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ワクチンパスポート賛成は過半数を超える/アイスタット

 国民のワクチン対象成人の約6割超が新型コロナウイルス感染症(COVID-19)ワクチンの接種を終え、これからCOVID-19との新しい日常が送られようとしている。ワクチン接種先進国では、接種を終えた人々にさまざまな証明書を発行することで、日常行動の制限解除にむけた動きも散見される。こうした「ワクチン接種証明書」について、社会はどのように考えているのだろう。 「ワクチンパスポート」をテーマに、株式会社アイスタットは10月4日にアンケートを行った。アンケートは、セルフ型アンケートツール“Freeasy”を運営するアイブリッジ株式会社の全国の会員20~79 歳の300人が対象。調査概要 形式:WEBアンケート方式 期日:2021年10月4日 対象:セルフ型アンケートツール“Freeasy”の登録者300人(20~79歳の会員)アンケート結果の概要・ワクチンパスポートの申請・発行に賛成の割合は54%で半数を超える・ワクチンパスポート所有・提示による規制緩和・特典に賛成の割合は51.3%・ワクチンパスポートの申請意向がある割合は46.3%で半数を下回る・ワクチンパスポート提示による特典の第1位は「旅行・移動」の45.3%・ワクチンパスポート活用により生じる問題の第1位は「ワクチン接種有無による差別問題」・ワクチンパスポートが経済活動再開につながると思う割合は54.3%・コロナワクチンを2回接種した割合は66.7%。接種予定を含めると約8割が接種意向ありワクチンパスポートは賛成だけど活用法は限定的 質問1として「ワクチンパスポート(新型コロナワクチン接種証明書)の申請・発行について、どう思うか」(単一回答)を聞いたところ、「やや賛成」が31.7%で最も多く、「どちらともいえない」が28.7%、「非常に賛成」が22.3%の順であった。大きく2つに分類したところ「賛成」は54%、「それ以外」は46%で、賛成が半数を超える結果だった。 質問2で「ワクチンパスポートの所有・提示による規制緩和・特典について、どう思うか」(単一回答)聞いたところ、「やや賛成」が31.7%、「どちらともいえない」が30.7%、「非常に賛成」が19.7%の順で多かった。大きく2つに分類したところ「賛成」は51.3%、「それ以外」は48.7%で質問1と同様の傾向が見受けられた。 質問3で「ワクチンパスポートを申請するか」(単一回答)を聞いたところ、「申請する予定」が43.0%、「現時点では、まだ決めていない」が31.3%、「ワクチン接種をしないので、申請できない」が11.7%の順で多かった。大きく2つに分類したところ「申請」は46.3%、「それ以外」は53.7%で、活用法の情報が少ない中で申請意欲が少ない結果だった。 質問4で「どのような場面でワクチンパスポート提示による入場規制緩和・特典があった方が良い」(複数回答)を聞いたところ、「旅行・移動」が45.3%、「宿泊施設」が41.3%、「飲食店」が40.3%の順で多かった。また、「特になし」の回答も28.3%あるなど、今後の活用法の拡大が望まれることが示唆された。 質問5で「ワクチンパスポートが導入・活用されることによって、どのような問題が生じるか」(複数回答)を聞いたところ、「ワクチン接種有無による差別問題」が55.3%、「ワクチン接種後のブレークスルー感染の増加」が27.7%、「無症状・軽症感染者による他人への感染リスク」が26.7%の順で多かった。 質問6で「ワクチンパスポートは経済活動再開につながるか」(単一回答)を聞いたところ、「どちらかといえば、つながると思う」が38.7%、「かわらないと思う」が27.3%、「非常につながると思う」が15.7%の順で多かった。 質問7で「政府や自治体がお願いしているコロナ禍対策『外出・旅行・帰省・外食・酒禁止・時短営業の規制・制限』についてどう思うか」(単一回答)を聞いたところ、「どちらでもない」が22.7%、「かなり限界」が22.0%、「やや限界」が14.7%の順で多かった。回答を大きく2つに分類すると「限界」が49%、「それ以外」は51%で約半分の人が「限界」を感じていた。 質問8で「コロナワクチン接種状況」(単一回答)について聞いたところ、「2回目接種完了」が66.7%、「意図的に接種しない」が11.3%、「これから1回目を接種する」が9.7%の順で多かった。大別すると「接種あり・予定」が82%、「接種しない」が18%という結果だった。今後のさらなる接種率の向上という課題がうかがえる結果となった。

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切除不能転移大腸がん1次治療、FOLFOXIRI+ベバシズマブへのアテゾリズマブ上乗せ(AtezoTRIBE)/ESMO2021

 未治療の切除不能転移大腸がん(mCRC)に対し、FOLFOXIRI+ベバシズマブ(BEV)+アテゾリズマブはFOLFOXIRI+BEVと比較し無増悪生存期間(PFS)を有意に延長することが、Gruppo Oncologico del Nord-Ovest(GONO)グループによる「AtezoTRIBE試験」で示された。イタリア・ピサ大学のChiara Cremolini氏が欧州臨床腫瘍学会(ESMO Congress 2021)で発表した。AtezoTRIBE試験で1次治療におけるアテゾリズマブ追加による予後を検証 AtezoTRIBE試験はGONOによる無作為化非盲検第II相試験で、mCRCの1次治療における第1選択であるFOLFOXIRI+BEVに、抗PD-L1抗体のアテゾリズマブを併用することにより、高頻度マイクロサテライト不安定性(MSI-H)/DNAミスマッチ修復欠損(dMMR)の有無にかかわらず患者の予後を改善できるかを検証したもの。  免疫チェックポイント阻害薬(ICI)は、DNAミスマッチ修復欠損のない(pMMR)mCRCには有効性が認められていないが、化学療法+BEVを併用することでICIに対する感受性が高まる可能性が示唆されていた。・対象:18~75歳で未治療の切除不能mCRC患者(18~70歳:PS≦2、71~75歳:PS 0)・試験群:FOLFOXIRI+BEV+アテゾリズマブ(最大8サイクル)→維持療法5FU/LV+BEV+アテゾリズマブ・対照群:FOLFOXIRI+BEV(最大8サイクル)→維持療法5FU/LV+BEV・評価項目:[主要評価項目]PFS[副次評価項目]安全性、奏効率(ORR)、全生存期間 AtezoTRIBE試験の主な結果は以下のとおり。・2018年11月~2020年2月に、イタリアの22施設で218例が組み入れられた(対照群73例/アテゾリズマブ群145例)。・Grade3/4の有害事象の発現率に両群で差はなかった。免疫関連有害事象の発現率は対照群/アテゾリズマブ群で全Gradeが12%/27%、Grade3/4が1%/3%であった。・観察期間中央値19.9ヵ月におけるPFS中央値はアテゾリズマブ群13.1ヵ月、対照群11.5ヵ月であり、主要評価項目を達成した(HR:0.69、80%CI:0.56~0.85、p=0.012)。・ORRは、アテゾリズマブ群59%、対照群64%で両群に差はなかった(オッズ比[OR]:0.78、80%CI:0.54~1.15、p=0.412)。・PFSのサブグループ解析では、概してアテゾリズマブ群が良好であった。・dMMRサブグループのPFS中央値は、アテゾリズマブ群で未到達、対照群では6.6ヵ月、とアテゾリズマ群で有意に延長した(HR:0.11、80%CI:0.14~0.35、p=0.002)。・pMMRサブグループでも、アテゾリズマブ群でPFSの有意な延長が認められた(12.9ヵ月対11.4ヵ月、HR:0.78、80%CI:0.62~0.97、p=0.071、有意水準p=0.10)。 Cremolini氏はAtezoTRIBE試験を、「mCRCの1次治療として、FOLFOXIRI+BEVにアテゾリズマブを追加することでPFSが有意に延長し、主要評価項目が達成された。dMMRだけではなく、pMMR患者でもアテゾリズマブの追加による有意なベネフィットが得られた」とまとめた。(2021年10月14日 記事を修正いたしました)

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スルペラゾンに使用上の注意改訂指示、アレルギー反応に伴う急性冠症候群を追記

 セフォペラゾンナトリウム・スルバクタムナトリウム(商品名:スルペラゾンなど)の使用上の注意について、「重要な基本的注意」の項のショック、アナフィラキシーに関する注意喚起に「アレルギー反応に伴う急性冠症候群」を、また「重大な副作用」の「ショック、アナフィラキシー(呼吸困難等)」の項に「アレルギー反応に伴う急性冠症候群」を追記するよう、厚生労働省より2021年10月12日付けで改訂指示が発出された。 今回の改訂指示は、国内症例が集積したことから、専門委員の意見も踏まえて改訂することが適切と判断されたことによる。直近3年度に国内で集積された症例は、アレルギー反応に伴う急性冠症候群関連症例が2例で、どちらも医薬品と事象との因果関係が否定できなかった。また、転帰死亡症例は1例で因果関係が否定できなかった。 添付文書(新記載要領)における改訂(下線が変更箇所)は以下のとおり。8. 重要な基本的注意本剤によるショック、アナフィラキシー、アレルギー反応に伴う急性冠症候群の発生を確実に予知できる方法がないので、次の措置をとること。11. 副作用11.1 重大な副作用ショック、アナフィラキシー(呼吸困難等)、アレルギー反応に伴う急性冠症候群

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院内心停止、バソプレシン+メチルプレドニゾロンは有益か/JAMA

 院内心停止患者において、バソプレシン+メチルプレドニゾロン投与はプラセボ投与と比較して自己心拍再開を有意に増大することが示された。しかしながら、本投与が長期生存にとって、有益なのか有害なのかは確認できなかったという。デンマーク・オーフス大学のLars W. Andersen氏らが、512例を対象に行った無作為化試験の結果を報告した。先行研究で、院内心停止へのバソプレシン+メチルプレドニゾロン投与は、アウトカムを改善する可能性が示唆されていた。JAMA誌オンライン版2021年9月29日号掲載の報告。 エピネフリン投与後に、最大4回まで投与 研究グループは、デンマークの10病院で、2018年10月15日~2021年1月21日に院内心停止が認められた成人患者512例を対象に、プラセボ対照無作為化二重盲検試験を行った。 被験者を2群に分け、エピネフリン初回投与後に、初回投与として一方にはバソプレシン(20 IU)+メチルプレドニゾロン(40mg)を(245例)、もう一方にはプラセボを(267例)を投与した。その後、エピネフリン追加投与後に、バソプレシン+メチルプレドニゾロンまたはプラセボを、それぞれ最大4回まで投与した。追跡期間(90日間)の最終追跡日は2021年4月21日だった。 主要アウトカムは、自己心拍再開。副次アウトカムは、30日時点の生存および良好な神経学的アウトカム(脳機能カテゴリースコア1または2)などとした。自己心拍再開、バソプレシン+メチルプレドニゾロン群42%、プラセボ群33% 無作為化を受けた512例のうち、適格条件を満たした501例を対象に解析した。平均年齢は71歳(SD 13)、男性の割合は64%だった。 自己心拍再開が認められたのは、バソプレシン+メチルプレドニゾロン群100例(42%)、プラセボ群が86例(33%)だった(リスク比[RR]:1.30[95%信頼区間[CI]:1.03~1.63]、リスク差:9.6%[95%CI:1.1~18.0]、p=0.03)。 30日時点の生存は、バソプレシン+メチルプレドニゾロン群23例(9.7%)、プラセボ群31例(12%)だった(RR:0.83[95%CI:0.50~1.37]、リスク差:-2.0%[95%CI:-7.5~3.5]、p=0.48)。 30日時点の良好な神経学的アウトカムの達成例は、それぞれ18例(7.6%)、20例(7.6%)だった(RR:1.00[95%CI:0.55~1.83]、リスク差:0.0%[95%CI:-4.7~4.9]、p>0.99)。 自己心拍再開患者において、高血糖症の発症がバソプレシン+メチルプレドニゾロン群77例(77%)、プラセボ群63例(73%)で認められ、また高ナトリウム血症がそれぞれ28例(28%)、27例(31%)報告された。

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ファイザー製ワクチン、デルタ株への有効率の経時変化/Lancet

 新型コロナウイルス感染症(COVID-19)ワクチンBNT162b2(トジナメラン、Pfizer-BioNTech製)の、SARS-CoV-2デルタ変異株感染の入院に対する有効性は高く、完全投与後6ヵ月までの全年齢の有効性は93%だった。また、SARS-CoV-2感染への有効性については、時間とともに低下することが示され、デルタ変異株に対しては完全接種後1ヵ月は93%だったが、4ヵ月後は53%に低下していた。米国・カイザーパーマネンテ南カリフォルニアのSara Y. Tartof氏らが、343万例超を対象に行った後ろ向きコホート試験の結果で、感染への有効性が時間とともに低下することについて著者は、「デルタ変異株がワクチン保護効果を逃れるというよりは、おそらく時間とともに免疫力が低下したことが主な要因だろう」と述べている。Lancet誌オンライン版2021年10月4日号掲載の報告。12歳以上を対象に接種後6ヵ月までの予防効果を検証 研究グループは、カイザーパーマネンテ南カリフォルニアに、加入後1年以上経過した12歳以上の加入者を対象に試験を行い、BNT162b2のSARS-CoV-2感染や、COVID-19関連の入院に対する接種後6ヵ月までの予防効果を検証した。 アウトカムは、PCR検査結果によるSARS-CoV-2陽性とCOVID-19関連の入院で、ワクチン有効性は補正後Coxモデルによるハザード比に基づき算出した。感染予防効果は時間とともに低下、デルタ株感染予防効果は4ヵ月後には53%に 2020年12月14日~2021年8月8日に、適格性を評価した加入者492万549例のうち、343万6,957例を対象に試験を行った。被験者の年齢中央値は45歳(IQR:29~61)、女性の割合が52.4%だった。 BNT162b2ワクチン完全接種者の、SARS-CoV-2感染に対するワクチン有効性は73%(95%信頼区間[CI]:72~74)、COVID-19関連の入院に対する有効性は90%(同:89~92)だった。 一方で、SARS-CoV-2感染に対するワクチン有効性は、完全接種後1ヵ月は88%(95%CI:86~89)と高かったが、同5ヵ月後には47%(43~51)に低下した。SARS-CoV-2デルタ変異株への感染予防効果についても、完全接種後1ヵ月は93%(85~97)と高かったものの、4ヵ月後は53%(同:39~65)に低下した。 SARS-CoV-2非デルタ変異株に対する感染予防効果についても、完全接種後1ヵ月は97%(95%CI:95~99)と高かったのに対し、4~5ヵ月後には67%(45~80)に低下した。 BNT162b2ワクチン完全投与後6ヵ月までの、デルタ変異株によるCOVID-19関連の入院に対する予防効果は、全年齢で93%(95%CI:84~96)と高率だった。

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「クラビット」の名称の由来は?【薬剤の意外な名称由来】第73回

第73回 「クラビット」の名称の由来は?販売名クラビット®錠250mgクラビット®錠500mgクラビット®細粒10%※クラビット錠剤/細粒と点滴静注(バッグ)はインタビューフォームが異なるため、今回は情報を割愛しています。ご了承ください。一般名(和名[命名法])レボフロキサシン水和物(JAN)効能又は効果〈適応菌種〉本剤に感性のブドウ球菌属、レンサ球菌属、肺炎球菌、腸球菌属、淋菌、モラクセラ(ブランハメラ)・カタラーリス、炭疽菌、結核菌、大腸菌、赤痢菌、サルモネラ属、チフス菌、パラチフス菌、シトロバクター属、クレブシエラ属、エンテロバクター属、セラチア属、プロテウス属、モルガネラ・モルガニー、プロビデンシア属、ペスト菌、コレラ菌、インフルエンザ菌、緑膿菌、アシネトバクター属、レジオネラ属、ブルセラ属、野兎病菌、カンピロバクター属、ペプトストレプトコッカス属、アクネ菌、Q熱リケッチア(コクシエラ・ブルネティ)、トラコーマクラミジア(クラミジア・トラコマティス)、肺炎クラミジア(クラミジア・ニューモニエ)、肺炎マイコプラズマ(マイコプラズマ・ニューモニエ)〈適応症〉表在性皮膚感染症、深在性皮膚感染症、リンパ管・リンパ節炎、慢性膿皮症、ざ瘡(化膿性炎症を伴うもの)、外傷・熱傷及び手術創等の二次感染、乳腺炎、肛門周囲膿瘍、咽頭・喉頭炎、扁桃炎(扁桃周囲炎、扁桃周囲膿瘍を含む)、急性気管支炎、肺炎、慢性呼吸器病変の二次感染、膀胱炎、腎盂腎炎、前立腺炎(急性症、慢性症)、 精巣上体炎(副睾丸炎)、尿道炎、子宮頸管炎、胆嚢炎、胆管炎、感染性腸炎、腸チフス、パラチフス、コレラ、バルトリン腺炎、子宮内感染、子宮付属器炎、涙嚢炎、麦粒腫、瞼板腺炎、外耳炎、中耳炎、副鼻腔炎、化膿性唾液腺炎、歯周組織炎、歯冠周囲炎、顎炎、炭疽、ブルセラ症、ペスト、野兎病、肺結核及びその他の結核症、Q熱用法及び用量通常、成人にはレボフロキサシンとして1回500mgを1日1回経口投与する。なお、疾患・症状に応じて適宜減量する。 肺結核及びその他の結核症については、原則として他の抗結核薬と併用すること。腸チフス、パラチフスについては、レボフロキサシンとして1回500mgを1日1回14日間経口投与する。警告内容とその理由該当しない禁忌内容とその理由(原則禁忌を含む)禁忌(次の患者には投与しないこと)1.本剤の成分又はオフロキサシンに対し過敏症の既往歴のある患者2.妊婦又は妊娠している可能性のある婦人3.小児等ただし、妊婦又は妊娠している可能性のある婦人及び小児等に対しては、炭疽等の重篤な疾患に限り、治療上の有益性を考慮して投与すること。※本内容は2021年10月13日時点で公開されているインタビューフォームを基に作成しています。※副作用などの最新の情報については、インタビューフォームまたは添付文書をご確認ください。1)2019年11月改訂(第16版)医薬品インタビューフォーム「クラビット®錠250mg/500mg、クラビット®細粒10%」2)第一三共MedicaL Library:製品一覧

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最初は誰でもオペレコ初心者!基礎トレから始めよう【誰も教えてくれない手術記録 】第7回

第7回 最初は誰でもオペレコ初心者!基礎トレから始めようこんにちは! 手術を描く外科医おぺなかです。連載が始まって半年が経ちました。このコラムが皆さんのオペレコへのモチベーションアップに少しでも役立てていればうれしい限りです。僕のイラストをこの連載やSNSで見てくださった方から、「今までイラストレーションや美術を学んだ経験があるんですか?」と聞かれることがあります。しかし僕はまったくの未経験者で、もともとイラストが得意だったわけでもありません。初期研修医時代は、上級医にオペレコを描けと言われ、一晩苦しみ抜いて描き上げてもダメ出しばかりでした。そこから何年もかけて繰り返し描き続けたことで、今のスタイルがようやく確立した形です(それでもまだまだ自分のイラストに満足できていないところはたくさんありますが…)。読者の皆さんの中には、僕と同じようにダメ出しされてばかりで苦労している方もおられるのではないかと思います。少しでもそんな方々の参考になるよう、今回は、オペレコを描き始めた頃の僕が上手くなりたくてやっていた基礎トレーニングを3つ紹介しようと思います。オペレコ初心者の皆さんの上達のきっかけになればうれしいです。基礎トレ1.オペレコや手術書をトレースする最初は、上司のオペレコや手術書のイラストに薄い紙を重ねて線をトレース(なぞり描き)する練習をしていました。上手なイラストは共通してブレが少ないスッキリとした線で描かれています。繰り返しトレースすることで、キレイな線の引き方が体得できるはずです。僕は当時トレーシングペーパーを使って練習していましたが、今どきの皆さんはデジタルイラストレーションの環境を活用してみてはどうでしょうか。画面に参考イラストを取り込んで透明度を調整し、レイヤーを重ねて上から線画をなぞり描くことで、より手軽にトレース練習ができますね。図:アプリに参考イラストを取り込み、レイヤーを重ねてトレース基礎トレ2.オペレコや手術書を模写するトレースで線を引くことに慣れてきたら、次は参考にしたい手術・臓器イラストを見ながら、白紙にボールペンで模写してみましょう。イラストを熱心に観察して、一つひとつの線を丁寧に写し取ることで、臓器の構造、バランス、位置関係、癒着・炎症・浸潤の表現など、イラストの描き方のポイントが体得できると思います。こちらも、画面を使えばデジタル環境でもできますね(どちらか一方が紙でも可)。すべてを事細かに描く必要はありません。その絵から学び取りたい部分を重点的に練習しましょう。最終的には参考イラストと同じ内容をスラスラ描けるくらいになると最高ですね。図:2画面を活用して模写の練習基礎トレ3.優れたオペレコの内容や魅せ方を真似する上級医にいきなりオペレコを描くことを要求されても、初めは何をどのように描けばよいのか悩みますよね。そんなときは、上級医のオペレコから描くべき内容を参考にしてしまいましょう。熟練の外科医のオペレコには、手術記録として必要な情報が効率よく盛り込まれています。また、優れたオペレコはイラストの魅せ方も参考になります。影やハイライトで立体感・質感を表現する、術者の手や手術器具を描きイラストに臨場感を持たせる、BeforeとAfterの両方を示して手術の流れや切除範囲を示す、断面図や透過を利用して臓器や膜の位置関係を示すなど、さまざまなテクニックを見て盗んで、自身のオペレコに取り入れてみましょう。参考:Before⇔Afterを示したイラスト参考:断面図を用いて臓器の位置関係を正確に表現オペレコの基礎トレーニング1.トレースする2.模写する3.優れたオペレコを真似する今回紹介した3つの基礎トレはそれぞれ、イラスト上達のための1つの方法です。かならずしも一からやり始める必要はなく、線をきれいに引くことが苦手な人はトレースから、線画は描けるけど臓器や解剖構造がうまく表現できない人は模写から、臓器は描けてもオペレコとしての完成度に満足できない人は参考資料を真似することからなど、イラストへの習熟度に応じて取り組む内容を変えてもいいと思います。絵が苦手だからとイラストの上達を諦めるのではなく、とにかく手を動かし始めることが大切です!当然のことですが、満点のオペレコを始めから描ける人はいません。繰り返し描き続けることで少しずつ画力が上がり、さらに繰り返し手術を経験して解剖や術式の理解を深めていくことで、ようやく思い通りのオペレコが描けるようになります。僕も、それなりに描けるようになった今でさえ、オペレコを描くときは参考資料をかき集めて、調べながら自身のオペレコを作成しています。今回はオペレコ初心者に向けた内容をお届けしました。次回は実際に僕が行っているオペレコ作成のルーティンをいくつか紹介します。外科医の働き方に即した実践的な内容になる予定です。お楽しみに!

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キッズ・オールライト(その3)【じゃあどう法整備する?「精子ドナーファーザー」という生き方とは?(生殖補助医療法)】Part 1

今回のキーワードアクセプタンス&コミットメント・セラピー(ACT)生殖カウンセリングテリング(真実告知)特別養子縁組精子ドナーが生物学的な子どもを知る権利選択的シングルマザー前回(その2)では、映画「キッズ・オールライト」を通して、精子提供によって生まれた子どもにその事実やそのドナーを知る権利(出自を知る権利)がなかなか認められない原因を突き止め、生殖ビジネスの、ある「不都合な真実」を明らかにしました。さらに、出自を知る権利が認められたら顕在化する法的な問題も考えました。今回(その3)では、それらを踏まえて、その子どもは、そして国はどうすればいいのかを考えます。そこからさらに、「精子ドナーファーザー」という生き方について考えてみましょう。精子提供によって生まれた子どもはどうすればいいの?まず、「不都合な真実」を踏まえて、精子提供によって生まれた子どもはどうすればいいのでしょうか? ここから、その取り組みを大きく3つ挙げてみましょう。(1)仲間を作る-自助グループ1つ目の取り組みは、仲間を作る、つまり自助グループです。自分と同じ境遇の人とつながることで、心理的なサポートが得られます。実際に、日本でも精子バンクから生まれた当事者の団体があります。海外では、このような自助グループを介してドナー兄弟(同じ精子ドナーから生まれた兄弟姉妹)が見つかるケースもあります。(2)社会に発信する-コミットメント2つ目の取り組みは、社会に発信する、つまりコミットメントです。自分たちの苦しみや葛藤を世の中に伝えていくことで、出自を知る権利の保障を主張し続けることです。そして、より良い世の中にしたいという使命感を持つことです。そうすることで、自分のことをどこまで知るかは、自分が決めること、親によって隠されるべきではないという考え方が浸透していくでしょう。(3)それでも幸せになれることに気づく-アクセプタンス3つ目の取り組みは、それでも幸せになれることに気づく、つまりアクセプタンスです。確かに、親が精子提供の事実をきちんと教えてくれて、自分の生みの父親(精子ドナー)が分かり、彼が自分を受け止めてくれれば、すばらしいです。しかし、そうでなかったとしても、不幸だと決め付けることはないです。その1でも触れた責任転嫁(認知的不協和)に陥ることもないです。それでも、辛さは辛さとして受け止めつつ、人生を前に進めていくことができることに気づけます。自分自身の生殖の物語を作ることができます。私たちは、苦しいことがあった時、その苦しさの存在自体に苦しく思う、つまり苦しみに苦しむという新たな「苦しみ」を生み出している場合があります。苦しみは苦しみとして気づき、人生の責任転嫁に気づくことで、自分の気持ちに距離を置いて、さらに「苦しみ」を生み出さないというアクセプタンスをすることができます。そのためにも、コミットメントに目を向けることができます。なお、コミットメントとアクセプタンスの詳細については、関連記事1をご覧ください。次のページへ >>

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キッズ・オールライト(その3)【じゃあどう法整備する?「精子ドナーファーザー」という生き方とは?(生殖補助医療法)】Part 2

国はどうすればいいの?「不都合な真実」を踏まえて、精子提供によって生まれた子どもの取り組みを考えました。それでは、国はどうすればいいのでしょうか?ここから、出自を知る権利を保障するために、さらに必要な生殖補助医療法への具体的な法整備を大きく3つ挙げてみましょう。(1)精子を提供される親に生殖カウンセリングを義務付ける1つ目の法整備は、精子を提供される親に生殖カウンセリングを義務付けることです。この目的は、真実告知についての親の理解を得ることです。具体的には、生殖心理カウンセラーによる2段階のカウンセリングが望ましいです。1段階目は、精子提供を受ける前に、精子提供によって生まれた子どもの心理と精子を提供された親の心理を一緒に説明します。そして、最終的な判断は親に委ねるものの、真実告知を推奨することです。2段階目は、精子提供によって妊娠が判明した後に、真実告知のタイミングややり方の情報提供をすることです。たとえば、そのタイミングは、親子の情(愛着)と理解力(知能)が育まれる最中の幼児期よりも後で、親への反抗が始まる思春期よりも前、つまり小学校低学年の学童期が望ましいでしょう。もちろん、もともと父親がいない場合は、幼児期に子どもから質問されるでしょう。その時は、子どもが理解できる言葉で安心感を優先して、ある程度伝える必要があります。また、そのやり方は、最近ではテリングという、より軟らかいニュアンスで、本などで紹介されています。こうして、心の準備が促されます。オプションの3段階目として、実際にテリング(真実告知)をする前に、カウンセリングの中で指導を受けることもできます。この取り組みは、生殖が多様化したことで求められる新たな倫理観を学ぶことであり、生殖への拡大した権利に伴う新たな義務とも言えます。大事なことは、分からなくて不安だから隠すのではなく、オープンにできるように情報提供や心理的サポートの体制を作ることです。積極的に真実を伝えてこそ、親子の本当の信頼関係が得られます。精子提供の事実を伝えたからと言って、信頼関係が揺らぐことはまずないです。実際に、精子提供によって生まれた子どもへのアンケート調査では、真実を教えてくれないほうが良かったという子どもはほとんどいないことが分かっています。なお、子どもにとっての親子の信頼関係の詳細については、関連記事2をご覧ください。なお、この取り組みは、出生前診断における遺伝カウンセリングに似ています。(2)精子提供の事実を戸籍に記載する2つ目の法整備は、精子提供の事実を戸籍に記載することです。この目的は、出自を知る権利を確実に保障することです。いくら真実告知の必要性について親に心理教育をしたとしても、親が実行しない可能性もあります。しかし、戸籍に記載されていれば、いずればれることが明らかであるため、親による告知は必然的に促されるでしょう。また、この法整備は、法的な親子関係を明確にして、精子ドナーが法的な親になれないよう規制することでもあります。この目的は、先ほど指摘しました認知請求のトラブルの懸念を払拭することで、精子提供の法的な安全性がより社会に認知され、より多くの精子ドナーを確保することです。実際に、この映画の舞台となっているアメリカでは、統一親子関係法によって、この規制がすでにあります。なお、特別養子縁組では、これが成立した時点で、子どもと生みの父母との法的な親子関係は終了し、その審判が戸籍に記載されます。(3)精子ドナーが生物学的な子どもを知る権利を認める3つ目の法整備は、精子ドナーが生物学的な子どもを知る権利を認めることです。これは、子どもが成人したら、子どももドナーもお互いに知ることができるシステムです。この目的は、出自を知る権利をより確実に保障することです。親が真実告知をしないと子どもがわざわざ戸籍を見ない可能性もあります。この規定があることで、子どもが成人した時点で、精子バンクを通して、精子ドナーから子どもに連絡が来る可能性があるため、親はその前に真実告知をすることが必然的に迫られます。告知を法的に強制しないとしたら、最後に親のウソがばれるというこのシステムは、とても理に適っていると言えるでしょう。もちろん、ドナーはこの権利を行使しない可能性もあります。それは、ドナーの自由です。ただ、やはり子どもの出自を知る権利を最優先に考えた場合、ドナーから連絡することも推奨されるべきでしょう。実際に、オーストラリアのヴィクトリア州では、精子提供で生まれた子どもは、その事実が出生登録に記載される上に、ドナーも成人した子どもの同意のもと、子どもの個人情報を得ることができます。この取り組みは、出自を知る権利の保障において、最も先進的であると世界的に注目されています。また、このもう1つの目的は、近親婚を防ぐことです。精子提供で生まれた子ども全員の精子ドナーが特定されていれば、ドナー兄弟が確実に判明します。それは、裏を返せば、近親婚を防ぐことになります。さらに、ほかの目的として、新たなドナー確保につながる可能性があります。匿名希望のドナーは、多くが若い学生でした。やはり「楽して儲かる」という金銭目的や献血レベルの気軽さが見透かされます。一方、非匿名のドナー(オープンドナー)は、ある程度の年齢を経た社会人であることが分かっています。もちろん相応の報酬は必要ですが、その後に生物学的な子どもへのフォローの意識が高いでしょう。ドナーの知る権利として、自分の精子がどう使われ、実際に生物学的な子どもが生まれたかどうか、何人生まれたかを知ることができるシステムにしたら、心の準備ができるため、新たな自覚や目的意識を持ったドナーが集まっていく可能性があります。<< 前のページへ | 次のページへ >>

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キッズ・オールライト(その3)【じゃあどう法整備する?「精子ドナーファーザー」という生き方とは?(生殖補助医療法)】Part 3

「精子ドナーファーザー」という生き方とは?ポールは、ジュールスたちと一緒になるため、恋人として良い関係を築いていたタニアにあっさり別れを告げます。しかし、突然すぎたため、怒った彼女から暴言を吐かれます。その後に、謝罪を口実に、彼は不倫相手のジュールスがいる4人の家に押しかけていきます。しかし、出迎えたジョニから「良い人だと思ってたのに」とがっかりして告げられます。そして、ニックに「あなたは侵入者よ。家族を作りたいなら自分で作って」と言われ、追い返されるのです。このポールの一連の行動から、実は彼の自由気ままさは、彼の無責任さであることに気づかされます。彼は、独身生活が長い分、裏を返せば結婚生活や家庭生活を送ってこなかった分、相手の気持ちに思いを馳せたり、相手とつながるほかの人に配慮したり、時に子どもに厳しい指摘をする責任感が乏しいのでした。これは、最後に、ジュールスがニックたちの前で「結婚生活は、終わりのないマラソンよ。でも私は努力したい(責任を持ちたい)」と説く謝罪の演説とは対照的です。映画の途中までは、ポールが良い人キャラで、ニックとジュールスが悪役のように描かれていました。しかし、最後の最後で、ポールの薄っぺらさが露呈し、一方でニックとジュールスはお互いに欠点がありながらも一生懸命に支え合って生きていこうとしていることに気づかされます。人間関係における責任感という物差しによって、善悪が逆転してしまうのです。ポールのように、もともと結婚生活や家庭生活に向いていない男性はいます。また、結婚生活や家庭生活を望まない男性もいます。そして増えています。いわゆる非婚の心理です。その詳細については、関連記事3をご覧ください。ただし、結婚したくないし子育てもしたくないけれど自分の子どもだけは欲しいという男性はいます。つまり、自分の遺伝子を残したいという思いです。これは、その1でもご紹介した生殖心理です。そんな男性は、優秀な精子を持っていれば、精子ドナーとして打って付けでしょう。そして、先ほどにも触れましたが、だからこそ、そんな男性がドナーとして生物学的な子どもを知る権利を得ることができれば、ドナーが増えていく可能性があります。非婚の男性が増えていることから、ドナーの知る権利を認めることは、ドナー確保のウルトラCの解決策になる可能性があります。彼らは、結婚しないで子育てもしないけれど自分の子どもを持つ生き方をすることになります。名付けるなら「精子ドナーファーザ」です。一方で、結婚したくないけれど子育てはしたいという女性がいます。実際に、結婚しないことを最初から自ら選んで子どもを持つ女性は、選択的シングルマザーと呼ばれ、海外では増えています。精子バンクを利用する選択的シングルマザーと、精子バンクに精子を提供する「精子ドナーファーザー」は、実はそれぞれのニーズがきれいに一致します。これは、男女の協力関係においての社会構造が「しなければならないかどうか」から「したいかどうか」へシフトしつつあるからとも言えます。なお、選択的シングルマザーの心理の詳細については、関連記事4をご覧ください。「キッズ・オールライト」とは?不倫騒動からしばらく経っても、ニックとジュールスは、ぎすぎすしていました。ラストシーンで、とうとうジョニが大学の寮に引っ越したあと、その帰り道の車の中で、レイザーはニックとジュールスに、ぼそっと「別れちゃだめだよ。だって、二人とも年取りすぎてるから」と言うのです。あまりにも率直な意見で、見ている私たちも、ついクスっと笑ってしまいます。空気が一変して、ニックとジュールスは久々に手をつなぐのでした。この映画のタイトルは「キッズ・オールライト」でした。精子提供で生まれた子どもたちでしたが、それでも「子どもたちは大丈夫」という意味でしょう。同時に、それはそんな子どもたちによって「ペアレンツ・オールライト(親たちは大丈夫)」になることであるとも言えるでしょう。この映画を通して、私たちも「キッズ・オールライト」と言えることを一番に考えた時、より良い生殖補助医療法を、そしてより良い社会を作ることができるのではないでしょうか?1)生殖医療はヒトを幸せにするのか:小林亜津子、光文社新書、20142)精子提供:歌代幸子、新潮社、20123)ルポ生殖ビジネス:日比野由利、朝日新聞出版、20154)生殖医療の衝撃:石原理、講談社現代新書、20165)生殖補助医療で生まれた子どもの出自を知る権利:才村眞理:福村出版、20086)「子どもの出自を知る権利」について 生殖補助医療法と法:小泉良幸、J-STAGE、20107)「精子売買はグレーマーケットだった」“不妊治療大国”で元証券会社社員が精子バンク日本語窓口を立ち上げたワケ:こみねあつこ、文春オンライン、20218)生殖補助医療の提供等及びこれにより出生した子の親子関係に関する民法の特例に関する法律の成立について:法務省<< 前のページへ■関連記事テネット【なんで時間を考えるのが癒しになるの?(アクセプタンス&コミットメント・セラピー[ACT])】そして父になる(その1)【もしも自分の子じゃなかったら!?(親子観)】私 結婚できないんじゃなくて、しないんです【コミュニケーション能力】カレには言えない私のケイカク【結婚をすっ飛ばして子どもが欲しい!?そのメリットとリスクは?(生殖戦略)】

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第79回 茨城・偽造医師免許事件で思い出した、鶴瓶主演の医療映画の佳作

老健施設の施設長になるため偽造医師免許を使用こんにちは。医療ジャーナリストの萬田 桃です。医師や医療機関に起こった、あるいは医師や医療機関が起こした事件や、医療現場のフシギな出来事などについて、あれやこれや書いていきたいと思います。この週末は用事があって、江東区・森下と世田谷区・三軒茶屋に出かけました。東京の東と西、どちらも飲み屋が多い街です。のぞいてみると、先週末と同じく、どちらの街の飲み屋も夕方から満員です。緊急事態宣言下、人々に胸の奥に溜まっていた“飲み”への渇望が、爆発したような感じです。この勢いで皆飲み狂い、仮に第6波が来ないとしたら、それはそれでコロナ収束の原因を再考しなければならないな、と思いました(まあ、来るとは思いますが)。ということで、今回はコロナからちょっと離れて、夏から気になっていたある事件を取り上げます。9月に入ってその背景が詳しく報道されたこの事件は、ある医療映画の佳作を思い出させるものでした。今年6月28日、愛知県警は、茨城県水戸市に住む70歳の女性を偽造有印公文書行使の疑いで逮捕しましました。中日新聞などの報道によれば、逮捕された女性は、茨城県笠間市の老人保健施設「オリーブ友部館」で施設長として働くため、管理者の条件である医師免許を保持していないにもかかわらず、偽造された医師免許の写しを同県の長寿福祉推進課に郵送で提出して使用したとのことです。さらに翌29日、愛知県警はこの女性が使った医師免許を偽造した疑いで、中国籍で大阪市中央区在住の30代男性を再逮捕しています。同県警は今年2月、大阪市中央区道頓堀にあった在留カードなどの「偽造工場」とみられる雑居ビルを家宅捜索、中国籍の男性はこの捜索をきっかけに逮捕されています。運転免許証や健康保険証などの偽造を依頼した顧客データの中にこの女性も含まれていたことから、今回の医師免許偽造が発覚したとのことです。なお、女性は医師免許を取得したことはなく、医学部入学の経験もないとのことです。ワクチン接種の際の医療行為で再逮捕この老健施設を経営者する医療法人 鳳香会側は、この女性が偽造医師免許を使用していたとは知らなかったとみられます。女性は老健施設の施設長、すなわち医師として働いていたわけですから、当然、簡単な医療行為も行っていたに違いありません。案の定、7月26日、愛知県警はこの女性を、医師免許がないのに新型コロナウイルスのワクチン接種の問診などを行ったとして、医師法違反の疑いで再逮捕しました。中日新聞等の報道によれば、再逮捕容疑では、5月26日~6月23日までの間、老健施設の施設長として、高齢の入所者83人に対して計108回にわたり、新型コロナウイルスのワクチン接種前の問診や接種の可否判断などをしていたとされます。女性は問診後、施設の看護師に接種を指示していたそうです。入所者83人が接種を受けましたが、健康被害は確認されていません。この女性が施設長として勤めていた間の老健施設での医療行為については、医師法違反の罪は問われていません。何も医療行為を行わなかったのか、あるいは軽微な医療行為のため罪は問わなかったのかは不明ですが、ニセ医者が施設長をしていた間、入所者の健康状態は大丈夫だったのか、心配になります。なお、元介護施設長の女性はその後、有印公文書偽造・同行使罪で起訴されています。精巧なつくりが評判となり日本人も上客になかなか興味深く、謎が多い事件です。9月に入ると続報が出て、事件の背景がわかってきました。9月18日、日本経済新聞(東京版)の夕刊に、「大阪で摘発『偽造工場』、精巧さ売り医師免許も」というタイトルの記事が掲載されました。今回のニセ医者事件で表沙汰になった大阪の偽造工場の実態に迫った記事です。記事によれば、逮捕された中国人の偽造工場は、「偽の在留カードを求める不法滞在の外国人が主な対象だったが、精巧なつくりが売りとなり、日本人も上客に」なっていたとのことです。笠間市の老人保健施設は新しい施設長を探しており、「医師免許を持ちながら、フリーの立場で働いている」と聞いていた女性に就任を依頼。この時、医師免許を持っていないこの女性が頼ったのが、大阪市内で偽造工場を営んでいた中国籍の男性だったとのことです。茨城在住の女性がどういうルートで大阪の偽造工場を知ったのかは不明です。記事には、愛知県警は「ベトナム人が手にしていた偽の在留カードの入手経路を捜査する中で、この拠点を突き止めた」と書かれています。この時の摘発で、「医師免許や約20ヵ国の外国人の在留カードに加え、英語検定試験TOEICの成績証明書の偽造品やその元データも押収」しています。依頼は「ブローカーを通じて受注し、専用の印刷機で作製」しており、偽造品はどれも目視では偽物だと分からないレベルだったそうです。どうやら、この業者には多くの外国人、日本人がさまざまな文書の偽造を依頼していたようです。世間的にインパクトが大きい医師免許の偽造が明るみに出たため、愛知県警はこのケースをとくにフィーチャーするかたちで、中国人男性と水戸の女性の逮捕に踏み切ったとみられます。愛知県警には偽造工場摘発のプロチーム茨城県に提出された偽造医師免許は様式や書体は本物とほぼ同じでしたが、取得時期が1970年代にもかかわらず、発行者が「厚生大臣」ではなく、今の「厚生労働大臣」となっていたそうです。ただ、このミスに茨城県の担当者は気づきませんでした。この事件を受け、茨城県は医籍番号を厚生労働省のデータで照会し、偽造が疑われる場合は電話で問い合わせるという運用を始めたそうです。なお、愛知県警は来日外国人犯罪の温床となっている不法滞在の取り締りとその支援組織の摘発に15年近く前から積極的で、これまでも外国人登録証明書や旅券、運転免許証等の偽造工場を摘発してきた実績があります。調べてみると、2005年度の『警察白書』の「警察活動の最前線」の項にも同県警による偽造工場摘発の事例が紹介されています。どうやら愛知県警には、この分野を得意とするプロチームが組織されているようです。ニセ医者と言えば『ディア・ドクター』ところで、70歳の女性は、なぜ老人保健施設の施設長になりたいと思ったのでしょうか。施設長の高報酬に目がくらんだのでしょうか。施設長は医師でなければならないので、当然医療行為をしなければなりません。看護師にバレる可能性はとても高いでしょう。ネット上では、「東大医学部卒」と偽っていたとの情報もありました。そのあたりの事件の背景も知りたかったのですが、新聞等では、女性の動機などについては詳しく報道されていません。勝手に想像を巡らす中、私が思い出したのは、2009 年に公開された日本映画『ディア・ドクター』です。西川 美和監督が原作、脚本も手掛けたこの映画は、笑福亭 鶴瓶演じる僻地の診療所院長がニセ医者であることから起こるドタバタを描いています。全編ユーモラスな雰囲気を漂わせながらも、僻地医療、医師不足、終末期医療など、現代のさまざまな医療問題を丁寧に描いています。映画の後半、永山 瑛太演じる若手研修医が鶴瓶のニセ医者に心酔し、「研修が終わったら、診療所に戻ってきたい」と語るシーンは、黒澤 明監督の名作映画『赤ひげ』で青年医師(加山 雄三)が赤ひげ(三船 敏郎)に「小石川療養所に骨を埋める」と決意を述べるシーンへのオマージュとも受け取れます。しかし、『ディア・ドクター』の主人公はニセ医者です。なかなか皮肉が効いていて、医師というプロフェッションのありようについても考えさせられます。もし観ていない方がおられましたら、秋の夜長、2009年のキネマ旬報ベスト・テンで日本映画1位を獲得した『ディア・ドクター』を鑑賞されることをお薦めします。テレビで放映されている昨今の医療ドラマよりも、観る価値はあると思います。ところで、『ディア・ドクター』の脚本の取材で得た材料を基に、西川監督が書き下ろした短編集『きのうの神さま』(ポブラ文庫)も出版されています。ここでは、映画の登場人物たちの過去が語られています。外科医の父にあこがれ、医学部を目指そうとしたニセ医者の屈折した人生を描いた短編『ディア・ドクター』が出色の出来で、こちらもお薦めです。

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シロリムス、小児の血管奇形に有効か?

 小児の低流速血管奇形(slow-flow vascular malformation)に対しシロリムスは有効なのか。シロリムスは、その有効性のエビデンスが不足しているにもかかわらず、さまざまな血管奇形の治療に用いられるようになっている。フランス・トゥール大学のAnnabel Maruani氏らは、観察フェーズの無作為化試験「PERFORMUS試験」によって、6歳以上の子供にシロリムス療法を開始する際の患児および家族の目標を明確にすることができたと報告した。JAMA Dermatology誌オンライン版2021年9月15日号掲載の報告。シロリムスは小児の複合奇形で疼痛、ウージング、出血を有意に低減 PERFORMUS試験は、低流速血管奇形児に対するシロリムスの有効性と安全性を評価し、治療の適応症をより明確に描出することを目的とし、多施設非盲検にて行われた。 対象は、低流速血管奇形を有する6~18歳の患児で、2015年9月28日~2018年3月22日にフランスの3次医療センター11施設で59例が集められた。 被験者は、観察期間を経た後、介入期間に切り替えられ、経口シロリムス(血清目標値4~12ng/mL)の投与を受けた。介入期間の切り替え時期は、4ヵ月時から8ヵ月までに無作為に割り付けられた。各患者の全試験期間は12ヵ月間とした。 2019年12月4日~2020年11月10日にintent-to-treatベースで統計解析を実施。主要アウトカムは、単位時間当たり(すなわち、介入期間と観察期間の間)のMRIで検出された血管奇形容量の変化で、副次アウトカムは、主観的評価項目(疼痛、出血、ウージング、QOLなど)および安全性であった。 シロリムスの小児の低流速血管奇形に対する有効性と安全性を評価した主な結果は以下のとおり。・被験者(女児35例[59.3%]、平均年齢11.6[SD 3.8]歳)において、22例(37.3%)がpure静脈奇形、18例(30.5%)が嚢胞性リンパ管腫、19例(32.2%)が複合奇形であった(症候群型を含む)。・MRIで検出された期間と関連する血管奇形容量のばらつきには、全体的に有意差は認められなかった。介入期間と観察期間の差は、すべての血管奇形については平均-0.001(SD 0.007)、静脈奇形は0.001(0.004)、複合奇形は0.001(0.009)であった。・一方でpure静脈奇形について、小児における有意な容量減少が観察された(平均群間差:-0.005[SD 0.005])。・全体に、シロリムスは、とくに複合奇形における疼痛、および、出血、ウージング、自己評価の有効性、QOLにポジティブな影響があった。・シロリムス治療期間中、56例の患者が231件の有害事象を経験した(5件が重篤有害事象、命に関わる有害事象は0件)。最も頻度の高い有害事象は、口腔潰瘍(患者29例[49.2%])であった。・リンパ管腫、ウージング、出血が減少しQOLは向上したというエビデンスから、pure静脈奇形がシロリムス治療の最適症例であることが示唆された。・複合奇形では、シロリムスは疼痛、ウージング、出血を有意に減少させた。・症状に基づいた場合は、その他2つのサブグループよりもpure静脈奇形のほうが、ベネフィットは低いようだった。

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胃腸症状とうつ病との関連~米国健康栄養調査

 最近、多くの調査において、うつ病の病因としてのマイクロバイオームの役割がトピックスとなっている。調査結果によると、腸内細菌叢による一般的な症状である腸内尿毒症が胃腸症状の問題の根底にあり、これがうつ病と関連していることが示唆されている。米国・タフツ大学のSarah J. Eustis氏らは、胃腸症状の徴候が認められる人では、抑うつ症状のオッズ比(OR)が有意に高いかどうかを検証するため、本研究を実施した。Journal of the Academy of Consultation-Liaison Psychiatry誌オンライン版2021年8月27日号の報告。 2005~16年に実施された米国健康栄養調査(3万6,287人)より、成人3万1,191人のデータを分析した。アウトカムには、過去1ヵ月間の粘液性または液性の排便および胃疾患、過去1年間の下痢、1週間当たりの排便回数を含めた。本分析では、マイクロバイオームのサンプルは含まず、自己申告による胃腸症状のみとした。抑うつ症状は、こころとからだの質問票(PHQ-9)を用いて評価した。中等度、中等度~重度、重度のスコアは、肯定的なアウトカムとしてレコード化した。 主な結果は以下のとおり。・中等度~重度の抑うつ症状を有する人は、抑うつ症状のない人と比較し、以下の胃腸症状のORが高かった。 ●腸粘液(OR:2.78、95%CI:1.82~4.24) ●腸液(OR:2.16、95%CI:1.63~2.86) ●胃疾患(OR:1.82、95%CI:1.31~2.53) ●下痢(時々あり対なしのOR:1.72、95%CI:1.30~2.29) ●便秘(時々あり対なしのOR:2.76、95%CI:2.11~3.62)・全体として、胃腸症状を有する人では、抑うつ症状を示す可能性が有意に高かった。 著者らは「複雑な脳腸軸(brain-gut axis)については、分子レベルで調査されている。そのような中で、抑うつ症状と腸内尿毒症の徴候との関連を示唆する本研究結果は、さらなるエビデンスの蓄積に貢献し、医療従事者や患者にとって有益な情報となる可能性がある」としている。

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デュルバルマブの小細胞肺がん1次治療、3年の成績(CASPIAN)/ESMO2021

 進展型小細胞肺がん(ES-SCLC)の1次治療として、デュルバルマブと化学療法(エトポシド+シスプラチン/カルボプラチン、EP)併用はEP単独と比較して、追跡期間中央値3年超の時点でも持続的な全生存期間(OS)の延長が示された。 スペイン・Hospital Universitario 12 de OctubreのLuis Paz-Ares氏が、「CASPIAN試験」の3年フォローアップの結果を欧州臨床腫瘍学会(ESMO Congress 2021)で発表した。CASPIAN試験でデュルバルマブと化学療法併用が進展型小細胞肺がんのOS改善 CASPIAN試験は、進展型小細胞肺がんの1次治療としてデュルバルマブ±tremelimumab+EPとEP単独療法の安全性と有効性を比較した第III相の国際多施設共同無作為化非盲検無作為化試験。追跡期間中央値25.1ヵ月時点で、デュルバルマブ+EP併用群のEP単独群に対する有意なOS改善が示され(HR:0.73、p=0.0047)、2年フォローアップ時でも持続的な改善が確認されていた(HR:0.75、p=0.0032)。デュルバルマブ+tremelimumab+EP併用群は、数値上のOS改善は示されたが統計的な有意性の基準は達成しなかった。・対象:未治療進展型小細胞肺がん(WHO PS0/1、無症候性/治療安定性の脳転移許容、平均余命≧12週、RECIST v1.1測定可能病変)患者805例・試験群:デュルバルマブ(1,500mg)+エトポシド+シスプラチン/カルボプラチン(D+EP群)3週ごと4サイクル、その後病勢進行(PD)までデュルバルマブ4週ごとデュルバルマブ(1,500mg)+tremelimumab(75mg)+エトポシド+シスプラチン/カルボプラチン(D+T+EP群)3週ごと4サイクル、その後PDまでデュルバルマブ4週ごと・対照群:EP単独、3週ごと最大6サイクル、その後オプションで予防的全脳照射・評価項目[主要評価項目]OS[副次評価項目]無増悪生存期間(PFS)、奏効率(ORR)、安全性・忍容性、患者報告アウトカム(PRO) 進展型小細胞肺がんの1次治療としてデュルバルマブと化学療法併用とEP単独療法の安全性と有効性を比較したCASPIAN試験の主な結果は以下のとおり。・3年OSを評価したデータカットオフ時点(2021年3月21日、追跡期間中央値39.4ヵ月)で、D+EP群のEP群に対するOS改善は持続していることが示された(HR:0.71、95%信頼区間[CI]:0.60~0.86、nominal p=0.0003)。・OS中央値は、D+EP群12.9ヵ月(95%CI:11.3~14.7)、EP群10.5ヵ月(9.3~11.2)であり、36ヵ月時点で生存していた患者はそれぞれ17.6%、5.8%であった。・年齢、性別、PSなどのサブグループ解析では、D+EP群のすべての患者にベネフィットがあることが認められた。・D+T+EP群のOS中央値は10.4ヵ月(95%CI:9.5~12.0)であり、EP群に対する数値上のOS改善は持続していた(HR:0.81、95%CI:0.67~0.97、nominal p=0.0200)。36ヵ月時点で生存していた患者は15.3%であった。・データカット時点でデュルバルマブ投与が継続されていたのは、D+EP群10.2%(投与回数中央値7.0)、D+T+EP群7.1%(6.0)であった。・重篤有害事象(あらゆる原因による)の発現率は、D+EP群32.5%、D+T+EP群47.4%、EP群36.5%であった。死亡に結びついた治療関連有害事象はそれぞれ、2.3%、4.5%、0.8%であった。 Paz-Ares氏は、「これまでに行われたES-SCLC患者を対象としたEP+抗PD(L)-1療法の第III相試験の中で、今回のOS解析の追跡期間中央値は3年超と最長であった。既報のとおり、D+EP群のEP群に対するOS改善は持続しており、安全性プロファイルも忍容されるものであった。3年時点でEP群と比べてD+EP群の生存患者の割合は3倍超高く、多くの患者のEP治療が継続されており、ES-SCLCの1次治療の標準治療としてのD+EPの地位を、さらに確固とする結果であった」とまとめた。

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造血器腫瘍における遺伝子パネル検査、現状と今後の課題は?/日本血液学会

 2019年6月に固形がんに対する遺伝子パネル検査が保険適用となり実臨床で使われるようになっているが、リキッドバイオプシーを使ったパネル検査が登場し、造血器腫瘍においても数年内にパネル検査が保険適応となる見込みだ。2021年9月23~25日にオンライン開催された第83回日本血液学会学術集会では「血液内科におけるゲノム医療の現状と課題」と題するシンポジウムが行われ、現状の課題と今後について情報が共有された。 冒頭、国立がん研究センター研究所の片岡 圭亮氏が「造血器腫瘍におけるパネル検査の活用:診断・予後予測」と題する発表を行った。この中で片岡氏は「固形がんのパネル検査は遺伝子異常を発見して適合する薬を見つける、いわゆるコンパニオン診断が主な目的なのに対し、造血器腫瘍では治療のほか、診断と予後予測にも使われる。現在、固形がんのパネル検査は標準治療後の患者が対象だが、造血器腫瘍では初発段階から使えることが望ましい」と説明した。さらに「造血器腫瘍で多く発生する遺伝子異常は固形がんとは異なるため、新たな専用パネルが必要となる」と述べた。 すでにがんセンターでは、2020年から大塚製薬や他医療機関と合同で国産の造血器腫瘍専用パネルの開発と臨床現場への応用を行う試験的プロジェクトを開始しており、この試験の中間解析からも、造血器腫瘍における遺伝子パネル検査の結果は、治療よりも診断・予後予測に役立つ確率が高く、とくに骨髄系腫瘍においてその傾向が顕著であることが裏付けられたという。 後半は、岡山大学の遠西 大輔氏を座長として、現場でパネル検査を運用する医師も加わり、臨床現場での応用と今後の課題をテーマとしたパネルディスカッションが行われた。現時点での造血器腫瘍におけるパネル検査は保険適用外であり、がん関連3学会が合同で作成する「次世代シークエンサー等を用いた 遺伝子パネル検査に基づくがん診療ガイダンス」でも造血器腫瘍は対象外となっている。日本血液学会が独自に「造血器腫瘍ゲノム検査ガイドライン」を発表・改訂しているが、患者側への説明事項やエキスパートパネルの開催方法などの実務面については今後議論される段階だ。 このような状況下で試験的にパネル検査を行う各医師からは、「エキスパートパネルがないので、検査結果が実際に診療に役立てられているかがわからない」「生殖細胞系列変異が検出された場合、どこまで患者さんに伝えるべきか」といった声が上がった。これに対し、パネル検査が先行している固形がん、とくに遺伝子外来・カウンセリングを重点的に行っている小児がん分野の取り組みから学ぶことが多いのではないか、という意見が出されていた。

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肺炎での不要な抗菌薬、プロカルシトニン+肺超音波の診療現場検査で減らせるか/BMJ

 プライマリケアにおける下気道感染症患者への抗菌薬処方に関して、プロカルシトニンによるpoint-of-care検査は通常治療と比較して、28日の時点で患者の安全性に影響を及ぼさずに抗菌薬処方を26%減少させるが、これに肺超音波によるpoint-of-care検査を加えても、それ以上の処方率の減少は得られないとの研究結果が、スイス・ローザンヌ大学病院のLoic Lhopitallier氏らによって報告された。研究の詳細は、BMJ誌2021年9月21日号に掲載された。3群を比較するスイスの総合診療施設のクラスター無作為化試験 本研究は、プライマリケアの下気道感染症患者における、プロカルシトニンpoint-of-care検査と肺超音波point-of-care検査は安全性を保持しつつ不要な抗菌薬処方を削減できるかの検証を目的とする、スイスの実践的な非盲検クラスター無作為化試験であり、2018年9月に開始されたが、重症急性呼吸器症候群コロナウイルス2(SARS-CoV-2)の感染爆発の影響で、2020年3月10日に早期中止となった(スイス国立科学財団[SNSF]などの助成による)。 本試験には、スイスの60の総合診療施設から、それぞれ1人の総合診療医(肺炎の診断にプロカルシトニンpoint-of-care検査や肺超音波point-of-care検査を使用した経験がない医師)が参加した。総合診療医は、急性咳嗽(≦21日)を呈する年齢18歳以上の患者をスクリーニングし、臨床的肺炎(急性咳嗽のほか、4日以上持続する発熱、呼吸困難、頻呼吸[>22回/分]、異常肺音の聴診のうち1つ以上を呈する)と診断した患者を選出した。 60の総合診療施設は、次の3つの群に20施設ずつ無作為に割り付けられた。(1)プロカルシトニンpoint-of-care検査を行い、濃度上昇(≧0.25μg/L)がみられた場合は、引き続き肺超音波point-of-care検査を行い、肺のコンソリデーションを認めた場合にのみ、抗菌薬の処方を推奨する群(UltraPro群)、(2)プロカルシトニンpoint-of-care検査を行い、濃度上昇(≧0.25μg/L)がみられた場合にのみ、抗菌薬の処方を推奨する群(プロカルシトニン群)、(3)通常治療群。 主要アウトカムは、28日の時点における抗菌薬処方が行われた患者の割合とされた。副次アウトカムは、14日以内における下気道感染症による活動制限の期間などであった。抗菌薬処方率:41% vs.40% vs.70%、活動制限の非劣性は証明できず 各群20人の総合診療医のうち、女性医師はUltraPro群が8人、プロカルシトニン群が8人、通常治療群が9人で、10年以上の臨床経験を持つ医師はそれぞれ8人、11人、10人だった。 解析に含まれた患者は469例(UltraPro群152例、プロカルシトニン群195例、通常治療群122例、intention-to-treat集団)で、このうち435例(93%)が電話によるフォローアップを完了した。全体の年齢中央値は53歳(IQR:38~66)、59%が女性であった。 UltraPro群では、9例(6%)がプロカルシトニン濃度≧0.25μg/Lであり、引き続き肺超音波検査を受けた。6例(67%)で肺浸潤影が確認された。肺超音波検査の所要時間中央値は15分(IQR:15~20)だった。プロカルシトニン群では、19例(10%)がプロカルシトニン濃度≧0.25μg/Lであった。 プロカルシトニン群は通常治療群に比べ、28日までの抗菌薬処方率が低かった(0.4[78/195例]vs.0.7[86/122例]、クラスター補正後群間差:-0.26[95%信頼区間[CI]:-0.41~-0.10]、オッズ比[OR]:0.29[95%CI:0.13~0.65]、p=0.001)。 UltraPro群とプロカルシトニン群には、28日の時点での抗菌薬処方率に差は認められなかった(0.41[62/152例]vs.0.40[78/195例]、クラスター補正後群間差:-0.03[95%CI:-0.17~0.12]、OR:0.89[95%CI:0.43~1.67]、p=0.71)。 14日までの活動制限日数中央値は、プロカルシトニン群が4日、通常治療群は3日であり(群間差:1日[95%CI:-0.23~2.32]、ハザード比[HR]:0.75[95%CI:0.58~0.97])、95%CIの上限値が事前に規定された非劣性マージンを超えたためプロカルシトニン群の通常治療群に対する非劣性は証明されなかった。UltraPro群とプロカルシトニン群にも差はみられなかった(4日vs.4日、群間差:0日[95%CI:-1.48~1.43]、HR:1.01[95%CI:0.80~1.29])。 抗菌薬の処方が減少しても、患者の臨床アウトカムや満足度に影響はなかった。 著者は、「肺超音波point-of-care検査からは、さらなる抗菌薬処方の減少は得られなかったが、CIの範囲が広いことから、肺超音波が新たな価値をもたらす可能性は排除できない」としている。

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KRAS G12C変異大腸がん、adagrasib±セツキシマブ併用療法(KRYSTAL-1)/ESMO2021

 既治療のKRAS G12C変異陽性進行大腸がん(CRC)患者において、KRAS G12C阻害薬adagrasibの単剤療法およびセツキシマブとの併用療法は、忍容性が良好で有効性が期待できることが「KRYSTAL-1試験」で示され、米国・ノースカロライナ大学チャペルヒル校のJared Weiss氏が、欧州臨床腫瘍学会(ESMO Congress 2021)で発表した。 KRYSTAL-1試験は、KRAS G12C変異陽性の進行固形がん患者を対象とするマルチコホート第I/II相試験。 今回は、CRCを対象としたadagrasib単剤療法(第I/Ib相2例、第II相44例、データカットオフ日2021年5月25日、追跡期間中央値8.9ヵ月)、ならびにセツキシマブ併用療法(第Ib相32例、データカットオフ日2021年7月9日、追跡期間中央値7ヵ月)の中間解析が報告された。・対象:KRAS G12C変異陽性の切除不能または転移CRC患者・試験群: 単剤療法群adagrasib(46例) 併用療法群adagrasib+セツキシマブ(32例)・評価項目:[主要評価項目]第I/Ib相:安全性、第II相:奏効率(ORR)[副次評価項目]第I/Ib相:ORR、奏効期間(DoR)など、第II相:安全性 主な結果は以下のとおり。・単剤療法群、併用療法群のいずれも前治療ライン数中央値は3であった。・KRAS G12C変異以外に、TP53変異陽性が単剤療法群で68%(23/34)、併用療法群で69%(18/26)に認められた。[単剤療法群]・ORRは22%(10/45例)、病勢制御率(DCR)は87%(39/45例)であった。・奏効までの期間中央値は1.4ヵ月、DoR中央値は4.2ヵ月であった。・無増悪生存期間(PFS)中央値は5.6ヵ月(95%信頼区間:4.1~8.3)、6ヵ月PFS率は42%であった。・単剤療法群における治療関連有害事象(TRAE)の発現率は、全Gradeが91%で、主なものは下痢(63%)、悪心(57%)、疲労(46%)、嘔吐(46%)であった。[併用療法群]・ORRは43%(12/28例)、DCRは100%であった。・奏効までの期間中央値は1.3ヵ月であった。・併用療法群におけるTRAE発現率は、全Gradeが100%で、主なものは悪心(63%)、下痢(56%)、嘔吐(50%)、疲労(47%)であった。また、セツキシマブに起因するざ蒼様皮膚炎が44%、皮膚乾燥が38%にみられた。 Weiss氏は、「前治療歴の多いKRAS G12C変異陽性の進行CRC患者において、adagrasib±セツキシマブは有望な臨床効果と良好な忍容性が認められた」と結果をまとめ、現在、KRAS G12C変異陽性大腸がんの2次治療としてのadagrasib+セツキシマブ併用療法の有効性および安全性を評価する第III相KRYSTAL-10試験が行われていることを紹介し発表を終えた。

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コロナ治療薬「ロナプリーブ」、発症予防と無症状感染者治療に適応拡大申請/中外

 中外製薬は10月11日付のプレスリリースで、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)治療薬「ロナプリーブ」について、濃厚接触者の発症予防および無症状感染者への治療薬として適応拡大を申請したと発表した。本剤は点滴静注で承認されているが、今回、皮下注射を可能とする用法追加も併せて申請。より汎用性が高まることが期待される。 ロナプリーブは、SARS-CoV-2に対する2種類のウイルス中和抗体(カシリビマブ+イムデビマブ)を組み合わせ、COVID-19に対する治療および予防を目的として、米・リジェネロン社などが開発。軽度~中等度COVID-19外来患者への治療薬として、7月に厚生労働省が特例承認した。 今回の申請は、▽COVID-19 の予防および無症状の感染者を対象とした海外第III相臨床試験(REGN-COV 2069)の成績▽投与量・投与方法の検討を目的とした海外第II相臨床試験(REGN-COV 20145)の成績▽日本人における安全性と忍容性、薬物動態を評価する国内第I相臨床試験(JV43180)の成績に基づくもの。 このうちREGN-COV 2069試験では、COVID-19の家庭内濃厚接触者を対象に予防コホートを実施。ロナプリーブ投与により、試験開始時に感染していなかった人の症候性感染の発症リスクが81%減少することを示した。一方、新規感染が確認された無症候性患者を対象に実施した治療コホートでは、ロナプリーブ投与により、症候性COVID-19に進行するリスクが31%減少することを示した。有害事象は、ロナプリーブ群の20%(265/1,311例)、プラセボ群の29%に発現し、重篤例はロナプリーブ群の1%(10例)、プラセボ群の1%(15例)で認められた。 中外製薬は、迅速な審査を求め、このたびの申請も特例承認の適用を希望している。

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税理士の先生の紹介だから安心…、それホント?【ひつじ・ヤギ先生と学ぶ 医業承継キソの基礎 】第27回

税理士の先生の紹介だから安心…、それホント?漫画・イラスト:かたぎりもとこ診療所の売買に仲介業者を利用する意味はこの連載で何度もお伝えしてきましたが、気になるのは仲介手数料ではないでしょうか。ズバリ、医業承継の仲介手数料の相場は譲渡価格×10% ※最低報酬500~550万円程度です。また、着手金は掛からないことが一般的です。一方、一般の事業会社の承継案件の場合、仲介手数料の相場は大きく異なり「最低報酬2,000万円程度」とする仲介業者が多くなります。そして、一般の事業会社の承継をメインに事業を行っている仲介業者の場合、医業承継においても事業会社の基準に合わせて「最低報酬1,000~2,000万円」と設定するケースが大半です。またこのような仲介業者の場合、着手金を50万円程度で設定することも多いようです。経済合理性を考えれば、同じ働きをする仲介業者ならば、仲介手数料は安価なほうがよいに決まっています。それなのに、倍以上する手数料が必要となる仲介業者に依頼する医師がいるのはなぜでしょうか?ケアネットが行ったアンケート調査によると、全体の4割の開業医が「医業承継を検討する際に、まず税理士に相談した」という結果が出ています。売り手の開業医からすれば、長年の付き合いのある税理士が紹介する会社であれば大丈夫、という心理が働き、他社と比較検討することなくそのまま依頼してしまう、という構造があるようです。下記のコラムでは、仲介業者を選ぶ際のポイントを解説しています。知っておきたい!医業承継コンサルティング会社を選定時のポイント今回は税理士からの紹介でしたが、ほかにも開業医と関連する薬剤卸の事業者などが仲介業者と連携しており、承継が成約したらマージンが支払われる、という契約をしているケースもあります。このような構造も知ったうえで、仲介業者は自らの目で選定されることをお勧めします。

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従業員であっても「処方箋なしで処方箋医薬品を販売」で業務停止【早耳うさこの薬局がざわつくニュース】第77回

先月、従業員に対して処方箋なしで処方箋医薬品を販売したことで、富山県の薬局が行政処分を受けました。この2年くらいで同様の違反に対する処分が立て続けに起こっていますので紹介したいと思います。富山県は9月21日、医薬品医療機器等法に基づき、調剤薬局を手掛けるビッグライム(富山市)に対し、同社が運営する「ハート薬局滑川店」(富山県滑川市)の業務停止を命じたと発表した。業務停止は24日から10月7日までの14日間となる。県によると、同店では処方箋の交付を受けていない従業員に処方箋医薬品を販売するなどしていたという。ビッグライムは県内で10店の調剤薬局を運営している。(日本経済新聞 2021年9月22日付)富山県のホームページにおいて、行政処分の理由が掲載されています。1.上記薬局において、医師などから処方箋の交付を受けていない従業員に対して、正当な理由なく、処方箋医薬品を販売した。(薬機法第49条第1項違反)2.上記薬局において、薬局医薬品の販売にあたり、必要事項の書面への記載を怠った。(薬機法第9条第1項の規定に基づく法施行規則第14条第3項違反)3.上記薬局において、向精神薬処方箋を所持する者以外の者に対して、向精神薬を譲り渡した。(麻薬及び向精神薬取締法第50条の16第4項違反)4.上記薬局の管理薬剤師は、処方箋の交付を受けていない者に対して処方箋医薬品を販売するなど管理者の義務を怠った。(薬機法第8条第1項違反)富山県では2020年9月にも別の薬局チェーンで同じような不正販売が明らかになり、複数の薬局の行政処分が行われました。これを踏まえて調査を強化したのだと思われますが、2020年10月に中部厚生センターの薬事監視員がハート薬局に定期立ち入り調査を実施したところ、従業員に対して処方箋なしで処方箋医薬品を販売していたことが明らかになりました。その後の県と警察の合同調査で、薬局の事務員に対して抗菌薬や抗アレルギー薬を、薬剤師に対して向精神薬を販売していたことが判明しました。なお、これらの薬剤はすべて自らが使用する目的だったとのことで、一般の方への譲渡はなく、健康被害も確認されていないとのことです。実は、富山県だけではなく、今年の3月には三重県の薬剤師会が運営する薬局でも同様の違反で行政処分が行われています。従業員への処方箋医薬品の販売はしばしば聞くため、おそらく悪気なくやっているのだと思います。依頼が断りにくい、使用方法や副作用をよく知っている、廃棄するよりはまし…などの理由があるのかもしれませんが、だめなものはだめです。開設者だけでなく、開設者に意見を申し立てる義務のある管理薬剤師が責務を果たしていないことも行政処分の理由になっています。薬局や従業員が違法であるという認識が低く、行政側は簡単に調査できる内容であるため、今後も調査が強化されるのだろうと推察します。「薬局で働いたら処方箋医薬品が入手できる」などのうわさが立たぬよう、薬局内であっても処方箋医薬品を処方箋なしで販売しては違法だということをいま一度確認してほしいと思います。もしこのような慣例があるとすれば、この行政処分の事例を共有して断ち切りましょう。参考1)富山県|薬局開設者に対する行政処分(業務停止)について(pref.toyama.jp)2)三重県|薬局開設者に対する行政処分について(pref.mie.lg.jp)

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