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ヒトが長生きをすると脳に何が起きるのか(解説:岡村毅氏)-1080

 従来のアルツハイマー型認知症の創薬が完全に失敗した今こそ、地道に一歩一歩進むしかない。そこでこのような地味な臨床論文が重要だ。もちろん本論文は神経画像の有力チームからの論文であるが、神経学の専門家以外には地味な論文に見えることだろう。今から、そのすごさを解説してみよう。 まず、今世紀の研究を簡単に振り返り、私たちの立ち位置を眺めてみよう。かつてアルツハイマー型認知症は、死後でなければ診断できなかった。しかし脳内のアミロイドやタウを生体で可視化できるようになったことで、新たな研究が可能になった。そしてADNIという世界的共同研究が、アミロイド→タウ→形態変化→記憶障害(発症)、という病態仮説を証明した。そこで発症「前」から進行するアミロイドの部分(もしこれが現象の「上流」であればここを止めればプロセス全体が止まると考えるのは自然だ)を止めることで進行を止められないかと世界中が色めき立った。しかし残念ながらそれは失敗に終わった。 一方で、実際にアミロイド、タウ、そして画像変化が、実際のヒトの脳でどのように起きているのか、ということは不明なのだ。本研究は、普通の人々の脳内で何が起きているのかという謎に迫る臨床的な論文である。 本研究では、認知症ではない地域住民を対象に、アミロイド:A、タウ:T、そして画像変化:(N) を、あり・なしですべて2値化し、2×2×2の8通りのグループに分けている。たとえばアミロイドが見えるがタウは見られず萎縮もない人はA+T-(N)-となる。ちなみに画像変化については、アルツハイマー型認知症に限らずいろいろな病態で画像変化が起こりうるという理由でカッコがついている。結果であるが、5年程度のフォローアップ時に認知機能がどのように変化しているかを調べ、A+T+(N)+、A+T+(N)-、A+T-(N)+の進行が速いことを見いだした。 いくつか謎が新たに生じた。A+T-(N)-つまりアミロイドはたまっているがそれだけ、というグループは進行は遅い。これはどのように理解すればよいのだろうか? また、A+T-(N)+つまりアミロイドだけがたまっていてタウはまだという段階で、画像変化がすでに生じている群は、予想に反して進行する。他の病態が隠れているのかもしれないと考察されている。 ここで振り返ってみると、アミロイドだけに注目してきたこれまでの研究は精緻さが足りなかったとも思える。この論文は、なんでも単純化しようとする研究マインドではなく、複雑に絡み合った現実と格闘する臨床マインドに由来すると感じる。いずれにせよ、かすかな希望が見えた。

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ポケモンGOによってもたらされた医学的利益とは【Dr. 倉原の“おどろき”医学論文】第143回

ポケモンGOによってもたらされた医学的利益とはぱくたそより使用2016年夏、スマートフォン向けの位置情報を利用した拡張現実ゲーム『Pokemon GO(ポケモンGO)」』がリリースされました。ニュースにもなったのでご存じの方も多いと思いますが、そりゃあもうめっちゃ歩くアプリなので、健康的なメリットもあるんじゃないの?と注目を集めました。紹介するのは、東京大学からの論文です。 Hino K, et al.Step Counts of Middle-Aged and Elderly Adults for 10 Months Before and After the Release of Pokemon GO in Yokohama, Japan.J Med Internet Res. 2019;21:e10724.過去のいくつかの研究では、ゲームのリリース前後の客観的に測定した歩数を比較している報告もありますが、ほとんどが短期間の研究で、なおかつ若者だけを対象にしています。本研究のターゲットは中高年です。横浜市から無料の歩数計をプレゼントされた市民に、ランダムに送付されたアンケートの回答を用いた研究です。非常にシンプルな試験デザインで、ポケモンGOの発売前後で、中高年のプレイヤーと非プレイヤーの歩数に差があるかどうかを検証したものです。40歳以上の合計46人のプレイヤーと184人の非プレイヤーが、性別、年齢層、身体活動レベルでマッチングされ、比較されました。プレイヤーと非プレイヤーの平均年齢はそれぞれ56.5±9.9歳、57.3±9.6歳で、リリース前の平均歩数はそれぞれ7,641.8±2,754.5歩と7,903.3±2,674.7歩でした。5,000歩くらいかと思ったんですけど、結構頑張って皆さん歩いておられるんですね。さて、リリースしてからですが、夏場はさすがに暑くて皆さん歩けなかったのかもしれませんが、冬の時期にはプレイヤーのほうがたくさん歩いていることがわかります(図)。ただ、有意なのは11月、12月、2月の3ヵ月で、それ以外は何とも言えない結果でした。 図. ポケモンGOリリース後の歩数(文献より引用)画像を拡大するポケモンGOはインストールしてから最初の1週間で、1日約1,000歩増える効果があることがトップジャーナルで報告されています1)。ただ、その効果は一時的で、インストール2週目から漸減し、6週目にはインストール前まで戻ってしまうと考えられてきました。ポケモンGOを続けることで、中高年にとってトータルの歩数が増える効果があるのならば、類似のアプリをどんどんリリースし続けてほしいと思います。…そういえば、ポケモンGOってまだ皆さんやっているんですか?1)Howe KB, et al. BMJ. 2016;355:i6270.

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ニボルマブ・イピリムマブによるNSCLC術前治療(NEOSTAR)/ASCO2019

 Stage I〜IIIの切除可能非小細胞肺がん(NSCLC)の50%は再発する。そのような中、免疫チェックポイント阻害薬による術前治療の研究が数多く進行している。ニボルマブ・イピリムマブ併用による術前治療の有効性と安全性を評価する第II相NEOSTAR試験の追跡結果が米国臨床腫瘍学会年次総会(ACO2019)で発表された。・対象:切除可能Stage I~IIIA NSCLC(Single N2)患者・arm A:ニボルマブ3mg/kg+イピリムマブ1mg/kg→ニボルマブ2週ごと3サイクル(NI群)・arm B:ニボルマブ3mg/kg→ニボルマブ2週ごと3サイクル(N群)・評価項目:[主要評価項目]N群とNI群のMPR(Major Pathologic Response、生存しうる腫瘍細胞10%以下)[副次評価項目]毒性、周術期罹患率/死亡率、奏効率(ORR)、無再発生存期間、全生存期間など 主な結果は以下のとおり。・44例が登録され、ニボルマブ単剤(N)群とニボルマブ・イピリムマブ併用(NI)群に無作為に1対1で割り付けられた。・44例中41例(93%)が術前治療を完遂(N群96%、NI群90%)し、39例(89%)が手術を受けた(N群96%、NI群81%)。・ITTグループのMPRはN群17%(4/23例)、NI群33%(7/21例)であった。・手術実施例のMPRはN群19%(4/21例)、NI群44%(7/16例)であった。・ORRはN群22%(5/23例)、NI群19%(14/221例)であった。・頻度の高い治療関連有害事象は、疲労感(N群35%、NI群33%)、ざ瘡様皮疹(N群26%、NI群52%)などであった。

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アテゾリズマブによるNSCLC術前治療(LCMC3)/ASCO2019

 LCMC3試験は非小細胞肺がん(NSCLC)におけるアテゾリズマブ術前治療の第II相試験である。米国臨床腫瘍学会年次総会(ASCO2019)では、有効性の中間解析結果(n=101)が報告された。・対象:StageIB、II、IIIA、および切除可能IIIBのNSCLC・介入:アテゾリズマブ(2サイクル)・主要評価項目:手術時MPR(Major Pathologic Response、生存しうる腫瘍細胞10%以下)・副次評価項目:無病生存期間、全奏効率、全生存期間、バイオマーカー、有害事象 主な結果は以下のとおり。・中間解析における登録患者は101例、年齢中央値は65歳、非扁平上皮65%、Stage IIIA/B 46%(A39%/B7%)であった。・アテゾリズマブ治療2サイクル完遂率は95%(96例)、1サイクル完遂率は5%(5例)であった。・手術実施率は90例(89%)、有効性評価対象は77例(76%)であった。・有効性評価対象におけるMPRは19%(15/77例)、病理学的完全奏効(pCR)は5%(4/77例)であった。・MPRはPD-L1発現との関連はみられなかった。・Grade3~4の有害事象発現は29%(29例)、Grade5の発現は2%(2例)にみられた。

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小児がん、アントラサイクリンの心筋症リスクは?/JAMA Oncol

 アントラサイクリンは、小児がんに対する有効な治療薬の1つであり、ほとんどの小児腫瘍治療グループは、アントラサイクリンの血液毒性と心毒性は同等と考えている。今回、オランダ・アムステルダム大学のElizabeth A. M. Feijen氏らは小児がんサバイバーの大規模コホートのデータを解析し、「ドキソルビシンと比較してダウノルビシンは心筋症リスクが低く、エピルビシンはほぼ同等である」ことを明らかにした。また、現在の造血器ベースでのミトキサントロンのドキソルビシン用量等量比は4 vs.1とされているが、同比では、ミトキサントロンの長期心筋症リスクを有意に過小評価していると考えられる所見も明らかになったという。JAMA Oncology誌オンライン版2019年5月号掲載の報告。 研究グループは、ドキソルビシンと他のアントラサイクリン、またはアントラキノン系のミトキサントロンとの間の遅発性心筋症に関する最適用量等量を決定する検討を行った。 1970~99年にChildhood Cancer Survivor Studyで治療された2万367例、1963~2001年にオランダのChildhood Oncology Group LATER studyで診断された5,741例、および1962~2005年にSt Jude Lifetime studyで治療された2,315例から、5年以上生存した小児がんサバイバーを対象として併合解析を行った。 各薬剤(ドキソルビシン、ダウノルビシン、エピルビシン、イダルビシン、ミトキサントロン)の、累積投与量と胸部放射線照射について医療記録から要約した。主要評価項目は、40歳までの心筋症であった。Cox比例ハザードモデルを用い、胸部放射線療法、がん診断時の年齢、性別およびアントラサイクリンまたはアントラキノンへの曝露を調整した心筋症リスクを評価。また、ドキソルビシンの心筋症に対する各薬剤の等量比を推定し、次いで加重平均によりすべての用量カテゴリーにわたる全体的な薬剤特異的等量比を算出した。 主な結果は以下のとおり。・2万8,423例のサバイバー(女性46.4%、がん診断時年齢中央値6.1歳)のうち、9,330例がドキソルビシン、4,433例がダウノルビシン、342例がエピルビシン、241例がイダルビシン、265例がミトキサントロンを投与された。・がん診断後の追跡期間中央値20.0年で、心筋症399例が確認された。・ドキソルビシンと比較した等量比は、ダウノルビシン0.6(95%CI:0.4~1.0)、エピルビシン0.8(95%CI:0.5~2.8)、ミトキサントロン10.5(95%CI:6.2~19.1)、イダルビシンに関してはイベントがまれで推定できなかった。・線形用量反応関係に基づく比は、ダウノルビシン(0.5、95%CI:0.4~0.7)、エピルビシン(0.8、95%CI:0.3~1.4)で類似していた。

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初期研修医の労働時間、大幅減でもアウトカムに関連せず/BMJ

 米国の卒後医学教育認定評議会(Accreditation Council for Graduate Medical Education:ACGME)は2003年、初期研修医の労働時間を改正した。それまでは週80時間以上、交替勤務の拘束時間は30時間以上が慣習化されていたが、週の労働時間の上限を80時間とし、交替勤務の上限は24時間(患者ケアの引き継ぎ時間は含まない)、当直勤務は3日ごと、28日間に休日4日(平均7日に1日)の義務化が課せられた。この改正の影響について、米国・ハーバード大学医学大学院のAnupam B. Jena氏らが改正前後の入院患者の30日死亡率、30日再入院率および入院費について調べた結果、初期研修期間の労働時間の大幅な削減は、医師訓練の質の低下とは関連していなかったという。BMJ誌2019年7月10日号掲載の報告。入院患者約49万例で、初期研修の労働時間改正前後のアウトカムを比較 研究グループは2000~12年の期間に、入院して一般内科医の治療を受けた65歳以上のメディケア受給者から無作為抽出(20%)した48万5,685例を対象として後ろ向き観察研究を行った。 30日死亡率、30日再入院率、入院患者のメディケア・パートB入院費用について、2003年のACGME労働時間改正後に研修を始めた1年目の内科医(2006年以降に初期研修を修了)が治療した患者と、改正前または初期研修期間の一部が改正後の1年目の内科医(2006年以前に初期研修を修了)が治療した患者とで比較した。また、入院医療の一般的な傾向に関して、この改正に関係しない上級内科医(10年目の内科医)が治療した患者を対照群として評価に加えた。統計解析には差分の差分(difference-in-differences)法を用いた。30日死亡率、30日再入院率、入院費に有意差なし 30日死亡率、30日再入院率および入院費用に関して、初期研修期間の労働時間改正による統計学的に有意な差は認められなかった。 1年目の内科医が治療した患者の30日死亡率は、2000~06年および2007~12年の期間でそれぞれ10.6%(1万2,567/11万8,014例)および9.6%(1万3,521例/14万529例)、10年目の内科医が治療した患者ではそれぞれ11.2%(1万1,018/9万8,811例)および10.6%(1万3,602/12万8,331例)であり、補正後差分の差分効果は-0.1ポイントであった(95%信頼区間[CI]:-0.8~0.6、p=0.68)。 同様に1年目の内科医が治療した患者の30日再入院率は、それぞれ20.4%(2万4,074/11万8,014例)および20.4%(2万8,689/14万529例)、10年目の内科医が治療した患者では、それぞれ20.1%(1万9,840/9万8,811例)および20.5%(2万6,277/12万8,331例)で、補正後差分の差分効果は0.1ポイント(-0.9~1.1、p=0.87)であった。 1年目の内科医が治療した患者のメディケア・パートB入院費用は、それぞれ1,161ドルおよび1,267ドル、10年目の内科医が治療した患者では1,331ドルおよび1,599ドルで、補正後差分の差分効果は-46ドル(95%CI:-94~2、p=0.06)であった。 なお、著者は研究の限界として、解析対象が入院患者のみに限定されていること、2011年のACGMEの再改正後に初期研修を修了した医師のデータが活用できていないこと、外科領域については解析していないことなどを挙げている。

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反復性群発頭痛の予防にgalcanezumabが有効/NEJM

 抗カルシトニン遺伝子関連ペプチド(CGRP)ヒト化モノクローナル抗体galcanezumabは、1回用量300mgを月1回皮下注射することにより、プラセボと比較して初回投与後1~3週における1週間当たりの反復性群発頭痛の頻度を減少させることが示された。英国・キングス・カレッジ・ロンドンのPeter J. Goadsby氏らが、反復性群発頭痛に対するgalcanezumabの安全性と有効性を検証した国際無作為化二重盲検第III相試験の結果を報告した。反復性群発頭痛は、数週間あるいは数ヵ月間毎日生じる頭痛発作を特徴とする日常生活に支障を来す神経疾患で、galcanezumabは群発頭痛を予防する可能性が示唆されていた。結果を踏まえて著者は、「galcanezumabの効果の持続性と安全性を確認するため、より長期で大規模な臨床試験が必要である」とまとめている。NEJM誌2019年7月11日号掲載の報告。投与後1~3週間の群発頭痛の発作頻度を評価 本研究は、欧州および北米の35施設において実施された。対象は、10~15日間のベースライン評価期間中に少なくとも隔日1回以上、計4回以上、および1日当たり8回以内の頭痛発作があり、6週間以上持続する群発頭痛の既往を有する患者であった。 galcanezumab群(1回300mg)またはプラセボ群に1対1の割合で無作為に割り付け、ベースラインおよび1ヵ月時に皮下注射した。 主要評価項目は、初回投与後1~3週間に認めた群発頭痛の発作頻度(回/週)のベースラインからの平均変化であった。副次評価項目は、3週目の群発頭痛の発作頻度(回/週)がベースラインから50%以上減少した患者の割合とし、安全性も評価した。すべての有効性と安全性の解析は、修正intention-to-treat集団で実施された。群発頭痛の発作頻度、galcanezumab群がプラセボ群より平均3.5回/週減少 登録予定症例数は162例であったが、適格基準を満たす被験者が少なかったため、106例(galcanezumab群49例、プラセボ群57例)が無作為に割り付けされた時点で試験は中止となった。 ベースライン評価期間中の1週間当たりの群発頭痛の発作回数(平均±SD)は、galcanezumab群17.8±10.1回、プラセボ群17.3±10.1回であった。 初回投与後1~3週間の群発頭痛は、ベースラインと比較してgalcanezumab群で平均8.7回/週、対するプラセボ群で平均5.2回/週減少した(群間差:3.5回/週、95%信頼区間[CI]:0.2~6.7、p=0.04)。 3週目の群発頭痛の発作頻度(回/週)がベースラインより50%以上減少した患者の割合は、galcanezumab群71%、プラセボ群53%であった。有害事象については、galcanezumab群で8%に注射部位疼痛がみられたことを除いて、両群で重大な差は認められなかった。

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日本人双極性うつ病患者に対するクエチアピン徐放性製剤の長期試験

 日本人双極性うつ病患者に対するクエチアピン徐放性製剤(XR)の有効性および安全性は、8週間のランダム化プラセボ対照二重盲検試験で示された。しかし、双極性障害は継続的な治療が必要とされる慢性疾患である。九州大学の神庭 重信氏らは、クエチアピンXRの長期的な有効性および安全性について検討を行った。BMC Psychiatry誌2019年6月26日号の報告。 8週間のクエチアピンXR二重盲検試験を完了した日本人双極性うつ病患者を対象に、長期的な有効性および安全性を評価するため、52週間のオープンラベル非対照延長試験を行った。有効性の評価には、Montgomery Asbergうつ病評価尺度(MADRS)、17項目のハミルトンうつ病評価尺度(HAM-D17)、臨床的全般改善度-双極性障害重症度(CGI-BP)を用いた。安全性の評価では、有害事象、臨床検査値、バイタルサイン、薬原性錐体外路症状評価尺度(DIEPSS)、ヤング躁病評価尺度(YMRS)、コロンビア自殺重症度評価尺度(C-SSRS)の分析を行った。 主な結果は以下のとおり。・平均MADRS合計スコアは、ベースライン時の30.9(SD 6.9)から8週目で16.1(SD 10.6)、52週目で9.1(SD 8.7)まで低下した。・クエチアピンXR治療の長期的な有効性は、HAM-D17合計スコア、CGI-BPの重症度および変化量において認められた。・最も一般的な有害事象は、傾眠、鼻咽頭炎、口渇であった。・クエチアピンXRによる長期的な治療は、臨床検査値パラメータを含む安全性プロファイルに影響を及ぼさず、新たな安全性の懸念も認められなかった。 著者らは「日本人双極性うつ病患者に対するクエチアピンXRの有効性は、長時間持続し、新たな安全性の懸念も認められなかった」としている。

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欧米と日本における切除可能進行胃がんに対する周術期化学療法の大きな乖離(解説:上村直実氏)-1079

 日本と西欧における胃がんの化学療法に大きな乖離が存在することを示す研究論文である。日本の胃がん治療ガイドラインでは手術可能な進行胃がんに対する周術期化学療法については欧米とまったく異なるレジメンが推奨されている。すなわち、日本における切除可能な進行胃がんに対する周術期化学療法は主に術後補助化学治療として施行されており、その主役はS-1である。手術可能な進行がんを対象として日本で行われたS-1+ドセタキセル併用療法と標準治療とされていたS-1単独を比較したRCT(JACCRO GC-07試験)において、主要評価項目である3年無再発生存(RFS)率は併用療法群が65.9%、S-1単独群が49.5%であり、前者が有意に優れていた。その結果、現在ではS-1+ドセタキセル併用療法が標準的な術後補助化学治療と考えられる。 一方、欧米における標準的周術期化学療法は術前および術後ともに行う方法が一般的であり、さらにS-1は承認されていないために主役どころかレジメンに含まれることはない。ドイツで施行されたFLOT4-AIO試験では、切除可能な局所進行胃・胃食道接合部腺がんの治療において、欧米における標準的周術期化学療法(術前・術後)とされているECF療法(エピルビシン+シスプラチン+フルオロウラシル)とドセタキセルベースの3剤併用レジメン(FLOT群)両群の有効性と安全性をRCTにより検討した結果、FLOTによる術前後の化学療法はECF療法群と比較して、全生存(OS)期間を1年以上延長すること(50ヵ月vs.35ヵ月)が示されたものであり、この結果は欧米においては驚くべき有効な治療選択肢が得られたとの評価を受けている。 以上のように、術前術後化学療法は欧米での標準的治療であるが、日本ではまだ術後の補助化学療法が主体であり、術前療法については手術不能胃がんに対する術前治療で手術可能な状態になるかをアウトカムとする臨床研究が進行中である。

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マックスさんとの別れ【Dr. 中島の 新・徒然草】(281)

二百八十一の段 マックスさんとの別れマックスさん(仮名)はヨーロッパから日本に来た人ですが、母国語だけでなく日本語も英語も無茶苦茶上手。たまに診察に同伴する奥さんは日本人です。マックスさん1人で来院する時は、奥さんの書いたメモを持ってくることがあります。マックスさん「はい、先生。奥さんのメモです」中島「ありがとうございます。あれ?」(メモ:主人は乱暴者で、私や子供に手を上げることはないものの、よく感情的になって大きな声を出します)マックスさん「何て書いてありますか?」中島「マックスさんがいろいろ頑張っていると書いてますよ」マックスさん「そうですか(ニコニコ)」お一人で来院されるときは始終機嫌よく喋っているのですが、奥さんと2人で受診の時はそうはいきません。目の前で夫婦喧嘩が始まるので、こちらもハラハラします。マックスさん「失礼ですけど、日本の人は裏表があります!(怒)」中島「それは大人の対応というか、何というか」奥さん「私に対して言うべきことを日本人全体の話にしないでよ」マックスさん「ちょっといいですか! 私は紅茶を買ってきて、それを一緒に飲みましょうと思って、そう言ったら奥さんが……(以下、終わりの見えない話)」奥さん「What's your point, Max!(何が言いたいのよ、マックス!)」流暢な日本語で、どんどん話が逸れていくのがマックスさんの特徴です。もう何が話の始まりだったのかよくわかりません。奥さんも興奮すると日本語、英語ちゃんぽんになってしまいます。中島「まあまあお二人とも落ち着いて。いつもの薬を処方しておきましょう」奥さん「先生、いつもありがとうございます」マックスさん「この薬は何の薬ですか?」中島「マックスさんが良い人になる薬ですよ」マックスさん「前から私は良い人ですよ、私は!(怒)」中島「ギャグですがな、これは」マックスさん「ちょっといいですか。私はいつも帰ったら子供を風呂に入れて、それで紅茶を淹れてですね……(以下、延々)」軽くヒネると、全くマックスさんには通じません。「この薬、ウチの奴にも飲ませといてエエでっか?」と、大阪のオッチャンやったら返ってくるのですけど。何度も診察に来てもらっているうちに、徐々にマックスさんとの付き合い方もわかってきました。「なるほど、なるほど」と言いながら耳を傾け、余計なツッコミを入れなければ機嫌よく短時間で終わります。そんなある日、マックスさんとの別れが突然やってきました。何と、今日で終診にしたいというのです。マックスさん「先生、長いことお世話になりました」中島「少しでも私がマックスさんのお役に立てたなら、これほどうれしいことはありません」マックスさん「もう私は薬なしでやっていけます」中島「そのようですね」マックスさん「それで、奥さんに手紙を書いてもらえませんか?」中島「メモのようなものでいいですか?」マックスさん「ええ」というわけで書きましたよ、短いメモを。(メモ:マックスさんはかなり良くなったので、薬なしでも大丈夫だと思います。でも、もし調子が悪くなったらいつでも診察するので、遠慮なく来てください。 中島)中島「これでいいですか」マックスさん「あ、ありがとうございます」何だかマックスさんの表情に戸惑いが。中島「えっと、よかったら読み上げましょうか?」マックスさん「そうですね(安堵)」中島「日本語を読むのは難しいですか、マックスさん」マックスさん「ひらがなは読めます。カタカナは『マックス』と書いてあればわかります。漢字はすごく難しいです」中島「なるほど、奥さんの手紙が遠慮ないわけだ」マックスさん「何か言いましたか?」中島「いやいや、こっちの事です」あれだけ流暢に日本語を操るマックスさんにしても、読むのが難しいとは! 考えてみれば、私も子供の頃に「百字練習帳」とかを使って、ひたすら同じ字を書き続けた記憶があります。あの何千もの漢字を覚えるのは、子供の柔らかい頭でなかったら難しかったでしょうね。ともあれ、マックスさん夫婦がうまくいくことを祈るばかりです。最後に1句日本では 漢字もギャグも 勉強だ!

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抗炎症効果が期待できる高齢者に適した食事療法とは?

 血糖値低下や体重減少を目的とした食事療法は数多い。その中で、最近注目を集めているトピックスが「抗炎症」。慢性炎症は生活習慣病などにつながる可能性があり、炎症を引き起こす栄養素を避け、炎症を抑える(抗炎症)作用を持つ栄養素を取る、という考え方だ。 2019年6月に行われた第19回日本抗加齢医学会総会において「抗炎症Diet」と題するシンポジウムが行われ、抗炎症作用を踏まえた食事療法として、山田 悟氏(北里大学北里研究所病院糖尿病センター センター長)が糖質制限食、古家 大祐氏(金沢医科大学医学部 教授)が低タンパク食を、最新の研究結果と共に紹介した。糖質制限の抗炎症作用は検証できる段階にはない 山田氏は、現時点で推奨すべきは糖質制限食という考えを示した。 その理由として、・カロリー制限食は、継続がきわめて困難かつ有効性がない(2型糖尿病発症予防のための介入試験[J-DOIT3]1)において調整後に全死因死亡や主要心血管イベントの発生率を有意に低下させることが実証されたが、介入から3年後には強化治療群・通常治療群ともにBMIが増加していた)。また、フレイルやサルコペニアにつながるリスクがある・タンパク制限食もフレイルやサルコペニアのリスクがあり、とくに筋肉の落ちやすい高齢者には不適という点を挙げた。 糖質制限食は、糖尿病患者の血糖値改善効果の研究ですでに多くのエビデンスがあり、これらの無作為化比較試験をメタ解析した9件の研究においても、血糖(HbA1c)・体重・脂質すべての数値がほかの食事療法より改善した、という結果を紹介した。一方、これらのメタ解析においてLDL-C値は全般的に改善効果が低く、極端な糖質制限はコレステロール値に悪影響を与える可能性があることに注意が必要とした。そして、注目の抗炎症作用については、糖質制限食とCRP値との関連を調べた研究が数件あるものの明確な結果は得られず、期待は持てるもののまだ検証できる段階にはない、と述べた。いわゆる地中海食に腎保護作用と抗加齢につながる可能性 続いて、古家氏が低タンパク食とメタボリックヘルスとの関連を調査した結果を発表した。ショウジョウバエを使ってカロリーと寿命の関係をみた過去の研究2)では、タンパク質制限は、カロリー制限と同等の延命効果が認められた。これを踏まえ、2型糖尿病モデルラットを使い、低タンパク食と腎障害・メタボリックヘルス改善との関連についての調査を実施。24週齢で腎障害が出ているラットを通常食群(タンパク質23.84%、脂質18.80%、炭水化物59.36%、エネルギー3.55kcal/g)と低タンパク食群(タンパク質5.77%、脂質16.48%、炭水化物77.75%、エネルギー3.54kcal/g)に割り付け、20週間の介入後に各数値の変化をみた。 結果として、低タンパク食群は血糖(HbA1c)・脂質が低下し、コレステロール値では有意差はなかったものの低下した。古家氏は「低タンパク食には腎保護効果とメタボリックヘルスの改善に関連が強く、寿命延伸につながる期待がもてる」と述べた。 また、低タンパク食は長期効果を疑問視する声やフレイルやサルコペニアを招くリスクが指摘されていることから、低タンパク食の量とともに「質」についても検討を行った。赤肉を多く取ると末期腎不全・腎死のリスクが高まり、赤肉をほかのタンパク質(鶏肉・魚・卵・豆類など)に換えることでリスクが減ったことから、「赤肉を減らし、魚や植物性タンパク質を多く取る、いわゆる地中海食が腎保護作用と抗加齢につながる可能性がある」とまとめた。■「卵コレステロール」関連記事特売卵のコレステロール量は?/日本動脈硬化学会

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アジア・アフリカの小児重症肺炎、原因はRSVが最多/Lancet

 肺炎は、5歳未満の子供の主要な死因とされる。米国・ジョンズ・ホプキンズ・ブルームバーグ公衆衛生大学院のKatherine L. O'Brien氏ら「Pneumonia Etiology Research for Child Health(PERCH)試験」の研究グループは、アフリカとアジアの子供を対象に、臨床所見と微生物学的所見を適用した最新の分析法を用いて検討を行い、入院を要する肺炎の多くはRSウイルス(RSV)などの少数の病原体群が主な原因であることを明らかにした。研究の成果は、Lancet誌オンライン版2019年6月27日号に掲載された。7ヵ国の5歳未満を対象とする症例対照研究 研究グループは、アフリカとアジアの子供における肺炎の原因の解明を目的に、国際的な症例対照研究を実施した(ビル&メリンダ・ゲイツ財団の助成による)。7ヵ国(バングラデシュ、ガンビア、ケニア、マリ、南アフリカ共和国、タイ、ザンビア)の9施設が参加した。 患者登録は、2011年8月15日~2014年1月30日の期間に、各施設で24ヵ月をかけて行われた。症例は、重症または超重症肺炎で入院した生後1~59ヵ月の子供であった。対照として、各施設の周辺に居住する、年齢をマッチさせた子供を無作為に選択した。 培養法またはマルチプレックスPCR法、あるいはこれら双方を用いて、鼻咽頭および中咽頭(NP-OP)、尿、血液、誘発喀痰、肺吸引物、胸水、胃吸引物の検査が行われた。 主解析の対象は、HIV感染がなく、かつX線画像所見で異常がみられる症例と、HIV感染のない対照に限定された。ベイジアン法による部分潜在クラス分析を用い、症例と対照を合わせた個人および住民レベルの病原体の可能性を推定した。全体ではウイルスが多く、超重症例では細菌が多い、約3割がRSV 症例群4,232例および対照群5,119例が登録された。主解析には、HIV感染がなく、かつX線画像所見で異常がみられる症例1,769例(41.8%、女児44.0%)と、HIV感染のない対照5,102例(99.7%、49.7%)が含まれた。 喘鳴は、症例群の31.7%(555/1,752例)(施設別の範囲10.6~97.3%)に認められた。30日致命率(case-fatality ratio)は6.4%(114/1,769例)だった。 血液培養陽性率は3.2%(56/1,749例)であり、分離された細菌のうち最も頻度が高かったのは肺炎球菌(Streptococcus pneumoniae、33.9%[19/56例])であった。 NP-OP検体のPCR検査では、ほとんどの症例(98.9%)および対照(98.0%)で、1種以上の病原体が検出された。NP-OP検体におけるRSウイルス(respiratory syncytial virus:RSV)、パラインフルエンザウイルス(parainfluenza virus)、ヒトメタニューモウイルス(human metapneumovirus)、インフルエンザウイルス(influenza virus)、肺炎球菌(S. pneumoniae)、ヘモフィルス・インフルエンザ菌b型(Haemophilus influenzae type b:Hib)、H.インフルエンザ菌非b型(H. influenzae non-type b)、ニューモシスチス・イロベチイ(Pneumocystis jirovecii)の検出は、症例の病態と関連した。 病原体分析では、原因の61.4%(95%信用区間[CrI]:57.3~65.6)がウイルスであったのに対し、細菌は27.3%(23.3~31.6)で、結核菌が5.9%(3.9~8.3)であった。一方、超重症肺炎では、重症肺炎に比べウイルスが少なく(54.5%、95%CrI:47.4~61.5 vs.68.0%、62.7~72.7)、細菌が多かった(33.7%、27.2~40.8 vs.22.8%、18.3~27.6)。 全病原体のうち、最も病因割合(aetiological fraction)が高かったのはRSV(31.1%、95%CrI:28.4~34.2)であった。また、ヒトライノウイルス、ヒトメタニューモウイルスA/B、ヒトパラインフルエンザウイルス、肺炎球菌、結核菌、H.インフルエンザ菌は、病因分布が5%以上であった。 年齢によって病因割合に差がみられた病原体として、百日咳菌(Bordetella pertussis)、パラインフルエンザ1/3型、パレコウイルスおよびエンテロウイルス(parechovirus-enterovirus)、P.イロベチイ、RSV、ライノウイルス、黄色ブドウ球菌(Staphylococcus aureus)、肺炎球菌があり、重症度に差がみられた病原体として、RSV、黄色ブドウ球菌、肺炎球菌、パラインフルエンザ3型が挙げられた。各施設の上位10種の病原体が、施設の病因割合の79%以上を占めた。 著者は、「今後の肺炎研究では、複数の病原体の関与と、肺炎の発症におけるそれらの一連の役割という困難な問題への取り組みが必要である」としている。

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治験の非特定化被験者データ、共有基準を満たした大手企業は25%/BMJ

 米国・イェール大学のJennifer Miller氏らは、臨床試験の非特定化された被験者レベルデータについて、その共有の実態を調べると同時に改善するためのランキングツールを開発した。同ツールを用いたところ、大手製薬企業においてデータ共有評価基準を完全に満たしていたのは25%であったという。同値はランキングツール使用後に33%まで改善したことや、その他の試験の透明性については高得点であったこと、また一部の会社については透明性やデータの共有について、改善にはほど遠い結果が示されたことなども報告した。BMJ誌2019年7月10日号掲載の報告。10のガイドラインを基に評価基準を作成 Miller氏らは、2015年に米国食品医薬品局(FDA)で新規薬物の承認を受けた大手製薬企業を対象に、各社の非特定化された被験者レベルデータ共有に関する状況を調査した。 ClinicalTrials.gov、Drugs@FDA(FDA承認薬データベース)、企業ウェブサイト、データ共有のためのプラットフォームおよびレジストリ(Yale Open Data Access[YODA]プロジェクトやClinical Study Data Request[CSDR]など)、製薬企業への聞き取り調査を基に、データ共有法や方針について評価した。データシェアリングの評価基準としては、患者や企業、研究者や規制当局なども加わり作成された、データ共有に関する主な10のガイドラインを基に行った。 主要評価項目は、企業レベルでの多項目評価で、臨床試験の患者レベルデータ(分析準備ができているデータセットやメタデータなど)の入手のしやすさ、各薬物・治験レベルの登録と結果報告およびパブリケーション、企業レベルの全般的透明性のランキング、企業のデータ共有に関する方針や実態を改善するための評価・ランキングツールの実用性だった。評価のフィードバックで3社が改善 大手製薬企業のうちデータ共有評価基準を完全に満たしていたのは、全体の25%だった。企業のデータ共有に関するスコアの中央値は、63%(四分位範囲:58~85%)だった。 評価結果を対象企業にフィードバックしたところ、3社が改善し、同基準を完全に順守する企業の割合は33%に、全体のスコア中央値は80%(同:73~100%)にそれぞれ上昇した。 当初、データ共有評価基準を満たさなかった理由で最も多かったのは、共有データの期日までの提出不履行(75%)と、データ数とアウトカムの未報告であった。 新規医薬品において、患者登録率は中央値100%(四分位範囲:91~100%)、結果の報告率は同65%(36~96%)で、雑誌などで発表された割合は同45%(30~84%)だった。一方で医薬品ごとにみると、新薬承認申請のための臨床治験データが承認後6ヵ月以内に公に入手可能だった割合は半数に満たなかった(42%)。 Miller氏らは、開発した評価・ランキングツールは、大手製薬企業のデータ共有方針と実態が評価可能であり、企業の実態改善に影響力をもつものだと述べている。

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COPD増悪時のCRP検査、抗菌薬使用率を3割減/NEJM

 COPDの急性増悪でプライマリケア医の診察時に、C反応性蛋白(CRP)のポイントオブケア(臨床現場即時)検査を行い、その結果に基づく処方を行うことで、患者報告に基づく抗菌薬の使用率と医師から受け取る抗菌薬の処方率がいずれも低下することが示された。有害性は伴わなかった。英国・オックスフォード大学のChristopher C. Butler氏らが、653例の患者を対象に行った多施設共同非盲検無作為化比較試験の結果で、NEJM誌2019年7月11日号で発表された。CRPポイントオブケア検査の結果に沿って治療 研究グループは、プライマリケア診療録にCOPDとの診断記録があり、COPD急性増悪によりイングランドおよびウェールズの一般診療所86ヵ所のうちいずれか1ヵ所を受診した653例を対象に試験を行った。 被験者は無作為に2群に分けられ、一方の群ではCRPポイントオブケア検査に基づく通常治療が行われた(CRPガイド群)。もう一方の群は同検査なしで通常のケアのみが行われた(通常ケア群)。 主要評価項目は、無作為化後4週間以内のCOPD急性増悪に対する患者報告による抗菌薬の使用(優越性を示すための評価)と、無作為化後2週時点でのCOPD関連の健康状態(非劣性を示すための評価)とした。健康状態については、10項目からなる臨床COPD質問票(CCQ、スコア範囲:0[COPD健康状態が非常に良好]~6[COPD健康状態が極めて不良])で評価した。医師による抗菌薬投与率も約3割減少 抗菌薬を使用したと報告した患者は、通常ケア群(77.4%)よりもCRPガイド群(57.0%)のほうが少なかった(補正後オッズ比[OR]:0.31、95%信頼区間[CI]:0.20~0.47)。 2週時点のCCQ合計点の補正後平均差は、-0.19点(両側90%CI:-0.33~-0.05)で、CRPガイド群がより良好であることが示された。 初診時の臨床医による抗菌薬処方の決定は1例を除く全例で確認され、追跡当初4週間に抗菌薬の処方箋が交付された患者は96.9%であった。 初診時に抗菌薬を処方された患者の割合は、通常ケア群(69.7%)よりもCRPガイド群(47.7%)で低率だった(群間差:22.0ポイント、補正後OR:0.31、95%CI:0.21~0.45)。追跡4週間に抗菌薬を処方された人の割合も、通常ケア群(79.7%)よりもCRPガイド群(59.1%)で低率だった(20.6ポイント、0.30、0.20~0.46)。 なお、無作為化後4週間以内に通常ケア群で2例の死亡が報告されたが、研究者によって死因は試験とは無関係であるとみなされた。

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非定型抗精神病薬治療に対する精神科医と精神科薬剤師の考え方

 統合失調症や双極性障害の治療選択は、その治療効果の不均一性により複雑化する。米国・イリノイ大学のDaniel R. Touchette氏らは、統合失調症および双極性障害への非定型抗精神病薬の治療選択に、臨床家の考え方や健康システム/保険政策がどのように影響するか検討を行った。Journal of Pharmacy Practice誌オンライン版2019年6月25日号の報告。 American College of Clinical Pharmacy(ACCP)およびCollege of Psychiatric & Neurologic Pharmacists(CPNP)のメンバーを対象に横断的調査を実施した。非定型抗精神病薬の有効性および安全性、薬剤選択に対する併存疾患の影響、非定型抗精神病薬の治療選択に影響を及ぼす因子に関する考え方を評価した。非定型抗精神病薬を選択する際に有効性と安全性は同程度に重要視 非定型抗精神病薬の治療選択への影響を検討した主な結果は以下のとおり。・対象は、精神科薬剤師24人および精神科医18人。・平均年齢は39.6歳、女性の割合は57.1%であった。・薬物療法の有効性と安全性を同程度に重要視していた臨床家は64.3%、安全性をより重要視していた臨床家は26.2%、有効性をより重要視していた臨床家は9.4%であった。・統合失調症における最も重要な薬剤特性は、陽性症状の軽減(92.7%)、入院の減少(87.8%)であった。・双極性障害における最も重要な薬剤特性は、躁病エピソードの軽減(87.8%)、再発の減少(53.7%)、入院の減少(53.7%)であった。・最も注意すべき懸念点は、無顆粒球症(78.1%)、不整脈(70.7%)、錐体外路系副作用(68.3%)であった。・処方制限は、抗精神病薬の選択(80.5%)、服薬アドヒアランス(55.0%)、治療結果(53.4%)に影響を及ぼすと考えられていた。 著者らは「非定型抗精神病薬を選択する際に、有効性と安全性は同程度に重要視されていた。処方制限は、治療選択や治療結果に影響を及ぼすと考えられている」としている。

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アスピリン前投与で免疫学的便潜血検査法の精度は向上しない (解説:上村直実氏)-1078

 本邦では、胃がんが減少する反面、大腸がん死亡者数が増加し、がん死亡順位で女性1位、男性3位となり、大腸がんに対する対策として、免疫学的便潜血検査(FIT)を用いた公的な検診の受診率を上げる方策が模索されている。一方、米国では『10年に1回の全大腸内視鏡検査(TCF)もしくは毎年のFITを行うことを推奨する』とされている。すなわち、微小ポリープが進行大腸がんになるためには10年必要との仮説を基に、大腸がんの検出に最も精度が高いTCFを10年に1回行うか、簡便で死亡率減少効果が示されているFITを毎年行うかのどちらかで大腸がんによる死亡を防ぐ方針である。毎年1回のFITは簡便で良い方法であるが、前がん病変の検出感度や病変的中率が高くないため、欧米では感度および的中率を上げる種々の工夫が報告されている。 今回は、ドイツにおいて、検査前に抗血栓薬であるアスピリンの服用がFITの感度を上げる方法として有用であるかどうかを検証する多施設共同無作為比較試験(RCT)が施行された。その報告では、便提出2日前にアスピリンを経口投与しても前がん病変の検出感度は有意に上昇しないことが示されている。この結果は、FITは進行した大腸がんの検出精度は高いが、日本では粘膜内がんとされている『advanced neoplasms』ないしは『前がん病変』の検出感度を改善しないとされた従来の観察研究の結果と一致するものであった。このような欧米からの報告を考慮すると、FITの検出精度を上げるための抗血栓薬の使用は不要であると結論してもよいと思われる。 大腸がん死亡を防ぐための大腸内視鏡検査による検診とFIT検診の比較に関しては、スペインにおいて一度のTCFを受ける群と2年ごとのFITを行う群の両群に分けて大腸がんによる10年死亡率を比較するRCT(Quintero E, et al. N Engl J Med. 2012;366:697-706.)が現在進行中であり、日本でも話題になっている大腸がん死亡の予防に必要な内視鏡検査の間隔に関しても、この研究結果報告が待望されている。

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時間とは何か? 風呂場で生存時間解析だ!【Dr.中川の「論文・見聞・いい気分」】第13回

第13回 時間とは何か? 風呂場で生存時間解析だ!今日も論文片手に入浴です。浴槽に持ち込んだのはREAL-CAD試験(Circulation.137: 1997-2009, 2018)。安定冠動脈疾患の患者への、ストロング・スタチンの高用量投与は低用量投与に比べ心血管イベントを抑制することを示した試験です。日本人でも厳格なLDLコレステロール管理が有用であることを示した、画期的な臨床研究です。ここで注目したいのが解析法です。心血管イベントの発生率は「カプランマイヤー法」で、イベント抑制効果については「Cox比例ハザードモデル」を用いて解析しています。臨床研究で頻用される定番の解析パターンといえるでしょう。イベントはいっせいに起こるのではなく、時間経過の中で徐々に発生します。この2つは共に時間的な要素を考慮して解析する方法で、生存時間解析に分類されます。単変量解析の「カプランマイヤー法」が生存時間を解析するための要因として1変数しか利用できないのに対して、「Cox比例ハザードモデル」は複数の要因を評価することができます。これらの生存時間解析では、時間は等質なものとして扱われます。30代の人の1年も、80代の人の1年も同じ1年として解析されます。しかし、それは現実的でしょうか? 自分に当てはめてみても、高校生時代の1年と、50代に突入した現在の1年の密度は明らかに異なります。同じ1年とは思えません。時間とは何か? 難問です。好地由太郎という明治時代の人物の話をご存じでしょうか? 奉公先の女主人を殺害して放火し、死刑囚となり、牢獄の中でも牢名主として他の犯罪者達に恐れられた、札付きの極悪人です。服役中に、クリスチャンの青年が冤罪で投獄されてきました。冤罪というよりも単純な手続きミスで連行・投獄されたそうです。牢名主は、この新参者を袋叩きに締め上げたのですが、青年は屈することなく逆に「聖書を読みなさい」と勧め続けたのです。この出来事から、彼は聖書を読みたいと思うようになりました。文字が読めなかった彼は、字を勉強するところから始め、新約聖書を完全に暗記するまでに読み込んだのです。後に減刑され、釈放後にキリスト教の伝道者として多くの人々に教えを授けました。高級食器のノリタケや衛生陶器のTOTOの創業者である森村市左衛門は、彼の説教を聞いて感銘を受け洗礼を受けたそうです。この死刑囚を伝道者に変身させた青年が好地由太郎に会っていた時間は、わずか20分間ほどとのことです。時間の長さは本当に不思議です。何十年という時間を無駄に過ごす人生もあるでしょう。一方でこの逸話のように、人生に大きな影響を与える濃密な20分間もあります。どの時間も同じスピードで流れているのか不思議な気持ちを抱きます。小生は医学生に講義や実習などで話す機会も多いのですが、短い時間でも密度の高い内容にしなければと思います。優等生ぶった内容を書いて気恥ずかしいですが、こんなことを考えながらの入浴タイムは真に豊かで贅沢な時間ですね。ありがたや。

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