1日の歩数が多いほど、死亡リスクは低下/JAMA

提供元:ケアネット

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公開日:2020/04/02

 

 1日に歩く歩数が多いほど全死因死亡リスクは低下することが、米国・国立衛生研究所(NIH)のPedro F. Saint-Maurice氏らによる、同国サンプル成人をベースとした検討で示された。一方で、1日の総歩数で調整後の、歩行強度と死亡とには有意な関連はみられなかったという。JAMA誌2020年3月24日号掲載の報告。

加速度計装着評価を受けた4,840例を対象に、歩数、歩行強度と死亡の関連を評価

 研究グループは、歩行数と歩行強度および死亡との用量依存の関連を調べるため、全米健康栄養調査(National Health and Nutrition Examination Survey)の被験者で、2003~06年に最長7日間加速度計による装着測定評価を受けた4,840例を対象に試験を行った。

 加速度計測定による1日の歩数、歩行強度を調べ、全死因死亡リスクの関連を検証した(死亡については2015年12月まで追跡)。歩行強度(歩調[歩/分])の評価は3要素(歩調の延長[60歩/分で2分以上など]、30分間最大値[peak30]、1分間最大値[peak1])を用いた。加速度計測定データは、ベースラインの7日間で入手できたものをベースとした。

 主要アウトカムは、全死因死亡だった。副次アウトカムは、心血管疾患(CVD)死とがん死だった。ハザード比(HR)、死亡率、および95%信頼区間(CI)は、年齢、性別、人種/民族、教育レベル、食事状況、喫煙状態、BMI、自己申告の健康状態、運動能の制限、病歴(糖尿病、脳卒中、心疾患、心不全、がん、慢性気管支炎、肺気腫)で補正し、3次スプラインと四分位分類を用いて推算した。

歩行強度と死亡の関連はみられず

 被験者は総計4,840例(平均年齢56.8歳、女性は2,435例[54%]、肥満者1,732例[36%])で、加速度計の装着期間は平均5.7日、1日平均14.4時間で、1日平均歩数は9,124歩だった。平均追跡期間10.1年中の死亡は1,165例で、うちCVDが406例、がんは283例だった。

 補正前全死因死亡率は、1日の歩数が4,000歩未満の群(655例、うち死亡419例)で76.7/1,000人年、同4,000~7,999歩群(1,727例、488例)で21.4/1,000人年、同8,000~1万1,999歩群(1,539例、176例)で6.9/1,000人年、同1万2,000歩以上群(919例、82例)で4.8/1,000人年だった。4,000歩/日群と比べて、8,000歩/日群(HR:0.49、95%CI:0.44~0.55)、1万2,000歩以上群(0.35、0.28~0.45)は、全死因死亡リスクが有意に低かった。

 一方で、peak30別にみた補整前全死因死亡率は、18.5~56.0歩/分群(1,080例、うち死亡406例)で32.9/1,000人年、56.1~69.2歩/分群(1,153例、207例)で12.6/1,000人年、69.3~82.8歩/分群(1,074例、124例)で6.8/1,000人年、82.9~149.5歩/分群(1,037例、108例)で5.3/1,000人年だった。総歩行数/日で補正後、歩行強度が増大しても死亡の低下はみられなかった(peak30の最高vs.最低四分位範囲の死亡HR:0.90、95%CI:0.65~1.27、傾向のp=0.34)。

(医療ジャーナリスト 當麻 あづさ)