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皮膚病理所見のオンライン提示、臨床病理医はその影響をどう見るか

 米国ではすでに多くの患者が、オンライン(patient portal)を介して、病理検査の結果報告にアクセスしている状況にあるという。米国・ワシントン大学のHannah Shucard氏らは、そうした状況について、病理医の観点での検証がほとんど行われていないとして臨床皮膚科病理医を対象とするサーベイ調査を行った。その結果、大半が「病理検査の結果をオンラインで利用できるようにすることはよい考えである」と評価しつつも、患者の心配と混乱が増大していることへの懸念を抱く病理医も多いことが明らかになった。著者は、「患者のオンラインアクセスが増えていく中で、患者の理解の改善や潜在的ネガティブコンセンサスを減少するために、どのような報告が最適かを考えることが重要だ」と指摘し、「患者と臨床医双方にとって、最善の行為および効果となるように留意して、さらなる研究を行う必要がある」と述べている。JAMA Dermatology誌オンライン版2020年1月29日号掲載の報告。 研究グループは、患者が病理検査結果をオンラインアクセスで得ていることに関して、皮膚科病理医の経験および認識の状況を明らかにするサーベイ調査を行った。 対象者は、米国で臨床に従事する、皮膚病理の教育を受けた認定専門医および/または研究医160例で、2018年7月15日~2019年9月23日に集められた。対象者は、前年までに色素細胞生病変の皮膚生検を解釈した報告を行っており、その後2年間、それらの解釈を行い続けると考えている者であった。 主要評価項目は、対象者の人口統計学的および臨床的特性、病理検査結果報告への患者オンラインアクセスの経験の有無、患者オンラインアクセスに対する潜在的行動および反応、オンライン報告を読んだ患者への効果であった。 主な結果は以下のとおり。・調査は、226例の適格参加者のうち160例から回答を得た(回答率71%)。・160例のうち男性107例(67%)、平均(SD)年齢は49(9.7)歳(範囲:34~77)であった。・91例(57%)が、自身が書いた病理検査報告について、患者からオンラインアクセスを受けた経験があった。・一部の回答者は、略語および/または専門用語の使用が減った(57例[36%])、がんが疑われる病変の記述方法が変わった(29例[18%])ことを認識しており、また患者が報告書を読む場合には、患者とのコミュニケーションの専門的な訓練を受ける必要がある(39例[24%])と認識していた。・大部分の回答者はオンラインの利用によって、患者の理解が増すこと(97例[61%])、患者-医師間のコミュニケーションの質が向上すること(98例[61%])が期待できると認識していた。・同時に、患者の心配が増す(114例[71%])、混乱が増す(116例[73%])と考えている病理医も少なからず存在していた。・しかし、結局のところは大部分の回答者は、患者がオンラインで病理検査の結果報告を入手できることはよい考えであると同意を示した(114例[71%])。

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COVID-19疑い例の来院時、具体的手順は?

 日本国内で新型コロナウイルス(COVID-19)の感染が増えつつあり、大きな懸念の一つとされているのが院内での感染の疑いが出ていることだ。中国国内でも14日までに1,716人の医療従事者が感染し、6人の死亡が報告されている。 2月7日に行われた日本感染症学会・日本環境感染学会主催の緊急セミナー(司会は日本感染症学会理事長 館田 一博氏、日本環境感染学会理事長 吉田 正樹氏)において、菅原 えりさ氏(東京医療保健大学大学院 医療保健学研究科感染制御学 教授)が「感染対策の再確認」と題し発表を行った。 菅原氏は「感染対策は基本の徹底が重要。だが、状況が刻々と変わる中で現場に応じた柔軟な対応も必要となるだろう」と説明。接触感染予防・飛沫感染予防を中心に、場合によっては空気感染予防が必要となり、その標準予防策は手指衛生と咳エチケットになる、という基本を確認した後、「疑い患者が来院した場合」を想定したシミュレーションを提示し、重要な以下のポイントを伝えた。外来診察時・帰国者、接触者を中心とした疑い患者と一般患者は受付から動線を分け、その旨を入口のポスターでしっかり注意喚起する。中国語・韓国語・英語表記も必要。・受付で症状を訴えた患者には、すぐにマスクを着用させる。・外来診察は個室を確保。窓があって換気のできる部屋がよい。・近距離で対応する医療者はPPE(個人用防護具)着用。PPEは着脱が難しいので事前にトレーニングを。とくに脱ぐときの感染防止が重要。・検体採取時にはN95マスク・アイシールドを着用。・診察後はしっかりと換気を行う。入院時・個室を確保。陰圧管理はできればベスト。・気管内装管などエアロゾルが発生する場合は、医療者は空気感染の可能性も踏まえたフルPPEを着用。・ICU管理の場合は、相当の負荷がかかる医療者へのケア(シフト等)も必要。環境衛生管理・院内の消毒。WHO(世界保健機関)推奨は通常の環境消毒薬、CDC(米国疾病管理予防センター)推奨はCOVID-19に効果のある消毒薬、となっているが、現状では院内で通常使っている消毒薬でよいだろう。その他・勤務先が「特定感染症指定医療機関」「第一種感染症指定医療機関」「第二種感染症指定医療機関」に当てはまる場合は、それぞれの役割を確認する(厚労省の指定医療機関一覧)。・厚労省や医師会の情報から「患者届け出基準」の最新動向を確認する。・院内モニタリング体制を確認する。・医療従事者の健康チェック体制を見直す。・面会ルールを見直す。・高齢者施設等を行き来する医療者がいる場合は、立ち入りルールを見直す。 菅原氏が理事を務める日本環境感染学会では、オリンピック・パラリンピック前の輸入感染症対策教育を目的としたDVDを制作しており、動画の一部を公開している。「COVID-19を想定したものではないが、感染対策の基本は共通なのでこれも参考にしてほしい」と述べた。

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CAR-NK細胞、再発/難治性CD19陽性がんに有効/NEJM

 キメラ抗原受容体(CAR)を導入されたナチュラルキラー(NK)細胞は、再発または難治性のCD19陽性がん患者の治療において高い有効性を示し、一過性の骨髄毒性がみられるものの重大な有害事象は発現せず、相対的に安全に使用できる可能性があることが、米国・テキサス大学MDアンダーソンがんセンターのEnli Liu氏らの検討で明らかとなった。研究の成果は、NEJM誌2020年2月6日号に掲載された。CAR導入細胞療法では、すでに抗CD19 CAR-T細胞療法のB細胞がんの治療における著明な臨床的有効性が確認されている。一方、CAR-T細胞は重大な毒性作用を誘発する可能性があり、細胞の作製法が複雑である。抗CD19 CARを発現するように改変されたNK細胞は、これらの限界を克服する可能性があるという。進行中の第I/II相試験の初期結果 研究グループは、再発/難治性のCD19陽性がんの治療におけるCAR-NK細胞の有効性と安全性を評価する目的で、第I/II相試験を進めており、今回は最初の11例の結果を報告した(米国国立衛生研究所[NIH]などの助成による)。 解析には、再発/難治性CD19陽性がん(非ホジキンリンパ腫または慢性リンパ性白血病[CLL])の患者11例が含まれた。患者は、臍帯血由来のHLAミスマッチ抗CD19 CAR-NK細胞の投与を受けた。 NK細胞への遺伝子導入には、抗CD19 CAR、インターロイキン-15、安全スイッチとしての誘導型カスパーゼ9をコードする遺伝子を発現させたレトロウイルスベクターを用いた。この細胞を体外で増殖させ、リンパ球除去化学療法を行った後、3つの用量のCAR-NK細胞(用量1:1×105、用量2:1×106、用量3:1×107/kg体重)の1つが単回投与された。最大耐用量には未到達、奏効率は73% 2017年6月~2019年2月の期間に15例が登録され、4例(増悪、移植片対宿主病、検出可能病変の不在、製剤への細菌混入が各1例)が治療を受けなかった。11例の年齢中央値は60歳(範囲:47~70)、女性が4例で、前治療レジメン数中央値は4(3~11)であった。用量は、用量1が3例、2と3が各4例だった。 5例がCLL(リヒター症候群へ形質転換、移行期へ進行の2例を含む)、6例がリンパ腫(びまん性大細胞型B細胞リンパ腫2例、濾胞性リンパ腫4例)であった。CLLの5例全例に増悪の既往歴があり、イブルチニブの投与歴があった。また、リンパ腫の6例のうち、4例は自家造血幹細胞移植後の増悪で、2例は難治性病変を有していた。 CAR-NK細胞の投与後に、サイトカイン放出症候群や神経毒性、血球貪食性リンパ組織球症は発現しなかった。また、患者と製剤はHLAミスマッチにもかかわらず、移植片対宿主病は発生しなかった。 予測どおり、全例で一過性の可逆的な血液学的毒性イベントがみられ、主にリンパ球除去化学療法関連のものであったが、CAR-NK細胞の寄与の評価はできなかった。好中球減少は、Grade3が2例、Grade4が8例に、リンパ球減少はGrade4が10例にみられた。腫瘍崩壊症候群は認められず、Grade3/4の非血液学的毒性も発現しなかった。最大耐用量には達しなかった。 追跡期間中央値13.8ヵ月(範囲:2.8~20.0)の時点で、8例(73%)で客観的奏効が得られた。このうち7例(CLL 3例、リンパ腫4例)で完全寛解が達成され、1例ではリヒター症候群に転換した腫瘍の寛解が得られたものの、CLLは持続した。すべての用量で、効果の発現は迅速で、投与から30日以内にみられた。 CAR-NK細胞の増殖は、投与から3日という早い時期にみられ、12ヵ月以上低値で持続した。CAR-T細胞で報告されているのと同様に、奏効例は非奏効例に比べ、早期のCAR-NK細胞の増殖の程度が高かった(投与後28日時のゲノムDNAコピー数中央値:3万1,744 vs.903コピー/μg、p=0.02)。 また、インターロイキン-6や腫瘍壊死因子αなどの炎症性サイトカインの値は、ベースラインに比べて増加しなかった。 著者は、「本研究で使用したリンパ球除去化学療法レジメンは、多くのCAR-T細胞研究が用いているものとほぼ同様で、客観的奏効にある程度寄与している可能性はあるが、本研究の患者は登録時に化学療法抵抗性の病変を有していたと考えられることに注意するのが重要である」と指摘している。

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新型コロナウイルス受診の目安を発表/厚生労働省

 国内での新型コロナウイルスの感染拡大が懸念される中、先日開催された内閣の新型コロナウイルス感染症専門家会議で議論された「新型コロナウイルス感染症についての相談・受診の目安」が、2月17日に厚生労働省より発表された。主な目的は、国民の新型コロナウイルスへの不安の鎮静化と検査や診療による医療機関への過度な集中を防ぐためのものである。 具体的な相談・受診の目安として、「風邪の症状や37.5℃以上の発熱が4日以上続く」「強いだるさや息苦しさがある」、また、「高齢者や基礎疾患(糖尿病、心不全など)があり、前記の2つの症状が2日程度続く」という人は、各都道府県に設置されている帰国者・接触者センターへの相談を要請している。 同省では、同時に「国民の皆さまへのメッセージ」として風邪や季節性インフルエンザ対策と同様に各自の咳エチケットや手洗いなどの実施による感染症対策の励行のほか、症状がある人には「帰国者・接触者相談センター」への相談を呼び掛けている。また、国民向けに啓発資料として「マスクについてのお願い」「一般的な感染症対策について」「手洗いについて」「咳エチケットについて」なども掲載されている。 なお、症状に不安がある場合など、一般的な問い合わせ先も掲載されている。・厚生労働省 相談窓口 電話番号:0120-565653(フリ―ダイヤル) 受付時間9:00~21:00(土日・祝日)・電話でのご相談が難しい方 FAX:03-3595-2756新型コロナウイルス感染症についての相談・受診の目安1.相談・受診の前に心がけていただきたいこと○発熱等の風邪症状が見られるときは、学校や会社を休み外出を控える。○発熱等の風邪症状が見られたら、毎日、体温を測定して記録しておく。2.帰国者・接触者相談センターに御相談いただく目安○以下のいずれかに該当する方は、帰国者・接触者相談センターに御相談ください。 ・風邪の症状や37.5℃以上の発熱が4日以上続く方 (解熱剤を飲み続けなければならない方も同様です) ・強いだるさ(倦怠感)や息苦しさ(呼吸困難)がある方○なお、以下のような方は重症化しやすいため、この状態が2日程度続く場合には、帰国者・接触者相談センターに御相談ください 。 ・高齢者 ・糖尿病、心不全、呼吸器疾患(COPD等)の基礎疾患がある方や透析を受けている方 ・免疫抑制剤や抗がん剤などを用いている方 (妊婦の方へ) 妊婦の方については、念のため、重症化しやすい方と同様に、早めに帰国者・接触者相談センターに御相談ください。 (お子様をお持ちの方へ) 小児については、現時点で重症化しやすいとの報告はなく、新型コロナウイルス感染症については、目安どおりの対応をお願いします。○なお、現時点では新型コロナウイルス感染症以外の病気の方が圧倒的に多い状況であり、インフルエンザ等の心配があるときには、通常と同様に、かかりつけ医等に御相談ください。3.相談後、医療機関にかかるときのお願い○帰国者・接触者相談センターから受診を勧められた医療機関を受診してください。複数の医療機関を受診することはお控えください。○医療機関を受診する際にはマスクを着用するほか、手洗いや咳エチケット(咳やくしゃみをする際に、マスクやティッシュ、ハンカチ、袖を使って、口や鼻をおさえる)の徹底をお願いします。(厚生労働省 新型コロナウイルス感染症についてのサイトより引用)

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12年ぶりの新規キノロン系経口抗菌薬「ラスビック錠75mg」【下平博士のDIノート】第43回

12年ぶりの新規キノロン系経口抗菌薬「ラスビック錠75mg」今回は、「ラスクフロキサシン塩酸塩錠」(商品名:ラスビック錠75mg、製造販売元:杏林製薬)を紹介します。本剤は、呼吸器と耳鼻咽喉科領域の感染症治療に特化し、低い血中濃度ながらも、口腔レンサ球菌や嫌気性菌に対して良好な活性を示します。<効能・効果>本剤は、咽頭・喉頭炎、扁桃炎(扁桃周囲炎、扁桃周囲膿瘍を含む)、急性気管支炎、肺炎、慢性呼吸器病変の2次感染、中耳炎、副鼻腔炎の適応で、2019年9月20日に承認され、2020年1月8日より発売されています。《適応菌種》本剤に感性のブドウ球菌属、レンサ球菌属、肺炎球菌、モラクセラ(ブランハメラ)・カタラーリス、クレブシエラ属、エンテロバクター属、インフルエンザ菌、レジオネラ・ニューモフィラ、プレボテラ属、肺炎マイコプラズマ(マイコプラズマ・ニューモニエ)<用法・用量>通常、成人にはラスクフロキサシンとして1回75mgを1日1回経口投与します。<副作用>感染症患者を対象とした国内臨床試験における安全性評価対象の531例中62例(11.7%)に臨床検査値異常を含む副作用が認められました。主な副作用は、下痢、好酸球数増加各7例(1.3%)、ALT上昇5例(0.9%)でした(承認時)。なお、重大な副作用として、白血球減少症(0.2%)、間質性肺炎(0.2%)、ショック、アナフィラキシー、QT延長、心室頻拍(Torsades de pointesを含む)、低血糖、偽膜性大腸炎、アキレス腱炎・腱断裂などの腱障害、肝機能障害、横紋筋融解症、痙攣、錯乱・せん妄などの精神症状、重症筋無力症の悪化、大動脈瘤、大動脈解離(いずれも頻度不明)が注意喚起されています。<患者さんへの指導例>1.この薬は、細菌の増殖を抑えることで感染症を治療します。2.腹部、胸部、背部の痛み、空咳、息切れ、息苦しさなどが続く場合は、すぐに受診してください。3.冷汗が出る、寒気、動悸、手足の震え、疲れやすいなど、いつもと異なる症状がみられた場合は、すぐに医師または薬剤師にご連絡ください。<Shimo's eyes>12年ぶりに新しいキノロン系経口抗菌薬が登場しました。本剤は、肺炎球菌への抗菌活性と肺への組織移行を強化したレスピラトリーキノロンであり、適応症は呼吸器と耳鼻咽喉科領域に特化しています。誤嚥性肺炎の原因菌として知られている嫌気性菌のプレボテラ属にも適応を有しています。投与方法は1日1回1錠とシンプルで、腎機能低下患者に対する用量制限もありません。初期のニューキノロン系抗菌薬は、DNAジャイレース阻害作用が主でしたが、本剤はDNAジャイレースおよびトポイソメラーゼIVを同程度阻害するデュアルインヒビターであり、これらは殺菌作用の強さと耐性変異の起こしにくさを併せ持つといわれています。既存のニューキノロン系抗菌薬と同様に、重大な副作用であるQT延長、心室頻拍、低血糖、偽膜性大腸炎、アキレス腱炎、痙攣などには注意が必要です。とくに、本剤は世界に先駆けてわが国で承認されていますので、市販後の安全性情報の収集に注力しましょう。参考1)PMDA ラスビック錠75mg

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【延期:日時未定】ブルーリボンキャラバン~もっと知ってほしい大腸がんのこと2020 in 東京~

【開催延期のお知らせ】2020年2月18日付で案内いたしました大腸がん疾患啓発に係る市民公開講座 「ブルーリボンキャラバン~もっと知ってほしい大腸がんのこと 2020 in 東京」 につきまして、今般の新型コロナウイルスの感染拡大の状況を鑑み、開催が<延期>されることになりました。今後の開催予定につきましては、随時、下記ホームページ等にてお知らせします。(2月21日)https://www.cancernet.jp/28277************************************************************<元のご案内文> 2020年3月20日(金・祝)に、大腸がん疾患啓発イベント「ブルーリボンキャラバン~もっと知ってほしい大腸がんのこと~」が開催される。同イベントは、大腸がんの診断・検査から外科的治療・薬物療法について広く知ってもらうことを目的に、国際的な大腸がん啓発月間である3月に毎年開催されている。会場は、東京医科歯科大学M&Dタワー 2階 鈴木章夫記念講堂で、予約申し込み不要・参加費無料。当日は、来場者全員にオリジナル冊子「もっと知ってほしい大腸がんのこと」が配布される。また、ブルーを身に着けて来場した方には粗品のプレゼントも用意されている。 開催概要は以下のとおり。【日時】2020年3月20日(金・祝)《セミナー》 13:00~16:50《ブース展示》12:00~17:00【場所】東京医科歯科大学 M&Dタワー 2階 鈴木章夫記念講堂〒113-8519 東京都文京区湯島1-5-45【参加費】無料【予定内容】《セミナー》総合司会 中井 美穂氏(アナウンサー/認定NPO法人キャンサーネットジャパン理事)13:00~13:05 開会挨拶 三宅 智氏(東京医科歯科大学医学部附属病院 がん先端治療部)13:05~13:20 講演1「15分で学ぶ!大腸がんの基礎知識」  岡崎 聡氏(東京医科歯科大学医学部附属病院 消化器化学療法外科)13:20~13:45 講演2「いろいろ選べる、大腸の検査」 福田 将義氏(東京医科歯科大学医学部附属病院 光学医療診療部)13:45~14:10 講演3「大腸がんの手術療法~開腹手術からロボット手術まで~」 絹笠 祐介氏(東京医科歯科大学医学部附属病院 大腸・肛門外科)14:10~14:30 休憩(20分)14:30~14:50 講演4「大腸がん薬物療法の現状」 石川 敏昭氏(東京医科歯科大学医学部附属病院 消化器化学療法外科)14:50~15:05 体験談「家族の立場から」 酒田 亜希氏(大腸がん患者さんのご家族)15:05~15:30 講演5「大腸がん治療における放射線療法の位置づけ」 伊藤 芳紀氏(昭和大学病院 放射線治療科)15:30~15:55 講演6「がんゲノム医療とは? 大腸がんに対して何ができるのか?」 砂川 優氏(聖マリアンナ医科大学病院 腫瘍内科/ゲノム医療推進センター)15:55~16:10 休憩(15分)16:10~16:45 Q&A「Q&Aトークセッション 質問票にお答えします!」 座長:杉原 健一氏(大腸研究会 会長/東京医科歯科大学名誉教授)  パネリスト:演者16:45~16:50 閉会挨拶 植竹 宏之氏(東京医科歯科大学医学部附属病院 消化器化学療法外科)《ブース展示》12:00~17:00会場では、大腸がんの検査・治療に使用する機器などのブース展示を開催します。展示スペースはどなたでもご自由にご観覧いただけます。[出展協力]・東京医科歯科大学 医学部附属病院 がん相談支援センター/がんゲノム診療科・東京医科歯科大学 医学部附属病院 臨床栄養部・東京医科歯科大学 歯学部口腔保健学科・東京都立中央図書館・オリンパスメディカルサイエンス販売株式会社・株式会社メディコン・ジョンソン・エンド・ジョンソン株式会社・アミン株式会社・コヴィディエンジャパン株式会社・アルフレッサファーマ株式会社・公益財団法人日本オストミー協会/若い女性オストメイトの会 ブーケ【問い合わせ先】ブルーリボンキャンペーン事務局 認定NPO法人キャンサーネットジャパン〒113-0034 東京都文京区湯島1-10-2 御茶ノ水K&Kビル 2階TEL:03-5840-6072(平日10~17時)FAX:03-5840-6073MAIL:info@cancernet.jp【共催】東京医科歯科大学医学部附属病院 消化器化学療法外科/大腸・肛門外科/がん先端治療部/大学院 未来がん医療プロフェッショナル養成プラン【後援】東京医科歯科大学医師会/東京都/文京区/東京都医師会/日本治療学会/日本臨床腫瘍学会/大腸研究会/公益社団法人 日本オストミー協会/NPO法人ブレイブサークル運営委員会/認定NPO法人西日本がん研究機構詳細はこちら

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SCRUM-Japan第三期プロジェクト、FoundationOne Liquidの利用契約/中外・FMI

 ファウンデーションメディシン社(FMI)および中外製薬は、国立がん研究センターと、国内最大規模の産学連携全国がんゲノムスクリーニングプロジェクト「SCRUM-Japan」の第三期プロジェクトにおいて、リキッドバイオプシー検査FoundationOne Liquidの利用に関する契約を締結したと発表。国内およびアジアを対象とした幅広い地域で、医療機関と連携しゲノムスクリーニングを行うことで、革新的なバイオマーカーを用いたがん治療における個別化医療の高度化の促進を目指す。 SCRUM-Japan第一期および第二期プロジェクトでは、1万人以上の患者の臨床・ゲノムデータが登録され、本データを用いた臨床試験をもとに、5つの新薬および6種類の体外診断薬の薬事承認を取得するなどの成果が得られている。SCRUM-Japan第三期プロジェクトでは、(1)アジアの医療機関が一体となり、希少頻度の遺伝子変異を持つ肺がん患者をスクリーニングして、新薬開発につなげることを目的とした「LC-SCRUM-Asia」、(2)研究対象を、広範な固形がん患者さんへと拡大した「MONSTAR-SCREEN」の2つのプロジェクトが進行しており、FMIと中外製薬は、これら2つのプロジェクトに参加する国内の医療機関へFoundationOne Liquidを提供するとしている。

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ドウベイト配合錠の未治療HIV感染症患者に対する2剤治療は患者負担を軽減させるか

 2020年1月31日、ヴィーブヘルスケア株式会社は、同日発売となった抗ウイルス化学療法剤「ドウベイト配合錠」(一般名:ドルテグラビルナトリウム・ラミブジン)に関するメディアセミナーを開催した。その中で、ヒトレトロウイルス学共同研究センター熊本大学キャンパスの松下 修三氏が、「HIV/AIDS いまどうなっている?」と題して講演を行った。ドウベイト配合錠のメリットは他剤との相互作用の減少 ヒト免疫不全ウイルス(HIV)感染症に対する、多剤併用療法(ART)は、異なる機序の薬剤を併用してHIVの量を減少させる。これまで未治療のHIV感染症患者には、一般的に、非核酸系逆転写酵素阻害薬(NNRTI)、プロテアーゼ阻害薬(PI)、インテグラーゼ阻害薬(INSTI)の中から「キードラッグ」として1剤と、「バックボーン」として核酸系逆転写酵素阻害薬(NRTI)2剤とを組み合わせた3剤を併用し、治療を実施していた。 今回発売された「ドウベイト配合錠」は、INSTIのドルテグラビルとNRTIのラミブジンの2剤の配合剤で、1錠のみで治療が可能となる。この治療法は、「ドウベイト配合錠」のみが承認を受けているものであり、ドルテグラビルの抗ウイルス効果や薬剤耐性のつきにくさにより実現された。患者が服用する薬剤を3剤から2剤に減らすことで、副作用や、他剤との相互作用を減少させるというメリットがあると考えられる。ドウベイト配合錠は治療ニーズに合った剤形 松下氏は講演の中で、早期診断、早期治療により、HIVに感染した患者の寿命の低下を防ぐことができると強調した。また同氏は、患者が歳を重ねると他の疾患により、さまざまな薬剤の併用が必要になるケースがあることにも触れ、その際には相互作用が少ない薬剤が適していると述べた。 配合錠という剤形で服薬アドヒアランス向上への寄与が考えられ、薬剤数を減らすことで相互作用の減少が見込まれる、「ドウベイト配合錠」。早期治療や相互作用の減少に寄与する薬剤となるのか、また、HIV治療の新たな一手として患者の負担を軽減させる薬剤となるのか、ますます注目が集まるだろう。

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神経疾患は自殺死のリスクを高めるか/JAMA

 1980~2016年のデンマークでは、神経疾患の診断を受けた集団は、これを受けていない集団に比べ、自殺率が統計学的に有意に高いものの、その絶対リスクの差は小さいことが、同国Mental Health Centre CopenhagenのAnnette Erlangsen氏らの検討で示された。研究の成果は、JAMA誌2020年2月4日号に掲載された。神経学的障害は自殺と関連することが示されているが、広範な神経学的障害全体の自殺リスクの評価は十分に行われていないという。約730万人で、神経疾患の有無別の自殺死を評価 研究グループは、神経疾患を有する集団は他の集団に比べ、自殺による死亡のリスクが高いかを検証し、経時的な関連性を評価する目的で、後ろ向きコホート研究を行った(デンマーク・Psychiatric Research Foundationの助成による)。 1980~2016年に、デンマークに居住していた15歳以上の730万395人を対象とした。1977~2016年に、頭部外傷、脳卒中、てんかん、多発ニューロパチー、筋神経接合部疾患、パーキンソン病、多発性硬化症、中枢神経系感染症、髄膜炎、脳炎、筋萎縮性側索硬化症(ALS)、ハンチントン病、認知症、知的障害、その他の脳疾患で受診した124万8,252例のデータを用いた。 主要アウトカムは、1980~2016年の期間に発生した自殺死とした。Poisson回帰を用い、社会人口学的因子、併存疾患、精神医学的診断、自傷行為で補正した発生率比(IRR)を推算した。ALSとハンチントン病で自殺死率が最も高い 1億6,193万5,233人年の期間に、730万人以上の集団(男性49.1%)で3万5,483人(追跡期間中央値:23.6年、IQR:10.0~37.0、平均年齢:51.9[SD 17.9]歳)が自殺死した。 自殺死の77.4%が男性で、14.7%(5,141人)が神経疾患の診断を受けていた。自殺死の割合は、神経疾患群が10万人年当たり44.0、非神経疾患群は10万人年当たり20.1で、補正後IRRは1.8(95%信頼区間[CI]:1.7~1.8)であり、神経疾患群で有意に高かった。診断からの期間によって、補正後IRRには違いがみられ、診断後1~3ヵ月が3.1(95%CI:2.7~3.6)と最も高く、10年以降は1.5(1.4~1.6)であった。 自殺死の補正後IRRが最も大きい疾患は、ALS(補正後IRR:4.9、95%CI:3.5~6.9)およびハンチントン病(4.9、3.1~7.7)であった。多発性硬化症の補正後IRRは2.2(1.9~2.6)、頭部外傷は1.7(1.6~1.7)、脳卒中は1.3(1.2~1.3)、てんかんは1.7(1.6~1.8)だった。 非神経疾患群と比較して、認知症(補正後IRR:0.8、95%CI:0.7~0.9)、アルツハイマー病(0.2、0.2~0.3)、知的障害(0.6、0.5~0.8)は、自殺死の補正後IRRが低かったが、認知症では診断から1ヵ月以内の補正後IRRは3.0(1.9~4.6)と高い値を示した。 また、神経疾患群では、神経疾患による受診回数が増えるに従って自殺率が上昇した(受診回数1回の補正後IRR:1.7[95%CI:1.6~1.7]、2~3回:1.8[1.7~1.9]、4回以上:2.1[1.9~2.2]、p<0.001)。 神経疾患群の自殺死は、1980~99年の10万人年当たり78.6から、2000~16年には10万人年当たり27.3に減少し、同様に非神経疾患群では26.3から12.7に低下した。 他の死因による競合リスクを考慮すると、アルツハイマー病を除く神経疾患群は非神経疾患群に比し、診断から1~3ヵ月に自殺死の累積発生率(絶対リスク)が増加していた。神経疾患群における30年間の自殺死の絶対リスクは0.64%(95%CI:0.62~0.66)であり、そのうちハンチントン病は1.62%(1.04~2.52)、筋神経接合部/筋疾患は1.19%(1.11~1.27)だった。 著者は、「ALSとハンチントン病の自殺死リスクが最も高いが、より頻度の高い疾患である頭部外傷や脳卒中、てんかんでも高い値を示した。認知症の診断直後のリスク増加は、引き続き注目に値する」としている。

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COVID-19、水際対策のあるべき姿とは

 “検疫における水際対策を一層徹底する”という内閣総理大臣からの指示がなされ、報道でも水際対策の強化が取り上げられている。2月13日に開催されたメディア・市民向けセミナー「新型コロナウイルス(COVID-19)感染症への対応」において、加來 浩器氏(防衛医科大学校防衛医学研究センター 広域感染症疫学・制御研究部門教授)がその対策の真意を語った(主催:日本感染症学会、日本環境感染学会、FUSEGU2020)。彼を知り己を知れば百戦殆うからず COVID-19とは、ギリシャ語の王冠(corona)に由来するスパイクタンパクを有するウイルスによる感染症である。このウイルスは脂質二重膜からなるエンベロープを有しているため、アルコールで失活しやすく、SARSやMERSの病原体と同じβコロナウイルスに分類されている。 このCOVID-19と闘うためには、「まず、彼を知る(病原体のウイルス学的な特徴、感染源・感染経路における他のコロナウイルスとの類似性、中国と日本での発生状況…)、己を知る(感染が広がらない・重症化しないための対策)」などの事前準備が大切と同氏は訴え、そのためには感染症の理解において、「一般市民と医療者に大きな違いがある」ことを認識しておかなければならないことを指摘した。同氏によれば、「一般市民は、恐怖心や偏見・差別などを抱きつつ、時間経過に伴い無関心・無頓着になる傾向がある」という。新興感染症の特徴と対策 一般的に新興感染症は、(1)臨床像がわからない、(2)市中病院では病原体診断ができない、(3)感染源・感染経路がわからない、(4)有効な治療法やワクチンがないなどの問題がある。とくに(3)のために院内での感染リスクが高まり、全国の医療機関で医療崩壊が起こる可能性がある。したがって海外で発生した新興感染症は出来るだけ早期にその臨床的な特徴を明らかにして、その情報を皆でシェアしなければならない。 一般市民が出来る対策と言えば、マスクの正しい着用やアルコール消毒、うがいなどが挙げられる。一方で、医療者は科学的根拠の収集や法令遵守に努め、患者に良質で適切な医療の提供を行うことが求められるが、このためには国家レベルでの対策が必要であり、その1つが水際対策である。ウイルスの水際対策は、着上陸侵攻対処になぞらえて戦略的に行うべき そこで、一般的に水際対策と言われる検疫業務が実施されるわけだが、同氏はこれについて「単なるウイルスの上陸阻止だけを示すものではなく、国内での輸入感染対策の戦略的な活動の一環であることを理解すべきだ」とコメントした。すなわち、入国する前の検疫の段階で捉えることができた患者には、「感染制御策が行われている医療機関に安心して入院してもらい、人権を尊重しながら適切な医療を提供(迅速診断、病室確保・隔離、治験など)する。そこで明らかになった知見を、いち早く医療機関の医師に情報提供し、全国の医療機関での診療能力を高めて、国内に入り込んだウイルスを一気にたたくという作戦だ」とし、「国内サーベイランスの強化のためには簡易な検査法の開発も重要」と話した。 最後に同氏は、一般市民に対して「類似の感冒やインフルエンザとの鑑別、早期の診断、重症化兆候の把握のために、患者が医療機関を転々とするドクターショッピングを行わず、一貫した診療に協力していただきたい」とメッセージを発信した。

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「COVID-19、世界は収束の方向だが日本の状況を不安視」WHO進藤氏

 2月14日の第35回日本環境感染学会総会・学術集会では、冒頭の会長講演に代わり、「新型コロナウイルス感染症の対策を考える」と題した緊急セミナーが開催された。この中で、WHO(世界保健機関)のメディカルオフィサーとして危険感染症対策に当たる進藤 奈邦子氏が、これまでのWHOの取り組みと世界からの最新情報、そして日本への期待について語った。 冒頭、進藤氏は「現在、WHOは新型コロナウイルス(COVID-19)根絶を目指したオペレーションを展開中だ。中国では既に新たな症例数が減りつつあり、その他の国からの報告例も減っている。その中で唯一、新たな症例数が増えているのが日本だ」と懸念を示した。 これまでの中国の対策については、「SARS・鳥インフルエンザ流行を経験し、対策を積み重ねてきた結果、現在の中国の呼吸器感染症対策は世界トップレベル。今回も情報提供の速さや科学者のオープンネスに信頼を寄せている」と評価した。さらに、武漢を中心とした中国の最新情報として、中国CDCのサイトのデータを参照し、「疑い例も確定診断例も減少の方向にある。武漢に入っている医師からも『新たな病院も完成し、状況をコントロールできつつある』という報告をもらっている」と述べた。続けてCOVID-19の死亡率について、「最新のモデリングを使った計算によると、臨床症状のある人を母数として1%、確定診断の人を母数として4%を切りつつある」、ウイルスの感染しやすさを示す基本再生産数(R0)について、「これまでに発表された論文を総覧するとおおむね2以上となっており、インフルエンザよりは高そうだ。排菌は発症から3、4日後がピークではないかと見ている」と説明した。 日本の状況について、「世界中が収束に向かう中で、新規の感染者が出続けていることを不安視している。とくにクルーズ船の問題は世界の関心を集めている。患者の人権を守り、拡大を食い止める医療を行うことは前提として、臨床とアカデミアが協力し、得られた貴重なデータを世界に報告してほしい」と述べた。最後に、会場を埋めた医療者に向け、「ここで日本が感染を食い止められなければWHOはCOVID-19根絶を諦めねばならない。日本は2009/10年の新型インフルエンザ流行に最もうまく対応した国。今回もできるはずと信じている。専門家の皆さんに期待している」と激励した。 WHOサイトでは、世界から集まったCOVID-19の症例情報等を集約して毎朝9時にレポートを更新、関連する論文データベースを構築するなど、COVID-19の関連情報をまとめ、発信している。

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統合失調症の遺伝的リスクと顔の感情認識欠如との関係~メタ解析

 最近の研究では、統合失調症患者において、顔の感情認識の欠如が一般的に認められていると報告されているが、その理由についてはよくわかっていない。英国・ブリストル大学のDavid Martin氏らは、統合失調症の遺伝的リスクと顔の感情認識の欠如との関連について検討を行った。Schizophrenia Research誌オンライン版2020年1月11日号の報告。統合失調症患者の顔の感情認識の欠如は発症前から認められる 統合失調症の遺伝的リスクと顔の感情認識の欠如との関連についての研究を、システマティックにレビューした。利用可能で十分なデータを有する研究のメタ解析を行い、それ以外の研究はナラティブレビューを行った。一般化および特定の顔の感情認識の欠如に対してメタ解析を実施した。 統合失調症の遺伝的リスクと顔の感情認識の欠如との関連について検討した主な結果は以下のとおり。・34研究をレビューし、23研究のメタ解析を行った。・メタ解析では、統合失調症患者の第1度近親者は対照群と比較し、顔の感情認識の欠如が認められた(SMD:0.38、95%CI:0.26~0.51、p≦0.001)。・統合失調症患者の第1度近親者にはネガティブな表情認識の欠如が認められたが(SMD:0.19、95%CI:0.06~0.32、p=0.004)、ニュートラルおよびポジティブな表情認識では欠如が認められなかった。 著者らは「統合失調症患者の第1度近親者では、顔の感情認識の欠如が認められる。統合失調症患者の顔の感情認識の欠如は発症前から認められるが、この関連が因果関係なのか交絡因子であるかを特定することはできない。感情認識の欠如、とくにネガティブな感情は、統合失調症リスクの有用な予測因子となる可能性がある」としている。

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アレキサンダー病〔Alexander disease〕

1 疾患概要■ 概念・定義最初の報告は1949年にAlexanderが記載した精神遅滞、難治性痙攣、および水頭症を認めた生後15ヵ月の乳児剖検例である。この症例の病理学的特徴は、大脳白質、上衣下および軟膜下のアストロサイト細胞質内に認められた多数のフィブリノイド変性で、後にこれはローゼンタル線維と同一であることが判明した。以後約50年間にわたりアレキサンダー病は「病理学的にアストロサイト細胞質にローゼンタル線維を認める乳児期発症の予後不良の進行性大脳白質疾患」と認識されてきた。しかし、2001年にBrennerらによりローゼンタル線維の構成成分の1つであるグリア線維性酸性タンパク(GFAP)をコードする遺伝子GFAPが病因遺伝子として報告されて以降、乳児期発症例とは臨床像がまったく異なる成人期発症で緩徐進行性の経過を示す症例が相次いで報告された。現在ではアレキサンダー病は「乳児期から成人期まで幅広い年齢層で発症するGFAP遺伝子変異による一次性アストロサイト疾患で、病理学的にはアストロサイト細胞質のローゼンタル線維を特徴的所見とする」と定義される。■ 疫学新生児期から70歳以上の高齢者まで幅広い年齢層で発症がみられる。わが国の有病者率は270万人あたり1人と推定される。しかし、未診断の症例や他の神経変性疾患(パーキンソン症候群や脊髄小脳変性症など)と診断されている症例が、少なからず存在すると思われる。臨床病型別頻度は、延髄・脊髄優位型が約半数と最も多く、大脳優位型が1/4強、中間型が1/4弱である(臨床病型については後述の「症状・分類」を参照)。わが国での全国調査によると延髄・脊髄優位型の約65%で常染色体優性遺伝形式を示唆する家族内発症がみられるが、遺伝学的あるいは病理学的検査により確定診断された家系の報告は非常に少なく、浸透率も不明である。一方、大脳優位型はほぼ全例がde novo変異である。■ 病因GFAP遺伝子変異による機能獲得性機序が考えられているが、病態には変異GFAPの発現量増加が重要と考えられている。これは、(1)ヒト野生型GFAPを過剰発現させたトランスジェニックマウスにおいてGFAP発現量に比例した寿命の短縮とローゼンタル線維の出現を認める、(2)変異GFAP遺伝子を単一コピーのみ導入したモデルマウスは臨床表現型を十分に示さない、という動物モデルの知見に基づく。ヒトのアレキサンダー病においてはGFAP遺伝子のmultiplicationの報告はなく、変異GFAPの量的変化に影響を与える遺伝的および環境因子の存在が示唆される。変異GFAPによるアストロサイトの機能障害としてプロテアソーム系の機能低下、ストレス経路への影響、異常なカルシウムシグナル変化、炎症性サイトカインの増加、グルタミン酸トランスポーターの発現低下と機能異常などが報告されている。もう1つの病理学的特徴である脱髄については、モデルマウスの研究からK緩衝系の異常によるミエリン形成や維持の障害が推測されているが詳細な機序は不明である。■ 症状・分類発症年齢により乳児型(2歳未満の発症)、若年型(2~12歳未満の発症)および成人型(12歳以上の発症)に分類されるが、近年、神経症状および画像所見に基づいた病型分類が提唱されており、本稿ではこの新しい病型分類を記載する。1)大脳優位型(1型)主に乳幼児期発症で、機能予後不良の重症例が多い。痙攣、大頭症、精神運動発達遅延が主な症状である。痙攣は難治性とされるが、コントロール良好で学童期ごろには軽減する症例も散見される。大頭症は乳児期に目立つ。経過とともに痙性麻痺、構音障害、発声障害、嚥下障害などの延髄・脊髄症状が顕在化する。新生児期発症例では水頭症、頭蓋内圧亢進、難治性痙攣を来し、生命予後は不良である。2)延髄・脊髄優位型(2型)四肢筋力低下、痙性麻痺、四肢・体幹失調、構音障害、発声障害、嚥下障害、自律神経障害(起立性低血圧、膀胱直腸障害、睡眠時無呼吸)といった延髄・脊髄症状が、種々の組み合わせで認められる。筋力低下にはしばしば左右差が認められる。上記以外の症候として約20%に筋強剛、約15%に口蓋振戦を認める(自施設解析データ)。大頭症、精神運動発達遅延は通常認めない。前頭側頭型認知症に類似した認知症を呈する症例もある。一過性の「反復性嘔吐」が唯一の症状で、MRIにて両側延髄背側に結節状病変を示す小児の報告がある。3)中間型(3型)発症時期は幼児期から成人期まで幅広い。大脳優位型および延髄・脊髄優位型の両者の特徴を有する。大脳優位型の長期生存例、および精神運動発達遅延を伴う延髄脊髄優位型のパターンが含まれる。精神運動発達遅延については、初診時まで医療機関で評価されず、小学生時に学力低下により支援学級に編入したなどの経歴をもつ症例がある。また、熱性痙攣やてんかんの既往歴をもつ症例も少なからず存在する。複視や側彎などの脊柱異常を伴うことも多い。■ 予後大脳優位型の生命予後は約14年と報告されている。新生児期発症例は、生後数週~数ヵ月で死亡することが多い。難治性痙攣や栄養障害、感染症などのため学童期までに死亡する症例が多いが、一方で学童期までに痙攣などが消失するなど、大脳症状が安定化する症例も少なからず認められる。このような症例は、学童期以降に歩行障害や嚥下障害などの延髄・脊髄症状が緩徐に進行して中間型に移行する。延髄・脊髄優位型の生命予後は、約25年と大脳優位型と比較すると良好だが、無症候あるいは非常に軽微な異常にとどまる症例から運動麻痺・球症状・呼吸症状が急激に増悪する症例まで症例差が大きい。2 診断 (検査・鑑別診断も含む)頭部および脊髄MRI検査による特徴的な所見がアレキサンダー病を疑う手がかりとなる。確定診断は遺伝子検査および病理学的検査による。近年は、遺伝子検査にて確定診断が行われる傾向にあるが、新規変異や非典型例では慎重な判定が必要となる。■ MRI検査1)大脳優位型前頭部優位の広範な大脳白質異常が特徴的である。その他、脳室周囲の縁取り(T2強調画像で低信号、T1強調画像で高信号を示す)、基底核と視床の異常、脳幹の異常(特に中脳と延髄)、造影効果がみられうる。2)延髄・脊髄優位型延髄・頸髄の萎縮・異常信号が特徴的である。典型的には橋が保たれた延髄・上位頸髄の著明な萎縮が認められ、その形状はオタマジャクシ様の特徴的な所見を示す(tadpole appearance)。高齢者や軽症例では延髄・頸髄の萎縮が目立たないことがあるが、このような症例では延髄錐体の異常信号と延髄外側および最後野付近の萎縮を伴い、水平断にて延髄にメダマチョウの眼状紋様の所見がみられる(eye spot sign)。大脳・中脳・橋の錘体路の異常信号は通常認めない。10代前半から20歳代の若年例では延髄の結節・腫瘤様異常がみられることが多い。その他、小脳歯状核門の信号異常やFLAIR像にて中脳の縁取り(midbrain periventricular rim)も高率にみられる所見である。大脳MRIではT2強調画像にて“periventricular garland”と表現される側脳室壁に沿った花弁状の高信号が認められる。この病変は造影効果を示すこともあり、この部分にはローゼンタル線維が多いとされる。3)中間型大脳優位型と延髄脊髄優位型の両者の特徴をもつ型と定義した通り、比較的広範な大脳白質病変と延髄・頸髄の萎縮・異常信号を認める。成人症例では大脳白質病変は嚢胞化を伴う傾向があり、延髄・頸髄の萎縮は高度である。■ 遺伝子検査これまで100種類以上のGFAP遺伝子変異が報告されている。大多数がミスセンス変異であるが、インフレーム挿入/欠失変異、終止コドン近傍のフレームシフト変異およびスプライス変異の報告もある。CpGが関与するR79、R88、R239、R416が置換される変異は、人種を越えて認められる。前3者が置換される変異は、大脳優位型および中間型に認められ、R416が置換される変異はすべての型で報告されている。一方、延髄・脊髄優位型において頻度の高い変異は特に存在しない。■ 病理学的検査大脳白質、上衣下および軟膜下のアストロサイト細胞質内に特徴的なローゼンタル線維を認める。3 治療 (治験中・研究中のものも含む)現時点では対症療法にとどまる。痙攣に対する抗てんかん薬の投与、栄養管理、併発する感染症に対する抗菌薬の投与、学習障害や認知機能障害に対する療育・ケアが行われる。痙性麻痺に対して抗痙縮薬や抗てんかん薬の投与が使用されることがある。4 今後の展望変異GFAP発現抑制を治療標的としたアンチセンス核酸とドラッグリポジショニングに関する動物実験レベルの報告がある。アンチセンス核酸を投与したモデルマウスの報告では安全性、髄液中のGFAP蛋白量の劇的な減少、ローゼンタル線維の消失が確認されている。近年、核酸医薬の技術発展は目覚ましく、神経難病領域においても脊髄性筋萎縮症では実用化されている現状を鑑みると、本症に対する治療開発も期待される。一方、ドラッグリポジショニングの候補薬剤としてセフトリアキソン、クルクミン、リチウムが報告されているが、いずれも現時点では臨床応用には至っていない。5 主たる診療科小児科(小児神経科)、脳神経内科※ 医療機関によって診療科目の区分は異なることがあります。6 参考になるサイト(公的助成情報、患者会情報など)診療、研究に関する情報厚生労働省科学研究費補助金 難治性疾患等政策研究事業 「遺伝性白質疾患・知的障害をきたす疾患の診断・治療・研究システム構築」班 ホームページ(診断基準や典型的な画像所見なども掲載)難病情報センター アレキサンダー病(一般利用者向けと医療従事者向けのまとまった情報)1)Alexander WS. Brain. 1949;72:373-381.2)Brenner M, et al. Nat Genet. 2001;27:117-120.3)Yoshida T, et al. J Neurol. 2011;258:1998-2008.4)Prust M, et al. Neurology. 2011;77:1287-1294.5)Messing A, et al. Am J Pathol. 1998;152:391-398.6)Hagemann TL, et al. Ann Neurol. 2018;83:27-39.公開履歴初回2020年02月17日

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先天性トキソプラズマ感染症

1 疾患概要■ 概念・定義トキソプラズマはトーチ症候群の1つで、胎児感染(先天性感染)を起こすと、胎児・新生児期より水頭症、脳内石灰化、小頭症、網脈絡膜炎、小眼球症、精神神経・運動障害、肝脾腫などを起こす。遅発型として、成人までに痙攣、網脈絡膜炎、精神神経・運動障害などを起こすことがある。小腸粘膜などから母体内に侵入したトキソプラズマ原虫は、マクロファージを含む白血球に侵入し、血流に乗って全身へ広がる。妊婦では、まず胎盤に感染して、その後胎児脳や肝臓などの実質臓器に感染する。胎盤はトキソプラズマ感染が生じやすい組織でシストを形成し持続感染する。母体感染から胎児感染の成立まで、数ヵ月かかる。胎児感染のリスクは母体が感染した時期によって異なり、妊娠14週までの初感染で胎児感染率は10%以下と低いが症状は重度である。15〜30週の初感染で胎児感染率は20%、31週以降では60〜70%と高いが不顕性や軽症が多くなる。生後数年して眼病変が確認され、先天性トキソプラズマ症と診断されるケースもある。■ 疫学わが国の妊婦のトキソプラズマ抗体保有率は2〜10%である。2011年の報告では、妊婦抗体スクリーニングと治療を行った状況下として、先天性トキソプラズマ感染児の発生は、10,000分娩あたり1.26人と推計されている1)。2019年の報告でも、妊娠第1三半期の初感染率は0.13%で、感染児の発生は10,000分娩あたり0.9人(北海道)〜2.6人(宮崎県)と推計されている2)。■ 病因トキソプラズマは、ネコ科動物を終宿主とする細胞内寄生原虫で、中間宿主として多くの恒温動物に感染する。ヒトには感染動物の筋肉に含まれるシストや、ネコ科動物の糞便中のオーシストに汚染された土、食物や水を介して経口感染する。丈夫な壁の内側に多数の虫体を含むシストやオーシストは、環境中でも長期間生存して感染源となる。病原体としては栄養型、シスト、オーシストの3型が知られている。眼、鼻の粘膜や外傷から感染する可能性はあるが、その頻度は低いと考えられる。栄養型は急増虫体と呼ばれており、細胞内に寄生して急激に増殖するが、消毒液や胃酸で容易に不活化されるため、経口摂取による感染はまれである。ヒトへの感染は主に、シストやオーシストの経口感染によって起こる。加熱不十分な食肉中のシスト、飼い猫のトイレ掃除、園芸、砂場遊びなどによって手に付いたオーシスト、または洗浄不十分な野菜や果物に付着していたオーシストが、口から体内に入り感染が成立することが多い。■ 症状本症の3主徴は網脈絡膜炎、脳内石灰化、水頭症であるが、臨床的にそろうことはまれである。そのほかに、小頭症、血小板減少による点状出血、貧血などがある。これらはサイトメガロウイルスやジカウイルスによる先天性感染症でも同様の症状を呈することがあるため、鑑別が必要になる。精神運動発達遅延、てんかん、視力障害などの神経学的・眼科的後遺症につながることがある。■ 予後本症の1〜2%が死亡や知的障害となり、4〜27%に網膜脈絡膜炎を引き起こし、永続的な片側視力障害を残す。2 診断 (検査・鑑別診断も含む)本症の診断は次の通り行う。また、検査の留意点を下に示す。●AまたはBが確認されれば、先天性感染があると診断する。A. 生後12ヵ月以上まで持続するトキソプラズマIgG陽性(母体からの移行抗体は、通常生後6〜12ヵ月で陰性化)B. 生後12ヵ月未満の場合、以下の項目のうち1つ以上満たす(1)児血のトキソプラズマIgGが母親の抗体価と比べて高値で持続する、または上昇するとき(2)児血のトキソプラズマIgMが陽性(3)児血、尿、または髄液からトキソプラズマDNAがPCR検査で検出(4)トキソプラズマ初感染の母親から出生した児で、児血のトキソプラズマIgGが陽性でかつ、先天性トキソプラズマ症の臨床症状を有するとき■ 疫学新生児血のトキソプラズマIgM陽性は、先天性感染児の1/4程度であること、新生児血でトキソプラズマIgMが陰性であってもトキソプラズマDNAが陽性の症例や、新生児血でトキソプラズマIgMとトキソプラズマDNAがともに陰性だが、羊水でDNA陽性で、かつ出生時に頭蓋内石灰化が見つかり先天性トキソプラズマ症と診断されたわが国の報告1)があるので留意する。Bの項目がすべて無くとも、Aの生後12ヵ月の検査でトキソプラズマIgG陰性が証明されなければ、先天性感染無しとは診断できない。トキソプラズマIgM陽性妊婦からの出生児は所見がなくても全員、生後12ヵ月までフォローアップと血液検査が必要である。3 治療 (治験中・研究中のものも含む)スピラマイシン(商品名:同)が2018年8月に保険適用となった。また、IgG avidityは、標準化された検査法ではなく、検査機関毎に基準値が異なるため、その臨床的な正確性は明らかではない。それらを踏まえて、「トキソプラズマ妊娠管理マニュアル」が改訂され、2020年1月10日に第4版が発行された。妊娠初期にトキソプラズマIgGを測定し、IgG陰性者に妊娠中の初感染予防のための教育と啓発を行う。妊娠後期にIgGを再測定し、妊娠中にIgGが陽性化した初感染妊婦を同定する。IgG陽転化妊婦からの出生児は、精査と診断、フォローアップや治療を行う。IgG陽性妊婦ではIgMを測定する。IgM陽性では初感染疑いとして、胎児超音波断層法などの精査とスピラマイシン治療を行う。必要であれば、同意を得てIgG avidity測定(自費)、IgGを再検する。トキソプラズマIgM陽性妊婦のうち、およそ7割はpersistent IgMないし偽陽性で本当の妊娠中の初感染ではない(図)。図 トキソプラズマの妊婦スクリーニング方法画像を拡大するスピラマイシンによる治療の開始は、IgM値、IgG値の変化、生肉や飲料水以外の水の摂取、洗浄不十分な野菜や果物の摂取、猫の排泄物との接触、土いじり、砂場遊び、海外旅行 (中南米・中欧・アフリカ・中東・東南アジア)などの感染リスク行動の有無、リンパ節腫脹や発熱など症状の有無、および胎児の超音波所見を総合的に評価して決める。不安が強い場合など、羊水中トキソプラズマDNAをPCR検査する選択肢もある。しかし、羊水トキソプラズマDNA PCR検査は標準化されておらず、先天性感染に対して偽陽性および偽陰性があることに留意する。トキソプラズマは細胞内寄生感染を起こすため、羊水PCR陰性でも胎児感染を完全には否定できない。羊水PCR陽性例などで、胎児感染と診断したケースの胎児治療では、スピラマイシンは効果がない。胎児治療として、妊娠16〜27週の間はピリメタミン(同:ダラプリム)+スルファジアジン(同:同名)+ホリナート(同:ロイコボリン)による治療を行う。ピリメタミンは催奇形性が報告されており、ピリメタミンとスルファジアジンによる治療は妊娠16週以降とする。妊娠28週以降のスルファジアジンの投与については新生児核黄疸のリスクがあるため、ピリメタミン、スピラマイシンに変更する。一方、欧米では胎児感染例に対しては、ピリメタミンとスルファジアジンが分娩まで使用される。胎児感染が確定的な症例などで、妊娠28週以降もピリメタミンとスルファジアジンで治療する場合は、核黄疸リスクに留意しながら同意を得て行う。核黄疸リスクを回避するため、胎児感染が確定的な症例では妊娠28週以降分娩までピリメタミン+ロイコボリンで治療する場合もある。4 今後の展望保険適用の治療薬が使用できるようになったため、「トキソプラズマ初感染が疑われる妊婦」とは、トキソプラズマIgG陽性で問診などで症状があった、ないしIgM陽性の妊婦であると判断し、これら初感染疑いの妊婦にスピラマイシン投与が推奨される。現在のIgG avidityの測定は検査機関によって基準値は異なり、その臨床的な正確性は明らかではないため、この結果のみに基づいて保険適用薬の使用の可否を決めることは困難であり、誤って判断する危険性もある。したがって、今回の改定では、まだ標準化されていない保険収載のないIgG avidity検査を、妊婦スクリーニングに必須な検査として組み込むことを避けた。保険適用に向けて、IgG avidity検査を用いた妊婦のトキソプラズマ抗体スクリーニングは臨床研究として行われ、その有用性が証明されることが期待されている。5 主たる診療科産婦人科、小児科、耳鼻咽喉科、眼科※ 医療機関によって診療科目の区分は異なることがあります。6 参考になるサイト(公的助成情報、患者会情報など)診療、研究に関する情報神戸大学産科婦人科母子感染予防のホームページ(一般利用者向けと医療従事者向けのまとまった情報)母子感染の予防と診療に関する研究班(一般利用者向けと医療従事者向けのまとまった情報)患者会情報先天性トキソプラズマ&サイトメガロウイルス感染症 患者会「トーチの会」(患者とその家族および支援者の会)1)Yamada H, et al. J Clin Microbiol.2011;49:2552-2556.2)Yamada H, et al. J Infect Chemother.2019;25:427-430.公開履歴初回2020年02月17日

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第37回 高電位(差)の基準、いくつ知ってる?(前編)【Dr.ヒロのドキドキ心電図マスター】

第37回:高電位(差)の基準、いくつ知ってる?(前編)ボクが提唱する「系統的判読」。“クルッと”の部分では、Q波に続いてスパイク状のR波をチェックします。ここは「向き」「高さ」「幅」の3項目を見ますが、今回と次回で「高さ」、とくに“高すぎる”異常を取り上げます、まずはこれまでの復習も兼ねて、伏線となる知識をDr.ヒロがレクチャーします!症例提示35歳、男性。腎移植後の急性拒絶反応のため、血液透析を再導入。その後、10年以上維持透析中。特別な自覚症状はなし。血圧150/90mmHg、脈拍82/分。Hb:11.9g/dL、BUN:67mg/dL、Cre:14.2mg/dL、K:4.8mEq/L。定期検査として施行された心電図を示す(図1)。(図1)定期検査の心電図画像を拡大する【問題1】心電図(図1)において、QRS電気軸を求め、定性的評価も加えよ。解答はこちら「-50°」、左軸偏位解説はこちら今回は、若年ながら長期間の血液透析を受けている男性の心電図を扱います。レクチャーのポイントとして2つ用意しました。まずは1つ目、電気軸。“ドキ心”のでは、Dr.ヒロが開発した“トントン法”あるいはその進化版(Neo)を利用して求めますよ。忘れている方は、第9回と第11回を見直してくださいね。“QRS電気軸の求め方を覚えてますか?”久しぶりに登場した「QRS電気軸」ですが、皆さんの印象はどうですか?“難しい”や“ニガテ“という声も聞くので、簡単に復習しておきましょう。定性的な評価というのは「~軸偏位」という呼び方のことですね。I誘導とaVF誘導のQRS波の「向き」を見ればいいのです。aVFの代わりにII誘導(時にIII誘導も)が用いられますが、ニサンエフはみんな“ご近所”なので肢誘導界(第5回)における方向性は、ほぼ同じです。今回の心電図(図1)では、QRS波はIが上向き、aVFもIIも共に下向きとなっているので、このパターンは「左軸偏位」と呼ぶのでした(第8回)。次の円座標をもう一度復習しておきましょう(図2)。(図2)肢誘導の世界とQRS電気軸画像を拡大する次に定量的な議論はできますか? これは電気軸の角度を「~°」と具体的な数値として求めることを意味します。一般的には自動診断で表示される値を見るでしょうか。今回は図1のQRS軸部分を伏せておきましたが、「QRS軸:-47°」と記録されており、これを転記するのも一手です(Dr.ヒロ流に言うと“カンニング法”)ただ、この方法、「本当に機械は正しいのだろうか」という一抹の不安があります。とくに、さまざまなQRS波形が混在するような心電図の場合、ボクは心電計の電気軸推定の精度は万全ではないという印象を持っています。やはり“人の目”が入ることが大切で、そのための知恵を持っておく必要があります。ドキ心で言うならば、それは“トントン法”やそれの進化バージョンである“トントン法Neo”ですね。肢誘導界の乗っている前額断[冠状断]の円座標をaVL誘導から時計回りに目で追ってみましょう。aVL → I → 「-aVR」 → II → aVF → III ・・・このような並びは「カブレラ配列」(Cabrera sequence)と呼ばれますが、この配列の名前を覚えなくとも円座標さえ頭に描ければ、それで十分です。(図3)リバイバル! トントン法Neo画像を拡大する「-aVR」とはaVRを上下反転させた誘導で、これを導入すると各肢誘導を見事に30°ずつ対応させることができます。トントン法では、上向き・下向きが等しくなる“トントン・ポイント”(TP)を見つけるのがミソでしたが、QRS軸の向きの逆転は「-aVR」(+30°)と「II」(+60°)の間で起きており、TPは10°刻みでよりトントンに近い「-aVR」寄り、すなわち「+40°」と予想されます(第11回)。あとは、±90°方向転換させることでIが上向きになる方向を選ぶと…「-50°」が求める電気軸となります。「へぇ~、すごいじゃん!」…そう思ってもらえたら嬉しいです。【問題2】以下のうち、心電図(図1)の正しい診断を選べ。1)完全右脚ブロック2)完全左脚ブロック3)左脚前枝ブロック4)左脚後枝ブロック5)仮装脚ブロック解答はこちら 3)解説はこちらさて2問目。オマケ問題を出題しました。ここでもまだテーマの「QRS波高」は登場せず、「向き」と「幅」に関連する事項を問うています。選択肢には「~ブロック」が5つもあって ややこしいですよね。さらに「洞ブロック」や「房室ブロック」など…心電図の世界では、このようにさまざまな“ブロック塀”が学習者の行く手を阻みます(笑)。若かりし頃、ボクもだいぶ苦労したなぁと思い返します。最も有名なのは1)と2)で、「心室内伝導障害」の“2大スター”です。QRS幅がワイド(120ms以上)になり、いわゆる「脚ブロック」と言えば、普通はこの2つを指します。でも今回の心電図のQRS幅は100ms前後(自動計測値103ms)であり、該当しません。また、一つだけやや毛色が変わった5)のブロック。この用語を知っていますか? 詳細は省きますが、これは「右脚ブロック」と「左脚ブロック」とが“チャンポン”されたようなまれな異常で、一部の心疾患で見られます。心電図としても面白い波形なので、いずれ機会があったら扱いましょう。ここで扱いたいのは、前問で解説した軸偏位と深い関係性のある「束枝ブロック」で、代表的な3)と4)について説明したいと思います。“刺激伝導系のおさらい”話がQRS波の「高さ」から脱線して恐縮ですが、これも次回の本論の“伏線”として大事な事項なんです。「左脚前枝ブロック」(LAFB)と「左脚後枝ブロック」(LPFB)は、いわゆる「束枝ブロック」(fascicular block)と呼ばれるものです。ここで今一度、「脚(きゃく)」についての解剖学的な基礎知識を整理します。刺激伝導系は、房室結節、ヒス(His)束を越えて心室内で右脚と左脚に分かれ、左脚はさらに左室前上方を走る「前枝」と後側方に向かう「後枝」という2本の束枝(fascicle)に枝分かれします1)。前者の伝導が途切れたのが「左脚前枝ブロック」(LAFB)、後者なら「左脚後枝ブロック」(LPFB)と言います。実はもう一つ、「中隔枝」*という脚枝があるそうです。“3本目”の束枝、あるいは「後枝」から分かれて、文字通り心室中隔につながる“電線”との理解で良さそうです(個々人でバリエーションがある)。ただ、事の心電図に関しては、「左脚は2分枝」と考えたほうが理解しやすく、冠動脈と同じく、脚も「右1本、左2本」という構造なんだと理解することをオススメします。なお、教科書などによっては「ヘミブロック」(hemiblock)と記載されている場合がありますが、これも束枝ブロックとほぼ同義と考えて良いと思います。*:ときどき「“左脚中隔枝ブロック”の心電図所見」などという記載を目にしますが、マニアック過ぎて大半の人は“見なかった”ことにしてOKだと思っています。“左軸偏位の程度分類は?”実臨床で問題になる束枝ブロックの大半は「LAFB」なので、こちらだけ診断できれば十分でしょう(慣れると「後枝」のほうはほぼ“その逆”と理解できる)。「LAFB」の診断ポイントは“高度の”左軸偏位に尽きると言っても過言ではありません。この「高度の」部分が理解できるかが大切です。以前、「-30~0°」のゾーンを「軽度の左軸偏位」と言いました(第8回)。では、残りの「中等度」、そして「高度」はどこで区切るのでしょうか。本来なら「-90°」まで30°ずつ刻めば良いのですが、Dr.ヒロのオススメは「-45°」(数字としては大きくなることに注意)を「高度」と「中等度」の境界とするルールです。つまり、-30~0° … 軽度   -45~-30° … 中等度   -90~-45° … 高度ということです。「中等度」に関しては、ボク自身は単に「左軸偏位」と呼んでいますけどね。これを理解すると、「LAFB」では、「高度」(-45°以下)の左軸偏位がマストということになります。なので、正確に言うと、自分で電気軸が求められない人は「LAFB」と原理的に診断できないのです(半定量的な議論はできるかもしれませんが)。その点“トントン法Neo”がいかにすごい手法か、実感してもらえるんじゃないかな~。“左脚前枝ブロックの心電図診断”さて、皆さんがお持ちの教科書で「左脚前枝ブロック」の診断基準を確認してみましょう。 QRS電気軸の範囲が示されている時点で初学者への“殺傷能力”はハンパないのですが、ほかにいくつかの条件が書かれていると思います。代表的な診断基準を踏まえ、ボク流にアレンジしたものを以下に示します。■左脚前枝ブロック(LAFB)の診断■1. 高度の左軸偏位:-90°<QRS電気軸≦-45°2.(I)aVLで「qR型」(上向き:左室パターン)3.(II)III(aVF)で「rS型」(下向き:右室パターン)ほかに若干の注意事項はあるものの、メインは上の3つ1~3です。慣れてないと相当複雑に感じますよね。でも大丈夫。あくまでも1が診断の肝と強調しておきます。2はイチエル(I、aVL)、3はニサンエフ(II、III、aVF)に関するものです。ここで確認。「左軸偏位」である以上、QRS波はI誘導が上向き、そしてaVF(IIも)は下向きなはずですよね? かつて「正常なQRS波形は2パターンしかない!」と述べた時に紹介した「左室パターン」と「右室パターン」の話を思い出してください(第17回)。「左室パターン」とは、側壁誘導のイチエルゴロク(I、aVL、V5、V6)で見られる「qR型」波形で、左室興奮を間近で観察するため立派な上向き「R波」が特徴でした。一方、「右室パターン」とは、右室興奮の反映ではなく、左室興奮を側壁誘導の反対側(右室側≒右方)から眺めた下向きの「rS型」QRS波形のことでした。これはちょうど左室パターン(qR型)を上下逆さまにした波形になっています。「LAFB」にはこの2つの波形がそのまま登場します。つまり上向きのI(およびaVL)では「qR型」(左室パターン)となり、下向きのII・aVF(およびIII)が「rS型」となるのです。ね、覚える必要などないでしょ?(図2)を見てもらうと、今回の心電図が見事にこの基準を満たしているんです。細かいことを言うと、かっこ書きした「aVL」が「qR型」でその対側**の「III」が上下反転させた「rS型」というのが実は必須条件で、軸偏位との兼ね合いで解説したIやII・aVFは「“ご近所”は波形が似てる」というルールで理解するというのが根源的な理解なのですが。まぁ、でも都合良く考えた者勝ちですね。**:心筋梗塞の診断で用いる「対側誘導」を思い出しましょう。ちなみに、この「LAFB」の心電図診断について、拙著では“覚えなくていい診断基準”の代表として取り上げています2)。“関連知識も少々”「LAFB」の診断ができるようになれば、ひとまず今回の目的は達成ですが、最後に次回につながる関連知識を述べて終わります。一般的に病的意義がさほど高くないと言われる「LAFB」ですが、心電図的には興味深い点(a~d)があります。【左脚前枝ブロック(LAFB)の関連知識】(a)QRS幅は正常~軽度延長(120msは越えない)(b)肢誘導のQRS波高が“伸びる”(c)胸部誘導のQRS波形にも影響が及ぶことも(d)「下壁梗塞」では診断できない!まず、(a)。「LAFB」の場合、後枝経由の伝導があるため、右脚・左脚ブロックのようにQRS幅がワイド(≧120ms[0.12秒])とはなりません。ただ、一部に遅延伝導があるのは事実であり、パッと見“ややワイド”くらいになることもしばしばです(たくさん見るとわかってくるでしょう)。2つ目の(b)。「LAFB」では、心室内の電気の流れが正常でなくなるため、QRS波高に影響が出ます。とくにaVLが代表的で、心筋重量増加がなくても縦方向に“伸びる”傾向があり、いわゆる「左室高電位(差)」の診断時に注意が必要になるのです3)。この点を次回取り上げます。(c)については、「LAFB」の波形変化は基本的に肢誘導の乗っている前額断(冠状断)で完結して欲しいのですが、ときに胸部誘導(水平断)にも異常が波及します***。そして、最後(d)。下壁領域の心筋梗塞になると、ニサンエフで「異常Q波」が出ますが(第35回)、このQ波が深くなってキツめの左軸偏位を呈しても、「LAFB」とは言いません。原理的に下壁誘導のQRS波形が「rS型」にならないため、上記診断(1)~(3)を意識すれば誤診することはないですが…(仮にあっても)「診断できない」というのが真実のようです。***:R波の増高不良(V1~V3)や時計回転(V5、V6でR波高が小さく深いS波あり)など…これを知っている方は完全な“物知り”です。以上、軽視されがちな「LAFB」について、どこよりも熱いレクチャーをお届けしました。次回は同じ症例を用いて、QRS波高について考えたいと思います。お楽しみに!Take-home Message具体的なQRS電気軸の数値が知りたければ、“トントン法Neo”がベストな方法かも!?「左脚前枝ブロック」は強い左軸偏位が最大の特徴!1:Elizari MV, et al. Circulation. 2007;115:1154-1163.2:杉山裕章. 心電図のはじめかた. 中外医学社;2017.p.25-37.3:Hancock EW, et al. Circulation. 2009 Mar 17.[Epub ahead of print]【古都のこと~御香宮神社】2月初旬の休日、雪の舞う早朝に家を出て職場で残務を終え、予定通り伏見に向かう頃には晴れていました。お目当ては御香宮神社。“ごこうぐう”とも“ごこうのみや”とも読みます。創建年は不明ですが、元は「御諸(みもろ)神社」と称していました。平安時代の貞観4年(862年)に境内から「香」の良い水が湧き出たことを奇瑞に、清和天皇より「御香宮」の名を賜ったのだそう。今でも手水舎に「御香水」*1が使用されているので、それで手を清めます。うーん、冷たい。そしてクンクン(笑)。ここは神功皇后*2を主祭神とし、安産・子育ての御神徳があるとされます。実際、子供を授かったであろうカップルにも何組か出会いました。そんな母性的な反面、御香宮は“天下人”にも愛されたのでした。豊臣秀吉が伏見城の築城の際、城内に鬼門除けの神として勧請し*3、後に徳川家康が元の位置に戻して本殿を造営しています*4。たしかに造り・装飾は “ド派手”、言い換えれば豪壮華麗の桃山様式です。拝殿にお参りをしたら、忘れずに社務所に立ち寄りましょう。伏見奉行であった小堀遠州(政一)ゆかりの素敵な石庭に出会えます。城南宮(第35回)でも登場した中根金作*5の手にかかったものだそう。床の間で再び神功皇后の人形に拝礼し、何かホッコリ、伏見を満喫して帰途に就きました。*1:社名の由来となった清泉「石井の御香水」は伏見の七名水の一つ。徳川家も産湯に使ったとされる。昭和61年(1986年)、「名水百選」にも選ばれた。*2:日本第一安産守護之大神。応仁天皇の母。*3:拝殿が御車寄の拝領というのは伝え誤りとされるが、表門は伏見城大手門(重要文化財)の遺構。*4:慶長10年(1605年)、板倉勝重を請奉行として着手建立された。重要文化財。*5:中根造園研究所前所長

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クローン病治療薬の開発最前線

クローン病治療薬は、抗TNFα抗体製剤の有効性が確立し、現在は抗TNFα抗体製剤に無効、あるいは非忍容な患者に対する薬剤の開発が進められている。リサンキズマブ選択的インターロイキン(IL)23モノクローナル抗体阻害薬であるリサンキズマブ(商標名:スキリージ)は、中等度以上クローン病121例(93%に抗TNF薬使用歴、うち85%が無効例)を対象とした第II相ランダム化試験において、12週間投与後の臨床的寛解率は、プラセボ群に比べ、15.0%の有意高値だった [Feagan BG et al. Lancet. 2017; 389: 1699] 。さらに同コホートで試験終了時、完全寛解に至らなかった102例中101例(当初プラセボ群だった33例を含む)にリサンキズマブを26週間投与したところ、53%で臨床的寛解が得られた。これら臨床的寛解例を含む62例に対しリサンキズマブ維持療法をさらに26週間施行したところ、71%で臨床的寛解が維持されていた(含、完全寛解6例) [Feagan BG et al. Lancet Gastroenterol Hepatol. 2018; 3: 671] 。ウパダシチニブ経口選択的JAK1阻害薬であるウパダシチニブは、16週間の導入療法で臨床的/内視鏡的寛解を得た、免疫調節薬・TNF抗体不応・非忍容の中等症以上クローン病153例において、導入療法開始の52週間後まで、用量依存的に約40~70%超の患者で臨床的/内視鏡的寛解が維持された。本検討において、安全性に関する新たな懸念材料は見つからなかった [Panes J et al. Gastroenterology. 2018; 154: S‐1308] 。この結果を受け現在、生物学的製剤無効例(NCT03345836))、あるいはステロイド・免疫抑制剤無効例(NCT03345849)を対象としたランダム化試験が始まった。いずれも2021年半ばに終了予定である。フィルゴチニブ同じく経口選択的JAK1阻害薬であるフィルゴチニブも、中等症クローン病174例を対象としたランダム化試験において、10週間後47%が臨床的寛解となった(プラセボ群:23%、p=0.0077) [Vermeire S et al. Lancet. 2017; 389: 266] 。20週間の重篤有害事象発現率は、フィルゴチニブ群:9%、プラセボ群:4%であり、安全性は受容可能と考えられた。現在、この結果を受け、中等症以上のクローン病を対象に、導入、維持療法における有用性をプラセボと比較する第III相試験 “Diversity1”(NCT02914561)が、2021年11月終了予定で進行中だ。さらに中等症以上クローン病を対象に、"fistula response" をプラセボと比較する第II相試験 “Divergence2"(NCT03077412)、小腸型クローン病における活性抑制をプラセボと比較する第II相試験(NCT03046056)も進行中である。いずれも本年中ないし、来年早々に終了の予定だ。

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視神経脊髄炎治療薬の開発最前線

今日まで、視神経脊髄炎(NMO)を適応症に掲げる薬剤はない。そのため治療はエビデンスではなく、経験的な推奨に従って行われてきた。しかし多発性硬化症の一種と考えられていたNMOが、病理学的、免疫学的に異なる疾患であると明らかになるに従い、それらにターゲットを絞った治療薬が開発されるようになった。先頭を走るのは、ヒト化抗IL-6レセプターリサイクリング抗体であるサトラリズマブだ。2019年、NMO治療薬として日米欧で申請されるに至った。この薬剤は、インターロイキン(IL)-6受容体を選択的に阻害する。NMOの特徴であるアストロサイト傷害は、抗アクアポリン4(AQP4)抗体の増加によりもたらされる。サトラリズマブはその増加をもたらすIL-6シグナル系をブロックし、アストロサイト傷害を抑制すると考えられている。このサトラリズマブの有効性は、2つのランダム化試験で示されている。1つは、標準的治療下にあるNMO・NMO関連疾患患者83例をランダム化した "SAkuraSky試験" である(NCT02028884)。サトラリズマブはプラセボに比べ再発リスクを相対的に62%、有意に抑制した(2018年、欧州多発性硬化症学会報告)。また、過去1年以内に発症歴を有するNMO・NMO関連疾患患者95例をランダム化したSAkuraStar試験(NCT02073279)においても、プラセボに比べ相対的に55%、再発リスクを有意に抑制していた(2019年、欧州多発性硬化症学会報告)。またサトラリズマブによる神経性疼痛の軽減も、2次評価項目ではあるが、両試験から報告された。ただし。血清脂質悪化による心血管系リスク増加の可能性を懸念する声もある [Paul F et al. Expert Opin Investig Drugs. 2018; 27: 265] 。サトラリズマブに続き、現在、わが国で承認申請の準備に入っているのがイネビリズマブである(米国では申請済み)。同剤は抗CD19モノクローナル抗体であり、B細胞を血中から除去する。末梢血からのB細胞除去は、すでにNMO再発リスク低減との相関が示唆されている [Jacob A et al. Arch Neurol. 2008; 65: 1443] 。イネビリズマブは抗CD20モノクローナル抗体よりも未成熟なB細胞にも作用するため、期待が集まっている。NMO関連疾患99例をランダム化した”N-MOmentum”スタディにおいて同剤は、プラセボに比べ、NMO関連疾患発作のリスクを早退的に73%、有意に低下させた [Cree BAC et al. Lancet. 2019; 394: 1352]。

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