サイト内検索|page:80

検索結果 合計:35623件 表示位置:1581 - 1600

1581.

健康的な食事と運動は飲酒による肝臓のダメージを抑制して死亡を減らす

 ビール、ワイン、ウイスキーなどを楽しむなら、健康的な食事と運動を続けた方が良いかもしれない。飲酒は肝臓の障害による死亡リスクを高める一方、健康的な食事と運動によりそのリスクが低下することを示唆するデータが報告された。米インディアナ大学のNaga Chalasani氏らの研究によるもので、詳細は「Journal of Hepatology」に8月26日掲載された。 論文の上席著者である同氏は、「あらゆる飲酒パターンにおいて、質の高い食事や活発な身体活動の習慣が、肝臓関連死亡リスクの低下と関連していることが分かった」と述べている。なお、米国では成人の半数以上(53%)が習慣的に飲酒し、毎年約17万8,000人が大量飲酒により死亡しているという。 この研究では、1984~2018年の米国国民健康栄養調査(NHANES)の対象となった成人6万334人のデータを用い、2019年末まで死亡を追跡した。飲酒状況や食習慣・身体活動習慣は自己申告により把握した。平均12.2年の追跡期間中に252件の肝臓関連の死亡が記録されていた。 解析の結果、飲酒習慣のある人ではその習慣のない人に比べて、1日の平均飲酒量が多いほど、肝臓関連死亡リスクが高いことが示された(1日1ドリンク〔アルコール換算で約14g〕多いごとの交絡因子調整後の部分分布ハザード比〔aSHR〕が、男性は1.04〔95%信頼区間1.01~1.06〕、女性は1.08〔同1.04~1.12〕)。また、短時間大量飲酒者(男性は2時間で5ドリンク以上、女性は同4ドリンク以上の飲酒)も、男性は約1.5倍、女性は約2.5倍、肝臓関連死亡のリスクが高かった(aSHRが男性は1.52〔1.04~2.29〕、女性は2.52〔1.44~4.41〕)。 一方、飲酒習慣があっても健康的な食習慣の場合(HEIという指標の上位4分の1)、非健康的な食習慣の人(HEIの下位4分の1)に比べて肝臓関連死亡リスクが65~86%低かった(aSHRが非大量飲酒者〔男性は1日4ドリンク以下、女性は3ドリンク以下〕では0.35〔0.13~0.90〕、大量飲酒者〔前記の基準を超過〕では0.14〔0.04~0.82〕)、短時間大量飲酒者では0.16〔0.06~0.46〕)。 同様に、飲酒習慣があっても運動の習慣がある場合(週に中強度の運動を5回以上、または高強度の運動を3回以上)、運動習慣がない人に比べて肝臓関連死亡リスクが36~69%低かった(aSHRが非大量飲酒者では0.52〔0.28~0.94〕、大量飲酒者では0.64〔0.35~0.99〕)、短時間大量飲酒者では0.31〔0.10~0.88〕)。 このほかに、野菜や果物、全粒穀物、魚介類、植物性タンパク質、不飽和脂肪酸を多く含み、固形の脂肪、アルコール、添加糖が少ない食事スタイルは、死亡リスクの低さと関連していることが分かった。また、性別で比較した場合、健康的な食習慣や運動習慣による肝臓関連死亡リスクの抑制は、男性よりも女性でより強く認められた。 Chalasani氏は、「われわれの研究のユニークな点は、米国の一般人口において、習慣的な飲酒量と短時間大量飲酒という異なる二つの飲酒パターンが肝臓関連死亡リスクに及ぼす影響と、健康的な食事と運動によるそのリスクの緩和効果を同時に評価できることだ。これにより、飲酒がもたらす肝臓へのリスクとライフスタイルとの関連について、詳細かつ包括的な把握を可能にしている」と述べている。

1582.

成人の心血管疾患患者は一般的な感染症のワクチンを接種すべき/ACC

 米国心臓病学会(ACC)が、心血管疾患の成人患者における予防接種に関する専門家のコンセンサス声明である「2025 Concise Clinical Guidance: An ACC Expert Consensus Statement on Adult Immunizations as Part of Cardiovascular Care(2025年簡潔版臨床ガイダンス:心血管ケアの一環としての成人予防接種に関するACC専門家コンセンサス声明)」を作成し、「Journal of the American College of Cardiology」に8月26日公表した。声明では、心血管疾患患者が、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)、インフルエンザ、RSウイルス感染症などの一般的な感染症を予防するワクチンを接種することの重要性が強調されている。 ACCの新ガイドライン作成委員会委員長を務めた米スタンフォード大学医学部のPaul Heidenreich氏は、「心血管疾患患者にとって、呼吸器感染症やその他の重篤な疾患に対するワクチン接種は極めて重要だ。しかし、人々が接種すべきワクチンの種類や頻度、接種することの重要性を十分に理解できるようにするには、いくつかの障壁がある」とACCのニュースリリースの中で述べている。同氏はさらに、「本ガイドラインを通して、われわれは、臨床医がこれらの内容について患者と話し合い、標準的な予防・治療計画の一環として患者自身がワクチン接種を管理できるよう支援することを促したいと考えている」と付け加えている。 本声明は、トランプ政権により国のワクチン接種システムの抜本的な再構築が行われている中で発表された。特に新型コロナワクチンに関しては、接種が推奨される人を限定するなど、政権の厳しい監視下に置かれている。 声明によると、心血管疾患患者は呼吸器系ウイルスへの感染による影響を受けやすく、重症化、入院、死亡のリスクが高いという。研究では、ワクチンがこうしたリスクの低減に非常に効果的であることが示されている。しかしACCによれば、プライマリケア医のうち、診察時に患者のワクチン接種状況を評価しているのはわずか30%だという。 ガイドラインでは、以下のことが推奨されている。・心血管疾患患者を含む全ての成人は、心血管イベントや死亡のリスクを減らすために、毎年インフルエンザワクチンを接種すること。・心疾患を患う19歳以上の成人は、肺炎や菌血症、髄膜炎などの予防とそれらの疾患を原因とする入院や死亡を防ぐために、1回接種型の肺炎球菌ワクチンを接種すること。 ・COVID-19の重症化、死亡、心筋梗塞、心筋炎、脳卒中、心房細動、long COVIDのリスクを軽減するために、新型コロナワクチンを接種すること。・心血管疾患のある50~74歳の成人、および75歳以上の全ての成人は、RSウイルス感染症予防のためにRSウイルスワクチンを1回接種すること。・心血管疾患のある成人は帯状疱疹の発症リスクが高い可能性があるため、50歳以上の成人は脳卒中や心筋梗塞を予防するために帯状疱疹ワクチンを2回接種すること。 声明では、心筋炎が新型コロナワクチン接種のまれな副作用として報告されていることに言及しているが、ワクチンにより心筋炎を発症するリスクは、COVID-19罹患により発症するリスクよりも低いことを指摘している。 さらに声明には、「心血管疾患患者が一度に複数のワクチンを接種しても危険はなく、実際には、複数のワクチンを同日に接種することで効率性が向上する可能性がある。ただし、2種類の肺炎球菌ワクチンの接種が必要な人は、同時に接種してはならない」と記述されている。

1583.

慢性疼痛への医療用大麻、患者の期待に応えられていない?

 慢性的な筋肉痛や関節痛に対して医療用大麻を処方された人の多くが1年以内にその使用をやめていたことが、新たな小規模研究で明らかにされた。米ペンシルベニア州で医療用大麻の使用が認められた患者78人のうち約58%が1年以内に治療を中止していたことが示されたという。米トーマス・ジェファーソン大学のAsif Ilyas氏らによるこの研究結果は、「PLOS One」に8月7日掲載された。 このような高い離脱率は、「医療用大麻が、関心を集めて広く採用されているにもかかわらず、多くの慢性疼痛患者の期待に応えられていないことを示している」とIlyas氏は述べている。 この研究でIlyas氏らは、2022年10月から2024年12月の間にフィラデルフィアのロスマン整形外科研究所で治療を受け、筋骨格系の疼痛に対して医療用大麻が処方された患者78人を2年間追跡し、医療用大麻からの離脱率や離脱に影響する因子について検討した。離脱率は、医療用大麻の使用開始から3カ月後と1年後の追跡時に調査された。 その結果、医療用大麻使用開始1年後の離脱率は57.9%であり、44.7%は使用開始から3カ月以内に離脱していたことが明らかになった。また、治療継続群の平均年齢は64.5歳であったのに対し、離脱群の平均年齢は71.5歳と年齢が高く、両群の年齢差は有意であった。この結果から研究グループは、「高齢者は長期的な影響への懸念や、従来の治療法を好む傾向があることから、医療用大麻などの代替療法の使用に慎重になる可能性がある」と推察している。 一方、痛みの原因による群間差は有意ではなかった。ただし、離脱群では腰痛患者の割合がやや高かった。さらに医療用大麻の使用開始前の身体的健康、および精神的健康の評価スコアについて、使用継続群と離脱群の間で有意な差は認められなかった。 こうした結果を受けてIlyas氏らは、患者が医療用大麻の使用を中止した背景には、治療に対する満足度の低さや副作用の忌避、注射や手術などのより実績のある治療法の選択など、さまざまな理由が複雑に絡み合っている可能性が高いと述べている。同氏らは、「これらの結果は、慢性疼痛患者では医療用大麻を用いた治療に対する反応がさまざまであることを示した過去の研究結果と一致している。痛みが著しく緩和したことを報告した患者がいる一方で、十分な治療効果が得られず、早期に治療を中止する患者がいる」と述べている。 本研究の限界点としてIlyas氏らは、患者が使用した大麻製品の種類に関する詳細や、機能や痛みの改善に関するデータを収集していなかったことを挙げている。その上で同氏らは、「本研究結果は、医療用大麻が一部の患者に利益をもたらす可能性がある一方で、疼痛管理や患者満足度に及ぼす長期的な影響や治療遵守に影響する要因をより深く理解するためには、さらなる研究が必要であることを示唆している」と述べている。

1584.

長らく日の目を見なかったアミリンが抗肥満薬として復活した(解説:住谷哲氏)

 アミリン(amylin)、別名膵島アミロイドポリペプチド(islet amyloid polypeptide:IAPP)は、インスリンと同時に膵β細胞から分泌されるホルモンである。アミリンには消化管運動調節作用があり食後の血糖上昇を抑制することから、すでに20年前にアミリンアナログであるpramlintideが商品名SymlinとしてFDAに血糖降下薬として承認されている(日本では未承認)。しかしpramlintideは半減期が短く、1日3回の注射が必要であるためほとんど使用されていない。 アミリンは当初から食欲中枢に作用して食欲を低下させることが知られていた1)。そこでアミリンの分子構造を変化させることで週1回投与を可能にしたcagrilintideが抗肥満薬として開発された。プラセボと比較した第II相試験では、cagrilintide 2.4mgはプラセボと比較して9.7%の体重減少をもたらした2)。さらに本試験の前段階である第Ib相の臨床試験において、cagrilintide 2.4mg+セマグルチド2.4mg(CagriSema)の投与は17.1%の体重減少をもたらすことが報告されている3)。 本論文は2型糖尿病を合併していない肥満患者に対するCagriSemaの体重減少作用をプラセボおよびcagrilintide、セマグルチドそれぞれ単剤と比較した第IIIa相試験の報告である(2型糖尿病合併肥満患者に対する試験はREDEFINE 2として同誌に同時掲載されている)。その結果はCagriSemaの最大投与量2.4mgで53.6%の患者に20%以上の体重減少が認められた。この結果は、CagriSemaがGLP-1受容体作動薬を含めた抗肥満薬のなかでは最も強力であることを示している。有害事象もcagrilintideとセマグルチド単剤と同様に消化器症状が中心であり、CagriSemaによる新たな有害事象は認められなかった。唯一の懸念材料はCagriSema群で2例の死亡があり、そのうち1例が自殺とされている点である。 わが国では現在セマグルチド(商品名:ウゴービ)およびチルゼパチド(商品名:ゼップバウンド)が抗肥満薬として使用可能である。随時服用可能な経口GLP-1受容体作動薬であるorforglipronも近々抗肥満薬として承認申請予定であり、GIP/GLP-1/Glucagonのトリプルアゴニストであるretatrutideも抗肥満薬として遠からず申請されると思われる。まさに抗肥満薬の百花繚乱時代であるが、専門医としては体重減少の先にある臨床アウトカムの改善を見据えて、適切な薬剤を適切な患者に選択するという基本を忘れてはならない。

1585.

第279回 ワクチン有効性の今、3つの論文から考察

INDEX2023年10月~24年8月に検査した60歳以上の入院予防効果2023年10月~24年4月の18歳以上対象の入院予防効果XBB.1.5対応型の組換えタンパクワクチンによる中和抗体価感染症法上の5類移行後、これまでの新型コロナウイルス感染症(以下、新型コロナ)の動向について、前々回は感染者数、入院者数、死亡者数の観点からまとめ、前回は流行ウイルス株とこれに対抗するワクチンの変遷(有効性ではなく規格などの変遷)について紹介した。今回は文字数の関係でワクチンの有効性について比較的大規模に検証された最近のデータを複数紹介し、治療薬についてはさらに次回に譲ることにする。2023年10月~24年8月に検査した60歳以上の入院予防効果オミクロン株系統になってから新型コロナワクチンの感染予防、発症予防効果が低下していると言われているが、今から取り上げる研究を見ると、入院予防効果もやや低下しているのが現実である。PLOS One誌に2025年6月に発表されたカナダ・ケベック州保健研究所のグループによる同州の急性期病院で新型コロナの症状により検査を受けた60歳以上を対象に行われたtest-negative designの症例対照研究1)を参照したい。主要評価項目としてXBB.1.5対応型mRNAワクチンによる入院予防効果とその効果持続性を評価している。PLOS One誌という学術誌にネガティブな評価もあることは承知しているが、この研究の特徴は研究期間中に流行ウイルス系統がXBB系統、JN.1系統、KP.2/3系統と変化し、各期間の入院予防効果も算出している点である。test-positive症例数はXBB系統期(1,321例)、JN.1系統期(1,838例)、KP系統期(1,372例)など計5,532例、test-negative対照は10万8,473例(各系統期は順に1万2,881例、5万3,414例、2万8,595例ほか)。全期間を通じたXBB.1.5ワクチンの入院予防効果の有効率は30%(95%信頼区間[CI]:24~35)、XBB系統優勢期が54%(同:46~62)、JN.1系統優勢期が23%(同:13~32)、KP.2/3系統優勢期が0%(同:-18~15)である。JN.1系統から大きく有効性が低下しているが、これはXBB系統とJN.1系統(KP系統はこの子孫株)で大きくウイルスの系統が異なっていることからほぼ説明できるだろう。ちなみに論文内ではハイブリッド免疫(感染+ワクチン)では、JN系統期であっても有効率は41%と高くなる傾向があることも言及している。ちなみにワクチン接種からの経時的有効性の変化では、接種1〜2ヵ月後が最大(XBB系統期::55%、JN系統期:23%、KP系統期:60%)で、3ヵ月後以降は急速に低下し、4ヵ月以降の有効性はほぼ消失しているという結果だ。ただ、より批判的に見れば、この研究期間ではワクチンに最も適応したXBB系統期が期間中の最初の1~2ヵ月のみで、その後、JN系統期に移行しているため、ワクチン対応ウイルス株が流行株とほぼ一致していた場合の有効性の低下速度も同じくらい早いかは厳密な意味で判定はできないだろう。また、この結果は、純粋に臨床的見地から流行を抑え込もうとした場合、現在の日本の定期接種のような季節性的な対応でワクチン株を選定していては対応しきれない可能性も示唆している。2023年10月~24年4月の18歳以上対象の入院予防効果一方、Lancet eClinicalMedicine誌に掲載されたXBB.1.5対応ファイザー製1価ワクチンの欧州4ヵ国(ベルギー、ドイツ、イタリア、スペイン)でのリアルワールドデータを用いたJN.1株に対するtest-negative designの症例対照研究2)による入院予防効果を評価した研究も紹介する。前述の研究とやや似たようなセッティングだが、こちらは対象者が18歳以上のSARI(重症急性呼吸器感染症)で入院した患者3万8,094例を対象に、JN.1変異株に感染、またはJN.1優勢期間中の陽性患者(test-positive群)4,776例と陰性患者(test-negative群)3万3,318例で、ワクチン接種の有無(両群のワクチン接種者合計7,847例)を基に入院予防効果の有効率を算出したものだ。その結果、研究期間中の全体の有効率は53.8%(95%CI:38.4~65.4)。接種後の週数別の有効率は2〜4週未満が52.2%、4〜8週未満が48.9%、8〜12週未満が56.9%、12〜16週未満が54.6%、16〜22週未満が59.5%だった。この研究では5ヵ月間にわたり有効性の低下は認められず、前述のカナダの研究とかなり違う。もっとも試験デザインを見ると対象年齢が大きく異なる。ちなみに論文中では年齢別の有効率も示されており、それによると、18~64歳が56.5%、65~79歳が62.5%、80歳以上が48.8%だった。この2つの研究における入院の定義は後者がより厳格であるが、実はこの後者の研究の筆頭著者がファイザー社の社員であることも考慮に入れたほうが良いかもしれない。ただ、有効性の違いはあるにせよ、致死的になりやすい高齢者で一定の入院予防効果は認められるとは言えるだろう。XBB.1.5対応型の組換えタンパクワクチンによる中和抗体価一方、2023年以降のオミクロン株系統での組換えタンパクワクチンの臨床的な有効性を示す信頼性の高そうな研究論文は少なくとも私が検索した限りでは見つけられなかった。結局、世界的に新型コロナワクチン接種の主流はmRNAワクチンになっているため、十分な症例数を集めることができないのが現実なのだろう。XBB系統以降の論文としては、2025年5月に開発元である米・ノババックス社の研究者を筆頭著者としたLancet Infectious Disease誌掲載のXBB.1.5対応型ワクチンの免疫原性を調べた第II/III相単群試験による研究3)がある。この研究は米国国内30施設で、過去3回以上のmRNAワクチン接種経験がある18歳以上の健常成人332人を対象にXBB.1.5対応型ワクチンを追加接種し、別の試験で起源株対応の同ワクチンを接種した人とXBB.1.5株に対する中和抗体価(幾何平均抗体価:GMT)を比較したもの。それによると、XBB.1.5に対する中和抗体GMTは、XBB.1.5株対応ワクチン接種者が905.9で、対照群が156.6。GMT比は5.8倍で優越性が確認されたという結果である。さて、次回はようやく治療薬の現状について触れたい。 1) Carazo S, et al. PLoS One. 2025;20:e0325269. 2) Nguyen JL, et al. EClinicalMedicine. 2024;79:102995. 3) Alves K, et al. Lancet Infect Dis. 2025;25:585-594.

1586.

キャリアに合わせてお金も育てる! 医師のための時短資産形成術【医師のためのお金の話】第96回

医師としてのキャリアは、勤務医、開業医、フリーランスと多様であり、その選択は人生設計や資産形成に大きな影響を与えます。勤務医は比較的安定した収入があるものの、異動によって収入やライフスタイルが変化する可能性があります。開業医は高収入の可能性がある一方で、開業資金や経営リスクと常に向き合う必要があります。フリーランス医師は複数の職場で働くことで収入を得られますが、安定性や社会保障面に不安を感じる人も少なくありません。このように、医師のキャリア選択は資産形成と密接に関係しており、将来を見据えた戦略的なマネープランが必要不可欠です。たとえば、自動積立投資を活用すれば、毎月決まった金額を投資信託や株式に自動的に投資でき、運用の手間を大幅に軽減できます。さらに、NISAやiDeCoなどの税制優遇制度は、少額から始められるうえに長期的な資産形成に非常に有効です。ロボアドバイザーを使えば、専門知識がなくてもAIが自動で資産配分を行ってくれるため、分散投資を手軽に実践できます。資産形成において最も重要なのは「続けること」であり、仕組み化と習慣化が成功の鍵を握ります。忙しい医師にとっても、資産形成は実現不可能なものではありません。キャリアと資産形成を両立させたいと考える皆さんと考えてみましょう。医師のキャリアパスと資産形成の関係医師のキャリアにはさまざまな選択肢がありますが、大きく分けると勤務医、開業医、フリーランス医師という3つのパターンでしょう。勤務医は安定した給与収入が見込めますが、勤務先の異動や昇進によって収入やライフスタイルが大きく変わる可能性があります。たとえば、大学病院から市中病院への異動や、院内でのポジションの変化など、キャリアの節目ごとに経済状況が変動することも少なくありません。将来的に開業を目指す場合には、開業資金や運転資金の準備が必要となり、資産形成の計画性がより求められます。一方、開業医は自院の経営状況によって収入が大きく左右されます。経営が順調であれば高収入を得られますが、初期投資や運転資金の確保、さらには事業リスクへの備えが欠かせません。経済的な浮き沈みが激しい分、資産を守るためのリスク管理も重要になります。フリーランス医師の場合は、複数の医療機関で働くことで高い収入を得ることができますが、収入の安定性や社会保障面での不安も付きまといます。自分自身で将来の備えをしっかりと行う必要があり、資産形成の意識がより強く求められます。このように、医師のキャリアの選択は、資産形成の方法やリスク許容度に大きな影響を与えます。自分がどのキャリアパスを歩むのか、将来的にどのような働き方を目指すのかを見据えた上で、適切な資産形成の戦略を立てることが大切なのです。忙しい医師のための「時短」資産運用術一方、資産形成の必要性は理解しているけれど、忙しくて手が回らないと感じている医師は多いのではないでしょうか。そんな方にお勧めしたいのが、効率的に資産形成を進めるための「時短」資産運用術です。最も手軽に始められるのが自動積立投資です。証券会社や銀行が提供する自動積立サービスを利用すれば、毎月決まった金額を投資信託や株式に自動的に投資でき、最初に設定してしまえばあとはほとんど手間がかかりません。また、NISAのつみたて投資枠やiDeCo(個人型確定拠出年金)など、少額から始められ、かつ税制優遇も受けられる制度を活用するのも有効です。忙しい医師にとって、「ほったらかし」で資産を増やす仕組みと言えるでしょう。ちなみに、私の「時短」資産運用術はBuy & Holdです。2009年以来、株式を売却したことがありませんが、すでに運用資産は10億円近くになっています。下落時に買い出動するだけなので、忙しくても最小限の手間で効率的に運用できるのが大きな魅力です。一方、不動産投資はどうでしょうか。不動産投資の敷居が高いのは事実です。私の経験では、学位を取得するのと同じぐらいハードルが高かったです。しかし、不動産投資が軌道に乗ると、自動運転も可能になります。自験例では、鉄板エリアの1棟マンションに始まり、旧帝国大学附属病院前のコンビニ、ミシュラン掲載店、多数の戸建物件のおかげで、数千万円の手残りキャッシュフローを得ています。実労働は年間たった数時間。まさに究極の「時短」資産運用ではないでしょうか。忙しくても続けられる資産管理のコツもちろん一足飛びに、寝ているだけで年間数千万円が入ってくる状態にはなりません。資産形成は「続けること」に意味があります。忙しい医師でも無理なく資産管理を続けるためには、仕組み化と習慣化がポイントです。たとえば、年に一度、確定申告のタイミングで資産状況をチェックする習慣を持つと、無理なく定期的な見直しができます。また、給与天引きや自動積立による「先取り貯蓄」を徹底することで、使いすぎを防ぎ、自然と資産が増えていきます。情報収集も通勤時間や隙間時間を活用すれば、無理なく最新の資産運用情報を得ることができます。さらに、医師同士の資産形成コミュニティや勉強会で情報交換を行うことで、モチベーションを維持しやすくなります。医師のキャリアと資産形成は、両立が難しいようでいて、工夫次第で十分実現可能です。忙しいからこそ「仕組み化」と「習慣化」を意識して、将来の安心と自己実現のために、今日から一歩を踏み出してみてはいかがでしょうか。

1587.

ChatGPTで場面別の英会話を練習する【タイパ時代のAI英語革命】第5回

ChatGPTで場面別の英会話を練習する国際学会への参加、海外の医療機関での研修、あるいは外国人の患者との雑談など、医師が英語を必要とする場面は、医療現場だけに限りません。空港での手続き、レストランでの注文、ホテルでのリクエストといった日常的な場面での円滑なコミュニケーションもまた、海外での経験をより豊かで実りあるものにするために不可欠です。しかし、こうした特定の場面で使われる独特の語彙や表現を、網羅的に学習するのは容易ではありません。旅行英会話集の書籍は画一的な内容で、必ずしも自分の状況に完全に一致するわけではありませんし、分厚い単語帳を最初から覚えていくのも忙しい医師にとって現実的ではありません。そこで活用するべきなのが生成AIです。ユーザーの要求に応じ、個々の「場面」を想定した、自分だけのオーダーメイドの単語・表現集を作成することができます。AIに「場面」を指定して、自分だけの単語帳を作る使い方は非常にシンプルです。自分が英語表現を知りたい「場面」を具体的に指定し、単語やフレーズをリストアップしてもらうだけです。たとえば、「(場面)でよく使われる英単語と英語表現を○個、日本語訳と一緒にリストアップしてください」などと入力すれば、オリジナルの単語帳や表現リストを作成することができます。プロンプト例1「米国の国際学会に参加します。空港の入国審査でよく使われる英語表現を5個、日本語訳と一緒にリストアップしてください」回答例回答例画像を拡大するこれらの基本的な表現は、自然と英語が出てくるようになるまで何度も声に出して練習することで身に付きます。簡単な旅行英会話であれば問題なく話せるものの、複雑な内容になるとわからなくなる…という場合は、プロンプトに「難しい」や「日本人になじみのない」などといった表現を加えることで、難易度を調整できます。プロンプト例2「米国のホテルのチェックインでよく使われる英語表現の中で、日本人になじみのない、やや難しい英語表現を5個、日本語訳と一緒にリストアップしてください」回答例回答例画像を拡大する実際の場面を想定してこれらの英語表現に慣れておくことで、現場でスムーズ&スマートに対応できるでしょう。

1588.

フルーツジュースの適度な摂取が糖尿病リスクを減らす/東京科学大

 フルーツジュースは、2型糖尿病とどのように関連するのであろうか。このテーマについて、東京科学大学大学院医歯学総合研究科の河原 智樹氏らの研究グループは、国内13の大学や病院が参加する大規模調査「J-MICC研究」に登録された1万3,769人分のデータを用い、フルーツジュースを飲む頻度と2型糖尿病との関連を調査した。その結果、遺伝的リスクが高い人ほど、適度にフルーツジュースを飲むことで糖尿病にかかりにくくなるという結果が判明した。この研究結果は、British Journal of Nutrition誌オンライン版2025年7月10日号に掲載された。フルーツジュースが糖尿病の予防になる可能性 研究グループは、2型糖尿病の多遺伝子リスクスコア(PRS)に基づいて、フルーツジュースと2型糖尿病の関連性について、異なる遺伝的リスクを有する群において、フルーツジュースが2型糖尿病のリスクに異なる影響を与えるかどうかを検討した。日本人1万3,769人を対象とした横断研究である日本多施設共同コホート研究(J-MICC)のデータを使用した。 主な曝露因子はフルーツジュースの摂取頻度で「飲まない/1日1杯未満または1日1杯以上」と分類した。2型糖尿病のPRSとして、東アジアの集団を用いて開発されたPGS002379を選択した。主要なアウトカムは、参加者が報告した医師の診断に基づく2型糖尿病とした。 主な結果は以下のとおり。・2型糖尿病のPRSが高い群では、フルーツジュースの摂取と2型糖尿病の間に有意な逆相関が認められた(1日1杯未満でオッズ比[OR]:0.78、95%信頼区間[CI]:0.65~0.93、1日1杯超でOR:0.54、95%CI:0.30~0.96)。・しかし、この関連はPRSが低い群では認められなかった。・フルーツジュースの摂取は、とくに遺伝的に2型糖尿病の高いリスク群で、2型糖尿病と逆相関していた。

1589.

治療抵抗性うつ病に対するアリピプラゾール併用vs.rTMS併用vs.SNRI切り替え

 米国・ハーバード大学のClotilde Guidetti氏らは、治療抵抗性うつ病患者を対象に、アリピプラゾールまたは反復経頭蓋磁気刺激(rTMS)による抗うつ薬の増強とベンラファキシン徐放性/デュロキセチンへの切り替えが生活の質(QOL)に及ぼす影響を比較するため、多施設共同非盲検有効性比較試験であるASCERTAIN-TRD研究の副次解析を実施した。The Journal of Clinical Psychiatry誌2025年8月11日号の報告。 事前に指定した副次解析において、治療抵抗性うつ病患者をアリピプラゾール増強群、rTMS増強群、ベンラファキシン徐放性/デュロキセチンへの切り替え群に1:1:1でランダムに割り付け、8週間の治療を行った。治療抵抗性うつ病の定義は、マサチューセッツ総合病院の抗うつ薬治療反応質問票に基づき、適切な用量および期間の抗うつ薬治療を2回以上実施しても十分な治療反応が得られなかった場合とした。QOL評価は、本研究の主要な副次的評価項目として事前に設定されており、Quality of Life Enjoyment and Satisfaction Questionnaire(Q-LES-Q-SF)短縮版を用いて評価した。反復測定を用いた混合効果モデルにより分析した。本研究は、2017年7月13日〜2021年12月22日に実施した。 主な結果は以下のとおり。・ベースライン後の1回以上のQ-LES-Q-SF測定を行った治療抵抗性うつ病患者258例において、アリピプラゾール増強群は、切り替え群と比較し、QOLの優位性が認められたが(p=0.002)、rTMS増強群では認められなかった(p=0.326)。・エンドポイントにおけるQ-LES-Q-SFスコアのベースラインからの変化は、アリピプラゾール増強群で10.61±1.0、rTMS増強療法で11.59±1.1、切り替え群で8.68±0.9であった。 著者らは「rTMS群のサンプル数が予想よりも少なかったため、統計学的に有意な差が認められなかった可能性がある」としながらも「治療抵抗性うつ病患者に対するアリピプラゾール増強療法は、rTMS増強療法と異なり、ベンラファキシン徐放性/デュロキセチンへの切り替えよりもQOLを有意に改善することが示された」と結論付けている。

1590.

きつい運動の前の減量は受傷発生を減少させる

 社会的に一番きつい運動をしているのは軍隊や警察などのグループである。こうしたグループに入隊する前の減量は、入隊後のけがや事故などに影響を与えるのであろうか。このテーマについて、米国陸軍環境医研究所軍事能力部門のVy T. Nguyen氏らの研究グループは、入隊前の体重減少と過酷な基礎戦闘訓練(BCT)中の筋骨格系損傷(MSKI)発生率との関連性を調査した。その結果、入隊のために減量した訓練生はMSKIの発生率が低いことが判明した。この結果はObesity誌オンライン版2025年7月30日号に公開された。運動前に減量するとけがを減少させる可能性 研究グループは、3,168人の訓練生から自己申告による体重減少を収集し、電子カルテを用いて追跡調査を行った。すべてのMSKIおよび地域特有のMSKIの診断を行い、Cox回帰モデルで性別とCOVID-19パンデミックの有無で層別化し、年齢、身長、過去最高BMI、人種・民族、喫煙歴、過去の身体活動、および受傷歴で調整した。 主な結果は以下のとおり。・入隊のために減量したと報告した訓練生は829人(26.16%)。・平均減量数は9.06(標準偏差[SD]:8.62)kgで、最も一般的な減量方法は運動(83.72%)だった。・入隊のために減量した訓練生は、減量しなかった訓練生と比較し、BCT期間中の全身MSKI発生率(ハザード比[HR]:0.86、95%信頼区間[CI]:0.74~0.99)および下肢MSKI発生率(HR:0.84、95%CI:0.72~0.98)が低かった。・減量率(平均:1.27kg/週[SD:1.06])は、MSKI全体または部位別発生率とは関連が認められなかった。

1591.

既治療の進展型小細胞肺がん、I-DXdの奏効率48.2%(IDeate-Lung01)/WCLC2025

 既治療の進展型小細胞肺がん(ED-SCLC)患者を対象に、抗B7-H3(CD276)抗体薬物複合体ifinatamab deruxtecan(I-DXd;DS-7300)の有用性を検討する国際共同第II相試験「IDeate-Lung01試験」。本試験において、I-DXdは有望な治療効果と忍容性が示された。世界肺がん学会(WCLC2025)において、韓国・Samsung Medical CenterのMyung-Ju Ahn氏が本試験の主解析の結果を報告した。試験デザイン:国際共同第II相試験(パート1:用量最適化パート、パート2:用量拡張パート)対象:プラチナ製剤を含む化学療法による治療歴を有し、治療歴が3ライン以下のED-SCLC患者183例<用量最適化パート>試験群1:I-DXd 8mg/kgを3週ごと(46例)試験群2:I-DXd 12mg/kgを3週ごと(42例)<用量拡大パート>試験群:I-DXd 12mg/kgを3週ごと(95例)評価項目:[主要評価項目]RECIST v1.1に基づく盲検下独立中央判定(BICR)による奏効率(ORR)[副次評価項目]奏効までの期間(TTR)、奏効期間(DOR)、無増悪生存期間(PFS)、全生存期間(OS)、病勢コントロール率(DCR)、安全性など 今回は、I-DXd 12mg/kgを投与された137例の結果が報告された。主な結果は以下のとおり。・対象患者の年齢中央値は63歳、男性の割合は90%、PS1の割合は77.4%であった。ベースライン時に脳転移、肝転移を有していた割合はそれぞれ38.0%、40.1%であった。治療ライン数が1/2/3の割合は23.4%/54.7%/21.9%であり、抗PD-L1/PD-1抗体による治療歴を有する割合は81.0%であった。・データカットオフ時点(2025年3月3日)のBICRによるORRは48.2%(CR 3例、PR 63例)、DCRは87.6%であった。治療ライン数1、2以上の集団のORRはそれぞれ56.3%、45.7%であり、DCRはそれぞれ96.9%、84.8%であった。・ORRに関するサブグループ解析では、化学療法無治療期間(CTFI)、治療ライン数、脳転移の有無、肝転移の有無などのほとんどのサブグループで一貫した効果がみられた。ただし、CTFIが30日以下(化学療法抵抗性)の集団では、ORRが11.1%と低かった。・BICRによるTTR中央値は1.4ヵ月、DOR中央値は5.3ヵ月であった。・BICRによるPFS中央値は4.9ヵ月であった。3ヵ月、6ヵ月、9ヵ月時点のPFS率は68.0%、35.3%、19.3%であった。・OS中央値は10.3ヵ月であった。3ヵ月、6ヵ月、9ヵ月時点のOS率は89.1%、77.4%、59.1%であった。・治療期間中央値は4.8ヵ月であった。・Grade3以上の治療関連有害事象(TRAE)は36.5%に発現し、治療中止に至ったTRAEの発現割合は9.5%であった。TRAEとしてのILD/肺臓炎は12.4%に発現した(Grade1/2が11例、Grade3が4例、Grade5が2例)。 本試験結果について、Ahn氏は「I-DXd 12mg/kgは既治療のED-SCLC患者において高い有効性を示した。CTFIが30日以下、脳転移ありなどの臨床試験では通常除外されることの多い患者集団も含まれていた点を考えると、特筆すべき結果といえる」とまとめた。なお、既治療のED-SCLC患者を対象として、I-DXdと化学療法(トポテカン、アムルビシン、lurbinectedinのいずれか)を比較する国際共同第III相試験「IDeate-Lung02試験」が進行中である。

1592.

心筋梗塞後のβ遮断薬、LVEF>40%なら不要?/NEJM

 心筋梗塞で侵襲的治療を受け退院した左室駆出率(LVEF)40%超の患者において、β遮断薬の投与は全死因死亡、再梗塞、または心不全による入院の発生に影響を与えないことが示された。スペイン・Centro Nacional de Investigaciones Cardiovasculares Carlos IIIのBorja Ibanez氏らREBOOT-CNIC Investigatorsが、研究者主導の「Treatment with Beta-Blockers after Myocardial Infarction without Reduced Ejection Fraction trial:REBOOT試験」の結果を報告した。駆出率が保持された心筋梗塞後のβ遮断薬の使用に関する現行ガイドラインの推奨事項は、再灌流療法、侵襲的治療、完全血行再建術、および現代的な薬物療法が標準治療となる前に実施された試験に基づいている。研究グループは、β遮断薬の役割について再検討する必要があるとして本検討を行った。NEJM誌オンライン版2025年8月30日号掲載の報告。退院前LVEF>40%の患者をβ遮断薬投与vs.非投与に無作為化 REBOOT試験は、スペインとイタリアの109施設で実施された、PROBE(Prospective Randomized Open Blinded End-Point)デザインの試験である。 研究グループは、急性心筋梗塞(ST上昇の有無を問わず)で入院中に侵襲的治療(最終的な治療戦略にかかわらず冠動脈造影により定義)を受け、かつ退院前のLVEFが40%超の患者を、退院時または退院後14日以内にβ遮断薬投与群または非投与群に1対1の割合で無作為に割り付けた。 β遮断薬投与群では担当医師がβ遮断薬の種類と用量を決定し、また、すべての患者が標準治療を受けた。 主要アウトカムは、全死因死亡、再梗塞、または心不全による入院の複合であった。副次アウトカムは主要アウトカムの個別のイベント、心臓死など。ITT解析で評価した。 2018年10月~2024年4月に計8,505例が無作為化され(β遮断薬投与群4,243例、非投与群4,262例)、同意撤回などを除く8,438例(それぞれ4,207例、4,231例)がITT解析対象集団に組み込まれた。β遮断薬投与は、全死因死亡、再梗塞または心不全による入院の発生に影響を与えず 追跡期間中央値3.7年において、主要アウトカムのイベントはβ遮断薬投与群で316例(1,000患者年当たり22.5件)、非投与群で307例(21.7件)に発生した(ハザード比[HR]:1.04、95%信頼区間[CI]:0.89~1.22、p=0.63)。 全死因死亡は、β遮断薬投与群161例、非投与群153例(1,000患者年当たり11.2件vs.10.5件、HR:1.06[95%CI:0.85~1.33])、再梗塞はそれぞれ143例、143例(10.2件vs.10.1件、1.01[0.80~1.27])で、心不全による入院はそれぞれ39例、44例(2.7件vs.3.0件、0.89[0.58~1.38])であった。 事前に規定したサブグループ解析の結果、女性ならびにST上昇型心筋梗塞では非投与群のほうが予後良好であることが示唆された。 安全性アウトカムについては、群間差は認められなかった。

1593.

冠動脈疾患2次予防、クロピドグレルvs.アスピリン/Lancet

 冠動脈疾患(CAD)の2次予防において、アスピリン単剤療法と比較してクロピドグレル単剤療法は、大出血のリスク増加を伴うことなく、主要有害心・脳血管イベント(MACCE)の発生低下をもたらすことが、スイス・University of Italian SwitzerlandのMarco Valgimigli氏らによるシステマティックレビューとメタ解析で示された。CAD既往患者には、無期限のアスピリン単剤療法が推奨されているが、本検討の結果を受けて著者は、「CAD患者における2次予防は、アスピリンよりクロピドグレルを優先して使用することが支持される」とまとめている。Lancet誌オンライン版2025年8月31日号掲載の報告。CAD2次予防としてのクロピドグレルvs.アスピリン単剤療法を比較した無作為化試験をメタ解析 研究グループは、PubMed、Scopus、Web of Science、Embaseを用いて、データベース公開から2025年4月12日までに発表された、CADと確認された患者(かつ抗血小板薬2剤併用療法を中止、または開始していない患者)を対象に、クロピドグレル単剤療法とアスピリン単剤療法を比較した無作為化試験を系統的に検索し、無作為化後に導入期として抗血小板薬2剤併用療法を行った試験を組み入れ、個別の患者データのメタ解析を行った。 主要解析では、試験間のベースラインハザード差を調整するためのランダム切片と、治療効果の差を調整するためのランダムスロープを含む、セミパラメトリック共有対数正規フレイルティモデル(1段階解析)を用いた。 有効性の主要アウトカムは、心血管死、心筋梗塞または脳卒中の複合(MACCE)。安全性の主要アウトカムは大出血(BARC出血基準タイプ3または5、あるいは試験固有の定義)であった。MACCEリスク、クロピドグレル単剤療法がアスピリン単剤療法より有意に低い 検索で特定された1万1,754報のスクリーニングに基づき54件の研究が精査され、このうち適格と認められた7件の無作為化試験(ASCET、CADET、CAPRIE、HOST-EXAM、STOPDAPT-2、STOPDAPT-3、SMART-CHOICE 3)が解析に組み込まれた。 解析対象は計2万8,982例(クロピドグレル単剤療法群1万4,507例、アスピリン単剤療法群1万4,475例)で、追跡期間中央値は2.3年(四分位範囲:1.1~4.0)であった。 5.5年時点で、MACCEの発現頻度はクロピドグレル群(929件[2.61/100患者年])がアスピリン群(1,062件[2.99])より低かった(ハザード比[HR]:0.86、95%信頼区間[CI]:0.77~0.96、p=0.0082)。 死亡および大出血の発現頻度は、クロピドグレル群(256件[0.71/100患者年])とアスピリン群(279件[0.77])で差はなかった(HR:0.94、95%CI:0.74~1.21、p=0.64)。

1594.

豚の肺を脳死者に移植、世界初の試み

 中国の医師らが、遺伝子改変した豚の左肺を脳死と判定された男性に移植し、216時間(9日間)機能したことを確認したとする研究成果を報告した。豚の肺を人間に移植するのは初の試みである。科学者らはこの種の移植に希望を見出しているものの、専門家は、肺移植を必要とする人にとって異種移植が選択肢となるまでには何年もかかる可能性があると見ている。広州医科大学第一附属医院(中国)のJianxing He氏らによるこの研究の詳細は、「Nature Medicine」に8月25日掲載された。 この異種移植を受けたのは、脳出血で脳死と診断された39歳の男性。CNNの報道によると、今回の手術は男性の家族の同意を得て実施されたという。ドナーとされた豚は、高度に管理された無菌環境で飼育されていた。研究グループは、移植後に拒絶反応が生じるリスクを抑制するために、CRISPR-Cas9というゲノム編集技術を用いて、ドナー肺の6種類の遺伝子を改変した。具体的には、ヒトの免疫反応の活性化に関与する3種類の遺伝子(GGTA1、B4GALNT2、CMAH)をノックアウトするとともに、拒絶反応の抑制に寄与する3種類のヒト遺伝子(CD55、CD46、TBM)を導入した。また、感染や拒絶反応が生じるリスクを低減するために、患者にさまざまな免疫抑制薬を投与した。 移植直後の肺に拒絶反応の兆候は見られなかった。しかし、移植の24時間後には広範囲に浮腫が生じた。これは、虚血再灌流障害による原発性移植臓器機能不全に一致する所見であった。移植後9日目には部分的に回復の兆候が見られたものの、医師らは男性の体が臓器を拒絶し始めていることを確認した。この時点で、家族の要請によりこの実験は中止された。 こうした結果を踏まえて研究グループは、「この研究は、豚からヒトへの肺移植が実現可能である可能性があることを示している。ただし、拒絶反応と感染に関する課題は依然として大きい」と記している。 臓器不足は依然として重大な問題である。2024年秋に収集された政府のデータによると、米国では、10万3,000人以上が臓器移植を待っている状態である。それにもかかわらず、 2024年に実施された移植件数は4万8,000件に満たず、毎日、13人の移植待機患者が死亡している。 豚の心臓弁のヒトへの移植はすでに数十年前から実用化されている。最近では、遺伝子を改変した豚の腎臓や心臓の移植についても進歩が見られるとCNNは報じている。しかし、肺は常に細菌やウイルスにさらされているため、特有の課題を抱えている。専門家は、「肺は体の免疫防御の中心であるが、移植技術が大きく前進しても、肺をいかにして守るかは依然として課題である」と指摘している。その一方で、豚の臓器を用いることで、利用可能な臓器と患者のニーズとのギャップを埋めることができるかもしれないとする意見もある。研究グループも、異種移植には「変革の可能性」があると記している。 この研究をレビューした米ノースウェスタン・メディスンの胸部外科部長であるAnkit Bharat氏は、CNNとのインタビューに対し、「この研究から得ることはあるだろうが、私自身は、本研究結果を踏まえて、今後、より大規模な臨床試験が実施されるようになるとは思えない」と慎重な姿勢を示している。 同じく本研究をレビューした米ニューヨーク大学ランゴン・ヘルスの移植外科医であるAdam Griesemer氏も、「9日間のために肺移植手術を受ける人はいないだろう」と述べ、さらなる研究が必要であることに同意を示している。 研究グループは、豚の肺を「足場」として使い、幹細胞療法を用いてヒトの細胞と置換する新たな選択肢も模索しているという。このアプローチは、将来的に臓器の拒絶反応を軽減する可能性がある。ただし現状では、ほとんどの専門家は豚の肺移植はまだ実験段階だとの見方を示している。

1595.

不正アクセス防止のためにパスワードの変更をご検討ください

近年、インターネット上で第三者が利用者のIDやパスワードを不正に入手し、さまざまなWebサービスにログインを試みる事例が広く報告されております。こうした不正アクセスの試みは現在もインターネット全体で広く継続的に発生しています。不正ログインを防ぐためにも、より安全なパスワードへの見直しをご検討いただけますようお願いいたします。<より安全なパスワードのポイント>ほかのサービス・サイトの「使い回し」は避ける以下のような「推測されやすい文字列」は避ける- 誕生日や電話番号- 単純な英単語- 数字のみの羅列- 名前と誕生日の組み合わせ10文字以上の長めのパスワードを設定するケアネットのパスワード変更画面では、入力したパスワードの安全性が表示されますので、設定時のご参考にしてください。会員の皆さまにはお手数をおかけいたしますが、安心・安全にサービスをご利用いただくため、ご協力いただきますようお願い申し上げます。

1596.

継続のコツ ~英会話編~【Dr. 中島の 新・徒然草】(597)

五百九十七の段 継続のコツ ~英会話編~晴れた日は洗濯日和!私もすっかり主夫気分で、オンライン英会話のフィリピン人講師との家事談義がはずみます。彼女たちも、自宅からのオンラインレッスンの合間に、皿洗いをしたり洗濯をしたり。ある講師にはサッカーをやっている11歳の息子がいて、1日に3回も着替えるのだそうです。大量の洗濯物で毎日大変なのだとか。「それ、息子さんが活発で健康だということじゃないですか。そんなに幸せなことはありませんよ」と言うと、いたく納得しておられました。さて、今回は英会話勉強継続のコツです。世の中にはいろいろな英会話勉強法があります。私自身、画期的英語勉強法を考えてはケアネットで何度も語ってきました。が、ここに来てついに真実を見いだしたわけです。勉強法よりも継続法のほうが重要!どう勉強するかよりも、どう続けるかのほうが大切ではなかろうか。そう思うに至りました。どんな勉強法でも続けさえすれば、必ずモノになるはず。大切なのは無理なく続けることだ!そう思ってたどり着いた継続のコツを以下に披露いたします。●とにかくオンライン英会話のレッスン予約を入れる私の場合、外来診察のある日は、疲労困憊して英語の勉強はできたものじゃありません。しかし、それ以外の日は勢いで予約を入れておき、後で辻褄を合わせるようにしています。●英会話の話題を決めるレッスンはいつも自由会話にしているので、話題を決めなくてはなりません。日本で大きな事件のニュースがあれば、それについて話をします。フィリピンのニュースなら、自然災害、政治家の汚職、近隣国とのトラブルあたりがメイン。やはりフィリピン関係の話は、講師の食いつきがいいですね。時には「台湾有事の時に、フィリピンがやるべきことって何があると思う?」というシリアスな質問を講師から浴びせられます。言われるまで気付きませんでしたが、台湾はフィリピンのすぐ近く。すかさず「紛争の飛び火に備えて国土防衛に専念すべきでしょうね。あと、米軍が介入した時には、同盟国として後方支援が必要になると思います」と答えるわけですが、そんな簡単な文章でも英語となるとうまく言えません。たとえば「専念する」というのが難しい。concentrateとかfocusくらいかな。●話題に沿った英語表現を準備する私は「こういう話をしよう」と思ったら、必要そうな英語表現をあらかじめ調べています。そんな時に頼りになるのがChatGPT!英語表現を尋ねると、いくつかの候補を示してくれます。その中に知らない単語が入っている場合は「~という単語は知らないので、別の表現をお願いします」と頼み、余計な負担はパス。とにかく、自分の知っている範囲の単語で表現することが大切だと思います。●1つのトピックを使い回す私はA講師とのレッスンを終えて復習したら、同じ話題で次の日にB講師と話しています。さらに反省を重ねて、その次の日のC講師とのレッスンも同じ話題。そうすると、少しずつはスピーキングが上達している気がします。●講師を選ぶ講師にもいろいろな人がいて、自分との相性もさまざま。私の場合、自分のスピーキング能力を改善したいので、以下のことを重視しています。★オンライン環境が良好。音声の遅延があったらスムーズな会話はできません。★厳格な講師より優しい講師。お医者さんと一緒かも。★こちらの下手な英語を忍耐強く聴いてくれる人。★一方的に喋らない人。聴くだけになると、こちらの練習になりません。そうやって頑張った結果、1~7月の間は月平均9回だったオンライン英会話レッスンが、8月には24回になりました。頭の中で思ったことが、以前よりもテンポよく口をついて出て来る気がします。それもこれも継続するシステムができたからに他なりません。ついでに、フィリピン人講師あるある。★皆、例外なく明るい。★後ろからコケコッコーとニワトリの鳴き声が聞こえてくる。★講師紹介の写真は思いっきり加工されており、もはや別人。オンライン英会話は月額8,000円程度なので、毎日やれば1回25分のレッスンが250円前後で済みます。 英会話上達もさることながら、私にとっては日々機嫌よく過ごすための趣味だといっても過言ではありません。読者の皆さまの参考になれば幸いです。最後に1句 日本晴れ 英語と洗濯 やったるで!

1597.

ほんまにえらいこっちゃ?win ratioで探る医学研究【Dr.中川の「論文・見聞・いい気分」】第88回

えらいこっちゃ!と医学研究「えらいこっちゃ!」大阪のオバちゃんが、こう叫んでいたら、みなさん何を想像しますか?火事かと思えば、電車に乗り遅れそうなときも、スーパー特売で卵が98円やったときも、財布を落としたときも、隣のおばちゃんの噂話でも、なんでもかんでも同じ声量で「えらいこっちゃ!」。これは大阪の文化です。医学研究、とりわけ循環器領域の臨床試験で用いられる複合エンドポイント(composite endpoint)には、実はこの「えらいこっちゃ!」に通じる大阪のオバちゃん的な問題が潜んでいます。臨床試験では、何を指標として評価するのかというエンドポイントを明確に定める必要があります。かつては、「死亡」が最も適切なエンドポイントとされていました。しかし、死亡というイベントは多くは発生しないために、イベント数を増やし統計学的検出力を高める目的で、「死亡または心不全入院」などの複合エンドポイントが広く用いられています。人が亡くなる「死亡」は、もちろん究極の「えらいこっちゃ!」です。一方で、入院が必要になる「心不全入院」は確かに困るけれども、まだ命はあります。それなのに研究上は、どちらも「イベントが起きた」として、ひとまとめに扱うのです。それを同じ1件のイベントにしてしまうのは、オバちゃんの「卵が安い」と「財布なくした」が同じトーンで叫ばれるのに似ています。当然ながら、事象の深刻度は大きく異なります。つまり、複合エンドポイントを用いた研究結果には「えらいこっちゃの度合い」が混ざってしまいます。「イベントが減りました!」と書いてあっても、よく見ると「入院がちょっと減っただけで、死亡は変わらず」なんてこともありえます。これでは、本当に深刻な問題がどれくらい減ったのか、わかりにくくなります。有意差が「何によって」もたらされたのか、死亡なのか、入院なのか。その解釈を誤れば、治療の真価を見誤ることになりかねません。研究者たちは、その不公平を補う工夫をいろいろ考えました。その「えらいこっちゃの重み」を考慮する新しい解析方法の1つとして、「win ratio(ウィン・レシオ)」という解析方法が登場しています。紹介しましょう。win ratioを用いた解析の実際win ratioは、複合エンドポイントを構成する事象に優先順位を付け、治療効果を測る統計手法です。複数の評価項目がある場合に、それぞれの項目に優先順位を付けます。介入群(新薬を用いるグループ)と対照群(従来の標準的な治療法を受けるグループ)の患者を比較し、死亡または心不全入院に与える影響を検討する臨床研究を想定します。死亡を心不全入院よりも重大で優先順位の高い項目として設定します。仮に、介入群500例、対照群500例の計1,000例で実施した研究の場合に、背景データのリスク因子などの情報に応じて介入群と対照群の患者をマッチングさせます。マッチングした500組で、(1)から(5)の順番に勝負を判定していきます。(1)介入群で「死亡」が早く発生:介入群が「負け」(2)対照群で「死亡」が早く発生:介入群が「勝ち」(3)介入群で「心不全入院」が早く発生:介入群が「負け」(4)対照群で「心不全入院」が早く発生:介入群が「勝ち」(5)上記のどれでもない:引き分けここで大切なことは、死亡の優先順位が高いので、(1)か(2)で決着がつけば、(3)以下の勝敗判定は行わないことです。すべてのマッチングに対して、この5つの判定ができれば介入群の勝数と負数を算出できます。勝数÷負数=win ratioとなります。win ratioが1を超える場合は、介入群に有利な転帰が多いことを示唆することになります。各事象の重みを考えない、複合エンドポイントの従来の解析法を当てはめれば以下となります。(1)介入群で「死亡または心不全入院」が早く発生:介入群が「負け」(2)対照群で「死亡または心不全入院」が早く発生:介入群が「勝ち」(3)上記のどれでもない:引き分けたとえば、介入群のAさんと対照群のBさんがマッチングされ勝負したとします。研究開始早々にAさんに心不全が発生し、その後にBさんに死亡という事象が発生しました。従来の解析法では、「死亡または心不全入院」が1つイベントですから、先にイベントを起こしたAさんが負け、つまり介入群の「負け」としてカウントされます。win ratioを用いた考え方では、心不全入院よりも死亡を優先して先に検討しますので、対照群のBさんに先にイベントが発生した、つまり介入群の「勝ち」としてカウントされます。このように微妙に判断が覆るのです。要約すれば、まずは最も重大な事象で「どちらが勝ちか」を判定する。そこで差がなければ、次に軽い事象で比較する。まるで階段を下りるように、優先順位を付けて判定していくのです。こうして得られる勝敗の総和が、治療の有効性を映し出すのです。臨床試験での応用例win ratioは心不全領域を中心に臨床試験で応用されています。代表例としてEMPULSE試験があります1)。この試験では、SGLT2阻害薬であるエンパグリフロジンが、新規発症もしくは慢性心不全の急性増悪により入院した急性心不全患者における主要複合エンドポイント(治療開始から90日時点での死亡、心不全イベント、QOL改善などによって構成)のリスクを有意に低下させたと報告しています。解析においてwin ratioが適用され、その手法の実用性が示されています。win ratioについて、さらに詳しく知りたい方には、Stuart J. Pocock先生が、理論的基盤を解説した原著論文「The win ratio: a new approach to the analysis of composite endpoints in clinical trials based on clinical priorities.」を一読くだされば勉強になります2)。同じくPocock先生の、Eur Heart J誌に掲載された論文「The win ratio in cardiology trials: lessons learnt, new developments, and wise future use.」に各種の実例を踏まえて、この解析手法について深い考察があり興味深いです3)。大阪のオバちゃんは偉いね大阪のオバちゃんを小ばかにしたような書き出しの文章ですが、結局のところ、科学の世界でも大阪のオバちゃんの声が響いているのかもしれません。「ほんまにえらいこっちゃなんか? それとも、大したことない“えらいこっちゃ”なんか?」この問いかけこそが、臨床試験を正しく理解する第一歩なのです。こういった真面目な統計学的な文章を読むと脳が疲れます。ここでも大阪のオバちゃんが助けてくれます。「にいちゃん、アメちゃんなめるか!」参考1)Voors AA, et al. The SGLT2 inhibitor empagliflozin in patients hospitalized for acute heart failure: a multinational randomized trial. Nat Med. 2022;28:568-574.2)Pocock SJ, et al. The win ratio: a new approach to the analysis of composite endpoints in clinical trials based on clinical priorities. Eur Heart J. 2012;33:176-182.3)Pocock SJ, et al. The win ratio in cardiology trials: lessons learnt, new developments, and wise future use. Eur Heart J. 2024;45:4684-4699.

1598.

大脳皮質基底核変性症〔CBD:corticobasal degeneration〕

1 疾患概要■ 定義大脳皮質基底核変性症(corticobasal degeneration:CBD)は、進行性に運動症状および皮質症状を呈するまれな神経変性疾患である。病理学的には4リピートタウ(4R tau)の異常蓄積を特徴とするタウオパチーに分類され、進行性核上性麻痺(PSP)と並ぶ代表的な非アルツハイマー型タウオパチーである。1968年にRebeizらが初めて報告し、当初は“corticodentatonigral degeneration with neuronal achromasia”と呼ばれたが、1989年にGibbらにより現在の病理診断名であるCBDの呼称が確立された。臨床的には非対称性のパーキンソニズムと皮質徴候を呈するが、この臨床像はCBD以外の病理を背景にすることも多く、臨床診断名としては「大脳皮質基底核症候群(corticobasal syndrome:CBS)」が用いられる。■ 疫学CBDは稀少疾患であり、わが国での有病率は10万人当たり約9人程度と報告されている。発症年齢は70歳代が中心で、性差については明確な傾向は認められていない。リスク因子としては、同じ4リピートが蓄積するタウオパチーであるPSPと共通するものとしてMAPT遺伝子やMOBP遺伝子が疾患感受性遺伝子として同定されているほか、CBDに特異的なものとしてInc-KIF13B-1遺伝子やSOS1遺伝子などCBDに特異的な遺伝的要因も報告されている。環境要因に関しては明らかになっていない。■ 病因CBDはタウ蛋白異常蓄積を主体とする神経変性疾患である。4R tauが神経細胞やグリア細胞に異常沈着し、神経原線維変化やアストロサイトの変性を引き起こす。とくにCBDに特徴的なのはアストロサイトの変化で、astrocytic plaqueの形成が診断上重要な所見とされる。神経細胞では神経原線維変化は少なく、プレタングル(神経原線維変化が起こる前の段階の状態)が主体である。病変分布は前頭葉・頭頂葉皮質に目立ち、しばしば左右非対称性を示す点が特徴である。クライオ電子顕微鏡にて、タウ蛋白は4層の折り畳み構造をしていることが判明した。■ 症状CBDは多彩な臨床症状を呈するが、典型例では左右非対称性の運動緩慢、固縮、ジストニア、ミオクローヌスなどの錐体外路徴候に加え、失行、皮質性感覚障害、他人の手徴候などの大脳皮質徴候を示す。症状が一側から始まり、徐々に対側にも及ぶ点がCBDの重要な特徴である。認知機能障害や言語障害、行動異常も出現し得る。また、嚥下障害、構音障害など球症状も進行に伴って出現する。進行はパーキンソン病より速く、レボドパへの反応性は乏しい(表)。表 大脳皮質基底核変性症と進行性核上性麻痺の比較画像を拡大する■ 分類CBDの臨床病型は多彩であり、最も頻度の高いのはCBSであるが、全体の約40%にとどまる。その他の主要な臨床型として、PSP様症候群(Progressive Supranuclear Palsy Syndrome:PSPS)前頭葉性行動・空間症候群(frontal behavioral-spatial syndrome:FBS)非流暢/失文法型原発性進行性失語(Nonfluent/Agrammatic variant of Primary Progressive Aphasia:naPPA)アルツハイマー病様認知症が知られている。ただし、アルツハイマー病様認知症は、アルツハイマー病との鑑別が難しいため、Armstrongらによる臨床診断基準には含まれていない。また、まれに後部皮質萎縮症やレビー小体型認知症に類似した臨床像を呈する例もある。■ 予後CBDは進行性の神経変性疾患であり、発症から平均10年程度で高度機能障害に至る。多くの症例では、運動症状と認知機能障害が並行して進行し、日常生活動作は急速に低下する。レボドパなど抗パーキンソン病薬は無効あるいは効果が一時的であり、根本的治療法は存在しない。2 診断CBDの臨床診断は困難である。2013年にArmstrongらによる臨床診断基準が作成され、CBSのみならずFBS、naPPA、PSPSなど多様な臨床表現型を対象としている。ただし感度・特異度はいまだ十分でなく、臨床診断のみで確定することは難しい。画像検査では左右非対称の前頭葉・頭頂葉萎縮を認めることがあり、頭部MRIが有用である。脳血流SPECTやFDG-PETが補助的に用いられる。近年では脳脊髄液(CSF)や血液バイオマーカー、タウPETを用いた研究が進められているが、確立した診断法はまだ存在しない。最終的な確定診断は、病理診断に依存する。鑑別すべき疾患としてはPSP、アルツハイマー病、前頭側頭型認知症、自己免疫性パーキンソニズム(IgLON5抗体関連疾患など)がある。とくにPSPとの鑑別は臨床的に最も問題となる。CBDは難病法に基づく指定難病(指定難病7)に指定されており、厚生労働省が定める診断基準を満たした場合に医療費助成が受けられる。3 治療現在、CBDに対する根本的治療は存在しない。治療は対症的であり、薬物療法とリハビリテーションが中心となる。運動症状に対してはレボドパを試みるが、効果は限定的で持続しないことが多い。ジストニアやミオクローヌスに対しては抗てんかん薬や筋弛緩薬が用いられることがある。非流暢性失語や行動障害には言語療法、作業療法、心理社会的介入が重要である。嚥下障害が進行すれば栄養管理や誤嚥予防が不可欠となる。根本的治療としては、タウを標的とした分子標的薬の開発が進行している。抗タウ抗体(tilavonemab、gosuranemab)はPSPで第II相試験が行われたが有効性を示せなかったため、現在はタウの中間ドメインを標的とする抗体や、タウ蓄積を抑制する低分子医薬品の臨床試験が進められている。また、RNA干渉や遺伝子治療など革新的治療法も研究段階にある。CBD単独を対象とした臨床試験はあまり行われていない。4 今後の展望CBDは病理学的に定義される疾患であるため、臨床的に早期診断することはきわめて難しい。したがって、画像や体液バイオマーカーの確立が喫緊の課題である。近年の研究では、血漿やCSFにおけるリン酸化タウ(p-tau)や神経フィラメント軽鎖(NfL)が候補とされ、タウPETによる分布解析も進められている。また、わが国におけるJ-VAC研究により、CBS症例から病理診断を予測する臨床特徴の抽出が試みられており、PSPとの鑑別に一定の知見が得られている。さらにタウを標的とした疾患修飾療法の開発が進んでおり、将来的にはCBDの進行抑制が可能になることが期待される。そのためにも、早期の症例登録と臨床試験参加が重要である。5 主たる診療科脳神経内科、リハビリテーション科※ 医療機関によって診療科目の区分は異なることがあります。6 参考になるサイト(公的助成情報、患者会情報など)診療、研究に関する情報難病情報センター 大脳皮質基底核変性症(一般利用者向けと医療従事者向けのまとまった情報)厚生労働科学研究費補助金事業 神経変性疾患領域の基盤的調査研究班 『CBD診療マニュアル2022』(医療従事者向けのまとまった情報)Aiba I, et al. Brain Commun. 2023;5:fcad296.公開履歴初回2025年9月11日

1599.

死前喘鳴に対する薬物療法【非専門医のための緩和ケアTips】第107回

死前喘鳴に対する薬物療法死亡直前期の症状の1つである「死前喘鳴」は終末期(とくに死の数時間〜数日前)に見られる呼吸音で、咽頭や気道に貯留した分泌物が振動して生じる「ゼーゼー」という呼吸音です。亡くなる方の40%前後で生じるとされていますので、見たことがある方も多いかもしれません。患者自身に苦痛はないとされますが、周囲の家族にとっては苦しそうに見え、不安や苦悩の原因になります。家族を安心させるために薬剤による治療を行うことが多いですが、供給状況の変化により、手に入りにくいケースも出ています。今回の質問亡くなりそうな患者さんで死前喘鳴を経験することがあります。以前はハイスコを使っていたのですが、発売中止になったと聞きました。これからはどのような対応をするのが良いのでしょうか?ご質問ありがとうございます。抗コリン薬ハイスコ(一般名:スコポラミン臭化水素酸塩水和物)は、「採算が合わない」として製造元が製造発売停止を発表し、経過措置を経て2024年3月に完全に販売が停止しています。さて、ご質問に対して直接的に回答させていただくと、「気道分泌が亢進していることによる喘鳴に対しては、ブスコパン(一般名:ブチルスコポラミン臭化物)の投与が一般的」となります。ハイスコ販売中止の発表以後、どのように対応するかというのは緩和ケア専門家の中で話題になりました。研究においてハイスコとブスコパンの有効率にはあまり差がないことが明らかになっており、実臨床でもブスコパンで代替している医師が多いと思います。亡くなる直前の患者さんの様子は、家族にとって非常に印象深いものです。場合によっては何年も「あの時、苦しそうだったなあ」という思いを抱いて過ごすこともありえます。そういった観点から、何らかの薬物療法を試してみることは、患者の症状緩和はもちろん、家族にとっても重要だと思います。死前喘鳴における「意識はない状態で、苦しそうに見える症状は本当のところ苦しいのか」という問題にはいろいろ意見があり、まだ答えはありません。ただ、「おそらく、ご本人は、苦しさはわからない状況だと思います」というように、ご家族に説明している方が多いのではないでしょうか。また、こういった家族のつらさを和らげるという観点からは、薬物療法以外の対応も重要です。体位を調整したり、口腔ケアを提供したりすることや、苦痛を気に掛け、家族の心配に誠実に対応しようとする姿勢を見せることが大切です。患者だけでなく家族にとっても大切な時間を心穏やかに過ごせるように、支援できると良いですね。今回のTips今回のTips死前喘鳴、ブスコパンのほかに薬物以外のケアも検討しよう。

1600.

第27回 なぜ経済界トップは辞任したのか?新浪氏報道から考える、日本と世界「大麻をめぐる断絶」

経済同友会代表幹事という日本経済の中枢を担う一人、サントリーホールディングスの新浪 剛史氏が会長職を辞任したというニュースは、多くの人に衝撃を与えました1)。警察の捜査を受けたと報じられる一方、本人は記者会見で「法を犯しておらず潔白だ」と強く主張しています。ではなぜ、潔白を訴えながらも、日本を代表する企業のトップは辞任という道を選ばざるを得なかったのでしょうか。この一件は、単なる個人のスキャンダルでは片付けられません。日本の厳格な法律と、大麻に対する世界の常識との間に生じた「巨大なズレ」を浮き彫りにしているかもしれません。また、私たち日本人が「大麻」という言葉に抱く漠然としたイメージと、科学的な実像がいかにかけ離れているかをも示唆しているようにも感じます。本記事では、この騒動の深層を探るとともに、科学の光を当て、医療、社会、法律の各側面から、この複雑な問題の核心に迫ります。事件の深層 ― 「知らなかった」では済まされない世界の現実今回の騒動の発端は、新浪氏が今年4月にアメリカで購入したサプリメントにあります。氏が訪れたニューヨーク州では2021年に嗜好用大麻が合法化され、今や街の至る所で大麻製品を販売する店を目にします。アルコールやタバコのように、大麻成分を含むクッキーやオイル、チョコレートやサプリメントなどが合法的に、そしてごく普通に流通しています。新浪氏は「時差ボケが多い」ため、健康管理の相談をしていた知人から強く勧められ、現地では合法であるという認識のもと、このサプリメントを購入したと説明しています。ここで重要になるのが、大麻に含まれる2つの主要な成分、「THC」と「CBD」の違いです。THC(テトラヒドロカンナビノール)いわゆる「ハイ」になる精神活性作用を持つ主要成分です。日本では麻薬及び向精神薬取締法で厳しく規制されており、これを含む製品の所持や使用は違法となります。THCには多幸感をもたらす作用がある一方、不安や恐怖感、短期的な記憶障害や幻覚作用などを引き起こすこともあります。CBD(カンナビジオール)THCのような精神作用はなく、リラックス効果や抗炎症作用、不安や緊張感を和らげる作用などが注目されています。ただし、臨床的に確立されたエビデンスはなく、愛好家にはエビデンスを過大解釈されている側面は否めません。「時差ボケ」を改善するというエビデンスも確立していません。日本では、大麻草の成熟した茎や種子から抽出され、THCを含まないCBD製品は合法的に販売・使用が可能です。新浪氏自身は「CBDサプリメントを購入した」という認識だったと述べていますが、問題はここに潜んでいます。アメリカで合法的に販売されているCBD製品の中には、日本の法律では違法となるTHCが含まれているケースが少なくありません。厚生労働省も、海外製のCBD製品に規制対象のTHCが混入している例があるとして注意を呼びかけています2)。まさにこの「合法」と「違法」の境界線こそが、今回の問題の核心です。潔白を訴えても辞任、なぜ? 日本社会の厳しい目記者会見での新浪氏の説明や報道によると、警察が氏の自宅を家宅捜索したものの違法な製品は見つからず、尿検査でも薬物成分は検出されなかったとされています。また、福岡で逮捕された知人の弟から自身にサプリメントが送られようとしていた事実も知らなかったと主張しています。法的には有罪が確定したわけでもなく、本人は潔白を強く訴えている。にもかかわらず、なぜ辞任に至ったのでしょうか。その理由は、サントリーホールディングス側の判断にありました。会社側は「国内での合法性に疑いを持たれるようなサプリメントを購入したことは不注意であり、役職に堪えない」と判断し、新浪氏も会社の判断に従った、と説明されています。これは、法的な有罪・無罪とは別の次元にある、日本社会や企業における「コンプライアンス」と「社会的信用」の厳しさを物語っているのかもしれません。とくにサントリーは人々の生活に密着した商品を扱う大企業です。そのトップが、たとえ海外で合法であったとしても、日本で違法と見なされかねない製品に関わったという「疑惑」が生じたこと自体が、企業のブランドイメージを著しく損なうリスクとなります。結果的に違法でなかったとしても、「違法薬物の疑いで警察の捜査を受けた」という事実だけで、社会的・経済的な制裁が下されてしまう。これが、日本社会の現実です。科学は「大麻」をどう見ているのか?この一件を機に、私たちは「大麻」そのものについて、科学的な視点からも冷静に見つめ直す必要があるでしょう。世界中で医療大麻が注目される理由は、THCやCBDといった「カンナビノイド」が、私たちの体内にもともと存在する「エンドカンナビノイド・システム(ECS)」に作用するためです3)。ECSは、痛み、食欲、免疫、感情、記憶など、体の恒常性を維持する重要な役割を担っています。この作用を利用し、既存の薬では効果が不十分なさまざまな疾患への応用が進んでいます4)。がん治療の副作用緩和抗がん剤による悪心や嘔吐、食欲不振を和らげる効果。アメリカではTHCを主成分とする医薬品(ドロナビノールなど)がFDAに承認されています。難治性てんかんとくに小児の難治性てんかんにCBDが効果を示し、多くの国で医薬品として承認されています。その他多発性硬化症の痙縮、神経性の痛み、PTSD(心的外傷後ストレス障害)など、幅広い疾患への有効性が研究・報告されています。このように、科学の視点で見れば、大麻はさまざまな病気の患者を救う可能性を秘めた「薬」としての側面を持っています。「酒・タバコより安全」は本当か? リスクの科学的比較「大麻は酒やタバコより安全」という言説を耳にすることもあります。リスクという側面から、これは本当なのでしょうか。単純な比較はできませんが、科学的なデータはいくつかの客観的な視点を提供してくれます。依存性生涯使用者のうち依存症に至る割合は、タバコ(ニコチン)が約68%、アルコールが約23%に対し、大麻は約9%と報告されており、比較的低いとされます5)。しかし、ゼロではなく、使用頻度や期間が長くなるほど「大麻使用障害」のリスクは高まります。致死量アルコールのように急性中毒で直接死亡するリスクは、大麻には報告されていません6)。長期的な健康への影響精神への影響大麻の長期使用、とくに若年層からの使用は、統合失調症などの精神疾患のリスクを高める可能性が複数の研究で示されています。とくに高THC濃度の製品を頻繁に使用する場合、そのリスクは増大すると考えられています7)。また、うつ病や双極性障害との関連も指摘されていますが、研究結果は一貫していません。身体への影響煙を吸う方法は、タバコと同様に咳や痰などの呼吸器症状と関連します。心血管系への影響(心筋梗塞や脳卒中など)も議論されていますが、結論は出ていません8)。一方で、運転能力への影響は明確で、使用後の数時間は自動車事故のリスクが有意に高まることが示されています6)。国際的な専門家の中には、依存性や社会への害を総合的に評価すると、アルコールやタバコの有害性は、大麻よりも大きいと結論付けている人もいます。しかし、これは大麻が「安全」だという意味ではなく、それぞれ異なる種類のリスクを持っていると理解するべきでしょう。世界の潮流と日本のこれからかつて大麻は、より危険な薬物への「入り口」になるという「ゲートウェイ・ドラッグ理論」が主流でした。しかし近年の研究では、もともと薬物全般に手を出しやすい遺伝的・環境的な素因がある人が複数の薬物を使用する傾向がある、という「共通脆弱性モデル」のほうが有力だと考えられています9)。アメリカでは多くの州で合法化が進みましたが、社会的なコンセンサスは得られていません。賛成派は莫大な税収や犯罪組織の弱体化を主張する一方、反対派は若者の使用増加や公衆衛生への悪影響を懸念しています。合法化による長期的な影響はまだ評価の途上にあり、世界もまた「答え」を探している最中です。ただし、新浪氏の問題は、決して他人事ではないと思います。今後、海外で生活したり、旅行したりする日本人が、意図せず同様の事態に陥る可能性は誰にでもあります。また、この一件は、私たちに大きな問いを投げかけています。世界が大きく変わる中で、日本は「違法だからダメ」という思考停止に陥ってはいないでしょうか。もちろん、法律を遵守することは大前提。しかし同時に、大麻が持つ医療的な可能性、アルコールやタバコと比較した際のリスクの性質、そして世界の潮流といった科学的・社会的な事実から目を背けるべきではありません。今回の騒動をきっかけに、私たち一人ひとりが固定観念を一度リセットし、科学に基づいた冷静な知識を持つこと。そして社会全体で、この複雑な問題について、感情論ではなく建設的な議論を始めていくこと。それこそが、日本が世界の「ズレ」から取り残されないために、今まさに求められていることなのかもしれません。 1) NHK. サントリーHD 新浪会長が辞任 サプリメント購入めぐる捜査受け. 2025年9月2日 2) 厚生労働省 地方厚生局 麻薬取締部. CBDオイル等のCBD関連製品の輸入について. 3) Testai FD, et al. Use of Marijuana: Effect on Brain Health: A Scientific Statement From the American Heart Association. Stroke. 2022;53:e176-e187. 4) Page RL 2nd, et al. Medical Marijuana, Recreational Cannabis, and Cardiovascular Health: A Scientific Statement From the American Heart Association. Circulation. 2020;142:e131-e152. 5) Lopez-Quintero C, et al. Probability and predictors of transition from first use to dependence on nicotine, alcohol, cannabis, and cocaine: results of the National Epidemiologic Survey on Alcohol and Related Conditions (NESARC). Drug Alcohol Depend. 2011;115:120-130. 6) Gorelick DA. Cannabis-Related Disorders and Toxic Effects. N Engl J Med. 2023;389:2267-2275. 7) Hines LA, et al. Association of High-Potency Cannabis Use With Mental Health and Substance Use in Adolescence. JAMA Psychiatry. 2020;77:1044-1051. 8) Rezkalla SH, et al. A Review of Cardiovascular Effects of Marijuana Use. J Cardiopulm Rehabil Prev. 2025;45:2-7. 9) Vanyukov MM, et al. Common liability to addiction and “gateway hypothesis”: theoretical, empirical and evolutionary perspective. Drug Alcohol Depend. 2012;123 Suppl 1:S3-17.

検索結果 合計:35623件 表示位置:1581 - 1600