サイト内検索|page:776

検索結果 合計:36089件 表示位置:15501 - 15520

15501.

片頭痛や激しい頭痛の有病率~米国での調査

 片頭痛や激しい頭痛による負荷に関して最新かつ正確に推定することは、働く人のニーズや健康資源を考える際のエビデンスに基づく意思決定において重要となる。米国・ハーバード大学医学大学院のRebecca Burch氏らは、米国政府の健康調査データを用いて、片頭痛や激しい頭痛の有病率、傾向および年齢、性別、経済状態による影響について調査を行った。Headache誌オンライン版2020年12月21日号の報告。 公開されている最新の統計情報をNational Hospital Ambulatory Medical Care Survey、National Ambulatory Medical Care Survey、National Health Interview Surveyより特定した。性別、年齢、経済状況の統計データに重点を置き、各研究より関連情報を抽出した。 主な結果は以下のとおり。・米国における片頭痛や激しい頭痛の年齢調整有病率は、何年にもわたり安定していた。・2018年の成人における片頭痛や激しい頭痛の年齢調整有病率は、15.9%であった。・性別比も安定しており、男性で10.7%、女性で21.0%であった。・片頭痛は公衆衛生上の重要な問題であり、2016年には約400万人が救急科を受診していた。頭痛は、救急受診理由の5番目に位置しており、15~64歳の女性に至っては、受診理由の3番目であった。・片頭痛は、外来診療において430万人以上の受診があった。・片頭痛や激しい頭痛を有する成人の多くは、不利益を被っていた。・たとえば、2018年には、片頭痛を有する米国成人の約40%は失業しており、同様の割合が、貧困または貧困に近い層として分類された。・約5人に1人は健康保険に加入しておらず、約3人に1人は高等教育以下であった。 著者らは「片頭痛や激しい頭痛は、米国における公衆衛生上の重大な問題であり、出産可能年齢の女性や社会経済的地位の低い女性では、最も大きな影響を及ぼす。そして、頭痛患者の多くは、社会経済的に不利益を被っていた。現在の新型コロナウイルスまん延による経済への影響は、これらの問題を悪化させる可能性がある。影響の大きな慢性疼痛に対する注目が集まり、治療提供や研究のための資金が見直されることは、将来の疾患負荷を軽減するために重要である」としている。

15502.

Moderna社mRNAワクチン、3万例超で94.1%の有効性/NEJM

 新型コロナウイルス感染症(COVID-19)に対する、Modernaのワクチン「mRNA-1273」の有効性(重症化を含む発症の予防効果)は94.1%に上ることが、3万例超を対象にした第III相無作為化プラセボ対照試験で明らかになった。米国・ブリガム&ウィメンズ病院のLindsey R. Baden氏らが報告した。安全性に対する懸念は、一過性の局所および全身性の反応以外に認められなかったという。mRNA-1273ワクチンは、重症急性呼吸器症候群コロナウイルス2(SARS-CoV-2)の膜融合前安定化スパイクタンパク質をコードする脂質ナノ粒子カプセル化mRNAベースのワクチンで、2020年12月に米国では緊急使用の承認が発表されている。NEJM誌オンライン版2020年12月30日号掲載の報告。投与2回目から2週間以降の感染予防効果を検証 試験は全米99ヵ所の医療機関を通じて、18歳以上でSARS-CoV-2感染や同感染による合併症の高リスク者を対象に、観察者ブラインド化にて行われた。 研究グループは被験者を無作為に2群に分け、一方にはmRNA-1273(100μg)を、もう一方にはプラセボを、28日間隔で2回筋肉注射した。初回接種は2020年7月27日~10月23日に行われた。 主要エンドポイントは、2回目投与から14日以降のCOVID-19発症の予防で、SARS-CoV-2感染歴のない被験者を対象に評価した。mRNA-1273群の症候性COVID-19発生率、3.3件/1,000人年 ボランティア被験者数は3万420例で、mRNA-1273群またはプラセボ群に1対1の割合で無作為に割り付けられた(各群1万5,210例)。ベースラインでSARS-CoV-2感染のエビデンスが認められたのは2.2%。被験者の96%超が2回接種を受けた。 2回目投与から14日以降に症候性COVID-19が認められたのは、プラセボ群185例(56.5件/1,000人年、95%信頼区間[CI]:48.7~65.3)に対し、mRNA-1273群では11例(3.3件/1,000人年、1.7~6.0)で、ワクチン有効率は94.1%(95%CI:89.3~96.8、p<0.001)だった。 1回目投与から14日以降の症候性COVID-19など主な副次解析や、ベースラインでSARS-CoV-2感染のエビデンスが認められた者を含めた評価、65歳以上に限定した評価でも、有効性は同等であることが認められた。 重症COVID-19の発生は30例(うち1例が死亡)で、全例がプラセボ群だった。接種後の中等度で一過性の反応原性が発現する頻度は、mRNA-1273群で高率だった。重篤な有害イベントはまれで、発現頻度は両群で同程度だった。

15503.

母の子宮頸がん細胞が子に移行、国立がん研究センターが発表/NEJM

 国立がん研究センター中央病院の荒川 歩氏らは、小児の肺がん2例について、腫瘍組織と正常組織のペアサンプルを用いたルーチン次世代シークエンスで偶然にも、肺がん発症は子宮頸がんの母子移行が原因であることを特定したと発表した。移行したがん細胞の存在は同種の免疫応答によって示され、1例目(生後23ヵ月・男児)では病変の自然退縮が、2例目(6歳・男児)では腫瘍の成長速度が遅いことがみられたという。また、1例目は、免疫チェックポイント阻害薬ニボルマブを投与することで、残存するがん細胞の消失に結び付いたことも報告された。腫瘍組織と正常組織のペアサンプルを用いたルーチン次世代シークエンスは、わが国の進行がん患者を対象とした前向き遺伝子プロファイリング試験「TOP-GEAR」の一環として行われた解析で、114のがん関連遺伝子の変異を検出することを目的とする。1例目の患児に対するニボルマブ(3mg/kg体重を2週ごと)投与は、再発または難治固形がんを有する日本人患児を対象としたニボルマブの第I相試験で行われたものであった。症例の詳細は、NEJM誌2021年1月7日号で報告されている。HPVワクチン未接種の母親から生まれ、生後23ヵ月で肺がんを発症 1例目(生後23ヵ月・男児)は、湿性咳嗽が2週間続き地元の病院を受診。CTにて両肺気管支に散在する複数の腫瘍が確認され、VATS肺生検で限局性の腺分化を伴う肺神経内分泌がんであることが確認された。 母親は35歳でHPVワクチン未接種。出産前7ヵ月に行った子宮頸がん検査では陰性だったが、妊娠39週で経膣分娩、3ヵ月後に子宮頸部扁平上皮がんの診断を受けた。当時は組織学的特徴が一致せず、出生児へのがんの移行は疑われなかったが、両親の懸念に応じて頻繁にフォローアップを実施。ただし治療は行われなかった。 生後23ヵ月時に肺神経内分泌がん診断後1年で病勢が進行。3歳時に研究グループの病院に紹介され入院加療を受けた。驚くべきことに、その時点で病変の自然退縮が認められたという。残存病変は化学療法で一部は退縮したが、その他は進行。ニボルマブの第I相試験に組み込まれ、4サイクル投与後、病変の退縮を確認。用量を低減し計14サイクルを投与して7ヵ月間、新たな病変は認められなかった。その後、肺葉切除術を受け、12ヵ月時点で再発のエビデンスはみられていない。 一方、母親は最終治療(放射線+化学療法)から3年間で、肺・肝臓・骨転移がみられた。そして肺腫瘍の組織学的検査で、男児の肺と非常に類似した所見が認められたという。 その後、母子別々に行われた次世代シークエンスで、それぞれの腫瘍組織に複数の同じ遺伝子変異が存在することが確認され、またサンガーシークエンスで、両者の腫瘍組織がタイプ18のHPV陽性であることも認められた。子宮頸がんの母親から生まれた男児、6歳時に肺がんを発症 2例目(6歳・男児)は、左胸部疼痛で地元の病院を受診。左肺に6cmの腫瘤を認め粘液性腺がんと診断された。男児は化学療法を受けたが再発。左肺を全摘し15ヵ月のフォローアップ時点で再発は認められていない。 母親は、妊娠中に子宮頸がんが検出されたが、細胞診は陰性で、介入不要のがん細胞の安定化が認められたことから、妊娠38週で経膣分娩した。出産後、生検で子宮頸部の腺がんが判明し、分娩3ヵ月後に研究グループの病院に紹介され子宮および両側卵管の全摘手術を受けたが、術後2年後に死亡に至っている。 6歳時に男児が肺がんと診断された際、がんの母子感染は疑われなかったが、母親の子宮頸がん組織と男児の肺がん組織を用いた次世代シークエンスで同様の遺伝子プロファイルが認められ、また、タイプ16のHPV陽性であることも認められた。 なお、次世代シークエンスで、ほかにも母子移行が認められたケースはあったが、研究グループは、この2つのケースでは肺にのみがん細胞が観察されたことに着目。「母親のがん細胞は、羊水、分泌物、または子宮頸部からの血液に存在し、経膣分娩時に新生児が吸引した可能性がある」と指摘。子宮頸がんの母親には帝王切開を推奨する必要があることを提言している。

15504.

「ω-3多価不飽和脂肪酸、ビタミンD、筋力トレーニング運動による治療は効かない」ってほんと?(解説:島田俊夫氏)-1341

 ω-3多価不飽和脂肪酸の中でもEPA、DHAが、心脳血管障害、がんの予防に効果があるか否かについては、議論の多いところである1)。しかしながら、ちまたではこれらのサプリメントへの嗜好が強くなっている。さらにビタミンDに関しても実臨床の中で、すでに骨粗鬆症の治療にあまねく使用されている2)。また、筋力トレーニングの運動プログラムは健康改善に寄与する3)との考えが生活の中に定着している。 このような状況の中で今回取り上げる2020年JAMA誌324巻18号に掲載されたBischoff-Ferrari HA等による論文は、有効と信じられている3つの因子を考慮した、二重盲検2×2×2要因無作為ランダム化比較試験デザインに基づく臨床研究論文である。研究対象者は、研究開始5年前から大病の既往のない70歳以上の、スイスとドイツからの健康成人2,157例であった。 介入はω-3脂肪酸投与、ビタミンD投与、筋力トレーニング運動プログラム実施のそれぞれの3因子の有/無を考慮した8グループ(コントロールを含む)で行われた。 標的アウトカムとして6項目が取り上げられた。3年間にわたる収縮期および拡張期血圧、運動能力(SPPB)、認知機能(MoCA)、非脊椎骨骨折および感染の発生頻度の6項目について評価された。2,157例(平均年齢74.9歳、女性が61.7%)中1,990例(88%)が研究を完遂した。観察期間の中央値は2.99年で、約3年にわたり、標的6アウトカムに関して個別または組み合わせ介入に対して、いずれのアームでも統計学的に有意な利便性を認めなかった。全体で25例の死亡が確認されたが、全アームにおいてもほぼ同様の結果であった。 大きな合併症のない70歳以上の成人中、ビタミンD、ω-3脂肪酸の補充療法、筋力トレーニング運動プログラムの実施グループでは、収縮期および拡張期血圧、非脊椎骨骨折、身体能力、感染率、認知機能の改善に統計学的有意差は認めなかった。これらの知見は、標的アウトカムに対する3つの介入の有効性を支持する結果と一致しなかった。 しかしながら、上記の結論を必ずしもうのみにすべきではない。 サプリメントを補充する類の研究では、対象者がビタミンD、ω-3脂肪酸欠乏、運動不足が背景にあるか否かで結果が大きく左右される。対象者がいわゆる高齢健常者である場合、欠乏状態は相対的に軽いと考えられる。このため、3つの要因のすべての組み合わせを考慮しても欠乏がわずかであれば研究対象として必ずしも適切ではなく、結果に差がないから有効でないと結論するのは早計である。 研究デザインを考えるときに、補充療法の効果を判定したければ欠乏確認済対象で研究するのが必要であり、今回の研究は3つの要因の臨床的利便性を否定するのに十分なデザインではない。本論文の結論は、欠乏の軽微な対象では効果が出にくいとのメッセージとして受け止めるべきではないか。

15505.

「3代で財産がなくなる」を避けよ!目からウロコの相続税対策【医師のためのお金の話】第40回

医師の方の多くは、一生のうち一度は相続税で悩むのではないでしょうか。日本の相続税制は過酷で、「3代で財産がなくなる」とまでいわれています。とくに不動産がメインの資産家は、よほど注意しておかないと孫の代には資産がほとんどなくなってしまった、ということになりかねません。相続税対策は付け焼き刃で行うことは難しく、長い年月をかけてじっくりと取り組む必要があります。今回は、比較的若い世代の医師のために、相続税対策をお話ししたいと思います。相続税対策の基本は「暦年贈与」相続税対策の方法はたくさんありますが、最も一般的なのは暦年贈与でしょう。暦年贈与とは、「毎年110万円までは贈与税がかからない」という基礎控除を利用した相続税対策です。毎年111~120万円の暦年贈与を10年間実行したとすると、わずかな税金で1,100万円以上もの資産を贈与することができます。このように、暦年贈与は相続税対策の基本なのです。暦年贈与をするためには、押さえておくべきポイントがあります。それは、「毎年、基礎控除の110万円をわずかに上回る金額を贈与して贈与税申告をする」ことです。わざわざ毎年贈与税申告をする目的は、「定期贈与に見なされることを避けるため」です。定期贈与とは、一定期間に一定の金額を贈与することです。定期贈与と見なされると、贈与の開始時にすべての金額を贈与する意思があったと見なされて、最大55%もの贈与税がかかってしまいます。これでは相続税よりさらに高額な贈与税を支払うことになりかねません。恐ろしい話ですね…。株式贈与で配当の複利効果を狙おう定期贈与と見なされないように、きっちり暦年贈与を続けることで第一段階はクリアです。しかし、このまま銀行に現金を眠らせておいても、超低金利の時代なのでほとんど増えません。暦年贈与は相続税対策の基本ですが、単に現金を銀行口座に放置しているのは、効率が悪いと言わざるを得ません。このため、現金贈与以外の手段も考える必要があります。ここでは株式と不動産について考えてみましょう。まず株式ですが、親の証券口座で購入した株式を、子供の証券口座に移管する方法がメジャーです。贈与した現金を子供の証券口座に入金して株式を購入する方法もありますが、税務署から名義預金と見なされるリスクがあるのでお勧めできません。子供に贈与する株式として最も有用なのは、安定的かつ配当利回りの高い銘柄でしょう。代表的なものは、J-REITやインフラ系の株式です。購入時期によっては5%を超える利回りを見込めることもあるので、配当金だけで毎年かなりの金額のお金が入ってくることになります。ある程度の配当金が貯まったら株式に再投資しましょう。このように高利回りの株式を保有し続けるだけで、単に現金を贈与するよりも大きな資産を子供に贈ることができるのです。不動産では賃料の複利効果が絶大それでは不動産はどうでしょうか? 不動産は価格が高いので、贈与といってもぴんとこないと思います。しかし、私としては実際のところ、子供への贈与に適した不動産は、価格が500万円以内の築古木造戸建だと考えています。改装費用を含めて総額500万円で取得した築古木造戸建であれば、10~20万円程度の贈与税だけで済む場合が多いです。そして築古木造戸建を贈与すると毎月のように賃料が入ります。たとえば、賃料5万円のボロい築古木造戸建であってもバカにはできません。何もしなくても1年で60万円の賃料が振り込まれ、2戸贈与すれば年間120万円の賃料収入が発生します。暦年贈与しているのと同じ金額が毎年振り込まれるため、すごい勢いで現金が積み上がっていきます。このように、現金を暦年贈与で110万円ずつ贈与することと比べて、何年かに一度だけであっても、築古木造戸建を贈与することのインパクトの大きさが理解できると思います。しかし、不動産の贈与には1つだけ問題点があります。それは子供の賃料収入が多くなり過ぎると、社会保険が扶養から外れてしまうことです。2戸以上贈与すると引っ掛かる可能性があるので注意しましょう。現金をベースに得意なジャンルで贈与しようここまで現金、株式、不動産について考えてきましたが、子供に移転できる資産の量としては不動産が最も大きいでしょう。しかし、扱いやすさという点では現金や株式に軍配が上がり、一長一短といえます。そして、株式や不動産を贈与するためには、投資の目利き力が必要です。株式と不動産の両方に精通している人は少ないので、現金の暦年贈与をベースにして、後は自分の得意なほうを中心に贈与すればよいでしょう。

15506.

「イナビル」の名称の由来は?【薬剤の意外な名称由来】第34回

第34回 「イナビル」の名称の由来は?販売名イナビル®吸入粉末剤20mg※吸入懸濁用160mgセットは吸入粉末剤のインタビューフォームと異なるため、今回は情報を割愛しています。ご了承ください。一般名(和名[命名法])ラニナミビルオクタン酸エステル水和物(JAN)効能又は効果A型又はB型インフルエンザウイルス感染症の治療及びその予防用法及び用量警告内容とその理由警告1.本剤の使用にあたっては、本剤の必要性を慎重に検討すること。2.インフルエンザウイルス感染症の予防の基本はワクチンによる予防であり、本剤の予防使用はワクチンによる予防に置き換わるものではない。禁忌内容とその理由禁忌(次の患者には投与しないこと)本剤の成分に対し過敏症の既往歴のある患者※本内容は2021年1月13日時点で公開されているインタビューフォームを基に作成しています。※副作用などの最新の情報については、インタビューフォームまたは添付文書をご確認ください。1)2020年9月改訂(第14版)医薬品インタビューフォーム「イナビル®吸入粉末剤20mg」2)第一三共Medical Library:製品一覧

15507.

第40回 三重大元教授逮捕で感じた医師の「プロフェッショナル・オートノミー」の脆弱さ

重症者病床1床あたり1,950万円で民間は動くか?こんにちは。医療ジャーナリストの萬田 桃です。医師や医療機関に起こった、あるいは医師や医療機関が起こした事件や、医療現場のフシギな出来事などについて、あれやこれや書いていきたいと思います。緊急事態宣⾔を機に、政府はやっと民間病院に対して、コロナ病床確保の協力を要請する姿勢を明確に打ち出し始めました。国は、緊急事態宣⾔が再発令された1都3県で医療機関が新型コロナの対応病床を新たに増やした場合、従来の補助⾦に1床当たり450万円を追加。それ以外の道府県での増床に関しては1床当たり300万円を上乗せすることを決めました。これで、重症者病床1床あたりの補助額は東京都、神奈川県、埼玉県、千葉県では1,950万円に、それ以外の道府県では1,800万円になります。こうした経済的誘導の施策を踏まえ、⽥村 憲久厚⽣労働大臣は、8⽇の閣議後の記者会⾒で「今までコロナの患者に対応していない医療機関も新たに対応いただければありがたい」と話しました。さらに田村厚労大臣は、出演した10日のフジテレビの「日曜報道 THE PRIME」において、「医療経営には、不安をなるべく持っていただかないようにという、こういうもの(補助金)も用意しながら、厚労省、また自治体、協力して民間病院の皆さま方に、なんとか力を貸していただきたいというお願いをさせていただいて、なんとかコロナ病床を増やしていこうと努力をしている」と話し、コロナ患者用の病床を確保するために、民間病院に協力を求めることを明言しました。現状、有事であっても民間病院に対しては“お願い”ベースでしか病床確保を要請できないのが、日本の医療提供体制の一つのネックだと言われています。こうした要請を受け、年末に国民に感染防止対策に協力を呼びかけた日本医師会をはじめとする医療関係団体が、具体的にどんなアクションを起こすのか、注視したいと思います。お騒がせの三重大病院臨床麻酔部さて、今回はまたまた三重大臨床麻酔部の話を取り上げます。三重大臨床麻酔部についてはこの連載でも、「第25回 三重大病院の不正請求、お騒がせ医局は再び崩壊か?」でランジオロール塩酸塩の不正請求が発覚し、医局崩壊が再び始まるであろうことについて、「第36回 元准教授逮捕の三重大・臨床麻酔部不正請求事件 法律上の罪より重い麻酔科崩壊の罪」では、48歳の元准教授の男が公電磁的記録不正作出・同供用の疑いで津地方検察庁に逮捕されたことについて書きました。今回、54歳の元教授(先に逮捕された元准教授の上司)が、別件の贈収賄事件でとうとう逮捕されました。しかも、昨年問題となったランジオロール塩酸塩の不正請求関連ではなく、医療機器の納入に便宜を図る見返りとして、業者に現金を元教授が代表を務める法人の口座に振り込ませた疑いによる逮捕です。別件の捜査をしっかりと進めていた愛知・三重の両県警朝日新聞や日本経済新聞などの報道によると、愛知・三重の両県警は1月6日、三重大病院臨床麻酔部の元教授ら医師2人を第三者供賄の疑いで逮捕しました。同時に贈賄容疑で日本光電工業の中部支店の社員3人も逮捕しました。元教授の逮捕容疑は2019年8月、病院で用いる生体情報モニターを日本光電製に順次入れ替えるよう取り計らう見返りに、自身が代表理事を務める一般社団法人の口座に200万円を振り込ませた疑いです。逮捕されたもう一人の医師は臨床麻酔部の元講師であり、一般社団法人の監事を務めていました。元教授には入札の技術審査の権限があり、大学に日本光電の機器が確実に受注できるような仕様書を提出。その結果、2019年以降に3回あった生体情報モニターの一般競争入札に参加したのは同社製を扱う業者1社のみだったとのこと。各紙報道によれば、三重大病院は6年間で約1億7,000万円をかけてモニターを入れ替える計画で、日本光電の製品は2019年1月~2020年7月にかけて合計約3,800万円分を落札した、ということです。逮捕された日本光電社員については、落札業者に依頼し、モニターの落札当日に200万円を一般社団法人の口座へ入金した疑いが持たれています。忘れていた頃に、話題となった薬剤の不正請求ではなく、まったくの別件、医療機器導入に関する贈収賄で逮捕されるとは、この元教授、なかなかの“やり手”だったようです。ランジオロール塩酸塩の不正請求で捜査を進めていたのは三重県警ですが、今回の事件では愛知県警との合同捜査本部が設けられ、逮捕も両県警によるものです(贈賄側の日本光電の中部支店が名古屋だからでしょう)。ランジオロール塩酸塩の不正請求事件を機に捜査が始まったのか、それ以前からさまざまな情報が警察に寄せられ、立件できる事案のみ捜査が進められたかは不明ですが、このコロナ禍の中、正月明け早々に逮捕に踏み切ったことに捜査本部の意気込みが感じられます。元教授が問われた「第三者供賄罪」とは?1月7日付の日本経済新聞は、元教授が賄賂の受け皿のために一般社団法人を設立した疑いがある、と書いています。同紙によれば、「法人は『地域医療を担う麻酔科医に高度な専門性を与えること』を目的に、19年5月末に設立された。翌6月に口座を開設し、別の企業からの入金も含め計400万円が振り込まれた。このうち約250万円は同容疑者が臨床麻酔部の同僚らとの飲食代に充てたとみられる」とのこと。さらに、「ほかの複数の業者にも同じような発言で現金提供を求めていた。両県警は法人を受け皿にすることで使途が自由な資金を集める狙いがあったとみている」とのことです。元教授の逮捕容疑は「第三者供賄」です。これは公務員が職務に関して請託(依頼)を受け、自分以外の第三者、この場合は一般社団法人を受領者として金品などの賄賂を供与させた場合に成立する罪です。元教授は国立大学の職員、つまり公務員であったため、同罪に問われることになったわけです。整形外科医巨額リベート事件との違いそう言えば本連載の「第35回 著名病院の整形外科医に巨額リベート、朝日スクープを他紙が追わない理由とは?」では、米国の医療機器メーカー・グローバスメディカルの日本法人が、同社の機器を購入した病院の医師に対し、売上の10%前後をキックバックしていた事件を取り上げました。この事件でも、医師本人ではなく、各医師や親族らが設立した会社に振り込むかたちでキックバックが行われていました。しかし、彼らのケースで警察は動いていません。報道等によれば、金銭を受け取った医師らは東京慈恵会医科大学病院や岡山済生会病院など民間の医療機関の所属であり、第三者供賄などの贈収賄の罪が成立しないからだとみられます。そう考えると、グローバスメディカルの日本法人は、公務員の医師を対象から除き、民間の大病院の医師だけをターゲットとしてキックバックのスキームを活用していたのかもしれません。国公立病院なら逮捕され、民間病院なら逮捕されないという不公平は、刑法の決めごとなので仕方ありません。ただ、第35回でも書いたように、公民限らず医療機関は購入した医療機器や医療器具を保険診療で使用することで診療報酬を得て、採算を取り、利益を得ます。その利益をまた機器購入の代金に回すわけですが、もし機器の価格にリベートが予め含まれているとしたら、それは大きな問題でしょう。麻酔科学会が理事長声明ところで、今回の元教授に逮捕に関連して、日本麻酔科学会は理事長名で「本学会会員の逮捕報道に関する理事長声明」を1月6日にサイトで公表しました。それは、以下のような内容です。本日、本学会会員の医師を含む4名が贈収賄の疑いにより逮捕されたと報道されました。この会員の所属施設ではすでに同僚が公電磁的記録不正作出・同供用容疑で逮捕されております。被疑事実の真偽については、今後の捜査及び裁判の進捗を待つことになりますが、そのことが真実であるとすれば、そのような行為は到底許されるものではなく、まことに残念というほかありません。会員の皆様におかれましては、あらためて高い倫理観を持ち、各人が責任ある行動をとっていただけますようお願いいたします。医師が起こした刑事事件で学会が声明を出すのは異例のことだと言えます。「高い倫理観を持ち、各人が責任ある行動を」とのことですが、三重大病院の一連の事件は、医師の「プロフェッショナル・オートノミー(専門職自律)」がいかに頼りなく、脆弱なものかを改めて感じさせるものでした。

15508.

子供の鼻詰まりが誤診の原因に!?正しい鼻のかみ方を伝えよう【堀美智子のハートに効くラヂオ】第4回

動画解説今回、堀先生が実体験を元に、正しい鼻のかみ方ポイントを3つ教えます。鼻詰まり起因の症状が、違う疾患と勘違いされる例や、別の疾患につながる例もあります。たかが鼻水、されど鼻水。正しい対策を伝えましょう。

15509.

SGLT2阻害薬の適正使用に関する Recommendationを改訂/日本糖尿病学会

 日本糖尿病学会(理事長:植木 浩二郎)は、2014年に策定された「SGLT2阻害薬の適正使用に関する Recommendation」を改訂し、2020年12月25日に第6版を公表した。 2017年9月以降より発売されているSGLT2阻害薬とDPP-4阻害薬の配合薬の留意点、成人1型糖尿病患者におけるインスリン製剤との併用療法でのケトアシドーシスのリスクや注意点についてなどについて記載されている。学会では、これらの情報がさらに広く共有されることで、副作用や有害事象が可能な限り防止され、適正使用が推進されるように注意を促している。SGLT2阻害薬の適正使用に関する8つの Recommendation1)1型糖尿病患者の使用には一定のリスクが伴うことを十分に認識すべきであり、使用する場合は、十分に臨床経験を積んだ専門医の指導のもと、患者自身が適切かつ積極的にインスリン治療に取り組んでおり、それでも血糖コントロールが不十分な場合にのみ使用を検討すべきである。2)インスリンやSU薬などインスリン分泌促進薬と併用する場合には、低血糖に十分留意して、それらの用量を減じる(方法については下記参照)。患者にも低血糖に関する教育を十分行うこと。3)75歳以上の高齢者あるいは65歳から74歳で老年症候群(サルコペニア、認知機能低下、ADL低下など)のある場合には慎重に投与する。4)脱水防止について患者への説明も含めて十分に対策を講じること。利尿薬の併用の場合には特に脱水に注意する。5)発熱・下痢・嘔吐などがあるときないしは食思不振で食事が十分摂れないような場合(シックデイ)には必ず休薬する。また、手術が予定されている場合には、術前3日前から休薬し、食事が十分摂取できるようになってから再開する。6)全身倦怠・悪心嘔吐・腹痛などを伴う場合には、血糖値が正常に近くてもケトアシドーシス(euglycemic ketoacidosis:正常血糖ケトアシドーシス)の可能性があるので、血中ケトン体(即時にできない場合は尿ケトン体)を確認するとともに専門医にコンサルテーションすること。特に1型糖尿病患者では、インスリンポンプ使用者やインスリンの中止や過度の減量によりケトアシドーシスが増加していることに留意すべきである。7)本剤投与後、薬疹を疑わせる紅斑などの皮膚症状が認められた場合には速やかに投与を中止し、皮膚科にコンサルテーションすること。また、外陰部と会陰部の壊死性筋膜炎(フルニエ壊疽)を疑わせる症状にも注意を払うこと。さらに、必ず副作用報告を行うこと。8)尿路感染・性器感染については、適宜問診・検査を行って、発見に努めること。問診では質問紙の活用も推奨される。発見時には、泌尿器科、婦人科にコンサルテーションすること。そのほかの記載事項・副作用の事例と対策・重症低血糖・ケトアシドーシス・脱水・脳梗塞等・皮膚症状・尿路・性器感染症

15510.

双極性障害と摂食障害との関連~メタ解析

 双極性障害と摂食障害との相互関係については、データが不十分なため、よくわかっていない。イタリア・フェデリコ2世ナポリ大学のMichele Fornaro氏らは、双極性障害患者の摂食障害有病率および摂食障害患者の双極性障害有病率を調査し、相互関係を明らかにするため、システマティックレビューおよびメタ解析を実施した。Journal of Affective Disorders誌オンライン版2020年11月13日号の報告。 2020年4月20日までに公表された双極性障害と摂食障害との関連を検討した研究を、MEDLINE、PsycINFOデータベースよりシステマティックに検索した。複数のモデレーターを考慮し、変量効果メタ解析とメタ回帰分析を実施した。 主な結果は以下のとおり。・36件の研究より、一次診断が双極性障害の患者1万5,084例が抽出された。・11件の研究より、一次診断が摂食障害の患者1万5,146例が抽出された。・双極性障害患者の過食性障害有病率は12.5%(95%CI:9.4~16.6、I2=93.48)、過食性障害患者の双極性障害有病率は9.1%(95%CI:3.3~22.6)であった。・双極性障害患者の神経性過食症有病率は7.4%(95%CI:6~10)、神経性過食症患者の双極性障害有病率は6.7%(95%CI:12~29.2)であった。・双極性障害患者の神経性やせ症有病率は3.8%(95%CI:2~6)、神経性やせ症患者の双極性障害有病率は2%(95%CI:1~2)であった。・全体として、摂食障害を合併した双極性障害患者は、非摂食障害の対照群と比較し、女性の割合が高かった。・いくつかのモデレーターは、異なるタイプの双極性障害と摂食障害内およびそれらの間の両方で、統計学的に有意な差が認められた。 著者らは「双極性障害と摂食障害との合併は、いずれかの疾患からの方向性と関連するよりも、診断サブタイプにより異なると考えられる。今後の研究において、リスク、年代、臨床的影響、発症の管理に焦点を当て、各年齢層にわたる連続的なアプローチが求められる」としている。

15511.

COVID-19外来患者、中和抗体カクテルでウイルス量低減/NEJM

 新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の中和抗体カクテル「REGN-COV2」は、ウイルス量を低減する効果があることが示された。免疫反応が起きる前の患者、あるいはベースラインのウイルス量が高い患者でより大きな効果が認められ、安全性アウトカムは、REGN-COV2投与群とプラセボ投与群で類似していたという。米国・Regeneron PharmaceuticalsのDavid M. Weinreich氏らが、COVID-19外来患者を対象とした進行中の第I~III相臨床試験の中間解析の結果を報告した。NEJM誌オンライン版2020年12月17日号掲載の報告。多施設共同無作為化二重盲検プラセボ対照で、ウイルス量の変化を評価 COVID-19の合併症や死亡は、高ウイルス量に関連している可能性が示唆されている。REGN-COV2はウイルス負荷を減らす治療アプローチとして開発が進められている抗体カクテルで、重症急性呼吸器症候群コロナウイルス2(SARS-CoV-2)スパイクタンパク質の受容体結合ドメインをターゲットとする2つの非競合の中和ヒトIgG1抗体から成り、ウイルスがACE2受容体を介してヒトの細胞へ侵入するのを阻止する。“カクテル”のアプローチは、呼吸器合胞体ウイルスへの単一抗体投与で治療抵抗性変異ウイルスの出現を経験したことによるもので、REGN-COV2の前臨床試験では、変異ウイルスの急速出現は回避されたことが確認されている。 第I~III相試験は多施設共同無作為化二重盲検プラセボ対照にて、COVID-19外来患者を対象にREGN-COV2の有効性と安全性の評価などを目的として現在も進行中である。 被験者は、無作為に1対1対1の割合で3群に割り付けられ、それぞれプラセボ、REGN-COV2 2.4g、同8.0gの投与を受けた。また、SARS-CoV-2に対する内因性免疫反応(血清抗体陽性または同陰性)について、ベースラインで前向きに特徴付けがされた。 キーエンドポイントは、ベースラインから1~7日目までのウイルス量の時間加重平均変化、29日目までに1回以上COVID-19関連で受診した患者の割合などであった。安全性は、全被験者を対象に評価した。ベースライン血清抗体陰性群で-0.56 log10/mL、全試験集団で-0.41 log10/mL 今回の中間解析は、第I~II相試験中に登録された275例(REGN-COV2 2.4g群92例、同8.0g群90例、プラセボ群93例)について、2020年9月4日時点で評価したものである。 ベースラインから1~7日目までのウイルス量の時間加重平均変化の最小二乗平均差は、ベースライン血清抗体陰性群で-0.56 log10/mL(95%信頼区間[CI]:-1.02~-0.11)、全試験集団で-0.41 log10/mL(95%CI:-0.71~-0.10)であった。 全試験集団で、1回以上COVID-19関連で受診した患者の割合は、プラセボ群6%、REGN-COV2投与統合群3%であった。ベースライン血清抗体陰性群では、プラセボ群15%、REGN-COV2投与統合群6%であった(群間差:-9ポイント、95%CI:-29~11)。 過敏反応、輸液関連反応、その他有害事象の発現頻度は、REGN-COV2投与統合群とプラセボ群で同程度であった。

15512.

人工呼吸器未装着COVID-19入院患者、トシリズマブで重症化を抑制/NEJM

 新型コロナウイルス感染症(COVID-19)肺炎入院患者(人工呼吸器は未装着)において、トシリズマブは人工呼吸器装着または死亡の複合アウトカムへの進行を減らす可能性が示されたが、生存率は改善しなかった。また、新たな安全性シグナルは確認されなかった。米国・マウントサイナイ医科大学のCarlos Salama氏らが389例を対象に行った無作為化試験の結果で、NEJM誌2021年1月7日号で発表された。COVID-19肺炎ではしばしば強い炎症状態が認められる。COVID-19の発生率には、十分な医療サービスが受けられない人種および民族のマイノリティ集団における不均衡がみられるが、これらの集団のCOVID-19肺炎入院患者について、IL-6受容体モノクローナル抗体トシリズマブの安全性と有効性は確認されていなかった。高リスク・マイノリティ対象に、安全性と有効性をプラセボ対照無作為化試験で評価 研究グループは、COVID-19肺炎で入院する人工呼吸器未装着の患者を対象に、トシリズマブの安全性と有効性を評価する無作為化試験を行った。 患者を2対1の割合で、標準治療に加えてトシリズマブ(8mg/kg体重を静脈内投与)またはプラセボのいずれかを1回または2回投与する群に、無作為に割り付け追跡評価した。主要アウトカムは、28日目までの人工呼吸器装着または死亡であった。 試験地の選択では、高リスクおよびマイノリティ集団が登録されるように注意が払われた。28日目までの人工呼吸器装着または死亡、トシリズマブ群12.0%、プラセボ群19.3% 389例が無作為化を受け、修正intention-to-treat集団にはトシリズマブ群249例、プラセボ群128例が含まれた。56.0%がヒスパニックまたはラテン系で、14.9%が黒人、12.7%がネイティブ・アメリカンまたはアラスカ・ネイティブ、12.7%が非ヒスパニック系白人、3.7%がその他または人種/民族不明であった。 28日目までの人工呼吸器装着または死亡患者の累積割合は、トシリズマブ群12.0%(95%信頼区間[CI]:8.5~16.9)、プラセボ群19.3%(13.3~27.4)であった(人工呼吸器装着または死亡のハザード比[HR]:0.56、95%CI:0.33~0.97、log-rank検定のp=0.04)。 time-to-event解析で評価した臨床的失敗は、プラセボ群よりもトシリズマブ群で良好であった(HR:0.55、95%CI:0.33~0.93)。 一方で28日目までの全死因死亡の発生は、トシリズマブ群10.4%、プラセボ群8.6%であった(加重群間差:2.0ポイント、95%CI:-5.2~7.8)。 安全性評価集団における重篤な有害事象の発生率は、トシリズマブ群15.2%(38/250例)、プラセボ群19.7%(25/127例)であった。

15514.

院外心肺停止・治療抵抗性心室細動へECMOを適応することで救命率・社会復帰率が顕著に改善される(解説:今井靖氏)-1339

 今回はLancet誌に報告された興味深い論文を紹介するとともに、この領域の現状と課題について論じたい。 院外心肺停止・心室細動の患者において、半数以上の患者は初期ACLS(advanced cardiac life support)に不応性である。今回米国で、院外心肺停止・治療抵抗性心室細動に対してextracorporeal membrane oxygenation(ECMO)を用いた心肺蘇生と標準的ACLSとをランダム化比較する研究が実施された。ミネソタメディカルセンターにおいて、第II相単施設オープン試験として18~75歳の心肺停止・心室細動を対象としている。3回のAEDによる電気的除細動が無効、Lund University Cardiac Arrest System(LUCAS)という機械的心肺蘇生装置を使用、30分以内の移送時間という状況において、患者をスクラッチカードを用いてランダムに上述の2群に割り付けている。主要エンドポイントは生存退院、副次的エンドポイントは安全、生存、退院後3および6ヵ月目での機能的評価とした。すべての解析はITT解析となっている。2019年8月8日~2020年6月14日の間、36例(平均59歳[36~73歳]、83%男性)の患者が登録された。6例を除外し、30例を半数ずつACLS群とECMO群とに割り付けた(1例は途中で脱落)。結果であるが、生存退院はACLS群では15例中1例(7%、95%信頼区間:1.6~30.2)、ECMO群では14例中6例(43%、95%信頼区間:21.3~67.7)であった。本研究は米国国立心肺血液研究所(National Heart, Lung, and Blood Institute)によって、予定されていた初回中間解析で明らかな有意差がついたと判断され中止となった。30例の登録の段階ですでにECMO群の優位性が示されたためであるが、6ヵ月後についてもECMO群で優れていた。 現在本邦においては日本ACLS協会の資料に従えば、2018年(平成30年)2018年中に一般市民に目撃された心肺停止症例は2万5,756例、そのうちの41.9%、1万791例においては一般市民による心肺蘇生が行われず、1ヵ月後生存者/社会復帰者は966例(9.0%)/482例(4.5%)と低率であった。逆に一般市民によって心肺蘇生がなされた症例が1万4,965例(58.1%)あり、1ヵ月後生存者数/社会復帰者数は2,618例(17.5%)/1,873例(12.5%)と倍以上に改善するという結果であった。さらに一般市民が除細動を実施した傷病者数は1,254例で、1ヵ月後生存者数/社会復帰者数は701例(55.9%)/605例(48.2%)と約半数が救命・社会復帰されるというものであった。 本邦でも一般市民の心肺蘇生の教育が広がりつつあることに加えてAEDが大幅に普及されたことで近年心肺蘇生例の予後は改善しつつあることがわかる。しかしながら、救命救急機関に搬送されて以降のPCPS、ECMOといった機械補助の使用は、施設間および担当する医師の判断により異なるのが現状であると認識している。今回このLancet誌に報告された臨床研究は、初めてACLSに対してECMO導入を行うことの有益性を検証したランダム化比較試験であり、コストとリソースを投じるに見合った良好な生存率が得られることを示した点でその意義は高い。今、本邦においてもCOVID-19感染拡大・蔓延の中でCOVID-19感染重症症例へのECMO導入など、その整備と体制を整えた医療機関数およびその機関での収容可能数が増えたものと思われる。今はCOVID-19感染を乗り越えることが各医療機関の喫緊の課題であるが、それらを乗り越えた先において、救急医療における心肺停止例へのECMOの活用により心肺蘇生・治療抵抗性心室細動症例の予後・社会復帰率改善が得られることを期待したい。

15515.

FIDELIO-DKD試験-非ステロイド系選択的鉱質コルチコイド受容体拮抗薬finerenoneに、心腎保護効果あり!(解説:石上友章氏)-1340

 慢性腎臓病(CKD)診療の究極のゴールは、腎保護と心血管保護の、両立にある。腎機能低下・透析を回避して、長生きできる治療法が、待ち望まれている。高血圧、糖尿病は、CKDのリスクであり、降圧薬、血糖降下薬には、高血圧・糖尿病を修正・軽快することで、間接的にCKDないしDKDの進展抑制が可能である。しかし、降圧薬であるACE阻害薬・ARBの確たる『降圧を超えた臓器保護作用』については、議論の余地があった。 レニン・アンジオテンシン(RA)系は、重要な創薬標的であり、これまでさまざまな薬剤が上市されてきた。RA系の最終産物であるアンジオテンシンIIは、腎内作用と、腎外作用があり、副腎を刺激してアルドステロンの分泌を促進することは、主要な腎外作用である。アルドステロンは、11βHSD2存在下でコルチゾールが不活化することで、核内にある鉱質コルチコイド受容体(MR)と結合し、アルドステロン誘導性タンパク質(AIP:aldosterone inducible protein)の遺伝子発現を通して、アルドステロン作用を発揮する。 第1世代(スピロノラクトン)、第2世代(エプレレノン)の抗アルドステロン薬は、ステロイド骨格を有し、第3世代(エサキセレノン)は非ステロイド骨格であり、前者をMRA(鉱質コルチコイド受容体拮抗薬)、後者をMRB(鉱質コルチコイド受容体遮断薬)と呼称する。FIDELIO-DKD試験1)では、新規第3世代MRBであるfinerenoneを試験薬として、RA系阻害薬を用いた治療中のCKD合併2型糖尿病患者を対象に行われた。 結果は、finerenoneに心腎保護効果があることが証明された。1次エンドポイントである、腎複合エンドポイントは楽々と(HR:0.82、0.73~0.93、p=0.001)、2次エンドポイントである心血管複合エンドポイントは辛うじて(HR:0.86、0.75~0.99、p=0.03)統計学的有意差をつけることができた。これまで、多くの基礎研究の成果から、鉱質コルチコイド受容体の活性化が、心血管・腎の組織・細胞レベルでの障害をもたらすことが示唆されている。FIDELIO-DKD試験は、セオリーを臨床試験で証明したことから、トランスレーショナル・リサーチの成果と言える。著者らはDiscussionにおいて、軽度の血圧低下を伴った、アルブミン尿・心血管イベントに対する効果が早期に認められることから、一部の作用はナトリウム利尿効果に由来するとしている。一方、SGLT2阻害薬カナグリフロジンを試験薬にしたCREDENCE試験と比較して、1次エンドポイントの群間差のmagnitudeが少ないことに言及しており、両薬剤の薬効をもたらす作用点を比較するうえで興味深い。

15516.

6歳未満の乳幼児の調剤報酬上乗せ 要件は「とくに必要な感染予防策」【早耳うさこの薬局がざわつくニュース】第60回

年末から春は処方箋が増える時期ですが、新型コロナウイルス感染症によって昨年の同時期よりも少ないという薬局も多いと思います。実際、私が携わっている薬局は、小児科や外科からの処方箋が明らかに減っているという感覚があります。この状況は暖かくなる春ごろまで続く可能性もあるので、医療が必要な人が適切に治療を受けられているのかという問題だけでなく、薬局の経営や存続にも関わってきます。これに伴い、薬局を対象にした経済的な支援として、6歳未満の乳幼児の調剤報酬が上乗せされることになりました。厚生労働省は2020年12月15日、受診控えで小児科の患者が減って経営が悪化していることを背景に、事務連絡「新型コロナウイルス感染症に係る診療報酬上の臨時的な取扱いについて(その31)」を発出しました。これにより、新型コロナウイルス感染症が拡大している間は、6歳未満の乳幼児の処方箋受付の場合は12点を算定することができます。なお、保険医療機関の医科の場合は100点、歯科の場合は55点が算定できます。いずれも小児の外来診療などにおいて「とくに必要な感染予防策」を講じたうえで、保護者の同意を得ることが条件です。その「とくに必要な感染予防策」とは、以下のようなものです(同通知より一部改変)。COVID-19に特徴的な症状はなく、小児では出現しても訴えとして現れることが期待できないことから、1人の患者ごとに手指消毒を実施する。流行状況を踏まえ、家庭内・保育所内などに感染徴候のある人がいたか、いなかったのかを確実に把握する。環境消毒については、手指の高頻度接触面といわれるドアノブ・手すり・椅子・スイッチ・タッチパネル・マウス・キーボードなどは定期的に70~95%アルコールか0.05%次亜塩素酸ナトリウムを用いて清拭消毒し、とくに小児が触れる可能性が高い場所は重点的に行う。これらに関しては、オンライン診療・服薬指導では対象となりません。明確な基準による許可などがないため、加算を算定する場合は薬歴に記載するなど記録を残せばよいと思われます。現時点では、この加算は2020年度中(2021年2月診療分)までの措置とされており、それ以降は別途検討されます。これまで小児の感染者数はそれほど多くはありませんでしたが、英国で発見された新型コロナ変異株は子供にも感染しやすい可能性が示唆されています。新型コロナに特徴的とされている味覚・嗅覚異常は、6歳未満の乳幼児が訴えるのは難しいため、より慎重な対応が求められます。地域独自、時期限定の支援もそのほかの経済支援として、東京都では新型コロナウイルスに感染した患者を年末年始に受け入れる体制を強化するため、医療機関などに協力金を支給しました。保険薬局では、患者が年末年始であっても調剤を受けたり薬を購入したりできるように、1日8時間以上営業することを条件に1日3万円が支給されました。なお、医療機関に関しては、軽症・中等症の患者を受け入れた医療機関には1人1日当たり7万円、重症者の場合は30万円が支給され、すでに入院している患者も対象となりました。もしかしたら、こういった支援はゴールデンウイークなどの大型連休でもまた登場するかもしれませんので、通知などをチェックするようにしましょう。もう少し、もう少し、と思いながらコロナ禍でも業務を行ってきましたが、しばらくこの状況は続くと思ったほうがよさそうです。経済的な支援で利用できるものは利用しつつ、スタッフのメンタルケアや薬局の設備の見直しなども必要になってくるかもしれません。

15517.

第42回 南アの新型コロナウイルス変異株へのワクチン効果が心配されている/変異株はどう発生するのか

南アの新型コロナウイルス変異株へのワクチン効果が心配されている南アフリカ(南ア)で広まる新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)変異株は英国で広まる変異株にはない変異があり、英国の専門家はそれらがワクチンの効果を妨げる恐れがあると心配しています1-3)。南アの変異株B.1.351(別称501Y.V2)のスパイクタンパク質の受容体結合領域(RBD)には英国の変異株B.1.1.7と共通するN501Y変異に加えてさらに2つの変異が存在します。南アの変異株に特有のそれら2つの変異の1つE484Kは抗体を寄せ付け難くすることが知られており1)、厄介なことに先立つ感染やワクチン接種で備わった免疫防御をウイルスが回避するのを助けます。E484Kだけで南アの変異株に目下のワクチンが全く歯が立たなくなるとは考え難いが、変異株の発見にはワクチンの効果の心配がつきものであり、南アの変異株へのワクチンの効き具合はまだ想像がつかないとロンドン大学のFrancois Balloux教授は言っています1)。英国の変異株は去年9月にみつかり4)、12月中旬に同国で急速に広まりました。南アの変異株は11月中旬から他のSARS-CoV-2に取って代わって同国で広まっていることが12月18日に発表されました5)。オックスフォード大学の免疫学者で英国のワクチン開発の取り組みへの助言者の1人・John Bell氏は英国の変異株にワクチンは効きそうだが南アの変異株への効果は大変心配(big question mark)で、調査を急いでいると言っています3,6)。南アの変異株のゲノムを調べている同国の大学University of KwaZulu-Natalの感染症専門家Richard Lessells氏はその調査こそ同氏等の最優先課題であるとし、抗体がすでに備わっている人やワクチン接種を経た人の血液の中和抗体活性の検討を始めています7)。中和抗体だけでなく細胞を介した免疫を調べることも有益だろうと米国のウイルス学者Kartik Chandran氏は科学ニュースThe Scientistに述べています3)。T細胞が担うそれらの免疫は中和抗体に比べて変異への対応がより鈍いかもしれません。※幸いなことに、南アと英国の SARS-CoV-2 変異株に共通のN501Y変異はPfizer/BioNTechのワクチンの効果を妨げはしないようです。先週7日にbioRxivに掲載された実験によると、同ワクチンの第III相試験の被験者20人の血清はN501Y変異導入SARS-CoV-2を非変異SARS-CoV-2と同様に中和しました。SARS-CoV-2変異株はどう発生するのか新型コロナウイルス感染(COVID-19)から1ヵ月が過ぎてもその原因ウイルスSARS-CoV-2を排出し続けるがん(リンパ腫)患者がいることを知ったケンブリッジ大学のウイルス研究者Ravindra Gupta氏は治療を助けるために出向いてその男性患者にとりつくSARS-CoV-2の面々の変遷を調べました8,9)。その結果、抗体を効かなくするスパイクタンパク質変異対を備えるSARS-CoV-2一派が回復者血漿投与に伴って優勢になっており、その変異対の片割れΔH69/ΔV70は英国で広まる変異株B.1.1.7にも存在するものでした。男性患者は抗体を作る免疫細胞・B細胞を減らす抗がん剤リツキシマブ治療を受けていて免疫が衰えている免疫弱者であり、抗ウイルス薬Remdesivir(レムデシビル)や回復者血漿投与の甲斐なくCOVID-19診断から101日で亡くなりました。男性にとりついたSARS-CoV-2の面々は2度の一連のレムデシビル治療にも関わらず65日間はほとんど進化的変化(evolutionary change)なしで居着いていました。しかし回復者血漿が投与されるやその組成は一変し、抗体を効かなくする変異対・D796HとΔH69/ΔV70を有するSARS-CoV-2一派があたまをもたげて優勢になり、その変異対はSARS-CoV-2への主な抗体を突き放すウイルスの常套手段の一つであることが判明しました。スパイクタンパク質に8つの変異を携えて英国で広まる変異株B.1.1.7もGupta氏等が見つけた変異対保有一派と同様に免疫弱者が出どころかもしれないと研究者は考えています8)。ΔH69/ΔV70変異を備えて抗体を突っぱねることがSARS-CoV-2の常套手段であることはその変異がB.1.1.7に備わることも物語っています。Scienceのニュースによると8)、レンチウイルスを試しに使ったGupta氏の実験でΔH69/ΔV70変異は感染を捗らせました。B.1.1.7のスパイクタンパク質に備わる別の変異N501Yは南アで広まる変異株B1.351にも存在し、Science誌掲載の研究では細胞受容体ACE2との密着を促すことが示唆されました10)。N501Yのように独立して生き残る変異はウイルスにとって有益である公算が大きいとFred Hutchinson Cancer Research Centerの進化生物学者Jesse Bloom氏は言っています8)。英国の変異株B.1.1.7のスパイクタンパク質に備わるP681H変異もN501Yと同様に注意が必要とみられています。P681Hは細胞侵入に際してのスパイクタンパク質切断部位を変えます。その切断部位は20年近く前の2003年に流行したコロナウイルスSARS-CoV-1とSARS-CoV-2のスパイクタンパク質の不一致領域に位置し、その領域の変化は感染をより広めやすくする恐れがあります10)。参考1)expert reaction to the South African variant / Science Media Centre2)UK scientists worried vaccines may not work on S.African coronavirus variant / Reuters3)South African SARS-CoV-2 Variant Alarms Scientists / TheScientist4)COVID-19 (SARS-CoV-2): information about the new virus variant / GOV.UK 5)SARS-CoV-2 Variants / WHO6)Covid: 'No question' restrictions will be tightened, says Boris Johnson / BBC7)South Africa testing whether vaccines work against variant / AP8)U.K. variant puts spotlight on immunocompromised patients’ role in the COVID-19 pandemic / Science9)Neutralising antibodies drive Spike mediated SARS-CoV-2 evasion. medRxiv. December 19, 202010)Gu H, et al. Science. 2020 Sep 25;369:1603-1607.

15518.

うつ病患者のBMIと治療結果との関連

 うつ病患者では、抗うつ薬の治療反応が悪いと、BMIが高まる可能性がある。しかし、治療反応に対する低体重の影響はよくわかっていない。また、治療反応を予測するためにBMI測定を実施すべきかについても研究されていなかった。中国・首都医科大学のLe Xiao氏らは、うつ病患者のBMIと治療結果との関連について検討を行った。Journal of Affective Disorders誌オンライン版2020年11月12日号の報告。 抗うつ薬(パロキセチン、ミルタザピン、パロキセチン+ミルタザピン)の治療結果を報告した臨床試験の成人うつ病患者202例のデータを事後分析した。ベースライン時のBMIおよび0、2、3、4、6、8週目のハミルトンうつ病評価尺度(HAMD-17)による症状重症度を測定した。肥満度の分類は、BMI18.5未満(低体重)、18.5~23.9(正常体重)、24以上(過体重)と定義した。エンドポイントにおけるHAMD-17スコアの減少、反応(HAMD-17スコア50%以上の減少)、寛解(HAMD-17スコア7以下)に対するベースライン時のBMIの影響を調査するため、単変量分析を用いた。継続的な体重やBMIの測定とHAMD-17スコアの減少との関連を調査するため、ピアソン相関係数を用いた。寛解の予測因子の検討には、ロジスティック回帰分析を用いた。BMIとHAMD-17の変化との関連を明らかにするため、多重線形回帰分析を用いた。主な結果は以下のとおり。・肥満度の分類では、正常体重111例(55.0%)、低体重20例(9.9%)、過体重71例(35.1%)であった。・低体重の患者では、抗うつ薬の治療反応が最も良好であった。・非寛解患者は、寛解患者と比較し、体重およびBMIが高値であった(p<0.05)。・HAMD-17スコアの減少は、ベースライン時の体重(r=-0.16、p=0.032)およびBMI(r=-0.19、p=0.012)と関連が認められた。・ロジスティック回帰では、正常体重および低体重の患者(BMI24未満)は、過体重の患者と比較し、寛解率が2倍高かった(OR:1.958、95%CI:1.015~3.774、p=0.045)。・多重線形回帰では、BMI増加とHAMD-17合計スコア変化の減少との関連が認められた(β=-0.32、p=0.016)。 著者らは「うつ病の治療結果は、BMIにより予測できることが確認された。また、抗うつ薬治療が最も奏効するのは、低体重の患者であることが初めて明らかとなった。本調査結果は、BMIによる抗うつ薬の選択に際し、意思決定に役立つ可能性がある」としている。

15519.

体験ルポ・新型コロナワクチン接種(2)新たなワクチンに臨むために必要なこと

 国内では、連日のように過去最多の感染者数が確認されている新型コロナウイルス感染症(COVID-19)。行動を変え、消毒を徹底するなどの地道な自助努力が、現時点ではわれわれにできる唯一の感染防止策であり、ワクチン接種の開始が待ち望まれるところである。 感染者数世界最多の米国では、世界に先駆け2020年12月14日からワクチン接種が実施されている。本稿は、米国・ワシントンDCの病院に勤務する日本人医師の安川 康介氏がケアネットに寄せたワクチン接種の体験ルポ第2弾である。安川氏は、2020年12月16日に1回目のワクチン接種を経験し、今回は、2回目となる1月5日の接種の際に経験した体調変化や周りの接種者の反応、日本が新たなワクチンに臨むために必要なことについてレポートしている。2回目接種時に体調変化を経験、ナースでは接種忌避傾向も 新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の感染者数増加を受け、日本では1月7日に2度目の緊急事態宣言が発出された。Pfizer社は2020年12月18日、日本におけるmRNAワクチンの製造販売承認を申請し、今年2月には承認される見通しである。日本における収束に向け、ワクチンへの期待が高まる。 米国では、FDAが2020年12月11日、Pfizer社とBioNTech社が開発したmRNAワクチン(BNT162b2)の緊急使用を認めた。これを受けて、わたしが勤務するワシントンDCのMedStar Washington Hospital Centerにおいても、12月16日から医療従事者を対象にワクチン接種が始まり、同日に受けることができた。ご存じの通り、本ワクチンは2回接種が必要であり、年明けの1月5日に2回目を接種した。 前回接種時は、主に接種部位の痛みがあったのみで、それも2~3日後にはほぼ消失した。2回目の接種では、前回と同様に接種部位の痛みが生じたのに加え、前回と違ったのは、翌日にやや強い倦怠感を経験したことである。体温が37.2度程度と少し高くなり、体がだるく、いわゆる風邪を引いた時のような倦怠感が夜まで続いた。接種を受けた同僚の中には、初回はほとんど全身性の反応が出なかったが、2回目の接種では、当夜に眠れないくらいの発熱・悪寒・頭痛を経験した人もいた。2回目の接種時に全身性の症状が出やすいことは臨床試験でも報告されており、16~55歳では、2回目接種後の発熱は16%、倦怠感は59%、頭痛は52%と報告されている。逆に、初回接種後に発熱・悪寒・倦怠感が強かったものの、2回目ではそれほど全身性の反応が出なかった人もいた。わたしが勤務する病院では、医師やナースプラクティショナーの多くがワクチン接種を受けた一方、看護師やナースアシスタントではワクチン接種を躊躇する人も多く、わたしはコロナ病棟の看護師を対象にmRNAワクチンに関する教育も担当した。 Pfizer/BioNTech社ワクチンでは、2回目接種後7日以降の発症予防効果は95%、モデルナ社のワクチンでは2回目接種後14日以降の発症予防効果は94.1%といずれも高い。ただし、無症状の感染や2次感染をどれだけ予防できるかは今のところ不明で、感染予防対策は引き続き必須である。一部施設では、ワクチンの無症状感染についての予防効果を調べるため、接種後毎週PCRを行うという臨床試験も開始されているようである。モデルナ社のワクチンの臨床試験では、2回目接種前にPCR検査をしており、PCR陽性は1万4,134人中14人、プラセボ群では1万4,073人中38人と、無症状の感染の予防効果も期待されている1)。大規模接種の円滑実施のカギはプロトコル作成と周到なシミュレーション 米国では2020年12月18日、モデルナ社のmRNAワクチンの緊急使用も認められ、急ピッチで、Pfizer/BioNTech社およびモデルナ社のワクチン接種が進んでいる。実際に接種が始まった12月16日から、すでに500万人以上(1月7日執筆時、対象は主に医療従事者・高齢者施設の入居者)がワクチン接種を受けた。しかしこの数は、米政府が2020年末までの目標に掲げていた2,000万人には遠く及ばず、進行の遅れに対する批判の声が上がっている。実際に各州に供給されているワクチン量に比べ、接種された数は大幅に下回っており、大規模なワクチン接種をいかに効率的に行うか、各州で調整が進められている段階である。CDC(米国疾病予防管理センター)はワクチンの接種について、phase1aでは高齢施設入居者と医療従事者、phase1bでは消防士や警察官、グローサリーストアの従業員などのエッセンシャルワーカー、75歳以上の高齢者、などと優先順位を設定したものの2)、実際はphase1a全員の接種が終わる前にでも次のフェーズでの接種を開始する州が増えている状況である3)。 翻って日本においても、大規模なワクチン接種をいかに効率的に実施できるか今から綿密に計画しておくことが重要である。Pfizer/BioNTech社ワクチンは保管温度が−70℃、モデルナ社ワクチンは−20℃であり、コールドチェーンの確立はもちろんのこと、効率的に接種を行っていくためには、接種者の登録および説明は、接種会場ではなく事前に済ませられるような形で行うことも必要かもしれない。わたし自身、ワクチン接種の登録はオンラインシステムで済ませ、ワクチンに関する説明はFDAが作成した説明書4)および医療機関が個別に作成した資料を渡され、読むように指示されただけである。また、Pfizer/BioNTech社ワクチンは、これまで接種した約190万人中21人に強いアレルギー反応が確認されており5)、CDCではワクチン接種後15~30分観察することを推奨している。接種会場では、アナフィラキシーをどのようにモニターし、治療するかをプロトコル化しておく必要もあるだろう。 日本に限らず世界的にもCOVID-19の感染者数増加に伴い、医療施設に負荷がかかっている。したがって、具体的に誰がどのように接種を進めていくのか、人材調整も喫緊の課題だ。たとえば米国では、州によってはCVSやWalgreensなどの薬局と提携を結び、薬剤師が高齢者施設での接種を担っている6)。また、Pfizer/BioNTech社ワクチンの場合、解凍した後、冷蔵保存(2~8℃)が5日間と短い(モデルナ社は30日)。そのため、ワクチンを無駄にしないためにはいつ、どこに配給し、ワクチンが余った場合には誰に回すのか、あるいは他施設に輸送するのか、といったことを周到にシミュレーションしておくべきである。 日本では、ワクチンを忌避する人も少なからずいる。世界に先駆けて新型コロナワクチンを接種した国々からは、メディアを通じてネガティブな情報も届いていることだろう。HPVワクチンの二の舞にならないように、メディアや国民に向けて、ワクチンの正しい科学的知識、予期される局所反応・全身性反応に関する教育等を行うことが、この新たなワクチンを経験するに当たっては何よりも重要であると考える。先行して大規模接種が開始された米国の情報などを参考に、接種開始早期から円滑に進行できることを願っている。【安川 康介氏プロフィール】2007年慶應義塾大学医学部卒業。日本赤十字社医療センターにて初期研修を修了後渡米。ミネソタ州ミネソタ大学医学部内科レジデンシー、テキサス州ベイラー医科大学感染症フェローシップ修了。米国内科専門医・感染症専門医。現在は、ワシントンDCのMedStar Washington Hospital Centerにて、ホスピタリストとして勤務。参考文献・参考サイトはこちら1)https://www.fda.gov/media/144453/download2)https://www.cdc.gov/vaccines/hcp/acip-recs/vacc-specific/covid-19/evidence-table-phase-1b-1c.html3)https://www.cnn.com/2021/01/06/health/covid-19-messy-roll-out-state-expand-priorities/index.html4)https://www.fda.gov/media/144414/download5)https://www.cdc.gov/mmwr/volumes/70/wr/mm7002e1.htm?s_cid=mm7002e1_w6)https://www.gov.ca.gov/2020/12/28/governor-newsom-announces-partnership-with-cvs-and-walgreens-to-provide-pfizer-vaccines-to-residents-and-staff-in-long-term-care-facilities/

15520.

COVID-19入院患者への中和抗体、レムデシビルへの上乗せ効果示せず/NEJM

 レムデシビルの投与を受けている新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の入院患者において、中和モノクローナル抗体LY-CoV555(bamlanivimab)の単回投与はプラセボと比較して、5日目までの有効性に差はないことが、デンマーク・コペンハーゲン大学病院のJens D. Lundgren氏らが実施した「ACTIV-3/TICO LY-CoV555試験」で明らかとなった。研究の詳細は、NEJM誌オンライン版2020年12月22日号に掲載された。抗ウイルス薬レムデシビルは、COVID-19入院患者の回復までの期間を短縮することが示されているが、有効な追加治療が早急に求められている。また、重症急性呼吸器症候群コロナウイルス2(SARS-CoV-2)に対する受動免疫を活用して、感染に対する液性免疫応答を増強することは、COVID-19患者の臨床評価における優先事項とされる。LY-CoV555は、COVID-19外来患者においてウイルス負荷および入院・救急診療部受診の頻度を低減することが知られている。3ヵ国31施設が参加したプラセボ対照無作為化試験 本研究は、COVID-19入院患者の治療における中和モノクローナル抗体と抗ウイルス薬の役割を解明する目的で、米国国立衛生研究所(NIH)によって設立されたACTIV-3/TICO(Therapeutics for Inpatients with COVID-19)プラットフォームに基づく最初の臨床試験であり、31施設(米国23施設、デンマーク7施設、シンガポール1施設)が参加し、2020年8月5日~10月13日の期間に患者登録が行われた(米国Operation Warp Speedなどの助成による)。 対象は、SARS-CoV-2に感染した成人入院患者で、COVID-19による症状発現から12日以内であり、末梢臓器不全(昇圧療法、新規腎代替療法、侵襲的機械換気、体外式膜型人工肺、機械的循環補助)がないこととされた。 被験者は、LY-CoV555(7,000mg)またはプラセボを1時間で静脈内注入する群(単回投与)に、1対1の割合で無作為に割り付けられた。加えて、全例が基礎治療として、レムデシビルと、適応がある場合は酸素補給やグルココルチコイドを含む質の高い支持療法を受けた。 主要アウトカムは90日の期間中における持続的回復(自宅退院し、少なくとも14日間自宅にいることと定義)とし、time-to-event解析で評価された。また、5日目の肺機能に関する7段階の順序尺度(カテゴリー1「症状が最小限またはまったくない状態で、通常の活動を自立的に行うことができる」~カテゴリー7「死亡」)に基づき、無益性(futility)の中間解析が実施された。5日目のカテゴリー1+2達成率:50% vs.54% 2020年10月26日、データ・安全性監視委員会は、314例(LY-CoV555群163例[年齢中央値63歳、女性40%]、プラセボ群151例[59歳、47%])が無作為化され投与を受けた時点で、無益性のため患者登録を中止するよう推奨した。 無作為化前または無作為化の日に、298例(95%)がレムデシビルの投与を開始しており、49%がグルココルチコイドの投与を受けていた。症状発現からの期間中央値は7日(IQR:5~9)だった。 5日目の時点で、肺アウトカムの上位2カテゴリー(カテゴリー1と2)を達成したのは、LY-CoV555群が161例中81例(50%)、プラセボ群は150例中81例(54%)であった。また、5日目までに退院した患者は、それぞれ90例(55%)および85例(56%)であった。7段階のカテゴリーに関して、LY-CoV555群がプラセボ群よりも良好なカテゴリーに属するオッズ比(OR)は0.85(95%信頼区間[CI]:0.56~1.29)であり、両群間に有意な差は認められなかった(p=0.45)。 10月26日の時点における持続的回復(少なくとも28日間追跡されるか、この間に死亡した患者が対象)は、LY-CoV555群が87例中71例(82%)、プラセボ群は81例中64例(79%)で達成された(率比[RR]:1.06、95%CI:0.77~1.47)。また、全患者における退院は、LY-CoV555群が163例中143例(88%)、プラセボ群は151例中136例(90%)で達成された(RR:0.97、95%CI:0.78~1.20)。 安全性の主要アウトカム(死亡、重篤な有害事象、Grade3/4の有害事象の複合)は、5日目の時点でLY-CoV555群が163例中31例(19%)、プラセボ群は151例中21例(14%)で発生した(OR:1.56、95%CI:0.78~3.10、p=0.20)。また、28日目の時点で、安全性主要アウトカムまたは臓器不全、重篤な重複感染症を発症した患者は、それぞれ163例中49例(30%)および151例中37例(25%)(HR:1.25、95%CI:0.81~1.93)であり、10月26日の時点における死亡は9例(6%)および5例(3%)であった(HR:2.00、95%CI:0.67~5.99)。死亡例14例のうち12例はCOVID-19の悪化、2例は心肺停止によるものだった。 著者は、「TICOプラットフォームは、今後も、新規モノクローナル抗体製剤を含め、COVID-19の追加治療の評価を進める予定である」としている。

検索結果 合計:36089件 表示位置:15501 - 15520