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多飲症と抗精神病薬との関連

 山梨県立北病院の桐野 創氏らは、多飲症と抗精神病薬との関連を明らかにするためシステマティック・レビューを行った。Progress in Neuro-psychopharmacology & Biological Psychiatry誌オンライン版2019年8月28日号の報告。 抗精神病薬により誘発または改善された多飲症に関する臨床研究および症例報告を含み、MEDLINE、Embase、PsycINFOよりシステマティックに検索した。 主な結果は以下のとおり。・二重盲検ランダム化比較試験(RCT)1件、single-arm試験4件、横断研究1件、ケースシリーズ3件、ケースレポート52件を含む61件が抽出された。・二重盲検RCTでは、多飲症の改善において、オランザピンとハロペリドールとの間に有意な差は認められなかった。・single-arm試験では、2件においてクロザピン治療中に多飲症の改善が認められたが、他の2件ではリスペリドンによる改善が認められなかった。・横断研究では、低ナトリウム血症が第1世代抗精神病薬(FGA)で26.1%、第2世代抗精神病薬(SGA)で4.9%認められた。・ケースシリーズでは、2件においてクロザピンの多飲症改善効果が認められた。他の1件において、FGAで治療された多飲症患者は、統合失調症(70.4%)および精神遅滞(25.9%)であることが示唆された。・ケースレポートでは、90例中67例(75.3%)が統合失調症と診断された。・多飲症発症前に抗精神病薬治療を開始した83例の使用薬剤は、FGAが75例(90.3%)、リスペリドンが11例(13.3%)であった。とくに、ハロペリドール治療が24例(28.9%)と多かった。・抗精神病薬治療後に多飲症が改善した40例では、SGAが36例であり、主にクロザピン(14例、35.0%)で治療されていた。 著者らは「多飲症と抗精神病薬との関連は、高品質なエビデンスが不足しているため因果関係は不明なままであるが、ドパミンD2受容体に対する親和性の高い抗精神病薬は、多飲症リスク増加と関連している可能性がある。また、クロザピンは多飲症治療に有効である可能性がある」としている。

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デュルバルマブ+化学療法、小細胞肺がん1次治療の生存を延長(CASPIAN)/WCLC2019

 2019年9月9日、化学療法への抗PD-L1抗体デュルバルマブの追加が、進展型小細胞肺がん患者の全生存期間(OS)を有意に延長したことが第20回世界肺会議(WCLC2019)で、スペインのLuis Paz-Ares氏により発表された。 デュルバルマブの多施設国際研究CASPIAN試験では、未治療の進展型小細胞肺がん患者537例が、デュルバルマブ+化学療法(エトポシドおよびシスプラチンまたはカルボプラチン、以下EP)、デュルバルマブ+トレメリムマブ+EP、対照群であるEP単独に無作為に割り付けられた。 WCLC2019で発表されたデータは、デュルバルマブ群とEP単独群を比較したもの。 Paz-Ares氏のチームは、デュルバルマブ群のOS中央値が、13.0ヵ月とEP単独群の10.3ヵ月と比較して統計学的に有意な延長を示したと発表した。また、18ヵ月時点の対照群の生存患者は24.7%であったのに対し、デュルバルマブ群では33.9%が生存していた。

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HFrEFへのsacubitril -バルサルタン、1年後のLVEF有意に改善/JAMA

 駆出率が低下した心不全(HFrEF)患者において、sacubitril/バルサルタン投与はNT-proBNP値を低下し、12ヵ月時点の心臓容積・心機能マーカーの改善とわずかだが有意に関連することが明らかにされた。米国・マサチューセッツ総合病院のJames L. Januzzi Jr氏らが、794例の患者を対象に行った前向き非盲検試験の結果で、これまでsacubitril/バルサルタン投与の、心臓リモデリングへの影響は明らかになっていなかった。著者は「観察された心臓の逆リモデリングは、HFrEF患者においてsacubitril/バルサルタンの機械的効果をもたらす可能性を示唆するものといえる」とまとめている。JAMA誌オンライン版2019年9月2日号掲載の報告。log2-NT-proBNP濃度変化と心臓容積・心機能マーカーの関連を検証 研究グループは、2016年10月25日~2018年10月22日にかけて、米国78ヵ所の外来医療センターを通じ、HFrEF患者794例を対象に12ヵ月間にわたる単群前向き非盲検試験を行った。被験者には、sacubitril/バルサルタンを投与し、用量調整を行った。また、投与患者のNT-proBNP値を測定した。 主要アウトカムは、12ヵ月時点におけるlog2-NT-proBNP値の変化と、左室駆出率(LVEF)、左室拡張末期容積指数(LVEDVI)、左室収縮末期容積指数(LVESVI)、左房容積指数(LAVI)、早期左室流入ドップラー速度と早期拡張期弁輪運動速度の比率(E/e')との関連性だった。LVEF、LVEDVI、LVESVI、LAVI、E/e'のいずれも関連性あり 被験者の平均年齢は65.1歳、女性の割合は28.5%で、平均LVEF値は28.2%、試験を終了したのは654例(82.4%)だった。ベースラインのNT-proBNP濃度の中央値は816pg/mL(四分位範囲[IQR]:332~1,822)、12ヵ月後は455pg/mL(IQR:153~1,090)だった(差のp<0.001)。 12ヵ月後のlog2-NT-proBNP値の変化との関連性は、LVEF(r=-0.381[IQR:-0.448~-0.310]、p<0.001)、LVEDVI(r=0.320[IQR:0.246~0.391]、p<0.001)、LVESVI(r=0.405[IQR:0.335~0.470]、p<0.001)、LAVI(r=0.263[IQR:0.186~0.338]、p<0.001)、E/e'(r=0.269[IQR:0.182~0.353]、p<0.001)のすべてについて認められた。 12ヵ月後までに、LVEFは28.2%から37.8%へ有意に増加し(差:9.4%[95%信頼区間[CI]:8.8~9.9]、p<0.001)、LVEDVIは86.93mL/m2から74.15mL/m2へ有意に減少(差:-12.25mL/m2[IQR:-12.92~-11.58]、p<0.001)、LVESVIは61.68mL/m2から45.46mL/m2へ減少した(差:-15.29mL/m2[IQR:-16.03~-14.55]、p<0.001)。LAVIとE/e'も有意に減少した。 最も頻度の高い有害事象は、低血圧症(17.6%)で、めまい(16.8%)、高カリウム血症(13.2%)、腎機能悪化(12.3%)と続いた。

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インフルエンザ予防効果、N95マスクvs.医療用マスク/JAMA

 外来医療従事者(HCP)におけるN95マスクと医療用マスク装着によるインフルエンザ予防効果を調べた結果、インフルエンザの罹患率について有意差は認められなかったことが示された。米国疾病予防管理センター(CDC)のLewis J. Radonovich Jr氏らが、米国の7医療センター・137外来部門で行ったクラスター無作為化プログマティック効果比較試験の結果で、JAMA誌2019年9月3日号で発表した。両マスクの効果については結論が出ていなかった。インフルエンザ予防効果を無作為にN95または医療用マスクに割り付けて比較 研究グループは2011年9月~2015年5月にかけて、米国内7医療センターの外来部門137ヵ所を通じて試験を行い、HCPがN95マスクまたは医療用マスクを装着した場合の、インフルエンザおよびウイルス性呼吸器感染症の予防効果を比較した。最終フォローアップは2016年6月だった。 4年間の試験期間中、毎年、ウイルス性呼吸器感染症の発症率がピークとなる12週間に、各医療センター内の外来部門を被験者数や患者数などでマッチングした。被験者は、無作為にN95マスク群と医療用マスク群に割り付けられ、呼吸器感染症の患者に近づく際には割り付け指定されたマスクを装着した。 主要アウトカムは、検査で確定したインフルエンザの罹患率。副次アウトカムは、急性呼吸器疾患、検査確定の呼吸器感染症、検査確定の呼吸器疾患、インフルエンザ様疾患の各罹患率などだった。また、介入アドヒアランスも評価した。インフルエンザ罹患率、N95マスク群8.2%、医療用マスク群7.2% N95マスクと医療用マスク装着によるインフルエンザ予防効果を調べた被験者数は2,862例で、平均年齢は43歳、女性は82.8%だった。N95マスク群は189クラスター(1,993例、延べ2,512HCPシーズン)、医療用マスク群は191クラスター(2,058例、延べ2,668HCPシーズン)だった(1被験者の複数シーズン参加あり)。 検査確定のインフルエンザ感染症は、N95マスク群207例(HCPシーズンの8.2%)、医療用マスク群193例(同7.2%)で、両群間に有意差は認められなかった(群間差:1.0ポイント、95%信頼区間[CI]:-0.5~2.5、p=0.18、補正後オッズ比:1.18、95%CI:0.95~1.45)。 副次アウトカムについても両群で有意差はなく、急性呼吸器疾患はN95マスク群1,556例vs.医療用マスク群1,711例(群間差:-21.9/1,000HCPシーズン、[95%CI:-48.2~4.4]、p=0.10)、検査確定の呼吸器感染症は679例vs.745例(同:-8.9[-33.3~15.4]、p=0.47)、検査確定の呼吸器疾患は371例vs.417例(同:-8.6[-28.2~10.9]、p=0.39)、インフルエンザ様疾患は128例vs.166例(同:-11.3[-23.8~1.3]、p=0.08)だった。 マスクの装着について、「いつも」または「時々」と回答した人の割合は、N95マスク群89.4%に対し、医療用マスク群90.2%だった。

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頑張れ、OCEAN-TAVIレジストリ、前途洋洋だ!【Dr.中川の「論文・見聞・いい気分」】 第15回

第15回 頑張れ、OCEAN-TAVIレジストリ、前途洋洋だ!重症の大動脈弁狭窄症は高齢者に多く、年齢や合併症などのため外科手術の危険性が高く、手術を断念する患者さんが少なくありませんでした。新しい治療法として開発された経カテーテル大動脈弁置換術(TAVI)は、体への負担が少なく、外科手術によるリスクが高い患者さんでも治療が可能となります。外科的な弁置換手術は50年以上の歴史があり、その耐久性は長期間のデータから実証されています。一方で、TAVIは最新鋭の治療法で歴史が浅く、長期間の耐久性の評価は、これからデータを蓄積すべき段階にあります。この分野で日本から次々と重要な報告が続き、データ構築に貢献していることをご存じでしょうか。その名もOCEAN-TAVIレジストリ研究です。これは、日本国内のTAVI施術で中心的に活動するhigh volume centerによる多施設共同レジストリです。慶應義塾大学の林田健太郎医師は本邦において、TAVIの導入から普及に大きく貢献した人物です。彼を中心に、TAVIに尽力する若手医師をまとめ上げ、施設の垣根を越えてレジストリ研究が構築されたのです。データを緻密に解析し、2019年8月の時点で30本を超える英文論文が発表されています。TAVIに関する情報を、世界に向けて発信していきたいという思いを“OCEAN”という名前に託したと林田医師は述べています(参考:http://ocean-shd.com/)。このような志の高い若手医師たちが登場し、日本の医療を取り巻く将来は“前途洋洋”であることを確信します。エビデンスのレベルとして、ランダマイズ研究が高く、レジストリ研究が劣るといわれる場合もあります。しかし、診療の現実を知り、予後の現状を知り、そして危険因子などを探索するために、レジストリ研究は注目をあびています。超高齢者がほとんどであるTAVI施術患者では、ランダマイズ研究は現実的ではなく、レジストリ研究の意義が大きいからです。今後さらに、OCEAN-TAVIレジストリ研究が発展することを応援し、願っております。太平洋・大西洋・インド洋など、ひろびろと広がる海を表現する言葉が“ocean”で、 “sea” よりも広範囲の海を指すそうです。「洋」と「海」の違いについて考えていると、「湖」・「池」・「沼」の違いは何か気になってきました。なぜなら、小生は琵琶湖に面する滋賀県草津市に住んでおり、毎日「琵琶湖」に接しながら生活しているからです。湖の定義は、「四面を陸地で囲まれ、その中に水をたたえたもので、どこからか水が流れ入ってくる場所がなく、流れ出ていく場所もない」ということだそうです。琵琶湖には、大小460本もの河川が流入し、流出する河川は瀬田川ただ1本です。瀬田川は、京都府で宇治川と呼び名を変え、桂川および木津川と合流して流下し淀川となり、大阪湾に注ぎます。このように、水の入口と出口があるので、琵琶湖は「河川」になります。琵琶湖は厳密にいえば河川法上、淀川水系に属する「河川」となり、法律上の名称は「一級河川琵琶湖」となります。琵琶湖は河川の一部の川幅が、非常に広くなっているという解釈になるそうです。なかなかのトリビアですね。

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Ca拮抗薬からの処方カスケードを看破【うまくいく!処方提案プラクティス】第5回

 今回は、薬剤の副作用対策のために次々と薬剤が追加されていった処方カスケードの症例を紹介します。処方の経緯をたどることによって、処方カスケードを発見できる可能性が高まります。患者情報外来患者、72歳、女性現病歴:高血圧症、便秘症血圧は130/70台を推移両下肢足背に浮腫+処方内容1.アムロジピン錠10mg 1錠 分1 朝食後2.フロセミド錠20mg 1錠 分1 朝食後3.プロピベリン錠10mg 1錠 分1 夕食後4.酸化マグネシウム錠500mg 2錠 分2 朝夕食後症例のポイントある日、高血圧症にて近医を受診継続中の患者さんから、浮腫がひどくて足がだるいという相談を受けました。症状や処方薬を確認して、まず気になったのはアムロジピンが10mgという高用量で投与されていることでした。Ca拮抗薬は高用量であるほど、投与期間が長いほど浮腫の生じる可能性が高いことが知られています。そのため、高血圧症以外の特記すべき現病歴や既往歴がなく、心不全や甲状腺機能低下症、腎機能・肝機能低下などの指摘もないことから薬剤性の浮腫を疑いました。Ca拮抗薬が高用量で投与されるようになった理由を探るため、処方された順番をたどってみることにしました。処方は、(1)10年前、便秘症にて酸化マグネシウム錠660mg /日開始、(2)5年前、高血圧症にてアムロジピン錠5mg開始、(3)1年前、血圧が高くなったためアムロジピン錠10mgに増量、(4)下腿浮腫のためフロセミド錠20mg開始、(5)頻尿のためプロピベリン錠10mg開始、(6)便秘症の悪化のため酸化マグネシウム1,000mg/日に増量、という経緯であったことが確認できました。Ca拮抗薬が高用量となったタイミングで下腿浮腫が生じているため、やはり薬剤性の浮腫の可能性が高く、その浮腫を改善する目的でフロセミドが処方されたものと考えられます。アムロジピンはL型Caチャネル遮断を主作用として細動脈の強い拡張効果を示すが、細静脈は拡張しないことから浮腫を生じやすいと考えられる。また、浮腫は高用量服用群で報告例が多い。一方で、L/N型Caチャネル遮断作用を有するシルニジピンは、細静脈を拡張させるため下腿浮腫の報告は少ない。本症例は、アムロジピンによる浮腫→フロセミドの追加→フロセミドの利尿作用による頻尿および患者QOL低下→過活動膀胱薬の追加→過活動膀胱薬の抗コリン作用による便秘の悪化→酸化マグネシウムの増量、という処方カスケードの典型症例であると考えられる。処方提案と経過そこで、下肢浮腫はCa拮抗薬が原因である可能性があり、Ca拮抗薬を減量することで改善するのではないか、ということを医師にトレーシングレポートを用いて処方提案しました。トレーシングレポートには、アムロジピンの添付文書の副作用欄に記載されている、高用量(10mg)投与群を含む第III相試験および長期投与試験の結果である「高用量(10mg)投与時に浮腫が高い頻度で認められ、5mg群で0.65%、10mg群で3.31%であった」というエビデンスを引用しました。後日、トレーシングレポートの内容を確認した医師より電話がありました。Ca拮抗薬の副作用に浮腫があることを把握していなかったとのことで、血圧に変動がないことからアムロジピンを5mgに減量して様子をみることになりました。1ヵ月後の来局時に、足背の浮腫の改善がみられ、血圧も130/70台と変わりがないことが確認できたため、浮腫のために処方されていたフロセミドの中止を提案し、採用されました。さらに1ヵ月後も足背の浮腫や血圧の悪化はなく経過しました。プロピベリンも中止して差し障りはないと思いましたが、中止することで排尿トラブルが生じることを患者さんが心配したため、そのまま経過をみることになりました。今後、排便・排尿状況を確認しながら、プロピベリンの継続意向に変わりがないかどうかを確認していきたいと考えています。

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ベンゾジアゼピン使用と転倒リスク

 ベンゾジアゼピン(BZD)は、とくに高齢者において副作用と関連している。アイルランド・ユニバーシティ・カレッジ・ダブリンのLouise Marron氏らは、地域在住の50歳以上の成人を対象に、BZD使用と転倒との関連および、この関連に対する睡眠の質の影響について調査を行った。QJM誌オンライン版2019年8月19日号の報告。 アイルランドの老化に関する縦断的研究であるTILDA studyのwave 1データを用いて、断面分析を行った。対象者は、BZDの使用者または非使用者に分類され、昨年転倒したかどうか、転倒の原因は不明かどうかについて回答した。睡眠の質は、睡眠障害、日中の眠気、早朝覚醒についての自己報告により評価した。BZD使用と転倒リスクとの関連についてロジスティック回帰で評価し、この関連に対する睡眠の質の影響は、BZD使用と睡眠の質の変数に基づいて分類することで評価した。 主な結果は以下のとおり。・8,175例中、BZD使用者は302例(3.69%)であった。・BZD使用は、交絡因子で調整しても転倒リスクと関連していた(OR:1.40、95%CI:1.08~1.82、p=0.012)。・BZDと原因不明の転倒との間に有意な関連は認められなかった(OR:1.41、95%CI:0.95~2.01、p=0.09)。・BZD使用者において、日中の眠気(OR:1.93、95%CI:1.12~3.31、p=0.017)、早朝覚醒(OR:1.93、95%CI:1.20~3.11、p=0.007)、睡眠障害(OR:1.83、95%CI:1.12~2.97、p=0.015)を有する患者では、原因不明の転倒のオッズ増加が認められた。 著者らは「BZD使用は転倒と関連しており、睡眠の質が不良な高齢者では、その影響は大きくなる。BZDなどの医薬品の適正使用は、公衆衛生上の重要な問題である」としている。

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KRAS阻害薬AMG510のKRAS変異肺がんに対する成績/WCLC2019

 第20回世界肺会議(WCLC2019)で発表された研究によると、KRAS阻害薬AMG510が、KRAS G12C変異を有する進行非小細胞肺がん(NSCLC)患者において有望な抗腫瘍活性と良好な副作用プロファイルを実証した。KRAS G12C変異は、Driver Oncogeneとされており、肺腺がん患者の約14%とNSCLCの11%に見られるが、この変異を標的とした治療は承認されていない。AMG510の投与を受けたKRA肺がんの病勢制御率は100% このKRAS阻害薬AMG510の臨床毒性試験では、標準治療を受けた局所進行または転移NSCLC患者76例が登録された。研究の主要評価項目は毒性で、副次的評価項目は客観的奏効率、奏効期間、疾患制御率、無増悪生存期間およびSDの持続期間であった。 患者は180mg、360mg、720mg、960mgの4つのコホートに分けられ21日間 AMG510の投与を受けた。第I相試験の初回データは、ASCO2019年次総会で発表された。WCLCで発表されたより大規模な追加追跡では34例のNSCLC患者が登録され、有効性評価は23例で行われた。評価可能な患者のうち13例がAMG510の目標用量960mg/日の治療を受け、その病勢制御率は100%(PR7例、SD6例)であった。 34例のNSCLC患者に用量制限毒性はなく、中止に至る有害事象もなかった。Grade1〜2の治療関連有害事象(TRAE)は9例(26.5%)、Grade3は3例(貧血および下痢)、Grade4以上のTRAEはなかった。

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PCI後の心房細動、エドキサバンベース治療の安全性は?/Lancet

 経皮的冠動脈インターベンション(PCI)を受けた心房細動患者では、抗血栓薬による出血のリスクに関して、エドキサバンベースのレジメンはビタミンK拮抗薬(VKA)ベースのレジメンに対し非劣性であることが、ベルギー・ハッセルト大学のPascal Vranckx氏らが行ったENTRUST-AF PCI試験で示された。研究の詳細は、Lancet誌オンライン版2019年9月3日号に掲載された。エドキサバンは、心房細動患者において、脳卒中および全身性塞栓症の予防効果がVKAと同等であり、出血や心血管死の発生率は有意に低いと報告されている。また、患者の観点からは、VKAよりも使用が簡便とされる。一方、PCI施行例におけるエドキサバンとP2Y12阻害薬の併用治療の効果は検討されていないという。18ヵ国186施設が参加した非劣性試験 本研究は、PCI施行心房細動患者におけるエドキサバン+P2Y12阻害薬の安全性の評価を目的に、18ヵ国186施設で実施された多施設共同非盲検無作為化非劣性第IIIb相試験であり、2017年2月24日~2018年5月7日の期間に患者登録が行われた(Daiichi Sankyoの助成による)。 対象は、年齢18歳以上、安定冠動脈疾患または急性冠症候群でPCIを受け、経口抗凝固薬の投与を要する心房細動患者であった。 被験者は、PCI施行後4時間~5日の間に、エドキサバン(60mg、1日1回)+P2Y12阻害薬を12ヵ月間投与する群、またはVKA+P2Y12阻害薬+アスピリン(100mg、1日1回、1~12ヵ月)を投与する群に無作為に割り付けられた。エドキサバンの用量は、クレアチニンクリアランス15~50mL/分、体重≦60kg、特定の強力なP糖タンパク質阻害薬(シクロスポリン、dronedarone、エリスロマイシン、ケトコナゾール)の併用のうち1つ以上がみられる場合は、1日30mgに減量された。 主要エンドポイントは、12ヵ月以内の大出血または臨床的に重要な非大出血(ISTH基準)の複合とし、非劣性マージンは1.20であった。主解析はintention-to-treat集団で行い、安全性の評価は1回以上の薬剤投与を受けたすべての患者で実施した。大出血/臨床的に重要な非大出血:17% vs.20%、優越性は認めず 1,506例が登録され、エドキサバンレジメン群に751例、VKAレジメン群には755例が割り付けられた。全体の年齢中央値は70歳(IQR:63~77)で、386例(26%)が女性であった。 ベースラインで189例(13%)が脳卒中の既往歴を有しており、CHA2DS2-VAScスコア中央値は4.0(IQR:3.0~5.0)、HAS-BLEDスコア中央値は3.0(2.0~3.0)であった。456例(30%)にVKA投与歴があり、365例(24%)には新規経口抗凝固薬(NOAC)の投与歴があった。PCI施行から無作為割り付けまでの期間中央値は45.1時間(IQR:22.2~76.2)だった。 12ヵ月時の大出血または臨床的に重要な非大出血イベントの発生は、エドキサバンレジメン群が751例中128例(17%、年間イベント発生率20.7%)、VKAレジメン群は755例中152例(20%、年間イベント発生率25.6%)に認められた。ハザード比は0.83(95%信頼区間[CI]:0.65~1.05、非劣性のp=0.0010、優越性のp=0.1154)であり、エドキサバンレジメン群のVKAレジメン群に対する非劣性が確認され、優越性は認められなかった。 大出血の発生は、エドキサバンレジメン群が751例中45例(6%、年間イベント発生率6.7%)、VKAレジメン群は755例中48例(6%、年間イベント発生率7.2%)であり、両群間に有意な差はみられなかった(HR:0.95、95CI:0.63~1.42)。 致死的出血は、エドキサバンレジメン群が1例(<1%)、VKAレジメン群は7例(1%)に認められた。頭蓋内出血は、それぞれ4例(1%、年間イベント発生率0.6%)および9例(1%、年間イベント発生率1.3%)にみられた。 12ヵ月時の主要な有効性アウトカム(心血管死、脳卒中、全身性塞栓イベント、心筋梗塞、ステント血栓症[definite]の複合)は、エドキサバンレジメン群が49例(7%、年間イベント発生率7.3%)、VKAレジメン群は46例(6%、年間イベント発生率6.9%)に認められ、両群間に有意な差はなかった(エドキサバンのHR:1.06、95%CI:0.71~1.69)。 著者は「大出血/臨床的に重要な非大出血の発生に関して、エドキサバンベースの2剤併用抗血栓療法(DAT)は、VKAベースの3剤併用抗血栓療法(TAT)に対し非劣性であることが示された」とまとめている。

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心房細動合併安定CAD、リバーロキサバン単剤 vs.2剤併用/NEJM

 血行再建術後1年以上が経過した心房細動を合併する安定冠動脈疾患患者の治療において、リバーロキサバン単剤による抗血栓療法は、心血管イベントおよび全死因死亡に関してリバーロキサバン+抗血小板薬の2剤併用療法に対し非劣性であり、大出血のリスクは有意に低いことが、国立循環器病研究センターの安田 聡氏らが行ったAFIRE試験で示された。研究の成果は2019年9月2日、欧州心臓病学会(ESC)で報告され、同日のNEJM誌オンライン版に掲載された。心房細動と安定冠動脈疾患が併存する患者における最も効果的な抗血栓治療の選択は、個々の患者の虚血と出血のリスクの注意深い評価が求められる臨床的な課題とされている。日本の294施設が参加、単剤の非劣性を検証する無作為化試験 本研究は、日本の294施設が参加した多施設共同非盲検無作為化試験であり、2015年2月23日~2017年9月30日の期間に患者登録が行われた(バイエル薬品との契約を介して循環器病研究振興財団の助成を受けた)。 対象は、年齢20歳以上、心房細動と診断され、登録の1年以上前に経皮的冠動脈インターベンション(PCI)または冠動脈バイパス手術(CABG)を受けた患者、または冠動脈造影で血行再建術の必要がない冠動脈疾患(狭窄≧50%)と判定された患者であった。 被験者は、非ビタミンK拮抗経口抗凝固薬であるリバーロキサバン(クレアチニンクリアランス15~49mL/分の患者は10mgを1日1回、同≧50mL/分の患者は15mgを1日1回)の単剤療法を受ける群、またはリバーロキサバン+抗血小板薬(治療医の裁量でアスピリンまたはP2Y12阻害薬から選択)の2剤併用療法を受ける群に無作為に割り付けられた。 有効性の主要エンドポイントは、脳卒中、全身性塞栓症、心筋梗塞、血行再建術を要する不安定狭心症、全死因死亡の複合とし、非劣性の評価が行われた(非劣性マージンは1.46)。安全性の主要エンドポイントは、国際血栓止血学会(ISTH)基準による大出血とし、優越性の評価が行われた。 なお、本研究は、併用群で全死因死亡のリスクが高かったため、独立データ安全性監視委員会の勧告により2018年7月、早期中止となった。事後解析では有効性の優越性を確認 2,215例(修正intention-to-treat集団)が登録され、単剤群に1,107例が、併用群には1,108例が割り付けられた。全体の平均年齢は74歳、男性が79%であった。1,564例(70.6%)がPCI、252例(11.4%)がCABGを受けていた。 ベースラインのCHADS2スコア中央値は2、CHA2DS2-VAScスコア中央値は4、HAS-BLEDスコア中央値は2であった。併用群の778例(70.2%)がアスピリン、297例(26.8%)はP2Y12阻害薬の投与を受けていた。治療期間中央値は23.0ヵ月(IQR:15.8~31.0)、フォローアップ期間中央値は24.1ヵ月(17.3~31.5)だった。 有効性の主要エンドポイントは、単剤群が89例、併用群は121例で発生し、人年当たり発生率はそれぞれ4.14%および5.75%であり、単剤群の併用群に対する非劣性が確認された(ハザード比[HR]:0.72、95%信頼区間[CI]:0.55~0.95、非劣性のp<0.001)。 また、安全性の主要エンドポイントの人年当たり発生率は、単剤群が1.62%(35例)と、併用群の2.76%(58例)に比べ有意に優れ(HR:0.59、95%CI:0.39~0.89、p=0.01)、単剤群の優越性が確証された。 副次エンドポイントである全死因死亡の人年当たりの発生率は、単剤群は1.85%であり、併用群の3.37%と比較して有意に良好であった(HR:0.55、95%CI:0.38~0.81)。このうち、心血管死(1.17% vs.1.99%、0.59、0.36~0.96)および非心血管死(0.68% vs.1.39%、0.49、0.27~0.92)のいずれにおいても、単剤群が有意に優れた。 事前に規定されたサブグループ(性別、年齢、脳卒中リスク、出血リスク、腎機能など)の解析では、有効性の主要エンドポイントは全般に単剤群で一致して良好な傾向が認められ、大出血イベントに関しても、同様の効果が観察された。 著者は、「事前に規定されていない解析では、有効性の主要エンドポイントに関して、単剤群の併用群に対する優越性が確認された」としている。

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日本糖尿病学会「女性糖尿病医サポートの取り組み」Webサイトに 「キラリ☆女性医師!若手特別版~私たちの今とこれから!~」を開設

 日本糖尿病学会「女性糖尿病医サポートの取り組み」Webサイトでは、これから糖尿病専門医をめざそうとする若手医師からの寄稿記事を掲載するコーナーとして「キラリ☆女性医師!若手特別版~私たちの今とこれから!~」を開設している。 同Webサイトでは2015年4月に「キラリ☆女性医師!」コーナーを開設し様々な立場の女性医師からの声を掲載しているが、「もっと若手の先生の声を」という意見・要望に応えるべく新たに設置された。 第1回として 小田 友里 氏(東京女子医科大学病院)、第2回として 枝川 幸子 氏(NTT東日本札幌病院)の記事を掲載しており、以下関連リンクより閲覧可能。 関連リンク 「キラリ☆女性医師!若手特別版~私たちの今とこれから!~」 (日本糖尿病学会 「女性糖尿病医サポートの取り組み」)

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国内初のインスリン+GLP-1受容体作動薬の配合注射液「ゾルトファイ配合注フレックスタッチ」【下平博士のDIノート】第33回

国内初のインスリン+GLP-1受容体作動薬の配合注射液「ゾルトファイ配合注フレックスタッチ」今回は、持効型溶解インスリンアナログ/ヒトGLP-1アナログ配合注射液「インスリン デグルデク/リラグルチド(商品名:ゾルトファイ配合注フレックスタッチ)」を紹介します。本剤は、持効型インスリンとGLP-1受容体作動薬を1回で投与できる国内初の配合注射製剤で、より簡便で確実な血糖コントロールが期待されています。<効能・効果>本剤は、インスリン療法が適応となる2型糖尿病の適応で、2019年6月18日に承認されています。<用法・用量>通常、成人では、初期は1日1回10ドーズ(インスリン デグルデク/リラグルチドとして10単位/0.36mg)を皮下注射します。投与量は患者の状態に応じて適宜増減しますが、1日50ドーズを超える投与はできません。注射時刻は原則として毎日一定とします。なお、投与量は1ドーズ刻みで調節可能です。<副作用>国内で実施された臨床試験において、安全性評価対象症例380例中126例(33.2%)に224件の臨床検査値異常を含む副作用が認められました。主な副作用は、便秘28例(7.4%)、下痢18例(4.7%)、悪心16例(4.2%)、糖尿病網膜症11例(2.9%)、および腹部不快感9例(2.4%)でした(承認時)。なお、重大な副作用として、低血糖、アナフィラキシーショック、膵炎、腸閉塞(いずれも頻度不明)が報告されています。<患者さんへの指導例>1.この薬は、不足している基礎インスリン分泌を補充する薬と、血糖値が高くなるとインスリンの分泌を促す薬の2種類が配合されており、血糖コントロールを改善します。2.めまいやふらつき、動悸、冷や汗などの低血糖症状を起こすことがあるので、高所作業、自動車の運転など、危険を伴う作業には注意してください。これらの症状が認められた場合は、ただちに糖質を含む食品を摂取してください。3.嘔吐を伴う持続的な激しい腹痛などが現れた場合は、使用を中止し、速やかに医師の診断を受けてください。4.未使用の薬剤は冷蔵庫内に保管してください。凍ってしまった場合は使えなくなるので注意してください。なお、旅行などに際して短期間ならば室温に置いても差し支えありません。5.使用開始後は、30℃以下の室内で遮光して保管してください。25℃以下の環境であれば4週間以内、30℃に近くなる環境では3週間以内に使用してください。<Shimo's eyes>本剤は、国内初の持効型インスリン製剤とGLP-1受容体作動薬の配合皮下注射製剤です。インスリン デグルデク(商品名:トレシーバ)と、リラグルチド(同:ビクトーザ)が固定比率で配合され、デバイスにはプレフィルドペン型注入器「フレックスタッチ」が採用されています。インスリンを用いた治療では、経口血糖降下薬と持効型インスリン製剤を組み合わせた「BOT(Basal Supported Oral Therapy)」や、持効型インスリン製剤と(超)速効型インスリン製剤を組み合わせた「強化インスリン療法」がよく行われています。本剤のような、持効型インスリン製剤とGLP-1受容体作動薬を組み合わせた治療法は「BPT(Basal supported post Prandial GLP-1 Therapy)」と呼ばれています。1日1回の投与で空腹時血糖と食後血糖両方の改善を期待できることから、BOTから強化インスリン療法にステップアップする前段階の治療として、近年注目されています。これまでBPTを行う場合は2種類の注射薬が必要でしたが、本剤によって1種類での治療が可能となったため、長期治療を必要とする糖尿病患者さんのアドヒアランスの向上と血糖コントロールの改善が期待できます。臨床試験では、本剤は基礎インスリン製剤に比べて低血糖のリスクを上げることなく、空腹時および食後の血糖コントロールを改善していますが、外来で変更する場合はとくに低血糖発現時の対応方法や連絡方法をしっかりと確認しましょう。なお、リラグルチドとDPP-4阻害薬はいずれもGLP-1受容体を介した血糖降下作用を有しているため、併用処方の場合には疑義照会が必要です。参考KEGG 医療用医薬品 : ゾルトファイ

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糖尿病と認知症リスク~メタ解析

 糖尿病と認知機能障害や認知症リスクとの関連については、明らかになっていない点が残っている。中国・青島大学のMei Xue氏らは、これらの関連について、さまざまな側面から検討を行った。Ageing Research Reviews誌オンライン版2019年8月17日号の報告。 2019年6月までのプロスペクティブ研究をPubMedより検索した。相対リスク(RR)の推定には、変量効果モデルを用いた。それぞれのメタ解析の信頼性を評価し、メタ回帰分析およびサブグループ解析を実施した。 主な結果は以下のとおり。・特定した2万8,082件の文献のうち、システマティックレビューの基準に合致した研究は144件であった。そのうち、122件についてメタ解析を行った。・糖尿病は、認知障害(認知機能障害および認知症)に対する1.25~1.91倍の過剰リスクが認められた。・前糖尿病においても、認知症リスクが高かった。・糖尿病関連の生化学的指標では、空腹時血糖(FPG)は、認知障害と非線形に関連していた。2時間血糖値(2h-PG)、HbA1cレベルの上昇、空腹時血漿インスリン(FPI)の低値および高値は、認知症リスクの増加と関連が認められた。・ピオグリタゾンの使用により、糖尿病患者の認知症リスクは、47%の減少が認められた。 著者らは「糖尿病、前糖尿病、糖尿病関連の生化学的指標の変化は、認知機能障害や認知症の発生率増加を予測した。ピオグリタゾンの保護効果については、ランダム化試験でさらなる調査が求められる」としている。

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CABGが3枝病変には有益?SYNTAX試験の10年死亡率/Lancet

 冠動脈3枝病変および左冠動脈主幹部病変の治療において、第1世代パクリタキセル溶出ステントを用いた経皮的冠動脈インターベンション(PCI)と冠動脈バイパス術(CABG)では、10年間の全死因死亡に差はなく、3枝病変患者ではCABGの生存利益が有意に大きいが、左冠動脈主幹部病変患者ではこのような利益はないことが、オランダ・エラスムス大学のDaniel J F M Thuijs氏らが行ったSYNTAX試験の延長試験であるSYNTAXES(SYNTAX Extended Survival)試験で示された。研究の成果は、Lancet誌オンライン版2019年9月2日号に掲載された。SYNTAX試験は、de-novo 3枝および左冠動脈主幹部病変患者における第1世代パクリタキセル溶出ステントを用いたPCIとCABGを比較する非劣性試験であり、最長5年のフォローアップでは、全死因死亡率はPCIが13.9%、CABGは11.4%(p=0.10)と報告されている。3枝および左冠動脈主幹部病変患者をCABGとPCIに割り付け 本研究は、北米と欧州の18ヵ国85施設が参加した多施設共同無作為化対照比較試験であり、2005年3月~2007年4月の期間に患者登録が行われた(フォローアップ期間の5~10年目はGerman Foundation of Heart Research、0~5年目はBoston Scientific Corporationの助成を受けた)。 対象は、年齢21歳以上のde-novo 3枝病変および左冠動脈主幹部病変を有する患者であった。PCIまたはCABGの既往歴、急性心筋梗塞、同時に心臓手術が適応の患者は除外された。被験者は、PCIまたはCABGを受ける群に無作為に割り付けられた。 主要エンドポイントは10年全死因死亡であり、intention-to-treat解析で評価した。糖尿病の有無別、および3段階の冠動脈病変の複雑性(SYNTAXスコアが≦22点:複雑性が低い、23~32点:中等度、≧33点:高い)に基づき、事前に規定されたサブグループ解析が行われた。CABG群に比べ3枝病変患者はPCI群の死亡率が有意に高かった 1,800例が登録され、PCI群に903例(平均年齢65.2[SD 9.7]歳、女性24%)、CABG群には897例(65.0[9.8]歳、21%)が割り付けられた。10年時の生存転帰の情報は、PCI群841例(93%)、CABG群848例(95%)で得られた。 10年時までに、PCI群では244例(27%)、CABG群では211例(24%)が死亡し、両群間に有意な差は認められなかった(ハザード比[HR]:1.17、95%信頼区間[CI]:0.97~1.41、p=0.092)。5年時をランドマークポイントとするランドマーク解析を行ったところ、0~5年(1.19、0.92~1.54)および5~10年(1.15、0.89~1.50)のいずれにおいても、両群間に死亡率の差はみられなかった。 また、3枝病変患者では、PCI群がCABG群に比べ死亡率が有意に高かったのに対し(151/546例[28%]vs.113/549例[21%]、HR:1.41、95%CI:1.10~1.80)、左冠動脈主幹部病変患者では両群間に差はなかった(93/357例[26%]vs.98/348例[28%]、0.90、0.68~1.20、交互作用のp=0.019)。 糖尿病患者(HR:1.10、95%CI:0.80~1.52)および非糖尿病患者(1.20、0.96~1.51)においても、PCI群とCABG群の間に死亡率の差はなかった(交互作用のp=0.66)。冠動脈病変の複雑性別の解析では、複雑性が低い群(1.13、0.79~1.62)と中等度の群(1.06、0.77~1.47)の死亡率には治療群間に差はなく、高い群(1.41、1.05~1.89)ではCABG群が良好であったが、これらの3つの群に線形傾向はみられなかった(傾向のp=0.30)。 著者は、「血行再建術を要する複雑な冠動脈3枝病変を有する患者はCABGを受けるべきと考えられるが、選定された左冠動脈主幹部病変患者では、PCIはCABGに代わる適切な選択肢であり、同様の10年生存率をもたらす」としている。

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内臓脂肪を減らす「スマート和食」、そのメカニズムとは

 「和食(Washoku)」が、日本の伝統的な食文化として、ユネスコの無形文化遺産に登録されたのは2013年。その健康効果には世界的に注目が集まっているが、ヒトの内臓脂肪蓄積に与える影響やメカニズムについては不明である。 今回、坂根 直樹氏(京都医療センター 臨床研究センター 予防医学研究室長)、高瀬 秀人氏(花王株式会社 生物科学研究所)らの研究グループは、日本の伝統に基づく食事が、内臓脂肪面積あるいはGIP(グルコース依存性インスリン分泌刺激ポリペプチド)分泌に及ぼす効果を調査した。Nutrition journal誌2019年9月2日号の報告。 同グループは、これまでの研究で、1万1,438人の内臓脂肪と食習慣、さらに579人の3日間の食事記録と食習慣を調査した。それらのデータを詳細に解析した結果、「タンパク質/脂肪比≒1.0」「食物繊維/炭水化物比≧0.063」「ω-3脂肪酸/脂肪比≧0.054」これら3つの条件が、内臓脂肪蓄積の予防と関連することが明らかになった1)。 坂根氏らは、この3つの比を取り入れた日本食を「スマート和食」と呼び、スマート和食と現代食が内臓脂肪蓄積に与える影響について、クロスオーバー試験で調査した。 主な結果は以下のとおり。・対象は21人の過体重あるいは肥満の男性(平均年齢:41.0 ± 9.0 歳、平均BMI:25.2 ± 2.0 kg/m2)。・単回の食事負荷試験で、食後0、30、60、120、180、240分におけるGIPの曲線下面積(AUC)を算出した。スマート和食では、現代食と比べ、食後GIP濃度が有意に低かった(AUC:700.0 ± 208.0pmol/L・4 h vs.1117.0 ± 351.4 pmol/L・4 h、p <0.05)。一方、同時に測定した血糖、中性脂肪、インスリン、GLP-1、peptide YY、グレリンでは、両群間で差を認めなかった。・2週間にわたるスマート和食の介入では、内臓脂肪だけでなく、LDL-コレステロール、中性脂肪、HbA1c値が有意に減少した。 これらの結果から、スマート和食は、おそらくGIP分泌の抑制を介して、過体重/肥満男性の内臓脂肪面積を低下させ、代謝パラメーターを改善する可能性が示された。 坂根氏はコメントで、「今回の結果より、GIPが和食の内臓脂肪低減効果のメカニズムに関与していることが示唆された。ポッコリお腹を何とかしたいという患者さんはたくさんいる。食事では、脂質を減らしてタンパク質を増やす、糖質を摂る前に野菜・きのこ・海藻類などの食物繊維をたっぷり摂る、脂質を摂るならω-3系脂肪酸を積極的に摂る、という3つのポイントが大事」と示唆し、内臓脂肪を減らすための食事指導を勧めている。

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閉経後ホルモン療法、5年以上で乳がんリスク増大/Lancet

 先進国の平均体重の女性では、閉経後ホルモン療法(MHT)を50歳から5年間受けた場合の50~69歳における乳がんリスクの増加は、エストロゲン+プロゲスターゲン毎日投与では約50人に1人であり、エストロゲン+プロゲスターゲンの月に10~14日投与では70人に1人、エストロゲン単独では200人に1人であるとの調査結果が、英国・オックスフォード大学のValerie Beral氏らCollaborative Group on Hormonal Factors in Breast Cancerによって示された。研究の成果は、Lancet誌オンライン版2019年8月29日号に掲載された。MHTの種類別の乳がんリスクに関する既報の知見には一貫性がなく、長期的な影響に関する情報は限定的だという。MHTの種類別の乳がんリスク増加のメタ解析 研究グループは、MHTの種類別の乳がんリスクに関するエビデンスを、公表・未公表を問わず収集し、関連する無作為化試験のエビデンスをレビューするとともに、メタ解析を行った(Cancer Research UKと英国医学研究会議[MRC]の助成による)。 主解析には、MHTの種類と使用のタイミングを検討した前向き研究の個々の参加者のデータを用いた。この種類と使用時期に関する完全な情報のある参加者を中心に解析を行った。研究の特定は、1992年1月1日~2018年1月1日の期間に、公式・非公式の情報源を定期的に検索することで行った。 現MHT使用者では、MHT使用の最終報告から最長5年(平均1.4年)までのデータを解析に含めた。ロジスティック回帰を用いて、特定のMHTの使用者の非使用者との比較における補正リスク比(RR)を算出した。中止後も、ある程度の過度のリスクが10年以上持続 フォローアップ期間中に10万8,647例の閉経後女性が乳がんを発症し、発症時の平均年齢は65歳(SD 7)であり、このうち5万5,575例(51%)がMHTを使用していた。完全な情報のある患者では、平均MHT使用期間は、現使用者が10年(6)、元使用者は7年(6)であり、閉経時の平均年齢は50歳(5)、MHT開始時の平均年齢は50歳(6)だった。 MHTは、膣エストロゲンを除き、乳がんリスクの増加と関連しており、使用期間が長くなるほどリスクが増加し、エストロゲン/プロゲスターゲンはエストロゲン単独に比べリスクが高かった。 現使用者では、このような過度の乳がんリスクは使用期間が1~4年と短くても明確に認められた(エストロゲン/プロゲスターゲンのRR:1.60、95%信頼区間[CI]:1.52~1.69、エストロゲン単独のRR:1.17、95%CI:1.10~1.26)。 エストロゲン/プロゲスターゲンの使用期間5~14年の乳がんリスクは、エストロゲン+プロゲスターゲンの毎日使用が、エストロゲン+プロゲスターゲンの月に10~14日の使用よりも高かった(それぞれRR:2.30[95%CI:2.21~2.40]、1.93[1.84~2.01]、異質性のp<0.0001)。 現使用者の使用期間5~14年における乳がんのRRは、エストロゲン受容体陽性腫瘍が陰性腫瘍よりも高く、MHT開始年齢が40~44歳、45~49歳、50~54歳、55~59歳の女性でほぼ同じであり、60歳以降に開始した女性や肥満の女性では低下した(肥満女性では、エストロゲン単独のMHTによる乳がんリスクの増加はほとんどなかった)。 MHT中止後も、ある程度の過度のリスクが10年以上持続し、その強度は使用期間の長さに依存しており、使用期間が1年未満の場合はリスクがほとんど増加しなかった。 著者は「MHTを10年間使用した場合の乳がんリスクの増加は、今回の5年使用のリスクの約2倍に達すると考えられる」としている。

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高用量ビタミンD補充に関する検討:わが国の現状には参考にならない(解説:細井 孝之 氏)-1112

 ビタミンDは骨代謝のみならず、免疫系などにも作用する重要なビタミンである。血中25水酸化ビタミンD濃度はビタミンDの充足度を反映する指標であり、日本内分泌学会が基準値を定め、その測定は最近骨粗鬆症にも保険適用となった。一方で、いまだにビタミンD不足(血中濃度30ng/mL以下)の方は非常に多く、少なくとも成人の食事摂取基準における1日摂取量の目安である5.5μgを確保したいところである。なお、骨粗鬆症の予防と治療ガイドライン2015年版では1日10~20μgの摂取を推奨している。 この論文で報告されている研究では55~70歳の男女を3群に分け、ビタミンD 1日10μg、100μg、または250μgを3年間摂取させ、「体積骨密度」の変化を比較している。ベースラインの25水酸化ビタミンD濃度は、12~50ng/mLと幅広い。このような高用量ビタミンDの介入研究は欧米ではこれまでも報告されてきたが、本研究の新規性は「面積骨密度」(通常のDXA)ではなく、「体積骨密度」で評価したことにある。結果としては、より高用量のビタミンDによるbenefitはなかったことが示唆されている。わが国でのビタミンD摂取許容上限値は成人で100μgであり、100μgをサプリメントで摂取することはまずないことを考えると、研究結果はわが国の現状に対しては直接的に参考になるものではない。高用量のビタミンD摂取時に脱水などの体調変化が加わると、高カルシウム血症のリスクが高まることは注意すべきである。また、ビタミンDを含む脂溶性ビタミンの体内分布を考えると、脂肪組織への蓄積なども考慮しなければならない用量のレベルもあろう。

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第28回 空飛ぶ心電図~患者さんの命を乗せて~(後編)【Dr.ヒロのドキドキ心電図マスター】

第28回:空飛ぶ心電図~患者さんの命を乗せて~(後編)前回に引き続き、クラウドを利用した12誘導心電図伝送システムの救急現場での活用について、谷口先生にお話を伺います。2回シリーズの後編は、やや非典型例も扱いつつ、プロジェクト成功の秘訣や苦労した点、課題、さらには今後の展望までDr.ヒロがズバッとインタビューします!◆聞き手:Dr.ヒロ(以下、ヒロ)◆ゲスト:谷口 琢也先生(以下、谷口)谷口 琢也氏京都府立医科大学医学部卒業。松下記念病院で心筋虚血(核医学)に関する薫陶を受け、2007年より国立循環器病センター心臓血管内科CCUに所属、モバイルテレメディシンシステムに触れる。2013年からは京都府立医科大学附属北部医療センターで心不全レジストリなどの臨床研究を主導すると共に、クラウド型12誘導心電図伝送システムを導入。2018年に京都大学大学院で臨床疫学の方法論を系統的に学び、現在、母校にて社会に還元できる臨床研究の推進に取り組む。医学博士、社会健康医学修士、総合内科専門医、循環器専門医、心血管カテーテル治療専門医を取得。趣味は美食探訪、得意な家事は皿洗い。(ヒロ)今回も谷口 琢也先生を迎え、京都府立医科大学附属北部医療センターで取り組まれた、救急現場におけるクラウド型心電図伝送システムについて教えていただきます。<質問内容>【質問1】心電図伝送の試みを開始しようと思ったキッカケはありますか?【質問2】この心電図伝送システムが適応された症例の原因疾患の内訳はどうでしょうか?【質問3】実際に伝送された心電図所見の内訳はどのようになっていますか?【質問4】急性冠症候群(ACS)/STEMI以外で有用と思われる病態はありますか?【質問5】心電図伝送システムが適用された症例のうち、急性冠症候群など「ではなかった」印象的な症例はありますか?【質問6】心電図はどこに保存しますか?カルテに取り込むのですか?【質問7】心電図伝送システムと電子カルテを紐付けしていますか?【質問8】伝送された心電図データの保存期間はありますか?【質問9】心電図伝送システムのハード面、ランニングコストや通信費用はどれくらいですか?【質問10】実際に病院が払うコストはどれくらいですか?【質問11】心電図伝送システムの長所は何ですか?【質問12】この心電図伝送システムが成果を上げることができた要因はなんですか?【質問13】実際の成果で学術論文になったものはありますか?【質問14】このシステム上で「正しい心電図をとる」ために救急スタッフ(救急隊)への指導や教育、啓蒙活動などの運用についての取り組みはありますか?【質問15】市町村や地域住民に向けた広報活動、そのほかメディアへの拡散はどのように行っていますか?【質問16】今後の方向性や新しい取り組みに関して、将来ビジョンを教えて下さい。【質問1】心電図伝送の試みを開始しようと思ったキッカケはありますか?(谷口)以前から病院前心電図の重要性を認識していました。この心電図伝送の試みは、地域の消防組合とタイアップして行っています。宮津与謝消防組合が管轄するエリアから北部医療センターへの救急搬送率は、ほぼ100%。病院派遣型救急ワークステーションが院内にあり救命救急士とも顔の見える関係なので、心電図伝送を用いた救急医療に地域として取り組みましょうということになったんです。(ヒロ)病院と地域の消防との間に普段から良好な関係があったからこそ、機運が高まったのですね。救急隊と病院の“1:1対応”というのも、心電図や患者をどこに送るか悩む必要がなく、プレホスピタル心電図伝送に適した状況ですよね。(谷口)2016年にトライアルを行い運用するメリットが確認できたため、2017年12月1日から本稼働することになりました。宮津与謝消防組合が有する救急車4台すべてにシステムを搭載して運用を開始しました。【質問2】この心電図伝送システムが適応された症例の原因疾患の内訳はどうでしょうか?(谷口)約半数が循環器疾患です(図1)。(図1)心電図伝送システムの適応疾患と詳細画像を拡大する(ヒロ)心電図をとる範囲を広く設定しても、やはり半数は心疾患なのですね。胸と“みぞおち”(心窩部)を含むので肺とか胃腸疾患が入ってくるのも納得です。【質問3】実際に伝送された心電図所見の内訳はどのようになっていますか?(谷口)円グラフで示しました(図2)。これも前回お話した2017年の152例のデータです。STEMI(ST上昇型急性心筋梗塞)は11例、類縁疾患を含むST上昇が14例(9%)、ST低下が13例(9%)です。(図2)伝送された心電図所見の内訳画像を拡大する(ヒロ)これも貴重なデータですね。心房細動も24例(16%)と多いですね。正常心電図が約3分の1(33%)な点も興味深いです。約半数を占める心外疾患の多くはここでしょうしね。【質問4】急性冠症候群(ACS)/STEMI以外で有用と思われる病態はありますか?(谷口)この疾患(病態)というのは明確に言えない面もありますが、もしかしたら心室頻拍(VT)や心室細動(VF)も検出できるかもしれないですね。(ヒロ)不整脈ですね。心房細動・粗動や発作性上室性頻拍などは、救急要請がなされても病院に到着する前に停止してしまっていることも、しばしばです。現着後間もない心電図を記録することで、動悸などの“原因”が分からずじまいという、もどかしい状況が減るかも知れませんね。【質問5】心電図伝送システムが適用された症例のうち、急性冠症候群など「ではなかった」印象的な症例はありますか?【症例】84歳、男性。【主訴】胸部絞扼感、倦怠感、呼吸苦【現病歴】高血圧症で内服中。COPDによる入院歴あり。ADLは自立。2017年12月X日、昼食時にお茶を飲むときにむせて、その直後から強い喘鳴を伴う呼吸苦と胸部絞扼感が出現したため、救急搬送となった。【身体所見】脈拍数:91/分・整、呼吸数25/分、血圧220/93mmHg、酸素飽和度89%(マスク8L/分)(ヒロ)なるほど。食事中に出現した呼吸苦と胸部しめつけ感ですね。この方の伝送心電図はどのような波形を示していたのでしょうか?(谷口)以下に示します(図3)。心拍数は100弱/分で右軸偏位、不完全右脚ブロック、一部にST変化もあります。(図3)伝送された12誘導心電図画像を拡大する(ヒロ)これも同時相、5秒間の心電図ですね。前回のSTEMI症例よりはノイズが目立ちますが、十分に評価できるレベルですね。5拍目に心房期外収縮(PAC)もありますね。ほかには時計回転の所見も指摘したいですね。先生ご指摘の所見も含めて右心系負荷を考えたくなります。酸素飽和度も低いようですが、原因は何だったのですか?(谷口)気胸でした。痛みで著明な高血圧と心不全も呈していました。(ヒロ)確かに、そう言われると、胸部誘導は上から下までR波がほとんど増高していませんね。そうか!よく心電図の教科書でも取り上げられている「左」の気胸ですか、これは?(谷口)いえ、実際は「右」気胸でした。(ヒロ)なるほど。勉強になります。COPDもあるようですから、自然気胸以外にお茶でむせた時にブラが破裂した可能性なんかもあるんですかね。病院に以前の記録があったら比べたいですが…。図3のような心電図では、このほかに肺塞栓症や肺炎も大事な鑑別疾患ですね。(谷口)もちろん、気胸は伝送心電図だけで診断するものではないですが、ACS以外でも有用な情報を与えてくれることがある、という一例でした。【質問6】心電図はどこに保存しますか?カルテに取り込むのですか?(谷口)本システムでは、心電図はクラウドに保存され、電子カルテには取り込まれません。しかし、電子カルテにプレホスピタルの情報として入れている施設があると聞いています。【質問7】心電図伝送システムと電子カルテを紐付けしていますか?(谷口)心電図データは電子カルテに紐付けされないので、管理はわれわれ医師がしています。(ヒロ)場合によっては、紙ベースで印刷した物を残したり、スキャンしたりでしょうかね。【質問8】伝送された心電図データの保存期間はありますか?(谷口)受信側の病院は1週間、送信側の救急隊は1ヵ月(30日間)、データを見ることができます。【質問9】心電図伝送システムのハード面、ランニングコストや通信費用はどれくらいですか?(谷口)費用は施設ごとに異なる可能性もありますが、初期費用として心電計、伝送用のタブレット端末やスマートフォンの購入費用が必要です。メンテナンス費用には各機材の保証も含まれているので、タブレットが割れても大丈夫です。レンタルプランもあるようです。【質問10】実際に病院が払うコストはどれくらいですか?(谷口)救急車4台すべてに心電計を搭載し、この費用は市町と病院が半分ずつ負担して運用しています。【質問11】心電図伝送システムの長所は何ですか?(谷口)このシステムの長所は、何よりもDoor To Balloon Time(DTBT)を短縮し、予後改善できるということだと思います。(ヒロ)前回提示いただいた症例もそうでしたね。どのプロセス・時間が短縮できているのでしょうか?(谷口)ACSが疑われたらカテラボを立ち上げる1)のが重要ですが、そこに時間がかかります。その準備時間を短縮できることが重要だと思います。peak CK、壊死心筋量を少なくするとよく言われますが、VT/VFのリスクにさらされる時間が減ることも予後改善につながっているのではと考えています。(ヒロ)DTBT短縮は、保険診療上のメリットもあると聞きますが…。(谷口)はい。平成26年度の診療報酬改定から、急性心筋梗塞に対して冠動脈インターベンション(PCI)を行った場合、DTBTが90分以内では10,000点が加点できます(症状発現後12時間以内の来院症例)。1)カテ室のセットアップと各部署(看護師、放射線技師、臨床工学技士など)への連絡や人員確保のこと【質問12】この心電図伝送システムが成果を上げることができた要因はなんですか?(谷口)いくつかあると思いますが、北部医療センターは丹後医療圏で唯一、救急の受け入れを断らない病院であり、競合病院も少ないため救急隊が搬送先に悩む必要がない点です。(ヒロ)救急応需率100%は素晴らしいですね。しかも“1:1対応”というか、行く先が決まっている点も好都合ですね。これは都心部ではなかなか難しい点ですかね。消防組合との関係性も良好だったのですね。(谷口)ええ。また、院長の働きかけにより市町から援助・協力をいただけ、そして何より院内の風通しが良く、救急科やコメディカル・スタッフのおかげでシステム導入にあたってのハードルが低かった点でしょうか。【質問13】実際の成果で学術論文になったものはありますか?(谷口)われわれの成果は、まだ論文として報告していないのですが、12誘導心電図伝送の“SCUNA”(スクナ)というシステムからは論文が3報出ていると聞いています2)、3)、4)。(ヒロ)ぜひとも谷口先生グループの成果も、論文で読んでみたいです。2:Takeuchi I, et al. Int Heart J. 2013;54:45-47.3:Takeuchi I, et al. Int Heart J. 2015;56:170-173.4:Yufu K, et al. Circ Rep. 2019;1:241-247.【質問14】このシステム上で「正しい心電図をとる」ために救急スタッフ(救急隊)への指導や教育、啓蒙活動などの運用についての取り組みはありますか?(谷口)本システムでは、救急隊員が現場で患者に接触、心電図を取る必要があるかを判断して、はじめて伝送が行われるシステムです。ですから、救急隊員の意識を高めることはとても重要です。北部医療センターでは、月に1回、救急隊員と救急室ナース、われわれ循環器医などが集まって「心電図伝送症例を見直す会」というのを開催しています。(ヒロ)ブラボー! 関係スタッフみんなで良い意味での「反省会」をしているのですね。年150症例とのことでしたから、毎月12~13件ですかね。(谷口)ええ。心電図伝送がどれだけ有効であったのかを現場にフィードバックすることで、救急隊の方々も自分のしている行為がどれだけ現場に還元できているのかを、身を持って感じることができるはずです。その結果、12誘導心電図をもっと知りたい、講義をして欲しいという意識が高まり地域としても非常に良いと思います。【質問15】市町村や地域住民に向けた広報活動、そのほかメディアへの拡散はどのように行っていますか?(谷口)本システムの導入にあたり、新聞社などから取材を受けました。また、NHK京都放送局が取り組みに対する特集を組んでくれたおかげで、それがメディアに流れ非常に反響が大きかったというのがあります。【質問16】今後の方向性や新しい取り組みに関して、将来ビジョンを教えて下さい。(谷口)今実施している地域のみならず、近隣にも範囲を拡充し、もう少し広いエリアで本システムを導入したいと考えています。具体的には京丹後市の隣接地域がすべて網羅できれば、丹後医療圏という二次医療圏すべてにおいて包括的にこのシステムを導入できるので、それができれば理想かなと考えています。(ヒロ)まずは二次医療圏の制覇ですね。都市部への展開も魅力的ですが、要請数や医療施設数も多く、一筋縄ではいかなそうです。(谷口)もう一つの可能性として、このシステムは心電図のみならず、動画情報も送ることができます。身体所見、外表面の状況という現場の緊迫感も含めて伝送することで、病院にいる医師の受け入れ体勢の改善や準備、診断への時間短縮にもつながるので、そのような方向での応用も考えています。(ヒロ)心臓病以外の疾患にも使っていく方向性はどうですかね。具体的には、時間との戦いである脳卒中とか、交通外傷や災害医療トリアージなどにも使えそうですね。前編・後編の2回に分けて、救急現場でのクラウド型12誘導心電図伝送システムの有用性についてお話いただき、非常に魅力的なインタビューとなりました。国内の救急医療において、こうしたシステムが都心・地方を問わず“どこでも”、そして“当たり前”に使われる日は意外にそう遠くはないのかもしれません。谷口先生、どうもありがとうございました!1)The firefighter. 近代消防社;2018.p.100-105.【古都のこと~松花堂弁当のルーツ~】皆さんは「松花堂弁当」を聞いたこと、あるいは食したことがありますか? ご推察の通り、前回紹介した松花堂にルーツがあるそうです。松花堂(八幡市)で隠居していた僧昭乗は、内側を十字型に区切った「四つ切り箱」を煙草盆や絵具箱として用いていました。もとは農家の種入れ器だったようで、斬新なセンスの光る自己流アレンジでしょうか。そして時は流れ昭和初期、茶会に登場した“昭乗箱”にピンときた主が湯木貞一*に同器を用いた茶懐石弁当の創作を命じたそうです(西田幾多郎ら)。それはいつしか「松花堂弁当」と呼ばれるようになり、今ではちょっと高級な和食弁当の代名詞にもなっています。洗練された見た目の美しさに加えて、パーテーションの存在が各料理の味・香り・温度を別々に供する実用性を提供しています。京都吉兆はボクお気に入りの市外おもてなしスポットですが、至高の景観を前に由縁を知って松花堂店で食す弁当は格別でした。*:のちに料亭「(京都)吉兆」の創始者となった。

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デキサメタゾン1日投与の制吐効果は?/Oncologist

 化学療法誘発性悪心・嘔吐(CINV)の予防に用いられるデキサメタゾンについて、投与日短縮法の制吐効果が明らかにされた。松下記念病院の岡田優基氏らは、パロノセトロン併用下でのデキサメタゾンの適切な投与期間について、個々の患者データに基づいたメタ解析を行った。Oncologist誌オンライン版2019年6月19日掲載の報告。 研究グループは、中等度催吐性リスク化学療法またはアントラサイクリン+シクロホスファミドを含む化学療法を受ける化学療法未治療の成人患者を対象に、パロノセトロン+デキサメタゾンday1(d1群)とパロノセトロン+デキサメタゾンday1~3(d3群)のCINVに対する効果を比較検討した無作為化臨床試験について、PubMedおよびMEDLINEを用いて検索するとともに手作業でも検索し、システマティックレビューを行った。 主要評価項目は、全期間(化学療法開始後5日間)における嘔吐なし・救済治療なしの嘔吐完全抑制率(CR率)で、非劣性マージンは-8.0%(d1群-d3群)とした。 主な結果は以下のとおり。・無作為化臨床試験5件(計1,194例)が解析に組み込まれ、個々の患者データが収集された。・d1群のCR率は、d3群に対して非劣性であることが示された(リスク差:-1.5%、95%CI:-7.0~4.0%、I2=0%)。・デキサメタゾンのレジメンと、リスク因子(化学療法の種類、性別、年齢、アルコール消費)との間に有意な相互作用はなかった。

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