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卵巣がん患者のペイシェントジャーニー共同研究/富士通・武田・国がん

 富士通および武田薬品工業は、2021年5月17日、国がん研究センターと卵巣がん患者がたどる「疾患の認識、診断、治療、その後の生活に至る道のり」であるペイシェントジャーニーの分析・可視化に関する共同研究契約を締結した。 同研究は、卵巣がんの個別化治療の質向上、および治療結果向上に寄与する臨床の課題抽出を目的として開始したものである。本研究では、国がん研究センター東病院が保有する電子カルテシステムから抽出した日々の診療や個人の健康管理などから得られるデータ(リアルワールドデータ)を用い、従来の臨床試験やレセプトデータといった手法では取得困難であった、卵巣がん患者のペイシェントジャーニーに関する情報を分析・可視化する。国がん研究センター東病院および先端医療開発センターにおいて2022年4月30日まで実施する。 対象となるデータは、2013年5月から2020年10月までに国がん研究センター東病院の電子カルテシステム上に蓄積された卵巣がん患者約700名の診療データや医事会計システム内の診療報酬データであり、同リアルワールドデータを匿名化し、ICTによって分析・可視化することで、卵巣がん患者を取り巻く実臨床上の課題を抽出する。 同研究において、富士通は、現在開発中の医療データを安全・安心に利活用するためのプラットフォームをはじめとする ICTを用いた診療データの分析支援を、武田薬品は、ペイシェントジャーニーの分析対象データの選定および分析計画の立案を担い、国がん研究センターからは匿名化された診療データおよび医学的知見が提供される。

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統合失調症に対する抗精神病薬治療の有効性と安全性~日本でのRCTを用いたメタ解析

 さまざまな人種や民族のデータをプールした解析では、生物学的および環境的な不一致性が問題となる場合がある。そこで、藤田医科大学の岸 太郎氏らは、日本で実施された統合失調症に対する抗精神病薬治療のランダム化比較試験(RCT)のみを使用して、統合失調症に対する抗精神病薬の有効性および安全性の検討を行った。Journal of Psychiatric Research誌オンライン版2021年4月30日号の報告。 Embase、PubMed、CENTRALより、文献検索を行った。主要アウトカムは、陽性・陰性症状評価尺度(PANSS)合計スコアの改善およびすべての原因による中止とした。副次的アウトカムは、PANSSサブスケールスコアの改善、有害事象または効果不十分による中止、16種の有害事象発生率とした。平均差またはリスク比と95%信頼区間を算出した。 主な結果は以下のとおり。・34件のRCTが特定された(患者数6,798例、平均研究期間:9.0±4.24週、男性の割合:53.7%、平均年齢:43.3歳)。・検討された抗精神病薬は、アリピプラゾール、アセナピン、ブロナンセリン、ブロナンセリン経皮吸収製剤、ブレクスピプラゾール、クロカプラミン(PANSSデータなし)、クロザピン(PANSSデータなし)、ハロペリドール、ルラシドン、モサプラミン、オランザピン、パリペリドン、ペロスピロン、クエチアピン、リスペリドンであった。・日本人統合失調症患者に対する抗精神病薬の有効性および安全性プロファイルは、薬剤間で異なっていた。・ハロペリドールおよびクエチアピン以外の薬剤による積極的な治療は、プラセボと比較し、PANSS合計スコアの改善が認められた。・アセナピン、オランザピン、パリペリドン、リスペリドンは、すべての原因による中止において、プラセボよりも優れていた。・アセナピン、ブロナンセリン、ブロナンセリン経皮吸収製剤、ハロペリドール、ルラシドン、モサプラミン、オランザピン、パリペリドン、リスペリドンは、PANSS陽性症状スコアの改善において、プラセボよりも優れていた。・アリピプラゾール、アセナピン、ブロナンセリン、ブロナンセリン経皮吸収製剤、ブレクスピプラゾール、ルラシドン、オランザピン、パリペリドン、ペロスピロン、リスペリドンは、PANSS陰性症状スコアの改善において、プラセボよりも優れていた。・ほとんどのアウトカムに対するエビデンスの信頼性は、低いまたは非常に低いであった。 著者らは「本結果は、さまざまな人種や民族を含むこれまでのメタ解析の結果と同様であった」としている。

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FDA、食道・胃食道接合部がんの術後補助療法にニボルマブ承認(CheckMate-577)/BMS

 ブリストル マイヤーズ スクイブは、2021年5月20日、米国食品医薬品局(FDA)が、術前補助化学放射線療法(CRT)を受け病理学的残存病変を認めた完全切除後の食道がんまたは胃食道接合部(GEJ)がん患者の術後補助療法として、オプジーボ(一般名:ニボルマブ)を承認したことを発表した。 この承認は、術前補助CRTおよび完全切除後に病理学的残存病変を認めた食道がんまたはGEJがん患者を対象に、オプジーボ(532例)とプラセボ(262例)を比較評価した第III相CheckMate-577試験の結果に基づいている。 同試験において、無病生存期間(DFS)中央値は、オプジーボ群22.4ヵ月、プラセボ群11.0ヵ月であった(HR:0.69、95%CI:0.56~0.85、p=0.0003)。探索的解析における、腺がん患者のDFS中央値は、オプジーボ群19.4ヵ月、プラセボ群で11.1ヵ月(非層別HR:0.75、95% CI:0.59~0.96)、扁平上皮がん患者のDFS中央値は、オプジーボ群で29.7ヵ月、プラセボ群で11.0ヵ月であった(非層別HR:0.61、95% CI:0.42~0.88)。

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ペムブロリズマブ、高リスク早期TN乳がんでEFSを有意に改善/MSD

 MSDは、2021年5月13日、高リスクの早期トリプルネガティブ乳がん(TNBC)に対する抗PD-1抗体ペムブロリズマブ(商品名:キイトルーダ)と化学療法の術前併用療法と、それに続くペムブロリズマブの術後単独療法を評価する第III相試験KEYNOTE-522において、主要評価項目の1つである無イベント生存期間(EFS)を達成したと公表した。TNBCに対する術前・術後補助療法としてEFSを統計学的有意に改善したのは、抗PD-1抗体として初。なお、同試験のもう1つの主要評価項目である病理学的完全奏効(pCR)の達成は、2019年の欧州臨床腫瘍会議(ESMO)においてすでに公表・NEJM誌に掲載されている。 KEYNOTE-522は、高リスクの早期TNBC患者を対象とし、ペムブロリズマブと化学療法の併用による術前補助療法と、それに続くペムブロリズマブ単独の術後補助療法を、術前化学療法とそれに続くプラセボによる術後補助療法と比較する、無作為化二重盲検第III相試験。主要評価項目はpCRとEFSで、副次評価項目は根治的手術時におけるpCR率(主要評価項目のpCRとは異なる定義[乳房とリンパ節に、侵襲性、非侵襲性の残存腫瘍がないこと]で評価)、全生存期間、PD-L1発現患者(CPS≧1)のEFS、安全性および患者報告アウトカムとされている。1,174例がペムブロリズマブ群とプラセボ群のいずれかに2:1の割合で無作為に割り付けられた。 今回、独立データ監視委員会(DMC)による中間解析により、ペムブロリズマブと化学療法の術前併用療法とそれに続くペムブロリズマブ単独の術後補助療法では、術前化学療法のみの場合と比較して統計学的に有意で臨床的に意味のあるEFSの改善が認められた。ペムブロリズマブの安全性プロファイルはこれまでに報告されている試験で認められているものと一貫しており、新たな安全性の懸念は特定されていない。 同社は、pCRのデータおよびEFSの早期中間結果に基づいて提出した、高リスク早期TNBC患者に対するペムブロリズマブの生物製剤追加承認申請(sBLA)について、2021年3月にFDAから審査完了通知(CRL)を受理したことをすでに発表している。この通知は、FDAの抗がん剤諮問委員会の会合で、KEYNOTE-522試験のデータがさらに明らかになるまで承認の判断を待つことが全会一致で了承されたことを受けたものとなっている。

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新型コロナ既感染者、1年後の抗体保有状況は?/横浜市立大

 横浜市立大学の山中 竹春氏(学術院医学群 臨床統計学)率いる研究グループは、「新型コロナウイルス感染12ヵ月後における従来株および変異株に対する抗ウイルス抗体および中和抗体の保有率に関する調査」の記者会見を5月20日に開催。回復者のほとんどが6ヵ月後、12ヵ月後も従来株に対する抗ウイルス抗体および中和抗体を保有していたことを報告した。調査概要と結果 本調査は同大学が開発した「hiVNTシステム」を用いて、新型コロナウイルス感染症からの回復者(2020年2~4月に自然感染した既感染者で、研究への参加同意を取得)約250例を追跡した国内最大規模の研究である。2021年3月末までの期間に採血・データ解析を行い、感染から6ヵ月後と12ヵ月後の抗ウイルス抗体と中和抗体の保有率を確認した。従来株(D614G)ならびに変異株4種[イギリス株(B.1.1.7)、ブラジル株(P.1)、南アフリカ株(B.1.351)、インド株(B.1.617)]を調査した。中和抗体の測定はシュードウイルス法*を用いて行われた。*SARS-CoV-2スパイクを持つ偽ウイルスを用いてLuciferase活性を定量する方法で、危険性が低く、短期間で検出が可能。 主な結果は以下のとおり。・参加者250例の平均年齢は51歳(範囲:21~78歳)だった。・重症度別の内訳は、軽症・無症状は72.8%(182例)、中等症は19.6%(49例)、重症は7.6%(19例)だった。・従来株に対する6ヵ月後の中和抗体の陽性率は98%(245/250例)、12ヵ月後では97%(242/250例)だった。・自然感染から6ヵ月後と12ヵ月後の参加者の中和抗体陽性率は重症度別では、軽症・無症状(97%、96%)、中等症(100%、100%)、重症(100%、100%)で、中和抗体の量は6ヵ月から12ヵ月で大きく低下しなかった。・変異株の中和抗体の保有率はいずれの時点でも従来株に比べ低下傾向だったものの、多くの人が検出可能な量の中和抗体を有していた[イギリス株(6ヵ月:88.4%、12ヶ月:84.4%)、ブラジル株(同:85.6%、同:81.6%)、南アフリカ株(同:75.2%、同:74.8%)、インド株(同:80.4%、同:75.2%)]。 ・変異株の場合は軽症・無症状者の抗体保有率が低く、南アフリカ株やインド株の抗体保有率は70%前後だった。 また、山中氏はモデルナ製ワクチンの海外データ1)を踏まえ「ワクチン接種を行うことで自然感染と同様の中和抗体が残っている可能性が示唆されている。自然感染者よりワクチン接種者のほうが効率よく中和抗体を上げることができるので、1年後に再接種し免疫強化を図るのが良いのでは」とも見解を述べた。

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厳格降圧vs.標準降圧:SPRINT最終報告/NEJM

 糖尿病や脳卒中の既往がない心血管イベント高リスク患者では、収縮期血圧目標を120mmHg未満とする厳格降圧が同目標を140mmHg未満とする標準降圧より、無作為割り付けされた治療を受けている期間と試験終了後の両方で、主要有害心血管イベントおよび全死因死亡の発生を有意に低下させることを、米国・アラバマ大学バーミングハム校のCora E. Lewis氏らがSPRINT試験の最終報告として示した。ただし、低血圧等の有害事象の発現率は、厳格降圧群で高かった。NEJM誌2021年5月20日号掲載の報告。試験終了後約1年間の追跡データも収集し解析 研究グループは、2010年11月~2013年3月に、50歳以上で糖尿病または脳卒中の既往がなく、降圧治療の有無にかかわらず収縮期血圧が130~180mmHgの心血管イベント高リスク患者(臨床的または不顕性心血管疾患、慢性腎臓病、フラミンガムリスクスコアに基づく10年以内の冠動脈疾患発症リスク15%以上、または75歳以上のいずれか1つ以上に該当)9,361例を登録し、収縮期血圧目標120mmHg未満の厳格降圧群(4,678例)と、同目標140mmHg未満の標準降圧群(4,683例)に無作為に割り付けた。 主要評価項目は、心筋梗塞、その他の急性冠症候群、脳卒中、心不全、または心血管死の複合である。試験期間終了時(2015年8月20日)までに発生した主要評価項目イベントは、主要解析のデータロック後に解析するとともに、2016年7月29日までの試験後の観察追跡データを解析した。追跡データを合わせても、120mmHgの厳格降圧群で有意に予後良好 追跡期間中央値3.33年において、試験期間中の主要評価項目イベントの発生は標準降圧群2.40%/年、厳格降圧群1.77%/年(ハザード比[HR]:0.73、95%信頼区間[CI]:0.63~0.86)、全死亡はそれぞれ1.41%/年および1.06%/年(0.75、0.61~0.92)であり、いずれも標準降圧群に比べ厳格降圧群で有意に低かった。低血圧、電解質異常、急性腎障害/腎不全、失神などの重篤な有害事象は、厳格降圧群で有意に高頻度であった。 試験期間中と試験後の追跡データを合わせると(追跡期間中央値3.88年)、厳格降圧群は標準降圧群に比べ主要評価項目イベントおよび全死亡が有意に低いままであった(主要評価項目のHR:0.76、95%CI:0.65~0.88、p<0.001、死亡のHR:0.79、95%CI:0.66~0.94、p=0.009)。有害事象の発生についても同様の傾向がみられたが、心不全の発生は両群で差は認められなかった。

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脳底動脈閉塞、血管内治療vs.内科的治療/NEJM

 脳底動脈閉塞による脳梗塞患者において、血管内治療と内科的治療は良好な機能的アウトカムに有意差は認められなかったことが、オランダ・St. Antonius HospitalのLucianne C M Langezaal氏らが7ヵ国23施設300例を対象に実施した評価者盲検無作為化比較試験の結果で示された。なお、この結果について著者は、「主要評価項目の信頼区間が広いことから、血管内治療の実質的な有益性を排除するものではないと考えられる」と指摘し、「脳底動脈閉塞に対する血管内治療の有効性と安全性を判断するためには、より大規模な試験が必要である」とまとめている。NEJM誌2021年5月20日号掲載の報告。発症後6時間以内の症例で、mRSスコア0~3の達成を比較 研究グループは、脳底動脈閉塞による脳梗塞発症後推定6時間以内の患者を、血管内治療群と標準的な内科的治療群に1対1の割合で無作為に割り付けた。 主要評価項目は、90日時点の修正Rankinスケールスコア(範囲:0~6、0は障害なし、3は中等度障害、6は死亡)が0~3の良好な機能的アウトカムとした。安全性の主要評価項目は、治療開始後3日以内の症候性頭蓋内出血および90日死亡率であった。90日後の良好な機能的アウトカム達成、血管内治療群44.2%、内科的治療群37.7% 2011年10月~2019年12月までに、計300例が無作為に割り付けられた(血管内治療群154例、内科的治療群146例)。 血管内治療群では78.6%(121/154例)、内科的治療群では79.5%(116/146例)の患者に静脈内血栓溶解療法が行われた。血管内治療は、脳梗塞発症後、中央値4.4時間後に開始された。 良好な機能的アウトカムは、血管内治療群では44.2%(68/154例)、内科的治療群では37.7%(55/146例中)で認められた(リスク比[RR]:1.18、95%信頼区間[CI]:0.92~1.50)。 症候性頭蓋内出血は、血管内治療後の患者では4.5%、内科的治療後の患者では0.7%に発生した(RR:6.9、95%CI:0.9~53.0)。一方で、90日死亡率はそれぞれ38.3%、43.2%であった(0.87、0.68~1.12)。

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バダデュスタットの透析患者での有用性はダルベポエチン アルファと同等(解説:浦信行氏)-1395

 近年、腎性貧血の治療薬として低酸素誘導因子プロリン水酸化酵素(HIF-PH)阻害薬が使用可能となり、これまでにロキサデュスタットから本年発売のモリデュスタットまで5剤が使用可能となっている。HIF-PH阻害薬は転写因子であるHIF-αの分解を抑制して蓄積させ、HIF経路を活性化させる。その結果、生体が低酸素状態に曝露されたときに生じる赤血球造血反応と同様に、正常酸素状態でも赤血球造血が刺激され、貧血が改善する。 これまでの臨床試験は5剤いずれもダルベポエチン アルファなどの赤血球造血刺激因子(ESA)を対象とした非劣性試験であり、いずれも有効性と安全性では非劣性が確認されている。その効果には5剤間で大きな違いはないようである。今回はバダデュスタットの貧血改善効果や安全性のダルベポエチン アルファに対する非劣性評価のみならず、初発の主要有害心血管イベント(MACE:全死因死亡、非致死的心筋梗塞、非致死的脳卒中の複合)に対する評価であり、主な副次評価項目は、初発のMACEに加えて入院(心不全あるいは血栓塞栓イベントによる)である。 今までの報告と同様に貧血に対する有効性と安全性は非劣性が示され、主要評価項目と主な副次評価項目のいずれについても非劣性が証明された。総計で3,923例と多数例での検討であり、追跡期間は1年間ではあるが、その間の初発のMACE発症はバダデュスタット群で18.2%、ダルベポエチン アルファ群で19.3%と評価に耐えうる症例数であり、その臨床的意義は非常に大きいと考える。 HIF-PH阻害薬は経口薬である点で患者本人の負担軽減は大きい。加えて医療現場の負担の軽減にもつながる。当院でも1剤が採用され使用しているが、現場からは針刺し事故減少も図れるとの意見もあり、高評価を得ている。今後は貧血改善効果だけでなく、代謝系への作用、たとえば脂質代謝に対する効果などが注目され、期待されている。また、長期使用の安全性評価も必要である。

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論文のカバーレターと保護猫、どちらも第一印象が大切【Dr.中川の「論文・見聞・いい気分」】第36回

第36回 論文のカバーレターと保護猫、どちらも第一印象が大切苦労して英語の論文を書きあげても、権威あるジャーナルに投稿し採択されるまでには多くの試練が続きます。投稿するには、論文本体に加えて、カバーレターを準備する必要があります。カバーレターを強いて訳せば「添え状」です。初めての論文投稿であれば、発表論文の責任著者となる指導者が見本を書いてくれるかもしれません。いずれはカバーレターを書く立場になりますので、そのコツを知っていて損はありません。論文が電子投稿となった現在でも、しっかりした内容のカバーレターは極めて重要です。そのジャーナルに掲載する価値がある論文であることをアピールするための、A4用紙1枚程度の文章です。記載すべき情報は、研究の概要だけでなく、論文が未発表であることや共著者が原稿の内容に同意していること、研究倫理の順守などです。投稿規定に指示されている情報が漏れなくカバーレターに書かれていると、著者が投稿規定をよく読み、時間をかけて投稿ファイル一式を準備したことが伝わり、印象が良くなります。カバーレターの宛名にジャーナルの編集長の名前が書かれていれば、著者が細部にまで注意を払って作成したことをアピールできます。カバーレターは、著者と編集者が対話を始める入り口で、第一印象が重要です。謙虚な日本人は、自分の論文を褒めることが苦手なようです。自己アピールが上手な海外の研究者と競争していくには、遠慮無用で自分の研究の新規性や重要性をためらわず述べることが肝要です。編集長が、論文を査読のプロセスに進めるかどうかの判断材料となります。自分の知り合いで、このカバーレターで大失敗した人がいます。最初に投稿した雑誌で残念ながら不採用となり、より採択可能性の高いジャーナルに投稿先を変更しました。その際に、何としたことか最初にチャレンジしたジャーナルの編集長の名前を、変更後のジャーナル宛てのカバーレターに記載してしまったのです。コピペ作業で起こりがちな間違いです。最悪です。論文は査読されることなく拒否されました。「ごめんね!」ですむことはなく、日本人が想像する以上の不備であったようで、責任著者が反省文を送付し矛を収めていただきました。保健所で初対面時のレオこのように何事も最初の印象が大切です。我が家にいる猫「レオ」は保護猫出身で、保健所から譲渡いただいたのですが、最初の出会いがすべてでした。保健所から猫を譲り受けるには、皆さんが思っている以上のステップと手続きが必要です。紹介しましょう。保健所で開催される、猫の譲渡講習会に家族全員で参加し、ペットを飼うことの意味と責任について学習することが必須です。将来のことを考えずに飼ったペットが、飼い主の身勝手な理由により手放されるケースが増えているからです。飼いたいペットの種類や大きさ、生態、特性などが、飼い主の生活環境に適しているかも確認されます。家族に動物アレルギーの人はいないか、もし怪我や病気の治療が必要になった場合に、その負担を許容できるかなどチェックを受けます。さらに、実際に譲り受ける前に保健所の職員による自宅訪問調査があります。マンションなどの集合住宅であれば、規約上飼育可能かどうかも厳密に確認されます。これらをクリアして初めて譲渡を前提として待機中の猫たちと対面の時を迎えます。我が家では先代猫が旅立ちの時を迎えたのです。ベッピンさんの雌猫であったのですが遠くに去ってしまったのです。その失意から回復し、2代目猫を希望するに至りました。保護猫から迎え入れたいと考えたのですが、当初の希望は雌猫が絶対条件でした。それも静かでおとなしい上品な雌猫を希望していました。保護猫たちがいる部屋で、最初に目が合ったのが雄猫の「レオ」でした。保健所の係員は、この猫はイタズラ好きで、ヤンチャな猫で大変ですよと忠告してくれました。しかし、会った瞬間に運命は決まったのです。譲渡を受けた後に実際にしっかり飼育しているかどうかの再調査もありました。こうして「レオ」は悪さし放題、食い放題、寝放題の快適ライフとともに我が家の一員となったのです。当初の論文の話が、保護猫の譲渡の紹介になり申し訳ありません。お許しください。

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「コロネル」の名称の由来は?【薬剤の意外な名称由来】第53回

第53回 「コロネル」の名称の由来は?販売名コロネル錠 500mg コロネル細粒 83.3%一般名(和名[命名法])ポリカルボフィルカルシウム (JAN)効能又は効果過敏性腸症候群における便通異常(下痢、便秘)及び消化器症状用法及び用量通常、成人にはポリカルボフィルカルシウムとして1日量1.5~3.0g(錠:3~6錠、細粒:1.8~3.6g)を3回に分けて、食後に水とともに経口投与する。警告内容とその理由該当しない禁忌内容とその理由(原則禁忌を含む)【禁忌(次の患者には投与しないこと)】1.急性腹部疾患(虫垂炎、腸出血、潰瘍性結腸炎等)の患者[症状を悪化させるおそれがある。]2.術後イレウス等の胃腸閉塞を引き起こすおそれのある患者[症状を悪化させるおそれがある。]3.高カルシウム血症の患者[高カルシウム血症を助長するおそれがある。]4.腎結石のある患者[腎結石を助長するおそれがある。]5.腎不全(軽度及び透析中を除く)のある患者6.本剤の成分に対し過敏症の既往歴のある患者※本内容は2021年5月26日時点で公開されているインタビューフォームを基に作成しています。※副作用などの最新の情報については、インタビューフォームまたは添付文書をご確認ください。1)2021年4月改訂(第14版)医薬品インタビューフォーム「コロネル®錠500mg/コロネル®細粒83.3%」2)アステラスメディカルネット:製品情報

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第59回 コロナ禍、日医会長政治資金パーティ出席で再び開かれる? “家庭医構想”というパンドラの匣(後編)

家庭医、かかりつけ医の制度化の議論活発化こんにちは。医療ジャーナリストの萬田 桃です。医師や医療機関に起こった、あるいは医師や医療機関が起こした事件や、医療現場のフシギな出来事などについて、あれやこれや書いていきたいと思います。飲み屋がやっていないので、東京の夜は寂しいものです。先日、ある居酒屋(酒類を提供していないにもかかわらず営業中)に入って、「ホッピー、“外”だけ下さい」と頼んだところ、「アルコールが入っているので出せません」と言われました。アルコール?と思い調べたら、0.8%入っているようです。0.8%でどう酔っ払えるのかはわかりませんが、飲食店において1人や少人数の場合の酒類提供の禁止というのは、感染防止の観点からはほとんど意味がないと思うのですが、どうでしょう。さて、今回は、前回の続きで、家庭医・かかりつけ医の制度化を進めようという、いくつかの動きについて書いてみたいと思います。一つは、財務省の「かかりつけ医機能」の制度化の提案です。財務省主計局は4月15日、社会保障制度の見直しについて議論する財政制度等審議会・財政制度分科会(分科会長=榊原 定征・前経団連会長)において、医療や介護、年金など社会保障制度の改革についての考え方を示しました(参考:第56回 コロナで“焼け太り”病院続出? 厚労省通知、財務省資料から見えてくるもの)。この中で財務省は、診療所における「かかりつけ医機能」の制度化を提言。紹介状なしで大病院外来を受診した患者から定額負担を徴収する仕組みと共に推進し、外来医療の機能分化と連携につなげることを求めました。「『かかりつけ医』機能を法制上明確化せよ」と財務省大病院外来における受診時定額負担の義務化対象については、紹介外来を基本とする一般病床200床以上の病院に拡大する方針がすでに決まっており、2022年度診療報酬改定に向けた中央社会保険医療協議会(中医協)での議論で、詳細が固められる予定です。財務省はこの取り組みの一層の推進を促すとともに、「複数の慢性疾患を抱える患者が増加する超高齢化社会において、患者がその状態に合った医療を受けるためにも、有事を含め国民が必要な時に必要な医療にアクセスできるようにするためにも、緩やかなゲートキーパー機能を備えた『かかりつけ医』の推進は不可欠である」と提言しました。そして、すでに日本医師会と四病院団体協議会において「かかりつけ医」の定義が明らかにされていることを踏まえ、「診療所における『かかりつけ医』機能を法制上明確化(制度化)するとともに、機能分化を進めるためのメリハリをつけた方策を推進すべきである」としています。とはいえ、日本医師会の「かかりつけ医」の定義については、以前に本連載(第29回 オンライン診療恒久化の流れに「かかりつけ医」しか打ち出せない日医の限界を参照)でも書いたように、その概念は曖昧で確固たる資格ではありません。地域で診療する医師の一つの理想像に過ぎない今の「かかりつけ医」を、このコロナ禍を機にきちんと制度化しろ、と財務省は言っているわけです。経済財政諮問会議では民間議員が制度化に言及この提言の後、4月26日に開かれた内閣府の経済財政諮問会議でも「かかりつけ医の制度化」が俎上に上がりました。民間議員が「社会保障改革~新型感染症を踏まえた当面の重点課題」と題する資料を提出、新型コロナの緊急時対応では、「民間病院を含めて緊急時に必要な医療資源を動員できる制度的仕組みの構築」を求める一方、平時の構造改革として、診療報酬のインセンティブの強化等で医療機関の機能分化や統合を推進するほか、「かかりつけ医機能を制度化」し、コロナ対応やオンライン診療などを包括的に提供できる体制の整備を求めたのです。とくにかかりつけ医については、「感染症への対応、予防・健康づくり、オンライン診療、受診行動の適正化、介護施設との連携や在宅医療など地域の医療を多面的に支える役割を果たすべき」と、その具体的な機能も明示しました。「制度化」の議論と正対しない日本医師会こうした相次ぐ動きに対し、日本医師会は4月27日に「経済財政諮問会議等の議論について」という文書で、次のような見解を公表しています。かかりつけ医機能についてかかりつけ医が行う感染症への対応、予防・健康づくり、受診行動の適正化、高齢者への医療など、地域の医療を多面的に支える役割をしっかりと評価すべきです。フリーアクセスは国民皆保険を支える大きな柱であり、コロナ禍において、経済財政諮問会議や財政審が求めているように、かかりつけ医機能を制度化すれば、フリーアクセスを阻害し、以前後期高齢者医療制度導入のときに見られたように国民の理解を得られず、大混乱を招くおそれがあります。2008年に施行された後期高齢者医療制度における後期高齢者診療料は、慢性疾患を持つ複数の病気にかかっている高齢者の主治医を限定してフリーアクセスを奪いかねず、また、医学管理等、検査、画像診断、処置を包括して医療費抑制につながりかねないことなど、患者にとって必要な医療が制限されるとして批判を浴びました。(「日医君」だよりNo.588より)財務省や経済財政諮問会議の民間議員の提言、提案にまったく正対していないこの見解には正直驚きました。「かかりつけ医」が制度化されておらず、その存在の役割が曖昧なことには触れず、すでに機能しているものとして論を展開しているのは無理があります。また、フリーアクセスの阻害が「国民の理解を得られず、大混乱を招く」と主張しているのも説得力がありません。「コロナ禍における大混乱」の一因が、「フリーアクセス」がうまく機能せず、PCR検査、コロナ疑い患者の初期診療、回復患者への対応といった、本来診療所レベルでも対応すべきことができていなかったことにある、という認識が欠けています。また、ここで後期高齢者医療制度の議論の時のドタバタを持ち出すのも、不適当と言えるでしょう。この時の混乱と、高齢者を含む国民が医療機関にかかることができず、死亡するケースが続出している現状とは、混乱の度合いが比べものになりません。現場会員の「かかりつけ」の認識は単に受診頻度5月16日のNHKニュースは「定義あいまい“かかりつけ” ワクチン接種予約で困惑」というタイトルで、こんな話も伝えています。兵庫県内で、65歳以上の高齢者の新型コロナウイルスのワクチンの接種の予約受付が「かかりつけ」の医療機関で始まったが、「かかりつけ」の定義があいまいなため、医療機関に予約を受け付けてもらえないケースが出ている、というのです。ある高齢者が予約しようとしたところ、最後の受診日から一定期間経過していることなどで医療機関側が「かかりつけ」には当たらないと判断、予約を受け付けないケースがあったというのです。日本医師会・四病院団体協議会による「かかりつけ医」の定義は、「なんでも相談できるうえ、最新の医療情報を熟知して、必要なときには専門医、専門医療機関を紹介でき、身近で頼りになる地域医療、保健、福祉を担う総合的な能力を有する医師」ですが、現場の診療所の認識は単純に受診の頻度や回数、最後に受診してからの期間だったのです。笑っちゃいますね。コロナ禍だからこそ「かかりつけ医」を見直せと日本総研さて、そんな中、シンクタンクである日本総合研究所(日本総研)もこれからの「かかりつけ医」の役割について斬新な提言をしています。日本総研は5月11日、Webシンポジウム「ポストコロナに望まれる日本のあるべき医療の姿~長期的な展開で、今後も医療制度を維持するために~」を開催、約2年間に渡って検討を重ねてきたという「持続可能で質の高い医療提供体制構築に関する提言」を発表しました。提言は、「新型コロナウイルス感染症による公衆衛生危機によって、わが国の医療提供体制はさらに多くの課題を突き付けられることになった。医療従事者の偏在や不足をはじめ、平常時・非常時それぞれにおける病床機能の不備、在宅での患者支援体制の未整備、ワクチン接種やデジタル化の遅れなど、それらをどのように進化させていくべきか、多くの国民が課題認識をかつてないほど深めている」と問題点を指摘した上で、「現在行われている医療制度改革は、医療提供者側を中心とした議論が行われており、医療の受け手である国民にも理解しやすい形で、医療のあるべき姿が議論されその実現に向けた対策が取られているとは言い難い」として、次の3つの提言をしました。提言1:コロナ禍だからこそ見直すべき「かかりつけ医」の役割提言2:デジタル化が可能にする質の高い医療の選択を加速化提言3:国民皆保険を将来世代に引き継ぐためにコロナ禍の今こそ考えるべき医療財政多職種連携で診るプライマリ・ケアチームを提言この中の、「提言1:コロナ禍だからこそ見直すべき『かかりつけ医』の役割」では、「国民の一生涯の健康を地域多職種連携で診るプライマリ・ケアチーム体制整備」が必要として、チームで「かかりつけ」の仕組みをつくれ、と主張しています。提言では、「臓器ごとの専門医だけでなく、全人的・包括的に複数科/疾病の患者も診られ、患者の地域や家族の状況も踏まえて診察できる医師(プライマリ・ケア医)が必要」としつつも、「そのために、国民一人ひとりが、自らが選んだ一生涯のかかりつけの多職種医療従事者チームに診てもらえる『国民の一生涯を見る日本版プライマリ・ケア』の仕組みを整備すべきである」としています。かかりつけ医だけでなく、看護師や薬剤師、OT・PT、介護福祉士、ケアマネジャーなど地域の多職種医療従事者チームでプライマリ・ケアを提供する、という視点は斬新です。医師に手に負えない(あるいは医師が怠ける)部分は、医師以外にタスクシフトをし、チームで「かかりつけ」として機能していけ、というわけです。国民の目線が日本医師会に向いている今こそ議論をコロナ禍での反省に立って出てきた「かかりつけ医」に対するさまざまな提言を、家庭構想を葬ったころと同じようなロジックで無視していいわけがありません。こうした提言や議論に正対せず、ひたすら「フリーアクセス」「自由開業」「出来高払い」という金科玉条を自分たちのためだけに唱え続けるとしたら、ここはもう、日本医師会を外して、「かかりつけ医」の議論を進めていく選択肢もあるでしょう。ただ、そんな勇気は、自民党にも厚労省にもおそらくないでしょうが…。しかし、この1年余り、コロナ禍での医療提供体制のお粗末ぶりを経験してきた国民の多くは、日本医師会やそのトップである中川 俊男会長の言動に大きな不信感を抱くに至っています。家庭医、かかりつけ医の制度化の議論は、国民の目線が日本医師会に向いているコロナ禍の中の今こそ進めるべきだし、進むと思いますが、皆さんどうでしょう。

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生活習慣病に対する薬物療法の実効的カバレッジが上昇

 生活習慣病リスク因子に対する、薬物療法の実効的カバレッジ(保健システムを通して、実際に人々に健康増進をもたらすことができる割合)が上昇していることが、医薬基盤・健康・栄養研究所の池田 奈由氏らによって明らかにされた。LDLなどのコレステロール値はスタチン系薬剤によって効果的に抑えられている一方、降圧薬および糖尿病治療薬の有効性を改善するにはさらなる介入が必要だという。Journal of Health Services Research & Policy誌2021年4月号の報告。 保健システム評価指標を用い、日本における高血圧症、糖尿病および脂質異常症治療に対する健康介入の実効的カバレッジについて、その傾向を分析した。 過去15回にわたる国民健康・栄養調査(2003~17年)から、40~74歳の9万6,863人の横断的データを取得した。高血圧症、糖尿病および脂質異常症の治療必要性は、診断基準値と同等以上のバイオマーカーを示すこと、または投薬があるかどうかで規定した。投薬治療を受けた患者において、実際にバイオマーカーが低下する見込みのある割合を治療効果および実効的カバレッジとして定義し、最近傍マッチングにて推定した。 主な結果は以下のとおり。・2003~17年における年齢調整罹患率は、およそ高血圧症40%、糖尿病7%、脂質異常症33%のまま推移した。・2013~17年に治療された患者における平均治療効果は、収縮期血圧14.8mmHg(95%信頼区間:14.2~15.4)低下、HbA1c 1.2%ポイント(0.8~1.6)低下、非高密度リポタンパク質コレステロール57.9mg/dL(56.6~59.2)低下であった。・2003~07年における実効的カバレッジ(高血圧症:48.4%[44.7~52.0]、糖尿病:43.8%[35.7~51.8]、脂質異常症:86.3%[83.1~89.5])に対し、2013~17年(高血圧症:76.2%[74.2~78.2]、糖尿病:74.7%[71.0~78.5]、脂質異常症:94.6%[93.3~95.9])では、有意に上昇していた。

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亜鉛欠乏はCKD進行のリスク因子か

 亜鉛(Zn)は生体内に欠かせない必須微量元素で、血清濃度が低下することで成長や認知機能、代謝などさまざまな活動に障害をもたらす。実際、慢性腎臓病(CKD)患者では血清Zn濃度が低くなる傾向があることから、今回、川崎医科大学の徳山 敦之氏らが亜鉛欠乏症とCKD進行の関係性について調査を行った。その結果、亜鉛欠乏はCKD進行の危険因子であることが明らかになった。さらに、Zn濃度が低い患者において、観察期間中に亜鉛製剤を服用した患者のほうが主要評価項目のリスクが低かったとも結論付けた。PLoS One誌2021年5月11日号に掲載。 研究者らは2014年1月1日~2017年12月31日までの期間、当院の腎臓内科を受診した4,066例からZn濃度測定が行われていた577例を抽出。そのうち基準を満たす312例を亜鉛欠乏症診療ガイドラインに基づき、低Zn群(<60μg/dL、n=160)と高Zn群(≥60μg/dL、n=152)の2群に割り付けた。観察期間は1年、主要評価項目を末期腎疾患(ESKD)または死亡と定義した。 主な結果は以下のとおり。・全体の平均Zn濃度は59.6μg/dL、eGFR中央値は20.3mL/min/1.73m2だった。・ベースライン時点で亜鉛製剤を服用していたのは全体で8例だった。・ベースライン時点のバイアス(年齢、性別、BMI、糖尿病や心血管疾患の有無、eGFR、CPR、血清アルブミン、ARB・ACE阻害薬の使用など)を傾向スコアマッチングで調整し、Cox比例ハザードモデルで解析した。・高Zn群と比較して、低Zn群ではネフローゼ症候群患者は多かったが、糖尿病、慢性肝疾患、腸疾患の患者数に差は見られなかった。・主要評価項目のESKDと死亡発生率は全体で100例(32.1%)発生し、低Zn群のほうが高Zn群より高かった(43.1%.vs 20.4%、p<0.001)。・血清アルブミン濃度が低い患者では、主要評価項目のリスクは、高Zn群よりも低Zn群で3.31倍高かった。一方、血清アルブミン濃度が高い患者では、低Zn群と高Zn群の間で主要評価項目に差はみられなかった(p=0.52)。・競合するリスク分析によると、低Zn濃度がESKDに関連するものの、死亡には関連していないことを示した。さらに、傾向スコアマッチングでは、低Zn群は主要な結果でリスクが高いことが示された[調整済みハザード比:1.81(95%信頼区間:1.02、3.24)]。・血清のZn濃度とアルブミン濃度の間には交互作用がみられた(交互作用のp = 0.026)。

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BRCA変異、免疫チェックポイント阻害薬のバイオマーカーとなるか

 免疫チェックポイント阻害薬(ICI)の効果に関するバイオマーカーとしては、腫瘍遺伝子変異量(TMB)、PD-L1発現、DNAミスマッチ修復機能欠損が知られている。一方、BRCA1およびBRCA2はDNA修復において重要な役割を果たすが、免疫療法においてこれら遺伝子変異の役割は不明のままである。今回、米国・University of Oklahoma Health Sciences CenterのZhijun Zhou氏らは、BRCA1/2の変異がTMBに関連していると仮説を立て、コホート研究を実施した結果、TMBと組み合わせたBRCA2変異が、ICI治療のバイオマーカーとなる可能性が示唆された。JAMA Network Open誌5月3日号に掲載。 本研究では、BRCA変異のデータをcBioPortalプラットフォームから取得した。生存分析には、Memorial Sloan Kettering Cancer Center(MSKCC)コホートでICI治療を受け、ゲノム配列を調べた各種がん患者が登録された。各がんにおけるTMBの上位10%を高TMB、下位90%を低TMBと定義した。主要評価項目は、ICI投与開始からの全生存期間(OS)で、BRCA1/2変異のある患者とない患者を比較した。データ分析は2020年7月~11月に実施した。 主な結果は以下のとおり。・BRCA1/2変異のある1,977例(5.3%)を含む3万7,259例の3万9,307の腫瘍サンプルを検討した。・BRCA1、BRCA2とも変異していたのは164例(0.4%)、BRCA1のみの変異は662例(1.8%)、BRCA2のみの変異1,151例(3.1%)だった。・BRCA1/2変異のある腫瘍のTMBの中央値は24.59(四分位範囲[IQR]:9.84~52.14)で、野生型(5.90、IQR:2.95~10.00)より高かった(p<0.001)。・BRCA1/2変異のある患者の49例(34.8%)が高TMBであるのに対し、野生型の患者の1,399例(92.0%)は低TMBであった(p<0.001)。・MSKCCコホートにおいてICI治療を受けゲノム配列が決定された1,661例のうち、141例(8.5%)でBRCA1/2変異を有していた。・BRCA1変異とOSの関連はみられなかった。・BRCA2変異のある患者のOS中央値は31.0ヵ月(IQR:10.0~80.0)で、変異のない患者(18.0ヵ月、IQR:6.0~58.0)より良好だった(p=0.02)。・低TMB でBRCA2変異のある患者のOS中央値は44.0ヵ月(IQR:10.0~67.0)で、高TMBの患者(41.0、IQR:13.0~80.0)と同等だった。どちらの群も、低TMBでBRCA2野生型の患者(16.0ヵ月、IQR:6.0~57.0)よりも良好だった(p<0.001)。

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日本におけるアルツハイマー病と歯数との関連

 日本人高齢者における残存または欠損している歯数とアルツハイマー病との関連について、日本歯科総合研究機構の恒石 美登里氏らは、レセプト情報・特定健診等情報データベースを用いて、横断的な分析を行った。PLOS ONE誌2021年4月30日号の報告。 歯周病(400万9,345例)またはう蝕(虫歯)による抜歯(66万2,182例)の治療を行った60歳以上の患者を対象に、歯科医療レセプトデータを用いて、残存または欠損している歯数に関するデータを収集した。これらの歯数に関するデータとアルツハイマー病の診断を含む医療データを組み合わせて分析を行った。残存する歯数および第3大臼歯(親知らず)を除く欠損している歯数は、歯科医療レセプトの歯科用式を用いて算出し、それぞれ3群に分類した。アルツハイマー病のオッズ比(OR)および95%信頼区間(CI)の算出には、年齢、性別で調整した後、ロジスティック回帰モデルを用いた。 主な結果は以下のとおり。・歯周病と診断された患者において、アルツハイマー病の治療を受けていた患者の割合は、歯の残存数別に以下のとおりであった。 ●残存歯数20~28本:1.95% ●残存歯数10~19本:3.87% ●残存歯数1~9本:6.86%・う蝕による抜歯を行った患者において、アルツハイマー病の治療を受けていた患者の割合は、歯の欠損数別に以下のとおりであった。 ●欠損歯数1~13本:2.67% ●欠損歯数14~27本:5.51% ●欠損歯数28本:8.70%・歯周病と診断された患者におけるアルツハイマー病のORは、残存歯数20~28本の患者と比較し、以下のとおりであり、残存歯数が少ないとアルツハイマー病のORが有意に高かった(p<0.001)。 ●残存歯数10~19本:OR=1.11(95%CI:1.10~1.13) ●残存歯数1~9本:OR=1.34(95%CI:1.32~1.37)・う蝕による抜歯を行った患者におけるアルツハイマー病のORは、欠損歯数1~13本の患者と比較し、以下のとおりであり、欠損歯数が多いとアルツハイマー病のORが有意に高かった(p<0.001)。 ●欠損歯数14~27本:OR=1.40(95%CI:1.36~1.44) ●欠損歯数28本:OR=1.81(95%CI:1.74~1.89) 著者らは「歯科医院を受診した高齢者において、残存歯数が少なく、欠損歯数が多い患者では、アルツハイマー病リスクが高いことが示唆された」としている。

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新「内科専門医」と「総合内科専門医」の試験と位置付け教えます

 従前からアナウンスされていた、日本内科学会の専門医制度改革がいよいよ現実のものとなる。今年7月には、初めての「内科専門医」試験が実施され、今後、内科専門医が続々誕生していく一方、従来の「認定内科医」試験は今年6月が最後となる。近年受験者が急増していた「総合内科専門医」と内科専門医はどのようなすみ分けになるのか? 認定内科医との試験内容の違いは? CareNeTVで総合内科専門医試験対策のレクチャーを手がけている長門 直氏(JCHO東京山手メディカルセンター 呼吸器内科・感染症内科)に解説してもらった。=============== 内科の専門医制度変更に伴い、しばしば質問される3つのテーマについて述べていきたいと思います。1)内科専門医と認定内科医の位置付け 日本内科学会の専門医制度改革の大枠は、認定内科医・総合内科専門医→内科専門医・総合内科専門医への変更だといえます。他学会でも、認定医→専門医→指導医というステップアップ制度を採用していたところは過去ありましたが、何回も試験を受けないといけない医師側の負担、患者側から見てどちらが上位資格かわかりにくく誤解を招くといった理由から、次第に「認定医」がなくなって、専門医→指導医の2階建てとなり、現在この形がほぼスタンダードになっています。 内科に関しては、認定内科医取得と前後して、後期研修から循環器、呼吸器、消化器などのサブスペシャリティ診療科に分かれてしまい、体系的な内科診療、総合内科的な思考が十分に修得できないという問題点が指摘されていました。それにより、実際に患者が不利益を被る事例も少なくありません。たとえば、腹痛患者が時間外受診し、当直医が呼吸器内科であったりすると「専門外だから」と診療拒否して、離れた医療機関に搬送になり、搬送中に急変する、といった事態です。 内科医であるにもかかわらず、「臓器専門外だからお断り」といったことが次第に目立つようになってきて、地域の医療ネットワークにも支障が出てきたのです。そのため、日本内科学会は、内科の臓器別の専門研修に進む前に、内科全般の研修期間をしっかり設けて、体系的に内科診療ができるように制度を変更することにしたのです。それが従来の認定内科医より高い内科の臨床レベルが求められる、新しい内科専門医となります。 一方で、認定内科医は内科のサブスペシャリティ専門医取得のための必須条件となっています。実際に、認定内科医→サブスペシャリティ専門医という今までのプロセスを経ているベテラン内科医が数多く存在します。学会としては、その先生方に認定内科医を廃止するので、改めて内科専門医試験を受験してくださいというわけにもいかず、新規に「認定医」の認定は行わないが、既取得に限って更新を認めるという形に落ち着きました。 今後、新規に認定内科医を認定しなくなると、内科専門医の取得が内科のサブスペシャリティ専門医に進むための必須要件になります。端的に言うと、認定内科医は既存の内科サブスペシャリティ専門医の資格維持のためだけに存続するものとなり、将来的には「絶滅」する資格となります。2)内科専門医と総合内科専門医の試験の難易度 日本内科学会のホームページに、新内科専門医は「認定内科医試験と総合内科専門医試験の中間」、総合内科専門医は「(現行の)総合内科専門医」を踏襲すると明確に記載されています。そのうえで筆者が、後輩によく質問されるのは、「認定医試験と総合内科専門医試験の中間とは一体どういう意味?」ということです。 ここで「認定内科医試験」をまず振り返ります。 認定内科医の最後の資格試験は、昨年実施の予定だったのですが、新型コロナウイルスのパンデミックの影響で、今年2021年6月にずれ込みました。問題数は300問で、一般問題と臨床問題の割合は非公表ですが、一般問題が臨床問題より多い、もしくは同数程度です。 新内科専門医試験は、問題数250問で一般問題100問・臨床問題150問と公表されており、臨床問題に比重が置かれています。一般問題はほぼ「暗記」で乗り切れるのですが、臨床問題は体系的な思考が要求されるので、当然難易度は上がります。 また、学会関連の会議や研修のたび、「内科専門医は初診患者や救急患者の初期対応がしっかりできるレベルを求めている」と聞いていますので、新内科専門医試験は希少疾患よりも患者数の多いいわゆるメジャー内科疾患中心に出題されると予想されます。この傾向は、認定内科医の臨床問題の傾向でもありましたので、新内科専門医試験は診断基準や法的問題・禁忌など暗記が必須である一般問題対策をしつつ、「内科初診や時間外で診ることの多いメジャーな内科疾患に関する臨床問題対策」に重きを置いて勉強することが大事だと考えます。 後輩たちからよく「up to date問題は出題されますか?」とよく質問されますが、新内科専門医試験でup to date問題はあまり出題されないと考えます。その理由は、抗体薬を含めた新規薬剤はよく話題にはなりますが、実際には、臓器別専門医がしっかりトレーニングした上で使用するものです。処方に当たっては、医師側にもいろいろと条件が定められているので、この種の知識は、大半が内科サブスペシャリティ専門医資格を有している医師が受験する「総合内科専門医試験」で問われる領域になると考えます。 なお、「総合内科専門医試験」は2021年度までは問題数250問で一般・臨床(up to date含む)の割合は非公表でしたが、2022年度より問題数は200問と少なくなり、一般50問・臨床150問(up to date含む)になることが公表されています。3)内科専門医と総合内科専門医の今後のキャリア 新しい内科専門医制度によって、内科専門医、総合内科専門医はそれぞれどのような意味を持ち、内科医のキャリアに影響してくるのでしょうか。ここでカギになるのは「内科指導医」です。 病院が内科研修プログラムを提供するためには、一定数の内科指導医が必要ですが、現在の認定内科医保有の内科指導医は2025年までの暫定措置とされました。現在、「認定内科医+サブスペシャリティ専門医」資格保有での内科指導医が依然多く、そのままだと、2025年をもって「内科指導医」から退かなくてはなりません。 2026年以降も指導医の継続を希望する場合、「総合内科専門医」もしくは「内科専門医」の資格が必要となります。また、内科指導医は「総合内科専門医であることが望ましい」と明記されており、さらに「内科専門医」は1回以上更新していることが条件なので、基幹病院で指導的な立場で仕事をしたいという気持ちがあるならば、事実上「総合内科専門医」は必須資格と言えるでしょう。 とくに近年の新型コロナ感染拡大による医療環境の変化や、それに伴う専門医試験実施内容の変更を踏まえると、心乱さず仕事するには、やはり「総合内科専門医」まで取得しておく必要があると考えます。実際、2026年に「内科指導医」の数が減ることも考えられるので、医療機関によっては研修に必要な指導医数が充足できないという事態も考えられます。2026年に指導医数が不足する恐れがある病院では、「総合内科専門医」資格はことさら重宝される可能性が高く、キャリア形成有利に働くと予想されます。■CareNeTV関連番組:『総合内科専門医試験2021』完全対策

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看護師1人当たりの患者数最小化で、患者転帰が改善/Lancet

 看護師1人当たりの患者数を最小化する施策により、死亡率、再入院率、在院日数が改善され、その結果として支出せずに済んだ費用は、看護師の増員に要した費用の2倍以上に達したことが、米国・ペンシルベニア大学のMatthew D. McHugh氏らが実施した「RN4CAST-Australia試験」で示された。研究の成果は、Lancet誌オンライン版2021年5月11日号で報告された。クイーンズランド州55病院の前向きパネル調査 研究グループは、2016年にオーストラリア・クイーンズランド州で制定された最小看護師-患者比率に関する施策が看護師の人員配置や患者転帰に及ぼす影響の評価および、同施策が人員配置と患者アウトカムに関連があるかを検討する目的で、前向きパネル調査を行った(オーストラリア・クイーンズランド州保健局などの助成による)。 クイーンズランド州の最小看護師-患者比率施策(午前と午後の勤務では1対4を超えない、夜間勤務では1対7を超えない)の対象となった病院(介入病院:27施設)と、退院患者が類似するがこの施策の対象ではない病院(対照病院:28施設)を、施策の導入前(ベースライン)と導入から2年の時点で比較した。 死亡記録と関連付けられた「標準化クイーンズランド州入院患者データ」を用いて、内科および外科病棟の患者の背景因子およびアウトカム(30日死亡、7日再入院、在院日数)のデータを取得し、施策導入の前後で対象病院の内科系および外科系の看護師1万7,010人の調査データを入手した。 看護師の調査データを用いて看護師の人員配置を評価し、標準化された患者データと関連付けた後、介入群と対照群の病院における患者転帰の変化を推定し、看護師の人員配置の変化との関連を検討した。 ベースライン(2016年)で評価を受けた患者23万1,902例(介入病院群14万2,986例、対照病院群8万8,916例)と、施策導入後(2018年)に評価を受けた患者25万7,253例(16万167例、9万7,086例)が解析に含まれた。1対4.5以上の病院の割合が、83%から58%に低下 看護師1人当たりの平均患者数は、対照病院群ではベースラインの6.13(SD 0.75)例から施策導入後2年の時点の5.96(0.98)例へとわずかに改善し、介入病院群では4.84(1.05)例から4.37(0.54)例に改善した。 ベースラインの30日死亡率は、対照病院群に比べ介入病院群で高かった(補正後オッズ比[OR]:1.34、95%信頼区間[CI]:1.09~1.64、p=0.0052)。導入後の30日死亡率は、対照病院群ではベースラインと有意な差は認められなかった(補正後OR:1.07、95%CI:0.97~1.17、p=0.18)が、介入病院群ではベースラインに比べ有意に低下した(0.89、0.84~0.95、p=0.0003)。 ベースラインから導入後2年までに、7日再入院率は対照病院群で増加した(補正後OR:1.06、95%CI:1.01~1.12、p=0.015)のに対し、介入病院群では増加しなかった(1.00、0.95~1.04、p=0.92)。 在院日数は、両群とも導入後に減少した(対照病院群:補正後発生率比[IRR]:0.95、95%CI:0.93~0.98、p=0.0001、介入病院群:0.91、0.89~0.94、p<0.0001)が、短縮の程度は介入病院群が対照病院群よりも顕著であった(補正後OR:0.95、0.92~0.99、p=0.010)。 ベースラインから導入後2年までに、病院の人員配置に変化がみられた。人員配置に関する信頼性の高いデータを持つ36病院のうち、ベースライン時に看護師1人当たりの患者数が4.5例以上の病院は30施設(83%)であったが、導入後は21施設(58%)に減少した。 これらの変化の大部分は介入病院群によるものであり、対照病院群と比較して介入病院群では、看護師1人当たりの患者数を1例削減することで、30日死亡率(OR:0.93、95%CI:0.86~0.99、p=0.045)、7日再入院率(0.93、0.89~0.97、p<0.0001)、在院日数(IRR:0.97、95%CI:0.94~0.99、p=0.035)がいずれも有意に改善された。 また、再入院率の抑制と在院日数の短縮で支出せずに済んだ費用は、看護師の増員に要した費用の2倍以上であった。 著者は、「最小限の看護師-患者比率を確立する施策は実行可能なアプローチであり、看護師の人員配置と患者転帰を改善し、投資利益率が向上すると考えられる」としている。

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非小細胞肺がん2次治療以降のnab-パクリタキセル、ドセタキセルに非劣性(J-AXEL)/JTO

 既治療の進行非小細胞肺がん(NSCLC)に対するnab-パクリタキセルの有効性と安全性を評価する無作為化非盲検非劣性第II相J-AXEL試験の結果が発表された。・対象:既治療(2レジメン以内)の進行NSCLC患者・試験群:nabパクリタキセル(n-PTX)・対照群:ドセタキセル(DTX)・評価項目:[主要評価項目]全生存期間(OS)非劣性検証[副次評価項目]無増悪生存期間(PFS)、全奏効割合(ORR)、安全性、QOLなど 主な結果は以下のとおり。・ 503例がnab-パクリタキセル群252例、ドセタキセル群251例に無作為に割り付けられた。・OS中央値はnab-パクリタキセル群16.2ヵ月、ドセタキセル患者13.6ヵ月と、nab-パクリタキセル群はドセタキセル群に対する非劣性を達成した。(HR:0.85、 95.2%CI:0.68~1.07)。・PFS中央値はnab-パクリタキセル群4.2ヵ月に対し、ドセタキセル群では3.4ヵ月であった(HR:0.76、95%CI:0.63~0.92、p=0.0042)。・ORRはnab-パクリタキセル群29.9%、ドセタキセル群15.4%で、組織形に関係なく、nab-パクリタキセルで有意な改善を示した(p=0.0002)。・Grade3以上の発熱性好中球減少症はnab-パクリタキセル群2%、ドセタキセル群22%、末梢神経障害はnab-パクリタキセル群10%、ドセタキセル群1%で発現した。

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バダデュスタットの貧血改善効果とMACEによる心血管安全性をダルベポエチンを対照薬として非劣性試験にて評価(解説:栗山哲氏)-1394

 バダデュスタット(Vadadustat:Vad)は、低酸素誘導因子プロリン水酸化酵素(HIF-PH)の阻害薬であり、HIFを安定化し内因性エリスロポエチン(EPO)の産生を刺激する。これに対して、赤血球造血刺激因子製剤(ESA)であるダルベポエチンα(DA)は遺伝子組み換えEPOである。1990年代初頭から使われているESAは、腎性貧血改善による輸血量減少や患者QOL改善に加え、Cardio-Renal-Anemia(CRA:心・腎・貧血)症候群の改善が示唆されている。一方、HIF-PH阻害薬のCRA症候群に与える影響は現時点では不明である。 米国・スタンフォード大学Chertow氏らの研究グループは、Vadの有効性を評価した2件の第III相無作為化非盲検実薬対照非劣性試験(PRO2TECT study)の結果を報告した。研究では、ESAによる治療歴がなくヘモグロビン(Hb)値10g/dL未満の保存期CKD患者、およびESA治療歴がありHb値8~11g/dL(米国)または9~12g/dL(米国以外)の保存期CKD患者を、Vad群またはDA群に1対1の割合で無作為に割り付けた。主要安全性評価項目は、初発のMACE(全死因死亡、非致死的心筋梗塞、非致死的脳卒中の複合)で、2件の試験を統合しtime-to-event解析により評価した。副次安全性評価項目には、拡張MACE(MACE+心不全あるいは血栓塞栓イベントによる入院)を組み入れた。 その結果、24~36週のHb値の平均変化量の群間差は、ESA未治療患者(1,751例)で0.05g/dL(95%CI:-0.04~0.15)、ESA既治療患者(1,725例)で-0.01g/dL(95%CI:-0.09~0.07)であり、事前に設定した非劣性マージン(-0.75g/dL)を満たした。一方で、統合解析において、Vad群(1,739例)のDA群(1,732例)に対するMACEのハザード比は1.17(95%CI:1.01~1.36)で、事前に設定された非劣性マージン1.25を満たさなかった。つまり、Vadは貧血改善効果に関しては事前に設定した非劣性マージンを満たしたが、主要安全性評価項目であるMACEについては非劣性マージンを満たさなかった。本論文のMACEサブグループ解析をForest plotでみると、VadがDAに比較して非劣性を証明し得なかったことに影響した可能性のある因子(すなわちDAに有利に作用した可能性がある因子)として、(1)開始時Hb値が高い、(2)目標Hb値が高い(10~12g/dL)、(3)欧州民族(vs.米国)、(4)年齢が65歳未満、(5)ヒスパニックあるいはラテン系民族、(6)開始時eGFRが15mL/min/1.73m2以上、(7)開始時尿ACR 300g/kg以上、(8)開始時フェリチン値が中間値で277.5ng/mL以上、(9)開始時CRP 0.6mg/dL未満、などが示唆された。 本研究で用いられた実験デザイン「非劣性試験」は、なじみが少なく、その解釈に難渋する読者もあろう。“非劣性”とは、すでに有効な既存薬(この場合はDA)が存在し、新薬(Vad)は副作用が少ないなど既存薬よりも利点があるといった場合に、既存薬に対し有効性において優越性が証明できなくても、劣っていないことが証明できればそれでよし、とする研究に使われる。同等性を示すマージンが両側であるのに対し、非劣性試験では、新薬が既存薬より劣っていないかどうかのみに注目し、新薬が既存薬より優れているという優越性が成り立っても成り立たなくてもよいので、信頼区間は片側のみに注目する。本試験では事前に非劣性マージンとして1.25が心血管リスクの評価に用いられた。本研究のごとくMACEに関して「非劣性が証明されない」場合の解釈として、新薬(Vad)が既存薬(DA)に比べ「劣っている」のではなく、新薬が既存薬に比し「リスクが高い」ものでもない。本研究の結果を考えると、「VadがDAよりMACEリスク面で不利」とまでは言及できない。 以上、本研究のメッセージとしては、「VadはDAに比べてCKD患者の貧血改善効果は劣らないが、心血管安全性の面で結論が持ち越された」、と結論するのが妥当であろう。今後、HIF-PH阻害薬の治療目標、リスクとベネフィットなどをさらに明確にする目的で研究がデザインされ、その疑問に答える必要がある。

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