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2月22日 頭痛の日【今日は何の日?】

【2月22日 頭痛の日】〔由来〕慢性頭痛に悩む人たちで結成された「頭痛撲滅委員会」が、頭痛のつらさと悩みを社会に訴える日として2001年に制定。街頭などにポスターを掲示し、啓発活動を行っている。関連コンテンツアイスクリーム頭痛【一目でわかる診療ビフォーアフター】気象病の診療のポイント【診療よろず相談TV】片頭痛の隠れた経済的影響~英国政府のコスト分析片頭痛の前駆症状/予兆期、ubrogepantは有効か?/Lancet日本における慢性疼痛・片頭痛患者の医療アクセスへの障壁

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アルツハイマー病に対する新規疾患修飾薬とリチウムの有用性比較~ネットワークメタ解析

 米国食品医薬品局(FDA)により承認、または審査中の軽度認知障害およびアルツハイマー病に対する疾患修飾薬(donanemab、レカネマブ、aducanumabなど)と潜在的な疾患修飾薬であるリチウムの臨床的有用性の比較は、これまで十分に行われてなかった。iこころクリニック日本橋の寺尾 樹氏らは、アルツハイマー病に対する疾患修飾薬とリチウムの認知機能低下に対する有効性、忍容性、受容性を比較するため、ランダム効果ネットワークメタ解析を実施した。Ageing Research Reviews誌2024年2月号の報告。 2023年11月7日までに公表されたランダム化比較試験(RCT)をMEDLINE、CENTRAL、CINHAL、ClinicalTrials,govよりシステマティックに検索し、ランダム効果ネットワークメタ解析を行った。 主な結果は以下のとおり。・8件(6,547例)のRCTをネットワークメタ解析に含めた。・ミニメンタルステート検査(MMSE)では、リチウムは、donanemab、aducanumab、プラセボよりも有意に優れていた。・アルツハイマー病評価尺度の認知サブスケール(ADAS-Cog)では、新規疾患修飾薬およびリチウムのいずれも、プラセボと比較し、有意な有効性が認められた。・臨床認知症評価尺度(CDR)総合得点では、donanemab、レカネマブは、プラセボよりも有意に高かった。・プラセボと比較し、donanemab、レカネマブは、受容性および忍容性が有意に低かった。・aducanumabはプラセボよりも忍容性が劣っていた。・他の比較では、有意な差が認められなかった。 著者らは「リチウムとdonanemabまたはレカネマブは、どちらがより有効であるかは不明であるものの、リチウムはaducanumabよりも有用である可能性が示唆され、3つの新規疾患修飾薬には、認知機能に対する有効性に差がない」ことを報告し、「低用量リチウムは、新規疾患修飾薬よりも安全である可能性がある」としている。

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紛失、徘徊、幻視…認知症あるあるトラブルの上手な解決策は?【外来で役立つ!認知症Topics】第14回

今回は、患者さん・ご家族からの「認知症あるある質問に、どう答える?」というテーマだ。1つは「なくしもの」、次に冷静さを失う状態いわゆる「パニック」、そしてレビー小体型認知症にみられる「幻視」とその対応の3つだ。こうしたものに共通する心理学的な特徴は、認知症者に特有の不安や自信のなさだと考えられる。しまいなくしよく質問される対応法の1つが、紛失だ。私が、「しまいなくし」と呼ぶものがある。認知症の人は、これは大切だと思うと、「いつもの置き場所に置いては、盗まれてしまう」という過剰な心配を抱きやすいものだ。そのために、普段とは違う場所に隠してしまう。この隠し場所がなかなか難しいところ、たとえば、押し入れの布団の一番下。また、積まれた古新聞紙の間など、記憶力が良くても探し出すのはまず無理と思われるところが多い。まして認知症になると、自分がどこに隠したのか、思い出すことはとてもできないだろう。探して出てこないとなると、「私がなくすわけはない」と焦りと不安がこみ上げて、誰かに盗まれたという被害妄想にすぐに変わってしまう。「自分がしまった場所を忘れて、他人のせいにする」が起こるようになったら、ご家族には、「大事なものは1ヵ所に集めて、そこ以外には置かないことをご本人に指導するようにしましょう」とお伝えする。もっとも、そううまくはいかないが…。次にこれまで見つけた思いがけない隠し場所をリストアップしてもらう。なぜなら、ここにまた隠される可能性があるからだ。もう1つ、最近患者さん家族に教えてもらった手がある。たとえば、1万円札を患者さんご本人に渡して、「これを人にわからないように隠すとしたらとしたら、どこにしまうの?」と言い、ご本人がどこを隠し場所にするかを観察する。その時の行動ぶりに、今後の探し方のヒントがあるかもしれない。なくしものは、財布、通帳、通院セット、キーホルダーなど、わりと限られている。そこで「探しもの発見器」と呼ばれる機器が有効だろう。これを、こうしたなくしもの候補に結び付けておけば、それらが見当たらない時にバイブレーションやアラームで居場所を知らせてくれる。これは便利で、しかも比較的廉価だ。パニックそう有名ではないが、認知症の人にみられやすい症状としてパニックに陥りやすいことがある。パニックといっても、 DSM-5でいうような正式なパニック障害ではない。しかし、突然不安がこみ上げてきて、頭の中が真っ白、いてもたっていられず右往左往になるのは同じことだ。周りには「どうしてこの程度のことで?」と感じられる些事で、てんやわんやの混乱状態に陥ってしまう。その具体的な表れが徘徊・行方不明と、家族の携帯への連続呼び出しだろう。前者は、「迷った、大変だ」と焦る気持ちが、ご本人をどんどんあらぬ方向へと歩ませてしまう。なぜか、家族に電話したり、人に尋ねたりして助けてもらおうとする行動をとる人はまずいない。思いもつかない、そこがパニックなのだろう。道に迷うことや徘徊が心配な状態になった人には、GPSの位置確認装置がお勧めだ。なおGPSの問題は身体のどこに付けるか、どうやって身に付けて外出してもらうかということだ。後者の電話攻勢の原因はさまざまながら、上記のなくしものが主たる原因だろう。解決法は、まずは既述の「探しもの発見器」がある。また、電話に出て説明しても、すぐに忘れて繰り返されるのが常。そこで、ショートメールに「今は忙しい。5時になったら連絡します。」などと書いて送る。ただし、電話攻勢の都度、これをやってはいられない。3回の電話呼び出しに1回、同じメールをまた送ればいいだろう。「幻視が怖い!」レビー小体型認知症(DLB)を最初に提案された小阪 憲司先生は、病理学者であっただけでなく、優れた臨床家であったことを端的に示す患者・家族指導の一言指導がある。これは幻視に影響され、恐怖を募らせたり行動化したりするDLB患者さんへのアドバイスだ。多くは人物の幻視なので、「見えたら、その人のところへ行って触ってごらん」というものだ。「そんなあ、怖いから」などと、必ずしも患者さんには実行してもらえないのだが、実際にやってみた人の多くは「行ったら消えるんです」と次の診察でおっしゃる。こうした体験を繰り返すと、「ああそうか、いないのか」と納得されていくことが少なくない。幻視という症状は患者さん本人以外には確認しようがないものだから、ご家族をはじめ第三者には幻視体験がピンとこない。しかし幻視の体験時には、患者さんの大脳視覚野が、いわば不随意に活性化しているようだ。つまり現存する対象を見ている時と同じように、視覚野は活性化しているので、本人には実像と虚像の区別はつかないのである。このあたりのポイントを凝集した見事な指導が、「その人に触ってごらん」だと思う。

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キノコと認知症リスク~日本での研究

 キノコは、食物繊維やいくつかの抗酸化物質が豊富な食材である。このようなキノコの食事摂取が認知症リスクの低下と関連しているかは、不明である。筑波大学の青木 鐘子氏らは、キノコ摂取と認知機能障害リスクとの関連を調査した。その結果、日本人女性において、キノコの食事摂取が認知機能障害リスクの低下と関連していることが示唆された。The British Journal of Nutrition誌オンライン版2024年1月19日号の報告。 1985~99年に毎年実施されていた心血管リスク調査に参加した3つの地域に在住する40~64歳の地域住民3,750人を対象に、プロスペクティブ研究を実施した。認知症による障害が認められた事例を、1999~2020年に調査した。脳卒中の既往歴の有無にかかわらず、キノコの摂取量に応じた認知症発症数のハザード比(HR)および95%信頼区間(CI)を算出した。 主な結果は以下のとおり。・3,739人を平均16.0年フォローアップ調査したところ、障害を伴う認知症を発症した人は670人であった。・女性では、キノコの摂取と認知症リスクの逆相関が認められた。この関連は、脳卒中の既往歴のない認知症に限定されていた。・女性における認知症発症の多変量HRは、キノコを摂取していなかった人と比較し、キノコの摂取量が0.1~14.9g/日で0.81(95%CI:0.62~1.06)、15.0g/日以上で0.56(0.42~0.75)であった(p for trend=0.003)。・脳卒中の既往歴のない認知症におけるハザード比は、キノコの摂取量が0.1~14.9g/日で0.66(95%CI:0.47~0.93)、15.0g/日以上で0.55(0.38~0.79)であった(p for trend=0.01)。・男性では、キノコの摂取と認知症リスクとの関連が認められなかった。

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チョコレートを食べると脳機能が改善【Dr. 倉原の“おどろき”医学論文】第251回

チョコレートを食べると脳機能が改善photoACより使用バレンタインデーが近づいてきました。コロナ禍になってから、飲み会とかこういう行事とか鳴りを潜めているように思います。私は、チョコレートなんてもう数年、誰からももらっていないです。いや、ひがんでいるわけではないです。さて、チョコレートの消費量とノーベル賞の相関関係が示された研究が2012年に発表され、話題になりました1)。しかしながら、いろいろなリミテーションがある研究だと指摘され、当時喧々囂々と議論されました。Sasaki A, et al. Cacao Polyphenol-Rich Dark Chocolate Intake Contributes to Efficient Brain Activity during Cognitive Tasks: A Randomized, Single-Blinded, Crossover, and Dose-Comparison fMRI Study. Nutrients. 2023 Dec 21;16(1):41.この研究は、機能的MRI(fMRI)を用いて、認知テスト中の脳機能改善に対するダークチョコレート摂取の効果を検討するという、珍しいランダム化単盲検クロスオーバー用量比較試験です。26人の健康な成人被験者が、低濃度(211.7mg)または高濃度(635mg)のカカオポリフェノール入りのダークチョコレート(25g)を摂取しました。いやー、美味しそう。摂取後25分、摂取後50分の2回、fMRIを用いて実行機能に関連するテスト中の脳活動を分析しました。チョコレート摂取と脳活動測定セッションの間に、左背外側前頭前皮質と左下頭頂小葉における有意な交互作用が観察され、ダークチョコレートを1回摂取することで、継続的かつ努力的な課題中の脳機能効率の向上に寄与することが示されました。これまでも、チョコレートと脳機能の関係はさまざまな研究で検証されています。今回はカカオポリフェノール入りのダークチョコレートでしたが、カカオフラバノール2)は血圧も低下させる作用があるとされています。こちらは、森永製菓がイチオシしている成分でもあります。1)Messerli FH. Chocolate consumption, cognitive function, and Nobel laureates. N Engl J Med. 2012 Oct 18;367(16):1562-1564.2)Tsukamoto H, et al. Flavanol-rich cocoa consumption enhances exercise-induced executive function improvements in humans. Nutrition. 2018 Feb;46:90-96.

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ADHD治療薬、長期使用のデメリットに心血管疾患リスク増大

 注意欠如・多動症(ADHD)の罹患者数は過去数十年で大幅に増加しており、治療薬の処方もそれに伴い増加している。ADHD治療薬には心拍数・血圧の上昇との関連が報告されているが、これに関し、重大な心血管疾患(CVD)との関連を調査した研究結果が発表された。スウェーデン・カロリンスカ研究所のLe Zhang氏らによる本研究の結果は、JAMA Psychiatry誌2024年2月1日号に掲載された。ADHD治療薬の長期服用が高血圧と動脈疾患のリスク増加と関連 2007~20年にスウェーデン国内でADHD診断を受けた、または同国で承認されたADHD治療薬である精神刺激薬(メチルフェニデート・アンフェタミン・デキストロアンフェタミン・リスデキサンフェタミン)および非精神刺激薬(アトモキセチン・グアンファシン)のいずれかの処方を受けた6~64歳の患者を対象に、ADHD治療薬の長期使用とCVD(虚血性心疾患・脳血管疾患・高血圧・心不全・不整脈・血栓塞栓症・動脈疾患・その他の心疾患)の関連を調査した。CVDの既往歴がある患者は除外され、ADHD治療薬の累積使用期間は14年以内であった。 ADHD治療薬と重大な心血管疾患との関連を調査した主な結果は以下のとおり。・CVDを発症した1万388例(年齢中央値34.6歳、男性59.2%)を同定し、CVDを有さない対照者5万1,672例とマッチさせた。両群の追跡期中央値は4.1年だった。・ADHD治療薬の使用期間が長いほど、非使用者と比較したCVDリスクが増加していた。(使用期間1~2年の調整オッズ比[aOR]:1.09、3~5年:1.27、5年超:1.23)。・ADHD治療薬の長期使用は高血圧(5年超のaOR:1.80)、動脈疾患(5年超のaOR:1.49)のリスク増加と関連していた。・14年の追跡期間全体では、ADHD治療薬の使用期間が1年延長するごとにCVDリスクが4%増加し、最初の3年は8%とより大きなリスク増加が見られた。小児および青年(25歳未満)、成人(25歳以上)において同様のパターンが観察された。 研究者らは「この症例対照研究では、ADHD治療薬の長期服用がCVD、とくに高血圧と動脈疾患のリスク増加と関連していることが明らかになった。これらの所見は、ADHD治療薬の長期使用について治療方針を決定する際に、潜在的な利益とリスクを慎重に比較検討することの重要性を強調するものである。臨床医は治療期間中、定期的かつ一貫して心血管系の徴候や症状をモニタリングすべきである」と結論付けている。

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日本における頭痛に対する処方パターンと特徴

 長野県・諏訪赤十字病院の勝木 将人氏らは、メディカルビッグデータであるREZULTを用いて、日本の成人頭痛患者(17歳以上)に対する処方パターンの調査を行った。Cephalalgia誌2024年1月号の報告。 Study1では、2020年に頭痛と診断された患者における急性期治療薬の過剰処方の割合を横断的に調査した。過剰処方は、トリプタンとNSAIDs(30錠/90日以上)、NSAIDs単剤(45錠/90日以上)と定義した。Study2では、最初の頭痛診断から2年超の処方パターンを縦断的に調査した。処方薬剤数は、90日ごとにカウントした。 主な結果は以下のとおり。・Study1では、363万8,125例中20万55例(5.5%)が頭痛と診断されており、そのうち1万3,651例(6.8%)に対し急性期治療薬が処方されていた。・NSAIDs単独処方は、1万2,297例(90.1%)でみられ、トリプタンは1,710例(12.5%)に処方されていた。・過剰処方は、2,262例(16.6%)でみられ、1,200例(8.8%)には頭痛の予防治療薬が処方されていた。・Study2では、684万618例中40万8,183例(6.0%)は、頭痛と診断され、その後2年以上継続していた。・時間の経過とともに、急性期治療薬の過剰処方の割合が増加していた。・2年間で急性期治療薬が過剰処方を経験した患者は3万7,617例(9.2%)、2万9,313例(7.2%)において、予防治療薬の処方経験が認められた。 著者らは「実臨床データより、予防治療薬の処方が依然として不十分であることが示唆されており、頭痛に対する急性期治療薬および予防治療薬の処方の割合は、いずれも時間の経過とともに増加している」とまとめている。

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ニーマン・ピック病C型へのN-アセチル-L-ロイシン、神経学的状態を改善/NEJM

 ニーマン・ピック病C型(NPC)の患者において、リソソームと代謝の機能障害改善が期待されるN-アセチル-L-ロイシン(NALL)による12週間の治療はプラセボと比較し、神経学的状態を改善したことが、スイス・ベルン大学のTatiana Bremova-Ertl氏らが、60例を対象に行ったプラセボ対照無作為化二重盲検クロスオーバー試験の結果で示された。NPCは、進行性、衰弱性、早期致死性の常染色体劣性遺伝性リソソーム蓄積症(ライソゾーム病)で、発症頻度は10万人に1人(本邦では12万に1人)と報告される希少疾病である。現行では、ミグルスタットによる薬物治療があるが進行抑制に限定され、欧州連合(EU)と本邦を含むいくつかの国では承認されているが、米国では未承認である。NALLの有効性と安全性を評価した今回の結果について著者は、「さらなる検討で長期の有効性を確認する必要がある」とまとめている。NEJM誌2024年2月1日号掲載の報告。12週投与後の小脳性運動失調評価法(SARA)の合計スコアをプラセボと比較 研究グループは、4歳以上の遺伝学的に確認されたNPC患者を1対1の割合で無作為に2群に割り付け、一方にはNALLを12週間投与後にプラセボを12週間投与、もう一方にはプラセボを12週間投与し、その後NALLを12週間投与した。 NALLまたはプラセボは、体重35kg未満の4~12歳には体重ベースの用量(2~4g/日)を1日2~3回、体重35kg以上の4~12歳および13歳以上には4g/日を1日3回(朝2g、昼1g、夜1g)経口投与した。 主要エンドポイントは、小脳性運動失調評価法(SARA:0~40で数値が低いほど神経学的状態が良好)の合計スコアだった。副次エンドポイントは、臨床全般印象度改善度(CGI-I)スコア、脊髄小脳性運動失調症機能指数(SCAFI)スコア、modified Disability Rating Scale(mDRS)スコアなどだった。 各群のクロスオーバーデータを用いて、NALL群とプラセボ群の比較を行った。合計スコア変化量、NALL群-1.97ポイントvs.プラセボ群-0.60ポイント 5~67歳の患者60例が登録された。主要エンドポイントであるSARAのベースライン時の平均合計スコアは、NALL初回投与前(60例)が15.88、プラセボ初回投与前(59例、1例はプラセボ投与なし)が15.68だった。 SARA合計スコアのベースラインからの平均変化量(±SD)は、NALL 12週間投与後は-1.97±2.43ポイント、プラセボ12週間投与後は-0.60±2.39ポイントだった(最小二乗平均差:-1.28ポイント、95%信頼区間:-1.91~-0.65、p<0.001)。 副次エンドポイントについては、概して主要解析の結果を支持するものだったが、それらの結果について、多重比較補正は事前に規定していなかった。有害事象の発現率はNALLとプラセボで同等で、重篤な治療関連有害事象は認められなかった。

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初の自己注射可能な全身型重症筋無力症薬「ジルビスク皮下注シリンジ」【最新!DI情報】第8回

初の自己注射可能な全身型重症筋無力症薬「ジルビスク皮下注シリンジ」今回は、補体(C5)阻害薬「ジルコプランナトリウム(商品名:ジルビスク皮下注16.6mg/23.0mg/32.4mgシリンジ、製造販売元:ユーシービージャパン)」を紹介します。本剤は、わが国初の自己注射可能な全身型重症筋無力症の治療薬であり、重症筋無力症の症状や日常生活動作の改善が期待されています。<効能・効果>全身型重症筋無力症(ステロイド薬またはステロイド薬以外の免疫抑制薬が十分に奏効しない場合に限る)の適応で、2023年9月25日に製造販売承認を取得しました。本剤は、抗アセチルコリン受容体抗体陽性の患者に投与されます。<用法・用量>通常、成人にはジルコプランとして、体重に合わせた用量を1日1回皮下投与します。56kg未満:16.6mg56kg以上77kg未満:23.0mg77kg以上:32.4mgなお、本剤投与開始12週後までに症状の改善が認められない場合は、ほかの治療法への切り替えを考慮します。<安全性>重大な副作用として、髄膜炎菌感染症(頻度不明)、重篤な感染症(1.4%)、膵炎(0.5%)および重篤な過敏症(0.5%)が報告されています。そのほかの主な副作用は、注射部位反応(注射部位内出血、注射部位疼痛など)、感染症(上気道感染、上咽頭炎、副鼻腔炎、尿路感染など)、肝機能検査値や血中好酸球値の上昇などがあります。<患者さんへの指導例>1.この薬は、全身型重症筋無力症の治療に用いる注射薬です。2.ステロイド薬またはステロイド薬以外の免疫抑制薬が十分に奏効しない場合に用いられます。3.この注射は、医師や看護師の指導のもとに医療機関で開始しますが、患者さんやご家族の方が注射できると医師が判断した場合、自己注射での投与も可能です。4.投与中および投与終了後2ヵ月は、髄膜炎菌感染症のリスクが増加するので、「患者安全性カード」を常に携帯してください。5.投与中に頭痛や発熱、悪心など、季節性インフルエンザと似たような症状が生じた場合は、すぐに主治医または緊急時に受診可能な医療機関に連絡してください。<ここがポイント!>重症筋無力症(MG)は、自己抗体によって神経筋接合部の刺激伝達が障害される自己免疫疾患です。わが国のMG全体の約80~85%がアセチルコリン受容体(AChR)抗体陽性で、約5%が筋特異的チロシンキナーゼ(MuSK)抗体陽性です。全身型MGの治療は免疫療法を基本とし、経口ステロイド薬や免疫抑制薬、ステロイドパルス療法、免疫グロブリン静注療法、血漿浄化療法が用いられます。また、難治性全身型MGには、抗補体(C5)モノクローナル抗体であるエクリズマブが使用されます。ジルコプランは補体(C5)を阻害する大環状ペプチドで、分子量が治療用抗体と比較して小さいことから、神経筋接合部への透過性が高いと考えられます。ジルコプランは、C5に結合しC5aおよびC5bへの開裂ならびにC5bおよびC6の結合を阻害する2つの作用によって、補体が関与する損傷を阻害する次世代補体(C5)阻害薬です。日本で初めての在宅自己投与が可能なMG治療の皮下注射製剤です。抗AChR抗体陽性の18歳以上の全身型MG患者を対象とした国際共同第III相二重盲検試験(MG0010)の結果、12週におけるMG-ADL総スコアのベースラインからの変化量の最小二乗平均値は、ジルコプラン群で−4.39およびプラセボ群で−2.30、群間差は−2.09(p<0.001)であり、ジルコプラン群はプラセボ群と比較して統計学的に有意な低下を示しました。本剤は、抗AChR抗体陽性の患者が対象であり、ステロイド薬またはステロイド薬以外の免疫抑制薬が十分に奏効しない場合にのみ投与が可能です。注意点として、補体(C5)阻害薬の使用により髄膜炎菌感染症のリスク増加が報告されている点が挙げられます。髄膜炎菌感染症は死に至る可能性がある重篤な疾患であるため、原則として投与開始の少なくとも2週間前までに髄膜炎菌ワクチンを接種する必要があります。

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第200回 非オピオイド鎮痛薬が米国承認申請へ

まずは急性痛第III相試験が成功本連載で2年ほど前に取り上げた依存やその他のオピオイドにつきものの副作用の心配がない経口の非オピオイド鎮痛薬が2つの第III相試験で術後痛を有意に緩和し、いよいよ米国FDAの承認申請に進みます1)。試験の1つには腹部の脂肪を除去する腹壁形成手術患者1,118例、もう1つには外反母趾の瘤(バニオン)を取る手術患者1,073例が参加しました。それら2試験のどちらでも米国のバイオテック企業Vertex Pharmaceuticalsの神経ナトリウムチャネル阻害薬VX-548の時間加重合計(SPID48)がプラセボを有意に上回りました。SPID48は点数が大きいほど48時間に痛みがより鎮まったことを意味し、腹壁形成手術患者と外反母趾手術患者の試験でのVX-548投与群のSPID48はプラセボ群をそれぞれ有意に48点と29点上回りました。しかしながら、定番のオピオイド薬との比較ではVX-548は勝てませんでした。腹壁形成手術患者の試験でのVX-548投与群のSPID48はオピオイド薬(ヒドロコドンとアセトアミノフェンの組み合わせ)より高めでしたが勝ったとはいえず、外反母趾手術患者の試験でのVX-548投与群のSPID48はオピオイド薬未満でした。オピオイド薬との比較は残念な結果となりましたが、第一の目標であるプラセボとの比較で勝利したことを受けてVX-548はいよいよ今年中頃までに米国FDAに承認申請されます。手術や手術以外も含む多様な患者へのVX-548の効果や安全性を調べた別の第III相試験の結果も踏まえ、急な痛みの治療薬として承認申請される予定です。対照群なしのその第III相試験ではVX-548使用患者の83%が好転(good, very good, or excellent)したと自己評価しました。慢性痛の用途も目指すVX-548は慢性痛への効果の検討も進んでおり、去年の12月には糖尿病患者の神経痛(糖尿病神経障害)への効果を調べた第II相試験での有望な結果が報告されています2)。点数が大きいほどより痛いことを意味する下限0で上限10の数値的疼痛評価尺度(Numeric Pain Rating Scale:NPRS)が一日一回のVX-548投与で有意に2点強下がり、糖尿病神経障害の治療薬プレガバリンの1日3回投与と同程度の効果がありました。プレガバリンと効果が同程度でもVX-548の1日1回投与は強みになるかもしれません。Vertex社はFDAとの協議の後に糖尿病神経障害へのVX-548の大詰め試験を始める予定です。糖尿病神経障害は末梢神経痛の2割を占めます。Vertex社はさらに患者数が多い腰仙部神経根障害への同剤の第II相試験も昨年の12月に開始しています3)。腰仙部神経根障害は末梢神経痛の実に4割を占めます。装い新たなオピオイド薬も健闘オピオイド薬はとくに慎重な扱いが必要とはいえ、VX-548が勝てなかったことも示すように頼りになる薬として引き続き出番は多そうです。それゆえより安全に使えるようにする取り組みが脈々と続いています。米国のサンディエゴを拠点とするEnsysce Biosciences社が開発している半減期が長いオピオイド薬PF614はその1つで、第II相試験後のFDAとの協議結果を踏まえたうえで今年後半に第III相試験が始まります4)。VX-548の試験でも使われたhydrocodoneとアセトアミノフェンの合剤の製品Vicodinは4~6時間ごとの服用が必要ですが5)、PF614は半減期が12時間と長いので1日2回の服用で事足ります。また、乱用されやすさを確認する試験でPF614はオキシコドンに比べて好まれず、再び使いたいという欲求の程がより低くて済むことが確認されています。米国のオピオイド乱用の惨禍は深刻で、2021年のオーバードーズによる死者10万例(10万6,699例)の75%が処方用オピオイドを含む何らかのオピオイドに関連するものでした6)。ゆえにオピオイドの代わりとして使いうるVX-548やPF614のようなより安全な新しい処方薬の役割は大きいに違いなく、同国のオピオイド惨禍を落ち着けることに役立つでしょう。参考1)Vertex Announces Positive Results From the VX-548 Phase 3 Program for the Treatment of Moderate-to-Severe Acute Pain / BUSINESS WIRE 2)Vertex Announces Positive Results From Phase 2 Study of VX-548 for the Treatment of Painful Diabetic Peripheral Neuropathy / BUSINESS WIRE3)Evaluation of Efficacy and Safety of VX-548 for Painful Lumbosacral Radiculopathy (PLSR)4)Ensysce Biosciences Announces Positive End of Phase 2 Meeting with FDA for PF614 to Treat Severe Pain / ACCESSWIRE5)Vicodin / FDA6)Drug Overdose Death Rates / NIH

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アルツハイマー病治療薬aducanumabの開発・販売を終了/バイオジェン

 米国・バイオジェンは2024年1月31日付のプレスリリースにて、同社とエーザイが共同開発したアルツハイマー型認知症治療薬aducanumabの開発および販売を終了することを発表した。本剤は、米国食品医薬品局(FDA)から2021年6月8日に迅速承認を受けていた。迅速承認の条件として第IV相市販後検証試験であるENVISION試験を実施していたが、本試験を終了する。本剤は、日本では2020年12月に承認申請されていたが、翌21年12月の審議で明確な有効性を示すデータが不十分と判断され、承認が見送られ継続審議となっていた。 バイオジェンは今後のアルツハイマー病領域について、米国でフル承認を取得したレカネマブや、新規作用機序を有する治療薬候補でASOタウを標的とした「BIIB080」、経口のタウ凝集を阻害する低分子薬「BIIB113」の開発に優先的にリソースを配分する方針を示した。 また、同社はaducanumabの終了に伴う費用として、2023年第4四半期に約6,000万ドルの特別損失を計上し、Neurimmune社(スイス)から受けていたaducanumabのライセンス契約を終了したことも明らかにした。

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脳卒中による認知症を防ぐために!治療可能なリスク因子は

 脳卒中後の認知機能障害および認知症の確立したリスク因子として、高齢や重度の脳卒中が報告されているほか、心房細動や糖尿病の既往歴なども示唆されている。今回、治療可能なリスク因子に焦点を当て、それらの関連の強さを、ドイツ・ルートヴィヒ・マクシミリアン大学ミュンヘンのJule Filler氏らがシステマティックレビューおよびメタ解析で明らかにした。Lancet Healthy Longevity誌2024年1月号掲載の報告。 脳卒中後の認知機能障害は脳卒中後4年の時点で最大80%1)に、脳卒中後の認知症は脳卒中後1年の時点で最大40%2)に認められ、患者・介護者・医療制度に大きな負担をもたらしている。研究グループは、システマティックレビューおよびメタ解析を行い、年齢や脳卒中の重症度以外のリスク因子、とくに治療可能なリスク因子に焦点を当てて評価を行った。 研究グループは、MEDLINEとCochraneをデータベースの開設から2023年9月15日まで検索した。急性期脳卒中(虚血性/出血性脳卒中、一過性脳虚血発作)患者を対象とした前向きおよび後向きコホート研究、無作為化対照試験の事後解析、ネステッドケースコントロール研究を解析し、ベースライン時のリスク因子と少なくとも3ヵ月の追跡期間における脳卒中後の認知機能障害および認知症との関連を検討した。ランダム効果メタ解析を用いてプールされた相対リスク(RR)と95%信頼区間(CI)を算出した。 主な結果は以下のとおり。・システマティックレビューの対象となった論文は162報で、このうち113報(89研究、16万783例)がメタ解析の対象となった。・ベースライン時の認知機能障害は、脳卒中後の認知機能障害(RR:2.00、95%CI:1.66~2.40)および脳卒中後の認知症(3.10、2.77~3.47)の最も強いリスク因子であった。・脳卒中後の認知機能障害の治療可能なリスク因子として、糖尿病(RR:1.29、95%CI:1.14~1.45)、心房細動の合併/既往(1.29、1.04~1.60)、中等度または重度の大脳白質病変(1.51、1.20~1.91)、大脳白質病変の重症度(1.30、1.10~1.55[1SD増加当たり])を年齢や脳卒中の重症度とは別に同定した。・脳卒中後の認知症の治療可能なリスク因子は、糖尿病(RR:1.38、95%CI:1.10~1.72)、中等度または重度の大脳白質病変(1.55、1.01~2.38)、大脳白質病変の重症度(1.61、1.20~2.14[1SD増加当たり])であった。・そのほかのリスク因子として、低学歴、脳卒中の既往、左半球の脳卒中、3つ以上の閉塞、脳萎縮、ベースライン時の認知機能の低さなどがあった。・リスク因子と脳卒中後の認知症との関連は、近年に実施・発表された研究では弱かった。 これらの結果より、研究グループは「今後の臨床試験では、脳卒中後の認知機能障害および認知症の予防のための潜在的標的として、これらのリスク因子を検討すべきである」とまとめた。

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早期アルツハイマー病患者の記憶定着と睡眠依存性

 空間ナビゲーションは、アルツハイマー病において早期に影響を受ける海馬-嗅内皮質回路機能の重要な基盤となっている。アルツハイマー病の病態生理は、睡眠/覚醒サイクルと動的に相互作用し海馬の記憶を損なうというエビデンスの報告が増えている。ドイツ・University Hospital of Schleswig HolsteinのAnnika Hanert氏らは、早期アルツハイマー病患者の記憶定着と睡眠依存性との関連を評価した。Neurobiology of Disease誌2024年1月号の報告。 症候性アルツハイマー病コホート(12例、平均年齢:71.25±2.16歳)における睡眠依存性の影響を解明するため、夜間睡眠の前後における、仮想現実タスクによる海馬の場所記憶および単語ペア連想タスクによる言語記憶を評価した。 主な結果は以下のとおり。・アルツハイマー病患者では健康な対照群と比較し、言語タスクにおいて夜間の記憶保持が損なわれているとともに、睡眠紡錘波の活動の減少(速い睡眠紡錘波の振幅低下、p=0.016)および遅い振幅(slow oscillation)の持続時間増加(p=0.019)との有意な関連が認められた。・紡錘波の密度の高さ、遅い振幅の下方から上方への移行速度の速さ、遅い振幅とネストされた紡錘波の間の時間遅延は、対照群では記憶機能の向上を予測したが、アルツハイマー病患者では予測しなかった。 著者らは、「アルツハイマー病における記憶処理および記憶定着は、ノンレム睡眠中の振幅ダイナミクスの機能不全および紡錘波の遅い振幅との結合を反映して、わずかに損なわれていることが示唆された」としている。

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第199回 コロナ感染でくしゃみが生じる仕組みを発見/コロナ感染でドーパミン神経が老化する

コロナ感染でくしゃみが生じる仕組みを発見新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)感染でよく生じる症状の1つ、くしゃみを誘発する仕組みが見つかりました。SARS-CoV-2は手持ちのプロテアーゼPLpro(パパイン様プロテアーゼ)を頼りに複製します。そのPLproが感覚神経の一員である侵害受容神経を活性化してくしゃみを誘発することがマウスを使った検討で明らかになりました1)。ウイルス感染の別の主な症状である咳をPLproが促すかどうかは検討されませんでした。というのもマウスの咳を確かめようがなかったからです2)。しかしPLproが咳も引き起こしている可能性はありそうです。PLproは侵害受容神経で発現するイオンチャネルTRPA1を介した作用により、くしゃみや痛みを誘発することが今回の研究で示されました。TRPA1活性化の咳誘発作用が先立つ研究で知られており3)、PLproが咳も誘発するかどうかを調べることは価値がありそうです。PLproはSARS-CoV-2の複製に不可欠なことから、その阻害薬の開発が進んでいます。たとえばビタミンA誘導体イソトレチノンにPLpro阻害作用があると示唆されており、Clinicaltrials.govには同剤による新型コロナウイルス感染症(COVID-19)治療の臨床試験がいくつか登録されています。また、米国・Sound Pharmaceuticals社の開発品ebselenもどうやらPLpro阻害作用があるらしく、COVID-19患者を対象にした2つの第II相試験が進行中です。今回の結果によるとそれらPLpro阻害薬はこれまでの見込み以上の症状緩和作用や感染の拡大を防ぐ作用を担いうるかもしれません。くしゃみを誘発するウイルスはほかにもありますが、そもそもウイルス感染のくしゃみの原因はこれまでわかっていませんでした。今回見つかった仕組みはSARS-CoV-2のみならず、そのほかのウイルス感染の症状や感染の伝播を減らす手段の開発にも役立ちそうです2)。コロナ感染でドーパミン神経が老化する続いて、SARS-CoV-2が神経に支障を来す仕組みを同定し、COVID-19患者のパーキンソン病症状の発生に注意する必要があることを示唆した研究成果を紹介します。COVID-19の嗅覚/味覚障害や頭痛などの神経異常はますます広く知られるようになっています。神経のSARS-CoV-2感染のしやすさは一様ではないらしく、たとえばiPS細胞(人工多能性幹細胞)から作ったドーパミン放出(DA)神経はSARS-CoV-2感染を許し、皮質神経はそうでないことが先立つ研究で示されています。新たな研究の結果、SARS-CoV-2感染したiPS細胞由来DA神経はパーキンソン病と関連する老化状態に陥ることが示されました4,5)。SARS-CoV-2感染で老化経路の活性化がみられたのはDA神経細胞のみで、肺を模す組織(肺オルガノイド)、膵臓細胞、肝臓オルガノイド、心臓細胞のSARS-CoV-2感染では老化経路遺伝子の有意な働きは認められませんでした。そういう神経老化を防ぎうる手段も早くも同定されました。検討されたのは米国FDA承認薬一揃いで、まずそれらをiPS細胞由来DA神経に与え、次にSARS-CoV-2を加えた後に細胞老化の生理指標βガラクトシダーゼ(β-gal)活性が測定されました。その結果やほかの検討により、3つの薬・リルゾール、イマチニブ、メトホルミンがDA神経へのSARS-CoV-2感染を阻止してその老化を防ぐことが判明しました。筋萎縮性側索硬化症(ALS)治療に使われるリルゾールとSARS-CoV-2感染の関わりは知られていませんが、イマチニブのSARS-CoV-2阻止作用は肺オルガノイドを使った先立つ研究で確認されています。メトホルミンといえばSARS-CoV-2感染した肥満や2型糖尿病患者の死亡率低下と同剤使用の関連が示されており、COVID-19治療効果を担いうることが知られています。それら薬剤がSARS-CoV-2感染に伴う神経病変を解消しうるかどうかは今後調べる価値がありそうです。また、SARS-CoV-2感染した人にパーキンソン病関連症状が発生していないかどうかを注意して観察する必要がありそうです。パーキンソン病で損傷を受けやすいのが脳の黒質のDA神経A9型であるのと同様に、そのA9型はSARS-CoV-2にどうやらとくに影響を受けやすいことが今回の研究で示唆されています。参考1)Mali SS, et al. bioRxiv. 2024 Jan 11. [Epub ahead of print]2)Why does COVID-19 make you sneeze? / Science3)Grace MS, et al. Pulm Pharmacol Ther. 2011;24:286-288.4)Yang L, et al. Cell Stem Cell. 2024 Jan 10. [Epub ahead of print]5)SARS-CoV-2 Can Infect Dopamine Neurons Causing Senescence / Weill Cornell Medicine

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入院リスクが高い主訴は?

 救急外来(emergency department:ED)で疲労感などの非特異的な訴え(non-specific complaints:NSC)をする高齢患者は、入院リスクならびに30日死亡率が高いことが明らかになった。この結果はスウェーデン・ルンド大学のKarin Erwander氏らがNSCで救急外来を訪れた高齢者の入院と死亡率を、呼吸困難、胸痛、腹痛など特定の訴えをした患者と比較した研究より示唆された。加えて、NSC患者はEDの滞在時間(length of stay:LOS)が長く、入院率が高く、そして入院1回あたりの在院日数が最も長かった。BMC Geriatrics誌2024年1月3日号掲載の報告。 本研究は2016年にRegion HallandのEDを1回以上受診した65歳以上の患者1万5,528例のうち、NSCおよび特定の主訴(呼吸困難、胸痛、腹痛)を抱えて救急外来を訪れた4,927例を対象とした後ろ向き観察研究。NSCとして疲労、意識障害、全身の脱力感、転倒の危険性を定義付けた。主要評価項目は入院と30日死亡率であった。 主な結果は以下のとおり。・4,927例の主訴の内訳は胸痛1,599例(32%)、呼吸困難1,343例(27%)、腹痛1,460例(30%)、NSC525例(11%)であった。なお、本施設全体におけるEDを受診する主訴TOP10は外傷、胸痛、腹痛、呼吸困難、骨格筋系の痛み、感染症、神経内科領域、不整脈、めまい、NSCの順であった。・NCS患者の平均年齢は80歳であった。・入院率は呼吸困難(79%)、NSC(70%)、胸痛(63%)、腹痛(61%)の順に高かった。・NSC患者の平均LOSは4.7時間で、これは胸痛、呼吸困難、腹痛を訴えた患者と比較して有意に高かった(p<0.001)。また、72時間以内に再入院する割合も高かった。・全集団の平均病床日数が4.2日であったのに対し、NSC患者では5.6日であった。・NSCおよび呼吸困難を訴えた患者は30日死亡率が最も高かった。 本研究では、NSCを有する高齢患者を評価することの難しさなどを示し、EDのスタッフが患者一人ひとりに対し最適なケアを行うためには、さらなる研究が必要としている。

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ハイゼントラ、プレフィルドシリンジの剤形追加承認を取得/CSLベーリング

 CSLベーリングは1月22日付のプレスリリースで、人免疫グロブリン製剤「ハイゼントラ20%皮下注」について、新剤形としてプレフィルドシリンジ製剤に対する医薬品製造販売承認を取得したことを発表した。 ハイゼントラは、効能・効果として2013年9月に「無又は低ガンマグロブリン血症」が承認され、2019年3月には「慢性炎症性脱髄性多発根神経炎の運動機能低下の進行抑制(筋力低下の改善が認められた場合)」が追加された。2023年12月時点で米国、欧州を含む67以上の国と地域で承認されている。 同社の代表取締役社長である吉田 いづみ氏は、「このたびのプレフィルドシリンジ製剤の承認により、本剤を使用される患者さんおよび医療従事者の利便性向上と投与時の負担軽減につながることが期待されます。当社は、血漿分画製剤と免疫グロブリン補充療法のグローバル・リーダーとして、希少・難治性疾患の患者さんのアンメットニーズを満たし、患者さんの人生をより豊かなものにできるよう、これからも全力で取り組む所存です」としている。

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早期アルツハイマー病における多剤併用と身体能力との関係

 トルコ・University of Health SciencesのAysegul Akkan Suzan氏らは、早期アルツハイマー病患者の歩行を評価するために用いられる特定の身体能力測定と、多剤併用との関連を評価する目的で本研究を実施した。Current Medical Research and Opinion誌オンライン版2023年12月11日号の報告。 3次医療センターの認知症外来クリニックで横断的研究を実施した。1日当たり5剤以上の薬物治療を多剤併用の定義とし、対象患者から中等度~重度の認知症患者は除外した。身体的パフォーマンスステータスの評価には、通常歩行速度(UGS)、Timed Up & Go(TUG)テスト、椅子立ち上がりテスト(CSST)を用いた。 主な結果は以下のとおり。・対象患者134例(女性の割合:67.9%、平均年齢:80.2±7.9歳)のうち、75例(56%)が多剤併用患者であった。・多剤併用患者はそうでない患者と比較し、身体的パフォーマンスが不良であった(UGS:p=0.005、TUG:p<0.001、CSST:p<0.001)。・多剤併用患者では、次のパラメーターが有意に高かった。 BMI(p=0.026) 高血圧(p=0.013) 糖尿病(p=0.018) 虚血性心疾患(p<0.001) 心房細動(p=0.030) うつ病(p=0.012) 甲状腺機能低下症(p=0.007)・多変量解析では、多剤併用と独立して関連していた因子は次のとおりであった。 UGSの遅さ(オッズ比[OR]:1.248、95%信頼区間[CI]:1.145~1.523、p=0.007) TUGの長さ(OR:1.410、95%CI:1.146~1.736、p=0.001) CSSTの長さ(OR:1.892、95%CI:1.389~2.578、p<0.001) 著者らは、「早期アルツハイマー病患者において、多剤併用と身体的パフォーマンス低下との関連が示唆された。高齢のアルツハイマー病患者における多剤併用および薬剤サブグループと身体的パフォーマンスとの関係を調査する、長期プロスペクティブ研究の実施が望まれる」としている。

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睡眠で認知症予防、良質な睡眠を誘う音楽とは?【外来で役立つ!認知症Topics】第13回

認知症予防の睡眠で注目される「グリンパティック系」多くの病気の予防因子として共通するのが、運動、栄養、休養である。認知症の場合は、これに知的刺激や社会交流が加わる。具体的な予防法に注目すると、運動なら有酸素運動やデュアルタスク、栄養なら地中海食など具体的な目玉項目がある。しかし休養ではそれがなかった印象がある。「そもそも休養とは何か?」も難しいのだが、これは睡眠のことと考えていいだろう。とはいえ、「認知症予防の睡眠とは?」となるとこれというものはなく、いまひとつであった。そこに現れたのが、「グリンパティック系」である。筆者が学生の頃には、代謝過程の老廃物の処分を担うリンパ系器官が脳にはないと教わった。確かに脳には解剖学的にリンパ系はないが、実は同じ役割を担うものがあると判明した。それがグリンパティック系である1)。これは血管周囲の星状膠細胞により形成されたトンネル様構造で、中枢神経系の廃棄物を脳脊髄液と共に除去する系である。アルツハイマー病等の変性疾患に関連する異常蓄積蛋白もこの系で除去される。そして除去は睡眠中に行われることがわかったことが重要だ。だから睡眠不足は悪者蛋白の除去効率を下げることになる。さて疫学的に睡眠時間と認知症発症の関係は注目され、7時間睡眠が最も発症に防御的だとした大規模メタアナリシスも報告されている。ところが、日本人は世界的にみて最も睡眠時間が短く、平均6時間程度とされる。このこともあってか、近年アルツハイマー病予防に関連して、グリンパティック系を軸にした睡眠に注目が集まりつつある。睡眠関連障害と認知症の関係ところで睡眠障害は不眠ばかりでない。たとえばレム睡眠行動障害、睡眠時無呼吸症候群、レストレスレッグス症候群(RLS)などいくつもの病気がある。こうしたさまざまな睡眠関連障害と認知症発症の関係もまた研究され、すでにメタアナリシスもある2)。そしてこれらの睡眠関連障害の多くが認知症発症に関係することが示されている。認知機能低下に関連する要因として代表的なものが、レム睡眠行動障害(リスク比[RR]=1.90、95%信頼区間[CI]=1.23~2.91、I2=0%)、睡眠時無呼吸症候群(RR=1.29、95%CI=1.12~1.48、I2=40%)、ベッドで長時間過ごすこと(RR=1.15、95%CI=1.02~1.30、I2=22%)である。なおレストレスレッグス症候群とは無関係であった。逆に認知症に防御的と思われるものもある。習慣的昼寝(high trend:RR=0.46、95%CI=0.21~1.01、I2=45%)については、有意に効果的な傾向が報告されている。良質な睡眠を誘う音楽さて認知症者における睡眠障害はありふれたものである。たとえば、睡眠の不連続性(中途覚醒)、日中の眠気、睡眠効率の悪さ(寝ている時間/ベッドにいる時間)がアルツハイマー病でみられやすい睡眠障害だとされる。そして症状の進行とともに睡眠・覚醒リズムが乱れ、昼夜逆転パターンに至る例が多い。それだけに睡眠の質を良くするという課題は、認知症当事者と家族、また医療者、ケアスタッフにとっても大切である。普通いわれるのは、就床に先立つ運動や入浴、寝室温度をいくらか低めに設定、適切な明るさの設定などである。これまであまり知られていないが、音楽によるスムーズな入眠への効果も検討されており、効果的だとしたメタアナリシスもある。ところが、「どのような音楽をどのように聴いたら、スムーズな入眠効果が生まれるのか?」はほとんど検討されておらず、エビデンスが乏しい3)。しかし経験論的には以下がポイントだとされる。耳に心地よい音楽歌詞のない音楽自然の音のヒーリングミュージック長調の音楽である。音楽の内容は、クラシックや歌謡曲などではない。チルアウト系、アンビエント・ミュージックなどが代表だが、波の音、雨音など自然で単調なものがいい人もいる。筆者の場合、炭がぱちぱちと燃える音を聴いていると自然に眠りに落ちやすい。さて就床してから睡眠への移行における自律神経の活動ぶりは、スムーズな入眠にとっておそらく生理学的な鍵だろう。ところが確立された所見は、意外なほど少ない。ただ副交感神経の働きが優位になることが重要なのは確かなようだ。睡眠と自律神経という観点から考えたとき、音楽的な規則性と不規則性の調和を意味する「1/fのゆらぎ」の音楽が注目され、これが心地よさを生み出すといわれる。そしてこの種の音楽が副交感神経活動を優位にするとの報告もある。マインドフルネス瞑想も認知症者の睡眠の質を向上させる一方で、現代社会で、ストレスを軽減する方法として、マインドフルネスなど自律神経に注目したものが有名である。つまり副交感神経の働きを高め、交感神経の働きを低下させることで、心身の安定を得ることが基本になる。マインドフルネスのみならず、ヨガ、瞑想、また座禅にも同様の効果があるとされる。これらに共通するのは、ペースド・ブリージング(paced breathing)と呼ばれる「1分間あたり10回以下」のゆったりとした呼吸方法である。この呼吸法によって、横隔膜に至る迷走神経が刺激を受けて、副交感神経の働きが高まるとされる。知的に正常の人はもとより、軽度認知障害や認知症の人でも、この方法は有効だとの報告がある。睡眠に関しては、マインドフルネス瞑想で睡眠の質が向上すると報告したメタアナリシスもある。こうした知見から、呼吸法、副交感神経という観点から、認知症者の不眠改善につながる音楽を追求するのも、これからの治療法になるかと思われる。参考1)Lohela TJ, et al. The glymphatic system: implications for drugs for central nervous system diseases. Nat Rev Drug Discov. 2022;21:763-779.2)Xu W, et al. Sleep problems and risk of all-cause cognitive decline or dementia: an updated systematic review and meta-analysis. J Neurol Neurosurg Psychiatry. 2020;91:236-244.3)Jespersen KV, et al. Music for insomnia in adults. Cochrane Database Syst Rev. 2015;2015:CD010459.

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第195回 ALS患者嘱託殺人、主犯とされる医師の裁判員裁判始まる、被告は「願いをかなえるためにやった」と証言

能登半島地震、被災者の地元外に開設された1.5次・2次避難所への移動が本格化こんにちは。医療ジャーナリストの萬田 桃です。医師や医療機関に起こった、あるいは医師や医療機関が起こした事件や、医療現場のフシギな出来事などについて、あれやこれや書いていきたいと思います。能登半島地震から2週間が経過し、被災者の地元外に開設された1.5次や2次避難所への移動が本格化してきました。集落の住民が丸ごと地元外の市や町の公民館等に避難するケースも出てきました。道路が寸断し、電気水道などのライフラインの復旧が遅々として進まず、救助、支援もスムーズにいかない中、災害関連死も増えつつあります。地元外への避難はやむを得ない選択だと思います。一度の地震で、これだけ孤立と、支援遅れが起きたケースはこれまであまりなかったのではないでしょうか。陸からの交通網が限られる半島部で、なおかつ過疎地が点在しているという能登半島の特徴が、効率的な支援の妨げになっているようです。地元外の市町で避難所を設け、被災者を受け入れたところでは、医療・介護の需要が突然高まることにもなります。被災地だけではなく、そうした市町に対する医療・介護支援のあり方もこれからは大きな課題となりそうです。嘱託殺人罪の適用は死を望む女性患者の自己決定権を保障する憲法13条に違反するとして弁護側は無罪主張さて、今回は筋萎縮性側索硬化症(ALS)の女性患者を依頼を受けて殺害した、などとして、嘱託殺人などの罪に問われた医師の大久保 愉一(よしかず)被告(45)の裁判員裁判が1月11日から京都地裁(川上 宏裁判長)で始まったので、それについて書いてみたいと思います。逮捕から実に約3年半、共犯とされた元医師の判決が昨年末に出てからの“本丸”の裁判開始です。安楽死や自殺幇助に対して裁判所が従来とは違った解釈を出すかが注目されます。朝日新聞等の報道によれば、犯行を主導したとされる大久保被告は、11日の初公判で起訴内容を認めつつ「(女性患者の)願いをかなえるために行った」と述べたとのことです。弁護側は大久保被告が殺害しなければ、「女性は『望まない生』を強いられ続けたことになる」と指摘、被告に嘱託殺人罪を適用することは死を望む女性患者の自己決定権を保障する憲法13条に違反する、として無罪を主張しました。日本において積極的安楽死の罪の根拠となっているのは1990年代の事件の判例大久保被告は知人の元医師、山本 直樹被告(46)と共謀し、2019年11月、京都市内のALSの女性患者(当時51)のマンションを訪れて、女性の依頼で胃ろうに薬物(バルビツール酸系薬剤が検出)を注入し、急性薬物中毒で殺害したとして起訴されました。また、2011年3月には、長野県内の病院に長期入院していた山本被告の父(当時77)を都内のアパートに連れ出して殺害したとする罪にも問われており、両事件がまとめて審理されることになります。ALSの女性患者の嘱託殺人については、本連載でも何度か取り上げてきました。事件発覚当初の2020年8月には、「第17回 安楽死? 京都ALS患者嘱託殺人事件をどう考えるか(前編)」、「第18回 同(後編)」で、日本における積極的安楽死の罪の根拠となっている1991年に起きた「東海大学安楽死事件」と 1998年に起きた「川崎協同病院事件」について振り返り、ある有識者の「(この事件は)安楽死議論の対象にもならない」というコメントを紹介しつつ、「果たして本当にそうでしょうか。少なくとも、医療関係者も目を逸らしてきた、積極的安楽死についての議論を再開するきっかけにはなると思うのですが、どうでしょう」と問い掛けました。そして、「今回の事件は、積極的安楽死の“定義”と照らし合わせながら裁かれていくことになるでしょう。(中略)。しかし、この(東海大学安楽死事件の)横浜地裁の判決が出たのは1995年、今から25年も前です。インフォームド・コンセントが医療法に『説明と同意』を行う義務として明記されたのが1997年ですから、それより前の医学会や社会の常識をベースとした判例が未だに積極的安楽死を考える際の基準となっていることに違和感を覚えます」と書きました。検察側は被告が医療行為に見せかけて障害者らを殺害することに強い関心を持っていたと指摘各紙報道等によれば、1月11日の初公判で、検察側は冒頭陳述において大久保被告が医療行為に見せかけて障害者らを殺害することに強い関心を持っていた、と指摘。そのための「マニュアル」を執筆し、医療知識を悪用して犯行に及んだとしました。検察側はこの「マニュアル」の一部を示して、「証拠が残らない」「人を殺してもバレないシチュエーションがある」などと記されていた、として有罪の根拠となるとしました。さらに、女性は死期が迫った状態ではなかったと指摘、大久保被告が女性の病状を詳しく把握せずに殺害、130万円の報酬も受け取っており、「正当な行為に当たるはずはなく、刑事責任が問える」と訴えたとのことです。山本被告の父を山本被告らと共謀して殺害したとされる殺人罪については、大久保被告は「やっておりません」と起訴内容を否認したとのことです。元医師については既に嘱託殺人罪で懲役2年6ヵ月の判決共犯とされる元医師・山本被告については、既にALSの女性患者の嘱託殺人については2023年12月19日に京都地裁で懲役2年6ヵ月(求刑懲役6年)の判決が、父親に対する殺人罪については2023年2月7日に京都地裁で懲役13年(求刑懲役20年)の判決が出ています。ただし、いずれも判決を不服として大阪高裁に控訴しています。各紙報道等によれば、昨年12月の嘱託殺人の判決で川上裁判長は「(山本被告は)従属的な立場だったとはいえ、犯行を遂行するために重要な役割を担った」と述べ、「医師の立場を利用し、ALS患者等から安楽死の依頼を受け、対価を得た上で、いわばビジネスとして犯行に及んだと認められる。被害者にとって他に手段がなかったとはいえ、被告らはろくに診察もせず、親族らに秘密裏に殺害しており、強い非難に値する。執行猶予が多い嘱託殺人罪の量刑傾向を踏まえても実刑は免れない」として、懲役2年6ヵ月の判決を下しています。ちなみに、嘱託殺人罪は刑法206条に規定されており、被害者本人の真意に基づく依頼を受けて殺人を実行した場合に適用されます。法定刑は6ヵ月以上7年以下の懲役または禁錮とされており、殺人罪よりも軽くなっています。なお、山本被告は、医師資格取得にあたって、かつて厚労省医政局医事課に試験専門官として勤務していた大久保被告から不正取得の方法を伝授されたとされており、逮捕後に医師免許を取り消されています(「第149回 医師免許はそんなに簡単に不正取得できるのか?ALS嘱託殺人で発覚した厚生労働省の“謎ルート”」参照)。被害者側の「安楽死させてほしい」という意思に対する被告側の行為を今回の裁判がどう判断するか大久保被告の公判は2月1日まで10回行われて結審し、3月5日に判決が言い渡される予定です。なお、11月11日に続く12日には第2回公判が開かれており、この席には検察側の証人として山本被告が出廷、大久保被告について「証拠を残さず殺人できる方法を蓄積し、共有することで、自分の理想とする世の中が実現すればいいと考える人だった」などと述べ、医療行為に紛れて高齢者などを殺害することに興味を抱いていたと証言したとのことです。大久保被告の行った行為が、純粋にビジネスだったのか、安楽死に対する興味にかられてのものだったのか、あるいは漫画「ブラック・ジャック」に登場するドクター・キリコの思想に憧れてのものだったか、その真の動機は公判の過程で少しは明らかになるでしょう。しかし、それとはまた別に、被害者側の「安楽死させてほしい」という意思に対する被告側の行為について、今回の裁判はどのような判断を下すでしょうか。昨年12月の山本被告の判決で川上裁判長は、「犯行は女性の死にたいという真摯な嘱託に基づいており、自殺幇助に近い側面もある」とし、苦痛なく死亡したとみられる点について「量刑上相当に酌むべき事情」としました。海外の一部の国(ドイツ、カナダなど)では、2010年以降、重篤な患者に対する自殺幇助について各国の憲法で認める判断が下されています。嘱託殺人罪の適用を「死を望む女性患者の自己決定権を保障する憲法13条に違反する」とする弁護側の主張が、どこまで通るのかが裁判のポイントになりそうです。

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