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COVID-19の論文が量産され過ぎな件【Dr. 倉原の“おどろき”医学論文】第179回

COVID-19の論文が量産され過ぎな件pixabayより使用私は普段から医学論文を読んでいるのですが、テーマやジャーナルのレベルを絞りながら読むように心掛けています。最近、COVID-19の論文が多過ぎて、オイオイそれはおかしいやろと驚いたので、せっかくだからこの連載でちょっと考察してみたいと思います。中世から近現代にかけてよくわからない論文が流行した時期もあるので、PubMedで検索可能な1900年以降の医学論文について「タイトル検索」を実施してみました。検索時に、PubMedに[title]というタグを入れることで、医学論文のタイトルにその語句が含まれたものだけを抽出する方法があるのです。たとえば、伝統的な感染症である、「結核(tuberculosis)」をタイトル検索すると、1950年代に論文数の第1ピークを起こし、その後現代にいたるまで数多くの論文が刊行されています。その数、14万を超えます。さすがですね、結核。画像を拡大するマラリア(malaria)は4.7万件、梅毒(syphilis)は1.7万件、麻疹は「measles」で1.5万件、「rubeola」で200件です。世界的に有名な感染症なのに、ここらへんは、思ったより少ないですね。そ、そ、そ、そしてCOVID-19は途中で病名が変わったにもかかわらず、なんと6.1万件です。1年足らずで、なんとマラリアの総件数超え!!!いやいや、おかしいでしょうと。PubMedユーザーに困った現象も起こしていまして、たとえば「肺炎(pneumonia)」で、やたらCOVID-19が引っかかるようになったのです。現在、約5万件がヒットしますが、2020年にいきなり3倍に増えているのです。グラフがビューン。細かくみると、この多くがCOVID-19 pneumoniaによる増加だとわかります(矢印)。画像を拡大する…というわけで、COVID-19の論文が量産され過ぎている現状が透けて見えるわけです。アクセプトの閾値が下がっているため、査読リテラシーが問われる案件であると危惧しております。ひどいものでは、「COVID-19時代の原因不明の肺炎」(中身を見てみるとPCR陰性で病原微生物がよくわからなかったというヒドイもの)という論文もあって、よくこんな論文をアクセプトしたなぁと感心するものもありました。

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サンアントニオ乳がんシンポジウム(SABCS2020)レポート

レポーター紹介2020年12月8日から12月11日まで4日間にわたり、SABCS 2020がVirtual Meetingとして行われた。最近のSABCSは非常に重要な演題が多く、今回もプラクティスを変えるものもあれば、議論が深まるものも多かった。リバーウォークでステーキを食べながら議論はできなかったが、その分オンデマンド配信を繰り返し見て、何度も発表の内容を確認することが出来た。また、例年よりも多くのSpotlight Poster Discussionが設定されていたように思う。今回は、それらの演題の中から3演題を紹介する。RxPONDER試験2018年にTAILORx試験の結果が発表されて以降、ホルモン受容体陽性HER2陰性乳がんでリンパ節転移陰性の場合はOncotypeDXの再発スコア(recurrence score:RS)が25以下であれば原則として化学療法となった。一方、リンパ節転移陽性の場合のRSが低〜中間リスク(25以下)の場合の化学療法の上乗せ効果については閉経後女性に対する限られたデータのみしかなかった。RxPONDER試験は、ホルモン受容体陽性HER2陰性乳がんでリンパ節転移が1〜3個の症例を対象として、RSが25以下の場合に化学療法を実施する群と内分泌療法単独群とで化学療法の上乗せ効果を検証した試験である。統計学的にはやや複雑な手法が取られており、まずRSと化学療法の間に無浸潤疾患生存率(invasive disease free survival:IDFS)において連続的な相関関係があるかどうかを検証している。RSと化学療法の間に相関関係が示された場合は、RS 0~25の症例においてRSが化学療法の有効性を示す指標として結論付けられるとされた。相関関係が示されなかった場合はRSと化学療法がそれぞれ独立したIDFSの予後予測因子となるかを検証している。2011年2月から2017年9月の間に9,383例がスクリーニングされ、最終的に内分泌療法単独群に2,536例、化学療法群に2,547例が割り付けられた。両群の患者背景はほぼ均等であり、RS 0~13が40%強、RS 14~25が60%弱であった。リンパ節転移は1個が65%前後、2個が25%前後、3個は10%弱であった。化学療法とRSの相関関係については証明されなかった。続いて化学療法とRSはそれぞれがIDFSの予測因子であること(化学療法を実施したほうがハザード比[HR]が低く、RSが高いほうがHRが高い)ことが示された。全体集団の解析での5年IDFSは化学療法群で92.4%、内分泌療法群で91.0%(HR:0.81、95%CI:0.67~0.98、p=0.026)であり、化学療法群で有意に良好であった。引き続いて閉経状態での解析が実施された。閉経後では5年IDFSは化学療法群で91.6%、内分泌療法群で91.9%(HR:0.97、95%CI:0.78~1.22、p=0.82)と両群間に差を認めなかったが、閉経前では化学療法群で94.2%、内分泌療法群で89.0%(HR:0.54、95%CI :0.38~0.76、p=0.0004)であり、化学療法群で有意に良好であった。RS 13までと14以上に更にサブグループに分けた解析も実施され、閉経後ではRSにかかわらず化学療法のメリットはなく、一方閉経前ではRSにかかわらず(RS 13までのほうが絶対リスク減少は減るものの)化学療法のメリットが認められた。リンパ節転移の個数による解析も同様であった。全生存(OS)においても閉経後は両群間に差を認めなかったが、閉経前では5年OSは化学療法群で98.6%、内分泌療法群で97.3%(HR:0.47、95%CI:0.24~0.94、p=0.032)であった。閉経前ではリンパ節転移陽性の場合は化学療法がOSに寄与することが示されたと言えよう。RxPONDER試験は今回のSABCSの演題の中で日常臨床に最もインパクトを与える試験であったと言える。PENELOPE-B試験前回の欧州臨床腫瘍学会(ESMO)年次総会では2つのCDK4/6阻害剤の術後治療への上乗せに関する試験が発表された。アベマシクリブを上乗せするMonarchE試験と、パルボシクリブを上乗せするPALAS試験である。MonarchE試験はpositive、PALAS試験はnegativeとなり、明暗を分けた。そんなわけで、パルボシクリブをレスポンスガイドで用いるPENELOPE-B試験も非常に注目された。PENELOPE-B試験はホルモン受容体陽性HER2陰性乳がんに対し術前化学療法を実施した後に病理学的完全奏効(pCR)が得られなかった症例(non-pCR)を対象として、CPS-EGスコアというnon-pCRの予後を予測するスコア(J Clin Oncol.2011 May 20;29:1956-1962, Eur J Cancer. 2016 Jan;53:65-74.)が3以上のハイリスク、もしくは2で術後にリンパ節転移が陽性であるという、本試験でのハイリスク症例を対象として、術後に標準的内分泌療法に加えパルボシクリブ(125mg/日、day1~21内服、28日間隔)もしくはプラセボを同スケジュールで13コース内服し、IDFSにおいてパルボシクリブ群で良好であることを検証する優越性試験である。両群間の患者背景に大きな差はなかった。追跡期間の中央値が42.8ヵ月のデータが発表され、2年IDFSではパルボシクリブ群で88.3%に対してプラセボ群で84.0%とパルボシクリブ群で良好な傾向を認めたものの、3年IDFSでは81.2% vs. 77.7%、4年IDFSでは73% vs. 72.4%と両群間の差は認められなかった(HR:0.93、95%CI:0.74~1.17、p=0.525)。様々なサブグループ解析も実施されたが、パルボシクリブの上乗せ効果が認められた群はなかった。OSの中間解析結果も発表され、4年IDFSで90.4% vs. 87.3% (HR:0.87、95%CI:0.61~1.22、p=0.420)と両群間の差は認めなかった。PALAS試験では内服に関する規定が非常に厳しく、完遂率が32%と非常に低かったことがnegativeとなった理由ではないかと考察されていたが、PENELOPE-Bでは完遂率は80%であり必ずしも内服のアドヒアランスで結果が左右されたとは言えなさそうである。non-pCRに対して術後に化学療法を追加したり、治療薬を変更するというアプローチはトリプルネガティブ乳がん(TNBC)やHER2陽性乳がんでは確立しているが、ホルモン受容体陽性HER2陰性乳がんに対してはPENELOPE-Bが初の結果である。ひとつはnon-pCRの予後を推定する際にCPS-EGスコアが適切なリスク評価方法であったかということが重要である。CPS-EGスコアは術前と術後の病期と核異型度で予後を予測したものであり、病期の高いがん(あるいはダウンステージできなかったがん)では予後不良というある意味単純な事実を見ているだけかも知れない。また、ここには薬剤感受性の概念はなく、ホルモン受容体陽性HER2陰性乳がんにおけるpCR率は低いことから、正確にリスク層別ができていなかった可能性は高いであろう。加えて、術後にCDK4/6阻害剤を内服する際の至適投与期間は不明である。MonarchEとPALASは24ヵ月、PENELOPE-Bでは12ヵ月であり、その投与期間は(同じ薬であっても)試験によって異なる。PENELOPE-Bは2年IDFSではパルボシクリブ群で良好な傾向を認めており、もしかするとパルボシクリブの内服は再発を遅らせる働きを持っているのかも知れない(がわからない)。KEYNOTE-355試験乳がんでは他領域に遅れながらもTNBCを中心に免疫チェックポイント阻害薬の開発が進んでいる。とくに先行しているのが抗PD-L1抗体であるアテゾリズマブと、抗PD-1抗体であるペムブロリズマブである。KEYNOTE-355試験は前治療歴のないTNBCを対象として化学療法(アルブミン結合パクリタキセル[nab-PTX]、パクリタキセル[PTX]、またはゲムシタビン+カルボプラチン[GEM+CBDCA])+ペムブロリズマブもしくは化学療法+プラセボを比較する第III相試験である。主要評価項目はPD-L1陽性集団(CPS≧10およびCPS≧1)とITT集団における無増悪生存期間(PFS)、PD-L1集団とITT集団におけるOSとされた。前回のESMO年次集会では主たるPFSの解析が発表され、SABCSではレジメンごとのサブグループ解析を含めて566例がペムブロリズマブ群に、281例がプラセボ群に2:1に割り付けられた。CPS≧1のPD-L1陽性が約75%、CPS≧10のPD-L1陽性が40%弱であった。化学療法としてはnab-PTXが30〜34%、PTXが11〜15%、GEM+CBDCAが55%であった。同クラスの化学療法を受けたことのある症例は22%程度であった。主要評価項目のPFSはCPS≧10ではペムブロリズマブ群で9.7ヵ月、プラセボ群で5.7ヵ月 (HR:0.65、95%CI:0.49~0.86、p=0.012)であり、ペムブロリズマブ群で有意に長かった。一方、CPS≧1では7.6ヵ月 vs. 5.6ヵ月 (HR:0.74、95%CI:0.61~0.90、p=0.0014 ※注:有意水準は0.00111)、ITTでは7.5ヵ月 vs. 5.6ヵ月 (HR:0.82、95%CI:0.69~0.97)であり、いずれも両群間の差は認められなかった。レジメンごとのサブグループ解析では、nab-PTX、PTXでは有意差を認めているものの、GEM+CBDCAでは有意差を認めなかった。このサブグループ解析はTNBCにおける免疫チェックポイント阻害薬の位置付けにおいて重要な結果となっている。ESMOではTNBC初回治療におけるアテゾリズマブの試験であるIMpassion131試験の結果が発表された。IMpassion130試験はnab-PTXに対するアテゾリズマブの上乗せ効果を証明した試験であったが、IMpassion131試験ではパクリタキセルに対するアテゾリズマブの上乗せが検証され、両群間の差は(傾向としても)認められなかった。対して、KN-355試験ではパクリタキセルに対するペムブロリズマブの上乗せ効果が示され、薬剤ごとに明暗を分けた。アテゾリズマブとペムブロリズマブは同じセッティングの薬剤であるものの、コンパニオン診断薬が異なり(SP-142と22C3)、また併用化学療法も異なっている。今後はこれら2剤の使い分けについての議論も必要であろう。

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第41回 新型コロナワクチンの体制強化へ、河野大臣の起用は安泰なのか?

新型コロナウイルス感染症(以下、新型コロナ)に対するファイザー社ワクチンの接種が米英を中心に始まり、日本でも接種開始が現実味を帯びようとしている。そうしたなか、菅 義偉首相は突如ワクチン接種に関して担当大臣を設置し、その任に規制改革担当相の河野 太郎氏を当てることを発表した。支持率が低迷する菅政権にとって、新型コロナ対策に本腰を入れているとのアピール、悪く言えばパフォーマンスと言ったほうが良いかもしれない。そう思うのには主に2つの理由がある。そもそも厚生労働省が主導するワクチン接種に関して、別途担当相を設けること自体が指揮系統の複雑化を招きかねないにもかかわらず、わざわざ新設ポストを設置する意味が分からない。そして担当相は河野氏である。河野氏と言えば安倍前首相の辞意表明直後、Yahoo!ニュース独自の世論調査「みんなの意見」の「次期自民党総裁、ふさわしいと思うのは?」で、総裁選に出馬を表明した3氏を抑えてトップとなり、直近では毎日新聞と社会調査研究センターが1月16日に実施した全国世論調査「次の衆院選後の首相にふさわしいと思う人」でもトップとなっているほど国民的人気は高い。その背景にはTwitterで219万人を超えるフォロワーを有し、業務多忙なはずなのに、エゴサーチして自分に言及しているツイートに引用してツイートする手法が影響していると言われる。この行為は一般のTwitterユーザーからすれば「有名人に相手された」と喜び、親近感を抱かせるきっかけになる。つまり今回の人事は「ワクチン担当相新設+国民人気の高い担当相人選」の合わせ技で国民にアピールしようという菅首相の意図が透けて見えるのだ。担当相新設で指揮系統が複雑化する可能性があると前述したが、担当相が河野氏であることがさらことを複雑にする可能性がある。そもそも河野氏は、官僚答弁を真似たかのような建前論ばかり言う政治家が多い中にあって、Twitterのツイートだけでなくリアルでも刺激的な物言いが多い。自民党総裁選と言えば、一定の閣僚経験を積んだ議員が出馬することが半ば慣例と化しているが、河野氏はまだ初入閣すら果たせていなかった2009年の自民党総裁選に出馬。そこでは「腐ったリンゴを樽に戻せば樽の中は全部腐る。勇気を持って取り除くための総裁選だ」と自民党古参批判を展開した。ちなみに同総裁選では河野氏と同じく当時閣僚未経験で出馬した現新型コロナ対策担当相の西村 康稔氏もいたが、これは当時番狂わせで河野氏が当選しないよう、念のため党内若手票を分断させるために自民党古参幹部が後押しをして出馬させたと噂されている。また、河野氏は東日本大震災による東京電力福島第一原発事故を経験しても原発推進政策を維持する自民党の中にあって、数少ない原発反対論者。徹底した合理主義者で無駄と思われるものは大嫌い。外相時代に省内のこまごまとした作法を廃止し、Twitterでは文部科学省で副大臣、大臣政務官の初登頂を職員100人以上が深夜にわざわざ出迎えたことを批判した記事が出た際も引用し、わざわざ「ヤメレ。(要は深夜の出迎えなんかやめろと言う意味)」とツイートしている。その意味では規制改革担当相は打ってつけの役職とも言えそうだが、合理主義の徹底、根回し・忖度も一切しない、己の正しさを声高に主張するなど態度から周囲の反発を受けることも少なくない。規制改革担当相就任早々にアピールしたのは「押印廃止」キャンペーン。この時に、デジタル改革担当相の平井 卓也氏から送られたという「押印廃止」と彫られた印章と印影をTwitter上にアップし、業界関係者から批判を浴びた。印章・スタンプ生産額が国内有数の山梨県(2017年生産額国内6位)の長崎 幸太郎知事からは「唖然として言葉も出ません…ただただ限りない『嫌悪感』。(決してデジタル化に反対している訳ではない)印章関係者の健気な想いや切実さに対する敬意はおろか想像力すら微塵も感じられない…あたかも、薄ら笑いを浮かべながら土足で戦場の死体を踏み付ける残虐シーンの映画を見ているが如き」とツイートされたほど。結局この件は衆議院内閣委員会で野党議員の質問を受け、「意図が伝わらなかった。おわび申し上げたい」と陳謝する結末となった(該当ツイートはすでに削除)。そして、実はメディアとの関係も微妙だ。外相時代には北方領土問題に関連してロシア側の発言に関して大臣会見で意見を求められた際には関連する複数の質問にはまったく答えず、ただ「次の質問どうぞ」を繰り返した。確かに高度な政治判断が伴う領土問題については安易な発言はできないことを記者側は百も承知はしている。しかし、その場合は日本国内に限らず他国でも「両国で協議中のことであり、コメントは控えたい」旨の発言をすることが慣例である。結局この時も次回の会見冒頭で謝罪に追い込まれた。念のため言っておくと、「微妙なことなのだから質問するな」との意見もあるかとは思うが、ノーコメントでも一旦は質問し、必要あらば「『ノーコメント』だった」と書くのも記者の仕事である。一切のノーコメントから官僚答弁のような紋切り型の発言をし始めた段階で「潮目が変わった」ことが分かるし、それを伝えることがまた記者の仕事だからである。そんなこんなもあり、河野氏は自らの政治資金パーティーで、所属派閥・麻生派の領袖である副総理兼財務相の麻生 太郎氏から「何が政治家として今後伸びていくのに欠けているかといえば、一般的な常識に欠けている」とまで公言されてしまっている(麻生氏に「常識」という言葉を口にされたくないと思う人もいるかもしれないがそれは棚上げしておく)。さてその河野氏、ワクチン担当相就任から2日でまた「悶着」を起こしている。共同通信が新型コロナワクチン接種について、医療従事者や高齢者、基礎疾患保有者などの優先接種終了後の幅広い一般への接種開始について5月ごろを想定しているとする政府関係者談を紹介したベタ記事に「噛みついた」のだ。これに関連して河野氏はさらにNHKの報道を名指しで「デタラメ」とまで指摘した。河野氏のツイート直前のNHKのワクチンに関する報道と言えば、「政府 変異ウイルスの市中感染に危機感 全国の監視体制強化へ」。河野氏が「デタラメ」と評しているのは、どうやらこの記事のワクチン接種スケジュールで、共同通信の報道と同様に一般向けに「5月ごろ」と指摘している部分らしい。ちなみにこのうちの4月までに基礎疾患を有する人の接種を開始する旨は、すでに厚労省が自治体説明向けに昨年12月18日付で作成した資料(P46)に記載されている。まあ、これに共同通信やNHKは関係各所に取材をして、早ければ5月には広く一般向けの接種が開始される見込みと報じたわけだ。両社の取材の精度はここではわからない。だが、報道の世界に四半世紀以上身を置いている私の経験則では、少なくともこれら複数の会社がほぼ同時にあてずっぽうな報道をすることはほとんどないと言っていい。ここで河野氏が言う「デタラメ」を超訳すると、「まだしっかりは固まっていない」あるいは「俺は聞いていない」ということだろうと推察される。なぜそういうかと言うと、河野氏は昨年5月の防衛相時代に「前科」があるからである。これはアメリカの海上弾道ミサイル防衛システム「イージス・システム」の陸上コンポーネント、通称「イージス・アショア」の配備地を巡り山口県と秋田県が候補地となったが、最終的に防衛省がこれを断念した時のことだ。秋田県への配備を巡って最初に断念を報じたのは読売新聞。これに対して河野氏は「フェイクニュース」と引用ツイートした。同様の内容はNHKも報じたが、これもフェイクニュース扱いのツイートをした。しかし、6月になり配備計画は停止、河野氏自身が秋田県を訪れ謝罪する羽目になった。こうした河野氏の姿勢は一部のジャーナリストなどから辛辣な批判を浴びてきている。政治取材歴の長いフリーランスライター・畠山 理仁(みちよし)氏はその河野氏のキャラクターを詳細に分析している。端的に言えば、もともとの異端児気質に、権力の階段を登って身についた中途半端な「長いものに巻かれろ」感覚がプラスされているということだ。今回の担当相に就任した河野氏の対応次第ではワクチン接種で新たな波乱も起こるかもしれない。いずれにせよ、まずは今回「デタラメ」と断じた一般へのワクチン接種がいつになるのか?あと3~4ヵ月で答えははっきりする。

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日本人就労者における不眠症治療経過と作業機能障害との関係

 睡眠障害、とくに不眠症に対する薬物治療の治療段階が、日本人就労者の日中の仕事に及ぼす影響について、産業医科大学の大河原 眞氏らが、検討を行った。PLOS ONE誌2020年12月10日号の報告。 対象は、日本の企業15社において2015年に実施した作業機能障害のアンケート調査の回答者3万6,375人。公的健康保険のレセプトデータベースより抽出した回答者の医療データとアンケート結果を一緒に分析した。作業機能障害の測定には、作業機能障害スケール(WFun)を用いた。不眠症の治療状況は、過去16ヵ月の健康保険レセプトデータより抽出した、疾患や処方薬のデータを用いて把握した。治療中および治療期間外における重度の作業機能障害のオッズ比を推定するため、ロジスティック回帰分析を用いた。 主な結果は以下のとおり。・重度の作業機能障害リスクは、不眠症でない人と比較し、1ヵ月以上の睡眠薬治療が行われた不眠症患者において有意に高かった。このリスクは、治療期間が長くなるほど減少する傾向が認められた。・過去に不眠症の薬物治療を受けた人では、薬物療法の中止からの期間によって層別化されたすべてのサブグループにおいて、重度の作業機能障害リスクの有意な増加が認められた。このリスクは、治療中止後の期間が長くなるほど減少する傾向が認められた。 著者らは「不眠症治療のために睡眠薬を服用しているまたは服用していた就労者は、日中の機能障害リスクが高い可能性がある。不眠症が長引く場合には、睡眠薬のリスクとベネフィットを注意深く評価する必要がある」としている。

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irAE対策のステロイド投与は肺がんのOSに影響を与えず/Eur J Cancer

 免疫チェックポイント阻害薬(ICI)治療中の進行肺がん患者において、ステロイド投与は生存アウトカムに影響するのか。スウェーデン・カロリンスカ大学病院のMarcus Skribek氏らが、同院の進行非小細胞肺がん(NSCLC)患者について分析を行った結果、免疫関連の有害事象(irAE)を理由としたステロイド投与は、ICI治療の有効性を妨げないと考えられることが示された。一方で、がん緩和ケアを目的とした高用量ステロイド投与は、予後不良となる可能性を示唆するものであることが示されたという。European Journal of Cancer誌オンライン版2021年1月5日号掲載の報告。irAE対策のためのステロイド投与は進行肺がん患者のOSに影響なし 研究グループは、カロリンスカ大学病院でICI治療中の進行NSCLC患者を対象に、生存アウトカムへのコルチコステロイド投与のタイムラインと投与の理由の影響を評価する検討を行った。 ステロイド投与は、プレドニゾロン換算10mg超を10日以上と定義。投与の要因に基づいて患者を3群に分類した。1)がん緩和ケアではない支持療法のため、2)がん緩和ケアのため、3)irAE対策のため。 さらに、タイムライン分析のため、患者を「ICI開始の2週間前から投与2日後までコルチコステロイド投与を受けた」群と「ICI治療コース終了後にステロイドを受けた」群の2群に分類して評価した。 進行肺がん患者へのirAEを理由としたステロイド投与はICI治療の有効性に影響するのか調べた主な結果は以下のとおり。・進行肺がん患者196例の分析データにおいて、46.3%がコルチコステロイドを投与されたことが示された。・irAE対策のためのステロイド投与は、ステロイド未投与との比較において全生存(OS)期間について影響は認められなかった(p=0.38)。・がん緩和ケアのためのステロイド投与のみ、OSを短縮する独立した予測因子であった(ハザード比:2.7、95%信頼区間:1.5~4.9)。・ステロイド投与のタイムラインは、本試験対象コホートのOSについて影響は認められなかった(p=0.456)。

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新型コロナ、トイレでの感染リスクは?

 中国・江蘇省疾病予防管理センターの研究者らが新型コロナウイルス感染症(COVID-19)患者専用病院内のトイレとトイレ以外での新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)の検出状況を調査するため、環境サンプリングを収集し、環境要因を分析した。その結果、SARS-CoV-2陽性を示した4点のサンプルはすべて患者トイレに関連するもので、病棟のドアハンドル、便座カバー、バスルームのドアハンドルから検出された。Science of The Total Environment誌2021年1月20日号掲載の報告。 研究者らはCOVID-19データとして気流及びCO2濃度の測定を実施。表面サンプルを107点(隔離室のトイレ:37点、隔離室のトイレ以外:34点、院内隔離室外のトイレ以外の表面:36点)、空気サンプルを46点、隔離室(1部屋3ベッド)内外の呼気凝縮液サンプルと呼気サンプルを2点ずつ収集し、分析した。 主な結果は以下のとおり。・陽性を示したサンプル4点のうち、3点は弱い陽性で、便座、洗面台のタップレバー、バスルームの天井排気ルーバーから収集したものだった。・空気サンプル46点のうち、廊下から収集された1点は弱い陽性だった。・呼気凝縮液サンプル2点と呼気サンプル2点はすべて陰性だった。・患者が使用したトイレのエアロゾル(糞便由来)には、院内で検出されたSARS-CoV-2のほとんどが含まれていた。 研究者らは、「今回の結果より、建物の環境設計と清掃習慣が見直されることとなった。また、患者介入する際には手指衛生とともにトイレ表面の定期消毒がCOVID-19対策として重要」としている。

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COVID-19の回復期血漿療法、高力価vs.低力価/NEJM

 人工呼吸器未装着の新型コロナウイルス感染症(COVID-19)入院患者において、抗SARS-CoV-2 IgG抗体価が高い血漿の投与は低力価の血漿の投与と比較して、死亡リスクが低下することが明らかとなった。米国・メイヨー・クリニックのMichael J. Joyner氏らが、全米レジストリのCOVID-19回復期血漿拡大アクセスプログラムに参加した患者データを後ろ向きに解析し報告した。回復期血漿療法は、COVID-19から回復した患者の血漿に、SARS-CoV-2への治療用抗体が存在し、その血漿をレシピエントに投与可能であるという推定の下で、COVID-19の治療法として広く利用されている。しかし、高力価血漿が低力価血漿よりも死亡リスク低下と関連するかについては不明であった。NEJM誌オンライン版2021年1月13日号掲載の報告。全米レジストリ登録患者約3,000例を後ろ向きに解析 研究グループは、全米レジストリベースの後ろ向き研究で、回復期血漿の投与を受けたCOVID-19入院患者の抗SARS-CoV-2 IgG抗体価を測定し、抗体価と血漿投与後30日以内の死亡との関連を解析した。 解析には、2020年7月4日まで、またはプログラムの当初3ヵ月間に登録され、投与された血漿の抗SARS-CoV-2抗体価のデータと30日死亡に関するデータが利用可能であった3,082例(全米680の急性期施設から登録)が組み込まれた。 抗SARS-CoV-2 IgG抗体価は、シグナル/カットオフ値(S/CO)が<4.62を低力価、4.62~18.45を中力価、>18.45を高力価とした。高力価血漿群が低力価血漿群より30日死亡リスク34%低下 解析対象3,082例は、男性61%、黒人23%、ヒスパニック系37%、70歳未満が69%であり、3分の2が侵襲的人工呼吸器装着前に血漿投与を受けていた。登録施設当たりの患者数中央値は2例(IQR:1~6)。低力価群(561例)、中力価群(2,006例)、高力価群(515例)の3群間の、人口統計学的特性、COVID-19との関連リスク因子、COVID-19の治療薬の併用使用は概して似通っていた。 血漿投与後30日以内の死亡は、高力価群で515例中115例(22.3%)、中力価群で2,006例中549例(27.4%)、低力価群で561例中166例(29.6%)に発生した。 抗SARS-CoV-2抗体価とCOVID-19による死亡リスクとの関連は、人工呼吸器の装着の有無で異なっていた。低力価群に対する高力価群の30日死亡リスク低下は、血漿投与前に人工呼吸器を装着していなかった患者で確認され(相対リスク[RR]:0.66、95%信頼区間[CI]:0.48~0.91)、人工呼吸器を装着していた患者では死亡リスクへの影響は認められなかった(RR:1.02、95%CI:0.78~1.32)。

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院外心停止、蘇生中の亜硝酸ナトリウムは入院時生存を改善せず/JAMA

 院外心停止患者において、亜硝酸ナトリウムの投与はプラセボと比較して、入院までの生存を改善しないことが、米国・ワシントン大学のFrancis Kim氏らによる第II相無作為化二重盲検プラセボ比較臨床試験の結果、明らかとなった。心停止の動物モデルでは、蘇生中の亜硝酸ナトリウムの治療的投与により生存率が改善することが認められているが、臨床試験における有効性の評価はこれまで行われていなかった。著者は今回の結果を受け、「院外心停止において蘇生中の亜硝酸ナトリウム投与は支持されない」とまとめている。JAMA誌2021年1月12日号掲載の報告。約1,500例を亜硝酸ナトリウム45mg群、60mg群、プラセボ群に無作為化 研究グループは2018年2月8日~2019年8月19日の期間に、ワシントン州キング郡における心室細動または非心室細動による院外心停止の成人患者を登録し、亜硝酸ナトリウム45mg投与群、同60mg投与群、またはプラセボ群に1対1対1の割合で無作為に割り付け、救急医療隊員による積極的な蘇生中に可能な限り早期にボーラス投与した。 主要評価項目は、入院までの生存(片側検定で評価)。副次評価項目は、院外の変数(自己心拍再開率、再停止率、血圧を維持するためのノルエピネフリン投与)と、院内変数(退院までの生存、退院時の神経学的アウトカム、24時間・48時間・72時間までの累積生存率、集中治療室在室日数)などであった。 計1,502例(平均年齢64歳[SD 17]、女性34%)が無作為化を受け、99%が試験を完遂した。入院時生存率は、亜硝酸ナトリウム投与群41~43%、プラセボ群44% 入院まで生存していた患者は、亜硝酸ナトリウム45mg群(500例)では205例(41%)、亜硝酸ナトリウム60mg群(498例)では212例(43%)、プラセボ群(499例)では218例(44%)であった。 入院時生存率のプラセボ群に対する平均群間差は、45mg群が-2.9%(片側95%信頼区間[CI]:-8.0~∞、p=0.82)、60mg群が-1.3%(-6.5~∞、p=0.66)で、いずれも有意差は認められなかった。 退院時生存など事前に設定された7つの副次評価項目も、有意差が確認されたものはなかった。退院時生存率は、45mg群13.2%、60mg群14.5%、プラセボ群14.9%で、退院時生存率のプラセボ群に対する平均群間差は、45mg群-1.7%(両側95%CI:-6.0~2.6、p=0.44)、60mg群は-0.4%(-4.9~4.0、p=0.85)であった。

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治療フローが様変わり、「肝硬変診療ガイドライン2020」の変更点とは

 肝硬変の非代償期と聞けば誰しもが諦めていたものだが、時代遅れと言われぬよう、この感覚をアップデートさせねばならないようだー。2020年11月、『肝硬変診療ガイドライン2020(改定第3版)』が発刊された。第2版が発刊された2015年から5年もの間に肝硬変治療に関する知見が数多く報告され、治療法は目まぐるしく変化している。そのため、海外の最新治療ガイドライン(GL)と齟齬がないように、かつ日本の実地診療に即したフローとなるよう留意し、日本肝臓学会と日本消化器病学会が対等の立場で初めて合同作成した。今回、その作成委員長を務めた吉治 仁志氏(奈良県立医科大学消化器・代謝内科 教授)に非専門医もおさえておくべき変更点やGLの活用方法についてインタビューした。肝硬変症状、プライマリケアでも早期発見を 今回の改訂において、“実地医家(プライマリケア医)にも使いやすい”を基本に作成を進めたと話した吉治氏。同氏によると、肝硬変は肝臓専門医による診療だけではなく、実地医家による日々の診療からの気付きが重要だという。「これまで非代償期の患者は予後不良で治療も困難であった。しかし、肝硬変は非代償期からも可逆性である事が明らかとなると共に、この5~10年の間に新薬が次々と登場し肝硬変治療に対する概念が変わったことで、非代償期を含めた肝硬変を非専門医にも診察してもらう意味がある」と説明した。 今回のフローチャートの見やすさや検査項目の算出のしやすさは、そんな状況変化を反映させ刷新しており、肝硬変診断のフローチャートの身体所見に『黄疸』『掻痒感』が追加されたのもその一例である。同氏は「黄疸は進行例で発見されることが多く実地医家では診療が困難であったため、これまで所見として含まれていなかったが、現況を顧みて追加した」と補足した。一方、掻痒感については「多くの非専門医は肝臓疾患がもたらす痒みの認識が薄いように感じる。そのため、抗ヒスタミン薬などで経過観察され、その間に肝疾患が進行してしまう場合も散見される。冬場は乾燥によるかゆみを訴える患者も多いが、肝疾患によるかゆみは抗ヒスタミン薬が無効である例が多く、ほかの所見もあれば血液検査を行い肝臓疾患の有無について判別を行ってほしい」と訴えた。栄養療法を簡単に個別化できるフローチャートへ 肝硬変治療で重要となる栄養療法もフローチャートが明確になり非専門医でも利用しやすくなっているが、これには近年の肝硬変患者の成因変化が影響している。2008年の肝硬変成因別調査

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俺にそれをきくか?【Dr. 中島の 新・徒然草】(358)

三百五十八の段 俺にそれをきくか?大寒波の中、コロナの勢いはとどまるところを知らず。ついに日本全国での1日の死者数が100人を超えました。大阪医療センターでも大変なことになっています。なんせ通常診療の上にコロナがのしかかってくるので、人手不足が否めません。そのせいか人間関係のトラブルは普段の5割増し。私自身もつい感情的になってしまった1日でした。そんなイライラ大爆発の中で書いたものが読者の笑いをとれるのか?それが本日の私の課題です。先日来院された通院患者さん。子供の時の大病を克服して今は立派な社会人青年です。私とも20年近くの付き合いになってしまいました。今回の外来でお母さんから何やらお話が。母親「この子、ジムのトレーナーにチャレンジしたんですよ」中島「ダンベルか何かで挑んだんですか?」男同士の力比べかと思ってしまいました。母親「そうじゃなくて、女性のトレーナーに告白したんです」中島「へっ? 告白でっか」女の子に興味がないのかと母親なりに心配していたそうです。でも、それは杞憂でした。当たって砕け散ったのは残念ですが。母親「中島先生やったら何かアドバイスがあるんじゃないかと」患者「どうしたらうまく行ったんでしょうか?」それを俺にきくかね?中島「そっち方面は最も苦手とするところ……あった、いいアドバイスが!」母親&患者「ぜひ教えてください!」急にいい考えが浮かんできました。中島「ひょっとして唐突に告白したんと違うか?」患者「そうですね、相手は驚いていました」そりゃダメだ。中島「イヌの頭を撫でることを想像してみようよ」患者「はい」中島「いくら友好的なイヌでも、いきなり頭を撫でようとしたらびっくりして噛まれるやろ」患者「そうですね」中島「そやから、今から頭を撫でるぞ、という予告がいるんや」患者「予告するんですか?」中島「ジムに行ったときに、『次回、告白するからな。心の準備しとってや』と言うとくわけよ」患者「わかりました、やってみます!」中島「驚かせて反射的に拒否される、というのだけは避けられるで」なんとも後ろ向きのアドバイスですが、患者は真剣です。中島「それと持っている武器は全部使った方がエエな」母親&患者「??」中島「お母さんくらいの年代だったら、バブルの頃の3高を覚えているでしょう」母親「そういえば3高ってありました。女性が男性に求める条件ですよね」中島「高身長、高学歴、高収入だったかな」母親「そうそう!」中島「高学歴とか高収入とかで勝負するのは卑怯や、などと思ったらアカン」患者「大丈夫です。高学歴も高収入もありませんから」中島「高収入でなくても、家が金持ちでもエエんや」母親「家にもお金がないんですけど」中島「お金持ちだと相手が思うのは自由やろ」患者「なんか、お金で釣るみたいで嫌だなあ」中島「心配あれへん。『好きになった人がたまたまお金持ちだっただけよ』と都合良く補正するんや、ヒトっちゅうもんは」しかし大丈夫かね、このアドバイス?自分で言ってて心配になってきた。中島「最後にもう1つ言っておこう」母親&患者「なんですか、それ?」中島「うまく振られるスキルや」患者「スキル?」中島「柔道ではまず受け身、スキーでもまず転び方から学ぶやろ」患者「ええ」中島「そやから振られたときのダメージを最小限にする心構えや」またまた後ろ向きのアドバイス!でも期待されている以上、何かを言わなくては。母親「あの、振られるのが前提になっているのでしょうか?」中島「いやいや、前提というわけではないんですけどね」不戦敗にならないための準備とでもいいましょうか。思い切って告白するにはダメージコントロールも大切です。中島「振られてもたら、『ファーストクラスでハワイの別荘に遊びに来てもらおかと思ってたんやけど、残念!』と言うわけよ」患者「はあ?」中島「振られた後やから何言ってもエエやろ。『思った』というのは事実やから、そこにウソはあれへん」母親&患者「確かに。さすが、中島先生!」ともかく、患者さんに明るく楽しく前向きに生きていただくための外来診療。たとえ根拠のない助言でも、明日への活力になればそれで十分。中島「次に外来に来た時には戦果をきかせてや。楽しみにしとるで」母親&患者「はいっ!」果たして、次回の外来でどんな話がきけるのか。わくわくしてきますね。最後に1句イライラを 笑いに変えた 睦月かな

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事例018 モーラステープの査定【斬らレセプト シーズン2】

解説事例では、湿布薬ケトプロフェン貼付剤(商品名:モーラステープ)がB事由(医学的に過剰・重複と認められるものをさす)として査定となりました。湿布薬の処方に当たっては、診療報酬点数表の第5投薬の通則5によって、湿布薬の種類にかかわらず、1処方につき70枚が限度とされています。医師がやむを得ず70枚を超えて投薬する場合は、その理由を処方箋と診療報酬明細書に記載することで算定することができます。本事例では、1処方84枚と70枚を超えていました。病名から見て貼付部位が6ヵ所と明確であるため70枚超えの投与は可能であり、コメントは特に必要ではないと考えられていました。しかし、コメント記載がない場合の多くは1回処方量70枚を超える部分が査定となります。なぜ42枚に査定となったのだろうと、もう1度診療報酬明細書を確認してみました。用量コメントに1日2回とありました。湿布薬(モーラステープなど)は「1局所1日1回貼付」が原則です。医学的に1日2回を必要としたコメントは見当たりませんでした。したがって、本来の用量の1日1回分が妥当であると査定となったことが考えられます。総量70枚を超える、または1日1回を超える貼付を必要とする場合には、あらかじめ医学的コメントを記載していただくように改めて医師にお願いしています。最近の事例を紹介します。診療報酬点数表に明記はありませんが、同月内で140枚を超える処方は認められない傾向です。たとえば、同月に28枚×2回、42枚×1回、56枚×1回の計154枚の組み合わせでは、14枚分が査定となっています。毎回の処方では算定要件を満たしますが、同月内合計で140枚を超える場合は見逃しやすいため注意が必要です。さらに、2020年10月診療分から、湿布薬投与の1日用量などや、1処方70枚超えにかかるコメントには、レセプト電算処理システムコードを選択しての入力が必須となりました。該当コードを使用していないコメント入力やコメント内容に不備がある場合は返戻されています。対策としてはレセプトチェックシステムを活用されると良いでしょう。

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医療マンガ大賞2020 入選作「心がふるえたエピソード」(原作:若手内科医イーノ氏)

医療マンガ大賞2020 入選作「心がふるえたエピソード」(原作:若手内科医イーノ氏)漫画家・chiku氏からのコメント若手内科医イーノ先生のエピソードを拝読して、一番印象に残ったのは、「できないことが増えていくっていうのも素敵なことなのよ」という言葉です。何でもすぐに答えを求める傾向にある現代に対し、このエピソードを漫画としてどのように表現したらいいか、悩み続けました。その中で思い出したのが「かぐや姫」です。日本最古の物語「竹取物語」は、謎だらけの作品です。かぐや姫の正体どころか、作者の正体すら解明されていません。そういえば、竹に関する芥川龍之介の「藪の中」という小説もまた、事件の「真相」は描かれていません。「できないことが増えていくっていうのも素敵なことなのよ」という言葉は、その真意とは異なるかもしれませんが、コロナ禍の中の今を生きる私たちに、一条の光明を与えていただいているような気がしました。若手内科医イーノ氏(30代・内科)による原作エピソードはこちら参考第2回医療マンガ大賞受賞作品 心がふるえたエピソード (横浜市医療局)医療マンガ大賞特設Webサイト(同)バックナンバー

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医療マンガ大賞2020 「心がふるえたエピソード(医師視点)」入選作品

医師1年目、患者さんから言われた言葉が今でも胸に残っている。やること為すことすべてが新しく、ときには怯えながらも日々患者さんのために働く。困っている人のために自分ができることが増え、充足を感じていた。病棟で出会ったその女性は50代という若さにもかかわらず、進行胃がんを患っていた。 外来で抗がん剤の治療を行うも効果は乏しく、本人と家族の希望で治療を中断したばかり。数日前から吐いてしまい、食事が取れないために入院となった。自分の命が限られていることは外来主治医から伝えられていた。私に任されたのは、必要な水分を補うための点滴をとることだった。進行胃がんという背景を疑ってしまうような穏やかな雰囲気をまとった人だった。血管めがけて針を進めるも、腫れてしまう。失敗だ。苦しむ本人に、もう一度針を刺さなければならない。「申し訳ありません、うまく点滴をとることができませんでした。もう一度、血管を見させてください」「いいのよ、何度でも。できるまでやってちょうだい」優しい言葉に励まされ、2回目でなんとか点滴をとることができた。ほっと胸をなでおろしつつ、「点滴から水やお薬が入れば、気持ち悪さもいくらか楽になると思います」と伝えた。その後数日して、点滴が漏れてしまったためにまた私が病室に伺うことになった。念入りに針を進め、今度は1回目で成功する。「今日は1回で点滴が入ってよかったです」前回の自分よりうまくなった気がして、思わず彼女に語りかける。するとまた優しそうな顔で彼女は言った。「きっと先生はこれからいろいろなことができるようになっていくのでしょうね。でも、できないことが増えていくっていうのも素敵なことなのよ。若い先生にはまだわからないかもしれないけど、覚えておいてくださいね」その場では、言葉の真意はわからなかった。ただ、なぜだかとても大切な言葉であると感じた。 彼女が亡くなったのはそれからまもなくのことだった。あれから5年。いまだに自身の成長に喜びを感じている。いつか、自分が老いや衰えを自覚したとき、彼女の言葉の真意がわかるようになる日が楽しみである。原作:若手内科医イーノ氏(30代・内科)バックナンバー

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第41回 難病患者とのコミュニケーションで重要な2つのこと

前回紹介した、難病患者支援などを行っているNPO法人Smile and Hope(千葉県八千代市)主催の「心のケアシンポジウム〜今こそ生きる意味を問う〜」では、医療・福祉現場のコミュニケーションの在り方もトピックの1つとなった。東京都立神経病院リハビリテーション科の作業療法士である本間 武蔵氏は、「難病コミュニケーション」をテーマに臨床経験から得られた視点を話した。本間氏は、ALSなど神経難病患者の日常生活支援を行うなかで、あらかじめ録音・保存した声をパソコンで再現するソフトウエア「マイボイス」や、意思伝達ソフトウエア「ハーティーラダー」などを活用し、気管切開で声を失った患者の意思伝達のサポートに取り組んでいる。難病コミュニケーションは手段と心本間氏はまず、神経難病のコミュニケーションについて「コミュニケーション手段」と「心のコミュニケーション」を2つの柱として挙げた。ALSは、症状が進行すると運動障害や構音障害、呼吸障害などが現れる。そのため、残存運動機能に合わせたコミュニケーションツールを選択する必要がある。たとえば、パソコンやタブレット、スマートフォンを使ったワンスイッチ操作による文字入力や、視線やまばたきによって透明文字盤を指し示すコミュニケーションなどだ。ただ、本間氏は「日常生活のコミュニケーションは、装置や用具に頼らない手段が重要。複雑な装置や特殊な用具がなくても、コミュニケーションはできる」と述べる。また、装置や用具を使うにしても、できるだけシンプルな仕組みで簡単に使えるものであることに加え、同時に複数の手段を使いこなすことが重要と指摘。究極のコミュニケーション手段として、相手が患者の口の形を読み取る「口文字盤」や、太田氏が開発した、瞳の動きだけで言葉を伝える「Wアイクロストーク」を挙げ、「人の読み取り能力は、高性能なセンサーよりも優れている」と述べた。心のコミュニケーションについては、「周囲が患者さんに声掛けしたり関心を寄せたりすることが重要」とし、具体的には「患者さんからの意思表示が読み取れなかったとしても、やりとりに関心や共感を添えることや、それまでの会話や関わりを基に、推測で理解することもコミュニケーションになる」と述べた。本間氏は、心のコミュニケーションにおける大切なポイントとして、「心をここに置く」「コンディションが良い状態で臨む」の2つを挙げる。前者は、置かれた状況で充分とはいえなくても相手に集中する意識感覚を持つことで、スケジュールのなかの一場面とは全く違った関わりになるという。後者については、患者が示す文字盤を読み取ることだけにとらわれない余裕が生まれ、イメージが湧くなど、自身でも心の会話ができていると感じられるという。コミュニケーション意欲減退は、人生への諦めに前回、ALSを発症した医師の太田 守武氏が、多くの困難を感じた中でも「最大の壁」と称したのが情動制止困難であった。普段は抑えることができる感情が抑えられなくなり、極端な表現により周囲との関係がうまくいかなくなることもあるのが特徴だ。しかしこれも症状の1つであり、本人も苦しんでいるという理解が大切だと本間氏は強調した。また、病初期から進行期において、本人は発した言葉が相手に通じていると思っているのに、実際には聞き取ってもらえていないという齟齬が生じたり、形が崩れた文字が読み取れず、理解してもらえなかったりすることで孤独感が次第に募る。こうなると、コミュニケーションへの意欲だけでなく、この先の人生まで諦めてしまう可能性があり、全経過の中で最大の危機である。一方で、視線透明文字盤や意思伝達装置などに落ち着いて取り組む患者の多くは、胃瘻や気管切開、人工呼吸器により身体や生活が楽になり、安定しているからこそ積極的なコミュニケーションが可能になっているという側面もあるという。ただ、心のコミュニケーションは病初期の段階から必要だと本間氏は指摘する。「コミュニケーション手段が成り立たなくなったから、心でコミュニケーションするというのは間違っている。患者さんは1人ひとり異なるので、パターン化せず、想像力を働かせて患者さんの意思を正しく読み取ることが大切」と指摘。「患者さんは、日常の些細な事をきっかけに『生きていける』と思ったり『死にたい』という気持ちになったりしている。それだけに、心のコミュニケーションは患者さんとの共同作業として向き合っていきたい」と締めくくった。難病患者や重度障がい者を巡っては、悲惨な事件が起きている一方、ALS患者の舩後 靖彦氏が国政史上初の参議院議員となるなど、世間の耳目を集めている。医療者として、一個人として、どのようなコミュニケーションができるだろうか。改めて考えてみたい。

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日本人成人ADHD患者に対するグアンファシン徐放製剤の有効性と安全性

 塩野義製薬の納谷 憲幸氏らは、日本人成人の注意欠如多動症(ADHD)患者に対するグアンファシン徐放製剤(GXR)の有効性と安全性を評価した第III相二重盲検プラセボ対照ランダム化試験の事後分析を行い、ADHDサブタイプ(混合型、不注意優勢型)、年齢(31歳以上、30歳以下)、性別、体重別(50kg以上、50kg未満)のGXRの有効性および安全性について、検討を行った。Neuropsychopharmacology Reports誌オンライン版2020年12月10日号の報告。 有効性の主要エンドポイントは、成人用ADHD評価尺度ADHD-RS-IV with adult prompts日本語版合計スコアのベースラインから10週目までの変化とした。 主な結果は以下のとおり。・有効性の分析は、200例(GXR群:100例、プラセボ群:100例)で実施した。・ADHD-RS-IV合計スコアのエフェクトサイズは、すべてのサブグループで類似していた。 ●全体:0.52 ●ADHD混合型:0.51 ●ADHD不注意優勢型:0.52 ●31歳以上:0.61 ●30歳以下:0.47 ●男性:0.50 ●女性:0.57・治療による有害事象(TEAE)の発生率や種類は、サブグループ間で大きな違いは認められなかった。・重大なTEAE(男性:10.6%、女性:34.3%)およびTEAEによる治療中止(男性:12.1%、女性:34.3%)の発生率は、男性よりも女性において約3倍高かった。・体重別のTEAE発生率は、用量調節期間、維持期間でそれぞれ以下のとおりであった。 ●50kg未満:100%(用量調節期間)、40%(維持期間) ●50kg以上:73.6%(用量調節期間)、24.4%(維持期間) 著者らは「本事後分析の結果では、ADHDサブタイプ、年齢、性別に関係なくGXRの有効性および安全性が裏付けられており、必要に応じてTEAEとGXRの用量最適化を注意深くモニタリングする必要がある」としている。

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高齢者ニーズに合わせたイグザレルトOD錠発売/バイエル薬品

 バイエル薬品株式会社は、選択的直接作用型第Xa因子阻害剤(経口抗凝固剤)リバーロキサバン(一般名)の新剤形として、「(商品名)イグザレルトOD錠 10mg」・「同 15mg」を1月18日に発売した。 リバーロキサバンは、非弁膜症性心房細動患者における虚血性脳卒中・全身性塞栓症の発症抑制や、深部静脈血栓症・肺血栓塞栓症の治療・再発抑制の成人への適応として承認され、2012年よりわが国で販売、広く処方されている。 今回新たに発売されたリバーロキサバンの新剤形は、嚥下力の低下、複数の薬剤の服用といった高齢者が抱える服薬上のニーズに応えるため、日本向けの製剤としてわが国で独自に開発したもので、唾液で速やかに崩壊するため、水なしでも服用ができる。製品概要製品名:イグザレルトOD錠 10mg、同OD錠 15mg一般名:リバーロキサバン効能・効果:非弁膜症性心房細動患者における虚血性脳卒中および全身性塞栓症の発症抑制、深部静脈血栓症および肺血栓塞栓症の治療および再発抑制用法・用量:[非弁膜症性心房細動患者における虚血性脳卒中および全身性塞栓症の発症抑制]通常、成人にはリバーロキサバンとして15mgを1日1回食後に経口投与する。なお、腎障害のある患者に対しては、腎機能の程度に応じて10mg 1日1回に減量する。[深部静脈血栓症および肺血栓塞栓症の治療および再発抑制]通常、成人には深部静脈血栓症または肺血栓塞栓症発症後の初期3週間はリバーロキサバンとして15mgを1日2回食後に経口投与し、その後は15mgを1日1回食後に経口投与する。製造発売承認日:2020年8月6日発売日:2021年1月18日薬価:イグザレルトOD錠 10mg:364.10 円/錠、同15mg:517.00 円/錠

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2型糖尿病へのSGLT2阻害薬とGLP-1受容体作動薬のベネフィット/BMJ

 成人2型糖尿病患者におけるSGLT2阻害薬およびグルカゴン様ペプチド-1(GLP-1)受容体作動薬が共有するベネフィットとして、重症低血糖を起こすことなく、全死因死亡、心血管死、心筋梗塞、腎不全、重症高血糖の発生低下および体重の減少があることを、ニュージーランド・オタゴ大学のSuetonia C. Palmer氏らが764試験、被験者総数42万例超を対象にしたネットワークメタ解析によって明らかにした。ただし、絶対ベネフィットは、心血管リスクや腎疾患リスクなど患者個々のリスクプロファイルによって、大幅に違いがみられることも示されたという。著者は、「今回のレビューは、BMJ Rapid Recommendationsに直接的に反映される方法が用いられ、すべての結果は既存の糖尿病治療への両クラスの薬剤の追加に言及するものであった」と述べている。BMJ誌2021年1月13日号掲載の報告。MedlineやEmbaseなど、20年8月までレビュー 研究グループは、Medline、Embase、Cochrane CENTRALを基に、2020年8月11日までに発表された試験結果についてシステマティック・レビューを行った。適格条件は、成人2型糖尿病患者を対象にSGLT2阻害薬またはGLP-1受容体作動薬と、プラセボや標準的治療、その他血糖降下治療を比較し、24週以上追跡した無作為化試験。2人の独立したレビュアーによって、適格性のスクリーニングおよびデータ抽出、バイアスリスクの評価が行われた。 データを基に頻度論に基づく変量効果モデルを用いてネットワークメタ解析を行い、エビデンスの確実性については、GRADEシステムで評価した。 アウトカムは、患者1,000人当たりの5年間の推定絶対治療効果で、被験者のリスクプロファイルに応じて次の5段階に分け検証した。非常に低リスク(心血管リスクなし)、低リスク(3つ以上の心血管リスクあり)、中リスク(心血管疾患)、高リスク(CKD)、非常に高リスク(心血管疾患・CKD)。検討はBMJ Rapid Recommendationsプロセスに準じ、ガイドラインパネルがレビューの監視を規定した。SGLT2阻害薬、死亡や心不全による入院リスクをGLP-1受容体作動薬より低下 764試験、被験者総数42万1,346例を対象に分析が行われた。 SGLT2阻害薬、GLP-1受容体作動薬ともに、全死因死亡、心血管死、非致死的心筋梗塞、腎不全のリスクをいずれも低下した(高い確実性のエビデンス)。 両薬剤間の顕著な違いは、SGLT2阻害薬はGLP-1受容体作動薬より死亡や心不全による入院のリスクを低下したこと、GLP-1受容体作動薬は非致死的脳卒中リスクを低下したがSGLT2阻害薬では同効果は認められなかったことだった。 また、SGLT2阻害薬は性器感染症の原因となり(高い確実性)、GLP-1受容体作動薬は重度消化器イベントの原因となる可能性が示された(低い確実性)。両薬剤ともに、体重減少効果も示されたが、エビデンスの確実性は低かった。 なお、手足切断、失明、眼疾患、神経障害性疼痛、健康関連の生活の質(QOL)については、両薬剤ともにその効果を示すエビデンスがほとんどもしくはまったくなかった。 両薬剤の絶対ベネフィットは、心血管リスクや腎疾患リスクのランクにより大きな違いが認められた。

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COVID-19、半年後も6割強に倦怠感・筋力低下/Lancet

 新型コロナウイルス感染症(COVID-19)で急性症状を呈した入院患者は、退院後6ヵ月時点で、主に倦怠感・筋力低下、睡眠困難、不安・うつに悩まされていることが明らかにされた。中国・Jin Yin-tan病院(武漢市)のChaolin Huang氏らが、1,733例の入院患者についてフォローアップ試験を行い明らかにした。COVID-19の長期的な健康への影響はほとんど明らかになっていないが、今回の検討では、入院中の症状が重症だった患者について、肺の拡散障害および画像所見の異常がより深刻であることも示され、著者は「これらの集団が、長期的な回復介入を必要とする主なターゲット集団である」と述べている。Lancet誌2021年1月8日号掲載の報告。退院後の症状の聞き取り、6分間歩行テスト、血液検査などを実施 研究グループは、COVID-19退院患者の長期的な健康への影響を明らかにし、関連するリスク因子、とくに疾患重症度を調べるため、2020年1月7日~5月29日に武漢市のJin Yin-tan病院から退院したCOVID-19患者を対象に、前後両方向コホート試験を行った。調査から除外されたのは、フォローアップ前に死亡、精神病性障害、認知症、または再入院のためフォローアップが困難、骨関節症で移動が困難、退院前後に脳卒中や肺塞栓症などの疾患により寝たきりの状態、試験参加を拒否、連絡が不可能、武漢市外に居住または介護・福祉施設に入居の患者すべてであった。 全対象患者に対し、退院後の症状、健康関連の生活の質(QOL)などに関する質問と、身体検査、6分間歩行テスト、血液検査を実施。層別任意不均等抽出法を用いて、被験者を入院中の重症度スケール(7段階評価)に応じて規定した3群(スケール3[酸素補給不要]、4[酸素補給を要する]、5~6[5:高流量鼻カニューレ、非侵襲的人工換気を要する、6:体外式膜型人工肺、侵襲的人工換気を要する])に分類し、肺機能検査、胸部高分解能CT、超音波検査を行った。Lopinavir Trial for Suppression of SARS-CoV-2 in China(LOTUS)試験に登録していた患者は、試験期間中にSARS-CoV-2抗体検査を受けていた。 多変量補整線形またはロジスティック回帰モデルを用いて、重症度と長期健康アウトカムの関連を検証した。入院中に重症だと、倦怠感/筋力低下リスクは約2.7倍に 試験期間中に退院した2,469例のうち、1,733例が同試験に参加した。被験者の年齢中央値は57.0歳(IQR:47.0~65.0)、男性は897例(52%)だった。フォローアップ検査は2020年6月16日~9月3日に行われ、症状発症後の追跡期間中央値は186.0日(IQR:175.0~199.0)だった。 最も多くの患者に認められた症状は、倦怠感または筋力低下(63%、1,038/1,655例)、睡眠困難(26%、437/1,655例)だった。不安やうつ症状も23%(367/1,617例)報告された。 6分間歩行テストの結果が正常値の下限を下回った割合は、入院中の症状重症度スケール3群で24%、同4群で22%、5~6群で29%だった。拡散障害はそれぞれ22%、29%、56%で、CTスコア中央値はそれぞれ3.0(IQR:2.0~5.0)、4.0(3.0~5.0)、5.0(4.0~6.0)だった。 多変量補整後、拡散障害発症に関するオッズ比(OR)は、重症度スケール3群に比べて、4群1.61(95%信頼区間[CI]:0.80~3.25)、5~6群4.60(1.85~11.48)だった。不安またはうつ症状のORは、それぞれ0.88(0.66~1.17)、1.77(1.05~2.97)であり、倦怠感または筋力低下のORはそれぞれ0.74(0.58~0.96)、2.69(1.46~4.96)だった。 フォローアップ時に抗体検査を受けていた94例において、血清陽性率(96.2% vs.58.5%)、中和抗体力価の中央値(19.0 vs.10.0)はいずれも急性期と比較して有意に低かった。 また、急性期に腎障害はなかったがeGFR値が90mL/分/1.73m2以上だった患者822例のうち、フォローアップ時のeGFR値が90mL/分/1.73m2以下だった患者は107例だった。

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京都の老舗にコロナ対策を学ぶ【Dr.中川の「論文・見聞・いい気分」】第32回

第32回 京都の老舗にコロナ対策を学ぶ新型コロナウイルスに振り回された2020年でした。コロナ前と比較すると、わずか1年で驚くほど多くのことが変化しました。学会も大きく変化しました。これまでは、世界各地で開催される国際学会が大きな意味をもっていました。自分が属する循環器領域でいえば、代表的な国際的学術集会として、3月のACC(アメリカ心臓病学会)、8月末のESC(欧州心臓病学会)、11月のAHA(アメリカ心臓協会)などが挙げられます。国内では、JCS(日本循環器学会)はアジアを中心とした海外からの参加も多く活気があります。これらの学会は数万人の規模で、多くの医師・研究者が演劇一座の巡業のように開催地を転々と移動していたのです。2020年は、現地での対面の集会ではなく、すべてがオンラインでの開催となりました。するとその良さもわかってきました。パソコンの画面を通じて自室から参加することが可能となり、時間的・空間的な制約もありません。参加のために長期間の休みをとる必要がありません。何よりもスライドが見やすいです。新型コロナウイルス感染症の拡大は大変なことですが、それをチャンスと捉えられる面もあるのではないでしょうか。平時において変革していくには時間が必要ですが、危機や困難は変化を加速させ、その変化を容認することを容易にします。COVID-19がなければ「学会をインターネット上でWeb開催するぞ」と言ったところで相手にもされなかったでしょう。それが、わずか半年~一年で皆がZOOMの操作に習熟するまでに普及したことも事実です。驚くべきスピードです。慣れない最初は失敗することもありましたが、今では皆さん上手に操っています。「習うより慣れろ」とは良く言ったものです。従来の対面での集会には、オンラインでは補うことできない良さがあることも事実です。しかし、COVID-19が収束したとしても、学術集会が元に戻ることはないでしょう。COVID-19がわずかな期間で世界中に広がったのは航空機の利用によって人の移動が活発化したことに関連していることは明白だからです。医療関係者が感染症拡大の原因となることは避けねばなりません。新型コロナウイルス感染症の出現を嘆き悲しみ、元通りの学会の復活を願うことは得策ではありません。新たな学術集会の在り方を考えていくことは喫緊の課題です。先日、テレビ番組で京都の老舗が紹介されていました。「変わることなく守り通してきたからこそ、江戸時代から店舗が維持できたのですね、素晴らしいですね」という趣旨で、司会者が紹介しました。チャラチャラしたお笑い芸人が、アポなし突撃取材するという今風の安っぽい番組です。登場した穏やかな雰囲気の主は、「ちゃいますな」と切って捨てました。何事にも本音を感じさせない京都人としては珍しい断定的な否定でした。変化することができなかった店はすべて潰れてしまったのだそうです。特に明治維新後の東京遷都が京都にとって最大のピンチで、バタバタと閉店を与儀なくされたのです。今も続く老舗というのは、フレキシブルに時代に合わせて変化してきたからこそ継続しているのです。京都における老舗とは、保守性の真逆で柔軟性の証なのだと、反論したのです。若手芸人は直立不動で聴いておりました。自分も頭を殴られたような衝撃を受けました。自分は、京都の老舗は変化を忌み嫌う保守の権化であると信じていたからです。柔軟に変化していくことが大切なのです。猫の身体は非常に柔軟性が高いことはご存じと思います。関節が緩やかで、筋肉や靭帯も柔らかいので可動範囲が大きいです。小さな鎖骨は靭帯で強固に繋がっておらず、人間でいうといつも肩が外れている状態です。そのため肩幅をとても小さくすることができ、身体で一番幅が広く調整不可能な頭より大きな空間は自由に通りぬけることができます。猫は、京都の老舗以上に柔軟性の権化なのです。何事においても猫は師匠と崇めておりますが、新型コロナウイルスへの対応も完了しているようです。あらためて入門します。弟子にしてください。

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