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中年初期の質の低い睡眠は中年後期の脳の老化と関連

 入眠困難や睡眠維持困難などの睡眠の質の低下が認められる中年初期の人は、中年後期になると脳の老化が進んでいる可能性のあることが、新たな研究で示唆された。論文の筆頭著者である米カリフォルニア大学サンフランシスコ校(UCSF)のClemence Cavailles氏は、「脳スキャンを用いて試験参加者の脳年齢を測定したわれわれの研究から、質の低い睡眠は、中年期の段階で、脳年齢の3年近くの加齢と関連していることが示唆された」と述べている。米国立老化研究所の資金提供を受けて実施されたこの研究の詳細は、「Neurology」に10月23日掲載された。 本研究では、589人の成人(平均年齢40.4±3.4歳、女性53%)を対象に、中年初期の睡眠と脳の老化の進行との関連が検討された。これらの参加者は、試験開始時とその5年後に睡眠パターンに関する質問票に回答しており、試験開始から15年後に脳スキャンを受けていた。Cavailles氏らは、質の低い睡眠を、「短い睡眠時間」「悪い睡眠の質」「入眠困難」「睡眠維持困難」「早朝覚醒」「日中の眠気」の6個の特徴に分類し、参加者をこれらの特徴が該当する数(0〜1個、2〜3個、4個以上)に応じて3群に分けた。 年齢、性別、高血圧、糖尿病などの潜在的な交絡因子を調整して解析した結果、質の低い睡眠の特徴が2〜3個該当した人と4個以上該当した人では0〜1個該当した人と比べて、脳年齢がそれぞれ1.6歳と2.6歳高いことが明らかになった。また、5年間の追跡期間を通じて、「悪い睡眠の質」「入眠困難」「睡眠維持困難」「早朝覚醒」が持続していた場合には、脳年齢の増加と関連していることも示された。 ただし、この研究では関連性が示されただけであり、質の低い睡眠が脳の老化の原因であることが証明されたわけではない。しかし、論文の上席著者であるUCSF精神医学分野のKristine Yaffe氏は、「われわれの研究結果は、脳の健康を維持するために、若いうちから睡眠問題に対処することの重要性を強調するものだ。例えば、一貫した睡眠スケジュールの維持、運動の実施、就寝前のカフェインやアルコール摂取の回避、リラクゼーションテクニックの使用などがそうした対処法の例だ」と述べている。 Yaffe氏はさらに、Neurology誌のニュースリリースの中で、「今後の研究では、質の低い睡眠を改善する新しい方法を見つけ、若い人の脳の健康に対する睡眠の長期的な影響を調査することに焦点を当てるべきだ」と述べている。

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「電気絆創膏」で皮膚感染を予防する可能性

 実験段階にある「電気絆創膏」によって、いつの日か医師は薬を全く使わずに細菌感染を防げるようになる可能性のあることが、新たな研究で示された。皮膚パッチを通じて知覚できないほど弱い電気的刺激を与えることで、人間の皮膚の常在菌である表皮ブドウ球菌(Staphylococcus epidermidis)が10倍近く減少したことが確認されたという。米シカゴ大学化学科教授のBozhi Tian氏らによるこの研究の詳細は、「Device」に10月24日掲載された。Tian氏は、「この研究により、薬剤を使わない治療、特に薬剤耐性が深刻な問題となっている皮膚感染症や創傷の治療において素晴らしい可能性が広がった」と話している。 Tian氏らによると、電気はすでに数多くの疾患の管理に利用されている。例えば、ペースメーカーは電気を利用して安定した心拍を維持しており、眼球インプラントは電気で網膜を刺激することで視力を部分的に回復させることができる。 今回の研究では、抗菌薬の代わりに電気を使って表皮ブドウ球菌の増殖を制御できるかが調査された。研究グループは、表皮ブドウ球菌に着目した理由を、切り傷や医療処置によってこの菌が人体に侵入すると深刻な感染症を引き起こす可能性があるからだと説明している。なお、これまでに、全てのクラスの抗菌薬に耐性を持つ3種類の表皮ブドウ球菌の菌株が出現している。論文の責任著者の一人で米カリフォルニア大学サンディエゴ校(UCSD)分子生物学教授のGurol Suel氏は、「ブドウ球菌は皮膚の常在菌であり、微生物生態系の一部を構成している。そのため、皮膚から完全に除去することは、別の問題が生じる可能性があるため望ましいことではない」と説明している。 今回の研究では、まず、マイクロエレクトロニクス技術を用いて、表皮ブドウ球菌の電気的刺激に対する生理的な反応を調査した。その結果、理想的な酸性条件下(pH 5)では、抗菌薬を使用しなくても細菌のバイオフィルム形成を99%抑制することが示された。しかし、弱アルカリ性(pH 7.4)の条件下では、細菌に対する電流の効果は示されなかった。健康な人間の皮膚は弱酸性だが、慢性の傷は中性からアルカリ性になる傾向がある。 この情報に基づき、研究グループは電子薬学皮膚パッチを設計した。この皮膚パッチには、1.5ボルトの微弱な電流を流すための電極と、酸性環境を作り出す水性ゲルが含まれている。豚の皮膚モデル上でこの皮膚パッチによる18時間の治療を行ったところ、表皮ブドウ球菌のレベルは、電気的刺激を与えていないブタの皮膚モデルと比べて10倍近く減少したことが示された。細菌に汚染されたカテーテルに皮膚パッチを貼った場合も、結果は同様であった。 研究論文の筆頭著者であるシカゴ大学のSaehyun Kim氏は、「電気的刺激に対する細菌の反応に関しては十分に研究されていない。その一因は、細菌が反応を示す条件が明らかになっていないことにある」と話し、「細菌が特定の条件下でのみ反応する性質を明らかにすることは、異なる条件を調べて他の細菌種を制御する方法を見つけ出すことにつながる」としている。 さらなる研究でこの皮膚パッチの安全性と有効性を検証する必要はあるが、Tian氏らは、薬なしで感染症を制御できる「電気絆創膏」につながる可能性があるとの考えを示している。

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アナフィラキシーの認識と対応にはいまだ課題も

 アナフィラキシーは、ごく微量であっても、ピーナッツなどの食物アレルゲンに対して突然生じる重篤なアレルギー反応で、生命を脅かすこともある。このほど、米国アレルギー・喘息・免疫学会年次総会(ACAAI 2024、10月24〜28日、米ボストン)で発表された2件の研究から、米国のアナフィラキシーへの対応プロトコルには州によりばらつきがあり、その多くは不完全で時代遅れであること、また、アレルギーを持つ人やその介護担当者の多くが、アナフィラキシーが生じた際に、どの時点で何をすべきかを正しく理解していないことが判明した。 1件目の研究は、米ベイラー医科大学の免疫学・アレルギー・レトロウイルス学部門のSasha Alvarado氏らが、アレルギークリニックの待合室で96人の患者を対象に実施した調査結果に基づくもの。この調査は、アナフィラキシーに対する知識やアナフィラキシーが起きた際に必要とされる行動計画の要素を評価するためのものだった。 その結果、95.8%の患者にエピネフリン(アドレナリンと同義、アナフィラキシーの症状悪化を抑える補助治療であるエピペンの有効成分)が処方されており、73%はアナフィラキシーの症状を認識することに「慣れている」と回答していた。しかし、エピネフリンが必要な症状について正しく把握できていたのはわずか14%に過ぎなかった。アレルゲンに曝露した可能性があり、発疹や喘鳴などの症状が現れている場合には、64.5%がエピネフリンを自己注射すると答えたが、10.8%は最初に救急治療室(ER)を受診すると回答した。エピネフリンの使用を躊躇する理由としては、どの症状を治療すべきか不明(40.6%)、ER受診への躊躇(24%)、911に電話することへの躊躇(17.7%)、エピネフリンの自己注射器の使用法が不明(11.5%)、注射針への恐怖心(5.2%)が挙げられた。 Alvarado氏は、「アナフィラキシーを早期に認識してエピネフリンで治療すれば、転帰改善につながることは分かっている。この調査結果は、アレルギー患者がアナフィラキシーを適切に認識して治療するために、より良い教育が必要であることを示している」と述べている。 米メモリアルヘルスケアシステムのCarly Gunderson氏らによる2件目の研究では、アナフィラキシー発生時に何をすべきか混乱するのは患者だけではないことが示された。この研究では、米国30州のアレルギー反応やアナフィラキシーへの対応プロトコルを調査し、アナフィラキシーの認識におけるギャップの有無や救急医療の改善点について評価した。 その結果、アナフィラキシーの定義さえも州によってさまざまであり、定義に胃腸症状を含めたプロトコルを採用していた州はわずか半数(50%)、発作の特定に役立つ神経症状を含めていた州はわずか40%であることが明らかになった。また、治療に関しても、州によって手順が異なっていることも判明した。97%の州が、アナフィラキシーの第一選択治療としてエピネフリンを推奨している一方で、エピネフリンの自己注射器の使用を認めている州は57%(17州)にとどまっていた。また、呼吸器症状がある場合の対応として、90%の州(27州)でアルブテロール、73%の州(22州)で点滴、60%の州(18州)でステロイドが推奨されていた。 研究グループは、「エピネフリン自己注射は便利で効果的であるにもかかわらず、多くのプロトコルでは許可されていない」と述べている。また、ステロイドの使用については「時代遅れの推奨だ」と指摘している。 なお、学会発表された研究結果は、査読を受けて医学誌に掲載されるまでは一般に予備的なものと見なされる。

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CAVI高値のCAD患者は発がんリスクが高い

 冠動脈疾患(CAD)の治療を受けた患者の中で、心臓足首血管指数(CAVI)が高く動脈硬化がより進行していると考えられる患者は、その後の発がんリスクが高いことを示すデータが報告された。福島県立医科大学循環器内科の清水竹史氏らによる研究の結果であり、詳細が「Circulation Reports」9月号に掲載された。 近年、がん患者は心血管疾患(CVD)リスクが高く、CVD患者はがんリスクが高いという相関の存在が明らかになり、両者に関与するメカニズムとして慢性炎症などを想定した研究も進められている。しかし、動脈硬化のマーカーと発がんリスクとの関連についてはまだ知見が少ない。清水氏らは、同大学附属病院の患者データを用いた前向き研究により、この点を検討した。 2010年1月~2022年3月に同院にてCADに対する経皮的冠動脈形成術を受け、CAVIが測定されていた入院患者から、未治療または病勢が制御されていないがん患者、維持透析患者などを除外した連続1,057人を解析対象とした。2023年2月まで追跡(平均2,223日)で、新たに141人ががんを診断されていた。ROC解析により、発がんの予測に最適なCAVIのカットオフ値は8.82と計算され(AUC0.633)、これを基準に2群に分けると、CAVI高値群(53.9%)は低値群(46.1%)に比べて高齢で、糖尿病、慢性腎臓病、貧血の有病率が高く、脳卒中既往者が多いという有意差が認められた。喫煙率やがん既往率には有意差がなかった。 カプランマイヤー法により、CAVI高値群は有意に発がんリスクが高いことが明らかになった(P=0.001)。多変量Cox比例ハザードモデルにて交絡因子(年齢、性別、BMI、喫煙歴、併存疾患、がんの既往など)の影響を調整後、CAVI高値は新規発がんの独立したリスク因子として特定された(ハザード比〔HR〕1.62〔95%信頼区間1.11~2.36〕)。CAVIを連続変数とする解析でも、CAVIが高いほど発がんリスクが高くなるという関連が示された(CAVIが1高いごとにHR1.16〔1.03~1.30〕)。 サブグループ解析の結果、年齢や性別、BMI、喫煙歴、併存疾患・既往症の有無では有意な交互作用は認められず、上記の関連は一貫していた。唯一、貧血の有無の交互作用が有意であり、貧血あり群ではCAVI高値による発がんリスクの上昇が見られなかった。 このほか、感度分析としてCAVIのカットオフ値を8または9とした解析も行ったが、結果は同様だった。なお、新たに診断されたがんの部位については、胃、前立腺、肺、大腸が多くを占め、日本の一般人口と同様であり、かつCAVIの高低で比較しても部位の分布に有意差はなかった。 著者らは、本研究が単一施設のデータに基づく解析結果であることなどを限界点として挙げた上で、「CAVIが高いことはその後の発がんリスクの高さと関連していた。CAD患者の中からCAVIによって、スクリーニングを強化すべき発がんハイリスク者を抽出可能なのではないか」と述べている。

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冠動脈にワイヤーを入れて行う心筋虚血評価は、もうちょっと簡単にならないのか?(解説:山地杏平氏)

 QFR(Quantitative Flow Ratio、定量的冠血流比)とFFR(Fractional Flow Reserve、冠血流予備量比)の有効性と安全性を比較したFAVOR III Europe試験が、2024年のTCT(Transcatheter Cardiovascular Therapeutics)で発表され、Lancet誌に掲載されました。 FFRは、圧測定ワイヤーを狭窄遠位まで進め、最大充血を得るために薬剤投与が必要な侵襲的な検査です。一方で、QFRは冠動脈造影の画像をもとに冠動脈の3次元モデルを再構築し、数値解析を行うことで心筋虚血の程度を推定します。FAVOR III China試験などで、QFRが一般的な冠動脈造影検査のみの評価よりも優れていることが示され、欧州心臓病学会(ESC)のガイドラインにおいてQFRはクラス1Bとして推奨されています。 本試験では、複合エンドポイントである死亡、心筋梗塞、緊急血行再建の発生率はQFR群で6.7%、FFR群で4.2%と報告され、QFR群でのイベント発生率がFFR群より高く、ハザード比は1.63(95%信頼区間:1.11~2.41)でした。イベント発生率の差は、非劣性マージンである3.4%を超えており、FFRが利用可能な場合にはQFRは推奨されないことが示唆されました。 イベント内訳を見ると、死亡は1.4% vs.1.1%、心筋梗塞は3.7% vs.2.0%、緊急血行再建は3.3% vs.2.5%と、一貫してQFR群での発生率が高い傾向でした。また、本試験の症例の約3分の2が安定狭心症であり、残り3分の1が非ST上昇型急性冠症候群またはST上昇型心筋梗塞の残枝でしたが、サブグループ解析ではいずれの群でもQFR群でイベント発生率が高いという結果でした。 FAME試験やFAME 2試験では、中等度の動脈硬化病変に対してFFRを用いた心筋虚血の評価後にPCIを行うことが有効とされています。しかし、FLOWER-MI試験などで示されたように、心筋梗塞の非責任病変においてFFRによる虚血評価が困難であることが示唆されており、適応疾患によって今回の試験結果が変わる可能性もありましたが、そういうわけではないようです。 また、QFR群では54.5%に治療が行われ、FFR群では45.8%に治療が行われました。治療が施されたことで周術期心筋梗塞のリスクが高まる可能性が懸念されますが、治療の影響を除外した1ヵ月以降のランドマーク解析においても、QFR群でイベントが多い傾向が続いていました。 本研究では残念ながらQFRはFFRより劣性であることが示されましたが、実際のところQFRで治療が行われた症例でイベントが多かったのか、それとも逆にFFRで治療が行われなかった症例でイベントが少なかったのかは興味があるところであり、今後の報告が期待されます。 QFR評価は手動での調整が必要であり、トレーニングを受けた評価者でも観察者間および観察者内の測定誤差が問題となる可能性が指摘されています。まだまだ発展途上の技術と考えられ、ソフトウェアの改善により今後の精度向上が期待されます。さらにはFAST III試験やALL-RISE試験など、同様の試験の結果も待たれます。

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第217回 医師偏在対策で自由開業の見直しも? 規制強化を提言/財務省

<先週の動き>1.医師偏在対策で自由開業の見直しも? 規制強化を提言/財務省2.マイナ保険証一本化へ、資格確認方法見直しを中医協で了承/厚労省3.医療費高騰で現役世代の負担軽減へ 高額療養費制度の見直しを検討/政府4.出産費用高騰、妊婦の負担軽減へ対策急務 保険適用など議論続く/厚労省5.美容医療トラブル増加で規制強化へ、年次報告義務化などを検討/厚労省6.生後6ヵ月の女児、抗菌薬過剰投与で死亡/兵庫県1.医師偏在対策で自由開業の見直しも? 規制強化を提言/財務省11月13日に財政制度等審議会は、2025年度予算編成に向けた議論を行い、財務省は医師の偏在対策が不十分であるとして、規制強化などを求める提言を行った。審議会で増田 寛也分科会長代理は、「これまでの取り組みは実効性が乏しかった」と指摘し、「診療報酬の減算などの経済的ディスインセンティブ措置を含め、より強力な対策が必要だ」と強調した。財務省は、医師多数区域での開業規制や診療報酬の地域別単価設定、自由開業・自由標榜の見直しなどを提言、また、地域で過剰な医療サービスを提供する医療機関に対し、診療報酬を減算する仕組みの導入の提案を行った。さらに、診療科別の医師偏在指標が不足している点を批判し、厚生労働省に対し、診療科ごとの医師偏在指標を早急に作成するよう求めた。これらの提言に対し、日本医師会は反発する可能性がある。政府は、年末までに医師偏在対策の総合的な対策パッケージを策定する予定だが、規制強化と医師確保の両立が課題となる。参考1)社会保障(財務省)2)過剰な医療への診療報酬減算を提言、財務省 偏在是正策、外来機能は「転換・集約」(CB news)3)医師偏在対策「手ぬるかった」財政審分科会で 増田氏は「もう一段強く」と主張(同)2.マイナ保険証一本化へ、資格確認方法見直しを中医協で了承/厚労省12月2日から健康保険証の新規発行が終了し、マイナンバーカードと一体化した「マイナ保険証」が基本となることを受け、中央社会保険医療協議会(中医協)は11月13日、患者の資格確認方法の変更に伴うルール見直しを了承した。このため厚生労働省は、医療機関や薬局がマイナ保険証や資格確認書で患者の資格を確認できるよう、療養担当規則を改正する。マイナンバーカードを持っていない人や、健康保険証としての利用を登録していない人でも、保険者から発行される「資格確認書」を医療機関に提示することで、これまで通り保険診療が受けられる。資格確認書は、カード型、はがき型、A4型の3種類があり、氏名や被保険者番号などが記載される。申請は不要で、対象者には現行の健康保険証の有効期限に応じて、加入している医療保険者から無償で交付される。デジタル庁では、資格確認書の交付や健康保険証の有効期限に関する情報を公開し、マイナンバーカードの未取得者や、マイナンバーカードを健康保険証としての利用を登録していない人が従来通り保険診療を受けられるよう国民へ周知を図っている。中医協の小塩 隆士会長は、「マイナ保険証への移行に伴う混乱を懸念し、保険診療を受けられない人が出ないよう、必要があれば制度を改めるべきだ」と危惧している。厚労省は、マイナ保険証の利用促進に取り組む一方、国民が安心して保険診療を受けられるよう、制度の周知徹底に努めるとしている。参考1)中央社会保険医療協議会 総会(厚労省)2)12月2日以降の資格確認、療担規則見直しへ 厚労相が諮問 即日答申(CB news)3)2024年12月2日以降のマイナ保険証「以外」(資格確認書等)で保険診療受けるための法令整備を決定-中医協総会(2)(Gem Med)4)12月2日で発行停止の健康保険証、代わりとなる「資格確認書」の交付対象や方法は?-デジ庁が公開(CNET Japan)3.医療費高騰で現役世代の負担軽減へ 高額療養費制度の見直しを検討/政府医療費が高額になった場合に患者の自己負担を軽減する「高額療養費制度」について、政府は自己負担の上限額を引き上げる方向で検討に入った。11月15日、政府の有識者会議「全世代型社会保障構築会議」で、高額療養費制度の見直しを求める意見が相次いだ。厚生労働省は、医療費の増加や患者の負担能力向上を踏まえ、上限額を引き上げることで医療費の抑制と現役世代の保険料負担軽減を図りたい考え。具体的な引き上げ幅は、年収区分に応じて7~16%を軸に調整されており、所得が低い人への配慮も検討されている。引き上げは2段階で行われ、2025年度に上限額を引き上げた後、2026年度には年収区分を細分化し、高所得者はより高い上限額とする見込みである。高額療養費制度は、医療費の自己負担に上限を設け、超過分を健康保険組合などの保険者が給付する仕組み。近年、高額な新薬の登場や高齢化により、医療費が高額化するケースが増加しており、制度の適用件数と支給総額は増加している。政府は、今回の見直しを通じて、支払い能力に応じた負担を求める「応能負担」を強化したい考え。その一方で、患者の自己負担が増えることから、与野党を問わず反発が出る可能性もあり、今後の議論の行方が注目されている。参考1)全世代型社会保障構築会議[第19回](内閣府)2)高額療養費、見直し求める 政府の有識者会議(日経新聞)3)「高額療養費制度」上限額引き上げる方向で検討 厚労省(NHK)4)高額療養費制度の上限額引き上げ検討 最大5万400円、来年夏めど(朝日新聞)4.出産費用高騰、妊婦の負担軽減へ対策急務 保険適用など議論続く/厚労省値上げが続く出産費用と支援策の課題について、厚生労働省は11月13日に「妊娠・出産・産後における妊産婦等の支援策等に関する検討会」を開き、出産費用の上昇や支援策の有効性を巡り多角的な議論が展開された。全国の正常分娩による出産費用は2024年度上半期で平均51万8,000円に達し、昨年度からさらに1万1,000円増加した。出産育児一時金は、2023年4月に42万円から50万円に引き上げられたが、実際の負担額を賄いきれないケースが多く、都道府県別では東京や神奈川で高額化が顕著となっている。一時金が不足する割合は、全国平均で45%に上り、個室利用料などを含めるとその割合は80%に達している。また、出産費用の「見える化」を目的としたウェブサイト「出産なび」についても検討会で報告が行われた。2024年5月に開設されたこのサイトは、認知率は36%、利用率は18%と低調で、妊婦の情報収集への活用が進んでいない現状が明らかとなった。その一方で、利用者の満足度は高く、妊婦が望む情報の充実が求められている。出産費用の保険適用(現物給付化)については賛否が分かれている。推進派は、経済的負担軽減や標準化の重要性を訴える一方、地方の産科医療体制への悪影響や財源問題を懸念する声もある。とくに一時金引き上げと同時に医療機関が費用を引き上げた印象が拭えず、さらなる分析が必要との意見が多く挙げられた。少子化対策として「安心して出産できる環境整備」の必要性が叫ばれる中、今後は出産費用の地域差解消や制度の簡素化、支援内容の拡充が急務となる。2025年春を目途に検討会での意見が集約される予定。参考1)第5回「妊娠・出産・産後における妊産婦等の支援策等に関する検討会」(厚労省)2)「出産なび」を知らない妊産婦が6割超 開設後3ヵ月時点で 厚労省検討会に報告(CB news)3)出産育児一時金の引き上げで軽減されたはずが…妊婦の負担額が再び増加、原因は産院の値上げ(読売新聞)4)出産費用 半数近くで一時金の50万円上回る 厚生労働省(NHK)5)出産費用の保険適用には賛否両論、「出産育児一時金の引き上げを待って、医療機関が出産費用引き上げる」との印象拭えず-出産関連検討会(Gem Med)5.美容医療トラブル増加で規制強化へ、年次報告義務化などを検討/厚労省美容医療をめぐるトラブル増加を受け、厚生労働省は規制強化に乗り出す。11月13日に開かれた厚労省の「美容医療の適切な実施に関する検討会」では、クリニックなどに安全管理措置の状況を年1回、自治体に報告することを義務付ける案を含む報告書案が議論された。この背景には、美容医療に関する健康被害や料金トラブルなどの相談が急増している現状がある。国民生活センターへの相談件数は、2023年度には5,507件と、5年間で3倍に増加した。報告書案では、自由診療が多い美容医療は、保険診療に比べて行政による指導・監査の範囲が限定的であることや、患者の要望や医師の技量によって合併症や後遺症のリスクも高まる可能性があることなどが課題と指摘している。対応策として、医療機関による定期報告の仕組み導入が提案された。報告内容には、安全管理措置の実施状況、医師の専門医資格の有無、トラブル発生時の相談窓口などが含まれ、患者にとって必要な情報は自治体が公表する。厚労省は、年内にも正式な対策をまとめる方針。また、この検討会で臨床研修修了直後に若手の医師が美容医療分野に流入していることが指摘されたが、この問題は医師の偏在是正の観点から、厚労省において別途必要な検討がなされる見込み。参考1)美容医療の適切な実施に関する報告書(案)(厚労省)2)美容医療の安全管理状況を自治体に年1回定期報告へ 健康被害や料金相談増加で厚労省方針(産経新聞)3)美容医療、安全管理状況を年1回報告へ 自治体に 厚労省方針(毎日新聞)4)美容医療「安全管理の報告」取りまとめ案 若手医師の“直美”「別途検討必要」(CB news)6.生後6ヵ月の女児、抗菌薬過剰投与で死亡/兵庫県兵庫県立こども病院(神戸市中央区)は11月14日、生後6ヵ月の女児に抗菌薬を過剰投与する医療ミスがあり、女児が死亡したと発表した。女児は先天性疾患で入院しており、9月に肺炎症状がみられたため、医師が抗菌薬の点滴を指示した。しかし、医師は通常濃度の5倍の抗菌薬を投与するよう誤って指示し、看護師もそれに気付かず投与。さらに、投与時間も本来の2時間ではなく1時間と指示し、2倍の速度で投与していた。女児は点滴開始から約1時間後に心拍数が低下し、その後死亡が確認された。医師は「なぜ初歩的なことを間違ったのかわからない」と話しているという。病院では、医療事故調査委員会を設置し、投与と死亡の因果関係を調査する。また、病理解剖では、新型コロナウイルス感染や敗血症などの疑いもみられたが、抗菌薬の副作用に多い不整脈などは確認されなかったという。病院側は、医療ミスと死亡の因果関係は現時点では明らかではないとしているが、再発防止に向け、正しい希釈方法を看護師らが確認できるようシステムを改修するなどの対策を講じるとしている。参考1)規定量5倍の抗菌薬投与、女児が1時間半後に死亡…医師「なぜ初歩的なこと間違ったかわからない(読売新聞)2)兵庫県立こども病院 生後6か月の乳児 薬の過剰投与後に死亡(NHK)3)乳児に抗菌薬を過剰に投与、直後に死亡 兵庫・こども病院で医療事故(朝日新聞)4)兵庫県立こども病院で医療ミス 生後6カ月の女児に高濃度の抗菌薬を投与、2時間半後に死亡(神戸新聞)

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入院前の胸部レントゲン【日常診療アップグレード】第17回

入院前の胸部レントゲン問題75歳女性。2日前からの39.3℃の発熱と腰痛を主訴に内科外来を受診した。昨日から頻尿と残尿感がある。既往歴に脂質異常症と白内障がある。身体診察では右のCVA叩打痛以外は異常を認めなかった。尿検査で白血球尿を認めた。腎盂腎炎を疑い、血液培養と尿培養を施行し入院治療の方針となった。入院前に胸部レントゲン撮影を施行した。

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致死性不整脈を起こす、植物界最強の猛毒【これって「食」中毒?】第6回

今回の症例年齢・性別45歳・男性患者情報5月上旬に自宅の裏山で山菜を採取して、お浸しや天ぷらにして19時頃に食べた。19時半頃より口唇周囲・舌・口腔内にしびれ感が生じ、20時頃より悪心・嘔吐が生じた。次第に顔面・前胸部・四肢にしびれ感が広がり、21時頃には四肢の脱力のため歩行不能となった。21時半に帰宅した長女により発見されて、22時15分に救急センターに搬送された。初診時は気道開通、呼吸数34/分、SpO2 98%(フェイスマスクにて酸素1L/分)、血圧72/40mmHg、心拍数152bpm(不整)、意識レベルJCS 10、瞳孔 左右6.0mm同大、対光反射 緩慢、体温35.6℃であった。心電図モニターでは非持続性心室頻拍(図1)を認めた。また、四肢の筋力低下、および四肢末梢の冷感・湿潤を認めた。(図1)心電図で非持続性心室頻拍を認める画像を拡大する検査値・画像所見末梢血では、WBC 4.80x103/mm3、Hb 12.8g/dL、Ht 37.9%、Plt 162x103/mm3、生化学検査では、TP 6.2g/dL、AST(GOT) 18IU/L、ALT(GPT) 17IU/L、LDH 314IU/L、CPK 112IU/L、AMY 340IU/L、Glu 128mg/dL、BUN 12mg/dL、Cr 0.9mg/dL、Na 140mEq/L、K 3.8mEq/L、Cl 108mEq/L、動脈血ガス(フェイスマスクにて酸素1L/分)では、pH 7.335、PaCO2 32.4Torr、PaO2 148.5Torr、HCO3- 17.0mmol/L、BE -4.2mmol/L、乳酸値 4.2mmol/Lであった。頭部および胸腹部CTでは異常所見を認めなかった。問題画像を拡大する

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高齢者の認知症予防に最も有用な野菜の種類は?

 オーストラリア・エディスコーワン大学のNegar Ghasemifard氏らは、オーストラリアの高齢女性における、特定の野菜を含む総野菜摂取量と長期の老年性認知症リスクとの関連を調査した。Food & Function誌2024年10月28日号の報告。 対象は、地域在住の70歳以上の高齢女性1,206人。ベースライン時(1998年)、検証済みの食物摂取頻度調査票を使用して、野菜の総摂取量、野菜の種類別摂取量(黄/オレンジ/赤い野菜[YOR]、アブラナ科、ネギ科、緑色の葉野菜[GLV]、豆類)を推定した。老年性認知症は、80歳以降に発症するすべての認知症と定義した。入院およびまたは死亡を含む老年性認知症イベントは、リンクした健康記録より収集した。関連性の評価には、多変量調整(APOE4遺伝子を含む)Cox比例ハザードモデルの制限付き3次スプラインを用いた。 主な結果は以下のとおり。・14.5年間のフォローアップ期間中(約1万5,134人年)の、老年性認知症イベントは207件(17.2%)、老年性認知症による入院は183件(15.25%)、死亡は83件(6.9%)であった。・野菜総摂取量が最低四分位(Q1)の女性と比較し、摂取症の多い女性(Q3、ただしQ4ではない)では、老年性認知症による死亡リスクが39%低下した。・Q1と比較し、YOR摂取量がQ4の女性は、老年性認知症イベント(47%)、入院(46%)、死亡(50%)のリスクが一貫して低かった。・同様に、ネギ科の摂取量が最も多い(Q4)女性は、Q1と比較し、老年性認知症イベント(36%)、死亡(49%)のリスクが低かった。・GLV摂取量が最も多い(Q4)女性では、老年性認知症による死亡が45%低下していた。 著者らは「認知症予防に対し、野菜総摂取量は重要であるが、老年性認知症リスクを考慮すると、ネギ科、GLV、とくにYORが最も有用である可能性が示唆された。これらの結果が、男性にも当てはまるかについては、男性を含むコホートでの検証が必要とされる」としている。

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乳がんと肺がんの関連~双方向のメンデルランダム化解析

 乳がんサバイバーの生存期間の延長に伴い、2次がん発症リスクが上昇している。2次がんの部位は、米国・Surveillance, Epidemiology, and End Results(SEER)データベース(2010~15年)によると、乳房(30.0%)に次いで肺・気管支(13.4%)が多かった。今回、乳がんと肺がんの双方向の因果関係について、中国・The First Affiliated Hospital of Xi'an Jiaotong UniversityのXiaoqian Li氏らがメンデルランダム化(MR)解析で調査したところ、乳がんサバイバーにおいて2次肺腺がんリスクが上昇することが示唆された。Scientific Reports誌2024年11月6日号に掲載。 本研究では、Breast Cancer Association Consortium(BCAC)における22万8,951例のゲノムワイド関連研究データと、Transdisciplinary Research in Cancer of the Lung(TRICL)における11万2,781例のゲノムワイド関連研究の要約統計を用いて、双方向2サンプルMR解析を実施した。MR解析は逆分散加重(IVW)法のほか、補完的に加重中央値法、MR-RAPS法、MR-Egger 法を用いた。乳がんはエストロゲン受容体発現の有無別、肺がんは肺腺がん、扁平上皮肺がん、小細胞肺がんに分け、関連を調べた。 主な結果は以下のとおり。・乳がん全体における肺腺がんとの因果関係がIVW法(オッズ比[OR]:1.060、95%信頼区間[CI]:1.008~1.116、p=0.024)およびMR-RAPS法(OR:1.059、95%CI:1.005~1.116、p=0.033)で認められ、乳がん患者において肺腺がんリスクが上昇することが示唆された。・肺腺がんの乳がんに対する有意な因果関係は認められなかった。 著者らは「乳がんサバイバーの死亡率を下げるために、2次肺がんのスクリーニングの強化、早期介入と治療が必要」としている。

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HFrEF患者の死亡リスク、SGLT-2阻害薬で25%減/BMJ

 駆出率が低下した心不全(HFrEF)を有する患者において、SGLT-2阻害薬の使用者は非使用者と比較して、全死因死亡リスクが25%低かった。デンマーク・国立血清学研究所(SSI)のHenrik Svanstrom氏らが、同国心不全レジストリ(Danish Heart Failure Registry)と国民登録簿(Danish national registers)を結び付けて解析した非介入データベース試験の結果を報告した。臨床試験では、SGLT-2阻害薬は糖尿病の有無にかかわらず、駆出率が低下した心不全患者の病状悪化および死亡のリスクを低下することが示されている。しかし、臨床試験のような管理下にない幅広い心不全患者集団における、SGLT-2阻害薬の有効性はほとんどわかっていなかった。著者は、「今回の結果は、実臨床において、および糖尿病患者と非糖尿病患者を含むすべての重要な臨床サブグループにおいて、SGLT-2阻害薬の有効性を支持するものであった」とまとめている。BMJ誌2024年11月6日号掲載の報告。対象は45歳以上、左室駆出率40%以下の心不全患者 研究グループは、2020年7月~2023年6月のデータを用いて、駆出率が低下した心不全を有する患者におけるSGLT-2阻害薬の使用と全死因死亡リスクとの関連を調べた。 対象は、45歳以上、左室駆出率40%以下の心不全患者とした。 主要アウトカムは全死因死亡で、SGLT-2阻害薬による治療開始・継続群と、SGLT-2阻害薬非使用でほかの標準的な心不全治療薬による治療継続群を比較した。副次アウトカムは心血管死または心不全による入院の複合およびそれぞれの発生とした。傾向スコアに基づく逆確率治療重み付け(IPTW)で補正したCox回帰法によりハザード比(HR)を算出して評価した。糖尿病患者vs.非糖尿病患者の死亡抑制効果は同等 SGLT-2阻害薬(ダパグリフロジン79%、エンパグリフロジン21%)を開始していた6,776例と、SGLT-2阻害薬非使用でほかの標準的な心不全治療薬を継続使用していた1万4,686例が試験に組み入れられた。 SGLT-2阻害薬使用群は、70%が男性で、平均年齢は71.2歳(SD 10.6)、20%が2型糖尿病を有していた。 追跡期間中の死亡は、SGLT-2阻害薬使用群で374例(死亡率5.8/100人年)、非使用群で1,602例(8.5/100人年)だった。全死因死亡の重み付けHRは0.75(95%信頼区間[CI]:0.66~0.85)であり、死亡の重み付け発生率(100人年当たり)の群間差は-1.6(95%CI:-2.5~-0.8)であった。 心血管死または心不全による入院の複合のHRは0.94(95%CI:0.85~1.04)、心血管死のHRは0.77(0.64~0.92)、心不全による入院のHRは1.03(0.92~1.15)であった。 全死因死亡の重み付けHRは、糖尿病患者(0.73[95%CI:0.58~0.91])と非糖尿病患者(0.73[0.63~0.85])で同等だった(p=0.99)。

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妊娠超初期の薬剤中絶、有効性と安全性を確認/NEJM

 子宮内妊娠が確認される前の超初期における薬剤中絶は、子宮内妊娠が確認されるまで中絶を延期するという標準的なアプローチと比較して、完全な中絶に関して非劣性であることが示された。スウェーデン・カロリンスカ研究所のKarin Brandell氏らVEMA (Very Early Medication Abortion) Study Groupが、多施設共同無作為化非劣性対照試験の結果を報告した。ミフェプリストン・ミソプロストールによる薬剤中絶は、高い有効性と安全性が確認されている。しかしながら、妊娠が超音波検査で確認できる前の妊娠超初期での有効性および安全性のエビデンスは不十分であった。NEJM誌2024年11月7日号掲載の報告。9ヵ国26施設の無作為化試験、子宮内妊娠が確認されるまで待機する標準ケアと比較 試験は9ヵ国26施設(オーストリア1、オーストラリア1、デンマーク2、フィンランド1、ネパール7、ニュージーランド1、ノルウェー1、スコットランド2、スウェーデン10)で、2019年3月~2023年4月に行われた。対象は、薬剤中絶を希望する、推定妊娠期間が最長42日、超音波検査で子宮内妊娠が確認されていない(子宮内が空洞または卵黄嚢や胚子極[embryonic pole]のない嚢状の構造物として視認される)女性であった。18歳以上で英語または試験地の言語を話し、試験について書面および口頭で説明を受けた後に参加に同意した場合を適格とし、異常妊娠(出血、片側腹痛など)の症状または兆候、異所性妊娠のリスク因子(以前の異所性妊娠、子宮内避妊用具[IUD]の使用など)、薬剤中絶に禁忌がある場合は除外した。 被験者は、即時(試験組み入れ当日または翌日)に中絶を開始する群(早期開始群)または子宮内妊娠が確認(試験7日目[±2日]の再超音波検査で確認)されるまで治療を待機する群(標準ケア群)に1対1の割合で無作為に割り付けられた。 主要アウトカムは、完全な中絶。非劣性マージンは、群間差の絶対値3.0%ポイントとした。完全な中絶について非劣性を確認 適格基準を満たした合計1,504例の女性が、早期開始群(754例)または標準ケア群(750例)に無作為化された。ベースライン特性は両群で類似しており、平均年齢は早期開始群29.6±6.4歳、標準ケア群29.7±6.5歳、BMI値は24.9±4.8と24.9±4.9、妊娠回数は初回が22.5%と24.7%、3回以上が59.6%と59.3%だった。ただし、診断された異常妊娠についてのみ、21件(2.8%)と104件(14.4%)で差異を認め、その内訳を見ると早期流産は9件(1.2%)と96件(13.3%)であった。 ITT解析において、完全な中絶は早期開始群676/710例(95.2%)、標準ケア群656/688例(95.3%)で認められた。全体群間差は-0.1%ポイント(95%信頼区間:-2.4~2.1)で、早期開始群の標準ケア群に対する非劣性を確認した。 異所性妊娠が早期開始群10/741例(1.3%)、標準ケア群6/724例(0.8%)で報告され、早期開始群の1例では診断前に破裂した。 重篤な有害事象は、早期開始群12/737例(1.6%)、標準ケア群5/718例(0.7%)で報告された(p=0.10)。大部分は異所性妊娠または不完全な中絶の治療のための、合併症を伴わない入院であった。

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立位時間を増やすだけでは心臓の健康は改善しない

 健康のことを考えて、スタンディングデスクを導入して座位時間を減らすことを考えている人もいるかもしれない。しかし、手首に特殊な動作モニターを装着した8万3,000人以上の英国成人を対象とした新たな研究において、座位時間を立位時間に変えても、実際の動きや運動を伴わない限り、心血管の健康へのメリットはないことが明らかになった。シドニー大学(オーストラリア)チャールズ・パーキンス・センターのマッケンジー・ウェアラブル研究ハブのMatthew Ahmadi氏らによるこの研究結果は、「International Journal of Epidemiology」に10月16日掲載された。 研究グループは、長時間の立位は、実際には心臓に悪影響を及ぼし、静脈瘤や深部静脈血栓症(DVT)などの発症リスクを上昇させる可能性があるとしている。Ahmadi氏は、「重要な点は、長時間立ち続けても座位時間の長い生活習慣は相殺されず、むしろ、循環器系の健康という点では、一部の人には危険をもたらす可能性があるということだ」と述べている。 今回の研究では、UKバイオバンク参加者8万3,013人(平均年齢61.3±7.8歳、女性55.6%)の加速度計のデータを用いて、毎日の座位時間、立位時間、静止時間(座位時間と立位時間を合わせたもの)と、心血管疾患(冠動脈性心疾患、心不全、脳卒中)および起立性循環器疾患(起立性低血圧、静脈瘤、慢性静脈不全、静脈潰瘍)の発症との関連が調査された。活動量計のデータを基に、参加者の立位時間、座位時間、および静止時間を推定した。 平均6.9年の追跡期間中に、6,829件の心血管疾患と、2,042件の起立性循環器疾患が発生していた。起立性循環器疾患のリスクは、1日の静止時間が12時間を超えると1時間当たり平均22%(ハザード比0.22、95%信頼区間0.16〜0.29)、1日の座位時間が10時間を超えると1時間当たり平均26%(同0.26、0.18〜0.36)、1日の立位時間が2時間を超えると30分当たり11%(同0.11、0.05〜0.18)上昇していた。心血管疾患のハザード比は、1日の静止時間が12時間を超えると1時間当たり平均13%(同0.13、0.10〜0.16)、1日の座位時間が12時間を超えると1時間当たり平均15%(同0.15、同0.11〜0.19)上昇していた。一方、立位時間と心血管疾患リスクとの間に有意な関連は認められなかった。 Ahmadi氏は、「本研究により、立位時間が増えても、長期的には心血管の健康の改善にはつながらず、むしろ循環器系の問題のリスクが上昇することが分かった」と話す。また、研究グループは、「この結果は、スタンディングデスクの使用をやめて座位に戻すべきことを意味するものではない。そうではなく、1日の中で体を動かす時間を増やす必要があることを示すものだ」と述べている。 論文の上席著者である、シドニー大学チャールズ・パーキンス・センターのマッケンジー・ウェアラブル研究ハブのEmmanuel Stamatakis氏は、「日常的に長時間座っている人にとって、1日を通して、ちょっとした動きをたくさん取り入れたり、計画的に運動を行ったりすることは、心血管疾患のリスクを低減するための良い方法かもしれない」と話す。そして、「定期的に休憩を取る、歩き回る、ウォーキングミーティングを行う、階段を使う、長距離を運転する際には定期的に休憩を取る、昼休みを利用してデスクから離れて体を動かす、などを心がけると良い」とアドバイスしている。 なお、研究グループが2024年初めに発表した研究によると、1日の座位時間が11時間を超える人でも、1日わずか6分の高強度の運動、または30分の中強度から高強度の運動を行うだけで心血管疾患リスクを軽減できることが明らかにされている。

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MRIで直腸がん手術の要否を判断可能か

 MRIによる直腸がん患者のがんステージの再評価により、手術を回避できる患者を特定できる可能性のあることが、新たな研究で明らかになった。手術を回避できた患者は、生涯にわたってストーマ装具を装着せずに済む可能性も期待できる。米バージニア大学(UVA)医療システム身体画像部門のArun Krishnaraj氏らによるこの研究の詳細は、「Radiology」に9月3日掲載された。 米国がん協会(ACS)によると、米国で直腸がんは比較的一般的な疾患で、毎年約4万6,220人(男性2万7,330人、女性1万8,890人)が新たに直腸がんの診断を受けているという。直腸がんによる死亡者数は、毎年5万4,000人以上に上る大腸がん死亡者数の統計に含まれている。 直腸がんの治療にあたる医師が理想とするのは、放射線療法と化学療法のみでがんを治療して患者の腸の機能を温存することだ。しかし、患者によっては経肛門的全直腸間膜切除術と呼ばれる処置が必要になる場合がある。この手術を受けた患者では、残念なことに、生涯にわたるストーマ装具の装着が必要となり、性機能障害などの他の問題を抱えることも多い。そのため、手術なしでも良好な状態を保つ可能性のある患者を特定することは非常に重要である。 今回の研究では、ステージIIまたはIIIの直腸がん患者277人(年齢中央値58歳、男性179人)を対象にしたランダム化比較試験(Organ Preservation in Rectal Adenocarcinoma〔OPRA〕試験)のデータの二次解析を行い、MRIでの再評価により手術を行わずに経過観察が可能な患者を特定できるかが検討された。対象者は、放射線療法後に化学療法を行う群と、化学療法後に放射線療法を行う群にランダムに割り付けられ、いずれの患者も再評価のためのMRI検査を受けた。これらのMRI画像は、放射線科医により、臨床的完全奏効(clinical complete response;cCR)、完全奏効に近い奏効(near-complete clinical response;nCR)、または不完全奏効(incomplete clinical response;iCR)に分類された。追跡期間の中央値は4.1年だった。 その結果、cCR達成患者では、nCR達成患者に比べて手術を回避できた患者の割合が高いことが明らかになった(65.3%対41.6%、ログランク検定によるP<0.001)。5年無病生存率は、cCR達成患者で81.8%、nCR達成患者で67.6%、iCR達成患者で49.6%だった。また、これらの再評価による分類は、全生存、遠隔再発なしの生存、および局所再発の予測因子としても機能することが示された。2年以上の追跡調査を受けた266人の対象者のうち、129人(48.5%)に再発が認められた。解析の結果、MRI画像所見での拡散制限(restricted diffusion;組織内で水分子が動きにくくなる状態)の存在と、リンパ節の形態的異常が再発に独立して関連していることが判明した。 研究グループは、腸の内視鏡検査の結果を加えると、MRIに基づく予測の精度がさらに高まる可能性があるとの見方を示している。Krishnaraj氏は、「MRIや内視鏡検査などの他のツールの継続的な進歩により、患者の将来の転帰に関してより詳細な情報が得られるようになることを私は楽観視している」とUVAのニュースリリースで述べている。同氏はさらに、「最終的には、治療後に患者に説明するがんの再発や転移のリスクについての予測精度を99%にまで上げたいと考えている。まだ道のりは遠いが、それがわれわれの目標だ」と語っている。

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高強度の運動は空腹感を抑制する?

 ランニングや水泳などの心拍数が上がるような高強度の運動は、早歩きやアクティブヨガなどのより低強度の運動よりも、食欲増進に関連するホルモンであるグレリンの抑制に効果的であることが、新たな研究で明らかになった。このような高強度の運動がもたらす効果は、男性よりも女性で顕著なことも示唆されたという。米バージニア大学医学部のKara Anderson氏らによるこの研究の詳細は、「Journal of the Endocrine Society」11月号に掲載された。 グレリンには、アシル化グレリン(AG)と非アシル化グレリン(DAG)という2つの形態が存在し、体内で、エネルギーバランス、食欲、血糖値、免疫機能、睡眠、記憶などに広範囲にわたって影響を及ぼすことが明らかにされている。グレリンはまた、急な運動により濃度が変動することも示されている。しかし、運動強度がグレリンレベルと食欲に与える影響についてのデータは限られている上に、そうした研究は主に男性のみを対象にしたものだという。 今回の研究では、8人の男性(平均年齢43.1±10.9歳、平均BMI 22.2±1.7)と6人の女性(平均年齢32.2±11.1歳、平均BMI 22.7±1.0)を対象に、運動強度と性別がグレリンレベルと食欲に与える影響が検討された。対象者には、まず、負荷を最大強度まで段階的に増やすエルゴメータ試験を実施して、乳酸値と最大酸素摂取量(VO2peak)を測定した。その後、その結果を基に、個々人のレベルに合った3種類の強度(運動なし、中強度:乳酸が急激に増え始める乳酸性閾値までの強度、高強度:乳酸性閾値とVO2peakの出力差の75%に当たる強度)を設定し、ランダムな順で行ってもらった。空腹感については、視覚アナログスケールで評価してもらった。 その結果、男女ともに、高強度の運動後では、中強度の運動後や運動をしなかった場合と比べてDAGレベルが有意に低下することが明らかになった。女性ではさらに、高強度の運動後にAGレベルについても有意に低下することが確認された。また、中強度の運動後には、運動をしなかった場合と比べて空腹感が有意に上昇していた。 こうした結果を受けて研究グループは、「中強度の運動では、グレリンレベルは変化しないか純増につながることが分かった」と述べ、「グレリンレベルの抑制には、乳酸性閾値を超える運動が必要なのかもしれない」との見方を示している。 Anderson氏は、「運動は『薬』と考えるべきであり、その『投与量』は個人の目標に基づいてカスタマイズされるべきだ」とJournal of the Endocrine Society誌のニュースリリースの中で述べている。同氏は、「われわれの研究は、高強度の運動が食欲抑制に重要な役割を果たす可能性を示唆するものであり、これは特に、減量プログラムの一環として有用だと考えられる」と述べている。

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パンデミック中は国内在留外国人の自殺率も高まった

 国内に暮らす外国人の新型コロナウイルス感染症(COVID-19)パンデミック中の自殺率に関するデータが報告された。外国人もパンデミックとともに自殺率が上昇したこと、男性においてはそのような変化が日本人よりも長く続いていたことなどが明らかにされている。筑波大学医学医療系ヘルスサービスリサーチ分野と国立国際医療研究センターグローバルヘルス政策研究センターの共同研究で、谷口雄大氏、田宮菜奈子氏、磯博康氏らによる論文が「International Journal for Equity in Health」に7月31日掲載された。 日本は世界的に見て自殺率が高いことが知られている。またCOVID-19パンデミック中に自殺率の上昇が認められた、数少ない国の一つでもある。一方、外国人の自殺率がパンデミックの影響を受けたのか否かは明らかにされていない。外国人は社会経済的な不平等にさらされやすく、医療アクセスの問題も抱えていることが多いため、パンデミック発生によって日本人よりも強い負荷が生じていた可能性がある。これらを背景として谷口氏らは、パンデミック中の国内在留外国人の自殺率がどのように変化したのかを、日本人と対比しながら詳細に検討した。 2016~2021年の厚生労働省「人口動態調査」の個票データから、自殺による死亡に関するデータを取得。年齢、性別、国籍の情報が欠落している人を除外したところ、この間の自殺者数は、日本人が12万1,610人(うち女性31.2%)、外国人は1,431人(同37.5%)だった。年齢については日本人男性が中央値52歳(四分位範囲38~68)、日本人女性は同55歳(39~72)、外国人男性は48歳(31~63)、外国人女性は50歳(35~63)だった。本研究では四半期ごとの自殺率を、人口に占める自殺者数の割合で表し、パンデミック前の対照期間(2016~2018年)の自殺率の変動との差分(difference-in-differences;DD)を算出することで、パンデミックの影響を推定した。 四半期ごとの自殺率を日本人と外国人で比較すると、男性と女性の双方において、常に日本人の自殺率の方が高値で推移していた。この差は、自殺率が高かった高年齢層の割合が、日本人で高かったことが一因と考えられる。年齢で層別化(40歳未満、40~59歳、60歳以上)して解析した結果、59歳以下の層において日本人と外国人との自殺率の差が顕著だった。 国籍別に見ると、パンデミック前より自殺率が高いことが報告されていた韓国・朝鮮籍の人では、ほかの国籍の外国人や日本人よりも高い自殺率で推移し、特に60歳以上の男性で顕著に高値だった。なお、韓国・朝鮮籍の自殺者数は、外国人自殺者の過半数(男性50.4%、女性51.1%)を占めていた。 ところで、パンデミック発生とともに国内の自殺率はいったん低下し、その後、反転して高値となったことが知られている。日本人におけるパンデミック初期の自殺率低下は、危機的状況における社会的な連帯感の高まり、労働時間の減少、政府による給付金などが背景にあるのではないかと推測されているが、外国人は、それらの恩恵を受けにくかった可能性がある。実際に本研究でも、2020年第2四半期のDDは、日本人の方が外国人よりも有意に低かった。 例えば、対照期間と比較した場合の同四半期の男性の自殺率は、日本人ではDD-0.90(95%信頼区間-1.12~-0.68)と統計学的に有意に低下したのに対して、外国人は0.97(同0.096~1.85)と有意に上昇しており、日本人と在留外国人の自殺率の推移の差を示すDDの差(difference-in-difference-in-differences;DDD)が1.87(1.20~2.54)と有意だった。女性においても、同四半期の日本人では自殺率が有意に低下した一方、外国人では有意な変化が認められず、DDDは1.23(0.51~1.94)と有意だった。 また、日本人男性における自殺率は2021年第3四半期以降、対照期間と有意でないレベルに低下した一方、外国人男性の自殺率は有意な上昇が続き、同年第4四半期のDDDは1.48(0.81~2.15)と有意であり、パンデミックの影響が日本人よりも長期間続いていた可能性が考えられた。なお、女性のDDDについては2021年以降、日本人と在留外国人の間で有意な差を認めなかった。 著者らは、「COVID-19パンデミック中、全体として在留外国人と日本人の双方で自殺率の上昇が見られた。初期には日本人では自殺率の低下が観察されたが外国人では見られず、また外国人男性の自殺率は2021年末まで高止まりしていた。われわれの研究結果は、パンデミックのような状況においては、社会経済的に脆弱な集団に対して適切なメンタルヘルスサポートが必要なことを示唆している」と総括。また、パンデミック中に外国人男性、特に、失業率が高かったと報告されている韓国・朝鮮籍の男性において自殺率が特に上昇していたことを指摘し、「適切な雇用機会の確保も重要」と述べている。

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新型コロナ感染中の運転は交通事故のリスク【Dr. 倉原の“おどろき”医学論文】第269回

新型コロナ感染中の運転は交通事故のリスク疾患によっては、罹病中に運転することが交通事故のリスクとされるものがあります。たとえば、糖尿病でインスリン治療を受けている人は、無自覚低血糖によって運転の支障を来すことがあります。そのため、運転免許証の取得や更新時に虚偽申告をした場合の罰則規定が設けられています。運転前に血糖測定を行うように指導することが重要です。発熱していて、医療機関を受診する場合、公共交通機関を使うと他人に感染を広げてしまうので、自家用車を自分で運転して受診する人が多いでしょう。しかし、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)については、どうも交通事故のリスクが高くなるようで…。Erdik B, et al. Driving Under the Cognitive Influence of COVID-19: Exploring the Impact of Acute SARS-CoV-2 Infection on Road Safety. Neurology, 2024;103 (7_Supplement_1):S46-S47.この論文は、COVID-19の急性発症と交通事故数の関連性を調査したものです。2020~22年のデータを用いて、米国7州での交通事故記録とCOVID-19の統計を比較分析しました。結果、急性のCOVID-19と交通事故増加の関連性が観察されました(オッズ比:1.5)。つまり、急性期のCOVID-19で運転すると、交通事故のリスクが高くなるということです。ちなみに、この交通事故リスクは、飲酒運転やてんかんを持っている場合のリスクと同程度であったと考察されています。これを受けて筆者らは、COVID-19は、その後の後遺症(Long COVID)だけでなく、急性期の交通事故リスクを高める可能性があると指摘しています。熱があればそりゃしんどいだろうと思いますが、機序としてはウイルスの神経系への影響とも述べられています。医療従事者は、COVID-19の患者を診療する際、認知・運転の低下の可能性を考慮する必要があります。できるなら、家族が運転する車で来院いただきたいところですね。

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第237回 伝説の弁護士「無罪請負人」登場!入札妨害事件の決着つくか

その人の姿を間近で見たのは約四半世紀ぶりだった。11月12日午後1時15分過ぎの札幌高裁805号法廷。以前、本連載で触れたKKR札幌医療センターの敷地内薬局に絡む公契約関係競売入札妨害罪の控訴審初公判を傍聴取材するため、私はその場にいた。この事件はKKR札幌医療センター(以下、同センター)の敷地内薬局の整備を巡る公募型プロポーザル方式の企画競争入札時に、同センター事務部長が保険薬局チェーン・アイン薬局を展開するアインファーマシーズ(以下、アイン)に有利に働くよう競合他社の提案内容を漏洩し、アイン側に企画提案書の提出期限後の再提案を打診、アイン側がこれに応じて2度も企画提案書を再提出し、優先交渉権を獲得したことが刑法第96条の6第1項で定める公の競売や入札での公正さを欠く偽計として罪に問われたものである。最終的に4月18日の判決で、元事務部長に懲役1年・執行猶予3年(求刑懲役1年)、アイン元社長と元取締役にそれぞれ懲役6ヵ月・執行猶予2年(求刑懲役10ヵ月)を言い渡した。ただし、アイン側の2被告は判決を不服として5月1日付で札幌高裁に控訴した。さて、控訴審初公判当日は午後1時半開廷予定で、20分ほど前に記者や一般傍聴人は入廷を許された。一般傍聴人は20数人ほど。それから間もなく傍聴席後方がざわついていることに気付いて振り返ると、傍聴席右端の通路にスーツに身を包んだ10人超の男性の一団がおり、そのうちの2人だけがマスクを着用していた。控訴した両被告だ。残りは弁護人だろうと予想はついた。ただ、一審で両被告の弁護人は合計で5人程度だったにもかかわらず、この日の弁護人は10人にまで膨れ上がっていた。意外な人物現る一団がぞろぞろと被告席に向かって歩き出した際、先頭を歩いていた傍目にもわかるほどの白髪交じりの男性の姿が目に入り、私はギョッとした。この日は矯正なしの裸眼0.2の視力だったが、それでもこの白髪の男性が誰かはすぐわかった。弁護士の弘中 惇一郎氏だ。ロス疑惑銃撃事件の三浦 和義氏、薬害エイズ事件の安部 英氏、障害者郵便制度悪用事件の村木 厚子氏、そして陸山会事件で小沢 一郎氏の弁護人を担当し、無罪を勝ち取った通称「無罪請負人」だ。最近では、金融商品取引法違反で逮捕、特別背任で追起訴された日産自動車のカルロス・ゴーン被告の弁護人を務め、保釈を勝ち取るものの、ゴーン被告が保釈中にレバノンに逃亡するという事件に巻き込まれてしまっている。弘中氏が無罪を勝ち取った刑事裁判は10数件と言われるが、刑事裁判の99%が有罪になる日本では極めて突出した実績である。私は1990年代後半に開かれた薬害エイズ事件の傍聴取材中、何度も弘中氏を目にしていた。同事件は検察が力を入れていたことは明らかで、常に検察官3~4人が出廷していたが、それを相手に一歩も引くことなく、反対尋問を行っていたことは強く印象に残っている。同じ薬害エイズ事件では安倍氏とは別に旧厚生省ルートとして事件当時の旧厚生省薬務局生物製剤課長の松村 明仁氏も逮捕され、最終的に有罪が確定している。私はそちらの裁判も傍聴していたが、松村氏の弁護人が行う被告人や証人に対する尋問は、常に検察官による反対尋問で完膚なきまで論破され、弘中氏のそれとは対照的だった。今回の一審について個人的な印象を述べると、アイン側両被告の弁護人の態度はやや異様に映った。そもそも刑事事件の場合、被告側弁護人はメディアに対して雄弁ではなくとも、一定程度接触してくれることが多い。報道により検察側に有利な空気を作らせないためだ。ところが一審のアイン側弁護人のメディアに対する態度は異様なほど頑なだった。審理後の記者のぶら下がりは可能な限り避け、こちらの名刺を受け取ることもなく、所属法律事務所などを決して明かすことはなかった。被告周辺の関係者にも弁護人に関する情報は徹底したかん口令が敷かれていた様子で、関係者にその辺を尋ねると「ごめん。その件は勘弁して」とまで言われるほど。そうした中で、「無罪請負人」として名高い弘中氏を新たに選任したことは被告側の控訴審に対する本気度の高さをうかがわせた。弘中氏の反対尋問、事実を崩すのか午後1時半、開廷。被告人の人定質問後、裁判長から弁護人側への確認が行われた際、アイン元社長である被告の主任弁護人として補足説明に立った弘中氏は、競争入札が適さないゆえに行われる随意契約の1種である企画競争が、競争入札に当たるという一審判決や検察の認識は矛盾している旨を主張。しかし、弁護人側が求めた追加証拠の採用、証人尋問、被告人質問、事実取り調べの請求ついて、検察官が「必要性もなく、特段止むを得ない事情があるとも考えられない」と却下を要求。裁判長も同様の判断をし、無罪請負人の登場にもかかわらず、見せ場はほとんどなく、約10分で即日結審。来年1月28日の判決言い渡しが決まった。結審後、記者が弁護人を追いかける中、弘中氏がただ一人で小雨がぱらつく中での囲み取材に応じた。控訴趣意書でも一審で両被告弁護人が展開した企画競争は一般的な競争入札に当たらないとの主張で無罪を求めていると説明した。また、同様の主張を展開する立命館大学法科大学院教授の大下 英希氏によると、この件に関する鑑定意見書をあらかじめ提出し、大下氏と両被告に加え、元代表取締役の業務状況を知るアイン社員1人の尋問を求めていたという。もっとも「意見書の提出により、なぜこれが競争入札に当たらないかの論理自体は裁判所にお伝えしているので、これで目的の半分以上は達している」との見立ても語った。そのうえで弘中氏は「競争入札関係は判例が少なく、本件が有罪になろうとも無罪になろうともこれからの実務に与える影響は大きい」との見解を示した。もし「本件が有罪になれば、最高裁…」と記者の1人が問いかけると、弘中氏は次のようにきっぱり言い切った。「もちろんです。当然です」もっとも上告はかなり狭き門である。おおむね上告受理申し立てが認められるのは2%弱。98%は門前払いである。さらにここを通過しても約8割は上告棄却である。上告受理申し立てが認められてから最終判断が下るまでは平均で7~10ヵ月。いずれにせよ、この件は来年中には決着がつく見込みだ。

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資産1億円を築くのは難しくない!? 資産そのものより重要なものとは【医師のためのお金の話】第86回

突然ですが、あなたは1億円以上の資産を所有しているでしょうか? 「資産1億円なんてとんでもない!」「株式投資や不動産投資で大成功した人や大きな会社を所有している人しか資産1億円は無理でしょ」と思う人が多いのではないでしょうか。一般的に、医師は高額所得者に分類されますが、資産1億円以上を所有している人はそれほど多くないと思います。もしかしたら、住宅ローンや教育費の支払いがキツくて、月末の給料日が待ち遠しい人がいるかもしれません。じつは、方法論さえ知っていれば、資産1億円を所有する「お金持ち」になるのは意外と難しくありません。しかし問題の本質は、資産1億円を所有することではありません。最も重要なのは1億円の所有ではなく、独力で資産1億円を築ける人間になることです。たとえば、宝くじで1億円を当てた人や、親から1億円の遺産を譲り受けた人は、一晩にして資産1億円になります。しかし彼らは資産を独力で築く能力がないため、1億円の資産がそれ以上増える可能性は極めて低いです。最初の1億円を乗り越えると次の1億円は楽になる私の経験では、最初の1億円を築くのは非常に難しく時間がかかりました。2002年に資産形成を始めてから、純資産が1億円を超えたのは2009年のことです。延々と河原に石を積み上げるような作業を続けた結果、およそ7年かけて1億円を築いたことになります。しかし、次の1億円は5年で築きました。さらに次の1億円は2年で達成というように、1億円をつくる期間がどんどん短くなっていきます。そして直近では、たった6ヵ月で1億円を突破するようになりました。最初の1億円を築くのは非常に骨が折れて難しいですが、次の1億円は放っておいても自動的に稼げるようになったのです。つまり、資産1億円を築ける人間になるということは、2億円や3億円も簡単に集められる人間になるということです。資産1億円を築ける能力を獲得すると、失業や投資で失敗しても、しばらく経てば立ち直れる可能性が高いです。資産1億円を築ける能力を獲得すると、1億円を失うことに対する恐怖がなくなります。その結果、投資や起業に対して、よりアグレッシブになれるのです。資産1億円を築くのに必要な習慣は節約ゼロから資産1億円を築いた人の習慣で特徴的なのものは、節約だと思います。叩き上げでお金持ちになった人ほど、1円も粗末に扱わないものです。日常の買い物でも無駄遣いをせずに、できるだけ節約します。私の例では、これまでレグラス、メルセデスベンツEクラス、ランドクルーザーと乗り継いできました。最初のレグラスは新車で購入しましたが、それ以外はすべて中古車です。しかも、中古車販売業者を通さずに、知人から直接購入しています。さすがに私の例は少し極端かもしれませんが、このようにして支出を削って貯めたお金を、細心の注意を払って投資に回します。そして投資から得られた収益を再投資することによって、雪だるま式に資産を増やしていくのです。資産1億円を築く方法は、株式や不動産投資、そして起業などたくさんあります。これらを習得せずして資産1億円は難しいでしょう。しかし、それらに共通するのは節約の習慣です。節約によってタネ銭を貯める習慣なくして、資産1億円を築くのは難しいと思います。もちろん、生活の質を度外視した極端な節約は推奨されません。コストパフォーマンスを考えながら、できるだけ支出を抑えて賢い買い物をすることが重要です。資産1億円への道は日々の節約から。その上で、自分なりの資産1億円を築く能力を獲得しましょう。

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腫瘍循環器学と不易流行【見落とさない!がんの心毒性】第30回(最終回)

連載終了にあたりある日、医療・医学情報サイトCareNet.comの編集者から腫瘍循環器学に関する連載をしませんかという企画をいただきました。そしてその内容はインターネット情報サイトを活用して、腫瘍循環器専門医のみならず一般の循環器医や腫瘍医の先生、メディカルスタッフの皆さんに腫瘍循環器学をわかりやすく理解していただくため、というものでした。この頃は、大阪府立成人病センター循環器内科において腫瘍循環器外来が開始して以来10年が経過した時点であり、日本腫瘍循環器学会が発足したばかりの時期でもありました。タイムリーな企画だなと考え、腫瘍循環器医として第一線で活躍されておられる大倉 裕二先生、草場 仁志先生、志賀 太郎先生をお誘いして本連載を開始することにいたしました。当初は2年間の予定でしたので、最初の1年は総論(第1回~第11回)、その後は症例中心に連載を行うことにいたしました(第12回~第28回)。途中CareNet.com読者の皆さまにアンケートを行う試みも行いました1,2)。症例報告については、当初の4名に加え多くのエキスパートの先生にご参加いただき、実際に先生方がご経験された症例などを元に原稿を作成していただきました。その結果、3年半、合計30回の連載企画になりました。今回は、最終回としてこれまでの3年間を振り返りながら腫瘍循環器学の現在と将来についてまとめさせていただきます。古くて新しいアントラサイクリン系抗がん剤まず取り上げたのは、最も古くから存在する抗がん剤の一つであるアントラサイクリン系抗がん剤でした。1970年代に報告されたアントラサイクリン心筋症こそが、腫瘍循環器領域で最初に報告された心血管合併症(心血管毒性)であり、大倉先生に第2回『見つかる時代から見つける時代へ』で執筆いただきました。それは「アントラサイクリン心不全は3回予防できる」と名言を残した素晴らしい内容でした。循環器医なら全員が知っているはずのアントラサイクリン心筋症ですが、その病態や管理については意外と知られておりません。第15回 化学療法中に心室期外収縮頻発!対応は?第17回 造血幹細胞移植後に心不全を発症した症例第21回 がん化学療法中に発症した肺塞栓症、がん治療医と循環器医が協力して行うべき適切な管理は?さらにアントラサイクリン系抗がん剤と同様に、以前から投与されている殺細胞性抗がん剤について、以下の回で取り上げられました。第22回 フッ化ピリミジン系薬剤投与による胸痛発作症例第25回 膵がん治療中に造影CTで偶然肺塞栓を発見!適切な対応は第26回 増加する化学療法患者-機転の利いた専攻医の検査オーダー第28回 膵がん患者に合併する静脈血栓塞栓症への対応法この古くて新しい抗がん剤については、第17回で取り上げましたように、がん治療が終了した後もがんサバイバーにおける晩期合併症としても大変注目されています。そして、乳がん領域で最も予後が不良であったトリプルネガティブ症例に対する最も新しい治療の一つとしてその有効性が明らかとなっています3)。腫瘍循環器学の始まりは分子標的薬から腫瘍循環器学は2000年になり登場した分子標的薬とそれに伴い出現する心血管毒性が報告されてから急激な発展を遂げています。第3回『HER2阻害薬の心毒性、そのリスク因子や管理は?』で取り上げたHER2阻害薬は、米国・MDアンダーソンがんセンターにおいて世界最初に開設されたOnco-Cardiology Unitのきっかけになったがん治療薬です。当時は副作用が少なく有効性の高い夢のような薬として登場いたしましたが、アントラサイクリンとの併用により高頻度で心毒性が出現(HERA試験)4)したことで、腫瘍循環器領域に注目が集まりました。HER2阻害薬は第3回で解説があるように、その可逆性には二面性があり腫瘍循環器的にも注意が必要な薬剤です。そして、現在最も多く投与されている分子標的薬である血管新生阻害薬について、以下の回で触れています。第4回 VEGFR-TKIの心毒性、注意すべきは治療開始○ヵ月第14回 深掘りしてみよう!ベバシズマブ併用化学療法このほか、第12回、第19回 と本連載でも多く取り上げられています。血管新生阻害薬は高血圧、心不全、血栓症など多くの心血管毒性に注意が必要な薬剤であり、Onco-Hypertension領域におけるがん治療関連高血圧の原因薬剤としても注目されています5)。古くて新しいがん関連血栓症がんと血栓症は、1800年代にトルーソー(Trousseau)らにより「がんと血栓症」が報告されて以来、トルーソー症候群という概念で古くから存在しています。そして現在は血管新生阻害薬などのがん治療薬の進歩に伴い、がん治療に伴う血栓症の頻度が急速に増加してきたことで、がん関連血栓症(CAT:cancer associated thrombosis)という新しい概念が生まれてきました(図1)6)。(図1)画像を拡大する本企画では第8回 がんと血栓症、好発するがん種とリスク因子は?第20回 静脈血栓塞栓症治療中の肺動脈塞栓を伴う右室内腫瘤の治療方針第21回 がん化学療法中に発症した肺塞栓症、がん治療医と循環器医が協力して行うべき適切な管理は?第23回 静脈血栓塞栓症の治療に難渋した肺がんの一例(前編)第24回 静脈血栓塞栓症の治療に難渋した肺がんの一例(後編)第25回 膵がん治療中に造影CTで偶然肺塞栓を発見!適切な対応は第28回 膵がん患者に合併する静脈血栓塞栓症への対応法で、症例クイズとして数多く取り上げています。また、本疾患概念などについては、第9回『不安に感じる心毒性とは?ー読者アンケートの結果から』や第26回『増加する化学療法患者-機転の利いた専攻医の検査オーダー』でも触れられています。そのほかのがん治療古くて新しいがん治療には、放射線療法そしてホルモン療法が挙げられます。第7回『進化する放射線治療に取り残されてる?new RTの心毒性対策とは』、そして第11回『免疫チェックポイント阻害薬、放射線治療の心毒性、どう回避する?』に放射線関連心機能障害(RACD:Radiation Associated Cardiovascular diseases)が取り上げられました。さらに、ホルモン療法は第16回 がん患者に出現した呼吸困難、見落としがちな疾患は?第27回 アンドロゲン遮断療法後に狭心症を発症した症例にて症例提示がなされています。一方、最も新しいがん治療である免疫チェックポイント阻害薬(ICI)の登場はがん診療にパラダイムシフトを起こしています。ICIに関連した連載は、第5回 免疫チェックポイント阻害薬:“予後に影響大”の心筋炎を防ぐには?第11回 免疫チェックポイント阻害薬、放射線治療の心毒性、どう回避する?第18回 免疫チェックポイント阻害薬の開始後6日目に出現した全身倦怠感第29回 irAE心筋炎の原因の一つに新たな知見が!!と計4回に登場します。また、第6回『新治療が心臓にやさしいとは限らない~Onco-Cardiologyの一路平安~』には、副作用に関するコメントとして、心毒性と腫瘍循環器医が知っておかねばならない副作用情報の読み方がまとめられており、ぜひとも再読してみてください。今後の腫瘍循環器学ニッチな学際領域であった腫瘍循環器学はいまや世界的に多くの研究がなされるようになり、各学会でステートメントやガイドラインが作成されています。本邦では、本連載が始まった後Onco-Cardiologyガイドラインが作成され、現在もトランスレーショナルリサーチや臨床研究がなされており、多くのエビデンスが明らかとなってきています。このような背景の元で、2025年10月に大阪千里ライフサイエンスセンターにおいて第8回日本腫瘍循環器学会学術集会(大会長 向井 幹夫)が開催されます。テーマを「不易流行* がんと循環器:古くて新しい関係」としており、本連載をお読みになられた方にはぜひ学術集会にご参加いただき、一緒に討論いたしましょう。*精選版 日本国語大辞典 第二版より:蕉風俳諧の理念の一つ。新しみを求めてたえず変化する流行性にこそ永遠に変わることのない不易の本質があり、不易と流行とは根元において一つであるとし、それは風雅の誠に根ざすものだとする。芭蕉自身が説いた例は見られないが向井 去来、服部 土芳らの門人たちの俳論において展開された。今回、連載の編集にご協力いただきました3名の先生、そして連載をお願いした腫瘍循環器医の先生方に御礼申し上げます。そして、本連載を読んでいただきました読者の皆さまと共に更なるご発展を祈念いたします。最後にCareNet.com連載について最初から担当いただき、適切なアドバイスをいただきましたケアネット社ならびに担当された土井様に深謝いたします。監修向井 幹夫(大阪がん循環器病予防センター 副所長)編集大倉 裕二(新潟県立がんセンター腫瘍循環器科 部長)草場 仁志(国家公務員共済組合連合会 浜の町病院 腫瘍内科部長)志賀 太郎(がん研究会有明病院腫瘍循環器・循環器内科 部長)向井 幹夫著者大倉 裕二、加藤 浩、北原 康行、草場 仁志、塩山 渉、志賀 太郎、鈴木 崇仁、竹村 弘司、田尻 和子、田中 善宏、田辺 裕子、津端 由佳里、深田 光敬、藤野 晋、向井 幹夫、森山 祥平、吉野 真樹(50音順、敬称略)1)向井幹夫ほか. がん診療医が不安に感じる心毒性ーCareNet.comのアンケート調査よりー. 第5回日本腫瘍循環器学会学術集会.2)志賀太郎ほか. JOCS創設7年目の今、腫瘍医、循環器医、それぞれの意識は〜インターネットを用いた「余命期間と侵襲的循環器治療」に対するアンケート調査結果〜. 第7回日本腫瘍循環器学会学術集会.3)Schmid P, et al. N Engl J Med. 2022;386:556-567.4)Piccart-Gebhart MJ et al. N Engl J Med. 2005;353:1659-1672.5)Minegishi S et al. Hypertension 2023;80:e123-e124.6)Mukai M et al. J Cardiol. 2018;72:89-93.講師紹介

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