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ゲノム医療時代、医師はどう学ぶべきか【Doctors' Picksインタビュー】第5回

国立がん研究センター東病院で消化器がんの専門医としてキャリアを積んだ高橋 秀明氏。キャリアの初期にゲノム医療に関わったことをきっかけに、がん領域における横断的アプローチや情報収集の有用性に気付いた、という氏に、その独自の視点の持ち方と日々の学びについて聞いた。私は昔から「変わっている」と言われることが多くて。変わり者が多い医師の世界ですが、その中にあっても「医師らしくない」と言われることがよくあります。自分ではあまりわからないのですが、「わからないことがあれば、すぐ人に聞く」「知らないことを恥ずかしがらない」というあたりが大きいようです。今年の5月から医師向けの情報サイトDoctors’Picksで記事を選定する役割である「Expert Picker」の任を受け、毎日気になった記事を皆さんにシェアしています。私はFacebookやTwitterでの情報発信はやっていないので、ネットでの情報発信はこの活動だけですね。選ぶ記事の種類は自分の専門である消化器がん(肝胆膵がん)の話題が中心ですが、ほかのがんや医療一般の記事や論文も、面白いものがあればどんどんアップしています。医師の仕事は専門性が高く、私はしかも国立がん研究センターという、ことに専門性を求められる職場で働いています。そんな環境にあって、ほかの領域にも関心を持つようになったきっかけは、私のこれまでのキャリアにあるのかもしれません。ゲノム医療で他科への目が開かれたがん研究センターは、2012年からがんゲノム医療への取り組みを始めました。当時、私はその担当になっていました。入職して日の浅い若手でしたから、完全に実働部隊となり、多くのことを勉強させてもらいました。当時は、「がんの部位を横断した治療」という発想は現実的なものではありませんでした。そもそもの遺伝子検査が、臨床で使えるものとしては、肺がんや大腸がんで一つひとつの遺伝子を調べているくらいで、ほかのがんでは遺伝子検査の結果を治療選択に役立てることができていませんでした。一方、海外では50以上の遺伝子変異を同時に調べる検査が一般化しはじめており、「これを日本でもできるようにしないと」という強い思いを持つ先生の旗振りの下、院内のチームで取り組みを進めてきたのです。とはいえ、当時の状況からすれば、本当に小さな生検検体から複数の遺伝子異常を調べられるのか、検査室や病理部などの対応は可能なのか、誰がどのように評価して担当医に結果を返すのか、まさに手探りでした。現在、リキッドバイオプシーの時代が訪れようとしていることを考えると、この10年の間にがん臨床は大きな変貌を遂げた、という思いを新たにしています。ゲノム医療は、まさに「ほかの領域のがんに効いた薬が、自分の領域のがんにも効くかもしれない」という可能性を追究する分野です。もちろん、「何でもいい」というわけではなく、遺伝子異常のタイプ、種類、ほかのがん種と同じことが言えるのか、という点を常に考察しながらの医療になります。がんゲノム医療は2019年から保険適用となり、一気に広がりつつあります。そしてさらに前述のリキッドバイオプシーを含めて医療環境は劇的に変貌を遂げると想像されます。がん治療に関わる医師としては、常に最新の情報に目を光らせねばならない時代になった、と言えるでしょう。横串×専門=「がん」という疾病の特殊性一方で、「がん」という分野の特殊性は、言って言い過ぎることはないでしょう。もともとは臓器別で手術を中心とした研究・治療をしてきたものが、1990年代後半から有効な抗がん剤が多数出現し、同時に内視鏡を使った低侵襲手術、粒子線など放射線治療の局所療法も進歩しました。現在はゲノム検査を筆頭とした個別化によってそれらを組み合わせ、最大の治療効果を出すことが大きなテーマとなっています。米国で先行していた動きに追いつこうと、日本でも2000年代から「腫瘍内科」が生まれ、薬物療法を専門とする内科医が誕生しました。こうした複雑化・高度化した治療に対し、臓器別に横串を刺したうえで、がんという共通テーマで専門的な研究・臨床を行う。こうしたスタイルはほかの疾病にはない、独特なアプローチです。がん薬物療法専門医、がん治療認定医などの腫瘍内科の専門医はがん全般を勉強しているため、この知識が議論の土台となります。このような歴史と状況を踏まえ、「ほかの部位のがんについても学ばなければ」という機運が高まっている、と感じます。それは、あるがんの薬や療法が別のがんにも応用できることが実証されてきたためです。「肺がんで効いたあの薬が使えるのでは」「乳がんでやっているあの組み合わせが応用できるのでは」といった具合に、他領域における新しい薬や治療法の情報が非常に参考になります。いきなり臨床の場で使えなかったとしても、勉強会や論文のネタになりますし、そこから何かが生まれるかもしれません。このように、がん領域は、専門以外の部分も聞きかじっておくと役立つことが随分とあるのです。各分野の専門情報サイトはありますが、「肺がんの専門医だが、別領域のがんについてちょっと知っておきたい」というときに情報収集・交換ができる場があると助かります。Doctors’Picksではそのような視点から記事を選んでいます。加えて、がん治療の精度が上がるにつれ、再発や転移、働きながらの治療や患者の高齢化など、これまでは周辺的な位置付けだった問題の比重も大きくなっています。ここでも部位を横串にした知識や経験が役立つはずです。他科の医師を肌感覚で理解する普段から他科の医師とコミュニケーションをとっておくことは、直接的な情報収集以外にもメリットがあります。同じがん専門医でも、部位によって治療の選択肢やその困難度は大きく異なります。私が専門とする膵臓がんは、早期発見が困難かつ治療の選択肢が少ない、難しいがんです。そうなると、たとえば「2~3割の患者さんに効果がある治療法」があった場合に、私たち膵がんの医師は「おお、それは期待できる治療法だ」と反応します。一方、効果が見込める治療の選択肢が多い肺がんや乳がんの専門医の場合であれば、「2~3割? ふーん、あんまりたいしたことがないね」という反応になる。こうした肌感覚の差異を知っておくことは重要です。例を挙げましょう。がん遺伝子パネル検査を行う際には「エキスパートパネル」という専門家チームを設置して、解析結果を読み解き、具体的な治療方針を決定し、主治医とコミュニケーションを図る必要があります。こうした活動の際にも、専門ごとの感覚の違いを知ったうえでコミュニケーションをとることが非常に重要だと感じます。今後は、さらに他院の医師やコメディカル、ゲノムを専門とする検査薬メーカーやその他スペシャリストとチームを組んで動く場面も増えることでしょう。ゲノムに少しでも関わるならば、他科の動きを勉強しておくことは避けて通れない、と感じます。加えて、私は膵臓がんという難しいがんが専門なので、脳腫瘍や小児がんなど、がんの中でも治療が困難な希少がんを専門とする医師にシンパシーを抱いています。いずれも患者数は少なく、診療情報は貴重で、病状が重篤になりやすい。「きっと、あちらの先生も苦労されているはず。そうした方にも情報が届けばいいな」と思って情報を発信しています。専門外の医師の方も、メジャーながんの情報は日々届くでしょうが、希少がんの情報は手に入りにくいですから、積極的に情報を発信していくことで「ああ、今はそんなに治療が進んでいるんだ。それなら患者を紹介してみようかな」と思ってもらえるとありがたいですね。肺がんが、がん領域を引っ張る日々目を通しているがん関連の論文・記事の中でも、飛び抜けてトピックスが多く、更新頻度も高いのが「肺がん」の分野です。新薬が続々と開発され、臨床に結び付く研究が非常に多い。肺がんが、最近のがんの世界をリードしていると感じます。私の専門である消化器、肝胆膵がんの分野ではなかなかこうはいきません。最近では、肝内胆管がんで、IDH1遺伝子バイオマーカーになりそう、進行膀胱がんと同様にFGFR阻害薬が有効かもしれない、というトピックスがありましたが、やはり腫瘍の特性によるところは大きく、肺がんのトピックスの豊富さには到底かないません。ドラスティックに動く肺がん治療の世界を追いつつ、消化器の分野に応用させられないか、日々動向を追っています。学び続けるために必要な力最近はとくに発表される論文数が膨大になり、ジャーナルも追いきれないほど多数あります。専門だからといってそのすべてを読んでいては、いくら時間があっても足りません。私が情報収集のために一番使っているのはTwitterです。フォローしているのは海外の研究者や関心のある領域の医師。数は70人程度にとどめる代わり、彼らが発信する情報や推薦する論文は欠かさずチェックしています。あとはジャーナルや医学メディアから来るメールを流し読みして、気になったものを読んでいます。最初の段階で、いかに自分にとって価値ある情報だけに接触するか。そのためには他者の視点が欠かせませんし、それを取り入れるためのフィルターも必要。そうした今の時代に合った情報収集力が大切だと感じます。情報は山のようにある時代ですから、それをどうひも付け、自分の中に蓄積していくか、という学び手の編集力も大切です。関連したサイトを集積できたり、用語に自動的に解説が付いたり、医学情報サイトも、そうしたユーザー自らが編集できるような機能を充実させてくれるとうれしいですね。そして、冒頭でもお話ししましたが、わからないことはどんどん他人に聞けばいい。「あいつ、こんなことも知らないのか」と思われるかもしれませんが、別にいいじゃないですか。多くの双方向ツールのある素晴らしい時代なのですから、専門外のことは自分で調べるよりも聞いちゃえばいい、と思います。いわゆる質問力ですね。その代わり、私も自分の専門についての質問には、できる限り答えていきたいと思っています。このインタビューに登場する医師は医師専用のニュース・SNSサイトDoctors’ PicksのExpertPickerです。Doctors’ Picksとは?著名医師が目利きした医療ニュースをチェックできる自分が薦めたい記事をPICK&コメントできる今すぐこの先生のPICKした記事をチェック!私のPICKした記事ビワの種子を使用した健康茶等に、「がんに効果がある」成分は含まれていません!さまざまな記事をご紹介していますが、一番反応があるのはどの科にも共通する話題。疼痛緩和のサプリや禁煙指導、健康食品などのトピックスは反応が良いですね。この記事は、日本医師会が声明で「ビワの種に抗がん作用はない。実は毒性もある」と発信した、というもの。こうした注意喚起のシェアも重要だと思います。今後も、ジェネラルな話題と専門的な話題のバランスをとりながら発信していきたいと思います。

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間質性肺炎合併NSCLCに対するカルボプラチン+nabパクリタキセルの成績

 間質性肺疾患(ILD)を合併する非小細胞肺がん(NSCLC)の予後は不良であり、また、肺がん治療によりILD悪化のリスクが高まる。とくに、化学療法を受けた患者の5~20%でILDが増悪するとされる。静岡県立静岡がんセンターの釼持 広知氏らは、間質性肺炎を合併したNSCLC患者に対するカルボプラチン+nabパクリタキセルの効果と安全性を評価する多施設第II相試験を実施、その結果が発表された。Cancer Science誌オンライン版2019年10月13日号掲載の報告。カルボプラチン+nabパクリタキセルで間質性肺炎の無増悪の割合95.7%・対象:軽度~中等度のILDを合併した進行NSCLC患者・介入:カルボプラチン(AUC6 day1)+nabパクリタキセル(100mg/m2 day1、8、15)3週ごと4サイクル(最大6サイクル)・評価項目:[主要評価項目]プロトコール治療28日後のILD無増悪の割合[副次評価項目]奏効率(RR)、無増悪生存期間(PFS)、全生存期間(OS)、ILD増悪の割合、毒性 間質性肺炎を合併したNSCLC患者に対するカルボプラチン+nabパクリタキセルの効果と安全性を評価した主な結果は以下のとおり。・間質性肺炎を合併したNSCLC患者94例が登録され、92例がプロトコール治療を受けた。・間質性肺炎を合併したNSCLC患者の年齢中央値は70歳、非扁平上皮がんが58%を占めた。・カルボプラチン+nabパクリタキセルのプロトコール治療28日後の間質性肺炎の無増悪の割合は95.7%(92例中88例)であった。・RRは51%(95%信頼区間:40~62)であった。・PFS中央値は6.2ヵ月、OS中央値は15.4ヵ月であった。・頻度の高いGrade3/4の有害事象は好中球減少75%、白血球減少53%、血小板減少20%で、治療関連死は2例であった。

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ポリフェノールは死亡率も下げるか~高山スタディ

 日本人はコーヒーや緑茶から多くポリフェノールを摂取している。ポリフェノール摂取による健康ベネフィットは疫学研究で示されているが、日本人における死亡率との関連は報告されていない。今回、お茶の水女子大学の田口 千恵氏らが高山コホート研究で調査したところ、食事によるポリフェノール総摂取量が全死亡率、心血管疾患および消化器疾患による死亡率と逆相関することが示された。European Journal of Nutrition誌オンライン版2019年11月15日号に掲載。 本研究の対象は高山市の住民2万9,079人。食事摂取量は、1992年に半定量的食物摂取頻度調査票(Food Frequency Questionnaire:FFQ)を用いて評価し、その後16年間における死亡率を調べた。食事によるポリフェノール摂取量は、食物摂取データを独自のポリフェノール含有データベースと照合し計算した。 主な結果は以下のとおり。・追跡期間中に合計5,339人が死亡した。・多変量調整後、ポリフェノール総摂取量の最高四分位群を最低四分位群と比較すると、全死亡率が有意に低かった(ハザード比:0.93、95%信頼区間:0.82~0.99、傾向のp=0.003)。・ポリフェノール総摂取量の最高四分位群は、最低四分位群に比べ心血管疾患による死亡率が有意に低く、なかでも脳卒中死亡率で強い逆相関が認められた。ほかの原因、とくに消化器疾患による死亡率でも逆相関が認められた。・一方、ポリフェノール総摂取量とがん死亡リスクに有意な関連はみられなかった。

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急増する電子タバコ関連肺損傷の臨床像が明らかに/Lancet

 電子タバコまたはベイピング関連肺損傷(lung injury associated with e-cigarettes or vaping:EVALI)は、重度の肺損傷や、全身および消化器症状と関連する新たな疾患であり、重症度は多岐にわたること、多くが抗菌薬やステロイドで治療されているが、臨床的に改善しても異常が残存する患者が多いことが、多施設共同前向き観察コホート研究で示された。米国・Intermountain HealthcareのDenitza P. Blagev氏らが報告した。米国では2019年3月からEVALIの発生が急増し現在も報告が相次いでいるが、本疾患の原因、診断、治療および経過は明らかになっていなかった。著者は、「EVALIの臨床診断は、感染症や他の肺疾患とオーバーラップしているままで、原因、適切な治療および長期的アウトカムを理解するには本疾患を疑う高度な指標が必要である」と述べている。Lancet誌オンライン版2019年11月8日号掲載の報告。米国ユタ州の総合医療システムで、前向き観察研究を実施 研究グループは2019年6月27日~10月4日の期間で、米国ユタ州の総合医療システムIntermountain Healthcareにおいて確認されたEVALI患者全例のデータを収集した。 中央管理組織としてソルトレークシティーに拠点を置くTeleCritical Careに肺疾患専門医および救命救急医からなる委員会を設け、症例の検証と分析を行った。また、カルテの再評価とユタ州保健局が実施した患者面接から、患者の症状、治療および退院後2週間のデータを抽出し、短期追跡結果をまとめた。電子タバコ関連肺損傷では、呼吸器症状のみならず消化器症状も顕著 Intermountain Healthcareの13施設において確認されたEVALI患者は60例であった。 60例中、33例(55%)が集中治療室(ICU)に入室し、53例(88%)が全身症状、59例(98%)が呼吸器症状、54例(90%)が消化器症状を呈していた。 57例(95%)にステロイドが投与され、54例(90%)はオーバーラップした症状と診断の不確実性のために抗菌薬が投与されていた。 6例(10%)は、2週間以内にICUまたは病院に再入院となった。そのうち3例(50%)は電子タバコまたはベイピングを再開していた。 退院後2週間の追跡調査を行った26例において、全例で臨床症状が改善しX線検査でも急性所見の改善は認められたが、症例の多くが、X線検査(15例中10例、67%)および肺機能検査(9例中6例、67%)で異常の残存が確認された。 死亡は2例であった。2例ともEVALIが死因ではなかったが寄与因子と考えられた。 なお、TeleCritical Careの委員会は今回の調査結果を基に、EVALIの診断と治療のガイドライン案を作成し公表もしている。

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三尖弁逆流へのTriClipの有用性/Lancet

 三尖弁逆流を軽減する低侵襲の経カテーテル三尖弁修復システム(TriClip)は、その重症度を少なくとも1段階軽減するのに安全かつ有効であることが示唆され、その軽減の程度は、術後6ヵ月時点での有意な臨床的改善に相当する可能性があるという。ドイツ・University Hospital BonnのGeorg Nickenig氏らが、欧州および米国の21施設で実施した多施設共同前向き単群臨床試験「TRILUMINATE試験」の結果を報告した。三尖弁逆流症は、合併率および死亡率の高さと関連する広く一般的にみられる疾患だが、治療の選択肢はほとんどないとされている。Lancet誌オンライン版2019年11月7日号掲載の報告。三尖弁逆流の重症度を5段階に分類し有効性を評価 TRILUMINATE試験の対象は、NYHA心機能分類II以上で、適切な標準治療を受けた中等度以上の三尖弁逆流を有する患者で、TriClip三尖弁修復システムによるedge-to-edge法を用いて治療を受けた。収縮期肺動脈圧60mmHg以上、三尖弁処置歴を有する患者、およびTriClip留置を妨げる可能性がある心血管電子機器が植え込まれている患者は除外した。三尖弁逆流の重症度は、標準的な米国心エコー図学会(ASE)の分類を拡張した5段階(mild、moderate、severe、massive、torrential)で分類した。 有効性の主要評価項目は、三尖弁逆流重症度が術後30日時点で1段階以上改善した患者の割合で、達成目標は35%とした。有効性の解析対象は、大腿静脈穿刺による三尖弁修復術を試みた全患者であった。 安全性の主要評価項目は、6ヵ月時点における主要有害事象で、発現率は39%未満とした(複合エンドポイント)。なお、追跡調査期間が6ヵ月を満たさず、かつ追跡中に主要有害事象が発現しなかった患者は、安全性解析対象から除外した。 本試験の登録は完了し、現在、追跡調査が進行中である。術後30日時点で1段階以上改善した患者の割合は86% 2017年8月1日~2018年11月29日に85例(平均[±SD]年齢77.8±7.9歳、女性56例[66%])が登録され、成功裏にTriClip留置を受けた。 心エコーのデータおよび画像が利用可能であった83例において、三尖弁逆流の重症度が術後30日時点で1段階以上改善した患者は71例、86%であった。片側97.5%信頼区間の下限値は76%であり、事前に定義した達成目標の35%を上回った(p<0.0001)。 安全性解析対象は84例で、6ヵ月時点において主要有害事象が認められた患者は3例(4%)であり、事前に定義した39%未満を満たした(p<0.0001)。一弁尖のみの把持は、72例中5例(7%)に発現した。術中の死亡、術式変更、デバイス塞栓、心筋梗塞、脳卒中は発生しなかった。6ヵ月時点で全死因死亡は84例中4例(5%)に確認された。 なお著者は本研究の限界として、無作為化試験ではなく、合併率と死亡率の低下との関連性は不明であることを挙げ、「今後は、患者の長期アウトカムに関する三尖弁逆流の軽減の有効性を評価する無作為化試験が必要である」とまとめている。

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点滴誤投与と不適切な蘇生処置による患者死亡を公表/京大病院

 京都大学医学部附属病院は19日、腎機能障害のある入院男性(年齢非公表)に対し、造影CT検査の前処置として点滴投与を行う際、本来投与すべき薬剤の高濃度の同一成分製剤を誤って投与したうえ、男性が心停止を来した際に行った蘇生処置にもミスが重なったことにより、6日後に死亡させたと発表した。病院側は、医薬品取り違え対策としてシステム改修を実施するなどの再発防止策を講じたという。宮本 享病院長らが19日に記者会見を開き、「薬剤の誤った処方による死亡という、期待を裏切るような結果になり、誠に申し訳なく、心よりお詫び申し上げる」と謝罪した。 京大病院によると、男性患者は造影剤による急性腎不全リスクがあり、入院患者の場合は腎保護用の生理食塩水を検査の6時間前に点滴投与する必要があったが、本件ではオーダーから検査までに十分な時間がなかったため、外来患者が造影CT検査を受ける際に使用する炭酸水素ナトリウムが投与されることとなった。その際、炭酸水素Na静注1.26%バッグ「フソー」を選択すべきところ、本来投与すべき薬剤の6.7倍濃度の同一成分製剤(商品名:メイロン静注8.4%)が処方された。 点滴開始直後から、男性患者は血管痛や顔面のほてり、頸部の痺れ、頸部や手足がつるなどの異変や、医師を呼んでほしい旨をたびたび訴えたにもかかわらず、点滴は続行された。 男性患者は、検査前後で計4時間にわたって高濃度の点滴が誤投与され、その後、病棟内で心停止の状態で発見された。すぐに蘇生処置が開始されたが、心臓マッサージを行った際、肺損傷が原因とみられる多量の出血が認められた。この段階で、処置に当たった医療チームのメンバーは、男性患者が抗凝固薬を服用していることを把握しておらず、中和薬投与のタイミングが遅れたという。男性患者は出血傾向が止まらず、6日後に死亡した。 本件を受けて京大病院は、外部委員を含む調査委員会で一連の経緯について検証を進めるとともに、医薬品のオーダリングシステムを改修し、電子カルテ内の薬剤名を変更したり、多量の処方時には警告が表示されたりするなどの再発防止策を講じた。 宮本病院長は本件について、「治療でよくなることを望んでおられた患者さんご本人とご家族には、薬剤の誤った処方による死亡という期待を裏切るような結果になり、誠に申し訳なく、心よりお詫び申し上げます。関係者のみならず病院職員の一人ひとりが自分たちのこととして受け止め、再発防止に努めてまいります」とのコメントを発表した。

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成人ADHDにおける金銭的意思決定

 成人期の注意欠如多動症(ADHD)は、金銭的意思決定(financial decision-making:FDM)を含む日常生活において、さまざまな問題と関連している。しかし、成人ADHDのFDMに関する研究は限られており、標準化された客観的手法で検討されたことは、これまでなかった。オランダ・フローニンゲン大学のDorien F. Bangma氏らは、主観的および標準化された客観的尺度の両方を用いて、成人ADHDのFDM能力について調査を行った。Neuropsychology誌2019年11月号の報告。 対象は、成人ADHD群45例および健康成人対照群51例。個々の金銭的状況、神経心理学的評価、FDMのさまざまな側面を測定するための標準化されたテストおよびアンケートを含む包括的なテストバッテリーを実施した。 主な結果は以下のとおり。・成人ADHDは、対照群と比較し、収入が少ない、借金が多い、預金が少ないなど金銭的状況が有意に悪かった。・成人ADHDは、金銭的能力を測定する標準化されたテストにおいても、対照群と比較し、スコアが有意に低かった。また、意思決定と将来への影響を測定するテストにおいても同様の結果が得られた。・成人ADHDは、対照群と比較し、衝動買いが多く、回避的または自発的な意思決定スタイルを用いることがより多く報告された。・媒介効果は、FDMの2つの測定値で認められたが、これらの測定値の群間差は、統計学的に有意なままであった。 著者らは「成人ADHDは、FDMに関するいくつかの問題を抱えている。このことは、成人ADHDの金銭的状況の悪さを部分的に説明できる」としている。

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サイトメガロウイルス(CMV)の再活性化に対するmaribavirの効果(解説:吉田敦氏)-1140

原著論文はこちらMaribavir for Preemptive Treatment of Cytomegalovirus Reactivation これまで臨床応用された抗サイトメガロウイルス(CMV)薬(治療薬)の効果は、概して高くはなく、一方で副作用が多いという短所があった。ガンシクロビルは骨髄抑制、ホスカルネットは腎障害・電解質異常、cidofovir(本邦未承認)は腎障害がしばしば出現し、使用に当たっては躊躇することもある。四半世紀前と比べても、それほど進歩したという印象はない。今回、新規の抗CMV薬として開発されたmaribavir(マリバビル)の効果について、第II相オープンラベル試験の結果が発表された。 造血幹細胞移植、固形臓器移植を受けた後の成人で、血中(全血・血漿中)のCMV DNA量が1,000~10,000コピー/mLとなり、CMVの再活性化が生じているものの、明らかなCMV感染症が認められない患者、つまりCMV感染症発症の前段階の患者に、本薬が投与された。対照はバルガンシクロビルで、CMV DNA量が減少し、検出感度(200コピー/mL)未満を達成した患者割合、到達までの期間、CMV感染症発症率が比較された。結果として、CMV DNA量が減少した患者割合、到達までの期間は2群でほぼ同等であったが、maribavir耐性関連変異を認めた者が少数おり、さらにmaribavir群において消化器症状(とくに味覚障害)を中心とした副作用が多かったこと、一方で、バルガンシクロビル群で有意に白血球減少が多かったことが明らかとなった。 今回のデザインは、CMVの再活性化に対し早期に薬剤を開始するpreemptive therapy(先制治療)の評価である。maribavirはウイルスカプシドの集合を阻害するため、DNAポリメラーゼを阻害する従来の抗CMV薬とは作用機序を異にする。従来薬を大きく上回るほどの抗ウイルス効果は示せなかったが、今回の第II相試験で、供試した中では低用量(400mgを1日2回)でも効果が変わらなかったことは明らかにできた。 確かに著者が考察しているとおり、オープンラベル試験であり、maribavir群に割り付けられていることを知っているために生じる、副作用の報告バイアスは存在するかもしれない。しかし消化器系の副作用はほかの臨床試験でも認められており、再現性があることはおそらくほぼ動かないであろう。一方でバルガンシクロビルによる白血球減少には、ほかの感染症への易感染性を助長するといった、負の影響も大きい。 あらためて、理想的な抗CMV薬の開発はかなり難しい課題といえよう。選択肢が増えることは歓迎されるが、maribavirの特徴が効果的に発揮されるような患者集団あるいは状況での使用について、さらに追究が必要かもしれない。maribavirの臨床応用に関する検討そのものも、最初の報告がなされてからすでに15年以上が経過している。ハードルの高い課題ではあるが、maribavirの適切な使用、およびmaribavirの後継となりうる改良薬の候補の探求についても、研究が進むことを期待したい。

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181)食べ過ぎちゃいけない、オカシイお菓子【糖尿病患者指導画集】

患者さん用:食べ過ぎちゃいけない、オカシイお菓子説明のポイント(医療スタッフ向け)■診察室での会話医師お変わりはないですか?患者はい、元気です。ところで、検査結果はどうでしたか? 気になっていて…。医師…血糖値と中性脂肪が、前回よりも増えていますね。患者えぇ、そうなんですか?医師何が原因かなぁ。オカシイなぁ…。(首をかしげる)患者…やっぱり、お菓子が原因ですか?医師お菓子を食べ過ぎると、血糖と中性脂肪は上がりますね。患者そうですよね。医師ご飯を減らしていても、お菓子はそのままという人がよくいらっしゃいます。患者それ、私です! お菓子の食べ過ぎには気を付けます。(納得した顔)●ポイント語感が近い言葉を使って、「お菓子」に意識を向け、食べ過ぎに気付いてもらいます。

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あるある話で盛り上がり【Dr. 中島の 新・徒然草】(299)

二百九十九の段 あるある話で盛り上がり先日のこと。何かの勉強会に出席した時に、かつて一緒に働いていた若手の医師に久しぶりに会いました。中島「どう、最近?」若手「前の病院に比べて症例数が少なくなったので、流れる時間の速さがだいぶ違いますね」中島「そうか。前はひたすらさばいている感じやったしな」若手「でも、今の施設では自分が外来で診た患者さんは、自分が手術させてもらえるんで、その点はいいですね」中島「確かに1つひとつ考えながら手術するのもエエよな」1つ手術してはビデオを何度も見て、「ああでもない、こうでもない」と考えるのは、すごく勉強になります。若手「手術中に途中で行き詰ったら、上の先生が代わってくれるんで、それも有り難いです」中島「ニッチもサッチも行かなくなることもあるしな」若手「でも、自分が術者になるときのプレッシャーは全然違いますね」中島「そやな。外科というのは何年やったというよりも、いくつの壁を乗り越えたかが大切なんや」思わず出てしまった名言!中島「助手と術者ではプレッシャーが10倍くらい違うやろ」若手「100倍くらい違います」中島「術前の画像も、細かいところまで何回も確認せんと気が済まなくなるしな」若手「ホント、その通りです」実際のところ、自分が行う手術というのは、画像を見るだけでなく、何度も頭の中でシミュレーションしてから臨みます。私なんか不確定要素をできるだけ減らすために、術者の時は朝食のメニューも同じにしており、手術中は院内PHSも切ってしまっています。若手「最近経験したのは30代男性の未破裂脳動脈瘤で、直径が10ミリ近くありました」中島「そりゃあ手術適応に関しては問題なしやな。でも、高齢者と違って若い人は脳が萎縮していないからやりにくかったやろ」若手「そうなんですよ。途中で代わってもらいました」中島「後で何回もビデオを見直して、自分の手技を振り返るこっちゃな」若手「ところが録画ボタンを押してなくて、映像が残ってなかったんですよ」中島「なんとまあ! 欲しいビデオにかぎってボタンを押し忘れるんや」私の場合、なぜか録画用ハードディスクが不調で、大切な手術の動画ファイルが壊れていたこともあります。こういうのは諦めるしかありません。それにしても、久しぶりに会った若手医師との雑談が症例検討になってしまった、というのも我々の業界ではありがちですね。結局、勉強を重ねて自分が進歩することが、医師にとっての何よりの喜びなのかもしれません。ということで最後に1句ひさしぶり あるある話で 盛り上がり

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インフルエンザ予防の新知見、養命酒の含有成分が有効か

 クロモジエキスを配合した、あめの摂取によるインフルエンザ予防効果が示唆された―。養命酒製造株式会社(以下、養命酒)と愛媛大学医学部附属病院抗加齢・予防医療センターの共同研究グループは、2017/2018シーズンに実施した「クロモジエキス配合あめ」のインフルエンザ予防効果に関する二重盲検試験を実施。風邪症状(発熱、喉・鼻症状)の有無や有症日数についても同時に解析を行った結果、クロモジエキス配合あめ摂取群がプラセボあめ摂取群と比較して、インフルエンザ感染患者の抑制ならびに風邪症状の有症期間を有意に短縮した。対象者は同大学で勤務し、インフルエンザワクチン接種済みの看護師の男女134名で、1日3回、12週間にわたりクロモジエキス67mgを配合したあめ摂取群とプラセボあめ群に割り付けられていた。この報告はGlycative Stress Research誌オンライン版2019年9月30日号1)に掲載された。 また、今年9月20日には、養命酒と信州大学農学部の共同研究グループがクロモジエキスのインフルエンザウイルス増殖抑制効果の長時間持続に関する可能性を示唆し、「クロモジ熱水抽出物の持続的なインフルエンザウイルス増殖抑制効果」に関する論文を、薬理と治療(JPT)誌2019年8月号で発表した。2) このような論文報告を受け、2019年11月11日、養命酒がメディアセミナー「国産ハーブ『クロモジ』の機能性研究におけるインフルエンザ予防の新たな可能性」を開催。伊賀瀬 道也氏(愛媛大学医学部附属病院 抗加齢・予防医療センター長)が「クロモジエキスのインフルエンザ・風邪予防に関するヒト試験について」、河原 岳志氏(信州大学学術研究院農学系 准教授)が「クロモジエキスの持続的な抗ウイルス活性~3回チャージで19時間キープ~」について講演し、報告研究の詳細を語った。クロモジとは… クロモジ(黒文字、漢方名:烏樟[うしょう])は、日本の産地に自生するクスノキ科の落葉低木である。クロモジから得られる精油はリラックス作用が期待されるリナロールを主成分とし、非常に良い香りがあることから、古くから楊枝や香木などに使用されてきた。また、耐久性もあるため、桂離宮の垣根や天皇の即位式後の大嘗祭でも使用された。 これまではクロモジをそのままで利用することが多かったが、近年では加工抽出される精油やアロマウォーターの活用が広がっている。今回の研究では、クロモジを煮出して濃縮、乾燥させて作られるエキス剤が用いられた。このように用途の広がるクロモジだが、近年ではさまざまな機能性研究がなされており、今回は抗ウイルス作用に着目した研究が行われた。食後のクロモジ摂取でインフルエンザの予防、症状緩和 現時点でクロモジの作用機序は解明されていないが、ノロウイルスやロタウイルスの代替ウイルス(ネコカリシウイルス)、日本脳炎ウイルスなどの細胞増殖抑制について報告されている。これを踏まえて、伊賀瀬氏は「in vitroの実験ではインフルエンザウイルスの増殖抑制が達成されており、今回の臨床試験でも同様の結果が得られた。風邪症状の有症期間の短縮については、風邪に感染した後でもクロモジエキス配合あめを摂取することで予後が良好になったのではないか」と推測している。 クロモジは全国各地でお茶として販売されているが、本研究ではあめを利用している。その理由として、同氏は「インフルエンザウイルスは主に上気道で感染して増殖する。抗インフルエンザ効果が長期間発揮するには成分が長く滞留することが必要であり、あめならば咽頭から喉頭部分に滞留するため予防が可能と考えた」と述べた。加えて、「ただし、一般的な予防法(流行前のワクチン摂取、外出後の手洗いなど)を行いながらの摂取が前提」と、注意事項も伝えた。クロモジエキス、1日3回摂取でインフルエンザウイルスの抑制効果アップ 河原氏らは前述の伊賀瀬氏の研究報告を受け、培養細胞を利用したクロモジエキスによるインフルエンザウイルスの増殖抑制タイミングと、その効果の持続性について検証した。その結果、クロモジエキスを細胞培養液から取り除いた24時間後にウイルス感染させても、ウイルス増殖指標の抑制が確認できた。また、本研究では細胞にクロモジエキスを8分間処理して5時間後にウイルス感染させても効果が持続し、さらに、繰り返しクロモジエキス処理を行うことで抑制効果が高まることを実証した2)。これらの結果を踏まえ、同氏は「クロモジエキスはウイルス感染に対して予防的な働きをする」と述べ、今後の作用メカニズムなどの詳細解明について意気込んだ。

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difelikefalin、透析患者のかゆみとQOLを改善/NEJM

 中等度~重度のかゆみを呈する透析患者において、κオピオイド選択的受容体作動薬difelikefalin投与を受けた患者は、プラセボ投与を受けた患者と比べて、12週後のかゆみの強度は有意に軽減し、かゆみに関連したQOLは有意に改善したことが示された。米国・Donald and Barbara Zucker School of Medicine at Hofstra/NorthwellのSteven Fishbane氏らによる、第III相の多施設共同プラセボ対照無作為化二重盲検試験「KALM-1」試験の結果で、NEJM誌オンライン版2019年11月8日号で発表された。difelikefalinまたはプラセボを週3回12週間静脈投与 試験は米国内56ヵ所で行われ、2018年2月~12月に登録された中等度~重度のかゆみを呈する透析患者378例を無作為に2群に分け、一方にはdifelikefalin(0.5μg/kg体重)を、もう一方にはプラセボを、それぞれ週3回12週間静脈投与した。 主要アウトカムは、かゆみのない状態を0、想像しうる最悪のかゆみを10とした24時間自己評価「WI-NRS」スコアで、ベースラインから12週後までに、週の平均値が3ポイント以上改善(低下)した患者の割合とした。 副次アウトカムは、かゆみに関連したQOLスコアのベースラインからの変化や、WI-NRSスコアが4ポイント以上改善した患者の割合、および安全性などだった。 difelikefalin群の51.9%でWI-NRSスコア3ポイント以上改善 12週後の週平均WI-NRSスコアが3ポイント以上改善した患者の割合は、プラセボ群30.9%(165例中51例)に対し、difelikefalin群は51.9%(158例中82例)だった。WI-NRSスコアが3ポイント以上改善した患者の帰属割合予測値は、それぞれ27.9%、49.1%でdifelikefalin群が有意に高率だった(p<0.001)。 difelikefalin群は、5-DかゆみスケールおよびSkindex-10スケールで測定したかゆみに関連したQOLスコアについても、有意な改善が認められた。 WI-NRSスコアが4ポイント以上改善した患者の帰属割合予測値も、プラセボ群17.9%に対し、difelikefalin群は37.1%と有意に高率だった(p<0.001)。 一方で、下痢やめまい、嘔吐の発現頻度が、プラセボ群よりもdifelikefalin群で高かった。

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変形性手関節症に、経口ステロイド短期投与が有効/Lancet

 痛みを伴う変形性手関節症で、遠位・近位指節間(DIP/PIP)関節に炎症が認められた患者において、プレドニゾロン10mg投与は有効かつ安全であることが示された。オランダ・ライデン大学のFeline P B Kroon氏らによるプラセボ対照無作為化二重盲検試験「HOPE試験」の結果で、著者は、「われわれの試験結果は、疾患が再燃した変形性手関節症患者に対する新たな短期的治療オプションを臨床医に提示するものとなった」とまとめている。変形性手関節症は、疾患負荷が大きく、医療的ニーズを満たす効果的な治療オプションがない疾患である。Lancet誌オンライン版2019年11月11日号掲載の報告。ベースラインから6週間後の痛みの変化をVASで評価 HOPE(Hand Osteoarthritis Prednisolone Efficacy)試験は、局所炎症が骨関節炎の一因と考えられることから、痛みと滑膜炎を呈する変形性手関節症患者における、プレドニゾロンの短期投与の有効性と安全性の検証を目的とした。 オランダ2ヵ所のリウマチ外来診療所を通じて、痛みを伴う変形性手関節症でDIP/PIP関節に炎症が認められた患者を適格とみなした。包含基準は、(1)DIP/PIP関節結節が4ヵ所以上あり、(2)軟部組織腫脹または紅斑が1ヵ所以上、(3)超音波でパワードップラー陽性またはグレード2以上の滑膜肥厚が認められるDIP/PIP関節が1ヵ所以上、(4)48時間の非ステロイド性抗炎症薬(NSAID)ウォッシュアウト中に、100mm視覚評価スケール(VAS)で30mm以上を示した手指の痛みが発症(VAS 20mmで手指の痛みが悪化と定義)とした。 研究グループは適格患者を無作為に2群(1対1)に分け、一方にはプレドニゾロン10mg、もう一方の群にはプラセボをそれぞれ1日1回、6週間にわたり経口投与した。その後2週間はテーパリングで用量を漸減し、さらに6週間にわたり試験薬を投与せず追跡した。患者と試験チームは治療割付を知らされなかった。 主要エンドポイントは、ベースライン(外来受診時)から6週間後の手指の痛みの変化で、VASで評価した。6週間後の痛みの変化量、プレドニゾロン群-21.5、プラセボ群-5.2 患者登録のスクリーニングは2015年12月3日~2018年5月31日に行われた。患者のベースライン受診が完了し治療が開始されたのは2015年12月14日~2018年7月2日であり、最後の患者が最後に試験治療を受けるために外来を受診したのは2018年10月4日であった。 149例が適格性の評価を受け、57例(38%)が除外、92例(62%)が適格として包含された。除外理由は、大部分が1つ以上の包含基準を満たさなかったためで、最も多かったのはNSAIDウォッシュアウト後に滑膜炎症または再燃が認められなかったことだった。 92例は、プレドニゾロン群(46例、50%)、プラセボ群(46例、50%)に無作為化され、全例が主要エンドポイントの修正ITT解析に包含された。14週間の試験を完遂したのは、両群ともに42例(91%)だった。 ベースラインから6週間後の手指の痛みの平均変化値は、プレドニゾロン群-21.5(SD 21.7)、プラセボ群-5.2(24.3)で、群間差は-16.5(95%信頼区間[CI]:-26.1〜-6.9、p=0.0007)だった。 非重篤有害事象の発生数は、両群で同等だった。重篤有害事象の報告は5件だったが、プレドニゾロン群での報告は1件(心筋梗塞)で、4件(手術を要した感染性外傷性脚部の血腫、腸手術、ペースメーカー植込み手術を要した心房細動、子宮摘出を要した症候性子宮筋腫)はプラセボ群での発生だった。 また、患者4例(4%)が有害事象のため試験が中断された。1例(2%)はプレドニゾロン群(心筋梗塞)、3例(7%)はプラセボ群(腸手術、感染性脚部血腫、膝のライム関節炎)だった。

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急性期全般不安症に対する第1選択薬の有効性、受容性比較~メタ解析

 全般性不安症(GAD)の第1選択薬としては、SSRIやSNRIがガイドラインで推奨されている。中国・西安交通大学のHairong He氏らは、これら第1選択薬の有効性、受容性を比較するため、ネットワークメタ解析を用いて、エビデンスのアップデートを行った。Journal of Psychiatric Research誌2019年11月号の報告。 成人GADの急性期治療に使用された11種類の薬剤のプラセボ対照および直接比較試験について、1980~2019年1月1日のエビデンスを電子データベースより検索した。各研究より、人口統計、臨床、治療に関するデータを抽出した。主要アウトカムは、有効性(ハミルトン不安尺度の合計スコアのベースラインからの変化)および受容性(すべての原因による治療中止)とした。 主な結果は以下のとおり。・適格基準を満たしたランダム化比較試験は、41件であった。・有効性に関しては、fluoxetineとボルチオキセチンを除くすべての薬剤において、プラセボよりも有効であった。ハミルトン不安尺度スコアの加重平均差は、エスシタロプラムの-3.2(95%信頼区間[CI]:-4.2~-2.2)からvilazodoneの-1.8(95%CI:-3.1~-0.55)の範囲であった。・受容性については、vilazodone(オッズ比:1.7、95%CI:1.1~2.7)のみがプラセボよりも悪化が認められており、その他の薬剤では有意な差は認められなかった。・直接比較試験では、ボルチオキセチンは、受容性および忍容性が優れていたが、有効性と奏効率が悪かった。・全体として、デュロキセチンとエスシタロプラムは有効性が高く、ボルチオキセチンは受容性が良好であった。

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「真の逆流によるPPI抵抗性胸焼け」には薬物より手術が有効(解説:上村直実氏)-1138

 最近の日本では、ピロリ菌感染率の著明な低下や食事の欧米化による酸分泌の増加や高齢化に伴う下部食道括約筋圧の低下などによる胃食道逆流症(GERD)が増加して、国民の罹患率が10%以上に達している。GERDの主たる症状は胸焼けであり、治療の主役はプロトンポンプ阻害薬(PPI)など薬物による酸分泌抑制である。PPI抵抗性胸焼けとは、強力な胃酸分泌抑制薬であるPPIを投与しても改善しない胸焼け症状の総称である。PPI抵抗性の原因としては、不十分な胃酸分泌抑制、酸以外の逆流、逆流と症状の関連を認めない機能性胸焼け、食道運動障害、好酸球性食道炎、食道過敏、心理的要因、心疾患など食道以外の臓器に原因がある場合など非常に多彩である。 今回、米国において通常診療でのPPI抵抗性胸焼け患者を対象として、GERD以外の疾患と機能障害を除外し、さらに内視鏡検査、食道内圧測定、食道インピーダンス、MII-pHモニタリング検査で逆流関連と判定された「真の逆流によるPPI抵抗性胸焼け」患者を抽出して、腹腔鏡下噴門形成術群(外科治療群)、PPI+バクロフェン(薬物治療群)、PPI+プラセボ群の3群に分けて施行したRCTの結果、胸焼けに対する有効性は薬物治療より外科的治療のほうが有意に高いとする結果がNEJM誌に発表された。 本研究結果は興味ある知見が多くある。まず、通常診療におけるPPI抵抗性胸焼け366例のうち78例(20%)のみが「真の逆流によるPPI抵抗性胸焼け」であった点は、日本人で同様の結果なのかは非常に興味深い。次に、PPIの作用が局所のpHに依存するため投与時間を食前に統一しただけで胸焼けの改善が10%以上の症例においてみられた結果も重要な知見であり、欧米で市販されずに日本で使用可能なP-CABはpHに依存せずにPPIよりさらに強力な酸分泌抑制力を有するので、米国のPPI抵抗性胸焼けに対するP-CABの効果も興味深い。さらには、今回の詳細な検査により診断された食道過敏による胸焼けの70%が外科的噴門形成術により改善したことは新たな発見であり、日本での追試が楽しみである。 最後に、日本を中心として噴門形成術に代わりうる内視鏡的逆流防止術の開発が進んでおり、今後、さらに増加するGERD治療の変遷が期待される。

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AFIRE試験を複数形で祝福しよう!【Dr.中川の「論文・見聞・いい気分」】第17回

第17回 AFIRE試験を複数形で祝福しよう!この日がやってきました。夢ではなく現実の出来事として、夢のような吉報がもたらされました。世界中の医学雑誌の中でも頂点に位置するNEJM誌に、日本からの臨床研究が紹介されたのです。その名も「AFIRE試験」です。2019年9月2日、フランスのパリで開催されたヨーロッパ心臓病学会(ESC)の満員のHot Line Session会場で、国立循環器病研究センター病院の安田 聡先生により発表され、同時にエンバーゴが解除されてNEJM誌掲載となりました(N Engl J Med 2019; 381:1103-1113)。エンバーゴの意味を知りたい方は、「第3回 エンバーゴ・ポリシーで言えませんと言ってみたい!」を参考にしてください。心房細動を合併した安定冠動脈疾患では、これまでは複数の抗血栓薬が必要と考えられてきました。この研究は、むしろ薬剤を減らして単剤とする治療のほうが、心血管イベントの発生を増加させることなく、出血性イベントを有意に減らすことを明らかにしました。病態に応じて複数の薬剤を組み合わせることで濃厚な治療になりがちな中で、"薬剤を減らす"という選択肢の意義を証明したのです。数多くの医療機関によるAll Japan体制の結果として成果が得られたことも、特筆すべきことです。発表会場では、満場の拍手が贈られました。私自身も、パリの会場で快挙の場に立ち会った瞬間の高揚感と、日本人としての誇らしい気持ちを忘れることができません。座長の先生の第一声は「Congratulations!」で、その後のディスカッションでも「Congratulations!」が飛び交っておりました。ここで注意すべきは、Congratulationは複数形であることです。「コングラッチュレーション!」と叫びたくなりますが、コングラッチュレーション”ズ”が正解です。単数形では単に「祝い」という意味になり、複数形にすることではじめて、「おめでとう!」と祝福の気持ちを伝える言葉になるそうです。正しい英語を使いたいものです。さらには、「Congratulations!」は、同じ「おめでとう!」でも、努力の対価として得られた成果を祝福する際に用いる言葉で、大学受験合格・就職・昇進などの場面で使うのが適切な言葉です。この「AFIRE試験」は、研究の立案から遂行、そしてNEJM誌編集部の厳しい査読、これらすべての難題を克服した成果ですから、まさに「Congratulations!」が相応しいといえます。「新年おめでとう!」「誕生日おめでとう!」などは季節が巡れば自然とやってくる事象ですから、「Congratulations」は使わないようです。この場合は「Happy」が使われます。「Happy New Year!」、「Happy Birthday!」です。この世で、最も努力や苦労という言葉とは無縁の世界にいるのが、ノウノウと暮らす家猫です。猫は気まぐれで気難しく、風来坊で横着です。我が家の愛すべき猫様も勤勉とは無縁の生き物です。「びよーん」と尻尾を伸ばしたまま、日当たりの良い場所で寝て過ごします。野生ネコのように身体に尻尾を巻き付ける緊張感はありません。思わず尻尾を踏みつけそうになります。一度だけ思い切り踏んでしまったことがあるのですが、悲鳴を上げて1m以上も猫が飛び上がった姿は忘れられません。「足元に注意」です。これは「Watch your step.」です。日本人的にはなぜstepがstepsではないのか気になるところです。本当に英語は難しいですね。最後に改めて「AFIRE試験」に関与した皆様に心から祝福と敬意を表します。「Congratulations!」

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深刻度高い膵がんの悪液質 シリーズがん悪液質(6)【Oncologyインタビュー】第13回

固形がんの中でも予後が悪いとされる膵臓がん。この膵臓がんと悪液質の関係について、国立がん研究センター東病院 肝胆膵内科医長 兼 先端医療開発センター バイオマーカー探索トランスレーショナルリサーチ分野に所属する光永 修一氏に話を聞いた。膵臓がんでの悪液質の特徴を教えていただけますか。膵臓がんでの悪液質の特徴としてまずあげられるのは、合併頻度の高さです。初診時、つまり新たに膵臓がんと診断された時点ですでに5~6割の患者さんが悪液質を合併しているとの報告があります。アメリカでの観察研究では膵臓がん患者は、診断前から悪液質の兆候が認められると報告されていますし、治療経過中に膵臓がんの全体の8割に悪液質が合併するという報告もあります。悪液質が発症すると、患者さんのQOLは著しく低下するといわれています。従来から膵臓がんは予後がきわめて不良ながんとして知られていますので悪液質の合併による深刻度は、ほかのがん種に比べても、さらに高いといえます。膵臓がんでの悪液質の原因や病態進行との関係については現在どのようなことがわかっているのでしょうか。悪液質の原因としては、炎症性サイトカインの活性化やホルモンの異常が指摘されています。炎症性サイトカインにはインターロイキン-1(IL-1)、インターロイキン-6(IL-6)、腫瘍壊死因子(TNF-α)があります。これら炎症性サイトカインを阻害する治療に関する研究も行われていますが、その結果は必ずしも良好だとはいえません。たとえばIL-1を阻害する治療に関する研究報告は非常に解釈がむずかしい結果でした。また、ホルモンの分泌異常についてもいくつかの研究報告はありますが、やはり確定的な結果とはいえません。結局、実験的なレベルで認められる悪液質の原因が治療応用に結びつく形にはなっていないのが現状なのです。そうした中、われわれが行った研究では、食欲を促進するホルモンである活性化グレリンの比率が低下している膵臓がん患者さんでは、食欲不振が著しいという結果がわかりました。この結果から、グレリンの活性化の低下、グレリンの分泌量低下が悪液質に関わっているのかもしれないとも推察しています。膵臓がんでは悪液質の合併が実際の治療にどのような影響を及ぼすのでしょうか。悪液質では全身状態が低下しています。具体的な研究報告はありませんが、一般的に全身状態が低下している患者さんでは、抗がん治療の毒性が強く出やすく、またその頻度が高いことが知られています。その観点からは膵臓がんでも抗がん治療による毒性が強く出やすいと考えられます。その毒性の中でも抗がん剤による消化器毒性と全身状態の低下には相関関係があることがわかっています。膵臓がんでも悪液質を合併している患者さんでは抗がん剤による消化器毒性が強く出る可能性が高いと考えられます。膵臓がんで悪液質を合併しているかを見分けるポイントはあるのでしょうか。悪液質以外で膵臓がんの患者さんに体重減少が起こる原因は、主に3つあります。1つは外分泌機能の異常、簡単に言えば消化吸収の能力が落ちてしまうことで体重が減少してしまうというものです。2つ目は膵臓がんそのものの増大による、とくに十二指腸などの上部消化管の閉塞、3つ目は膵臓がんの増大で上部消化管の動きが悪くなるというものです。基本的にこれら3つの原因による体重減少と悪液質による体重減少は合併していることが多く、どちらが体重減少の原因かを見分けることはきわめてむずかしいのが現状です。悪液質が優勢で体重減少が起きているか否かを見極める手段としては、炎症反応、具体的にはCRP値を測定することだと思います。実際、悪液質を合併している膵臓がん患者さんではCRP値の上昇が認められます。しかし、具体的なCRP値の基準はありません。膵臓がんでは胆管炎が起こりやすく、その場合もCRP値が上昇しますので、胆管炎の治療をしてもCRP値が改善しない場合は悪液質と診断するという流れになります。そもそも悪液質では炎症性サイトカイン活性化と同様に代謝異常が起こっています。この悪液質による代謝異常を見分けられるバイオマーカーがあれば、診断は容易になるでしょうが、現時点では代謝異常の適切なバイオマーカーはありません。さまざまな除外診断をして、悪液質か否かを判断するのが臨床現場での方策だと考えています。最近では高齢進行非小細胞肺がん/膵臓がんに対する早期栄養・運動介入の前向き単群の第I相試験(NEXTAC-ONE試験)が行われましたが、この結果についてはどのように受け止めていますか。NEXTAC-ONE試験では非小細胞肺がんと膵臓がんを分けた解析は行っていませんが、全体で見た場合に早期の栄養・運動介入で体組成や筋力は維持されているという結果が得られました。ただ、同試験は2つのがん種を併せて30例と症例数が少なく、膵臓がんのみで何らかの有用な示唆を得られる状況にはないと考えています。現在、目標症例数を130例に設定した多施設無作為化比較試験である第II相試験「NEXTAC-TWO試験」が行われていますので、この結果で非小細胞肺がんと膵臓がんで層別解析した際に膵臓がんでの栄養・運動介入の意義がわかるでしょう。悪液質に関する臨床研究はどのような方向に進むでしょうか。現在、悪液質に関する臨床研究の流れは、原因に対する治療法の研究と悪液質の症状に対する支持療法の研究の2つに大別されます。支持療法についてはNEXTAC試験に代表されるような栄養療法、運動療法で、現時点ではこの2つが最も効果が高いと考えられていますので、日本では前述したNEXTAC-TWO試験を適切に実施しながら今後の方向性を検討していくことになります。一方、原因に対する治療としては炎症性サイトカインの活性化や骨格筋の減少を抑制する薬剤が開発されています。現時点では良好な成績が認められているものはありませんが、徐々に開発が進みつつある状況です。こうした薬剤で臨床試験に至っているものはまだ年間数件ですが、世界中で開発が模索されています。がん治療に関わる医療従事者へのメッセージがあればお願いします。がんでは、がんそのものが原因で悪液質以外にもさまざまな症状が発現するため、症状が悪液質によるものなのか、判断が難しいことが少なくありません。これまでわかっていることを総合すれば、なるべく早めに悪液質の傾向が強いかどうかを判断し、悪液質の優勢が疑われれば、早期に筋力の維持に有効な運動・食事療法を提案するといった介入を検討することで望ましい結果を生む可能性があると思います。がん悪液質の診断基準では、過去6ヵ月間の体重減少が5%以上を1つの基準としていますが、海外で医療従事者を対象にしたアンケートでは、多くの回答者が体重減少15%程度で悪液質と判断するという結果が明らかになっています。その意味ではもう少し早めの介入を検討してほしいと思います。こうした認識の違いは、早期に診断をしても現時点では決定的な治療法がない、あるいは悪液質を改善した時にどんなベネフィットがあるかが明確ではないことに起因しているのだとも考えられます。一方で運動療法や栄養療法への信頼性が高まってきています。海外の取り組みや国内でのNEXTAC試験の取り組みで、早期介入がどのような良い結果をもたらすのか…介入による臨床的意義を示すための努力が、われわれスペシャリストに求められていると思います。本試験は2019年3月に全予定症例の登録が完了しました。現在は追跡期間中であり、2021年に主要評価項目に関する解析を予定しています。参考わが国の膵臓がん悪液質、7割に発症、有害事象発現も高く/日本治療学会がん悪液質に対する早期の栄養・運動介入…NEXTAC試験 シリーズがん悪液質(5)高齢者進行非小細胞肺がん、膵がん患者に対する早期運動・栄養介入の多施設共同ランダム化第II相試験(NEXTAC-TWO)

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甘草の重複から偽アルドステロン症を疑い、ただちに医師に電話【うまくいく!処方提案プラクティス】第9回

 今回は、整形外科領域で処方頻度の高い芍薬甘草湯による副作用の初期徴候と経過を把握することがキーとなった症例を紹介します。普段から症状や併用薬を確認することが副作用の早期発見に功を奏しました。処方提案後には、副作用が軽減したかモニタリングすることも重要です。患者情報80歳、女性(外来)、体重:70kg基礎疾患:腰部脊柱管狭窄症、高血圧症、脂質異常症血  圧:おおよそ130/70台を推移月1回整形外科を受診しており、薬剤は薬袋で自己管理している。処方内容(すべて継続処方薬)1.アムロジピン錠5mg 1錠 分1 朝食後2.フロセミド錠20mg 1錠 分1 朝食後3.リマプロストアルファデクス錠5μg 3錠 分3 毎食後4.メコバラミン錠500μg 3錠 分3 毎食後5.芍薬甘草湯7.5g 分3 毎食後6.ロスバスタチン錠5mg 1錠 分1 夕食後7.酸化マグネシウム錠500mg 2錠 分2 朝夕食後本症例のポイントこの患者さんは、腰部脊柱管狭窄症による下肢の痛みや冷えのため芍薬甘草湯が処方されていました。投薬対応中に普段と何か変わったことはないか確認したところ、「最近、手足がだるくて、筋肉痛やこむら返りが起きる。市販薬を購入して服用しているけれど、むしろひどくなっている気がする」と聴取しました。市販薬の内容を確認すると、こむら返りや筋肉の痙攣に良いと聞いて購入した芍薬甘草湯エキス2.4g(商品名:コムレケア)であり、処方されている芍薬甘草湯と重複(甘草として12.0g/日)していました。市販薬の名称からは同じ漢方薬であるとは思わなかったようです。処方薬の芍薬甘草湯を服用中に手足のだるさや筋肉痛、こむら返りなどの症状が生じていることから偽アルドステロン症の可能性が疑われ、さらに市販薬を追加服用したことで症状の増悪に至ったと考察しました。さらに、双方の芍薬甘草湯によって降圧コントロールで服用しているフロセミドによる低カリウム血症が生じて、筋力低下や筋肉痛が生じている可能性もあると考え、医師への連絡が必要と考えました。<偽アルドステロンの注意点>偽アルドステロン症は甘草に含まれるグリチルリチンの活性代謝物であるグリチルリチン酸が、ナトリウム貯留や血圧上昇などのミネラルコルチコイド様作用を発揮することにより生じる。主な初期徴候は、手足のだるさ、しびれ、ツッパリ感、こわばり、筋肉痛、四肢脱力など。甘草2.5g/日以上、グリチルリチン100mg以上で発生リスクが高まるが、それ未満でもリスクはあるので注意が必要。利尿薬(とくにカリウム排泄型)が投与されている場合には、低カリウム血症を生じやすく、重篤化しやすい。処方提案とその後の経過患者さんに事情を話して投薬対応を一旦待っていただき、医師へ電話連絡することにしました。継続処方されている芍薬甘草湯による偽アルドステロン症の可能性があり、市販薬の芍薬甘草湯を購入して服用したことでさらに症状を助長させている可能性について報告し、今後の対応を相談しました。また、フロセミド服用で低カリウム血症が生じている可能性も考えられるため、血清カリウムの採血も提案しました。その結果、医師より処方薬と市販薬の芍薬甘草湯を中止するよう指示があったうえで、患者さんはすぐに再診となり、血清カリウムの評価のため採血検査が行われました。その2週間後に診察フォローがありましたが、予想どおり血清カリウム値が2.6mEq/Lと低カリウム血症でした。血圧推移は安定しており、浮腫もないことからフロセミドも中止となりました。今回問題となった手足のだるさや筋肉痛、こむら返りについては、芍薬甘草湯を中止して症状は改善し、再燃なく経過しています。ポケット医薬品集2019年版重篤副作用疾患別対応マニュアル 偽アルドステロン症

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「代謝的に健康な肥満者」の特徴と予想されるリスク

 「代謝的に健康な肥満者」については不明な点が多く、意見が分かれている。今回、スウェーデン・スコーネ大学のJohan Korduner氏らが調査したところ、「代謝的に健康な肥満者」は「代謝的に不健康な肥満者」に比べて身体活動度が高く、脂質および血糖プロファイルが良好で、約20年の追跡調査での全死亡および心血管(CV)リスクが低かった。また、非肥満者と比べると全死亡およびCVリスクに有意差がみられなかった。Obesity Research & Clinical Practice誌オンライン版2019年11月8日号に掲載。 本研究は、スウェーデンのMalmo diet cancer study(2万8,403人)の参加者から選択した肥満者3,812人の横断分析。ベースライン前に身体的疾患のための入院記録がない肥満者(1,182人)を「代謝的に健康な肥満者」(metabolically healthy obesity:MHO)、1回以上入院したことのある肥満者(2,630人)を「代謝的に不健康な肥満者」(metabolically unhealthy obesity:MUO)として比較し、さらに非肥満者(non-obese cohort control:NOC、2万4,591人)と比較した。また、全死亡リスク、CVリスクも予測した。 主な結果は以下のとおり。・MHOはMUOと比較して、座りがちな生活様式の割合が有意に低く(p=0.009)、HbA1c(p=0.012)、空腹時血糖(p=0.001)、トリグリセライド(p=0.011)も有意に低かった。・Cox回帰分析(追跡期間:20±6年)の結果、MHOはMUOと比較して全死亡リスク(p=0.001)、CVリスク(p=0.001)とも有意に低かった。・MHOとNOCとを比較すると、全死亡リスクもCVリスクも有意な差はなかった。

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