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一般集団における知的障害、ゲノムワイド研究で判明/JAMA

 スイス・ローザンヌ大学のKatrin Mannik氏らは、一般集団を対象にヒト遺伝子のコピー数多型(copy number variations:CNV)と認知表現型(Cognitive Phenotypes)の関連を調べた。CNVと知的障害に関するような表現型との関連は、これまでほとんどが臨床的に確認された集団コホートにおいて評価されたものであった。研究グループは、臨床的プリセレクションのない成人キャリアにおけるCNVによる臨床的特性と既知の症候群との関連を調べ、また一般集団において、頻度やサイズがまれなCNVキャリアの学業成績(educational attainment)におけるゲノムワイドな影響と、知的障害の有病率を調べた。JAMA誌2015年5月26日号掲載の報告より。エストニアコホート7,877例で評価 検討は、エストニアの住民ベースのバイオバンクに、2002~2010年にかけて参加登録された5万2,000例を対象に行われた。  一般医(GP)が被験者の検診や、健康および生活習慣関連の質問アンケート記入を行い、診断を報告した。 CNV解析は無作為に抽出したサンプル7,877例(エストニアコホート)について行い、遺伝子型表現型と教育、疾患特性との関連を評価した。結果は、エストニア人993例の高機能群のほか、地理的に異なる英国、米国、イタリアの3つの国の住民コホートで再現した。 主要評価項目は、一般集団における遺伝的障害の表現型、常染色体CNVの有病率、これらの異型と学業成績(初等教育未満レベルの1から大学院レベルの7までで評価)との関連、知的障害の有病率であった。一般集団で10.5%が知的障害や低学業成績と関連するCNVキャリア エストニアコホート7,877例のうち、既知の症候群と関連したCNVキャリア56例が特定された。その表現型には、認知および精神医学的な問題、てんかん、神経障害、肥満、先天奇形などが含まれ、臨床コホートで確認された同一の再編成キャリアと類似したものであった。 希少なCNV(頻度0.05%以下、サイズ250kb以上)のゲノムワイド評価により、一般集団のうち831例(10.5%)が同キャリアであることが特定された。 エストニアコホートにおける知的障害の有病率は114/6,819例(1.7%)であった。これに対して、サイズ250kb以上の欠損キャリアの同有病率は11/216例(5.1%)(オッズ比[OR]:3.16、95%信頼区間[CI]:1.51~5.98、p=1.5e-03)、1Mb以上の重複キャリアは6/102(5.9%)(OR:3.67、95%CI:1.29~8.54、p=0.08)であった。 また平均学業成績は、250kb以上の欠損キャリアの評価対象248例では3.81(p=1.06e-04)、1Mb以上の重複キャリア115例では3.69(p=5.024e-05)であった。高校を卒業していなかった者は、欠損キャリアは33.5%(OR:1.48、95%CI:1.12~1.95、p=0.05)、重複キャリアは39.1%(同:1.89、1.27~2.8、p=1.6e-03)であった。 まれなCNVと学業成績が低いことの関連に関するエビデンスは、イタリア、米国の成人コホートおよび英国の青年コホートの分析でも裏付けられた。 結果を踏まえて著者は、「非選択的で健康である成人集団において、既知の病原性CNVは、未確認の臨床的な後遺症と関連している可能性が示唆された。さらに、まれだが一定数が有している中程度サイズのCNVは、ネガティブな学業成績と関連していることが示唆された」と述べ、「所見が追加集団でも再現されたことは、遺伝研究や臨床的な治療、公衆衛生において同様の観察が重要であることを示すものである」とまとめている。

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認知症と介護、望まれる生活環境は

 認知症患者が生活する環境デザインは納得できるもの、そして患者がパーソナルアイデンティティを強く保ち、彼らの能力を維持していけるようなものであるべきである。これまでは認知症患者がうまく生活することに重点を置いてきたため、終末期が近い患者の物理的環境支援へのニーズや希望が考慮されてこなかった。オーストラリア・ウーロンゴン大学のRichard Fleming氏らは、認知症患者が良好なQOLを保ちつつ人生の最期を迎えるのに適切な環境を明らかにするため、認知症患者、介護家族、医療従事者らからなるフォーカスグループインタビューを行った。その結果、環境デザインとして求められる15の特性についてコンセンサスが得られたことを発表した。BMC Palliative Care誌オンライン版2015年5月12日号の掲載報告。 本研究では、フォーカスグループインタビューとデルファイ法とを組み合わせ、認知症患者、介護家族、専門家が、終末期に向けて良好なQOL維持をサポートするために重要とする物理的環境について調査した。 研究グループは、オーストラリア東海岸に位置する3都市で、文献レビューに基づくディスカッションガイドを用いて3つのフォーカスグループインタビューを実施。フォーカスグループは、最近遺族となった認知症患者の介護家族(FG1)、認知症患者と認知症の介護家族(FG2)、終末期あるいは終末期に近づいている認知症患者の診療にあたる医療従事者(FG3)の3つで、フォーカスグループの会話は参加者の同意を得て録音した。 オーディオファイルを基に速記録を作成し、人生の最期に向けて望ましい生活を提供するという目的の達成を促す環境的特性を判断するため、テーマ分析を実施した。フォーカスグループの録音記録分析より引き出されたデザイン特性リストを、認知症の各分野に携わるさまざまな専門家に確認してもらい、妥当性についてのコンセンサスを探り、終末期に近い認知症患者にとってふさわしい環境デザインの特性を判断した。 主な結果は以下のとおり。・3つのフォーカスグループへの参加者は18人であった(認知症患者2人、現在介護をしている家族、あるいは最近まで介護していた遺族介護者11人、医療従事者5人)。・重要だと考える環境に関する事項について、意見の相違が認められた。・認知症患者および介護家族は、関与全般を通しての快適性、心の安らぎ、穏やかな環境、プライバシーと尊厳、そして連続的な技術の活用が重要であるとした。・医療従事者らがとくに重要としたテーマは、介護業務を容易にするデザインと、制度面での業務への影響であった。・認知症の各分野に関わる専門家21人が、フォーカスグループの発言記録から分析された、環境デザインに求められる特性についてのコンセンサスを得るべく検討を行い、15項目の特性で意見が一致し認定した。・15の特性は、動くことができる認知症患者に対するデザイン方針と対応しているが、感覚的な関与により重点が置かれていた。 結果を踏まえ、著者らは「これら15の特性を介護の一環として考慮することにより、優れた介護の実現をサポートし、認知症患者に最後まで良い人生を提供し、また介護家族にも患者と共に生きる最期の日までより有意義な体験を与えることができるものと考える」とまとめている。関連医療ニュース 認知症治療、薬物療法にどの程度期待してよいのか 認知症への運動療法、効果はあるのか 複雑な薬物療法レジメン、認知症介護者の負担増加  担当者へのご意見箱はこちら

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アミロイドPET陽性率で若年性認知症診断の可能性/JAMA

 PET画像診断で検出されたアミロイド陽性率について、アルツハイマー型認知症(AD)の患者では加齢に伴い低下することが、一方、非ADでは、加齢に伴い上昇することが明らかにされた。またAD患者における同低下の程度はアポリポ蛋白E(APOE)ε4非キャリアのほうがキャリアと比べると大きいことなども判明したという。オランダ・アムステルダム自由大学医療センターのRik Ossenkoppele氏らが、メタ解析の結果、明らかにした。所見について著者は、「若年性認知症診断へのアミロイドPETの臨床有用性、および70歳超のAPOEε4非キャリアAD患者の鑑別診断をサポート可能であることを示唆するものである」と述べている。JAMA誌2015年5月19日号掲載の報告より。2004~2015年の試験結果をメタ解析 Ossenkoppele氏らは2004~2015年にかけて、MEDLINE、Web of Scienceデータベースを用い、アミロイドPETに関する試験を検索した。ケースレポートや認知症以外の神経学的あるいは精神医学的疾患に関する試験は除外した。  その結果、臨床的にADの診断を受けた1,359例、非ADの538例に関するデータが得られた。また参照グループとして、アミロイドPETの結果が正常だった対照群(1,849例)と、剖検結果から診断されたAD例1,369例についても分析を行った。 主要アウトカムは、診断、年齢、APOEε4の有無別にみた、推定アミロイドPET陽性率だった。AD患者でAPOEε4非キャリア、アミロイドPET陽性率は50歳で86%、90歳で68% アミロイドPET陽性率は、年齢やAPOEε4の有無と関連が認められた。 AD患者でAPOEε4非キャリア(377例)の場合、アミロイドPET陽性率は、50歳時は86%(95%信頼区間[CI]:73~94%)であったが、90歳時は68%(同:57~77%)と、年齢と共に低下していた。 AD患者でAPOEε4キャリア(593例)でも、アミロイドPET陽性率は年齢と共に低下したが、50歳時97%(同:92~99%)、90歳時90%(同:83~94%)と、低下の幅は小さかった。 同様の傾向は、剖検で診断されたAD例でも認められた。 一方、大半の非ADは、アミロイドPET陽性率が年齢と共に上昇し(60歳時と比べて80歳時)、またAPOEε4キャリアのほうが高率だった。 レビー小体型認知症でAPOEε4キャリア(16例)は、60歳時63%から80歳時83%に、同非キャリア(18例)は29%から54%への上昇だった。前頭側頭型認知症でAPOEε4キャリア(48例)は、60歳時19%から80歳時43%に、非キャリア(160例)は5%から14%に上昇。血管性認知症でAPOEε4キャリア(30例)は、60歳時25%から80歳時64%に、非キャリア(77例)は7%から29%への上昇だった。

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認知症治療、薬物療法にどの程度期待してよいのか

 認知症は治癒が望めない疾患であり、治癒または回復に向かわせる治療法は存在しない。現在の治療は、認知または機能的アウトカムの改善を目的としたものである。米国・ブラウン大学のJacob S. Buckley氏らは、認知症および軽度認知障害(MCI)の治療に関する研究をレビューし、治療のベネフィットとリスクを評価した。その結果、コリンエステラーゼ阻害薬(ChEI)によるベネフィットは小さく、経過とともに効果が減弱すること、用量依存的に有害事象が増加すること、またメマンチン単剤療法はベネフィット、リスクともに小さいことが明らかになったと報告した。Drugs & Aging誌オンライン版2015年5月5日号の掲載報告。 研究グループは、認知症に対する薬理学的治療の基礎をレビューし、認知症治療のベネフィットとリスクについてまとめた。2014年11月における、認知症およびMCIの治療に関する英語で記載された試験および観察研究について、MEDLINEを用いて系統的に文献検索を行った。その他の参考文献は関連する出版物のビブリオグラフィーの検索により特定した。可能な限り、メタ解析あるいはシステマティックレビューによる併合データを入手した。レビューの対象は、認知症またはMCIを対象とした無作為化試験または観察研究で、治療に伴う有効性アウトカムまたは有害アウトカムを評価している試験とした。FDAの承認を受けていない治療について評価している試験、認知症およびMCI以外の障害に対する治療を評価している試験は除外した。 主な結果は以下のとおり。・文献検索により540件の試験がレビュー対象の候補となり、そのうち257件がシステマティックレビューに組み込まれた。・試験の併合データにより、軽度から中等度のアルツハイマー病とレビー小体型認知症において、ChEIは認知、機能、および全般的ベネフィットをやや改善することが示された。ただし、これらの効果における臨床的意義は明らかでない。・血管性認知症に対する、有意なベネフィットは認められていないことが判明した。・ChEIは、治療開始1年後に有効性のベネフィットが最小となり、経過に伴い減弱すると思われた。・進行例あるいは85歳以上の患者にベネフィットを示したエビデンスはなかった。・有害事象は、ChEIの使用により用量依存的に有意に増加した。コリン作動性刺激に関連して消化器系、神経系および心血管系の副作用に対するリスクは2~5倍となり、重大な副作用として体重減少、衰弱、失神などが認められた。・85歳を超えた患者の有害事象リスクは若年患者の2倍であった。・メマンチン単剤療法は、中等度から重度のアルツハイマー病および血管性認知症の認知機能に何らかのベネフィットをもたらす可能性があった。しかし、そのベネフィットは小さく、数ヵ月の経過において減弱する可能性があった。・メマンチンは、軽度認知症あるいはレビー小体型認知症において、またChElへの追加治療として、有意なベネフィットは示されていなかった。・少なくとも管理下にある試験という状況において、メマンチンの副作用プロファイルは比較的良好であった。 結果を踏まえ、著者らは「ChEIは軽度から中等度の認知症に対し、短期的に、わずかな認知機能の改善をもたらすが、これは臨床的に意味のある効果とはいえない。重症例、長期治療患者、高齢者においては、わずかなベネフィットしか認められない。体重減少、衰弱、失神などのコリン作動性の副作用は臨床的に重要であり、とくに虚弱な高齢患者において弊害をもたらし、治療によるリスクがベネフィットを上回る結果となっている。メマンチン単剤療法の中等度~重度認知症に対するベネフィットは最低限であった。有害事象も同程度に小さいと考えられた」とまとめている。関連医療ニュース アルツハイマー病の早期ステージに対し、抗Aβ治療は支持されるか 抗認知症薬の神経新生促進メカニズムに迫る:大阪大学 抗認知症薬4剤のメタ解析結果:AChE阻害薬は、重症認知症に対し有用か  担当者へのご意見箱はこちら

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てんかんドライバーの事故率は本当に高いのか

 米国・ホフストラ・ノースショアLIJ医科大学のPuja Appasaheb Naik氏らは、米国神経学会のガイドラインに準じてシステマティックレビューを行った。その結果、てんかんを有するドライバーと一般集団における交通事故率の違いに関するエビデンスは矛盾しており、結論は得られないことを報告した。Epilepsy&Behavior誌オンライン版2015年5月7日号の掲載報告。 研究グループは、PubMedを用いて1996年以降に発表された英語論文を検索し、てんかん患者と非罹患者における自動車運転による交通事故のリスクを比較検討した。 結果は以下のとおり。・本レビューの対象となったエビデンスは、クラスⅡの研究が6件、クラスIIIの研究が1件であった。・2件(クラスIIIおよびクラスII、各1件)は、一般集団と比較し、てんかん患者群で全交通事故率が減少する傾向がみられた。各研究の相対リスク(RR)は0.86(95%信頼区間[CI]:0.65~1.14)と1.00(同:0.95~1.06)であった。なお、どちらの研究も交通事故率は自己報告に基づいた。・3件(すべてクラスⅡ)は、一般集団と比較して、てんかん患者群で全交通事故率の増大または増大傾向がみられた。RRは、保険会社・救急診療部・医師が報告しているデータベースに用いた研究で1.62(95%CI:0.95~2.76)、警察の報告を用いた研究で1.73(同:1.58~1.90)、救急来院に基づいた研究で7.01(同:2.18~26.13)であった。・1件(クラスⅡ)は、死亡事故の発生率について、てんかん患者との比較において、他疾患に起因する事故は26倍、アルコール中毒に起因する事故は156倍と報告していた。・1件(クラスⅡ)は、てんかん患者の発作による交通事故は、交通事故2,800件につき1件と報告していた。 一般集団と比較したてんかん患者の交通事故率について、矛盾した結果が得られたことについて、著者らは方法論的な差異を挙げたうえで、「今後の研究では、交通事故率の算出はてんかん患者の自己申告によらない客観的な指標を用い、分母には走行距離を用いるべきである」とまとめている。【訂正のお知らせ】本文に誤りがあったため、一部訂正いたしました(2016年8月24日)。関連医療ニュース 精神疾患ドライバー、疾患による特徴の違い 認知症ドライバーの運転能力、どう判断すべきか てんかん患者への精神療法、その効果は  担当者へのご意見箱はこちら

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小児てんかん、多剤併用療法の悪影響は

 英国・Young EpilepsyのColin Reilly氏らは、小児活動性てんかんにおける全般的認知、ワーキングメモリおよび処理スピードの障害について調査した。その結果、とくにワーキングメモリおよび処理スピードの障害が顕著であること、多剤併用療法は全般的認知、ワーキングメモリおよび処理スピードの障害に関連していることを報告した。これまで、小児てんかんに特異的な認知プロファイルに関する住民ベースの検討データはなかった。Journal of Clinical and Experimental Neuropsychology誌2015年5月号の掲載報告。 研究グループは、住民ベースのサンプルにおいて、抗てんかん薬(AED)服用中および/または過去1年間にけいれん発作を認めた小児の「活動性」てんかんの、全般的認知、ワーキングメモリおよび処理スピードの障害の頻度を明らかにすることを目的とした。活動性てんかんを有する5~15歳の学童85例(適格例の74%)について、全般的認知、ワーキングメモリおよび処理スピードを含む包括的な精神学的評価を行った。認知下位テストのスコアをペアt検定にて比較した。線形回帰解析により、認知障害に関連する因子を評価した。 主な結果は以下のとおり。・小児の24%がIQ 50未満、40%がIQ 70未満であった。・処理スピード指数スコアは、VerbalスコアまたはWechsler式パフォーマンス指数スコアに比べ、有意に低値であった。・Coding下位テストの成績は、その他のWechsler式下位テストと比べ有意に低かった。・4つのワーキングメモリ下位テストの少なくとも1つ以上において、小児の58%はメモリが未熟(メモリスコア1 SD以下で評価したIQ)であった。・全般的認知障害と有意に関連する因子は、多剤併用療法施行中(β=-13.0、95%CI:-19.3~-6.6、p=0.000)および注意欠如/多動症(ADHD、β=-11.1、95%CI:-19.3~-3.0、p=0.008)であった。・多剤併用療法施行中は、ワーキングメモリおよび処理スピード複合の低スコアとも関連していた。・発達性協調運動症(DCD)は、処理スピード複合の低スコアと関連していた。・小児てんかんにおいて、全般的および特異的認知障害が高頻度にみられ、ワーキングメモリおよび処理スピードにおいて障害が最も顕著であった。・小児てんかんにおける認知障害の予測因子は、てんかん関連因子および行動因子であり、認知評価のドメインによって異なる可能性が示唆された。関連医療ニュース てんかん患者への精神療法、その効果は 精神障害を伴う難治性てんかん患者への術前ビデオ脳波は禁忌なのか 寛解後、抗てんかん薬はすぐに中止すべきか  担当者へのご意見箱はこちら

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非定型抗精神病薬は認知症に有効なのか

 認知症によくみられる神経精神症状の治療に、さまざまな非定型抗精神病薬が広く用いられているが、これらの薬剤の有効性と安全性に関する無作為化比較試験では矛盾する結果が示されている。中国海洋大学のリン・タン氏らは、この問題に取り組むためシステマティックレビューを行った。結果、アリピプラゾールとリスペリドンは、平均12週で認知症の神経精神症状を改善し認知機能の低下を遅らせると結論付けた。ただし、著者は「認知症患者においては、重度の有害事象が非定型抗精神病薬の有効性を相殺する可能性がある」と指摘している。Alzheimer’s Research &Therapy誌オンライン版2015年4月20日号の掲載報告。 研究グループは、認知症患者の神経精神症状に対する非定型抗精神病薬の有効性と安全性を評価する目的で、PubMed、EMBASE、Cochrane Controlled Trials RegisterおよびCochrane Database of Systematic Reviewsを用い、2014年8月までに発表された論文で精神症状を有する認知症患者を対象とした非定型抗精神病薬(リスペリドン、オランザピン、クエチアピン、アリピプラゾール、ジプラシドン、クロザピン)療法の無作為化比較試験を検索した。2人の研究者が独立して試験の質を評価し、情報を得た。 結果は以下のとおり。・検索により、23件の無作為化比較試験(合計5,819例)が確認された。・メタ解析において、非定型抗精神病薬はプラセボと比較して精神症状および認知機能に対する効果が有意に優れることが示された。・精神症状に関するスコアの変化量の加重平均差(WMD、対プラセボ)は、アリピプラゾールが-4.4(95%信頼区間[Cl]:-7.04~-1.77)、リスペリドンが-1.48(同:-2.35~-0.61)であった。・認知機能に関するスコア(Clinical Global Impression-Change:CGI-C)の変化は、アリピプラゾール、リスペリドン、オランザピン、クエチアピンにおいて有意な改善が認められ、変化量のWMDは、アリピプラゾールの-0.30(95%Cl:-0.59~-0.01)からリスペリドンの-0.43(95%Cl:-0.62~-0.25)にわたった。・非定型抗精神病薬治療群では、外傷または転倒のリスクに差はなかったが(p>0.05)、傾眠、尿路感染症、浮腫および歩行異常のリスクは有意に高かった(p<0.05)。・死亡に関して重要な所見は報告されなかった。関連医療ニュース 認知症への抗精神病薬、用量依存的に死亡リスクが増加 抗精神病薬は統合失調症患者の死亡率を上げているのか 脳血管性認知症患者に非定型抗精神病薬を使用すべきか  担当者へのご意見箱はこちら

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「手術で改善する認知症」を知らない一般人は90%

 ジョンソン・エンド・ジョンソン株式会社メディカル カンパニー(本社:東京都千代田区、代表取締役プレジデント:日色 保、以下J&J)は、特発性正常圧水頭症(Idiopathic Normal Pressure Hydrocephalus、以下iNPH)の疾患認知度および医師の診療経験に関する実態調査の結果を発表した。本調査では、一般人1,000人を対象に認知症や歩行障害、尿失禁を伴う高齢者疾患iNPHの疾患認知度について、また、医師2万288人(34診療科)を対象にiNPHを診療しているかどうかについてインターネット調査を実施し、前年に実施した同内容の調査結果と比較した。 今回の調査によると、一般人の90.1%が、手術により改善する可能性のある認知症、iNPHについて、「知らない」と回答しており、依然としてその認知度が低いことがわかった。また、医師におけるiNPHの診療経験率は脳神経外科で51.9%、神経内科で42.5%と高いことが確認されたものの、精神科でのiNPH診療経験率は6.0%と低いままであることが明らかとなった。 一般人への調査では、「あなたは、身近な人に『認知症』の症状が出たら、まずどうするか?」という質問について、80%の人が認知症の可能性を疑って医療機関を訪れるとしていたが、iNPHの専門家とされる脳神経外科または神経内科を受診する人は45%と、全体の半数以下であることがわかった。詳細はプレスリリースへ。

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てんかん患者への精神療法、その効果は

 英国・王立ハラムシャー病院のEdel Dewhurst氏らは、てんかん患者に対するアクセプタンス&コミットメント・セラピー(ACT)の有効性と費用対効果について検討した。その結果、ACTは抑うつや不安、QOL、自尊心、職業および社会的適応に対して良好な効果をもたらし、費用対効果にも優れることを報告した。Epilepsy Behavior誌オンライン版2015年4月10日号の掲載報告。 研究グループは、てんかん患者に対するACTアプローチに基づいた精神療法の有効性と、費用対効果を評価した。検討は、発作に関連する情緒障害のため心理療法士単独による外来心理療法を勧められた難治性てんかん連続症例を対象とし、前向き非対照研究にて実施した。精神科専門医、神経心理学者あるいはてんかん専門看護師により紹介された患者を被験者とした。有効性が確認されている一連の自己報告質問票(Short Form-12 version 2、Generalized Anxiety Disorder-7、Neurological Disorders Depression Inventory for Epilepsy、Work and Social Adjustment Scale、Rosenberg Self-Esteem Scale)に回答してもらい、紹介時、治療終了時、治療6ヵ月後のけいれん発作回数を報告した。被験者は、ワークブックを用いた1対1のACTを最大20セッション受けた。介入に関わる費用対効果について、質調整生存年(QALY)を算出して評価した。 主な結果は以下のとおり。・ACT前およびACT後に質問票を完了した患者は60例で、そのうち41例から6ヵ月のフォローアップデータを得られた。・患者が受けたACTは、6~20セッション(平均値11.5、S.D. 9.6)であった。・ACTは、抑うつ、不安、QOL、自尊心、職業および社会的適応に対し、中程度以上のポジティブな効果と有意に関連し(ps<0.001)、治療後6ヵ月間継続した。・ACTの平均コストは、445.6ポンドであった。・効果が治療終了後少なくとも6ヵ月維持されると仮定した場合、QALY当たりのコストは1万1,140ポンド(1万4,119ユーロ、1万8,016ドル、QALY当たりのコストは効果が1年間続いた場合には半額となる)と推算された。・本パイロット研究により、ACTはてんかん患者にとって費用対効果の高い治療であることが示唆されるとともに、無作為化対照試験を実施することの妥当性が示された。関連医療ニュース 精神障害を伴う難治性てんかん患者への術前ビデオ脳波は禁忌なのか 寛解後、抗てんかん薬はすぐに中止すべきか 認知症患者への精神療法、必要性はどの程度か  担当者へのご意見箱はこちら

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認知症への運動療法、効果はあるのか

 最近の複数の研究とシステマティック・レビューにおいて、認知症患者に対する運動の効果について信頼性の高い結果が報告されている。カナダ・アルバータ大学のDorothy Forbes氏らは、認知症高齢者に対する運動の効果について、患者および介護者の両面から明らかにするためメタ解析を行った。その結果、運動プログラムが認知症患者の日常生活動作を改善する可能性、および認知機能、神経精神症状、抑うつに対する運動の効果に関するエビデンスは認められなかったことを報告した。Cochrane Database Systematic Reviewsオンライン版2015年4月15日号の掲載報告。 本報告は、2013年に行ったレビューのアップデートであった。「認知症高齢者に対する運動プログラムは認知機能、日常生活動作(ADLs)、神経精神症状、抑うつ、死亡率を改善するか?」の検討を主要目的とした。また、「認知症高齢者に対する運動プログラムは家族介護者の負担、QOL、死亡率に対し間接的に影響を及ぼすか?」、「認知症高齢者に対する運動プログラムは、患者および家族介護者の医療サービス(救急科への来院など)の使用回数を減らすか?」などの検討を副次目的とした。 2011年9月4日、2012年8月13日、2013年10月3日にALOIS、Cochrane Dementia and Cognitive Improvement Group's Specialised Registerの検索を行い、無作為化比較試験を検索した。適格条件は、認知症と診断された高齢者を対象とし、認知機能、ADLs、神経精神症状、抑うつ、死亡率の改善を目的として、運動群と対照群(通常治療あるいは社会的コンタクト/活動)に割り付けて検討しているものとした。副次アウトカムには家族介護者に関連する項目(介護者の負担、QOL、死亡率、医療サービスの使用)とした。 2人以上の評価者が、独立して検索文献の評価を行い、方法論的質の評価を行ったうえで、データの抽出を行った。効果の要約に関するデータを分析し、連続データについては平均差または標準化平均差(SMD)を算出し、試験間に大きな不均一性が認められなければ固定効果モデルを用いて各アウトカムのデータを統合し、それ以外の場合はランダム効果モデルを用いた。認知症の重症度とタイプ、そして運動プログラムの内容・回数・期間に関連した不均一性を調査した。また、有害事象の評価も行った。 主な結果は以下のとおり。・17件、1,067例が選択基準に合致した。しかし、3件の試験における必要なデータおよび4件目の試験データには公表されてないものがあり、利用できなかった。・認知症サブタイプと重症度、そして運動の内容、期間、回数などの点において、試験間に顕著な不均一性がみられた。・2件の試験のみが在宅患者を対象としていた。・メタ解析により、運動による認知機能への効果を示す明確なエビデンスは確認されなかった。運動群と対照群における推定標準化平均差は0.43(95%CI:-0.05~0.92、p=0.08、9試験、409例)であった。しかし、きわめて高い不均一性が認められ(I2値80%)、そのほとんどが説明不能であり、エビデンスの質は非常に低かった。・6件の試験の被験者289例において、運動プログラムが認知症患者のADLに効果的に働くことが判明した。運動群と対照群の間の推定標準化平均差は0.68(95%CI:0.08~1.27、p=0.02)であった。しかし、このメタ解析でも、説明できない高い不均一性が認められ(I2値77%)、エビデンスの質は非常に低いと評価された。・さらに詳細な分析において、1件の試験で、自宅で介護を行う家族介護者が認知症家族の運動プログラムへの参加を指導する立場にある場合、介護者としての負担が減少する可能性がみられた。運動群と対照群の間の平均差は-15.30(95%CI:-24.73~-5.87、1試験、40例、p=0.001)であった。同試験において明らかなバイアスリスクは認められなかった。・さらに、運動が神経精神症状(MD:-0.60、95%CI:-4.22~3.02、1試験、110例、p=0.75)あるいは抑うつ(SMD:0.14、95%CI:-0.07~0.36、5試験、341例、p=0.16)に有効であることを示す明らかなエビデンスはみられなかった。その他のアウトカム、QOL、死亡率、医療コストに関しては、適したデータが報告されていなかった、あるいはこれらのアウトカムを扱った試験を検索していなかったかのどちらかの理由により評価できなかった。関連医療ニュース 認知症、早期介入は予後改善につながるか 適切な認知症薬物療法を行うために 歩くスピードが遅くなると認知症のサイン  担当者へのご意見箱はこちら

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認知症ドライバーの運転能力、どう判断すべきか

 認知症高齢者は、危険運転のリスク群であるが、すべての認知症タイプにおいて同様であると考えてよいのだろうか。オランダ・フローニンゲン大学のDafne Piersma氏らは、認知症の病因が異なっても運転能力に同様の影響があるのかを検討するため、文献レビューを行った。Traffic Injury Prevention誌オンライン版2015年4月15日号の掲載報告。 レビューは、PubMed、PsychINFO、Google Scholarを介して、認知症の病因と運転に焦点を当てた試験を特定して行った。 主な結果は以下のとおり。・初期症状と予後は、病因が異なる認知症間で異なっていた。・認知症の病因ごとに、運転への適応度が異なる可能性が示唆された。さらに、認知症の病因ごとに、起こりうる運転問題のタイプを予測できる可能性がある。・一方で、認知症のほぼすべての病因において、運転への影響に関するデータや知識はかなり不足していた。・1つの仮説として、アルツハイマー型認知症患者は、ルートを見つけるといった戦略的側面の困難さに苦しめられる一方、前頭側頭型認知症患者は、危険認知機能が障害され戦術レベルに誤りを来しやすい傾向があると考えられた。・また、運動症状を伴っているその他の病因を有する認知症患者は、運転操作レベルでの問題が生じる可能性があった。・しかしながら、認知症のさまざまな病因の運転への影響について、十分に検討されたものはなかった。・認知症患者の運転における問題を検出するために、患者のみならず家族も含めた構造的インタビューが重要だと思われた。・神経心理学的評価は、認知障害を識別する根拠となりうる。また、そのような障害の運転への影響については、運転シミュレーターによっても調査可能であり、運転シミュレーターでは運転行動における長所と短所の観察が可能であった。・これらの知識を用いて、患者の運転適応度や運転サポートの選択(補完技術、自動車の補助機能など)についてアドバイスが可能であった。・しかしながら、運転適応度の評価について、妥当性があり信頼性が高く、広く認められた試験がない限り、コストを要するオンロード運転検査を行うしかない。・認知症の病因の違いが考慮された認知症患者の運転適応検査が開発されれば、オンロード運転検査の代替となりうる。関連医療ニュース 認知症タイプ別、各認知機能の経過を比較 認知症患者が車で徘徊、発見方法は? 重度の認知障害を有する高齢者、視力検査は行うべき

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t-PA+血栓除去、急性脳卒中の機能的自立率アップ/NEJM

 前大脳動脈近位部閉塞による急性脳卒中患者に対し、組織プラスミノーゲン活性化因子(t-PA)静注療法に加えてステント型血栓回収デバイスを用いた血栓除去術を行うことで、90日時点での機能的自立率は60%と、t-PA静注療法単独の35%と比べて大幅に改善することが示された。米国UCLA脳卒中センターのJeffrey L. Saver氏らが、196例について行った無作為化試験の結果、報告した。先行研究で、同患者へのt-PA静注療法単独では機能的自立率は40%未満と報告されており、ステント型血栓回収デバイスを用いた血栓除去術を併用した場合には再灌流率が上昇し、長期的な機能的アウトカム改善の可能性が示されていた。NEJM誌オンライン版2015年4月17日号掲載の報告より。発症6時間以内に血栓回収デバイスによる血栓除去術 検討は適格被験者を無作為に2群に分け、一方にはt-PA静注療法に加え、発症6時間以内にステント型血栓回収デバイスを用いた血栓除去術を行った(介入群)。もう一方の群には、t-PA静注療法のみを行った(対照群)。 被験者は、前大脳動脈近位部閉塞が確認された患者であった。病変中心部に広範な不可逆的変化に陥った領域は認められなかった。 主要アウトカムは、90日時点での修正Rankinスケールによる障害重症度(スコア範囲は0:症状なし~6:死亡)だった。修正Rankinスケールも全例で障害重症度が低下 試験は早期に有効性が確認されたため、予定よりも早く終了となった。無作為化を受けた患者は39ヵ所の医療機関で集められた196例だった(各群98例)。 介入群の画像診断特定から施術開始(鼠径部穿刺)までの時間中央値は57分、手術終了時点の再灌流率は88%に上昇していた。 結果、介入群は対照群に比べ、90日時点における修正Rankinスケールにおいて、すべての評価分野で障害重症度が低下したことが認められた(p<0.001)。機能的自立(修正Rankinスケール0~2)となった患者の割合も、対照群35%に対し介入群60%と、有意に高率だった(p<0.001)。 なお、90日死亡率については、介入群9%に対し対照群12%、症候性頭蓋内出血はそれぞれ0%と3%と、いずれも両群で有意差はなかった(それぞれ、p=0.50、p=0.12)。

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アルツハイマーへのリバスチグミン、その有用性は

 英国・オックスフォード大学のJacqueline S Birks氏らは、アルツハイマー型認知症(AD)に対するコリンエステラーゼ阻害薬リバスチグミンの臨床での有効性と安全性を確認するレビューを行った。13試験を包含した解析の結果、同薬は軽症~中等度ADに有益と思われること、プラセボとの比較で認知機能やADLの低下に対して効果があることが観察されたが、その程度はわずかで臨床的意義については不確かであることなどを報告した。Cochrane Database Systematic Reviewsオンライン版2015年4月10日号の掲載報告。 レビューは、2015年3月2日時点でALOIS、Cochrane Dementia and Cognitive Improvement Group Specialized Registerを検索して行った。AD患者へのリバスチグミン治療について12週以上の検討を行っており、効果についてプラセボ並行群比較を行っている、またはリバスチグミンの2製剤が比較検討されているすべての非交絡二重盲検無作為化対照試験を適格とした。試験適格基準の判定、試験の質の評価、データ抽出は、1人のレビュー著者(筆頭執筆者)が行った。13試験が適格基準を満たして組み込まれた。試験期間は12~52週。古い年代の試験では12mg/日用量のカプセル剤の検討が行われており、2007年以降は、4.6、9.5、17.7mg/日の経皮パッチ製剤による検討が報告されていた。主要解析では、リバスチグミン経口投与6~12mg/日もしくは経皮的投与9.5mg/日の安全性および有効性について、プラセボと比較検討した。 主な結果は以下のとおり。・解析には、7試験3,450例のデータが組み込まれた。すべてが多施設試験で、被験者のAD程度は軽症~中等度、平均年齢は約75歳であった。・治療26週後、リバスチグミン群はプラセボ群と比較して、認知機能(ADAS-Cog評価で平均差[MD]:-1.79、95%信頼区間[CI]:-2.21~-1.37;6試験3,232例)、Mini-Mental State Examination(MMSE)スコア(MD:0.74、95%CI:0.52~0.97;6試験3,205例)、ADL(標準化平均差[SMD]:0.20、95%CI:0.13~0.27;6試験3,230例)について、より良好なアウトカムと関連していた。・また、変化なし、あるいは悪化したリバスチグミン治療患者の割合は小数であり、医師による全般印象度の変化が認められた(オッズ比[OR]:0.68、95%CI:0.58~0.80、7試験3,338例)。・行動変化は3試験で報告されていた。プラセボとの差はみられなかった(SMD:-0.04、95%CI:-0.14~0.06、3試験1,529例)。・介護者への影響の評価は1試験で報告されていた(NPI-D尺度を利用)。プラセボとの差はみられなかった(MD:0.10、95%CI:-0.91~1.11、1試験529例)。・全体として、リバスチグミン群の被験者のほうが、試験脱落者(OR:2.01、95%CI:1.71~2.37、7試験3,569例)、試験期間中の有害事象経験者(同:2.16、1.82~2.57、7試験3,587例)が約2倍多かった。・副作用は、経皮パッチ剤のほうがカプセル剤よりも少ないようであったが、有効性は類似していた。・エビデンスの質はレビューされたすべてのアウトカムに関して、途中脱落者によるバイアスリスクのため、中程度であった。・分析に含まれた試験はすべて、企業による資金提供または後援があった。・本レビューでは、経済データについては検討されなかった。関連医療ニュース 抗認知症薬4剤のメタ解析結果:AChE阻害薬は、重症認知症に対し有用か アルツハイマー病への薬物治療は平均余命の延長に寄与しているのか:東北大学 アルツハイマー病の早期ステージに対し、抗Aβ治療は支持されるか

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日本人難治性てんかん、レベチラセタムは有用か

 静岡てんかん・神経医療センターの井上 有史氏らは、日本人の成人難治性部分てんかん発作患者を対象に二重盲検プラセボ対照検証的試験を行い、レベチラセタム追加投与の有効性と安全性を検討した。その結果、主要有効性解析においてレベチラセタム群とプラセボ群の間で有効性に有意差は認められなかったが、探索的解析においてレベチラセタム3,000mg群はプラセボ群に比べ有意な発作減少が確認されたことを報告した。Psychiatry and Clinical Neurosciences誌オンライン版2015年4月8日号の掲載報告。 日本人の成人難治性部分てんかん発作患者に対するレベチラセタム追加投与の有効性と安全性を検討するため、二重盲検プラセボ対照検証的試験を行った。適格例をレベチラセタム500、1,000、2,000、3,000mg/日群、またはプラセボ群に無作為に割り付け、16週間投与した。主要評価項目は、12週の評価期間における1週間当たりの発作頻度のベースラインからの減少率とした。忍容性についても評価を行った。そして、本結果と過去の無作為化二重盲検試験の結果を比較した。 主な結果は以下のとおり。・スクリーニングを行った401例のうち352例が無作為に割り付けられ、316例が試験を完了した。・1週間当たりの発作頻度のベースラインからの平均減少率は、プラセボ群の12.50%に対し、レベチラセタム500 mg/日群は12.92%、以下1,000mg/日群18.00%、2,000mg/日群11.11%、3,000mg/日群31.67%であった。・過去に実施された試験と異なり、レベチラセタム1,000および3000mg群とプラセボ群を比較した主要有効性解析において、統計学的有意差は認められなかった(p=0.067)。 ・探索的解析において、レベチラセタム3,000mg群とプラセボ群の発作減少率の差は14.93%(95%信頼区間:1.98~27.64、p=0.025)であった。・レベチラセタムの、すべての用量群で忍容性は良好であった。・2件の試験における主な違いは、今回の試験でプラセボ群の反応性が高かったことであった。・結果を踏まえて著者は「主要有効性解析では統計学的有意差には至らず、それはプラセボ群における予想外の高い反応によるものであった。とはいえ、探索的解析によりレベチラセタム3000mg/日投与は、わずかながら難治性部分てんかん発作患者に有効であることが示された」とまとめている。■関連記事難治性てんかん患者に対するレベチラセタムの有用性はどの程度か日本人、レベチラセタム静注の薬物動態レベチラセタム、部分てんかん患者に対する1年間の使用結果レビュー:聖隷浜松病院抗てんかん薬レベチラセタム、日本人小児に対する推奨量の妥当性を検証

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痛みの対処は… 男は「我慢」 女は「薬」

 2015年4月22日、都内にて「性差と痛み」に関するプレスセミナー(主催:ファイザー株式会社・エーザイ株式会社)が行われた。 痛みの実態は「不快な感覚と情動体験」であり、実体がなく他人と共有できないため、その対処法や考え方には個人差が出やすい。従来、痛みの感じ方には性差があり、妊娠・出産を経験する女性のほうが男性より痛みを感じにくいと言われてきた。また、一般的に日本人は「我慢は美徳」とされ、とくに男性は我慢することが「男らしさ」であると教育される傾向にあった。痛みの男女差に関する意識調査概要 痛みを評価していくうえで、男女の違いは本当にあるのだろうか? ファイザー株式会社は、長く続く痛みを抱える人の、痛みへの対処法・考え方を把握することを目的として、2015年3月27日~3月31日にインターネット調査「男女比較:長く続く痛みに関する実態調査2015」を行った。調査対象は、長く続く痛みを抱える全国の20歳以上の男女9,400人(男女各4,700人)※であった。※:本調査における長く続く痛みを抱える人の定義:「週2回以上の頻度で痛みが起こる」、「1ヵ月以上痛みが続いている」人を対象主な調査結果(1)長く続く痛みを抱える人で、現在通院している人は男女ともに約2割であった。(2)痛みを感じたときに最初にとる行動は「塗り薬・貼り薬の使用」(26.0%)が最多だが、男性は「我慢する」(男性24.0%、女性18.2%)、女性は「痛み止めを飲む」(男性9.3%、女性15.1%)傾向が比較的高かった。(3)長く続く痛みを周囲に伝える理由は、男性は「自身の痛みのせいで周りに迷惑をかける可能性があるから」(34.6%)、女性は「話すことで自分が安心するから」(36.1%)が最多であった。(4)痛みを感じるときにパートナーに期待する行動は、男性は「そっとしておいてくれること」(69.2%)、女性は「できないこと(家事など)を代わりにしてくれること」(83.1%)が最多であった。(5)疼痛に関する情報で重視する情報源は、「通院先の医師の指示」(85.3%)が最多だが、とくに女性は「友人の勧め」や「他人の体験談」など周囲の意見も大切と考える傾向にあった。(6)全体の約7割が「男より女のほうが痛みに強い」と考えていた。(7)全体の半数以上が「痛みがあってもある程度我慢するべきだ」と考えていた。性差の背景に、男の「プライド」・女の「共感」 本調査より、長く続く痛みの対処法と、痛みを周囲に伝えるコミュニケーション方法に男女差があることが判明した。また、女性が痛みに強いという通説を男女の大半が支持していたが、男性は痛みを我慢し、女性は早期の段階で自己対処する傾向が高いことも明らかになった。 しかし、女性は痛みについて幅広い人に相談したり、口コミを探ったりするなど、さまざまな情報を取り入れるあまり、情報に振り回され専門家の診断に行き着くまでに遠回りし、痛みの慢性化・治療の難渋が生じる危険性があることも示唆された。 今回の調査結果について、演者の五百田 達成氏(作家・心理カウンセラー)は、「一般に男性はプライドや体裁を重視し、自分の弱みやプライベートを知られたくないと思う一方で、女性は共感されたいという欲求があるため、個人的な情報も積極的に共有する。この違いが今回の結果に反映されたのではないか」と語った。慢性疼痛の経済損失は年間1兆8,000万円! 慢性的な痛みを抱えている患者は2,700万人と推定され、日本における慢性疼痛による経済損失は約1兆8,000万円にも上るため、早急な対策が望まれる。さらに、高齢者においては、痛みによるADLの低下は明らかであり、早急に痛みの緩和を行うことが求められている。 演者の井関 雅子氏(順天堂大学 医学部 麻酔科学・ペインクリニック講座 教授)は、「男女で痛みに対する対処法や他者へのニーズが異なる傾向にある。痛みには種類があり、自己判断による対処では治らない可能性もある。早期から専門機関を受診し、適切な治療を開始することで、痛みの慢性化を防ぐことができる。患者のニーズに合った方法で早期受診を促していくべきだ」と力説し、セミナーを結んだ。【参考】ファイザー株式会社「男女比較:長く続く痛みに関する実態調査2015」

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片頭痛予防にSSRIやSNRIは支持されない

 うつ病および抗うつ薬の使用がそれぞれ乳がんのリスクを高めるという仮説2005年に発表した、片頭痛および緊張型頭痛の予防のためのSSRIに関するコクランレビューを、イタリア・Laboratory of Regulatory PoliciesのRita Banzi氏らはアップデートした。今回のレビューでは、SSRIやセロトニン・ノルアドレナリン再取り込み阻害薬(SNRI)であるベンラファキシン(国内未承認)を片頭痛の予防として用いることを支持するエビデンスは得られなかった。また、2~3ヵ月超の治療でSSRIやベンラファキシンがプラセボやアミトリプチリンより片頭痛の頻度、重症度および持続期間を減少させるというエビデンスも示されなかった。これらの結果を踏まえて著者は、「片頭痛の予防にSSRIやSNRIの使用は支持されない」とまとめている。Cochrane Database Systematic Reviewオンライン版2015年4月1日号の掲載報告。 今回研究グループは、Cochrane Central Register of Controlled Trials(CENTRAL)(2014年第10号)、MEDLINE(1946年~2014年11月)、EMBASE(1980年~2014年11月)、PsycINFO(1987年~2014年11月)を用い、18歳以上の片頭痛を有する男女を対象としたSSRI/SNRIとあらゆるタイプの介入との無作為化比較試験を検索するとともに、検索した論文の参照文献リストや進行中の臨床試験も調査した。2人の研究者が独立してデータ(片頭痛の頻度、インデックス、重症度、持続期間、対症療法あるいは鎮痛薬の使用、休業日数、QOL、気分の改善、費用対効果、有害事象)を抽出し、試験のバイアスリスクを評価した。なお、本レビューでの主要アウトカムは片頭痛の頻度とした。 結果は以下のとおり。・本レビューには、5種類のSSRIおよび1種類のSNRIを用いた11件(被験者合計585例)の試験が含まれた(プラセボ対照試験6件、SSRIまたはSNRIとアミトリプチリンとの比較試験4件、エスシタロプラムとベンラファキシンの比較試験1件)。・大半の試験は、方法論や報告(もしくはその両方)が不十分であった。すなわち、すべての試験が選択および報告バイアスのリスクがはっきりしておらず、また、追跡調査が3ヵ月を超える試験はまれであった。・大半の試験は十分な検出力もなく、片頭痛の頻度を主要評価項目としてSSRIまたはSNRIの効果を検討した試験は、ほとんどなかった。・プラセボ対照試験のうち2件の試験は、SSRIおよびSNRIとプラセボとの差についてエビデンスがないことを示唆する曖昧な報告であった。・アミトリプチリンとの比較試験のうち2件の研究では、SSRIやSNRIとアミトリプチリンとの間で片頭痛の頻度に差があるというエビデンスは見出されず(標準化平均差:0.04、95%信頼区間[CI]:-0.72~0.80、I2=72%)、片頭痛の重症度や持続期間などの副次的評価項目にも差はなかった。・SSRIやSNRIは、三環系抗うつ薬よりも全般的に忍容性が良好であった。しかし、有害事象または他の理由のために試験を中止した患者数に差はなかった(1件の研究で、オッズ比[OR]:0.39、95%CI:0.10~1.50、およびOR:0.42、95%CI:0.13~1.34)。・SSRIまたはSNRIと抗うつ薬以外の薬物治療(たとえば抗てんかん薬や降圧薬)とを比較した研究はなかった。関連医療ニュース 片頭痛の予防に抗てんかん薬、どの程度有用か なぜSSRIの投与量は増えてしまうのか SSRI中止は離脱症状に注意を  担当者へのご意見箱はこちら

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精神障害を伴う難治性てんかん患者への術前ビデオ脳波は禁忌なのか

 てんかん患者に精神障害(PD)が高頻度に認められることを受け、これらの患者、とくに手術適応となる難治性内側側頭葉硬化を伴う側頭葉てんかん(TLE-MTS)患者に対する精神的評価の必要性を示す研究がこれまでに行われてきた。近年のエビデンスは、TLE-MTS やPDの評価手段であるビデオ脳波(VEEG)の安全性を強調している。しかし、てんかんセンターの中には、PDがある場合は、陰性行動イベントのリスクがあることを主な理由として、VEEGによる術前評価を禁忌としているところが依然としてある。ブラジル・Faculdade de Medicina de Sao Jose do Rio Preto(FAMERP)のGerardo Maria de Araujo Filho氏らは、精神障害を認める難治性てんかん患者において、PDの評価として施行する術前のVEEGが禁忌となりうるのかを明らかにするため、後ろ向きコホート研究を行った。Epilepsy & Behavior誌4月号(オンライン版2015年3月20日号)の掲載報告。 研究グループは、PDの存在が術前VEEGの禁忌となりうるか否かを明らかにするため、ブラジル内のてんかん専門センターの協力を得て、後ろ向きコホート研究を実施した。術前評価の1つとしてVEEGが施行された患者41例の臨床的、社会人口学的、精神医学的データを、VEEGを実施しなかった難治性TLE-MTS患者32例のデータと比較した。精神障害の診断はDSM-IV 分類および国際抗てんかん連盟(ILAE)の分類を用いた。 主な結果は以下のとおり。・34例(46.6%)が精神障害ありと診断され、大うつ病性障害が最も高頻度で22例(30.1%)に、不安障害が14例(19.2%)に認められた。・術前VEEGを施行した41例のうち、術前精神評価でPDが確認されたのは12例(29.2%)にとどまった。一方、VEEG非施行例32例では22例(68.7%)にPDが確認された(p=0.001、RR:2.35)。・VEEG施行例に比べ、むしろVEEG非施行例でPDの割合が有意に高い結果が示された。 結果を踏まえ著者らは、「PDの存在のみで、VEEGモニタリングおよびてんかん手術が禁忌と考えるべきでないことが示唆された」と述べている。関連医療ニュース 難治性てんかん患者に対するレベチラセタムの有用性はどの程度か 高齢者焦点てんかん、治療継続率が高い薬剤は 寛解後、抗てんかん薬はすぐに中止すべきか  担当者へのご意見箱はこちら

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パーキンソン病はスマホで検出可能

 パーキンソン病は専門医による診断が不可欠であるが、これまで専門医の診断をサポートする遠隔非侵襲的客観テストはほとんどなかった。そこで英国・アストン大学のS Arora氏らは、スマートフォンを用いたパーキンソン病診断の有用性についてパイロットスタディを行った。その結果、スマートフォンを用いてパーキンソン病の症状を評価することは可能であり、診断サポートツールとして潜在的な価値があることがわかった。Parkinsonism & Related Disorders誌オンライン版2015年3月7日号の掲載報告。 本試験の対象者は、パーキンソン病患者10例と対照群10例。被験者は統一パーキンソン病評価尺度(UPDRS)を含めたベースライン評価をクリニックで行い、声・姿勢・歩行・指タッピング・反応時間を測定するためのスマートフォンアプリが入ったアンドロイド携帯を支給された。 被験者はスマートフォンを自宅に持ち帰り、1日4回5つのタスクを1ヵ月間実施した。試験期間中、週に1回パーキンソン病の専門医による遠隔医療が行われ、固縮とバランス評価を除いたUPDRSが評価された。5つのタスクの記録について統計的分析を行い、1)パーキンソン病の有無が判別可能か、2)UPDRSの運動領域の変化を予測できるか、を検討した。 主な結果は以下のとおり。・20例の参加者は試験期間中(平均34.4日)、自宅や地域で1日平均2.7回テストを行った(遵守率68.9%)。・5つのタスクの解析結果は、パーキンソン病患者と対照群とで異なっていた。・パーキンソン病の検出感度は96.2%(標準偏差[SD]:2%)、特異度は96.9%(SD:1.9%)であった。・UPDRS(範囲:11~34)の運動領域の変化予測における平均誤差は1.26(SD:0.16)であった。

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血栓吸引療法に何を求めるのか(解説:上田 恭敬 氏)-351

 本論文は、以前に行われた多施設、前向き、オープンラベル、無作為化比較対照試験のThrombus Aspiration in ST-Elevation Myocardial Infarction in Scandinavia (TASTE)trialの後に行われた、新たな多施設、前向き、オープンラベル、無作為化比較対照試験であるThe Trial of Routine Aspiration Thrombectomy with PCI versus PCI Alone in Patients with STEMI(TOTAL)trialの結果を報告したものである。 対象症例は発症12時間以内のST上昇型急性心筋梗塞であり、マニュアルによる血栓吸引療法の有効性を主要エンドポイントとして、180日以内の心血管死、心筋梗塞再発、心原性ショック、あるいはNYHA IV心不全の出現・増悪で評価し、安全性エンドポイントを30日以内の脳卒中で評価している。有効性の2次エンドポイントとして、ステント血栓症や標的血管血行再建を加えて評価しているが、いずれの有効性評価項目においても有意な差を認めなかった。しかし、脳卒中の発生が血栓吸引群で有意に多く、その差は6ヵ月後にさらに広がっていた。手技に関連したものとは考えられない長期にわたる脳卒中発生頻度の差が生じた理由については不明としている。有意差がついた項目として、70%未満の不完全ST-resolutionの頻度とDistal embolizationの頻度は、血栓吸引群で有意に低値となっていたが、これについて著者らは、臨床的な利益につながっていないとして、重要視することに否定的な意見を述べている。まず、血栓吸引療法にどのような効果を期待するかという点で、この試験には大きな問題があると考える。以前にも同様のコメントを記載したことがあるが「もともと血栓吸引療法をしない場合に、血栓の末梢塞栓やslow flow/ no flowが生じてSTの再上昇や梗塞サイズの増大を生じたと思われる症例はまれであり、さらにそれらを生じた症例中にはプラーク内容物の末梢塞栓が原因で、血栓吸引療法では予防できない症例も含まれていることを考慮すると、血栓吸引療法が単独で心機能保護に役立つ症例は非常にまれと思われ、死亡率低下にまで役立つ症例はさらにまれと思われる。ただし、末梢の血管構築がみえるようになることで、その後のPCI手技が容易になるために合併症が減るといった効果も、とくに未熟な術者に対しては期待される。さらに、特定のサブ集団では血栓吸引療法に有用性が示される可能性も残されていると考える。」。 ただし、特定の高リスク集団を対象としても、6ヵ月以内の死亡率を変えるような効果は期待できないだろう。実際、血栓の末梢塞栓やslow flow/ no flowが生じて、心エコー上明らかに心機能が低下する症例は認められるが、その影響としては、その後長期の間に心不全を生じる頻度が多くなることが想定される。もし、重度の労働に従事することが不可避な人であれば、心不全入院を繰り返して最終的には生命予後が短くなることが想定される。しかし、労作を制限して十分な薬物療法を受ければ一生日常生活には困らないかもしれない。  その程度の差を意味がないといえば、血栓吸引療法は不要といえるかもしれないが、左室駆出率で10~30%程度の差でも「よい方がいい」と考えれば、その効果を示すことは可能なように思われる。 残念ながら本試験では、心機能の指標に対する影響は示されていない。さらに、本試験では血栓吸引療法に起因するとは考えられない長期にわたる脳卒中発生頻度に有意な群間差を認めたことから、症例選択に何らかのバイアスが存在した可能性が大きく、その点においても結果をそのまま受け入れることはできない。

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1分でわかる家庭医療のパール ~翻訳プロジェクトより 第19回

第19回:アルツハイマー病の治療監修:吉本 尚(よしもと ひさし)氏 筑波大学附属病院 総合診療科 認知症は世界的に増加しており、2010年の時点で3,560万人の患者数と推定され4秒に1人発症しています1)。 全国平均とほぼ同じ年齢・職業分布の母集団を対象にした久山町研究での病理学的評価では認知症の内訳は増加傾向2)で、医療機関を受診しアルツハイマー病と診断される方も増加傾向3)です。アルツハイマー病は進行性疾患で個人のADLを著しく損ないます。また介護負担/経済的負担などから、その影響は罹患個人に留まらず急速に高齢化が進むわが国にとっては重要な社会的問題でもあります。認知症治療薬として1999年ドネペジルが日本/米国のFDA(食品医薬品局)で認可され、2011年に日本でメマンチンが認可され日本で認知症の治療に大きな影響を与えました。 しかし上記薬物治療はアルツハイマー病の進行を抑制できず症状改善もわずかです。10年の慢性経過に患者/家族/医療者が付き合っていくことが必要な疾患だと考えられます。薬剤治療以外の自然経過に関する教育、終末期ケア計画の相談などが大変重要です。また薬剤使用開始検討時は家族/介護者を交えて、そのわずかな効果や副作用の情報提供を行い、患者希望を聞いたうえで決断をすることが望ましいです。臨床的に改善がなければ薬剤中止を検討することも必要だと考えられます。 以下、American Family Physician 2011年6月15日号4)よりアルツハイマー病は最も多いタイプの認知症で、アメリカでは85歳以上の人の半数程度が罹患している。進行性の記憶障害と認知機能低下がその特徴である。病態生理は複雑で複数の要因が関与している。病理学的特徴として、アミロイド斑の蓄積、軸索の不溶性異常タウ蛋白出現、コリン作動性ニューロンのシナプスでのアセチルコリンの減少が認められる。アルツハイマー病に証明された予防法はない。ささやかな将来性があると考えられる予防法として高血圧治療、ω-3脂肪酸補充、運動、思考/分析を必要とする作業への参加が挙げられる。アセチルコリンエステラーゼ阻害薬が治療薬の第1選択である。軽症から中等症の患者さんに対してわずかな認知機能改善が証明され、多くのガイドラインで軽症から中等度の患者さんで処方が推奨されている。Cochrane reviewでは、軽~重症の患者に対してプラセボと比較して、ドネペジル/ガランタミン/リバスチグミンを6ヵ月~1年間使用し、軽度の認知機能/臨床尺度の改善(ADAS-cog:認知機能評価方法で-2.7点)が認められたが、臨床的に著明な認知機能の改善が認められたと判断するにはADAS-cogで7点の差が必要であり、その効果は疑問の余地がある。より長期使用における効果はさらなる研究が待たれる。各製品では効果に大きな差は認められていない。副作用は、多いものとして嘔気/嘔吐/下痢で、めまい/混乱/不整脈は比較的よくみられる。NMDA受容体拮抗薬は耐用性良好で、アセチルコリンエステラーゼ阻害薬とあわせてよく処方されている。多くのガイドラインでも中等症から重症の患者さんで単独使用/アセチルコリンエステラーゼ阻害薬との併用が推奨されている。Cochrane reviewで中等度~重症患者に対して、6ヵ月以上のメマンチン20mg/日使用でわずかな認知機能改善(SIB:認知機能評価で3点)/わずかなADL改善(ADCS-ADLで1.3点)が認められた。また、軽度~中等度患者で認知機能はADAS-cogで1点改善で統計的に有意であった。臨床的に著明な認知機能の改善が認められたと判断するには、SIBで10点の差、ADCS-ADLでは5点の差が必要であり、こちらも効果は疑問が残る。メタアナリシスでは軽度患者に対しては無効であり、中等度患者には効果に一貫性がないと結論付けられた。軽度~中等度患者ですでにドネペジル、リバスチグミン、ガランタミンを使用中の人にメマンチン20mg/日で24週間追加投与した群とプラセボを投与した群では、統計学的に有意な改善を認めなかった。高齢の認知症患者さんで非定型抗精神病薬の使用は行動上の症状を改善するが、死亡率増加と関連性がある。セレギリン、テストステロン、イチョウの治療効果に関しては相反するエビデンスが混在する結果となっている。ビタミンE、エストロゲン、NSAIDSは治療の利益に関するエビデンスはない。ケア方針で大事なことは、認知症に関する複数のガイドラインで共通して強調されているように、臨床経過の患者教育と家族への教育、早期の地域支援団体への紹介(地域包括支援センターなど)である。また、自動車運転や終末期ケアなどの法的問題を取り扱うことも大事である。薬物治療開始の相談時は、患者と介護者を含めた話し合いとすべきで、薬物使用によるわずかな利益、副作用、費用を相談すべきである。Mini Mental State Examinationなどで認知機能をモニタリングし最大限の薬物治療を行っても顕著な改善が認められないときは、医師は患者さん/家族との薬物治療継続中止の相談を検討すべきである。※本内容は、プライマリケアに関わる筆者の個人的な見解が含まれており、詳細に関しては原著を参照されることを推奨いたします。 1) Marc wartmann. Alzheimer’s Research & Therapy. 2012;4:40. 2) 本田 祐之, 岩城 徹. 病理学から見た認知症の原因疾患と疫学-久山町研究から-. 最新医学. 2013;68:754-760. 3) 厚生労働省. 精神疾患のデータ. 知ることから始めようみんなのメンタルヘルス総合サイト.(参照 2015.4.15) 4) Winslow BT, et.al. Am Fam Physician. 2011;83:1403-1412.

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