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英語で「利尿薬」は?【1分★医療英語】第1回

第1回 英語で「利尿薬」は?Are you taking a water pill?(利尿薬を服用していますか?)I used to, but not now.(以前は飲んでいましたが、今は飲んでいないです)《例文1》Don’t take a water pill at night.(利尿薬は夜に服用しないでください)《例文2》We will increase the dose of your water pill.(利尿薬の用量を上げます)《解説》「利尿薬」は正式には“diuretic”といいますが、患者と話す時は“water pill”を使うことがほとんどです。水分の排泄促進剤として、書いて字のごとく“water pill”のほうがわかりやすいですね。薬の名前は、日本語のカタカナと異なる場合があり、注意が必要です。thiazideは「サイアザイド」と発音し、ヒドロクロロチアジド(hydrochlorothiazide)は「ハイドロクロロサイアザイド」と、LもRもThも交ざり、発音の難易度は高めです。また、薬を「飲む」の動詞は“drink”ではなく“take”を使います。たとえば、“What medications do you regularly take?(普段どのお薬を服用していますか?)”のように使います。講師紹介

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第85回 経口レムデシビルがフェレットのCOVID-19に有効~感染伝播も阻止

近い将来には、手軽に投与しうる経口薬が発症後間もない外来の新型コロナウイルス感染症(COVID-19)患者の治療のおそらく主流となっていくことを予感させるニュースが先週末に相次ぎました。木曜日には米国・メルク社の経口COVID-19薬molnupiravir(モルヌピラビル)の世界初の承認を英国医薬品庁(MHRA)や同社が発表し1,2)、その翌日金曜日にはそれに負けじとファイザー社が同じく経口のCOVID-19薬Paxlovid(PF-07321332+ritonavir)が第II/III相試験でCOVID-19患者の入院または死亡リスクを89%低下させたことを報告しました3)。ギリアド社が世に送り出したCOVID-19治療薬の先駆けレムデシビル(日本での販売名:ベクルリー)はより重症の患者向けで、点滴静注を要し、メルク社やファイザー社の経口薬とは違って外来患者には不向きです4)。そこでギリアド社は米国・ジョージア州立大学と協力し、メルク社やファイザー社の経口薬と同様に外来の初期段階のCOVID-19患者に使えるようにレムデシビルに一工夫施した化合物GS-621763を開発しています。GS-621763は経口投与でより吸収されやすく、レムデシビル静注後と同一の活性代謝物(GS-443902)を体内で生み出します。その効果のほどをイタチ科の哺乳類・フェレットで検討した研究成果が先週金曜日にネイチャー姉妹誌Nature Communicationsに掲載されました5)。新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)はフェレットに感染可能で、SARS-CoV-2感染フェレットはヒトのSARS-CoV-2感染特徴の多くを呈します。フェレットにGS-621763を1日2回経口投与したところSARS-CoV-2量が検出不可能な水準近くまで減りました。GS-621763はSARS-CoV-2の複製を効率よく阻止し、より広まりやすい(high transmissibility)ことで知られるSARS-CoV-2変異株VOC γ感染フェレットにGS-621763を投与したところ感染フェレットと同居するフェレットへの伝播を完全に防ぐことができました。GS-621763のような経口の抗ウイルス薬は世間で幅を利かす感染しやすいSARS-CoV-2変異株への強力な対抗手段となりうると著者は言っています4)。一番乗りの見返りは大きいどこの世界でも同じだと思いますが、一番乗りというのはやはり大事なことのようで、COVID-19薬市場を切り開いたレムデシビルは依然として世界でよく使われています。ギリアド社の直近の業績発表によると、今年9月末までの3ヵ月間(第3四半期)の同剤の売り上げは74億ドルであり、需要の増加を受けて昨年同期より13%多い額となりました6)。一番乗りが得をするのはワクチンでも同様なようです。米国FDA認可に最初に漕ぎ着けたファイザー社のCOVID-19ワクチンの第3四半期売り上げは100億ドルの大台を軽々と超える130億ドルであり7)、僅か1週間ほど遅れて二番目にFDA認可に達したモデルナ社のワクチンの同期売り上げ48億ドル8)を3倍近く引き離しています。今後もその差は開いていくようです。ファイザー社が今年1年間のCOVID-19ワクチンの売り上げを360億ドルへと上方修正したのとは対照的にモデルナ社は今年1年間のCOVID-19ワクチン出荷量予想を8~10億回投与分から7~8億回投与分に下方修正しています。モデルナ社のワクチンは心筋炎リスクの懸念にも大いに巻き込まれており、12~17歳小児への同社COVID-19ワクチンのFDA認可審査がその安全性懸念を背景にして長引いていることが先月10月末に発表されました9)。ファイザー社のCOVID-19ワクチンの同年齢層の小児への使用はすでに取り急ぎ認可または承認されています10)。COVID-19ワクチンの開発は失敗したもののCOVID-19経口薬の一番手となったメルク社とそれに肉薄するファイザー社の域にギリアド社の経口レムデシビルが辿り着くのにあとどれだけの時間を要するのかはわかりませんが、実現したとすれば、よく知った薬と根本は同じという馴染みの力を頼りに活躍の場を得ることができそうです。参考1)First oral antiviral for COVID-19, Lagevrio (molnupiravir), approved by MHRA / MHRA 2)Merck and Ridgeback’s Molnupiravir, an Oral COVID-19 Antiviral Medicine, Receives First Authorization in the World / BUSINESS WIRE 3)Pfizer’s Novel COVID-19 Oral Antiviral Treatment Candidate Reduced Risk of Hospitalization or Death by 89% in Interim Analysis of Phase 2/3 EPIC-HR Study / BUSINESS WIRE4)Gilead Sciences Inc. partners with Center for Translational Antiviral Research to test oral Remdesivir variant / Eurekalert5)Cox RM,et al Nat Commun. 2021 Nov 5;12:6415.6)Gilead Sciences Announces Third Quarter 2021 Financial Results / BUSINESS WIRE7)PFIZER REPORTS THIRD-QUARTER 2021 RESULTS / BUSINESS WIRE8)Moderna Reports Third Quarter Fiscal Year 2021 Financial Results and Provides Business Updates / BUSINESS WIRE9)Moderna Provides Update on Timing of U.S. Emergency Use Authorization of its COVID-19 Vaccine for Adolescents / BUSINESS WIRE10)Comirnaty and Pfizer-BioNTech COVID-19 Vaccine / FDA

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パーキンソン病のオフ現象を考え外来診療に同行【うまくいく!処方提案プラクティス】第42回

 今回は、パーキンソン病患者の外来診療に同行し、医師に直接処方提案をした事例を紹介します。医師や患者とその場でコミュニケーションを取ることで、経過や考えを擦り合わせてスムーズに意思決定をすることができました。薬剤師が外来診療に同行することはあまり一般的ではなく、ハードルも高い処方提案ではありますが、今後の薬剤師の処方提案スタイルとしては有用だと考えてしばしば行っています。患者情報70歳、男性(独居)基礎疾患パーキンソン病、レビー小体型認知症、脊柱管狭窄症、高血圧症介護度要介護1服薬管理服薬カレンダー(2週間セット)に訪問看護師がセット介護状況月〜金 食事・ごみ出し・買い物で訪問介護が60分介入火・金 訪問看護・リハビリ処方内容 下記内服薬は一包化指示1.アムロジピンOD錠5mg 1錠 分1 朝食後2.オルメサルタンOD錠20mg 1錠 分1 朝食後3.レボドパ・カルビドパ水和物錠 4.5錠 分3 朝昼夕食後4.ゾニサミドOD錠25mg 1錠 分1 朝食後5.ロピニロール塩酸塩貼付薬16mg 1枚 朝貼付6.リバスチグミン貼付薬9mg 1枚 朝貼付7.リマプロスト アルファデクス錠5μg 6錠 分3 朝昼夕食後8.デュロキセチン塩酸塩カプセル20mg 1カプセル 分1 朝食後本症例のポイント患者は独居ですが、服薬カレンダーを用いて管理を行い、アドヒアランスは良好でした。しかし、日中の眠気が間欠的に出現したり、すくみ足の症状から転倒を繰り返したりして困っていることを来局時に聞き取りました。患者本人の感覚としては、ロピニロール貼付薬を8mgから16mgに増量してから眠気の症状がひどくなった気がするため、薬の量を医師に相談するつもりとのことでした。さらに情報の聞き取りを進めてみると、眠気は決まって早朝、昼食後、15〜17時、20時ごろと規則性があることが判明しました。訪問看護・介護スタッフに普段の様子を聞き取ると、「規則的な眠気もあるが、本人が動かずに静止していることもあり、すくみ足の症状も同時間にひどくなっている。会話も聞き取りにくい」ということが確認できました。患者は薬の影響ではないかと思っているようですが、私は上記の状況経過からウェアリングオフ現象ではないかと考えました。ウェアリングオフ現象は、パーキンソン病の進行に伴ってL-ドパの効果が短くなる現象で、突然パーキンソン症状が現れるため日常生活に大きな影響をおよぼします。オフ現象がある場合は医師と上手に意思疎通ができないことを考慮し、また薬剤師の見解を伝えて直接処方提案をしたかったため、本人了承の下で外来診療に同行することにしました。処方提案と経過患者さんへの問診が終わったところで、患者および訪問看護・介護スタッフからの眠気やすくみ足の症状は薬剤が影響しているのではないかという不安を伝えるとともに、状況・経過などからウェアリングオフ現象の可能性を医師に伝えました。医師より、「今回の診察と状況経過から、薬剤性というよりもウェアリングオフ現象の可能性が高いため、ラサギリンを開始して様子を見よう」という回答がありました。しかし、患者はデュロキセチンを服用しており、デュロキセチンとラサギリンは併用禁忌であることから(参考:第39回「同効薬切り替え時の“痛恨ミス”で禁忌処方カスケードが生じてしまった事例」)、診療ガイドライン1)の推奨度BのCOMT阻害薬を代替薬として追加してはどうかと提案しました。その結果、オピカポン錠25mgを追加することになり、受診翌日より服用開始となりました。その後、患者さんは、服用開始7日目くらいで日中の眠気や話しにくさ、すくみ足が改善し、転倒することもなくなったと訪問看護・介護スタッフより聞き取ることができました。薬剤師が外来に同行して現行の課題や代替案を提案することで、より良い治療に一歩近づくことができたと実感したエピソードとなりました。1)「パーキンソン病診療ガイドライン」作成委員会編. 日本神経学会監修. パーキンソン病診療ガイドライン2018. 医学書院;2018.

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初の十二指腸診療ガイドライン刊行

 十二指腸がんは消化器がんの中で代表的な稀少がんとされ罹患率は低いものの、近年増加傾向がみられており、診断モダリティの進歩により今後さらに発見される機会が増加することが予想される。日本肝胆膵外科学会と日本胃学会の協力のもとガイドライン作成委員会が立ち上げられ、「十二指腸診療ガイドライン 2021年版」が2021年8月に刊行された。 これまで本邦では確立された十二指腸がんの診療ガイドラインはなく、エビデンスも不足しているため、日常診療では、各医師の経験に基づいて胃がんや大腸がんに準じた治療が行われてきた。本ガイドラインでは、診断アルゴリズム(無症状/有症状)、治療アルゴリズム(切除可能/切除不能・再発)が示されたほか、「診断・内視鏡治療」「外科治療」「内視鏡・外科治療」「薬物療法」についてそれぞれClinical Questionが設けられ、推奨が示されている。 掲載されているClinical Questionは以下のとおり。<診断・内視鏡治療>CQ1-1 十二指腸の疫学についてCQ1-2 十二指腸のリスクは何か?CQ2-1 十二指腸腺腫は治療対象か?CQ2-2 十二指腸腫瘍における腺腫との鑑別をどのように行うか?CQ3-1 粘膜内と粘膜下層の鑑別には何が推奨されるか?CQ3-2 遠隔転移診断に何が推奨されるか?CQ4-1 十二指腸腫瘍に対する各種内視鏡治療の適応基準は何か?CQ4-2 各種内視鏡治療の術者・施設要件は何か?CQ5 表在性非乳頭部十二指腸上皮性腫瘍に対する内視鏡治療後の偶発症予防は推奨されるか?CQ6-1 内視鏡治療後に外科的治療を行う推奨基準は何か?CQ6-2 内視鏡治療後局所再発ならびに異時性多発の早期発見のために、内視鏡によるサーベイランスは推奨されるか?<外科治療>CQ1 十二指腸に対する外科的治療においてリンパ節郭清は推奨されるか?CQ2 深達度や占居部位を考慮し、膵頭十二指腸切除術以外の術式を行うことは推奨されるか?CQ3 十二指腸外科切除後の再発診断にはどのようなフォローアップが推奨されるか?<内視鏡・外科治療>CQ1 閉塞症状を伴う切除不能十二指腸に対する消化管吻合術や内視鏡的ステント挿入は推奨されるか?<薬物療法>CQ1 切除可能十二指腸を含む小腸に周術期補助療法を行うことは推奨されるか?CQ2 切除不能・再発十二指腸を含む小腸にMSI検査、HER2検査、RAS遺伝子検査は推奨されるか?CQ3 切除不能・再発十二指腸を含む小腸に全身薬物療法は推奨されるか?CQ4 切除不能・再発十二指腸を含む小腸に免疫チェックポイント阻害薬は推奨されるか?十二指腸診療ガイドライン 2021年版編集:十二指腸診療ガイドライン作成委員会定価:3,300円(税込)発行:金原出版発行日:2021年8月5日金原出版サイト

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統合失調症症状別の抗精神病薬至適用量~用量反応メタ解析

 統合失調症の急性期治療において抗精神病薬の最適な投与量を決定することは、臨床的に非常に重要なポイントである。また、急性期治療後には維持期治療へ移行するため、陰性症状に対する抗精神病薬の効果を考慮することも求められる。スイス・ジュネーブ大学のMichel Sabe氏らは、急性期統合失調症に対する抗精神病薬の有効性を評価した固定用量ランダム化比較試験(RCT)のシステマティックレビューに基づき、陰性症状および陽性症状の用量反応メタ解析を実施した。NPJ Schizophrenia誌2021年9月13日号の報告。 主な結果は以下のとおり。・40件のRCTより、1万5,689例が抽出された。・各薬剤の1日当たりの95%有効量は、以下のとおりであり、多くの薬剤で陰性症状と陽性症状で違いが認められた。 ●amisulpride(陰性症状:481mg、陽性症状:690.6mg) ●アリピプラゾール(陰性症状:11.9mg、陽性症状:11mg) ●アセナピン(陰性症状:7.61mg、5.66mg) ●ブレクスピプラゾール(陰性症状:2.1mg、陽性症状:4mg) ●cariprazine(陰性症状:4mg、陽性症状:6.51mg) ●ハロペリドール(陰性症状:6.34mg、陽性症状:7.36mg) ●ルラシドン(陰性症状:58.2mg、陽性症状:86.3mg) ●オランザピン(陽性症状:15.5mg、陽性症状:9.52mg) ●オランザピン長時間作用型注射剤(陰性症状:15.7mg、陽性症状:13.5mg) ●パリペリドン(陰性症状:7.2mg、陽性症状:7mg) ●パリペリドン長時間作用型注射剤(陰性症状:7.5mg、5.9mg) ●クエチアピン即放性製剤(陰性症状:264.2mg、陽性症状:316.5mg) ●クエチアピン徐放性製剤(陰性症状:774mg、陽性症状:707.2mg) ●リスペリドン(陰性症状:7.5mg、陽性症状:7.7mg) ●リスペリドン長時間作用型注射剤(陰性症状:5.13mg、陽性症状:6.7mg) ●sertindole(陰性症状:13.5mg、陽性症状:16.3mg)●ziprasidone(陰性症状:71.6mg、陽性症状:152.6mg)・用量反応曲線の形状は薬剤により異なっていたが、ほとんどの薬剤は高用量で定常状態に達していた。 著者らは「ほとんどの薬剤の最大有効量は、各薬剤の承認用量の低~中程度の範囲であることが確認された。最適な用量を把握するためには、さらなるRCTが必要とされる」としている。

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変異株流行期はワクチン接種率高くても制限解除は難しい?/Lancet

 集会の中止・禁止や教育施設の閉鎖、出入国制限、個人の移動制限、都市封鎖、個人用保護具の供給量増などの非医薬品介入(NPI)時期とワクチン接種状況とのバランスを慎重に調整すれば、NPIの緩和が原因となる新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の入院患者急増のリスクは大幅に軽減される可能性があるものの、デルタ変異株については、ワクチン接種率が高くても、イングランドでの入院や死亡の再急増(第3波)を招くことのないNPIの全面解除はできなかった可能性があることが、英国・インペリアル・カレッジ・ロンドンのRaphael Sonabend氏らが実施した数理モデル解析で示された。研究の成果は、Lancet誌オンライン版2021年10月27日号に掲載された。イングランドの後ろ向き疫学的数理モデル研究 研究グループは、英国のコロナ対策ロードマップ、重症急性呼吸器症候群コロナウイルス2(SARS-CoV-2)のデルタ変異株の影響、および将来に起こりうる感染流行の軌跡を評価する目的で、疫学的数理モデルを用いた後ろ向き研究を行った(英国国立健康研究所[NIHR]などの助成を受けた)。 本研究では、英国政府によるイングランドにおける都市封鎖の制限緩和の4つの段階(学校再開、屋外接客業や必須でない小売業の再開、屋内接客業再開、残る制限の全面解除)について検討が行われた。デルタ変異株の出現を明示的に捕捉するために、SARS-CoV-2のこれまでの感染モデルが拡張され、ワクチン接種状況と複数の変異株がモデルに組み込まれた。 英国の国民保健サービス(NHS)から得られた2021年3月8日までの入院、病床占有、血清学的検査、PCR検査などのデータが、ベイズ流のエビデンス統合の枠組みを用いて調整され、NPI緩和のためのさまざまなスケジュールに関して、将来に起こりうる感染流行の軌跡がモデル化された。 1日の感染者と入院者の数、および1日死者数と累積死者数が推算された。ワクチンの有効率、自然免疫の低下、過去の感染による交差防御能について、3つのシナリオ(楽観的、中間的、悲観的)の評価を行った。NPI全面解除の1ヵ月遅延で1日入院患者数が激減 最近のイングランドでのCOVID-19の感染状況と英国政府の対応の概要は次のとおり。 英国は全国的なワクチン接種キャンペーンを最初に開始した国だが、それにもかかわらずアルファ変異株(B.1.1.7)の出現で2020~21年の冬期に深刻な感染の第2波が発生した。そのため、イングランドでは2021年1月5日から3回目の都市封鎖が行われた。 英国政府は、この都市封鎖施策から脱却するためのコロナ対策ロードマップを発表し、2021年3月8日~7月19日に、ワクチン接種率の向上に伴い、NPIが段階的に解除された。7月19日の時点で、英国の成人のワクチン接種率は、少なくとも1回が87.5%、2回が68.2%だった。 この間の2021年4月中旬にデルタ変異株(B.1.617.2)が発生し、5月6日に「懸念される変異株」に指定された。イングランドでは、5月中旬から1日の感染者と入院者の数が増加し始め、6月中旬~7月中旬に指数関数的に急増し、7月15日にピークに達した後、予想に反して2週間で半減したが、8月には頭打ちとなり、再び緩徐な増加に転じている。 解析の結果、コロナ対策ロードマップの施策では、2021年3月8日に開始されたNPI解除による感染増加が、ワクチン接種による集団免疫の拡大によって相殺されていた。 一方、アルファ変異株と比較した伝播力の優位性(transmission advantage)が76%(95%信用区間[CrI]:69~83)と感染力が強いデルタ変異株の出現により、当初の計画どおり2021年6月21日にNPIの全面解除を行った場合、中間的シナリオではピーク時の1日入院者数が3,900人(95%CrI:1,500~5,700)に達する可能性が示された。そこで、NPIの全面解除を2021年7月19日まで遅らせたところ、ピーク時の1日入院者数は1,400人(700~1,700)にまで減少した。 感染流行の軌跡には、かなりの不確実性が認められ、とくにデルタ変異株の感染性やワクチン有効率の推定値などの不確実性が高かった。 著者は、「各国がCOVID-19大流行への対策を緩和する際は、懸念される変異株、その感染力、ワクチンの接種率と有効率を注意深く監視する必要がある」としている。

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日本のワクチン啓発活動、米国団体の助成金を獲得

 コロナワクチンに関する情報提供を行う医師らが組織する「一般社団法人コロワくんサポーターズ」は、The Alliance for Advancing Health Online(AAHO)が運営するワクチン・コンフィデンス・ファンドの研究助成金を受賞した。 コロワくんサポーターズはマウントサイナイ医科大学で内科医として勤務する山田 悠史氏が中心となり、日本で新型コロナワクチンの接種がはじまった今年から、サイトやLINEボット、書籍などのかたちでワクチンに関する情報を発信している。 AAHOはソーシャルメディアと行動科学を活用して世界中のコミュニティの健康を改善方法についての一般の理解を深めるために組織された団体で、メンバーにはCDC財団、世界銀行、Sabin Vaccine Institute、フェイスブック、メルクなどが名を連ねる。 今回の助成金プログラムはフェイスブックとメルクの支援によって創設されたもので、ソーシャルメディアやオンラインプラットフォームを活用して、ワクチンに対する人々の理解を深め、信頼性を高めることを目的とした団体と活動に対し、総額700万ドル以上を提供するAAHOのフラッグシッププログラム。 今回の募集には、世界各国から300団体以上の応募があり、33団体が研究助成金を受賞した。「コロワくんサポーターズ」は日本から唯一の受賞となり、他にはインドのグラミン財団や米ジョンズホプキンス大学などのプロジェクトが選ばれている。 コロワくんサポーターズは今回得た助成金を基に、香港大学、ロンドン大学と協力し、日本国内において、ソーシャルメディアの活用が新型コロナワクチン忌避の解消に寄与するかどうかを、ランダム化比較試験で検討する研究を行う予定という。

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ロナプリーブがコロナ発症抑制に適応追加、投与対象は?

 厚生労働省は11月5日、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)治療薬として今年7月、国内における製造販売を承認した「ロナプリーブ」について、患者との濃厚接触者および無症状のSARS-CoV-2陽性者の発症抑制を目的とした使用を新たに認めた(適応追加の特例承認)。併せて、すでに承認されているCOVID-19治療においても、静脈内投与が困難な場合に皮下投与が可能となった。ただ、予防投与の対象は、ワクチン未接種またはワクチンによる効果が不十分な濃厚接触者または無症状の陽性者(いずれも原則として重症化リスク因子を有する人)と限定的になっている。また、発症予防の基本はワクチン接種であり、添付文書には同薬剤が「ワクチンに置き換わるものではない」と明記されている。ロナプリーブ適応追加、国内外臨床試験に基づく 申請者の中外製薬によると、今回のロナプリーブ適応追加は、COVID-19患者との濃厚接触者(非感染者および無症状のSARS-CoV-2陽性者)を対象とした海外第III相臨床試験(REGN-COV 2069)の成績、投与量・投与方法の検討を目的とした海外第II相臨床試験(REGN-COV 20145)、および日本人における安全性と忍容性、薬物動態の評価を目的とした国内第I相臨床試験(JV43180)の成績に基づき承認された。 国内におけるロナプリーブの供給量は、日本政府と中外製薬との合意に基づき、2021年分が確保されている。<ロナプリーブ添付文書情報>※下線部分が今回の追加・変更箇所効能又は効果:SARS-CoV-2 による感染症およびその発症抑制用法及び用量:通常、成人及び12歳以上かつ体重40kg以上の小児には、カシリビマブ(遺伝子組換え)及びイムデビマブ(遺伝子組換え)としてそれぞれ600mgを併用により単回点滴静注または単回皮下注射する。

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認知症の焦燥性興奮にミルタザピンの効果は?/Lancet

 ミルタザピンは、欧州で高齢者や認知症患者に最も一般的に処方されているノルアドレナリン作動性/特異的セロトニン作動性抗うつ薬である。英国・プリマス大学のSube Banerjee氏らは、「SYMBAD試験」において、認知症患者の焦燥性興奮の治療におけるミルタザピンの効果について検討し、プラセボと比較して有効性は認められず、確定的ではないものの死亡率を高める可能性があることを示した。研究の詳細は、Lancet誌2021年10月23日号に掲載された。英国の二重盲検無作為化プラセボ対照比較試験 研究グループは、認知症患者の焦燥性興奮の治療におけるミルタザピンの有効性と安全性の評価を目的に、英国の国民保健サービス(NHS)下の26の施設で二重盲検無作為化プラセボ対照比較試験を行った(英国国立健康研究所[NIHR]医療技術評価[HTA]プログラムの助成を受けた)。 対象は、非薬物療法に反応しない焦燥性興奮がみられるアルツハイマー型認知症(probableまたはpossible)で、コーエン・マンスフィールド焦燥評価票(CMAI)スコアが45点以上の患者であった。 被験者は、通常治療と共にミルタザピン(15mg/日から開始し45mg/日へ増量)またはプラセボの経口投与を受ける群に、1対1の割合で無作為に割り付けられた。 主要アウトカムは、12週時のCMAIスコアで評価した焦燥の軽減とされた。認知機能やQOL、介護者負担にも差はない 2017年1月~2020年3月の期間に204例が登録され、ミルタザピン群に102例(平均年齢[SD]82.2[7.8]歳、女性75%)、プラセボ群に102例(82.8[7.7]歳、58%)が割り付けられた。ベースラインの平均(SD)CMAIスコアは、ミルタザピン群71.1(16.4)点、プラセボ群69.8(17.1)点だった。 12週時の平均CMAIスコアは、ミルタザピン群が61.4(22.6)点、プラセボ群は60.8(21.8)点であり、両群間に有意な差は認められなかった(補正後平均群間差:-1.74、95%信頼区間[CI]:-7.17~3.69、p=0.530)。また、6週時の平均CMAIスコアにも差はなかった(61.4[23.5]点vs.60.0[19.9]点、補正後平均群間差:-0.55、95%CI:-6.18~5.08、p=0.848)。 12週時の認知機能(標準化MMSE)、QOL(DEMQOL、DEMQOL-proxy、EQ-5D)、神経精神症状(総NPIスコアなど)にも、両群間に差はみられなかった。 また、介護者のアウトカムは、12週時のZarit介護負担尺度(家族介護者が対象、ミルタザピン群で負担が大きい、p=0.020)を除き、6週時のZarit介護負担尺度、6週および12週時のGHQ-12、EQ-5D、NPI-Dには差がなかった。 有害事象の発現率は、ミルタザピン群が66%(67/102例)、プラセボ群は64%(65/102例)であり、両群で同程度であった。16週までに死亡した患者は、ミルタザピン群が7例で、プラセボ群の1例よりも多く、事後解析で示された統計学的有意性は僅差であった(p=0.065)。 著者は、「これらのデータには、ミルタザピンが認知症患者の焦燥性興奮には無効であり、有害な可能性があることだけでなく、薬物を用いない従来療法を行えば、薬物療法による有害作用なしに焦燥性興奮が癒やされる可能性があることを示唆する肯定的な理由も含まれている」としている。

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第77回 コロナ経口薬「molnupiravir」、世界初承認は英国

<先週の動き>1.コロナ経口薬「molnupiravir」、世界初承認は英国2.COVID-19後遺症でも労災認定/兵庫県3.2018年度公立病院の廃止は前年度より4件減少/総務省4.2021年の出生数は昨年に続き85万人以下が確実/厚労省5.コロナ対策予算、35%の22兆円が未執行/会計検査院6.早期がんの診断件数が1年で8,000件減少/対がん協会1.コロナ経口薬「molnupiravir」、世界初承認は英国英国の医薬品・医療製品規制庁(MHRA)は4日、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の経口治療薬「molnupiravir」を世界で初めて承認した。本剤は米・メルクによって開発された。軽症~中等症COVID-19の重症化リスク因子を有する成人患者を対象にした第III相MOVe-OUT試験の中間解析で、molnupiravirは発症後5日以内に投与した場合、入院または死亡リスクを約50%低減し、早期承認を目指して欧州で申請していた。これを受け、磯崎 仁彦官房副長官は5日の記者会見で、有効性や安全性を確認ののち、速やかに承認を進めるとコメントしている。また、米・ファイザー社が開発中の「パクスロビド(PAXLOVID)」は、発症後3日以内の患者に投与することで、投与していない群と比較して入院・死亡リスクが89%減ったことを発表しており、今後わが国での承認も目指す。(参考)米メルクのコロナ経口薬「モルヌピラビル」、英が飲み薬では世界初の承認(読売新聞)米ファイザーのコロナ飲み薬、入院・死亡リスク9割減(日経新聞)コロナ飲み薬「年内実用化へ全力」 官房副長官(日経新聞)2.COVID-19後遺症でも労災認定/兵庫県COVID-19の後遺症で労働災害が認められたことを、ひょうご労働安全衛生センターが明らかにした。今回、兵庫県内の特別養護老人ホームで働く理学療法士の男性が新型コロナウイルスに感染し、職場に復帰した後も強い倦怠感などが続いたため、約4ヵ月後に医師により「新型コロナウイルス感染後遺症」と診断され、労災と認められた。COVID-19に関する労災請求件数は、2021年9月30日時点で、全国1万8,637件、そのうち労災と認められたのは1万4,567件。78.1%と高い認定率だが、国内のCOVID-19患者総数は172万人以上に上っており、労災請求が進んでいない可能性もある。国は後遺症も労災の対象になるとして、労働基準監督署に相談するよう呼び掛けている。(参考)新型コロナ 後遺症でも労災認定 国が労基署への相談呼びかけ(NHK)新型コロナウイルス感染後遺症で労災申請 監督署が労災と認定(ひょうご労働安全衛生センター)3.2018年度公立病院の廃止は前年度より4件減少/総務省総務省は公営企業の経営改革について抜本的な改革を進めているが、2018年度に廃止となった公立病院が5件となり、前年度より4件減ったことを明らかにした。うち公立病院から公営企業型地方独立行政法人と指定管理者制度への移行がそれぞれ1件で、PFI(民間資金等活用事業)などの民間委託は0件だった。公立病院数および病床数は、ピーク時2012年の1,007病院(病床数:23万9,921床)から2020年度には853病院(同:20万3,882床)と大きく減少している。今年10月に立ち上げられた「持続可能な地域医療提供体制を確保するための公立病院経営強化に関する検討会」では、これまで進めてきた再編・ネットワーク化・地域医療構想による改革について、公立病院が新型コロナ感染症対応において果たしている役割を考慮に入れつつ、引き続き第8次医療計画の策定スケジュールを踏まえて、公立病院改革の次期ガイドラインの策定について議論していく。(参考)公立病院の事業廃止4件、民営化・民間譲渡は1件 20年度(CBnewsマネジメント)公営企業における更なる経営改革の取組状況(総務省)持続可能な地域医療提供体制を確保するための公立病院経営強化に関する検討会(総務省)4.2021年の出生数は昨年に続き85万人以下が確実/厚労省厚生労働省は、2021年8月分の人口動態統計速報で今年の1~8月の出生数の合計は55万5,080人と、前年の同期間と比べ、2万8,138人(4.8%)下回っていることを明らかにした。昨年のコロナウイルス感染拡大により、今年の1月の出生数は前年同月比で14.6%の減少となった。その後出生数は回復傾向だが、このまま推移すると、前年の出生数84万832人に続いて85万人を下回ることが確実となる。一方、死亡者数は前年の1~8月に比べて5万1,572人多く、前年の137万2,648人よりも3.7%ほど上回り、自然減が加速している。(参考)2021年の出生数・死亡数の見通しー新型コロナの影響は限定的だが、一部に見過ごせない動きも(日本総研)2021年の出生数、85万人割り込む恐れ コロナ禍での受診控えが“子づくり”にも影響(CBnewsマネジメント)人口動態統計速報(令和3年8月分)(厚労省)5.コロナ対策予算、35%の22兆円が未執行/会計検査院会計検査院は5日に提出した決算検査報告により、新型コロナウイルス対策で政府が計上した総額65兆4,165億円のうち3割超の22.8兆円余りが未執行となり、このうち21兆7,796億円が翌年度に繰り越されたことを明らかにした。コロナウイルスに関する個別事業については妥当性が検証され、接触確認アプリ「COCOA」の不具合やアベノマスク約8,200万枚が未配布のため、2020年8月~21年3月で保管費用の約6億円などが指摘され、会計検査院は適切な予算執行と国民への十分な説明を国に求めている。(参考)コロナ対策費22.8兆円使われず…検査院、国民への説明求める報告書(読売新聞)巨額投じた国の新型コロナ対策 浮かび上がるずさんな予算執行(朝日新聞)令和2年度決算検査報告の概要(会計検査院)6.早期がんの診断件数が1年で8,000件減少/対がん協会日本対がん協会は4日に、日本学会、日本鴈治療学会、日本臨床腫瘍学会と共同で実施した調査結果を発表した。調査はアンケートにより実施され、全がん協会加盟施設、がん診療連携拠点病院、がん診療病院、大学病院など486施設を対象に、今年の7~8月に5種類のがん(胃、大腸、肺、乳、子宮頸)の診断数、臨床ステージ、手術数、内視鏡治療件数などについて聞き取った。その結果、去年の胃がん、大腸がん、肺がん、乳がん、子宮頸がんの診断件数は8万660件と、一昨年より8,000件余り(9.2%)減少しており、コロナによる受診控えや検診受診者数の減少によって、がんの診断件数が減った可能性が明らかとなった。今後、進行がんの発見が増える恐れもあり、早期受診やがん検診受診率の向上を求めている。(参考)2020年のがん診断数9%減 コロナ禍で 日本対がん協会調査(毎日新聞)がん診断が1割減…コロナ禍で受診控え影響、進行がん増加懸念(読売新聞)“新型コロナで受診控え” がん診断件数 約9%減少(NHK)2020年のがん診断件数 早期が減少 進行期の増加を懸念 日本対がん協会とがん関連3学会が初の全国調査(日本対がん協会)

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ステロイド投与に関連する臨床試験の難しさ:心肺蘇生の現場から(解説:香坂俊氏)

(1)敗血症性ショック症例に対するステロイド投与今回のテーマはVAM-IHCA試験という院内の心停止症例に対してバソプレシン+メチルプレドニゾロンを投与するかどうかというRCTなのであるが(JAMA誌掲載)、このテーマに関しては少し昔の話から始めさせていただきたい。ステロイドが集中治療の現場に登場したのは、2002年くらいからではないだろうか。Annane氏らによってフランスで敗血症性ショック症例を対象としたRCTが行われ(300例)、ACTH負荷不応だった患者に対して・ヒドロコルチゾン50mg(6時間ごと)+フルドロコルチゾン50mg(24時間ごと)を7日間実施すると、プラセボと比較して、ICU死亡(58% vs.70%)や院内死亡(61% vs.72%)が減少したと報告された。この研究を契機に、敗血症性ショックにはACTH試験を行い不応性であればステロイド投与を行うというのが普及した。当時自分はニューヨークで内科のレジデントをやっていたが、ICUのことが詳しかった同僚※に「これどうなの?」とか聞いたりして、四苦八苦しながらそのプロトコールを実施していた記憶がある。しかし、このフランスのRCTは小規模なものであり、プロトコール外で副腎ステロイド複合体阻害薬が投与されていた症例が少なからずいたこと、フルドロコルチゾンが単なる交絡因子であった可能性、そして対照群で抗菌薬投与の遅れがあったなど、議論の余地が結構残されていた。その後、さまざまな小規模あるいは中規模の試験が行われたが、明確な結論を得るに至らず、2018年にようやく満を持してADRENAL試験(3,800例)の結果が報告された。その結果であるが、Among patients with septic shock undergoing mechanical ventilation, a continuous infusion of hydrocortisone did not result in lower 90-day mortality than placebo. というものであった。(2)心停止症例に対するステロイド投与前置きが長くなったが、今回デンマークで行われたVAM-IHCA試験の結果を拝読し、Annane氏らの敗血症性ショックに対するRCTの結果が重なった。VAM-IHCAは501人の院内心停止症例を対象としており、蘇生時にバソプレシン+メチルプレドニゾロン(40mg)、あるいは通常どおりエピネフリンを投与するかどうかをランダム化したものであり(Annane氏らの研究と異なりメチルプレドニゾロンの投与は蘇生時の1回のみ)、結果としてROSC(return of spontaneous circulation)の率は改善したものの(42% vs.33%)、30日生存率の改善には至らなかった(10% vs.12%)。VAM-IHCAではAnnane氏らの研究と同様にさまざまな交絡が指摘されており、たとえば24時間生存したプラセボ群の患者の実に46%が何らかのステロイドの投与が行われていた。また、プライマリエンドポイントはあくまでROSCであり、生存率を検証するための症例数はこの研究ではそもそも担保されていなかったという限界もある。今後この領域でADRENALのような決定的な臨床試験が行われるか? そこはかなり難しいように思われるが、デンマークを含む北欧諸国の成熟したregistry-based RCTのシステムを用いればもしかすると可能かもしれない(3)今後心肺蘇生のプロトコールは変更されるか?敗血症性ショックに対するステロイド治療の歴史を体験してきた身としては、この領域の試験の難しさは身に染みてわかっているつもりである。ステロイドにはα受容体をアップレギュレートする効果があり、また全身的な炎症反応が不活化されている状況下で相対的な副腎機能低下を補うことも期待される。しかし、このように「想定されるベネフィット」も臨床試験の検証があってのものであり、VAM-IHCA試験の結果を踏まえて、すぐにASLSなどの心肺蘇生のプロトコールが変更されることはないだろう。ステロイド治療は、一部のCPR-refractoryの患者群のみに用いられるべき、と捉えるのが現段階での最適解ではなかろうか。※現Intermountain LDS HospitalのICU Directorである田中 竜馬氏

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「サードキャリア」という医師の新しい働き方【ひつじ・ヤギ先生と学ぶ 医業承継キソの基礎 】第29回

第29回 「サードキャリア」という医師の新しい働き方漫画・イラスト:かたぎりもとこ「サードキャリア」という言葉を聞いたことはあるでしょうか?聞き慣れない言葉かもしれませんが、最近増えている医師の働き方です。これまでは、勤務医を経て開業(=セカンドキャリア)し、そのまま引退、という方が大半でしたが、開業した診療所を譲渡して、再度勤務医になって働く(=サードキャリア)という働き方を選択する方が増えているのです。弊社に医業承継をご相談いただいた開業医の方のうち、7割程度は「譲渡後はそのまま引退したい」と考えますが、残りの3割は「勤務医に戻って働きたい」と仰るのです。「勤務医に戻って働きたい」と希望する理由は、どういうものなのでしょうか。弊社でのリサーチによると下記のようなものが多いことがわかりました。(1)親の介護が始まり、開業医ほどには仕事に時間を割けなくなったため、実家付近で再度勤務医として働くことを希望する(2)開業医時代にしっかりと稼いだため、最後のキャリアでは無医村で働くなど、社会貢献することを希望する(3)スタッフマネジメントなど、開業医特有の業務で疲弊したため、診療に集中できる勤務医に戻ることを希望する「医業承継」というと、売り手側は医師としてのキャリアを終えて引退、といった寂しいイメージもありますが、実際には上記のように、開業医を辞めることと医師を引退することは別物であり、ポジティブにその先のキャリアに踏み出す方もいるのです。

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第43回 関数関係とは?【統計のそこが知りたい!】

第43回 関数関係とは?2項目間の関係には「関数関係」と「相関関係」があります。今回は関数関係について説明します。■関数関係(Functional relationship)1時間60mLで点滴するとします。この点滴は2時間で120mL、3時間では180mL、4時間では240mLとなります。ここで点滴に要した時間をx軸(横軸)、点滴した量をy軸(縦軸)にとり、グラフを描くと図1に示すような直線になります。図1 関数関係の事例点滴に要した時間(x)と点滴した量(y)との関係を式で表すと、y=60xとなります。たとえば、5時間で何mLの点滴量になるのかを計算するには、xに5を代入すれば点滴量を求めることができます。実際に計算すると次のようになります。このように、xの値が決まればそれに応じてyの値が決まるとき、「xとyの間には関数関係がある」といいます。とくに、xとyの間に次式のような関係が成り立つとき、「yはxの1次関数である」といいます。また、1次関数の関係をグラフに表すと図2のような直線になります。図2 1次関数のグラフa、bは定数で、aは直線の傾き、bは直線がy軸と交わる座標の値を示しています。■さらに学習を進めたい人にお薦めのコンテンツ「わかる統計教室」第4回 ギモンを解決! 一問一答質問10 2項目間の関連性を把握する際の統計学的手法の使い分けは?(その1)質問10 2項目間の関連性を把握する際の統計学的手法の使い分けは?(その2)質問10 2項目間の関連性を把握する際の統計学的手法の使い分けは?(その3)

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事例037 片頭痛のナラトリプタン(アマージ)の査定【斬らレセプト シーズン2】

解説事例では、国際頭痛学会の診断基準により、前兆のある片頭痛と診断した患者に、片頭痛用剤のナラトリプタン(商品名:アマージ錠[以下、同錠])を投与したところ、C事由(医学的理由による不適当)を理由に査定となりました。同錠の添付文書を確認したところ、病名は効能または効果に記載されているものと相違なく問題ありません。用法・用量には、「1回2.5mgを片頭痛の頭痛発現時に経口投与する」とあり、「効果が不十分なときに1日の総投与量5mgまで」とありました。また、関連する注意事項には、「本剤は、頭痛発現時のみに使用し、予防的には使用しないこと」とあります。言い換えると、同剤は頭痛発現時のみ頓用できる薬剤です。定期的な投与である内服での請求は、頭痛発現時という要件に反し、かつ予防的に定期的服用をしていると判断され査定になったものと推測ができます。医師には、内服投与不可の薬剤であることを伝え、電子カルテの薬剤システムに内服処方不可のアラートが処方時に表示されるよう登録して査定対策としました。

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アテゾリズマブ+ベバシズマブ+化学療法のNSCLC1次治療、EGFR変異、肝臓/脳転移例への有効性(IMpower150)/JTO

 アテゾリズマブ+ベバシズマブ+カルボプラチン/パクリタキセル(ABCP)またはアテゾリズマブ+カルボプラチン/パクリタキセル(ACP)とベバシズマブ+カルボプラチン/パクリタキセル(BCP)を評価する第III相IMpower150試験の、EGFR変異および肝臓または脳転移サブグループに関する全生存(OS)の最終解析が報告された。 IMpower150試験の対象は、化学療法未治療の切除不能な進行・再発の非扁平上皮非小細胞肺がん(NSCLC)患者1,202例。安定した既治療の脳転移症例は許可されている。 試験群はABCP群とACP群で対照群はBCP群である。対象患者は各群に無作為に割り付けられた。 主な結果は以下のとおり。・データカットオフ時(2019年9月13日)の追跡期間中央値は39.3ヵ月であった。[ABCP群対BCP群]・EGFR変異症例全体のOSハザード比[HR]は0.60(95%CI:0.31~1.14)、EGFR-TKI既治療例のHRは0.74(95%CI:0.38~1.46)、とABCP群はBCP群に比べOSの改善を維持した。・ベースライン時に肝転移を有する症例のOS HRは0.68(95%CI:0.45~1.02)、とABCP群のOS改善が維持されていた。[ACP群対BCP群]・EGFR変異症例全体のOS HRは1.0(95%CI:0.57~1.74)、EGFR-TKI既治療例のHRは1.22(95%CI:0.68~2.22)、とACP群は生存ベネフィットを示せなかった。・ベースライン時に肝転移を有する症例のOS HRは1.01(95%CI:0.68~1.51)、とACP群の生存ベネフィットを示されなかった。[脳転移]・新たな脳転移の発症全体は100例(8.3%)にみられた。・正式な評価ではないが、ABCP群ではBCP群に比較して、新たに脳転移が発現するまでの時間(TTD)に改善が見られた(HR:0.68、95%CI:0.39~1.19)。 今回の探索的研究の最終解析は、EGFR変異症例および肝転移を有する症例において、ABCP群のBCP群に対するOSベネフィットを示した。一方、ABCP群の脳病変のTTD延長については、さらなる調査が必要だと筆者は述べている。

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がん治療用ウイルスG47Δテセルパツレブ発売/第一三共

 第一三共は、2021年11月1日、同社が東京大学医科学研究所の藤堂具紀氏と共同で開発したがん治療用ウイルス G47Δテセルパツレブ(製品名:デリタクト)を国内で発売した。 G47Δは、がん細胞でのみ増殖可能となるよう設計された人為的三重変異を有する増殖型遺伝子組換え単純ヘルペスウイルス1型で、藤堂氏らにより創製された。G47Δテセルパツレブは当面の間、治験実施施設のみ供給 G47Δテセルパツレブは、膠芽腫患者を対象とした国内第II相臨床試験(医師主導治験)の結果に基づき、2021年6月に悪性神経膠腫の治療を目的とした再生医療等製品として、国内で条件及び期限付承認に該当する製造販売承認を取得した。G47Δテセルパツレブは当面の間、治験実施施設のみへの供給となる。製品概要・販売名:デリタクト注・一般名:テセルパツレブ・効能、効果又は性能:悪性神経膠腫・用法及び用量又は使用方法:通常、成人には1回あたり1mL(1×109PFU)を腫瘍内に投与する。原則として、1回目と2回目は5~14日の間隔、3回目以降は前回の投与から4週間の間隔で投与する。投与は6回までとする。・承認条件及び期限 〈承認条件〉1.緊急時に十分対応できる医療施設において、悪性神経膠腫の治療及び脳神経外科手術手技に十分な知識・経験を持つ医師が、本品の臨床試験成績及び有害事象等の知識を十分に習得した上で、臨床検査等によるモニタリングや管理等の適切な対応がなされる体制下で本品を使用すること。2.条件及び期限付承認後に改めて行う本品の製造販売承認申請までの期間中は、本品を使用する症例全例を対象として製造販売後承認条件評価を行うこと。3.「遺伝子組換え生物等の使用等の規制による生物の多様性の確保に関する法律(平成15年法律第97号)」に基づき承認された第一種使用規程を遵守して本品を用いるよう、その使用規程の周知等、必要な措置を講ずること。  〈期限〉7年・薬価:1mL 1瓶 143万1,918円・製造販売承認日:2021年6月11日・薬価基準収載日:2021年8月12日・発売日:2021年11月1日・製造販売元:第一三共株式会社

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治療薬にソトロビマブを追加した診療の手引き6版/厚労省

 11月2日、厚生労働省は「新型コロナウイルス感染症(COVID-19)診療の手引き 第6版」を公開した。 第6版の主な改訂点は以下の通り。【1 病原体・疫学】・変異株について、VUM(監視下の変異株)を追加・感染経路・エアロゾル感染について更新・国内/海外発生状況を更新【2 臨床像】・重症化リスク因子に日本COVIREGI-JPの解析を追加(入院時酸素投与が必要である割合のリスクと入院中の死亡率が高い基礎疾患)・小児の重症度について、日本小児科学会のレジストリ調査を追加・妊婦例の特徴について、日本産婦人科学会の調査を追加・症状の遷延(いわゆる後遺症)について、国内の調査を追加【3 症例定義・診断・届出】・血清診断について国立医薬品食品衛生研究所の報告を追加・世界のインフルエンザ流行状況を追加【4 重症度分類とマネジメント】・CPAP使用時の感染対策についての注意喚起を追加【5 薬物療法】・ソトロビマブ(商品名:セビュディ)について追加(9月27日に特例承認)・妊婦に対する薬物療法を追加・国内で開発中の薬剤について整理【6 院内感染対策】・マスクのJIS規格を追加・職員の健康管理についてワクチンの効果を追加

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慢性片頭痛予防に対する抗CGRP抗体の有効性と忍容性~ネットワークメタ解析

 カルシトニン遺伝子関連ペプチド(CGRP)またはその受容体に作用する4つのモノクローナル抗体は、慢性片頭痛を予防する新たな生物学的製剤として注目されている。台湾・弘光科技大学のChun-Pai Yang氏らは、慢性片頭痛に対する抗CGRP抗体の有効性および安全性について、従来治療薬との比較を行うため、ネットワークメタ解析を実施した。Neurotherapeutics誌オンライン版2021年9月27日号の報告。 慢性片頭痛患者を対象に抗CGRP抗体とA型ボツリヌス毒素製剤、トピラマート(従来治療薬)との比較を行ったランダム化比較試験(RCT)を検索した。すべてのネットワークメタ解析の手順は、frequentist modelを用いて行った。主要アウトカムは、1ヵ月当たりの片頭痛日数の変化および50%治療反応率とした。安全性は、受容性(脱落率)および有害事象の割合で評価した。 主な結果は以下のとおり。・13件のRCTより5,634例がネットワークメタ解析に含まれた。・eptinezumab 300mg単回投与は、1ヵ月当たりの片頭痛日数の改善効果が最も高かった(平均差:-2.60日、95%CI:-4.43~-0.77[対プラセボ])。・フレマネズマブ(初回675mg、2回目225mg、3回目225mg)投与は、奏効率が最も高かった(オッズ比:2.96、95%CI:2.20~3.97[対プラセボ])。・エレヌマブ140mg月1回投与は、急性片頭痛治療薬の減量に最も効果的であった(平均差:-2.50日、95%CI:-3.83~-1.17[対プラセボ])。・安全性の分析では、ガルカネズマブ240mg月1回投与は、脱落率が最も低かった(オッズ比:0.43、95%CI:0.22~0.84)。・フレマネズマブ675mg月1回投与(オッズ比:1.44、95%CI:1.10~1.89)、ガルカネズマブ(初回240mg、以降120mg/月)(オッズ比:1.37、95%CI:1.02~1.84)、フレマネズマブ675mg単回投与(オッズ比:1.35、95%CI:1.00~1.83)は、プラセボ/対照群と比較し、有害事象の割合が有意に高かった。 著者らは「4つの抗CGRP抗体は、慢性片頭痛に対する従来の予防薬と比較し、優れた安全性、受容性、有効性プロファイルを有していることが確認された。しかし、いくつかの制限があることを踏まえ、本結果を慎重に検討する必要がある」としている。

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