サイト内検索|page:778

検索結果 合計:35230件 表示位置:15541 - 15560

15541.

血管内大細胞型B細胞リンパ腫(IVLBCL)の標準的治療法を発表:PRIMEUR-IVL trial【Oncologyインタビュー】第20回

希少なリンパ腫の1つである血管内大細胞型B細胞リンパ腫(IVLBCL)。中枢神経(CNS)浸潤のリスクが高く、予後不良となる例が多く、また、確立した治療法もなかった。このIVLBCLに対する有効な新レジメンが、PRIMEUR-IVL trialの結果としてLancet Oncology誌2020年4月号に掲載された。筆頭著者である名古屋大学医学部附属病院 血液内科の島田和之氏に研究の背景や新レジメンに至る経緯について聞いた。―この試験ではIVLBCLが対象となっていますが、この疾患にはどのような問題があるのでしょうか。IVLBCLはリンパ腫細胞が全身臓器の小血管内に選択的に認められる希な疾患です。悪性リンパ腫の特徴であるリンパ節腫脹が認められず、不明熱、LDHの上昇、血球減少といった症状が多くみられます。そのため、正確な診断がつくまでに時間がかかり、全身状態が悪化してからの治療となり、十分な効果が得られないことがあります。2000年代に入って、従来の骨髄検査に加え、ランダム皮膚生検という新たな検査が加わり、比較的早期に診断できるようになりました。今では前出の症状からIVLBCLを疑っていただけるようになりました。これは、今までこの疾患への診療および研究に従事してこられた先達の先生方の努力の結果だと思います。―IVLBCLには確立した治療がなかったとのことですが。IVLBCLには確立した治療法はなく、びまん性大細胞型B細胞リンパ腫(DLBCL)と同様に、CHOP療法が主に使われていました。その後、2000年代、抗CD20抗体医薬であるリツキシマブが登場し、CHOP療法にリツキシマブを加えたR-CHOP療法がDLBCLの治療成績を著しく改善しました。IVLBCLについても、2008年のIVL研究会によるわが国の後方視的研究では、リツキシマブと化学療法との併用により無増悪生存期間(PFS)と全生存期間(OS)が延長していることが示唆されました。―R-CHOP療法で成績が向上した中、今回の試験はどのような理由で実施されたのでしょうか。後方視的研究では、リツキシマブの登場で治療成績の向上が示唆された一方で、IVLBCL患者の生存率はおよそ60%に留まっていました。IVLBCL患者の10人中4人の治療成績は不十分ということになりますが、その4人のうち2人は二次性中枢神経(CNS)浸潤を来していました。一般的にDLBCLでの二次性CNS浸潤リスクは5%ですが、IVLBCLでは20~30%と二次性CNS浸潤のリスクが非常に高いのです。ご存じのとおり、二次性CNS浸潤は予後不良です。そこで、R-CHOP療法とCNS浸潤予防治療を組み合わせることで、さらなる治療成績の向上につなげようと考えました。治療の有効性を評価するためには、前方向視的臨床試験が必要になりますが、IVLBCLは非常に希な疾患であり、それまでに、IVLBCLを対象にして行われた前方向視的臨床試験はありませんでした。比較試験の実施は困難であるため、単群の臨床第II相試験として試験治療の有効性と安全性を評価することとしました。―CNS浸潤予防も鑑みて今回の試験レジメンになった訳ですね。画像を拡大する後方視的研究では、診断時に明らかなCNS病変がみられず、その後二次性CNS浸潤を発症した患者の約40%は、診断後半年以内に増悪を認めていました。病気の性質を考えると、臨床症状や明らかな浸潤像がなくても、CNS浸潤が始まっている可能性は捨てきれません。そこで、早期に何らかのCNS浸潤予防を目的とした治療(CNS-oriented therapy)の導入が必要だと考えました。具体的には、大量メトトレキサート(HDMTX)の静脈内投与とメトトレキサート(MTX)とシタラビン(Ara-C)およびステロイド(PSL)の髄腔内投与です。何が理想のCNS-oriented therapyなのか、まだ答えはないため、レジメンの作成にあたって、さまざまな議論がなされました。たとえば、髄腔内投与については、二次性CNS浸潤として髄膜浸潤を来した患者もみられたことから組み入れることとしました。HDMTX療法の投与の時期については、R-CHOP療法による病気の制御と早期のCNSへの治療を考慮して、R-CHOP療法の途中にHDMTX療法を組み入れることとしました。最終的にR-CHOP療法3サイクルの後に、HDMTX+リツキシマブ(R-HDMTX)療法2サイクルを挟み、R-CHOP療法3サイクルを行う合計8サイクルのレジメンとしました。PRIMEUR-IVL trial試験概要多施設(国内22施設)単群第II相試験対象:未治療でCNSに明らかな病変を認めないIVLBCL患者38例。年齢は20~79歳。PSは0~3。介入:患者はR-CHOP3サイクル後、R-HDMTXを2サイクル、その後R-CHOP3サイクル、R-CHOP投与中に髄腔内注射4回の投与を受けた。主要評価項目:2年無増悪生存割合(PFS)試験結果追跡期間中央値3.9年における2年PFSは76%(95%CI:58〜87)、2年OSは92%であった。有効性評価対象37例中完全奏効(CR)が31例に認められた(変化なし5例)。2年二次性CNS浸潤累積発症割合は3%であった。Grade3/4の発熱性好中球減少、白血球減少は全例に見られた。重篤なAEは低カリウム血症、低血圧を伴う発熱性好中球減少、高血圧、頭蓋内出血であった。治療関連死は認められず。―今回の試験の結果についてはいかがですか。フォローアップ期間(追跡期間中央値 3.9年)がそれほど長くなく、長期のフォローアップが必須となりますが、2年PFS 76%は良好な結果が得られたと考えています。また、二次性CNS浸潤も3%に抑えられており、これも良好な成績だと考えています。長期的なフォローアップについても実施していく予定です。更なる治療成績の改善が今後の課題です。―読者の方にメッセージをお願いします。このレジメンは、IVLBCLとして初めての前方向視的臨床試験で検討された治療法です。また、保険診療の範囲内で行うことが可能ですので、IVLBCLの治療法として選択肢の1つにしていただければと思います。また、血液内科の先生方は十分な経験をお持ちだと思いますが、毒性については、R-CHOP療法よりも若干強いという点にはご留意いただければと思います。原著Shimada K, et al. Rituximab, cyclophosphamide, doxorubicin, vincristine, and prednisolone combined with high-dose methotrexate plus intrathecal chemotherapy for newly diagnosed intravascular large B-cell lymphoma (PRIMEUR-IVL): a multicentre, single-arm, phase 2 trial. Lancet Oncol.2020;21:593-602.参考Shimada K, et al. Retrospective analysis of intravascular large B-cell lymphoma treated with rituximab-containing chemotherapy as reported by the IVL study group in Japan. J Clin Oncol 2008; 26: 3189-95.Shimada K, et al. Central nervous system involvement in intravascular large B-cell lymphoma: a retrospective analysis of 109 patients. Cancer Sci 2010; 101: 1480-86.

15542.

うつ症状のリスク低下に筋力が寄与~メタ解析

 ポルトガル・リスボン大学のAdilson Marques氏らは、成人の筋力と抑うつ症状との関係をシステマティックにレビューし、メタ解析を実施した。また、筋力と抑うつ症状との関係における統合オッズ比(OR)を算出した。International Journal of Environmental Research and Public Health誌2020年8月6日号の報告。筋力は抑うつ症状リスクの低下に寄与することが示唆された PRISMAガイドラインに従って、システマティックレビューおよびメタ解析を実施した。電子データベース(PubMed、Scopus、Web of Science)より、2019年12月までに発表された研究をシステマティックに検索した。包括基準は以下のとおりとした。(1)横断的研究、縦断的研究、介入研究、(2)アウトカムにうつ病または抑うつ症状を含む、(3)対象は成人および高齢者、(4)英語、フランス語、ポルトガル語、スペイン語で発表された研究。 成人の筋力と抑うつ症状との関係についてシステマティックレビューおよびメタ解析した主な結果は以下のとおり。・21件の研究が抽出され、対象となったのは、26ヵ国の18歳以上の成人8万7,508例であった。・システマティックレビューにおいて、筋力は抑うつ症状リスクの低下に寄与することが示唆された。・メタ解析では、筋力と抑うつ症状との有意な逆相関が認められ、ORは0.85(95%CI:0.80~0.89)であった。 著者らは「筋力の向上を目的とした介入は、メンタルヘルスを改善し、うつ病を予防する可能性が示唆された。メンタルヘルス改善とうつ病予防の戦略に、筋力の評価と向上を用いることは可能である」としている。

15543.

高齢の早期乳がん、術後放射線療法は省略可能か?

 高齢の早期乳がん患者において、乳房温存手術後の放射線療法が省略可能かについては議論がある。米国・ヴァンダービルト大学医療センターのFei Wang氏らは、70歳以上の乳がん患者11万例以上のデータを解析し、放射線療法実施の有無による生存への影響を評価した。International Journal of Cancer誌オンライン版2020年8月24日号に掲載の報告より。高齢の早期乳がん患者の放射線療法の省略は死亡率の増加と関連 対象は米国国立がんデータベースに登録され、2004~2014年に乳房温存手術を受けた、70歳以上、T1-2N0-1M0の女性乳がん患者。多変量Cox比例ハザードモデルを使用して、3、5、10年時の死亡率と乳房温存手術後の放射線療法との関連についてハザード比(HR)および95%信頼区間(CI)を推定した。 70歳以上の高齢女性乳がん患者の死亡率と乳房温存手術後の放射線療法との関連を評価した主な結果は以下のとおり。・11万5,516例のデータが分析された。・乳房温存手術後に放射線療法を受けなかった患者は、放射線療法を受けた患者よりも死亡率が高く(5年生存率:71.2% vs.83.8%)、3年死亡率の多変量補正後ハザード比(HR)は1.65(95%信頼区間[CI]:1.57~1.72)、 5年死亡率のHRは1.53(1.47~1.58)、10年死亡率のHRは1.43(1.39~1.48)であった。・この関連は、内分泌療法または化学療法の有無、期間やその他の臨床的特徴によるすべての層別化分析において、また90歳以上の患者においても観察され、放射線療法を行わない患者の5年死亡率は40~65%増加した。・内分泌療法を受けたT1N0およびエストロゲン受容体陽性の患者に限定した傾向スコア層別化分析においても、この正の関連性が持続した(5年死亡率のHR:1.47 [1.39~1.57])。 著者らは、本研究ではT1N0およびエストロゲン受容体陽性の患者においても、放射線療法の省略は死亡率の増加と関連したとし、乳房温存手術後の放射線療法の省略は普遍的な実践とはなりえないのではないかとまとめている。

15544.

HPVワクチン啓発 産婦人科・小児科・行動科学の力を合わせて

 子宮頸がん等の原因となるヒトパピローマウイルスへの感染を防ぐHPVワクチンの有用性・安全性は医療者の間では既知の事実だ。諸外国では高い割合で接種されているが、日本は積極的接種勧奨が中止されたまま、接種率は1%と危機的な状況にある。この現状を変えるために医師たちが立ち上げたのが「一般社団法人 みんパピ!みんなで知ろうHPVプロジェクト」だ。 8月25日に行われた設立説明会で、産婦人科、小児科、そして行動科学の観点からのこの状況を変えるための課題と団体の取り組みが共有された。 代表の稲葉可奈子氏は産婦人科医。子宮頸がんによって女性たちのライフプランが狭まってしまう現実を数多く見てきた。女性個人の人生、そして少子化の点からもHPVワクチンはなくてはならないという強い想いをもってこの団体を立ち上げた。 大きな課題は、接種年齢層に対するリーチが難しいことだ。HPVワクチンは予防接種法に基づく定期接種のワクチンで、12~16歳の女子を対象としている。 産婦人科では、これらの年齢層に関わる機会は少ない。そのため、小児科と連携し、かかりつけの小児科医からのアプローチが必須と考えている。 小児科医の今西洋介氏によると、HPVワクチンについては必要性を認識しているが、その詳細について説明をする自信がない小児科医は多いという。小児科にかかる児童の親に接するため産婦人科よりも説明機会には恵まれるが、大半の予防接種は10歳以下で実施するため、対象年齢が10歳以上のワクチンの啓発は小児科でも頭を悩ませるところだ。 医療機関に訪れる患者への情報提供だけではワクチンの普及は難しい。そこで、団体には行動科学の専門家も参画している。 たとえ有益な情報であったとしても科学的根拠を伝えるだけでは人の行動は変わらない。 一宮恵氏によると、人の行動を変えるためのポイントは、理解度・関心度に応じた情報提供だ。そこで、団体では、ワクチンを知らない層、接種を検討している層、接種したいと考えている層、そのそれぞれに適した情報提供を行い、HPVワクチンの認知度の向上を目指す。 団体の参画メンバー10人は完全非営利、無償で活動を行っている。そのため30日からクラウドファンディングを実施。達成金額ごとに、小児科での説明用パンフレット作成、ソーシャルメディア配信用の動画作成や電車内広告の実施などを計画している。

15545.

免疫チェックポイント阻害薬、1次治療は75歳以上の高齢者でも有効

 免疫チェックポイント阻害薬(ICI)について、75歳以上の高齢者にも有効であることが、フランス・ソルボンヌ・パリ・ノール大学のThierry Landre氏らによる無作為化比較試験のメタ解析の結果、示された。ICIの有効性に対する加齢の影響については議論の余地があり、75歳以上の高齢者についてはこれまでほとんど知られていなかった。なお結果について著者は、「生存に対するベネフィットは主に1次治療で観察されたものであり、2次治療については不明なままである」と述べている。Drugs & Aging誌オンライン版2020年7月17日号掲載の報告。 研究グループは、75歳以上の高齢患者におけるICIの有効性を評価するメタ解析を実施した。進行固形がん患者を対象に、ICI(単独療法または併用療法)と標準治療を比較した無作為化比較試験のうち、2010年1月~2020年1月までの間に発表された論文を適格とした。 主要評価項目は、高齢患者(75歳以上)と非高齢患者(75歳未満)で比較した全生存(OS)期間。ハザード比(HR)と95%信頼区間(CI)値を収集・プールして評価。副次評価項目は、1次治療および2次治療別のICI治療の影響とした。 主な結果は以下のとおり。・抗PD-1抗体(ニボルマブ、ペムブロリズマブ)、抗PD-L1抗体(アテゾリズマブ、アベルマブ)、または抗CTLA-4抗体(イピリムマブ)を評価した、15件の第III相臨床試験を解析に組み込んだ。・登録患者は、非小細胞肺がん、腎細胞がん、悪性黒色腫、頭頸部扁平上皮がん、または胃がんであった。・15件のうち、1次治療に関する試験が8件、2次治療に関する試験が7件であった。・患者背景は、年齢中央値64歳、75歳以上が906例(1次治療552例、2次治療354例)、75歳未満が8,741例(1次治療4,992例、2次治療3,749例)であった。・1次治療における死亡HRは、75歳以上群0.78(95%CI:0.61~0.99)、75歳未満群0.84(95%CI:0.71~1.00)であった。・2次治療における死亡HRは、75歳以上群1.02(95%CI:0.77~1.36)、75歳未満群0.68(95%CI:0.61~0.75)であり、サブグループ間で統計学的に有意差が観察された(相互作用のp=0.009)。

15546.

ACE阻害薬とARBがCOVID-19重症化を防ぐ可能性/横浜市立大学

 新型コロナウイルスは、アンジオテンシン変換酵素2(ACE2)受容体を介して細胞に侵入することが明らかになっており、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)とレニン-アンジオテンシン系(RAS)との関連が注目されている。ACE阻害薬またはARBの服用とCOVID-19患者の重症度を解析 今回、横浜市立大学附属 市民総合医療センター 心臓血管センターの松澤 泰志氏らの研究グループが、COVID-19罹患前からのACE阻害薬またはARBの服用と重症度との関係について、多施設共同後ろ向きコホート研究(Kanagawa RASI COVID-19 研究)を行った。Hypertension Research誌オンライン版2020年8月21日号での報告。 本研究では、2020年2月1日~5月1日の期間、神奈川県内の6医療機関(横浜市立大学附属市民総合医療センター、神奈川県立循環器呼吸器病センター、藤沢市民病院、神奈川県立足柄上病院、横須賀市立市民病院、横浜市立大学附属病院)に入院したCOVID-19患者151例を対象に、病態に影響を与える背景や要因の解析が行われた。 追跡調査の最終日は2020年5月20日で、すべてのデータは医療記録から遡及的に収集された。高血圧症およびほかの既往歴の情報は、通院歴、入院時の投薬、およびほかの医療機関からの提供内容に基づいている。ACE阻害薬/ARBがCOVID-19患者の意識障害を減らす可能性 COVID-19罹患前からのACE阻害薬またはARBの服用と重症度との関係について研究した主な結果は以下のとおり。・平均年齢は60±19歳で、患者の59.6%が男性だった。151例のうち、39例(25.8%)が高血圧症、31例(20.5%)が糖尿病、22例(14.6%)にACE阻害薬またはARBが処方されていた(ACE阻害薬:3例[2.0%]、ARB:19例[12.6%])。・151例中、14例(9.3%)の院内死があり、14例(9.3%)で人工呼吸、58例(38.4%)で酸素療法が必要だった。入院時、肺炎に関連する意識障害は14例(9.3%)、収縮期血圧<90mmHgに関連する意識障害は3例(2.0%)で観察され、少なくとも13例において、新型コロナウイルス感染が原因とされた。22例(14.6%)がICUに入院した。・患者全体を対象とした単変量解析では、65歳以上(オッズ比[OR]:6.65、95%信頼区間[CI]:3.18~14.76、p<0.001)、心血管疾患既往(OR:5.25、95%CI:1.16~36.71、p=0.031)、糖尿病(OR:3.92、95%CI:1.74~9.27、p<0.001)、高血圧症(OR:3.16、95%CI:1.50~6.82、p=0.002)が、酸素療法以上の治療を要する重症肺炎と関連していた。・多変量解析では、高齢(65歳以上)が重症肺炎と関連する独立した要因だった(OR:5.82、95%CI:2.51~14.30、p<0.001)。・高血圧症患者を対象とした解析の結果、ACE阻害薬またはARBをCOVID-19罹患前から服用している患者では、服用していなかった患者よりも、主要評価項目の複合アウトカム(院内死亡、ECMO使用、人工呼吸器使用、ICU入室)における頻度が少ない傾向だった(14.3%vs.27.8%、p=0.30)。また、副次評価項目については、COVID-19に関連する意識障害が有意に少なかった(4.8%vs.27.8%、p=0.047)。 著者は「われわれの知る限りでは、これがわが国で初めてCOVID-19患者の臨床アウトカムを検討した研究だ。今回、炎症に対するRAS阻害薬の保護効果が、ACE阻害薬/ARBの使用と意識障害の発生減少を関連させる1つのメカニズムである可能性が明らかになった」と記している。

15547.

PCI後、CYP2C19 LOFアレルに基づく薬剤選択vs.標準治療/JAMA

 急性冠症候群(ACS)または安定冠動脈疾患(CAD)で経皮的冠動脈インターベンション(PCI)を受けたCYP2C19*2/*3機能喪失型(loss-of-function:LOF)アレルの保有者において、遺伝子検査に基づき経口P2Y12阻害薬を選択する治療戦略は、遺伝子検査なしの従来のクロピドグレル療法と比較し、心血管死・心筋梗塞・脳卒中・ステント血栓症・重度虚血再発の複合エンドポイントに関して、統計学的な有意差を示さなかった。米国・メイヨー・クリニックのNaveen L. Pereira氏らが、無作為化非盲検比較試験「TAILOR-PCI試験」の結果を報告した。PCI後にクロピドグレルによる治療を受けたCYP2C19 LOFアレル保有者は、虚血性イベントリスクが高まることが示されている。遺伝子型に基づく経口P2Y12阻害薬の選択によりアウトカムが改善するかどうかは不明であった。JAMA誌2020年8月25日号掲載の報告。PCI後のACSまたは安定CAD患者約5,300例を無作為化 研究グループは2013年5月~2018年10月に、米国、カナダ、韓国、メキシコの40施設において、PCIを施行したACSまたは安定CAD患者5,302例を登録し、遺伝子型ガイド群または従来治療群に1対1に無作為に割り付け、2019年10月まで追跡した。 遺伝子型ガイド群(2,652例)では遺伝子検査を実施し、CYP2C19 LOFアレル保有者にはチカグレロルを、非保有者にはクロピドグレルを投与した。従来治療群(2,650例)にはクロピドグレルを投与し、12ヵ月後に遺伝子検査を行った。 主要評価項目は、12ヵ月時点の心血管死・心筋梗塞・脳卒中・ステント血栓症・重度虚血再発の複合エンドポイント、副次評価項目は、12ヵ月時点の大出血または小出血であった。主要解析はCYP2C19 LOFアレル保有者を解析対象とし、副次解析には無作為化された全患者を組み込んだ。CYP2C19 LOFアレル保有者で、有効性および出血の発現に有意差なし 無作為化された患者5,302例(年齢中央値62歳、女性25%)のうち、82%がACS、18%が安定CADで、94%が試験を完遂した。また、CYP2C19 LOFアレル保有者は1,849例であり、12ヵ月時点で、遺伝子型ガイド群は903例中764例(85%)がチカグレロルを、従来治療群は946例中932例(99%)がクロピドグレルの投与を受けていた。 12ヵ月時点の主要評価項目のイベント発現は、遺伝子型ガイド群のCYP2C19 LOFアレル保有者で903例中35例(4.0%)、従来治療群で946例中54例(5.9%)に認められた(ハザード比[HR]:0.66、95%信頼区間[CI]:0.43~1.02、p=0.06)。 12ヵ月時点の大出血または小出血の発現率は、遺伝子型ガイド群のCYP2C19 LOFアレル保有者1.9%、従来治療群1.6%で有意差はなかった(HR:1.22、95%CI:0.60~2.51、p=0.58)。そのほか事前に定義された副次評価項目11項目についても両群で有意差はなかった。 無作為化された全患者では、主要評価項目のイベント発現は、遺伝子型ガイド群2,641例中113例(4.4%)、従来治療群2,635例中135例(5.3%)で有意差はなかった(HR:0.84、95%CI:0.65~1.07、p=0.16)

15548.

小児1型DM、クローズドループシステムvs.SAP療法/NEJM

 小児1型糖尿病において、クローズドループ型インスリン注入システム(人工膵島)はセンサー付きインスリンポンプ療法(SAP)と比較して、血糖値が目標値に達していた時間の割合が高かった。米国・バージニア大学糖尿病技術センターのMarc D. Breton氏らが、16週間の多施設共同無作為化非盲検比較試験の結果を報告した。クローズドループ型インスリン注入システムは、小児1型糖尿病患者の血糖コントロールを改善する可能性が示唆されていた。NEJM誌2020年8月27日号掲載の報告。小児1型糖尿病患者101例をクローズドループ群とSAP(対照)群に無作為化 研究グループは2019年6月21日~8月30日に、6~13歳の1型糖尿病患者を、クローズドループ型インスリン注入システム群(クローズドループ群)またはSAP群(対照群)に、3対1の割合で無作為に割り付けた。 主要評価項目は、持続血糖モニタリングで測定した血糖値が、目標値70~180mg/dLの範囲にあった時間の割合であった。目標血糖値の時間の割合はクローズドループ群で有意に増加 計101例が無作為化を受けた(クローズドループ群78例、対照群23例)。ベースラインのHbA1c値は5.7~10.1%であった。 血糖値が70~180mg/dLの範囲にあった時間の割合(平均±SD)は、クローズドループ群ではベースラインの53±17%から67±10%(治療を行った16週間の平均)に、対照群では51±16%から55±13%に増加した(平均補正後群間差:11ポイント[1日当たり2.6時間に相当]、95%信頼区間[CI]:7~14、p<0.001)。 血糖値が70mg/dL未満であった時間の割合は、両群とも低値であった(中央値:クローズドループ群1.6%、対照群1.8%)。 クローズドループ群において、システムがクローズドループモードであった時間の割合は中央値93%(四分位範囲:91~95)であった。糖尿病性ケトアシドーシスまたは重篤な低血糖症のエピソードは、いずれの群でも確認されなかった。 なお、著者は、社会経済的状況・HbA1c値・血糖コントロール機器の使用について、今回の試験対象集団が必ずしも一般集団を代表する集団ではなく、また、試験期間が4ヵ月間であり、治療効果が長期にわたり持続するかについては不明であると述べている。

15549.

AFIRE試験が世界に投げかけたこと(解説:香坂俊氏)-1281

AFIRE試験がNEJM誌に発表された。そのデザインや主要な結果に関しては、さまざまな学会や研究会で議論がなされており、その解釈に関しても広く議論がなされている。AFIREのデザインと主要な結果・心房細動を持つ安定冠動脈疾患の患者さんを対象に「リバーロキサバン(経口抗凝固 薬)単独」と「リバーロキサバン+抗血小板薬併用」との比較を行ったわが国の多施 設共同のランダム化比較研究。・2017年9月末までに2,240例が登録され、2年以上の観察期間を予定していたが、データ 安全性モニタリング委員会の勧告に基づき2018年7月に研究を早期終了。・最終的に2,215例(1,107例の単独療法vs.1,108例の併用療法)が研究解析対象となり、 患者さんの平均年齢は74歳、男性79%、PCI施行70.6%[CABG施行11.4%]) であった。・有効性主要評価(脳卒中、全身性塞栓症、心筋梗塞、血行再建術を必要とする不安定 狭心症、総死亡の複合エンドポイント)では、リバーロキサバン単独療法群がsuperior (優越)であり、さらに安全性主要評価(重大な出血性合併症)においても、 リバーロキサバン単独療法群が優越であった。さまざまなメッセージを含んでいる試験であるが、自分としては日本独自の用量設定を行った試験で世界に向けて結果を出した、というところに注目したい。リバーロキサバンは薬効動態評価の結果を踏まえて15mgあるいは10mgという日本独自の用量設定で認可されている(国際的には20mgあるいは15mgという用量設定)。自分はこうした国別の独自の用量設定というのにかなり懐疑的な人間であったのだが(国際的なRCTの結果のほうを信用する傾向がある)、ただ抗凝固薬や抗血小板薬が日本人に効きすぎるというのは帰国してからの日常臨床でも経験し、また自分達で出したデータでも確かにそのような傾向がみられた(Numasawa Y, et al. J Clin Med. 2020;9:1963.)。AFIRE試験は、このような事情を踏まえてわが国独自の用量設定を用いて行われた試験であるが、その結果がNEJMという最高峰のジャーナルに取り上げられたことの意義は大きい。とくに抗凝固療法・抗血小板薬(抗血栓薬として総称される)に関してはGlobalにも個別の用量設定を考えていかなければならないということを語ってくれているように思われる。この試験は、いろいろな場面における抗凝固療法の使い方に指針を示してくれたことも事実であるが、自分としてはわが国独自の抗血栓薬のDosingについて「世界はどう思うのか?」というより幅広い側面での議論の活性化も期待したい。

15551.

人間ドックの順番争い【Dr. 中島の 新・徒然草】(339)

三百三十九の段 人間ドックの順番争い秋が来たと喜んでいたら、再び灼熱地獄が戻ってきました。日なたに駐車していた車のハンドルなんか、熱くて触れたものじゃありません。そう思っていたら、今度は台風がやってくるのだとか。自然に翻弄されながら生活していくのは日本人の宿命ですね。そういえば、先週末には安倍総理大臣が辞意を表明されました。難病を持ちながらの8年近くの激務は、口で言えないほど大変だったはず。ぜひこれからは、療養に専念していただきたく思います。かくいう私も、自らの健康のため、先日、人間ドックに行ってきました。もう長いこと同じ医療機関を受診しています。1年に1回のことですが、世の中には人間ドックのプロが沢山いるようです。朝早く行ったのに大勢の人でごったがえしている、という経験が何度もありました。負けてなるものか、と私の受診時間も自然に早くなっていきます。以前は8時前だったのが、ついに今回は6時半頃に到着!喜んで受付順番表に名前を書いたのですが、それでも2位でした。私より前に来ている人がいたのは驚きです。無駄に早く着いたので、検査開始までの2時間、やることがありません。呆然とロビーのテレビを見て過ごします。当たり前ですが、過去の到着時刻と順位には綺麗な相関あり。相関係数を計算すると0.92でした。というか、ほかにやる事ないんかい、中島!ようやく始まった人間ドックの各部門は効率的に終了。でも、ロビーでの2時間のせいか疲労困憊しました。結局、早く着こうが遅く着こうが、病院滞在時間は同じみたいな気がします。それと、バリウムのせいか2日間くらいは腹の調子が悪い。急にトイレに行きたくなるのでヤル気がでません。そのうち失われた気力も戻ってくるのでしょう。あとは変な結果が出ないことを祈るのみ。若い頃は面倒なだけの人間ドックでしたが、年取って考えが変わりました。無事に生きた1年の証ですね。読者の皆様も、お身体を大切になさって下さい。最後に1句秋空に 今年もドックの 受診来た

15552.

第22回 不倫スキャンダルの応酬で弔い合戦!?遺恨渦巻く日医会長選その後

6月27日の日本医師会会長選で、現職の横倉 義武氏の5選を制し、初当選した中川 俊男氏に、早くもスキャンダルが浮上している。強面の印象が強い中川氏について、日医は「中川会長は女性医師にも人気がある」とイメージアップを図ろうとしているが、その“人気”が女性問題ともなると話は別だ。週刊誌も裏取りの取材を進めており、船出したばかりの中川日医は早くも嵐を予感させている。その女性(以下、M氏)は、日医のシンクタンク・日本医師会総合政策研究機構(日医総研)の幹部である。M氏に嫌われると出世の見込みはなくなると囁かれ、退職した研究員もおり、“日医総研の女帝”と化している。そんなM氏と中川会長は、時々日医会館周辺の飲食店に連れ立って訪れ、その様子は店員が「中川夫妻」と呼ぶほど親密なようだ。中川氏が日医常任理事に就いた2006年以降、シンポジウムなどで2人の名前を目にするようになる。例えば、同年に日医が主催した医療政策シンポジウムでは、パネルディスカッションの司会を中川氏が、講師をM氏が務めた。また、2008年の自民党の社会保障プロジェクトチームの第1回会合では、2人で講演している。日医の元役員によると、横倉氏の前任の原中 勝征氏が会長だった時(2010~12年)に、中川氏は露骨な動きをし始めたという。「M氏は優秀なので、転職してしまわないよう年俸を上げてほしい」と原中氏に要求。実際、M氏の年俸は1,800万円に上がったという。日医常任理事の本給が年額1,416万円、副会長ですら1,740万円であり、M氏の厚遇ぶりがうかがえる。先の日医会長選は、コロナ禍の下での実施がひんしゅくを買った上、日医内部が真っ二つに分かれる選挙戦となり、怪文書が流れる泥仕合の様相を呈した。結果は17票差で、わずか9人の動向次第では逆転していた可能性があったことから、横倉陣営に恨みが残った。中川執行部のうち、副会長の3人中2人、常任理事の10人中6人が横倉執行部からの留任組だが、「中川派になった者はほとんどいない」(元常任理事)という。そのため、中川氏も厳しい態度で臨んでおり、ある常任理事に対し会議で「あなたは出席しなくてもいい」と言い放ったというから穏やかではない。留任組の中には、会議のやり取りを録音している人もいるようで、両者の間に深い溝があることを物語る。中川氏も、横倉色の払拭を図っているようだ。日医の政治団体・日本医師連盟の組織内候補である自見 英子・厚生労働政務官(自民党参議院議員)と橋本 岳・厚労副大臣(自民党衆議院議員)との不倫スキャンダルが『週刊文春』8月6日号で報じられたのも、横倉氏に近い自見氏に対し、次期参院選で候補差し替えを狙って中川氏がリークしたのでは、との声が関係者の中で上がっている。一方、中川氏の不倫スキャンダル情報を週刊誌に流したのは横倉派ともいわれている。会長選が終わってもなお、コロナ禍を横目に両者の泥仕合は続いている(横目にでも入っていればまだマシなのだが)。

15553.

統合失調症患者の肥満と白質微細構造障害との関連

 国立精神・神経医療研究センターの秀瀬 真輔氏らは、統合失調症患者の肥満(BMI 30以上)と症状、向精神薬、全脳構造との関連について調査を行った。Schizophrenia Research誌オンライン版2020年8月5日号の報告。 対象は、日本人統合失調症患者65例(平均年齢:37.2±11.3歳、女性:32例)で、全員が右利きであった。症状の評価には、陽性・陰性症状評価尺度(PANSS)、ピッツバーグ睡眠質問票(PSQI)を用いた。肥満と灰白質および白質構造との関連を分析するため、ボクセル ベース形態計測(VBM)および拡散テンソル画像(DTI)を用いた。主な結果は以下のとおり。・肥満患者は非肥満患者と比較し、PANSSスコアに有意な差は認められなかったが、PSQIスコアは有意に高かった(p<0.05)。・肥満患者は非肥満患者と比較し、定型抗精神病薬の1日量が有意に多かった(p<0.001)。・VBNでは、肥満患者と非肥満患者の灰白質体積に有意な差は認められなかった。・DTIでは、肥満患者は非肥満患者と比較し、脳梁、放線冠、皮質脊髄路、上縦束、後視床放線の異方性(fractional anisotropy)の値が有意に低かった(補正p<0.05)。・肥満患者は非肥満患者と比較し、Axial diffusivityは有意に低く、radial diffusivityとmean diffusivityは同様であったが、より制限された脳領域においては有意に高かった(補正p<0.05)。 著者らは「統合失調症患者において、肥満は睡眠障害、定型抗精神病薬の1日量、局所的な白質微細構造障害に関連していることが示唆された」としている。

15554.

COVID-19流行下、3次医療機関でのがん患者の入院は安全か/JCO

 オーストリア・ウィーンの3次医療機関で、COVID-19に対する政府や施設の感染対策実施後に、入院中のがん患者のSARS-CoV-2感染率を調査したところ、一般集団と同様であり、また、がん以外の患者よりも低かったことが報告された。今回の結果から、人口全体および施設の厳格な感染対策が実施された場合には、大規模な3次医療機関において積極的ながん治療や通院が実現可能で安全であることが示唆された。Medical University of ViennaのAnna S. Berghoff氏らによる報告が、Journal of Clinical Oncology誌オンライン版2020年8月14日号に掲載された。 本研究の対象は、2020年3月21日~5月4日、当院で定期的に鼻腔または咽頭スワブを用いたRT-PCRによりSARS-CoV-2 RNAを検査していたがん患者。このコホートでの結果を、代表的な全国ランダムサンプル研究のコホート(対照コホート1)および当院のがん以外の患者のコホート(対照コホート2)のSARS-CoV-2の感染率と比較した。 主な結果は以下のとおり。・連続した1,016例のがん患者に1,688回のSARS-CoV-2検査を実施した。1,016例中270例(26.6%)がネオアジュバントまたはアジュバント治療を受け、560例(55.1%)が緩和療法を受けていた。・1,016例中53例(5.2%)がCOVID-19の疑われる症状を自己申告し、4例(0.4%)でSARS-CoV-2が検出された。SARS-CoV-2陽性の4例とも当科での検査時には無症状で、2人は症候性COVID-19から回復した患者であった。また4例中3例で、陽性判定から14〜56日後に陰性となった。・がんコホートの対照コホート1に対するSARS-CoV-2感染の推定オッズ比は1.013(95%CI:0.209〜4.272、p=1)、対照コホート2のがんコホートに対する推定オッズ比は18.333(95%CI:6.056〜74.157)であった。 著者らは「無症状のウイルス保有者を発見し、ウイルス蔓延を回避するために、がん患者の定期的なSARS-CoV-2検査が勧められる」としている。

15555.

カナグリフロジンの下肢切断リスク、65歳以上CVD患者で増大/BMJ

 SGLT2阻害薬カナグリフロジンの下肢切断リスクについて、心血管疾患のある65歳以上において最も明白な増大が認められること、追加有害アウトカムの発生に関する必要治療数(NNT)は6ヵ月で556例(切断例はカナグリフロジン投与1万例当たり18例超)であることが、米国・ブリガム&ウィメンズ病院・ハーバード大学医学大学院のMichael Fralick氏らによる検討で明らかにされた。GLP-1受容体作動薬投与群と比較した下肢切断リスクは1.73倍で、発生率の差は1,000人年当たり3.66であったという。先行研究のカナグリフロジンの心血管アウトカムを検討した試験「CANVAS試験」では、カナグリフロジン群がプラセボ群よりも下肢切断リスクが2倍近く高いことが確認されており、同試験対象者が従前試験よりも10歳以上高齢であったこと、またベースラインの心血管リスクが高かったことから、切断リスクの上昇は限定される可能性が示唆されていた。著者は、「今回の結果は、日常的ケアにおけるカナグリフロジン投与の、切断リスクを明らかにするものである」と述べている。BMJ誌2020年8月25日号掲載の報告。カナグリフロジンによる下肢切断リスクをCVDの有無と65歳以上・未満で検証 研究グループは、新たにカナグリフロジンを投与された成人における、年齢および心血管疾患別にみた下肢切断率を推算する住民ベースのコホート試験を行った。 2013~17年の、米国の2つの民間の保険請求データベース(MarketScan、Optum)とメディケア保険請求データベースを基に、新たにカナグリフロジンを処方された患者を抽出し、1対1の割合の傾向スコアマッチングで抽出したGLP-1受容体作動薬を新たに処方された患者と、下肢切断術の発生について比較した。 被験者を以下の4グループに分類し、下肢切断率についてハザード比(HR)と1,000人年当たりの率差を算出。(1)ベースラインで心血管疾患のない65歳未満、(2)ベースラインで心血管疾患のあった65歳未満、(3)ベースラインで心血管疾患のない65歳以上、(4)ベースラインで心血管疾患のあった65歳以上。 メタ解析にて、各グループの統合HRと1,000人年当たりの率差を求め評価した。カナグリフロジン群の下肢切断に関するHRは65歳以上CVD患者で有意差 3つのデータベースから傾向スコアマッチングで、新規のカナグリフロジン処方群または新規のGLP-1受容体作動薬処方群31万840例を抽出し、解析を行った。 カナグリフロジン群のGLP-1受容体作動薬群に対する、下肢切断に関するHRおよび1,000人年当たり率差は、グループ(4)「ベースラインで心血管疾患のあった65歳以上」で、HRが1.73(95%信頼区間[CI]:1.30~2.29)、率差3.66(同:1.74~5.59)と、いずれも有意差が認められた。 一方、その他のグループでは有意差は認められなかった。グループ(1)のHRは1.09(95%CI:0.83~1.43)、率差0.12(同:-0.31~0.55)、グループ(2)はそれぞれ1.18(0.86~1.62)と1.06(-1.77~3.89)、グループ(3)はそれぞれ1.30(0.52~3.26)と0.47(-0.73~1.67)であった。

15556.

レムデシビル、中等度COVID-19への効果は?/JAMA

 中等度の新型コロナウイルス感染症(COVID-19)患者において、5日間のレムデシビル投与は標準的治療に比べ、11日目の臨床状態の改善が統計学的に有意であることが示された。10日間投与は標準的治療に比べ、同改善について統計学的な有意差は認められなかったという。ドイツ・ミュンヘン工科大学Rechts der Isar大学病院のChristoph D. Spinner氏らが、596例の入院患者を対象に行った国際共同無作為化試験で明らかにした。レムデシビルは、重症COVID-19患者を対象としたプラセボ対照試験で、臨床的ベネフィットがあることが示されているが、中等度の患者への効果は不明であった。なお、5日間投与で有意差が示された結果について著者は、「示された有意差の臨床的意義については不確実である」と述べている。JAMA誌オンライン版2020年8月21日号掲載の報告。レムデシビル5日、10日投与の有効性を標準的治療と比較 研究グループは、レムデシビル5日間または10日間投与の投与開始後11日時点の臨床状態について、標準的治療と比較する非盲検無作為化試験を行った。 2020年3月15日~4月18日に、米国、欧州、アジアの105病院で、新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)感染による中等度のCOVID-19肺炎を発症した入院患者を登録した。中等度COVID-19肺炎の定義は、X線所見による肺浸潤と室内気動脈血酸素飽和度94%超とした。 被験者を1対1対1の割合で無作為に3群に分け、レムデシビル(初回200mg/日、翌日から100mg/日)10日間静脈投与(197例)、同5日間静脈投与(199例)、標準的治療(200例)を、それぞれ実施した。 主要エンドポイントは、11日目の臨床状態で、7ポイント順序尺度(死亡[カテゴリー1]~退院[カテゴリー7])で評価した。レムデシビル群と標準的治療群の差については、比例オッズモデルを用いてオッズ比(OR)を求めた。 最終フォローアップは2020年5月20日であった。レムデシビル10日投与群は標準的治療群と有意差なし、5日群で有意差 無作為化を受けた596例のうち、584例が試験を開始し、レムデシビル投与または標準的治療を受けた(年齢中央値57歳[四分位範囲:46~66]、女性227例[39%]、心血管疾患56%、高血圧症42%、糖尿病40%)。試験を完了したのは533例(91%)だった。レムデシビル5日群の投与期間中央値は5日、10日群は6日だった。 11日目の臨床状態は、レムデシビル5日群が標準的治療群に比べ良好で、7ポイント順序尺度で評価したORは1.65(95%信頼区間[CI]:1.09~2.48、p=0.02)だった。 一方で、レムデシビル10日群については、11日目の臨床状態は、標準的治療群と有意差は認められなかった(Wilcoxon rank sum検定のp=0.18)。 なお、28日目までに報告された死亡は、レムデシビル5日群2例(1%)、レムデシビル10日群3例(2%)、標準的治療群4例(2%)だった。また、レムデシビル治療群では標準的治療群と比べて、悪心(レムデシビル群10%vs.標準的治療群3%)、低カリウム血症(6% vs.2%)、頭痛(5% vs.3%)の発生頻度が高かった。

15557.

新型コロナワクチンの国内第I相試験を開始/J&J

 ジョンソン・エンド・ジョンソンは2020年9月1日、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の原因ウイルスSARS-CoV-2に対するワクチン候補「Ad26.COV2.S」を用いた国内第I相臨床試験の開始について発表した。 本試験は、20~55歳までの健康な成人および65歳以上の高齢者の計250名を対象とし、「Ad26.COV2.S」の接種による安全性、反応原性、免疫原性の評価を行う。 この「Ad26.COV2.S」によるサル対象の前臨床試験は米国で行われており、一回の接種で中和抗体を含む強力な免疫反応を誘発し、接種後に感染防御することが明らかにされている。この良好なデータに基づき、7月から米国とベルギーにて第I/IIa相試験を実施しており、9月には第III相試験へと移行する予定。また、オランダ、スペイン、ドイツでの第IIa相試験も予定されている。「Ad26.COV2.S」について SARS-CoV-2のワクチン候補である「Ad26.COV2.S」は、アデノウイルスの血清型26(Ad26)を使用した組換体ベクターワクチン。同社のAdVac(R)技術(新規ワクチン候補の迅速な開発と最適なワクチン候補の大量生産を可能にする)を活用し、非増殖型アデノウイルス26をベクターとして、SARS-CoV-2に特徴的なスパイクタンパク質の遺伝子情報を組み込み、接種後に体内の免疫系を刺激してSARS-CoV-2に対する抗体を作り出す。この技術は、欧州で承認されたエボラウイルスワクチン、さらに開発中のジカウイルス、RSウイルス、およびHIVの各ワクチン候補における臨床試験でも使用され、これまで9万例以上に投与した実績を有している。

15558.

交叉するKaplan Meier曲線を巡って:皮下植込み型除細動器(S-ICD)の場合(解説:香坂俊氏)-1280

突然心停止の原因となる不整脈(心室細動等)の発生時に心臓にDCショックを送り、正常な心拍に戻す機器としてICD(植込み型除細動器)が知られている。このICDはペースメーカーとは若干位置付けが異なることに注意されたい。図. ペースメーカーとICDの違い。ペースメーカーがSick Sinus(洞不全症候群)やAV Block(房室ブロック)のような徐脈性不整脈に対して弱い電流を断続的にピシピシと流して心臓を拍動させるのに対し、ICDはVF(心室細動)等の頻脈性不整脈に対して強い電流を一度だけドカーンと流して心臓の拍動をリセットする。拙著『極論で語る循環器内科 第2版』(丸善出版)より許可を得て転載このICDには皮下植込み型除細動器(S-ICD:新しいやり方)システムと経静脈ICD(ICD:昔からのやり方)システムの2種類が存在する。新しいほうのS-ICDは脇の下に植え込まれた本体と、皮下に留置された1本のリードを使って、電気ショックによる救命治療を行う。S-ICDのシステムはリードが心臓や血管に触れないため、植込みによる合併症の発生率が経静脈ICDシステムよりも少ないという利点があることが知られている(従来型のICDでは右心室心尖部にまでリードを通すため、S-ICDと比較すると若干侵襲的となる)。ただ、S-ICDはその分心臓から距離があるところからショックをかけるようになるため、その効果と安全性に関して検証が必要とされてきた。今回NEJM誌に掲載された研究では、ICDの適応がある患者849例を対象として、両者を比較する非劣性ランダム化試験が行われた(S-ICDが埋め込まれたのが426例、従来からのICDが埋め込まれたのが423例)。その追跡期間は49.1ヵ月で、1次エンドポイント(主要評価項目)は、デバイス関連合併症と不適切なデバイス作動とされた。結果として、この主要評価項目に関してS-ICDは従来型のICDに非劣性であり、より簡便なデバイスであるS-ICDに対してお墨付きを与える結果となっている(両群のKaplan Meier曲線はぴたりと一致している)。より細かくこの試験結果をみていくと、従来型ICD群ではデバイス関連の合併症が初期にかなりの頻度で起こっている。そして対照的に、S-ICD群では誤作動が試験の後半にかけて数多く起こっており、この2種類のシステムはトレードオフの関係にあることがわかる(従来型ICD群には手技関連合併症が多いものの、適切に作動する:S-ICD群には手技関連合併症は少ないものの、誤作動のリスクが多い)。本試験の結果は、より簡便なS-ICDが広く用いられるようになることを予想させる。しかし、ICDの作動は「馬に蹴られたようだ」としばしば表現されるほどヘビーなものである。誤作動をきっかけにしてその作動に恐怖感を覚えられ、ICDを止めるように要望される方もたまにいらっしゃり、このあたりは手技の実施に当たり丁寧に説明する必要があるように思われる。

15559.

「フラジール」の名称の由来は?【薬剤の意外な名称由来】第15回

第15回 「フラジール」の名称の由来は?販売名フラジール®内服錠250mg一般名(和名[命名法])メトロニダゾール(JAN)[日局]効能又は効果◯ トリコモナス症(腟トリコモナスによる感染症) ◯ 嫌気性菌感染症 <適応菌種>本剤に感性のペプトストレプトコッカス属、バクテロイデス属、プレボテラ属、ポルフィロモナス属、フソバクテリウム属、クロストリジウム属、ユーバクテリウム属<適応症>深在性皮膚感染症外傷・熱傷及び手術創等の二次感染骨髄炎肺炎、肺膿瘍骨盤内炎症性疾患腹膜炎、腹腔内膿瘍肝膿瘍脳膿瘍◯ 感染性腸炎<適応菌種>本剤に感性のクロストリジウム・ディフィシル<適応症>感染性腸炎(偽膜性大腸炎を含む)◯ 細菌性腟症<適応菌種>本剤に感性のペプトストレプトコッカス属、バクテロイデス・フラジリス、プレボテラ・ビビア、モビルンカス属、ガードネラ・バジナリス<適応症>細菌性腟症◯ ヘリコバクター・ピロリ感染症胃潰瘍・十二指腸潰瘍・胃MALT リンパ腫・特発性血小板減少性紫斑病・早期胃に対する内視鏡的治療後胃におけるヘリコバクター・ピロリ感染症、ヘリコバクター・ピロリ感染胃炎◯ アメーバ赤痢◯ ランブル鞭毛虫感染症用法及び用量<トリコモナス症(腟トリコモナスによる感染症)>通常、成人にはメトロニダゾールとして、1クールとして、1回250mgを1日2回、10 日間経口投与する。<嫌気性菌感染症>通常、成人にはメトロニダゾールとして1回500mgを1日3回又は4回経口投与する。<感染性腸炎>通常、成人にはメトロニダゾールとして1回250mgを1日4回又は1回500mgを1日3回、10~14日間経口投与する。<細菌性腟症>通常、成人にはメトロニダゾールとして、1回250mgを1日3回又は1回500mgを1日2回7日間経口投与する。<ヘリコバクター・ピロリ感染症>アモキシシリン水和物、クラリスロマイシン及びプロトンポンプインヒビター併用によるヘリコバクター・ピロリの除菌治療が不成功の場合通常、成人にはメトロニダゾールとして1回250mg、アモキシシリン水和物として1回750mg(力価)及びプロトンポンプインヒビターの3剤を同時に1日2回、7日間経口投与する。<アメーバ赤痢>通常、成人にはメトロニダゾールとして1回500mgを1日3回10日間経口投与する。なお、症状に応じて1回750mgを1日3回経口投与する。<ランブル鞭毛虫感染症>通常、成人にはメトロニダゾールとして1回250mgを1日3回5~7日間経口投与する。警告内容とその理由設定されていない禁忌内容とその理由1.既往に本剤の成分に対する過敏症を起こした患者2.脳、脊髄に器質的疾患のある患者(脳膿瘍の患者を除く)[中枢神経系症状があらわれる ことがある。]3.妊娠3ヵ月以内の女性(有益性が危険性を上回ると判断される疾患の場合は除く)※本内容は2020年9月2日時点で公開されているインタビューフォームを基に作成しています。※副作用などの最新の情報については、インタビューフォームまたは添付文書をご確認ください。1)2020年7月改訂(改訂第17版)医薬品インタビューフォーム「フラジール®内服錠250mg」2)塩野義製薬:製品情報一覧

15560.

第22回 大阪大論文不正事件の“ナゾ” NHKスペシャル「人体」でも取り上げられた臨床研究の行方は?

論文5本に捏造・改ざんこんにちは。医療ジャーナリストの萬田 桃です。医師や医療機関に起こった、あるいは医師や医療機関が起こした事件や、医療現場のフシギな出来事などについて、あれやこれや書いていきたいと思います。安倍首相が総理大臣の職を辞する意向を突然表明しました。病気とはいえ、コロナ禍の中、「仕事を投げ出した」感は否めません。退任表明の記者会見で「レガシーは?」と聞かれた首相は「歴史が判断していくのかな」と語っていましたが、数十年後、安倍首相は歴史の教科書にどのように記載されるのでしょうか。気になります。今回は2週間ほど前に発覚した、大阪大学と国立循環器病センター(国循)の論文不正について、考えてみたいと思います。大阪大と国循は8月18日、大阪大学医学部附属病院に以前所属し、国循で室長も務めていた医師が発表した論文5本に捏造・改ざんがあったと発表しました。5本のうちの1本は、心不全の治療に用いられる「hANP(ヒト心房性ナトリウム利尿ペプチド)」に肺がんの転移を抑える効果があるかを調べる大規模な臨床研究の安全性の根拠を示す参考論文になっており、大阪大と国循はこの研究に参加した患者などに謝罪しました。hANPと肺がん再発の関係を明らかにしたスター研究者捏造・改ざんがあったとされるのは、同医師が2013年から2016年にかけて、同医師が筆頭著者や責任著者として発表した、hANPやチオトロピウム、グレリンなどの5本の論文(hANP関連はうち3本)です。各紙の報道によると、5本の論文のうち、調査委員会が、社会的影響がとくに大きいと考えたのは、肺がんの手術の際にhANPを使うと合併症が抑えられるとした2013年の論文とのことです。その後、同医師らは2015年、hANPを投与した患者群で肺がんの再発が有意に少ないことをプロスペクティブな検討で発見した論文1)を筆頭筆者として発表。一連の研究成果をもとに、がんの転移を防ぐ作用を期待して、大規模な臨床研究(「非小細胞肺がん手術適応症例に対する周術期hANP投与の多施設共同ランダム化第II相比較試験(JANP study)」)がスタートしました。問題とされる2013年の論文は、この臨床研究の安全性の根拠を示す参考とされていました。この臨床研究は全国10施設で実施され、患者335人が参加。うち160人にhANPが投与されました。現在は参加者の募集もhANPの投与も終わり、観察期間中です。今のところ安全性に問題は認められていない、とのことです。同医師は「単純なミスだった」として不正を認めていないと報道されていますが、大阪大は8月18日付で懲戒解雇相当の処分を下しています。ちなみに2015年の、hANPが肺がんの再発が有意に少ないことを明らかにした論文は研究者に与えられるさまざまな賞を受賞しており、2017年にNHKで放送されたNHKスペシャル「人体」の中でも「世界初!心臓からの"メッセージ”で『がん転移予防』」として、大規模臨床研究が始まったことも含め、大きく取り上げられています。同医師は、このまま順調に行けば大学教授になっていたかもしれない、スター研究者だった、と言えそうです。2年8ヵ月もの長期にわたった調査さて、今回の論文不正事件、いくつか気になる点があります。大阪大と国循の調査結果概要などによれば、不正発覚の経緯は次のようなものでした。発端は、2017年12月、大阪大と国循に、前述の医師が筆頭著者または責任著者として発表した21本の論文に「ねつ造や改ざんが認められる」とする申し立てが届いたことでした。つまり、同業の研究者とみられる人物からの申し立てによって発覚したわけです。それを受け、大阪大と国循は予備調査を実施。そこでは、同医師がカルテを基に論文執筆に向けてまとめた二次的なデータと論文に記載された数値に矛盾がないことなどが確認されたものの、論文の一部で、患者背景が異なる論文なのに術後の検査数値の変化が同一だったり、コントロールデータの使い回しが疑われたりしたことから、本調査の実施が決定しました。予備調査から数えると、2年8ヵ月という長期の調査が行われ、上述のように5本の論文についてねつ造や改ざんが認定されたのです。前述したように、5本のうち社会的影響が大きいとされたのが、COPD合併肺がん手術症例を対象に、hANPを投与していた患者としていなかった患者を比較し、hANP群で術後合併症が有意に低いとしていた論文です。同論文に掲載されていた、術後合併症(白血球数、CRP)の経時変化を比較した図について、調査委員会がカルテ情報を基に再現したところ、hANP群のグラフを再現できず、論文で認められていた有意差が認められなかった、ということです(対照群は再現できました)。この論文が、hANPの臨床研究の参考論文になっていて、安全性の根拠の1つとされていたため、大々的な報道になったと考えられます。ただ、hANP投与群がコントロール群より白血球やCRPの数値がよくなれば望ましいですが、今回再現されたデータではコントロール群とほとんど変わらないので、安全性そのものに疑義が出るほどのことなのか、そのあたりはなかなか微妙な問題と言えます。有名論文は申し立てに入らず今回不正が認定されたのは、申し立てがあった21本のうち5本。また、「論文中のあらゆる図表が再現できなかった」といったものではないので、STAP細胞のときのような、研究そのものが根底から覆るような不正と比べるとそれほど悪質ではない、と考えることもできそうです。しかし、各メディアは、医師の実名も大きく報じており、今後、同医師がこれまで通り最先端の研究者としてやっていくのは難しそうです。この事件、仮に研究者間の力関係や怨嗟が原因で起きたと考えるならば、一つの大きな“ナゾ”が浮かび上がってきます。同医師の研究成果のうち、世間で大きな話題となった上述のhANPが肺がんの再発が有意に少ないことを明らかにした論文は、申し立ての対象になっていなかったことです。その理由は、申し立てを行った本人に聞かなければ分かりませんが、ともかく同論文は申し立てに入っておらず、現時点では調査は行われていないようです。大規模臨床研究の行方は?大阪大は今後、肺がん手術後のhANPの効果を探るJANP studyについて安全性の観察に重点を置き進めていくようです。同臨床試験の主要評価項目は、術後2年の無増悪生存期間とされています。観察期間を終えてフタを開けてみたら、きわめて有効、という結果が出る可能性も十分あります。この臨床研究をリードしてきた医師は、今回の論文不正でNGの烙印が押されてしまいましたが、将来、もしhANPが肺がんや他のがんの術後の再発を大きく抑える効果が証明されたとしたら、懲戒解雇処分となった同医師の“復権”はあるのでしょうか? あるいは、成果は処分を下した阪大の誰かが持っていってしまうのでしょうか。ところで、調査委員会では追加の調査が行われる、との情報もあります。もし、その調査の結果、2015年の論文にも捏造・改ざんの事実があったとしたら、そちらの方が大事件です。追加調査の結果に加え、この臨床研究の今後がとても気になります。参考1)Nojiri T et al., Proceedings of the National Academy of Sciences of the United States of America. 2015 Mar 31;112;4086-91.

検索結果 合計:35230件 表示位置:15541 - 15560