイロキシンが4件で使用され、対照群は、プラセボが18件、無治療が3件だった。倦怠感/疲労感、うつ症状、認知機能、血圧、BMIにも差はない 各試験の参加者数には20~737例の幅があり、平均年齢は32~74歳、女性の割合は46~100%、ベースラインの甲状腺刺激ホルモンの平均値は4.4~12.8mIU/Lの範囲であった。平均治療期間は3~18ヵ月だった。 甲状腺ホルモン療法群では、フォローアップ終了時の甲状腺刺激ホルモンの平均値は0.5~3.7mIU/Lであり、治療により正常化したのに対し、プラセボ/無治療群では、4.6~14.7mIU/Lと、高値の状態が続いていた。 これに対し、一般的QOLの評価(4試験、796例)では、甲状腺ホルモン療法群はプラセボ/無治療群に比べ便益を認めなかった(SMD:-0.11、95%信頼区間[CI]:-0.25~0.03、I2=66.7%)。また、甲状腺関連症状(4試験、858例)についても、甲状腺ホルモン療法群に統計学的に有意な便益はみられなかった(0.01、-0.12~0.14、0.0%)。 倦怠感/疲労感(1試験、638例、SMD:−0.01、95%CI:−0.16~0.15)、うつ症状(4試験、278例、-0.10、-0.34~0.13、I2=0.0%)、認知機能(4試験、859例、0.09、-0.05~0.22、14.7%)、収縮期血圧(8試験、1,372例、-0.7、-2.6~1.2、0.0%)、BMI(15試験、1,633例、0.2、-0.4~0.8、45.5%)のいずれにおいても、両群間に有意な差はなかった。 全般的に、試験のバイアスのリスクは低く、GRADE toolで評価した評価項目のエビデンスの質は中等度~高度と判定された。 著者は、「これらの知見は、潜在性甲状腺機能低下症の成人患者への甲状腺ホルモン療法のルーチンの使用を支持しない」としている。

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メディカル・アフェアーズの役割は医療と製薬産業の橋渡し

 2018年9月29日に開催された第9回日本製薬医学会年次大会において、製薬企業におけるメディカルアフェアーズ(MA)とメディカルサイエンスリエゾン(MSL)の役割や期待に対する葛藤などについて、西村 剛氏(大日本住友製薬)、柴 英幸氏(アストラゼネカ社)、松本 志保氏(武田薬品工業)、向井 陽美氏(アッヴィ合同会社)が発表した。メディカルアフェアーズが正しい臨床情報を創出 MAとは、セールスの評価を伴わず、自社製品における適正使用の推進や正しい臨床成績を出すための製薬企業の一部門である。医薬品は製剤情報をはじめ、市販後の情報が追加・付加されることで価値が高まっていく。創出した医学情報は治療の選択肢を増やすことにつながり、医療従事者や患者にとってメリットになる。そのため正しい臨床情報を創出することが重要である。 ところが、マーケティング&セールスの中でそれらに従事すると、正しい医学情報が創出しづらくなる。これを防ぐために、製品販売活動を担当する部署から独立したMA部門が、医学的または科学的な知識をベースに、医師などの医療従事者に必要な情報を創出、提供し、自社製品の医療価値を最大化させる。そうした部門のなかで、MSLは医学的・科学的な面から製品の適正使用や製品価値の至適化などを推進する役割を担っている。 近年では、社外での医学専門家、研究者等との医学的・科学的な議論や学会活動等を通じて、アンメットメディカルニーズ(UMN)の解決に寄与している。メディカルアフェアーズの存在意義 自社のMA部設立当時から関わる西村氏は、現在のMAにおける課題を提示。「社内ステークホルダーにおいては期待と失望がみられるが、MA部門を確立するにあたっては、まずは社外ステークホルダーを優先して取り組み、信頼性の回復・向上、及び医療の質的向上への貢献を目指してきた。一例として、学会におけるタイムリ-な発表や論文投稿を積極的に行なっている」とコメントした。 続いて、松本氏がMSLの3つの役割(医師との医科学的交流、社内ステークホルダーへの貢献、エビデンスの創出)を示し、「活動のゴールを苦しんでいる患者におくことで、本当のUMNに触れるのではないか」と提言した。 社内のステークホルダーに焦点を置いて講演を行なった柴氏によると、「MSLの活動のゴールに対する認識に、営業を含む社内関連部署側と齟齬が生じることがある。MSLが出せる価値を認識してもらい、高いレベルでの情報提供や臨床研究に関わる適切な対応や運用/管理が達成されれば信頼関係が築ける」と述べ「ステークホルダーの方々の活動をどうサポートできるかだけに価値を見いだすのではなく、われわれMSLの活動結果自体が企業のゴールにどのような価値をもらたすのかを認知してもらうことが重要」と、MSL主体の行動が要であると強調した。これに関して、向井氏も「MSLは外にいれば良いわけではなく、自分たち自身の戦略・計画に対して理解し関わることが必要」とコメントした。 時には面会の際にMRと勘違いされるMSL。そんな彼らは臨床研究になくてはならない存在である。そして、臨床研究法が施行された今、MSLの活躍は益々期待される。“MSLです”と紹介された際には、MSLの役割や職務をぜひ思い出してほしい。

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BVS vs.DES、30日・1年時評価は?/Lancet

 拡大患者集団において、最適化された手技で留置された生体吸収性スキャフォールド(BVS)は金属製薬剤溶出ステント(DES)と比較して、30日時点と1年時点の標的病変不全および狭心症の発生について非劣性であることが示された。米国・コロンビア大学医療センターのGregg W. Stone氏らによる無作為化試験「ABSORB IV試験」の結果で、Lancet誌オンライン版2018年9月24日号に掲載された。先行研究で、BVSはDESよりも有害事象の発現頻度が多いことが示されていたが、1件の無作為化試験で狭心症の頻度がBVS群で低下したことが報告されていた。しかしながら、それら初期に行われた試験は、マスキングがされておらず、スキャフォールドにとって至適とされるサイズよりも小さい病変が登録された頻度が高く、留置テクニックは未熟であり、さらにBVSがより適しているのではと目されていた心筋梗塞の患者は除外されていた。安定性CAD/ACS患者を登録し、Absorb vs.Xienceの標的病変不全発生を追跡評価 ABSORB IV試験は、5ヵ国(米国、ドイツ、オーストラリア、シンガポール、カナダ)147病院で、安定性冠動脈疾患(CAD)または急性冠症候群(ACS)の18歳以上の患者を登録して行われた多施設共同の実対照盲検化無作為化試験であった。 登録された患者は、ポリマー・エベロリムス溶出BVS(Absorb)、またはコバルトクロム合金製・エベロリムス溶出ステント(EES;Xience)の留置を受ける群に、無作為に1対1の割合で割り付けられた。無作為化は、糖尿病の状態、先行研究のABSORB III試験における適格性、試験地による層別化も行われた。患者と臨床評価者は無作為化に対してマスキングされた。 主要評価項目は、30日時点の標的病変不全(心臓死、標的血管関連の心筋梗塞、虚血による標的病変の血行再建)の発生で、非劣性マージンはリスク差で2.9%とした(intention-to-treat解析)。主要評価項目の30日時点、また1年時点もAbsorbの非劣性を確認 2014年8月15日~2017年3月31日に1万8,722例が試験適格性についてスクリーニングを受け、2,604例が登録された。 BVS群に1,296例が、EES群に1,308例が割り付けられ、30日時点のフォローアップデータを入手できたのはそれぞれ1,288例、1,303例、1年時点は1,254例、1,272例であった。また、ベースラインでのバイオマーカー陽性ACS患者は622/2,602例(24%)、微小血管(2.25mm未満)の病変例は78/2,893例(3%)であった(中央検査室での血管造影画像解析による)。 30日時点の標的病変不全発生は、BVS群64例(5.0%)、EES群48例(3.7%)であった(群間差:1.3%、97.5%信頼上限:2.89、片側検定による非劣性のp=0.0244)。また、1年時点の標的病変不全発生は、BVS群98例(7.8%)、EES群82例(6.4%)であった(群間差:1.4%、97.5%信頼上限:3.4、片側検定による非劣性のp=0.0006)。 1年時点で中央イベント委員会が判定した狭心症の発生は、BVS群270例(20.3%)、EES群274例(20.5%)であった(群間差:-0.3%、95%信頼区間[CI]:-3.4~2.9、片側検定による非劣性のp=0.0008、両側検定による優越性のp=0.8603)。1年間に発生したデバイス血栓症は、BVS群9例(0.7%)、EES群4例(0.3%)であった(p=0.1586)。

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実臨床下での新型Resolute Onyx vs.Orsiro/Lancet

 プラチナ-イリジウムコア/コバルト合金ワイヤーストラット耐久性ポリマー・zotarolimus溶出ステント(Resolute Onyx)は、超薄型コバルト-クロムストラット生分解性ポリマー・シロリムス溶出ステント(Orsiro)と比較し、追跡期間1年時の安全性および有効性の複合エンドポイントについて非劣性であることが、オランダ・Medisch Spectrum TwenteのClemens von Birgelen氏らによる国際多施設共同無作為化単盲検非劣性試験「BIONYX」の結果、示された。著者は「イベント発現率は両群ともに低く、両ステントが安全であることを示唆しているが、ステント血栓症発症率がResolute Onyx群で非常に低く、さらなる臨床研究が推進される」とまとめている。これまで、実臨床下(all-comers)でResolute Onyxと他の薬剤溶出ステントを比較した研究はなかった。Lancet誌オンライン版2018年9月22日号掲載の報告。ステント留置を要する患者約2,500例で安全性と有効性を比較 BIONYX試験は、ベルギー、イスラエル、オランダの7施設で実施された。対象は、薬剤溶出ステントを用いた経皮的冠動脈インターベンション(PCI)を必要とする18歳以上の患者で、前拡張の有無にかかわらずガイドワイヤー通過後にカテーテル室のチームメンバーが、インターネットでのコンピュータ作成割り付け配列を用い、Resolute Onyx群またはOrsiro群に1対1の割合で無作為に割り付けた。無作為化は、性別および糖尿病の状態で層別化された。患者および評価者は割り付けに関して盲検化されたが、治療した医師は盲検化されなかった。 主要評価項目は、1年時点の標的血管不全(TVF)(心臓死・標的血管関連心筋梗塞・標的血管血行再建術の複合エンドポイントと定義)とし、独立評価委員会の判定に基づきintention-to-treat解析を行った(非劣性マージンは2.5%)。 2015年10月7日~2016年12月23日に計2,516例が登録および無作為化され、そのうち同意撤回などによる中断またはスクリーニング失敗の28例を除く2,488例がintention-to-treat解析に組み込まれた(Resolute Onyx群1,243例、Orsiro群1,245例)。1年時の標的血管不全発生率、Resolute Onyx群4.5%、Orsiro群4.7%で非劣性を確認 患者背景は、1,765例(70.9%)が急性冠症候群、1,275例(51.2%)が心筋梗塞で、1年時点のデータを入手できたのは2,478例(99.6%)であった。 主要評価項目であるTVFの発生は、Resolute Onyx群55例(4.5%)、Orsiro群58例(4.7%)であり、Orsiro群に対するResolute Onyx群の非劣性が確認された(絶対リスク差:-0.2%、95%信頼区間[CI]:-1.9~1.4、95%片側CIの上限:1.1%、非劣性のp=0.0005)。 definite/probableのステント血栓症は、Resolute Onyx群で1例(0.1%)、Orsiro群で9例(0.7%)に認められた(ハザード比:0.11、95%CI:0.01~0.87、p=0.0112)。

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週1回GLP-1受容体作動薬albiglutideの心血管アウトカムは/Lancet

 心血管疾患を有する2型糖尿病患者において、GLP-1受容体作動薬albiglutideはプラセボと比べて、主要心血管イベント(MACE)を有意に抑制することが示された。米国・デューク大学のAdrian F. Hernandez氏らが、28ヵ国、610の医療機関を通じ、約9,500例を対象に行った無作為化プラセボ対照二重盲検試験「Harmony Outcomes」の結果で、Lancet誌オンライン版2018年10月2日号で発表した。GLP-1受容体作動薬は、化学的構造や作用時間の違いで、臨床的アウトカムへの影響は異なることが知られているが、週1回投与タイプのalbiglutideの、2型糖尿病患者における心血管系への効果についてはこれまで不明であった。今回の結果を受けて著者は、「GLP-1受容体作動薬は、エビデンスベースに基づき、2型糖尿病患者の心血管イベントリスクを低減するための総合的な戦略の一部と見なすべきであろう」と述べている。9,463例を対象に、週1回投与のalbiglutideの安全性と有効性を試験 試験では、心血管死、心筋梗塞または脳卒中の予防に関するalbiglutideの安全性と有効性を調べた。2015年7月~2016年11月にかけて、28ヵ国、610の医療機関を通じ、2型糖尿病で心血管疾患のある40歳以上の患者9,463例を登録。無作為に2群に分け、標準治療に加えて、一方の群にはalbiglutide(30~50mg、血糖反応と忍容性に応じて)を、もう一方の群にはプラセボを、それぞれ週1回皮下注射した。 治療割り付けは、双方向性の通話またはウェブ上のシステムを用いて行われ、すべての患者と試験担当医は、治療割り付けをマスキングされた。 主要評価項目は、心血管死、心筋梗塞、脳卒中の初回発生の複合アウトカムで、albiglutide群がプラセボ群に対し非劣性であると仮説を立て、ITT集団で検討した。非劣性マージンはハザード比(HR)の95%信頼区間(CI)上限1.30未満とし、確認された場合には閉検定で優越性について検討することを事前に規定した。追跡期間中央値1.6年のMACE発生、albiglutide群がプラセボ群の0.78倍 被験者9,463例のうち、albiglutide群は4,731例、プラセボ群は4,732例だった。試験は、611例の主要エンドポイント発生が認められ、追跡期間中央値が1.5年以上に達し、被験者の最終の外来受診と試験治療の中断がなされたとして、2017年11月に終了が決められた。最後の被験者の診察は2018年3月で、その時点での追跡期間中央値は1.6年(四分位範囲:1.3~2.0)だった。 主要複合アウトカムの発生は、albiglutide群7%(338/4,731例、4.6件/100人年)、プラセボ群9%(428/4,732例、5.9件/100人年)で(HR:0.78、95%CI:0.68~0.90)、albiglutide群のプラセボ群に対する優越性が示された(非劣性のp<0.0001、優越性のp=0.0006)。 急性膵炎(albiglutide群10例、プラセボ群7例)、膵がん(6例、5例)、甲状腺髄様がん(両群とも0例)の発生、およびその他の重篤な有害事象の発現頻度に、両群間で差はなかった。また、マスキングされた試験担当医によって試験薬に関連すると判断された死亡は、albiglutide群2例(1%未満)、プラセボ群3例(1%未満)だった。

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心血管病の証拠のない2型糖尿病患者への予防的ω-3多価不飽和脂肪酸の投与効果は期待はずれか(ω-3PUFA効果は夢か幻か?)(解説:島田俊夫氏)-926

 多価不飽和脂肪酸(PUFA)が心血管病に良い影響を与えるということが巷でささやかれており、サプリメントも広く普及している。PUFAにまつわる話はグリーランドのイヌイット(エスキモー)に心血管病が少ないことに着目した研究に端を発している1)。この研究以降、精力的に研究が行われてきたが、PUFAサプリメントの投与と心血管病の予防・治療への有効性は、いまだ確立されていない。とくに1次予防に関しては、悲観的な結果が優勢であるがわが国の大規模研究JELIS2)は、高コレステロール血症に対してスタチン投与中の集団を無作為にEPA(1,880mg/day)、プラセボに割り付けることにより、主冠動脈イベント発症率は19%有意に低下した。2次予防サブ解析では累積冠動脈イベントが23%低下した。脳卒中に関しては1次予防効果は認めず、2次予防効果において20%の抑制効果が認められた。しかし、この研究がprobe法を用いた研究であったことが信憑性に疑念を抱かせる結果となっている。 NEJM誌オンライン版の2018年8月26日号に掲載された英国・オックスフォード大学のLouise Bowman氏らの論文は、PUFAの予防投与における有用性に疑問を投じる貴重な報告と考え、私見を述べる。研究の概略 観察研究では、ω-3PUFAの摂取増加は心血管病リスク低下に関係している。 ところがこれらの所見は、ランダム化試験においていまだ是認されていない。ω-3PUFAサプリメントが糖尿病患者の心血管リスクに便益をもたらすか、いまだ解決されていない。 明らかな動脈硬化性疾患の証拠を持たない糖尿病患者1万5,480例を、ω-3PUFA1gカプセル服用群(PUFA群)、オリーブオイル服用群(プラセボ群)のいずれかの群に無作為に割り付けを行った。1次アウトカムは、初回の重篤な血管イベントとした(つまり、確定した脳内出血を除いた非致死的心筋梗塞、脳卒中、一過性脳虚血発作または血管死)。 7.4年のフォローアップ期間中(アドヒアランス:76%)、重篤な血管イベントが脂肪酸群で689例(8.9%)、プラセボ群で712例(9.2%)に発生した(率比:0.97、95%CI:0.87~1.08、p=0.55)。重篤な血管イベントあるいは血管再建複合アウトカムは、それぞれ882例(11.4%)、887例(11.5%)に起こった(率比:1.00、95%CI:0.91~1.09)。全死因死亡は脂肪酸群で752例(9.7%)、プラセボ群で788例(10.2%)に起こった(率比:0.95、95%CI:0.86~1.05)。非致死的重篤有害イベント率に関しては有意差を認めなかった。筆者コメント 結論として、心血管病の証拠のない糖尿病患者は、ω-3PUFAサプリメント群、プラセボ群に無作為に割り付けられた2群間比較で、重篤な心血管イベントリスクに有意差を認めなかった。本論文のメッセージは、心血管病予防にこれまで期待の大きかったPUFAサプリメントの1次予防への投与が無作為に割り付けられた糖尿病患者で、かつ明らかな心血管疾患の証拠のない患者の2群間(ω-3PUFAサプリメント群とプラセボ群)比較で有意差を認めなかった事実から、PUFAの予防投与は思いの外、糖尿病患者の心血管病予防への期待を裏切る結果となった。高コレステロール血症治療中の患者を対象とした研究、2型糖尿病治療群を対象とした本研究での結果の乖離が、単なる対象疾患の差にもとづくものか慎重な判断が必要である。1次予防に関する研究は追跡期間、人口構成らが大いに結果に影響し、至適追跡期間が不適切であれば検出力不足のために陰性になる恐れもあり、本研究の平均追跡期間7.4年が1次予防効果を評価するに十分であったか多少の疑問が残る。これまでの多くのエビデンスを考えると多価不飽和脂肪酸サプリメントへの過大な期待に対する警鐘と理解するのが、現段階では妥当な解釈かと考えている。効果を否定するのは早計と考える。

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禁煙に伴う体重増加は糖尿病の短期リスクを増やすも心血管病死・全病因死亡に影響なし!(解説:島田俊夫氏)-925

 紙巻きタバコが体に悪いことは昔からよく知られているけれど、耳を傾けようとしない無関心な方々が数多く見受けられます。もちろんタバコは本人にとって有害であるだけでなく、身辺にいる家族を含め、被害を被る人たちが多数いることを顧みて一日も早く禁煙することを勧めます。“タバコは万病の元”という言葉は、本当にタバコの持つ有害性を端的に表しています。私は患者さんに診療時、“タバコは百害あって一利なし”という言葉を使い、説明させてもらっています。多くの方は耳を傾けてくれますが、残念ながらタバコの真の怖さを十分に理解してもらえていないと感じています。「タバコはお金もかかり、あらゆる病気にかかりやすく、タバコに火をつけて燃やせば燃やすほど、あなたの命のロウソク(ロウソク寿命)を短くする貧乏神のようなものです」と話すと、「タバコを吸うとストレスが緩和できる」といった得手勝手なこじつけの類の言い訳が時折返ってきます。これまで禁煙と体重増加を取り上げた論文1)は散見されますが、禁煙に伴う体重増加を心血管死亡、全病因死亡に関連付けた信憑性の高い研究はほとんどありません。 2018年8月16日号のNEJM誌に掲載された、米国・ハーバード大学公衆衛生大学院のYang Hu氏らが、米国の3つのコホート研究(NHS、NHS II、HPFS)のデータを利用・解析し、禁煙に伴う体重増加が心血管死や全病因死亡への禁煙のメリットを損なわず、ただ2型糖尿病の短期リスクを増やすことに関係していると報告した論文は、禁煙に伴う喫煙者の体重増加への不安や弁解を払拭する重要な論文であり、私見をコメントします。研究の要約 米国の3コホート研究参加者の中で禁煙を自己申告した男女参加者を同定し、喫煙状況、体重変化を前向きに評価した。禁煙を自己申告した参加者中、禁煙後の体重増加の程度に基づいて、2型糖尿病リスク、心血管病死、全病因死亡を評価した。 2型糖尿病リスクは、最近禁煙者(禁煙後2〜6年)では現在喫煙者よりも高かった(HR:1.22、95%CI:1.12~1.32)。糖尿病リスクのピークは禁煙後5~7年にあり、その後次第に低下した。糖尿病リスクの一時的増加は体重の増加に比例して増加したが、体重増加のない禁煙者ではリスク増加は認めなかった(相互作用のp<0.001)。逆に、禁煙後の体重増加と無関係に、禁煙者死亡率の増加はみられなかった。現在喫煙者と比較して、体重増加のない禁煙者では心血管病死に対するHRは0.69(95%CI:0.54~0.88)、0.1~5.0kg体重増加した禁煙者ではHRは0.47(95%CI:0.35~0.63)、5.1~10.0kg体重増加した禁煙者ではHRは0.25(95%CI:0.15~0.42)、体重増加が10kg以上の禁煙者ではHR 0.33(95%CI:0.18~0.60)、長期禁煙者(6年超え禁煙者)ではHR 0.50(95%CI:0.46~0.55)であった。同様の結果が全病因死亡についても観察された筆者コメント 本論文は、禁煙に伴う体重増加は糖尿病の短期リスク増加に関係するが、心血管死亡、全病因死亡の減少に影響せず禁煙メリットを損なうことはなかったと報告している。 禁煙するとつい口寂しさのあまり甘いものを食べたくなる欲望を自制し、体重増加を軽視せず最小限度に抑えながら禁煙に務めることが大事です。しかし軽度の体重増加は、通常は一過性であり過度に不安視する必要はありません。体重増加を気にして、あるいは言い訳にして喫煙を続けることはやめてください。しかし体重が増加し続けることを黙認し続けることは、決して好ましいことではありません(肥満は病気と理解してください)。 本論文は禁煙の重要性が体重増加に優ることを端的に物語っており、ひとまず体重増加を忘れ前向きに禁煙に取り組む姿勢が禁煙成功につながると考えて禁煙にチャレンジしてください。

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第7回 勘違いしていませんか?実は糖質の多い食品【実践型!食事指導スライド】

第7回 勘違いしていませんか?実は糖質の多い食品医療者向けワンポイント解説「炭水化物抜きダイエット」や「糖質オフ」といった考え方が広まったことで、糖質を控えようと考える患者さんが増えてきました。しかし、炭水化物や糖質について誤解されている方もまだまだ多くいます。炭水化物は、糖質と食物繊維を合わせたものであり、米飯、パン、麺類などの主食以外にも、芋類、果物類、根菜類をはじめとする野菜、調味料、嗜好品、嗜好飲料など多くのものに含まれる栄養素です。炭水化物や糖質を抜いたり控えたりすることに対していろいろな考え方がありますが、糖質量が過多になっている場合、その量を見直すことは必要です。そこで、今回は糖質の“質”ではなく“量”に注目して説明します。厚生労働省の『日本人の食事摂取基準(2015年版)』によると、炭水化物の摂取目標量は、必要摂取エネルギーの50〜65%とされています。1日のカロリーを1,600kcalと設定した場合、800kcal〜1,040kcalの炭水化物を摂取することが推奨され、単純にこれを糖質(4kcal/g)のみで算出すると糖質量は200〜260gとなります。また、『糖尿病食事療法のための食品交換表(第7版)』に基づき、1,600kcal 20単位、食事に占める炭水化物の割合を55%に設定した場合、炭水化物を多く含む食品を示す表1*では9単位が配分されます。これを1単位80kcalとして算出した場合は720kcalとなり、糖質のみで計算すると180g(720kcal÷4kcal/g)となります。ただし、炭水化物は食物繊維も合わせたものを指しますので、食物繊維を考慮すると、糖質量はこれより減らして考える必要があります。「炭水化物量、糖質量を見直しましょう」というお話をすると、多くの方は、炭水化物=米飯、パン、麺類などと捉え、主食を抜くことを意識するのですが、実際の糖質過多の原因は他の食材であることが多いのです。今回は、ごはん一膳に含まれる糖質量と『大丈夫と思いがちだけれど、実は糖質量の多い食材』を比較してみました。果物は果糖をはじめ、糖を多く含む食材です。そのため、甘みを感じる果物は、より糖質を多く含みます。また、トウモロコシや芋、レンコンも思いの外、糖質が多い食材です。野菜ジュースや100%フルーツジュースは、健康のために飲む方が多いですが、意外にも糖質量は多めです。甘くないから大丈夫と思われるせんべい類やヘルシーと言われる春雨スープ、冬の時期に出回るおでんなどに入る練り物なども糖質を多く含む食材です。日常の食生活の中で「主食を必要量より減らそう」とするよりも、まずは、このように糖質が多く含まれ、何気なく食べてしまっている食材を意識しましょう。糖質量の改善につながるだけでなく、主食を減らす負担なども軽減できるため、食事の満足度にもつながっていきます。*:炭水化物のうち、でんぷんを多く含む食品であり、たんぱく質も少し含む。穀物、いも類やその加工食品、かぼちゃなどの野菜、栗や銀杏などの種実類、大豆以外の豆類を含む。1)日本糖尿病学会編・著.糖尿病食事療法のための食品交換表 改定第7版.日本糖尿病協会・文光堂;2013.p16-31.

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高齢者でもスタチンは投与すべきなのか?(解説:平山篤志氏)-923

 今後多くの先進国は、高齢化社会を迎える。とくにわが国は高齢化率が著しく、諸外国に先駆けて数多くの未知なる諸問題に対処してゆかねばならない。その1つにEvidence Based Medicineがある。医学の世界では、EBMに基づいてガイドラインが作成され、治療に対応している。EBMとして最もエビデンスレベルが高いとされるのは、Randomized Control Trial(RCT)で得られた結果である。だが、多くの場合RCTでは高齢者が除外されているか、また含まれていても数が少ないため十分なEBMを得ることができていない。RCTでは少数であっても実臨床では数多い高齢者についての情報を得るために、近年はReal World Evidenceということが注目されるようになり、電子カルテベースのデータや保険会社のデータ、あるいはレジストリー研究からの結果が出されるようになっている。 本論文もその1つで、スペインの電子カルテからのデータを基に、75歳以上の高齢者でコレステロール低下目的にスタチンを投与することの有用性が検討された。電子カルテのレコードから75歳以上で初めてスタチンを投与された患者と、さまざまな背景因子を合わせた患者(プロペンシティーマッチした)を比較したものである。結果は興味深く、75歳以上ではスタチンの投与は心血管イベント低下効果がないとするものである。ただ、糖尿病患者では有用性があることも示されたが、この効果も85歳以上では効果が消失するようである。ガイドラインでは1次予防としてもスタチンの投与の有用性は広く示されているため、75歳以下だけでなく、高齢者でも有用なのではと推測されていたが、本論文では安易なスタチンの投与はすべきでないとしている。結論を出すには2022年ごろに発表される高齢者を対象としたRCTの結果(STAREE試験)を待たなければならないが、本論文の結果は安易にガイドラインを高齢者に適応すべきではないという示唆でもある。 ただ、(1)これまでスタチンを投与してきた患者を75歳で中止すべきなのか? (2)75歳以上の高齢者では各個人間での相違(合併症、虚弱度、食事など)を考慮すべきではないか? (3)スペインと他の地域での高齢者は同じなのか? など、年齢だけでは規定できない多くの要素があり、Real World Evidenceだからといって、普遍化はできない。高齢者では、RCTやReal World Evidenceにも多くのバイアスがあるので、これまでのEBMに基づいた治療ではなく、一人ひとりの背景因子をしっかり把握して個人に合ったエビデンスの適応を考慮しなければならないであろう。

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「スタチン不耐に関する診療指針2018」で治療中断を食い止める

 スタチンは心筋梗塞をはじめ、動脈硬化によって生ずる心血管イベントを予防するためには必要不可欠であると、日本人を含むさまざまなデータにおいて報告がある。しかし、その服用継続が困難な「不耐」については日本人のデータが確立していないどころか、適切なLDLコレステロール低下療法が実践されているのかさえ不明瞭である。2018年9月26日、日本動脈硬化学会主催のプレスセミナー「スタチン不耐について」が開催され、梶波 康二氏(金沢医科大学循環器内科学主任教授/スタチン不耐ワーキンググループ委員長)が登壇し、スタチン不耐に関する診療指針2018作成の経緯について語った。スタチン不耐に該当する患者は意外にも多い スタチンの服用中断は決して稀なことではないという。スタチン服用継続困難な状態(服用に伴う有害事象、検査値異常、ほかの継続服用を妨げる事象や懸念)のことをスタチン不耐と呼び、この患者が占める割合はスタチンの服用が必要な患者の10%1)に及ぶ。また不耐には、部分不耐(ある種のスタチンのある投与量で)と完全不耐(すべてのスタチンのあらゆる投与量で)が知られている。 前述のとおり、スタチンがまったく飲めないのではなく、なんらかの理由によって飲めない患者も含まれるため、同氏は「薬が服用できない原因をしっかり確認し、それを克服することがスタチンを有効に使用するうえで重要な課題である」と問題提起した。スタチン中断に対するさまざまな問題点が指針作成へ発展 スタチン服用による有害事象は多岐に渡るが、なかでもエビデンスより明らかな筋関連障害と肝酵素の上昇に焦点が当てられメカニズムの解明が進められている。欧州ではスタチン関連筋障害の管理指針2)が発表されているが、欧州と日本では認可されている投与量が異なるため、同氏は、「日本人にこれを直接当てはめるのは注意が必要」と指摘。また、「スタチン関連筋障害には遺伝子多型の影響があるが、欧州で報告された遺伝素因は日本人における筋障害に対し影響は小さかった。日本人の中でどういう人がスタチンと相性が悪いのかを、日本人で検証することが必要である」と示唆し、「このような日本人における有害事象のデータを明らかにするために、日本肝臓学会、日本神経学会、日本薬物動態学会の協力を得て、診療指針を作成する運びとなった。スタチン継続困難な患者と共に考える道筋を学会としてアプローチしていく」とコメントした。Nocebo効果が筋関連障害の患者を増やしている スタチンの筋関連障害では、Nocebo効果が認められた論文3)が報告されており、プラセボを服用した時だけに筋症状が出た患者が、参加者の30%にも及んでいる。患者が筋関連障害を訴えた場合は、プラセボ効果とは逆のNocebo効果があることを考慮し、同氏は、「患者にもその旨を伝え、診察時は患者と共に対応を協議することが重要」と、患者の訴えを鵜呑みにした際のリスクについて語った。スタチン不耐克服のためにワーキンググループが取り組む課題と対策 不足している日本人のデータを取り揃えるため、ワーキンググループはPMDAに申請を行い、情報収集ならびに分析を開始している。これを踏まえ、同氏は「日本人のスタチン服用にまつわる有害事象の詳細な解析の第一歩を踏み出している。われわれが作成する“スタチン投与時の有害事象に対するフローチャート”を共有し、どのような患者にどういうことが起きているのかを登録する仕組みを確立したい。そして、日本人のスタチン継続困難な理由は何かについて、科学的な分析をさらに発展させたい」と述べ、「10%は不耐な患者が存在すると推測される。そのような患者にどうアプローチをしていくのかを主治医に依存するのではなく、指針作成を通して共通の方向性を設定し、問題解決の方策を見いだしていくことが、日本人の心血管予防をさらに充実させる診療につながる」とまとめた。■参考1)Nagar SP, et al.Circ J.2018;82:1008-1016.2)Stroes ES, et al.Eur Heart J.2015;36:1012-1022.3)Nissen SE, et al.JAMA.2016;315:1580-1590.■関連記事スタチン不耐容患者へのエボロクマブ vs.エゼチミブ/JAMA

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日本人の抗-enolase AIR、臨床像が明らかに

 北海道大学大学院医学研究院眼科学教室の安藤 亮氏らは、日本人の抗α-enolase抗体陽性自己免疫性網膜症(抗-enolase AIR)に関する多施設共同後ろ向き症例集積研究を行い、抗-enolase AIRは、これまで文献においてほとんど記述のないドルーゼンのサブタイプで特徴付けられることを明らかにした。著者は、「機能的な重症度が異なることに伴う眼底検査所見の違いは、網膜色素上皮(RPE)ならびに視細胞の抗体を介在した障害の結果と考えられる」とまとめている。American Journal of Ophthalmology誌オンライン版2018年9月6日号掲載の報告。 研究グループは、日本人の抗-enolase AIR患者25例(女性16例、男性9例、初診時平均年齢60.8歳)の49眼を対象に、眼底の特徴、視野検査、スペクトラルドメイン光干渉断層撮影(SD-OCT)、網膜電図(ERG)による検査、最高矯正視力(BCVA)および全身における腫瘍の複合について評価した。また、1例の患者の摘出眼において、免疫組織化学染色を用いてα-enolase蛋白の局在を調べた。 主な結果は以下のとおり。・25例の患者は、ドルーゼン多発(48%)、網膜変性(36%)、眼底正常(16%)の3群に分類された。・ドルーゼンは、小さな沈着から卵黄様病変まで、さまざまな大きさが認められた。・SD-OCT所見は、ドルーゼンに対応してRPEがドーム状に隆起し内部反射を伴っていた。・視野検査では、輪状暗点の頻度が最も高かった(39%)。・ERGでは、桿体反応または錐体反応の低下が81%の眼で認められた。・桿体と錐体の混合反応については、ドルーゼン多発群より網膜変性群においてa波の振幅が有意に小さかった(p=0.005)。・BCVAは、追跡調査中に80%の眼で改善または維持された。・患者の30%で悪性または良性腫瘍が発見された。・免疫染色の結果、RPEおよび視細胞層はα-enolase陽性であった。

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リバウンドを繰り返す患者さん【Dr. 坂根の糖尿病外来NGワード】第22回

■外来NGワード「初心に戻って頑張りなさい!」「今度は意志を強くもってやりなさい!」「それなら、もっと食事に気を付けなさい!」■解説 極端なダイエットをする人は、リバウンドしやすいことが知られています。減量とリバウンドを繰り返すことを「ウェイトサイクリング」と言います。ウェイトサイクリングを起こしている人は、腹部の脂肪が増加しやすく、骨粗鬆症などにもなりやすいと言われています。このように一度は減量に成功しますが、リバウンドしやすい人には次のようないくつかの特徴があります。「匂いなどにつられて、つい食べてしまう(外発的摂食)」、「何もすることがないので食べてしまう(情動的摂食)」などの食行動がある人や、現在の食事療法では満足できていない人などです。また、リバウンドは夏休みや年末年始などの連休をきっかけに始まるとも言われています。長期休暇の過ごし方についてあらかじめ話しておくことが、リバウンド予防に役立ちます。逆に、運動や体重測定の習慣がある人はリバウンドしにくいと言われています。とくに体重測定の習慣があると、プチリバウンドに早めに気付いて対策を立てることができます。これらの情報を知っておき、次のように話してみてはいかがでしょうか? ■患者さんとの会話でロールプレイ医師最近、体重のほうはいかがですか?患者一時は減量に成功したんですが、リバウンドしてしまって…。医師それは残念でしたね。リバウンドのきっかけは何でしたか(原因を探る)?患者連休中に食べ過ぎてしまって…。医師そうでしたか。それなら、今度はリバウンドしないダイエットに取り組みましょう!患者はい、頑張ります。でもどうしたらいいんですか?医師リバウンドは休日や連休から始まると言われているので、休日の過ごし方が大切ですね。休日はどんなふうに過ごしていますか?患者家でゴロゴロして、外食することが多いですね…。医師なるほど。運動不足と食べ過ぎがリバウンドの原因かもしれませんね。それを防ぐには、減量成功後も体重測定を続けることが大切です。患者確かに。頑張って減量していたときには体重計に乗っていましたが、だんだん乗らなくなってしまって…。医師体重測定の習慣があると、休み明けのプチリバウンドに早めに気付けますからね。患者そうですよね。頑張って体重計に乗るようにします(うれしそうな顔)。■医師へのお勧めの言葉「それなら、今度はリバウンドしないダイエットに取り組みましょう!」「リバウンド予防のために、減量成功後も体重測定を続けることが大切です」1)Cereda E, et al. Clin Nutr. 2011;30:718-723. 2)Madigan CD, et al. BMC Public Health. 2015;15:530.

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