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脊髄性筋萎縮症治療薬の開発最前線

長らく治療薬のなかった脊髄性筋萎縮症(SMA)だが、2017年に日本初のアンチセンス核酸医薬であるヌシネルセン(商標名:スピンラザ)が登場して状況は一変した。SMAは、運動ニューロンの正常機能維持に必要なSMNタンパクをコードするSMN1遺伝子の変異に起因するが、ヌシネルセンはこの変異SMN1遺伝子のmRNA前駆体に作用し、正常なmRNAを産生する。遅発型SMA小児126例を対象とした第III相試験 " CHERISH " では、複数回投与により、偽手技群に比べ、15カ月後の運動機能(HFMSEスコア評価)を有意に改善した [Mercuri E et al. N Engl J Med. 2018; 378: 625] 。現在、さまざまな年齢層のSMA例を対象に、高用量ヌシネルセンによる運動機能改善作用を、低用量と比較するランダム化試験 "DEVOTE" が計画され、2月末には患者登録が始まる予定だ(NCT04089566)。わが国ではヌシネルセンを追いかける形となったのが、オナセムノジーン・アベパルボベック(AVXS-101、商標名:ゾルゲンスマ)である(米国では初のSMA治療薬)。SMN1のDNA変異部を除去し、正常DNAを導入する薬剤であるため、1回の投与で治療が完了すると考えられている。I 型SMAの15例を対象とした観察研究 "STARTS"では、単回投与により治療域に達した12例における20カ月後の、永続的補助換気を要しない生存率は100%であり、ヒストリック・コホートの8%を大きく上回った [Mendell JR et al. N Engl J Med. 2017; 377: 1713] 。2019年には4年間観察結果が米国神経学会で報告され、追加観察に同意した10例全例が、永続的補助換気なしで生存していた。同学会では、II 型SMAにおいても、同剤単回投与による運動機能改善が認められたとする、31例を対象とした第 I 相試験 "STRONG"も報告されている(NCT03381729)。一方、経口摂取が可能なリスジプラムは、SMN2のスプライシングを修飾し、正常なSMNタンパクの産生を増加させる。2019年11月には、II型、III型SMA例において、リスプラジム1年服用による運動機能改善がプラセボを有意に上回るとする、第II相試験 "SUNFISH" (NCT02908685)の結果が製造社により公表された。このデータをもとに申請の予定だとされる。

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全身性エリテマトーデス治療薬の開発最前線

治療の基本はステロイド剤だが、無効例、高用量非忍容例では古典的免疫抑制剤も併用される。状況が動いたのは2015年だ。新たな機序を有する免疫抑制剤「ミコフェノール酸モフェチル」(商標名:セルセプト・カプセル)とマラリア治療薬「ヒドロキシクロロキン」(同:プラケニル錠)が、エリテマトーデス治療薬として承認をうけた。さらに2017年には、可溶型Bリンパ球刺激因子(BLyS)標的モノクローナル抗体製剤「ベリムマブ」(同:ベンリスタ注射薬)も承認に至った。現在、開発中の薬剤としては、インターロイキン(IL)-12、23を標的とするモノクローナル抗体でありウステキヌマブ(商標名:ステラーラ)のエリテマトーデスへの応用が検討され、2018年には、第II相試験の結果が以下の通り報告された。従来治療下において活動性を示す全身性エリテマトーデス102例を対象としたランダム化試験において、プラセボに比べ、24週間後の「SRI4レスポンダー」率はプラセボ群に比べ28%の有意高値だった(62% vs. 33%) [van Vollenhoven RF et al. Lancet 2018; 392: 1330] 。さらに48週間追跡でも、ウステキヌマブ群における「SRI4レスポンダー」率は63.3%を維持。56週間までの観察で、死亡、発がん、日和見感染、結核は1例もなし。1年間の有害事象発現率は、プラセボ群からの24週時クロスオーバー33例を含む、全ウステキヌマブ投与例の81.7%。重篤な有害事象に限れば、15.1%だった [van Vollenhoven RF et al. Arthritis Rheumatol. 2019 Nov 25] 。これらの結果を受け現在、500例を登録予定の第III相試験が、2023年12月末終了を目標に進行中である(NCT03517722)。本試験ではわが国でも患者登録が進められており、IL-12/23を標的とする唯一の薬剤として、期待が集まっている。また、完全ヒト化IgG1モノクローナル抗体(mAb)のBIIB059も、申請に近づいた。同剤は、形質細胞様樹状細胞に発現した血液樹状細胞抗原2(BDCA2)受容体に結合し、その結果、炎症性サイトカインであるタイプ-I インターフェロン(IFN-I)の産生を低下させる。IFN-Iはすでに、全身性エリテマトーデスの病態形成における極めて重要な役割が知られていた。2019年3月には、全身性エリテマトーデス12例を対象としたランダム化試験において、BIIB059によるBDCA2受容体の細胞内部移行、さらに皮膚病変部におけるIFN-I誘導たんぱくの減少が報告された [Furie R et al. J Clin Invest. 2019; 129: 1359] 。そして同年12月にはさらに、全身性エリテマトーデス132例を対象としたランダム化試験 “LILAC”の結果、BIIB059がプラセボに比べ、24週間後の「活動性を有する関節」数を有意に減少させたとの情報が、製造社より公表された(NCT02847598)。ただし現時点では、申請など今後の予定は、明らかにされていない。

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ASCO- GI 2020レポート 消化器がん

インデックスページへ戻るレポーター紹介今回、2020年1月23日~25日に米国・サンフランシスコにおいて開催されたASCO GI 2020に参加し、すでに現地速報という形で注目演題を報告させていただいているが、音声などが乱れたこともあり、補足とともにそこで取り上げることができなかった演題を報告させていただきます。DAY1 Cancers of the Esophagus and StomachOral SessionRESONANCE試験:The Randomized, Multicenter, Controlled Evaluation of S-1 and Oxaliplatin (SOX) as Neoadjuvant Chemotherapy for Chinese Advanced Gastric Cancer Patients.(abstract #280)Chen L, et al.中国から発表された局所進行胃がんに対する術前S-1/オキサリプラチン併用療法(SOX)の有効性に関する無作為化第III相試験である。本試験はStageII/IIIの切除可能胃がんおよび接合部がんを対象とし、手術+術後SOX療法(AC群:adjuvant group)に対する術前SOX療法+手術+術後補助化学療法(NC群:Neoadjuvant group)の優越性を検証した。AC群は術後補助化学療法としてSOX療法を8サイクル施行し、一方NC群は術前SOX療法を2~4サイクル施行後に手術を行い、術後SOX療法は術前投与を含め計8サイクル施行する。SOX療法は共にS-1(80~120mg/day、day1~14、3週ごと)およびオキサリプラチン(130mg/m2、day1、3週ごと)である。主要評価項目は3年間の無病生存割合(3y-DFS)であった。772例が登録され、各群に386例が割り付けられた。両群間の患者背景に偏りはなく、cT3はNC群:AC群=64%:66%、cT4はNC群:AC群=12%:13%であり、cStageIIはNC群:AC群=39%:42%、cStageIIIはNC群:AC群=61%:58%であった。NC群において術前SOX療法は91.9%において投与完遂し、術後補助化学療法を含め8サイクル投与が53.2%において完遂可能であったのに比し、AC群における8サイクル投与完遂率は47.7%であった。R0切除率はNC群においてAC群よりも有意に良好であり(94.8% vs.83.8%)、NC群では46.4%にダウンステージングを認め、術後病理学的完全奏効(pCR)を23.6%に認めた。コメント中国で実施された局所進行胃がんに対する術前SOX療法の有効性を検証した第III相試験の第1報である。主要評価項目である3y-DFSの結果はいまだ不明であるが、術前SOX療法を施行することによりR0切除率の向上とダウンステージングが示唆された。ただし、抄録とR0切除率や治療奏効割合(pRR)の結果が異なるなどいくつか気になる点があり、評価には最終的な報告を待つ必要があると考える。POSTER SessionAPOLLO-11試験:Feasibility and pathological response of TAS-118 + oxaliplatin as perioperative chemotherapy for patients with locally advanced gastric cancer(abstract #351)Takahari D, et al.進行胃がんに対するTAS-118(S-1+ロイコボリン)とオキサリプラチンの併用療法(TAS-118/L-OHP)は、2019世界消化器がん会議(WCGC)においてS-1/CDDP併用療法との比較第III相試験(SOLAR試験)として公表されているが、今回、局所進行胃がん症例に対する周術期化学療法での忍容性を検討する単群第II相試験であるAPOLLO-11試験(UMIN000024688)の第1報が報告された。本試験はリンパ節転移を伴うcT3-4局所進行胃がんを対象とし、術前治療としてTAS-118(80~120mg/日、day1~7、2週ごと)およびL-OHP(85mg/m2、day1、2週ごと)併用療法を4コース施行後、胃切除+D2郭清が実施され、術後補助化学療法としてTAS-118単剤x12コース(Step1)もしくはTAS-118/L-OHP併用療法x8コース(Step2)が行われた。主要評価項目は(1)術前TAS-118/L-OHP併用療法およびその後の胃切除+D2郭清術の忍容性と(2)術後補助化学療法の忍容性であり、今回の報告では(1)術前TAS-118/L-OHP併用療法およびその後の胃切除+D2郭清術の忍容性結果が報告された。45例が登録され、術前TAS-118/L-OHP併用療法4コースが完遂されたのが40例(89%)であり、最終的に43例(96%)において外科的切除が完遂可能であった。患者背景は年齢中央値=64歳、男性=82%、胃原発/接合部がん=89%/11%、腸型/びまん型=69%/31%、cT3/4a=29%/71%、cN1/2/3=56%/38%/7%、臨床病期IIB/IIIA/IIIB/IIIC=24%/36%/33%/7%であった。術前化学療法における各薬剤の相対薬物濃度(RDI)中央値はTAS-118=91.7%、L-OHP=100.0%であった。術前TAS-118/L-OHP併用療法におけるGrade3以上の有害事象として、下痢(17.8%)、好中球減少症(8.9%)、食欲不振(4.4%)、口腔粘膜炎(4.4%)、白血球減少症(2.2%)、悪心(2.2%)、倦怠感(2.2%)を認めた。R0切除率は95.6%(90%CI:86.7~99.2%)であった。術後標本による病理学的治療効果(Grade1b-3)を62.2%(90%CI:48.9~74.3%)に認め、うち病理学的完全奏効割合(pCR)は13.3%であり、ダウンステージが68.9%(90%CI:55.7~80.1%)の症例において得られた。コメント局所進行胃がんに対する術前TAS-118/L-OHP併用療法に関する初めての報告であり、術前化学療法およびその後の胃切除+D2郭清術の忍容性が確認された。今後、術後補助化学療法パートの忍容性結果が報告予定であり、長期予後と合わせてその結果が期待される。EPOC1706試験:An open label phase 2 study of lenvatinib plus pembrolizumab in patients with advanced gastric cancer(abstract #374)Kawazoe A, et al.KN-061試験(胃がん2次治療)やKN-062試験(胃がん1次治療)の結果よりPD-L1陽性胃がんに対するペムブロリズマブ単剤療法の奏効割合は約15%と報告されている。一方、マルチキナーゼ阻害薬であるレンバチニブは腫瘍関連マクロファージを減少させ、CD8陽性T細胞の浸潤を増強することによる抗PD-1抗体の抗腫瘍効果増強が報告されており、進行胃がんに対するレンバチニブ/ペムブロリズマブ併用療法の単群第II相試験であるEPOC1706試験(NCT03609359)の結果が報告された。本試験は進行胃がんを対象とし、レンバチニブ(20mg/日内服)とペムブロリズマブ(200mg、3週ごと)の併用療法を病勢進行や毒性などの理由による治療中止まで継続するスケジュールで実施された。主要評価項目は担当医判定による全奏効割合(ORR)である。29例が登録され、患者背景は年齢中央値=70歳、男性=90%、腸型/びまん型=52/48%、初回治療/2次治療=48/52%、HER2陽性=17%、dMMR/pMMR=7/93%、EBV陽性=3%、PD-L1 CPS≧1/<1=66/34%であった。腫瘍縮小効果は非常に良好であり、主要評価項目である担当医判定によるORRはCR1例を含む69%(95%CI:48~85%)、病勢制御割合(DCR)は100%(95%CI:88~100%)であった。無増悪生存期間中央値は7.1ヵ月(95%CI:4.2~10.0)、生存期間中央値には至っていなかった。レンバチニブによる有害事象としてGrade3以上の高血圧(38%)、蛋白尿(17%)を認め、ほとんどの症例においてレンバチニブの1段階以上の減量が必要であったが、減量により毒性はマネジメント可能であった。コメント進行胃がんに対する、非常に切れ味良好な腫瘍縮小効果を認める新規併用療法である一方、immatureではあるがその効果の継続が治療継続期間中央値6.9ヵ月(範囲:2.8~12.0)、PFS 7.1ヵ月と限られており、今後の追加報告が期待される。ATTRACTION-2試験 3年フォローアップ:A phase 3 Study of Nivolumab in Previously Treated Advanced Gastric or Gastric Esophageal Junction Cancer(abstract #383)Chen LT, et al.2レジメン以上の化学療法に対して不応の切除不能進行再発胃がん・接合部がんを対象にニボルマブの有効性をプラセボ比較で検証した第III相試験であるATTRACTION-2試験の3年追跡結果報告である。2017年のLancet誌報告時のニボルマブ投与群の生存期間中央値(mOS)は5.26ヵ月、1年生存割合(1y-OS)は26%であり、2018年のESMOで発表された2年追跡結果における2y-OSは10.6%、2年無増悪生存割合(2y-PFS)は3.8%であった。今回新たに1年間の追加観察期間を設けた報告において、ニボルマブ群の3y-OSは5.6%、3y-PFSは2.4%であった。ニボルマブ群の15例とプラセボ群の3例が3年以上の長期生存を認めており、プラセボ群の3例のうち2例は病勢進行後にニボルマブによる加療を受けていた。ニボルマブ群のうち、最良効果(BOR:best overall response)がCRもしくはPRであった32例(9.7%)の生存期間中央値は26.88ヵ月であり、1y-OSは87.1%、2y-OSは61.3%、3y-OSは35.5%であった。BORがSDであった76例(23%)の生存期間中央値は8.87ヵ月であり、1y-OSは36.1%、2y-OSは7.4%、3y-OSは3.0%であった。ニボルマブ群のうち55.5%の症例において免疫関連の有害事象を認め、これら免疫関連有害事象を認めた症例のmOSは7.95ヵ月であり、認めなかった症例のmOSは3.81ヵ月であった(HR=0.49)。コメント今回、3年の観察期間を設けた報告によりニボルマブ投与によって3年以上の長期生存を得られる症例が5%程度いることが示唆され、またBORがCRもしくはPRとなりえる約10%程度の症例においては、約3分の1において3年以上の生存が得られる可能性が示唆された。毒性に関して、ほとんどの場合、既報のごとくニボルマブによる治療開始後3ヵ月以内に発生していたが、なかには治療開始後2年以上の経過の後に免疫関連有害事象として肺障害や腎障害が出現したケースも認め、ニボルマブ投与に当たってはその投与終了後にも免疫関連有害事象の出現に関して引き続き注意が必要であることが示唆された。MSI status in > 18,000 Japanese pts:Nationwide large-scale investigation of microsatellite instability status in more than 18,000 patients with various advanced solid cancers.(abstract #803)Akagi K, et al.本邦におけるMSI-Hの頻度に関して、2018年12月~2019年11月の1年間にMSI検査キット(FALCO)による解析が実施された2万5,789例を対象に検討。2万5,563例(99.1%)で解析可能であり、うち959例(3.75%)がMSI-Hであった。MSI-Hは10~20代の若年者(7.43%)および80代以上の超高齢者(5.77%)において認める傾向が強く、また既報のごとく早期病期(StageI~III)に比べ進行期(StageIV)においてその頻度は少なかった(StageI~III:StageIV=6.02%:3.05%)。がん種別のMSI-Hの頻度は子宮体がん(17.00%)、小腸がん(9.23%)、胃がん(6.73%)、十二指腸がん(5.79%)、大腸がん(3.83%)、NET/NEC(3.60%)、前立腺がん(3.04%)、胆管がん(2.26%)、胆嚢がん(1.55%)、肝がん(1.15%)、食道がん(1.00%)、膵がん(0.74%)であった。コメントMSI-H腫瘍に関して、既報と照らし合わせても最も多くの対象で検討した非常に貴重な報告であり、日本人MSI-H腫瘍の状況を反映していると考える。DAY2 Cancers of the Pancreas, Small Bowel, and Hepatobiliary TractOral SessionPROs from IMbrave150試験:Patient-reported Outcomes From the Phase 3 IMbrave150 Trial of Atezolizumab + Bevacizumab Versus Sorafenib as First-line Treatment for Patients With Unresectable Hepatocellular Carcinoma.(abstract #476)Galle PR, et al.切除不能肝細胞がんの1次治療例を対象に、標準治療であるソラフェニブに対するアテゾリズマブ(抗PD-L1抗体)/ベバシズマブ(抗VEGF抗体)併用療法の優越性がESMO-Asia 2019において報告されており、主要評価項目である生存期間(OS)および無増悪生存期間(PFS)の両エンドポイントにおいてアテゾリズマブ/ベバシズマブ併用療法が有意に良好であった(OS-HR:0.58、p=0.0006、PFS-HR:0.59、p<0.0001)。今回、副次評価項目である患者報告(PRO:patient-reported outcomes)によるQOL評価、身体機能評価、症状評価(疲労感、疼痛、食欲低下、下痢、黄疸)の結果が発表された。評価はEORTC QLQ-C30およびQLQ-HCC18により行われ、治療中は3週ごとに、治療中止後は3ヵ月ごとに1年間実施された。92%以上の症例においてアンケートが回収可能であり、QOL、身体機能、症状の悪化までの期間(TTD:time to deterioration)はいずれもアテゾリズマブ/ベバシズマブ併用療法においてソラフェニブより良好であった。コメント切除不能肝細胞がんに対する1次化学療法において、新たな標準療法であるアテゾリズマブ/ベバシズマブ併用療法のソラフェニブに対する有効性および安全性が報告された。本邦においても早期の臨床導入に期待したい。Poster SessionStudy117:A Phase 1b Study of Lenvatinib Plus Nivolumab in Patients With Unresectable Hepatocellular Carcinoma(abstract #513)Kudo M, et al.切除不能肝臓がんに対する標準治療の一つであるレンバチニブと、ソラフェニブ治療後の治療選択肢であるニボルマブの併用療法の至適投与量を検討した第Ib相試験である。本試験はBCLC(Barcelona Clinic Liver Cancer) Stage B(肝動脈化学塞栓療法が不応)またはStage C、Child-Pugh分類Aの切除不能肝臓がん症例を対象に、レンバチニブ(12mgもしくは8mg/day)+ニボルマブ(240mg、2週ごと)併用療法を投与した。本試験はPart1とPart2で構成され、Part1では用量制限毒性(DLT:dose-limiting toxicities)を評価目的に6例登録し、Part2はexpansion cohortとして全身化学療法歴のない切除不能肝臓がん患者が24例登録された。主要評価項目は忍容性および併用療法の安全性である。患者背景は年齢中央値=70歳、男性=80%、BCLC Stage B/C=57%/43%、Child-Pugh 5/6=77%/23%、B型肝炎/C型肝炎/アルコール性/不明/その他=20%/20%/30%/23%/6.7%、肝外病変あり/なし=43%/57%である。レンバチニブによる毒性中止を2例(6.7%)に認め、ニボルマブによる毒性中止を4例(13.3%)に認めた。頻度の高い有害事象として手足症候群(60%)、発声障害(53%)、食欲低下(47%)、下痢(47%)、蛋白尿(40%)を認めたが、Grade3以上の有害事象は手足症候群(3.3%)、発声障害(3.3%)、食欲低下(3.3%)、下痢(3.3%)、蛋白尿(6.7%)であった。担当医評価による腫瘍縮小割合(ORR)は76.7%であり、Part2登録例における腫瘍縮小が得られるまでの期間は1.87ヵ月であり、無増悪生存期間(PFS)中央値は7.39ヵ月であった。コメント切除不能肝臓がんの治療に関して、マルチキナーゼ阻害薬(レゴラフェニブ、レンバチニブ)と免疫check point阻害薬(ニボルマブ、ペムブロリズマブ)の併用療法が検討されており、本学会においてもほかにレゴラフェニブ/ペムブロリズマブ併用療法に関する発表があった(#564)。その中でもレンバチニブ/ペムブロリズマブ併用療法に関しては、AACR2019で発表された第Ib相試験であるKEYNOTE-524/Study 116試験(#CT061/18)の中間解析結果に基づき、切除不能肝臓がんの1次治療としてFDAよりBreakthrough Therapy指定を受けており、今後の追加報告が期待される。PACS-1 study:A Multicenter Clinical Randomized Phase II Study of Investigating Duration of Adjuvant Chemotherapy with S-1 (6 versus 12 months) for Patients with Resected Pancreatic Cancer. (abstract #669)Yamashita Y, et al.本邦における膵がん術後補助化学療法としてのS-1至適投与期間を検討した無作為化第II相試験。本試験は膵がん切除後例(T1-4、N0-1、M0)を対象とし、術後補助化学療法としてS-1内服を半年間投与する群と1年間投与する群に1:1の割合で割り付けされた。主要評価項目は2年間の生存割合(2y-OS)である。両群間の患者背景に偏りはなかった。術後S-1半年投与群は64.7%において治療完遂が可能であったが、1年間投与群においては44.0%が完遂可能であった。生存期間(OS)および無病生存期間(DFS)において、統計学的有意差はないものの術後S-1投与期間は半年間群のほうが1年間群より良好な傾向であった。(2年OS:半年間群 vs.1年間=71% vs.65% [HR=1.239、 p=0.3776 ])、( 2年DFS:半年間群 vs.1年間=57% vs.51%[HR=1.182、p=0.3952]) コメント膵がん術後補助化学療法としてのS-1至適投与期間は6ヵ月と考える。DAY3 Cancers of the Colon, Rectum, and AnusOral SessionJCOG1007(iPACS):A randomized phase III trial comparing primary tumor resection plus chemotherapy with chemotherapy alone in incurable stage IV colorectal cancer:JCOG1007 study(abstract #7)Kanemitsu Y, et al.切除不能StageIV大腸がんのうち無症状症例に対して、原発切除を化学療法に先行して行うことの優越性を検証した無作為化第III相試験である。本試験は腫瘍による狭窄などの症状を有さず、待機手術としての原発切除を予定できる治癒切除不能のStageIV大腸がん初回治療例を対象とし、標準治療であるA群:オキサリプラチンベース(FOLFOX/CapeOX)+ベバシズマブ併用療法群とB群:原発切除後にオキサリプラチンベース(FOLFOX/CapeOX)+ベバシズマブ併用療法を受ける群に無作為割り付けされた。主要評価項目は全生存期間である。当初770例を目標に試験が開始されたが、症例登録が伸びなかったために統計設定が見直され280例を登録目標とされたが、160例登録時の初回中間解析の結果、試験群であるB群の生存曲線が対照群であるA群を下回っていたため途中中止となり今回結果が発表された。両群間の患者背景に偏りはなかった。主要評価項目である全生存期間においてA群:B群=26.7ヵ月:25.9ヵ月(HR=1.10、one-sided p=0.69)であり、B群の優越性は認めなかった。副次評価項目であるPFSはA群:B群=12.1ヵ月:10.4ヵ月(HR=1.08)であり、原発切除先行群(B群)において術後死亡例を3例(4%)に認めた。コメント今回の結果より、腫瘍随伴症状を有さないStageIV大腸がんに対して、一律に原発切除を化学療法に先行して行うことは推奨されず、同症例に対しては化学療法の先行を検討すべきと考える。同様の対象に対して、欧州において無作為化比較試験(SYNCHRONOUS試験-ISRCTN30964555、CAIRO4試験)が進行中であり、今後これらの報告にも注意が必要と考える。BEACON CRC QoL:Encorafenib plus cetuximab with or without binimetinib for BRAF V600E-mutant metastatic colorectal cancer:Quality-of-life results from a randomized, three-arm, phase III study versus the choice of either irinotecan or FOLFIRI plus cetuximab(abstract #8)Kopetz S, et al.治療歴を有するBRAF V600E遺伝子変異陽性進行再発大腸がん例に対する治療としてMEK阻害薬であるビニメチニブ、BRAF阻害薬であるエンコラフェニブおよび抗EGFR抗体であるセツキシマブの3剤併用療法と、エンコラフェニブとセツキシマブの2剤併用療法、セツキシマブと化学療法の併用(対照群)を比較する第III相試験であるBEACON CRC試験における患者報告によるQOL評価と最新の生存データが発表された。本試験の結果はすでに2019年9月にNEJM誌において報告されており、全生存期間の中央値は対照群で5.4ヵ月、3剤併用群で9.0ヵ月(HR=0.52、pレポーター紹介インデックスページへ戻る

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“勤務医の労働時間通算”に、現場の半数が反対

 厚生労働省は、医師の働き方改革の推進に関する検討会において、複数の医療機関で勤務する医師の労働時間を通算し、上限を規制する取りまとめ案を出している。これを受け、日本医師会は「医師の副業・兼業と地域医療に関する日本医師会緊急調査」を行った。アンケートは、全国の病院8,343施設を対象にWebで行われ、3,713施設(44.5%)から回答を得た。副業・兼業は当たり前だが、通算には人員確保や経営への不安が 調査結果によると、勤務医師の副業・兼業に関する取り扱いについては、「就業規則により自院以外での勤務は認めていない」と答えた施設が11.5%だった。一方、認めている施設は「病院長が許可した場合のみ認めている」(48.9%)、「特段の規定はなく、各医師の自由意思に任せている」(30.8%)と8割近くに上り、副業・兼業は当たり前と言える状況が明らかになった。 今後地域医療の確保と医師の働き方改革を両立していく必要のある、いわゆるB水準に相当する施設が抽出された分析では、“複数医療機関に勤務する医師の労働時間を通算すること”に対し、「通算に反対」(28%)、「どちらかといえば反対」(23.8%)と、合わせて半数以上が反対という結果に。 通算された場合の不安な項目としては、「宿日直体制が維持困難」(79.8%)、「派遣医師の引き上げ」(62.9%)、「病院の経営が悪化する」(52.9%)、「病院勤務医の減少につながる」(41.5%)などが多く選ばれた。現場からの意見を踏まえ、議論が進められる 調査結果から、以下の現状などが示された。・制度を変えた場合の影響が多岐にわたり、何が起こるかわからない・研鑽のために副業・兼業することは、医療の質の向上にもつながる・労働時間の通算によって、医療機関での事務負担が増加する懸念がある・割増賃金の算出は極めて困難・健康確保は勤務時間の把握が目的化しないような実効性ある仕組みが必要・予見を持って対応する必要があり、混乱が起こってからの回復は困難 同会・常任理事の松本 吉郎氏は、「医師にはさまざまな多様性を持った働き方があり、一般の労働者と同じ対応を単純に当てはめると混乱が生ずる恐れがある。また、医師の副業・兼業については多くの課題があり、これらに対して適切に考えていかなければならない」と述べた。 本アンケートでは、現場からの切実な声が多数寄せられている。それらの意見も踏まえ、検討が進められる見込みだ。

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低脂肪食で乳がん死亡リスクは減るか~無作為化比較/JCO

 食事による脂肪摂取量と乳がんの関連について、観察研究では結果が一貫していない。米国・Harbor-UCLA Medical CenterのRowan T. Chlebowski氏らは、乳がん発症における低脂肪食の影響を検討したWomen's Health Initiative(WHI)Dietary Modification(DM)試験の追加解析で、乳がん後の死亡リスクとの関連を検討した。その結果、閉経後女性において、野菜、果物、穀物の摂取を増やした低脂肪の食事パターンが、乳がんによる死亡リスクを減らす可能性が示唆された。Journal of Clinical Oncology誌オンライン版2020年2月7日号に掲載。 WHI DM試験の対象は、米国の40施設において、乳がんの既往がなく食事性脂肪でエネルギーの32%以上を摂取している50~79歳の閉経後女性4万8,835人。通常の食事群(60%)もしくは食事介入群(40%)に無作為に割り付けた。 主な結果は以下のとおり。・食事介入8.5年における乳がん発症および乳がんによる死亡は、介入群で低かったが有意ではなかった。一方、乳がん後の死亡は、介入期間中および16.1年(中央値)のフォローアップ期間を通して有意に低かった。 ・長期フォローアップ後(中央値:19.6年)も、介入群における乳がん後の死亡の有意な低下は持続した(359例[0.12%]vs.652例[0.14%]、HR:0.85、95%CI:0.74〜0.96、p=0.01)。また、乳がんによる死亡の低下も有意になった(132例[年当たりリスク0.037%]vs.251例[0.047%]、HR:0.79、95%CI:0.64〜0.97、p=0.02)。

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最適な抗うつ薬投与量~システマティックレビュー

 固定用量で行われる抗うつ薬の試験では、承認された用量の中でも低用量で有効性と忍容性の最適なバランスが実現されている。副作用が許容される範囲内での抗うつ薬の増量がベネフィットをもたらすかについて、京都大学の古川 壽亮氏らが検討を行った。Acta Psychiatrica Scandinavica誌オンライン版2019年12月31日号の報告。 急性期うつ病治療に対するSSRI、ベンラファキシン、ミルタザピンを検討したプラセボ対照ランダム化試験をシステマティックにレビューした。主要アウトカムは治療反応とし、うつ病重症度の50%以上減少と定義した。副次アウトカムは、有害事象による脱落および何らかの理由による脱落とした。抗うつ薬の承認最小用量を超える漸増をプラセボと比較した試験および固定用量とプラセボを比較した試験におけるオッズ比(ROR)を算出するため、ランダム効果メタ解析を実施した。 主な結果は以下のとおり。・公開および未公開のランダム化比較試験123件(2万9,420例)を解析した。・抗うつ薬の漸増に、固定低用量を超える有効性は認められなかった。 ●SSRI(ROR:0.96、95%CI:0.73~1.25) ●ベンラファキシン(ROR:1.24、95%CI:0.96~1.60) ●ミルタザピン(ROR:0.77、95%CI:0.33~1.78)・ベンラファキシンの75mg固定用量と比較し、75~150mgの漸増において優れた有効性が認められたが(ROR:1.30、95%CI:1.02~1.65)、それ以外では、忍容性またはサブグループ解析において、重要な差は認められなかった。 著者らは「有効性、忍容性や受容性の観点から、SSRIまたはミルタザピンの承認最小用量を超えた漸増の効果は認められなかった。ただし、ベンラファキシンでは、最大150mgまで増量することで効果が期待できることが示唆された」としている。

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静注鉄剤による鉄欠乏性貧血治療、IIM vs.FCM/JAMA

 経口鉄剤に不耐・不応の鉄欠乏性貧血患者における静注鉄剤による治療では、iron isomaltoside(IIM、現在はferric derisomaltoseと呼ばれる)はカルボキシマルトース第二鉄(FCM)と比較して、低リン血症の発生が少ないことが、米国・デューク大学のMyles Wolf氏らの検討で示された。研究の成果は、JAMA誌2020年2月4日号に掲載された。静注鉄剤は、鉄欠乏性貧血の迅速な改善を可能にするが、これらの製剤は線維芽細胞増殖因子23(FGF23)に関連する低リン血症を誘発する場合があるという。静注鉄剤であるIIMとFCMとで無作為化試験 研究グループは、静注鉄剤であるIIMとFCMとで、低リン血症のリスクおよびミネラル骨恒常性のバイオマーカーへの影響を比較する目的で、2つの同一デザインの非盲検無作為化臨床試験を行った(Pharmacosmosなどの助成による)。 対象は、年齢18歳以上、鉄欠乏性貧血(ヘモグロビン値≦11g/dL、血清フェリチン値≦100ng/mL)で、経口鉄剤が1ヵ月以上不耐または不応の患者であった。腎機能低下例は除外された。 被験者は、IIM(1,000mg、1回[Day0])またはFCM(750mg、2回[Day0、7])を静注投与する群に無作為に割り付けられた。Day0、1、7、8、14、21、35に、血清リン濃度とミネラル骨恒常性のバイオマーカーの評価が行われた。 主要エンドポイントは、ベースラインから35日までの期間における低リン血症(血清リン濃度<2.0mg/dL)の発生とした。静注鉄剤の低リン血症の発生率はIIMがFCMに比べ低かった 2017年10月~2018年6月の期間に、米国の30施設で245例(試験A:123例[平均年齢45.1歳、女性95.9%]、試験B:122例[42.6歳、94.1%])が登録された。試験A(治療完遂率 95.1%)では、IIM群に62例、FCM群には61例が、試験B(同93.4%)では両群に61例ずつが割り付けられた。 2つの静注鉄剤の試験を合わせた35日の時点での低リン血症の発生率は、IIM群がFCM群に比べ低かった。試験AではIIM群が7.9%、FCM群は75.0%(補正後発生率の群間差:-67.0%、95%信頼区間[CI]:-77.4~-51.5、p<0.001)であり、試験Bではそれぞれ8.1%および73.7%(-65.8%、-76.6~-49.8、p<0.001)であった。 静注鉄剤による血清リン濃度は、ベースライン以降のすべての測定日において、IIM群に比べFCM群で低値であった(p<0.001)。尿中リン排泄分画は、試験期間を通じて、IIM群に比べFCM群で高く、Day14が最も高値であった(p<0.001)。 生物学的活性を有するintact FGF23の平均値は、FCM群では46.2pg/mLから151.2pg/mLに上昇し、Day8(2回目の投与[Day7]の24時間後)に頂値(343.6pg/mL)に達した後に漸減したが、すべての測定日でIIM群よりも有意に高かった(p<0.001)。また、C末端FGF23の濃度は、両群とも投与から24時間以内に低下したが、Day8~21には、FCM群がIIM群に比べ再上昇した(p<0.001)。 活性型の1,25-ジヒドロキシビタミンDは、両群とも低下したが、FCM群のほうが低下の程度が大きく、試験期間を通じて一貫していた(p<0.001)。また、非活性型の24,25-ジヒドロキシビタミンDは、Day7以降、IIM群よりもFCM群で有意に増加した(p<0.001)。 静注鉄剤による有害事象の頻度は、IIM群よりもFCM群で高かった(試験A:7/63例[11.1%]vs.27/60例[45.0%]、試験B:14/62例[22.6%]vs.28/57例[49.1%])。また、副甲状腺ホルモン上昇(IIM群3.2% vs.FCM群5.1%)、頭痛(3.2% vs.4.3%)、悪心(0.8% vs.6.8%)の頻度が高かった。 著者は、「これらの知見の臨床的重要性を評価するために、さらなる検討を要する」としている。

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AIによる大腸がん転帰の予測マーカーを開発/Lancet

 ノルウェー・オスロ大学病院のOle-Johan Skrede氏らは、ディープラーニング(深層学習)を用いて、従来の病理組織画像から大腸がんの転帰を予測するバイオマーカー(DoMore-v1-CRC)を開発し、その臨床的有用性を確認した。研究の成果は、Lancet誌2020年2月1日号に掲載された。早期大腸がん患者を層別化して補助療法を適切に選択できるようにするには、より優れた予後マーカーが必要とされる。この研究で確立されたマーカーは、StageII/IIIの患者を十分に明確な予後グループに層別化した。これにより、きわめて低リスクのグループの治療を回避し、より強力な治療レジメンから利益を得る患者を特定することで、補助療法の選択の指針として有用となる可能性があるという。1,200万枚以上の従来画像を使用 研究グループは、深層学習を用いて、原発性大腸がんの切除後の患者転帰を予測するバイオマーカーを開発する目的で、トレーニングコホート、チューニングコホート、試験コホート、検証コホートにおいて検討を行った(Research Council of Norwayの助成による)。 対象は、切除可能な腫瘍(StageI~III)を有する患者であった。従来のHE染色されたホルマリン固定パラフィン包埋腫瘍組織切片をスキャンした。 4つのコホート(ノルウェーの2つと英国の2つ)から、明らかに転帰が良好または不良な腫瘍を有する患者の1,200万枚以上に及ぶ組織病理画像を用いて、合計10個の畳み込みニューラルネットワーク(CNN)をトレーニングした。10個のネットワークを統合し、転帰が不明な患者において予後バイオマーカーを確定した。 確立されたマーカーは、英国で作製された920例(試験コホート)のスライドでテストされた。次いで、ノルウェーで作製されたスライドを用い、事前に規定されたプロトコールに準拠して、カペシタビンで治療された1,122例(検証コホート)で検証が行われた。主要転帰は、がん特異的生存とした。多変量解析でも、強力な予測能が保持 ノルウェーと英国の4つのコホートから、転帰(良好、不良)が明らかな828例(年齢中央値69歳、女性49%)を選出し、確実な真値(ground truth)を得るためのトレーニングコホートとして使用した。1,645例(70歳、42%)は転帰が不明であり、チューニングコホートとして用いた。 確立されたバイオマーカー(DoMore-v1-CRC)は、検証コホート(1,122例、年齢中央値65歳、女性43%)において、がん特異的生存の優れた予測能を示した。不明な予後と良好な予後のハザード比(HR)は1.89(95%信頼区間[CI]:1.14~3.15)であり、不良な予後と良好な予後のHRは3.84(2.72~5.43、p<0.0001)であった。 また、同じコホートの単変量解析で確立された予後マーカー(pN stage、pT stage、リンパ管浸潤、静脈血管浸潤)で補正した多変量解析でも、強力な予測能が保持されていた(不明な予後と良好な予後のHR:1.56、95%CI:0.92~2.65、p=0.10、不良な予後と良好な予後のHR:3.04、2.07~4.47、p<0.0001)。 DoMore-v1-CRCによる良好な予後の3年がん特異的生存を、不明/不良な予後と比較した場合の感度は52%(95%CI:41~63)、特異度は78%(75~81)、陽性適中度は19%(14~25)、陰性適中度は94%(92~96)、正確に分類された患者の割合(accuracy)は76%(73~79)であった。同様に、良好/不明な予後を不良な予後と比較した場合は、それぞれ69%(58~78)、66%(63~69)、17%(13~21)、96%(94~97)、67%(63~69)だった。 著者は、「深層学習は、従来の組織病理画像から直接的に、患者転帰を自動的に予測するバイオマーカーの開発に使用可能である。大腸がんでは、このマーカーは、最新のがん治療を受けた大規模な患者集団の解析において、臨床的に有用な予後マーカーであることが示された」としている。

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新型肺炎は母子感染するのか?妊婦9例の後ろ向き研究/Lancet

 中国・武漢市を中心に世界規模で広がっている新型コロナウイルス感染症(COVID-19)。これまでの研究では一般集団における感染ルートの検証が行われてきたが、妊婦のデータは限定的だ。武漢大学中南医院産婦人科のHuijun Chen氏らは、新型コロナウイルス陽性と確認された妊産婦について、臨床的特徴と垂直感染の可能性について検証した。Lancet誌オンライン版2月12日版に掲載。 本研究では、2020年1月20日~31日、武漢大学中南医院に入院した患者のうち、COVID-19と診断された妊産婦9例について、臨床記録、検査結果および胸部CT画像を後ろ向きにレビューした。垂直感染を裏付ける根拠として、羊水、臍帯血、新生児の咽頭スワブおよび母乳サンプルが採取された。 主な結果は以下のとおり。・妊産婦9例は26歳~40歳で、いずれも持病はなく、全例が妊娠第3期に帝王切開で出産した。・全例で出生が確認され、新生児仮死は見られなかった。・新生児9例はいずれも1分後アプガースコア(AP)が8~9、5分後APが9~10で正常だった。・妊産婦9例中7例で発熱が見られたほか、咳(4例)、筋肉痛(3例)、咽頭痛(2例)、倦怠感(2例)といった症状が確認された。・2月4日の段階で、妊産婦9例についてCOVID-19重症例および死亡例は確認されていない。・9例のうち6例について、羊水、臍帯血、新生児の咽頭スワブ、および母乳サンプルのウイルス検査が行われ、すべて陰性だった。・2月6日の段階で、新生児1例について、出生36時間後にウイルス検査で陽性反応を示した。・ただし、本症例については出生30時間後に採取されたサンプルであるため、子宮内感染が発生したかどうかは不明である。 本研究の9例は、妊婦が感染していたCOVID-19の母子感染リスクが不明であったため、帝王切開による分娩が選択されたという。著者らは、「この9例に限っては、妊娠後期にCOVID-19を発症した妊婦からの子宮内垂直感染を直接示すエビデンスがないことを示唆している」としながらも、「経腟分娩による母子感染リスクや、母体の子宮収縮がウイルスに及ぼす影響については、さらに調査する必要がある」と述べている。

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日本人COVID-19の特徴、診療第一線医師が語る

 2月13日、「新型コロナウイルス(COVID-19)感染症への対応」と題したメディア・市民向けセミナーが開催された。感染症専門医4名が対応策について講じ、そのなかで、忽那 賢志氏(国立国際医療研究センター 国際感染症対策室医長)は、今回、日本で明らかにされた臨床像として、「発症から数日~1週間くらい『かぜ』のような症状が続き7割くらいの症例で肺炎を伴う、肺炎症例では胸膜下のすりガラス影~浸潤影が見られる」などの特徴を述べた(主催:日本感染症学会、日本環境感染学会、FUSEGU2020)。 日本国内の新型コロナウイルス感染症診療にあたっている忽那氏は、2月13日時点で明らかにされている中国・武漢での臨床像を発表論文1)に基づき以下のようにまとめた。・潜伏期は平均5.2日・感染源の発症から2次感染者の発症まで(発症間隔)は7.5日・受診までは4.6~5.8日・入院までは9.1~12.5日 また、この論文から武漢での症例の特徴について、「重症例の場合、発熱や呼吸苦の症状が強い。軽症者を含めると入院中の発熱、咳、倦怠感、筋肉痛・関節痛、悪寒が見られる」とコメント。重症41例(致死率15%)と軽症含む1,099例(中国全体31省、致死率1.4%)でほぼ同様の症状を有しており、軽症例にも胸部レントゲンや胸部CTが実施されていた。感染者のうち、胸部レントゲンで異常が見られたのは14.7%、胸部CTでは76.4%と報告されたが、これに対して同氏は「感染者全員へのCT検査推奨を意味するわけではない」ことを強調した。 現時点でのCOVID-19による致死率は2.5%であり、ほかの新興感染症と比較して現段階では低いものの、明らかになっている感染者は氷山の一角に過ぎない。同氏は「予断は許さない。重症化しやすい患者には、ICU入室が多い高齢者・持病のある人が挙げられる。感染リスクに男女差はなく、免疫不全や妊婦の重症化は否定できないので考慮が必要」と、述べた。 最後に「現段階では、インフルエンザと比較すると肺炎合併率が高い印象。感染率はインフルエンザと同等と考えられ、基礎疾患、高齢者・高齢者施設を守る対策の徹底が重要」と締めくくった。

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医師もハマる数学漫画【Dr.倉原の“俺の本棚”】第27回

【第27回】医師もハマる数学漫画カメラアイ(瞬間記憶能力)レベルの記憶力を持っている天才少年の主人公が、超難関大学の理学部へ入った後、授業に出てきた大学の微積分が理解できずに挫折するところから物語は始まります。『数字であそぼ。』絹田 村子/著. 小学館. 2018高校数学は、赤本の問題などをほぼ暗記して乗り切ったようですが、大学では数学を理解しないと問題が解けません。理解するということをせずに人生を送ってきた彼にとって、大学数学は大きな挫折になりました。私もどちらかと言えば、暗記派でして。大学の教養の授業はとてもとっつきにくかったのを覚えています。先輩から過去問を集めて、公式を丸暗記して試験に臨みました。「円周の長さを求める公式(2πr)は習ったものの、円の面積の公式(πr2)を知らないとき、どのようにして円の面積を求めるか?」という問題を、トイレットペーパーを使って解説するシーンがあります。「考える力」が欠落している主人公は、これがわかりません。同級生がカヴァリエリの原理を用いて解説していきます(図)。図. カヴァリエリの原理による円の面積の求め方画像を拡大するこの漫画、どう考えても京都大学がモデルになっているようですが、パチスロにハマって留年した変人、数学の問題に解答できることを条件に過去問を売る奇人、数学は得意だけど汚部屋に棲んでいる不思議女性、など“それらしい”キャラクターが登場します。数学で挫折したにもかかわらず、敢えてそこから立ち上がって数学を考えることに挑戦していく若者の成長を見るのは面白い。私のような中堅医師になると、医学論文やガイドラインを目にすることが増え、医学的知見は洪水のように流れ込んできます。そして、いつの間にか受動的になっていく自分がいる。「考える力」が鈍ってきた医師にこそ読んでほしい、ユーモアあふれる漫画だと思います。雰囲気としては、『動物のお医者さん』の数学版といった感じです。『数字であそぼ。』絹田 村子/著出版社名小学館定価本体454円+税サイズ新書版刊行年2018年

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成人後に5kg増えると閉経前乳がんリスクは?~63万人のプール解析

 女性は成人初期以降に体重が大きく増減することがある。これまでに体の大きさと閉経前乳がんリスクとの関係は報告されているが、体重変化と閉経前乳がんリスクとの関係は不明である。今回、英国・The Institute of Cancer ResearchのMinouk J. Schoemaker氏らが、17件の前向き研究の個人データをプール解析したところ、成人初期の体重に関係なく、成人初期から45〜54歳までの体重増加が閉経前乳がんリスクの低下と関連することが示唆された。International Journal of Cancer誌オンライン版2020年2月3日号に掲載。 本研究では、成人初期の体重、体重変化時期、他の乳がんリスク因子、乳がんサブタイプを考慮し、体重変化と閉経前乳がんリスクとの関連を調査した。ハザード比(HR)および95%信頼区間(CI)は、Cox回帰を用いて評価した。 主な結果は以下のとおり。・62万8,463人の女性のうち、1万886人が閉経前に乳がんと診断された。・18〜24歳時の体重および他の乳がんリスク因子で調整したモデルにおいて、18〜24歳から35〜44歳まで、もしくは45〜54歳までの体重増加が乳がん全体(例:45〜54歳までの5kg増当たりのHR:0.96、95%CI:0.95~0.98)およびエストロゲン受容体(ER)陽性乳がん(45~54歳までの5kg増当たりのHR:0.96、95%CI:0.94~0.98)と逆相関することが示された。・25~34歳からの体重増加はER陽性乳がんのみと逆相関し、35~44歳からの体重増加はリスクと関連していなかった。・これらの体重増加はいずれもER陰性乳がんリスクとは関連していなかった。・体重減少については、成人初期の体重を調整すると、全体またはER有無別のリスクと関連していなかった。 なお、日本人女性コホートのプール解析では、閉経前乳がんとBMIとの間に正の関連がみられたとの報告(Wada K, et al. Ann Oncol. 2014;25:519-524.)があることから、日本人女性では欧米人女性とは傾向が異なる可能性もある。

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治療抵抗性統合失調症を予測するための症状

 治療抵抗性統合失調症(TRS)を予測する症状を早期に発見することができれば、クロザピンなどによる治療の早期開始に役立つ可能性がある。ブラジル・サンパウロ連邦大学のBruno B. Ortiz氏らは、TRSを予測する症状パターンを特定するため、探索/複製研究デザインを用いて、調査を行った。Schizophrenia Research誌オンライン版2020年1月16日号の報告。 統合失調症入院患者のコホート研究より164例をフォローアップした。ロジスティック回帰を用いて、TRS患者のベースライン時の陽性・陰性症状評価尺度(PANSS)の中で最も影響を及ぼす項目を特定した。特定された症状の複数の組み合わせ予測パターンをテストするため、Receiver Operating Characteristic(ROC)解析を用いた。同項目の組み合わせについて、統合失調症外来患者207例の独立した複製サンプルとのテストを行った。 主な結果は以下のとおり。・退院時のTRSを予測するベースライン時のPANSS項目の組み合わせは、概念の統合障害(P2)、抽象的思考の困難(N5)、不自然な思考内容(G9)の3つの合計スコアであった。・P2+N5+G9モデルは、AUCが0.881、感度が77.8%、特異性が83.3%であった。・外来患者サンプルにおけるP2+N5+G9モデルの予測精度は、AUCが0.756、感度が72.3%、特異性が74.4%であり、許容可能な範囲内であった。・P2+N5+G9モデルは、組織化されていない思考、具体的な思考、奇妙で特異な思考で構成される思考障害の構造と一致している。 著者らは「統合失調症患者の思考障害は、臨床診断において容易に識別可能であり、TRSを早期発見するうえで、実行可能な戦略であると考えられる。臨床的な有用性を検証するうえで、初回エピソード統合失調症患者を対象としたコホートでの検証が望まれる」としている。

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長期透析中AF患者へのDOAC、臨床的メリットは

 脳卒中リスク低減のため、心房細動(AF)には直接経口抗凝固薬(DOAC)が推奨されているが、長期間に渡って透析治療を受けている患者は出血リスクが高く、臨床的メリットは不明である。米国・マウントサイナイ・ベスイスラエル病院の工野 俊樹氏らは、長期透析中のAF患者に対するDOACの有効性および安全性についてネットワークメタ解析の手法を用いて調査を行った。Journal of American College of Cardiology誌オンライン版2020年1月28日号に掲載。DOACが長期透析中のAF患者の血栓塞栓症のリスク低下と関連しない 本調査では、2019年6月10日までにMEDLINEおよびEMBASEに登録された文献データを検索。その結果、AFのある長期透析患者に関する16件の観察研究(7万1,877例)が特定され、うち2件がDOACについて調査を行っていた。有効性のアウトカムは、虚血性脳卒中/全身性血栓塞栓症(SE)および全死因死亡、安全性のアウトカムには大出血だった。ただし、ダビガトランとリバロキサバンのアウトカムは、主要な出血イベントに限定されていた。 長期透析中AF患者へのDOACの有用性について調査した主な結果は以下の通り。・アピキサバンとワルファリンは、抗凝固薬なしと比べ脳卒中/SEの有意な減少と関連していなかった(アピキサバン5mg;ハザード比[HR]:0.59、95%信頼区間[CI]:0.30〜1.17、アピキサバン2.5mg;HR:1.00、95%CI:0.52~1.93、ワルファリン;HR:0.91、95%CI:0.72~1.16)。・アピキサバン5 mgは、死亡リスクが有意に低かった(vs.ワルファリン;HR:0.65、95%CI:0.45~0.93、vs.アピキサバン2.5 mg;HR:0.62、95%CI:0.42~0.90、vs.抗凝固薬なし;HR:0.61、95%CI:0.41~0.90)。・ワルファリンは、アピキサバン5mg/2.5mgおよび抗凝固薬なし、よりも大出血のリスクが有意に高かった(vs.アピキサバン5mg;HR:1.41、95%CI:1.07~1.88、vs.アピキサバン2.5mg;HR:1.40、95%CI:1.07~1.8、vs.抗凝固薬なし;HR:1.31、95%CI:1.15~1.50)。・ダビガトランおよびリバロキサバンは、アピキサバンおよび抗凝固薬なしよりも重大な出血リスクが有意に高かった。 今回のネットワークメタ解析では、DOACが長期透析中のAF患者の血栓塞栓症のリスク低下と関連しないことを示しており、ワルファリン、ダビガトラン、およびリバロキサバンは、アピキサバンおよび抗凝固薬なしと比べ有意に高い出血リスクと関連していた。著者らは、「透析中のAF患者の抗凝固薬に関してはアピキサバンの有効性と安全性を調べたランダム化試験が必要であり、ワルファリンとの比較だけではなく抗凝固薬なしとの比較も必要である」と述べている。

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ROS1陽性肺がんの血栓塞栓イベント/Lung Cancer

 オーストラリアの6施設がROS1融合遺伝子陽性非小細胞肺がん(NSCLC)の静脈および動脈血栓塞栓症(TE)の発生率、転帰に関するプール解析を行った。Lung Cancer誌オンライン版2020年1月22日号の掲載報告。 主な結果は以下のとおり。・登録患者42例の患者のうち、20例(48%)がTEを経験した。・TEの内訳は、動脈塞栓症1例(2%)、肺塞栓症13例(31%)、深部静脈血栓症12例(29%)であった。・TE患者のうち、6例(30%)が複数のイベントを経験した。・TEは診断期前・中・後いずれの時期にも発現した。・TEはまた治療戦略に関係なく発生した。・TE合併患者の全生存期間中央値は、TE合併患者21.3ヵ月、TE非合併患者では28.8ヵ月であった(HR:1.16、95%CI:0.43~3.15)。・化学療法1次治療群の全奏効率(ORR)は、TE合併患者で50%、TE非合併患者では44%であった。・標的治療薬1次治療群のORRは、TE合併患者で67%、TE非合併患者で50%であった。 ROS1融合遺伝子陽性肺がんでは、治療戦略に関係なく、診断期間を超えてTEリスクが持続的することがリアルワールドデータで示された。著者らは、ROS1融合遺伝子陽性肺がんでは、1次血栓予防の検討が推奨されると述べている。

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日焼けマシンの論文、業界と関連あると肯定的?/BMJ

 日焼けマシンに関する論文の大半は業界の資金提供を受けていないが、日焼けマシン業界と経済的関係が認められる論文は、日焼けマシンを支持する傾向が認められるという。米国・スタンフォード大学のLola Adekunle氏らが、日焼けマシン業界との経済的関係および日焼けマシンに関する論文の結論との関連性を検証したシステマティックレビューの結果を報告した。日焼けマシンに関する科学的論文で、危険性や有益性に注視したものはあるが、資金源と論文の結論との関連性については十分検証されていなかった。結果を踏まえて著者は、「公衆衛生専門家や研究者は、日焼けマシンに関するエビデンスを解釈する際、業界からの資金提供を考慮する必要がある」と提言している。BMJ誌2020年2月4日号掲載の報告。日焼けマシンに関する論文691報について解析 研究グループは、PubMed、Embase、Web of Scienceのデータベースを用い、2019年2月15日までに発表された論文を検索した。論文の種類は問わず(原著、システマティックレビュー、総説、症例報告、論説、論評、短報はすべて適格)、日焼けマシンと健康について考察している論文を適格とした。基礎研究、日焼けマシンの普及状況のみを述べている論文、英語以外の論文および全文を入手できない論文は除外した。 解析に組み込まれた論文は691報で、このうち357報(51.7%)が経験的論文(例:オリジナル論文またはシステマティックレビュー)、334報(48.3%)が非経験的論文(例:論評[コメンタリー]、レター、論説[エディトリアル])であった。資金提供がない論文は約9割が批判的、ある論文は約8割が支持 全体で、日焼けマシン業界との経済的関係が認められた論文は7.2%(50/691報)だった。日焼けマシンを支持する論文は10.7%(74/691報)、中立は3.9%(27/691報)で、85.4%(590/691報)は日焼けマシンに批判的であった。 日焼けマシン業界の資金提供を受けていない論文(620報)において、日焼けマシンを支持する論文は4.4%(27/620報)で、中立が3.5%(22/620報)であり、92.1%(571/620報)が批判的であった。 一方、日焼けマシン業界と経済的関係がある論文(50報)では、78%(39/50報)が日焼けマシンを支持し、中立は10%(5/50報)、批判的であったのは12%(6/50報)だった。 日焼けマシン企業からの支援は、日焼けマシンの支持と有意に関連していることが確認された(リスク比:14.3、95%信頼区間:10.0~20.4)。 なお、著者は研究の限界として、資金源が非公開の論文は解析に組み込まれていないこと、使用したデータベースが限られていたこと、英語の論文に限定していたことなどを挙げている。

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COPD、在宅呼吸器療法と臨床転帰との関連は?/JAMA

 高二酸化炭素血症を伴う慢性閉塞性肺疾患(COPD)患者において、在宅での二相性気道陽圧(BPAP)による非侵襲的陽圧換気(NIPPV)はデバイスなしと比較して、死亡リスク、全入院および挿管リスクの低下と関連し、QOLについて有意差はなかったことが、また非侵襲的在宅人工呼吸(HMV)はデバイスなしと比較して、入院リスク低下と有意に関連し、死亡リスクに有意差はなかったことが示された。米国・メイヨー・クリニックEvidence-based Practice CenterのMichael E. Wilson氏らが、システマティックレビューおよびメタ解析の結果を報告した。COPD増悪に対する院内NIPPVの使用は確立されているが、高二酸化炭素血症を伴うCOPDにおける在宅NIPPVとアウトカムの関連については不明であった。JAMA誌2020年2月4日号掲載の報告。約5万例についてメタ解析 研究グループは1995年1月1日~2019年11月6日の期間で、MEDLINE、EMBASE、SCOPUS、Cochrane Central Registrar of Controlled Trials、Cochrane Database of Systematic Reviews、National Guideline Clearinghouseに公表された英語論文を検索し、1ヵ月以上在宅NIPPVを使用した高二酸化炭素血症を伴うCOPD成人患者を対象とする無作為化臨床試験(RCT)および比較観察研究を解析に組み込んだ。 データ抽出は2人の評価者が独立して行った。バイアスリスクは、RCTではCochrane Collaboration risk of bias tool、非RCTではNewcastle-Ottawa Scaleを用いて評価した。 主要評価項目は、長期追跡期間中の死亡、あらゆる原因による入院(全入院)、挿管、QOLであった。 検索により、解析にはRCTが21件、比較観察研究が12件、合計5万1,085例(平均[SD]年齢65.7[2.1]歳)の被験者データが組み込まれた。このうち死亡は434例、挿管は27例であった。在宅BPAPで死亡・入院・挿管リスクが低下、エビデンスの質は低い~中程度 BPAP群はデバイスなし群と比較して、死亡率(22.31 vs.28.57%、リスク差[RD]:-5.53%[95%信頼区間[CI]:-10.29~-0.76]、オッズ比[OR]:0.66[95%CI:0.51~0.87]、p=0.003、13試験、患者1,423例、エビデンスの強さ[strength of evidence:SOE]:中程度)、全入院率(39.74 vs.75.00%、RD:-35.26%[95%CI:-49.39~-21.12]、OR:0.22[95%CI:0.11~0.43]、p<0.001、1試験、患者166例、SOE:低い)、挿管率(5.34 vs.14.71%、RD:-8.02%[95%CI:-14.77~-1.28]、OR:0.34[95%CI:0.14~0.83]、p=0.02、3試験、患者267例、SOE:中程度)が有意に低下した。 全入院の合計(率比:0.91[95%CI:0.71~1.17]、p=0.47、5試験、患者326例、SOE:低い)とQOL(標準化平均差:0.16[95%CI:-0.06~0.39]、p=0.15、9試験、患者833例、SOE:不十分)の有意差は確認されなかった。 非侵襲的HMV群はデバイスなし群と比較して、全入院数の低下と有意な関連が確認されたが(率比:0.50[95%CI:0.35~0.71]、p<0.001、1試験、患者93例、SOE:低い)、死亡率の有意差は確認されなかった(21.84 vs.34.09%、RD:-11.99%[95%CI:-24.77~0.79]、OR:0.56[95%CI:0.29~1.08]、p=0.49、2試験、患者175例、SOE:不十分)。 有害事象は、デバイスなしとNIPPV使用患者とで統計学的有意差は確認されなかった(0.18/例vs.0.17/例、p=0.84、6試験、患者414例)。

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日本環境感染学会が「医療機関における新型コロナウイルス感染症への対応ガイド」公開

 新型コロナウイルスの感染者は世界的に増加しており、わが国でも行政や民間の連携の下、さまざまな感染防止、封じ込めに向けて施策が行われている。 こうした状況の中、日本環境感染学会(理事長:吉田正樹)は、医療機関に向けて「医療機関における新型コロナウイルス感染症への対応ガイド(第1版)」を2月12日に発表し、日本環境感染学会のサイトで公開を始めた(現在は第2版を公開中)。日本環境感染学会のガイドは高齢者介護施設でも参考に 本ガイドは、今回の新型コロナウイルスが拡大した場合の国内の医療現場の混乱を防ぎ、適切な対応が取られることを目的に作成され、一般の医療機関のほか、高齢者介護施設でも感染対策として参考にできるとしている。ただ、本ガイドの内容は日本環境感染学会が示した1つの目安であり、各施設の状況に応じ具体的な対応を決めることが重要である。ガイドの内容は随時アップデートされる予定。対応ガイドには詳細な感染対策の行動事項を記載 本ガイドは、「ウイルスの特徴」「臨床的特徴」「診断」「治療・予防」「感染対策」「国内における患者の診療体制」「法律上の規定」「相談窓口、問い合わせ先」「参考文献、情報」の項目に分かれて記載されている。 とくに「感染対策」では、1)標準予防策の徹底、2)感染経路別予防策、3)外来患者への対応、4)トリアージ、5)入院患者への対応、6)環境消毒、7)換気、8)職員の健康管理の8項目にわたり、標準予防策として「呼吸器衛生/咳エチケットを含む標準予防策の徹底と個人防護具の選択的着用」「擦式アルコール手指消毒薬での手指衛生」など具体的な行動事項が列挙されている。 日本環境感染学会では、「国内の状況に応じて適宜改訂を行っていく予定だが、各施設での対応の際に参考にしてほしい」と述べている。

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拡張期血圧、下がらなくても大丈夫。本当?(解説:桑島巖氏)-1188

 拡張期のみが高い高血圧患者(Isolated Diastolic Hypertension:IDH)の降圧治療には、難渋したことのある医師は少なくないであろう。とくに40~60歳の成人では、収縮期血圧は下げることはできても拡張期血圧をガイドラインで定めるレベルまで下げることは難しい。ガイドラインでも米国のJNC7(2003年)では140/90mmHg未満だったものが、14年後にJNC8に代わって公式発表されたACC/AHAガイドラインでは130/80mmHg未満を目標とせよ、というのだから、90mmHg未満でさえ難渋していたのが、さらに困難になったわけである。 そこで朗報と思えるのが、この論文である。長期追跡コホート研究の結果、拡張期型高血圧が90mmHgと80mmHgの患者では心血管系予後はそれほど変わりがないというのである。そこで一安心といいたいところだが、注意が必要だ。この結果はあくまでも長期追跡研究であり、「黙って観察」した結果の報告である。 しかし実際には、対象となった症例は医療機関に行ってただ観察されていただけではなく、当然血圧が高ければさらなる降圧治療は強化されていたであろうし、塩分制限などの努力もしたであろう。そのように観察期間での治療内容が結果に反映されないのが観察研究の最大の欠点である。しかも、人間、歳をとると、血管の弾力性がなくなり、拡張期血圧が下がってくるという厄介な問題も内包する。 本試験はあくまでも、観察を開始した時点での拡張期80mmHgと90mmHgの症例群での追跡結果にすぎないのである。エビデンスとしての確実性を上げるためには、ランダム化試験が不可欠だが、今のところIDHに関するランダム化試験はまだ存在しない。 それでは、現実的に拡張期血圧だけが80mmHg以上あるいは90mmHg以上の高血圧患者にはどう対応すべきか? まず収縮期血圧を十分130mmHg以下に下げることを第一目標とし、それでも拡張期血圧がガイドラインレベルまで下がらないようであれば、収縮期血圧の低下によりめまいなどの低血圧症状の発現に注意しつつ、減塩や体重減少指導を強化し、非サイアザイド系利尿薬を追加するなど降圧療法を強化する。それでも下がらなければ、高血圧は血管に対する負担(負荷)であることを考えると、当然収縮期血圧のほうが拡張期血圧よりも数字が高い分血管への負荷が大きいことを考慮しつつ、多剤服用による降圧副作用や低血圧症状に注意しながら、あるレベルで妥協するのが現実的であろう。

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