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一貫の幸福、循環器内科医が綴る「鮨」と「脂」の甘美な誘惑【Dr.中川の「論文・見聞・いい気分」】第92回

第一章:静寂のカウンターで出会う一貫の小宇宙「うん、旨い」と思わず心の中で声が弾みます。鮨屋の静かな空気の中で、最初の一貫を口に運ぶその一瞬は、何度繰り返しても特別な儀式です。舌に触れた瞬間にシャリがふわりとほどけ、酢の香りが鼻を抜け、ネタの旨みが怒涛のように押し寄せます。計算し尽くされた温度や切りつけ、そして職人が生み出すほんのわずかな間の妙が、こちらの乱れた感情まで整えてくれます。仕事の雑音は消え去り、世界はカウンターと目の前の一貫だけの純粋な空間に変わります。二貫目、三貫目と進むほど、最初の「旨い」が心地よく反響し、大将の鮮やかな所作や包丁がまな板を叩く音、差し出された熱いアガリの湯気までもが味の一部となって、私の記憶に静かに染み込んでいきます。私は、理屈抜きに鮨が好きなのです。第二章:漢字が語る「魚」と「旨」の熟成ロマンスところで、「鮨」という漢字の成り立ちは実に見事だと思いませんか。魚偏の右隣に「旨い」を添えて「鮨」と書くのは、まさに言い得て妙というほかありません。「旨」という字の源を辿ると、スプーンのような匙の中に甘いものが入っている様子を表しており、凝縮された美味しいものを意味しています。大昔の鮨は、今のような握り鮨の形ではなく、魚と米を塩で漬け込み、時間をかけて自然発酵させる「なれずし」であったそうです。つまり「鮨」とは、魚が熟成して旨くなった状態に重点を置いた文字なのです。他にも魚偏に「作る」と書く「鮓」という字がありますが、これは「酸っぱい」という意味を持っており、発酵による酸味や保存性を強調しています。現代で一般的な「寿司」という表記は、江戸時代に作られた縁起の良い当て字ですので、職人のこだわりや、ムラサキをひと塗りした魚そのものの味を強調したい私としては、あえて「鮨」という字を使いたいと考えます。第三章:脳をハックする「脂」という名の快楽物質さて、職業柄どうしても気付いてしまうのですが、「鮨」という字は「脂」という字にどこか似ています。循環器内科医である私が、日々の診療で嫌というほど目にする脂質異常症の要となる文字です。「脂」の偏である「月」は、夜空に輝く天体ではなく「肉」という字が簡略化された「にくづき」と呼ばれるものです。腹、腕、臓といった体の一部を表す漢字に使われる通り、「脂」とは体の中でも特にエネルギーが凝縮された美味しい部分を指しています。味覚において脂質がおいしさの鍵となることには、実は明確な科学的理由があります。脂質は風味のキャリアとして、旨味や香り成分を溶かし込む性質を持っています。水である唾液はすぐに飲み込まれて流れてしまいますが、適度な粘り気がある脂は舌の表面に薄い膜を作るため、味の成分が味蕾にとどまる時間が長くなり、私たちはそれを「コクがある」とか「余韻が長い」と感知するのです。さらに脂は口の中で体温によって溶け出し、そのとろける食感が脳に強力な快感を与えます。鼻を抜けるナミダの刺激さえも、脂の甘みを引き立てるアクセントに変わる。人間は長い飢餓の歴史を経てきたため、少量で高いエネルギーを得られる脂質を美味しいと感じるように、脳がしっかりとプログラミングされているのです。第四章:ステーキとハンバーグに隠された「脂」の増幅理論この脂質の誘惑は鮨だけではなく、サーロインステーキなどの肉料理でも同様です。牛肉において脂は、肉の繊維の中にある旨味を液体化させて舌のセンサーに届けるための、いわば天然の増幅器のような役割を果たしています。和牛が美味しい最大の理由は、単に脂の量が多いからではなく、脂の質そのものに秘密があります。和牛の脂には、オリーブオイルの主成分でもあるオレイン酸が含まれているのです。この性質を利用して、パサつきやすい赤身の塊肉に無数の針で和牛の脂を注入し、無理やりジューシーに仕上げる「牛脂注入肉」という技術も存在します。日本の法律では、これらを流通時に明記する義務がありますが、この「脂で旨味を補強する」という発想をより家庭的かつ合法的に活用した調理法が、みんなが大好きなハンバーグです。第五章:アミノ酸が爆発する「熟成」という名の魔法再び私がこよなく愛する鮨の話に戻りますが、鮨屋で「シマアジを3日寝かせた」「マグロを1週間置いた」と言うのは聞いたことがあると思います。単に柔らかくするためではありません。肉も魚も、死後しばらく経つと死後硬直によって一度は身が硬くなります。しかし、そこから適切な温度でじっくりと寝かせることで、細胞内の酵素が働き始めてタンパク質が分解され、グルタミン酸などのアミノ酸へと変わります。これこそが「旨味」の正体であり、素材のポテンシャルを最大限に引き出すために時間を調理道具として使う、人類の知恵が詰まった高度な技術です。「鮨」という漢字を選んだ先人たちは、魚が腐敗へと向かう一歩手前で旨味が爆発する瞬間を、見事に捉えていたと言えるでしょう。第六章:黄金の三角形が生み出す「もう一貫」の無限ループ世界中の都市で「Sushi」の看板を見かけるようになったのは、酢飯に含まれる「酢」が人間の味覚システムを完璧にハックしているからだと考えています。酸には脂のしつこさを切り、旨味を際立たせる効果があります。脂は旨味の運び役として優秀ですが、多すぎると口の中が脂の膜で覆われて味覚が鈍くなってしまいます。ここで酢の効いたシャリが登場し、脂の重たさを中和して口の中をさっぱりと洗い流してくれるのです。この「リセット」という役割において、忘れてはならないのがガリです。次のネタに移る前に舌を清める、味の句読点です。板場でお客の食べるペースを計り、食欲を適度に刺激するための調整役としての意味も込められています。鮨には「旨味・脂・酸」という黄金の三角形が揃っており、この完璧なサイクルがあるからこそ、私たちは「もう一貫」と飽きることなく食べ続けられるのです。鮨はまさに、一切れの魚を一つの完成された宇宙へと昇華させる究極のエンターテインメントと言えるでしょう。第七章:ドーパミンとLDL、幸福と代償のせめぎ合い脂の乗ったトロを口に含んだ瞬間、脳内ではドーパミンが放たれ、幸福感が一気に立ち上がります。これは人類が飢餓と共に生きてきた歴史の名残であり、「高エネルギーなものを見逃すな」という原始的な生存戦略のスイッチが入る瞬間でもあります。しかし循環器内科医としての私の視点は、どうしてもその先を見てしまいます。脂質の過剰摂取は、血中LDLコレステロールを増やします。本来は細胞に必要な物資を届ける運び屋ですが、余れば血管壁に居座り、静かに動脈硬化を進めていく厄介な同居人となります。心筋梗塞や脳梗塞は、ある日突然起こる出来事ではなく、日々の「美味しい」の積み重ねの延長線上にあります。では、鮨は不健康な誘惑なのでしょうか。私は、そうは思いません。なぜなら鮨という料理は、脂を無制限に肯定する構造にはなっていないからです。一貫は小さい。脂のピークは酢飯の酸で必ず切られる。ガリが入り、アガリで間が置かれる。これは快楽を暴走させないための、驚くほど理性的な設計です。ドーパミンを出しすぎず、LDLコレステロールを積み上げすぎないための、日本料理が長い時間をかけて編み出した安全装置と言ってもいい。最後に熱いアガリを啜り、ふっと我に返る。満腹ではなく、満ち足りて席を立つ、この感覚こそが鮨の真骨頂です。循環器内科医として断言します。本当に怖いのは脂そのものではありません。止まらない脂、考えずに摂る脂です。一貫ずつ供され、考えながら味わい、自然と箸が止まる。鮨とは、幸福と健康の折り合いを最初から織り込んで完成された料理なのです。だから私は今日も、安心してこう呟きます。「……もう一貫、お願いします」※登場した鮨屋の符牒……シャリ:米、アガリ:茶、ムラサキ:醤油、ナミダ:わさび、ガリ:生姜

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抗菌薬による末梢神経障害【1分間で学べる感染症】第37回

画像を拡大するTake home message一部の抗菌薬・抗真菌薬は末梢神経障害を引き起こす可能性があり、とくに慢性使用時や高用量使用時には、そのリスクを念頭に置いた処方・モニタリングが重要であることを理解しよう。抗菌薬の使用中に、患者から「手足がしびれる」「足裏の感覚が鈍い」といった訴えがあった場合、まず考慮すべきは「薬剤性末梢神経障害(drug-induced peripheral neuropathy)」です。とくに抗菌薬を長期投与する機会の多い免疫不全、結核、真菌感染症の患者では、強く意識しておくことが重要です。今回は、抗菌薬による末梢神経障害の頻度や経過に着目して、代表的な薬剤を整理していきましょう。抗菌薬ごとの特徴と注意点メトロニダゾール抗嫌気性菌治療で広く使われる薬剤であり、高用量での長期使用(4週間で42g以上)では末梢神経障害が比較的高頻度で報告されています。症状は亜急性で、用量調整と早期中止により改善するといわれますが、一部の患者では長期間持続することがあります。イソニアジド結核治療の第1選択薬ですが、ビタミンB6(ピリドキシン)欠乏により末梢神経障害を起こすことがあります。ビタミンB6を併用することで発症頻度は大きく低下しますが、常に可能性を念頭に置いておくことが重要です。リネゾリドグラム陽性球菌に対する治療薬として使用されますが、2週間以上の使用で30%前後の頻度で神経障害が生じると報告されており、比較的頻度が高い抗菌薬として押さえておく必要があります。エタンブトール視神経障害のイメージが強い薬剤ですが、まれに末梢神経障害も報告されており、とくに高齢者や腎機能低下例では注意が必要です。フルオロキノロン系非常にまれながら感覚障害、異常感覚といった末梢神経障害が発現することが知られています。腱障害(腱炎や腱断裂、アキレス腱が多い)と併せて理解しましょう。ジアフェニルスルホン(ダプソン)ハンセン病やニューモシスチス肺炎の予防に使われる薬剤で、亜急性から慢性の経過をとる神経障害が報告されています。トリアゾール系抗真菌薬ボリコナゾールを中心に、慢性使用で神経毒性のリスクが上昇することが示唆されています。ボリコナゾールでは幻覚、高濃度で中枢神経障害も併せて覚えるようにしましょう。クロラムフェニコール現在では使用頻度が低い薬剤ですが、慢性的な神経毒性の報告があるため、投与機会がある場合には注意が必要です。末梢神経障害は、患者のQOLを大きく損なう副作用にもかかわらず、原因が特定されにくく、かつ進行性である可能性がある点で非常に重要です。上記の抗菌薬を継続している患者では、常に末梢神経障害のリスクを念頭に置き、出現した際には中止あるいは変更を検討します。1)Mauermann ML, et al. JAMA. 2025 Nov 17. [Epub ahead of print]

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第44回 進行したアルツハイマー病が「元に戻る」? 驚きの最新研究で見えた治療の新たな光

「進行したアルツハイマー病は『不可逆』である」。 長年、一度失われた認知機能は元には戻らないというのが定説でした。しかし、2025年12月にCell Reports Medicine誌に発表された研究は、その常識を覆す可能性を秘めています1)。 今回は、進行したアルツハイマー病の状態から認知機能を「回復」させたという最新の研究成果と、その鍵を握る「NAD+」という物質について解説していきます。「手遅れ」の状態から記憶力が復活? アルツハイマー病の治療薬といえば、最近話題のレカネマブやドナネマブのように、脳に溜まった「アミロイドβ」というゴミを取り除くことで、病気の進行を「遅らせる」ものが主流です。しかし、今回の研究チームが報告したのは、進行を遅らせるだけでなく、進行した症状を「逆転」させたという衝撃的なデータでした。 研究チームが使用したのは、遺伝子操作によって重度のアルツハイマー病を発症するようにしたマウスです。このマウスに対し、人間で言えばすでに認知症がかなり進行し、脳内の炎症や神経細胞の損傷が進んでいる「進行期」にあたる段階から、「P7C3-A20」という化合物を投与し始めました。 通常であれば、この段階のマウスは記憶力や学習能力が著しく低下しています。しかし、この化合物を投与されたマウスたちは、驚くべき回復を見せました。 たとえば、新しい物体を見分けるテストや、プールの中で逃げ場所を探すテストにおいて、健康なマウスと変わらないレベルまで成績が回復したのです。 さらに、脳の内部を詳しく調べると、以下のような変化が起きていました。 血液脳関門の修復: 脳を有害物質から守るバリア機能(血液脳関門)が壊れていたのが、修復されていました。 炎症と酸化ストレスの減少: 脳内の慢性的な炎症や、細胞を錆びつかせる酸化ストレスが劇的に抑えられていました。 神経細胞の保護: 新しい神経細胞が生まれる機能が回復し、既存の神経細胞の死滅も防がれていました。 これは、単に「進行が止まった」だけでは説明がつかない、脳機能の「再生」に近い現象が起きたことを示唆しています。鍵を握る「NAD+」:脳のエネルギー通貨 では、この「P7C3-A20」という化合物は、一体何をしたのでしょうか? その答えは、「NAD+」という物質の調整にあります。 NAD+は、私たちのすべての細胞の中に存在し、エネルギーを生み出したり、傷ついたDNAを修復したりするために不可欠な「燃料」のようなものです。研究チームは、アルツハイマー病のマウスや、実際の人間の患者さんの脳内でも、このNAD+のバランス(恒常性)が崩れ、枯渇していることを突き止めました。 つまり、脳がダメージを受けたとき、それを修復するための「エネルギー(NAD+)」が足りず、防御システムが崩壊しているのがアルツハイマー病の進行に深く関わっているようなのです。 今回使用された「P7C3-A20」は、このNAD+を作る酵素を活性化させることで、脳内のNAD+レベルを正常に戻す働きをしました。重要なのは、NAD+を過剰に増やすのではなく、「正常なレベルに戻した」という点です。「アミロイドβがあっても発症しない人」の謎 さらにこの研究が興味深いのは、マウスだけでなく、人間のデータともリンクしている点です。 実は、亡くなった高齢者の脳の解剖を行うと、脳内ではアミロイドβの蓄積など、アルツハイマー病の特徴がはっきりと見られるにもかかわらず、生前は認知症を発症していなかった人が一定数存在します。 「なぜ彼らは、脳にゴミが溜まっていても認知症にならなかったのか?」 この長年の謎に対し、今回の研究は一つの答えを提案しています。研究チームが認知症にならなかった人の脳を調べたところ、彼らの脳内ではNAD+を作り出すシステムが正常に保たれていたのです。 つまり、アミロイドβなどのゴミがあっても、NAD+という「燃料」が十分にあり、脳の修復システム(レジリエンス=回復力)が正常に働いていれば、認知症の発症を防げる可能性があるというわけです。ただし、ぬか喜びは禁物 ここまで読むと、「NAD+のサプリを飲めばいいのでは?」「もうアルツハイマー病は治る病気になったのか?」と期待してしまうかもしれません。しかし、冷静になるべきいくつかの重要な「壁」があります。 まず、今回使われたのは、遺伝子操作によって強制的にアルツハイマー病を発症させたマウスです。人間のアルツハイマー病は、遺伝要因だけでなく、生活習慣や加齢など複雑な要因が絡み合って発症するため、マウスで効いた薬が人間でも同じように効くとは限りません。 また、「NAD+を増やせばいい」と単純に考えるのは危険です。過去の研究では、NAD+の前駆体(材料となる物質)を過剰に摂取すると、NAD+レベルが異常に高くなりすぎてしまい、たとえばがん細胞の増殖を助けてしまうリスクなどが指摘されています。今回のP7C3-A20という薬剤は、NAD+を「正常範囲」に留める特性があったため成功しましたが、市販のサプリメントで同様の安全で精密なコントロールができるかは不明です。 さらに、このP7C3-A20という化合物も、まだ人間での臨床試験の結果が出ているわけではありません。人間でも効果が見られるか、安全に使えるかを確認するには、それ相応のプロセスが必要です。私たちが知っておくべきこと それでも、この研究が示した「希望」は色褪せないでしょう。これまでアルツハイマー病の治療は「原因と思わしき物質(アミロイドβなど)を取り除く」ことに主眼が置かれてきました。しかし今回の研究は、「脳の回復力(レジリエンス)を高める」という新しいアプローチが、すでに進行してしまった病気に対しても有効である可能性を示しました。 「死んでしまった神経細胞は元には戻らない」というこれまでの常識に対し、実は細胞が死滅するずっと手前の段階で、エネルギー不足によって機能不全に陥っているだけの細胞が多くあり、それらは救済可能かもしれないのです。 ただし、今の私たちができることは、怪しいサプリメントに飛びつくことではなく、この「脳の回復力」に着目した新しい治療開発の行方に注目し続けることでしょう。そして、規則正しい生活や運動が、このNAD+レベルを含む脳の代謝システムを維持するのに良い影響を与える可能性についても、改めて検討されるべきかもしれません。 1) Chaubey K, et al. Pharmacologic reversal of advanced Alzheimer's disease in mice and identification of potential therapeutic nodes in human brain. Cell Rep Med. 2025 Dec 22. [Epub ahead of print]

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重度の精神疾患患者、コーヒー1日4杯で生物学的年齢が5歳若返る?

 テロメア長は細胞老化の指標であり、重度の精神疾患患者は一般集団よりもテロメア長が短い傾向にある。コーヒーの摂取は、酸化ストレスを軽減し、テロメア長の短縮などの生物学的老化プロセスの予防に役立つ可能性があるといわれている。英国国民保健サービスは、1日のカフェイン摂取量を400mg(コーヒー4杯分)に制限することを推奨している。しかし、精神疾患患者におけるコーヒー摂取とテロメア長の役割は、依然として明らかではなかった。英国・キングス・カレッジ・ロンドンのVid Mlakar氏らは、重度の精神疾患におけるコーヒー摂取とテロメア長との関連を評価するため、横断的研究を実施した。BMJ Mental Health誌2025年11月25日号の報告。 対象は、ノルウェーTOP研究に参加した精神疾患患者436例(統合失調スペクトラム症:259例、感情障害:177例)。白血球テロメア長は、血液からリアルタイムPCR(qPCR)を用いて測定した。コーヒー摂取量は、患者の自己申告により評価し、1日当たりのカップ数(0杯、1~2杯、3~4杯、5杯以上)で定量化した。 主な結果は以下のとおり。・テロメア長とコーヒー摂取量の間に逆J字型が認められた。1日3~4杯でピークに達し、4杯を超えると減少した(F=3.29、p=0.02)。・テロメア長の差が最も長かったのは、推奨最高用量を摂取した患者と非摂取者の間であった(F=6.13、p=0.01)。・推奨用量内でコーヒーを摂取した患者は、交絡因子調整後、テロメア長が長かった。これは、生物学的年齢の5歳若い状態に相当する値であった。 著者らは「推奨用量内でのコーヒー摂取は、重度の精神疾患におけるテロメア長と関連しており、生物学的年齢の5歳若返りに匹敵する値が示された」と結論付けている。

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心血管イベント高リスク患者、術後制限輸血戦略は安全か/JAMA

 心血管イベントリスクの高い患者において、主要血管手術後または一般外科手術後の非制限輸血戦略は制限輸血戦略と比較して、90日死亡あるいは主要虚血性イベントの発生を減少させなかった。米国・State University of New York(SUNY)Downstate Health Sciences UniversityのPanos Kougias氏らTOP Trial Investigatorsが行った無作為化試験「Transfusion Trigger after Operations in High Cardiac Risk Patients:TOP試験」の結果で示された。術後赤血球輸血ガイドラインでは、ヘモグロビン値が7g/dL未満について輸血を行うこと(制限輸血戦略)が推奨されているが、大手術を受ける心血管イベントリスクの高い患者において、この輸血戦略の安全性は明らかになっていなかった。JAMA誌2025年12月23・30日号掲載の報告。90日以内の死亡または主要虚血性イベントのリスクを評価 TOP試験は、主要血管手術または一般外科手術を受け、術後に貧血を呈した心血管イベントリスクの高い患者における、非制限輸血戦略vs.制限輸血戦略の90日以内の死亡または主要虚血性イベントのリスクを評価した、並行群間比較単盲検無作為化優越性試験。 2018年2月~2023年3月に、米国の16の退役軍人省医療センターで、主要血管手術または一般外科手術を受けた心血管イベントリスクの高い18歳以上の退役軍人が登録された。登録者は、術後15日間に入院中のヘモグロビン値が10g/dL未満となった場合に、非制限輸血戦略群(ヘモグロビン値が10g/dL未満で輸血開始)または制限輸血戦略群(ヘモグロビン値が7g/dL未満で輸血開始)に無作為に割り付けられた。 主要エンドポイントは、無作為化後90日以内に発生した全死因死亡、心筋梗塞、冠動脈血行再建術、急性腎不全、または虚血性脳卒中の複合。副次エンドポイントは、90日以内の心筋梗塞以外の心合併症の複合(不整脈、心不全、非致死的心停止)など5項目について評価した。主要エンドポイント発生率、非制限輸血戦略群9.1%vs.制限輸血戦略群10.1% 1,428例が無作為化され、1,424例(各群712例)が解析コホートに含まれた。1,424例は平均年齢69.9(SD 7.9)歳、男性1,393例(97.8%)で、黒人268例(18.8%)、ヒスパニック58例(4.1%)、白人1,071例(75.2%)などで構成されていた。 1,297例(91.1%)が血管外科手術を受け、無作為化後5日目のヘモグロビン値の平均群間差は2.0g/dLであった。 主要エンドポイントの発生率は、非制限輸血戦略群9.1%(61/670例)、制限輸血戦略群10.1%(71/700例)であった(相対リスク:0.90、95%信頼区間[CI]:0.65~1.24)。90日時点の死亡は、両群で同等であった(非制限輸血戦略群4.6%[31/670例]vs.制限輸血戦略群4.7%[33/700例])。冠動脈血行再建術の発生率は、それぞれ1.2%(8/643例)と1.9%(13/688例)であった。急性腎不全の発生率は、非制限輸血戦略群より制限輸血戦略群のほうが高率だったが(1.7%[11/644例]vs.2.1%[14/671例])、統計学的有意差はなかった。 副次エンドポイント5項目のうちの1つである90日以内の心筋梗塞以外の心合併症の複合の発生率は、非制限輸血戦略群5.9%(38/647例)、制限輸血戦略群9.9%(67/678例)であった(相対リスク:0.59、99%CI:0.36~0.98)。

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アスピリンに「アレルギー反応に伴う急性冠症候群」の重大な副作用追加/厚労省

 2026年1月13日、厚生労働省より添付文書の改訂指示が発出され、アスピリンやアスピリン含有製剤の「重大な副作用」の項に「アレルギー反応に伴う急性冠症候群」が追加された。 アスピリンならびにアスピリン含有製剤について、アレルギー反応に伴う急性冠症候群関連症例を評価した結果、因果関係が否定できない症例が集積したことから、使用上の注意を改訂することが適切と判断された。なお、一般用医薬品として販売されているものについても「相談すること」の項に同様の改訂がなされた。 対象医薬品は以下のとおり。<医療用医薬品>1.アスピリン(血栓・塞栓形成の抑制の効能を有する製剤、商品名:バイアスピリン) 2.アスピリン・ダイアルミネート(同:バファリン配合錠A81ほか)3.アスピリン・ボノプラザンフマル酸塩(同:キャブピリン配合錠)4.アスピリン・ランソプラゾール(同:タケルダ配合錠)5.クロピドグレル硫酸塩・アスピリン(同:コンプラビン配合錠ほか)6.アスピリン(解熱鎮痛消炎の効能を有する製剤、同:アスピリン原末「マルイシ」ほか)<一般用医薬品>1.アスピリン含有製剤(同:バファリンAほか)2.アスピリンアルミニウム含有製剤(同:新アスナミンZほか) このほか、2型糖尿病治療薬のイメグリミン(同:ツイミーグ)の重大な副作用の項に「重度の食欲減退、嘔吐」が、FGF23関連低リン血症性くる病・骨軟化症治療薬のブロスマブ(同:クリースビータ皮下注)の重大な副作用に「高カルシウム血症」などが追記された。

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学会の認定施設、術後死亡率リスクを有意に低下

 2023年に日本胃学会は胃がん診療の質を担保するため、関連する専門医の在籍数、手術数を主な認定基準とした「機関認定制度」をスタートさせた。2026年1月現在、最高水準の「認定施設A」が149、それに次ぐ「認定施設B」が299ある。一方で、この制度が実際の診療の質向上につながるのかは明らかでなかった。鳥取大学の松永 知之氏による研究チームは、2020〜22年に実施された遠位胃切除術および胃全摘術を対象に、認定施設と非認定施設の術後短期成績を比較する後ろ向きコホート研究を実施した。 全国臨床データベース(NCD)登録例を用い、2020年1月~2022年12月に実施された遠位胃切除術および胃全摘術を受けた患者を対象とした。主要評価項目はGrade≧IIIaの術後合併症発生率、副次的評価項目は術後死亡率とした。 主な結果は以下のとおり。・遠位胃切除術の場合、合併症発生率は認定施設A、B、非認定施設の3施設間で有意差は認められなかった。ただし、術後死亡率は、認定施設A(オッズ比[OR]:0.39、95%信頼区間[CI]:0.31~0.49)および認定施設B(OR:0.59、95%CI:0.49~0.71)ともに、非認定施設と比較して有意に低かった。・一方、胃全摘術の場合、合併症発生率は認定施設A(OR:1.25、95%CI:1.09~1.44)および認定施設B(OR:1.17、95%CI:1.03~1.33)ともに、非認定施設と比較して高かった。しかし、術後死亡率は認定施設A(OR:0.41、95%CI:0.29~0.58)および認定施設B(OR:0.67、95%CI:0.51~0.88)で、非認定施設と比較して有意に低かった。 研究者らは「どちらの手術でも術後死亡率は認定施設で有意に低い結果であり、これは、認定施設では専門医の体制や多職種連携、周術期管理の質が高いことを示唆している。胃全摘術では認定施設のほうが合併症発生率が高かったが、これは低侵襲手術などの高度な術式が多いこと、高難度症例を積極的に受け入れていることが背景になっていると考えられる。術後死亡率の改善は臨床的意義が大きく、認定制度は胃がん手術の安全性向上に寄与していると評価できる」とまとめた。

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重度男性不妊、顕微授精時の着床前染色体検査は有益か?/BMJ

 重度男性不妊症で顕微授精(ICSI)を受けるカップルにおいて、着床前胚染色体異数性検査(PGT-A)の実施は非実施の場合と比べて、出生率を改善させなかったが、妊娠喪失率の低下は認められた。中国・Zhejiang University School of MedicineのXianhua Lin氏らが多施設共同非盲検無作為化対照試験の結果を報告した。PGT-Aは、生殖補助医療における移植胚の選択法として世界中で利用が増加している。これまでに後ろ向き研究で、出生率の改善が認められないことが報告されているが、前向き研究のエビデンスは不足していた。本検討の結果を踏まえて著者は、「コストの高さや母体および新生児へのリスクといった観点から、ICSIを受ける患者におけるPGT-Aの実施は慎重に検討すべきである」と述べている。BMJ誌2025年12月23日号掲載の報告。重度男性不妊症でICSIを受ける450組を対象に無作為化試験 検討は中国の4つの生殖医療センターで行われた。重度男性不妊症でICSIを受ける予定が組まれたカップルを、ICSI前にPGT-Aを実施する群(PGT-A群)または実施しない群(非PGT-A群)に1対1の割合で無作為に割り付けた。 主要アウトカムは、初回胚移植後の出生率および無作為化後12ヵ月以内の累積出生率(胚移植サイクルは最大3回)とした。主要解析は、ITT集団を対象として行われた。 2018年7月15日~2023年1月6日に、カップル1,347組がスクリーニングを受け、そのうち同意を得られた450組を、PGT-A群(225組)または非PGT-A群(225組)に無作為化した。PGT-A実施群で出生率の改善は認められず、妊娠喪失率は有意に低下 両群のベースライン特性は類似していた。PGT-A群の組み入れ時の女性の平均年齢は29.9(SD 3.5)歳(20~29.9歳44.4%、30~34.9歳47.6%、35歳以上8.0%)、男性は31.8(SD 4.7)歳。また、重度乏精子症のみのカップルが24.9%、重度精子無力症のみが29.3%、重度乏精子症かつ精子無力症が35.6%、無精子症が10.2%であった。採取卵子中央値は14個(四分位範囲:9~20)だった。 初回胚移植後に出生を得たカップルは、PGT-A群109組(48.4%)、非PGT-A群104組(46.2%)であった(オッズ比[OR]:1.09、95%信頼区間[CI]:0.76~1.58、p=0.64)。 無作為化後12ヵ月時点の累積出生率は、PGT-A群60.4%(136/225組)、非PGT-A群60.9%(137/225組)であった(OR:0.98、95%CI:0.67~1.43、p=0.92)。 PGT-A群は、初回胚移植後の妊娠喪失率(5.8%[13/225組]vs.19.1%[43/225組]、OR:0.26、95%CI:0.14~0.50、p<0.001)、累積妊娠喪失率(11.1%[25/225組]vs.22.7%[51/225組]、OR:0.43、95%CI:0.25~0.72、p=0.001)が有意に低かった。

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歯の本数と死因別死亡の関連を検証、入れ歯使用でリスクが減弱か——4.4万人の7年追跡研究

 高齢者で歯を失うことは死亡リスクの上昇と関連することが知られてきたが、入れ歯やブリッジなどの補綴物がその影響をどこまで緩和するのかは明確ではなかった。今回、国内4.4万人を7年間追跡した研究で、残存歯が少ないほど複数の死因で死亡率が高まり、補綴物の使用でそのリスクが弱まる可能性が示された。研究は、東北大学大学院歯学研究科地域共生社会歯学講座国際歯科保健学分野のFaiz Abdurrahman氏、草間太郎氏、竹内研時氏らによるもので、詳細は11月19日付で「Scientific Reports」に掲載された。 う蝕(虫歯)や歯周病は世界で最も一般的な疾患の一つで、進行すると不可逆的な歯の喪失を招く。高齢期の歯の喪失は慢性疾患や死亡リスクの上昇と関連し、咀嚼低下による栄養障害、慢性炎症、フレイルの進行など複数の経路が指摘されている。しかし、こうしたリスクが死因ごとにどのように表れるか、また入れ歯やブリッジといった補綴物の使用がそれらをどの程度緩和しうるかは十分に明らかになっていない。本研究は、日本の地域在住高齢者を対象とする大規模コホートデータを用い、残存歯数と補綴物の使用状況が、多様な死因別死亡とどのように関連するかを、追跡データを基に検証した。 本研究では、日本老年学的評価研究(JAGES)の7年間の追跡調査データを解析した。アウトカムは全死亡率と死因別死亡率とし、がん、心血管、呼吸器などICD-10コードに基づく広い死因を対象とした。説明変数は、2010年JAGESベースライン質問票で収集した残存歯数と補綴物の使用有無から分類した。死亡リスクは、性別、年齢、所得、教育、併存疾患、生活習慣などを調整したCox回帰により、ハザード比〔HR〕および95%信頼区間〔CI〕を推定した。 解析には4万3,774人の参加者が含まれた(平均年齢73.7歳、女性53.2%)。中央値2,485日の追跡期間中に5,707人(13.0%)の死亡が確認された。全死亡率は1,000人年あたり20.7人だった。 残存歯が0~9本または10~19本の参加者は、20本以上の参加者に比べて全死因および死因別の死亡率が高かった。とくに、これらの群のうち補綴物を使用していない参加者では、補綴を使用している参加者よりも全死因死亡率が高かった。死因別では、消化器疾患と精神・行動障害を除き、補綴のない0~9本の群で最も高い死亡率を示した。 次に残存歯数と補綴物の使用有無を組み合わせた変数を説明変数としたCox回帰分析を行ったところ、補綴物を使用していない残存歯0~9本(HR 1.42、95%CI 1.30~1.56)および10~19本(HR 1.23、95%CI 1.10~1.37)の参加者は、20本以上の参加者よりも全死因死亡リスクが高かった。死因別では、補綴物を使用していない残存歯0~9本の参加者は、20本以上の参加者と比べて、がん(HR 1.31)、心血管疾患(HR 1.35)、呼吸器疾患(HR 1.72)、および外因死(HR 1.91)の死亡リスクが高かった(P<0.05)。同様に、補綴物を使用していない10~19本の参加者も、20本以上に比べて、がん(HR 1.19)および呼吸器疾患(HR 1.47)による死亡リスクが高かった(P<0.05)。 残存歯数ごとの層別化によるサブグループ解析では、残存歯が少ない群(とくに0~9本)で、補綴物を使用している参加者は使用していない参加者よりも、複数の死因でHRが1未満となり、死亡リスクが低くなる傾向がみられた。ただし、これらの差はいずれも統計学的に有意ではなかった。 著者らは、「歯の喪失は複数の特定死因による死亡リスクの上昇と関連していたが、歯科補綴物の使用によってそのリスクは軽減される可能性がある。生涯にわたる歯の喪失を抑え、補綴治療への公平なアクセスを確保することが、高齢化社会における健康アウトカムの改善に寄与すると考えられる」と述べている。

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“血小板の大きさ”が知らせる腎臓の危険信号、糖尿病患者の追跡調査で判明

 病院で行う通常の血液検査では、白血球数や赤血球数、血小板数などとともに「平均血小板容積(MPV)」という指標も測定されることが多い。今回、日本の2型糖尿病患者を対象とした追跡研究で、このMPVが腎機能悪化のリスク把握に役立つ可能性が示された。MPVが高い人ほど腎臓の状態が悪化しやすい傾向が確認されたもので、身近な指標から早期のリスク評価につながる可能性が注目される。研究は、福島県立医科大学腎臓高血圧内科の渡辺秀平氏、田中健一氏、風間順一郎氏らによるもので、詳細は11月27日付で「Journal of Diabetes Investigation」に掲載された。 糖尿病は世界的に多くみられる疾患で、糖尿病性腎症をはじめとする合併症により予後が悪化する。2023年には、新規慢性透析導入患者の38.3%が糖尿病性腎症によるもので、糖尿病患者の腎機能悪化が透析につながる深刻な問題であることが示された。MPVは血小板の大きさを示す指標で、心血管疾患や糖尿病性微小血管合併症との関連が報告されているが、腎機能悪化との関係は十分に検討されていない。こうした背景を踏まえ、本研究では、福島コホート研究のデータを用い、MPVと腎イベント(腎機能低下や透析導入)の関連を後ろ向きに解析し、リスク予測への活用可能性を評価した。 本研究では、福島県立医科大学病院で実施された福島コホート研究より、2012年6月~2014年7月に登録された2型糖尿病患者1,076人を対象とした。患者はベースライン時のMPV値に基づき、Q1~Q4の四分位群に分類した。主要評価項目は腎イベントとし、推定糸球体濾過量(eGFR)がベースラインから50%以上低下するか、腎代替療法が必要となる末期腎不全への進行と定義した。副次評価項目は新規心血管イベントの発症とした。 連続変数の群間比較にはKruskal-Wallis検定を、割合の差はカイ二乗検定で評価した。MPV四分位ごとのイベント無再発生存率はKaplan-Meier法とlog-rank検定で比較した。MPVと腎イベントまたは心血管イベントとの関連は、潜在的交絡因子を調整したCox比例ハザード回帰モデルを用いて検討した。 コホートの平均年齢は66.0歳で男性は56.7%含まれた。中央値5.3年の追跡期間中、参加者1,076人のうち97人が腎イベントを発症した。Kaplan-Meier曲線では、MPVの四分位群間で無イベント生存率に有意な差が認められた(P=0.018)。 腎イベントの発生率は四分位群間でQ2が最も低かったため、Q2群を基準群とした。Q2群を基準とした場合、Q4群の参加者は単変量Coxモデルで有意に腎イベントリスクが高く、年齢・性別、既往歴、検査値、降圧薬使用などの交絡因子を調整した多変量解析でも有意性は維持された(調整HR 2.05、95%CI 1.13~3.72)。また、MPVを連続変数として解析すると、1 fL増加ごとに腎イベントリスクは32%上昇した(95%CI 1.04~1.68)。 心血管イベントは追跡期間中に124人で発症した。腎イベントと同様、心血管イベントの発生率もQ2群で最も低かった。Q2群を基準とした多変量解析では、MPVの上昇が心血管イベントリスクの上昇と有意に関連していた(調整HR 1.66、95%CI 1.01~2.72)。MPVが1 fL増加するごとに心血管イベントリスクは27%上昇した(95%CI 1.04~1.55)。 著者らは、「日本人の2型糖尿病患者において、MPVの上昇は腎イベントおよび心血管イベントの両方と独立して関連していた。MPVは、このリスクの高い集団における腎疾患進行を予測するための、簡便で有用なバイオマーカーとして役立つ可能性がある」と述べている。 なお、MPVと腎イベント発症リスクについて「J字型」の相関が示されたことについては、低MPVが造血能低下や骨髄機能障害を示している可能性を指摘し、「MPVが高い場合と低い場合では、それぞれ異なるメカニズムを介して腎疾患の進行に寄与する可能性があるのでは」と述べている。

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年を取っても「新庄監督のように真っ白な歯にしたい!」、口元は社会交流の出発点【外来で役立つ!認知症Topics】第37回

歯科領域と認知障害の密接な関係筆者は東京科学大学(旧:東京医科歯科大学)の同窓会館内で勤務しているので、歯科関係者との連携も少なくない。それだけに、軽度認知障害(MCI)の診察をしている他の先生方と比べて、口腔領域の話題に触れることが多いほうだろう。認知障害に関わる歯科領域の課題としては、咀嚼や嚥下障害、誤嚥性肺炎、また基本となる「口からの食物摂取」といったものがすぐに思い浮かぶ。ところが実際には、それら以上に「自分の口元の美醜や口の臭いなどが人からどう見られるか」を密かに悩む人が少なくないようだ。当然かもしれないが、これは難聴者が他者との交流を遠慮して積極的になれないのと似た傾向を生む。「口腔ケア」の真意と認知症予防への期待さて本稿のテーマである「口腔ケア」だが、私自身、以前はこの言葉を漠然と使っており、正しく理解してこなかった。改めて調べてみると、口腔ケアとは、単に歯磨きなどで口腔内の清潔を保つだけでなく、口腔機能の維持やその健康度向上のためのリハビリまでを含む幅広い内容を指す。歯や歯茎、舌、口腔粘膜、義歯を含む口の中の清掃、口腔内や口周りのマッサージ、咀嚼や嚥下のトレーニングまでが含まれる。こうした口腔ケアは「器質的ケア」と「機能的ケア」の2種類に分類される。前者は歯周病や誤嚥性肺炎の予防のために口の中を清潔に保つための口腔ケアを、後者は口腔機能つまり食べる、話す、表情をつくるなど口の働きの維持、回復を目指すケアを指す。口腔ケアの一般的な効果と目的は次のようにまとめられる。1.虫歯や歯周病など口腔内トラブルの減少2.口腔中の細菌が原因となる誤嚥性肺炎や感染症などの予防3.味覚改善による食欲増進4.発音改善による円滑なコミュニケーションの獲得5.認知症予防5つ目の「認知症予防」については、従来、口の開け閉めや咀嚼することが、脳(とくに海馬)に刺激を与えて脳の活性化につながるといわれてきた。それに加え、最近では「歯周病菌が脳内の炎症を惹起することで、アルツハイマー病を発生・悪化させるのではないか」とする観点からも注目されている。社会交流を妨げる「口元劣等感」の正体一方で、認知症予防における「社会交流」の重要性は確立している。冒頭で触れたMCIの領域において、他者とのコミュニケーションへの積極性という観点からの口腔ケアは、これまではさほど注目されてはこなかった。しかし、社会交流を妨げるのが、この口周囲の問題から生じる「会話しない」「しゃべらない」である。経験上、そこには2つの要因がある。1つは、口元の外見に自信がないことである。ある程度お年を召しても、いや、お年を召したからこそ、口元の美しさを気にする人は結構多い。人と会話するとき、「相手に口元を見られて、歯並びが悪いことがわかってしまうので、口をしっかり開けてしゃべれない」「人前でマスクを外せない」と言う人もいる。こうした口元劣等感は歯並びだけではなく、残歯の数、義歯の状態、歯の色なども関係する。そしてもう1つは口臭である。もっとも、その多くは主観にすぎず、実際には問題ないことも少なくない。しかしいずれにせよ、こうした悩みは他者との会話を減らし、社会交流を通した脳の活性化や「脳トレ」が不十分になりやすい。また、大きな声で滑舌良く喋ったり歌ったりすることができにくくなれば、発声や咀嚼・嚥下、さらには呼吸機能面にも悪影響を及ぼしかねない。若者だけではない「白い歯」願望こうした口元への劣等感の中で、比較的対応が容易と思われるのが「歯の色」である。筆者はこれまで、歯のホワイトニングは10代・20代の若者が主体だと思っていた。ところが実際には、中年期以降の利用者が多いということを最近知った。ホワイトニングの希望に関して尋ねてみると、あっけにとられる返事がよく返ってくる。「テレビで見る歌手や、プロ野球日本ハム新庄 剛志監督のように真っ白にしたい」と言うのである。筆者が「あまりに白いのは不自然では。年齢相応の白さがあると思うのだが」などと伝えても、「見栄えを良くするには、あれくらい真っ白でないと」と述べる人も少なくない。実際、ホワイトニングの素材にはさまざまな白さの度合いが選べ、歯科医院ばかりでなく自宅で行えるものも普及している。自覚しにくい口臭への対策また、口臭は自己識別が難しいだけに、問題ないのに気にする人が多い反面、強い臭いに自覚がない人も多い。最近では「口臭チェッカー」といって、1万円以内程度で購入できる口臭を客観評価する機器も出回っている。口臭の大部分は口腔内に原因があり、その多くは舌苔と歯周病だが、とくに前者の関わりがより大きい。原因物質では硫化水素とメチルメルカプタンが約90%を占める。これらは口腔内の嫌気性菌が、唾液・血液・剥離上皮細胞・食物残渣中の含硫アミノ酸を分解・腐敗させて産生される揮発性硫黄化合物である。歯周病には、歯磨きならぬ「歯茎磨き」が何よりだそうだ。筆者の後輩の歯科医は、1日6回の歯茎磨きをやれば、1ヵ月以内に効果てきめんと教えてくれた。舌苔に対しては、専用の舌ブラシやスポンジブラシなどを使って、舌表面を清潔にすることである。認知障害の有無にかかわらず、口元コンプレックスが、社会交流、つまり他者とのコミュニケーションに及ぼす影響は少なくないようだ。それだけに、MCIの方々の診察において、適切なアドバイスや歯科医への紹介は欠かせない。

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尿路感染症、肝代謝の抗菌薬で治る理由【Dr.山本の感染症ワンポイントレクチャー】第19回

Q19 尿路感染症、肝代謝の抗菌薬で治る理由尿路感染において、セフトリアキソンのように肝代謝の薬でも完治するのが不思議です。血流があるからといっても、腎盂内や尿管、膀胱内には届きにくそうですが…。

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第298回 東大、国際卓越研究大学にまたまた選ばれず継続審査へ、その“敗因”はどこに?

東京科学大、2番目の国際卓越研究大学にこんにちは。医療ジャーナリストの萬田 桃です。医師や医療機関に起こった、あるいは医師や医療機関が起こした事件や、医療現場のフシギな出来事などについて、あれやこれや書いていきたいと思います。年をまたいで、日本のプロ野球からポスティングシステムで米国のMLBを目指した4人の選手の所属先が決まりました。最も注目されたヤクルトの村上 宗隆内野手は、2年総額3,400万ドルでシカゴ・ホワイトソックスに移籍します。昨年60勝102敗でアメリカン・リーグ中地区最下位の最弱チームです。日本での期待は高かったのですが、MLB各チームは速球への対応力や三振率の高さを懸念したのか、大型契約には至りませんでした。やはり同様の不安を抱えながら渡米、悪戦苦闘した筒香 嘉智選手の二の舞にならないことを願います。一方で、巨人の岡本 和真内野手は4年総額6,000万ドルでトロント・ブルージェイズと契約しました。昨年、ロサンゼルス・ドジャースとワールドシリーズを戦った強豪チームです。村上選手以上の順当な評価を得たと言えるでしょう。ゲレーロJr.選手とクリーンナップを打つことになるのでしょうか。巨人時代から定評あるユーモア交えた記者会見、記者対応にも注目です。この他、西武からヒューストン・アストロズに移る今井 達也投手は想定より短い総額5,400万ドルの3年契約となり、同じく西武からMLBを目指した高橋 光成投手は西武残留になりました。総じて渋い決着となった今季のMLBへの移籍の背景について、野球メディアの多くはMLBにリスク回避の傾向が高まっているためだと分析しています。日本人選手のこうした評価が定着していかないためにも、新たに渡米する3選手の“予想”を大きく裏切る活躍に期待したいと思います。さて、年末にはあの一件も決着しました。文部科学省は12月19日、世界トップ級の研究力を目指す国際卓越研究大学の第2期公募の結果、新たに東京科学大(旧東京医科歯科大学、旧東京工業大学)を選ぶと発表しました。また、京大も候補に内定しました。昨年の東北大に続く認定となります。「第291回 東大病院の整形外科医、収賄の疑いで逮捕 『国際卓越研究大学』の認定にも影響か?」でも書いた東大は、“予想”通りまたまた選ばれず継続審査となりました。いったい何が明暗を分けたのでしょう。「新たな不祥事が生じたと判断された場合、審査を打ち切る」と有識者会議国際卓越研究大学は、日本政府が10兆円規模の大学ファンド(運用益)を活用し、世界トップレベルの研究力と国際競争力を持つ大学を育成する制度です。大学ファンドによる支援は最長25年にわたり、助成金の上限は制度全体で概ね年3,000億円(東北大の2025年度助成額は154億円)に上ります。文科省は段階的に年数校を認定していく方針ですが、3回目を実施するかどうかは今のところ未定です。朝日新聞などの報道によれば、東京科学大は東京医科歯科大と東京工業大統合後の学問領域を横断した研究体制や、大学病院を拠点とした医工連携の計画などが評価されたとのことです。年度内には正式認定される予定です。内定となった京大は、大学院など研究組織を再編する計画が評価されたものの、全学的なビジョン策定が必要であるとして、計画修正を経て1年以内に正式認定される予定です。東大については「落選」ではなく、「継続審査」となりました。工学系の新学部設置構想が評価された一方で、本連載でも書いた医学部の准教授が収賄容疑で立件されるなど不祥事が相次いだことで、大学トップを含む責任体制の構築が必要とされました。最長1年間審査は継続されますが、有識者会議は「継続審査中に、法人としてのガバナンスに関わる新たな不祥事が生じたと判断された場合、審査を打ち切る」と厳しい意見を付けています。なお、応募した8大学中、大阪大、早稲田大、九州大、筑波大、名古屋大の5校は落選しました。「問題視されたのは不祥事そのものではなく、今回の執行部の対応が象徴する『部局任せ』の姿勢」名実ともに日本のトップ大学であり続けてきた東大の何がNGだったのでしょうか。12月25日付の日本経済新聞朝刊に掲載された「東大、ガバナンス改革急ぐ 卓越大の本命、不祥事響き『保留』 認定逃せば競争力陰り」と題する記事がその背景と理由について深掘りしていて読ませます。同記事は、「オランダの学術大手エルゼビアのデータを日本経済新聞が分析すると、他の研究者から頻繁に引用される注目論文『トップ10%論文』の数は24年までの10年間で東大は約1万6,000本。京大(約9,700本)など国内の他大を大きく引き離す」と東大の実力を解説、「東大は約7万本の米ハーバード大、約4万本の英オックスフォード大など欧米の有力大の背中を追い、卓越大の候補としても本命視された」としつつ、昨年の1回目の公募では「スケール感やスピード感が十分でない」と指摘され落選、「2回目は不祥事に襲われた」と書いています。同記事は、「『社会連携講座』を巡ってトラブルが発生。日本化粧品協会などが5月、同講座を担当する医学系研究科の教授から高額の接待を強要されたのに共同研究の契約を解除されたとし、東大と教授らを提訴した。さらに12月10日、医療機器メーカーから賄賂を受け取ったとして、医学部准教授が収賄罪で起訴された。メーカー側の機器を使う見返りに寄付金を受け取り、私的に流用していたとされる」と一連の不祥事を列挙、「部局の運営管理に東大本部のチェックの目が届かなかった形だ」と書いています。同記事で興味深いのは、「ある文部科学省幹部は『問題視されたのは不祥事そのものではなく、今回の執行部の対応が象徴する『部局任せ』の姿勢だ』と説明する」と書いている点です。不祥事の頻発はもちろん悪いことですが、組織の巨大さゆえ、医学部の不祥事は医学部任せにしてしまい、大学全体としてガバナンスが効かない組織体制であったことこそが問題視されたと指摘しているのです。どれだけ優秀な人材が揃っていても、不祥事が続き、なおかつ経営層の力が末端まで及ばず、細かなコントロールも効かないような大学に数百億円も支援する筋合いはない、ということなのでしょう。他大学との研究力の差は、10年、20年経つうちに徐々に縮まっていく?一方の東京科学大ですが、2026年度から理工系の学士課程を早期卒業し医学科に編入するコースが新設されることが発表されたり、大竹 尚登理事長と田中 雄二郎学長が、年末の日本経済新聞のインタビューで、「研究力強化に向けた対策の一つとして、博士課程の学生への経済的支援を年間で数百万円増やし、平均年約400万~500万円にする方針」を示したりと、研究への前向きな姿勢が何かと話題になっています。また、ひと足早く国際卓越研究大学となった東北大は、2027年度に全学部が参画する未来型教育の新拠点「ゲートウェイカレッジ」を新設し、国際共修や分野横断教育、留学を組み込んだカリキュラムなどを展開する計画を示すなど、こちらも新時代に向けてさまざまな改革案を打ち出しています。仮に(また不祥事が発覚するなどして)東大が国際卓越研究大学に選ばれなかったとしたら、先に選ばれた国際卓越研究大学との研究力の差は、10年、20年経つうちに徐々に縮まっていき、研究力だけでなく、東大の“ブランド力”も低下していくに違いありません。東大は今春までに一連の不祥事を受けた再発防止策やガバナンス改革案などをまとめる予定とのことです。同大の今後の動きが注目されます。

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認知症患者への抗精神病薬、各薬剤の最適な投与量は?

 アルツハイマー病を含む認知症の神経精神症状(NPS)に対する抗精神病薬は、広く使用されている一方で、有効性と安全性のバランスが依然として大きな臨床課題となっている。東京・iこころクリニック日本橋の寺尾 樹氏らは、認知症のNPSに対する各種抗精神病薬の用量依存的な有効性と忍容性を比較するため、用量反応モデルに基づくネットワークメタ解析を実施した。Acta Psychiatrica Scandinavica誌2026年2月号の報告。 CENTRAL、PubMed、CINAHL、ClinicalTrials.govより網羅的に検索し、認知症のNPSに対する抗精神病薬を評価したランダム化比較試験を特定した。アルツハイマー病を含む認知症患者を対象に、アリピプラゾール、ブレクスピプラゾール、リスペリドン、クエチアピン、オランザピンのさまざまな用量における有効性(NPS重症度の変化)および忍容性(有害事象による治療中止)を評価するため、用量反応モデルに基づくネットワークメタ解析を実施した。 主な結果は以下のとおり。・分析には、20研究、5,844例を含めた。・研究に含まれた抗精神病薬のほとんどが、有効性と忍容性の両方で、おおむね正の用量反応関係を示した。しかし、オランザピンは有効性に関してベル型曲線を示した。・アリピプラゾール10mg、ブレクスピプラゾール1~2.5mg、リスペリドン1~2mg、オランザピン2.5~5mgのみが、プラセボよりも有意に有効であった。・アリピプラゾール10mgまで、ブレクスピプラゾール3mgまで、リスペリドン1mgまで、オランザピン2.5mgまでおよび15mg、クエチアピン200mgまでであれば、プラセボと比較し忍容性が有意に低下することはなかった。・さらに、いくつかの抗精神病薬では、特定の用量間で有効性と忍容性に有意差が認められた。 著者らは「アリピプラゾール10mg、ブレクスピプラゾール1~2.5mg、リスペリドン1mg、オランザピン2.5mgは、いずれも有効性と忍容性が良好であり、好ましい治療選択肢となる可能性が示唆された。本モデルにはいくつかの不確実性要因が含まれているため、本知見は慎重に解釈する必要があり、臨床的意思決定を支援するための暫定的な枠組みとして捉えるべきである」としている。

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市中敗血症への抗菌薬、4日目からde-escalationは可能?

 市中発症敗血症で入院し、多剤耐性菌感染が確認されていない患者において、入院4日目から広域抗菌薬のde-escalationを実施しても、広域抗菌薬継続と比較して90日死亡率に差は認められず、抗菌薬使用日数および入院期間の短縮と関連していたことが報告された。米国・ミシガン大学のAshwin B. Gupta氏らが、本研究結果をJAMA Internal Medicine誌オンライン版2025年12月22日号で報告した。 研究グループは、Michigan Hospital Medicine Safety Consortium(HMS)のデータを用いて、抗メチシリン耐性黄色ブドウ球菌(MRSA)薬および抗緑膿菌(PSA)薬のde-escalationの影響をtarget trial emulationの手法で検討した。対象は、2020年6月~2024年9月に入院し、広域抗菌薬によるエンピリック治療を開始した18歳以上の市中発症敗血症患者とした。入院1日目または2日目に多剤耐性菌感染が確認された患者は除外した。抗MRSA薬、抗PSA薬について、入院4日目にde-escalationを実施した群と、広域抗菌薬の投与を継続した群の2群に分類して評価した。主要評価項目は90日死亡率とし、副次評価項目は抗菌薬使用日数(14日目まで)、入院期間などとした。逆確率重み付け法を用いて、背景因子を調整し、2群の比較を行った。 主な結果は以下のとおり。・抗MRSA薬の解析対象は6,926例であり、そのうち2,993例(43.2%)でde-escalationが実施された。・抗PSA薬の解析対象は1万1,149例であり、そのうち2,493例(22.4%)でde-escalationが実施された。・重み付け後の解析において、抗MRSA薬のde-escalationは、継続と比較して90日死亡率に有意な差は認められなかった(オッズ比[OR]:1.00、95%信頼区間[CI]:0.88~1.14)。・抗PSA薬のde-escalationについても、継続と比較して90日死亡率に有意な差は認められなかった(OR:0.98、95%CI:0.86~1.13)。・抗MRSA薬および抗PSA薬のいずれも、de-escalationは、抗菌薬使用日数の減少、入院期間の短縮と関連した。詳細は以下のとおり。 <抗菌薬使用日数(中央値)> 抗MRSA薬:8日vs.10日(リスク比[RR]:0.91、95%CI:0.89~0.93) 抗PSA薬:8日vs.9日(RR:0.91、95%CI:0.88~0.93) <入院期間(中央値)> 抗MRSA薬:7日vs.8日(RR:0.88、95%CI:0.85~0.92) 抗PSA薬:5日vs.7日(RR:0.88、95%CI:0.80~0.96)・入院3日目時点で臨床的に安定していた患者のサブグループ解析では、抗MRSA薬のde-escalationは90日死亡率の低下と関連した(OR:0.72、95%CI:0.54~0.96)。抗PSA薬のde-escalationも同様の傾向がみられた(同:0.76、0.58~1.01)。・抗PSA薬のde-escalationは、探索的アウトカムである90日再入院の減少と関連していた(RR:0.87、95%CI:0.76~0.99)。抗MRSA薬のde-escalationでは、この傾向はみられなかった(同:1.04、0.92~1.17)。・de-escalationの実施割合は病院間で2倍以上のばらつきがあった(抗MRSA薬:27.3~61.7%、抗PSA薬:6.9~37.7%)。 著者らは、本研究結果について「多剤耐性菌が検出されなかった市中発症敗血症患者において、入院4日目の広域抗菌薬のde-escalationは安全であり、抗菌薬使用日数の減少および入院期間の短縮につながる可能性がある」と結論付けている。

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転移乳がんへのT-DXd+放射線療法、重篤な毒性増加は示されず

 転移を有するHER2陽性またはHER2低発現の乳がん患者において、トラスツズマブ デルクステカン(T-DXd)と放射線の併用療法は治療上の利点が期待される一方で、安全性と実現可能性に関するエビデンスは限られている。今回、T-DXd治療と放射線療法を同時に併用しても重篤な毒性や治療継続を妨げる毒性の増加は認められなかったことを、イタリア・Azienda Ospedaliero-Universitaria CareggiのLuca Visani氏らが明らかにした。The Breast誌2026年1月2日号掲載の報告。 転移乳がんの治療では全身治療が病勢コントロールの中心であるが、放射線療法も症状緩和や局所制御のために用いられる。そこで研究グループは、T-DXd治療中に放射線療法を同時に併用しても安全かどうかを後ろ向きに検証した。 対象は、イタリア、スロベニア、オーストリア、スウェーデンの6施設で2021年5月~2024年5月にT-DXd治療(±放射線療法)を受けた転移を有するHER2陽性またはHER2低発現の乳がん患者であった。併用療法の定義は、T-DXd治療中または治療開始10日以内に実施された放射線療法とした。主要評価項目は併用療法とGrade3以上の有害事象(AE)との関連で、副次評価項目は無増悪生存期間(PFS)や全生存期間(OS)などであった。 主な結果は以下のとおり。・全体(147例)の年齢中央値は49歳で、T-DXd+放射線群(67例)は45歳、T-DXd単独群(80例)は53歳であった。脳転移を有する患者はT-DXd+放射線群のほうが多かった(55.2%vs.22.5%)。放射線の照射部位は中枢神経系が最多であった(54.9%)。T-DXd開始からの追跡期間中央値は9(範囲:0.5~46)ヵ月であった。・Grade3以上のAEは24例(16.3%)に発現し、T-DXd+放射線群(11.9%)とT-DXd単独群(20.0%)の間に有意差は認められなかった(p=0.30)。・毒性によるT-DXdの中止は19例(12.9%)で、T-DXd+放射線群とT-DXd単独群で同等であった(11.9%vs.13.8%)。・頭蓋内への放射線照射後に症候性放射線壊死が1例(1.5%)報告された。・間質性肺疾患は、T-DXd+放射線群で7例(10.4%)、T-DXd単独群で7例(8.8%)に発現した。・探索的解析では、放射線併用によるPFSまたはOSへの悪影響は示されなかった。 研究グループは「これらの結果は、HER2陽性またはHER2低発現の転移乳がん患者に対するT-DXdと放射線療法の併用療法は実行可能で忍容性も高いことを示唆するものである。T-DXdと放射線療法の最適な順序、安全性および有効性をより明確にするためには前向き研究が必要である」とまとめた。

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「最近の」研究、実際には何年前?/BMJ

 生物医学雑誌に掲載された論文の執筆者は、引用したエビデンスを「最近の(recent)」と表現することが多いが、この言い回しの裏にある引用文献の実際の発表年代を定量化した例はまれだという。スペイン・La Paz University HospitalのAlejandro Diez-Vidal氏とJose R. Arribas氏は、1,000編の論文を調査し、「最近の」引用文献はその発表と引用の時期に中央値で4年のずれがあり、ほぼ5編に1編の割合で発表が引用の時期より10年以上古く、「最近の」はきわめて弾力性に富む表現として使用されていることを明らかにした。BMJ誌2025年12月11日号クリスマス特集号「WORDS AND MEANINGS」掲載の報告。20の“recent”を含む表現でPubMedを検索 研究チームは、生物医学論文と、その論文で「最近」との記述で引用される過去の研究との時間的な隔たりを定量化する目的で、後ろ向き研究を実施した(特定の助成は受けていない)。 事前に定義した20の「最近」表現(recent article、recent evidence、recent literature、recent research、recent studyなど)に基づき、構造化PubMed検索を行った。 「最近の」という表現が、直接的に引用と結び付いている英語の生物医学論文(全文掲載)1,000編を解析の対象とした。これらの論文と、その参照先である「最近の」研究との時間的な隔たりを年単位で評価した。177編(17.7%)が、10年以上前の研究を「最近」と表現 引用された「最近の」研究の発表年代は大きく異なっていた。また、研究の発表から引用までの時間差は、0年から最長で37年に及んだ(平均5.53年、中央値4年[四分位範囲:2~7])。著者は、「37年の時間差は、この論文の執筆者が『最近』を『ルネサンス』と混同したのではないかと疑わざるを得ない」と指摘している。 最も多かった時間差は1年(159編[15.9%])であった。「最近」として、10年以上前の研究を引用した論文が177編(17.7%)あり、20年以上前の研究を引用した論文が26編(2.6%)あった。時間差の幅は、専門分野によって異なる 引用パターンは専門分野によって異なっていた。集中治療学、感染症学、遺伝学、免疫学、放射線医学では、発表から引用までの時間差(中央値)の幅が小さかった(約2年)。著者は、「この分野は、新たな病原体やゲノム、抗体が絶えず出現するため、過去を振り返る余裕がないのかもしれない」と冗談めいた論評をしている。一方、腎臓学、獣医学、歯学では、この時間差の幅がかなり大きかった(8.5~14年)。 また、内科、外科、疫学などの分野については、著者は「基礎研究の成果が、数十年にわたり臨床的に有用であり続けることに留意すべきだろう。このような分野の出版物では、発表から引用までの時間差の長さは陳腐化を意味するのではなく、重要なエビデンスの持続性を反映している」と指摘し、「とはいえ、『最近の』よりも正確な用語を用いることで、この違いをより適切に表現できるかもしれない」と考察している。高IFのジャーナルほど、より新しい研究を引用 表現別では、「最近のアプローチ(recent approach)」「最近の発見(recent discovery)」「最近の研究(recent study)」は古い研究と関連し、「最近の出版物(recent publication)」「最近の記事(recent article)」はより新しい研究の引用との結び付きが強かった。 また、引用までの時間差の長さは地域間で類似しており、時間の経過とともに徐々に短くなり、最新の出版物で最も短かった。さらに、インパクトファクター(IF)が高い(≧12)ジャーナルほど、より新しい研究を引用していた。 著者は、「『最近の』という用語は、真に最新のエビデンスを示す信頼できる指標というより、柔軟な修辞的装置として機能することが多いと示唆される」「本研究の知見は、この表現の廃止を求めるものではないが、執筆者は使用前に一呼吸置くこと――真に最近なのか、単に修辞的に都合がよいだけなのかを考える一瞬の時間を持つこと――を提唱したい」「読者と査読者は、『最近の』をうのみにせず、実際の時間差を厳密に確認すべきである」としている。

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乳児のRSV関連入院予防、ニルセビマブvs.RSVワクチン/JAMA

 呼吸器合胞体ウイルス(RSV)感染は、乳児の急性下気道感染症(LRTI)による入院の主因とされる。フランス・EPI-PHAREのMarie-Joelle Jabagi氏らは、ニルセビマブ(長期間作用型抗RSVヒトモノクローナル抗体)による受動的乳児免疫は、RSV融合前Fタンパク質(RSVpreF)ワクチン母体接種後の胎盤を介した抗体移行による乳児免疫と比較して、RSV関連入院を抑制し、重度のアウトカムのリスク低下をもたらすことを示した。研究の成果は、JAMA誌オンライン版2025年12月22日号に掲載された。フランスのコホート研究 研究グループは、乳児のRSV関連入院の予防におけるニルセビマブによる受動免疫の有効性の評価を目的に、住民ベースのコホート研究を行った(EPI-PHAREなどの助成を受けた)。解析には、フランスのほぼ全住民の個別データを含むフランス全国保健データシステム(SNDS)のデータを使用した。 RSVpreFワクチンの母体接種は、RSV流行期である2024年9月1日~12月31日にフランス本土で出生した乳児を対象に、妊娠32~36週に実施した。ニルセビマブによる乳児への受動免疫は、退院の前に単回の筋肉内投与で行った。これら2群(RSVpreFワクチン群、ニルセビマブ群)の乳児を、産科病棟退院日、性別、在胎週数、居住地域により、1対1の比率でマッチさせ追跡評価した。 主要アウトカムは、RSV関連のLRTIによる入院とした。 合計4万2,560人の乳児(平均日齢3.7[SD 1.4]日、男児51.7%)を登録した(各群2万1,280人)。母親の出産時年齢中央値は、ニルセビマブ群でわずかに若かった(31歳vs.32歳)。追跡期間中央値は84日(四分位範囲:70~99)だった。ほとんどが細気管支炎で入院 RSV関連のLRTIによる入院(主要アウトカム)は481例で発生した。RSVpreFワクチン群が269例(55.9%)であったのに対し、ニルセビマブ群は212例(44.1%)と有意に少なかった(群間差:-11.8%、95%信頼区間[CI]:-18.1~-5.5、p<0.001、補正後ハザード比[HR]:0.74、95%CI:0.61~0.88)。 全体の入院時の平均日齢は38.9(SD 22.2)日であった。入院の原因となったRSV関連LRTIのほとんどが細気管支炎(464例、96.5%)で、気管支炎(13例)や肺臓炎(4例)はわずかだった。入院期間中央値は両群とも5日であった。 また、RSVpreFワクチン群に比べ、ニルセビマブ群は重度のアウトカムのリスクが低かった(小児集中治療室[PICU]入室:25.9%vs.37.5%、p=0.007、補正後HR:0.58[95%CI:0.42~0.80]、酸素療法:18.4%vs.28.3%、p=0.01、0.56[0.38~0.81]、人工呼吸器:24.1%vs.33.1%、p=0.03、0.57[0.40~0.81])。これは、ニルセビマブにより入院後の疾患進行が抑制されたことを示唆する。ECMO、NO吸入の使用はない 非侵襲的換気(ニルセビマブ群24.1%vs.RSVpreFワクチン群32.0%、p=0.06)や侵襲的換気(0.9%vs.1.5%、p=0.59)の頻度は、両群間に差はなかった。また、体外式膜型人工肺(ECMO)や一酸化窒素吸入療法は使用されなかった。院内死亡の報告はなかった。 サブグループ解析や感度分析は、これら主解析の結果と一貫性を示した。なお、本研究では、安全性の評価は行っていない。 著者は、「追跡期間中にニルセビマブ群で観察されたリスク低減は、RSVpreFワクチン群における母体由来抗体の減衰、あるいは初期の抗体値の不足を反映している可能性がある」「これらの結果は、RSVpreFワクチンの有効性を否定するエビデンスと解釈すべきではない。接種の条件や環境によっては、ワクチンがより現実的な場合があり得る」「本試験の知見は、フランス本土において、これらの免疫戦略を用いた最初のRSV流行期の状況を反映しており、今後の研究では、この戦略の再評価を行う必要がある」としている。

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2型糖尿病患者は難聴の有病率が高い

 2型糖尿病と難聴リスクとの関連が報告された。罹病期間が長い糖尿病患者は難聴有病率が高いことなどが示されている。バルセロナ大学(スペイン)のMiguel Caballero-Borrego氏、Ivan Andujar-Lara氏の研究によるもので、詳細は「Otolaryngology-Head and Neck Surgery」11月号に掲載された。 慢性高血糖に伴う神経や血管の障害は全身性であることから、聴覚系にも影響を及ぼす可能性がある。これまでにも、糖尿病患者では内耳毛細血管の超微細構造に変化が生じているという報告など、糖尿病と難聴の関連性を示すエビデンスが報告されている。ただし、実臨床での研究結果には一貫性が見られず、糖尿病罹病期間や性別などにより関連性が異なるのではないかとの考え方もある。Caballero-Borrego氏らはこれを背景として、システマティックレビューとメタ解析による検討を行った。 論文検索にはPubMed、Scopusを用い、2019年1月~2024年4月に収載された論文を対象とした。包括基準は、糖尿病と難聴との関連を検討したコホート研究、横断研究、症例対照研究で、英語またはスペイン語の論文とし、糖尿病以外の要因による聴覚障害の可能性を否定できない研究、1型糖尿病患者のみを対象とした研究、聴力検査の信頼性が低いと判定される研究などは除外した。 一次検索で8,354件の論文がヒットし、重複削除、タイトルと要約に基づくスクリーニング、全文精査を経て17件を抽出した。これらの研究の参加者数は糖尿病群が計3,910人、対照群が4,084人であり、糖尿病群の難聴の有病率は40.6~71.9%の範囲だった。 有病率を比較可能な4件の研究(糖尿病群2,358人、対照群3,561人)を統合した解析で、糖尿病群の難聴有病率は有意に高いことが明らかになった(オッズ比〔OR〕4.19〔95%信頼区間1.22~14.37〕)。また、糖尿病群の純音聴力閾値は対照群より有意に高く(3.19dB〔同1.08~5.19〕)、低音域(1.11dB〔0.62~1.57〕)および高音域(2.3dB〔1.97~2.63〕)も同様に、糖尿病群の方が有意に高かった。 HbA1cと難聴の重症度との関連も示された。例えば中等度難聴の糖尿病群は対照群に比し平均HbA1cが0.57%(0.1~1.05)高値であり、より重度の難聴の糖尿病群は対照群に比し0.95%(0.02~1.87)高値だった。また、糖尿病の診断後10年以上経過している患者は10年未満の患者に比べ、難聴有病率が有意に高いことも分かった(OR2.07〔1.45~2.94〕)。一方、性別は難聴の有病率に有意な影響を与えていなかった。 著者らは、「糖尿病における難聴は、潜在的に生じている可能性のある細小血管症の結果として現れるのではないか。つまり、糖尿病患者に見られる聴力の低下は早期の警告サインと考えられる。よって糖尿病患者に聴力低下を認めた場合、より綿密なモニタリングを行うとともに、難聴への進行リスクを最小限に抑えるため、治療内容を再検討する必要があるだろう」と述べている。

1600.

高脂肪乳製品は認知症から脳を守る可能性

 チーズは休日の集まりにしばしば登場する食品だが、実は脳の健康を守っているかもしれないと誰が想像しただろうか。ルンド大学(スウェーデン)栄養学准教授のEmily Sonestedt氏らの研究によると、高脂肪のチーズやクリームの摂取量が多いことは、認知症リスクの低下に関連している可能性のあることが明らかになったという。この研究結果は、「Neurology」に12月17日掲載された。 Sonestedt氏は、「何十年もの間、高脂肪食と低脂肪食のどちらが良いのかを巡る議論に基づき健康に関するアドバイスが行われてきたが、その過程で、チーズは摂取を制限すべき不健康な食品と見なされることもあった。われわれの研究では、一部の高脂肪乳製品が、実際には認知症リスクを低下させる可能性のあることが示された。これは、脂肪と脳の健康に関する長年の前提に疑問を投げかける研究結果だ」とニュースリリースの中で述べている。 この研究では、平均年齢58.1歳のスウェーデン人2万7,670人のデータを用いて、高脂肪チーズの摂取量が多い(1日50g以上)群と、少ない(1日15g未満)群の脳の健康状態を比較した。高脂肪チーズとは脂肪分が20%超のものを指し、チェダー、ブリー、ゴーダなどが該当する。一方、高脂肪クリームは通常、脂肪分が30~40%で、ホイップクリームやクロテッドクリームなどが該当する。研究参加者は、過去1週間の食事の記録を提出したほか、過去数年間に特定の食品をどの程度の頻度で食べていたかや、食品の調理方法についても報告した。 中央値25年間の追跡期間中に3,208人が認知症を発症した。解析の結果、高脂肪チーズの摂取量が多い群では少ない群に比べて、全ての認知症のリスクが13%、血管性認知症のリスクが29%、それぞれ低いことが示された。アルツハイマー型認知症に関しては、その遺伝的リスク因子(APOE ε4)を保有していない人においてのみ、高脂肪チーズの摂取量の多いことが13%のリスク低下と関連していた。さらに、1日20g以上の高脂肪クリームを摂取していた群では、全く摂取していなかった群と比較して認知症リスクが16%低いことが示された。一方、低脂肪のチーズまたはクリーム、牛乳(高脂肪および低脂肪)、バター、ヨーグルトやバターミルクなどの発酵乳製品(高脂肪および低脂肪)の摂取と認知症リスクとの間に関連は認められなかった。 ただし、この研究デザインでは高脂肪のチーズやクリームの摂取と認知症のリスク低下に因果関係があることは証明できず、関連が示されたに過ぎないことを研究チームは付け加えている。 Sonestedt氏は、「この結果は、脳の健康への影響という観点では、全ての乳製品が同じではないことを示唆している。高脂肪のチーズやクリームの摂取量が多いことは認知症リスクの低下と関連していたが、他の乳製品や低脂肪の代替品では同様の関連は認められなかった」と述べている。また、「今回の結果を確認するとともに、特定の高脂肪乳製品に実際に脳の保護効果があるのかを詳細に調べるため、さらなる研究が必要である」としている。 台北医学大学(台湾)のTian-Shin Yeh氏は付随論評の中で、本研究の重要な限界として、食事摂取が評価されたのは追跡開始時の1回のみであり、25年間の追跡期間における長期的な食習慣が反映されていない可能性があることを指摘している。同氏は、「今後、異なる食習慣を持つ多様な集団において、この結果の再現性を確認することが不可欠である。食事摂取の長期的な変化をより正確に捉えるためには、食事評価を繰り返し行う前向きコホート研究を実施する必要がある」と述べている。

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