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601.

長期のコロナ罹患後症状、入院後6ヵ月時点がカギに

 新型コロナウイルス感染症(COVID-19)は、急性期以降の認知および精神医学的転帰のリスク増加と関連することが知られている。英国で行われた大規模研究ではCOVID-19による入院後2~3年間における認知・精神症状の進行を追跡し、その症状と就労への影響について調査した。The Lancet Psychiatry誌2024年9月号掲載の報告。 本研究は英国の臨床医コンソーシアムであるThe Post-hospitalisation COVID-19 study(PHOSP-COVID)の登録データを使い、英国全土の参加病院でCOVID-19の臨床診断を受けて入院した成人(18歳以上)を対象とした前向き縦断コホート研究だった。参加者は入院から2~3年の間に、客観的な認知機能、うつ病、不安障害、慢性疾患治療疲労機能を評価する課題と、主観的な認知機能を評価する質問票に回答した。また、参加者は就労状況の変化やその理由についても報告した。6ヵ月後、12ヵ月後、2〜3年後の追跡調査において症状の絶対リスクの変化を評価し、2〜3年後の症状が初期症状によって予測できるかを検討した。 主な結果は以下のとおり。・83病院の入院患者2,469例が対象となり、うち475例(男性284例[59.8%]、平均年齢58.3[SD 11.13]歳)が2~3年後の追跡調査時にデータを提供した。・参加者は、テストされたすべての認知領域において、社会人口統計学的に予想されるよりもスコアが悪かった。・多くの参加者が、軽度以上のうつ病(263/353例[74.5%])、不安(189/353例[53.5%])、疲労(220/353例[62.3%])、主観的な認知機能低下(184/353例[52.1%])を報告した。・5分の1以上が重度のうつ病(79/353例[22.4%])、重度の疲労(87/353例[24.6%])、重度の認知機能低下(88/353例[24.9%])を報告した。・抑うつ、不安、疲労は、6ヵ月後や12ヵ月後よりも2〜3年後のほうが悪化しており、既存の症状の悪化と新たな症状の出現の両方が認められた。新たな症状の出現は、6ヵ月後と12ヵ月後にほかの症状がみられた人に多くみられ、それ以前の時点で完全に良好であった人にはみられなかった。・2~3年後の症状は、COVID-19の急性期の重症度とは関連しなかったが、6ヵ月後の回復度、急性期のC反応性蛋白に関連するD-ダイマー値上昇、および6ヵ月後の不安、抑うつ、疲労、主観的な認知機能低下と強い関連がみられた。・2〜3年後の客観的な認知機能低下と関連する因子は、6ヵ月後の客観的な認知機能低下のみだった。・95/353例(26.9%)が「職業が変わった」と報告し、その理由として最も多いものは「健康不良」であった。職業の変化は、客観的な認知機能低下(オッズ比[OR]:1.51 )および主観的な認知機能低下(OR:1.54)と強く特異的に関連していた。 著者らは「精神症状および認知症状は、入院後2〜3年の間に、6ヵ月時点ですでに存在していた症状の悪化と、新たな症状の出現の両方により増加するようだ。新たな症状は6ヵ月時点ですでにほかの症状がみられる人に多くみられた。したがって、症状を早期に発見し管理することは、後に複合症候群が発症するのを防ぐ有効な戦略である。COVID-19は、客観的および主観的な認知機能低下を伴う。COVID-19の機能的・経済的影響を抑制するためには、認知機能の回復を促進する、あるいは認知機能の低下を予防するための介入が必要である」としている。

602.

診断のための標的ボトックス注射が片頭痛のトリガー部位を特定する可能性

 診断のための標的ボトックス注射は片頭痛のトリガー部位の特定に、高い陽性適中率を示すという研究結果が、「Plastic and Reconstructive Surgery」5月号に掲載された。 マギル大学保健センター(カナダ)のHassan ElHawary氏らは、片頭痛のトリガー部位を特定するためにボトックス注射を受け、その後に罹患末梢神経の神経減圧術を受けた患者40人について感度解析を実施し、ボトックスの診断能について検討した。 解析の結果、ボトックス注射が成功した患者(注射後に片頭痛指数のスコアが50%以上改善した患者と定義)は、神経減圧術後の片頭痛の強度、頻度、片頭痛指数の平均減少率が有意に高かった。片頭痛の診断法としてのボトックス注射の使用は、感度解析で感度が56.7%、特異度が80.0%であった。陽性適中率は89.5%、陰性適中率は38.1%であった。 共著者で米オハイオ州立大学ウェクスナー医療センターのJeffrey E. Janis氏は、「われわれの研究は、術前ボトックス注射が片頭痛手術に反応する患者を特定するための信頼できる診断ツールとして価値があることを支持するものであり、その陽性適中率はほぼ90%であった。われわれは、トリガー部位を確認し、片頭痛手術の効果がより期待できる患者を特定する目的で、神経ブロックと同様に診断用ボトックス注射を日常的に使用することを推奨する」と述べている。

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日本における低気圧誘発性頭痛に関する性差

 片頭痛は、女性に多い疾患である。低気圧は、頭痛発症の因子であるが、性別により違いがあるかは確認されていない。慶應義塾大学の藤本 卓磨氏らは、低気圧誘発性頭痛の性差について、調査を行った。BMC Research Notes誌2024年7月23日号の報告。 対象は、調査会社(マクロミル)のWebパネルよりランダムに抽出された20〜49歳の慢性片頭痛および緊張型頭痛患者。対象患者は、Webベースの自己記入式アンケートに回答した。目標変数をHeadache Impact Test-6(HIT-6)の高スコア(56以上)または低気圧誘発性頭痛とし、ロジスティック回帰分析を行った。 主な結果は以下のとおり。・対象患者数は、女性332例、男性337例であった。・HIT-6高スコアは、頭痛発症時年齢が20歳以下、低気圧誘発性頭痛との関連が認められた。【頭痛発症時年齢が20歳以下】オッズ比(OR):1.85、95%信頼区間(CI):1.15〜2.99、p=0.012【低気圧誘発性頭痛】OR:2.11、95%CI:1.51〜2.94、p<0.001・低気圧誘発性頭痛は、女性と有意な関連が認められた(OR:2.92、95%CI:2.12〜4.02、p<0.001)。 著者らは「低気圧誘発性頭痛には、性差が認められた。このことからも、性別に特化した頭痛への治療アプローチが必要である可能性が示唆された」としている。

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血液検査で多様な疾患の発症を予測可能か

 たった一滴の血液により何十もの疾患の発症を予測できるかもしれない。新たな研究で、血液中のタンパク質の「シグネチャー」を分析することで、血液がん、神経変性疾患、肺疾患、心不全を含む67種類の疾患を予測できる可能性が示された。英ロンドン大学クイーン・メアリー校、プレシジョンヘルスケア大学研究所のJulia Carrasco-Zanini氏らによるこの研究の詳細は、「Nature Medicine」に7月22日掲載された。 この研究は、UKバイオバンク製薬プロテオミクスプロジェクト(UK Biobank Pharma Proteomics Project;UKB-PPP)からランダムに選び出した4万1,931人の2,923種類に及ぶ血漿タンパク質のデータを用いたもの。Carrasco-Zanini氏らは、これらの血漿タンパク質のデータを対象者の電子カルテと関連付け、10年間での218種類の疾患の発症を予測する予測モデルを作成した。その上で、基本的な臨床情報のみを用いたモデル、あるいは基本的な臨床情報に37種類の臨床アッセイデータを組み合わせたモデルとこのモデルの疾患予測能を比較した。 その結果、5〜20種類のタンパク質のシグネチャーを含むスパースな予測モデルは、多発性骨髄腫、非ホジキンリンパ腫、運動神経障害、肺線維症、拡張型心筋症など67種類の疾患の発症を、基本的な臨床情報のみを用いたモデルよりも高い精度で予測できることが明らかになった。また、このモデルは、基本的な臨床情報と37種類の臨床アッセイデータを組み合わせたモデルよりも、上述の疾患を含む52種類の疾患の予測能が優れていた。 Carrasco-Zanini氏は、「われわれのタンパク質シグネチャーのいくつかは、前立腺がんの前立腺特異抗原(PSA)のようなスクリーニング検査にすでに実用化されているタンパク質と同等か、それ以上の予測能を示した」と話す。同氏は、「それゆえ、われわれはこれらのタンパク質シグネチャーが多くの疾患の早期発見、ひいては予後の改善に役立つ可能性を大いに期待している」とロンドン大学クイーン・メアリー校のニュースリリースの中で述べている。 論文の責任著者の1人である、製薬会社グラクソ・スミスクライン(GSK)の副社長兼ヒト遺伝学・ゲノム学部長であるRobert Scott氏は、「このような簡単な血液検査は、疾患の早期発見を改善するだけでなく、新薬の研究と開発に役立つ可能性もある。医薬品開発における重要な課題は、新薬の恩恵を最も受けそうな患者を特定することだ」と語る。また同氏は、血漿タンパク質をベースにした血液検査について、「さまざまな疾患においてリスクの高い患者を特定するのに利用でき、また、テクノロジーを利用してヒューマンバイオロジーと疾患に対する理解を深めようとするわれわれのアプローチに合致するものでもある」と述べている。 ただし研究グループは、今回の研究結果は、さまざまな民族や多様な疾患のさまざまなレベルの症状を持つ人など、異なる集団を対象に検証する必要があると述べている。

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腎機能障害患者でも用量調節が不要な抗てんかん薬「ブリィビアクト錠25mg/錠50mg/静注25mg」【最新!DI情報】第21回

腎機能障害患者でも用量調節が不要な抗てんかん薬「ブリィビアクト錠25mg/錠50mg/静注25mg」今回は、抗てんかん薬「ブリーバラセタム(商品名:ブリィビアクト錠25mg/錠50mg/静注25mg、製造販売元:ユーシービージャパン)」を紹介します。本剤は、既存薬の課題であった眠気や精神症状が少なく、腎機能障害患者でも用量調節が不要な薬剤として期待されます。<効能・効果>下記の適応で、2024年6月24日に製造販売承認を取得しました。錠 てんかん患者の部分発作(二次性全般化発作を含む)静注一時的に経口投与ができない患者における、てんかん患者の部分発作(二次性全般化発作を含む)の治療に対するブリーバラセタム経口製剤の代替療法<用法・用量>錠 通常、成人にはブリーバラセタムとして1日50mgを1日2回に分けて経口投与します。静注ブリーバラセタムの経口投与から本剤に切り替える場合は、通常、ブリーバラセタム経口投与と同じ1日用量および投与回数で、1回量を2~15分かけて静脈内投与します。ブリーバラセタムの経口投与に先立ち本剤を投与する場合は、通常、成人にはブリーバラセタムとして1日50mgを1日2回に分け、1回量を2~15分かけて静脈内投与します。いずれの場合においても、症状により適宜増減できますが、1日最高投与量は200mgです。<安全性>重大な副作用に攻撃性(0.3%)があります。本剤の服用中は、攻撃性、激越、精神病性障害、易刺激性などの精神症状が現れ、自殺企画に至ることがあるので、患者の状態および病態の変化を注意深く観察する必要があります。その他の副作用として、傾眠(14.9%)、浮動性めまい(10.9%)、疲労(3%以上)、易刺激性、不安、不眠症、悪心、食欲減衰、回転性めまい(いずれも1~3%未満)、うつ病、激越、精神病性障害、好中球減少症、便秘、嘔吐、上気道感染、咳嗽(いずれも1%未満)、インフルエンザ、1型過敏症(いずれも頻度不明)があります。<患者さんへの指導例>1.この薬は、てんかん患者の部分発作(二次性全般化発作を含む)に使用されます。脳内の神経の過剰な興奮を鎮めて、てんかん発作を抑えます。2.この薬は、指示どおり飲み続けることが重要です。自己判断で服用を中止したり、量を加減したりすると、発作の悪化やてんかん重積状態が現れることがあります。3.傾眠やめまいなどが起こることがあるので、自動車の運転などの危険を伴う機械の操作は行わないようにしてください。4.妊婦または妊娠している可能性がある人は医師に相談してください。5.アルコールを含む飲食物はこの薬に影響しますので、控えてください<ここがポイント!>ブリーバラセタムは2ピロリドン誘導体で、脳内のシナプス小胞タンパク質2A(SV2A)に選択的に結合して、てんかん発作抑制作用を発揮します。作用機序は、レベチラセタム(商品名:イーケプラ)と同様ですが、レベチラセタムに比べてカルシウムチャネルおよびAMPA受容体に対する作用がほとんどなく、SV2Aに対する親和性も高いことから、眠気や精神症状が軽減されることが期待されます。また、レベチラセタムとは異なり、腎機能障害を有する患者での用量調節は不要です。剤形としては錠剤と注射剤がありますが、基本は錠剤です。注射剤は、一時的に経口投与ができない患者における代替療法として、てんかん患者の部分発作(二次性全般化発作を含む)に使用されます。部分発作を有する成人てんかん患者(アジア人)を対象としたブリーバラセタム併用療法の国際共同第III相試験(EP0083試験)において、治療期間の28日あたりの部分発作回数のプラセボ群に対する減少率は、全体集団で50mg/日群が24.5%および200mg/日群が33.4%であり、いずれの本剤群もプラセボ群との間に優越性が検証されました(それぞれp=0.0005およびp<0.0001、ANCOVA)。また、日本人集団においては、50mg/日群が14.5%および200mg/日群が30.0%であり、全体集団と同様に、いずれの本剤群もプラセボ群と比較して高い減少率でした。しかし、日本人被験者は例数が少ないため、統計解析処理は実施されませんでした。

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コーヒー5杯/日以上で脳梗塞リスクが高まる!?

 大規模な国際症例対照研究であるINTERSTROKE研究で、コーヒー、紅茶、緑茶などの摂取量と脳卒中の関連を検討したところ、コーヒーを多量摂取(1日5杯以上)する人は脳卒中全体と脳梗塞のリスクが高く、逆に緑茶を摂取する人ではこれらのリスクが低かったという。カナダ・McMaster University and Hamilton Health SciencesのAndrew Smyth氏らがInternational Journal of Cancer誌オンライン版2024年6月18日号で報告した。 INTERSTROKE研究はすでに発表されている国際症例対照研究で、2007 年 3 月~ 2015 年 7 月に32ヵ国 142施設から初回脳卒中症例を募集し、対照は脳卒中既往歴のない人を性別・年齢でマッチングした。本研究では、参加者にコーヒー、紅茶、緑茶、その他のお茶を「1日何杯飲むか?」と質問し、「まったく飲まない」「1~2杯」「3~4杯」「5杯以上」に分類した(症例では脳卒中発症前の摂取量)。各飲料の摂取量と脳卒中(脳梗塞または脳出血)との関連について、多変量条件付きロジスティック回帰を用いて、「まったく飲まない」人を基準にオッズ比(OR)と95%信頼区間(CI)を推定した。 主な結果は以下のとおり。・症例1万3,462例および対照1万3,488例で、平均年齢は61.7歳、男性は59.6%だった。・コーヒーは、1日摂取量が1~2杯もしくは3~4杯の人では脳卒中との関連はみられなかったが、5杯以上の人は、脳卒中全体(OR:1.37、95%CI:1.06~1.77)および脳梗塞(OR:1.32、95%CI:1.00~1.74)のオッズが高かった。・緑茶は、3~4杯の人における脳卒中全体(OR:0.73、95%CI:0.57~0.93)および脳梗塞(OR:0.75、95%CI:0.57~0.99)、また5杯以上の人における脳卒中全体(OR:0.70、95%CI:0.54~0.90)および脳梗塞(OR:0.69、95%CI:0.52~0.91)のオッズが低かった。・お茶全体(紅茶、緑茶、その他のお茶)では、1~2杯、3~4杯、5杯以上のすべてのカテゴリーにおいて脳卒中全体および脳梗塞のオッズが低かった(5杯以上での脳卒中全体のOR:0.81、脳梗塞のOR:0.81)。 今回の結果から著者らは、1日5杯以上のコーヒー摂取を避けることを検討するよう提案している。

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お腹や腕の脂肪は神経変性疾患リスクと関連

 お腹や腕の周りの脂肪が増えたという人は、アルツハイマー病やパーキンソン病といった神経変性疾患の発症リスクが高い可能性のあることが、四川大学(中国)のHuan Song氏らによる研究で示唆された。一方で、筋力が強い人では筋力が弱い人と比べて神経変性疾患のリスクが低い可能性のあることも示された。この研究結果は、「Neurology」に7月24日掲載された。 Song氏らは今回、UKバイオバンクの参加者41万2,691人(登録時の平均年齢56.0歳、女性55.1%)の健康上および身体上の特徴を平均で9.1年追跡したデータを分析した。参加者は研究登録時に、ウエストやヒップのほか、握力や骨密度、脂肪量、除脂肪体重などの測定を受けていた。 追跡期間中に8,224人がアルツハイマー病やその他のタイプの認知症、パーキンソン病などの神経変性疾患を発症していた。高血圧や喫煙、飲酒、糖尿病など脳に影響を与える可能性のある健康上のリスク因子を調整して分析した結果、お腹周りの脂肪量が多い(中心性肥満)人では、脂肪量が少ない人と比べて神経変性疾患のリスクが13%高いことが示された。また、腕周りの脂肪量が多い人も、脂肪量が少ない人と比べてリスクが18%高いことが判明した。その一方で、筋力が強い人では筋力が弱い人と比べてこれらの神経変性疾患のリスクが26%低いことが示された。 Song氏は、「この研究は、体組成を改善することで、これらの疾患の発症リスクを抑制できる可能性があることを浮き彫りにした」と話す。また同氏は、「健康的な筋肉を育てながらお腹や腕の周りの脂肪を減らすことにターゲットを絞った介入は、一般的な体重コントロールよりもこれらの疾患に対する予防効果が高いかもしれない」と付け加えている。 さらに媒介分析からは、腕や腹部の脂肪量が多いことと神経変性疾患との関連には、脳に有害な影響を与え得る心疾患や脳卒中のような心血管疾患が部分的に関与している可能性も示されたという。この点についてSong氏は、「アルツハイマー病やパーキンソン病、そのほかの神経変性疾患の発症を予防したり、発症を遅らせたりするには、こうした心血管疾患の管理が重要であることを明確に示したものだ」と「Neurology」の発行元である米国神経学会(AAN)のニュースリリースの中で指摘している。

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糖質摂取と認知症リスク〜前向きコホート研究

 いくつかの研究において、食事中の糖質摂取と認知症との潜在的な関連が示唆されているが、実証するエビデンスは限られている。中国・四川大学のSirui Zhang氏らは、この関連性について、大規模集団による検証を行った。BMC Medicine誌2024年7月18日号の報告。 英国バイオバンクコホートに参加した21万832人を対象に、プロスペクティブコホート研究を実施した。食事中の糖質摂取を反映するため、糖質の絶対摂取量および相対摂取量、高糖質食スコアを用いた。糖質の絶対摂取量は、英国バイオバンクのOxford WebQにより特定した。糖質の相対摂取量は、絶対摂取量を総食事エネルギー量で割ることにより算出した。高糖質食パターンの特定には、縮小ランク回帰法を用いた。食事中の糖質摂取量とすべての原因による認知症およびアルツハイマー病との縦断的関係を調査するため、Cox比例ハザード回帰分析および制限付き3次スプラインを用いた。根本的なメカニズムを解明するため、探索的媒介分析を行った。 主な結果は以下のとおり。・糖質の絶対摂取量(g/日)の増加は、すべての原因による認知症およびアルツハイマー病のリスク増加と有意な関連が認められた。【すべての原因による認知症】ハザード比(HR):1.003、95%信頼区間(CI):1.002〜1.004、p<0.001【アルツハイマー病】HR:1.002、95%CI:1.001〜1.004、p=0.005・糖質の相対摂取量(%g/kJ/日)も、すべての原因による認知症(HR:1.317、95%CI:1.173〜1.480、p<0.001)およびアルツハイマー病(HR:1.249、95%CI:1.041〜1.500、p=0.017)との有意な関連が認められたが、高糖質食スコアは、すべての原因による認知症のみでリスク増加との関連が認められた(HR:1.090、95%CI:1.045〜1.136、p<0.001)。・糖質摂取量と高糖質食スコアの両方が、すべての原因による認知症およびアルツハイマー病と有意な非線形関係を示した(非線形のすべてのp値:p<0.05)。 著者らは、「過剰な糖質摂取は、認知症リスクと関連していることが示唆された。食事中の糖質摂取を制限することは、認知症予防にとって大きな意味を持つ可能性がある」としている。

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クリーフストラ症候群〔KS:Kleefstra Syndrome〕

1 疾患概要■ 概念・定義2009年にクリーフストラらが9番染色体長腕サブテロメア欠失を持つ複数の症例について、重度から中等度の知的障害、筋緊張低下、てんかんに加え、特徴的な顔貌など、共通する臨床症状があることを報告した。その論文の中で、共通欠失領域に位置していたEHMT1遺伝子が責任遺伝子である可能性を疑い、同様の症状を示しながら9番染色体長腕サブテロメア欠失がない患者を調べたところ、EHMT1遺伝子の病的なバリアントが認められたため、EHMT1の機能喪失が原因であることを明らかにした。これにより、EHMT1遺伝子を含む9番染色体長腕サブテロメア欠失と、EHMT1遺伝子の病的バリアントによって引き起こされる病態をクリーフストラ症候群と称するようになった。■ 疫学正確な疾患頻度は明らかでないが、厚生労働省・山本研究班による複数施設での定点観測では、1万人~1万5,000人に1人と推測され、わが国には推定数千人の患者が存在すると考えられている。■ 病因9番染色体長腕末端から約1-Mbに位置するEHMT1を含む9番染色体長腕の部分欠失による場合と、EHMT1の機能喪失変異による場合がある。染色体欠失による場合の多くはサブテロメア欠失であるが、その切断端は多様であり、欠失サイズもさまざまである。基本的に染色体欠失も遺伝子の機能喪失変異も突然変異によって生じるが、サブテロメア欠失の場合は、他の染色体サブテロメア領域との不均衡転座によっても生じる可能性があり、その場合は両親のどちらかが均衡転座保因者の可能性があるため、次の妊娠時に同じ染色体異常が繰り返されたり、反復流産の原因となることがある。■ 症状知的障害、筋緊張低下、小頭症、先天性心疾患(とくに円錐幹の欠陥)、てんかん(約30%)、および特徴的顔貌(癒合したアーチ型の眉、眼間解離、短鼻、開いた口、および突出した舌など)を示す。その他、先天性心疾患(全患者の50%)、腎泌尿器奇形(全患者の10~30%)、睡眠障害や常同行為などの行動異常、外性器異常、難聴などが認められることがある。■ 予後合併症によるが、一般的に生命予後が不良であるという報告はない。2 診断 (検査・鑑別診断も含む)染色体異常の場合、マイクロアレイ染色体検査などで9番染色体長腕サブテロメア領域のEHMT1遺伝子を含んだ欠失を確認することにより診断される(図)。遺伝子変異の場合、ターゲット解析、網羅的解析に関わらず、EHMT1の機能喪失変異を確認することにより診断される。図 9番染色体長腕サブテロメア欠失の確認画像を拡大するUCSC genome browserにより、3例のクリーフストラ症候群自験例の欠失範囲を表示した。全例欠失範囲内にEHMT1遺伝子(赤丸)を含む。3 治療 (治験中・研究中のものも含む)根本的な治療法はない。てんかんに対しては、発作型に合わせた治療が必要である。神経発達症に由来する多動や行動障害に対しては、環境調整や必要に応じた薬物療法を要することがある。 4 今後の展望疾患概念が明らかになってきたばかりであり、疾患特性の理解や治療法の開発はこれからである。5 主たる診療科小児の場合は小児科遺伝学的検査の場合は遺伝診療科※ 医療機関によって診療科目の区分は異なることがあります。6 参考になるサイト(公的助成情報、患者会情報など)診療、研究に関する情報「マイクロアレイ染色体検査で明らかになる染色体微細構造異常症候群を示す小児から成人の診断・診療体制の構築」研究班ホームページ(一般利用者向けと医療従事者向けのまとまった情報)患者会情報クリーフストラ症候群日本家族会(患者とその家族および支援者の会)1)Kleefstra T, et al. J Med Genet. 2009;46:598-606.2)Kleefstra T, et al. Am J Hum Genet. 2012;91:73-82.3)Yang Q, et al. Front Neurol. 2024;15:1340458.4)今泉太一、山本俊至. 脳と発達.2024;56:270-272.公開履歴初回2024年08月15日

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日本の社会経済的指標と認知症リスク

 生涯にわたる社会経済的指標(Socioeconomic status:SES)の推移が、認知症の発症リスクと関連するかどうかを調査した、日本発の研究結果が発表された。大阪大学の坂庭 嶺人氏らによる本研究結果はJAMA Network Open誌2024年5月1日号に掲載された。 2010年8月~2016年12月に実施されたこの前向きコホート研究では、日本老年学的評価研究のデータを使用し、日本の31地域の65歳以上の参加者を対象とした。参加者は介護保険や医療福祉サービスを使用しておらず、認知症の診断を受けていない人とされ、自記式質問票で回答した。データ解析は2022年4月~2023年4月に実施された。SES値欠落者、追跡不能者、ベースラインから1年以内の認知症発症者は除外された。主なアウトカムは認知症発症リスクと、それに伴う生涯にわたる認知症のない期間の減少または増加だった。認知症の発症は介護保険のデータによって特定された。 主な結果は以下のとおり。・計9,186例(男性4,703例[51.2%])が対象となった。ベースライン時の平均年齢は74.2(SD 6.0)歳だった。・SESの推移は、上昇(upward)、安定上流(stable-high)、上位中流(upper-middle)、下位中流(lower-middle)、下降(downward)、安定下流(stable-low)の6つに分類された。・追跡期間中に800例の認知症が特定された。生活習慣、併存疾患、社会的要因など、多くの認知症リスク要因がSESの推移パターンと関連していた。・下位中流のSESと比較したとき、認知症リスクが最も低かったのは上昇(ハザード比[HR]:0.66、95%信頼区間[CI]:0.57~0.74)、次いで安定上流(HR:0.77、95%CI:0.69~0.86)であり、下降(HR:1.15、95%CI:1.09~1.23)、安定下流(HR:1.45、95%CI:1.31~1.61)ではリスクが上がった。上位中流への推移と認知症リスクとの関連は認められなかった。・生涯にわたる認知症のない年数は、SESの上昇への推移で最も増加した(例:65歳時点で1.8年[95%CI:1.4~2.2])。一方、75歳以上の生涯にわたる認知症のない年数は、SESの下降への推移で最も減少した(例:85歳時点で-1.4年[95%CI:-2.4~-0.4])。 研究者らは「この日本の高齢者のコホート研究では、SESの上昇と下降が生涯にわたる認知症リスクと認知症のない期間の長さと関連していることが判明した。この結果は、社会的流動性と健康寿命の関連を理解するのに役立つ可能性がある」としている。

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1年間のAChEI治療、認知機能が低下しやすい患者は?

 アセチルコリンエステラーゼ阻害薬(AChEI)治療を1年間行ったアルツハイマー病患者の治療アウトカムについて、台湾・Kaohsiung Veterans General HospitalのPao-Yuan Ching氏らが、調査を実施した。Aging Medicine誌2024年6月18日号の報告。 2015年1月〜2021年9月の電子カルテデータを、台湾南部の医療センターより入手した。対象は、新たにアルツハイマー病と診断され、AChEIによる治療を行った60歳以上の患者。認知機能評価は、AChEI治療前および治療1年後のフォローアップ調査時に実施した。認知機能低下は、AChEI治療1年後のミニメンタルステート検査(MMSE)が3超低下または臨床的認知症尺度(CDR)1以上低下と定義した。ベースライン時とフォローアップ調査後の認知機能の関係は、潜在的な交絡因子で調整したのち、ロジスティック回帰分析を用いて検討した。 主な結果は以下のとおり。・対象患者数は、1,370例(平均年齢:79.86±8.14歳)。・調整後、認知機能低下群でBMIが有意に低いことが明らかとなった(調整オッズ比[aOR]:0.970、95%信頼区間[CI]:0.943〜0.997、p=0.033)。・認知機能低下群では、抗精神病薬の使用率が有意に高かった(aOR:1.599、95%CI:1.202〜2.202、p=0.001)。・認知機能低下群では、ベンゾジアゼピン受容体作動薬の使用率も高い傾向が認められた(aOR:1.290、95%CI:0.996〜1.697、p=0.054)。 著者らは「AChEI治療1年後の認知機能低下に対し、BMIの低さ、抗精神病薬やベンゾジアゼピン受容体作動薬の併用が影響を及ぼしている可能性が示唆された」としている。

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アルツハイマー病の進行予測に役立つアプリを開発

 人により大きく異なるアルツハイマー病の進行を予測できるアプリの開発に関する研究成果を、オランダの研究グループが報告した。このモデルにより、軽度認知障害(MCI)患者と軽度認知症患者の認知機能がどのようなペースで低下するのかを予測できる可能性が示されたという。アムステルダム自由大学アルツハイマーセンター(オランダ)のWiesje van der Flier氏らによるこの研究結果は、「Neurology」に7月10日掲載された。 Van der Flier氏らは、アミロイドβ(Aβ)の蓄積が検査で確認されているMCI患者310人と軽度認知症患者651人の計961人(平均年齢65±7歳、女性49%)のデータを用いて、認知症検査の一種として知られるミニメンタルステート検査(MMSE)の経時的な変化を予測するモデルを構築した。MMSEスコア(0〜30点)は、25点以上を正常、21〜24点を軽度認知症、10〜20点を中等度の認知症、10点未満を重度認知症と見なす。予測の際には、年齢、性別、ベースラインのMMSEスコア、アポリポタンパク質E4の有無、MRI検査で測定した全脳および海馬の体積、脳脊髄液中のバイオマーカー(Aβ1〜42およびリン酸化タウの濃度)のデータが考慮された。 MMSEスコアは、MCI患者ではベースライン時の26.4から5年後には21.0へ、軽度認知症患者では22.4から7.8へと経時的に低下していた。モデルは、このような認知機能の低下の予測に役立ったが、不確実な面があることも示された。予測スコアと実際のスコアには、MCI患者の場合は半数で2点未満、軽度認知症患者の場合は半数で3点未満の範囲で差が認められた。 ベースラインのMMSEスコアが28で一定レベルのAβプラークが認められるMCI患者を想定して検討したところ、この患者が中等度の認知症(MMSEスコアが20)に達するまでの時間は6年であるが、認知症治療薬の使用により低下を30%抑制できた場合には、その時間は8.6年に延長することが予測された。同様に、ベースラインのMMSEスコアが20で一定レベルのAβプラークが認められる軽度認知症患者の場合では、MMSEスコアが15(中等度の認知症)に至るまでの期間は2.3年、薬により認知機能の低下を30%抑制できた場合には3.3年と予測された。 Van der Flier氏は、「認知障害を持つ人やその介護者が最も気にするのは、『あとどれくらいの期間、車を運転できるのか』や『あとどれくらいの期間、趣味を続けられるのか』といった質問に対する答えだ。将来的には、生活の質や日常の機能に関わるこのような質問に対する答えを予測するモデルが役立つようになることを期待している。それが実現するまでの間は、本研究のようなモデルによる予測スコアを医師が解釈して患者の質問への答えとするのに役立つことを願っている」と述べている。 研究グループは、このモデルを搭載したプロトタイプのアプリを科学的研究のために公開した。次のステップは、患者、家族、専門家の意見を取り入れた、使いやすいアプリの開発であるという。 ただし、研究グループは、今回開発されたモデルは個人のデータに基づいて予測を行うものの、常に不確定要素が存在するため、個々の患者に対して正確な予測を行うことの難しさを示してもいるとの見方を示している。それでもvan der Flier氏は、「これまでの研究から、人は、たとえ不確かであっても自分の予後についての情報をほしがることが分かっている。したがって、われわれの予測モデルを搭載したアプリは、重要なニーズを満たすことができるはずだ」と話している。

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スタチンの使用はパーキンソン病リスクの低下と関連

 日本人高齢者を対象とした大規模研究により、スタチンの使用はパーキンソン病リスクの低下と有意に関連することが明らかとなった。LIFE Study(研究代表者:九州大学大学院医学研究院の福田治久氏)のデータを用いて、大阪大学大学院医学系研究科環境医学教室の北村哲久氏、戈三玉氏らが行った研究の結果であり、「Brain Communications」に6月4日掲載された。 パーキンソン病は年齢とともに罹患率が上昇し、遺伝的要因や環境要因などとの関連が指摘されている。また、脂質異常症治療薬であるスタチンとパーキンソン病との関連を示唆する研究もいくつか報告されているものの、それらの結果は一貫していない。血液脳関門を通過しやすい脂溶性スタチンと、水溶性スタチンの違いについても、十分には調査されていない。 そこで著者らは、LIFE Studyの2014年~2020年の健康関連データを用いて、コホート内症例対照研究を行った。65歳以上の高齢者で、追跡中にパーキンソン病を発症した人を症例、症例1人に対してコホート参加時の年齢、性別、市町村、参加年をマッチさせた対照5人を選択し、解析対象は症例9,397人と対照4万6,789人とした(女性53.6%)。スタチンは脂溶性(アトルバスタチン、フルバスタチン、ピタバスタチン、シンバスタチン)と水溶性(プラバスタチン、ロスバスタチン)に分類し、コホート参加時からの累積投与量の指標として、標準化1日投与量の合計(total standardized daily dose;TSDD)を算出した。 条件付きロジスティック回帰を用い、先行研究に基づいて併存疾患の有無を調整して解析した結果、スタチン使用は非使用と比較して、パーキンソン病リスクの低下(オッズ比0.61、95%信頼区間0.56~0.66)と有意に関連していることが明らかとなった。この関連は性別にかかわらず、男性(同0.62、0.54~0.70)と女性(同0.60、0.54~0.68)ともに認められた(交互作用P=0.71)。また、年齢層ごとに検討した場合も、65~74歳(同0.57、0.49~0.66)、75~84歳(同0.60、0.53~0.68)、85歳以上(同0.73、0.59~0.92)のいずれも同様の関連が認められた(交互作用P=0.17)。 全体として、スタチンの累積投与量が多いほどパーキンソン病リスクが低いことも明らかとなった。具体的には、TSDD 0(投与なし)の人と比較して、TSDD 1~30ではリスク上昇(同1.30、1.12~1.52)と関連していた一方で、TSDD 31~90(同0.77、0.64~0.92)、TSDD 91~180(同0.62、0.52~0.75)、TSDD 181以上(同0.30、0.25~0.35)ではリスク低下と関連していた。また、脂溶性スタチン(同0.62、0.54~0.71)と水溶性スタチン(同0.62、0.55~0.70)のどちらも、パーキンソン病リスク低下と関連していることが示された。 以上から著者らは、「日本人高齢者において、スタチン使用とパーキンソン病リスク低下との間に有意な関連が認められた。スタチンの累積投与量が多いほど、パーキンソン病の発症に対して予防効果を示した」と述べている。スタチンによる予防効果のメカニズムについては、脳動脈硬化の低下やドーパミン作動性神経細胞の生存などによる可能性が考えられるとして、この予防効果をより正確に評価するため、さらなる研究の必要性を指摘している。

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アルツハイマー病、血液検査で高い精度で診断/JAMA

 血漿中リン酸化タウ217(p-tau217)と非p-tau217の比率(%p-tau217)と血漿中アミロイドβ42およびアミロイドβ40の比率(Aβ42:Aβ40比)を組み合わせたAPS2(amyloid probability score 2)と、%p-tau217のみに基づく検査は、事前に定義されたカットオフ値を用いた場合、1次医療および2次医療で認知症状を有する人のアルツハイマー病(AD)を高い精度で診断できることが明らかになった。スウェーデン・ルンド大学のSebastian Palmqvist氏らが、事前に定義されたバイオマーカーのカットオフ値を前向きに評価する目的で実施したコホート研究の結果を報告した。血液検査によりADを診断できる可能性がある。JAMA誌オンライン版2024年7月28日号掲載の報告。%p-tau217とAβ42:Aβ40比による診断精度を検証 研究グループは2020年2月~2024年1月に、1次医療施設および2次医療施設にて、認知症状のために臨床評価を受ける患者1,213例を登録した。独立したコホートで確立されているバイオマーカーのカットオフ値を、1次医療コホート(307例)と2次医療コホート(300例)に適用し、患者1例当たり血漿1検体を単一バッチとして解析した。その後、1次医療コホート(208例)と2次医療コホート(398例)において、前向きに血液検査を行った(患者1例当たり血漿1検体が採取後2週間以内に解析された)。 主要アウトカムはAD病理(脳脊髄液Aβ42:Aβ40比およびp-tau217の異常により判定)、副次アウトカムは臨床的ADとした。陽性予測値(PPV)、陰性予測値(NPV)、診断精度および曲線下面積(AUC)を算出して評価した。APS2の診断精度は高く、集団全体で90% 1,213例の平均年齢は74.2歳(SD 8.3歳)、48%が女性で、主観的認知機能低下23%、軽度認知障害44%、認知症33%であった。1次医療と2次医療の両方の評価において、患者の50%がAD病理を有していた。 血漿検体を単一バッチで解析した場合、1次医療コホートではAPS2使用時のAUCは0.97(95%信頼区間[CI]:0.95~0.99)、PPVは91%(95%CI:87~96)、NPVは92%(95%CI:87~96)、2次医療コホートではそれぞれ0.96(0.94~0.98)、88%(83~93)、87%(82~93)であった。 血漿検体を前向きに解析した場合、1次医療コホートではAPS2使用時のAUCは0.96(95%CI:0.94~0.98)、PPVは88%(95%CI:81~94)、NPVは90%(95%CI:84~96)、2次医療コホートではそれぞれ0.97(0.95~0.98)、91%(87~95)、91%(87~95)であった。 4つのコホートにおけるAPS2の診断精度は高かった(範囲:88~92%)。 1次医療の医師が臨床検査、認知機能検査およびCT検査により臨床的ADを同定する診断精度が61%(95%CI:53~69)であったのに対し、APS2は91%(95%CI:86~96)、認知症専門医による診断精度が73%(95%CI:68~79)であったのに対し、APS2は91%(95%CI:88~95)であった。 集団全体では、APS2の診断精度(90%、95%CI:88~92)は、%p-tau217のみを用いた診断精度(90%、95%CI:88~91)と差はなかった。

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80歳以上の心房細動患者、低用量エドキサバンは有益か

 心房細動への抗凝固薬の処方において、高齢患者では若年患者より出血が増加するため、推奨用量より低い用量を処方することが多いが、無作為化試験のデータは少ない。今回、米国・ハーバード大学医学部のAndre Zimerman氏らは、80歳以上の心房細動患者において、事前に規定された減量基準を満たさない場合でも低用量の抗凝固薬(エドキサバン)が有益かどうか、ENGAGE AF-TIMI 48試験における事後解析で検討した。その結果、エドキサバン30mgは、エドキサバン60mgとの比較(減量基準を満たさない患者)またはワルファリンとの比較(減量基準を満たす/満たさない患者)において重大な出血が少なく、虚血性イベントは増加しなかった。JAMA Cardiology誌オンライン版2024年7月10日号に掲載。 ENGAGE AF-TIMI 48試験は、心房細動患者を2種類の用量のエドキサバンまたはワルファリンに無作為に割り付けた国際共同二重盲検試験である。今回は本試験の事後解析として、80歳以上の減量基準を満たさない患者でエドキサバン30mg群と60mg群を比較し、また減量基準を満たすまたは満たさない患者でエドキサバン30mg群とワルファリン群を比較した。主な評価項目は、死亡・脳卒中もしくは全身性塞栓症・重大な出血の主要ネットクリニカルアウトカム、および個々の発生率であった。 主な結果は以下のとおり。・今回の解析では80歳以上の2,966例(平均年齢83歳、男性56%)を対象とした。・減量基準を満たさない1,138例において、エドキサバン60mg群は30mg群に比べて重大な出血が多く(ハザード比[HR]:1.57、95%信頼区間[CI]:1.04~2.38、p=0.03)、とくに消化管出血が多かった(HR:2.24、95%CI:1.29~3.90、p=0.004)が、有効性エンドポイントに有意差はなかった。・減量基準を満たす/満たさない2,406例において、エドキサバン30mg群はワルファリン群と比べ、主要ネットクリニカルアウトカム(HR:0.78、95%CI:0.68~0.91、p=0.001)、重大な出血(HR:0.59、95%CI:0.45~0.77、p<0.001)、死亡(HR:0.83、95%CI:0.70~1.00、p=0.046)の発生率が低かったが、脳卒中と全身性塞栓症の発生率は同等であった。 著者らは「これらのデータは、高齢の心房細動患者では減量基準を満たさない場合でも、エドキサバン30mgといった低用量の抗凝固薬投与を考慮してもよいという概念を支持する」としている。

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中年期~高齢期の血漿バイオマーカー、認知症発症との関連を解析/JAMA

 米国・ノースカロライナ大学チャペルヒル校のYifei Lu氏らは、中年期から高齢期にかけての血漿バイオマーカーの変化とすべての認知症との関連を、米国で行われた前向きコホート試験「Atherosclerosis Risk in Communities(ARIC)試験」の参加者データを用いて後ろ向き解析にて調べた。アルツハイマー病(AD)の神経病理、神経損傷、アストログリオーシスを示す血漿バイオマーカー値は加齢とともに上昇し、既知の認知症リスク因子と関連していた。また、AD特異的バイオマーカーと認知症の関連は中年期に始まり、高齢期のAD、神経損傷、アストログリオーシスの血漿バイオマーカー測定値は、すべてが認知症と関連していた。血漿バイオマーカーは、AD病理と神経変性に関する費用対効果の高い非侵襲的なスクリーニングになると大きな期待が寄せられているが、発症前に関しては十分に解明されておらず、多様な集団や生涯にわたる追加の調査が必要とされていた。JAMA誌オンライン版2024年7月28日号掲載の報告。Aβ42/Aβ40比、p-tau181、GFAPを評価 研究グループは、ARIC試験の参加者1,525例について、参加者全員および地域で暮らすサブグループにおける、血漿バイオマーカーの経時的変化および、それらとすべての認知症との関連を後ろ向き解析にて評価した。 血漿バイオマーカーは、中年期(1993~95年、平均年齢58.3歳)と高齢期(2011~13年、平均年齢76.0歳、フォローアップ:2016~19年、平均年齢80.7歳)に採取された保存検体を用いて測定。中年期のリスク因子(高血圧、糖尿病、脂質、冠動脈性心疾患[CHD]、喫煙、身体活動)を評価し、それらと血漿バイオマーカーの経時的変化との関連を評価した。また、バイオマーカーとすべての認知症発症との関連を、2011~13年に認知症を発症しておらず1993~95年および2011~13年にバイオマーカー測定を受けたサブグループ(1,339例)で評価した。 血漿バイオマーカーは、アミロイドβ(Aβ)42/Aβ40比、phosphorylated tau at threonine 181(p-tau181)、ニューロフィラメント軽鎖(NfL)、グリア線維性酸性タンパク質(GFAP)を、Quanterix Simoaプラットフォームを用いて測定した。 すべての認知症の発症は、2012年1月1日~2019年12月31日の期間に、神経心理学的評価、半年ごとの参加者または情報提供者との接触および医療記録サーベイランスによって確認した。中年期のAD特異的バイオマーカー、高齢期認知症と長期に関連 参加者1,525例(平均年齢58.3歳[SD 5.1])のうち、914例(59.9%)が女性、394例(25.8%)が黒人であった。総計252例(16.5%)が認知症を発症した。 中年期から高齢期にかけて、Aβ42/Aβ40比の減少、p-tau181、NfLおよびGFAPの上昇が観察された。これらバイオマーカーの変化は、アポリポタンパク質Eε4(APOEε4)アレルを持つ参加者でより急速だった。 また、中年期から高齢期のバイオマーカーの変化率は、中年期に高血圧を有する参加者のほうが有さない参加者と比べてより大きかった(NfLの変化率の群間差:0.15 SD/10年など)。中年期に糖尿病を有する参加者は有さない参加者と比べて、NfL(変化率の群間差:0.11 SD/10年)、GFAP(同0.15 SD/10年)の変化が急速だった。 中年期ではAD特異的バイオマーカーのみが、高齢期認知症と長期にわたって関連していた(Aβ42/Aβ40比の1 SD低下当たりのハザード比[HR]:1.11[95%信頼区間[CI]:1.02~1.21]、p-tau181の1 SD上昇当たりのHR:1.15[95%CI:1.06~1.25])。 高齢期のすべての血漿バイオマーカーは、高齢期認知症と統計学的有意に関連しており、NfLとの関連が最も大きかった(HR:1.92、95%CI:1.72~2.14)。

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日本人高齢者の難聴と認知症との関係

 日本では、高齢者の補聴器装着率が他の先進国より低いといわれている。このボトルネックを特定し、対策を講じることは重要である。広島市立広島市民病院の福増 一郎氏らは、難聴と認知症との関係についての認知向上が、聴力検査や補聴器装着に意義があるかを調査した。Auris Nasus Larynx誌2024年8月号の報告。 総合病院を受診した65歳以上の参加者を対象にアンケート調査を実施し、次の背景因子を調査した。(1)最近の聴力検査歴(2)耳鼻咽喉科を受診し、聴力検査を希望するか(3)難聴と認知症との関係についての認知状況(4)補聴器の装着について 主な結果は以下のとおり。・参加対象患者は517例(平均年齢:78.06±6.97歳)、地域高齢者人口の2.4%を占めた。・5年以内の聴力検査歴は、難聴と認知症との関係についての認知と有意な関連が認められた(調整済みオッズ比[aOR]:2.36、95%信頼区間[CI]:1.49〜3.72)。・耳鼻咽喉科の診療または聴力検査の希望は、難聴と認知症との関係についての認知と有意な関連が認められた(aOR:1.70、95%CI:1.02〜2.85)。・難聴と認知症との関連について認知していた人は、39.3%であった。・有意な関連因子は、女性(OR:2.50、95%CI:1.64〜3.81)、対人関係の趣味(OR:1.66、95%CI:1.11〜2.49)であった。・補聴器装着の有意な背景因子は、高齢(OR:6.95、95%CI:1.90〜25.40)、自己申告による重度の聴覚障害(OR:5.49、95%CI:2.55〜11.80)、独居(OR:2.63、95%CI:1.18〜5.89)であった。・難聴と認知症との関連についての認知は、有意な因子ではなかった。 著者らは「難聴と認知症との関連についての認知を高めることは、自己申告による難聴に対する補聴器装着と関連が認められなかったが、耳鼻咽喉科への受診や聴力検査の希望とは関連している可能性がある。そのため、高齢者に対する聴力スクリーニングなどの手順も不可欠であろう」としている。

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一部の糖尿病用薬の処方が認知症リスクの低さと関連

 メトホルミンやSGLT2阻害薬(SGLT2i)と呼ばれる糖尿病用薬の処方が、認知症やアルツハイマー病(AD)のリスクの低さと関連していることが報告された。慶煕大学(韓国)のYeo Jin Choi氏らの研究によるもので、詳細は「American Journal of Preventive Medicine」に5月3日掲載された。 2型糖尿病は多くの国で重大な健康問題となっており、世界中で約5億3000万人が罹患していて、その罹患によって認知機能障害や認知症のリスクが50%以上上昇する可能性が示されている。認知症もまた、高齢化に伴い世界的な健康問題となっており、患者数はすでに4000万人以上に上るとされている。 2型糖尿病がADのリスクを押し上げるメカニズムについて、インスリン抵抗性に伴う慢性炎症、酸化ストレス、血管障害の関与などが考えられており、一部の糖尿病用薬はインスリン抵抗性改善作用などを介してADリスクを低下させる可能性がある。ただし、糖尿病用薬のタイプによって認知症やADのリスクが異なるのかという点は、十分明らかにはなっていない。Choi氏らは、比較されている薬剤の組み合わせが異なる過去の複数の研究データを統合して、多くの薬剤の影響を比較可能とするベイジアンネットワークメタ解析により、この点を検討した。 文献データベースであるCENTRAL、MEDLINE(PubMed)、Scopus、Embaseのスタートから2024年3月までに収載された論文を対象とする検索により、16件の研究報告を抽出。それらの研究参加者数は合計156万5,245人で、7種類の治療レジメン(メトホルミン、SU薬、α-グルコシダーゼ阻害薬〔α-GI〕、チアゾリジン薬、DPP-4阻害薬、SGLT2i、非薬物治療)が含まれていた。16件中7件は米国、3件はカナダで行われ、そのほかは英国、台湾、中国、香港、韓国などで行われていた。 第一選択薬として用いられていた薬剤のうち最も多くの研究で比較されていたのはSU薬とメトホルミンであり、後者は前者に比べて認知症リスクが有意に低かった(リスク比〔RR〕0.53〔95%信頼区間0.44~0.64〕)。第二選択薬として用いられていた薬剤について、SU薬を基準として比較すると、SGLT2iのみ有意なリスク低下が認められた(RR0.39〔同0.16~0.88〕)。 第一・第二選択薬を区別せずにSU薬を基準として解析すると、メトホルミン(RR0.53〔0.44~0.63〕)とSGLT2i(RR0.41〔0.25~0.66〕)、および非薬物治療(RR0.73〔0.56~0.97〕)でリスクが低く、α-GIはリスクが高かった(RR2.4〔1.2~5〕)。ADリスクについても対SU薬で、メトホルミンとSGLT2iのみ、リスク低下が示された。なお、年齢を75歳未満/以上に二分した層別解析では、SGLT2iによる認知症リスク低下は75歳以上でのみ有意だった。 著者らは、「メトホルミンとSGLT2iが用いられている糖尿病患者は、他の糖尿病用薬が用いられている場合に比較し認知症リスクが低いことが示された。ただし、患者固有の要因がこの関係に影響を及ぼしている可能性がある。例えばメトホルミンは一般的に、合併症が少ない非高齢期に処方が開始される傾向がある。これらの理由により、本研究の結果の解釈は慎重に行われる必要があり、また将来の大規模な臨床試験が必要とされる」と述べている。

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英語で「腰椎穿刺」は?【1分★医療英語】第142回

第142回 英語で「腰椎穿刺」は?《例文》医師AHow did the spinal tap go?(腰椎穿刺はうまくいきましたか?)医師BI was able to do it on the first attempt.(1回目のトライで成功しました)《解説》今回は「腰椎穿刺」という医療単語を解説します。「腰椎穿刺」を医療用語では“lumbar puncture”といいます。日本でも腰椎穿刺を「ルンバール」とカタカナで表現することがあるかと思いますが、これはドイツ語由来の言葉です。ほかにも日本で当たり前に使われている医療のカタカナ用語は、ドイツ語由来のものが多くあります。たとえば「マーゲンチューブ(胃管)」という用語も、元になっているのはドイツ語です。英語では“G-tube”(Gチューブ)と呼ばれ、こちらは“Gastric”(胃の)の“G”から来ています。英語話者の患者さんの場合、単に“lumbar”(ルンバール)と言ってもまったく伝わりませんので注意が必要です。“lumbar puncture”まで言えばだいたいは伝わりますが、今度はやや仰々しい印象になってしまいます。そこで、医療者間での会話や患者さんに説明するときなどによく使われるのが、“spinal tap”という表現です。“tap”は名詞でいろいろな意味がありますが、そのうちの1つに“the procedure of removing fluid”(液体を取り除く手技)いう意味があります。これに脊椎を意味する“spinal”を付けることで「腰椎穿刺」という意味になるわけです。“spinal tap”はカジュアルな表現で、口語で使われることが大半です。カルテなどに記載する際には“lumbar puncture”のほうが適切ですので、その使い分けも含めて覚えておきましょう。講師紹介

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日本人高齢者におけるスタチン投与量と認知症リスク

 これまでの研究では、スタチンの使用と認知症リスク低下との関連が示唆されているが、とくに超高齢社会である日本においては、この関連性は十分に検討されていない。大阪大学の戈 三玉氏らは、65歳以上の日本人高齢者を対象にスタチン使用と認知症リスクとの関連を調査した。Journal of Alzheimer's Disease誌オンライン版2024年7月1日号の報告。 2014年4月~2020年12月の17自治体におけるレセプトデータを含むLIFE研究(Longevity Improvement & Fair Evidence Study)のデータを用いて、ネステッドケースコントロール研究を実施した。年齢、性別、自治体、コホート参加年のデータに基づき、1症例を5対照群とマッチさせた。オッズ比(OR)および95%信頼区間(CI)の算出には、条件付きロジスティック回帰モデルを用いた。 主な結果は以下のとおり。・対象は、症例群5万7,302例および対照群28万3,525例。女性の割合は、59.7%であった。・潜在的な交絡因子で調整したのち、スタチン使用は認知症(OR:0.70、95%CI:0.68〜0.73)およびアルツハイマー病(OR:0.66、95%CI:0.63〜0.69)のリスク低下との関連が認められた。・スタチン未使用者と比較した用量分析における認知症のORは、次のとおりであった。【1日当たりの総標準投与量(TSDD):1〜30】OR:1.42、95%CI:1.34〜1.50【TSDD:31〜90】OR:0.91、95%CI:0.85〜0.98【TSDD:91〜180】OR:0.63、95%CI:0.58〜0.69【TSDD:180超】OR:0.33、95%CI:0.31〜0.36 著者らは「日本人高齢者に対するスタチン使用は、認知症およびアルツハイマー病のリスク低下と関連しており、スタチンの累積投与量が少ない場合には、認知症リスクが高まるが、多い場合には認知症の保護因子となりうることが示唆された」としている。

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