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医業承継における「お宝物件」の探し方【ひつじ・ヤギ先生と学ぶ 医業承継キソの基礎 】第37回

第37回 医業承継における「お宝物件」の探し方漫画・イラスト:かたぎりもとこ「これから開業したい」という医師の多くが、「こんな診療をしたい」という視点から、開業物件や承継案件を探します。弊社にご相談いただく方の中にも、「二診体制を取りたいので、50坪以上で」といった希望を述べられる方が多くいます。そして、広さや立地の次に重視するのは「現在の患者数」と「直近の売り上げ」です。もちろん、現在の患者数が多く、売り上げが高い診療所が優良案件であることは間違いありませんが、そうしたところは当然ながら売値も高くなります。私たち仲介業者は「伸び代が大きい」「リスクを最小化できる」といった観点から「お宝物件」を探し、買い手の方に提案しています。「伸び代が大きい」とは、近隣に「強い競合相手」が存在せず、「人口に対する競合の数自体も少ない」案件です。現在の患者数が少なく売り上げが低いと、その物件自体に興味を失ってしまう方が多いのですが、よく見るとその背景に「院長が高齢で、午前しか診療していない」「予約制を取っており、初診を積極的に受けていない」などの理由がある場合があります。このような案件で「強い競合が不在」「競合の数自体も少ない」といったことがわかれば、次の経営者のやり方次第で大きく売り上げを伸ばせる可能性がある「伸び代が大きい=お宝物件」となるのです。もうひとつの観点である「リスクを最小化できる」には、「テナントが狭い(坪数が少ない)」物件が当てはまることが多いです。狭い物件は、あまり集患数を増やせないので売り上げもそこそこであるケースが多く、買い手はそれをネガティブに捉えがちですが、私たちの見方は異なります。狭い診療所はテナント代が安く、スタッフも少ないため、固定費を抑えられ、結果としてしっかり利益を出せていることが多いのです。医師は診察のプロであっても経営は初めて、という方が多いでしょう。リスクを最小限にしてスタートすれば、うまくいかなかった場合の軌道修正もしやすくなります。

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第47回 単相関係数の算出方法は?【統計のそこが知りたい!】

第47回 単相関係数の算出方法は?第46回で解説した単相関係数(Single correlation coefficient)。データからどの程度の相関があるのかを数値で表す方法を考えてみましょう。具体例として表1に10人の学生の身長と体重のデータを示します。たとえば身長と体重の平均を計算すると、それぞれ150cm、50kgです。相関図を描き、この中に身長の平均を横線で、体重の平均を縦線で描き加えたものが図になります。*点の分布は右肩上がりの直線的な傾向になります。平均線で分けられた4つの領域をそれぞれI~IVとします。変数xとyが無関係であるならば、点は4つの領域I~IVに均等にばらついて存在します。xとyの間に相関があり、xが増すとyも増加する傾向がある場合は、点は領域IとIIIに多く、IIとIVに少なくなります。逆にxが増すとyが減少する傾向がある場合は、IIとIVに多く、IとIIIに少なくなります。このケースでは、領域IとIIIに点が多く、IIとIVにそれぞれ1つずつしか点が存在しないので、身長と体重の間には相関関係が強いと推測することができます。データが平均より上か下か、あるいは右か左かは偏差でわかります。つまり、相関係数は偏差を用いて求めることができるのです。■単相関係数の計算方法では、実際に単相関係数を計算してみましょう。画像を拡大する【計算の手順】1)身長と体重のデータについて偏差(測定値から平均値を引いた値)を求めて、表の(3)、(4)列に記入する2)まず、(3)列に数値を平方し(5)列に記入する3)同様に、(4)列の数値を平方し(6)列に記入する4)(5)列の数値の合計を求める(これを身長yの偏差平方和といい「Syy」で表す)5)同様に、(6)列の数値の合計を求める(これを体重xの偏差平方和といい「Sxx」で表す6)(3)列と(4)列の数値を掛け算し、(7)列に記入する((7)列の数値の合計を積和といい「Sxy」で表す7)下記の式から単相関係数を求める(単相関係数は、「積和」を「xの偏差平方和とyの偏差平方和の積の平方根」で割ることで求めることができる)このようにして、単相関係数は0.916であることがわかります。■単相関係数の留意点図の相関図でIIとIVに位置するのはEとFの2人、IとIIIに位置するのは8人です。表1をみると、EとFの積和はマイナス、他の8人の積和はプラスです。積和の合計は、マイナスとプラスが混在し0に近いほど相関係数は小さくなります。なお、表3の「体重」の数字のようにデータの値がすべて同じ場合、単相関係数は求めることはできません。■さらに学習を進めたい人にお薦めのコンテンツ「わかる統計教室」第4回 ギモンを解決! 一問一答質問10 2項目間の関連性を把握する際の統計学的手法の使い分けは?(その1)質問10 2項目間の関連性を把握する際の統計学的手法の使い分けは?(その2)質問10 2項目間の関連性を把握する際の統計学的手法の使い分けは?(その3)

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事例045 大腸内視鏡検査でマグコロールの入力ミスで査定【斬らレセプト シーズン2】

解説大腸内視鏡検査前の腸管内容物の排出を目的に投与したクエン酸マグネシウム(商品名:マグコロール)がB事由(医学的に過剰・重複と認められるものをさす)にて査定となりました。内容をみて、「やってしまった!」という査定でした。この医療機関のマグコロール処方の流れは、院内システムの都合上、医師に院内頓服扱いで大腸内視鏡前処置のコメントを付けて入力していただき、薬剤部から患者に服用方法の説明をしてお渡しするとしています。今回も医師は手順通り1包を処方されていました。そして、会計上では医療費請求に正しく反映させなければならないため、頓服の欄から検査用の薬剤の欄に手動で入力修正を行う運用としていました。このときに担当者は、薬剤の規格欄に「50g1包」とあったため、単位数を「1g」と思い込み、入力欄に「50」を入力してしまったようです。入力修正は医療費請求において必須の手順のため、「1g」あたりの入力なのか「1本」や「1袋」の入力なのか、規格単位数の誤りに細心の注意をはらうように常々伝えています。逆に、点眼薬や注射薬など「mL」や「g」単位で入力しなければならないものを「本、筒」単位で入力すると大きな請求漏れにつながります。入力単位の誤りをシステムで判定させようとすると、膨大な数の登録が必要となります。年に1回もあってはならないことですが、費用対効果を考えた今後の対策として会計入力時の確認と、レセプト点検時の目視点検の強化、ならびに薬剤部における払出数とレセプト請求数の比較検証で乗り切ることとしました。

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高血圧:脳心血管疾患のリスク層別化に用いる予後影響因子【一目でわかる診療ビフォーアフター】Q6

高血圧:脳心血管疾患のリスク層別化に用いる予後影響因子Q6高血圧治療ガイドライン2014(JSH2014)とJSH2019で、脳心血管疾患のリスク層別化に用いる予後影響因子に変更があった。JSH2019で示された予後影響因子に含まれないのは、下記危険因子のうちどれか。高齢(65歳以上)男性喫煙肥満(BMI≧25kg/m2) とくに内臓脂肪型肥満若年(50歳未満)発症の脳心血管疾患の家族歴脂質異常症糖尿病

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オミクロン株に対するブースター接種、高齢者での効果は?

 高齢はSARS-CoV-2感染において罹患率および死亡率の主要な危険因子である。そのため、高齢者にはCOVID-19ワクチンを優先して接種する戦略をとる国が多い。ワクチンのブースター接種によってオミクロン株の中和活性を引き出すことが示されているが、高齢者においてはどうか。高齢者へのブースター接種の即時および長期の効果を見た試験結果がThe Lancet Infectious Diseases誌オンライン版2022年2月28日号のCORRESPONDENCEに掲載された。 ドイツ・ベルリンの開業医で募集された、年齢中央値82(範囲:76~96)歳の37例を対象に、SARS-CoV-2中和活性を縦断的に測定した。2021年1月15日に最初のワクチン接種が行われ、BNT162b2(ファイザー製)の2回目接種から10ヵ月後、ブースター接種から4.5ヵ月後までフォローアップされた。 2回目接種後から1ヵ月後(中央値26日、IQR:25~27)および5ヵ月後(中央値153日、151~154)のフォローアップ時に血清サンプルを採取し、50%阻害希釈(ID50)の幾何平均抗体価を求めた。 2回接種により、ほとんどの個体で検出可能なSARS-CoV-2の元となるWu01株およびデルタ中和活性が誘導された(Wu01株35/37例[95%]、デルタ株31/37例[84%])が、オミクロン株に対する活性は検出されないか、最小限だった。続く4ヵ月間でWu01株の中和抗体価は6分の1、デルタ株は7分の1になった。 全員が7ヵ月後(中央値209日[189~228])、ファイザー製ワクチンのブースター接種を受けた。・ブースター接種1ヵ月後(中央値23[21~29]日)の血清サンプルでは、Wu01株とデルタ株の中和抗体価は50倍以上増加し、オミクロン株も33/37例(89%)が強力な中和抗体を誘発した。・ブースター接種後3.5ヵ月(中央値106[86~125]日)で、中和抗体価はWu01株で2.7分の1、デルタ株で2.3分の1、オミクロン株で3分の1に低下した。一方で、Wu01株(36/37例[97%])、デルタ株(34例[92%])、オミクロン株(30例[81%])と、ほとんどが検出可能な中和抗体を維持していた。・ブースター接種後における中和抗体の推定半減期はWu01株で52日(95%CI:46~59)、デルタ株で64日(52~83)、オミクロン株で41日(34~52)だった。 著者らは「オミクロン株に特異的なワクチンがない場合、ブースター接種はワクチンの効果を回復するために重要であり、ブースター接種は高齢者の大部分において、オミクロン株に対する中和活性を効果的に引き出すことができた。本結果は、高齢者集団における今後のブースター接種の戦略の指針となるだろう」としている。

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日本人女性における生殖細胞系列バリアントと乳がんリスク(HERPACC研究)

 乳がんの約5~10%は遺伝性で、乳がんの易罹患性に関わる遺伝子における生殖細胞系列の病的バリアント(GPV)に起因する。関連研究の多くは欧米で行われており、日本人集団についての情報は少ない。またGPV評価において、環境因子とゲノムワイド関連研究(GWAS)で同定された一塩基多型(SNPs)による交絡を考慮した研究はない。愛知県がんセンターの春日井 由美子氏らは、9つの遺伝子におけるGPVと乳がんリスクとの関連を包括的に評価するためにケースコントロール研究を実施。Cancer Science誌オンライン版2月25日号に報告された。 本研究は2001年1月~2005年12月に愛知県がんセンターにおける病院疫学研究プログラム(HERPACC)の参加者(日本人女性)が対象。乳がん症例とその対照者(がんの既往なし)は、年齢(±5歳)と閉経状態で1:2の割合でマッチングされた。9つの遺伝子(ATM、BRCA1、BRCA2、CDH1、CHEK2、PALB2、PTEN、STK11、およびTP53)におけるGPVと乳がんリスクとの関連は、潜在的な交絡因子で調整したロジスティック回帰モデルを用いて、オッズ比(OR)と95%信頼区間(CI)で評価された。 主な結果は以下のとおり。・乳がん症例629例、対照1,153例が評価対象とされた。・乳がん症例では計25例でGPVを保有していた(4.0%、95%CI:2.6~5.9)のに対し、対照では計4例がGPVを保有していた(0.4%、95%CI:0.1~0.9)。・乳がんに対するオッズ比は全GPVで12.2 (4.4~34.0、p=1.74E-06)、BRCA1/2では16.0 (4.2~60.9、p=5.03E-0.5)だった。・GPVを有する乳がん症例の割合は、40歳未満で6.7%と最も多く、9遺伝子にGPVがある症例は、GPVがない症例(中央値52歳)よりも若年(中央値48歳、p=3.60E-02)で診断されていた。・60歳未満の年齢層では、全GPVおよびBRCA1/2で乳がんリスクとの間に有意な関連が認められた。 研究者らは、環境因子やGWASで同定されたSNPsに関係なく、GPVと日本人女性の乳がんリスクとの関連が認められたとまとめている。

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治療抵抗性統合失調症の酸化ストレスバイオマーカー

 統合失調症は、世界で約2,000万人が罹患している精神疾患である。統合失調症の病態生理には、酸化ストレス(酸化促進作用と抗酸化作用の不均衡)などさまざまな因子が関与している。ブラジル・Faculdade de Medicina de Sao Jose do Rio PretoのPatrick Buosi氏らは、統合失調症患者の臨床情報、人口統計学的データ、ライフスタイルを用いて、酸化ストレスのバイオマーカーと薬物治療反応との関連を評価した。Trends in Psychiatry and Psychotherapy誌2021年10~12月号の報告。 治療反応性統合失調症患者26例、治療抵抗性統合失調症患者27例、健康対照者36例を対象に、末梢血サンプル、質問票を用いて臨床および人口統計学的データを収集した。分光光度法を用いて分析した酸化ストレスマーカーは、カタラーゼ(CAT)、スーパーオキシドジスムターゼ(SOD)、グルタチオンペルオキシダーゼ(GPx)、総グルタチオン(GSH-t)、マロンジアルデヒド(MDA)、トロロックス等価抗酸化能(TEAC、p<0.05)であった。 主な結果は以下のとおり。・統合失調症患者は、対照者と比較し、SOD(p<0.0001)レベルが低く、MDA(p<0.0001)、CAT(p=0.0191)レベルが高かった。・その他のマーカーについては、3群間で差は認められなかった(p>0.05)。 著者らは「統合失調症患者では、薬理学的治療反応とは無関係に、低SOD、高MDA、高CATレベルが認められた。喫煙は酸化ストレスと関連していることに加え、統合失調症では家族歴と関連していることが示唆された。このことは、統合失調症の遺伝的関連性を反映している可能性がある」としている。

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統合失調症の再発予防、薬剤30種に有効性の差はない!? /Lancet

 統合失調症の成人患者における抗精神病薬による維持療法では、再発予防に関して30種の薬剤の有効性に明確な差はなく、治療薬の選択は主に忍容性を考慮して行うべきであることが、ドイツ・ミュンヘン工科大学のJohannes Schneider-Thoma氏らの検討で示された。研究の成果は、Lancet誌2022年2月26日号に掲載された。無作為化プラセボ対照比較試験のベイジアンネットワークメタ解析 研究グループは、統合失調症成人患者における抗精神病薬による維持療法の有効性と忍容性を評価する目的で、文献を系統的にレビューし、ネットワークメタ解析を行った(ドイツ教育科学研究技術省などの助成を受けた)。 Cochrane Schizophrenia Groupの専門登録(開設時~2020年4月27日)、PubMed(2020年4月1日~2021年1月15日)、関連のある系統的レビューで対象とされた試験リストの検索が、記述言語に制限を設けずに行われた。 対象は、抗精神病薬(単剤療法、経口薬または長時間作用型注射薬)またはプラセボの投与を受け、症状が安定した統合失調症または統合失調感情障害の成人患者を募集した無作為化対照比較試験(追跡期間12週以上)とされた。特定の併存疾患や治療抵抗性を有する参加者の試験は除外された。 主要アウトカムは再発した参加者数とされ、変量効果を用いてベイジアンネットワークメタ解析が行われた。忍容性アウトカムは薬剤によって明らかな差 系統的レビューには32種の抗精神病薬の127試験(1万8,152例)に関する501編の文献が、メタ解析には31種の抗精神病薬の115試験(1万7,594例)が含まれた。115試験の年齢中央値は40歳(IQR:38~43)、女性の割合の中央値は40%(IQR:30~50)、試験期間中央値は34週(IQR:24~52)で、99試験(86%)が二重盲検試験だった。主要アウトカムのネットワークメタ解析は、30種の抗精神病薬の100試験(1万6,812例)に関して実施された。 プラセボとの比較における抗精神病薬の再発のリスク比(RR)は、すべての薬剤で1.00未満であった。95%信用区間(CrI)は、cariprazine経口薬(RR:0.65、95%CrI:0.16~1.14)、ルラシドン経口薬(RR:0.63、95%CrI:0.25~1.02)、clopenthixol長時間作用型注射薬(RR:0.51、95%CrI:0.02~1.18)は「無効」の範囲内であったが、これら以外の薬剤の95%CrIは「無効」の範囲内ではなかった。 プラセボとの比較で再発のRRが最も小さいのは、zuclopenthixol長時間作用型注射薬(RR:0.07、95%CrI:0.00~0.34)であったが、これは2つの小規模試験(合計56例、イベント1件)に基づくもので不確実性が高かった。これを除くRRの範囲は、パリペリドン経口薬の0.20(95%CrI:0.05~0.41)からcariprazine経口薬の0.65(95%CrI:0.16~1.14)までであった。 全般に、抗精神病薬間の比較のほとんどでは差がない可能性があることから、再発予防に関して、特定の抗精神病薬の優越性の明確なエビデンスはないと考えられた。 症状全般、再入院、寛解、回復、生活の質、全体的な機能の結果は、主要アウトカムとほぼ同様であった。すなわち、ほとんどの抗精神病薬はプラセボに対し優越性を有し、薬剤間の差には明確なエビデンスはなかった。 忍容性のアウトカム(抗パーキンソン病薬の使用、遅発性ジスキネジア、QTc間隔延長、体重増加、血漿プロラクチン濃度上昇、鎮静)については、抗精神病薬間で明らかな差が認められた。 著者は、「治療薬の選択では、糖尿病患者では体重増加をもたらす抗精神病薬は避けるなど、個々の患者の必要や嗜好を考慮すべきである。また、急性期治療で重要な副作用が発現しなかった患者では、同じ薬剤の使用を続けるのが賢明かもしれない。この点は、維持療法は何年も継続しなければならない場合が多く、副作用が蓄積する可能性があるため、とくに重要である」としている。

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免疫不全者へのコロナワクチン、3回で抗体陽転率上昇か~メタ解析/BMJ

 免疫不全患者(血液がん、固形がん、免疫性炎症性疾患、臓器移植、HIV)は、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)ワクチンの接種による抗体陽転率が免疫正常者と比較して低いが、1回目に比べると2回目接種後に改善され、3回目の接種は有効である可能性があることが、シンガポール国立大学のAinsley Ryan Yan Bin Lee氏らの検討で示された。研究の成果は、BMJ誌2022年3月2日号で報告された。82件の前向き観察研究のメタ解析 研究グループは、免疫不全患者と免疫正常者においてCOVID-19ワクチンの有効性を比較する目的で、文献を系統的にレビューし、メタ解析を行った(特定の研究助成は受けていない)。 医学データベース(PubMed、Embase、Central Register of Controlled Trials、COVID-19 Open Research Dataset Challenge[CORD-19]、WHO COVID-19 databases)を用いて、2020年12月1日~2021年11月5日の期間に発表された試験が検索された。また、ClinicalTrials.govとWHO International Clinical Trials Registry Platformを検索して、2021年11月の時点で、これらのサイトに登録されているが未発表または進行中の試験が特定された。 対象は、免疫不全患者と免疫正常者でCOVID-19ワクチンの有効性を比較した前向き観察研究であった。 82件の研究がメタ解析に含まれた。このうち77件(94%)はmRNAワクチン(BNT162b2[Pfizer-BioNTech製]、mRNA-1273[Moderna製])、16件(20%)はウイルスベクターワクチン(AZD1222[Oxford-AstraZeneca製])、4件(5%)は不活化全粒子ワクチン(CoronaVac[Sinovac Biotech製])を使用していた。バイアスのリスクは、63件の研究が「低」、19件の研究は「中」であった。臓器移植患者は2回目接種後も陽転率が著しく低い ワクチン1回目接種後の抗体陽転のリスク比が最も低かったのは臓器移植患者(リスク比[RR]:0.06[95%信頼区間[CI]:0.04~0.09]、I2=0%、絶対リスク:0.06[95%CI:0.04~0.08]、I2=0%、エビデンスの確実性:中)であり、これは免疫正常者(対照)と比較して抗体陽転率が約16分の1であることを意味する。 次にリスク比が低かったのは血液がん患者(RR:0.40[95%CI:0.32~0.50]I2=80%、絶対リスク:0.29[95%CI:0.20~0.40]、I2=89%、エビデンスの確実性:中)であり、次いで免疫性炎症性疾患患者(0.53[0.39~0.71]、I2=89%、0.29[0.11~0.58]、I2=97%、中)、固形がん患者(0.55[0.46~0.65]、I2=78%、0.44[0.36~0.53]、I2=84%、中)の順であった。また、HIV患者の抗体陽転率を報告した研究が1件あり、免疫正常者と比較して差は認められなかった(1.06[0.74~1.54]、低)。 一方、2回目接種後の抗体陽転率は、依然として臓器移植患者(リスク比:0.39[95%CI:0.32~0.46]、I2=92%、絶対リスク:0.35[95%CI:0.26~0.46]、I2=92%、エビデンスの確実性:中)で最も低く、免疫正常者の約3分の1にすぎなかったが、1回目接種後に比べると高かった。 次いで、1回目接種後と同様に、抗体陽転率は血液がん患者(リスク比:0.63[95%CI:0.57~0.69]、I2=88%、絶対リスク:0.62[95%CI:0.54~0.70]、I2=90%、エビデンスの確実性:低)、免疫性炎症性疾患患者(0.75[0.69~0.82]、I2=92%、0.77[0.66~0.85]、I2=93%、低)、固形がん患者(0.90[0.88~0.93]、I2=51%、0.89[0.86~0.91]、I2=49%、低)の順に高くなり、いずれも1回目接種後よりも改善されていた。HIV患者の抗体陽転率は免疫正常者と同程度だった(1.00[0.98~1.01]、I2=0%、0.97[0.83~1.00]、I2=89%、低)。 11件の研究の系統的レビューでは、mRNAワクチンの3回目の接種によって、固形がん、血液がん、免疫性炎症性疾患の患者のうち2回のワクチン接種に応答しなかった患者において抗体陽転率が改善されたが、臓器移植患者では大きなばらつきがみられ、HIV患者やmRNAワクチン以外のワクチンを接種した患者の研究は十分ではなかった。また、免疫不全患者は免疫正常者に比べ抗体価が低かった。 著者は、「免疫不全患者は免疫正常者に比べ、全般に低い抗体価で抗体陽転が起きており、抗体保有の適切性に関して懸念が高まる。このような患者の抗体保有を向上させるには、従来のmRNAワクチン2回接種レジメンに、3回目の接種を加えるなど、新たな方策が必要となるだろう」としている。

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学問的に新しい知見はあるのか?(解説:野間重孝氏)

 WellsスコアはWells PSにより2007年にまとめられた深部静脈血栓症のスクリーニングスコアで(Wells PS, et al. JAMA. 2006;295:199-207.)、これと血中D-ダイマー値を組み合わせることにより相当程度確実に深部静脈血栓症のスクリーニングを行うことができる。この有用性は2014年にオランダのGreersing GJらのメタ解析により確かめられた。これは以前ジャーナル四天王でも取り上げられたので、ご覧になった方も多いのではないかと思う(「深部静脈血栓症の除外診断で注意すべきこと/BMJ」)。少し注意を要するとするのは、Wellsスコアの項目については施設により一部改変されている場合があること、判定法には2段階法と3段階法があることであるが、本論文ではWellsスコア原法の3段階解釈+D-ダイマー値という最もオーソドックスな方法を採用している。今回の研究は、その方法により安全に深部静脈血栓症のスクリーニングが可能であること、かつそれにより下肢静脈エコー検査の施行率を47%減らすことができることを前向き試験で示したものである。 下肢静脈血栓症の頻度はアジアでは、台湾で行われた調査で人口10万人当たり16.5人であったのに対し、欧米では多くの地域で100人を超え、200人に迫る地域も珍しくない。わが国の発生頻度については正確な数字が提出されていないが、担がん患者や寝たきり老人、長期臥床者、ある種の術後患者などを除く、危険因子を持たない者での発生ということになると、いわゆるエコノミー症候群が問題にされる程度でしかない。わが国ではWellsスコアといってもあまり利用したことがない医師が多いのではないかと思われるが、これだけ発生頻度が異なれば、それは当たり前といえるかもしれない。本論文では入院患者、抗凝固療法中の患者、妊婦、肺塞栓症疑いの患者が除外されていることを限界としているが、深部静脈血栓症のスクリーニング法研究でこうした危険因子・修飾因子を持った患者を除外するのは当然だと考えられる。ここで妊婦が問題にされていることを意外に思われた方もいらっしゃると思うが、欧米では妊婦の死因の第1位が肺塞栓症なのである。これに対して、わが国では命に関わらない程度のものまで含めても、塞栓症は1,000例に1例程度の頻度にとどまっている。 同時に、わが国と欧米における臨床検査に対する考え方の違いやその理由も考えられなければならないだろう。わが国ではスクリーニングの段階でスコアリングを用いている医師そのものが少ないのではないかと思うが、それとは別に、多くの現場医師たちは下肢静脈エコーの簡易チェックや、場合によって(造影まで含めて)CT検査などを行うことをためらわないのではないかと思う。これは医療に対する考え方、疾病の頻度によるものだろうが、医師が自分の身を守るという側面もあることは忘れられてはならない。そう考えれば発生頻度の高い欧米において、有名誌にこうした論文が掲載されることは、現場の医師たちを守る意味も持っているとも考えられよう。ただし、こうした際に必ず付け加えているのだが、現場の医師たちの行動パターンの決定因子として医療保険制度の問題を無視することができない。わが国のように医療保険制度の充実した国においてはある程度over-examinationになったとしても、経済的に許容されるのに対し、そうでない国では時として社会的指弾の対象になりかねないからである。 この研究はあらためてWellsスコア+血中D-ダイマー値の組み合わせによるスクリーニングの確実性・安全性を示したものではあるが、上述したGreersing GJらのメタ解に、とくに新しい知見を加えたものとは思われない。確かに大規模な前向き研究をすることには常に一定の意義があるが、すでにある程度の確度をもって結論の出ている問題について実施することの意義はどれだけあるのだろうか。この研究が積極的に付け加えた知見は、47%の下肢静脈エコー検査を安全に省略できるという一点だったといえる。多忙をきわめる医療現場において診察効率、経済効率が上がることは重要なことではあるが、(上述した議論とはやや矛盾するが)こうした有名誌に掲載されるだけの価値のある研究であるかには疑問がある。 このところの傾向として、純粋学問的に新しい知見を付け加えるというよりも、診断効率や経済効率を主題にした論文が有名誌に採用されるケースが目立つ。評者などはこうした傾向に首をかしげるものなのであるが、これは決して以前基礎研究者であった者の偏見というわけではないと思うのだが、いかがだろうか。

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Letterを書いて医学論文トレーニング【Dr.倉原の“俺の本棚”】第52回

【第52回】Letterを書いて医学論文トレーニング読者の皆さんはご存じと思いますが、「Letter」って手紙じゃないです。医学雑誌によってはLetter to the editorやCorrespondenceなどというコーナーになっている、あのLetterです。『医学論文の読み方2.0 論文を批判的に吟味し臨床適用するためのLetterの書き方』片岡 裕貴, 稲垣 雄士, 辻本 康/編著. 中外医学社. 2022年1月発売Letterは、掲載された論文に対するコメントや意見、また原著論文にするほどではないが小規模な研究記述を行う場合に投稿されます。私は平均して年1つくらいしか論文を書いていないのですが、Letterを実は一度も投稿したことがありません。医学論文書きまくっている医師でも、結構そういう人って多いんじゃないでしょうか?私が医学論文を読むとき、ダーっと読んで感想を書いて、それを自分用メモとして保存して、後からこういう研究があったなーという引き出しにしているくらいです。この本の恐ろしいところは、その過程をLetterという形(業績)にしてしまうというトレーニング法を勧めている点です。批判的に吟味して感想を持ったなら、Letterにすればよくね? ということです。すべてがLetterに特化した本ではなく、医学論文を読むスタンスを身に付ける上で重要なことはほとんど網羅されています。「医学論文の読み方」をただ学ぶのではなく「Letterを書きながら医学論文の読み方を勉強しましょう」という付録付き医学書と思ってもらえるとよいでしょう。注意点としては、決して初学者向けではないところです。「医学論文は全然読めないッス」という研修医にはハードルが高い本かもしれません。しかし、Case Reportを2~3本書いたあたりの若手医師には、ハートに突き刺さる本になるはずです。私たち医師は、どこかで科学という世界にザブンと飛び込まないといけません。飛び込み方は、ただROM(read-only member)って足湯するだけでも構わないのですが、せっかくなら遠泳合宿できるくらい参加型でいきましょうというのがこの本の趣旨です。何より、Letterの書き方って今まで参考書がなかったですから、そういう意味でも類を見ない本となっています。『医学論文の読み方2.0 論文を批判的に吟味し臨床適用するためのLetterの書き方』編著者片岡 裕貴, 稲垣 雄士, 辻本 康出版社名中外医学社定価4,840円(税込)サイズA5判刊行年2022年

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第99回 厚労省のワクチン情報と併せて読みたい、お奨め情報源は?

新型コロナウイルス感染症(以下、新型コロナ)の5~11歳の小児に対するワクチン接種が各地でスタートした。ご存じのようにこの年代の小児を対象とした新型コロナワクチン接種に関しては、現時点ではオミクロン株への効果に関するデータが不十分なことなどを理由に、予防接種法に基づく接種の「努力義務」は課せられていない。一方、今回の5~11歳の小児に対する接種開始とともに、SNS上ではワクチンに否定的な人たちの活動が活発化している。そんな最中、Twitterではある動画が話題になっている。一見すると店員と見間違うような服装をした女性が、とあるフードコートで新型コロナワクチンの危険性を訴えるビラを配布していた様子を撮影した動画だ。この件はすでに一部インターネットメディアでも報じられている。街角でビラを配られるのとは違い、店員を装えば店にいるお客さんも警戒心が薄れ、何の気なしに受け取るだろう。当事者たちが否定したとしても「錯覚商法」のような悪質さが漂う。また、一部の医療機関には、やはり小児への接種を行わないよう求めるビラが郵送されているとも聞く。かく言う私は小児接種に関してある週刊誌のコメント取材を受け、小児でも接種を推奨する向きのコメントをしたが、その記事がネット上で公開されると、Twitter上でわざわざ記事を引用しながら、こちらのアカウントに嫌味を飛ばしてくるツイートを数件ほど経験している。ちなみに私のコメントの趣旨は、(1)基礎疾患を有する/同居家族に基礎疾患を有する人がいる小児の接種は待ったなし、(2)この年代は他人との触れ合いが教育の大きな目的の一つであり、この点はリモートでは代用不可能、(3)幼稚園・保育園、小学校でクラスターによる休園・休校が相次いでいるが、成人でオミクロン株の感染・発症予防効果も一定程度認められているワクチンの接種は休園・休校のリスク低減のためには無駄ではない、などである。冒頭に紹介したように一部の行き過ぎた抗議活動がある現状とTwitter上で私をわざわざ探し出してメンションを飛ばしてくるような人の存在を考えれば、編集部のほうに直接抗議があってもおかしくはないだろう(こういう場合、編集者はこちらを気遣って実際に抗議があっても一切知らせないことが多い)。一方で対象の子供を持つ知人たちからは接種を考えるうえで私のコメントが参考になったという声をもらった。その中には子供に接種させるという人もいれば、それでもまだ見合わせたいという人もいる。大人で接種直後の発熱経験者が多く、それこそ副反応報告大会よろしく自身の体温計画像を付けた投稿がSNS上に散見されるような状況に加え、未成年では感染時も無症状・軽症で治癒する確率が成人と比べて高いことなど、子供への接種についてはいろいろ考えるところもあるだろう。そんな中に「厚生労働省のホームページの記述が分かりにくくて」という意見を耳にした。たまたま小児向けに厚生労働省がどのような情報を発信しているかは未確認だったため、覗いてみたが…一瞬にして「これはダメだ」と思ってしまった。まず、厚生労働省の新型コロナワクチンのページに行くと、3回目の追加接種、一般的な有効性・安全性、小児接種の項目に飛ぶ部分がほぼ似たようなデザインで並列となっている。民間ならばこうした時に、それぞれのシーンをイメージさせるような柔らかいイラストのアイコンなどを設置するだろう。この点の違いだけで先のページに進む人の数が変わってくることもしばしばだ。そしてこの厚労省設置の小児接種のタブをクリックして先に進むと、冒頭ページは接種の基本情報や手順を解説している。この点は中央官庁としては当然のことだろう。しかし、問題はここからだ。子供の接種に迷う親が一番気にするのは当然ながらワクチンの有効性と安全性、とりわけ後者である。ところがこれらの情報に飛ぶ部分が無機質に並べられているだけで、分かりにくく、さらに飛んだ先でも情報を無機質に羅列している。たとえば、副反応については発生頻度ごとに表にまとめている。これはこれで良いのだが、ある程度噛み砕いた解釈を文字で付記する必要がある。これまで大人の接種で多くの人が苦しんだ副反応は発熱である。この点で言うと小児の臨床試験で確認された発熱頻度は10%未満で大人と比べればかなり少ない。これは成人向けと比べて接種量が3分に1になっていることが影響していると思われる。にもかかわらず、そうした解説がまるでない。行政的には中立的に表記をしなければならないのかもしれないが、発熱頻度が成人と比べてかなり低いのは事実であり、その点は付記しても問題はないはずだ。そしてこの事実を知るだけでも安心する親は少なくないだろう。また、そもそも使用している用語が硬すぎる。たとえばQ&Aの「小児(5~11歳)の接種では、どのような効果がありますか。」では、「中和抗体価」「抗体応答率」「非劣性」など一般人には馴染みのない用語がポンポン飛び出す。後二者については直後のカッコ内で補足しているが、むしろ一般向けではこのカッコ内の解説文章を主文にし、中和抗体価などのなじみのない用語をカッコの中に入れるか、あるいは使わないという選択肢のほうが無難だ。官僚や医療従事者が思っている以上に一般人は見慣れない文字の並びには拒否反応を示すからだ。こうしたすべての点で優れているのが、最近有名になっている若手医師有志が作成した新型コロナワクチン情報サイト「こびナビ」である。今このサイトに飛べば分かるが、すでに冒頭から小児接種の解説ページに飛べるようにアイコンが設置されている。その中では前述の発熱の副反応頻度についても、わざわざ「大人の半分以下」と解釈がつけられている。実際、このサイトの取り組みは、厚生労働省が医療機関へのかかり方の改善につながる優れた取り組みを奨励し広く普及することを目的に開催している第3回「上手な医療のかかり方アワード」の最優秀賞をこの度受賞している。私自身このサイトは当初から非常に興味深く閲覧してきたし、「こびナビ」のメンバーとなっている医師たちがSNS上で行っている積極的な情報発信にも注目してきた。ただ、その反面こびナビに参加している医師たちは、今回の新型コロナワクチンを快く思わない多数の個人からの支離滅裂な言説やいわれのない誹謗中傷を投げつけられ、それに個人レベルで必死に対応している様子も私は目にしている。だからこそ厚生労働省が彼らのこうした取り組みを表彰したことは非常に望ましいことだと思う。一方で彼らこびナビの医師たちは、誤解に基づくとはいえ本来厚労省に投げつけられるはずの石を代わりに投げつけられ苦闘している。懸賞も結構だが、こびナビのような発信手法をもう少し自身の情報発信にも生かしてはどうだろうかと思わずにいられない。

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EGFR変異肺がん外科切除例の予後と特徴【肺がんインタビュー】 第76回

第76回 EGFR変異肺がん外科切除例の予後と特徴出演:近畿大学医学部 外科学 呼吸器外科部門 須田 健一氏非小細胞肺がん(NSCLC)周術期の分子標的療法についての議論が進んでいる。そのような中、5,000例を超えるわが国の肺がん切除例について、EGFR変異の意義を検討したデータがThe Annals of Thoracic Surgery誌で発表された。EGFR変異や変異サブタイプの予後因子としての意義、再発パターンや今後の展望について、筆頭著者の近畿大学医学部の須田健一氏に解説いただいた。参考Suda K,et al. Clinical Impacts of EGFR Mutation Status: Analysis of 5780 Surgically Resected Lung Cancer Cases. Ann Thorac Surg.2021;111:269-276.EGFR変異肺がん外科切除例の特徴と予後~肺登録合同委員会からの考察/日本肺学会2021

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長時間作用型抗精神病薬の使用に対する障壁

 統合失調症は、日常機能やQOLを低下させる思考、知覚、行動の障害を伴う慢性的で重篤な精神疾患である。抗精神病薬の長時間作用型注射剤(LAI)は、経口剤よりも長期的アウトカムを改善する可能性があるが、多くの場合、LAI抗精神病薬は疾患経過の後半で最後の治療選択として用いられている。米国・ニューヨーク医科大学のLeslie Citrome氏らは、統合失調症の現在の治療パターン、臨床医の考え、LAI抗精神病薬使用に対する障壁を評価し、精神科医の統合失調症のマネジメントにおける満たされていない教育ニーズを特定しようと試みた。Neuropsychiatric Disease and Treatment誌2022年1月26日号の報告。 米国の統合失調症患者のマネジメントを行っている臨床医2,330人を対象に電子メール調査を実施し、調査を完了した379人のデータを分析した。調査には、7つの決断ポイントを有する症例ベースの報告5症例が含まれた。データの分析には、定性および定量的な方法を用いた。 主な結果は以下のとおり。・臨床医は、どのタイミングで治療を開始するかを決定することに対し最も自信があり、LAI抗精神病薬への移行や実施に対し最も自信がなかった。・臨床医は、LAI抗精神病薬に適している患者像として、アドヒアランス不良例、毎日の服薬や頻繁な治療に煩わしさを感じている患者を挙げていた。・統合失調症患者の最適なマネジメントにおいて、最も重要なポイントは、患者のアドヒアランスと考えていた。・臨床医の再発に対する認識は、LAI抗精神病薬の使用について患者と話し合う、推奨することを検討する強力な因子であった。 著者らは「現在の治療が良好な場合、臨床医は患者にLAI抗精神病薬への切り替えを推奨することを躊躇する可能性が示唆された。LAI抗精神病薬による治療でベネフィットがもたらされる可能性のある統合失調症患者のケアを行っている臨床医の自信、知識、能力を向上させることを目的とした今後の研究や継続的な教育に、これらの結果は役立つであろう」としている。

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COVID-19入院患者における細菌の同時感染率は?

 新型コロナウイルス感染症患者における細菌の同時感染や2次感染はまれであるということが、最近発表されたメタアナリシスや前向き研究で明らかにされている。しかし、これらの研究では、調査対象の患者の約70%に抗菌薬が処方されているという。国立病院機構栃木医療センターの駒ヶ嶺 順平氏らの研究グループは、新型コロナウイルス感染症患者における細菌の同時感染率を明らかにするため、入院中の抗菌薬使用と同時感染の状況について後ろ向き横断研究により検討した。本研究の結果は、JAMA Network Open誌2022年2月18日号に掲載。新型コロナウイルス感染症において細菌による同時感染はまれ 国立病院機構栃木医療センターでは、新型コロナ流行開始以来、COVID-19患者に対し、症状からほかの感染症が疑われる場合を除き、抗菌薬の処方を行っていない。2020年11月1日~21年10月9日までに、同センターに入院した新型コロナウイルス感染が確認された症候性患者1,056例(年齢中央値:50歳[IQR:36~61]、男性669例[63.4%]、女性387例[36.7%])を解析対象とした。533例(50.5%)が軽症、313例(29.6%)が中等症I、203例(19.2%)が中等症II、7例(0.7%)が重症であった。入院中、9例(0.9%)が死亡、1,046例(99.1%)が回復、1例が回復前に他院に転院した。 調査結果によると、104例(9.9%)の新型コロナウイルス感染症患者で入院前に抗菌薬が処方されていたが、入院中に抗菌薬が投与された患者は18名(1.7%)だった。このうち15例は治療、3例は予防として使用した。入院中に微生物学的に確認された新型コロナウイルス以外の感染症は6例(0.6%)で7件であった。軽症のCOVID-19を除いても5例(0.9%)であった。 本研究により、新型コロナウイルス感染症患者において、入院中の抗菌薬使用頻度が低いにもかかわらず、細菌による同時感染はまれで、そのほとんどが非重症例だった。また、非重症患者のほとんどが抗菌薬なしで回復したことから、著者らは、非重症患者の治療に抗菌薬を使用する必要はほぼなく、新型コロナウイルス感染症の治療には、薬剤耐性を考慮し、抗菌薬の使用を慎重に行う必要があるとしている。

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ニボルマブ+イピリムマブ+2サイクル化学療法のNSCLC1次治療、アジア人でも有用(CheckMate9LA)

 非小細胞肺がん(NSCLC)1次治療、ニボルマブ+イピリムマブ+2サイクル化学療法の無作為化第III相CheckMate9LA試験の日本人含むアジア人サブセット解析の結果がInternational Journal of Clinical Oncology誌に発表された。アジア人患者においても全集団と同様に、同レジメンの有用性が示されている。CheckMate9LA試験ではアジア人患者においても全集団と同様に有用性を示した[CheckMate9LA試験]・対象:未治療のStage IVまたは再発NSCLC患者(PS 0~1)・試験群:ニボルマブ360mg 3週ごと+イピリムマブ1mg 6週ごと+組織型別化学療法(シスプラチン/カルボプラチン+ペメトレキセド+ペメトレキセド維持療法またはカルボプラチン+パクリタキセル)3週ごと2サイクル(NIVO+IPI+Chemo群)・対照群:組織型別化学療法 3週ごと4サイクル(Chemo群)・評価項目:[主要評価項目]全生存期間(OS)[副次評価項目]盲検下独立中央画像判定機関(BICR)評価の無増悪生存期間(PFS)、BICR評価の全奏効率(ORR)、PD-L1発現別抗腫瘍効果 CheckMate9LA試験の主な結果は以下のとおり。・アジア人患者の割り付けは、NIVO+IPI+Chemo群28例、Chemo群30例であった。・追跡期間は12.7ヵ月であった。・OS中央値は、NIVO+IPI+Chemo群では未到達、Chemo群13.3ヵ月であった(HR:0.47、95%CI:0.24〜0.92)。・ORRはニNIVO+IPI+Chemo群では57%、Chemo群では23%であった・Grade3/4の有害事象はNIVO+IPI+Chemo群の57%、Chemo群の50%で発現した。 CheckMate9LA試験でニボルマブ+イピリムマブ+化学療法レジメンはアジア人患者においても全集団と同様に有用性を示した。筆者は、ニボルマブ+イピリムマブ+化学療法レジメンはアジア人サブセットにおいても有効性を改善し、安全性についても管理可能であり、アジア人の進行NSCLC患者の1次治療への使用を支持するものだと述べている。

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ワクチン導入前のコロナ感染者致死率、医療レベル以外の要因が存在?/Lancet

 新型コロナウイルス感染症(COVID-19)のワクチン導入および変異株流行前の感染者致死率(IFR)は、190の国・地域によって30倍以上のばらつきがあることが、COVID-19 Forecasting TeamのReed J. D. Sorensen氏らが実施したCOVID-19総死亡と血清有病率調査の系統的解析の結果、示された。とくに医療システムが良好な国で年齢標準化IFRが高かったことは、医療能力以外の要因が重要であり、その要因として介護施設におけるアウトブレイクやCOVID-19を重症化させる併存疾患などが考えられた。また、ワクチン導入前にIFR推定値の中央値が8ヵ月間で33%減少しており、COVID-19に対する治療が時間の経過とともに改善されていることを示唆するものである。著者は、「ワクチン導入前のIFRを推定することは、COVID-19による死亡パターンの進行を説明する重要な基礎を提供するものである」と述べている。Lancet誌オンライン版2022年2月24日号掲載の報告。COVID-19総死亡と血清有病率の調査をマッチングしIFR解析を実施 研究グループは、ある集団におけるCOVID-19総死亡率と血清有病率調査のマッチングにより、年齢別および全年齢のIFRを推定した。COVID-19総死亡とは、COVID-19に直接起因する推定総死亡数を指す。血清有病率調査5,131件のうち、除外基準に該当した調査を除外し、全年齢調査2,073件および年齢別調査718件(年齢別観察研究3,012件)についてIFR解析を実施した。 血清有病率が年齢別に報告されている場合、階層ベイズモデルを用いてCOVID-19による総死亡を対応する年齢群に分割し、特定の場所に関する死亡報告の非線形年齢パターンを特徴づけた。推定IFRの年齢パターンに関するワクチンの影響を取り除くため、ワクチン導入後の血清有病率と死亡の年齢別観測値は除外した。 非線形メタ回帰モデルを用いて年齢別IFRを推定し、得られた年齢パターンを使用して、全年齢IFR観測値を全世界の年齢分布に標準化した。すべてのIFR観測値はベースラインおよび抗体検査感度で補正した後、年齢標準化IFRを時点、地理、および共変量の上位100セットの関数としてモデル化した。共変量には、7項目の臨床的予測因子(年齢標準化肥満有病率など)と、医療システムの性能の2つの尺度が組み込まれた。190の国・地域と11の国・地域の地方について、最終的なIFR推定値(全年齢および年齢標準化)を算出した。IFRは190の国・地域で30倍以上の差があるも、ワクチン導入前8ヵ月間で33%減少 ワクチン導入および変異株流行前の2020年4月15日から2021年1月1日におけるIFR推定値は、年齢、地域および時点によって不均一性が大きいことが認められた。 年齢別IFR推定値(95%不確定区間[UI])は、7歳が0.0023%(0.0015~0.0039)と最も低く、30歳0.0573%(0.0418~0.0870)、60歳1.0035%(0.7002~1.5727)、90歳20.3292%(14.6888~28.9754)と指数関数的に増加し、J字型を呈した。2020年7月15日時点のIFRが高かった国は、ポルトガル(2.085%)、モナコ(1.778%)、日本(1.750%)、スペイン(1.710%)、ギリシャ(1.637%)であった。 全年齢IFRは、190の国・地域の間で30倍以上のばらつきが認められた。2020年7月15日時点の年齢標準化IFRが高かった国は、ペルー(0.911%)、ポルトガル(0.850%)、オマーン(0.762%)、スペイン(0.751%)、メキシコ(0.717%)であった。 IFRが高い地方には、英国、米国の南部および東部の州のホットスポットも含まれていた。サハラ以南のアフリカとアジア諸国は一般的に、全年齢および年齢標準化IFRが低かった。人口年齢構成は、2020年7月15日時点におけるサンプル国39ヵ国のIFR推定値のロジットスケールの変動の74%を占めた。事後解析により、介護施設集団における高い感染率が、一部の地域における高いIFRを説明する可能性が示された。 すべての国・地域において、2020年4月15日時点から2021年1月1日時点の間で、IFR中央値は0.466%(四分位範囲:0.223~0.840)から0.314%(0.143~0.551)に低下した。

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腎不全患者の生存有益性、腎移植vs.透析/BMJ

 ほとんどの腎不全患者において腎移植は全死因死亡を減少させる優れた治療法であるが、一部のサブグループでは生存有益性がない可能性があることを、英国・バーミンガム大学のDaoud Chaudhry氏らがシステマティックレビューおよびメタ解析の結果、報告した。腎不全患者において、腎移植は透析よりも優れた生存率をもたらすが、進行慢性腎臓病患者や透析患者のほとんどは腎移植待機リストに載っていない。そのため、臨床診療の進化を踏まえた腎不全患者の生存有益性に関する検討の必要性が示唆されていた。今回の結果を踏まえて著者は、「ドナー臓器の不足が続いており、腎不全患者の意思決定に役立つより良い情報を提供するため、さらなるエビデンスが必要である」とまとめている。BMJ誌2022年3月1日号掲載の報告。腎移植vs.透析継続による死亡を比較した試験結果をメタ解析 研究グループは、MEDLINE、Ovid Embase、Web of Science、Cochrane CollectionおよびClinicalTrials.govを用い、2021年3月1日までに発表された研究について検索し、移植手術待機中の腎不全患者を対象に移植と透析の全死因死亡を評価した比較試験を特定した。 2人の評価者がそれぞれデータを抽出し、組み込まれた試験のバイアスリスクを評価するとともに、DerSimonian-Lairdランダム効果モデルを用いてメタ解析を実施し、サブグループ解析、感度解析、メタ回帰により異質性を検討した。腎移植は全体として生存有益性あり、ただし一部のサブグループでは生存有益性なし 無作為化比較試験はなく、観察研究48件(合計124万5,850例)が特定された。 48件中44件(92%)の研究が、透析と比較し腎移植に関連する長期(最低1年)の生存有益性を報告していた。しかし、このうち11件の研究では、透析継続と比較して腎移植で統計学的に有意な有益性を認めない層が特定された。 メタ解析には18件が組み込まれ、腎移植の生存有益(ハザード比:0.45、95%信頼区間:0.39~0.54、p<0.001)が示されたが、サブグループ解析、感度解析あるいはメタ回帰解析でも有意な異質性が認められた。

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女性への暴力に関する論文への精神医学的なコメント(解説:岡村毅氏)

 21世紀に入ってから行われた主に国家規模の調査を世界中で集めてWHOにより分析された論文である。15歳から49歳の女性のうち、4人に1人以上がパートナーからの暴力(性的・身体的)を経験し、7人に1人以上は直近の過去1年で暴力を経験している。 21世紀も5分の1が過ぎたが、相変わらず人間は暴力的だ。ウクライナの戦争などを見ても19世紀から大して変わっていないように見える。 アクセス可能な方は論文のFigure 4をぜひご覧いただきたい。濃い赤は過去1年の女性への暴力が多い国であるが、アフガニスタン、南スーダン、コンゴ民主共和国、東ティモール、パプアニューギニアなどは言うまでもなく最近の紛争地域である。シリアやイラクやリビアに至ってはデータがない。 コミュニティが、いや国家が破綻したときに、弱者への暴力がむき出しになるということが視覚的に明らかである。 日本にももちろん暴力はあり被害者がいることは忘れてはならないが、一定の法の支配を享受できていることを認識し、子供たちの世代にそれを継承(そして改善)するのがわれわれの仕事であろう。 人類と暴力に関しては、著名な認知科学者であるピンカーによる、暴力は人類の存在に深く組み込まれた原罪であるという立場の大著(『暴力の人類史』)が話題になった。一方で人間の本性は善であるとする立場の本(『希望の歴史』)も最近話題になった。人類が暴力的かどうか論じるのは私には荷が重いので、最後に専門的なことを平易な言葉で述べよう。 ヒトは発達において、安定した関係の中で他者との交流を続ける中で脳が発達する。そして感情を調節し、大体のことが起きても対処できるようになっていく。これにより安定した人間関係を構築できるようになる。これが社会の基盤である。自分も他人も同じように感情を調節できる(突然暴力的になったりしない)という信念がなければ、社会は成立しない。 何かの理由でこれがうまくいかない場合に、感情を遮断することで防衛しようとしたりする(これが解離である)。また大人になってからでも、過酷なストレス(たとえば暴力を受ける体験、戦争など)はせっかく確立した安定を破綻させてしまう。破綻すると、より原始的な反応、つまり戦う(Fight)逃げる(Flight)すくむ(Freeze)といった反応しかできなくなってしまう。効果のある精神療法は、治療者との間に再び感情調整のチューニングをするという機能がある。もちろん精神療法だけが回復をもたらすものではなく、さまざまなやり方がある。 つまり、パートナーからの暴力も、戦争も、人間の人間らしさ、社会の基盤を壊すということである。これを再び築くのは、たとえば精神療法という手段をとった場合でも大変な労を要する。作るのは大変だが、壊れるのは一瞬だ。いち精神科医の臨床経験からも、暴力はまったく容認できないと考える理由である。

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人は病気になってから予防する【Dr. 中島の 新・徒然草】(416)

四百十六の段 人は病気になってから予防する皆さん、禁煙指導にはいろいろな工夫をしておられることと思います。私は最近、「タバコをやめろ」とガミガミ言っておりません。あまり効果を感じられないからです。それに結局は個人の自由でもありますから。さて、今回来院されたのは50代の女性、主訴は慢性咳嗽。「咳が続くので下気道のほうに原因はないでしょうか?」という近所の耳鼻科からの紹介です。彼女の登場とともにモワッとしたタバコの臭いに気づきました。中島「かなり吸うほうですか?」患者「1日に1箱半ぐらいかな」中島「そうすると1日15本か」患者「いや1箱半なので30本です」中島「ああ、1箱は20本でしたね、すみません」タバコの本数をきかれると〇箱と答える喫煙者が多いですね。でも、ブリンクマン指数を計算するには本数に換算しなくてはなりません。1箱が何本だったか、ちゃんと覚えておかないと。中島「二十歳からだとすると、30年以上吸っておられるのですね」患者「途中何回も禁煙したんで、30年になるかならんかぐらい」中島「やっぱりやめるのは難しいですか?」患者「うーん、もう諦めた」中島「とりあえず胸のレントゲンを撮ってみましょう」何の気なしに撮影した胸部レントゲン。よく見ると、直径2センチくらいの円形のようなものが見えます。果たして結節影と呼ぶべきか否か、ぬぬぬ。見れば見るほど怪しい気がします。疑心が暗鬼を生むとはこのことでしょうか。以前の胸部レントゲンもありません。あったら今回のものと比較できるのですけど。患者「何かありますか?」中島「ここのところがね、なんか丸く見えるでしょ?」患者「あーっ! ホンマや」中島「もうちょっと詳しく調べたほうが良さそうに思うんですよ」患者「何か悪いものができてるってこと?」中島「いや、まだそうと決まったわけではないのですけど」患者「あかん、頭の中が真っ白になってもた」決着をつけるために胸部CT撮影の手配をしました。中島「今さらですけど、禁煙しましょうか」患者「うん、もうやめるわ」ということで胸部CT撮影後の再診時のテーマは、円形に見えたものは何らかの病変か正常構造物か?本当にタバコをやめることができたのか?といったところです。もし、胸部CTで異常がなかった場合、これで安心だとタバコを吸うのか?もうタバコはやめてしまうのか?どちらになるのかも確認しておきたいです。そういえば1990年代出版の『医療の大法則』という本に、「人は病気になってから予防する」というのがあったような気がします。確かに、肺がんと診断されたとたん禁煙する人は沢山見ました。しばらく彼女の経過を見守りたいと思います。最後に1句 禁煙し ふっと気がつく 沈丁花 

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