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COVID-19、ECMO導入患者の院内死亡率は?/Lancet

 体外式膜型人工肺(ECMO)を導入された新型コロナウイルス感染症(COVID-19)患者では、装着から90日後の推定死亡率、および入院中の患者を除く最終的に死亡または退院となった患者の死亡率はいずれも40%未満であり、これは世界の多施設のデータであることから、COVID-19患者で一般化が可能な推定値と考えられることが、米国・ミシガン大学のRyan P. Barbaro氏らExtracorporeal Life Support Organization(ELSO)の検討で明らかとなった。研究の成果は、Lancet誌オンライン版2020年9月25日号に掲載された。いくつかの大規模な医療組織では、COVID-19関連の急性低酸素性呼吸不全患者に対してECMOによる補助が推奨されている。一方、COVID-19患者でのECMO使用に関する初期の報告では、きわめて高い死亡率が示されているが、COVID-19患者におけるECMO使用に関する大規模な国際的コホート研究は行われていなかった。36ヵ国213施設のECMO導入患者を解析 研究グループは、ELSOレジストリのデータを用いて、2020年1月16日~5月1日の期間に36ヵ国213施設でECMOが導入された年齢16歳以上のCOVID-19確定例の疫学、入院経過、アウトカムの特徴を解析した(特定の研究助成は受けていない)。 COVID-19の診断は、臨床検査で重症急性呼吸器症候群コロナウイルス2(SARS-CoV-2)の存在が確認された場合と定義された。フォローアップのデータは、2020年8月3日まで更新された。 主要アウトカムは、ECMO開始から90日の時点でのtime-to-event解析による院内死亡とした。多変量Coxモデルを用いて、患者因子と病院因子が院内死亡率と関連するかを評価した。ECMO導入から90日の院内死亡率は37.4% ECMOを導入されたCOVID-19患者1,035例のデータが解析に含まれた。年齢中央値は49歳(IQR:41~57)、BMI中央値は31(IQR:27~37)で、74%が男性であった。 724例(70%)がECMO導入前に1つ以上の併存疾患を有し、819例(79%)が急性呼吸促迫症候群(ARDS)、301例(29%)が急性腎障害、50例(5%)が急性心不全、22例(2%)が心筋炎を有していた。 1,035例のうち、67例(6%)が入院を継続しており、311例(30%)が退院して自宅または急性期リハビリテーション施設へ、101例(10%)が長期急性期治療(long-term acute care)施設または詳細不明の場所へ、176例(17%)が他院へ移り、380例(37%)が院内で死亡した。 ECMO導入から90日の院内死亡の推定累積発生率は37.4%(95%信頼区間[CI]:34.4~40.4)であった。また、入院中の67例を除く、最終的に院内死亡または退院した968例の死亡率は39%(380例)だった。 一時的な循環補助(静脈-動脈ECMO)の使用は、院内死亡率の上昇と独立の関連が認められた(ハザード比[HR]:1.89、95%CI:1.20~2.97)。また、呼吸補助(静脈-静脈ECMO)を受け、ARDSと診断された患者の90日院内死亡率は38.0%であった。 著者は、「世界の200ヵ所以上の施設でECMOを導入されたCOVID-19患者の検討により、ECMO導入患者における一般化可能な推定死亡率がもたらされた。これらの知見は、難治性のCOVID-19関連呼吸不全患者では、経験豊かな施設においてはECMOの使用を考慮すべきとの、これまでの推奨を支持するものである」としている。

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ダパグリフロジン、CKDの転帰を改善/NEJM

 慢性腎臓病(CKD)患者では、糖尿病の有無にかかわらず、SGLT2阻害薬ダパグリフロジンはプラセボと比較して、推算糸球体濾過量(GFR)の持続的な50%以上の低下や末期腎不全、腎臓または心血管系の原因による死亡の複合の発生リスクを有意に低下させることが、オランダ・フローニンゲン大学のHiddo J L Heerspink氏らが行った「DAPA-CKD試験」で示された。研究の成果は、NEJM誌2020年9月24日号に掲載された。CKD患者は、腎臓や心血管系の有害な転帰のリスクが高いとされる。SGLT2阻害薬は、2型糖尿病患者の大規模臨床試験において、糖化ヘモグロビンを低下させるとともに、腎臓や心血管系の転帰に良好な効果をもたらすと報告されている。一方、CKD患者における糖尿病の有無別のダパグリフロジンの有効性は知られていないという。DAPA-CKD試験には21ヵ国386施設が参加 DAPA-CKD試験は、CKD患者における2型糖尿病の有無別のダパグリフロジンの有効性と安全性を評価する目的の二重盲検プラセボ対照無作為化臨床試験(AstraZenecaの助成による)。21ヵ国386施設が参加し、2017年2月~2018年10月の期間(中国の一部の参加者は2020年3月まで)に無作為割り付けが行われた。 対象は、推算GFRが25~75mL/分/1.73m2体表面積で、尿中アルブミン/クレアチニン比(アルブミンはミリグラム[mg]、クレアチニンはグラム[g]で測定)が200~5,000のCKD患者であった。被験者は、ダパグリフロジン(10mg、1日1回)またはプラセボを投与する群に無作為に割り付けられた。 主要評価項目は、推算GFRの持続的な50%以上の低下、末期腎不全、腎臓または心血管系の原因による死亡の複合とした。 本DAPA-CKD試験は、2020年4月3日、独立データ監視委員会の提言に基づき、有効中止となった。DAPA-CKD試験の主要評価項目はダパグリフロジン群で良好 DAPA-CKD試験には4,304例が登録され、ダパグリフロジンとプラセボの両群に2,152例ずつが割り付けられた。全体の平均年齢(±SD)は61.8±12.1歳、1,425例(33.1%)が女性であった。ベースラインの平均推算GFRは43.1±12.4mL/分/1.73m2、尿中アルブミン/クレアチニン比中央値は949であり、2,906例(67.5%)が2型糖尿病の診断を受けていた。 フォローアップ期間中央値2.4年(IQR:2.0~2.7)の時点で、主要評価項目のイベントは、ダパグリフロジン群が2,152例中197例(9.2%)で、プラセボ群は2,152例中312例(14.5%)で発生した(ハザード比[HR]:0.61、95%信頼区間[CI]:0.51~0.72、p<0.001、主要評価項目の1件のイベントの予防に要する治療数:19件、95%CI:15~27)。また、主要評価項目の個々の構成要素はいずれも、ダパグリフロジン群で良好だった。 DAPA-CKD試験の副次評価項目である推算GFRの持続的な50%以上の低下、末期腎不全、腎臓が原因の死亡の複合のHRは0.56(95%CI:0.45~0.68、p<0.001)、心血管系の原因による死亡または心不全による入院のHRは0.71(0.55~0.92、p=0.009)であった。また、ダパグリフロジン群で101例(4.7%)、プラセボ群で146例(6.8%)が死亡した(HR:0.69、95%CI:0.53~0.88、p=0.004)。 ダパグリフロジン群では、主要評価項目のイベント発現のHRは、2型糖尿病患者が0.64(95%CI:0.52~0.79)、非2型糖尿病患者は0.50(0.35~0.72)であり、いずれもプラセボ群と比較して良好で、2型糖尿病の有無で効果に差はなかった。 有害事象および重篤な有害事象の発生率は、全般に両群でほぼ同等であった。糖尿病性ケトアシドーシスは、ダパグリフロジン群では報告がなく、プラセボ群は2例に認められた。2型糖尿病のない患者では、糖尿病性ケトアシドーシスや重度低血糖はみられなかった。 著者は、「SGLT2阻害薬の腎保護作用は、2型糖尿病を伴わないCKD(ACE阻害薬が、腎不全の予防効果が示されている唯一の薬物療法である患者)という幅広い患者集団にまで拡大されることが確認され、ダパグリフロジンの有益な安全性プロファイルが確かめられた」としている。

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膵がん1次治療に対するデュルバルマブ+tremelimumab+化学療法の評価(PA.7)/ESMO2020

 カナダ・ブリティッシュコロンビア大学のDaniel Renouf氏は、転移を有する膵管腺がんに対する標準治療であるゲムシタビン+nab-パクリタキセル併用療法と、これに抗PD-L1抗体デュルバルマブと抗CTLA-4抗体tremelimumabの2剤を追加した併用療法を比較した無作為化非盲検第II相PA.7試験の結果を欧州臨床腫瘍学会(ESMO Virtual Congress 2020)で発表。4剤併用療法は、2剤併用療法との比較で全生存期間(OS)、無増悪生存期間(PFS)、客観的奏効率(ORR)のいずれも改善が認められなかったと報告した。・対象:未治療の転移を有する膵管腺がん(PS0~1)180例・試験薬群:ゲムシタビン1,000mg/m2+nab-パクリタキセル125mg/m2+デュルバルマブ1,500mg+tremelimumab75mg 4週ごと(4剤併用療法群、119例)・対照群:ゲムシタビン1,000mg/m2+nab-パクリタキセル125mg/m2 4週ごと(2剤併用療法群、61例)・評価項目:[主要評価項目]OS[副次評価項目]PFS、ORR、安全性・毒性[3次評価項目]QOL 主な結果は以下のとおり。・OS中央値は4剤併用療法群9.8ヵ月、2剤併用療法群8.8ヵ月、で、統計学的に有意な差は認められなかった(HR:0.94、90%CI:0.71~1.25、p=0.72)。・PFS中央値は4剤併用療法群5.5ヵ月、2剤併用療法群5.4ヵ月で統計学的に有意な差は認められなかった(HR:0.98、90%CI:0.75~1.29、p=0.91)。・ORRは4剤併用療法群30.3%、2剤併用療法群23.0%であった(OR:1.49、90%CI:0.81~2.72、p=0.28)。・病勢コントロール率(DCR)は4剤併用療法群70.6%、2剤併用療法群57.4%で、4剤併用療法群で改善傾向が認められた(OR:1.69、90%CI:0.99~2.89、p=0.10)。・Grade3以上の治療関連有害事象の発現率は、4剤併用療法群84%、2剤併用療法群76%であった。 Renouf氏は、今回の結果ではOS、PFS、ORRは有意差はなく、DCRでは改善傾向が認められたと報告したうえで、今回のような患者集団での免疫感受性を予測できるバイオマーカーに関する研究が現在進行中であることを明らかにした。

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Dr.水谷の妊娠・授乳中の処方コンサルト

第1回 【妊娠中】解熱鎮痛薬・抗菌薬・抗インフルエンザ薬第2回 【妊娠中】抗てんかん薬・抗うつ薬・麻酔薬第3回 【妊娠中】β刺激薬・チアマゾール・レボチロキシン第4回 【妊娠中】経口血糖降下薬・ワルファリン・制酸薬第5回 【妊娠中】抗リウマチ薬・抗アレルギー薬・タクロリムス外用薬第6回 【妊娠中】漢方薬・CT,MRI検査・悪性疾患の治療方針第7回 【授乳中】解熱鎮痛薬・抗菌薬・抗ウイルス薬第8回 【授乳中】抗てんかん薬・向精神薬・全身麻酔第9回 【授乳中】胃腸薬・降圧薬・抗アレルギー薬第10回 【授乳中】ステロイド・乳腺炎への対処・造影検査後の授乳再開 臨床では妊娠中・授乳中であっても薬が必要な場面は多いもの。ですが、薬剤の添付文書を見ると妊婦や授乳婦への処方は禁忌や注意ばかり。必要な治療を行うために、何なら使ってもいいのでしょうか?臨床医アンケートで集めた実際の症例をベースとした30のQ&Aで、妊娠中・授乳中の処方の疑問を解決します。産科医・総合診療医の水谷先生が、実臨床で使える、薬剤選択の基準の考え方、そして実際の処方案を提示します。第1回 【妊娠中】解熱鎮痛薬・抗菌薬・抗インフルエンザ薬臨床医アンケートで集めた妊婦・授乳婦への処方の疑問を症例ベースで解説・解決していきます。初回は、妊娠中の解熱鎮痛薬、抗菌薬、抗インフルエンザ薬の選択についてです。明日から使える内容をぜひチェックしてください。第2回 【妊娠中】抗てんかん薬・抗うつ薬・麻酔薬妊娠を機に服薬を自己中断してしまう患者は少なくありません。そして症状の悪化とともに受診することはよくあります。今回は抗てんかん薬、抗うつ薬の自己中断症例から妊娠中の薬剤選択について解説します。緊急手術時に必須の麻酔薬の処方についても必見です。第3回 【妊娠中】β刺激薬・チアマゾール・レボチロキシン喘息は妊娠によって症状の軽快・不変・増悪いずれの経過もとりえます。悪化した場合にβ刺激薬やステロイド吸入など一般的な処方が可能のか?甲状腺関連の疾患では妊娠の希望に応じて、バセドウ病患者はチアマゾールを継続していいのか?橋本病ではレボチロキシンを変更すべきなのか?といった実臨床で遭遇する疑問を解決します。第4回 【妊娠中】経口血糖降下薬・ワルファリン・制酸薬今回のクエスチョンは弁置換術既往の妊婦の抗凝固薬選択。ワルファリンからヘパリンへの変更は適切なのでしょうか?降圧薬の選択では妊娠週数に応じて使用可能な薬剤が変わる点を必ず押さえましょう!そのほか、妊娠中の内視鏡検査の可否とその判断、2型糖尿病の薬剤選択についても取り上げます。2型糖尿病管理は、薬剤選択とともに血糖管理目標についてもチェックしてください。第5回 【妊娠中】抗リウマチ薬・抗アレルギー薬・タクロリムス外用薬膠原病があっても妊娠を継続するにはどのような薬剤選択が必要なのでしょうか?メトトレキサートや抗リウマチ薬の処方変更について解説します。花粉症症状に対する抗アレルギー薬処方、アトピー性皮膚炎へのタクロリムス外用薬の継続可否など、臨床で頻用される薬剤についての解説もお見逃しなく。第6回 【妊娠中】漢方薬・CT,MRI検査・悪性疾患の治療方針妊娠中に漢方薬を希望する患者は多いですが、どういうときに漢方薬を使用すべきなのでしょうか?上気道炎事例を入り口に、妊婦のよくある症状に対する漢方薬の処方について解説します。CTやMRIの適応判断に必要な放射線量や妊娠週数に応じたリスクを押さえ、がん治療については永久不妊リスクのある治療をチェックしておきましょう。第7回 【授乳中】解熱鎮痛薬・抗菌薬・抗ウイルス薬今回から授乳中の処方に関する質問を取り上げます。授乳中処方のポイントはRID(相対的乳児投与量)とM/P比(母乳/母体濃度比)。この2つの概念を理解して乳児への影響を適切に検討できるようになりましょう。今回取り上げるのは、解熱鎮痛薬、抗菌薬、抗インフルエンザ薬といった日常診療に必要不可欠な薬剤。インフルエンザについては、推奨される薬剤はもちろん、家庭内での感染予防に対する考え方なども必見です。第8回 【授乳中】抗てんかん薬・向精神薬・全身麻酔ほとんどの母親は服薬中も授乳継続を希望します。多くの薬剤は添付文書上で授乳中止が推奨されていますが、実は授乳を中断しなくてはならないケースはあまり多くありません。育児疲労が増悪因子になりやすい、てんかんや精神疾患について取り上げ、こうした場合の対応を解説します。治療と母乳育児を継続するための、薬剤以外のサポートについても押さえておきましょう。第9回 【授乳中】胃腸薬・降圧薬・抗アレルギー薬授乳中の処方で気を付けるべきは、薬剤の児への移行だけではありません。見落としがちなのが、乳汁分泌の促進・抑制をする薬剤があるということ。症例ベースのQ&Aで、胃腸薬、降圧薬、抗アレルギー薬など日ごろよく処方する薬の注意点を解説していきます。OTC薬で気を付けるべき薬剤やピロリ菌除菌の可否なども押さえておきましょう。第10回 【授乳中】ステロイド・乳腺炎への対処・造影検査後の授乳再開ステロイド全身投与で議論になるのは児の副腎抑制と授乳間隔。どちらも闇雲に恐れる必要はありません。乳腺炎については、投与可能な薬剤だけでなく再発を予防するための知識を押さえておきましょう。造影剤使用後の授乳再開については日米での見解の違いを臨床に活かすための知識を伝授します。

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Dr.飯村の英語の発音が劇的に変わるトレーニング

第1回 日本人のカタカナ英語はこんなにヤバイ!?第2回 LとRともう1つの「ラ行」第3回 BとVの違いは口の形にあらず第4回 母音はshortとlongの2つずつ覚えればOK第5回 「あ」の発音は3つにしちゃってOK第6回 多くの日本人が読めない「it」第7回 carsとcardsを区別できているか?第8回 「ん」の発音でぐっとネイティブっぽくなる第9回 poolとpull 2つの「う」をマスターする第10回 ネイティブスピードで喋るためのテクニック 学会や症例カンファレンスで必要と感じながら、なかなか習得することができない英会話。なかでも日本人に足りないとされるのは「英語で喋る力」です。もしかして英語が喋れないのは発音に自信がないからではないですか?英語の発音をきちんと理解すると自信を持って話せるだけでなく、驚くほどリスニング力も上達します。Dr.飯村が考案したこの特別なメソッドで、ネイティブのように聞こえる発音をマスターしましょう!第1回 日本人のカタカナ英語はこんなにヤバイ!?「発音記号がわからないから」「外国人っぽく喋るのは恥ずかしいから」と言って、あえて平坦なカタカナ英語を喋っていませんか?第1回では日本人にありがちなカタカナ英語が外国人に一体どのくらい伝わっているのかというヤバイ実情を解説します。この番組をきっかけにネイティブ発音をマスターしましょう!第2回 LとRともう1つの「ラ行」LとRの発音が一発で分かる、目からウロコのトレーニング法をお教えします。あなたが今使っている「L」はネイティブには「T」や「D」に聞こえているかもしれない!?そんなLの発音が今すぐできるようになる秘密の裏技も収録!練習セクションは声に出して繰り返しご覧ください。第3回 BとVの違いは口の形にあらず今回はBとVの発音の違いについて解説します。Bは日本語のバ行、Vは下唇を噛んで発音すればいいと思っていませんか?実は2つの発音の最も重要なポイントは破裂音と摩擦音という違いなんです。この違いを意識すれば、患者さんの「vein(血管)」が「bane(苦しみ)」に間違われるなんてこともなくなります。ぜひ繰り返し再生して練習してください。第4回 母音はshortとlongの2つずつ覚えればOK英語の母音にはshort vowelsとlong vowelsというまったく違う2つの読み方があります。いわゆる短母音と長母音。漢字1つの音読みと訓読みを間違えるだけで文章の意味がわからなくなってしまうのと同様に、この母音1つの読み方が違うだけで、アメリカ人はあなたの英語を聞き取ることができません。番組では「aorta」「edema」など、読み方を間違えやすい臨床英単語をご紹介します。第5回 「あ」の発音は3つにしちゃってOK英語には、「あ」に聞こえる発音記号は6つもあります。「お」っぽい「あ」、口をまるめた「あ」、曖昧な「あ」...そんなに言い分けるのは無理という人は、実はこの3つを覚えてしまえばOKという方法があります。アメリカでも若い世代を中心に発音の省略が行われており「Cot-Caught Merger」と「Short A Tensing」と呼ばれている現象です。後半ではAR、ORの音の違いを学び、発音のトレーニングをします。第6回 多くの日本人が読めない「it」itとeatの発音の違いは「イット」と「イート」という音の長さではなかった!?「い」でも「え」でもないShort Iの音は難しく感じられますが、実は私たちの生活の中にも存在する、誰でも発音できる音なのです。Short Iの発音を覚えて正確なitの発音をマスターしましょう!第7回 carsとcardsを区別できているか?今回は英語における四つ仮名「じ・ぢ・ず・づ」について解説。日本語で喋るときに四つ仮名を意識することはあまりありませんが、英語ではこれら4つの発音を間違えると意味が通じません。たとえばcarsとcardsはどう言い分ければいいでしょうか。実はその違いは明確で、練習すれば誰でも習得できる音なんです。聞けば納得、たった13分でわかる簡単な発音のコツをお教えします!第8回 「ん」の発音でぐっとネイティブっぽくなる今回は「ん」の発音について解説します。英語の”ん”はN、M、NGの3種類。実は日本語の”ん”の方がバリエーションが多いので、この3つをしっかり区別して発音しないと伝わらないことがあります。またNの周りでは様々な発音の変化が起こります。suscreenはなぜサンツクリーンと読むのか、mentalのtは読んではいけないなど、ぐっとネイティブに近づく発音のコツを教えます!第9回 poolとpull 2つの「う」をマスターするpoolとpullは「プール」と「プル」ではない!第6回で解説した“itとeat”と同様に英語は音の長さで単語を区別することはありません。いわゆる「う」のlong OOと、「うとおの間」のshort OOの発音の違いをわかりやすく解説します。また、英語にはろうそくを吹き消すような「ふ」という音も存在しません。ネイティブに伝わる「う」と「ふ」をマスターしましょう!第10回 ネイティブスピードで喋るためのテクニック最終回の目標はネイティブのような速いスピードで英語を話すこと。滑らかに喋るための発音の変化、単語の削り方のルールをお伝えします。書いてあるのにどうしても聞こえない文字ってありますよね。それ、聞こえないんじゃなくて言ってないんです!ラストには英文の症例サマリーもあるので、これまでに勉強した発音のコツを復習しながら、ぜひシャドーイングに挑戦してください!

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高齢者に特化した必読救急良書【Dr.倉原の“俺の本棚”】第35回

【第35回】高齢者に特化した必読救急良書最近、救急搬送される高齢者が増えています。いや、というよりも、そもそも未曽有の高齢化社会なので、こればかりは仕方がない。小児科と産科以外の診療科では、必然的に高齢者が増えているのです。「高齢者診療の基本はDNARをとること」なんていう考え方を目にしたことがありますが、アレはいけない。20歳の若者と90歳の高齢者では、確かに救命スイッチの入り方は違うでしょう。しかし、助けられる命は助けたいと思うのが救急診療の本質。また、よくわからないので、頭からつま先まで全身CTを撮影して、異常があったら専門家をコールなんて、ちょっとダサいかもしれません。どこからがイケているのかは、結局主観なのでしょうが……。『高齢者ERレジデントマニュアル』増井 伸高/著. 医学書院. 2020年若手医師が敬遠するのは、高齢者救急が極めて複雑だからです。かといって、偽陽性と偽陰性がテンコモリでセオリーを無視している別の生き物というほどでもありません。研修医時代、「断らない救急」で当直をしていたとき、夜中にホームレスのおじいちゃんが運ばれてきました。酒臭いし、ただ酔っぱらっているだけじゃないかと思っていたら、39.1℃の発熱。研修医の十八番である、jolt accentuationやCVA tendernessをみましたが、おじいちゃんの反応がフニャフニャしていてよくわからない。熱源不明の場合、今ではコロナか!と騒がれる症例だと思いますが、身体所見だけで熱源を絞り込んだ指導医がいました。膝関節が熱感を持っていて、関節腔穿刺とGram染色で化膿性関節炎と診断したのです。こんな極端な神的ファインプレーはともかくとして、高齢者こそ基本的診察が大事なのだと痛感しました。実際に、この本には非高齢者成人ERと一線を画した対応として、身体所見を繰り返しとることで鑑別疾患を絞り込む作業の重要性が書かれています。この本で必読なのは、PART1とPART3です。高齢者特有の問題であるせん妄について、そして社会問題化しつつあるポリファーマシーや生活環境への介入など、痒いところに手が届くコラムが多いのが特徴です。とくに、入院したはいいけど、社会背景はどうなんだろう、というのは入院主治医だけでなく救急担当医にも把握してもらいたいところです。高齢者を診るということは、その人の生活を診るということ。私たち医療従事者が忘れてはいけないことです。『高齢者ERレジデントマニュアル』増井 伸高 /著出版社名医学書院定価本体3,600円+税サイズB6変刊行年2020年

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ESMO2020レポート 消化器がん(上部下部消化管)

レポーター紹介本年度の欧州臨床腫瘍学会(ESMO Virtual Congress 2020)は、昨今の新型コロナウイルス感染症の社会情勢を鑑み、完全バーチャル化して2020年9月19日~21日まで開催された。消化管がん領域における注目演題についてレポートする。CheckMate-649試験本邦の実臨床が大きく変わるであろう臨床試験結果の演題として、未治療のHER2陰性進行胃・食道胃接合部がん・食道腺がんにおける化学療法+ニボルマブ併用療法の化学療法に対する優越性が検証されたCheckMate-649試験を報告する。HER2陰性進行胃・食道胃接合部がん・食道腺がんでは、フッ化ピリミジン系薬剤とプラチナ系薬剤の併用療法を行うことが標準治療として位置付けられている。また、本邦では後方ラインの治療としてすでにニボルマブが実地臨床でも使用されている。そこで、HER2陰性進行胃・食道胃接合部がん・食道腺がんを対象に化学療法群(カペシタビン+オキサリプラチン併用療法または、FOLFOX療法)に対して、化学療法+ニボルマブ併用療法群、またはイピリムマブ+ニボルマブ併用療法群のそれぞれの優越性を検証したCheckMate-649試験が行われた。今回のESMOでの報告では、化学療法+ニボルマブ併用療法群および、化学療法群を比較した結果が公表された。主要評価項目は化学療法+ニボルマブ併用療法群の化学療法群に対する、CPS5以上のPD-L1陽性例でのOSとPFSだった。副次評価項目は、CPS1以上のPD-L1陽性例でのOS、ランダム化された症例でのOSなどであった。ランダム化1,581例のうちCPS5以上のPD-L1陽性例は955例(60%)であった。両群の患者背景に差はなかった。アジア人は化学療法+ニボルマブ併用療法群が25%、化学療法群が24%、MSSは化学療法+ニボルマブ併用療法群が89%、化学療法群が88%であった。後治療移行割合は、全体で39%、化学療法+ニボルマブ併用療法群で38%、化学療法群で41%であった。後治療として免疫療法を受けたのは、化学療法+ニボルマブ併用療法群が2%、化学療法群が8%であった。主要評価項目であるCPS5以上のPD-L1陽性例におけるOS中央値は、化学療法+ニボルマブ併用療法群で14.4ヵ月(95%CI:13.1~16.2)、化学療法群で11.1ヵ月(95%CI:10.0~12.1)、HR 0.71(98.4%CI:0.59~0.86)、p<0.0001と化学療法+ニボルマブ併用療法群が有意に良好であった。CPS1以上のPD-L1陽性例においても同様に、化学療法+ニボルマブ併用療法群で化学療法群よりもOSが良好であった。さらに、全ランダム化症例におけるOS中央値も、化学療法+ニボルマブ併用療法群が化学療法群よりも有意に良好であった(OS中央値:13.8ヵ月vs.11.6ヵ月、HR:0.80、p=0.0002)。CPS5以上のPD-L1陽性例の奏効割合は、化学療法+ニボルマブ併用療法群で60%、化学療法群で45%と、化学療法群+ニボルマブ併用療法群で有意に高かった(p<0.0001)。完全奏効は化学療法+ニボルマブ併用療法群で12%、化学療法群で7%に認められた。化学療法+ニボルマブ併用療法群で安全性に関する新たな情報はなかった。以上の結果から、演者らは、HER2陰性進行胃・食道胃接合部がん・食道腺がんにおける化学療法+ニボルマブ併用療法は標準治療の1つと考えられると結論付けた。ATTRACTION-4試験現在、本邦では胃がん領域において免疫チェックポイント阻害薬であるニボルマブが実地臨床で用いられている。本試験は、HER2陰性の切除不能進行再発胃がん/食道胃接合部がんにおける1次化学療法として、化学療法+ニボルマブ併用療法と化学療法をHead-to-Headで比較した第III相試験として日本・韓国・台湾で実施された。主要評価項目は、PFSとOSに設定され、副次評価項目は奏効割合、安全性などであった。統計学的に、最終解析においてPFS、OSでそれぞれ両側α=0.01、0.04として設定された。化学療法(SOXまたはCapOX)+ニボルマブ併用療法、化学療法にそれぞれ1:1に割り付けられた。2017年3月から2018年5月までに724例が登録され、化学療法+ニボルマブ併用療法群に362例、化学療法群に362例が割り付けられた。患者背景に両群で差は認めなかった。後治療移行割合は、化学療法+ニボルマブ併用療法群で64%、化学療法群で68%であった。後治療としてニボルマブあるいはペムブロリズマブを受けたのは、化学療法+ニボルマブ併用療法群が10%、1%、化学療法群が25%、2%であった。主要評価項目であるPFS中央値は、化学療法+ニボルマブ併用療法群で10.45ヵ月(95%CI:8.44~14.75)、化学療法群で8.34ヵ月(95%CI:6.97~9.40)、HR 0.68(98.51%CI:0.51~0.90)、p=0.0007と有意に化学療法+ニボルマブ併用療法群で良好な成績であった。OSについては、OS中央値が化学療法+ニボルマブ併用療法群で17.45ヵ月(95%CI:15.67~20.83)、化学療法群で17.15ヵ月(95%CI:15.18~19.65)、HR 0.90(95%CI:0.75~1.08)、p=0.257と統計学的有意差は示せない結果となった。カプランマイヤー曲線をみると、全体としてわずかに化学療法+ニボルマブ併用療法群が上回っていた。奏効割合は、化学療法+ニボルマブ併用療法群で57.5%、化学療法群で47.8%と化学療法+ニボルマブ併用療法群で有意に高かった(p=0.0088)。完全奏効は、化学療法+ニボルマブ併用療法群で19.3%、化学療法群で13.3%であった。安全性に関しては、化学療法+ニボルマブ併用療法群で新たな情報はなかった。CheckMate-649試験の結果を受けて、日本の実地臨床でも近い将来、初回化学療法から免疫チェックポイント阻害薬を併用する治療が標準治療となっていくものと考えられる。しかしながら、これまで進行胃がんの1次治療における化学療法+免疫チェックポイント阻害薬併用療法の有用性を検証した臨床試験として、KEYNOTE-062試験、CheckMate-649試験、ATTRACTION-04試験の3つの大規模試験が示されているが、全体集団のOSにおいて、化学療法+免疫チェックポイント阻害薬の有効性を示したのはCheckMate-649試験のみとなっている。なぜこのような結果となったのか。異なる臨床試験間の比較をすることは御法度だが、ATTRACTION-04試験はアジアで行われた試験であること(標準治療群のOSが17ヵ月というのは驚異的な成績である)、後治療の移行割合(免疫チェックポイント阻害薬を含む)の違い、併用backboneレジメンの違い、CPSの評価方法の違い、あるいは胃がん特有のheterogeneityなのか、検討すべき点は多々あると思われる。昨今は胃がんにおいても次々と新規薬剤が承認される時代に突入したが、予後不良の胃がん患者において実際に「薬の使い切り」を行える症例は少ないのが現状である。より効果の高い治療をより効果の高い患者へ最適に届けることが今後の課題といえよう。KEYNOTE-590試験進行食道がんの初回化学療法は、フルオロピリミジン+プラチナ系薬剤併用(FP)療法が標準治療として用いられている。ペムブロリズマブ単独療法は、KEYNOTE-181試験において、CPS10以上のPD-L1陽性の既治療食道扁平上皮がん症例で化学療法との比較が行われ、奏効割合22% vs.7%、OS中央値10.3ヵ月 vs.6.7ヵ月と報告されている。本試験は、腺がんを含む進行食道がんの初回化学療法における化学療法+ペムブロリズマブ併用療法の化学療法に対する優越性を検証した、無作為化二重盲検第III相試験である。治療は、化学療法+ペムブロリズマブ併用療法群は5-FU+CDDP+ペムブロリズマブを3週ごと、化学療法+プラセボ群は5-FU+CDDP+プラセボを3週ごとに投与された。主要評価項目は、OS(扁平上皮がん患者、扁平上皮がんかつCPS10以上のPD-L1陽性、CPS10以上のPD-L1陽性、全登録患者)とPFS(扁平上皮がん患者、CPS10以上のPD-L1陽性、全登録患者)であった。副次評価項目は、奏効割合、安全性などであった。2017年7月から2019年6月までに749例が登録され、化学療法+ペムブロリズマブ併用療法群に373例、化学療法+プラセボ群に376例が無作為に割り付けられた。患者背景に両群で差はなかった。アジア人は化学療法+ペムブロリズマブ併用療法群が53%、化学療法+プラセボ群が52%、扁平上皮がんは化学療法+ペムブロリズマブ併用療法群が74%、化学療法+プラセボ群が73%、CPS10以上のPD-L1陽性例は化学療法+ペムブロリズマブ併用療法群が50%、化学療法+プラセボ群が52%であった。 扁平上皮がん患者におけるOS中央値は、化学療法+ペムブロリズマブ併用療法群が12.8ヵ月(95%CI:10.2~14.3)、化学療法+プラセボ群が9.8ヵ月(95%CI:8.6~11.1)、HR 0.72(95%CI:0.60~0.88)、p<0.0001と化学療法+ペムブロリズマブ併用療法群で有意に良好だった。CPS10以上のPD-L1陽性患者におけるOS中央値は、化学療法+ペムブロリズマブ併用療法群が13.5ヵ月(95%CI:11.1~15.6)、化学療法+プラセボ群が9.4ヵ月(95%CI:8.0~10.7)、HR 0.62(95%CI:0.49~0.78)、p<0.0001と化学療法+ペムブロリズマブ併用療法群で有意に良好だった。全登録患者におけるOS中央値は、化学療法+ペムブロリズマブ併用療法群が12.4ヵ月(95%CI:10.5~14.0)、プラセボ群が9.8ヵ月(95%CI:8.8~10.8)で、HR 0.73(95%CI:0.62~0.86)、p<0.0001と化学療法+ペムブロリズマブ併用療法群で有意に良好だった。PFS中央値も、扁平上皮がん患者、CPS10以上のPD-L1陽性患者、全登録患者において、それぞれで化学療法+ペムブロリズマブ併用療法群が化学療法+プラセボ群と比較して有意に良好であった。奏効割合は、全登録患者において、化学療法+ペムブロリズマブ併用療法群が45.0%、化学療法+プラセボ群が29.3%と化学療法+ペムブロリズマブ併用療法群で有意に高かった(p<0.0001)。安全性に関しては新たな問題は認められなかった。以上の結果から、演者らは食道胃接合部腺がんを含む進行食道がんに対する初回化学療法として、化学療法とペムブロリズマブ併用療法を第1選択に考慮すべきと結論付けている。今回の試験の結果をもって、本邦でも進行食道がんの初回化学療法として免疫チェックポイント阻害薬を併用する治療が標準治療となるだろう。本邦で最も頻度の高い組織型である食道扁平上皮がんに対する初回化学療法として、FP療法、FP+ニボルマブ併用療法、イピリムマブ+ニボルマブ併用療法を比較するCheckMate648試験の結果も今後報告されてくる。また、最近では、FOLFOX療法が食道がんに対して実施が認められており、オキサリプラチンと免疫チェックポイント阻害薬の併用療法なども開発が進んでいくものと思われる。現在はまさに食道がん化学療法の転換期に当たるといわれ、今後の展開に期待したい。

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第27回 実体験から望む、リアルな「アンサング・シンデレラ」

10月1日に発表された人気女優の石原さとみの結婚というニュースはSNS上で見る限り、多くの男性を悲嘆・落胆に追いやったようだ。この直前、石原さとみは病院薬剤師を描いたドラマ「アンサング・シンデレラ」で主役の病院薬剤師・葵 みどりを演じている。このドラマに関しては、そのストーリーが「ナンセンスだ」など批判的な指摘もあったが、その一部には、薬剤師以外の医療従事者による薬剤師業務に対する無理解・無知さがあったことにはやや驚いた。一方、薬剤師が一部のシーンに対して「『薬剤師あるある』だ」という声も多かった。私はリアルタイムで見ることができず、今頃録画したものを見始めているが、そのなかで患者・家族の立場でダブってしまった、というかトラウマが蘇った瞬間があった。苦い薬と母子の葛藤を薬剤師が緩和それは第2話で出てくるマイコプラズマ感染で受診した男の子とシングルマザーの母親の物語だ。男の子に処方された去痰薬と抗菌薬の顆粒を飲ませようとする母親。しかし、息子は「苦い」といって拒否する。母親は苦心してオレンジジュースに顆粒を混ぜ、「これでもう苦くない」と言って息子に渡したものの、それを飲んだ息子はやはり「苦い」と言ってコップを放り投げ、「ママ、嘘ついた」とまで言い張る。母親は医師に処方変更を希望するが、医師から「もう少し頑張ってみてください」と言われ、思わず「頑張っていないですか?」と漏らしてしまう。そんな母親に服薬指導をするのが、葵 みどり。葵は母親自身に抗菌薬顆粒の甘さの中に苦みが残る味を実際に味見させたうえで、オレンジジュースに混ぜて渡す。それを口にして「うわっ、苦い」と漏らす母親。葵は「○○は酸性のものと混ぜるとコーティング(甘み)が剥がれて強い苦みが出てしまうんです」と説明する。葵が母親に勧めるのがチョコレートアイスに混ぜる方法。口にした母親は「チョコの味しかしない」と驚く。この○○という薬は実在する。私は最初に男の子が薬を口にして「苦い」と言った瞬間にほぼ推測がついた。そして葵による服薬指導のシーンで明らかにされた○○の名称を聞いて、やっぱりと思った。答えは、クラリスロマイシンのドライシロップだ。処方薬は看病する人にも少なからず影響実は私自身も娘で似た経験があったのだ。それはある部分ではドラマで描かれたものより過酷だった。うちの家庭は共働きの夫婦と娘の3人家族。夫婦互いの実家は東京から新幹線で2時間弱は離れている。娘が熱を出した時、頼れる親族は身近にいない。さらに夫婦の役割で言えば、妻は電車で40分離れた職場、私は自宅から自転車で10分以内のアパートを事務所にしている。娘が保育園で発熱したといえば必然的に駆け付け、自宅療養の担当となるのは私だった。もっとも自営業で出来高仕事の私はその分だけ仕事で割を食う。小児医療費の助成も相まって、どうしても娘を連れて医療機関に駆け込んでしまう。よく抗インフルエンザ薬のタミフルは適切に服用しても発熱期間を半日から1日しか短縮する効果がないとネガティブな評価を受ける。しかし、治療を受ける側ではなく看病する側から見た場合、私のような立場の者にとっては、その半日から1日早く業務に復帰できることは周囲の人が考える以上にありがたい。そういう人は少なくないはずだ。そんなこんなで娘が発熱した場合は即座に受診することがほとんどだった。多くは「風邪だと思われます」との診断。娘のかかりつけ医の処方は、去痰薬と鎮咳薬、頓服用の解熱薬にとどまることが多く、抗菌薬を処方された記憶はほとんどない。単なる抗菌薬と侮っていたら…ところが娘が3歳になった年の2月、発熱でかかりつけ医に駆け込むと、いつものように「風邪でしょう」と診断した医師が珍しく「念のため抗菌薬を出しておきます」と言って処方したのが、クラリスロマイシンのドライシロップだった。早速、自宅で服用させるものの、このクラリスロマイシンだけは口にした瞬間に「オェー」と言いながら、吐き出した。驚きはしたものの、私はそれ以上服用させることはしなかった。「所詮、風邪に抗菌薬は無駄」と思っていたからだ。翌日娘は解熱するものの、翌々日は微熱を出した。3日後には再び解熱したが、この間、乾いた咳が続き、4日目の日曜日、突如38度まで熱が上昇し、自治体の休日診療所に駆け込んだ。休日診療所の医師は一般的には半ば「儀礼的」とも思われがちな聴診を、私の目にも普通ではないとわかるほど何度も繰り返した。聴診器をようやく外した医師からこう告げられた。「お父さん、今すぐ○○大学病院に向かえますか? こちらからも連絡を入れます。娘さんは肺炎を起こしている可能性が高いです」休日診療所を出て大学病院に向かうタクシーの中で突如、娘は嘔吐をした。慌てる私に運転手さんは「お気になさらず。とにかく病院へ急ぎます」と冷静だった。大学病院に到着して受付すると、娘はすぐにX線写真撮影をすることになり、看護師が衣服の表面についた吐瀉物を拭いてくれた。私もトイレに駆け込み、吐瀉物がついたジャケットとシャツを洗おうとしたが、濡れたまま持ち帰る手段が思い浮かばず、思い切ってごみ箱に捨てることにした。待合室は暖房が入っているため、とくに寒さは感じなかったが、やはり2月にTシャツ一枚の姿は周囲から見れば異様だったろう。20分ほど待っただろうか。呼ばれて診察室に入ると、医師の目の前のPCに映し出された娘のものと思われる胸部X線写真が目に入った。ちなみに私自身は20代前半にエジプトのカイロを旅行中に右肺の半分弱、左肺の約4分の1がX線写真で白く映るほどの肺炎にかかり、現地で2週間も入院した経験がある。また、職業柄、学術書や論文に掲載されている肺炎のX線写真も目にしている。この時、PCに映し出されていた右肺の下部が白くなっていたX線写真は私でも肺炎だとわかった。医師からも娘が肺炎を起こし、経過や咳の状況などを見ると、マイコプラズマ肺炎と思われ、クラリスロマイシンを処方すると説明された。娘がクラリスロマイシンの味を嫌って服用拒否してしまうことを伝えたが、医師からはこう告げられた。「とにかく頑張って飲ませてみてください。どうしても飲まないというならば、入院して点滴するしかありません」大学病院の門前薬局でクラリスロマイシンを受け取った際にも娘が服用拒否してしまうことを伝えると、薬剤師からチョコ味の服薬ゼリーがお勧めだと教えられた。しかし、この薬局ではあいにくチョコ味のゼリーの在庫がなく、あるのはストロベリー味のみ。それを取り敢えず購入した時に、薬剤師から「ここで1回分飲んでいきます?」と提案された。薬包紙を切った段階で娘は口を開けている。ゼリーを使わなくても飲めるのかもと思い、口にドライシロップをいれると眉間にしわを寄せながら、水で飲み干した。ああ、案外すんなりいけるかもと思ったが、実際にはそうはならなかった。片手にクラリスロマイシンの父vs.愛娘、地獄の戦い翌朝から保育園をお休みし、私が自宅療養に付き合うことなった。妻が出勤後に娘に朝食をとらせ、服薬させようとしたが昨日から一転して娘は拒否し始めた。私は「このままだと入院になるし、最悪肺炎で死ぬ人もいるよ」と告げるが、娘は頑として拒否。ストロベリー味の服薬ゼリーがあることを思い出し、それに混ぜて口にさせるがそれも吐き出した。「えっ?」と思い、自分で口にしてみたが確かに苦みが残っている。さて困った。私はリビングのテレビをつけ、「お父さんはお買い物に行ってくるから、好きな番組見ていいよ」と娘に告げると、街に飛び出し、保険調剤薬局、ドラッグストアを片っ端から訪ね、チョコ味の服薬ゼリーを探した。7軒目でようやく見つけ、購入して帰宅。テレビの前でうたた寝していた娘を起こして、今度はチョコ味のゼリーでクラリスロマイシンを飲ませようとしたが、娘の一言でとん挫した。「チョコは苦いから嫌い」私もハッとした。確かに過去に保育園からの連絡帳に「おやつの時に出したチョコを苦いと言って食べなかった」という旨の記載があったことを思い出したのだ。仕方なく、私は再び外に出て、自宅から一番近い保険調剤薬局で事情を説明した。すると、「バニラアイスや牛乳に混ぜると良いとは言われています」とのこと。コンビニでバニラアイスと牛乳を買って帰り、試したのだがそれでも「苦い」と言われ吐き出された。もはや万事休す。前医からの残薬分があったとはいえ、味の実験をしているだけの量の余裕はない。私は服薬用の水を入れたコップを用意し、薬包紙を破って自分の手の平にドライシロップ全量を出して軽く握ると、左手で娘をヘッドロックし、そのまま右手の親指から中指までの3本の指で娘の口をこじ開けながら手を傾け、口内にドライシロップを突っ込んだ。さらに泣きわめく娘を尻目に、左の手の平で娘の口を押え、右手を伸ばしてコップをつかんで顔の近くまで持って行き、左の手の平を離した際に嘔吐気味に開けた口にコップの端を当て水を注ぎこみ、再び左の手の平で口を封じた。「苦しいけど、ゴックンしてね、ゴックン」と言いながら。もはや虐待じみているが、仕方がない。娘は既に肺炎を起こしているのだ。1日2回の服用のうち、朝は妻の出勤後、夕刻は妻の帰宅前・夕食前にこの格闘が続いた。あえて妻がいない時間にしたのは、打つ手なしとは言え娘が苦しむ姿は見せたくなかったからだ。もっともその後も何もしていなかったわけではない。時間があるごとに近隣の保険調剤薬局やドラッグストアをまわり、状況を伝えて相談はした。その数はチョコ味の服薬ゼリーを探した時を超えて11軒。しかし、ストロベリー味のゼリーもダメ、チョコ味のゼリーもダメ、牛乳もダメ、バニラアイスもダメという私の説明後に返ってくるのは決まって「大抵そのどれかでいけるんですがね」というもの。新たな案は1つも出てこず、不思議なくらい同情すらされなかった。結局、娘は大学病院の初診から3日目の受診で肺炎の改善が確認され、7日目の受診で「まあもう大丈夫でしょう」と医師から告げられた。その間、強制服薬を続け、毎回娘の服は私の手の平から一部こぼれ落ちたドライシロップまみれになり、顔や服は飛び散った水で濡れていた。クラリスロマイシンの服用が終了となった7日目の受診後に私は娘に「いっぱいがんばったからハンバーグ食べに行こうか?」と提案した。大学病院の近くにハンバーグがおいしいと評判の老舗レストランがあることを知っていたからだ。娘が久しぶりに満面の笑みを浮かべたことを今でも覚えている。私も娘も、もうあの強制服薬で苦しむことはない。晴れ晴れとした気持ちでそのレストランに入ってテーブルに座り、私がメニューに手を伸ばして、「さあ何を食べようね」と言いかけた瞬間、娘が「お薬はもういや」と金切り声を挙げて、テーブルの片隅にあったものを払い落とした。食塩のボトルだった。あの強制服薬の影響で白っぽく見える粉が薬に見えたらしい。その後、2ヵ月ほど白い粉末に対する拒否反応が続いた。結局このときから9ヵ月後、娘は再びクラリスロマイシンのドライシロップを服用する羽目になる。しかし、観念したのか、この時以降は自ら口を開き、ドライシロップを受け入れるようになった。もっとも飲み始めから飲み下し後数分間はひたすら「まじゅい(不味い)」と文句を言い続けていたが。医療者「あるある」で終わらせてほしくないたぶんこのクラリスロマイシンの話題は医師、薬剤師双方にとって「あるある」的な話なのだろう。テレビドラマはどうしても典型例しか描けないが、その「あるある」にはクラリスロマイシンの事例で私が経験したような典型パターンで解決できないケースもある。そしてそうしたケースは、ほかにも山のようにあるだろう。しかし、過去にも言及したが、生活習慣指導も含め、日常的に医療に接していると医療従事者による添付文書の棒読みのような対処のなんと多いことか。今、丹念にあの時の事を振り返っても思うのが、別にドラマの中のようにエレガントに解決されなくともある意味仕方がない、ただ共感してくれるだけでもいいから「葵 みどり」が現れていたらと、ふと思う。昨今、一部の医薬分業バッシングにあるように薬剤師を取り巻く周囲の目はやや厳しい。そして「かかりつけ薬剤師・薬局」「健康サポート薬局」など行政による矢継ぎ早な提案が続いている。今回、改めてこうした検討が行われた時の資料を読み返してみた。そして思うのだ。そこに求められている薬剤師像はまさに「葵 みどり」ではないかと。薬剤師の中にもあのドラマを部分部分で「ナンセンス」と突っ込みを入れてみていた人もいるだろうし、繰り返しになるが「あるある」で見ていた人もいるだろう。だが、私にはもはや薬剤師はその「ナンセンス」「あるある」を超えるべき時期、もっと一歩踏み込んだ存在になるべき時期が来ているように思えてならない。

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METexon14スキッピング変異、MET増幅肺がんに対するカプマチニブの効果/NEJM

 非小細胞肺がん(NSCLC)では、3~4%の患者にMET遺伝子exon14スキッピング変異が、また1~6%の患者にMET増幅が認められる。ドイツ・ケルン大学のJurgen Wolf氏らGEOMETRY mono-1 Investigatorsは、さまざまなタイプのMET活性がんモデルにおいて作用が認められたカプマチニブについて、METexon14スキッピング変異が認められる進行NSCLC患者を対象とした第II相試験を行い、持続的な抗腫瘍効果が、とくに未治療の患者において示されたことを明らかにした。また、MET増幅進行NSCLCにおける有効性は、腫瘍細胞の遺伝子コピー数が少ない患者よりも多い患者で高かったこと、主な副作用は軽度の末梢浮腫および悪心であったことも示された。NEJM誌2020年9月3日号掲載の報告。 MET増幅進行NSCLC患者におけるカプマチニブの評価は、複数コホート試験にて行われた。 患者は、既治療ラインとMETステータス(MET遺伝子exon14スキッピング変異またはMET増幅)に基づくコホートに割り付けられ、カプマチニブ400mg×2/日を投与された。 主要評価項目は、全奏効率であった。主な副次評価項目は、奏効期間とした。両評価項目は独立審査委員会で評価された。 主な結果は以下のとおり。・合計364例が、コホートに割り付けられた。・MET遺伝子exon14スキッピング変異NSCLC患者において、全奏効率は、1次または2次治療既往の患者(69例)では41%、未治療患者(28例)では68%であった。・奏効期間中央値は、1次または2次治療既往患者群9.7ヵ月、未治療患者群12.6ヵ月であった。・遺伝子コピー数10未満のMET増幅既治療患者における有効性は、限定的であった(全奏効率7~12%)。・遺伝子コピー数10以上のMET増幅患者では、奏効率は既治療群で29%であったが、未治療群は40%であった。・最も頻度の高かった副作用は、末梢浮腫(51%)、悪心(45%)であったが、大半がGrade1/2であった。

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化学療法+アテゾリズマブの1次治療で長期生存した小細胞肺がんの特徴(IMpower133)/ESMO2020

 IMpower133では、進展型小細胞肺がん(ES-SCLC)の1次治療において、カルボプラチン+エトポシドへのアテゾリズマブの追加は、長期追跡でも持続した全生存期間(OS)および無増悪生存期間(PFS)の改善を示している。欧州臨床腫瘍学会(ESMO Virtual Congress 2020)では、IMpower133の長期生存者(LTS、無作為化後18ヵ月以上生存)の探索的分析を米国・Lombardi包括的がんセンターのS. V. Liu氏が報告した。・対象:全身治療未実施のES-SCLC患者(無症状の既治療CNS病変を有する患者は許容)・試験群:アテゾリズマブ+カルボプラチン+エトポシド、21日ごと4サイクル(atezo+CE群、201例)・対照群:プラセボ+カルボプラチン+エトポシド、21日ごと4サイクル(CE群、202例)・評価項目:治験医師評価による無増悪生存期間(PFS)およびOS 主な結果は以下のとおり。・データカットオフ時(2019年1月24日)の追跡期間中央値は22.9ヵ月であった。・OS中央値は、atezo+CE群51.9ヵ月に対しCE群10.3ヵ月と、atezo+CE群の有意な改善は持続していた(HR:0.76、95%CI:0.60~0.95、p=0.00154)。・373例(182例、191例)が今回の探索的研究の対象となった。・LTS患者の割合は、atezo+CE群33.5%(61/182例)、 CE群20.4%(39/191例)と、atezo+CE群で多かった。・年齢、性別、PS、転移巣の数、腫瘍最長径和などのベースライン状況を問わず、atezo+CE群でLTS患者が多かった。・血漿腫瘍遺伝子変異量、PD-L1発現量とLTSとの関連は見られなかった。

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1日1杯以上の飲酒が糖尿病患者の高血圧リスクと関連?

 これまで、2型糖尿病患者における飲酒と高血圧の関連は、十分に研究されていない。今回、米国・ウェイクフォレスト大学のJonathan J. Mayl氏らのデータ分析で、2型糖尿病患者では、適度な飲酒でも高血圧リスクに関連する可能性が示された。JAHA誌オンライン版2020年9月9日号での報告。 本研究は、成人の2型糖尿病患者を対象に心血管疾患(CVD)を軽減するための介入を比較したランダム化試験(ACCORD試験)の参加者1万200人(平均年齢約63歳)のデータを利用した。参加者は、軽度の飲酒(1~7杯/週)、中程度の飲酒(8~14杯/週)、重度の飲酒(15杯以上/週)の3群に分類された。なお、“1杯”の定義は12オンスのビール、6オンスのワインまたは1.5オンスのリキュールとした。 血圧については、ACC/AHA2017高血圧ガイドラインに従って、正常(収縮期血圧[SBP]120mmHg未満かつ拡張期血圧[DBP]80mmHg未満)、血圧上昇(SBP:120~129mmHgかつDBP:80mmHg未満)、ステージ1高血圧(SBP:130~139mmHgまたはDBP:80~89mmHg)、ステージ2高血圧(SBP:140mmHg以上またはDBP:90mmHg以上)に分類された。 主な結果は以下のとおり。・年齢、性別、人種、BMI、CVDの既往、現在・過去の喫煙状態、2型糖尿病の罹患年数を考慮した多変量ロジスティック回帰モデルでは、軽度の飲酒と血圧上昇または高血圧との間に関連は見られなかった。・中程度の飲酒では、血圧上昇(オッズ比[OR]:1.79、95%CI:1.04~3.11、p=0.03)、ステージ1高血圧(OR:1.66、95%CI:1.05~2.60、p=0.03)およびステージ2高血圧(OR:1.62、95%CI:1.03~2.54、p=0.03)と関連していた。・重度の飲酒では、血圧上昇(OR:1.91、95%CI:1.17~3.12、p=0.01)、ステージ1高血圧(OR:2.49、95%CI:1.03~6.17、p=0.03)およびステージ2高血圧(OR:3.04、95%CI:1.28~7.22、p=0.01)と関連していた。 著者らは「2型糖尿病患者は心血管リスクがとくに高いため、飲酒と高血圧の関係を理解することが非常に重要だ。週に7杯以上の飲酒は、2型糖尿病患者の高血圧に関連している可能性がある」と結論している。

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新型コロナ、米国成人の抗体陽性率は約9%/Lancet

 新型コロナウイルス感染症(COVID-19)パンデミックの第1波の期間中に、新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)への抗体を獲得していた米国成人集団は10%に満たず、抗体保有者で診断を受けていたのも10%未満であった。米国・スタンフォード大学のShuchi Anand氏らが、米国の透析患者を対象としてSARS-CoV-2抗体陽性率を検証した横断研究の結果を報告した。米国の透析患者の多くが毎月定期的に検査を受けており、実用的で偏りなく繰り返しSARS-CoV-2血清陽性率を評価することが容易であった。検討では、4つの層別(年齢、性別、地域、人種/民族)の推定値も算出し、それらの結果を踏まえて著者は、「SARS-CoV-2の伝播を抑える公衆衛生の取り組みは、とくに人種/民族的マイノリティーと人口密度の高いコミュニティーを対象とする必要がある」と述べている。Lancet誌オンライン版2020年9月25日号掲載の報告。透析患者約2万8,000例の毎月の定期検査から血清陽性率を推定 研究グループは、米国の透析施設約1,300施設の検体が集まる中央検査機関の協力を得て、2020年7月に透析を受けた成人患者から無作為に抽出された残存血漿2万8,503検体について、スパイクタンパク質の受容体結合ドメインに対する全抗体を化学発光法により検出した(感度100%、特異度99.8%)。 匿名化された電子カルテから年齢、性別、人種/民族に関するデータおよび居住地と施設の郵便番号を抽出し、患者レベルのデータを人口10万人当たりの累積症例数・1日症例数・死亡数、鼻腔スワブ検査陽性率と関連付けた。さらに、米国の全透析集団(全米透析集団)および成人集団(全米成人集団)に基づいて推定有病率を標準化し、事前に設定した4つの層別(年齢、性別、地域、人種/民族)の推定値を示した。民族/人種的マイノリティーや人口密度の高い地域の住民で陽性率が上昇 抽出母集団の「年齢・性別・人種/民族の分布」は、全米透析集団と類似していた一方で、全米成人集団と比較すると、「高齢者」「男性」「黒人およびヒスパニック系が多い地域に住む人」の割合が高かった。 SARS-CoV-2血清陽性率は、抽出母集団で8.0%(95%信頼区間[CI]:7.7~8.4)であり、全米透析集団に標準化した場合は8.3%(8.0~8.6)、全米成人集団に標準化した場合は9.3%(8.8~9.9)であった。全米透析集団に標準化した場合、血清陽性率は西部の3.5%(95%CI:3.1~3.9)から北東部の27.2%(25.9~28.5)の範囲にわたっていた。 人口10万人当たりの血清陽性率と症例数を比較すると、血清陽性者でCOVID-19と診断されていたのは9.2%(95%CI:8.7~9.8)であった。SARS-CoV-2感染の他の評価項目と比較すると、人口10万人当たりの死亡数と最も相関していたのは血清陽性率であった(Spearmanのp=0.77)。 血清陽性のオッズ比(OR)は、非ヒスパニック系白人が多い地域の居住者と比較し、非ヒスパニック系黒人(OR:3.9、95%CI:3.4~4.6)ならびにヒスパニック系が多い地域の居住者(2.3、1.9~2.6)で上昇し、人口密度が最低五分位の地域の居住者と比較して最高五分位の地域の居住者で上昇した(10.3、8.7~12.2)。 2020年3月初旬の移動制限で出勤を5%以上減少した郡は、5%未満の郡と比較し、2020年7月の血清陽性ORが低下した(OR:0.4、95%CI:0.3~0.5)。

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EGFR変異NSCLCの術後補助療法、オシメルチニブでDFS改善(ADAURA)/NEJM

 EGER変異陽性StageIB~IIIA非小細胞肺がん(NSCLC)の術後補助療法において、オシメルチニブはプラセボと比較して無病生存(DFS)期間を有意に延長した。中国・Guangdong Provincial People's HospitalのYi-Long Wu氏らが、国際共同無作為化二重盲検第III相試験「ADAURA試験」の結果を報告した。オシメルチニブは、未治療のEGER変異陽性進行NSCLCに対する標準治療であるが、術後補助療法としてのオシメルチニブの有効性と安全性については不明であった。NEJM誌オンライン版2020年9月19日号掲載の報告。EGER変異陽性StageIB~IIIAの術後NSCLC、オシメルチニブの有効性を評価 研究グループは、完全切除後のEGER変異陽性StageIB~IIIAのNSCLC患者682例を、オシメルチニブ群(339例)またはプラセボ群(343例)に1対1の割合で無作為に割り付け、1日1回80mgを最大3年間投与した。 主要評価項目は、StageII~IIIA患者集団における治験担当医の評価によるDFS、副次評価項目は全患者集団におけるDFS、全生存期間(OS)、安全性などである。全患者集団およびStageII~IIIA患者集団ともにDFSが有意に延長 24ヵ月時点におけるStageII~IIIA患者のDFS率は、オシメルチニブ群90%(95%信頼区間[CI]:84~93)、プラセボ群44%(37~51)であった(ハザード比[HR]:0.17、99.06%CI:0.11~0.26、p<0.001、層別log-rank検定)。また、全患者集団における24ヵ月DFS率は、オシメルチニブ群89%(95%CI:85~92)、プラセボ群52%(46~58)であった(HR:0.20、99.12%CI:0.14~0.30、p<0.001、層別log-rank検定)。 24ヵ月時点で、オシメルチニブ群の98%(95%CI:95~99)、プラセボ群の85%(80~89)が生存しており、中枢神経系への転移も確認されなかった(HR:0.18、95%CI:0.10~0.33)。 全生存のデータは必要イベント数が不足していたが、死亡は29例(オシメルチニブ群9例、プラセボ群20例)であった。新たな安全性の懸念は確認されなかった。

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双極性障害の臨床症状に対するカフェインの影響~システマティックレビュー

 カフェインは、健康集団においては有益な効果をもたらすといわれているが、双極性障害患者を対象とした心理教育プログラムでは、摂取を制限するよう日常的にアドバイスしている。英国・キングス・カレッジ・ロンドンのSofia Frigerio氏らは、臨床アウトカムの観点から、双極性障害の自然経過にカフェインの摂取や中止がどのような影響を及ぼすかについて、システマティックレビューを実施した。Bipolar Disorders誌オンライン版2020年9月18日号の報告。 双極性障害患者を対象に、症状の重症度(躁うつ症状、うつ症状、精神症状、不安症状、睡眠障害、自殺傾向)とカフェイン摂取との関係を報告したすべての研究を、PubMed、Embase、PsycINFO(2020年7月17日時点)より検索した。 主な結果は以下のとおり。・抽出された研究1,678件のうち17件(ケースレポート:10件、レトロスペクティブコホート研究:1件、横断研究:5件、介入研究:1件)が選択基準を満たした。・多くのケースレポートでは、さまざまな量のカフェイン摂取により双極性障害患者の症状が、躁状態、軽躁状態、混合状態へ切り替わったこと、および/または、カフェイン摂取の減量により、血清リチウム濃度が上昇したことが報告されていた。・介入研究では、カフェインがリチウム濃度を抑制する可能性が示唆された。・レトロスペクティブコホート研究では、コーヒーを飲む患者は、飲まない患者と比較し、自殺傾向が強いと報告された。・双極性障害患者に対するカフェインの臨床効果を調査した研究は、決定的ではなかった。 著者らは「双極性障害患者におけるカフェイン摂取量の急激な増加は、直接的な覚醒効果、睡眠パターンへの影響、リチウムや他の薬剤の代謝などを介して、躁症状発現に先行して認められる可能性がある。また、進行中の躁症状の再発や前駆症状の結果として、カフェインの摂取量が増加する可能性もある。カフェインの摂取が、双極性障害の長期予後に影響を及ぼすかを判断するためには、さらなる研究が必要とされる」としている。

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ニボルマブ+化学療法の非小細胞肺がん術前補助療法がpCRを向上(CheckMate-816)/BMS

 ブリストル マイヤーズ スクイブは、2020年10月7日、切除可能な非小細胞肺がん(NSCLC)を対象とした第III相CheckMate-816試験において、ニボルマブと化学療法の併用療法が主要評価項目である病理学的完全奏効(pCR)を達成したと発表。 同試験において、術前にニボルマブと化学療法の併用療法を受けた患者群では、化学療法を受けた患者群と比較して、切除組織にがん細胞を認めない患者数が有意に多かった。 CheckMate-816試験は、非進行NSCLCの術前補助療法で、免疫チェックポイント阻害薬と化学療法の併用療法がベネフィットを示した初めてかつ唯一の第III相試験となる。 CheckMate-816試験では、現在、もう一つの主要評価項目である無イベント生存期間(EFS)の評価のため盲検下で維持し、主要な副次評価項目も評価するため進行中である。

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コンピューターは便利だが最後は人間の力を信じたい(解説:折笠秀樹氏)-1293

 医療情報学というのは1970年代に始まった。多くの医学部に医療情報学講座が生まれた。いま、医療情報学講座は少しずつ減ってきている。これでいいのだろうか。デジタルメディスンあるいはデジタルヘルスは、今後急速に進んでいくだろうと思う。それにつけ、医療情報学は、なくなるべきではないだろう。 医療情報学の幕開けは何だったかというと、やはりオーダーエントリーシステムのように思う。Do処方などが生まれた。そして、電子カルテ(EHR:Electronic Health Record)システムで花開いた。その先にあるのが、今回のテーマである診療決定支援システム(CDSS)である。ここでは、このEHR情報といろいろな情報をリンクさせる。薬剤の添付文書情報とリンクさせることで、相互作用やアレルギーのアラートを出してくれるので、医療事故が減らせるだろう。診療ガイドラインとリンクさせることで、推奨する検査や治療法を示してくれる。文字どおり、診療を支援してくれるわけである。 リンクする情報はいわゆる文書なのに、どうやってEHRとリンクさせるのだろうか。その鍵は、近年発展したAIや自然言語処理などにある。医師が書かなくても、自動的に診断書を作ることも可能になる。ドキュメンテーションは負担だが、この支援まで行ってくれる。このようにCDSSは大変便利であり、莫大な情報量の中で働く医師を支援してくれるのは間違いない。 ここで、1970年代を思い出す。統計学を利用した計量診断が登場した。しかし、それはあまり浸透していかなかった。医師がコンピューターに支配されるという極論もあったが、コンピューターは人間を上回ることはできない。CDSSは便利には違いないだろうが、それに頼り過ぎると危険だろう。医師だからこそ可能な診断、あるいは治療選択があるはずだ。将棋でもAIをしのぐ藤井棋士に目を見張るが、医療においても最後は医師の力を信じたい。今回の研究でも、CDSSの恩恵はごくわずかという結論だった。

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懲役太郎【Dr. 中島の 新・徒然草】(344)

三百四十四の段 懲役太郎半袖だとなんだか寒いですね。考えてみればもう衣替えの季節。皆が一斉に夏服から冬服になった中学生の頃を思い出します。さて、今、私が一番見ている YouTube が「懲役太郎チャンネル」。その語り口が面白くてやめられません。ちょうどデビュー当時の浅田次郎のような勢いがあります。「前科三犯、893番、懲役太郎です」という決まり文句で始まり、「本日のお話は、兄弟分のお話です」と、その筋の様々な話題が提供されます。この人は現在50歳代、元は関西系の893だとか。もう今では足を洗ってYouTuberとして稼いでいます。顔と名前を出していないので、バーチャルYouTuberと言うのかな?とにかく、いわゆる「反社」については無茶苦茶詳しい。やはり本職をしていただけのことはあります。タイトルの一覧をあげると、最凶の若頭ボケた囚人、おぞましい光景銃で撃たれたら熱いやくざの女に手をだしたらなど、おどろおどろしいものが一杯。とはいえ、「へえーっ!」と思わされるものもあります。檻の中で出会った中国公安のスパイ国家相手に犯罪をしたらどうなる…?力道山を殺した男ヤクザで出世するのはどんな人?これらの話の要点を上から順に言うと、同室になったのは鍛え抜かれた超インテリ中国人国を舐めたら大変なことになった「あの人だぞ!」「おぉ……」と皆がヒソヒソと耳打ちをしていた極道の世界で上に行くのはむしろ生真面目な人が多いというものです。私が言っても面白くないので、ぜひ御本人の口から聴いてください。これ以上ないくらいリアル、そして面白い!色々聴いた中の最高傑作はやはり「死刑囚との文通」視聴者のリクエストに懲役太郎が答えるという20分番組でした。内容ですが、拘置所で知り合った未決死刑囚と手紙のやりとりをしたこの文通を通じて色々考えさせられた死刑制度に賛否あることは懲役太郎も承知しているしかし…徐々に話が脱線して、思いも寄らない幕切れに至りました。こればかりは皆さんに実際に聴いていただきたく思います。人の心の闇の深さ、事実だけが持つ重たさなど、私にとっては大変な衝撃でした。「事実は小説より奇なり」とはこのこと。BGMで使われているドビュッシーの「月の光」が妙に生々しい。「死刑囚との文通」を聴くにあたって1つ注意して欲しいのは、いつもは「面会時間終了!」で終わりになるのに、少し延長があったこと。視聴される方は「面会時間終了!」で席を立たないようにお願いします。というわけで懲役太郎について紹介させていただきました。ちょっとした空き時間にどうぞ。最後の1句月ひかり 意外な結末 照らし出す

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ESMO2020レポート 肺がん

レポーター紹介今年はCOVID-19の影響で、ASCOをはじめ多くの学会がvirtual meeting開催となり、ESMO2020も例にもれずvirtual meetingとして、2020年9月16日~21日に開催された。肺がん領域においては注目の演題が多数存在し、Presidential SymposiumにおいてはADAURA試験およびCROWN試験の報告がされた。日本人演者においては、先ほどのADAURA試験において坪井先生、@Be試験の瀬戸先生、WJOG8715L試験の戸井先生がOral Presentationに選出されている。重要な試験のフォローアップの報告を含め、いくつか注目の演題を紹介したい。ADAURA試験ASCO2020で大幅な無病生存期間(DFS)の改善を示したADAURA試験であるが、ESMO2020においては中枢神経系(CNS)を含む再発パターンについて国立がん研究センター東病院の坪井 正博先生によって報告された。ADAURA試験は、StageIB~IIIA期の切除可能な上皮成長因子受容体(EGFR)遺伝子変異(Del-19/L858R)を有する非小細胞肺がん(NSCLC)を対象に、術後補助療法として第三世代EGFRチロシンキナーゼ阻害薬(EGFR-TKI)オシメルチニブとプラセボを比較した第III相試験である。Stage(IB/II/IIIA)、EGFR遺伝子変異(Del-19/L858R)および人種(アジア人/非アジア人)によって層別化され、オシメルチニブ群およびプラセボ群には1:1で割付された。オシメルチニブの投与は3年間または再発まで行われた。今回の報告では、CNSを含む再発パターンについての内容であった。CNS転移再発はEGFR遺伝子変異陽性NSCLC患者において比較的高頻度に認められる遠隔転移の再発形式の1つであり、予後不良因子である。オシメルチニブは既存のEGFR-TKIに比べ血液脳関門通過性が高いことが報告されており、脳転移への効果が期待された。全体の再発割合はオシメルチニブ群において11%、プラセボ群において46%であり、そのうち遠隔転移再発はオシメルチニブ群で38%、プラセボ群で61%であった。主な再発部位は、オシメルチニブ群では肺が6%、リンパ節が3%、CNSが1%、プラセボ群では肺が18%、リンパ節が14%、続いてCNSが10%となっており、期待されていたとおりオシメルチニブ群におけるCNS再発は低かった。CNS DFS中央値は、プラセボ群の48.2ヵ月(95%CI:NC~NC)に対し、オシメルチニブ群では未到達(NR)(95%CI:39~NC)、ハザード比(HR)0.18(95%CI:0.10~0.33)、p<0.0001と有意な延長が示された。1年/2年/3年CNS DFS率はプラセボ群ではそれぞれ97%/85%/82%と低下傾向を示したのに対し、オシメルチニブ群では100%/98%/98%とほぼ低下は認めなかった。また、試験開始後18ヵ月時のCNS再発率はオシメルチニブ群で1%未満(95%CI:0.2~2.5%)、プラセボ群で9%(95%CI:5.9~12.5%)と、CNS再発率もオシメルチニブ群において低かった。今回の報告より、術後補助療法としてのオシメルチニブを投与することにより、局所および遠隔転移の再発リスクが減少することが示された。術後補助療法の再発予防としてオシメルチニブを使うべきか、術後再発としてオシメルチニブを使用すべきか、今後の全生存期間のさらなるフォローアップの報告が期待される。WJOG8715L試験現在初回治療でオシメルチニブを選択する機会も増えており、2次治療で使用する機会が少なくなってきたが、そもそものオシメルチニブの適応であるEGFR-TKI不応となったT790M陽性NSCLCに対して、オシメルチニブ・ベバシズマブ併用療法とオシメルチニブを比較した第II相試験がWJOG8715L試験である。未治療のEGFR遺伝子変異陽性NSCLCにおいてはエルロチニブ+VEGF阻害薬によりPFSの延長効果が示されており、今回の結果も期待された。主要評価項目はPFS、副次評価項目はORR、治療成功期間(TTF)、OS、安全性であり、当院の戸井 之裕先生によって発表された。PFSは、ベバシズマブ併用群が9.4ヵ月、単剤群が13.5ヵ月、HR 1.44(95%CI:1.00~2.08)、p=0.20でベバシズマブ併用群のほうがむしろ短い結果となった。前治療でVEGF阻害薬の治療歴有無別でのPFSの解析も行われており、VEGF(-)-オシメルチニブ(37例)13.7ヵ月、VEGF(+)-オシメルチニブ(4例)15.1ヵ月、VEGF(-)-ベバシズマブ併用(32例)11.1ヵ月、VEGF(+)-ベバシズマブ併用(8例)4.6ヵ月、とVEGF阻害薬の治療歴のある併用群の成績がとくに短かった。併用群で多く認められたGrade3以上の副作用は蛋白尿および高血圧であり、間質性肺炎は両群で10%程度に認められた。今回の報告では、残念ながらベバシズマブを併用することの意義は示せなかった。PFSが延びなかった理由として、VEGF阻害薬の治療歴のある症例に対する併用群の成績が良くなかったのが影響している可能性があるが、VEGF阻害薬の治療歴のない症例の比較においてもベバシズマブを上乗せする効果はみられていない。オシメルチニブとベバシズマブとの相性の問題か、EGFR-TKI既治療という腫瘍周囲環境がある程度整った状況によるものなのか、議論に尽きない結果となった。未治療EGFR遺伝子変異陽性肺がんを対象にオシメルチニブ・ベバシズマブ併用療法の有効性を検討するWJOG9717L試験、またオシメルチニブ・ラムシルマブ併用療法の有効性を検討するTORG1833試験がそれぞれ登録終了しており、それらの結果と合わせ、オシメルチニブにVEGF阻害薬を併用することの意義が結論付けられることとなるだろう。CROWN試験CROWN試験は未治療のALK転座陽性進行NSCLCを対象に、初回治療としてロルラチニブとクリゾチニブを比較した第III相試験である。EGFR遺伝子変異陽性NSCLCに対しオシメルチニブが初回治療として承認されたように、ALK転座陽性NSCLCに対しての初回治療になるかが期待される。本試験は多くの試験において脳転移症例が除外される中、治療済または症状のない未治療の脳転移を有する患者の登録が認められていた。しかしながら、クロスオーバーは認められていなかった。今回は中間解析の結果が報告された。主要評価項目である無増悪生存期間(PFS)はロルラチニブ群でNE(95%CI:NE~NE)、クリゾチニブ群で9.3ヵ月(95%CI:7.6~11.1)、HR 0.28(95%CI:0.19~0.41)、p<0.001と有意な延長が示された。1年PFS率はロルラチニブ群が78%(95%CI:70~84)、クリゾチニブ群が39%(95%CI:30~48)と大きな開きをみせている。PFSは、脳転移の有無も含めてすべてのサブグループで有意にロルラチニブ群が良かった。奏効率はロルラチニブ群で76%、クリゾチニブ群で58%であった。ロルラチニブは頭蓋内移行性が高く、今回の報告では脳転移に対する効果も検討されている。頭蓋内奏効率は、ベースラインで測定可能または測定不能な脳転移があった患者で、ロルラチニブ群(38例)が66%(95%CI:49~80)、クリゾチニブ群(40例)が20%(95%CI:9~36)とロルラチニブ群での高い奏効が示された。脳転移の増悪までの期間は、ロルラチニブ群(149例)がNE(95%CI:NE~NE)、クリゾチニブ群(147例)が16.6ヵ月(95%CI:11.1~NE)、HR 0.07(95%CI:0.03~0.17)、p<0.001で有意にロルラチニブ群が良かった。OSはインマチュアであり、両群ともに中央値はNEであった。副作用はロルラチニブ群において高脂血症、高TG血症、浮腫、体重減少、末梢神経障害を高頻度に認めている。中間解析の結果ではあるが、PFSは有意な改善が期待できる。ALK肺がんは現時点でも長期のOSが示されているが、ロルラチニブを初回に使うことによってさらなるOSの改善が期待できるのか、今後の報告が気になるところである。WJOG10718L/@Be試験@Be studyはEGFR/ALK/ROS1陰性、PD-L1強陽性(Daco 22C3)の未治療非扁平上皮非小細胞肺がんに対して、アテゾリズマブ+ベバシズマブ併用療法の有効性を検証する単群第II相試験である。免疫チェックポイント阻害薬に血管新生阻害薬を上乗せする試験は近年いくつか報告されており、本試験は肺がんにおいてベバシズマブを上乗せする初めての試験である。主要評価項目は奏効率(ORR)、副次的評価項目はPFS、DoR、OS、安全性であり、試験事務局である九州がんセンターの瀬戸 貴司先生により結果が報告された。登録された40例中、39例が適格であり、TPS 50~75%が13例(33.3%)、75~100%が26例(66.7%)であった。主要評価項目であるORRは64.1%(90%CI:49.69~76.83)と統計学的にメットしており、9割以上の症例において腫瘍縮小が認められた。PFSは15.9ヵ月(95%CI:5.65~15.93)、1年PFS率は54.9%(95%CI:35.65~70.60)であり、これまでのPD-L1強陽性に対する報告を上回る結果となり、今後が期待される。副作用は、23件/12例においてGrade3の副作用を認め、Grade4以上は認めなかった。副作用中止は2例に認め、硬化性胆管炎と脳症によるものだった。今後、PD-L1強陽性に対して免疫チェックポイント単剤(IMpower110 or KEYNOTE-024)か免疫チェックポイントに血管新生阻害薬を上乗せする(@Be)か、さらには殺細胞性抗がん剤も併用する(IMpower150)か、第III相試験が興味深いところである。KEYNOTE-024試験KEYNOTE-024試験は、PD-L1強陽性(TPS≧50%)の未治療進行NSCLCに対する初回治療におけるペムブロリズマブ単剤治療と化学療法(プラチナ併用療法)を比較した第III相試験である。化学療法群ではPDを認めた場合にペムブロリズマブ群へのクロスオーバーが認められていた。これまでPFS、OSにおいて有意な延長効果が示されてきたが、今回は5年フォローアップのデータの報告となった。2020年6月1日にデータカットオフされ、追跡期間中央値は59.9ヵ月であった。化学療法群のペムブロリズマブへのクロスオーバーは66.0%であった。OSはペムブロリズマブ群で26.3ヵ月(95%CI:18.3~40.4)、化学療法群で13.4ヵ月(95%CI:9.4~18.3ヵ月)、HR 0.62(95%CI:0.48~0.81)と既報と大きな変わりは認めなかった。3年OS率はペムブロリズマブ群で43.7%、化学療法群で19.8%、5年OS率はペムブロリズマブ群で31.9%、化学療法群で16.3%と、3年以上の症例ではtail-plateauの傾向もみられ、5年たった時点でも生存率は約2倍維持されている。化学療法群において高いクロスオーバーがあったにもかかわらず、ペムブロリズマブ群は5年OS率においても有意な延長効果が示され、初回治療で投与することは重要と考える。さらには、35サイクル(2年間)ペムブロリズマブを投与できた症例(39例)の奏効率は82%と高率であった。多くは治療早期に奏効が得られており、免疫チェックポイント阻害薬においても、縮小効果がある症例においては長期の治療効果が期待できることが示された。現在、PD-L1強陽性に対しては単剤で十分ではないかという議論がされるが、今回の長期フォローアップのデータはそれを裏付ける結果の1つであるといえる。PD-L1強陽性に対する単剤とコンビネーションの比較試験も進行中であり、その結果にも注目したい。CheckMate-9LA試験EGFR/ALK陰性の未治療進行NSCLCを対象に初回治療としてニボルマブ(Nivo)+イピリムマブ(Ipi)に化学療法2サイクルを併用するNivo+Ipi+化学療法群と化学療法群を比較する第III相試験である。ASCO2020において有効性が公表され、すでに米国・オーストラリア・シンガポール・カナダでは承認されており、日本でも承認間近と伺っている。今回は、アジア人サブグループの結果が報告された。9LA登録例のうち、アジア人は日本人患者(50例)と中国人患者(8例)であった。Nivo+Ipi+化学療法群が28例、化学療法群が30例であった。OSは、アジア人サブグループでも全集団と同様の傾向がみられ、Nivo+Ipi+化学療法群でNR(15.4ヵ月~NR)、化学療法群で13.3ヵ月(8.2ヵ月~NR)、HR 0.33(95%CI:0.14~0.80)と併用群で良好な結果が示された。組織型(Sq/non-Sq)、PD-L1発現(≧1%/<1%)でみた解析においても、少数ながらNivo+Ipi+化学療法群において改善傾向が認められた。気になる副作用であるが、アジア人における全体およびGrade3/4の頻度、そして副作用中止の頻度が高い傾向があるが、とくにアジア人集団で新たに認められたものはなかった。今回の報告でもあるように9LAレジメンは副作用が懸念点であり、今後実臨床においてどのように評価されていくのかが気になるところである。さいごに今回のESMO2020もvirtualではあったものの、肺がん領域においてはいくつもの重要な報告があった。日本においてはいくらかCOVID-19の蔓延が落ち着きつつあり、現地とwebのハイブリッド開催が行われるようにもなってきたが、世界的には落ち着いておらず国際学会に行くのはまだまだ先になるだろう。国際学会の刺激は現地でないと味わえないところもあり、一刻も早い現状の改善を期待している。

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