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CABANA試験におけるカテーテルアブレーション/薬物療法のAF再発の割合【Dr.河田pick up】

 CABANA試験は、心房細動(AF)に対しカテーテルアブレーション(CA)治療もしくは薬物療法のQOL改善効果を比較する非盲検無作為化試験であり、2009年11月~2016年4月に10ヵ国126施設で2,204例の患者が登録された。Intention to treat分析では、非有意だったものの、CAが主要評価項目である死亡、後遺障害を伴う脳卒中、重大な出血、心停止などを14%減らすことが示された。今回、米国・ワシントン大学のJeanne Poole氏ら研究グループにより、CABANA試験のサブ解析ともいえる論文が発表された。この研究の目的はCABANA試験におけるAFの再発を評価することである。JACC誌2020年6月30日号に掲載。CABANAモニターを用いて、症候性/無症候性AFを検知 試験に参加した患者は、CA群もしくは薬物療法群にランダマイズ化し、専用のCABANAモニターでフォローされた。このモニター心電図は、患者自身が症状に応じて簡易心電図を記録でき、また24時間のAF自動検知も可能である。AFの再発は、90日間のブランキング(再発の評価に含めない期間)後、30秒以上続く心房頻拍と定義された。1日におけるAFの割合の評価には、6ヵ月ごとのホルター心電図が用いられた。  CABANAモニターを使用し、90日間のブランキング後に心電図記録を提出した患者は1,240例で、登録患者の56%に相当した。治療効果の比較は、修正intention-to-treatを用いて行われた。AFの割合はCA群で有意に減少 1,240例の年齢の平均中央値は68歳で、34.4%は女性であった。43.0%の患者が発作性AFを有していた。 60ヵ月のフォローアップ期間中、症状の有無にかかわらず、すべてのAF(ハザード比[HR]:0.52、95%信頼区間[CI]:0.45~0.60、p<0.001)および症候性AF(HR:0.49、95%CI:0.39~0.61、p<0.001)は、CA群で有意に減少していた。 また、試験開始前のホルター心電図におけるAFの割合は48%で、試験開始後12ヵ月の時点では、CA群6.3%、薬物療法群14.4%であった。5年間のフォローアップ期間におけるAFの割合は、CA群では、すべてのAF(有症候性/無症候性を含む)の再発を48%減少させ、症状を伴うAFを51%減少させた。さらに、AFの頻度は試験開始前のAFの種類に関わらず、有意に減少した。◆◇◆◇◆ 個人的には、CA後のAF再発率と頻度を評価したこの論文は、JAMAに掲載されたCABANAスタディと同じぐらい重要だと考えます。5年間で症候性/無症候性を含めたAFの再発はCA群で52.1%でした(薬物療法群は70.8%)。正確な数値はわかりませんが、症候性AFに限って見れば、再発率は20%近くまで減っています。これらの数字は、実臨床での印象と大きな相違はありません。結局、CAのスタディの結果は、AFの定義(この研究では30秒以上を心房頻拍と定義)やモニターの実施方法に大きく依存します。また、無症候AFがいかに多く、モニターを長時間、高頻度に行えば行うほど、CAの成績は悪くなるのは明らかです。そうした観点から、CA後においても、症状ではなく、リスク(CHADS2VASC2スコアなど)に応じて抗凝固剤を続けるということは理に適っていると思われます。 CAのスタディでは、心房性頻拍の再発率にのみ着目する傾向があります。今回の論文含めたCABANA試験の結果(約50%の再発率)を見て、CAを行わない循環器内科医や内科医は、その効果を疑問視するかもしれません。CAを行う不整脈医はCAによるAFの根治を目指してはいますが、現状における第一の目的は症状の改善もしくはQOLの改善です。だからこそ、CAを実施するケースの多くはAFによる症状、もしくはQOL低下に苦しんでいる患者さんであり、適切な症例の選択が必要です。薬物療法と比較してもCAは症状の強い患者にとっては非常に有効な治療法だと考えられます。逆に、症状のない高齢者などはCAの対象ではないと考えられます。 一方で、CA後の10年を超えた長期成績は不明な点もあります。無症候でも若年、心不全、薬物療法が使えない患者に対しては、CAによりQOLや予後を改善できる可能性があるため、AFの根治を目指したCAを行うことも妥当だと考えられます。この研究からもAFに対するCAの症例選択は、個々の症状や年齢に応じた十分な検討が必要だということが言えると思います。(Oregon Heart and Vascular Institute  河田 宏)■関連コンテンツ循環器内科 米国臨床留学記

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EGFR陽性肺がんに対する抗HER3ADC「U3-1402」とオシメルチニブ併用、臨床試験実施へ/第一三共

 第一三共は、2020年8月7日、U3-1402(HER3に対する抗体薬物複合体)とEGFR‐TKIオシメルチニブ(商品名:タグリッソ)との併用療法を評価する臨床試験の実施に関する契約をアストラゼネカと締結したと発表。 本契約に基づき、同社は、EGFR遺伝子変異を有する進行および転移を有する非小細胞肺がん患者を対象とした、両剤併用のグローバル第I相臨床試験を実施する。 本試験は2つのパートからなり、パート1(用量漸増パート)では、同剤とオシメルチニブの異なる投与量の組み合わせによる安全性と忍容性を評価し、推奨用量を決定する。パート2(用量展開パート)では、両剤併用の推奨用量での有効性と安全性を評価する。 用量漸増パートの主要評価項目は安全性と忍容性で、用量展開パートの主要評価項目は客観的奏効率など。北米、欧州、日本を含むアジアにおいて最大258名の患者を登録する予定。

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COVID-19に有効な薬剤は?RCT23報のメタ解析/BMJ

 新型コロナウイルス感染症(COVID-19)患者への薬物治療の有効性について比較検討したところ、グルココルチコイド投与は標準治療と比べて、死亡率および人工呼吸器リスクを減少する可能性が示されたという。カナダ・マックマスター大学のReed A. C. Siemieniuk氏らが、米国疾病予防管理センター(CDC)のCOVID-19試験結果データベースを基に、システマティック・レビューとネットワークメタ解析を行い明らかにした。なお、有症状期間を短縮する可能性がある薬物治療として、ヒドロキシクロロキン、レムデシビル、ロピナビル・リトナビルが挙げられたが、著者は、「ほとんどの試験が小規模でエビデンスの質は低く、治療薬の有効性については確定できないままだ」と述べている。BMJ誌2020年7月30日号掲載の報告。7月20日時点でのシステマティック・レビュー 研究グループは2020年7月20日時点で、電子データベース25件と中国のデータベース6件を含む、CDCのCOVID-19試験結果データベースを基に、システマティック・レビューとネットワークメタ解析を行った。COVID-19の疑いや可能性が高い患者、また確定診断を受けた患者を対象に、薬物治療と標準治療、またはプラセボ投与を比べた無作為化比較試験を抽出した。 2人組のレビュアーによってデータが抽出。重複データを削除後、ベイズ変量効果ネットワークメタ解析を行った。各試験のバイアスリスクは改訂版コクラン・バイアスリスク2.0ツールを用い、エビデンスの質(確実性)は、GRADEシステムでそれぞれ評価した。グルココルチコイドは標準治療と比べて死亡を37/1,000人減 2020年6月26日までに行われた23件の無作為化比較試験を包含しメタ解析が行われた。試験が盲検化されていないというバイアスリスクのために、ほとんどの治療薬の比較に関するエビデンスの確実性は非常に低かった。 その中で唯一、グルココルチコイドによる治療は標準治療に比べ、死亡および人工呼吸器リスクを減少することに関してエビデンスが得られた。死亡リスクの群間差は37/1,000人(95%信頼区間[CI]:63~11/1,000人)、人工呼吸器リスクは同31/1,000人(47~9/1,000人)だった(いずれも中等度の確実性)。これらの予測値は、直接的エビデンスに基づくもので、ネットワーク・エビデンスでは異質性により同予測値の正確性は低下した。 また、有症状期間を短縮する可能性があった治療薬(標準治療との比較において)は、ヒドロキシクロロキン(平均群間差:-4.5日、低度の確実性)、レムデシビル(-2.6日、中等度の確実性)、ロピナビル・リトナビル(-1.2日、低度の確実性)だった。 ヒドロキシクロロキンはその他の薬物治療と比べ、有害事象のリスクを増大する可能性が示された。レムデシビルは、おそらく投与を中断するに至る有害事象リスクは、実質的に増大しないと考えられることが示された。その他については、投与の中断に結びつく有害事象について解釈するだけの十分な患者が試験に組み込まれていなかった。

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多発性硬化症、オファツムマブが有意に再発抑制/NEJM

 多発性硬化症に対し、オファツムマブ(本邦では慢性リンパ性白血病の適応で承認)はteriflunomideに比べ、年間再発率を有意に低下することが示された。3ヵ月、6ヵ月時点の障害の悪化リスクも3割強低く、また6ヵ月時点で障害が改善した患者の割合は1.35倍だったという。米国・カリフォルニア大学サンフランシスコ校のStephen L. Hauser氏らが、2件の二重盲検ダブルダミー第III相無作為化比較試験を行い報告した。オファツムマブは抗CD20モノクローナル抗体の皮下注射剤で、選択的にB細胞数を減少する。teriflunomideは経口ピリミジン合成阻害薬で、T細胞およびB細胞の活性化を抑制するが、両薬剤の多発性硬化症に対する相対的有効性については明らかになっていなかった。NEJM誌2020年8月6日号掲載の報告。年間再発率と障害の悪化、改善などを比較 研究グループは、多発性硬化症の患者を対象に2件の比較試験を行い、オファツムマブとteriflunomideの効果を比較した。同グループは被験者を無作為に2群に分け、一方にはオファツムマブ(1、7、14日目に負荷投与量20mg、その後は4週ごとに20mg)の皮下投与を、もう一方にはteriflunomide(14mg/日)の経口投与を、最長30ヵ月間実施した。 主要エンドポイントは、年間再発率だった。副次エンドポイントは、3ヵ月または6ヵ月時点の評価で確認された障害の悪化、6ヵ月時点で確認された障害の改善、T1強調MRIのスキャン1回当たりのガドリニウム増強病変の数、T2強調MRI上の新規病変または拡大病変の年間発生率、3ヵ月時点での血清ニューロフィラメント軽鎖(NfL)濃度、脳容積の年間減少率などとした。年間再発率、オファツムマブ群0.10~0.11、teriflunomide群0.22~0.25 被験者は2試験全体で、オファツムマブ群946例、teriflunomide群は936例で、追跡期間の中央値は1.6年だった。 オファツムマブ群とteriflunomide群の年間再発率は、試験1ではそれぞれ0.11と0.22(群間差:-0.11、95%信頼区間[CI]:-0.16~-0.06、p<0.001)、試験2では0.10と0.25(群間差:-0.15、95%CI:-0.20~-0.09、p<0.001)だった。 副次エンドポイントは、2試験全体で、3ヵ月時点で障害の悪化が確認された患者の割合はオファツムマブ群10.9%、teriflunomide群15.0%(ハザード比[HR]:0.66、p=0.002)、6ヵ月時点ではそれぞれ8.1%、12.0%(HR:0.68、p=0.01)と、オファツムマブ群で低率だった。また、6ヵ月時点で障害の改善が確認された患者の割合はそれぞれ11.0%、8.1%で、オファツムマブ群で高率だった(HR:1.35、p=0.09)。 T1強調MRIのスキャン1回当たりのガドリニウム増強病変の数、T2強調MRI上の新規病変または拡大病変の年間発生率、3ヵ月時点での血清NfL濃度については、主要エンドポイントと同様の傾向がみられ、オファツムマブ群がteriflunomide群より低率・低値だった。脳容積の年間減少率は両群で同等だった。 注射に関連した反応は、オファツムマブ群20.2%、teriflunomide群15.0%(プラセボ注射)でみられた。重篤な感染症発生率は、オファツムマブ群2.5%、teriflunomide群1.8%だった。

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血液検査で認知症診断をする深い理由(解説:岡村毅氏)-1273

 血漿リン酸化タウ217(血液検査)によりアルツハイマー型認知症の診断ができる可能性を報告している。ここではその臨床的背景について深掘りしよう。 そもそもアルツハイマー型認知症、レビー小体型認知症、前頭側頭型認知症等は、症状は大きく異なるものである。教科書だけ見ていたら、こんなもの診断は簡単だろうと思うかもしれない。 一方、臨床は教科書通りにいかない。長い人生を歩んできた方はいろいろ複雑であるので、(1)脳梗塞などの血管性要因の併存、(2)たとえば特異な家族環境であるといった外的要因、(3)その人の生活歴やパーソナリティなどの内的要因、(4)いくつかの認知症性疾患の合併、(5)実は薬剤を飲んでいるが申告しない、といったことが起きる。するとアルツハイマー型なのに前頭側頭型的な症状が出る、みたいなことが起きる。 もちろん診断困難な事態は多くはないし、だいたいが専門病院に来る(紹介してよいです)。 かつては認知症の診断自体は、亡くなった後に脳を見ること(剖検)でしか確定できないとされてきた。だって脳は基本的に生検(一部取ってくること)ができないから。 しかし脳画像検査の進歩で、生きている人の脳内をのぞけるようになってきた。しかも、形→詳しい形→血の流れ→アミロイドやタウなどの原因的な物質の分布、とだんだん本質に迫っている。とはいえ、詳しい検査は高額なうえに、巨大な機械の中に長時間とどまるという体験をせねばならず、その結果何がわかるかというと臨床的には「○○の可能性が高まった(でも治るものではない)」ということなのである。 詳しい検査の存在意義は、研究のためと、鑑別診断が困難な場合であろう。たとえばアルツハイマー型認知症やレビー小体型認知症で使われるコリンエステラーゼ阻害薬は、基本的に脳を賦活する(元気にする)ので、興奮や妄想には油を注いでしまい、前頭側頭型認知症の方においては症状を悪化させることが多い(絶対にとは言えないが)。診断に困って、本人・家族も困って、次の一手にコリンエステラーゼ阻害薬が挙がったとき、詳しい検査は有意義だろう。 検査はあくまで補助的。ベテランの認知症専門医ほどやたらな検査には頼らないのはそういった背景がある(逆に若手は経験値の蓄積が少ないので頼るのは合理的だし責められまい)。いずれにせよ血液検査でわかれば、簡便なのでとても有意義であろう。 とはいえ、私も15年目の医師であるので、「若者よ、検査に頼ってばかりではだめだぞ」、という暑苦しい教訓を話してこのコラムを終えよう。 Aさん(80歳男性)が外来に来て、(1)毎日同じ時間に家の周りを散歩し、(2)自宅のみならず隣家の枝を切ってしまい、(3)止めるとひどく怒る、という場合を考えてみよう。学生さんから見れば「前頭側頭型認知症ですかね」となるだろう。時刻表的生活、脱抑制、易怒性…国試的には正解だ。現実世界ではそういう人の頭部CTで側頭葉内側の萎縮がかすかにあったりする。おかしいな…そこでこの論文にあるようなリン酸化タウなりを測定したら、なんとアルツハイマー型認知症だったりする。 どう考えればいいのだろう。 精神科医としては患者さんの歴史を深掘りすることに尽きる。本人、家族、(近しい家族は逆に視野狭窄も多いので客観的なことが言える)第三者などから複眼的に聞く。生活歴(生まれてから今までの80年のざっくりした経過)、現病歴(生活にかすかな不調が現れてからの10年間の詳しい経過)、家族の歴史、と3列で聞く。これを外来では15分でする。すると大体説明がつく。たとえば、(1)もともと植木屋さんで自宅周囲の木花のケアをしていた(が、できなくなった)、(2)家族とは植木屋さんを継ぐ継がないで葛藤があった、みたいな要因が出てくる。不思議なことに、こじれたBPSDの背景は「個人の生活史に根差した要因」×「家族内葛藤」が多いような気がする。すると、介入は心理的なものになろう。診断は、どうでもいいとは言わないが、このケースではあまり影響力はない。これが臨床の醍醐味である。 上記はいかにも精神科医っぽい意見かもしれないので、ついでに一言述べておこう。認知症に関して、神経内科、老年内科、精神科のいずれでも診ているが、どこがいいかとよく聞かれる。神経内科は鑑別診断が強く、老年内科は身体全体を見た加療が強く、精神科は本人の心理や家族の背景を踏まえたケアが強い。逆に言うと、得意分野以外は弱点であることが多い(本人や家族の話はよく聞いてとても感謝されているが残念ながら診断が間違っている精神科医とか…他の2科は敵を作りそうなのでやめておこう)。しかし、優れた専門家は大体が自分の専門外もよくできる。そして限界を知っているので、きちんと他科コンサルトする。優秀な人が多い病院ほど精神科と神経内科と老年内科は仲が良い気がする。逆にけんかしたり張り合ったりしている病院はやばいかもしれない。弱い犬ほどよく吠えるということである。

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「サヴィオゾール」の名称の由来は?【薬剤の意外な名称由来】第12回

第12回 「サヴィオゾール®」の名称の由来は?販売名サヴィオゾール®輸液一般名(和名[命名法])該当しない効能又は効果1)血漿増量剤として各科領域における多量出血の場合2)出血性・外傷性その他各種外科的ショックの治療3)手術時における輸血の節減4)外傷・手術・産婦人科出血等における循環血液量の維持5)血栓症の予防及び治療6)外傷、熱傷、骨折等の末梢血行改善7)体外循環灌流液として用い、灌流を容易にして、手術中の併発症の危険を減少する。用法及び用量(1)用法及び用量通常成人は1回500~1000mLを静脈内に注入する(6~10mL/kg体重/時間)。必要に応じ急速注入することができる。(2)用法及び用量に関連する使用上の注意長期連用を避けること(できるだけ短期投与にとどめ、5日以内とする)警告内容とその理由該当しない禁忌内容とその理由【禁忌(次の患者には投与しないこと)】(1)うっ血性心不全のある患者[循環血液量を増すことから、心臓に負担をかけ、症状が悪化するおそれがある。](2)高乳酸血症の患者[症状が悪化するおそれがある。]※本内容は2020年7月22日時点で公開されているインタビューフォームを基に作成しています。※副作用などの最新の情報については、インタビューフォームまたは添付文書をご確認ください。1)2012年1月改訂(改訂第8版)医薬品インタビューフォーム「サヴィオゾール®輸液」2)大塚製薬工場:医療用医薬品情報

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第19回 医師の質・能力、実はどうでもいい? LINEヘルスケア事件の先にある世界

「ガキンチョ」「死ぬのが正解」などと応じる こんにちは。医療ジャーナリストの萬田 桃です。医師や医療機関に起こった、あるいは医師や医療機関が起こした事件や、医療現場のフシギな出来事などについて、あれやこれや書いていきたいと思います。やっと関東に夏本番がやって来ました。またしても愛知の実家から「しばらく帰ってこんでええ!」と言われたので、この週末、帰省は止めにして懸案の越後駒ヶ岳に山仲間と行ってきました。自粛期間中にもかかわらず、ピーク直下の駒の小屋の狭いテントサイトはほぼ満床で、密を避けるのに苦労しました。さて、今週気になったのは、IT企業、LINE(ライン)傘下のLINEヘルスケアが展開する、医師にLINEで相談できるサービス「LINEヘルスケア」で、相談を担当した医師がユーザーに対して不適切な対応をし、その内容がSNSで拡散、炎上したというニュースです。医師はユーザーからの相談に、「リスカやOD(オーバー・ドーズ)で発散するのは低レベル」「診断なんかいくらでも付けられますよ。よくいる世間知らずの10代の女の子」「言葉にできないやつはガキンチョ」「深く考えすぎると結論としては、死ぬのが正解となりますし、たぶん正解なんでしょう」などと回答。この一連のやりとりのスクリーンショットが流出し、“事件”になってしまいました。8月2日、同社はこの事態を受けて「LINEヘルスケアに登録している医師1名において、お客様に対して、利用規約違反の行為が確認されました」とした上で、この医師を利用停止処分としたことを発表。「お客様のお心を傷つけ、多大なるご迷惑をおかけしましたことを深くお詫び申し上げます」と謝罪しました。同社はモニタリング体制を強化することで再発防止策を徹底していく、としています。LINEのトーク画面で医師に直接相談できる「LINEヘルスケア」は、LINEと医療情報専門サイト「m3.com」のエムスリーによる合弁会社であるLINEヘルスケアが運営する、LINE上で利用できるオンラインの健康相談サービスです。内科、小児科、産婦人科、整形外科、皮膚科、耳鼻咽喉科に対応しており、利用者は相談内容や診療科から医師を選んだ上で、「いますぐ相談する」か、「あとから回答をもらう」か相談方法を選択、体の不調などについてLINEのトーク画面で医師に直接相談する、という仕組みです。「いますぐ相談する」の利用料金は2000円、「あとから回答をもらう」の1000円です。昨年12月からサービスをスタートしていますが、経済産業省の「令和2年度補正遠隔健康相談事業体制強化事業」(上限1億円/件)に採択されており、2020年8月31日までは無料となっています。「遠隔健康医療相談」がカテゴライズされたのは2年前このニュース、対応した医師の”暴言”に目が向きがちですが、こうした人間はどんなプロフェッションでも一定数はいるものです。ここでは、もう一つの側面である「医師による医療相談」について少し考えてみたいと思います。そもそも、医師などが健康相談に乗る、というサービスは、カード会社や生命保険会社などの付帯サービスとして従来から行われてきました。ただ、国がこうしたサービスをきちんとカテゴライズしたのはつい最近のことです。2018年度の診療報酬改定でオンライン診療に対する評価が新設されました。これを受け厚生労働省は同年3月、「オンライン診療の適切な実施に関する指針」(以下、ガイドライン)を公表しました。その中で情報通信機器を活用した健康増進や医療に関する行為を「遠隔医療」と定義し、さらに「オンライン診療」「オンライン受診勧奨」「遠隔健康医療相談」の3つに区分したのです。本ガイドラインでは「遠隔健康医療相談」について、医師が行うものと、医師以外が行うものに分けて次のように定義しています。・遠隔健康医療相談(医師)遠隔医療のうち、医師-相談者間において、情報通信機器を活用して得られた情報のやりとりを行い、患者個人の心身の状態に応じた必要な医学的助言を行う行為。相談者の個別的な状態を踏まえた診断など具体的判断は伴わないもの。・遠隔健康医療相談(医師以外)遠隔医療のうち、医師又は医師以外の者-相談者間において、情報通信機器を活用して得られた情報のやりとりを行うが、一般的な医学的な情報の提供や、一般的な受診勧奨に留まり、相談者の個別的な状態を踏まえた疾患のり患可能性の提示・診断等の医学的判断を伴わない行為。つまり、「遠隔健康医療相談」とは、医師など(必ずしも医師限定ではない)が遠隔地(その場にいない)の患者に対して医療・健康に関連する相談を行うもので、医療行為(診察や治療)は伴わず、相談行為だけを行うもの、という位置づけなのです。というわけで、LINEヘルスケアの事業は「遠隔健康医療相談(医師)」にあたります。ちなみに、医師法第20条は「医師は自ら診察しないで治療をし、若しくは診断書若しくは処方せんを交付」することを禁止していますが、「遠隔健康医療相談(医師)」の定義(医学的助言にとどめ、相談者の個別的な状態を踏まえた診断など具体的判断は行わない)に則った運用を守れば、医師法には抵触しないことになります。LINEで“自費診療”を受けさせてみる大実験さて、LINEヘルスケアが、従来のカード会社などが提供する限定的な特別サービスと一線を画するのは、LINEという8,400万人(2020年4月現在)のユーザー数を持つソーシャルメディアの世界での事業展開という点です。さらに、前述したように、新型コロナウイルス感染症の流行で患者の医療機関の受診控えが進む中、国民がスマートフォンやパソコンを通じて医師に手軽に相談できるよう経済産業省がスタートさせた事業に採択(同社は3月にこの事業を受託、一度途切れた後、再び5月から8月まで受託しています)された点も注目に値します。国(厚生労働省ではなく経済産業省ですが)のお墨付きをもらった事業という見方もできるからです。そう考えるとこの事業、極端なことを言ってしまえば、コロナ禍で医療機関に行きづらくなった国民のうち、軽症者や自然に治るような病気の人についてLINEで“自費診療”を受けさせてみる大実験…と解釈することもできそうです。もちろん、サービス提供者側は「医学的助言にとどめ、相談者の個別的な状態を踏まえた診断など具体的判断は行わない」ことで、医療行為ではないという厳格な線引きを守っているとは思いますが、ユーザー側から見れば、医療機関の代替機能であることは間違いありません。政府は国民に、軽度の病気や怪我の患者にOTCを用いたセルフメディケーションを勧めています。背景には医療リソースの効率的利用と医療費削減があります。同様のことは「遠隔健康医療相談」にも言えるでしょう。受診前の相談の段階で、患者(や健常者)が無駄な受診を思い留まったとしたら、国や保険者は大喜びでしょう。一部の医療機関は困るかもしれませんが…。「遠隔健康医療相談」はAIに取って代わられる仮に大実験だとしたら、この事件後ネット上でも話題となった、登録医師のクオリティや、医師の取り分が安価過ぎる(いますぐ相談/予約相談で1件あたり30分1,400円、あとから回答で1件あたり700円らしいです)ことなどは、あまり大きな問題ではなくなります。なぜならば、「遠隔健康医療相談」はやがてAIに取って代わられるに違いないからです。私はAIについては詳しくありませんが、軽症疾患やコモンディジーズを患者の訴えなどから推察し、療養のアドバイスや受診勧奨をすることは、学習を積んだAIにとっては容易いことのように思えます。ここからは全くの想像です。ひょっとしたらLINEヘルスケアは、法律と規制が許せば「遠隔健康医療相談」をAIに任せようとしているのではないでしょうか(表向きは絶対に言えないとは思いますが)。AIならば相談業務を無難にこなすのはもちろん、「ガキンチョ」とか「死ぬのが正解」と言ったセリフを吐くこともおそらくありません。顧客対応も万全で、「寄り添い、共に考える医師」のフリもしてくれるでしょう。さらに、運営企業の医師への支払いも必要なくなります。もし、利用者が増えていけば、医療財政的にもそれなりの効果が期待できるでしょう。うまく運営すれば、医療機関以外にはいいことづくしです。もっとも、法律と規制を乗り越えるのはなかなか大変です。オンライン診療の規制緩和に対して、一貫して慎重姿勢をとってきた日本医師会の存在もあります。新型コロナ感染症で「オンライン診療」が進みましたが、ポストコロナの時代の“新しい生活様式”におけるダークホースとして、「遠隔健康医療相談」の行方にも、目を配っておいたほうがいかもしれません。

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第26回 青年会議所は多種多様さが刺激的【噂の狭研ラヂオ】

動画解説30歳で薬局を継いだ神谷政幸社長は薬剤師会や青年会議所でもご活躍されています。青年会議所は多種多様な業種の人間が集まり、話す言語からして違う感じだそうです。農家さんの書いた“おおらかな”資料に、処方監査で養った薬剤師の目が光る!

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COVID-19、小児は軽症でもウイルス量が成人の10~100倍

 子供がCOVID-19に罹患した場合、一般的には成人に比べて比較的軽度の症状を示す。米国・イリノイ州シカゴAnn & Robert H. Lurie Children's HospitalのTaylor Heald-Sargent氏らが、軽~中等症のCOVID-19患者におけるウイルス量を年齢との相関で調べたところ、5歳未満の小児では症状が軽くてもウイルス保有量が多く、とくに上気道から検出されたSARS-CoV-2は成人の10~100倍にも相当することがわかった。JAMA Pediatrics誌オンライン版2020年7月30日号のリサーチレターに掲載。 本研究では、2020年3月23日~4月27日の期間、シカゴの3次医療機関においてCOVID-19の症状発症から1週間以内の入院および外来、救急部門、ドライブスルーで収集された145例の鼻咽頭スワブから検体を採取し、PCR検査を実施。cycle threshold(Ct)値を記録し、SARS-CoV-2 RNAウイルス量を評価した。 主な結果は以下のとおり。・患者はいずれも軽~中等症で、5歳未満が46例、5~17歳が51例、18~65歳が48例。いずれも発症から1週間以内に検体を採取した。・5~17歳のグループのCt値は、18~65歳のグループとほぼ同等であった(中央値[四分位範囲]:11.1[6.3~15.7] vs. 11.1[6.9~17.5])。・一方、5歳未満のグループのCt値は有意に低かった(同:6.5[4.8~12.0])。・5歳未満の小児とその他2つのグループのCt値の差異により、小児においては、とくに上気道のSARS-CoV-2が約10~100倍多いことが示唆される。 著者らは、本研究で明らかになったのはあくまで小児における高いウイルス核酸の検出量であると断っているが、これまでのSARS-CoV-2の研究では、より高い核酸レベルと感染力のあるウイルスの培養能力との相関が報告されている。このため著者らは、公衆衛生対策を進めるうえで小児の感染および拡散リスクを理解することが重要であると述べている。

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PPI服用や便秘がフレイルに影響

 フレイルと腹部症状の関連性はこれまで評価されていなかったー。今回、順天堂東京江東高齢者医療センターの浅岡 大介氏らは病院ベースの後ろ向き横断研究を実施し、フレイルの危険因子として、プロトンポンプ阻害薬(PPI)の使用、サルコペニア、低亜鉛血症、FSSG質問表(Frequency Scale for the Symptoms of GERD)でのスコアの高さ、および便秘スコア(CSS:Constipation Scoring System)の高さが影響していることを明らかにした。Internal Medicine誌2020年6月15日号掲載の報告。 同氏らは、2017~19年までの期間、順天堂東京江東高齢者医療センターの消化器科で、65歳以上の外来通院患者313例をフレイル群と非フレイル群に分け、フレイルの危険因子を調査した。患者プロファイルとして、骨粗しょう症、サルコペニア、フレイル、栄養状態、上部消化管内視鏡検査の所見、および腹部症状の質問結果(FSSG、CSS)を診療記録から入手した。 おもな結果は以下のとおり。・対象者は、男性134例(42.8%)、女性179例(57.2%)、平均年齢±SDは75.7±6.0歳で、平均BMI±SDは22.8±3.6kg/m2だった。・そのうち71例(22.7%)でフレイルを認めた。・一変量解析では、高齢(p<0.001)、女性(p=0.010)、ヘリコバクターピロリ菌の除菌成功(p=0.049)、PPIの使用(p<0.001)、下剤の使用(p=0.008)、サルコペニア(p<0.001)、骨粗しょう症(p<0.001)、低亜鉛血症(p=0.002)、低アルブミン血症(p<0.001)、リンパ球数の低下(p=0.004)、CONUT(controlling nutritional status)スコアの高さ(p<0.001)、FSSGスコアの高さ(p=0.001)、CSSスコアの高さ(p<0.001)がフレイルと有意に関連していた。・また、多変量解析の結果でもフレイルと有意に関連していた。高齢[オッズ比(OR):1.16、95%信頼区間[CI]:1.08~1.24、p<0.001]、PPI使用(OR:2.42、95%CI:1.18~4.98、p=0.016)、サルコペニア(OR:7.35、95%CI:3.30~16.40、p<0.001)、低亜鉛血症(OR:0.96、95%CI:0.92~0.99、p=0.027)、高FSSGスコア(OR:1.08、95%CI:1.01~1.16、p=0.021)、高CSSスコア(OR:1.13、95%CI:1.03~1.23、p=0.007)。

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重度統合失調症に対するブレクスピプラゾールの有効性と安全性~短期・長期研究の事後分析

 重度の統合失調症患者の治療は、複雑で費用がかかることがある。米国・大塚ファーマシューティカルD&CのNicole Meade氏らは、重度の統合失調症患者におけるブレクスピプラゾールの短期および長期的な影響について評価を行った。Journal of Psychopharmacology誌2020年8月号の報告。 6週間のランダム化二重盲検プラセボ対照試験3件、52週間のオープンラベル拡張試験2件よりデータをプールした。短期研究では、統合失調症患者1,405例を対象にブレクスピプラゾール2~4mg/日またはプラセボを投与し、そのうちブレクスピプラゾール治療患者の412例が長期研究へ移行し、ブレクスピプラゾール1~4mg/日を投与した。陽性・陰性症状評価尺度(PANSS)合計スコア95超(ベースライン時の中央値スコア)を、より重度な症状として定義した。アウトカムは、PANSS合計スコアおよび個人的・社会的機能遂行度尺度(PSP)スコアの変化とした。 主な結果は以下のとおり。・より重度な統合失調症患者に対するブレクスピプラゾール治療により、6週間にわたってPANSS合計スコアおよびPSPスコアの改善が認められた。プラセボに対する最小二乗平均差は、それぞれ以下のとおりであった。 ●PANSS:-6.76(95%信頼限界:-9.80~-3.72、p<0.0001、Cohen's d:0.43) ●PSP:4.38(95%信頼限界:2.14~6.62、p=0.0001、Cohen's d:0.38)・PSPは、「セルフケア」領域で最も大きく改善し、次いで「個人的・社会的関係」領域で改善が認められた。・重度でない統合失調症患者においても、ブレクスピプラゾール治療はプラセボと比較し、6週の時点でPANSS合計スコアおよびPSPスコアの改善が認められ、58週にわたって改善効果は維持された。・新たな安全性または忍容性に対する懸念は観察されなかった。 著者らは「ブレクスピプラゾール治療は、症状の重症度にかかわらず、統合失調症患者に対し効果的かつ忍容性の高い治療法である」としている。

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DOAC服用心房細動患者のイベント発生予測因子/日本循環器学会

 心房細動患者の抗凝固薬治療と予後を調べた多施設共同前向き観察研究であるRAFFINE研究から、直接経口抗凝固薬(DOAC)服用患者における脳梗塞および全身塞栓症の独立した予測因子として年齢、糖尿病、脳梗塞の既往が、また重大な出血の独立した予測因子として年齢、脳梗塞の既往が示唆された。第84回日本循環器学会学術集会(2020年7月27日~8月2日)で宮崎 彩記子氏(順天堂大学医学部循環器内科)が発表した。 RAFFINE(Registry of Japanese Patients with Atrial Fibrillation Focused on anticoagulant therapy in New Era)研究は、心房細動治療の実態把握とDOAC服用者におけるイベント発生の予測因子の調査を目的とした前向き研究である。対象は、2013~15年に研究参加施設に外来通院していた20歳以上の非弁膜症性心房細動(発作性、持続性、永続性のすべて)患者で、入院患者、研究参加の同意が得られなかった患者、余命1年以下と判断された患者を除外した3,706例が解析対象となった。観察は1年ごとに3年(最大5年)まで、観察期間中央値は1,364日であった。 主な結果は以下のとおり。<ベースライン時の状況>・3,706例の非弁膜症性心房細動患者のうち、ワルファリン服用患者(ワルファリン群)1,576例、DOAC服用患者(DOAC群)1,656例、経口抗凝固薬(OAC)投与なしの患者(No-OAC群)474例であった。・年齢およびCHADS2スコアはワルファリン群で高く、No-OAC群では低かった。また、うっ血性心不全既往歴、高血圧、糖尿病、脳梗塞/TIA既往歴を有する患者の割合もワルファリン群で高く、No-OAC群で低かった。・発作性心房細動の割合は、ワルファリン群28.0%、DOAC群41.0%、No-OAC群64.6%とNo-OAC群で高かった。消化管出血はNo-OAC群が最も高く、HAS-BLEDスコアはワルファリン群で最も高かった。・抗血小板薬を投与されていた割合は、ワルファリン群28.6%、DOAC群17.9%、No-OAC群40.7%で、No-OAC群で高かった。<観察期間での調査>・DOAC服用患者の割合はベースライン44.7%から3年時の58.7%まで徐々に増加していた。・DOAC投与量については、適応内の通常用量が38%、適応内の減量が29%、適応外の低用量が27%、適応外の過量が6%で、適応外用量は33%であった。適応外用量の割合を薬剤別にみると、ダビガトラン(n=653)では35%、リバーロキサバン(n=569)では35%、アピキサバン(n=408)では27%、エドキサバン(n=26)では31%であった。・DOAC服用者における脳梗塞および全身塞栓症の独立した予測因子として、年齢(ハザード比[HR]:1.09、95%CI:1.04~1.13、p<0.0001)、糖尿病(HR:2.17、95%CI:1.23~3.82、p=0.007)、脳梗塞/TIAの既往(HR:2.65、95%CI:1.46~4.80、p=0.001)が示唆されたが、適応外用量は関連しなかった。また、重大な出血(ISTH基準)の独立した予測因子としては、年齢(HR:1.07、95%CI:1.03~1.10、p<0.0001)、脳梗塞/TIAの既往(HR:2.06、95%CI:1.17~3.61、p=0.011)が示唆され、抗血小板薬投与は関連しなかった 宮崎氏は、DOAC服用者における適応外用量が33%に認められたことから、イベント発生におけるDOACの適応外用量の影響を調べるためにさらなる研究が必要と述べた。

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中等~重症アトピー性皮膚炎へのabrocitinib、第III相試験結果/Lancet

 中等症~重症アトピー性皮膚炎の青年および成人患者の治療において、経口選択的JAK1阻害薬abrocitinibの1日1回投与は、プラセボに比べ有効性が優れ、忍容性も良好であることが、米国・オレゴン健康科学大学のEric L. Simpson氏らが行った「JADE MONO-1試験」で示された。研究の成果は、Lancet誌2020年7月25日号に掲載された。中等症~重症アトピー性皮膚炎の全身療法では、高い有効性と良好なベネフィット・リスクプロファイルを有する経口薬が求められているという。abrocitinibは、第IIb相試験で、中等症~重症アトピー性皮膚炎の成人患者における有効性と良好な忍容性が報告されている。JADE MONO-1試験ではabrocitinibの2用量をプラセボと比較 JADE MONO-1試験は、オーストラリア、カナダ、欧州、米国の69施設が参加した二重盲検無作為化第III相試験であり、2017年12月~2019年3月の期間に患者登録が行われた(Pfizerの助成による)。 JADE MONO-1試験の対象は、年齢12歳以上、体重40kg以上の中等症~重症のアトピー性皮膚炎の患者であった。アトピー性皮膚炎は、医師による皮膚症状重症度の全般評価[IGA]スコア≧3点、湿疹面積・重症度指数[EASI]≧16点、アトピー性皮膚炎に罹患した体表面積(BSA)≧10%、最高そう痒数値評価尺度(PP-NRS)スコア≧4点と定義された。 被験者は、abrocitinib 100mg、同200mgまたはプラセボを1日1回投与する群に2対2対1の割合で無作為に割り付けられ、12週の治療を受けた。患者、担当医、研究資金提供者には、治療割り付け情報は知らされなかった。 複合主要エンドポイントは、12週の時点におけるIGAスコアが1点(0点:病変消失、1点:ほぼ消失)以下かつベースラインから2点以上低下した患者の割合(IGA≦1達成割合)と、EASIスコアがベースラインから75%以上改善した患者の割合(EASI-75達成割合)とした。有効性は最大の解析対象集団(FAS、試験薬の投与を1回以上受けた患者)で、安全性は無作為化の対象となったすべての患者で評価された。JADE MONO-1試験でabrocitinibが有意に優れた結果 JADE MONO-1試験には387例が登録され、100mg群に156例(平均年齢32.6、18歳未満22%、男性58%)、200mg群に154例(33.0歳、21%、53%)、プラセボ群には77例(31.5歳、22%、64%)が割り付けられた。全体の59%が中等症、41%が重症であった。全例が試験薬の投与を少なくとも1回受けた。 12週時のIGA≦1達成割合は、100mg群が24%(37/156例)と、プラセボ群の8%(6/76例)に比べて有意に高く(p=0.0037)、200mg群は44%(67/153例)であり、プラセボ群との間に有意差が認められた(p<0.0001)。 また、12週時のEASI-75達成割合も、100mg群(40%[62/156例]vs.プラセボ群12%[9/76例]、p<0.0001)および200mg群(63%[96/153例]vs.12%[9/76例]、p<0.0001)のいずれもが、プラセボ群に比べ有意に良好であった。 JADE MONO-1試験の主な副次エンドポイント(2、4、12週時のPP-NRS、12週時のアトピー性皮膚炎のそう痒・症状評価[PSAAD]総スコアのベースラインからの変化)についても、100mg群および200mg群のいずれもが、プラセボ群と比較して有意に優れた。 有害事象は、100mg群が69%(108/156例)、200mg群が78%(120/154例)、プラセボ群は57%(44/77例)で報告された。頻度の高い治療関連有害事象として、悪心(100mg群9%、200mg群20%、プラセボ群3%)、鼻咽頭炎(15%、12%、10%)、頭痛(8%、10%、3%)などが認められた。治療関連の単純ヘルペスウイルス感染症は、100mg群1例、200mg群3例で、帯状疱疹はそれぞれ1例および2例で、口腔ヘルペスは3例および1例で発現した。また、重篤な有害事象の発生率は、それぞれ3%(5/156例)、3%(5/154例)、4%(3/77例)であった。治療関連死の報告はなかった。 著者は、「abrocitinibは、外用薬による局所療法でコントロールされない、12歳以上の中等症~重症アトピー性皮膚炎患者の治療において、有望な新規の経口全身療法薬となる可能性がある」としている。

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合併症のない小児虫垂炎、抗菌薬療法vs.手術/JAMA

 合併症のない小児虫垂炎において、抗菌薬療法のみの非外科的治療戦略の初回治療成功率は67.1%であり、外科的治療戦略と比較して、1年後の障害日数は統計学的に有意に少なかったことが、米国・オハイオ州立大学医学校のPeter C. Minneci氏らによる検討の結果、示された。ただし、フォローアップの完遂率が75%と低く、許容可能な非外科的手術成功率は、事前規定の閾値との比較では統計学的に有意ではなく、仮定した障害日数の群間差には未到達であったという。現在、小児および青少年の虫垂炎の大半は外科的治療で行われているが、研究グループは、抗菌薬療法のみの非外科的治療は、患児および家族への悪影響を少なく治療できる可能性があり、患児と家族に好まれるのではないかとして本検討を行った。JAMA誌オンライン版2020年7月27日号掲載の報告。1年時点で、障害日数と抗菌薬療法群の成功率を評価 合併症のない小児虫垂炎における、非外科的治療の成功率を明らかにし、非外科的治療群と外科的治療群間の治療関連の障害、満足度、健康関連QOLおよび合併症の差を比較する検討は、多施設非無作為化対照介入試験にて行われた。 被験者は2015年5月~2018年10月に、合併症のない虫垂炎を呈し米国7州の3次小児病院10施設で治療を受け、1年間の追跡(最終2019年10月)を受けた7~17歳の小児であった。 対象患児と家族による選択で、抗菌薬療法のみの非外科的治療(抗菌薬療法群)、または入院12時間以内の腹腔鏡下虫垂切除術(手術群)のいずれかを受けてもらい追跡評価した。 主要アウトカムは2つで、1年時点で評価した障害日数(虫垂炎関連の二次的ケアのためにすべての通常の活動に参加できなかった全日数で定義[予想した差異は5日間])と、抗菌薬療法群の成功率(初回抗菌薬療法のみで1年時点まで虫垂切除術を受けなかった患者の割合と定義[最低許容成功率70%以上])であった。逆確率治療重み付け(IPTW)法を用いて、すべてのアウトカム評価の治療群間差を補正した。抗菌薬療法群の障害日数の平均群間差は-4.3日、成功率は67.1% 1,209例が試験適格のスクリーニングを受け、1,068例(年齢中央値12.4歳、女児38%)が試験に登録され、370例(35%)が抗菌薬療法を選択、698例(65%)が手術を選択した。 フォローアップ完遂は全体で806例(75%)、抗菌薬療法群は284例(77%)、手術群は522例(75%)であった。抗菌薬療法群のほうが患児の年齢が低く(年齢中央値12.3歳vs.12.5歳)、黒人(9.6% vs.4.9%)やその他の人種(14.6% vs.8.7%)が多く、学士号を有する保護者の割合が高く(29.8% vs.23.5%)、超音波診断を受けた割合が高かった(79.7% vs.74.5%)。 IPTW後、1年時点の抗菌薬療法群の成功率は67.1%(96%信頼区間[CI]:61.5~72.3、p=0.86)であり、手術群と比較して1年時点の障害日数は統計学的に有意に短縮した(補正後平均日数:6.6日vs.10.9日、平均群間差:-4.3日[99%CI:-6.17~-2.43、p<0.001])。 事前規定のその他16項目の副次エンドポイントのうち、10項目について有意差は示されなかった。

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幸いな術後管理への道(解説:今中和人氏)-1272

 せん妄、いわゆるICU症候群は実に頭が痛い。心を込めて説得してもダメ、抑制してももちろんダメ、あれこれ鎮静薬を使っても硬い表情に異様にギラギラしたまなざしは去ることなく、「あんなに苦労して入れたA-ラインが、こんなにもアッサリと…」と激しく萎えた経験は、多くの先生にとって一度や二度ではあるまい。幻覚で大暴れしている患者さんも気の毒には違いないが、医師もナースも負けず劣らず気の毒。もちろん、臨床経過にも悪影響が及ぶ。せん妄の克服こそは、幸いな術後管理の鍵を握っている。 せん妄の原因は、従来は不安、孤立感、不眠といった心理面が重視されていたが、近年は多種多様な病態の複合的結果と捉えられている。脳血管障害などの既往、高齢、大手術といった工夫のしようもない要因、低酸素、電解質異常(とくに低ナトリウム、低カルシウム)、アシドーシス、低血糖、低心拍出、低血圧、不十分な鎮痛など、完璧に制御するのは容易でない要因が「これでもか」と並び、薬剤では利尿剤、抗不整脈薬、β遮断薬、H2ブロッカーに、ステロイド、抗生剤、麻薬、ベンゾジアゼピン、三環系抗うつ薬とくれば、一定以上の頻度でせん妄に遭遇することは避けられそうにない。 これでは、「幸いな術後管理」のほうが幻覚になってしまう。何とかせん妄を予防できないものか? 本論文はCleveland clinicを中心とする7病院における人工心肺症例約800例に対する、二重盲検無作為化試験である。すべて米国の施設だが、オフポンプCABGに積極的に取り組んでいるのか、単独CABGは1.5%のみ。55%が弁か大動脈の単独手術、45%がCABGとの複合手術であった。この800例を、麻酔後・執刀時からデクスメデトミジンか生食を持続投与する2群、各々約400例に分け、術後の新規心房細動とせん妄の発生を1次エンドポイント、急性腎障害と90日後の創部痛を2次エンドポイントと定義して比較している。デクスメデトミジンの投与量は開始時が0.1μg/kg/h、人工心肺離脱後は0.2μg/kg/h、ICUで0.4μg/kg/hに増量して24時間継続、患者さんの状態に応じて増減可、というプロトコルであった。現在、本邦では医療安全の観点からもpre-filledシリンジが多く使用されており、当院採用の製品の含有量が4μg/mLなので、体重60kgの患者さんの場合、0.1μg/kg/hは1.5mL/hに相当する。するとICUでの投与速度は6mL/hとなり、普通はまずまずしっかり鎮静されていて、過量と言うほどでもない投与速度である。 結果は期待に反し、新規心房細動は対照群34%に対して30%と有意に減少せず、せん妄は対照群12%に対して17%に発生し、有意差はないがむしろ増加、という結果であった。急性腎障害、創部痛もほぼ同数であった。ICU滞在はむしろ長くなり、臨床的に有意な低血圧が増加した。著者らはこの低血圧が、無効という結論になった一因かもしれない、と考察し、詳述してはいないが、コスト的にむしろマイナスだと示唆している。 過去には観察研究やプロトコル不統一のメタ解析では、デクスメデトミジンの有効性がちらほら報告されたが、本RCTでは全医療従事者の期待がアッサリ裏切られてしまった。そうは言っても患者さんが静穏であれば、術後管理は取り敢えずはうまくいっているわけだから、希望は捨てずに類似研究の報告を待ちたいところである。 ただ、鎮静薬持続静注の状態では食事もリハビリも始めにくいわけで、幸いな術後管理への道は、やっぱり遠い。

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薬局薬剤師でもコロナ慰労金をもらえるケースはある!【早耳うさこの薬局がざわつくニュース】第52回

新型コロナウイルスとの闘いは、残念ながら共存というよりも第2波襲来と言わざるを得ない状況になっています。そのような中、医療機関を中心に今回のコロナ対応をねぎらうための慰労金である「新型コロナウイルス感染症対応従事者慰労金交付事業」が始まりました。第2次補正予算案に盛り込まれていたため、6月の時点ですでに対象や金額などが発表されていましたが、疑義が多かったようで、Q&Aの第4版が7月に出されています。この慰労金は、都道府県から役割を設定された医療機関などに勤務して患者と接する医療者や職員の場合、実際に新型コロナウイルス感染症患者に診療などを行った医療機関などである場合に20万円、それ以外の場合に10万円を給付し、その他病院・診療所・訪問看護ステーション・助産所に勤務して患者と接する医療者や職員に5万円を給付するものです。しかし、ご存じの方が多いと思いますが、薬局薬剤師は対象外です。薬局は医療機関ではないのか? 薬剤師は医療者ではないのか? とSNSがざわつきましたが、Q&Aによると、薬局は患者に直接処置や治療を行う医療機関の医療従事者などとは性質が異なると考えられることから、慰労金の対象ではないとのことです。敷地内薬局も対象外ですが、病院薬剤師や宿泊療養などの軽症者を訪問で支援する薬剤師は対象です。しかし、介護の領域においては、薬局薬剤師も対象となることがあるようです。新型コロナウイルス感染症対応従事者慰労金(介護分)は、新型コロナウイルス感染者が発生した、または濃厚接触者に対応した介護サービス事業所や施設に勤務して利用者と接する職員で、感染者・濃厚接触者の発生日以降に勤務やサービス提供を行った場合は20万円、上記以外の場合は5万円が給付されます。Q&Aには下記のような記述があります。新型コロナウイルス感染症緊急包括支援事業(介護分)に関するQ&A(第2版)対象となる職員について。要件に該当した職員、派遣労働者、業務受託者において対象となります。対象職種には限定はありません。みなし指定の居宅療養管理指導事業所における「10日以上勤務した者」とは、薬局などに10日間勤務すればよいのでしょうか。居宅療養管理指導事業所の職員として、「利用者と接する」必要があることから、居宅療養管理指導を提供するために利用者宅を訪問した日数が、暦日で10日以上ある必要があります。薬局で介護施設などの居宅管理をしている薬剤師がいる場合、こちらの慰労金の対象になる可能性がありますので、あきらめずに一度実施要綱を確認してほしいと思います。また、以下のような薬局の感染防止対策に使用した費用の支援である「医療機関・薬局等における感染拡大防止等支援事業」もあります。フェイスシールドや消毒薬、空気清浄機の設置など、いろいろ出費がかさんだ薬局も多いと思いますが、薬局の場合は上限額70万円まで補助を受けることができます。医療機関・薬局等における感染拡大防止等支援事業どのような施設が補助の対象となるのでしょうか。新型コロナ感染症の院内などでの感染拡大を防ぐための取組を行う病院(医科、歯科)、有床診療所(医科、歯科)、無床診療所(医科、歯科)、薬局、訪問看護ステーション、助産所が対象となります。どのような経費が対象となるのでしょうか。感染拡大防止対策に要する費用に限られず、院内等での感染拡大を防ぎながら地域で求められる医療を提供するための診療体制確保等に要する費用について、幅広く対象となります。(例:清掃委託、洗濯委託、検査委託、寝具リース、感染性廃棄物処理、個人防護具の購入など)薬局経営が厳しくなっているだけでなく、従業員の心労が積み重なっているなか、少しでも負担を減らせるように活用してほしいと思います。

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渡米までのカウントダウン開始!最後まで気が抜けない事務手続き【臨床留学通信 from NY】第10回

第10回:渡米までのカウントダウン開始!最後まで気が抜けない事務手続き今回は、マッチ後から渡米までの手続きの流れについてご紹介します。一般的にマッチが決まるのは3月中旬であり、渡米までの猶予は3ヵ月しかありません。その間にビザの取得と、病院で働くために必要な書類を揃えなければならず、かなりタイトなスケジュールでした。国の情勢でも変わるビザのルールとメリット/デメリット私の場合、まずは同じ病院で働くことになる同僚達と連絡を取り合い、必要書類を確認しました。本当に事務手続きが苦手で、渡米前から現在に至るまで同僚にはいつも助けられています。ビザは大きくJ-1ビザとH-1Bビザがあります。H-1B ビザには「2年ルール」がなく、5年が経過した後はグリーンカードの申請ができます(編集部注:2020年6月22日付米国大統領令により、グリーンカードおよび就労ビザの新規発給は2020年末まで停止中)。その代わりTax returnはなく、フェローシップのマッチングにおいて受け入れてくれるプログラムが限定されるというデメリットもあります。またH-1B ビザ取得にはUSMEL Step3をパスしていることが必須条件です。一方、J-1ビザのデメリットは、7年を超えて米国に滞在することが難しく、2年での帰国、もしくは3年のwaiver(医療過疎地、軍人退役病院への勤務)を余儀なくされることです。その時点で相当な業績があればOビザ(卓越能力者ビザ)に切り替えますが、2年ルールからは逃れられません。私の場合はレジデンシーマッチ後、次の大きなフェローシップへのマッチングが主な目的となるため、J-1ビザを選択しました。それが正しかったかどうかは今でもわかりませんが、当時、どうしても永住したいという意思がなかったことに加え、Cardiologyは競争率が高く、IMG(international medical graduate)であることや、卒後年数が経過していることからも不利となることが予想され、より確実なJ-1ビザを選択しました。J-1ビザ取得に必要な書類は、厚生労働省とやりとりをしてStatement of Needと呼ばれる政府証明書をECFMG(Education Commission of Foreign Medical Graduates)に送ります。証明書の申請に必要となる主な書類は、(1)病院の契約書原本とその和訳(2)履歴書(3)保証書(J-1ビザは帰国が前提であるため、帰国後の勤務を保証してくれる書類)(4)誓約書などです。契約書類については、PDFで送られてくるものだと思って数日待っていたのですが、一向に送られて来ません。実はすべてNew Innovationというサイト(就労前に全ての書類を病院側に提出する際に使用するサイト)上に転がっていたのです。私はしばらくそのことに気付かず、貴重な時間をロスしてしまいましたので、思い込みにはくれぐれもご注意ください。さらに、書類の英訳を同僚数人で分割して行い、厚労省に郵送したのですが、日本の3~4月はちょうど年度の変わり目で担当者が代わる時期であったため、より一層時間がかかりました。ひと通りの書類を申請し、病院側のIMGの窓口担当者と連絡を取り合い、ECFMG certificate(USMEL Step2までの合格証明書)や医学部の卒業証明書をアップロードしてもらい、最終的にDS2019という書類を入手します。DS2019を入手したら、記載された番号などにより大使館の予約が出来ます。大使館ウェブサイトに必要事項を入力するわけですが、家族の分も必要で数時間かかってしまいますが、手続きを先に進めるためにはやむを得ません。また、混んでいる時期だとすぐに予約ができないこともあるため要注意です。大使館で面接を受けると、1週間ほどビザが手元に届き、晴れて渡航準備は完了です。ただし、こうした手続きは時期によって大きく変わるものなので、申請する方は必ず最新情報を入手するようにしてください。「たかが…」と思うことなかれ!事務手続きの山は最後までハード事務手続きと並行して、米国の病院で働くためのオリエンテーションをweb上で履修します。膨大な数のネット講習を受ける必要があり、ナメてかかるとIDカードがもらえなかったりするので、確実に履修しなければならず、本当に面倒でした。一連の事務作業が終わり、残りの期間は、渡米後に機会が増えるであろう米国の学会(AHAなど)への参加を見越して、病院のカテーテルデータをまとめたり、慶應関連病院のPCI registryからの論文作成1)やAHAへのSubmit2,3)をしたりしたほか、久しぶりの総合内科研修を控え、MKSAPという米国内科専門医の取得のための問題集を地道に解いて少しでもスムーズに入れるように準備をしました。参考1)https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/30819656/2)https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/30212493/3)https://www.ahajournals.org/doi/10.1161/circ.138.suppl_1.10930Column画像を拡大するニューヨークの新型コロナ患者はかなり減少し、現在はたまに診察する程度です。ただ3~5月のパンデミック中は途方もない多くの方々が罹患し、亡くなりました。そうした患者さんの最期にPalliative care teamの介入が有用ではないかという論文が先日オンラインとなりましたので、皆さんに共有させていただきます。不幸にも未曾有のウィルスに罹患し、治療が奏功しなかった患者さんが最期をいかに迎えるのか、いろいろと考えさせられました。参考サイト:https://twitter.com/MSBI_IM/status/1286667020751245313

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第20回 風邪コロナウイルスがSARS-CoV-2免疫を授けうる? / キャンプ場で小児にCOVID-19が大流行

風邪コロナウイルス反応T細胞がSARS-CoV-2も認識する?新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)に感染していないのにSARS-CoV-2に反応するCD4+ T細胞が少なくとも5人に1人、多ければ2人に1人に備わっていると示唆されています。SARS-CoV-2が流行する前に25人から採取した血液検体を調べた新たなScience誌報告でもこれまでの幾つかの研究と同様にSARS-CoV-2反応T細胞が見つかり、SARS-CoV-2の142の領域(抗原決定基)がT細胞への反応と関連しました1,2)。そして、これまでにない新たな発見として、SARS-CoV-2に反応するT細胞が風邪を引き起こす馴染みのコロナウイルス(風邪コロナウイルス)4種のSARS-CoV-2に似た抗原決定基にも同様に反応しうることが示されました。この結果は、SARS-CoV-2流行前から馴染みのコロナウイルスに曝露したことでSARS-CoV-2にも反応しうるT細胞が備わったという考えを支持しています3)。また、感染前から備わるSARS-CoV-2への免疫反応はT細胞だけではなさそうです。先月23日にmedRxivに発表された報告によると、英国で新型コロナウイルス感染症(COVID-19)が本格的に流行する前の2018~2020年初めに非感染者262人から採取した血液検体のうち15検体(6%)にはSARS-CoV-2に反応する抗体が認められました4)。さらに特筆すべきことに小児でのその割合はとくに高く、1~16歳の小児48人のうち少なくとも21人(44%)はSARS-CoV-2スパイクタンパク質に反応するIgG抗体を有していました。小児は一般的に他のコロナウイルスとの接触がより多く、それが小児にIgG抗体が多い理由かもしれません。そのようなSARS-CoV-2反応抗体は小児におけるCOVID-19感染者の多くがかなり軽症で済むことの理由の一つかもしれないと著者の1人Rupert Beale氏はツイートしています5)。ただし、SARS-CoV-2への幾ばくかの免疫で感染を絶対に防げるという保証はありませんし、悪くすると正反対の効果、免疫反応を乱して手に負えない炎症やウイルスの蹂躙を招く恐れがあります。たまたま備わったSARS-CoV-2反応T細胞はとくに高齢者にとっては有害になる恐れがあるとシンガポールの免疫学者Nina Le Bert氏は言っています3)。Le Bert氏もCOVID-19へのT細胞反応を調べている研究者の一人です。キャンプ場で小児にCOVID-19が大流行小児はSARS-CoV-2感染しても多くが軽症で済み、それに感染し難いことが示唆されている一方で、米国ジョージア州のキャンプ場で6月に発生した小児のCOVID-19大流行はどの年齢の小児も感染と無縁ではないことを改めて示しました6)。そのキャンプ場では、キャンプする小児(6~19歳、中央値12歳)の受け入れの準備のためにまずは世話係(年齢14~59歳、中央値17歳)が6月17日にキャンプ場に集まり、キャンプはその週末21日から始まりました。キャンプ場のCOVID-19食い止め対策は完全ではなく、世話係は綿製マスク着用が義務でしたがキャンプする小児のマスク着用は必須とせず、ドアや窓を開けて建物内の換気を促すこともしませんでした。6月23日に10代の世話係の1人が前の晩に寒気を覚えてキャンプ場を去り、検査の結果24日にSARS-CoV-2感染が確認されました。キャンプ場は24日から滞在者を帰宅させはじめ、27日に閉鎖しました。キャンプには世話係251人とキャンプ参加小児346人合わせて597人が集い、検査結果が判明した344人(内訳は未報告)のうち260人(76%)が陽性でした。マスクが必須ではない環境で大勢が集まって同じ部屋で寝て、勢いよく歌ったり声援したりを繰り返したことが恐らく感染を広まらせたようであり、集いの場では相手との距離を保ってマスクを絶えず装着する必要があると著者は言っています。参考1)Selective and cross-reactive SARS-CoV-2 T cell epitopes in unexposed humans. Science 04 Aug 20202)Exposure to common cold coronaviruses can teach the immune system to recognize SARS-CoV-2 / Eurekalert 3)Does the Common Cold Protect You from COVID-19? / TheScientist4)Pre-existing and de novo humoral immunity to SARS-CoV-2 in humans. bioRxiv. July 23, 20205)Rupert Beale氏ツイッター 6)SARS-CoV-2 Transmission and Infection Among Attendees of an Overnight Camp - Georgia, June 2020. MMWR. Early Release / July 31, 2020

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ニボルマブ+ベバシズマブ+化学療法、非小細胞肺がん1次治療でPFS延長(ONO-4538-52/TASUKI-52)/小野

 小野薬品工業は、2020年8月3日、抗PD-1抗体ニボルマブ(商品名:オプジーボ)について、化学療法未治療の根治照射不能なIIIBIV期又は再発の非扁平上皮非小細胞肺がん(NSCLC)患者を対象に、抗VEGF抗体であるベバシズマブと化学療法の併用療法群(ニボルマブ併用療法群:275例)をプラセボ、ベバシズマブと化学療法の併用療法群(対照併用療法群:275例)と比較評価した第III相臨床試験(ONO-4538-52/TASUKI-52)のトップライン結果を発表。本試験において、予め計画していた中間解析で、オプジーボ併用療法群が、対照併用療法群と比較して、主要評価項目である無増悪生存期間(PFS)で統計学的に有意な延長を示した。本試験におけるニボルマブ併用療法群の安全性プロファイルは、化学療法未治療のNSCLC治療において免疫チェックポイント阻害剤、およびベバシズマブと化学療法の併用療法でこれまでに認められているものと一貫していた。 ONO-4538-52/TASUKI-52試験は、化学療法未治療の根治照射不能なIIIB/IV期又は再発の非扁平上皮NSCLCを対象に、ニボルマブ、ベバシズマブと化学療法の併用療法群(ニボルマブ併用療法群:275例)をプラセボ、ベバシズマブと化学療法の併用療法群(対照併用療法群:275例)と比較評価した多施設共同二重盲検無作為化プラセボ対照第III相試験(ONO-4538-52/TASUKI-52)。ニボルマブ併用療法群の患者には、ニボルマブ360mg、カルボプラチンAUC6、パクリタキセル200mg/m2およびベバシズマブ15mg/kgを3週間1サイクルとして投与し、対照併用療法群の患者には、プラセボ、カルボプラチンAUC6、パクリタキセル200mg/m2およびベバシズマブ15mg/kgを3週間1サイクルとして投与した。両群ともカルボプラチンおよびパクリタキセルは4サイクルまで投与し、安全に投与を継続することが可能と判断された場合は最大6サイクルまで投与継続可能とした。その後、ニボルマブ併用療法群ではニボルマブおよびベバシズマブの投与を、対照併用療法群ではプラセボおよびベバシズマブの投与を病勢進行又は許容できない毒性が確認されるまで継続した。主要評価項目は、独立画像判定委員会の評価に基づくPFS。副次評価項目は全生存期間(OS)、実施医療機関の医師判定に基づくPFSおよび奏効率(ORR)など。

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米国学校閉鎖でCOVID-19罹患率・死亡率が約6割減/JAMA

 米国で2020年3月9日~5月7日にわたった州レベルの学校閉鎖が、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の罹患率と死亡率を一時的に減少したことが明らかにされた。閉鎖が早かった州では、累積罹患率が低い時点で学校閉鎖を行った場合ほど、相対的減少率が大きかったという。米国・シンシナティ小児病院のKatherine A. Auger氏らが、全米50州について行った観察試験の結果で、JAMA誌オンライン版2020年7月29日号で発表した。なお、結果について著者は、「減少には、同時期の他の非薬物的介入が関連している可能性は捨てきれない」と述べている。学校閉鎖・時期で減少に差があるかを検討 研究グループは2020年3月9日~5月7日の期間に米国住民ベースの観察試験を行い、遅延期を組み込んだ分割時系列分析を実施し、学校閉鎖およびその時期がCOVID-19罹患率・死亡率の減少と関連しているかどうかを検証した。検証の対象としたのは初等・中等学校(幼稚園~12学年)。 州レベルの非医薬品による公衆衛生上の対策と属性を、負の二項回帰モデルに組み入れ、学校閉鎖とアウトカムの関連を分離。各州について、学校閉鎖時の10万人ごとのCOVID-19累積罹患率に応じ、4等分に分類したうえで、統計モデルを用いて、閉鎖した学校と閉鎖しなかった学校のCOVID-19罹患率・死亡率の絶対差、また州が学校を閉鎖した時のCOVID-19累積罹患率が最も低い四分位範囲群と最も高い四分位範囲群の、罹患率と死亡率の絶対差を算出し評価した。学校閉鎖時の州累積罹患率が低いほど、罹患率・死亡率は低値 学校閉鎖時の州のCOVID-19累積罹患率は、0~14.75/10万人だった。 学校閉鎖により、COVID-19罹患率は有意に低下し、補正後の週当たりの相対変化率は-62%(95%信頼区間[CI]:-71~-49)だった。死亡率も有意に低下し、補正後同変化率は-58%(-68~-46)だった。 これら罹患率・死亡率の低下は、学校閉鎖時の州のCOVID-19累積罹患率が低いほど顕著だった。同累積罹患率が最も低かった州では、COVID-19罹患率の週当たりの相対変化率は-72%(95%CI:-79~-62)だった一方、最も高かった州の同変化率は-49%(-62~-33)だった。 この解析から作成したモデルにおいて、州のCOVID-19累積罹患率が最低四分位範囲で学校閉鎖を行った場合、最高四分位範囲で行った場合に比べ、COVID-19の罹患者は26日間で128.7/10万人、死亡は16日間で1.5/10万人少なくなると推定された。

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