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リサーチ・クエスチョンのブラッシュアップー関連研究レビュー 文献管理 その2【「実践的」臨床研究入門】第8回

「Key論文」の選定前回は関連研究レビューの際に有用な文献管理ソフトについて、EndNote®の使用方法を例に挙げ説明しました。今回は、作成した文献情報(ライブラリ)の関連研究レビューにおける活用方法について解説します。収集した関連研究論文を文献管理ソフトに取り込んだら、まずは論文のタイトルとアブストラクトを読んでみましょう。筆者はこの段階で、個々の文献情報(レコード)と自身のリサーチ・クエスチョン(RQ)との関連や重要性の程度を暫定的にRating(評点付け)します。EndNote®では、レコード毎に重要度を5段階(★)でRatingし、一覧化した文献情報(ライブラリ)内でレコードをRatingでソート(並び替え)することができます。高いRatingを付けたレコードは「Key論文」候補として読み込みます。ここで言う、「Key論文」とは自身の臨床研究論文の“Introduction”や“Discussion”などで引用する可能性のある先行研究論文、とします。EndNote®には、レコードごとにResearch Note(研究メモ)という自由に書き込めるフィールドがあります。筆者は、先行研究論文を読み込む際に、以下のポイントについてまとめて、Research Noteに記載するようにしています。Design(研究デザイン)Setting(セッテイング)Patients(対象)Exposure(曝露要因)もしくはIntervention(介入)Comparison(比較対照)Outcome(アウトカム)Result(研究結果)Interpretation(結果の解釈)D(研究デザイン)は、連載第6回で少し触れました「介入研究」と「観察研究」に大別される臨床研究の「型」です。「介入研究」の代表的な「型」がランダム化比較試験(RCT:randomized controlled trial)です。「観察研究」はC(比較対照)を置くかどうかによって、Cのない記述的研究と、Cのある分析的観察研究に分類されます。分析的観察研究には、E(曝露要因)とO(アウトカム)を一時点で観察し測定する横断研究と、EとOを縦断的に観察、測定する縦断研究に分かれます。コホート研究は縦断的研究であり時間の流れに沿ってまずEを測定し、その後の時点でのアウトカムを観察、測定しますが、分析的観察研究の「王道」とも言える臨床研究の「型」です。また、これらの一次研究で発表済みの論文データを対象としてまとめた二次研究がシステマティックレビューです。メタアナリシスとは個々の論文の研究結果を定量的に統合する際に用いられる解析手法です。システマティックレビューとメタアナリシスはほぼ同義に使われることもありますが、定量的統合(メタアナリシス)を行わない(行えない)定性的なシステマティックレビューもあります。S(セッティング)とは、研究の行われた場、言い換えると、P(対象)のサンプリングが行われた場のことです。筆者は、R(研究結果)は用いられた統計解析手法を含めて図表を中心に、とくに自身の臨床研究と関連するような知見を主にまとめています。さらに、I(結果の解釈)についても、その研究の長所や限界を踏まえて付記するようにしています。関連先行研究論文引用の要点実際の臨床研究論文では関連する先行研究論文を羅列して多く引用すれば良いというものではありません。引用できる文献数は専門雑誌ごとに違いますが、一般的に30本から多くても50本程度に制限されています。したがって、自身の研究との関連性や重要度を勘案して引用する先行研究を厳選する必要があります。先行研究の内容を長々と解説する必要もありません。できるだけ簡潔に、関連する先行研究論文で得られている知見を記述することが重要です。その際に、前述したResearch Noteでまとめた先行研究のポイントの記載が活かせます。引用した先行研究の内容を短くまとめて記述するのですが、そのD(研究デザイン)、S(セッティング) やP(対象)なども示すことで、伝えられる情報量が豊富になります。その上で、自身の臨床研究の新規性や得られた結果と先行研究の知見との相違(もしくは一致)を論文で議論するのです。 次回は、関連先行研究論文引用の実際について実例をいくつか紹介し、解説したいと思います。1)福原俊一. 臨床研究の道標 第2版. 健康医療評価研究機構;2017.2)木原雅子ほか訳. 医学的研究のデザイン 第4版. メディカル・サイエンス・インターナショナル;2014.3)矢野 栄二ほか訳. ロスマンの疫学 第2版. 篠原出版新社;2013.4)中村 好一. 基礎から学ぶ楽しい疫学 第4版. 医学書院;2020.5)片岡 裕貴. 日常診療で臨床疑問に出会ったときに何をすべきかがわかる本 第1版.中外医学社;2019.

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妊娠中のコロナワクチン接種で乳児にも効果の可能性/JAMA

 妊娠中の女性はCOVID-19の罹患率や死亡率が高くなるが、ワクチンの臨床試験の対象から外されており、これまで妊婦に対するCOVID-19ワクチンの有効性と安全性のデータは限られていた。妊娠中・授乳中の女性103例を対象にイスラエルで実施された試験の結果がJAMA誌オンライン版2021年5月13日号に掲載された。 2020年12月~2021年3月にワクチンを接種した18歳以上の女性103例と、2020年4月~2021年3月にSARS-CoV-2感染が確認された女性28例が対象となった。ワクチン接種群103例はmRNA-1273(Moderna)またはBNT162b2(Pfizer-BioNTech)のいずれかを接種し、内訳は妊娠中30例、授乳中16例、非妊娠57例で、接種前のSARS-CoV-2感染が確認された参加者を除外した。感染群の内訳は妊娠中22例、非妊娠6例だった。 主要アウトカムはSARS-CoV-2に対する免疫応答で、検体採取は2回目接種後に非妊娠群中央値21(IQR:17~27)日 、妊娠中群21(IQR:14~36)日、授乳中群26(IQR:19~31)日後に行った。9例が期間中に出産し、乳児の臍帯血を提供した。感染群のPCR検査陽性判定から検体採取までの期間中央値は非妊娠群12(IQR:10~20)日、妊娠群41(IQR:15~140)日だった。 主な結果は以下のとおり。・ワクチン接種者103例は18~45歳で、非ヒスパニック系白人が66%だった。・ワクチン2回接種後の抗体価は妊娠中、授乳中、非妊娠群いずれもベースラインより上がり、その値は感染者群よりも高かった。また、乳児の臍帯血や母乳にも抗体が認められた。・英国および南アフリカ変異株に対しては抗体価の低下が見られたものの、T細胞応答は維持された。・2回目のワクチン接種後、妊娠中4例(14%)、授乳中7例(44%)、非妊娠27例(52%)で発熱が報告されたが、重篤な有害事象や妊娠・新生児合併症は認められなかった。 研究者らは、COVID-19ワクチンは妊娠・授乳中の女性に対しても有用性が確認され、さらに抗体は乳児の臍帯血と母乳に移行し、妊娠中にワクチンを接種することで接種資格のない新生児にも同様の効果がもたらされる可能性があるとしている。

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コロナパンデミックの2020年、各国の超過死亡は?/BMJ

 世界的な新型コロナウイルスの発生および感染拡大が見られた2020年。対コロナ施策や医療事情は国よって大きく異なるが、超過死亡の観点から分析するとどうなるのか。英国・オックスフォード大学ナフィールド人口保健局のNazrul Islam氏ら研究グループは、OECD加盟29ヵ国について2020年における超過死亡を調べたところ、米国、イタリア、英国、スペインなど26ヵ国で超過死亡の増加が見られた。これらの国の多くで、超過死亡の推定値がCOVID-19を死因として報告された死亡者数を大幅に上回っており、パンデミックが死亡率に与える影響を正確に判断するには超過死亡の評価が必要としている。BMJ誌2021年5月19日号掲載の報告。 本研究で分析対象としたのは、OECD加盟国のうち以下29ヵ国:オーストリア、ベルギー、チェコ共和国、デンマーク、イングランド、ウェールズ、エストニア、フィンランド、フランス、ドイツ、ギリシャ、ハンガリー、イスラエル、イタリア、ラトビア、リトアニア、オランダ、ニュージーランド、北アイルランド、ノルウェー、ポーランド、ポルトガル、スコットランド、スロバキア、スロベニア、韓国、スペイン、スウェーデン、スイス、米国。各国から収集された2020年における毎週(計52週)の年齢および性別ごとの死亡者数と、例年の死亡数を基にした推定死亡数との差の範囲を週別に推計。データ分析にはポアソン回帰モデルを用いた。 主な結果は以下の通り。・分析対象29ヵ国で、推定97万9,000(95%信頼区間[CI]:95万4,000~100万1,000)の超過死亡が発生した。このうち、ニュージーランド、ノルウェー、デンマークを除く26ヵ国で超過死亡が見られた。・超過死亡が最も多かったのは米国(45万8,000人、95%CI:45万4,000~46万1,000)で、次いでイタリア(8万9,100、95%CI:8万7,500~9万700)、イングランドおよびウェールズ(8万5,400、95%CI:8万3,900~8万6,800)、スペイン(8万4,100、95%CI:8万2,800~8万5,300)、ポーランド(6万100、95%CI:5万8,800~6万1,300)が続いた。・COVID-19流行のピークのタイミングと一致して、多くの国は北半球の春(3月~5月)と秋冬(10月~12月)に超過死亡の大きな波が見られた。春には、イタリア、スペイン、イングランド、ウェールズ、スコットランド、北アイルランド、ベルギー、オランダで過剰死亡者数が多かった。秋冬には、オーストリア、ベルギー、チェコ共和国、ハンガリー、イタリア、リトアニア、ポーランド、スロバキア、スロベニア、スイスで超過死亡がとくに多く見られた。・多くの国で、超過死亡の推定値が、COVID-19による死亡者数を上回った。米国と英国(イングランド、ウェールズ、北アイルランド、スコットランドを含む)では、いずれも推定超過死亡が30%以上多く、スペイン、ポーランド、ハンガリー、ギリシャ、リトアニア、スロバキア、エストニア、韓国では50%以上の増加が見られた。・ニュージーランド、ノルウェー、デンマーク、イスラエル、フランス、ドイツ、ベルギー、スイスでは、推定超過死亡よりもCOVID-19死亡者数のほうが多かった。

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ニボルマブ・イピリムマブ併用の肺がん1次治療、ASCO2021で発表される2演題(CheckMate-9LA/227)/BMS

 ブリストル マイヤーズ スクイブは、2021年5月19日、2021年米国臨床腫瘍学会年次総会(ASCO2021)にて発表されるニボルマブ(商品名:オプジーボ)およびイピリムマブ(商品名:ヤーボイ)の2つの試験結果を発表した。 1つ目は、未治療の進行非小細胞肺がん(NSCLC)において化学療法2サイクルを追加したニボルマブとイピリムマブの併用療法と4サイクルの化学療法を比較した第III相CheckMate-9LA試験の2年間追跡調査結果。CheckMate -9LA試験の2年全生存(OS)率は、同併用療法群で38%、化学療法群は26%あった。追加の追跡調査における同試験の主要評価項目であるOS中央値は、免疫療法薬の2剤併用療法群で15.8ヵ月、化学療法群では11.0ヵ月であった(HR:0.72、95%CI:0.61~0.86)。同併用療法の新たな安全性シグナルや治療に関連する死亡は認められなかった。 そのほかの結果は以下のとおり。・2年PFSにおいて、同併用療法はリスクを33%低減した(HR:0.67;95% CI:0.56 - 0.79)。・ORRは併用療法群38% vs.化学療法群25%であった。・DORは併用療法群13.0ヵ月、化学療法では5.6ヵ月であった。これらのデータは、ASCO2021にて、6月4日、午後1時~4時(米国東部夏時間)、口頭発表される(抄録番号#9000)。 2つ目は、未治療の進行NSCLCにおいてニボルマブを含むレジメンと化学療法を比較した第III相CheckMate -227試験Part1の4年(49.4ヵ月)の追跡調査結果。CheckMate -227試験Part1におけるPD-L1 1%以上の4年OS率は、ニボルマブ・イピリムマブ併用群29%、化学療法群は18%であった(HR:0.76、95%CI:0.65~0.90)。ニボルマブ・イピリムマブ併用療法の新たな安全性シグナルは認められなかった。 そのほかの結果は以下のとおり。・PD-L1 1%未満の探索的解析における4年OS率は、ニボルマブ・イピリムマブ併用群24%に対し、化学療法群10%であった(HR:0.64、95%CI:0.51~0.81)。・PD-L1高発現(50%以上)の4年OS率は、ニボルマブ・イピリムマブ併用群37%、ニボルマブ単剤群では26%であった。 完全なデータは、ASCO2021にて、同日午前9時(米国東部夏時間)にポスター・ディスカッション・セッションで発表される(抄録番号#9016)。

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腸内細菌叢から健康状態を測れるか

 健康的な食習慣に関連する腸内細菌群は、良好な心血管代謝および食後マーカーに関連する腸内細菌群と重なることが、イタリア・トレント大学のFrancesco Asnicar氏らによって示された。疾患を持たない個人では、健康レベルごとに腸内細菌叢を階層化できる可能性があるという。Nature Medicine誌2021年2月号の報告。 腸内細菌叢は食事によって形作られ、宿主の代謝に影響を与える。しかし、これらの関連性は複雑で、個人ごとに異なると考えられている。 したがって本研究では、Personalised Responses to Dietary Composition Trial(PREDICT 1)試験に登録された1,098人を対象に1,203の腸内細菌叢のメタゲノム解析を実施し、食習慣および、空腹時と食後の心血管代謝マーカーとの関連性を分析した。 主な結果は以下のとおり。・多くの微生物は、特定の栄養素や食品、食品群、普通食の指標との間に有意な関連性を示した。・微生物とこれらとの関連性は、植物由来の健康的な食品が複数種類含まれると、より強まった。・肥満の微生物バイオマーカーは、他のコホート研究の結果を再現しており、心血管疾患におけるリスク指標の血液循環代謝物と一致していた。・Prevotella copriやBlastocystis spp.などの一部の微生物は、良好な食後糖代謝の指標であることが示された。・腸内細菌叢全体の組成は、空腹時および食後血糖、高脂血症、炎症などの心血管代謝マーカーを包括的に予測していた。

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術中左心耳閉鎖術併用で、脳卒中/塞栓症リスクが低減/NEJM

 多くが経口抗凝固薬の投与を受けている心房細動の患者集団において、冠動脈バイパス術や弁置換術などの心臓手術の術中に左心耳閉鎖術を併用すると、これを併用しない場合と比較して、虚血性脳卒中/全身性塞栓症のリスクが低下することが、カナダ・ハミルトン総合病院のRichard P. Whitlock氏らが実施した「LAAOS III試験」で示された。NEJM誌オンライン版2021年5月15日号掲載の報告。27ヵ国105施設の無作為化試験 本研究は、心臓手術時の脳卒中予防における左心耳閉鎖術の有効性と安全性の検証を目的とする無作為化試験であり、2012年7月~2018年10月の期間に、27ヵ国105施設で患者登録が行われた(カナダ健康研究所などの助成による)。 対象は、年齢18歳以上、心房細動以外の適応で人工心肺装置を用いた心臓手術が予定される、心房細動既往、CHA2DS2-VAScスコア(0~9点、点数が高いほど脳卒中のリスクが高い)が2点以上の患者であった。 被験者は、術中に左心耳閉鎖術を受ける群またはこれを受けない群に無作為に割り付けられた。全例が、追跡期間中に経口抗凝固薬などによる通常治療を受けることとした。 主要アウトカムは、虚血性脳卒中(神経画像検査で一過性脳虚血発作がみられる患者を含む)または全身性塞栓症の発現とした。患者、試験関連職員、患者のケアに携わる医師(外科医を除く)には、治療割り付け情報が知らされなかった。 本試験は、有効性に関する2回目の正式な中間解析の後、2021年1月28日に、データ安全性監視委員会により、試験の中止と結果の報告が勧告された。30日以降で効果発現、大出血/心不全/死亡に差はない 主解析には、左心耳閉鎖術併用群2,379例と非併用群2,391例が含まれた。全体の平均年齢は71歳、男性が67.5%、平均CHA2DS2-VAScスコアは4.2点であり、約半数が経口抗凝固薬を服用していた。平均追跡期間は3.8年であり、92.1%が割り付けられた手術を受け、3年の時点で76.8%が経口抗凝固薬の投与を受けていた。 虚血性脳卒中/全身性塞栓症は、併用群で114例(4.8%)、非併用群では168例(7.0%)に発現し、併用群で頻度が有意に低かった(ハザード比[HR]:0.67、95%信頼区間[CI]:0.53~0.85、p=0.001)。 また、虚血性脳卒中/全身性塞栓症の発現は、術後30日以内(2.2% vs.2.7%、HR:0.82、95%CI:0.57~1.18)では両群間に差はなかったが、30日以降(2.7% vs.4.6%、0.58、0.42~0.80)で差が認められた。虚血性脳卒中(4.6% vs.6.9%、0.66、0.52~0.84)は併用群で頻度が低かったが、全身性塞栓症(0.3% vs.0.3%、0.86、0.29~2.55)には差がみられなかった。 一方、周術期の大出血(10.4% vs.11.2%、HR:0.93、95%CI:0.78~1.11)、心不全による入院(7.7% vs.6.8%、1.13、0.92~1.40)、全死因死亡(22.6% vs.22.5%、1.00、95%CI:0.89~1.13)には、両群間に差はなかった。 著者は、「本試験は、左心耳閉鎖術と経口抗凝固薬を比較するものではないため、心臓手術時の閉鎖術の併用を、経口抗凝固薬の代替法として考慮すべきと考えるのは正しくない。経口抗凝固薬に加えて閉鎖術を行うことで、相加的な脳卒中予防効果が得られたと考えられる」としている。

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PCI後のDAPT終了後、クロピドグレル単剤が有効/Lancet

 経皮的冠動脈インターベンション(PCI)として薬剤溶出ステント(DES)留置術を施行され、6~18ヵ月の抗血小板薬2剤併用療法(DAPT)を受けた後、抗血小板薬単剤による長期の維持療法を要する患者において、クロピドグレルはアスピリンと比較して、死亡や血栓性疾患、出血を含む複合エンドポイントのリスクが低いことが、韓国・ソウル大学病院のBon-Kwon Koo氏らが実施した「HOST-EXAM試験」で示された。Lancet誌オンライン版2021年5月16日号掲載の報告。韓国37施設の非盲検無作為化試験 本研究は、韓国の37施設が参加した医師主導の非盲検無作為化試験であり、2014年3月~2018年5月の期間に患者登録が行われた(韓国・ChongKunDangなどの助成による)。 対象は、年齢20歳以上、DESによるPCI施行後に、臨床的イベントを発症することなく6~18ヵ月のDAPTを終了した患者であった。虚血性および大出血性の合併症を有する患者は除外された。 被験者は、長期維持療法期の抗血小板薬単剤療法として、クロピドグレル(75mg、1日1回)またはアスピリン(100mg、1日1回)の経口投与を受ける群に、1対1の割合で無作為に割り付けられた。投与期間は24ヵ月間であった。 主要エンドポイントは、全死因死亡、非致死的心筋梗塞、脳卒中、急性冠症候群(ACS)による再入院、BARC(Bleeding Academic Research Consortium)出血基準タイプ3以上の複合とされ、intention-to-treat解析が行われた。血栓関連エンドポイントや全出血も良好 5,530例が登録され、このうち5,438例(98.3%)が無作為化の対象となった。クロピドグレル群に2,710例(49.8%)、アスピリン群に2,728例(50.2%)が割り付けられた。主要エンドポイントの確認は5,338例(98.2%)で完了した。 全体の平均年齢は63.5(SD 10.7)歳で、74.5%が男性であった。PCI施行時の診断名の割合は、安定狭心症が25.5%、不安定狭心症が35.5%、非ST上昇型心筋梗塞が19.4%、ST上昇型心筋梗塞が17.2%だった。 24ヵ月の追跡期間における主要エンドポイントの発生は、クロピドグレル群が152例(5.7%)と、アスピリン群の207例(7.7%)に比べ有意に良好であった(ハザード比[HR]:0.73、95%信頼区間[CI]:0.59~0.90、p=0.0035)。 血栓関連複合エンドポイント(心臓死、非致死的心筋梗塞、脳卒中、ACSによる再入院、ステント血栓症[definite/probable])の発生は、クロピドグレル群が99例(3.7%)、アスピリン群は146例(5.5%)で(HR:0.68、95%CI:0.52~0.87、p=0.0028)、全出血(BARCタイプ2以上)の発生は、それぞれ61例(2.3%)および87例(3.3%)であり(0.70、0.51~0.98、p=0.036)、いずれも有意な差が認められた。 著者は、「これまでの研究で、PCI施行後の長期維持療法期にどの抗血小板薬単剤療法が最良の臨床結果をもたらすかに関して重要な仮説が提起されてきたが、DESによるPCI施行後の安定した同質の患者集団を対象とした今回の研究により、大規模な無作為化試験で初めてこれらの知見を確認することができた」としている。

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第2世代抗精神病薬による統合失調症治療におけるMetSに関連する因子

 重度の精神疾患を有する人は、一般の人と比較し、合併症の罹患や死亡率が増加する。体重増加を含む抗精神病薬の有害事象は、メタボリックシンドローム(MetS)の発症に影響を及ぼす可能性があり、これはすべての原因による死亡リスクや心血管疾患による死亡リスクの増加と関連している。オランダ・ユトレヒト大学のMarius H. Sneller氏らは、第2世代抗精神病薬(SGA)による治療を行った統合失調症スペクトラム障害患者におけるMetS関連の臨床的、生化学的、遺伝学的因子について、包括的なレビューを実施した。Frontiers in Psychiatry誌2021年3月29日号の報告。 SGA治療を行った統合失調症スペクトラム障害患者におけるMetSとの関連を調査したすべてのコホート研究、横断的研究、臨床試験を特定するため、PubMedおよびEmbaseより検索を行った。MetS関連の臨床的、生化学的、遺伝的因子を抽出した。MetSに関連する因子の定義は、2つ以上の研究で報告されている因子とした。 主な結果は以下のとおり。・58件(1万2,123例)の研究をレビューした。・MetSのリスク増加と関連している因子として、62因子が特定された。・58件中31件の研究で、2件以上の研究で報告されたMetSと関連する因子について調査されていた。・MetSと有意な関連が認められた因子は、以下のとおりであった。 ●臨床的因子:性別、高齢、気分安定薬の併用、ベースライン時および現在のBMIの高さ、SGAの早期使用、高用量、治療期間の長さ、精神疾患、喫煙 ●生化学的因子:低アディポネクチン血症、C反応性蛋白(CRP)レベルの上昇、白血球(WBC)数高値 ●遺伝学的因子:HTR2C遺伝子のrs1414334 C対立遺伝子 著者らは「SGAで治療している患者におけるMetS発症リスクを予測するためには、これらの因子を段階的に適用する必要がある。臨床診療において、MetS発症リスクを判断するためには、今後の研究が求められる」としている。

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第59回 「余剰ワクチンの取り扱い通知」は出し忘れ?それとも大臣お墨付きなら不要?

以前、本連載の第57回で触れた新型コロナウイルス感染症(COVID-19、以下、新型コロナ)の余剰ワクチン問題。ついに5月25日付で厚生労働省健康局健康課予防接種室から『新型コロナワクチンの余剰が発生した場合の取り扱いについて』と題する事務連絡通知が出された。その中身はキャンセルなどで余剰となったワクチンについては、接種券の有無にかかわらず幅広い接種対象を検討すべし、という内容である。縮めて言えば、「誰に打っても良し。ただ、接種券のない人に打った場合は個人情報を控えておきなされ」ということだ。実はこの通知が出たと聞いて私は非常に驚いた。というのも、前日の24日夜、私はオンラインで開催された記者向けワクチン勉強会でパネリストになった地方自治体担当者に「『余剰ワクチンを誰に打っても良い』と言っている河野 太郎大臣の発言を裏付ける通知は出ているのか?」と質問したのに対して、この時点では「否」という回答を得ていたからだ。通知が出た25日夜、河野大臣も通知を写メしたツイートをしている。このツイートには「さすが河野大臣は迅速だ」的な反応が多い。そうした空気を逆なでして申し訳ないが、私はこの対応がどこも「迅速」だとは思っていない。本連載では、4月13日付の会見で河野大臣が余剰ワクチンを誰に打っても良いと発言したことに触れているが、この3日後の4月16日の会見でもこの問題は質疑応答が行われていた。質問ワクチンの廃棄問題について伺います。火曜日の記者会見で、余剰分の廃棄を極力減らす観点から、現場判断で高齢者以外も含めて柔軟な接種を行うように河野大臣は促されたんですけれども、これについては厚労省が明確な見解を示さないこともあって、医療現場から運用の観点から困惑の声も上がっています。改めて、大臣としては、廃棄を減らすことを最優先に、どうしても余ってしまう、そういう場合は、若者など高齢者以外も含めた接種を行うべきという考えに変わりはないでしょうか。回答これは厚労省の出している手引きの中に既に明確に書いてありますので、厚労省を含め、政府としての判断はもう明確に示されております。さらに4月20日の会見でも関連した質疑は行われている。質問あともう一点なんですけれども。先ほど自治体のサポートに注力したいということですけれども。高齢者接種が始まってまだ1週間で量も限られていますけれども、これまで1週間で見えてきた課題というのはございますでしょうか。回答余ったワクチンは非常に貴重なワクチンですから、廃棄することなく柔軟に自治体で対応していただきたいと思っております。これは1バイアル当たり現在4回分、6回接種になれば5回分が最大量ですけれども、万が一停電が起きたり何が起きたりという、もう少し大きく対応しなきゃいけないということも起こり得るわけですから、そういう時にどうするかというところも考えながら、日々予診で今日は打たないほうがいいですという方が恐らく必ず出ると思います。ワクチンが余るというのは、これは定常的に起きることだと思いますので、無駄にすることなく自治体で柔軟にしっかり対応していただきたいと思っています。そして直近の5月21日の会見では冒頭の概説で河野大臣自らこのように話している。いくつかの自治体、保健所等で、接種券がない者には打てないという誤った指導を行っているところがございます。そうした誤った指導の結果、貴重なワクチンが廃棄されているというのは極めて許し難い状況だと思います。保健所なり自治体の関係の皆様は、認識を新たにしていただいて、16歳未満の方には打てませんけれども、接種券の有無にかかわらず、しっかりと記録だけ取っておいていただければ、後日接種記録を入れていただければよいだけの話でございますので、貴重なワクチンが廃棄されることがゆめゆめないように、しっかりと対応していただきたいと思います。河野大臣の余剰ワクチンに対する姿勢は基本的に一貫し、私もそれに賛同している。しかし、4月中旬以来、この件に関して同じことを繰り返し発言していることに私はやや疑問を持っていた。その時、ハッと思った。私は21日の会見の内容が報じられた直後、自分のTwitterで河野大臣が余剰ワクチンを優先接種対象者以外の誰でもいいから接種するようにと言っている内容を厚労省から自治体向けに文書で通知しているのだろうか?という趣旨のツイートをしている。これはお役所とやり取りをしたことがある人ならば分かると思うが、国家公務員であれ地方公務員であれ、お役人というものは「無謬性」を重視し、明確に文書等で指示があること以外は行わない。もし文書で明示のないことを行って問題が生じれば、「無謬性」は破綻するからだ。そんなことはお役所の非効率をしばしば歯に衣着せぬ物言いでバッサリ切って捨てる河野大臣も熟知していることだろう。問題はこうした状況を前提に4月13日の会見での発言当初、河野大臣が「やっぱり念のため通知を出しておくよう働きかける」と考えたか、「大臣の俺が言ってるんだから通知がなくとも良い」と考えたかという点だ。私は河野大臣が後者を選んでいたのではないかと疑っている。そのように疑ってしまうのは、過去にも書いたが、河野大臣がきわめて合理主義者で、政治家にありがちな根回し・忖度が苦手であると知られていることがベースにある。そして4月16日付の会見の質疑応答をより突っ込むと、私の中ではその疑いはより強くなる。繰り返しの引用になるが、この時に河野大臣は余剰ワクチンの扱いについて「厚労省の出している手引きの中に既に明確に書いてありますので、厚労省を含め、政府としての判断はもう明確に示されております」と答えている。そこで厚労省が出している自治体向けの「新型コロナウイルス感染症に係る予防接種の実施に関する手引き(2.2版)」(4月15日付)の内容を以下に紹介する。同手引きの67ページには余剰ワクチンが発生した場合として以下のような記述となっている。新型コロナワクチンの接種予約がキャンセルされた等の理由で余剰となったワクチンについては、可能な限り無駄なく接種を行っていただく必要があることから、別の者に対して接種することができるような方法について、各自治体において検討を行う。たとえば、市町村のコールセンターや医療機関で予約を受ける際に、予約日以外で来訪可能な日にちをあらかじめ聴取しておき、キャンセルが出たタイミングで、電話等で来訪を呼びかけるなどの対応が考えられる。なお、キャンセルの生じた枠で接種を受けられるのは、接種券の送付を受けた対象者とする。それでもなお、ワクチンの余剰が生じる場合には、自治体において検討いただきたい。これのどこが「明確」と言えるのだろうか? 最後は「自治体において検討」と事実上の丸投げである。そもそも日本の公務員制度では長らく地方公務員は中央の言うことを忠実に実行することが是とされてきた。一部の地方公務員の怒りを招くことを承知で敢えて分かりやすさを重視した表現にすると、地方公務員の業務遂行とは「うっすら線が入っているお絵描き帳で絵を描く」がごとしである。地方分権と言われて久しいが、この名残はいまだ根強い。だから「自前で検討せよ」が実は地方自治体が最も苦手とするものなのだ。実際、2025年を目標に地方自治体が自前で構築すべしとなっている「地域包括ケア」に関しては多くの自治体が未だ右往左往している。それでも「地域包括ケア」の構築はまだ時間的な余裕がある。しかし、ワクチン接種は待ったなし。その意味ではより踏み込んだ明示が必要である。ちなみに前述の手引きの最後の一文を大臣発言に沿って突っ込んだ一例を示せば次のようになるだろう。「それでもなお、ワクチンの余剰が生じる場合には、廃棄に至らないよう接種券の有無にかかわらない接種対象者の選定を自治体において検討いただきたい」いずれにせよ4月13日の会見での発言から、それが通知という形で具現化するまで軽く1ヵ月以上を有しており、このタイムラグの原因が何であれ、とても迅速とは言い難い。もし河野大臣発言の直後に前述の事務連絡通知が出ていれば、これまでに発生したワクチンの廃棄は相当程度防げていたのではないだろうかと考えている。

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デジタル手術イラストの描き方(下書き~線画編)【誰も教えてくれない手術記録 】第3回

第3回 デジタル手術イラストの描き方(下書き~線画編)こんにちは! 手術を描く外科医おぺなかです。さて、今回からは2回に分けて、手術イラストの下書きから完成までの過程を順に解説します。皆さん、お手元にデジタルイラストレーションを描く準備はできていますでしょうか? まだの方は前回のコラムを参考にしてください。最近、自分の周りでも徐々に手術イラストをデジタルで作成する人が増えてきている印象です!まずは、基本的なレイヤーの使い方を覚えましょう描き始める前に、デジタルイラストで重要な「レイヤー機能」を押さえておきましょう。下に完成したイラストを提示しましたが、実はこのイラストは、右図のように複数の層(レイヤー)が重なってできています。画像を拡大する(左)完成図/レイヤーのイメージ(右)線画、着色、テキストなど、イラストを構成する要素がそれぞれ透明なシートに描かれていて、それらを重ねると1枚のイラストが出来上がって見えるというイメージでしょうか。このレイヤー機能を駆使すると、臓器の奥行きや前後関係などの表現、部分ごとの加筆修正などが容易となります。これを理解し使いこなすことが、デジタルイラストでの必須スキルです! 少しややこしいかもしれませんが、描いていくうちにわかってくると思います。ではここからは、実際にイラストを描く手順について、(1)下書き、(2)線画、(3)着色、(4)仕上げの4段階に分けて説明していきます。(1)下書き:後で調整できるので、大まかに描いていくまずは下書きから始めましょう。下書きには「鉛筆」のブラシを使用しています。細かい部分は後のステップで整えるので、ここは思うままにざっくりと描き上げます。描きたい場面が複数ある場合は、それぞれのイラストの配置や大きさなども考えながら、大まかに決めていきます。見本:下書きの完成図(2)線画:イラストの良しあしが決まるので、完成図をイメージして丁寧に下書きを描き終えたら、線画の作成(清書)に移ります。下書きレイヤーの「不透明度」を下げる(「透明度」を上げる)と、下書きが薄くなるので、線画がぐっと描きやすくなります。次に、下書きのレイヤーの上に線画用の「新規レイヤー」を作成し、描いていきましょう。画像を拡大する(左)不透明度の調整/下書きの上に新規レイヤーを作成(右)※iPadお絵描きアプリ「Procreate」を使用私は線画に「製図ペン」というブラシを愛用していますが、いろいろな種類のブラシがあるので、自分の使いやすいものを探してみてください。下書きよりもさらに正確できれいなイラストを描くことを心掛けて、丁寧に線を引いていきます。細かい部分を描き込む際には、拡大機能を活用しましょう。だいたいのアプリが、二本指のピンチアウト/ピンチインで拡大・縮小できると思います。私は、この線画がイラスト作成の全過程の中で一番重要だと考えています。線画でイラストの良しあしの大半が決まると言ってもよいかもしれません。手術イラストでは、臓器や膜構造の位置関係をできるだけ正確に記載すべきと考えていて、それらはすべて線画で決まります。ここは気合いを入れて取り組み、納得のいくイラストに仕上げていきましょう。画像を拡大する(左)下書き/線画の完成図(右)下書きのレイヤーを非表示にすると、このように描き上げた線画を確認できます。ここで完璧に仕上げなくても、後からいくらでも修正できるので大丈夫です。次の作業をまた別のレイヤーで行うことで、線画のレイヤーを選択するといつでも線画のみの修正ができるわけです。レイヤー、とっても便利な機能ですよね!次回は、(3)着色と(4)仕上げについて詳しく説明していきます。お楽しみに!

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双極性障害治療における非定型抗精神病薬使用~RCTのシステマティックレビュー

 双極性障害の治療では、非定型抗精神病薬の使用が増加している。カナダ・ブリティッシュコロンビア大学のKamyar Keramatian氏らは、最近発表された双極性障害に対する非定型抗精神病薬の有効性および安全性に関するランダム化比較試験(RCT)のシステマティックレビューを実施した。Current Psychiatry Reports誌2021年5月8日号の報告。 主な結果は以下のとおり。・急性期双極I型および双極II型うつ病に対するクエチアピン治療の有効性は、いくつかの研究で支持されていた。・クエチアピン補助療法は、治療抵抗性双極性うつ病に対し、プラセボよりも優れた有効性が認められた。・双極I型うつ病に対しcariprazine1.5mgによる治療が有効であった。・月1回のアリピプラゾール持続性注射剤400mgによる治療は、代謝への影響を最小限にとどめたうえで、躁症状の予防に有効であった。・若年の双極性障害患者では、急性うつ病に対してルラシドンの有用性、忍容性が認められ、急性躁病および混合性エピソードに対してアセナピンの有効性が認められた。 著者らは「最近発表されたRCTでは、双極性障害のさまざまなステージにおける非定型抗精神病薬の有効性が支持されていた。今後の研究において、研究が不十分な小児期、老年期、双極II型障害などに焦点を当てるとともに、認知機能やQOLに注目した研究が求められる」としている。

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ホルモン感受性と年齢別、乳がん後の2次原発がんリスク

 乳がんサバイバーの2次原発がん(SPC)リスクは、ホルモン受容体(HR)の状態と初発がんの診断年齢によって大きく異なる可能性が示唆された。米国がん協会のHyuna Sung氏らによるCancer誌オンライン版2021年5月18日号掲載の報告より。 解析には、米国のSurveillance, Epidemiology, and End Results(SEER)の12のレジストリのデータが用いられた。研究者らは1992~2015年までに20~84歳で診断された43万1,222人の乳がんサバイバー(1年以上の生存)を特定。SPCリスクは、標準化された発生率(SIR)および1万人年当たりの過剰絶対リスク(EAR)として測定した。ポアソン回帰モデルを用いてホルモン受容体の状態ごとのSIRが解析された。 主な結果は以下のとおり。・平均8.4年の追跡期間中に、HR陽性乳がんサバイバー(35万2,478人)で4万940件(絶対リスク:139.9/1万人年)、HR陰性乳がんサバイバー(7万8,744人)で9,682件(絶対リスク:147.3/1万人年)のSPCが発生した。・一般集団と比較すると、新たながん診断リスクはHR陽性乳がんサバイバーで 20%(SIR:1.20、95%信頼区間[CI]:1.19~1.21、EAR:23.3/1万人年)、HR陰性乳がんサバイバーでは44%高く(SIR:1.44、95%CI:1.41~1.47、EAR:45.2/1万人年)、ホルモン受容体の状態間のリスク差は統計的に有意であった。・一般集団と比較して、乳がんサバイバーでは7つのがん(急性非リンパ球性白血病、肉腫、乳がん、口腔/咽頭がん、子宮体がん、肺がん、結腸がん)のリスクが高かった。甲状腺がん、小腸がん、膵臓がん、膀胱がんおよび皮膚の黒色腫のリスクは、HR陽性乳がんサバイバーでのみ上昇し、食道がん、卵巣がん、および腹膜がんのリスクは、HR陰性乳がんサバイバーでのみ上昇した。 ・診断時の年齢別の1万人年あたりの総EARは、晩期発症(50~84歳)のHR陽性乳がん:15.8(95%CI:14.1~17.5、SIR:1.11)晩期発症のHR陰性乳がん:29.0(95%CI:25.0~33.0、SIR:1.22)早期発症(20~49歳)のHR陽性乳がん:41.3(95%CI:39.2~43.5、SIR:2.24)早期発症のHR陰性乳がん:69.4(95%CI:65.1~73.7、SIR:2.24)・二次原発の乳がんは各サバイバーグループの総EARの73~80%を占めていた。・乳がんを除くと、SPC で1万人年あたりのEARが大きかったのは、早期発症HR陰性乳がんサバイバーの卵巣がん、早期および晩期発症HR陰性乳がんサバイバーの肺がん、および晩期発症HR陽性乳がんサバイバーの子宮体がんであった。 著者らはこの結果を受けて、乳がんサバイバーのケア計画において、がん予防と早期発見戦略のためのより的を絞ったアプローチが必要であるとまとめている。

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新型コロナワクチン、接種会場での各病院の工夫とは?

 メディカル・データ・ビジョン株式会社は自社の病院向け経営支援システムを導入している病院に対して、接種会場での工夫点について緊急調査を実施。その結果、病院ごとに予診票の事前記入の促し、院内導線やスペース確保などを工夫していることが明らかになった(5月20日付プレスリリース)。 同社はこの調査を5月14日~19日の期間にウェブで実施、21病院から回答を得た。ワクチン接種体制で困っている点や課題に感じた点を聞いた(複数回答可)ところ、予約管理(66.7%)が最も多く、次いで接種人材の確保・役割分担(57.1%)、院内での接種会場の確保(52.4%)、円滑に接種するための動線(47.6%)、受付・問診(42.9%)だった。 同社の調査で明らかになった取り組みの一例を以下に紹介する。会場/動線・午後休診の診療科や院外の関連施設を活用した ・接種後の待機場所にはリラックスできるビデオや音楽を流した・予約時間まで車で待機してもらい、混雑を防いだ・待機場所は、必ず医療者が近くにいる場所にした・接種の流れや接種後の注意点などがわかるように映像を作成し、院内各所のモニターに映し出し、受付待ち、問診待ち、接種待ちしている間に見てもらえるようにした・受付後は接種会場の座席に着座のまま、医師・看護師が巡回し予診~接種~待機まで行っている。接種者が移動・待機を繰り返すことをなくし、会場をコンパクトにした受付/問診・予約制のため、事前に予診票を配り書いてもらった・当日受付票を発行し、接種時間・待機時間を記入できるようにした・役割ごとに、受付を3つに分けた(1:予約確認受付…指定された日時に来院しているかの確認/必要な持ち物の確認、2:接種受付…本人確認/予診票の記載確認、3)接種後受付…接種済証の記載/発行)副反応への対応・職員向けの接種で、副反応が出る可能性を考慮し、金曜日により多くの接種枠を設けた・(ワクチン接種で通常業務が滞らないよう、)同日に同部署から何人も接種しないようにした・外来看護師は極力、金/土曜日に接種するようにし、翌日が休日となるようにした・休みがとりやすいように副反応でつらい時は、特別休暇扱いとした 病院関係者の声・接種をしていない職員(医師・看護師)が高齢者への接種を行うケースが発生している。こういったことに国・都道府県・市町村・医師会は目を向けるべきだと思う ・職員向けの接種で、2回目の接種後はなるべく2日間休めるようにしたが、あまりに副反応が出たため、看護職員が手薄になった ・キャンセル時の代替接種者は確保していたが、そもそもリソースを最小限にしているため、忘れているだけなのかキャンセルなのか、確認自体に労力を要した。・予約管理については自院で受け付けず、接種者には自治体のシステムをご利用いただいているが、予約情報が断片的(カナ氏名なし、性別なし、住所なし)で困っている。またシステムが不安定で、電話問合せが多く現場が疲弊している

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進行悪性黒色腫患者におけるオプジーボ・イピリムマブ併用療法、6.5年の追跡調査(CheckMate-067)/BMS

 ブリストル マイヤーズ スクイブは、2021年5月20日、ニボルマブ(商品名:オプジーボ)とイピリムマブ(商品名:ヤーボイ)の併用療法およびオプジーボ単剤療法が、イピリムマブ単剤療法と比較して、ファーストライン治療の進行悪性黒色腫患者において生存期間の持続的な改善を示した無作為化二重盲検第III相CheckMate-067試験の新たな6.5年データを発表した。 最短6.5年の追跡調査において、ニボルマブ・イピリムマブ併用療法の全生存期間(OS)中央値は72.1ヵ月であった。これは進行悪性黒色腫に対する第III相試験において報告された最長のOSの中央値である。ニボルマブ単剤群のOS中央値は36.9ヵ月、イピリムマブ単剤群では19.9ヵ月であった。また、ニボルマブ・イピリムマブ併用群の6.5年無増悪生存(PSF)率は34%(中央値11.5ヵ月)、ニボルマブ単剤群では29%(中央値6.9ヵ月)、イピリムマブ単剤群では7%(中央値2.9ヵ月)であった。追跡調査で生存していた併用群患者のうち、77%(145例中112例)が無治療であり、その後の全身療法を受けていなかった。同様の患者の割合は、ニボルマブ単剤群で69%(122例中84例)、イピリムマブ単剤群では43%(63例中27例)であった。 ニボルマブ・イピリムマブ併用群またはニボルマブ単剤群では、BRAF変異陽性、野生型、ベースライン時に肝転移を有する患者を含む関連サブグループ全体で、持続的な臨床ベネフィットが維持された。BRAF変異陽性患者における6.5年生存率は、ニボルマブ・イピリムマブ併用群57%、ニボルマブ単剤群43%、イピリムマブ単剤群25%であった。BRAF野生型患者における生存率は、ニボルマブ・イピリムマブ併用群46%、ニボルマブ単剤群42%、イピリムマブ単剤群で22%であった。肝転移を有する患者における生存率は、ニボルマブ・イピリムマブ併用群38%、ニボルマブ単剤群31%、イピリムマブ単剤群で22%であった。奏効期間(DoR)中央値は、併用療法群とニボルマブ単剤療法群で未達だったのに対し、イピリムマブ単剤療法群では19.2ヵ月であった。 ニボルマブ・イピリムマブ併用療法の安全性プロファイルは、これまでの結果と一貫しており、新たな安全性シグナルは認められなかった。また、5年時点の解析以降、新たに発生した治療に関連する死亡例はなかった。 CheckMat -067試験の6.5年データは、6月4~8日に開催される2021年米国臨床腫瘍学会年次総会(ASCO2021)にて、2021年6月6日、口頭抄録セッションで発表される(抄録番号#9506)。

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片頭痛でも診療を受けない人は43%も/日本イーライリリー

 日本イーライリリー株式会社は、わが国の片頭痛診療の現状に関する大規模横断的疫学調査を行った。本調査は、日本に居住しかつ片頭痛の診断基準(ICHD-3)に該当するもしくは1年以内に頭痛発作を経験しかつ医師による片頭痛の診断を受けたことがある成人を対象に、わが国おける片頭痛の診断状況、治療パターン、および治療の妨げに関して、記述的に評価することを目的に行われ、その結果を第62回 日本神経学会学術大会で発表した。片頭痛のある17,071人を調査 片頭痛は、1次性頭痛の中でも臨床的に重要な疾患で、典型的には拍動性の中等度から重度の頭痛発作が繰り返し生じ、4~72時間にわたり発作が持続する。頭痛に加えて悪心、嘔吐、光過敏や音過敏などを伴うことが多く、日常動作で頭痛が増悪するため生活に大きな支障を来す。わが国における片頭痛の有病率は8.4%[男女比(女/男):約3.6]であり、男女とも20~50歳代の勤労世代に多くみられることから、患者の日常生活だけでなく社会生活にも影響を及ぼす疾患とされている。 本調査には、片頭痛の症状がある17,071人(平均年齢41歳、男:女=33.5%:66.5%、ICHD-3診断基準を満たした人の割合:82.2%)が登録された。 調査でわかった過去3ヵ月における月あたりの平均頭痛日数は次の通り。【平均頭痛日数/月:人数(比率)】・0~3日:11,498人(67.4%)・4~7日:2,714人(15.9%)・8~14日:1,608人( 9.4%)・15日以上:1,251人( 7.3%) また、片頭痛のために受診を受け、治療を行った医師の主な診療科割合は次の通り。【診療科の割合】・かかりつけ医・内科医:59.9%・脳神経外科医:26.7%・頭痛専門医:13.7%・脳神経内科医:12.3%予防治療薬を使用している人は1割未満 今回の調査でわかったわが国における片頭痛診療の現状として、・これまで1度でもOTC(一般用医薬品)を使用したことがある:80.4%・現在OTCを使用している:75.2%・これまで片頭痛のために医療機関を受診したことがある:57.4%・医師による片頭痛の診断を受けたことがある:56.6%・過去1年に片頭痛のために医療機関を受診した:39.7%・現在NSAIDsが処方されている:36.7%・これまでトリプタンを使用したことがある:20.1%・現在トリプタンを使用している:14.8%・これまでに予防治療薬を使用したことがある:10.2%・現在予防治療薬を使用している:9.2% との回答を得た。調査により片頭痛症状をもつ人の42.6%は医療機関を1度も受診していないことが判明した。また、片頭痛の急性期治療薬について、全体の87.1%の人は現在OTCを含む急性期治療薬を用いて治療していたが、トリプタンで治療している人は全体の14.8%だった。予防治療薬について、予防治療薬の処方の対象となる人は全体の29.0%だったが、現在予防治療薬で治療している人はわずか9.2%だった。片頭痛のある人に適切な医療の実現を この調査のアドバイザーである平田 幸一氏(日本頭痛学会 代表理事、獨協医科大学 副学長)は、「この調査はわが国における片頭痛医療の満たされていない患者ニーズを浮き彫りにしている。新しい片頭痛の治療薬開発が進んでいる日本において、片頭痛の診断、治療パターン、および医療ニーズを理解することが大変重要で、片頭痛のある人に適切な医療を求めるように啓発し、医師が適切な治療選択肢を患者に提案していくことが急務」とコメントを寄せている。 同社では今後も調査結果を検証し、学会や論文などで発表を行っていくとしている。

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非責任病変へのPCI追加、FFRガイドvs.血管造影ガイド/NEJM

 多枝病変を有するST上昇型心筋梗塞(STEMI)患者において、梗塞関連病変へのPCI成功後の非責任病変の完全血行再建は、冠血流予備量比(FFR)ガイド下と血管造影ガイド下で有益性に差は認められなかった。フランス・パリ大学のEtienne Puymirat氏らが、Flow Evaluation to Guide Revascularization in Multivessel ST-Elevation Myocardial Infarction(FLOWER-MI)試験の結果を報告した。ただし、イベント発生率が予想より低く統計学的検出力が計画より低下したため、著者は、「FFRガイド下治療の有意な効果は認められなかったが、主要評価項目のハザード比の95%信頼区間(CI)が0.78~2.23と非常に広く、これはFFRガイド下治療により相対的に22%リスクが低下または123%リスクが上昇することを表しており、今回の結果を結論付ける解釈はできない」との見解を示している。非責任病変へのPCI追加による完全血行再建が、責任病変単独治療より優れているが、FFRガイド下治療が血管造影ガイド治療より優れているかどうかは不明であった。NEJM誌オンライン版2021年5月16日号掲載の報告。多枝病変のSTEMI患者1,171例で、1年後の主要心血管イベントを比較 FLOWER-MI試験は、2016年12月18日~2018年12月6日に、フランス国内41施設で実施された医師主導の評価者盲検無作為化非盲検試験である。梗塞関連病変のPCIが成功した18歳以上の多枝病変STEMI患者で、50%以上狭窄の非責任病変が1つ以上存在し、PCIの適応と判断された患者1,171例を、FFRガイド群(590例)または血管造影ガイド群(581例)に1対1の割合で無作為に割り付け、入院中に完全血行再建術を行った。 主要評価項目は、1年時点での全死因死亡、非致死的MI、緊急血行再建に至る予定外入院の複合であった。FFRガイド下完全血行再建術、血管造影ガイド下と比べて有意差なし 各群4例が同意撤回等により除外され、intention-to-treat解析集団はFFRガイド群586例、血管造影ガイド群577例であった。PCIは、それぞれ388例(66.2%)、560例(97.1%)に実施され、非責任病変のステント留置数/例(平均±SD)は、FFRガイド群1.01±0.99、血管造影ガイド群1.50±0.86であった。 主要評価項目イベントは、FFRガイド群で5.5%(32/586例)、血管造影ガイド群で4.2%(24/577例)に発生し、ハザード比(HR)は1.32(95%CI:0.78~2.23、p=0.31)であった。 また、全死因死亡は1.5%(9例)vs.1.7%(10例)(HR:0.89、95%CI:0.36~2.20)、非致死的MIは3.1%(18例)vs.1.7%(10例)(1.77、0.82~3.84)、緊急血行再建に至る予定外入院は2.6%(15例)vs.1.9%(11例)(1.34、0.62~2.92)であった。

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中等症~重症喘息、3剤併用vs.2剤併用/JAMA

 中等症~重症の小児(6~18歳)および成人喘息患者において、吸入ステロイド薬(ICS)と長時間作用型β2刺激薬(LABA)に長時間作用型抗コリン薬(LAMA)を併用する3剤併用療法は、2剤併用療法(ICS+LABA)と比較して重度増悪の減少ならびに喘息コントロールの中等度改善と有意に関連し、QOLや死亡に差は認められなかった。カナダ・マックマスター大学のLisa H. Y. Kim氏らが、システマティックレビューとメタ解析の結果を報告した。中等症~重症の喘息患者に対する3剤併用療法の有益性と有害性は、これまで不明であった。JAMA誌オンライン版2021年5月19日号掲載の報告。無作為化試験20件、合計約1万2,000例について解析 研究グループは、MEDLINE、Embase、CENTRAL、ICTRP、FDA、EMAの2017年11月~2020年12月8日のデータベースから、中等症~重症喘息患者を対象に3剤併用療法(ICS、LABA、LAMA)と2剤併用療法(ICS、LABA)を比較した無作為化臨床試験を、言語を問わず検索した。 2人の研究者が独立して選択し、2人の評価者が独立してデータを抽出しバイアスリスクを評価した。メタ解析には、患者個々の増悪データを含むランダム効果モデルを用い、GRADEに従ってエビデンスの質を評価した。 主要評価項目は、重度増悪、喘息コントロール(7項目の喘息コントロール質問票[ACQ-7]で評価、各項目スコアは0[完全にコントロール]~6[重度のコントロール不良]、最小重要差は0.5)、生活の質(喘息関連QOL質問票[AQLQ]で評価、スコアは1[重度の障害]~7[障害なし]、最小重要差は0.5)、死亡率および有害事象とした。 3種類のLAMAを使用した20件の無作為化臨床試験が解析に組み込まれた。解析対象は、小児および成人喘息患者計1万1,894例(平均年齢52歳、範囲9~71歳、女性57.7%)であった。3剤併用療法により、重度増悪が減少し喘息コントロールが中等度改善 エビデンスの質が高い臨床試験による3剤併用療法vs.2剤併用療法の比較において、重度増悪リスクの減少(9試験[9,932例]、22.7% vs.27.4%、リスク比:0.83[95%信頼区間[CI]:0.77~0.90])、および喘息コントロールの改善(14試験[1万1,230例]、標準平均差[SMD]:-0.06[95%CI:-0.10~-0.02]、ACQ-7の平均差:-0.04[95%CI:-0.07.~-0.01])が有意であることが示された。 一方、喘息関連QOL(7試験[5,247例]、SMD:0.05[95%CI:-0.03~0.13]、AQLQ平均差:0.05[95%CI:-0.03~0.13]、エビデンスの質:中)、ならびに死亡(17試験[1万1,595例]、0.12% vs.0.12%、リスク比:0.96[95%CI:0.33~2.75]、エビデンスの質:高)については、有意差はなかった。 3剤併用療法は、口喝および発声障害の増加と有意に関連していたが(10試験[7,395例]、3.0% vs.1.8%、リスク比:1.65[95%CI:1.14~2.38]、エビデンスの質:高)、治療関連および重篤な有害事象は両群で有意差はなかった(エビデンスの質:中)。

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COVID-19診療の手引きの第5版を公開/厚生労働省

 5月26日、厚生労働省は「新型コロナウイルス感染症(COVID-19)診療の手引き・第5版」を公開した。 同手引きは診療の手引き検討委員会が中心となって作成され、第1版は2020年3月17日に、第2版は5月18日に、第3版は9月4日に、第4版は12月4日に公表され、細かい改訂など随時最新の内容に更新されている。 今回の改訂では、前版以降の知見の拡充を行い、とくに血栓対策の治療、投与すべきでない薬剤(ヒドロキシクロロキンなど)の記載、新しく追加承認されたバリシチニブの追加、ファビピラビルの観察研究結果の更新などが反映されている。今回の主な改訂点【病原体・疫学】・変異株について感染性や重篤度、ワクチンへの影響などの情報を更新【臨床像】・剖検の調査による報告を追加・重症化リスク因子に妊娠後期を追加・血栓塞栓症、小児家庭内感染、小児多系統炎症性症候群の国内データを追加【症例定義・診断・届出】・病原体診断を更新(新型コロナウイルス感染症病原体検査の指針・第3.1版に対応)・届出は原則としてHER-SYSを活用することと記載【重症度分類とマネジメント】・中等症IIにおけるネーザルハイフロー・CPAP使用回避の記述を削除・自宅療養者に対して行う治療プロトコールを追加・血栓症対策の治療内容を更新【薬物療法】・投与すべきでない薬剤(ヒドロキシクロロキン、リトナビル)について記載・国内で承認されている医薬品にバリシチニブ(2021年4月23日追加承認)を追加・ファビピラビルの国内での観察研究結果を更新【院内感染対策】・感染者の授乳について更新・ネーザルハイフロー使用時の感染対策を記載【退院基準・解除基準】・懸念される変異株(VOC)感染者も同様の退院基準であることを記載・人工呼吸器などによる治療を行った場合を追加

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