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アルツハイマー病の脆弱性と出生した季節との関係

 愛知・国立長寿医療研究センターの安野 史彦氏らは、高齢のアルツハイマー病(AD)患者において、患者の出生した季節がADの病理学的脆弱性に及ぼす影響を評価するためPETを用いた検討を行った。その結果、秋冬に出生した人は、春夏に出生した人と比較し、タウ蓄積が少ないことが明らかとなった。これは、秋冬に出生した人のタウ病理に対する脆弱性を示唆しており、寒い季節関連のリスク因子による周産期または出生後の脳損傷が影響している可能性があるという。Psychogeriatrics誌オンライン版2022年4月26日号の報告。 Alzheimer's Disease Neuroimaging Initiativeのデータセットを分析した。分析対象は、認知機能正常者234例、軽度認知障害患者(MCI)114例、AD患者38例であった。アミロイドβ(Aβ)/タウ蓄積の指標として18F-AV-45および18F-AV-1451の標準化取込値比(SUVR:standardized uptake value ratios)を用い、共分散分析により春夏の出生と秋冬の出生について群間比較を行った。さらに、出生した季節が18F-AV-45および/または18F-AV-1451のSUVRの予測因子であるかを検証し、その差を明らかにするため、多重線形回帰分析を行った。 主な結果は以下のとおり。・出生した季節の違いは、18F-AV-1451のSUVRの予測因子であった。・タウ蓄積に影響を及ぼす可能性がある年齢、性別、教育年数、ADAS-cogスコアで調整した後、認知機能正常者およびMCI/AD患者いずれにおいても、秋冬に出生した群は春夏に出生した群よりも、18F-AV-1451のSUVRが低値であった。

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nAMD/DME治療薬、バビースモ発売/中外製薬

 中外製薬株式会社は5月25日付のプレスリリースで、中心窩下脈絡膜新生血管を伴う加齢黄斑変性(nAMD)および糖尿病黄斑浮腫(DME)の治療薬であるバビースモ硝子体内注射液120mg/mL(一般名:ファリシマブ[遺伝子組換え])の販売を開始したことを発表した。 バビースモは、眼科領域における初のバイスペシフィック抗体であり、血管内皮増殖因子-A(VEGF-A)およびアンジオポエチン-2(Ang-2)の働きを阻害することでnAMD、DMEに関与する2つの疾患経路を阻害し、視力を改善する作用を持つ。 本剤の承認根拠となった、4本のグローバル第III相臨床試験(DME:YOSEMITE試験およびRHINE試験、nAMD:TENAYA試験およびLUCERNE試験)において、バビースモは主要評価項目である視力の改善を示すとともに、両疾患に対する眼内注射剤の第III相臨床試験で初めて最長16週間隔の持続性を達成した。 代表取締役社長 CEOの奥田 修氏は、「当社が初めて本格参入する眼科領域において、領域初のバイスペシフィック抗体バビースモを発売できることを心よりうれしく思う。バビースモの適応症である2つの疾患は、適切な治療がなされない場合、視力の大幅な低下や失明のリスクを伴う。こうした疾患に対しバビースモをお役立ていただけるよう、医療専門家への情報提供活動とともに、疾患啓発ウェブサイト等を通じた患者さん・ケアギバーのサポートにも注力していく」と述べた。 なお、バビースモに関する同社の情報提供活動では、新たに設置する眼科専門MRとエリア担当MRが連携して、より専門性の高い情報へのニーズに対応していく予定としている。

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オンデキサ発売、国内初の直接作用型第Xa因子阻害剤中和剤/アレクシオンファーマ・アストラゼネカ

 アストラゼネカは5月25日付のプレスリリースで、アレクシオンファーマが製造販売承認を取得したオンデキサ静注用 200mg(一般名:アンデキサネット アルファ[遺伝子組換え]、以下:オンデキサ)の販売を開始したことを発表した。オンデキサ投与後12時間で患者の79.6%に有効な止血効果 直接作用型第Xa因子阻害剤は、血栓が形成されないよう血液の凝固を防ぐ一方で、生命を脅かす重大な出血のリスクを高める可能性がある。しかし、大出血を起こした直接作用型第Xa因子阻害剤を服用している患者に対して中和剤はこれまでなく、高いアンメットニーズが存在していた。 オンデキサは、血液凝固に関与するヒト血液凝固第Xa因子の遺伝子組換え改変デコイタンパク質であり、国内で唯一第Xa因子阻害剤に結合し、その抗凝固作用を速やかに中和する作用をもつ薬剤として承認された。 オンデキサ承認の根拠となった国際共同第IIIb/IV相14-505(ANNEXA-4)試験では、直接作用型第Xa因子阻害剤の投与を受けており、急性の大出血を起こした患者を対象に、オンデキサの有効性(第Xa因子阻害剤の抗第Xa因子活性の中和効果、および止血効果)と安全性が評価された。 オンデキサ承認の根拠となったANNEXA-4試験の主な結果は以下の通り。・オンデキサはいずれの第Xa因子阻害剤を投与した患者でも、本剤を静脈内投与後には抗第Xa因子活性を速やかかつ有意に低下させた。・オンデキサ投与後12時間の時点で患者の79.6%(258/324例)に有効な止血効果が確認された。・オンデキサの副作用の発現頻度は、11.9%(57/477例)で、主な副作用は、虚血性脳卒中1.5%(7/477例)、頭痛1.0%(5/477例)、脳血管発作、心筋梗塞、肺塞栓症、発熱各0.8%(4/477例)、脳梗塞、塞栓性脳卒中、心房血栓症、深部静脈血栓症、悪心各0.6%(3/477例)であった。 オンデキサは、第Xa因子阻害剤であるアピキサバンまたはリバーロキサバン投与中に大出血を起こした患者に対する中和剤として、2018年5月に米国食品医薬品局より迅速承認制度による承認を受け、2019年4月に欧州委員会から条件付き承認を取得した。日本でオンデキサは、2019年11月19日付で希少疾病用医薬品に指定されている。

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ワクチンはlong COVIDに有効か/BMJ

 新型コロナウイルス感染症(COVID-19)におけるlong COVID(罹患後症状、いわゆる後遺症)の発現は、COVID-19ワクチンの登場以降に減少し、2回目の接種後は少なくとも約2ヵ月にわたり持続的な改善が得られることが、英国・国家統計局のDaniel Ayoubkhani氏らの調査で示された。研究の詳細は、BMJ誌2022年5月18日号に掲載された。英国の地域住民ベースの観察研究 研究グループは、COVID-19ワクチン接種前に重症急性呼吸器症候群コロナウイルス2(SARS-CoV-2)に感染した成人において、ワクチン接種とlong COVIDの症状の関連を評価する目的で、地域住民ベースの観察研究を実施した(特定の研究助成は受けていない)。 対象は、英国・国家統計局が行ったCOVID-19 Infection Survey(CIS)の参加者のうち、2021年2月3日の時点で年齢が18~69歳であり、SARS-CoV-2感染陽性と判定されたのち、アデノウイルスベクターワクチンまたはmRNAワクチンの接種を少なくとも1回受けた集団であった。 主要アウトカムは、2021年2月3日~9月5日の期間に、感染から12週以上が経過した時点におけるlong COVIDの症状の発現とされた。アウトカムの軌道解析では、各ワクチン接種前の受診時を0と設定して追跡が行われた。long COVID症状発現率は23.7% 2万8,356例(mRNAワクチン1万2,859例、アデノウイルスベクターワクチン1万5,497例)が登録された。平均(±SD)年齢は45.9(±13.6)歳で、1万5,760例(55.6%)が女性であり、2万5,141例(88.7%)が白人だった。 追跡期間中央値は、1回目接種(全参加者)から141日で、2回目接種(参加者の83.8%)からは67日であった。追跡期間中に、6,729例(23.7%)から、重症度を問わず少なくとも1回のlong COVIDの症状が報告された。 ワクチンの1回目接種により、long COVIDの症状発現のオッズが当初12.8%(95%信頼区間[CI]:-18.6~-6.6、p<0.001)減少し、その後、2回目接種までの週当たりの軌道には増減(0.3%/週、95%CI:-0.6~1.2、p=0.51)が認められた。 2回目接種では、long COVIDのオッズが当初8.8%(95%CI:-14.1~-3.1、p=0.003)減少し、その後は週当たり0.8%(95%CI:-1.2~-0.4、p<0.001)減少した。 一方、アデノウイルスベクターワクチン接種者とmRNAワクチン接種者で、接種後のlong COVIDの軌道に差はなかった。また、社会人口学的特性(年齢、性別、人種、5段階の地理的剥奪)、健康関連因子(自己報告による健康状態、急性期COVID-19による入院の有無)、SARS-CoV-2感染からワクチン接種までの期間の違いで、ワクチン接種とlong COVID症状発現に関連はみられなかった。 1回目接種後に発現率が数値上で最も低下したlong COVID症状は嗅覚障害(-12.5%、95%CI:-21.5~-2.5、p=0.02)で、次いで味覚障害(-9.2%、-19.8~2.7、p=0.13)、睡眠障害(-8.8%、-19.4~3.3、p=0.15)の順であった。2回目接種後は、疲労(-9.7%、-16.5~-2.4、p=0.01)、頭痛(-9.0%、-18.1~1.0、p=0.08)、睡眠障害(-9.0%、-18.2~1.2、p=0.08)の順で低下の幅が大きかった。 著者は、「この観察研究のエビデンスから因果関係を導き出すことはできないが、ワクチン接種はlong COVIDによる住民の健康負担の軽減に寄与する可能性がある。今後、より長期の追跡調査が必要である」としている。

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機械学習でアルコール使用障害の再発リスクを予測

 機械学習により治療終了後に再発するリスクの高いアルコール使用障害(AUD)患者を特定できる可能性のあることが、新たな研究で明らかにされた。米イェール大学医学部精神医学分野のWalter Roberts氏らが実施したこの研究の詳細は、「Alcoholism: Clinical and Experimental Research」に4月14日掲載された。 AUDに対する治療は再発率が高く、多くの患者が治療中や治療後に大量のアルコール飲料を摂取してしまう。そのため、特に重度のAUD患者では、長期にわたる禁酒を成功させるまでに、繰り返し治療を受けることも珍しくない。AUDの再発は、医療費にかける負担が大きいだけでなく、患者の治療に対する意欲を損なう。過去の研究では、治療アウトカムと関連するAUD患者の特徴が特定されているが、これらを体系的に活用して臨床的アウトカムの予測を試みた研究は少ない。 そこでRoberts氏らは、AUDと薬物療法に関する最大の臨床試験であるCOMBINE試験(対象者1,383人)のデータを基に機械学習による予測モデルを構築し、AUD患者の臨床的アウトカムに対する予測能を検証した。同試験の対象患者は、薬物療法、または薬物療法+行動療法など9種類の介入法のうちのいずれかを4カ月間受ける群にランダムに割り当てられていた。予測ターゲットは、治療開始後1カ月以内、治療終了前1カ月間、または隔週で行われる治療セッション間での大量飲酒とされた。なお、大量飲酒は、女性では1日4杯以上、男性では1日5杯以上の飲酒と定義された。 その結果、このモデルは再発リスクの予測に優れ、大量飲酒に舞い戻るリスクが高く、介入を追加することでベネフィットを得られる可能性のある患者を、臨床医よりも正確に特定できる可能性が高いことが明らかになった。 また、AUD再発を予測する上で最も重要な因子は、肝酵素レベル、アルコール依存症が始まった年齢などの他、飲酒行動や精神症状に関連する自記式の調査スコアなどであることが分かった。Roberts氏らは、「これらの因子に関する情報は、AUDの治療中に比較的容易かつ安価に得ることができる」と指摘している。さらに、過去の研究では有害な飲酒と関連を示す因子に性差のあることが示されていたが、今回の研究でもそれらの知見と一致する結果が得られた。 以上のような結果を踏まえた上でRoberts氏らは、「この研究により、定期的に収集された臨床データを用いれば、機械学習によりAUDに対する治療のアウトカムを予測できる可能性のあることが明らかになった。この手法を用いることで、高額で侵襲的な評価方法を使わずとも、臨床上の予測精度を大幅に向上させることができるかもしれない。こうしたモデルをどのように活用するのが最善なのか、さらなる研究で追求する必要がある」と結論付けている。

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武田(ノババックス)ワクチンの副反応

武田(ノババックス)コロナワクチンの主な副反応初回接種(1、2回目)追加接種(3回目)(%)1001001001回目81.42回目80808063.362.760606050.032.743.354.651.046.945.940404029.321.3 20.729.317.3 10.0 10.7 8.728.617.3 15.313.3 11.3 2020202.72.74.711.310.313.317.33.3000<背景>国内第I/Ⅱ相試験(TAK-019-1501試験)の結果を基に作成。ワクチン接種群150例(新型コロナウイルス感染症ワクチン未接種の20歳以上の日本人健康成人)から報告された局所反応別割合の結果をグラフ化。<背景>海外第I/Ⅱ相試験(2019nCoV-101試験 第2相パート)の結果を基に作成。ワクチン接種群97例(本剤を3週間隔で2回接種した18~84歳の健康成人)から報告された局所反応別割合の結果をグラフ化。・本剤は組換えタンパクワクチンで、不活化ワクチンの一種です。・ワクチン未接種の方、1回目や2回目にほかのワクチンを接種した方でも接種可能です。また、mRNAワクチンにアレルギーがあった方でも受けられる場合があります。・上記グラフは発現頻度が10%以上の副反応を示し、「発熱」については追加接種(3回目)後に報告されました。いずれの副反応も大部分は接種後1~2日以内に発現し、持続期間の中央値は1.0~2.5日でした。出典:ヌバキソビッド筋注添付文書、厚生労働省_武田社の新型コロナワクチン(ノババックス)についてCopyright © 2022 CareNet,Inc. All rights reserved.

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第102回 サル痘にも有効な「天然痘ワクチン」、国内備蓄の活用を検討

<先週の動き>1.サル痘にも有効な「天然痘ワクチン」、国内備蓄の活用を検討2.来年度から「マイナ保険証」義務化、健康保険証は原則廃止/厚労省3.後期高齢者の所得確認にもマイナ活用、プラットフォーム創設4.サイバー攻撃対策強化、職員向けセキュリティ研修が義務に/厚労省5.検査キット販売や看護師・薬剤師のタスクシェアなど、規制緩和を検討へ6.大麻取締法の改正について議論開始、医療ニーズへ対応/厚労省1.サル痘にも有効な「天然痘ワクチン」、国内備蓄の活用を検討欧米を中心に感染報告が相次いでいる感染症「サル痘」について、有効とされる天然痘ワクチンに注目が集まっており、すでに各国が確保に動き出している。後藤 茂之厚生労働相は27日の閣議後の記者会見で、わが国では以前からテロ対策を目的に天然痘ワクチンの生産・備蓄が行われており、政府がワクチンの活用方法について検討を進めていると述べた。世界保健機関(WHO)や国立感染症研究所などによると、サル痘は主にアフリカで流行する感染症で、発疹や発熱などの症状が出る。天然痘ワクチンには、サル痘の発症予防効果が約85%あるとされ、英国では感染が疑われる人への接種が進められている。現時点で国内での感染例はなく、後藤氏は「人から人への感染はまれとされている。国内外の発生動向を監視しつつ、必要な対応を講じる」と話した。(参考)サル痘とは?(ケアネット 患者説明用スライド)天然痘ワクチン「国内で備蓄」 サル痘にも有効―後藤厚労相(時事通信)サル痘に有効とされる天然痘ワクチン 日本も備蓄、活用方法を検討(毎日新聞)2.来年度から「マイナ保険証」義務化、健康保険証は原則廃止/厚労省厚生労働省は25日の社会保障審議会にて、健康保険証を原則廃止とし、2023年度からすべての医療機関・調剤薬局でマイナンバーカードと健康保険証を一体化した「マイナ保険証」の導入を義務付けることを決定した。政府によれば、オンライン資格確認に必要な顔認証付きカードリーダーの申し込みは約6割(約13万)の施設が済ませているが、運用を開始している施設は19%であり、マイナンバーカードによる資格確認の迅速な導入が求められている。2022年度上半期には導入の加速化が図られるよう集中的な取り組みを行い、未対応の施設は遅くとも9月頃までに顔認証付きカードリーダーの申し込みが必要とし、働きかけを行っていく。(参考)保険証「原則廃止」へ マイナンバーカードに一本化 政府検討(朝日新聞)マイナ保険証、病院に義務化 患者負担軽減も視野 厚労省検討(日経新聞)資料 オンライン資格確認等システムについて(厚労省)3.後期高齢者の所得確認にもマイナ活用、プラットフォーム創設政府が本年6月に取りまとめる経済財政運営方針「骨太の方針」に、75歳以上の後期高齢者の保険料の見直しについて、株式や配当などの金融所得も含めて勘案するため、マイナンバーカードを活用することが盛り込まれる。これによって、後期高齢者の医療費を支える現役世代の負担を軽減できる可能性がある。今後、金融資産がある高齢者の負担は増える見込みだ。このほか、「全国医療情報プラットフォーム」の創設を行い、電子カルテの診療情報やワクチン接種歴などを医療機関や自治体が共有し、患者が最適な治療を受けられるような情報基盤を作ることが決定した。災害時など、かかりつけ外の医療機関でも患者情報を確認し必要な治療の継続が可能になるほか、救急搬送された意識障害患者等の手術や薬剤情報等を確認することで、より適切で迅速な検査、診断、治療等の実施が可能となる。なお医療機関・薬局への情報共有は、個別に同意を得る仕組みを構築した後に運用を開始するとされ、2023年5月が目途。(参考)75歳以上保険料決定に「マイナンバー」活用も ”骨太の方針”原案判明(FNNプライムオンライン)医療情報、デジタル化で共有 プラットフォーム創設 骨太方針に明記(産経新聞)全国の医療機関で診療情報(レセプト・電子カルテ)を共有する仕組み、社保審・医療保険部会でも細部了承(Gem Med)4.サイバー攻撃対策強化、職員向けセキュリティ研修が義務に/厚労省近年、病院への大規模なサイバー攻撃がわが国でも増加していることを踏まえ、厚労省は27日に医療機関でのサイバーセキュリティ対策の方針を明らかにした。平時の医療機関での情報共有基盤として、医療版のISAC(Information Sharing and Analysis Center)を立ち上げてサイバーセキュリティのリスクマネジメントを強化支援する仕組みを確立するほか、脆弱性が指摘されている機器のアップデートや、医療従事者へのセキュリティ対策研修の充実を図る。診療録管理体制加算を算定する400床以上の医療機関には、年1回程度以上の職員向け情報セキュリティ研修の実施が求められる。(参考)医療機関へのサイバー攻撃対策、「ISAC」設立へ 200床未満の施設に「お助け隊」活用促進(CB news)病院に相次ぐサイバー攻撃 遅れる医療の防衛、日経調査 大規模3病院に侵入 3分の2でパスワード漏れも(日経新聞)医療分野のサイバーセキュリティ対策について(厚労省)5.検査キット販売や看護師・薬剤師のタスクシェアなど、規制緩和を検討へ岸田内閣の諮問機関である規制改革推進会議は、27日、政府に答申を提出した。5つの重点分野のうち、医療・介護・感染症対策として、オンライン診療の拡充により、自宅で受診・健康管理から薬剤・医薬品受け取りまでを可能とする方策や、薬剤師による調剤業務の一部外部委託を可能とする検討のほか、薬局での抗原定性検査キット販売の完全解禁などを求めている。また今後、介護需要増加に伴い人手不足が見込まれる介護施設での人員配置基準の緩和や、薬剤師による看護業務のタスクシェアのほか、機械学習を行うプログラム医療機器(SaMD)のアップデート時の審査の省略・簡略化についても検討を求めている。(参考)オンライン診療拡充、抗原キット薬局販売…規制改革推進会議が答申取りまとめ(読売新聞)国承認コロナ検査キット ネットでなぜ買えない? 政府見直し議論へ(朝日新聞)医療改革、スピード不可欠 規制改革会議が答申 看護、薬剤師が分担/介護人員を変更(日経新聞)6.大麻取締法の改正について議論開始、医療ニーズへ対応/厚労省厚労省は、大麻の規制について検討する委員会を25日新たに立ち上げた。2021年6月に出された「大麻等の薬物対策のあり方検討会」の取りまとめを踏まえ、大麻取締法、麻薬及び向精神薬取締法改正に向けて、議論を開始する。米国やG7諸国で承認されている大麻から製造された難治性のてんかん治療薬の事例等を参考に、医療ニーズへの対応や適切な利用を推進するとともに、大麻事犯の検挙人員が7年連続で増加していることを鑑みて大麻使用罪を創設するなど、不適切な大麻利用・乱用に対しても対応していく。(参考)大麻の「使用罪」導入の方向で議論 厚労省の新たな小委員会がスタート(BuzzFeed)第1回 厚生科学審議会医薬品医療機器制度部会大麻規制検討小委員会 資料

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「医師の常識」を疑え【今日から始める「医師の働き方改革」】第11回

第11回 「医師の常識」を疑えお話を伺った森内 浩幸氏(長崎大学医学部小児科学教室 教授)日々仕事に邁進し、同僚など特定の人としか会話しないと、今いる世界の常識にどっぷりと浸ってしまい、「当たり前」を疑うことが難しくなります。どの業界にも言えることですが、多忙な医師はとくに陥りやすい状況ではないでしょうか。そんな「当たり前」を疑うことで医局の働き方改革を前進させた、長崎大学医学部小児科学教室の森内 浩幸氏にお話を伺いました。―大学全体の働き方改革プロジェクト「ワークスタイル・イノベーション」に参加してみていかがでしたか?プロジェクト参加がきっかけで、医局全体の意識が変わりました。小児科は子供が相手で人手が必要で、非常に多忙です。それでも、長く健康に働き続け、よい医療を提供するためには自分たちのワークライフバランスが重要だ、という認識を新たにしました。具体的な変化もいくつかありました。1)夜間や週末の病状説明を原則廃止お子さんの病状や診療方針を両親に説明する際、これまでは希望に応じて夜間や週末にも対応してきました。でも、今は「大切なお子さんのためですから、平日の診療時間内に時間をつくっていただけませんか?」と相談し、対応してもらっています。2)院内カップルへの配慮職場内にパートナーがいるという医師が少なくなく、人事や異動のタイミングで相手側の医局長と話し、小児科側の意向を伝えるようにしています。とくに子どもがいる医師の場合、異動が家庭に与える影響は大きいですから、事前に本人と併せ、パートナー側の状況までを把握することが大切だと考えています。長崎大学医学部小児科学教室(病棟カンファレンス)―これまで当然とされてきた医局の「当たり前」を変えたのですね。医師の世界では当たり前でも、外から見れば当たり前とは程遠いとことは少なくありません。「医師は長時間労働が当たり前」という「常識」も今後は確実に変わっていくでしょう。私の場合、米国留学の経験が常識を疑うことの大切さを知るうえで大きかったですね。米国の医師の常識は日本の医師とは違う部分も多く、とくにオンオフの切り替えがはっきりしており、当番の日でなければ定時で帰って家族と食事をする、というのがあちらの「常識」でした。今はインターネットでさまざまな情報が取れる時代ですから、他の世界の常識を知ることが、変革のヒントになるはずです。長崎大学医学部小児科学教室(病棟回診)〈解説〉「当たり前」と思っていることは盲点になりやすく、自分たちでは気付きにくいものです。書籍『思考の枠を超える』(篠原 信、日本実業出版社)では、自分の常識を問い直す手法として、「言語化」というものが紹介されています。言語化とはその意味通り、「今起こっていることや気付いたことを他の人に話す」というものです。言葉にすると、説明できることと説明できないことがあることに気付きます。うまく説明できない、話せない部分にこそ「自分が常識と思っている盲点」が隠れています。言語化を使うためには、医師以外の方が参加する勉強会などに参加したり、友人と話したりする機会を持つとよいでしょう。共有する知識の少ない人にある程度抽象化して話すことで、自分の組織をいつもとは違った目で見ることができます。私たちのような働き方改革の専門家に相談することも組織の問題を言語化する大きな機会となるでしょう。今では働き方改革の先進病院として注目される長崎大学病院も、当初はどの先生も葛藤を持ちながら、自分の常識を言葉にし、それを問い直すことから始めました。ぜひ、皆さんも自分と組織の「当たり前」を問い直す作業に挑戦してみてください。

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食道がんに対するニボルマブ+イピリムマブとニボルマブ+化学療法が承認/小野薬品・BMS

 小野薬品とブリストル・マイヤーズ スクイブは、2022年5月26日、ニボルマブとイピリムマブについて、根治切除不能な進行・再発の食道がんを対象とした併用療法に係る国内製造販売承認事項一部変更承認を取得したと発表。 また小野薬品は、ニボルマブについて、同適応症に対してニボルマブと化学療法との併用療法に係る一部変更承認も取得した。 今回の承認は、治療歴のない切除不能な進行性、再発または転移のある食道扁平上皮がん患者を対象に、ニボルマブとイピリムマブの併用療法およびニボルマブと化学療法の併用療法を、化学療法と比較評価した多施設国際共同無作為化非盲検第III相試験であるCheckMate-648試験の結果に基づいている。 同試験において、あらかじめ計画された中間解析で、ニボルマブによる上記2種類の併用療法が、化学療法と比較して、PD-L1発現率が1%以上の患者および全無作為化患者集団において統計学的に有意かつ臨床的に意義のある全生存期間(OS)の延長を示した。本試験におけるニボルマブとイピリムマブの併用療法およびニボルマブと化学療法の併用療法の安全性プロファイルは、これまでに報告されている各薬剤のものと一貫していた。

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双極I型障害における抗うつ薬治療と躁転リスク

 双極性障害の治療において、症状転換は臨床的な問題になることが多い。実臨床では、双極性うつ病の治療に抗うつ薬が用いられることがあるが、そのベネフィットについては議論の余地が残っている。これまで双極性うつ病の躁転に焦点を当てた遺伝子研究はほとんど行われておらず、ゲノムワイド関連解析(GWAS)はなかった。台湾・Chang Gung Memorial HospitalのChih-Ken Chen氏らは、双極I型障害の躁転リスクに対するゲノム研究と抗うつ薬の影響について調査を行った。その結果、抗うつ薬治療とrs10262219は、複合的に双極性うつ病後の躁転リスクを増加させることを報告した。Journal of Personalized Medicine誌2022年4月11日号の報告。 対象は、抗うつ薬治療とアウトカムの完全なデータがあり、複数のうつ病エピソードを有する双極性障害患者1,004例。躁症状とうつ症状の臨床評価は、訓練を受けた精神科看護師および精神科医がSchedules for Clinical Assessment in Neuropsychiatry(SCAN)の中国語版を用いて実施した。双極I型障害の診断はDSM-IV基準に従った。躁転は、急性うつ病エピソードの寛解から8週間以内に認められた躁病エピソードと定義した。対象患者の初回うつ病エピソード発症年齢は30.7±12.5歳であり、全患者の56%は女性であった。GWASは746例で実施し、その後255例の独立したグループで複製を行った。 主な結果は以下のとおり。・GWASにおいて、7番染色体上のrs10262219は、躁転リスクと最も強く関連する対立遺伝子であることが示唆されたが(p=0.000000221)、複製では有意性は認められなかった。・抗うつ薬治療は、躁転リスクを有意に増加させた(オッズ比:1.7、95%CI:1.3~2.2、p<0.001)。・ロジスティック回帰分析では、rs10262219のCC遺伝子型(オッズ比:3.0、95%CI:1.7~5.2)および抗うつ薬治療(オッズ比:2.3、95%CI:1.4~3.7)が、複合的な影響を伴う躁転リスクを有意に増加させた(オッズ比:5.9、95%CI:3.7~9.4)。

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4回目接種・ノババックスなど追記、接種実施の手引き8版/厚生労働省

 厚生労働省は、5月25日に全国の市町村に「新型コロナウイルス感染症に係る予防接種の実施に関する手引き(8版)」を発出するとともに、同省のホームページでも公開した。本手引きは2020年12月17日の初版以来、十数回の更新を行い、その時どきの臨床知見、行政施策を反映した内容に改訂されている。主な改訂点〔第2章 接種類型等〕第2章3、第3章3(12)、第5章、第7章3・4回目接種について追記第2章4(2)ク・各ワクチンの接種機会の確保について更新第2章5・ワクチンの契約状況について更新・ワクチンの有効期限について事務連絡の日付を更新し、記載を一部追記第2章5・図3 新型コロナワクチンの各社情報を更新〔第3章 事前準備〕第3章3(12)、5(2)オ(イ)、第4章3(1)イ、第4章3(15)、第5章、第7章1(1)エ、2(3)・武田社ワクチン(ノババックス)について追記第3章6(2)、第4章3(15)、第5章2(5)・予診票などの様式について更新第3章8(4)・在留外国人への接種について一部追記〔第4章 接種の流れ〕第4章2(5)イ(エ)・職域接種の完了時に余剰が生じた武田/モデルナ社ワクチンの取扱いについて一部追記第4章2(5)ウ、(6)・武田社ワクチン(ノババックス)の移送、融通について追記第4章3(11)、第5章1(3)ア、3(4)イ(イ)・5~11歳用ファイザー社ワクチン、武田社ワクチン(ノババックス)およびインド血清研究所が製造する「コボバックス(COVOVAX)」について追記第4章3(13)・接種を受ける努力義務などの取扱いについて更新第4章4(1)イ、ウ(エ)・住民票所在地以外において接種を受ける者及び市町村への届出を省略することができる場合について、記載を簡略化第4章5、5(2)・4回目接種開始以降の費用請求時の編綴方法について追記〔第5章 追加接種(3回目接種、4回目接種)〕第5章1(3)ア、(4)、(5)・武田社ワクチン(ノババックス)の3回目接種について追記第5章1(4)、第7章2(1)、(2)・ファイザー社ワクチンおよび武田/モデルナ社ワクチンを用いた3回目接種の接種間隔について更新第5章3(4)イ(ウ)・接種券発行申請書(3回目接種用)の様式について更新 厚生労働省では、「本手引きは、新型コロナウイルス感染症に係る予防接種について、現時点での情報などその具体的な事務取扱を提示するものである。今後の検討状況により随時追記していくものであり、内容を変更する可能性もある」と常に新しい情報を参考とするように示している。

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アテゾリスマブの非小細胞肺がん術後補助療法が承認/中外

 中外製薬は2022年5月26日、アテゾリズマブ(製品名:テセントリク)について、「PD-L1陽性の非小細胞肺における術後補助療法」に対する適応追加の承認を取得した。 PD-L1発現状況の確認は、ロシュ・ダイアグノスティックスの病理検査用キット「ベンタナ OptiView PD-L1(SP263)」によって行う。同検査用キットはコンパニオン診断として2022年5月23日に適応追加の承認を取得している。 今回の承認は、非小細胞肺がんの術後補助療法における第III相臨床試験IMpower010試験の成績に基づいている。同試験は、腫瘍細胞でPD-L1が1%以上発現しているII期~IIIA期の非小細胞肺がんの手術および化学療法を実施後の患者において、支持療法と比較して、アテゾリズマブによる治療が再発または死亡のリスク(無病生存期間、DFS)を34%低下させた(ハザード比:0.66、95%信頼区間:0.50~0.88)。主な副作用(5%以上)は、甲状腺機能低下症、そう痒症、発疹、AST増加、ALT増加、甲状腺機能亢進症、発熱、関節痛等であった。■関連記事アテゾリズマブによるNSCLCアジュバント アジア人の成績(IMpower010)/日本臨床腫瘍学会免疫治療薬による非小細胞肺がん術後アジュバント「IMpower010」アテゾリスマブの非小細胞肺がん術後アジュバントが米国で承認/ロシュアテゾリズマブによるNSCLCアジュバントの成績は?(IMpower010)/ASCO2021

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オゼンピック皮下注の複数回使用製剤、新発売/ノボ ノルディスク ファーマ

 ノボ ノルディスク ファーマは、2022年5月25日、2型糖尿病を効能・効果とする週1回投与のGLP-1アナログ製剤「オゼンピック皮下注2mg」の販売を開始した。オゼンピック皮下注2mgは、従来からインスリン製剤等に使用されているペン型注入器「フレックスタッチ」と同様の構造であり、投与に際してはA型専用注射針(30~34G)を使用する。オゼンピック皮下注2mgは用量調節・複数回使用が可能 オゼンピック皮下注については、2020年6月29日に単回投与デバイスを用いた同0.25mg SD、同0.5mg SDおよび同1.0mg SDが発売されている。しかし、2022年3月中旬頃から日本において出荷停止となっていた。オゼンピック皮下注 SDが出荷停止となったことに伴い、医療機関では代替薬への切り替えが行われていた。このような中、用量調節が可能な複数回使用製剤であるオゼンピック皮下注2mgが発売されることとなった。 なお、同社はオゼンピック皮下注 SDについて「当面は出荷停止が続く見込みだが、日本での供給再開を目指している」と述べている。オゼンピック皮下注2mg製品概要・製品名:オゼンピック皮下注2mg・一般名:セマグルチド(遺伝子組換え)・効能・効果:2型糖尿病・用法・用量:通常、成人には、セマグルチド(遺伝子組換え)として週1回0.5mgを維持用量とし、皮下注射する。ただし、週1回0.25mgから開始し、4週間投与した後、週1回0.5mgに増量する。なお、患者の状態に応じて適宜増減するが、週1回0.5mgを4週間以上投与しても効果不十分な場合には、週1回1.0mgまで増量することができる。・適用上の注意:本剤はJIS T 3226-2に準拠したA型専用注射針を用いて使用すること・包装 1筒1.5mL:1本・承認年月日:2018年3月23日・薬価基準収載日:2022年5月25日・薬価:オゼンピック皮下注2mg:11,008円・発売日:2022年5月25日・製造販売元:ノボ ノルディスク ファーマ株式会社

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膀胱がん摘除術後の生存・回復、ロボット支援 vs.開腹術/JAMA

 根治的膀胱摘除術を受けた転移のない膀胱がん患者において、体腔内尿路変向術(ICUD)を伴うロボット支援根治的膀胱摘除術(RARC)は開腹膀胱全摘除術(ORC)と比較し、術後90日間の生存および入院不要の院外療養日数を統計学的に有意に増加することが、英国・シェフィールド大学のJames W. F. Catto氏らによる医師主導型多施設共同第III相無作為化非盲検試験「iROC試験」の結果、示された。近年、RARCの実施頻度が増加しているが、ORCと比較して回復を改善するかどうかは不明であった。なお著者は、「今回示された両群の差については、臨床的意義があるかどうかまだ不確かである」と述べている。JAMA誌オンライン版2022年5月15日号掲載の報告。転移のない膀胱がん患者338例をロボット群または開腹群に無作為化 研究グループは、2017年3月~2020年3月の間に、英国内の9施設にて転移のない膀胱がん患者を登録した。適格基準は、転移のない尿路上皮・扁平上皮・腺がんまたは特殊型膀胱がん(≦N1)で、根治的膀胱摘除術の適応となる成人(18歳以上)患者であった。 適格患者338例を、ICUDを伴うRARC(ロボット)群(169例)またはORC(開腹)群(169例)に、尿路変向の種類および施設で層別化して無作為に割り付け、90日後、6ヵ月後および12ヵ月後に追跡調査を実施した(最終追跡調査日:2021年9月23日)。 主要評価項目は術後90日以内の生存および院外療養日数(術後入院期間・再入院・死亡の評価を意味する)、副次評価項目は合併症、有害事象、健康関連QOL、障害、全生存期間等を含む20項目であった。生存・院外療養日数中央値、ロボット群82日、開腹群80日で有意差あり 338例中317例が根治的膀胱摘除術を受けた(ロボット群161例、開腹群156例)。患者背景は平均年齢69歳、女性67例(21%)、術前化学療法歴107例(34%)、回腸導管再建282例(89%)であった。 主要評価項目の解析対象は305例(96%)で、術後90日以内の生存・院外療養日数中央値は、ロボット群82日(IQR:76~84)、開腹群80日(72~83)であった(補正後群間差:2.2日、95%信頼区間[CI]:0.50~3.85、p=0.01)。 血栓塞栓性合併症(1.9% vs.8.3%、群間差:-6.5%[95%CI:-11.4~-1.4])および創傷合併症(5.6% vs.16.0%、-11.7%[-18.6~-4.6])は、ロボット群が開腹群より低頻度であった。 開腹群では、ロボット群より5週後の健康関連QOLが不良であった(平均EQ-5D-5Lスコアの群間差:-0.07、95%CI:-0.11~-0.03、p=0.003)。また、5週後の障害も大きかったが(WHO DAS 2.0スコアの群間差:0.48、95%CI:0.15~0.73、p=0.003)、12週以降には有意差はなくなった(同:0.38、0.09~0.68、p=0.01)。 追跡期間中央値18.4ヵ月(IQR:12.8~21.1)において、ロボット群と開腹群とでがん再発(29/161例[18%]vs.25/156例[16%])および全死因死亡(23/161例[14.3%]vs.23/156例[14.7%])はいずれも有意差は認められなかった。

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小児期の心血管リスク因子、中年期の心血管イベントと関連/NEJM

 心血管リスク因子であるBMI、収縮期血圧、総コレステロール値、トリグリセライド値および若年期喫煙は、とくに幼少期からの組み合わせで、成人期の心血管イベントおよび60歳前の心血管死と関連することが、米国・ミネソタ大学のDavid R. Jacobs Jr氏らによるInternational Childhood Cardiovascular Cohort(i3C)コンソーシアムの前向きコホート研究の結果、示された。小児期の心血管リスク因子は潜在的な成人期の心血管疾患を予測するが、臨床イベントとの関連は明らかになっていなかった。NEJM誌2022年5月19日号掲載の報告。3~19歳の約4万人を平均35年追跡、5つのリスク因子と心血管イベントの関連を解析 研究グループは、1970年代から1990年代にかけてi3Cコンソーシアムの7つの前向きコホートに登録された3~19歳の参加者4万2,324人を対象に、平均35年追跡し、小児期に最もよく評価される5つのリスク因子(BMI、収縮期血圧、総コレステロール値、トリグリセライド値、若年期喫煙)が成人期の心血管イベントに関連しているかを評価した。追跡調査は2015~19年に行われた。 リスク因子は、i3Cコンソーシアム内で正規化された年齢・性特異的zスコア、および5つのリスクzスコアの非加重平均として計算した複合リスクzスコアを用いて解析し、代数的に同等な成人の複合リスクzスコア(心血管イベント発生前)は小児期のリスク因子と同様に解析した。評価項目は、致死的心血管イベント、致死的または非致死的心血管イベントで、多重代入後に比例ハザード回帰分析を行った。 参加者4万2,324人のうち、所在が確認された生存者、原因が確認された死亡者、または死亡登録がなく生存していると推定された者の計3万8,589人が解析対象となった。登録時の背景は、男性49.7%、黒人15.0%、平均(±SD)年齢11.8±3.1歳であった。5つの複合リスクzスコア1単位増加当たり2.71倍 3万8,589人中319人(0.8%)に致死的心血管イベントが発生した。イベント発生時の年齢は47.0±8.0歳であった。成人期の致死的心血管イベントのハザード比は、各リスク因子zスコアに関しては総コレステロール値zスコアの1単位増加当たり1.30(95%信頼区間[CI]:1.14~1.47)から、若年期喫煙(ありvs.なし)の1.61(95%CI:1.21~2.13)の範囲であり、複合リスクzスコアに関しては1単位増加当たり2.71(95%CI:2.23~3.29)であった。 致死的または非致死的心血管イベントの解析対象は2万656人で、このうち779人(3.8%)にイベントが発生した。イベント発生時の年齢は47.1±7.4歳であった。致死的または非致死的心血管イベントのハザード比および95%CIは、致死的心血管イベントのハザード比および95%CIと類似していた。 成人期(心血管イベント発生前)のリスク因子に関するデータを有する1万3,401人(成人期調査時の年齢31.0±5.6歳)のサブグループでは、115人に致死的心血管イベントが発生し、補正後ハザード比は小児期の複合リスクzスコアに関して1単位増加当たり3.54(95%CI:2.57~4.87)、複合リスクzスコアの小児期から成人期の変化量の1単位増加当たり2.88(95%CI:2.06~4.05)であった。 同サブグループで致死的または非致死的心血管イベントは524人に発生し、補正後ハザード比はそれぞれ3.21(95%CI:2.69~3.85)および2.58(2.15~3.09)であり、致死的心血管イベントと結果は同様であった。

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標準治療にアビラテロンの上乗せ効果、転移性ホルモン感受性前立腺がんで有効(解説:宮嶋哲氏)

 転移性ホルモン感受性前立腺がん(mHSPC)に対する現在の標準治療は、アンドロゲン除去療法(ADT)にドセタキセルや第2世代抗アンドロゲン薬、もしくは放射線治療の併用である。本研究は標準治療にアビラテロンを追加する意義を検討した多施設ランダム化第III相試験(PEACE-1)である。 欧州7ヵ国における77施設において、ECOG PSが0~2でde novo mHSPC患者を対象としている。2013年11月から2018年12月までに1,173例の患者が登録され、標準治療296例、標準治療+放射線治療293例、標準治療+アビラテロン292例、標準治療+アビラテロン+放射線治療291例に割り付けられた。なお本研究の標準治療群にはADT単独投与、またはADT+ドセタキセル併用を含んでいる。 主要評価項目は画像診断によるrPFSとOSである。本試験は2×2要因デザインとなっており、アビラテロンと放射線治療の相互作用が統計学的に認められなかったことから、アビラテロン投与群のデータを集積して、アビラテロン投与群と非投与群に分け検討を行っている。その結果、アビラテロン投与群では非投与群(標準治療群、2.2年)に比してrPFS中央値は有意に延長し(4.46年、HR:0.54、p<0.0001)、アビラテロン投与により46%PFSを低減していた。OS中央値もアビラテロン投与群では非投与群(標準治療群、4.72年)に比して有意に延長し(5.72年、HR:0.82、p=0.030)、アビラテロン投与により18%死亡リスクを低減していた。 標準治療群でドセタキセルの投与によりrPFSもOSともに延長していたが、G3以上の有害事象は63%の患者に認められた。一方で標準治療+ドセタキセル投与群にアビラテロンの上乗せにより、好中球減少、疲労感、発熱性好中球減少症の頻度に変化は認められなかった。 ADT+ドセタキセルまたは放射線治療を含む標準治療群にアビラテロンを上乗せすることで、rPFSとOSの有意な延長を認め、有害事象の増加も認めなかった点は大変意義深い。標準治療にアビラテロンを加えることは、去勢抵抗性を獲得する前段階におけるmHSPCに対する強力な治療選択の1つになると考える。

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認知症かてんかんか、診察時のポイント【コロナ時代の認知症診療】第15回

「てんかん」についての認識ギャップ普通の人にとって、アルツハイマー病が高齢者の病気なら、てんかんは子供の病気だというのはいわば常識のようだ。またてんかんとけいれんは同義語だと思っている人は多いようだ。だから、「実はてんかんは高齢者に一番多い」と説明すると驚く人がほとんどである。さらに、「多くの高齢者てんかんでは、けいれんがみられない」と言うと「それ、本当!?」という反応が普通である。確かに小児期のてんかんも多いが、ご存じのように初老期以降に、てんかんの発症率も有病率も増加する。この様子を仮に図示するなら右に引っ張り上げられたU字型になる。さて初老期以降のてんかんでは、複雑部分発作が多い。多くは数十秒から数分の発作が起こり、普通は1時間以内のもうろう状態が続いてから元に戻る。その後で健忘を残す。ところがいずれのステージにおいても、多くはけいれんがみられない。しかも歩いたり食べたりは勿論、自転車やバイクの運転までできてしまうこともある。それだけに普通の人がてんかんだと思いもしないのも当然かもしれない。どうもこのような人では、認知症を疑われて、もの忘れ外来を受診する例が少なくない。というのは、本人にも周囲の人にも健忘が主症状だからである。つまり発作中とその後の記憶がないのはある意味当然だ。まわりの人には、「心ここにあらずの虚ろな目でおかしなことをしていた」などと映るが、後からそう言われても本人の記憶はまさにプッツンしている。だから周囲は、「これはボケの症状だな?」とみなすので、もの忘れ外来受診につながるようだ。認知症?てんかん?鑑別のポイントさて診察の場で、てんかんを疑うポイントがある。多いのはこのプッツン体験、つまりどうにもつながらない時間があるので、ここに強いこだわりと不安を訴えられるケースである。次に発作中でも動けるので、とんでもないことをやってしまうこともある。だがそんな自分が信じられない、「なぜこの私がこんなことを」と強い自責を示す方がある。筆者の記憶に残るのは、社長の実印を発作中に机の下のごみ箱に捨ててしまい、会社を上げて大騒ぎになった例である。類似例では、スーパーでの買い物の際に、てんかんを生じたためレジを通らずに商品を籠に入れたまま店を出ようとして警察沙汰になった例もある。この例では、取り調べに「どうしても自分が万引きしたとは思えない」と断固否定し続けたので受診に至ったのである。やっかいなのは、エピソディックな健忘事件だけでなく、「この頃、ずっと記憶が良くない」と述べる例が少なくないことである。確かに認知症にてんかんが合併と診断することもある。しかし「サブクリニカルな発作がしばしば起きているのだな」と考える例が多い。サブクリニカルというのは、第3者におかしいと思われるレベルではないし、本人もプッツンしたとは思わないのだが、脳内で軽度の異常放電が生じている状態という意味である。脳内でこうした異常放電を生じていれば、記憶をインプット(記銘)してもおそらく歩留まりは低下すると思われる。以上のような症状を、「プッツンのときは何の記憶もないし、普段でも記憶力は以前の80~90%程度に落ちた」と簡潔に表現した当事者がある。なおこうした方の脳波検査に際して、棘波のような診断的意味のある所見は必ずしも得られないことに注意が求められる。最終的にてんかんありの診断をして、抗てんかん薬により改善した症例において初回脳波検査で異常を捉えられる確率はせいぜい50%程度かなという個人的な印象がある。症状の多くは抗てんかん薬で改善する、ただし注意点もさて高齢になって初発するてんかんの背景には、老化と関連する諸要因、とくに脳神経学的な問題、例えば動脈硬化や脳出血・梗塞、脳外傷や認知症があると言われる。どれくらいてんかんが多くなるかについて、ナーシングホームの高齢者では在宅高齢者の7倍以上だが、これに神経学的な異常が重なると7~30倍にまだ高まるとした最近のレビューがある1)。自験例では、レビー小体型認知症、次いでアルツハイマー病の前駆期から初期に初発した人の割合がかなり高いという認識がある。なおてんかん症状の多くは抗てんかん薬で改善し、プッツンも80~90%程度におちた記憶も改善する。だから職場で上司から「見違える、蘇った」という称賛をもらう人も少なくない。もっとも認知症が基盤にある人では、緩徐に認知障害は進行していくようだ。終わりに抗てんかん薬の副作用への注意は言うまでもない。それらの中で最も注意が必要なのは、致命的な可能性もある皮膚疾患スティーブンス・ジョンソン症候群(Stevens-Johnson症候群)だろう。100万人に数人とされるが、指定難病として医療費助成制度もあるだけに、いかなる抗てんかん薬であっても油断は禁物である。参考1)Birnbaum AK,et al. Neurology. 2017 Feb 21;88:750-757.

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第110回 医師の一声が決め手!超高額9価HPVワクチン接種への補助金導入

厚生労働省は今年度から9年ぶりにヒトパピローマウイルス(HPV)子宮頸がんワクチンの積極的な接種勧奨を再開した。各自治体では定期接種の対象である現在小学6年生から高校1年生に相当する女子(2006年4月2日~2011年4月1日生まれ)とともに、接種勧奨中止という空白期間に対象年齢だった女性(1997年4月2日~2006年4月1日生まれ)向けの「キャッチアップ接種」も含めて、今後の接種勧奨の対応が必要になる。すでに各自治体のホームページにはこれらの情報が掲載されているが、実際の個別通知状況はまちまちだという。ちなみに私の娘はキャッチアップ接種の対象者だが、まだ個別通知は来ていない。実はすでにわが家の場合は「ワクチンマニア」の私が区の保健所に出向いて予診票を受け取りに行っている。ついでに言うと、わが家が居住する自治体はHPV以外の定期接種ワクチンは区の支所で予診票を受け取ることができるが、支所からは「子宮頸がんだけは扱いが別なんですよ」と言われ、わざわざ保健所まで出向いたという経緯がある。その際に保健所から、個別通知は6月に一斉送付すると聞いている。積極的接種勧奨が再開されたことは非常に喜ばしいことだが、長期間にわたって接種勧奨中止が続いていた影響で勧奨が再開されても対象者の親が尻込みをしてしまうケースもあると考えられる。当面、厚生労働省や各自治体はこうした「何となく怖い」と思っている人たちにどのように情報提供していくかが1つの課題になる。とりわけこの点は各自治体の工夫次第となる。一方でHPVワクチン接種に関しては国レベルでは2つの大きな課題が残されている。1つはすでに承認され、海外での接種では標準となっている9価HPVワクチンへの定期接種切替と、これまた海外では一般的になっている男性への接種拡大である。ここで書くのは釈迦に説法になってしまうが、現在日本でのHPV接種で使えるのは2価あるいは4価のワクチンである。実際の接種に使用されているのは、ほとんどが4価ではあるが、これでカバーできるハイリスクHPV型は約6~7割。これに対して9価は約9割。言うまでもなく9価を接種したほうが良いに決まっている。しかし、現在定期接種で採用されていない9価ワクチンを接種する場合、その費用は全額接種者の自費負担になる。しかもその価格は3回接種合計で10万円弱。これを個人で負担するのはかなり難儀だ。そしてこれは定期接種に採用しようとする国にとっても予算措置上頭の痛い問題になる。なんせ4価の定期接種の2倍の予算が必要になるからだ。この点は接種対象を男性に拡大することへの足かせにもなる。もっとも厚生科学審議会予防接種基本方針部会のワクチン評価に関する小委員会は3月4日に9価ワクチンを定期接種化する方針で一致しており、この点は時間が解決する段階に入っている。とはいえ今まさに接種を検討する側の心理からすれば、「早期に何とかならないのか?」と思うだろう。もちろん4価ワクチンの交叉免疫を考えれば、9価ワクチンと遜色のない効果は得られるだろうし、実際にそうした研究報告もある。とはいえ、同じ価格や労力を払うなら、より良いものを得たいというのがヒトの心理というもの。「一般消費財と医薬品・ワクチンを同等に扱うのは何事か」というご意見もあるだろうが、これまでの研究成果から見れば、その効果にほぼ疑いのないHPVワクチンならば、やはり9価ワクチンは早急に導入して欲しいと個人的にも思うところである。実際、自治体レベルではこうした一般生活者が当たり前に抱きそうな要望に応えているケースもごくわずかながらある。1つは静岡県富士市の事例である。同市では、(1)接種日時点で富士市に住民登録があること、(2)9価ワクチン以外のHPVワクチンの接種を1回も受けたことがないこと、(3)これまでに9価ワクチンの接種にかかる費用補助を受けたことがないこと、の3条件を満たした9価ワクチン接種希望者に対し、接種1回につき1万7,000円程度、1人最大3回まで補助をする方針を打ち出している。希望者は事前に同市健康政策課に申し出をしたうえで、医療機関で9価ワクチンを接種して接種費用全額を支払った後、補助交付申請で補助金が支払われる形式。やや煩雑ではあるが、9価ワクチン接種を選択肢として用意した点では画期的である。4月にこの一報に接した際に「この動きが全国に広がれば…」と思っていたが、今のところそうした動きは限定的だ。ところがそれを超える動きがつい最近登場した。秋田県のにかほ市である。同市はなんと現時点でHPVワクチンの接種対象者とキャッチアップ接種対象者に、9価ワクチン接種を希望する場合は全額補助をするという富士市以上の対応を打ち出したのだ。ちなみに、にかほ市は平成の大合併が行われた2005年10月に日本海に面する秋田県由利郡内の仁賀保町、金浦町、象潟町が合併してできた自治体である。馴染みのない人に簡単に説明すると、旧金浦町は日本人として初めて南極に上陸した白瀬 矗(のぶ)陸軍中尉の出身地であり、象潟町は江戸時代の俳人・松尾 芭蕉の紀行作品「おくのほそ道」に登場し、芭蕉が『象潟や 雨に西施(せいし)が ねぶの花』という句を詠んだ場所である。私はにかほ市の市民福祉部健康推進課母子保健支援班に電話をしてその経緯を聞いてみた。今回全額補助を決めた経緯は?【担当者】世間でHPVワクチンの接種勧奨が再開されるかもしれないという話題が浮上してきたのが、昨年9~10月頃ですが、ちょうど10月に私達の地域をカバーしている由利本荘医師会(にかほ市とそこに隣接する由利本荘市で活動する医師会員によって構成)からぜひキャッチアップ接種の対象者への助成をして欲しいという要望書が出されました。その要望書では9価ワクチンについても若干触れられていて、そこで私達も検討を始めました。そして市内の医師と私たち自治体の保健師などで構成している母子保健委員会で、医師側のご意見を伺いたいということで、私たちから全額補助を提案させていただきました。その結果、委員会の中心的存在になっている医師からも任意接種であっても可能ならば自治体で全額助成し、住民の皆さんに貢献できるようにしたら良いのではないかとのご意見をいただき、今回の決定に至りました。当然、議会で予算措置が必要になりますよね。そこはすんなり決まった感じですか?【担当者】そうですね。実はこれまでも当市では、一昨年から定期接種化されたロタウイルスワクチンの接種費用全額補助を2013年から始めていましたし、現在も任意接種のおたふく風邪ワクチンの接種費用も全額補助をしています。以前から経済的な問題よりも住民の方々の選択肢を増やせるようにしようという流れがありました。そうした従来からの経緯もあって市議会議員の皆さんも地元医師の意見を信頼していますし、小さな市であるため意見が浸透しやすい、理解が広まりやすい環境があると言えるかもしれません。市のホームページに掲載されている接種協力医療機関(15ヵ所)を見させていただきましたが、そのほとんどが隣接する由利本荘市(13ヵ所)の医療機関です。確かに医師会がにかほ市と由利本荘市を束ねる広域になってはいますが、自治体をまたぐ形で協力医療機関を確保するとなると、調整は難しくありませんでしたか?【担当者】従来から定期接種になっているワクチン接種を「由利本荘市のかかりつけの医療機関で受けます」という方もいたので、自治体をまたいで接種することがごく当たり前に行われています。逆に由利本荘市の方がにかほ市で接種しているケースもあるはずです。それほど距離的にも離れてるわけでもないので、とくに問題はありません。全額補助を発表されてから問い合わせはありましたか?【担当者】ありますね。ただ、接種協力医療機関との契約では4月1日から接種開始となっていましたが、全額助成の最終決定が年度末ギリギリだったこともあって、実際のHPVワクチンの定期接種対象者やキャッチアップ接種対象者に直接通知を出せたのは、4月後半でした。そのため4月末時点での実績はまだ少ない状況ですが、これから本格的に申し込みが増えてくるだろうと予想しています。ちなみに、にかほ市で今年度にHPVワクチン接種対象となるのは定期接種、キャッチアップ接種含め451人。市の予算では現時点でうち80人がこの全額助成を利用すると想定し、720万円の予算を計上。希望者が多い場合は、補正予算対応も検討するという。今回のにかほ市の全額助成が成立した背景にはいくつかの要因が考えられるだろう。私個人の雑感も含めて、ざっと挙げると以下のようになる。(1)小規模な自治体ゆえに対象者が多くなく、予算がそれほどかからない(2)行政側がもともとワクチン接種の推進に意欲的(3)地元医師会と自治体の日常的な意思疎通が良好(4)過去にも実績があるまた、にかほ市の場合、人口2万3,272人で65歳以上の高齢者割合は39.5%と典型的な高齢化社会の縮図のような自治体であり、そのためか市の広報を見ても子育て対策にかなり注力している。もっともこうした条件が当てはまる自治体はにかほ市だけではなく、全国各地に存在する。つまり同様のことができる潜在力を持つ自治体はほかにもあるはずである。また、今回の接種勧奨の再開に当たっては、勧奨中止期間に接種機会を逃し、定期接種の対象年齢を過ぎてから今年3月31日までにHPVワクチンの任意接種を自費で受けた人へも接種費用の償還払いを実施しており、一部自治体では全額ではないもののこのケースで9価ワクチン接種対象者も償還払いの対象としている。その意味では当面の9価ワクチン接種希望者に対しては、にかほ市型ではない富士市型での対応も十分選択肢として取れるのではないだろうか。本連載での第73回でも触れたが、HPVワクチンに関する自治体の動きには地域の医師会の働きかけは大きな影響を与える。今回のにかほ市の事例でもそれは明らかである。接種勧奨再開という好機だからこそ、各地域で活動している医師の皆さんの「もう一押し」がモノを言う局面とさえいえる。そこで思い出したのが中華人民共和国の建国にこぎつけた中国共産党の毛沢東の戦略「農村が都市を包囲する」だ(念のため言っておくと私は共産主義者ではない)。中国共産党は日中戦争期、日本軍との戦いで国内が一致団結するためにすでに内戦状態だった政敵の国民党と「国共合作」で協力関係を締結した。しかし、日本のポツダム宣言受諾で目的を達成した両党は、その後は再び血みどろの内戦へ突入する。しかし、中国共産党にとって当時の中国を代表する中華民国政府を握り、富裕層の支持を得ていた国民党との内戦は圧倒的に不利。実際、内戦再開当初は都市部から共産党勢力は駆逐され、党員数は激減する。そこで毛沢東が取った戦略が都市部から内陸部へ退き、農村部で支持を獲得しながら最終的に国民党に勝利する「農村が都市を包囲する」戦略だったのだ。実際、中国共産党は約5年で国民党に勝利する。従来からこの手法は政治だけでなく、さまざまな領域での戦略の見本になると私自身は考えている。その意味で今回の9価ワクチンの定期接種開始も「地方が中央を包囲する」形で早期に実現すればと密かに願っている。

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オピオイドの換算表を見たことありますか?【非専門医のための緩和ケアTips】第28回

第28回 オピオイドの換算表を見たことありますか?投与経路を変更する際は、投与量の調整が必要になります。今回はオピオイドを調整する際の「山場」となる、この投与量変更について解説しましょう。今日の質問モルヒネを内服していたがん患者さんが、腸閉塞を起こして内服ができなくなってしまいました。オピオイドって急に投与中止するのは良くないですよね? そうなると投与経路を変更した方がいいと思うのですが、こうした場合、どう対応すればよいのでしょうか?緩和ケアを実践していくうえでは、腸閉塞や呼吸困難の増悪、看取りが近くなり意識の悪化がみられる…といったさまざまな理由で、オピオイドが内服できなることがあります。こうした場合には投与経路を変更する必要があります。今回の質問の状況では、モルヒネの内服が難しいとのことなので、投与経路だけの変更であれば、モルヒネの注射薬に変更する対応となります。注射薬は病院では持続静脈注射で投与することが多く、緩和ケア病棟や在宅では持続皮下投与が好まれます。注射薬に変更する際の投与量は注意が必要です。内服量をそのまま注射で投与すると、過剰投与になってしまいます。そこで必要になるのが換算表です。換算表とは、オピオイドの種類や投与経路を変更した際に、同じだけの効果を期待できる投与量を換算した表です。日本緩和医療学会が公開している「がん疼痛の薬物療法に関するガイドライン2020年版」では、たとえばモルヒネの場合、「静脈内投与・皮下投与であれば10~15mg、経口投与であれば30mg、直腸内投与であれば20mg」といったように薬剤ごとの換算表が示されています。「がん疼痛の薬物療法に関するガイドライン2020年版」/換算表は59頁換算表はインターネット上でも多く公開されているので、使いやすいものを探してみましょう。換算比はある程度幅があるため、換算表によって多少の違いがあります。さらに患者さんの体格や肝腎機能によっても適切な投与量は異なるので、換算表はあくまでも目安であることにも留意してください。今回の患者さんで、モルヒネを経口から静脈内投与もしくは皮下投与に変更する場合は、投与量をおよそ半分に減らす必要があります。このあたり、何度も対応していれば自然と慣れますが、慣れていない方は、きちんと換算表で確認することや薬剤師と相談することをお勧めします。以前、研修医に「この患者さん、経口投与ができなくなったとしたら、何を、どのくらいの量、どの投与経路に変更する?」と聞いたら、ずいぶん多い投与量の回答が返ってきました。確認すると、一桁間違って計算したせいで10倍の投与量になっていたのです。10倍量を投与するのはさすがに危険です。慣れていないとこうしたことが起こるので、慎重に対応しましょう。今回のTips今回のTipsオピオイドスイッチングの際は、換算表を使って丁寧に計算しましょう。

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