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『がん医療における患者-医療者間のコミュニケーションガイドライン』 、作成の狙いは?

 2022年7月、日本サイコオンコロジー学会 / 日本がんサポーティブケア学会編『がん医療におけるこころのケアガイドラインシリーズ 2 がん医療における患者-医療者間のコミュニケーションガイドライン 2022年版』(金原出版)が出版された。本ガイドラインはこれが初版となる。作成にあたった日本サイコオンコロジー学会・コミュニケーション小委員会委員長の秋月 伸哉氏(都立駒込病院・精神腫瘍科)に、作成の狙いやに苦労した点について聞いた。--がん医療における患者-医療者間のコミュニケーションガイドラインの作成の狙いと経緯は? がん医療におけるこころのケアガイドラインシリーズは2019年に『せん妄ガイドライン』初版でスタートしました。この作成準備をはじめた2015年時点から、続けて『患者-医療者間のコミュニケーション』をガイドライン化する構想はあったのです。ただ、『せん妄』に比べてガイドライン化のハードルが高く、出版までに時間がかかった、という事情があります。--がん医療における患者-医療者間のコミュニケーションガイドライン作成で苦労された点は? まずは「臨床疑問(CQ)や推奨の強さの設定」に苦労しました。コミュニケーションというエビデンスが少なく、白黒付けにくい分野をテーマにしているため、ある程度予想はしていましたが、委員会内や外部学会の方との議論が長引く場面が多々ありました。 たとえば、患者が質問しやすくするための「質問促進リスト」を渡すことがその後の治療に益をもたらすか、といったCQであれば、「渡すか、渡さないか」なので検証する試験を設計できますが、これが「根治しない病気であることを伝える」といったコミュニケーションのパーツの益害を問うとなると、試験として設計しにくく、先行研究がほとんどありません。でもそうした細部も重要なので、できる限りエビデンスを集め、盛り込むように努力しました。 もう一つは、「アウトカムの設定」です。一般のガイドラインでは「患者の生存期間延長に寄与する治療法」が推奨される、というシンプルな構図があります。しかし、コミュニケーションそれ自体は治療ではないので、「医療者への信頼増強」や「適切な治療へのアクセス」といった間接的な寄与、社会的にあるべき情報伝達といった複数のアウトカムを総合して評価する必要がありました。--エビデンス確立が難しい分野で、敢えて「ガイドライン」にされた理由は? 医療者のあいだで「患者コミュニケーションは重要な医療技術である」という統一見解はあっても、それに関する先行研究は少なく、難渋しました。しかし、患者側からのニーズは非常に強いことも感じており、完全なものでなくても、今ある知見をガイドラインとしてまとめ、世に出すことに意味があると考えました。 がん患者とのコミュニケーションでは、再発や予後といった、非常に厳しい情報を伝えねばならない場面が多々あります。決して一律に「こうすべき」とは決められない分野ですが、現場の医療者は日々悩みながら判断し、実行しています。そうしたときに少しでも判断の助けになるものをつくりたい、という思いで取り組みました。 「診療の手引き」など、ガイドラインの体裁をとらない推奨事項のまとめ方もありますが、ガイドラインはその後の標準治療となるもので、インパクトが強い。今後の改訂の機会にまた議論ができますし、医療者教育を考える際にも検討しやすくなります。そうした波及効果に期待しています。--がん医療における患者-医療者間のコミュニケーションガイドラインを一番手にとってほしい層は? がん診療に関わる医師、とくに若手の方が今後のがん診療を支える中心なので、まずはそうした方々ですね。それに患者さん自身や患者さんの支援団体の方が読んでいただいても、医療者とのやり取りをより深く捉えるヒントになると思います。【書籍紹介】がん医療におけるこころのケアガイドラインシリーズ 2 がん医療における患者-医療者間のコミュニケーション ガイドライン 2022年版https://www.carenet.com/store/book/cg003800_index.html

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第3世代EGFR-TKI耐性NSCLCに対するHER3標的ADC U3-1402の第III相試験開始/第一三共

 第一三共は2022年8月9日、HER3に対する抗体薬物複合体パトリツマブ デルクステカン(U3-1402/HER3-DXd)について、EGFR遺伝子変異を有する転移のある非小細胞肺がん(NSCLC)患者への2次治療を対象とした第III相臨床試験(HERTHENA-Lung02)において、最初の患者への投与を開始した。 同試験はEGFR遺伝子変異を有し、第3世代EGFR-TKI治療後に病勢進行した転移のあるNSCLC患者を対象として、U3-1402の有効性および安全性をプラチナ製剤と比較評価する国際第III相臨床試験である。 主要評価項目は無増悪生存期間、副次評価項目は全生存期間、客観的奏効率、臨床的有効率、病勢コントロール率、奏効期間、安全性など。日本を含むアジア、欧州、北米およびオセアニアで約560例の患者を登録する予定である。 HER3はEGFRファミリーの1つ。NSCLCの83%に発現しており、がん転移頻度の増加や生存率の低下に関係しているとされる。現在HER3を標的とした薬剤はない。

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重度頭蓋内アテローム性動脈硬化による脳卒中、薬物+PTA/ステントは支持されず/JAMA

 症候性の重度頭蓋内アテローム性動脈硬化性狭窄による一過性脳虚血発作(TIA)または虚血性脳卒中を呈した患者において、抗血小板薬による薬物療法+経皮的血管形成術(PTA)またはステント留置術は、薬物療法のみと比べて、短期(30日以内)の脳卒中/死亡の発生または長期(30日超~1年)の該当動脈領域の脳卒中発生について、有意差は認められなかった。中国・首都医科大学のPeng Gao氏らが行った多施設共同非盲検無作為化・評価者盲検試験の結果で、著者は「結果は、症候性の重度頭蓋内アテローム性動脈硬化性狭窄を有する患者の治療として、薬物療法へのPTAまたはステント留置の併用を支持しないものであった」とまとめている。JAMA誌2022年8月9日号掲載の報告。30日脳卒中/死亡、または30日超~1年の該当動脈領域脳卒中を比較 試験は中国8ヵ所の医療センターで行われ、症候性重度頭蓋内アテローム性動脈硬化性狭窄の患者における「薬物療法+ステント留置術」と「薬物療法単独」を比較した。被験者は、重度(70~99%)頭蓋内狭窄に起因するTIAまたは後遺症のない虚血性脳卒中、非穿通枝領域(非脳幹、非大脳基底核側動脈)虚血性脳卒中を発症し、直近の虚血性症状発症から3週間超が経過した患者380例で、2014年3月5日~2016年11月10日に登録され、3年間追跡が行われた(最終フォローアップは2019年11月10日)。 薬物療法には、抗血小板薬2剤併用療法(DAPT)90日間、その後同単剤併用療法(SAPT)と脳卒中リスク因子コントロールなどが含まれた。 主要アウトカムは、30日以内の脳卒中または死亡と、30日超~1年の該当動脈領域の脳卒中の複合だった。副次アウトカムは5項目で、2、3年後の該当動脈領域の脳卒中や3年死亡率などだった。3年死亡率、ステント併用群4.4% vs.薬物療法群1.3% 380例が無作為化を受け、適格性が確認された358例(平均年齢56.3歳、男性は263例[73.5%])を対象に試験を行い、343例が試験を完了した。薬物療法+ステント留置群(ステント併用群)は176例、薬物療法単独群(薬物療法群)は182例だった。  主要複合アウトカムの発生は、ステント併用群が8.0%(14/176例)、薬物療法群が7.2%(13/181例)と、両群で有意差はなかった(群間差:0.4%[95%信頼区間[CI]:-5.0~5.9]、ハザード比[HR]:1.10[95%CI:0.52~2.35]、p=0.82)。 2年該当動脈領域脳卒中発症率(9.9%[17/171例]vs.9.0%[16/178例]、群間差:0.7%[95%CI:-5.4~6.7]、HR:1.10[95%CI:0.56~2.16]、p=0.80)、3年該当動脈領域脳卒中発症率(11.3%[19/168例]vs.11.2%[19/170例]、-0.2%[-7.0~6.5]、1.00[0.53~1.90]、p>0.99)など、5つの副次アウトカムはいずれも両群で有意差は認められなかった。 一方3年死亡率は、ステント併用群4.4%(7/160例)と薬物療法群1.3%(2/159例)だった(群間差:3.2%[95%CI:-0.5~6.9]、HR:3.75[95%CI:0.77~18.13]、p=0.08)。

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コロナ罹患後症状、約13%は90~150日も持続/Lancet

 新型コロナウイルス感染症(COVID-19)罹患後の持続する全身症状(いわゆる後遺症)としての呼吸困難、呼吸時の痛み、筋肉痛、嗅覚消失・嗅覚障害などの長期(90~150日)発生率は12.7%と推定されることが、オランダで約7万6,000例を対象に行われた観察コホート試験で示された。オランダ・フローニンゲン大学のAranka V. Ballering氏らが、同国北部在住者を対象にした、学際的前向き住民ベース観察コホート試験で、健康状態や健康に関連する生活習慣などを評価するLifelines試験のデータを基に、COVID-19診断前の状態や、SARS-CoV-2非感染者のマッチングコントロールで補正し、COVID-19に起因する罹患後症状の発生率を明らかにした。Lancet誌2022年8月6日号掲載の報告。23項目の身体症状を繰り返し調査 これまでのコロナ罹患後症状に関する検討では、COVID-19診断前の状態や、SARS-CoV-2非感染者における同様の症状の有病率や重症度を考慮した検討は行われておらず、研究グループは、SARS-CoV-2感染前の症状で補正し、非感染者の症状と比較しながら、COVID-19に関連する長期症状の経過、有病率、重症度の分析を行った。 検討はLifelines試験のデータを基に行われた。同試験では、18歳以上の参加者全員に、COVID-19オンライン質問票(digital COVID-19 questionnaires)が送達され、COVID-19診断に関連する23項目の身体症状(SARS-CoV-2アルファ[B.1.1.7]変異株またはそれ以前の変異株による)について、2020年3月31日~2021年8月2日に、24回の繰り返し評価が行われた。 SARS-CoV-2検査陽性または医師によるCOVID-19の診断を受けた被験者について、年齢、性別、時間をCOVID-19陰性の被験者(対照)とマッチングした。COVID-19の診断を受けた被験者については、COVID-19前後の症状と重症度を記録し、マッチング対照と比較した。90~150日時点の持続症状、陽性者21.4%、非感染者8.7% 7万6,422例(平均年齢53.7[SD 12.9]歳、女性は4万6,329例[60.8%])が、合計88万3,973回の質問に回答した。このうち4,231例(5.5%)がCOVID-19の診断を受けた被験者で、8,462例の対照とマッチングされた。 COVID-19陽性だった被験者において、COVID-19後90~150日時点で認められた持続する全身症状は、胸痛、呼吸困難、呼吸時の痛み、筋肉痛、嗅覚消失・嗅覚障害、四肢のうずき、喉のしこり、暑さ・寒さを交互に感じる、腕・足が重く感じる、疲労感で、これらについてCOVID-19前およびマッチング対照と比較した。 一般集団のCOVID-19患者のうち12.7%が、COVID-19後にこれらの持続症状を経験すると推定された。また、これらの持続症状の少なくとも1つを有し、COVID-19診断時またはマッチング規定時点から90~150日時点で中等度以上に大幅に重症度が増していた被験者は、COVID-19陽性被験者では21.4%(381/1,782例)、COVID-19陰性の対照被験者では8.7%(361/4,130例)だった。 これらの結果を踏まえ著者は、「検討で示された持続症状は、COVID-19罹患後の状態と非COVID-19関連症状を区別する最も高い識別能を有しており、今後の研究に大きな影響を与えるものである。COVID-19罹患後の関連症状を増大する潜在的メカニズムを明らかにする、さらなる研究が必要である」と述べている。

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COVID-19パンデミック中の長期抑うつ症状の予測因子

 COVID-19パンデミックは、それ以前と比較し、精神疾患の増加を引き起こしている。しかし、成人うつ病の長期的軌跡に対するパンデミックの影響は十分に検討されていない。英国・サウサンプトン大学のLara Rosa氏らは、COVID-19パンデミックの初期段階以降での抑うつ症状の軌跡と予測因子を明らかにするため、潜在成長曲線モデルを用いて検討を行った。その結果、COVID-19パンデミックによる孤独感は、すべての年齢層において抑うつ症状の長期的軌跡に多大なる影響を及ぼすことが示唆されたが、ソーシャルディスタンスの順守が抑うつ症状増加の予測因子ではないことから、著者らは、孤独を感じないようにつながりを育んでいくことが重要であると報告している。Evidence-Based Mental Health誌オンライン版2022年7月28日号の報告。 2020年5月、同年9月/10月、2021年2月/3月の各COVID-19パンデミック期間におけるデータを、英国の4つのコホート研究(MCS、NSコホート、BCS、NCDS)より収集した。分析対象は1万6,978人であり、ベースライン時の平均年齢はコホート研究別にそれぞれ20歳、30歳、50歳、62歳であった。アウトカムは、自己報告による抑うつ症状とした。 主な結果は以下のとおり。・すべてのパンデミック期間において、若年者は高齢者よりも抑うつ症状を有する割合が高かった(d=0.7)。・抑うつ症状は、2020年5月~9月/10月では全体的に安定していたが(標準化平均差[SMD]:0.03、95%CI:0.02~0.04)、2020年5月~2021年2月/3月ではすべての年齢層において増加が認められた(SMD:0.12、95%CI:0.11~0.13)。・孤独感は、すべてのコホート研究で抑うつ症状増加の最も強力な予測因子であり、相関が確認された。・パンデミック前のメンタルヘルスの問題や長期罹患は、すべての年齢層において、抑うつ症状の増加と有意な関連が認められた。・一方、ソーシャルディスタンスの順守は、抑うつ症状増加の予測因子ではなかった。

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tPA静注+経皮的脳血栓回収術が今後も標準治療として選択されることになるだろう(解説:高梨成彦氏)

 現在標準治療として推奨されているtPA静注+経皮的脳血栓回収術のBridging Therapyに対して、血栓回収術を単独で施行するDirect Thrombectomyの非劣性は示されなかった。とくに患者の半数を占めた中国とベトナムのアジア圏においてBTの有効性が高いという結果であった。 BT vs.DTに関しては下表※に示したように本研究を含めて6つの試験が行われている。しかしDTの非劣性が示されたのはDIRECT-MTとDEVTの2つであり、これら2試験は非劣性マージンが広いこと、Door-to-IVT timeが長いことなどが指摘されている(Turc G, et al. J Neurointerv Surg. 2022;14:209.)。 これらの結果から今後もtPA静注が可能な症例に対してはBTが標準治療として選択されることになるだろう。 なお本研究ではBT群の17%にテネクテプラーゼが使用されている。アルテプラーゼに比べて再開通率、患者転帰が良好であると報告されており、ボーラス投与で迅速に治療を開始できるテネクテプラーゼはBTの効果をさらに高めることが期待され、本邦でも使用可能になることが切望される。※表:筆者作成

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耳介の外傷(耳介血腫)の処置【漫画でわかる創傷治療のコツ】第11回

第11回 耳介の外傷(耳介血腫)の処置《解説》今回は、柔道など格闘技の選手によく起こる耳介の外傷「耳介血腫」の処置について解説します。耳介は側頭面より聳立(しょうりつ)しているため、とくに外傷を受けやすい部位です。構造も複雑で、一度変形を生じると再建が困難となるため、適切な初期治療が求められます。耳介軟骨は軟骨膜によって血液が供給されているため、鈍的外力により耳介が外傷を負うと、軟骨膜下の血腫を引き起こすことがあります。血腫の排液に失敗したり、治療をせず放置したりすると、血腫は吸収されずに器質化し、不可逆的な耳介変形を引き起こすので迅速に対処しましょう!処置の前に行う洗浄や局所麻酔については、以前の記事を参考にしてください。耳介ブロックも知っていると便利です。画像を拡大する(1)耳介血腫の処置耳介血腫は、耳介前面の軟骨膜下に血液が溜まった状態です。耳介前面の上半部(舟状窩)に起こりやすいです。単なる穿刺吸引では再発するので、絶対に固定を行ってください!!!急性期であれば、血腫を穿刺吸引後に脱脂綿、ガーゼなどを使用して耳介の凸凹に合わせて枕縫合(漫画参照)を行い、血腫腔(つまり血が溜まるスペース)を残さないようにします。縫合はドレナージが効くように、あえて間隔を空けてナイロン糸で縫合します。ペンローズドレーンも有効です。2~3日経過したものは切開をやや広くして内部を掻爬(そうは)し、血腫とフィブリンを除去した後、同様に固定します。再発性のものや凝固してしまっている血腫については、耳介後面から皮膚軟骨を切開して血腫を排出し、同様に圧迫固定するか形成外科外来に紹介してください。(2)耳介裂傷の処置耳介裂傷のうち、耳介軟骨が露出していない耳輪辺縁のみの軽傷例であれば保存的治療でも治癒しますが、多くは縫合が必要です。血行は良好なので、受傷後24時間以内であれば一次縫合が可能であるとされています。しかし、耳介から完全に、または部分的に剥離してしまった組織片がある場合は、受傷後数時間以内に縫合を行わないと生着率が低下してしまうので、速やかに形成外科等に紹介しましょう。縫合は、漫画にあるように前後の皮膚と耳介軟骨の3層をそれぞれ行います。軟骨は裂けやすいため、しっかり縫合するというよりも正しい位置に戻すというイメージです。参考波利井 清紀ほか監修. 形成外科治療手技全書III 創傷外科. 克誠堂出版;2015.福田 修、荻野 洋一編著. 耳介の形成外科. 克誠堂出版;2005.市田 正成著. スキル外来手術アトラス. 第3版. 文光堂;2006.岡 正二郎監訳. ERでの創処置 縫合・治療のスタンダード. 羊土社;2019.

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第122回 米国では使わない2価の“旧改良ワクチン”を日本は無理やり買わされる?国のコロナワクチン対策への素朴な疑問

「2日早いです!」、自衛隊大規模接種会場でワクチン打てずこんにちは。医療ジャーナリストの萬田 桃です。医師や医療機関に起こった、あるいは医師や医療機関が起こした事件や、医療現場のフシギな出来事などについて、あれやこれや書いていきたいと思います。先週は野球の話題に事欠かない1週間でした(内閣改造もありましたが、その話題は日を改めて)。米国ではロサンゼルス・エンゼルスの大谷 翔平選手が10勝目をあげ、2桁勝利、2桁本塁打を達成しました(勝利後の大谷選手が冷静かつ少々浮かない表情だったのが気になりました)。また、昨年「第71回 『もはや災害時』なら、『現実解』は“野戦病院”、医師総動員、医療職の業務範囲拡大か」でも書いた、MLBの「フィールド・オブ・ドリームス」公式戦(シンシナティ・レッズ対シカゴ・カブス)が今年もアイオワ州ダイアーズビルで行われ、ファンを楽しませました。日本ではヤクルト・スワローズの村上 宗隆内野手が史上最年少、22歳で本塁打40号に到達しました。村上選手は近い将来、MLBに挑戦すると思いますが、本塁打に関しては、大谷、松井選手以上の成績を残すかもしれません。高校野球では、14日に行われた2回戦、大阪桐蔭(大阪)対聖望学園(埼玉)の試合がいろいろな意味で衝撃的でした。埼玉大会の決勝で、強豪、浦和学院を1対0で破った聖望は、エース岡部 大輝投手の制球が素晴らしく、王者・大阪桐蔭の打線をどこまで抑えられるかが見どころでした。結果は、19対0と歴史的な大敗。夏の埼玉大会は毎年、何試合か現場で観戦しているので、個人的にも大きなショックでした。果たして、埼玉の高校野球は立ち直れるでしょうか……。そうした野球観戦の合間に、新型コロナワクチンの4回目接種を受けに、東京・大手町の自衛隊大規模接種会場に家族と出かけました。同行の家族はすんなり打てたのですが、私は隅に連れて行かれ、「5ヵ月まで2日早いです!なので打てません」の宣告。接種券をよく見てみると、接種が可能となる5ヵ月目までまだ2日あったのです。少々ごねてみたのですが、スタッフは「できません」の一点張り。結局、再予約するはめになってしまいました。たった2日早いだけなのに……。スタッフの多さがやたらと目立つガラガラの会場で、日本のワクチン行政の融通の効かなさ、硬直性にため息しか出ませんでした。というわけで、今回は久しぶりに下世話な事件から離れ、コロナに関する出来事について書いてみたいと思います。2価ワクチンの“謎”、従来型対応はいるの?厚生労働省は8月8日、新型コロナウイルスのオミクロン型に対応した2価の改良ワクチンの接種を10月半ばにも始める方針を明らかにしました。米・ファイザーと独・ビオンテック、米・モデルナが開発を進めてきた製品で、9月から輸入できる見通しとのことです。今後、2回目までの接種を終えている全員を対象に想定して準備を進めるそうです。厚労省はこれら2製品の製薬企業と供給契約を結んでおり、承認申請はファイザー・ビオンテックが8月8日に、モデルナは8月10日に済ませています。この改良ワクチンは、新型コロナウイルス(SARS-CoV2)の起源株(いわゆる従来株)とオミクロン株 「BA.1」系統のスパイクタンパク質をそれぞれコードする2種類のメッセンジャーRNA(mRNA)を含む2価ワクチンで、生理食塩水での希釈が不要な「RTU製剤」とのことです。臨床試験では、オミクロン型や派生型に対する抗体ができるのを確認できたとのことで、8日の厚労省の審議会では、高齢者の重症化だけでなく若者の感染や発症を防ぐ効果も期待できる、との声も上がったとのことです。なお、モデルナの臨床試験では、追加接種によってオミクロン株の働きを抑える中和抗体の量が現行品よりも増えることが確認されており、BA.1だけでなく現在主流のBA.5に対しても“一定の効果“が期待できるとのことです。ファイザー・ビオンテック製、モデルナ製ともに厚労省は審査を簡略化する特例承認制度を適用して迅速に審査を進める方針で、承認されれば9月中旬にも輸入される予定です。なお、打つ間隔などは製造販売を承認する際に決めるそうですが、3回目から5ヵ月空ける場合、60歳以上の対象者数のピークは12月以降、冬になる見通しだそうです。FDAはBA.4とBA.5に有効な新しい改良ワクチンの開発をメーカーに要請2価のワクチンで、今流行中のBA.5にも一定の効果があるということですから、一見、期待が高まるニュースのように読めますが、気になる点もあります。日本貿易振興機構(ジェトロ)が7月1日に配信したビジネス短信に、「米FDA、オミクロン株新派生型に有効な改良ワクチン開発を製薬企業に要請」というタイトルのニュースがありました。それによれば、米国食品医薬品局(FDA)は6月30日、諮問委員会の新型コロナウイルス用ワクチンに関する討論を経て、「2022年秋から追加接種として使用する新型コロナワクチンのオミクロン株に対抗する要素を含めることを推奨する」とした委員が圧倒的多数を占めたと発表しました。その上でFDAは、ワクチンメーカーに対して、オミクロン株のBA.4とBA.5に有効な新しい改良ワクチンを、今年秋からの追加接種のために開発するよう要請したそうです。なお、モデルナはBA.4とBA.5に関して、同社が開発中の改良ワクチン(mRNA-1273.214、以降、旧改良ワクチンと呼びます)の有効性が確認されたとしており、6月22日に公表されたデータでは、過去の感染有無にかかわらず全被験者(2回接種に加え、追加1回接種済み)でBA.4、BA.5に対する強力な中和抗体反応が確認できたとのことです。一方、ファイザーとビオンテックは6月25日、同社が開発中の改良ワクチン(つまり旧改良ワクチン)は、追加接種として接種した場合に、BA.1に対して高い有効性があると発表しました。ただし、BA.4とBA.5に対しては、BA.1に対する効果の3分の1程度だったとのことです。米国、モデルナの新改良ワクチンを導入決定このニュースから見えてくるのは、日本はどうやら米国では使わない旧改良ワクチンを買わされて使うことになるのだろう、ということです。米国はメーカーにBA.4とBA.5に効く“新改良ワクチン”の開発を急がせており、秋からの追加接種に間に合わせようしています。上述したように、従来株とBA.1対応の2価の旧改良ワクチンでは、BA.4とBA.5に対する効果が低いことがわかっているからです。しかし、8日に日本政府が導入すると発表したのはこの旧改良ワクチンです。「開発はしてみたけれど、米国ではもっと効く新改良ワクチンを投入する予定だから、効きが弱い古いのは日本に売ってしまおう」とファイザー・ビオンテックや、モデルナが考えたかどうかわかりませんが、何だか“余り物”を掴まされているようで、気分はスッキリしません。と、ここまで書いたら、モデルナの2価の新改良ワクチン(mRNA-1273.222)を、米国政府が6,600万回分確保した、というニュースが飛び込んできました。このワクチンは、従来製品「スパイクバックス」にオミクロンBA.4、BA.5対応のmRNAを組み合わせたもので、追加接種用ワクチン候補を2億3,400万回分追加購入するオプションを含んだ契約だそうです。やはり米国は秋以降、旧改良ワクチンではなく、新改良ワクチンでコロナに対抗しようとしているのです。ちなみに、モデルナの旧改良ワクチンは英国、オーストラリア、カナダ、EUなど日本以外の複数の国でも導入が決定しており、英国政府は8月15日に世界で初めて承認したと発表しました。いつまでたっても、米国を周回遅れでしか追えない日本のワクチン接種。開発力の差がその根底にあるのは確かですが、それを招いたのは、国の緊急の感染症発生に対する準備不足です。パンデミックが起こる前から、ワクチン研究者やメーカーへの支援や臨床試験や承認手続きの簡略化などにしっかり取り組んでいれば、状況はもう少し変わっていたはずです。その意味で、“余り物”の旧改良ワクチン導入は、日本のワクチン行政の融通の効かなさ、硬直性が招いた結果であるとも言えるでしょう。

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アトピー性皮膚炎、新規抗IL-13抗体tralokinumabの長期有用性確認

 中等症~重症のアトピー性皮膚炎(AD)に対するtralokinumab(トラロキヌマブ、本邦承認申請中)の長期治療について、最長2年治療の忍容性は良好であり、ADの徴候と症状のコントロール維持が確認された。tralokinumabは、アトピー性皮膚炎関連の皮膚の炎症やかゆみに関与するIL-13のみを選択的に阻害する生物学的製剤で、第III相試験では最長1年にわたり、中等症~重症アトピー性皮膚炎成人患者の病変範囲・重症度を持続的に改善することが確認されている。中等症~重症アトピー性皮膚炎患者においては長期にわたる治療が必要として現在、非盲検下で5年延長試験「ECZTEND試験」が進行中であり、米国・Oregon Medical Research CenterのAndrew Blauvelt氏らが、事後中間解析における最長2年のIL-13のみを選択的に阻害する生物学的製剤tralokinumabの安全性と有効性を評価した。Journal of the American Academy of Dermatology誌オンライン版2022年7月18日号掲載の報告。IL-13のみを選択的に阻害するtralokinumabがアトピー性皮膚炎を改善 ECZTEND試験は、tralokinumabの先行試験(PT試験)に参加した中等症~重症AD患者を対象に、tralokinumab(2週ごとに300mg皮下投与)+局所コルチコステロイドの安全性と有効性を評価する5年延長試験。 安全性の解析は、tralokinumab曝露期間にかかわらず、ECZTEND試験に登録されたPT試験を完了した成人を対象とした。有効性の解析は、ECZTEND試験で1年以上tralokinumab治療を受けた成人参加者とし、サブグループ解析では、2年(PT試験で1年、ECZTEND試験で1年)治療を受けた成人参加者を評価対象とした。 主要エンドポイントは、延長試験期間中における有害事象(AE)の発生件数。副次エンドポイントは、PT試験と比較したIGAスコア0/1の達成患者割合およびEASI-75達成患者割合であった。 IL-13のみを選択的に阻害するtralokinumabの安全性と有効性を評価した主な結果は以下のとおり。・安全性解析には1,174例(年齢中央値38.0歳、男性57.5%、罹病期間中央値27.0年)、2年有効性解析には345例(42.0歳、58.8%、30.0年)が含まれた。・安全性解析(1,174例)において、tralokinumab累積曝露は1,235.7患者年で、曝露補正後AE発生頻度は、100患者年曝露当たり237.8件であった。・頻度の高いAEの曝露補正後発生率は、PT試験と同程度か低率であった。・2年有効性解析(345例)において、ADの範囲・重症度の改善は持続しており、EASI-75達成患者割合は82.5%であった。・本解析は、選択バイアスの可能性、プラセボ群未設定、一部の被験者がPT試験とECZTEND試験で治療ギャップを経験した、などの点で限界がある。

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CDCが接触者の行動指針を更新、その詳細は?隔離不要だが…

 CDCは2022年8月11日、COVID-19感染者の接触者が取るべき行動の指針を更新した。今回の更新では、隔離は緩和されたものの、10日後までは、屋内では高性能マスクもしくは医療用マスク(N95など)を着用する、マスクを着用できない場所には行かない、6日後に検査を受ける、などが求められている。 COVID-19感染者の接触者となった際のCDCの指針は以下のとおり。この指針はワクチン接種の有無やCOVID-19感染歴の有無によらない。■曝露が判明したらすぐにマスクを着用■曝露日(Day 0)から10日後(Day 10)までの措置(COVID-19発症の可能性があるため)・自宅や屋内の公共の場で周囲に人がいるときは、常に高性能マスクもしくは医療用マスク(N95など)を着用する。・マスクを着用できない場所(旅行や公共交通機関を含む)には行かない。・重症化するリスクが高い人の近くにいる場合は、とくに注意する。・発熱(38℃以上)、咳、息切れなどのCOVID-19症状が出たら、すぐに隔離し、検査を受け、結果がわかるまで自宅にいる。・検査が陽性の場合は隔離に関する推奨に従う。■曝露から6日後(Day 6)に検査を実施・曝露から5日以上経過してから検査を受ける(症状が出ていなくても)。・過去90日以内にCOVID-19の感染歴がある場合は、別途、推奨事項を参照する。・陰性の場合、10日後(Day10)まで上記措置を継続し、自宅や屋内の公共の場で周囲に人がいるときは高性能マスクを着用する。・陽性の場合はすぐに隔離する。

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うつ病の急性単剤治療反応、プラセボと比較/BMJ

 米国食品医薬品局(FDA)のMarc B. Stone氏らは、同局に提出された無作為化プラセボ対照試験におけるうつ病の急性単剤治療に対する反応を、試験参加者レベルの個別データを基に解析した。その結果、実薬およびプラセボとも大幅な改善をもたらす可能性があるが、同様に認められた三峰性の反応分布から、臨床試験でプラセボ効果を上回る実質的な抗うつ効果を有する被験者は約15%であることが示唆された。著者らは、薬物治療に特異的な意味のある反応を示す予測因子の必要性が明らかになったことを報告している。BMJ誌2022年8月2日号掲載の報告。232の無作為化二重盲検プラセボ対照試験の被験者データを解析 研究グループは、1979~2016年に米国FDAに提出された無作為化プラセボ対照試験における、うつ病の急性単剤治療に対する被験者個人レベルの反応分布を特徴付けるデータ解析を行った。 解析には、抗うつ薬の有効性研究の包含基準を満たした232の無作為化二重盲検プラセボ対照試験から、成人および子供の被験者7万3,388例が含まれた。 各試験で有効性の評価にはさまざまな手法が用いられていたことから、すべてのスコアを17項目のハミルトンうつ病評価尺度(HAMD17)スコアに変換。多変量解析にて、抗うつ薬(実薬)群とプラセボ群のうつ症状の改善への、年齢、性別、ベースライン重症度、試験年数の影響を調べた。反応分布は、有限混合モデルを用いて解析した。実薬vs.プラセボのLarge responses達成は24.5% vs.9.6% 実薬群とプラセボ群のランダムエフェクト平均群間差は1.75点(95%信頼区間[CI]:1.63~1.86)であり、実薬群を支持するものであった。 実薬とプラセボ間の差は、ベースライン重症度が増すほど有意に増大した(p<0.001)。被験者のベースライン特性で調整後、治療効果またはプラセボ反応の経時的な傾向はみられなくなった。 反応分布の最適適合モデルとして、3つの正規分布が見いだされた。それぞれベースラインから治療終了までの平均改善点16.0、8.9、1.7を示すもので、改善の程度が大きい反応(Large responses)、改善の程度が限定的な非特異的反応(Non-specific responses)、改善の程度がほとんどまたはまったく認められない反応(Minimal responses)として出現した。 実薬群はプラセボ群と比較して、Large responsesを示す可能性が大きく(24.5% vs.9.6%、オッズ比[OR]:3.07[95%信頼区間[CI]:2.05~4.91])、Minimal responsesを示す可能性は小さかった(12.2% vs.21.5%、0.51[0.41~0.62])。一方で、ほとんどの反応(実薬の63.3%、プラセボの68.9%)が、Non-specific responsesに分布されていた。また、Large responsesが得られる患者を1人増やすための実薬での治療必要数(NNT)は6.7(95%CI:5.7~7.7)であり、Minimal responsesの患者を1人減らすための実薬でのNNTは10.8(9.0~12.5)であった。 これらの結果を踏まえて著者は、「抗うつ薬で実質的な改善が得られる可能性の高い患者のサブセットを特定する、さらなる研究が必要である」と述べている。

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慢性腰痛の介入、段階的感覚運動リハビリvs.シャム/JAMA

 慢性腰痛患者に対する単施設で行った無作為化試験において、段階的感覚運動リハビリテーション(graded sensorimotor retraining)はシャム・注意制御介入と比較して、18週時点の疼痛強度を有意に改善したことが、オーストラリア・Neuroscience Research AustraliaのMatthew K. Bagg氏らによる検討で示された。慢性疼痛への、痛みと機能の感知に関する神経ネットワークの変化の影響は明らかにされていない。今回の結果について著者は、「疼痛強度の改善は小さく、所見が標準化可能なものかを明らかにするためには、さらなる検討が必要である」としている。JAMA誌2022年8月2日号掲載の報告。12週間の臨床セッション+自宅トレーニングの介入効果を検証 研究グループは、慢性腰痛患者において、段階的感覚運動リハビリテーション(RESOLVE)の疼痛強度への効果を明らかにするため、プライマリケアおよび地域住民から非特異的な慢性(3ヵ月以上)腰痛を有する参加者を集めて並行2群無作為化試験を行った。 合計276例の成人が、オーストラリアのメディカルリサーチ研究所1施設で臨床医による介入またはシャム・注意制御介入を受ける(対照)群に、1対1の割合で無作為に割り付けられた。無作為化は2015年12月10日~2019年7月25日に行われ、フォローアップが完了したのは2020年2月3日であった。 介入群(138例)は、腰痛時の運動や身体活動の教育および支援を行うためにデザインされた12週間の臨床セッションと自宅トレーニングに参加するよう要請された。対照群(138例)は、介入群と期間は同じだが、教育や運動および身体活動は注視されていない12週間の臨床セッションと自宅トレーニングに参加するよう要請された。また、対照群には、シャムレーザーおよび短波ジアテルミーが背部に、またシャム非侵襲的脳刺激などが施術された。 主要アウトカムは、18週時の疼痛強度で、11ポイント評価尺度(範囲:0点[痛みなし]~10点[想像しうる最悪の痛み])で測定し、両群間の臨床的意味のある最小差(1.0ポイント)を評価した。18週時の疼痛強度、介入群で臨床的意味のある改善を確認 無作為化を受けた276例(平均年齢46[SD 14.3]歳、女性138例[50%])において、261例(95%)が18週のフォローアップを完了した。 平均疼痛強度は、介入群がベースライン5.6点から18週時3.1点に、対照群は5.8点から4.0点に変化がみられた。 18週時の推定平均群間差は-1.0ポイント(95%信頼区間[CI]:-1.5~-0.4)で、介入群の良好な改善が認められた。

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モデルナ、オミクロン株対応2価ワクチンを国内承認申請

 2022年8月10日、モデルナ・ジャパンは、追加接種用2価ワクチンmRNA-1273.214 50μgを、18歳以上を対象とした追加接種用ワクチンとして厚生労働省に承認事項一部変更申請を行ったことを発表した。追加接種用2価ワクチンmRNA-1273.214は、mRNA-1273とオミクロン株対応のmRNAを含んでいる。 今回の申請は、臨床試験前に血清学的にSARS-CoV-2検査が陰性であった被験者に対する、第II/III相臨床試験などの結果に基づく。 第II/III相臨床試験では、mRNA-1273.214による追加接種(50μg)が、mRNA-1273の追加接種(50μg)との比較において、オミクロン株(BA.1)に対する中和抗体反応など全ての主要評価項目を達成した。 さらに、mRNA-1273.214は、感染歴に関係なくBA.4/BA.5に対して、全ての被験者で試験開始前の5.4倍(95%信頼区間[CI]:5.0~5.9)、血清学的にSARS-CoV-2検査陰性被験者では6.3倍(95%CI:5.7~6.9)の中和抗体価を誘導した。BA.4/BA.5に対する中和抗体価は、BA.1に対する中和抗体価の約3分の1だった。 接種時に感染のない被験者では、mRNA-1273による追加接種と比較して、mRNA-1273.214はBA.4/BA.5に対し有意に高い中和抗体価を示し、幾何平均比は1.69(95%CI:1.51~1.90)であった。

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中等度スタチン+エゼチミブ併用は高用量スタチンに比べて、心血管疾患再発予防に非劣性で、かつ有害事象は少ない:ただしわが国とスタチン用量が異なる点は注意が必要(解説:桑島巖氏)

 動脈硬化性疾患(ASCVD)を有する例において、2次予防のためにはLDLコレステロール値と再発予防の関係はthe lower, the betterが定着しつつある。本年度改定された、わが国の「動脈硬化性疾患予防ガイドライン2022」でも、2次予防のためにはLDLコレステロール値の治療目標値は70mg/dL未満としている。 その目標値達成のためには、HMG-CoA還元酵素阻害薬(スタチン)を最大量まで増量するか、あるいは中等度のスタチンと脂質低下機序の異なるエゼチミブを併用すべきか迷うところである。コレステロールの合成抑制と、消化管からの脂肪吸収抑制という異なる機序の薬剤を組み合わせることは、合理的と考えられるが、そのエビデンスが望まれていた。 スタチンとエゼチミブの配合剤はわが国ではアトーゼット(エゼチミブ/アトルバスタチン配合剤)とロスーゼット(エゼチミブ/ロスバスタチン配合剤)の2種類が発売されており、各々に低用量(LD)、高用量(HD)が用意されている。本試験では、併用群ではロスバスタチン10mgとエゼチミブ10mg、高用量スタチン群ではロスバスタチン20mg/日)が比較されている。しかし、わが国ではロスバスタチン(クレストール)は1日最大5mgまでしか認可されていない。 本研究での1、2、3年目でのLDL-C70mg/dL未満達成率は、中等度スタチン+エゼチミブ併用のほうが、高用量群よりも高く、主要エンドポイントである心血管疾患再発予防では非劣性であることを証明した。 副作用や不耐性などによる試験の中断は、併用群4.8%、高用量群8.2%と後者で多く、気になる肝機能障害、横紋筋融解なども高用量群に多く、併用療法のほうが有用であることを示した。

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1日1回投与に改良した高純度EPA製剤「エパデールEMカプセル2g」【下平博士のDIノート】第104回

1日1回投与に改良した高純度EPA製剤「エパデールEMカプセル2g」今回は、高純度EPA製剤「イコサペント酸エチルカプセル2g(商品名:エパデールEMカプセル2g、製造販売元:持田製薬)」を紹介します。本剤は、既存のエパデールカプセルおよびエパデールS(以下、既存薬)の消化管吸収を高めて1日1回投与にした薬剤であり、トリグリセリド(TG)高値を示す脂質異常症患者の新たな選択肢として期待されています。<効能・効果>本剤は、高脂血症の適応で、2022年6月20日に承認されました。なお、既存薬は「高脂血症」と「閉塞性動脈硬化症に伴う潰瘍、疼痛および冷感の改善」の適応を有していますが、本剤の適応は「高脂血症」のみです。<用法・用量>イコサペント酸エチルとして、通常、成人には1回2gを1日1回、食直後に経口投与します。TG高値の程度により、1回4gを1日1回まで増量することができます。本剤は抗血小板作用を有するため、抗凝固薬や血小板凝集を抑制する薬剤との併用により、相加的に出血傾向が増大するため注意が必要です。<安全性>国内第III相試験において、副作用の発現頻度は本剤2g/日群で9.8%(6/61例)、本剤4g/日群で8.2%(5/61例)でした。2%以上に認められた副作用は、本剤2g/日群で下痢3.3%(2/61例)、本剤4g/日群で軟便3.3%(2/61例)でした。重大な副作用として、肝機能障害、黄疸(いずれも頻度不明)が設定されています。<患者さんへの指導例>1.この薬は、肝臓における過剰な中性脂肪の合成を抑制するとともに、余分な中性脂肪の代謝を促進することで、脂質異常症を改善します。脂質異常を改善することで、動脈硬化性疾患の進行を抑えることが期待できます。2.血が止まりにくくなることがあるので、手術や抜歯の予定がある場合は事前に相談してください。3.空腹時の服用では薬剤の吸収が低下するため、食後すぐに服用してください。4.軟カプセルの中には魚の臭いがする油状の成分が入っているため、噛まずに服用してください。5.脂質異常症の治療の基本は、食事・運動・禁煙などの生活習慣の改善です。本剤の服用中も継続して行うことが大切です。<Shimo's eyes>エパデールEMカプセルは、既存のEPA製剤であるエパデールカプセル、小型軟カプセルのエパデールSを消化管で吸収されやすくした高純度改良版です。既存薬は1日2回または3回の服用が必要ですが、本剤は1日1回の単回投与です。エパデールSと同様にアルミスティック包装となっています。既存薬からの切り替えの場合、既存薬1.8g(エパデールS900を1日2回)が、本剤2g 1日1回に相当するように開発されています。エパデールEMカプセル2gの薬価は113.00円、エパデールS900の薬価は62.7円/包(2包で125.4円)、エパデールS600の薬価は46.5円/包(3包で139.5円)ですので、1日薬価の負担は本剤のほうが少なくなっています。なお、本剤の粒子径(約6mm)は、既存薬のエパデールS(約4mm)と比較してやや大きくなっています。EPAの成分は脂肪酸であり、胆汁の主成分である胆汁酸がないと吸収が低下しますが、本剤は体内で脂質成分が界面活性剤と自己乳化することで吸収性が向上し、1日1回投与が可能になりました。本剤は既存薬に比べて食事の影響を受けにくい製剤ですが、食直後の服用でより吸収が高まるため、本剤も食直後の服用となっています。生活習慣病患者はしばしばアドヒアランスの不良が問題となりますが、本剤は1日1回の単回投与であるため、アドヒアランスの向上が期待できます。とくに併用される機会の多いHMG-CoA還元酵素阻害薬の主な用法が1日1回であることからも、本剤のニーズは高いと考えられ、TG高値を示す脂質異常症患者の選択肢を増やす薬剤として意義があるでしょう。

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CCUでの上級フェローによる後輩への指導【臨床留学通信 from NY】第36回

第36回:CCUでの上級フェローによる後輩への指導今回は、最近ローテートしたCCUの話です。私の勤めるMontefiore Medical CenterはAlbert Einstein College of Medicineの大学病院ですが、Moses病院とWeiler病院という2つの病院で形成されています。Moses病院はWeiler病院よりも倍ほど大きく、Weilerでは完結できないさまざまな処置が可能です。たとえば循環器領域だと、心臓移植、LVAD(左室補助人工心臓)といった処置はMoses病院でしかできません。そのMoses病院のCCUを、7月にローテートしました。平日は主に7時半から夕方5時半くらいまで勤務し、土曜は大体午後1~2時くらいまでで当直者に申し送りつつも、日曜の朝まで1年目フェローが捌けない事態には自宅から駆けつけて補助をします。CCUには、内科2年目レジデントと1年目レジデント(慣習的にインターンと呼びます)が、24時間常に誰かしらが患者を担当することになっており、フェローはその補助的な役割となります。朝7時半には夜間当直者より、新入院患者がいればその申し送りを受け、ラウンドの始まる8時半までに全体の把握を行います。CCUだけで12床あるため、時にECMO、ECMO+Impella (ECPella)、Imepall 5.5、LVAD、移植前後の患者さんなどがいて把握するのにも時間が掛かります。ラウンドも指導医によって時間が大きく異なり、2時間くらいで終わることもあれば4時間掛かることもあり、最後のほうには英語ばかりで頭が疲れてしまいます。つまるところフェローの立ち位置はレジデントと指導医の中間ですが、ラウンド中は患者さんの病状をレジデントがプレゼンテーションし、それに対してフェローが指導医と話し合って、最後に何か抜けがないか確認したり、指導医とは違う治療の仕方を提案したりします。徹底的に議論する中で、指導医からレジデントにフィードバックをしていくのがアメリカの常にある光景で、日本にはあまりない文化と言えるでしょう。手技では日本のレジデントのほうが優秀?フェローの大きな仕事の一つが、中心静脈カテーテルや動脈圧ラインを挿入することです。時折スワンガンツや経静脈ペーシングカテーテルをベッドサイドで入れることもあります。正直、経験の浅いフェローがベッドサイドで透視もなくスワンガンツや経静脈ペーシングカテーテルを入れるのは、合併症の懸念もあり私は個人的に反対です。日本が米国より優れているのはこうした手技の面で、研修医2年目であれば中心静脈カテーテルや動脈圧ラインは問題なく入れられそうなものです。しかし米国では、病院によりますが、レジデントでできる人は少なく、循環器フェロー1年目でもできないことが多いです。そのため、日中は1年目フェローを監督するのが2、3年目フェローの仕事です。逆に彼らを育てないと、スワンガンツや経静脈ペーシングカテーテルならまだしも、たかだか中心静脈カテーテルのために、夜間に上級フェローが呼び出されるということになり、それが多々あるのが現状です。さらに、指導医は自身がやるわけではないためか、結構不要なラインを要求することもあるので、感染のリスクを鑑みて、それをなだめるのもフェローの仕事かもしれません。それ以外に、基本的な心電図、心エコー、冠動脈造影の解釈についてラウンドの後などに教えたりするのも、われわれ上級フェローの仕事になっています。Column画像を拡大する7月の日本心血管インターベンション治療学会で、編集委員特別賞を頂きました。写真撮影がありますと言われましたが、NYからズーム越しの参加だったため、その時は自分が画面に大映しになっているとはつゆ知らず、後で送られてきた写真を見てびっくりしました。

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英語で「事前に教えてくれてありがとう」は?【1分★医療英語】第41回

第41回 英語で「事前に教えてくれてありがとう」は?I just want to let you know that Mr. Johnson was sent to the emergency room.(ジョンソンさんを救急外来に送ったので、知らせておくね)Thank you for the heads-up.(事前に教えてくれてありがとう)《例文1》I want to give you a heads-up that the next patient is coming in 30 minutes.(あらかじめ知らせておきますが、次の患者さんは30分後に来ます)《例文2》This is just a heads-up that I will be on vacation next week.(一応お伝えしておくと、私は来週休暇をいただいています)《解説》今回お伝えする“heads-up”という表現は、直訳すれば「頭を上げること」という意味です。「目の前に下を向いている人がいるシーン」を想像してみてください。下を向いたままで何かを伝えることは難しいですが、その人の顔を上げれば、メッセージや忠告を伝えることができますよね。そこから転じて、「あらかじめ伝えておく」「事前に知らせておく」といった意味合いで用いられる表現です。あるいは「注意喚起」や「忠告」というような意味合いにもなります。ここで用いられる“heads-up”は名詞なので、(慣習的にheadは複数形をとっているものの)厳密にはaやtheなどの冠詞を頭に付ける必要があります。動詞の“give”と相性が良く、“give you/him/her/them a heads-up”で「事前に知らせる」という意味合いになります。なお、“Heads up!”とだけ言うと“Watch out!”のような「危ない!」「気をつけて!」と言う意味の動詞になりますので、使い方には注意してください。この“heads-up”は日常会話だけでなく、メール上のコミュニケーションでもよく見られます。友人や同僚が事前に何かを知らせてくれた時に、“Thank you for the heads-up!”と返事をすると小慣れた感じになりますので、ぜひ活用してください。講師紹介

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第125回 気疲れは脳のグルタミン酸蓄積の仕業?

プロのチェス選手でさえ試合で4~5時間も経つと間違えをするように1日中試験や発表(プレゼン)で過ごした後で頭が回らなくなるという経験は誰しも覚えがあるでしょう。そういう気疲れ(精神的疲労)に神経伝達物質・グルタミン酸の脳での蓄積が寄与しうることが新たな試験で示唆されました1)。運動している時の筋肉がそうであるように、より頭を使う難解な課題で気疲れするのは簡単な課題に比べてエネルギーがより消費されて枯渇するのが原因とするというこれまでの通説とは異なる結果であり、その試験結果はちょっとした物議を醸しています2)。Cellの姉妹誌Current Biologyに結果が発表された今回の新たな試験で研究者は集中の維持や予定を立てるときに働く脳領域・外側前頭前野のグルタミン酸濃度が気疲れした時によくある振る舞い・克己心の欠如などと関連するかどうかを調べました。被験者40人は2つに分けられ、一方は気疲れを誘う難解な課題に取り組み、もう一方はより簡単な課題をしました。それら課題をしている6時間半の間に気疲れのほどや外側前頭前野のグルタミン酸濃度が何度か調べられました。気疲れのほどは、後で手に入る大金のために目先の小銭を我慢する自制心を問う質問などで評価されました。その結果、より難解な課題の群は簡単な課題の群に比べて克己心を失った衝動的な選択が10%ほど多く、外側前頭前野のグルタミン酸濃度が8%ほど上昇していました2)。より簡単な課題の群ではそのようなグルタミン酸濃度上昇は認められませんでした。今回の試験結果はあくまでも関連を示しただけであり、知能の酷使が脳でのグルタミン酸の有害な蓄積を引き起こすと結論づけるものではありません。米国・ブラウン大学の神経科学者Sebastian Musslick氏はグルタミン酸の上昇は気疲れの主因ではなく何らかの役割を担っていると考えています2)。われわれの脳は臓器と絶えず通信し、いつ食べたり飲んだり寝たりすればいいかを知らせてくれます。それと似たような脳内の保守に前頭前野のグルタミン酸も携わっているのではないかと同氏は想定しています。また、プリンストン大学のJonathan Cohen氏もグルタミン酸のような余剰物を気疲れの主因とする考えを疑っています。脳はより手の込んだ処理で膨大な情報を捌いているに違いなく、余剰物の上げ下げといった単純な仕組みで事足りる筈がない(It just can‘t be that easy)と言っています。今後の課題として、代謝の残り滓を洗い流して脳を掃除する睡眠や休息でグルタミン酸濃度が落ち着くかどうかを調べる必要があります。先立つ研究によると睡眠中にグルタミン酸がシナプスから取り除かれることはかなり確かなようです3)。脳疾患の多くでグルタミン酸の異常な伝達が認められており、うつ病治療に使われるエスケタミンやアルツハイマー病症状を治療するメマンチンなどの神経のグルタミン酸受容体を狙う薬がすでに存在します。また、最近のアルツハイマー病や脊髄小脳失調症(SCA)の試験で残念ながら効果を示すことはできませんでしたが、グルタミン酸除去薬troriluzoleも臨床試験段階に進んでいます。外傷性脳損傷(TBI)、多発性硬化症、新型コロナウイルス感染(COVID-19)後にも生じうるらしい筋痛性脳脊髄炎(ME)/慢性疲労症候群(CFS)などの脳を酷使させる病気の研究に今回のような成果は重要な意義を持ち、その議論を前進させる筈とKessler Foundationの神経学者Glenn Wylie氏は言っています4)。参考1)Wiehler A, et al.Curr Biol. 2022 Aug 4:S0960-9822.01111-3.2)Mentally exhausted? Study blames buildup of key chemical in brain / Science3)Why thinking hard makes you tired / Eurekalert4)Neurotransmitter Buildup May Be Why Your Brain Feels Tired / TheScientist

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乳がんの予後、右側と左側で異なる?

 乳がんの発生率は右側より左側が多いと報告されているが、予後や術前補助化学療法への反応に違いはあるのだろうか。今回、米国・University of North CarolinaのYara Abdou氏らが左側乳がんと右側乳がんの予後や臨床病理学的、遺伝学的特性の違いを調査したところ、左側乳がんは右側乳がんと比べて遺伝子プロファイルが増殖的で、術前補助化学療法への奏効率が低く、予後がやや不良であることが示された。Scientific Reports誌2022年8月4日号に掲載。左側乳がんは右側乳がんより多いが臨床病理学的な違いは認められない 乳がんの側性に関しては、約80年前(1940年)に初めて左側乳がんの頻度が高いことが報告され、その後も一貫して左側乳がんのほうがわずかに高いことが報告されている。しかし、根本的な特徴の違いは十分に検討されておらず、その原因についても仮説として、左乳房が大きいこと、右利き女性の左側乳がんの早期発見、右母乳育児などがあるが証明されていない。 著者らは、Surveillance, Epidemiology, and End Results(SEER)データベースに1988~2015年に登録された乳がん患者88万1,320例(男性、18歳未満、両側乳がん、DCIS、Stage IV、Stage不明、生存患者を除く)の生存期間と臨床的特徴を調べた。また、Cancer Genome Atlas(TCGA)を用い、1,062例の遺伝子および臨床的特徴を探索した。さらにRoswell Park Comprehensive Cancer Centerで2009~13年に術前補助化学治療を受けた155例の単施設コホートでの後ろ向き調査を実施し、病理学的完全奏効(pCR)による特性をまとめた(pCRはypT0/isN0と定義)。 左側乳がんと右側乳がんの予後の違いなどを調査した主な結果は以下のとおり。・左側乳がんは右側乳がんより多かった(SEER:50.8% vs.49.2%、TCGA:52.0% vs.48.0%、単施設:50.3% vs.49.7%)。・左側乳がんと右側乳がんに臨床病理学的な違いは認められなかった。・SEERコホートでは、左側乳がんは右側乳がんに比べ、悪性度、Stage、腫瘍サブタイプの調整後も全生存が不良であった(ハザード比:1.05、95%信頼区間:1.01~1.08、p=0.011)。TCGAコホートおよび単施設コホートでは全生存に有意差は認められなかった。・G2Mチェックポイント、有糸分裂紡錘体、E2Fターゲット、MYCターゲットなどの細胞増殖および細胞周期関連遺伝子は、左側乳がんにおいて右側乳がんより有意に濃縮されていた。・術前補助化学治療を受けた155例の単施設コホートにおいて、左側乳がんは右側乳がんよりpCR率が低かった(15.4% vs.29.9%、p=0.036)。

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