サイト内検索|page:900

検索結果 合計:35672件 表示位置:17981 - 18000

17981.

コマーシャルペーパーといわれても致し方がないのではないか(解説:野間重孝氏)-1136

 チカグレロルとプラスグレルは、世界の薬剤市場でクロピドグレルの後継を巡って、いわばライバル薬品として扱われているといってよい。両剤ともに作用の発現が早く、また投与中止後、薬効の消失が速やかであることが期待できるという点で共通している。しかしプラスグレルはいわゆるチエノピリジン系に属し、そのものは活性を有しないのに対し、チカグレロルはそのものが活性を持つという点が大きく異なる。ただし、プラスグレルはクロピドグレルと異なり、複数のCYPにより代謝されるため、チカグレロルに劣らない速度で活性を発揮することが可能になっている。 チカグレロルの有用性を検討した主な試験は2つあり、1つがPLATO試験(2009年)、もう1つがPEGASUS試験(PEGASUS-TIMI 54、2015年)である。これらの試験により、出血性合併症がやや多いものの、心血管イベントの発症抑制のためのDAPTの構成薬品として有用なだけでなく、クロピドグレルよりも成績が良いことが示された。しかしこれらの試験では日本人を中心とする東洋人の参加が少なかったことを受け、PHILO試験(2015年)が日本、台湾、韓国の急性冠症候群(ACS)患者を対象として施行された。いわばブリッジ試験であったが、この試験は規模が十分でないとされたものの、結果においてクロピドグレルに対する優位性を示すことができない一方で、それまでも問題視されていた出血イベントが増加してしまった。このことから、同剤はわが国でもPCI後の抗血小板剤として2016年9月に認可されたものの、「アスピリンを含む抗血小板剤2剤併用療法が適切である場合で、かつ、アスピリンと併用する他の抗血小板剤の投与が困難な場合に限る」というただし書きが付けられてしまった。 プラスグレルとの直接比較はPRAGUE-18試験(2016年)で行われたが、この試験は安全性を確かめることに重点が置かれていたことから、両剤の優劣を確かめることなく、一応の安全性が確認された段階で早期中止になってしまった。この後両者の直接比較は行われていなかったが、Schupke Sらが本年に発表したISAR-REACT 5試験で、両者でACSに対する効果に差がないにもかかわらず、以前から問題にされていた出血性イベントにはっきり差があることが示された。このCLEAR!ジャーナル四天王でも東海大学の後藤 信哉氏が同研究の論文評で、「日本の宇部興産と第一三共が開発したプラスグレルこそがクロピドグレルの後継となれるポテンシャルのあった薬なのかもしれない。いいものを持ちながら戦略性にて欧米に負ける日本の現状の問題を提起する試験であった」と、強い調子で書かれた気持ちがよくわかる。つまり世界的な薬剤シェアでは、プラスグレルはクロピドグレルの後継を巡ってチカグレロルに負け越しているのが現状なのである(ちなみに現在でもシェアトップはクロピドグレル)。 本試験は6ヵ月以上の血糖降下薬の投与を受けた2型糖尿病を持つ安定冠動脈疾患患者から、PCI・冠動脈バイパスの既往の有無、冠動脈造影で50%以上の狭窄を指摘されているかのいずれかの因子を持つ患者を選び、これをアスピリン+プラセボ群とアスピリン+チカグレロル群に無作為に分け、中央値で3.3年間フォローし、心血管死、心筋梗塞、脳卒中の複合エンドポイントの発生率をintention to treat解析により検討したものである。結果はチカグレロル群がプラセボ群に比し有意に良好であったが、出血性イベントではチカグレロル群で有意に多かった。 本研究はAstraZeneca社の助成によって行われたとあるが、一体何の目的で行われたものなのか疑問である。プラセボを相手に行えば、差が出ることも、出血性合併症が多いことも、上記のPEGASUS試験ですでにわかっていたことではないのか。著者らは「大出血の発生率は有意に高かったが、致死的出血および頭蓋内出血では有意差がなかった」というが、一体何が言いたいのだろうか。大出血で有意差が出ればそれで十分ではないか。 さらに事前に規定された探索的エンドポイントである総合的臨床ベネフィットにおいて有意に優れていたものの、非PCI群では差が出なかったというが、これも糖尿病患者の冠動脈内に治療のためとはいえ異物を残すわけだから、PCIを振り分け因子として振り分ければ当たり前なのではないかと考えられる。つまり第1に、糖尿病は当然のように心血管イベントの危険因子である。第2に、PCIや冠動脈バイパスなどのインターベンションの成績は非糖尿病患者に比べて糖尿病患者では劣る。そして第3として、その心血管イベントの予防に対してDAPTは有効である。以上、考えていただければ容易におわかりいただけるように、本研究はチカグレロルの特別の優位性を示す研究とはいえない。なお蛇足ながら付け加えさせていただくと、糖尿病は薬物療法に対して種々の影響を持ちそうに思われるだろうが、少なくともDAPTの長期vs.短期の検討を行う際に糖尿病の存在は独立した影響因子にはならないことが現在では定説になっている(Gargiulo G, et al. BMJ. 2016;355:i5483.)。 以上、糖尿病という因子を持ち込むことによっていかにも説得力を持つように見せているが、本試験は要するにSAPT vs.DAPTの試験にすぎない。企業助成によるコマーシャルペーパーといわれても致し方がないのではないかと思う。

17982.

外来診療中のサージカルマスク着用とN95マスク着用の呼吸器感染症予防効果の比較(解説:吉田敦氏)-1139

 インフルエンザウイルスをはじめとする呼吸器ウイルス感染の予防に、外来診療で日常的に着用されるサージカルマスクが、N95マスクとどの程度予防効果が異なるのか、今回ランダム化比較試験が行われた。小児を含む米国7医療機関において、外来診療に当たる医療従事者を小集団(クラスター)に分割、小集団ごとにサージカルマスク、N95マスクのいずれかにランダムに割り付けし、H1N1 pandemicを含む4シーズン以上を観察期間とした。医療従事者には毎日呼吸器症状を含む体調の変化について日記をつけさせ、発症した際には遺伝子検査を行い、さらに無症状であっても遺伝子検査と血清抗体検査を行うことで、不顕性感染の有無まで把握を試みたものである。 結果的に、プライマリーアウトカムであるインフルエンザ(検査確定)罹患率(両群で7~8%)、セカンダリーアウトカムである急性呼吸器症状発症率や呼吸器ウイルス*感染症罹患率に差はなかった。のみならず、マスク着用のアドヒアランスについて「常に」「時に」「まったく着用しない」「思い出せない」と回答した医療従事者は、それぞれ65%、24%、10%、0.4%程度と有意な違いはなかった。*コクサッキー/エコー、コロナ、メタニューモ、ライノ、パラインフルエンザ、RSの各ウイルスを含む。 N95マスクは、飛沫核を形成するウイルスの感染予防に適する一方、密着させる必要性がある。このため呼吸しにくくなり、アドヒアランスの低下が懸念される。一方でサージカルマスクは、より粒子の大きい飛沫による感染や、手から鼻・口への接触による感染を予防すること、ならびに有症者から健常者への伝播予防に重点が置かれる。本検討ではサージカルマスクに比してN95マスクでアドヒアランスが明らかに下がったという結果は得られなかったが、その反面、両者でアドヒアランスは低めで、さらにアドヒアランスに関する回答の内訳(カテゴリーごとの割合)はかなり似通っていた。なおアドヒアランスとインフルエンザ罹患率との関連や、アドヒアランスと不顕性感染の関係、さらには不顕性感染と各ウイルスとの相関については明らかにされなかった。 これまでにもインフルエンザシーズンでのサージカルマスクないしN95マスクの着用が、医療従事者のインフルエンザ罹患に差があるか検討した報告は存在する。Loebらの報告1)は救急外来、内科、小児科病棟勤務者が対象であったが、インフルエンザ罹患率は両群で22%程度と高かったものの、差はなかった。ほかの報告の中にはN95マスクの優位を示すものがあったが、研究自体のエンドポイントの設定に議論があった。実際には、呼吸器ウイルスの流行状況や、患者からのウイルスの排出量、医療従事者との接触の程度、マスク着用率と確実さ、ほかに併用した感染予防策といった要因にも予防効果は影響されているとみてよく、さらに飛沫感染・接触感染が実際にどの程度生じているかにも左右されている。このため複雑な事象をマスクの違いのみで分別して解析することの限界をみているのかもしれない。このことは逆に、実際のさまざまな状況を私たちが想像して、有効な対策を適切に組み合わせて使い、解釈し、柔軟に調整していくことの重要性を示唆していると思われる。報告された内容と現実との間を十分斟酌し、解釈することが、より求められる論文といえよう。

17983.

COPDの3成分配合吸入エアゾール薬「ビレーズトリエアロスフィア56吸入」【下平博士のDIノート】第37回

COPDの3成分配合吸入エアゾール薬「ビレーズトリエアロスフィア56吸入」今回は、COPD治療薬「ブデソニド/グリコピロニウム臭化物/ホルモテロールフマル酸塩水和物製剤(商品名:ビレーズトリエアロスフィア56吸入)」を紹介します。本剤は、吸入薬を複数使用してもコントロールが不十分なCOPD患者に対し、治療効果とアドヒアランス双方の改善が期待されています。<効能・効果>本剤は、慢性閉塞性肺疾患(慢性気管支炎、肺気腫)の諸症状の緩解(吸入ステロイド薬、長時間作用性吸入抗コリン薬および長時間作用性吸入β2刺激薬の併用が必要な場合)の適応で、2019年6月18日に承認され、2019年9月4日より発売されています。<用法・用量>通常、成人には、1回2吸入(ブデソニドとして320μg、グリコピロニウムとして14.4μg、ホルモテロールフマル酸塩として9.6μg)を1日2回吸入投与します。<副作用>第III相試験(KRONOS試験、PT010007試験、PT010008試験)の併合成績において、本剤が投与された639例のうち、臨床検査値異常を含む副作用が126例(19.7%)において認められました。主な副作用は、発声障害(3.1%)、筋痙縮、口腔カンジダ症(各1.4%)、上気道感染(1.3%)などでした。なお、重大な副作用として、心房細動(0.2%)、重篤な血清カリウム値の低下(頻度不明)が報告されています。<患者さんへの指導例>1.本剤は、気管支を広げるとともに炎症を抑えることで、呼吸を楽にして身体の活動性を改善するCOPDの治療薬です。2.1日2回、1回2吸入を、毎日なるべく同じ時間帯に、よく振ってから吸入してください。3.声枯れや感染症を予防するため、吸入後は必ず数回うがいをしてください。4.吸入器の小窓には、20きざみでおおよその残り回数が示されています。小窓の中央に「0」が表示され、それ以上進まなくなったら使用を中止して、新しいものに交換してください。開封するときは、キャップを外し、よく振って1度空噴霧する、という一連の操作を4回繰り返してください。5.口の渇き、目のピントが合いにくい、尿が出にくい、動悸、手足の震えなどの症状が現れた場合は、すぐに受診してください。6.COPDの治療では禁煙が大切なので、薬物治療とともに禁煙を徹底しましょう。7.週1回、本体から薬剤の入った缶と吸入口のキャップを外してプラスチック部分(アクチュエーター)をぬるま湯で洗浄し、洗った後はよく乾かしてください。<Shimo's eyes>本剤は、吸入ステロイド薬(ICS)、長時間作用性抗コリン薬(LAMA)、長時間作用性β2刺激薬(LABA)の3成分が配合されたCOPD治療薬です。3成分配合のCOPD治療薬として、フルチカゾンフランカルボン酸エステル/ウメクリジニウム臭化物/ビランテロールトリフェニル酢酸塩ドライパウダーインヘラー(商品名:テリルジー100エリプタ)に続く2剤目となります。COPDの15~20%は喘息が合併していると見込まれているため、LAMAやLABAなどの気管支拡張薬だけでは症状のコントロールが難しい患者さんが少なくありません。本剤は、ICS/LABAやLAMA/LABAで治療していても症状が残存している患者さん、時折抗菌薬や経口ステロイド薬が必要となる患者さんなどで切り替えて使用することが想定されます。本剤はLAMA+LABA+ICSのトリプルセラピーを1剤で行うことができますが、3成分それぞれの薬剤に関する副作用には注意する必要があります。患者さんへ確認するポイントとしては、LAMAによる口渇、視調節障害、排尿困難、LABAによる不整脈、頭痛、手足の震え、ICSによる口腔カンジダ症などが挙げられます。本剤は、デバイスに世界で初めて「エアロスフィア」というpMDI(加圧噴霧式定量吸入器)が採用され、薬剤送達技術を駆使して調製された多孔性粒子が3種の薬剤を肺の末梢まで届けることが期待されています。pMDIなので、吸気力が低下している場合でも少ない負荷で吸入できますが、ボンベを押す力が弱い患者さんには吸入補助器具(プッシュサポーター)、ボンベを押すタイミングと吸入の同調が難しい患者さんにはスペーサー(エアロチャンバープラスなど)の使用を勧めましょう。COPD患者さんは、喫煙や加齢に伴う併存疾患の治療を並行していることが多く、アドヒアランスを向上させて治療を継続させることが重要です。COPD治療に、本剤のような3成分配合吸入薬を選択することで、患者さんの負担を増やさずに症状の改善およびアドヒアランスの向上を目指すことができるでしょう。

17984.

若い女性の座っている時間とうつ病との関連

 身体活動(PA)の不足や長時間の座りっ放し(sitting time:ST)は、死亡率やうつ病などの慢性疾患リスクの増加と関連している。2つのリスクは独立しているともいわれているが、それらの連合効果や層別効果はよくわかっていない。オーストラリア・クイーンズランド工科大学のT. G. Pavey氏らは、若年女性におけるうつ症状のリスクと12年間に及ぶPAやSTの複合効果について調査を行った。Journal of Science and Medicine in Sport誌2019年10月号の報告。 対象は、2000~12年にオーストラリアの女性の健康に関する縦断的コホート研究に参加した22~27歳の女性。うつ症状に対するPAとSTの連合効果は、一般化推定方程式モデルを用いて算出した。対照群は、STが4時間/日未満およびPA四分位の第一位とした。うつ症状とPAおよびSTとの関連は、ST、PAそれぞれの層別化後に調査した。 主な結果は以下のとおり。・調整された連合効果モデルでは、対照群(低ST、高PA)と比較し、うつ症状のオッズ比は、STが4時間/日超、6時間/日超、8時間/日超およびPAなしの女性で有意に高かった。・すべてのPAカテゴリにおいて、STが10時間/日以上の女性のうつ症状リスクが最も高かった(PA四分位第四位:1.72[95%CI:1.38~2.14]、PA四分位第一位:1.49[95%CI:1.16~1.91])。・STによる層別解析では、STが10時間/日超の女性を除き、PAを報告した女性において、PAなしと比較し、うつ症状の割合が低下していた。・PAによる層別解析では、STが8~10時間/日によるリスク増加は、PAにより軽減していたが、STが10時間/日以上では、PAレベルが上昇しても、抑うつ症状リスクの低下は認められなかった。 著者らは「若年女性の抑うつ症状リスクに対し、低PAと高STの連合効果および層別効果があることが示唆された。高レベルのPAは、高STの保護効果があるものの、STが10時間/日以上の女性では、その効果が期待できない」としている。■「うつ病軽減」関連記事うつ病患者、入浴がうつ症状を軽減

17985.

世界の末期腎不全医療の現状が明らかに/BMJ

 低所得国も含めた世界の末期腎不全(ESKD)医療の現状には大きなばらつきがあることが、カナダ・アルバータ大学のAminu K. Bello氏らによる国際断面調査の結果、明らかにされた。ESKD有病率は800倍以上の差がみられ、腎代替療法(透析、移植)に公的資金が投じられている国は64%、透析が利用可能な国は100%であったが腹膜透析は76%であり、保存療法が利用可能な国は81%であることなどが示された(割合はそれぞれ各データが入手できた国を分母としたもの)。過去10年間で、腎疾患の世界的な疫学や経済的側面について大きく理解が進んでいる。とくに低・中所得国の急性腎障害(AKI)、慢性腎臓病(CKD)およびESKDの負荷に関するデータがより多く入手できるようになっているが、それらの疾患が人々の健康に大きな影響を及ぼすにもかかわらず、AKI、CKDは概して、国際・地域あるいは各国の慢性疾患コントロール戦略には含まれていないという。BMJ誌2019年10月31日号掲載の報告。182ヵ国対象に腎代替療法(透析、移植)と保存療法の供給能を調査 研究グループは、腎代替療法(透析、移植)と保存療法の世界的な供給能(利用可能性、アクセスのしやすさ、質、価格の手頃さ)を明らかにするため、2018年7月~9月に国際腎臓学会(ISN)を通じて182ヵ国の人々を対象とするサーベイを行った。サーベイの参加者は、ISNの10地域のボード(アフリカ、中央・東欧州、中南米、中東、北米、北東アジア、オセアニア・東南アジア、ロシアと旧ソ連諸国、南アジア、西欧州)を通じて、各国および地域のリーダーによって選定された主要なステークホルダー(各国の腎臓学会の代表、政策立案者、患者団体、基金、その他アドボカシーグループなど)であった。それぞれに、オンラインアンケートのポータルサイトアドレスを含む招待状を送付し、完全かつタイムリーな回答を確実なものとするため、サーベイ期間中にISNの各国・地域のリーダーが、eメールや電話で集中的フォローアップを行った。 主要評価項目は、腎代替療法と保存療法を構成する主要項目の、国家的な供給能の指標とした。資金提供、医療従事者、サービス供給、利用可能なテクノロジーに大きなばらつき 回答は、182ヵ国中160ヵ国(87.9%)から得られ、世界の人口の97.8%(75億130万人のうち73億3,850万人)が包含された。 腎代替療法と保存療法の供給能および構成項目(すなわち資金提供の仕組み、医療従事者、サービスの供給、利用可能なテクノロジー)には、大きなばらつきがみられた。 治療が行われているESKDの有病率に関する情報は、世界218ヵ国中91ヵ国(42%)について得られた。推定有病率は4~3,392例/100万人と800倍以上の差異があった。また、データを報告した国の中で、ルワンダのみが低所得国であった。アフリカ諸国でデータを報告したのは53ヵ国中5ヵ国(<10%)であった。 159ヵ国中102ヵ国(64%)で、腎代替療法に公的資金が投じられていた。また、159ヵ国中68ヵ国(43%)はポイントオブケアの提供が無料だったが、34ヵ国(21%)は有料であった。 156ヵ国中、血液透析が利用可能と報告した国は156ヵ国(100%)であったが、腹膜透析は119ヵ国(76%)だった。また、腎移植は155ヵ国中114ヵ国(74%)が利用可能と報告した。一方で、保存療法は、154ヵ国中124ヵ国(81%)で利用可能だった。 世界の腎臓専門医数は、中央値9.96人/100万人で、国の所得レベルによってばらつきがみられた。100万人当たりで、最低所得国は0.04人、低・中所得国は5.0人、高・中所得国は13.5人、高所得国は26.5人などであった。 著者は、「これらの総合データは、低所得国を含む各国のESKD患者への最適なケアについて、供給能の現状を示すものである」と述べ、「ESKDの疾患負荷と腎代替療法および保存療法の供給能には大きなばらつきがあることが示された。また、それらが政策の影響を受けていることも判明した」とまとめている。

17986.

全国でインフルエンザ流行期入り、昨年より1ヵ月早く

 厚生労働省は15日、全国的なインフルエンザの流行シーズンに入ったと発表した。前年比で4週間早いシーズン入りで、現在の統計法で調査を始めた1999年以降では2番目に早い。 国立感染症研究所が15日付でまとめた、2019年第45週(11月4~10日)の感染症発生動向調査において、インフルエンザの定点当たり報告数が1.03(定点数:全国約5,000 ヵ所、報告数:5,084)となり、流行開始の目安となる1.00を上回った。 都道府県別では、報告数が多い順に、沖縄県(4.45)、鹿児島県(2.66)、青森県(2.48)、長崎県(2.31)、福岡県(2.03)、北海道(2.00)、熊本県(1.80)、広島県(1.73)、新潟県(1.61)、佐賀県(1.33)、岩手県(1.32)、宮崎県(1.31)、福島県(1.16)、茨城県(1.13)、東京都・神奈川県・静岡県(1.11)、石川県(1.00)。 ウイルスの検出状況をみると、直近5週間(2019年第41~45週)では、AH1pdm09(98%)、AH3亜型(1%)、 B型(1%)の順で、09年に流行した新型インフルエンザと同型が大半を占めている。

17987.

潰瘍性大腸炎に対するベドリズマブとアダリムマブの臨床的寛解効果は?(解説:上村直実氏)-1135

 潰瘍性大腸炎(UC)は国の特定疾患に指定されている原因不明の炎症性腸疾患(IBD)であり、現在、国内に16万人以上の患者が存在している。UCの治療に関しては、最近、腸内フローラの調整を目的とした抗生物質や糞便移植の有用性が報告されつつあるが、通常の診療現場で多く使用されているのは薬物療法である。寛解導入および寛解維持を目的とした基本的な薬剤である5-アミノサリチル酸(5-ASA)製剤、初発や再燃時など活動期に寛解導入を目的として用いるステロイド製剤、ステロイド抵抗性および依存性など難治性UCに使用する免疫調節薬(アザチオプリン、シクロスポリンAなど)と生物学的製剤が使用されているのが現状である。 分子生物分野の進歩とともに、患者数が増加しているIBD(クローン病とUC)に対する生物学的製剤が次々と開発されている。日本の保険診療で最初に承認された薬剤は抗TNF-α抗体製剤(インフリキシマブ、アダリムマブ、ゴリムマブ)であるが、その後、作用機序の異なる抗α4β7インテグリン抗体製剤(ベドリズマブ)、JAK阻害薬(トファシチニブ)、ヒト型抗ヒトIL-12/23p40モノクローナル抗体製剤(ウステキヌマブ)が開発され多くの臨床研究結果が報告されている。今回、中等症から重症の活動期UCの治療において、ベドリズマブはアダリムマブに比べて、臨床的寛解導入および内視鏡的改善の達成に関して優れた効果を示した国際共同第III相臨床試験(VARSITY試験)の結果がNEJM誌に発表された。 活動期UCに対する寛解導入および寛解維持効果を検証する目的で投与開始から52週後の臨床的寛解を主要アウトカムとした抗α4β7インテグリン抗体製剤と抗TNF-α抗体製剤とのガチンコ勝負の直接比較で注目されていた試験である。試験の結果、ベドリズマブ群とアダリムマブ群の52週時の臨床的寛解はそれぞれ31.3%と22.5%であり、前者の寛解率が統計学的に有意に高かった。しかし、ステロイドなしの症例では逆に12.6%と21.8%とアダリムマブ群の臨床的寛解率の方が高率であった。筆者らが記述しているように、2つの薬剤を比較するためにはこのような直接比較試験が必要であるという意見に大賛成で、日本人を対象として市販されている2つの薬剤の直接比較試験が行われることが期待される。

17988.

最近の話題:小細胞肺がん【侍オンコロジスト奮闘記】第83回

第83回:最近の話題:小細胞肺がんPaz-Ares L, et al. Durvalumab plus platinum-etoposide versus platinum-etoposide in first-line treatment of extensive-stage small-cell lung cancer (CASPIAN): a randomised, controlled, open-label, phase 3 trial.Lancet. 2019 Oct 4.[Epub ahead of print]小細胞肺がんに対するデュルバルマブ+化学療法の成績(CASPIAN)/ESMO2019

17990.

新型タバコを吸っている患者に伝えたいこと(1)【新型タバコの基礎知識】第12回

第12回 新型タバコを吸っている患者に伝えたいこと(1)Key Points第一に伝えたいことは、タバコを吸っている人が1番のタバコの被害者だということ。タバコ問題を正しく伝え、自主的な禁煙を促すことがポイント。タバコ問題の新たな局面、新型タバコ時代を迎えた日本において、タバコ問題および新型タバコ問題とどう向き合い、従来からのタバコおよび新型タバコを吸っている患者にどう対処していけばよいのか? 皆さんとともに考えていきたいと思っています。まず、どうやったら禁煙支援がうまくいくのか、について簡単に話しておきたいと思います*1。禁煙を成功させる秘訣の1つは、“急がば回れ”のようですが、タバコ問題に関するしっかりとした理解を進めることだと思います。喫煙者がタバコ産業から搾取されている実態や、タバコがいかに残酷な製品かを知ってもらうことが禁煙につながり、喫煙の再開防止に役立ちます。ポスターの掲示やチラシの配布など(図)簡単にできることからでも取り組んでいただければと思います。画像を拡大する科学的根拠に基づき推奨される禁煙方法はさまざまありますが、代表的な方法は(1)禁煙外来を受診して禁煙治療薬の処方を受ける(2)禁煙外来もしくは薬局等で得たニコチンパッチやニコチンガムを使うの2つです。しかし、多くの喫煙者は禁煙を勧める本*2を読むなどして自力で止めることができています。本からタバコ問題に関する情報が得られ、それを知ることにより禁煙することの重要性がよりよく理解できるようになります。*1:なぜ禁煙支援が必要なのかについては日本における健康増進計画、健康日本21等にも理由が明記されており、本稿では触れていません。詳しくはこれらをご参照ください。*2:川井治之『頑張らずにスッパリやめられる禁煙』サンマーク出版、磯村毅『「吸いたい気持ち」がスッキリ消える リセット禁煙』PHP文庫、アレン・カー『禁煙セラピー』KKロングセラーズ社、など紙巻タバコを吸っている人へ伝えたいこと、伝えてほしいこと新型タバコの話題の前に、紙巻タバコを吸っている人全員に伝えたいことがあります。タバコを吸っている人に第一に伝えたいことは、タバコを吸っている人が1番のタバコの被害者だということです。タバコを吸っている人は、当然ですが、悪者ではありません。むしろ、タバコを吸っている魅力的な人が沢山います*3。タバコを吸っているという理由で、頭ごなしに否定するようなことは、もちろん良い結果にはつながりません。タバコを吸っているのは、好奇心が旺盛な証拠かもしれない。もしかしたら、反骨精神のためかもしれない。反骨精神があったり、好奇心旺盛であったりしたが故に、たまたまタバコを吸うという方向に興味が向き、ニコチン依存症になって、やめられなくなった。よくある話です。そんな魅力的な人がずっとタバコを吸っていたら、タバコのせいで寿命がおおよそ5~15 年短くなり、男性であれば50 代後半~60 代という年齢で亡くなってしまう可能性が高くなります。タバコを吸っていると何歳で死ぬのか、これまでの研究のデータから分かっている通りに、若くして亡くなってしまうことが多いのです。たとえば、2012年に、とても魅力的な歌舞伎役者の十八代目中村勘三郎さんが57歳で亡くなられたことは本当に残念な出来事です。原因は食道がんでした。しかし、それは意外な出来事ではありませんでした。タバコもお酒も豪快だったとのことですから、中村さんが50代後半で亡くなってしまったことは、まさしくデータの通りともいえるのです。魅力的な人が早くに亡くなってしまうのは本当につらいことです。長く生きて活躍し続けてほしい、だからこそ絶対に禁煙してほしいと願っています*4。できるだけ早くにやめた方がいいのですが、何歳からでも禁煙すれば、良い効果があると分かっています。“自主的に”禁煙できるよう促すには?今タバコを吸っている人は、自身の意志により吸っているのでしょうか? ほとんどの人がそうだと思っているかもしれません。しかし、実はニコチン依存症のためにそう思い込まされていると分かっています。タバコには大きな害があります。タバコを吸っていると病気になって早くに死亡する可能性が高くなります。タバコは人をニコチン依存症にして、その他のことから本来得られるはずの幸せを奪っているのです(第9回参照)。このように禁煙してほしいと伝えたとしても、必ずしも禁煙してくれるわけではないと理解しています。「勉強しなさい」と子どもに怒鳴っても、子どもは勉強するようになってくれないのと同じです。どんなことでも自分からやる気にならなければ、何かを成し遂げることはできないのです。タバコを吸い続けるということは、タバコ会社に搾取され続けるということです。タバコ会社の役員は巨額の報酬を得て、自分はタバコを吸わず、社会的に不利な状況な人がタバコを吸うように仕向けている、というのはとても有名な話です。英BBC放送のドキュメンタリーによると、1980年代初め、米国のタバコ会社はある有名人を広告のイメージキャラクターにしました。彼がタバコを吸っていると、タバコ会社の幹部が「何だ、君、タバコなんて吸うのか」と言います。「吸わないんですか」と聞くと、幹部は「冗談じゃない」と首を振り、「“喫煙権”なんざ、ガキや貧乏人、黒人やバカにくれてやるよ」と言い放った後、「1日当たり数千人の子どもを喫煙に引きずり込むことが君の仕事だ。肺がんで死ぬ喫煙者の欠員補充だ。中学生ぐらいを狙え」と語ったというのです。本当にひどい話です。タバコ会社は表向きは子どもにタバコを売らないとしながら、子どもに喫煙させることを仕事にしているのです。なお、タバコ会社の子ども向け喫煙防止キャンペーンは、ほとんど効果がないということが分かっています。ぜひ、タバコ問題について詳しく知って、禁煙の動機にしてほしいと思います。*3:当然ですが、タバコを吸っていない魅力的な人も沢山います。*4:もちろん禁煙するとともに、多量飲酒も控えてほしいです。補足コラム:週末禁煙法と医療者にできる励まし禁煙外来に行ける人には是非行ってほしいのですが、タバコをやめる方法は禁煙外来だけではありません。実際に禁煙した方の約80%は、自力でやめることができた人です。禁煙外来には行けない場合や行けない事情がある場合もあるでしょう。自力で禁煙するというのもいい方法だと思います。次のようなタイミングに禁煙を始めるといいかもしれません。人によって、ちょうどいいタイミングがあると思います。たとえば、金曜の夕方に仕事を終え、土日に家族と一緒に過ごして月曜の朝まで禁煙すれば、ほぼ3 日間はタバコをやめられます。3 日間禁煙すれば、平均的にはニコチンの離脱症状もおさまる頃です。そのままずっとやめてみるよう勧めてみてください。それで、いつの間にかやめられたという人が結構います。タバコを吸いたくなったら、水を飲んだり、ガムをかんだり、走ったり、うまく紛らわせられるといいですね。もちろん、禁煙が1回でうまくいくとは限りません。金曜夜からの禁煙に毎週チャレンジしてもらってもいいと思います。いつか禁煙に成功できると思います。もっと極端なことをいえば、毎日、朝起きたときには、もうすでに7~8時間は禁煙に成功しています。当たり前ですが、人間の体はタバコを吸わなくても大丈夫なようにできています。毎日でも禁煙にチャレンジしてほしいと思っています。毎週でも毎日でも、失敗を恐れず、何度でもチャレンジしてほしいです。1回で禁煙できなかったとしても、それは意志が弱いからではありません。タバコ会社によって意図的に誘導されたニコチン依存の結果なのです。タバコ製品そのものが悪いのであって、喫煙者は被害者です。何度でも禁煙にチャレンジすれば、いつか必ず禁煙できます。いろいろな方法で禁煙すればいいのです。1回や2回禁煙に失敗しても、10 回、20 回とチャレンジして、最終的に禁煙できたら必ずいいことがあると励まし続けていただきたいと思います。第13回は、「新型タバコを吸っている患者に伝えたいこと(2)」です。

17991.

利益相反の開示は論文査読に影響するのか/BMJ

 現行の倫理規定では、すべての科学論文について利益相反(conflicts of interest:COI)の開示が求められているが、米国・ハーバード・ビジネス・スクールのLeslie K. John氏らによる無作為化試験の結果、論文の査読にCOI開示は影響しないことが示された。著者は、「査読者が出版を評価する論文のあらゆる質の評価に、COI開示が影響していることを確認できなかった」としている。科学雑誌やアカデミックな倫理基準において、査読者、エディターおよび読者が、可能性があるバイアスを検出・補正できるように、著者に対してCOI開示が命じられている。しかし、これまでその行為が目的を達しているかを確認する検討は行われていなかったという。BMJ誌2019年11月6日号掲載の報告。Annals of Emergency Medicineの論文レビュープロセスで無作為化試験 研究グループは、医学専門誌において、査読者に対する著者のCOI開示の影響を評価するため、Annals of Emergency Medicineの論文レビュープロセスにて無作為化試験を行った。 2014年6月2日~2018年1月23日に、論文を評価するレビュワーを2群に無作為に割り付け、論文を評価する前に、一方には著者による完全なInternational Committee of Medical Journal Editors(ICMJE)のCOI開示文書を提供し(介入群)、もう一方には提供しなかった(対照群)。両群のレビュワーは、通常どおり8つの質の格付けで論文を評価。その後に、反事実的スコア(counterfactual score)―もしCOI開示を受けていたら与えたと考えるスコアについてサーベイを受けた。介入群のレビュワーには、どのようにスコアを付けたのか、開示を受けていなかったら与えたであろうスコアを思い出してもらった。また、レビュワーのCOI開示に対する姿勢および人口統計学的特性の評価も行った。 主要評価項目は、レビュワーがレビューの提出時に論文に割り当てた全体的な質(Annals of Emergency Medicineでの出版についての全体的な好ましさ)のスコア(1~5段階で評価)。副次評価項目は、レビュワーが7つの特定の質の評価で与えたスコアと、フォローアップサーベイで示された反事実的スコアであった。 試験期間中にレビューを行ったレビュワーは838人、論文は1,480本であった。開示の有無による論文の質の評価への影響見られず 1,480本のうち525本(35%)が、COIがあることを報告していた(955本[65%]はないことを報告)。525本のうち、資金提供が商業者であると報告していたのは115本(22%)、非営利組織は118本(23%)、政府140本(27%)、大学41本(8%)などであった。研究グループは、レビュワー838人による3,041例のレビューを入手。各論文は平均2.1例(SD 0.9)のレビューを受けていた。人口統計学的特性が入手できたレビュワーは、介入群361人、対照群368人で、男性がそれぞれ76%、75%、平均年齢45.74歳、45.72歳などであった。 解析の結果、著者のCOI開示の提供は、レビュワーによる論文の質の評価に影響を及ぼさないことが示された。全論文における質の評価の平均スコア(SD)は5段階評価で、対照群2.70(1.11)、介入群は2.74(1.13)であった(平均群間差:0.04、95%信頼区間[CI]:-0.05~0.14)。COIがあったと報告していた論文においてさえも、対照群2.85(1.12)、介入群2.96(1.16)であった(平均群間差:0.11、95%CI:-0.05~0.26)。同様に、その他7つの質の評価においても、COI開示の影響はみられなかった。 レビュワーは、COIを重要であると認識しており、それらが開示された場合は、評価を修正する可能性があると考えていた。しかしながら、反事実的スコア(平均2.69)と実際のスコア(同2.67)に差はみられなかった(平均群間差:0.02、95%CI:0.01~0.02)。利益相反があると報告していた場合でも、資金提供元のタイプ(政府、非営利会社など)による影響の違いはみられなかった。

17992.

双極性障害患者の自殺企図有病率~メタ解析

 双極性障害(BD)は、自殺リスクの高い重度の精神疾患である。中国・Guangdong Academy of Medical SciencesのMin Dong氏らは、BD患者の自殺企図の有病率および関連因子についてメタ解析を実施した。Epidemiology and Psychiatric Sciences誌オンライン版2019年10月25日号の報告。 PubMed、PsycINFO、EMBASE、Web of Scienceより、2018年6月11日までの文献をシステマティックに検索した。BD患者の自殺企図有病率は、変量効果モデルを用いて算出した。 主な結果は以下のとおり。・検索により3,451件中79件(3万3,719例)が適合基準を満たしていた。・自殺企図の生涯有病率は、33.9%(95%CI:31.3~36.6%、I2=96.4%)であった。・サブグループおよびメタ回帰分析では、自殺企図の生涯有病率と関連する因子は以下のとおりであった。 ●女性 ●双極I型障害 ●特定不能のBD ●ラピッドサイクラー ●収入レベル ●地理的特性 著者らは「BDでは、自殺企図が一般的に認められ、多くの因子が関連している。BD患者の自殺企図の発見や予防を促進するためには、さらなる努力が必要であり、心理社会的介入と併せて気分安定薬の長期使用の可能性を検討すべきである」としている。

17993.

医師300人に聞いた!今季のインフルエンザ診療

 ここ数年、過去最大規模の流行を繰り返すインフルエンザだが、今年は早くも流行が始まっている。現場での診療方針はどのような傾向にあるのだろうか。ケアネットでは先月、会員医師を対象に「今シーズンのインフルエンザ診療について」のアンケートを行い、325人から回答を得た。 アンケートでは、早期流行の実感、迅速診断キットの使用頻度、抗インフルエンザウイルス薬の処方頻度、外来での抗インフルエンザ薬の選択について答えていただいた。 主な結果は以下のとおり。・6割超の医師が、インフルエンザの早期流行を実感している・約8割の医師が、迅速診断キットと抗インフルエンザ薬をほぼ全例に使用・最も処方頻度が高い抗インフルエンザ薬はオセルタミビル、次いでザナミビル アンケート結果の詳細や自由記述で挙げられた意見などは、以下のページに掲載。今シーズンのインフルエンザ診療の動向は?https://www.carenet.com/enquete/drsvoice/cg002529_index.html

17994.

小細胞肺がん、PARP阻害薬veliparibの追加でPFS改善/JCO

 小細胞肺がん(SCLC)に対して、化学療法へのPARP阻害薬veliparib追加の有効性が確認された。veliparibは、非臨床試験で標準化学療法の効果を増強することが示されており、米国・エモリー大学のTaofeek K. Owonikoko氏らは、未治療の進展型SCLC(ES-SCLC)患者を対象に第II相無作為化臨床試験を行った。その結果、シスプラチン+エトポシド(CE)へのveliparib追加併用療法により、無増悪生存(PFS)期間が有意に延長したことが示されたという。Journal of Clinical Oncology誌2019年1月20日号掲載の報告。 研究グループは、未治療ES-SCLC患者をveliparib(CE+V)群(1~7日目に100mgを1日2回経口投与)またはプラセボ(CE+P)群に、性別および血清乳酸脱水素酵素(LDH)値で層別化して無作為に割り付け、いずれもCE療法4サイクルと併用投与した。 主要評価項目はPFS。全体の片側(0.10値)log-rank検定を用い、試験の検出力は88%で、PFSのハザード比(HR)37.5%減少と設定した。 主な結果は以下のとおり。・適格基準を満たしプロトコールの治療を受けた患者は、計128例であった。・患者背景は、年齢中央値66歳、52%が男性、ECOG PSは0が29%、1が71%であった。・PFS中央値は、CE+V群6.1ヵ月、CE+P群5.5ヵ月であり、CE+V群が優れていた(層別化前HR:0.75[片側p=0.06]、層別化後HR:0.63[片側p=0.01])。・全生存(OS)期間中央値は、CE+V群10.3ヵ月、CE+P群8.9ヵ月であった(層別化後HR:0.83、80%信頼区間[CI]:0.64~1.07、片側p=0.17)。・全奏効率(ORR)は、CE+V群71.9%、CE+P群65.6%であった(両側p=0.57)。・層別解析の結果、LDH高値の男性患者ではCE+V群でPFSの有意な延長(PFSのHR:0.34、80%CI:0.22~0.51)が認められたが、他の患者集団では治療群間で有意差はなかった(PFSのHR:0.81、80%CI:0.60~1.09)。・Grade3以上の血液学的毒性の発現頻度はCE+V群がCE+P群よりも高かった(CD4リンパ球減少症:8% vs.0%[p=0.06]、好中球減少症:49% vs.32%[p=0.08])。

17995.

HIF-PH阻害薬vadadustatの腎性貧血に対する国内第III相試験結果/米国腎臓学会

 今年ノーベル生理学・医学賞を受賞した「低酸素応答の仕組みの解明」の研究を基に、各社で低酸素誘導因子プロリン水酸化酵素(HIF-PH)阻害薬の開発が進められている。その1つであるvadadustat(MT-6548)は、田辺三菱製薬がアケビア社から導入した1日1回経口投与のHIF-PH阻害薬で、今年7月に腎性貧血を適応症として厚生労働省に承認申請している。今月、ワシントンで開催された米国腎臓学会腎臓週間(11月5~10日)で、本剤の保存期および血液透析期の腎性貧血患者に対する国内第III相臨床試験の結果が発表された。vadadustatの有効性は保存期・血液透析期とも52週まで維持 発表された試験は、HIF-PH阻害薬のvadadustatを保存期の腎性貧血患者304例に52週間投与した無作為化非盲検実薬対照第III相試験と、血液透析中の腎性貧血患者323例に52週間投与した無作為化二重盲検実薬対照第III相試験で、対照はどちらも赤血球造血刺激因子製剤(ESA)のダルベポエチン アルファ(遺伝子組換え)製剤である。 両試験とも、20週および24週の平均ヘモグロビン濃度は、vadadustat群がダルベポエチン アルファ(遺伝子組換え)製剤群に対して非劣性を示した。さらに、24週以降52週までヘモグロビン濃度は安定して推移し、保存期および血液透析期の腎性貧血患者においてvadadustatの有効性が52週まで維持することが確認された。また、vadadustat群ではベースラインに対してヘプシジンの低下がみられ、鉄代謝を改善させることが示唆された。安全性については、これまで報告されているvadadustat の安全性プロファイルと大きく異なる傾向はみられなかった。

17996.

次世代CFTR矯正薬、嚢胞性線維症の呼吸機能を改善/Lancet

 嚢胞性線維症膜コンダクタンス制御因子遺伝子(CFTR)のF508del変異ホモ接合体を有する嚢胞性線維症の治療において、tezacaftor+ivacaftorにelexacaftorを併用すると、tezacaftor+ivacaftorと比較して、良好な安全性プロファイルとともに、呼吸機能が著明に改善することが、オランダ・ユトレヒト大学医療センターのHarry G M Heijerman氏らが行ったVX17-445-103試験で示された。研究の成果は、Lancet誌オンライン版2019年10月31日号に掲載された。CFTR調節薬は、CFTR遺伝子変異に起因する根本的な異常を矯正するとされる。CFTRのF508del変異ホモ接合体を有する嚢胞性線維症患者では、CFTR矯正薬(tezacaftor)とCFTR増強薬(ivacaftor)の併用により、健康アウトカムの改善が達成されている。同型の嚢胞性線維症患者の第II相試験において、次世代CFTR矯正薬であるelexacaftorは、tezacaftor+ivacaftorと併用することで、F508del-CFTR機能と臨床アウトカムをさらに改善したと報告されていた。欧米4ヵ国が参加した無作為化実薬対照試験 本研究は、4ヵ国(ベルギー、オランダ、英国、米国)の44施設が参加した多施設共同二重盲検無作為化実薬対照第III相試験であり、2018年8月3日~12月28日の期間に患者登録が行われた(Vertex Pharmaceuticalsの助成による)。 対象は、年齢12歳以上、予測1秒量に対する比率(ppFEV1)が40~90%で、病態が安定したCFTRのF508del変異ホモ接合体を有する嚢胞性線維症の患者であった。 被験者は、標準治療(tezacaftor+ivacaftor)による4週間の導入期間終了後に、elexacaftor(200mg、1日1回、経口投与)+tezacaftor(100mg、1日1回、経口投与)+ivacaftor(150mg、12時間ごとに経口投与)またはtezacaftor(100mg、1日1回、経口投与)+ivacaftor(150mg、12時間ごとに経口投与)を4週間投与する群に、1対1の割合で無作為に割り付けられた。 主要アウトカムは、ベースライン(導入期間の最終評価日)から4週までのppFEV1の絶対変化とした。主な副次アウトカムは、汗中クロライド濃度(CFTR機能のin-vivoマーカー)と、嚢胞性線維症質問票改訂版の呼吸器領域(CFQ-R RD)スコア(0~100点、点数が高いほど呼吸器関連の患者報告QOLが良好)であった。汗中クロライド濃度が診断閾値以下に 導入期間後に107例が登録され、3剤併用群に55例(平均年齢28.8[SD 11.5]歳、女性31例[56%])、2剤併用群には52例(27.9[10.8]歳、28例[54%])が割り付けられ、4週の治療を完了した。 ベースラインの平均ppFEV1は、3剤併用群が61.6(SD 15.4)%、2剤併用群は60.2(14.4)%、平均汗中クロライド濃度はそれぞれ91.4(11.0)mmol/Lおよび90.0(12.3)mmol/L、平均CFQ-R RDスコアは70.6(16.2)点および72.6(17.9)点だった。 ベースラインから4週までのppFEV1の絶対変化の最小二乗平均(LSM)は、3剤併用群が10.4ポイント(95%信頼区間[CI]:8.6~12.2)、2剤併用群は0.4ポイント(-1.4~2.3)であり、両群間のLSM差は10.0ポイント(7.4~12.6)と、3剤併用群で改善効果が有意に優れた(p<0.0001)。 汗中クロライド濃度の絶対変化(LSMは3剤併用群-43.4mmol/L[95%CI:-46.9~-40.0]vs.2剤併用群1.7mmol/L[-1.9~5.3]、LSM差:-45.1mmol/L[-50.1~-40.1]、p<0.0001)およびCFQ-R RDスコアの絶対変化(16.0点[12.1~19.9]vs.-1.4点[-5.4~2.6]、17.4点[11.8~23.0]、p<0.0001)は、いずれも3剤併用群で良好であった。 3剤併用群は、4週後の平均汗中クロライド濃度が、嚢胞性線維症の診断閾値(60mmol/L)を下回っており、平均CFQ-R RDスコアは、安定期の嚢胞性線維症患者における臨床的に意義のある最小変化量である4点を上回っていた。 3剤併用群は良好な忍容性を示し、治療中止例はなかった。ほとんどの有害事象は軽度~中等度であり、重篤な有害事象は3剤併用群が2例(4%、皮疹、肺増悪[嚢胞性線維症の感染性肺増悪])、2剤併用群は1例(2%、肺増悪)で認められた。 著者は、「この治療の進歩は、疾病の自然史を修正する可能性があり、嚢胞性線維症患者の生命に意義のある改善をもたらすとともに、治療の様相に深い影響を及ぼす」としている。

17998.

ピロリ除菌と栄養サプリメントの胃がん抑制効果:世界最長の経過観察(解説:上村直実氏)-1137

 H. pyloriは幼児期に感染し半永久的に胃粘膜に棲息する細菌であるが、胃粘膜における持続的な感染により慢性活動性胃炎を惹起し、胃がん発症の最大要因であることが明らかとなっている。さらに除菌により胃粘膜の炎症が改善するとともに、胃がんの抑制効果を示すことも世界的にコンセンサスが得られている。しかしながら、実際の臨床現場では除菌後に胃がんが発見されることも多く、除菌による詳細な胃がん抑制効果を検証する試みが継続している。今回、除菌治療のみでなくビタミン補給やニンニク摂取により、胃がん発症および胃がん死の抑制効果を示す介入試験の結果がBMJ誌に発表された。 この報告の最大の特徴は、胃がんの発生を内視鏡的に確認している点と、除菌や食品補給による介入後の観察期間が22.3年間という世界最長である点である。このコホート研究に関する以前の報告1)では14.7年の経過観察で除菌による抑制効果のオッズ比が0.61(95%CI:0.38〜0.96)であったが、今回の22年経過時点でのオッズ比は0.48(95%CI:0.32〜0.71)となり、経過が長くなるにつれて除菌による胃がん抑制効果が増加することを明確に示している点は特記すべきである。さらに、胃がん死亡者が増加するにつれて、介入後22.3年で胃がん死亡率の減少が統計学的に有意になっており、胃がん予防効果はできるだけ早期に除菌を行うほうが効果的であるというスナネズミの実験結果を支持する成績であり、日本で推進されつつある中学生に対するピロリ検診に追い風となる研究結果といえる。さらに、胃粘膜萎縮が進んだ状態でも除菌による胃がんの発生抑制効果を認めたことから、萎縮性胃炎が進行した患者や高齢者に対してもリスクベネフィットを考慮したうえで除菌治療が推奨されるべきと思われた。 一方、ビタミン補助群とニンニク補助群が胃がんの発生率や胃がんによる死亡の抑制効果を示した結果には正直驚いた。胃がんの抑制効果を示すとされる食品が多数報告されているが、実際の診療現場で本気で使用できるものは皆無である。今後、大規模な介入試験により長期間の経過観察が必要と述べられているが実現は困難と思われ、本研究の経過に関する定期的な報告が期待される。一方、使用されたビタミンとニンニクの成分を用いた遺伝子変異などの基礎研究による抑制機序の解明努力も必要であろう。

17999.

マンガ喫茶で結核集団感染!【Dr. 倉原の“おどろき”医学論文】第151回

マンガ喫茶で結核集団感染!ぱくたそより使用私は普段から結核を診療していますが、たまに集団感染・集団発病があります。とくに、睡眠や生活を同じ空間で過ごしている場合や、換気の悪い空間で長時間接触した場合は、感染・発病リスクが上昇します。多剤耐性結核の韓国人女性が飛行機に乗っていて、その後座席が近い乗客に空気感染した事例もあります1)。感染というのは、結核菌の感染を受けた状態のことで、発病は体内で結核菌が増殖して他人に感染させる状態になることを指します。感染から発病まで、半年~70年と幅があります。「集団感染」とは周囲への感染リスクが高い発病患者さんが大量発生したという事態ではありませんのでご注意を。さて、今日紹介する論文は、マンガ喫茶で起こった集団感染・発病の報告です。Endo M, et al.A tuberculosis outbreak at an insecure, temporary housing facility, manga cafe, Tokyo, Japan, 2016-2017.Epidemiol Infect. 2019 Jan;147:e222.2016年11月のことでした。新宿駅近くのマンガ喫茶で1年ほど寝泊まりしていた30代女性が、塗抹陽性の肺結核であることが判明したのです。ゲゲップ!マンガ喫茶は、なんというか、モワっとしていてあまり換気がよいとは思えません。また、体調が悪い人もゴホゴホ咳をしながら同じ空間で生活しているので、1人結核の発病者が出れば、感染リスクはかなり高いと言えるでしょう。実際、過去の臨床研究で、狭い閉鎖空間のほうが感染リスクは高いことが示されています2)。さて、マンガ喫茶のスタッフ31人に接触者健診が行われました。すると、31人のうち、肺結核を発病したのは6人(19.3%)でした。発病はしていないけど感染があった(インターフェロンγ遊離試験が陽性:潜在性結核感染)のは、7人(22.6%)でした。なんと、マンガ喫茶店員の半数近くが結核に感染してしまったということになります※。マンガ喫茶の利用者はどうだったでしょうか。1年ものあいだ、2,000人を超える利用者がいましたが、当然ながら1人1人調べていくわけにはいきません。それでも長期滞在利用者を11人ピックアップし、3人から同意が得られたそうです。ラッキーなことに、その3人は誰も結核に感染していませんでした。しかし、上述した30代の女性よりも前に長期滞在していた50代の男性が、実はすでに肺結核にかかっていることがわかりました。おや?つまり、この50代の男性を発端にして、30代の女性に感染し、その後スタッフに集団感染したというストーリーになっていたのです(図)。画像を拡大する漫画喫茶で寝泊まりするのはもちろん自由ですが、罹患率が高い地域(日本では大阪や東京)では、こういうリスクがあることも知っておく必要があります。※発病者の1人は、縦列反復配列多型(VNTR)検査の結果、別の結核菌だったようです。1)Kenyon TA, et al. Transmission of multidrug-resistant Mycobacterium tuberculosis during a long airplane flight. N Engl J Med 334:933-8, 1996.2)Bailey WC, et al. Predictive model to identify positive tuberculosis skin test results during contact investigations. JAMA 287:996-1002, 2002.

検索結果 合計:35672件 表示位置:17981 - 18000