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永遠の命題か? 無作為化試験 vs .リアルワールドエビデンス【Dr.中川の「論文・見聞・いい気分」】第24回

第24回 永遠の命題か? 無作為化試験 vs .リアルワールドエビデンス皆様に紹介せずにはいられない興味深い文章がNEJM誌に登場しました。「The Magic of Randomization versus the Myth of Real-World Evidence」というタイトルで、2020年2月13日に掲載されました。直訳すれば「無作為化という魔法 対 リアルワールドエビデンスという神話」となります。このタイトルを見た時には、リアルワールドエビデンスを賞賛し、その将来性を期待する文章と予想しました。なぜなら、リアルワールドデータの活用は存在感を増しているからです。AI(Artificial Intelligence:人工知能)の発達により、従来では考えられないほどの膨大なデータ、つまりビッグデータを用いて解析が可能となりました。ビッグデータとは単に量が多いだけではありません。非構造的な情報も含み、時々刻々と生成される途方もない膨大なデータです。今までは管理しきれず無視されてきたデータ群を、AIが解析することにより、従来では得ることができなかった情報を引き出すようになったのです。バイアスと交絡因子をいかに排除することができるかが臨床研究の鍵です。無作為化の目的はバイアスを避けて、すべての要因を揃えて比較可能な集団を作ることです。測定することができる年齢や性別などの要因だけでなく、未知の因子もグループ間で均一にできるのが無作為化です。これを無作為化の”Magic”、つまり魔法と表現しています。一方で、リアルワールドエビデンスは”Myth”と表現しています。”Myth”を辞書で調べてみると、神話という訳語に続いて「作り話」、「根拠の薄い社会的通念」と記されています。ここでの神話というのは、かなり低評価の表現と解釈すべきです。このNEJM誌の最新論文は、リアルワールドエビデンスは無作為化比較試験に、まだまだ取って代わるものではないと述べているのです。NEJM誌編集部に代表される米国医学界の無作為化比較試験に対する信頼度の高さが伝わってきます。さらに、NEJM誌に採択されるためには、二重盲検無作為化比較試験でなければ難しいとされます。割り付けを観察者(医師)からも患者からも不明にすることで、いっそう客観性を担保する手法が二重盲検です。「パリスの審判」と名付けられた、1976年に開催されたワインの比較試飲会の話をご存じでしょうか。カリフォルニア産とフランス産の超一流の赤白ワインを、審査員がブラインドでテイスティングして、優劣を競ったのです。誰しもがフランスの圧勝を信じていたのですが、なんと赤白の両方でカリフォルニアがフランスに勝ったのです。ニューヨーク・タイムズ紙の報道により、「パリスの審判」の結果は世界中のワイン界を震撼させ、当時のワインの常識をくつがえしたのです。無個性な安ワインというカリフォルニアワインへの偏見を打破し、フランス以外でも美味しいワインは造れるというメッセージを発信したのです。この情報が説得力をもった理由は、審査員がフランスのワイン界を代表する重鎮であったことと、審査が盲検化されていたことです。結果に不満があっても審査過程に不満をぶつけることができなかったのです。この「パリスの審判」があったから、NEJM誌編集部が二重盲検無作為化比較試験を大好きになった訳ではないでしょうが、無縁でもないかもしれないと感じ、紹介させていただきました。自分は、無作為化の魔法はわかりませんが、美味しいワインは大好きです。今晩は、チリ産のカベルネソーヴィニヨン、いわゆる「チリカベ」の魔法に身をゆだねます。おやすみなさい。

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第8回 コロナ修行と化した「新しい生活様式」を導入してみたら

新型コロナウイルス感染症(COVID-19)パンデミックに伴い、新型インフルエンザ等対策特別措置法(特措法)に基づいて発令された緊急事態宣言が5月25日、5都道県で解除された。これにより緊急事態宣言は、一旦は全国で解除となった。もっともこれですべて元通りの生活に戻るわけではない。現時点で決定打となる治療薬やワクチンもない以上、当面は第2波流行を常に気にしながら、程度の差はあっても恐る恐る生活を続けていくということになるだろう。実際、東京都は「新型コロナウイルス感染症を乗り越えるためのロードマップ」を公表し、7つのモニタリング指標を軸に段階的に外出・営業自粛を緩和していく方針だ。ロードマップに従うと、首都東京で限りなく以前に近い生活に戻せるのは最短でも7月半ば以降となる。また、政府は既に5月4日、新型コロナウイルス感染症専門家会議からの提言を踏まえ、新型コロナウイルス感染を想定した「新しい生活様式」の実践例を公開した。その中身を見て、娯楽、スポーツ等の項目では「歌や応援は、十分な距離かオンライン」、食事の項目では「料理に集中、おしゃべりは控えめに」などとまで記述されており、「大きなお世話だろう!」と怒鳴りたくなるような内容である。国を代表する「専門家」が参集してこんな細かい議論をやっていたのかとびっくりするのだが、ある専門家会議のメンバーによると「そもそも専門家会議も当初はあそこまで示すつもりはなかった。しかし、外部から『もっと具体例を示すべき』というプレッシャーが強く、あのような形になった」とのこと。専門家の皆さんもなかなか気苦労が絶えないらしい。そしてこの「新しい生活様式」を実践した飲み会を開いたという記事も登場した。まあ、有志で試しにやってみたという程度だが、写真を見ると何とも言い難い。記事には「飲食を楽しんだ」と書いてあるが、私がデスクだったらこの紋切り型表現はボツである。決して楽しそうには見えない、むしろ「新型コロナ真理教」かなんかの苦行にしか見えないからだ。しかも、これだけならまだしも、現実にはいたるところでトンチンカンな「対策」もどきが散見される。たとえば「新しい生活様式」を考慮し、感染予防対策を施した居酒屋、さらにはタクシーなど。これらはいずれも次亜塩素酸水を噴霧し、空間消毒を行うというもの。しかし、次亜塩素酸水に関しては認可を受けたものが手指消毒に使える程度で、厚生労働省が出した事務連絡では、次亜塩素酸を含む消毒薬の噴霧は吸入した場合は有害であると明記している。これほどひどいものではないにしても、福岡県の粕屋町は公立の小中学校の授業再開に当たって全生徒にフェイスシールドを配布し、体育の授業と給食以外のシーンではマスクとともに着用すると報じられている。これから気温が上昇していく中でマスクの着用ですら苦痛なはずなのにさらにフェイスシールドとなると、子供たちの苦痛はどれほどかと気の毒に感じてしまう。だが、そもそもこれまで専門家が提唱している感染予防対策は、手洗い励行、「3密」の回避、これに加えてマスクぐらい。多くの方がご存じのようにマスクの感染予防効果はまだまだコントラバーシャルである。今回、やや珍奇な対策が報じられた(報じている側がチンキと思っていないことも問題なのだが)ケースはいずれも「3密」が回避しにくいための追加の措置とも言えなくもないが、それでもやり過ぎ感が否めないと感じるのは私だけだろうか?その意味でここから本格的な出番となる人たちがいる。まずは感染制御の専門家たちである。テレビや新聞にコメンテーターとして登場している「専門家」の中には、ややトンデモな人が混じっているのは本連載第3回でも触れたこと。いわば真の感染制御の専門家ほど現在日常的に忙しいのは承知しているが、少しでもメディアからオファーがかかったら、今こそ難しい時間のやりくりをして登場して欲しいと切に思う。報道に身を置く立場から言うとやや横柄に聞こえるかもしれないが、やはり報道の拡散能力は絶大だからだ。もっとも1回の報道で何かが確実に伝わることが稀なのは、やはり報道側として常に感じている。たとえば、私ごときの存在は報道界の中でも「蟷螂之斧(とうろうのおの)」といってもいい存在だが、それでも感染症におけるマスクの存在について「あくまで感染が疑われる人が他人に感染させないためが第一義。まずは手洗いを」と繰り返し記事に書いている。1回1回はほぼ無力と分かっても、過去の経験上、報道のリフレイン効果は実感しているからだ。COVID-19騒動では、このリフレイン効果の実例がある。ずばり「PCR検査」という単語だ。PCRが何の略かは分からない人がほとんどだろうが、今やこの単語を耳にしたことがないという人はいないはず。だが、この単語を知ることで「それって何?」と理解を深めようとする人のすそ野は確実に増えてくる。繰り返し同じことを訴えるというのは確実に一般生活者での情報リテラシー向上に資するのである。また、今回感染制御の専門家とともに出番となると思われるのが、「学校薬剤師」である。ちなみに医療関係者の間でも「学校薬剤師」の存在はあまり知られていないこともあるようだが、これは学校保健安全法で大学以外の学校では設置が義務付けられている。学校医や学校歯科医と同じ存在である。これは1930年、北海道小樽市の小学校で風邪をひいた女児にアスピリンと間違って塩化第二水銀を服用させ、死亡した事件をきっかけに、同市が学校薬剤師を委嘱し、これが全国に広がって後の学校保健安全法の制定時に制度化されたものだ。では、この学校薬剤師は何をしているかといえば、学校環境衛生の維持管理に関する指導・助言などであり、具体的には換気の指導やプール開きの際の塩素濃度チェックなどだ。まさに感染を防ぐための環境整備にも資する役割である。そもそも薬剤師は、現状では一般人はもちろんのこと医療従事者の間ですら存在感が薄い。このような表現をすると腹が立つ人もいるかもしれないが、「白衣を着て調剤室にこもって袋詰めをしている根暗な人たち」が一般人のイメージといってもいいが、学校薬剤師の経験を持つ人は少なからず存在し、消毒薬などについての知識も有している。しかも、医師と比べ、一般人にとってはやや距離が近い存在である。やや過激な言い方になるかもしれないが、劇作家・寺山修司の言葉を借りれば、今こそ「処方箋を捨てよ、町へ出よう」である。同時にすべての医療従事者に伝えたいのは、「腐らず繰り返し伝えよう」ということ。「お前らメディアが悪い」と言われがちではあるが、目を皿にしてみてもらえば、腐らず地味な情報を繰り返し伝えているメディアも数多くある。実際のところ私たちメディア人も同じ方向を向いていることを知っていただけたら幸いである。

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ICI有害事象、正しく理解し・正しく恐れ・正しく対処しよう【そこからですか!?のがん免疫講座】第5回

はじめに今までは、主に免疫チェックポイント阻害薬(ICI)の効果に焦点を当てて解説してきましたが、今回は少し趣を変えて有害事象、とくにICI特有の免疫関連有害事象に焦点を当て、それがどのようなメカニズムで起きるのかを話題にしたいと思います。抗がん剤の有害事象のいろいろ抗がん剤の有害事象といえば、やはり悪心・嘔吐、脱毛、血球減少などをイメージするかと思います。これらはいずれも、細胞傷害性抗がん剤といって、シスプラチンなどの従来の抗がん剤でよく出現した有害事象です。がん細胞だけでなく、さまざまな正常細胞を傷害してしまい、傷害を受けやすい細胞がダメージを受けて有害事象につながります。とくに血球減少はそれに伴う感染症で命にも関わるので、皆さん非常に気を使っているかと思います。その後、ゲフィチニブなどの分子標的薬が登場して、標的に応じた特有の有害事象が出現するようになりました。たとえば、ゲフィチニブは上皮成長因子受容体(EGFR)を阻害しますので、上皮が傷害される結果起きる有害事象の報告が多くなります。皮膚であれば皮疹、腸管上皮であれば下痢、といったような感じです。血管新生阻害薬であれば血管内皮細胞増殖因子(VEGF)という分子を阻害するため、特有の高血圧など血管に関わる有害事象が起きやすくなります。では、あらためてICIについて考えてみましょう。ICIは免疫、とくにT細胞を活性化させる薬剤ですので当然といえば当然ですが、免疫に関連した特有の有害事象を起こします。前回までに免疫が自己を攻撃すると「自己免疫性疾患」になる、という話をしましたが、まさに「自己免疫性疾患」のような有害事象が出現し、それらをまとめて免疫関連有害事象と呼んでいます。ICIにより活性化したT細胞はさまざまな臓器を攻撃し、臓器によって非常に多彩な有害事象が報告されています1)。たとえば、甲状腺を攻撃すれば甲状腺機能異常、肺を攻撃すれば肺臓炎、消化管を攻撃すれば腸炎、膵臓のインスリン産生細胞を攻撃すれば糖尿病、といった具合です1)。従来の抗がん剤治療ではあまり見ない有害事象が多く、まれながら命に関わるものも報告されています。適切に対処するためには、まれでも「起きうる」と認識することが重要です。有害事象が発生するメカニズム「ICIが免疫を活性化するから有害事象が発生する」だけでは、本稿は終了になってしまいますので、もう少し詳しく説明したいと思います。自己抗原に反応して攻撃するT細胞は発生の過程で選択を受けるので、われわれの身体の中にはあまり残っていないはずです。しかし、一部は除去されずに残っているものがあるとされ、そういったT細胞が自己を攻撃すると「自己免疫性疾患」になってしまいます。こうしたT細胞が自己を攻撃しないようにするシステムがわれわれの身体には元々備わっており、そのシステムが正常に働いていれば問題は起きません。そして、そのシステムの1つが、免疫チェックポイント分子なのです。PD-1やCTLA-4も決してがん細胞を攻撃するT細胞“だけ”を抑制している分子ではなく、むしろ、本来こうした「自己を攻撃しないために備わっている分子」なのです。したがって、ICIの使用によってがん細胞を攻撃するT細胞だけでなく、自己を攻撃するT細胞も活性化されることで、自己免疫性疾患のような有害事象が出てしまうのです(図1)。画像を拡大する免疫関連有害事象を「正しく」恐れる前回、「抗原には階層性がある」という話をしました。「強い免疫応答を起こせる抗原はがんのネオ抗原で、自己抗原は強い免疫応答を起こさない」はずでしたね(図2)。画像を拡大する実は、弱い抗原によって活性化されたT細胞であれば、ステロイドなどのT細胞を抑制する薬剤によって比較的抑えられやすく、逆に強い抗原によって活性化されたT細胞は、ステロイドでは抑えにくい、という実験結果があります(図3)2)。画像を拡大する実はこのことはICIにとって非常に都合がよいことです。「(強い免疫応答を起こさない抗原である)自己抗原を認識するT細胞の活性化はステロイドによって抑制されやすい」、すなわち、「(自己を攻撃するT細胞の活性化によって起きる)免疫関連有害事象はステロイドなどの適切な治療によって抑えることができる」からです(図3)。逆に、「(強い免疫応答を起こす)ネオ抗原を認識するT細胞の活性化にステロイドはあまり影響を与えない」、つまりは「ステロイドは効果にあまり影響しない」といえます(図3)。大規模な臨床で証明された確定的なものではなく、あくまで可能性での話になりますが、以上のことから、ステロイドはICIの効果にあまり影響を与えることなく、免疫関連有害事象を抑えられるかもしれません(図3)2)。実際、有害事象にはステロイド使用などの適切な対処で対応できる場合が多く、有害事象でステロイドを使用したうえでICI投与を中止しても、薬剤の効果が続いたケースも報告されています。効果と関係があるってホント?個々の患者でICIによる免疫の活性化度合いは異なります。ここでまた抗原の階層性の話になりますが、強い免疫応答を起こすネオ抗原を認識するT細胞だけを運よくICIが活性化できれば、効果だけが出て、免疫関連有害事象は起きません(図4:A)。一方、弱い免疫応答を起こす自己抗原を認識するT細胞まで活性化させる反応がICIで起きた場合を想定してください。もちろん、自己を攻撃する免疫関連有害事象は起きますが、それほど強い免疫の活性化であれば、強い反応を起こすネオ抗原を認識するT細胞も活性化しているはずなので、効果も出るはずです(図4:B)。こういった患者さんが一定割合で存在するため、効果と有害事象はある程度の相関性があるはずです3)。画像を拡大するもちろん、ICIで免疫応答がまったく起きない人には有害事象も効果も出ません(図4:C)。では、有害事象だけが出て効果がない人では何が起きているのか?と疑問も湧くかと思いますが、1つの理由を抗原の観点で論じるならば、どんなに免疫を活性化させても、元のがん細胞にネオ抗原のような標的になるがん抗原が少ない場合にはやはり無効なのだろう、と思われます(図4:D)。それだけがん抗原は重要な要素なのです。免疫関連有害事象を正しく理解し・正しく恐れ・正しく対処すれば、ICIは効果がある患者さんにとっては大きなメリットのある薬剤です。当初の連載予定回数をオーバーしてしまいましたが、次回は追加で細胞療法の話をしたいと思います。1)Michot JM, et al. Eur J Cancer. 2016;54:139-148.2)Tokunaga A, et al. J Exp Med. 2019;216:2701-2713.3)Haratani K, et al. JAMA Oncol. 2018;4:374-378.

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日本におけるインターネット依存症の有病率

 インターネット依存症は、深刻な問題であり、近年その発生率は有意な上昇をみせている。愛媛大学の河邉 憲太郎氏らは、青年期のインターネット依存症について4年間にわたる2つの横断研究により調査し、その結果生じる生活の変化についての評価を行った。Pediatrics International誌オンライン版2020年4月16日号の報告。 12~15歳の中学生を対象に、2014年(第1次調査)および2018年(第2次調査)に調査を行った。対象者には、インターネット依存度テスト(Young's Internet Addiction Test:IAT)、GHQ精神健康調査票(General Health Questionnaire:GHQ)日本語版、睡眠習慣と電気機器使用に関するアンケートを実施した。 主な結果は以下のとおり。・第1次および第2次調査より、1,382人について調査を行った。・平均IATスコアは、第2次調査(36.0±15.2)において、第1次調査(32.4±13.6)よりも有意に高かった。・IAT合計スコアの増加は、2014年よりも2018年のほうが、インターネット依存症の割合が有意に多かったことを示唆している。・GHQの各サブスケールでは、社会機能障害スコアが、第1次調査よりも第2次調査において有意に低かった(p=0.022)。・第2次調査における週末の平均総睡眠時間は504.8±110.1分、起床時間は8:02であり、第1次調査と比較し、総睡眠時間は有意に長く、起床時間は有意に遅かった。・スマートフォンの使用率は、第1次調査よりも第2次調査のほうが有意に高かった(p<0.001)。 著者らは「インターネット依存症に関する調査結果では、2014年と2018年の4年間で、変化が認められた」としている。

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COVID-19、医療従事者の感染リスクは?

 新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の治療にあたる医療従事者の感染リスクと臨床的特徴について、中国・華中科技大学のXiaoquan Lai氏らが武漢の3次医療機関における約1万人の医療従事者を調査した。その結果、医療従事者の感染のほとんどがアウトブレークの初期に発生していた。また、これまでのウイルス感染症の流行時とは異なり、発熱外来や発熱病棟などで勤務する医療従事者に比べ、それ以外で勤務する医療従事者の感染率が高かった。著者らは、感染した可能性がある医療従事者を迅速に特定し、無症状者に対する定期的なスクリーニングを行うことで医療従事者を守ることができるとしている。JAMA Network Open誌2020年5月21日号に掲載。医療従事者の感染率は発熱外来/発熱病棟で0.5%、それ以外は1.4% 本研究では、武漢のTongji Hospitalに勤務する医療従事者9,684人について、2020年1月1日~2月9日のCOVID-19発症者のデータを収集した。新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)の曝露・疫学・人口統計に関する情報はアンケートから、臨床・検査・放射線学的な情報は電子記録から収集した。また、335人の医療従事者を無作為に抽出し、高リスクで無症状者における感染率を推定した。環境表面のサンプルも収集した。 医療従事者の感染リスクについて調査した主な結果は以下のとおり。・9,684人の医療従事者のうち110人がSARS-CoV-2陽性で、感染率は1.1%であった。そのうち女性が70人(71.8%)、年齢中央値は36.5歳(四分位範囲:30.0〜47.0歳)、職種は看護師62人(56.4%)、医師26人(23.6%)、医療助手22人(20.0%)であった。・発熱外来/発熱病棟で勤務する医療従事者の感染率は0.5%(3,110人中17人)、それ以外で勤務する医療従事者では1.4%(6,574人中93人)であった。・発熱外来/発熱病棟以外で勤務する45歳未満の看護師は、45歳以上の発熱外来/発熱病棟で勤務する医師より感染率が高かった(感染率比:16.1、95%CI:7.1~36.3、p<0.001)。・無症状者における感染率は、発熱外来/発熱病棟で勤務する医療従事者において0.74%(135人中1人)、それ以外で勤務する医療従事者で1.0%(200人中2人)であった。・環境表面における90検体はすべて陰性であった。・110人中93人(84.5%)の医療従事者が軽症~中等症で、1人(0.9%)が死亡した。・主な症状は、発熱(60.9%)、筋肉痛/倦怠感(60.0%)、咳嗽(56.4%)、咽頭痛(50.0%)、筋肉痛(45.5%)であった。・医療従事者の主な感染経路は、患者(59.1%)、同僚(10.9%)、家族や友人(12.7%)であった。

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TN乳がん1次治療へのipatasertib+PTXのOS結果(LOTUS)/ESMO BC2020

 手術不能な局所進行または転移を有するトリプルネガティブ乳がん(TNBC)の1次治療において、経口AKT阻害薬ipatasertibをパクリタキセル(PTX)に併用することにより、全生存期間(OS)が延長する可能性が、二重盲検プラセボ対照無作為化第II相試験であるLOTUS試験の最終解析で示された。シンガポール・National Cancer Centre SingaporeのRebecca Dent氏が、欧州臨床腫瘍学会乳がん(ESMO Breast Cancer Virtual Meeting 2020、2020年5月23~24日)で報告した。なお、主要評価項目である無増悪生存期間(PFS)については、すでに有意に延長することが報告されている。・対象:測定可能病変のある、治癒切除が不可能な局所進行または転移を有する未治療のTNBCで、6ヵ月以上化学療法を受けておらず、ECOG PSが0または1の患者・試験群:PTX 80mg/m2(Day1、8、15)+ipatasertib 400mg(Day1~21)を1サイクル28日で進行(PD)または許容できない毒性発現まで投与(ipatasertib群)62例・対照群:PTX 80mg/m2(Day1、8、15)+プラセボ(Day1~21)(プラセボ群)62例・評価項目:[主要評価項目]ITT集団およびPTEN-low患者におけるPFS[副次評価項目]OS、奏効率(ORR)、奏効期間(DOR)(ITT集団、PTEN-low患者、PI3K/AKT経路活性化患者)、PI3K/AKT経路活性化患者におけるPFS、安全性 主な結果は以下のとおり。・最終データカットオフは2019年9月3日で、それまでに全患者が主にPDで治療中止となった。・ITT集団におけるOS中央値は、ipatasertib群25.8ヵ月(95%信頼区間[CI]:18.6~28.6)、プラセボ群16.9ヵ月(95%CI:14.6~24.6)で、層別ハザード比(HR)が0.80(95%CI:0.50~1.28)とipatasertib群で良好であった。1年OSはipatasertib群83%、プラセボ群68%であった。・PTEN-low患者(48例)におけるOS中央値は、ipatasertib群23.1ヵ月(95%CI:18.3~28.6)、プラセボ群15.8ヵ月(95%CI:9.0~29.1)で、非層別HRが0.83(95%CI:0.42~1.64)であった。1年OSはipatasertib群79%、プラセボ群64%であった。・PIK3CA/AKT1/PTEN変異患者(42例)におけるOS中央値は、ipatasertib群25.8ヵ月(95%CI:18.6~35.2)、プラセボ群22.1ヵ月(95%CI:8.7~NE)で、非層別HRが1.13(95%CI:0.52~2.47)であった。1年OSはipatasertib群88%、プラセボ群63%であった。・サブグループ解析では、50歳未満のOS中央値がipatasertib群35.2ヵ月、プラセボ群15.1ヵ月で、HRが0.41(95%CI:0.20~0.85)と有意にipatasertib群が延長していた。・Grade 3以上の有害事象(AE)の発現率は、ipatasertib群56%、プラセボ群45%であった。また、ipatasertib群においてAE関連の中止は4例(7%)、中断は22例(36%)、減量は13例(21%)であった。 現在、無作為化第III相試験であるIPATunity130試験が日本も参加して行われている。

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COVID-19、ヒドロキシクロロキンの使用は支持されない/BMJ

 ヒドロキシクロロキンは、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)に対する有効な治療薬として期待され世界的に注目されていたが、リアルワールドで収集した観察データを用いた臨床研究の結果、酸素投与を要するCOVID-19肺炎入院患者へのヒドロキシクロロキン使用は、支持されないことを、フランス・パリ・エスト・クレテイユ大学のMatthieu Mahevas氏らが報告した。COVID-19による呼吸不全や死亡を予防する治療が緊急に必要とされる中、ヒドロキシクロロキンは、in vitroでCOVID-19の原因である新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)に対する抑制効果が報告され、小規模な臨床試験でも有効性が示唆されていた。BMJ誌2020年5月14日号掲載の報告。フランスの4施設におけるCOVID-19肺炎入院患者におけるヒドロキシクロロキンの有効性を後ろ向きに解析 研究グループは、2020年3月12日~31日の期間に、フランスの3次医療施設4施設に入院したCOVID-19肺炎患者全例について電子カルテをスクリーニングし、18~80歳で酸素投与を必要とするが集中治療室(ICU)への入室は必要としないSARS-CoV-2感染が確認された肺炎患者を適格症例として、入院48時間以内にヒドロキシクロロキン600mg/日の投与を開始した患者(治療群)と、ヒドロキシクロロキンを投与せず標準治療を行った患者(対照群)に分け比較した。 主要評価項目は21日時点でのICU入室を伴わない生存率、副次評価項目は全生存期間、急性呼吸窮迫症候群(ARDS)を伴わない生存率、酸素投与からの離脱、自宅退院またはリハビリテーション施設への転院である(すべて21日時点)。解析は、逆確率重み付け法により交絡因子を調整した。ヒドロキシクロロキン治療群と対照群とで生存率に有意差なし 主要解析の対象集団は全体で181例、治療群が84例、対照群が89例であり、入院後48時間以降にヒドロキシクロロキンの投与を開始した8例も追加された。 主要評価項目である21日時のICU入室を伴わない生存率は、治療群76%、対照群75%であった(加重ハザード比[HR]:0.9、95%信頼区間[CI]:0.4~2.1)。また、21日時点の全生存率は治療群89%、対照群91%(加重HR:1.2、95%CI:0.4~3.3)、ARDSを伴わない生存率はそれぞれ69%、74%(加重HR:1.3、95%CI:0.7~2.6)、酸素投与から離脱した患者の割合は82%、76%(加重リスク比:1.1、95%CI:0.9~1.3)であった。 治療群の8例(10%)に、治療の中止を要する心電図異常が認められた。

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心血管疾患、発症率や死亡率に性差/Lancet

 心血管疾患の治療は、1次予防に関しては男性より女性で多く行われており、2次予防については反対の傾向がみられたものの、心血管疾患の既往の有無にかかわらず男性より女性のほうが、一貫してアウトカムは良好であることが観察された。カナダ・マックマスター大学のMarjan Walli-Attaei氏らが、27ヵ国の35~70歳、20万2,072人が参加した大規模前向きコホート研究「Prospective Urban Rural Epidemiological(PURE)研究」の解析結果を報告した。主に高所得国の研究では、男性と比較して女性は心血管疾患に対するケアをあまり受けておらず死亡リスクが高い可能性があることが報告されているが、リスク因子、1次あるいは2次予防の服薬、心血管疾患の発症、死亡を系統的に報告している研究はほとんどなかった。Lancet誌オンライン版2020年5月20日号掲載の報告。PURE研究の約20万人について解析 研究チームらは、アジア、アフリカ、欧州、南米、北米および中東の6地域27ヵ国(高所得国、中所得国および低所得国を含む)1,030地域の都市部および地方に在住の35~70歳の男女を対象に、社会人口統計学的特性、リスク因子、使用薬剤、心臓の検査と治療に関する情報を収集し解析した。 3期にわたって参加者が登録され(第1期17ヵ国15万7,705人、第2期4ヵ国1万785人、第3期4ヵ国9,321人および南米で進行中のコホート2万4,261人)、解析対象は2005年1月6日~2019年5月6日に登録された計20万2,072人となった。このうち、第1期および第2期に登録された16万8,490人について、心血管疾患の発症および死亡を追跡調査した。 20万2,072人のうち、女性は11万9,799人、男性は8万2,273人で、平均年齢(±SD)はそれぞれ50.8±9.9歳および51.7±10歳、追跡期間中央値は全体で9.5年(四分位範囲:8.5~10.9)であった。男女差は中低所得国で顕著 心血管疾患リスクは、2つの異なるリスクスコア(INTERHEARTおよびFramingham)を用いた場合でも、女性が男性より低かった。健康的な生活習慣や有効な薬物治療などの1次予防は、男性より女性で高頻度に行われていた。 心血管疾患の発症率(/1,000人年)は、女性4.1(95%信頼区間[CI]:4.0~4.2)、男性6.4(6.2~6.6)で(補正ハザード比[aHR]:0.75、95%CI:0.72~0.79)、全死亡率は女性4.5(95%CI:4.4~4.7)、男性7.4(7.2~7.7)であり(aHR:0.62、95%CI:0.60~0.65)、いずれも女性が低値であった。 2次予防治療、心臓検査、冠動脈血行再建は、各国すべてのグループの冠動脈疾患を有する参加者について、女性のほうが男性より頻度が低かった。女性は男性に比べて心血管疾患イベントの再発リスクが低く(再発率/1,000人年は女性20.0[95%CI:18.2~21.7]、男性27.7[25.6~29.8]、aHR:0.73[95%CI:0.64~0.83])、新規心血管疾患イベント後の30日死亡率も低かった(女性22% vs.男性28%、p<0.0001)。 治療とアウトカムにおける女性と男性の違いは、心血管疾患既往の有無にかかわらず、高所得国ではわずかであったが中低所得国では顕著であった。

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テーマ、デザインともに価値を見いだせない(解説:野間重孝氏)-1233

 この研究デザインについてはpre-studyとも言える論文(Qaderdan K, et al. Am Heart J. 2015;170:981-985.)で説明されていると言うのであるが、元論文に当たってみても著者らが言うような明確といえるほどの説明はなされていない。この種の評論を書くと意地悪ジイさん扱いされてしまいそうであることを覚悟して書き込ませていただくと、最近の論文は研究デザインとその意味付けといった最も重要な部分や統計処理などを○○参照とかappendix参照などで済ませているケースが目立つ。それでその○○なりappendixに当たってみると―予想通りというか―説明不足であったり、非常にわかりづらかったりするのである。また、appendixだけで70~80ページなどというものも珍しくない。多くの雑誌でページ数や構成に厳しい注文が出されることが原因の1つであるようだ。これは執筆者の皆さんというより雑誌編集者の皆さんへ苦言を呈したい。 上記はさておき、この論文で行われた研究内容自体は決して難解なものではなく、70歳以上の高齢者のNSTEMI患者を対象として、クロピドグレル投与群とチカグレロル/プラスグレル投与群に無作為に分け、1年間フォローしたというものである。 疑問点はなぜ上記のような分け方がなされたのかという点にあるのだが、この点について著者らは何も説明していない。クロピドグレル、プラスグレルはいずれもチクロピジンと同じチエノピリジン系に属する薬剤であり、P2Y12に不可逆的に結合することで血小板凝集を抑制する薬剤である。この系統の薬剤はいわゆるプロドラッグで、肝臓で代謝を受けることにより効果を発揮する。ここでクロピドグレルがCYP2C19の多形性に大きく影響されるのに対して、プラスグレルは小腸のカルボキシエステラーゼに続いて複数の肝臓の代謝酵素(CYP3A、CYP2B6、CYP2C9、CYP2C19)によって速やかに代謝され活性化するため、効果の個体差が小さいことに加え、効果発現までの時間が大幅に短縮されていることに大きな違いがある。しかしながら、両薬がいずれもチエノピリジン系に属する薬剤であることには変わりはない。 一方チカグレロルはcyclo pentyl triazolo pyrimidine(CPTP)系に分類される薬剤で、チエノピリジン系薬剤との大きな違いは自身が活性体であって代謝を受けることなく効果を発揮すること、P2Y12への結合が可逆的である点にある。このため効果の発現が速やかであるとともに、中止により比較的短期間で血小板機能が回復することが利点である。しかしこの有利な特徴の反面、1日2回投与が必要であること、出血合併症の頻度がやや高いこと、呼吸困難等の副作用が比較的高頻度で生じることが欠点とされ、実際わが国の標準プロトコールではDAPTにおいて「何らかの理由で他の抗血小板薬が使用できない場合」に限定されて使用許可がなされている(ただし欧州ではクロピドグレルより優先順位が高く設定されている)。 上記より疑問点は容易に浮かび上がると思う。なぜクロピドグレルvs.チカグレロル/プラスグレルというデザインがなされたのかという点である。本研究では結果としてプラスグレルがチカグレロル/プラスグレル群の5%にしか投与されなかったことで、偶然クロピドグレルvs.チカグレロルの図式が成立したかに見えるのであるが(5%といえども決して無視できない数字だという意見は当然ある)、これは当初からのデザインによるものではない。さらにチカグレロルに出血性合併症が多いことはすでにPLATO試験、PEGASUS試験で明らかにされていることであり、とくに目新しい結果ではない。呼吸困難が問題になることも、ある程度当初からわかっていたことだったといえる。さらに上記のようにプラスグレルの作用には個人差があり、これがかえって結果に対して有利に働いた可能性も指摘されなくてはならないのではないだろうか。 大変にぶしつけな書き方になってしまい申し訳ないが、評者はこの研究については研究テーマ、デザイン両観点から価値を見いだすことができない。

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第37回 味覚障害に対する亜鉛の有効性と必要用量は?【論文で探る服薬指導のエビデンス】

 味覚障害は実に多くの原因によって起こります。少し古いデータですが、「重篤副作用疾患別対応マニュアル 薬物性味覚障害」で紹介されている味覚障害の原因別頻度によると、薬物性味覚障害が最も多く(21.7%)、特発性(15.0%)、亜鉛欠乏性(14.5%)、心因性(10.7%)と続き、嗅覚障害、全身疾患性、口腔疾患、末梢神経障害、中枢性神経障害による味覚障害も報告されています1)。直近では、SARS-CoV-2感染による軽症COVID-19患者では味覚や嗅覚に異常を来すケースが64.4%あることが報告されているため、より不安を覚える患者さんもいるかもしれません2)。今回は、比較的頻度が高い亜鉛欠乏性味覚障害の治療に関する研究を紹介します。試験は多くありますが、コクランのシステマティックレビューがあるので、こちらを読めばまとめて概要がつかめます3)。ここでは、10試験(581例)が対象で、そのうち9試験(566例)を解析に含めています。このレビューでは、特発性か亜鉛欠乏、または慢性腎不全に起因する味覚障害に関する研究のみを対象として、9試験544例の味覚障害患者に対して、亜鉛サプリメントとプラセボで比較しています。2試験の参加者は平均年齢10歳と11.2歳の小児と青少年で、残りの7試験の参加者は成人です。システマティックレビューはアウトカムごとに評価しますが、いくつかアウトカムを取り上げましょう。1つ目にVAS質問紙を用いて味覚障害の改善を評価し、平均3ヵ月間の追跡調査期間中にVASスコアが5%以上改善したと定義した場合の2試験119例における味覚改善の患者報告アウトカムは、亜鉛群ではプラセボ群と比較して40%味覚改善が相対的に増えています。これは1,000人当たりにすると407人の改善が569人に増えたという結果です(リスク比:1.40、95%信頼区間[CI]:0.94~2.09)。ただし、ランダム化が不明瞭であったり、脱落があったりするなどエビデンスの質としてはとても低いとされています。2つ目に、特発性および亜鉛欠乏性味覚障害患者で、ろ紙ストリップ法とろ紙ディスク法で評価した味覚の改善度合いを平均3ヵ月間追跡調査した3試験366例の客観的アウトカムでは、標準化平均差(SMD):0.44、95%CI:0.23~0.65です。ただし、出版バイアス、選択バイアスおよび信頼区間が広く不精確であることから、エビデンス総体の質はとても低いとされています。なお、ろ紙ディスク法は、舌の測定部位に甘味、塩味、酸味、苦味の4つの味の溶液を浸した小さなろ紙を置き、感じた味を答えてもらうという比較的一般的に行われている試験です。実臨床では亜鉛の用量も気になるところですので、2つ目のアウトカムで引用されているわが国のSakagamiの論文を見てみましょう4)。こちらは、亜鉛含有製剤であるポラプレジンクの多施設無作為化プラセボ対照二重盲検試験です。血清亜鉛値が低い患者を含む特発性味覚障害患者の治療における亜鉛含有化合物の有効性と安全性を評価するため、味覚障害患者109例をプラセボ群と亜鉛用量の異なる3つの治療群に割り付けています。各群の患者は、プラセボ(28例)、ポラプレジンク製剤17mg(27例)、同34mg(26例)、同68mg(28例)のいずれかを12週間毎日服用しました。亜鉛の1日の平均摂取推奨量は成人男性で11mg、成人女性で8mgですので5)、亜鉛摂取量はいずれもそれを大きく上回る量です。主観的な症状のスコアは、34mg群と68mg群でプラセボ群よりも改善しました。ポラプレジンクの適応症は胃潰瘍ですが、添付文書にはフリーラジカルに対する作用や創傷治癒促進作用の記載もあり、味覚障害、嗅覚障害、皮膚障害のほか、顆粒はがん治療に伴う口内炎にうがい薬として使われることもあるので併せて押さえておくとよいでしょう6)。効果の程度や検査方法など背景を知ったうえで、患者さんに安心してもらえる説明をするための参考になれば幸いです。1)「重篤副作用疾患別対応マニュアル 薬物性味覚障害」, 厚生労働省.2)Spinato G, et al. JAMA. 2020 Apr 22. [Epub ahead of print]3)Kumbargere Nagraj S, et al. Cochrane Database Syst Rev. 2017;12:CD010470.4)Sakagami M, et al. Acta Otolaryngol. 2009;129:1115-1120.5)厚生労働省『「統合医療」に係る情報発信等推進事業』6)小林敦. 日口診誌. 2016;29:8~12.

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1分間英語スピーチ【Dr. 中島の 新・徒然草】(325)

三百二十五の段 1分間英語スピーチネットで見たある有名人。毎日テーマを決めて、英語で1分間スピーチの練習をしているのだとか。たいしたもんだ、と感心した私は、自分でもやってみることにしました。英検でもそのような形式のスピーキング試験があるそうだし。中島「1分間英語スピーチをするから、何かテーマを出してくれ」女房「そんなんできへん」中島「そう言わずに、何か出してくれよ」女房「ええー!」いきなりテーマを出してくれ、と言われても、普通は困りますよね。女房「パン屋」中島「はあ、パン屋ってか?」女房「……」中島「地球温暖化とか死刑制度の是非とか、そういうのではないわけ?」女房「……」中島「パン屋って、それショボ過ぎるがな」女房「大事じゃん、パン屋って」中島「そこまで言うんやったら、ひとつパン屋で頑張ってみよか」と、頑張ったのですが、何も出てきません。パン屋について英語で1分間語れと言われても、厳し過ぎる!日本語でも難しい。皆さんもやってみてください。その日も次の日も色々考えてみました。で、ようやく考えた1分間スピーチ。故郷の神戸は、パン屋とケーキ屋だらけ転校生に指摘されるまで気付かなかった港町の風習なのか、日本でありながら毎日の朝食はパンだったなるほど大阪に来たら、パン屋は少ない幸い、今住んでいる近所にはパン屋が幾つかあるベストは何とかいうフランス語の難しい名前覚えられないので我々は「親父パン」と呼んでいる親父の作るパン・ド・ミーが最高でも、イギリスパンは他店のほうがうまいというわけで幸せなパン屋ライフを送っている確かにパン屋は生活のインフラだと思うこれを英語に直してみると……In my hometown of Kobe, there are many bakeries and cake shops. I didn't notice this until it was pointed out by a transfer student. Perhaps it was a custom of the port town, that everyday breakfast would be bread, even in Japan. Indeed, there are fewer shops in Osaka. Fortunately, I found several bakeries in my neighborhood. The best shop has a complicated French name to pronounce. My wife and I call it "Dad's Bread" because we can't remember the exact name. The pain de mie from that shop is my favorite. However, white bread is better at other stores. Thanks to Dad's Bread, I can enjoy eating delicious bread. I think bakeries are essential to our way of life.こんな感じかな、正しいかは知らんけど。これを読み上げてみると56秒です。ちょうど良い長さですね。というわけで、1分間英語スピーチ作成。これからもやれる範囲でやってみようと思います。最後に1句パン屋でも スピーチネタに なったぞな

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第8回 新型コロナ予防・治療・メンタルヘルスへの活用が期待される漢方薬の可能性

新型コロナウイルス感染症(COVID-19)に対する既存薬の活用が期待される一方、新型コロナの感染予防・軽傷者の重症化予防やメンタルヘルスに対する漢方薬の活用が注目されている。日本東洋医学会では、漢方薬などによる対症療法とその後の重症化の有無との関連を調べるため、医療機関に症例の報告を呼び掛けている1)。また、薬局・薬店からなる日本中医薬研究会は新型コロナ治療の予防・治療に対し、中国漢方である中医薬(中国伝統医薬)の有効性を探るため、日中の医師や薬剤師らによるウェブ交流会を4月に行った。振り返ると、2009年の新型インフルエンザ流行時には、麻黄湯や銀翹散、小柴胡湯などの漢方薬に抗ウイルス作用が確認されている。タミフルやリレンザといった抗インフルエンザ治療薬に麻黄湯などの漢方薬を合わせて使うと一定の効果が見られたという。COVID-19に関連し、中国は3月、顕著な治療効果が見られたという「三薬三方(三つの処方と薬)」を選出し、清肺排毒湯、化湿敗毒方、宣肺敗毒方という3つの中医薬を推奨している。このうち、COVID-19用に創薬され、軽症から重症までカバーするという清肺排毒湯には麻黄湯と小柴胡湯が構成生薬の一部として使われている。新型コロナの感染確認者の91.5%が中医薬を使い、臨床治療の効果観察では、中医薬の総有効率は90%超に上っているという。日本国内においても、清肺排毒湯を日本で処方可能なエキス剤で作り、軽症者の重症者化予防に処方している医療機関がある。無症状者を含めた予防には、免疫力を高める効果が報告されている補中益気湯や十全大補湯などがある。メンタルヘルスに関しては、新型コロナによる自粛生活で、高齢者を中心に運動不足による持病悪化や、ストレスや経済的不安によるうつ病症状を訴える人が増えている。また、経済の悪化に伴う失業者の増加により、累計自殺者数が27万人増との試算もある。「コロナうつ」への対応も重要な課題だが、精神科や心療内科の受診をためらう人は少なからずいる。それに比べると、漢方薬はハードルがいくぶん低くなるようだ。ストレス緩和効果が得られる漢方薬には、加味逍遙散や柴胡加竜骨牡蛎湯、酸棗仁湯などがある。ただ、漢方薬は西洋薬の処方のようにはいかないのはご存じの通り。漢方薬は病名ではなく、患者個々人の体質と症状に対する処方が原則だ。漢方薬においても、現段階でCOVID-19への特効薬がない以上、予防段階では体力を付けて免疫力を上げる、感染したら発熱しないようにする、発熱したら早く治るようにするというように、段階によって使う漢方薬が異なり、患者ごとに症状を見ながら処方を判断しなければならない。ただ、新型コロナウイルスは変異の速いRNAウイルスの一種で、現在効いている新薬がいつ効かなくなるかわからない懸念がある。漢方薬を扱っている医療従事者は「免疫力の強化を本来重視する漢方薬は、変異に対してもある程度有効なのでは」と期待している。1)COVID-19一般治療に関する観察研究ご協力のお願い(日本東洋医学会)

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落ち着き始めたドイツの街の今【空手家心臓外科医、ドイツ武者修行の旅】第10回

規制解除が進むドイツ。街はすっかり浮かれ気分へ…コロナパンデミックも落ち着きを見せ始めているドイツでは、段階的な規制解除が進んでいます。気温もグッと上がって、北ドイツにもようやく遅い春がやってきました。そのせいか、日の時間もかなり長くなって、街に人が溢れてきました。私が住んでいるグライフスヴァルトはさほど人口が多い街ではないのですが、ソーシャルディスタンスを確保するのが難しいくらいの人出が見られます。今のところ、商店に入るときはマスク着用が義務付けられていますが、散歩をするぶんには必ずしも必要ではありません。週末には街の広場で「商店内でのマスク着用の義務」に反対するデモが行われていました。う~ん、だいぶ気が緩んじゃっていますね…。ま、しょうがないんでしょうけど。メックレンブルグフォアポメン州〜ドイツで最も田舎の州このコロナパンデミックの中、私の住むメックレンブルグフォアポメン州(メックポムの愛称で呼ばれています)での患者数はドイツ国内でもダントツで少なかったです。理由は簡単で、ド田舎だからです。人の動きはもともとあまりなく、特に冬場は外部から人が訪れることはほとんどない地区です。簡単に外部との交通を遮断できたわけです。ところが避暑地として有名なメックポムでは、夏になるとドイツ各地方からたくさんの人が訪れます。あまり知られていませんが、メックポムにはシュヴェリーン城と呼ばれるすごく綺麗なお城があります。このお城、本当にきれいです。写真では写ってないですが、城下町もかなり栄えています。ただ…旧東ドイツだったせいか、知名度がいまいち低い。「北のノイシュヴァンシュタイン城」と呼ばれることがありますが、地元の人はあまりよく思っていないようです。「いや、あっちが『南のシュヴェリーン城』だろ」って!ちなみにノイシュヴァンシュタイン城は、このブログのタイトルにも写ってるあれです。向こうはドイツの象徴とも言えるべきポピュラーなお城ですが…。城マニアの人の間ではシュベリーン城の評価の方が高いとの噂も聞きます。お城はハンブルクから東に車で1時間のところにあります。シュヴェリーン城、本当にお勧めなんですけどね~。もっと有名になって欲しいな~。学会などでハンブルクに来る際は、是非シュヴェリーン城まで足を伸ばしてみてください。

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東京都在住高齢者の認知症の特徴

 認知症の早期診断を促進するために、一連の政策が実施されているものの、多くの高齢者において認知症は見逃されている可能性がある。東京都健康長寿医療センター研究所の宇良 千秋氏らは、東京都内に在住の高齢者を対象に、未検出の認知症の特徴について調査を行った。Geriatrics & Gerontology International誌オンライン版2020年4月15日号の報告。 本研究では、3段階の調査を実施した。第1段階として、東京都内某所に在住する70歳以上の高齢者7,614人に対しアンケートを郵送し、5,430人分を回収した。第2段階として、2,020人にミニメンタルステート検査(MMSE)を含む対面調査を実施した。第3段階として、MMSEスコア24未満の高齢者335人中198人を往診した。認知症診断、臨床的な認知症の評価および社会的支援の必要性は、学術チームにより自宅で評価した。心理学的、社会学的、社会人口統計学的変数の評価も行った。 主な結果は以下のとおり。・198人中78人(39.4%)の高齢者が認知症であると評価された。・34人は過去に認知症と診断されていた。つまり、198人の高齢者のうち、未検出の認知症患者の割合は、56.4%であった。・認知症と診断されていない認知症の人たちには、とくに認知症診断、健康状態に関するメディカルチェック、継続的な医療と住宅支援の分野において、より複雑な社会的支援の必要性が認められた。・さらに、フレイル(要介護状態の予備群)の兆候が認められた。 著者らは「認知症と診断されていない認知症の高齢者は、住居を失う、または身体的健康を損なうリスクがあり、このことは人権に対する脅威となりうる」としている。

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チラブルチニブを中枢神経系原発リンパ腫の効能又は効果で発売/小野薬品

 小野薬品工業は、2020年5月25日、ブルトン型チロシンキナーゼ(BTK)阻害薬チラブルチニブ(商品名:ベレキシブル)について、「再発又は難治性の中枢神経系原発リンパ腫」の効能又は効果で国内発売した。チラブルチニブは再発又は難治性のPCNSLの治療薬で初めて承認されたBTK阻害薬 中枢神経系原発リンパ腫(PCNSL)は、初発時に病変が脳脊髄(眼を含む)に局在する悪性リンパ腫。PCNSL患者が呈する徴候および症状は病変部位により異なり、局所神経障害、神経精神症状、頭蓋内圧上昇に関連する症状、発作、眼症状、頭痛、運動困難、脳ニューロパチー、神経根障害などがある。現在、未治療 PCNSL 患者には高用量メトトレキサート療法を基盤とする薬物療法およびその後の全脳放射線療法が行われており、一部の患者集団で長期寛解するものの、多くの患者は再発に至る。また、既存の薬物療法が奏効しない難治性患者も存在する。再発又は難治性の PCNSL患者に対しては標準治療が確立されておらず、治療選択肢は限定的であり、新たな治療薬が望まれている。  チラブルチニブは、標準治療が確立していない再発又は難治性のPCNSL患者の治療薬として、世界で初めて承認されたBTK阻害薬となる。 製品概要 製品名:ベレキシブル錠 80mg 一般名:チラブルチニブ塩酸塩 効能又は効果:再発又は難治性の中枢神経系原発リンパ腫 用法及び用量:通常、成人にはチラブルチニブとして1日1回 480mgを空腹時に経口投与する。なお、患者の状態により適宜減量する。 薬価:5,067.40円/錠 製造販売:小野薬品工業株式会社

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FDA、ALK陽性NSCLCの1次治療としてbrigatinib承認

 米国食品医薬品局(FDA)は、2020年5月23日、ALK陽性転移性非小細胞肺がん(NSCLC)患者の1次治療にALK阻害薬brigatinibを承認した。 この承認は、未治療のALK陽性の局所進行または転移のあるNSCLC患者におけるbrigatinibとクリゾチニブの有効性と安全性を比較した第III相ALTA-1L臨床試験の結果に基づくもの。 brigatinibの客観的奏効率(ORR)は74%、クリゾチニブでは62%であった。べースラインで測定可能な脳転移のある患者のORRは78%、クリゾチニブでは26%であった。無病生存率(PFS)中央値は、brigatinib24ヵ月、クリゾチニブ11ヵ月、ハザード比は0.49であった。 brigatinibの一般的な有害事象(AE)は、下痢(53%)、発疹(40%)、咳(35%)、高血圧(32%)、疲労(32%)、悪心(30%)、筋肉痛(28%)、呼吸困難(25%)、腹痛(24%)、頭痛(22%)など。重篤なAEは、肺炎(4.4%)、間質性肺疾患(3.7%)、発熱(2.9%)、呼吸困難(2.2%)、肺塞栓症(2.2%)、無力症(2.2%)であった。

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COVID-19に伴う乳がん診療トリアージについて/日本乳学会

 日本乳学会は5月25日、COVID-19に伴う乳がん診療トリアージについて指針を公開した。欧米の診療トリアージを参考に、日本における現在の診療に即した形となるようまとめたもの。外来診療、画像診断、外科療法、放射線療法、薬物療法それぞれについて、緊急度を高優先度/中優先度/低優先度の3つに分けて指針を示している。本稿では、外科療法、放射線療法、薬物療法について抜粋して下記紹介する。【外科療法】A)高優先度(できるかぎり通常通りの迅速な対応を要する)1)膿瘍の切開排膿2)術後合併症に対するサルベージ手術(血腫除去術や血流不全の皮弁に対する処置など)3)自家再建組織の血行再建術・修復術4)急速に増大する葉状腫瘍B)中優先度(治療の遅延が後に生存に影響を与える可能性がある)1)StageI・IIホルモン受容体陽性症例*に対しては、術前内分泌療法を施行して手術を延期することは可能である。*ルミナルAタイプや小葉がんの症例に対する6~12ヵ月の術前内分泌療法は、安全性および有効性が示されている。2)術前化学療法中の症例の方針変更T2またはN1のホルモン受容体陽性HER2陰性症例:状況によっては術前内分泌療法へ変更できる。トリプルネガティブまたはHER2陽性症例:施設環境などの状況によるが、易感染性の症例は手術に切り替えてもよい。3)局所再発の腫瘤切除術4)再建を伴う手術は、人工物再建として自家組織再建は極力行わない。C)低優先度(緊急性はなくパンデミックの期間中は延期することができる)1)良性疾患2)予防的切除3)非浸潤がんが確実な症例4)追加切除術5)術前内分泌療法が奏効している症例**中優先度の外科治療の項参照【放射線療法】A)高優先度1)他に有効な手段がない出血を伴う腫瘍2)術後照射中および再発巣に対する治療中の症例3)脊髄圧迫や脳転移、その他致命的な転移性病変を有する症例B)中優先度1)高リスク症例に対する照射炎症性乳がん、リンパ節転移陽性およびトリプルネガティブ乳がん、術前化学療法後に残存病変がある症例、若年(40歳未満)などの高リスク症例は、手術・化学療法終了後から20週以内に照射を行う。2)低〜中間リスク症例に対する照射65歳未満のStage I、Stage IIのホルモン受容体陽性乳がんなど低〜中間リスク症例は、手術・化学療法終了後から6ヵ月以内に照射を行う。また来院回数を減らすために寡分割照射も考慮する。C)低優先度1)65~70歳以上のホルモン受容体陽性/HER2陰性のStage I症例では、術後内分泌療法が行われている場合、生存率に影響を与えずに放射線照射を延期または省略できる。2)非浸潤がん症例では、術後内分泌療法を行われている場合、放射線照射は生存率に影響を与えないので省略できる。【薬物療法】A)高優先度1)トリプルネガティブまたはHER2陽性症例に対する術前・術後化学療法2)すでに開始されている術前・術後治療*の継続3)予後改善が見込まれる転移再発乳がんの初期化学療法[考慮すべき事項]・術前・術後治療*でも内分泌療法中の高齢者や、5年以上経過している症例などでは一時的な休薬も考慮する。・来院回数を減らすため、用量用法または投与間隔を調整する。・発熱性好中球減少症を避けるため、PEG-GCSF製剤は積極的に投与する。・免疫機能を考慮してデキサメタゾンの使用は適切な範囲で制限する。・トラスツズマブ・ペルツズマブやフルベストラントは免疫機能に影響を与えない。・LHRHアゴニストは長期製剤を使用する。B)中優先度1)緩和的化学療法[考慮すべき事項]・術後トラスツヅマブ治療中の症例では、12ヵ月間から7ヵ月間に短縮することは可能である。・転移再発例に対する抗HER2療法は、投与間隔の延長は可能である。・HER2陽性転移再発症例で、抗HER2療法が2年以上奏効している症例では、進展がなければ抗HER2療法の休止を考慮してもよい。・内分泌療法単独で治療可能な症例や奏効している症例に対しては、CDK4/6阻害薬や mTOR阻害薬の追加を延期する。C)低優先度1)骨転移に対する骨吸収抑制薬2)ポートフラッシュ

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降圧による認知症・認知機能障害の予防的効果/JAMA

 降圧薬を服用し血圧を下げることと、認知症や認知機能障害の発生リスクの有意な低下が関連していることが明らかにされた。アイルランド・Galway国立大学・Saolta大学病院グループのDiarmaid Hughes氏らが、無作為化比較試験14件・被験者総数9万6,158例を対象にしたシステマティック・レビューとメタ解析の結果で、JAMA誌2020年5月19日号で発表した。これまで、認知症や認知機能障害に対する降圧の予防的効果は不明であった。システマティック・レビューとメタ解析で認知症・認知機能障害のリスクを検証 研究グループは、PubMed、EMBASE、CENTRALにおいて、血圧低下と認知機能アウトカムの関連を検証した2019年12月31日までに発表された無作為化比較試験を検索し、システマティック・レビューとメタ解析を行った。 対象とした試験では、対照群に対してはプラセボや別の降圧薬を投与、またはより高い血圧目標値を設定されていた。研究者2人がそれぞれデータを検証して抽出。ランダム効果メタ解析モデルを用いて、統合治療効果と信頼区間(CI)を算出し評価した。 主要アウトカムは、認知症または認知機能障害とし、副次アウトカムは、認知機能低下、認知試験スコアの変化とした。14試験9万6,158例を包含、追跡期間は平均4.1年 適格条件を満たした無作為化比較試験は14件で、被験者総数は9万6,158例だった。被験者の平均年令は69(SD 5.4)歳、また女性は42.2%(4万617例)、平均収縮期血圧値は154(SD 14.9)mmHg、平均拡張期血圧値は83.3(SD 9.9)mmHgであり、平均追跡期間は49.2ヵ月だった。 14試験のうち、認知症発生率または認知症・認知機能障害発生率を報告した12試験(被験者総数9万2,135例、追跡期間平均4.1年)を包含し、主要アウトカムに関するメタ解析を行った。副次的アウトカムの認知機能低下を報告した試験は8件、認知試験スコアの変化も8件が報告されていてそれぞれ解析を行った。 認知症や認知機能障害の発生リスクは、対照群7.5%に対し、降圧群は7.0%と有意なリスク低下が認められた(オッズ比[OR]:0.93[95%CI:0.88~0.98]、絶対リスク低下:0.39%[95%CI:0.09~0.68]、I2=0.0%)。 認知機能低下発生率について報告した8試験(追跡期間平均4.1年)の解析では、対照群21.1%に対し、降圧群は20.2%と有意なリスク低下が認められた(OR:0.93[95%CI:0.88~0.99]、絶対リスク低下:0.71%[95%CI:0.19~1.2]、I2=36.1%)。 なお降圧と認知試験スコアの変化には、有意な関連は認められなかった。

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COVID-19、NY重症患者の死亡リスク増加因子が明らかに/Lancet

 検査で新型コロナウイルス感染症(COVID-19)が確認され、米国・ニューヨーク市内2ヵ所の病院に入院した重症患者257例について前向きコホート試験を行った結果、高年齢、慢性肺疾患、慢性心臓病などが入院死亡リスク増加の独立リスク因子であることが確認された。米国・コロンビア大学アービング医療センターのMatthew J. Cummings氏らが行った試験の結果で、年齢の因子では10歳増加ごとに死亡リスクは1.31倍に、慢性肺疾患は死亡リスクを2.94倍に増加することが示されたという。また、侵襲的機械換気の実施率は重症患者の79%に上っていた。2020年4月28日現在、ニューヨーク市におけるCOVID-19入院患者は4万人を超えている。現況下でのCOVID-19患者の疫学、臨床経過、および重症転帰のデータの必要性から本検討は行われた。Lancet誌オンライン版2020年5月19日号掲載の報告。臨床的リスク因子やバイオマーカーと、院内死亡率の関連を検証 研究グループは2020年3月2日~4月1日に、検査でCOVID-19が確認され、2ヵ所のニューヨーク・プレスビテリアン病院(マンハッタン区北部、コロンビア大学アービング医療センターの関連病院)に入院し、急性低酸素呼吸不全が認められた18歳以上の重症患者を対象に前向き観察試験を行った。被験者について、臨床情報やバイオマーカー、治療データを集め、死亡リスクとの関連を分析した。 主要アウトカムは、入院死亡率だった。副次アウトカムは、侵襲的機械換気の実施率と期間、昇圧薬の使用や腎代替療法の頻度、入院後の院内臨床的増悪までの期間などだった。 Cox比例ハザード回帰モデルを用いて、臨床的リスク因子やバイオマーカーと、院内死亡率との関連を検証した。追跡期間は全被験者28日以上で、4月28日で追跡を打ち切った。慢性心臓病で死亡リスク1.76倍、高IL-6・高D-dimer値もリスク因子 試験対象期間中に、COVID-19が確認され2ヵ所の病院に入院した成人は1,150例で、うち重症患者は257例(22%)だった。被験者の年齢中央値は62歳(IQR:51~72)で、うち男性は67%(171例)だった。重症患者のうち82%(212例)に1つ以上の慢性疾患があり、最も多くみられたのは高血圧症(63%、162例)、次いで糖尿病(36%、92例)だった。また、46%(119例)が肥満だった。 4月28日時点で、死亡は39%(101例)、入院継続は37%(94例)だった。侵襲的機械換気を実施したのは79%(203例)で、その期間中央値は18日(IQR:9~28)、昇圧薬を使用したのは66%(170例)、腎代替療法の実施は31%(79例)だった。入院後の院内臨床的増悪までの期間中央値は、3日(IQR:1~6)だった。 多変量Coxモデル解析の結果、入院死亡に関連した独立リスク因子は、高年齢(10歳増加ごとの補正後ハザード比[HR]:1.31、95%信頼区間[CI]:1.09~1.57)、慢性心臓病(補正後HR:1.76、95%CI:1.08~2.86)、慢性肺疾患(同:2.94、1.48~5.84)、高IL-6値(十分位増加ごとの補正後HR:1.11、95%CI:1.02~1.20)、高D-dimer値(同:1.10、1.01~1.19)だった。

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