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治療抵抗性統合失調症患者の特徴や薬物療法

 統合失調症患者では、抗精神病薬治療に対する反応が弱いまたは無反応で、陽性症状が持続するケースが見受けられる。米国・Zucker Hillside HospitalのChristoph U. Correll氏らは、米国における治療抵抗性統合失調症(TRS)患者の人口統計、症状、治療歴、治療選択肢に影響を及ぼす要因について検討を行った。BMC Psychiatry誌2019年11月14日号の報告。 精神科医204人を対象にオンライン調査を行った。医師は、TRS患者2例および非TRS患者1例を自己選択し、患者情報を記入した。 主な結果は以下のとおり。・統合失調症患者のうち、TRSの割合は29.5%と回答された。・TRS患者408例は、非TRS患者204例と比較し、以下の特徴が認められた。 ●失業率が高い(74.5% vs.45.1%、p<0.001) ●1回以上の入院歴(93.4% vs.74.0%、p<0.001) ●肥満を含む身体的併存疾患を有する(40.2% vs.23.5%、p<0.001) ●うつ病併存(38.7% vs.25.0%、p=0.001)・TRS患者は精神症状がより頻繁かつ重度であり、社会的および機能的な影響が認められた。・長期予後を改善させるために最も重要な要因は、陽性症状のうち幻覚、妄想を改善させることであった。・TRSに対するクロザピン単独療法は15.9%であったが、これはTRSを治療する10種類の選択肢のうち、5番目であった。・通常、クロザピン開始または抗精神病薬切り替え前に、現治療薬の増量または他の抗精神病薬の併用が行われていた。・抗精神病薬の切り替え理由は、現治療薬の有効性不十分(71.4% vs.54.3%、p<0.001)および忍容性不十分(34.4% vs.38.4%、p=0.22)であった。・TRSの治療切り替えにつながる症状は、幻覚行動の持続であった(63.9% vs.37.1%、p<0.001)。 著者らは「TRS患者は、一般的に抗精神病薬の増量や併用により対処されることが多く、唯一の承認薬であるクロザピン使用の優先順位は、5番目であった。抗精神病薬に治療反応が認められないTRS患者に対する新たな治療法が求められる」としている。

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低リスク妊娠、第3期のルーチン超音波は周産期予後を改善せず(解説:前田裕斗氏)-1152

 低リスク単胎妊娠において、妊娠第3期にルーチンで超音波検査を行うことで重度有害周産期アウトカムを減少できるかどうかをみたRCTである。研究理解のためにはまず日本との違いを押さえることが必要だ。本研究の通常診療群では毎回子宮底長測定のみを行い、臨床的に必要と判断された場合のみ超音波検査を行い、介入群では28~30週、34~36週の間に1回ずつ計2回の超音波検査を追加している。一方日本では28~36週まで2週間ごと、37週以降は1週間ごとに健診を行う。健診ごとに毎回超音波検査を行う施設も多い。健診回数や毎回超音波検査が有害アウトカムを減らす確固たるエビデンスはないが、4回を下回る健診回数では周産期死亡率が増えるとコクランのSystematic Reviewでは報告されている。 結果は介入群では出産前の在胎不当過小(SGA)胎児の検出率は高いが、重度有害周産期アウトカムの発生減少には結び付かなかった。著者らは考察で今回の結果を説明しうる可能性について複数挙げているが、なかでもSGA胎児の中で健康な小さいだけの胎児と病的な発育不全を見分ける方法が確立されていないことは大きいだろう。もちろん、低リスク患者ではそもそも病的な発育不全の頻度が低いことも有害アウトカムの減少を認めなかった一因である。10パーセンタイルを下回る/上回ることのない限り胎児推定体重によって分娩時のマネジメントはさほど変わらない。今回の研究結果で認めた分娩誘発やSGAの診断(周産期アウトカムの改善を伴わない)の増加による母体へのストレスを考えれば、妊娠第3期でのルーチン超音波検査は不要とする考えもあるだろう。 一方日本の現状に照らしてみれば、今回の研究結果を活かすにはいくつか問題がある。まず外的妥当性の問題がある。参加者の平均年齢が31歳であるため、より高齢妊娠の割合が高い施設には適応し難い。さらに日本は欧米と比べ出生体重が小さいため、より低出生体重児の検出が求められる可能性もある。次に、実務上の問題として現在日本ではほぼ毎回か、隔週で超音波検査を行う施設がほとんどであるため、他施設と比較されることになる超音波検査をルーチンで使用しないという方針は実質取りえない。 本研究の結果を日本で活かすとすれば、健診の一部を助産師による外来とする、超音波検査での評価を毎回でなく1回おきにするなどで健診による医療者負担を軽減することが挙げられる。有害な周産期アウトカムを増やさず、医療者負担を軽減できればハイリスク症例へ割く時間を増やすことや持続可能な周産期医療の達成にもつながる。さらに、今後分娩施設の集約化に伴い地域によっては助産師が主体的に分娩を管理する必要が出てくる可能性もあるが、その際の安全性を支持した論文ともいえるだろう。しかし、本研究は自宅や助産施設での分娩がほとんどを占めるオランダからの論文であり、あくまで訓練を受けた助産師による管理、そして必要があれば超音波検査を行うという前提があることに注意が必要だ。

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第20回 カプランマイヤー法を用いない生存曲線はあるのか?【統計のそこが知りたい!】

第20回 カプランマイヤー法を用いない生存曲線はあるのか?生存率の分析の手法としてよく用いられているのは、カプランマイヤー(Kaplan-Meier)法ですが、他の分析の手法はないのでしょうか。カプランマイヤー法以外の手法として「直接法」があります。■被験者全員を網羅する直接法仮に3年後の生存率を算出するには、本来、薬剤を投与した患者全員について、3年後の生死を把握することができればベストです。たとえば、A薬の臨床試験で観察開始日から3年が経過した症例のみを集計対象とし、その中の生存患者の割合を求めるなどのケースでは、A薬を投与した患者全員を3年間追跡すればよいのです。このような方法を「直接法」といいます。つまり、直接法により3年生存率を計算する場合は、開始日から3年が経過した症例のみを集計対象とし、その中の生存患者の割合を求めます。集計対象者の中に中途打ち切りがあると、生存率の評価が困難になります。中途打ち切りとなった理由が、患者の予後に影響する場合、それを集計対象から除外して計算すると、偏った生存率を導くことになります。真の生存率は、中途打ち切りを全員生存とみなした値と、全員死亡とみなした値の間とみなさなければなりません。しかし、実際の臨床試験では、このように患者さんをきちんとエントリーし、フォローすることはほとんどできません。■症例数が多いときには生命保険数理法という方法もあった直接法のほかにも、中途打ち切り例も集計対象に含めることのできる実測生存率の計算方法の1つとして「生命保険数理法」という手法もあります。以前は、症例数が多いときには生命保険数理法、少ないときにはカプランマイヤー法が推奨されていました。しかし、現在ではコンピュータの集計機能も著しく向上し、症例数が何万件あっても、カプランマイヤー法で簡単に計算することができてしまいます。統計学的にもカプランマイヤー法のほうが優れている点から、今ではカプランマイヤー法を用いることが推奨されています。■さらに学習を進めたい人にお薦めのコンテンツ「わかる統計教室」第1回 カプランマイヤー法で生存率を評価するセクション1 生存率を算出する方法第4回 ギモンを解決!一問一答質問4 カプランマイヤー法では、なぜ経時的に症例数が減少するのか?

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第34回 「Q波探し」の実践訓練~めざせ“名探偵”~【Dr.ヒロのドキドキ心電図マスター】

第34回:「Q波探し」の実践訓練~めざせ“名探偵”~“壊死して機能しなくなった心筋の存在を示唆する心電図波形”と言えば「異常Q波」であり、前回は12誘導を「V1~V3」と「それ以外」に分けて診断する手法を学びました。今回はDr.ヒロが用意した2症例を用いて、その知識が定着しているかを確認してみましょう。早速、チャレンジ!症例提示174歳、男性。糖尿病と高血圧症に対し内服加療中である。心筋梗塞の既往があり、何度かカテーテル治療(PCI)を受けている。以下に外来での心電図を示す(図1)。(図1)定期外来の心電図画像を拡大する【問題1】心電図(図1)で「異常Q波」を指摘せよ。また、心筋梗塞はどこの部位で発生したか?解答はこちら異常Q波:I、aVL、(V1)V2~V4梗塞部位:(左室)前壁、前壁中隔、高位側壁解説はこちら心電図(図1)を見ると、前壁誘導(V1~V4)の「ST上昇」と「QS型」(QS complex)が目を引くでしょう。それだけに目を奪われたら“半人前”ですよ。Dr.ヒロ流の語呂合わせ(第1回)では、“クルッと”の“ク”が「異常Q波」を抽出するプロセスです。前回は「V1~V3」と「それ以外」で読むことをお伝えしましたよね。「それ以外」では、肢誘導を上からI→II→III、そして、aVRは除外してaVL、aVF、そして右方に目を移して胸部誘導の下半分(V4→V5→V6)を読んで、初めてコンプリートです。『“ジグザグ運動”とほとんど同じだから、ST変化と同時にチェックしたら一気にできるなぁ』そう思う方、ブラボーです。“慣れ”もさることながら、Dr.ヒロの世界観にだいぶ染まった証拠です(笑)。“「異常Q波」を拾い出そう! 周囲を見渡すのが吉”さぁ皆さん、今回のメインテーマはズバリ「異常Q波を探せ」。“名探偵”になった気分で「Q波」を探し出し、病変(心筋梗塞)の場所を推測するという練習です。これは実臨床においても非常に役立つテクニックだと思います。前回紹介した「異常Q波」の“最新定義”を覚えていますか? 12誘導を「V1~V3」と「それ以外」に分けて考えるのでした。さらに、前者では「存在」、後者では「幅・深さ」の“1mm基準”(または“1ミリの法則”)、そして隣接誘導での連続性(“お隣ルール”)がキーでしたね。早速、問題の心電図(図1)を眺めてみましょう。まず「V1~V3」から。V2、V3はちゅうちょなく完全に「QS型」ですが、V1はちょびっと「r波」があるように見えます。でも、“一昔前”の「1mmなかったらr波が“ない”のと同じ」の考え方を拝借し、“見なしQ波(QS型)”として悪くないレベルでしょう。つまり、V1~V3すべてに「異常Q波」があるということ。次に「それ以外」の誘導。肢誘導では、I、aVLが陰性波から始まっているので「q波」です。そして、胸部誘導ではV1~V3に連続する形でV4に「QS型」がありますね。aVLは“1mm基準”を満たし、V4もかなり幅広な「QS型」ですから、どちらも文句なく「異常Q波」と考えられます。ではIのほうはどうでしょう? こちらは「幅1mm・深さ1mm」と、ともに微妙だなぁと思いませんか? こういう場合には鉄則があります。■「異常Q波」か悩んだら■視点をずらして同じ誘導の「ST-T変化」の有無を見よボクの流儀では「“周囲”を見渡せ」―これが鉄則です。言うなれば“周囲確認法”でしょうか。工事現場のように、常に周りの様子に気を配ることが大事なので、単視眼的にQ波を眺めていても正解は見えてこないのです。心筋梗塞の“爪痕”的な所見として、「異常Q波」以外に「ST-T変化」が知られています。ST変化は「ST上昇」、T波は「陰性T波」が主なものです。通常は同一の誘導で見られますから、悩ましいQ波でも「ST-T変化」を伴っていたら「異常Q波」なほうにbetするのです。心電図(図1)のaVL同様、I誘導にも「陰性T波」がありますね? そして、この2つはイチエル(I・VL)を構成し、肢誘導界では“お隣”の関係です。I誘導は幅も深さも微妙ですが、陰性T波を伴い、かつ隣接するaVLでのQ波の存在を総合的に考慮すると、“合わせ技”1本で「異常Q波」と判定できるのです! ちなみに、先ほど若干悩んだV1についてもST-T部分がV2~V4に類似しており(ST上昇、2相性[陽性-陰性]T波)、その意味でも異常Q波「あり」とボクは考えます。この単一の波形要素だけで考えず、そのほかの部分も合わせて考えることは、Q波に限らず心電図を読む上で大事だと思っています。“Q波の分布パターンから梗塞部位がわかる!”以上のことから心電図(図1)では、I、aVL、そしてV1~V4に「異常Q波」があると判明しました。次にすべきは「どこの心筋梗塞か?」…つまり“梗塞部位”を考えることです。心電図のスゴイところは、「異常Q波」の分布から、心筋梗塞を起こした部位が推定できることです。次の表1は拙著からの引用です。(表1)異常Q波分布と梗塞部位の関係画像を拡大するここでは、心臓を水平面で切ったCT画像を“宇宙人”が眺めている様子で解説した図を復習しましょう(第17回)。まず、V1~V4誘導には「前壁誘導」という別称がありましたね。細かく言うと、V1は「前壁中隔*」、V2~V4が真の「前壁」なので、この領域の心筋梗塞が疑われます。*:ここでは「前壁+心室中隔」ではなく、「“前側の”心室中隔」という意味。では、I、aVLのほうはどうでしょう? これは、イチエルの組み合わせでエルを含むので、心臓の「左」、すなわち「側壁」と考えて下さい。表を見ると、「高位側壁」(high lateral)となっていて、“上のほう”の「側壁」という意味です。ですから、今回の異常Q波の分布様式からは(前側の)「心室中隔」「前壁」、そして「高位側壁」が梗塞領域だと推定されます。ここまででお腹いっぱいかもしれませんが、最後の最後。われわれ循環器のプロは、ここからもう一歩先の「冠動脈のどこがつまったのか?」(梗塞責任血管)を考えています。「前壁中隔・前壁・高位側壁」のパターンでは、冠動脈閉塞部位は左冠動脈前下行枝の近位部でほぼ決まりです。循環器お得意の“番地”で言うと“6番”(LAD#6)ね。非専門医でこんな事が言えるならば、それはもはや“セミプロ”の証拠です。■心電図診断■洞調律(63/分)異常Q波(I、aVL、[V1]V2~V4)ST上昇(V1~V4)陰性T波(I、aVL、V2~V5)時計回転では、この調子でもう一問やってレクチャーを終わりましょう。症例提示254歳、男性。心筋梗塞の既往あり。虚血性心筋症による慢性心不全でフォロー中。冠動脈造影(CAG)のため入院時検査として行った心電図を示す(図2)。(図2)検査入院時の心電図画像を拡大する【問題2】心電図(図2)で「異常Q波」を指摘せよ。また、心筋梗塞はどこの部位で発生したか?解答はこちら異常Q波:II、III、aVF、V5、V6梗塞部位:(左室)下壁、側壁解説はこちらこれも前問とまったく同じ考え方で臨みましょう。「V1~V3」は陽性波から始まっていて「Q波」はないですが、「それ以外」にはたくさんのQ(q)波が…どれが「異常」で、どれが「セーフ」なのでしょう? ここでも幅・深さの“1mm基準”と“周囲確認法”、そして”お隣ルール”をフル活用すれば正解は見えてくるでしょう。“知識の総ざらいをしましょう―Q波の仕分け”この問題で「異常Q波」の知識の総ざらいをして、今回は終わりましょう。心電図(図2)では「V1~V3」にはQ波はなく、「それ以外」では、I、II、III、aVF、V4~V6と、実に7つの誘導でQ(q)波が認められます。こういう時、まずは隣接誘導ごとに仕分けることから始めましょう。「異常Q波」は常にグループで考えていくことが大事です。すると…まずはニサンエフ(II、III、aVF)そしてブイゴロク(V5、V6)に気付くでしょう。残るIとV4は“宙ぶらりん”状態となっています。このうち、V4誘導は“玉虫色”なので注意して下さい。というのも「V1~V4」と「前壁誘導」のメンバーになったり、症例によっては「V4~V6」で「側壁誘導」を形成したりするのです。いるでしょ、こういう人って周りにも(笑)。でも、こういう時に役立つのが“周囲確認法“です。「ST-T変化」はどうでしょうか? V5、V6には「ST低下」と「陰性T波」があるのに、V4にはありません。『ブイゴロクに比べてQ波の幅も深さも軽めだなぁ…これは“除外“と考えよう』そう思えたアナタはボクと気が合います。ではIのほうはどうでしょう? すぐ“お隣”のエル(aVL)にはQ波がないですが、より広い視点でイチエルゴロク(I、aVL、V5、V6)の側壁誘導なら4つ中3つだから「隣接2つ以上」という基準にも該当するかもしれません。でも、やはり決め手は「ST-T変化」です。ST部分は基線上で「陰性T波」もありません。ですから、これは「なし」でいいと思います。単純に「Q波」だけを見ているとわかりませんが、このように考えると、最終的にはII、III、aVF、V5、V6が「異常Q波」で、表1を参考にすると梗塞巣は左室の「下壁」と「側壁」となるでしょうか。ところで、イチエルは「高位側壁」でしたが、ブイゴロクについては“低位”側壁とは言わず、単に「側壁」でOKです。個人的には言ってもいい気がしますが…「側壁」の正式な呼称は“前”や“下”という枕詞が付くため、かなりわかりづらいと思っています。(主に心エコーや核医学[RI]での呼び方で、心電図の世界ではあまりこの言い方は好まれません)なお、閉塞血管についてはマニアックなので簡単に触れるに留めますが、「下壁+側壁」のパターンの責任血管が右冠動脈か左冠動脈回旋枝かを区別するのはなかなか難しいとされます。この方は立派な右冠動脈近位部閉塞による陳旧性心筋梗塞でした。冠動脈の解剖・走行を熟知した人であれば、右冠動脈が高位側壁領域を灌流することはかなり稀と思われますから、その意味でもI誘導のq波は異常「ではない」と言えます。循環器専門医は、このように臨床的にさまざまな洞察を加えて一枚の心電図を眺めているんです。いや、もちろん慣れたら別にたいしたことじゃないんですけどね(笑)。最後はちょっとだけ難解な話もしましたが、“Q波探偵”の推察の基本がわかってもられば十分です。■心電図診断■洞調律(63/分)異常Q波・陰性T波(II、III、aVF、V5、V6)ST上昇(V1~V3)Take-home Message微妙なQ波は、同誘導のST-T変化の有無と隣接誘導の様子から「異常」と言えるか判定する。「異常Q波」の誘導分布から心筋梗塞の部位診断ができる!杉山裕章. 『心電図のみかた・考え方(応用編). 中外医学社;2014.p.80-124.【古都のこと~常照皇寺】就寝前、ベッドで庭園の写真集を見るのがボクのお気に入りの一つ。関西に移住してだいぶと日が経ちましたが、京都の良所は、歴史が育んだ名庭を実際に自分の目で楽しめることだと思います。常照皇寺(右京区)もその一つ。皆さんはこの寺をご存じですか? 周囲の京都人に聞いても「YES」はあまり多くない印象です。そもそも何と読むのでしょう? …正解はジョウショウコウジ*1。京都の庭園を紹介しているたいがいの書籍で、この寺が市内中心から最遠と書かれています。初秋の休日に訪れて最初の感想は、“最果て”かと思うほど山奥にあるなぁ、でした。山門から長い石段を登り、静寂が支配するその空間を進むと、方丈の間の向こう側にお目当ての庭が! 裏山を借景してデザインされた庭の存在感に圧倒され、寂しさの中に見え隠れする荒々しさ・力強さを言葉で表現するのはボクにとって容易ではありません(ぜひとも本物をご覧いただきたい!)。秋の紅葉時期はもちろん、天然記念物の九重桜など、春にも訪れたい“かくれ里”*2です。皆さんも京都の“秘密の山寺”を訪れてみませんか?*1:漢字4文字も珍しいが、詳名は「大雄名山万寿常照皇寺」とさらに長い。臨済宗京都嵯峨天龍寺派に属する。「常照寺」と呼ばれていた時期もある。南北朝の動乱期の貞治元年(1362年)、この地に隠棲した光厳天皇(北朝初代)の開創と伝わる。*2:白洲次郎の妻で随筆家の白洲正子の『かくれ里』にも常照皇寺が登場する。

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第4回 疑義照会を恐れる薬剤師は「失格」

第4回 疑義照会を恐れる薬剤師は「失格」―医師との関わり方で注意している点はありますか?鈴木:医師の性格や関係性によって伝え方は異なりますが、ざっくばらんに話せる先生では、「抗菌薬のターゲットは何にしていますか?」ということから始まり、「それなら抗菌薬はこっちのほうがいいんじゃないですか? なぜなら~」と自分の意見を率直に伝えています。あまり関係性ができていない先生では、「こういう選択肢もあるんですがどう思いますか?」とお伺いを立てるようにしています。あと、顔のわからない関係で話すとうまくいかないので、挨拶に行ったり、抗菌薬の使い方の方針を聞きに行ったりして、知識共有してから疑義照会や処方提案をするようにしています。前医から引き継いだ処方をそのまま継続している医師も多いので、知識共有するのは大切だと思っています。笹川:今の若い子たちは、みんな真面目過ぎてポリファーマシーとかを印籠のように医師にかざして説得しようとしてトラブルになるっていうのはよく聞きますね。山﨑:ポリファーマシーの種々の判断基準は絶対的なものではないのですけどね。それは参考としつつ、患者情報を踏まえてどう考えるかということなのだろうとは思いますが。鈴木:個々の患者さんには当てはまらない判断基準に飛びついて、判断基準で推奨されていないからこの処方はダメだ、という薬剤師は何もわかっていないですよね。笹川:あと、薬剤師のよくない点は白か黒かで判断しようとするところ。灰色のときもあるっていうことを知っていてほしいですね。あいまいなのが嫌でやめる薬剤師もいるそうですが、そのあいまいさを受け入れて楽しむくらいでいいんじゃないでしょうか。山﨑:確かに、論文を読んでいくら調べてもわからないことはわからないんですよ。あいまいなことがあるということがわかるだけでもいいと思います。鈴木:あいまいなことが実は正解だったということもありますよね。そもそもポリファーマシーに行きつく前にワンステップあって、患者さんの基礎疾患などの基本情報を把握するのがベースと考えています。薬歴で患者さんの治療の流れや個別に抱えている問題が見えないままポリファーマシーの話をしても、医師からしたら患者の現病歴や既往歴をどこまで把握して意見してるの? なんの根拠があるの? っていう感じでしょう。基礎疾患などの基本情報を把握する力が必要です。笹川:すぐに薬のことにはいかずに、体の仕組み、生理学とか、解剖学とかから入るのも一手です。解剖学などは医師や看護師の共通言語ですが、薬剤師はその共通言語を知らないまま薬の話をするので医療者の中で浮いてしまうことがあります。医師向けや看護師向けの書籍はとても勉強になりますよ。共通言語を学べばコミュニケーションがうまくいきますので、そのうえで薬の話をするとよいと思います。山﨑:適切に提案できるのであれば、医師の診療報酬上のインセンティブもあるので、積極的に提案したほうがいいでしょうね。ただ、疑義照会に怒る医師に出会ったりして、怖くてできなくなるという話も聞きます。薬剤師の伝え方が悪かったのかもしれませんが、疑義照会が薬剤師の義務だと知らなかったという医師や疑義照会で助かったという経験の少ない医師にもお会いしたことがあります。そういう場合は医師も対応がきつくなるかもしれません。ただ、医師が怖くて疑義照会を避けるという薬剤師と会ったこともありますが、何かあったときに不利益を被るのは患者さんなので、そこは信念をもってやっていただけたらとも思いました。鈴木:患者さんを守らずに自分を守るっていうのはどうなんでしょうね。処方箋枚数とスピード調剤の薬剤師は淘汰される―疑義照会しない理由はほかにもありますか?笹川:私は調剤報酬にも問題があるのではないかと思います。できる薬剤師とできない薬剤師の報酬が同じっていうのは疑問です。できる薬剤師の評価っていうのは難しいので、かかりつけ薬剤師制度でカバーしようとしたのでしょうが、かかりつけに同意すると安くなるほうが良かったのではないかと思います。安いから同意するっていうのもあるかもしれませんが、待ってでもその薬剤師から指導を受けたいと思ってもらえるようになりたいんですよ。報酬が同じだとどうしてもスピード重視になりますよね。質よりも量・スピードを求め過ぎたのでは?山﨑:即座にそうなるというわけではないですが、アマゾンなどECサイトでの薬剤購入が普及したり、遠隔服薬指導や「調剤ハブ」(多店舗の調剤を集約して行うことができる薬局)などが現実化した場合に、スピード勝負だけでほかの要素でファンを獲得できていないと選ばれる理由がなくなってしまいます。笹川:みんな学校を卒業したときは意識が高かったはずです。なのに、置かれた環境がやりがいのある環境ではなかったので心が折れていくのかもしれません。―薬剤師ごとに評価が変わるシステムはできないのでしょうか?山﨑:システム畑の人と冗談交じりで話していたら、何らかの基準をもって良い服薬指導ができる薬剤師のデータが取れるのであれば、できる薬剤師にインセンティブを与える設計ができるのではないかという話題になったことがあります。MRの知人に聞くと、医師は患者さんが離れていかないように一定の競争をしている部分もあるとのことですが、薬剤師は頑張っても一定のパイの中で決まった報酬を得るという構造にあらがいづらいので、優秀な薬剤師が自然に評価され、能力の低い薬剤師は評価が低いという形になりにくい。なので、服薬指導の質やリピーター率などを数値化して、薬剤師の評価設計をしていくというのはアリかもしれません。鈴木:現状はさばいた処方箋の枚数で評価するしかないですからね。これだけ頑張っているのに、頑張っていない薬剤師や薬局と同じ扱いをされたくないですよ。山﨑:きちんと勉強してコミュニケーション能力も高い優秀な薬剤師から不満が出やすい状況は健全ではないですね。鈴木:たとえばの話ですが、重複投薬・相互作用等防止加算の40点は薬剤師の処方提案が評価される点数ですので差をつけられそうかなって思っています。残薬調整は誰でもできますが、この点数は、腎機能を評価して、投与量を調整・中止したり、新しい薬を提案したりするなどしっかりした知識が必要なものなので、もっと区分けしたり、報酬を高くしたりしてもいいと思います。提案した内容をレセプトに記入する必要があれば、それができるようになるために勉強もするでしょうし。いいことやっているのに、現状では残薬調整の30点と10点しか違わないんですよね。またまた感染症領域の話で申し訳ないですけど、患者さんの原因菌を想定した薬剤への処方提案をしてもただの日数調整と同じ点数というのは納得がいかないですよ。重複投薬・相互作用等防止加算は幅広く評価されますが、頑張っている薬剤師が評価される点数になったらいいなと思います。笹川:みんなが頑張っていることを学会などでも発信したら、知らない薬剤師にも広がっていきますし、どんどん知識やデータがたまれば厚生労働省に届く可能性はあると思います。そういう意味でも情報を発信することの重要性を感じます。―最後に若手薬剤師に向けてエールをお願いいたします。笹川:現場で患者さん、そしてその家族、医療者と一緒に悩みましょう。悩んだ数が、薬剤師としてのやりがいです。さあ、一緒に一歩踏み出しましょう。鈴木:目の前にいる患者さんにとってなくてはならない存在になって、患者さんの健康サポートのために惜しまず支援してみませんか? 薬剤師の仕事って、深掘りすればするほど楽しくこなすことができますよ。大学でやってきたことをさらにアップデートしてよりよい薬学的ケアを目指しましょう! 薬剤師のソコジカラを思う存分発揮して、一緒に頑張っていきましょう!山﨑:日々薬局の現場を支援する中で、薬局・薬剤師のポテンシャルや既得権益の枠を越えた職能の広がりを強く感じています。生き生きと働きながら患者さん、ひいては地域に貢献できる舞台はあります。一緒に頑張っていきましょう。

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飲酒・喫煙と家族性乳がんリスクの関連

 飲酒および喫煙は乳がんリスクの増加と関連しているが、家族性乳がんのリスクによってその関連性は変わるのだろうか。今回、米国コロンビア大学のNur Zeinomar氏らが検討したところ、適度な飲酒は、とくにエストロゲン受容体(ER)陽性乳がんの女性において乳がんリスクの増加と関連するが、それは家族性乳がんリスクが低いと予測される女性においてのみであることがわかった。また、家族性乳がんリスクが高く、飲酒する女性では、現在の喫煙が乳がんリスク増加と関連することが示された。Breast Cancer Research誌2019年11月28日号に掲載。 本研究は、Prospective Family Study Cohortを用いて、飲酒、喫煙、乳がんリスクの関連を評価した。多変量Cox比例ハザードモデルを使用して、ハザード比(HR)と95%信頼区間(CI)を推定し、家族性リスクプロファイル(familial risk profile:FRP)によって関連性が変わるかどうかを検討した。FRPは、家系ベースのアルゴリズムであるBreast Ovarian Analysis of Disease Incidence and Carrier Estimation Algorithm(BOADICEA)により予測される乳がんの1年発症率とした。 主な結果は以下のとおり。・追跡期間中央値10.4年の間に、1万7,435人の女性のうち1,009人が乳がんを発症した。・喫煙または飲酒と乳がんリスクとの間に、全体として関連は認められなかった(非喫煙者に対する現在喫煙者のHR:1.02、95%CI:0.85~1.23、非常習飲酒者に対する週7杯以上の飲酒者のHR:1.10、95%CI:0.92~1.32)。・FRPの低い女性では、週7杯以上の飲酒者は非常習飲酒者に比べてER陽性乳がんのリスクが増加したが、FRPの高い女性では関連がなかった。例として、FRPの10パーセンタイル(5年BOADICEA:0.15%)の女性の推定HRは1.46(95%CI:1.07~1.99)だが、90パーセンタイル(5年BOADICEA:4.2%)の女性では関連がなかった(HR:1.07、95%CI:0.80~1.44)。・喫煙との関連はFRPによって変わらなかったが、飲酒する女性では喫煙状況についてFRPによる正の乗法的相互作用が認められた(相互作用のp=0.01)。ただし、非常習飲酒者については認められなかった。

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食物繊維とヨーグルト、肺がんの発症リスクを低下?/JAMA Oncol

 いわゆる善玉菌の栄養源である「プレバイオティクス」と、善玉菌を含む食品である「プロバイオティクス」の摂取は、いずれも有益なのか。米国・ヴァンダービルト大学医療センターのJae Jeong Yang氏らは、代表的な食品成分として、プレバイオティクスの「食物繊維」と、プロバイオティクスの「ヨーグルト」の摂取と肺がんリスクとの関連を調べた。欧米およびアジアで実施された前向きコホート研究10件のプール解析の結果、食物繊維とヨーグルトの摂取は、既知のリスク因子調整後および非喫煙者において、肺がんリスクの低下と関連することが示されたという。食物繊維もヨーグルトも、腸内微生物叢および代謝経路の調節を介してさまざまな健康上の有益性をもたらすことは知られているが、肺がんリスクとの関連についてはこれまで十分に検討されていなかった。結果について著者は、「プレバイオティクスとプロバイオティクスの肺がん発症に対する潜在的な予防機能を示すものであった」とまとめている。JAMA Oncology誌オンライン版2019年10月24日号掲載の報告。 研究グループは、欧米およびアジアで実施された前向きコホート研究10件、合計144万5,850例(成人)について、2017年11月~2019年2月にデータ解析を行った。 主要評価項目は、肺がん(腺がん、扁平上皮がん、小細胞がんの組織型に分類)の発症。食物繊維ならびにヨーグルトの摂取量は検証済みの調査票で測定し、参加者個々のデータを用いて食物繊維ならびにヨーグルトの摂取と肺がんリスクとの関連について、Cox回帰分析により各コホートで、ハザード比(HR)と95%信頼区間(CI)を推算するとともに、ランダム効果メタ分析により統合した。 主な結果は以下のとおり。・144万5,850例の内訳は、男性62万7,988例(平均年齢:57.9歳)、女性81万7,862例(54.8歳)であった。・追跡期間中央値8.6年における肺がんの発症記録は、1万8,822件であった。・食物繊維の摂取量が最低五分位群に対する最高五分位群のHRは0.83(95%CI:0.76~0.91)、ヨーグルトの摂取ゼロ群に対する同最高群のHRは0.81(95%CI:0.76~0.87)であった。・食物繊維またはヨーグルトの摂取と肺がんとの関連は、非喫煙者において顕著であり、性別、人種/民族および腫瘍組織型にかかわらず一貫して観察された。・食物繊維とヨーグルトの摂取を合わせて検討した場合、食物繊維もヨーグルトも摂取量が最も高い群では、食物繊維の摂取量が最も少なくヨーグルトをまったく摂取しない群に比べ、肺がんのリスクが30%以上低下し(全体のHRは0.67[95%CI:0.61~0.73]、非喫煙者のHRは0.69[95%CI:0.54~0.89])、潜在的な相乗効果が示唆された。

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吸入ステロイド使用者、認知症リスクが35%低い

 アルツハイマー病の病理学的カスケードにおいて神経炎症が重要な役割を示すことが報告され、神経炎症が治療標的として認識されてきている。今回、ドイツ・ロストック大学のMichael Nerius氏らが、ドイツにおける縦断的健康保険データを用いて認知症リスクに対するグルココルチコイドの影響を検討したところ、グルココルチコイドの使用が認知症リスクの低下に関連していることが示唆された。Journal of Alzheimer's disease誌オンライン版2019年11月18日号に掲載 本研究では、50歳以上の17万6,485人のベースラインサンプルにおいて、ドイツ最大の健康保険会社の2004~13年の健康保険データを使用し、グルココルチコイド治療と認知症の発症率との関連を調べた。Cox比例ハザードモデルにより、性別、年齢、認知症の主要な危険因子として知られている併存疾患を調整後、ハザード比(HR)と95%信頼区間(CI)を算出した。さらに、グルココルチコイド治療について投与経路および治療期間で層別化して検討した。 主な結果は以下のとおり。・認知症ではない17万6,485人のうち、2013年の終わりまでに1万9,938人が認知症と診断された。・認知症発症リスクは、グルココルチコイド非使用者に比べ、使用者で有意に低かった(HR:0.81、95%CI:0.78~0.84)。・投与経路別にみると、吸入グルココルチコイドの使用者で最もリスクが低く(HR:0.65、95%CI:0.57~0.75)、次いで点鼻(HR:0.76、95%CI:0.66~0.87)、その他(HR:0.84、95%CI:0.80~0.88)と経口(HR:0.83、95%CI:0.78~0.88)の使用者で低かった。・長期使用者と短期使用者でリスク減少に差はなかった。 著者らは「グルココルチコイドが神経炎症にプラスの影響を与え、人々から認知症から守ることができるかどうかを判断するには、前向き臨床試験が必要」としている。

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レビー小体型認知症の診断基準~最新情報と今後の方向性

 金沢大学の山田 正仁氏らは、2017年に改訂されたレビー小体型認知症(DLB)の臨床診断に関するコンセンサス基準より、診断基準の今後の方向性について解説を行った。Journal of Movement Disorders誌オンライン版2019年11月8日号の報告。 主な内容は以下のとおり。・DLBの臨床診断基準は、1996年に最初のコンセンサスレポートが公表され、2005年に第3改訂が行われた。・そして、2015年の国際DLB会議(米国・フロリダ州)で議論が行われた後、2017年に第4改訂が発表された。・2017年に改訂された基準では、臨床的特徴と診断バイオマーカーを明確に区分している。・これまでの研究より重要な最新情報を組み込み、レム睡眠行動障害(RBD)、MIBGシンチグラフィーに対する診断の重み付けが増している。・今後の方向性として、以下が挙げられている。 ●早期診断基準の開発(前駆期DLB) ●病理を直接示す新規バイオマーカーの確立(α-シヌクレインのイメージングおよび沈着を実証するための末梢組織[皮膚など]の生検、生化学的マーカー[脳脊髄液や血液]) ●第4改訂版の診断基準の感度および特異性の病理学的評価

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C-PTPとDダイマーで、肺塞栓症リスクの同定が可能/NEJM

 肺塞栓症で経過観察中の患者では、臨床的検査前確率(C-PTP)が低く、Dダイマー値<1,000ng/mLの場合、肺塞栓症リスクは低いことが、カナダ・マクマスター大学のClive Kearon氏らが行った前向き試験「PEGeD試験」で示された。研究の成果は、NEJM誌2019年11月28日号に掲載された。いくつかの後ろ向き解析により、肺塞栓症は、C-PTPが低い患者ではDダイマー値<1,000ng/mL、C-PTPが中等度の患者ではDダイマー値<500ng/mLで除外されることが示唆されている。C-PTPとDダイマー値で肺塞栓症が除外されるとの仮説を検証 研究グループは、C-PTPが低くDダイマー値<1,000ng/mLであるか、C-PTPが中等度でDダイマー値<500ng/mLの患者は、それ以上の検査を行わなくても肺塞栓症が除外されるとの仮説を検証した(カナダ国立保健研究所[CIHR]の助成による)。 対象は、年齢18歳以上、肺塞栓症の症状がみられるか、その徴候が示唆される外来および入院患者であった。被験者は、Wellsスコア(0~12.5点、点数が高いほど肺塞栓症の可能性が高い)に基づき、低C-PTP(0~4.0点)、中等度C-PTP(4.5~6.0点)、高C-PTP(6.5点以上)に分けられた。 低C-PTP/Dダイマー値<1,000ng/mLまたは中等度C-PTP/Dダイマー値<500ng/mL以外のすべての患者は、胸部画像検査(通常、CT肺血管造影)を施行された。肺塞栓症と診断されなかった患者は、抗凝固療法を受けなかった。静脈血栓塞栓症を検出するために、全患者を3ヵ月間追跡調査した。C-PTPとDダイマー値で肺塞栓症が除外される戦略で胸部画像検査を減少 2015年12月~2018年5月の期間に、肺塞栓症で経過観察中の患者2,017例(平均年齢52±18歳、女性66.2%)が登録され、評価が行われた。低C-PTPが86.9%、中等度C-PTPが10.8%、高C-PTPは2.3%であった。診断の初回検査で7.4%(149例)に肺塞栓症が認められた。 低C-PTPの1,752例中1,285例、中等度C-PTPの218例中40例で、Dダイマー値が陰性(それぞれ<1,000ng/mL、<500ng/mL)であった。このDダイマー値陰性の1,325例(67.3%)には抗凝固療法を行わなかったが、追跡期間中に静脈血栓塞栓症が認められた患者はいなかった(95%信頼区間[CI]:0.00~0.29%)。 初回検査で肺塞栓症と診断されず、抗凝固療法を受けなかった1,863例のうち、1例(0.05%、95%CI:0.01~0.30、低C-PTP/Dダイマー値陽性[1,200ng/mL])で静脈血栓塞栓症がみられた。 低C-PTP/Dダイマー値陰性(<1,000ng/mL)で抗凝固療法を受けなかった1,285例では、追跡期間中に静脈血栓塞栓症は認められなかった。このうち315例は、低C-PTPでDダイマー値が500~999ng/mLであった(95%CI:0.00~1.20%)。また、中等度C-PTP/Dダイマー値陰性(<500ng/mL)で、抗凝固薬を受けなかった40例では、追跡期間中に静脈血栓塞栓症はみられなかった(95%CI:0.00~8.76%)。 追跡期間中に、大出血エピソードが7件、小出血エピソードが23件認められた。34例が死亡したが、中央判定で肺塞栓症による死亡とされた患者はいなかった。 この研究のPEGeD診断戦略では、患者の34.3%が胸部画像検査を受けた。これに対し、低C-PTPでDダイマー値が<500ng/mLの場合は、肺塞栓症は除外されるとする戦略であれば、胸部画像検査を受ける患者の割合は51.9%となった(差:-17.6ポイント、95%CI:-19.2~-15.9)。 著者は、「PEGeDアルゴリズムは、肺塞栓症が疑われる患者における胸部画像検査の件数を実質的に減少させることが示された」としている。

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早発閉経、心血管疾患リスク増大の可能性/JAMA

 閉経後女性のうち、40歳になる前に早期の自然閉経/外科的閉経を経験した女性は、40歳以降に閉経した女性に比べ心血管疾患のリスクが、小さいとはいえ統計学的に有意に増加することが、米国・ハーバード大学医学大学院のMichael C. Honigberg氏らの検討で示された。研究の成果は、JAMA誌オンライン版2019年11月18日号に掲載された。最近のガイドラインでは、中年女性におけるアテローム性動脈硬化に基づく心血管疾患リスク評価の改善策として、40歳以前での閉経歴を考慮することが推奨されているが、確固としたデータはないという。3群を比較するコホート研究 本研究は、2006~10年の期間に、英国のUK Biobankに登録された成人の英国居住者のうち、登録時に40~69歳で、閉経後の女性を対象とするコホート研究である(米国国立心肺血液研究所[NHLBI]などの助成による)。 14万4,260例の閉経後女性が登録され、2016年8月まで追跡が行われた。早発自然閉経(卵巣摘出術を受けず、40歳以前に閉経)の女性、および早発外科的閉経(両側卵巣摘出術を受け、40歳以前に閉経)の女性を、早発閉経のない閉経後女性(対照)と比較した。 主要アウトカムは、初発冠動脈疾患、心不全、大動脈弁狭窄症、僧帽弁逆流症、心房細動、虚血性脳卒中、末梢動脈疾患、静脈血栓塞栓症の複合とした。副次アウトカムは、主要アウトカムの個々の疾患および心血管リスク因子(初発高血圧症、脂質異常症、2型糖尿病)であった。主要アウトカム:自然閉経6.0% vs.外科的閉経7.6% vs.非早発閉経3.9% 14万4,260例(登録時平均年齢59.9[SD 5.4]歳)のうち、4,904例(3.4%)が自然早発閉経を、644例(0.4%)が外科的早発閉経を経験した女性で、非早発閉経女性は13万8,712例であった。追跡期間中央値は7年(IQR:6.3~7.7)。 主要アウトカムの発生は、非早発閉経群が5,415例(3.9%、発生率5.70/1,000人年)であったのに対し、自然早発閉経群は292例(6.0%、8.78/1,000人年)と有意な差が認められた(非早発閉経群との差:+3.08/1,000人年、95%信頼区間[CI]:2.06~4.10、p<0.001)。また、外科的早発閉経群は49例(7.6%、11.27/1,000人年)で、同様に有意な差がみられた(同差:+5.57/1,000人年、2.41~8.73、p<0.001)。 多変量で補正後に、非早発閉経群と比較して、自然早発閉経群では、大動脈弁狭窄症(ハザード比[HR]:2.37、95%CI:1.47~3.82、p<0.001)、静脈血栓塞栓症(1.70、1.27~2.29、p<0.001)、虚血性脳卒中(1.50、1.01~2.25、p=0.04)、冠動脈疾患(1.39、1.06~1.82、p=0.02)、心房細動(1.25、1.00~1.58、p=0.05)の頻度が有意に高く、心不全(1.21、0.81~1.82、p=0.35)、僧帽弁逆流症(0.73、0.34~1.55、p=0.41)、末梢動脈疾患(1.34、0.79~2.26、p=0.27)には差が認められなかった。 同様に、外科的早発閉経群では、僧帽弁逆流症(HR:4.13、95%CI:1.69~10.11、p=0.002)、静脈血栓塞栓症(2.73、1.46~5.14、p=0.002)、心不全(2.57、1.21~5.47、p=0.01)、冠動脈疾患(2.52、1.48~4.29、p<0.001)の頻度が有意に高く、大動脈弁狭窄症(2.91、0.92~9.15、p=0.06)、心房細動(1.60、0.91~2.83、p=0.11)、虚血性脳卒中(0.43、0.06~3.12、p=0.41)、末梢動脈疾患(1.34、0.33~5.41、p=0.68)には差がみられなかった。 高血圧(早発自然閉経群:HR:1.43[95%CI:1.24~1.65、p<0.001]、外科的早発閉経群:1.93[1.37~2.74、p<0.001])、脂質異常症(1.36[1.16~1.61、p<0.001]、2.13[1.50~3.04、p<0.001])、2型糖尿病(全年齢層のHRの範囲:早発自然閉経群0.9~1.6、外科的早発閉経群1.3~4.7)のリスクも、早発閉経群で高かった。 主要アウトカムに関して、従来の心血管リスク因子および閉経後ホルモン療法の使用で補正後のHRは、自然早発閉経群が1.36(95%CI:1.19~1.56、p<0.001)、外科的早発閉経群は1.87(1.36~2.58、p<0.001)であった。 著者は、「これらの関連の基盤となるメカニズムを解明するには、さらなる検討を要する」としている。

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膀胱に159個も異物を入れた男【Dr. 倉原の“おどろき”医学論文】第152回

膀胱に159個も異物を入れた男ぱくたそより使用誰に聞かれたのか忘れましたが、「異物論文ってどうやって探しているんですか?」と聞かれたことがあって、「PubMedで“unusual” “foreign body”って入力して検索しているんだよ」と答えたところ、爆笑されました。ただの異物だと山のよう症例報告が引っかかるので、”unusual”を入れるかどうかが重要なんです。……いや、どうでもいい話でした。さて、今日紹介するのは、どこの異物でしょうか。異物が入れられるところなんて決まっているので、消化器系か泌尿器生殖器系か耳鼻科系を挙げておけば、だいたい当たります。今日は、泌尿器系です!Liu ZH, et al.Retrieval of 159 magnetic balls from urinary bladder: A case report and literature review.Urol Case Rep. 2019 Jul 23;26:100975.論文のタイトルに159個って載っけちゃった時点で、「159個もやばくない!?」と主治医が思ったのは明白です。これは、自分の膀胱に159個もmagnet ballを入れた、独身男性の症例報告です。適切な日本語訳がないので、見た目からmagnet ballのことをココでは「パチンコ玉」と書かせていただきます。下腹部痛と排尿障害で救急搬送されてきたこの男性は、「5時間前に…アソコに…パチンコ玉を入れましたッ…!!」と自己申告しました。主治医は、何個入れたのかイチイチ問いませんでしたが、腹部レントゲン写真で、無数のパチンコ玉がうつっていました。「おいおい、100個じゃ済まねぇぞコレ…!」さて、膀胱鏡で1つずつ取り出すことにしました。玉自体が結構な大きさだったため―“玉”とは、当然ながらパチンコ玉のことである、念のため―26Frのシースを挿入して取り掛かったのですが、つるつる滑って、なかなか難しかったそうです。それでも、わずか1時間程度の処置で0.5cmのパチンコ玉を159個取り出しました。論文のタイトルに、なぜ「159」という数字を入れたのかというと、いろいろな膀胱異物の報告がある中、159個入れたというのは、過去最も多かったからだそうです。異物論文の世界では、「過去もっとも多かった」「過去もっとも大きかった」などの新規性+異常性が重視されることがあります。みなさんも、異物論文を書くときには、この点に気を配りましょうね!!

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統合失調症患者のインスリン抵抗性有病率とその特徴

 いくつかの研究において、統合失調症患者は、インスリン抵抗性リスクが高いことが示唆されている。中国・北京大学のChen Lin氏らは、中国人統合失調症入院患者におけるインスリン抵抗性の有病率および臨床的相関について調査を行った。Comprehensive Psychiatry誌オンライン版2019年11月7日号の報告。 対象は、統合失調症患者193例(男性:113例、女性:80例)。血漿グルコースおよび脂質レベルに関するデータを含む人口統計および臨床データを収集した。認知機能の評価には、Repeatable Battery for the Assessment of Neuropsychological Status(RBANS)、精神症状の評価には、陽性・陰性症状評価尺度(PANSS)を用いた。インスリン抵抗性を評価するHOMA-IRのカットオフ値は、1.7に設定した。 主な結果は以下のとおり。・インスリン抵抗性の有病率は、37.82%(73例)であった。・インスリン抵抗性患者は、そうでない患者と比較し、ウエスト/ヒップ比、BMI、空腹時血糖、トリグリセリド(TG)、LDLレベルが有意に高かった(各々p<0.05)。・バイナリロジスティック回帰分析では、喫煙、BMI、TG、LDLレベルが、インスリン抵抗性の有意な予測因子であった。・相関分析では、ウエスト/ヒップ比、BMI、LDLレベルが、インスリン抵抗性と有意に相関していることが示唆された(Bonferroni補正:p<0.05)。・多変量線形回帰分析では、BMIと空腹時血糖が、インスリン抵抗性と関連していることが示唆された。・異なる抗精神病薬を使用している患者間で、インスリン抵抗性に有意な差は認められなかった。 著者らは「中国人統合失調症患者では、インスリン抵抗性およびそのリスク因子を有する割合が高かった。統合失調症患者のインスリン抵抗性発生を防ぐためにも、BMIやウエスト周囲を減らし、タバコの本数を減らすための積極的な体重管理が不可欠である」としている。

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インフル予防、エタノール消毒だけでは不十分なケースも?

 エタノールベースの擦式手指消毒薬は広く普及し、医療機関や学校など多くの場所で手指衛生・接触感染予防を目的に使われている。しかし以前の研究で、粘液中の病原体に対してエタノール消毒の有効性が低下する可能性が示唆されている。京都府立医科大学の廣瀬 亮平氏らは、エタノール消毒薬による季節性インフルエンザAウイルス(IAV)の不活性化メカニズムを調べ、その効果が手指に付着した感染性粘液が完全に乾燥するまでの間は大幅に低下することを明らかにした。一方、手洗いによる手指衛生は、乾燥および非乾燥の感染性粘液に対してともに効果的であることが確認された。mSphere誌オンライン版9月18日号への報告より。なお、本研究については、11月27日にmSphere誌オンライン上でレターが掲載され、議論が行われている。 研究者らはまず、IAVに感染した患者の上気道由来粘液を使用して、IAVの不活化試験とエタノール濃度測定を実施。物性解析の結果、感染性粘液は粘度が非常に高く、生理食塩水と比較してエタノールの拡散/対流速度が遅くなることが明らかになった。「エタノール濃度がIAV不活性化レベルに達する時間」すなわち「エタノール消毒薬がIAVを完全に不活性化するのに必要な時間」は、生理食塩水条件下より粘液条件下の方が約 8 倍程度長い結果となった。 続いて、10人のボランティアの手指に付着した感染性粘液中のIAVに対する、流水と80%エタノール消毒薬の有効性を評価した。その結果、流水によりIAVは30秒以内に完全に不活性化されたが、エタノール消毒薬では、120秒後も不活性化されなかった。 一方で、感染性粘液が完全に乾燥した条件(本研究では約30~40分間と想定)においては、エタノール消毒薬は30秒以内に粘液中のIAVを不活性化した。また、物理的に感染性粘液を洗い流す流水による手洗いでも、30秒以内にIAVを不活性化した。  これらの結果および議論を受けて研究者らは、本研究は基礎研究であり、手を擦り合わせる動作による効果等、実使用を再現した評価系でのさらなる検討が必要とした。そのうえで、感染性粘液が付着した(あるいは付着が疑われる)状況では、エタノール消毒薬による擦式手指消毒の効果を過信せず、手洗いをこまめに行うことでより高い消毒効果が得られる可能性があるとしている。

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高濃度乳房女性にはMRI検査の追加が有用/NEJM

 きわめて高濃度乳房でマンモグラフィ検査が正常の女性において、MRIスクリーニングの追加はマンモグラフィ検査単独と比較し、2年間のスクリーニング中の中間期がんの診断件数が有意に減少することが、オランダ・ユトレヒト大学のMarije F. Bakker氏らによる多施設共同無作為化比較試験「Dense Tissue and Early Breast Neoplasm Screening trial:DENSE試験」の結果、示された。高濃度乳房は乳がんのリスク因子であるが、マンモグラフィ検査によるがん検出には限界があり、高濃度乳房の女性における早期発見率の改善と中間期乳がん減少のためのMRI追加に関するデータが必要とされていた。NEJM誌2019年11月28日号掲載の報告。きわめて高濃度乳房の女性約4万例で、MRI追加と非追加の中間期がん発生を比較 研究グループは、オランダで2年ごとに実施されているデジタルマンモグラフィ検診プログラムに参加し、マンモグラフィ検査で陰性と判定されたきわめて高濃度乳房の50~75歳の女性4万373例を、MRI追加実施招待(MRI追加)群と、マンモグラフィ検査のみのマンモグラフィ群に、1対4の割合で無作為に割り付け追跡評価した(MRI追加群8,061例、マンモグラフィ群3万2,312例)。 主要評価項目は、2年間のスクリーニング期間における中間期がんの発生頻度の群間差であった。MRI追加群でマンモグラフィ単独群より中間期乳がん発生頻度が有意に低下 中間期がんの発生頻度(スクリーニング1,000件当たり)は、MRI追加群で2.5件、マンモグラフィ群で5.0件であり、群間差は2.5件(95%信頼区間[CI]:1.0~3.7、p<0.001)であった。 MRI追加群のうち、実際にMRI検査を受けた女性は4,783例(59%)であり、MRI追加群で中間期がん診断された20例のうち、4例(スクリーニング1,000件当たり0.8)がMRI実施例、16例(同4.9)はMRI非実施例であった。したがって、MRI実施例におけるMRIによるがん検出率は、スクリーニング1,000件当たり16.5件(95%CI:13.3~20.5)であった。 陽性適中率は、MRI検査陽性例(BI-RADSスコア3~5)で17.4%(95%CI:14.2~21.2)、MRI検査陽性生検実施例(BI-RADSスコアが4または5、フォローアップMRIでスコア4または5を含む)で26.3%(95%CI:21.7~31.6)であった。一方、偽陽性率は、スクリーニング1,000件当たり79.8件であった。 MRI実施例において、検査中または検査直後の有害事象あるいは重篤な有害事象の発現率は0.1%で、血管迷走神経反応、造影剤反応、血管外漏出に関連していた。

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乳製品摂取量と死亡リスクとの関連は? /BMJ

 米国・ハーバード公衆衛生大学院のMing Ding氏らは、3件の前向きコホート研究において乳製品の摂取量と全死亡および死因別死亡との関連を検証し、乳製品の総摂取量と死亡リスクに逆相関は確認されず、乳製品の健康への影響は代用の類似食品に依存する可能性があることを報告した。また、「わずかだががん死亡率の上昇が、有意ではないものの乳製品摂取と関連がみられており、さらなる検証が必要である」とまとめている。これまで、乳製品摂取と2型糖尿病、心血管疾患、がんなどさまざまな健康アウトカムとの関連が広く検証されているが、多くの研究で明らかな有益性あるいは有害性は示されていない。さらに、前向きコホート研究での乳製品摂取と死亡との関連に関するエビデンスは限定的であった。BMJ誌2019年11月27日号掲載の報告。米国の大規模コホート研究3件(女性約17万人、男性約5万人)について解析 研究グループは、女性および男性における乳製品の摂取と全死亡および死因別死亡リスクとの関連を調べる目的で、米国で実施された3つの前向きコホート研究「Nurses' Health Study(NHS)」「Nurses' Health Study II(NHS II)」「Health Professionals Follow-up Study(HPFS)」を用い、ベースラインで心血管疾患およびがんを有していない女性16万8,153人と男性4万9,602人について解析した。 参加者は、乳製品の摂取について食事摂取頻度調査票(Food Frequency Questionnaire:FFQ)を用いて、NHSでは1984年と1986年以降は4年ごとに、NHS IIおよびHPFSではそれぞれ1989年および1986年から4年ごとに調査を受けていた。 主要評価項目は、国民死亡記録(national death index)、州生命記録(state vital records)、または家族および郵送による報告によって2016年12月31日までに確認された死亡とした。 Cox比例ハザード回帰モデルを用いて、乳製品の摂取量と死亡リスクとの関連を解析した。多変量解析では、心血管疾患およびがんの家族歴、身体活動、食事パターン(代替健康食指数2010)、総エネルギー摂取量、喫煙状況、アルコール摂取量、閉経状態(女性のみ)、閉経後のホルモン剤使用(女性のみ)に関して補正を行い評価した。 解析は、各コホートで個別に実施した後、固定効果モデルを用いて統合・評価した。乳製品摂取量と死亡リスクに逆相関は認められず 追跡期間最大32年間で、心血管死1万2,143例、がん死1万5,120例を含む計5万1,438例の死亡が確認された。 多変量解析で統合した全死亡のハザード比(HR)は、乳製品摂取量が最低の第1群(平均0.8サービング/日)に対して、第2群(平均1.5サービング/日)で0.98(95%信頼区間[CI]:0.96~1.01)、第3群(平均2.0サービング/日)で1.00(0.97~1.03)、第4群(平均2.8サービング/日)で1.02(0.99~1.05)、最高の第5群(平均4.2サービング/日)で1.07(1.04~1.10)であった(傾向のp<0.001)。 心血管疾患死のHRは第1群に対して、第2群0.97(95%CI:0.91~1.03)、第3群0.97(0.92~1.03)、第4群0.96(0.90~1.02)、第5群は1.02(0.95~1.08)であった(傾向のp=0.49)。 がん死のHRは第1群に対して、第2群0.95(95%CI:0.90~1.00)、第3群1.00(0.94~1.05)、第4群1.04(0.98~1.09)、第5群は1.05(0.99~1.11)であった(傾向のp=0.003)。 乳製品の種類別では、全乳の摂取量増加は、全死亡(0.5サービング/日増えるごとのHR:1.11、95%CI:1.09~1.14、傾向のp<0.001)、心血管死(同1.09、95%CI:1.03~1.15、傾向のp=0.001)およびがん死(同1.11、95%CI:1.06~1.17、傾向のp<0.001)のリスク上昇と有意に関連していた。 代替食品の解析で、乳製品の代わりにナッツ、豆類、全粒穀物を摂取した場合は死亡リスク低下と関連していたが、赤身および加工肉の摂取は死亡リスク上昇と関連していた。

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薬剤耐性菌の菌血症による死亡、国内で年8千例超

 これまで、わが国における薬剤耐性による死亡者数は明らかになっていなかった。今回、国立国際医療研究センター病院の都築 慎也氏らは、薬剤耐性菌の中でも頻度が高いメチシリン耐性黄色ブドウ球菌(MRSA)とフルオロキノロン耐性大腸菌(FQREC)について、日本におけるそれらの菌血症による死亡数を検討した。その結果、MRSA菌血症の死亡は減少している一方で、FQREC菌血症による死亡が増加していること、2017年には合わせて8,000例以上が死亡していたことがわかった。Journal of Infection and Chemotherapy誌オンライン版2019年12月1日号に掲載。 本研究では、厚生労働省院内感染対策サーベイランス(JANIS)のデータから、2011~17年における日本全国の菌血症症例数を算出し、過去の研究に基づいた死亡率と合わせて菌血症による死亡数を推定した。 主な結果は以下のとおり。・黄色ブドウ球菌による菌血症での死亡は、2011年は1万7,412例、2017年は1万7,157例と推定された。このうち、MRSA菌血症による死亡は、2011年は5,924例(34.0%)、2017年は4,224例(24.6%)と減少した。・大腸菌による菌血症での死亡は、2011年は9,044例、2017年は1万4,016例と増加した。このうち、FQREC菌血症は、2011年は2,045例(22.6%)、2017年は3,915例(27.9%)と増加した。

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アスピリン、日本人の女性糖尿病患者で認知症リスク42%減

 低用量アスピリンに認知症予防効果を期待できるのか? 兵庫医科大学の松本 知沙氏らは、日本人2型糖尿病患者の認知症予防における低用量アスピリンの長期使用の有効性を、JPAD試験の追跡コホート研究により検討した。Diabetes Care誌オンライン版2019年12月4日号掲載の報告より。 JPAD試験は、日本人2型糖尿病患者を対象に、低用量アスピリンによる心血管疾患の一次予防効果を検討した多施設共同の大規模臨床試験。今回の研究では、2002~17年にJPAD試験に登録された2,536例を追跡した。被験者は低用量アスピリン服用群(81~100mg/日)と非服用群に無作為に割り付けられ、主要評価項目は認知症の発症とされた。認知症の発症有無は抗認知症薬の処方と、認知症による入院により定義された。 主な結果は以下のとおり。・追跡期間中央値11.4年の間に、128例が認知症を発症した。・年齢、性別、その他確立されたリスク因子で調整後、低用量アスピリン服用群と非服用群の間で認知症の発症リスクに有意な差はみられなかった(ハザード比[HR]:0.82、95%信頼区間[CI]:0.58~1.16)。・性別ごとにみると、女性では認知症の発症リスクに有意な減少がみられたが(HR:0.58、95%CI:0.36~0.95)、男性では認められなかった(HR:1.27、95%CI:0.75~2.13)(相互作用のp=0.03)。

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遠隔筋肉の虚血を誘導しても、急性心筋梗塞患者の予後は改善しない(解説:佐田政隆氏)-1150

 骨髄に多分化能を有した幹細胞が存在して、骨髄細胞を梗塞心筋に注入すると心機能が改善するという動物実験がこの15年位前に次々と報告された。当初は、骨髄細胞が心筋細胞や内皮細胞に分化すると認識されていたが、現在のところは、注入した細胞がさまざまなサイトカインを分泌して、血管新生を促進したり心機能を改善するという説が主流になっている。いずれにせよ、多施設の臨床研究が次々と施行されたが、残念ながら、骨髄細胞の虚血心筋への移植が臨床経過を改善したという、はっきりとしたエビデンスがないのが現状である。 その後、急性心筋梗塞のモデル動物で、心臓から離れた筋肉に虚血を誘導すると梗塞巣の縮小が図れるといった実験結果がこの10年程前から報告されている。その機序としては、遠隔筋肉の虚血が血管内皮増殖因子(VEGF)などの発現を誘導して、骨髄由来内皮前駆細胞の動員を促進し、血管新生を増強して虚血を改善するというものである。単一施設の臨床研究でも、急性心筋梗塞で緊急カテーテルインターベンションを行う前に、上腕もしくは大腿部に虚血を誘導することで、20~30%の心筋が梗塞を免れたという研究が報告されている。しかし、大規模な多施設研究は行われておらず、本研究が企画された。 欧州33施設で行われたa single-blind randomized controlled trialである。急性心筋梗塞患者に、遠隔虚血を与えるintervention群2,546例、対照群2,569例が解析された。intervention群では、急性期カテーテルインターベンションを施行する前に、遠隔骨格筋に5分のカフによる圧迫虚血と5分の開放が4周期行われた。大変残念ながら、主要評価項目である心臓死、心不全による入院は、両群間で差がなかった。一方、遠隔虚血群に予期せぬ副作用も認められなかった。 このような心筋再生療法では、動物では驚くような良好な結果がみられ、夢のような治療法と期待が持たれたが、臨床試験ではなかなか有効性を示すことができていないのが現状である。今後、使用する細胞や治療方法に改良が加えられて、心筋再生が標準的な治療法に確立されることを期待する。

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