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片頭痛患者の神経障害性疼痛に対する抗CGRPモノクローナル抗体

 カルシトニン遺伝子関連ペプチド(CGRP)は、末梢神経障害の一般的な特徴である神経因性疼痛の発症に関連することを示すエビデンスが増加している。臨床研究では、抗CGRPモノクローナル抗体が、片頭痛の予防に効果的であることが示唆されているが、ヒトの神経因性疼痛を含む非頭痛の慢性疼痛に対する効果は明らかになっていない。米国・ミズーリ大学のSeung Ah Kang氏らは、慢性片頭痛を合併している患者の神経因性疼痛に対する抗CGRPモノクローナル抗体の有効性について、評価を行った。Muscle & Nerve誌オンライン版2020年12月21日号の報告。 慢性片頭痛および末梢神経障害患者14例をレトロスペクティブにレビューした。すべての患者は、抗CGRPモノクローナル抗体による治療が行われていた。neuropathy pain scale(NPS)および1ヵ月間の片頭痛日数(MHD)に関するデータを、患者報告により収集した。データの収集は、抗CGRPモノクローナル抗体による治療の3ヵ月前、0ヵ月および3、6、9、12ヵ月後に行った。 主な結果は以下のとおり。・抗CGRPモノクローナル抗体による治療により、NPSスコアは、ベースライン時の89.3から治療12ヵ月後の52.1へ41.7%の減少が認められた(p<0.05)。・1ヵ月間のMHDは、ベースライン時の19.8から12ヵ月後の13.2へ33.3%の減少が認められた(p<0.05)。 著者らは「抗CGRPモノクローナル抗体による治療は、慢性片頭痛患者の神経障害性疼痛を有意に改善した。これらの結果を確認するために、より多くの患者集団を対象とした盲検化ランダム化研究は、実施する価値があるであろう」としている。

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咽喉頭症状にPPI治療は有益か?/BMJ

 持続性咽喉頭症状を呈する患者に対するプロトンポンプ阻害薬(PPI)治療にはベネフィットがないことが、英国・Freeman HospitalのJames O'Hara氏らによる多施設共同二重盲検無作為化プラセボ対照試験の結果、示された。評価に用いたreflux symptom index(RSI)のPPI群とプラセボ群のスコアは、治療16週後およびフォローアップ12ヵ月時点で同等であった。一般集団の半数近くが咽喉頭のしこり感を気に掛けており、咽喉頭症状は1次医療から2次医療への紹介の一般的な理由になっている。英国の1次医療および2次医療では、咽喉頭症状には経験的治療としてPPIが広く処方されているが、これまで公表されている咽喉頭症状に対するPPI治療のメタ解析は、包含されている試験の規模が小さく、結果は限定的であったという。BMJ誌2021年1月7日号掲載の報告。英国8ヵ所の耳鼻咽喉外来クリニックでプラセボ対照無作為化試験 試験はプラグマティックにて、英国8ヵ所の耳鼻咽喉外来クリニックで行われた。 18歳以上の持続性咽喉頭症状を呈する患者346例を、参加施設と症状のベースライン重症度(軽症または重症)によって、盲検下にて無作為に、ランソプラゾール群(30mgを1日2回、172例)またはプラセボ群(174例)に割り付け追跡評価した。 主要アウトカムは、RSI総スコアを用いて16週時点で評価した症候性反応であった。副次アウトカムは、12ヵ月時点の症候性反応のほか、QOLおよび咽喉頭形態などであった。16週時点、12ヵ月時点のRSIスコアは同等 当初1,427例が適格スクリーニングを受け、346例が登録された。平均年齢は52.2歳(SD 13.7)、196例(57%)が女性で、162例(47%)が重症であった。これらの特性は、治療群間で平均化された。 主要解析は、主要アウトカムの評価(14~20週の間)を完了した220例を対象に行われた。平均RSIスコアは、ベースラインではランソプラゾール群22.0(95%信頼区間[CI]:20.4~23.6)、プラセボ群21.7(20.5~23.0)と類似しており、16週時点ではそれぞれ17.4(15.5~19.4)、15.6(13.8~17.3)と、両群ともに改善(スコアの低下)が認められ、治療群間の統計学的有意差(ベースライン重症度で補正後)はみられなかった(推定群間差:1.9ポイント、95%CI:-0.3~4.2、p=0.096)。 副次アウトカムについても、ランソプラゾールのプラセボに対するベネフィットは示されなかった。12ヵ月時点のRSIスコアは、ランソプラゾール群16.0(95%CI:13.6~18.4)、プラセボ群13.6(11.7~15.5)であった(推定群間差:2.4ポイント、95%CI:-0.6~5.4)。

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原発性腋窩多汗症を治療する日本初の保険適用外用薬「エクロックゲル5%」【下平博士のDIノート】第66回

原発性腋窩多汗症を治療する日本初の保険適用外用薬「エクロックゲル5%」今回は、原発性腋窩多汗症治療薬「ソフピロニウム臭化物ゲル(商品名:エクロックゲル5%、製造販売元:科研製薬)」を紹介します。本剤は、腋窩の発汗を抑制することで、多汗症に伴う患者の精神的苦痛の緩和やQOLの向上が期待されています。<効能・効果>本剤は、原発性腋窩多汗症の適応で、2020年9月25日に承認され、同年11月26日より発売されています。<用法・用量>1日1回、適量を腋窩に塗布します。なお、塗布部位に創傷や湿疹・皮膚炎などが見られる患者では使用しないことが望ましいとされています。<安全性>国内第III相二重盲検比較試験において、副作用は141例中23例(16.3%)で報告されています。主なものは、適用部位皮膚炎9例(6.4%)、適用部位紅斑8例(5.7%)、適用部位そう痒感3例(2.1%)でした。また、国内第III相長期投与試験においては、本剤が投与された2群の計185例中78例(42.2%)で副作用が報告されています。主なものは、適用部位皮膚炎51例(27.6%)、適用部位湿疹13例(7.0%)、適用部位紅斑11例(5.9%)、適用部位そう痒感6例(3.2%)、散瞳3例(1.6%)、霧視1例(0.5%)でした。<患者さんへの指導例>1.この薬は、汗を分泌するエクリン汗腺の受容体をブロックすることで、過剰な発汗を抑えます。2.使用前に、腋窩(わき)の水気をタオルなどでよく拭き取ります。ボトルからキャップと塗布具(アプリケーター)を外し、ポンプ1押し分の薬液をアプリケーターに乗せ、片方のわき全体に塗布してください。もう一方のわきにも同様にポンプ1押し分の薬液を塗布します。3.使用後にアプリケーターに残った薬液は、ティッシュペーパーなどで拭き取るか、水で洗い流してください。4.薬液を直接手に乗せて塗布しないでください。手に薬液が付着した場合は、絶対に顔や目を触らず、すぐに手を洗ってください。薬液が目に入った場合はまぶしさや刺激を感じることがあります。慌てず、すぐに水で洗い流してください。5.わきに薬液を塗った後は、乾くまで寝具や衣服に触れないように注意してください。塗り忘れを防ぐために、起床時や入浴後など、薬を塗るタイミングを決めておきましょう。6.本剤にはアルコールが含まれるため、火気の近くでの保存および使用は避けてください。<Shimo's eyes>原発性腋窩多汗症は、温熱や精神的負荷の有無に関係なく腋窩に大量の汗をかく疾患で、頻繁な衣服交換やシャワーが必要になるなど患者の日常生活に支障を来します。汗じみや臭いが気になり、精神的な苦痛を受ける患者が多いともいわれています。原発性腋窩多汗症に対する治療の第1選択は、塩化アルミニウムの外用療法ですが、塩化アルミニウムローションは保険適用がなく、これまで院内製剤として処方されていました。重度の場合には、A型ボツリヌス毒素の皮内投与が選択されますが、その処置は実技講習を受けた医師に限定されています。本剤は、わが国で初めて保険適用のある原発性腋窩多汗症の外用薬で、1日1回両腋窩に塗ることで、エクリン汗腺に発現するムスカリン受容体サブタイプのM3を介したコリン作動性反応を阻害し、発汗を抑制します。この抗コリン作用のため、閉塞隅角緑内障の患者および前立腺肥大による排尿障害がある患者では禁忌となっています。また、手足など腋窩以外の部位には使用できません。12歳未満の小児に対しては、臨床試験における使用経験がないため注意が必要です。1本には14日分(28回分)が充填されています。アプリケーターを使用することで手が薬液に触れることなく塗布できますが、添加物として無水エタノールが含まれるため、アルコール過敏症の患者には注意して使うよう伝えましょう。参考1)PMDA 添付文書 エクロックゲル5%

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ドイツの救急医療【空手家心臓外科医、ドイツ武者修行の旅】第25回

突然ですが、ドイツには救急専門医がいません。“Unfallchirurgie”と言って、整形外科をベースとした外傷外科チームは存在しますが、いわゆる北米型ERを専門としたDr.は存在しません。そのため地域によって救急医療のあり方はさまざまです。現在、私が住んでいるグライフスヴァルトでは大きな大学病院があって、救急症例はすべてそこで対処されます。建物の一角に申し訳程度の救急外来があって、ナースが初診をとって、トリアージします。その後、必要と思われる診療科の先生を呼んで対応する形式をとっています。救急車で搬送された患者は救急隊員のトリアージの下、それぞれの専門病棟に直接運ばれ、診療を受けることになります(病棟内に外来があります)。以前住んでいた地区には大きな総合病院がありませんでしたが、その中でも比較的大きな総合病院があって、「地域の開業医の先生が持ち回りで救急外来を回す」というシステムをとっていました。救急専門医がないのは、先述の“Unfallchirurgie”(外傷外科)の力が強いせいだと聞きましたが…実際のところはよくわかりません。ただ、救急認定医(?)のような制度は存在します。医師会が講習会を主催し、規定の時間をドクターヘリやドクターカーやらの業務に携わったりして、取得するそうです。ドイツのドクターヘリはフル活動ドイツではドクターヘリが数種類あって、それぞれ母体が違うようです。日本で言うところの日本自動車連盟(JAF)が飛ばしているヘリもあります。センター化が進んでいるドイツでは、自ずと患者の長距離移動が増えるため、ドクターヘリがガンガン飛んでいます。病院間搬送に使われることも多くて、夜間でも普通に飛びます。修正が迫られるドイツの救急医療ドイツでは医師免許取得後、いきなり専門研修に入ります。にも関わらず、専門医が救急症例の初診を行うことを求められることになります。昨年から、心臓外科専門医研修でも半年の救急ローテーションが必須になりました。おそらく医師会にも「救急医療を改善しなくてはいけない」という認識はあるようです。こうした現状では、救急の先生にとっては、ドイツで学ぶことはあまり多くないかも知れません…。

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第43回 ブラジルで広まるコロナ変異株P.1の再感染しやすさの検討が必要/去年の新発見を疑問視

ブラジルで広まるコロナ変異株P.1の再感染しやすさの検討が必要ブラジルでは急速に新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)感染(COVID-19)が広まり、アマゾン地域の流行はとりわけ強烈でした。同地域の最大都市で200万人超が暮らすマナウスでは実に4人に3人(76%)が10月までにCOVID-19を経たと献血検体の抗体を調べた試験で推定されています1)。4人に3人が感染したとなれば感染増加を防ぐ集団免疫の想定水準を十分に満たします。しかしそれにもかかわらず最近になってマナウスでCOVID-19が再び増え始めたことは試験に携わった英国インペリアル大学(Imperial College London)のウイルス学者Nuno Faria氏を驚かせました2)。ウイルスが行き渡ったことと病院がCOVID-19患者で再び混雑することは同氏によれば両立し難いことだからです。マナウスの新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)のゲノム情報は乏しく、去年の春に採取されたものの記録しか存在しません3)。そこでFaria氏等は今どうなっているかを探るべく、COVID-19が再び急増し始めた時期と重なる去年12月中旬にマナウスで集めた検体のSARS-CoV-2ゲノムを読み取りました。その結果、31の検体の半数近い42%(13/31) から新たなSARS-CoV-2変異株が見つかり、P.1(descendent of B.1.1.28)と名付けられました3)。P.1は去年2020年の3月から11月にマナウスで採取された検体には存在せず、同市で先立って蔓延したSARS-CoV-2のおかげで備わった免疫を交わして感染しうる恐れがあり、すでに感染を経た人への再感染しやすさを調べる必要があるとFaria氏等は言っています2)。その問いを解くのにおそらく参考になる研究はすでに始まっています。サンパウロ大学の分子生物学者Ester Sabino氏はマナウスでの再感染の同定を開始しており、この1月からはマナウスでの検体のウイルス配列をより多く読んでP.1の広まりも追跡しています。英国で広まっていることが最初に判明してその後世界中に広まったSARS-CoV-2変異株B.1.1.7と同様にP.1もすでに国境をまたいでおり、ブラジルから日本への渡航者から見つかった変異株が後にP.1と判明しています2)。英国はSARS-CoV-2に発生する変異の影響を調べる取り組みG2P-UKを先週末15日に発表しました4)。世界保健機関(WHO)は変異株の監視や研究の協調を後押ししており、先週初めの12日の会議5)ではワクチンを接種した人や感染を経た人の血漿やウイルス検体を保管するバイオバンク体制を設けて試験に役立てる計画が話し合われています2)。本連載で紹介した新たな唾液腺発見の報告が疑問視されている新たな唾液腺(tubarial glands)を発見したという去年の報告を年初に本連載(第41回)で紹介しましたが、その報告を疑問視する意見がその出版雑誌Radiotherapy & Oncologyに複数寄せられているとわかりました。たとえば1つは新規性を疑うもので、tubarial glandsの特徴に見合う構造の存在は100年以上前から把握されていたとスタンフォード大学のAlbert Mudry氏等は指摘しています6,7)。また、唾液腺と分類することの妥当性も疑問視されています8)。その存在位置をみるに口腔に腺液は届きそうになく、唾液の生成には寄与していなさそうです。また、唾液の主成分アミラーゼもなく、唾液腺とみなすのは無理と指摘されています6)。臓器であれ技術であれ完全なる新発見を主張する報告をMudry氏はどれも疑ってかかります6)。というのも新規性の立証のために過去の報告を洗いざらい調べることを著者はたいてい怠るからです。Mudry氏によると1800年代に解剖学者2人や耳科医が既にtubarial glandsの領域の腺の存在を記録しています。新たな腺をひねり出そうとするのではなく別の観点を考察すればよかったのにとブラジルの口腔病理医Daniel Cohen Goldemberg氏は言っています。研究自体は優れているのだから撤回せずに訂正して残すべきと同氏は考えています6)。Cohen Goldemberg氏もRadiotherapy & Oncologyへの意見9)の投稿者の1人です。参考1)Buss LF, et al. Science. 2021 Jan 15;371:288-292.2)New coronavirus variants could cause more reinfections, require updated vaccines / Science3)Genomic characterisation of an emergent SARS-CoV-2 lineage in Manaus: preliminary findings / virological.org4)National consortium to study threats of new SARS-CoV-2 variants / UK Research and Innovation5)Global scientists double down on SARS-CoV-2 variants research at WHO-hosted forum / WHO6)Scientists Question Discovery of New Human Salivary Gland / TheScientist7)Mudry A, et al. Radiother Oncol. 2020 Dec 10:S0167-8140:31222-6. 8)Bikker FJ, et al. Radiother Oncol. 2020 Dec 10:S0167-8140:31224-X.9)Cohen Goldemberg D, et al. Radiother Oncol. 2020 Dec 11:S0167-8140:31223-8.

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診療所の新型コロナ感染対策、Web問診サービスを1年無償で提供/Ubie

 新型コロナウイルス感染症(COVID-19)拡大を受け、Ubie株式会社は「AI問診ユビー for クリニック」を、全国のクリニックに向けて利用料1年分(12万円相当)無償で緊急提供することをプレスリリースで発表した。2021年1月8日~2月26日までの契約開始を条件に、利用開始日から1年間の無償期間を設ける。 なお、内科系・整形外科・一般外科系のクリニックが対象とされ、タブレット導入費、電子カルテ連携費、通信費などの実費は、医療機関による負担となる。Web問診が支援する新型コロナ感染対策 「AI問診ユビー for クリニック」とは、問診業務とカルテ作成業務をデジタル化したWeb問診サービス。患者が診察前の待ち時間にタブレットを使って症状を入力すると、電子カルテに最適化された文章として問診内容が自動出力されるため、事務作業が大幅に削減できる。 医師やスタッフの業務効率化に加え、患者の滞在時間短縮により院内感染リスクの低減が図れるほか、医療機関の予約サイト上などに来院前問診機能を搭載すると、患者が自身の端末を用いて自宅で回答した内容をあらかじめ聴取した状態で診察可能となる。クリニックの負担軽減で、医療崩壊の抑制を目指す 「AI問診ユビー for クリニック」の導入により、これまで紙もしくは口頭で行っていた問診が、スマホやタブレットに置き換わることで、クリニックの負担軽減を支援する。すでに複数の医療機関で実証されたサービスを、今回全国のクリニックに緊急提供し、医療崩壊の抑制に寄与する考え。《申し込み方法》導入希望のクリニックは、下記専用ページ内のフォームから申し込み可能。専用ページ

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AIで早期大腸がんをリアルタイムに発見/国立がん研究センター

 国立がん研究センターと日本電気が共同で開発した人工知能(AI)を用いた早期大腸がんおよび前がん病変を内視鏡検査時にリアルタイムに発見するソフトウェアが2020年11月30日に日本で医療機器として承認された。また、欧州においても同年12月24日に医療機器製品の基準となるCEマークの要件に適合した。 同ソフトウェアは、国立がん研究センター中央病院内視鏡科に蓄積された画像でトレーニングされたAIを用い、大腸内視鏡検査時に大腸前がん病変および早期大腸がんをリアルタイムに自動検出することができる。また、検出した情報をリアルタイムに医師にフィードバックすることで、内視鏡医の病変の発見をサポートし、医師とAIが一体となり診断精度の改善・向上が期待される。 本開発研究は、国立がん研究センター中央病院と研究所の連携で行っているトランスレーショナル・リサーチである「人工知能を用いた統合的ながん医療システムの開発」(研究代表者:浜本隆二)のプロジェクトのひとつとして行われた。■参考国立がん研究センタープレスリリース

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ベンゾジアゼピン依存症自己申告アンケート日本語版を用いた睡眠薬使用障害の現状調査

 ベンゾジアゼピン(BZD)受容体作動薬は、不眠症治療において頻繁に用いられるが、長期使用は推奨されていない。適切な薬物療法を行うためには、BZD依存に関する現状や背景を明らかにする必要がある。東京女子医科大学の山本 舞氏らは、BZD依存症自己申告アンケート日本語版(Bendep-SRQ-J)を開発し、BZD使用障害に関する研究を実施した。Neuropsychopharmacology Reports誌オンライン版2020年12月1日号の報告。 開発元の許可を得てBendep-SRQ-Jを作成した。対象は、2012~13年にBZD治療を行った入院および外来患者。Bendep-SRQ-Jスコア、睡眠障害、身体的併存疾患、向精神薬、ライフスタイルに関するデータを収集した。症状重症度に関連する因子を特定するため、ロジスティック分析を行った。 主な結果は以下のとおり。・BZDが投与された707例中、324例は自発的にBZDの減量または中止を行っていた。・ロジスティック分析では、過去6ヵ月間に投与された総薬剤数は、症状または状態の悪化と関連していることが示唆された。・この関連は、若年患者でより顕著に認められ、症状または状態がより重度の患者の割合は、薬剤数の増加とともに上昇した。 著者らは「BZD治療を行った患者の約半数は、コンプライアンスが不良であった。投与された薬剤数が増加すると、重度の症状を有する患者の割合の上昇がみられた。これらの知見は、とくに若年患者や複数の睡眠薬を投与された患者では、BZD依存症の可能性を考慮する必要性が示唆された」としている。

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コロナ病床は簡単には増やせない、医療壊滅を防ぐために/日医

 感染者数の増加が続き、各地で医療体制のひっ迫が叫ばれる中、日本の医療体制の在り方についても様々な意見が報道・発信されている。1月13日の日本医師会定例記者会見において、中川 俊男会長は改めて国民に対し協力を要請するとともに、日本の医療提供体制の現状を説明し、日医として引き続き行っていく働きかけ、施策について説明した。民間病院の新型コロナ患者受け入れが約20%である背景 公立・公的等病院の新型コロナウイルス感染症(COVID-19)受け入れ割合が約70~80%である一方、民間病院が約20%というデータに対し、より多くの民間病院が新型コロナ患者を受け入れるべきという意見がある。中川氏は、「医療を必要とするのは新型コロナ患者だけではない。民間病院の多くは、新型コロナ以外の救急・入院が必要な患者への医療を、それぞれの地域で担っている」と民間病院が新型コロナ診療を含む地域医療を面で支えていることを強調した。 加えて、新型コロナ患者向けの病床を大幅に増やせない要因として、民間病院は、三次救急を担う公立・公的等に比べてICU等の設置数が少なく、専門の医療従事者がおらず、病床数が数床規模の場合がほとんどで動線の分離が難しいことなどを挙げた。 このまま感染者数の増加が続けば、必要な時に適切な医療を提供できない「医療崩壊」から必要な時に医療自体を提供できない「医療壊滅」に至るとし、「地域の医療提供体制は、新型コロナウイルス感染症の医療とそれ以外の通常の医療が両立してこそ機能していると言える」と強調。首都圏などにおいて、心筋梗塞や脳卒中患者の受け入れ先が見つからず、がんの手術が延期されるなどが現実化しており、一部ではすでに医療崩壊の状態であるとした。宿泊療養・自宅療養者のフォローアップに注力が必要 日本医師会としては、「必要な地域で1床でも多くの新型コロナ病床の確保が可能となるよう努力していくことには変わりない」と話し、加えて、宿泊療養・自宅療養者の健康フォローアップがより重要となってきているとした。 昨年4月以降、日本医師会では各地の医師会が組織する新型コロナウイルス感染症版の災害医療チーム「COVID19-JMAT」(1月12日現在、医師10,191名をはじめ延べ27,291名)を、宿泊療養施設や地域外来・検査センター等へ派遣しているほか、行政などからの求めに応じ電話やオンラインを利用した、宿泊療養・自宅療養者の健康フォローアップへの協力を行っている。中川氏はこれを改めて働きかけていくと話した。医師がコーディネーターとして機能、保健所の負担軽減が実現した好事例も 続いて登壇した釜萢 敏常任理事は、「年末年始の医療提供体制等に関する調査」の結果について報告。同調査は、年末年始における各地の医療提供体制の構築状況や問題点を把握するために都道府県/群市区医師会に対し昨年末時点で実施したもの。年末年始の医療提供体制の構築状況について聞いたところ、都道府県医師会では約80%、郡市区医師会では約60%、構築されているとの回答であった。 具体的な対応としては、各医療機関が「診療・検査医療機関」として機能するよう準備・調整、休日診療所や急患センターの人員増強や発熱外来の設置、休日当番医の拡充、PCR検査センターの設置、年末年始に従事する人員の増強、初期救急の実施、検査機器の導入、公立病院への応援医師の派遣などが挙げられた。 年末年始に限らない今後の課題として、釜萢氏は人材不足が主要因となり、「医療機関および保健所において、相談・受診をした患者への適切なトリアージが滞っている」「保健所・行政と医師会との連携がうまくいっていない」ケースがあることを挙げた。また、患者の宿泊療養施設が確保されていない地域が少なくないことに触れ、「厚生労働省と課題を共有し、きめ細かい対応に努めていく」と話した。 一方で同調査には、呼吸器感染症の専門医(民間大学教授)にコーディネーター(キーマン)役を依頼し、全患者の各医療機関と宿泊療養施設間の振り分けを依頼することで患者の状態に応じた転院がスムーズに行われているといった好事例の報告もあった。

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うつ症状が心血管疾患発症と関連/JAMA

 22コホート・参加者56万3,255例のデータを包含したプール解析において、ベースラインのうつ症状は心血管疾患(CVD)と関連していることを、英国・ケンブリッジ大学のEric L. Harshfield氏らEmerging Risk Factors Collaboration(ERFC)研究グループが明らかにした。ただし、症状レベルは大うつ病性障害を示す閾値よりも低く、関連の程度はわずかであった。これまで、うつ症状が独立してCVD発症と関連するかどうかは不明であった。JAMA誌2020年12月15日号掲載の報告。22コホート・56万3,255例のデータをプール解析 研究グループは、気分の落ち込みを含むうつ症状とCVD発生の関連を明らかにする目的で、Emerging Risk Factors Collaboration(21コホート・16万2,036例、ベースラインサーベイ期間:1960~2008年、最終フォローアップ:2020年3月)と、UK Biobank(40万1,219例、ベースラインサーベイ期間:2006~2010年、最終フォローアップ:2020年3月)の被験者データを基にプール解析を行った。適格被験者は、ベースラインでうつ症状を自己申告しており、CVD歴はなかった。 被験者のうつ症状は、検証済みの評価ツールを用いて記録。ERFC被験者のうつ病スコアは、Center for Epidemiological Studies Depression(CES-D)スケールをコホート全体に反映して調整したうえで評価が行われた(スコア範囲:0~60、16以上がうつ病性障害の可能性を示す)。UK Biobankでは、2-item Patient Health Questionnaire 2(PHQ-2、スコア範囲:0~6、3以上がうつ病性障害の可能性を示す)で記録された。 主要アウトカムは、致死的または非致死的の冠動脈疾患(CHD)、脳卒中、およびCVD(両者を併発)の発生であった。 年齢、性別、喫煙歴、糖尿病で補正後のCES-DまたはPHQ-2スコアの1-SD上昇当たりのハザード比(HR)を算出して評価した。うつスコア上昇に伴いCHD、脳卒中、CVDとも発生率増大 ERFC被験者16万2,036例(女性73%、ベースライン平均年齢:63歳[SD 9])では、CHD 5,078例、脳卒中3,932例の発生が記録された(追跡期間中央値:9.5年)。 CHD、脳卒中、およびCVDとの関連性は顕著な対数線形を示した。うつ病スコア1-SD上昇当たりのHRは、CHDが1.07(95%信頼区間[CI]:1.03~1.11)、脳卒中が1.05(1.01~1.10)、CVDが1.06(1.04~1.08)であった。CES-Dスコアの最高四分位(幾何平均スコア19)vs.最低四分位(同1)でみた1万人年当たりの発生率は、CHDイベントが36.3 vs.29.0、脳卒中イベントは28.0 vs.24.7、CVDイベントは62.8 vs.53.5であった。 UK Biobank被験者40万1,219例(女性55%、ベースライン平均年齢56歳[SD 8])では、CHD 4,607例、脳卒中3,253例の発生が記録された(追跡期間中央値:8.1年)。 うつ病スコア1-SD上昇当たりのHRは、CHDが1.11(95%CI:1.08~1.14)、脳卒中が1.10(1.06~1.14)、CVDが1.10(1.08~1.13)であった。PHQ-2スコアの4以上vs.0でみた1万人年当たりの発生率は、CHDイベントが20.9 vs.14.2、脳卒中イベントは15.3 vs.10.2、CVDイベントは36.2 vs.24.5であった。 HRの大きさと統計学的有意性は、追加リスク因子で補正後も実質的に変化はみられなかった。

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第38回 新型コロナワクチン接種開始に向けた具体的なスケジュール

<先週の動き>1.新型コロナワクチン接種開始に向けた具体的なスケジュール2.医師免許のマイナンバーカード搭載、2024年度から運用開始3.処方箋も紙から電子へ、2022年夏までにシステムを構築4.特別措置法と感染症法改正、通常国会に向けた尾身分科会長の基本方針5.今季のインフルエンザ141例、過去5年で最小/JMIRI6.コロナウイルスの猛威、老人福祉・介護事業者を直撃1.新型コロナワクチン接種開始に向けた具体的なスケジュール厚生労働省は、各都道府県に対し、通知「医療従事者等への新型コロナウイルス感染症に係る予防接種を行う体制の構築について」を発出した。医療従事者へのワクチンは、一般の接種と同様に市町村が主体となり、契約を締結した医療機関などにおいて実施されることとなった。対象となる「医療従事者等」には、以下が含まれる見込みである。1)病院、診療所において、新型コロナウイルス感染症患者(疑い患者を含む、以下同様)に頻繁に接する機会のある医師、その他の職員。2)薬局において、新型コロナウイルス感染症患者に頻繁に接する機会のある薬剤師その他の職員(登録販売者を含む)。3)新型コロナウイルス感染症患者を搬送する救急隊員など、海上保安庁職員、自衛隊職員。4)自治体などの新型コロナウイルス感染症対策業務において、新型コロナウイルス感染症患者に頻繁に接する業務を行う者。なお、(1)(2)は医療関係団体が、(3)(4)は都道府県が取りまとめを行う。接種場所については、全国で1,500施設に2月末までにディープフリーザーを配置するとされ、その配置先を「基本型接種施設」として接種を実施するほか、近隣に所在し、当該施設から冷蔵でワクチンの移送を受ける「連携型接種施設」において接種を実施することとなる。在庫管理などには、ワクチン接種円滑化システム(V-SYS)が用いられる。接種開始に向けた具体的な作業期限も1月末~2月上旬に定められ、各自治体や医師会、歯科医師会、薬剤師会、病院団体など地域の医療関係団体は体制整備を急ぐ必要がある。(参考)医療従事者等への新型コロナウイルス感染症に係る予防接種を行う体制の構築について(健健発0108第1号 令和3年1月8日)(厚労省)「新型コロナウイルス感染症に係る予防接種の実施に係る手引き(初版)」(同)ワクチン接種、全国1万か所拠点に…氷点下75度の超低温冷凍庫を配備(読売新聞)2.医師免許のマイナンバーカード搭載、2024年度から運用開始厚労省は「社会保障に係る資格におけるマイナンバー制度利活用に関する検討会」の報告書を公表した。社会保障に係る31資格におけるマイナンバー制度の利活用に関して、届出の簡素化およびオンライン化、マイナポータルを活用した資格保有の証明、提示、人材活用などについてこれまでの議論をまとめている。今後、新規資格取得者については、各資格団体や事業者団体の協力を得て、免許証など申請書の提出時にマイナンバーの提供を求める呼び掛けが行われることになる。なお、実際の運用はデジタル・ガバメント実行計画に基づいて、2024年度に開始される見込み。(参考)「社会保障に係る資格におけるマイナンバー制度利活用に関する検討会 報告書」を公表します(厚労省)医師免許もマイナンバーカードに デジタル改革関連6法案の全容判明(産経新聞)3.処方箋も紙から電子へ、2022年夏までにシステム構築1月13日に開催された、第139回社会保障審議会医療保険部会において、電子処方箋の仕組みの構築について討論された。電子処方箋については、現在、導入を進めているオンライン資格確認の基盤を活用して2022年夏頃を目処に構築する。これにより、待ち時間の短縮や直近の処方・調剤情報の参照、重複投薬防止などメリットが期待される。運営主体は社会保険診療報酬支払基金および国民健康保険中央会があたり、すべての機能が稼働する2023年度でおよそ9.8億円の運用費用が見込まれている。一方、医療機関・薬局におけるオンライン資格確認の普及状況は、顔認証付きカードリーダー申し込み数が22万8,321施設中4万8,866施設(21.4%)であり、病院が29.4%に対して、医科診療所は14.5%と、クリニックなどで申請が遅れていることが明らかとなった。なお、公的医療機関などにおける申込率は、国立病院機構97.1%、労働者健康安全機構100%、JCHO98.2%と対照的であった。これに対して、周知が不十分であることや、マイナンバーカードの普及率が伸び悩んでいる現状での様子見、新型コロナウイルス感染症の影響もあるとし、追加的な財政支援策を周知するために、全医療機関などに対してリーフレットを再送付するなど働きかけを実施する予定。(参考)電子処方箋の仕組みの構築について(厚労省)オンライン資格確認導入に向けた準備作業の手引き(医療機関・薬局の方々へ)(同)4.特別措置法と感染症法改正、通常国会に向けた尾身分科会長の基本方針18日に召集される通常国会で、政府は、新型コロナウイルス対策の実効性を高めるための特別措置法や感染症法の改正案を提出する見通しとなっている。これに先立ち、15日の新型コロナウイルス感染症対策分科会で、尾身分科会長から提言について基本方針が示された。コロナウイルス患者の急増に対して、直ちに取り組むべき課題として、基本原則の維持を大前提としつつ、特別措置法は、都道府県知事からの要請にも十分な協力を得られるように早期に結論を出すことなどを求めた。感染症法でも、医療提供体制に関して、病床確保や入院調整については都道府県が総合調整の役割を果たすべきであり、入院の総合調整は都道府県の役割であることを法律上明確にするほか、クラスター発生時の人材派遣のあり方についてもより効率的・効果的な仕組みを検討する必要があるとした。(参考)新型インフルエンザ等対策特別措置法及び感染症法の改正に関しての基本的な考え(案)(尾身分科会長 提出資料)政府 通常国会にコロナ特別措置法改正案など63法案提出へ(NHK)5.今季のインフルエンザ141例、過去5年で最小/JMIRI今シーズンのインフルエンザの患者数は202年12月時点で2019年12月と比較して338分の1の141例と、過去5年で最小であることが明らかとなった。調剤薬局の処方データを元に処方箋データベースを運用、解析している医療情報総合研究所(通称JMIRI)が14日に発表した調査結果によると、とくに10歳未満のインフルエンザ患者数が激減していることからも、手洗いうがいなどの推奨により、保育園や幼稚園などで感染拡大が抑えられていることがわかる。例年インフルエンザは1~2月にかけて感染のピークを迎えるため、引き続き注意が必要であるが、コロナウイルス感染対策によって、この傾向が続くと見られる。(参考)インフルエンザ患者数は前年同月比 338 分の1 未成年、特に10歳未満のインフルエンザ患者数が大幅に減少~JMIRI 処方情報データベースにおける調査より~(医療情報総合研究所)20年12月 インフルエンザの流行みられず 患者数、直近5年間平均の169分の1 JMIRI調べ(ミクスオンライン)6.老人福祉・介護事業者の倒産件数、2000年以降最多2020年の老人福祉・介護事業の倒産件数が118件と、2000年の介護保険法施行以降で過去最多であることが明らかとなった。新型コロナウイルス感染拡大で、サービス利用者が減少し、さらに人手不足などによる経営状況の悪化が引き金となったとみられる。業種別では、「訪問介護事業」が56件と半数近く、負債総額はほとんどが1億円未満であり、経営基盤が脆弱なところが多かった。厚労省は2021年度の介護報酬を0.7%引き上げ、介護サービス事業者の経営を支援する方針だが、今年に入ってもコロナウイルス感染拡大が続き、経営の見通しは決して明るくない。今後、介護サービス提供の現場では、さらなる支援を求める声が上がると思われる。(参考)2020年「老人福祉・介護事業」の倒産状況(東京商工リサーチ)東京商工リサーチ、2020年「老人福祉・介護事業」の倒産状況調査結果を発表(日経新聞)

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「時間軸を考えた急性心不全治療」でも病態の把握は必要である(解説:原田 和昌 氏)-1343

 わが国の代表的な登録研究である、東京都CCUネットワーク登録において急性心不全患者(平均77歳)の院内死亡率は約8%と依然として高く、いくつかの心不全登録研究における30日の再入院率も5~6%で近年まったく改善していない。ガイドラインでは、中用量の利尿薬、早期の硝酸薬開始、必要なら非侵襲的陽圧呼吸(NPPV)、増悪因子(ACS、AF、感染など)の探索と治療を推奨している。 ELISABETH試験は、Mebazaa氏がフランスの15施設にて行った、クラスター(施設などの一つのまとまり)レベルで介入時期をランダム化し、順番に観察期から介入期に移行(介入の導入時期をずらして順次適用)し、介入の優越性を検定する非盲検のデザインの試験である。救急入院した高齢者急性心不全患者の予後を、(投与時間も規定されている)推奨の治療セットが改善するかを調べたが、事前規定の治療セット群と、担当医に治療を任せた群とで、生存日数、30日の再入院率に差はなかった。 そもそも急性心不全の治療のエビデンスは多くない。3CPO試験ではNPPVにより、急性心原性肺水腫で入院した患者の症状がより迅速に解消されたが、標準的な酸素療法と比較して生存に影響はなかった。しかし、わが国のADHERE登録によると血管作動薬(強心薬あるいは血管拡張薬)による治療が遅れるほど院内死亡率が有意に高くなり、また、末永氏らの研究によると利尿薬治療を1時間以内に行うことで院内死亡率が低下したことから、「時間軸を考えた急性心不全治療」(発症から早期の治療が予後を改善する)という概念が作られた。 急性心不全の初期対応の目的は、できるだけ短時間に診断を行い、早期に治療介入することで、循環動態と呼吸状態の安定化を図ることにある。急性心不全の病態生理は3つに大別される。1)急性肺水腫:神経体液因子の亢進が中心で心拍出量の低下が少ない場合、血圧が上昇し、左室の後負荷上昇により心拍出量が低下する。治療はNPPVによる速やかな酸素化の改善と血管拡張薬(硝酸薬)による後負荷の低下である。2)体液貯留:LVEDPが上昇し左室が拡大することで、心拍出量を保とうとする。利尿薬(フロセミド)の静注が第1選択である。尿量が増加しないなら、利尿薬の増量か他の利尿薬を併用する。3)低心拍出・低灌流:非常に高いLVEDPでなければ心拍出量が維持できない状態、または体液量が不足した状態で、末梢循環不全の指標の乳酸値が上昇する。補液、強心薬、ないしは機械的循環補助が必要となる。 急性心不全の治療に関するわが国のガイドラインを概説する。まず、患者の救命と生命徴候の安定化(10分以内):CS3(<100mmHg)に相当する低心拍出・低灌流、ショックでは、速やかに強心薬や機械的循環補助の必要性を判断して、施行する。次に、血行動態の改善と酸素化の維持(次の60分以内):呼吸不全があり、必要なら酸素吸入、NPPV、気管内挿管を行う。高齢者ではNasal High Flowも選択肢の一つである。そして、呼吸困難などのうっ血症状・徴候の改善:大まかにCS1(>140mmHg)は急性肺水腫、CS2(100~140mmHg)は体液貯留に相当するため、CS1では血管拡張薬(硝酸薬)、CS2では利尿薬静注が有効であることが多い。 引き続いて速やかに心エコー検査を施行して病態診断を行う。臓器障害の進展予防:CS1に血管拡張薬、CS2に利尿薬の投与が必ずしも適切でないことがある。CS1でも約半数がEFの低下した体液貯留であることから、少量の利尿薬が有効なことが多いが、残りの半分のHFpEFに対する利尿薬の大量投与はWRF(worsening renal function)を来して予後を悪化することがある。また、血圧が低め(<140mmHg)のCS2に血管拡張薬を使用すると院内死亡が高くなる(白石氏ら、東京都CCUネットワーク登録研究)。初期対応で開始した治療については、心不全症状および体重変化などにより病態の変化を再評価し、必要に応じて速やかに修正、最適化する。 Mebazaa氏は、心エコー所見や病態に関係なく、入院1時間以内にフロセミド40mg(または日常使用量)静注と硝酸薬の静注(血圧100mmHgに至るまで用量調節)を開始するという治療セットを用いて、「時間軸を考えた急性心不全治療」が予後を改善するということを証明しようとしたが、うまくいかなかった。この時代、AIにより心エコー所見や病態に基づく個別化治療のアルゴリズムを作り、それを検証するほうがむしろ現実的かもしれない。

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ソボッタ解剖学アトラス 原書24版 第1巻 全身解剖・筋骨格系―電子書籍付

あの「ソボッタ」が帰ってきた!解剖学の世界的古典、『ソボッタ解剖学アトラス』が再び日本に戻ってきました。世界数十ヵ国で翻訳され、発行累計も数十万部。世界中の学生が今も昔も解剖学といえば「Sobotta  Atlas of Anatomy」で学ぶなか、今回はさらなるパワフルコンテンツ「e-Sobotta」も加わり、精緻な解剖図譜は自在に活用できます。日本語版の電子書籍付きです。この1冊で、紙も電子もオンラインも楽しめる仕様です。第2巻:体幹(内臓系)は2021年秋頃、第3巻:頭頸部・神経系は2021年、年末頃の刊行予定です。画像をクリックすると、内容の一部をご覧いただけます。※ご使用のブラウザによりPDFが読み込めない場合がございます。PDFはAdobe Readerでの閲覧をお願いいたします。画像をクリックすると、内容の一部をご覧いただけます。※ご使用のブラウザによりPDFが読み込めない場合がございます。PDFはAdobe Readerでの閲覧をお願いいたします。    ソボッタ解剖学アトラス 原書24版 第1巻 全身解剖・筋骨格系―電子書籍付定価8,500円 + 税判型A4変形判頁数552頁発行2021年1月訳者山田 重人原著者Friedrich Paulsen, Jens Waschke

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パンデミック再び、ICUで苦悩するコロナ治療【臨床留学通信 from NY】第16回

第16回:パンデミック再び、ICUで苦悩するコロナ治療ご存じの通り、こちら米国ニューヨークは2020年4月に最もひどいパンデミックの中心地となりました。痛い目に逢った教訓から、人々はマスクを着け、ソーシャルディスタンスを保とうと努めていました。欧米においては、もともと日常的にマスクを着ける文化はないため、マスクを着けていること自体に抵抗があるようなのですが、第2波への恐れもあり、ニューヨークの人々は米国の他の州よりもマスクをきちんと着けていた印象です。ところが、9月下旬より学校が再開され、レストランも外ではなく店内での食事が許可されました。さらに、11月下旬のサンクスギビングの週で人々の動きが活発となり、12月上~中旬に新型コロナ第2波が急にやって来ました。人々の行動変化に加え、われわれの以前のデータが示す通り、寒さも関係していると見られます1)。私は、レジデントとしてさまざまな部署をローテートしている最中ですが、12月中旬よりICUに配属され、最前線でコロナ治療に当たりました。16床がほぼ満床、そのうち半分弱がコロナ患者で占められています。残念ながら亡くなる人も多いのですが、空いたベッドには容赦なくすぐに次の患者が入ってくるという状況です。また、医療崩壊が起きていたと見られるクイーンズ地区やブルックリン地区など、マンハッタンの外側の地域からも挿管された患者さんの転院搬送が多く、何とか捌いているという印象です。4月は当初の5倍までベッド数を増やしたICUですが、いまは2~3倍というところに抑えてられています。しかしながら通常のICUではないため、看護師の配置等はどうしても少なめになってしまうのが実情です。治療法は依然、第1波のころからほとんど進歩はなく、抗凝固療法、ステロイドをベースに人工呼吸器管理をするというものです。また、どれほど意味があるのかは不明ですが、酸素化が悪い場合は腹臥位にして無気肺の改善を図ります。やはり、ひとたび人工呼吸器に乗ってしまうと死亡率は非常に高く、われわれの施設のデータから報告されたICUでの死亡率は55%でした2)。サンクスギビングが感染契機となった人もおり、未然に防ぐこともできただけに、とても残念です。サンクスギビングが長らく文化として根付き、家族で集う大事な時だといっても、生命のリスクを追うほどものとは考えられません。抗凝固療法に関しては、Mount Sinai groupから出された観察研究のデータで肯定的な結果3)であったため、わたしの勤務病院でも使用していましたが、すべての人に経験的に使うというのは否定的になりつつあり4)、Dダイマーの数値を基に、経験的に調整している程度です。ステロイドもメタ解析で効果が期待されています5)が、もはや人工呼吸器が必要なほど肺が損傷すると、目に見えて効果を感じることができず6)、われわれのデータが示している通り、長期化すると真菌感染が全面に出てきています。参考1)https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/32762336/2)https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/32720702/3)https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/32860872/4)https://www.hematology.org/covid-19/covid-19-and-pulmonary-embolism5)https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/32876694/6)https://www.jstage.jst.go.jp/article/yoken/advpub/0/advpub_JJID.2020.884/_articleColumn画像を拡大する最前線でレジデントは働いているわけですが、2020年12月14日より、米国ではワクチンの使用が許可され、医療従事者を優先に投与が始まりました。私もICU勤務であることから、他の人より若干早い12月17日にPfizer/BioNTech社のワクチンを受け、今年1月8日に2回目を接種しました。とくにアレルギー等の副反応はなく、筋注なので上腕の筋肉痛が2~3日ありましたが、それもインフルエンザワクチンと同程度でした。

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インフルエンザ【今、知っておきたいワクチンの話】各論 第6回

今回は、ワクチンで予防できる疾患、VPD(vaccine preventable disease)として、「インフルエンザ」を取り上げる。ワクチンで予防できる疾患インフルエンザは、インフルエンザウイルスによる急性呼吸器感染症であり、わが国では毎年12月〜3月頃に流行する。感染経路は飛沫感染や接触感染であり、発熱、頭痛、全身倦怠感、筋肉痛や関節痛が出現し、鼻汁や咳などの呼吸器症状が続くが、いわゆるかぜ症候群と比較して、全身状態が強いことが特徴である。多くは自然回復するが、肺炎、気管支炎、中耳炎、急性脳症などを合併し重症化することもある。免疫が不十分な乳幼児や高齢者、基礎疾患のある場合は、特に重症化しやすいため注意が必要である。手洗いや咳エチケットによる感染対策に加え、ワクチンによる予防が重要な疾患である。ワクチンの概要インフルエンザワクチンの概要を表1に示す。インフルエンザは毎年流行する株が異なることから、WHO(世界保健機関)が推奨する株の中から、期待される有効性や供給可能量などを踏まえた上で、A型2亜型とB型2系統による4価ワクチンが製造されている。表1 インフルエンザワクチン画像を拡大する1)ワクチンの効果インフルエンザウイルスが体内に侵入し(感染)、体内でウイルスが増殖することによって一定の潜伏期間を経た後に症状が出現(発病)する。多くは自然回復するが一部は重い合併症を起こし死亡する場合もある(重症化)。インフルエンザワクチンは、ウイルスの“感染”を完全に抑えることは難しく、“発病”については一定の効果が認められているが麻疹風疹ワクチンのような高い効果はない。最も大きな効果は“重症化”を予防することである。国内の研究では、65歳以上の高齢者福祉施設に入所している高齢者において34〜55%の発病を予防し、82%の死亡を阻止する効果があるとされており、6歳未満の小児を対象とした2015/16シーズンの研究では発病防止に対するインフルエンザワクチンの有効性は約60%と報告されている1)。2)集団免疫による効果図1はある集団における感染症の広がりを示している2)。青は免疫を持っていなくて健康な人、黄は免疫を持っていて健康な人、赤は免疫を持っていなくて感染してしまい感染力のある人である。すべての人が免疫を持っていない集団では、感染力のある人が加わるとあっという間に感染は拡大してしまう(上段)。数名しか免疫を持っていない集団では、感染症は免疫を持っていない人を介して拡大する(中央)。しかし、免疫を持っている人が大多数を占める集団では、感染は広がりにくく、免疫を持っていない少数の人にも感染しにくくなる(下段)。この効果を“集団免疫”という。インフルエンザワクチンには個々の感染、発病予防に対する効果は限定的であるが、多くの人がワクチン接種を行うことにより、集団における感染拡大、重症化予防につながるのである。図1 集団免疫による効果画像を拡大する3)接種対象者生後6ヵ月以上のすべての人が接種対象となるが、乳幼児、高齢者、基礎疾患のある人は重症化リスクが高いため特に推奨される。また、これらの人にうつす可能性がある人(家族、医療従事者、介護者、保育士など)に対しても接種が推奨される。わが国においては、65歳以上の高齢者、もしくは60〜64歳未満で心臓、腎臓もしくは呼吸器の機能障害があって身の回りの生活が極度に制限される人、あるいはヒト免疫不全ウイルスにより免疫機能に障害があって日常生活がほとんど不可能な人は、予防接種法に基づく定期接種の対象となっている。4)接種禁忌と卵アレルギーへの対応インフルエンザワクチンによるアナフィラキシーの既往がある場合を除いて、ほとんどの人が問題なく接種可能である。ワクチンの製造過程で卵白成分が使用されていたため、以前は卵アレルギーがある場合には要注意とされていたが、卵アレルギーのある人に重度のアレルギー反応が起こる可能性が低いことがわかっており、現在では軽度の卵アレルギーでは通常通り接種でき、重症卵アレルギーのある場合でもアレルギー対応可能な医療機関であれば接種可能とされている3)。接種スケジュール(接種時期・接種回数)インフルエンザワクチンの効果持続期間は2週間〜5ヵ月程度である。毎年流行するピークの時期は異なるが、おおよそ12月〜3月に流行するため、10月〜11月頃に接種することが望ましい。わが国におけるインフルエンザワクチン接種量と接種回数については表2の通りである。6ヵ月〜13歳未満は2回接種、13歳以上は1回接種が基本とされているが、諸外国における接種方法とは異なっている。世界保健機関(WHO)においては9歳以上の小児および健康成人では1回接種が適切である旨の見解が示されており、米国予防接種諮問委員会(ACIP)も、9歳以上は1回接種とし、生後6ヵ月〜8歳未満の乳幼児についても前年度2回接種していれば、次年度は1回のみの接種で良いとされている4)。なお、接種回数と効果に関しては、日本のインフルエンザワクチン添付文書において、6ヵ月〜3歳未満では2回接種による抗体価の上昇が認められたものの、3〜13歳未満では1回接種と2回接種とで免疫にほぼ差がなかったというデータが示されている(図2)。表2 わが国におけるインフルエンザワクチン接種量と接種回数画像を拡大する図2 年齢別中和抗体陽転率画像を拡大する日常診療で役立つポイント「ワクチン接種してもインフルエンザにかかったため、効果がないのではないか?」「一度もインフルエンザにかかったことがないから自分は大丈夫」などという理由で、ワクチン接種を希望しないケースも少なくない。前述のように個人免疫としての効果は限定的であるが、重症化しやすい集団を守るためにも、集団免疫の効果について丁寧に説明してワクチン接種につなげていきたい。接種回数については意見が分かれるところであるが、9歳以上は1回接種でも問題がなく、9歳未満の小児においても、3歳以上の場合には前年2回接種していれば1回接種でも良いかもしれない。このあたりについては、本人および家族の希望に加えて、ワクチンの需要と供給のバランスをふまえて、できるだけ多くの人がワクチン接種を受けられるように個々での判断が求められる。今後の課題・展望2020/21シーズンにおいては、インフルエンザと新型コロナウイルス感染症との同時流行が危惧されており、発熱患者の判断について困難が生じてくるものと予想される。現時点において新型コロナウイルス感染症はワクチンでの予防が難しいため、ワクチンのあるインフルエンザの流行をできる限り抑えることが重要である。インフルエンザの感染拡大、重症化予防のためにも、できるだけ多くの人に対して積極的にワクチン接種を行い、地域における集団免疫を獲得できるようにして頂きたい。参考となるサイトこどもとおとなのワクチンサイト予防接種に関するQ&A集.日本ワクチン産業協会1)インフルエンザQ&A.厚生労働省2)Building Trust in Vaccines.NIH(アメリカ国立衛生研究所).3)Flu Vaccine and People with egg allergies.CDC(米国疾病管理予防センター).4)Grohskopf LA,et al. MMWR Recomm Rep.2020;69:1-24.5)インフルエンザHAワクチン(商品名:ビケンHA)添付文書講師紹介

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COVID-19の家庭内感染のリスク因子~54研究のメタ解析

 新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)の家庭(同居世帯)内の感染リスクは、他のコロナウイルス(SARS-CoV、MERS-CoV)より2~4倍高く、「初発患者が症状あり」「接触者が18歳以上」「初発患者の配偶者」「家庭内の接触人数が1人」がリスク因子であることが、米国・フロリダ大学のZachary J. Madewell氏らのメタ解析で示された。JAMA Network Open誌2020年12月14日号に掲載。 著者らは、PubMedにおいて2020年10月19日までの論文を検索し、系統的レビューおよびメタ解析を行った。主要評価項目は、SARS-CoV-2および他のコロナウイルスにおける、共変量(接触者が家庭もしくは別居家族を含めた家族、初発患者の症状の有無、初発患者が18歳以上もしくは18歳未満、接触者の性別、初発患者との関係、初発患者が成人もしくは子供、初発患者の性別、家庭内の接触人数)で分類し推定した2次発症率。 主な結果は以下のとおり。・家庭内2次発症者7万7,758例を報告した54研究を特定した。・SARS-CoV-2の推定家庭内2次発症率(95%信頼区間)は16.6%(14.0~19.3)で、SARS-CoVの7.5%(4.8~10.7)およびMERS-CoVの4.7%(0.9~10.7)より高かった。・家庭内2次発症率(95%信頼区間)に差がみられた共変量は以下のとおり。 - 初発患者の症状:あり 18.0%(14.2~22.1)、なし 0.7%(0~4.9) - 接触者の年齢:18歳以上 28.3%(20.2~37.1)、18歳未満 16.8%(12.3~21.7) - 初発患者との関係:配偶者 37.8%(25.8~50.5)、他の家族 17.8%(11.7~24.8) - 家庭内の接触人数:1人 41.5%(31.7~51.7)、3人以上 22.8%(13.6〜33.5) 著者らは「感染が疑われる、または確認された人が自宅隔離されていることを考えると、家庭がSARS-CoV-2感染の重要な場となり続けることが示唆される」としている。

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高齢者では1日の歩数が睡眠効率と正の相関―大分大学

 高齢化社会において加齢に伴う運動不足と睡眠障害は大きな問題である。身体活動が睡眠の質に関連しているというエビデンスが出ているが、歩数と睡眠の関連については明らかになっていない。大分大学医学部神経内科の木村 成志氏らは、大分県臼杵市に居住する65歳以上の855例を対象に、毎日の歩数と睡眠の関連を調査した。 2015年8月~2016年3月までに855例が登録され、参加者は期間中3ヵ月ごとに平均7~8日のあいだ腕時計型センサーによって歩数を測定し、重回帰分析で1日の歩数と睡眠(総睡眠時間、睡眠効率、中途覚醒時間[WASO]、中途覚醒回数、昼寝時間)との関連を調べた。 参加者の年齢中央値は73歳(四分位範囲[IQR]:69~78歳)、男性317例(37.1%)、女性538例(62.9%)。教育レベルは12(IQR:11~12)年で、ミニメンタルステート検査(MMSE)スコアは29(IQR:27~30)ポイントだった。 主な結果は以下のとおり。・毎日の歩数は、睡眠時間と相関はなかった。・毎日の歩数は、睡眠効率と正の相関を示した。・毎日の歩数は、WASO、中途覚醒回数、昼寝時間と逆相関を示した。 これらの結果を踏まえ、著者らは「ウォーキングは高齢者にも安全性の高い運動であり、歩行に焦点を当てた運動プログラムの推進は、高齢者の睡眠障害の予防として適切なアプローチといえる」としている。

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30歳以下の早期乳がんの予後、高齢患者と比較

 30歳以下で乳がんと診断された患者のデータを後ろ向きに収集し、高齢患者を対照として症例対照研究を実施したところ、若年患者は高齢患者よりも無病生存率(DFS)が短い傾向にあったことを、台湾・National Cheng Kung UniversityのWei-Pang Chung氏らが報告した。全生存期間(OS)には差がみられなかった。Medicine(Baltimore)誌2021年1月8日号に掲載。 本研究は、手術方法・病期・サブタイプをマッチさせた、症例(若年患者)と対照(高齢患者)が1:3の症例対照研究。主要評価項目はDFS、副次評価項目はOSで、単変量および多変量解析で予後因子を検討した。分析対象は若年群(年齢中央値:28.5歳)18例と高齢者群(同:71歳)54例。 主な結果は以下のとおり。・5年DFS率は若年群で68.8%、高齢者群で84.6%だった(p=0.080)。・5年OS率は若年群87.1%、高齢者群91.2%だった(p=0.483)。・多変量解析から「腫瘍径が大」「トリプルネガティブ乳がん」が、若年患者のDFS不良となる主な予後因子であることが示された。 著者らは「乳がん初期段階にある若年患者への積極的な治療が予後を改善するだろう」と述べている。

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