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【GET!ザ・トレンド】変わる多発性硬化症診療

多発性硬化症(MS)治療薬の開発が目覚ましい。2000年に再発抑制薬(疾患修飾薬:DMD)としてインターフェロンが登場し、病状・病態の進展抑制が注目されるようになった。その後もたくさんのDMDの開発が進み、近々B細胞除去薬の登場も期待されている。そこで神経内科以外の先生方が読まれることを念頭に、MS診断の要点と今後期待される治療について概説したい。診断のコツわが国におけるMS患者は増加の一途をたどっており、現在国内における推計患者数はおよそ1万8000人である。以前から発症リスクは女性の方が高いと言われてきたが、近年では男性1に対し女性3まで増えているという。若年成人,特に20~30代の発症が多く、つまり典型的な患者像は、「出産年齢の女性」となろう。MSを疑うべき症状は多様である。典型的な症状(障害部位)としては、視力障害(視神経)、複視(脳幹)、ふらつき(小脳)、手足の痺れや痛み、脱力(脳及び脊髄)などを挙げ得るが、排尿障害や認知機能障害も見逃したくない。初診時に注意深く聞き出したいのが、「神経症状の既往」である。数年前までさかのぼり、同様の症状がなかったか問診する。たとえ患者さんが「今回初めて」と言っても鵜呑みにはしない。また問診の結果、同じような症状はなかったことが明らかになった場合でも、他の神経症状の既往の有無を尋ねる。その際には、必ず具体的な症状を挙げながら問診するようにする。また「ウートフ現象」の有無も確認する。「ウートフ現象」とは、「体温上昇に伴う一過性の症状増悪」である。MS患者ではこの症候が認められることが多い。入浴後や外気温が高い時期の痺れや脱力、一過性の視力低下が多い。このような症状からMSを疑い、MRI撮像や髄液検査を行う。MSの分類MSは大別すると「再発寛解型」(増悪と寛解を繰り返す)と「1次性進行型」(はじめから症状は徐々に進行)、「2次性進行型」(後出)の3タイプに分けられる。うち、MS初期に分類されるのは「再発寛解型」と「1次性進行型」だが、日本では9割以上が「再発寛解型」である。なお「再発寛解型」の数割は「2次性進行型」(徐々に症状が増悪。ただし、途中、再発や進行が停止する時期があっても良い。)へ進展する。再発寛解型MSに対する治療には、現在6種類のDMD、すなわち、グラチラマー酢酸塩、インターフェロン(IFN)β-1b、IFNβ-1a、フマル酸ジメチル、フィンゴリモド、ナタリズマブ、が使用可能である。また、最近、二次性進行型に対するDMD,シポニモドが承認された。これらの薬剤は併用することはないため、疾患活動性や患者のライフプラン等を考慮し、適切な薬剤を選択する必要がある。早期からの疾患活動性抑制が重要まず疾患活動性の高いMSでは、早期から再発抑制効果の高いDMD使用を考慮する。そのような例では、転帰が不良だからである [Leray E et al. Brain 2010; 133: 1900] 。早期治療開始の有用性を示すエビデンスとしては、EDSS 4.0に到達する期間が、診断1年以内にDMDを使用した群の方が、3年以上経過してから使用した群よりも有意に長かったとの報告がある[Kavaliunas et al., Mult Scler. 23: 1233-1240, 2017]。さらに、大規模な前向き観察研究において、早めにDMDを、特にグラチラマー酢酸塩やインターフェロンよりもより強力なフィンゴリモドやナタリズマブといったDMDを使用することで、その後の二次性進行型への移行を有意に抑えられたと報告されている[Brown et al., JAMA. 321: 175-187, 2019]。ただし有効性の高い薬剤は、有害事象リスクも高いことが多いので、症例ごとにリスク・ベネフィットをよく見極める必要がある。臨床所見だけで治療効果を評価しないさて再発寛解型に対するDMDの有効性評価には、臨床所見に加え、MRI所見も必須である。臨床上再発が抑制されているにもかかわらず、MRI上で病巣が増加・拡大している患者は決して珍しくない。そしてMS初期のMRI上病変増加や脳萎縮は、ボディーブローのようにMS患者の長期予後に悪影響を及ぼす。事実、MS初期のMRI上病変数は、約15年後の2次性進行型MSや身体障害のリスクであるとされる[Brownlee WJ et al. Brain. 2019; 142: 2276] 。したがってDMD使用下で臨床的な増悪を認めなくとも、半年に1回はMRIで評価すべきである。進行性多巣性白質脳症(PML)リスクのあるDMDを用いているならば、3~6カ月に1回が望ましい。加えて、患者の希望や疾患活動性がないとの判断によりDMDを使用しない患者においても、6カ月~1年に1回は必ずMRIで定期的に病巣を評価する。再発まで放置した結果、MRI上の病巣が著明に増加していたというケースも経験している。患者にMRI上の病巣を見せ、増加の可能性を説明し、目の前で次回MRIの予約を入れる。こうすれば薬剤処方の必要がない患者でも、次回来院の可能性は飛躍的に高くなる。なお、個人的には、認知機能の経時的評価も必要ではないかと考えている。タブレットを用いた簡便な検査方法が開発されているので、余裕があれば評価していただきたい。新しい治療薬「B細胞をターゲットとした治療薬」の可能性海外では現在、B細胞除去薬であるオクレリズマブが広く用いられている。しかし、わが国に導入の予定はない。同じくB細胞除去薬であるリツキシマブも、スウェーデンでは適用外使用だがMSに汎用されており、その有用性が報告されている[Granqvist M et al. JAMA Neurol. 2018; 75: 320] 。わが国では、現在、慢性リンパ性白血病に用いられているB細胞除去薬オファツムマブが、近々使用可能になると言われている。MS例におけるオクレリズマブの再発抑制作用はナタリズマブと差がないと報告されており[Lucchetta RC et al. CNS Drugs. 2018; 32: 813] 、同じB細胞除去薬であるオファツムマブの効果にも注目したい。ただしオクレリズマブ同様、オファツムマブも感染症リスクへの注意は必要であろう。なお、ナタリズマブは近時、投与間隔を標準的な4週間よりも長くとる "Extended Infusion Dosing" (EID)を用いると、PMLリスクが低減すると報告されており[Ryerson LZ et al. Neurology. 2019; 93: e1452]、抗JCウイルス抗体陽性患者へのナタリズマブ投与の際には、検討の価値はあると思われる。後遺症への薬剤も開発中現在、MSを完治し得る薬剤は、開発の糸口さえ見つかっていない。そのため上記のようにDMDの開発が盛んだが、それに加え、後遺症軽減を目指した薬剤の開発も進んでいる。その一つが、MSで障害された神経再生を介して後遺症の軽減を目指す薬剤である。先行していたLINGO-1(神経再生阻害因子)阻害剤であるオピシヌマブ(opicinumab)は、残念ながら、第二相試験で神経修復作用にプラセボと有意差を認めなかったが [Cadavid D et al. Lancet Neurol. 2017; 16: 189] 、LINGO-1以外に介入する神経再生薬の開発も進んでおり、今後の成果を待ちたい。最後にMSはすぐに生死に直結する疾患ではない。しかしながら若年発症が多いこともあり、患者さんの人生にとってはかなりの重荷である。したがって、診断・治療に難渋、あるいは迷った場合は、いたずらに経過観察することなく、遠慮せず専門医に相談、紹介していただければ幸いである。

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TIA発症後90日脳卒中リスク、時代とともに低下傾向/JAMA

 米国における1948~2017年の一過性脳虚血発作(TIA)の推定罹患率は1.19/1,000人年であり、脳卒中リスクは、TIA罹患者がTIA非発症者との比較において有意に高かった。一方でTIA後90日の脳卒中リスクは時代とともに低下しており、2000~17年では1948~85年に比べ有意に低下していた。TIAとその後の脳卒中リスクとの関連を正確に推定することは予防への取り組みを改善し、脳卒中の負荷を限定的なものとすることに役立つとして、米国・ハーバード大学医学大学院のVasileios-Arsenios Lioutas氏らが、フラミンガム心臓研究の参加者約1万4,000例のデータを解析し明らかにした。JAMA誌2021年1月26日号掲載の報告。TIA初発群と非発生対照群の脳卒中リスクを検証 研究グループは、住民ベースのTIA罹患率とTIA後の長期にわたる脳卒中リスクの傾向を明らかにするため、フラミンガム心臓研究の参加者データを解析評価した。 参加者のうち、ベースラインでTIAや脳卒中の既往がない1万4,059例のデータを、1948年~2017年12月31日まで前向きに追跡。TIA初発群と、年齢・性別で1対5の割合で適合したTIA非発生群を比較検証した。 主なアウトカムは、TIA罹患率、TIA後の短期(7日、30日、90日)・長期(1~10年超)の脳卒中発生割合、TIA後の脳卒中発生vs.適合対照群の脳卒中発生、3期間(1948~85年、1986~99年、2000~17年)を比べたTIA後90日時点の脳卒中リスクの時間的傾向だった。TIA後の脳卒中発生までの期間中央値は1.64年 1万4,059例を対象とした66年(36万6,209人年)の追跡において、TIAを呈したのは435例だった。うち女性は229例(平均年齢73.47[SD 11.48]歳)、男性は206例(70.10[10.64]歳)。TIA非発生の適合対照群として2,175例を特定し比較検証した。 TIAの推定罹患率は1.19/1,000人年だった。TIA後の中央値8.86年の追跡期間中、130例(29.5%)の脳卒中が報告された。そのうちTIA後7日以内の発生は28件(21.5%)、30日以内は40件(30.8%)、90日以内は51件(39.2%)、1年以上は63件(48.5%)で、TIA後の脳卒中発生までの期間中央値は1.64年(四分位範囲:0.07~6.6)だった。 年齢・性別で補正後の脳卒中10年累積発生率は、TIA初発群は0.46(95%信頼区間[CI]:0.39~0.55、130件/435例)、適合対照群は0.09(0.08~0.11、165件/2,175例)で、完全補正後ハザード比(HR)は4.37(95%CI:3.30~5.71、p<0.001)だった。 1948~85年のTIA後90日脳卒中発生率は16.7%(26件/155例)、1986~99年の同発生率は11.1%(18件/162例)、2000~17年の同発生率は5.9%(7件/118例)だった。第1期(1948~85年)と比較した脳卒中発生の90日リスクに関するHRは、第2期(1986~99年)は0.60(95%CI:0.33~1.12)、第3期(2000~17年)は0.32(95%CI:0.14~0.75)で、時代とともに低下している傾向が認められた(傾向に関するp=0.005)。

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経頭蓋MRガイド下集束超音波視床下核破壊術のパーキンソン病運動症状改善に対する新たなエビデンス(解説:森本悟氏)-1350

 本邦において、2000年に視床下核脳深部刺激療法(STN-DBS)がパーキンソン病症状に対して保険適用となり、薬物療法による症状のコントロールが難しいパーキンソン病患者に対しても、重要な治療選択肢の一つとなっている。ただし、パーキンソン病に対する脳神経外科手術療法の適応に関しては、現在厚生労働省から以下のような基準が定められている。L-dopa製剤による治療効果がある、薬物調整が困難な症状(日内変動やジスキネジア含む)がある、重度の精神症状や認知機能障害がない、全身麻酔等手術に耐えられる全身状態、など。また、脳内に刺激電極装置を埋め込む治療であり、手術による合併症も懸念される。したがって、運動症状が薬物療法でコントロール不良、あるいはDBSが適応とならない患者群において、新たな治療法が望まれている。 そんな中、2016年、2017年に振戦症状に対する集束超音波視床破壊術の有効性が報告され(Elias WJ, et al. N Engl J Med. 2016;375:730-739.、Bond AE, et al. JAMA Neurol. 2017;74:1412-1418.)、2018年にはパーキンソン病の運動症状に対する集束超音波視床下核/淡蒼球破壊術の有効性が示唆された(Martinez-Fernandez R, et al. Lancet Neurol. 2018;17:54-63.、Jung NY, et al. J Neurosurg. 2018;1-9.)。したがって、超音波を用いた比較的侵襲性の少ない本法は、パーキンソン病患者のアンメット・メディカル・ニーズを満たすことができる治療法として期待される。 今回Martinez-Fernandez氏らは、パーキンソン病の運動症状に対して集束超音波視床下核破壊術が有効か否かを検証するために、多施設共同二重盲検無作為化並行群間比較試験を実施した。結果として、優位側の運動症状を評価するMDS-UPDRS III scoreの平均は、4ヵ月の時点において実治療群ではベースラインの19.9から9.9ポイントに低下、対照群では18.7から17.1ポイントに低下、群間差は8.1ポイントであった。 DBSによる治療では、抗パーキンソン病薬非服用下の術前と術後6~12ヵ月の刺激により、運動症状(UPDRS III score)が38~66%程度の改善が認められていることを鑑み(大島秀規ほか. 日大医誌. 2014;73:100-102.)、今回の報告において実治療群で約50%のスコア改善が得られた(4ヵ月間観察)という事実は、期待のもてる結果といえる。 有害事象については、顔面四肢の脱力や構音障害、歩行障害、およびジスキネジア等が認められ、中等度以上の有害事象も少なくはないため、治療法選択時のリスクに対する十分な説明が必要である。また、リクルートされた患者背景として、運動症状を表すMDS-UPDRS III scoreはほぼ同等となっているが、実治療群で罹病期間が短いこと(5.6±2.5年/実治療群、7.3±3.8年/対照群)、レボドパ換算投与量が少ないこと(729.7±328.3mg/実治療群、881.7±407.9mg/対照群)、が治療反応性に影響を与えている可能性には留意する必要がある。

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日本人高齢者の趣味の種類や数と認知症リスクとの関係

 認知症予防は、超高齢化社会を迎える現代社会において重要な問題である。これまでの研究では、趣味(とくにガーデニング、旅行、スポーツ)を有する高齢者では、認知症リスクが低いことが示唆されている。しかし、趣味の種類や数の違いが認知症予防に影響を及ぼすかは、よくわかっていない。千葉大学のLing Ling氏らは、趣味の種類および数と認知症発症との関連を調査した。日本公衆衛生雑誌2020年号の報告。 2010~16年に日本老年学的評価研究(JAGES)が実施したプロスペクティブコホート研究より、年齢、性別が明らかな65歳以上の要介護認定を受けていない高齢者5万6,624人を調査した。趣味に関連する質問に回答した患者のうち、365日以上フォローアップできた4万9,705人について分析を行った。主要アウトカムは、認知症の発症とした。認知症の発症は、厚生労働省の推奨する全国的に標準化された認知症スケールにより評価した。説明変数は、実践者の割合が5%以上の趣味の種類(男性:14種類、女性:11種類)およびその数(0~5種類以上)とした。共変量は、基本属性、疾患、健康行動、社会的サポート、心理・認知機能、日常生活動作とした。合計22の変数を調整したCox比例ハザードモデルを用いて、ハザード比(HR)を算出した。 主な結果は以下のとおり。・フォローアップ期間中に認知症を発症した高齢者は、4,758人(9.6%)であった。・認知症発症リスクの低下と関連していた趣味は以下のとおりであった。【男女とも】●グラウンドゴルフ(HR:0.80[男性]、HR:0.80[女性])●旅行(HR:0.80[男性]、HR:0.76[女性])【男性のみ】●ゴルフ(HR:0.61)●パソコン(HR:0.65)●釣り(HR:0.81)●写真(HR:0.83)【女性のみ】●手工芸(HR:0.73)●ガーデニング(HR:0.85)・男女ともに、趣味の数が増加するほど認知症リスクが低下する有意な傾向が認められた(HR:0.84[男性]、HR:0.78[女性])。 著者らは「グラウンドゴルフや旅行を趣味とする高齢者は、男女ともに認知症リスクが低く、また趣味の数が増加するほどリスクが低下することが示唆された。高齢者がさまざまな趣味を実践できる環境づくりを行うことは、認知症予防を効果的に進めるうえで重要である」としている。

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「セルシン」の名称の由来は?【薬剤の意外な名称由来】第36回

第36回 「セルシン」の名称の由来は?販売名2mg セルシン®錠5mg セルシン®錠10mg セルシン®錠セルシン®散1%セルシン®シロップ0.1%※セルシン注射液はインタビューフォームが異なるため、今回は情報を割愛しています。ご了承ください一般名(和名[命名法])ジアゼパム(JAN)効能又は効果○神経症における不安・緊張・抑うつ○うつ病における不安・緊張○心身症(消化器疾患、循環器疾患、自律神経失調症、更年期障害、腰痛症、頸肩腕症候群)における身体症候並びに不安・緊張・抑うつ○下記疾患における筋緊張の軽減脳脊髄疾患に伴う筋痙攣・疼痛○麻酔前投薬用法及び用量通常、成人には1回ジアゼパムとして2〜5mgを1日2〜4回経口投与する。ただし、外来患者は原則として1日量ジアゼパムとして15mg以内とする。また、小児に用いる場合には、3歳以下は1日量ジアゼパムとして1〜5mgを、4〜12歳は1日量ジアゼパムとして2〜10mgを、それぞれ1〜3回に分割経口投与する。筋痙攣患者に用いる場合は、通常成人には1回ジアゼパムとして2〜10mgを1日3〜4回経口投与する。なお、年齢、症状により適宜増減する。麻酔前投薬の場合は、通常成人には1回ジアゼパムとして5〜10mgを就寝前または手術前に経口投与する。なお、年齢、症状、疾患により適宜増減する。警告内容とその理由該当しない禁忌内容とその理由(1)急性狭隅角緑内障のある患者[本剤の弱い抗コリン作用により眼圧が上昇し、症状が悪化するおそれがある。](2)重症筋無力症のある患者[本剤の筋弛緩作用により症状が悪化するおそれがある。](3)リトナビル(HIVプロテアーゼ阻害剤)を投与中の患者※本内容は2020年1月27日時点で公開されているインタビューフォームを基に作成しています。※副作用などの最新の情報については、インタビューフォームまたは添付文書をご確認ください。1)2017年3月改訂(第6版)医薬品インタビューフォーム「2mg セルシン®錠/5mg セルシン®錠/10mg セルシン®錠・セルシン®散1%・セルシン®シロップ0.1%」2)武田テバ DI-net:製品情報一覧

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日本における認知症への呼称変更による家族の感情変化への影響

 認知症に対する差別やスティグマを減らすことは、国際的な問題である。日本では、2004年に「痴呆」から神経認知障害に近い「認知症」へ呼称変更を行った。筑波大学の山中 克夫氏らは、認知症患者の家族の観点から、現在の用語がうまく機能しているかを横断的に調査し、感情に影響を及ぼす因子(認知症患者の周囲の人の気持ち、家族や患者の属性)を見つけるため、検討を行った。Brain and Behavior誌オンライン版2020年12月21日号の報告。 3つの病院を受診した認知症患者に同行するその家族155人を対象に、認知症の呼称と患者の周囲の人の気持ちについて調査を行った。認知症の呼称に対する不快感の程度を分析した。探索的因子分析より抽出した感情の構成概念と属性との関係を分析するため、構造方程式モデリングを用いた。 主な結果は以下のとおり。・「認知症」は「痴呆」よりも不快感が少ないと回答した人は、71.6%であった。・「認知症」は差別的であると考えていた人は、13.2%であった。・しかし、対象者の約3分の1は、「認知症」でも不快感があると回答した。・構造方程式モデリング分析では、「認知症」に対するネガティブな感情に影響を及ぼす因子は若い家族、妻、夫、きょうだいが家族の認知症を周囲に開示することへのためらいであった。・認知症を周囲に開示することへのためらいを緩和する因子は、性別(女性)であった。 著者らは「厚生労働省が以前に調査した結果と比較し、今回の結果は全体として、認知症患者の家族における不快感の軽減がうまくいっていることが示唆されている。しかし、依然としてスティグマを感じている家族は存在する。そのため、影響する因子を考慮した新たな政策が求められる」としている。

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片頭痛に対する抗CGRP抗体ガルカネズマブの有効性~メタ解析

 片頭痛は、頭痛のいくつかのエピソードによりみられる神経学的症候群である。片頭痛の病態生理においてカルシトニン遺伝子関連ペプチド(CGRP)は、重要な役割を果たしているといわれている。ガルカネズマブは、CGRPに特異的に結合し、CGRPの受容体への結合を阻害するモノクローナル抗体である。サウジアラビア・Alfaisal UniversityのAhmed Abu-Zaid氏らは、片頭痛のマネジメントに対するガルカネズマブ(120mgまたは240mg)の有効性を評価したすべてのランダム化プラセボ対照試験のシステマティックレビューおよびメタ解析を実施した。Cureus誌2020年11月22日号の報告。 PubMed、SCOPUS、Embase、Cochrane Centralより、2020年10月10日までの文献をスクリーニングした。次の基準を満たす研究を選択した。(1)対象は片頭痛患者(2)ガルカネズマブ 120mgまたは240mgによる介入(3)対照薬プラセボ(4)事前に設定した有効性および安全性アウトカム(5)ランダム化プラセボ対照試験。有効性アウトカムには、片頭痛の日数(MHD)の変化、急性期薬物治療によるMHDの変化、患者による重症度改善度(PGI-S)スコア、migraine-specific quality of life role function-restrictive domain(MSQ RF-R)スコア、片頭痛障害評価尺度(MIDAS)スコアを含めた。安全性アウトカムには、注射部位の痛み、鼻咽頭炎、上気道感染症の頻度を含めた。研究のバイアスリスク評価には、Cochrane Collaboration's risk of bias toolを用いた。統計分析には、Review Manager Software ver. 5.4.1を用いた。平均差およびリスク比、95%信頼区間の分析には、それぞれ連続分析、2値分析を用いた。同種データと異種データの分析には、それぞれ固定効果モデルと変量効果モデルを用いた。 主な結果は以下のとおり。・6研究4,023例が抽出された。・ガルカネズマブ 120mgおよび240mgは、プラセボと比較し、MHDの減少(p<0.001)、急性期薬物治療によるMHDの減少(p<0.001)、PGI-Sスコアの改善(p<0.001)に対し有意に高い効果が認められた。・MSQ RF-RスコアおよびMIDASスコアは、ガルカネズマブ 240mgでのみ有意な改善が認められた(p<0.001)。・副作用に関しては、注射部位の痛みおよび鼻咽頭炎の割合は、ガルカネズマブ 120mgおよび240mgとプラセボとの間に違いは認められなかった。・しかし、ガルカネズマブ 120mgは、プラセボと比較し、上気道感染症の頻度が高かった。この関係は、ガルカネズマブ 240mgでは認められなかった。 著者らは「ガルカネズマブは、片頭痛のマネジメントにおいて、臨床的に安全かつ効果的であり、高用量での使用によりその有効性はさらに高まる。今後の研究は、片頭痛のマネジメントに対するガルカネズマブの最適な用量を検討することに向けられるべきである。また、ほかの抗CGRP受容体モノクローナル抗体との直接比較研究が求められる」としている。

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新規作用機序で片頭痛発作の発症を抑制するエムガルティが承認/日本リリー・第一三共

 ヒト化抗CGRPモノクローナル抗体製剤「エムガルティ皮下注120mgオートインジェクター、皮下注120mgシリンジ」(一般名:ガルカネズマブ(遺伝子組換え))について、2021年1月22日、「片頭痛発作の発症抑制」の効能又は効果で、国内製造販売承認を取得したことを日本イーライリリーと第一三共が発表した。 本剤はイーライリリー・アンド・カンパニーにより創製されたヒト化抗CGRPモノクローナル抗体で、新規作用機序を持つ片頭痛発作の発症を抑制する薬剤として開発された。本剤は、片頭痛発作時に上昇することが知られているカルシトニン遺伝子関連ペプチド(CGRP)に選択的な結合親和性を有し、その活性を阻害することで、片頭痛発作の発症を抑制することが期待される。 本剤における反復性片頭痛患者を対象とした海外第III相試験(CGAH試験)において、二重盲検投与期における1ヵ月あたりの片頭痛日数のベースラインからの変化量の6ヵ月平均値が、本剤はプラセボに比べ有意に減少していた。同様に、反復性片頭痛患者を対象とした国内第II相試験(CGAN試験)においても、1ヵ月あたりの片頭痛日数の変化量(6ヵ月平均値)は、プラセボ群とエムガルティ群で有意差が認められた。また、慢性片頭痛患者を対象とした臨床試験、ならびに他剤で効果不十分な片頭痛患者を対象とした臨床試験のいずれにおいても、1ヵ月あたりの片頭痛日数の変化量(3ヵ月平均値)はプラセボ群と比較してエムガルティ群で有意に減少していた。 安全性については、主な副作用(発現頻度1%以上)として、注射部位疼痛、注射部位反応(紅斑、そう痒感、内出血および腫脹等)等が報告されている。■製品概要販売名:エムガルティ皮下注120mgオートインジェクター    エムガルティ皮下注120mgシリンジ一般名:ガルカネズマブ(遺伝子組換え)製造販売承認日:2021年1月22日効能又は効果:片頭痛発作の発症抑制用法及び用量:通常、成人にはガルカネズマブ(遺伝子組換え)として初回に240mgを皮下投与し、以降は1ヵ月間隔で120mgを皮下投与する。製造販売元:日本イーライリリー株式会社販売元:第一三共株式会社

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第41回 難病患者とのコミュニケーションで重要な2つのこと

前回紹介した、難病患者支援などを行っているNPO法人Smile and Hope(千葉県八千代市)主催の「心のケアシンポジウム〜今こそ生きる意味を問う〜」では、医療・福祉現場のコミュニケーションの在り方もトピックの1つとなった。東京都立神経病院リハビリテーション科の作業療法士である本間 武蔵氏は、「難病コミュニケーション」をテーマに臨床経験から得られた視点を話した。本間氏は、ALSなど神経難病患者の日常生活支援を行うなかで、あらかじめ録音・保存した声をパソコンで再現するソフトウエア「マイボイス」や、意思伝達ソフトウエア「ハーティーラダー」などを活用し、気管切開で声を失った患者の意思伝達のサポートに取り組んでいる。難病コミュニケーションは手段と心本間氏はまず、神経難病のコミュニケーションについて「コミュニケーション手段」と「心のコミュニケーション」を2つの柱として挙げた。ALSは、症状が進行すると運動障害や構音障害、呼吸障害などが現れる。そのため、残存運動機能に合わせたコミュニケーションツールを選択する必要がある。たとえば、パソコンやタブレット、スマートフォンを使ったワンスイッチ操作による文字入力や、視線やまばたきによって透明文字盤を指し示すコミュニケーションなどだ。ただ、本間氏は「日常生活のコミュニケーションは、装置や用具に頼らない手段が重要。複雑な装置や特殊な用具がなくても、コミュニケーションはできる」と述べる。また、装置や用具を使うにしても、できるだけシンプルな仕組みで簡単に使えるものであることに加え、同時に複数の手段を使いこなすことが重要と指摘。究極のコミュニケーション手段として、相手が患者の口の形を読み取る「口文字盤」や、太田氏が開発した、瞳の動きだけで言葉を伝える「Wアイクロストーク」を挙げ、「人の読み取り能力は、高性能なセンサーよりも優れている」と述べた。心のコミュニケーションについては、「周囲が患者さんに声掛けしたり関心を寄せたりすることが重要」とし、具体的には「患者さんからの意思表示が読み取れなかったとしても、やりとりに関心や共感を添えることや、それまでの会話や関わりを基に、推測で理解することもコミュニケーションになる」と述べた。本間氏は、心のコミュニケーションにおける大切なポイントとして、「心をここに置く」「コンディションが良い状態で臨む」の2つを挙げる。前者は、置かれた状況で充分とはいえなくても相手に集中する意識感覚を持つことで、スケジュールのなかの一場面とは全く違った関わりになるという。後者については、患者が示す文字盤を読み取ることだけにとらわれない余裕が生まれ、イメージが湧くなど、自身でも心の会話ができていると感じられるという。コミュニケーション意欲減退は、人生への諦めに前回、ALSを発症した医師の太田 守武氏が、多くの困難を感じた中でも「最大の壁」と称したのが情動制止困難であった。普段は抑えることができる感情が抑えられなくなり、極端な表現により周囲との関係がうまくいかなくなることもあるのが特徴だ。しかしこれも症状の1つであり、本人も苦しんでいるという理解が大切だと本間氏は強調した。また、病初期から進行期において、本人は発した言葉が相手に通じていると思っているのに、実際には聞き取ってもらえていないという齟齬が生じたり、形が崩れた文字が読み取れず、理解してもらえなかったりすることで孤独感が次第に募る。こうなると、コミュニケーションへの意欲だけでなく、この先の人生まで諦めてしまう可能性があり、全経過の中で最大の危機である。一方で、視線透明文字盤や意思伝達装置などに落ち着いて取り組む患者の多くは、胃瘻や気管切開、人工呼吸器により身体や生活が楽になり、安定しているからこそ積極的なコミュニケーションが可能になっているという側面もあるという。ただ、心のコミュニケーションは病初期の段階から必要だと本間氏は指摘する。「コミュニケーション手段が成り立たなくなったから、心でコミュニケーションするというのは間違っている。患者さんは1人ひとり異なるので、パターン化せず、想像力を働かせて患者さんの意思を正しく読み取ることが大切」と指摘。「患者さんは、日常の些細な事をきっかけに『生きていける』と思ったり『死にたい』という気持ちになったりしている。それだけに、心のコミュニケーションは患者さんとの共同作業として向き合っていきたい」と締めくくった。難病患者や重度障がい者を巡っては、悲惨な事件が起きている一方、ALS患者の舩後 靖彦氏が国政史上初の参議院議員となるなど、世間の耳目を集めている。医療者として、一個人として、どのようなコミュニケーションができるだろうか。改めて考えてみたい。

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片頭痛患者の神経障害性疼痛に対する抗CGRPモノクローナル抗体

 カルシトニン遺伝子関連ペプチド(CGRP)は、末梢神経障害の一般的な特徴である神経因性疼痛の発症に関連することを示すエビデンスが増加している。臨床研究では、抗CGRPモノクローナル抗体が、片頭痛の予防に効果的であることが示唆されているが、ヒトの神経因性疼痛を含む非頭痛の慢性疼痛に対する効果は明らかになっていない。米国・ミズーリ大学のSeung Ah Kang氏らは、慢性片頭痛を合併している患者の神経因性疼痛に対する抗CGRPモノクローナル抗体の有効性について、評価を行った。Muscle & Nerve誌オンライン版2020年12月21日号の報告。 慢性片頭痛および末梢神経障害患者14例をレトロスペクティブにレビューした。すべての患者は、抗CGRPモノクローナル抗体による治療が行われていた。neuropathy pain scale(NPS)および1ヵ月間の片頭痛日数(MHD)に関するデータを、患者報告により収集した。データの収集は、抗CGRPモノクローナル抗体による治療の3ヵ月前、0ヵ月および3、6、9、12ヵ月後に行った。 主な結果は以下のとおり。・抗CGRPモノクローナル抗体による治療により、NPSスコアは、ベースライン時の89.3から治療12ヵ月後の52.1へ41.7%の減少が認められた(p<0.05)。・1ヵ月間のMHDは、ベースライン時の19.8から12ヵ月後の13.2へ33.3%の減少が認められた(p<0.05)。 著者らは「抗CGRPモノクローナル抗体による治療は、慢性片頭痛患者の神経障害性疼痛を有意に改善した。これらの結果を確認するために、より多くの患者集団を対象とした盲検化ランダム化研究は、実施する価値があるであろう」としている。

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高齢者では1日の歩数が睡眠効率と正の相関―大分大学

 高齢化社会において加齢に伴う運動不足と睡眠障害は大きな問題である。身体活動が睡眠の質に関連しているというエビデンスが出ているが、歩数と睡眠の関連については明らかになっていない。大分大学医学部神経内科の木村 成志氏らは、大分県臼杵市に居住する65歳以上の855例を対象に、毎日の歩数と睡眠の関連を調査した。 2015年8月~2016年3月までに855例が登録され、参加者は期間中3ヵ月ごとに平均7~8日のあいだ腕時計型センサーによって歩数を測定し、重回帰分析で1日の歩数と睡眠(総睡眠時間、睡眠効率、中途覚醒時間[WASO]、中途覚醒回数、昼寝時間)との関連を調べた。 参加者の年齢中央値は73歳(四分位範囲[IQR]:69~78歳)、男性317例(37.1%)、女性538例(62.9%)。教育レベルは12(IQR:11~12)年で、ミニメンタルステート検査(MMSE)スコアは29(IQR:27~30)ポイントだった。 主な結果は以下のとおり。・毎日の歩数は、睡眠時間と相関はなかった。・毎日の歩数は、睡眠効率と正の相関を示した。・毎日の歩数は、WASO、中途覚醒回数、昼寝時間と逆相関を示した。 これらの結果を踏まえ、著者らは「ウォーキングは高齢者にも安全性の高い運動であり、歩行に焦点を当てた運動プログラムの推進は、高齢者の睡眠障害の予防として適切なアプローチといえる」としている。

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